少女「覚めない悪夢にようこそ」
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16:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:22:51.58 ID:8Bqh101l0
短く悲鳴を上げ、彼女はその場に頭を抑えて崩れ落ちた。
凄まじい金属音がして、石造りなのだろうか……背後の硬い壁に、「何か」がめり込んだ。
それを見上げて彼女は唖然とした。
口元が震えだし、体が萎縮する。
今まで少女の頭があった場所に、草刈り鎌……にしてはかなり巨大な黒光りし、湾曲した鎌の刃が刺さっていたのだ。
17:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:23:44.95 ID:8Bqh101l0
「んんんんん……?」
怪訝そうな声がした。
少女の前には、人間大のぬいぐるみのような物体が立っていた。
ボロボロになって、ところどころ綿が飛び出している。
18:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:24:42.37 ID:8Bqh101l0
「避けたね? 避けた! 避けた!」
けたたましい声で笑い、兎のぬいぐるみは手を伸ばし、鎌を壁から抜き取った。
石が削れる耳障りな高音。
そのギラつく刃と、兎の体が何かで汚れているのを見て少女は硬直した。
19:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:25:31.79 ID:8Bqh101l0
それを認識する前に、兎のぬいぐるみが、パカッと口を開けた。
「おめでとうアリス! 今日も君の命日だ!」
意味不明なことを叫んだその口の中から、機械じかけの回転ノコが飛び出してきた。
20:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:26:17.75 ID:8Bqh101l0
彼女の肩を浅く回転ノコが薙ぐ。
痛みと熱さを感じる前に、少女は全速力で薄暗い通路を駆け出していた。
「逃げるのかいアリス! いいよ! 久しぶりに遊ぼう! 鬼ごっこだ!」
21:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:27:31.10 ID:8Bqh101l0
◇
斬られた肩が激しく痛む。
血が止まらない。
22:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:28:20.48 ID:8Bqh101l0
どこまで走っても、通路は途切れなかった。
何十何百と鉄格子がついた扉が並んでいた。
錆が濃くなってきたところで少女の体力がなくなり、彼女は近くの部屋に逃げ込んだのだった。
歌が聞こえる。
23:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:29:20.62 ID:8Bqh101l0
「Oh,Happy......day」
ひひ、という笑い声とともに、鎌で床を擦っているのか、先程の兎が歌いながら近づいてくる。
「臭い臭いぞ! アリス! 血の臭いだ! 腐った血の臭いがするぞ! 近いぞ近いぞ!」
24:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:30:28.04 ID:8Bqh101l0
「息を潜めても無駄だよォ……血は止まらないからね! 臭い臭い血が止まらないよ! 傷は腐ってドロドロになって、ヘドロになって流れ落ちる! おめでとうアリス! 今日は腐敗記念日でもあるね!」
意味不明なセリフとともにケタケタと笑いながら、兎の足音が部屋の入口で止まった。
「ここだ! ここが凄く生臭い! 臭い臭い臭い臭い! ハッピーデイだね!」
25:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:31:14.19 ID:8Bqh101l0
兎が入ってきた。
飛び出しそうな心臓を必死に落ち着かせようとして、少女は体をちぢこませた。
ズシャリ……ギリギリ……と音が聞こえる。
失禁しそうな恐怖の中、兎はベッドの前で足を止めて、鼻歌を歌い出した。
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