20:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:26:17.75 ID:8Bqh101l0
彼女の肩を浅く回転ノコが薙ぐ。
痛みと熱さを感じる前に、少女は全速力で薄暗い通路を駆け出していた。
「逃げるのかいアリス! いいよ! 久しぶりに遊ぼう! 鬼ごっこだ!」
21:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:27:31.10 ID:8Bqh101l0
◇
斬られた肩が激しく痛む。
血が止まらない。
22:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:28:20.48 ID:8Bqh101l0
どこまで走っても、通路は途切れなかった。
何十何百と鉄格子がついた扉が並んでいた。
錆が濃くなってきたところで少女の体力がなくなり、彼女は近くの部屋に逃げ込んだのだった。
歌が聞こえる。
23:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:29:20.62 ID:8Bqh101l0
「Oh,Happy......day」
ひひ、という笑い声とともに、鎌で床を擦っているのか、先程の兎が歌いながら近づいてくる。
「臭い臭いぞ! アリス! 血の臭いだ! 腐った血の臭いがするぞ! 近いぞ近いぞ!」
24:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:30:28.04 ID:8Bqh101l0
「息を潜めても無駄だよォ……血は止まらないからね! 臭い臭い血が止まらないよ! 傷は腐ってドロドロになって、ヘドロになって流れ落ちる! おめでとうアリス! 今日は腐敗記念日でもあるね!」
意味不明なセリフとともにケタケタと笑いながら、兎の足音が部屋の入口で止まった。
「ここだ! ここが凄く生臭い! 臭い臭い臭い臭い! ハッピーデイだね!」
25:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:31:14.19 ID:8Bqh101l0
兎が入ってきた。
飛び出しそうな心臓を必死に落ち着かせようとして、少女は体をちぢこませた。
ズシャリ……ギリギリ……と音が聞こえる。
失禁しそうな恐怖の中、兎はベッドの前で足を止めて、鼻歌を歌い出した。
26:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:31:54.74 ID:8Bqh101l0
いつまで経っても何も起こらなかった。
しかし歌は聞こえる。
目の前だ。
少女は一分経ち、二分経ち、そっと薄目を開けて様子を伺おうとして……金切り声の悲鳴を上げた。
27:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:32:50.33 ID:8Bqh101l0
巨大なぬいぐるみの首の部分が千切れてケーブルのようなもので伸びている。
そして、頭がぐるりと上を経由して、少女のことを覗き込んでいたのだ。
「こんばんわ、アリス!」
28:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:33:52.19 ID:8Bqh101l0
ゆっくりと回転ノコがせり上がってきて、錆びた刃が回転を始める。
腰を抜かしてベッドに背中を押し付けた少女の眼前で、回転ノコが止まった。
そして兎がゆらゆらと頭を揺らす。
ノコに頬をかすめられ、少女が悲鳴を上げる。
29:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:34:48.80 ID:8Bqh101l0
「ああ、アリス。アリス、おお……アリス。好きだよ。大好きだよ。だからすぐには殺さない。まず指を一本ずつ落とす。そして足の爪を剥がす。一枚ずつね! 目を抉ろう! 鼻をそごう! 耳を千切ろう! 断末魔の歌を聞かせておくれよ!」
回転ノコが少女の目の前で揺れる。
「君の綺麗な声で、僕をもっと昂ぶらせておくれ! ああ興奮する! 嬉しいね! 記念日だね!」
30:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:35:25.35 ID:8Bqh101l0
「助けて……」
少女は頭を抑えて、強く目をつむった。
「誰か助けてええ!」
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