【可愛そうにね、元気くん】「進まない」【SS】
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20:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:39:27.84 ID:JzXNw/sm0
「――っ! あ、っ、はあ、はあっ……!」
「ふふっ。手を繋いだだけでそんなになっちゃうなんて、元気くん――本当に変わってないね」
21:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:39:55.30 ID:JzXNw/sm0
******
22:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:41:16.76 ID:JzXNw/sm0
別にぼったくりバーだとか疑っているわけじゃない――鷺沢がそういう方向の悪ふざけをするハズもない――けれど、一般論としてバーでの飲食が割高なのは知っている。
そんな俺を見た鷺沢は、半ば本気で呆れたように眉を下げた。
「甲斐性ないなあ。大丈夫だって。レストランも兼ねてる、庶民派のバーだからさ」
23:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:41:44.80 ID:JzXNw/sm0
「…………ほっ」
常識的な値段と内容だった。
24:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:42:20.25 ID:JzXNw/sm0
……しばらくして運ばれてきたのは、揚げ物と薄いピザ、そしてカクテル二つ。注文しておいてなんだが、ずいぶん胃に悪そうだ。
店員さんが離れると鷺沢は立ち上がって、天井からぶら下がる紐を引っ張る。するとスクリーンのような仕切りが降りてきて、隣のテーブルと簡易的な壁を作った。
「……そんなのあったんだ」
25:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:43:26.99 ID:JzXNw/sm0
「それじゃ――元気くん」
一応周りから見られなくなっても、店の中だからか、鷺沢は人好きのする普通の笑顔だ。
こうして落ち着いて見ると……やっぱり、あの頃とは同じようで違う。仕草一つ取ってもどこかゆるやかで、大人びていて。
26:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:43:59.31 ID:JzXNw/sm0
俺は、未だに鷺沢が好きだった。
その真っすぐな瞳に貫かれるたび、十年経った今でも俺の心臓は怪しく高鳴るのだ。
27:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:45:18.58 ID:JzXNw/sm0
「ん……あ、ああ」
鷺沢に遅れて、俺もグラスを持ち上げる。
こうして偶然の再会を果たして、二人きりで酒を飲むからって、俺と鷺沢の何かが変わるわけではないだろう、となんとなく思う。
28:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:45:45.07 ID:JzXNw/sm0
「……鷺沢ってさ。今何やってんの……仕事とか」
「んー? ……内緒」
29:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:46:26.39 ID:JzXNw/sm0
「……ここ、よく来るの?」
「時々。付き合いとかでね」
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