【可愛そうにね、元気くん】「進まない」【SS】
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37:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:54:06.89 ID:JzXNw/sm0


理解できないモノを見た時、人は困惑する。そこから生じる不安は、言葉では表せないような曖昧な苦しみを与える。
その結果が、学園祭の終わり――励一くんが現れたあの時の教室であり、俺の退学だ。

「…………うっ、ぷ」

ドン引きするクラスメイト全員の視線にメッタ刺しにされたあの日の事を思い出して、胃液が込み上げた。さすがにアレは、消化するには重たすぎる経験だ。
フラッシュバックに苛まれる俺を気にも留めずに、鷺沢は幸せそうな寝息を立て続けていた。

「すぅー……すぅー……。……ふふっ……」

結局のところ、鷺沢はいつだって理不尽に俺を苦しめる。
暴君で、一度だって逆らえなくて……だからこそ、ご主人様で。

「…………っ……はぁ……」

うずくまった鷺沢をしばらく見つめていたけれど、結局俺は鷺沢の代わりにカシスオレンジを口にした。
それくらいなら、許される気がした。




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