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上条「もてた」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/01(日) 12:40:52.40 ID:aWxL8JI0
>>28

のタメの板
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1280502123/l50
>>28
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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 13:25:59.47 ID:drcnBQAO
なんでお前等って許可なしにスレ建てちゃうの?
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 16:16:33.78 ID:9uwPcx6o
板()
4 :28 :2010/08/01(日) 23:21:02.49 ID:nBnxCeYo
どうも、僭越ながら専用スレを立てていただいたので活用していこうと思う。
ただ元が他人のスレに便乗してやろうとした緩いノリなので更新速度が残念かもしれない。
5 :28 [sage]:2010/08/01(日) 23:21:34.27 ID:nBnxCeYo
「もてた」

い、と上条が言い切るより先にゴバァッと両頬を殴られる。
ほんの少し土御門がタイミングを遅らせたせいで上条は左右に首をグキッとひねることになった。

「うぉいテメーらいきなりなんだ!」
「それはこっちの台詞にゃー、カミやん」
「自覚の無いこういう男はホント許せへんね。なんでカミやんて2次元の主人公みたいに鈍いんやろね」

ギャアギャアと騒ぎ出すバカ三人組を横目に吹寄はため息をつく。
この程度の騒ぎはまだ止めるレベルですらないのだった。
今日の話は上条当麻がいかに2次元世界の住人っぽいか、らしい。
盛り上がる三人のうち一人はメイドの学校に通う義妹がいるあたり、
なんて不毛な会話だろうと吹寄は思った。

「だから、もてないことの証明なんて今俺に彼女がいない時点でもう済んでるだろ!」
「ええかカミやん? もてるっちゅーのはな、フラグを何本立てられるかって意味なんやで。
 カミやんはそのフラグを回収も折りもせずに延々ため込んでるんやないか。それはもてるっていうんや!」
「はぁ? だからフラグなんて立ってないって! そんなモン立ってたら全力で回収してやるさ!」

シン、となぜかクラスが静まり返った。上条の言葉が、言質を取られるように周囲に浸透していく。

「ほうほう、面白いことを言ったにゃーカミやん、じゃあ、やってもらおうか」
「なんだよ、何をやれって言うんだ?」
「カミやんが今までに知り合った女の子に、『デートしようぜ』って言っていくってのはどうかにゃー?」
「お、おいおい。それ下手したらドン引きされるんじゃ」
「ちっちっち。分かってないなあカミやんは。
 いきなり本気で誘ったらそりゃ引かれるかも知れんけど、
 ちょっと冗談ぽく言って反応を確かめてみたらええんやんか」
「それで一人でもオッケーが出るようならカミやんは不幸少年を返上して俺達に土下座をする、
 そして全員から断られたら俺達のおごりで残念でした会を開く、ってことで」

奨学金が振り込まれるまでの三日を、どうしても乗り越えられそうになかった当麻にとってタダ飯は重要だった。

「ほう、いいじゃねーか。この上条さんの不幸体質を甘く見るなよ?」

自分で言ってることにホロリと来ながら、上条は誘いに乗ることにした。



姫神がトイレから戻ると、突然、上条に話しかけられた。

「なあ姫神、ちょっと話があるんだけどさ」
「何? 言っておくけど。早弁したからって私のお弁当はあげない」
「いやそうじゃなくて。その、さ、姫神。付き合って、くれないか?」
「え――」

一人目の少女がドキリと驚きに目を開いて、嘘、と呟いた。
6 :28 [sage]:2010/08/01(日) 23:22:05.74 ID:nBnxCeYo

「上条君。その、教室でそういう冗談を言うのはやめて欲しい。君にはシスターの子が。いるでしょ?」
「なんでインデックスの話がでてくるんだ? 姫神、俺は今真面目に話をしてるんだ。
 そういう茶化すようなのは止めてくれ」

姫神はなんだか警戒しているように一歩引いた。
その一歩を詰め返して、上条は迫った。
なにせタダ飯がかかっている。それは真面目になるには充分すぎる理由だ。
姫神にノーと言わせるだけで一勝目を稼げる。
上条は、イエスと言ってもらえる可能性をこれっぽっちも考えていなかった。

「わ、私は――」

戸惑う姫神が上条から目線を外すと、クラスメイト達がにこやかに談笑している。
……はずなのに声のボリュームがやけに低くて、耳だけは全員こちらを向いていた。

「上条君。お昼。一緒に食べられる?」
「え? ああ、いいけど」
「それじゃ、続きはそのときに……」
「待ってくれ!」
「何?」

ほとんどいない女友達の顔を思い出しながら、人数を数える。
夕方までに全員に声をかけなければいけないのだから、先延ばしはマズイ。

「今すぐここで、ってのは無理なのか?」
「だ、だって。ここは教室で、みんながいるわ」

どんな感情の揺れも些細にしか表さない姫神が、はっきりと焦っていた。
7 :28 [sage]:2010/08/01(日) 23:22:33.71 ID:nBnxCeYo

「お前の本当の気持ちなんて、誰に隠すようなもんでも無いだろ?
 どんな言葉だって、俺はちゃんと受け止める。
 周りの連中のことなんて気にするなよ」

ごめんね上条君、なんて言葉は体育館裏で言われたって悲しいだけなのだ。
どこで言われようと上条は、ちゃんと受け止める覚悟をしていた。
周りの連中は上条のことを笑うだろうが、その覚悟も出来ている。
……心の中にシクシクと降る雨を止ませることはできないかもしれないけど。

「……ぅ」

姫神は声が出なかった。
あまりにいきなりで、頭が回らないのだ。
それなのに上条の目が真剣で、曖昧な返事は許されない気がした。

「……いい、よ」
「――――え?」

その言葉はまだ二人を強く結びつける言葉にはならないかもしれないけれど。
二人で話して、遊んで、そうしているうちにきっと絆は深くなるから。

「デートとか、すればいいの?」
「え、えっと、ああ」

そのデートにノーと言って欲しかったのだが。
後ろでは、勝者のはずの土御門と青ピアスが
猫でも噛みそうなほど窮鼠の顔をしていた。

「くそ、カミやんは茶化さんかったら素でこの威力か」
「これは一人目にしてすでに背中刺す刃の出番かにゃー」

8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 23:26:38.00 ID:wpZ8yIAO
ヘイスト!ヘイスト!
9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/01(日) 23:28:41.31 ID:v3POWMAO
ピリオム!ピリオム!
10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/01(日) 23:35:07.10 ID:9lijcVo0
>>9
ピリオム(笑)
ピオリムな
11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/01(日) 23:39:50.15 ID:v3POWMAO
うはwwwwww
こりゃまた失敬wwwwwwwwwwww
12 :28 [sage]:2010/08/01(日) 23:47:16.57 ID:nBnxCeYo
「ひ、姫神ほんとにいいのか?」

マズイ。いきなり負けそうだった。
脳裏で勝ち誇る土御門の笑顔を思い浮かべ、グーでそれをぶち抜いた。
なんとしても姫神にノーと言わせなければ。

「そういう上条君こそ。私でいいの?」
「へ? い、いやそりゃお前みたいな綺麗な子とデート出来るとか
 上条さんにあるまじき幸運が降りかかるならそれはまったく問題ないといいますか
 でもそれってあれ? なんかありえなくね?」

悶々と呟く上条の言葉の、「お前みたいな綺麗な子」より後を姫神は聞いていなかった。

「いきなり褒められても。その、困る」

ばっさり断られて不幸がずーん、というのを期待しているのになぜかだんだんと
周囲がお花畑と化していく。上条はその雰囲気に当惑した。

「な、なあ姫神。上条さんはぶっちゃけ不幸な人ですよ?
 一緒に出歩いちゃったりしたら、どんな不幸に会うか分かりませんよ?」
「いい。理不尽な不幸には慣れてる。それに、一緒に未来を歩く人の不幸なら、背負ったっていい」

姫神が僅かにはにかみながら下を向いて、そう言った。
違うのだ。上条は心の中で否定を繰り返す。そうじゃないだろ姫神! キレがないぞ。
お前はもっとナイフで切るようにこの上条当麻を切って捨てるヤツだ!

「だーかーらー! 違うんです! 違うんですよ姫神さん!
 ここは上条ライフ的に考えてソッコーで断られるシーンなの!
 ここでオッケーされちゃうとまた俺の負けになるんだから……
 ってそうか、だからオッケーされちまうのか。これも不幸の一形態ということか!」
「か、上条君?」

いきなり不満を噴火させた上条に戸惑う。

「よくわからないんだけど、君は。デートを断られるのを望んでいるの?」
「ああそうだよ! このままオッケーされちまったら俺は あそこでニヤニヤしてる連中に
 土下座しなきゃなんねーんだ。いや、あいつらのことだから絶対土下座じゃすまねえ」
「ふうん」

事情を察した姫神が、冷たく相槌を打った。
断れば、上条君の願いどおりになる。
そんなことはしてやるつもりはなかった。

「上条君」
「な、なんだ?」
「今日の放課後、校門のところで待ってるから」
「へ?」

そう言うと、きびすを返して姫神は自分の席に着いた。
休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴った。
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/02(月) 00:23:10.48 ID:vHeK8QAO
こっち移ってたか
気に入らないなら立て直しても良いと思うぞ

あっちの>>1と同類の餓鬼がハシャいで勝手にやったことだし

ともあれこれは期待してる
ノリで始めたんだから、速度遅くても仕方ない。
自由に書いてくれ
14 :28 [sage]:2010/08/02(月) 00:40:30.28 ID:pNc6mSoo
姫神は次の休み時間に声をかけても一切反応してくれなかった。

「ほらーカミやん。はやく土下座してや。こういう勝負事で負けた人が往生際悪いと白けてまうんやで?」
「そうだにゃーカミやん。ほら、『私はナンパして一人目の子を五分で落とせる一級フラグ建築士です』
 って言いながらそこに這いつくばって謝れ」
「ふざけんな! さっきのだって姫神が一方的に決めたんじゃねーか。
 そういうのをデートって言いきっちまうのはどうなんだよ?」
「カミやん? 僕やったらそれデートって思うよ? そういう展開けっこうあるし」
「今は二次元の話はしてないぞ」

ちょっと上条も分が悪いのを自覚していた。
授業中に思いなおして放課後に待ち合わせか、とドキッとしたからだった。

「んー、あくまでもあれをデートだとは認めないと?
「あ、ああ。そうだ」
「それじゃ今回はカミやんの言い分を認めてやるかにゃー。でもカミやん、二度はないぜ?」
「わかった。ちゃんと断らせればいいんだろ?」
「それじゃ次のターゲットはどの子にするん? 気の強そうな委員長とか?」

当麻が近い席に座っている吹寄を見ると、薄いブックレットから目を離してこちらを睨んだ。

「姫神のときから見てて事情を知ってるあたしに、貴様は声をかけるわけ?」
「い、いや。別に委員長サマにそんなことをするつもりは……って吹寄。
 お前今度はそんなモンにはまってるのか?」
「え? そんなモンって、貴様これを見てもそういう風に言えるわけ?
 この『どんなふくらはぎの張りでも一瞬で吹き飛ばす! 
 アステカ産黒曜石を丁寧に研磨して作った
 トラウィスカルパンテクウトリの指圧棒3,980円』って!」
「それ科学っていうより魔術の匂いがぷんぷんしてるじゃねーか!
 っていうか俺が言いたいのはその冊子のほうだよ。
 そのシリーズ、西部山駅の近くの路地裏にあるいかがわしい本屋に置いてあった」

いつ通ったかは忘れたが、そこはオカルト系のトンデモ本を扱う専門店らしかった。
学園都市でオカルトは今日び流行らない。
必然的に魔方陣が表紙に載った通販カタログなんてものはそんなところにしか置いてなかった。

「上条。貴様、このカタログを置いてる店を知っているの?」
「あ、ああ」
「……いつなら、案内してくれる?」
「はい?」

急に吹寄の態度が軟化した。
15 :28 [sage]:2010/08/02(月) 00:41:58.33 ID:pNc6mSoo
姫神は次の休み時間に声をかけても一切反応してくれなかった。

「ほらーカミやん。はやく土下座してや。こういう勝負事で負けた人が往生際悪いと白けてまうんやで?」
「そうだにゃーカミやん。ほら、『私はナンパして一人目の子を五分で落とせる一級フラグ建築士です』
 って言いながらそこに這いつくばって謝れ」
「ふざけんな! さっきのだって姫神が一方的に決めたんじゃねーか。
 そういうのをデートって言いきっちまうのはどうなんだよ?」
「カミやん? 僕やったらそれデートって思うよ? そういう展開けっこうあるし」
「今は二次元の話はしてないぞ」

ちょっと上条も分が悪いのを自覚していた。
授業中に思いなおして放課後に待ち合わせか、とドキッとしたからだった。

「んー、あくまでもあれをデートだとは認めないと?
「あ、ああ。そうだ」
「それじゃ今回はカミやんの言い分を認めてやるかにゃー。でもカミやん、二度はないぜ?」
「わかった。ちゃんと断らせればいいんだろ?」
「それじゃ次のターゲットはどの子にするん? 気の強そうな委員長とか?」

当麻が近い席に座っている吹寄を見ると、薄いブックレットから目を離してこちらを睨んだ。

「姫神のときから見てて事情を知ってるあたしに、貴様は声をかけるわけ?」
「い、いや。別に委員長サマにそんなことをするつもりは……って吹寄。
 お前今度はそんなモンにはまってるのか?」
「え? そんなモンって、貴様これを見てもそういう風に言えるわけ?
 この『どんなふくらはぎの張りでも一瞬で吹き飛ばす! 
 アステカ産黒曜石を丁寧に研磨して作った
 トラウィスカルパンテクウトリの指圧棒3,980円』って!」
「それ科学っていうより魔術の匂いがぷんぷんしてるじゃねーか!
 っていうか俺が言いたいのはその冊子のほうだよ。
 そのシリーズ、西部山駅の近くの路地裏にあるいかがわしい本屋に置いてあった」

いつ通ったかは忘れたが、そこはオカルト系のトンデモ本を扱う専門店らしかった。
学園都市でオカルトは今日び流行らない。
必然的に魔方陣が表紙に載った通販カタログなんてものはそんなところにしか置いてなかった。

「上条。貴様、このカタログを置いてる店を知っているの?」
「あ、ああ」
「……いつなら、案内してくれる?」
「はい?」

急に吹寄の態度が軟化した。
16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/02(月) 00:42:27.27 ID:mtx3bwAO
スレタイの関係もあるしなぁ
まぁ書き手に任せるしかないんだが
17 :28 [sage]:2010/08/02(月) 00:46:49.56 ID:pNc6mSoo
ほんとごめん。二回投稿しちった。

>>13
タイトル変えて全然違う話やっても良かったなと思ったんだけど、
面白そうなネタ探しても面白くかけなきゃ意味無い品。
ちょっとここで頑張ってみるは。
18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/02(月) 02:30:51.68 ID:Q31fQ.SO
自分から誘っといて断れとか上条さんサイテーだなwwwwwwww
19 :28 [sage]:2010/08/02(月) 10:20:05.96 ID:pNc6mSoo

「……だからさ、あれはどう考えても違うだろ!
 だってデートのデの字も口にして無いんだからあれはノーカンだって!」
「ちゃうよカミやん。フラグがいくつ立つかが重要なんやって! 
 あんなトントン拍子に女の子と放課後を過ごすフラグ立てるとか、
 角を曲がったらパンを加えた女の子とぶつかりましたってのと
 おんなじくらいありえへんよ!」
「んなこたねーだろ! 吹寄がいつも読んでるカタログの話振ったら
 本を置いてる場所を教えてくれって言われた、それだけじゃねーか」
「それだけ? カミやんいまそれ『だけ』って言った?
 許されへんよその言い分は! 謝れ! 
 学園都市の、いや日本のすべての出会いの無い男に謝れ!」

昼休み、さっさと昼食を済ませて上条たちは廊下を歩く。

「で、言っとくけどあれをデートに誘ったと俺は認めないからな」
「くっ、この期に及んでカミやんは往生際が悪い……」
「まーでも自分から誘ってないのは事実だしにゃー。
 まだまだ続きはあるんだし次行こうぜ次」
「次って、俺はどこに案内されてるんだ?」
「どこって、次は小萌先生を攻めるんですたい」

ぶは、と上条の口から息が漏れる

「ば、ばか! いくらなんでもそれはシャレにならねーだろ!」
20 :28 [sage]:2010/08/02(月) 10:41:35.99 ID:pNc6mSoo
「でも脈もなさそうな隣のクラスの女子とかに声かけても面白くないにゃー。
 カミやんに脈ありなのは小萌先生くらいじゃ?」
「ないないない! っていうか俺は青髪と違ってロリじゃねーし」
「僕はロリちゃうでー。ロリもいけるだけやでー?」
「っていうかインデックスとイチャイチャしてる時点でカミやんもロリいける人確定ですたい」

青髪に聞こえないよう土御門が囁く。

「で、どこまで手を出したのかにゃー?」
「だぁっ! 何もしてねーから! っていうかお前こそどうなんだよ。
 夜な夜な何やってるんだ! 壁のクソ薄い寮で」
「ななナニって、別に何もしてないんだにゃー?」

「はぁ、職員室の前でも上条ちゃんたちは上条ちゃんたちなんですねー」
「月詠先生?」
「カミやん、チャンスやないか。お願いしてみたら?」
「だからシャレにならねーっつの」
「いやいや、断ってもらったらええだけなんやから、問題ないやんか」

小萌先生は首をかしげ、この子達は何をしにここに来てるんでしょう、と呟く。
上条が正面を向き、しぶしぶという感じで口を開いた。

「月詠先生」
「はい、なんでしょう上条ちゃん?」
「付き合ってください」

上条がくっと腰を曲げて礼をする。

「はい、いいですよ。先生今日の放課後は時間取れますから」
21 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/02(月) 11:48:31.01 ID:8hZsDUAO
これはうざい上条
22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/02(月) 12:53:38.86 ID:J0UtvAAO
いやいや、上条さんはこうでないと









だが。
これが、世界に数人しかいないフラグ建築士1級の腕前か
23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/02(月) 14:56:54.05 ID:TFiPGpg0
まだかよゴラ
24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/02(月) 16:37:27.88 ID:ML/ulgAO
C
25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/02(月) 23:03:02.03 ID:Ae7hn/Yo
まだ?
26 :28 [sage]:2010/08/02(月) 23:59:02.65 ID:pNc6mSoo
>>23 >>25
待ってくれてるのに遅くてごめんな。

やっとこさ帰宅できた。今から書くわ。
それと明日は一日PCに触れられないので
更新あっても深夜だわ。遅くて申し訳ない。
27 :28 [sage]:2010/08/03(火) 00:23:06.55 ID:jCu44hQo
「え?」
「それで、単位が危ないのは透視と記憶術ですよね。上条ちゃんはどっちをやりたいんですか?」
「あー」

そりゃそうだ。生徒を導くことに一番熱心なのが月詠小萌という教師なのだ。
付き合ってといわれたら補習に付き合ってということなのだ。

「月詠センセ、ちがうでー。カミやんはそういうこと言ってるんとちゃうねん」
「ほえ? どういうことですか?」

ガリガリと上条は頭をかく。

「その、付き合ってってのは、一人の女性として俺とデートしてくれって意味です」
「え?」

ぽん、とはじけるように勢いよく、小萌先生の顔が真っ赤になった。

「ななななな何を言ってるんですか上条ちゃん! せせ先生をからかっちゃいけません!」
「すいません」

その通りからかっているので謝った。

「先生は上条ちゃんたち学生さんの未来を担い任されている身分なのですよそれなのにこ、こ、
 恋人だなんてそういう関係には断じてなっちゃいけないのです確かに男性教諭と女学生の結婚というのは
 少なくない例があるようですがこの場合女性の側の先生が上条ちゃんよりもずっと年上でですね、その」
「やっぱり、駄目ですよね?」

良かった。上条はほっと息をつく。さすがに学校教師は鉄板で断ってくれそうだ。

「う……。一応これでも私は大人の女性です。でも、先生はだからといって上条ちゃんの
 その勇気を笑ってはぐらかすようなことは、したくないのです」
28 :28 [sage]:2010/08/03(火) 00:51:48.28 ID:jCu44hQo

「上条ちゃん、もう一度だけ聞いてもいいですか?
 さっきの言葉は上条ちゃんの本気、なんですよね?」
「……」

冷や汗が背中をつたう。月詠先生は真剣だった。
むしろ昼休みの廊下でここまで真面目になれるのはどうなんだろうと思うが、
月詠先生はそういう人なのだ。

小萌はふと、後ろの二人が気になった。
色々とバカをやってくれる3人組だ。
自分は本当にからかわれてるのでは、と不安がよぎる。
上条ちゃんの付き添い? いや、男の子はむしろそういうのは絶対にしない。
いやでも、見届けるとか意味がきっとあるはずです。
先生に告白なんてきっと高校生の上条ちゃんにとってすごく大変な決心が必要で、
それなら誰かに相談したくなることだってあるかもしれません。

「お二人は、上条ちゃんに相談されたんですか?」
「へっ? ええ、まあなあ。そうやんな?」
「ああ。カミやんがすごく悩んでたみたいだったからにゃー」

深刻な顔で土御門が頷いた。
その空気に気圧されて、上条は小萌先生を放り出して土御門に
殴りかかることが出来なかった。

「上条ちゃん。先生は、ううん、私は」
「月詠先生」

上条は何かを言いかけた小萌先生に、言葉をかぶせた。

「すみませんでした」

深く頭を下げて、事情を説明した。
29 :28 [sage]:2010/08/03(火) 01:22:59.62 ID:jCu44hQo
「ちょ、おいおい! 姫神とデートって」
「このまま放課後に姫神と町を歩いて、姫神から告白されなければカミやんの勝ち、
 告白されたら俺達の勝ちでどうかにゃー? 
 ……まあ告白されたら俺らは敗者にもなるわけだけどにゃー」
「まあカミやんに彼女が出来たら抱えてる未回収フラグを折って捨ててくれそうやし、
 ありかもなー。彼女持ちのカミやんなら幸せ余ってるからご飯くらいなら奢ってくれそうやし」

上条も、さすがに姫神を無視するのは悪いかなーと思った。
姫神と町で遊んだことは無いが、それほど派手に遊ぶやつにも見えない。
軽くファストフード店で腹ごしらえをしてゲーセンを流すくらいなら構わないだろう。

「姫神がどういうつもりか知らないけど、まあ、遊びに行くくらいならやるわ。
 お前らも来るか?」
「お邪魔になるのが分かってていくやつはいないにゃー。あ、結果は明日辺り聞かせてもらうにゃー」
「結果って、それは飛躍しすぎだろ。姫神が告白とかありえねーって」
「じゃあカミやん、もし告白されたらどうするん?」
「え? い、いや、だからありえないって!」

一瞬頬を染めて当麻君と言葉を紡ぐ姫神を想像して、上条は自分の都合の良過ぎる妄想に蓋をした。
30 :28 [sage]:2010/08/03(火) 01:28:21.68 ID:jCu44hQo
今日はここまで。
次は24時間以上先だなー。
ドタバタハーレム系ギャグを書くはずが、
全然別の方向に……。
31 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/03(火) 01:28:43.33 ID:MfMRhRA0
寝る。明日みさせてもらうから頼んだぞ
32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/03(火) 08:58:11.43 ID:k9dx.2AO
>>30 大丈夫、これからなんだろ?

期待してるぜ
33 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/03(火) 21:10:52.73 ID:J1P.hnIo


ところで姫神の身近なライバルは
吹寄
インデックス
雲川先輩ってところか
34 :28 [sage]:2010/08/04(水) 21:50:58.48 ID:icTMOO6o

放課後までに、三度、姫神と目が合った。
今まで上条は姫神のことを授業中に注視したことはなかったので分からないが、
姫神は上条の呼びかけを無視する一方で、上条のことが気になっているらしかった。

放課後になってすぐ、姫神が声をかけてきた。
「上条君。掃除とかは?」
「ない」
「そう」
「さっきの休み時間の話だけどさ、姫神は」
「校門のところで、待ってる」

姫神の表情はいつも同じだ。落ち着いて見ていれば変化にも気づくが、
短い会話でそれを窺うのは難しかった。

「おっと確認に行ったカミやんがあっさりと受け流されたにゃーっ!」
「きっとあれは照れ隠しなんやって! 
 転校してくる前から知り合いやった女の子とこれでようやく進展か。
 カミやんおいしいなあ……」
「青髪お前はいい加減に次元を間違えるのを止めろ」
「で、どこに行くん? 最近話題のデートスポットといえば
 古代魚復元で盛り上がってる水族館やけど、入場料が高いらしいよ」
「そういうとこに入られると財布が軽くなるからなるべくチープなところで頼むにゃー」
「お前らは追ってくんな!」

ジロリと睨むと、はっはっはと乾いた笑いが返ってきた。

「いややなあカミやん。ちょっとした冗談やって」
35 :28 [sage]:2010/08/04(水) 22:46:25.62 ID:icTMOO6o

姫神は上条にケーキセットの一つでも奢ってもらう気で校門前に佇んでいた。
ごめんの一言もなしにすっぽかす人ではないことはなんとなく分かっている。

「結構真剣に。言ったつもりだったんだけどな」

それなのに、あれは酷かったと思う。
姫神がクラスの友達に相談でもすれば、上条は女子から総スカンを食らうだろう。
それをしないのは、相手のことが気になる弱みか。

「上条君はあのシスターの子が気になるのかな」

色気より食い気といった感じの気質だが、自分と同い年になる頃にはきっと綺麗になって、
上条君もたぶん、邪険になんて扱えなくなる。

姫神は自分から上条に声をかける気はなかった。
そして上条から声がかかるだろうとも思っていなかった。
だから今日したことは小さな転機であり、大きな決断だった。

「おーい姫神!」

遠くから上条の叫ぶ声が聞こえた。
やけに急いでいる。
走って自分のことを迎えに来る上条を見て、心臓がコントロールを失った。

「上条。君」
「逃げるぞ!!!」

ぎゅっと手を握られて、姫神は上条と一緒に駆け出した。
36 :28 [sage]:2010/08/04(水) 23:02:13.35 ID:icTMOO6o
プロットなしで書くとこの薄氷感がたまらない。
そしてまったり進行だと感想にレスができてちょっと嬉しい。

>>31
ごめんね四条川原町で後輩がゲロ吐いたせいで昨日は更新できんかった。

>>32
これからハーレムフラグ立つかなあ。
とりあえず姫神フラグは立った。

>>33
雲川先輩と吹寄、かあ。あの高校バストカップ数で入学規制あったりすんの?
とりあえず街に出ちゃったから学校内のキャラかどうかは関係なくなったかも。
37 :28 [sage]:2010/08/04(水) 23:19:39.50 ID:icTMOO6o
ハッハッと浅い息が聞こえる。自分と上条のだ。
都合がいいと言わんばかりに今にも発車しそうだったバスに強引に体をねじ込んで、
二人はクーラーの聞いた車内で息を整えているのだった。

「上条君。急に。どうしたの」
「悪い。土御門と青髪のヤツが尾(つ)けようとしてたから撒こうと思ってさ」

こちらが行き先を決めてない以上、降りる場所は向こうに読まれることはない。

「バスに乗せといてなんなんだけどさ、姫神はどういう用で校門前に呼び出したんだ?」
「え?」
「いや、なんていうか事の発端を考えますと上条さんは平身低頭しなきゃいけない気もするんですが
 もしかして罰ゲームでも吹っかけられるのかなとか思っておりまして」
「……そういうのじゃ。ない」
「えっと、じゃあ、どんな?」
「……私は、デートに誘われたから、待ち合わせを指定しただけ」

イニシアチブを上条に丸投げする一言だった。

「その、青髪とかの口車に乗った結果やってしまった出来心でして、
 その辺の事情はもう一度お話したほうがよろしいでせうか」
「いい。上条君が嫌なら。次のバス停で降りよう」
「姫神。お、お前は良いのかよ」

面白くなさそうに淡々と上条を見つめていた目が、軽く泳いだ。

「私は待ってるって言った」
38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/04(水) 23:35:25.51 ID:28.62a20
上条さん最低
39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 23:46:58.29 ID:QrQTwIAO
上条さんの制裁シーンはまだですか?
40 :28 [sage]:2010/08/05(木) 00:46:24.10 ID:1dArhboo

見覚えのあるファーストフード店。
58円のお徳用バーガーは値上がりして、いまや100円もするらしい。

「上条君。100円」

姫神は冗談半分に、上条にそうお願いしてみた。
飲み物とあわせて200円、奢ってもらえた。

「そういやこれが、お前と会ったきっかけだったっけ」
「そうだね」
「あれからはなんともないんだよな?」
「うん。あの人達だって普通に平穏を望んでいるから。
 私みたいなのが無理矢理吸い寄せたりしなければ。何も起こらない」

もう慣れたケルト十字の重みに意識をやる。

「そっか。さて、それじゃ今からどうする?」
「私はデートに誘われた側。上条君が。決めてくれると思ってた」
「う……。わかった。腹くくるわ。水族館でも映画館でもゲーセンでも
 ジムでも銭湯でも連れて行ってやる。姫神はどれがいい?」
「銭湯は。デートにならないと思う」
「まあ、普通はそうだな。あ、でも二二学区のスパリゾート安泰泉ってトコ、
 水着着用で男女混浴の風呂があった」
「そういう意味じゃなくて。水着を着て二人でのんびりお湯につかるのって。
 デートとは言わないと思う」
「そりゃそうか。水着ってのはデートっぽいと――――ッ」

姫神の水着はどんなだろう。
ふと頭にそれがよぎり、上条は一瞬姫神の胸元を見て
ドギャンっと首ごと視線を外した。

41 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 00:51:48.41 ID:rDeXfB.0
BADは勘弁してちょ
42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 02:14:01.04 ID:IvpwzYSO
最近の製作は姫神があついな
43 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 14:57:46.22 ID:HPLaH760
ねーちん達にも言うのかと思ったが姫神ルートだと…私はいっこうにかまわん‼
44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 22:33:04.08 ID:xOay0u2o
かわいいよ姫神すごくかわいいよ
45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/09(月) 01:30:04.60 ID:v6l04MAO
24時間どころか一週間がたとうとしている件について
46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 01:31:12.63 ID:v6l04MAO
色々ミスったorz
47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/10(火) 19:40:02.10 ID:DH5f6kAO
まだかな?
すごく期待してるんだけど
48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/10(火) 20:55:10.87 ID:2IaxmHso
まだ?
49 :28 [sage]:2010/08/11(水) 00:03:21.25 ID:LHiTekwo
待たせて申し訳ない。。。お休みの間は別の禁書SS書いてた。
とりあえず今日はこれ上げるわ。書いて来る。
そして待っててくれて本当にありがとう。
50 :28 [sage]:2010/08/11(水) 00:16:00.35 ID:LHiTekwo
「……上条君。その、人の体を見てそういう態度をとるのは止めて欲しい」
「うぇっ?! い、いいいや何のことでせうか?」
「どうしてそんな初(うぶ)な振りをするの? 上条君は色んな女の子に声をかけてるのに」
「そんなことしてないって! インデックスのこと言ってるのか? 別にアイツとは特別な関係じゃないって」
「本当に?」

当麻は意外と姫神が執拗に尋ねてくることに戸惑いを感じた。

「かくしてどうするんだよ」
「キスとかもしてないの?」
「当たり前だ!」
「そう」

姫神が素っ気無く呟いてそっぽを向いた、と当麻には見えた。
彼女がやった、と笑みを浮かべたことには気づかなかった。

「他にも心当たりはないの? いつだったか、自分の部屋まで常盤台の女の子を連れてきてたよね」
「へ? ああ……御坂妹な。あれ、初対面だったんだぞ?」
「上条君なら。初対面の女の子を連れ込むくらいはやりそう」
「おまえなぁ……。典型的なモテない高校生のこの上条当麻に限ってそんなことあるわけないだろ?」

お前の言ってることは見当違い過ぎると、ため息をつく。
それじゃあ、私は。

「私は。どうなの? 私はどうして君の前にいるように見えるの?」
「どうって……姫神はどう罰ゲームを執行してやろうかと思ってるんじゃ、って」
「それは違うって、言ったよね?」
「姫神……」
「私は。自分らしくないことを言おうとしてるのは分かっているけど。上条君とデートを。するつもりでここにいる」

姫神がぎゅっと、指をペーパータオルでぬぐった。
51 :28 [sage]:2010/08/11(水) 00:37:34.51 ID:LHiTekwo
「姫神、俺は……」

そこまでしか、声にならなかった。あまりに突然で、あまりに意外。
そして未だに事態を正しく理解できている自信がない。
姫神が、俺のことを? ……いやいやいや! 調子に乗るな上条当麻。
冷静に現実を見つめろ。つまらない希望的観測で小躍りなんてすると後で死にたくなる。
なにせ姫神はクラスメイトだ。事の顛末がワンフレーズでも教室の雑談に上れば、上条の破滅は約束される。

「上条君。その。何かを言いかけたんだったら言って欲しい」

俺はお前のことを友達としか思えない、か。
俺はお前のこと嫌いじゃない、か。
俺は、から繋がる言葉は望ましい予想と望ましくない予想、どちらにも容易に転ぶ。
まあ、まさか俺はお前のことが好きだなんて言葉が飛んでくることはないだろう。
そこまで、姫神は自分のことを過大評価できなかった。

「なあ姫神! と、とりあえず、これからいくところ考えようぜ!」
「え?」

姫神ははしごを外されたような気分だった。
当麻にしてみれば、姫神の考えていることを探るのに必要な展開だった。

「近場といえば、博物館で『科学の興り・錬金術と神学展』を見るか、地下に降りてゲーセンで遊ぶか、
 まあ、それかここでダベるかだなぁ。姫神は……ゲーセンか?」

姫神はお、という顔になった。

「その三つなら。ゲームセンターかも。どうしてそう思ったの?」
「え? なんとなくだけど、お前は意外と騒がしいの好きなんじゃねーかなって」

姫神の女友達はどちらかというと皆大人しかった。博物館にこそ友達といったことはないが、
図書館に集まったりすることは多かった。
当麻の予想は当たっていて、自分のことを分かってもらえていることが、嬉しかった。

「確かに嫌いじゃない」
「うし、じゃあ、行きますか。小遣いはちゃんと下ろしてあるし、大丈夫だな」
「あ。私――」

姫神はこまめに貯金を下ろす人だった。
今も、財布の中には三千円もない。食費を含めればちょっと頼りない金額だった。

「姫神はゲーセンで熱くなるほうか?」
「別に。そんなことない。見てるだけで楽しいから」
「うし、じゃあ足りない分は俺が出すよ」
「そんな。それは悪いよ」
「いいって。これ、『デート』なんだろ?」

申し訳ないけれど、その気遣いが嬉しかった。
52 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 02:55:18.47 ID:dnMV02g0
終わり?
53 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 09:46:14.45 ID:uCYGJOMo
姫神さんが健気過ぎて幸せになって欲しいが
ゲーセンで誰かと遭遇しそうですね
54 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 10:33:45.31 ID:CZP30IDO
乙!
続き楽しみにしてるぜェ
55 :28 [sage]:2010/08/12(木) 01:29:48.99 ID:EAW6WxUo

「さて、と。今日こそは、手に入れてやるわよ」

御坂美琴は無類のゲコ太好きだ。市販のグッズはたいてい揃えてある。
非売品だってあれやこれやと手を使って入手してきた。
だから、ゲームセンターのUFOキャッチャーの景品を入手するのはむしろ自然なことだ。

「昨日と違って小銭(タマ)はたっくさん用意してきたし、絶対手に入れてあげるわ」

美琴の目の前には『超シビア設定! 取れたらこちらのゲーム機と交換!』と書かれたポップアップ。
もちろんゲーム機など要らない。たった数万円ぽっちのおもちゃなどいつでも買えるし、
テレビのない常盤台の寮生がそんなものを買っても仕方がない。
ゲーム機の代理として筐体の中に配置された非売品のゲコ太人形。彼女の狙いはそれだった。

ガチャガチャと小銭を突っ込み、彼女はゲコ太を、ゲコ太だけを見つめていた。
56 :28 [sage]:2010/08/12(木) 01:30:29.91 ID:EAW6WxUo

「あっちのUFOキャッチャーは占領されてるみたいだから。これにしよう」
「姫神はこういうラインナップが好みなのか?」
「別に。ぬいぐるみはそんなに好きじゃないから。小さめのにしようと思っただけ」

交代で一つのターゲットを狙おうという話になった。
どうせならと姫神の欲しいものを狙うことになり、その目星が付いたところだった。
小さな涙の雫の形をした、お洒落なアクセサリ。ラピスラズリの青を姫神は気に入った。
上条はそれをキーホルダーだと認識していた。そういう風にも使えなくはなかった。
だが、その涙の雫のモティーフに通す鎖の長さを調節すれば、それはペンダントにもブレスレットにもなる。
それを姫神は、できれば上条にとって欲しいと思っていた。

「気づいてくれないかもしれないけど。私は君からのプレゼントが欲しい」

ゲームセンターの騒がしい音に紛らわせるよう、そっと想いを言葉にした。

「え? ごめん、なんだって?」
「私はあんまりうまくないから上条君が取ってね。って言った」
「ん。まあ、得意って訳じゃないけどいいところ見せたいしな。頑張ってみるわ」

ニッと笑う上条に、姫神は微笑を返した。
ガチャガチャと小銭を突っ込み、上条は青い涙の雫と、そしてプラスチックのウインドウに映った姫神を見つめていた。
57 :28 :2010/08/12(木) 01:41:29.93 ID:EAW6WxUo
>>52
もうちょっとだけ続くんじゃ。もうちょっとかどうかはわからんが。

>>53
ご名答。このまま終わったら盛り上がりがないしな。
58 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 01:42:39.68 ID:8KfnCJ20
フラグを成立させるってことはそれ以外の全てのフラグをへし折ることなんだな
59 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 11:36:02.42 ID:/8wKkaoo
>>58
全てのフラグを成立させるとハーレムになるのだよ
60 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 21:10:32.82 ID:jwD8KcSO
>>58安心しろ
現実にはへし折ることのできるフラグさえたたないから
61 :28 :2010/08/13(金) 00:39:46.37 ID:4JdZXIIo


「これくらいの金額なら、遊んだ分の値段込みで悪くないな」
「うん。上条君、結構上手だったね」
「ま、格好悪いとこ見せずに済んでよかった」

景品が出てくるポケットから上条は目当ての品を取り出し、姫神に手渡した。

「ほい。それじゃあ、貰ってくれ」
「うん……。ありがとう。大切にするね」
「え、あ、ああ」

ふわりと笑って、小さな景品を大事そうに握る姫神の仕草に、思わず上条はドキッとした。
パッケージをそっと姫神が開けると、そこには短めの細い鎖が入っていた。
鎖自体には薄い白のメッキがかかっていて、銀の光沢に温かみを与えている。
そしてところどころにビーズ細工がしてあって、鎖だけでもそれなりに洒落ていた。
姫神は上条を一瞥すると、その鎖に青い涙の雫を通し、ブレスレットにして左腕に嵌めた。

「どうかな?」
「どう、って。まあ制服にはそんな合わないかもな」

照れ隠しの言葉は素っ気無かった。
そういえば御坂の妹にネックレスを送ったこともあったはずなのに。
同級生の姫神とゲーセンに行って自分のとった景品をつけてくれた事実が、
なんだか男冥利に尽きるというか、上条の心をくすぐるのだった。
きっと、姫神がカジュアルな服装にそれを合わせれば、似合うだろう。

「迷惑だった?」
「そ、そんなことないって。そうだ、姫神。喉渇かないか?
 さっきから結構声を張ってるから飲み物欲しくなってきた」
「うん。そうだね。買いにいこうか」
62 :28 [sage]:2010/08/13(金) 01:22:19.02 ID:4JdZXIIo
「うーん」
「どうしたんだ?」
「ちょっと。一缶は多いかなって」

ペットボトルのお茶は売り切れで、少ない量で売られている缶コーヒーは買う気がしなかった。

「じゃあこれ飲むか?」

僅かに姫神がためらいを見せた。

「上条君は。間接キス。気にならないの?」
「へ? 気にするような年じゃないだろもう……意識させるなよ」
「うん……」

差し出されるより、あるいは引っ込められるより先に、姫神は上条のサイダーに手を出した。
適当にあけられたプルタブには、上条が口をつけた跡が残っている。
僅かにためらって、姫神はそこに口をつけた。

「ありがと」
「もういいのか?」
「うん。これ以上飲んだら。良くないから」
「炭酸苦手だったか?」

ふるふると姫神は首を振った。これ以上飲んだら、意識しすぎて自分が変態というか、
良くない嗜好を持った人になりそうな不安があった。

休憩の意味も込めて、自販機の傍のベンチに二人で腰掛ける。
背中のほうからは格闘ゲームと思わしき打撃音や、レーシングゲームらしきエンジン音が響きわたる。
ゲームセンターの片隅のうら寂れた一区画。周りに人は少なくないのに、
ぽっかりと二人だけの空間が開いていた。

「ずっと、こんな日が続けばいいんだけど」

上条君が学校をサボらないで、大過なく過ごせる日が。
63 :28 [sage]:2010/08/13(金) 01:34:45.02 ID:4JdZXIIo

「ずっと、こんな日が続けばいいんだけど」

その言葉を、上条は少し違った意味で受け取っていた。

「続くさ。明日からもこれからも、毎日姫神の平穏な日々は」

真剣な響き。希望的観測だというよりも、強い意志のようなものが言葉には乗せてあった。
姫神は上条の勘違いを正さなかった。

「そうだと良いね。でも。私の平穏は十字架の上に建ってる。
 でも上条君と一緒で。私も多少の不幸には慣れてるから」

もう慣れた首から下がるその重みに、服の上からそっと触れた。

「やめろよ」

その言葉が、嬉しかった。姫神は自分の言葉が卑怯だったことに自覚はあった。
上条にそんな風に否定して欲しくて、人には滅多に見せない弱気を、覗かせた。

「幸せなんて人間なら誰だって手に入れられるんだ。手の届かない黄金なんかじゃなくて、
 それは毎日簡単に手に入れられる安いモンなんだ。
 姫神。お前は今、毎日を楽しめてるか?」
「……うん。穏やかで。結構楽しいよ」
「なら余計な心配なんてすんな。ちゃんと毎日を過ごしてたら、
 ちゃんと毎日幸せはやってくる。それにもしお前がどうにもならない
 厄介ごとを抱えちまったなら、俺を頼ればいい」
「上条君」
「どんなにお前がピンチでも、どうしようもない境遇に陥っても。
 助けが必要なら、俺はいつだってお前のところに駆けつける」

真剣なその声に、姫神は口を開くことが出来なかった。
隣にいるこの少年はあの日自分を助けてくれた。
ちっぽけな出会いがきっかけだったのに、姫神の身を案じてくれた人だった。
だから、そんな直球過ぎる言葉を、茶化すこともなく受け止めてしまえる。

「お前が不安に付きまとわれる未来しか描けないって言うんなら。
 俺がその幻想を、ぶち壊してやる」

それは愛の告白のように、姫神にとっては大切な大切な意味を持った言葉だった。
姫神は缶サイダー一本分あいていた二人の隙間を、体を傾けてそっと埋めた。

64 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/13(金) 08:20:08.44 ID:ZYkvZ6SO
かつてここまで幸せな姫神を見たことがあったであろうか
65 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/13(金) 08:46:37.96 ID:WO7OokAO
あいさちゃんかわいい
66 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/13(金) 12:03:01.47 ID:qKoLmgDO
もう空気とは。呼ばせません。

みさか☆コロシアムより
67 :しおん ◆SHION//ih2 :2010/08/13(金) 15:42:36.29 ID:SC.U9M.o
みことおおおおおおきてくれれれれ
68 :28 [sage]:2010/08/14(土) 00:59:57.31 ID:QIu7sSgo
ふっと我に返ったときに、自分のすぐ傍に上条がいることに気がついた。
思わず声をかけようとして、声が出なかった。上条の隣に、女がいたから。
上条の制服とその女子高校生の制服の体裁がよく似ている。たぶん、同級生。
控えめで物静かな感じのする、黒髪の綺麗な人だった。

「そっか」

こんなにうるさい場所なのに、上条の言葉は全て聞き取れた。
ああ、この人もアイツに救われた人なんだな、と美琴は理解できた。
そして、その女の人がどんな気持ちを上条に抱いているのかも。
上条のその言葉は、夏の終わりに美琴が聞いたそれと、ほとんど同じだった。
アイツは、誰にだってああいうことをいうヤツなんだ。

「分かってた、ことなのにな」

ふと上条の隣の女の人が、こちらを振り向いた。
それは単に、立ち尽くす美琴が不自然だっただけで、他意はなかっただろう。

「姫神、どうかしたか? ……って、御坂?」
「上条君の。知り合いなんだ?」

もう一度姫神が美琴を見た。
視線が交わるときに、今度は隔意があった。
あえて表現するなら、敵を値踏みするような、そんな意味合いの込められた目線。
たぶん美琴が向けたそれも、同じだった。
69 :28 [sage]:2010/08/14(土) 01:20:40.36 ID:QIu7sSgo
姫神と美琴は、軽い会釈で挨拶をした。
軽い探りはそれで済ませた。

「で、アンタはこんなところで何をしてるわけ?」
「何って……まあ、なんだ」
「デート」

言いよどむ上条に、姫神が言葉を重ねる。

「ひ、姫神?」
「上条君は。さっきデートをしようって言って誘ってくれた」
「いや、それは」
「違うの?」

じっと、ハッキリしなさいよと美琴が上条を見つめている。
姫神も肯定して欲しいと、切ない目で上条を見つめていた。

「う、まあ。これはデートだってことに、なってる、けど」
「そういうこと」

姫神は、美琴のほうを見て事実を解説した。
常盤台の制服を着た、つまり中学生を相手にこんなことを言う自分を、
姫神は浅ましいと思った。だけど、きっと判断は間違っていない。

目の前の女の子はアクティブな印象の子だった。
綺麗というにはやや幼く、可愛いというには芯が通りすぎている。
だけどこんな子に甘えられたら、上条君だって悪い気はしないだろう。

今。当麻に貰った勇気を使うべきなのは今だ。
自分の思いが報われないことを許容してしまったら、この子でなくても誰かの方に、
想いを伝えたい誰かはなびいてしまうだろう。

上条の口から出たデートという言葉は、美琴の強気を挫くには充分な威力だった。
美琴は姫神の遠慮のない視線に一歩、後退させられた。
70 :28 :2010/08/14(土) 01:24:06.61 ID:QIu7sSgo
>>64 ごめん修羅場にはいっちった。
>>65 姫神が可愛くなかったことなどかつて一度もない
>>66 このSS最後どうなるんだろうな?
>>67 やってきたぞ
71 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/14(土) 01:28:01.43 ID:Uv9wpTco
禁書の6巻ぐらいまでは
ラブコメパートはインデックスがメインヒロインで
美琴、姫神が二番手ヒロインの争いをしつつ修羅場をやると思っていました
72 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/14(土) 11:48:20.52 ID:YufYh.AO
>>70 まだSSの最期は遠すぎる




フラグゲッター上条は一人しか攻略してないからな
73 :しおん ◆SHION//ih2 :2010/08/14(土) 17:27:24.27 ID:bMvtiBso
みことおおおおお陰キャラをけせええええええええ
74 :28 [sage]:2010/08/14(土) 23:52:16.01 ID:QIu7sSgo
「行こう。上条君」

姫神がやけに積極的だった。自ら上条の腕を引き、ベンチから立たせる。
そして、そのまま上条の二の腕辺りの袖をつかんでいた。
腕を組むところまでは、していなかった。それが彼女の限界でもあった。

「上条君、ねえ。彼女には下の名前で呼んで欲しくないわけ? と、と、当麻?」

上条の連れは、腕も組めず、名前で呼びもしない。
それは最悪の予想とは少し違って、
まだ自分が蚊帳の外に放り出されたわけではないらしいことを意味している。
私がアイツの彼女だったら絶対もっとくっついて、名前だって当麻、って呼ぶ。
……べべべ別にアイツのじゃなくても一般論としてそうよね!

「……お前にそんな呼ばれ方したの何度目だっけ?」
「知らないわよバカ!」
「まあ、姫神は彼女ってわけじゃない。姫神の名誉のために言っとくと」

姫神が目を伏せた。だが当麻の腕を手放さない。
美琴は目を上げてそれを確認し、目をそらした。

「当麻……君」
「え、姫神?」

記憶を失うより前から知り合っていた美琴の場合と違い、
姫神にそう呼ばれるのが初めてだというのに上条は自信があった。

「私と当麻君は。確かに付き合ってるわけじゃないけど。でも今日は。デートをする約束でしょ?」
「姫神、いや、俺の自意識過剰だってんなら笑ってくれりゃ良いけどさ、その」

まるで、二人で遊んで最後に告白、なんて流れになりそうな台詞だった。
そんなわけはないはずだと思いながら、上条もしがない男の性で、期待せずにはいられなかった。

「ねえ、と、当麻。メールの件は一体いつ、付き合ってくれるわけ?」
「メール?」

前から後ろから、振り回されてばっかりだった。
この間からメールメールと、やけに美琴がつっかかってくる。

「買い物とかに、付き合ってくれるって話してるじゃない!」

身に覚えのない話だった。
75 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 01:18:46.07 ID:yOlDbmco
ぶっちゃけ、美琴と買い物に行かずに黒子と買い物に行きそうな上条さん
76 :しおん ◆SHION//ih2 :2010/08/15(日) 11:46:30.59 ID:76Fz5JUo
みことおおおおおおおおおおお
77 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 13:53:39.59 ID:AWZCDQSO
阿修羅場キター(゚∀゚ゞ
78 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 20:19:51.54 ID:X6aR4ADO
受信拒否……かww
79 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/19(木) 00:10:59.76 ID:lmgMVIDO
更新マダー

支援
80 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/24(火) 21:47:58.99 ID:Gp5b2nMo
姫神好きの俺はこの展開は涙が出そうです
81 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/25(水) 00:28:35.51 ID:XdiWKEDO
更新なくて涙目である

ageる
82 :28 [sage]:2010/08/25(水) 01:58:39.64 ID:NWi4386o
金曜日に入試を控えた身なんだ(´・ω・`)
落ちることはないけど発表用スライドちゃんとしないと教授に殺される。
まあ、もうちょっとお待たせすることになると思う。ごめん。
83 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/25(水) 08:31:46.54 ID:602Z0.AO
生存報告があるだけで嬉しいのである!
84 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/25(水) 18:41:19.20 ID:NYAsSU6o
ちょっと心配になっていたが安心した
しかし何故こんなにも姫神のスレは無いのか…
85 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 05:11:04.67 ID:96i.86DO
少し安心した待ってるぜ
86 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 10:55:45.90 ID:JfZ.NEAO
美琴[ピーーー]
87 :28 :2010/08/30(月) 11:11:24.32 ID:Cnz69/co
「あのう御坂さん? 上条さんはあなたとそんな約束をした覚えが全くないのですが」
「ちゃんとしたわよ! ほ、ほらこないだアンタが私からのメール消したかもって言ってたじゃない!」
「……その内容が買い物に付き合うって話だったと?」
「そ、そうよ! なによ疑うの?」

上条は気の抜けたため息をついて、ぼんやりと宙を仰ぎ見た。

「別に疑いはしねえよ。ただ、俺は返事した覚えないんだけど?」
「そ、そうだっけ? 貰った気がしてたんだけどなー」
「どんな返事を?」
「あー、たしか『この不肖上条当麻、美琴様にどこまででもお付き合いさせていただきます』って」
「ふざけんな! そんな返事俺がするわけねーだろ! そういうメールは白井に送ってもらえ!」
「ちょ、やめてってば! 黒子の場合はそれが冗談にならないのよ!
 ああもう貸しなさいよアンタの返信メール探したげるから!」
「お、おい」

小気味のいいテンポで、美琴と上条は掛け合いをしていた。
あんな調子を、自分は出せないだろう。姫神は急に開いて見えた上条との距離に怯えた。
美琴が当麻の腕を捕まえて、尻のポケットから携帯を引き抜いたところだった。

「俺の返信が気になるなら自分の携帯を見ろよ」
「うっさいわね。アンタの送信履歴見たっておんなじことでしょ?」

ポチポチとボタンをいじりながら、美琴は上条のメール受信履歴を見ていた。送信履歴ではなく。
上から女の名前を探していく。上条詩菜と書かれたメールは中身を一つ見てスルーした。
ひめがみ、漢字なら姫神だろうか。その名前を探しながらスクロールし続けて、
過去数ヶ月間にその名前が一度もないことを確認した。
気になる名前は、二つ。

「土御門って、これメイドの土御門じゃないでしょうね?」
「あ、おい。それ受信履歴だ!」
「あーゴメンゴメン。間違えた。で、土御門って? 私の知り合いにメイドの子がいるんだけど。
 アンタそういう趣味じゃないでしょうね」
「舞夏のこと知ってるのか? このメールはアイツの兄貴のほうだ。舞夏のアドレスはしらねーよ。」
「ふーん」

上条に見えないようにコッソリとメールを開く。語尾がにゃーにゃーしていて、男同士のものらしいくだらない内容だった。
土御門舞夏と連絡しあってるのではないことを確認してほっとため息をつく。

ふと、そこで見落としていた名前に気がついた。いや、名前だと思わないから流していたのだ。
よく考えれば何度か聞いた名前。
つい最近メールをしたその送り主の名前は、インデックスと書かれていた。
88 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 13:37:28.75 ID:hGyyf720
上条さんなら、20人は女の名前はいってるだろwwwwwwww
89 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 14:59:14.70 ID:Nvte9IDO
御坂さんが最低な女の行動一直線になってはる…w
90 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 16:11:48.02 ID:5jSDpFIo
インデックス
姫神
吹寄
小萌
雲川
舞夏
美琴
黒子
美鈴
神裂
五和
オルソラ
アニェーゼ
オリアナ
レッサーのアドレスは知ってそうだが
91 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 16:21:33.33 ID:Srh7stoo
美琴ならやりかねないww
92 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 16:55:48.42 ID:YKoLY6AO

>>90
神裂さんじゅーはっさいは携帯を机の上に置いて上条さんからのメールを待ってます
93 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/30(月) 19:38:51.32 ID:JfZ.NEAO
美琴[ピーーー]
94 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 20:07:18.07 ID:qzTsPp20
デレたツンデレとヤンデレはほぼ等しい
95 :28 [sage]:2010/08/30(月) 22:27:56.73 ID:Cnz69/co
差出人の名前がインデックスと書かれたそのメールをポチっと押して開ける。

「おい、御坂! 関係ないメールを開けるなよ」
「あーうん。ごめん」
「テメェ全然謝る気ないですねコノヤロウ!」
「なによ。わ、私が頑張って送ったメールをどっかにやっちゃうような薄情なヤツが偉そうにしてんじゃないわよ!」
「頑張ったってなんだよ。お前はメールも遅れない情報弱者か」
「そうじゃなくて、わ、私だってその、どういうメールを送ったらとか……」

ゴニョゴニョと言葉にならないぼやきをうつむいた美琴が吐き出す。
それでもメールを見るのを止めたりはしなかった。

「『猫+1のエサはちゃんと用意してあげたよお兄ちゃん』……?」
「ああ、そのメールか」
「……最低」
「あ?」

汚らわしいものでも見るように、美琴が当麻を冷ややかに睨んでいた。
すぐ後ろで、姫神も瞳をすっと切れ長にしていた。

「かみ……当麻君。君は。あのシスターの子にお兄ちゃんって呼ばせてるの?」
「違う違う! それは濡れ衣だぞお二人さん方や。それはインデックスが書いたないようじゃなくてだな」
「へぇ、違う女の子になら、アンタはお兄ちゃんって呼ばれてるワケね」
「そう。上条君は。知り合いの女の子の数なら両手があっても足りないものね」
「な、なんで二人とも怒ってるんだよ。ちなみにそれはさっき話に出た土御門の妹の舞夏だ。
 アイツは誰にでもお兄ちゃんという女だし、ついでに言えばアイツは義理の兄と一線を越えてるっぽい」

美琴と姫神が驚いた顔をした。ついでに上条から少し離れたところで誰かの暴れる音がした。
金髪と青髪が印象的な二人組だ。上条には心当たりがありすぎた。

「あれ、土御門君と」
「何も言うな姫神。どうやら逃避行は続けないといけないらしいな」
「そうだね。見られるのは。恥ずかしいし」
「え? ああ、うん。後で何言われるかわかんないしな」
「え、ちょっと。一体なんなのよ?」

美琴が事情を飲み込めずに戸惑っている。姫神が、そっとその手から当麻の携帯を奪った。

「ごめんね。これ。返してもらうから」
「あなたのじゃないと思うんだけど?」
「そうだね。じゃあ当麻君。行こう」
「お、おう」

手を握ると、照れた顔をした上条がぐいと姫神を引っ張った。
加速をそうやって上条に助けてもらって、二人は猥雑な地下街を、人を縫うように走り出した。

「ちょ、ちょっと! どこ行くのよ!」

奪われたのは携帯ではなくて、上条だった。
後ろから走ってくる高校生と併走しながら、美琴は上条たちを追った。
96 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/31(火) 08:12:24.34 ID:f2IKhnEo
上条と姫神をスト―キングする美琴と青ピと土御門ですね
ついでに描写されてないけど黒子と海原も美琴をスト―キングしてそうだ
97 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/31(火) 11:39:40.64 ID:RXJ.iIAO
美琴[ピーーー]
98 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/01(水) 08:07:23.32 ID:.7ecpAAo
従妹の乙姫からお兄ちゃんと呼ばれているメールや
イギリスの王女たちと記念撮影した写真が発見されたらワクワクする
99 :28 [sage]:2010/09/02(木) 01:34:20.74 ID:wbZ/ZLwo
「くそ、あいつらなんでこんなにしつこいんだ」
「土御門君たちは分からないけど。あの子はなんとなくわかるかな」
「へ? 御坂のアレを理解できんの?」
「……上条君は。ひどい男の子だね」
「ひどいって……なんだよ」

地下で美琴と土御門と青ピを撒くのに人ごみを縫いながら、建物の一つに逃げ込む。
そこはいわゆる百貨店の地下一階。お菓子のショーケースを横目に見ながら、エレベータに駆け込んだ。

「これでいったん追っ手からは逃れたけど」
「何階で降りるか。それが問題だね」

土御門たちも当然エスカレータなり隣のエレベータなりで追ってくるだろう。
すぐ上の一階で降りて逃げるのが一番手詰まりになりにくい。
上にあがれば見通しのいいフロアで逃げ場は少ない。
だが勿論あちらもそれは分かっていて、おそらく一階には追っ手が割かれるだろう。

「土御門はこういうのに機転が利くほうだ。逃げ場が少ないほうに行っちまったらそれこそ詰みだ」
「それじゃ。次で降りよう」

あっという間に次の階に着く。エレベータは空のまま上にあがるようにボタンを押した。
エスカレータは右手奥にあるから、それ以外の逃げ場を探す。
左に逃げた先に、トイレや荷物搬入用の出入り口が押し込められた一角が見えた。

「あっちだ」
「あ」

ぎゅっと上条が姫神の手を握る。その遠慮のなさに、姫神は胸を高鳴らせた。
楽しい。
鬼ごっこを恋人と一緒にやるというのは。きっとすごく楽しい遊び。
姫神は上条に引っ張られながら、ふとそんなことを考えていた。
100 :28 [sage]:2010/09/02(木) 01:54:32.14 ID:wbZ/ZLwo
>>89 実際こんなことしはる女の人がおったら面倒やろねえ
>>90 姫神のアドレスは知らないかも。あと魔術サイドの皆さんは携帯持ってるか怪しい。
>>92 何その萌える生き物
>>98 いとこなら問題にならないような。小学生だし。お姫様は……キャーリサさん出したいなあ。

101 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/02(木) 02:11:26.93 ID:zpTnLi6o
いやそこはオリアナやレッサーからピンクな写メが送られてくるべきだろう
102 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/02(木) 08:12:13.47 ID:gMaFO7Ao
舞夏と姫神は仲良しだが
舞夏が兄と一線を越えていることまでは知らないんだよね
103 :28 [sage]:2010/09/02(木) 08:55:46.18 ID:wbZ/ZLwo
>>102
仲良しなんだっけ? というか顔見知りだっけ。
その辺描写してるのどこか覚えてない? 気になる
104 :28 [sage]:2010/09/02(木) 09:29:34.67 ID:wbZ/ZLwo
「やべっ! 御坂が来てる!」

警戒していたのとは別ルート。階段からの刺客だった。
その視界から逃れるために、トイレの横に伸びた搬入口通路に逃げ込む。
ダンボールが身長くらいに積み上げられて、うまく視界が出来ている。

「姫神、ここだ!」
「うん」

後ろから付いてきていた姫神をダンボールに隠し、上条は覆いかぶさるように姫神に密着した。
スタスタというパンプスが奏でる足音が聞こえる。御坂だろうか。

「……」
「……」

沈黙の意味が、二人で異なっていた。
上条はひたすら外に意識をやり、追ってくる連中の匂いをかいでいた。
一方姫神は。

……どうしよう。上条君が。すごく近い。
背中に手を。回せちゃう距離だよね。

何せ頬が当麻の制服に触れるレベルの距離なのだ。
抱きつくのが目的ではないことになっているから、体の全てを上条に預けたりはしていない。
だけども体温とか匂いとか、それどころか心臓の鼓動さえ聞こえそうな距離に、
姫神は戸惑いと嬉しさを隠せないくらいに感じていた。

「姫神」
「何?」

突然耳のすぐ近くでかけられた声にビクゥとなりながら姫神は返事をした。
上条の息遣いがただひたすらに近い。

「気配を完全に見失った。なんつーか、いつまでこうしてればいいかわかんねえ」
「そう。……もうちょっと。隠れていよう」

追っ手の件とは別の、自分の都合で姫神はそう上条に提案した。
105 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/02(木) 22:33:58.54 ID:KR5mqMAO
美琴[ピーーー]
106 :28 :2010/09/03(金) 01:17:10.47 ID:IkTsZ/Uo

上条も、いつの間にか姫神のほうを見つめたまま硬直していた。
周りを警戒しなければならないはずなのに、姫神の彫りの薄い顔の1パーツ1パーツに
視線を縫いとめられてしまっている。

姫神も、上条から視線を外せずにいた。畢竟、二人は見つめあい続けることになる。

「う……」
「……」

姫神が視線をそらせない理由は、その行為が上条への無関心や嫌悪を
意味してしまわないかという不安があるからだった。
上条が硬直してるのは、今日もう何度目か分からないが、
姫神のいつもと違う側面にドキッとさせられているからだった。

僅かに、姫神の唇がわなないた。
緊張に耐えかねたせいかもしれなかった。
それが、上条には誘っているように見える。

誰の視線もないそこで、10センチをつめるだけの簡単な作業。
キスまでの物理的障壁はほとんどないと言ってよかった。

「なあ姫神」
「え……」
「お前、好きなやつとかいるか?」

そんなことを突然聞く上条の態度のせいで、
姫神は頭が真っ白になった。
どういう理由で、そんな質問をするんだろう。

唇を開く。言葉の形に整えたはずのそこからは、しかし声が出てこなかった。
後ろに握った手が震える。
浅くなる息を必死で吸い込む。
文にならないのは仕方ない。最低限の音を、なんとか紡ぎだした。

「とう…ま……くん…」
107 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/03(金) 01:46:58.32 ID:wCfO8AIo
ひ女神
108 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/03(金) 07:59:10.25 ID:zHpPw2Ao
>>103
9巻122ページ
109 :28 [sage]:2010/09/03(金) 09:09:29.22 ID:IkTsZ/Uo
>>108
ありがとう。このシーン見落としてたわ。あぶね。
110 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 05:05:53.96 ID:TAynCIwo
良いねェ良いねェ最高だねェ!!
111 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 13:03:05.95 ID:8n7WG7M0
嬉しそうな姫神ってすごくいい
なんだこの可愛い生き物達
112 :28 [sage]:2010/09/05(日) 13:20:19.30 ID:CL9HntAo
「とうま……くん……」

それが姫神の限界だった。
元から小さな声がさらにかすれ、音の一粒一粒が途切れがちで、抑揚に乏しかった。

「……えっと、なんだ、姫神?」
「え?」

上条の声は、戸惑いを含んでいた。

「いやほら、姫神が俺の名前で呼びかけたまんま黙っちまうからさ。なんなのかと聞きたくなって」
「あ……」

姫神は、ありったけの勇気を振り絞って、答えを口にしたつもりだったのだ。
でも、声調がちょっとおかしかったせいで、そうは受け取ってもらえず、
普段「上条君」と呼びかけるのと同じ意味合いだと理解されたらしかった。

「つーかさ、当麻君ってのは姫神も小っ恥ずかしくないか? なんでそんな呼び方するようになったのか
 よくわかんねーけど、付き合ってない男をそう呼ぶのは、あんまりよくないぞ」
「……迷惑。だったかな」
「え、あ、いや。そういうわけじゃないけど。……でも、よくねーよ。さっきも『好きなヤツいるか?』って
 質問のすぐ後に『当麻君』ってとこで言葉を切っちまうのもさ」

上条が恥ずかしがっているのを隠すように頭をかいたり、しきりに周囲を警戒している素振りを見せた。

「そういうの、男の側を勘違いさせちまうぞ? 上条さんだって一応健全かつモテない男子高校生なわけで、
 姫神みたいな綺麗な女の子とこういうシチュエーションになったらさ、まあなんだ、期待しちまうって、いいますか」

そこまで言って恥ずかしさが規定値を越えたのか、上条が頭を抱えて悶絶しだした。

「だーっ! 今のなし。武士の情けで聞かなかったことにしてくれ」
「私。侍じゃない。……聞き流せないよ」

断じて、聞き流したりなんてできるものではなかった。
上条が自分だけを見ていて、意識してくれているのだ。

「頼むから聞き流してくれ。それと姫神。俺の呼び方も、戻さないか。やっぱドキッとしちまうよ。
 お前だって俺から『秋沙』って呼ばれたら……ほら、びっくりして落ち着かないだろ?」

一瞬で体が反応した。上条の声はバリトンに届かない、渋いというほどの声ではない。
だけど、紛れもなく男性の声だ。
上条が紡いだ秋沙という響きは、心地よくなんて思えないくらい爆発的な感情を姫神にもたらした。
113 :28 [sage]:2010/09/05(日) 14:11:06.61 ID:CL9HntAo
「……」

長い沈黙の時間が続く。
姫神は心の中にある消化し切れないほどの大きな感情を、必死に咀嚼しているところだった。
抱えている気持ちを、嬉しさを甘味に、気恥ずかしさを酸味に、戸惑いを苦味にたとえるなら、
ちょうどグレープフルーツくらいの味だった。
客観的に見れば、峻烈な酸味と程よい苦味は、甘みを引き立てていた。
もちろん姫神にはそんな達観は無理で、ただひたすら籠に山盛りになった果物をもてあましていた。
上条は、そんな姫神の心境を斟酌できるわけもなく、頭の中で謝罪の言葉を練っていた。

「その、姫神。嫌な気持ちにさせたみたいで、ごめん。名前で呼んだのは悪かった」
「違うよ……」
「姫神?」
「秋沙……って。呼んで欲しい」
「それって――」

上条が、そこで口ごもった。瞳に真剣な色が湛えられた。
こっそりと姫神は視線を外して、当麻の胸の辺りを見つめていた。
体の重みをそっと上条に預ける。それが、姫神の精一杯の意思表明だった。
見えないところにあっても、上条がじっと姫神を見つめてくれていることを、理解していた。

「ひめ……なあ、秋沙」
「――っ」

心臓が跳ねる音がする。

「もし買いかぶられてるんなら困るから一応言っとくけどさ、
 俺だって女の子に興味はあるし下心もある普通の男子だからな。
 秋沙って下の名前で呼んで、当麻って下の名前で呼び返してくれる女の子を、
 俺はただの友達だとは思えないんだ。もっと特別なさ、まあ、
 彼女とか、そういう関係の女の子だと思う。」

当麻の制服に僅かに髪が触れる距離。姫神は首を横に振って、
髪と、そして自分の匂いを当麻に擦りつけた。

「もし仮に秋沙が、普通の友達として俺を見てるんだったら、
 今日の遊びが友達同士の遊びの延長なんだったら、
 名前で呼んだり、こういうのをするのは止めよう」

また姫神は、首を横に振った。今度はおでこまでくっつけた。

「首を振るってことは……俺が意識しちまってるのは、間違いじゃないって、
 そういうことで……良いんだな?」

僅かに逡巡して、すこしだけ、姫神は頭を縦に振った。

「当麻君の……。当麻君の。気持ちを聞かせて?」
114 :28 [sage]:2010/09/05(日) 14:17:46.76 ID:CL9HntAo
>>101
オリアナは姫神に酷いことしたからなあ。謝罪と和解のシーンをはさまないと
絡めにくいんだけどこのSSそういうノリじゃないんだよなあ。
エッチな爆乳金髪おねーさんにデレデレする当麻を横からみる姫神ってすげー書きたいんだけど。
115 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 14:55:28.61 ID:ZvzTlZAo
普段の学校生活でも
吹寄や雲川先輩の胸とかに反応した上条さんを姫神が横から冷たい目で見てそうだけど
116 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/11(土) 13:33:33.61 ID:VwJrfEDO
そろそろ10レスくらい書きダメが終わってる頃か…
117 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/11(土) 23:58:09.33 ID:VwJrfEDO
いや28はできる子だからもっと期待して良いな



…さてそろそろ不安になってきたぜ
118 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/12(日) 00:24:37.59 ID:5r3BNz.o
貴重な姫神スレ
119 :28 [sage]:2010/09/12(日) 10:45:27.31 ID:acdkAjQo
>>116
書きだめはないんだぜ。今週は別のSS書いてた。
ホントは116の書き込み見て昨日書こうと思ったんだけどさ、スーパーで栗を見かけてな。
渋皮煮を作ってたら日が暮れちまった。栗うめぇ。
さすがに10レスは厳しいが今から続き書くわ。
120 :28 [sage]:2010/09/12(日) 11:24:34.64 ID:acdkAjQo

姫神の瞳が潤んでいる。
物凄く、姫神が可愛かった。
上条とて一般男児。自分が「お前のことが好きだ」と一言言うだけで
目の前の女の子が靡(なび)いてくれそうなこの瞬間。
いつもならただのクラスメイトとしか見ていない姫神の、ごく何気ないような仕草の一つ一つまでが、
首元に見えるほくろや切りそろえられた前髪までが、鮮やかな驚きを伴って上条の瞳に美しく映る。

「姫神は、可愛いと、思う」
「えっ」

信じられない言葉を聴いたような顔をして、そして姫神は表情をくしゃりとさせた。

「嬉しい。信じられないよ。当麻君がそんなことを言ってくれるなんて」
「信じられないって何だよ。前から姫神のことは綺麗だなって、思ってた」
「本当に? でも言ってくれなかったよね」
「いやだってさ、ただの友達にそんなこと言うの、変だろ?」
「そうだね。ただの友達の男の子にそんなこといわれても。困るだけかも」
「今は良いのか?」
「うん。だって。そういってくれたのは当麻君だから」
「姫神」

つい、気がはやった。
知らぬ間に、上条は自分の手が動いて、姫神の肩にかかったことに気がついた。

「あっ……」

どんどん自分の中で、姫神の存在感が大きくなっていく。
インデックスを別とすれば、クラスメイトである姫神はもっとも上条に近しい場所にいる少女なのだ。
学校を休みがちであっても、学生生活という青春を彩る各ページに確かに姫神はいた。
この肩にかけた手を引き寄せるだけで、きっともっと楽しい日々が待っている。
上条は、口の中の渇きを覚えながら、無理矢理つばを飲み込んだ。

その時だった。
カツンカツンと、ローファーの音が聞こえてきた。
二人の体が強張る。
見つかると面倒だという以上に、こんな物陰で、こんなにも近い距離にいる自分達が、
もはや誰かに見られたら言い訳の出来ないような、そんな風に感じていた。

「……ったく。なんで私がアイツなんかのこと探さなきゃいけないのよ」

そんなぼやき声が聞こえる。足音の主が御坂美琴であることに疑いはなかった。

121 :28 [sage]:2010/09/12(日) 12:17:57.45 ID:acdkAjQo
御坂美琴は学園都市にあまたと存在する電撃使いの、頂点に立つ能力者である。
その能力の高さの一つの発露が、電磁場を電気力線や磁力線として視覚化できることだ。
追いかけるのに消極的であるかのように口では言っておきながら、
美琴は能力をフルに活用して二人を追っていた。

建物の端近い、トイレの辺りを歩いているときだった。
つんつんと、目の前で力線が束ねられるのが分かる。緩く集めた糸を引っ張って束ねる感じに近い。
出力としては大したことがない。一本の力線に対応する電束と磁束を小さくし、
力線をかなり高密度に描いてようやく分かるレベルだった。
普段、美琴はそのデータを意識しないようカットしている。なぜなら自分自身が頻繁に発し、
そして学園都市のほぼ全ての住人が発するものだからだ。気にしていてはキリがない。
――メールチェックのための携帯電話の発信、なんてものは。

ふうん、と美琴は心の中で呟く。
丁寧に目を凝らせば、ダンボールの物陰にあたる空間は、金属でもプラスチックでも紙でもない、
生体特有の誘電率と透磁率をしていた。そして多分、二人いる。
みーつけた、とでも声をかけてやろうかと思案したところで、ふと気になる。
そんなところで、高校生の男女が、一体ナニをするというのか。

ふふふ不純よ不純! もしそんなコトしてたら絶対に許さないんだから!
って、だいたいあの二人は付き合ってないみたいだし、ありえないわよそんなの!
ていうか許さないってなによ。別に高校生カップルが街でイチャついてたって
私は気にしたことなかったじゃない! なんで、こんなに気になるのよもう。

足が、先に進まなかった。真実を知るのが怖いような、そんな気分。
見つめる物影から、さっきの女の声が聞こえてきた。

「当麻君。さっきの。御坂さんのことはどう思ってるの?」

美琴の心臓は、その機能を停止した。
122 :28 [sage]:2010/09/12(日) 13:05:01.52 ID:acdkAjQo
「当麻君。さっきの。御坂さんのことはどう思ってるの?」

姫神の質問の内容よりも、上条はその声の大きさが気になった。
隠れているのだから見つかっては困るのだ、だというのに姫神の声には遠慮がない。
もとから小さな声だから、あまり気にしていないのかもしれないと上条は思った。

「……」

返事を保留して、辺りの気配を探る。
遠ざかった音は聞こえなかったが、それらしい足音も聞こえない。
気づいているのならここまで見に来るだろうから、おそらく美琴はまた離れたのだろうと
上条は判断した。

「ひめ……秋沙。さすがに今の声は大きかったんじゃないか?」
「いいの。それより。ちゃんと返事して欲しい」

上条は質問を反芻する。
御坂のやつのことを、どう思ってるかって?

とりあえず浮かんだのは御坂妹のことだった。あいつら元気にやってるかなー、といった風に。
なんだかんだで美琴とはこまめに会ったり連絡を取ったりしているので、特に思うところはないのだった。
上条は、頼れる人もおらずどうしようもなくなった美琴の、泣き顔を知っている。
美琴の表情が、あのときみたいな絶望の影を背負っていないことを知っている。

「どうって……なんていうか、ビリビリ中学生、だなあ。アイツは」
「え?」
「会うたびになんか突っかかってくるし、勝負だなんだってのが好きみたいなんだよ。
 俺の右手に勝てないのが不満らしくてさ、戦えーって言われたり、
 体育祭で勝負したりしてるんだ。まあ、まだ子供なんだろうな。
 俺もそういうノリは嫌いじゃなくて、結構付き合ってやってるから
 偉そうなことは言えないけど」
「……そうなんだ。好き。じゃないの?」
「へ? い、いや。そりゃ嫌いなヤツなら相手なんてしないけどさ。
 好きとかそういうのとは違うだろ。だって勝負よーなんて言ってくる女の子を
 好きになってならないだろ。しかも中学生だし」

姫神は、自分のしたことを自覚していた。
上条の鈍感と、美琴の素直になれない気質を利用して、恋敵に現実という名のナイフを突きつけるつもりだった。
ただ、思わぬほど上条の言葉は鋭利で、そして突きつけるだけのはずが、確実に心臓をえぐっていたと思う。
それは姫神の誤算だった。
目の前にいる姫神という女の子を意識しているが故に御坂という女の子をいつも以上に軽んじてしまう、
そういう男の性は、姫神に計算できるはずもなかった。
123 :28 [sage]:2010/09/12(日) 13:11:17.33 ID:acdkAjQo
今日はとりあえずこんなもんで。夜に気が向いたらまた書くわ。
いまから図書館行って勉強してくる。
禁書は科学サイドはすぐ書けるが魔術サイドは調べ物しないと書けないから困る。
124 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/12(日) 14:06:12.55 ID:5r3BNz.o
125 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/12(日) 19:05:26.47 ID:63GBRxIo
OK 姫神が上条さんの嫁になるには
科学サイドの美琴以外にも魔術サイドを倒さないといけないというわけだね

科学サイドといえば美琴よりも親友の吹寄とぎくしゃくするから魔術サイドよりも修羅場になりそう
126 :28 [sage]:2010/09/13(月) 11:01:34.36 ID:1V2kxJQo
足音を立てないのは、強がりだった。
ザクザクと、上条の表裏ない言葉が美琴の胸に突き刺さる。
美琴はなぜ自分が傷ついてるのかも分からないまま、これ以上上条の言葉を聴きたくなくて、
そっと二人から離れた。

別に、アイツが私のことどうとも思ってないって、わかってたじゃない。
っていうかどう思われてようが私には別に関係ないじゃない。
なんで、なんでこんなにココロが痛いのよ。ワケわかんない。

「ん? あれ嬢ちゃん、カミやんは見つかったのかにゃー?」

鬱陶しいその声を無視して、美琴は上条たちから遠いほうの出口へと去っていった。

「どないしたんやろ。何やらあの子すごい怒ってたみたいやけど」
「分かってないにゃー。あれは泣き顔ぜよ」
「ええー。そうかなあ?」
「あれくらいの子は素直になれない年頃なんだにゃー」
「舞夏ちゃんも素直なとこ見せてくれへんのんかな? お兄さんはつらいねー」
「まっ、舞夏はそんなことないぜよ。それより、嬢ちゃんの来た方に行くぜよ。たぶんカミやんはあそこだ」
「せやね。あの子のあの表情がカミやんがらみなんは間違いあらへんし」

二人はトイレや非常口などの集まった、商業施設としては「影」にあたるその一角を目指して歩きだした。

姫神は、かすかに美琴の立ち去る音を聞いて、そっとため息をついた。

「上条君は。女の子の気持ちを分からない人だね」
「……え?」

上条はまったく脈絡のない姫神のコメントに困惑した。
姫神が自分の毛先を整えるように軽く払った。

「……私も。酷いことをした人だけど」
「あのう、秋沙さん? よくわからないんですが」
「いいの。わからなくて。それに悪いと思っても。私は譲る気なんてなかった。
 それより当麻君。そろそろ。逃げないと土御門君たちに見つかると思う」
「あ、ああ。そうだな。さすがにここも潮時だろうな。けど、見つからない逃げ口っつったら……」

荷物搬入口。たしかにトラックの発着がある以上そこから逃げられるだろうが、
制服を着た男女の高校生は常識的に考えてそんなところを通らない。

「大丈夫。見つかってもなんとかなるよ」

姫神が、上条の腕をそっと抱きこんで、そちらへと導いた。
主張に薄い性格でありながら、意外とこういう曲面ではためらいのない姫神だった。
127 :28 [sage]:2010/09/13(月) 11:52:36.90 ID:1V2kxJQo
「だぁっ。なんであいつらは見つけるのがあんなに早いんだ!」
「ごめんね。ちょっと。読みが甘かった。かも。」

特殊な出口から百貨店を後にして人通りの少ない道を選んで逃げたにもかかわらず、
土御門と青髪ピアスはあっという間に上条たちを補足し、追いかけてきている。

「まさか土御門のやつ俺の体に発信機とか仕込んでないだろうな」
「土御門君って。そういうことする人なの?」
「ああ。アイツならやりかねん」

なにせ魔術サイドと科学サイドの多重スパイをやる男だ。ただの高校生とは違うのだった。

「あっちに行こう。人ごみのほうが。紛れられると思うから」
「だな」

姫神はさすがに上条ほど体力がないのか、かなり荒い息をついている。
後ろで追うのも体格の良い男子二人だ。遅かれ早かれ、鬼ごっこでは追いつかれて負けだろう。
角を曲がってショッピングストリートに出る。歩行者天国のそこは道幅も程よく狭く、人も多かった。

「当麻君。ここに」
「……え?」

姫神に連れ込まれた店は、試着室が用意されている服飾店だった。
ただし女物ばかりで、ついでに言えば面積がものすごく少ない。
女の人の腰の辺りとか、胸の辺りを覆う布を販売しているお店だった。
あんまりにも唐突な人生初入店に、上条は興奮するより先に
居心地の悪さと気恥ずかしさで死にそうだった。
一瞬、数十メートル後ろから追いかけてくる二人のことをスッパリ忘れて、
店に入って数歩のところで立ちすくむ。

姫神はあまり気にしていなかった。
店内に彼氏連れがいるのは見えたので、二人で入ってもおかしくないだろう。
自分の着る下着を上条に選定してもらうような流れにまでなればさすがに恥ずかしいが、
便宜的にここに入店するくらいなら平気なのだった。
128 :28 [sage]:2010/09/13(月) 11:53:02.68 ID:1V2kxJQo
「試着室はあそこだね」
「は? え、ちょ。いやいやいやいやいや何言ってるんすか姫神さん!!!」
「大丈夫だよ。こういうところの試着室は二重になっているの。
 着替え部屋と彼氏とか友達が待つ部屋とがセットになった試着室だから」
「そ、そうなのか。いやでも、なんつーかそこに姫神と入るってのは」
「……私は着替えるつもりはないんだけど。当麻君は。気になった?」
「ぶっ。上条さんはそんなこと思ってナイデスヨ?」

姫神は慌てる当麻をクスリと笑った。
やっぱり女の人の下着を見ると。当麻君でも慌てるんだ。
さすがに姫神も自分の下着姿を上条に見せるのは恥ずかしすぎた。

早くしないと二人に追いつかれる。
上条と姫神はそそくさと店内を奥に進み、試着室の前に行く。
姫神はそこで、大きな過ちに気がついた。試着室のカーテンの前にはサンダルが二つ。
つまり、使用中だった。

「当麻君。どうしよう」
「へ? なんだ?」

上条は心に大きく負荷のかかるこの空間で、すでに平常心を失っていた。
突然止まって後ろを振り向いた姫神のようには、自分を止めることができなかった。
展示用のマネキンの足元についたキャスターに、左足を引っかける。

「げ」
「あ」

気がつけば上条は試着室へと、突貫を試みていた。

「きゃっ!」

知らない女の人の、叫ぶ声がする。
上条は全身から血の気が引いていくのが分かった。
謝って許されるレベルじゃない。普通にこれは警備員(アンチスキル)に捕まって一晩説教を食らった上で
保護者呼び出しの上謹慎になるコースだ。最悪すぎる。
129 :28 [sage]:2010/09/13(月) 11:53:30.98 ID:1V2kxJQo
「すすすすすみません! 本当にごめんなさい! すぐ出て行きます悪気はないんです!」
「……君、上条君?」
「え?」

名前を呼ばれて、思わず顔を上げる。

フワフワした金髪の、長身の女性だった。
手足も長くすらっとした印象で、薄い緑のブラジャーに包まれたどちらかというと薄い感じの胸が、
体の雰囲気によくあっている女性だった。下半身は長いソックスとスカートを穿いたままで、
エロいというよりも綺麗だった。

「え、えっと。確か対馬、さんだっけ」
「ええ。名前を覚えていてくれたのね。……ところで見るのを止めてくれると、ありがたいんだけど。
 さすがに知り合うの頬をひっぱたくのはためらいがあるし」

上条はドギャンッ、と首を横にひねった。
対馬と当麻のいる待合側ではなく、さらに奥の着替えを行う部屋のほうを、だ。

「対馬さん?! 何かあったんですか? それに上条さんって今……あ」
「や……やあ。久しぶり、五和」
「あ、お久しぶりです。上条さん」

あまりの驚きに、二人の行動は上滑りした。場違いなほどに普通の応対だった。
五和は対馬ほど背が高くない。
そして全てのパーツが細めに出来た感じのする対馬と違って、五和の体は柔らかそうだった。
濃い目のピンクの地に、黒の水玉が浮いている。ブラとショーツの縁を彩るレースは、これも黒だった。
コンセプトがセクシー路線なせいか、胸元はいつも以上に寄せてあって、
豊かな起伏のなかに出来上がった谷間の深さは深遠すぎるものがあった。
下のほうも勿論破壊力では負けていない。
前と後ろを繋ぐ腰紐の辺りは切れ上がっていてびっくりする位細いし、
よく見ればメッシュが入っていておへその真下なんかはスケスケだった。
そこを注視するとなんだか水玉の黒ともレースの黒とも違う黒々とした――

「こら」

対馬が当麻の目にチョキを付きたてた。

「のうあ!」

悶絶していると、バタリと横で五和が気絶する音が聞こえた。
130 :28 [sage]:2010/09/13(月) 11:59:08.65 ID:1V2kxJQo
さてじゃあ学校行ってくるノシ
今日はMPIとOpenMPの演習と講義だ。
131 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/13(月) 15:07:15.45 ID:zxfCn/co
このスレは実にいい。
超俺得
132 :28 :2010/09/13(月) 21:05:10.93 ID:1V2kxJQo

「奥が超うるさいですね」
「なあおい、さっさと出ようぜ」
「言われなくても超すぐに戻りますよ。麦野に怒られるのは御免ですから」

学園都市を暗躍する組織『アイテム』の一角である絹旗最愛とパシリの浜面仕上の二人は
ごく普通の繁華街の、これまたどこにでもあるようなランジェリーショップで買い物をしていた。
細々した任務が立て続いているらしく、着替えがないらしい。
二日同じ服を着続けることに殊更神経質に文句を言ったのはリーダーの麦野だった。
シャワーは確保したようだったので、下着と替えの服を二人で買いに行っているのだった。
下っ端は浜面以外にも顔も知らないのが山ほど付いているのだが、麦野は性別を指定できなさそうな
その連中には買いに行かせたくないらしい。浜面が許されるのは、友好の証ととってもいいのだろうか。
それとも人間として認識されていないと思うべきなのだろうか。

「それにしても麦野の下着、おばさんくさいとは思いませんか?」
「い、いやそんな、俺は……」
「ああ、浜面は麦野の年を超知らないんでしたっけ。麦野は今にじゅ」
「いいいいやいやいやいや! いいから! 聞いても寿命が縮まる気しかしねえ!」

ネットで注文を済ませ、受け取りをしに来ているのでデザインのチョイスは本人のものだ。
四セットの下着のうち、浜面の視界に入ったのは一番上にある麦野の下着と、
一番下にある滝壺の下着だった。
率直に言って、麦野の下着は年相応でないかと思う。麦野があれで趣味が幼ければ浜面もどうかと思うが、
クラシックな、シルクでできた薄いピンクの下着は別に麦野が着ておかしな所はない。見たいとも特に思わなかったが。
一方滝壺の下着には、好感が持てた。綿でできた柄なしの薄青のショーツで、股の切れ上がったよくあるヤツと異なり、
僅かに裾が延びていてショートパンツのような形状をしている。

「浜面は超変態ですね」
「ちょ、待ってくれ。そもそもここに連れてきたそっちが悪いんじゃないのか」
「荷物持ちを拒否するんですか? 超下っ端の癖に?」
「ラップしてから渡してくれりゃいいじゃねえか!」
「ラッピングを引きちぎるところからやりたいなんて度し難いですね」
「ちげーよ! っていうかお前の下着は一体何なんだ」

ちらっと見えた豹柄を、浜面はフレ
ンダのものとは見なさなかった。

「浜面? 私は見ていいとは超一言も言いませんでしたが」
「だからそっちが俺の目の前で受け取るんが悪いんだろーが!」
「何を言ってるのか超分かりませんね。帰ったらこの件は麦野に報告することにします。
 浜面が麦野が今から穿こうとしている下着をじっと眺めて超おばさん臭いと言った、と」
「おいばかやめろ!」

浜面は、つい先日自分を殴り飛ばした男が隣にいたのに、ついぞ気がつかなかった。
133 :28 :2010/09/13(月) 21:10:36.54 ID:1V2kxJQo
下着書いてると筆の進みがマジパネェ。
あ、オマケはこれで終わりです。
134 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/13(月) 23:01:13.30 ID:tSDP2QAO
美琴[ピーーー]
135 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/13(月) 23:53:45.15 ID:PFz1zUDO
136 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/14(火) 00:57:20.45 ID:uYnQatwo
改行の位置wwww
137 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/14(火) 08:20:25.88 ID:P.WMlC.o
グループのメンバーで下着を買いにいけ
138 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/15(水) 07:47:51.69 ID:RtEjxp6o
対馬さんが上条さん争奪戦に参加したらねーちんと五和の反応が面白そうだ
139 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/17(金) 02:04:44.45 ID:8DVWHAAO
>>1
お前は本当に面白い

別に阿ってるわけじゃねぇからね
低レベルな落書きが乱立する中で、ここまで読ませてくれるなんてマジで感謝するわ
140 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/17(金) 06:34:44.38 ID:0J3afjE0
>>139
同意ではあるが口の利き方に気をつけろ
141 :28 :2010/09/17(金) 11:30:47.49 ID:vTQA5tko
>>136
フレンダが出てきたからつい出来心でww

>>138
いいアドバイスだ。ちょっとそれで話の方向が変わった。まあプロットは元からないから適当けど。

>>139
ありがとう。褒めてくれる人がいるとやっぱりやる気出るよ。不純かもしれないがやっぱり感想欲しくてこれ書いてるところはあるからね。
>>140も気遣ってくれてありがとう。だが大丈夫だ。叩かれてるんでない限り口調は気にならない。

>>137
お前は土御門と海原の下着が見たいのか? 百合子ちゃんとあわきんの殺伐下着ショッピングなら需要はあるのか?
142 :28 [sage]:2010/09/17(金) 11:31:45.36 ID:vTQA5tko

視線が、痛い。
当麻はファミレスでアイスティーを啜っている。
土御門たちは天草式の隠密術が相手ではさすがに分が悪いのか、見つけてくれる気配はなかった。
……いや、この現状を打開してくれるだろう点は有難いが、何を言われるか分かったものではないだろう。

隣に五和がいて、正面に対馬がいて、当麻から一番遠い席に姫神がいるこの現状。
さっきまで姫神と触れ合ってドキドキしていただけに、対角線上から飛んでくる
ジットリした視線は、当麻に絡み付いて離れない。

配座を決めたのは年長の対馬だった。
姫神と上条の関係が気になって気になって仕方ない五和に口出しをさせず、
そして上条にも文句を言わせず、姫神にも敵対するでも迎合するでもなく接し、
ファミレスのやや奥まったところに連れてきたのだった。

「そろそろ落ち着いた?」
「ええと……」

余裕のある微笑で対馬がそう上条に尋ねた。
しかし落ち着いたかといわれてもこれだけ不安定な座席で落ち着けというほうが無理だ。
さっき下着を見てしまった五和はうつむいて顔を真っ赤にしたままもじもじしているし、
姫神は口をむっと曲げて上条を睨みつけている。
そして対馬は何を考えてこんなことをしたのかがさっぱり読めない。

姫神は内心で、なぜ上条からもっと疑う余地のない決定的な言葉を貰わなかったのかと
自分に苛立ちを感じていた、
好きだ、と言ってもらっていたなら。人の彼氏に手を出すなと、一言それで済ませられるのに。
今告白してもらえるところでした、だから邪魔しないで下さい、
なんてのは恋敵かもしれない相手に言う言葉では断じてない。

「一応言っておくと、さっき五和が着てた下着は試着してただけだから、
 今は別のを着てるわよ。変な想像はしないことね」
「はい?」
「つつつつつつ対馬さんっっ!! 上条さんの前でそんな話しなくていいですっ!」

ガタリと音を立てて五和が身を乗り出す。ちょうど上条の目の高さで、胸がたゆんと揺れる。
上条慌てて目をそらすが、そらすのはたゆんたゆんたゆん、くらいまで見届けてからだ。
上条の気づかないところで、姫神は劣勢を自覚して顔をゆがめた。対馬は薄く笑った。

「上条さん。さきほどのは……女同士で見せ合うだけならたまにはちょっと大胆なのもいいかなって、
 そういう勢いで着ちゃっただけでいつもはあんなにはしたないのは着けてなくて、あの、その」
「でも五和、買ったわよね?」
「そそそれは決して上条さんがうっかり似合ってるよって言ってくれたからとかそういうのじゃなくて!」
「上条君。見たくなったら五和はいつでも見せてくれるって」
「だから対馬さん!」

見せてくれなんて言ったらすごいことになるだろう。五和も、自分も、そしてきっと姫神も。
143 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/17(金) 12:41:12.45 ID:MeVA.2AO
あぁ…ようやく鬱陶しい御坂を退けたと思ったら…どっちを応援したらいいかわかんねえ…
144 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/17(金) 14:32:07.87 ID:hgoe.g.o
五和は俺のジャスティス
145 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/17(金) 21:29:02.02 ID:uQkpWjco
これは対馬の五和へのアシストが強力だな。
姫神ガンバ。
146 :28 [sage]:2010/09/18(土) 10:39:02.00 ID:Rs0RAcEo

五和は目の前にいる女の子をこっそりと観察していた。
女教皇(プリエステス)様には負けません、なんて思ってましたけど、そうですよね。
ここは学生の町ですもんね。上条さんみたいにカッコイイ人は、お付き合いしてる人、いますよね。
ため息をついてしまいそうなのを隠しながら、姫神の二の腕や頬などを眺める。
いいなあ。対馬さんもだけど、手足とか顔の輪郭がほっそりしてるのって、羨ましい。
手足が太いことを気にしている五和にとって、姫神の体のラインは羨望の対象だった。

そういう五和の思考を分かっているからこそ、対馬は無理矢理ファミレスに上条を連れ込んだのだった。
傍観していれば五和が「き、綺麗な彼女さんですね! 私はお邪魔でしょうから!」なんて言いだすのは
言うまでもなく分かりきっていることだった。
天草式は現在、世界を股にかけた流浪の民だ。定住型の人生を送る上条とはすれ違いが多い。
それが理由で、学園都市に定住する女に盗られるなんてのは、面白くない。
女教皇(プリエステス)に盗られるのなら、アリだ。上条に出会ったのはあちらが先らしいし。
なにより見てて面白い。五和と女教皇(プリエステス)なら陰湿なことにはならなさそうだし。

「それはそうと、遊んでるところをむりやり引き止めてごめんなさいね。デートだった?」

ビクリと、五和の肩が震えた。核心を突きすぎた質問だった。
変わらず姫神が上条を見つめ続けていた。

「えっと、まあ。追われながらでデートって言うのかは怪しいですけど、デートでした」
「手を繋いで歩いたり。ゲームセンターで遊んだりしたもんね。当麻君」

見る見るうちに五和の顔が曇る。意外な展開に対馬はすこしだけ戸惑った。
上条は相当鈍いらしい、というのが建宮あたりの見立てなのだ。
男連中のくだらない話はだいたい聞き流しているが、上条の話は別だった。可愛い五和のためにもなる。
ところが実際はどうだ。デートしてますなんて言葉が出てくる辺り、
上条はこの少女を意識しているらしいではないか。

「そっか、彼女と遊んでたのね」

これが盗りあいなら、対馬としては五和をひたすらプッシュするだけだ。
だがすでに彼女持ちなら、さすがに五和の本音とよく相談しなければならない。
奪うのか、諦めるのか。
だが、上条の返事は予想と違い歯切れが悪かった。

「いや、彼女……とは言えないというか。その、まだ」

確かに付き合ってくれって、告白はされていなかった。
姫神だってそういう瞬間をずっと待っていた。
だけど今この場で、何も正直にならなくたって良いのに。
私は当麻君の彼女だって、そう言ってくれたって良かったのに。
147 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/18(土) 23:53:08.12 ID:OIOBR.w0
この上条さんは鈍いを通り越して池沼レベル

148 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/19(日) 02:23:22.89 ID:i98jr2Mo
残念ながらホイホイ女の子とくっついちゃう上条さんの方が原作からするとよっぽどおかしいのです
149 :28 [sage]:2010/09/19(日) 11:54:57.79 ID:udGTBpMo

「そういや二人はなんで学園都市に?」

色々とまずい空気を換えたくて、上条は気になっていたことを対馬にぶつけた。
科学サイドの頂点に立つこの街に、日本人といえど外部の人間はそうやすやすと入れない。

「ん、ちょっと仕事でね」

対馬は上条に分かるよう姫神に目線をやった。

「ああ、姫神もそういうの、知ってる人ですから。っていうかイギリス清教の保護を受けてるってコトは
 姫神はこの二人と無関係ってワケでもないんだな」
「当麻君。この人たち。魔術師なの?」
「イギリス清教の……傘下って言うとまずいのかな。まあイギリスで活動してる天草式十字凄教ってグループの
 メンバーになるんだ。この二人は」
「よろしくね。あなたのことはステイルさんから聞いてるわ。隠し事をせず話せて気楽でいいわね」

五和は目の前の女性の最も重要なことを、つかみ損ねていた。
上条の彼女の席にきちんと座っているわけでは、ないらしい。
競争相手はこの方と、自分と、女教皇(プリエステス)様と、
インデックスさんと、そして他にもいるかもしれない。
……どのくらい、上条さんと近づいてるのかな。
ゴールテープを切った人間がまだいない以上は競争相手たちに差がないのは確かなのだが、
誰が先行しているのか、それはものすごく気になる問題なのだった。

「それで、仕事ってのがあの店で……?」
「ちょっともう。思い出さないでよね。あれはついでよ。ここは日本人の学生の町でしょう?
 やっぱり、こういうところの下着が一番体に合うのよね。五和、すごかったでしょ?」
「ちょ、ちょっと対馬さん! だからもうその話はやめてください!」
「そういうこと言うなら、五和こそもっと上条君と話せばいいじゃない」
「えっ? あ、そんな」

対角線上にいる五和に、対馬は自分達にしか分からない方法でコッソリと言葉を伝える。

「ほらほら、もうじきアックアの件で五和は同棲するんだから。
 ここで慣れておかないと後で喋れなくなるよ?
 それに隣の子に差をつけられたままじゃ、今度来たときに
 落ち込むようなことになってるかもしれないし」
「……それは、嫌です」
「でしょ?」

ついさっき体中を見られてしまった相手だ。恥ずかしくて死にそうだ。
でも上条と喋りたいというのも、五和の本心だった。
「あの、上条さん」
150 :28 [sage]:2010/09/19(日) 11:55:32.66 ID:udGTBpMo

「あの、上条さん」

返事をしようとした上条を、遮る声がした。

「当麻君。お茶なくなったみたいだから入れてくるね。また紅茶でいい?」
「え? あ、ああ。それで頼む」
「……ちょっと四つは持てないから。手伝ってくれると嬉しい」
「あ、それじゃ私やります!」
「そう」

無感動に姫神が五和を見つめた。ボックス席の通路側に座った姫神と五和が動くのは自然なことだ。
姫神は上条に声をかけていたが、最初から五和を誘い出す気だったのかもしれない。
二人でドリンクバーで氷を足し、ジュースを注ぐ。無言の中に緊張感があった。
火蓋を気って落としたのは、姫神だった。

「貴女は。当麻君とどういう関係なの?」

五和はそれに怯みそうになった。当麻君という響きは、一体いつになれば自分の口から付いて出ることだろう。
そしてどういう関係なの、とこちらの目を見て言えるその気持ちの強さは、
まさに彼女という席にいる人のそれに近かった。

「お仕事の関係で知り合った人です。ヴェネツィアを旅したり、最近はフランスのアビニョンを二人で歩きました」

柔らかい笑みを返す。それはある種の攻勢防御。
決定的な切り札を出せないことが激しく悔やまれる。
近々、上条さんのお宅に仮住まいさせていただく予定なんです、その言葉がどれほどのアドバンテージを引き出せることか。

「貴女にとって。当麻君はただの仕事上の知り合いなんだね。当麻君から見たら貴女はただの知り合いなのかな」
「そういう姫神さんは違うんですか?」
「私はクラスメイトだから。毎日当麻君とは会ってるし。今日もデートをしてる」
「異性のお友達と遊ぶのをデートって言うんですか? すみません、学園都市の流行語とかは押さえきれてなくって」

話すことはまだまだあった。だが、手際のいい二人の目の前にはすでにドリンクは出来上がっていた。
手にグラスを持ち、歩き始める。しかし二人とも、自分が黙ったままで会話を終わらせて、
暗黙のうちに『負け』を認めてしまうのは気に入らなかった。

「デートに誘ってくれたのは当麻君。それと学園都市でデートっていうのは恋人同士がするものだよ」
「でもお付き合い、してないんですよね?」

あっという間に座席にたどり着く。
五和は劣勢を自覚していた。だって自分の言葉は。

「貴女だってそうだよね?」

お前もまた上条当麻に好かれてなどいないんだぞという、自分にナイフを突きつける言葉だからだ。
五和が怯んだ隙を姫神は逃さない。先ほどの席とは違う、上条の隣に姫神は腰掛けた。
151 :28 [sage]:2010/09/19(日) 11:57:09.59 ID:udGTBpMo
さて今から帰省するわー。一週間くらいは更新がない点、どうぞご容赦くださいませ。
なんも考えず修羅場作ったから一週間後の俺がどう頭を悩まして続く書くのか俺もわからん。
152 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/19(日) 12:42:05.05 ID:sEF9Igwo
乙。
他のキャラだとすぐキレたりしそうだが、姫神と五和だと静かな舌戦になってて面白いね。
しかし、何気にアックア襲撃前だったのか。
153 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/19(日) 23:06:37.12 ID:nXALUIAO
ちょっとまってよ!
一週間も僕まてないよ!
154 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/19(日) 23:12:21.62 ID:zgUDFYko
インデックスや美琴や吹寄だと嫉妬が上条さんに向かうけど
姫神と五和だと嫉妬が相手の女に向かうんだな
155 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/20(月) 00:12:56.48 ID:yakr4AUo
遅くなったが乙
今姫神SS書いてるから参考になる
156 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/20(月) 22:34:10.32 ID:.c6NG/k0
>>154
そうそう。
特にインデックスはビオフの一件いこう何で彼女面して理不尽な暴力が・・・ゲフンゲフン.
157 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/21(火) 20:28:15.93 ID:R1tADfco
五和は嫉妬をしても
上条さんにも向けないし
嫉妬の相手が神裂だと立場上攻撃なんてできないので
嫉妬した場合、教皇代理に攻撃する
158 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/22(水) 22:41:00.25 ID:vm9yLnM0
http://www35.atwiki.jp/seisoku-index/pages/1.html
↑簡易的だけどwikiにまとめを作っておいた。
一気読みしたい人はよかったら利用してください。
159 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/24(金) 23:30:18.38 ID:QD6sB1so
や・・・ヤミテタ・・・
160 :28 [sage]:2010/09/26(日) 20:37:16.58 ID:.OLTsgwo
今もどりました。今日中に続きちょっと上げるわ。
とあるシリーズは女同士の絡みってないなあと思いながらこれ書いた。どのキャラも女同士で絡んだらこうなるんじゃね?
>>158
なんかまとめてもらっちゃってすみませんな。完結したら話の矛盾点と誤字直してそこに上げるわ。
161 :28 [sage]:2010/09/27(月) 01:56:49.56 ID:jun65ZMo
意外にも、二人が席に戻った後、対馬と姫神の二人が談笑をはじめた。
内容は学園都市の奇抜さに関する、他愛ないものだ。
ただし、上条を取り巻く事情はそう穏やかではない。水面下で、色々と変化があった。

まず最も重要なことは、姫神が腕を絡めていることだろう。
あからさまにならない程度に、しかしそれでいて明確に姫神は上条に寄り添っていた。
二人の関係が恋人か否かを店員辺りにジャッジさせたら間違いなく恋人だと言うだろう。
ソファ型の座席についた手をそっと上から握られて、上条は冷静ではいられなかった。

他にも気になって仕方ないのは、なんともいえない表情をした五和が自分を見つめていることだ。
その表情を色で表現するなら、灰色に水色を混ぜたような色、とでも言えば良いだろうか。
怒りのような峻烈な感情は読み取れない。
不安と疑念の灰に羨望と、そして嫉妬の青を垂らしたような表情。
――カップルではないんだけど、まあこれじゃあそう見えるよなあ。
上条は五和が、カップルを目の前にしているせいでそんな表情なのだと予想していた。
上条も彼女のいない男子学生として、ファミレスでイチャつくカップルを見ればモヤモヤするものだ。
五和もおそらく付き合っている彼氏はいなさそうだし、自分と同じような気持ちを抱いてもおかしくない。

ぐに、と足を踏まれる感触がした。

「……えっと、五和さん?」
「どうかしましたか、上条さん」

つーん、と冷たい声ですっとぼけられた。
別に痛くはない。でもなんだか勘違いで普段は尊敬のまなざしで五和に見られている上条としては、
五和がやけに冷淡な感じがするのが気になるのだった。
足はまだどけてもらえない。

「当麻君。どうかした?」
「え、あ、いや」
「あなたには関係のないことですよ」

姫神に告げ口するような形になるのをためらっているうちに、五和が姫神の質問を切って捨てていた。
意外な五和の対応に上条が驚いて見つめていると、それに気づいた五和が拗ねたような表情をした。

五和は、上条の驚いた表情をみて、傷ついた。
きっとこの人は、どうして私がこんな態度をとってしまうのか、全くわかってないんですよね。
気になる人のことだから、こうなってしまうのに。

カランとなる氷の奥で、対馬はその光景を面白く見つめていた。
……私は青春、過ぎちゃってるなあ。
そういう思いを感じてちょっと感傷に浸るところも、あったりはするのだが。
162 :28 [sage]:2010/09/27(月) 01:57:49.92 ID:jun65ZMo
リハビリなので話はほとんど展開せず。。。
次からもうちょっとがんばるおやすみ
163 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/27(月) 03:24:14.58 ID:Xh.YEHso
乙!
五和こええww
164 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/27(月) 08:18:14.05 ID:JTYxLrYo
これはヤンデレ二人に囲まれている上条さんだよね
対馬さんどうにかしてくれwwwwwwwwwwwwww
165 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/28(火) 09:38:37.19 ID:x2w25Vgo
姫神が上条ハーレムのメンバーを一人づつ撃破していく予感

そういえば対馬って上条さんの好みな気がしてきた
年上で大人っぽくてやさしくて
166 :28 [sage]:2010/09/28(火) 11:12:11.52 ID:J49Amt.o

「当麻君。これからどうするの? あまりお邪魔しても。二人に悪いし」

ケーキを頼んだ対馬と五和も、すでに食べ終えている。
ドリンクバーで元をとるにはどうせ20杯くらいは飲まなければいけないのだ。
缶ジュース二本飲むのと同じと考えれば、目の前のグラスに注がれたアイスティを干してしまえば割には合う。

思案していると、五和がさらに強く足を踏むのが分かった。
五和にとっては、それは意思表示だった。
足を踏んでいるのだから確かに上条への不満だとか怒りの表れではあるのだが、それだけではないのだ。
不満があることに、気づいて欲しい。気遣って欲しい。自分のことを見て欲しい。
それは精一杯の思いの発露であり、そしてそれが限界でもあった。

「当麻君?」
「あ、なんだ?」
「五和さんに足、踏まれてるの?」

なにも分かっていないようなすっとぼけた口調の姫神のその一言は、けん制だった。
たまたま足を踏んだだけなら仕方ないが、意図的に足を踏むなんてことは五和はするはずがない。
そういうポジションの確認だった。
五和には、上条に触れさせない。

すっと上条の足の上から重みが引いた。だがそれは撤退を意味しない。
顔を上げると朗らかな五和の笑みがあった、

「もしよろしかったら、少し街を案内していただけませんか? 私達は不慣れですし」
「……? 五和たちって仕事で来てるんじゃないのか?」
「いえっ、あのっ。荒事があると土地勘の有る無しは大きな違いですから、
 元から街をざっと歩く予定だったんです。だからこれはついでというか、あ、
 むしろこっちが大事っていうか……」

はしゃぐような感じで、五和が上条を誘った。
隣では対馬がにっこりと微笑んでいる。そうしてくれると嬉しいんだけど、というような表情だった。

「でも。今日は私とデートしてくれるんだよね?」

隣の姫神が、斜め下から見上げるようにそう呟く。
あざとい甘え方ではない。
だが上条の肩に僅かに頭を預け長い髪が制服の袖を軽く擦っていくその様はえもいわれぬ艶がある。

だいたい、さっきから姫神にはドキドキしっぱなしなのだ。
横に座られたせいで、髪を撫でてみたりしたい気持ちを押さえていたりするのだ。
案内を断る友達甲斐のないことはしたくないが、でもやっぱりデートを優先したいという気持ちが、
当麻の中で少しずつ強くなっていた。
167 :28 [sage]:2010/09/28(火) 11:18:52.46 ID:J49Amt.o
>>165
そして対馬と神裂でどちらが学生寮の管理人のおねいさんをやるかで勝負するわけか!
……だめじゃないか。そういうSS書きたくなってプロットのメモはじめちゃうだろー。
168 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/28(火) 17:49:11.35 ID:bu7jT2AO
見てる分にはニヤニヤしっぱなしだが、実際にこんな目に遭ったら笑ってられないだろうな…
まぁ、俺は一生遭遇しないだろうが\(^O^)/

上条ェ…
169 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/29(水) 13:54:38.08 ID:c7Xl7EQo
姫神と五和と対馬さんと同時にデートすればいいじゃんww
170 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/30(木) 00:52:53.59 ID:UyyAd.o0
姫神一筋だろ
171 :28 [sage]:2010/09/30(木) 02:50:55.80 ID:pu2ffrYo
このスレの当麻は姫神一筋っすよ!
まあ他所で上条と美琴+妹達4人の6P書いたり婚后光子一筋の当麻書いたりしてるから、書き手自身は浮気者ですが。
172 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/30(木) 03:03:03.35 ID:t41F9AYo
おお来てるし
しかし何で姫神のスレはこんなに少ないのか…
173 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/30(木) 15:42:38.51 ID:iBD.scAO
>>171
ちょっと過去作教えてもらえるかな?
174 :28 :2010/09/30(木) 22:15:04.78 ID:pu2ffrYo


上条の目線の動きを、対馬は眺めていた。
このまま座して待てば、上条がクラスメイトの子のほうに傾いていくのがなんとなく分かった。
それは、面白くない。

「まあ、追いかけてきてた子も撒けたみたいだし、そろそろ出ない?」
「え? あの」
「まだ紅茶が残ってるから困る?」

クスリと笑って、上条の前のグラスを手に取る。
上条が口をつけていたそのストローに、ためらいもなく口をつけて残りを飲み干す。

「あっ……」
「つ、対馬さん?!」

構図としては漁夫の利といえば良いだろうか。
とはいえ対馬に他意はない。年下のあどけない上条は男性とは意識しない。
もちろん二人の若い女の子達にとって上条はまさに意中の男性なわけで、
間接キスは二人をからかう意味を多分に込めてやったことだった。

そりゃ五和が本気になるだけの子だからね、あっちから本気でアタックされたら分からないけど。
15、6才を20才そこらの自分が相手にするのはややためらうが、7年もすれば上条も大人だ。
上条は、良いところも悪いところも知りすぎた天草式の男衆よりは気になる存在だった。

「さて、お代わりはもういらない?」
「あ、はい。いや……」

上条はチラチラと対馬の前に置かれた自分のグラスを気にしている。
照れた雰囲気が可愛かった。

「ちょっとだけ残ってるのが、そんなに気になる?」

対馬は自分が悪乗りしているのを自覚した。
その残りを再び上条が吸えば、今度は上条が対馬と間接キスすることになる。
若いし、意識しちゃってるんじゃないかな、と対馬は上条の下心を見透かした。

「い、いやべつに! ってあいでででで!」
「あ、ごめんね。当麻君」

重ねられた姫神の手が、突如として爪を立てて体重を掛け始めた。
姫神のリアクションはそれだった。
一方銃後から撃たれた五和のほうが混乱は深刻だった。

「つ、対馬さん!」
「あくまでも一般論だけどね? 五和。気になる男の子を捕まえたかったら、インパクトに残るような事をしないと」

危機意識ここに極まれり。五和は冷静さを失いながら、何をするべきか必死に頭をめぐらし始めた。
175 :28 [sage]:2010/09/30(木) 22:22:20.88 ID:pu2ffrYo
>>173
遠慮なく宣伝乙させてもらうわ。ちなみに過去作じゃなくて全部今連載中な。

ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=etc&all=19764&n=0&count=1

上条「姉妹丼ってのを食べてみたいんだよな」
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=etc&all=19900&n=0&count=1

上条「姉妹丼ってかなり美味いよな」(18禁)
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=18&all=20181&n=0&count=1
176 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/30(木) 22:40:57.84 ID:iBD.scAO
>>175
サンキュー。今から読んでみるが、読む前から出来映えが想像出来るなww

つか、同時進行かよwwww
すげぇな・・・
177 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/01(金) 04:18:51.41 ID:yIgYpKco
トンデモ発射場ガール読んでるでー
乙した
178 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/01(金) 08:51:08.28 ID:JduAzwDO
読んだ
今日の更新がたのしみだなー
179 :28 [sage]:2010/10/01(金) 11:50:35.90 ID:.ihiQnko

「えっと、すみません。払ってもらっちゃって」
「ううん。いいのよ。大した金額じゃないし、あなたたちは飲み物だけだったしね」

支払いは対馬がしてくれた。姫神は素直に頭を下げることに抵抗があるのか、目礼で済ませた。
その警戒感は正しいわね、と対馬は思う。

「特に上条君の紅茶は私が口をつけちゃったしね?」

ニッコリと微笑みかけると、上条はドギマギした。
姫神は面白くないという感じをもう隠そうともしなかったし、五和は目の前の展開が未だに信じられないのか、
すがるような目線を自分に向けてくる。

「さて、今後のことは歩きながら考えれば良いじゃない。さっきの商店街にでも行きましょう?」
「あ、はい……」

上条は、年上に弱い。
対馬はそれを確信した。もとより女性に強く物を言うタイプではなさそうだし、
五和や姫神に対してよりも対馬に対する物言いのほうが遠慮がちだった。
年下が趣味というわけでもないが、今日一日くらいは対馬が上条をリードできるだろう。
だが、もちろんそんなことをしたいわけではない。

「上条さん! あの、皆にお土産を持って帰りたいのでいいお店を知りませんか?」
「え?」

五和の声の勢いが良過ぎる。緊張と焦りが見え見栄だった。
……上条以外の人間には。

「たしか近くに日本じゃ学園都市にしかない海外のスイーツブランドが……って、
 五和は今あっちに住んでるからそういうのじゃないほうがいいのか?」
「いいです! 構わないです! 上条さん案内してください!」
「まあ、そう言うなら、って! 五和さん? ちょ、ちょっと当たって」

五和は上条の左手をそっと抱く姫神を、一度も見なかった。
そして姫神から想い人を奪うように、上条の右腕をぎゅっと抱きこみ引っ張った。
姫神に腕を抱かれたときにも「当たってるかも」なんて感じたことはもちろんあったのだが、
正直に言って五和のそれとは差があった。
肘の辺りが、もうそれはそれは柔らかい感触を伝えている。胸だけではない。
抱きこまれた腕の感触全てが、五和の柔らかさを伝えている。
上条は五和の包容力に理性を持っていかれそうになった。

「当麻君は。五和さんと遊びたいの?」

姫神の、ここ数時間の積極的だった「引き」が鳴りを潜めていた。
上条の体半分を五和に取られても、姫神はそれを奪い返さず、
きゅ、と上条の手を両手で握った。
180 :28 [sage]:2010/10/01(金) 12:02:06.88 ID:.ihiQnko
>>176
同時進行のほうがはかどる。一つの物語だけを見つめるのって疲れるからな。
arcadiaで長編書くと一話書き溜めるのに日数がいるし、そのうちモチベも下がったりするけど、
合間にこれ書くと小説を書く習慣はきちんと維持できるんだよな。

>>177
ありがとう。ほんとありがとう。(´;ω;`)

>>178
その一言のために書いてるようなもんだしな。がんばるよ。
181 :28 [sage]:2010/10/01(金) 12:31:31.23 ID:.ihiQnko

五和が上条の二の腕に、頬をくっつけてうつむいた。
さっきにも増して腕の抱き方はタイトで、だが顔は当麻の視線の外だった。

「上条さん! もしご迷惑だったらそんなにお時間は取らせませんから!」

朗らかな声。だがどんな表情をしているかを上条には一切見せない。

「こんなこと言うと建宮さんや皆さんに怒られちゃうかもしれませんけど、
 結構天草式って禁欲的な決まりとか多くて中々羽目を外せないんです。
 でも今日なら大丈夫で、だから上条さんと遊べたらすごく楽しいなって言うか、
 アハハ、すみません私舞い上がっちゃって……っ」

きっと見せない表情のほうが、五和の本心だったのだろう。
あっという間に、声がしぼんでいった。
そうやって必死に誘うのが、五和の精一杯だった。

対馬は駄目よ五和、と思いながらそれを横から見ていた。
シリアスでは駄目なのだ。二人で上条を振り回して、隣の少女が不貞腐れて替えるまで、
上条をドギマギさせてやらねばならないのだ。
だって、隣の少女にだって譲れないものがあるのだ。
どちらかを選べと上条を窮まらせてしまったら。彼はどちらを選ぶだろう。
五和の逸る気持ちは分かる。だけど、選ばせる前に、天秤はこちらに傾けさせておかなければならなかった。

「五和……」

その必死さを、上条は可愛いと思った。
今すぐ彼女の思うとおりに動いてやったら、五和はどれほど喜んでくれるだろうか。
くすぐったくもあったが、五和は自分に素直な尊敬と親愛の情を向けてくれる子だ。
裏表がなくて、柔らかい。

だけど、上条はそのまま五和に傾くことはなかった。
五和ほど抱き込まれてはいない。だけど、左手に感じる確かな温かみ。
姫神が、隣で上条を見つめていた。

「当麻君」

名前を呼ばれる。言葉を返そうとして、ためらった。なぜかどんな言葉も、言い訳になる気がした。
何も弁解すべきことはないはずなのに。

姫神は、決心した。それは前から、言いたくて言いたくて、だけれど仕舞い続けていた言葉。
ためらいはある。恐怖で足もすくみそうだ。上条の腕を抱きにいけないのは、そのせいだ。

「当麻君。私は。当麻君と二人っきりがいい」

上条が息を呑むのが分かった。

「今日はデートの日だから。好きな人と。当麻君と二人がいい」

182 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/01(金) 17:52:46.43 ID:JduAzwDO
更新した…だと…!?
183 :28 [sage]:2010/10/01(金) 22:56:00.41 ID:.ihiQnko
>>182
まずかった?
184 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/02(土) 05:28:18.23 ID:/EwKS0Uo
お気に入りにin、と
185 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/02(土) 07:55:34.56 ID:C9AJRAAO
お気に入りってww可愛いなww

姫神さんも好きです、でも五和さんはもっと好きな俺は五和を応援するぜぃ
186 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/02(土) 14:28:07.00 ID:1u8cBIDO
>>183
楽しみにしてたから問題ないが…今までの流れがな…ww

今日で3日連続更新なわけだが
期待していいの…ですね?
187 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/02(土) 15:49:56.64 ID:FHhtksAO
>>180
上琴厨の俺だが姫神もの少ないから期待。あと姉妹丼は至高!超全裸待機で支援するでありますよ。
188 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/02(土) 16:19:57.55 ID:C0l6CHoo
>気になる男の子を捕まえたかったら、インパクトに残るような事をしないと

大精霊チラメイドの伏線だな
189 :28 [sage]:2010/10/02(土) 19:11:00.68 ID:u5GwrHQo
――言ってしまった。
最後のほうは声が震えていた。
だって今ここで当麻君に断られたら。明日からどうやって生きていけばいいのかわからない。
好きな人に好きだというというのは、自分を袋小路に追い詰めるということだ。
絶対に答えが出てしまう。逃げられない。
しかし同時に、ついに言えたんだ、という思いもあった。

五和はその言葉で、どうしようもないほどの距離を上条との間に感じてしまった。
二人っきりでアビニョンを旅したり、あれやこれやと距離を縮めた気でいたのだ。
今日だって偶然会えたら良いななんて思って、そして信じられないことにそれが実現して、
もっとあの人の心に自分というものを沢山記憶してもらおうって思っていたのに。
『その言葉』を、自分は言えなかった。
言おうなんて考えもしなかった。それが、自分と上条の間の距離感だった。
隣の女の子の距離感は、それよりずっとずっと近かった。

対馬はちくりとした痛みを感じながら、それを見守っていた。
その痛みが、失恋という名前なのを対馬は知っている。
平静としていられるのはその痛みが自分の痛みじゃなくて、五和の立場に自分を重ねて、
いつだったか味わったその痛みを思い出しているからだった。
たぶんそうだった。

上条は、何を口にしたら良いのかさっぱり分からず、頭も空っぽのまま何も浮かべられなかった。
姫神の顔を見る。きゅっと唇を横に引いて、じっとこちらを見つめていた。
明らかに何かを待っている目だった。そして左手が、きゅっと強く握られた。
そのいじらしさが、可愛い。当たり前だ。好きだといわれてその子を可愛いと思わない男なんていない。
ましてや、とびっきりの美人からともなれば。

「姫神」

びくりとしたのは、左の手よりもむしろ、右腕のほうだった。
五和はもう、抱き留めるだけの勇気がなかった。
上条の離すのは嫌だ。
だけど、意気地のない自分を認めてしまったら、もう抱きとめる腕に力はこもらなかった。
そっと、上条が右手を動かした。ごくやんわりと、五和の腕を振り解く仕草だった。
五和はもう、上条のその意思に抗うことは出来なかった。

「五和。その、ごめんな。悪いんだけどさ」
「いいです。わかりました」

五和は上条に最後まで言わせなかった。聞きたくなかった。
そして、笑おうとして、笑い損ねた顔しか上条には見せられなかった。
190 :28 [sage]:2010/10/02(土) 19:14:39.64 ID:u5GwrHQo

去り際の口上を、対馬が告げた。
上条と姫神とは別のところへ行くとのことだった。
五和は地面を見つめていて、愛想笑いをしているような、していないような、
そんな曖昧な雰囲気しか窺えなかった。

この期になってようやく、上条は五和が沈み込む理由を、なんとなく想像していた。
それは自分に都合のいい妄想だから、確信は持たないことにした。
……都合のいいものだ、と思う。
出来ることなら、五和を慰めてやりたいと思うのは。

対馬は五和の腕を引いた。まず立ち去るべきは自分達だろう。
五和の表情は、笑顔と言うには混乱と悔恨の影が強すぎただろう。
だが、笑顔を形作ろうとしたその努力を、対馬は褒めてやりたかった。

「さて、じゃあ帰ろうか」
「……」

上条に背を向けて数歩。対馬は五和の顔を見るのをやめた。
五和は子供じゃない。
どんな後悔をこぼしているのか。どんな追慕を呑みこんでいるのか。
そんなものは、五和自身だけが知っていればいいことだった。

五和と対馬が離れるまで、姫神は上条に寄り添うことはしなかった。
隣の上条がそれを望んでいない気がしたからだ。
そして、自分が伝えた言葉に、上条からきちんとした返事がないせいでもあった。

「そろそろ、完全下校時刻が来ちまうな」
「……そうだね」

さあっと、心に不安が差す。
――今日はもう遅いし、ここで分かれよう。
そんな言葉を上条に告げられるのではないか。

「なあ姫神」
「何かな?」
「夜、一緒に街、歩かないか?」

期待と不安、その両方がひどい強度で心臓を叩く。
上条の提案はごく当然のものだ。
完全下校時刻を過ぎたデートを制服でやるなんてのは馬鹿の極み。
そして場所さえきちんと選べば、寮暮らしの二人は何時まででも二人っきりでいられる。

「うん」

姫神は、上条にそう返事をした。
191 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/02(土) 20:18:10.44 ID:Nb89ZwAO
こ、これは姫神ものだったのか……




てっきりスレタイからして勘違いしてた
192 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/03(日) 00:40:00.24 ID:PsM5Ffco
何このSS面白い
193 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/03(日) 03:01:57.02 ID:GAnb6QAO
五和…(´・ω・`)
194 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/03(日) 07:55:55.93 ID:oxFjSM2o
ごわごわ…
195 :28 [sage]:2010/10/03(日) 12:05:50.17 ID:AL1Zalgo

部屋の明かりをつける。
手早く制服と下着を抜いで、髪をまとめる。
今日は随分走ったから、もはやシャワーを浴びて下着を付け替えることは確定事項だった。
髪は。さすがに無理か。
腰まで伸びたストレートヘアは、一旦濡らすと乾かすのに途方もない苦労が必要になる。
自分の能力をあれこれ応用して乾かす学生は多いが、あいにく姫神にはそんな応用力はない。

服選びはシャワー中に頭の中で行う。気に入った組み合わせは二つ三つあるから、
あとは鏡の前でそれらを試すだけだ。あまり待たせるのも、悪いだろう。
……待たせることで、心象を悪くしたくなかった。

汗をかきたくない一心でぬるめのシャワーを浴び、手早く濡れた体を拭く。
下着は上下がおそろいになるよう選んだ。
露出の激しい服は好みではないので見える心配はないし見せることにはならないと思うが、
準備とは出来ること全てをやることである。
首筋に張り付いた数本の髪を丁寧に拭く。シャワーを浴びたのがバレバレだとみっともない。
化粧水で軽く頬を拭いて艶を出す。唇のカサつきが気になったので、
グロスと兼用のリップクリームを小指に取り、塗り広げる。
唇の出来栄えには、いつもより気を使った。

バスルームを出て時計を見れば、分かれてから35分くらいが経っていた。
そろそろ待たせすぎになるだろうか、と手早く財布や細々したものを学生鞄からバッグに詰め替える。
さっと戸締りや手荷物を確認して、姫神は部屋を出た。

上条は15分くらい、エントランスで待っていた。
着替えというほどの着替えもないし、部屋で一息つくだけの余裕を置いてから、下に降りてきた。
女子寮と男子寮は隣同士だ。女子寮には丁寧なセキュリティが掛かっていてこちらから迎えにいけないので、
男子両側のエントランスで待ち合わせているのだった。遅い、とは言うまい。女の子の準備には時間がかかるのだ。
姫神が降りてくれば、恐らくエレベータの動きで分かるだろう。
そちらをチラチラと見ているところを青髪なり土御門なりに見つかれば
大変なことになるので周囲には気を使う。

頭の中で、さっきの姫神の言葉を思い出す。
唐突過ぎて何も言葉を返せなかったが、きっと姫神にとっても重要な言葉だっただろう。
上条はどんな答えを返せばいいか、決めあぐねていた。
実は俺も前から好きだったんだ、と言ってしまうと嘘だった。まさか好かれてるなんて思いもしなかった。
綺麗なのはもちろん知っていたし、付き合ってくれなんていわれたら嬉しいよなあありえないよなあ、
と思ったことは何度もある。だけど、姫神にだけ向けた特別な視線では、なかった。
姫神に強く引かれているのを、上条は今自覚している。
だけど姫神に伝える言葉はいくら練っても陳腐で、だから先ほどすぐに答えを返せなかった。

女子両側のエレベータが、降りてきた。
とりあえずは町を歩いて、公園だとかゆっくり語らえそうなところへ行こう、と上条は思案した。

「上条。貴様、こんな時間から外出する気なの?」

姫神ではなかった。
エレベータから出てきた吹寄が、ジロリと上条を見つめた。
196 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/03(日) 14:23:50.96 ID:VOtakgoo
吹寄キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
197 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/03(日) 14:45:07.86 ID:oxFjSM2o
俺得でございます
198 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/03(日) 17:14:18.33 ID:uzG/ffMo
乙乙乙!

男子両側と女子両側で笑ってもうた
199 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/03(日) 17:25:07.07 ID:EFpIShAo
姫神の私服は巫女装束のイメージ
200 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/03(日) 17:28:59.78 ID:iVubI2AO
吹寄様きた!
巨乳との連戦!
201 :28 [sage]:2010/10/03(日) 17:53:40.90 ID:AL1Zalgo
>>198
やっちまったwwwwww 男/女子寮側なのはわかるよね? wikiに載せるときに直そうっと。

>>199
服装どうしようかと思ったんだけど、巫女服にするか迷ったので描写をばっさりカットした。
秋沙はスカート穿きだよ派と巫女服だよ派の好きなほうに脳内で与してくれ。パンツは認めない。

夜は気が向いたらこれの続き上げるわ。日中は姉妹丼書いてた。なにやってんだ俺。
晩御飯は何を作ろうかしら。
202 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/03(日) 18:28:25.99 ID:yEJ/LpIo
そこはやっぱり姉妹d(ry
なんか最近人増えてきたなあ
203 :28 [sage]:2010/10/03(日) 19:12:09.52 ID:AL1Zalgo
ただいま
コロッケとポテトサラダは姉妹って呼んでいいかな?

……ブリと大根が安かったからこれを調理しよう! と心に決めたけど腹が空きすぎて待てないから
今日の夜に炊いたブリ大根は明日食べることにする。

最近人多いねすげー嬉しいね。
まあそうペースは上がらんけども頑張って完結させたいと思います。
ゴールは大体見えてきた。
204 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/03(日) 19:46:51.30 ID:EFpIShAo
雲川先輩も同じ寮に住んでいるのか・・・ゴクリ
205 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/03(日) 20:04:46.92 ID:yEJ/LpIo
いいと思うぜwwww

このペースで構わないからぜひ完結してくれ
姫神ssの未完率の高さは異常
206 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/04(月) 20:19:27.66 ID:XImD1sAO
だが姫神ssは良作率も異常
207 :28 [sage]:2010/10/04(月) 22:45:19.47 ID:K.jLlhwo

「吹寄。いや、そっちこそどこ行くんだよ?」
「どこ、って……貴様が悪いのよ上条当麻」
「はい?」
「休み時間中の話をもう忘れたわけ? 貴様が言ってたんでしょうが。
 西部山駅の駅前に面白そうな通販のカタログがあるって」
「あー」

言った。そういえば。

「もしかして、一人で行くつもりだったのか?」
「し、仕方ないでしょう。貴様は姫神やあの二人と遊びに行ったみたいだし」
「いや、明日まで待てばよかったんじゃ」
「……」
「……ごめん。悪かった。にしても、何でこんな時間に?」
「……」
「……ほんとごめん」

明日まで待ちきれないくらい楽しみで、だけど知り合いに見られるのはいやだ、ということのようだった。

「それで、上条。貴様は今からどこへ行く気なの?」
「まあなんだ。土御門とかとどっか遊びに行くかって話になってさ」
「日中も遊んだのにまだ遊び足りないわけ?」
「う……悪いかよ」
「悪いわよ。宿題どころか学校までサボって小萌先生を泣かせるような学生が夜遊びなんてしていいわけないでしょうが」

上条が学校を休むのには色々と事情はあるのだが、明かすわけにもいかず無断で休んでいるので、
実質上条は学校を代表するサボリ魔なのだった。
土御門辺りもサボりっぷりで言えば大して変わらないのだが、目をつけられないのは立ち回りが上手いのだろう。

「吹寄も寮を抜け出すんだろ? 止めたり、しないよな?」
「……まあ、あたしは学級委員じゃないから。でもちゃんと明日も学校に来なさいよ」
「ああ。俺の意思に反して誘拐でもされない限りは皆勤でも何でもやるさ」
「それで。どこに行くわけ?」

上条はその一言に焦りを覚える。土御門たちとどこかへ行くという嘘を上塗りしていく作業。
それに破綻を聞かせないように注意を払わなければならない。

「いやべつに、どこって決めてるわけでもないけど」
「この時間ならどっかで外食する気?」
「んー、まあ、たぶん」
「そう。ならあたしも行こうかな」
「……え?」
「なにかまずいことでもあるわけ?」

吹寄の意図が、上条にはつかめなかった。
208 :28 [sage]:2010/10/04(月) 23:05:40.21 ID:K.jLlhwo

上条はひたすら危機感を感じていた。
まさか、吹寄がそんなことを言うなんて予想していなかった。
万が一あと数分でもここで待たれたら、姫神が降りてくるだろう。
うまく姫神が誤魔化すのを手伝ってくれれば切り抜けられるかもしれないが、危うい。

「まずいっつーかさ、いいのか? 俺と土御門と青髪なんて、見るのも嫌な三人組だろうに」
「あんた達がバカでどうしようもない問題児あることにあたしはなんの疑いも持ってないけど、
 別に嫌ってはいないわよ」
「へ? そうなの? てっきり大覇星祭の一件で俺は嫌われてるものと……」
「いい加減忘れろ! 忘れなさい! 今すぐ頭から消し飛ばしなさい!」
「ご、ごめん!」
「……そういえば上条当魔。貴様は一端覧祭(いちはならんさい)にはきちんと参加するの?」
「……たぶん」
「断言は出来ないわけ?」
「俺の個人の意思としては参加する気だけどさ。まあ、最近いろいろありまして」

ローマ正教20億の敵なんて物騒な言い方をされている上条当麻にとって、
自分の都合というのは最近では冷蔵庫のカレンダーに書いた大型ゴミの日の書き込みよりも影響力がない。

「あたしは実行委員になるつもりなんだけど」
「そうなのか。まあ、吹寄っぽいよなあ」
「上条。貴様も一緒にやらない?」
「――――へ?」

信じられないお誘いだった。嫌とかよりも、何故のほうが先に頭にひらめいた。
顔に出ていたのだろう。吹寄は言葉を継いだ。

「そのサボリ癖なんとかしなさいよ。確約が出来ないって言うなら実行委員とか責任ある仕事を引き受けて、
 自分を追い込みなさいよって言う提案をしているの」

吹寄は怒っているように見えなくもない。しかしそれが普段の表情だった。
つい、まじまじとそれを見つめてしまう。真意が量りきれなかった。
「何よ」とぽつりと呟いて、吹寄は上条をにらみ返した。

……その応対の時間が、余計だった。
気がつかぬうちに、女子寮側のエレベータが下りてきて、見知ったその人を吐き出した。

「吹(ふき)ちゃん?」
「あ、姫神」
209 :28 [sage]:2010/10/04(月) 23:08:31.37 ID:K.jLlhwo
自分で言うとアレだが最近ペースがいい。
>>204
みんな雲川先輩好きだなー。あのおっぱいが悪いのか。
>>206
良作の末席くらいにはいさせてほしいね。
210 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 00:47:51.99 ID:Www0gyw0
巨乳は大好きです
黒髪長髪も大好きです
だから姫神も吹寄も雲川先輩も大好きです
211 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 01:43:44.72 ID:otYeTKco
>>210
お前とはいい酒が飲めそうだ
212 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 10:48:51.40 ID:K//ha2AO
上条さんの学校の女性陣無敵すぎる
213 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 11:56:15.52 ID:5ff/4QAO
やべぇ、盛り上がってきた

そういえば、吹寄がメインのSSって一つもないよね
やっぱ難しすぎるのか…。ハマった時の破壊力は最強だと思うんだが

身の程を弁えずに挑戦してみたい気もするけど…。
この>>1の才能みたら、考えるよなww
214 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 15:53:50.45 ID:5meuT06o
>>1の書くSSが面白すぎて睡眠不足だわ
215 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 16:09:47.12 ID:rdDuqO2o
吹寄最高だ
216 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 17:31:05.81 ID:Www0gyw0
>>213
原作でまだ攻略完了してデレてないからね
217 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 17:44:54.36 ID:swn65MAo
吹寄は俺の嫁
218 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 17:46:05.41 ID:rdDuqO2o
>>217
そげぶ
219 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 20:18:54.24 ID:PXl0Z6so
>>213
吹寄「上条当麻……か」
ttp://2syokan.blog.shinobi.jp/Entry/162/
220 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 20:36:47.13 ID:rdDuqO2o
>>219
( ゚д゚)ポカーンってなった
221 :28 [sage]:2010/10/05(火) 22:09:09.97 ID:U4lCiZso

委員長気質の吹寄は転校生の姫神に率先して接してくれたので、
姫神にとって吹寄はかなり親しい友人だと言える。
吹寄はあまり恋愛話を好むほうではないとはいえ、恋愛話は女子同士の会話の大事な一要素だ。
姫神は共通の友達をネタに何度となく吹寄と恋愛話をしたことがある。
だが、互いに一線を引いたように、互いの好きな人に関する話はしたことがなかった。

そして、吹寄がいないところでも、吹寄の好きな人についての話、というのは聞いたことがなかった。
男に興味のなさそうな吹寄だが、だからこそ噂話に花が咲いてしまうのが女の性だ。
吹寄のいないところではそれこそあれこれと憶測が飛び交っても不思議はないのに。

その理由は、姫神にはおおよそ予想がついていた。
明言したことは一度もないが、姫神が気になる男の子は上条当麻である、というのはクラスの女子の常識だ。
別段あからさまな態度を取ったことなんてただの一度もないはずなのだが、
女特有の洞察力というのはこの手の問題に関しては神がかり的な鋭さを発揮する。
そしておそらく、クラスメイト達は吹寄の好きな男子についても確度の高い推論を持っていることだろう。
そういう話を、していないはずがないのだ。だからその話を姫神が耳にしない理由は一つ。
――吹ちゃんの好きな男子『も』たぶん。当麻君だから。

間接的な証拠に基づく推察でありながら、姫神はその予想を全く疑っていなかった。
何より自分の女の勘が、吹寄も上条のことが好きなのだと告げていたから。

エレベータが静かに開く。
吹寄と上条の距離は、クラスメイトくらいの距離。
特別なんて何もないのに、やっぱり姫神の脳裏で警鐘がカンカンと鳴っていた。

上条は事態のマズさに嫌な汗が伝うのを感じた。
姫神がとっさに嘘にあわせてくれるかは分からないし、なにより今日、
上条は姫神の手を取って学校を飛び出したのだ。
不純異性交遊を目の前に、吹寄ブチ切れるかもしれない。
吹寄は姫神と仲が良いから、なおさらだ。

「吹寄さん。これはですね」
「貴様、姫神と遊ぶ気だったの?」
「いや、まあ」
「土御門とかと遊ぶってのは、嘘だったということ?」
「――ああ。そうだ」
「吹ちゃん……」
「姫神。確認しておくけど、上条当麻に無理矢理誘われたとか、そういうのは……ないか」

吹寄は姫神を一瞥しただけでそう判断した。
髪の整い具合だとか、そういうところで姫神の気持ちを見抜いたのだろう。

「別にあたしは風紀委員じゃないから。止めたりはしないわよ別に……」

吹寄はそう呟いて、髪を軽く指でいじった。

222 :28 [sage]:2010/10/05(火) 22:26:36.09 ID:U4lCiZso
すげー人多いwwwwww嬉しい。

>>213
吹寄のSSが難しいのは、原作に吹寄の視点で書かれた箇所が9巻で病院送りにされたときだけだからだと思う。
そのせいで吹寄って子がどういう考え方をするのかを上条(他人)の目で見た吹寄像から予想するしかない。
あと才能って言われると嬉しくてこそばゆいけどさすがに才能って言うほどのものではないんだぜ。
最近妄想力の低下が著しい。10代の頃みたいな空想が全然湧かないの。
だからその分だけ詳しい文章を書いて妄想を固定化する必要がある。そんだけだ。
20代そこそこにもなれば人に理解してもらえる文章を書く習慣なんて嫌でも身につくし。

>>214 マジか。嬉しい恥ずかしい。

>>217 その幻想を尊重してやるから世界で一番ニヤニヤできる吹寄SSをうpしてくれ
223 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 22:32:57.81 ID:n9UlKsDO
つづきまだー
224 :28 [sage]:2010/10/05(火) 22:53:15.28 ID:U4lCiZso
はえーよww
まだ続きは5行しか書けてない。
もう1レスは今日中に上げるから待っててくれ。
225 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 22:58:01.68 ID:frEPnBoo
さて、あと2分だが・・・
226 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 23:10:18.97 ID:frEPnBoo
誤爆ってこんなにも恥ずかしいのか・・・
227 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 23:10:51.97 ID:Www0gyw0
>>225
お前は何を言ってるんだ?
228 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 23:17:10.52 ID:5ff/4QAO
>>222
多分、>>1と年齢近いはずだけど、俺には書けないなww
やっぱ文才あると思うぜ。

それにしても、前スレみたがヒデぇwwww
アレからここまで生まれ変わるとはwwww
229 :28 [sage]:2010/10/05(火) 23:51:53.98 ID:U4lCiZso

「吹ちゃんは。いいの?」

気づかない振りをすれば、良かったのに。
姫神は吹寄にそう、尋ねずにはいられなかった。

「いいって? 何であたしが姫神と上条を止めるわけ?」

そのとぼけ方は上条を騙すのには充分で、姫神に悟らせるには充分なくらいの不自然さだった。
きっと吹寄が本当に上条のことをなんとも思ってなかったならば、多分怒っただろう。
あたしはそこまで優等生ぶらないわよ、か。姫神の恋路を邪魔するほど野暮じゃないわよ、か。
たぶん、今みたいに姫神が何を言ってるのか分からない、なんて態度には留めないと思う。
それが姫神の感じた吹寄の『嘘』だった。

「私は。今から上条君と。晩御飯を食べに街に行こうって約束をしてた」
「……見れば分かるよ」
「今日は一日中。上条君とデートした」
「……おめでとうって言えばいいの? 姫神意外と隠さないんだね」
「でもデートって言っても、土御門君たちがついてきたりしたんだけど」
「そう」

人を突っぱねるような態度のくせにかまいたがりな吹寄と、
人当たりはそう悪くない割にドライなところのある姫神。
普段この二人は仲が良い。
だけど上条はどうも、姫神と吹寄の間に不穏な空気が漂っているような気がしていた。

「なあ、姫神」
「どうしたの? 当麻君」

ぴくりと、吹寄の髪をいじる手が止まった。

「あ……」
「そういう名前で呼び合う位、進展したんだ。で、貴様は下の名前で呼ばないわけ?」
「いや、二人のときは秋沙って呼んだけどさ。クラスメイトの前じゃ恥ずかしいだろ」
「……」

今は、上条にそれをばらして欲しくなかった。
上条にアタックするのに、何も吹寄に断りを入れたりする必要はない。だけど無断も嫌だった。

「まあ良いけど。で、上条。さっきの話の続きだけど、あたしもついていっていいわけ?」
「え?」
「晩御飯、いくんでしょ?」

姫神を、吹寄が見つめた。
真意は測れない。でも、駄目だと言う気はなかった。姫神はコクリと頷いた。
230 :28 [sage]:2010/10/06(水) 00:01:09.90 ID:qf7geRoo
>>225 自己解決してるのに追撃して悪いが残り7分じゃかけなかったよww
>>228
んーやっぱ書いた量もあるだろうさー。黒歴史になったFateSSが一つと、
筆を折って止まったままのFateSSが禁書のSSより過去にあるのさ。
Fateはファンもアンチも主張が激しいから随分苦労もしたし。
231 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 00:23:56.21 ID:QlXsOigo
>>230
なんとなく読んだことあるFateSSっぽいわと思ってた
232 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 03:11:30.62 ID:Bx/MJ5Mo
>>209
知的な年上きょぬー美人の先輩最高じゃん
233 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 03:12:54.92 ID:Bx/MJ5Mo
>>209
知的な年上きょぬー美人の先輩最高じゃん
234 :28 [sage]:2010/10/06(水) 12:04:22.73 ID:qf7geRoo

入った店は、イタリアンレストランだった。
ファミレスよりは高級感があるが、学生の夕食に出来る程度の価格帯だ。
適当に三人とも注文して、料理待ちの時間。

夕方にもこういうボックス席にいたっけなと上条は思い出す。
そのときは対馬が座る席を決めた。今は、吹寄が決めた。
上条と姫神を隣同士に座らせて、吹寄は反対側に腰掛けた。

「で、確認しないと居心地悪いから聞くけど。あんたたち、付き合うことになったの?」

腕に掛かった長い髪を払いながら吹寄はそんなことを尋ねた。
上条が答えようとすると、姫神が上条をじっと見た。私が言うから、という意思表示のようだった。

「ううん。まだ。そういうことにはなってないよ」
「……そう。じゃあ、邪魔しちゃったんだ」
「そんな。邪魔だなんて。思ってない」
「思いなさいよ。あたしは人のデートに割り込むような野暮をするつもりはないし」
「……吹ちゃんは。それでいいの?」
「だからそれでいいって何よ。姫神は何の心配してるんだか」

いつもよりも少しイライラした感じの聞き返し方。
きっとそれは、図星なのだ。

「貴様はどういうつもりで姫神を連れ出したの?」
「え? どういう、って」

突如、矛先が上条のほうを向いた。

「夜に、単なるクラスメイトの女子を連れ出したら問題でしょうが。
 どう考えたって下心があるに決まってるでしょ」
「し、下心って……」
「ただ食事をするためだけに、貴様は姫神を誘ったわけ?」
「吹ちゃん!」

上条が何かを言う前に、またも姫神が二人の会話を遮った。
何がなんだかわからない上条の前で、女二人の思惑だけが交錯していく。

「姫神」
「ごめんね。上条君。何も聞かないで」

遮るように、朗らかな声で注文した料理が運ばれてきた。

235 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 18:49:34.32 ID:W6xL1.AO
これ本当に姫神ルートなのか?


こういう風にぐだぐだと定まらない感じのが好きだ
236 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 21:05:34.20 ID:RLRoP1go
このスレの姫神はものすごい輝いてるな
ビリビリといつわルートをバッサリ切り捨てたのにここに来て吹寄ルートだったらびっくりだよ
237 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 21:22:33.28 ID:A0Ia6B.o
そうなったら俺は泣く
むせび泣く
238 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 21:35:05.56 ID:dcEuqkko
吹寄よりも姫神よりも上条さんがかわいい
239 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/07(木) 04:26:31.24 ID:HntmxsDO
姫神ってこんなに可愛かったのか
240 :28 [sage]:2010/10/07(木) 11:31:04.95 ID:ssFeD/Yo

パスタにフォークを刺して、クルクルと回す。
皿とぶつかる硬い音がテーブルの上でかすかに流れる。
そんな音が気になるくらい、上条たちの間には会話がなかった。

吹寄は、自然な態度で食事を摂っている様に見える。
目の前にいる自分や姫神が赤の他人だったら、完全に自然だっただろう。
自分達と会話をしようとしないこと以外は、おかしい所はなかった。
姫神も食事時におしゃべりなほうではないと思う。
食べ方もがっつくような感じではないので不自然には見えない。
だが、ずっとパスタを見つめているのに、時折思い出したようにチラリと吹寄を見るその視線が
意味ありげで、姫神と吹寄に間にあるおかしな空気を象徴していた。

「上条。貴様はもう少し落ち着いて食べられないわけ?」
「あ、ああ。悪い」

一番不自然なのはおそらく自分、上条当麻だろう。
会話を振るでもなく、黙々と食事をする二人の女の子の顔をまじまじと見つめているのだ。
……とはいえ黙っていろといわれた手前、会話を提供する役になるのもためらいがあった。

女の子達と同じ、並盛のパスタを頼んで正解だった。
あっという間に食べ終わるくせに、緊張していてそれ以上欲しいと思わない。
セットでついてきたコンソメのスープで口の中をすっきりさせると、
吹寄もちょうど食べ終えたところだった。

「貴様に聞いておかなくちゃならないことがあるわ」
「なんだ?」
「貴様はこれから、姫神になんて言う気なの?」
「……」
「好きだって、言うつもり?」
「それを言う相手は、姫神だ。吹寄、悪いけどお前のいるところで、
 そういう話はするわけにいかねーだろ」

姫神はその言葉に、息を呑んだ。
告白を、してもらえるのかもしれないと姫神は確かに期待している。
微かにしか期待していないつもりで、しかし今も心臓は強く脈動していた。

「まあ、いいわ。今ので分かったから。あたしがここに来た理由はね。上条。
 貴様のことを好きなクラスメイトを、姫神のほかに知ってるからよ」
「えっ?」

姫神と上条の驚きが唱和する。しかし意味は異なっていた。
上条は吹寄の言葉の中身が信じられなかったから。
姫神は吹寄が遠まわしにでも、その気持ちを上条に伝えたから。
241 :28 [sage]:2010/10/07(木) 11:33:11.88 ID:ssFeD/Yo
>>235
>>236
これで吹寄ルートに上条さんが行ったら俺がびっくりするわww

ちょっとまとめwikiを後々編集するかもって考えたらトリップとかあったほうが良いような気がしてきた。
242 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/07(木) 11:35:53.96 ID:ssFeD/Yo
てすてす
243 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/07(木) 12:03:03.21 ID:ssFeD/Yo

「吹寄。……唐突過ぎて驚くしかないんだけどさ、それ、ホントなのか? そんな話聞いたこともないぞ」
「黙ってたんだから、そりゃあ伝わらないでしょ」
「一体誰なんだよ……って、言ってはくれないか」
「当たり前でしょうが。貴様は今から誰に何を言おうとしてるのか、よく思いだしなさいよ」
「……」
「黙らないで何とか言いなさいよ。上条当麻、貴様は今から誰に、何を言おうとしているの?」
「姫神に」

姫神はもう食べる気にならないのか皿の上に残ったパスタを、フォークで弄んでいた。
その肩が、ぴくりと震えた。

「これから、姫神と二人でどっか歩く気だ。それ以上は吹寄、ここでお前に話すようなことじゃない」

二人ですべきことを、二人以外の人がいるところでしてはならない。
それは通すべき筋だと上条は考えていた。
姫神も上条の意図を理解していた。だが同時に、吹寄がどう感じるかも痛いほどわかるのだ。
その言葉は、「お前なんて眼中にない」と言われているように、きっと吹寄には聞こえたろうと思う。

「……そうね。あたしは部外者。確かに貴様にあれこれ聞くのはお門違いだったかもしれないわ。
 でも。今じゃなくてもきちんと教えて欲しい。
 上条のことを好きな女の子に、貴様のことを諦めさせなきゃいけないから」

上条は、吹寄の呟きを聞いて、全ての言葉を失った。
きっと吹寄は、そのクラスメイトの気持ちをよく知っている。
面倒見のいい吹寄のことだ。きっと親身になって相談に乗ったのだろう。
残念そうな、いや違うか。悔しそうな、のほうが近いかもしれない。
そしてまるでわが身のことのように傷ついた響きが、声には含まれていた。
反射的に謝りそうになって、それを自制した。

「吹ちゃん、私は」
「姫神は何も言わないで。姫神は別にズルなんてしてない。
 誰にも後ろ指を指されるような事なんてしてないんだから、変な気遣いなんていらないわよ」
「……ごめん、なさい」
「謝るのも自己満足よ。姫神には語る言葉なんて何もない。ただ、上条と幸せになればいいだけ」
「……うん。吹ちゃんは、私のことを嫌いになった?」

何バカなこと言ってんのよ、と吹寄が笑った。
どことなく泣き顔めいて見えたのは、上条の錯覚だったろうか。

「何で第三者のあたしが姫神と喧嘩するのよ。きっと上条のことが好きな子も、姫神のことを恨んだりはしないって」
「うん」

吹寄がグラスの水をあおった。
それをきっかけに三人は席を立ち、支払いを済ませてとっぷりと暮れた夜の学園都市の空を見上げた。
星は見えない。言葉もすくなに、吹寄は上条たちと別れ、寮へと帰っていった。

244 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/07(木) 19:48:56.47 ID:jlCKOyoo
うああああああああああああああああああああああああん
245 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/07(木) 20:28:18.01 ID:L9mTGeMo
吹寄と姫神を同時に恋人にすれば良くね?と思ってしまった
246 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/08(金) 10:27:32.69 ID:Y4D7cqUo


肌寒い空気が、すっと足元を吹き抜ける。
夏の名残の暑さももう失われて、日が沈んでからは冬の足音も聞こえ始める季節。
街中のレストランを出てから、上条と姫神は黙々と緩い上り坂を登った。
姫神は上条の導くままにしたがっていたが、おおよそ、行き先に心当たりはあった。
この先には、眺めのいい公園がある。夜景が綺麗だというのは、有名な話だった。
繁華街から遠く不良にとって退屈な場所なこともあって、学生達の逢引の場所として、
それなりに有名な場所だった。

姫神の足取りは、重たかった。
さっき吹寄と交わした言葉が、これからのことに対する期待感以外の気持ちを膨らませていた。
吹寄の言ったとおりなのだ。姫神は卑怯なことなんてしなかった。
だから、確かに悪いことなんて何もない。
しかし、同様になんら悪いことをしなかった友人の口を封じ、
心に秘めていた気持ちをそのまま秘めさせるように仕向けてしまったのも事実だ。

「姫神」

ほんの少し前を歩く上条が、そう名前を読んだ。そしてすぐ、間違いに気づいた。

「秋沙。その、さ。手、繋がないか?」

少し前から、上条がさりげなく手を差し出して、手を繋ごうと誘う仕草を見せていたのには気づいていた。
それを取らなかったのは、自分で何かを決めるのが怖くて、上条に強く引っ張って欲しかったから。
姫神は無言で指を絡ませた。手の温かみが伝わるのと同時くらいに、上条が身を寄せて、体が軽くぶつかった。
公園の入り口に立つ。高低差の激しいここから展望のいい広場までは、階段を上ることになる。

「今日はなんかやたらといろいろあったな」
「うん」
「青髪と土御門には追いかけられるし」
「うん」
「御坂のヤツにもなんか追いかけられることになったし」
「うん」
「五和にも……まあ、会ったしな」
「……」

立場が違えば仲良くも出来たであろう、彼女のことを思い出す。
そうだ、あの時。もし自分が上条にアタックしなかったなら。
当麻君は。あの子と親密になっていたかもしれない。
五和は初対面だ。それだけが理由なのかもしれないが、吹寄に対してとは異なり、
姫神は五和に対しては敵対意識を持っている自覚があった。
自分のものだと見せ付けなければ、上条は取られていたかもしれない。
その危機感を思い出すと、自分のやったことが正しかったと思えるような気がした。
恋は戦争。分かち合うことの出来ないものが、確かにあるのだ。
247 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/08(金) 10:29:38.81 ID:NBjcn9.P
よしきた
248 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/08(金) 10:33:07.22 ID:Y4D7cqUo

「吹ちゃんの言ってた。上条君のことを好きな女の子のこと。考えてた。」

安っぽいスニーカーの音を響かせながら、雑草の生えた階段を登る。

「あー……。あれ本当なんかね。なんていうかさ、 全くもてた事のない上条さんの人生を振り返るに、
 どうも信じられないんだよな。別に疑うわけじゃないけど」
「吹ちゃんは嘘なんてついてないよ」
「もしかして、その子の事、知ってるとか?」
「――うん。予想は。ついてるから。綺麗な子だよ」
「クラスの女子の誰が綺麗か、なんてのを秋沙に話すわけにはいかないな。万が一女子に知れたら俺は確実に殺される」
「言わないよ」

じっと、上条を見つめる。視線の意図は、割とすぐ伝わった。

「秋沙は、綺麗だと思う」
「クラスで何番目に?」
「番号なんてつけたことないって」
「男子がランキングつけてるの。知ってるよ?」
「マジで? まあ、女子もつけてそうだけど」
「うん。当麻君は。結構ポイント高いよ」

上条がグッと拳を握った。女子の評価の高さはクラス内での過ごしやすさとかなり関連している。
非常に心強い、ありがたい情報だった。

「私やその子が気にしてる男の子を。みんな非難なんてしないから」
「……」

一体、何度目だろう。姫神が、これほどにきわどい言葉で自分の気持ちを表現するのは。
もう上条はその意味に気づかなかったり、取り違えたりはしなかった。

「ねえ当麻君。吹ちゃんと比べて。私の順位はどうだった?」
「吹寄はおカタい奴だからなあ。告白しても無理そうって奴が多かったな」
「本当はそうでもないんだけどね。……それと私が聞きたかったのは。皆じゃなくて当麻君のこと」
「う。えーっと。吹寄はなんていうか、女の子のカテゴリに入れてなかった」
「え?」
「吹寄ってだいたいいつも怖いし。時々遊ぶけどぶっちゃけ男子の連中とつるむときと同じノリだし」
「吹ちゃんは。結構女の子なところあるよ?」
「そうかあ?」
「当麻君は。見る目がないよ」
「……まあ、否定なんてとてもできやしませんが。でも何で秋沙が吹寄のことで怒るんだよ」
「自分でちゃんと分かって。私の口からは。言えないし言わない」

ぷいとそっぽを向いた姫神の横顔を眺めながら、残りの段を一つずつ上がっていく。

「それで。私のことは。どう思ってたの?」
「この先で、話すよ」

最後の一段。それを越えると足音が砂を踏むものに変わった。視界が開け、眼下に学園都市の眠らない光の海が姿を現した。
249 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/08(金) 10:34:13.86 ID:Y4D7cqUo
>>247
まさか間にレスが挟まるとはww
すげー反応速度だな。
250 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/08(金) 10:45:19.53 ID:NBjcn9.P
会社有給とって待ってた・・・ってのはうそ
251 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/08(金) 11:50:30.63 ID:Y4D7cqUo

ザクザクと音を立てながら、広場の先へと進む。
切り立った高台の端にある、少し高めの柵の向こうには絶景が広がっている。
地上にきらめく星。光の海。いや湖か。
ハイウェイを途切れ目なく車のライトが縫っていく。遠くに見える真っ暗な縁は、恐らく学園都市と外との境界だろう。

「姫神はここ、来たことあるか?」
「お昼になら。一人で歩いたことがあるよ」
「夜は初めてか」
「うん。だって。ここはデートスポットでしょ? 一人で夜はちょっと危ないし」
「今日は俺達以外はいないみたいだな」
「そうだね。当麻君は夜のここに来たことあるの?」
「ああ。一学期にクラスのとある男子がここで告白するって情報が流れてさ。偵察しに来た」
「……本当は他の女の子に告白されたとかじゃないよね?」
「んなわけあるか」

柵の前に、到着する。眺めが良い綺麗な場所で、人がいなくて。
大切なことを大切な人に言うために、うってつけの場所だった。
そして逆に言えば、もう、大切なことを言う他はない、そういう『逃げ』のない場所だった。

今から当麻君に。告白されるんだ。
期待が、どうしようもなく姫神から落ち着きを奪う。そして不安が、どうしようもなく心を軋ませる。
きっと、好きだと言ってもらえる気がする。そんな予感がある。
ごめんなさいとか、さようならを言うのにこんな場所を用意する必要はないからだ。
今から振ろうとする相手に、綺麗だなってきっと言わないと思うからだ。
でも、確信なんてあるわけがない。それが、苦しい。

「金も掛からないし、すげえ穴場だなここ。なんていうか、予想以上に雰囲気良くてちょっと
 俺自身がここに見合ってないなー、とか」
「そんなことないよ」
「いやまあでも、服もいつもどおりの着古しだし、靴もかなりくたびれてるし、
 もうちょっと気合を入れればよかったかな、ってさ」
252 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/08(金) 11:51:40.58 ID:Y4D7cqUo

そんなことは、気にしないのに。
急にそんなことを気にしだした上条に、少しだけ苛立ちを感じた。
上条にしてみれば、どう切り出していいかがわからなくて、戸惑っているだけなのだが。

「秋沙」

意を決した上条の瞳が、まっすぐに姫神を捉えた。
緊張に視線を外したくなって、姫神は必死にそれを我慢した。
鼓動がもうどうしようもないくらい早い。

上条の、唇が動いた。

「夕方に、さ。秋沙の口から俺のことを好きだとか、そういう言葉が出てきたと思うんだけど。
 ……俺の、聞き間違いとかじゃ、ないんだよな?」
「……うん。私は当麻君のことが。好き」

言って、しまった。ついに言ってしまった。
どさくさにまぎれてじゃなくて、こんなにも告白のためにあつらえられた場所で、思い人だけにそれを告げてしまった。

「そうか。聞き間違いじゃ、ないんだな」

上条が笑った。ほっとしたような、そんな表情。
しかし、直後に申し訳なさそうな顔をして、ツンツン頭をガリガリやった。

「俺が次は、答えを返す番だよな」
「……うん」

上条の表情は姫神を一喜一憂させる。目の前の憂い顔は、良くない。自分を不安にさせる。

「その、ごめんな」
「えっ―――――?」

姫神の心臓が、止まった。
253 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/08(金) 11:58:17.00 ID:Y4D7cqUo
さーて学校行こう。
>>250 有給とってはやりすぎだww 昼休みにでもまたチェックしてくれ。
>>245 ハーレムはギャグというか緩い世界観とセットが基本だからなあ。
もーーいーくつ寝ーるーとーーー連載終了だーーーー
終わりが見えてきた。
254 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/08(金) 12:11:01.01 ID:98RJaQco
       /:::/::::::::;: --- 、:::::::::|::::::::ヽ
        |::::|:::::::├??┤:::::::l::::::::::|
        |:::」.ィ ┴??┴‐- L::::::::|
       |´ : | , -‐ 、   ‐- 、| `T ト、    あちゃー、姫神の奴とうとう死んじゃったか
       l: : : |{  じ   じ  }: : :V::::::}       
        〃!: : | ー      ー | i: : }_/           
      / |:i ; | u   '     jイ : ハ    
          l:ト、:ト .  ^TTIト .イ/: /: :ヽ   
       | ヾ ィ>イl川´}∨∠ェー ´   
       _.. ヘ ヽ 川||/  ハー- ._
    , ィ''´    }  ンrtく  {      /ヽ
   /  l 、\ {_/ |o| \_}     /  ,
   {、 l  >--\   |o|     、 ,′   、
   ハ_} / _二ヽ \ Ll       V/     ヽ
   {  /   -- 、ン‐ヘ         {i   __}
   に7  ‐ァ-一'’_¨二\二二¨ `Y⌒ヾ_-?‐ノ
  //  /ヽ、<´ ミ=三ゝ=ミ `>ノ ノ  `ヽ |
255 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/08(金) 12:42:13.08 ID:5Qrcopw0
てめえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ
256 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/08(金) 13:35:11.21 ID:iLDDTIco
僕の心臓も止まりました。
257 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/08(金) 14:04:32.72 ID:z619xUDO
258 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/08(金) 14:38:05.23 ID:nj9nuB.o
寸止めうわあああああ
259 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/08(金) 20:18:51.24 ID:mucsLooo
上条×姫神が成立するにはあと何人のヒロインを倒せばいいんだ?
260 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/08(金) 20:38:22.34 ID:dLI/sFwo
上条さんが1学期の記憶を持ってるなんて……
261 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/08(金) 21:01:18.56 ID:Y4D7cqUo
>>260 やっべやっちったwwwwww
本筋に影響ないんで見えなかったことにしてくれないか。
262 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/08(金) 21:23:27.06 ID:o4ftVVYo
続きィィィィィ!!!!!
続きを早く投下するんだ!!!!!!!
263 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/08(金) 21:53:16.95 ID:Y4D7cqUo
ごめん、ちょっと別にすることがあって今はSSは書けないんだ。
日付変わるまでには無理だな。。。
しんどかったら明日まで書かないかも
264 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/08(金) 22:01:53.03 ID:ia0quIoo
上条さんへの怒りが有頂天になった
265 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/08(金) 22:04:46.71 ID:SQjVDz20
別スレで禁書のまとめwiki作ってるものなんだが・・・
作者関連作品ってことでarcadiaのssにリンクを張らせてもらいたい。
もし良かったら、許可していただけますか?
266 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/08(金) 22:32:41.16 ID:Y4D7cqUo
>>265
こちらとしても願ったりです。
よろしくお願いします。
267 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/09(土) 00:08:45.09 ID:D1JiqOQo
ふぅ・・・
268 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/09(土) 02:08:03.61 ID:entFyloo
まさか姫神があそこで出てくるとは
普通にカットされると思った
269 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/09(土) 11:04:45.77 ID:e1x3H2go
「今までさ、秋沙にそんな風に想ってもらえてるなんて、考えたこともなくてさ」

上条が言葉を区切る。言いにくいことなのか、視線をさまよわせた。
姫神は足が震えそうだった。

「だから正直に言っちまうと、姫神のことをはっきりと意識したのは、今日が初めてだったんだ。
 だから秋沙のこと、すごく気になってるけど。けど、好きだって言葉を、使っていいって自信がもてないんだ」

霧は晴れない。言い意味でも悪い意味でも。
当麻君は何を言っているのだろう。
言葉の意味を、姫神は上手く飲み込めなかった。

「秋沙と手を繋ぐと嬉しくなるし、一緒にいて、楽しかった。今ここで、秋沙のことを抱きしめたいって、思ってる。
 けどさ、お前のことを意識してまだ一日も経ってない俺がそんなこと思っちまうのってどうなんだろうな?」

少しずつ、脳裏に上条の言葉の意味が浸透してくる。
たぶん、自分のした最悪の予想とは、趣きが異なるらしい。

「……当麻君は。私のこと。嫌い?」
「んなわけあるか。もしそうだったらこんなことするわけないだろ」
「私よりも気になる女の子は?」

怖かった。その質問をするのは。でも聞かないと先に進めない。
上条はその言葉で、御坂や、五和や、インデックスを思い出す。

「秋沙に一番……ドキドキしてる」
「良かった……」

姫神はほっと息をついて、胸元の十字架を軽く握り締めた。
やっぱり秋沙は可愛いな、と何度目なのか分からないが、再び上条はそう確認した。

「ごめんなって言うのは。ひどいよ」
「え?」
「振られるのかなって。思った」
「い、いや。別にそういうわけじゃなかったんだって」
「……悪気がないのは。余計に悪いよ」
「ごめん」
「死んじゃうかも。って思った」
「ごめん」
「五和さんとか、気になるのかなって思った」
「ごめん。そういうわけじゃ、ないって」
「まだ。ちゃんとした答えを。聞いてないよ」

上条は黙った。自分の中に降って湧いたような感情。姫神を可愛いと思い、惹かれる感覚。
取り扱ってまだ一日だというのが姫神に申し訳なく、もっと時間をかけて確かめるべきことのような気がしていた。
――違う。時間なんて関係ないじゃないか。今の気持ちが勘違いかもなんて、責任逃れもいいところだ。

「えっ?」

黙って、上条は姫神を抱きしめた。
270 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/09(土) 11:38:34.60 ID:bG2grqQo
えっ
271 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/09(土) 12:41:24.47 ID:e1x3H2go

ぎゅっと抱きしめて、改めて実感する。
インデックスとじゃれあうときに感じる気持ちとは全然違う。
携帯を替える一件で御坂を抱き寄せたときに感じた気持ちとも違う。
姫神を抱きしめると、姫神を可愛いと思う気持ちが滾々(こんこん)と湧いてきて、
もっと強く、抱きしめたくなる。

「と。当麻君。その。あの。」

珍しいくらい、姫神が慌てていた。至近距離で目が合うと恥ずかしがって顔を隠した。
おずおずと、上条の体にも手が回される。だけどその力は弱く、ためらいがちだ。
理由は、上条にも察しがついていた。
まだ自分は、決定的な言葉を口にしていない。

「俺は今、秋沙のことを世界で一番幸せにしてあげたいって、思ってる」
「……うん。幸せにして。ください」

抱きしめられた上条の胸の中で。
柔らかくて暖かな笑顔を、姫神が顔一杯に浮かべた。
感情表現の薄い姫神だから、きっとそれは最上級の感情表現。
それを見て上条はたまらないくらい嬉しくなった。
そしてその気持ちこそが、姫神のことを好きなんだという気持ちだと、理解した。
笑いかけてくれたから好きになったのだろうか。それとも好きだったから笑わせてあげたいと思っていたのか。
鳥と卵の水掛け論はどうでもいい。
どちらが因果とも分からない、相手を幸せにすることと自分が幸せになることが等価になる現象。
そういうものを、好きになるというのだろう。

「秋沙。好きだ」
「うん。私も。当麻君が好き」

自然とその言葉は口から突いて出た。
きゅっと、電灯に照らされた影を一つに束ねるように、互いの体をくっつけあう。
すこしの時間を置いて、服越しに温かみがじわりじわりと伝わってくる。
自分とは違うリズムの心臓の鼓動や、吐息がすぐ傍に感じられる。
姫神を抱きしめているのだという実感が、上条を満たした。

髪を撫でると、いい香りがした。
手を滑らせていくと、最後まで撫でられない。お尻に触れてしまうからだ。
腰のギリギリのところまで撫で、時々腰を抱いてさらに姫神を抱き寄せる。
どんな顔をしているのだろう、と表情を覗き込もうとすると、むずがるように姫神が顔をそらした。

「秋沙?」
「だめ……。どうしよう。恥ずかしくて当麻君の顔を見れないよ」
「恥ずかしい?」
「恥ずかしいって言うか。当麻君の顔を見たら好きすぎてどうしていいかわからなくなるの」

可愛すぎる。抱えたこの感情を、ただ抱きしめるだけでしか表現できないのがもどかしかった。
272 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/09(土) 12:43:32.88 ID:fOoi/mI0
ふぅ・・・
恋愛厨がっ
273 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/09(土) 12:47:42.54 ID:e1x3H2go
>>254 姫神は滅びんよ。何度でも甦るさ。
>>259 まあ、実はラスボス吹寄を倒した後だったっていう。しかし隠しボスのインデックスはまだいるっていう。
274 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/09(土) 13:49:52.37 ID:g8.rVEIo
GJ姫神かわいい
275 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/09(土) 16:02:04.21 ID:D1JiqOQo
この姫神かわいすぎるだろ
276 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/09(土) 16:03:33.73 ID:e1x3H2go
はー22巻面白かった
ネタバレ:かまちーのあとがきがいつもより長くて面白い
277 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/09(土) 16:15:11.50 ID:entFyloo
もう読めるのか羨ましい
ネタバレに警戒するのに疲れたよ…
278 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/09(土) 16:16:07.40 ID:xNefoWso
どこでも売ってるだろww
279 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/09(土) 16:46:21.69 ID:rLFPros0
>>277は離島かなにかに住んでるのか?
280 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/09(土) 17:32:50.01 ID:e1x3H2go
まあ店に寄っちゃ発売日を厳守するからなあ
さて続きあげるよー。気が向かない限りは今日はこれで終わりー
281 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/09(土) 17:33:57.03 ID:e1x3H2go

つい悪戯心が湧く。

「ふ。ふふっ。だめだよ……当麻君。だめ」

抱きしめた姫神の首筋に指を這わせてくすぐる。そして顎を捉えたらくいと持ち上げようとする。
照れながら姫神はくすぐられる感触に耐え、上条の指から逃げ回る。
本気で嫌なら上条の腕を振り解けばいいのにそれをしない。

「あっ」
「あ……」

不意に、当麻の攻撃が通じてしまう。二人のどちらにとっても唐突に、姫神の顔(かんばせ)が持ち上がる。
焦点がとっさに合わないくらいの傍に、姫神の顔がせまった。
そして抱きしめた状態で顔を持ち上げた姿勢は、あまりにキスにうってつけで。
二人ともフリーズする他なかった。

「ご、ごめん! 調子に乗っちまった」
「ううん。いい。」

思わず姫神の頬から手を離し、抱きしめた腕を緩める。
夜景に照らされた姫神の唇が、艶かしい。
上条の視線に気づいたのか、姫神が口元を隠すようにうつむいた。僅かに表情には、躊躇いの色。

「ちょっと。まだ怖い」

それが何のことかは、察せた。そりゃあ告白してすぐにそれは、早いと思う。
普通はどんなもんなのか、上条には自信がなかったが。

「いいよ。それより、抱きしめられるのは嫌じゃないか?」
「全然。そっちは。もっとして欲しい」

再び姫神を抱きしめる。身長差はちょうどいい塩梅だった。抱きしめると、ギリギリ上条の胸の中に納まる。
安堵したような、深いため息が聞こえた。
282 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/09(土) 17:35:23.89 ID:e1x3H2go

「抱きしめあうって。すごいね」
「ん?」
「すごくあったかくて。安心する」
「だな。俺も、懐かしい感覚のような気がしてる」
「……当麻君は。よく女の人と抱き合ってるんじゃないの?」
「なんか秋沙の中では俺が酷い女たらしになってる気がするんだけど」
「だって。事実でしょ?」
「どこがだよ」
「私が知ってるだけでも。シスターの子に常盤台の子に吹ちゃんに小萌先生」
「おいおい待て待てなんかおかしい人選だぞそれ!」
「さっきは五和さんって子にも会った。まだいるんでしょ?」
「いや、だから知り合いの子が増えたってだけでべつにやましいことは」

この際全部白状しろ、という感じで姫神が迫る。
やましいかどうかで言えば、姫神に告白するより前の行為はどんなものであってもやましくはないのだが。

「じゃあ最近仲良くなった女の人の名前を全部挙げて」
「……あの、秋沙さん?」
「私。こう見えて結構嫉妬深いから」

ただのクラスメイトだった頃からまったく変わっていないはずのその表情が、上条にはなんだか恐ろしく見えた。

「話して。女の人の名前と。年と。背格好」
「あの、怒りません?」
「後で聞かされたら。嫌だよ。今日より前のことは仕方がないから気にしない。けどこれからは。嫌だよ」

逃げられない。逃げたら怖いのもあったが、姫神を傷つけるのはもっと嫌だ。

「えっと。インデックスは知ってるよな。あとは御坂美琴、さっきの常盤台のと、双子の妹。んで五和。この辺はもういいよな? あとは神裂火織っていう……あいつ18歳って言ったっけな、黒髪で俺と同じくらいの身長だ。で他には……ミーシャ、あれサーシャって言えば良いのか? 変な服装のロシア人の子だ。それと風斬と、アニェーゼってインデックスと同じくらいの子とオルソラって20くらいのイタリア?人と、あアンジェレネとルチアって同じローマ正教のシスターと、あ、白井黒子って常盤台の一年のを忘れてた。ツインテのお姉さまラブが行き過ぎた変態だ。……ええとそんなもんか。」

上条は極めて正直に、この数ヶ月を思い出して報告する。
回想の途中に姫神を見なかったのは正解だったかもしれない。
上条が一人数え上げるたびに、その表情が曇っていく。
あっという間に不安は具体的な懸念へと成長進化し、もはや全ての敵を征するのが到底無理と理解するにいたり、
姫神の表情は諦念という一つの真理を体得していた。上条が見た表情は最後の穏やかな顔だった。
283 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/09(土) 17:37:50.48 ID:e1x3H2go

「当麻君って詐欺師か何かなの?」
「……あの、ものすごい不名誉な評価だと思うんですけどそれ」
「まあ。助けてもらった私が。文句を言えることじゃないってことなのかな」

はぁと今度のため息は憂鬱を含んでいた。

「ねえ当麻君。約束。してほしい」
「……えっと、何をだ?」
「私以外の女の人と。デートをしないで」

そんなことは当たり前だ。それは姫神としたいことだし、姫神以外とはしてはいけないことだ。

「しねーよ」
「キスとか。それ以上も駄目」
「当然だ」
「女の子と二人っきりで買い物をすることも駄目」
「……まあインデックスは一緒に買い物についてきたりしないしな」
「女の子と手を繋ぐのも駄目」
「やらないよ。そう言うのは全部、姫神とすればいいんだろ?」
「うん。おんなじことを私も当麻君に約束する」

姫神が頭を上条の胸にこすり付ける。

「私は当麻君のものだから。だから当麻君も私だけの人でいて欲しい」
「約束する」
「うん」
「好きだ、秋沙」
「うん。私も大好き」

再確認。毎日やっても飽きないんじゃないかと思うくらい、嬉しい言葉の交換。
姫神を撫でる腕に、すこし力を込めた。

「シスターの子には。なるべく早く報告しないとね」
「……あ、ああ。まあそのうち言わないとな」
「なるべくはやく」

上条の言葉を姫神がやんわりと訂正した。

「あの子はまだ色気より食い気みたいだけど。でももう女の子だよ」
「……」

もしあの子が自分の気持ちを自覚して、伝えずにはいられないくらい膨らませてしまったら。
その想像はしたくない。だから早めに摘み取る。上条の可愛い妹分というポジションに固定する。
姫神は別にインデックスを嫌ってなどいない。ただ、譲るつもりのないイスがあるだけだ。

「当麻君とお付き合いするなら。ちゃんとあの子にも報告しないと」
「わかった」

姫神は上条にそっと笑いかけた。
284 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/09(土) 21:06:27.90 ID:entFyloo
乙だ!姫神かわいいよ

普通に関東に住んでるんだけどね…
この辺りの本屋は早売りとかしないんだよ…
285 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/09(土) 23:21:27.75 ID:FVzRNS2o
インデックスと同棲は許すのか
286 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/10(日) 00:35:04.72 ID:/sXjpfQ0
>>285
姫神はペットに嫉妬するような器の小さな女じゃないんだろう
287 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/10(日) 01:06:46.39 ID:cImGvRwo
イカ娘さんはどんな反応するんだろう
288 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/10(日) 01:52:05.79 ID:s7RVySko
姫神かわいいよ姫神
289 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/10(日) 03:17:11.91 ID:0x7UfwDO
290 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/10(日) 13:45:48.51 ID:EnaJ1Pg0
上神最高峰だと思いました。期待してます。
291 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [34896]:2010/10/10(日) 13:57:27.24 ID:l0p8Egw0
いる子(実際はいらない子)の覧に姫髪の名前がグレーになっている・・・・
http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%81%84%E3%82%8B%E5%AD%90%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7
こんなにかわいいのに・・・・・
だれかバーサーカーソウルを発動してくれ・・・書いたやつのライフ0にしてくる・・・・
292 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/10(日) 15:27:00.27 ID:c9GiBugo
突っ込んで悪いんだけど姫髪じゃなくて姫神だ
影の薄さをむしろ強調してるじゃないかww
293 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/10(日) 16:47:39.86 ID:gAoFUu.o
発売日なのにどこにも最新刊が売ってない
どういうことだってばよ
294 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/10(日) 16:48:25.47 ID:L0xx5d6o
売り切れたのだ
発売日前から売ってたしね
295 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/10(日) 16:58:08.46 ID:gAoFUu.o
発売日前に行っても売ってなかったんだ
いいかげん本スレを覗きたいよ
296 :nubewo ◆sQkYhVdKvM :2010/10/11(月) 23:51:20.33 ID:gWqZzAso

「長居すると冷えてくるな。秋沙、寒くないか?」
「当麻君とくっついてると寒くないよ。……と言いたいところだけど。さすがに足が寒いのはどうしようもないね」
「じゃあ、もう帰るか?」

この高台に来て、20分くらいだろうか。
もとから夜景以外に見えるべきものがあるわけでもないし、ブランコで遊ぶ年でもない。
寒くなければいつまでだってここでじゃれあっていたいのだが、そろそろ厳しい季節だった。

「あとちょっとだけ」
「ん。わかった。……で何分ぐらいだ?」
「一時間くらい?」
「それ、かなり寒いんじゃないか?」
「そうだね。でも。帰っちゃうとこんなことできなくなる」
「だなあ」

こんな時間に女子寮に上条が入るのはあまりに剣呑だし、その逆はインデックスがいるせいで無意味だ。
二人っきりで触れ合える場所は、寒い場所ばかりだ。
柵にもたれかかった背中が寒い。だけど、全幅の信頼を寄せるように預けてくれた姫神の重みが嬉しい。
触れ合っている体の前面は大丈夫だろう。せめて届く、背中と頭を撫でる。

「寒いところにいるのは残念だね。あったかいところでこうされたら。寝ちゃうかも」
「気持ちいいか?」
「すっごく。安心する」

きゅっと上条のジャケットを握るその手に、庇護欲をそそられる。

「明日。当麻君はお昼どうするの?」
「あー、弁当を作るにも晩飯の残りとかないからなあ」
「じゃあ。作ってきても。迷惑じゃない?」
「……マジ?」

それは嬉しい。物凄く嬉しい。そして同時にかなり恥ずかしい。
うまく立ち回らないとクラスメイト中に晒されることになる。
上条の懸念を理解しているのだろう。姫神がクスリと笑った。

「おおっぴらなのは恥ずかしいから。屋上とかで二人で食べよう?」
「まあ屋上にもそこそこ人はいるけどさ。まあ教室よりはずっといいか」
「やめたほうがいい?」
「いや、なんだ。恥ずかしいんだけど、それ以上に食べたい。秋沙の料理」
「うん。……明日までには無理だけど、もうちょっと恥ずかしくないものを作れるように勉強しておくね」
「秋沙の腕はもう充分だろ」
「そんなことないよ」

そんな、どうでも良いようなことを喋りながら空を見上げる。
地上の光がさえぎるから大きな星しか見えないが、建物に切り取られない星空はひたすら広い。
胸の中に好きな女の子の体温を感じながら見上げるそれは、普段と全く鮮やかさが違っていた。

297 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/11(月) 23:54:11.27 ID:2hQmRMUo
ああああああああああ
こんな青春送りたかった
298 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/12(火) 00:12:25.55 ID:vOL9ZnQo
さあそのカタルシスをSSにして吐き出すんだ!
俺の送りたかった青春はもう書いた。
299 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/12(火) 03:29:39.13 ID:aitjLkAO
22巻おもしれー むぎのん可愛いよむぎのん 一方通行さんマジ天使 姫神可愛いすぎだろ明日普通に学校てか明後日から定期テスト…
300 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/12(火) 07:36:40.40 ID:obCo/gk0
終わりスか?
301 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/12(火) 09:18:56.95 ID:sSEJW2DO
>>300
むしろ最近は1日1レス以上あるのが凄いと思うのだが

あれ…?
調教されてる?

まぁまだ終わんないだろキリは良さそうだけど
302 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/12(火) 10:39:38.24 ID:vOL9ZnQo
結局、それから一時間近くじゃれあった。
ふと気づいて時計を見たときには、飲み屋とファミレス以外の外食店が閉まる時間帯だった。
女の子が外を歩いていい時間も、いい加減に終わりだった。
帰りの道すがらはあっという間だった。行きの沈黙が嘘のように会話が続いて、時間を感じさせなかった。
明日からは、もっと楽しい日が待っている。それは間違いのないことなのに。
今日というこれからもずっと記憶に残るような、大切な一日が終わってしまうことが、寂しかった。

「それじゃあ、また明日、だな」
「うん……」

女子寮のエントランス。見送るほどの距離でもないが、名残惜しくて上条はそこまでついていった。
ここまで来ても、まだ姫神は歯切れが悪かった。

「いい加減思いきらなきゃだめだよね。明日。また会おうね」
「ああ。というか嫌でも学校には行かざるを得ないしな」
「サボリ魔のお前が言えたことじゃないと思うけど」

不意に、後ろから声が掛かった。
肩より下まで伸ばした黒髪をカチューシャで上げた女性。
まっすぐで僅かに濡れたような艶のある髪は、姫神とコンセプトが近い。
ただ胸元の凶暴さはまるで違う。その気だるげな雰囲気と相まって、エロい感じのする人だ。
名は雲川芹亜。上条たちの先輩に当たる人だった。

「お前は基本的にいつも不幸な人間だったと記憶してるけど。今は不幸なの?」
「今は別に不幸なことはないですけど」
「ああ、私が不幸の種か。転校生ともう懇意なのか。相変わらず手は早いな」
「何ですか人聞きの悪い」

隣で姫神の機嫌が加速度的に悪くなっていくのが分かる。
今日という日の余韻を楽しむ瞬間に、雲川が割り込んだからだ。

「お前は不幸不幸と言いながら女運だけはやたらと良いけど。なぜそういう例外があるんだろうな」
「女運って。どう考えてもそんなもんはないでしょう」
「なら隣の彼女はどう説明付ける気だ? まあ興味は尽きないけど。
 馬に蹴られないうちに退散することにしよう。じゃあな」

エレベータに乗り込んで、雲川は二人の前を後にする。
扉の閉まり際に、上条が必死になって弁明する声が聞こえた。

「……当麻君。私は。あの人のことは聞いてない」
「い、いや。あの人とはここ最近の付き合いじゃないし、魔術とか超能力が絡んだ知り合いじゃなかったから」

ふっと笑って、確認するように独り言を呟く。

「上条が言い寄られるのは、運というよりは気質なんだろうな。
 不幸があっても自分で未来を切り開いていける前向きさというのは将来性がある。
 確かに私も伴侶に求めたい気質だな。
 だが、女難の相は悪運の類だろう。吸血殺しもこれから苦労するだろうな」

散歩の帰りに思わぬ楽しみがあって、ちょっと満足げな雲川だった。
303 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/12(火) 10:42:31.49 ID:vOL9ZnQo
>>300
終わるときにはレスの最後におわりって書くからー
もうちょっとで終わるけどね。

>>301
意外とコンスタントにかけてる作者さんって少ないよね。
今以上のペースにはたぶん上がらないので調教されといてくれ。すまん
304 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/12(火) 11:24:14.79 ID:vOL9ZnQo

「ただいまー」

自室のドアを開ける。おかえりー、というインデックスの声がなかった。
不審に思いながら居間まで進むと、ベッドサイドで膝を抱えてうずくまっていた。
机の上には食器が散乱している。先ほどの出掛けに当麻が作っていった食事だ。

「食べたものは片付けろって言ってるだろ。……っていうか、お前どうしたんだよ?」
「とうま」

ベッドの上のシーツがぐしゃぐしゃだ。そこで泣きはらしたのだろうか。目が腫れていた。
なにか良くないことでも起こったのだろうかと、鞄を放り出して慌ててインデックスに駆け寄る。

「体の調子でも悪いのか?」
「ううん」

ふるふると、乱れた髪を横に振る。
落ち着けるように、軽く頭を撫でながらそれを整えてやる。

「とうま……。とうまは、どこにもいかないよね?」
「え?」

ドキリ、とする。姫神とのことを言われたのかと思ったからだ。

「どこにも、って何だよ。急にどうしたんだ?」
「一人でいたら、怖くなってきて……っ。私もとうまがいなくなっちゃったらどうしようって!」

ぎゅっと、インデックスにしがみつかれた。まだ残り火があったのか、ぐすぐすと泣き始めた。
そんなインデックスをどうにかしてやりたくて、上条はぎゅっと抱き返した。

「な、インデックス。落ち着いて話してくれないと、何が何だかわかんねーよ」
「さっきっ。カナミン見てたら……カナミンがお兄さんをとられちゃったの」
「……はい?」
「ずっとずっと憧れのお兄さんだったのに! すっごく優しくて、頼れる人だったのに。
 『僕には好きな人がいるんだ』って、絶対それはカナミンのことだと思ってたのに!!」
「あー」

青髪ピアスの言葉を思い出した。たしかこの超機動少女(マジカルパワード)カナミンというアニメは、
最終話近くで小さな女の子達にとって地雷とも言うべき話が存在するのだとか。
ずっと主人公の憧れだった「お兄さん」が、同年代の女の人と結婚してしまうエピソード。
たぶん、インデックスが言っているのはそれだろう。確かに地雷を踏んでインデックスは満身創痍だった。
305 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/12(火) 11:25:11.93 ID:vOL9ZnQo

「カナミンだってすっごくお兄さんのこと好きだったのに。どうして振り向いてくれなかったのかな」
「さあ、なんでだろうな」
「カナミンは年下で、お兄さんよりは子供だったかもしれないけど。でも、すっごく頑張ってアピールしてたのに」
「そうか」
「カナミンと違ってお兄さんには特別な力なんてなかったのに、カナミンが危ないときには助けてくれたんだよ?
 カナミンはそれが嬉しくて、すっごくドキドキしてたのに」
「それでお前、ずっと泣いてたのか」
「うん……。だって、こんなのカナミンが可哀想なんだよ! 年下だからって、まだ子供だからって、
 あんなの……っ。カナミンだって好きだったんだからああぁぁぁぁ」」

ぶり返したのか、うわぁぁぁとインデックスが胸の中で泣いた。
情操教育にはいい番組だなあ、なんて場違いな思考が湧いてくる。それは上条にとっても現実逃避だった。
インデックスの背中を撫でてやること5分。高ぶった感情を沈めるのにそれだけ掛かった。

「……落ち着いたか?」
「うん。ごめんね、とうま」
「いいよ、気にすんな」
「とうまはどこにも、行かないよね?」

言葉に詰まった。自分はついさっきまで、どこでなにをしたのか。
返せるのは、意図的に曲解を含めた答えだけ。

「俺の家はここしかないし、お前がここにいればそりゃ俺は帰ってくるさ」
「うん……」

柔らかく笑うインデックスの、そのあどけなさが痛かった。

「それで、最後カナミンはどうしたんだ?」
「え?」
「ずっと落ち込んでて、おしまいか?」
「ううん。……お兄さんに、笑っておめでとう、って」
「そうか」
「私には出来ないよ、あんな風に笑うことなんて」

その一言は、重たかった。お兄さんは、どういう気持ちでカナミンに「それ」を告げたのだろう。
上条はその日、インデックスに告げることは出来なかった。
こっそりとやりとりする姫神とのメールが、やけに後ろめたかった。
306 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/12(火) 12:04:07.74 ID:vOL9ZnQo

パジャマの裾をぎゅっと握り締めて画面を凝視する打ち止めを、洗い物をしながら黄泉川は眺める。
芳川はベランダで星を見ながらコーヒーを飲んでいる。
寒いところで飲むコーヒーが好きだなんていっていたが、あのアニメを見るのがいささか辛かったのだろう。
子供向けのクセに、思い人を取られる時の心情をやけにリアルに描いていた。
別に芳川は過去を思い出したとか、そう言うわけではないだろう。
だがアニメのキャラに感情移入できるほど若くもなくて、しかし恋愛ごとから遠ざかるにはいささか若すぎた。
なんとなく居心地が悪かったのだろう。
同年代の自分も同じことを感じていたが、手に泡をくっつけて皿をゴシゴシやりながら、
10歳程度の少女がアニメを見ているのを眺めていると、野暮ったい母親めいた気持ちが湧いてくるのだった。

「はぁー、ってミサカはミサカはクライマックスを見終わった後のため息をついてみたり」
「ん、終わったか。ニュースに変えてくれ」
「もう! 黄泉川は余韻を楽しむってことをわかってない!ってミサカはミサカは主張してみる!」
「ずいぶんとハマってたじゃんよ。こないだはアニメで泣くほど子供じゃないとか言ってたのに」
「な、泣いてなんかないんだもん!
 何度も言うけどミサカは培養器から途中で放り出されたからこんな姿をしてるけど、
 精神年齢はちゃんと14歳のものなんだからってミサカはミサカは懇切丁寧に説明してみる」

蛇口をひねる。一つ一つ食器から泡を洗い落として、水切り籠に入れていく。
真後ろにある食器洗浄器が新米兵のまま泣いていた。

「話を聞いてよーってミサカはミサカはソファの上で腕を振り回してみる!
 あ、芳川だ。そんなに外にいて寒くないの?」
「まだそこまで冷える季節じゃないわよ。で、アニメはもう終わった?」
「うん。あの子は大切な人をとられちゃったけどねってミサカはミサカは報告してみたり」
「そう。……それにしてもこのアニメの対象年齢っていくつなのかしらね。
 あまり強い感情を引き起こすアニメは子供には良くないって意見もあると思うけど」
「日本のアニメが海外で問題視される理由の一つじゃん。喫煙なんかは絵の修正で何とかなるけど、
 ストーリーの根幹にかかわる部分はどうしようもないよな」

打ち止めが画面を見て寂しそうな顔をしているのに気づいた。
もしここに彼がいたら、悪態をつきながら一緒にアニメでも見ていただろうか。
そんなことを考えていると、打ち止めがこちらを見た。

「――む。なんか余計な心配されてる気がする、ってミサカはミサカは警戒してみる」
「会えなくて、寂しい?」

芳川がそっと頭を撫でた。最近自分も芳川も何気なく母性を発揮してしまう局面が多くて困る。

「大丈夫だよ、ってミサカはミサカはほんのちょっとだけ強がってみたり。
 あの人はきっとモテないから大丈夫。最後にはちゃんと私の胸に帰ってくるんだから。
 ってミサカはミサカはカナミンとは違うところを見せ付けてみる!」

この少女と彼は、不思議な関係だった。割れ鍋と綴じ蓋のような、夫婦らしいところを見せることもあるし、
時には父娘のような、あるいは兄妹のような、そんな雰囲気になることもあった。
――どこで何をしてるかあたしたちは把握できてないけど、打ち止めを泣かすんじゃないよ。
そんな感傷に少しだけ浸って。
黄泉川はテレビのチャンネルをニュースに変えた。打ち止めに怒られながら。
307 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/12(火) 12:06:42.19 ID:vOL9ZnQo
終了まであと3レスくらいかなあ。付き合うまでが本編だからね。
ではまた
308 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/12(火) 19:58:40.54 ID:E9L/Iooo
もう終わりか…
309 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/12(火) 22:28:54.18 ID:vOL9ZnQo

「――って感じでさ。ごめん。昨日は話せなかった」
「……そう。たしかに。ちょっと言い出しにくいね」
「ごめん」
「ううん。日を改めて。またちゃんと報告しようね」
「ああ」

通学路。エントランスで待ち合わせをして、他の学生達と共に学校へ向かう。
手は繋がない。朝っぱらからそういうことをやると冷やかしも激しいのだ。
手にはすこし可愛らしい柄の巾着。鞄に入りきらなくなった二人分の弁当を、
今日はここに入れてきた。自分の弁当だし、上条はそれを自分で持つと提案した。

「あー……とりあえずあの二人にはこっちから言わないとなぁ」
「……それと、吹ちゃんにも」

憂鬱なことだった。
青髪と土御門はこちらから説明しなかった場合嫌になるほど質問攻めにされるのが目に見えている。
吹寄には、話すべき理由がある。

街路樹はそろそろ色褪せ始めて、黄色に近い葉もちらほらと見かけた。
遠くには、昨日の公園が見えていた。

「当麻君?」
「昨日、あそこにいたんだなって」
「うん……」

髪を揺らしながら、幸せそうに姫神が微笑んだ。
それが嬉しくて、上条も笑い返した。

「おはよう。二人でいるってことは、そういうことでいいの?」

後ろから声が掛かる。振り向くと吹寄がいた。

「吹ちゃん」
「はよーっす。……顔色悪いな、吹寄」
「え? そう?」
「なんつーか、目に隈ができてる感じがする」
「まあ、寝てないからね。いろいろやることがあって」
「無理すんなよ」
「うん。ありがと」

角がなさ過ぎて、やりにくかった。どうも本格的に吹寄は不調らしい。

「で。昨日あれからどうしたの?」
「吹寄。……その、まあなんだ。お前の予想通りだ」
「……」
「姫神と、付き合うことになった」
310 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/12(火) 23:16:56.53 ID:vOL9ZnQo

少し話すと、吹寄はさっさと前を歩いていってしまった。
あまり姫神は話すことが出来なかった。たぶん、あからさまにならない程度に避けられていた。
嫌われたのとは違う気がするが、仕方ないことだろう。
少し時間を置いたら、疎ましがられても自分から話しかけに行こうと姫神は決めた。

校門をくぐった辺りで、『運転手のいない自動車』の怪談の元になった車に追い抜かれた。
中に乗っているのは『学園都市の技術によって大人になれなくなった人』と噂されている人だ。

「おやおや姫神ちゃん。今日は上条ちゃんと一緒に登校してるんですねー」
「あ、おはようございます」
「おはよう。小萌先生」
「今日はいい一日になりそうですねー?」

小萌先生が姫神に訳アリな笑みを向けた。姫神はその意図を理解しているらしかった。
微妙なことではあるが、姫神と上条の距離は、ただの友達よりも少しだけ近い。
姫神の気持ちを知る小萌先生にとって、それはとても嬉しくなることだったのだ。

「姫神ちゃんは今日も頑張ってるです。上条ちゃんも人の気持ちをちゃんと分かるようになるべきですよ」
「……はい?」
「小萌先生」

姫神は、現状が小萌先生の予想を上回っていることが少し、嬉しかった。
きっとこの先生は、姫神が頑張ってこの距離まで詰めているのだと、そう考えているのだろう。
それを訂正するのは、嬉しかった。
上条の腕をそっと握る。

「違うよ」
「えっ? あ、ももももしかして! 姫神ちゃん?」
「当麻君」
「な、なんだ?」

担任の目の前で、昨日告白したばっかりの彼女と腕を組むのはさすがに恥ずかしい。
どうせ噂でものの数日中には知られるのだろうから、あとでこっそり知っておいて欲しかった。

「小萌先生にも。ちゃんと報告したい」
「……姫神は、恥ずかしくないのかよ」
「私が当麻君のことを好きだったのは。もうずっと前にばれてたことだから」

そういえば姫神は月詠家に居候していた時期もあるのだ。考えれば自然なことなのかもしれない。
上条にだって小萌先生は並々ならぬ恩がある人だ。そういう意味では、きちんと報告すべきなのかもしれない。

「小萌先生。まあ、その……姫神と付き合うことに、なりました」
311 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/12(火) 23:19:42.23 ID:9FuxwU.o
あまずっぺぇぇぇえええええ
なにこれ[ピーーー]るwwww
312 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/12(火) 23:19:45.26 ID:vOL9ZnQo

パアァァァァァァ、と小萌先生の表情が明るくなった。

「本当ですか! わぁぁぁ、おめでとうです姫神ちゃん! 上条ちゃん!
 はぁー……良かったですねぇぇ姫神ちゃん。ほんと、ほんとに良かったですねー!!」
「うん。ありがとう」

淡く笑う姫神の視線が優しくて、いとおしかった。
それを見つめていると、突然小萌先生の目が厳しくなった。

「上条ちゃん!」
「な、何ですか?」
「姫神ちゃんを泣かせたら先生が承知しないです!
 上条ちゃんはやんちゃで色んなところで女の子と仲良くなってくる困ったさんですが、
 お付き合いする女の子を泣かせるようなことはしないって先生信じてるです」
「当たり前です」

突如、思い出したように小萌先生の顔が暗くなった。

「……シスターちゃんにも、ちゃんと説明するですよ」
「はい。姫神にも言われてるんで、なるべく早く」
「上条ちゃんは、大人になるんですね」
「なんですか突然」
「小萌先生?」
「誰にもいい顔したりせず、大切な人を一人だけ選ぶってことは、とっても大人なことなんですよ。
 それはとてもとても、上条ちゃんにとっても、姫神ちゃんにとってもかけがえのない経験なのです。
 これからずうっと一緒にいられるかは、愛情だけでは測れないものが沢山ありますけど、
 先生はそれらを二人が乗り越えてくれることをずうっと願ってます。
 そして、二人の周りの人にも、ちゃんと感謝の気持ちを忘れないこと」
「はい」

これほど小萌先生の説教をきちんと聴いたのは、初めてだったかもしれない。
言葉の重みを知って始めて、説教というのは実に染みるのだろう。

「さて、じゃあもう時間です。朝礼でまた会いましょう」
「はい」
「んじゃ、また後で」

満足げな小萌先生を見送って、二人は階段を上がった。
313 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/12(火) 23:36:26.54 ID:vOL9ZnQo
あと1レスで終了かー。
まあ、長いというほどでもなかったけど。
とりあえず風呂敷を畳めたことに一安心だ。
314 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/12(火) 23:54:21.64 ID:vOL9ZnQo

教室に入ると、意外なことに青髪も土御門もすでに来ていた。
土御門は来る日は早い時間に来るので驚くほどではないが、
青髪は小萌先生に怒られるためにわざわざ遅刻をする男だ。

「おっすカミやん。……姫神と連れ添って入ってくるなんて、意味深やなあ」
「で、どこまで進展したのかにゃー?」

ああ、こいつらは変わらないなあ。上条はそう嘆息した。
姫神はクラスに入った時点で自然と分かれ、今は女子と挨拶を交わしていた。
こちらが見ているのに気づいたのだろう。目が合った。

「あのうカミやん? いま、もしかして姫神とアイコンタクト、してた?」
「まさか。それはないぜよ。フラグの立て逃げが信条のカミやんに限って」
「立て逃げって、人聞きの悪い」
「だけど真実だにゃー?」
「勝手に言ってろ」

自分の机に鞄を置く。この程度の誹謗中傷は日常だから気にはならない。
だが、なんだが疑いの目をした青髪ピアスは普段と違った。

「カミやんの昨日の顛末、気にならへんの?」
「いやー実はさる筋からの情報からでな、あれからカミやんはさらにもう二人の女の子との
 合計四人でお茶をしたらしいにゃー」
「……うわー。デートするって学校を出ても、やっぱりカミやんはカミやんやねえ」

さすがに、この二人に付き合っていることを打ち明けるのは恥ずかしい。どうやって切り出していいのかも分からない。
……と、ふと気づくと姫神が隣にいた。

「姫神さん?」
「どうしたんだにゃー?」

上条との関係を疑うより前に、昨日さんざん弄ばれた怒りをぶつけられるのかと警戒しているようだった。

「別に。上条君に言いたいことがないなら。すぐ立ち去る」
「姫神……」

良いのかよ? と目で問う。首は縦に振られた。

「あー、なんだ。昨日は確か俺がもてるかもてないかって話から、始まったんだよな?」
「カミやん」
「まさか……」
「まあ、結論を言うとだな」

隣で姫神が軽く笑い、上条の腕を抱いた。クラス中がその仕草に息を呑む。
怒涛の急展開を見せた昨日を振り返る。いろいろとあった。そしてその結末が、今ここにある。
上条は軽く呼吸を整えて、姫神が隣にいることの意味を、一言に込めた。

「もてた」

――――おわり――――
315 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/12(火) 23:56:24.63 ID:vOL9ZnQo
どうも、長いことお読みくださってありがとうございました。
あっけない読了感ですみませぬ。結末を書くのは苦手だ。。。
さて、つらつらとあとがきでも書かせてください。
316 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/12(火) 23:59:57.67 ID:FafHbego
乙!
姫神かわいいよ姫神
317 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/13(水) 00:10:34.17 ID:lQB6Aaoo
私の文章のテイストは、二人の女性作家さんに影響されています。私は男ですが。
一人は「マリア様が見てる」の今野緒雪さん、もう一人は「御宿かわせみ」の平岩弓枝さんです。
初めに書いたのがFateSSなので、きのこ文体にも影響されていますね。
Fateや禁書など、男性の書いた男性向けの創作物はバトルや設定で魅せるものが多く、
心情描写の緻密さでは女性作家のものに及ばないと思います。
理想郷で描いている「トンデモ発射場ガール」はかまちーと同じ路線で魅せることを目標にしていますが、
こちらはかまちーがあまり文量を割かない心理描写で魅せることを目標にしていました。

たとえば吹寄で言えば、姫神と吹寄は互いの気持ちを知っている、しかし上条は姫神の気持ちしか知らない。
そういう誰がどこまで知っているかの違いを利用して、吹寄と上条のすれ違いを姫神の目の前で演じさせたりする。
そういうテクでこのSSはできています。

現実には姫神と上条がくっつく流れにはならんだろうと思いますが、そういう平行世界もあるかもなあと、
そんな風に皆様が妄想する手助けになっているなら幸いです。
318 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/13(水) 00:18:02.38 ID:lQB6Aaoo
お気づきの方もいるかと思いますが、まだインデックスに姫神を紹介するシーンが登場していません。
このSSは一応畳んでしまいましたが、このエピソードをアフターストーリーとして今後描いていく予定です。短いですけどね。
他に読んでみたいエピソードがあれば書きなぐっておいてください。時間と世界観の許す限り描いてみたいと思います。

それでは、ここまでお読みくださってありがとうございました。
これからもご縁がありましたら、よろしくお願いします。

nubewo
319 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/13(水) 00:52:03.84 ID:pWMACLIo
乙でした!!!
320 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/13(水) 00:53:42.56 ID:W1uJTnEo
乙です
婚后さんの方も楽しみです
321 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/13(水) 00:55:18.60 ID:e/1AnuMo
乙っす
322 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/13(水) 01:28:31.74 ID:5Ppa2A20
乙。
姫神は至高。上姫は真理。
323 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/13(水) 03:41:36.78 ID:pExpMgDO
乙!
最初から最後まで楽しめる本当にいいSSでした
ここまで泣ける「もてた」ってセリフねーよwってぐらい感動した…
姫神は自分の気持ちを前面にはださないけどセリフや仕草にすこしづつだすのがかわいくていいよね
報われて本当によかった
アフターもあるみたいなのでその後の日常等もたのしみに待ってます。

324 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/13(水) 10:04:33.30 ID:in6x4Bg0
Z
325 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/13(水) 11:11:43.58 ID:pXa7Ztwo

上条が姫神とくっつく流れは無いと思うけど
ハーレムルートの場合、初体験は姫神だと思っている

まあ、そんなことよりも気だるい雲川先輩が最高だなぁ
上条さんと雲川先輩のラブコメも良いよなぁ
326 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/13(水) 11:19:44.27 ID:NBQlAQ2o
雲川先輩と上条さんのラブコメ期待
327 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/13(水) 19:00:07.91 ID:YIHAeUoo
乙だ!姫神かわいいよ姫神
本編じゃ絶対に期待できない展開だからなぁ
できるならちょっとでいいからイチャイチャしてるのが読みたいな
328 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/14(木) 11:13:37.74 ID:0sDPJHQo
>>326
同意
雲川先輩のSSって無いのかな
329 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/20(水) 18:09:10.97 ID:7DXWyZ20
復活カキコ
330 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/20(水) 18:49:21.09 ID:063mtBw0
お前ら姫神スレで雲川先輩とのラブコメ期待するとかハードルあげすぎww
欝にならない展開でがんばって書いてみるわ。
ちなみに落ちている間はニコニコに上げる動画作ってたから続きは一切書いてない。
まあ、一応完結させたSSのスレだし、宣伝させておくれ。

2010秋アニメ01話に対する海外の反応【禁書・イカ娘・パンスト】
sm12488294

あと今週末は学会があって、瀬戸内海をまたいで海外に出張するのでしばらく続きは書けない。すまない。
331 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/20(水) 23:05:30.44 ID:E61iRz2o
自分のペースで書いてくれたらいいさ
ていうか学会で海外とか一体何者だよwwww
332 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/20(水) 23:23:03.69 ID:rGasTiM0
近畿から四国へと海を渡るってだけだよいわせんな恥ずかしい/////
333 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/21(木) 00:01:09.03 ID:Vn6zCgko
てめえwwwwww
334 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/21(木) 00:09:20.80 ID:GEscd0Ao
うどん食べにいくんですね
335 :p8042-ipbfp301kagawa.kagawa.ocn.ne.jp [sage]:2010/10/21(木) 19:01:24.59 ID:QSm30RMo
俺って海外人だったのか(゚Д゚)
336 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/22(金) 02:58:27.97 ID:HguNSh20
うどん県じゃないんだよなー。あえて言うならラーメン県? あー15分の発表原稿を暗記するってマジ辛い。
はやく姫神とイチャイチャする妄想に脳みそを浸したい。
337 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/22(金) 03:09:04.76 ID:4azVtvgo
早く寝た方がいいと思うぞww
338 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/22(金) 04:31:04.61 ID:w0vpTXg0
そろそろ寝るわ。三時間くらいは寝られそう。発表は土曜だからまだしも余裕あるなあ。
339 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/24(日) 12:09:17.01 ID:FNVEzRI0
今全部読んだ
姫神かわいすぎだろ
340 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/25(月) 12:53:56.21 ID:2hKk5lAo
読んでくれてありがとう。
ところで徳島ラーメンて美味しいね。生卵を入れ放題のお店で食べたんですが、いい感じでした。
それにしても週末も勉強して月曜からまた学校ってちょっとしんどい。先生達も皆そうだから文句も言いにくいけども。

さてじゃあ一話だけ上げて登校します。
341 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/25(月) 12:55:15.46 ID:2hKk5lAo

「あー冷えるなあ、さすがに屋上は」
「そうだね。でも。人が少なめだから」

昼休みのチャイムが鳴ってすぐ。
クラスメイト達は誰も上条たちを追いかけてこなかった。
姫神のものと思わしき茶巾袋にちょうど二人ぶん位の弁当が入っていそうなのを見れば、
追求する気も失せてしまったのだろう。

「女子の連中に何か言われたか?」
「……うん。仲のいい子達は控えめにだけど。おめでとうって」

控えめだったのは、同じクラスにいるもう一人の上条を好きだった女の子に遠慮したからだ。
姫神はそれを暗に上条に伝えたが、そういう複雑なことは伝わらなかった。

「そうか。ま、大騒ぎされると色々面倒だしな」
「当麻君は。あんまりみんなに知られたくない?」
「そういうわけじゃないって。ただ、休み時間に追い掛け回されたりすると、
 秋沙とこうやって昼飯を食べたりは出来なくなっちまうだろ?」
「そうだね。それは。嫌だね」
「だろ? でさ、どういう風に座ればいいんだ? こう、対面になるようにすればいいのか?」
「ううん。壁に二人でもたれて、並んで食べたい」
「わかった。けどこれじゃあ、秋沙の顔を見て食べれないな」
「だからだよ。食べてるところを見られるのは。恥ずかしいし」
「いやでも教室で弁当食べてる秋沙を見たこと、何度もあるぞ?」
「それはいいの。……お付き合いしてる当麻君に見られると。恥ずかしいだけだから」
「秋沙の食べ方は綺麗だから、別に恥ずかしがることはないと思うけどな」
「恥ずかしいよ。それと。並びたい理由はもう一つある」
「ん?」

とすんと二人で壁際に腰掛ける。
膝上に置いた茶巾袋の口を緩めるより先に、姫神が体を傾けて、隣にいる上条の肩に頭を乗せた。

「対面に座っちゃうと。こういうこと。出来ないよね?」
「……だな」

上条は他意なく姫神との間に開けていた距離をぐっと詰めて、体の側面を姫神とぴったりくっつけた。
そして姫神の腰に手を回した。

「このままじゃ。お昼ごはんを食べられないね」
「飽きるまでやってから、食べ始めればいいんじゃないか?」
「駄目だよ。そんなことしたら。お昼ご飯食べる時間がなくなるから」
「秋沙」
「当麻君」

お互いに用事がないのを分かった上で、何の意味もなく名前を呼び合う。
目線を合わせると、柔らかく微笑む恋人の顔と、その瞳の中で笑う自分の顔が見えた。
342 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/25(月) 13:12:07.07 ID:84V/t2Io
ニヤニヤが止まらんな
343 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/25(月) 20:41:36.36 ID:xz6Po/g0
最高っす!キスシーン見たいな

婚后さんのほうも見てますよ。
彼女一筋っていいですよね!
344 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/25(月) 21:37:42.42 ID:ZA56ccso
ニヤニヤした後に鬱になるというジレンマ…
345 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/25(月) 23:43:31.00 ID:WBSYAkAO
馬鹿野郎めが!
346 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/26(火) 12:37:04.43 ID:5LWUf3wo
続きを書かずに申し訳ないが、まとめwikiのほうで誤字訂正とか色々しておきました。
ttp://www35.atwiki.jp/seisoku-index/pages/38.html
こちらを読むと途中に私の雑談とかが混じってなくて読みやすいかと。
347 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/27(水) 00:51:25.64 ID:v0r/wqQo

「時間もなくなるし、弁当食べようぜ」
「うん。あんまり。美味しくないかもしれないけど」
「その心配はしてない」
「しておいて欲しい。期待以下で失望されるのが。一番辛いから」

ややためらう仕草を見せながら、姫神が弁当箱を取り出した。
蓋を止めるバンドを外して中を開くと、一段目のご飯は綺麗な鮭弁だった。
自分がこれを作ると、多分白米を詰めた上から鮭の切り身をドン、だと思う。
だが姫神は鮭の身を丁寧にほぐして骨を取って、ご飯の上に満遍なく散らしていた。
中央には彩りにほうれん草が乗せてあって、いかにも美しい。
二段目のおかずもとにかく綺麗だった。
まずブロッコリーのおかか和え。色がまったく褪せていない。
玉子焼きも上条が作れば不ぞろいになったり箱のサイズにあわないものを強引にブチ込むが、
姫神お手製のそれは優しい黄色で形もまとまっている。
その隣にあるカップに入ってるのは、大豆とひじきの煮物だろうか。
荒く豆が潰してあるのが上条家とは流儀が違った。豆粒が躍り出たりしない分、合理的かもしれない。
たこさんウインナーはどうも開き方がいびつで不慣れな感じがするが、
そりゃあ自分用の弁当でわざわざウインナーの整形なんてしない。
慣れてないけど、多分自分以外の人に出すものだからと、頑張ったのだろうと思う。

一家の主夫、上条当麻として評価した姫神の弁当は。

「完璧だ……」

その一言に尽きた。
姫神は少し笑ったが、不安のほうが大きいのか晴れやかな顔にはならなかった。

「お弁当は見た目より味だから。口に合わなかったら。ごめんね」
「いやいや、これどう見ても美味そうだろ。じゃ、遠慮なくいただくな」
「うん。召し上がれ」
「いただきます」

上条はブロッコリーをつまんで、口に入れた。姫神が固唾を呑んでそれを見守る。
じゅわ、と口の中に旨みが広がった。
鰹節と醤油の組み合わせかと思いきや、実はブロッコリーの煮びたしだったらしい。
出汁の優しい味わいと硬めに茹でてザクザクとした歯ごたえを残すブロッコリーの食感の組み合わせがいい。
コメントするより先に、ご飯に箸を伸ばした。

「どう。かな?」
「なんか普通で悪いんだけど……めちゃくちゃ美味い」
「本当? お世辞は。別にいらないよ」
「お世辞なんかじゃないって。ホントに美味いから」
「うん。……美味しくないのがあったら無理しないでいいから」
「そんなに心配することないと思うけどな」
348 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/27(水) 13:53:41.97 ID:Xn0nMVwo
海原「この弁当を作ったのは誰だ!」
349 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/27(水) 23:45:29.50 ID:y6E0SiA0
>>348
美琴はフリーになったんですから静かにしててください
350 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/28(木) 00:28:56.89 ID:sa6u6IoP
>>343
婚后さんのタイトルってなに?
351 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/28(木) 04:01:56.31 ID:qMYJGUYo
おつっつ
352 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/29(金) 08:40:42.54 ID:Xpr9NtY0
ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガールってんだ。
なんか掲載先のarcadiaが現在落ちてるようなので、しばらく待ってチェックしてくれ。
353 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/30(土) 22:24:39.35 ID:6gX6gs6o
婚后さんのSS珍しいよね
354 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/30(土) 23:42:28.43 ID:tbcUdNYo

それほど多かったわけではないので、上条はあっという間に弁当を平らげた。
一品一品が非常に丁寧に作られているのがわかる出来だった。

「ごちそうさまでした。美味しかったです。ありがとな、秋沙」
「お粗末さまでした。良かった。食べてもらえて」

自分も少し遅れて食べ終えた姫神が、弁当箱を仕舞いなおした。
ふと視線に気づく。上条が、ちょっと不思議な感じの目をこちらに向けていた。
僅かに首をかしげて意図を伝える。

「あ、いや。なんかさ、いいなって思って」
「いい?」
「一人の女の子と付き合って、こうやって二人っきりで弁当食ったりするのって、なんか新鮮でさ」
「うん。私にとってもそうだよ」
「嬉しくなるな」
「嬉しくなるね」

上条が頭を姫神の肩に預けた。隣の彼氏の重み。
ちょっと支えるのが大変だけど、それもまた嬉しかった。
なんとなくその仕草の意図が分かった気がしたので、膝の上の弁当箱を退けて、ぽんぽんと軽く太ももを叩いてみた。
ピクリと、上条が反応した。

「……秋沙」
「したい?」
「したいって、その」
「膝枕」
「う。したいっちゃそりゃものすごくしたいけど、一応周りにも人いるし」
「私は。あんまり気にしないよ。当麻君こそ見られたら困る女の人がいるの?」
「何言ってるんだよ。そんなのいないって。……ほんとにお邪魔しても?」
「いいよ。でも。気持ち良いものかどうかは知らない」
「秋沙の膝枕だから大丈夫だ」
「もう」

上条はおずおずと姫神のスカートへと向かってダイブした。
学校の方針もあってここの女子生徒のスカートはそこそこ長い。
なるべく膝よりのほうに頭を持っていって、そっと置いてみた。

「あったかい。あと秋沙の匂いがする」
「もう。恥ずかしいから言わないで欲しい」

上を見上げると、秋晴れの空と照れた表情の姫神の顔が映る。
そこに姫神の手がかざされた。

「気持ちいい。かな?」
「ん。授業サボって寝ても良いくらいには気持ち良い」
「そういうのはよくないよ」

そう言いながら、姫神は撫でるのをやめなかった。
355 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/10/30(土) 23:44:25.27 ID:tbcUdNYo
>>353
ですな。だからこそ婚后さんSS書いたってのもあるし。

あ、またニコニコに動画上げたんで。
日本鬼子を萌えキャラ化して(ryに対する海外の反応
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm12590684
356 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/31(日) 02:06:47.28 ID:JbADXcQo
毎度乙だ!
ニヤニヤとともにものすごい絶望感が襲ってくるな…
357 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/31(日) 23:19:10.68 ID:KYFSFego
乙!
確かにすごい絶望感だ…
だがそれがいい
358 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/02(火) 01:57:43.62 ID:ekVnPuIo

「当麻君。放課後。どうする?」
「あー……。知ってるだろ? さっき小萌先生に呼び出されたの」
「あ。そうだったね」
「秋沙は補習ないだろ?」
「うん。別に私は。座学の点は悪くないからね」
「俺だって真面目に授業に出さえすれば大丈夫なんだって」
「……学業がおろそかになるくらい。あちこちに首を突っ込むのは良くないよ」
「いやいや、上条さんは決して首を突っ込んでるわけじゃなくってですね、
 トラブルのほうからこっちにやってくるのですよ」
「なんでもいいけど。怪我をしたら。いやだよ」
「……ん。なるべく、秋沙に心配かけないようにするよ」

ふう、と姫神がため息をついた。

「あの子も毎度毎度心配してるんだろうね」
「毎回噛み付かれてるよ」
「え?」
「あいつ怒ると噛みつく癖があるんだよ。頭のてっぺんとかでもお構い無しに」
「ほっぺたとか。唇は?」

上条の髪を梳く手を止めて、拗ねた顔でそんなことを聞いてきた。
あやすような意味を込めて、撫でてくれる腕に軽く触れる。

「唇とか、そういうのはないって。ほっぺたは……」
「あるの?」
「……事故で、一度だけ」
「これからは。事故でも起こしたら許せないかも」
「うん、まあ。気をつける」

そこで不意に、姫神が撫でるのを辞めて腕を取った。
持ち上げて、軽く袖をまくる。
上条が疑問を込めた視線を投げかけると、手首をぐっと握られた。

「手首。やっぱり太いね」
「そりゃ、秋沙よりはな」
「噛みついてもいい?」
「はい?」

姫神は最後まで諒解を取り付けなかった。
そっと口を開いて手首の辺りの骨がゴツゴツしたところに軽く歯を立てる。
せいぜいがハンバーグを頬張る時の開き具合程度だったから、インデックスみたいにがぶりとはいかない。
そのまま数秒間。姫神の歯の硬い感触と、僅かに感じるぬるりとした感触と、熱い吐息がゾクゾクする。

「秋沙?」

その言葉でハッとしたかのように、噛み付きが止んだ。
359 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/02(火) 01:58:12.19 ID:ekVnPuIo

姫神が顔を赤らめ、そっぽを向いていた。勿論膝枕の状態から見上げているのでそれでも表情は丸見えだ。
照れているようで、すこし拗ねているような、そんな表情だった。

「えっと」
「……あの子がしたのなら。私もする」
「え?」
「なんでもない。ちょっと焼きもちを焼いただけ。嫌だった?」
「嫌、って事はないさ。むしろドキドキした」
「私もすごくドキドキした」

甘噛みは、恋人同士なら意味合いがずいぶんと変わってくる。
インデックスとのやり取りでは感じないような緊張感が、そこにはあった。
姫神も、それを感じていたのだろう。

「当麻君のを咥えるには。結構口が大きくないと駄目かも」

ぽつりと、そんな表裏ない感想がこぼれた。

「う、あ、はは。そうか。」
「……?」
「な、なんでもないって」
「……!?」

自分の言った言葉の迂遠な意味に気づいたらしい。
ぽん、と顔が赤くはじけた。

「私べつに変な意味じゃ」
「だ、大丈夫! 分かってる!」
「当麻君のえっち」
「否定は出来ないけどさ」
「お付き合いしてすぐなのに」
「ごめん。……あれ、付き合いが長ければ、ありって事?」
「もう! 知らない」

つかんでいた上条の腕を少し乱暴に姫神は突き返した。
軽く拗ねた感じの姫神に声をかけるのが少しためらわれて、ケータイを取り出して時刻を見た。

「もう、いい時間だな」
「えっ? 嘘」
「嘘じゃないって。ほら」
「あ……。嫌だな。楽しい時間って。あっという間だね」
「だな。放課後、一緒に帰ろうと思ったらかなり待たせることになると思う」
「それは良いんだけど。でも。お付き合いしてる彼氏が出来たからって友達付き合いが悪くなるのはちょっと」
「じゃあ、秋沙は友達と帰るか?」
「うん。ごめんね当麻君。それでいいかな?」
「むしろ補習を受けるはめになった俺が悪いんだしさ。さて、それじゃ戻りますか」

校舎の中までと屋上へいたる階段の短い間だけ、二人は手を繋いだ。
360 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/02(火) 02:02:50.92 ID:ekVnPuIo
SSを読んで絶望しましたって感想はすごく新しいwwはじめて貰ったわ。
361 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/02(火) 03:10:06.42 ID:2.0KThgo
乙なんだぜ!姫神かわいすぎる
最初はニヤニヤしてるんだけど我に帰るとね…
362 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/02(火) 04:06:43.00 ID:nI.Tlvwo
なんかこうあったかいものとどす黒いものが同時に吹き出てくる感じがして色々と堪らない
363 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/02(火) 11:38:42.74 ID:ekVnPuIo

放課後。小萌先生にこってり絞られて、ようやく開放された。
完全下校時刻という制度がこの時だけは有難い。

「にしても、どんだけ頑張ったって上条さんに超能力なんて使えるはずがないのですよっと」

得体の知れない右手のせいだというのは分かりきっていることだ。
頑張りすぎて軽い頭痛のする脳みそを揺らしながら、上条は階段を下りた。
姫神は先に帰ったので、帰りは一人。
小萌先生が今日はいつもに増して頑張ったのは、姫神と無関係ではないだろう。
ちょっと気味が悪いくらいにこやかに授業中に微笑みかけられた。

「当分は先生からも言われるのか。……あれ、なんだあのでかい車」

階段を折りきって公道に出たところ。そこに黒塗りのリムジンが止まっていた。
常盤台クラスのお嬢様学校なら、似つかわしいかもしれない。
どこにでもある弱小高校には、明らかに不似合いだった。
係わり合いにならないで済むよう、なるべく車から離れて歩く。
無意識に車がバックするときのランプが光ったりしないか気をつけながら歩ける辺りが不幸慣れの証だった。

「奇遇だな、上条」

不幸は常に予想外のところから飛んでくる。
今回は後部座席の、少し開いた窓の隙間からだった。

「奇遇なんですか? 先輩」
「まあ実を言うとお前を待ってたんだけど」
「……そうですか、それじゃあまた」
「連れないな。家まで送ってやるぞ?」
「いやいいです。自分で帰れますから」
「こないだ連れまわしたのをまだ根に持ってるのか? まあ随分笑わせてもらったけど」
「え?」

こないだ?
その言葉に上条はドキリとした。夏休みに入ってからは、そんな覚えはない。

「なんだ、忘れたのか? 私の胸を鷲づかみにしておきながらその態度というのは許しがたいけど」
「い、いやべつに……」

雲川のは上条の手のサイズで鷲づかみに出来るか怪しいくらいの大きさだ。
そんなことを、上条はやらかしたのだろうか。

「責任を感じているのなら乗れ。今日もパーティのエスコート役を調達し忘れた。
 ……断るなら、あの転校生にこないだの話を丁寧に説明してやるけど?」
「そ、それは困ります! 分かりましたよ! 付き合えばいいんでしょう?!」
「なんだ、姫神を捨てて私と付き合う気なのか? それならもう少し男振りを上げて欲しいんだけど」
「そういう意味じゃないです!」

どんな話を姫神に吹き込まれるのか、分かったものではない。この人は嘘も平気で言う人だ。
泣く泣く上条は、リムジンに近づいた。
364 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/03(水) 11:15:20.27 ID:qToFfbE0
なんつーか姫神良かったね。っていうのと
かァァァァァみじょうさァァァァァん!っていうのがある
365 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/03(水) 11:28:53.99 ID:C24rnSko
雲川先輩(゚∀゚)
366 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/03(水) 16:27:36.90 ID:m4omAxYo
雲川先輩が出るのってなかなかない気がする
367 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/03(水) 20:37:05.08 ID:fB1Pa060
くそう、続き書きたかったんだけど3,4日お休みします。
明日からまた学会で東北行きだー。
意外と近くて近畿から6時間で着くんですね。徳島の倍程度じゃなイカ。
368 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/03(水) 21:36:57.20 ID:qToFfbE0
ようこそ東北!ずんだ餅食べてみ!
369 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/03(水) 22:56:23.25 ID:9Doq6Rco
雲川先輩の胸を揉んだのか羨ましい
370 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/04(木) 03:05:07.60 ID:T1LPpPIo
運転手をしていた壮年の男性が降りてきて、扉を開いた。
軽くお礼を言って乗り込もうとしたところで、中の雲川の服装にようやく目が行った。

「……かなり本気の服装じゃないですか」
「そうだけど? 面倒だがパーティだから仕方ない」
「俺、制服ですよ?」
「大丈夫だ、問題ないけど。お前のサイズに合わせたタキシードをきちんと用意してある」

良いから乗れといわんばかりに、手を雲川に引かれた。

「せ、先輩危ないです……って! ちょ、うわわわわっ!!」
「……こんなベタな誘いでもお前は引っかかるんだな」

とにかく、柔らかい。
三人が悠々と座れる広い後部座席シート。その真ん中に座った雲川の胸元へと上条はダイブした。
明らかに雲川はそれを誘い、そして冗談みたいに非常事態が発生した。

「なんか、謝って損した気分です。つーかこのままついていっても不幸にしかならないような」
「食事代は全額負担だし、お前は大型のペットを買っていると風の噂に聞いたからな。ちゃんと土産もつけてやろう」
「……ちょっとラッキーって思った自分が情けない」
「ラッキー以外の何者だというんだ。お前は私の胸に今日も顔をうずめた訳だけど?」
「先輩。あんまりそういうこと、やらないほうが良いですよ」
「相手も時と場合も選んでいるけど。実を言うと、私はお前以外の男に胸を触れさせたことなどないよ」
「え?」

思わせぶりな意図を感じて上条は言葉に詰まる。

「お前ほど面白い人間は、今のところ片手で数えられる程度しか知らないからな。
 遊びの対価にこの程度は悪くないと思うけど」

ぐっと、雲川が胸を押し上げるように腕を組んだ。
胸元の大きく開いたベージュのドレスは、抜群のスタイルをもつ雲川が着ると破滅的なまでに男の視線を釘付けにする。
上条もその魔翌力に抗うことは出来なかった。

「ふふ。彼女に今のお前は見せられんな」
「う」
「捨てられんように一途でいることだな」
「ええ、まあ。忠告ありがとうございます」
「さてそれじゃあ、ここにタキシードがあるんだけど」
「はあ」
「着替えろ」
「……まさかここで、ですか?」
「お前はそんなみっともない姿で私を会場にエスコートする気なのか?」
「いやでも」
「広さは充分だろう。お前の家より広いんじゃないか? それに、私はお前の下着姿が晒されても特に気にしないけど」
「俺が恥ずかしいんですよ! それと車内よりはいくらなんでもうちのほうが広いです!」
「ほう、恥ずかしがるのか? それなら、見てやってもいいかと思えてきたんだけど」
「ああもう、先輩アンタぜったい面白がってるだろ!」
「だからそう言っているだろう。ほら、私に恥をかかすな。さっさと着替えろ」

雲川はこれっぽっちも容赦がなかった。
371 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/04(木) 03:08:04.60 ID:T1LPpPIo
15分でかけたので速攻投稿したぜー

>>368
ありがとう。頑張って探して食べてみるわ!
いったいドンだけ寒いんだろうか。それが心配。

>>369
催促されてる気がしたから今回も揉ませてみたぜ!


意外と雲川先輩動かしやすいな。書きやすかったです。
まあ、原作で文章量を割かれてないのでキャラがぶれやすいのが難点だけどな。
372 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/04(木) 09:51:05.68 ID:7Uy38Cgo

いいね。やっぱり。雲川先輩かわいいな。
373 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/04(木) 11:11:57.92 ID:8RSnEyQ0
じゃー行ってくるノシ
374 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/04(木) 18:28:21.53 ID:tCQL.cgo
世話焼きな幼馴染っぽい吹寄
女の子スキル抜群の姫神
上条さんをコントロールできる雲川

ヒロインをとある高校限定にしても全員美人でスタイルも悪くない最強の布陣だな

雲川先輩は上条さんの記憶喪失に気付いた上でからかってそうだけど
375 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 08:44:27.61 ID:rg35WyI0
>>374
何この最強布陣は
素晴らしいじゃないか
376 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 09:46:43.28 ID:Nxq2.6ko
今追いついたが
「大丈夫だ、問題ないけど」に図らずも反応してしまった自分がニコ厨であったことが判明した、死ぬ
377 :nubewo ◆sQkYhVdKvM :2010/11/07(日) 12:29:11.96 ID:9vndeOAo
おはよう。昨日はこっちにたどり着いたら23時だった。
牛タンは美味しかったがずんだもちを食う暇がなかった。勧めてくれたのにごめんよ。
>>376 ニコ厨乙!ってプレミアム会員の俺が言ってやるぜ!
さて続きを書くか。とりあえずちょろっとだけな。
378 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/07(日) 13:19:20.02 ID:9vndeOAo

そろそろと、制服を脱ぐ。隣のニヤニヤとした視線が絡みつくのが分かった。
制服の下には肌着代わりのTシャツを着込んでいる。
さすがにそれを脱ぐのは躊躇われるのだが、脱がずに許してはもらえなさそうだ。
腹からシャツをめくり上げて、少し強引に頭から引き抜いた。

「……ふむ。悪くないな」
「趣味が悪いですよ。性格もですけど」
「そんなことを言われると、もっと嬲りたくなるけど?」
「くそ、最悪だ」
「バッグの中のカメラを取り出しても良いんだぞ?」
「ちょ、それは洒落にならねぇって!」

口喧嘩でとても勝てる相手ではない。上条はさっさとシャツに袖を通した。
スーツの下に着るフォーマルなシャツを肌の上から直接着るのには少し抵抗があった。
そして次は。

「……」
「お願いですから視線を外してはいただけませんか、位は言えないのか?」
「言ったらどうするんですか?」
「さあ。言い方によっては聞いてやってもいいと思ってるけど」
「ちなみに、俺が普通の言い方でお願いしたら?」
「肌理(きめ)を矯(た)めつ眇(すが)めつ出来る距離で堪能してやる」
「ああもう、勝手にしろこのバカ先輩」

上条は自棄になって、ベルトをカチャカチャと外してズボンをずり下げた。

「ひっ。か、上条。私はそんな覚悟、できてない、けど」
「なんで被害者みたいな声上げるんですか!」
「お前はどう思っているか知らないが、私は……処女なんだ。そんな乱暴なのは、いやだ、けど」

恥をかいてるのはコッチだチクショウと呟きながら、上条は必死にタキシードの下を身に着ける。
379 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/07(日) 13:20:47.68 ID:9vndeOAo

「ふう。とりあえず難関は乗り切った」
「つまらんな」
「先輩を楽しませるためにやってるんじゃないです」
「じゃあどうして、パーティに付き合ってくれたんだ」
「脅したじゃないですか」
「そうだったかな?」
「そうでしたよ!」

言いたいことを山ほど抱えながら、袖口を留めようとする。
だが、ボタンとは別に立体的な留め金みたいなのがついていて、何がなんだかよくわからない。

「カフスも知らんのか?」
「え、いや、そういえばメイド学校の子が」
「こうやってつけるんだ」

クスリと笑って、雲川が上条の手首に触れた。

「腕をこのままに」
「あ、はい」

袖にあいたボタン孔をあわせて、カフスを通す。
雲川の、少しかがんで谷間のよく見える胸元にドキリとした。
上手く出来たのか、人を食ったような笑みの中に満足げな色を浮かべて、雲川が離れた。

「うん。お前にはあんまり華美なのは似合わないと思ったからな。我ながら、いいチョイスだった」
「まあ分かってますけど。カッコつけても仕方ないことくらい」
「何を言う。お前は優男じゃない、というだけだよ。お洒落は誰にだって必要だ。
 何人の客が、お前のカフスと私のピアスの意匠が同じことに気づくかな?」
「えっ?」

よく見ると、髪に隠れたイヤリングがあった。イヤリングは宝石を加えているから別物に見えたが、
上条のカフスと確かに類似性があった。

「これ、絶対誰も気づかないんじゃ」
「そうかもな。それでいいけど」
「はあ」
「深遠な意味は、深遠なままだからいいんだ。ほら、さっさと着替えろ。もうじき着くぞ」

ニヤリと笑った雲川が、蝶ネクタイに手を伸ばした。
じっとしていろ、と告げて上条の首筋に腕を回した。
380 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/07(日) 13:21:49.85 ID:9vndeOAo

「あっ!」

雲川が突然、声を上げた。
シートに普通に座った上条と違い、少し体を浮かしていたせいでカーブの遠心力に振り回されたようだった。
ぽふりと、上条の胸元に雲川が覆いかぶさった。
柔らかい。とにかく柔らかい。

「ちょ、あの」
「ふ、ふふふふふふ。あはは」
「先輩?」
「本当に、お前といると退屈しないよ。今のはどこが不幸なんだ?」

上条の胸板で双球を潰しながら上目遣いで雲川が覗き込んでくる。
雲川は重たくなどないが、なぜか息が出来なかった。

「あの、先輩。この姿勢は……」
「うん? エスコート役なのだからこれくらいは役得だけど?」
「い、いいから早くネクタイつけてください」
「ふふ。わかったよ」

くすくすと笑う雲川の息が耳にくすぐったい。
思ったより器用に他人の蝶ネクタイをしめて、雲川がそっと体を離した。

「あとはそのベストとジャケットを着れば終わりだな。ふう、楽しかった」

その言葉に悪態の一つでもついてやろうと思ったのに、なぜか言い返せなかった。
リムジンがスピードを落とし、大きな建物の前のロータリーへと入っていった。
381 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 14:41:28.77 ID:w5LEAeso
>「ひっ。か、上条。私はそんな覚悟、できてない、けど」
「>お前はどう思っているか知らないが、私は……処女なんだ。そんな乱暴なのは、いやだ、けど」

この部分の音声を他のヒロインたちに聞かせたいww
382 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 17:44:21.08 ID:TTeJXck0
>>381
姫神には聞かせられない会話だな
383 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 17:55:05.57 ID:GqEFCN.o
雲川はもうちょっと原作でも出番があったらいいのに
オッレルスは出てきたというのに
384 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 21:15:41.53 ID:TTeJXck0
ごめん。さっき言うの忘れてたんだけど
色々話を周りの人に聞いてみたら
ずんだって宮城以外じゃマイナーなんだって
だから他の県には無いかも…
385 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/07(日) 21:39:57.12 ID:9vndeOAo
石巻にいたので宮城だったんだけどね。
海産物は色々食べたんだけどさ、遊ぶ暇がなかったのでついついずんだ餅は食べそびれたのさー
にしても宮城ってあんまり寒くないんだね。盛岡より北で青森と大して変わらない緯度のつもりだったので拍子抜けした。
386 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 22:50:28.92 ID:TTeJXck0
時期が良かったからかも
10月末は寒かった(><)
牛舌は食べたみたいだし、良かった
ずんだはまた今度だね
387 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/08(月) 01:12:01.80 ID:mxvp.Q6o
ずんどこまんじゅうは美味しいぞ
ぜひ甘味自殺をどうぞww
388 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/08(月) 12:51:08.39 ID:ASG4cTco

居心地が、とにかく悪い。
ホールの片隅でそっと奏でられるカルテットの弦楽と、さざめくような談笑。
パーティというものを楽しむ人たちの高尚さが庶民の上条には辛かった。

「……で、どうすりゃいいんですか」

上条の腕には、軽く雲川の手が絡められている。エスコート役の典型的な所作だった。
何をしていいか分からない上条にしてみればひたすら憂鬱だった。
あと何時間やるんだコレ。

「なに、お前が人脈を持っていて私の元に誰かを紹介してくれる、なんてのは期待していないからな。
 お前は飾りだから、ちょっと挨拶を済ませたらあとは料理でも貪っていろ。
 私にも泥を塗られるほどの顔の広さはないものでね、いくら無作法をしても構わないけど」
「……言われるまでもなく腹だけは満たして帰る気でしたけど」
「そうするといい。ああ、お前が持ち前の女運と不運で面白い展開を引っ張ってきてくれるのを、実は期待している」
「俺はお断りです。目立たないように壁際で食ってますよ」
「ふふ。まあ、とりあえずはついてきてもらうけど。ほら、あちらへ私をエスコートしろ」
「先輩が俺をエスコートしたほうが早いじゃないですか」
「私が男性にエスコートされたいと思ってはいけないのか?
 それと……ねえ当麻。先輩なんて名前の呼び方は寂しいのだけど?」

耳元で、雲川の声が急に甘えた響きを伴った。
その拍子に胸が僅かに押し付けられ、いい匂いがした。

「な、なんですかいきなり」
「こんな場所に学校の後輩を連れてきたって思われるのは嫌なのだけど。
 先輩って呼び名をやめて、芹亜と呼んでほしい」

それは、ちょっとマズい提案だった。姫神以外を名前で呼ぶのは、姫神との約束に反する。
……外人さんの知り合いは下の名前で呼んでいるのだが。

「雲川さん、とかじゃ駄目ですか」
「つまらない」
「問題がないみたいですしじゃあ雲川さんで」
「つまらない、と言った」
「いいじゃないですか雲川さん」
「なんで頑ななんだ」
「姫神以外の女の人を、下の名前で呼ぶのってよくないと思うんですよ」
「そうか」

あっさりと、雲川が引き下がった。

「恋人ごっこを満喫するのが駄目だというなら、姫神からお前を寝取るほうの遊びをやるだけだけど」

なんて、言葉を口にした。冗談めいた態度と口調が、本当に冗談であることを上条は願った。
389 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/08(月) 15:26:14.68 ID:kZj7iaUo
くぁいい
390 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/08(月) 17:34:43.79 ID:4gzBhs.0
姫神を裏切っちゃだめだぞ、上条さん!
391 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/09(火) 04:24:47.87 ID:/5wQRaQo
雲川先輩の頭脳と美貌なら簡単に寝とれそうだww
392 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/09(火) 05:11:15.89 ID:VxGRIu.0
>>391
気付いたら女郎蜘蛛みたいに雲川先輩に絡め取られてそうだ
393 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/09(火) 07:46:50.08 ID:X8Uf.56o
姫神泣かせたら俺が泣かせてやる
394 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/09(火) 12:52:53.28 ID:pQ3YNl.o

「まったく。不愉快だわ」

エスコート役の同僚がパーティが始まって早々、どこかに姿をくらましたためだった。
理事の息子だかなんだかの化けの皮をかぶった同僚がいないと、声をかけてくる男が増えて鬱陶しい。
あの優男の顔を見るのも愉快ではないが、下心丸出しの顔を向けてくる豚よりはマシだ。
結標はため息をついて、手にしたグラスの炭酸水をあおった。

「すみませんね、知り合いの顔が見えたもので」

不意に隣から、二十代の後半くらいと思わしき男性に声をかけられた。

「ああ、驚かないで下さい。海原です、というと本名ではないのでおかしな気分ですが」
「便利な能力ね」
「ええ。開始早々に酔っ払ってしまった客がいて助かりましたよ。おかげで素早く顔を『貸して』もらえました」
「それで仕事に支障はないの?」
「……素性の調べが足りない人間に化けていますからね、不測の事態はありえます」
「使えないわね」
「返す言葉もありません。ですがこの仕事は座標移動の貴女がメイン。私は助手ですから」

海原光貴としてであれば、数人いる護衛対象の一人、雲川芹亜と楽に接触できたのだが。
隣に『彼』がいる状況ではそれは難しかった。
ついでに言えば何故隣に御坂美琴以外の女性がいるのかと一言くらい言ってやりたいのだが、それも適わない。

「にしても、統括理事会の一員のブレインともあろう人が、まさか『幻想殺し』をつれまわすなんてね。
 魔除けの護符代わりなのか、それとも政治的な意図のあるカードなのか。彼も随分と苦労をする」
「あのツンツン頭は有名人なの?」
「一部の業界では。ご存知ありませんでしたか?」
「ええ。特に興味にある男じゃないし」
「そうでしょうね」
「……随分と含みのあるに聞こえるのだけど?」
「売り言葉に買い言葉はやめておきますよ。
 さて、顔くらいは覚えてもらわないと動きにくいので、ちょっと護衛対象を口説いてきます」
「似合っているわ。その顔の軽薄さに」
「僕もそう思います」

『魅力たっぷり』なんて感じに作ったスマイルを結標に向けてから、海原と名乗る同僚は歩き出した。
395 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/09(火) 12:54:49.65 ID:pQ3YNl.o

「はー、やっと終わった。腹いっぱいメシ食わないと割に合わないな」

なぜか雲川に擦り寄ってくるお偉いさん達が多くて困った。
そりゃあ先輩は綺麗だけど、声かけてくるのが40代以上って。ぶっちゃけ先輩も困ってたんだろうな。
……もしかして、あの人ああ見えてものすごい年上好みなのか?

そんなことを内心で思いながら、スモークサーモンやら鶏肉の煮込み料理など、
値段が高いか手間隙が掛かっているか、そういう感じのする料理を皿に盛っていく。
ジュースを配るウエイトレスからオレンジジュースを貰って、辺りを見渡す。

「あの辺でいいか。人少ないし」

料理から程近い位置。ぽつんと同年代くらいの女の人が立っているのは気になるが、こちらも一人身だ。
目線が一瞬絡んで、上条は少し違和感を感じた。
敵意というほどでもないが、どことなく視線に自分を値踏みするような意図を感じたのだ。

ドン、と背中に衝撃。
話が盛り上がっていたグループの一人が、ぶつかったらしかった。

「あっ、すまない!」
「へっ?」

両手がふさがった上条は、なすすべなく前のめりに倒れていった。



結標は冷静に、対象物の位置を測る。
品のない乗せ方で料理が山盛りになった皿と、幸いにグラスから飛び散ってはいないジュース、
そしてこちらに向かって倒れてくる例のツンツン頭。
結標に接触してこようとするきっかけは偶然のようにしか見えなかったが、もちろんそうとは限らない。
それに、不可抗力であっても自分に触れようとする男を避けない手などない。まあ自分ではなく、相手が避けるのだが。

軽いものから順に。皿とジュースは丁寧に位置と角度を気遣って離れたテーブルにそっと置いた。
誰だか知らないけど。貴方が突っ込むのは私じゃなくて、隣の壁で充分よ。
1メートルほど、結標はその男を横に『座標移動』させようとして――――



むにゅりと、柔らかい感触がした。
肌の露出の少ないドレスだから分からなかったのだが、どうも、この感触はブラを隔てていないような。
サラシでも巻いているのか、なんというかやけにダイレクトな感じのする手触りだった。

「ひっ」
「ごごごごめんげほぶ!」

目の前の気の強そうな女の子は、顔を真っ赤に染めて、驚いたような傷ついたような顔をした。
……かと思いきや、一瞬で獰猛な睨み顔になって、懐にあった懐中電灯みたいな棒で上条の腹を思いっきり殴り飛ばした。
396 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/09(火) 13:23:46.26 ID:/5wQRaQo
一方さんにやられたあとのあわきんを上条さんが病院に連れて行った時に
あわきんのおっぱいを堪能したことを姫神や小萌先生に教えたい
397 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/11/10(水) 04:23:03.27 ID:v0a6adoo
結標と雲川と姫神で上条さんを奪い合う予感
398 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/10(水) 06:08:50.40 ID:9XhYIgAO
そして三つに裂ける上条さん
399 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/10(水) 15:35:08.91 ID:A3rmloAO
と/う/ま
400 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/10(水) 17:23:22.85 ID:W0GqV.I0
上/条/さん
401 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/10(水) 18:02:10.81 ID:GIBnmQco
フレ/ンダ「仲間ができたって訳よ」
402 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/11/10(水) 18:28:53.52 ID:layP0ADO
これが二重性人か……
403 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/10(水) 22:22:36.36 ID:oRIoPmA0
一字違うだけでえらい落差だな
404 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/11(木) 12:10:47.97 ID:sGyerGYo
なんなんだこの流れww
ごめん悪いんだけど結標はヒロインじゃないんだ。ちょっと絡ませてみたかっただけで。
まあ雲川もヒロインではないけれど。
405 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/11(木) 12:11:29.34 ID:sGyerGYo
「おいおい。人の連れにそういう露骨な手出しをしないでほしいなあ。
 というか君にも美人の連れがいるじゃないか。
 この子は見かけどおりの気の強さだからね、殺されても知らないよ?」

20代くらいの軽薄そうな男が、その女の子の傍に寄り添って肩に手をかけた。
忌々しそうにその手を振り払う仕草は、とても仲良さげには見えない。

「ほんとすみません」

上条は自分に非があるので謝った。殴られてから謝るとちょっとやるせなかった。
そしてよく見ると、目の前の少女にはなんとなく会ったことのあるような気がした。

「何かしら?」
「あ、いやなんでも」
「……」
「その、どっかで会ったことがあったような?」
「ないわね」

睨まれる。だから自分でもためらったのだが、ナンパの前口上としても陳腐すぎた。

「あ、そうだ! たしか御坂妹に呼び出されて白井を助けに行ったときの!
 なんかボッコボコにされて屋上に引っかかってたから救急車呼んだんだっけ」
「なっ!」

その一言で、結標はようやく知った。
あの時、座標移動で白井を押し潰すはずだった大質量がなぜ誰も殺さなかったか。
そして今、なぜ目の前の男が自分の能力に従わず、突っ込んできたのか。

「……そう、私も貴方と無関係ではなかったということね」
「みたいだな。ま、元気そうで良かった」
「おかげでパーティに出られるくらいにはね」

ふと見ると、隣の男が困った顔をしていた。
傍には雲川が立っていた。

「また、別の女性に声をかけているの?」
「人聞きの悪い」
「貴方には私というものがあるはずなんだけど」
「はあ」

むすっとした表情を露骨に作った雲川がそんな風に愚痴を言った。
この会場で賓客たちと柔らかい口調と表情で談笑する雲川は別人といってよかった。
今も物憂げな顔立ちと危険すぎる肢体に幼い感じのする嫉妬を載せて、いつもとは違う破壊力を秘めていた。

「おっと。もしかしてこの女性とはかなり親しいのかな?」
「ええ。ですから軽薄な声をかけるのは辞めていただきたいのですけど」
406 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/11(木) 12:13:21.69 ID:sGyerGYo

にこやかに雲川がその軟派な青年にノーを突きつける。
これは失礼と言って青年が上条を見た。その視線に、なぜだがやけに強い隔意を感じる。

「実は君の事は少し知っていてね」
「はあ」
「君は、常盤台の女の子と付き合ったりしては、いなかったかな?」
「常盤台の? 勘違いされるとしたら御坂か白井か……」
「勘違いということは、付き合ってはいない、と?」
「え、ええまあ」
「ふうん。そうか」

ふんふんと頷く。コイツもしかして御坂か白井に気があるのか?
20代もそこそこの、この人が? それって。

「ロリコンね」
「おおい。随分な言い様じゃないか結標君」
「そんな見た目で中学生と付き合いたいって言うのを、ロリコンと言って何が悪いのよ」

結標という少女は冷たい目で青年を見下した。
上条はロリコンという意見に完全に同意する気分だった。
中学生くらいの女の子を自分も匿っていることは完全に棚に上げていた。

「それで、当麻。あなたはこちらの女性に気があるの?」
「は? いや、単にこれは事故で」
「事故で何をしたの?」
「……つい、胸元に飛び込んでしまいまして」
「ふうん。恋人を、そんなに泣かせたいの?」
「そんなつもりじゃ」
「貴女も、事故だという認識で間違いない?」
「ええ」
「彼に気はないのね?」
「ええ。人の恋人をけなして悪いけれど、私は彼に興味はないわ」
「そう。それじゃあ、もっと気をつけて彼に首輪をつけておくわ」
「え、あの」

こちらに興味を失ったらしい結標と、にこやかに手を振る青年を置いて、
上条は雲川に腕をつかまれて会場の別の隅へと引っ張られていった。

「ふふ。一体この会場の何人が、お前と私の仲を疑うだろうな?」
「やめてくださいよ。その、姫神に悪いですから」
「なら私の面子を潰してでもここで振りほどくといい」
「本当にやりますよ?」
「……いやだ」
「え?」
「私はお前と腕を組みたいんだけど。嫌か?」
「い、嫌って訳じゃ」

そうやって雲川にはぐらかされてる隙に次から次へと雲川に声をかける客が現れて、
パーティの間中ずっと、上条は言い寄ってくる男避けの弾幕としていいようにこき使われた。
407 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/11/11(木) 13:06:56.94 ID:Be9VEYAo
上条さんなら事故で胸元に飛び込むなんて日常茶飯事ですよね
408 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/11(木) 18:34:05.74 ID:ItcuY.AO
スレタイにほいほい釣られたけど、姫神オンリーだったのか…
409 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/12(金) 00:43:43.10 ID:OywtT26o

「ふう、ルーティンワークはこれで終了だな。
 あとは面倒だから壁際でお前と睦みあっているつもりなんだけど」
「なんかもう、それでいいです」

業務用スマイルを貼り付けて雲川に付き合うこと一時間。
詳しいことは聞けなかったが、雲川が学園都市のお偉いさん方と面識があるらしいことはよく分かった。
性質の悪いことに、偉い人たちは学生である上条と雲川に何のためらいもなくアルコールを勧めてくる。
勿論酒を楽しむというほどのきついのではなく、ジュースみたいなカクテルばかりだったが、
助けになってほしい雲川自身が面白がって上条に勧めてきたせいですでにどこか足元が覚束なかった。

「ずいぶんと弱っているな」
「俺もよくわかってなかったですけど、酒には弱いみたいです」
「外から見ても分からんけど」
「正直言って、気をつけないとふらついて酔ってるのがばれそうで困ります」
「別に他人にばれてもこの場じゃ困らんけど」
「なんか恥ずかしいじゃないですか。未成年なのに酒を飲んでフラフラしてるって」
「そうだな」
「他人事ですね」
「そのとおりだと突き放すことも出来るけど。でも、連れてきた責任は確かにあるな。
 ……それじゃあ、休憩するか」

雲川が給仕をしていた女性を呼び止める。
二、三言話すと、給仕係が頷いてインカムでどこかに連絡を取った。

「休憩って」
「長いパーティだからな。人ごみが嫌いで寛げない人のための休憩用個室があるんだよ。
 水を飲んで酔いを醒ますくらいの時間を休憩に当てるのもいいじゃないか。私も疲れた」

渋いスーツに身を包んだ年配の男性がこちらに来た。部屋を案内してくれるらしい。
その男性と雲川に先導されて、隅の視線を集めにくいところから上条はホールを出た。
410 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/12(金) 01:02:23.70 ID:OywtT26o

「はあ、疲れた」
「そういう愚痴は私とも別れてからにしろ」
「すみません。正直な感想が出ました」
「……上条。やけに私の扱いがぞんざいになってきたな」
「それを先輩が言いますか」

首が苦しくて蝶ネクタイを外そうとして、自分でつけ直せないからためらう。
すると後ろからそっと、雲川が外してくれた。
仕事を終えた手が、上条の背中を撫でた。

「悪かったな。でも、お前を不愉快にさせたいわけじゃない、けど。
 私は愛情表現が、たぶん素直じゃないんだ」

顔の見えないところでそんな風に吐露された雲川の言葉が、やけに素直でドキリとした。
どうしていいかわからなくて、傍にあった小さな冷蔵庫の中身を取り出して、封を開けた。

「何も答えてくれないんだな」
「先輩。酔ってますか?」
「ああ。酔っている。そういうことに、しておこう」

上条は三分の一ほど飲んだミネラルウォータの瓶を雲川に渡した。
栓抜きで口を開けたそれは、多分隣の棚にある洒落たグラスで飲むものなんだろう。
行儀の悪い自分と雲川は、気にせず瓶に直接口をつけた。

瀟洒なドレスに身を包み、いつもよりずっと綺麗に髪を梳き纏めた雲川が、
そんなことを微塵も気にしない動作で水をラッパ飲みする。
その少しの品のなさが、やけに艶っぽかった。

「いいソファですね」
「別にそうでもないと思うけど」

黒い革で出来たシックなソファは、見かけより柔らかい座り心地だ。
二人してどかりとそこに腰掛け、安息のため息をついた。

「酔うと眠くなるんですかね?」
「さあ。私だって飲み慣れてはいないけど。でも、そうかもしれないな。
 眠いのか? か……当麻」
「今上条って呼ぼうとしたでしょう。二人っきりなんだからそれでいいじゃないですか」
「二人っきりだから、それではつまらないと思うんだけど」
「あーはいそうですね」
「真面目に取り合え、当麻」
「芹亜」

回らない頭で、仕返しのつもりでそう呼んでやった。
はっと雲川が息を呑んだ音で、自分のしたことに気づいた。
自分は誰を、いや誰以外を、下の名前で呼んだ?
411 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/12(金) 01:03:02.78 ID:OywtT26o

「……酔ってるんだな。上条」
「そうみたいです。すみません、雲川先輩」
「ここのソファは背を倒せるんだ。何なら本当に一眠りしようか」

僅かにギシリと音を立てて、ソファの背もたれがフラットになった。
横長だったソファは、簡易的なベッドになった。
『ご休憩』のための個室のソファにこんな機能がある理由が、気になった。

「お前の想像通りだよ。パーティなんだからそういうことだってある」
「それを知ってるって、先輩は」
「勘違いをしているけど。私は、処女だよ。ついでに言えばファーストキスだってまだなんだからな」

雲川と二人でそこに倒れこむのが躊躇われたが、靴を脱いで上がれと促された。
酒に弱いのはかなり確実みたいで、上条はひたすら眠気を覚えていた。
満腹感との相乗効果もあったのかもしれない。
簡易ベッドになったそこに倒れこみ、天井の弱めのライトを見つめていると、そっとブランケットが掛けられた。

「風邪を引くぞ」
「あ……すみません」

そして上条の隣に、髪留めを解いた雲川が寝そべった。
胸元の丘陵は仰向けになってなお、その豊かさを強調する。
場違いな感じもする携帯を雲川がカチカチと弄んだ。

「保険で一時間後に目覚ましはかけておいた。まあ、眠らなくともしばらくはこうしていよう」
「いいんですか」
「それはきっと、お前が自分の胸に問いかけるべき言葉だと思うけど」

その言葉に、上条は反論しなかった。
もう随分と意識がうつらうつらとしていたからだった。

「当麻」
「ん……」
「完全に眠ってはいない、というところか。ふふ。こんなタイミングでしか言えないけど。
 私は、お前のことが好きだよ」

もぞもぞと上条と同じブランケットに雲川がもぐりこむ音がして、そこで意識が途絶えた。
412 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/12(金) 01:09:03.27 ID:OywtT26o
>>408 ごめん実はそうなんだ。
>>407 上条さんなら成り行きで雲川先輩とベッドインくらい日常茶飯だよね?
413 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/12(金) 01:12:24.63 ID:w/11V6AO
上条さんは姫神にごめんなさいしなきゃだね
414 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/11/12(金) 05:11:20.15 ID:bn0vOh.o
吹寄「私と上条当麻はお互いの裸を知っているわ」
雲川「上条とは一緒に寝た仲だけど」

姫神「・・・・・・・・・」

こういうことだな
415 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/12(金) 18:27:59.08 ID:5pbn48Mo
雲川先輩嫌いになりそう
416 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/13(土) 22:40:30.74 ID:phu0Seo0
>>415
俺もそう思ってたところだ
417 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/14(日) 00:21:35.93 ID:dmcpVgDO
え?かわいいじゃん
姫神でゴールは決まってるだろうし…
惜しむべきは雲川ゴールがみれないだろうこと…
姫神と付き合うまえにこの作者の雲川ルートにいくパラレルとかもみたいなぁ
418 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/11/14(日) 15:43:18.63 ID:NE8bHyUo
雲川ルートいいね!!
419 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/14(日) 15:58:36.69 ID:WArbkUAO
この上条さんなら姫神意外に靡くことはない、と信じたい
420 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/15(月) 00:48:55.63 ID:o2x5yKYo
なあみんなどうしよう。雲川先輩が暴走してとまんねーんだけど。
しょうがないから夢オチって言うか勘違いって言うかIFっていうかそういう感じの話をちょっと挟むことにするわ。
書く前から夢オチとか書くとネタバレでつまらなくなるって意見もあるかと思うが、
この期に及んで誤解の余地を大幅に残して書くと姫神がかわいそうで読めない人がでてきそうだし。
残念ながら姫神でゴールはほぼ確定路線なので、雲川先輩とは火遊び以上のことはないんだぜ。
421 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/15(月) 00:49:53.90 ID:o2x5yKYo

「ん……」

唇に柔らかいものを押し当てられた感触で僅かに意識が覚醒した。
五感が損なわれているわけではないのだが、不安定な電灯のように意識が瞬くせいで、
状況がどうにもきちんと把握できない。
おかしいな、と上条は感じてはいた。寝覚めのそう悪いほうでもない。
ああ、これって酒のせいなのか? と自問するもなにぶん経験の浅いことで分からない。
酩酊感というやつなのか、この途切れ途切れでぼんやりとした現実感は、
能力開発のための薬を飲んだときのそれに少し似ていた。
規定の投薬量の数倍でも飲めばこんな感じになるだろうか。

熱っぽい息が鼻をくすぐる。視界の隅でチラチラと明かりが瞬く。
それでようやく、自分に誰かが覆いかぶさっているのが分かった。

ねぶるように、唇の上で柔らかい肉が踊る。
それがキスであることを察してようやく、上条の心は驚きを覚え始めた。

「……んぁ、秋沙?」

それは、最も自然な口付けの相手への呼びかけだった。
あれこれ何度目のキスだっけ、なんてファーストキスもまだのはずなのに。
ひぅ、と僅かに悲しいニュアンスを含んだ息遣いが気になったが、そこでまた意識が飛んだ。

さらさらと、長い髪が上条の頬をくすぐる。
ああ、秋沙の髪ってやっぱ長いな。
頭を撫でてやろうとして、そこまで手を伸ばすのが億劫になってそっと髪を手で梳いた。
そっと手が上条の頬に添えられた。普段の姫神より冷たくて、それが少し気になった。

「当麻君」

寂しそうな響きが、含まれているような気がした。
声もちょっと違う気がしたが、呼びかけが姫神しか使わない、姫神だけのイントネーションだった。
呼びかけてくれた想い人の心の隙間を生めてやりたくて、頭に手を伸ばして抱き寄せた。

「ん、ちゅ……」

再び、口付けが始まる。情熱的な交わりだった。
もしかすればかなり深いまどろみの中にいる上条の唇使いは緩慢だったかもしれないが、
精一杯、姫神に幸せを分けてあげられるようにと、心を尽くした。

「ん、ん、んん」

鼻に掛かった甘い声がこぼれる。
自分の体が熱くなってくるのが分かる。それでも覚醒しないのは、少しもどかしくもあった。
もっと体を触れ合わせたくなって、空いた手を伸ばした。
422 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/15(月) 00:50:42.04 ID:o2x5yKYo

雲川はほとんど酔ってなどいなかったし、別に眠たいわけでもなかった。
隣にいる上条を見ると、軽い寝息を立ててあどけない顔をしていた。
しばらくは、その寝顔を眺めて過ごした。

心のどこかに虚しいものを感じるから、してこなかったのだが。
そう考えれば、今の思考自体、酔いの産物なのかもしれない。
雲川は、上条の胸元にそっと顔を寄せた。

上条の匂い。すこし汗ばんだ匂いなのは、やはりこの場所に緊張したのだろう。
恋人の匂いだと思えば、それは嫌な気持ちにならなかった。

鼻から抜ける寝息が髪に掛かる。くすぐったい。
恋人の吐息だと思えば、それは嫌な気持ちにならなかった。

動かされた腕が、軽く胸に触れた。
恋人の愛撫だと思えば、それは嫌な気持ちにならなかった。

その夢想は、上条が起きるまでの門限つき。
上条は学園都市という巨大なチェスボードの上の駒で、自分はゲームのプレイヤーだ。
その線引きがしがらみになって、声をかけられなかった。
だからもう上条には彼女と呼べる人がいて、自分は数日遅れで、
取り戻せもしないのに上条を振り回している。
姫神から寝取る気もないのに、そんな素振りを見せて振り回している。
客観的に現状を見ようとする自分を無理矢理眠りにつかせて、ただ、この瞬間に心と体を浸す。

この瞬間を姫神に伝えれば、どうなるだろう。
卑怯な先輩に絡め取られただけの上条を、許すだろうか。
それともここまで着いて行ったことに、愛想を尽かすだろうか。

「……私は、お前のことが好きだよ」

だからこの、個室で寝顔を見られる一時間は大切で、そして空しい。
きっと姫神になら、何に頼らずともこんなあどけない寝顔を見せてしまうのだろうに。

アンビバレントな心を抱えながらも、雲川はこの時間を大切にしたいと想った。
423 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/15(月) 01:31:49.74 ID:VygjwWMo
自由に書けばいいと思うぞ
今までもそんな感じだったし
ただ姫神エンドじゃなかったら俺は泣くけどな!
424 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/15(月) 05:15:03.72 ID:QjTlAQM0
俺も泣くけどな!
425 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/15(月) 07:21:06.42 ID:SFJZDlQo
俺は興奮します!
426 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/15(月) 08:20:09.25 ID:9qAITcAO
俺も興奮します
427 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/15(月) 10:05:48.84 ID:o2x5yKYo
雲川エンドに興奮する連中はこの数レスで満足してくれww
18禁は書かないけどな!
雲川先輩の後にはインデックスが待ってるしね! 当麻のベッドでね!
428 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/15(月) 10:06:26.30 ID:o2x5yKYo
抱きしめたことはあっても、姫神の体を、特に胸をじっくりと触ったことなんてなかった。
……すげ、大きくて柔らかい。
それが偽りのない感想だった。

「あっ」

驚きの声が、可愛かった。先輩でもこんな声を出すんだな、と思わせるような……
あれ?

「秋沙?」

答えはなくて、代わりに唇の間に舌が差し込まれた。
肌のこすれる音だけだったキスに、ピチャピチャとした水気のある音が混じり始める。
この深いキスは接触面積が大きいものかと思いきや、意外とお互いの口腔内が広くて、
上手に舌を絡め合わせるのに苦労する。時々犬歯に当たって痛い。
……不意に理解する。ああ、だから相手の舌を吸えばいいのか。

螺旋を描くように相手の舌に自分の舌を絡め、自分の口の中へと引き込む。
そして息が漏れないように上手く口を封じて、きゅっと舌を吸い上げた。

「ん!? ん、ん、ん、ん!」

可愛い声が聞こえる。
声の持ち主のことは、もう上条は気にならなかった。
苦しいのか逃げる素振りを見せたので、背中を抱いて捕まえた。
それだけで腰が砕けて、相手の体重の全てが上条に預けられた。
少し苦しかったが、嫌な気はしなかった。胸板に押し当てられた相手の胸元が、びっくりするほど柔らかい。
両手をぎゅっと体に回して、撫ぜ回した。

「あっ、ふぁ……」

不規則な吐息が上条の耳をくすぐる。
時々声が漏れそうになっているのを必死に押さえているようで、つい、甲高い声を上げさせたくなる。

「あっ……それ、は」

豊かなヒップのラインを撫で上げる。そして同時に、スカートの裾を捲くっていく。
すぐに、お尻に触れている感触が、布一枚分ダイレクトになった。
見えないけど、恐らく下着が晒されているのだろう。

おかしな気分だった。かなり目が覚めて、意識が途切れることがなくなったはずなのに、
まだどこか夢を見ているような、ぼうっとした感じがする。

お尻を撫でる手を止めて、背中に手を差し込んだ。
僅かに汗ばんだ肌に、直接手が触れる。その感触が気持ちよかった。

「はぁ……あ、だ、だめだ、って……」

ブラのホックに触れたところで、抗うように身をよじり始めた。
それが嗜虐心をそそった。抱き寄せながら口付けて無理矢理繋ぎとめて、
上条は背中をまさぐった。
429 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/15(月) 11:01:03.54 ID:o2x5yKYo

女の子のブラを外してあげた経験なんてない。
だからどういう構造をしているか、ぼんやりとしか分からない。

「ん、あぅ、あっ!」

上条の腕を振り払おうとしているのか、やんわりとした力でつかまれる。
体をよじって上条の指先から逃げようとする。
それでも、上条の体の上から退こうとはせず、女らしい匂いをさせた体を上条の体に擦り付ける。
耳を噛んでやると、少し大人しくなった。

くちゅりと、ひときわ湿っぽい音が口元からこぼれた。
上条の口の中に絡まった二人分の唾液を、覆いかぶさった上から吸い上げて、飲み込んだ音だった。
求めてくれることが、嬉しい。

「秋沙」

自分でもちょっと驚きを覚えるくらい、優しい声が出た気がする。
姫神もびっくりしたのか、はっと息を呑んだらしかった。

「……どうかしたのか?」

どうしてか、姫神が口付けを辞めた。
いやいやと言うように、上条の鎖骨辺りにおでこをぶつけて、首を横に振った。
仕草が可愛くて、頭を撫でる。ばらけた髪を束ねるように集めた。
腰まであるはずの姫神の髪が、やけに短く感じられた。

「ちが、う」
「え?」
「芹亜。私の名前は、芹亜」
「芹亜?」

姫神の名前は、そんなんだっけか?
聞きなれない名前が、頭に引っかかった。

「今くらい。ちゃんと私を見てくれたって、いいじゃないか」
「え?」

思いをぶつけるように、口付けが再開された。
上条の理性を蹂躙しかねない熱情。
上条が何かを言うのをふさぐかのような勢いに戸惑いながら、働かない頭で寝ぼけた思考を必死に纏める。
芹亜という名は、たしか雲川先輩の下の名前のはずだ。

息を求めて唇が離れた瞬間に、じわりと這い寄る違和感に背中を押されて、誰何した。

「なあ、秋沙?」
「えっ?」

その呼びかけで、二人の間にあった何かに、亀裂が入る音がした。
430 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/15(月) 11:02:16.19 ID:o2x5yKYo

硬直の時間が、僅かにあった。
上条が戸惑っていると、しばらくして体が軽くなった。
秋沙と上条が呼びかけたその相手は、隣に崩れ落ちた。
ここでようやく、上条は自分が視覚をほとんど封じていたことに気がついた。
薄明かりでろくに確保できなかった視界を、目を開いて手に入れる。

肩が震えている。
黒髪が広がって、表情は分からなかった。
ドレスは、さっきまでの雲川が着ていたそのままだ。
太もものきわどいところまで露になっているし、胸元もブラのカップまで見えている。
急速に、現実感が取り戻されていく。

「先輩?」
「……い、まだけでも。芹、亜で、よかったのに」

信じられない響きだった。
気だるげで偉そうな雲川芹亜という人の声が、泣き声になるとこんな風になるのか。
何かを考えるより先に、手が勝手に動いた。
こんな風に弱弱しくなった女の子を、上条は放っておけなかった。
だが、その手は強引に振り払われた。

「莫迦……」
「先輩、今、俺」

雲川が顔を上げた。目じりに浮かべた光が、上条を捉えた。
ぐいと再び、押し倒された。
先ほどまで絡めあっていたであろう、姫神ではない、雲川の唇。
三センチ先にそれを突きつけられて、上条は再び戸惑う。
雲川の匂いに混じって、かすかにあの薬の匂いがした気がした。

「卑怯なことをしても、幸せにはなれないんだな。上条」
「……先輩」
「芹亜って、呼んでほしい」
「……芹亜」
「うん。嬉しいよ、当麻。おやすみ」

再びくちゅりという音を立てて、キスをされた。
雲川の唾液が流れ込む。
それを嚥下するとすぐに、再び泥のような眠りが上条の意識を窒息させた。
431 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/15(月) 11:44:47.06 ID:xukCuGU0
まさかの先生からの呼び出しww ケータイの名前見た瞬間心臓凍ったwwww
学会に参加してほしいんだけど要旨の締め切り今日だからてへぺろ(・ω<)ってそうですか。
連絡し忘れてたごめんねってそれはいいけどこのSS書いてるときに研究室から電話とか本気で焦るわwwwwwwww
今日はやろうと思ってたデータ整理後回しにして要旨執筆かー
上げるはずだったもう1レスは夜に上げますね
432 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/11/15(月) 20:48:56.27 ID:TTyAf5go
雲川先輩が可哀想だよ
433 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/15(月) 21:11:54.67 ID:o2x5yKYo
うむ、だがね姫神も可哀相なのだよ。
434 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/15(月) 21:22:11.25 ID:VnBuCm.0
上条さん本当にキスしちゃったの?
姫神と約束したのに?

上条さん死んだほうがいいんじゃない?って思うんだけど
435 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/15(月) 21:31:20.57 ID:A0rJHDoo
>>434
>>420
436 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/15(月) 21:33:56.52 ID:VnBuCm.0
あ、夢オチか… 
早とちりしてましたサーセン
437 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/16(火) 00:56:05.36 ID:u7FTLaAo

ピリリリ、という人の注意を喚起する音で、目が覚めた。
秋沙キスして、それに先輩ともキス……いや、姫神? それよりここ、そうだパーティで休憩してて。
訳の分からない思考に振り回される。体を起こすと、まだぼうっとしていた。

「ようやく目が覚めたのか」
「……芹、雲川先輩」
「なんだ、私の名前を呼んでくれるのか? 姫神にはもう飽きたのか」
「いえ、そんな……え?」

思わず、まじまじと雲川を眺めた。
ドレスには着乱れたところなんてないし、髪だって整っている。
自分の脳内で、ぼんやりしながらも強烈な印象を持っている出来事が、まるで目の前の雲川と合わない。

「まだ姫神に寝顔を見せたことはないだろう? 上条」
「はあ……そうですけど」
「なかなか可愛かったぞ」
「じろじろ見てたんですか」
「ああ。私はそんなに眠くはなかったからな。それにしてもよく寝ていたな。
 ところで、どんな夢を見ていたんだ? 一度抱きしめられかけて、身の危険を感じたんだけど?」
「へっ?」
「まあ、こんな場所に連れ込んだ私が無防備だという指摘があれば全くその通りだけど。
 お前はもっと狼じゃなくて羊だと信じていたんだがな」
「……」
「まだ寝ぼけているのか? キレが悪いけど」
「う。酒飲ませといて先輩がそれ言いますか」
「そうそう。さっさとそうやって回復してくれ。どうせすぐにホールに戻らないといけないんだ
 そろそろデザートが振舞われる時間帯だし、それが終われば閉会の挨拶だからな」
「へいへい。……水、ありますか」
「ああ」

雲川が水の入ったボトルに口をつけて一口あおり、それを上条に渡した。

「どうした? さっきお前は気にしなかったけど」
「いや、あの」
「上条。あまり意識しないでくれ。……脈があるのかと思うと、望みを捨てきれなくなるのが人間というものだけど」
「脈って。そういうきわどいことを言うの止めたほうがいいですよ」
「そうかな。それが、精一杯の私の気持ちだと思ってほしいのにな。今ここでした事だって」

その一言で心臓が止まりそうになった。
たぶん雲川が言っているのは、この部屋で二人して居眠りしたこと、それだけだ。
上条の脳裏にフラッシュバックしたひと時の夢のことでは、決してないだろう。

「思いは言葉にしないと、ちゃんと伝わらないものみたいですよ」
「さすがはあまり人懐っこいほうではない姫神を射止めた男だな。言う事に説得力がある」
「それ皮肉で言ってるでしょう」
「確認を取るほどのことじゃないけど」

身だしなみを整えて、二人で廊下へと続く扉をくぐった。
438 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/16(火) 01:10:57.40 ID:u7FTLaAo
>>436
色々と作者冥利に尽きますな。姫神に肩入れしてくれるのはそれだけ字数をかけて姫神ルートを書いた身としては嬉しい。
あと表現が悪いけど、夢オチに釣られてくれるのも有難い。まあ都合があって>>437まで午前中にかけなかったのも一因かな。

上条の視点オンリーで書いた
>>421 >>428 >>429 >>430
これを頭から除いて雲川視点のを読む、つまり
>>411 >>422 >>437
と読むと夢オチだって思えるように書いたつもり。

一方全部続けて読むとこれ夢オチって言うよりクスリで上条さんが落ちたんじゃね?ってなるように書いたつもり。

どっちが本当のことかは観測(俺が執筆)するまで確率的にしか分からず、状態が収束していないと思ってくれたまい。
いわゆるコペンハーゲン解釈ですね。
439 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/16(火) 10:39:35.47 ID:u7FTLaAo

会場に戻ると、もう宴もたけなわの空気だった。
宣言どおりに雲川はデザート類を食べ、そうこうしている間にお決まりの閉会の挨拶があった。
この会の意味も何を祝うのかも分かっていない上条は、周りが拍手するのにつられて拍手をして、
それでパーティは幕切れとなったらしかった。

「ふう、帰るか上条」
「ええ。疲れました」
「お前は食べていただけだけど」
「こんな場所に来るのが疲れるんですよ」

場所取りまで計算していたのか、雲川はほとんど一番乗りで会場を後にした。
エントランスで行きと同じリムジンがすぐに現れて、スムーズに上条たちは帰路に着いた。

「で、着替えるのか?」
「へ? そりゃそうでしょう。服は返さないと」
「返すも何も、それは経費で買ったお前の服だよ。着て帰っても構わないけど」
「正直言って持ってても着ないですよ」
「そうだな。私とまたデートするときは同じ服を着てもらうのは嫌だしな」
「デートって。……それで、俺の制服とかはどこですか」

雲川の立つ位置が、さっきより近い気がしてそればかりが気になった。
二人っきりの車内で、腕がはっきりと触れ合うくらい接近していて、
姫神しか入ってこないような、恋人の距離に雲川がいた。

「この袋の中身だな。ちゃんと洗っておいてやったけど」
「そりゃどうも。で、また着替えをジロジロ見るんですか?」
「つまらないぞ上条。もっと恥じらいを覚えろ」

一瞬、嗜虐的な笑みを浮かべた雲川が上条の首元に手を伸ばした。
蝶ネクタイが外される。今日は何度も雲川に着け外しをしてもらった。

「出来の悪い弟みたいだな」
「ほっといてください」
「それとも、甲斐甲斐しく夫の着替えを手伝う妻に見えるか?」

蝶ネクタイを外したその手が首筋、胸元にかけてぷつりぷつりとボタンを外していく。
良くないことだった。今日は一体何度、雲川にドキリとしただろう。
そんな気持ちは、姫神にしか抱いちゃいけないのに。

「雲川先輩、自分で出来ますから」
「うん、知ってるけど」
「こんなことしてくれなくていいです」
「私は、したいからしてるんだけど?」
「したい? どうしてですか」
「恋人のいるお前に、私はそれを言えないよ」
「え――」

それは、どういう意味だろう。
440 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/11/16(火) 20:20:07.76 ID:STvDY0Io
ここまで必死にアプローチしてるのに鈍感過ぎるだろ上条さんwwww
441 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/17(水) 18:30:56.47 ID:nDbDdYMo
俺、雲川先輩にやられたわ
442 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 05:06:44.99 ID:77G/p2Uo
先輩たまらん
443 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/18(木) 11:20:18.75 ID:GZh8PIEo

曖昧な笑みを浮かべて、雲川はそれ以上を語らなかった。
そして上条のジャケットやベスト、シャツのボタンを外して上着を脱ぐのを手伝うと、
あとはそっと身を引いて上条の着替えを待った。面白がりもせず。

「あの、着替え終わりましたけど」
「そうか」

行きとは違う素っ気のなさに戸惑いながらも、上条はいつものTシャツの上から学ランを着た状態に戻った。
雲川が、脱いだ上条の服を畳み始めた。

「あ、俺やりますって」
「うん。手伝いくらいはさせてくれ」
「手伝いって。何も肌着から畳まなくても」

肌の上から直接着たカッターシャツ。雲川が畳んでいるのはそれだった。
緊張してかいた汗を吸っていて、一番他人が触りたくない服だろうと思う。
雲川が綺麗に畳んだそれを持ち上げて、匂いを嗅いだ。

「思い人が眠った布団の匂いをかぐヤツが主人公の小説が確かあったな」
「変態ですよそれ」
「少し汗っぽい匂いがするけど」
「解説しないで下さい! 汗吸ったシャツなんだから当然でしょうが!」
「当麻の、匂い」
「こんなタイミングで名前で呼ぶなバカ先輩」
「お前が要らないんなら持って帰ろうかな」
「先輩ホントにそれやったらドン引きですよ」
「代わりに私の下着をやろうか? 今ここで脱いで」
「い、いやそんなのいらないですから!」
「本当にか? いま、言葉に詰まったけど」
「そんなお誘いきたら誰だってどもるくらいするに決まってんだろ!」

おなかを押さえるようにしながら雲川がクスクスと笑う。
そっとシャツを横において、ズボンを畳み始めた。
それ以上をやらせるのは悪いので、上条は急いで他の服を畳む。

「今日は楽しかったよ、上条」
「そうですか」
「本当にだよ」
「……俺は疲れました」
「明日からはまた、こんな距離で話すことは出来ないんだな」

それは、そうだ。姫神はクラスメイトだから、きっと学校では雲川先輩とはこんなことにならない。
それを少し寂しく感じた自分を、自省した。

不意に、雲川が上条の首元に腕を回し、胸に顔をうずめた。

「寮に着くまで、こうさせてくれ」

懇願の響きを持ったそれを、上条はたぶんやんわり断るべきだったのに。
リムジンは静かに学園都市の道を走っていった。
444 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/18(木) 11:26:56.08 ID:GZh8PIEo
そろそろ雲川との火遊び編も終わりだなー。最近姫神かいてないなー。婚后さんも書いてないなー。
ちょっと12月初めまで学業が修羅場ってるので更新が遅いかも。ごめんちょ。
445 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/11/19(金) 01:08:28.92 ID:UAQX0JIo

リムジンが寮から少し離れたところについてすぐ、上条は車内から追い出された。
着替えるためだと言ってはいたが、素っ気無く追い出されたことに少し寂しさを覚えていた。

「……インデックスにこれ食わせて、あとは宿題か」

通常授業の分に加えて補習まであるのだ。睡眠時間が不足するくらいは頑張らないといけないだろう。
憂鬱な気持ちを抱えながらエントランスを上条はくぐった。

「あ。当麻君……」
「秋沙?」

ラフな格好の姫神が、驚いた目で上条を見つめた。
郵便受けでもチェックしたのか、ゴミを捨てに降りたのか、そういう感じだった。

「今。帰ってきたの?」
「あ、ああ」
「……一応聞いておくけど。危ないことに首を突っ込んだとかじゃないよね?」
「ちがうって」

会えたことに嬉しそうな顔をしてすぐ、心配げに表情を変えて上条の傍に近づいた。
まるで上条を信用していないかのごとく、服が破れたり焦げたりしてないかを調べるように、
姫神は上条の周りを一周した。

「汚れてはないね」
「……だろ?」

後ろめたい。上条の内心はその言葉一色で染められている。
上条が荒事に首を突っ込んだんでないらしいことを理解した姫神が、ほっと顔を緩ませる。
それに釣られて、上条も僅かに微笑んだ。
だがよく見ると、姫神の笑みが、いつもよりくっきりとしていて、妙な感じがした。

「どうして。制服をクリーニングに出したの?」
「え?」
「当麻君は。よく腕をまくるから肘にしわがあるのに。さっき着なおしたばっかりみたいに綺麗だよ」
「……えっと」
「靴もちゃんときれいにしたんだね。自分で穿き潰した普通のスニーカーって言ってる靴なのに。すごく丁寧に擦り切れを直してある」
「……あの」
「当麻君」

怒りを笑みに隠したような表情が、くしゃっと崩れて悲しそうな色を帯びた。

「どうして。胸元にこんなに長い髪の毛がついてるの? クリーニングした服なのに」

黙っているほうが悪く取られかねないくらい、ひどい状況証拠がそろっていた。
何も悪いことをしたつもりはないはずなのに、夕方から今までの出来事を姫神に話すのが躊躇われた。

446 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/19(金) 04:19:23.28 ID:HoWlhXEo
姫神さんこわいっす
447 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/19(金) 09:30:41.14 ID:ZJ21882o
ヤンディープブラッドか
胸熱
448 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/23(火) 13:32:22.51 ID:CjTK8gDO
吹寄
449 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/27(土) 02:31:50.09 ID:caTnSH6o
アニメで吹寄が出てきたがこれで一段と姫神が目立たなくなるんだろうなぁ
450 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/28(日) 00:36:19.80 ID:9FiPTH.0
上条さん悪いことしてるだろ
451 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/02(木) 17:22:06.69 ID:ja2Q3AAO
待ってるぞ
452 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/02(木) 18:42:40.71 ID:p1b4ssAO
雲川「[らめぇぇっ!][らめぇぇっ!]」
453 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/12/02(木) 23:58:01.58 ID:wMnranoo
申し訳ない。。。
忙しいってのもあるんだけど研究が最近楽しくてさ。方程式いじくってたら一日があっという間に終わるんだよな。
現象のモデル化ってのはやっぱ理系の研究者の醍醐味だよなー
454 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/03(金) 00:37:53.14 ID:sdeXkIAO
何この人……かっこいい……//
455 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/03(金) 03:24:51.33 ID:6DtAliIo
なにを言ってるのかさっぱりだ
456 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/12/03(金) 22:45:58.11 ID:Wx4fy72o

姫神が、つまんだ髪を払い落とした。

「雲川って女の人?」
「え、な」

なんで、と聞こうとして、自分が語るに落ちたことに気づいた。

「やっぱり。……当麻君の。顔に書いてあるよ。当麻君は私のこと彼女だなんて思ってないのかもしれないけど。
 それでもすぐにわかったよ。あの人と遊んでたんだって」

遊ぶ、という言葉に揶揄が込められていた。上条に嫌味を言っているようで、自虐的でもある言葉だった。

「彼女と思ってないとか、そんなことないって」
「だったらどうして? 当麻君に好きって言ったときに。約束したよね?」

姫神秋沙以外の女の人とデートをしないこと。
自分は当然のことだと思って、その約束を契った。
雲川としたのは、デートではなかった。だから約束を反故にはしていない。
だが、後ろめたさのない、潔白な身かというと、やっぱり後ろめたかった。
つい数分前に胸元にすがり付いていた雲川の重みが、まだ腕の中に残っていた。

「ごめん」
「謝るっていうことは。私に言えないようなことをしたの?」
「そんなことはないって」
「じゃあどうして謝るの?」
「えっと、秋沙以外とはデートしないって約束した身でさ、夕方に女の人と会うのは良くない、からさ。
 一応言っとくけどデートではなかったんだけど」
「何をしたの?」

髪を弄りながら、上条と目を合わせずに姫神が詰問する。
気がつくと二人の距離が少し遠かった。

「パーティのエスコート役が必要だからって無理矢理連れて行かれて、知らない人だらけの会場で、
 挨拶して回ってる先輩の横でずっと立ってた」
「それだけ?」
「……基本的には」
「当麻君」

髪を弄ぶ癖は苛々とした気持ちの表れなのだろうか。
チラとこちらを見た目がちっとも笑っていなかった。

「隠し事してるの。わかるよ。私なんかには言う必要もないと思ってるのかもしれないけど」
「……ごめん」
「謝られても。どうしようもないよ。何をしたの?」
457 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/12/03(金) 22:47:03.33 ID:Wx4fy72o

「ちょっと酒を飲まされて。少し介抱してもらった」
「介抱って?」
「いや、その……。蝶ネクタイ外してもらったり」
「ふうん。お洒落な服を着てたんだね」

チクチクというかもうちょっと太い針で責められている感じだった。

「どうして黙るの?」
「どうして、って」

なんと返せばよかったんだろうか。

「私は当麻君の。何なのかな? お付き合いしてるって。そんな風に舞い上がってたのは私だけだったのかな」
「そんなことないって」
「じゃあ、どうしてあの人とこんなことしたの?」
「こんなこと、って。その、言い訳がましいかもしれないけどさ。別にデートしたわけじゃなくて」
「じゃあどうして。クリーニングまでした当麻君の制服にあの人の髪がついてるの?」
「……」

姫神にしては珍しいくらい、語気が強かった。

「ごめんね。当麻君」
「え?」
「一方的だって。分かってる。けど」

姫神が首を横に振った。そして、上条に背を向けた。

「今日は帰るね。あの子が部屋で待ってるんでしょ? 私より、あの子のところへ行ってあげればいいよ」
「ちょ、ちょっと待てって」
「触らないで」

帰ろうとする姫神を止めようとして肩に触れた手を、払いのけられた。
上条を拒否する意志の強さに、気おされた。

「今日、上条君はあの人を抱きしめたりしたんでしょ? その手で。触られるのは嫌」

上条に聞かせるようなため息が、姫神の口から漏れた。

「ごめんね。明日には。少しは頭も冷えてると思うから。当麻君も悪いって思うことがあるんだったら。今日の夜はちゃんと反省して」
「……わかった」
「放課後はあの人と遊んで。今からはあの子となんだね。……私って。何なのかな」

その問いの答えは明らかなはずだったのに、一瞬、答えるのを躊躇った。
458 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/04(土) 02:46:18.69 ID:djutvcoo
おうきてたのか
459 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/04(土) 02:55:05.17 ID:9vGjwcYo
先輩がこうなることを計算してたってことはないのか
460 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/04(土) 10:58:14.25 ID:GdIy0eko
姫神こええ
461 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/04(土) 12:10:20.99 ID:btE16s2o
いやどう考えても上条が悪いだけだろ
むしろ付き合って即効でこれでこの程度で済めばいい方じゃないか
462 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/05(日) 21:26:20.52 ID:AHIk.wko
うらやま死刑
463 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/07(火) 00:34:12.16 ID:Lr/Y76.0
>>461
特定の異性と付き合いだしたら
他の異性とは極力個人的に関わりを避けるのはマナーだよな
464 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage ]:2010/12/11(土) 20:45:35.76 ID:6pPLsEA0

上条さんの「誰も不幸にしたくない」スキルが、恋愛では裏目に出るかも

まあ、姫神の反応は普通じゃないの?上条さんも誘惑が多くて大変だな
465 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/12(日) 01:30:49.28 ID:tidhric0
>>464
誰かを選ぶということはそれ以外の誰かを選ばないということだしな
466 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/17(金) 22:41:42.94 ID:UiwkvwAO
もう二週間か....
467 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/18(土) 02:17:06.12 ID:UgWpuJgo
忙しいみたいだからしょうがない

アニメの影響で姫神SS増えないかな
468 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/19(日) 19:52:09.38 ID:M20lCCko
姫神SSも増えるけどそれ以上に吹寄SSが増えそう
469 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/12/23(木) 11:43:57.48 ID:2m7g9Hso

「とうま、遅い。おなかすいたんだよ」

お帰りと言うより先に、文句が飛んできた。
こういうときのインデックスは少し危険だ。早めに食事を用意しないともう一段階上の危険状態にシフトアップする。
まあ、文句より先に噛みついて来ることはなかったので、そこまで機嫌は悪くないのだろう。

「悪い悪い。今日は出来合いのを貰ってきてるから、それ食べよう」
「えっ? やった! でもなんでとうまがそんな高級そうな匂いの包みを持ってるの?」

買ったとは思わなかったらしい。その通りなので否定はしない。
だらーっと床に寝そべっていたインデックスが這い寄ってきて、綺麗な紙袋の中身をしきりに気にしている。。

「まあ、ちょっとあってさ」
「……とうま。服が綺麗になってる」
「え?」
「まさか、また変なことに巻き込まれて汚したから着替えたとかそういうことじゃないよね」

姫神と同じ反応だった。思わず苦笑しようとして、チクリと内心に痛みを覚えた。

「インデックスも一応女の子なんだな。そういうところに気づくあたり」
「一応ってなんなんだよ! それで、なんで服が綺麗なの?」
「学校の先輩に拉致られてパーティに連れて行かれたんだ」
「とうまだけずるい!」
「だぁっ歯を仕舞え口を閉じろ! だからこうやって食べ物を持って帰ってきただろ」
「でもそれ、残り物じゃないの? とうまはもっと良いもの食べたんじゃないの?」
「あっちじゃ大して食べてねーよ」
「ふーん。まあいいけど。とうま早く準備して」
「へいへい」

手を洗って、上条は詰め折を広げに台所へ向かった。
470 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/12/23(木) 11:47:24.47 ID:2m7g9Hso

「とうま」
「ん?」
「今日、どうかしたの?」
「あ? 急になんだよ」
「とうまがいろんなことに巻き込まれるのはいつものことだけど、なんだか今日は、落ち込んでるみたいに見えるよ」
「……」

図星だった。
温めた詰め折をテーブルに置く。
パーティでは食べられなかった分、上条も腹がすいてはいたのだが、食べる気にならなかった。

「秋沙に怒られてさ」
「あいさに? なんで?」
「まあ、いろいろあって」
「……ちゃんと謝ったの?」
「ああ。でも許してくれないかもしれない」
「そんなことないよ」
「え?」
「秋沙もとうまのこと、好きだから」

その一言に思わずインデックスの顔を見る。
自分と姫神の関係に気づいたわけじゃないだろう。
だがその裏表なく人を信じている笑みは、上条を勇気付けてくれた。
心のどこかでインデックスに後ろ溜めたさを覚えながら。

「ありがとな」
「わっ。……もうとうま。早く食べたいんだよ」

わしゃっとフードの上から髪を撫でると、インデックスは一瞬眩しそうな顔をしてすぐに上条から興味を失った。
インデックスは箸を取り上げてすぐさま目の前の洋風の料理に手をつけ始めた。
471 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/12/23(木) 11:51:24.67 ID:2m7g9Hso
みんな久しぶり。停滞しててごめんよー。
ちょっと雲川先輩と遊びすぎたかなあと読み直して反省。
アニメからSSに流れる人ってどれくらいいるんかね。にぎわうといいねえ。
472 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/23(木) 13:21:36.80 ID:0eaLcY6o
久々に乙だ!
いると良いんだけどなぁ…美琴のばっかり増えそうだけど
473 :Are you enjoying the time of eve? [sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:38:52.68 ID:hPjMR.60

いやー楽しみにしてました!!!!
インデックスって本当はすごくいい子なんだよな

翌日の姫神が上条さんにどんな態度をとるか気になる
474 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/12/25(土) 00:44:35.09 ID:iNIHXx2o

上条当麻の朝は早い。
目覚まし時計を信頼できるような幸福に恵まれない上条にとって、自力で起きることは当然のことである。
手早く朝食を摂って身だしなみを整え、大したものの入っていない鞄を手にして扉を開ける。

今日の懸案事項は、どんな顔をして姫神に会うか、だった。
頭を下げることは出来る。真摯なつもりで言い募ることは出来る。
だが、拒否されたら? 取り付く島がなかったら?
……俺に出来ることはまあ、許してもらえるまで真剣に謝ること、くらいだよな。

朝の空気がかなり肌寒い。
気乗りしない足取りで、エントランスへと下りたところで。

「あ、秋沙……」
「おはよう。当麻君」

無表情に、そっと佇む姫神に出くわした。

「あ、その。おはよう」
「うん」

昨日別れ際に見せた激情が、これっぽっちも見えない。
だがそれが上条を許したということだと思えないのは、その無表情ゆえだろう。

「秋沙」

改めて呼びかけると、肩がビクリと震えた。

「昨日は、ごめんな」

返事はなかった。上条は怯まずに、一晩考えた事を言葉にした。

「先輩とはデートをしたわけじゃなかったけど、でも秋沙が嫌な気持ちになるのは、当然だと思う。
 逆に姫神が誰かとそういうことをしたら、俺も嫌な気持ちになると思うしさ。だから、ごめんな」

謝罪の意思が読み取れるよう、しっかりと頭を下げて、そう言った。

「……当麻君は。怒ってない?」
「え?」

許してあげる、または許してあげない、どちらかの答えを待ち構えていた上条には、意外な言葉だった。

「私も昨日。言いすぎたなって。心の狭い嫌な女の子だって思われちゃったかなって。嫌われちゃったかなって」
「そ、そんなことあるわけないだろ!」
「本当に?」
475 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/12/25(土) 00:48:36.32 ID:iNIHXx2o
不安げに僅かにうつむく姫神。そっと上目遣いに見上げたその表情が、反則的に可愛かった。

「本当だって。いやだって、悪いのは俺なんだしさ。秋沙が気にすることなんてないって」
「……うん。当麻君は悪いよ」
「ごめん」
「もうしない?」
「しない。約束する」
「……信じてあげない」
「えっと、じゃあ、どうすればいい?」
「信じられるように。ずっと努力して」
「分かった。努力する」
「ほんとに分かってるのかな。当麻君は」

少しづつ、顔が前を向いてきてくれたように思う。拗ねて尖らせたその唇を、上条は申し訳ないと思うより先に可愛いと思った。

「でも。嫌われてなくてよかった」
「当たり前だろ」
「うん。当麻君が他の女の人を見るのは嫌だけど。嫌われるのはもっと嫌だから。」

怒ったような、それでいて微笑んだ表情を姫神が見せた。
それがいじらしくて、上条はつい、手を姫神の髪に伸ばした。
さらさらとした感触を楽しみながら、頭を撫でる。
すぐに柔らかくなった姫神の表情を見て、

「好きだよ、秋沙」
「うん。嬉しい」

そう囁きあった。

「じゃあ、ひとまず仲直り出来たところで、学校行きますか」
「そうだね。……当麻君。持って」
「あ、ああ」

上条は鞄を渡されて、少し戸惑った。姫神の荷物を持つのは嫌ではないが、意図がつかめなかったからだ。
罰ゲームなのだろうかと考えたところで、予想を全く裏切る行為に姫神が出た。

「ちょ、ちょっと秋沙。ここエントランス!」
「学校でやるのは恥ずかしいから。ここで許してあげる」

姫神は正面に立って、開いた両腕を上条の背に回した。二人の距離がゼロになる。
朝だからなのか、姫神の匂いがフレッシュに感じられる。その柔らかさが、気持ちいい。
……それはいいが、ここは朝のエントランス。思わず辺りを見渡さずに入られなかった。幸い人はいない。

「当麻君は。そういう人だって分かってたから。浮気性でどんな女の人でもすぐ落とす人だって」
「いやいやいや! 何だよそのひどい評価!」
「だから。当麻君の一番になりたい私は。当麻君に一番愛してもらえるようもっと努力する。
 でも。見返りがなかったら。私もいつか疲れちゃうよ?」

わかってほしいと、姫神が目でそう訴えた。それだけで、姫神以外が見えなくなった。
姫神が可愛い。見返りなんて、いくらでも与える気だ。それで微笑んでくれるなら。それで幸せになってくれるなら。
上条は開いた片腕で、ぎゅっと姫神を抱きしめ返した。
476 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2010/12/25(土) 00:55:41.96 ID:iNIHXx2o
>>473
こんな態度でしたー。
さあ次は放課後デートかなあ。どういう内容にしようか。

そうそう、インデックスはいい子なんだよ。
だからこそ、姫神と上条が付き合ってると知らされたときの展開がさ、こう、燃えるよな。
このアフターストーリーはそこが書きたいが故に続いてるからな。
477 :Are you enjoying the time of eve? [sage]:2010/12/25(土) 01:06:16.53 ID:k7yIEAEo
姫神は禁書の良心
478 :MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!) :2010/12/25(クリスマス) 18:23:36.55 ID:g0M0lt60

こういう態度だったか!健気過ぎる……
嫌なことがあって、ちょっときつく言ってしまって、
結局は突っぱねてしまったせいで嫌われないか不安になってしまう辺り、
惚れた弱みなんですかね
でもこの姫神を嫌いになれる彼氏なんて存在し得ない!!

 インデックスが強く生きてくれますように!!
敢えてageときますね
479 :MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!) :2010/12/25(クリスマス) 20:43:21.05 ID:pvqZyDoo
>「当麻君は。そういう人だって分かってたから。浮気性でどんな女の人でもすぐ落とす人だって」
他のヒロインも同じ心境なんだろうな
480 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/31(金) 14:56:41.58 ID:vJIppA6o
上条さんってこんなに誠実だったけ?と思ってしまえるほど純愛な流れだな
481 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/31(金) 19:23:24.40 ID:fxjB.yw0

え?誠実じゃないですか?好意に気付いてないだけで……
482 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/06(木) 23:51:08.28 ID:G/8VuXQo
みんなあけおめ。どうぞ今年もよろしくな。
>>480 >>481
実際に上条さんに彼女が出来たらどんな態度になるんだろうな。
案外普通の彼氏なのか。まあ、浮気も女の子の方が寄ってくるだけで本人にその気はないしな。
なんなのこのリア充

>>478
付き合ってる子がこれだけ健気だったら可愛いよね。
そして姫神がいい子であればあるほどインデックスの居場所がないんだよねー
483 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/06(木) 23:51:48.27 ID:G/8VuXQo

「上条ちゃん。まだ終わらないんですか?」
「い、いやあ。この式ってどうやって展開するんだったかなー、なんて」
「……それ、小萌先生は授業でちゃんと書いたですよ! それも今日の授業で!
 まさか上条ちゃん。分からないのに板書のメモを取ってなかったんですか?」

鋭い叱責が飛ぶ。小萌先生が、いつになくスパルタだった。
隣では同じように補習を受ける青髪がいつ自分はしかってもらえるのかとワクワクして待っている。
まあ、期待は裏切られるだろう。さっきから小萌先生の叱責は上条にしか飛んでいないのだった。
理由はこれまた分かりやすい。

……姫神が、自分の席で淡々と補習の問題を解いているからだ。
勿論、真面目な姫神は補習を受ける義務などない。
ちょっと分からない所があったから、なんて上条に告げた言い訳はどこから見ても不自然で、
本音は教室を出るところからガッチリ上条を捕まえて一緒に帰る気満々らしかった。
上条は内心そういう姫神のいじらしさが嬉しくて、早く終わらせようという気にもなるのだが、
どうやら上条以上に小萌先生が燃えてしまったらしい。

「カミやーん。ええなあ。小萌先生に苛められて。しかも小萌先生の後は姫神さんとなんやね」
「……姫神に苛められる予定はないぞ」
「じゃあ何するん? 何するん?」

ぼんやり笑う青髪の背中に、どす黒いオーラが立ち上る。

「上条ちゃん! おしゃべりしてる暇はないですよ!」
「……」

声をかけるのは小萌先生だけだが、教室の遠くからチラリと送られる姫神の一瞥も、
上条にプレッシャーを与える要因だった。

「小萌先生すみません! ボクもしゃべってました!」
「集中しないと駄目ですよ」
「はーい! ……もっとカミやんみたいにきつく言ってほしいのに」

青髪の切ない呟きは、小萌先生には届かなかった。
484 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/06(木) 23:55:32.30 ID:G/8VuXQo

補習は、与えられたプリントを終えた人間から帰れる形だった。
教卓の小萌先生にプリントを持っていくと、目の前で採点して間違いを指摘してくれる。
上条は二度ほど突き返されて、ようやく終わりそうだった。

「……はい。ちゃんとこれで直りましたね。上条ちゃん、この問題は検算も簡単なんですから、
 落ち着いて全部確かめれば間違いは避けられるんですよ?」
「まあ、それはそうなんですけど、なかなか」
「きちんと手続きを踏めば正解できるんですから。そういう部分を疎かにしてはいけないですよ」
「はい。それじゃあ、帰ります」
「小萌先生。私も。終わった」
「あ、姫神ちゃん。すぐ終わらせますね。……これも、これも、これも、はい。
 姫神ちゃんはちゃんと出来てますね。全問合ってます」
「よかった。それじゃ。帰ります」
「はいです。狼さんに送られちゃ駄目ですからねーっ?」
「……狼が拾い食いしないように、首輪をつけて帰る予定」
「あの、姫神さん? 帰り道は狼の散歩でもなさるおつもりで?」
「何を言っているの? 当麻君」

狼ってのは俺のことなんだろーなー、と上条も察しはつくし、首輪をつけて帰るって言葉の意味も分かるのだが、
拾い食いの意味するところがよくわからなかった。いかに貧乏学生の上条とて拾い食いの経験はない。

「いい彼女さんやねえ。カミやんの帰りにあわせてくれたんやね」
「うるせ。てかお前もとっくに仕上がってるだろ? さっさと帰れよ」
「カミやんは信じられへんこというね。最後まで小萌先生に面倒見てもらいたないん?
 ああ、カミやんは今からデートやもんねーいいねーうらやましいねー」

面倒くさい隣のを無視して筆記具やテキストを仕舞い、さっさと上条は鞄を背負って席を後にした。
姫神を見ると、向こうも準備を済ませて、友達に挨拶しているらしかった。
ふと視線をその周囲にスライドさせると、まばらに座る生徒のほぼ全員が、意味ありげにこちらを見つめていた。

「あ、み、みんなお疲れ」
「さようなら、また明日お会いしましょうです。上条ちゃん、姫神ちゃん」

小萌先生だけがにこやかに手を振ってくれた。
485 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 00:50:20.27 ID:qS7fvYwo
久々に乙だ!
姫神は相変わらず健気だなぁ
486 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/07(金) 10:58:44.40 ID:Hm/19I6o

「今日は。すぐに帰るの?」
「いや、買い物する以外は別に予定はないよ。まあ、インデックスに最近構ってやってないから、
 どっかで穴埋めしないとまずいなー、とは思ってるけど」

インデックスは友人も少なく暇をもてあまし気味なので、定期的に遊んでやらないと不機嫌になって
晩御飯を作ってる間中愚痴を言い続けたり意味もなく噛み付かれたりするので厄介なのだ。

「あの子は。昨日の夜遊んであげたんじゃないの?」
「ん? いやまあ、時間もそんなになかったしたいしたことはしてないけど」
「でも遊んだんだよね」
「そりゃそうだけど……姫神?」
「姫神じゃない」
「ごめん。秋沙」
「我侭だって思われたら嫌だけど。当麻君のことを当麻君って呼ぶようになってから。
 私は一度も当麻君と放課後遊んでない」

そういえばそうだった。昨日は、長引いた補習の後に雲川先輩に連れまわされた。
自分で言ったことをきっかけに、姫神の機嫌が急激に曇り空な感じになってきた。

「じゃ、じゃあ今日はどっかいくか」
「当麻君があの子と遊びたいんなら。帰ってもいいよ」
「そんな風に言わなくてもいいだろ。秋沙と一緒にいたいからさ、どっか遊びに行こうぜ」
「他の女の子にはそんな事言わない?」
「言わねーよ」

すこしぶっきらぼうに歩き出す上条の腕に、きゅっと姫神が絡まった。
恐る恐る表情を覗き込むと、意外と機嫌は悪くなさそうだった。

「うん。遊びに。行こう」

姫神は上条の歩幅に合わせて歩き始めた。
487 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/07(金) 10:59:49.83 ID:Hm/19I6o
「ここでいいのか?」
「うん。ここがいいの。理由は……わかってくれる?」
「ん。たぶん」

目の前にあるのは、別段珍しくもないファストフードの店だ。
ゲーセンだのなんだのより、姫神が行きたいと言ったのはここだった。
夏休みのある日。姫神と初めて会ったのが、ここだった。

「ほんとに分かってる?」
「席は二階の、あそこだろ?」
「……良かった。覚えててくれたんだね」
「いやあの出会いはそう忘れられるものじゃないと思うんだけど」
「そうかな? 当麻君ならもっとドラマティックな女の人との出会いとか、いくらでもあるでしょ?」
「ねーよ。そんなもんこの上条さんに限ってあるわけないだろ?」
「嘘」
「嘘って。第一ドラマティックな出会いってどんなのだ?」

店に入って、オーダー待ちの列に並ぶ。

「角を曲がったら女の子にぶつかったとか」
「ない。どこのアニメですか?」
「路地裏で絡まれてる女の子を助けたとか?」
「……そういうことは、まあ、たまにやるけど」
「ほら」
「いやでもありがとうございますって言われてすぐ別れるから、
 そういうので知り合った女の子なんて一人も覚えてないって」
「ふうん」
「信用してくれよ」
「信用させて欲しい。……他には。死にそうなくらいの目にあった女の子を助けたことは?」
「え? えーと」
「ほら。当麻君にはそういう女の子がいっぱいいるんだね」

さっぱり分からない。
姫神とデートして、姫神が行きたいというところに連れて行ってやって。
……で、なぜ姫神の機嫌は単調降下していくのか。
事故が振ってかかったような気分になりながら、上条は必死に弁解をする。

「そういう女の子って、まあ成り行きで助けたことになる女の子は確かに何人かいるけどさ、
 別にその子達と知り合い以上の関係になったことなんかないんですけど」
「でも。そういう女の子たちの中にはきっと。当麻君のことを好きな人がいるよ」
「そうかぁ? それでモテるんなら苦労しないと思うんだけどな」
「私が当麻君を好きになったきっかけは。それだよ」
「秋沙」
「私は。おかしな勘繰りをしてるんじゃないよ。私みたいな人が。きっと他にもいるって。それだけ。
 私の中で当麻君が特別な人になったきっかけは分かりやすいけど。
 当麻君の中で私が特別な人になれてるのかどうか。ちょっと自信がないよ」

上条がそれに言葉を返すより先に、ちょうどオーダーの順番が回ってきた。
業務用に貼り付けたスマイルが、早く注文しろと急かしている。
適当に二人分の注文をして、二階へと上がった。
488 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/07(金) 11:01:39.55 ID:Hm/19I6o

「あー、空いてないな」
「仕方ないね。半分くらいは諦めてたけど。どこに座る?」
「……あそこでいいか?」
「うん。いいけど」

思惑があって、上条はそこを指定した。
フロアの中央に立つ柱のせいでテーブルが入り組んだ配置になっている。
フロアの片隅にある比較的見えにくい二人席。壁際のほうの席はソファ状で、向かいの席がイスになっている。
人目をそれほど気にしないでいいので、カップル御用達の席なのだった。今日は上手く空いていた。

「秋沙。そっちじゃなくて、こっちに」
「え? でも。当麻君がそっちに座るんじゃ?」

ソファ席のほうに上条は座った。そして、椅子に座ろうとする姫神に、自分の横に来るように言った。
つまり対面になるよう作られた二人席で、無理矢理片方の座席に二人で収まって、
密着しながらハンバーガーにかぶりつく構図だ。
姫神が、少し遅れて上条の意図を理解した。

「その。本当にこれやるの?」
「嫌か?」
「だって。誰かに見られたら。恥ずかしいよ」
「見られて困る奴がいるのか?」
「ここ。吹ちゃんとかも来るお店だし」
「別に吹寄に見られたって、いいだろ。俺と秋沙は付き合ってるんだし。
 ……俺だって恥ずかしい思いして言ってるんだ。嫌なら嫌でも、まあ、仕方ないけどさ。
 こんなことしようって誘ってるの、初めてだし。秋沙だけだ」

ほんの一瞬の躊躇い。
そして姫神は、えいっとばかりに上条の隣にもぐりこんだ。

「嫌か?」

姫神がふるふると頭を横に振った。
横にある壁と上条の間にすっぽりと収まって、軽く姫神が上条にもたれかかった。
489 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/07(金) 11:03:27.04 ID:Hm/19I6o

「どうしよう。恥ずかしいけど。すごく嬉しい」
「まあなんだ。これなら、彼女っぽいだろ?」
「うん」
「こんなことしたいって思うのも、秋沙にだけだからな。その、秋沙。好きだよ。
 やべ、正直言って俺も恥ずかしくて、どうにかなりそうだ」
「うん。私も当麻君のこと大好きだよ。困らせて。ごめんね」
「いいよ。妬いてくれるのも可愛いし」
「もう。……でも、可愛いやきもちって難しいよ」
「ん?」
「やきもちな時って。構って欲しくてすぐ嫌なことを言っちゃうから。
 私とあの子どっちが大事なんて聞かれて。当麻君だって絶対にしんどいって分かってるんだけど」

目でそっと謝った姫神をぐっと抱き寄せる。
姫神からも腕が回されて、見えにくいと言いながら人目もある店内で、ぎゅっと抱きしめあった。

「当麻君。恥ずかしいけど。じゃあどうぞ」
「え? ああ。」

姫神がポテトを一本つまんで、上条の口元に持っていった。
お互いに緊張でぎこちなくなりながらも、上条は出されたそれを齧った。

「ホントのホントの感想を言うとな」
「うん」
「緊張してていまいち味が分からない」
「ふふ。私も当麻君にされたらそうかも」
「ほら、食べるか?」
「うん。ありがとう」

そっと口を開いてポテトを待つ姫神の顔の前で、三秒くらいポテトを止めてやった。

「当麻君?」
「ご、ごめんごめん。つい」
「もう。当麻君の馬鹿」

今度は余計なことはせずに、姫神の口に入れた。

「美味いか?」
「……普通」
「まあ、ただのフライドポテトだしな」
「たしかに。いつもより味が分からないかも」
「このペースで全部食べさせあうと大変なことになるな」
「それでもいいよ。ここ。すごく落ち着くから。こうやって当麻君とべたべたしながらおしゃべりできるし。」

たぶん、夕方まで何をするかがこれで決まった気がする。
ハンバーガーが冷めるのはいいが、周りの冷たい視線が刺さりやしないかと上条は少し心配した。
490 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/07(金) 11:10:05.75 ID:Hm/19I6o
マクドでイチャつく高校生まじうぜーうぜー
今回の話は実話が元なんだ。
俺が一人席でマックポークと三角チョコパイを齧ってる隣で高校生がイチャついてるのを見てさ。
ああ、次の姫神とのデートシーンはマクドにするか。いいネタになるなこれは。ってな感じで。

お前らまさかマクドでイチャイチャとかしてないよな? ないよな?
491 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 11:59:00.62 ID:h/qWJl6o
あるわけ無いだろう…jk
相変わらずこれを読んでるとニヤニヤすると共に死にたくなってくるな
492 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/08(土) 15:13:32.10 ID:QC80vZQo
小萌先生は上条さんが姫神とあわきんに二股かけたらどんな反応するんだろうと思ってしまった
493 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 16:42:02.53 ID:T9KqOkAO
姫神のほうが歩調を合わせるあたりか凄く上条さんらしい駄目さ加減だね
494 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 02:27:48.58 ID:NrniJcMo
やめろ、見せ付けるな。やめろ・・・やめろ・・・

続けてくださいお願いします
495 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/09(日) 09:07:02.20 ID:VHRbG2E0
>>490
モスでいちゃいちゃしたことはあるお!俺が高一の時だお!

まぁそんなことはともかく、マックをマクドと言うのはやはり関西の人間らしいな
俺は関東モンだから、そう言う異なる文化圏をふと感じるっての・・・好きだよ?
496 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 10:12:32.84 ID:LmUG9QAO
俺も妹とイチャイチャしたいんだニャー
497 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/09(日) 11:21:58.30 ID:6oylUaoo
デートでハンバーガーを山のように食べる姫神
498 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 17:51:00.00 ID:kl/nXFeM0

あwwまwwすwwぎ……惜しみない乙を!!

 しっかし姫神も大変だな。まあ疑心暗鬼になるの分かるけどさ
少々影が薄いと苦労するね

 >>497 それどっかの姫神SSにあった気がする
499 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/10(月) 00:44:19.47 ID:iwY5jw13o
あるわけないだろうと書き込んだ>>491は同士だ。>>495は敵だな。うむ。
なんて甘酸っぺー思い出をお前は持っているんだ。
関西人してるとマックという響きは自然とは口から出てこないんだよなー。

>>498書く気はないんだけどこのあとアックア師匠が来たときスゲー苦労しそうなんだよな。姫神。
押しかけ女房の戦いで五和と修羅場になるのは間違いないし、戦闘になれば五和と違って戦力外だし。
しかも自分が何も出来ないところで彼氏が意識不明の重体になるし。
500 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/10(月) 00:46:09.99 ID:iwY5jw13o

「秋沙、飲むか?」
「うん。ありがとう」

安く済ませるため、ドリンクは二人でひとつ、Lサイズのジンジャーエールを頼んでいた。
自分で一口飲んで、そのまま姫神の口元に持っていく。

「あは。間接、だね」
「あんまり抵抗なくなってきたな」
「そうだね。ドキドキしなくなっちゃうのは。ちょっと残念だけど。
 ……っていうか当麻君は。女の人と間接キスなんて気にしないでしょ」
「なあ姫神さんや。なんでそんなに俺のことを見境なしみたいに言うんだよ。
 そりゃ確かに否定できないケースもあるけどさ」

上条はこれまで女の子と付き合ったことのない男子高校生だった。
ぶっちゃけ、間接キスでもドキドキできた自信はある。
そんな甘酸っぱい出来事があったなら覚えていないわけがない。
だが、姫神はそんな上条の思いに全く賛同してくれそうもなかった。
僅かに唇を尖らせ、文句を言うように僅かに上条の肩を頭で小突いた。

「テレビで見たよ。当麻君が間接キスしてるの」
「テレビ?」
「大覇星祭のとき。当麻君は借り物競争で女の子と手を繋いで走ったよね。
 ゴールした後手を繋いだ子から貰ったスポーツドリンク。当麻君飲んでた。」
「……」
「そういえば汗も拭いてもらってたね。あの子こないだゲームセンターで会った常盤台の子だよね」

なんでそんなに覚えてるんだよ、という思いは言葉にならなかった。
確かに美琴に引っ張りまわされたのは覚えてる。けど、スポーツドリンクなんて貰ったっけか。
上条はそのへんの記憶が曖昧だった。それからすぐ学園都市に侵入したオリアナ・トムソンの追跡を始めて――
501 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/10(月) 00:50:26.16 ID:iwY5jw13o

「……」
「当麻君?」
「……」
「もしかして。気を使わせちゃってる。かな?」
「いや、だって。あの時。俺は秋沙のこと――」

上条はその日、血まみれの姫神をまたいで走り去った。

「いいの。あの時当麻君が何をしてたのか。あの子から聞いているから」
「だけどあんな大きな傷で」
「当麻君もあのお医者さんの腕は知ってるでしょ? 痕も残ってないし。
 ……私のことで。怒ってくれてありがとう」
「なんだよそれ」

ひときわぎゅっと、姫神が上条に抱きついた。

「大切に思ってもらえるのが。嬉しいんだよ」
「秋沙があんな目にあうところ、見たくない」
「うん。私も二度は嫌だね。……ねえ当麻君。もしあの時。もう私が当麻君の彼女だったら。
 当麻君はどうしたのかな?」

上条は、咄嗟に答えを返せなかった。
上条に出来ること、出来ないことは姫神がクラスメイトか彼女かと、何の関係もない。
あの時傷ついた姫神をどうにかする力は上条にはなかったし、そして今もない。
そして学園都市を守るために、急いで追うべき敵がいるならば。

「ごめんね」
「なんで謝るんだ?」
「天秤に掛けちゃいけないものを。当麻君に比べてもらおうとしちゃったから」

上条は何を言葉にしていいかわからなくて、姫神を抱き寄せた。
姫神はそれに逆らわなかった。
無言で、上条は姫神の髪を梳く。目を優しくつむった姫神の表情を、可愛いと思った。

二人はお互いに内心で、この後どうしようかと、悩んでいた。
恋人らしく密着して甘い感じはあるのだが、すこししんみりした雰囲気になってしまった。
明るい話を振りたくて、頭の中で話のネタを検索していく。

「あ……」

そこで不意に、見知った第三者の声が二人にかけられた。
502 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [なにはともあれ>>1乙]:2011/01/10(月) 01:20:42.98 ID:YBQBhglIO
>>496
黙れこの似非魔術師
13話見た時は原作読んだ時もそうだけど
マジでガッカリしたわ
何一人でフェンスに仕掛けられた罠如きに
引っかかって伸びてんだよ


べっ別にかっこいいところを期待してたとかそんなんじゃないんだからね!
503 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 01:22:33.92 ID:YBQBhglIO
あれ!?
ゴメン途中だったか!?
504 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 02:23:15.90 ID:ZI50wGi30
どうも製速禁書wikiの管理人です。
姫神の話が一旦終わったということで、その後の展開に関しては別のページに掲載することにしました。
http://www35.atwiki.jp/seisoku-index/pages/21.html

>>1さんがんばってください!
505 :495 :2011/01/10(月) 07:09:30.84 ID:YHNYecp00
>>504
素晴らしい、わざわざお疲れ様です
禁書儲の私としては、同じとあるシリーズの愛好者たる、親愛なる管理人同志に、
心からの敬意と乙を申し上げたく存じます
これからも管理人同志の無理無く、更新を頑張って下さい!

>>1
今日も乙!
一番気になるところですね・・・さすが作者同志、焦らすねぇww
>>1のライフスタイルと相談されて、まったりしたペースで全然構いませんので、
是非この調子で頑張って下さい!次のご来訪を心の底からお待ち申し上げております
506 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/10(月) 11:48:54.97 ID:KTjYqybro

「このお店でお茶するの久しぶりですねー」
「だねー。やっぱりこのシーズンになるとこのグラタンコロッケが食べたくなるんだよね」

先に会計を済ませ、初春と佐天は二階へと上がる。
大覇星祭の前後は風紀委員の仕事が忙しく、美琴を含め4人で集まる機会がここしばらくなかった。
今日は久々に、おしゃべりに花を咲かせる予定の日だったのだ。
その中でも、二人が最も期待していたのは。

「切り出しは『そういえば、御坂さんって好きな人っていますか?』でいいかな?」
「ちょっと唐突過ぎますよ。それ」
「じゃあ初春ならどう話を持っていくの?」
「そうですね……」

初春はきっかけを探して周囲を見回す。
今日の一番の目的は、『御坂さんに好きな人が出来たらしい?』という件について、しっかり問い詰めることだ。
どうも常盤台学園の理事の孫に見初められているらしい、なんていう初春好みの噂が流れているせいで、
この花飾りの少女はあれこれと妄想を書き立てているらしかった。
佐天はなんだかその肩書きのチャラさが美琴には合わない気がしていたが、
好きな人がいるという噂にはどことなく真実味を感じていた。

「あの人たちを引き合いに出す、って言うのはどうですか?」
「え、あのカップル? ……うーん、まあいいけど」
「あんまり乗り気じゃないですね」
「別に案は悪くないんだけど、ああいう人たちってあんまり好きじゃないんだ。
 ひがんでるつもりはないけどさ、ああいうことすると周りの人の気分は良くないし。
 ベタベタするのはもっと別のところでやればいいのに、って思っちゃうんだよね」
「んー。まあ、そうですねぇ」

ツンツン頭の男の人と、サラリとした髪の綺麗な女の人、
どちらも高校生らしいカップルが睦みあっていた。
佐天の言うとおりちょっと直視するのも恥ずかしいし、近寄りたくはない。
だが、あんなにも優しげに髪を撫でられる女の人の心境はどんなものだろうと、
初春はちょっと気になるところもあるのであった。

「あ、もしかして初春はああいうのに憧れてる感じ? もー言ってくれればいいのにっ!」
「へっ? そそ、そんなことは。って佐天さん! 駄目です、人が見てます!」

四人席のボックスのソファで、佐天と初春は隣に腰掛けていた。それが間違いだった。
佐天の腕がぎゅっと体に回される。まるで遠慮がなくて、佐天の体が密着した。
そっと頬に手が添えられる。

「可愛いよ。ボクの飾利」
「変なこと言わないで下さい佐天さん!」
「えーこういうのが良いんじゃないの?」
「そんなこと思ってません!」

白井と美琴が上ってくるまでのしばらくの間、
初春と佐天はフロアの死角でいちゃつくバカップルよりも濃密な時間を過ごした。
507 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/10(月) 12:17:46.00 ID:KTjYqybro
>>504
いつもお疲れ様です。すみません、また作っていただいて。
ホントはさっさと書き上げて自分でwikiに載せようと思ってたんですけど、想像以上に長くなってきまして。。
また誤字脱字の修正等、させていただきます。

>>505
まだ登場してないけど次辺り美琴さんが姫神に無双されます。
まあ、ペースは今みたいな感じだなー。暖かいコメントをありがとう。
508 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/14(金) 12:14:47.05 ID:2EE3xamF0
大移動が始まったみたい
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

509 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/15(土) 00:23:35.11 ID:STOYg+z0o
これどうなってんだ?
ちょいと書き込みテスト
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

510 :nubewo ◆sQkYhVdKvM :2011/01/15(土) 01:07:15.44 ID:STOYg+z0o
製作速報VIPからSS速報VIPへの板移転の申請をしてきました。
書き込みなどはこのまま維持されますが、アドレスが変わりますので専用ブラウザでご覧の方は
板一覧の更新や新しい板の追加でSS速報VIPを追加のうえ、改めて『上条「もてた」』を検索してください。
……って言うアナウンスを移転前に読む人は何人いるだろうか。
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

511 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/15(土) 05:43:24.81 ID:GqeVlAo20

読んでますから!!
続き楽しみです!!!!
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

512 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/15(土) 12:15:52.93 ID:zKujhtnAO
カミやんあんまりイケメンじゃないな。
姫神マジ健気。
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

513 :真真真・スレッドムーバー :移転
この度この板に移転することになりますた。よろしくおながいします。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/15(土) 19:23:41.57 ID:GMx4SnkAO
テスト
515 :nubewo ◆sQkYhVdKvM :2011/01/15(土) 22:09:57.30 ID:8iPDy0aqo
おー、無事移転されましたな。
じゃがいものニョッキとカルボナーラソース作って食ったけどあんまり美味しくなかった。
うーん。。。
516 :nubewo ◆sQkYhVdKvM :2011/01/17(月) 12:34:27.71 ID:541eEBX0o
一度とっちめてやらねばなるまい、と黒子は心に決めていた。
ここ数日、美琴の返事がずっと上の空なのだ。
一応取り繕う気はあるのか、そう露骨なことはないのだが、
いつもと比べて会話のリズムが変にかみ合わないことが多くて、気になっていた。
寝つきが悪いのも気になる点だった。
黒子より寝つきの早い美琴の寝顔を見てから眠るのがひそかな楽しみだったのに、
このごろはどんより曇ったため息が聞こえてくることが多くて、嫌だった。

「ここも久しぶりですわね。というかここでよろしかったのですの?」
「ん? なんで?」
「こないだ話した、地下街にある紅茶セレクトショップのイートインでもよろしかったのに、と思いましたから」
「うーん、別にそれでも良かったけど、地下より外が見えるところで食べる気分かなーって」

疑心暗鬼のせいなのかもしれないが、こんな会話一つとっても、黒子にはなにか引っかかるのだ。
あの店は、かなりいいチョイスだと自負している。
美琴の好きなケーキが美味しいと評判の店だし、遊びに行くことの多いゲームセンターからも近い。
天気がいい日の続いた後で、今日は曇りだ。べつに外で食べたい気分になどならないと思う。
そういう、不確かではあるけれどお姉さまらしくないこと、というのが積み重なって黒子の気になっていた。
……原因は多分、あの類人猿。
その方面の話を初春がしたがっていたから、今日この店で、
お姉さまの真意をはっきりとさせてやるのだと黒子は息まいていた。

「さて、それでは私たちも上がりましょうか」
「ん」

店員からトレイを受け取って、階段を上がる。
それほど人は多くないし、このようすならすぐさま追い出されるようなことはないだろう。
羽を伸ばしてあれこれおしゃべりできそうだった。

「黒子。手拭きの紙とってくるから」
「あ、それなら私が」
「いいって。あっちで佐天さんたち待ってるから行ってきな」
「すみません」

黒子は窓際で手を振る佐天たちのほうに歩き出した。
他の客、特に柱から程近いところにいるカップルは、目に入らなかった。
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 14:30:35.41 ID:6usVYN+DO
一行とかwww



お疲れ様です
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 14:35:03.97 ID:v15Qofx50

 乙です!
次が楽しみだ!!
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/17(月) 17:06:52.76 ID:9MJarE5AO
やっとこ追いついたぜー
一度でいいから見てみたい、nubewo氏の書くインデックスの笑顔
520 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/18(火) 11:02:02.57 ID:dAXGDJaio

「あ……」

鬱陶しいカップルがいるわねー、と思った直後だった。
そこにいるのが、上条当麻と先日のクラスメイトらしき女だったからだ。

「よ、よお御坂」
「……」

上条は気恥ずかしさに思わず辺りを見回した。遠くに白井らしき背中が見えた。
残念なことに、ここで姫神とこうしている時間はここで打ち切りになりそうだった。
さすがに知り合いが傍にいる状況でこんなことをする度胸はない。
隣の姫神に目を向けると、上条の胴に回した腕を解くことなく、美琴に会釈していた。
……それにしても、ビリビリが飛んでこない。いつもと様子が違う気がした。

何やってんのよ、と言おうとして。上手く唇が動いてくれなかった。
そもそも肺がきちんと息を吸ってくれない。
いや、それを言えない理由は、体のせいじゃない。
何をやっているのかが本当に分かってしまったら、それは――――

「あの。悪いんだけど。見られると少し恥ずかしいから」

隣の女が、美琴にそんなことを切り出してきた。
おずおずと、という雰囲気を出しているのが癇に障った。
上条の目の前にいる自分という女が疎ましいのだろう。
それなら、失せろと一言、言えばいい。
恥ずかしいだのと男の前で取り繕った事を言うその態度が、不愉快だった。

「こんな人前で恥ずかしいコトやってる癖によく言うわね」
「それを言われると。確かにそうだけど」

目の前の女が、簡単に言い負かされた態度を取って戸惑う。
気に入らない。それが優越感の裏返しなのは見え見えだった。

「ならさっさとその破廉恥な抱きつき方止めたら?」
「うん。そうだね」
「お、おい。御坂。そんな言い方しなくてもいいだろ?
 そりゃ見てて気持ちのいいもんじゃないかもしれないけど、
 無視すりゃ済む程度のことじゃねえか」

女が体を離した。だけど同時にその女を庇うように、上条が背中に優しく手を触れた。
それだけで、自分が悪者のように、酷いことをした人になってしまった。
その裁定は理不尽で独善的で……美琴の中で捨て場のない感情が暴れまわった。

「アンタは――」

ソイツと付き合ってるの、と最後まで言えなかった。
確認しないとここを身動きが出来ないくらい気になるのに、
確認したとたん何もかもが終わってしまうような不安で、やっぱり身動きが取れなかった。
521 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/18(火) 11:12:27.30 ID:dAXGDJaio
>>517
一行?

>>518
修羅場だねえ。ああ修羅場だねえ。修羅場だねえ。

>>519
このSSはインデックスさん大勝利のルートはないからなあ。
婚后さん大勝利、美琴と妹達とで6Pとかは書いたけど、インデックスモノはまだですね。
原作だと上条さんの本命っぽい上にすでに同棲してるという、
まだ付き合ってないのにすでに勝利条件は満たしてるような状態になってるから
意外と書きにくいんだよな。
基本的に超いい子だから他のヒロインと上条を奪い合うのも書きにくいし、
かといって上条が他の男とインデックスを奪い合う展開は重たすぎだし、
……ぶっちゃけ18禁以外書くことなくね。
こう、普段は完全に居候の大飯ぐらい扱いしてたのに、ふとしたきっかけでピンク空間が発生して、
しかも下宿の中じゃ邪魔してくれる奴が他にはいないからそのまま恋人みたいなことしちゃって……
っていう展開とか。

522 :519 [sage]:2011/01/19(水) 00:46:31.32 ID:guQKWWsAO
カナミンのシーン見てたらたまらなくなって、つい出過ぎた書き込みを……ホントすまない。
これはこれで楽しみなんで、氏は気にせず続けてくださいです。
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 11:05:34.42 ID:oLdC6ilao
>>521
婚后さん大勝利SSのURLかタイトルを教えてくだされ
婚后さんSSにうえてるもので…
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 11:14:09.58 ID:x0sSSLhQo
ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール
http://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=19764
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 11:40:40.06 ID:oLdC6ilao
>>524
ありがてぇありがてぇ
これで安心して冬を越せる
526 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/19(水) 11:50:38.92 ID:IXjmGjOWo
>>522
いやー、そうネタ振られると無理だよー書けねーよーみたいなこと言いながらついプロットを練ってしまうんすよ。
別にこのSSがぶれたりはしないから、そっちこそお気になさらずー

>>525
つい一昨日最新話あげたとこだ。ぜひ読んでみて下さい。

>>524
俺よりレス素早いとかww ありがとう。
527 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/19(水) 11:51:37.99 ID:IXjmGjOWo
「なんだよ」
「……隣の女、の人は」

つい先日、付き合っていないと上条の口から聞いた相手だった。
付き合っていなかったはずなのだ。つい先日までは。
美琴だって上条と付き合ってなんかはいないが、少なくとも隣のこの女と対等なはずだったのだ。

「こないだ会ったから一応知ってるだろ? まあ名前は覚えてないか。姫神秋沙って言うんだけど」
「そうじゃなくて。その、アンタは……」

美琴の物言いはとにかく歯切れが悪かった。
毛先を繕ったり、つま先を立てて足でトントンと地面を叩いたり。
何が言いたいんだと聞いてやろうとしたところで、ふと気づく。
そういや御坂には秋沙と付き合ってないってモロに言ってたもんな。
その二三日後にこれじゃあ、確かに気になるな。

「御坂。俺と秋沙のことだけど」
「えっ?」

美琴は、こういうことにかけては反則的に物分かりの悪い上条が、
一発で美琴の聞きたいことに思い当たったことに驚いた。
そして、秋沙、と下の名前を呼んだことが、希望をぐしゃりと握りつぶすような圧迫感を美琴に与えた。

「こないだ御坂とゲーセンであった日があっただろ?
 あの日さ、秋沙と夜まで遊んで、まあそのなんだ」

口の中がカラカラと乾いた感じがした。
目の前で、上条がチラリと姫神という女に目配せした。
その女は上条の目線に幸せそうな微笑を返して、ごく軽く、自然な仕草で上条の腕を抱いた。
……美琴を、一瞥だにしなかった。

「こないだから、秋沙と付き合おうってことに、なった」

美琴は、返すリアクションをすぐさま練った。初めにひらめいたのは、ふーん良かったわね、だった。
何か。言葉でなくても、態度でもいい。何かを返さなきゃ。

「あ……」

自分の口から出たのはまるで文脈に沿わない、ただの嗚咽だけだった。
突きつけられた事実が、あっという間に美琴を窒息させていく。

「? なんだよ御坂。変な顔して」

なんでもないわよ、と返したかった。それが出来れば、いつもどおりの世界に戻れるのに。
胸の中に出来た喪失感が、現実世界の距離感まで狂わせていく。魚眼レンズで覗いたみたいに上条が遠い。

ようやく口をついて出てきた言葉は。
どうしようもなく本音であり、だからこそ言うべきではなかったかもしれない。

「なんでアンタは、その人を選んだの?」
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/19(水) 22:38:30.31 ID:AExzfNer0
美琴は上条さんと付き合えて嬉し泣きしてるのもいいんだけど、
やっぱり失恋して泣いてるのが一番可愛いよね!^^

姫神たんが独占欲丸出しなところも堪りません!最高ですww
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 21:18:52.17 ID:z3leZkIAO
姫神がリアルな恋する乙女だな。
怖いというか、強いというか。
ぬるいラブコメに慣れちゃった俺には辛いっちゃ辛いんだが、
これくらいの覚悟で恋愛に挑む少年漫画(これはラノベだけど、広義での“少年漫画的作品”という意味で)のヒロインは最近珍しいかもな。

こういった恋愛競争は、誰かが勝って誰かが負けたからって、誰かが悪いわけじゃないってのが辛いんだよなあ……。
530 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/20(木) 23:18:19.85 ID:s2yyPv+jo
「御坂さん、どうしたんでしょうね」
「え?」

そういえば少し戻りが遅いなと、黒子は後ろを振り返った。
柱の陰で見えにくいところに、美琴は立っている。テーブルに座った誰かと話しているようだった。

「知り合いでもいらっしゃったんじゃありませんこと?」
「え、でも初春。あそこに座ってたのって」
「そういえば、あのカップル……」
「知っている人ですの?」
「いえ。知らない人なんですけど、高校生のカップルが見るのも恥ずかしい感じの空気を出してたんです」
「御坂さん、よく話しかけられますねー……」
「ちょっと、様子を見てきますわ」

黒子はパッと立ち上がって美琴のほうへ近づいていった。
初春と佐天は、四人でカップルを囲むのも気が引けて、そのままボックスで待ち続けることにした。

「なんで、って。別になんででもいいじゃねーか。……恥ずかしいだろ」

お姉さま、と声をかけるより先に、どこかで聞いたことにある声に黒子の警戒度が跳ね上がった。
……が、様子を見るにどうやらあの男が美琴に手を出しているわけではないらしい。
隣には高校生らしき長髪の女性が侍っている。明らかにこの二人はカップルだった。

「ずっとその人のこと、好きだったの?」

美琴の、曇った声がした。その声で黒子はでしゃばるのが躊躇われた。

「ずっと、って。何を言わせるんだよ……。
 秋沙と知り合ったのはそもそも夏休みの真ん中らへんだし、
 そういう意味じゃ、ずっととは言えないかもな」

気恥ずかしいのを誤魔化すように、上条はぶっきら棒にそう言った。
夏休みの真ん中といえば、美琴にとって、とても大きな出来事のあった時期だ。
自分は一学期から上条を知っていた。
目の前の女より長い期間、上条当麻という人間を知り、時折町で出会って関係を深めて、
上条の心に、自分という人を刻み付けていっている、そういうつもりだったのに。
――盗られた。
独善的な価値観だと分かっているから、口にはしない。
だが割り切れない思いとは別に、その気持ちは綺麗に割り切れていた。
上条の隣にふてぶてしく居座るこの女への、怒り。

そこまで考えて、美琴はおかしなことに気づいた。
アイツがムカツクなら、アイツに怒れば良いだけなのに。
なんで私は、隣のこの人のことに、ムカツいてんだろう。

嫉妬。
その瞬間、その言葉の意味を、どうしようもなく実感で、美琴は理解した。
それはつまり、自分の抱えている気持ちに気づいたという、そういうことでもあった。

「私……アンタのこと、好きだったんだ」
531 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/20(木) 23:36:36.09 ID:s2yyPv+jo
>>528
ひでーやつだなあ、と思ったけどよく考えたら酷いのは俺だった。
でも原作で恋心をきっちり描いてくれてるからこそ、振ると燃えるんだろうなあ。
美琴の笑顔は別のSSで補充してください。

>>529
二次創作で公式の展開じゃないからこそ、ヒロイン確定後のガチ恋愛劇とか書けるんだよな。

……いま恋愛劇って単語使って長いこと忘れてたSS思い出した。
『1/2の恋愛劇』っていうKanonのSS。うわーなつかしーなー検索したら見つかった。
続き書くのやめてこれ読もうかな。。。これものすごい良く書けてるSSなんだよなー
SSといえばKanonのSSだった時代が懐かしい。
532 :528 :2011/01/21(金) 02:24:06.69 ID:LRqrkQ8l0
495=505=528な俺が来ましたよ
いつもレスを返して頂いてありがとう、ホンマ痛み入るわ

俺は親愛なる作者同志のストーカーだからな^^
このペースは非常にありがたいので、この調子で是非頑張って下さい!
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 02:55:09.01 ID:KvNm0VI20

超鈍感朴念仁旗立て男にははっきり告白しなきゃ好意が分からんよ
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 03:03:53.18 ID:2rAZQR6co
ああああああ
ぽろっとこぼれてしまった言葉が切なすぎる……
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 06:55:27.20 ID:6pWrTl3AO
先が気になりすぎる
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 11:43:12.87 ID:i3i00kRAO
御坂ざまぁ
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 11:52:08.50 ID:1fwbYL/j0
 気持ちを自覚するのが遅すぎたな美琴……
姫神は強いっつーか懸命だな。
美琴を一瞥だにしなかったって記述があるし
上条さんが全否定してるから
美琴には余裕の態度で臨んでるけど
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 13:48:15.65 ID:70MUqk/do
姫神は正義
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 19:24:30.66 ID:QlxVcfF/o
突然の告白に慌てる当麻さんと当麻を繋ぎとめようと燃え上がる姫神さんか……胸が熱くなるな
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/22(土) 05:04:41.94 ID:qVwTi9jX0
>>536
だよなww
美琴が振られて泣くのまだー?
541 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/22(土) 13:35:12.51 ID:RyG/CAppo
「えっ?」

上条の純粋な驚きの声聞こえた。
それで美琴は、今自分が思ったことをそのまま口にしてしまったことに気づいた。

「え、あ……嘘。なん、で。私……」

言ったことは、隠せない。
上条がほうけたような目でこちらを見つめている。隣の女のほうは、見る勇気がもう美琴にはなかった。

「御坂」

ビクリと、美琴はその呼びかけに怯えた。今はもう、何を言われるのも怖かった。
顔を上げない美琴の視界の外で、上条は姫神の腕を解いて、居住まいを正した。

「見てのとおりだけど、今俺には、付き合ってる人がいる。こんなこと言うの悪いなって思うけどさ。俺は、御坂お前と――」

上条の言葉の、その続きだけは絶対に聞きたくなかった。
アイツとの今までの距離が、私は大好きだったんだ。
もっと好きになってもらえたら嬉しかった、けど。
明日からもう今までみたいな関係ですらいられなくなるのは、絶対にやだ。
そんなの、絶対に。
もう、これからずっと無視されるのかもしれないけど、それでも、アイツの口から、ごめんって言葉を聴くのは絶対にやだ。
友達でもいいなんて嘘、私自身を誤魔化せないかもしれないけど。

「言わなくても分かってるわよ! そんな変にかしこまった顔なんてアンタに全然似合ってないのよ!」
「……え?」
「あーあ、ま、言えてちょっとスッキリしたってトコかな。アンタも店ん中に公害撒き散らすのいい加減にしなさいよ。
 ……って黒子あんたいたの? ほら、初春さんたち待ってるから、さっさと行こう」
「ええ。分かりましたわ。お姉さま」

まるで名残惜しさを見せずに上条たちに背を向けた美琴の後ろで、黒子がそっと頭を下げた。
黒子とて罵ってやりたい言葉は山のように抱えていたが、それより大事なことがある。
きっともう涙を隠しきれなくなっている美琴の撤退手伝いを、しんがりとして完璧に勤め上げること。
呆然と見つめる上条に、目線だけはきついのをくれてやって、黒子も背を向けた。
お姉さまの良さが分からないこんな男に、もう用なんてない。

「御坂、さん……」
「いやーごめんごめん。ちょっと待たせちゃったね。っく。食べ。よっか」

美琴の強がりが崩れていくのに佐天と初春は初め驚いたが、すぐに、朗らかな態度で話し始めた。

「気にしないで下さい御坂さん。初春は食べたそうにしてましたけど私はちゃんと御坂さんを待ってましたから!」
「ちょっと佐天さん! まだかなーなんて言ったのは佐天さんだったじゃないですか!」
「まーまー細かいことは良いじゃない。ほら、食べながら後のこと考えよっ」

何も言わず、日常を形作ってくれる友達に、美琴は感謝した。
いつ、上条と姫神が出て行ったのか、美琴は気づかなかった。
542 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/22(土) 13:43:09.09 ID:RyG/CAppo
>>532
感想が書く上での重要な糧なんで、コメントくれる人はホントに有難いです。こっちこそありがとう。

>>533
それに尽きるな。うむ。このSSでは姫神は頑張った。

>>534 >>537
書いてたらこの台詞ほんとにぽろっと美琴がこぼしたんだよ。なんていうか、作者の側の想定を超えてキャラが動いた。たまにそういうことあるよな。

>>539
姫神は美琴には勝ってるので、繋ぎとめるみたいなことをあんまりしないのです。


自爆を取り繕う美琴に萌えて欲しい。美琴可愛いよ美琴。
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 14:06:07.20 ID:Rkr5c3nr0
 乙乙!!!!
 黒子が立派に美琴の先払いしてますな。
いくら変態淑女の黒子でも、ここまで美琴が傷つくのを見たら
上条さんに振られて良かったなんて思わないだろうし

 姫神も美琴の気もち、痛いほど分かってるんじゃないかな……
一歩間違えたら自分があそこにいたんだから……
人を蹴落とす痛みってどんなだろう
 美琴があんまりに健気で自分でまとめていったから修羅場にならなくてよかった
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 14:22:08.99 ID:0NfHG7w/o
乙です
上条さんにはアステカンパンチを一発叩き込むべき
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/22(土) 15:12:12.03 ID:UBaukL0W0
こうやって本当に取捨選択するそげぶをみるのは新鮮だが
これが至極普通の恋愛沙汰なんだろうな 
このSSを読ませてくれる作者に感謝
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 16:21:13.73 ID:y20vQBbi0

公害撒き散らしてるのは街中で十億ボルトぶっぱなす美琴の方じゃあ
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 17:03:35.17 ID:y20vQBbi0
恋愛はじゃんけんみたいに恋人同士の相性が肝心だからしょうがないよ
ひとまず黒子は美琴が上条の恋人になっても怒るだろうなww
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 17:50:22.64 ID:yZUGI4TAO
上条さんと美琴がくっついて白井が怒るのはギャグパートだけど、
上条さんに美琴がふられて白井が怒るのはシリアスパートだな。
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/22(土) 23:54:23.07 ID:uVM8jLu60
美琴&黒子の中学生らしい身勝手さと
自己完結的恋愛ごっこの心情表現が素晴らしいです

最後まで上条さんの気持ち徹底無視で
自分の都合から一歩も踏み出さなかった時点で、既に勝敗は決まってたんだよなー…
550 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/23(日) 00:03:27.93 ID:gN5xka0mo
「んー、予定外に早く出てきちまったけど、一体これからどうしような」
「当麻君は。どうしたい?」

姫神に振った質問をそのまま返された。
さっきの出来事のせいで、あまり街中ではしゃぐ気分じゃなくなっているのも確かだった。
まさか、御坂のヤツがねえ。
今まで突っかかってきたのも、愛情の裏返しというやつなのだろうか。
子供だなーと思って相手していた上条に、一体美琴は何を思っていたのか。

「当麻君」
「ん?」
「さっきのところに。戻りたいの?」
「別に、そんなことは思ってないけど」
「あの子の事。慰めたいって思ったりはしてない?」

それが筋違いだということは分かっているが、そういう思いは、無いでもなかった。
美琴は大切な知り合いだ。
そういう相手が、悲しい目にあっているのを全く気にならないのだって変なことだと上条は思った。
ただ。

「俺が行っても仕方ないだろ」
「仕方ないなんてことがなかったら。あの子のところに行くの?」
「……なんだよ秋沙。そんな突っかかり方しなくてもいいだろ?」
「だって当麻君。私と一緒に歩いてるのに。ずっとあの子の事考えてる」

その一言で、自分が確かに美琴のことばかりに気がいっていたのを、気づかされた。
それこそ、姫神に失礼なことだろう。

「ごめん」
「謝るってことは。やっぱりそうなんだね」

チクチクと、姫神がいつにも増して陰のある言い回しで上条を責める。

「デートの途中で、良くない考え事だったのは確かだけどさ。だけど、やっぱり泣かしちまったら、気になるだろ」
「当麻君が気にする必要なんてない。あの子が今まで躊躇ってたのが悪いだけ。
 大覇星祭なんてあんなに当麻君と遊んでたのに。それでも告白できなかったのは。あの子が悪い。
 なのに当麻君は気にするの?」
「今更俺には何も言う資格がないことくらい、分かってる。ほらこの先どうするか、考えようぜ」
「……当麻君の知り合いの女の子に合わない場所がいい」
「え?」
「街中を歩いてたら。またあの子みたいな子に会いそうだから」
「いや、そんな女友達ほかにいないから」
「当麻君のその言葉。説得力ないよ」
「そう言われても。で、知り合いに合わない場所っていうと……」

上条の自宅ですら、そんな都合の良い場所ではない。

「秋沙。知り合いになわない場所なら、どこでも良いんだな?」
「えっ……うん。ゆっくり出来るところなら」
「わかった。そういう場所、知ってるから。そこにしよう」
551 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/23(日) 00:12:18.64 ID:gN5xka0mo
>>543
先払いしちゃったら美琴の前方にいる佐天さんと初春を払うことになるんじゃww
黒子はギャグ担当だけど根は至極まともだと思う。

あとアステカンパンチでググッたけどわからんかった
街中で10億ボルトは許せるが俺の隣でイチャイチャするカップルは許せない。これ真理。
どっちが公害かって、そりゃ俺に迷惑なほうさ。そうだろ? チクショウ

もうこのSS美琴出番ないかもなぁ。次からは二人で休憩ごゆっくりぃぃぃです。
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 00:20:32.15 ID:TQvdXjpgo
>>551
> アステカンパンチ
美琴を泣かせたら黙ってないアステカの方がいるじゃないですか
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 00:26:51.21 ID:tVAUXqn3o
休憩→きゅうけい→吸茎+ごゆっくり
つまり次は姫神によるフェラーリがあるということなんだよッ!
554 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/23(日) 00:37:10.88 ID:gN5xka0mo
アステカンパンチってそういうことか!
キスより先にxxxな展開はありませんよ。
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/23(日) 00:44:48.03 ID:BcktIUkG0
 乙です!!
確かにういさてを追っ払っちゃいますねorz
殿?フォロー?の方が適切でしょうかね

 >>549やこのSS中の姫神さんの言うとおりですね……中学生の恋愛ごっこか
先ず美琴は気持ちを自覚してなかった時点で負け。
それにずっと一方的に上条さんを振り回してただけ……か。
確かに大覇星祭で上条さんと過した時間は美琴の方が長かったし
それ以前も美琴の方が接点多そうな記述があるんだから、
色んなイベントを消化する中で距離を縮めることもできたはず。
 恋心を自覚していても、同級生とは言えあまり話せなかった上に、
大覇星祭でもナイトパレードに誘うことにさえ、迷惑になるかもって自分からは誘えなくて
しかも使徒十字の一件で廻れなかった姫神からすれば、こんな中房が何を今更って言いたくなるのかも。さて、姫神が今より安心して彼女でいられるように上条さん頑張って!

 アステカパンチって、パンチって言うより金星光反射砲ですかね。
上条さん、トラウィスカルパンテクウトリの槍をもったエツァリに気をつけて!
 発射場ガールの方も面白いです。続き楽しみです
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 00:47:59.09 ID:e+bkw1cOP
ろくでなしだなここの上条は
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 01:11:21.50 ID:v9utm0GAO
ゴミ条さんはこれがデフォ
しかし今は姫神が足並み揃えようと努力してくれてるから良いけど、上条さんも自覚のなさや責任感のなさをどうにかしないと美琴のこと言えんぞ
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 01:15:13.04 ID:CmzGu5HJo
雲川先輩の一件からどれだけ学習してるのか
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 01:18:20.93 ID:+E9trgMy0
>>555
自覚してなかったというか照れ隠しで自分にも上条にも恋心を誤魔化してたのが御坂の敗因だと俺は思う
自分の恋心を自覚してそれに従って行動した姫神とじゃ同じ女の子でも上条の心に響くインパクトが違うよ
なんだかんだいって好意をよせてくれてる女の子相手じゃこっちもその気になってきちゃうし
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/23(日) 05:08:21.86 ID:vmH4MBp30
>>549
だよなww美琴ざまぁwwwwww

さて、これからいきなりホテル展開とはね・・・オラ、すっげえwwkwwkしてきたぜ!
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 06:38:28.18 ID:4d8IHLFxo
アホなアンチが湧いてくるから美琴はもう出さないでくれ
562 :nubewo ◆sQkYhVdKvM :2011/01/23(日) 12:03:29.46 ID:L/nBDfeN0
うーん、俺は正直>>557とか>>560で使ってるような「ゴミ条さん」とか「美琴ざまぁ」とかは好かん。感想をいただけること自体はもちろん嬉しいんで、あまり登場キャラを貶めるような表現を回避して、書いていただけるととても有難い。

>>561
気持ちは分かるんだけど、そのお願いはちと困る。そういう理由で書きたいものを変更することには賛同できないんだ。
書かないで欲しいもののリクエストは、貰うと辛い。書いて欲しいネタのほうなら歓迎する。
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 13:38:21.37 ID:057wNzMto
痛い奴はあぼーんでおk
って思ったけど単発ばっかだな

まああんま気にしなくていいだろ好きにやればいい
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 14:31:15.08 ID:mml0Q0gMo
すごい中学生っぽいレスがたくさん

気ままにがんばってね
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 19:16:54.20 ID:v9utm0GAO
やる気を削ぐようなこと言ってすまんかった。ROMってるんで気にしないでくれ
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 21:06:56.25 ID:DhQpMCNIO
この上条さんがインデックスに手を出さなかったのはある意味奇跡
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 21:43:59.40 ID:/a7KQr5Ko
荒れる原因になったら嫌だから何も言わずにいたが、アンチ的表現はやめてほしいと思っていたので
俺はnubewo氏の対応を全力で支持する
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 23:29:55.72 ID:m1NFaM+mo
今日一日これ読んでた
明日の朝にはレポート出さないといけないっていうのにねぇ
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 00:03:25.13 ID:8pVo/yMAO
しかしこれ、姫神が上条さんの隣にいる切っ掛けって、単にくじ引き的な運じゃね。
たまたま三バカが盛り上がってるところに、たまたま隣に居合わせたという。

これが街中なら美琴や五和とか、そうでなくても吹寄あたりにも充分に可能性はあったわけだ。
そう思うとやる瀬なくなってくるな……。

まあ、今姫神が隣にいられてる理由は、彼女自身の強さに依るところも大きいけどな。
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 00:14:51.36 ID:eI+0pHBAO
要は、目の前に転がって来たチャンスをしっかり掴み取れたか、って事だろ

五和、吹寄なら同様に恋人になれたかもしれないが…
禁書、御坂、ねーちんは同様の機会があっても取り溢していただろうなぁ
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 00:57:59.18 ID:8pVo/yMAO
>>570
ああ、すげえ想像できるわ……。
結局わたわたして素直になれないでいる間に上条さんの鈍感力にスルーされそう。
あるいは途中で邪魔が入って、それに巻かれて有耶無耶になっちゃったりな。

やっぱ要所要所できっぱり行動できたのは流石だわ姫神さん。
572 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/24(月) 01:12:39.34 ID:0HoPBWHeo
最近伸びが良いなあ。書いてて嬉しい。
自治コメは無粋だと分かってはいるけど一応な。>>565も懲りずに良かったら感想お願いします。

>>566
原作の環境下で手を出してないこと自体異常だけどなー

>>568
あるあるww 俺も明日の朝に修論の要旨提出だ。お互い頑張ろう

>>569 >>570 >>571
そうそう、誰と誰がくっつくかなんて、偶然が大きいと思う。このSSはそういうお話のつもりだな。
573 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/24(月) 01:15:00.48 ID:0HoPBWHeo

上条が、行き先を教えてくれない。
姫神は緊張を押さえ切れなかった。今揺られているバスの行き先から、あれこれ想像してしまう。

「当麻君。あまり遠くは。帰るのに時間がかかるから」
「大丈夫だ。もうじき着くからさ」

当麻たちの家からそう遠くない、地下に深く発達した学区。
向かっているのはそこらしかった。学園都市最小の学区だが、最深の学区でもある。
浅い階層はそうでもないが、学区の底、日の光の到底届かない所は、
どちらかと夜向きな、つまり大人向きな施設の多い場所だ。
酒を振舞うなどの理由で学生が入ることの出来ない店も多いし、
男性向けのいかがわしい店なども林立している。
その中には、もちろん、ホテル街もあった。
もちろん学生の出入りは禁じられているから使えないことにはなっているが、そこは蛇の道は蛇だ。
三次元的に複雑な構造をしていることもあり、穴場な店も多かった。

「二二学区って。遊ぶ所あるの?」

努めて、素っ気無く言った。
意識しているとは思われたくなかった。恥ずかしい。

「二人っきりになれる所に、行くんだろ?」

意地悪そうに、上条はそんなことを言う。
バスの揺れにあわせて、何気ない風に上条の表情を盗み見る。
気負った風もなく、薄く笑っていた。

分からない。本当に当麻君は。私と……その。ホテルに行くつもりなのかな。

心の準備は、まだなかった。そもそも付き合い始めて数日で、さらに言えばキスもまだなのだ。
まさか上条にラブホテルの心得はない、と信じたいし、この落ち着いた態度は、
初めてホテルに行くカップルの、彼氏の態度ではないと思うのだ。
だが、姫神とて男性の心理が分かるほど、男慣れしてはいない。
そもそも転校前は女子校の学生だったのだ。

もし。当麻君がホテルに行こうって言ってるんだったら。私は。どうしよう。
まだ早いよって断りたいけど。でも。二人っきりが良いって言ったのは私のほうだったし。

それなりに混んだバスの中を見渡せば、周りはほとんどが大人だった。
仕事終わりなのか少しはしゃいだ空気を見せながらも、遊ぶと表現するよりは
プライベートを楽しむと言った方がしっくりくるような、
自分たち高校生が背伸びをしているような気持ちになった。

上条は、まだ、降りようとは言わない。
外の世界は夕方かもしれないが、もう姫神がいるそこは、夜の世界だった。
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 01:20:59.27 ID:DJdyRRXlo
( ゚∀゚)o彡°あいさ!あいさ!
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 10:44:58.91 ID:0Yq3aqqAO
小出しで生殺しだなwwwwww
576 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/24(月) 11:17:49.54 ID:0HoPBWHeo
>>575
そんなことを言う奴にはお仕置きだ。大量投下してやるから、
―――――夢想に溺れて、溺死しろ
577 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/24(月) 11:18:30.20 ID:0HoPBWHeo
「当麻君。ここって」
「おう。なあ姫神さんや、さっきまでどこに連れて行かれると思ってたんだ?」
「どこ……って。私は別に」
「随分とあっちこっちきょろきょろしてたにゃー」
「土御門君の真似。似てないよ」
「まあ似せる気ないしな。で、どこに行くと思ってたんだ?」
「意地悪だね。当麻君」

からかう上条に少しむすっとしながらも、内心で姫神は安心していた。
さすがに、ホテルではなかったからだ。
だが、見せる肌の面積で言えば、ここはそうホテルと変わらないと思う。
決定的なところは見せないが。

スパリゾート安泰泉。目の前にある施設の名は、それだった。
ボウリング場やゲームセンターなどもある総合アミューズメント施設。
確かに上条たちのクラスで話題になっていたのを、姫神も耳にしたことがあった。
曰く。ここの個人用の貸切風呂は、管理が甘くて『二人用』の貸切風呂に出来る。

「じゃあ、カウンターで場所予約してくるから。ちょっと待っててくれな」
「うん。でも当麻君。こういう所に来るときは次から言ってね。いろいろと。準備っていうものがあるし」
「あ……そうだな。ごめん。女の子をこういうところに連れてくるときは、色々気をつけなきゃいけないよな」
「私をこういうところに連れてくるときは。だよ。他の女の子とはだめ」
「こんな所秋沙とじゃないと来ないって」

ふっと笑って、くしゃりと姫神の頭を撫でて行った。
上条にしてみれば何気ないであろうその仕草に、姫神は嬉しくなった。
上条に大切にしてもらえるのは嬉しいことだが、こういう気安くい触れ合いも好きだった。

一応、上条が独りで入るための風呂を借りることになっているので、
姫神はカウンターから見えないところで上条を待った。
安泰泉はフロアによっては男女が別れているが、
水着着用の上で混浴というか普通のプールみたいな感じになっているフロアがある。
個室は長い時間借りると高い。満足したら広い温水プールで遊んで帰ろうかと姫神は思案した。
問題は、貸し水着に、良いのがあるかどうかだった。

それにしても、と姫神は嘆息する。
どういうデートに誘われても良いようにと入念な準備をしたおかげで特に反対はしなかったが、
色々と、肌を人前に晒すには準備が必要なのだ。
それは男性には見せないのが嗜みだし、だからこそ、そういう気遣いを上条にもして欲しいのだが。
そういうところに気が回らないのは上条も女慣れしていないということだろうか。

「お待たせ。ちゃんとすぐ取れた」
「どれくらいの時間借りたの?」
「一時間半。満足は出来ないかもしれないけど、完全下校時刻までしか借りられないからな」
「そっか。じゃあ。ギリギリまで遊ぼう」
「だな。……じゃあお互い水着借りて着替えて、入り口で待ち合わせな」
「うん。当麻君よりは時間がかかるかもしれないけど。あんまり怒らないでね」
「怒るってなんだよ。ちゃんとぼんやり待ってるから」
「女の子に声をかけられちゃ駄目だよ」

そんな無茶を言われながら、上条は姫神と一緒に水着を選びに行った。
578 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/24(月) 11:20:05.90 ID:0HoPBWHeo
外の時間を意識しているのだろうか、温水プールのある広いフロアは壁一面の映像素子が夕日を写していた。
学園都市のありふれた夕方ではなく水平線の綺麗などこか海沿いの映像だった。
ここに出てきて15分、幸いまだ知り合いには会わない。

「おまたせ。当麻君」
「お、来た来た……って秋沙」
「おかしくない……かな?」

姫神が着ているのは、オーソドックスなビキニ。
特に紐がないとか布地が少ないとか、そういうことはない。
強いてあげれば、白と鮮やかな紫のコントラストが眩しい、
ちょっと大胆な色使いが上条をドキッとさせる。

だが真に強調すべきは姫神自身だろう。
体つきは女性らしい丸みを帯びたラインを描いていて、
それだけで上条の口の中をからからにするくらいのインパクトがある。
肌は傷一つなく、健康的な程度に白くて、どんな感触がするのか触ってみたくなった。
胸にはケルト十字。外れることを危惧したのか、いつもよりチェーンを短くして、
胸元というより首の根元辺りでクロスが揺れていた。

「その。いつも思ってるけど。……綺麗だ」
「本当に?」
「お世辞じゃないって」
「でも。当麻君には綺麗な女の子の知り合い一杯いるし。幻滅されたら嫌だなって」
「ないないない。これだけ綺麗なのに、それはない」
「綺麗って。言いすぎだよ。あの……痕とか。わからないよね?」

お腹につけられたいつかの傷を姫神の指がなぞる。
カエル顔のあの医者は腕だけは間違いなくて、傷跡なんてさっぱり見当たらない。
それよりも白くて柔らかそうなお腹に釘付けになった。

「大丈夫。それに綺麗ってのは全然言い過ぎじゃない」
「あんまり褒めても何もでないよ」

上条は少し不安になった。
これだけ綺麗な姫神と今から個室に入って、はたして自分の理性はきちんともつのだろうか、と。
579 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/24(月) 11:21:56.36 ID:0HoPBWHeo
「じゃあ、先に俺が入るから。少し間を空けて秋沙が入るってことでいいか?」
「うん」

普通は逆なのだ。ナンパな奴がフラフラしてるのに姫神が引っかからないよう、姫神を先に入れる。
上条は当然そうするよう進言したのだが、姫神は頑なに聞き入れなかった。
自分が声をかけられる確率より、上条が女性とトラブルを起こす可能性のほうが高いと姫神は確信していた。

個室の並ぶエリアから少し離れたベンチから、上条の姿を見送る。
二分くらい待てば充分だろう。その時間を、姫神は覚悟に使う。

もしかしたら。キスされるのかな。
……それは嫌じゃない。これだけ場所をセッティングしてくれたんだから。たぶん当麻君は。
抱きしめられるのも。この格好じゃ恥ずかしいけど嫌じゃない。
髪を撫でられるのもいい。お尻を触られるのも。当麻君になら大丈夫。
胸は……どうしよう。少し怖いけど。でも当麻君が望んだら。でもあんまり流されるのも良くないよね。
脱がされるのは絶対駄目。下を触られるのも。まだ。駄目。

一つ一つのケースを吟味して、有りか無しかを判定していく。
すぐに体を許す女は安く見られるのだと、ものの本に書いてあった。
付き合って間もないのだから、確かに全てを上条にさらけ出すのは抵抗もあるし、おかしいと思う。
しかしクロスを下げたチェーンを短くしたのは、上条に触られても大丈夫なようにという配慮だった。
心のどこかで、期待もある。乙女心は複雑だった。

たぶん、二分くらい。
姫神はタオルを持って、上条の入った個室へ向かう。
一瞬の逡巡の後、引き戸を横にカラカラと開けると、少しほっとした顔の上条が立っていた。

「秋沙」
「当麻君。どうしたの?」
「いやー、なんかこういうタイミングで待つの不安になるな。もしかしてナンパとかされてないかとか、
 いきなり秋沙は帰ったりしてないよな、とか」
「ふふ。変なの。当麻君を置いて帰ったりなんてしないよ」
「分かってはいるけどな。さて、秋沙」
「?」

引き戸を閉めると、上条がカチリと鍵を下ろした。もう誰も、ここには入って来られない。
その意味を悟ると、覚悟を決めてきたはずの心臓が、ドキドキと早鐘を打った。

「好きだ、秋沙」
「あっ……」

何よりまず、抱きしめられた。
もしかして、興奮しているのだろうか。上条の抱きしめ方がいつもより力強い気がする。

「と。当麻君! お風呂。入ろう?」
「あ、ああ。悪い。そうだよな」
「気にしないで。私も、ちょっとびっくりしただけだから」

やっぱり、抱きしめてもらうのには心の準備が必要だ。
お湯に入って、少し時間を稼ぎたかった。
580 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/24(月) 11:23:57.49 ID:0HoPBWHeo

「それにしてもここ。不思議な作りだね」
「だなあ。まあ壁に映像を映せばどうとでもなるってことだろうけど」

部屋は高さが上条の身長ギリギリくらいで、奥行きも2メートルくらい。。横幅は1.5メートルくらいの真っ白い部屋だった。
海岸のように奥に向かうにつれなだらかに床が下がっていき、その途中からお湯が波打っている。
上条が壁に触れるとコンソールが出現し、簡単に設定すると真っ白だった壁前面が真夏の砂浜を映し出した。
床は、さすがに砂の質感を出すことはないが適度に柔らかくて、寝そべるのにちょうど良かった。
おおよそ、風呂場というよりは波打ち際というべき、部屋の作りだった。

「ここに横になれってことなのかな?」
「みたいだな。肩までざぶんと漬かりたければ奥に行けってことみたいだな」
「そうする?」
「いや、別に寒くないし、適当に腰まで浸せば良いんじゃないか」
「うん。そうしよっか」

二人で寝転ぶと、少し窮屈だった。肩を二つ並べて足りないほどの幅ではないが、大の字にはなれない。
必然的に、腕と腕が触れ合うことになる。

「お湯、結構ぬるめの設定だけど、大丈夫か?」
「うん。これくらいだったらのぼせないね」
「なあ秋沙。結構強引に、ここに連れてきちまったけど、怒ってないか?」
「えっと。こういうところに来るときにはちゃんと事前に言って欲しいけど。
 でも今日は大丈夫だったから。怒ってないよ」
「ん。なら良かった。それで、今から何したい? 映画とかも見れるみたいだけど」

あれこれ出来ることを調べる上条の仕草が、演技なのがバレバレだった。
こんなところに来て、したいことが映画鑑賞なんて。そんなことあるはずないのに。

「当麻君」
「あ、秋沙……」

姫神は、上条の腕を抱きこんだ。
体を横に向けた姫神の足が踊って、パシャパシャと水が軽快な音を立てる。
姫神は何をしたいとも、別段言わなかった。多分、これだけで伝わると思ったから。
上条が、BGMを自然音に設定した。
これで、誰もいない二人っきりの浜辺に寝そべっているような、そんな気分になった。

「好きだよ。秋沙。その格好がすげえ綺麗で、ドキドキしてる」
「恥ずかしいよ」
「恥ずかしがってるところも可愛い」
「当麻君の馬鹿」

上条の手が伸びてきて、姫神の髪を撫でた。その感触が気持ちいい。
髪と髪の間に指が入り込んで、しっかりと髪の質感を堪能するような、そんな撫で方だった。

「綺麗な髪だよな」
「ありがとう。一応。長くても駄目にならないように気はつけているから」

髪は目立たない自分の数少ない自慢だ。褒められるのは、気持ちよかった。
581 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/24(月) 11:25:17.16 ID:0HoPBWHeo

「当麻君の体、結構締まってるね」
「う。なんかそういうこと改めて言われると恥ずかしいな」
「私もおんなじこと思ったよ。……腹筋とか、鍛えてるの?」
「鍛えるってほどのことはしてないぞ。べつにほら、はっきり割れるほどじゃないし」
「そうなのかな。他の男の子のお腹なんて見たことないし。分からないけど」

姫神の指が、つつうっと腹筋の辺りをなぞる。くすぐったさに上条は身をよじった。

「ちょ、秋沙。それやめてくれ!」
「ふふふ。止めてあげない」

姫神がわき腹なんかにも手を出して、露骨にくすぐり始めた。
攻撃は最大の防御。上条はすぐさま反撃に打って出た。

「あっ。だめっ! ……ふふ、あはは。駄目だよ当麻君」
「なん、でだよっ。こら秋沙。止めないとこっちも止めないぞ」
「負けないもん……っ! ふふっ! 駄目、駄目、あはは! 駄目当麻君」

姫神はくすぐりにかなり弱かった。あっという間に上条は形勢逆転に成功した。
だがそれで許す上条ではない。わき腹から脇の下へと人差し指を中指を歩くように這い上がらせて――
ぷにゅん、と体をよじった姫神の胸に、手の甲が触れた。

「あっ」
「え? あ……」

その感触にはっと上条が我に返った瞬間。姫神は胸に手が当たったことに気づかなかったらしいが、
二人の顔がすぐ傍にあって、よくよく見れば上条に覆いかぶさられている状態なのに気がついた。

「その、秋沙……」
「うん」
「抱きしめても良いか?」
「……そういう事、聞かれるの恥ずかしいよ」
「じゃあどうすれば、って。抱きしめるから、嫌なら言ってくれよ」
「言わないよ」

今ので、二人の距離が縮まった気がする。
姫神はえいっとばかりに当麻の胸に抱かれにいった。

「ふふ。当麻君の腕枕」

上条は胸の中に姫神を抱きこんだ。枕になっていないほうの空いた手で、秋沙の背中を撫でる。
押すともっちりした感触の肌なのに、撫でるとさらさらとなめらかに滑る。

「紐を解いたりしたら。駄目だからね?」
「えー」
「えーじゃないよ。そんなことするんだったら私も当麻君の水着の紐緩めちゃうよ?」
「いや、ちょっとそれは」
「ほら。当麻君だって恥ずかしいでしょ?」
「……まあ」
582 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/24(月) 11:30:49.53 ID:0HoPBWHeo
今日はここまで。これからもハードな描写が続くから、皆気を確かにもつんだぞ!
戦場じゃあ、絶望した奴から死んでいくんだッ!
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/24(月) 11:42:03.95 ID:tUiJwtrA0
絶望した!希望に満ちあふれた文章を読んで絶望する自分に絶望した!!

■■がこんなに普通にかわいいとは思わなかったよ!くそがっ!!もっと書いてくれ!!
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 11:43:19.54 ID:127bvFWDo
また良いところで切られた
続きは!続きが待ちきれん!
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 11:45:00.99 ID:BSCY9qpXo
まさかの大量投下
この調子で婚后さんの方も
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage ]:2011/01/24(月) 12:16:58.05 ID:VB9d2Bl+0
 大量投下乙乙!!
姫神が可愛すぎる
こういうの好きだから続き楽しみです
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 12:33:39.09 ID:VH0gZ9qGo
もうね何と言うか素晴らしいね
この調子でやりたいようにやってくれ
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 12:49:45.97 ID:eIfagiYAO
もうだめだ。俺は死ぬ
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/24(月) 13:17:26.81 ID:VoA7Ww9w0
俺達はただ、平和を望んでいただけだった
なのに、ここには何時も死体が溢れかえってる
生き残った仲間達も皆 満身創痍、血を滴らせ苦しんでいる
希望は何時も品切れ状態、そのくせ絶望の配給だけは滞らない

何処で道を誤ったのだろう? 何がいけなかったのだろう? どうしてこんな事に?

戦場は何時だって無慈悲で不条理で……俺達から多くの物を奪っていく
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 13:27:54.45 ID:8pVo/yMAO
近寄れば死ぬと分かっているのに開いてしまう、読んでしまう……!

これが“吸血殺し《ディープブラッド》”の力だというのか……ッ!!
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 15:54:17.94 ID:vdBdUTzDO
読んでて胸が張り裂けそうだ……


これが恋? それとも……殺意?
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 16:45:12.31 ID:iZ1xGxMno
いいや・・・・“童貞殺し”ってやつさ
593 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/24(月) 22:54:26.96 ID:0HoPBWHeo
>>585
さすがに大量投下中にあっちもは厳しいかな。とくにヒロインとイチャついてるときは別の嫁に頭を切り替えるのが大変でさ。

さあお前らノリいいな。
第二波が来るぞ!
死 ぬ が よ い
594 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/24(月) 22:55:19.14 ID:0HoPBWHeo

「なあ秋沙。さっきから俺の体結構見てるだろ。代わりに俺も秋沙の体、見ても良いよな?」

上条が、そんなよくわからない理屈を捏ねて、お願いをしてきた。

「見るって。えっと……駄目」
「駄目じゃない。見たい」
「見たいって。もう、色々見てるでしょ?」
「そりゃそうだけど……こうなんというか、少し離れて鑑賞したい」
「駄目。絶対駄目。そんなの恥ずかしすぎて死んじゃう」
「こういうのはおあいこだろ。ほら」

拒もうとする姫神の肩を押す。元から姫神は寝そべっているから何も姿勢は変わらないのだが、
隣に寝ていた上条が体を起こして、姫神から距離をとった。
水に漬かった足先から、すらりとした肢体、物凄く大きいことはないもののしっかりと重みを主張する胸元、
寝乱れた髪、そして恥ずかしげにうつむく顔までが、全て上条の視界に納まった。
ゴクリ、と自分の喉から唾液を嚥下する音がした。それで自分が興奮していることに気づいた。

「当麻君。目がいやらしい」
「……これは、全面的に秋沙が悪い」
「悪いのは当麻君だよ。もう。飽きたらすぐやめて」
「すぐには飽きないよ。……手、どけてくれよ」
「無理だよ」

秋沙は横向きに寝て、きゅっと縮こまるように自分の胸を抱いている。
足も曲げて、前を隠すようにしながら恥ずかしそうな顔で上条を睨みつける。
姫神には分からないらしい。隠されたほうが、上条は燃えるのだった。
胸元を見ることはこの体勢からでは難しいが、腕を前に交差している分、谷間が強調されている。
足の付け根だって、影で隠れているのがむしろ興奮するくらいだった。
それに、露になっている白い太ももの眩しさも、色っぽかった。
つまりは。どんな姿勢になっても姫神の魅力を隠すことは出来ないということだ。

「当麻君。ほんとにもう。駄目……」

羞恥に耐えてか細くなった、泣きそうな姫神の声。
上条はつい、欲望に突き動かされて、姫神の腕を握った。

「あっ……!」

姫神の声に、おびえが混じる。それで正気になった。

「ごめん。ちょっと、乱暴だった」
「当麻君の馬鹿。ちょっとじゃないよ……」

手首をつかんだ手を解いて、そのまま、姫神の指に絡める。
ぎゅっと握ってやると、少しほっとした顔になった。
だが、手首を握っても指を絡めても、姫神の自由を奪う目的は果たせる。
そのまま押し上げるように、横に寝て体を隠す姫神を、仰向けにする。
重力で形を変えた乳房が、その大きさを主張しながら揺れた。
595 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/24(月) 22:57:48.48 ID:0HoPBWHeo

「秋沙……」
「あの、当麻君」

腕の自由を奪われていることが気がかりなのだろう。
姫神は戸惑いに目線を揺らしている。
……さすがに上条も罪悪感が沸いてきた。

「ライト……」
「ん?」
「ライトを。消して欲しい。明るいところでは恥ずかしいよ」

姫神の真意を上条は探る。ライトを消すというのは、どういう意味だろう。
単純に明るいのが恥ずかしいだけの意味なのか。それとも――

「いいのか?」

あえてそう問う。それで、姫神も自分の言った言葉の意味に思い当たった。

「……変なことは。したら駄目だよ」
「暗くするってそういうことだろ」
「駄目だからね。当麻君のこと。信じてるのにな」

拗ねたような調子で、念を押された。その可愛らしさについ苦笑する。
ここは自分の負けにしておこうと上条は思った。

「じゃ、明かり落とすから」
「……」

映像を切り替える。真昼の砂浜が、日が沈んで真っ暗になる直前の、黄昏色になった。
ぼうっと見つめる姫神の目が、いつもより潤んで見えた。

「これで恥ずかしくないか?」
「さっきよりは。当麻君……」

誘うような呼びかけに、上条は応えた。隣に寝転んで、頭の下に腕を入れてやる。
そうしてもう一度、胸元に抱きしめた。
596 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/24(月) 22:58:39.48 ID:0HoPBWHeo

「ああ……」

安心するような嗚咽と、深いため息が漏れる。それだけで、上条は満たされるような気持ちになった。
姫神秋沙という女の子を、たまらなく可愛いと思う。
乱れた髪を整えるように梳いてやって、耳の裏へと掻き上げる。露わになった耳に、囁く。

「秋沙、愛してる。秋沙が可愛すぎてどうしていいかわからない」
「当麻君……。囁かれると、私もどうなっちゃうかわからないよ」

耳が弱いのだろうか。軽く囁いただけで、体がピクリとなって、はっと声にならない浅いため息を漏らした。
耳の外周に触れて、そっとその形を指でなぞっていく。

「あっ……あ……ぁ……」

ぴくり、ぴくりと姫神が体を震わせる。初めて覚えた快感に、振り回されているようだった。
耳を触るのを止めて、再び髪を梳く。
戸惑いを感じていたせいなのか、ため息をついて姫神がくたりとなった。

「力、抜けちゃってるな」
「うん。私、もしかしたら耳弱いのかも」
「噛んだらどうなると思う?」
「死んじゃう」
「そりゃ困ったな」

それは後に取っておくつもりだった。
上条とてその行為には心惹かれるものがあるが、初めに姫神の体に口付ける場所、それは唇だろうと思うのだ。
と、上条が身を引いた瞬間に、姫神がカウンターを仕掛けた。

「おほぅあっ!」
「……ふふ。当麻君の反応。可愛い」

姫神に、耳を噛まれた。
はぁっと口からこぼれる吐息と、硬い歯の感触、そして僅かに当たった舌のぬるりとした質感。
耳を噛まれるのは、こういう感じなのかと背筋がこそばゆいような感覚を覚えながら上条は理解した。

「秋沙がその気なら。仕返しするぞ?」
「負けないよ?」
「どこ噛まれたい?」
「リクエストはおかしいよ」

クスクスと姫神が笑う。

「リクエストがないんだら。とりあえず唇にしようかな」
「あ……」

その一言で、姫神のはしゃいだ笑い声が止まった。
唇がきゅっとすぼめられたのは、期待の現われに見えた。
597 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/24(月) 22:59:30.80 ID:0HoPBWHeo

キスして良いかと、尋ねたくなる気持ちを上条は押さえつけた。
そういうことは聞かないで欲しいといわれたのを覚えていたからだ。
嫌なら、拒まれるだろうし、拒まれないような気がしている。

上条はぐっと体を起こして、上半身だけ姫神に覆いかぶさった。
薄明かりの下、自分を見つめてくれる姫神の瞳の色が揺れながら、自分を待っている。
顔にかかった髪の一房一房を摘んで取り除いてやる。ヴェールをそっと開く新郎の仕草に似ていた。
ここまで来たら、もう、紛れはない。
そっと上条は、自分の唇を姫神のそれに近づけた。

目の前にある上条の顔を見ていると、ドキドキが止まらない。
目をいつ瞑るかが、問題だった。
開きっぱなしも不自然だが、早めに目を瞑って待ちに入るのも恥ずかしい。
それに、まだ、上条が何かを言ってくれるかもしれない。好きだとか。
真剣で、緊張した面持ちで乱れた自分の髪を上条が整えてくれる。
その仕草は慣れていないように見えて、やっぱり初めてなのかな、なんて、
変に心の中に出来た余裕で姫神はそんなことを考えたりした。

意外と、逡巡の時間は短かった。
上条が息を整えたのが分かる。
いよいよ口付けをされるのだとわかって、上条に合わせて姫神も息を止めた。
心の中から、言い表せないくらいのドキドキと、幸せがあふれ出てくる。
出会ったその日のうちに好きになって。その気持ちはそれからもずっと変わらなくて。
転校して傍にいられることが、嬉しくも切ない日々を過ごして、ふとしたきっかけから、
この上条当麻という人に愛してもらえる立場を手に入れた。
自分を見てもらえること、大切にしてもらえることが、たまらなく嬉しい。
唇が近づいてくるのが見えて、姫神はそっと目を閉じた。
タイミングなんて、自然に分かるものだった。


きっかけだとか成り行きだとか、そういうのは陳腐だったかもしれない。
上条当麻のおかしな日常のような、ドラマティックなものはなかった。
だが、それでも。
その一瞬を、上条も、姫神も生涯忘れられないような幸せな気持ちで過ごした。

なんてことはないレジャー温泉の貸切風呂で。
上条と姫神は、初めてのキスをした。
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 00:46:04.38 ID:QetwSMfP0

自分が吐いた砂で窒息しそうだ
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 00:53:53.70 ID:7Ihdc2FAO
糖が尿になった
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 01:29:26.28 ID:2vKxZKW5o
姫神がやっと報われた…
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/25(火) 07:21:13.47 ID:Su9uxmjQ0
今回の戦場も非常に厳しいものだった
情け容赦ない非人道的兵器の投入。次々と倒れゆく仲間達
彼等の苦鳴が、断末魔の声が、今も耳から離れてくれない

冗談にも成らぬ程の戦力差。最初から勝てる筈の無い戦い
生き残れたのは、ただの偶然に過ぎなかった
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/25(火) 08:40:05.90 ID:gv7y2nak0
むふふ、えがったよー
姫やんホンマ良かったなぁ・・・ワシも感無量や

くっそ、上やんも仲良くやれよ!!!
603 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/25(火) 12:10:47.58 ID:adji9YyLo
>>599 それ笑えないぞww

みんな、よく頑張った。よく耐えたな。苦戦を潜り抜けたという、安堵もあるだろう。
……誰がこれで終わりと言ったのかね?
604 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/25(火) 12:11:13.80 ID:adji9YyLo

同じ柔らかさを持った、相手の唇で、自分の唇の形が変わる。
それは唇以外の何かに唇を押し当てたときとは全く違う、柔らかくて暖かい感触だった。
自分と姫神の鼻が僅かに擦れあう。
たぶん、5秒くらいだろう。それくらいで一度、上条は唇を離して、息を吐いた。

「……」
「……」

一瞬、互いに交わすべき言葉を見つけられなかった。
ふわりと姫神が笑う。その顔が可愛らしくて、上条はもう一度姫神に惚れ直した。

「秋沙。愛してる」
「私もだよ。……キス。しちゃったんだね」
「だな。上手く出来たかどうかはわからないけど」
「上手くとか。そういうのじゃないよ。幸せだったからいいの」
「そっか。秋沙」
「あ」

姫神の頬に手を添える。親指を僅かに唇に触れさせると、姫神が目を閉じた。
もう一度、その唇に口付けをした。

「……ふふ」
「秋沙?」
「二回もキスされた」
「もう止めようか?」
「もっとしたいよ。ずっとずっと。飽きるまで」
「じゃあ、お言葉に甘えて」

胸の中に姫神を抱いて、三度目のキスをする。
今度は、息が持たなくなるくらい長く、するつもりだった。

「ん。ふ……」

僅かに唇を唇で噛むように、ぴたりと柔らかい肉を押し当てて、留める。
空いた手で長い髪を梳き、背中を撫ぜる。
姫神の腕が上条の首に回される。それでかなり密着度が高くなった。

「ふあ……」

時折、遠慮がちに姫神が息をする。唇を離さないから、相手の吐息が頬にかかってくすぐったかった。
……だがそれも、あっという間に気にならなくなる。
唇の感触しかなくなっていく。

唾液を絡めるほどのキスではないから、ピチャピチャとはいわない。
時々ごく小さくクチクチといった音が漏れる程度。
だがその控えめな音が、もっともっとと、二人をもっと深いキスへと誘っていく。
605 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/25(火) 12:12:07.72 ID:adji9YyLo

「んっ……」

上条は、押し当てるだけの唇を、動かすようにした。要は唇を使った甘噛みだ。
のろのろとではあるが、姫神も合わせてくれる。
上唇と下唇で姫神の下唇を挟むと、軽く姫神の歯が触れた。
姫神も息が荒くなっていくのが分かる。きっと自分もそうなのだろう。
それに構わず、姫神の唇を蹂躙する。

上条は、背中を撫でていた手が姫神の水着の、ボトムに触れたことに気づいた。
その手を、そのまま下へと滑らせる。
水着の上から、姫神のお尻を手のひらでつかんだ。

「ん……」
「秋沙。嫌じゃ、ないか?」
「え……? あ。当麻君。お尻触ってる……」
「嫌って言わないと止めないぞ」

そう言いながら、返事を聞く前に上条はキスを再会した。
姫神はキスが途切れないように僅かに首を横に振って、構わないと伝えた。
言質を取って上条は、無遠慮に姫神のお尻を撫でた。
触って比べたことはないのでなんともいえないが、姫神のお尻は、
どちらかというと薄いほうな気がする。
もちろん女の子なんだなあと分かる感触だが、あまり大きくない感じはした。
あまり指を食い込ませないように気をつけながら、さすさすと布の上から撫で付ける。
時々アクシデントで、指が深いところまで沈みそうになると、
さすがに警戒しているのか姫神の体がきゅっと緊張に固まるのだった。

「ふぁ。ん」

そろそろ息が苦しくなってきた。
同じ気持ちだったのか、引く素振りを見せると姫神も唇を離した。

「……キス、どうだ?」
「体が溶けちゃいそう」
「溶けるって。なんだそりゃ」
「体に力が入らなくなって。当麻君のことしか考えられなくなるの」

確かに、姫神がいつもよりぼうっとしているように見えた。
普段の表情も、たぶんぼうっとした感じと言い表すのが正しいのだろうが、それとは違う。
夢見心地なぼんやり顔で、思考もいつものようなキレがない。
甘えた言葉が姫神らしくなくて、可愛らしい。

「もっとキスしたら、どうなる?」
「わからないよ。私。どこに行っちゃうんだろ」

もう一度キスを、と姫神がねだる顔になった。
606 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/25(火) 12:13:01.53 ID:adji9YyLo

「秋沙の体、ホントに綺麗だよな」
「恥ずかしいよ……あっ。当麻君。今の……」

姫神の鎖骨に、上条はキスをした。
その行為に姫神の顔が驚きで一杯になり、すぐにはにかんだ。
次は、お腹にキスをした。

「当麻君。駄目だよそんなの……」
「なんで?」
「だって。汗とかかいたし」
「風呂に入ってるだろ?」
「そこはまだ。濡れてないよ」

風呂に来たくせに個室に入って早々睦み始めた二人は、まだ膝上くらいまでしか湯につけていない。
上条は、ちゃぷりと手でお湯をすくって、塗り広げるように姫神の太ももにかけた。

「あっ……」

その上で、太ももにキスをする。

「当麻君って。……エッチだね」
「秋沙に言われるのは心外だな。秋沙だってこういうの嫌じゃないって思ってるくせに」
「私そんなこと。言ってないよ」
「嫌なら言うんだろ? 嫌だって言わないって事は、秋沙もしたいってことだ」
「それ屁理屈だよ……。ふあ。あん」

くすぐったそうに姫神が身をよじった。

「普通のキスが良いな……」
「普通の?」
「唇に。して欲しい」
「おねだりなんてやっぱり秋沙もエッチじゃないか」
「……意地悪」

上条は太ももを撫でるのを止めて、再び姫神の上半身に体を向けた。
薄く微笑んで、上条の唇をねだっている。
軽く髪を撫でて再び姫神の唇に向けて顔を近づけると、姫神が目を瞑った。
上条はその唇を無視して、姫神の首筋に、キスした。

「えっ? あっ。ふぁぁぁぁ」

鼻にかかった、甘い声が漏れた。
そのあまりに本能的な姫神の喘ぎに、上条は理性をやられそうになった。
ここが個室なのは危険だ。ここが個室でよかったと喜ぶ自分の心が危険だ。

キスマークって、強めに吸ったらつくのかね?
興味本位が、半分あったことは否めない。
鎖骨の少し上を、上条は強めに吸った。
607 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/25(火) 12:14:55.05 ID:adji9YyLo

「痛……」
「痛かったか。ごめん」
「ちょっとだけだけど。もしかして。当麻君」
「あ、痕になってる」
「嘘。当麻君。明日まで残ったらどうしよう」
「見せれば良いんじゃないのか?」
「無理だよ。そんな恥ずかしいこと。……恥ずかしいよ」

吸われたところを指で触れる姫神。戸惑う表情が、つい苛めたくさせるのだった。

「痕とか、残るほうか?」
「そんなことはないと思うけど……。当麻君。もうやっちゃ駄目だよ」
「残らないなら、いいだろ?」
「駄目だよ。駄目……あっ。あ。あ。あ」

制止を聞かずに、上条は首筋に連続でキスをしていく。少しずつうなじを上へと進んで、
最後に耳をまた噛んだ。

「ふぅぅんっ!」

姫神の甘い声が、悪いのだ。そんな声を聞いたら、あれもこれもしたくなる。

「秋沙。可愛いよ」
「素直に嬉しいって言えないよ。もう」

拗ねた顔も可愛いが、そろそろ機嫌を取ったほうが良いと思えた。

「秋沙」
「あ、当麻君。んちゅ……」

再び腰を落ち着けて、髪を撫でながらのキスを再開する。
今日がファーストキスだと思えないくらい、随分二人ともキスに慣れてきた。
啄ばむようなキスにも積極的に応えてくれる。
そこで上条は、アクシデントを装った。
自分の唇の間に割り込んできた姫神の唇を、舌で舐めた。
キスをしたまま、姫神と目が合った。
何を言い合ったわけでもない。だが、それだけで、舌を絡めても嫌じゃないと分かった。

「んんん……」

加減はよく分からないが、姫神の歯に触れるところまで、上条は舌を差し入れた。
自分の熱さとは違う他人の体温を感じる。何度目か分からないが、これはまずい、と上条は思った。
気持ちが良過ぎる。そしてこのキスは、親愛の情を伝える目的に留まらない。
もっと、深い体の関係への入り口になるキスだった。
それをもう、自分も姫神も、拒む術がない。溺れかけていた。
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 13:43:06.01 ID:2vKxZKW5o
うわああああああああああああああああ
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 15:06:54.99 ID:QetwSMfP0
ああ……
俺はここで果てるのか
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/25(火) 15:51:28.71 ID:wYkboTz90
なんというエロス
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/25(火) 16:31:32.20 ID:Su9uxmjQ0
第二次世界大戦で捕虜となり、シベリア抑留から生還した祖父から聞いた事がある
戦中戦後は何処も彼処も深刻な物資不足、特に砂糖は贅沢品とされ
一部の裕福層しか口にする事が出来なかったと

庶民が口に出来たのは砂糖の代替え品として重用された
合成甘味料「サッカリン」 甘さは砂糖の500倍
発癌性を抱え、身体を蝕む偽物の砂糖

甘味を求める貧しい庶民は、高すぎる代償を支払いながら
味覚を優しく喜ばす、合成された毒を口にするしかなかった
本物の砂糖は、恵まれた裕福層にのみ許された贅沢品だったのだ
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 18:29:35.37 ID:JTsB7JPoo
上白糖吐いた
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 00:05:05.53 ID:4UDp+rF+0
これといい婚后さんのといい…1は本当に甘い話を書くのが上手いぜ
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/26(水) 08:38:57.27 ID:Y6TYnugu0
最近、知的な※が多いな
ゆとり世代ながらも、理知を追求する俺としては非常にありがたい

しかし素晴らしいSSだ、誠に毎日張り付いてる甲斐があると言うものです
親愛なる作者同志にはこの調子で、我々をもっと楽しませて頂きたい

ボーイ・ミーツ・ガールこそジュブナイル小説の醍醐味だ
上条当麻と言い姫神秋沙と言い、原作に於ける人間性も非常に優れているから、
強い愛着も湧きますし、読んでて感情移入してしまいますね
615 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/26(水) 11:22:51.79 ID:+klCamtmo

足元で、お湯がパシャパシャと音を立てている。
そしてそれより熱っぽい水音が、唇と唇の間からこぼれている。
抵抗があるのか、閉じがちな姫神の歯と歯の間に舌をねじ込んでいく。
上条の舌を噛まない様にと、姫神は口を少し開いてくれた。

「ん! ん……」

姫神に息をつかせないくらい強引に舌を吸う。
戸惑う姫神を振り回す感じが、上条の心に火をつける。
前歯を撫ぜて、舌で舌を撫ぜて、時々姫神の唇を軽く噛んで、そして姫神の唾液を啜る。
お返しといわんばかりに、姫神の口の中に自分と姫神の唾液の混ざったものをとろりと口移しで流し込む。
上条の目を見つめたまま、姫神はコクリとそれを飲み込んだ。

それがアルコールだったかのように、薄赤く頬を染めて軽いため息をついた。
姫神も、『出来上がって』いた。上条は言うまでもなかった。

「秋沙が、可愛いから悪い」
「え……? あ、ああっ……ふああああぁぁぁぁ」

耳たぶを、噛んでやった。そしてそのままかすれ声で囁く。
効果は劇的で、それだけで姫神はかわいらしい声で鳴いた。
首筋をつつっと舐めるように、キスをするようになぞり上げて、耳を攻める。
上条は口でそれを繰り返しながら、手では姫神の体中を撫でた。
触っていいかがわからないから、きわどくはあっても、決定的なところには触れない。
それがむしろ、姫神の中に切ない気持ちを膨れ上がらせるように作用していた。
膝から、太ももを撫で上げて、水着に触れないギリギリで手を止める。
水着を避けてお腹、子宮のある辺りからおへそを経由して、みぞおちの辺りを撫でる。
胸を避けて鎖骨と肩に触れて、二の腕から手の先へと撫でていく。
上条にとっても姫神にとっても、もどかしかった。

姫神の体は、どこをとっても柔らかかった。
だからやっぱり、そこを触りたい。
好きな人に愛撫されるのは、姫神にとって初めての経験だ。それ以上をおねだりすることを、姫神はまだ考えられない。
だから、先にじれたのは上条のほう。

「嫌なら。止めるから」
「え……あっ」

お腹を撫でていた手を上に滑らせて、そっと、水着の上から、姫神の胸に触れた。
616 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/26(水) 11:27:20.55 ID:+klCamtmo
>>611 目が散るメチルとかも有名だよな
>>613 でもバトルがかけないの(´;ω;`)両方読んでくれてありがとう
>>614 賢いコメに反して俺は脳内をピンク色に染めてこれ書いてるけどな!

さてそろそろ大量投下は苦しいのでお前らを焦らすことにする
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 13:06:18.63 ID:e0Zo4fbPo
ふう…

大量投下は嬉しいがそれで支障が出たら元も子もないからな
マイペースで頑張ってくれ
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 16:33:19.67 ID:GH/8GhcO0
>>616
バトルなんて飾りです!
えらい人にはそれが(ry

それは置いといてもこっちも婚后さんのも楽しみにしてるぜ!
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/26(水) 19:09:44.29 ID:eIGiEv0C0
「闘いと恋愛は良く似ている。どちらも心の凌ぎ合いなんだ」
そう教えてくれたのは、先日戦死した先輩だったか……

自軍は既に壊滅状態。上層部からの指令は途絶えて久しい
弾薬・食料ともに底をつき、友軍との連絡も取れない……
この戦場での勝敗は決していた、俺は敗残兵と成ったのだ

物資不足の劣悪な環境、見渡す限りの地雷原
心の折れる理由だけが満ち足りていた
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 19:17:43.20 ID:coq/Xzs0o
一体何が始まるんです?
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 20:54:53.39 ID:HTDyjFq9o
もうスレ建てて書けよww
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 02:10:41.68 ID:MogWBvcOo
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm12702551
ニコニコで悪いんだけど、上条さんこれだろ。絶対これだろ。
623 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/27(木) 10:00:02.39 ID:tjySLIC6o
>>619
文章のお作法できてはるし、SS書きの人なんかな?

>>622
メンテ復旧したら見るわー

だんだん危険なトコまで来ましたなあ。
初キスと初体験が一緒の日になんてなっちゃったら姫神さんも動揺するだろうけど、
姫神さんは本気で上やんに惚れてるからなあ。
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 15:26:38.09 ID:SD67RkzIO
ここでタイムアウトで
2人にとっても俺らにとっても
おあずけ状態にしてくれたほうが
まだまだキュンキュンできて俺としてはありがたい
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/27(木) 18:03:50.07 ID:fCPk0cM+0
※このSSはクロヤマアリに監視されています※

      ┓┏
     (^ω^) < お砂糖美味しいです
   ┌.ゝ .ノ┐
    ┌'、_丿┐
    ┛   ┗

>>623
私は小さなアリンコ敗残兵
貴SSから醸造される上質の砂糖に魅せられた
しがないファンの一人であります

あまりの甘さに興奮し、暴走してしまいました。ゴメンナサイ
626 :nubewo ◆sQkYhVdKvM :2011/01/27(木) 19:21:24.73 ID:bbD5kW5q0
だー研究がまとまらねー徹夜はしたくねー
おっかしいな。朝1レス分投下していったはずなのに反映されてないや。
深夜にまた投稿します。

>>624
どこまでいくか、どこまでも行くのかはお楽しみということで。
思惑の上ではこれからもキュンキュンだと思います。

>>625
しょうもないこと言ってあれなんだけど、醸造は糖分からアルコールを作るほうじゃ。
むしろその逆反応だから光合成だなー。
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/27(木) 20:20:43.13 ID:fCPk0cM+0
指摘が正しすぎて恥ずかしいアリ  ┓┏
生成か精製にしとけば良かった (´・ω・`) <いつもゴハンありがとうです
628 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/28(金) 00:50:31.20 ID:Zb9ytbZ/o
深夜になる前に帰宅できた。良かった。

>>622 ラスマスとは良い趣味じゃないか。俺も夜になったらjazz聞きながら研究してる。
629 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/28(金) 00:51:06.68 ID:Zb9ytbZ/o

マシュマロみたい、と聞いたことはある。
成る程、そう表現したくなる理由は分かるが、上条はこんなにも大きなマシュマロを握ったことがない。

「すげ……」

弾力の瑞々しい感じは、マシュマロとは全然違う。その感触になぜか感動した。
愛撫の意味を半分忘れて、手のひらの上でくにゅりくにゅりと形を変えて楽しんだ。

「秋沙のここ、すげえな」
「当麻君の馬鹿。……すごく恥ずかしいんだから」
「ごめん。嫌か?」
「嫌じゃないけど。でも。今日そんなことまでされるって私思ってなかったもん」

姫神が涙目だった。本当に恥ずかしいのだろう。

「気持ち、良いのか?」
「……わかんないよ。ちょっとくすぐったい」

キスほど、悦んでいる風には見えなかった。それに体を大きく撫ぜた方が嬉しそうな顔をしていた。
胸を揉むだけでは、余り気持ちよくないものなのだろうか。
女性の水着なんて触るのは初めてだったが、胸の前を覆う部分にはうすでのパッドみたいなものが入っていて、
姫神の胸の先端の形を、はっきりとは悟らせない。
軽く引っかくようにしながら指でこすっても、そこの変化が全く分からなくて、もどかしかった。

姫神の様子を窺いながら、そっと、上条は水着と胸の間に、指を滑り込ませようとした。

「だめっ」
「あ……ごめん」
「それは。駄目なの。まだ心の準備が出来てなくて……」
「いや、俺こそ強引に触ろうとして、ごめんな」
「うん。当麻君。怒った……?」
「え? なんで怒るんだよ。……愛してる、秋沙」
「うん!」

一番大事なところを触るのと胸をじかに触るのはまだ駄目だ、ということだった。
内心ではそれはそれは上条は残念に思っているが、姫神の嫌がることはしたくない。
謝る意味を込めて、キスをしてやった。それだけで姫神がふわりと笑う。
そんな可愛い顔を見せられるとますます体に触れたくなるので、困りものだった。

再び姫神を抱いて、今度は胸を触りながら、舌で姫神の舌を愛撫する。
もう恥らったり躊躇ったりせず、姫神は上条を受け入れることに悦びを感じていた。
時々漏れる嗚咽にも、自身の戸惑いが現れることは減って、自然な感じになってきている。
自分が姫神を女にしているのだという実感が、上条の男心をくすぐった。

「もっと、触りながらキスしたいな」
「はぁん……。え。当麻君?」

上条を見上げた顔がもう出来上がっている。先ほど胸を触られそうになって我に返ったばかりのはずなのに。
上条は姫神の体を優しく起こして、お湯の深いほうへといざなった。
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/28(金) 04:17:46.61 ID:/5WhUddb0

\  甘イネー /
   ̄ ̄|/ ̄ ̄
   ┏ ┏   ┓ ┓
  (´・ω・)  (・ω・`) < 美味シイネー


   ┓ ┏  ┓ ┏
  (・ω・)  (・ω・)

 「ここに巣を作ろう」
631 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/28(金) 10:08:53.00 ID:Zb9ytbZ/o

「当麻君……どうするの?」

気だるげに、姫神はちゃぷりと胸の辺りまでお湯に浸かる。
倒れてしまえば息の出来なくなるこの状態が、少ししんどいらしかった。

「こうする」
「え。きゃっ!」

姫神のお尻に触って、そのまま腰を持ち上げる。
そして、座っている自分の上へ、姫神を座らせる。
姫神が上条にまたがって、お互いに顔を向け合う、対面座位の状態になった。

「当麻君。これ……」
「こうしたら、俺が両手で秋沙を触りながらキスできるだろ?」
「それはそうだけど。でも。こんなの恥ずかしいよ……」
「なんで?」
「だって。その……」

ちらりと、下半身を気にするような仕草を姫神が見せた。
理由は分かる。この体位は、裸で抱き合うときにこそ意味のある姿勢だ。
あまり上条が姫神の下半身を引き寄せていないから今はあまり意識しないが、
ぎゅっと抱き寄せれば、お互いの体の最も恥ずかしいところが、擦れあう。
姫神もそれを意識しているらしかった。

「秋沙のエッチ」
「!? 馬鹿。当麻君の馬鹿。エッチなのは当麻君なのに」
「秋沙も充分エッチだろ」
「そんなことない」
「でもキスしたらすげえ嬉しそうだったじゃないか」
「キスが好きなのは。いいの」
「俺に体を触られるのも好きだろ?」
「だけど。私はエッチな子じゃない」

埒が明かない。
クスリと笑って、上条は姫神の首筋を吸った。
姫神は自分にまたがっているから、目線は姫神のほうが上だ。
だから首筋は狙いやすかった。
そして、ぎゅっと両手を背中に回して、全身で姫神を抱きしめた。

「あっ。ああ……」

やばい、と上条ですら思った。
この体位は、お互いの体の密着面積がものすごく大きい。
相手の温かみで得られる安心感が今までよりずっと深くて、
そして姫神は分からないが、上条にとっては、こう、興奮する体位だった。
632 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/28(金) 10:28:31.29 ID:Zb9ytbZ/o
「はぁ……っ。ん。ん。あっ」

姫神の息のリズムがはぁはぁ、というよりは、はぁーっ、に近い。
息を吸うときははっと体が快感でピクリと痙攣するような感じで、
息を吐くときは体が快感に弛緩していくような感じ。
姫神の腕が上条の首に回され、落ち着ける場所を探した姫神の頭は、
上条の肩にもたれかかって耳元で甘い吐息をついている。

「気持ちいいか? 秋沙」
「うん。これ。良すぎておかしくなっちゃう……」

自由になった両手で、上条は大きく背中全体を撫でる。
時には髪の毛を撫でたり、お尻を撫でたりもする。
姫神の手が何かを握りたそうにわなないているときには、
手を繋いでやったりもする。
キスで心に火がついたのは見て分かっていたが、
今ではすっかり、体のほうも上条に手にやられているらしかった。

「キス。しよう……?」
「ん。起きれるか?」
「無理かも。当麻君。起こして欲しいな」

あっさりと無理といった声に、たっぷりと甘えが入っていた。
ちょっといつもより幼い感じのするそれが可愛くて、遠慮なく姫神を甘やかす。
だらりと上条にもたれかかった姫神の背中に手を添えて、軽く自分から引きはなす。
胸より上を密着させるとキスができないから、前に倒れこまないように胸を触って支えにした。

「エッチ」
「悪いかよ」
「あ。認めた」
「姫神が死ぬほど可愛いから、したくなるんだ」
「ふふ。当麻君はやっぱりエッチなんだ」

胸をクニクニと弄ばれて恥ずかしがりながらも、もう恥ずかしがって顔を背けることはなかった。

「秋沙」
「ぁ……当麻君」

一瞬。真剣な目で見詰め合った。
そして堰を切ったように、キスをはじめる。

「ん。んんんんんんん……」

舌を離さない。口で呼吸をする余地を与えないくらい、激しく吸い上げる。
両手で体の前と後ろを執拗に撫でる。胸とお尻を同時に撫でたりする。
もう、お尻のどの辺りまで触っているのかよく分からない。
お尻というよりかなり前に近いところまで撫でている気がするが、抗議の声は上がらない。
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 11:08:41.39 ID:2VJo2dxAO

 なにこれ


  なんなのこれ



   やめてよ




    やめろっつってんだろ






      どうして俺はモテないの

634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 11:21:05.98 ID:z3zxW0yzo
心の声が…聴こえる…だと…!?
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 11:37:22.98 ID:ZnyHXN1uo
そうだ、現実逃避しよう
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 12:16:29.74 ID:/5WhUddb0
頼むよ先生、モルヒネをくれ
心が痛くて耐えられないんだ
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 13:36:30.09 ID:cO+YIdUAO
金剛さんの方もいずれこうなるのか…
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 13:37:03.92 ID:yli2Y6R4o
俺このSS読み終わったら彼女作るんだ…
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 13:44:32.27 ID:2VJo2dxAO
ちょくちょく言われてる「婚后さんの方」について誰かkwwsk。
URL欲しいです。
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage ]:2011/01/28(金) 14:31:59.35 ID:m6taShEB0
 SS投稿掲示板Arcadiaにある「ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール」原作再構成モノです。
GGればすぐ出ると思いますよ。
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 14:42:31.05 ID:wjeBeH8Ho
血反吐が止らない。でも血が甘い。どうしてこうなった
「エロゲってリア充の日記じゃね?」を思い出した。もうだめぽ
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 15:02:42.63 ID:2VJo2dxAO
>>640
ありがとうございます。
こちらも面白いですね!
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 16:51:48.45 ID:8WSwHQCJ0
なぜ俺はこれを読んで血の涙を流してるんだろう
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/28(金) 21:45:59.56 ID:oovGDieO0
読んでたら穴という穴から血が吹き出てきやがった・・・
  

切れ痔か
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 23:03:10.65 ID:lCsTMFzIO
>>633-644
なんだこの流れはww
646 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/28(金) 23:16:06.32 ID:Zb9ytbZ/o
お前らまだこのシーン終わってないのに死々累々過ぎるぞwwww
もうちょっと頑張れ。もうちょっと頑張ったら次はラスボスのインデックスさんだから。

そうそう、聞いてくれるひとがいるのでもう一度俺の書いたSS宣伝しときます。
鬱陶しいとは思うけど、ささやかで浅ましい行いをどうぞご寛恕願えればと思います。
647 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/28(金) 23:19:27.73 ID:Zb9ytbZ/o
『エンゲージを君と』
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=type-moon&all=1034&n=0&count=1
Fate/stay nightのSS。長編。
なんてことはない穂群原学園の生徒、氷室鐘には婚約者がいた。
普段は言葉も交わさないはずの衛宮士郎とひょんなきっかけで接点を持ったその日の夜、
10年前の大火災で死別したその人の名前が士郎であったことを知る。
そんな不思議出来事をきっかけに、二人の距離は縮まって――――
FateのSSには珍しい恋愛モノ。

『上条「姉妹丼ってのを食べてみたいんだけどさ」』
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=etc&all=19900&n=0&count=1
とある魔術の禁書目録のSS。短編。完結済。
街中で御坂美琴、御坂妹と出くわした上条当麻。
ちょうどお昼時だったこともあって上条はクラスメイトに聞いた、
「姉妹丼」なるメニューを出すお店に行こうと二人を誘う。
よくわかっていない当麻、お子様の美琴、斜め上の方向に想像のかっとぶ御坂妹、
それにお姉さまの「妹」白井黒子が横槍を入れて、事態はとんでもない方向へ――――
すれちがいと勘違いが織り成すギャグテイスト短編。
事態はとんでもない方向へって実は本当にとんでもないことになります↓

『上条「姉妹丼ってかなり美味いよな」』(18禁)
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=18&all=20181&n=0&count=1
とある魔術の禁書目録のSS。
『上条「姉妹丼ってのを食べてみたいんだけどさ」』の続編。短編。完結済。
変な勘違いをきっかけに、正しい意味で姉妹丼を頂いちゃうことになった上条さん。
均一な性質の女の子を五段重ねにして丸ごと平らげちゃうとかマジ鬼畜。
Sっ気のある上条さんが無垢な女の子達にあれやこれやしちゃいます。
上条さんが女の子と6Pするシーンが見たい人は是非。

『ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール』
ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=etc&all=19764&n=0&count=1
とある魔術の禁書目録のSS。長編。本編再構成モノ。
初夏のある日。
上条当麻は不良に襲われているところを、ひとりのお嬢様に助けられた。
佐天涙子は伸びない能力に向き合うため、ひとりのお嬢様に助けを求めた。
常盤台中学が誇る空力使い(エアロハンド)、"トンデモ発射場ガール"がヒロインのお話。
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 00:25:22.68 ID:JRJG+K5U0
金剛さんのは原作通り22巻くらいまでやっちゃう?
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/29(土) 00:33:43.07 ID:rztu/uEv0
まじか、エンゲージも>>1だったとは。
あれも好きなんだよ。更新待ってます。

今度からは作者名にも注意しよう…
そう思った15の夜
650 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/29(土) 00:53:01.53 ID:wi26wdtOo
>>648
かまちーが7年かけて書いたものをいったいどれだけのペースで追えるのかって話だよな。
まあ細く長く続けば良いね。書きたいことは4巻目くらいまでプランはあるけど、先は分からない。
それと金剛じゃなくて婚后さんなんだ。
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage ]:2011/01/29(土) 00:56:22.54 ID:bkMNAXXR0
 あれもこれも書いてたんですか……
なんか凄く尊敬です。
婚后さんのやつはずっと続けて欲しいです。
652 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/29(土) 01:04:52.44 ID:wi26wdtOo

上条だって健全な男子だ。これだけやって、興奮しないわけがない。
むしろここまで姫神の意思を無視して暴走したりしていないだけで理性があるほうだといえるだろう。
……だがそれも、そろそろ限界だった。

「あっ……。当麻君。あの。その」
「なんだよ」
「あの……」

はっとキスをするのを止めて、姫神が戸惑いを隠しきれずに目線をうろうろさせた。
上条が姫神の腰をぐっと引き寄せて、下半身を密着させたからだった。

「当たって。るよ……」

それを言うのが姫神の精一杯だった。
姫神は、自分の体の、誰にも触らせたことのない部分に、上条の体が触れているのが分かった。
硬い骨が当たっているような感触。だが、人体の構造上、そこに骨なんてない。
骨格が違うとはいえ、それは男女でも一緒のはずだ。
だから、それは。

「姫神が可愛いのが悪い」
「んっ! や、駄目。駄目だよ……」

姫神の肺が軽くつぶれて苦しそうな息を吐いた。それくらい、強く抱きしめた。
何かを言おうとする姫神の唇をキスでふさぐ。
そして姫神の腰を抱いた手に、さらに力を込める。二人の足の付け根が、ぎゅっと密着して擦れあう。

「あんっ! あっ! んぁ……ふぅんんん」

姫神の声のトーンが跳ね上がる。明らかに、キス以外の何かが原因だった。
女の子の可愛らしい反応は、男の側の理性を激しく奪う。
上条ももう、自分を押しとどめるものがほとんどなかった。

「秋沙。愛してる」
「私。も。ひゃんっ!」

愛してるという言葉は、言い訳にも使える言葉だ。
上条はビキニのトップスの下から、そっと指を差し込んだ。

「あ。駄目だよ……。当麻君。あっ! お願い。もう……んっんっ」

姫神の胸に、じかに触れる。
柔らかさはそのままに、布ではない姫神の肌の感触とダイレクトに伝わる温かみが心地良い。
それに、トップスの上からいくら引っかいても得られなかった、その感触が味わえた。
姫神が感じている証拠。ぷっくりとした突起の感触。人差し指と中指の間にあったそれを、
上条は指でこねくり回した。

「あっ! あっあっあっあっあっ」

断続的な悲鳴。駄目だよという言葉より、その嗚咽のほうが何より雄弁だった。
姫神が、自分の愛撫で感じている。それはたまらない充足感だった。
653 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/29(土) 01:13:12.54 ID:wi26wdtOo
>>649
エンゲージ知ってる人がいるほうが驚きだww あれ2006年から2008年くらいに書いてるし。

>>651
まあ四五年前から書いてるしね。一度完全に飽きたんだけど、去年から再開した。
婚后さんのやつを俺もずっと続けたいです。敵は己自身ですが。
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage ]:2011/01/29(土) 03:42:30.74 ID:bkMNAXXR0
 上条さーん……帰ってきてくださいお願いしますwwww
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/29(土) 07:05:37.64 ID:J4zbfWnG0

\本気で殺しにきたね/
   ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ┏ ┏   ┓ ┓   ┓ ┓
  (´・ω・)  (・ω・`)   (・ω・`) < お砂糖美味しいです
         _∧_ 
        ( ね〜 )
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 11:30:33.81 ID:+SFE8qPIO
上条さんに姫神からの腹パンフラグ
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 12:02:32.19 ID:98AMVkfAO
むしろ誰か俺に腹パンしてくれ。
一撃で楽にしてくれよ。
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/29(土) 12:51:58.80 ID:+a1UAlRl0
僕も姫神たんみたいな、
綺麗で可愛くて性格も気立てもいい女の子とお付き合いしたいお!

普通は男のことを○したくなる場面だが・・・上条さんなら許せる!
上条さん頑張れ!いけ!やれ!犯せ!
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 13:02:33.30 ID:88wJJLIeo
なんなんスか、何なんすかこれ
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 13:06:02.96 ID:X1qvkJhao
┌┴┐┌┴┐┌┴┐ -┼-  ̄Tフ ̄Tフ __ / /
  _ノ   _ノ   _ノ ヽ/|    ノ    ノ       。。

       /\___/ヽ
    /ノヽ       ヽ、
    / ⌒''ヽ,,,)ii(,,,r'''''' :::ヘ
    | ン(○),ン <、(○)<::|  |`ヽ、
    |  `⌒,,ノ(、_, )ヽ⌒´ ::l  |::::ヽl  
.   ヽ ヽ il´トェェェイ`li r ;/  .|:::::i |
   /ヽ  !l |,r-r-| l!   /ヽ  |:::::l |
  /  |^|ヽ、 `ニニ´一/|^|`,r-|:「 ̄
  /   | .|           | .| ,U(ニ 、)ヽ
 /    | .|           | .|人(_(ニ、ノノ
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 08:13:45.69 ID:M3cq1doP0
みんな盛り上がってるねww
俺も上条さんが男になるところを見届けてやりたいぜ!
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 18:08:31.10 ID:hCpW0DXDO
婚后さんのは漏れも続けてほすい

人の成長やキャラの関わりが深くなる話が好きなんだ
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 22:12:36.31 ID:RMS4EN630
トンデモをタイトルに惹かれて読んできた

おもしれえwww作者パネエwwww
いつまででも待つから無理せず進めてね、こっちもあっちも
664 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/31(月) 10:54:37.57 ID:J+z3iOkIo

「秋沙。気持ち良いか?」
「うんっ……気持ち。いいよ……っ! あっ」

このまま続けるのが、そろそろ生殺しで辛くなってきていた。
愛撫しあうことの恐ろしさを上条は理解し始めていた。
とめどなく、もっと先を望んでしまうこと。
今欲している快感を得てしまえば、さらに強い快感が欲しくなる。
それはたぶん、姫神も同じだと思うのだ。

「ふあっ」

姫神の胸の尖りを軽くひねるようにして摘む。
すると、ぴくんぴくんと姫神の体は痙攣して、そして、太ももをぎゅっと閉じようとするのだ。
太ももの間には上条の体が差し込まれているから、姫神はもっと上条を受け入れたいように見える。

「このまま、続き、してもいいか?」
「えっ……?」
「もっと秋沙を感じたい」
「あの。当麻君。それって」
「秋沙と。その……一つになりたい」

姫神は息を呑んで、顔を隠すように上条に倒れ掛かった。
髪のこすれる感覚で、首が横に振られたのが分かった。

「嫌、か?」

これも首を横に振る。

「怖い。よ……」
「優しくする」
「うん。当麻君が怖いんじゃないの」
「じゃあ、何?」
「私。はじめてなんだよ」
「そりゃ俺もだよ」
「キスしたのも。お尻を触られたもの。胸を触られたのも。今日が初めてなんだよ。
 全部嫌じゃなかったけど、ちょっと怖かった……あん」

姫神の耳を噛んだ。そのまま、囁く。

「秋沙が欲しい」
「うん」
「嫌ならすぐ止める。痛くてもすぐ止める。秋沙につらい思いは絶対にさせないから」
「うん。でも……あぁぁ」

姫神のビキニのボトムスに、指をかける。
駄目だという割りに抵抗は薄く、はっきりと拒まれることはない。
腰骨の感触を感じながら、そこまでボトムスを下ろしたところで。
――――ピリリリリ、と退出まで残り15分のお知らせが、控えめに鳴った。
665 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/31(月) 10:58:10.90 ID:J+z3iOkIo

「当麻君。あん。可愛い」
「秋沙のおっぱいも可愛い」
「もう。……ふふ」

ちゅぱちゅぱという音がする。
時間のこともあって最後までは、出来なかった。
代わりに、姫神は胸を吸うことまでは上条に許したのだった。
姫神の胸に顔をうずめて、先端を吸う。
姫神が幼子を抱くように上条の頭を抱きしめていて、やけに上条は安心するのだった。

「当麻君。大好きだよ。ぁん……。やだ。ちょっと痛いよ。噛んじゃ駄目」
「ん。ごめん」

もう、理性がとろけていくほどの愛撫はしない。そのときの熱の残りで、軽い快感を楽しむのだった。

「私って母性本能強いのかな。なんか当麻君が子供みたいに見えてきた」
「子供って。子供と秋沙はこんなことしないだろ」
「こら。いけません」

お尻を触ろうとした手をはたかれた。もうそういうのは駄目らしかった。
この雰囲気を上条は好きだった。恋人に甘えるのも、悪くない。

「秋沙に抱いてもらうと、安心するな」
「本当? 嬉しい」
「でも、逆もやりたいってのが本音かな」
「逆?」

胸から脱出して、体の位置を動かす。
今度は姫神を自分の胸元に抱き込んでやった。

「あぁ……」

深いため息。背中を撫でてやると、姫神がくたりとなった。

「いつも当麻君にしてもらってるけど。これ。すごく安心するの」
「ん。これからもずっとしてやるから」
「うん。当麻君もまた抱いてあげるからね」
「なんかそれ誘ってるように聞こえる」
「そういう意味じゃないもん」

もう一度。ピリリリリと音がした。

「あと五分だな」
「……嫌だよ」
「うん。まあ。俺もだ」
「ずっと二人でこうしてたいよ。すごく。今の時間は幸せだったのに」
「でもこれ以上は止まらなくなるしな」
「……怖いけど。でも。それでもいいからずっと二人がいいのにな」

仕方なく、のろのろと二人は体を起こした。
666 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/31(月) 11:09:09.04 ID:J+z3iOkIo
>>624 に展開をズバリと読まれてました。まあ少年誌で連載できるギリギリねらったらこんな感じになるよね。
>>657ほらもっと口開けろよ。まだ砂糖なら余ってるぜ。
>>663 ありがとう。ほんとありがとう。その一言で頑張れます。

さて戦争は収束の方向に向かいつつありますが、家に帰るまでが戦争です。
くれぐれも撤退戦でいらぬ命を散らさぬように。
……無事に現実世界にお帰りください。

死にたい。
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 11:58:29.52 ID:cYMD8hMd0

\ 楽園ですな  /
   ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄
   ┏ ┏   ┓ ┓   ┓ ┓    ┓ ┓
  (´・ω・)  (・ω・`)   (・ω・`)   (・ω・`) < 辛い物食べたい
         _∧_   _∧_______ 
        ( うむ ) ( お砂糖美味しいです )
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/31(月) 12:20:27.96 ID:xevzB3YAO
はなぢでそう
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 12:20:56.16 ID:T/XP2JeVo
鬱だ死のう
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 14:12:02.13 ID:ZpLohrvv0
蜂蜜をぶちまけすぎだぜ…
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 15:09:07.99 ID:jd/BLfKDO
彼女に会いたくなった
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 15:50:41.55 ID:kqV/nfXAO
>>671
丁度いい、八つ当たりに殴らせろ。
673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 15:50:57.30 ID:0lbAS3GIO
>>671
リア充はSSだけでいいから。頼むから消えてくれよお願いだよおねがいします
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/31(月) 15:55:51.58 ID:yL9EkDb60
↑くそっ、彼女持ちがこんなとこ来んじゃねえよ!
675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/31(月) 15:56:49.43 ID:yL9EkDb60
書き直し

>>671
くそっ、彼女持ちがこんなとこ来んじゃねえよ!
676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage ]:2011/01/31(月) 16:00:22.95 ID:VTF7G6YR0
 うん、この展開で良かった……
にしても姫神ほんとに良かったね
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 16:22:41.62 ID:T4+p7z/0o
★壁殴り代行始めました★
ムカついたけど壁を殴る筋肉が無い、壁を殴りたいけど殴る壁が無い、そんなときに!
壁殴りで鍛えたスタッフたちが一生懸命あなたの代わりに壁を殴ってくれます!
モチロン壁を用意する必要もありません!スタッフがあなたの家の近くの家の壁を無差別に殴りまくります!
1時間\1200〜 24時間営業 年中無休!

           ∧_∧ 
           (´・ω・`) _、_,,_,,,     
       /´`''" '"´``Y'""``'j   ヽ   
      { ,ノ' i| ,. ,、 ,,|,,. 、_/´ ,-,,.;;l   
      '、 ヾ ,`''-‐‐'''" ̄_{ ,ノi,、;;;ノ   
       ヽ、,  ,.- ,.,'/`''`,,_ ,,/    壁殴り代行では同時にスタッフも募集しています
        `''ゞ-‐'" `'ヽ、,,、,、,,r'    筋肉に自身のあるそこのアナタ!一緒にお仕事してみませんか?
          ,ノ  ヾ  ,, ''";l      壁を殴るだけの簡単なお仕事です!
         ./        ;ヽ 
        .l   ヽ,,  ,/   ;;;l      
        |    ,ヽ,, /    ;;;|   
        |   ,' ;;;l l ;;'i,   ;|      
        li   /  / l `'ヽ, 、;|    
       l jヾノ ,ノ  ヽ  l  ,i|     
       l`'''" ヽ    `l: `''"`i    
       .l ,. i,'  }     li '、 ;;' |     
        l ; j / _, -― ' ̄ ̄`ー‐-、_  
 , .--、,,__,,-' ̄;;"`´ ;; __  __, -―- 、;; ̄ ̄`l 
 ;;  ,__   ;;'    r ' ´;;; ヽ_ゝ_;;|    lヽ, / .|
;, Y´| l  __  /`'| |   |  l  l;|     l ヽ l .
  | |.;;l_,-'l | V | |.l .|   .|    l  i i   | ;lヽ| 
 |.| ''.|/ l  |;;;| | | | ;|  |   | ;l l| i ;;;; l | l    
;; i /   .il /| |.| |  |   i  |   | l i  '`i l /   
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 18:45:00.20 ID:T/XP2JeVo
>>671

../: : : : :∠..-‐7                   /_,,..-''′ {:::::{___,,..-''":::::::::::::::::::l
.ヽ: : : : : : : :∠____              _,,.-''´ .ノ     .`''-..,,_:::::::__,,..-''"7:::::::::::,'
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       |:::::,'  | l l l ・|     .'/ / / ,'     `ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::., '
        |:::::l   ヽ\ヾ.,' __   ヽ´__ノ          }:::::::::::::::::::::::::::, '
      l::::::〉  _lヽ-.''/  ヽ      /ヽ、  __ノ:::::::::::::::::::::::/
      .',::::l  (_::::::::::}___ノ     /  |  _)::::::::::::::::::::::/
         ',::ヽ__. ゝ'`´      _,,-''´   /  ヽ:::::::::::::::::/
          ヽ::::::',     --=二___,,..-''´    ノ:::::::::::/
         \::ヽ-.、            ___,,..-''":::::::::/
          `''-,,::\ ___   .l:::::::::::::::::_,,-''´
             `''-,,_::::::::::::::`''‐'"::::_,,..-''"
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 18:52:58.63 ID:GJSoqBepo
なんという一体感
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 19:43:58.69 ID:3WsqL54AO
※寮では禁書が心配して待っています
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/31(月) 21:03:15.45 ID:yL9EkDb60
みこやん、カワイソス・・・だが、姫やんの幸せの方が優先されるのだ!

しかし、上条さんはアクティブな童貞だな
6年前の俺を思い出すぜ!
682 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/31(月) 22:59:02.29 ID:J+z3iOkIo

扉を開けると、元気にはしゃぎまわる子供の声が聞こえる。
ポップなBGMもあいまって、そこは完全に、日常の世界だった。
それに比べて、あまりに自分達の体は気だるい。
二人きりの時間を過ごしたらここで遊ぼうかといっていたのに、
もうそれは億劫な気持ちになっていた。

「……どうする? 秋沙」
「うん。ちょっと、疲れちゃったね」
「『ご休憩』したからな」
「もう」

それでもまあ、足をプールにつけて喋るくらいは良いかと思ったところで。

「あー! あのカップル一人用の風呂から出てきた!」
「うわー! えっち! えっち! えっち! カップルがエッチしてたー!!」

ざわ……ざわ……

視線が、上条と姫神に集まる。
えっちの具体的な意味も分からないような小学生のだけじゃなくて、
自分達と同年代の怨念のこもった目や、さらに年上の人たちの非難するような目もあった。
もうここで遊ぶどころではなかった。
姫神を隠すようにして、そそくさと二人はスパリゾート安泰泉を後にした。
683 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/31(月) 22:59:43.94 ID:J+z3iOkIo

「お待たせ。当麻君」
「ん。それじゃあ、帰るか」
「うん」

ロビーで姫神と合流して、バス停に向かう。
お風呂で乱れたせいで濡れていた髪もすっかり乾いて、見かけはもう、いつもどおりに見えた。
それがすこし寂しくもある。
また、上条以外が見えなくなるくらい、姫神を乱れさせてやりたくなった。

「どれくらい待った……?」
「ん。ええと、20分くらいかな」

本当は30分に近かった。

「ごめんね」
「いいって。髪の毛、乾かしてたんだろ?」
「あ。うん……」
「……? 違うのか?」

姫神がなぜか言い淀んだ。
まあいくら髪が長いとはいえ、それだけじゃ上条と30分も差はつかないだろう。
化粧っ気の薄い姫神のことだから、そちらにもそこまで時間は掛からないような気もする。

「水着を洗ってたら。その……」
「水着? レンタルだし普通に返せばいいんじゃ」
「だ。駄目だよ。あんなの見られたら」
「え?」
「なんでもない。なんでもないの」

水着は濡れたって何の問題もない。水着なんだから。
……いや、水に濡れるのが問題ないだけで、その。

「秋沙。もしかして」
「帰ろう当麻君!」

ちょうどバスが来ている。
照れ隠しに怒るような感じで、足早に姫神はステップを登った。
684 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/31(月) 23:00:23.88 ID:J+z3iOkIo

バスの中の、最後部の座席の端に二人は座った。
この夕方の早い時間に繁華街から帰る方向のバスに乗る人は少ない。
近い席に人はおらず、声さえ静かにしていればほぼ二人っきりの空気を楽しめる場所だった。

ぎゅっと上条の腕を抱いて、姫神はうつらうつらと眠りに落ちかけていた。
先ほどまであれだけ激しいことをしたのだ。
体力的には上条にとってはそうでもなかったが、女の子の姫神はどうか分からない。
それに精神的には、女の子のほうが疲れるのだろうと思う。だって、あれほど乱れるのだから。
……『果て』まで行かないと快楽を得られない男の上条としては、ちょっと悶々とする結末だった。

寝顔が見たくて、髪を僅かに掻き分けた。それで姫神が覚醒する。

「あ……。ごめんね。寝ちゃってた」
「いいって。着いたら起こすから、寝てていいぞ」
「うん。当麻君とくっついたまま寝るのすっごく幸せなんだけど。おしゃべりできる時間が減っちゃうのは残念かな」
「寝ながら喋るのは無理だからなあ」
「ふふ。そうだね。当麻君……撫でて欲しいな」
「ん」

さわさわと、おでこの少し上辺りを撫でてやる。
普段の物静かな雰囲気に加えて、眠そうなせいかおっとりした微笑が姫神の頬に浮かぶ。
一人起きてるのも寂しくて、上条も軽く目を瞑ろうかと思った。

「当麻君。今日のお夕飯。どうするの?」
「え? 秋沙を送ったら、買い物に行って適当に考える気だったけど」
「ってことは。外食とかはする予定ないんだよね?」
「まあな。うちは食費がハンパない生き物を二匹も飼ってるからな。まあ片方は常識的な量しか食わないけど」

スフィンクスの名誉のために、上条はフォローをしておいた。
ふむ、と姫神が何かを決意したような息を漏らす。

「じゃあ。作りに行ってもいい?」
「え?」
「私も帰ったら一人のご飯だし。せっかくこんなにいちゃいちゃしたのに。それは寂しいから」
「……そうだな、俺も秋沙とあっさり別れるのは寂しいって思ってた。
 でも、いいのか? うちじゃ二人っきりにはなれないけど」
「うん。それは分かってるから。皆でご飯を食べよう」
「姫神がそれで良いって言ってくれるんなら、俺は大歓迎だ。二人で作ればすぐだしさ」
「うん。それに早目が良いって。思ってたから。」
「え?」

眠そうだったはずの姫神の目は、何か、固い意志を感じさせるものに変わっていた。
その雰囲気を少しも崩さず、姫神は上条に笑いかけた。

「あの子に。私と当麻君がお付き合いを始めたって。ちゃんと報告しておかなくちゃね」
685 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/01/31(月) 23:01:42.81 ID:J+z3iOkIo
>>671
おまえwwwwwwwwwwwwwwww 三次元に彼女なんて生き物いると思ってんの?wwwwwwwwwwwwwwwwwwww
童貞乙wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww いい加減に夢を見るのを止めろよww そんな幻想上条さんにぶち殺されてこいよwwwwww
……死にたい

>>680
うむ、そのとおりなのだよ。

さて次回からいよいよ最終章。ラスボスのインデックスとの死闘ですよ!!!!!
お前ら、そんなHPで大丈夫か?
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 23:04:57.59 ID:nDHEOizVo
>>685
pixivで書いてる奴が半分終わったところでHPが半分くらいになってしまったが問題ない
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 00:20:10.98 ID:nt/45ypB0
最終回が近づくってわけか
寂しくなるな…

あとはトンデモ一本に絞るの?
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 01:32:40.11 ID:bzzp3D+j0

\ ………… /
   ̄ ̄|/ ̄ ̄
  ┓ ┓     ┓ ┓    ┓ ┓    ┓ ┓    ┓ ┓
  (・ω・`)  (・ω・`)   (・ω・`)  (・ω・`)  (・ω・`)


   ┓ ┏     ┓ ┏     ┓ ┏     ┓ ┏     ┓ ┏
  (´・ω・`)  (´・ω・`)  (´・ω・`)  (´・ω・`)  (´・ω・`)
                    _∧______
                  ( お砂糖不足の予感 )
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/01(火) 09:44:41.88 ID:Qy+pcjgB0
安心するじゃん、トンデモも充分甘ったるいじゃん?
ただ最後って聞くと寂しくなるじゃん・・・
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage ]:2011/02/01(火) 11:17:15.63 ID:HeaJtAGT0
 今回も超乙でした!!
インデックスとの戦いも楽しみだけど
この物語が終わってしまうのは寂しいな
691 :nubewo ◆sQkYhVdKvM :2011/02/01(火) 11:39:51.15 ID:8J/5uq4M0
完結せずに物語を投げるのもあれだしね。まあ最後まで書くよ。
>>687
トンデモの更新ペースを上げなくちゃいかんのだがSS速報でも書きたいなあ。
arcadiaより感想もらえる数が多いし、一度に書く行数も少なくて済むから、書きやすいんだよな。
今プロット書いてるのが、
『寝ているインデックスに手を出した→結婚』
『百合子ちゃんとあわきんの殺伐下着ショッピング』
ってタイトル。
下のヤツのほうは話が膨らまなくて実際には書けないかも知れないが。
ああでもギャグとバトルを書く練習もしたいし、どうなるかは分からん。
これ完結させるときに次回作の宣伝までできるといいなぁ。
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 20:09:22.17 ID:DcI7oQvDO
トンデモをこっちでやるのはどう?
婚后さんSSの珍しさと文の面白さで人は呼べそうだけど
693 :519 [sage]:2011/02/01(火) 23:16:34.16 ID:Y2lE8FKAO
>寝ているインデックスに〜
これは期待せざるを得ないな
出来上がった暁には是非読ませてほしい
影ながら全力で支援するぜ(もちろん今の姫上もだが)

っていうか修道女って結婚できるのかな…?
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 23:24:10.87 ID:GaN3N2lIO
代々シスターの家系とか、得体のしれないもんが出てくる禁書世界に死角なし
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 23:28:10.14 ID:cAJtTgMXo
プロテスタントなら結婚とかできるんじゃなかったっけ?いやあれは司祭だけだったか?
696 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/02(水) 01:36:20.51 ID:IWJCmbA4o
>>693
禁書スキーだなぁww
このSSみたいな路線でインデックスと当麻が現実問題に向き合いながら、
きちんと恋愛していくSS書くのも良いなあと思ってる。
ただ>>692の言ってくれた提案にちょっと心惹かれるところがあるんだよな。

ちょっと皆コメント欲しいんだけど、ここで連載してまとまったらarcadiaに載せるってアリなのかな?
ここ設定の矛盾とかに指摘入れてもらいやすいし、いいかもって思った。
トンデモ発射場ガールをこちらに連載するか別のSS書くか、確実なことはいえないから
あくまでも参考意見が欲しい、って事なんだけど、聞かせて欲しいです。

プロテスタントは宗教改革の一環で結婚せずに神に仕える修道女って制度を壊したから、
プロテスタントに修道女はないですな。そして還俗(げんぞく)はできるっぽいよ。
だからインデックスでもアニェーゼでもオルソラでも、
向こうが納得したら還俗させて結婚すればいいんじゃないかな。
修道女ではなくなるけどね。
というか本気で修道女になる誓いを立てるには10年単位のお試し期間と言うか下積みの時間が必要らしいから、
禁書で出てくる若い修道女の皆さんは厳密な意味での修道女じゃあないような気がするなー。
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 01:59:29.99 ID:Oz3Lywceo
> 連載してまとまったらarcadiaに載せる

ここに投下した作品を整理してよそへ再掲載、ってのは
まとめサイトがやってる事ですし、
第三者がやってる事を作者がやっちゃいかんって理屈は無いでしょう。

arcadiaをそういう風に使っていいのか、ってのは
arcadiaのルールと言うか空気と言うか
そういうものに拠るんじゃないでしょうか。
arcadiaの空気は全然知りませんが。
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 03:43:45.31 ID:7mb7DZfbo
個人的にはこっちでやってくれた方がチェックの手間が減って助かる。
>>697の言うようにarcadiaのルールにもよるけど、複数の場所への投下禁止なんて普通はしないかと。
というか、そもそも禁止出来るようなものではない?
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 12:51:08.93 ID:EjZ2IUwto
pixivの小説機能使ってもいいんじゃね?
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 14:35:57.21 ID:7v2B7L430
arcadia的に良いなら歓迎するぜ

サテンサンが自分の力を真っ当に伸ばしてくのも見たいしねw
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage ]:2011/02/02(水) 15:19:47.12 ID:VM9xNj1R0
 こっちの方が感想書きやすいしね
arcadia側が何も言わないならこちらでもお願いしますね
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 15:51:13.02 ID:KevcUw+d0
arcadia側が何も言わないならいいかもね
つか普通にトンデモの続きが読みたいわけですが
703 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/02(水) 21:44:51.40 ID:IWJCmbA4o
みんな意見くれてありがとう。
思ったよりここでトンデモの続き読みたいって人がいてびっくりした。正直嬉しかった。
SS速報的にはアリっぽいし、arcadiaの規約にも反してはいない。
空気としてあちこちに掲載する人が低く見られる傾向はある気がするけど、
まあ、許容範囲の中に入るんじゃないかという感じだなぁ。

ちょっと真剣に考えてみる。
SSの続き描いてなくてごめんよー
704 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/02(水) 21:47:46.97 ID:IWJCmbA4o
>>699
pixivってどうなん? 小説を公開できるってのは知ってるんだけども。
やっぱりモチベーション維持には、短くても投稿しやすい環境と、感想貰いやすい環境が一番なんだよな。
身も蓋もないこと言ってアレだけど。
見てる感じだとpixivはあまり良い環境じゃないように思えるんだけど、
そこんとこ空気知ってる人が教えてくれないだろうか。
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 22:22:59.57 ID:EjZ2IUwto
>>704
確かに感想は貰いにくい
評価とかブクマしてくれる人は結構いるけどコメントしてくれる人はあんまり居ない
閲覧数も人気のある上琴の人ので800前後だったと思う
ただ書いたり読んだりするだけなら悪くない
読む時に文字のサイズとか選べるようになったし段々使い勝手は良くなってきてるよ
だから掲示板で投稿したのをまとめて置いておく保管庫的な役割には使うならいいんじゃまいか
まあ、まとめサイトがまとめてくれるのならいらないかなって気がしないでもないけど

俺がpixiv使ってるのは投稿した後に手直ししたくなる頻度が多いからww
校正をもっとしっかりやればいいんだろうけど、集中力が続かんでござる
706 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/02(水) 23:27:18.06 ID:IWJCmbA4o
>>705
おお、貴重な情報ありがとう!
閲覧が大目に見込んで800で、感想は貰いにくい、かあ。
むー、arcadiaで現状一話あたり3500PVはあるし、pixivでまとめをやるメリットはなさそうだなあ。
ここは校正が出来ないから、ここ以外のどこかには纏めたいよな。そして俺も逐一修正したいww
書いたらすぐ投稿したくなるよなー
707 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/04(金) 03:16:45.87 ID:QlSbC1SZo

寮よりの手前のバス停で降りて、買い物をする。
ぽろっとこぼした上条のリクエストで、姫神は肉じゃがを作ってくれることになった。
どう考えてもその日中に同居人に鍋の底まで平らげられてしまうのが悲しい。

「ちょっと晩御飯遅くなっちゃいそうだね」
「いつもよりは、そうだな。遅いってほどじゃないけど、インデックスが怒ってそうだ」

とっぷり日の暮れた道を、三人分の食材を手にして歩く。
同棲でもしていればこんなことは日常になるだろう。
つい、そういうシチュエーションを想像してしまう。

「大学行ったら、同棲とかするか?」
「えっ……えぇっ?」
「いや、ごめん。先の話をしすぎた。忘れてくれ」
「えっと。さすがに急でびっくりしちゃった。でも。ずっと当麻君と一緒にいられるのっていいね。
 同棲するとお互いにドキドキすることがなくなるから実は良くないって説もあるけど」
「あー、それは確かにあるなぁ」
「……あの子の事?」
「うん、まあ。それほど長いこと一緒にいるわけじゃないけど、毎日一緒だとさ。
 詰まんないことで喧嘩もするし、嫌なところも見えてくるだろ?
 掃除しないとか料理作らないとか服を俺のと一緒に洗濯すると文句言うとか」
「やっぱり好きな人のところには通うのが良いのかな」
「……秋沙がうちに来てご飯作ってくれるって、ものすごい嬉しいんだぞ?」
「ふふ。あんまり大したことは出来ないけど、気持ちはちゃんとこめて作るからね」

エントランスをくぐって、エレベータの扉を開く。
きっと出会い頭にお腹すいたと文句が飛んでくるのは間違いない。
代わり映えのしない自分と二人だけの夕食じゃなくて、
今日は秋沙がいるからインデックスも喜ぶだろうと、上条は気楽に考えた。
今日は私と当麻君と三人。あの子はそれをどう思うだろうと、姫神は良くないケースも想定して覚悟を決めた。

かすかな加速度を足に感じて、勢いよくエレベータは登る。
夏には上条を待ちくたびれて玄関先で待っていることも良くあったが、
近頃はめっきり冷えてきてそんな光景も見なくなった。
エレベータから出て、上条は部屋のドアの鍵を開けた。

「ただいま」
「お帰りーとうま。ごはん、ごはん、ごはん!」
「ああ、うん。すぐ作るから」

玄関からはインデックスの姿は見えない。ベッドの上でごろごろしているのだろうか。
控えめに、うしろから姫神が声をかけた。

「お邪魔。します」
「あれとうま。誰か女の人の声がしたんだけど」
「うん。ご飯。作りに来たから」
「えっ? ……あいさ? どうしたの?」

インデックスが不思議そうに顔を覗かせた。
嬉しそうとも警戒しているとも見えないその態度に、人知れず姫神は体を硬くした。
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 04:01:14.78 ID:XDuusdcWo
なぜこの時間に
709 :nubewo ◆sQkYhVdKvM :2011/02/04(金) 09:39:57.33 ID:Gg/VPS290
その時間に帰宅したからさぁ
ここ数日は研究が修羅場でね。
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 10:29:20.28 ID:r43V5TQh0
 乙です!
インデックス、上条さんと洗濯は別って意外だな
そして姫神は最終決戦か。これからの展開が楽しみすぎる
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 10:51:49.89 ID:CCyIkJeSo
むしろ上条さんのと一緒に洗濯でにおいをくんかくんかなイメージ
712 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/04(金) 22:35:00.56 ID:QlSbC1SZo
>>710 >>711
俺の脳内設定はこうだ。

「とうま。この『せんたくき』っていうやつの使い方教えて」
「はい? ……いいけど。おねしょでもした時にこっそり洗う気か?」
「そんなわけないんだよ! とうまのばか!」
「じゃあなんだよ。まさか洗濯は引き受けてくれるとか」
「え、なんで?」
「そこでなんでって聞き返されるほうがわかんねえよ。つうかそれなら何で洗濯機使いたいんだよ?」
「……とうまのえっち」
「ぇえっ? いや、今俺変なこと言ったか?」
「いいんだもん! 私の服は自分で洗うから!」

下着はきちんと手洗いして汚れを落として欲しいけど、さすがにそれを言うことも出来ず、
かといってピンポイントに下着だけを洗うと下着の汚れを気にしているのが当麻にばれるので、
そういう理由でインデックスは自分のパジャマと下着は自分で洗濯するようになったのだった。
ちなみに当麻さんはちょっぴりそれを悟ってて照れくさいのであった。
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/05(土) 03:43:21.99 ID:6zwkbfTAO
つまり「へへへ…純白シスターでも下着は(ry」ってこと? えっちいですね
714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/05(土) 19:59:58.23 ID:a3El3pm1o
あれ?インさんってはいてたっけ?
715 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/06(日) 12:11:04.35 ID:Q0oCDZXlo

「あいさのごっはん、あいさのごっはん」

普段上条が料理をしているときなんてほとんど興味を持たないくせに、
インデックスは少し離れたところから姫神の包丁の動きを目で追っていた。
上条はその隣で茹でた卵の殻を剥いている。

「とうま。ちゃんと白身を傷つけないように剥いてほしいんだよ!」
「難しいんだよ。文句言うんなら自分で剥け。俺より下手なくせに」
「そんなことないもん!」
「ふふ。いつもこんな調子なの?」

喧嘩っぽい口調で言い合う二人を、姫神はほっとした気持ちで見ていた。
あの子とにらみ合うようなことになっては、食事どころではない。
そういう心配はしなくてすみそうだった。
それに、二人の会話はなんだか兄と妹というか、子供っぽい感じがして、それも安心材料だった。

「ん、秋沙。剥き終わった」
「ありがと。当麻君。鍋に入れてくれる?」
「了解っと」

上条は予想以上にきちんと料理をするようだ。
必要ならみりんと料理酒を自分の部屋から取ってくる気だったが、その必要もなかった。
甘めの味付けがインデックスの好みだということで、砂糖と味醂が多めの、こっくりとした味付けにした。
隣のコンロでさっと青菜を湯にくぐらせて、辛し和えを作る。
鍋一杯の肉じゃがとこれがあれば夕食としてそれなりのものだろう。

「あいさ、まだ?」
「煮物はすぐには出来ないよ。食べるのはあと一時間くらいしてからかな?」
「えーっ! お腹すいた」
「もう」

甘えてくれるインデックスを少し可愛いと感じてクスリとなる。
――その油断がいけなかったのか。

「そういえばあいさ。とうまのこと、下の名前で呼んでるんだね」
「えっ?」
「とうまも、あいさって呼んだ」
「ああ、えっとそれはだなインデックス」

むー、とインデックスに睨まれる。直接睨まれている上条の隣で姫神もたじろいでいた。

「あいさに変なことしたんじゃだめなんだよ! とうま!」
「へへへへへへ変なことってなんだよ?!」
「そ。そうだよ。変なことなんて。別に」

つい数時間前に姫神の胸を吸っていたのは誰だったか、思い出して上条も姫神も真っ赤になった。
716 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/06(日) 12:16:07.89 ID:Q0oCDZXlo
>>713 そういうことですよぐへへへへ
>>714 穿いてる。10巻でチアリーディング用の服に着替える際に、
『インデックスの修道服はきちんと畳まれて地面の上に置いてある。
 そしてその上には、同色のパンツも置いてある』
って書かれてる。
つまりインデックスはシルクで出来た純白の生地に、
ティーカップみたいな金色の刺繍が入ったぱんつを愛用してるってことだ!
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 12:29:41.65 ID:KK2TzKPWo
穿く教会なのか
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 13:41:58.98 ID:YXBPIb2Vo
法王級の防御を誇るんですね分かります
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/06(日) 14:11:50.64 ID:K+EJxHMz0
いいよ、いいよー!
720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 15:33:11.75 ID:uorqGh/uo
こっくりとした味わいって想像できない俺
721 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/06(日) 19:25:28.46 ID:Q0oCDZXlo
作っちゃった。
【禁書】ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール【本編再構成】【上条×婚后】
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1296986869/

もとからダブル連載でやってたし、どちらもペースはこれまでどおりだと思います。
よろしければあちらもよろしくお願いします。

>>720
白味噌の味噌汁とかこっくりした味だと思う。
澄まし汁にお醤油足すとこくが増すし、まあなんかそんな感じだ。
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 21:22:07.99 ID:zQwiQz7ho
他所まで見に行く気力がなかったから正直有り難い
今から読んでくるぜぃ
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 21:41:46.14 ID:zQwiQz7ho
最新更新分からか
arcadiaとやらに行って来るわ
724 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/06(日) 22:15:20.70 ID:Q0oCDZXlo
ごめんよー
さすがに300レス以上を投下する根性はなかった。
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 22:55:59.85 ID:vGQ4Y58V0
 姫神頑張れ!!最終的にはみんなで笑えるといいな
726 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/07(月) 09:40:48.73 ID:0leuCdfeo
「飯炊けたぞー」
「うん。肉じゃがはまだ冷めてないから、このまま出すね」

インデックスはもうテーブルの前に座って、完全にスタンバイしていた。
姫神が鍋を持っていくと、インデックスが恭しくテーブルに鍋敷きを置いた。
かぱりと姫神が蓋を開ける。醤油と味醂で似た牛肉とジャガイモのいい匂いが、ふわっと広がる。

「うわぁぁぁぁぁぁ……」

インデックスは目をキラキラ輝かせてもう待てそうにもない、という表情をしていた。
……なので、上条は自分と姫神の分のご飯をよそってから、最後にインデックスに茶碗を渡す。

「それじゃあ。召し上がれ」
「うん!! いただきます!」

はぐはぐはぐはぐはぐはぐ!
こっちの様子を見てもいない。上条はいつもどおりのインデックスにため息をついた。
向かい合わせに座った姫神に、ありがとな、と伝える。
ううん。と首を横に振る姫神と、どこか、子供を持った夫婦みたいな気持ちを味わった。

「それじゃ、俺も頂きます」
「頂きます。当麻君の口に合えばいいな」
「絶対に大丈夫なんだよ。とうまのご飯の100倍美味しいから」
「作ってもらってばっかりのお前に言われたかねーよ」
「ふふ。喜んでもらえてよかった」
「あいさ! これからは毎日来てくれるの?!」
「えっ?」

驚く姫神を見つめたのは一瞬だった。あっというまに目線を再び肉じゃがに戻して、
もりもりと口に運んでいく。

「毎日。来てもいいのかな?」
「え? なんで?」
「お邪魔じゃないかなって」
「そんなことないよ! とうまは全然遊んでくれないし、あいさがいてくれたら嬉しいもん」
「そっか」

ほっとしたように、姫神が薄く笑う。
上条としても、三人で食事を取れるのは嬉しいし、丸く収まったみたいで良かった、と安堵した。

「おかわり!」
「へいへい。入れてやるから皿貸せ」
「お肉っお肉っ」
「全員平等にだ。お前に肉を全部献上することは断じてありえない」
「わたし全部なんて言ってないもん!」
「全部食いかねない勢いだろーが!」
「ふふ」

上条家の食卓は、いつもこんな感じなんだろうか。
姫神も、自分で作った肉じゃがに手をつけた。
727 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/07(月) 23:12:47.47 ID:0leuCdfeo
「ごちそうさま」
「ごちそうさま、あいさ」
「うん。おそまつさまでした」

上条家にある最大の鍋は5リットル。
肉も400グラムあったしジャガイモは全部で14個も入れたのに、
目の前の鍋はもうさっと洗えばもう綺麗になる状態だった。
すっからかんとも言う。

「はぁ、コレだけあっても明日の分はないんだもんなぁ」
「もしかして、あったらあった分だけ食べられちゃうの?」
「そうなんだよ! ったく、底なしって言うかこんだけ食べてよく太らないよな」
「ちゃんと成長に使ってるから平気なんだもん!」
「成長ねえ」

どこが、というような話はしない。もうそれはすでにやって、すでに噛み付かれたことがある。

「さて、んじゃ洗い物してくるわ」
「あ。手伝うよ」
「いいって。ほとんど作ってもらってたんだし、片づけくらいはするから。
 それよりインデックスのお守りを頼む」
「とうま! 私はべつに遊んでもらえないくらいで怒ったりしないもん!」
「いや毎日怒ってるだろ……」

鍋と三人分の食器を台所に運ぶ。
リビングではインデックスが姫神をベッドサイドに連れて行って、二人でテレビを見始めていた。

「あっ、カナミンの曲だ!」
「カナミン?」
「あいさは見てないの? 超起動少女(マジカルパワード)カナミン」
「私は見てない。これ好きなの?」
「うん! あ……でも」

何かを思い出したらしく、勢いよく好きと応えた声が、急にしおれた。

「ちょっとこないだの回は嫌だったな」
「ふうん。時期的に最終回まではあと二、三話くらいかな」
「えっ? カナミン、終わっちゃうの?」
「それはアニメだから。いつかは終わるものだけど」

水道の音のせいで上条からは二人の会話ははっきりとは聞き取れないが、
仲良く話しているようだった。
食べてすぐの食器は汚れも落としやすいし、何よりご飯粒一つ残っていないので、
洗いものはさっと済んでしまった。
タオルで手を拭いて、上条も二人に合流すべくリビングへ向かう。

上条は、インデックスと姫神が二人並んだ、その姫神側の方に腰掛けた。
728 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/07(月) 23:39:26.97 ID:0leuCdfeo

インデックスが少し訝しげな表情をしたことに、上条は気づかなかった。
別に自分から番組を変える気もなくて、カナミンのオープニングテーマを流す番組をそのまま眺める。

「ねーねー秋沙。今日はいつまでいるの?」
「えっと。明日に差支えがなければ。何時でもいいんだけど」
「じゃあゲームしよう! 最近これ、よくやってるんだ」
「あ。うん。いいけど……」

インデックスが傍らに置いたボードゲームを広げようとする。

「こっちのゲームでもいいし、テレビ使うほうのゲームでも良いよ。あいさはどれがいい?」
「えっと」

もうゲームをするんだといわんばかりに、インデックスがあれこれと用意をする。
その勢いに飲まれたせいで、姫神は言う機会を逸してしまう。
だが、今日ここに来た目的は、インデックスとゲームをすることではない。

吹寄が少し、姫神から距離を置いてしまったように。
常盤台中学の女の子が、全く縁のなかった自分に隔意ある視線を向けるようになってしまったように。
もしインデックスに、自分と上条のことを言ってしまったら、これまで通りには接してもらえないかもしれない。
そう多いとはいえない友達の一人だし、納得はしていなくても、
インデックスが上条と離れがたい関係にあるのは知っている。
上条の取り合いになって、いがみ合うことになるのは避けたかった。
だがそれ以上に、『恋人』を取り合うことは、絶対に避ける気だった。

そっと手を、上条に絡めた。驚いた雰囲気が腕から伝わる。
インデックスの前で睦みあうことに、上条がどんな顔をするのか、確かめた。

「秋沙」

大好きな恋人の声には、戸惑いとためらいの響き。
チリチリとそれだけで燃え上がる何かがあった。
大切なのは私でしょ。あの子に知られたって構わないでしょ。

「ちゃんと。言わないと」

言いたいことは別だった。
私のことが好きなんだ、って、あの子の前で言って欲しい。
あの子に姫神秋沙は俺の彼女だと明言して欲しい。
私とあの子の立場をちゃんと区別して欲しい。
自分が一番嫉妬している相手はインデックスなのだと、姫神は自覚していた。

だって、こんなにも毎日、上条の傍にいる女の子がいたら。
そしてその子が可愛くて、健気な、いい子なら。
大好きな上条当麻という人が、なびいてしまうかもしれないから。
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/08(火) 14:13:53.27 ID:il1MI4fIO
インデエエエエエエエエックス!!
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/08(火) 17:37:47.81 ID:LofgbMADO
インデックスはあれでいて賢い娘だからいろいろ気付いてるんだろうなぁ
731 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/08(火) 23:20:21.09 ID:R75puLMno
「あっ、とうま! ……あいさに何してるの」
「へ? え、いやこれは、その、腕組んでるん、だけど」
「次はどこに触る気なの?」
「次ってなんだよ」
「あいさも気をつけて。とうまは油断したらすぐえっちなことするんだから!」
「ひ、人聞きの悪い」
「当麻君」

思わず放しかけた腕を、姫神が手繰り寄せた。
切ない目が上条を見つめる。
それだけで罪悪感が心をざわめかせた。

「とうま……あいさも、どうかしたの? さっきから思ってたけど、今日はなんか二人とも変だよ」
「変か。なあインデックス、その、どうしてそう見える?」
「えっと、よくわかんないけど、とうまがえっちなことをしてもあいさが怒らないし。
 それにとうまが女の人と腕組んでるってそれだけで変かも」
「うん。自分で言うのもなんだけど、変だな」
「だから私はそう言ってるんだよ」

ぎゅ、と上条の腕を姫神がきつく抱きこむ。姫神はもうインデックスのほうを見ていなかった。
インデックスはそれで、今日姫神がこの家に着てからずっと薄く感じていた、
なんともいえない疎外感、それをはっきり悟った。
上条と自分の二人の家にいながら、いつもの空気と違う。お客様がいるからではない。
自分と上条と姫神、三人がいて自分だけが「独り」なのだと感じる。
部屋の距離感がおかしくなって、急に上条が遠く見えるような感じをインデックスは覚えた。

「なあインデックス。報告が、あるんだけどさ」
「えっ?」

ドキリと、心臓がテンポを急に変える。
上条との間に何度か遭遇した、ちょっと幸せで恥ずかしくなるような、あのドキドキとは違う。
むしろ嫌な夢から覚めた直後の、まだあれが夢だったと認識するより前の圧迫感に近い。
姫神が自分のほうを見ないのが嫌だった。仲良くした人にそっぽを向けられる、その理由が知りたい。
……いや、知りたくない。理由を知ってはいけないような、そんな気がする。

「俺と秋沙のことなんだけど」

今更、今になってようやく、上条が姫神のことを秋沙と呼ぶことが気に障りだした。
当麻君、なんて呼び方もおかしいのだ。
上条が姫神のことを好きなのも、姫神が上条のことを好きなのも知っていたが、
それでも今までは互いに苗字で呼び合ってきたのに。
自分の目の前で、二人がそっと見詰め合ったのが分かった。
上条が優しい目で姫神を見つめたのが分かる。いたわるような、安心させるような微笑。
……それを見て自分の心の中に処理しきれないような怒りが湧いたのが分かった。

「インデックス、聞いてくれ。ついこの間のことなんだけど。
 ……その、伝えるのが遅れて悪い。俺と秋沙は――」

呼吸を上手く出来ない。体が急にこわばってしまった。そんな自分を意に介さず、上条が言葉を続ける。

「今、付き合ってるんだ」
732 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/09(水) 00:11:58.89 ID:h338HegCo

「……え?」

科学の話をしたときのような。
インデックスが初めに返した言葉は、自分が知らない単語を聞いたときの、その態度だった。

「付き合う、って?」
「え?」

聞き返したいのは、むしろ上条だった。
インデックスを日本語の分からない少女のように扱ったことなど一度もない。
科学的な知識はさておいて、こういう普通のことに疎い面など見たことがなかった。

「いやだから、秋沙が俺の彼女になるって話で」
「あいさがとうまの、彼女?」
「そうだよ……インデックス?」
「なに?」
「なにじゃねえよ」

上条はどうもよく分かってないように見えるインデックスに、ついつっけんどんになる。
知り合いに彼女が出来たなんて話をするのは照れくさいのだ。
それに、ずっと一緒に住んできた相手、それも女の子に報告するのは、どこか後ろめたかった。

「付き合うっていうのは。抱きしめあったりキスしたりする関係ってことだよ」

誰に目を合わせるでもなく、取り立てて特別でもない説明を、姫神が呟く。
それは上条とインデックスを、ハッとさせるような一言だった。

「だ、だめだよ! そんなの」
「どうして?」
「だってとうまは……えっちなんだもん!」
「エッチだったら。どうして駄目なの?」
「だってとうまはすぐ出合った女の人と仲良くなるし、あっちこっちでそういう人増やすし」
「そうなの? 当麻君」
「え?」

急に話を振られて上条は戸惑う。
ちらと上条を一瞥して、姫神の視線はインデックスに向かった。

「あちこちで知り合った女の人と。キスをしたの?」
「そんなことねえよ。秋沙とだけだ」
「えっ……?」
「ありがとう。当麻君」

困惑を浮かべたインデックスの顔から、瞬間、沢山の感情が剥落した。
733 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/09(水) 00:13:43.55 ID:h338HegCo

「当麻君は。私と他の女の人は別だって想ってくれてる。私は当麻君の彼女なの」
「でもっ……駄目だもん」
「どうして? あなたは。当麻君の何?」
「とうまは私の大切な人だもん!!」
「私が聞いてるのはあなたが当麻君の何なのかだよ」
「そんなの……! とうまに聞いてみればいいよ!」

一転して、混乱と、敵意と言ってもいいような何かをインデックスは浮かべる。

「いや、そりゃ嫌いならこの家に置いたりなんてしないけど」
「私は、当麻の何なの?」
「……何って、まあ、同居人、だろ」

恋人では、なかった。大切な人ではあっただろうと、上条は思う。
でもそれでもやはりインデックスは上条にとって、彼女ではなかった。
自分の大切な、たった一人の女の子。その名はもう姫神秋沙と決まっているのだ。

「とうまは、私のこと嫌いなの?」
「んなわけあるか」
「じゃあ、あいさと比べて、私のこと」
「比べるのはおかしいよ。私は当麻君の彼女で、あなたは違うから」

全ての議論を姫神が遮った。反論の余地のない、バッサリとした断定だった。
上条も、そしてインデックスも、何もそれに言い返せなかった。

インデックスがキッと自分を睨みつけたのに、姫神は気づいた。
自分は取り繕っている気でいるが、あるかないか分からない仮面の下で、
自分もインデックスと同じ表情をしている自覚があった。
だから、なんとなく次の一言も分かった。

「出てって」
「え……?」

驚きに呆然としたのは上条の声。
視線は絶対に逸らさない。まっすぐインデックスを射抜く。
姫神を突き放すように、もう一度インデックスが叫んだ。

「あいさは出て行って!!!!」
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/09(水) 00:45:06.18 ID:JdUTZSWAO
姫神さん攻撃翌力あるよなあ……。
誰も悪くないから辛いよな。
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/09(水) 00:47:11.42 ID:GPA10cwlo
いや、この場合はインさんが悪いだろ
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/09(水) 00:50:40.11 ID:JdUTZSWAO
まあそれもそうか。
これくらいの駄々は許してやりたいとこではあるんだけど。

……つーか上条さんがジゴロすぎるのが全ての元凶。
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/09(水) 00:56:24.13 ID:IyiaaTVso
インデックスも上条さんも悪くないだろ
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/09(水) 02:16:16.15 ID:OBY/2Gmb0
 これはどうしようもない。
必ず通らなければならなかった道。
 超乙です
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/09(水) 20:09:24.98 ID:iHad99Sy0
イカちゃんとってもかわいいよ!
イカちゃんの気持ちもよく分かるけど、ここは一つ、上条さんと姫やんを応援してやってくれ
740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/09(水) 21:09:42.81 ID:OA+po7fAO
もう見てられないのに続きが気になる、不思議
741 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/09(水) 21:52:02.18 ID:h338HegCo
「インデックス!!」

姫神とインデックス、二人ともがその怒声にびくり、となった。
こんな風に上条に怒られたことはインデックスは一度もなかった。
だから、怖かった。そして、反射的に覚えたその感情が緩和するにつれて、
別の感情が、じわじわと心を蝕んだ。

事情なんてどうでも良くて、突きつけられたのは自分だけが怒られたという事実。

「そんな言い方はないだろ。誰だろうが、ウチに上げといて出て行けってのは、
 それは言っていいようなことじゃないだろ」
「なんで。とうまは私だけ怒るの?」
「なんでって、出て行けって言ったのお前じゃないか」
「あいさだって私と言い合いしたのに!」
「それとこれとは話が違うだろ?」
「私、ずっと一緒にとうまはいてくれるって思ってたのに! なのに……!」

表し方の分からない想いが、絶えかねたようにぽろりと目じりからこぼれる。

「とうまはどうしてあいさの肩を持つの?」
「だから別にそんなつもりないって言ってるだろ!?」
「とうまのうそつき!」
「意味わかんねぇよ」

噛み付いてきたりなんて、インデックスはしなかった。
憎しみというよりは裏切られたような、傷ついたような顔。
ただの二人の喧嘩なら、上条はもっとインデックスを気遣えたのかもしれない。
今はただ、インデックスの感情論に不快感を覚えることしか出来なかった。

「……私。帰るね」
「あ、秋沙」
「ここにいても。こじれるだけになっちゃうから」
「……ごめんな。せっかく、晩飯まで作ってもらったのにさ」
「ううん。気にしないで。それじゃ、お邪魔しました」

他人行儀に、それでも挨拶をした姫神とは対象に、インデックスは目をあわせようともしなかった。
姫神のことも好いていただけに、裏切られたという思いは強かった。

上条が腰を上げてインデックスと姫神を見た。
姫神を送っていくか、それともインデックスをなだめるか。
姫神はそれなりに平静だ。二人の女の子の様子で判断すれば、インデックスの面倒を見るべきかもしれない。

「インデックス。秋沙を送ってくるから」
「あ……」
「すぐ帰ってくる」

上条は、『身内』より『彼女』を選んだ。愛情の多寡ではなく、それは日本的な価値観の発露だった。
だが二人の女の子は、そんな風には受け取れない。
一方は優越感を感じたことに後ろめたさを覚えて、もう一方は捨てられたような気持ちを、いっそう強く覚えた。
742 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/09(水) 21:56:59.02 ID:h338HegCo
男の視点で見る女の理不尽な怒りってのが上手くかけてるといいなー
女の人って怒ると、同種の不快感を覚えた過去の体験をめっちゃ思い出してさらに怒りが増すらしいよ。
だからそういうのがない男の人がしれっと正論とか客観的意見かますのが許せないらしい。
こういう書き方すると男の一方的な視点になっちゃうけど、おれ男だからこういう風にしか言えんわ。

誰が悪いとも断定できない感じ、というのが上手くかけてるみたいで良かった良かった。
>>738の言うとおり、通らねばならなかった道、ってやつでしょうな。
>>740
それが修羅場の魅力ですよ。書いてる俺はぜんぜんハラハラしないんだけどね。
743 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/09(水) 22:16:59.80 ID:h338HegCo

「やっぱり。こうなっちゃった」
「秋沙?」
「半分くらいは覚悟してたんだけど。これはもう嫌われちゃったかもしれないね」
「その、ごめんな。あとで言っておくから」
「止めといたほうがいいと思う」
「え?」
「大好きな人が他の女を選んだせいで傷ついてるのに。その人からさらに叱られたりしたら。
 どうしようもないくらい傷つくよ。私があの子の気持ちを語るのはおこがましいけど。それは分かる」

エレベータを降りて、エントランスに出る。
そもそもマンションの外に出ないから送るほどの事もない。
ここで別れればいいかと思った上条の手を、姫神が引く。
まだそこまで遅い時間ではない。女子棟のほうへと、上条はついていった。

「秋沙はあいつに怒ってないか?」
「うん。怒られる理由はあるけど怒る理由はないから」
「問題はやっぱインデックスか。仲直り、してくれるといいけどさ」
「うん……」
「やっぱり、三人の時にも仲良くいられるのがいいしな」
「……」
「秋沙?」

階段を上る足をぱたりと止めた。

「3人で恋人同士はできないよ」
「え?」
「あの子は当麻君の何でいたいのかな? ただの同居人でいいのかな?」
「……」
「もしそれで満足できないんだったら。3人でっていうのは。ありえないよ」

インデックスは、自分のことをどう見ているのだろう。
さんざん悪口を言われるが、それは愛情の裏返しだと思える。
ときどき女らしい態度にドキリとさせられることはあるが、
向こうが意識しているわけじゃなくて、年頃の上条が過剰に気にしているだけだと思う。
……今までそう思ってきた。だが姫神の口ぶりは、そうではないのだと言っている。
部屋に帰って、どんな顔をすれば良いのか上条には分からなかった。

「うちに上がる?」
「……いや、一応早く帰ってやろうとは、思うし」
「そっか」
「ごめん」
「気にしないで。私もそのほうがいいと思うから。……でも当麻君」

何かを欲しがる目。今日は沢山愛し合った。だから言われなくても分かる。
カチャ、とドアのノブに姫神が手をついた音がする。
姫神を扉に押し付けるようにしながら、上条は姫神の唇を深く吸った。

「おやすみ秋沙。愛してる」
「うん。当麻君もお休み。大好きだよ」
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/09(水) 22:35:30.28 ID:lXM9vibDO
ヤンデレ等が動の修羅場ならこちらは静の修羅場か…。修羅場キターなんて言えない重さがある…
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/09(水) 22:57:29.99 ID:OBY/2Gmb0
 インデックスは本当に上条さんと深く関わってるから、
自分の想いが通じないと分かったらこうなっても仕方ないんだけど、
やっぱり胸が痛い。
 ヒロインの心理の細かいところまで描写できて羨ましいなって思ってしまう。
これから上条さんがどう動いて、インデックスの傷をどこまで浅くできるか気になるところ
746 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/09(水) 23:22:16.38 ID:h338HegCo

姫神を送ってすぐにきびすを返し、自宅のドアを開ける。
出しかけたゲームや上条の鞄がリビングに居座っていて、さっきの雰囲気を残していた。

「ただいま」

ベッドの上で体育座りになってインデックスは俯いている。
くしゃりと頭を撫でて、上条は部屋の片づけを始めた。
せめて、周りだけでもいつもどおりを取り繕ってやれるように。
……風呂の湯を沸かしはじめたところで、ようやくインデックスが口を開いた。

「私。出て行かなくてもいいのかな……?」
「え? 出て行くって」
「だって。私はもう、ここにいちゃいけないのかなって」
「なんでだよ」

予想以上に悪い方向に考えすぎているインデックスが心配で、上条はベッドに腰掛けた。
もう一度、頭を撫でてやる。

「とうまに。嫌われちゃったもん」
「その嫌ってるはずの上条さんは今お前の頭を撫でてるんだけどな」
「ねえとうま」
「ん?」
「わたし。とうまの何なのかな」

それは上条に向けての疑問というよりも、自分がその答えを持っていないことへのやるせなさのようだった。
答えるべきか、悩む。ただの同居人だとは答えづらかった。それは確かに上条にとっても正しい答えではないのだ。
ただのルームメイトとは違う、恋人とも違う、兄妹とも違う、そういうカテゴリに当てはめにくい、
世界でも自分達二人だけかもしれない、不思議な関係だった。

「お前はなんだと思うんだ?」
「わかんないよ。とうまにとって私はどういう存在なのか。とうまが教えてよ」
「……お前といると、楽しいよ」

二人とも、カーペットに穴でもあけるようにじっと一点を見つめる。
部屋が明るいのが少し、鬱陶しかった。

「私も、とうまと一緒にいると楽しいよ。遊んでもらえると嬉しいよ」
「……それが答えじゃ、だめなのか?」
「だって、答えじゃないもん。私はとうまにとってこういう人ですって、言葉にしたいんだよ」

だが、答えは出ない。簡単に答えが出ないからずっとそんなことは頭の片隅にやって、ただ、楽しくやってきた。

「明日からも、ここにいていい?」
「当たり前だろ?」
「とうまの傍にいても、いい?」
「聞かなくても良いって。お前が出て行きたいって言うまで追い出したりしねーから、
 ウジウジなやんだりなんかせずにずっと笑ってれば良いんだよ。お前は」
「とうま。とうま……っ」

ふぁさりと衣擦れの音がして、インデックスが上条にすがりついた。
急なその動きにあわせられなくて、上条はインデックスを抱えてベッドに倒れこむ。
首に腕が回されて、上条の胸の上にインデックスが鼻をこすりつけた。
かける言葉が上条にはなくて、インデックスは上条のシャツに涙を染み込ませるだけだった。

上条はプールで抱いた姫神の感触を思い出して、後ろめたい思いを感じながらインデックスの髪を撫でた。
姫神の匂いがしない上条のシャツに、インデックスは沢山のものを刻み付けた。
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/09(水) 23:28:21.76 ID:OA+po7fAO
上条さんも上条さんで、ハンパに優しくするからこじれるんじゃ…
748 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/10(木) 00:14:18.11 ID:eAEwk0/DO
自業自得こそ上条さん
749 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/10(木) 00:29:37.92 ID:9gn4ppiio

「……落ち着いたか?」
「まだだもん」

インデックスの嗚咽が収まってしばらく。風呂の湯が入ったお知らせが鳴った。

「でも風呂沸いたから、さっさと入ってくれないと」
「うん。あともうちょっとしたら入る」

インデックスは上条の胸に耳を押し当てていた。上条の心臓の音を聞いて、安心しているらしかった。
不意にインデックスが顔を上げる。いつになく間近で、二人は見詰め合う。

「私は。とうまが大好き」
「お、おう。ありがとな」
「……お風呂に入ってくるね」
「ああ……」

インデックスのことが、いつも以上によく分からなかった。
部屋の隅の引き出し、インデックスの専用になったそこからパジャマを取り出し、
上条に見えないように下着をパジャマに包んで隠して、風呂場に向かった。

ピリリ、と上条の携帯にメールが届く。
ぴたりとインデックスは一瞬立ち止まって、振り返らずに洗面所へと入っていった。
ポケットから取り出して覗いた画面には、姫神からではなくて土御門からの他愛もないメール。
返事も面倒でそのまま閉じて、テーブルの上に置いた。

にぎやかしにテレビの電源を入れる。
インデックスが服を脱いで風呂に入る音を聞かないためのマナーだった。
そうやって、殊更に意識してしまうようなことは避けてきた。
いつまでも、今までみたいな関係でいられたらいい。
それが偽らざる上条の願いであり、そんな幻想はもう終わりなのだと、心のどこかで感じていた。

ぼんやり天井を眺めていると、インデックスが風呂から上がってきた。
入れ違いに上条も入って、さっさとお湯を抜いてしまう。
言葉も少なに、いつもより早い時間に寝てしまうことにした。

「ねえとうま」
「ん?」
「今日も、お風呂で寝るの?」
「そりゃそのつもりだけど」
「……ここ、とうまの家なのに。私がベッドで寝たら変だよね」
「い、いや。それなりに理由があってこうなってるわけでさ」
「……そうだね。ごめんね」
「なんだよいきなり。別にいいって」
「うん。それじゃおやすみとうま」
「ああ、おやすみ」

突然にそんなことを言い出したインデックスの真意がつかめなかった。
首をかしげながら風呂場に向かって、電気を消して、
……あまり寝付けずに、長い夜を過ごすことになった。
750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/10(木) 00:34:20.93 ID:8Lzf3uTAO
まあ、こいつらは上条さんのその何も捨てない強さに惚れたんだろ。
気の多さと言うかさ。

しかしいろんなものに優しく大切に接すると一番大事なものに気持ちが届かなくなったりするから、そこはしっかりしてほしいところだな。
その点まだ少し弱い気がする。姫神ばかり押してるように見えるな。
だが「愛してる」とちゃんと言えたのはファインプレイだ。


彼女いたことないけど。
当然童貞だけど。
751 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/10(木) 00:34:56.05 ID:9gn4ppiio
上条さんにしてみれば、インデックスとはこれまで通りやりたいと思うのよ。
だからヘコんでたら慰めちゃうのさー
そしてこっちもあっちもインデックスが活躍すると頭の切り替えが大変だww
752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/10(木) 03:18:58.23 ID:+sJNF3M7P
インデックスをあっさり見捨てちゃったら、それはもう上条さんじゃないと思うの。
753 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/10(木) 06:33:44.16 ID:he2Cu3b+0

\ビタースウィートだね/   \ ほろ苦いです /
   ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄         ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄
   ┏ ┏   ┓ ┓   ┓ ┓    ┓ ┓    ┓ ┓
  (´・ω・)  (・ω・`)   (・ω・`)   (・ω・`)   (・ω・`) < 「ほろ」って何?
    ___∧__   _∧_______
    (大人の味だね) ( お砂糖少ないです )
754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/10(木) 07:27:36.82 ID:p/T2EFNSo
SS投稿するときだけトリップつけて雑談するときは外したほうがいい気がする
雑談でも長文投下してるからSS本文との見分けがぱっと見付かない
755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/10(木) 07:51:19.72 ID:MF/5R2ZIO
それはあなただけです
756 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/10(木) 12:34:05.38 ID:9gn4ppiio
>>753
古語の「ほろほろ(だんだんと)」から来てるらしいよ<ほろ

>>754
酉の付け外しってさ、とり忘れつけ忘れが起こりやすいから面倒なんよ。
大目にみておくれやす。
本文だけの読みやすさはまとめサイトで補完してくれると助かる。
757 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/10(木) 22:40:16.76 ID:9gn4ppiio

「とうま、朝だよ」
「ん……」

コツコツと風呂場の扉を叩く音がする。
インデックスも上条も寝起きはいいほうで、どちらがどちらを起こすというほどのこともない。

「起きた? とうま」
「んー。起きた」

扉をガラリと開けて、洗面所に出る。顔を洗ったところで、ふと匂いに気づいた。
香ばしいというか、焦げるところまで若干いってるんじゃないかというようなトーストの匂い。

「あれ、インデックス」
「おはよう、とうま」
「おはよう。トースト焼いてるみたいだけど、どうしたんだ?」
「……とうま、ごめんね。ちょっと焦げちゃった」
「いや、煙が出てないし致命的じゃないのは分かるからいい。自分の分を焼いたのか?」

お腹すいたと文句を言うのが普段なのに。
インデックスが手にした皿は二つ。上条の分も焼いてあるのだった。

「とうまは朝はいつもバタバタだから。私がやってあげたらとうまは喜んでくれるかな、って」
「あ、ああ。そりゃもちろん助かる。すげー助かる」
「そっか。よかった」

ほっとしたようにインデックスが笑う。戸惑いはあるが、なんだか幸せな朝の光景だった。
飲み物と手でちぎるだけの簡単な野菜とハムも用意してあった。
インデックスが自分で出来る精一杯だったのだろう。朝食としてはもう充分だった。

「朝ごはん、これで大丈夫かな?」
「完璧だ。じゃ、頂きます」
「うん。私もいただきます」

いつもより5分早く、朝食を済ませる。その少しの差で朝はずいぶんゆとりを感じる。
ここからは普段なら洗い物をしてゴミをまとめて着替えるところだ。
だが今日は、食べ終わった後率先してインデックスが動いてくれた。
さっと着替えて、洗い物をするインデックスの隣でゴミ袋の口を縛っていく。

「すげぇ……いつもの登校時間まであと10分もあるじゃねーか。ありがとな、インデックス」
「うん。とうまが喜んでくれてよかった」
「にしても、急にどうしたんだ?」
「頑張ろうって思ったんだよ」
「え?」
「とうまにもっと、褒めて欲しいから」

引っかかるものは、ないでもない。なにせ昨日の今日だ。
褒めて、というインデックスの頭を条件反射で撫でた。眩しそうなその表情は、素直に可愛いと思う。

「もう行っちゃうの?」
「急ぐ必要はないけど、別にすることもないしな」
「わかった。とうま……」

突然、インデックスがきゅっと上条に抱きついた。
なんだか今日は突然に新婚夫婦にでもなってしまったみたいで落ち着かない。
彼女が他にいるから、それはなおさら落ち着かない。

「お、おいインデックス。もう行くからさ」
「うん。なるべく早く、帰ってきてね」
「う、わ、わかった」

インデックスがハンガーにかかった上条の学ランを手にとって、さっと広げてくれた。
そのまま、上条が着るのを手伝った。前のボタンを止めている間に、鞄を抱いて待ってくれている。

「いってらっしゃい、とうま」
「ん。行ってくる」

玄関まで見送ってくれるインデックスの顔が曇っているのが、やけに罪悪感を感じさせるのだった。
エレベータを降りれば、きっと姫神が待っているはずだった。
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 00:16:47.75 ID:OUBJZGmCo
インデックスが病みそうで怖い
759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 01:19:51.04 ID:13YyOG4Eo
既に病み始めている気がしてならない…
きっぱりと突き離さない上条さんの優しさは逆に残酷だ
こんなに優しくされたらいつまでも諦めきれずに苦しむぞインデックスは
760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 01:25:32.47 ID:pUgossDAo
そこで登場するステイル
761 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/11(金) 01:47:11.33 ID:xXqqEL8Jo
>>760
一瞬トンデモと投稿するスレ間違えたかと思ってヒヤっとしたじゃねーかww
登場しませんよ! NTRは俺が楽しめないからね!

ふと思ったんだけど、>>758>>759のいう『病む』ってどんな状態だろう?
ヤンデレは基本当麻にぞっこんだけど姫神になびいちゃったら刺すのもアリな感じの状態だよな。
そういうこと?
これから書こうと思っている展開って『病む』という状態なのか否か、気になったもので。
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 03:59:32.06 ID:+ncaWXXI0

俺的には世界みたいな自分の思い通りにならないと思い人に危害加えるのをエセヤンデレ
言葉や由乃みたいにどこまでいっても思い人に危害加えず恋敵に危害加えるのをヤンデレ
と区別しているな
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 04:14:09.80 ID:13YyOG4Eo
>>759だけど「ヤンデレ」とはちょっと違うものを想像した
当麻に捨てられないために無理に献身的な良い子を演じ続けるような…
相手に気を遣うようになるのはいいけど行きすぎちゃって常にビクビクしてて痛々しい感じ
764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 04:21:23.05 ID:+ncaWXXI0
>>763
まるで虐待されてる子供みたいだな
765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 06:56:03.80 ID:k4DXV3Vh0
それだと切なすぎるからクリムゾン風にしてみようか
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 09:12:24.69 ID:TYOGjj1PP
やっぱり愛紗と禁書が百合るしかないな
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 17:54:57.54 ID:tguNr7QAO
そこは吹寄と姫神で。
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 18:28:55.95 ID:dKSQMP9so
>>767
それなら俺が書いたのが手元にあるな
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 20:08:25.45 ID:uyu/FeUQo
>>768
はやくスレを立てるんだ
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 20:15:58.02 ID:dKSQMP9so
>>769
エロエロなんで…
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 20:50:03.88 ID:FbeZ6ogio
構わないから早く立てるんだ
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 23:47:38.66 ID:MQ2Jhxt8o
>>770
むしろ何故立てないんだ?
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 23:56:55.14 ID:BTl20YRSO
おまえら…ww
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 00:05:11.52 ID:/P+XtLGh0

              \ みんな落ち着くんだ!/
                ̄ ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄
    ┏ ┏      ┏ ┏      ┓ ┏      ┓ ┓      ┓ ┓
    (´・ω・)    (´・ω・)    (´・ω・`)     (・ω・`)     (・ω・`)
  /.ゝ .ノ\  /.ゝ .ノ\  /.ゝ .ノ\   /.ゝ .ノ\   /.ゝ .ノ\
  ┌'、_丿┐   ┌'、_丿┐   ┌'、_丿┐   ┌'、_丿┐   ┌'、_丿┐
  ┛   ┗  ┛   ┗   ┛   ┗   ┛   ┗  ┛   ┗ 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|地雷| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                       ̄ ̄
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 00:15:42.19 ID:jZzy0w/c0
                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                   \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                      ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙      .'                            ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:               ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                             ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
                ゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
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776 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/12(土) 11:45:03.02 ID:gIAcFW9po
>>762 >>763
庇護してくれる人の愛情を、無条件に得られるものではないと感じてしまうとそうなるんだろうなぁ。
親は無条件に愛してくれるものだと子供は信じたいんだろうな。

>>768
18禁って公開すると自分の性癖がばれるから恥ずかしいよね。
しかももっと性癖のヤバイ人からの感想とか貰うとぶっちゃけ戸惑うよね。
でもみんな望んでるんだよ? 君の公開自慰をね!
777 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/12(土) 11:45:43.25 ID:gIAcFW9po
「当麻君。今日は放課後、どうするの?」
「秋沙は行きたいトコあるか? ……昨日と同じとか」
「駄目。あんなの毎日したらおかしくなっちゃうよ」
「おかしくなっちゃう秋沙を俺は毎日でも見たいけどな」
「もう……」
「だって昨日の秋沙はあんなに可愛い顔で」
「駄目! 当麻君ここ街中なのに……。恥ずかしいよ」

時間に余裕のある通学路を姫神と二人で歩く。
放課後の予定を話し合いながらも、どこか上条はそれにのめり込めなかった。

「当麻君。……今日は忙しい?」
「え? なんで?」
「何かを気にしているみたいだし」
「あー」

ガリガリと頭をかく。
姫神は上条がいつもどおりでないことに気づいているらしかった。

「早く帰ってきて、ってインデックスの奴に言われてさ。まあ、いつものことだから気にしなくても良いんだけど」
「……」
「悪い。朝から秋沙に話すようなことじゃなかったな」
「ううん。あの子は。どんな感じ?」
「いつもどおり、とは行かないけど、昨日よりは落ち着いたと思う」

聞きたいのは、インデックスが上条をどう見ているのか。もう、諦めてくれたのか。
だが姫神はそれ以上を聞けなかった。露骨な嫉妬を上条に見せるのを躊躇った。
仮にインデックスが足掻いたとして、自分の『勝ち』は揺るがないだろう。
上条が恋人だと見ていてくれるのは自分だけだから。
そういう理屈で、姫神は不安を心の中に閉じ込めた。

その日、放課後は結局どこにも行かずに二人で寮まで帰った。
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/12(土) 12:11:56.25 ID:AeKLMJNG0
おお、投下直後か!このスレに張り付いて早3ヶ月、いよいよ物語も佳境を迎えつつあるね
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 20:26:56.91 ID:j/wN5msAO
内容と関係なくて心苦しいが…
>>1がageないのには理由があるのかな?
スレを顧みれば最初からだったし、少し気になる
780 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/12(土) 22:37:31.74 ID:gIAcFW9po
「おかえり、とうま」
「ただいま」

扉を開けるとすぐ、パタパタと足音を鳴らしてインデックスが迎えてくれた。
今まではリビングに寝そべったままが普通だったので、戸惑った。
そっと上条の手を握って、手にした鞄を預かる。それを胸に抱く仕草に、ドキッとした。

「な、なんだよ。急にこんなことしてさ」
「とうまが喜んでくれるかなって。まいかが教えてくれたの」
「舞夏が?」
「うん。男の人を落とすテクだって」

ぶは、と上条は噴き出した。アイツ誰に何を教えやがるんだ。

「落とすってお前意味分かってるのか?」
「好きになってもらうって意味でしょ?」

きょとんとした瞳でそう返された。間違ってはいない。
そして昨日までのインデックスなら、やっぱり意味を分かってないのかと決め付けるところだったが、
なんとなく、今朝からインデックスは違って見えるのだった。

「まあ、そうだけど……インデックス。これから買い物行くけど、来るか?」

夕食の準備をせねばならない。
帰り際に買い物を済ませても良かったのだが、献立を考えるのが面倒な日には、
インデックスをスーパーに連れて行くと早く決まって便利なのだった。
当然、行く、という返事を予想していた上条だったが、

「あ、その。とうま、今日はね」

インデックスは何か見せたげな顔をして、台所に向かった。
コンロの上の小さな鍋の蓋を、ぱかりとあける。つられて台所に入ると味醂と出汁のいい匂いがした。

「高野豆腐?」
「うん。あのね、まいかに教えてもらって作ったの」

椎茸と乱切りのにんじんと、高野豆腐の炊きあわせだった。
さすがにインデックスの独力ではないのが分かる。舞夏に感謝すべき出来だった。

「すげぇ! 朝もだけど晩飯も作ってくれたのか!」
「うん! えへへ。味見はして、そんなに変じゃないと思ったから、夜は私が作ったのでいいかな……?」
「味は大丈夫なんだな?」
「むー、とうま、失礼なんだよ。ほら味見!」

味を含めるために冷ましている途中の、ほろぬくい高野豆腐を一切れ菜ばしで摘んで、上条に差し出した。
口をあけてそれを受け入れる。

「――――うまい」
「何点くらい?」
「いやこれは……ぶっちゃけ俺が作るより美味い。満点でいいだろ」
「ほんと!? とうま、あのね、あのね、これだけじゃご飯にならないから、
 ほうれん草のごまマヨネーズ和えっていうのを作ったの。
 あとはお味噌汁も教えてもらったから、ご飯の前にそれも用意するね」
「お、おう」
「あの、でもね。あんまりお肉が入ってないからちょっと物足りないかもって」
「いやいいよ。これだけ有れば充分だって。……すごいじゃないか、インデックス」
「とうまに喜んでもらえたらいいなぁって」
「スゲー嬉しい。マジ嬉しい」

インデックス専属の家政夫として働いてはや数ヶ月。
ようやくインデックスも家事を覚る気になってくれたらしい。とてもそれは喜ばしいことだった。

「とうま。食べてもらう前だけど……撫でて欲しいな」

子犬みたいにはしゃいで喜ぶインデックスが可愛くて、言われるままにグリグリ撫でてやった。
ちょっと乱暴なその仕草に目を眩しそうにしながら、インデックスは上条に抱きついた。
781 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/02/12(土) 22:38:40.31 ID:gIAcFW9po
>>779
いや、sageるもんなのかと思ってsageてるけど、理由はない。
普通ageなの?
別に俺はどっちでも良いので気にしてなかった。
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 22:49:40.65 ID:1Rdl+mAPo
上げる必要もなければ下げる必要もない。
ならそのままでいいんじゃね?
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 23:14:24.05 ID:XKTxWKhl0
メール欄にsageって入れるといいよ
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 23:16:00.64 ID:XKTxWKhl0
すまん、間違えたorz
sagaね
785 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/12(土) 23:55:31.57 ID:gIAcFW9po
sagaっていれてみた。
続きじゃなくてごめんねー
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 00:06:13.03 ID:85tkIQJ8o
>>785
sagaはVIPサービスの自動変換機能オフ
sageは言わずもがな

併用可
787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/13(日) 00:11:19.02 ID:2BtR17aSO
HEY! YO! か


なんつってなw
788 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 00:17:59.41 ID:4++hWWrAO
ラスボスインデックス
789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 00:59:49.03 ID:RSR2ValAO
>>779です
一般に、スレの皆は基本sageでレスするようにして、作者が投下のときageれば更新の合図になるっていう…まあ言ってしまえばそれだけなんだけど

あと>>780…インデックスの健気さが切ない
上条さんに嫌われたくなくて必死なんだろうな
790 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/13(日) 01:06:43.81 ID:xnfo30yjo
>>786 へー。そんな機能なんだ。でも今まで何も考えずに書いてて自動変換されたことないからまあいいやw
>>789 うーん。まあ専ブラ入れてみてる人が多いだろうし、別にどっちでもいいのかな。

さて、結構かけちゃったから投下するよー
上条さんに怒る読者の人がでてくるかもしれないなぁ
791 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/13(日) 01:08:21.21 ID:xnfo30yjo

「インデックスが晩飯作ってくれたとなると、今日は夜まで結構余裕あるな」
「うんっ! だから、遊ぼうよとうま」
「んー、けど宿題やらなきゃいけないし」
「えー……つまんない」
「俺も宿題なんてつまんねーよ」

上条は思案する。別に宿題は今でも寝る前でもいい。ただし寝る前はやる気が極端に低い。
一方インデックスは褒めてもらえたのが嬉しいのか、今からもう遊ぶ気全開、という感じだった。

「宿題って……すぐ終わる?」
「一時間はかかるかなぁ」
「そっか……晩御飯終わったあとのほうが長く遊べるよね」
「だな」
「じゃあ、今は我慢する」

また、違和感。
駄々を捏ねることにかけては子供並みのインデックスが、あっさり引き下がった。
インデックスとの距離が分からない。
これくらいなら言ってもいいとか、許されるという線引きの部分がぼやけてしまっている。
きっとそれが理由で、インデックスも引いてしまうのだろう。
踏み込みすぎれば、嫌われるから。
上条もどこまで追いすがっていいのかわからなかった。
踏み込みすぎれば、傷つけてしまいそうで。

「お茶、淹れてあげるね」
「……おう。ありがとな。ってかそれも舞夏に習ったのか?」
「ちがうもん。お茶は前から淹れられたもん」

軽口はいい。互いの距離を測るいいジャブになる。
きっと両方にとってそれは有り難い会話だった。

薄っぺらい鞄からプリントとシャープペンシルを取り出して、宿題に取り掛かる。
古文の再々々々テストの復習問題だった。もう何度目なのか記憶も曖昧なくらいだ。
しばらくにらめっこをしているとケトルからお湯を注ぐコポコポという音が聞こえた。

「はい、とうま」
「サンキュ」
「ねえ」
「ん?」
「ぎゅって、してていい?」

インデックスが返事を聞くより前に、上条の背中にぺたりと張り付いた。
もうかなり冷え込む季節だ。インデックスの温かみが、嬉しかった。

「明日も、頑張ってご飯作るね」
「いいのか?」
「うん。掃除も、頑張って覚えるから今度教えて」
「……ん」
「部屋の片付けも洗濯も頑張るから」

机に置いた腕の下から、インデックスの腕が胴に回される。
ちょっとシャツが背中に引っ張られる。インデックスが服を噛んだのだろう。
792 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/13(日) 01:09:32.10 ID:xnfo30yjo

「だから、明日も早く帰ってきてね」
「……」

用事がなければ、そうしてやりたいと思う。ちゃんと家のことをしてくれる人への礼儀として。
ただ、上条は今は、自分の都合を優先したい理由がある。会いたい人がいるのだった。

「とうま?」
「悪いインデックス。明日は、用事がある」
「……どんな、用事?」
「まあその、放課後にさ。秋沙と、ちょっと喋って帰ろうかって」
「……やだよ」
「やだって、その、一応俺と秋沙は」
「嫌なものは嫌なの!」

一層きつく、抱きしめられた。
インデックスの好意に絡め取られるような、息苦しい感じがした。

「私だって。とうまとお話したいんだから! ずっと、家で一人ぼっちは寂しいんだよ?
 とうまが帰ってきてくれるのってすごく嬉しいんだよ? 私、毎日待ってるのに」
「そりゃ……その、ごめん」
「まいかとだって時々しか遊べないし、それに」

ぎゅ、と上条のシャツをきつくインデックスが握り締めた。
続きは、一応知っていた。当の本人に聞いたことだから。
――――あの子は。きっと私に裏切られたって。思ってるんだろうね。

「あいさとはもう、遊べないもん」

裏切られた寂しさと失意、それに嫉妬と、怒り。
誰の方向を向けたら良いのかもよく分からないぐちゃぐちゃの感情が、ぽつんと口からこぼれた。

「遊べないって、秋沙はそんなつもりはないって言ってたぞ」
「そんなつもり? ……知らないよ。あいさの考えてることなんてもうわかんないもん」
「そんな言い方ないだろ? 秋沙だって、別にお前を裏切るとか、そんなつもりじゃ」
「じゃあ何で? 放課後はずっととうまは私といてくれたのに、あいさは盗っちゃったじゃない!」
「いや、俺は別に誰にも盗られた覚えはないけど……」
「でもとうまはずっと私といてくれた! 毎日私と遊んでくれたのに!」

上条は、インデックスを少し強引に引き離した。そして、お互いに正面を向く。
感情的で、敵意さえこもったような視線が、上条を見据えた。
それは上条にとっては理不尽な視線に見えたし、実際、理不尽ではあっただろう。

「とうま。明日も私といっしょにいよう? 料理も上手じゃないけど、一杯頑張るから。
 とうまに喜んでもらえるためだったら、何でも頑張るから」
「じゃあ明後日は良いのか?」
「えっ?」
「明後日なら、俺は秋沙と遊んでもいいのか?」
「……やだ、よ」
「じゃあ明々後日なら? その次は?」
「やだ」
「つまり俺は、もう秋沙に会っちゃいけないってことか?」
793 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/13(日) 01:11:10.49 ID:xnfo30yjo

ジクジクと、心のどこかが痛みだす。嫌な奴だなと自分で自覚が上条にはある。
インデックスという女の子は、自分にとって何なのだろう。
それは、インデックスだけではない、上条にとっても考えなければいけない命題だった。
姫神秋沙は、恋人である。
この数日で、どんどんと、姫神の可愛らしさに気づいて、惚れて、もっと知りたいという気持ちに駆られている。
きっと姫神が他の男と仲良くすれば馬鹿みたいに嫉妬する自信がある。
……そしてきっと、自分はインデックスが他の男と仲良くしても、同じような気持ちを抱くに決まっているのだ。
そんな欲張りは許されない。誰かを恋人にするということは、その人以外を恋人にしないということなのだ。
インデックスが、少しの沈黙をはさんで、そっと言った。

「とうまに……ずうっと私と一緒にいて欲しい。秋沙のところに行っちゃ、やだよ」

その言葉に、上条は。

「俺は、秋沙が好きだから。秋沙とだって会いたいし、ずっとお前とだけ一緒にいるわけには、いかないんだよ」

自戒を込めて、そう返事をした。









――――ぼんやりと、インデックスが上条を見つめた。









本当に酷い落胆は、服の色落ちみたいなのだとインデックスは知った。
大切だった色や柄が、くすんでしまうように。
とてもとても幸せだったこの数ヶ月が、まるで劇か何かだったかのように。
大好きだったこの家の何もかもの色が、褪せて見えた。
もう、返す言葉はなかった。それを言われたらおしまいだという言葉を、上条に突きつけられてしまった。
何度だって思ったことだ。自分がここにいることは、決して自然なことではないのだと。
どうしようもなく幸せで手放せなかっただけで、ここは自分の居場所ではないのだと。

すっと、無言でインデックスが立ち上がった。もっと激しく罵られることも、上条は覚悟していた。
だがそんなことはなくて。
部屋のタンスにインデックスが向かう。細々したものをいくつかポケットにしまった。
それは多分、ずっと前からインデックスが持っていたもの。そして、上条が何かの折に贈ってやったほんの少しのプレゼント。
その行為が予感させるものが、上条の心をざわめかせる。
インデックスの表情が、何かを諦めたような表情で、たまらなく嫌だった。そんな顔をさせてしまうことが。

「とうま」

インデックスがリビングの、入り口に立つ。
儚くも、感謝に満ちた行儀のいい微笑だった。

「今まで、すごくお世話になったんだよ。すっごく楽しくて、すっごく幸せだったよ。
 でも私の居場所じゃ。なくなっちゃった……っ、みたい、だから。
 バイバイ、とうま。ありっ……が」

ありがとうを、インデックスは最後まで言えなかった。
ぐしゃぐしゃの泣き顔で、必死に笑おうとして、最後まで失敗した。
そして、くるりをきびすを返して、上条の部屋から、出て行った。

唐突過ぎた、というのは言い訳だろう。
こんな結末を呼び込んだのが他でもない自分の振舞いで、何を言えばよかったのか、それが分からない自分のせいだった。

躊躇が生んだその数瞬の差。
上条が部屋を出た頃にはもう、エレベータは下に降りきっていて、インデックスの姿は見えなかった。
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 01:23:03.95 ID:pBE//1CSO
インなんとかさん…(´;ω;`)
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 02:03:36.51 ID:RSR2ValAO
上条さんも自分の気持ちが分からないのは辛そう…
というか、姫神さんがいながら更にインデックスも独占したいとはなかなか太い野郎だなww

「二兎を追う者は〜」ってことわざが 脳裏にチラつくぜ
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/13(日) 13:38:24.38 ID:oopAz0/r0
インさんも、現状に甘んじて怠惰だったのがいけなかったね
喉元に鎌をあてがわれないと必死になれなかったのが、彼女の致命的な敗因でしょうな
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 15:33:42.79 ID:aGJL+sZO0
上条さんにとって、インデックスは妹と仲間の中間か?それでほんの少し恋人成分が含有されてる?

>>796
アタックしないどころか、女の子として診てもらえないようなことばかりやってたのが痛かったかも
それを除けば、3人とも誰も悪くないんだよな。インさんに「お前とずっといてやらない訳じゃない」
って言っても効果あるか甚だ疑わしいし
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/13(日) 21:55:23.62 ID:Gs6VWcqw0

〜3年後〜

\ 損得を越えて側に居てくれる相手は、得難い宝物です/
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ┏ ┏    ┏ ┏    ┓ ┏    ┓ ┓   ┓ ┓
    (´・ω・)  (´・ω・)  (´・ω・`)   (・ω・`)   (・ω・`)
    (∩∩)    (∩∩)   (∩∩)   (∩∩)   (∩∩)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|地雷| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                  ̄ ̄
                〜 大切にしよう 〜
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 22:38:55.33 ID:VPNTxMDoo
                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                   \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                      ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙      .'                            ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:               ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                             ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
                ゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙i|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/14(月) 00:05:02.38 ID:nrzj621AO
>>799
ぶ・ち・こ・わ・し・カ・ク・テ・イ・ね(ニッコリ
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/14(月) 00:52:02.92 ID:hBJx5kWJ0
御坂にも言えることだけど、好きになってもらいたいなら
噛みついたり、電撃当てたり暴力的なことするなよ
キャラのツンデレは可愛いと思うけど、ガチのツンデレは
うざったいしむかつくだけなんだよ

と、小説のキャラに言っても意味無いことだよな
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/14(月) 01:30:00.53 ID:1JTymozY0
>>801
鈍感朴念仁男に好意を誤魔化したり隠したりしたら好意が伝わらないよな
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/14(月) 02:23:37.65 ID:hj8uoEMJP
>>801
メインヒロインポジションのキャラがガチで落としにかかると話が終わってしまうので
あんまり好意をあからさまにできないという物語上の都合がだな…
804 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/14(月) 02:45:21.54 ID:7jPxZpsuo
>>803はいいこと言ったなぁ。そのとおりだと思う。
原作者の都合で上条さんは鈍感補正かかってるし美琴はすれ違い補正かかってるし。
このSSは二次創作者が姫神をひいきしたからこうなったけど。

>>801
お前……リアルの生活でガチのツンデレ少女にツンとデレされたことあるのか?
もしそうなら俺の総力を挙げて壁を殴るが
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/14(月) 02:53:48.83 ID:nrzj621AO


┃ ̄\/|
┃ ▼ /
┃皿 /  この辺に壁置いとくね
┃ /
┃⊂ ))
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/14(月) 11:43:39.13 ID:8vwM+AZ90
殴った理由は違うけど、壁殴ったらマジで穴開いちゃった・・・
修理代いくらかかるんだろう、不幸だ・・・
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/14(月) 11:55:29.73 ID:D9jXGBAfo
壁の材質、穴の大きさによって変わるのでなんとも
最低でも壁修繕に来る職人の日当分は掛かるので1万ぐらいからかなぁ
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/14(月) 12:42:43.44 ID:HuB24v3bo
石膏ボードくらいなら自分でやれば安上がりだぞ!1枚600円くらいだし
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/14(月) 14:49:54.21 ID:xSL1DLXAO

 な ぜ 壁 修 繕 の 話 に

810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/14(月) 16:03:14.80 ID:Sx1cjuGpP
うちの壁はコンクリート製だから殴ったら手が壊れる安心設計
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/14(月) 17:32:58.35 ID:eLIuXjoHo
壁殴り代行始めました■
ムカついたけど壁を殴る筋肉が無い、壁を殴りたいけど殴る壁が無い、そんなときに!
壁殴りで鍛えたスタッフたちが一生懸命あなたの代わりに壁を殴ってくれます!
モチロン壁を用意する必要もありません!スタッフがあなたの家の近くの家の壁を無差別に殴りまくります!
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    ,/  ノ        ~ `、  \  壁殴り代行では同時にスタッフも募集しています
    `、  `ヽ.  ∧_∧ , ‐'`  ノ   筋肉に自身のあるそこのアナタ!一緒にお仕事してみませんか?
     \  `ヽ(´・ω・`)" .ノ/   壁を殴るだけの簡単なお仕事です!
       `、ヽ.  ``Y"   r '
        i. 、   ¥   ノ
        `、.` -‐´;`ー イ
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/14(月) 21:21:14.79 ID:NWiZNFQoo
昨日から一気読みしたが
>>314で再び「もてた」が来たシチュでグッときたわー
愛らしくも恐ろしい女の戦いに引き込まれたぜ・・・

それにしてもこの姫神さんの強さと可愛さは異常
813 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/15(火) 02:23:07.96 ID:LU9q2vu2o
壁殴りの話がはやっちゃったね。今日は女の子からチョコもらえたからもう全て許すわ。
モロゾフおいしいです。

>>812
読んでくれてありがとう。
でも最後の最後に上条さんは「もてた」なんて軽々しく言えない感じになっちゃったねぇ。
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/15(火) 03:00:06.04 ID:L9SC7CyL0
【ばれんたいんでーの仕組み】

           !
      ┓┏
     (´・ω・)
    /.ゝ .ノ\
    ┌'、_丿┐    __
   ┛   ┗   |義理|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


           ┓┏
          (´・ω・`)_
         .ゝ\|義理| < 三倍返しな!
         ┌'、_丿┐ ̄
        ┛   ┗
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|白日| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             ̄ ̄
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 03:24:17.50 ID:e3JuOmN+o
貰った奴「(三)倍返しだぁああああ」
当然、乗機はEz-8

しかし姫神が出てくるSSって少ないなぁ
扱いづらいんだろうか
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 08:33:23.47 ID:5S9xuwxIO
>>815
それ一発として当たらないじゃないか
817 :806 :2011/02/15(火) 17:45:54.41 ID:+Ni3ELQo0
みんな、俺のしがない※に反応してくれてありがとう
壁壊しちゃったのは、2003年の日本シリーズで伊良豚がノックアウトされた時以来だわww
リアル厨房の珍オタはタチが悪くて良くなかったね、反省してるわ

それはともかく、インさんが泣きながら走っていくなんてヤバいわぁ・・・かっわいいわぁ
上条さんはいいやつ過ぎるからね、こう言った悲劇は避け得ない事象でしょうな
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/15(火) 18:01:24.49 ID:ohhIZC8s0

アリア「どうするの、シノちゃん?」

シノ「味方機を見捨てるわけにはいかない、戦闘しかない」

スズ「前にはザクが二機、後ろにはギガノスのゲルフが二機迫っています」

アリア「私が後ろのを相手するわ」

シノ「アリア!? 大丈夫なのか?」

アリア「2型は動きが遅い代わりに火力が魅力みたいなの、足を止めて当てるわ」

シノ「わかった。私とスズでガンダムを救出する!」

スズ「はい!」

なのは「新しいのが近づいてくる……」

レイジングハート「It seems that that is a friendly plane」

なのは「味方……?」

シノ「クララちゃん、何か武器を!」

 ドラグナー1型の手にレーザーソードが握られる。

ジーン「やっ、やる気かよ!」

 ザクのマシンガンが1型を捉える。

ジーン「喰らえっ!」

スズ「させないっ!」

 ズダダダダダッ! 3型のハンドレールガンがジーンのザクマシンガンを撃ち落した!

デニム「な、なんて正確な射撃だ! ジーン、退けぇ!」

ジーン「う、うおぉぉぉぉ!」

シノ「いけぇー!」

 ズシャァッ! シノの攻撃は緊急回避したザクの左腕をもぎ取っただけで終わった。

ジーン「ち、ちくしょう!」

デニム「速くて強い! ジーン、早く逃げるぞ!」

ジーン「くっそぉ、了解!」

 ザク二機は肩のハンドグレネードをばらまきながら後退していく。

シノ「どうやら諦めてくれたみたいだな。素人の私たちでよくできたものだ」

スズ「それほど、この機体がすごいってことですね」

シノ「アリアのほうはどうだ?」

アリア「こっちも諦めてくれたみたい」

シノ「よし、そこの君、大丈夫か?」

なのは「は、はい、なんとか……それより、すずかちゃんをお願いします。あの中に乗っているんです!」

シノ「わかった。スズ、ガンダムのほうは頼む」

スズ「わかりました」

すずか「あ……」

スズ「子ども……? もう大丈夫よ」

すずか「はい……ありがとうございます」

アリア「シノちゃん、あそこに車……」

 指さした先には、連邦軍の軍用車輌が煙をあげて停まっており、女性士官が拡声器を手に持っていた。

シノン「そこのモビルスーツ及びモビルアーマー三機、こちらは連邦の戦艦、ホワイトベース士官、香月シノンよ。動けるならこちらに移動してきてください」
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 18:03:26.47 ID:ohhIZC8s0
誤爆しました。申し訳ありません。
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 18:12:53.28 ID:RgZvt6fHP
もてたい
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 18:54:49.32 ID:8KILaapKP
最近誤爆多いよ、何やってんの
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/15(火) 19:35:29.37 ID:L9SC7CyL0

      \ ここは戦場だしね、誤爆される日もあるさ /
         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ┓ ┏    ┓ ┏    ┓ ┏    ┓ ┏    ┓ ┏
   (´・ω・`)  (´・ω・`)  (´・ω・`)  (´・ω・`) (´・ω・`)
    (∩∩)    (∩∩)   (∩∩)   (∩∩)   (∩∩)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|地雷| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                  ̄ ̄
それはそうと
読み手さんの中に余所でSS書いてる人とか、何気に多そうだ
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 19:43:01.29 ID:e3JuOmN+o
俺はpixivで書いてますん
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/16(水) 01:00:53.36 ID:XFVT+6i40
二人で海行こうって言ったら、
なんでアンタと二人で行かなきゃいけないのよ、って言われて。

でもオレとしてはやっぱり女の子と海に行きたかったから、違うXXちゃんを誘ったら行く!って
言われて、オレも嫌いじゃなかったから一緒に行った。

そんで、行った次の日、なんでアンタ日焼けしてるのって言われたから、XXちゃんと海行った
と言ったら、見る間に顔色変わって、完全無視モードに突入。

夜の残業で、何怒ってるんだ?って言ったら、ようやく、なんで二人で海行ったのよと。
オマエに先に声掛けて、オマエが行かないって言うから、オレはXXちゃんに声掛けたら行く!
って言われたから行ったと。オマエが行くって言ってたら当然XXちゃんと行く訳無かろうと。

そしたらなんと。
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/16(水) 01:34:45.55 ID:nn5CX28Co
爆発したと…難儀だな。
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/16(水) 12:33:09.69 ID:QrqHpMJF0
>>824
うざい、消えろカス
スレ内容と関係無いこと書き込むなクズが

作者さんは年度末で忙しいのでしょうな
話もクライマックスだし、俺はいつまでも待つよ!
827 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/17(木) 01:26:23.65 ID:mn9B3Sd2o

もういないだろうと分かっていながら、上条はエントランスに降りて、軽くあたりを見渡す。
学生寮から外に飛び出して、あちこち見て回るが、インデックスの影はなかった。
インデックスの行き先に心当たりはそうない。

一年間常宿を決めず、ずっとあちこちを転々としていた少女だ。
その気になれば、上条もインデックスも一度も行った事のない場所まで逃げて、一人で生き延びていくことも出来るだろう。
だから、あえてその可能性を無視する。
まだ、インデックスが上条やその周囲にいる人々とのつながりを捨てられなくて、
上条の知るどこか、誰かのいる場所にいてくれると、そう信じる。
出来ることは、インデックスと今まで行った事のある場所を探すことだけだった。

食事を取らずに出て行ったからと、スーパーを探す。
好きで何度か行った場所だからと、ゲーセンに入る。
ついこの間、上条の財布の中身をさんざんにしてくれたケーキ屋を覗く。
……時間だけは、失敗でもきちんと取り立てられていった。体力も。

「もしもし、土御門か?」
「たしかに土御門なのである。どうかしたのかー? 上条当麻」
「舞夏か。ちょうどいい。悪いけど頼みがあるんだ」
「んー?」
「うちにインデックスが帰ってきたら俺に連絡してくれ」
「まあ別に良いけど。何があったんだ? あれか、修羅場かー? 修羅場なのかー??」

携帯越しに、のんきそうな舞夏の声が響く。
割と耳聡いヤツだし、気は利いてるほうだ。茶化してはいるが、何とかしてくれるだろう。
最後の言葉には付き合わず、コールオフのボタンを押した。

姫神のところには、行かないだろう。風斬はこちらから連絡を取れる相手ではない。
白井と御坂のところにいるとは思えないし、電話は掛けづらい。
……そうやって考えると、インデックスの世界の狭さが、浮き彫りになる。
毎日学校に行って、顔見知りという程度の知り合いなら100人近くはいる上条と、
インデックスが生きる世界にはあまりに広さの差が大きい。
インデックスが持っている世界の中に、上条のいる場所は、あまりに大きいのかもしれない。
どれほど大事でも、ほとんど一番といって良いくらい大きな存在感を閉めている女の子でも、
インデックスが上条の世界を占めている割合は、大きくはなかった。

心当たりなんて、ここが一番有力だった。
親子ほどにも、というと怒られるかもしれないが、小萌先生とインデックスの仲は良かった。
緊急時のために登録された担任の番号。それを、呼び出した。

「はい。月詠です」
「先生。上条です」
「あっ、上条ちゃんなのですか!? 今電話しようとしてたところです。
 シスターちゃんが急に泊めてくれって言い出したんですけど一体これはどういうことなんですか?」
「えっと、まあ、言葉どおりの意味だと思います」
「喧嘩でもしたんですか?」
「はい、まあ。その……姫神がらみで」
「あ……」

小萌先生の声が、きゅっとしぼんでいくのが分かった。
828 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/17(木) 01:30:07.04 ID:mn9B3Sd2o
うー、トンデモと両方に毎日投稿するのはさすがに大変だ。
どっちかは更新してるんだけど。
ちょっと面白いところまで展開かけなくてごめんよー

>>815
このSS姫神が主人公で雲川先輩に浮気する展開とかあるんだぜ。
実はかなりレアな話だという気がする。

>>826
年度末は大変よー発表とか発表とか発表とか
明日は友達の研究発表見に行くし
829 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/17(木) 01:32:04.96 ID:mn9B3Sd2o
今書き間違えて思ったけど、姫神が『主人公』で雲川先輩に浮気ってすごいSSだな。
上条さんへの気持ちがついフラフラと雲川先輩へ――――
百合ネタの中でも相当マニアックになりそう。
830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/17(木) 01:40:37.49 ID:sL0jP/gJo
>>828
忙しい時期だしあんまり無理しないようにね

俺もpixivの奴の続きを書かねば
今後、姫神SS増えるといいんだがなぁ
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/17(木) 01:42:13.70 ID:sL0jP/gJo
>>829
百合妄想なら俺にまかせろー(AAry
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/17(木) 03:00:47.59 ID:arOJ8dvRo
>>829
次に書く話が決まったな!
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/17(木) 12:09:26.29 ID:sEjbq1T50
姫神がらみって発音しにくいなwwwwww
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 00:07:23.25 ID:969cK0PWo
いやー、今日一気に読んだけど面白いわー。
皮肉なのは皆ほぼ同じ位置にいたのに冗談で最初のきっかけが出来てそこからは一気に絶望的な差になるのが
なんとも他の女の子にはかわいそうだな、まぁメインヒロイン二人は日々の暴力がひどすぎるけど・・・
835 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/18(金) 00:34:48.62 ID:WM6Al8xQo

「細かい話は後でします。とりあえず、インデックスをそこに留めておいて貰えますか」
「分かりました。それは任せてもらって良いですから」
「よろしくです。すぐ俺も先生の家に行きます」

幸い小萌先生の家までは、そう遠くない。
上条は暗がりの町を駆け足で進んだ。




小萌先生は、古めかしい黒電話を切って、部屋の隅に座ってうつむくインデックスに向き合った。

「シスターちゃん。上条ちゃんが、もうじき迎えに来ますよ?」
「……でも、私はあそこにいちゃいけないから」
「なんでですか?」
「私は要らない子だもん。とうまが好きなのは、あいさだから」

インデックスの隣に、小萌先生は腰掛けた。
年は倍ほども違うのに身長はほとんど代わらないインデックスの頭を、ぽんぽんと撫でる。

「シスターちゃんは、上条ちゃんのことを好きなんですね」
「……うん。大好きだった、けど」
「どんな風に好きだったんですか?」
「え?」

どんなところが、なら言えると思う。
意地悪なところもエッチなところも料理がそんなに上手くないところも、全部好きだった。
でもどんな風に好きなのかという質問は、どんな風に答えたらいいのだろう。

「上条ちゃんとキス、したかったですか? もうしちゃったですか?」
「キ、キスって。そんなのしてないもん!」
「して欲しかったですか?」
「知らない! こもえのばか。とうまとはそんなんじゃ」
「だったら、いいじゃないですか」

がばりと振り返って腕を振って否定するインデックスに、小萌先生は微笑みかける。

「キスしたり、抱きしめあったり、そういう事をしたい好きとは違うんだったら、
 上条ちゃんにお付き合いしてる女の子がいても、大丈夫ですよ?」
「え? ……そんなことない。そんなの、やだ」

だから、一緒にはいられないと思うのに。

「シスターちゃんは上条ちゃんの家族なのですよ。妹さんですね。
 お兄ちゃんのことが大好きで、ずっと一緒にいたいって思っていても、
 兄妹ならキスなんてしないでしょう?」
「とうまはだらしないからお兄ちゃんて感じじゃないもん」
「そういうお兄ちゃんは世の中に沢山いると思いますけどねー。
 どうです? 上条ちゃんが家族に思えてきませんか?
 兄妹はいつか、お互いに好い人を見つけて、別の家庭を作るんですよ。
 そうやって思えば、姫神ちゃんのことを受け入れてあげられませんか?」
836 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/18(金) 00:35:49.14 ID:WM6Al8xQo

姫神、という名前を聞いた瞬間に。インデックスの中でまた、嫌な気持ちがどろりと流れ出た。
どうやっても上条と二人で幸せになる姫神を祝ってあげたいという気持ちに、なれないのだ。
裏切られた、盗られたと、そんな気持ちばかりが吹き出て、姫神が不幸になるのを望むような、
そんな気持ちが、確かに心の中に折り積もっていくのを感じてしまうのだ。

「無理だよ」
「どうしてですか?」
「だって、だって」

その続きが、言葉にならない。自分の中でもそこが曖昧で、だからこんなにも苦しい思いをしているのに、
それを上手く整理して、折り合いをつけていくことが出来ない。

「もし姫神ちゃんを義理のお姉さんみたいに見れないんだったら、
 きっとシスターちゃんにとって、上条ちゃんはお兄さんじゃないんですね」
「え?」
「逃げずに、真剣に考えてください。嫌なら先生には教えてくれなくても良いですから。
 シスターちゃんは、上条ちゃんにキスをされたいって、思いますか?」
「え……ええっ?」

はぐらかそうと思って左右に揺らす視線を、ずっと小萌先生が見据えている。
学校の先生だからだろうか、小萌先生の無言の要求に、インデックスは抗えなかった。
ついさっきまでいて、もう帰れないと思っていたあの部屋を脳裏に描く。
時間は深夜。寝ているインデックスが目を開けると、傍には当麻がいて、
大好きな優しい笑顔で笑って、頬に手を添えてくれて、そっと、唇を――――
……インデックスは、一瞬でそれだけ詳細に夢想した。理由は簡単だった。
何度も何度も、そんなことを明かりが消えてから上条のベッドで考えたから。
それがもうかなわぬ夢だと知っている。その痛みは、甘い夢のせいでひどく苦い。

「やっぱり、そういう気持ちもありますよね。上条ちゃんはかっこいいですから」

痛ましい目でインデックスを見つめた小萌先生は、そっとインデックスの頭を抱いた。
インデックスの上条を見る目は、上条を恋人として写しているのだ。
人の気持ちなんてスッパリと割り切れるものではないから、きっと家族として写している側面もあるだろう。
だけど、やっぱり。

「シスターちゃんは、上条ちゃんに恋人として愛されたいんですね」
「え……?」
837 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/18(金) 00:42:07.10 ID:WM6Al8xQo

そんな表現を初めて聞いた、と言う顔を、インデックスはした。
幼くて、兄を慕う情と恋心を未分化なままに、上条当麻という人を愛してしまったのだろう。
上条がインデックスを愛していれば、インデックスの想いはそのまま恋人への愛に昇華されたのかもしれない。
だが現実は、家族愛と恋慕の区別をつけられないうちに、恋い慕う気持ちの部分だけが、否定されてしまった。

「キスして欲しいって、抱きしめて欲しいって、自分だけを見て欲しいって、
 そういう我侭を聞いて欲しいって、思っているんですね。シスターちゃんは」
「そんなこと、思ってない……」
「じゃあどうして、姫神ちゃんにやきもちを妬くんです?」
「知らないよ。だって、本当にわかんないんだよ」

もう止めて欲しいと請願するような、そんな響きの混じった答えだった。
時間が必要だろう。
少なくとも今日、上条と二人っきりの家に帰しても、もっと酷く傷つくだけだと小萌先生は判断した。




ピンポーン、と乾電池式の安っぽいベルを指で押す。
呼吸はまだ整っていないが、早く、迎えに行ってやりたい気持ちが強かった。

「はいはーい。ちょっと待ってください」

ガチャリと、木製の扉が開く。勝手も知ったる、中を隅まで見通せる部屋だ。
小萌先生に挨拶をするより先に、上条は部屋の中を覗いた。

「あ、こら! 上条ちゃん! 女の人の家を覗き込むのはマナー違反なのですよ!」
「煙草の吸殻なら気にしませんよ先生」
「うっ……そういう意味で言ってるんじゃないんですよ」
「インデックス」

ビクリと、人型に盛り上がった毛布が震えるのが分かる。
そこにインデックスがいることは、間違いなかった。

「帰るぞ、インデックス」

ふるふると頭が振られたように見える。

「上条ちゃん。今日はシスターちゃんはここに泊まりますから」
「え?」
「もう一人面倒を見ている子が帰ってくれば三人になっちゃいますけど、何とか大丈夫なのですよ。
 今日は、一日距離を置いて、落ち着いたらまたシスターちゃんと話し合えばいいです」

上条を叱るでもなく、小萌先生は優しく笑ってそう提案してくれた。
今から連れて帰っても、確かに、こじれるだけかもしれない。そんな予感はないでもない。
だが、連れて帰ろうとしないこと自体を、インデックスが何かのメッセージとして受け取るかもしれない。

「ほらほら、もうシスターちゃんとの間でそう決めちゃいましたから、今日は帰った帰った、です」

強引にそう決め付けてくれることが、今はありがたかった。きっと上条の迷いを分かってくれていたのだろう。

「インデックス。お前の忘れてった鍵、持ってきたから。当たり前だけど、いつ帰ってきてもいいんだからな?
 ……今日の晩飯、お前の作ってくれたヤツ全部食べるよ。ちょっと一人で食べるには多いけどさ。
 せっかくインデックスが、心を込めて作ってくれたもんだからな。それじゃあ、俺は戻るわ」
「美味しくなかったら、ごめんね」
「美味いさ。毒でも入ってなきゃお前の作ってくれたものは全部食べきれる」

その冗談に返事は返してくれなかった。
となりで見守っていた小萌先生に上条は挨拶をして、小萌先生のアパートを後にした。
838 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/18(金) 00:44:24.20 ID:WM6Al8xQo
>>832 書けねーよ難しすぎるwww
>>834 通しで読むとどれくらいかかるんだろうか。
本人は通しで読もうとすると誤字チェックしたくなるので
過去は振り返らない(キリッ な状態なのだった。
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 01:11:40.56 ID:BvpAE3+Jo
カナミンの地雷はこんなつらい話だったのね
840 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/18(金) 02:36:26.38 ID:WM6Al8xQo
そだよー。あれを書いた時点で、こういう展開は予定してた。
アニメで経験した出来事が現実になる、とインデックス視点では見れるし、
劇中劇見て泣いたインデックスと、
インデックスが失恋する劇見てたまらん気持ちになる俺ら、
というメタな構図でもある。

それにしても今日書きすぎたな。
あっちとあわせて300行くらいは書いたから、
原稿用紙20枚弱か。
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 04:54:52.20 ID:wsoW8LOAO
やばい小萌先生マジ頼れる大人の女性。
しかもロリぃとなったらもう俺の妻の席に迎え入れるしかないな。
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 12:37:41.07 ID:s/d5DJwg0
原作でモテモテのキャラってどんだけいる?
一一一と上条家の男たちと浜面くらいか?
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/18(金) 12:37:42.14 ID:Ej6hxGBq0
子萌先生は奥さんスキル高いと思う
見てて大人だなぁってなる場面が多い
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 15:01:17.70 ID:jKatC6de0
 インデックス……見てて辛いなあ。
兄妹愛と恋愛感情が未分化の時期に失恋ってのはマジきついんじゃないかな

 インデックスは分からないだけじゃなくて分かりたくないんじゃないかと思う。
本当に認めてしまったら今度こそ帰れなくなるかもしれないし、ってとこかな

小萌先生のインデックスへの優しさと上条さんの最後のセリフはかっこよかったなあ。乙です!
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 15:03:09.48 ID:6JuLVTMwo
小萌先生は頼れる大人の教師に見た目ロリの属性がついてるだけだからなぁ・・・
奥さんスキルというか主婦スキルは部屋見る限りやばそうにしか見えない。
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 20:56:31.26 ID:UTQeIrzto
いくら可愛くて素敵な大人でもだらしないと行き遅れるんだな・・・
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 21:40:21.88 ID:+DBb5gtX0
性にだらしないの?
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/18(金) 21:52:45.81 ID:B1YFhwI2o
合法ロリだから言い寄ってくる人はいそうなモンだけどなー・・・
だらしないというか家事してるような描写はないし、家にはビールの空き缶と山のような灰皿・・・
正直部屋だけ見ればおっさんが住んでるとされても違和感がまったくない。
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 21:53:18.62 ID:B1YFhwI2o
ミスってageたorz
850 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/20(日) 02:19:40.06 ID:7RiZwsx6o

「うーん、今日は結標ちゃん帰ってこないみたいなのですよ。待ってても仕方ないのでそろそろ寝ましょうか」
「うん」

現金なものだ。
上条が隣にいなくても、ちゃんとそれに理由があって、
そして代わりに優しくしてくれる人がいて、おなか一杯ご飯を食べれば。
微笑む余裕が、インデックスにはあった。それは罪悪感を感じることでもあったが。
上条に捨てられてしまったことは死にたくなるくらい悲しいことのはずなのに、
涙を流す以外のことをしてはいけないはずなのに。

「夏にもこういうことがありましたねえ」
「こもえ。あっちにも布団あるんだけど」
「あれは結標ちゃんのですから。先生は別に構わないですけど、
 結標ちゃんは自分の布団で知らない女の子が寝てたらどこかにテレポートさせちゃいそうです」
「ふうん?」

まあ、知らない人の布団を奪って寝るのは落ち着かない。
小萌と一緒に寝るほうが、まだ気楽だった。お互いに背丈は小さいので意外といけるのだった。
月詠家は、はっきり言って寒い。隙間っ風がひゅうひゅう音を立てたりすることはないのだが、
絶対に冷気がどこかから入り込んできている。10月なのに早々と毛布が敷かれていた。

「うふふー、それじゃ電気をけすですよー」

カチカチと音がして、部屋が真っ暗になる。
インデックスのもぐりこんだ布団に、小萌が入り込んだ。

「くはぁー、この布団のひんやりした感触が良いですよねえ。
 だんだん暖まってくるのが先生は好きです」
「……この部屋寒すぎてそんな余裕ないんだよ。はやく暖まって欲しい」
「上条ちゃんの家のほうがさすがにあったかいでしょうねえ。
 今頃、上条ちゃんは何をしてるんでしょうね」
「……」

返事を、インデックスは出来なかった。
咄嗟に思い浮かんだのが、上条が姫神と幸せそうに過ごすシーンだったから。
一番嫌なことを、一番初めに思い浮かべたから。

「考えたくないですか?」
「きっと、とうまはあいさと遊んでるもん」
「そうですかね?」
「そうだよ。だって、とうまはあいさとお付き合いするって、言ってた」
「でも今日は上条ちゃんは、シスターちゃんのご飯を食べてるですよ?」
「食べてないかも。……だって、美味しくないかもしれないし」
「それでも上条ちゃんは食べてると先生は思うです」
「なんで?」
「上条ちゃんはそういう子ですから」

自分の子供を自慢するように、小萌先生は胸を張ってそういった。
851 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/20(日) 02:20:51.81 ID:7RiZwsx6o

「それに事情を知ってたら、姫神ちゃんも上条ちゃんと二人で遊んだりはしてないと思います。
 姫神ちゃんもシスターちゃんの気持ちが分かる、いい子ですから」
「あいさは……」
「ふぇ?」
「じゃああいさは、なんでとうまを盗っちゃったの?」

インデックスとて、その表現を正しいと思っているわけではなかった。
それでも、そう言いたくなるくらい、ショックだったのだ。友達だと思っていたのに。

「本当に大事で、誰とも分け合えないものがあって、それを同時に二人の人が欲しいと思ってしまったら。
 きっとどっちかは泥棒さんになっちゃうのですよ。もう一方から見れば。でも遠くからそれを眺めたり、
 相手の立場からものを見れば、見え方は全然違うのです」
「こもえは、あいさは悪くないって言うの?」
「姫神ちゃんはずるいことをしたですか?」

そんなことは、たぶんない。
いっそ卑怯であってくれたなら、もっとインデックスの考えは変わっていただろう。

「……して、ないと思う」
「それじゃあ、姫神ちゃんは悪いことなんてないですよね」
「でも……」
「シスターちゃんも、同じことをしたっていいんですよ?」
「えっ?」
「姫神ちゃんがどうやってお付き合いするようになったのか、詳しいことは先生も知らないです。
 でもきっと、振られたらどうしようって思いながら、
 勇気を振り絞って上条ちゃんに好きだって言ったんだと思います。
 シスターちゃんも、上条ちゃんに好きだから私だけを見て欲しいって、言ってもいいんですよ?」
「でも、今日とうまにそう言ったら……だめ、だったもん」
「今日、シスターちゃんの話を聞いた限りでは、まだ可能性は有ると思いますよ。
 家族としてのシスターちゃんのために、恋人の姫神ちゃんとの時間を削ることは出来ないって、
 上条ちゃんはそういう理屈を言ってたです。そうじゃなくて、姫神ちゃんと別れて私だけを見て欲しいって、
 そういえば良いです。分かってくれれば、上条ちゃんは、シスターちゃんだけを見てくれますよ?
 毎日キスしてくれて、抱きしめてくれて、遊んでくれると思いますよ?」

なるほど、言ってることは尤もだと思う。
姫神と別れて、自分を恋人にしてくれるのなら。
……だが、それをお願いする勇気が、湧きそうにもない。
姫神から上条を奪う、そして上条と幸せになる。
その強い決心が、インデックスの中にはなかった。
上条を独占したい気持ちがある一方で、恋人のような濃密な関係じゃなくて、
毎日何気なく隣にいてくれる人であって欲しいような、家族でいて欲しい気持ちもある。
上条は家族なのか、もっと心ときめく相手なのか。
どちらか一方に帰属させてしまうと、自分の実感から離れてしまうのだった。
どっちでもいて欲しかった。いままでのままが良かった。

「ずうっと、このままが良かったのに」
「でも、上条ちゃんも男の子ですから。大好きなたった一人の女の子が、出来て当然なのですよ。
 ……ふふふ。命短し恋せよ乙女、なのですよ。精神的向上心のないお馬鹿さんにはならないで下さいね」
「え?」

その引用をインデックスは知らなかった。小萌先生は笑うだけで深くは説明しなかった。

「ようく考えるですよ。シスターちゃん。もう、選ばなきゃいけないです。
 正々堂々と姫神ちゃんに宣戦布告してもいいし、上条ちゃんの妹でいても良いです。
 でも、良いとこどりはもう、できなくなっちゃったのです」

話は終わりという風に、小萌先生はインデックスの髪を撫で始めた。
撫でるに任せて、インデックスは考える。
自分は、上条の何だろう。何でいたいんだろう。

さっさと眠ってしまった小萌先生の寝息が僅かに聞こえるその布団で、インデックスはずっと考えた。
852 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/20(日) 02:27:27.99 ID:7RiZwsx6o
>>841-847
小萌先生はいい人だけど奥さんにしたいとは思わない、ってとこじゃなかろうか。
まあ今日び知的階級で煙草吸う女の人は敬遠されがちっしょ。
家事とかがだらしないのもパートナーとしてはアレだなぁ。
俺も嫁は姫神と吹寄と雲川先輩と五和と美琴とインデックスと婚后さんだけでいいし。
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 03:31:07.44 ID:3Nnph41DO
じゃあ、オルソラは僕のね
そして乙。
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 03:32:39.49 ID:0LO/jYSY0
タイトルを見て軽い感じのノリかなと思っていたら、いい意味で裏切られた

禁書SSではインちゃんイギリス強制送還やら
存在自体なかった事にされるなんてざらにあるからインデックス好きの自分としては
二人の関係に深く踏み込んだ上に完成度の高いSSを見ると嬉しくて身もだえしてしまうのだけれどこれは姫神ルートなんだよねええええええうわあああああああ上条さん姫神と幸せにな!
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 03:33:58.53 ID:0ELcHUFDO

最愛ちゃんはもらっていいの?いいの?
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 03:51:12.67 ID:G/ZdZ86AO
>>853>>855
その
幻想を
ぶち[ピーーー]
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 11:28:59.72 ID:Gx+pMCe60
 あの本は読んでてきつかったな……
まあインデックスは周りに支えてくれる人もいるし、
一巻で如実に表れるようなあの性格だから
頑張って前に進んでいけると信じてる

 乙でした!!
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 14:10:17.27 ID:BK5cFQiAO
誰もいらないようだから、佐天さん、美鈴さん、ルチア、オリアナ、レッサー、対馬、あわきん、むぎのん、フレンダ、心理定規、ショチトルは俺がもらっていいんだよな?

そして>>1乙です!
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 15:54:14.99 ID:NCfeT14Ko


黒子はもらった
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/20(日) 21:16:47.11 ID:BkasgVZu0
フレンダは俺のだお!
フレンダと俺でハーフの子供を作ってやるぜ^^
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 21:51:36.48 ID:nN04Eb1eo
上下でハーフとな?
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 21:58:00.48 ID:84DmvMeVo
きっとキングジョーみたいな子供が生まれるんだ
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 22:41:35.51 ID:3g0m2wCB0
乙だ

原作以上に上条さんとインデックスの関係に踏み込んでるなぁ
864 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/21(月) 00:58:27.57 ID:QkeSJzbNo
おーなんか嫁主張が激しいな。俺のせいか。
嫁宣言をしたいなら今すぐSSを描いて総合スレにでも投稿シタマエ
うむ。
ところで誰も「精神的向上心のないものはばかだ」の件に触れてくれなくて寂しいんだけど、
皆知っててスルーなのかほんとに知らないのかどっちなんだろう。

>>854 >>863
なにげに突っ込んだ話をしてるよね。このSS。
俺もこれ書いてるせいで、インデックスが幸せになるSSが無性に書きたい。
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 01:06:19.32 ID:JtiFvR1vo
Kは現国あたりでやるだろうし、触れなかっただけじゃないか?
もしかしてこのSSの最後は酒に酔って水瓶に落ちたりしちゃう?ww
866 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/21(月) 01:22:47.34 ID:QkeSJzbNo
あっ、どうしよう。
調子に乗って古典?文学の引用とかやったら俺の知らない引用が来たw
>酒に酔って水瓶に落ちたりしちゃう
コレ何??
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 01:32:37.68 ID:NXhnWvrAO
『我が輩は猫である』のオチであり、主人公の猫ちゃんの死に様だな。
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 01:34:10.74 ID:JtiFvR1vo
ネタバレになっちゃうから詳しくは書かないけど、ある夏目漱石の小説の最後だよ
本なんて滅多に読まないから、たまたま覚えてたww
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 01:36:14.60 ID:JtiFvR1vo
被っちゃたか。猫好きだから読んだけど、想像してた様なものでは無かったよww
870 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/21(月) 02:04:53.55 ID:QkeSJzbNo

上条からの、メール返信が帰ってこない。
あの子がいるから、返信の頻度が高くないことは、仕方がないかもしれない。
人によって返信の量は違うものだし、それだけのことかもしれない。
だけど。
夕食前に送ったメールが、もう食事も済んで風呂にも入ろうかという時間なのに、まだ帰ってこない。
……姫神はインデックスが上条家から出て行ったことを知る由もなかった。

「当麻君。何してるんだろう」

不安で不安で、たまらない気持ちになる。上条の隣にはインデックスがいるから。
切実な思いに絆されて、上条がインデックスになびいてしまうんじゃないかと心配だから。

テーブルの上に置いた携帯が、バイブレーションでジリジリと動いた。
寝そべっていたベッドの上からパッと跳ね起きて、手に取る。
――当麻君だ。

「もしもし」
「あ、秋沙か」
「うん。こんばんは、当麻君」
「お、おうこんばんは。なんか電話するの照れくさいな」
「そうだね」

決して遠く離れた場所にいるわけではないのだが、こうやって遅い時間にも電話でコンタクトをとると、
恋人同士になったんだな、なんて感慨が沸いてくるのだった。

「それで。どうしたの?」
「あ、いや。メール返そうかと思ったんだけど面倒だから電話にしたんだ」
「そうなんだ」
「今、まずかったか?」
「ううん。そんなことないよ。えっと。今は何をしてたの?」

恐る恐る姫神は尋ねた。
何があったとしても誤魔化されればわからないのだが、インデックスと上条の間に、
看過できない何かはなかったかと、つい疑った目で見てしまう。
自己嫌悪するような態度だったが、それでも聞かずにはいられなかった。

「あー、実はさ、インデックスが」

ドキン、と心臓が跳ねる。一番聞くのが名前だった。
楽しい話なのか、喧嘩した話なのか、どれであっても無茶苦茶に自分は嫉妬する気がした。

「家出、しちまってさ」
「えっ?!」
「ああ、居場所はもう分かってるんだ。今日は小萌先生の家に泊まるみたいだ」
「そう。なんだ」

姫神にとってもなじみのある家だった。そして家主の性質を考えると、納得の行く展開だ。
871 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/21(月) 02:06:15.21 ID:QkeSJzbNo

「どうして。あの子は家出したの?」
「俺が姫神と付き合ったら、もう居場所はないから、だってさ」
「そっか……」
「秋沙はそう思うか?」
「え?」
「秋沙と付き合っちまったら、俺はあいつを追い出すべきだって、秋沙もそう思うか?」

嫌な嫌な、質問だった。
本心で思っていることを言ってしまったら、上条は困るだろう。
それに嫌われるかもしれない。でも、本音は覆らない思いだから、本音なのだ。
姫神は逡巡して、妥協できる精一杯の答えを返した。

「あの子が。当麻君の恋人になりたいのなら。あの子と私と当麻君が選びたいほうを選べばいいよ」
「え、選びたいほうって」
「もしあの子を選んだら。私はすごく当麻君を恨んで。涙が枯れるくらい泣いて。死にたいって思うと思う。
 でも私をそういう風にしてもいいって思うんだったら。もうどうしようもないよね」
「馬鹿。そんなこと考えてない」
「良かった……。でもそれじゃ。あの子は傷つけても平気なの?」
「それは」

上条が言葉に詰まる。
それは、つまりインデックスと姫神なら、インデックスを切るという意思表示なのだろう。
勝った、と姫神は思った。浅ましいことだと自己嫌悪する心よりも、
あの子よりも愛されているのだという優越感のほうが、姫神の心の中で勝っていた。
……今この瞬間の喜びが冷めれば、結局は自己嫌悪に陥るのだが。

「あの子が。当麻君の可愛い妹分でいるのなら」
「え?」
「私にとっても妹みたいな、友達みたいな子でいてくれるなら。私はあの子と一緒にいられると思う。
 当麻君の家にあの子がいても、許せると思う。でもちゃんとそうなってくれなきゃ。
 今までみたいなあやふやな関係でいられたら。私もきっと疲れちゃうよ」
「……」
「当麻君は。あの子の事をどう思ってるの?」
「そうだな」

ため息を、上条がついたのが分かった。

「妹、ってところかな。アイツは。一人っ子だから本当の妹がどんなのか知らないけど」

それはいまどんな関係なのかという答えではなくて、これからどんな関係でいるつもりなのかという、
その意思の表明だった。

「それで。いいの?」
「いいのかどうかってより、俺とアイツはこういう関係なんだろうさ」
「じゃあ、また仲直りしないとね」
「そうだな。とりあえず明日、アイツと話をしてくる」
「うん」

それでこの話は終わりだった。それから15分くらい、他愛もない話をした。
この電話で成されたのは、3人の有り方を決める、大事な決定だった。
全てはインデックスの、気持ちのありようにかかっていた。
872 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/21(月) 02:07:48.68 ID:QkeSJzbNo
>>867 >>868
へー、我輩は猫であるだったか。そういや読んだことなかったわ。

さあ明日は修論発表なのに一体俺は何をやっているんだろうね。
頑張ってきます。夜は卒論発表の後輩の面倒見るから、更新しない可能性も大。
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 02:19:21.10 ID:Nfx9PkMAO
乙…だが
> 「あー、実はさ、インデックスが」
ドキン、と心臓が跳ねる。一番聞くのが名前だった。

ここちょっと抜けてね?

さあ、インデックスはどう出るかな
なんとなく、もう一波乱ありそうだ

「こころ」のネタはゴンドラの唄の方に意識が行って気づかなかったぜ…
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 09:57:16.04 ID:f3RPZe/f0
 乙です!!
修論ですか……まだ大学に入って日が浅い自分からは想像もつきませんが、
発表頑張ってください!!

 本当にあとはインデックスの気持ちの整理だけになったか……。

 こうやって姫神や周りの人が一歩一歩進んでいくのを追ってこれて良かった
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 16:24:55.18 ID:fVLJ/PD4o

「精神的向上心〜」は懐かしいなぁと思いながらスルーしてしまってた
上条さんと誰かがくっつくSSでここまで丁寧に他キャラの失恋を書く人って珍しい気がする
それぞれのキャラの心理描写が上手いな
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 16:33:22.22 ID:up7hNIJd0
こっちの姫神のといい、あっちの婚后さんのといい、キャラの行動描写が丁寧だからか
あたかも本当にキャラが存在してるかのような感じがするわ
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 19:14:50.04 ID:trzuUbIO0
どのキャラの気持ちも良く理解できるように書いてあるから余計に辛くなるな
何はともあれ、小萌先生のおかげでこの暗澹とした空気も変わりそうでよかった
878 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/22(火) 02:40:06.05 ID:u3HDSwKqo
>>873
サンキュ。wikiに乗せるときには直しておくね。『一番聞くのが嫌な名前だった』です。

>>874
やっとおわったー。学士の頃が懐かしいわ。

あとはホント、インデックスだけですな。まあどうなるのかは次の更新辺りからぼちぼちわかるかなぁ。
今日は更新できないけど。

>>875 >>876 >>877
恋愛物をきちんと書くと自ずとこうなる、と俺は思うんだけどね。
みんな興味の対象とかが違うのかな。
あとやっぱり、台本形式じゃこういうSSはかけないだろうなあとは思う。
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 02:51:02.33 ID:/PMLuWYyo
>>878
俺はこういう失恋した人に焦点を当てる話は結構好きだ
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 03:09:54.69 ID:UQAp+I3vo
台本形式って、やっぱどことなく「軽い」からなぁ。
もちろんそれは悪いことではない、すらすら読めるし。
ただ、それで内容を重くするのは結構難しいと思う。

でも俺は、この話で何より面白いのは
上条さんと姫神が恋人として初めて行う共同作業が
他のフラグを残らずへし折ることって部分だと思ってるww
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/23(水) 04:11:35.00 ID:UiSKBQSJ0
>>871
独占欲を露にする姫やんかわいいよ!
嫉妬深い姫神なんて・・・僕大好物です^^
882 :sage :2011/02/23(水) 23:48:04.54 ID:UiSKBQSJ0
あ、下げないと
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 23:52:30.85 ID:gxLPkZX70
>>882
sageの位置違うよ
mail欄にsageだよ
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 00:04:40.41 ID:Qq1CGATjo
ちなみにsageたところで別にスレが下がるわけじゃない
上がらないだけだ
2chやるなら最低限の知識だけはつけてこい
885 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/24(木) 00:48:13.21 ID:jP00qpAio
おにぎりを頬張る。
時刻はもう夜といっていい時刻だった。
今日がなんてことのない平穏な日だったなら、夕食を囲んで談笑しているところだろう。
そうするほどに、明るい気持ちにもなりきれなかった。
あともう少ししたら、屋上に行くことになる。
星の見える場所で、インデックスにかけられた呪いを解く。
そういうことになっていた。今頃あの二人は準備をしているのだろう。
こちら側に出来ることは何もない。せめてその時まで、心を落ち着けて体を休めておくくらいだった。

「みつこ」
「どうしたの?」
「呼んだだけ」
「……ふふ。ちょっと待ってて頂戴ね」

三人は病院の個室にあるベッドに腰掛けて、売店で買った軽い夕食を摘んでいた。
インデックスは自分の分をさっさと平らげてベッドに転がっている。
座っておにぎりを咀嚼する光子の腰に腕を回して、じゃれ付いていた。

「ごちそうさんっと」
「とうま」

返事をせずに、当麻はベッドに倒れこんだ。
光子に抱きつくインデックスを、後ろから撫でてやる。
猫みたいにインデックスが目を細めた。

「ご馳走様でした。……もう、インデックスも当麻さんもお行儀が悪いですわよ」

そう言いながら、自分もインデックスの腕を解いて、ベッドに倒れこんだ。
すぐさまインデックスが光子に抱きつく。
たいして年齢差のないであろう二人なのに、ちょっと年の離れた姉妹みたいだった。
インデックスを撫でる光子と、目が合った。

「ほらインデックス。当麻さんが寂しそうですわ」
「ふーん」
「構ってあげたら?」
「やだもん。とうまはすぐほっぺたつねるから」
「照れ隠しですわよ」
「意地悪なだけだと思う」

酷い言われようだった。悪い子は、つねるしかない。
インデックスに手を伸ばすともう当麻の意図が分かっているのか、
すげなく手を払われる。

「なんだよ。触ったって良いだろ」
「良くないんだよ。っていうかとうまは男の人なんだから気安く触ってもらっちゃ困るんだよ!」
「まあ、そりゃ俺は男だけど。触っちゃまずいような体か?」
「とうまの意地悪!」

光子より体型が子供なのを揶揄されると毎回ムッとするのだった。
886 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/24(木) 00:49:32.51 ID:jP00qpAio
しまった誤爆したw ごめんみんな。
おわびに今からこっちも書くね。
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 01:02:29.71 ID:DHhI7Fk/o
なんかこのインデックスを見た後に、ここのインデックスを見るのが辛い
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 03:45:13.36 ID:MLIXSd5f0
>>884
まぁそう言うなよ、悪気は無いだろうしな

インさんも上条さんを振り向かせる為に頑張ろうとしたんだけどなぁ・・・時既に遅しだったのは悲劇ですな
しかし、姫神が明確に上やんを囲おうとしてるのが素晴らしい!
美琴やインさんよりも、姫やんみたいなタイプの子の方が嫉妬深いよねww
889 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/25(金) 11:20:25.75 ID:ElU6Uzwto

放課後。
姫神は寮への道を一人で歩いていた。
上条は補習中だ。特にその予定はなかったのだが、小萌先生が名指しで呼び出したので、
避けようもなくこってりと絞られているのだろう。どうせいつかは受ける補習だった。
小萌先生がそんなことをした理由も姫神は分かっている。姫神には、小萌先生が早く帰れと言ったからだ。

――――シスターちゃんが上条ちゃんのおうちで待ってますから。

特に知り合いでもない男子生徒が、姫神を振り返る。男子寮の側に女子生徒がいるのだ。
上条の名は知らなくとも、姫神の彼氏にやっかみくらいは感じているのかもしれない。
エレベータの壁に貼られた鏡で、軽く服を調える。
小萌先生は何も教えてくれなかった。
インデックスが折れてくれるのか、それともはっきりと敵対関係になると宣言されるのか。
万が一のときのために、隙だけは見せられなかった。

7階にたどり着いて、上条の部屋のほうに歩き出す。
慣れるほどにはまだ足繁く通ってはいない、上条の部屋。
大してエレベータから離れてもいないそこにたどり着くと、

「あ、あいさ……」

玄関前に座り込んで猫と戯れる、インデックスの姿があった。

「こんにちは」
「うん、こんにちは」

ぎこちない挨拶がインデックスから返ってきた。
いきなり喧嘩腰で罵りあうようなことにはならないらしい。それに少し安堵する。

「ねえインデックス。今日は。あなたが私を呼び出したんだよね?」
「……うん。そうだよ。あいさと、話がしたかったから」

目線が互いに真正面でぶつかった。
今日自分を呼び出した意図は、読み取れなかった。

「とうまに鍵もらってるから。中で話しよう」
「いいよ」

チクリと劣等感を感じて、すぐさま考え直す。
同居しているのだからむしろ鍵を持っていて当然なのだ。
それは、自分とインデックスのどちらが上条に大切に想われているかの差ではない。
事実そういうことを気にしていないのか、インデックスはもったいぶらずにすぐ鍵を開けた。

「ただいま」
「お邪魔します」

その掛け声の差に敏感なのは、自分が意識過剰なだけだとは思う。
890 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/25(金) 11:21:23.28 ID:ElU6Uzwto

「あいさ、お茶飲む?」
「え。いいよ。今日は。あなたと話をしに来たんだから」
「そっか。あ、座って」
「うん……」

テーブルを挟んで、向かい合わせに座る。
インデックスを見つめると、何かを言うのを躊躇うように、視線をあちこちに揺らした。
姫神は急かすことなく、じっと待った。インデックスの出方を窺いたかったからだ。
しばしの時間を置いて、インデックスが修道服の膝のあたりをきゅっと握り締めて、口を開いた。

「あいさ。その……ごめんなさい」
「え?」
「一昨日。出て行けなんて言っちゃって、ごめんなさい」
「ああ……それのことだったんだ。別にいいよ。怒るとかそういうつもりはないから」
「怒ってないの?」
「だって。どうしてあんなことを言ったのかのほうが。今は大事でしょ?」
「……」

言い方をきつくしたつもりはなかった。だがインデックスは辛そうに、目を逸らした。

「こんな言い方したら一方的だってこもえにも言われたけど、
 私にはあいさがとうまを盗っちゃう、って。そう思っちゃった」

とる、という響きに盗るという字を当てるべき、そういうニュアンスの「とる」だったことに姫神は気づいていた。
当麻君はあなたのものじゃなかったよね、と確認してやりたい気持ちを抑える。
……それは上条を盗られそうな、自分もそういう危機感を感じていることの表れだからだ。
それではインデックスの言い方が一方的なのと同じだった。

「別に。盗るつもりなんてないよ」
「え……?」
「もしあなたが当麻君の恋人じゃないのなら。私はあなたの居場所を盗ったりはしない」

暗に確認をする。お前は上条の何なのか、と。
それはこの間、追い出されたときには聞かせてもらえなかった答え。

さらさらと、インデックスの肩から髪が零れ落ちる。
深くうつむいたせいで姫神からは表情が見えなかった。
肩が震えるように上下し始める。
その意味が分かっていながら、姫神は答えを催促する沈黙を、頑なに守った。

「……っく。わた、しは」
「……」
「とうまの、家族、いもうと……だよ」

罪悪感が姫神の心の中を広がっていく。自分が勝利を確信して優越感を覚えたのに気づいたからだ。

「それで。いいの?」
「いいんだよ。仕方、ないもん」
「どうして。仕方ないって思うの?」

追及の手を緩めない自分が嫌だった。浅ましい。でも、止められない。
だって、浅ましいなんて思ってる部分は心の表層でしかなくて、自分の本音はまさに行動の通りなのだ。

「だって! とうまが彼女として好きなのは、あいさ……だもん。私じゃ、ないから」

それはどうしようもなく、事実を認める、敗北宣言だった。
891 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/25(金) 11:25:52.45 ID:ElU6Uzwto
>>887
あっちでも書いたけど、美味しいタイミングでこうなってくれたなぁと思う。
上条さんとの距離感を真剣に考えると、こうなっちゃうんだよね。

>>888
現実の女の子達は俺らを取り合ってこんな修羅場をおこしたりなんてしてくれないけどね!
それはおいといて、姫神の嫉妬は結構同性にも向かう感じはするかもね。
美琴とか無茶苦茶に泣いて当麻に当り散らして、っていう感じになりそう。というか俺ならそう書く。
上イン琴の三角関係とかなら、解消する主体はきっと上条さんになるだろうなあ。
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/25(金) 12:41:28.43 ID:ES5WGZEI0

死☆兆                          ┓ ┏   201X年……
                       ヘ(・ω・)ヘ 禁書は悲しみの炎につつまれた!
                         |∧  
                      ┓ ┏  /  /
                 (・ω・)/ 旗は折れ 絆は裂け
          ┓ ┏      /(  )    あらゆる糖類が絶滅したかにみえた……
       (・ω・) 三  / / >
 \ ┏   (\\ 三
 (/ω・)  < \ 三 
 ( /                                     ┓ ┏
 / く  だが!                            (´・ω・`) < とりもどせ愛を
      妹ENDは死滅していなかった!!     (∩∩)                
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|地雷| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                                      ̄ ̄
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 13:00:33.22 ID:Pb5cI6LG0
 乙です!
インデックスと姫神の会談はなるようになっていくわけだけど
(それぞれの心の内を考えると辛いけど)
上条ちゃんの方はどういう風になるんだろう……
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 13:00:54.56 ID:WEXfAFdAO
妹endにはやっぱり背徳感が欠かせないと思いますっ!
895 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/25(金) 13:21:12.62 ID:ElU6Uzwto
>>892
ちょっとビターな甘味がもうちょっとしたら補給できる気がする。

>>893
なるようになるのかなー? ほっほっほ

>>894
わかってるねぇ。……わかってるねぇ。

ところで残りの分量といただける感想の期待値を見積もるに、
1000じゃ終わりそうにないんだけどどうしたらいいんだろ?
1000まで埋まってから次考えればいいの?
HTML化しても読めるんならそれでいいんだけど、ちょっとの間は
980くらいまでで止めておいたほうがいいのかな?
896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 13:34:51.56 ID:2EZ+6jrKo
>>895
2ちゃんねると違ってここは誰でも過去ログを読めます。
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 19:52:01.89 ID:4fp4Ff3Q0
保守する必要もないし感想も気軽に書き込めるしやっぱ便利だー

インデックスも辛いけれど姫神も相当参ってるな
日に日に増していく罪悪感を少しでも取り除いてあげれるように恋人からのフォローがひつよ…
あ、上条さん鈍感だし難しいかな!
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 20:05:34.87 ID:A2FwiQA4o
つまりそこでそげぶですね
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 20:27:39.60 ID:Pb5cI6LG0
 上条さんは多分、恋愛方面でも一度誰かとそういう仲になったら
いつもみたいに鋭くなるのでは?
900 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/25(金) 21:20:37.36 ID:ElU6Uzwto
>>896
さんきゅ。じゃあ遠慮なく使い切ってから次行こう。
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/25(金) 21:25:19.51 ID:/DJ9+676o
インデックスさんは根本的に人の気持ち、特に上条のを
斟酌することをしばしば無意識に放棄するからねー。
三沢塾事件の時のプリンの話が如実に表してる。

更にこの話では立場に胡座をかいていたツケが大きすぎる。
このままただのクレーマーですなぁ
902 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/25(金) 21:25:44.06 ID:ElU6Uzwto

上条が好きな女の子が、例えばあの常盤台の子だったりしたら、自分は何をしただろう?
告白しただろうか、横から奪うこともいとわずに、それをしただろうか。
多分答えは否。
インデックスが身を引こうとしている理由は、そう考えてみれば分かりやすかった。
――――自分の好きな人が一番好きなのが、自分じゃないから。

「私が。当麻君と一緒にいてもいいの?」
「……だって、とうまがそうしたいんだったら私なんかに止める資格はないもん」
「……それは。そうだね」

一般論として、確かにそうだった。

「でも、あいさ」
「何?」
「とうまに抱きついても、いいよね?」
「……うん」

この年になって普通とはいえないかもしれないが、インデックスがスキンシップを好む性格なのは知っている。
恋人らしい雰囲気なしに、上条とじゃれあっているところを見たことは何度もある。
だから、それは許すべきだと思った。

「とうまによく怒られるけど、私、噛み癖があるんだ。それも、止めたくない」
「別に。いいよ。でもね」

涙で僅かに赤く腫れた目を覗き込む。決して苛めたいわけではない。
ただ、どうしても許せないところに、線引きはするつもりだった。

「キスは駄目。やっているのかどうかは知らないけど、一緒にお風呂も一緒に寝るのも駄目」
「しないよ。……どれも全部、とうまとしたことないもん」

なあんだ、よかった、と安堵する自分を自覚しながら、姫神はそっけなく「そっか」と呟いた。
陰鬱とした気持ちを打ち払うためだろうか、あーあ、とインデックスは伸びをして、ベッドに倒れこんだ。

「ずっと、今までどおりがよかったのに」

それは紛れもない、インデックスの本音だった。
恋人か家族かなんて、そんなのを分けられないままなら良かったのに。
ご飯を作ってくれて、毎日話を聞いてくれて、そして時々エッチなことをされたり、ドキッとしたり。
そういう、上条との距離感がたまらなく好きだった。
ため息をつく。それは諦めるための儀式だった。

「そのままだったら、あいさにも嫌われなくて済んだのにね」
「……」

言葉の真意を測る。
嫌われたという言葉は、実はインデックス自身が姫神を嫌いだということの裏返しだろうか。
違うと思う。
……私に嫌われたくなくて。否定して欲しくてそう言ってるのかな。
こちらこそ、インデックスに嫌われていると思っていたから、もしそうなら、仲直りできるかもしれない。

「私は。インデックスのことを嫌いになんて。なってないよ」
「え?」
「だって嫌いになる理由がないから」
「でも。とうまのことで、喧嘩しちゃったよ……?」

それは敵対する理由にはなっても、嫌う理由にはなっていなかった。
インデックスは不正を犯したわけではない。

「仲良くは出来ないかも。って思ったけど。だけど嫌いになる理由はなかったよ」
「そっか」

薄く、インデックスが笑った。
あまり友達の数を増やす趣味のない姫神にとっても、インデックスにとっても、互いはいい友人だったのだ。
譲れないものがあるにしても、憎しみあっているわけではないことは、喜び合えることだった。
姫神も、インデックスがいるベッドに腰掛けた。インデックスがすぐさま体を起こして、姫神の隣に座った。
インデックスの背中に手を回す。空いた手で、涙をぬぐってやった。
それは無意味な行為だった。拭いたそばからまた涙が溢れてきたからだ。
インデックスは、姫神の体に抱きついて、嗚咽を漏らした。
抱きつく相手こそが、自分に涙をもたらした相手だというのは本当に皮肉だと思う。
たぶん、インデックスは抱きついた自分に上条を投影して、泣いたのだろうと姫神は思った。
当然のことだが、自分の体は上条よりずっと頼りない。
それでもせめて、撫でる手だけは上条のように優しくあろうとした。
903 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/25(金) 21:26:43.30 ID:ElU6Uzwto

もう、日が沈むのは随分と早い季節だ。
撫でているうちに、すっかりインデックスの表情が見えにくくなっていた。
嗚咽はおさまって、姫神にしがみついたその腕の力も、かなり緩くなっていた。

「そろそろ明かりつけるね」

そっと腕を解いて、姫神はスイッチを付けに行った。
ぱちんという音と共に、部屋が明るくなる。
太陽とは違うその人工の色は、夜の始まり。
インデックスを見ると、目元をこしこしとこすって、いつもどおりの笑顔を少し無理して作っていた。

「あいさ。今日、ご飯一緒に作ろう?」
「うん。いいよ。そうしよっか」

そうできればいいなと、思っていた。自分だけ一人で食事をするのは嫌だった。
それに自分ひとりでご飯を作っても構わないが、二人で出来たらなと、そう思っていた。

「献立とかは、あいさに頼ることになるかも」
「いいよ。冷蔵庫の中身を見て考えるね」

開いてみると、中には大して食べるものがない。買出しが必要だった。

「スーパー行こうか」
「うん。それとね、お風呂は」
「どうしたの?」
「お風呂はとうまと一緒に入る」
「え? ……え?」

それはお伺いとかじゃなくて、宣言だった。

「駄目」
「それで、夜はとうまと一緒に寝る」
「駄目!」
「駄目って言われてもするもん」
「でも。私が当麻君の彼女!」
「知ってるよ。だけど、私がそれを認めるのは明日からだから」
「どうして? そんな。急に」

真意がつかめなかった。
確かに今さっき、自分のことをインデックスは認めてくれたのだと思ったのに。

「あいさにとうまを任せるのは、明日からだから。今日は、いままでの続き」
「駄目。そんなの駄目だから」
「知らないもん。駄目って言うんだったら、私は明日からとうまの彼女になる」
「駄目!」

駄目という言葉は敵意や反感というよりも、混乱の現われだった。
インデックスの目にそういう負の感情があるなら分かりやすかった。
しかし、実際にはどちらかといえば晴れやかな感じのする、微笑みが浮かんでいた。

「どうしても駄目って言うの?」
「だって……」
「じゃあ、一緒にあいさがいても良いよ?」
「えっ?」
「お風呂も、一緒に寝るのも、あいさが隣にいてもいいよ?」

インデックスは挑戦的な笑みを浮かべていた。
それは上条を遠く感じてしまうことの寂しさの裏返し。諦めるための儀式。だから、許して欲しかった。
今日、眠りにつくまで、恋人になれたかもしれない上条に、一方的にそんな気持ちをぶつける。
明日からはもう、妹でいよう。
姫神のことだって好きだし、きっと上条に選ばせたら、自分は選んでもらえないのを知っているから。
……姫神のいない二人っきりじゃなくて、良かったのかもしれないと思う。
きっと上条と二人っきりなら、自分は泣いてしまうだけで何も出来ないのだ。
姫神への対抗心があるから、こんなにも積極的になれる。
お風呂には裸で入ってやるつもりだった。ベッドの中ではぎゅっとしがみつくつもりだった。
全然意識してくれない上条に、せめて今日一杯は、あらゆる手を使って自分を刻み付ける。
心の中でインデックスはそう決意した。
それは明日から想いを絶って妹になろうとするインデックスが、女になった瞬間だった。
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 21:26:52.16 ID:/DJ9+676o
このままでは だた

sage忘れすまぬ
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 21:55:36.95 ID:WEXfAFdAO
>>904
よかった…
>>901は正直断定に見えて、いきなり何をと少しびっくりしたお

さあ、本編ではいよいよインデックスのターンのようです!!
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 23:08:32.47 ID:Pb5cI6LG0
 乙!!
 インデックスのけじめのつけ方はよくあるやり方と言えばそうだけど、
ここは恋愛の話だから相当大胆だね
 最初姫神も居ていいって言ったのは姫神に譲歩させるためかと思ってたけど
姫神無しでインデックスが上条さんと一緒にいる状況をシミュレートしたら
インデックス大泣き√になってた……
 こうやって綺麗に場面を作っていく>>1は能力開発させたらLv4になりそう……
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 10:33:08.21 ID:yrPyWbuwo
する内容にもよるが、恋人がいる男の家にこれからも
同居しようとする女が「女」を意識させようとするってのは
かなり問題が多いからなー。
今夜だけだっていってもねえ…方や思春期まっさかりの男、
方や一生忘れることが出来ない女。
どーすんだろねww
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 10:38:03.86 ID:wHqrAM3AO
気持ちは分かるんだが女のドロドロを描写し過ぎで姫神が性格悪く見えてしまうwwwwww

そしてそれを一切理解出来ないであろう上条さん爆発しろ
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 17:24:44.74 ID:Ldh8d/kAO
某スレでドロドロとか怖い姫神にドはまりした口だがここでも見れるとは…なんてオレ得なスレ
910 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/26(土) 21:23:16.82 ID:I29zP0Ago

「ただいま」

完全下校時刻までたっぷりと絞られて、ようやく上条は帰宅できた。
早く帰りたい旨とその理由を伝えた上条に、インデックスを泊めてくれた小萌先生自身から待ったがかかったのだった。
何よりまず、インデックスを待たせたくなくて、買い物も後回しにして急ぎ足で帰ってきたのだった。
扉を開けると、部屋にはいつもどおりの明かりが点いていた。それだけで少しほっとする。

「お帰りなさい。当麻君」
「あ、秋沙……」

パタパタとスリッパの音をさせて出迎えてくれたのは、姫神だった。
それに戸惑いを覚える。
部屋の鍵は姫神には渡していないから、あけたのは、インデックスのはずだ。
……姫神がインデックスから鍵を奪ったのでなければ。

「あの」
「とうま、おかえり」

インデックスの事を聞こうとする前に本人が台所から現れた。
エプロンの端で濡れた手を拭う仕草が、料理をしていたことを教えてくれた。
家にインデックスと、そして姫神までいる。現状がよく上条にはつかめない。
その隙を突くように、姫神の虚さえも突いて、インデックスが上条の前に近づいた。
そして、ぎゅっと、上条を抱きしめた。

「イ、インデックス?」
「おかえり。あと、心配かけてごめんね」
「いや、それは別にいいけど……」

戸惑いながら姫神を見ると、してやられたような悔しそうな目で睨み返された。

「今日はあいさと一緒に作ったご飯だから」
「お、おう。分かった」
「もうすぐ出来るから手を洗って待ってて――――」
「当麻君」

鞄を受け取ってリビングへ上条を案内しようとするインデックスの横から、姫神が割り込んだ。
多分インデックスに対抗したのだろう、というのは上条にも分かった。充分あからさまだった。
それに対してどうすべきかを逡巡する。そこに、ごく僅かだけ、ついと唇が突き出された。
恥ずかしいと思う気持ちと、したいと思う気持ちと、そして、
インデックスと姫神とを区別すべきだという気持ちが上条の中でぶつかり合って。

「ん――」
「ただいま、秋沙」
「うんっ。当麻君。お帰り」

隣のインデックスを見ないように、姫神に口付けた。
つい昨日それが理由で家出したインデックスに、見せ付けることはためらいがあった。

「はいはい。もー早くとうま行くよ!」

強がり、だろうか。違う気もする。
インデックスは昨日までの見ているこちらも辛くなるような必死さはなかった。
もっと自然と、上条と姫神の関係を認めた上で、不貞腐れているようだった。
911 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/26(土) 21:25:26.81 ID:I29zP0Ago
>>906
そうなんだよなー。二人っきりだとインデックスは大泣き√なんだよ。
そして慰めるためについ上条さんが手を出しちゃって、ドロドロの三角関係に……
あれ、むしろこの方がインデックスの望みどおりの展開になるかも?

>>907
ほんとどーすんだろねwww
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 22:39:47.81 ID:5Z5lTe+Z0
>>911
手を出すとは、男女の関係になる、即ち肉体関係ですね分かります

>>909
姫神みたいなタイプの子のヤンデレとか・・・マジ堪んないよな!最高です!^^
913 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/26(土) 23:20:44.77 ID:I29zP0Ago

「とうま、そろそろ出来るからね」
「当麻君は。座っててくれたらいいから」
「あいさ。お皿はどれが良いかな?」
「深皿が良いんだけど。あ。これがいいかも」
「じゃあこれ運ぶね」
「うん。よろしくね」

分からない。見たままをそのまま言えば、二人は仲直りしたように見える。
事情の説明を求める視線を姫神に送っても、曖昧に微笑まれるだけだった。
どうも姫神自身も混乱しているらしい。

「とうま、テーブルの真ん中空けて」
「お、おう」

インデックスが皿を三人分配って、スプーンと一緒に置いた。
匂いからして今日はカレーだった。

「インデックス」
「なあに?」
「食べてからでも駄目とは言わないけど。こういうのはなあなあに出来ない話、だろ?」
「……そう、だね。それじゃお鍋だけこっちに持ってきちゃうから、それが済んだら、話、しよっか」

一瞬、インデックスの手が躊躇うように手を止めた。
しかし朗らかな口調と、明るい表情を見せることは止めなかった。
姫神が台所からじっと見つめていた。

鍋にたっぷり作ったカレーが、表面を僅かにふつふつさせながら運ばれてきた。
空腹の3人の鼻腔を良い香りがくすぐる。
サラダを持ってきた姫神が後から座って、大して大きくもないテーブルの上に料理がそろい、そして三人が、席を共にした。

「準備できたみたいだな」
「うん」
「じゃあ、インデックス。聞かなくちゃいけないことだから、聞かせてくれ。その、秋沙と仲直り、したのか」

その質問は核心を突くものではなかった。
いやそもそも、核心とはどうやって聞いたら突けるものなのか、よく分からなかった。
問われたインデックスは、戸惑うことはなく、ただ、こう聞き返した。
914 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/26(土) 23:21:48.24 ID:I29zP0Ago

「とうまは。あいさのことが好きなの?」
「……ああ。好きだ」
「私よりも?」
「比べたことなんて、ねえよ。ただ、俺の恋人なのは、秋沙だけだ」
「私は、違うんだね」
「だって、そうだっただろ?」
「うん。……そうだね。とうまの言うとおり、だったね」

遠くから綺麗なものを見つめるように、インデックスは目を細めて微笑んだ。

「私は血は繋がってないけど、とうまの家族、妹みたいなものなんだ。きっと」
「……」
「何も言ってくれないの? とうま」

何を言ったらいいか、分からなかった。
単純にそうか、と素っ気無く返すことは出来なくて、そしてそれでいいのかと問いただすことも出来なかった。

「いいんだよ。それで」
「本当に?」
「あいさ。……だって、とうまがあいさを選んじゃって、私がとうまの家族であることを受け入れなかったら、
 私はこの家から出て行くしかないんだよ。……それは嫌」
「納得、したのか?」
「これからするの。あーあ、今までどおりが一番良かったな。
 べったりはくっつかないけど、くっつくことには遠慮がなくて、そういうのが良かったのにな」

寂しそうにインデックスが笑う。
悩む様子を見せず包み隠さず話すインデックスの仕草は、吹っ切れたような印象を上条に与えた。

「だから、明日からは私はとうまの家族だから。今までもそんな感じだったから、変わらないよ」

行為を取り出せば、きっとそのとおりだろうと思う。
変わるのは、意味合いだけ。可能性だけ。
だというのに上条の心中に隙間っ風が吹き込んだような気持ちになる。
たぶん、その喪失感は自分だけじゃなくてインデックスも感じているものだ。
それを振り払うように、インデックスがいたずらっぽく笑う。

「でも今日は。違うから」
「え?」
「今日はあいさのことを、認めない」
「認めない、って……」
「とうまは私に浮気しちゃ駄目なんだよ? あいさだけ見てなくちゃ、駄目なんだよ?」

インデックスが身を乗り出して、ちゅ、と上条の頬に唇を押し当てた。
915 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/27(日) 00:36:59.03 ID:YqlYn7iHo

「はいとうま。あーん」
「当麻君。あーん」
「いや、あの……お二人とも?」

カレーはスプーンで掬う料理だ。そしてスプーンは誰かの口に食べ物を運ぶのに便利な道具だ。
インデックスか姫神か、どちらかが狙ってこの料理にしたのか。
申し訳ばかりに上条の前に置かれたスプーンは、まっさらだった。
……それどころか皿も綺麗なままだった。
全部、姫神かインデックスの皿から、上条の分のカレーは供給されているのだった。

「もう充分でしょ?」
「あいさこそ」
「何度でも言うけど。私は当麻君の彼女だもん」
「今日は、そんなこと知らない」

もうそのやり取りは三度目くらいだった。
そしてインデックスと姫神の間では埒が明かないので、姫神はすぐに上条を見つめるのだった。
線引きをすべきだと上条も思うから、初めは姫神のスプーンからばかり、食べていた。

「とうま、食べてくれなかったら、口移しにするよ?」
「ばっ……馬鹿!」

そう言うのだ。上条がインデックスのスプーンを無視すると。
先ほどはカレーを口に含んで本当にやろうとしたところで、姫神が怒った。
真実は、怒ったというより、焦っただった。
奔放に見えるようで、インデックスが線引きをしているのに姫神は気づいていた。
本当に踏み越えてしまっては、妹には戻れなくなるような一線をインデックスは越えていない。
きっと口移しだって、自分が止めることを計算に入れた挑発なのだ。
姫神は監視の目を強くする。アクシデントだけは、絶対に避けなければいけない。

「じゃあほら、あーん」
「う……おう」

面白くない。すごく、面白くない。
申し訳なさそうな目でこちらを見ても、許してなんてあげない。
明日はたくさんたくさんたくさん埋め合わせをしてもらわなければ、気持ちが治まらない。
インデックスが口をつけたスプーンから、上条がカレーを食べた。

「おいしい?」
「まあ、うん」
「えへへ。まだいる?」
「はい当麻君。あーん!」
「ちょ、秋沙。まだ口の中に」

気にしない。スプーンに一口ならまだ入るに決まってる。
強引に口の中にカレーを入れてやった。

インデックスは、心の中に重くのしかかる寂しさを精一杯無視して、楽しい、と思った。
上条を振り回して、無理向かせるのは楽しい。
時々姫神のほうを向く視線はチクリと胸にさすものがあるが、上条が自分を見てくれた瞬間は嬉しくなる。
もっと振り回したいと、そう思う。
……そうしていないとあと何時間でこの楽しいひと時が終わってしまうのかを数えてしまうから。
見えやすいところに置かれた置時計が、邪魔だった。
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 00:39:09.66 ID:ipyKlnXN0
なんだかなあ、人生って理不尽だよなあ…
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 00:59:48.82 ID:LZ6GoChy0
 上条さんが友いつ殺せない理不尽な幻想ですね

しかしインデックスさん切ないなあ。
いちいち妬く姫神可愛いけど
918 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/27(日) 01:03:08.17 ID:YqlYn7iHo

面白くない。
大して多くもないが、今しがた使った皿やコップを一つ一つ洗っていく。
姫神は一人で、台所で洗い物をしていた。
チラチラと自分を見る上条の申し訳なさそうな視線に腹が立ってくる。

「えへへ、とうま、とうま」
「あ、おい。服の中に手を入れるなって!」

インデックスは上条の腰にしがみついている。お腹に、直接手を触れたらしかった。
こんな構図になっている経緯は、分かりやすかった。
食べ終わったら誰かが片づけをすることになる。作っていない上条が当然それを引き受けるという。
そしてそうなれば姫神もインデックスも上条と一緒に洗うと言い、三人も入るわけのない台所事情のせいで、
誰かがリビングでくつろぎ、誰かが洗い物をすることになる。
選び方を提案したのはインデックスだった。
別に、取り立てて特殊なルールを提案したわけではなかったが、
じゃんけんで決めようという提案にはそれなりに思惑があったのだ。
それを、姫神は全く警戒できなかった。

「ねえとうま。お風呂まだ?」
「へ? まあもういい時間だけどさ、まだ秋沙だっているし」

そんな会話を遠くに聞きながら、姫神は公開を続ける。
じゃんけんに負けた人が洗い物をする。負けは一人でも二人でもいい。
それが役割分担のルールだった。不公平に姫神は気づかなかった。
インデックスは、上条と何度もじゃんけんをしたのだろう。そして、癖を覚えていたのだろう。
インデックスがことごとく上条と同じ手を出しているのに気づいた頃には、姫神は一人負けしていた。
ルール上、何の違反もなかった。インデックスの記憶力の良さは反則にはならなかった。

「終わったよ」
「秋沙、お疲れ。ありがとな」
「うん」

色々腹立たしいので、うまく愛想良く笑えない。
しかしそれだってインデックスがいることを考えれば、不利益なのだ。
不機嫌な表情の姫神と、楽しそうに自分にじゃれ付くインデックスの、どちらを上条は可愛く思うだろうか。

「当麻君」
「ん?」
「ご褒美のキス」
「……えっと」
「嫌なの?」
「そんなことないって」

濡れた手を拭いて上条の隣に座る。そっと顔を持ち上げられて、キスをされた。
キスをした上条の表情が優しくて、ささくれだった機嫌が少しだけおさまる。

「とうま、次は私」
「駄目」
「あいさには聞いてないもん」
「じゃあ当麻君に聞いてみたら?」
「とうま。ぎゅって、して?」

あくまでキスはねだらない。それは姫神への敗北を意味するはずだが、むしろしたたかな印象がある。
キスをねだって、上条を困らせても、結局欲しいものは得られない。
それよりも上手い妥協案を示したほうが、よほど美味しいのだった。
インデックスはこうして、まんまと上条の胸に抱かれた。
そして安堵したようなため息をつく。インデックスの意識とは関係なく出たものだったが、
姫神を抱いたときと同じ反応で、上条はその吐息にドキリとした。
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 01:37:23.50 ID:Y7ljunqAO
>>1
インデックスさんのいる前でチュー合戦…だと?

とりあえず間に挟まれた上条さん爆発しろ。この鈍感さはもはや犯罪レベルwwwwwwwwww


>>912
ここの姫神の可愛らしさは異常。某所みたく携帯ブッ壊して殺しに来る姫神も好きだが、結局姫神が好きって訳よ!!
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/27(日) 07:22:47.18 ID:7b+2TuKu0
____________
| 最悪の展開は回避された |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 \恋人は破局も有り得るが/  \ 家族や妹なら / \ずっと一緒に居られるよ!/
    ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      ̄ ̄ ̄ ̄|/ ̄      ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ┏ ┏      ┏ ┏      ┓ ┏     ┓ ┓      ┓ ┓
    (´・ω・)    (´・ω・)     (´・ω・)     (・ω・`)    (・ω・`)
  /.ゝ .ノ\  /.ゝ .ノ\  <[地雷]> /.ゝ .ノ\  /.ゝ .ノ\
  ┌'、_丿┐   ┌'、_丿┐  ┌'、_丿┐  ┌'、_丿┐    ┌'、_丿┐
  ┛   ┗  ┛   ┗  ┛   ┗  ┛   ┗   ┛   ┗ 
      ____∧_    __∧_______
     ( この勝負…… )  ( インデックスの勝ちだね )

同じ屋根の下、二人暮らし
転んだ拍子にうっかり受精卵着床……そんなアクシデントも有るよね
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 08:38:53.33 ID:93XG80FIO
>>920
>転んだ拍子にうっかり受精卵着床……そんなアクシデントも有るよね

さすがにねーよww
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 09:14:20.26 ID:aooBDQyAO
流石の策士っぷりです
頑張るインデックスも焦る姫神もかわいいお

蟻さんってインデックス派だったか?ww
でも転んだ拍子にうっかり出産とかも十分考えられる…うん、妹ならしょうがないな
923 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/27(日) 12:30:47.22 ID:YqlYn7iHo

三人でべたべたとくっつきながら過ごしているうちに、もういい時間になっていた。
姫神がまだ帰らない。
いつ帰るのかと聞くと、帰って欲しいと思っているように受け取られそうで聞けなかった。

「お風呂、沸いたね」

電子音がそれを告げている。

「とうま、お風呂入らないの?」
「いや、秋沙がいるし、さ」
「私。お邪魔かな?」
「馬鹿。違うって。秋沙がいるのにほったらかしは良くないだろ?」

ある程度予想がついていたので、さっと姫神に腕を回して抱き寄せる。
インデックスが積極的なせいで、いつもよりしっかり抱きしめたり撫でたりしてやらないと、姫神が満足しない。

「当麻君」
「ん?」
「一緒にお風呂。入ろっか」
「……水着、どこにしまったっけな」
「要らないよ。当麻君は自分の家で水着を着てお風呂に入るの?」
「秋沙……冗談じゃなくて、本気で言ってるのか?」
「死んじゃうくらい恥ずかしいけど。当麻君が望むんだったら」

ゴクリ、と上条は唾を飲み込んだ。
ついこないだ、かなりきわどいところまで見たところだった。
胸の先端の桜色が、まだ脳裏に焼きついている。

「とうま。私も一緒に入る」
「……」

駄目と、姫神が言わなかった。
上条から見えないところで、インデックスを見つめた姫神の視線が本気の怒りを孕んでいた。
インデックスが目を逸らす。
そうやって、本気で姫神と喧嘩してまで、やりたいことは出来ないのだ。

「インデックス」
「嘘だよ。ほら、あと二人も待ってるんだからとうまは早く入って!」
「あ、ああ……」

戸惑いながらも、上条はせかされて服を携え、風呂場に向かう。
インデックスと姫神はそれを見送る。

「ごめん」
「……わたしこそ睨んでごめん。でも。あれは」
「別にあいさも一緒に入っても、いいのに」
「そういう問題じゃないよ」

裸を見て、上条が暴走しないとも限らない。
自分にその欲望が向くのであれば、程度の問題はあるが、構わない。
だけど、インデックスを上条が意識するのは許せない。

「あいさはとうまに裸を見られるの、嫌なの?」
「嫌なんてことは……ないけど」
「ならいいよね」
「え?」
「別にあいさがいてもいいから。私、今からとうまのところに行く」

嫉妬が、インデックスの心の奥底で燻っていた。
自分とは違うのだというところを見せ付けたいのだろう。
一体何度、姫神は上条にキスをねだって、そしてしてもらったことか。
……その行為を、自分は諦めている。戻れなくなると分かっているから。
だというのに、なぜ姫神は何度も見せ付けてくるのか。
姫神の焦りが、インデックスの強引さを誘っていた。
恋人の一歩手前で止まるはずのインデックスは、
姫神に触発されてその一歩手前という線引きのギリギリを狙ったチキンレースを始めていた。
924 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/27(日) 12:43:26.02 ID:YqlYn7iHo
>>920
この先どうなるかは色々考えちゃうよね。
でも俺が語るとこのSSの公式な未来を提示することになってしまうので、黙っときます。
あーでも喋りたいw

925 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/27(日) 13:20:22.77 ID:YqlYn7iHo

さっさと体や髪を洗い、上条は湯船に足を突っ込む。
女の子を待たせると碌なことがないのは分かっているからだ。
一応、そういう気遣いをするのがマナーでもあるし。

「ふう……」

少し温いな、と感じた。温度設定を見るといつもより2℃低かった。
こういうことにはインデックスは疎いはずだが、と風呂を入れてくれた人間のスキルを疑うが、
この二日ほどで、インデックスは劇的に家事の能力を向上させたのだった。
その理由を考えると、痛ましい気持ちを感じないでもなかった。

追い炊きしようとスイッチに手を伸ばしたところで、パチ、と明かりが消えた。

「え? 停電?!」

当たりを見渡す。もちろんその行為に何の意味もない。
ついでに言えば風呂の温度を制御するコンソールは明かりを発していた。
そして風呂の扉の外に見えていた明かりが、カラカラという音と共に消えていく。
つまり洗面所も真っ暗で、明るいリビングとの間の引き戸が閉められたということだった。

「ねえとうま」
「インデックス?」
「私も入るね」
「……へ?」

上条の諒解をとるより先に、バタン、と風呂場の扉が開いた。
目も慣れていないし明かりがごく僅かしか入らないのでよく分からないが、
シルエットは、確かにインデックスのようだった。
体のラインでそれが分かった。つまり、風呂に入る人としては自然なことだが、
インデックスは修道服なんて着ていなかった。

「お、おい」
「見えないでしょ? もしかして見えててこっちのほうジロジロ見てるの?」
「そんなことねーよ! 全然見えてない」
「本当に? 当麻君」

インデックスの後ろから、姫神が入ってきた。
こちらはタオルを持っているらしい。巻いているのとは違う陰影に見える。
腰と胸のラインが、インデックスより年上な分だけ、成熟していた。
ついこないだを思い出して、そのシルエットだけで体が熱くなる。

「大丈夫、見えてないから」

大丈夫かどうかを聞くなら風呂に入ってこなければいいのだが、そうできない事情があるのだろう。
926 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/27(日) 13:23:43.03 ID:YqlYn7iHo

「とうま。まだ上がったりしないよね」
「あ、ああ……」
「ここのお風呂。私の部屋と反対の形だ」
「ひゃっ、あいさ! 冷たい冷たい!」
「ごめん」

慣れない風呂に真っ暗なまま入っている姫神が、インデックスの肩に触った。

「ちょっと寒いね。先に体洗う?」
「どっちでもいい……やっぱりだめ。私が先に入る」
「後でもいっしょなのに」

姫神は上条の隣からお湯を汲んで、体に掛けた。
髪を洗う気はないのか、束ねてタオルで包んであるらしかった。
すこしづつ目が慣れて、瞳の潤みと濡れた体の照り返しが見えてきた。
はっきりとは分からないが、上条はその胸元らしきカーブに目線が釘付けになった。

「当麻君。あんまり見ないで……」
「へっ?」
「目線がこっち見てるのくらい。わかるよ……」

成る程、胸を隠す仕草がこちらから分かるくらいだから、逆も然りだろう。
あわてて上条は体ごと目を逸らす。

「……絶対に。こっちを見ないでね?」

理由は分かりすぎるほど分かる。いまから、姫神は足を広げて湯船の縁を乗り越えるのだ。
その行為の最中には隠すべきところを隠せない。それも上条から50センチくらいのところにあるのに。
コクコクと上条が頷くと、姫神が立ち上がった音が聞こえた。
――――ちゃぷ
足のつま先が水に浸かった音がする。
上条は押さえ切れなくなって、そっと、姫神のほうを覗き見た。

太ももから、足の付け根、そしておへそが間近に見える。
とはいえ、真っ暗なので陰影と肌からの照り返しだけで判断してのことだ。
……足の付け根のところは、光の反射がなくてよく分からなかった。
勿論それは、その部分には肌が露出してない、ということを意味している。

「当麻君……」
「な、なんだ?」
「見ちゃ駄目って言ったのに」
「見えなかったから、大丈夫」
「そういう問題じゃないのに。もう」

浴槽の隣でインデックスがじゃばじゃばと水音を立てていた。ふーんだと苛立っているような雰囲気だった。

「当麻君」
「秋沙、その」

広いとは言え所詮は浴槽だ。姫神のスペース確保のために体育座りをしている上条に、姫神が抱きついた。
間違いなく、胸は腕に当たっていた。

「あは。……恥ずかしいけどこうやってくっつくと安心するね」
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 13:32:00.67 ID:ZChfNXf6o
ワッフルワッフル
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 14:27:21.86 ID:jHLBElCzo
なあこの上条さんは姫神さんのことが本当に好きなんですかね
最初のきっかけを見るにそうではない気がするぞ
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 14:29:56.34 ID:ced4TtE30
インなんとかさんと御坂&御坂妹の4Pお風呂シーンがあったような
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 15:55:23.48 ID:VO9q4S3R0
>>909
そのスレを俺にも教えてくれないか
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 23:52:03.31 ID:ipyKlnXN0
最初のきっかけはそりゃ意識してなかったんだしあんなもんじゃないの
932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/28(月) 00:28:45.48 ID:T2Lc0Xq30
上条さんは本当に大事にしなきゃいけないのが
なんなのかちゃんと理解してるのかね?
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 22:02:12.38 ID:Jb/2WAxc0
>>932
恋人も大切だけど家族も大切なんだろ
好意のベクトルの方向が違うだけで好意の大きさは同じくらいだろうし
三次元でも男が嫁と姑問題で苦労するのは嫁と姑にとっちゃ相手は他人にしかすぎないが
男にとっては二人とも大切な存在だからどっちにも味方しきれないで悩むんだろうし
934 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/02/28(月) 22:31:29.11 ID:kSY69CIvo
>>933 のが書き手としての心情に近いかな。
記憶を失った経緯とかで上条さんにとってインデックスは大事な人なわけですよ。
嫁姑問題との比較は的を射ていると思う。

ただまあ、巻き込まれ型の恋愛してる関係で、上条さんの主体性ってのが見えにくいところはあるかも。
こればっかりは作風なので仕方ない、という気もする。
だってバシッと姫神だけを選んじゃったらその瞬間こ試合終了だからなw
935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 23:11:45.95 ID:gm+mQ2ks0
nubewoさんきてるな、こんばんはー
936 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 23:29:59.70 ID:lbUgPX/Z0
 俺は嫁姑っていうよりも
まんまで、恋人とブラコンな妹でイメージしてた。
 すいませんほんとまんまですね……
937 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/01(火) 01:02:29.82 ID:AF+POTHZo
>>935
どうもこんばんは。
ちょっと別のSSのプロット書いてて更新は出来ませんが、けっこうこまめに覗いてはおりますよ。

>>936
いやそれまんまじゃねーかw
卑近な例えを使って理解してもらおうという趣旨の発言だったので、
ブラコンな妹と恋人が身近にいないんだったら例えにはなりませんな。
まあそんな境遇の人間がいたら俺の右手でそげぶしてやんよ!
938 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 01:14:19.61 ID:ihtNU0wEo
おいnubewo
勉強しなきゃ行けないのにこのスレ最初から読んで一時間半潰した
これで受験落ちたらお前のことを一生恨むからな

つかなんなんだよこの神SSwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
939 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 01:15:57.25 ID:HqArklCO0
なんなんだよこのSS最高じゃねぇかよ
940 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/01(火) 01:23:55.28 ID:AF+POTHZo
>>938
ばかやろう、神SSとか褒める暇あったら早く寝ろw
まあでも今更実力は伸びんよ。諦めて粛々と受験頑張っといで。
試験中に問題をyahoo知恵袋とかにのっけるなよー。

>>939
ありがとう。実際そういうコメ貰うとちょっとニヤっとする。
941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 02:00:13.09 ID:mNUfeWJao
おっきと萎えを繰り返しまくって寝れないどうすんのこれ
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 05:38:43.40 ID:gouSQigMo
姫神×吹寄のエロ百合を妄想するんだ
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 19:07:51.82 ID:p1s6hVIx0
余計寝られなくなったぞ
944 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/01(火) 23:05:07.27 ID:AF+POTHZo

ばしゃばしゃとインデックスが石鹸のついた体をお湯で洗い流す。
目が随分と慣れてきて、ひときわ白いインデックスの体が、少しずつ闇から浮いてくる。
目のやり場がなくて、困る。

「当麻君。またいやらしい目、してる」
「……見えないだろ?」
「見えてるもん。鼻息荒いし」
「げ」

見えずとも分かる、ということか。

「とうま、自分から入っておいて言うのもなんだけど、あんまりじろじろ見られたら恥ずかしいんだよ」

一応きわどいところを隠してはいるインデックスだった。
だが、隠されたほうが気になるのが複雑な男心だ。

「インデックスの体が気になるんだったら。こっちを見てれば良いのに」
「いいのかよ?」
「だめ。……だけど、いいよ。隠してるから。多分見えないと思うし」
「そっか」

上条は体育座りをして前にかがんだ姫神の、顎を上げ、そして上体を反らせようとする。
そうすれば胸元は丸見えになる。

「あ。ちょっと当麻君。だめ。だめ!」
「見ろって言ったの、秋沙だろ」
「手を出すのは反則だよ。や。だめ。あ」

姫神の片腕を奪って、体を仰け反らせた。たぶん、明るければ乳房の形をはっきりと確認できたことだろう。
……暗がりの中、半分水の中に浸かった胸元は、外形すらもよく分からなかった。

「だめ……! 恥ずかしい」
「……見えない」
「嘘言っても駄目」
「嘘なら良かったんだけどさ」
「うー……とうま!」
「な、なんだ」
「次は私の番だから!」
「何がだよ」

いつの間にか洗い終えたインデックスが、洗い場から身を乗り出して上条を睨んでいた。
胸は隠してあったので見えなかった。

「変な事はしちゃだめだよ。当麻君」
「しねーよ。それよりほら、次は秋沙が体を洗う番だろ? インデックスじゃなくて、俺は秋沙のお尻見てるから」
「馬鹿! ……もう、外に出られないよ」
「あいさが出ないんだったら狭いけど私が入っちゃうんだよ。とうま。
 見られないようにするけど、見えちゃうかもしれない。けど、見ちゃ駄目だよ。
 とうまが勝手に見ても私は気づかないけど」
「いってる意味がよくわからねーんだが」

ただまあ、男はどうにもこうにも欲望に忠実な生き物で、
見ちゃ駄目だと分かっているのに、ついインデックスの胸元から目をそらせない。
945 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/01(火) 23:07:13.68 ID:AF+POTHZo
>>941
体が熱くなっちゃう描写のあたりで読むのを止めます。
妄想を頭の中でたくましくします。
おもむろに自家発電します。
ウッ…スヤー

でどうか。
946 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/01(火) 23:33:16.82 ID:AF+POTHZo

インデックスの肢体は少女らしいラインだと言っていい。
姫神が成熟して丸みを帯びつつあるのに比べて、腰からせり出した骨盤の周りだとか、胸元だとか、
そういう所に未成熟な硬さを感じさせる体つきだった。
どちらかというと姫神のほうが、欲を言えばもう一回りくらい成熟したラインが上条の好みなのだが、
そういう好みとは別次元で、綺麗な女の子の体というのは視線を惹きつけて離さない魔力がある。

「とうま。横、もっと空けて」
「お、おう」

冷静になって考えれば自分がここから出て行くとか、そういう方法も取れるのだが、
上条も動転していて気が回らなかった。
三人入れば明らかにお湯が溢れるであろうそこに、インデックスが入り込もうとしていた。

姫神は上条の余計な一言で外に出るのが恥ずかしかった。
だが、今インデックスが入ると同時に出なければ、下心丸出しの上条はインデックスに釘付けになるかもしれない。
勿論それは怒って、無理矢理視線を逸らせればいいわけだが、自分が逃げている癖に、
上条に文句を言うのもフェアじゃないかと姫神は思うのだった。
……改めて、上条の言ったことを反芻する。
お風呂から上がるとき、上条は自分のお尻を眺めるといった。
それは、恥ずかしい。とにかく恥ずかしい。だけど、それは嫌なことか。そう自問する。
答えはノー、だと思う。強い羞恥心を感じることは、ノーという答えと直結はしない。
少しだけ、心の中のほんの少しだけ、自分の裸で上条が喜んでくれるのなら、見せてもいいかと思う心がある。
上条にほかの女の子を見て欲しくない。
その独占欲を正当化する理屈として、女の子としたい行為は全て自分にして貰う、というのを姫神は心に決めている。
上条が女の子の裸を見たいと思うのは、まあ、たぶん、男子高校生として自然なんだろうと思うし、
それなら自分は、裸を、見せてあげても良いんじゃないだろうか。
これは自分を安く見せることにはならないだろう。
上条の隣には今、もう一人インデックスという女の子がいるのだから。激戦区で商店が客取り合戦をするのと同じだ。
もちろん明るいところなんて絶対に駄目だけど。さすがにそれは恥ずかしすぎて死んでしまう。

「当麻君」
「秋沙?」
「絶対に、見ちゃ駄目だよ」
「……」

少しあざとかったかな、と姫神は自覚があった。
上目遣いで上条を見て、少しだけ、上条に分かるように腰を浮かせた。
胸元のガードもちょっと甘いと思う。
知ったことか。どうせもう上条には、まじまじと見つめられて、それどころか吸われてしまった胸だ。
上条が、横でそろそろと入ろうとしているインデックスより、こちらに注目したのに姫神は感づいていた。
下半身の、前は絶対に見られないようにしながら、姫神はざばりとお湯から立ち上がった。

上条は、目の前10センチのところにある白い肌から、目が離せなかった。
肌を水が滴っていく。膝の辺りから上へと視線を這わせていくと、すぐに、ぷっくりとしたお尻に行き当たった。
どちらかというと姫神はスレンダーな、あまり肉感的ではない肢体をしているほうだと思うが、
それでもお尻のラインはどう見ても女性のそれだ。
水着を見たときから分かっていたことだが、そのラインに物凄く興奮した。
丸みがあって、肉厚で柔らかい感じがして、そして大きく二つに分かれた山のその間の谷が黒々としている。

「とうま、さすがにそれは見すぎだと思う。えっち、って怒る気にもならないよ……」
「ぅえ!? あ、いやこれは」
「当麻君の馬鹿」
「う、馬鹿で結構。秋沙のお尻が魅力的なのが悪い」
「この前から当麻君そればっかりだよ……」

姫神の声が泣き出しそうな響きだった。

「この前って、何?」
「あ、いや。まあなんだ」
「当麻君と、プールに行って水着でいちゃいちゃしたの」
「……ふーん」
947 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/02(水) 00:15:48.17 ID:Wz7AyTo0o

ちゃぽん、と上条の隣にインデックスが体を沈めた。

「ねーとうま」
「ん?」
「あいさとどんなことしたの?」
「ぶほ」

上条は直球すぎるその質問に吹かざるを得なかった。

「キス……した?」
「う、そりゃまあ」

インデックスはそれについては確証があった。さっきも目の前でされたところだ。
あれはファーストキスには見えなかった。

「あいさの体の変なところに触ったの?」
「へ、変なところってなんだよ」
「……とうまのえっち」
「いやいやインデックスさん! 話振ったのあなたですよね?」
「でもとうまはえっちだもん!」

変なところってどこだ、と聞いた上条の視線がどこに向いたのかをインデックスは見逃さなかった。
明らかに、自分の腰のほうだったと思う。
お風呂の中だし、隠しているので見えたはずはないと思うが、それでも抗議するのは当然だと思う。

「で。何したの?」
「内緒だ」
「髪に触った?」
「……それは別に普通だろ」
「じゃあ背中」
「それも問題ないだろ」
「じゃあ……胸、とか」
「……」
「触ったんだね」
「黙秘する。そう思うんだったら勝手にそう思え」
「とうまが嘘ついたときとかすぐ分かるよ。今のは肯定の沈黙だった。
 お尻には触ったの? ……今のは曖昧だね。服の上から? あ、図星だ」
「あの、お願いだからそれ以上追及しないでもらえませんでしょうか」

黙り込むときの息遣いなんかが正直すぎるのだ、この同居人は。

「じゃあ最後の質問。とうま、あいさの胸、触ったの?」

再び沈黙。

「……もっと答えたくないことがあるみたいだね。触るよりすごいこと……?」

インデックスの想像力では、ピンとこなかった。
触るよりすごいというと、もう、こねくり回すとか、そういう――――

「……胸は何のためについてんだよ」
「それは、赤ちゃんに母乳を、って。まさか、嘘、とうま」
「文句あるか」
「あいさのおっぱい、吸ったの?」

死にたい、と上条は思った。恋人の胸を吸うくらい、普通だと思うのだ。
エロ本などの、そういうメディア各種で学んだ知識が正しいなら、それはごく普通の行為だと思う。
……現に姫神は気持ちよさそうな声を上げていたわけで。
だというのに、インデックスはまるで大の大人がおねしょをしたという話を聞いたような、
そんな、ありえないことを上条がしたかのようにこちらを見た。

「だぁっ、もう、別に良いだろ!?」
「駄目とは、言ってないけど」
948 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/02(水) 00:18:33.60 ID:Wz7AyTo0o

インデックスは自分の胸元をそっと見た。慎ましい。さすがに「無い」とは言わないで済むが。
姫神との差は歴然だった。姫神が小萌くらいなら、いい勝負になったのに。
一応、子どもを授かれる体ではあるのだ。今子どもを授かれば、自分は母乳を出せるのだろうか。
無理かもしれないと、そういう気がする。成長した女の人の体というのは姫神のような感じなのだ。
これじゃあ、上条は、興味を持たないのも仕方ないのかもしれない。

「……私の胸じゃ、吸いたいとか思わないよね」

嘆息するように、インデックスは独り言をポツリと漏らした。
姫神と、上条がいるその隣で。

「え、っと」
「インデックス。駄目だからね。絶対に駄目だからね」
「え、何が、って……っっっっっ!!!!! ちがうもん! 私そんなこと考えてないもん!」

どう二人が受け取ったのか、ようやく理解した。
違うのだ。誤解なのだ。
胸を吸うという行為が恋人同士の行いに分類されるらしいというのは今分かったが、
上条に胸を吸わせればお互いがお互いを好きになるとか、そういう事とどうしてもイメージが結びつかないのだ。
だってどう考えたって、胸を吸うのは赤ちゃんだろう。上条はそんな年ではない。
だから、上条に胸を吸われたら、という想像はインデックスの中で、上条を恋人に見立てるようなこととは関係なかった。

「インデックス、お前、結構エッチだったんだな」
「だからちがうって言ってるのに! とうまのばかばかばかばかばかばか!」
「お、おい、やめろって、ごめん! ちょっとやめろいででで! 当たってる!」

インデックスは照れ隠しに、いつものとおり上条に噛み付きにかかった。
……裸のままで。
ぷるんと、胸が上条の手に当たった。

「ごぼごぼごぼごぼごぼ」
「インデックス! 沈むな! 帰って来い!」
「当麻君?」
「違うぞ秋沙、今のは俺の意図どころかコイツの意図も超えて完全に事故中の事故だった!」
「事故なら私以外の女の子の胸に触ってもいいの?」
「そりゃもちろん良くは無いけど」
「……もう。当麻君の馬鹿。隣空けて。私も入る」
「あ、ああ、って、ん――」

画期的な方法を使って姫神は浴槽に入ってきた。
キスをして上条の視界を防いでいる間に入ったのだった。

「当麻君、残念そう」
「いや、だってさ。もう隠しても意味ないから言うけど、秋沙の裸、見たい」
「……また今度。いつか」
「え?」
「お風呂じゃなくてもっと落ち着けるところで。二人っきりで」

風呂以上にくつろげる場所なんて、とっさに思いつくのはベッドくらいだ。
姫神の言葉が、非常にきわどい意味で誘っているようにしか見えなかった。

「でも。当麻君が約束守ってくれたら、だよ。私以外の女の子と、変なことしないって」
「……分かってる」
「本当に分かってるのかな。今だって……」

インデックスに、上条は甘いと思う。
もっときっぱりとインデックスを突っぱねてくれればいいのにと思わないでもない。
ただ、それが出来ているならこんなにこじれることも無かったのだ。
離れがたい理由が、恋人同士だとか、肉体の関係だとか、そういうのがなくてもあったのだろう。
それはそれで、妬ましいことだった。
言葉が悪いが、そういう関係の深さは、寝取ることも出来ない居場所を、
インデックスが上条の仲に作っていることを表している。

「とうま」
「当麻君」

二人は同時に、上条の両手を取った。
姫神の体に触れた腕からは、柔らかい胸の感触があった。
インデックスに触れたほうからは、僅かだけそういう感触があった。

良くないと心のどこかで知りつつ、上条はその両方を振りほどけなかった。
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 00:32:18.52 ID:LtCPXuSw0
上条ちょっと歯を食いしばれ
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 00:37:32.69 ID:KWD5QGUio
劇中のフラグ建ってる女性陣が揃いも揃って奥手だからこんなことにはなってないけど
他のライバルを明確に認識して一刻も早く関係を持とうと一斉にきたらえらいことになるよな・・・二人でこれだぜ・・・
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 00:43:10.59 ID:39U1XhfIo
パンチは早いが女関係は愚図すぎる上条さんだからなー
姫神が必死に前に進んだ勇気を酌んでしっかりしてくれ
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 00:56:25.82 ID:y4YWmF0ao
脳内再生余裕過ぎて怖い
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 02:51:39.54 ID:y4YWmF0ao
上条「姉妹丼ってのを食べてみたいんだよな」
これ読んだんだけど、×××板にいけば〜ってのは
上条「姉妹丼ってかなり美味いよな」
これのこと?
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 05:21:37.17 ID:HfmZ/oah0
前半のインデックスの言葉責めに興奮した!
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 05:45:52.55 ID:EbXHq2rto
>>891
>姫神の嫉妬は結構同性にも向かう
上条さんに土御門や青ピと縁を切れとか言い出す姫神が見えたけど幻聴だよねそうだと言ってくれ
956 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [sage]:2011/03/02(水) 09:15:50.24 ID:3zgNR8AM0
>>953
いえす。そのとおりっす。
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 19:25:46.67 ID:KNJG7VpDO
ボーイミーツガール1話と2話見たけどなんかキンクリしてない?
こーゆーもん?
958 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/02(水) 19:41:30.25 ID:Wz7AyTo0o
>>957
意図的に付き合うまでを飛ばしたってのはあるな。
あと、実は書いた順が二話が先で一話を後から書いたんだ。
長編にする予定がなかったもんで。
だから、意図的にキンクリして時間が吹っ飛んでるのと、
書き手の力不足で違和感を感じさせてるのの両方です。
すまんす。
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 19:46:12.84 ID:OLEKhyea0

家族愛と異性愛の違いは相手とセクロスしたいかどうからしい
つまりインデックスを抱いた時点で家族関係じゃなくなってしまうよ上条
言い訳出来ないほど思いっきり浮気になってしまう
960 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/03(木) 10:43:20.30 ID:qCwx32fbo

先に二人を上がらせて、随分と長湯をした上条がリビングに戻ると、
インデックスがいつもの薄青のパジャマを、そして姫神が薄赤色のパジャマを身に着けていた。
インデックスの毛先が濡れたのを姫神が拭いてるらしかった。

「秋沙。なんでパジャマなんだ?」
「……今日は。この子が私に遠慮しないみたいだから。私も遠慮しない」
「え?」
「とうま。とうまのふとん、こっちに敷くね」

そういえば机の位置がおかしい。部屋の隅に立てかけられていた。
ゲーム機器もテレビ下のラックに押し込まれ、布団が充分敷ける広さを確保している。

「いやあの、そりゃ秋沙に地べたで寝ろとはいえないけどさ、
 さすがにあの寒い浴槽で薄い布団すらないと死にそうなんですけど」
「当麻君。いつもお風呂で寝てるの?」
「ああ、コイツ寝ぼけると自分で鍵開けて人のベッドにもぐりこんでくるからさ、
 中から鍵をかけられるあそこで寝るしかなかった」
「ふーん……」
「とうま。今日はお風呂じゃなくていいから」
「え?」

インデックスはベッドに上条の掛け布団を追加した。
もとからあった掛け布団も別に小さくはなかったが、二つあるとしっかりと体に掛けられそうだ。

「今日は、三人で寝るの」
「え? いや、そんな」
「あいさも良いって言ったから」
「良いとは言ってないよ。仕方ないってだけ」

面白くなさそうな顔で、姫神は歯ブラシセットを持って洗面所へ行った。上条もそれに続いた。

「秋沙」
「何かな」

インデックスの死角に入ってすぐ、上条は姫神を抱きしめた。だが姫神の表情はそれでは晴れない。
頬にそっと手を当てて、上条はその唇を吸い上げた。

「ベッドの中で。あの子に変なことしたら駄目だからね」
「しないよ。そういうのは全部秋沙にする」
「……あの子の隣で?」
「したくなったらする」
「変なことは。私にもしちゃ駄目」
「なんでだよ」
「恥ずかしいからに決まってるでしょ」

拗ねたようにそんなことを言う姫神が可愛かった。
耳たぶにキスをしてやる。

「あ」
「したくなったら、するから。秋沙愛してる」
「あ、あ……もう」

それだけ言って上条は話を切り上げた。
長く睦みあっていれば、インデックスが来てしまいそうだから。
姫神が照れ隠しにつんを唇を尖らせて、水道の蛇口を捻った。
961 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/03(木) 11:11:06.02 ID:qCwx32fbo

歯を磨いて戻ってくると、インデックスがベッドサイドに座って、ぼうっとしていた。
時間はいつもよりは早いが、まあ、もう電気を消してもいい頃だろう。

「もう、寝ちゃうんだね」
「まだなにかすることあるのか?」
「ううん。それはいいんだけど、あっという間だったな、って。今日の遊び」

眠りにつくまで、精一杯に目を開けていて一時間くらいだろうか。
それで、上条に可愛がってもらう夢は、おしまい。

「明日からはまたあっちで寝るんだよね?」
「そりゃそうだろ。お前と同じベッドは、まずいって」
「……そうだね。血の繋がってない妹じゃ、そういうのは駄目だよね」

妹、という響きが出るたびに、上条は違和感を感じていた。
インデックスは妹ではなかった。恋人という響きにも同じ違和感を感じる。
自分たちの関係は、そのどちらでも、なかったのだ。
もう、その名状しがたい特別な関係は、終わってしまったけれど。

それは観測によって状態が収束する量子のようだった。
観測の仕方によって、それは粒子のようにも波動のようにも現れる。
本質はどちらともつかない、曖昧な状態、可能性がどちらにも開かれた状態なのに、
観測してしまえば、どちらかに可能性を収束させなくてはならない。
上条当麻とインデックスという二つの存在を、
学生寮というブラックボックスに閉じ込めていたこの系(システム)は、
姫神秋沙という外乱に干渉された結果、二人の相互作用を兄妹という形に収束させつつある。
それに抗える、最後の時間が今だった。
いや、抗うのとは違う。未収束な状態に最後の夢を見る、そういう時間だった。
シュレーディンガーの猫はもう一つの結末の夢を見るか。
インデックスはきゅっと布団の端を握り締めた。

「ほら、はやくベッドに入ろう?」
「あ、ああ。もう明かり消してもいいか」
「うん……」

姫神がインデックスに促されて、一番壁際に押しやられていた。
そこまで見て、上条は明かりを消した。向かいの家が明るいせいで、真っ暗とは行かない。

「次は、とうま」
「お、おう。おじゃまします」
「ここ当麻君のベッドだよね」

クスリと姫神が笑った。その隣へと、近づく。
ついこないだを思い出す距離だった。そしてあの時よりも布団がある分、暖かい感じがした。

「とうま。狭いからもっと詰めて」
「ちょ、おい」

背中を押される。それで、姫神に密着した。風呂上りで、いい匂いがした。
インデックスの匂いがした。インデックスの使うボディソープを使ったせいだった。
軽く抱き寄せるように、姫神が手を回してくれた。それに従う。

「よいしょっと。えへへ。とうま」

後ろから、インデックスがベッドに進入してきて、上条に抱きついた。
第三者から見れば、上条は黒髪美人と銀髪美人を同時にベッドに連れ込んだ色男そのものだった。
962 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/03(木) 11:30:30.66 ID:qCwx32fbo

「とうま。あいさばっかりみてないでこっち向いて」
「しなくていいよ当麻君。キスしよう?」
「えっと」

ベッドに入ってすぐ、二人はこんな調子だった。
相手を咎めるようなことはあまり言わない。声のトーンも楽しげな感じ。
ただ、内容は上条を独占するようなことばかり。

「ん。ちゅ。あ……当麻君。当麻君」
「むー!」

インデックスには悪いが、上条はおねだりをされたときは、姫神を優先していた。
女の子とベッドに入るとそう言うことをしたくなるのである。
しかし、インデックスとはキスをするような仲じゃない。となると姫神を優先するのは自然だった。

「秋沙。愛してる」
「当麻君。私も……あ」

前より、姫神からこぼれる声が大きかった。
それに上条はドキドキする。そして実はそれ以上に、インデックスが刺激されていた。

ちくん、ちくんと心を刺すものがある。だけどそれはいい。もう、覚悟していたことだ。
びっくりしてしまったのは、姫神の反応。
上条に撫でられたことなら何度もある。抱きついたことも何度もある。
だけど、自分の体がこんな風になったことはなかった。
腕の動きで、上条が姫神の背中を撫でたのが分かる。

「ふあぁ……」

姫神のその声に、自分の体が反応しているのが分かった。
今、とうまにあんなことをされたら自分はどうなるのだろう。
あんなふうに気持ちよくなるのだろうか。声が、その、出てしまうのだろうか。
くたりと力を失った姫神の腕が上条に絡みついた。

「とうま」
「いででで! 噛み付きすぎだ馬鹿」
「撫でて」
「え?」
「私も撫でて!」

上条が姫神に向けていた体を、仰向けにする。
インデックスは姫神にじとっとした目で睨まれたのが分かった。
牽制するような目というよりも、良いところを邪魔されたのを恨む目のような、そんな風に見えた。

「ほれ、インデックス」
「あ……」

身構えるまでもなく、さすさすと上条に頭を撫でられた。嬉しい。
……けど、それ以上のことはなかった。別に、体に電気が走るとか、そんなことはない。
それがインデックスと、姫神の差だった。
姫神は女として、上条にされたいことがいくらでもある。
言葉にすることは恥ずかしくて出来ないが、上条の手と口で体が昂ぶったことがあるから。
あれこれと期待をして、それが快感に変わっていくのだ。
インデックスにはそれがなかった。何をされたいのか、その答えが自分の心と体の中にない。
撫でられると、嬉しい。それ以上のリアクションを持ち合わせていないのだった。
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 17:27:27.24 ID:NGgMlgNEo
珍しくインなんとかさんがかわいそうに思えてきた
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 18:49:54.61 ID:v0o0zCzF0
上条「秋沙愛してる」キリッ

やっべぇ、上条さん超かっこいいわ。原作でもこれだけの甲斐性があればなあ・・・
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/03(木) 22:02:12.86 ID:iB1VYQA70
    /   レ'////////////////|   『チキンレース』
    ,'     ,'≧========xl}
   i    {ノ/j__//jノ l:l: }_} ハl|   一見公平に見えるこの勝負も
   |  -=彡イノ __`  从ノ∨}人ミ≧ー 明らかに秋沙に有利な様に仕組まれていた
   |    ,'l ィfア行 }    f'ヲヽノV|   まず第一に、当麻は人並み外れて鈍感だという事
   }   ,' | ヽ竺ノソ    以ノ/,':i |   第二に、恋人の秋沙はブレーキを踏む必要が無い事
   /   /:八         '     {.:l |
.  /   /:/: |.:>     r‐,.   . イ .l |   私が勝つ為には
 /   ∧: : :r≦|>   ___ . < : |: `Y    この勝負が成立している前提を覆すしかなかった
./   /  \:ト、 ≧zzx__}>、j: :.|: : :|    私はこの夜、やり過ぎても構わないと思っていた  ┓ ┓
{.  /     \\  /`ー'7:\j:.: :.|    ブレーキを踏む気はハナからなかった       (・ω・´)
        ____∧___                    ___________∧__
       ( この一晩だけ…… )                  ( 狂気に魂を預けておけばいい! )
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 22:07:17.20 ID:YuAKL1b5o
>>965
何故かRAINBOW思い出したのは何故だ
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 00:46:20.96 ID:zwY9ck/uo
ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール
の左天さんだけバージョン書いてほしい
お願いしやす
968 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/04(金) 01:03:07.79 ID:Vsa9bsXOo
>>964
そんな甲斐性あったら一巻でインデックスルート確定しちゃってるw

>>965
そういうifをずっと妄想してたのは俺だけじゃなかったかw

>>967
そう言われましても……
というかあちらの話はあちらでお願いします。
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 06:23:48.17 ID:4Yz2UzTIO
上条さんは博愛だから一人だけを愛する恋愛には向かないな。
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 07:39:07.85 ID:xYoftKv5o
やはり二人の間で揺れる上条さんって感じにどうしてもなっちゃうね
俺が書いてるのもそんな感じになりそうだし
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 11:14:53.26 ID:2EtG6Rsao
C
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 22:10:16.71 ID:as5R1/EC0
nubewoさんのことをまだかまだかと待ち続けてしまう
もしかしてこれが…恋…
973 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/05(土) 23:47:45.66 ID:WY2yfpwpo
>>969-970
悩ましいよね。ほんと。
でも初めから婚后さんとくっついた状態のSSを書いたら、
上条さんは見事に彼女一直線の快男児になってくれたんだよな。
やっぱりシチュエーションというか、ストーリー上の要請なんだろうなあ。
974 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/05(土) 23:48:22.01 ID:WY2yfpwpo

「当麻君。続き……して欲しい」
「つ、続きって」
「もっと。キス欲しくなっちゃった」
「いや、でも」

あの子の前では恥ずかしい、と言ったのは姫神だったと思う。
まさかねだられると思わなかった上条は戸惑った。
その揺れる瞳を姫神は繋ぎとめるようにじっと見つめる。
続きをして欲しいといった自分の言葉に、半分だけ嘘が混じっていた。
本当は、インデックスを無視して自分を愛撫してくれるという、はっきりとした構図が欲しかったのだった。

「当麻君……して?」

普段ならあざといとさえ思う言葉だと思う。なのに今はまるでそんな気がしない。
上条がインデックスに背を向けた。ベッドをきしませて、自分を見下ろしたのが分かる。
はぁっという吐息と共に、耳に噛み付かれた。

「はぁぁぁん!」

声がこぼれてしまう。そういう体の正直な反応に、身を任せるということを姫神は覚えつつあった。
隣にインデックスがいることを気遣った音量ではなかった。
いあむしろ、隣にいるからこその、声だった。

喪失感と共に言いようのない驚きをインデックスは感じていた。
上条と姫神は男と女で、自分は違うのだという疎外感。恋人らしい側面を持っていた上条を喪失する感覚。
それと同時に、女とはこういうものなのかと、インデックスはまざまざと見せ付けられた。
きっと普通の女の子は、女同士のセクシュアル・トークや女性向け雑誌で仕入れた情報なんかで、
女というものを前知識として知り、そして男の手で身を持って体験していくのだ。
きっと、自分の友達が自分が大切に想う男の人の手で愛撫されている光景を直視することで、学ぶことは無いと想う。

耳という器官は人体の中でも割と複雑な構造をしているほうだ。
その形をなぞるように、姫神の耳を上条の舌が這う。
耳たぶをペロリとされたときだとか、かぷりと耳朶全体を噛まれたときだとか、そう言う瞬間に姫神が甘い声で鳴く。
それを聞きながらインデックスはそっと自分の耳に触れた。
なんとなく、インデックスは分かり始めていた。
姫神がどうして声を漏らしてしまうのか。何を気持ち良いと思ってしまうのか。
二人にばれないように、そっと太ももをこすり合わせた。

インデックスは自覚していなかった。上条は気づかなかった。姫神は逆効果なのを理解していなかった。
自分とインデックスの差を見せ付けようとしたこの行為によって、インデックスは男と女がすることというのを、
酷く具体的に理解し始めていることに。
いや、男一般が分かったかどうかは分からない。
それでも、上条当麻という男がどんな風に女を可愛がるのかを、インデックスは知ってしまったのだった。
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 23:51:53.38 ID:QZ1ASZ2AO
あれこれ周りにフラグが立つ前に誰かとくっついちゃえば……
976 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/06(日) 00:08:29.08 ID:Q3uQWixTo

「もう、終わりな?」
「えっ……?」

意外な上条の言葉に、姫神は切なくなった。
長いキスを終えて、かなり体に火がついてきたところだった。

「二人っきりじゃないしさ。また今度、な?」

上条としては、やはり落ち着けないのだ。男女の差も有るかもしれない。
愛撫されている間、姫神は理性を飛ばすことも出来るかもしれないが、
上条のほうは割と冷静なままなのだ。隣に見つめる目があると、気になるのだ。

「……わかった」
「ん、ごめんな。秋沙」

キスをして、上条は姫神に覆いかぶさる姿勢を止めた。
再び二人の女の子の間に体を落ち着けた。

「とうま。次は私」
「だめに決まってるでしょ」
「あいさには聞いてないよ。ねえとうま?」
「え、いや……」
「噛み付くくらい、私いつもしてるもん。次はとうまが私に噛み付く番」
「だ、だめだって。そりゃ、まずいだろ」
「なんで? どうして?」
「何でって」

耳を噛むのは恋人のすることだというのだろうか。

「私はもう、当麻に噛み付いちゃ駄目だってこと?」

真剣な声で、インデックスは上条にそう尋ねた。
それはインデックスにとっては自然な愛情表現だった。
恋心が無くてもそれは自然とやってしまう行為だ。
禁じられるのは、納得がいかない。

「別に、駄目だとはいわねえよ。けど、俺からは駄目だ」
「……」

姫神としては色々言いたくなる判断だった。
単なる親愛の情の発露だとしても、上条とインデックスが触れ合うのは嫌だ。
ただ、これを禁じると、全ての協定を反故にして、インデックスが上条を求めてしまうかもしれない。
渋々だが、姫神はこれを認めるつもりだった。

「よかった。私からはしてもいいんだね」
「……変な意図がないんだったら」
「明日からはね。今日は、知らない」

その挑戦的な言葉にカチンとなる。
早速と言わんばかりにインデックスが上条の片腕を封じて、耳に噛み付こうとしていた。
その反対側の首筋を狙って、姫神も上条に噛み付いた。

「ってて! って、秋沙、うあ……」
「とうま可愛い」

たまらず上条は声を漏らした。
ぬるりとした感触が、耳と首筋から同時に這い上がってきたからだ。
マーキングをするように、二人の女の子が自分を攻めていた。
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 00:11:39.55 ID:LGJuTXNDO
>>975
その展開をやったのが化物語な気がする…。早い段階でルート確定したので後はどうフラグをへし折るかみたいな。
978 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/06(日) 00:12:24.16 ID:Q3uQWixTo
>>971
よくわからないHなコメントね!

>>972
悪いがインデックスと姫神が俺の隣で寝てるからNo Thank Youなんだぜ
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 00:19:50.38 ID:FbITLOM/o
噛み付きが愛情表現とかほんとインデックスはクソだな・・・
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 00:21:46.27 ID:JrjBVGmQo
左右が埋まってるのか…じゃあ俺はnubewoさんに覆いかぶさればいいんだな?
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 00:28:06.86 ID:V+JOUQqCo
上条さん噛まれすぎ吹いた
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 01:04:30.89 ID:kYj00e2S0
犬にしか噛まれたことねえよ
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 03:09:09.82 ID:ZmjnXMvE0
うわーなんかじわじわくるエロさだな
上条さんの幸せものー
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 00:04:01.61 ID:HW1ZhhLAO
ちょっと気になったんだけどスフィンクスはどうなってたっけ?インさんが食べた?
985 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/08(火) 01:45:05.09 ID:ahLj9amNo
>>980
やめろwてか姫神とインデックス眼中にないとかどういうことだよw

>>983
じわエロがこのSSの目標です。うむ。
官能小説とかの、アホみたいな卑猥な単語を高尚に表現して連呼するの嫌い。

>>984
実はイチャイチャしてる3人の足元で寝てるんだけど登場させる余地がないので書いてないだけなんだ。

ぬう、終わりが近くて意外と筆を進めにくい。。。
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 02:48:03.55 ID:HvDIsDeAO
禁書目録は成った関係(ふたり)の夢を見るか?
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 09:46:07.45 ID:acH0FVW7o
あいさには聞いてないとかホントに身勝手なクリーチャーだな。
今後は風呂場にしまっといたほうがいい。
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 20:08:38.94 ID:HW1ZhhLAO
そろそろ次スレたてて欲しいです…あと1乙
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 20:12:14.63 ID:8EIsGPGm0
イカデックスウザ過ぎ
振られたんだからとっとと退場しろやクソが
990 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/08(火) 22:33:56.28 ID:ahLj9amNo
次スレたてたよー
上条「もてた」part2
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1299591081/

まあそんなに長いことはないんだけど、なくなっちゃったもんは仕方ねえ。
こっちにはもう投稿しないので、みなさまご移転ください。
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 00:57:14.99 ID:azbej0NH0
_______________
| このスレでの戦いは終わった…… |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 \僕等はアリンコ敗残兵/  \戦場目指して西、東/ \お砂糖求めて何処までも /
    ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/ ̄       ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ┏ ┏      ┏ ┏      ┓ ┏      ┏ ┏      ┏ ┏
    (´・ω・) _  (´・ω・) _  (´・ω・) _   (´・ω・) _   (´・ω・) _
    .ゝ\|装備|  .ゝ\|砂糖|  .ゝ\|地雷|  .ゝ\|食料|   .ゝ\|弾薬|
  ┌'、_丿┐  ̄ ┌'、_丿┐  ̄ ┌'、_丿┐ ̄ ┌'、_丿┐  ̄ ┌'、_丿┐  ̄
  ┛   ┗  ┛   ┗  ┛   ┗  ┛   ┗  ┛   ┗ 
    _____∧__    _∧_________
   (次の戦い待っている)  (各自、地雷に気を付けろ!)
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 19:36:58.26 ID:JwYIxfXvo
うめるよ
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 22:42:06.34 ID:0od7D4iDO
うめよう
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage ]:2011/03/10(木) 22:39:41.31 ID:z0dHiYef0
梅田
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 01:52:17.23 ID:lnNpht2+o
吉田
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 01:52:36.19 ID:AAufVL4qo
前田
997 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/03/11(金) 01:55:40.78 ID:qcpTqTzOo
本田△
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 02:20:44.54 ID:EKYUifQDo
山田
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 02:20:54.58 ID:HEkEWMRto
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 02:51:33.98 ID:v7dR8EE6o
>>1000なら姫神の喘ぎ声5割増し
1001 :1001 :Over 1000 Thread
           , -―  、
         /       丶
        /          ヽ      こんなにもスレ住民達がおじぎに飢えてるとは思わなかった
        i   _,,_ル,,rョュ 、 i
        |  ィ rっフ , 弋ミア |r,         わたしの愛を  全てのスレ住民に!!!
       _|  "''"~ ハ   ハ   .i;{ 
       } ;    / " '  ヽ   |j  _   \ニニニ ニニニ   
        λヽ    r―''"入  /イ/ハ:.:/{ ノ !:::::|    ___ノ^ヽニニニニニ
      /.:::::  i   廷廾ニツ, , -――- 、 /:::::/ /      ̄`ヽニニニニニニ
     /.:::::::::::::: i、  - / -―- 、⌒V::::::/ // j___ノ、  ヽニニニニニ
  /ニニ、`ヽ`ヾ;  ヘ.イ 、__(   >  \/ (__ ノニニニ     \ニニニニニ
 ,仁ニニニ\ヽヽヽ ∨   /ニニ>彡>--')__ ノ    `ヽニ     \ニニニニ
 ニニニニニニヽ   /     {ニニ> ´ `¨¨´         ニ}      \>''"´
 ニニニニニニニニ/     ∨ /               }八
 ニニニニニニニ./        }ニ{  >>1000 thread over    ノニヽ     ノ
 ニニニニニニニ/       }ニハ               /⌒ヽヽヽ ___彡
 ニニニニニニニ!        ノニニヽ、            /     ` ー=彡'ニニニニ
 ニニニニニニニ}          ⌒`丶、     /⌒ヽ  ノ     ノ____
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ムギ「ゴッドイーター?」 @ 2011/03/11(金) 02:28:12.71 ID:HxykDwl+o
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馬鹿な女とのメールを貼っていく 後日談 @ 2011/03/11(金) 01:26:20.80 ID:YkNDDO1xo
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【白い日】きのこたけのこ大戦 会議場★46【悪しき習慣】 @ 2011/03/11(金) 00:49:08.92 ID:B3ctVy7c0
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【連続戦闘禁止】FFTEB part34【そして度重なるRepair】 @ 2011/03/11(金) 00:47:11.38 ID:rLTH0imn0
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対人恐怖症、脇見恐怖症の孤独者おいでよ( ´‐`) @ 2011/03/10(木) 23:46:13.44 ID:YUmtU9MAO
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【完璧な淫乱ホモ】13歳ホモ充だけど質問ある7【になりたい】 @ 2011/03/10(木) 23:44:42.42 ID:qVWt+Nad0
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