590: ◆M0wTTx2gAU[saga]
2025/01/15(水) 02:46:18.50 ID:FDdRcuxiO
どうやら最悪の最悪は免れたらしい。貴族は生きている。私の代わりに雇ったらしい冒険者は、射手は残念ながらやられてしまったようだ。
ミルカ「ふーー……ふーー……」
崖の上に弓兵がいるのを確認したので、そちらから殲滅することにした。残る弓兵は左右の両端にいる二人。
「てめっごら!」
「なんだ雌っ!」
二人がほぼ同時に放った矢を掴み、腕を交差して投げ返す。これで弓兵は全滅した。そして、やはりあいつはジェンだった。目線が合う。
走ってる間考えていた。私はなんでこんなに急いでいるのだ。勇者パーティーの名前に泥を塗らないためか、貴族を殺された場合の責任が怖いからか、罪無き命が蹂躙されるのが許せないからか、ジェンに不覚をとったのがプライド的に許せないからか。
ミルカ「なにやってんだお前!」
ジェン「はっ。ダル。懐かしのお説教攻撃かよ」
多分全部なんだろう。でも、歪みきったジェンを改めて見て、怒りよりも哀しみが心を締めているのを自覚した。ジェンはあいつが14歳、私が17歳の時まで同じ師匠の弟子として修行していた。体格にも恵ませず、兎に角出来が悪い。よく怒られていたし私もキツイこと言ってたかもしれない。
ミルカ「……〜っ」
しかもお調子者で、年下の新しい弟子にはデカイ面してた。あとエロだった。私が身体を洗ってるときにパンツでシコってた。私の入浴を覗いてもシコってた。あれいいところ無いな。はははは。
でも天才の私はわかってた、大器晩成的な天稟があることを。だから泣いてたときは慰めたし、果物も分けてやった、折角の才能を潰したくなかったから。そういえば初めてをやったのもこいつだった。村を大型の魔物が攻めてくるちょっと前だったな。
ミルカ「があ!」
ジェン「オラァ!」
その魔物が恐ろしくて逃げた件で、業を煮やした師匠に破門されかけたんだけど、それを助けてやったのも私だ。でも、その事がきっかけでジェンは村から逃げるように旅立ってしまった。14とはいえ修行を続けていただけあってそれなりに強かったから、師匠達もあまり心配はしてなかったけど。
ジェン「そんなボロボロで勝てるかよあぁ!?」
ミルカ「ぬあぁあ!」
私は初めてジェンに先を越されたと思った。18になったら旅立とうと思っていた私より4年も早く世界を見られるなんて生意気なやつだ。今度会ったらイヤミを言ってやろうと思っていたんだ。それが。
ミルカ「腐り果てやがってぇーー!」
ジェン「はははは!」
1002Res/835.66 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20