【可愛そうにね、元気くん】「進まない」【SS】
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79:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:28:11.06 ID:JzXNw/sm0
「んー? さきこちゃん」
さきこ。
80:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:29:05.36 ID:JzXNw/sm0
顔を伏せって本気で寝る体勢の鷺沢を尻目に、電話は鳴り続ける。呼び出し時間が切れても何度も掛けなおしてくる。数分間の葛藤の後、俺は恐る恐る通話ボタンを押した。
「……も、もしもし? せんぱい、お久しぶりで――」
81:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:30:02.54 ID:JzXNw/sm0
「すみませんすみませんすみません鷺沢が勝手に送って」
『てことはこの写真は事実なんだね今まさに君の隣で守が寝てるんだねラブホに居るんだねよろしくやったんだね?????』
82:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:30:47.19 ID:JzXNw/sm0
…………ひたすら謝り倒した後、『また今度根掘り葉掘り聞きに行ってやるから首をよく洗って待ってろ! あと手も! 風邪ひくなよ!』という宣告を最後に受けて、通話は切れた。
「っ、はぁあ〜〜……」
83:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:31:37.97 ID:JzXNw/sm0
「ふふっ」
そんな俺の考えを見透かして、それをやさしく否定するように。
84:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:32:33.68 ID:JzXNw/sm0
「…………じゃあ、誘うだけ誘ってみるけどさ。期待はするなよ」
「はいはーい。あ、私はいつでも大丈夫だから」
85:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:33:22.07 ID:JzXNw/sm0
-進まない-
86:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:34:04.84 ID:JzXNw/sm0
明朝。
半袖では少し肌寒い、夜明け間近の繁華街。二十四時間営業の酒場でもあるのか、遠くからわずかに騒ぎ声が聞こえる。
鳥肌を立てる両腕を擦りながら、鷺沢と並んで駅へと向かう。
87:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:34:48.64 ID:JzXNw/sm0
「やさしー。でも自分の心配したほうがいいよ? 顔、痣だらけだから」
「あー、うん。さっき顔洗ったときに気づいたよ」
88:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:35:40.78 ID:JzXNw/sm0
……当たり前のことだけど。
『言い訳』なんてものを考えなきゃいけないくらいには、俺たちの性癖は多くの人には理解されない。
俺も鷺沢も――きっとどんな人も、生まれた環境やふとした出来事で少しずつおかしくなっていく。
89:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:36:22.48 ID:JzXNw/sm0
「ん……」
駅前のロータリーに差し掛かる。始発にはまだ少し時間があるのか、改札の前でシャッターが開くのを待っている人が何人か見受けられた。
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