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上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」 - 製作速報VIP(クリエイター) 過去ログ倉庫

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1 :とある魔術の幻想殺し(イマジンブレイカー) [saga]:2010/11/16(火) 12:02:05.19 ID:z5JWZTE0


一巻からのパラレルです。
なので、一巻冒頭のシーンを飛ばしてます。
美琴関係や上条の友人関係で改変がありますが、後々出てくるので……
オリジナル設定プラス自己解釈もかなりあります。

目標は「禁書ss?だったらこれが面白かったかな」って言われるレベルの作品。




正式名称『とある魔術の幻想殺し(イマジンブレイカー)』



始まります。


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高森藍子「間違える」 @ 2019/10/18(金) 04:28:22.95 ID:wG2CyFjX0
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ゴルゴ13「用件を聞こうか…」 将軍さま「あの屏風の虎を倒してみせよ」 @ 2019/10/17(木) 09:59:55.07 ID:1vw7yyn40
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【艦これ】提督「艦娘にハーフマラソン大会を代走させたろ!」 @ 2019/10/16(水) 23:08:40.64 ID:dh5SU+oG0
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にこ「噂のアイドルがそこまで来てるんだって!」 @ 2019/10/16(水) 23:06:24.84 ID:wJDNiuCzO
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Colorful Cookie †Heroic Verse -Vewtiful Harmony- @ 2019/10/16(水) 22:33:35.42 ID:9jzPCuVf0
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【デレマス】なお忍ぶ知恵さえ夢かな @ 2019/10/16(水) 19:47:41.25 ID:2gLeQOmDO
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2 :1 [saga]:2010/11/16(火) 12:03:18.59 ID:z5JWZTE0





「……なぁ、悪かったって。機嫌直せよ」

「フンだ」

朝。七月二十日。
夏休み初日にどういう因果か、上条当麻は目の前で不貞腐れているシスターのご機嫌を取るのに必死だった。
そのシスターたる少女……インデックスは不機嫌そうに安全ピンだらけの修道服を身に纏って上条を睨んでいる。

上条は何故かベランダに引っかかっていたこの魔術だのなんだの言う少女に会い、何故か歩く教会などと言う魔術でできてるらしい服に右手で触れて弾けさせ、銀髪碧眼超白い肌の裸を見てしまったのである。

アイアンメイデンのインデックスは頬を膨らませながら、

「変態」

「あーもう。変態でもいいから機嫌直してくれって」

しかし一方で、脳に疑問が浮かぶ。

(俺の右手で触れて壊れたってことは、魔術は本当なのか?さっきまでの10万3000冊はともかく、魔術結社に追われてるってのもか……?)

そう。
上条の右手『幻想殺し(イマジンブレイカー)』で触れて壊れた以上、あの服には異能の力が働いていたということだ。


だとすれば。




先程まで、彼女が言っていたことは全て事実ーーーー?




3 :1 [saga]:2010/11/16(火) 12:03:49.91 ID:z5JWZTE0


コンコン

と、そこまで考えていた所に、ノックの音が耳に入る。
どうやらお客さんらしい。

「あっ、俺出てくる」

「……」

インデックスはムスッとしていて聞いていない。
それに苦笑しながら上条は立ち上がって廊下を通り、玄関へと向かう。

(しっかし、どうすっかなぁ……今日は補習もあるし、かといってあの子をここに居させとくってのも、それはそれで……いや、今夏休み中だし、大丈夫、か?)

今は夏休み。
平日やただの休日なら、もしかしたら何らかの業者や友人が来て大変なこと(後者は嫉妬や犯罪者的な意味で)になるかもしれないが、夏休みたる今、しかも初日なら誰も来ないだろう。

まぁ、そういって大変な目に会うのが上条さんクオリティなんですよねー、と思いつつ、彼は玄関の扉を開けるべくドアノブに手をかけーーーー


(…………あれ?)


今は夏休みだ。
夏休みの筈だ。
しかも朝。
そう、自分で考えたではないか。

なのに、なのに何故。




『誰も来ない筈』なのに、扉はノックされた?




4 :1 [saga]:2010/11/16(火) 12:04:24.47 ID:z5JWZTE0


ガチャッ、と。
彼は扉を開けてしまう。
開けた先。通路に立っていたのは、二メートルはありそうな長身の大男。
身を包むのは、黒い神父服。
赤い髪に、耳にピアス。指には指輪が大量に嵌められており、目の下に位置するバーコードが印象的だった。
どう見ても神父では無く、普通の人間では決して無い。
嫌でも、この男がただ者で無いことが、上条にも分かった。

上から見下ろすように、大男は口を開く。

「やぁ始めまして。中にいる筈の女の子に用があるんだけど?」

友好的にも思える口調。
だが、言葉の一つ一つに重みがかかっている。
その言葉からも、男がただの一般人では無いことが分かる。

上条は、冷や汗を一つ垂らす。

「テメェ……何者だ……?」

気圧されないように、拳を握り締め、下からその目を睨む。
大男は目を細めながら、上条の疑問に答えた。




「魔術師だよ」





5 :1 [saga]:2010/11/16(火) 12:04:57.88 ID:z5JWZTE0








とある空間が学園都市に存在する。
そこは、学園都市においてもっとも安全な場所であり、もっとも危険な場所でもある。
人呼んで、『窓の無いビル』。

そこには、一人の人間が存在していた。

もっとも、生存するための行為を自ら機械に委ねた者が人間と呼べるのならば、だが。

円柱型の、培養液に満たされた巨大ビーカーの中に存在するソレ。

ソレは男のようにも見え、女のようにも見え、子供のようにも見え、老人のようにも見え、聖人のようにも見え、罪人のようにも見える。
おかしい。おかしいのだが、そうとしか言い表せない存在。

逆さまの状態で、緑色の手術着を揺らしながら、ソレは口を動かす。


「……始まった」


その声もまた、ありとあらゆる表現を使わなければ形容できないような、不思議な声だった。
マイクを通している筈なのに、そうとは思えない綺麗で汚くもある、不思議な残酷な声。




ソレは、遂に始まったことを喜んでいた。




6 :1 [saga]:2010/11/16(火) 12:05:39.30 ID:z5JWZTE0







魔術師と、男は名乗った。
インデックスの言葉が嘘では無く、ハッキリと現実になり、どこか笑いそうになる。
実際には、そんな余裕は全く無いが。

「……その魔術師さんなんかが、こんなとこに何の用だよ?」

「言ったろ?中にいる筈の女の子を回収しに来たのさ」

「……回収?」

「うん?『アレ』から話を聞いてなかったのかな?」

そこまで言われて、上条は思い出す。
インデックスは、自分のことをIndex-Librorum-Prohibitorum、魔導図書館と言っていたことを。

「……知らねぇな。悪いけど他当たってくれ」

「残念だけど、ごまかしても無駄だよ。『歩く教会』の反応がこの部屋からしてるからね」

誤魔化そうとした上条の体が強張る。
どういう理屈・原理か分からないが、目の前に居る男は、インデックスがこの部屋に居ると分かっているらしい。
しかも、歩く教会。
インデックスが着ていた、絶対的な防御力とやらを持っていた服の名前だ。

「全く……さっきまでの反応に比べて急激に弱くなったから心配だったけど、一部が残ってみるみたいで助かったよ」

恐らく、弱くなったというのは先程破壊した時のことだろう。
しかし、一部が残っていたお陰でこの男はこの部屋にたどり着いたらしい。

7 :1 [saga]:2010/11/16(火) 12:06:19.83 ID:z5JWZTE0

「と、いう訳で。そこを退いてくれると助かる。僕も急いでるんでね」

「……」

上条がそれに言葉を返そうとした所で、




「ねー。一体どうし……っ!!」




最悪なことに、少女がやって来てしまった。
何故かリビングに返って来ない上条に疑問を持ったのだろう。
玄関の手前、上条の背後二メートル程まで来たインデックスの表情が、驚愕と、僅かな恐怖に包まれる。

「ーーーッ!」

反射的に上条は一歩下がり、インデックスを守るように前に立つ。
そしてジリジリと、インデックスを押し下げるように下がって行く。

(でもどうする!?どっちみちここ以外に出入り口なんて無いぞ!?)

いざとなったら、ベランダから飛び降りて下の階に侵入するという手もある。
だがしかし、インデックスにもそれができるか、それだけの時間を男が与えてくれるかどうか。

だとすれば、真っ正面からこの男を打ち倒すしか無い。

8 :1〜とある魔術の初戦闘〜 [saga]:2010/11/16(火) 12:07:51.07 ID:z5JWZTE0


(ーーー)

が、ここで一抹の不安が上条の胸を過る。
彼はこの街でよく不幸な出来事に巻き込まれ、それなりに修羅場も潜っていたりする。
超能力との戦いもあったため、右手の力を使っての戦い方も慣れている。

だけど、

超能力には効くとハッキリ分かっているこの右手が、


本当に、魔術なんて全く身に覚えの無いものに効くのだろうか?


「狙いは私、だよね?」

そんな上条の思考に滑り込むように、インデックスの声が耳に入る。
彼女は上条の体からはみ出るように顔を覗かせながら、男に尋ねた。

「……そうだね。僕達の任務は『禁書目録が他の魔術師及び、魔術結社に利用される前に回収すること』だ」

「……分かった」

「っ!?オイ!」

上条の静止を振り切り、彼女は彼よりも前に出る。
その肩に手をかけ、止めようとする。
当たり前だ。
男の今言ったセリフから、インデックスがどれだけ重要視されているのかくらい分かる。
態々、『回収』などと言って来たのだ。

まるで、道具を扱うかのように。

絶対に、ついて行くべきでは無い。
そう考え、上条が肩に手を置こうとした時、






「その代わり、彼には手を出さないで」





9 :1〜とある魔術の初戦闘〜 [saga]:2010/11/16(火) 12:08:34.07 ID:z5JWZTE0



ピタリ、と。
上条の手はインデックスに触れる寸前で止まってしまった。
彼女の言葉。
そのせいで、彼女が、逃げ続けていたであろう彼女が進み出た理由が分かったから。


彼女は、自らの保身のために進み出たのでは無い。


上条に、危害を加えさせないために、進み出たのだ。


絶対的な防御力を持つという修道服も無く、魔術師とやらでも無く、超能力者でも無い。
何の力を持たない筈なのに彼女は、出会って間も無い上条を庇った。


(ーーーっ)


絶句。
こんな幼い少女がそんなことをすることに、上条は純粋に驚愕していた。
一体、一体どれだけ彼女は優しいのか。




一体どれだけ、その年に見合わない暗い経験を積んで来たのか。




10 :1〜とある魔術の初戦闘〜 [saga]:2010/11/16(火) 12:09:07.86 ID:z5JWZTE0


「……分かった。君さえ回収できれば文句は無い」

心無しか、男は少し顔を歪めながら、彼女の言葉にそう返答する。
安心したように彼女はホッと息を吐き、上条の方を向く。
ビクンッ、と上条は肩を震わせてしまう。
言うなれば、彼女は上条のせいで捕まったも当然なのだ。
当然、恨まれて仕方無い。




しかし、彼女は、




「ありがとう」




そう、笑って言った。
太陽のように、一切の陰りも見せない笑みで、言った。
上条は、一瞬思考が停止し、すぐさま口を開く。

「な、に言って……」

「私みたいなのを部屋に入れてくれて、美味しい野菜炒めを作ってくれた」

そこで、彼女は区切って、

「とっても、嬉しかった」

本当に、心の底からの笑みを見せる。
しかし、上条の顔が笑顔になることは無い。
今の彼女が言った言葉の影が分かってしまったから。


つまり、彼女は今まで誰かに部屋に入れてもらうことも、野菜炒めを作ってもらうことも、殆ど無かったという、事実。


11 :1〜とある魔術の初戦闘〜 [saga]:2010/11/16(火) 12:09:48.72 ID:z5JWZTE0


「……じゃあ。私、行くね」

「あっ……」

彼女は、上条から伸ばした手から逃れるように玄関へと進み、男の横を通って歩いてゆく。
その銀色の髪が揺れ動き、玄関の範囲で切り取られた通路の景色から、はみ出て消える。
インデックスが通路を歩いて行くのを確認しているのか、目を通路の先に向けている男。
そして一度だけ、上条の方を一瞥したかと思うと、彼は彼女を追うように歩いて行った。

そして、その場に残ったのは茫然とする上条と、開け放たれた扉のみが普段と違う、玄関の光景。
上条は下に俯き、無言で拳を握り締めていた。












コツ、コツ、と、赤髪の男とインデックスはコンクリート製の片側が開けた通路を歩く。
インデックスは先頭に立ち、その後ろに付き従うように男は歩く。
二人が向かうのは通路の突き当たりにある、オンボロエレベーターだ。
男はタバコを一本取り出しながら、前を歩く彼女を見る。
その目は、先程までとは違う感情に染まっていた。
インデックスはそれに気がつかず、普段よりもかなり早いスピードで歩く。
早く、早く離れたかった。
ここに居ては、彼を巻き込むかもしれない。
後ろの魔術師が、いつ「やっぱり殺そう」なんて言い出すかも知れないのだ。
一刻も早く、この場から離れたかった。

12 :1〜とある魔術の初戦闘〜 [saga]:2010/11/16(火) 12:10:23.46 ID:z5JWZTE0

そこに、






ジャリッ!






明らかにタバコをくわえたばかりの男や、インデックスの足音では無い音が、通路に響いた。
動きが止まり、嫌な予感が走る。
ここには今、自分と魔術師の二人しか居ない筈だ。
だとすれば、後ろの魔術師が何かしたのか?


いや、違う。


彼女は、ゆっくりと後ろを向く。
男は既に後ろを向き、『彼』を睨んでいた。
インデックスも、『彼』を見る。


13 :1〜とある魔術の初戦闘〜 [saga]:2010/11/16(火) 12:11:02.45 ID:z5JWZTE0








学生服に身を包んだ上条当麻が、此方を向いて通路に立っていた。






「……何のマネだい?」

「……」

タバコに火を灯しながら言われた言葉に、彼は無言で返す。
ただ、下を俯き、拳を握り締めていた。
そして、顔を上げる。


(ーーーっ)


その目を見て、インデックスは理解した。
いや、誰もが彼の今している、綺麗で真っ直ぐな輝きを持った瞳を見れば分かるだろう。




彼が、彼女を助けるために魔術師に立ち向かおうとしていることが。




14 :1〜とある魔術の初戦闘〜 [saga]:2010/11/16(火) 12:11:35.01 ID:z5JWZTE0


「ーーーっ!ダメ!」

インデックスは思わず、彼に向かって叫ぶ。
だが、彼は、

「……あーあ。たっく……本当に不幸だよ」

突然、訳の分からないことを言い出した。
インデックスだけでは無く、彼女の前に立つ魔術師も怪訝な顔になる。

「……何がいいたい?」

「いや。ただ思っただけだよ……いやー、本当についてねぇよ……」

上条は、言葉を紡ぐ。




「“お前”、本当についてねぇよ」




「……不幸なのは君じゃないのかい?とち狂ったか?」

「いや、俺は今日ついてるよ。少なくとも、不幸じゃない」

そうだ、と、上条は思う。
不幸じゃない。全然不幸じゃない。
こんなのは、不幸とは言わない。
ここで不幸と言えるのは、魔術師の男一人だ。

自分と、『彼女』は不幸なんかじゃない。

いや、彼女は不幸なのだろう。
この世界の、地獄の底を歩んでいる……そう言われてもおかしくないだけの、不幸。
それを匂わせるだけの闇を、彼女は感じさせる。


15 :1〜とある魔術の初戦闘〜 [saga]:2010/11/16(火) 12:12:11.89 ID:z5JWZTE0







だから、それがどうした。






「地獄の底から、引きずり上げる……」


そして自分は、そのための右手を持っているじゃないか。


「……予定変更だ。君はここで消し炭になれ」

上条の呟きに危険を感じ取ったのか、魔術師はタバコを口から取り、右手の指で挟む。

「お願い!逃げて!」

インデックスは上条に向かって叫ぶ。
魔術師が魔力を、攻撃のための術式を構成しているのが分かるからだ。
そして、一般人に過ぎない上条に逃げるように叫ぶ。
いざとなったら、術式を己の力で妨害することもいとわない。
しかし。

「あっ……」

上条の顔を見たら、何故かそんな思考は吹っ飛んでしまった。
彼の顔に浮かんでいた、絶対の自信と、意思。
それは、インデックスの不安を粉々に打ち砕く程、眩しかった。

16 :1〜とある魔術の初戦闘〜 [saga]:2010/11/16(火) 12:12:48.53 ID:z5JWZTE0


「ステイル=マグヌスと名乗りたいとこだけど、ここはやはりFortis931と名乗ろうか」

ステイルという、赤髪の魔術師も、魔法名と呼ばれる物を名乗る。
魔術師の伝統、その者にとって大事なその名は、時に、


殺し名のように、使われる。


ピンッ!と、右手に挟まれていたタバコが飛ぶ。
クルクルと宙を舞うタバコはすぐさま、壁に直撃。

そして、そのタバコとステイルの右手を繋ぐように、巨大な炎が出現した。

ゴウッ!!と、周囲の空気が変わる。
いきなり巨大な熱が現れたため、それによって大気の温度が変わり、密度変化によって風が荒れ狂う。

「……巨人に、苦痛の贈り物をーーー!」

彼は腕を振るう。
それに伴って炎の線、炎剣も連なって動く。
最初に真横に出現したせいで壁を貫通して、内部の部屋に影響を与えていたらしい。
壁が高熱によって溶け、他の部屋のドアノブなども溶けて行く。
一つよかったことは、最初の貫通でガス管などに直撃していなかったことか。
ガス爆発など起きていれば、大変なことになっていただろう。

黒い神父服が揺れ動き、炎剣が上条に壁を溶かしながら殺到する。
上条は、黙って立っていた。

17 :1〜とある魔術の初戦闘〜 [saga]:2010/11/16(火) 12:13:26.25 ID:z5JWZTE0


真っ赤な炎が、上条を、通路を飲み込んだ。
爆風が吹き荒れ、思わずインデックスは視界を手で覆ってしまう。
手の僅かな隙間。
その隙間に映った光景は、上条の居た場所が炎に包まれている光景だった。

「……ふん」

他愛も無い、と。ステイルはらしくないと思いながらも敵の呆気無さに、息を吐く。


が、




「邪魔だ」




一瞬、風が吹いたかのように炎が揺らめき、掻き消える。
そこには、右手をふり抜いた上条が居た。
全く動かず、ただ、右手を振っただけの彼が。

「……っ!?」

自分の攻撃が防がれた。
僅かな動揺。
ステイルに生まれたそれを、上条は見逃さなかった。
通路のコンクリートを蹴り飛ばし、上条は駆ける。

全ての幻想を殺し尽くす、右手を振りかざして。

18 :1〜とある魔術の初戦闘〜 [saga]:2010/11/16(火) 12:14:09.23 ID:z5JWZTE0


「くっ!?」

上条の狙いに気が付き、慌ててステイルは左手の方に二本目の炎剣を出現させた。

だが、だがしかし。

元よりそれ程広く無い通路。
僅か十メートル程の、上条とステイルの間合いを詰めるだけの時間の方が、ステイルが炎剣を出すまでより早かった。
一瞬の動揺をついた、見事な反応。

(……初めて会った奴のために命をかけるのなんて、おかしいかもしれない)

走りながら、拳を振りかぶりながら、上条は思考する。

(俺は奇妙な右手を持つだけの高校一年生。魔術なんてもんが出てくるファンタジーな物語の主人公になんか、死んでも似合わない奴だ)


でも、


(だからと言って、アイツを見捨てていい筈がない!!)


他人を自分の身を投げ出して助けることができる、白い、綺麗な少女。


その少女を助けるために戦うのは、そんなにもおかしなことだろうか?

19 :1〜とある魔術の初戦闘〜 [saga]:2010/11/16(火) 12:14:47.75 ID:z5JWZTE0





そして、彼女を助けるための武器を、自分は持っている。
彼女の手を掴んで、引くことができる右手を。
あるからといってモテる訳でも、幸運を呼び寄せる訳でもない。
けど、目の前に居るクソったれな魔術師をぶん殴るには、とても便利な右手を。




「う、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!」

彼は吠えた。
そして、




ゴキャンッッ!!と、ステイルの顔面にその右手を叩きつけた。




魔術師ステイルは、悲鳴も、呻き声もなく吹き飛び、先程溶けて固まったばかりの壁に、勢いよく叩きつけられた。










20 :1〜とある魔術の初戦闘〜 [saga]:2010/11/16(火) 12:15:26.02 ID:z5JWZTE0




「どうして……?」

「ん?」

あれから三十分が経過していた。
あの後、うまいこと気絶した魔術師を放置し(縛るための縄が無かった)、上条は必要最低限の物を持ってインデックスとともに街を歩いていた。
街の中は今、夏休み真っただ中の学生達で賑わっており、上条とインデックスも余り目立たない。特に上条達がいる大通りは人で溢れ返っていた。
他の魔術師が居ることを考えると、コソコソ移動するより、人混みに紛れた方がいいと考えたから。

そんな状況の中、インデックスは隣を歩く上条に問いかける。

「どうして、私を助けてくれるの?」

幻想殺しによって効力を失ったフードを被り、彼女は言葉を続ける。

「君が巻き込まれたのも、元と言えば私の歩く教会のせい。私の自業自得なのに、なんで……」

「……ぷっ」

「……なんで笑うの?」

「い、いや。それをお前が言うんだなってさ」

21 :1〜とある魔術の初戦闘〜 [saga]:2010/11/16(火) 12:16:08.73 ID:z5JWZTE0


上条は笑いを堪えながら、

「お前だって、初めて会った俺のために自ら捕まりに行ったじゃねぇか」

「っ!それは、私のせいだから……」

「俺のせいでお前は捕まった、だから助けた。ほら、お前と理由は全く同じだぞ」

「……」

インデックスは、無言。
いや、言葉が出ない、発せられない。
だって、彼女も。


見ず知らずの他人に、助けられるなんて思っていなかったのだから。


「っ……!」

瞳の中から思わず熱い何かがあふれ出し、周りを歩く人達の注意を惹かないように、彼女は下を向く。

静かに嗚咽をこらえるインデックスの頭を、上条は優しく撫でていた。

少なくともこの時、上条は幸せだった。





22 :1〜とある魔術の初戦闘〜 [saga]:2010/11/16(火) 12:16:44.67 ID:z5JWZTE0









「……」

ソレは、そのシーンをスクリーンで見ていた。
そして、口を歪める。


笑みの形へと。


この学園都市の主たるソレは、この状況を待っていた。

禁書目録の回収ーーそのために彼は魔術師二人を学園都市へ招き入れたが、それに条件を付けていた。
もし、魔術師で禁書目録の回収が出来ないようならば、此方からも干渉し、禁書目録の回収を手伝うと。いや、手伝うというよりは、揉め事を科学の力を持ってして解決すると言いたい。
此方の領域(テリトリー)にて起こっている問題なのだから。


そして、魔術師は今、魔術サイドがけっして予測しなかったであろう不思議な力を持つ少年に撃退された。


この流れを、ソレは予測していた。
いや、知っていたと言うべきか。
そして、ソレは動きだす。
画面がピピッ、と反応し、通信が仲介人に繋がれる。
機械だらけの部屋で、ソレは言った。



23 :1〜とある魔術の初戦闘〜 [saga]:2010/11/16(火) 12:17:13.58 ID:z5JWZTE0







「……全超能力者(レベル5)に通達。禁書目録(インデックス)と名乗る少女の捕獲を命ずる。他敵対者の生死は問わない」






そして、科学の力、七つの力を行使した。
とある不幸な少年と少女に、新たな危機が、二人が想像もしていないような危機が襲い掛かる。






24 :1〜とある魔術の初戦闘〜 [saga]:2010/11/16(火) 12:18:36.11 ID:z5JWZTE0


少しずつ投稿してゆく予定です。
これからも、よろしくおねがいします。
25 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/16(火) 12:26:09.66 ID:ltFWo1go
スレ立ておめ&おつ
26 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/16(火) 12:31:48.51 ID:ik02bi.0
乙です!
続き待ってますね!
27 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/16(火) 14:30:10.85 ID:xz7DG.AO
乙、一手目はやっぱりあれだよな
28 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/16(火) 15:19:15.38 ID:84olLJko
なかなか熱そうな再構成じゃないの
29 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/11/16(火) 16:23:46.18 ID:z5JWZTE0

>>25-28
ありがとうございます。
全力で頑張りますので、見てくれると嬉しいです。

総合に投稿した分の二つ目、時間があるので投稿します。

30 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:24:49.59 ID:z5JWZTE0



「さて、取り敢えずどうすっか……」

街中を歩きながら、上条は意見を求めるように呟いた。
インデックスが泣き止んで数十分が経ち、朝ご飯代わりのハンバーガーをぱくつきながら彼が考えているのは勝利条件について、だ。
目的を、ゴールを決めなければ精神的に魔術師達から逃げにくくなってしまう。
その上条の問いに、半分貰ったハンバーガーを丸呑みしてからインデックスは、

「んぐっ……うん。私はイギリス清教所属のシスターだから、同じイギリス清教の教会に逃げ込めば匿って貰えると思う」

「と、なると当面の目的はこの学園都市から出ることかぁ」

学園都市は科学の街だ。
いくつか教会はあるとはいえ、それらは魔術に関わっているようには思えない。
宗教というよりは学問の教会といった方が正しい。

「でも学園都市から出る、っていっても簡単じゃないんだよな……お前ID無いだろ?」

「あいでぃー?」

首を傾げるインデックスを見て、苦笑いしながら上条は頭を撫でてやる。
「あれ?ちょっとバカにされてるかも?」と思いながらも、なでなでされるインデックス。
そんな彼女を見てると、先程歩きながらこっそり聞いた、世界中の原典をその脳に秘めた、汚れ役などにはとてもでは無いが見えない。
そんなことをしているうちにも、歩みは止まらない。

31 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:25:20.31 ID:z5JWZTE0


(学園都市から出る……出来れば誰も巻き込みたく無いけど、“アイツ”に頼るしか無いか?)

上条がそんな思考を展開していると、ふと大通りから出たことに気がつく。
周りの人だかりは落ち着き、道横にはカフェやファミレスなどの飲食店などが立ち並ぶようになっていた。
辺りはうって変わってゆったりとしたスペースが増え、騒音に紛れながら会話することが不可能となる。




「…………んっ?」




ここで、上条は知り合いを見た。
知り合いたる彼女は、ファミレス店の壁に寄りかかるようにして立っていた。
茶色の髪に、茶色の瞳。
雪のように白い肌を包むのは、この学園都市でも屈指のお嬢様学校、常盤台中学の制服。
ベージュ色のベストに、かなり丈が短いスカートが特徴的だった。
彼女も此方に気がついたのか、若干下を向いていた視線を上げ、上条を見る。

32 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:25:55.02 ID:z5JWZTE0



プラス、隣に立っているインデックスも含めて。


「……?ねー、とうま。あの短髪の人と知り合いなの?」

「あー、いや、知り合い、なのか?」

「……」

そんなやり取りを二人が行っている間にも、彼女は茶色の目を点にして二人を見る。
やがて目が緩んだかと思うと、驚きの早さでポケットから携帯電話を取り出した。
取り出した緑色の、ゲコ太と呼ばれるマスコットキャラクターを象ったお子様携帯に上条が反応することは無い。

何故なら、




「あっ、すみません、警備員(アンチスキル)ですか?小さい子にコスプレ着せた変態男が「いやいや待て待って待って下さい三段活用!!」




犯罪者としての誤解を解くため、上条当麻は彼女の口を塞ぐべく飛びかかった。




彼女はこの街に七人しか居ない、超能力者(レベル5)の一人。
第三位、『超電磁砲(レールガン)』御坂美琴である。





33 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:26:29.73 ID:z5JWZTE0




「あっはっはっはっー。モノホンのシスターだったの。ごめんごめん」

「犯罪者認定一歩手前まで行った上条さんとしては、そんなに簡単に謝れると怒りが湧き上がってくるんですが……」

「とうま。終わったことなんだから、ネチネチ言ってると罰が当たるんだよ?」

「罰が当たらなくてもどうせ上条さんは不幸だらけですよーだ!」

オープンテラスのカフェ。
白い強化プラスチック製の丸いテーブルに、上条は上半身を突っ伏した。テーブルの上には美琴が注文したミルクティーも置いてある。
あれから誤解を解くのに全力を使った彼は頬をベターとテーブルに密着させながら、自己紹介を済ませている女性二人を見た。
魔術師と戦ったのより、はるかに疲れるんですがーと上条は心中で呟きながら、予め考えていた設定を口に出す。

「……で、俺の親父の友人の娘らしくてな。俺が学園都市を案内してるんだ」

「ふーん。女の子に優しくすることも出来たのね、アンタ」

「お前の中で俺はどんな立ち位置なんだ!?」

「相手が悪いと思ったら誰かまわず殴り飛ばす男。で、女の子の気持ちに全く気がつかないクソ野郎」

「一体なんでそんな評価に……」

34 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:27:15.80 ID:z5JWZTE0


数少ない、女の知り合いによる自分に対しての評価に、上条は精神的にダメージを受ける。
そんな二人の会話に、黙っていたシスター少女が割って入った。

「で、みことはとうまと知り合いなの?」

「うーん、知り合いっていったら知り合いね。二ヶ月前に会ったばっかだけど」

「不良達に巻き込まれて電撃喰らいかけたことは、絶対に忘れない……!」

「あれはアンタのタイミングが悪かっただけでしょ。男が細かいこと一々気にしない」

この二人の出会いはソレ程対した物でも無い。
ただ不良達に囲まれていた美琴を、上条が根性出して助けようとした瞬間、不良達に向かって美琴が電撃放出。

まぁ言ってしまえば、上条が不幸なだけだった。

その時の電撃を右手で防いだのに驚かれ、何故かこうやって時々街中であってしまう仲に。

それらをぽけーと思い起こしていると、

「ふーん。とうまって女たらしだったんだ」

「何を聞いたのでしょうかインデックスさん!?」

じとーとした目で見られ、のけ反る上条。
のけ反る上条をじとーとした目でみるインデックス。
どうやら彼女は何時の間にか美琴からとんでも無いデマ(だと上条は思っている)を吹き込まれたらしい。
これが、第三位の力か…….っ!と、心震わせつつこの状況を作り出した少女を恨めし気に見る。


35 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:27:51.75 ID:z5JWZTE0



「…………?」


が、気まずい空間を作り出したことへの抗議の言葉は、出なかった。
何故なら、

「……みこと?」

「んっ?なに?」






「どうして、そんな泣きそうな顔してるの?」






カチャリ、と。
テーブルの上に置かれた、ミルクティーのカップを持ち、美琴の動きが止まる。
彼女の表情は、少し、いや、ハッキリと暗かった。

まるで、自殺寸前の人間みたいだったと上条は思う。
目は暗く、澱んでおり、上条とインデックスに向けるのは何らかの嫉妬の視線。
表情は白い肌が更に白くなっており、血が本当に血管を流れているのか心配になる程だった。

だが、インデックスに声をかけられた瞬間、暗さはなりを潜め、先程までと同じ明るい顔となる。
でも、暗い表情を見た上条には、無理しているようにしか見えない。恐らく、インデックスも同じだろう。

36 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:28:29.56 ID:z5JWZTE0


「……大丈夫よ。ちょっと、色々あってね」

「何か悩み事があるなら相談に乗るんだよ。私はシスターだからね」

「ふふっ……ありがと。気持ちだけ受け取っとくわ」

むぅ、と唸るインデックスに言葉を返し、上条の方へと美琴は視線をうつす。

「なんかアンタ達も訳有りなんでしょ?」

「……やっぱり分かるか?」

上条は頭を恥ずかしそうにガシガシかく。
どうやら、さっきの嘘の設定もばれてるようだ。
なんとなくだが、そんな感じがする。

「まっ、色々おかしいしね。インデックスっていう名前からしておかしいもの」

「……まぁ、確かに」

目次、なんていう名前の人間なんか、この世に殆どいない。
だけどまぁ、と美琴は、

「あんまり深くは聞かないし、他言もしない。でも、あんまり無茶はしないのよ?」

「あー、うん。なるべく善処する」

「とうま!」

「おわっ!?」

37 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:29:51.86 ID:z5JWZTE0

いつ近付いたのか、ずいっと顔面至近距離衝突ギリギリまで迫った少女の顔に、思わずドキンッ、としてしまう上条。
対するインデックスは可愛らしく頬を膨らませながら、

「とうまが私のために戦ってくれるのには嬉しいけど、無茶はだめだよ!とうまが怪我したりしたら、意味が無いんだから!」

「は、はい……」

上条がどもりながら返事を返すと、よしっ!と言って視界一杯に広がったインデックスの顔が離れて行く。
それに少々未練を覚えながらも、彼は椅子から立ち上がった。

「えっと、俺ら行くな?」

「正直今の会話聞いてますます思うところが増えたけど、まぁいいわよ」

「……ありがとな」

「別に、気にしなくていいわ。まぁ精々折角の出会いをおじゃんにしないことね」

「分かってるって」

そして上条はテーブルから離れる。
此処では無く、知り合いに電話するために目立たない場所へと。

「……ねぇ、みこと」

「……なに?」

が、インデックスはその後を直ぐに追わなかった。
椅子から降り、まだミルクティーのカップを持ったままの美琴に尋ねる。
少し、真夏の空気を誤魔化すような風が吹く。
彼女に、インデックスは問いかけた。








「さっきの『無茶するな』っていう言葉は、本当は誰に言いたいの?」







38 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:30:36.21 ID:z5JWZTE0






「……シスターって、凄い」

上条とインデックスが居なくなった後、最初に美琴が発した言葉がそれだった。
感情を隠すのが苦手とよく周りから言われるが、それでもここまで見抜かれるとは。

「インデックス、かぁ……」

あんなに小さなシスターなんて居るんだな、と思っていた第一印象は即座に塗り替えられた。
あれは、あんなに小さいながらも自分より、遥かに『違う』。

「……悩み、打ち明けてもよかったかなぁ……」

と、口に出してから心中で否定する。
だめだ。これは、自分の問題であり、何か事情がありそうな彼女に打ち明けるような物ではない。いや、誰だろうと打ち明ける訳にはいかない。
第一、打ち明けても無駄だ。


この問題は、どんなヒーローが現れても解決しない。


美琴は、それを知っている。
自分の脳みそに刻み込まれていてもおかしくない程、知っている。
だから、彼女は、




〜〜〜〜〜♪

「ーーー」

39 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:31:26.81 ID:z5JWZTE0


携帯が鳴った。
ただし、先程上条達の前で取り出したゲコ太の携帯では無い。
左のポケットから取り出されたのは、機能性重視がハッキリと分かるメタルシルバーの折り畳み式携帯だった。
初期設定の、無機質な着信音が鳴り続ける。

「……」

彼女は立ち上がり、ミルクティーの代金を台の上に置いて歩き出す。

ピッ!

「……もしもし」

『私よ、私』

「私私詐欺は間に合ってるんで。では」

『冗談よ。というより、声で分かるでしょ?』

携帯の向こうに聞こえないように、美琴は不機嫌そうな息を吐く。
実際その通りだからだ。
この携帯の向こうにいる人物の声を間違えることなど、これからの人生でも絶対にないだろう。

「……で?要件は何ですか“センパイ”?」

40 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:32:07.96 ID:z5JWZTE0


『敬語じゃなくてタメ口でいいのに。序列は貴方の方が上なんだから』

「じゃあ其方から敬語を止めて下さい」

『敬語口調が私のキャラだからダメよ』

クスクスと、僅かな笑い声が微かにだが聞こえる。
彼女は歩きながら会話を続ける。

「ねぇセンパイ。無駄な会話は止めにしませんか?どうせ“仕事”なんでしょ?」

『あぁ、ごめんなさい。心を読めない会話はつい楽しくって』

「はぁ……」

今度は向こうに聞こえるように、ハッキリため息を吐く。
これくらいはやらないと鬱憤は晴れない。
彼女は歩く。


その足は、路地裏、深い深い闇の方へと進んでいた。
先程のカフェからも既に遠い。


「で?内容は?」

『せっかちね……今回は少々特殊よ』

「特殊?」

『暗部じゃなくて、超能力者(レベル5)への指令なのよ。だから実質、レベル5傘下の能力者何人か以外はこの任務に関わらないわ』

「レベル、5のみ……」

『当然、全員よ。“彼”も勿論、ね』

「……」

41 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:32:45.13 ID:z5JWZTE0


美琴は無言。

彼女は歩き続ける。

「あん?嬢ちゃんなんでんなとこにガァッ!?」

彼女は歩き続ける。

「テメェ!?一体何ガァァアッ!?」

彼女は歩き続ける。

「ひ、ひぃぃぃいっ!?た、助けぁああああああっ!?」

彼女は歩き続ける。

「こ、の、化けもん、が……」

彼女は歩き続ける。


彼女は、歩き続ける。


やがて、ピタリと足を止める。
そこは路地裏の中でもかなり開けた空間だった。
美琴は携帯を耳に当てたまま、背後を振りかえる。


そこには、電撃で死なない程度にまで痛めつけられた不良達の道が出来ていた。
ピクピクと、時折痙攣するところから、かろうじて死んでいないのが分かる。

『あれ?能力使った?通信が悪くなったわよ』

「ちょっと邪魔だったので。で?内容は?」

人を痛めつけても何も思わなくなった自分に、美琴は笑う。
愚かだと、馬鹿だと。
唯一の救いは、人をまだ殺していないことか。
だが、今回の仕事の内容次第では、いや、いつかこの手を直接血に染める時が来るのだろう。
それが早いか遅いか、ただそれだけだ。

42 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:33:23.83 ID:z5JWZTE0


『今回の内容は捕獲。よかったわね』

「ターゲットは?」

少しホッとしながらも、彼女はそれを見せない。
携帯の向こうに居るのはある程度信用にあたいする人間とはいえ、余り弱い所は見せたくない。

『この電話の後に写真データごと全部資料送るわ』

「……センパイも出るんですか?」

『まぁ、統括理事長直々らしいからね。上層部の連中ならいずしらず、一番上からだから』

内心。
美琴は驚いていた。
まさかトップが動くとは。
だが、同時に打算も働く。

上手く立ち回れば、『救える』かもしれない。
救うというよりは、元に戻す、だが。

「……そうですか、では」

返事を聞かず、通話を遮断する。
ふぅー、と大きく息を吐き出し、空を見上げた。


切り取られた視界から覗く空は何処までも青く、何処までも綺麗だった。


〜〜〜〜〜♪


またもや携帯が鳴る。
ただし今度はメールだ。
彼女は携帯のボタンを押し、中身を見る。




そこに映っていたのは、白い修道服を着て満面の笑みを浮かべた少女だった。

あの、インデックスという少女だった。

43 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:34:04.70 ID:z5JWZTE0











「とうま、どうするの?」

「俺の友達の力を借りようと思う」

第七学区に存在する、廃墟ビルの一つ。
その瓦礫と剥げた塗装が目立つ中で、上条とインデックスは会話していた。
上条が自分の携帯を見せながら言った言葉に、インデックスは下を向く。
彼女は何も言わないが、大体何を考えているが分かる上条は、苦虫を噛み潰したかのように表情を歪め、

「分かってる。けど、やっぱり二人じゃ無理なんだ」

そう、無理だ。
ただのサラリーマンが時限爆弾のタイマーを解除出来ないように。
ただの高校生である上条には、インデックスを外に連れ出すだけの手札さえない。
手札(知識)があれば立ち回れるが、それが無ければ逆にどうしようもなくなるのだ。

インデックスの不安を拭うように、彼女に目線を合わせるように屈んで喋る。

44 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:34:46.31 ID:z5JWZTE0


「今から呼ぶのはそれなりの奴だ。俺と違って手札(知識)も一杯持ってる。……それに、信用出来る」

「……うん、分かった」

インデックスは頷いた。
そして顔を上げ、




「私は、とうまを信じてる」




そう、目を見つめながら言った。


「……いいのかよ、神様を信じてるシスターさんがんなこと言って」

「いいんだよ。信仰と信頼は全く別物だから」

そうか、と上条は笑いながら言った。
そうなんだよ、とインデックスは笑いながら言った。


もし、この光景を見た人が居たとして、誰が信じてるだろうか?






この二人が、この世界に嫌われた不幸な者だと。





45 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:35:27.94 ID:z5JWZTE0



ピピピッ!と、突然電子音が鳴り響く。
音源は上条の携帯からだった。
インデックスは上条の持つ携帯を見つめ、

「さっきから気になってたんだけど、なんなのそれ?」

「何って……携帯電話」

「ケータイデンワー?」

こりゃ驚いたと、上条は少しだけ引いてしまう。
掃除ロボットを見た時や自動販売機を見た時も思ったが、この少女はとにかく科学の知識が無いらしい。

「えーとだな、これは遠くの人と何時でも何処でも会話出来る道具だ」

「むむっ!?か、科学は使い魔だけでなく、誰でも使える通信用霊装まで作り出したの?怖るべし科学……」

なんだかとんでもない勘違いをしてそうな彼女を横目に見つつ、上条は耳に携帯を当てた。

「もしもし?」

『上条ちゃんっ!!』

「おわっ!?」

イキナリの大声に、鼓膜がキーンッ!と痛む。
携帯から聞こえて来たのは甲高い、子供のような声だった。

46 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:36:03.27 ID:z5JWZTE0


「なんだ、小萌先生か」

『なんだ、では無いのですよー!』

声の主は上条の担任教師だった。
声のみなのでまだましだが、見た目は小学生程度のミニマム教師で、とてもでは無いが大人には見えない。

『上条ちゃん補修はどうしたんですかー!?今日あるって朝言いましたよー!?』

「……あっ」

間抜けな声を上条は上げる。
そういえば、そんなものもあった。
そのせいで朝ローテンションだったというのに。
チラッ、とインデックスの方を見る。
彼女は「?」と首を傾げていた。
返事は、既に決まっていた。

「……すみません、先生。今、補修なんかより百万倍大切なものがあるんです」

『……』

普段なら「そんなこと言ってたら将来大変ですよー!?」と言って来そうだが、上条の言葉に秘められた重さを感じ取ったのか、沈黙が帰ってくる。

………………。

47 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:36:42.29 ID:z5JWZTE0


やがて、向こうから声が発せられた。

『……全く、上条ちゃんは本当におバカさんですねー』

言葉には呆れと、心配と、少しの嬉しさが篭っていた。
上条は察する。
だから、

「……ありがとうございます」

心を込めて、礼を言った。

『でもあんまり危ないことはしないで下さいね。上条ちゃんも、私の大切な生徒なんですからー』

「はははっ……」


グイッ。


「んっ?」

(…………)

上条はズボンを引っ張られ、みるとインデックスが不安気な顔をしている。
巻き込んで迷惑をかけたことを、心配しているのか。
彼は気にすんなという思いも込めて頭を撫でる。もうすっかり撫でるのにも慣れていた。
上条の手から伝わる心地よさにインデックスは目を細める、






が。
ふと、上条の手に反応しなくなり、どこか一点を見続ける。
釣られるように上条も視線を動かす。

48 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:37:14.24 ID:z5JWZTE0



廃墟ビルの部屋。その入り口、二人の前方に男が立っていた。
身長は百八十はあり、耳にピアス、そして青い髪が特徴だ。

そして、上条と全く同じ制服を着ていた。

「青髪?」

男のあだ名を呼ぶ上条。
彼は青髪ピアスというあだ名の、上条のクラスメイトだった。
その変態性はともかく、以外といい奴なので上条とよくつるんでいる。
だが、と、上条は疑問に思う。
彼は上条と同じように補修組の筈。
なのになんでここに居るのか。
なんで、なんで。






何故、こうも見ているだけで不安に思う?


49 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:37:49.64 ID:z5JWZTE0



『青髪ちゃんもそこに居るんですかー?』

「えっ、いやその……」

呟きが携帯の向こうにも伝わっていたらしい。
インデックスを少しずつ左手で下げながら、上条は何故か全神経を集中させた。
何故なのか、上条にも分から無い。
目の前に居るのは友達……親友の筈なのに。

そして、答えを考える上条の耳に、






『青髪ちゃん、五分程前に教室から出て行っちゃったんですよー』






その後、何か言ったかもしれないが上条は認識出来なかった。
それよりも、無視出来ないワードがあった。

五分。五分前。

あり得ない、と上条は思う。
この廃墟ビルから学校まで五分で移動するなんて、絶対に、どんな手段を用いても不可能だ。

それこそ、上条が想像も出来ないような移動手段でも無い限り。

50 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:38:26.44 ID:z5JWZTE0


やがてプツン、と携帯から音がしなくなる。通話を切ったからだ。
ゆっくりと、ポケットに携帯を入れ直し、青髪ピアスを見てーーー

「あっ」

上条は気が付いた。
漸く気が付いた。
自分が、どうしてここまで不安になっているのか。




笑っていないのだ。いつも、場をバカな発言で和ませる彼の顔が。




「」

動けたのは、経験故か。
横にスライドするように、インデックスがいない右側に回る。
ジャリッ、と。靴の底が瓦礫の欠片を砕く。


瞬間、元いた場所を拳が通過した。


遅れてゴバッ!と、何かが砕ける音が鳴る。
音が鳴ったのは、青髪ピアスが元いた場所。
コンクリートの床が、膨大な衝撃を受けたかのように粉々になっていた。
そして、上条が躱した拳の主は、彼に決まっていた。

51 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:38:59.44 ID:z5JWZTE0


(ーーーッ)

ゾクッ、と。
上条の全身が震える。
今のは、人間が生身で出せるような早さでは、無い。
いや、出したとしても逆に体が壊れるくらいの速度だった。
それに、信じられなかった。
青髪ピアスは、上条と同じ無能力者(レベル0)の筈だ。
なのに、何故。
何らかの薬や兵器でも使っているのか。
一瞬と呼ばれる時間の間に、様々な思考が駆け巡る。

「テ、メェ……何しやがる!?」

だが上条がしたことは、真正面からから殴りかかることだった。
難しいことは抜きにして、とにかくいつものように殴り返そうと、右のストレートを放ったまま止まっている青髪ピアスの顔面へと、右の拳を叩き込んだ。

ゴンッッッ!!!と、打撃音が鳴る。




ただし、壁と肉がぶつかったような、だ。




52 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:39:50.30 ID:z5JWZTE0



「ーーっ!?」

ズキンッ!と、右手から痛みが生じる。
青髪ピアスの顔面に拳はしっかりと当たっている。頬をえぐるような形だ。
しかし、何故か壁に拳を叩きつけたかのように、右手に痺れが走る。

「……」

そして思わず固まっている間に、強く右手を右手でひっ掴まれた。
上条が掴まれたことに反応し、動こうとした時には、


ブンッ!!と、思いっきり投げられていた。


(……はっ?)

余りの出来事に、上条は宙を舞いながら呆然とする。
実際、彼がやられたことは単純だった。

右手を持ったまま、片手で袋を投げるように投げられた。

体重移動とか、重心とか、力を受け流すとか、そういった技術など無い。
ただ掴んで投げる。
上条は、それをされただけ。
あり得ない。普通の人間なら肩を壊す行為。
上条の腕が壊れてないのは、単純に運がよかったから。

53 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:40:31.77 ID:z5JWZTE0



そして、上条はゴミの如く十メートル先の壁に叩きつけられる。

轟音が、廃墟ビルの部屋に響いた。

「がっ……がぁぁぁああああああああああああああああああああっっっ!!?」

絶叫。
壁が悲鳴を上げる程の速度で叩きつけられた上条の喉から、張り裂けんばかりの絶叫が響く。
メキメキと、体の悲鳴が直接脳に伝わった。

「とうまっ!」

「がっ……ぐっ……」

ズルズルと、壁に寄りかかり座り込む上条に駆け寄るインデックス。
その姿を見て、必死に力を振り絞り、立ち上がる。
膝は情けなく震え、右手はズキズキと全体が痛むがそれでも、立ち上がる。
立ち上がり、彼は問いを発した。
現実を、信じたく無いがために。
だが、彼は分かっていた。現実は変わらないと。

「お前……誰だよ」

それ故、言葉は疑問系で無く、されどゆっくり二人に近付く彼は答える。






「学園都市序列第六位『肉体変化(メタモルフォーゼ)』」






その姿は、上条が知る親友の姿では無くーー


ただただ、任務を遂行するだけの兵器(人間)が居た。



54 :2〜とある魔術の幻想平和〜 [saga]:2010/11/16(火) 16:42:52.16 ID:z5JWZTE0

二話終了です。
次回、青髪とのお話+戦いです。
既に書いているので、明日投稿出来ると思います。

この幻想の物語を楽しんでくれている方々、ありがとうございました。

55 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/16(火) 17:17:25.59 ID:MPtbzO.o
乙!
56 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/11/16(火) 18:05:32.48 ID:ktZGNwAO
嫌いじゃないが好きじゃない

ちなみにかまちーバトル三大表現は

ノーバウンド
肺から空気が


らしい
57 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/16(火) 18:29:13.41 ID:IPpTlQAO
轟で何故か笑ってしまった…
58 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/16(火) 19:27:26.78 ID:xz7DG.AO
初戦は青ピか
今じゃ定番ネタだな変身青ピ
59 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/16(火) 22:08:27.27 ID:XCs0IQAO
右手で殴ったんだから肉体操作による筋肉の防御は無意味なんじゃ…

まさか能力無しでその筋肉とか?
60 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/16(火) 22:25:46.60 ID:Vw42h0oo
楽しみにしてた、早く新規部分を読みたいぜ。
61 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/16(火) 22:39:08.06 ID:xz7DG.AO
>>59
麦野は素でメタボ研究員ぶん投げるし
垣根は足で軽く肩脱臼させるし身体能力にパネェんだよ連中は
62 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/17(水) 01:38:31.40 ID:TJNO3e60
>>59
肉体操作ではなく肉体変化(メタモルフォーゼ)
能力は変化する時だけなんだろ
異能なのは変化だけで変化したあとの物質は異能じゃないはず
63 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/17(水) 02:06:38.29 ID:Q/.p42so
それじゃあ、一度発動したらずっとそのまんまになっちまうんじゃないか?
レベル5ってもやしの一方さん含めて、身体能力高いし
素であれくらい頑丈でも驚かないけど

肉体変化は本編に出てないから、難しいな
幻想殺し、効かないような、効くような微妙だ
効きそうだけど

64 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/17(水) 02:37:28.53 ID:A05uvsAO
別のSSではレベル5変身青ピの能力はニードレスのイブみたいな感じに解釈されてたな
肉体強化に再生や腕増やしとか
65 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/17(水) 12:05:46.67 ID:JMhTxGQo
総合スレのアレか!
期待してます!
66 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/11/17(水) 12:11:00.49 ID:CwKuAjw0

>>56
好きになってもらえるよう、頑張ります。
三大表現については、この戦いに含まれているので……

>>59-64
原作の肉体変化が『体の表面を粘土みたいに見た目だけ変える』のか『体の筋肉など全てを自由自在に変化出来る』のか分からないため、青髪は遺伝子レベルでの肉体変化がら可能だから後者です。
本当は話の中で説明しなければならないんですけど……

長いので二つに分けます。

http://to-a.ru/92K3L0

始まります。

67 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 12:12:15.54 ID:CwKuAjw0





「第、六位……?」

茫然自失。
今の上条を表すならその言葉が一番だろう。
理解出来ない。友人がテロリストでした、なんて言われたような心境。
人間が一生に一回経験するかしないかであろう思考を、上条は無理矢理振り払う。
現在、大事なのは青髪ピアスの正体に驚くことでは無い。

「……青髪、お前一体何のつもりなんだ?お前が、学園都市に七人しか居ない超能力者だったとして、一体何でこんなことを……?」


「…………カミやん。科学と魔術の関係性は知っとる?」


「……!?」

発せられた言葉に、上条は言葉を返せない。
別に、口からいつも通りのエセ関西弁が出て来たからでは無く、


科学(PSI)側の筆頭とも言えるレベル5が、魔術(オカルト)の存在を知っていることに、驚愕していた。


68 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 12:12:51.10 ID:CwKuAjw0



「……?あぁ、学園都市のレベル5全員が魔術を知っとる訳や無いで。ぼかぁ色々特別やから知っとるだけや」

「特、別……?」

「そっ。まぁそれは置いといてや……」

会話をしている間にも、上条の体は震えている。
痛みもあるがそれ以上に、普段自分が知っている親友では無い姿に、恐怖していた。
この空間は今、上条が今までの人生で体感したことの無い、非現実さを持っていた。
まるで、外国に行ったかのような、別世界に迷い込んでしまった感覚。


上条が、本来居るべきで無い世界の感覚。


「科学サイドの本拠地たるこの学園都市……そう簡単に魔術サイドの人間が入り込める筈無いやろ。ただのテロリストとかならともかく、禁書目録なんていう爆発物を態々侵入させた意図は分からへんけど……」

「っ……」

禁書目録と爆発物。二つの単語に、状況について行けてなかったインデックスは息を詰まらせた。
上条には後ろに立つインデックスの顔は見えないが、驚いていることは分かる。
魔術師で無い筈の、目の前の超能力者が、魔術サイドの自分について知っていることに驚いているのだ。
上条も疑問に思う、なんで魔術師では無く、学園都市のレベル5がインデックスを狙うのか。
彼の疑問に答えるように、青髪は言葉を続ける。

69 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 12:13:25.25 ID:CwKuAjw0


「要するにや。ここは科学の領域(テリトリー)。大き過ぎる問題には科学も参戦します。……こんなとこ?」

「……庭に危険物があるから、自分達で取り除くってか?」

「どんな協定があったかはしらんけどな。さっき全超能力者にそう命令が出たのは確かや」

さて、とそこで言葉を切り、




「カミやん。そのシスターちゃんを渡してくれへんか?」




本題であろう提案を発した。

「……もし、俺がここでインデックスを渡せばどうなる?」

上条は、絞り出すように声を出す。
後ろ手にインデックスを庇いながら、右手が強く強く握られる。
それを見つつ、青髪ピアスは顎に手を当てながら、









「まぁ、魔術サイドに引き渡すことになるやろうな。その時に脳に電極でもぶっ刺して洗脳されるかもしれへんけど」




その一言で充分だった。


上条を、前に動かすには。


70 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 12:15:04.59 ID:CwKuAjw0



「……インデックス。まだ他に敵がいるかもしれない。その時は、俺に構わずとにかく逃げろ。後で追い付く」

「そんなこと!出来な」

インデックスからの抗議の言葉は、上条の耳には届かない。
彼は既に床を蹴り、青髪ピアスに向かって走っていた。

「……真っ正面から、か。カミやんらしい」

その、どこまでも真っ直ぐな彼を見て、彼を裏切ったとも言える青髪は、笑う。
嘲笑ったのでは無く、馬鹿な行動に笑ったのでも無く、ただ、余りの真っ直ぐさに苦笑していた。
しかし、瞬時にその表情は変わった。
優しさの欠片も見つけられない、兵器としての表情へと。

上条は十メートルの間合いを走って詰める。
そして、後三メートル、飛び込もうと足を強く踏みしめた瞬間、

「ッ!」

またもや、直感を頼りに斜め前に飛んだ。
体を捻るように、何かを躱すように。

ヒュボッ!!

効果音に表すならそんな音が、上条の鼓膜を震わせた。
見ると、上条の逸らした体を掠るような形で青髪の拳が通過している。
プロのボクサー以上のスピード。
だが、躱せた。

(行ける!あのスピードの理由は分らないけど、戦える!)

青髪の背後を取る形になり、上条は右足が地面に着地すると同時に右手を振りかぶり、青髪の背中に狙いを定める。

71 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 12:15:47.23 ID:CwKuAjw0


「らぁっ!!」

掛け声が口から迸り、今まで敵を倒し続けて来た右拳を放った。
空気を切り裂き、拳が吸い込まれるように青髪の首後ろに迫ってーーーー




ゴガン!!と、信じられない程硬い音が鳴った。


「が、ぐぅっ!?」

伝わる痛みに、意識するよりも早く悲鳴が漏れる。
皮膚が擦り切れ、血が垂れるのが分かる。
右手から最初に殴った時とはレベルの違う痺れが走り、元々ダメージを受けていた腕が更に痛んだ。

「一体……っ!?」

疑問の声は上げられない。上げる暇が無い。
右手を痛みのあまり抑え、背後に何歩か下がった上条に、左肩を前に出して、青髪が此方に一歩を踏み出していた。

そして、




メゴッッッ!!と、莫大な轟音が轟く。

音の出所は、上条の体、タックルした青髪の肩付近と、突進のために蹴られたコンクリートの地面からだった。



72 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 12:16:28.58 ID:CwKuAjw0



「ーーー」

今度は、絶叫さえ出ない。
ただ、無理矢理肺から空気が吐き出される。
そのまま上条はノーバウンドで吹き飛び、ガラスが砕けてただの四角い穴になった窓を突き抜けて行く。
一階なため、落下による死の危険は無い。廃墟ビルが立ち並ぶ、路地裏の広場に放り出されただけだ。
だが、余りにも吹き飛ばされたスピードが速すぎた。

ガガガガガッッ!!と、地面と体が高速で擦れ、摩擦音が上がった。

「ぎっ、がっ……!?」

そこまで来てようやく、悲鳴がこぼれ出す。
ゴロゴロと地面を転がり、制服が所々裂け、見るにも耐えないボロボロになって、それでも上条はなんとか地面に左手を付き、立ち上がった。
立ち上がれたのは、タックルが当たる寸前に後ろに跳んで衝撃を少し減らしていたから。
そうでないと、肋骨の二、三本は折れていただろう。

「ぐぅっ……!」

人生で初めてと言っていい、死がギリギリまで迫った戦い。
しかし上条には恐怖は無く、ただ焦りだけが存在した。

「イン、デックス、が……!」

あの少女はまだ廃墟ビルの中に居る筈だ。
そして青髪も中に居る。
二人きりになっているだろう。
マズイ、と上条は考える。
さっきの話からして殺されることは無いだろうが、それでも攫われる可能性は高い。
そして、何処か上条が知らない場所に攫われた場合、助け出すことはほぼ不可能に近い。

73 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 12:17:42.84 ID:CwKuAjw0


だがしかし、杞憂だったようだ。
たった今、上条が吹き飛ばされて来た窓から、青髪が出てくる。
身長百八十センチもある体格で窓から出てくる姿は、威圧感を与えて来た。
青髪から笑顔が消えるとこんなにも変わるのかと、上条は頭の何処かにて思考する。

「インデックスは、いいのかよ……」

上条は言葉を発した。時間をかせぐためだ。
理由は二つ。
一つは右手の問題。
ダメージを受け過ぎたのか、右手が痺れてピクリとも動かない。
指が震え、拳を握ることも出来なかった。
そして、もう一つは考えるため。
先程までに、上条は二回青髪に拳を叩きつけている。
だが、

(あの感触はなんだ……!?)

自慢では無いが、上条は結構人を殴ったことがある。
皮膚を、肉を殴る感触というものが知っている。
だが、青髪を殴った時の感触はまるで鉄に拳を叩きつけたような感じだった。
上条の言葉に、青髪は、

「まぁ、カミやんはしつこいし。確実に倒してからあのシスターちゃんを捕まえればえぇ」

眈々と答えた。
道を教えるくらいの、軽々しい調子で。

「…………な…でだ、よ」

「?」

「何でだって聞いてんだよ!!」
74 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 12:18:21.62 ID:CwKuAjw0


突然、上条は叫んだ。
この叫びには、打算など無かった。

「お前が第六位だなんて初めて知ったし、俺が知らねぇことだって沢山あるんだってのも分かる!でも違うだろ!?お前は本当はこんなことやるような奴じゃねぇだろうが!」

それは、青髪の言葉を聞いてから思っていたことだった。
確かに、上条は目の前の親友のことを、本当の意味で知らないのかもしれない。
上条達に見せていたのはただの上辺だけで、本当はこんな風に兵器みたいに人を簡単に傷付ける人間なのかもしれない。


しかし、それでも上条は、


「なんで、お前が、お前みたいな奴が、何の罪も無いアイツを、捕まえようってんだよ……」


青髪という一個人を、信じていた。
本気で殴りかかられても、投げ飛ばされても、吹き飛ばされても、上条当麻は目の前の親友を信じていた。

「……カミやんは、僕のこと誤解しとる」

ポツリ、と。
上条の言葉を聞き、彼は呟いた。

「ぼかぁそんな綺麗な人間やない。自己保身のためなら、喜んで他人を傷付ける……現に、かみやんを傷付けたやろ?」

「……」

事実を突きつけられ、沈黙が場に満ちる。
そして、沈黙を切り裂くように青髪が上条に尋ねて来た。
75 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 12:18:53.89 ID:CwKuAjw0


「肉体変化(メタモルフォーゼ)って能力のこと、何処まで知っとる?」

「……いや、さっぱり」

「勉強しいや、カミやん……」

ハァ、と彼はため息を吐いた。
上条も何故かいたまれなくなり、左手で頬をかく。

「……肉体変化ちゅーのは、文字通り肉体を好きなように変化される能力や。遺伝子レベルでは無理やけどな。ただとても珍しい能力で、学園都市の中でも二、三人しか使える奴はおらへん」

青髪の言葉からすると、肉体変化というのは結構貴重な能力らしい。
学園都市二百三十万人中、たった二、三人。
かなりの貴重度だろう。
だがそこで、あれ?と上条の思考内の動きが止まる。
レベル5になるからには、それなりの『特別』が必要だ。
『超電磁砲』で例えるなら、十億Vの高電流に、更にそれを自由自在に操り、能力名にもなっているレールガンという戦略兵器レベルの攻撃を放てる。

しかし、青髪にはそれが無い。
肉体を変化させる、なんていう能力で、一体どうやってレベル5になったのだろうか?たった一人だけの能力ならともかく、二、三人居ると分かっている能力で。
それとも、他の肉体変化の能力者よりも能力が遥かに上手く扱えるのか?
そんなことを上条が思考していると、








「そう『公式では』なっとる」








76 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 12:19:29.55 ID:CwKuAjw0



「……はっ?」

少しの間を置いて、上条の間抜けな声が路地裏の広場に響いた。
言葉の意味が分からなかった。
彼が何を言いたいのか、理解出来ない。

「公式、って言っても所詮はたった三人の能力を研究しただけや。もしその三人が『本気』を見せてなかったら?いや、そもそも……」

彼は、青髪はそこで言葉を切り、




「本当は、『肉体変化(メタモルフォーゼ)』は学園都市に『一人しか』居ないとしたら?」




「…………おい、待てよ。それって……」

ここまで来て漸く、上条は理解した。
そして、それを背定するために、青髪は口を開く。




「そうや。僕は、学園都市に居ると言われている『肉体変化』全員の正体や」




77 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 12:20:13.13 ID:CwKuAjw0



「……ちょっと待てよ。だったらIDは?遺伝子情報や血液情報、場合によっちゃ声紋や脳波のデータまで必要だってのに……いや、そもそも誰も気がつかない筈が……」

ブツブツと、驚きの余り疑問を呟き続ける上条。
だが、それに青髪は答えた。
余りにも、答えが簡単過ぎたから。

「そんなもん、肉体変化で一発や。後、統括理事会に黙認して貰っとる、というかやらされとるし……まぁ、正確にはあのビーカー野郎(?)にやけど」

肉体変化。
その力は、全くの他人にさえなりすませるのか。
聞いたことが無い、ある意味魔術などよりも信じられないことに、上条は絶句する。

「……カミやん、僕はな。ただの青髪ピアスで居たいんや」

絶句している上条を見ながら、彼は語る。
その言葉には、どんな思いが込められているのか。
上条は黙って、耳を傾ける。

「この能力のせいで、実験漬けやった。何回も肉体変化し続けたせいで、本来の自分の歳も、姿も、性格も、声も、もう分からへん」

なんだそれは、と上条は心中で叫ぶ。
この学園都市の何処かが壊れているのは、ここで生きるうちに分かっていた。

78 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 12:20:53.93 ID:CwKuAjw0


「頑張って頑張って交渉して。漸く、幾つかの条件と引き換えに、僕は平穏を手に入れた。条件っても、肉体変化の能力者として学園都市内で偽ることや、今回みたいな緊急の任務に従うことだけやったしな」

だが、目の前の親友が、実際にその壊れた世界に浸かってこんなことをしたのかと思うと、途方も無い、言葉では表しきれない怒りが湧き上がる。

「そのせいで、レベル0として過ごし初めての、最初の友達と戦うなんて、皮肉やけど」

吐き捨てるように言ってから、青髪は上条を見る。
上条も、痺れが取れて来た右手に力を込めつつ、青髪を見る。
二人はしっかりと対峙し、互いの目を睨み付ける。

「カミやん、悪いことは言わへん。今回のことは何時もの『不幸』と同じように忘れて、普通の日常に帰るんや。今なら、引き帰せる。『幸福』を得ることが出来る」

最後の通告。
しかし、上条は答えない。
口を、動かさない。
ただただ、黙って青髪を見ていた。
目は真っ直ぐに青髪の瞳を見つめている。

「……はぁ。結局こうなるんやね……」

そう。結局、この二人は分かっていた。
上条も、青髪も。
心の何処かで、言葉だけではこの問題は解決しないと、知っていた。





だって、彼等は親友なのだから。




79 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 12:22:02.59 ID:CwKuAjw0


ここまでが総合に投稿した分です。
次は、少し時間が経ってから投稿します。
80 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/17(水) 12:23:23.44 ID:oK8/Orko
乙なんだよ!
青紙の戦闘力が異様に高いのはもはやお約束だなww
81 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:34:55.71 ID:CwKuAjw0

>>80
でも本気は出しません。というか、本気出したら上条さん絶対に負けます。

では後編、行きます。

82 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:35:35.28 ID:CwKuAjw0



裏路地の開けたこの広場に、一陣の、埃っぽい風が吹いた。

「っ」

先に動いたのは、青髪。
廃墟ビルの壁を掴み、引っ張る。
ボゴンッ!!という音をたてて、コンクリートが破壊された。
否、正確にはもぎ取られた。
青髪の手に、所々錆びた鉄筋が飛び出ているコンクリートの塊が握られる。
全長八十センチ程。重さは分からないが、まともな重さでは無いだろう。

少なくとも、青髪のように人間が片手で掲げるように持つなど不可能だ。

「マジかよっ!?」

非現実的な光景を目の当たりにし、上条は痛む体に鞭打って飛ぶ。
着地のことなど全く考えず、ただ跳んだ。

轟!!と、風が吹き荒れる。

まるで砲弾の如くコンクリートの塊が青髪から放たれ、上条が元いた場所に直撃した。
地面のコンクリートを鉄筋コンクリートが砕き、砕かれる。
隕石のようにクレーターが出来るのでは無く、互いが砕けて、辺りに欠片が撒き散らされた。

83 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:36:08.97 ID:CwKuAjw0


「ごっ!?」

跳んだ上条の背にも、散弾銃のような欠片の嵐がぶつかる。
一つか二つ程度しかまともに当たって無いのに、骨が折れたかのような激痛が走った。
先程までの青髪の攻撃とは、また違った攻撃。
しかし、

(……っ、耐え切れる!!)

無理矢理吹き飛ばされた体を制御し、何とか着地する。
背中を気持ち悪い汗が伝っていくのが感じられた。
だが関係無い。そんな小さなことで足を止めていては、やられてしまう。

「……っ!」

追撃を警戒しつつ、上条はインデックスが居るであろうのとは別の廃墟ビルに飛び込んだ。
慌てて駈けて行き、奥へ奥へと進んで行く。

「……」

遠ざかって行く背中を眺めつつ、青髪は視線を僅かに周囲へと走らせる。
何かを確認し、彼は上条が逃げ込んだビルへと足を踏み出した。



84 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:36:45.76 ID:CwKuAjw0







「ハァ、ハァ……くそ、何だってんだありゃ……」

廃墟ビルの三階。
とある一室に、上条は背中を壁に寄りかからせて息を整えていた。
吐く息は荒く、疲労の色が見える。
疲れだけで無く、体の痛みも上条をジワジワ追い込んで行っていた。
唯一の救いは、青髪が自分を倒さなければインデックスに手を出さないということか。

「駆動鎧(パワードスーツ)顔負けの肉体能力に、訳の分かんねぇ頑丈さ……チートにも程があるだろ」

上条の右手、幻想殺しには絶対的な弱点がある。
それは、異能の力自体は防げても、異能の力によって起こった現象自体は消せないということ。
例えばレールガンは防げるが、レールガンによって飛び散った岩の欠片は防げない。

それと同じように、青髪のような肉体に直接作用する能力者に弱いのだ、この力は。

彼の身体能力自体は、普通の高校生より少しだけマシな程度。
上条の武器たる幻想殺しが役に立たない今、彼は自力でこの危機を乗り切らなければならない。

85 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:37:19.22 ID:CwKuAjw0


「幻想殺しで殴って無駄だったんだ……能力を使って皮膚を硬くしたのか?」

能力を使って体を変化させている間なら、異能の力として幻想殺しも通用するかもしれないが、能力によって変化した『後』の肉体は異能の力と判断されないらしい。

「体を鉄にでも変えられたら、こっちは手が出せないぞ……」

ハァ、と上条は苦悩のため息を吐いた。
鉄を殴り飛ばしても、ダメージは殆ど無い。
むしろ、上条の手の方がダメージを受けるだろう。
そして、本気で攻撃されたら、上条など簡単に肉塊になる。


「…………うん?」


そこで、上条はふと気づく。
『肉体変化』
つまり、“肉体”を変化させる能力だ。

「待てよ、だとしたら……」

部屋を見渡す。




「……ハッ、なんだよ。俺、本当についてるじゃねぇか」






86 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:37:55.81 ID:CwKuAjw0






「……?」

青髪がビルの中に入り、まず最初に感じたのは違和感だった。
静かに、上条を探すために歩き、ビル内の廊下を歩く。
長い廊下だった。
左右にドアがあったであろう穴が幾つも並んでおり、突き当たりまでは二十メートルはある。
灰色の空間、地面に散らばるガラスが踏み砕かれて割れる。

(……隠れた?どの部屋に?)

一つ一つ、部屋の前を通る度に気配を探ってゆき、上条の姿を探す。
彼には余裕が有った。
上条当麻という人間をよく知っているからだ。
彼の幻想殺しは対能力者及び対魔術師に対して力を持つ。
能力を、魔術を問答無用で消し去り、拳を直接顔面に叩き込む。
そして、それに彼の『直感』が合わさることで、彼は学園都市第一位でさえ叩き潰せるだけの力を持っていた。
だがしかし、幻想殺しには弱点がある。

能力によって生まれた二次災害と、能力によって変化した『後』の物には効かないのだ。

そうでなければ、普段の日常で青髪が上条の右手に触れた時、能力は消え、本人でさえ忘れてしまった元の姿を取り戻せただろう。

87 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:38:37.86 ID:CwKuAjw0


(体を『硬く』するのには十分の一秒あれば充分。不意打ちにも対処出来る)

ただ、青髪は余裕があるものの、油断はしない。




上条当麻が起こす、不確定な、誰も想像出来ないような力を知っているから。




「……」

ふと、何か変な感じがした。
青髪は直感の命ずるままに足を止め、廊下の地面を見る。

「……サラダ油?」

廊下だけでは無い。部屋の一つ一つにサラサラとした油がひかれていた。
油自体が透明で、匂いもないから気がつかなかった。

「ーーー」

嫌な予感が走り、青髪は後方へ飛ぼうとして、


ヒュンッ!!


空気を裂いて何かが青髪へと飛ぶ。

88 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:39:20.57 ID:CwKuAjw0


「!」

反射的に、右手を構えて強化。
ピンッ、と五本の指が伸ばされ、皮膚の色が黒く変色する。
そして、手刀で飛んで来た何かを切り裂いた。
スパン、と。
まるで本物の刀で切ったかのような、斬撃音。
いっそ清々しい程綺麗なその音の後に、


青髪の体に、油がぶちまけられた。


(油……!?)

幾らなんでも、液体を切り裂くことは出来ない。
顔面からモロに被り、彼の思考は一瞬止まる。

「ふんっ!!」

「!?」

追い討ちをかけるように、ブンブンブンッ!と何かが回転しながら迫る音が廊下に響く。
油を払いながら青髪が見た光景は、廊下の先、一番奥の部屋の前で右手を振った状態のまま固まっている上条の姿と、




自分の前方に、かなりの早さで落下しようとしているボロボロの鉄筋だった。



89 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:39:58.04 ID:CwKuAjw0


地面には、大量の油が散らばっている。

(まさかっ……!?)

彼が、上条の作戦に気がついた時にはもう遅い。
鉄筋が落下し、


油の中で火花を立てた。


瞬間、凄まじい爆発音と熱風が吹きすさぶ。廊下の灰色に、真っ赤な光が照らし出された。
彼は全力で後ろに、迫り来る炎から逃げるために飛んだ。
だが、炎も早い。
三秒もたたないうちに、焼けるような熱風に覆われた炎の壁が迫ってくる。

(くっ……マズイ!)

上条の『幻想殺し』に弱点が存在するように、青髪の『肉体変化』にも弱点は存在する。
それは、肉体の限界を超えれないということだ。

0から1はどう足掻いても生み出せない。
無から何かを生み出すことは不可能であり、青髪の変化も人体からという限界がある。

つまり青髪が先程まで上条の体を防いだのは、皮膚の一部を元々人体に存在する物質によって変えたのだ。
人体は様々な物質でで来ている。


90 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:40:33.36 ID:CwKuAjw0





例えば、結合次第で硬さがシャーペンの芯からダイヤモンドまで変わる炭素などから。




そして、炭素は『燃える』。


(強度を重視したのが仇になったか!)

青髪が普段使う鎧の皮膚は、普通の皮膚と同じで燃えてしまう。
いや、むしろ集中させている分、普通より燃えるだろう。
勿論、青髪は其処までバカでは無い。
ちゃんと耐火性の皮膚だって作れる。
だが、耐火性の皮膚の場合、しかも一部では無く全身を覆うとなると、普通の鎧とは桁違いの演算と身体把握が必要になってくる。

(直ぐに耐火性の皮膚に変える!五秒あればいける!)

膨大な肉体変化を五秒で終わらそうとする、青髪の精神力は正にレベル5に相応しい。



91 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:41:09.63 ID:CwKuAjw0









だが、レベル0の少年の方が上だった。


ボンッ!!と、灼熱の壁を突き破り、黒い髪の少年が現れる。

(……なぁっ!?)

驚愕により、青髪の体が硬直する。
目の前に迫った、右手を振りかざす少年はなんと炎の壁を突き破って来たらしい。
彼もまた人間で、燃えるかもしれないのに。
異能の力では無い、現実の炎には、右手に宿る幻想殺しも意味を持たないというのに。


それでも、上条は、






「ぉぉぉぉおおおおおおおおおおおっっ!!!」






この、クソったれで最悪な戦いを終わらせるために、拳を振った。



92 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:41:46.66 ID:CwKuAjw0



バキンッ!!と、始めて、青髪を殴った拳から肉を撃つ音が鳴る。
耐火性の皮膚に変えようとしていたため、鉄壁の鎧は存在していなかった。
いや、それ以前に、変化が強制的に中断される。
幻想殺しは、やはり変化途中には効いたらしい。


(……っ)


まともに拳を喰らった青髪は、足を地面から離して吹き飛び、意識を白くさせながら殴り飛ばした少年の顔を見て思う。




恐らく、自分は、自分のためにしか戦わない自分は、他人のために本気で命をかけれる、この少年に勝てないと。




視界が白に染められ、何も分からなくなった。




93 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:42:39.93 ID:CwKuAjw0









「…………あり?」

「もう起きたのか」

上条が青髪を殴り飛ばしてから、十分程。
火を放った廃墟ビルがもくもくと煙を吐き出している中、上条は青髪を暗い路地裏の一つに運んでいた。
引き摺るような形だったので、二人とも制服がかなり汚れている。上条のは所々焦げてさえいた。
パチパチ、と気絶から目覚めた青髪は目を見開き、立って背伸びしていた上条の方を座ったまま見る。

「カミやん……?」

「たっく、まさか気絶するとは思ってなかったぞ」

苦笑しながら上条は言うが、青髪としてはそんなことはどうでもいい。

「どうして僕はカミやんとここにおるんや?」

「そりゃ、俺がお前を運んだから」

普通に言い返してくる彼に、青髪は思考が停滞した。
しかし、レベル5としての頭脳をフル可動し、口を開く。
どこか呆れと怒りが篭った表情で、

「……あのなぁ、カミやん。僕はカミやんを殺そうとしたんやで?それなのに助けるとか、何考えとるん?」

94 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:43:26.01 ID:CwKuAjw0


「なんでって、そりゃ」

そこで一旦、上条は言葉を切り、




「親友だからに決まってるじゃねぇか」




「……」

今度こそ、青髪はポカンと口を開けて固まってしまった。
パクパクと、鯉の如く口を閉開してしまう。

「それに、ほっといたら死んでたかもしれないだろ。んなこと、幾ら殺されかけても出来る筈ねぇじゃねぇか」

青髪が想像していた言動の右斜め上45度をぶっちぎるお人好し言動を、上条は素直に吐き出して行く。

「お前だってさ、本当は手加減してくれてたんだろ?最初のタックルでどうこう出来ただろうし。単純な筋力でも俺の攻撃くらい防げただろ?」

「……はは」

「?」

上条が首を傾げるのを横目に見つつ、青髪は、

95 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:44:02.57 ID:CwKuAjw0


「はははははははっ!!あっはっはっはっはっはっはっ!!!」

大爆笑した。
心底愉快でたまらなかった。
ここまでお人好しな人間が、こんなクソったれな世界にまだ居たのかと思うと、心底愉快だった。
幼い頃から数えきれないだけのこの世界の闇を味わって来た。
だけど、


こんなクソったれな世界にだって、まだまだこんなバカが居てくれている。


そのことが、どうしようもなく嬉しかった。

しかしながら、彼が何故笑っているのか分からない上条は若干引きながら、

「じゃ、じゃあ。俺インデックスを探しに行くから」

片手を上げて、足を路地裏の出口へと向ける。

「……カミやん」

「んっ?」

「本当にええんか?」

はて?と上条は考える。
何がいいのだろうか?
座り込んだ状態のままで、青髪は続ける。
96 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:44:50.81 ID:CwKuAjw0


「今までカミやんが味わって来た不幸なんかとはレベルがちゃうで?それこそ、世界を相手に喧嘩を売るようなもんや。それでも、カミやんは自ら『不幸』になりに行くんか?」

「何だ、そんなことかよ」

「そん……」

またもや驚く青髪に、上条は言った。

嘘偽りが無いとハッキリ分かるような、真っ直ぐな笑顔で。




「俺は、インデックスと一緒に居ることを不幸だなんて思ってねぇよ」




つまりは、原初の定義が違ったのだ。
青髪が不幸だと思っていたことは、上条にとって不幸などでは無い。
むしろ、上条はついていると思っている。
ビル内でどこかのスキルアウトが置いて行ったのであろう、油を見つけれたからこそ青髪の弱点を利用出来た。
始めに戦った敵が親友であり優しい青髪だったからこそ、上条はこうして立っていられる。

何時も何時も不幸な自分が、たった一人の少女を守る時は幸福でいられる。

97 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:45:26.39 ID:CwKuAjw0



いや、違う。






上条当麻は、インデックスを守ることが今の自分の幸せだと、断言することが出来る。






「……暗部が動いてないとはいえ、レベル5及び傘下能力者が全員カミやん……正確には禁書目録を狙っとるんや。数は少ないとは言え、学園都市の最大戦力を相手にするんやで?言っとくけど、確実に死ぬよ?」

忠告を聞いても、上条は、

「……よく、難しいことは分かんねぇ。でも、決めたんだよ。俺は」

青髪に思いを語る彼の瞳に、迷いは無い。
笑いながら、彼は言う。




「インデックスを、地獄の底から引き摺り上げるって」




98 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:46:06.69 ID:CwKuAjw0



「はぁ……全く、カミやんは本当に馬鹿やなぁ。まぁ、愛する美少女のために命を投げ出すその覚悟は天晴れやで〜!」

「ブゥゥゥッ!?違うって!?インデックスをそういう目で見ては……」

いきなり吹き出し、慌て出す上条。
そこにクネクネと体を揺らしながら追い打ちをかける青髪ピアス。
にやにや笑いながら、心底楽しそうに、

「うん?マジなんか?マジなんか!?ならばようこそーめくるめくるロリの世界へ!さぁ、僕と土御門クンとカミやんでデルタフォースならぬロリコンフォースを結成しようや!」

「やかましい!上条さんは変態じゃありません!!そっちの世界に引き込むなっ!!」

ギャーギャーバカみたいに騒ぐ二人。



やはりこの二人はどんなことがあっても、親友だった。




99 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:46:42.41 ID:CwKuAjw0







「……ふぅ」

上条が路地裏からインデックスを探しに消えた後、青髪は後ろ姿が見えなくなってから肺の空気を吐き出す。

「……」

そして、無言のままポケットから携帯電話を取り出し、プッシュする。
耳に当てた瞬間、ワンコール待たずに『向こう』と繋がる。

『失敗したようだな』

「分かっとったんやろ?」

ため息を吐く。
この無機質なのに洗練された声は、嫌でも神経を使ってしまう。

『君が幻想殺しに負ける確率は92パーセント。性格、人間関係を考慮した場合、99パーセントだ』

「1パーセント残っとるんかい」

『だがそれも、ある要素を計算に入れれば100パーセントとなる』

「……何を考えとるんや?僕“だけ”にカミやんの居場所を教えたことも、なんか意味があるんやろ……なぁ」

吐き出した息を補うように、息を吸い込み、青髪は告げる。

100 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:47:15.80 ID:CwKuAjw0





「『魔術師』アレイスター・クロウリー」




その名は、とある魔術師の名前。
二十世紀にて最強と呼ばれ、事実上、魔術サイドのトップだった魔術師の名。
その名の主人は今、科学サイドのトップとして存在している。
誰にも知られず、ひっそりと。それでいて堂々と。
その名を呼ばれても、電話の向こうは驚かない。

『君にそう呼ばれるのは久しぶりだな「名前不明(ノーネーム)」』

「うっさいわ。その中二病全開の能力名正直止めて欲しいんやけど」

内心、青髪の心臓は痛い程縮小していた。
電話ごしとは言え、自分を、いや、周りの人間全てを殺せる力を持つモノとの会話なのだ。
やはり、全身に力がこもる。

「取り合えず、や。あんま好き勝手しとったら、本気でブチ切れるで」

101 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:47:46.62 ID:CwKuAjw0


そう言ってから、青髪は強引に通信を切る。
どの道、あのままではまともな情報など百年かかっても手に入らなかっただろう。
親友を取り巻く状況は刻一刻と進んでいるのだ。
無駄な努力などする暇は無い。

「……そやな」

ふとここで。
何かを思いついた青髪は再度携帯を開く。

(まぁどうせ、これも読まれとるんやろうけど)

それでも、やらないよりは遥かにマシだ。
青髪は携帯のボタンを押す。








102 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:48:43.04 ID:CwKuAjw0








「クソッ!どこだインデックス……!?」

上条当麻はインデックスを探していた。さっきの廃墟ビルには居なかったからだ。
恐らく逃げたのだろう。
時刻は七時。
もう普通の学生なら家に帰っている時間帯。
オレンジ色の太陽が沈みかけ、暗い闇が学園都市を覆って行く。

「はぁ、はぁ……どこ行ったんだ……」

上空に浮かぶ飛行船に取り付けられた大型画面が『突如燃え上がった廃墟ビル』なんてニュースをやっているが、上条には関係無い。
ただ彼は、あの白い少女を探すのに全力を費やしていた。

(人に聞くのは……?いや、無理だ。他の敵がどこにいるか分かんねぇんだ。目立つことは余りしない方がいい……)

守るべき少女を見つけても、敵のオマケつきだったら笑い話にもならない。

「はぁ、はぁ……!」

彼はとにかく走った。
人の“居ない”大通りを駆け抜け、辺りに視線を張り巡らすーーー


103 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:49:21.14 ID:CwKuAjw0




「……えっ?」




ここでようやく、上条は『異常』を認識した。
少女のことばかりで、周りなど見て居なかったのだ。
周りには、誰もいない。
これが路地裏ならただ人が居ない、だけですませるだろうが、ここは大通りだ。
今は夜の七時。
普通なら買出しや遊び、仕事帰りの人が居る。

だけど、誰もいない。

近くにある、大型デパートのガラス窓の向こうには誰もおらず、近くのコンビニにはレジ店員もいない。
道には大量の自動車がまるで乗り捨てられたかのように放置されており、学生達も居ない。

まるで、世界に上条を残して全て消えてしまったようだった。

「どうなってんだ、こりゃ……」

呟いて、思い出す。
自分は、こんな現象を巻き起こす摩訶不思議な力を知っているじゃないか。

『魔術』という、科学とは対局に位置する力を。

「……もしかしたら」

104 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:50:37.33 ID:CwKuAjw0


上条の声に、僅かにだが希望が含まれる。
もしかしたらこれは、インデックスの追う魔術師によるモノなのかも知れない。
しかし、同時に不安にもなる。
いるのは敵だけで、インデックスはいないかも知れない。
だけど、

「それでもいい……!」

どの道、アテは無いのだ。
魔術師をぶん殴って聞き出せばいい。
彼はいるかも知れないインデックスを探すため、アスファルトの地面を蹴る。




少女は、意外にも早く見つかった。




前方二十メートル先、少女が横の道から上条の居る大通りに飛び出して来た。
少女は白い修道服を着ており、夕日によってオレンジ色に見える。

「見つけた!」

上条は、大声で呼びかけようと息を吸い、

105 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:51:58.73 ID:CwKuAjw0



瞬間、光が煌めいたかと思うと、









インデックスの背中から、紅い『ナニカ』が吹き出した。








「あ、えっ……?」


最初は、夕陽の光による錯覚かと思った。
いや、そう思いたかった。
だが、吹き出したナニカは、


夕陽の光にしては、余りにも紅過ぎる。


106 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:52:35.91 ID:CwKuAjw0


グラッ、と。
力尽きるように、インデックスが地面に倒れるのが見えた。
紅いナニカが、汚い地面に広がって行く。
後、彼女まで十五メートル。

「イ、っ、ぐっ……」

彼は、背中から大量の『血』を流す少女に向かって、叫んだ。






「インデックスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッ!!!」






その叫びは、悲痛で、聞くものを全て震えあげさせる程の、怒りが篭っていた。






107 :3〜とある魔術の第六位〜 [saga]:2010/11/17(水) 16:54:09.45 ID:CwKuAjw0


青髪との戦い、アッサリし過ぎた気もします。
情景描写もおざなりだし……

では次回。幻想殺しの少年の物語、その四。

108 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/17(水) 16:58:32.63 ID:twkc5gAO
サラダ油はそうそう引火するような代物じゃ無い、キツい酒のがまだ燃え易いくらい
揚げ物とかで発火するのは長時間熱されて気化したものが燃えてる
これ豆な

青ピ……
109 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/17(水) 17:04:03.11 ID:CwKuAjw0

>>108
ぎゃぁぁぁぁぁぁ……
描写忘れてた……サラダ油は学園都市特別性で、空気中の酸素に反応し気化。だけど匂い無ししかも標準気体よりも重いので、スキルアウトが能力者へ攻撃に使う筈だった物です。
だから液体に付いて燃えたのでは無く、気体として地面を漂っていた油に引火したのです。
態々言っていただいてすみません。ただ、ハッキリ詳しくは知りませんでした。

青ピの秘密は、多分明かされません。伏線だけです。きっと


110 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/17(水) 17:39:13.33 ID:9NMyXYQ0
多分>>108は「わざわざサラダ油なんかより、アルコール成分の高い酒のほうが発火物として妥当」だと言いたかったんじゃないかと思う。
スキルアウトが持ち込んだって言うなら尚更。
111 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/11/17(水) 17:58:20.47 ID:o4KneoAO
こまけぇことはry
112 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/17(水) 18:04:00.27 ID:xai1KwAO
熱い紅茶で銃が使えなくなる世界だぜ
113 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/17(水) 19:04:45.41 ID:1PmGTI2o
原作が既にトンデモ設定ばっかだしなw

こまry
114 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/17(水) 20:59:06.12 ID:A05uvsAO
やっぱり神裂ともやり合うのか
てっきり人居なくなった時は心理掌握が来たと思ったわ
此処に居たくないと脅迫概念を精神に与えて人払いみたいな感じで
115 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/17(水) 21:47:33.29 ID:g/XC6uYo
>>90
上条ちゃんがこの辺の話をわかるわけないと思うのですよ。
116 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 01:25:42.80 ID:IdwLzIAO
拳銃って熱膨張で細かい部品がおかしくなった程度じゃ壊れないの?銃とか疎いもんで気にせず読んでた あ、乙です
117 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 02:14:16.51 ID:YW/P0ooo
>>116
そもそも最高でも100度程度の紅茶で膨張するようなら
発射の熱に耐えられないじゃんってつー話だそうな

あー、でも本スレで一応あり得ないことも無い的なレスがあったような気もせんことも無い多分
まあ、基本的にねぼしは厳しいと思うよ
118 :とある魔術の幻想殺し(イマジンブレイカー) [saga]:2010/11/18(木) 08:09:50.30 ID:XE3P1/M0

>>110
酒だとどうしても匂いがあるし、アルコールだと燃える燃えないの以前に気化してて爆弾みたいにドンッ!!とかありますから。
匂いがあると青髪が五感を強化したらバレるし、アルコールも肌との接触やらでバレる可能性があるので……
だから特別なサラダ油が対能力者用に選ばれたのです。
理由はこんな感じです。だからこれをss内で説明しなきゃあかんちゅーに……

>>115
上条「アイツって、肉体変化ってことは肉体自体が変わるんだよな……だったら、燃えるってことは変わらないはず!」
こんな感じです小萌せんせー!

熱膨張は銃にもよると思います。
素材やら機構の問題ですし。発射の際、熱くなら無い部分の。
まぁ、少なくとも特注品だったら無理だと……

次回は二、三日先になりそうです。

四話、〜とある魔術の矛盾聖人〜
こうご期待……?


119 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 08:24:03.04 ID:c39cqQUo
乙ですた

青ピに続いて紙状さんの苦手な相手か・・・
120 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/11/18(木) 09:16:55.82 ID:8w4A7wAO
>>116原作で発射の際に銃弾に触れる部分は熱に強くても、中には熱に弱い部分が〜とかなんとか書いてあった

だが現実じゃ有り得ないだろうね
121 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 10:15:56.92 ID:k9hAdAAO
>>109
悪く言いたくはないけど、放置しているだけで気化してしまうような「サラダ油」はありえないだろ…そんなおっかない性状のものをサラダ油としては使えん、もしそれで揚げ物とかしたら死にそうだぞ

ねぼしはなぁ
原作の描写を知らないが、それこそどっぷりと浸して熱々にしてなら…とか思ったけどそれでもしんどいだろ、熱膨張率なんてそんなに高い値じゃないし
内部にしっかり熱が伝わるには時間が必要だし、てかそこまで熱くしたらまず銃を持てそうにないな…
122 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 13:19:52.13 ID:0DLKncAO
矛盾を作者がわかっていても読者に気付かせない文章を書くテクニックってかなり重要だよなぁ
123 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 13:36:01.55 ID:13pfd2AO
深く考えずノリで読んでると矛盾は大して気にならんな
戦闘機の身体を固めるのもかなりおかしな理屈らしいが
124 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 14:28:23.00 ID:3GoNvHko
超能力だのなんだの言ってる世界で現実の現象と比較してたらきりがないんだよね
>>90の普通より燃えるってとこも変になってくる
ダイヤモンドのように結合変えて硬くしてるのならむしろ燃えにくくなる訳で

つまりこまけぇことはいいんだよ
125 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 14:40:01.05 ID:YW/P0ooo
>>123
あれは体固めたら衝撃にもろくなるからだっけ?そのためにぷちぷちまかれてるんだろうけど

ところでダイヤモンドってたしか、案外もろいんじゃなかったけ?
126 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 16:49:13.65 ID:13pfd2AO
>>125
所さんの目がテンでトンカチで楽々ダイヤモンド砕いてたな
うろ覚えだが硬度は高いが強度は低い云々言ってた気がする

ヘビーオブジェクトでダイヤモンドの散弾でパワードスーツ蜂の巣にしたがあれは周りの岩やら不純物を取り除いてない精練前だったから可能だったのかな
127 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 17:17:18.33 ID:7gAEmbk0
硬度と強度のバランスが優れててよく使われるのが鉄だよな
ほんと、鉄って万能で便利だよね
128 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 17:58:41.46 ID:AGRHyDEo
>>126
ダイヤモンドは傷付きにくいだけで、叩けば割れる。

むしろその意味の硬さはルビーのほうがあった希ガス
129 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 19:31:09.71 ID:cZrYgkAO
そしてあらゆる物質の頂点に立つ硬度を持つのが削板軍覇です
130 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 21:34:01.94 ID:UniYT7wo
軍覇は能力がどんなものかまだ解明されてないんだよね
なにげにコンニャクでぶん殴ったら倒せそう
131 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 21:34:55.39 ID:/EtsQpAo
>>126
たしかある一点を叩くと簡単に割れるだった希ガス
ソースはアニメ版のソーナンダ
132 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 23:33:53.42 ID:k9hAdAAO
ダイヤモンドはモース硬度(ひっかいて傷ができるかどうか)で一番硬い10なだけで、衝撃には弱いよな
寧ろ、強度なら黒鉛の方が強いとも言える。一方向限定だが
133 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 23:40:55.00 ID:KJQmFmoo
禁書厨は何かあるとこれだな
迷惑だからいい加減黙れよ、な?
134 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/19(金) 00:39:04.45 ID:qO4vSAAO
結論:こまけぇこたぁいいんだよ
大人しく1を待とうぜ
135 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/24(水) 21:01:55.43 ID:MSP/zFs0
>>130
コンニャクで出来たメイスで削板ブッ飛ばすアックアさんを想像した。
136 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/11/25(木) 12:03:56.81 ID:YnR9D6AO
続き楽しみにしてんだが忙しいのかね
137 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/25(木) 14:06:34.12 ID:r9JQp.AO
アスカロン持てなくなったアックアさんに新武器のお知らせですね
138 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/04(土) 07:19:41.53 ID:FS9QiIQ0
神裂火織じゅうはっさいです助けてやれよ
139 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/19(日) 20:43:15.39 ID:zWrMfz2o
神崎戦原作そのまんまはやめて欲しい
140 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/30(木) 00:57:48.03 ID:at3H5cAO
戻ってこないな、ナイーブすぎるぜ楽しみにしてたのに
141 :lain. [sage]:2011/02/19(土) 22:42:58.73 ID:???
SS・やる夫系スレッドは、SS速報VIP【http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/】へ移転することになりました。
それに伴いこちらのスレッドをHTML化させて頂きます。
スレッドを立て直す際はSS速報VIPへお願いします。
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