【安価コンマ】帝国に追い狩られる姫と騎士・幾度繰り返してもお守りします
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294: ◆ra.jqt4ROA[saga]
2026/05/09(土) 05:59:49.55 ID:McvJlec/0
「………」

「お頭ぁ、こいつすっかり大人しくなりましたぜ!」

「やっと身の程を弁えたかよ女騎士様。さあどうしてくれようか…へっへ」

貴女は諦めて身動きを取らない訳ではない。

今現在もまるで体が思うように動かない…だが完璧ではない。

水晶の魔具を使っているボルギス自身も理解していないようだが、この水晶の本領は寧ろ『重ね掛け』にあるのだと受けた貴女は推察する。

だが彼はこれまでの経験上、それが必要な相手に出くわさなかったか…あるいは目の前の欲望に飛びつく事しか考えられない単細胞なのか…

「俺の可愛い子分をよくもまあこれだけぶっ殺してくれたもんだぜ。こいつぁしっかりとお返ししねぇとな」

十中八九後者に違いない。ボルギスの言葉を皮切りに、股間を膨らませた盗賊たちが貴女ににじり寄る。

十数秒前まで貴女に対する慄きしかなかった彼らが、どういう思考回路で興奮できるのか貴女には理解しかねる。

(魔獣の方がまだ警戒心がある……)

「まずはこいつにしっかりご挨拶を──」

ボルギスが己の股間を弄った…視界が逸れた隙を貴女は見逃さない。

「はあああぁっ!」

「ぐおっ!?」

貴女はレイピアを思い切り地面に叩きつけた。

その結果、地面が小さく爆ぜて土を散弾のように周囲へまき散らす。

レイピアが折れ曲がらないよう力を制御しつつ、弾け飛ぶ土や小石は必要以上に派手に見せるようにだ。

この行為はボルギスへの抵抗ではない。故にだが若干体を動かす事ができた。

「っお…!脅かしやがって!」

だがその一撃に人を殺傷する程の威力が無い事は最も近くに迫っていたボルギス自身にすぐ見抜かれる。

絞り出した最後の力で、無意味な抵抗……そう思わせる事に成功した。

「!」

フウラの介入する好機を作り出すことに成功したのだ。

「ぅぎぁ!?」

ボルギスの右肩から血飛沫が噴き出す。

「お、お頭!」「くそっ、まだ居やがったのか!」

「邪魔」

「ぶっ……」「ぉげ……」

貴女とボルギスの間に割り込むように着地したフウラの一閃がボルギスに一撃を与え、

なおかつ包囲しようとする盗賊団員たちの喉笛や脳天を切り裂き一瞬で黙らせる。

「やり、やがったな!畜生!クソアバズレが!」

片手で肩を抑えながらボルギスが毒づく。抑えている肩から握っている水晶まで血が滴り落ちた。

「動ける?」

「感謝します。フウラ殿」

貴女を支配する力が弱まった。やはりこの力は、魔具の持ち主であるボルギスを倒せば消滅するようだ。




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