【可愛そうにね、元気くん】「進まない」【SS】
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33:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:50:02.35 ID:JzXNw/sm0
……もちろん、八千緑さんと鷺沢では歪みの方向もカタチも違う。とはいえ――順風満帆とはいかないかもしれないけれど――十年も経てば鷺沢なりに折り合いをつけて生きていっているんだろうって、心のどこかでそんな風に思い捨てていた。
「んん〜……」
けれど、だらだらと話し込みながら酒を飲んで、気づけばもう九時前だ。
こんな時間まで誰かに連絡を取る様子もなく、偶然再会しただけの男と二人で飲んでいるのは、ちょっと普通じゃない。
それが、鷺沢を心配したり待ってくれたりしてる人がいないから、なのだとしたら。
「……鷺沢。おい、鷺沢」
肩に触れる。不安になるほど華奢な、針金の人形のような身体。均整の取れたスタイルの良い体が、なぜだか今は妙に心許ない。その奥に苛烈で加虐的な愛情が隠れているなんて想像もできないくらいに、その上半身は軽く感じた。
鷺沢は、どうして――何を思って、俺を飲みに誘ったのだろう?
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