【安価とコンマ】剣と魔法の世界で姫と結ばれたい6
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112: ◆gEU9La026k[saga]
2021/05/29(土) 23:01:43.53 ID:ln80QpV80
その日の夜、王の厚意により貸し出された鉄国産の炭火で伝説のキノコは焼かれた。
巨大なキノコに串を通し、軽く塩を振っただけ……
料理と言うにはあまりにも単純、野性味溢れる食し方ではあったが、集まった傭兵団員達は誰も文句を言わなかった。
「……んぐ……」
誰かがキノコが焼ける香りを前にたまらず喉を鳴らす。
だがそれを咎めるものは誰もいない。個人差はあれど、全員が似たような状況なのだから咎めようも無い。
「……」
串を持つ、全ての責任を背負った傭兵団長は理性を総動員していた。
最も近くで、焙られるキノコの芳醇な香りを嗅ぎ続けるのだ。並の精神ではこの役目は務まらない。
今すぐかぶりつきたい衝動に駆られる程に、魅惑的なキノコ。
だからこそ、これを食した時の感動は皆で共有したい。
「……」
まさか、自分の手で伝説のキノコを焼ける日が来ようとは。
金よりも地位よりも、これまでの人生で一番の報酬かもしれない。
果たして今後の傭兵人生において、これを上回る報酬が手に入る時はくるのだろうか?
もしそんな時がくるのだとすれば、きっとそれは……
「……っと。そろそろだな」
思考を振り払い、キノコを火から遠ざける。
ああ、なんというキノコだろうか。
ただでさえ薫り高かったというのに、焙られた香ばしさも加わることでさらに高みに至っている。
「ジークさん……!」
辛抱堪らないといった様子の緑姫を僅かに制止させ、串から引き抜くと同時にすぐさま包丁へと持ち替える。
時間との勝負。躊躇っている暇も無い。
この最高の状態の伝説を、綺麗に9等分しなくてはならない。
「――っ!」
半分こ、などといったものよりもその難易度は高い。
ただ一直線に包丁を振り下ろし両断しただけでは、絶対に9には分かれない。
まずは焦らずに3等分、それにさらに二回包丁をおろしてやればいいのだ。
「よしっ!」
美しく切られたキノコは、そのまま皿に乗せられ全員に配られていく。
一人、二人……やがて九人。
――皿が行き渡ると同時に、彼らは礼を述べつつキノコをその口へと運ぶ
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