【安価とコンマ】剣と魔法の世界で姫と結ばれたい8
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123: ◆gEU9La026k[saga]
2021/07/17(土) 22:08:41.51 ID:dFlPrKOR0
――
「ジークさん……!」
真っ先に駆け寄って来たのは鉄国の姫
まだ状況の整理はできていないが、敬愛する青年がまた目の前で重傷を負ったことだけはわかった
大丈夫。あの時も瀕死の傷を負いながらも自分を守り抜いてくれたのだから
今回だって、無事でいてくれる
自分に言い聞かせるように、彼女はただただ無事を祈る
それでも、涙は止まらなかった。彼が好きだという笑顔には、なれそうにもない
「あ……あぁ……」
森国の姫はしかし、駆けることもできずにその場に座り込んだ
自他共に認めるお転婆姫も、この時ばかりは年相応の無力な少女のようであった
それも無理はないこと。無事だったと思われた自国の兵が目の前で爆ぜ散ったのだ
それだけではない。危うく大切な妹がそれに巻き込まれ、庇った青年が吹き飛ばされた
いい人間だと、気兼ねなく話せていたあの青年が、見るも無残な姿で横たわっている
妹の回復も、まるで意味を為していない
最悪の結末を想像し、身体は竦み頭は真っ白になっていた
「あぁぁぁ……!」
妖精の姫は、ただただ必死だった
また、自分のせいでこの人を巻き込んでしまった
しかも今度は以前とは状況が違う。自分は無事で、彼が重傷
この旅の中で心身共に鍛えられたとは思うが、流石に恩人がこのような姿にされては動揺を隠しきれない
それでも、特に損傷の酷い部位に回復を続けていく。たとえ効果が薄くとも、無ではないと信じて
「――皆さん落ち着いて! ジーク様が、死ぬはずがありません!」
そんな時に、公国の姫の声はよく響き渡った
その声は狂気を含んだものではなく、強い意志の力を感じさせるものだった
内心の動揺が無いと言えば嘘になる
しかし彼の信念、自分を支えてくれた言葉の主であるからこそ、断言できた
彼は、生きる。ここで死にはしないのだと
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