【可愛そうにね、元気くん】「進まない」【SS】
1- 20
22:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:41:16.76 ID:JzXNw/sm0

別にぼったくりバーだとか疑っているわけじゃない――鷺沢がそういう方向の悪ふざけをするハズもない――けれど、一般論としてバーでの飲食が割高なのは知っている。
そんな俺を見た鷺沢は、半ば本気で呆れたように眉を下げた。

「甲斐性ないなあ。大丈夫だって。レストランも兼ねてる、庶民派のバーだからさ」
以下略 AAS



23:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:41:44.80 ID:JzXNw/sm0


「…………ほっ」

常識的な値段と内容だった。
以下略 AAS



24:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:42:20.25 ID:JzXNw/sm0

……しばらくして運ばれてきたのは、揚げ物と薄いピザ、そしてカクテル二つ。注文しておいてなんだが、ずいぶん胃に悪そうだ。
店員さんが離れると鷺沢は立ち上がって、天井からぶら下がる紐を引っ張る。するとスクリーンのような仕切りが降りてきて、隣のテーブルと簡易的な壁を作った。

「……そんなのあったんだ」
以下略 AAS



25:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:43:26.99 ID:JzXNw/sm0

「それじゃ――元気くん」

一応周りから見られなくなっても、店の中だからか、鷺沢は人好きのする普通の笑顔だ。
こうして落ち着いて見ると……やっぱり、あの頃とは同じようで違う。仕草一つ取ってもどこかゆるやかで、大人びていて。
以下略 AAS



26:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:43:59.31 ID:JzXNw/sm0

俺は、未だに鷺沢が好きだった。
その真っすぐな瞳に貫かれるたび、十年経った今でも俺の心臓は怪しく高鳴るのだ。




27:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:45:18.58 ID:JzXNw/sm0

「ん……あ、ああ」

鷺沢に遅れて、俺もグラスを持ち上げる。
こうして偶然の再会を果たして、二人きりで酒を飲むからって、俺と鷺沢の何かが変わるわけではないだろう、となんとなく思う。
以下略 AAS



28:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:45:45.07 ID:JzXNw/sm0


「……鷺沢ってさ。今何やってんの……仕事とか」

「んー? ……内緒」
以下略 AAS



29:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:46:26.39 ID:JzXNw/sm0


「……ここ、よく来るの?」

「時々。付き合いとかでね」
以下略 AAS



30:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:47:05.21 ID:JzXNw/sm0


「元気くんはさ、まだ漫画描いてるの?」

「ちょっ……んんっ、まあ……うん」
以下略 AAS



31:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:47:59.99 ID:JzXNw/sm0


「……だからげんきくんはさぁ、ぜんぜんれんらくもしないでぇ……わたしがどれだけぇ……ひっく、すみませぇーん。カシオレおかわりぃー……」

「……さ……鷺沢、飲みすぎじゃ……」
以下略 AAS



32:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:48:35.29 ID:JzXNw/sm0


クラスメイトで、暴君で、俺のご主人様で、理解者だった、鷺沢守という女。
原稿を奪われた思い出――初めて殴られた時の痛みと、捕食者の笑み――血の味のキスと痣――ピアス――寝泊り――理解者であることを教えてくれた、最後の冬の射抜くような視線。
正直に言えば……記憶にこびりついた感情の強さなら、八千緑さんより鷺沢の方が少しだけ上だ。
以下略 AAS



102Res/52.71 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice