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唯「ポケモンマスターになるよ!」 -
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1 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/04(木) 00:30:19.11 ID:f034qyoo
vipでやってた続きで、こっちに立てるっていっちゃったからこちらへ
カントーくらい書きだめ終わらせてから立てるわ とかほざいてたけど
書きだめぜんぜんおわらねー ってことでたてちまった……
一応前スレ
唯「ポケモンマスターになるよ!」
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1287973818/
なんか自分を焦らすものがないと進まないことがよくわかった。
とりあえず、タマムシジム投下
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
[
Twitter
]: ID:???
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】
ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。
【進撃の巨人】俺「安価で巨人を駆逐する」 @ 2024/04/27(土) 14:14:26.69 ID:Wh98iXQp0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714194866/
諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/
少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/
渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/
二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/
佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/
全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/
君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/
2 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 00:31:33.38 ID:f034qyoo
――タマムシシティ(ポケモンセンター前)
澪「じゃぁ、そろそろ私も行くよ」
そういって澪の手を置いた先には自分の羽を毛づくろいしているピジョットの姿がある
唯「うん、澪ちゃんも頑張ってね!」
澪「唯……。律が旅立つって言った時に唯が言ってた言葉、今でも覚えてるか?」
あのときを思い出す
それは律のガーディと戦った後、交わした言葉
唯「うん、ちゃんと覚えてるよ。私がカントーのバッチを、りっちゃんはジョウト、澪ちゃんはまたそことは違う地方
のバッチを制覇するっていったことだよねっ」
3 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 00:32:09.67 ID:f034qyoo
澪「あぁ、あの時私は無理だって言ったんだっけな。でも……」
澪の目に強さが宿る
澪「私もやる。絶対にバッチを集めて、律と唯に置いていかれないように、いや負けないようになる」
ピジョットの背中に乗りそう告げた澪に
唯「大丈夫、澪ちゃんならできるよ。でも、わたしも負けないよっ!」
そしてピジョットの翼が広げられた
幾度か羽ばたき
上昇した。
4 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 00:35:44.77 ID:f034qyoo
そのとき
――ここのゲームコーナーの地下にはロケット団のアジトがあるんだって
後ろから声が聞こえた
どうやら通りすがりに話している声が聞こえてきたようだ。
だが、それに唯は一瞬ビクリとする、が
――ばっか、お前それ2年前の話だろ
その言葉を聴き、内心でほっ……と胸を撫で下ろした
澪「唯……?」
5 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 00:39:46.26 ID:z5glQAoo
おお!待ってました
6 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 00:40:18.19 ID:f034qyoo
一瞬唯がビクリとしたのを澪は見逃さなかった
だが、その後の唯の顔はいつもどおり。
にこやかな顔をしていたので気のせいだと思い気に留めるのをやめた
唯「おーい、澪ちゃーん!!今度会ったときは誰が一番強いか勝負しようねーっ!!」
澪「あぁー、そうだなー!あと唯も頑張れよー!」
見下ろす形になるが、そう叫び返し
ピジョットが出発した
唯「さぁ、私もジム戦がんばるぞっーー!!」
7 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 00:41:16.90 ID:gTp/UUAO
オマエが来るのを待ていたアァー!!
8 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 00:45:22.99 ID:f034qyoo
――タマムシジム前
唯「たのも〜〜〜!!」
ドアと共に開けていく視界に唯は驚いた
1つはジム内いっぱいに花が植えられて、花畑のようになっていること
もう1つは
唯「わぁ……!!女の子しかいない!」
そこにあったのは女性しかいない光景
9 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 00:51:25.11 ID:f034qyoo
あるものはおしゃべりし、あるものは花に水をあげたりしている
そしてその花畑の中心位置、そこでウトウトと座っている女性がいた
その容姿端麗ともいえるその姿は、とても絵になっていて
ナツメとはまた違った美しさをかもしだしている。
唯「わぁ……和服美人ってやつだよ……!」
呟きながら、その女性のほうへ近づいていくと
???「……少し寝てしまっていたみたいですわ」
唯の影によって翳りができたことで、女性が意識を覚醒させた
10 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 00:55:55.46 ID:f034qyoo
唯「えっと、ジム戦がしたいんですけど……」
???「あらっ、挑戦者でしたのね」
そう言って唯の顔を見上げ
そして
???「!!……あなたもしかして唯さんではありませんか!?」
和服の美人が驚いた声をあげた
唯「えぇっー!!なんで私の名前を!?」「もしかして私結構有名人になってるのかな」
「ジムを次々に破って行ってる美少女がいる、とか!!」
一人で舞い上がる唯を傍目に、女性は微笑んだ
11 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 01:00:27.48 ID:f034qyoo
???「ふふっ…あなたのことはナツメから聞いています」
唯「えっ、ナツメさんから?」
???「ええ、とても変わった少女がいる、とね。……おっと、私の自己紹介がまだでしたね。私の名前はエリカ」
「このタマムシジムのリーダーですわ」
告げたエリカは背を向け
エリカ「どうぞ、こちらへ」
12 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 01:09:55.02 ID:f034qyoo
通された場所はバトルフィールド
そこは芝が敷き詰められており、鮮やかな緑の色をしていた
エリカ「さぁ、お話は後にしてジム戦をやってしまいましょうか」
告げたエリカの手のひらには3つのモンスターボール
エリカ「使用ポケモンは3体ということでよろしいですね?」
唯「うんっ!……じゃなくて、ハイっ!」
言い直し唯も3つのボールを取り出した
13 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 01:15:21.12 ID:f034qyoo
エリカ「では、参ります」
唯「いくよっー!!」
エリカ「行きなさい、ウツボット!」 唯「ヒー太、頑張って!」
繰り出されたのは草と炎。その相性は
唯「やった、相性は抜群だよっ」
エリカ「あらあら、これは少し不利なようですね。……しかし」
「ウツボット、あまいかおり」
先に指示をだしたのはエリカのほうだった。
ウツボットの葉から甘い香りが漂い、それはリザードの鼻にも入る
14 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 01:20:16.89 ID:f034qyoo
唯「ヒー太、惑わされないで!炎の牙っ!」
リザード「リザッ!!」
リザードがウツボットに向かい猛進する
その時、エリカの顔が怪しさを含んだ笑みをした
エリカ「さそい出されましたわね……。唯さん、あなたさっき惑わすって表現しましたわね?
あれはとてもいい表現ですわ。」
そのままリザードがウツボットに牙を剥く
そしてウツボットの体が高温の牙に耐え切れず、火を上げた
15 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 01:25:13.40 ID:f034qyoo
唯「やったっ!これでひとまず1勝だねっ!……あれっ、ヒー太?」
喜びもつかの間、フィールドに立っているはずのヒー太の姿はなかった
そこには
エリカ「勝った、と思いましたか?ですが、残念でしたね。このとおりリザードは眠りについておりますわ」
唯「……ねむりごなっ!?」
エリカ「ご名答ですわ」
そして唯は図鑑を慌てて開いた
No.071 ウツボット
ミツの かおりで えものを さそう。
くちのなかに いれたものは 1にちで
ホネまで とかしてしまうという
唯「あのあまいかおりは誘い込むための技だったんだ……」
16 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 01:30:37.11 ID:f034qyoo
エリカ「ええ。このフィールドを炎のフィールドに変えられるのはもっともまずいこと。
なのでそうそうにご退場を願いました。」
エリカは落ち着いた様子で
「さぁ、唯。次のポケモンをお出しなさい。それとも、あなたの力はそんなものですか?」
唯「……! ううん、まだ負けられないよっ!さぁGOだよ、ビー太!」ボンッ
出されたのは、スピアー。
そのはりきり具合は、羽音がブンブンとうるさいことからも読み取れる
唯「さぁ、エリカさんも次のポケモンを出してね!」
対し、エリカは
エリカ「虫ポケモンもあまり得意ではありませんが、いってくださいなモンジャラ!」ボンッ
ボールから繰り出されたのは、以前に唯が戦ったことのあるポケモンだった
17 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 01:35:34.82 ID:f034qyoo
唯「モンジャラなら前に戦ったことがあるよ。行くよ、ビー太」
「きあいだめ!」
スピアーが両手の巨大な針を互いにカチカチと鳴らし合わせた
エリカ「モンジャラ、つるのむちで叩き落してしまいなさい」
モンジャラの攻撃が蔓がのびる。
その数は一本、二本ではない。数え切れないほどの蔓がスピアーに向かって放たれた
唯「ビー太、みだれづきで全部打ち落として!」
18 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 01:39:54.59 ID:f034qyoo
指示されたスピアーは向かってくる幾つもの蔓を点で捕らえ、打ち落とす
だが、攻撃は終わらない
エリカ「モンジャラの蔓はまだまだありましてよ」
打ち落とされては、体の蔓を放つ
放っては、打ち落とされる
数分の攻防のスピードは衰えることなく、続くが
唯「(ビー太の羽音がだんだん小さくなってる……?)」
「はぅ、まさかっ!」
エリカ「気付いたようですね……」
「そう、何度も蔓と針が何度もぶつかり合う瞬間。その時に蔓を通してメガドレインで少しずつ体力を頂きましたの」
19 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 01:45:22.53 ID:f034qyoo
そして唯が叫ぶ
唯「ビー太っ、それ以上は駄目!その蔓を交わして懐へもぐりこんで!」
エリカ「切り替えの早さはいいですが……はたしてこの蔓を抜けていけますかしら」
なおもモンジャラの蔓による猛攻は止まらない
唯「ビー太っ、お願い力を振り絞って!」
「こうそくいどう!!」
スピアーの羽音が大きくなる
そして消えた
エリカ「はやいですわねっ!?」」
20 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 01:49:49.82 ID:f034qyoo
モンジャラの蔓が漂う中を音だけが駆け抜けていく
モンジャラも必死に蔓をバシバシと振るうが
エリカ「っく……!」
気付けば、スピアーはモンジャラの目の前にいた。
そしてモンジャラの体中をまいている蔓の中身に針をあて
唯「ミサイル針!!」
放った。
21 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 01:54:32.84 ID:a5pRJnko
おお、きてたか
22 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 01:56:18.99 ID:f034qyoo
エリカ「モンジャラっ……!!」
モンジャラ「……モン………」バタリッ
モンジャラの放っていた蔓が地面に一斉に落ちる
エリカ「ごくろうさまでした、モンジャラ。戻ってください」
その時
――ドタッ
地面になにかが落ちる音がした
スピアーだ。
唯「ビー太っ……!!」
23 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 02:00:58.84 ID:f034qyoo
エリカ「どうやら、あなたのスピアーも限界だったようですね」
「さぁ、最後です。行きなさいラフレシア」
唯「戻って、ビー太。さぁ、初陣だよ――」
「――フィーちゃん!!」
繰り出されたのは、先日捕まえたばかりのイーブイだった
24 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 02:05:15.43 ID:f034qyoo
――マサラタウン(前日)
夜も更け、だんだん眠りの時間に近づいてくる頃
唯「うーん、この子の名前どうしようかなぁ」
先ほど捕まえてから、ずっとイーブイをもふもふしていた唯が首を捻った
イーブイもまんざらでもなく、唯に顔を摺り寄せている
律「もう、ブー太でいいんじゃねぇの?」
めんどくさそうに泊まりにきていた律が言う
イーブイ「!!…・・・ブイッ!!」
イーブイが律のほうをキッと睨み、首をイヤイヤとするようにふった
25 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 02:10:05.26 ID:f034qyoo
律「…………こいつ本当に臆病なのかよ……」
そういいながら唯の抱いたイーブイをつつく
唯「りっちゃん…………」
唯が律のほうを哀れんだ目で見つめた
律「っ!!なんだよ、その目はー!」
唯「りっちゃん、この子女の子なんだよ。さすがにそれはないよ」キリッ
律「あぁーもう唯のセンスはわからん!」
そういった律は布団にバタッと寝転んだ
26 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 02:12:37.32 ID:gTp/UUAO
ポケモン離れて久しいから名前分かっても何に進化するか分かんねーww
27 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 02:16:15.12 ID:f034qyoo
唯「ねぇねぇ、澪ちゃんはなんかいい名前ない?」
唐突にふられた澪がえっ?といいながらイーブイをじっと見た
澪「うーん……ブイブイとかイーちゃんとか……」
そういった澪の声はだんだんとしぼんで行く
唯「うーん、あんまりピンとこないね……」
その言葉にガーンとショックを受け澪もノックダウンした。
28 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 02:20:15.51 ID:f034qyoo
澪「もう自分でなにか考えろよぉ……」
律「そうだっ!そうだっ!」
唯「女の子だから、『ブ』って文字は避けたいなぁ……」
律も澪もすでに寝る体勢に入り、唯が一人唸る
そして
唯「そうだ、『ブ』から濁点をとって、イの文字を小さくして、フィーにしようっ!!」
律「あー、はいはい、好きにしてくれ」
澪「……ブイブイも悪くないと思うだんけどなぁ……」
29 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 02:25:41.53 ID:f034qyoo
時は戻りタマムシジム
唯のボールからフィーと名づけられたイーブイが飛び出した
イーブイ「ブイッ!!」
エリカ「(あの子は…………)」
唯「さぁ、行くよフィーちゃん。でんこうせっか!!」
先手をうったのは、イーブイ
繰り出されたラフレシアへ突撃をかける
エリカ「ラフレシア、受け止めなさい」
30 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 02:30:08.05 ID:f034qyoo
大きな花弁ででんこうせっかを受け止め
エリカ「メガドレイン!」
花弁がイーブイを包み込むように覆う
唯「まずい!フィーちゃん、じたばたしてっ!!」
慌ててイーブイが花弁から抜け出し、距離を取る
エリカ「ならば、踊りなさいラフレシア。はなびらのまい!」
ボンッと言う音とともにラフレシアのつぼみが開いた
中から飛び出たのは膨大な量の花弁
そして放出された花弁は意思を持つかのように宙をひらひらと舞う
31 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 02:35:09.17 ID:f034qyoo
唯「フィーちゃん―――」
唯がぼそっとなにかの指示をだすが、エリカには聞こえない
そしてイーブイに動きが見られた、が
その動きは一度大きく口をあけただけ
エリカ「(……なにかひっかりますがこのまま押し切ってしまいましょう)」
「さぁ、花弁たちよ、あのイーブイを襲いなさい」
唯「フィーちゃん、向かってくる花びらにすなかけ!」
イーブイが後ろ足で砂をかき、そのまま花びらが待っている方向へ蹴り出した
花弁と砂が互いの間で拮抗しあう
32 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 02:40:08.63 ID:f034qyoo
唯「フィーちゃん頑張って!!」
イーブイ「ブイブイッ!!」
呼びかけにこたえるように、イーブイがさらに砂を蹴り上げた
砂の力が花びらを上回り始める
意思をもったかのように見られた花弁は砂とぶつかりあい、ただ舞い落ちる
そして花びらによって遮られていた視界がひらけた
そこには
エリカ「お見事です。しかしこの間に日本晴れにさせていただきました」
「さぁ、とどめです。ソーラービーム!!」
ラフレシアの構えた花びらの砲台から、まばゆい光りが放たれる
唯「っ……!フィーちゃん、こらえて!」
避けるまもなく、イーブイが光りのビームに包まれた
33 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 02:45:08.15 ID:f034qyoo
だが、イーブイはそれでも自分の四肢によって立っていた
エリカ「こらえきりましたか……ですがもう虫の息。止めをさしてあげましょう」
「ラフレシア、もう一度ソーラビームです」
だが、ラフレシアは動かない
エリカ「ラフレシア…?」
唯「ふぅ……すでにねむっちゃってるよ」
エリカ「眠り……?そんな、自身の粉は食らわな……!!」
そこで気がついた
34 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 02:50:05.72 ID:f034qyoo
先ほどの不振なイーブイの大きく口を開ける行動
あれは
エリカ「あくびでしたのね……!」
唯「あとちょっと眠るのが遅かったらこっちがやられてたけど、フィーが頑張ってくれてよかったよ。ねっ、フィー?」
ボロボロとなったイーブイをそっと抱き上げた
イーブイ「ブイッ!!」
体力も極限の中、イーブイが答えるように鳴いた
35 :
>>34 5行目訂正 ボロボロとなったイーブイをそっと抱き上げると
[sage]:2010/11/04(木) 02:55:57.14 ID:f034qyoo
エリカ「そうですわっ、このイーブイですけど……」
「もしかして、このイーブイはタマムシ大学にいた3匹のイーブイではありませんか?」
抱えられたイーブイにそっとエリカが近づいた
唯「うん、たしかマサキさんも博士もそういってたよ」
エリカ「やはりそうですか!あのイーブイがこれほど人に懐くことがあるとは……正直私驚きました」
「あ、そうでした。バッチでしたわね。……はい、これがレインボーバッチです」
そういって花をかたどったような鮮やかなバッチを差し出した
唯「やった、これでバッチ集めも半分のところまできたよっ!!」
喜ぶ唯に、エリカも微笑む、が
エリカ「唯さん、少しお話があります」
すぐに深刻そうな顔に変わってしまった。
36 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 03:00:06.23 ID:f034qyoo
――タマムシジム(エリカの私室)
唯「わぁ、すごいっ!」
その空間に足を踏み入れた唯の最初の感想はそれだった
周りをみれば、たくさんの香水を並べた棚や活けられた花、立てかけられた弓などが目につく
エリカ「それで、さきほどの続きですが」
あたりを興味深深にキョロキョロする唯にエリカが切り出した
エリカ「あなたがロケット団の狙いである破壊の遺伝子をもっていることはナツメさんから聞き知っています」
唯「そうだ、ナツメさんっ!!ナツメさんとエリカさんはどういう関係なの?」
ナツメという単語を聞いた唯がすかさず反応した
37 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 03:06:26.36 ID:f034qyoo
エリカ「ナツメさんと私はいいお友達ですわよ。同じ立場の職ですしね」
唯「(同じ立場の職……?二人とも綺麗だしモデルさんでもやってるのかな?)」
エリカ「続けますが、唯さんがナツメさんと別れられた後、ナツメさんはここタマムシジムにやってきました」
「予知夢の話、ハナダシティであったこと、全て話してくれました。そして協力してほしいとも」
唯「つまり、エリカさんは味方ってことでいいんだよね」
エリカ「ええ、そして唯と名乗る子がジムに来たときに、
なにか困っていることがあれば聞いてやってほしいともおっしゃってました」
ですがとエリカは繋ぎ
エリカ「その様子では、特に今のところ困っているということはなさそうですね」
唯「うーん、いまのところはない……かな……」
38 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 03:10:01.10 ID:f034qyoo
エリカ「ただ一つ気になることができました」
唯「え?」
エリカ「唯さんのイーブイです」
唯は首をかしげたまま、次の言葉を待つ
エリカ「そのイーブイは元はタマムシ大学にいた といいましたね?そしてあまりに懐かないためマサキさんの手に渡った。ですが、実は懐かなかった という理由だけで手放したわけじゃないのです」
「その子がまだタマムシ大学にいたころ、ロケット団と思われる男に大学が襲撃を受けました」
淡々と語りが始まった
エリカ「その男は、イーブイの研究をやっていると知ってやってきたのでしょう。そこでイーブイを出せ と」
「その場はなんとか追い払いましたが、大学側はやっかい払いをするようにイーブイ達をマサキさんの手に渡してしまったのです」
唯「フィーちゃん……」
モンスターボールに入っているイーブイを見つめた
39 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 03:15:20.45 ID:f034qyoo
エリカ「そして今はあなたの手に と言うわけです。」
唯「…………」
つまり、とエリカは言い
エリカ「あなたはロケット団に狙われる理由がもう一つ増えてしまったと言うわけです」
「まだばれていないのが、幸いですが」
エリカの顔つきが厳しいものとなる
エリカ「あなたに……その2つのものが守れますか?」
唯「……わたしは……むずかしいことはあんまりわからないけど、それでもこれは守らないといけないってことはわかってる。フィーちゃんだって同じだよ。この子はもう私の友達、だから」
唯「――絶対に守りきるよ」
そういった唯の顔はいつもよりりりしいものになっていた
「VSラフレシア」〆
40 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/04(木) 05:51:06.52 ID:gTp/UUAO
乙
41 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/04(木) 06:48:29.52 ID:z5glQAoo
あげ
42 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/04(木) 13:40:42.03 ID:3k1m7rg0
今北
>>1
まってたぞーー
43 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/04(木) 16:13:10.14 ID:K7vanG.0
新しく立てたのか
気になってたから嬉しいぜ
44 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/04(木) 17:03:01.31 ID:AEOSgM.0
ほ
45 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/05(金) 00:32:19.78 ID:efB3Hnwo
今日くるかな
46 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 00:50:25.25 ID:N6sBx.Ao
エリカ「ここからならば次はセキチクシティになるでしょう」
「自転車はお持ちですか?」
質問の答えに唯は首を横にふる
エリカ「ならば、シオンタウンを経由してそこから南にいくしかありませんね」
「ここから東へ行くと地下通路があります。そこを抜けさらに東に行くとシオンタウンです」
唯「うん、いろいろありがとう。エリカさん」
そうして唯が出発したのがジム戦の翌日だった
47 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 00:55:07.21 ID:N6sBx.Ao
――シオンタウン
唯「やっとついた〜、ここがシオンタウンかぁ」
一人ゴチる唯に1人の少女が近づいてくる
少女「ねぇ、お姉ちゃんはこの街は初めてなの?」
唯「うん、実はそうなんだ。よかったらこの街のことを教えてくれるかな?」
唯が少女に目線をあわすため、しゃがみ問いかけた
少女「えっとね〜、この街はね。もうすぐラジオ塔ができるの!ほら、あそこ」
そう言って1つの塔のほうを指差す
48 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 01:00:01.22 ID:N6sBx.Ao
唯「あれのこと?」
唯がおなじほうを指し、確認の意味を込めて聞き返すと
少女「うん!少し前まではポケモンのお墓だったんだけど、ラジオ塔になるんだってー」
「あとは一番上の階を局長室に工事するだけなんだけど……」
少女の言葉が濁る
が、唯がそのさきをやさしく促がすと
少女「お化けが出てねー、そのお化けの鳴き声が聞こえるんだって」
「今、フジっておじいちゃんがそのお化けとお話しにいってるの」
49 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 01:03:56.31 ID:efB3Hnwo
おお
50 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 01:05:30.17 ID:N6sBx.Ao
――タマムシシティ
唯を送り出した後のエリカはいつものようにジム業に戻っていた
そこへ
ジムトレーナー「エリカさま、ナツメさまから通信が入っております」
エリカ「!!……わかりました。すぐにいきます」
そうしてエリカはその場を後にした
51 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 01:09:46.33 ID:N6sBx.Ao
――シオンタウン(元ポケモンタワー)
唯は少女の話を聞いた後、好奇心に負けポケモンタワーまで足をはこんでいた
唯「へ〜、一回はもうラジオ局の受付になっているんだね〜」
話しかける相手は傍らにいるミニリュウ
ミニリュウ「リューー」
なんだかんだといっても、唯はお化けという恐怖の中一人でいくのを不安に思い
お供にポケモンをだしていくことに決めたのだ
52 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 01:15:11.24 ID:N6sBx.Ao
局長「おおっと、ここより上は立ち入り禁止だよ」
立派な白髭を蓄えた初老の男性が2階への階段まえで立ちふさがる
唯「えぇー、そんなぁ〜」
局長「今は幽霊騒ぎでいろいろ急がしいんだ。見学ならまた今度にしてくれるかな?」
唯「ぶーぶー……せっかくきたのに〜」
不満をそのまま口に出したとき、唯の顔がピンッとなにかを思いついた顔に変わった
唯「ねー、おじさん。その幽霊騒ぎの原因が見つけてきてあげる!」
53 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 01:20:12.54 ID:N6sBx.Ao
局長「ダメダメ、君みたいな子がうろうろするのは危険だから」
手のひらでしっしっと追い払う動作をする
その動作に唯はグチグチと不平を漏らしながら、回れ右をした
唯「ちぇっ!……これでもバッチ4個ももってるのに……」
局長「!!」
唯の背中を見送っていた局長の顔が、変わった
局長「……君、ちょっと待ちたまえ」
唯「?」
静止をかける言葉に唯は、ハテナ顔を作る
すると、局長はゴホンッと一度せきをして
局長「そこまで言うなら君にもお願いしようかな」
と、先ほどとは態度が変わった姿勢を示す
54 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 01:25:52.54 ID:N6sBx.Ao
唯「えぇ〜、もういいよぉ〜。セキチクに向かうついでによっただけだし〜」
そういいもう一度背中を向け去ろうとする唯に
局長「そ、そうだ!君が解決してくれると言うのならば、このスーパーボールを上げよう!」
取り出したのは、モンスターボールの赤とは違う青のボール
唯「わぁ……!青いモンスターボールだ。本当にこれもらってもいいの!?」
局長「あぁ!そのかわり原因の捜索はまかせたよ?」
唯「うん、うん!もちろんだよっ!」
「行くよ、リュー太!」
ミニリュウ「リューー!!」
55 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 01:30:08.09 ID:N6sBx.Ao
――元ポケモンタワー2階
唯「ここももうラジオ局って感じになってるんだねー」
【2階営業部】と階段の横に貼り付けられているプレートを見て唯は呟いた
局員「こらっ、ここは立ち入り禁止だぞ!どうやってはいったんだ」
局員の一人が駆け寄ってきながら、唯に声をかけた
唯「違うよー、ちゃんと下にいたおじさんに頼まれてお化けの探索にきたんだからっ」フンス
言うと
局員「し、失礼しました!」
その様子に満足した唯はごきげんに階段を上っていった
56 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 01:35:08.53 ID:N6sBx.Ao
――元ポケモンタワー4階
唯「もう、いやになっちゃうよー」
唯は3階4階と共に同じ注意をされることに、少しうんざりしていた
唯「それにしても、リュー太。なにか聞こえない?」
ミニリュウ「りゅー?」
――――
唯「やっぱり、なにか聞こえる……」
「なんだろう、この音」
そうして唯は耳を澄ますため、目を閉じた
―――
唯「これは……唄……?」
ミニリュウ「?」
横につくミニリュウが首をかしげる
57 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 01:40:50.66 ID:N6sBx.Ao
唯「唄だ……さっきと同じ音程が繰り返されてる。何かが歌っている?」
「それにしてもなんて悲しいメロディ……もしかしてこれが幽霊騒動の原因……?」
そして唯は階段に足をかけ、上の階へと上ろうとする
が
唯「少しいやな予感がする。リュー太、一度戻って」
ミニリュウ「リューー」
ボールにミニリュウを戻し、もう一度階段に足をかけた
58 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 01:46:20.38 ID:N6sBx.Ao
――元ポケモンタワー5階
唯が足を踏み入れた最終フロア
そこには一人の老人が一点を見つめて、立っていた
フジ「おや、君は……?」
唯「えっと、一番下にいたおじさんに頼まれて幽霊騒動っていうのを探りにきたんだけど……」
尻すぼみになっていく言葉には理由がある
唯があるものを見つけたからだ
59 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 01:50:06.43 ID:N6sBx.Ao
フジ「最初から幽霊騒動なんかじゃないんじゃよ……あの子がただ寂しくて泣いておっただけじゃ」
まだ撤去されていないポケモンのお墓の後ろにいる影のようなものを指差した
よく見ると、白い骨のようなものが見えている
フジ「あのポケモンの母親はとっくに成仏しとるというのに、あの子はまだ母を思って歌うんじゃよ」
唯は影のほうに図鑑を向ける
No.104 カラカラ
しんだ ははおやの ホネを かぶる。
なきごえは ホネのなかで
ひびいて ものがなしい メロディになる。
60 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 01:54:22.74 ID:YtW8LYAO
お仲間フラグか
61 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 01:55:12.00 ID:N6sBx.Ao
唯「やっぱり、あの子は唄を歌ってるんだ……」
「止めなきゃ、こんな悲しい唄」
フジ「なにをするきかね?」
唯「この唄を止めて……唄はもっと楽しいものだって教えてあげなきゃ」
フジ「だが、あの子に近づくと手にもった骨が飛んでくる……」
唯「ならっ――」
ボールからモンスターを出そうとする唯を
フジ「ポケモンは出さないほうがいい。この唄は滅びのうたと言ってポケモン相手には立派な技となる」
フジが手で制し止めた
62 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 02:01:18.27 ID:N6sBx.Ao
唯「…………」
少しの沈黙が流れる
そして
黙りこくった唯が、なにか決意めいた顔をした
唯「……うん、やるよ」
その言葉は自分に言ったようにも思えた
フジ「な、なにを」
唯が呼吸をスゥっと吸い
唯「――――」
歌った
63 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 02:05:23.89 ID:N6sBx.Ao
その唄はカラカラの奏でるメロディとは間逆
唯の明るい声が部屋を満たしていく
そして
カラカラの唄が止んだ
唯は歌うのをやめ、カラカラのほうにそっと歩いていき
唯「もう大丈夫。寂しいのなら私と一緒に行こうっ!」
カラカラのほうに手を差し出す
64 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 02:10:32.40 ID:N6sBx.Ao
カラカラ「カラ……」
カラカラがそっと自分の持っていた骨を唯の手に渡し、骨越しに手をつないだ形になった
唯「そうだっ、丁度さっきのボールをもらったんだった」
そういってスーパーボールを取り出すと
唯「一緒に行ってくれるなら、このボールに入ってくれるかな?」
そう問いかけると、カラカラは自分からボールにコツンと軽く頭をぶつけ
スーパーボールの中に吸い込まれていった
「VSカラカラ」〆
65 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 03:22:46.69 ID:IY3EzK.o
乙乙!
66 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/06(土) 00:30:10.10 ID:OaLxS7wo
ほ
67 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/06(土) 00:40:07.72 ID:dyjA5gAO
此処はほっといても1ヶ月以上持つから保守はいらんよ
68 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 02:17:58.96 ID:QFc/yPQo
――元ポケモンタワー5階
唯「これで問題解決だねっ」
たった今、騒動の原因を捕獲した唯はニコニコ顔でそういった
フジ「……お嬢さんは不思議な子じゃのぅ」
唯「えへへ」
――コツコツ
先ほどまで歌で満たされていた部屋に今度は足音が響く
音のほうを追うと、あるのはこの部屋への唯一の出入り口
階段だ
69 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 02:20:09.15 ID:QFc/yPQo
???「フジに用があってきてみれば……この前のナツメを助けた女もいるとは今日はつくづく運がいい」
男がいた
その格好は黒を基調とし、服の真ん中にはRの文字がある
以前まみえた相手
それは
唯「ロケット団!!」
ランス「ほぅ……ナツメから話でも聞いたのか。なら俺の目的もわかっているんだろう?」
唯「……」
唯は一歩ジリッと後ろに下がり、ボールに手をかける
70 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/07(日) 02:25:24.28 ID:QFc/yPQo
ランス「まぁいい。女、お前は後だ。フジ、お前に用がある」
そういってフジへ話しかけた
ランス「単刀直入に聞くぞ。ミュウの研究日誌はどこにある?」
唯「(……研究日誌………?)」
ランス「お前がミュウの研究をしていたことは分かっている。当然研究成果を記したものはあるよなぁ?フジ博
士」
フジ「……そんなものを手に入れてどうする気じゃ………」
ランス「そんなものは決まっている。作るのさ!最強のポケモンをな」
フジ「……!!」
フジの顔が変わる
それは焦りというよりも、憤りに近いなにか
71 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 02:30:40.97 ID:QFc/yPQo
フジ「いかん!!もう2度と悲劇を繰り返してはならんぞ」
温和な雰囲気を持ったフジが怒声に近い声を上げた
ランス「……まぁいいさ。どうせ素直に教えてもらえるなんてこっちも思っていない」
「でてこい、スリーパー」ボンッ
振り子を持ったモンスターが現れる
ランス「このスリーパーの催眠術は強力でな。眠っているうちに嫌でも在り処を吐いているさ」
「やれ、スリーパー」
唯「行って、リュー太!!」ボンッ
フジ「!!」
フジににじりよろうとしていたスリーパーの行く手をミニリュウが塞いだ
72 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 02:35:50.33 ID:QFc/yPQo
唯「まきつく!」
続けて、ミニリュウがスリーパーの動きを制限する
ランス「女……なんのつもりだ……?」
唯「そんなことは絶対にさせないよっ。おじいちゃん後ろにさがって」
フジを自分の背中におき、手で制する
ランス「……お前にはナツメの居場所さえ吐いてもらえれば、手荒な真似はやめてやってもいいともおもっていたのだが」
「どうやら、そういうわけにもいかなそうだな!!」
そしてもう一つボールを掲げ
ランス「行け、マタドカス!そのミニリュウを排除しろ」
風船状の紫色のモンスターが現れる
その体からはなにかガスのようなものが噴出されている
73 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 02:41:00.76 ID:QFc/yPQo
唯「2体目っ!?」
ランス「ヘドロ爆弾!!」
毒毒しい色をしたヘドロでボールの形が作られていき
放たれた
唯「っ……!ヒー太、加勢して」ボンッ
「メタルクロー!!」
飛び出したリザードがヘドロを爪で真っ二つに切り裂く
ランス「面白い、2対2というわけか。だが、ミニリュウのほうがおろそかになっているぞ」
「スリーパー、毒ガスをだせ」
唯「……!! リュー太、いったん引いて」
まきつくことを解除したミニリュウが唯の手前まで戻る
74 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 02:45:27.01 ID:QFc/yPQo
ランス「どうしたっ? そんなもんか」
「そら、マタドガス。だめおしだ」
マタドガスの攻撃がリザードに直撃し、唯の前まで吹っ飛ばされる
唯「ヒー太……!」
ランス「次はそっちだ。スリーパー、サイコキネシス!」
スリーパーの念の力により、ミニリュウの体が宙に浮き
壁に叩きつけられた
75 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 02:50:40.45 ID:QFc/yPQo
唯「リュー太まで!!」
ランス「さぁ、女チェックメイトだ。後ろのフジをこちらに引き渡してもらおうか」
唯「………」
にじり寄るランスから逃げるように唯も一歩遠ざかる
そのとき、
唯のあいだにミニリュウとリザードが入り込んだ
ランス「……ちっ、もういい邪魔だ。マタドガス大爆発だ!」
マタドガスが発光するように、白く光り
瞬間
爆風が広がった
76 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 02:57:13.45 ID:QFc/yPQo
唯の目の前にはかばうようにリザードとミニリュウが存在している、が
盾の役割となっていた2匹も爆発を受け、その場に倒れ伏した
唯「なっ……!? そんな自分のポケモンごと……!!」
唯の視界にはリザードとミニリュウのほかに、スリーパーがいた
一番間近で爆発を受けた影響かその姿は無残にも最もボロボロになり倒れている
ランス「あー、これで催眠術で穏便に、っていうわけもいかなくなってしまったな。恨むのなら抵抗した自分を恨め」
蔑むような目で倒れているポケモンを見渡し
ランス「ところでだが」
77 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 03:03:44.91 ID:QFc/yPQo
ランス「――いつ俺が2体しかポケモンを使わないといった?」
言われたときには、すでに手遅れだった
――ドスッ
音の発生源は唯の腹部
そこにはゴルバットの姿と、大きく広げた羽で唯の腹部に直撃している光景がある
唯「!!…………」トタッ
衝撃に耐え切れず、唯もその場に崩れ落ち、図鑑が地面を転がった
ランス「あーあ、せっかく忠告してやったのに……まぁいい、こいつを連れて行けばナツメの場所もおいおい分かるだろう」
78 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 03:08:27.26 ID:QFc/yPQo
そういいながら唯に近づき、腕を持ち上げ吊るすように起き上がらせた
だが
フジ「ま、まて。日誌の場所は教える。……だからその子にはそれ以上手を出さんでおくれ」
フジがランスに待ったをかけた
ランス「ほぉ……ならどこだ。さっさと言ってみろ」
フジ「………………グレンタウン…………グレンタウンのポケモン屋敷じゃ」
フジの声がだんだんとトーンを落としていく
ランス「それは本当だな…?……グレンか……ちっ、やっかいな場所に」
79 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 03:14:00.45 ID:QFc/yPQo
舌打ちをしたランスは忌々しそうな様子をみせるが
フジ「さぁ、その子を離してやっておくれ」
言うが、ランスは開放する様子も見せず、自分のポケモンをボールにしまう様子をみせるだけだ
そして、ニヤリッといやらしく笑い
ランス「………約束なんて守るとでもおもったか?」
そういいながら、唯を連れて行こうとする
しかし
ランスの足元に2つの影が現れ、その足に停止をかけた
ミニリュウ「……リュー………」
リザード「リザッ……」
80 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 03:16:42.13 ID:QFc/yPQo
2匹のポケモンはボロボロになりながらも、主人を連れていかせまいと奮起する
ランス「邪魔なポケモン共だ」ドカッ
ミニリュウとリザードを蹴り払い、階段のほうへ行こうとするが
フジ「その子は置いていってもらおう」
今度はフジが立ちはだかった
ランス「ジジィ邪魔だ!どけ!!」
フジが手で払いどけられるが
その間に、リザードとミニリュウはもう一度臨戦態勢をとっていた
ランス「どいつもこいつも邪魔ばかりっ!!ゴルバットもう一度でてこい!!」
ランスがモンスターボールを投げよう構えを取ったときだった
ミニリュウとリザードの体が光りを帯びた
81 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 03:20:10.94 ID:QFc/yPQo
ランス「これは……!?」
ボロボロの体を包むように輝くその光は、だんだんと収拾をみせ
2匹の新たな姿が現れる
ハクリュウ「リューーーーー!!」
その姿は、神秘的で進化の光りとはまた違うヒカリをはなっている
リザードン「ガアアアアアー!!」
その姿は、大きな羽だけで相手を威圧できそうなほどの風格をみせ、尻尾の炎は蒼白くバチバチとなっている
2匹の雄たけびが部屋中を満たしていく
片方は静かに、片方は荒々しく
ランス「………なんだこいつらは……!?」
フジ「………お主はどうやら、この竜たちの逆鱗に触れてしまったようじゃの……」
82 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 03:26:28.49 ID:QFc/yPQo
そして
――パリンッ
部屋中の窓が次々に割れた
原因は風だ。気付けば外には暴風が吹き、真っ黒な雲がかかっている
ハクリュウ「――――」
言葉にならない鳴き声を上げた瞬間
突風が部屋の中を突き抜けた
余りの様子にランスは
ランス「………っ」
83 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 03:29:13.47 ID:QFc/yPQo
言葉も出さずに一歩後ろに後ずさるが
リザードン「ガアアアアアアアアアア!!」
炎を灯した竜がランスの後ろ側に回り込む
そして床にあった図鑑が、なにかの拍子に起動し、その情報を映し出した
No.148 ハクリュー
オーラに つつまれる しんせいな
いきものらしい。てんきを かえる
ちからを もつと いわれている。
No.006 リザードン
ほんきで おこった リザードンの
しっぽの さきの ほのおは
あおじろく もえあがる。
84 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 03:34:49.10 ID:QFc/yPQo
ランス「くそっ!!ゴルバットでてこい」
「くろいきり」
ランスの周りが黒い霧で覆われていき
どんどんと範囲を広げていく
そして霧の中から、人が飛び出した
いや、性格には投げられたといったところだろう
その姿は
リザードン「!!!」
気絶している唯だった
85 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 03:35:25.73 ID:QFc/yPQo
あわてて、リザードンが受け止めるために地面を蹴り、唯をキャッチする
その逆方向、時間差でもう一つの影が飛び出した
ゴルバットの足に捕まり、窓のほうへ飛んでいく
ランス「………この借りは必ず返させて貰う…!」
そうして、ランスはポケモンタワーから飛び立っていった
「VSマタドガス」 〆
86 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 12:20:25.79 ID:orNcVf2o
遂にミニリューが進化した!!
カイリューはお断りします
87 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 15:06:23.77 ID:OXVeIyQo
おつ!盛り上がってきた
88 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/07(日) 19:48:21.51 ID:E8w/uhQ0
うお、こっちに来てたのか
途中でおわってたから気になってたぜ
89 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 21:23:40.43 ID:66JzYAYo
進化の瞬間に立ち会えない唯カワイソス
90 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/08(月) 17:12:54.03 ID:hTkzA9E0
おぉぉぉぉぉおおお盛り上がってまいりますてぁぁぁぁぁ!!!!
91 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/09(火) 05:17:29.88 ID:Sd88Wpg0
いいね いいよ いいですよ
92 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/09(火) 07:04:32.16 ID:YGVn13k0
昨日から見てるよ!!
がんばってね。楽しみにしてる!
93 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/09(火) 17:37:09.28 ID:nWrD9Vc0
まだかにゃまだかにゃ
楽しみなのニャ
そういやさっき学校速く終わったからクリアファイル買いにローソンに行ったら
転売厨氏ねーーー-ーーーーーー!!!!!
クリアファイルが無くなるのはともかくキャンペーン商品全て売り切れとか...
結構田舎の方なんに...
94 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/10(水) 00:25:23.83 ID:xvTlP2AO
>>93
田舎だから欲しい奴皆そこに集まるんだよ
95 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 18:55:15.78 ID:hqDgC8co
――元ポケモンタワー5階
部屋は無残
窓は割れ、部屋の中にあったものはほとんど原型をとどめているものはなかった
その中に2つの人影がある
1つはフジ
もう1つは唯だ。
唯はハクリューの胴を枕にし、床に寝かせられている
さらにその周りにいるリザードンは唯を守るように尻尾と胴で周りを覆い休息をとっていた
96 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 19:02:09.33 ID:hqDgC8co
フジ「…………」
さきほどから唯の様子を見ようと近づこうとするフジすらも、この2匹は威嚇していた
フジが一歩踏み出せば、リザードンが威嚇し、ハクリューが唯の体を覆う
なのでフジはどうすることもなくその場でたたずむしかなかった
――コツコツコツ
脅威の去った部屋に、さきほどと同じ音が響いた
リザードン「ガアアア!!」
威嚇する。その対象は誰でもなくその音に対して
リザードンの脳にさきほどの男の来襲がよぎる
だが、そこに現れたのは
エリカ「……少し遅かったみたいですね………」
97 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 19:05:08.71 ID:hqDgC8co
予想外の人物が現れる
だが、リザードンの警戒は緩まらない
それは唯には近づけさせないという意思の表れだろうか
エリカ「ずいぶんと興奮していますようですね。でも――」
「それでは唯さんの状態はかわりませんよ」
言い切ったエリカはさらに続ける
エリカ「お退きなさい」
言葉に力を乗せて、発した
それでも、リザードンはその場を譲ることはなく
98 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 19:10:33.62 ID:hqDgC8co
エリカ「ならば……!!ラフレシアでてきなさい!」
「まずはこの興奮している状態をどうにかしましょう。アロマセラピー!」
繰り出された巨大な花のモンスターから、辺りに心地よいかおりがひろがった
満たされていくその香りはたしかに2匹の鼻に届いた
リザードンの尾の蒼い炎が通常通りの赤い炎に変わる
リザードン「ガアア……グルル」
エリカ「ラフレシア、くさぶえ!!」
香りが充満する部屋に、今度は笛の音が奏でられた
音が響きわたり
リザードンの目がトロンとし始め、ハクリューは体を丸める
その後地面に伏せ、2匹は寝息を立て始めた
99 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/10(水) 19:16:09.40 ID:Or7a5k.0
>>1
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
100 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 19:22:54.89 ID:hqDgC8co
エリカ「これで、ようやく唯さんの状態をみることができますわ」
そういうと、エリカとフジは傍らに同じようにリザードンとハクリューを傍目に唯に近づいていき
唯のポケットに手を突っ込んだ
エリカ「ありました。これがこの子達のボールですね。」
取り出したボールをリザードンとハクリューに向け
エリカ「あなた達も少しはお休みなさい……」
ボールに寝息をたてた2匹が戻され
エリカ「さて、唯さんの状態を見ているあいだにお話を少し聞かせていただいてもよろしいですね?」
問いかける先はフジ
フジはコクリとうなずき、ここで起こったことをポツポツと話しはじめた
101 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 19:25:39.94 ID:hqDgC8co
………
……
エリカ「やはり、ここにロケット団がきたのですね」
フジから話を聞いた後、まるで知っていたことを確かめるかのようにエリカが言う
フジ「あぁ。その子がワシを守るために闘ってくれたのじゃが……」
エリカ「そうですか……。あまり自分を責めないでください。あなたのせいではありません。」
フジ「………それでこの子はどうしてめざめないんじゃ? おなかを打たれただけならば、そろそろ意識を取り
戻しても」
エリカ「えぇ、私もそう思います。しかし……」
その時、エリカが一つのことに気付いた
102 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 19:30:38.58 ID:hqDgC8co
視線の先は唯の腕
そこには
エリカ「……私は破壊の遺伝子がまだ唯さんの手元にあることが、不幸中の幸いだとさきほどは思いました。
しかし今は別です。こんなことならば、素直に差し出して手を引いてもらうべきだったと」
エリカの顔が深刻そうな表情を作った
そして言った
エリカ「……ここに噛まれたあとがあります」
「おそらく、さきほどの話を聞く限りではゴルバットでしょうか。目覚めない理由は毒タイプのポケモンに噛まれ
体内を毒が回っているのでしょう……」
103 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 19:36:06.76 ID:hqDgC8co
フジの顔色も変わる
フジ「……なんとかならんのかね」
エリカ「容態は私にはわかりませんが、急いだほうがいいのは間違いないでしょう」
なので、とエリカが繋ぎ
エリカ「セキチクに今すぐ向かいます」
フジ「なぜそんな場所なのじゃね?セキチクなどここから距離が」
エリカ「あそこには毒タイプのエキスパートがいます」
104 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 20:36:27.51 ID:hqDgC8co
――セキチクシティ
唯「…………ん…………あれっ!!」
唯がガバっと起き上がる
まだよく状況が理解できずにあたりを見渡すと
リザードン「ガアア!」
赤く炎と灯した竜がいた
唯「……もしかして、ヒー太?」
リザードン「リザー!!」
うなずき唯に顔をよせる
105 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 20:38:20.57 ID:upoJmxko
よっしゃリアルタイムだ!!
106 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 20:42:40.80 ID:hqDgC8co
ハクリュー「リューーー!!」
唯の起き上がった後ろで鳴き声が上がった
その声につられ振り返ると
唯「わぁ!!もしかしてリュー太!!ずいぶん立派になっちゃったねっ!!」
そしてハクリューも唯に顔を寄せた
唯は2体の頭を撫でると
唯「あれ、ところで私どうなっちゃったんだっけ?」
「たしか、シオンタウンでロケット団と闘って……」
一人ゴチているところに
エリカ「あら、少し部屋から物音がすると思えば、お目覚めでしたか」
唯「エリカさんっ!」
エリカが唯に近づき、その側に座った
107 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 20:45:26.68 ID:hqDgC8co
エリカ「あなたのさきほどの質問には私が答えましょう」
「私もフジ老人から聞いた話ですが、あなたはロケット団と闘ったとき、ポケモンの攻撃を受けその場に倒れま
した」
「なんとか、その子達二体がロケット団を追い払ったようですが、」
唯「リュー太とヒー太が!えへへ、よくやったね、二人とも〜」
唯がもう一度、2体の頭を抱え、撫でた
すると、エリカが一度咳払いをし
エリカ「本当にその2体のポケモン達もあなたが倒れてから荒れて大変でしたのよ。……まぁ、あなたにそれだ
け懐いているということでしょうが」
108 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 20:50:11.40 ID:hqDgC8co
エリカ「それで続きですが、私がシオンに駆けつけたときにはすでにあなたは倒れていました。
そして唯さんが倒れているところを調べてみると、ポケモンの毒にやられていることがわかりましたので……」
唯「調べるって……ああん、エリカさんのえっち〜」
唯が半分いつもの調子を取り戻しながら、言うとエリカの顔が少し赤くなった
エリカ「腕だけです!!」
唯「あはは、それでそこからどうなったの?」
エリカ「あなたが毒にやられていることがわかったので、
すぐにセキチクシティまでそこのリザードンに飛んでもらいました」
109 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 20:55:04.66 ID:hqDgC8co
そしてリザードンを見つめ
エリカ「本当によくお懐きのようで、シオンのポケモンセンターで回復させたあと、
ずっとあなたのことを心配していたんですよ」
唯「そうなんだ……あれっ?ところでなんでエリカさんはシオンにまで駆けつけてきてくれたの」
エリカ「それはですね」
少しためをつくると
エリカ「あなたがタマムシジムを後にした直後、ナツメから連絡がありました」
…………
………
……
110 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 21:00:56.92 ID:hqDgC8co
――タマムシシティ
唯を送り出した後のエリカはいつものようにジム業に戻っていた
そこへ
ジムトレーナー「エリカさま、ナツメさまから通信が入っております」
エリカ「!!……わかりました。すぐにいきます」
モニターの前に行くと、そこには懐かしい顔がある
エリカ「ぜんぜん連絡をしてこないので、心配していたのですよ」
ナツメ「……ごめん。ところで、唯はタマムシのジムに来たかしら?」
モニターに移るのは、元は黒髪のお姫様のような髪型をしていた女性
現在は少し髪の毛が深い赤みを帯びており、毛先のハネが少し目立つ
111 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 21:07:53.26 ID:hqDgC8co
エリカ「えぇ、さきほど見事にこの私を倒されて行きましたわ」
ナツメ「そう。ふふ」
うれしそうに笑うと
エリカ「あら、そうやって笑われると私が少し傷ついてしまいますわ」
ナツメ「あら、ごめんなさい」
「それでだけど、唯はもうセキチクへ?」
エリカ「……? はい、自転車も持っていないようでしたので、シオン経由のルートを進めました」
答えを聞いた途端ナツメの顔色が変わった
112 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 21:11:28.43 ID:hqDgC8co
ナツメ「……大変。エリカ、唯を今すぐ追って!」
エリカ「……?」
その様子にナツメの必死さは理解したが、いまいち状況がつかめず疑問を顔に出した
ナツメ「今、おそらくロケット団の男がシオンタウンに向かっている」
エリカ「!!」
ナツメ「あの男は、ミュウの研究者がフジ老人だったことを知ったみたいだわ」
エリカ「ナツメ!!今あなたはどこにいるんですか?どうやってそのことを」
ナツメ「グレンタウンよ。ロケット団があちこちミュウの事を調べているのはここで知ったわ」
113 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 21:16:51.78 ID:hqDgC8co
エリカ「……あなたは大丈夫なんですね?」
確認の意を込めてエリカがたずねた
ナツメ「えぇ、私は大丈夫」
だから、と告げ
ナツメ「唯を助けてあげて」
その言葉を聞いた時、エリカはすぐにモニタを切り部屋をあとにした
114 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 21:20:17.33 ID:hqDgC8co
…
……
………
――セキチクシティ
唯「……そっか、ナツメさんが……」
「エリカさんもありがとうねっ!」
そういって微笑んだ唯が、うーん、と間延びをした
エリカ「それでですけど、あなたの毒を解毒したくださった方からあなたに頼みがあるようなんですけど、聞いて
あげてくれませんか?」
唯「うん、もちろんだよっ!命の恩人さんだもんね」
エリカ「だそうですよ、アンズさん」
115 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 21:25:32.20 ID:hqDgC8co
すると、唯の視界を上から下に影がはしった
シュタッと言う着地音とともに、唯が捕らえたものは
唯「わっ!上から女の子がっ!?」
目の前に現れたのは少し年上の少女
その格好は忍者
あきらかに現代では浮いた衣装の忍びがそこにいた
アンズ「アタイの名前はアンズ。唯殿に頼みがあり参った」
エリカ「まぁ、ここまで参ったのは私達のほうなんですが……」
エリカが横槍を入れるがアンズは気にとめず続ける
アンズ「唯殿には、私の初めてになってもらいたい!」
場の空気と共に唯の顔が固まった
116 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 21:30:55.06 ID:hqDgC8co
唯「へっ?」
エリカ「あらあら、アンズさん。その発言はいろいろと誤解を招きますわ。もう少し説明しないと」
エリカが頬に手を当ていうと、アンズがコクッとうなずいた
アンズ「実はアタイつい先日、父の跡を継ぎこのセキチクシティのジムリーダーに就任したでござる」
唯「ジムリーダーっ!?」
驚きの声を上げた唯にアンズは続ける
アンズ「だが、就任したものの、アタイには父上のように立派に任をこなせる自信がないでござる」
エリカ「そんなに難しく考えるものではないとおもうのですが……」
アンズ「そして聞けば唯殿はこれまでのジムリーダーの先達たちを撃破してきたと」
唯がいやぁ〜と照れた顔をする
117 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 21:31:13.14 ID:cg1n0YAO
いやはや今時の女の子は進んでますなww
118 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 21:35:42.34 ID:hqDgC8co
アンズ「だから、そんな唯殿だからこそ、アタイの初めてのジム戦の相手になってほしいでござる」
そして
アンズ「唯殿と善戦できた時は自分に自信がもてそうなのでござるよ……」
声のトーンと共に顔を落としたアンズの手をそっと唯がとった
唯「うんうん!もちろんだよっ〜!もともとジムリーダーには挑みに行くつもりだったしね」
アンズ「……唯殿!」
唯「でもねっ、私は負けないよ!」
そういって唯はもう一度微笑んだ
119 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 21:42:26.79 ID:hqDgC8co
――セキチクジム
エリカ「では互いに使用ポケモンは2体ということでよろしいですね?」
唯とアンズが互いにうなずく
そして
唯「よーっし、やるよ〜!!」
「GOだよ!カラ太!!」ボンッ
ボールの中から現れたのは、シオンで捕まえたカラカラだった。
初陣ということもあり、張り切っている様子が見れる
カラカラ「カラー!!」
骨を器用に手先で回し、カラカラは相手のポケモンを待つ
120 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 21:45:25.62 ID:hqDgC8co
アンズ「アタイの先手はこれでござる!いけ、マタドガス!」
唯「!!」
唯の頭に敗北のシーンがよぎった。
だが、
アンズ「…?……どうしたでござるか?」
すぐに現実に引き戻され
唯「あ、なんでもないよあはは……」
首をブンブンと横に振り、
唯「よっしー、それじゃぁいくよー。カラ太、ホネこん棒!!」
121 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 21:50:17.09 ID:hqDgC8co
カラカラが骨を握り締め、宙に浮いているマタドガスにながりかかるが
アンズ「マタドガス、高度を上げて」
マタドガスがふわりと高度をあげ、それだけでカラカラの攻撃をかわしてしまう
唯「ありゃ、ふゆうしてる相手には難しいねー。なら、カラ太、きあいをためて」
指示されたカラカラは骨を剣のようにみたて、まっすぐと天をついた
アンズ「その隙、いただくでござる!マタドガス、どくどく!」
マタドガスから紫色の液体が放出される
そして
唯「カラ太っ!!」
集中していたカラカラの体に命中する
122 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 21:55:20.63 ID:hqDgC8co
アンズ「その技は威力はないでござるが、ポケモンの体力をじわじわ奪っていくでござる」
「さぁ、マタドガス。ここから猛攻でござるよ。ヘドロ爆弾!」
体にかかった液体を振り切らないうちに、マタドガスから続けて攻撃が放たれる
唯「カラ太、みきって!!」
カラカラが構えた骨でいなすようにかわそうとするが、
アンズ「元々液体のこの攻撃。骨にあたった瞬間ぶちまけるでござる」
言葉のとおりのことがおこる。
骨で受け止めたヘドロは、あたった瞬間ベチャリとはじけ、毒の飛沫がカラカラの体を襲う
123 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 22:01:17.00 ID:hqDgC8co
唯「っ……」
アンズ「忍びの極意は毒でござる。このままジワジワといけば……」
唯「カラ太!!もう充分気合入ったよね?」
唯の言葉にカラカラがうなずく
唯「なら――
アンズ「嫌な予感がするでござる。マタドガス、今すぐスモッグをはるでござる」
唯「もう遅いよ。カラ太この一撃で決めて、ホネブーメラン!!」
スモッグで自分の体を隠し始めたマタドガスに向かって、カラカラが骨を振りかぶり
投げた
アンズ「速い……でもすでに姿はかくしたでござる!」
「これがハズレさえすれば後はこっちのペースでござる」
アンズはただ結果を待つ
骨が飛来する
速さを増しながら、ガスの中に突入し
そして
――ガスの向こう側へ突き抜けた
124 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 22:06:36.80 ID:hqDgC8co
アンズ「よしっ、はずれt……」
唯「まだだよっ!!」
宙を飛ぶ骨が軌道を変えた
来た方向へ角度をずらしながら戻る
もう一度ガスの中へ突入した
――ゴンッ
結果をまつアンズと唯の耳に音が残る
そしてガスの中から2つの影がおち
2度地面をたたいた
アンズ「そんな……!」
唯「やったね、カラ太。ナイスコントロール!!」
地面にあるものは骨と
マタドガスが目をバッテンにし倒れていた
125 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 22:10:25.61 ID:hqDgC8co
アンズがボールをかざし、マタドガスをボールに戻す
唯「カラ太もごくろうさま。戻ってね」
アンズ「……やはり唯殿に頼んで正解だったでござる。だが、アタイも負けない」
「これがアタイの切り札でござる。モルフォン!!」
だされたのは蛾のモンスター
紫色の羽から出されるりんぷんがキラキラと光っている
唯「はじめてみるモンスターだね。どれどれ」
No.049 モルフォン
ハネの りんぷんは からだにつくと
なかなか とれない。しかも そこから
どくの せいぶんが しみこんでくる。
126 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 22:16:29.81 ID:hqDgC8co
唯「(あの粉を浴びないようにきゃ……)」
「よーし、決めたよ。リュー太!でてきて」
繰り出されたポケモンはモルフォンとはまた別の輝きかたをする
まわりをまとう粉がキラキラ光るモルフォンとまわりにまとうオーラが輝くハクリュー
互いに指示を待ち、相手を見据える
アンズ「先手はもらうでござる。毒の粉!!」
モルフォンがハクリュウのはるか上空をひらひらと舞うように飛ぶ
そして羽からはやはりキラキラとりんぷんが振りまかれた
唯「リュー太、その粉は駄目!!竜巻でふきとばして!」
ハクリュー「リューーー!!」
ハクリューを中心に風が渦巻く
唯「へっ?」
127 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 22:20:07.62 ID:hqDgC8co
唯は以前のミニリュウの頃の竜巻しか見たことはなかった
それは竜巻といってもごく小さなもの。せいぜいミニリュウの体の周りをとりまくくらいの大きさだった
だがハクリューになった状態でこの技が放たれた今
その結果
アンズ「なっ、なんという――」
アンズの目にうつるのは天井に体をぶつけ、落ちてくるモルフォン
脳裏に残るのはハクリューの竜巻の威力だった
唯「え?」
技の指示をだした唯もポカーンとしていた
放たれたハクリューの竜巻はミニリュウのころよりはるかに大きなものだった。
それは小さな災害といってもおかしくはないだろう
そんな剛風がジム内にはしったのだ
128 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 22:25:24.75 ID:hqDgC8co
そして粉を吹き飛ばすどころか、粉を振りまいているモルフォンすらも巻き込みその威力を発揮した
結果、モルフォンが開始直後に戦闘不能となった
傍でみていたエリカも、まぁ!と驚いた様子をみせた
唯「あれ?」
いまだに戸惑う唯に
エリカ「この勝負、唯さんの勝ちですわ!」
勝利のコールを告げた
そして驚愕の原因は
ハクリュー「リュウウン♪」
唯に頭を撫でてもらおうと頭を下げているところだった
129 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 22:29:57.42 ID:hqDgC8co
――セキチクジム
アンズ「アタイの完敗でござる……やはりアタイには父上の跡など……」
唯「!! そんなことないよっ!」
そういった唯の傍らにはずっと頭をよせているハクリューがいる
唯「アンズさんとの勝負楽しかったよ。最後は私もちょっと予想外だったけど」
エリカ「まぁ、そういうことらしいですし、あまりアンズさんも落ち込まないで」
アンズ「唯殿、エリカ殿……あ、そうでござる!これが勝者の証、ピンクバッチでござる」
唯「わぁ、ありがとう!!」
唯は差し出された、ピンク色のバッチを受け取る
130 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 22:35:01.51 ID:hqDgC8co
アンズ「しかし、唯殿。さっきの負けは私も悔しいでござる。なので、また今度アタイと対戦してほしいのでござるが」
「アタイもジムを守って今よりずっと強くなるでござる」
だから、とアンズが続けようとしたが、唯がその前に
唯「そうだね、また対戦しようね!でも、今度も負けないよ〜!」
エリカ「あ、そうですわ。私もそろそろジムへ戻りませんと…!」
唯「あ、エリカさん本当にありがとう。いろいろお世話になっちゃって」
エリカ「いいえ、ロケット団のことはあなただけの問題ではありません。
むしろあなたはそのことで褒められることはあれ、責められることなどはもってのほか。なので気にしないでくださいな」
131 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 22:40:03.26 ID:hqDgC8co
言ったエリカは唯に笑顔を向け
エリカ「それで、唯さんは次はどちらへ?」
唯「うーんと、グレンタウンに向かおうと思うよ」
エリカ「あらっ、それでは私からも一つお願いしてもよろしいですか?」」
唯がうなずくと
エリカ「ナツメさんがムチャしているようだったら、助けてあげてくださいな。あの人は辛くなっても自分から言いませんから」
ナツメを気遣うエリカに唯はもう一度大きくうなずいた
「VSモルフォン」〆
132 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 22:50:24.59 ID:hqDgC8co
モルフォンなんにもしてないけど、VSモルフォン……
許せェ……マタドガスじゃかぶっちまうんだ……
>>93
ファイルはなんとか入手したが、クリアプレートとミニケースがねええええええええ
泣きたい
133 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 23:26:56.30 ID:cg1n0YAO
乙
けいおんのジャムパンは不味いらしいな
134 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/11(木) 00:23:47.31 ID:OGOJpBI0
影響されてFRやり始めたでござる
135 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/11(木) 07:24:42.17 ID:ArmHAtU0
乙かれーーーー!
今回もおもしろかったよ!
136 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/11(木) 10:49:10.86 ID:10VaZLgo
おつー
137 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/13(土) 11:53:14.97 ID:NVsIeyw0
焼きそばパンも微妙だったな。
まだジャムパンの方がうまかったぞ
138 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/14(日) 23:37:28.75 ID:xkedggUo
――セキチクシティ
唯「あはは、久しぶりだからリュー太もはりきってるねっ」
「やっぱりセキチクシティに来たら、ここに寄らないとね〜」
ハクリュウ「リューー」
彼女達の目の前にはセキチクシティの名物とも呼べる一つの施設がある
サファリパークだ
唯「ここではじめてリュー太とあったんだよね。もうずいぶん前になるかな」
「みんなはもうポケモンを持っていたのに、私だけのろまでポケモンの一匹も捕まえられなくて、みんなでここにつ
れてきてもらったんだっけ。あのときはムギちゃんも一緒だったなぁ。懐かしいなぁ〜」
思い出す
あれは……
139 :
>>138 miss
:2010/11/14(日) 23:39:29.25 ID:xkedggUo
――セキチクシティ
唯「あはは、久しぶりだからリュー太もはりきってるねっ」
「やっぱりセキチクシティに来たら、ここに寄らないとね〜」
ハクリュー「リューー」
彼女達の目の前にはセキチクシティの名物とも呼べる一つの施設がある
サファリパークだ
唯「ここではじめてリュー太とあったんだよね。もうずいぶん前になるかな」
「みんなはもうポケモンを持っていたのに、私だけのろまでポケモンの一匹も捕まえられなくて、
みんなでここにつれてきてもらったんだっけ。あのときはムギちゃんも一緒だったなぁ。懐かしいなぁ〜」
思い出す
あれは……
140 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/14(日) 23:40:57.55 ID:xkedggUo
――過去
唯「うわぁ、ここがさふぁりぱーくなんだ〜。すごい、すごーい!」
憂「おねえちゃん、少しおちついて」
律「わぁ、みおちゃんみてー。にどらんもいるよー」
澪「あわわ、りっちゃんもおちついて」
紬「うふふふ」
梓「はやく、行きましょう!」
141 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/14(日) 23:45:12.83 ID:xkedggUo
……
…
唯「みんなで行ったのはいいけど、私だけはぐれちゃって大変だったんだよねぇ〜」
ハクリュー「りゅー?」
今ならばあの草原のにおいもおもいだせそうだ。
唯「でも、リュー太に会えたのもそのおかげだから、良かったのかも」
ハクリュー「リュウウン」
唯「あ、でも私がはくれちゃったのもリュー太のせいだったり」
ハクリュー「?」
142 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/15(月) 00:04:59.89 ID:xBMEs/so
――過去
すでに園内を歩き続けていた少女達
幼い足にも疲労がたまっていた
律「うーん、すこしきゅうけいしようよー」
唯「えー、うーん、もうすこしー」
紬「ゆいちゃん、むりはだめよ。そんなにあせらなくてもだいじょうぶだから」
澪と梓もコクコクと首を縦にふる
143 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/15(月) 00:10:49.56 ID:xBMEs/so
しかしその時、
唯「あっ、あのくさのところにあおいしっぽみたいなのが」
憂「おねえちゃんっ?」
静止の言葉もきかずに、草むらに突っ込んでいく
幼い足で必死に走るその姿は草むらのかげに消えた
律「あ、あとをおおう!」
皆がポカーンとしていた中、律が声をあげた
そして幾分か遅れて全員で後をおった
144 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/15(月) 00:15:54.75 ID:xBMEs/so
唯「うーん、このへんにまできたとおもったんだけど」
時間を忘れて後を追ってきた結果
その後ろに続く姿はない
唯「あ、いたー!!」
視線の先には、水色の蛇のようなポケモン
ニョロっと這わせて移動していたため影しかみえない状態だったが、
今では全体が唯の目の中にはっきりと写る
145 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/15(月) 00:20:22.95 ID:xBMEs/so
唯「わぁかわいい〜。あの子と友達になれたらなぁ」
その姿に羨望の眼差しを送るが、ポケモンは違う一点をみつめる
否、にらみつけて動かない
唯「?」
思いポケモンの視線の先に目をやると
硬そうな岩の鎧を纏った一本角の4足歩行型のポケモンがいた
唯「にらみつけられてうごけなくなっちゃってる……」
そして、岩のサイのようなモンスターが鼻息を荒くした
146 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/15(月) 00:26:27.07 ID:xBMEs/so
唯「あっ!!」
気付けば、唯は青い蛇のようなモンスターの前に両手をひろげて飛び出していた
ミニリュウ「!」
サイのモンスターが後ろ足で地を蹴った
突進だ
唯は足が震えるが、逃げることはない
ゆっくりとモンスターが突進をかけてくるように思えた
が
「――」
どこからか聞こえた声と共に突進が強引に停止した
……止まった?
そのことに気が抜け、まず小さな体から力が抜け、気を失った
147 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/15(月) 00:30:20.59 ID:xBMEs/so
――サファリパーク前(現在)
唯「あれ、そういえばあの時はなんで助かったんだろう……?」
幼さゆえにまったく気にしていなかったことが今思い出し、気にかかった
唯「あれ……まぁ、いっか」
ハクリュー「りゅー?」
唯「あのあと目覚めたら、憂と憂が捕まえたラッキーに看護されてたんだっけ」
「みんなも泣いたり、怒ってくれたりで……」
「リュー太もずっと側についててくれたんだもんね」
あれからか、と口に出したとき懐かしさと共に笑みがこみ上げてくる
148 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/15(月) 00:34:35.87 ID:xBMEs/so
唯「さぁ、サファリパークでも見学してから行こうか?ねっ、リュー太!」
うれしそうに鳴くハクリューを横に連れ
建物内に入ろうとすると
【立ち入り禁止!!パルパーク建設予定地】
ピタリと唯の足が止まった
唯「あれ、もしかして」
「なくなっちゃったのーーー!!」
セキチクシティの端で唯の声が響いた
149 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/15(月) 00:39:49.24 ID:xBMEs/so
唯「そんなぁ〜〜」
ハクリュー「りゅ〜〜」
ともにガッカリといった風なトーンを落とした声をだしたとき
老人「おやおや、ハクリューじゃないかえ。珍しいのう」
一人の老人が唯に声をかけた
老人「ここになにかようがあったのかな?」
唯「う〜ん、この子の故郷のサファリパークを見学しようと思ってたんだけど、つぶれちゃってて」
そういいながらハクリューに手を当てると
老人「おやまぁ、このハクリューはサファリパークにいたポケモンかえ」
「この土地にまだハクリューやミニリュウが生息していたとは」
少し驚き気味に言うと、
老人「ほほう、ならば良いものを上げよう。ちょっとまっておれ」
老人が背を向けゆっくりとその場を離れていった
150 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/15(月) 00:45:17.75 ID:xBMEs/so
――10分後
老人「ほっほう、おまたせしたかの」
言われたとおりにその場で待っていた唯はハクリューとじゃれあっていた
唯「ううん、そんなことないよ」
老人「ならよいのじゃが。ほら、これをもっていきなさい」
差し出されたのは、透明なキラキラと光ったウロコ
老人「これは、りゅうのウロコと言ってこのサファリパークにお祀りしていたものじゃ」
唯「おおっ、きれいだね〜」
そういいながら、りゅうのうろこに触れた
151 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/15(月) 00:50:15.77 ID:xBMEs/so
唯「でも、そんな大事そうなものをもらっちゃっていいの?」
老人「いいんじゃよ。もうサファリパークもなくなてしまうしのう」
「昔はミニリュウやハクリューもこの場所には極わずかじゃが、それでも生息はしていて姿を時々みることもあった
んじゃ。その時にサファリでみつけられたのが、このウロコなんじゃよ」
「だから、これをこのハクリュー様にかえしておこうかの」
そういって唯の手にウロコを手渡した
唯「ありがとうね、おじいちゃん!!」
「でも、おじいちゃんがなんでこんなものを?」
老人「ほっほう、ワシが最初の園長じゃからじゃよ」
ゆったりとした口調で老人が笑った
閑話 「VSサイホーン」〆
152 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/15(月) 00:55:16.22 ID:LPPWiQAO
リアルタイムと思ったら終わってたか
乙
153 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/11/15(月) 15:56:49.57 ID:K.0TELwo
おつ!
154 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/11/19(金) 18:45:08.73 ID:tvgRzbYo
今日来る予感
155 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 20:00:10.12 ID:KwiSPqgo
――20番水道
空がある
水色の絵の具だけを溶かし込んだかのような、蒼い空だ
下を見れば海もある
地平の向こうには海の青と空の蒼が混ざり合っている
一面の青の世界に、一滴の朱を零したような炎が灯っていた
リザードンとその背に乗った唯だ
156 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 20:10:45.20 ID:KwiSPqgo
唯「わぁ〜〜!やっぱり飛行手段があるってのはいいねー」
湿り気と塩を含んだ風が、唯の髪を揺らすが
両の手で押さえつけながら唯が言った
唯「ほら、ヒー太みえてきたよっ!あれがグレンじまだよ!」
リザードン「ガァァア!!」
返事をするように声を上げたリザードンがスピードを上げた
157 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 20:16:07.92 ID:KwiSPqgo
――グレンタウン
唯「……どういうことなの」
疑問の対象は目の前だ
唯「どうしてポケモンセンターしかなくなっちゃってるのー!?」
すでに町として機能していない、建物の残骸を見渡し唯が叫んだ
???「唯!」
叫びに反応する声があった
その声は建物の残骸址から響き、やがて声の持ち主が姿をあらわした
158 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 20:20:45.16 ID:KwiSPqgo
唯「ナツメ……さん?」
ナツメ「えぇ、そうよ。あ、そういえば髪を切ってからは一度もあってなかったわね」
以前みたナツメと髪型、髪の色、共に変わっていたので途中から疑問に変わった唯だったが
ナツメがとっさにフォローを入れた
唯「わっ!!イメチェンしたんだねっ!!うんうん、これもすごく似合ってるよ〜」
「私も前髪切ってみようかな〜、少しのびてきたし」
ナツメ「いいえ、それはやめておいたほうがいいわ……なんとなくだけど」
唯「え〜、なんでー?」
ナツメ「だってあなたが自分で髪にはさみを入れると、くしゃみとかして余計に切っちゃいそうだもの」
唯「え〜、そんなことないよ〜」
ブーブーと軽口を叩いた唯にナツメがクスッと笑った
159 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 20:25:06.19 ID:KwiSPqgo
………・
ナツメ「えぇー!?あなた大丈夫だったの?」
唯がシオンでおこったことを話すと、ナツメが心配そうな声をあげた
唯「う〜ん、倒れちゃったんだけどエリカさんに助けてもらっちゃった」
ナツメ「……そう、エリカが……よかった」
ナツメが小さく、本当に小さな声で安堵した
唯「ナツメさんもありがとうね。エリカさんに私のことお願いしてくれて」
唯がナツメの手をとり、胸の前で握った
唯「本当にありがとう」
ナツメ「な、……うん、どういたしまして」
素直すぎたありがとうにナツメは顔を赤くし、再び声を窄めた
そこへ
???「おや、ナツメ君。お友達かね?」
160 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 20:31:35.64 ID:KwiSPqgo
スキンヘッドで黒いメガネをかけた男がいた
年齢はすでに初老前といったところだろうか
ナツメ「えぇ、カツラさん。少し前に話していた破壊の遺伝子を預けた子です」
カツラ「おお、ということは君が唯君か!」
そういって握手のためにカツラは右手を差し出した
おずおずと唯が握手に応じる様子を見ていたナツメが
ナツメ「唯、カツラさんはグレンタウンのジムリーダよ」
カツラ「ははは、といっても現在はこのとおりジム自体が亡くなってしまったけれどもね」
161 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 20:36:56.37 ID:KwiSPqgo
唯「…!!そうだ、この町はどうしてこんなになっちゃってるの?」
カツラ「おや、知らずに来たのか。ここはつい最近、あそこの山、グレン山が噴火をおこしてね……」
ナツメ「それでも、悪いことばかりじゃないわ……屋敷と一緒にあれも燃えてしまったみたいだし」
カツラ「……ミュウの研究日誌か」
顔色を変えたカツラが呟いた
カツラ「……たしかに、あれは消失して正解だったかもしれんなぁ。
おそらくロケット団もあれがまだあると思えば狙いにくるだろう……」
そして
カツラ「あれは我々の罪だった。二度と繰り返さぬために と戒めに置いておいたものだったが」
「すでに屋敷の残骸を捜索してみてもみつからず、だ。おそらくマグマにのまれてしまったんだろうな」
162 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 20:45:50.57 ID:KwiSPqgo
黙々と語るカツラを傍に、唯がごそごそとしはじめた
なにかを取り出そうとする仕草
唯「そういえば、ナツメさんこれ……」
取り出したのは預かった破壊の遺伝子だった
唯「まだ、私が預かっておいたほうがいいのかなぁ?」
ナツメ「そうね……本当はこれも燃やしたりしてしまうのが一番いいんでしょうけど」
163 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 20:52:42.50 ID:KwiSPqgo
唯「えっ?」
そこへなにかを思いついた顔をしたカツラが介入した
カツラ「さて、ここでクイズだ。君は旅の途中、これをさっさと破壊してしまえばロケット団の計画も潰えるとおもわな
かったかね?」
唯「……?」
ぽかーんとする唯に
ナツメ「……うん、なんかごめんなさい。おもわなかったみたいね」
カツラ「ふむ、まぁ……ロケット団の計画達成のためにはこれが必要なのはわかるね?」
唯「うん……あ、そっかー!それならこれを消滅させてしまえばよかったわけだね?」
カツラ「うむ、そういうことだ」
するとカツラは、なのにだ、と繋ぎ
カツラ「どうして、これをさっさと消滅させてしまわなかったのか?といったクイズだ」
ナツメ「唯、カツラさんはクイズ親父で有名なの。つきあってあげて」
164 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 20:55:49.44 ID:KwiSPqgo
唯が首を捻る
そして3分をすぎたとき
唯「うーん、わかんないよ〜。ぎぶあっぷぎぶあっぷ」
カツラ「正解はこうだ。出てきなさいブーバー」ボンッ
カツラのモンスターボールから全身が真っ赤な炎に包まれた二足歩行のポケモンが現れた
カツラ「これを少し借りるよ」
そういって唯の手にあった、破壊の遺伝子の入った容器を己の手に取ると
カツラ「それっ!!」
高く上に放り投げ
カツラ「ブーバー、やれ、大文字だ!」
破壊の遺伝子に向かって、技を命じた
165 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 21:02:20.52 ID:KwiSPqgo
破壊の遺伝子に向かって、技を命じた
ブーバーの口から、燃え盛る炎が吐き出され、大の文字をつくる
そして破壊の遺伝子は炎に包まれた
沈黙が流れ
技が収縮していき、炎がおさまる
カツラ「これが答えだよ」
カツラは地面を指さした
そこは破壊の遺伝子の落下点
そこには
唯「えっ?あの攻撃を受けても……まったく燃えていない…」
166 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 21:06:33.92 ID:KwiSPqgo
外の容器はすでに跡形もなかったが、そこには無傷で焦げる様子すら見せない破壊の遺伝子があった
ナツメ「つまり、【破壊しない】ではなく【破壊できない】なのよ」
カツラ「これが我々が作りだしてしまった最強のポケモンの力だよ……
たったこれだけの、欠片といってもいいほどの小さな一部だが、この再生能力だ……」
ナツメ「これを燃やし尽くすには、相当なレベルのポケモンじゃないといけない……そうそれこそチャンピオンクラスのね」
167 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 21:11:35.30 ID:KwiSPqgo
ナツメ「そういえば、唯はここにはジム戦かしら?」
ふと、ナツメが尋ねた
唯「うんっ!あとバッチも3個でカントー制覇だよ」
カツラ「ほ〜う、ということはあとはこことトキワと……」
唯がカツラの言葉に続く形で
唯「ヤマブキだよ」
ナツメ「………」
カツラ「なかなかの凄腕のトレーナーじゃないか。よし、ワシも久々のジム戦だ。お相手しよう」
唯「よろしくお願いします」
カツラ「おっと、ジム戦は明日としようか。君も海を渡ってきて疲れただろう」
168 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 21:20:37.74 ID:BZnlBmUo
キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━!!
169 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 21:20:56.42 ID:KwiSPqgo
――グレンジム跡地(翌日)
早朝、ポケモンセンターに寝泊りした唯はさっそくジム戦のために、カツラと約束した場所まできていた
そこにはすでにカツラの姿があり
カツラ「準備はばっちりかね?」
唯「うん、ばっちり回復させたよっ!」
カツラ「ならば行くぞ。わしの ポケモンは ほのおで やいて こがしまくる つわもの ばかり なのだー! 」
唯「よっし、私も……」
「――その勝負少し待ってもらえるかしら」
170 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 21:26:19.65 ID:KwiSPqgo
カツラと唯、共にボールを構えた状態のときに静止の言葉がかかった
ナツメだ
ナツメ「唯、あなたシオンタウンでダブルバトルをしたのだったわね。ずいぶんと苦戦したといっていたけど」
「どう、ここでダブルバトルをやってみないかしら」
そして告げた
ナツメ「そう、グレンのジムリーダーとこのヤマブキジムリーダーの私を相手に!!」
唯「……えぇ!!……ナツメさんがジムリーダー……」
ナツメ「カツラさんはいいかしら?」
カツラ「ワシはかまわんが……」
そういって呆然とした唯のほうを眺めた
171 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 21:35:47.97 ID:KwiSPqgo
一方、唯はシオンでのことを思い出していた
マタドガスとスリーパーを相対したときのこと
完全な敗北
結果を見ればそう言っても、おかしくない敗北
はじめてのダブルバトル ということが言い訳になるはずもなく、襲ってきたロケット団の男
あのときのことを考えるたびに、心が震えた
もしあのときに破壊の遺伝子を奪われたなら、もしあのときフィーちゃんを狙われたなら と
そしてもう負けたくないとも
だから
172 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 21:44:57.35 ID:KwiSPqgo
唯「うん、やるよっ!いずれナツメさんにも挑戦しないといけない……先延ばしにする意味なんてない」
「だから、ここで……ダブルバトルで二人にかってみせるよ」
唯がその言葉を発したとき、ナツメが少し笑った気がした
微笑みに近い笑みだ
ナツメ「ふふふ、えぇ、いいわ唯。あなたのそういうところ好きよ。でも……簡単には負けてあげない」
ナツメ「だって、私だってジムリーダーの一人だもの」
カツラ「ふはははは、そういうことならワシもかまわん。だがワシも負ける気などないぞ!!」
そして勝負が始まろうとしていた
173 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 21:56:19.77 ID:KwiSPqgo
カツラ「いけ、ギャロップ!!」ボンッ
ナツメ「いきなさい、フーディン!!」ボンッ
カツラが繰り出したのは、全身に炎を待とう馬だった。
その毛並みは美しく、全身の炎が美しさを引き立てていた
そしてナツメが繰り出したのは以前みたフーディンだった。
ナツメ「さぁ、そちらも2体のモンスターを出しなさい!」
「私達の2体を倒すことができたならば、ゴールドバッチと」
カツラ「クリムゾンバッチをやろう」
唯がボールを握り締め、うなずいた
そして思う。あの二人に勝とう と
174 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 22:05:34.85 ID:KwiSPqgo
唯「いって、フィーちゃん!ビー太!!」
現れたのはイーブイとスピアー
その2匹が繰り出されるが、その場にいたのはイーブイだけだった
唯「ビー太!!速攻だよ、フーディンを狙ってダブルニードル」
スピアーは加速する
直線に空をスベリ、針を構えるが
カツラ「あまいぞ、唯君。ギャロップ、炎のうずだ」
ギャロップの作り出した炎の壁が拒んだ
ナツメ「エスパータイプの弱点を思って、虫タイプなのでしょうけど……カツラさんは炎のエキスパートよ」
「少し考えがあまいわ」
スピアーが炎の壁の前で停止した
175 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 22:14:59.38 ID:KwiSPqgo
ナツメ「さぁ、こちらの番よ。フーディン、サイケコウセン」
念の力がスピアーに向かって放たれた
唯「ビー太、上昇して避けて」
ナツメ「唯、狙いはそっちじゃないわ。そう、その子よ」
フーディンのサイケコウセンの軌道がぐにゃりと変化した
狙われたのは
唯「……っ、フィーちゃん、かげぶんしん!」
イーブイの姿が4つにわかれた
そしてそのうち一つにサイケコウセンが命中するが
ナツメ「……はずれってわけね」
イーブイの影が一つ消えただけで、まだ3つの影が存在していた
唯「ふぅ……なんとか……」
176 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 22:25:48.77 ID:KwiSPqgo
カツラ「唯君、安心している場合じゃないぞ、そらギャロップ、ふみつけだ」
気付けばギャロップはイーブイの目の前に迫っていた
そして、大きく前足をあげると
そのまま振り下ろした
イーブイ「――!!」
唯「フィーちゃん!!」
ギャロップの攻撃が直撃したイーブイがその場に転がった
ナツメ「今度は当たりってわけね。さぁ、まだよ、フーディンもう一度サイケコウセンよ!」
フーディンがスプーンに力をこめるように、構えた
が
唯「ビー太!」
真上から急降下したスピアーがフーディンのスプーンをはじきとばした
177 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 22:34:54.71 ID:KwiSPqgo
そして
唯「そのまま、みだれづき!」
フーディンの体を巨大な針が襲う
ナツメ「カツラさんっ」
カツラ「うむ、わかっている。ギャロップ火炎放射だ」
スピアーに向かって放たれようとした、その時
ギャロップの体が揺れた
正確には揺らされただ
カツラ「イーブイか!!」
ギャロップの首元めがけて、イーブイがとっしんをしかけていた
直撃したギャロップは当然ぐらつき
178 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/11/20(土) 22:39:30.09 ID:/Zql17A0
うは、きてたあああああああああ
リアルタイムktkr
179 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 22:40:41.22 ID:KwiSPqgo
唯「フィーちゃん、まだだよ。ぐらついているところにもう一発電光石火」
ギャロップに激突したあと反動で少し後ろに飛ばされたイーブイが地面に着地し
そして再びスピードを上げた
今度はギャロップの胴体めがけて、ぶち当たった
ギャロップの体が横に倒される
カツラ「っ……まだだ。立ち上がれギャロップ!」
唯「フィーちゃん、走って!」
再び地面に着地したイーブイが向かう先は、スピアーのいる戦場
180 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 22:44:36.38 ID:KwiSPqgo
ナツメ「っ、フーディン!!一度テレポートで距離をとって」
今まで片手に持った一本のスプーンで応戦していたフーディンがその場を消える
その後方10メートル後ろにあらわれた
が
唯「ビー太、高速移動!!」
スピアーが一瞬で距離をつめた
ナツメ「はやいっ……」
そして、イーブイもそこへたどりつく
唯「ビー太!ダブルニードル。フィーちゃん、ビー太をてだすけして」
フーディンがあわててスピアーの攻撃をスプーンで受け流そうとするが
――ドンッ
イーブイがフーディンに体当たりし、構えをくずした
ナツメ「なっ、だめフーディン」
181 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 23:10:36.07 ID:KwiSPqgo
その攻撃を受けてはだめだ とナツメは思う
が、どうにもならず
スピアーの巨大な針が一発命中した
フーディンがグラっと揺れるが、なんとか立っている
そして繰り出される2発目
ナツメ「フーディン、サイコキネシスでふきとばして!!」
針があたる寸前、フーディンの念の力により空気が淀んだ
まわりのものが吹き飛ばされる
イーブイとスピアーともどもに
182 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 23:15:24.85 ID:KwiSPqgo
唯「――!!」
「ビー太っ!!フィーちゃん!!」
唯が声の荒げた声を聞いた、スピアーが念の力に抗い空中を移動した
その先は
イーブイの背中
せめてクッションになろうというのか、スピアーはイーブイの体をうけとめ
その体にぶち当たり、スピアーが地に落ちた
唯「お疲れ、ビー太」
183 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 23:20:11.50 ID:KwiSPqgo
一方、フーディンのほうもすでに限界だった
さいごのサイコキネシス。すでにあの時が限界だった
だが、体は動いた。
脳は働いた
だから、主人の声にしたがい、最大限の技を発揮した
が、それも限界
ナツメ「フーディン!!」
フーディンはその場に倒れてしまった
ナツメ「ごくろうさま」
184 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 23:25:40.00 ID:KwiSPqgo
戦場に残ったのは、地面に横倒しにされ立ち上がったところのギャロップと
フーディンの攻撃を受けて少し吹き飛ばされたイーブイだけだった
カツラ「どうやら、そっちのほうがダメージが大きいようだが……」
唯「………」
その消耗具合は明らかだった。
唯「大丈夫……勝てるよ。だってビー太の想いもフィーちゃんは受け取っているからね」
イーブイ「ブイッ!!」
カツラ「なら、いくぞ。ギャロップ!!」
185 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 23:30:07.50 ID:KwiSPqgo
ギャロップがイーブイにむかって速度を上げた
その身の炎が風を纏い、大きくした
唯「フィーちゃん!!」
唯はただイーブイの名前を読んだ。
それで伝わると信じている
そして、イーブイも駆け出した
幾度も地面を蹴り、こちらも速度をあげる
スピードは大気を打ち鳴らし、周囲に音を響かせる
ギャロップがイーブイの大きさにあわせ、クビを地面に這わせた
自慢のツノで突き上げる
それで勝負をきめようとしていた
186 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 23:35:38.99 ID:KwiSPqgo
イーブイもその頭をめがけて走っていく
距離が一気に縮まり
そして
カツラ「ツノドリル!!」 唯「とっておき!!」
ギャロップの頭とイーブイの体が激突した
――ドンッ
鈍く……それでも響く音は勝敗を決める
――バタッ
倒れた音は大きい
つまり
勝者は――
187 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 23:39:50.10 ID:KwiSPqgo
――グレンジム跡地
カツラ「これがクリムゾンバッチ」
ナツメ「そして、これがゴールドバッチよ」
「はい、受け取って」
二人から差し出された2つのバッチを唯は受け取り、
唯「ありがとうね、ナツメさんもカツラさんも」
ナツメ「それにしても唯は本当に強くなったのね……」
「いつか……そうね、いつか唯が破壊の遺伝子を破壊できるようになるかもしれないわね」
カツラ「うむ、そうかもしれないな」
188 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 23:45:26.86 ID:KwiSPqgo
唯「いやぁ〜、えへへ」
照れた唯が自分の後頭部を撫でるように触った
ナツメ「えぇ、きっとあなたならなれるわ。そう期待してるわ」
ところでだが、とカツラが話題を変えた
カツラ「唯君もあとはトキワジムを残すのみってことか……」
ナツメ「……えぇ、そうね」
ナツメ「唯、次のジムは本当に今までとは桁違いの強さよ。ジムリーダーにはまだなりたてだけど、いまだに無敗。
さらにカントーチャンピオンになったこともある男よ。こころしてかかりなさい」
告げられた言葉に唯が息を飲む音がやけに大きく聞こえた気がした
「VSギャロップ」 〆
189 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/21(日) 02:35:17.93 ID:xggrAMAO
乙、次は彼かフルバトルを期待してしまう
190 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/21(日) 07:34:11.69 ID:wRP/3Eco
やっぱりおもしろいな
191 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/21(日) 22:31:24.21 ID:vpGy6j2o
おお、トキワジムのリーダーは
192 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/21(日) 23:08:41.22 ID:LvxFus2o
唯「それでこの破壊の遺伝子はどうすればいいの?」
疑問の言葉にナツメは顔を苦くして答えた
ナツメ「できれば……唯に引き続き唯に守ってもらえれば……と思っていたけど、
これ以上唯に負担はかけられないわ」
唯「私は大丈夫だよっ!」
そして、ただ、と言葉を繋ぐと
唯「……一度ロケット団に負けているから……守りきれるとはいいきれないかも……」
カツラ「ならば、ワシが預かろうか。唯君とナツメ君ばかりに負担をかけているわけにもいかん」
カツラ「それに
――元々の発端はワシにあるのだから」
193 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/21(日) 23:16:13.39 ID:xggrAMAO
おお2日続いて更新嬉しいね
194 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/21(日) 23:19:14.21 ID:wRP/3Eco
リアルタイムktkr
195 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/21(日) 23:21:37.49 ID:LvxFus2o
カツラの口から発される言葉は重く、
そして深い懺悔の意味をもっていた
カツラ「あれはもともとワシが作ったもの……」
唯「……カツラさん……」
――やはりそれは俺の手にあるのがいいようだな。ゴルバット、泥棒で奪い取れ!!
196 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/21(日) 23:30:25.88 ID:LvxFus2o
声の先は上空。声とゴルバットが唯の手の中にあった破壊の遺伝子をかすめとった
見上げた唯の視線の先
そこには
ランス「最近どうやらついているようだな。研究日誌を探しにグレンへ着てみれば、ナツメ、そしてあの女、カツラまでいるじゃないか!!」
「どうやら、研究日誌のほうは無駄だったようだが、とうとうこれが手に入った!!」
もう一体のゴルバットにつかまり、浮翌遊しているロケット団の男がいた
ナツメ「ロケット団……っ!!」
197 :
>>196 ごめんなんかミスッタ
[sage]:2010/11/21(日) 23:31:32.64 ID:LvxFus2o
声の先は上空。ゴルバットが唯の手の中にあった破壊の遺伝子をかすめとった
見上げた唯の視線の先
そこには
ランス「最近はどうやらついているようだな。研究日誌を探しにグレンへ着てみれば、ナツメ、そしてあの女、カツラまでいるじゃないか!!」
「どうやら、研究日誌のほうは無駄だったようだが。とうとうこれが手に入った!!」
もう一体のゴルバットにつかまり、浮翌遊しているロケット団の男がいた
ナツメ「ロケット団……っ!!」
198 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/21(日) 23:32:32.77 ID:LvxFus2o
あれ、 なんで浮翌遊のあいだに翌が入るんだ?
あれ?tes
浮翌遊
199 :
tes
[sage saga]:2010/11/21(日) 23:34:51.55 ID:LvxFus2o
浮遊
これでどうだ
200 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/21(日) 23:40:02.12 ID:LvxFus2o
ランス「おやおや、ナツメ、なんだそのツラは? 自慢の長い髪まで切り、ここまでごまかしてきたというのに、
このザマがそんなに悔しいのか?」
カツラ「待て、それだけは持っていかれるわけにいかん。置いていってもらうぞ!!でてこいブーバー!!」ボンッ
「大文字だ!!」
ランス「おいおい、焦るなよ。そんな大技があたるとおもうか?」
ランスがつかまっていたゴルバットの手放し地面に着地した。
ランス「あとはもう一つ。その女にシオンでの借りを返させてもらうだけだ」
言った直後、動きがあった
ナツメだ
ナツメ「そう簡単に事が運ぶとおもっているの?」
「でてきなさい、バリヤード。サイケコウセン!!」
繰り出されたバリヤードが手のひらをランスに向け
放った
201 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/21(日) 23:50:20.20 ID:LvxFus2o
ナツメ「(……なに……あの余裕は。焦り一つもみせずに……どういうことなの)」
放たれた光線にランスがとった行動は一つだけだった。
それは
ランス「……せっかちな女だ――でてこい」
「――サンダー!!」
ボールから、ポケモンが繰り出されるだけ。
それだけの仕草だったが……
たったその1つの行動だけで、莫大な電気が周囲の空気を鳴らした
202 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/21(日) 23:58:55.47 ID:LvxFus2o
稲光と共に姿を現したのは
黄色い羽毛で体を覆い、全体的に刺々しいフォルムをした鳥ポケモン
その体に常に纏う電気が、あたりにいやな轟音を響かせていた
唯「……っな、なにあれ……!?」
その姿に威圧された唯が慌て、図鑑を開いた
No.145 サンダー
くもの うえから きょだいな
いなずまを おとしながら
あらわれる でんせつの とりポケモンである。
203 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/11/22(月) 00:06:25.14 ID:r9Je0kAO
伝説が一角のご登場か熱いな
いやこの場合はシビレるか
204 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 00:09:24.87 ID:mbzlTloo
唯「伝説のポケモン!?」
ランス「安心しろ、女。お前の相手はコイツじゃない――サンダー、ナツメを引き離せ」
飛ばされる言葉にサンダーは、ナツメのバリヤードに狙いを定め
連れ去った
廃墟となったグレンの南東へと雷雲とおもに移動をはじめた
ナツメ「っ!!ごめんなさい、私はバリヤードとサンダーを追うわ。気をつけてね唯、カツラさん」
そうしてナツメがこの戦場に背を向け、自分の戦場へ足を走らせた
205 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 00:19:28.39 ID:mbzlTloo
カツラ「ブーバー、火炎放射だ」
隙をみせたランスに、すかさず攻撃をかけた
だが
ランス「ちっ、こいつも邪魔だ。でろ、ファイヤー」ボンッ
先ほどと同じ形で攻撃が阻まれた
今度姿を現したのは
朱の翼、朱の鬣、朱の尾
全てが炎を纏う、美しい火の鳥だった
ランス「こいつも伝説の鳥ポケモンの一匹だ!!」
言葉が大気に響いたとき
唯の図鑑が自動的に認識をはじめた
No.146 ファイヤー
よぞら さえも あかく するほど
はげしく もえあがる つばさで
はばたく でんせつの とりポケモン。
206 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 00:28:50.38 ID:mbzlTloo
唯「そんな、二匹目っ!?」
ランス「お前はあのジジィをひきつけろ、いいな?」
その命令を聞くと、ファイヤーが炎の翼を広げた
――飛翔する
そう思ったときにはすでにブーバーが宙に浮かんでいた
カツラ「こいつら、ワシらを引き離す気か!!――唯君、すまないワシはあのファイヤーを必ずしとめる」
「だから、この場を任せるぞ!!」
そしてカツラもファイヤーが飛んでいった方向、
グレン山のほうへ足を急がせた
207 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 00:33:26.62 ID:up7/K.6o
キタ――(゚∀゚)――!!
208 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 00:40:48.63 ID:mbzlTloo
残されたのは二人
ユイとランスだ
沈黙が流れたが
口を最初に開いたのはランスだった
ランス「どうして、俺がお前を残したかわかるか?」
問うた
唯「そんなのわかんないよっ!」
べーっと舌を出す唯に、ランスはさらに続けた
209 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 00:49:16.96 ID:mbzlTloo
ランス「……このさいだ、正直に言おう。俺は……シオンであの2匹の竜に威圧された時、負ける……そう思った。
そして俺は逃げ出した……」
ポツリと紡ぐ言葉には重みがある
ランスも唯と同じだった
シオンでの闘いを。あのバトルを自分の敗北だと思っていた。
ランス「そして、あのあと一つのことに気付いた。」
「俺達のボス――サカキさまは……あのときの弱さ、あのふがいなさのために一人修行のたびにでてしまわれた
のだと……」
唯「(……サカキ?)」
ランス「だから、だ」
「――俺はここでお前を圧倒し、最強のポケモンを作り出し、もう一度サカキ様をお迎えする!!」
210 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 00:59:22.04 ID:mbzlTloo
そして
ランス「さぁ、ポケモンを出せっ!俺はあのときの弱さをここで捨てる」
唯「……」
唯の沈黙が続き
唯「……だからって……それがそんな勝手にポケモンをつくる理由にはならないよ」
「あなたたちはそのポケモンできっと多くの人を苦しめる」
振り絞った声が場を支配した
唯「勝つよ。だって、そんな世界じゃ私もポケモンたちも楽しくないと思うから」
「なにが正しいかなんてわからないけど……私にとって闘う理由はそれで充分」
いつもののほほんとした顔に意思がやどる。
勝ちたい。勝とう、と。
だから
唯「力を貸して。でてきてリュー太!!」ボンッ
ハクリュー「リュウウウウー!!」
211 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 01:04:52.55 ID:mbzlTloo
ランス「そうだ、そいつだ。そのドラゴンだ。まずはそいつを倒させてもらうぞ」
言ったランスがボールを放つ構えをとった
空気が変わる。
文字通り大気がひやり、とした
唯の肌は、あたりの寒気を感じ取る
ランス「さぁ、でろ!フリーザー!!」
水色の羽毛。美しく光る翼。青く、ときおり白く光る鶏冠
3匹目の鳥ポケモンが放たれた
No.144 フリーザー
ふゆぞらの くうきに ふくまれる
すいぶんを こおらせて ゆきを
ふらせる でんせつの とりポケモン。
唯「また伝説のポケモン!!」
ランス「さぁ、はじめようか。トレーナー!!」
あたりには、白く小さな粒――雪が降り出し
グレンの空が3つの色を仕立て上げていた
212 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 01:10:04.15 ID:mbzlTloo
唯「リュー太!高速移動!!そして神速」
ハクリューが宙を翔る。身は空を這わすようにし、風をまとった
ランス「フリーザー、白い霧だ」
フリーザーの身を隠すように霧が発生した
青の体がその白に紛れ込んでいく
構わない、そう唯は思っていると、ハクリューは今までフリーザーがいた場所へ突っ込んだ
だが、そこにすでに姿はなく
声は別のところから響いた
ランス「少しは学べよ、トレーナー!!ゴルバット、女を狙え!!」ボンッ
213 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 01:10:51.25 ID:r9Je0kAO
三竦み揃い踏みか
214 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 01:15:53.00 ID:mbzlTloo
シオンでの映像がよみがえる
不意をうったゴルバットの攻撃
再び、ゴルバットが唯に襲い掛かった
――ドンッ
音が響く
骨にあったときのような音だ
ランス「もう終わりか?あぁ?」
きりの中から声が響く
どうやら、むこうからもあまりこちらの様子は見えていないようだ
なぜなら
唯「へへん、2度も同じ手は食わないよ!」
たしかにゴルバットは唯の腹部へと翼を突っ込ませていた、が
そのあいだを阻むものがある
骨だ。
唯「カラ太の守るだよっ」
いつのまにか出されていたカラカラがゴルバットの翼をその骨で受け止めていた
215 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 01:20:26.03 ID:mbzlTloo
唯「カラ太、みねうち」
受け止めた骨にかけた力を抜き、骨を手放した
力の抵抗がなくなったゴルバットは宙をよろけ
カラカラは落とした骨を左の手で受け止め、バックハンドで打ち抜いた
――
ゴルバットが地上に堕ちるが
かまっていられないと、唯は次の指示をだした
唯「そっちも一匹相手だと思っているところに、2匹目で攻撃してきたんだもん。こっちが何体でいっても文句はないよね?
カラ太、骨ブーメランで霧を切り裂いて。リュー太、姿が見えたらすぐに攻撃できるように構えて」
カラカラの骨が投じられる
白の霧は2つに切り裂け、そして骨の帰還で4つにきりさかれた
216 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 01:25:09.71 ID:mbzlTloo
唯「見えた!!そこだよリュー太、神速!!」
水色の羽がちらりと見えたところへと、ハクリューに指示をだす
もう一度ハクリューが別たれた霧の中へダイブした
が
ランス「ふはははは、そこもはずれだ!!狙い打てフリーザー、冷凍ビームだ」
唯「なっ!!」
唯が影をみつけたところとは、別のところから冷気をまとったビームが出る
攻撃は唯の言葉を待たず、ハクリューの居場所に向かって放たれた
ハクリュー「……リュウウウウウウ!!」バタッ
倒れた音だけが残り
唯「リュー太!?」
217 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 01:29:03.78 ID:mbzlTloo
ランス「おっと、そろそろ霧も晴れるか……」
白の世界に、視界が戻る
ハクリューは地に凍ったまま横倒しになっていた
ランス「ドラゴンタイプは大抵の攻撃には強いが、この冷気には耐えられん」
「俺が3匹の鳥のうち、こいつを残した理由はそこにある」
敵はどこだ と焦る気持ちを押さえつけながら、唯はあたりをみわたすと
唯「空っ!?」
フリーザーの背に乗るランスがはるか上空にいた
唯「そんな……さっき確かに、あそこに影が」
ランス「氷は時に、鏡より鋭く物を写す」
唯「つまり氷に写った影を攻撃していた……」
ランス「ほう、察しはいいじゃないか。さぁそっちのモンスターもだ、フリーザー、こおりのつぶて!!」
218 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 01:35:26.68 ID:mbzlTloo
フリーザーが己の翼を一振り、二振りした。
その結果
大気の水分が礫となり
唯とカラカラに襲い掛かった
唯「カラ太、まもって」
カラカラが手に持った骨で、礫を打ち返すように捌くが
カラカラ「カラっ……!!」
数の多さに全てが捌ききれず
いくつかの礫は唯へと向かう
219 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 01:39:38.94 ID:mbzlTloo
カラカラ「――!!」
だが、カラカラはそれを許さなかった
捌ききれない分は自分の体で守ればいい
そう考え、カラカラが唯の目の前に飛び出した
ランス「そら、直撃だ」
唯「カラ太っ!!」
叫ぶ声はむなしく、カラカラが地に落ちた
唯「ごめんね、カラ太。ありがとう、戻ってね」
空のボールにカラカラをしまうと、新たなボールをとりだし
唯「GO,ヒー太!!」
リザードン「ガアアアアア!!」
炎の竜が大気をかき鳴らした。
唯がその背に乗ると、大翼を広げ
空のフィールドへと飛び立った
220 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 01:44:43.02 ID:mbzlTloo
空は冬の色に満ちていた
空へ上がると、雪が一層、唯の視界を埋めた
ランス「今度は空中戦というわけか」
唯「ヒー太、火炎放射!!」
先制をしかけたのは唯だった
雪の世界を、溶かす豪火がリザードンの口から吐き出される
ランス「っち、炎タイプか。フリーザー、かぜおこし」
フリーザーが翼を豪快に振るう
突風が作り出され、こなゆきと共にリザードンを襲う
221 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 01:49:21.48 ID:mbzlTloo
唯「っ……!でてきて、ビー太!!こうそくいどう」
風の中リザードンの背中から一匹の尖兵が繰り出される
一度真上に飛び上がったスピアーは、上からフリーザーをかく乱しながら狙う
唯「ダブルニーd
ランス「フリーザーを相手にスピードなど無意味だ!!こころのめ、そして絶対零度」
フリーザーの瞳が閉じられる
――キンッ
気付けば、スピアーが完全に凍っていた
ブンとうるさかった羽音は今では一切音を発さず、重力を受け地へと向かう
唯「ごめんね、ビー太ありがとう」
唯はリザードンと共に下に回りこむと落ちてくるスピアーをキャッチした
222 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 01:55:27.24 ID:mbzlTloo
スピアーをボールに戻し、もう一度ランスを見る
唯「ヒー太、火炎放射。連射して!!」
ランス「冷凍ビームで応戦しろ」
空中で赤と青の光りがぶつかりあう
互いに空を滑るように飛び、あたりかまわずエネルギーを放ち続ける
唯「ヒー太、フレアドライブ!!」
リザードン「!!」
その指示にまず驚いたのは命令をだされたリザードンだった
なぜなら、それはリザードンの体に炎を纏い突撃をかける攻撃
現在唯が乗った状態で使うと……
唯「大丈夫、ヒー太の炎なら大丈夫だよ。私は信じてる」
223 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 01:57:22.81 ID:mbzlTloo
そういって、リザードンの頭を撫でた
リザードン「ガァ!!」
そしてリザードンの体に炎が宿った
唯とリザードンを覆うように炎の膜ができる
そして
ランス「なんだっ!?」
リザードンがフリーザーに突撃をかけた
224 :
予想以上に時間かかってるからテンポアップ
:2010/11/22(月) 01:58:20.70 ID:mbzlTloo
冷凍ビームが直撃するが
唯「いける!!いけるよ、ヒー太!!」
冷凍ビームが裂けるように割れた
道ができる。フリーザーへと一直線の道だ
その中心を炎をまといながら滑空する
――ダンッ
ランス「な・・・なにっ?」
青の体にリザードンの体が激突した
225 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 02:00:49.20 ID:mbzlTloo
唯「やったっ!!」
ランス「まだだ。まだ終わらん。フリーザー、ふぶき」
炎に焼かれたフリーザーは高度は落とすも、墜落することはなく飛び続ける
そして、雲を呼んだ
真っ黒の雲が白の世界を演出するように覆った
唯「ヒー太っ」
風と雪がリザードンを襲う
炎タイプとは言え、あまりに強い雪の前ではさすがに体力を消耗する
やがて
――ピキピキ
リザードンの翼が凍り始めた
高度が下がり、
やがて唯ごと墜落した
226 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 02:03:14.14 ID:mbzlTloo
ランス「ふはははは、勝った!!あの女をも乗り越えた!!これでサカキさまに――」
そのとき
――ゴロゴロ
――ドーン
雷が落ちた
激しい稲光が襲ったさきはフリーザー
ランス「なっ、どういうことだ」
わけがわからずランスが辺りを見渡すと
真下にハクリューの背に乗り宙を飛ぶ唯がいた
227 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 02:06:27.99 ID:mbzlTloo
ランス「――」
言葉を失ったランスは、なぜ、と考える
あれは、最初に凍らせたはずだ とも
伝説が落ちる
完全に不意をつかれた一撃はフリーザーをしとめるのに充分だった
唯「どうしてって顔してるから、教えてあげるね。このリュー太の特性は脱皮って言って状態異常から回復できるの。
つまりはそういうことっ。最後の雷もこの子の技。いやぁ、そのフリーザーが雲を呼んでくれたおかげで助かっちゃった」テヘッ
おちるランスにあわせてハクリューが飛んだ
ランス「くそっ、でてこいゴルバット!!」ボンッ
堕ちるフリーザーから、ゴルバットの足に捕まりなおし
ランス「だが、俺にはこれがある。この破壊の遺伝子がな」
ランスが懐からさきほど奪った破壊の遺伝子を取り出した
228 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 02:09:34.27 ID:mbzlTloo
ランス「この力を持ち再びお前を――」
???「リザードン、ブラストバーン!!」
声と共に炎が来た
その行く末は
ランスの手元。正確に破壊の遺伝子を打ち抜いていた
ランス「――!!!!」
唯は見る。
カツラがどれほどやっても消滅させることのできなかった破壊の遺伝子が、サラサラと消滅していくところを
唯「(なに?だれ!?」
???「やれやれ、おじいちゃんにロケット団が再び活動し始めたと聞いて探してみれば、こんな雑魚とは」
声の方向へと二人は一斉に首を向けた
229 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 02:12:18.30 ID:mbzlTloo
ランス「な、貴様は……トキワジムのジムリーダー!!グリーン!なぜここに」
唯「(トキワジム……?……最強のジムリーダー!!)」
グリーン「しかもだ、おじいちゃんに図鑑をもらったやつがいるとも聞いていたが、こんな女だとは……」
唯「おじいちゃん……?もしかして博士が言ってたお孫さん!!」
唯の驚きの表情とは間逆に、ランスの顔色が悪くなっていく
ランス「……ゴルバット、黒い霧だ!!」
ゴルバットの口から黒い霧が吐き出され辺りを覆った
230 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 02:15:32.50 ID:mbzlTloo
グリーン「リザードン、ねっぷうでふきとばせ」
グリーンのリザードンの翼がゴウッっと音をたてた
一振り。たったそれだけでゴルバットの作ったきりを吹き飛ばす
グリーン「ちっ、逃げたか」
吹き飛ばされた霧の中にすでにランスの姿はなかった
グリーン「まぁ、いい。どうせもう破壊の遺伝子はない」
「おい、下に降りるぞ」
唯にそうぶっきらぼうに言葉を投げると、ゆっくりとグレンの廃墟へ下降していった
231 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 02:18:19.73 ID:mbzlTloo
――グレンタウン
ナツメ「唯!!」
唯がグレンに降りたときはじめに言葉を作ったのはナツメだった。
ナツメ「大丈夫だった?」
唯「うん、なんとかね」
そう答え、ナツメの周りをみると
地面にサンダー、ファイヤー、フリーザーが寝転がらされていた
唯「カツラさんも、ナツメさんも、買ったんだね」
ナツメ「えぇ、伝説のポケモンっていってもトレーナーに縛られた状態ですもの」
カツラ「さらに、そのトレーナーの指示すらない状態ということだったからな」
唯「……このポケモンたちはどうなるんだろう」
唯の疑問に答えたのはグリーンだった
グリーン「こいつらはそもそも人に操られるようなポケモンじゃない。体力が戻れば野生に戻るだろう」
唯「そっか、よかった〜」
232 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 02:21:24.62 ID:mbzlTloo
安堵をみせる唯にグリーンはさらに続けた
ナツメ「それで破壊の遺伝子は……」
グリーン「あれは俺が処分した。問題ないだろう」
カツラ「なっ、あれを……かね?」
驚くカツラにグリーンは
グリーン「なにか問題があったのか?」
鋭い視線でカツラを見据えた
カツラ「いや、問題ない」
233 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 02:24:21.53 ID:mbzlTloo
グリーン「おい、そこの女。どうやらバッチを7つすでに手に入れているみたいだな」
唯を強い口調で呼びかけ
グリーン「3日くらいなら俺もトキワにいる。ジム戦もうけてやるよ。だが――」
「その程度では、俺は倒せない。もう少しマシになってくるんだな」
そういうとグリーンはリザードンの背に飛び乗り
グリーン「飛べ、リザードン」
マサラの方向へ飛んでいってしまった
ナツメ「どう、唯?少しは勝てそうかしら」
その質問に唯は答えることができず、ただ口を閉ざすばかりだった
234 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 02:27:26.83 ID:mbzlTloo
――どこかの空
ランス「くそっ!!」
ゴルバットにつかまり、空を飛ぶランスが怒声に近い声をあげた
唇からは、怒りをこらえるためにかみしめたのか血が流れている
――ランス、失敗したならジョウトへこい
ランスの腕につけられたポケギアから声が流れる
――こっちの計画はすでに進みつつある。お前の計画はすでに潰えた。だからジョウトへこい
――そもそも本来ならばこっちのほうが本計画だ。
ランス「ちっ、ジョウトか……」
舌打ちしたランスは、ゴルバットに指示を出す
ランス「ゴルバット、いかりのみずうみまで飛べ」
そして、この空に一言を残し、姿を消した
覚えていろ と
「VSフリーザー」 〆
235 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 02:29:52.12 ID:r9Je0kAO
格が違いすぎる流石は元チャンピオン
フルバトルなんて夢のまた夢だな
236 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/11/22(月) 11:54:18.60 ID:7Od5Kac0
続けてきてたのか
グリーンつえええなwwww
237 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 15:58:14.32 ID:y45bRsAO
リザードン
ハクリュー
イーブイ
サンダー
ファイヤー
フリーザー
これなら勝つる!
238 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/24(水) 00:43:17.47 ID:2RGBBYIo
>>237
ビー太ェ・・・
239 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/24(水) 23:16:04.88 ID:eWAFH9oo
>>237
なぜファイヤー?にらみつけるの?
240 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/11/26(金) 18:15:39.17 ID:JoNiMUw0
このスレがおもしろすぎて
昔のポケモンはじめからやりはじめたぜwwww
スピアー強いなwwww
241 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 03:15:24.65 ID:wIJhcSk0
このスレの所為で、ヒトカゲ、ビードル、ミニリュウを厳選する羽目に……
如何してくれるんだいww!?
242 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/11/27(土) 03:57:43.55 ID:6Ih2oAAO
>>238
>>241
カラ太が泣いてんぞ
243 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 14:31:19.61 ID:SvqWzkAO
フィーちゃん・・・
244 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 21:03:43.55 ID:/VcDpbIo
今日来るっかな
245 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 21:12:11.96 ID:Rlr2vio0
>カラ太が泣いてんぞ
BWにカラカラでてこなくね?
246 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/11/27(土) 22:16:39.78 ID:U6P9eAoo
――マサラタウン
唯「ただいま〜、憂〜!!」
久々の帰宅に唯は声をはずませた
いつもならばすぐに「おかえりー」の声と共に憂が姿を現すが、今日にかぎってはそうでもない
唯「あれー?憂いないのかな?」
首を斜めにかしげ、靴を脱ぎ
リビングへ足をむけるが
唯「やっぱりいないなぁ〜」
そこには整理された無人の部屋があるだけだった
247 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 22:20:12.56 ID:U6P9eAoo
唯「それにしても……憂がいないとなんだか寂しいなぁ」
空っぽの部屋の中で呟くが
唯「そっか、私が旅にでてから憂は一人だったんだね……」
憂が帰ってきたら、ごめんね と言おうと思うが
唯「ううん、この場合ありがとう……かな?」
そして無人のリビングを後にした
248 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 22:26:11.94 ID:U6P9eAoo
――唯の部屋
扉を開いた先にあるのはやはり完璧に整理された部屋
人形などがそこらに転がっていたはずだが、綺麗に机の上やいつもの定置に戻されている
憂には感謝しきれないなぁ と思い
綺麗にベッドメイキングされたベッドに倒れこんだ
そうしてまず思い出すのは
これから闘わなければならない相手のことだ
249 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 22:30:20.35 ID:U6P9eAoo
唯「(あのリザードン……よく強そうだったなぁ…)」
攻撃の制度、威力、指示のスピード、適所な技の選択。
どれもが、自分より上なのは先日の戦闘からわかっていた
あのとき、グリーンのリザードンから放たれた破壊の遺伝子を焼き払った技はおそらく命中精度のため、
あれでも威力は抑えられていたのだろうなぁ とも
唯「(元チャンピオン……なんだよね……ということは、あと5体もあのレベルなのかなぁ〜)」
思考の結果がそのまま溜息として出た
唯「やっぱり勝ちたいよね〜」
呟きは誰に届くわけでもなく、ただ静かな部屋に沈んだ
250 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 22:35:40.13 ID:U6P9eAoo
唯「……ん〜〜、あれ?寝ちゃってたのか〜」
窓から差し込む西日に当てられ、目を覚ました唯が寝転んだまま間延びした
枕元にあった時計を見てみると
唯「うそ、もうこんな時間!?」
気付けば3時間以上睡眠をとっていたことになる
唯「あれ、じゃぁ、まだ憂は帰ってきていないのかな」
いまだに物音のしない家に疑問がうまれた
憂が帰宅したのならば、そろそろ夕飯の支度の音がするはずだ
しかし
一切の物音すらしない
251 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 22:36:19.03 ID:/VcDpbIo
キタ━━━━━y=-(゚∀゚)・∵.━━━━━ン!!
252 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 22:41:19.03 ID:U6P9eAoo
そして扉のほうをみた
そこには
唯「あずにゃん!?」
開きっぱなしの扉の前に梓の姿があった
唯「あれ、どうしたの?あずにゃ〜ん」
ベッドから降り、立ち上がろうとした時
梓「――」ペコリ
梓が頭を下げた
そして
クルっと背を向けると、唯から逃げるように階段を下り
――バタン
玄関の扉が開く音がした
253 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 22:46:23.33 ID:U6P9eAoo
唯「??…どうしたのあずにゃん?」
なにがなんだかわからないが後を追いかける
音を立てながら階段をくだり、同じように外に出た
そこで
憂「おねえちゃん!!」
梓「唯先輩!!」
憂と梓に遭遇した
254 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 22:50:13.13 ID:U6P9eAoo
再び疑問が生まれる
唯「(え?あれ?)」
その疑問が口から生まれる前に、先に言葉が来た
憂「おねえちゃん、帰ってたんだ!!おかえりなさい!」
うれしそうにする憂と
梓「もう、唯先輩帰ってくるなら前もって連絡するとかしてくださいよ〜」
少し愚痴っぽくなっているが、やはり嬉しそうな梓だ
唯「あ、あれれ?」
憂「どうしたの、おねえちゃん?」
梓「なんか様子が変ですね」
唯「い、いま、あずにゃん私の部屋の前にいたよね?」
梓「え?私はずっと憂と一緒に外にいましたけど」
あれ、どういうことだろう と思うが
憂「うーん、とりあえず中に入ろうよ。おねえちゃんも梓ちゃんも」
その言葉に従い再び家の中へ戻っていった
255 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 22:56:54.96 ID:U6P9eAoo
▼
梓「で、唯先輩は急にかえってきてどうしたんですか?」
テーブルにごろんと前かがみに倒れた唯の横についた梓が少し強めの口調で言った
唯「……あずにゃん、なんか怒ってない?」
梓「……怒ってないです」
二人のやりとりに唯の対面にかけた憂がははは……と苦笑いする
梓「一度帰ってきたときに、私だけ仲間はずれにされたことなんてぜんぜん怒ってませんし」
「いつのまにか澪先輩や律先輩がいなくなっちゃってることも全然怒ってません」
256 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 23:00:13.08 ID:U6P9eAoo
一度帰ってきたとき。それは3つ目のバッチを取りディグダの穴を抜けマサラに帰ってきたとき
あの時はたしかイーブイを探しまわっていて、それで……
唯「あっー!!そっか……あずにゃんごめんね。あの時は少し忙しくしてたんだよ〜〜」
思い出し、そして情けない声で横の梓に呼びかけた
憂「ふふふ、梓ちゃんも寂しかったんだよね〜」
梓「なっ、憂!!」
顔を真っ赤にする梓に、それを暖かい目で見守る憂
唯「あずにゃ〜〜ん!!」
机に伏していた唯が、横の梓に襲うように抱きついた
唯「あずにゃ〜〜ん、ごめんねー」ナデナデ
梓「なっ、ちょ、やめてください」
唯「ここがええんかーここがええんかー」
ふざけながら首を撫でる手を止める様子のない唯に
梓「……にゃあ……」
鳴いた
257 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 23:05:53.37 ID:U6P9eAoo
憂「梓ちゃん、本当の猫みたい〜」
梓「はっ!!久々だったからつい!!」
唯「いいんだよ〜、もっと甘えてくれても〜」
梓「もう……それで唯先輩はどうして急に?」
質問に唯が抱きつくのをやめ、
唯「ふっふっふ、とうとう私もバッチを7つ集めたのだよ」
そして、じゃーんと言う掛け声と共にテーブルの上に7つのバッチを並べた
梓「……!! 本当にバッチ集めしてたんですねっ!!すごいです」
憂「わぁ……やっぱりおねえちゃんはやるときはやる人だよっ!!」
唯「えっへん、もっとほめるがいい」
そういって胸をはるが
梓「もうっ、すぐ調子にのるんですから」
梓に少し呆れられた
258 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 23:10:02.18 ID:U6P9eAoo
憂「あれ、でも7つってことは……」
唯「うん、明日トキワのジムに挑戦するんだ〜」
梓「わぁ、がんばってください!!唯先輩ならきっと勝てますよ……」
唯「……う、うん」
曖昧に濁した返事をしたことに、しまったと思う。
不安の色を気付かせないか、と心配したがどうやら気付かれた様子はなさそうだ
憂「(……おねえちゃん?)」
梓「それで、バッチ8つ集めたら唯先輩はどうするんですか?」
質問が来た
唯「うーん、そうだね。どうしよっか」
259 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 23:15:15.92 ID:U6P9eAoo
梓「どうしよっか、って……なにもきめてないんですか?」
唯「うん、全然考えてもなかったよ」
憂「ふふふ、おねえちゃんらしいね」
笑う憂と少し息巻く梓を見て、一つのことが思い浮かんだ
唯「そうだっ!!どこか3人で旅行にでも行こっか!私が好きなところに連れて行ってあげるよ!!どんな地方でもねっ!」
「ヒー太も大きくなったことだしね」
唐突の提案に憂と梓が驚きの表情を作る
260 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 23:20:23.23 ID:U6P9eAoo
唯「……だめかな?」
ありゃ、だめかな と思い二人に確認の意味も込めて尋ねると
梓「……いいんですか?」
たずね返された
唯「うん、もちろんだよっ! 憂にはずっと家で留守を任せてたから寂しい思いさせたし、
あずにゃんには前に顔出せなかったお礼ってことも兼ねて、ね?」
言うと、返ってきたのは
憂「やった、おねえちゃんとあずさちゃんと旅行か〜。たのしみだな〜」
梓「ふふ、期待してますよ。唯先輩!」
笑顔と喜びの言葉だった
261 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 23:24:49.41 ID:U6P9eAoo
▼
憂「そういえば、さっきおねえちゃん、梓ちゃんが部屋の前にいた とか言ってなかった?」
唯「あっ、そうだった。あずにゃん、夕方私の部屋の前にいたよね?」
梓「さっきも言いましたけど、今日はずっと憂と一緒にいましたよ?」
梓が不思議そうな顔を作った
唯「あれ、おかしいなぁ……」
疑問は残るが、考えていても答えは出ない
唯「まっ、いっか」
憂・梓「?」
唯「それで、憂とあずにゃんはどこに行ってたの?」
262 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 23:32:10.12 ID:U6P9eAoo
その問いに、梓が少し興奮した様子で答えた
梓「そうだっ!!唯先輩、あのお月見山で見たあの妙なポケモン覚えていますか?」
お月見山?と首をかしげて思い出すと
唯「ああ!!ミュウのことだね」
梓「そうですっ!実は今朝あのポケモンがこのマサラにいたんですよ」
「それで、憂にお月見山で唯先輩と一緒に妙なポケモンを見たって言った時、
憂が見たいなぁっていってたのを思い出して、今日一日ずっと探してたんですよ」
ミュウかぁ……とその姿を唯は思い浮かべる
唯「(ん?なんか……)」
なにかが引っかかっている気がするが、なにが理由かがわからない
だから、そうなんだ〜と話を進めると
憂「だって、おねえちゃんと少しでも同じものが見たかったんだもん」
と、憂が少し照れくさそうに答えた
263 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 23:36:19.99 ID:U6P9eAoo
▼
唯「ふぅ〜、いいお湯だった」
日はとっくに沈み、時刻は21時を回っていた
梓はすでに帰宅し、唯もお風呂に入り自室で今に至る
ベッドにバタンと倒れてしまえば、あとは思考だけが働く
さきほどから、なにかひっかかているものがある
唯「あずにゃんにミュウの話を聞いたときからだよね。この引っかかった感じは」
一人呟き、考える。
264 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 23:40:03.02 ID:U6P9eAoo
……ミュウか。思い出せば、ロケット団とはミュウにかかわる問題で対決してきたんだったよね
お月見山でピッピに変身していたミュウを……とそこまで考えたとき
今まで引っかかっていたものに気付いた
唯「そうか、そうだったんだ!!」
気付いたときには、図鑑だけを持ち部屋を飛び出し階段を下っていた
265 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 23:45:36.91 ID:U6P9eAoo
▼
――マサラタウン
唯「えっと、図鑑の分布機能で、っと……」
唯は夜のマサラタウンを走っていた
家を出るときに、憂にどこへいくの?と心配されたが、すぐに戻ると告げ走り出した
今唯が見るのはポケモン図鑑だ
調べるのは
唯「あった、ミュウのページ……」
一度遭遇したときには、読み込まなかったが
以前、マサラに戻ったとき、お月見山での読み込まなかった話をし、オーキド博士に改良してもらったため
唯「やっぱり、まだこのマサラタウンにいるんだ」
図鑑の分布機能の点滅は、マサラを指していた
唯「あっちだ……」
そういって、唯はマサラの郊外の小さな森林地帯のほうへと駆け出した
266 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 23:49:31.44 ID:U6P9eAoo
▼
小走りで図鑑が示すほうへ走る
白い息が口から漏れるが、気にせずただ走る
そして
唯「――いたっ」
森の中の小さなスペースにソレはいた
唯「……ミュウ!」
ミュウ「ミュウウウン」
空中をフラリフラリと浮翌遊しながらミュウは鳴いた
唯「夕方、あずにゃんに化けて私のところにきたのは君だね?」
言うと、ミュウがうなずくようにもう一度声を上げる
267 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 23:50:52.57 ID:U6P9eAoo
唯「私、君が変身できるってことすっかり忘れてたよ。」
「あずにゃんにマサラに君がいるって聞いた時、なにかが引っかかってたんだ」
「そのときに、直感的に夕方のは君だって気付いてたのかもしれない」
言葉が通じているかもわからないが、続ける
唯「……もしかして、お礼を言いにきてくれたのかな?」
一連の事件。すべてにミュウが関わっていた。
あのままいくとロケット団に捕らわれていたかもしれない
だから、自惚れかな?とも思いながらも口にだした
すると
ミュウ「ミュウウウ!!」
返事ともとれる鳴き声を発しながら、唯の周りをくるくると回った
長い尾のさきからは、あとを追うようにキラキラとした光が振りまかれる
268 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 23:55:47.95 ID:U6P9eAoo
唯「ふふ、きれいだねっ♪」
何度か唯の周りをくるくると遊ぶように回ったミュウは
唯「――そっか、もういっちゃうんだね?」
その問いには答えることなく、空へと飛び去った
残されたのは
No.151 ミュウ
きよらかな こころと
つよく あいたいという きもちを
もつと すがたを あらわすらしい。
図鑑の文字と、それを眺め
唯「ふふっ、私が君に強く会いたいと思ったのかな?それとも君が私に会いたいと強く思ってくれたのかな?」
という唯の嬉しそうな呟きだけだった
「VSミュウ」 〆
269 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 23:57:04.79 ID:U6P9eAoo
どうしても、なにかミュウの話をやりたかった
そしてまたVSしてねぇ……
あと唯のお誕生日ももうすぐ終了だぞ。おいどうしてくれるくぁwwせdrftgyふじこlp;
270 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/28(日) 01:12:20.47 ID:jLH3kkEo
さあどうなるグリーン戦
271 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/28(日) 01:25:20.66 ID:kHt6Hzc0
サナギ探してたら、ガラガラ出てきたしwwwwww
厳選開始なんやなwwwwww
272 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/28(日) 02:30:33.91 ID:UYWo1kAO
図鑑高性能だな、ポケスペじゃ一部の子供しか持ってないから敵対者が欲しがるわけだな
273 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/28(日) 02:32:56.69 ID:wj5hPaoo
よかったよ!
おつ!
274 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 21:00:51.04 ID:cDfC236o
▼
――梓の家
――ジリリリリッ
カーテンの隙間から朝日がさす部屋に音と少女があった
音の発信源は、ベッドに眠った少女の枕元
時計だ。
目覚ましとして、機能した時計が起床時間を知らせていた
ん……、と声をだした少女が目覚ましに手を伸ばす
梓「ん……今……何時……」
かすんだ視界に針とそれが指し示す文字盤が目に入る
275 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/01(水) 21:10:19.70 ID:cDfC236o
梓「えっと……10時と……」
確認するように口にした梓がはっ、と意識を覚醒させた
梓「あわわわ、唯先輩はジム戦に9時には行くって言ってたから……」
「遅刻だあああああ!!」
慌ててベッドから飛び降りるとき、昨日の記憶がよみがえる
あれは唯先輩の家でご飯をよばれ、もう帰ろうとしたとき……
276 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/01(水) 21:20:36.14 ID:cDfC236o
――前日
梓「えっ?先輩朝から挑戦しにいくんですか?」
夜も更けてきたので、もうそろそろ帰ろうと思った梓は唯の家の玄関をでたところ
そこで声をかけられた
その相手は
唯「うん、だからよかったらあずにゃんも私のジム戦みにきてよ!どれくらいつよくなったか見せてあげるっ!!」
そういうと、梓の手を握り
唯「あずにゃんにも私のがんばってきた成果みてほしいなぁ…」
梓「……そういうことなら……わかりました!!」
唯「ありがとおおお、あずにゃ〜〜ん!」
何度目かになる抱きつきが来た
277 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 21:33:57.62 ID:cDfC236o
▼
………
……
梓「うん、これで大丈夫だよねっ、髪の毛もはねてないし、服装も大丈夫」
鏡の前に立ち、自身と顔を会わせ
よーっし、と一人ゴチり玄関へ向け歩みを進めた
梓「あっ、×××もちゃんとつれていってあげないとね」
思い出したかのように、リビングのほうへ行き
モンスターボールを手に取ると
梓「今度こそいくよーー」
そうしてマサラの町へと繰り出した
目指すはトキワシティ、1番道路のその先だ
278 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 21:42:11.04 ID:cDfC236o
――1番道路
梓「今日はポケモンも飛び出してこなくて、いい感じ」
走りながら思う。いつもならば、コラッタやポッポが飛び出してきたりするんだけど と
そして、今日に限ってはラッキーかな?とも思う
梓「急がないといけないもんね。――あっ、みえてきた」
視界にトキワシティをとらえるが
梓「あれっ……なんだろう……」
空に朱が二つあった。
方向としては、トキワから少し外れた上空。
郊外にあたるところだろう
279 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 21:42:33.92 ID:.3BKwwAO
そうか梓は自分のに放送禁止ワードつけたのか
280 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 21:48:49.63 ID:2aX4bn.o
キタ━━━━━y=-(゚∀゚)・∵.━━━━━!!
281 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 21:51:37.81 ID:cDfC236o
梓「……ポケモン……バトル?」
だんだんとはっきり、大きくなるそれを見て
梓「2匹の赤い竜……?」
「――まさかっ!!」
思い浮かぶことは一つある。
そしてそれが確信に変わる声が来た
――ヒー太、火炎放射!!
走る方向を少しずらし、声の元へと走り出した
282 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 21:58:36.24 ID:cDfC236o
▼
トキワというのは森林、緑にあふれた町だ
町を少しでれば森林地帯などざらにある
梓「あっちのほうだよね」
梓は木々のあいだを抜け、さきほど声が聞こえたと思われる方へと走る
そして
開けた場所に出た
そこには3人の人がいる
少し離れた場所にいる一人は自分と同じ年で仲がよい少女、憂だ。
遠めに見える彼女の顔は、なにかを心配するかのように、不安そうに見えた
そして、向かい合う二人がいる
お互い真剣な顔をしながら、距離をあけ向かいあっていた
唯と、おそらく戦っている相手はトキワのジムリーダーだろう と予測する
283 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 22:10:28.17 ID:cDfC236o
梓「唯先輩……?」
唯を見れば違和感がある
表情だ
いつもの、のほほんとした雰囲気はなく、苦虫をつぶしたような、どこか悔しそうな表情を作っている
唯先輩!!そう呼びかけようとしたとき
梓「ゆ――!
――ドシン
大きなポケモンが空から堕ち、大地を揺らした
梓「え……?」
284 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 22:20:55.87 ID:cDfC236o
▼
――唯の家(午前8時30分)
唯「うーん!!」
全身を弓のようにそらし間延びした。
起きたばっかりの様子をみせる唯だ。
唯「今日はジム戦だね〜、みんなよろしくね」
そういって枕元の目覚ましの横に並べた、モンスターボールに話しかけた
そのなかには、さまざまな形状のポケモンが入っているが、
その言葉にとった行動は一つだ
みなが、力強くうなずいた
285 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 22:29:35.86 ID:cDfC236o
唯「(うん、きっちりと起きれたし、体調も悪くない)」
普段憂に起こされるまで起きない自分にとっては、すごく貴重だ とおもう
唯「(緊張してる……のかな?)」
自分でもわからない感覚にとらわれているようだった
――コンコン
唐突にノックの音が響き、部屋のドアが開いた
憂「おねえちゃん、起きてるー?」
エプロン姿の憂が顔をだした
唯「うん、ばっちりばっちり。このとおりだよっ!!」エッヘン
一人で起きたことに得意げになるが
憂「ふふふ、ご飯できてるから、着替えたら下におりてきてね?」
スルーされた
286 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 22:41:20.09 ID:cDfC236o
唯「それじゃ、いってくるねー。憂もよかったら見にきてね〜」
憂「うん、食器とか片付けてからいくね〜」
リビングから返答がある。
朝食も取り、準備はばっちりだ
……いよいよジム戦かぁーやるぞー
気合を心の中で入れ、玄関の扉を開いた
が
憂「おっ、おねえちゃん!!モンスターボール、モンスターボール!!」
5つのモンスタボールを手のひらにのせた憂に、呼び止められた
唯「ありゃ……?」
287 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 23:11:44.27 ID:cDfC236o
――トキワシティ
一番道路を抜け、トキワの町へ入る
小さな街だ。
街道にさえ入ってしまえば、ジムなどすぐに姿をあらわす
唯「いよいよだね……さぁ、みんながんばろうっか♪」
ジムはすぐそこだ。
唯は歩く速度をほんの少し上げ、ジムの扉へと向かうが
しかし
グリーン「……きたか」
ジムの外壁にもたれ掛かるグリーンがいた
グリーン「ついてこい」
その一言だけをいうと、町外れの森のほうへと歩を進めた
288 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 23:24:12.84 ID:.3BKwwAO
最後の一匹は未だに加入せずか
再会のちバトルのフラグも建って、澪と律の手持ちも考えないといけないから大変だな
まぁ歴代ライバルの内容引用でも気にしないが
289 :
ちょいちょい間があいてすまない。ちょっと席離れてた
:2010/12/01(水) 23:43:32.57 ID:cDfC236o
――トキワ郊外
グリーン「ここでいいだろう」
あたりを見渡せば、木々に囲まれた天然のフィールドともよべる場所があった
その中央には大きなスペースがあり、ジム内より大きいバトルフィールドだ
唯「わぁ……すごいね〜」
唯ののんきな声とはうらはらに、グリーンの鋭い声が響く
グリーン「お前は好きな数だけポケモンを使うといい。それでお前が俺のポケモンを一体でも倒せたなら、グリーンバッチをやろう」
唯「え?」
いいながら、対面に向かって歩いていくグリーンを見送りながら、唯は思う
唯「(それって……)」
なめられている
290 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/01(水) 23:46:43.55 ID:cDfC236o
お前とはそれぐらい力の差がある。そう叩きつけられたようなものだった
対等ではない。そういわれた気がした
胸のうちに悔しさが生まれる
だから
……勝つ
勝ちたいからという意思から、勝つという決意に変わった
そしてグリーンが唯の対面につき向かい合った
唯「いくよ、カラ太」ボンッ
グリーン「カラカラか。行け、リザードン」ボンッ
お互いの初手となるモンスターが繰り出された
291 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 23:48:57.03 ID:.3BKwwAO
おぉ最新刊のポケスペみてぇだ、まぁ全抜きなんて夢のまた夢だな
292 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/01(水) 23:50:25.22 ID:cDfC236o
最初に仕掛けたのは――
唯「カラ太、速攻だよ。ふところにとびこんでボーンラッシュ!」
カラカラが骨を両手で握り、飛び掛った
グリーン「リザードン、こわいかおだ」
ギンっとリザードンがカラカラを睨み付ける
カラカラ「カラッ!?」
カラカラがリザードンに威圧され、少しの隙をみせた
グリーン「ひるんだ隙を狙え、しっぽをふれ」
ゴウッとリザードンの尻尾が地を這いながら轟音を上げた
向かう先は
唯「カラ太、守って!!」
293 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/01(水) 23:57:11.95 ID:cDfC236o
その指示にカラカラが骨を縦に構え、受け止めた
グリーン「ほぅ……これぐらいでは吹き飛ばないか……」
ならば、とグリーンが繋ぎ
グリーン「飛べ、リザードン!わざわざ地上戦に付き合ってやることはない」
リザードンが大きな翼を広げ、太い足で大地を蹴り出した
唯「カラ太、まだ高度は高くないよ。ホネブーメラン!!」
カラカラ「カラっ!!」
骨を投げた
294 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/02(木) 00:01:51.85 ID:LSwFgrEo
クルクルと回転しながら骨はリザードンの翼へ向かうが
グリーン「カラカラごと熱風で吹き飛ばせ」
リザードン「ガアアアアアア」
翼を大きく後ろへ逸らし、そして羽ばたいた
風が空を切る音がやけに大きい
そして骨は風に負け、地面に叩きつけられ
カラカラ「……!?」
熱風が真上から叩きつけられるように襲う
地上の砂が巻き上げられ
カラカラを巻き込みながら地上へぶつかった風と熱は、横へ逃げるように方向を変える
当然、その真っ只中にいたカラカラは
真横へと吹き飛ばされ
――ドンッ
木へと衝突し気絶した。
295 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/02(木) 00:05:45.98 ID:LSwFgrEo
唯「っ、戻ってカラ太!!そしていって、ビー太!」
カラカラをボールに戻し、かわるように出てきたのは
スピアーだ
唯「こうそくいどう!!」
残像を残しながら、加速していくスピアーを
グリーン「火炎放射で狙い打て」
リザードンの口から出た炎が襲う
が
唯「大丈夫、あたらないよ」
その言葉通り、スピアーが上から降るように放たれた炎をかわす
296 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/02(木) 00:09:42.62 ID:LSwFgrEo
唯「上昇して、みだれづき!!」
いつのまにかスピアーの位置はリザードンの真下にあった
そして、スピードを落とさずに高度を上げる
懐にはいりこみ
唯「いっちゃええええ」
スピアーが両手の針でリザードンを何度も刺し当てるが
グリーン「スピードに頼りすぎで、力が入っていないな。そんなものではリザードンの体はつらぬけない!」
唯「ならっ……!!」
スピアーがリザードンの懐を抜け、さらに上空の位置につけた
唯「(この後フィーちゃんもいるから、出来る限り飛行手段はなくしておきたい……だから)」
「翼を狙って、ビー太!!ダブルニードル」
297 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/02(木) 00:17:47.99 ID:LSwFgrEo
翼ならば体に比べて、薄い。
そう考え、スピアーに指示をだす
――ブンッ
狙いを定めたスピアーがスピードをあげた
リザードンの大きく開かれた翼は無防備だ
だから、かまわずつっこんだ
だが
――バサッ
狙いの先にリザードンの翼はなかった
唯「(なっ、空中で翼をたたんだ)」
翼をたたみ重力にしたがい少し下へと下がったリザードンが再び翼を開き
丁度スピアーの真下の位置でホバーした
グリーン「カウンターだ」
298 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/02(木) 00:21:52.89 ID:LSwFgrEo
リザードンの拳に炎が宿った
そして
アッパーのように、スピアーへと真下からブチこんだ!!
その一連の動作は、唯に闘牛士を連想された
翼をマントのようにしてひらりと、挑発して攻撃を誘う
唯「(やられたっ!!)」
そう思ったときには、すでにことが終わった後
スピアーが落下する
唯「戻れ、ビー太」
グリーン「こんなものか?カントーもレベルが落ちたものだ」
299 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/02(木) 00:27:19.69 ID:LSwFgrEo
唯「っ……・がんばってフィーちゃん」
イーブイ「ブイブイ」
グリーン「いいのか、そいつで。またカラカラの二の舞になるぞ」
唯「いいんだよっ!フィーちゃん、がんばって」
グリーン「ふん……やれリザードン。熱風だ」
カラカラの戦闘シーンが再び再現されようとしていた
リザードンが高度を下げる
上空にいては、熱風の威力が格段に落ちてしまうからだ
グリーン「そら、お望みの展開だ!」
大きな翼から再び熱と風が放たれた
唯「フィーちゃん、こらえて……!」
300 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/02(木) 00:30:55.54 ID:LSwFgrEo
イーブイが熱風に巻き上げられた砂埃のなかに消えていく
――ゴウッ
一振り、二振り、とリザードンは翼を振るい
そして技が途切れる瞬間がくる
唯「いまだよ、フィーちゃん、とっしん!!」
砂埃の中、イーブイが空中へと飛び出し
低空へと降りてきていたリザードンのボディへと己の体を捨て身でブチあてた
グリーン「……!? まだ耐えていたか!?」
「だが――」
攻撃を食らったリザードンは空中でフラリとぐらつくが
グリーン「悲しいことに威力が足りないな!!」
持ち直した
301 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/02(木) 00:42:33.62 ID:LSwFgrEo
一方、最後の攻撃を放ったイーブイは地上へと落ち目を回している
とっしんの反動だ
唯「これもだめ……なの? 戻って、フィーちゃん」
イーブイをボールに戻したとき、カタカタと唯の体に震えがきた
ポケットに入れたモンスターボールだ
その一つを取り出し、中に入っているポケモンと目をあわす
唯「リュー太……?」
じっとハクリューと見つめあうと
唯「おちつけってことかな?」
そういうと、ボールの中のハクリューがコクンとうなずいた
302 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/02(木) 00:44:35.92 ID:LSwFgrEo
唯「……」
考えてみれば、最後のジム戦ということで余計な力が入っていたのかもしれない
熱くなりすぎた とも
相手は自分より強者だ。
そのことは本当は戦う前から自分でもわかっていた。
認めたくなかっただけだ。
そして
ただ、いつものようになんとかなるだろう と慢心していた。
それが甘かった
相手は勝負に関しては真剣だ。
さきほどから手を抜いている様子などもまったくない
唯「(これは失礼……だったよね)」
303 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/02(木) 00:48:35.54 ID:LSwFgrEo
一度大きく、深呼吸をした
すると、景色が一新した
辺りをもう一度よく見渡すと、いつのまにか憂がいた
その顔は心配そうで
唯「(心配かけちゃった……よね)」
そして、グリーンを見据える
相手はいまだに何も言わずに自分のことを待ってくれている
まるで万全を出す間を与えてくれているように
相手は待ってくれる相手だ。
そのことにありがたいと思いながらも
唯「ふふ、グリーンさんって実はいい人だったり!」
その言葉にもグリーンは反応は示さないが
唯「これからは今までのようにはいかないよっー!」
唯が新しいボールを掲げた
「VSリザードン(前編)」〆
304 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/02(木) 00:58:14.47 ID:.J2SEQAO
乙、後編期待
305 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/02(木) 14:47:26.61 ID:yC3yYAso
追いついた マジ後編期待ー
306 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/04(土) 20:15:27.97 ID:Hhs5NM60
後編まだかなー、そろそろかな
期待してるぞ
307 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/04(土) 21:05:50.48 ID:OMnqbh.o
唯「GO、リュー太!!」
ハクリュー「リューー!!」
オーラを纏う美しい蛇のようなドラゴンが繰り出された
唯「リュー太、竜巻!!」
リザードンの周りを風が渦巻いた
あたりの岩の礫や砂を巻き込みながらも、円を描きながら竜巻は拡大していく
グリーン「っく……リザードン、上空へ逃げろ!」
竜巻の中心部からリザードンが飛び出した
308 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/04(土) 21:10:12.99 ID:OMnqbh.o
唯「(大丈夫、消耗させてる。まだまだ押せるよ)」
「リュー太、雲を呼んで!!」
ハクリュー「リュウウン!!」
ハクリューの首につけた玉が、光りを放ち
天へと抜ける
大きな雲が空を隠すように覆った
グリーン「リザードン、竜の舞だ!!」
リザードン「ガァアアアア――」
空を飛ぶリザードンが咆哮を上げた
309 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/04(土) 21:15:51.27 ID:OMnqbh.o
そして
音が響いた
翼で空を切る音だ
ヒュンと鳴らしては、また重なるように音を上げる
風が動く
尻尾の炎が華のように咲きほこり、ゆらゆらと揺れる
そして揺らぎは本体へとも伝播する
――ユラッ
リザードンの体が揺れて、消える
正確には消えているわけではなく、認識をずらす といった感覚だろうか
そして音と動きが重なった
310 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/04(土) 21:21:07.76 ID:OMnqbh.o
一方
――ゴロロッ
ハクリューが呼んだ雲も低音の叫びを上げる
唯「リュー太、あまごい!!」
ハクリュー「リューーー!」
もう一度首の珠が光ると、ポツリポツリと雨がふりだした
唯「――かみなり!!」
唯が手を真上に上げた
上空、指した先にはリザードンがいる
311 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/04(土) 21:27:54.74 ID:OMnqbh.o
グリーン「リザードン、よけろ!!」
舞うように、空を飛来していたリザードンが横に滑空する
――ドーン!!
雷が落ちるが、リザードンにはあたらない
唯「(あのリザードンさっきより素早くなってる!?)」
「っ・・・・まだだよ、リュー太かみなりを落とし続けて!」
ハクリューが空の舞台へと浮かび上がった
雷は轟音を残しながら、落ちるが
リザードンの真横に落ちたり、斜め前に落ちたりと狙いが定まらない
312 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/04(土) 21:31:42.17 ID:OMnqbh.o
グリーン「(おかしい……この違和感はなんだ)」
「しまった――!!そういうことかっ!!」
「――誘導されている!リザードン停止しろ!!」
時はすでに遅い
リザードンが停止した位置
そのまん前にはハクリューが浮上してきていた
グリーン「っ、高速移動で距離をつめていたのか!?」
唯は答えない。
その代わりに
唯「もう遅いよ」
「――電磁波!!」
微弱な電撃がリザードンへとヒットした
313 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 21:33:29.80 ID:spSLD.2o
キタ━━━━━y=-(゚∀゚)・∵.━━━━━!!
314 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/04(土) 21:37:24.91 ID:OMnqbh.o
▼
グリーン「(先ほどまでとは大違いだな)」
空では自分のリザードンが電撃をくらい動きを鈍らせている中、グリーンは思う
さきほどまでの相手の少女は、どこか攻撃が単調になっていた。
自分が少し挑発じみた行為したせいもあるのだが
正直、がっかりだった
最近は挑戦者自体の数が減っていた。
ジムリーダーのレベルがあがったのか、挑戦者のレベルが下がったのかはわからない
だが、そのことにどこかイラツキさえも感じていたのは確かだ
そこへ、久しぶりの挑戦者ときたものだ。
しかもその相手は自分の祖父が認め、図鑑を与えたくらいのものだ。
そのことに期待すらも抱いてみた
しかし、フタをあけてみれば
普通ののんきそうな少女にしか見えなかった
祖父がなにを認め、図鑑を渡したのか、今までのジムリーダーがなぜまけたのかが分からなかった
315 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/04(土) 21:40:16.21 ID:OMnqbh.o
だが、
今、相手の少女の見せた攻撃は見事なものだった
いまだにリザードンは倒せていないが、りゅうのまいで底上げしたスピードを一気に奪われてしまった
グリーン「(……俺は今、楽しんでいるんだな)」
「(アイツとの戦い以来だな……この昂ぶりは)」
思い出すのは自分の幼馴染であり、ライバルだ
赤い帽子をかぶった姿が特徴的で、いつもポケモンポケモンといっているようなやつだった
その少年とのバトルは、今考えてみればとても充実していた
勝ち負けではない
その内容にだ。
お互いが全力をだしあい、ぶつかりあう
あの時の昂ぶりが、ほんのわずかだが今よみがえった
グリーンは気付く
グリーン「雨が止んだか……」
いったとき、少女が次の行動に出た
316 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/04(土) 21:45:53.63 ID:OMnqbh.o
▼
唯「まだまだ、さぁ本命のかみなりはこれだよ!!」
ハクリュー「――!!」
音にならない声が空に響く
ハクリューの首元の珠が眩しいくらいの光を生んだ
唯「いっけええええ!!」
途端、空から雷の一撃が地へと一閃した
その天と地のあいだにいるリザードンを貫く
だが、リザードンは地に堕ちることはなく
唯「まだ落ちないっ!?――戻って、リュー太!!」
ボールに戻したかわりに呼んだその名は――
唯「ヒー太!!」
317 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 21:49:57.53 ID:OMnqbh.o
2匹目となる炎竜が現れる
互いのフィールドは違う
一匹は空に、一匹は地に。
相手のリザードンは消耗しながらも空を回る
だから
唯「――行くよ!飛んでヒー太」
空を目指す
その大きな翼が大気をきり
発生する風が唯の髪の毛を揺らした
リザードン「ガァアアアアア!!!」
318 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 21:55:34.48 ID:OMnqbh.o
地上で待つ唯が、上を目指すリザードンを見送った
敵はまだ上空だ
……そこへいくよ
意思はリザードンへと繋がれる
だが
グリーン「狙い打て!火炎放射!!」
妨害が来た
上という優位を保つように、と込められた命令が飛んだ
319 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 22:03:38.74 ID:OMnqbh.o
唯「対抗して、ヒー太!!」
中空で炎と炎がぶつかった
拮抗する力はやがて
グリーン「っく!おされているか!!」
唯のリザードンの放つ炎が押し始めた
上へ……上へ、という力が唯のリザードンを押し上げようとしていた
そして
来たよ……と告げる。
2匹の竜が空のフィールドに並んだ
舞台は上空へと変化した
320 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 22:05:25.67 ID:OMnqbh.o
▼
グリーン「おい、お前。名前は?」
地上ではグリーンと唯が言葉を交わしていた
唯「…唯、平沢唯だよ!」
グリーン「そうか。覚えておこう」
グリーンが少し笑った気がした
唯「?」
グリーン「さぁ、あいつとさきほどのハクリューを倒して終わりにしようか…」
唯「……うんうん、違うよ。落ちるのはグリーンさんのリザードンだよ」
そして
唯「オーバーヒート!!」 グリーン「ブラストバーン!!」
二人が空へと叫びを上げた
321 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 22:11:30.64 ID:OMnqbh.o
空にはリザードンたちがお互いに牽制しあうように、炎を作る
そこへ
――オーバーヒート
――ブラストバーン
声が届いた
リザードン「「ガアアアアアアアアアア!!」」
互いは互いをめがけて、吼え
業火を吐き出した
だが
炎はグリーンのリザードンのほうが大きい
322 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 22:17:24.13 ID:OMnqbh.o
空が燃える
その炎の赤をあたりは映し出し、朱の舞台を作り出した
唯「ヒー太!!、まけないで!!」
聞こえる声は下からきた
距離があり、あの位置からは声を張り上げなければ届かないだろう
声の持ち主はおそらく心配そうな顔をしているのだろう
だから
リザードン「ガアアアアアアア!!」
唯のリザードンの火力が増した
323 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 22:20:53.43 ID:OMnqbh.o
そして同時に
リザードン「――」
グリーンのリザードンが瞬間、停止した
マヒだ
ハクリューから受けたマヒがここへきて襲う。
その隙を唯のリザードンは見逃さない
勢いにのり、火力を上げる
そして
――
炎が火竜を飲み込んだ
324 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 22:25:53.90 ID:OMnqbh.o
▼
堕ちる
下へと……地へと……
――ドシン
高所から落ちたため、その分音も重く鳴り響く
グリーンは思う
……負けたか
そして、挑戦者へとバッチを渡そうと懐に手をいれ、唯をみた
すると
唯が首を振った
325 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 22:31:33.12 ID:OMnqbh.o
まだ終わっていないと、これではバッチなんてもらえないと瞳が告げている
……面白い……!!
おそらく自分はあの少女をここで負かすだろう と思う
だが、おそらくまだ強くなる とも
だから
グリーン「唯と言ったな。せっかくだ、ここで俺の最強を見ていけ。そして――」
「次に挑戦するときは、俺に6匹とも出させてみせろ」
そして新たなボールを取り出した
326 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 22:34:09.46 ID:OMnqbh.o
▼
まだ終わっていない、そう唯は思う
これではバッチなどもらえやしない。
自分は持っている5匹をフルに使ってのようやくの一匹だ
だから
グリーンがこちらを見たときに、クビを振った
そして声がくる
グリーン「――」
グリーンが新たなボールを取り出し、名を告げ新しいポケモンがくりだされた
――行け、バンギラス
327 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 22:37:41.78 ID:U98u5cAO
2人ともカッコ良すぎだぜ
328 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 22:43:16.30 ID:OMnqbh.o
▼
繰り出されたポケモンを唯は見上げていた
だされたモンスターは2mはあるモンスターだ
大きな緑の体に、凶悪そうな足と腕、そしてそれに付随する爪。
お腹には青い模様がある
No.248 バンギラス
かたうでを うごかしただけで
やまをくずし じひびきを おこす
とてつもない パワーを ひめる。
グリーンのリザードンを倒し、唯の横に降りてきていたリザードンに比べてもまだでかい
唯「(か、怪獣だああああっ!)」
329 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 22:45:10.53 ID:OMnqbh.o
そして、そのポケモンは大地にも影響を与えた
砂だ
気付けば、あたりには砂が舞うようになっている
小さな砂の粒が、容赦なくトレーナーを襲う
唯「うおっ、砂が目に〜〜」
グリーン「この砂嵐がイヤならあと10歩うしろに下がることだな」
忠告がきた
そのとおりに後ろへ下がると
唯「おお、砂が球状にふきあれてる〜!」
「はっ!バトル中だった。ヒー太、もう一度飛んで、上空の砂嵐が届かない範囲から攻撃して」
330 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 22:49:42.63 ID:OMnqbh.o
リザードンが再び翼をひろげ、宙に浮かび上がる
が
グリーン「やれ、ストーンエッジ」
唯「えっ?」
砂嵐の中から、岩による砲撃のような攻撃がきた
唯「ヒー太!!」
気づけば、尖った岩によってリザードンの翼がうちぬかれ
そして
地面へと倒れこんだ
唯「ええ〜!!一撃!?」
331 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 22:50:12.70 ID:OMnqbh.o
最後のモンスターとなるボールを掲げ唯は思う
――さっきバッチをもらわなくてよかった
だって
唯「(あれでもらっちゃっても、本当の勝ちにはならないもんね…)」
「もう一度がんばってリュー太!!」
………
……
332 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/04(土) 23:20:41.36 ID:OMnqbh.o
――マサラタウン・唯の家
唯「あーあ、負けちゃったね……」
ベッドの上に寝転がりながら
ポケモンセンターで回復させたポケモンたちに話しかけた
――リュー太も一撃かぁ……
あの後、だした直後に神速で攻撃を仕掛けたが、待ち構えられ、
唯「かみ砕く……か」
唯「あー、やっぱりまだまだ駄目だねー」
ベッドの上で、四肢を伸ばし考える
そして
唐突に起き上がると
唯「よっし、決めた。――でも、そうなると謝らないと」
自室の部屋のドアを開け、廊下へと踏み出した
333 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/04(土) 23:25:22.14 ID:OMnqbh.o
▼
リビングには二つの人影がある
梓「唯先輩大丈夫かなぁ……」
憂「うーん、無理してるってわけでもなさそうだったけど……なにか考え事してるって感じだったね」
梓と憂が唸り、共に はぁ、と息を重く吐いた
そこへ
唯「あずにゃん、憂、ちょっといいかな?」
唯が現れた
334 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/04(土) 23:30:08.77 ID:OMnqbh.o
唯「さきに謝っちゃうけど――御免!!」
梓・憂「へっ?」
なぜ謝られているかわからない梓と憂から間抜けな声がでた
唯「えっとね……その……3人でどこか行こうって言ってたじゃん……あれ、もう少し待ってくれないかな……?」
「私、もう一度各地を回って鍛えなおして、グリーンさんに勝ちたいんだ…!」
梓「……」
憂「……」
唯「えっと、だめかな?」
少し困り顔で唯が二人に尋ねた
すると
二人が急に、ははははと笑い出した。
335 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 23:35:21.16 ID:OMnqbh.o
梓「なんだ、そんなことだったんですか」
「ずっと真剣そうな顔してるから、なにかあったのかと思いましたよ」
憂「もちろん、おねえちゃんのやりたいことだもん。応援するよ。」
「だって、おねえちゃんは絶対に約束は守ってくれるって知ってるから」
憂が優しく微笑み
梓「それに、最初から約束は唯先輩が8つのバッチ集めたらって話ですっ!」
「だから、その……今度こそ負けないでくださいよ」
少し顔を赤くした梓もいる
唯「う〜〜い〜〜、あずにゃ〜ん!!」
両手を広げ、二人に飛びつくように抱きついた
梓「もうっ、苦しいですってば///」
唯の頬にすりすりされながら梓が照れ、憂が微笑んでいた
唯「絶対に強くなって、また戻ってくるからね〜」
336 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 23:40:42.52 ID:OMnqbh.o
▼
唯「それじゃぁ、行ってくるね〜」
玄関に手を振り、自宅を後にし
リザードンを出し、その背に乗った
だが、そのとき
おい、と呼び止める声が来た
みえばそこには
グリーン「……ジョウトのバッチ3つだ。どこでもいい、ジョウトで3つバッチ集めてきたならば、その時はもう一度勝負してやろう」
その言葉だけ告げると、背を向けゆっくりと去って行ってしまった
呆然とその姿を見送る唯は
唯「ふふふ、やっぱりいい人だよね」
そして
唯「さぁ、飛んでヒー太」
空へと飛び出した
………
……
337 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 23:45:40.93 ID:OMnqbh.o
――ヤマブキシティ
ナツメ「で、どうして唯はここにいるのかしら?」
唯「えへっ、きちゃったっ♪」テヘッ
ナツメ「テヘッじゃないわよっ!!どうしてここにって聞いてるのよ?」
唯「いやぁ、えっとジョウトってどうやっていけばいいかわかんないし、頼れる人はナツメさんだけなんだよ〜!」
「妹と後輩にも大見得きって出てきちゃったし……」
声が響くのはヤマブキシティのナツメの家だ
唯が泣きまねをしながらナツメにすがりく
338 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 23:50:52.76 ID:OMnqbh.o
ナツメ「唯ってほんとに変わってると思う」
唯「えへへ、そうかなぁ?」
ナツメ「言っておくけど、褒めてないからね?でも、よく私の家がわかったわね?」
唯「えっと、街でナツメさんの家がどこか聞いたらおしえてくれたよ」
唯が今度はナツメの部屋を見渡し、あちらこちらへと物色している
透明なガラスケースが机の上には設置されており、その中には
唯「(……スプーンコレクション!?)」
ナツメ「それで、ジョウトへ行くって言っていたわね……」
「まったく、タイミングはいいんだから」
唯が物色しているのをまったく気にする様子もなくナツメが続ける
339 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 23:55:38.51 ID:OMnqbh.o
ナツメ「こっちへきなさい。唯」
唯「?」
呼ばれ振り返った唯が、疑問を顔に出しながらもナツメへと近寄っていく
ナツメ「はい、これ」
差し出されたものは
唯「定期入れ?」
ナツメ「えぇ、そこにはヤマブキからコガネへの定期券が入っているから、使うといいわ」
唯「ナツメさん……!!」
そして一瞬の間を置き
唯「ありがとおおおおお〜〜」
抱きついた
340 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/05(日) 00:01:07.84 ID:zJhadfYo
ナツメ「えっ、ちょ、やめ、やめなさい//」
あまりこのようなスキンシップに慣れていないナツメが顔を赤くする
唯「ちゅ〜〜!!」
ナツメ「えええ、ちょ、え、だめ」バシン
頬に真っ赤な紅葉ができた
唯「あれれ、デジャブのような……」
「VSリザードン(後編)」 〆
▼
―――行こう、ジョウトへ
カントー編 了
341 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/05(日) 00:04:05.22 ID:zJhadfYo
とりあえず、ひと段落。
お読みいただいてる方がいたなら、ここまでありがとうございました
とりあえず、次はりっちゃん編もやろうかとry
お付き合い頂ければ幸いです
342 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/05(日) 00:06:22.23 ID:zJhadfYo
導入
――ワカバタウン
時は遡る
唯がタマムシのジムに挑戦しようというとき
違えた場所で、一人の女の子が研究所のドアを叩こうとしていた
律「ここが、ウツギ研究所だよな…?」
確認するかのような独り言を発した少女は思い出す
先ほどまで一緒にいたオーキド博士が、話はとおしてある と言っていた
ありがたいと思うが、今はその博士もいない
このさきにある30番道路の民家へいくと言い、後でそこへ寄れとも言われている
律「それにしても、やけに静かだなぁ」
疑問に思いながら、研究所のドアノブに手をかけた
343 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/05(日) 00:18:11.49 ID:K1MLFkAO
乙、他の2人は描写省かれると思ってたから嬉しいわ
344 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/05(日) 00:27:14.66 ID:X9ItFAAO
そうだ ジョウト、行こう。
JRカントー
345 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/05(日) 07:32:49.72 ID:JGIsn7Uo
これは期待してもいいんですね
346 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/05(日) 11:44:17.76 ID:F5mOA/k0
りっちゃんきたああああああああああああああ
これは澪編もあると考えていいんだな?そうなんだな?
え?沢庵?だれそれおいしいの
347 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/05(日) 12:59:03.81 ID:0r1cVRso
唯も
>>1
もおつかれ!
律ちゃん期待!
348 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/05(日) 15:30:51.06 ID:O.LsOQDO
乙
ジョウトでイーブイ進化くるかな
349 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/05(日) 22:25:17.01 ID:R.uw.UAO
今日一日で本スレから全部読んでしまった。
ところどころ、本家のポケスペを彷彿とさせるほどの面白さがあって、引き込まれる。
特にグレン島編とグリーン戦が印象に残った。バトルの描写・展開がうまい。
ポケモンの世界における唯の活かし方もうまいよね。
>>1
はすごい。
350 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/07(火) 23:25:11.38 ID:mlekJH.o
>>349
ありがとう。素直に嬉しい
てか、褒められすぎてこれ、どこか縦読みじゃないよね?俺もしかして釣られてる?
イェーイ釣り主みてるー?
とりあえず、唯はポケスペのルビーみたいに「ポケモンの性格」などが分かる
とかいう才能をもたせようと思ったけど、あんまり今まで書いたストーリーに関係なかったわ……
最初のほうにどうにかその設定活かそうとして足掻いた後があったりなかったり……
てか、誤字とか誤変換多すぎだった……まじでこんな読みにくいもの読んでくれてありがとう
子音がキー押せてなくて母音になってる箇所めちゃくちゃあるわ……
まぁなんだかんだでとりあえず、りっちゃん編を投下したい
一応誤字とかは気をつけたい
351 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/07(火) 23:26:06.08 ID:mlekJH.o
――ワカバタウン
夜。
月は雲に隠されること無く空にある
民家からぼんやりとこぼれる灯りの中
町の名前を表記した看板のまえに少女がいる
赤いカチューシャをつけ、おでこが出しているのが特徴的だ
律「はじまりのまち……か」
目の前の看板に書かれていた文字を田井中律は、目でなぞりながら口にした
律「よっし、いくか」
気合を入れるように自分の頬を叩き、方向を転換する
向かう先はこの町の研究所、ウツギ研究所だ
352 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/07(火) 23:31:55.98 ID:mlekJH.o
ジョウトまで一緒に来たオーキド博士の紹介で、そこへまず行くことになっている
『ワシもずっとジョウトにいられるわけではないからの。なにか困ったことがあるならウツギ君を頼るといい』
そういって、オーキドは先にある30番道路まで行ってしまった。
律「ここが、ウツギ研究所……だよな?」
問いかけに当然答えが返ってくるはずもなく、
律「まっ、この町のそれらしいところはここしかないし、ここか」
はは、と自嘲ぎみに笑った律はそのままドアに手を伸ばす
律「それにしても、やけに静かだなぁ」
353 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/07(火) 23:35:56.18 ID:rzQfSYAO
来やがった毎度楽しみにしてる
設定は流動的でも大丈夫でしょ
354 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/07(火) 23:41:58.68 ID:mlekJH.o
ドアノブを回したところで、うち開きのドアが開いた
律「(あれ?まだ、押してもいないのに]
開かれたドア――そこには一人の少年がいた
律「(赤毛?)」
肩まで伸びた長髪、赤毛の少年が口を開いた
???「どけっ!!」
そういいながら、律を押しのけるようにどけ、そのまま走り去った
律「なんだ……?なんか感じ悪いなー……」
その少年の後ろ姿を見送った律は、今度こそ部屋へと視線を向けた
355 :
>>354 もうこうなったら後付け上等で行くわ
:2010/12/07(火) 23:50:59.50 ID:mlekJH.o
律「えっ?」
部屋の中は暗い
地面を見ると、ガラス片のようなものが落ちていた
どうやら、蛍光灯が割れてしまったその残骸のようだ
天窓から入る月明かりにその光景を見ていると、なにかが床に転がっていた
目を凝らし、近づいていくと
律「――!? 人?」
白衣の研究者とも思われる男が床に転がっていた
思い当たるフシはたった今あったばかりだ
赤毛の少年が急いで出て行ったわけは……
律「泥棒かっ!!」
356 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 00:03:52.99 ID:kvt3qxgo
今から追えば追いつけるか?と心の中で考えるが
やめた
律「今は、この人が優先だ」
言うと、その男へと呼びかけた
律「おーい、生きてますかー」
研究者の上体を起こし、反応を待つ
すると
???「ん………あれ?……僕はどうして……」
目覚めた…よかった と律が思っていると
???「ああ!!泥棒!!」
今まであったことを思い出した男が、上体をガバっと起き上がらせた
律「へっ?」
疑問の声と共に、なる音が一つ増えた
――ゴチン
急に起き上がった男と律のデコが衝突した
357 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 00:13:24.96 ID:kvt3qxgo
――ウツギ研究所
ウツギ「いやぁ、ごめんごめん、つい動転していて気がつかなかった」
ウツギと名乗った研究者が頭を下げながら言う
律「いや、まぁ、いいですけど」
律がデコをさすりながら答えた
ウツギ「そっかそっか、君がオーキド博士の言っていたトレーナーだね」
「どうだい、このジョウト地方は?」
律「うーん、まだ来たばかりだからよくわかんないけど……」
「やっぱり、カントーにいないポケモンを見れるっていうのは楽しいかな」
言った律にウツギが微笑みを見せる
358 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 00:20:46.32 ID:kvt3qxgo
ウツギ「そうか、やっぱり旅は楽しくないとね。君は君の旅を楽しむといいよ。ポケモン達と一緒に、ね」
一息入れウツギは、ところで、と話を続ける
ウツギ「泥棒の件だけど、君は犯人の顔を見てるんだよね?」
律「はい、赤毛の少年ですよね?」
ウツギ「うんそうそう。僕は犯人の顔を見る前に気絶させられてしまったから、よかったら協力してくれないかな?」
律「はぁ……まぁそれはいいんですけど、何が盗まれたんですか?」
質問にウツギが苦い顔を作った
ウツギ「ポケモンだよ。ほら、そこ」
指差した先には、1つのボールと2つの窪みがある。
どうやら2つの窪みのほうにもボールが置かれていたようだ。
359 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 00:26:09.88 ID:kvt3qxgo
指差した先には、1つのボールと2つの窪みがある。
どうやら2つの窪みのほうにもボールが置かれていたようだ。
ウツギ「1つは君と同じように旅立つ少年に上げたんだ。で、残った2つの中から君に一匹あげようと思っていたんだが……」
「どうやら一匹赤毛の少年に持っていかれたようでね」
自分で放った言葉にウツギが心配そうな表情を見せ
ウツギ「悪用されなければいいんだけど……」
律「……」
ウツギ「まぁ、それはひとまず置いといて、君の旅でなにか手がかりやあの少年を見つけたら教えてほしいんだ」
律の中の答えは一つだ
放っておければいいんだけど、とも考えるが、やっぱりできないよなぁ とも続く
そしてだした答えは
律「はい!」
その依頼を引き受ける言葉だった
360 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 00:29:03.00 ID:GBO9hL2o
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
361 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 00:34:42.25 ID:kvt3qxgo
▼
ウツギ「それじゃぁ、これ」
差し出されたそれは、腕時計のように手首にまくようになっており、小さな画面もついている
律「?」
とりあえず差し出されたものを受け取ると
ウツギ「これはポケギア。電話の機能もあるから、なにか分かったらこれで知らせてほしいんだ」
律「でも、これ高価なものなんじゃ……」
ウツギ「まぁ、依頼料とでもおもってくれればいいよ。」
そういうと、ウツギはさてと、と話を切り替えた
362 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 00:42:44.82 ID:kvt3qxgo
ウツギ「ところで、さっき言っていたポケモンだけど、君さえ良かったら連れて行ってやってほしいんだ」
言われ、律は置かれているボールを見た
中から青いワニのようなポケモンがこちらをみていた
律「まぁ、もらえるなら……」
ウツギ「そうかいっ!よかったよ、こいつも旅に出ることを楽しみにしていたんだ」
そういったウツギはボールを手に取り、こちらに手渡した
ウツギ「さぁ、開けてやってくれないか?」
律「……よっし、でてこい」ボンッ
二足歩行の水色のワニが姿を現した
363 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 00:47:05.22 ID:kvt3qxgo
すると
ワニノコ「ワニッ!!」
一度元気よく鳴き
嬉しそうに律の足元へ駆け寄った
ウツギ「この子はワニノコっていってね、あんまり感情を出さないポケモンなんだけど……」
「……どうやら、君のことが気に入ったみたいだね。とても嬉しそうだ」
律「へへっ……よろしくな、ワニノコ!」
ワニノコを撫でてやろうと手を出したそのとき
ウツギ「あっ……!!」
ワニノコ「ワニッ!!」バクッ
ワニノコが差し出された手に噛み付いた
律「――!!」
律が声にならない声を上げた
ウツギ「ごめん、言うの忘れてたけど、ワニノコの習性として、よく噛み付いたりするんだ」
律「……さきにいってほしかった……」
「VSワニノコ」 〆
364 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 01:01:55.46 ID:4ZaXnQAO
乙、ボスの倅出て来たか
やっぱりライバルがいるのは良いもんだな
365 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 21:23:07.12 ID:kvt3qxgo
今気付いたけどりっちゃんのカチューシャ赤じゃなく、黄色じゃねぇかっ!!
みすったああああ
>>351
赤いカチューシャをつけ、おでこが出しているのが特徴的だ ×
黄色いカチューシャをつけ、おでこをだしているのが特徴的だ ○
366 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 21:25:11.00 ID:kvt3qxgo
――29番道路
律「よっし、ワニノコいい感じじゃん」
野生のポケモンを倒したばかりのワニノコを褒める
律「夜だからか、梟みたいなポケモンが多いなぁ。向こうでのポッポみたいなものかな」
「さて、急ぐぞワニノコ!」
ワニノコ「ワニ!」
頷いたワニノコを見届けてから、律は走り出した
367 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 21:30:34.34 ID:kvt3qxgo
走ることには理由がある
一つは
律「あの赤毛……まだ遠くにいってないはずだよな」
そしてそれにと付け加え
律「なんとかポケモンセンターまではたどりつきたい。野宿はいやだ」
などと一人で呟いていると、街の灯りがぼんやりとみえてくる
368 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 21:35:42.11 ID:kvt3qxgo
その時、横のワニノコが速度をあげた
変化はワニノコのスピードだけではない。
走る向きもだ。
ワニノコは町より少しずれた方向へと向かい
律「おい、そっちは郊外だぞ。っておい、まてよワニノコー」
今度は律がワニノコを追う形になった
369 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 21:42:45.24 ID:kvt3qxgo
▼
律「おい、ワニノコどうしたんだよー」
今いるのは、町の外れだ。
夜ということもあり、少し離れた町から音が消えていた
だが
――チコリータ!!とどめだ、はっぱカッター!!
律「なんだ?」
疑問が生まれるが
どこかにポケモンバトルをしているものがいる、そう悟った律は
律「へっへーん、面白そうじゃん。ワニノコ、ちょっと見に行こう」
声の方向へと歩みを進めた
370 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 21:45:34.63 ID:kvt3qxgo
▼
そこにいたのは勝者と敗者だった
どうやら勝ったのは、帽子を後ろ向きに被った少年で
敗者は
律「あっー!! 泥棒!!」
赤毛の少年だった
律の声に、勝者と思われる少年は、え?という顔を見せる
律「いいから、そいつ捕まえてー」
帽子の少年へと叫ぶと
しかし直後
赤毛の少年が動きを見せた
赤毛の少年「っち……退くぞ、ヒノアラシ!」
ボールに今まで戦わせていたポケモンを戻し、逃げ出した
371 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 21:50:32.35 ID:kvt3qxgo
律「ワニノコ、追うぞ!」
叫ぶようにワニノコを見ると……
ワニノコ「ワニワニ!」
チコリータ「チコッ!」
帽子の少年のポケモンとじゃれ合っていた。
そして
帽子の少年「えっと、何がなんだか分からないんですけど、説明してもらっていいですか?」
律はその疑問に一瞬まよった顔を見せるが、
律「(今から追っても……まぁ追いつけないか…)」
「はぁ……」
大きな溜息をつき、少年へと説明を始めた
372 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 21:57:34.20 ID:kvt3qxgo
▼
ゴールド「えぇー!!ウツギ研究所で泥棒!?」
ゴールドと名乗った少年は驚きの声を上げた
律「あれ、ウツギ博士は知ってるの?」
ゴールド「あ、はい。実は自分も今日ポケモンをもらって旅にでたんです」
その言葉に律は
律「(あぁ、そういえばウツギ博士が私の前にポケモンをあげたっていってたっけ)」
「で、君はなんでさっきの赤毛の子とバトルしてたのさー」
ゴールド「博士のところへの届けるものがあったから、
ワカバに戻ろうとしたら急にバトルをふっかけられちゃって……」
まぁ、勝ちましたけどね とキリっとした表情を見せたゴールドの言葉を律は相手にせず考える
律「(アイツの目的はなんなんだ……?バトルしたってことは売買ってわけじゃなさそうだけど……)」
373 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 22:00:36.65 ID:kvt3qxgo
ゴールド「えっと、律さん聞いてますー?」
律「えっ?あぁ、聞いてる聞いてる。それじゃ、あいつの名前とかわかんないよなー?」
ゴールド「あぁ、それなら分かりますよー。たしかシルバーって……」
律「だよなー。やっぱり、わからないよなー……って、えええええ!!」
ゴールド「うわぁ、びっくりしたなぁ。いきなり大声をださないでくださいよー」
律の声に体を一歩のぞけらせたゴールドがのんきな声をだした
律「なっ、なんでわかったんだ?」
ゴールド「いや、バトルのときにアイツのトレーナーカードがチラっとみえましたから」
374 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 22:05:40.92 ID:kvt3qxgo
なんて視力してるんだ……と律が内心呟くと、
ゴールド「これでも視力も動体視力もいいんですよ!」
またしてもキリッっとした顔で答えた
だが、律は
律「(シルバー……か。忘れないぞ)」
そして
律「君、えっとゴールド君だっけ?ウツギ博士のところに行くならこのこと伝えておいてよ」
ゴールド「律さんはどうするんですか?」
律「えっと……私は……」
ポケモンセンターで寝る とは言えず
律「この先の30番道路に待たせてる人がいるんだよ!」
嘘はついていない、と律は頭の中でオーキド博士を思い浮かべ
うんうん、と頷いた
375 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 22:10:18.05 ID:kvt3qxgo
ゴールド「?」
「はぁ……まぁわかりましたけど、それじゃぁ早速僕は向かいますね」
そういってゴールドはチコリータと呼ばれていたポケモンを抱え、律に背を向けた
律「まっ、私だって女の子だし、夜くらいは男の子パシらせても罰は当たらないよなー」
ゴールドがいなくなった後、律が一人で呟き
ワニノコ「ワニッ!!」
よくわかっていないワニノコがとりあえず頷いた
1人と1匹の向かう先は、街で最も灯りを発している場所
ポケモンセンターだった
律「(よっし、野宿はまぬがれたなぁー)」
376 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 22:16:09.83 ID:kvt3qxgo
▼
――30番道路(翌朝)
律「おおっ、やっぱりトレーナーって感じのやつも結構いるなぁ」
目の前に広がる道を見渡した
東の道と西の道に別れており、その中心には林のような木が邪魔をしている
西側の道ではどうやらトレーナー同士が対戦しているようで
律「えっと、博士に会いに行かないといけないから、道はコッチだな」
東側の道へと歩みを進めることにした
……それにしても、やっぱりカントーにはいないポケモンもいるなぁ
あちらこちらで顔を出す野性のポケモンを見て律は思う
律「お、ポッポはやっぱりこっちにもいるんだなぁ。あっ!あの木はコクーンの巣か!」
懐かしいなと思う気持ちは故郷のトキワシティを思い出したからだ
377 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 22:20:42.73 ID:kvt3qxgo
律「(小さい頃よく澪と遊びにトキワの森にいったっけ……あいつ薄暗い雰囲気が苦手で怖がってたなぁ)」
――ブンッ
その時なにか音が響いた
あまり気持ちいい音ではない
律「なんだぁ……?」
言ったとき、気付いた
ここはコクーンの巣だということの意味に
つまり
律「スピアーもいるってことかぁ!!」
378 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 22:25:15.11 ID:kvt3qxgo
後ろを振り向いた
そこには3体の並んだ蜂が自分の両手の針を鳴らし威嚇している
律「でっ、ですわよねー……」
一歩仰け反った律は、すぐに反転し
逃げる体勢にはいった
律「くそおお、スピアーの縄張りだったのかあああ」
379 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 22:26:43.32 ID:4ZaXnQAO
ライバルのみかと思ったら主人公まで来やがった
唯編は男っ気ほぼ0だったのに
380 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 22:30:59.39 ID:kvt3qxgo
▼
律はほとんど全力で走っていた
後ろにはスピアーがついてまわっている
が、
そろそろ自分の域が切れ始めた
律「あぁ、もう。疲れたしめんどくさい!」
言った律が急に足をとめ、3匹のスピアーと向き合った
律「ふふふ、私を怒らせたことを後悔させちゃる……いけ、ガーディ、イーブイ!」
ガーディ「ガウ!!」
イーブイ「ブイッ!!」
381 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 22:35:29.03 ID:kvt3qxgo
三匹に対して繰り出されたのは二匹だ
本当はワニノコも出せればいいのだが、と思うが
律「(正直、そこまで指示がまわらないよなー)」
だから、二匹でスピアーに向かうことにした
律「本当は二匹への指示も慣れてないけど、まぁ野生ポケモンだし、追っ払えればいいし大丈夫かな」
一方、3匹のスピアーは繰り出されたポケモンに対して、戦闘態勢をとっていた
先制を仕掛けるのはスピアーだ
スピアーは集団行動時のできるモンスターだ。
だから、攻撃を仕掛けるときには、より効率的な形を取る
382 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 22:40:44.63 ID:kvt3qxgo
スピアー「――!!」
まず一匹目が直線で来た
狙われたのはイーブイだ
律「よけろ、イーブイ!!」
直線の動きに横にずれる形で対応するが
スピアー「――!!」
二匹目のスピアーが横から加速しながら針を突き出してきた
律「イーブイ、上だ。ジャンプ」
今度はジャンプして、かわす形を取る
383 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 22:46:25.19 ID:kvt3qxgo
そして
スピアー「――」ブンッ
3匹目の羽音が上から来る
本命の攻撃だ
落ちる形になったスピアーは真下に針を振り下ろす形で攻撃にきた
だが
律「へっへん、こっちもスピアーには襲われ慣れてるから、行動はわかってるぜ!!」
トキワにいた頃の経験だ。
「ガーディ、火の粉だ!!」
律の斜め前で構えていたガーディに指示をだす
指した先にあるのは、真下へと落下しようとしていたスピアーだ
384 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/08(水) 22:51:15.22 ID:kvt3qxgo
ガーディ「ガルッ!!」
チリッと空中に散った火の粉はスピアーに襲い掛かり
その羽を少し焦がした
羽が焦がされたスピアーは、もがき
――ボタッ
落ちた
律「よっし、まずは一匹。次、イーブイでんこうせっか!!」
ジャンプから着地したイーブイはすぐに行動にでた
目指す先は、二匹目のスピアーだ
反転して再び襲い掛かろうとしていたスピアーへとイーブイが体当たりした
完全に不意をついた攻撃となったそれは、スピアーを木に叩きつけるには充分すぎる威力だ
ぶつかる音に次いで、再び落ちる音を律の耳は捉えた
385 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 22:57:03.82 ID:kvt3qxgo
律「こうなったら、あとは簡単だな」
残すは一匹のスピアーだ
どこかたじろぐ様子をみせるそれに
律「ガーディ、ほえろ!!」
ガーディ「ワオーン!!」
吠えた
音が威嚇行為となり、そのまま残ったスピアーへと向かう
スピアー「――…!?」
そして
――ブンッ
羽音を残し、林の中へと消えた
386 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 23:00:14.43 ID:kvt3qxgo
律「ふぅ〜、なんとかなったなぁ」
一息つき、
律「よくやった、ガーディ。いつも澪とやってた追い払い方を覚えててくれて助かったよ」
「それにごめんなぁ、イーブイ。おとりみたいな役をさせて」
律が二匹の頭をやさしく両の手で撫でた
ガーディ「ガウガウ♪」
イーブイ「ブーイ♪」
387 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 23:05:43.29 ID:kvt3qxgo
▼
――ポケモンじいさんの家
律「ま、なんとか着いたな」
目の前には家がある。
あきらかに、場違いな場所にあるその家が律の目的地だ
律「すいませーん、こちらにオーキド博士がいるって……」
オーキド「おおっ!!ようやくきたか、待ちくたびれるところじゃったぞ」
なにやら慌てた様子のオーキドが、ドアを開けたばかりの律に反応した
律「……? なにかあるんですか?」
オーキド「おー、これからラジオの収録でな、とりあえずこれを」
オーキドが白衣の内ポケットを探る様子をみせ
オーキド「ほれっ、ポケモン図鑑じゃ」
388 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 23:10:24.35 ID:kvt3qxgo
律に差し出されたのは、赤い手のひらより少し大きめの機械だ
たしか唯がポケモン図鑑ってのをもってたなぁ と思うが
律「あれ?でも、これ唯が持ってたやつと形が違う……?」
オーキド「最近になって新しく作ったやつじゃからな。まぁ、唯のと中のデータはほとんど同じじゃ」
「唯に図鑑を渡したのはいいんじゃが、あの子もあまりポケモンを集めるということはしていないからのお」
「まぁ、ミュウのデータを持ち帰るという補って余りある働きをしてくれたんじゃがの」
少し苦笑気味に笑みをみせたオーキドが言い
おっと、と話がずれたことを元に戻そうとし、一度咳払いをした
それから、だからと繋ぎ
オーキド「君にも図鑑の収拾を手伝ってもらいたいんじゃよ。君が悪い子じゃないっていうのはわかっておるしの」
律「いいんですか?」
オーキド「まぁ、昨日面白そうな少年にも託したことじゃしのう。それに、澪君にも手に渡るように手配したところじゃ」
律「(澪にも……!!)」
389 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 23:15:08.68 ID:kvt3qxgo
律「わかりました。ありがたく頂きます」
そういって両手でその図鑑を受け取ると
オーキド「おっと、ワシも早く行かんとな。それじゃぁ、図鑑のことは任せたぞ」
オーキドはポケットからボールを取り出し
オーキド「ピジョット、コガネまで急いでおくれ」
現れたピジョットの背中に乗り、空へと飛び出し
やがて、消えていった
390 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 23:21:15.89 ID:kvt3qxgo
残された律の手のひらには赤い図鑑がある
……ようやく同じ舞台に上がった
唯の手にも同じものがあり、澪の手にも渡るという。
それを見て思うことは
……負けられないな
顔を上げた
見るのは西の方向だ
その方角には
律「行くか、一つ目のジム。キキョウシティへ」
「VSスピアー」 〆
391 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 23:34:45.87 ID:4ZaXnQAO
旅立ったのはミュウのデータ採ってからだったか結構忘れてんな
乙
392 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 23:59:49.64 ID:kvt3qxgo
>>391
ごめん、俺もややこしいとおもったんだけど
このとき取ってきたっていってるミュウのデータはお月見山のときのもの
図鑑に表示はされなかったけど、unknownとしてデータは図鑑にのこってたと認識してもらえれば……
一応、だから唯がミュウ追う時も分布機能が使えた
ってことで、どうにか納得してもらえたらなぁ と
りっちゃんが旅立ったのは、唯がイーブイを捕まえてタマムシにいったころだよ
今頃、唯はタマムシジム
つまり唯の時間軸としては、丁度このスレの始まりあたり
393 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/09(木) 00:19:29.99 ID:.k/sw2I0
今回も乙
ミュウのところは、俺もちょっと、あれ?時系列どうなってたっけ?ておもったから補足はありがたい。
そういうことか
394 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/09(木) 00:27:32.80 ID:JSo0HRso
>>393
すまん、次から気をつける
補足入れないとだめなってSSは糞ってばっちゃがいってた。
ほんと気をつけます
395 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/09(木) 01:32:08.29 ID:tV5eQ7so
ほんとおもしろいなぁ
396 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/09(木) 18:08:28.98 ID:moco7ADO
お、昨日きてたのか
以降も期待!
397 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 22:04:15.86 ID:Q0yq2UEo
――キキョウシティ
その町には大きな塔がある
キキョウの名物でもあるその塔は、町全体を見渡すように聳え立つと同時、当然のように町にいれば誰もが見上
げる建物だ
律もその例外ではなく、その塔を見上げていた
律「しかし、参ったなぁ……明日にならないとジムリーダーが帰ってこないとは……」
彼女の腕の中に抱き上げられたイーブイが律をマネしたかのように溜息をつくる
朝のうちに済ましてしまおうと、ジムへ向かうと
そこで告げられたのはジムリーダーの不在だった
午前のあいだにどうしようかと迷っているうちに、すでに時刻は午後だ
律「しかたない、あの塔でも観光しにいこうか、な、イーブイ?」
イーブイ「ブイッ♪」
言って地面に降ろしたイーブイが機嫌よさそうに鳴いた
398 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 22:05:15.06 ID:Q0yq2UEo
▼
???「あらまぁ、イーブイをつれてはるとは珍しいどすなぁ」
目的の三重塔を目前にして、後ろから声がかかった
気付けば、さきほどまで少し後ろのほうを歩いていたイーブイもいない
???「主人以外にはあまり心を許してへんのやろか」
声の主をみた
そこには少し困った顔で頭を撫でられるイーブイと
華やかな着物で身を包み、薄っすら白化粧をしたまいこがいた
399 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/12(日) 22:06:18.83 ID:Tnerk/c0
更新来た――――!!!!!!!!!!!
400 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 22:10:37.83 ID:Q0yq2UEo
律「うおっ!?……誰……どすか…?」
律がおどろおどろしながら、なれない言葉できりだした
???「ふふっ、普通でよろしおす」
上品に微笑んだ舞妓が続け
タマオ「うちはエンジュのほうで舞妓をやっとります、タマオと申します。以後よろしゅうおたのみもうします」
礼の動作すらにもどこか気品が漂っていた
律「えっと、そのまいこさんが何かようですか?」
タマオ「いえいえ、かいらしい子がおりはったのでつい」
ほのぼのとした雰囲気をかもし出すお姉さん系の舞妓が嬉しそうに言った。
タマオ「あらまぁ、もうこんな時間。もう行かんと…!」
「もしエンジュに来はったときは、是非歌舞練場へおいでやす」
そういって、少しおっとり系の美人は町の中へ消えていった。
律「……なんだったんだ……?」
ポカーンとした律とイーブイがその場に取り残されていた
401 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 22:17:14.37 ID:Q0yq2UEo
▼
――マダツボミの塔
キキョウの北側にあるそれは、近くで見ると、より壮大さを感じさせた
歴史的建造物というのだろうか。
それには迫力に似た貫禄がある
中に入っても同じだ。
年月を経過した建造物にもかかわらず、形を保ち続けているのは管理者の努力があってこそだろう
律「なんだ、あれ?揺れてる?」
イーブイ「ブイ?」
目に入ったのは建物の中心で揺れ続ける太い柱だ
地震のように小刻みに揺れるわけではなく、ユラリユラリと大きくしっかりと揺れる
402 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 22:20:19.92 ID:Q0yq2UEo
『――それはここでは巨大マタツボミの体と言われてましてな』
声は後ろからだ。
振り向くとそこには、坊主がいた
モクネン「ここは修行の場でしてな。一勝負いかがかな?」
モンスターボールを取り出し、坊主には似合わぬ不敵な笑みを浮かべた
律「よっし、やったろじゃんかよ!! いくぜ、イーブイ!!」
ブイ「ブーイ!!」
403 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 22:25:48.14 ID:Q0yq2UEo
――マダツボミの塔(2階)
律「ふぅ、ここ一体何人坊主がいるんだよ〜。しかもさっきからマダツボミばっかり」
すでにこれまで3人の坊主をごぼう抜きにしてきた律が愚痴る
律「よっし、そろそろ次の階の階段も……ってあれ!!」
言葉通り上への階段はすぐ近くにあった
だが、そこには同時に
律「えーと、名前なんだっけ……あれ、たしか…………そう、シルバーだ!!」
赤毛の少年がいた
404 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 22:30:18.09 ID:Q0yq2UEo
律の声に反応した少年がこちらを振り向く
シルバー「お前は……ウツギ研究所の……」
「丁度いい。……勝負だ……」
さっ、と取り出したモンスターボールをこちらに放り投げた
シルバー「行けっ、マグマラシ!」ボンッ
マグマラシ「マグッ!!」
律「なっ、つい先日までヒノアラシだったのが、もう進化してるのか」
それはヒノアラシに比べ、耳が生え、炎の勢いも増している
律「ならっ、行くぞガーディ!!」ボン
ガーディ「ワオーーン!!」
対して、オレンジと白の毛皮を纏う子犬ポケモンがすでに臨戦態勢をとってくりだされる
その喉からは、ガルルと呻るような音が漏れている
405 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 22:36:43.17 ID:Q0yq2UEo
シルバー「マグマラシ、先手を取っていけ。でんこうせっか」
しなやかな体が速度に頼った攻撃をしかけ
律「ガーディ、迎え撃て。かみつく!!」
ガーディは待つ形で相手を引き込んだ
だが
――ドン
ガーディは衝突した時の力にこらえきれず、後ろに退けられる
律「くそっ、力では押し負けるか……ならっ」
「火の粉だ!!」
ボウッと炎が散り、マグマラシを襲う
406 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 22:40:48.61 ID:Q0yq2UEo
しかし
シルバー「無駄だな……」
避ける様子もなく、その体に浴びた
そして
シルバー「マグマラシ、にらみつけろ!」
攻撃をものともせずに、マグマラシは行動を行った
律「な……!?」
シルバー「残念だが、マグマラシの毛皮は炎を通さない」
No.156 マグマラシ
からだを おおう けがわは
ぜったいに もえたりしない。
どんな ほのおこうげきも へいきだ。
407 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 22:45:16.42 ID:Q0yq2UEo
律「(くそっ……ガーディじゃ相性が悪いか……)」
「交代だ。戻ってくれガーディ!出番だぞ、ワニノコ!」
引き際を悟った律がガーディをボールに戻し、代わりにワニノコを繰り出した
律「ワニノコ、水鉄砲だ!!」
ワニノコ「ワニワニ!!」
ワニノコの口から、勢いよく水が発射された
そしてその判断は正しかった
弱点となる水の攻撃をもろにうけたマグマラシは、その水圧に怯み押されている
――いける!
そう律が思ったとき
シルバー「っく、レベル差を相性でうめにきたのか……」
そして、と告げる
シルバー「相性など関係なくしてしまえばいい」
マグマラシ「マグ!!」
408 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 22:50:28.24 ID:Q0yq2UEo
水圧に負けないようにマグマラシが4つの足で踏ん張り
シルバー「えんまくだ…!」
水鉄砲により炎の勢いがの弱まった体のあちこちから、黒い燻ぶりがまず出た
そして、その色は黒から白へと変化していき
ゆらっと漂いながらも、部屋を満たしていく
そして、辺り一体を覆うと
シルバー「この靄の中だ。水鉄砲は当てられまい。体当たりでそのワニをはじき飛ばしてやれ」
白の煙幕の中、シルバーが見えぬマグマラシに指示をだした
――ドンッ
律の耳にぶつかり合う音だけが聞こえた
409 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 22:57:26.07 ID:Q0yq2UEo
しかし、そのぶつかり合う音だけで吹き飛ばされたときにどこかにぶつかったりした音はない
つまり
……まだ耐えているのか
律「ワニノコ、耐えろよ……もう少しだ……」
そこへ追撃をかけるような指示が飛んだ
シルバー「もう一度、ぶちかませ!マグマラシ」
――ドン
2度目の衝突音が響いた
だが、ワニノコがどこかに吹き飛ばされた様子はなく
律「(よっし、だんだん靄がはれてきたな)」
律が待つのはタイミングだ
410 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 23:01:03.52 ID:Q0yq2UEo
狙いは一つ
そう
律「――ワニノコ、今までの'いかり'をぶつけてやれ!!」
ワニノコ「ワニッ!!」
はれかかった白の靄の中、うっすらと見え始めたワニノコが右腕に力を込めた
そして
渾身ともいえる力で
ワニノコ「――」
マグマラシ「――!?」
組み合っていたマグマラシを下へと殴りつけた
律「(これで倒せたか……?)」
411 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 23:06:29.53 ID:Q0yq2UEo
だが、その考えは甘いものだと知らされる
ボロボロの様子だが、マグマラシは再びその4つ足で床を強く踏んだのだ
シルバー「よしっ、マグマラシ――いや、まて」
指示をだそうとしていたシルバーが一つのことに気付いた
同時に律も同じことに気付く
律「(また靄がかかりはじめた!?)」
またマグマラシの煙幕かと思うが、マグマラシの体からそれは出ていない
なにより、今周りを取り巻こうとしていた靄はずっと黒いままだ
そして今度はマグマラシとワニノコの周りだけではない。
この部屋すべてを黒の靄は覆おうとしていた
気付けば、律とシルバーの周りには濃い黒の靄が漂っていた
412 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 23:10:11.96 ID:Q0yq2UEo
シルバー「っく……」
律「これは……ポケモンなのか? ワニノコもう一度いかりだ!!」
それは周りの濃い靄への攻撃だ
だが
ワニ「ワニッ!?」
叩きつけるように殴りつけたワニノコの腕は空をきる
そうしているうちに
円をだんだんと小さくしていく濃い靄は、二人を中心へ中心へと寄せていき
気付けば背中合わせになるぐらいまでになっていた
413 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 23:18:31.03 ID:Q0yq2UEo
その時
シルバー「おいっ、さっきのガーディを出せ……」
小声で呟くように律へと話しかけた
律「なっ……」
命令のようにも聞こえるそれを一瞬、反抗するかのように無視してしまおうかと思ったが
今はほかに手が無い
律「しかたない、でろ。ガーディ!」ボンッ
「なにか手があるんだろうなぁ……?」
シルバー「おそらく、これはゴーストポケモンの仕業だ」
「だから、一気に炎の攻撃で切り抜ける……」
シルバーの足元にはマグマラシが、律の足元にはガーディがそれぞれいつでも攻撃できるように構える
414 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 23:20:08.68 ID:Q0yq2UEo
シルバー「いいか……タイミングをあわせろ………1」
律「2……」
律・シルバー「「3!!」」
――かえんぐるま!!
2人が同時に二匹のポケモンへと告げた
それに答えるようにポケモン達は、同時に行動へとうつった
二匹の炎タイプのポケモンが、己で噴出した炎を体に纏い
黒の靄を切るようにあたりを走り回った
あたりを駆け回る炎圧は、靄を吹き飛ばすには充分だった
415 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 23:27:13.57 ID:Q0yq2UEo
靄が晴れる
そしてそこにいたのは
律「ゴースの大群だったのか!!」
No.092 ゴース
うすい ガスのような からだで
どこにでも しのびこむが
かぜが ふくと ふきとばされる。
浮翌遊するように、今までふらりふらりと浮いていた大量のゴースが、炎にやられ次々に地へと落ちていく
律「よっし!!」
シルバー「いや、まだだ!」
この熱の中、まだ地へと落ちないゴースが一匹いる
それは先ほど自分達の周りをぐるぐると回っていたやつだ
416 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 23:30:10.69 ID:Q0yq2UEo
シルバー「こいつが、ボスだ!! マグマラシ!」
今まで炎を撒き散らしながら走っていたマグマラシが、その一体だけに向かって炎を放つ
炙るように攻撃されたゴースはだんだんと消耗していき
シルバー「いまだっ…!」ヒュン
シルバーが空のモンスターボールをゴースへと投げつけた
そして
地に落ちコロコロと転がり、やがて静かになると
捕まえたばかりのボールを拾い
そのまま背を向けた
417 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 23:30:56.32 ID:Q0yq2UEo
律「ちょ、おい待てよ〜。おい、ってば」
その言葉に一度だけシルバーが振り向くと
シルバー「群れあう気はない」
その言葉だけをこの階に残し、去っていった
律「なんだよ、あいつ〜。少しはいいやつかとおもったのに……!」
「……あーー!! 完全に盗難のこと忘れてた!」
418 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 23:35:19.13 ID:Q0yq2UEo
▼
――32番道路
陽が沈んでいく中、シルバーはキキョウシティから逃げるように走っていた
シルバー「くそっ、馴れ合う気などなかった……」
マダツボミの塔で、カチューシャの女と協力をしてあの場を切り抜けた
そのことがシルバーの中に棘を残す
頭にはいつも黒のスーツを身に着け、偉そうにしていた男のことが浮かぶ
シルバー「……俺は絶対にアイツのようにはならない」
まるで自分を言い聞かせるかのような言葉がどうしようもなく沁みる
なぜ自分は走っているのかすらもわからない。
ただあの町には居たくなかった。それだけのことだ
419 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 23:41:03.27 ID:Q0yq2UEo
カタカタと腰につけたモンスターボールが震えた
マグマラシだ
なにかと思い、そのボールを目の前にもってきた
なにか言いたいのかと、そのすごく心配そうな眼を見た
だが
シルバー「…………くそっ」
なににイライラしているのかすらもわからず、シルバーは走り続ける
そこへ
男「よっ、そこのお急ぎのぼっちゃん。ヤドンのしっぽ買わんかね?」
ふっくらとした体格のいい男が話しかけてきた
どうやら、ここで商売をしているようだ
420 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/12(日) 23:45:41.42 ID:Q0yq2UEo
シルバー「………」
そのこと事態に興味はなかったが、どこかこの男からシルバーの嫌いなやつらと同じ雰囲気があった
だから黙って続きをきくことにした
すると、男がシルバーの耳にこっそりと呟いた
男「今なら卸したてだから、新鮮だよ、ぼっちゃん」
シルバー「……こいつはどこから卸しているんだ?」
男「おっと、ぼっちゃん、それは言えないなぁ」
シルバー「……そうか、ならいい」
そういって男を残し、その場を去ろうとする
もちろん演技だ
421 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 23:50:27.76 ID:Q0yq2UEo
男「ちょ、まって、ぼっちゃん……しょうがない」
そういってさらに距離をつめると
男「ここだけの話、ヒワダのロケット団から仕入れてるんだよ……だから、新鮮だよ」
あるキーワードを言った瞬間シルバーの纏う空気が変わった
男「さぁ、一本10万円だけど、 ぼっちゃんなら特別に98000円で売ってあげるよ」
男は何も気付かない
シルバーの手がボールに伸びたことも
そしてその顔が、どこか嬉しそうにも悲しそうにも見える笑みを浮かべたことにすらも
「VS マグマラシ」
422 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/12(日) 23:52:48.31 ID:Q0yq2UEo
まいこはん の京都弁むずかしすぎワロタwwwwww
こんなじゃべりかたする舞妓いねぇよks って思ってもどうか勘弁を
423 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/13(月) 00:19:01.71 ID:7Jk1aIAO
乙、シルバーは関わって来るみたいだが
ゴールドはどうなることやら
424 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/16(木) 01:18:47.07 ID:n6IS3.DO
うおっ、今日あたり来てるかと思ったが、きてなかったか
支援
425 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/19(日) 23:26:30.92 ID:e4wSobAo
――キキョウシティ
田井中律はその日、早起きをしていた
ジムへと挑戦するためだ
しかし
律「あぁー、散々な目にあった」
目の下に隅をつくった律が、げっそりとしながら言った
昨日、マダツボミの塔での出来事だ
426 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/19(日) 23:40:58.62 ID:e4wSobAo
ゴースに襲われそうになったところを、炎で切り抜けたのだがそれがまずかった
あの後、上から降りてきた長老っぽい坊主に、散々怒られた
木造の建築で炎を使ったのが、どうやらまずかったようだ
幸い被害などがでてなかったのでお説教ですんだが
律「ちくしょー、シルバーめ。さっさとトンズラしらがって」
「……っと、ここがキキョウジムか」
427 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/19(日) 23:46:06.08 ID:e4wSobAo
――キキョウジム
律「すいませーん、ジムに挑戦しにきたんですけど」
扉の先には一人の男しかいなかった
その男は空中を見上げ、
???「おっと、挑戦者みたいだね。さぁ、戻っておいでピジョン」
言った後、その腕をまっすぐ突き出し
ピジョン「ピジョーッ!!」
そこへピジョンが止まった
ハヤト「やぁ、ようこそキキョウジムへ。おれはここのジムリーダーハヤト」
律「私は律とでも呼んでくれ。それでここはジムリーダーだけ?」
大抵のジムにはジムリーダーの下にジムトレーナーがいて、そのトレーナーを倒したものがリーダーに挑戦できる
それがここには、見渡した限り目の前の男一人しかいない
428 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/19(日) 23:52:33.19 ID:e4wSobAo
ハヤト「おっと、すまないね。今はおれがトレーニング中だったから、みんなには出てもらってるんだ」
律「へぇ〜、えっとじゃぁジム戦は……」
ハヤト「あぁ、もちろん受けさせてもらうよ。こちらの落ち度で挑戦者を帰すわけにはいかないからね」
ほっ、と律が息を吐いた
また無駄足になるかとおもったからだ
ハヤト「それじゃぁ、上にいこうか?」
ハヤトが言いながら上をさした
429 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/19(日) 23:55:31.66 ID:e4wSobAo
律がその言葉に疑問を持ちながら、上を見上げた
ジムは吹き抜けになっており、空が見えるが
……なっ!!空中のフィールド?
驚いたのはその間だ
ジムの中空には、もう2階部分があった
だが、その2階部分はところどころ穴が開いており、下からでもその穴を通して、先にある青空が見える
一見不安定にも見えそうだが、サイドの部分で固定されてて、落ちそうにもない
430 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 00:01:55.53 ID:Bt19Cmso
律「なっ、あそこでやるのかよ……足踏み外したらシャレにならないな」
ハヤト「そうかい? 意外にやってみると気持ちいいもんだよ。まるで空に立って闘っているみたいだしね」
「――さぁ、上に行こうか」
そういった時、ハヤトのたっていた部分が押し上げられた
そして
律の足場も――
律「うわっ、なんだ、この床エレベーターみたいになってんのか」
431 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 00:07:28.66 ID:Bt19Cmso
▼
ハヤト「さぁ、さっそくやろうか。挑戦者。そちらがわのフィールドにつくといい」
そういってハヤトは向かいの場所についた
……どうやらフィールドと呼べる場所はあるみたいだ
ところどころ穴があいているが、土のフィールドに止まり木みたいなもの置かれている
ハヤト「使用ポケモンは2体でいいね?どちらも戦闘不能、もしくは降参で決着だ」
「さぁ、おれの一番手はこいつだ。いけっ、ポッポ!」ボンッ
ポッポ「ポッポッ!」
律「やっぱり、飛行タイプか!! いくぞ、ワニノコ!」ボンッ
ワニノコ「ワニ!!」
それぞれのポケモンが展開された
432 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 00:13:16.25 ID:Bt19Cmso
ハヤト「ポッポ、たいあたり!」
先手を取ったのはポッポだ
空からの急襲がくる
律「ワニノコ、かみつけ!!」
指示にしたがい、ワニノコがポッポの攻撃にあわせて、口を大きくあけ
そのポッポのつっこんでくるタイミングにあわせて、口を閉じるが
――ガチッ
そこにポッポの姿はない
だが、一瞬おくれて
――ドンッ
たいあたりがきた
433 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 00:19:38.48 ID:Bt19Cmso
その攻撃にワニノコが地面を転がるが、
ポッポはそのままとおりすぎて空へと逃げる
律「タイミングがずらされた……」
ハヤト「ふふっ、当然だね。君達は一度空中で攻撃を繰り出せば止められないけど、鳥たちは違う!」
「なんたって、翼があるからね。空中での速度を遅れさせることだって自在だ。もちろんスピードを上げることだってね」
「――ポッポ、そのままでんこうせっか!」
空中でUターンしたポッポがワニノコへ向けて飛来する
434 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 00:25:17.39 ID:Bt19Cmso
そのスピードは速いが、あわせられないほどではない
律「よっし、今度こそ、うまくかみつけよ、ワニノコ」
ワニノコ「ワニッ!!」
ハヤト「だから、無駄だよ」
――ビュン
ポッポが目の前に来て、いきなり伸びるように速度をあげた
それは一瞬だが風切り音が聞こえるほどの速度だ
だが、その伸びに対応できず、ワニノコは再び地面を転がった
律「くっそー、空とか卑怯だろ!」
ハヤト「ふふ、飛行タイプの真髄がわかったかい? 君達が地面に縛られ闘う中も
その何倍もの体積を鳥ポケモンは自由に移動できる。これが飛行タイプさ」
435 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 00:29:34.78 ID:Bt19Cmso
▼
律は少し焦っていた
何度もポッポとは闘ったことはあるが、トレーナー付き
しかもその専門のトレーナーが付いてるポッポがやっかいだとは思わなかったからだ
……くっそ、野生とはまるで違うか
律「(あいつら、ヒット&アウェイなんてしてこないもんなぁ……どっちかというとヒット&ヒットって感じだもんなぁ)」
ともかく、攻撃が当たらないことには始まらない
……いかりで力を上げても、結局その攻撃が当たらないんじゃ、意味ないしなぁ……
律「さてと……どうするか………ん?」
436 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 00:34:16.50 ID:Bt19Cmso
おかしい
律が見たのは、ワニノコだ
攻撃され転がったワニノコは立ち上がったのだが
律「(震えている……?)」
そして
光が来た
それはワニノコを包みこむ光りだ
律「これは………」
光りが収束していく
そう、かつてワニノコだった新しい姿を残して――
437 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 00:41:27.49 ID:Bt19Cmso
▼
ハヤト「(あれは……まさか)」
律と同じ様をハヤトは見ていた
ハヤト「進化がきたか!!」
ハヤトがその声をあげたとき、律がハッと顔をあげ、こちらをみた
そして
律はポケモン図鑑をとりだした
438 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 00:44:48.25 ID:Bt19Cmso
▼
No.159 アリゲイツ
キバは ぬけても つぎから つぎに
はえてくる。いつも くちのなかには
48ぽんの キバが そろっている。
律が目で追うのは図鑑の文字だ
そして、なにか内側から沸きあがってくるものを感じる
律「(これが……進化か!)」
嬉しさにも似た感情だ
そしてそれはトレーナーとしての喜びの感情だ
ウツギ博士が研究用のポケモンとは言っていたが
……進化のスピードもはやいものなのか
439 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 00:49:01.21 ID:Bt19Cmso
律「……アリゲイツ、いけるな?」
アリゲイツ「――」コクッ
律の言葉に静かに、進化したてのそれは頷いた
律「よっし、いくぜ、アリゲイツ。ここからが逆転劇だ」
そして
律「アリゲイツ、みずてっぽうをお見舞いしてやれ」
指差す先にはハヤトのポッポがいる
アリゲイツ「アリッ!!」
440 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 00:55:40.26 ID:Bt19Cmso
ワニノコのときよりもはやい水流がアリゲイツの口から発射された
だが
ハヤト「そんな直線的な攻撃じゃ、当たらない。ポッポかわしてそのまま、でんこうせっかだ」
水はあっけなく避けられる
それどころか、そのままポッポが水を潜り抜け、接近してきた
ハヤト「最高速度でうちぬけ!」
ポッポ「ポッポ!!」
狙うのはアリゲイツの胴体だ
――ブンッ
先ほどよりも強烈な風が舞った
441 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 00:56:48.84 ID:WuuYdMDO
うおおお、きてたああ!
しかもリアルタイム!
支援
442 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 00:57:56.46 ID:Bt19Cmso
律「いいぞ……ひきつけろ…………そこだ、アリゲイツ、こわいかお!!」
アリゲイツへと残り1m。その地点でギロりとアリゲイツが凄んだ
それをモロに受けたポッポは怯み、スピードを落とす
律「へへ、さすがにこれは避けれないよな。いまだ、アリゲイツ、かみつけ!!」
スピードの落ちたところ、アリゲイツがポッポめがけて噛み付いた
ようやくの初激だ
ハヤト「くそ、ポッポ。羽ばたいてふりきれ!」
だが
律「無駄だよ」
ハヤトの口真似をして言ってみた
443 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 00:58:46.14 ID:Bt19Cmso
ハヤト「………」
律「おい、なにか反応しろよー。こっちがはずかしいだろ。……まぁ、無駄だわ。それ」
「アリゲイツは一度噛み付いたら、逃がさないように牙の先が反り返ってるんだ」
まぁ、私もさっき知ったことだけどな と付け加え
律「だから、これでもう逃げられないし」
「――これで終わりだ。アリゲイツ、冷たい一発をぶちこんでやれ。冷凍パンチ!!」
アリゲイツは拳を握ると、そのまま噛み付いたポッポへと向かって一撃を放った
――ピキ
打たれたポッポの翼の部分が凍っていく
444 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 00:59:57.93 ID:Bt19Cmso
律「これで、終わりだな」
ハヤト「……もどれポッポ。……ふふっ、なかなかやるようだね。でも、もう終わり?いいや、ここからだろう?」
「さぁ、いけピジョン。でんこうせっか!!」
ボールから出た瞬間、風が走る
その風の中に、鳥を携えて
――ダンッ
そして、ポッポ倒したばかりのアリゲイツを打ち抜いた
律「なっ、はやっ!!」
これで計3度目となる攻撃をうけたアリゲイツは
アリゲイツ「アリ………」バタッ
鳴き声を残して倒れてしまった
ハヤト「さぁ、まだこれで1対1だ」
445 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 01:03:22.67 ID:Bt19Cmso
▼
律「さすがに、もう無理そうか……」
倒れて床で目を回すアリゲイツを見る
律「もどれ、アリゲイツ。……それじゃ、頼むぜガーディ!!」
ガーディ「ガルル!!」
替わりに出したのは、律と最も付き合いの長いガーディだ
ハヤト「へぇ、さっきのが切り札かと思ったけど、そのポケモンもよく育っているようだ」
そしておもしろいね と呟いた思ったら
ハヤト「ピジョン、かぜおこし!!」
速攻の攻撃が来た
風だ
翼で薙いだ風がそのままガーディを襲う
446 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 01:06:42.30 ID:Bt19Cmso
律「ガーディ、ふんばれよ……!」
地へと姿勢を落とし、その4つ足で踏ん張るガーディに
ハヤトはさらに追撃にでた
ハヤト「でんこうせっか!!」
その指示と同時に風は止むが、時間差でピジョンの体が来る
連撃だ
律「ガーディ、よけろ」
とっさに指示をだすが、ガーディはよけきれず
ピジョンの翼が、その朱い体を掠めた
そしてピジョンはそのまま勢いを落とすことなく空へと逃げていく
447 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 01:08:54.41 ID:Bt19Cmso
律「くっそ、またヒット&アウェイか。それなら……」
「火の粉をばら撒け!!」
ガーディがグルッと喉をならし、当たりに火の粉を撒いた
だが
ハヤト「――ふきとばし!」
ピジョンが羽ばたいただけで、その灯は消滅してしまう
ハヤト「つづいて、かげぶんしん!!」
空中にいたピジョンが2体に増え、4体……6体とまで増えた
律「なっ、分身した!?」
ハヤト「ふっ、別に増えたわけじゃないよ。実体があるのは一匹だけ。まぁ、どれか見破れないと意味はないけどね」
どこかハヤトには余裕のようなものがうかがえる
448 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 01:10:56.70 ID:Bt19Cmso
ハヤト「たいあたりだ!!」
律「……くっそ、そういうことなら………ガーディ、なんとかやりすごしてくれ」
フィールドの穴を避けるように地面を走り回るガーディとそこへと必死に体当たりをかけるピジョン
――ビュン
――ビュン
――ビュン
律「(くっそ、ほんとに他のは虚像なのかよ。風を切る音まできこえてるぞ……!!)」
「(でも、実体が一つっていうんなら、まだやり方もある……)」
そして
――
風切り音が止んだ
ピジョンの次の攻撃への体制の組みなおしだ
449 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 01:12:05.57 ID:Bt19Cmso
律はそのときを見逃さない
律「いまだっ、ガーディ!!かぎわけて、本物へと噛み付け」
そこからの行動は早い
ガーディが鼻をスンと吸った時には、すでに走り出していた
匂いの下を辿る
そして
律「――かみつけ!!」
ガーディ「グルルッ…・・・!!」
喉を鳴らし、飛びついた先は
ハヤト「なに、本物を当てたか!?」
実体のあるピジョンだ
450 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 01:15:00.67 ID:Bt19Cmso
その羽へとガーディは牙を突き刺し
律「そのまま火の粉だ。焼き鳥にしてやれ!!」
――ジリッ
羽を焦がす音がごくわずかだが生まれた
ハヤト「ピジョン、ふきとばせ!!」
かまれた翼をおもいっきり振るった
その勢いに負け、ガーディは地へと戻される
律「へへ、だけど今ので大ダメージを与えたぜ」
ハヤト「たしかに今のはダメージが大きいようだね。おれのピジョンが空中でうまく飛べなくなってる……だけど」
「――はねやすめ!!」
ピジョンが自分の舞台から、地上へと舞い降りた
451 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 01:18:44.98 ID:Bt19Cmso
律「えっ……?なんで地面に……」
そこには翼をたたんだピジョンが棒立ちしている
律「(なんだ……罠か……?)」
その奇怪な光景に律とガーディは様子をうかがっていたが
ハヤト「おや、いいのかい。ピジョンがこのまま回復してしまうよ」
その判断がいけなかった
律「なっ、回復の技かよっ!……くっそ、いけガーディもう一度かみつけ」
ハヤト「――もう遅いよ。さぁ、もう一度空へと舞い上がれピジョン!!」
再び空からの猛攻がはじまった
ハヤト「今度はしんちょうに行こうか。でんこうせっかだ!!」
何度目かの同じ光景が繰り返された
ピジョンが空から攻撃し、ガーディがそれをなんとか避けるが、またピジョンはそのまま空へと戻る
452 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 01:20:50.23 ID:Bt19Cmso
▼
――ヒュン
すでに何度目だろうか
さきほどから続くのは、ピジョンのしんちょうな攻めに、ガーディのなんとかかわす といったパターンだ
ハヤト「はは、そのまま防戦でいいのかい?」
律「…………」
律は反応せず、バトルに集中している
ハヤト「(このままいけば、おれの勝ちかな……)」
当然だ。
こちらは攻撃を仕掛けている側で、相手は避ける側だ
453 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 01:21:51.84 ID:Bt19Cmso
おそらくそれも長くは続かないだろう
ハヤトは、まるで狩りのようだ と思う
鳥の狩りとは、狩りとるその瞬間までじっくりと焦らず、確実に狩れる瞬間をまつ
相手のガーディを見ると、もうそろそろその時だろう
ハヤト「もう、そろそろ限界のようだね……」
その言葉を言ったとき、律がニヤリと笑った
律「――あぁ、あんたのピジョンがな」
454 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 01:24:18.22 ID:Bt19Cmso
▼
律はずっと気付いていた
そう、相手のピジョンがやけどを負っていることに
さきほどガーディが噛み付き、ひのこで攻撃したときだ
あのときにやけどを負わせていたことに気付いたのは、羽休め後のでんこうせっかの一発目のときだが
律「はは、どうやら弱ってきているのは私のガーディだけじゃなく、お前のピジョンもだな」
ハヤト「……っく、かみつかれたときにおったやけどか」
ハヤトは歯を食いしばる
そして
ハヤト「だが、弱っているのはそっちも同じこと。それならば、ここで一気に決める!」
「たいあたりだ」
455 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 01:27:41.36 ID:Bt19Cmso
ハヤトが上空にいるピジョンに指示をだした
指示にしたがいピジョンはガーディへと滑空する
だが
律「おいおい、いいのかしんちょうに攻めなくて?」
ハヤトは答えない
これ以上、時間をかけるつもりはないようだ
律「ははっ、なら私の勝ちだ。」
そう言葉を作ったときにも、ピジョンはガーディへと近づいている
律「だって――こっちにも回復する技があるんだから」
「ガーディ、あさのひざしだ!!」
ガーディ「ワオーン!!」
上を向き高く、大きく吼えた
空へむけてではない。太陽に向けてだ
456 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 01:30:59.15 ID:Bt19Cmso
ガーディ「――」
そしてガーディが日差しの力を吸収していく
ハヤト「なにっ、くっ……とまれピジョン!!」
律「もうこの距離だ。遅すぎるぜ。減速はできても、急には止まれない……ってね」
勢いづいたピジョンが止まることなく、ガーディへと突っ込む
律「――向かい打て、かえんぐるま」
ガーディの周りを炎が円をかくようにつつむ
457 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 01:32:31.47 ID:Bt19Cmso
そして
ピジョンへと向かい
ガーディ「グルッ……」
一度、喉を鳴らし
――飛び出した
ぶつかり合う音が響く
そこへ継いだ音は、なにかが地面へと落ちる音
つまり
律「よっしゃああ、勝ったぁーー」
458 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 01:33:01.56 ID:Bt19Cmso
▼
ハヤト「ふふ、完敗だよ。これがウイングバッチだ、受け取ってくれ」
律「……!!」
差し出された、バッチを受け取ったとき
ワニノコの進化の瞬間のような喜びがあった
ハヤト「まいったね。いや、本当にまいった。君は才能があるよ、きっと凄いトレーナーになれると思う」
律「いやぁ、そんな」
ハヤト「謙遜しなくていいよ。負けたこっちとしてはむしろ誇ってくれないとな。あ、そうだ次はヒワダタウンに行くといいよ。そこには次のジムがある」
律「はい、ありがとうございました」
「(嬉しいけど、まだ一つだ……唯はすでに3個もってたっけ?)」
そんな考えが浮かぶが
律「(ま、素直に喜んでもいいよな)」
「VSピジョン」 〆
459 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 01:36:15.44 ID:NS6D22AO
おつー
460 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 01:38:23.40 ID:zHn9hqA0
特性もらいびの朝の日差し(卵技)もちか・・・育てるなら特殊型かな
特性葉緑素の草タイプで日本晴れからの炎技読み交換で、バトルが熱くなるな・・・
461 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 01:42:41.74 ID:Bt19Cmso
vipでアフォみたいなSS書いてるうちに、期間あいちゃった
まぁ、期待してる人なんていないし、いいよね
…………ほんとわざわざ読んでくださった方すんませんっしたあああああああ。
極力週2はこころがけたかったんだが……うんまぁ、言い訳だ
>>460
すまん、りっちゃんのガーディ、威嚇なんだ……
……いや、なんでもない。唯との勝負などなかったってことにして、もらいびでもいいかも
462 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 01:44:19.64 ID:WuuYdMDO
乙乙
あれ、これツクシ楽勝じゃね?
463 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 10:05:22.56 ID:Uaj6soAO
毎度面白いな、乙
464 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 17:00:12.14 ID:Ogn/ntc0
ツクシはガーディで3タテ余裕だな
465 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 23:12:45.63 ID:zHn9hqA0
もういっそポケダンみたいに
特性二つあるやつは二つともあるってことでいいよ
466 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 23:33:07.41 ID:qLitfcAO
りっちゃん初バッヂおめでとう
467 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/22(水) 11:15:35.95 ID:6YfTDHk0
うおっ、とりあえず唯編まで読んだぜ。
グリーンさんかっけええな
今からりっちゃんよむ
468 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/22(水) 23:41:58.02 ID:P.rjpyAo
――32番道路
律「なんだここ……まるで火事でもあったみたいだな……」
今まで草むらを抜けて来た、律は不思議そうに呟いた
そこだけはサークル上に草がまったくなく、あたりにこげた跡があったからだ
そこへ
「なんでもそこで事件があったみたいっすよ。ロケット団が捕まったとか……」
唐突にかけられた声のほうを振り向くとそこには
ゴールド「先日はどうも。そういえばウツギ博士がたまには報告をしてくれると助かる って言ってましたよ」
469 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/22(水) 23:45:15.78 ID:P.rjpyAo
律「(あっちゃー、そういやこっちから連絡いれてなかったなぁ……)」
「って、そうじゃねー。ゴールド!!お前なんでこんなとこに」
ゴールド「いやぁ、自分はちょっとこの先のつながりのどうくつに用がありまして」
律「……ふぅ〜ん。まぁ、いいや。それより、じゃぁ、この焼けた跡はロケット団の仕業だっていうのか?」
そう尋ねると、ゴールドが、いや と否定の言葉を作る
ゴールド「それが、被害者のほうがロケット団関係らしいすよねー」
「このへんであくどい商売してた、とかなんとか」
へ?と律がとぼけた声を出した
470 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/22(水) 23:50:13.68 ID:P.rjpyAo
律「なんだそりゃ? じゃぁ、正義の味方でも現れて、そいつに天誅を下したってわけかー?」
ゴールド「うーん、よく分からないんですけど。まぁそんなやつがいたならかっこいいですよねー」
律「ははっ「かっこいい」ねぇ……そんなもんかね……まぁ、すごいやつもいるもんだなぁとは思うけど」
なにしろ相手は有名な巨大な犯罪組織だ
いかに相手が下っ端でも、なにが自分の身に返ってくるかはわからない。
それを恐れずにできるのは、立派だ と思う
それにしても
律「(ロケット団ってたしか2、3年前に、解散したんじゃなかったのか……!?)」
ゴールド「……律さん?」
471 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/22(水) 23:55:45.47 ID:P.rjpyAo
▼
――つながりのどうくつ
律「ありっ? 真っ暗なんだろうな と思ってたが、結構明るいな」
ゴールド「そうっすね。結構人の入りとかもあるからですかねー」
律の後ろに続くように、ゴールドが歩きながら呟く
律「………ところで」
「なんでお前一緒にいるの?」
472 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 00:00:57.85 ID:HBeZv9so
ゴールド「はは、まぁいいじゃないですか。自分もここにちょっと用があったんですって」
律「そういや、さっきも言ってたなぁ……」
ゴールド「聞きたいですか?」
ゴールドがどこか嬉しそうにニヤニヤし始めた
律「(………)」
「じゃぁ、いいや」
そういって律は先に先にと進んでいく
ゴールド「ちょ、もうちょっと興味もってくれてもいいじゃないっすかー」
473 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 00:05:12.23 ID:HBeZv9so
▼
律「はぁ? どうくつから歌が聞こえるぅ?」
ゴールドの話はごく簡単なものだった
毎週金曜日になると、この洞窟から不思議な歌が聞こえてくるらしい
そしてそれがポケモンの歌だと、予想した目の前にいる男は、それを捕獲するために今日を待っていたというもの
だった
ゴールド「ほんとあの音すごいですよ!!すごく綺麗な声で歌ってるんです」
律「なんだお前、その歌きいたことあるのかー?」
ゴールド「ハイッ!!少し前にラジオで取り上げられてたんですよ。謎の歌声に迫る とか特集ついちゃって」
ゴールドはとても活き活きした顔で話す
474 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 00:09:48.11 ID:HBeZv9so
律「へぇー、それで正体は分かったの?」
ゴールド「いえ、その放送では結局正体がわからなかったらしくて。誰かが洞窟内で歌の練習でもしてたんじゃないかって……」
ふーん、と言葉を残した律は続けて
律「でも、全然聞こえてこないぞ」
ゴールド「……そうみたいですね。もうすぐ出口ですし……」
言った時
――♪〜♪
聞こえた
かすかに、だが、洞窟内にたしかに反響するように音が流れる
メロディラインをなぞったかのようなそれは歌といっても遜色ないものだろう
475 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 00:13:26.88 ID:HBeZv9so
律「!!」
ゴールド「!! こ、これです!!この鳴き声です」
「行きましょう、たぶん方向はこっちです」
そういったゴールドが先行しようとし、小走り気味なるが
そのときに律が気付いた
律「(これは……霧? いや、小さな氷の粒か?)」
白の霧のようなものが空中を漂ってきていた
その方向はゴールドが走り出そうとしたほうで
律「やっぱり、向こうになにかいるのか……」
476 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 00:19:50.55 ID:HBeZv9so
ゴールドの後ろを追うように、ついていくが
律「まて、ゴールド!!足元足元!!」
ゴールド「え?」
――ドブンッ!!
まぬけな声と共に大きな水しぶきが上がった
律は寸で足を止め、ゴールドが浮かびあがるのを待つ
そして
ゴールド「ぶっは!! さむ!!」
ゴールドが水面から顔を出し、こちらを見た
477 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 00:25:19.37 ID:HBeZv9so
ゴールド「もうちょっと早くいってくださいよー!」
律「いや、言ったし……」
はぁ と律が溜息をつき
律「まぁ、とりあえず上がれよ。さむいんだろ?」
だが、ゴールドは一度考え込み
ゴールド「………いえ、自分はこのまま泳いで向こうの岸まで行きます。ほらっ」
そういってゴールドが指さす先を見ると、そう遠くない場所に同じような陸地がある
律「ん、あんまり暗くて見えないけど……たしかにあるなぁ……」
478 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 00:30:42.79 ID:HBeZv9so
ゴールド「で、律さんはどうします?」
今も流れているこの音の正体に少し興味はあるが
律「いや、私はいいや。あいにくなみのりできるポケモンはいないし、泳いでいくのもなぁ……」
「さすがに、アリゲイツに乗るってのは無理そうだし」
ゴールド「そうっすか。まぁそれじゃ、自分は向こうまで行きますんで」
そういう言って腕でクロールの形を真似したゴールドに
律「お前が向こうにまで渡りきるまで私はここで見といてやるよ。ポケモンに襲われて溺れられたら、後味悪いしなぁ」
ゴールド「ちょっと、怖いこと言わないでくださいよ!」
479 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 00:35:32.66 ID:HBeZv9so
律「まっ、そのときはアリゲイツを助けにだすって」
ははっ、笑いながら言う律にゴールドが、ほんとですね!?と確認を取る
律「ほらっ、さっさと行った行った」
絶対ですからね とゴールドが最後に言葉を残し、水面へと潜った
律「(ったく……)」
その間、律は流れるメロディーに耳を傾け
本当にきれいな曲だなぁ、呟いた
ここからでは微かにしか聞こえないが、本当にきれいな音だと思う
ゆったりと流れる曲に身を任せてしまえば、眠ってしまいそうだ
480 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 00:40:22.40 ID:HBeZv9so
律「おっと……それにしてもちょっと寒いな」
原因はさきほどから漂ってきているこの白い霧のせいだろう
細かな氷の粒の中にいるのだから、当然だ
――ザブンッ
少し向こうから、水の音がした
律「(ん、ゴールドが向こうについたのか)」
そして
『おーい、きこえますかー』
ゴールドの声が向こう岸からきているのだろう
それに、聞こえてるよー、と返す
481 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 00:46:15.88 ID:HBeZv9so
『どうやら、まだ下の階があるみたいです!!自分は下に言ってみますんで、律さんはもう先にいってください』
律「した?」
地下があるとは思わなかった律が、疑問の声をだした
そして
律「おっけー、それじゃぁ私は先にいくからお前も気をつけろよー」
『ハイー、ありがとうございましたー』
律「まっ、あれだけ元気なら大丈夫だろう。私も行くか……」
そういうと、ゴールドの消えていった方向に背をむけ、出口に向け歩き出した
482 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 00:51:07.74 ID:HBeZv9so
――33番道路
律「っと、久々の陽の光りー……っと、思ったらもう真っ暗じゃん……」
ポケギアの時間を見ると、すでに夕飯時の時間だ
もうこんな時間だったのか、思ったとき
――ハッ、それでは私達はここ、ヤドンのイドを担当させていただきます
声が聞こえた。女の声だ
方向は
律「むこうの外れの林か」
その声の方向に足をむけた
483 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 00:55:28.01 ID:HBeZv9so
だが
律「(なっ、あれは……!!」
とっさに隠れ、その様子をうかがうことにした
その理由は
律「(あれって……昔ニュースで見たロケット団の服装じゃ……!!)」
先ほど、ゴールドとロケット団の話をした時は、正直半信半疑だったが
律「(ほんとに……復活してるのか)」
484 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 01:01:16.43 ID:HBeZv9so
そんな律に気付かずに、ロケット団たちの会話は進む
そこには4人の団員がいる
その中にいる一人の男がゴルバットを取り出し
そして
――俺はこれからもう一度カントーに戻る。だからここはお前らに任せる
その言葉を受けた残りの3人の中の1人が
――しかし、ランス様!!なぜ、いまさらカントーへ?つい先日帰ってきたばかりでは!その上伝説の3鳥を捕まえるなんて……
どうやら、様付けで呼ばれている今ゴルバットで飛び立とうとしている男はロケット団の中でも幹部級のようだ
485 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 01:05:22.99 ID:HBeZv9so
――借りを返しにいくんだよ!! そう借りをな……だが、そのためには伝説クラスの力が必要だ
――しかし、伝説のポケモンなど自由に操れるとは……!!
――黙れ!! それでも、俺はあのシオンの屈辱を忘れない……確実にあの女を潰す
声を荒げた幹部級の男が、そのまま空へと飛び立とうとし
――いいか、お前ら! 俺は確実にカントーで最強のポケモンを作り出す。そのためにカントーでやることがある。
だから、と告げ
――お前らは俺の任されたここを俺の代わりに守れよ
――ハッ!!
そういって男が空に消える
486 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 01:11:07.48 ID:HBeZv9so
▼
律「(なんだってんだよ……)」
気付けば律はその場から離れていた
おそらく、あいつらはここでなにかをやるつもりだ
律「たしかヤドンのいどって言ってたな……」
どうする と自問する
相手は犯罪組織だ。かかわるべきではない と思う
相手はポケモンを改造、虐待、非合法な販売など無茶苦茶なことをやってきている組織なのだ。
だが、
律「(本当にそれでいいのか……)」
487 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 01:16:34.78 ID:HBeZv9so
そんな律の前に看板が現れた
文字を目でなぞり、口にだす
律「ポケモンと ひとが ともになかよくくらすまち ――ヒワダタウン……か」
……これからロケット団たちは、この人間とポケモンが仲良く共存する町で問題を起こそうというのか
その最悪の未来を予想する
それは、おそらくこの町のポケモンと人間の仲を裂くことになるだろう
ロケット団達によって、被害を受けたポケモンたちは人間から遠ざかる
それが、悪いやつらの仕業かどうかなんて、ポケモンたちには関係がない
だって、それは同じ人間が起こしたことなのだから
律「やっぱり、見てみぬフリってのは、できないよな」
ならやることは一つだ と心の中で呟く
488 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 01:19:28.87 ID:HBeZv9so
律「ヤドンのイドっていってたな。そこへ向かえば………っと、そういえば」
「ヤドンのイドってどこだろう?」
肝心の場所が分からず、律が溜息をつく
律「はぁ……とりあえず、町に行って、明日の朝は情報集めかな」
……洞窟に入る前に、犯罪組織にわざわざ喧嘩うるなんて他人事だと思ったけど
律「まさかこの私が……ねぇ……」
……澪や唯は心配するかな?
律「澪なんて泣いたりしてー……なんてな」
律「(まぁ、そのときには笑って、大丈夫だったよ っていえると良いな)」
律は言葉をそこへ残し、夜のヒワダへと消えていった
「挿話」 〆
489 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 01:22:19.89 ID:HBeZv9so
本当は挿話とかにする予定はなく 普通に 「VS金曜日のアイツ」にしようと思ってたけど
よく考えたらあいつって最下層にいたんだよなぁ。
そこまでりっちゃんどうやってもってこうか……とか悩んだ結果、結局こうなっちゃった。
490 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/23(木) 01:32:28.09 ID:wQtaHas0
乙
ラプラスは渦巻き島やサファリへの道のとこあたりの秘伝技でお世話になりました
ていうか 夜のヒワダへと消えていった って表現が不吉すぎるぜ・・・
491 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/23(木) 02:29:17.48 ID:YtBjeIAO
乙、ゴールドもまた出だし唯の時と違って何気に男っ気あるな律は
492 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/23(木) 03:12:21.41 ID:gcihskAO
>そういった時、ハヤトのたっていた部分が
エロいな
493 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/23(木) 15:18:45.92 ID:r3OFaQw0
乙!
これは唯の時のシオンとグレンの行間か
ランスさんェ……
494 :
クリスマス終了のお知らせ
[sage]:2010/12/26(日) 04:13:42.30 ID:qqG8l6I0
ブザマにボコられに行くランスさん乙
495 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 20:32:47.65 ID:dWQjEyoo
――ヒワダタウン
律「……ったく、あのジイサンなんであんな足が速いんだよ」
そう言った律が追うのはさきほどポケモンセンターであった初老の男だ
ガンテツと名乗ったそのボール職人の男は律の話を聞くやいなや、すっとんでいってしまった
律「……くそおお、もうちょっとしんちょうに行くつもりだったのに、これじゃぁ、正面から行くしかないじゃないか」
走りながらも律はさきほどの会話を思い出す
それは……
……
…
496 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 20:42:31.57 ID:dWQjEyoo
――ポケモンセンター(30分前)
ジョーイ「はい、お預かりしたポケモンは元気になりましたよ」
律「ありがとうございます。ところで聞きたいんですが……」
ジョーイ「はい?」
律「えっと、このへんでヤドンのイドって呼ばれてるところとかどこにありますかねー?あー、それっぽいところとか……」
その日律は、情報を集めようと町を駆け回るつもりでいた。
そしてその前にポケモンセンターでポケモンを回復させようとして、ついでにと思い尋ねたところ
ジョーイ「あら、ヤドンのイドっていったら、この町の東にある普通のイドよ? 特に旅人さんにオススメする観光スポットって場所でもないけど……」
律「へ?」
返ってきた答えにマヌケな声を返してしまう
497 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 20:48:10.40 ID:dWQjEyoo
それは予想以上に早く目的の場所が見つかったこと
そして
律「(……なんだ?そんな表立ったところでなにかしてるのか……?」
普通は誰にも見つからないところなどでやるものではないか と思う。
現ににカントーにいたころには、アジトを持ちそこで主な行動を起こしていた と言うニュースをみた記憶がある
ジョーイ「あ、でもあまり人気はないところだから気をつけてね。あのあたりはヤドンばっかりだから野生ポケモンに襲われる心配はないと思うけど……」
律「はい、ありがとうございます」
……人気がない……か。だからそんなところなのか?
それとも
律「(また別の目的があるのか……)」
498 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 20:53:07.21 ID:dWQjEyoo
いずれにせよ急ぐべき かな と思う
そして
踵を返し、ポケモンセンターから出ようとしたとき
???「嬢ちゃん、あんなところになんかようか?わしもこれから行くようがあるから、一緒にどうや?」
律「え?」
声のするほうへと、向くと、そこには初老の男がいる
その手には少し代わったモンスターボールが握られているが
ジョーイ「あらっ、ガンテツさん。あそこになにかご用が?」
カウンターにいたジョーイさんがその男――ガンテツに向かって親しげに話しかけた
499 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 20:55:56.21 ID:dWQjEyoo
ガンテツ「あぁ、最近水道の出がおかしいことがあるやろ。あれの原因を探りにと思ってな」
律「ちょ、ちょっとまったー!!」
ガンテツの言葉を受けた律が待ったをかけた
律「えっと、まずガンテツさん?でいいんですよね?」
ガンテツ「あぁ、そうか嬢ちゃんは旅人か。それなら自己紹介しとこうか。わしはガンテツじゃ。ここでボール職人をやっとる」
律「いや、まぁそれはいいんですが」
この流れはまずいなぁ と思う
この人は確実に、事が知れれば突っ込んでいってしまう
そのことがまずい
そしておそらくそこにはロケット団がいる。
そこにノコノコと現れれば、結果は見えている
500 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 21:00:22.10 ID:dWQjEyoo
ガンテツ「なんじゃ? 嬢ちゃん、なにか知ってそう顔してるな」
まずい。これは
律「いやぁ、ちょっと今はやめといたほうがいいかなぁ なんて」
ガンテツ「やっぱりなにかしっとるんやな」
確実に
律「えっと、あはは……」
ガンテツ「嬢ちゃん……!」
洗いざらい知ってること吐かされる流れだ
律「……」
ガンテツ「なんやいってみぃ」
ほら、こうなった
律「……はい」
501 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 21:06:13.79 ID:dWQjEyoo
………
……
ガンテツ「なんやてー!!ロケット団が悪さをしとるー!?」
怒声が混じった声が部屋に響く
今律はガンテツの私工房ともいえる場所にいる
どうやら、この頑固そうな職人は弟子もとらず、ただひたすらボールにうちこんで来たらしい
あたりの棚には、いろんな完成形の変わったボールや、その製作途中のものがおかれていた
が
今放ったガンテツの怒声により幾個が宙へと転がり、重力によって下へと引かれた
502 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 21:11:28.93 ID:dWQjEyoo
律「と、とりあえず落ち着いてくださ……」
ガンテツ「これはこうしてはおれん!今すぐ急いでたわけどもをとっつかまえてやる」
律のなだめる言葉など聞かずに、ガンテツは帰ってきたばかりの工房を後にしようとする
手にはボールの製作に必要なものなのか、そこらにあった金槌をもっている
ガンテツ「それじゃ、嬢ちゃんはここでまっとき!! わしが解決してきたる!!」
律「ちょ、まっ…」
律の返答など聞かずに、ガンテツが外へと飛び出した
503 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 21:16:13.63 ID:dWQjEyoo
その勢いに呑まれ、呆気に取られた律だが
律「いやいやいや、なんでこうも……!!」
言うと後ろ髪を掻き
律「ああ、もう私も追うしかないじゃないかー!!」
誰もいない工房で一人むなしく叫んだ
504 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 21:21:18.09 ID:dWQjEyoo
……
…
そして、今その後を急いで追いかけるように足を急がせるわけだが
律「って、私正確な位置とかわからないんだけど……」
「えぇい、なんとでもなれー!」
ヒワダの町を横切りながら、そんなことを叫んだものだから、周囲の住人の目が痛いが
そんなことに頬を染めている暇すらもない
律「っと、いたー!!………って、曲がった!!」
ガンテツの姿を遠目に見つけるが、その職人は方向転換しすぐに律の視界からきえてしまった
505 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 21:25:43.37 ID:dWQjEyoo
――33番道路
律「あれ、このへんだと思うんだけど……」
律は迷っていた
このあたりは緑が豊かすぎて、木々が周りを遮ったりもしている
律「おっかしいなぁ。そんなに遠くないと思うんだけど……」
そのとき
――お前ら!!こんなことしてたたで済むおもてんのかぁーー!!
明らかに聞いた声が空へと響き渡った
それはまぎれもないさきほどのボール職人の声で
律「こっちか!!」
その声の下へと急ごうと、速度を上げた
506 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 21:32:01.14 ID:dWQjEyoo
――ヤドンのいど(周辺)
律「(あれか……)」
律は草陰に隠れてその様子をうかがっていた
下っ端1「まったく、このジジイどこから嗅ぎ付けてきたんだか……」
そこには縄でぐるぐるに巻かれ気絶させられたガンテツの姿とロケット団の男と女がいる
下っ端2「ほんと、嫌になるわね。ランス様に任されたっていうのに、もう問題事」
女のほうの団員がはぁ……と溜息をつくと
下っ端2「しかたない。私はこのへんを見回ってくるわ。このジジイが大声だしたせいで人がきちゃったら大変だもの」
下っ端1「おい、このジジイはどうするんだ」
507 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 21:37:00.47 ID:dWQjEyoo
下っ端2「とりあえず、それはそのヘンに転がしておけばいいわ。どうせ動けやしないだろうしね」
それから女が、それから、と言うと
下っ端2「あなたはさっさと中へ入って合流して作業してきなさい」
その言葉に男の団員がムッっとする
下っ端1「……俺はお前の部下になったつもりはないんだが」
下っ端2「はいはい、分かってるわ。私もあなたも対等。私は私の仕事を、あなたはあなたの仕事を。それでいいわね」
下っ端1「……ふんっ」
508 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 22:01:00.71 ID:dWQjEyoo
男はくるりと背を向け井戸の中へ入っていく
そして
下っ端2「やれやれ、ほんとに疲れるわ」
そういうと、女も木々の中へと姿を消していった
律「(……いまだな。とりあえずガンテツさんの縄をほどくか)」
そうっと、律が井戸へと近づいていく
そして
ガンテツの縄をほどくと
律「あっちゃー、この人どうしよ……まぁ、とりあえず草陰に隠しとくか」
さきほどの自分の隠れていた場所に戻り、ガンテツを隠すように寝かせた
509 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 22:06:23.51 ID:dWQjEyoo
律「さてと……」
律がゆっくりと立ち上がり、イドのまえでどうするかを考える
律「(とりあえず、中に入るか……いや、さっきのやつが帰ってきたら挟み撃ちになるか……)」
井戸の中をのぞくと、そこは井戸というよりかは地下壕のようになっているようにもうかがえる
律「(挟まれたら逃げ場は……なさそうだな)」
「さてと、どうする……」
『あらぁ?さっそく人が来ちゃったじゃない。でも、よかったわ、戻ってきてみて。あぁ、あなたにしては良くないわね。だって……』
律があわてて声の方向へ振り向いた
下っ端2「あなたはもう無事にかえれないもの」
そこには先ほど見回りに行ったはずの女がいた
510 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 22:10:40.62 ID:dWQjEyoo
ゆっくりと近づいてくる彼女から遠ざかるように一歩後ろに下がり、律はボールに手をかけた
下っ端2「あら、トレーナーだったの、あなた」
律「……でろ、イーブイ!!」ボンッ
その言葉に答えず、投げたボールからイーブイが繰り出された
下っ端2「そう、抵抗する気ね。いいわ、どうせ最初から力づくでいくつもりだったもの」
「いけ、アーボ!」ボンッ
対して出されるのはとぐろを巻いた紫色の蛇のモンスターだ
511 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 22:17:25.66 ID:dWQjEyoo
律「……いやぁ、今日は最高についてないと思ったけど、そんなことないなぁ」
律がポツリと言葉を零す
下っ端2「?」
その言葉にわずかに女が首を傾けるが
律「だってあのまま、井戸に入ってたら挟み撃ちだろ? なら、あんたの登場は最高のタイミングだよ」
そう
「あんたを倒しちまったら、あとは後ろを気にせずに中で闘えるもんなぁ」
律が不敵に笑うのに、対して、女が唇を噛む
下っ端2「……いってくれるじゃない」
512 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 22:20:13.52 ID:dWQjEyoo
▼
下っ端2「アーボ、にらみつけてその小さい子を震え上がらせなさい」
指差す先にはイーブイがいる
そして
アーボは指示にしたがい、視線で獲物を捕らえようとする
律「イーブイ、走れ!!」
イーブイ「ブイッ!!」
イーブイは視線を合わさないように、アーボの周りをぐるぐると走り出す
513 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 22:27:53.36 ID:dWQjEyoo
律「よし、後ろを取ったぜ。そのまま勢いのままでんこうせっかだ」
下っ端2「ふふっ……」
今度は女が怪しげに笑った
律「……!?」
その怪しさに律が警戒しようとするが、すでにイーブイは攻撃のモーションに入っている
下っ端2「アーボ、かみつきなさい!」
とぐろを巻いていたアーボが急に後ろへと首を向けた
そして
アーボ「シャァァ!!」
そのまま突っ込んできたイーブイの首下へと噛み付いた
514 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 22:32:01.04 ID:dWQjEyoo
イーブイ「…!?」
律「なっ……!! くそ、イーブイじたばたして逃れろ」
噛み付かれたことに驚いたイーブイだが、すぐにその体を震わせて抵抗する
四肢で空を打ち、体全体に揺れの波が走る
その衝撃にアーボは噛み付いた獲物を放してしまう
下っ端2「ふふっ、アーボがとぐろを巻いてるのはどこから敵がきてもいいように警戒してるからなのよ」
そして律が図鑑を開くと
No.023 アーボ
ぐるぐる からだを まいて やすんでいるのは
どの ほうこうから てきが おそってきても
とっさに あたまを むけて いかくできるからだ。
515 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 22:40:25.75 ID:dWQjEyoo
律「……くっ、ごめんイーブイ!!」
謝るのは、相手の情報をよく知らずに相対させたからだ
だが、律も切り替えるべきときは分かっているので
すぐに指示を出す
「イーブイ、いったん距離を取れ!!」
イーブイ「ブイッ!!」
開放されたイーブイが、さっと律のほうに身を引いた
516 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 22:48:50.93 ID:dWQjEyoo
下っ端2「あら、逃がさないわ。アーボ、へびにらみよ」
アーボ「シャアアアアァァアー!!」
チロチロと舌をだした顔が、後ろに引いた瞬間のイーブイをにらみつけた
律「あぁ……!!」
下っ端2「あー、もうその可愛いこは動けないわ」
「さてと、あとは……アーボ、じっくりと苦しめてやりなさい。巻きつく」
長い体が地面を這う
そして舌なめずりをしながら、ゆっくりとイーブイへと撒きついた
517 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 22:53:12.23 ID:dWQjEyoo
律「……イーブイ!!」
下っ端2「あらあら、かわいそうに。こんな場面に遭遇してしまったから……」
律が下を向く
それは顔を隠すように
下っ端2「泣いてるの?後悔してるの?こんなことにかかわるんじゃなかったって」
律「……どうしてだよ………」
下っ端2「はぁ?」
律「どうしてこんな小さな町で、なにかやってるんだよ……」
下っ端2「あぁ、それね。まぁいいわ。どうせあなたは帰れないから教えてあげる」
「ようはね、お金よお金。ここにたくさん生息してるヤドンのしっぽはね、一部のバカどもにはバカみたいな値段で売れちゃうのよ」
そういって、女が楽しそうに笑う
518 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 22:56:53.66 ID:dWQjEyoo
下っ端2「で、組織にもやっぱりお金は必要だから、それで稼がせてもらおうってわけ」
「でも、酷いわよねー、私達ばかり悪者にされてるけど、買うやつが存在するからこんな商売なりたってるのよ」
「それって、やっぱり買うほうも悪いとあなたもおもわなーい?」
その言葉に律がうつむきながら答えを返す
律「まぁ、だからってあんた達の罪が軽くなるわけでもないけどな」
泣いていると思っていた律のその言葉に、女が驚いた顔をした
そして律が顔を上げた
そこにあった表情は、泣いてるわけでもない
だが、笑っているわけでもない
519 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 23:00:26.37 ID:dWQjEyoo
下っ端2「なに?」
律「いや、簡単なことだよ。あの時、見て見ぬフリしなくてよかったな、って。やっぱり、あんたたちはここでなんとかしないとな」
怒りだ。表情には出さないが怒りの感情が目に表れている
下っ端2「なっ!?」
「……アーボ、しめつけたまま噛み付いてしまいなさい!!」
その言葉に危険を感じた女が、今までイーブイに撒きつきしめつけていただけだったアーボに指示を飛ばした
律「はは、さっきのへびにらみは逆効果だよ――イーブイ、からげんき!!」
そして体にアーボを巻きつけたイーブイがその足で地面を踏ん張った
520 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 23:09:25.93 ID:dWQjEyoo
イーブイ「――!!」
まとわりつくアーボを体をふり、ほどいていく
そして
そのまま
イーブイ「ブイっ!!」
体を基点にして、アーボを投げ飛ばした
そう、団員の女の方向へと
下っ端「!!」
521 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 23:10:52.29 ID:dWQjEyoo
――ドンッ
女が驚いたときにはすでに遅い
アーボの体はそのおなかへとぶち当たっていた
――ドサッ
そしてロケット団の女がその衝撃に地面倒れこんだ
律「……ふぅ」
522 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 23:15:16.92 ID:dWQjEyoo
▼
律「さてと、この女は縛っておいてと……」
まだ何も終わっていないこと――井戸の中にはまだ敵がいることが分かっている律はここで引くわけにはいかない
だから、女を近くの木に縛りつけうごけないようにした後
井戸の中へと入る覚悟を決める
律「よっし、いくぞー」
その言葉とともに
律「(あれ、でも結構騒いでたのに、なんで中から誰もでてこないんだ……)」
523 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 23:19:59.10 ID:dWQjEyoo
思いながら、井戸の中を覗き込む
すると
――
井戸から、なにかが飛び出した
それは人影であり
見たことのあるシルエットだ
律「なっ、シルバー!!」
シルバーと呼ばれた少年は、地面に着地すると、律を一瞥したあとに木に縛り付けられた女をみた
524 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 23:23:56.54 ID:dWQjEyoo
シルバー「あの女はお前が……?」
律「あぁ……!!」
そういうと、律はボールに手をかけ警戒する
目の前にいる男は、ウツギ研究所で盗みを働いた男だ
そして、ここにいるロケット団
繋がるものは
律「……お前、ロケット団なのか……?」
その言葉にシルバーは目をギラッっとさせた
525 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 23:25:31.62 ID:dWQjEyoo
シルバー「ふざけるな!!俺が……」
一瞬の激昂だ。
だが、それもすぐに収束し、言葉を止めた
そして、慌てて駆け出した
律「ちょ、おい、待てよ……くそ、いつもこうじゃん」
「なんなんだよ、あいつ……」
行った律は、もう一度井戸の中をのぞくとその中へと入っていった
526 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 23:30:20.17 ID:dWQjEyoo
――ヒワダタウン
ガンテツ「はっはっは、まさか嬢ちゃんが全て解決してしまうとはなー」
そう大笑いを上げたのは、たった今警察へとロケット団の身柄を渡してきたガンテツだ
ガンテツ「それにしても、3人も相手して、その全員をつかまえてしまうとは、なかなか……」
「おっと、わしも仕事をほったらかしてきたんじゃった。ほれ、これお礼のヘビーボールや。とっとき」
そういって、律の手に強引に握らせ、自分は去っていく
だが
律「……」
527 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 23:35:25.50 ID:dWQjEyoo
律は何も答えない
いや、答えることができなかった
なぜなら頭の中は考え事でいっぱいだ
井戸へと入っていったとき
そこで見たものは、気絶した大の男二人だった
その倒れていた男はロケット団の団員服を着ており、すぐにそいつらが残りのロケット団だと理解した
そしてそこにはほかに人がおらず、いるのはしっぽをきられ少し元気がなくなったヤドんだけだった
つまり考えられるのは
律「(シルバーか……)」
赤毛の少年の姿を思い出す
律「なんなんだよ……あいつは泥棒で悪いやつなんじゃないのかよ……」
呟きに答えるものはいない
ただその場に残るのはやりきれない感情だけだ
「VSアーボ」 〆
528 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 23:43:29.82 ID:dWQjEyoo
本当は昨日投下しようとおもったけど、今日になっちまった
すまない
完全に余談だけど
アーボと戦ってるとき、からげんき前に
りっちゃんに「獲物を前に舌なめずり 三流のすることだな」って言わせようかと思った。
けど、ネタが分からないとなにいってんの?みたいなことになるからやめた
529 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/28(火) 00:11:58.67 ID:Z4M8BgAO
乙、さてはてどっかで聞いた台詞だが元ネタなんだったけ?
530 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/28(火) 01:31:49.95 ID:nFc8kYDO
1乙
たぶんフルメタじゃね?自信はないが
531 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/28(火) 01:39:54.46 ID:wHo/dhI0
乙です
この女の子はラジオ塔事件あたりで再戦して欲しいなぁ
そしてヘビーボール・・・律が扱えそうな体重の重いポケモン・・・怪獣グループあたりか
532 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/28(火) 16:16:42.82 ID:01gQS3c0
ちょwwwwフルメタだなwwww
とりあえず、1乙!!続きも期待
533 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 21:20:49.28 ID:1qgQCAIo
――ヒワダタウン
『それは……いったいどういうことなんだろうね……』
声は律の腕から聞こえてくる
手首にまいたポケギアだ
律「いや、それはこっちもわからないんだけどさぁ……」
律が歩きながらもポケギアを通して話す相手は、ウツギ博士だ
さきほど起こったロケット団のことも含めた、シルバーの情報を伝えている
534 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 21:23:47.59 ID:1qgQCAIo
ウツギ『そうか……すまないけど律君はもう少しその子を追ってくれるかな……』
律「うん、まぁそれはいいんだけどさ……」
ウツギ「……?」
律「あいつ、あんまり悪いやつには見えないんだよなぁ……」
それが律が一晩ポケモンセンターで考えた答えだった
ウツギ「……その子のヒノアラシは元気そうだったかい?」
律「え?うん、まぁもうマグマラシになってたけど……普通にシルバーのやつに従っていたよ」
ウツギ「……そっか、まぁその子の事情も気になるところだけど……」
そうウツギの声が聞こえたとき、律の足が歩みを止めた
535 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 21:26:47.77 ID:1qgQCAIo
律「あっ、博士。ジムについたから、もう切るわ」
ウツギ「えっ?ちょ、律くん?え……」ブチッ
博士の言葉を待たずに、ポケギアの通話終了ボタンを押す
そして
律「(ジム戦だもんな……集中しないと)」
536 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 21:29:13.06 ID:1qgQCAIo
――ヒワダジム
律「すいませーん、ジム戦を……」
っと、言ったところで律が見たのは、森だ
ジムの建物内に、木々が茂っている
それだけではない、そのところどころにはコクーンやキャタピーなどのポケモンが
律「ということはここは………」
「虫タイプのジムか!!」
537 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 21:32:32.04 ID:1qgQCAIo
???「ようこそ、ヒワダジムへ」
立ちすくんでいた律に、中性的な声がかかった
ツクシ「ボクの名前はツクシ。君のことはガンテツさんから聞いてるよ。
なんでも、この町からロケット団を追っ払ってくれたらしいね。心からお礼を言うよ。ありがとう」
そこにいたのは
律「(……女のジムリーダー?……でもボク……?)」
ツクシ「さぁ、奥へどうぞ。さっそくボクが相手になるよ」
そういってツクシは律を導くように奥へと手のひらを差し出した
538 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 21:36:48.22 ID:1qgQCAIo
▼
そのフィールドは草原を彷彿とさせた
見れば、地面には芝がひかれている
どうやら、キキョウジムとは違い、そこまで変わった場所ではなさそうだ
律「よっし、女のジムリーダーでも油断はしないぞっ!!」
そう言って、律は自分の頬を軽く叩いた
その言葉を聞いた対面にいるツクシは困った顔で
ツクシ「えっと、ボクはおとk……」
律「あ、そういえば、使用ポケモンは何体までいいんだ?」
ツクシの言葉を遮るように律が問う
539 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 21:38:34.15 ID:1qgQCAIo
ツクシ「えっ?あぁ、それなら3体で……それとボクはおとk……」
律「ならフル出場かな。よっし、いくぜ。いけイーブイ!!」ボンッ
イーブイ「ブイ♪」
出されるのは先日の闘ったばかりのイーブイだが、もちろん回復はさせている
ツクシ「……えっと、まぁいいや。 いくよ、ストライク」ボンッ
対して出されるのは、両手にスルドイ鎌をもったカマキリのようなポケモンだ
ツクシ「さて、速攻でいくよ。ストライク、でんこうせっか!」
指示を出した瞬間に、ストライクが前かがみになり
そして
消えた
540 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 21:41:24.84 ID:1qgQCAIo
律「はやいっ!!」
その言葉を作ったときにはすでに
――ドンッ
イーブイとストライクのぶつかった音がなる
その結果は
一切予想だにしなかったイーブイは後ろに数m飛ばされ
ストライクは連撃をかけようと、もういちど体を前倒しにした
541 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 21:44:45.78 ID:1qgQCAIo
律「っく……イーブイこっちもでんこうせっかだ!!」
ツクシ「遅いです!!つばめがえし」
イーブイが構えた直後、その目の前に緑の体があった
律「!!」
その片手はすでにふりかぶっており
ストライク「――」
そのまま斜めにふり抜き
イーブイ「!?」
光りの反射によって、きらめくように光った鎌がイーブイを襲った
542 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 21:47:28.28 ID:1qgQCAIo
そして
イーブイ「……ブイ………」バタッ
たった2発。
2発の攻撃によって、イーブイは地に伏してしまった
だが、律の反応は
律「……」
その口から反応が漏れることはない
律は見とれていたからだ
そのあまりに綺麗な一連の動作に。
543 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 21:50:17.67 ID:1qgQCAIo
だが
いつまでもそうしているわけにもいかず
ツクシ「どうしたんですか? 次のポケモンを出してください」
ツクシから、次のポケモンを出せ との催促が飛び
律「!!……悪い、戻れイーブイ」
イーブイをボールに戻すと
ボールを構え言った
律「まさか、たった2発の攻撃でおとされるとはな……だけど、今度はこっちの番だぜ」
「虫ポケモンには炎だ!!頼む、ガーディ!!」ボンッ
ガーディ「ワオーン」
544 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 21:53:18.43 ID:1qgQCAIo
繰り出されたガーディはすぐに、相手を威嚇しながら警戒態勢を取る
ツクシ「炎タイプですか……これはたしかにやっかいですが……」
「その対策がない、とは思いませんよね?」
そして再び戦闘が始まる
律「ひのこで丸焼きにしてやれ!!」
ガーディ「グルルッ!!」
だが、ツクシは至って冷静に指示を出す
ツクシ「ストライク……」
「――とんぼがえり!」
545 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 21:57:01.04 ID:1qgQCAIo
ガーディの飛ばした火の粉の間を舞うように突破し、そしてガーディへと鎌を一振りした
だが、ガーディはその攻撃に当たりながらもしっかりとストライクを見据えるのだが
そのストライクは、一度攻撃を当てたあと
攻撃の反動で後ろへと大きく飛び上がり、ツクシの目の前まで戻り
そして
律「なっ、ボールに戻したのか?」
そしてツクシが替わりのポケモンをくりだす
それは
律「今度はコクーンか!!」
律も見慣れたモンスターが新たにフィールドに現れていた
546 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 21:59:23.55 ID:1qgQCAIo
律「なら、そのモンスターをやきつくせえ!かえんぐるま!!」
ガーディが駆け出し、コクーンへと向かう
その途中でその体に炎をまとい、低くうねる
そして
――ドンッ
全身でぶち当たった
ツクシ「っく……もどって、コクーン」
律「よっし、これでまだ残り二匹同士の互角だ」
ツクシはその攻撃で瀕死となったコクーンを手早くボールに戻し
ツクシ「いくよ、ストライク」
再びさきほどのストライクを繰り出した
547 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 22:02:19.99 ID:1qgQCAIo
律「今度はそうはこっちからいくぜ、かみつけ」
ツクシ「とんぼがえり!!」
お互いの指示にさきに動いたのはストライクだった
先ほどの光景が繰り返される
――ドンッ
ストライクが一当てし、その反動で後ろへと逃げるように引いていく
当然ガーディのかみつく攻撃は空振りし
律「くっそ、こんなのありかよ」
ツクシ「ふふっ、行ってトランセル」ボンッ
ストライクを戻し、新たにトランセルを繰り出した
548 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 22:05:59.06 ID:1qgQCAIo
律「(これで3匹めか……)」
「ガーディ、やきはらえ!!ひのこ」
ボウッと火の粉が空を飛来し、うごけないトランセルへと降りかかった
そして
また
トランセル「――バタン」
ツクシ「ごくろう、トランセル。戻って……」
「さぁ、こっからふんばろうか。ストライク」
そのモンスターが繰り出された
549 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 22:09:12.58 ID:1qgQCAIo
1度目、2度目に出てきたときより、その鎌が凶悪そうに見えるのは今まで戦ってきてその恐ろしさを知っているからだろうか
律「こんどはもう逃げ場はないぞ。いけ、ガーディかえんぐるま」
ガーディがもう一度駆け出した
だが、
ツクシ「もう逃げ場は必要ないよ。だって、この一撃でそのガーディはおわりだからね」
「――つばめがえし」
ストライクが、片手を上げる
ガーディは炎をまとい、なお勢いを上げる
550 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 22:12:39.62 ID:1qgQCAIo
そうツクシが誇らしそうに言うが、ある異変にきづく
ツクシ「っと……片手をやられたのか……」
ストライクの右の鎌がガーディとぶつかった時の炎にやられ、ボロボロにかけていた
だが
ツクシ「まだ、やれるなストライク?」
その言葉にストライクが静かに、頷いた
551 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 22:15:44.04 ID:1qgQCAIo
▼
それにしても
律「(あいつの技の威力が高すぎる……見た目はそれほど派手なわけでもないのに……)」
律の疑問はそれだ
すると顔にでていたのか
ツクシ「不思議そうな顔してますね。わかりますよ、ストライクの攻撃の強さにおどろいているんでしょう?」
「ここへやってきた皆さん、そのように驚きますよ」
そういってツクシが微笑んだ
552 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 22:18:37.21 ID:1qgQCAIo
ツクシ「簡単なことなんです。このストライクの特性はテクニシャンって言って威力の低い技を、その射抜く精度やタイミングで補うんです。
まぁ、威力の高い技はコントロールしにくく、この特性は働きませんが……」
律「へぇ、それを教えていいのかよ?」
ツクシ「えぇ、だって、わかっててどうにかなるものではないでしょう?」
律はそのとおりだと思う
あれは、分かってもどうにかなる問題ではない
ツクシ「さぁ、続けましょう。どうぞ3匹目を」
その言葉に呼応するようにストライクが構えを見せた
553 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 22:22:00.82 ID:1qgQCAIo
▼
律「いくぜ、アリゲイツ!!」ボンッ
アリゲイツ「!!」
青いワニがやる気マンマンにボールから出てくる
律「(今度は出てきた瞬間に速攻をかけてこないのか……)」
見れば、ストライクはしんちょうに様子をうかがっている
律「ならっ……アリゲイツ、先手だ。かみつけ」
指示をうけたアリゲイツが、飛びつくようにストライクへとジャンプした
だが
ツクシ「むかえうて、ストライク!!れんぞくぎり」
今度は左の鎌をアリゲイツへと振り下ろした
554 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 22:25:51.99 ID:1qgQCAIo
その威力はそれほど高いものではなかったので、アリゲイツは叩きつけられずに済んだが
地面へと引き摺り下ろされる
ツクシ「まだだっ!!れんぞくぎり」
一刀目で勢いを殺したところに、ボロボロの右が襲い掛かった
律「なっ、アリゲイツ……!!たえろ!!」
スパッっという気持ちのいい音が聞こえるが
まだ終わらない
3刀目の左が来た
――ズバンッ
さらに大きい音が響くが
律「くっそ!!アリゲイツ、いかれよ!!」
アリゲイツが右の拳に力を込めた
555 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 22:27:35.20 ID:1qgQCAIo
ツクシ「まだまだ!!これで終わらせる」
ストライクの4刀目が振り下ろされる
ボロボロの右でだ
だが、それが隙となった
振り下ろそうとしたときに、ストライクの動きが止まったのだ
ストライク「…!?」
ツクシ「あぁ……ダメージがたまりすぎたのか!?」
ボロボロの右はすでに限界を迎えていた
ツクシがストライクを心配する間に律は笑う
556 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 22:30:11.17 ID:1qgQCAIo
律「へへっ、この隙もらったああああ! アリゲイツ、冷凍パンチ!!」
さきほど握り締めた拳に冷気をまとい
ふりかぶる
ツクシ「つばめがえしで対抗して、ストライク!」
対して左の鎌が振りかぶられる
律「ははっ、最初から狙いはその左腕だよ!」
アリゲイツがストライクの鎌の軌道にあわせるように、拳を出していく
――
ぶつかり合う
右の拳と左の鎌が
557 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 22:33:33.80 ID:1qgQCAIo
そして
――ピキッ
その音が生まれたのは、ストライクの鎌からだ
右はボロボロにはこぼれしており、左の鎌は――
凍っていた
ツクシ「あぁ……これではもう戦えない…か」
律「やった、よくやったアリゲイツ!!」
そういいながら戻ってくるアリゲイツを抱き上げ、そのまま抱きしめた
558 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 22:36:33.02 ID:1qgQCAIo
▼
ツクシ「はい、これがインセクトバッジです」
差し出されるバッジを律は受け取った
律「ありがとう。ほんと危なかったよ……」
ツクシ「いえ、こちらこそいい勝負をありがとうございました」
律「はは、それじゃぁ、ツクシちゃん。私ももう行くわ」
ツクシ「あははは……えっと、最初から訂正しようとおもってたんですけど……」
律「?」
律が首をかしげる
559 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 22:40:12.02 ID:1qgQCAIo
ツクシ「ボクは、男ですよ?」
そういってツクシがニコッっと微笑んだ
律「へ?……えええええええええええええええ!?」
「お、お、お、おとこおおおおおおおおお!?」
ツクシ「ハイ」
律「えっ、ボクっ娘とかじゃなく、ほんとに男?」
ツクシ「そうですってば」
困ったように笑うツクシに、もう一度律が叫びを上げた
「VS ストライク」 〆
560 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 22:41:48.55 ID:1qgQCAIo
っと、なんとか投下
ちょっといつもよりスピード上げて投下したのは早寝早起きしたいからだったり
コミケェ……
とりあえず、読んでくれて毎度毎度ありがとう
561 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/29(水) 22:55:53.91 ID:UKtc7VA0
乙
ウツギ博士ェ・・・
テクニシャンストライクに見惚れたということは・・・ストライクかエイパムか・・・
新たな仲間フラグか!?
562 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/29(水) 23:43:40.45 ID:P.wtBoAO
乙
563 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/30(木) 14:16:46.02 ID:jZp6W.DO
1乙
なんか唯編に比べると結構スローテンポだな。投下ペースとかじゃなく、本編の進行が
まぁ面白いから全然OKだけど
次からも期待してる
564 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/31(金) 01:08:27.01 ID:Eqp2NoU0
律と気があいそうなアカネとトラウマミルタンクに期待
565 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/31(金) 13:34:27.96 ID:IpAqMKQo
今まとめて、全部読んできた
おもしろいな!!
でも、結構先はながそうだな。
期待してる
566 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/03(月) 17:55:37.36 ID:pcuULKwo
完全に曜日感覚が無かった。
今日が日曜日だと思っていた。いやまぁ、言い訳なんだけど
とりあえず今から一つ
>>563
すまん、たしかにゆったりと進んでる気がする。てか、ジョウトのイベントがおおすぐる
少しやりたかったイベント飛ばしてでも進行ペース上げるわ。
>>565
長いかも……知れない……
567 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/03(月) 18:01:49.67 ID:pcuULKwo
――ウバメの森
空の下に深緑の一帯がある
緑の森林へとオレンジ色の斜陽がかかる
ウバメの森だ
木々に光りを遮られ森の中は暗い
そこにはかろうじて道と呼べるようなものはあるが、
ところどころで別れたり、途切れたりと、確かなものではない
まさにそんなところにカチューシャの少女――律はいた
568 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/03(月) 18:05:20.41 ID:pcuULKwo
律「また木に阻まれて、行き止まりか」
出した声はすでに疲れた声だ
律「もうガーディとイーブイの体力はのこってないぞ……」
森に入ってから出てくる野性ポケモンたちを相手しているうちに、ガーディとイーブイはヘトヘトになっていた
律「あとはアリゲイツだけか……だけどこいつも体力が少なくなってきてるな」
早いうちに、森を抜けないと と思う
それは時間的な問題にもだ
569 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/03(月) 18:10:15.63 ID:pcuULKwo
律は夜の森の怖さを知っている
本当にかすかに入ってくる光りすらもなくなるということ。
夜に動き出すポケモンもいるということも。
それらはトキワでの経験からくるのだが
律「方向はこっちでいいと思うんだけど……とりあえず戻るか」
反転し一人ゴチたその時
――ガサガサ
脇道にあった茂みが揺れた
そしてそれが飛び出した
570 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/03(月) 18:16:13.31 ID:pcuULKwo
律「鳥……?なんでネギみたいなのもってるんだ?」
No.083 カモネギ
ひじょうしょくの クキを たべると
いちもくさんに かけだして
ほかの クキを さがしにいく。
図鑑に情報が表示され
律「なんだこいつ、クキを探しに慌てて飛び出してきたのか……いや、でも手にそれっぽいの持ってるしなぁ」
カモネギ「グワー!!」
カモネギが律の後ろにまわりこみ、隠れた
571 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/03(月) 18:21:11.72 ID:pcuULKwo
律「なんだ?」
すると、カモネギから出てきた茂みのほうから後を追うようにコウモリの大群が現れた
律「ズバットか! ……そうか、このカモネギはこいつらから逃げ回ってたのか」
「しかたない、いけアリゲイツ!!」ボンッ
繰り出されたアリゲイツがそのままズバットの群れに突っ込んでいく
律「その群れの中心であばれろ!!」
ズバット「ズバッ……!!」
青と紫の色の大群の中、青と白のワニががむしゃらに周りにまとわりつくものを落としていく
1匹……2匹……3匹……次々に地面にズバットが落ちていくと、集団から逃げ出すものも現れる
そして
群れの半分が、すでに地に落ちたときには、残りの半分は散り散りに逃げていた
572 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/03(月) 18:25:33.02 ID:pcuULKwo
律「ふぅ……なんとかやりすごしたな。……っと、アリゲイツが毒受けちゃったか……戻れアリゲイツ」
ボールにアリゲイツを戻し、一息つく
律「ほら、これでもう安心だろ?」
カモネギ「グワァー」
カモネギに向かって話しかけたとき
『おーい、カモネギー!!どこいったんだー!』
微かだが、声がこちらに向かってくる
573 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/03(月) 18:30:48.65 ID:pcuULKwo
律「なんだ、お前トレーナーがいたのか?」
カモネギ「グァ?」
そして、茂みを掻き分けて
男「あ、いたカモネギ!!」
職人風の男が現れた
男「すいません。ズバットを追い払ってくれたのはあなたですね。本当にありがとうございます」
律を見て言い放ち
男「あ、自分ヒワダで炭職人にやってるんだけど、このカモネギは親方のポケモンでね。
炭の材料となるウバメ樫を取りに、このカモネギと来てたんだけど、なにせボクにあんまり懐いてくれなくてね」
574 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/03(月) 18:35:09.50 ID:pcuULKwo
律「はぁ」
律が相槌をうつが
男「ズバットを追い払おうと指示を出したんだけど、ボクを置いてこいつが逃げ出してしまって……」
男がカモネギを小突いた
律「なんだ、お前ちゃんとトレーナーの言うことは聞かないとダメじゃないか」
そういいながら律もカモネギへと手を伸ばす
律「あ、そうだ。ちょうどいいや。えっとここからのコガネ方面に抜ける道って分かる?」
そう尋ねると、男が道を教えようと口を開くが
男「ああ、それならここから少し戻って回り道を……いや、ちょっとまてよ……」
男が少し考え込み、ポンと手を鳴らした
575 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/03(月) 18:40:41.29 ID:pcuULKwo
男「お礼に近道を教えますよ」
律「へ?近道……?そんなのなかったように思えるんだけど」
男「えぇ、だから………これから作るんですよ。カモネギ、いあいぎり!!」
男が自身満々に、カモネギに指示をだすが
カモネギ「グアァ」
カモネギはそっぽを向いている
男「…………」
律「…………」
男「あははは……このとおりボクの言うことなんて聞きやしない……」
576 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/03(月) 18:45:42.38 ID:pcuULKwo
男がトホホと肩を落とすと、見かねた律がカモネギの頭に手を置き
律「なぁ、頼むよ。カモネギ、なにかわからないけど、命令をきいてやってくれないか?私も今少し困ってるんだ」
すると、カモネギがこくりとゆっくり頷き
カモネギ「ガッー、グワワ!!」
大きく鳴くと、カモネギが律の背中のほうへと回り
律「お、おい、そっちは木が邪魔して、いきどまりだぞ」
男「はは、まぁ少し見ていてください」
577 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/03(月) 18:50:44.95 ID:pcuULKwo
その言葉に律は従うことにし、カモネギを見守る
すると
目の前に木を見据えたカモネギは手に持ったクキを構え
カモネギ「――!!」
斜めに一閃した
――ズズズドン
切られた木がが切れ目を滑るようにずれていき、地面に大きな音を立てて倒れた
律「うおお、すっげ………」
男「やればできる子なんでですけどね〜……さてと、カモネギ、そのまま道まで切り進みなさい」
その指示を受け、カモネギが切った木の奥まで進んでいく
男「さてと、ぼくらはもう少し待ってましょうか」
578 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/03(月) 18:55:58.87 ID:pcuULKwo
▼
律「……ほんとに道ができた……」
律は簡易的にだが、たしかに進める道があることに感心する
その横ではカモネギが堂々と胸を張っているのだが
律「でも、こんなことしちゃっていいのか?」
男「まぁ、あの木がボクの目的の木だったんで」
そういいながら、切り倒された木を指差した
579 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/03(月) 18:58:32.60 ID:pcuULKwo
男「ウバメガシって言うんですよ。あれが僕たちの仕事、木炭の材料なんです」
律「……そっか………さてと、それじゃぁ、私も行くかなぁ……」
男「あ、はい。ではお気をつけて」
律が後ろに手を振り、数歩歩き出したとき
男「この道を抜けたら、祠があるんで、そこを道なりに進んでください〜!」
後ろから声が聞こえた
そして
律「ありがと〜〜!」
そうして律は男の視界から消えていった
580 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/03(月) 18:59:03.46 ID:pcuULKwo
▼
男と別れしばらく進んできたとき、男の言っていた祠へと突き当たった
律「あぁ、これか。えっと、ここを右にと……ん?」
律が言いかけた言葉を止めた
それは
――リ-ンリン
音だ
律の耳に微かだが、鈴の音に似た音が聞こえてきた
581 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/03(月) 18:59:30.76 ID:pcuULKwo
律「なんだ?……これは……祠からか?」
言いながら、祠に近づいていくと
ピカっと祠がまばゆい光りを放った
律「な、なんなんだよ、まぶしー」
余りの眩しさに目を細めた時
律「――!?」
なにかが祠から飛び出した
『ビィ――!!』
律「(眩しくて見えない………なんなんだ、ポケモンか?)」
582 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/03(月) 19:00:18.07 ID:pcuULKwo
『ビィービィー」クスクス
その鳴き声が聞こえた直後、光りが収まり
さきほどの真っ暗な森の景色にもどるが
律「……なにもいない」
そのとき、カタカタと腰につけたボールが揺れた
アリゲイツのボールだ
さきほど、毒をくらってからボールでおとなしくしていたのだが
律「……毒が治ってる……?」
目の前に持ってきたボールの中には、毒をくらったことなど忘れたかのように平然とするアリゲイツがいた
律「いったいなにが起こったんだよ……」
言葉通りなにが起こったのかわからない律はしばらく、ただその場に立ち尽くしていた
「VSカモネギ」 〆
583 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/03(月) 20:58:44.01 ID:83s.6UAO
時渡りのセレビィーだったけ?今回の
とりあえず乙
584 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/03(月) 22:20:15.27 ID:0nNXSADO
乙
ペースはあんま気にしないんでいいんじゃないか?投げ出すとかなら嫌だけど
585 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/04(火) 02:06:20.27 ID:VztneBI0
乙
種族値ALL100族は一匹づつけいおん部の前にあらわれるのかな?
586 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 21:01:03.54 ID:TX8oDfko
――コガネシティ
コガネの中心にはジョウトで随一のデパートがある
コガネには背の高い建物がいくつかあるが、そこもその一つだ
コガネ百貨店と書かれた垂れ幕を飾り、その横には安売りを示すセールの文字の垂れ幕が風に揺れている
そんなわけで、今日のコガネ百貨店は人の入りがいつもの倍以上あった
そして
律「えっ?進化の石売ってないの?」
律もそのデパート、2階トレーナーズマーケットにいた
587 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 21:10:21.32 ID:TX8oDfko
店員「申し訳ございません。当百貨店では取り扱いをしていません。あ、しかし1週間ほどかかりますが、取り寄せが……」
律「あ、そうですか。それならいいです。ありがとうございました」
肩を落としながら、その店員に背を向け
律「(あっちゃー、ガーディとイーブイのためにと思ってたけど売ってないのか……)」
律「しかたない、また進化は別の機会だな」
そう一人呟き、階段へと向かおうとするが
???「なんでやー、なんでピッピ人形が売ってないんやー。いつもあーんなに売ってるやないか」
588 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 21:24:43.44 ID:TX8oDfko
女の声だ
店員とのなにかやり取りをしているのだろうが、大きな女の声しか聞こえてこない
???「ふ〜ん、もうそれやったらいいわ。入荷したら教えてな」
その声がするほうに振り返ってみると
――ゴチン
振り返った時、衝撃が来た
後ろから来た人に誰かにぶつかったと気付いたのは、その衝撃に負け腰をついた後だった
589 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 21:30:37.83 ID:TX8oDfko
律「――!! いっつ……」
???「――……!!」
目の前には、同じように腰をついた、明るく淡い赤の髪の毛を左右で縛った少女が悪態をついている
???「いたた……なにすんねん!!」
律「なっ、そっちがぶつかってきたんだろ!!」
強気に出る少女に対してこちらも負けじと言い返すが
???「そっちがそんなところに突っ立ってるからやろ!」
律「それならそっちもどうせ前みて歩いてなかったんだろ。前見て歩いてたらよけれるもんな〜?」
590 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 21:46:07.59 ID:TX8oDfko
お互い立ち上がりにらみ合い
???「なんやてー! そっちが………ん、あんたポケモントレーナーか」
コガネ弁の女の子が腕を組みながら、改めて律を見て告げた
律「あぁ……そうだけど、なにかあるのかよー!」
???「ふ〜ん、それなら、コレで白黒つけるっていうのはどうや?」
そういいながら女の子がモンスターボールをちらつかせた
律「ポケモンバトルってことか……!!へっへん、やってやろうじゃん!!」
591 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 21:50:57.70 ID:TX8oDfko
売り言葉に買い言葉でそう告げた時、店員がようやく止めに入るが
店員「お客様、店内での揉め事は……それにアカネ様も……」
どうやら桃色の髪の女の子はアカネという名前のようだが
アカネ「あんたはだまっときー!」
「そんでアンタ、バトルやったら表でやろか」
律を指差し、そして表へと出ろと言いながら階段を下っていった
律「なんだよ……あいつ……」
ぼやくと、先ほど止めにはいった店員が話しかけてきた
592 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 22:02:11.32 ID:TX8oDfko
店員「ああ、あの、バトルはやめといたほうが……」
律「え?」
店員「あの人、あぁ見えてもコガネのジムリーダーなんです……だから……」
律「ジムリーダー?え?さっきのあいつが?」
店員「……はい」
困った顔を見せる店員を傍に律は
律「そっか、ジムリーダーか。そっかそっか! なら丁度いいや」
店員「?」
そして律もハテナ顔の店員をフロアに置き去りにし、階段を下っていった
593 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 22:11:04.62 ID:TX8oDfko
▼
アカネ「へぇ、逃げずにきたんや? もしかしてうちのこと知らんのか?」
コガネ百貨店の自動ドアを抜けた先、さっきの女がいた
律「いや、知ってるさ。ジムリーダーなんだろ?」
先ほど店員に聞いて知ったのだが、そのことは伝えない
アカネ「知っててもバトル挑もうっていうんかいな。面白いやないの」
律「あぁ、でもさっきと目的が変わっちまったけどな」
アカネ「……なんや?」
律「本当は負けて謝らせようと思ってたけど、それはいいや」
594 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 22:20:26.17 ID:TX8oDfko
そして
律「私が勝てばジムバッチをもらう! ほら、今までずっと集めてきたんだ!」
そういって、キキョウとヒワダで勝ち取ったバッジをアカネに見せる
アカネ「ふ〜ん……アンタ結構な実力者やってんな。 まぁどっちでもいいわ。どっちみちウチが勝つからな」
律「いったな! 約束だぞ、負けたらバッジだからな!」
アカネ「それならウチが勝ったら一週間パシリでもしてもらおかな」
律「なっ……お前ジムリーダーだろ!?」
アカネ「なんや? 勝つ自信ないんかいな。はは、それはごめんな」
バカにしたように笑うアカネに
律「…!! よっし、その条件でやってやろうじゃん!」
アカネ「よっしゃー、やったろやないか」
律・アカネ「まぁ――」
律「勝つのは私だけどな!」 アカネ「勝つんはウチやけど!」
律・アカネ「ムッ……!」
595 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 22:32:42.44 ID:TX8oDfko
▼
アカネ「それじゃぁやるでぇ」
アカネがモンスターボールを掲げ言う
先ほど決めたルールは、こうだ
お互い使用ポケモン2体までのポケモンバトル
ただし、フィールドは街全体ということだった
律が人がいて危険ではないか、と意見をだしたが、
どうやらこの街ではストリートバトルが流行っており街中でバトルの光景は慣れっこらしい
律「街中全体がフィールド……ねぇ。ま、こっちはいつもどおりやるだけだ」
596 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 22:42:06.76 ID:TX8oDfko
アカネ「準備はええな? いくでぇ、ピッピ!!」ボンッ
律「いけ、アリゲイツ!!」ボンッ
律のアリゲイツに対して出されたのは、クルっと巻いた頭と尾が愛くるしいモンスターだった
律「先制だー!冷凍パンチ!!」
アリゲイツがさっそくピッピへと拳を振り上げながら、飛び掛るが
アカネ「そんな大振りな攻撃あたるかいな! ピッピかわすんや」
ピッピがひらりと身を翻し、アリゲイツを横の動きでかわし
そして
アカネ「甘える!!」
着地したアリゲイツに擦り寄った
597 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 22:51:19.13 ID:TX8oDfko
律「くっそ、そんな攻撃翌利くかよー! アリゲイツ、もう一発だ」
アリゲイツがすりよったピッピに冷凍パンチをしかけるが
律「なっ!?」
アリゲイツの拳がピッピに当たる直前、勢いを落とした
アカネ「甘えるは物理攻撃翌力を下げる技や。 それ、ピッピものまねや」
ピッピ「ピッピ〜♪」
ピッピが先ほどのアリゲイツと同じ動作を作った
つまり、拳を大きく振りかぶり
そして
――ドンッ
アリゲイツのおなかへとぶちこんだ
598 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 23:02:39.78 ID:TX8oDfko
律「な、アリゲイツ! 大丈夫か」
ピッピの冷凍パンチにより、建物の壁まで吹き飛ばされたアリゲイツがなんとか立ち上がる
律「(氷タイプの技で助かった……)」
タイプの相性の問題だ
単純に水タイプに氷タイプの攻撃は利き難い
ましてやノーマルタイプのピッピの攻撃だ。そんなに威力はない
「アリゲイツ、まだいけるな?」
その問いに、アリゲイツがコクリと首を縦にふった
599 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 23:13:33.18 ID:TX8oDfko
律「よし、物理攻撃がダメなら……狙い打て!!水鉄砲」
ピッピ目掛けて、アリゲイツの口から水が放たれる
アカネ「……や、ピッピ――!!」
律にはアカネがなにかピッピに向かって指示をだしたように見えたが
その声ははっきりと聞こえない
そして
アリゲイツの水鉄砲がピッピに直撃した
600 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 23:22:40.29 ID:TX8oDfko
律「(なんだ……? やっぱり気のせいか……)」
「ピッピが怯んでるうちに、今度こそ冷凍パンチをお見舞いしてやれ」
アリゲイツがピッピに向かって、走り出し、飛び掛るようにジャンプした
律「そんまま振りかぶっておもいっきりお見舞いしてやれ」
宙で構えをとるアリゲイツが前倒しになり、ピッピへと目掛けたとき
アカネ「――」ニヤ
アカネがいやらしい笑みを浮かべた
601 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 23:25:20.59 ID:TX8oDfko
そして、アリゲイツが拳を振り下ろそうとしたとき
――
律「なっ?」
律は驚く光景を見た
冷凍パンチの指示を受けたはずのアリゲイツが、拳を振り下げようとしたとき
その思っていた行動はとられず、アリゲイツの口から水鉄砲が出た
空中で水鉄砲を放ったアリゲイツは、噴水に押し上げられるように空へと上って行く
アカネ「はは〜ん、驚いた顔しとるようやから、ここでタネあかしや。さっきピッピが水鉄砲食らったときあったやろ?」
「あのとき、ピッピが避けへんこと不思議におもわんかったか?」
律「…………」
律は黙ってアカネの言葉の続きを待った
602 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 23:30:16.20 ID:TX8oDfko
アカネ「あの時な、実はアンコールしとってん。 いやぁ、ウチって策士やわぁ〜」
少し鼻高々なアカネが言うが
律「なんだ、アリゲイツがわたしの言うことをきかなくなったわけじゃないんだな。安心したぜ」
アカネ「なんや?つよがりかいな?」
律「そんなんじゃないよ。 ただ、それならまだやりようがあるって話だよ!!」
律がアリゲイツを一度見て、そういった
アカネ「それなら………そのやりようっていうのを見せて貰おうやないの」
「ピッピ、指をふれ!!」
603 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 23:35:07.88 ID:TX8oDfko
水浸しになったピッピだが、まだ余力を残している
そして、ピッピの指が光りを放った
律「アリゲイツ、なにかくるぞ!!」
律の言葉にアリゲイツは身を引き締めた
アカネ「さぁ、やったってピッピ!!」
ピッピが光った指を数回振ると、その指に炎が宿った
律「これは……」
アカネ「よっし、火炎放射や!!」
ピッピの指先から、炎がアリゲイツ目掛けて走った
律「炎なら……水鉄砲でかきけせ!!」
アリゲイツが遅れて水流を放つ
604 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 23:59:02.34 ID:TX8oDfko
アカネ「あかん、炎じゃ水には不利か!」
じわじわと水鉄砲を発射しながら、距離をつめるアリゲイツにアカネが舌を一度鳴らした
律「よっし、そのままピッピへと近づいていけえ」
だが、お互いの技がいったんそこで途切れた
アカネ「まだや、もっかい指をふれ」
律「アリゲイツ、走れ!! あの指振りが終わるまでに懐にもぐりこむんだ」
指に光りを集めるピッピとそれへと向かい全速力で走り出すアリゲイツ
早かったのは――
605 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/07(金) 00:10:03.15 ID:oKyoo0Yo
律「なんだ指を振っている時は隙だらけじゃないか。そのまま後ろにまわりこんで」
アリゲイツだ
律「ゼロ距離から水鉄砲だ!!」
ピッピの背中側に回り込んだアリゲイツがすかさず、放った
その水圧にピッピが吹き飛ばされ
――ドンッ!!
壁に打ち付けられた大きな音が生まれた
アカネ「ピッピ……」
アカネの声にピッピはこたえること無く、そのまま目を回し地面へと倒れこんだ
606 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/07(金) 00:12:54.77 ID:oKyoo0Yo
律「やった………え?」
そのとき
――ゴロゴロ
――ドカン
アリゲイツへと空から一閃が走った
雷だ
律「うわぁ、アリゲイツー!?」
そしてこちらもその声に返答することなく、地面へと倒れこむ
607 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/07(金) 00:15:25.82 ID:oKyoo0Yo
アカネ「ピッピの指をふるや……よくやったで、ピッピ……」
その様子を見ていたアカネはそういいながら、倒れたピッピを抱き上げボールに戻した
そして
アカネ「グズッ……まだまだ終わってない!! 次や、いくでミルちゃん!!」ボンッ
ボールから現れるのは乳牛のようなモンスターだ
律「(……どうでもいいけど、なんであいつ半泣きなんだ……ちょっと罪悪感が生まれてくるじゃないか……)」
アカネ「ほらっ、アンタもさっさとだしいや!!」
律「あ、あぁ……」
608 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/07(金) 00:20:30.90 ID:oKyoo0Yo
▼
律「いけ、イーブイ!!」ボンッ
イーブイ「ブイ〜♪」
アカネ「や〜ん、かわいいポケモンもってるやん。 でも、手加減はせえへんで」
「ミルちゃん、転がるや!!」
乳牛のようなモンスターが体を丸め、地面を転がった
向かう先は、イーブイだ
律「でんこうせっか!!」
イーブイが真正面から、ぶつかりに行く
609 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/07(金) 00:25:20.47 ID:oKyoo0Yo
ドンという音ともに、ミルタンクの軌道がずれ、別の方向に転がっていく
アカネ「ミルちゃん!!」
その呼ぶ声に答えるように、ミルタングがそのままもう一度イーブイへと転がる
律「はっ、何度やっても同じさ。イーブイ何度でも受け流してやれ、でんこうせっか!!」
もう一度、さきほどと同じようにイーブイとミルタンクがぶつかった
――ドンッ
律「(……あれ……さっきよりぶつかった音が……)」
ミルタンクは再び軌道をはずれ、なにもいないところを転がっていく
610 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/07(金) 00:30:41.52 ID:oKyoo0Yo
アカネ「まだまだや!!」
そしてミルタンクがさらにイーブイ目掛けて引き返してくる
イーブイはもう一度受け止める気満々で、すでに駆け出そうとしていた
律「………ダメだ!!」
が、それは遅かった
――ドンッ
さきほどまでのミルタンクのスピードならあそこから避けるのも可能だっただろう
しかし
ミルタンクのスピードはどんどんと上がっていた
611 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/07(金) 01:04:23.21 ID:oKyoo0Yo
律「イーブイ!?」
ミルタンクに押し負けたイーブイがなんとか立ち上がる
アカネ「まだいくでぇ〜!!」
さらにミルタンクが転がりつづけ
律「イーブイ、ダメだ。その攻撃は威力を増してる。よけろー!!」
イーブイが転がるその脅威をなんとかかわし、律は安堵を得る
アカネ「なんや、気付いたんだかいな。ミルちゃん、攻撃方法をかえるからいったんストップや」
静止の言葉にミルタンクが従い、ぐるんと丸まった体を起き上がらせた
612 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/07(金) 01:05:24.11 ID:oKyoo0Yo
アカネ「あっちゃー、でんこうせっか2発やと思ってなめ取ったら結構なダメージくらってたかー」
「ミルちゃん、いったん回復や。ミルクのみ」
律「な、ここも回復技持ちかよ!!」
No.241 ミルタンク
ミルクは えいようまんてん。
おとしよりや びょうきの ひとに
とって さいこうの のみもの。
アカネ「よっし、ならふみつけや」
起き上がったミルタンクの巨体が、イーブイにせまる
そして
前足をイーブイ目掛けて叩き下ろした
――ズシン
律「イーブイっ!?」
その攻撃に食らったイーブイは吹き飛ぶが、すぐに立ち上がり
613 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/07(金) 01:06:09.09 ID:oKyoo0Yo
律「……勝つんだもんな………いっけ、イーブイ、その分厚そうな肉をかみついてやれ!!
食らいつくように、イーブイがミルタンクの巨体に噛み付いた
アカネ「……こざかしいわ!! ミルちゃん、もう一回転がるでイーブイを振り払うんや」
ミルタンクがもう一度転がるために体を丸めた
律「イーブイ、離れろ。大丈夫、お前はあのころがるを2回目までは受け止めれたんだ……だから大丈夫だ!」
イーブイがコクンと頷き、ミルタンクから距離を取った
アカネ「はっ、なにが大丈夫や? 少なくともそのイーブイは3回目以降は避けるしかできひん」
ミルタンクが転がり始めた
まださきほどの転がるのピークに比べると全然遅いと感じられるスピードだ
614 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/07(金) 01:06:44.23 ID:oKyoo0Yo
律「イーブイ、こらえる!!」
イーブイが地面をしっかりと踏ん張り、ミルタンクを受け止めた
だが、ミルタンクは自分から軌道をずらし、さらにスピードに乗って攻撃しようとする
アカネ「なんや、結局耐えるだけかい!!このままじゃ、ジリ貧やで」
ミルタンクが再び地面を削り始めた
今度は転がる音も大きくなっていっている
律「ジリ貧なんかにはならないさ……」
「――これでおわらせるからな。でんこうせっかだ!!」
アカネ「なんや、さっきとおなじやないか!?」
615 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/07(金) 01:08:11.58 ID:oKyoo0Yo
ミルタンクとイーブイが真正面から何度目かの衝突をした
だが違ったのはそこからだ
ミルタンクは再び軌道をずらし、イーブイから離れていこうと通りすぎようとした瞬間
律「まだ終わってないさ!! じたばた!!」
ミルタンクの真横から衝撃が走った
ミルタンクに比べて小柄なイーブイが真横から思いっきり体をぶち込んだからだ
そしてそのまま横倒しになり
――ドシン
大きな音が街中へと響き渡った
616 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/07(金) 01:10:38.37 ID:oKyoo0Yo
だが、響き渡ったのはそれだけではない
アカネ「ミルちゃん………グズ……グズッ……うわああああああああん」
アカネの大きな泣き声だ
律「ちょ、えっ? な、な、ななんでこうなるんだよー。おい、泣き止めって……」
言いながらアカネに駆け寄るが、アカネの鳴き声は止まらない
すると
遠くから、年上の女性が走ってくるのが見えた
女性「あぁ、アカネちゃん負けちゃったんだ。おっと、ああ、あなたはいつものことだから気にしないでいいよ。
バトルに負けちゃうとこうなっちゃうのよ。そうね、ポケモンセンターで待っててくれるかしら。泣き止んだら向かわせるから」
律「……はぁ」
律はただその言葉に従うしかなかった
617 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/07(金) 01:15:14.86 ID:oKyoo0Yo
▼
――ポケモンセンター
それから、アカネがポケモンセンターに現れたのは30分後だった
その頃には、すでにあったころの元気が戻っており
アカネ「なんや、アンタやるやないか!!」
そういいながらバンバンと律の背中を叩いた
アカネ「これがレギュラーバッジや、受け取っとき」
アカネの手にはジムリーダーに勝ったあかしのジムバッチがあった
それを律に差しだし
律「よっしゃぁ、これで3つめのバッジゲット!」
618 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/07(金) 01:26:42.98 ID:oKyoo0Yo
そして
律「それじゃぁ、わたしは行くから」
言いながらアカネに背を向けたとき
アカネ「あ、あんな……!!」
しぼみそうな声でなにかを言おうとしていることに気付いた
アカネ「そのな……えっと……百貨店の件……悪かったな……」
少し赤くなった顔を伏せるように頭を下げた
そして
律は
律「……ははは、あははははは」
アカネ「な、なんやねん! ウチ、なんか変なこと言うたか〜?」
律「いやぁ、だってさ、あまりにも予想外だったからさ〜、あはははは」
「VSミルタンク」 〆
619 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/07(金) 01:32:39.26 ID:DSVEnmc0
乙
世代によって進化の石の手に入れやすさの差がはげしいんだよな
でもこれは通常進化フラグかな?
620 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/07(金) 13:07:30.78 ID:waD5f9k0
トラウマミルタンク倒したか
イーブイの進化先が気になるぜ
621 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/07(金) 13:08:28.03 ID:waD5f9k0
すまん、ageてしまった……
622 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:03:28.50 ID:HLo7FSPXo
――37番道路
律「これでとどめだ、ガーディ! きしかいせいだ!!」
ガーディ「――!!」
プクリン「……!?」パタ
おとなのおねえさん「あぁ、私のプクリンが……!!」
そこで繰り広げられているのは、ポケモンバトルだ
律は自然公園・36番道路を経由してここまできたが、その道の途中、幾度も勝負を挑まれては勝ってきた
そのことは自信につながり、余裕を生む
律「よし、私たち強くなってるよな」
と、隣を歩くガーディに話しかける。
623 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/13(木) 00:05:25.33 ID:HLo7FSPXo
ガウと言う返事しか返ってこないが、それでも律は満足そうだ
律「っと、見えてきたな。あれがスズのとうか」
さきほど闘っていたおとなのおねえさんはすでに後方遠く、律が東北の空を見た
そこにはエンジュシティのシンボルともいえる塔がある
律「よーし走るぞ、ガーディ!!」
そして律は町の入り口へと抜けていく
律が目もくれず通り過ぎた看板には
『エンジュシティー―むかしと いまが どうじに ながれる れきしの まち』
の文字があった
624 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:07:52.55 ID:HLo7FSPXo
――エンジュシティ
時間はまだ日が西に傾きだして間もない
だというのに
律「ジムが閉まってる……」
呆然とジムの前に立ち、律が呟いた
律「………まっ、明日には空いてるよな。と、なればまずは観光だあ!」
「あ、そういえば前にキキョウであったマイコさんが歌舞練場がどうとか言ってたなー」
考える間、一時
律「行ってみるかな……えっと、ジムより東側だから、この道を……っと」
625 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:10:15.21 ID:HLo7FSPXo
▼
律「ここも閉まってる……だと……」
扉に手をかけ何度も押し引きするが、屈強な扉がそんなことでびくともするはずがなく
律「ああっ、もう、ならスズの塔だスズの塔!!」
そういってさらに北への道を辿っていくが、そこでも
律「え?バッチがないとここは入れない……?」
坊主に止められ、中へは入れてもらえなかった
もうポケモンセンターに行き、不貞寝をしてしまおうかとも考えながら、町を歩いていると
律「なんだ……もう一個塔みたいなのがあるのか?」
626 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:13:18.38 ID:HLo7FSPXo
西に見えるそれはスズの塔と比べて小さく、二階には燃えた後のような跡が残っており
まだ昔には上の階があったことを推測できる
律「こっちは普通に入れるんだな」
先ほど断られたスズの塔のことを思いだし、愚痴っぽく言うと
そのまま塔の中へと足を踏み入れた
627 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:15:43.30 ID:HLo7FSPXo
――やけたとう
律「……少し暗いな」
老朽化してきているのか、地面の軋む音がやけに目立つ
建物に灯りなどもあるはずもなく、光りはお堂の横からや上、ところどころから差し込まれる陽の光りだけが頼りだ
律「これは………岩か」
人の一人くらいなら隠せてしまえそうな岩に手をつき、野生ポケモンを警戒するが
律「(……不自然なくらい静かだな)」
このくらいの暗さになるとズバットの一匹でもいてもよさそうなものだが、飛び出してきそうな気配すらもない
だが、そのとき律が目を凝らした
岩場の影に隠れるようにして潜む数匹のコラッタがそこにいた
628 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:17:31.46 ID:HLo7FSPXo
その様子はなにかを警戒しているようで
律「(これは……怯えている……?うーん、なんか違うな)」
足をとめ考えたとき、話し声が聞こえた
『あぁ?………なぜ俺が……下……………など………ない!!』
不審な空気を感じ取った律はさっと岩場に隠れ、耳を澄ます
イラついた感じの男の声と、もう一つは……女の声だ
『そういえば、あなた、カントーで三鳥まで使って惨敗したらしいわね。あはは、惨めね』
『……さい!!…………グリー………から………だ」
女の声は高く、そのおかげで澄ませば聞こえるが、男の低い声は聞き取りづらく途切れ途切れになってしまう
629 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:20:47.66 ID:HLo7FSPXo
律「(もう少し……どこかに隠れながら近づいて……)」
ソロリと歩幅を小さく、極力音をたてないようにして音の暗闇へと近づいていく
大丈夫だ、と一度うなずいたときさらに声は続いてきた
『まぁ、なんでもいいけどしっかり働きなさいな。
ここにはあなたが惨めたらしくも負けた図鑑の少女なんていないわ。邪魔もはいらないでしょう』
『少し黙れ。アテナ、ここでお前と一戦やってもいいんだぞ』
律「(なんだ……図鑑の少女って? ………まさか…………)」
「(……いやまだ決まったわけでもないし、もし私の思い描いた人物だったとしても、
この声の持ち主が負けたってことは、あいつであっても無事だ。本当はあいつにはやっかいごとは抱え込んでほしくないんだけどな……)」
その近場にあった物陰に隠れ、さらに様子をうかがうことにした
『あらっ怖い。でも、私も仕事があるから殺されないうちに帰…………ランス!』
急に鋭くなった女の声がもう一方の男へと呼びかけた
630 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:25:24.72 ID:HLo7FSPXo
気付かれたか、と思うと同時に一つ思い出したことがある
ランスとは以前聞いた名だ。それを聞いた場所はヒワダタウン
たしかあれは洞窟を抜けて出てきたときだ
つまりあれは
律「(ロケット団!!)」
思ったとき、律はもう一つの気配を感じ取った
それは自分の背後、自分も通ってきた場所である入り口だ
そこに人が一人ボールを持った右手を横に広げ立っている
631 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:27:20.48 ID:HLo7FSPXo
アテナ「邪魔はいっちゃったわね。私がやろうか」
ランス「いや、いい。俺がやろう」
律は隠れたまま動けずにいる
入り口にいたのは、何度もかかわってきた少年だ
その少年と目があうが、少年は何も言わずボールを投げた
律「(……シルバー!!)」
そして少年は足元にだしたマグマラシとともに、男達の声のするほうに走る
律の隠れていた場所の前を通り過ぎるが、やはり何も言わず、ただ前へと進んでいく
マグマラシの炎により、よりはっきりと空間が浮かび上がる
そして、シルバーの声がはっきりと告げた
632 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:31:13.52 ID:HLo7FSPXo
シルバー「……やれ」
律の隠れている場所からはその様子は見えないが、おそらくシルバーが攻撃をしかけたのだろう
律「(なんで……あいつがロケット団を……そういえば、ヒワダのときも……)」
いろいろな情報に頭が整理しきれず、混乱してくる
ただ、時間はそれを整理することさえもまってくれそうにもなく
状況は進んでいく
633 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:32:14.47 ID:HLo7FSPXo
▼
ランスの機嫌はどんどんと悪くなっていく
己だけで進めていた計画も失敗し、いかりの湖へと収集がかかったと思えば、すぐにこんな下っ端みたいな仕事
だ
その上、帰ってきたときには自分の部下達はヒワダで捕まったという報せ
極めつけは目の前のガキだ
気に入らない、と唇を噛んでみれば血の味がした
最近はガキの邪魔がよく入る と口の中で呟いた途端にイライラが蘇った
そして目の前にいる赤毛のガキはいきなり攻撃をしかけてきた
ならば、やることは一つだろう
マグマラシから放たれる火の粉を後ろにステップする形で回避し、ボールを手にした
ランス「やれ、ゴルバット」
634 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:35:11.28 ID:HLo7FSPXo
▼
突っ込んでくるマグマラシをゴルバットの翼が受け止めた
ランス「おい赤毛、ガキだからといって加減などせんぞ」
すると、ランスの横にいたアテナがケラケラと笑った
アテナ「あらら、じゃぁ、カントーで子供に負けたのは加減でもしたからって言うの? 違うんでしょ? あははこれ
は傑作だわ」
黙って横に並ぶアテナをにらみつける
アテナ「……あー怖いわ。このままここにいたら私が殺されちゃいそう」
そういってアテナはボールからヤミカラスを出し、その足に捕まり
二階の焼けてしまい壁がなくなったところから、外へと飛び立った
635 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:39:59.31 ID:HLo7FSPXo
ランス「チッ……」
その様子を気に入らないとでもいうようにランスが舌打ちをした
目の前にはすでにシルバーがいる
シルバー「……かえんぐるまだ」
ゴルバットと押し合いを続けていたマグマラシの体を炎が逆巻いた
その様を見たランスが、ゴルバットへと声を飛ばす
ランス「かみつけ……!」
ゴルバットの大きく開いた口の中の牙が、マグマラシを映し出した
そして
炎を気にもとめずに、その牙で噛み付いた
ランスは顔色一つかえることもない。
ゴルバットのアゴがやける音がするが、そんなものはかまわないと思う
所詮はガキ一人にも勝てないポケモンだ
636 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:40:29.54 ID:HLo7FSPXo
ランス「そんなことで怯むんじゃない……距離を取ってエアカッターだ」
自らのダメージを気にとめるゴルバットへ鬼のような言葉をかけ、さらに攻撃をしかけさせた
シルバー「スピードスターで応戦しろ」
マグマラシが星型の光りを放った
が、ゴルバットの翼から出た風の凶器がその光線を食い破る
ランス「……雑魚がっ! エアスラッシュ」
シルバー「…!?」
追撃をかけるように、風による追撃がマグマラシを襲った
637 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:42:48.22 ID:HLo7FSPXo
そしてそのままマグマラシが地面に伏す
ランス「レベル差を考えろよガキが。
だが、ここで終わりじゃない。二度と邪魔などしようとおもわないようにしてやるぞ」
そこからは酷かった
シルバーの出すポケモンを次々とゴルバットだけで突破していく
シルバーの足元には、すでにHPがないコイルとズバットが倒れていた
638 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:46:57.50 ID:HLo7FSPXo
▼
レベル差が違いすぎる
シルバーの感じたものはそれだ
場数、戦闘経験、技の精度、どれをとっても向こうのほうが上だ
だが、引くわけには行かなかった
引けない理由があった
潰したいと思う組織があった
だが、その組織は自分が潰す前に、少し年上のまだ少年といってもいいトレーナーに潰されてしまった
モヤモヤした気持ちを持ちながらも、時はすぎ
それはそれでよかったのかも知れない と思い始めたころだ。
再びその組織が活動を始めたという話が耳に入った
639 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:50:06.62 ID:HLo7FSPXo
もう一度、決意を固めるのに時間は必要なかった
だが、そのためには力が必要だった
あるとき、ワカバの研究所には戦闘用の3匹のポケモンがいると聞いた
だから、盗みをしてでもそのポケモンを手に入れた
全ては目的のためだと割り切った
ポケモンに愛着などは無かった
ただ、それを利用するのが一番都合がよかった
気付けば、盗んだポケモンは自分になつくようになっていた
だが、それに答えることもしなかった
640 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:55:43.63 ID:HLo7FSPXo
必要ないからだ。そんなものは邪魔になると考えたからだ
甘さとは弱さだ。そんなものはいらない
だが、強さが足りない。勝てない。
このままでは一番負けたくないと思っていたヤツらに負けてしまう
だから、最後のモンスターであるゴーストを出してまでまだ闘おうと思っていた
シルバー「……」
ゴーストのボールに手を伸ばす
だが
――カタリッ
ボールが地面を叩く音がした
手に握ったはずだと思ったボールはそのまま、重力に負け落ちたのだ
641 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:57:24.11 ID:HLo7FSPXo
ランス「なんだ、もう終わりか。やはりガキはガキだな。」
言い返せ
はっきりとまだ終わっていないことを告げてやれ と脳が命令を送るが
口が動かない。それどころかひざから力が抜けていく
トンと地面にひざがついた
ランス「まさかこのまま逃がしてもらえる、なんて思ってないよな。………じゃぁな、さっさと[
ピーーー
]」
そしてランスの腕に止まったゴルバットの羽がキラリと光った
そして手を振り上げ、シルバーめがけて振り下ろす
それはまるで刃物のように空を滑る
だが
――
それを止める動きがあった
気付けば、シルバーとゴルバットの間にはアリゲイツが入り込み、その翼を冷気を放つ拳で受け止めていた
642 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 00:59:56.88 ID:HLo7FSPXo
▼
律「……なんなんだよ……あいつ……レベル差がありすぎる……」
シルバーの戦いを陰で見ていた律の感想はそれだ
あっという間に3体のポケモンを倒してしまったロケット団の男は、シルバーにしだいに近づいていっている
律「(おい…逃げろよ……おい、まて……いいから逃げろよ……なんで立ち尽くしてるんだよ)」
今にもランスは次の指示をだそうとしている
だが、シルバーは動かない
643 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 01:04:25.56 ID:HLo7FSPXo
律「(助けるか……!! いや、でもあの強さに私は対抗できるのか? 無駄になるんじゃないのか)」
ランスが手を振り上げた
律「(いや、そうじゃない!! 行くんだ……それでも行くんだ)」
そしてアリゲイツのボールを見た
律「大丈夫、やれる」
言い聞かせたのはアリゲイツにだろうか、それとも……
律「いけ、アリゲイツ!!」
物陰から飛び出し、シルバーとロケット団の間に滑り込ませるようにボールを放った
644 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 01:05:04.10 ID:HLo7FSPXo
▼
ランス「ほう……また邪魔が入ったか」
ボールが飛んできた方向をみれば、トレーナーがいる
カチューシャを頭につけた少女だ
ランスを痛いほど睨んでいる
そして
律「アリゲイツ、冷凍パンチだ!!」
ゴルバットの片翼が力任せに殴りつけられ、凍り始める
645 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 01:09:03.30 ID:HLo7FSPXo
ランス「またガキの邪魔か……しかも今度は女だと!」
邪魔が入ったことにより、ランスがシルバーから離れまた後ろにステップした
逆に律は距離をつめていく
シルバーのところへ駆け寄るためだ
律「おい、立つんだよ。……立てってば!!」
シルバーの肩をつかみ、強引に立ち上がらせる
律「私が止めてるうちにさっさと逃げろ!! いいな?」
シルバー「……お前は……」
律「マダツボミの塔とヤドンのイドの借りを今ここで返す。だからはやくボールにポケモンたちを収めて逃げろ」
646 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 01:12:24.86 ID:HLo7FSPXo
だが
ランス「しゃべっている暇などあると思うなよ!!」
「ゴルバット、翼で打て」
律「っ!! もう氷が治ったのか……アリゲイツ、もう一度凍らせてやれ!」
ランス「そんな攻撃、2度もくらうかっ!!」
翼がアリゲイツの拳の下を通り、アリゲイツの腹の部分を強く打った
――バタン
律「一撃っ!? 戻れ、アリゲイツ」
「いけ、ガーディ!!」ボンッ
ランス「邪魔なんだよ!! ゴルバット、どくどくの牙だ」
律「ガーディ、かえんぐるま!!」
だが、さきほどのシルバーのマグマラシと同じ結末を辿る
647 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 01:15:48.29 ID:HLo7FSPXo
炎を纏うガーディの体にかまわずゴルバットが牙を立てた
その身を炎で焼いているが、かまわず牙を刺しこんだ
律「戻れガーディ!!」
ランス「なんだ、もう終わりか……おっと、さすがにこいつも限界か」
ゴルバットがやけどのダメージで苦しそうにしていた
ランス「こいつが倒れようが別にかまわんのだが、飛べなくなるのは困るのでな。戻れ、ゴルバット」
律「(くそ、このままじゃ、どうにもならない……)」
そのとき、横にいたシルバーがボソっと呟いた
シルバー「おい………聞け。必ず俺が道を開けてやる………だから、あそこに転がるボールを俺の手に」
指差したのは、さきほどシルバーが最後に出そうとしたモンスターボールだ
648 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2011/01/13(木) 01:18:14.01 ID:HLo7FSPXo
そして
シルバー「頼む……」
それに答える形で律はコクっと静かにうなずいた
ランス「なんだ?二人して死ぬ覚悟でも決まったか? なら今すぐに死ね」
「いけ、マタドガス!!」
律「いけ、イーブイ!!」
ランス「マタドガス、ヘドロ爆弾だ!!」
律「イーブイ、走れ。目標は分かるな」
その言葉に、イーブイが地をかけた
イーブイがマタドガスから飛ばされるヘドロ爆弾をかわしながら、走る
目指すべき場所は、転がっているモンスターボールだ
649 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2011/01/13(木) 01:20:57.56 ID:HLo7FSPXo
残り3m……2m………1m……
そして、その場所へとたどり着く
と同時、後ろ足でイーブイがモンスターボールを律のほうへと蹴った
しかし、それが隙となり
ランス「そこだ、ヘドロ爆弾!!」
イーブイの体を直撃した
律「イーブイッ!!」
シルバー「………がとう……」
シルバーが足元に転がったボールを拾いながら小声でなにかいったようだが聞き取れない
だが、言葉は続く
650 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2011/01/13(木) 01:23:09.52 ID:HLo7FSPXo
シルバー「イーブイを戻せ!!」
律「戻れ、イーブイ!!」 シルバー「いけ、ゴースト!!」
代わりにでてきたのはゴーストだ
No.093 ゴースト
ほんとうに なにも みえない
くらやみで ゴーストは しずかに
えものを ねらっているのだ。
律「こいつは………あのときのゴースの進化系か!!」
それはマダツボミの塔でのことだ
あのときも協力してなんとかその場をきりぬけたが
そのとき、ランスの様子が一変した
ランス「ポケモン図鑑だと……!……くっくっく……はははは!!
そうか、こいつもポケモン図鑑を持つトレーナーか!!」
ランスの視線は律を捉えている
651 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2011/01/13(木) 01:26:50.15 ID:HLo7FSPXo
ランス「お前には直接恨みはないが、あの唯とか言う女と繋がってる可能性があるからな。
あの女には返しても返しきれない借りがある。ここいらで、利子分でも返済しておこうか……」
「お前になー!!」
「マタドガス、あの女に大文字だ!!」
律「なっ……!?」
シルバー「お前の相手はこっちだ。ゴースト、ふいうち!!」
ゴーストの姿は闇に溶け、マタドガスの後ろをとっていた
そしてそのままマタドガスの攻撃方向をずらすように、その風船状の体を殴りつける
マタドガスから放たれた大文字は明後日の方向へ飛んでいき、建物の側面を焼いた
ランス「こざかしいわ!! まずはそいつを片付けろ!!大文字」
シルバー「っく、パワー不足だったか。戻れゴースト」
マタドガスの炎に晒される直前、シルバーがボールにゴーストを戻した
652 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2011/01/13(木) 01:29:04.11 ID:HLo7FSPXo
ランス「あぁん?」
ランスがシルバーを睨みつける
ランス「どういうつもりだ?」
シルバー「……こういうつもりだ!!うけとれ!!」
律「へっ?」
シルバーが戻したばかりのゴーストの入ったボールを律へと放りなげた
そのボールを慌てながらも右手でキャッチし
シルバー「そのまま、ボールを投げろ」
言われたとおりに律が、ボールを投げた
そこからは再びゴーストがでてくる。
そう思っていた
653 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2011/01/13(木) 01:30:12.22 ID:HLo7FSPXo
だが、そのボールの開く音がしたとき、
その位置にはなにもなかった
律「…………え?」
ランス「……くっく……ははははは、とうとう諦めたのか!! だが、もう泣こうが喚こうが許されることはないぞ」
シルバー「許してもらおうなんてはじめからおもっていないさ……」ニヤリッ
ランス「もういい、さっさと死ね。大文字!!」
今度はシルバーめがけて炎が発射されようとしたとき
マタドガスが真上に吹き飛んだ
654 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2011/01/13(木) 01:34:14.58 ID:HLo7FSPXo
律「あれは……!!」
No.094 ゲンガー
よなか ひとの かげに もぐりこみ
すこしずつ たいおんを うばう。
ねらわれると さむけが とまらない。
そこにあったのは寸胴の黒い影
律「マタドガスの影の中に忍んでいたのか!!」
ランス「これくらいでは倒れんわ!! マタドガス、だめおしだ!!」
ランスの怒声が、マタドガスへと飛ばされるが
マタドガスが指示にしたがうことは無い
シルバー「【のろい】であんたのポケモンはもう瀕死寸前だ。もうろくに行動もできない」
「……これで終わりだな」
655 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2011/01/13(木) 01:36:54.24 ID:HLo7FSPXo
だが
ランスは不敵に笑う
ランス「甘すぎる……HPがなくなったわけではないのだろう? なら、終わるのはお前らだ」
「――大爆発!!」
律「!!」 シルバー「!?」
やけた塔内をまばゆい光りが包み込んだ
爆風が来る
――ガラッ
そのとき、律の体が空を踏んだ
律「うわああああ」
656 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2011/01/13(木) 01:38:01.59 ID:HLo7FSPXo
▼
やけた塔の2階から飛び出した影がある
ランスだ
ゴルバットに捕まり、空中をぶらりと飛遊する
ランス「ふんっ……あれではもう無理だろう……」
マタドガスの大爆発はたしかにあの場にいたガキ二人をしとめたはずだと思う
ランス「邪魔は入るが、目的のものはいない……」
「とんだ茶番だな」
そして顔の前にポケギアをもって行き
ランス「こちら、ランスだ。伝説の3獣は確認できず。またホウオウの現れる気配もなしだ」
『ご苦労。もう一度いかりの湖へ戻ってきてくれ。いよいよ実験は成功だ」
ランス「了解」
657 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2011/01/13(木) 01:39:55.66 ID:HLo7FSPXo
▼
――やけた塔 B1
体が動かない
律は必死にもがこうと、頭だけでも働かせようとするが、それもあまり意味をなさない
あの大爆発には直撃はしなかった
それには理由がある
ただ、自分とシルバーの立っていた位置。
そこの地面が抜けたのだ
律「(なんとか、助かったけど……ここに地下なんてあったのか……)」
そして、律は見る
自分と同じように倒れてうごかないシルバーの背中を
658 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2011/01/13(木) 01:42:49.63 ID:HLo7FSPXo
律「(気を失っているのか……)」
「(くそ、なんだ……私も意識が……)」
途切れる寸前、律の眼前に水色4つ足があらわれた
シルバーの前にはオレンジ色の4つ足と黄色の4つ足がある
律「(なんだ……まさかこんなときに野生のポケモンか……)」
ぼんやりと薄れていく意識の中、その水色の体を視界にいれ
???「――」
美しい鳴き声を聞いた
659 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 01:45:12.14 ID:HLo7FSPXo
▼
――コガネシティ
リニア乗り場の前に、うーんと伸びをする少女がいた
どうやら、リニアに乗ってきたため少しくたびれた様子だ
???「わぁ、ここがジョウトだね!!」
「大きいなぁー」
少女が大きなビルを見上げては、感嘆の声をあげる
???「タマムシシティとかヤマブキシティみたいだね」
そういったとき、少女のポケットが振動した
少女はポケットに手を突っ込み、おもむろにモンスターボールを眼前にもってきた
???「えー、うんうん、この景色がみたいの? もうしょうがないなぁ」
しょうがないと言ったわりにはやけに楽しそうだ
???「いくよ、出ておいで」
「――リュー太!!」
「VSゲンガー」〆
660 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2011/01/13(木) 08:40:38.93 ID:FmUq3dbu0
乙
なるほど、通信進化か。こうやってゲンガー手に入れたのか
そして三犬キタ!三鳥とちがってストーリーに密接に関わるけど、ここでは味方になってくれるのかな?
そして唯とのダブルバトルに期待
661 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/13(木) 10:38:54.37 ID:enQTQ4FDO
うおおおお、来てたああ!
そして唯もきたあああああ
662 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/13(木) 10:40:28.14 ID:uxbwvEoAO
ゲンガーの進化熱い展開だったわ。
今や遥か格上の唯と律の絡み期待
663 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 10:44:48.96 ID:QT0uDJfo0
ポケスペ感覚で読んじゃう
664 :
1
:2011/01/13(木) 22:30:38.03 ID:HLo7FSPXo
うおっ、なんかSSスレが出来てにお引越しのようだからそっちにうつるよ
とりあえず、ペースは一応早めたいとは思ってるんだけど……いまのところあまり実行できずorz
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/
Mobile
http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/
665 :
真・スレッドムーバー
:移転
この度この板に移転することになりますた。よろしくおながいします。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
666 :
1
:2011/01/13(木) 22:46:55.93 ID:6One6xH8o
てすてす
まぁ、なんとかこっちでもやっていければなぁ と
667 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 22:47:38.25 ID:6One6xH8o
あ、そうか。引っ越したからにはIDも替わるわな
完全に忘れていた
668 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/13(木) 22:48:03.93 ID:7MDqbsuW0
マジ応援してる
669 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/14(金) 13:16:19.69 ID:0jgqAoUy0
SSスレ大移動になってたんだな
場所変わっても期待してる
670 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/01/25(火) 14:02:44.63 ID:0r/grVDSO
ドラえもん
671 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/26(水) 23:40:29.39 ID:lYY38v9DO
>>1
がこない……
まさかここで逃亡じゃないだろうな
672 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 18:30:26.94 ID:+EqbMDTAO
唯が来て、展開どうしようか筆が進まないだけだろ
気長に待てよ
673 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 08:22:36.91 ID:ns54i0cy0
今の律の実力じゃあ、どうしても唯に負けるだろうからなぁ・・・
あと律を主体におくか、唯を主人公に戻すかもあるだろうし
674 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 13:43:33.17 ID:c9FsjY4No
すまん、1月後半私生活でバタバタしてて投下できなかった。
ほんとすんません
675 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 13:44:29.23 ID:c9FsjY4No
――???
これはなんだ?
律にまずでてきた疑問はそれだった
目に映るのは、緑とオレンジ色の生えた木々
懐かしい森の風景だ
そうして気付いたのは
律「(これは………夢か……)」
気付いた瞬間に意識が途切れた
676 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 13:45:18.12 ID:c9FsjY4No
そうして繋がれた意識が、また次の夢に移ったことを自覚するのに時間はかからなかった
なぜなら、そこにはかつての自分の記憶と一致する光景があったからだ
トキワの森、まだ小さかった自分、隣には今にも泣き出しそうな澪、夕方の橙色の空気、そして……
律「大丈夫だよ、澪ちゃん」
そうだ、あの時はまだ澪のことをちゃん付けで呼んでいたんだっけ
俯瞰して自分を見るのは変な感じがする
澪「……でも、もう暗くなって……」
律「それでも大丈夫」
なんの根拠もなかったはずだ。それでも澪の手を握り締めずにはいれなかった
そしてこのあとはたしか……
677 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 13:50:48.75 ID:c9FsjY4No
律「げっ……」
澪「あっ……」
幼い自分達の前に大きな蜂がいた
律「逃げよう、澪ちゃん……」
澪「……うん」
でも、小さな体に残っていた体力なんて知れたもので
手を引いて、一生懸命に走ったけどおいつかれて
678 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 14:08:19.72 ID:c9FsjY4No
律「こうなったら、いっけガーディ」
ガーディ「がう」
全然バトルなんてしたこともないのに、精一杯強がって
――
そのとき、風景にゆがみが現れた
……あれ、このあとどうなったんだっけ?
そして律の意識が反転した
679 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/01(火) 14:09:35.77 ID:Etv4e7vbo
うおお久しぶりだな
これからもがんばってねー
680 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 14:10:59.83 ID:c9FsjY4No
▼
――エンジュシティ(ポケモンセンター)
律「………ん」
知らず出した声に、意識がはっきりとしてくる
目覚めと自覚したのはそれからだ。
そして
律「あれ? たしか、焼けた塔で……」
「そうだっ……! シルバーは……」
現状に思考が追いついた時、声がきた
681 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 14:15:37.73 ID:c9FsjY4No
???「目覚めたようだね……」
そこには、バンダナを巻いた青年が腕を組みながら立っていた
マツバ「オレの名前はマツバ。この町でジムリーダーをやっている。目覚めて早々悪いんだが、君に聞きたいこと
がある」
律「ちょっ、ちょっと待って。私は……私はどうしてここに」
マツバ「……まずはそっちから話したほうが事は早そうだな」
律「……」
マツバ「オレの友人があるポケモンを探していてね。それの手がかりを得るためあの焼けた塔に通っていたんだが、
昨日あそこに行ってみると、床に大きな穴があいてるじゃないか。そしてその穴の中には……」
律「私が倒れていたってわけか……」
682 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/01(火) 14:22:58.32 ID:c9FsjY4No
マツバ「? ……いや、君はその穴の横で寝かされていたみたいだが」
律「え?」
マツバ「オレが君をみつけたのは、その穴の横。あの地下にあったフロアじゃない」
どういうことだ、と律は思う
そして
律「そうだ……私と一緒にもう一人赤毛の男が倒れていなかった?」
マツバ「いや、オレが見つけたときには君だけだったな……」
ん?と首を傾げながら疑問の顔をつくる律にマツバが続けた
683 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 14:24:56.59 ID:c9FsjY4No
マツバ「だいたい君がここにいたるまでの状況は分かってもらえただろうか? なら、今度はこっちの質問に答えてほしい」
律「あぁ……」
マツバ「まず一つ、あの建物を破壊したのは君か? 二つ目、あそこでなにがあった?」
深刻そうな顔をマツバがつくった
律「一つ目の答えだけど、半分正解って感じかもしれない」
はっきりしない答えにマツバが困ったような顔をつくるが、律がそのまま無視し続けた
律「私は……いや、もう一人一緒にいたんだけど、私とそいつはあそこでロケット団と戦った……」
マツバ「……!!」
684 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 14:25:23.07 ID:c9FsjY4No
律「あの地面の穴はロケット団が大爆発の技を使ったときに地面が抜けた。そこに落ちて私ともう一人は気を失ったんだが……」
律が話している間、マツバは律の様子をうかがうように凝視していた
マツバ「……うん、嘘はいってないみたいだね」
律「……わかるのか?」
マツバ「あぁ、オレには少し変わった力があってね。それに……」
律「それに?」
マツバ「人が嘘をついているかどうかぐらいは、わかるつもりだ」
その言葉を聴き律は、あぁ悪い人間ではないな と思う
685 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 14:29:46.57 ID:c9FsjY4No
マツバ「それにしても、ロケット団か……」
「またやっかいな組織が絡んできたもんだね……また彼らは最近頻繁に目撃されるようになってね」
律「………」
そしてマツバがポツポツと話をはじめた
マツバ「君は知っているだろうか? あの塔とスズの塔にまつわる伝説を?」
黙ってマツバの話を待つ
マツバ「まずあのスズの塔だけど、あそこにはこのジョウトの伝説の鳥ポケモンが存在していて、
今はいないんだけど時が来れば舞い降りると言われているんだ」
「そして対になるカネの塔には……」
その時、律が寝かされていた部屋にノックの音が響いた
686 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 14:35:20.65 ID:c9FsjY4No
マツバ「……ちょうどいい」
そしてマツバがドアに近づき、その人物を招きいれた
そこにいたのはマツバと同じくらいの年齢の男だ
???「やぁ、レディ。お目覚めはどうだろうか? さっそく君には一つ聞きたいことがあるのだが」
やたらテンションの高いマントを羽織った青年が律に尋ねてくる
律「えっ?だれ」
ミナキ「おっと紹介が遅れたね。私はミナキだ。あるポケモンを追っていてね。レディの名前をきてもいいだろうか」
律がマツバの顔を見た
マツバ「あぁ、さっき話した友人だ」
そして
律「律……」
687 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 14:39:43.76 ID:c9FsjY4No
律がうさんくさいものをみるような目でミナキを見、マツバがやれやれといった表情をした
ミナキの動作がいちいち白々しいからだ
ミナキ「そうか、律。君はあの塔でスイクンをみなかっただろうか?」
律「スイクン?」
そこへ、マツバが割って入ってきた
マツバ「さっきカネの塔にも伝説があるといったね?あの塔にもかつて伝説の鳥ポケモンがいたといわれているんだ。
しかしあのとおり焼けてしまってから鳥ポケモンは姿を消したという伝説がある。」
ミナキ「そう、あの塔は焼けてしまった。そしてその焼けた時、犠牲になった名もない3匹のポケモンがいてね。で
もその3匹は空の神様の目に止まり、命を与えたんだ」
律「(あぁ、なんでこの人の動作、こんな演劇みたいな動作なんだろう)」
そんな律の目も気にせず、ミナキは続ける
688 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/01(火) 14:45:23.61 ID:c9FsjY4No
ミナキ「その中の一匹がスイクンさ!! あの透き通るような水色の体色。水の上を走る颯爽とした姿」
そううっとりと自分の世界に入り込んだミナキを傍に、律は今の特徴をどこかでみたような……と思い出す
そして
律「あっ!! あの時の!!」
ミナキ「!! やはりみたのかね!!」
律「……あぁ、私が倒れる寸前、あの地下のフロアで……でも赤いのと黄色いのもいたぞ」
マツバ「……!! やはり、あそこに3匹が帰ってきていたのか!!」
驚いたような声をだしたのはミナキではなく、マツバだった
マツバ「そうか……つまり近々……」
マツバがブツブツ呟きながら一人自分の世界に浸っていく
689 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 14:49:46.86 ID:c9FsjY4No
ミナキ「それでスイクンの行方は……?」
律「いや、さっきも言ったけど意識が飛ぶ直前にぼんやりと見ただけだから……」
ミナキ「……そうか、それでも私は諦めないぞー!! 私は今すぐにでもあのスイクンを追おうではないか」
マツバ「いや、待て」
考え事をしていたマツバが、部屋を飛び出していこうとするミナキをとめた
そして、律のほうを向くと
マツバ「最後の質問だ。この羽をどこで?」
マツバが“これ”とさしたものは、その手の中にあった羽だ
見たところ鳥の羽のようだが、その色はまばゆい銀の色を放っている
690 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 14:55:20.47 ID:c9FsjY4No
律「……? 私はそんなものもっていなかったぞ」
マツバ「んっ? これは君が倒れている時に、その手に握り締めてたものなんだが……」
律「へっ?」
何のことかわからない といった風な律に対して、マツバはゆっくりと息を吐き
マツバ「これはおそらく……空の神様と呼ばれるスズの塔に対になる海の神様の羽だ」
「そしてさっき、カネの塔が燃えた時に飛び立った鳥ポケモンの伝説があるといったね?」
律「あ、あぁ……」
マツバ「それがオレはこの海の神様だと考えている。スズの塔とついになったカネの塔。空の神様と対になる海の神様。
どうだい?なかなかできたものだと思わないかい?」
「つまり、君がこれをカネの塔で拾ったというのなら、その線も濃くなると、思ったんだが……」
律「そう……なのか……でも私は本当にその羽を手に入れた記憶がない」
マツバ「そうか………」
691 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/01(火) 15:00:02.47 ID:c9FsjY4No
ミナキ「もしかしたら、スイクンが君へと託したものだとは考えられないかね?」
冗談じみた口調でミナキが言った
マツバ「!!」
ミナキ「はは、冗談だよ!!」
マツバ「いや、それもありえるかもしれない。元々はカネの塔にいた3聖獣だ。ルギアがここにいたというのなら、そ
れを持っていてもおかしくはない。そしてそれがもし真実であるのなら……」
「スイクンはなにかを伝えたかったのかもしれない」
律「……でも、なんでわたしなんか………」
692 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 15:05:40.89 ID:c9FsjY4No
さきほどからチラチラと脳裏によぎるのは負けた記憶ばかりだ。
こうやって話している間もその記憶はどこか虚ろな気分へと引き摺り下ろす
へんな夢を見ていたことも関係しているのだろう。
あの敗北が頭から焼きついて離れない。
だからこそ、なぜ私にそんなものを と思う。
もっと託すのにいいトレーナーがいたのではないのか? なにか伝えるべきなのはもっと別のトレーナなのではないか?
そんなネガティブな考えばかりが浮かぶ。
律「(私らしくないなぁ……)」
マツバ「………」
693 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 15:09:28.10 ID:c9FsjY4No
マツバの視線はずっと律をとらえていたが、そのとき
ミナキ「まぁ、仮定ばかりの話だからね。それにスイクンは私というトレーナーをまだ知らなかっただけだ。
私のことを知ればきっと次は私を選ぶだろうさ」
またしてもミナキが茶化すような口調で言った
マツバ「まぁ……なんにせよ。これは君が持つべきだな……」
律「え?」
そういってマツバは律の手に、銀色の羽を握らせた
律「これは私が持つより、マツバさんがもったほうが……」
マツバ「いいや、きっとこれはなにか意味があるんだろう」
それだけを言うと、ミナキの襟を掴み背を向けた
694 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/01(火) 15:15:29.00 ID:c9FsjY4No
マツバ「それと君はジムを巡っているようだね。ジムバッチを見せてもらったよ。
当然オレの元にも挑戦にくるのだろうが……」
律「?」
マツバ「迷いが晴れてから来るがいいさ。今の君と戦っても全力で戦えそうにないしね」
ミナキ「おい、マツバ、引っ張るな。ちょ、おい、歩けるから引っ張るな。おいきいてるのか……」
そして扉の外へと二人の姿が消えた
残されたのは、知らず間にはいた溜息と手のなかに握らされた羽の重みだった
695 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 15:20:31.27 ID:c9FsjY4No
▼
ミナキ「おい、マツバ。あのレディに何をみたんだ?」
マツバ「なにがだ?」
ミナキ「言っていたじゃないか。きっと意味があるんだろう って」
マツバ「あぁ、羽の話か」
ミナキ「千里眼で未来視したんだろ? オレにぐらいその成りえるかも知れない未来ってやつを教えてくれてもい
いんじゃないのか」
マツバ「未来視なんてできるわけないだろう?あんなのが意図的にできるのはもっと修行を積んでからだよ」
ミナキ「なら、なぜあんなことを? あの子がいろいろ背負ってしまって潰されてしまわなければいいが」
696 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 15:25:59.62 ID:c9FsjY4No
マツバ「はは、感かな。なんとなくあの子があれを持っているべきだと思ったんだよ。それに――」
ミナキ「?」
マツバ「潰されないよきっとあの子は」
ミナキ「それも感かね?」
そしてマツバがコクリと頷いた
ミナキ「ははは、お前が感に頼るとはね。これは面白い」
マツバ「まぁ、お前は笑っていられないぞ」
ミナキ「は?」
697 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/01(火) 15:28:36.05 ID:c9FsjY4No
マツバ「なにせ彼女はお前の愛してやまないスイクンに、お前より一歩近い位置にいるわけだ」
ミナキ「!!」
マツバ「……オレの夢が叶う鍵も、お前のスイクンへの道も彼女が鍵になりそうだなぁ」
そして背後に聳え立った2つの塔を見比べた
マツバ「まぁ……それも」
マツバ「感だけど」 ミナキ「感だろ?」
声が重なり、二人は顔を見合わせた
そして町には二人の青年の笑い声が響いた。
698 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/01(火) 15:29:59.73 ID:c9FsjY4No
▼
――コガネシティ
???「ふふふ、買っちゃったね」
そういったのは傍らにハクリューをつれた女の子だ
そしてその手にもつのは、おそらく今、背後にたったコガネデパートで買ったのであろう新品のポケギアだ
???「えっと、これをここにつけて……っと」
「どう、リュー太、似合う?」
ハクリュー「りゅーー!!」
???「えっへん」
ハクリューの反応に満足した少女が、胸を張った
699 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/01(火) 15:35:18.67 ID:c9FsjY4No
???「昨日は疲れちゃったから、そのままこの町に滞在しちゃったけど、今度こそは進まないとね」
「えっと、ジョウトで強いジムの3つは……っとたしかアサギ、チョウジ、フスベだからとりあえず北だね」
買ったばかりのポケギアのマップ機能で場所を確認して
???「さーて、進むよー!!いくよー、リュー太………っと行かないといけないんだけど……」
少女がフラフラととある看板に近づいていく
???「ポケモン美容室だってー、えっと地下通路か〜」
「あ、あっちに地下通路への入り口が〜〜」
そして少女は地下通路のほうへと走っていき、ハクリューがその後を追った
「VS スイクン」 〆
700 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/01(火) 15:35:56.72 ID:c9FsjY4No
相変わらずVSはしていないわけだが……
長いこと間あいてほんとすんませんっしたあ
701 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/01(火) 15:39:37.43 ID:Etv4e7vbo
唯と律が再開した時の反応が楽しみすぎる
702 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/01(火) 16:07:15.61 ID:wN6RC2G10
マジ乙なんですけど〜♪
703 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/01(火) 18:56:57.95 ID:ivflQb1S0
乙乙
ルギアと接触フラグか・・・ダーク化とかしてないだろうな
704 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/01(火) 22:39:29.70 ID:td+32PdAO
乙、待ってました
705 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/01(火) 22:43:43.42 ID:Y/2twH/DO
りっちゃん、ちょっと欝ってる感じなのかこれは
以後も期待してます
706 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/04(金) 10:54:41.63 ID:Tc5JBefJ0
乙
707 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/04(金) 13:06:40.49 ID:Tc5JBefJ0
乙
708 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 18:49:00.88 ID:kyhhjKC8o
――エンジュシティ
ジムの扉の前に少女がいる。
律だ
律がこのジムにきたのは今日で3回目になる
一度目はあの焼けた塔での一件の前。
2度目は昨日だ
目覚めた後、すぐにでもジムに行ってバッチを取ってやると意気込んだものの、ジムの前に来て急に尻込みしてしまった
先日マツバに迷いが晴れたら来い と言われたことが律の心に棘を残していた
自分でもなにかに引っかかっているが、その引っかかっている部分、なにに迷っているのかがわからないのだ
そして、そんなこんなで今日になり、また扉の前で固まっている
709 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 18:50:23.60 ID:kyhhjKC8o
律「……はぁ……」
今日で何度目かになる溜息をつき、また出直すことにした
「こんなところでなにしてはるんどすか?」
言葉と同時に肩にポンと手が乗った
タマオ「キキョウで会ったお嬢さん」
振り返るとそこには、以前会った舞妓さんがいた
タマオ「マツバさんへのジム戦にきはったん?」
律「いや、その……」
居心地の悪さに少しつまった言葉になってしまい
律「……勝負っていう気分じゃないっていうか……あぁ、もう私はなにがしたいんだああ」
710 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 18:55:51.74 ID:kyhhjKC8o
タマオ「なにかお悩みでも?」
その言葉に律がコクリと頷くと、タマオが腕をポンと叩いた
タマオ「……そや!それなら気分転換に自然公園にいってみたらどうやろか? 今日はたしかむしとり大会の日どすから」
タマオが着物の懐に腕をいれ、一枚のビラを取り出し律に手渡した
タマオ「まぁ、気が向きはったら行くといいどす」
そしてニコっと笑うと、そのまま律を通り過ぎ、
律が開くことのできなかったジムの扉を開き中へと入っていった
律「むしとり大会か……」
ビラを眺め、それもいいかも知れないと考える
……なんにせよこのもやもや感が晴れればいいや
711 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 19:01:50.74 ID:kyhhjKC8o
――自然公園(東口ゲート)
律「へぇ、結構参加者っているんだなぁ……」
あたりを見渡すと、老若男女様々だ
そんなことを思っていると、数人並んでいた受付があいた
律「っと、受付はここですか?」
712 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/02/06(日) 19:11:14.64 ID:kyhhjKC8o
係員「はい。こちらに、登録ポケモンとお名前をお書きください」
律「登録ポケモン?」
係員「こちらのイベントははじめてでしょうか? この大会ではムシポケモンを捕まえるために使えるポケモンは一体となっております。
なので、ここにその使用するポケモンをお書きください」
律「あ、はい」
律が係員に渡された紙に必要事項を記入すると
係員「はい、承りました。こちらがコンペボールになります。それでは開始のアナウンスまでおまちください。
なおアナウンスは自然公園内とこの受付の東ゲート、南ゲートだけになりますのでお気をつけください」
713 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 19:15:09.94 ID:kyhhjKC8o
――自然公園
律「さてと、ムシポケモンかぁ……あんまりいい思い出はないんだけどなぁ」
ガーディ「がう」
律の言葉にガーディが喉を鳴らしながら答えた
とくにとあるむしポケモンとは腐れ縁といっていいほど係ってきた
おもにこちらが襲われ、それを追い払うといった形なのだが
律「っと、ここの公園の草むらって結構深いんだよなぁ……」
律の目の前には律の全身すらも隠してしまえそうな草むらがある。
それほど草の密度が高いというわけでもないが、視界を遮るのには充分すぎるぐらいだ
律「さてと、それじゃぁさっそく行ってみますか〜」
そして一人と一匹が緑の中へと消えていった
714 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 19:20:09.26 ID:kyhhjKC8o
▼
緑
時々、草むらに虫取り網がささっているのは、そこに他のトレーナーがいるのだろう
あちこちの草むらからガサゴソという音が聞こえるが、どうも人が出した音らしい
しかし、そのときブンッと言う音が聞こえた
律「うしろからか……!! ガーディ、ダッシュでこの草むらから抜けるぞ」
ガーディ「ガウ!!」
ガサガサという草を薙ぐ音が耳に障るが、気にしてなどいられない
前傾体勢だった姿勢をさらに倒し、草むらを抜けた
高さはあってもあまり広さはない草むらなので、すぐに終わりが来る
そして、草むらを抜けた瞬間クルりと反転した
715 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 19:24:38.88 ID:kyhhjKC8o
律「ははは、ほんと腐れ縁だよ。お前は」
そこにはよく見慣れた姿
先日夢でも見た姿だ
スピアーだ。だが、群れではなく一匹。
珍しいなと思うと同時に
律はこいつに何度襲われたのだろう……と内心思う
716 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 19:31:07.77 ID:kyhhjKC8o
そして
律「お前を倒して調子を取り戻させてもらうぞ」
「先手だ。ガーディ!! ひのこ」
<<どくどくの牙>>
そのとき、律の脳内で嫌な記憶がよみがえる
律「なんだよ……私はもしかしてビビっているのか……」
耳にまとわりついて離れないよみがえる声は先日のものだ
そして脳に焼き付いて離れない光景すらも。
律「……トレーナー相手でもない野生ポケモン相手でもダメなのか……」
己の震えた手を見て、思いが言葉になった
717 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 19:36:31.00 ID:kyhhjKC8o
だがそんな律の思いとは別にして、技は繰り出される
ガーディの口から出た赤の粉がフワリと宙をまい、スピアーに絡まるようにまとわりついた
チリッっという音がかすかだが、律の耳に届く
しかし、次の瞬間。スピアーが消えた
本当に消えたわけではない
律が目で追えなかっただけだ。
炎の攻撃に宙でもがき始めるだろうと思われたスピアーは、一瞬で距離をつめていた
そう、ガーディの真上にだ
718 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 19:40:00.35 ID:kyhhjKC8o
律「……なっ……!? ガーディ、下がれ」
その指示に朱い体が後ろに思い切り飛び退く
だが、スピアーは焦ることなくその上の空にピタリと張り付いたままだ
律「ガーディ、吼えろ!!」
ガーディが真上を向き、大きく喉を鳴らし、声を張り上げるが
そこにスピアーの姿はない
気付けばそのスピアーはガーディの目の前
喉元へと針を向けたまま、止めていた
まるでそれは降伏を忠告する騎士のように
それは野生のスピアーにはあるまじき行動なのだが、律はそんなことに気付ける状態ではなかった
719 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 19:44:27.88 ID:kyhhjKC8o
律「なんだよ、このスピアー……こんなに強い野生のポケモンがいるのかよ」
「それとも……」
脳がその言葉を言うな とストップをかける
やめろ、認めたくないと
だが
律「私がそんなに弱いのかよ……」
自信はあった
律「(今まで4つのジムを勝ってきたんだろ……? それでも私はこんなに弱いのか……)」
どうしてだろう。以前はこんなに怖くなどなかったのに
いつからだろうと自分に問えば、それはあの敗北からだ
720 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 19:49:27.59 ID:kyhhjKC8o
律「……っ、戻れ……あっ!!」カタッ
ボールはガーディを収めることなく、地に落ちた
見れば手がさきほどより震えていた
そして、しびれをきらしたスピアーがガーディを制した逆のほうの腕を振りかぶった
それは誰の目にも見て明らか
とどめだ
律「(やめろ……やめろって……やめろやめろ……もう)」
「やめてくれ」
その叫びと同時にようやく自分がなにが怖いのか理解した
721 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/06(日) 19:49:54.80 ID:kyhhjKC8o
律「(そうか……こいつらが……私についてきてくれたポケモンたちが傷つくのが怖いんだ。私の力不足のせいで負けるのが怖いんだ)」
気付いたと同時
「すとーーっぷ!!ビー太!!」
前方、先ほど自分達が抜けてきた草むらから聞きなれた声が聞こえてきた
うつむいた顔を上げるとそこには懐かしい顔があった
律「……ゆ……い?」
722 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 20:10:38.10 ID:kyhhjKC8o
▼
唯「りっちゃあああああん!!」
駆け寄ってきたと思えば、すぐに抱きつかれた
律「うおっと……唯?なんでここに?」
唯「いやー、それがいろいろありましてねー」
「あ、っと、ごめんね。このこ私のポケモンなんだ」
そういって指差すのはさきほどのスピアーだ
そのスピアーは唯の肩の辺りに羽音を鳴らしながら浮いている
723 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 20:16:00.55 ID:kyhhjKC8o
唯「さっき、バタフリーを捕まえようとしたんだけど、ボールをもたついているうちに超音波をくらっちゃって
……それで混乱してビー太がそのままどこかにいっちゃうし……」
「えっと、大丈夫だった……よね?」
唯が不安げにこちらに尋ねてくるので、こちらとしてもその言葉にあぁ、と返すしかなかった
唯「そっか。よかった。でも、ジョウトっておもしろいねー。昨日も美容院にいって……」
律「ちょっと待った。唯。その前になんでこっちにいるか なんだけど?」
唯の思い出話も少し話も長くなりそうだったので、
唯「うーん、それじゃぁ、あそこのベンチに座って話そう?」
その言葉にも軽くうなずき、同意をすると
唯「ほら、いこう!!」
唯が律の手を引いてベンチへと向かった
724 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 20:24:27.04 ID:kyhhjKC8o
▼
『実はね、私まけちゃったんだ……』
唯の口から出たのはトキワのジムでの敗北のこと、そしてジョウトでもバッチを3つ集めなければならないということだった
律「……そっか」
唯「うん、まったく敵わなかったよ。さすが、りっちゃんたちの町だよ」
律「はっは、すごいだろ!! って、なんでやねん」
唯「あー、りっちゃん、コガネ弁だね!!」
唯がおおっーっと声を上げた
律「まぁ、うちの町は最強のジムリーダーで有名だったからなぁ〜」
律「あれそういえば…? ということは唯はもうバッチ7個はもってるのか」
725 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 20:30:38.72 ID:kyhhjKC8o
唯「うん、そだよ。 あ、りっちゃんは今いくつー?」」
律「私はまだ4つだ……」
唯「おおー、順調だねっ。」
その唯の言葉が胸に刺さった
順調なものか
律「でもさ……私はもう駄目かもしれない。……唯と澪との約束もさ……」
唯「……どうしたのりっちゃん?」
すると律は一呼吸入れ
律「なぁ、唯。唯はさ、ロケット団と闘ったんだろ?」
726 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 20:35:18.00 ID:kyhhjKC8o
唯「!!……なんでりっちゃん知ってるの?」
律「はは……やっぱり唯だったのか。あの男が言ってたのは」
唯「……まさか、りっちゃんも闘ったの?」
律「あぁ………でも結果は惨敗だったよ。ヒーローごっこの果てがコレだよ」
「なぁ、唯?唯は怖くなかったのか。私は今でも思い出すと手が震えるんだ……」
唯ねぇ、「りっちゃん……」
「私も怖かったよ……でもさ、私が旅にでた理由はポケモンバトルにもトレーナーにも憧れたっていうのもあるけどさ、始めに憧れたのはりっちゃんだったんだよ」
律「――」
唯「だって、りっちゃんは私達のヒーローだったんだよ。
澪ちゃんや私がポケモンに襲われたときもりっちゃんとガーディがすっとんできてさ、守ってくれるんだ。
それでありがとうって言ったら、りっちゃんは照れながら笑うんだ。」
727 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 20:39:16.90 ID:kyhhjKC8o
それは幼い頃の記憶
……そうだ、そこにはじまりがあったんだ。自分も。
……あの時、シルバーを助けたのも間違いじゃない。だってあいつはありがとうって言ってたから
……いつだって、その言葉が嬉しかったんだ
唯「だから、わたしも誰かを守れるようになりたいなぁ ってきっと思ってたんだよ。だから怖くても、それでもここまでこれたんだ」
「だからこれだけは知っててほしいなぁ。」
「――始まりはりっちゃんだったことを。ね?」
728 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 20:44:38.80 ID:kyhhjKC8o
律「………ははははは、あはははは」
唯「りっちゃん?」
唯が首を傾げるが、律は笑い続ける
律「唯には敵わないな。ほんとに。そこまで言われたらもう一回立ち上がろうって気になっちゃうじゃないか」
「まだ自分は強くなれる。まだもっと大きなものを守れるようになるんだって」
「なぁ?唯。最後に聞いていいか?」
唯「?」
律「私は、そのときの私はかっこよかったか?」
すると唯が楽しそうに笑った
729 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 20:52:48.03 ID:kyhhjKC8o
唯「うん!! それにね」
律「?」
唯「りっちゃんにナーバスな雰囲気は似合わないよ」
律「なんだと、こんにゃろー!!」ゴンッ
唯「あいたっー!!」
握った拳が震えることはもうなかった
730 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 20:55:27.98 ID:kyhhjKC8o
▼
律と唯の腕にまいたポケギアがもうすぐ18時をさそうとしていたころ、
2人はもう一度草むらのなかにいた
律「さてと、むしとり大会もあと5分か」
唯「あっちゃー、もうそんな時間だったんだねー」
律と共に歩いていくのは唯だ
律「唯は捕まえに行かなくていいのか?」
唯「うーんとね、よく考えたら私、野生のポケモンって普通にゲットしたことないなぁと思って」
「というか、ゲットできない……ボールが当たらない……」
731 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 21:03:06.53 ID:kyhhjKC8o
律「なんだそりゃ。今までどうやってきたんだよ」
唯「うーん、みんななんか気付いたら仲良くなっちゃって」
律「………ボールいらなくね?」
唯「いや、お家になるんだから、そのためにはいるよ〜」
律「うん、どこか唯はおかしい」
唯「えぇ〜、そんなことな………りっちゃん!!」
律「あぁ、私にも聞こえた。ガーディ、警戒しろ。このさきにきっといるぞ」
ガーディ「クゥン!!」
732 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 21:05:07.20 ID:kyhhjKC8o
――シュン
そのとき、律の目前の草むらが横一文字に斬れた
そしてそこには刈り取られた草。
サークル上の小さな広場ができていた
律「あれは……ストライク!!」
No.123 ストライク
すばやい うごきが じまん。
あいては たおされたことにすら
きづかないほど はやく うごける。
733 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 21:09:42.63 ID:kyhhjKC8o
律「いまさっきのは、しんくう波か!!」
唯「まって、りっちゃん。あっちにも大きいのがいるよ!!」
ストライクと向かいあうようにいたのは、大きなはさみを持ったクワガタのようなモンスターだ
No.127カイロス
ツノに はさんでも ちぎれない
ばあいは はさんだまま ふりまわし
なげとばす せんぽうを つかう。
律「よっし、2匹いっぺんにいっちゃる」
唯「おー」
ぱちぱちと拍手をする唯を、手で後ろへと制し
734 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 21:16:08.38 ID:kyhhjKC8o
律「よっし、まずはガーディ吼えろ!!」
ガーディ「――!!」
にらみ合った2匹に向かって吠えたことで、2匹の視線がガーディを捉えた
唯「くるよ!!」
律「あぁ」
始めにきたのカイロスだった。ガーディよりもはるかにでかい巨体がはさみを開いて突進してきた
律「ガーディ、もぐりこんでとっしんだ!!」
横へと倒した大きく開いたハサミの下
そこへともぐりこんだガーディが真下からカイロスへとぶちあたり、吹き飛ばした
735 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 21:19:34.36 ID:kyhhjKC8o
だが、
律「まずい!!ガーディ後ろにジャンプだ」
ガーディが後ろにさっと下がった
さきほどガーディがいた位置には、うっすらと透ける綺麗な鎌がある
律「ストライクか……でも、速さはつくしのほうが早かったな」
律「さぁ、炎の牙でその鎌をボロボロにしてやれ」
退いたガーディが今度はさっと前へと跳躍した
噛み付く先は、その地面に刺さった鎌
ガーディ「グルル!!」
熱を帯びた牙は、その刃を焦がし、やがて炎がともったが
ストライクが一振りしただけで鎮火してしまった
736 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 21:25:50.30 ID:kyhhjKC8o
そして
律「次は2匹いっぺんにってわけね……」
吹き飛ばしたカイロスが、再びガーディに襲い掛かろうとし、ストライクがもう一度飛び掛ろうと前傾姿勢をとった
律「2匹の周りを走れ!!ガーディ」
挟むようにジリっと距離をつめてきた2匹の周りを円を描くように駆け抜け
律「――かえんぐるま!!」
その軌道上に炎が灯った
そのうえここは草むら地帯だ
炎は勢いを増し、2匹の囲いながら渦をつくった
律「いまだな。これをっと」
取り出すのは受付でもらったコンペボールだ
737 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 21:29:44.68 ID:kyhhjKC8o
▼
――36番道路
唯「あ〜あ、優勝できなかったね」
そうぼやいたのは、不満たらたらの唯だ
律「しょうがないさ。タイムアップだったんだから」
唯「うーん、それでも絶対りっちゃんのほうがあの優勝してた人のポケモンよりすごかったよ」
律「まっ、それでもポケモンはもらえたんだから良しとしよう」
そういってコンペボールをのぞきこみ
律「なぁ?ストライク」
738 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 21:36:42.53 ID:kyhhjKC8o
ボールの中に入っているストライクへと話しかけると
――カタカタ
返事をするかのように、反応があった
律「で、唯は私と一緒に来ていいのか? 飛行手段があって目的のジムへはひとっとびでいけるんだろ?」
唯「うん、でも……ロケット団のこともあるしね……」
律「……そう……だな」
唯「それに、りっちゃんって意外と寂しがりでしょー」
「だから、私が……」
律「はいはい、わかったわかった」
唯「ぶぅ〜、りっちゃんノリわる〜い」
739 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 21:40:51.34 ID:kyhhjKC8o
北には初めに来たときと同じように塔が見える
唯はその塔を見て、うわぁ〜と子供のように走っていった
そして律は
律「もう大丈夫さ」
呟きの言葉と共に、手のひらに4つのモンスターボールをとりだした
……大丈夫、もう震えることはない。
……怖さも、胸を刺す痛みもまだ消えることは無いけど
律「――強くなろうな」
740 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 21:45:07.22 ID:kyhhjKC8o
すると、一斉に手のひらのボールたちが震えを返した
唯「おーい、りっちゃんはやくはやくー」
遠くからは唯が呼ぶ声がする
見れば、こちらに手を振っている
律「すぐに追いつくから待ってろよー」
「VSカイロス」 〆
741 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 21:46:16.57 ID:kyhhjKC8o
それにしてもこれスピアーさん出すぎだな。
律っちゃんに入ってから、脅威のスピアーさん率
742 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/06(日) 21:49:54.33 ID:+xLfaJOE0
真下がガラ空きだ!
乙
743 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 22:29:14.02 ID:p5beiVYAO
乙
744 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/07(月) 01:52:37.08 ID:h1llIaKO0
>>1
乙
ストライクか、いいポケモンだ
745 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/08(火) 01:40:22.12 ID:u4RA81aAO
カイロス「俺…は?」
ビー太「ごめんな、虫枠はもう埋まってるんだよ」
746 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/11(金) 21:09:51.93 ID:ZCuFqbMyo
――エンジュシティ(ポケモンセンター前)
律「さてと、それじゃあジムに挑戦してきますか〜」
唯「うん、りっちゃん頑張ってね」
唯が胸の前で小さく手を振った
律「唯はその間、この町の観光だっけ?」
唯「うん、そうしようと思ってるよ。あ、りっちゃん、ジム戦が終わったらここに集合ね?」
律「あぁ、それはいいんだが。たぶんスズの塔はここのバッチを持っていないと入れてくれないぞ?
だから見るならカネの……焼けた塔ぐらいしか……」
唯「えー、ということはあっちの高い塔は入れない?」
747 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 21:16:07.59 ID:ZCuFqbMyo
指指した先にはまさしくスズの塔があり
律「まっ、そういうことだな。あっちの焼けた塔なら入れるからそっちにしときなさい」
ふとそこで一つ注意しておくことを思い出した
律「……穴には落ちるなよ」
唯「?」
そして唯は街中を走り出す
だが少し距離をあけたところで、くるりと振り返り
唯「りっちゃーん、約束は健在だからねー。お互い8つ集めたときは勝負しようねー!!」
律は顔に少し嬉しそうな苦笑を浮かべた。
律「……ほんと唯には救われるよ」
誰にも聞こえないように呟くと、律も唯を見送ったほうに背を向けた
748 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 21:20:36.79 ID:ZCuFqbMyo
▼
場所はエンジュジムの前
もう一度律は深く息を吸い込み、吐き出した
そして強く頷くと、エンジュジムのドアへと手をかけた
……大丈夫
そして扉を大きく開き
律「たのもー!!」
声を張り上げた
749 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 21:25:48.95 ID:ZCuFqbMyo
――エンジュジム
マツバ「きたか……」
そこには、先日あったバンダナの青年、マツバがいた
マツバ「……ふむ、どうやら。なにかふっきれたようだね」
「いいだろう、やろうかジム戦を」
律「よろしくお願いします」
マツバ「さっそくオレが相手になろう。使用ポケモンはそうだな……」
律「1匹だけの勝負でお願いします!!」
その言葉にマツバが眉を顰めた
750 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 21:32:19.77 ID:ZCuFqbMyo
マツバ「オレはいいんだが、君はそれでいいのか?」
律「ハイ。私はこの先日捕まえたストライクだけで行きます」
マツバ「……いいのかい?出すポケモンまで教えてしまって」
律「はい、こちらの条件を飲んでもらった対価だと思ってもらってかまわないです」
「それに、私はこれで勝ってこそなにかを取り戻せる気がするんです」
「だから……」
マツバ「そうか。余裕といったわけでもなく、それなりの覚悟があってきたわけかい。いいだろう、それでやろう」
「ただし、それで勝てるかどうかは別問題だ」
751 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/11(金) 21:37:35.67 ID:ZCuFqbMyo
▼
マツバ「悪いが、オレのポケモンは君のストライクにとって最悪といっていいポケモンだ」
「さぁ、いこうかゲンガー!!」ボンッ
黒くガス状のずんぐりとした人影。それは以前みたことあるモンスターだ
律「いけっ、ストライク!!」ボンッ
一方律のボールからでたのは、鋭い刃を携えたカマキリのポケモン
両手の刃をサッっと一度振ると、身構え
律「でんこうせっか!!」
走った
だが、それはどちらかというと宙を滑るように見える
体はぶれず、平行に移動していく。
752 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 21:38:42.33 ID:ZCuFqbMyo
マツバ「無駄だ」
その言葉と共に、ゲンガーはただ笑う
そしてストライクがゲンガーに直撃しようとしたとき、
その体を通過した
ストライク「――!!」
マツバ「ゴーストタイプにノーマルタイプの技はきかない!!」
透き通った体を貫通したストライクの背後で再びゲンガーが笑う
そして、その背中目掛けて
マツバ「ジャドーボール!!」
放たれ
黒の塊が不意のストライクの背中を襲い、直撃した
753 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 21:41:55.71 ID:ZCuFqbMyo
律「ストライク!!」
ゲンガーの攻撃に前方に吹き飛ばされたストライクだが
ストライク「ストッ!!」
くるりと回り着地した。
マツバ「まだだゲンガー、追撃のヘドロ爆弾!!」
今度はストライクの着地したところを狙って、ヘドロの塊が飛来した
754 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 21:44:24.37 ID:ZCuFqbMyo
律「高速移動!!」
だが、投げられたそれはストライクに当たることはなく、
マツバ「速いなっ!!」
高速で地を滑ったストライクは、気付けば再びゲンガーの目の前にいた
律「シザークロス!!」
その鎌がキラリッと光り
――スッ
影を真っ二つに裂いた
だが
律「やっぱり、駄目か」
斜めに一閃されたゲンガーの体が繋がり、また怪しく笑い始めた
755 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 21:48:42.12 ID:ZCuFqbMyo
マツバが‘最悪’と言った理由はここにあった
ストライクの主力といえる虫タイプの攻撃はほとんどきかず、ノーマルタイプの攻撃にいたっては当たらない
その上ゲンガーは虫タイプに有利な毒タイプの攻撃ももっている
そのことを指した上でのさきほどの言葉だった
律「なら、攻め方を変えるか……それにゲンガーなら……」
すると律がふっと笑った
マツバ「……」
そのことにマツバは少しの危うさを感じていた
あからさまに不利といえる状況であのように笑えるのは、無謀な馬鹿かそれとも……
756 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 21:49:21.89 ID:ZCuFqbMyo
マツバ「ゲンガー、シャドーボールだ!!」
至近距離からの大きな黒い一撃がゲンガーの手のひらから放たれた
だが、ストライクは後ろに大きく跳び、着地すると
律「ストライク、今は避けることに専念しろ!!高速移動!!」
シャドーボールが移動するストライクを目掛けるが
寸でその姿を消し、少し離れた地点でまた姿を現す
そしてそこへと再びゲンガーがシャドーボールを放つと
また姿を消し、今度はゲンガーの目の前に現れ
また消える。
それはゲンガーの目には挑発されているようにうつり
だんだんとゲンガーの焦れったさも目に取れるようになってくる
マツバ「(……うーん、向こうの決定打がないとは言え、長引かせるのも良くないか……)」
そしてマツバが指をパチっとならした
757 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 21:53:38.28 ID:ZCuFqbMyo
▼
それは合図だった
マツバ「ゲンガー、ナイトヘッド!!」
赤いゲンガーの目が、妖しくも眩く光り
ストライクの周りの空間が締め付けられたようにゆがんだ
律「っ!!ストライク大丈夫か!!」
その言葉にストライクはコクっとうなずきゲンガーのいた方をみると
そこにゲンガーの姿はなかった
758 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 21:55:41.38 ID:ZCuFqbMyo
マツバ「さぁ、ここからがゲンガーの本領だ!!」
律「まずっ!!――ストライク、しt……!!」
だが、その言葉は遅かった
マツバ「シャドーパンチ!!」
――ドンッ
衝撃と共にストライクが感じたのは驚きだった
その攻撃は真下
地面からアッパーのように打ちだされたからだ
そして吹き飛ばされながらストライクはゲンガーを見る
ストライクの影にまどろむように溶ける紫の影を
759 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 21:58:12.07 ID:ZCuFqbMyo
律「ストライク、体勢を立て直せ!!」
指示にしたがい、くるりと宙返りをしきれいに着地した
律「ストライク、もう少し我慢してくれ!!絶対に……絶対にお前を勝たせてやる!!」
マツバ「(ほぅ……)」
律の目を見てマツバは思う
……あぁ、やはり待ってよかった と
760 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/11(金) 22:00:32.91 ID:ZCuFqbMyo
▼
マツバ「もう一度お見舞いしてやれ、シャドーパンチ!!」
ストライクの真下からぬっと伸びてくる腕が来る前に
律「飛び上がれ、つるぎのまい!!」
ストライクの体が宙にふわりと飛び上がった
パンチに打たれたからではない、自ら飛び上がったのだ
当然ゲンガーのシャドーパンチは空振りとなるが、
マツバ「避けるだけでは勝てない!!」
もう一度影に潜った
そしてふらりと体を揺らしながら舞うストライクの体をもう一度パンチしようとするが
そのたびにストライクは空中に飛び上がり、綺麗な着地をきめる
幾順かのループだ
761 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 22:03:45.99 ID:ZCuFqbMyo
地で舞をおどりながらも、攻撃が来ると宙へと逃げる。だが、紫の影も攻撃が終わると影へと逃げる
その一連の攻防自体がまるで舞の一部のようだ
だが、あるときマツバが笑った
丁度ストライクが空中で着地の体勢に入ったときだ
マツバ「君には今ゲンガーがどこにいるかわかるかい?」
不意に飛んできた言葉に律は驚きながらも
律「どこって、影の中だろ?」
マツバ「そうだよ、影の中さ。それは間違いないさ。でも!!」
そしてストライクが律の目の前で着地した
762 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 22:07:04.23 ID:ZCuFqbMyo
マツバ「さぁゲンガー、シャドーパンチ!!」
攻撃の支持にストライクが再び飛び上がった
だが、さきほどのように真下から来ると思われた攻撃はストライクの真後ろから叩きつけるようにきた
律「――!!」
そう今飛び出したのは、ストライクの真後ろ
律「私の影か!!」
763 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 22:10:11.30 ID:ZCuFqbMyo
▼
律は宙を舞うストライクを見て思う
……よしっ!!狙い通りだ
律はゲンガーが影に潜ることができるのを知っていた
それはかつてのシルバーとの共闘したときに見た能力だったからだ
そして、シャドーパンチ
遠距離攻撃のシャドーボールから近距離攻撃のシャドーパンチに変わることも待っていた
そのために最初の挑発するかのノーマル攻撃や虫タイプの攻撃からの回避行動だった
こうすれば、焦れて接近戦に持ち込んでくるだろうとふんでいた
……そろそろだ
764 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 22:13:19.68 ID:ZCuFqbMyo
だが、そう思ったとき不意に言葉が来た
丁度ストライクが宙へと跳んだときだ
マツバ「君には今ゲンガーがどこにいるかわかるかい?」
その言葉に疑問を持ちながらも
律「どこって、影の中だろ?」
そう当たり前のように答えた
だが、そのときマツバが楽しそうに笑った。
マツバ「そうだよ、影の中さ。それは間違いないさ。でも!!」
そしてまずいと悟る
なにか来る とも
765 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 22:16:53.64 ID:ZCuFqbMyo
しかし
マツバ「さぁゲンガー、シャドーパンチ!!」
さきほどと変わらない指示に一瞬だがほっとした
なぜならストライクは完全にゲンガーが飛び出してくるタイミングを掴んでいたからだ
だが、それがいけなかった
変わらぬ指示に安堵している場合ではなかった。
変わっていたのは
ゲンガーの潜んだ場所のほうだった
766 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 22:19:12.67 ID:ZCuFqbMyo
律「私の影か!!」
自分の影から飛び出したゲンガーはストライクの飛び上がった瞬間に飛び出し
上から叩きつけるように殴りつけた
……やられたっ!!
律「すまない、ストライク!!今のは私のミスだ」
「まだいけるか!?」
叩きつけられたストライクが、ゆっくりと起き上がると
再びその刃を構えた。それは肯定の意思
律「そうか。なら――――そろそろ勝とう」
告げた瞬間ストライクが、走り出した
767 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/11(金) 22:22:10.65 ID:ZCuFqbMyo
律「高速移動」
そのスピードは一度目にみせたスピードよりかは劣っている
マツバ「……さっきのシャドーパンチがきいたようだな。それではもう長くは避け続けれないだろう」
「ゲンガー、シャドークローでとどめだ!!」
影に潜むゲンガーにとってストライクの地上を走るスピードはほとんど関係がない
影はどこにいてもストライクについてまわるからだ。
それでもスピードを上げるのは、己を奮い立たせるためか
そして、攻撃が来る
走るストライクの影から、ぬっと手が伸びた
影の手は握りこぶしではなく、鋭利な3つに割れた爪の形をしている
768 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 22:25:16.59 ID:ZCuFqbMyo
律「ストライク!!」
掛け声と共にストライクが飛び上がった
だが
マツバ「ゲンガー!!あわせて飛び出せ!!この一撃で終わらせるぞ!!」
飛び上がったストライクを追うように、ゲンガーが影から飛び出し
ストライクの後を追った
律「――きたな」
ストライクの跳躍が最高点に達したとき、くるりと宙がえりをする
今まではそのまま着地に入るための一回点のジャンプだった
769 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 22:27:54.04 ID:ZCuFqbMyo
しかし今度は
マツバ「半回転!! 迎え撃つ気かっ!!」
頭を地へと向けた状態で、落ちる
その先には飛び上がったゲンガーの姿がある
そしてゲンガーが爪を振りかぶったとき
律「――つじきり!!」
落下のスピードと共にまっすぐに刃を振り下ろした
ゲンガー「!?」
物理攻撃の態勢をとっていたゲンガーは今、質量を持っている
だから、律はこの物理攻撃をしかけてくる瞬間を狙っていた
――スパッ
空中で影が真っ二つに割れる
770 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/11(金) 22:30:31.70 ID:ZCuFqbMyo
そして
ストライクが着地した
空中で二つにわれたガスは2つから1つに合わさり、ゲンガーの形をつくる
だが
そのまま落下し、地へとひれ伏した
みれば、ゲンガーが戦闘不能なのは明らかだ
マツバ「……オレの負けか」
マツバはボールにゲンガーを戻し、律へと歩み寄ろうとしたとき
律が言葉を放った
771 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 22:33:55.83 ID:ZCuFqbMyo
律「マツバさん……次のポケモンをお願いします」
はじめの勝利の条件。1対1の勝負。だが、今自分は次のポケモンを待っている
これは自惚れだ。それは分かっている。だが
律「今、私はもっと強くなれる気がする――だから」
マツバはさきほどからこちらをじっと見ている
それでなにか伝わるのならばそれでいいとも思う
マツバ「……いいだろう。ならばそれに答えよう」
「いこうか――ゲンガー!!」
そしてマツバは2匹目のゲンガーを繰り出した
772 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 22:37:37.10 ID:ZCuFqbMyo
▼
――エンジュジム
広いジムの中央に座り込んだ青年がいる
そしてその青年に近づく影も
ミナキ「負けたのか……マツバ」
マツバ「あぁ……」
ミナキ「それにしてもこっぴどくやられたな」
マツバ「みてたのか」
ミナキ「それでどうだった」
マツバ「………」
なにも答えないマツバにミナキがやれやれといった風に手で動作を行った
773 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 22:39:20.25 ID:ZCuFqbMyo
そこへポツリと
マツバ「いや、本当に驚いた」
ミナキ「……ん?」
マツバ「彼女だよ」
そしてマツバが地面に手をつき、ゆっくりと立ち上がると
マツバ「彼女は結局オレのポケモン3体を1匹だけで倒していったよ」
ミナキ「ほぅ……」
マツバ「それにしても後半は凄かった……まさに怒涛だ。あと一発食らわせることができればあのストライクは戦闘不能だった。だが……それができなかった」
マツバのゆったりとした口調は続く
774 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 22:41:59.76 ID:ZCuFqbMyo
マツバ「後半になるたびに、強くなるんだ……あれはノリ始めると止められないタイプだ」
ミナキ「……とんでもない才能だな。迷いとやらはなくなったのかな」
マツバ「あぁ、もうその心配はいらなさそうだ。それになミナキ」
まだなにかあるのか といったミナキにさらにマツバが
マツバ「彼女のそのストライクは先日捕まえた と言っていたんだ」
ミナキ「なにっ!?……つまりは」
マツバ「あぁ……そういうことだ」
ミナキの背中に底知れないなにかが走った
これが鳥肌だと気付いたのはそれからしばらく言葉を失ったあと
775 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 22:42:38.68 ID:ZCuFqbMyo
マツバ「本当に……さすがスイクンたちに選ばれただけはあるよ」
ミナキ「あぁ……そうだな……って待て、あれは単なる仮説だろ。それになスイクンはこの私が捕まえるのであってな……」
ミナキの言葉は続くが、マツバの意識はすでに別のところだ
マツバ「(もう迷うことはないだろうな)」
思いながら見た方向には窓がある
そしてその先には
うれしそうに歩くカチューシャの少女がいた
「VS ゲンガー(2)」
776 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 22:46:51.06 ID:rDp4pKFAO
〆忘れてる気がするが乙
ゲンガーもストライクもかっこいいお
777 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 22:47:35.49 ID:ZCuFqbMyo
とうとうやっちまった……
後先考えなずに、モンスター出すからこうなる……(2)てなんだよ……
>>745
本当はカイロスにしようかと思ったんだ。今回もかたやぶりじしんとかでゲンガー倒すとかにしようとも思っていたんだ……
でも、どうしてもストライクが書きたかった
ポケスペでも好きなシーンが無人発電所でのストライクVSゲンガーのシーンで、
そこが好き過ぎたせいで、どうしてもやってみたかったんだ……
>>776
ほんとだ。〆忘れた。
指摘ありがとう!
778 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/11(金) 22:48:32.58 ID:ZNfCVzMC0
うんうん
乙
779 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 23:17:44.69 ID:FNfegsxe0
乙
ストライクはイケメンポケモン。ハッサムもいいが、やっぱストライクのほうがかっこいい
そしてマツバェ・・・ノーマルタイプで完封できるゲンガーの次は、二刀流ゲンガー・・・
780 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/12(土) 10:55:41.27 ID:CUEujUfAO
乙、りっちゃんスランプ脱出?おめでとう
781 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/12(土) 21:51:56.64 ID:j/wN5msAO
>>779
技は演出上しょうがない部分もあると思う
10まんボルトでいきなり倒されちゃ面白くないだろ?
782 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/12(土) 21:53:23.60 ID:j/wN5msAO
うっわsage忘れた
申し訳ない…
783 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 18:43:34.20 ID:ngO9lUTIO
話の流れ的にはどうでもいい突っ込みなんだが
虫タイプに毒タイプの技が抜群なのは初代だけで金銀から密かに等倍に修正されている
重箱の隅を突くような細かいことでスマン
784 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/14(月) 22:05:14.92 ID:J7M/53ta0
ツッコんだら負け
785 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/18(金) 22:35:22.50 ID:c6+ZnX50o
>>783
すまん、言われるまで虫タイプには毒タイプは抜群だとずっと思ってた
言われなかったから気付かないままでいたから、正直そういう指摘はありがたいっす
786 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 22:37:25.25 ID:c6+ZnX50o
――ポケモンセンター前
太陽が傾き始めた
遅い、そう律が呟いたのももう何度目になるのだろうか
律「唯のやつ、なにやってるんだ……?」
やけた塔を見るくらいしかないのだから、そんなに時間がかかるわけはない
ということは
律「どこで寄り道してるんだよ……」
はぁ、と溜息を吐くと律は歩きはじめ
律「まぁ、唯のことだから大丈夫だろうとおもうけど……」
787 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 22:40:09.77 ID:c6+ZnX50o
▼
――歌舞練場前
律がそこの前をとおりすぎたとき、見知った後ろ姿があった
なにやら窓から中の様子をのぞいているようだ
……やっぱり寄り道か
律「おい、覗きは犯罪だぞ」
後ろから声をかけると、さっと唯は振り返り
唯「あ〜、りっちゃん別に覗きじゃないよ〜」
律「いや、どうみても覗きにしか見えないぞ」
「それより、ポケモンセンター前に集合はどうし……た……って、なにを見てたんだ?」
そういいながら律も唯の覗いていた窓を横から顔をだして覗こうとする
788 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:03:39.76 ID:c6+ZnX50o
すると
唯「あああ、りっちゃん今は駄目ー!!」
律「いやだって気になるじゃ………えっ?」
そこには1人の男と数人の女がいる
数人の女性は、華やかな着物にその身を包んでいることなどから舞妓なのだろう
そこには知った顔もある
律「……あの人は……」
数ええてみれば5人の舞妓が一箇所に集められて、縄で動けないように縛られていた
その周りにはドガースが漂っている。
そして、一人の男だ
見れば、男は捕らえられた5人に対してなにかを聴いているようだ
789 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:05:47.28 ID:c6+ZnX50o
あまり穏やかといった様子ではない
さらにその男は律と唯にとって忘れるはずもない
律「またロケット団か……」
すると、しばられていた舞妓と窓越しに目があった
律「タマオさん……か」
そして一度、窓の下にかがみこむと
唯「どうやって助けるかを迷ってたんだけど……」
唯が小さく呟いた
律はもう一度窓を覗き込み
律「(人数は一人か……問題はあっちのドガースだな)」
フラフラと舞妓の周りを回るドガースが厄介な問題となっていた
下手になにかすると、危害加えられるかもしれないからだ
790 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:08:15.39 ID:c6+ZnX50o
それに
律「(こんなとこで大爆発なんてされたら……)」
考えただけでぞっとする
となると
律「唯、ちょっといいか?」
そういうと、唯の耳にヒソヒソとなにかを告げた
791 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:11:23.45 ID:c6+ZnX50o
▼
律は扉の前に佇んでいた
そして深呼吸一回
音も立てずにゆっくりとノブを捻る
だが当然のごとく鍵は掛かっていた
分かっていたことだが、さすがにあまり荒いことはしないほうがいいだろうとおもっていた
しかしそう都合よくいくはずもなく
――もう一度呼吸を整えた
そして
――ドンッ
扉を蹴破った
792 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/18(金) 23:14:11.53 ID:c6+ZnX50o
▼
目の前にひろがる光景はさきほど窓から見た光景とそれほど変わらない
あえて変わったことといえば、さきほどまで5人に対して屈み込んでいたロケット団が驚いた顔でこちらを見ていた
ことだ
ただそこまでの10m。
その直線を思い切り走る。
ただ、相手に考えさせる時間を与えないように
額に緊張を伴った嫌な汗が流れるが、速度のままに流されていく
律「(まずは安全第一……っと)」
ロケット団下っ端「なっ……!! お前は……」
立ち上がり振り返ったロケット団がなにかいいたげだが、気にせずその距離を縮めていく
見れば、捕らえられた舞妓さんもこちらを見て驚いた顔をしている
793 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:17:08.91 ID:c6+ZnX50o
そして
腰のボールに手を伸ばした
投げる先は、漂うドガースの真下
ボンッという音ともにそれが飛び出した
律「イーブイ!! 真下からとっしんだ!!」
下からの衝撃に耐え切れずドガースが天井へと吹き飛ばされる
律「イーブイ、次はそっちだ」
指差した先にはロケット団がいる
着地したイーブイが、そのまま団員に向かって走り出した
794 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:20:14.15 ID:c6+ZnX50o
ロケット団下っ端「くそっ、なんだってこんな……」
男がそのまま3歩バックステップする形で下がる
そしてそのまま走ってきた律とすれ違う形になった
位置が入れ替わった
今では律が舞妓が捕まっていた近くのポジションにいた
律「(とりあえず、安全面はこれでなんとかなるかな……)」
タマオ「あらっ……あなたは……」
すると後ろからのんきな声が聞こえた
これまで何度か会ってきたタマオだ
だが、律はそれに答えず、手をかざすことでその言葉に静止をかけた
向き合った男が逃げる気配もないからだ
795 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:23:24.39 ID:c6+ZnX50o
律「……ったく、ここで逃げてくれたほうが楽なんだけどな」
下っ端「……お前は誰だ? 邪魔をするな!!」
男が激昂する
律「見ちゃったからには……っとそういうわけにもいかなくてね」
男が新たなボールに手をかけた
律「イーブイっ!!来るぞ!!」
796 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:25:47.85 ID:c6+ZnX50o
▼
男は今日も楽な任務だと思っていた
自分の上にいるものから、任されたものはあるものをこの歌舞練場から奪ってくることだけだった
あらゆる犯罪行為にも手を染めているロケット団で、たかが盗みなど楽に部類に入る
さらに盗む相手はポケモンバトルのエキスパートというわけでもなく舞妓だ。
たしかに自分にはそれほどの強さがあるわけではないが、この程度は楽勝だと思っていた
だが、男は念を入れ稽古中を狙い、強盗に入ることにした
稽古中ならば、人もいないだろうし、手持ちのポケモンを持っていないだろうと考えたからだ
そしてそれは予想通りだった
そこへ入ったとき、ポケモンを出して脅せばすぐに、舞妓たちは諦めたのか抵抗することなく縄についた
797 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/18(金) 23:29:56.16 ID:c6+ZnX50o
だが、そこからが問題だった
この歌舞練場を物色するも、目的のものは見つからず
脅しの色を込めながら、一度持ち主の本人達に尋ねてみることにした
――そんなものは知りやしません
長女と思われる舞妓がたった一言それだけを告げた
それ以降はだんまりだ
そして、どうしようかと思った時、その音が響いた
ドアを蹴破る音だ
振り向けば、そこに一人の少女がいる
いや、いた といったほうが正しいのかもしれない。少女は常に移動し続けているのだから
こちらへと一直線に
798 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:32:06.64 ID:c6+ZnX50o
……だれだ?
はじめに来た疑問はそれだった
だから
下っ端「なっ……!?お前は……」
だれだ?と続けようとしたが、その言葉を言い切ることはない
少女が次の行動にでたからだ
少女の手にはモンスターボール。そしてそれをそのまま放り投げた
そして
「イーブイ!! 真下からとっしんだ!!」
799 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:35:28.83 ID:c6+ZnX50o
ボールから飛び出したポケモンは自分のドガースを吹き飛ばすと
今度は
「イーブイ、次はそっちだ」
少女がこちらを走りながら指した
……まずい、くるか
そう思い、イーブイから距離を取るために後ろへとステップした
そのとき、こちらへとまっすぐ走ってくる少女とすれ違いざまに目が合った
少女はニヤリッと笑っていた
そして気付いた
……しまったっ! 人質が
だが、もう遅い
すでに人質と自分の間には少女が割って入ってしまった
800 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:38:02.28 ID:c6+ZnX50o
こちらへと攻撃しようとしたイーブイは、こちらが数歩下がると少女の下へと下がる
まるで、最初からそれが目的だというように
「……ったく、ここで逃げてくれたほうが楽なんだけどな」
少女がポツリと呟きを残した
……っく
そういうわけにもいかない。こちらもまだ目的を果たしたわけではない
だから
少しでも思考時間を取るために
801 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:41:05.90 ID:c6+ZnX50o
「……お前は誰だ? 邪魔をするな!!」
意味のない言葉を告げた
答えなど求めたわけではない
すると少女は言う
「見ちゃったからには……っとそういうわけにもいかなくてね」
その言葉を聞き届けたあと、ゆっくりとボールに手をのばした
律「イーブイっ!!来るぞ!!」
………たかが鈴の奪取でこれほど苦労するとは
頭にそんな言葉が浮かんだが、言わずボールを放り投げた
802 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:44:36.02 ID:c6+ZnX50o
▼
律「(やっぱり、ドガース一体だけってことはないよな)」
相手から出された犬のようなポケモンを見て思う
律のガーディとはまた違った犬のポケモンだ
その体色は黒
どこか野犬を彷彿させる
律「あれは……」
No.228 デルビル
なかまに れんらく するときと
えものを おいつめるときでは
なきごえの しゅるいが ちがうのだ。
803 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:47:18.32 ID:c6+ZnX50o
律「(デルビルか……仲間を呼ばれるのはやっかいだなぁ……)」
「(まぁ、こっちも保険はとってあるから大丈夫かな)」
そんなことを思っていると、もう一度後ろから声が掛かった
タマオ「ちょいとお嬢さん」
捕らえられた状況だというのに、のんびりとした声で律を呼んだ
律がふりむくと
タマオ「この縄を解いてもらえませんか? さすがにお客さんに相手させるわけには行きまへん」
???「おねえちゃん!?」
おそらく妹なのだろう。一緒に捕まっていたマイコが驚いた声を出した
804 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:50:10.43 ID:c6+ZnX50o
律「でも……」
下っ端「なにをごちゃごちゃいっている! デルビル、かみつけ」
黒の猛犬がイーブイに襲い掛かった
イーブイは噛み付かれながらも、その場に踏みとどまるが
やはり、指示なしには力も出し切れず、押されてしまう
タマオ「お嬢さん!!」
律「あぁ、もう!! わかったよ。 イーブイ、じたばたでデルビルを吹き飛ばせ!!」
体を大きく振るわせ、噛み付いていたデルビルを壁まで吹き飛ばした
そして
律「振りほどいたらこっちだ。この縄をかみきってくれ」
律がイーブイを手元に呼び戻した
805 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:53:22.76 ID:c6+ZnX50o
そして縛られていた舞妓の縄を噛み千切ると
タマオ「さぁ、後は私達に任せておくれやす」
ゆったりと着物が崩れぬように立ち上がると、力強くそういった
???「でも、おねえちゃん!! 稽古中だからボールが……」
タマオ「これのことどすか?」
タマオが袖から取り出したのは正真正銘モンスターボールだ
???「えっ?姉さんなんでもっているの?」
今度は違う舞妓がタマオに尋ねた
タマオ「コウメちゃんもサクラちゃんも備えあれば憂いなしって言葉が……」
にっこりと笑いながら言う
コウメ「でも、姉さん……稽古中はよけいなものはもってくるなって……」
タマオ「あらっ?なんのことどすか?」
806 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:56:45.87 ID:c6+ZnX50o
律「えっと、とりあえず任していいんだよな?」
タマオ「あら、そうでした。 それでは下がっといてもらえますか」
そして律を手で制すと
タマオ「お痛がすぎたようどすな」
体勢を立て直したデルビルとロケット団に向き直した
その振舞いは
律「(あぁ……なんでこんなにも……)」
律が思った感想はただ一つだった
……華麗なんだろうか
一つ一つの仕草から艶やかさすらもうかがえる
サクラ「えっと、少しさがってましょうか?」
さきほどサクラと呼ばれていた少女が律の手を引いてにっこりと笑った
807 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:59:21.51 ID:c6+ZnX50o
▼
下っ端「くっそ、とりあえずやっちまってから考えるか」
「いけ、デルビル!! おしおきだ!!」
無防備なタマオにデルビルが一直線にかけていく
そして跳んだ
黒犬の狙いはタマオの頭
だが、タマオは慌てずにそっと目の前に手をかざし
ニコリと笑った
そして次の瞬間には
――ガンッ
デルビルが吹き飛ばされていた
808 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 00:02:04.84 ID:EYcI+PA+o
下っ端「!!」
ロケット団の目にも、律の目にもなにが起こったのかまったくわからなかった
ただ事実として
――
タマオの差し出した腕の上には一匹のポケモンが乗っていた
タマオ「ようこそ、歌舞練場へ」
そっと告げると、タマオの腕に乗っていたポケモンがストンと床へと飛び降りた
律「あのポケモンは……」
No.197 ブラッキー
まんげつの よるや
こうふん したとき ぜんしんの
わっかもようは きいろく ひかる。
809 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 00:07:02.30 ID:EYcI+PA+o
律「ブラッキー……このポケモンは」
律は足元にいた自分のイーブイを見るが、イーブイはその姿に夢中なようで一心不乱に見つめていた
律「イーブイの進化系……か!!」
そしてタマオがそっと腕を振るった
袖がゆったりと空を薙いだ
タマオ「ブラッキー、くろいまなざし!!」
ブラッキーの目が光ると同時、全身のわっか模様が黄色い光りをはなった
下っ端「かみつけ、デルビル!!」
デルビルがブラッキー目掛けて飛びつく
黒の体と黒の体がぶつかり合おうとしたとき
タマオ「かげぶんしん」
タマオがゆったりと告げた
810 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 00:09:42.73 ID:EYcI+PA+o
ブラッキーの体がかみつかれる直前
4つに別れ
そのままデルビルは空を透かし、地面へと着地する
タマオ「ブラッキー、挑発」
1つのブラッキーがデルビルに向かって喉を鳴らす
タマオが一歩後ろへと下がった
下っ端「デルビル、火炎放射だ」
デルビルが大きく口を開け、構えた
そして、口の中で炎の渦を作り
――はなった
向けた先はさきほど挑発したブラッキーだ
避ける様子もないブラッキーはやはり
下っ端「……影かっ!!」
811 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 00:12:08.10 ID:EYcI+PA+o
そう呟いたとき、炎を放つデルビルの横に黒い影が笑っていた
いや、黄色いからだのわっかもようが笑っているような目に見えただけだ
タマオ「さぁ、お客さん。終幕どす。だましうち」
ブラッキーが横から思い切りデルビルを吹き飛ばした
下っ端「くそ、戻れデルビル。いったん退くぞ」
ロケット団がボールにデルビルを戻し、その場に背を向けた
律「なっ……逃がすかっ!!」
タマオ「あらあら……」
追おうとする律に、のんきに頬に手をあてるタマオ
812 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 00:15:33.04 ID:EYcI+PA+o
そして団員が振り返ると
律たちの真上を指差しす
律「……ドガース!!」
真上を見ると先ほどのドガースが上空でフワフワと漂っていた
そして
団員が扉付近までちかづくと、ただ叫んだ
下っ端「だいばくは……」
律「(なっ、しまった……!!)」
813 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 00:18:09.32 ID:EYcI+PA+o
だが
その言葉が最後まで告げられることはない
「――フィーちゃん、とっしんだよ!!」
団員が叫びながら扉から出ようとしたところを一匹のイーブイが、全力で体をぶつけた
律「……唯」
そこにはVサインで立ち尽くす友人の姿があった
814 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 00:21:16.66 ID:EYcI+PA+o
▼
時刻はすでに夜だ
日も沈みきり、町も夜の帳に包まれている
唯「……りっちゃん、正直に言ってね?」
唯が律に向かってニコリと微笑んだ。
だが、よく見れば目は笑っていない
唯「私のこと……忘れてたでしょ?」
律「!!」ギクリッ
「えっと……ははは、なんのことかな」
実際、律は唯の言うとおり、途中から唯のことを忘れていた
本来は律が先に突入してから、安全を確保して、前から律が、後ろから唯が取り押さえる気でいたのだった
815 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/19(土) 00:24:05.97 ID:EYcI+PA+o
律「でもさ、唯だって早くこなかったのが悪いんだぞ」
唯「いやぁ、だってなんかタイミング逃しちゃってさ」
そういって後頭部に手を当ててエヘヘと笑った
唯「それにしても……綺麗だったね」
それはさきほどの舞妓さんの闘い方をいっているのだろう
まるでそれは舞いを見ているようだった
サクラ「えっと、すいません。タマオお姉ちゃんから少し話があるそうなんででここで待ってもらっていいですか?」
先ほどの舞妓の少女の一人がこちらへと申し訳なさそうに尋ねてきた
816 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 00:27:16.54 ID:EYcI+PA+o
律「あぁ、別にかまわないよ」
唯「どうせ、りっちゃん暇だもんねー」
律「おい、どういうことだこら」
唯「あいたっ」ゴチンッ
サクラ「あはは、仲がいいんですねー」
律「あ、それでタマオさんは?」
サクラ「……あはは、えっとあのとおりです」
指指した方向を見れば、タマオが正座をさせられ「なんで姉さんはポケモン持っていたのに、はじめに抵抗しないの?」とか
「そもそもなんで姉さんは稽古場に持ってきてるの?」などと怒られている
どうやらその周りにいる3人も全員姉妹なのだろう
律「えっと、サクラちゃんだっけ? あそこにいるのは全員お姉さん?」
サクラ「はいっ!! 私が一番の末っ子なんです。あそこの右からサツキお姉ちゃん、コウメお姉ちゃん、コモモお姉ちゃんです」
嬉しそうに告げる
唯「へぇ〜、仲いいんだね〜」
サクラ「エヘヘ……」
817 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 00:31:04.63 ID:EYcI+PA+o
律「唯のところも仲いいだろ……」
唯「エッヘン!!しっかりお姉ちゃんしてますから」
律「どこに威張るところがあったのかがよく分からん。それにどっちかというとお姉ちゃんさせてもらってますじゃないのか?」
唯「りっちゃん………現実って過酷だね……」
ホロリと泣きまねをする唯にサクラと律が笑った
そこへ
タマオ「すんまへん、お待たせしてしまって。それでお話なんですが
……単刀直入に言ってこれ預かってもらえませんやろか?」
タマオが袖からとりだしたのは
唯・律「すず……?」
ニコリとタマオが笑みを作り、頷いた
「VS デルビル」 〆
818 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/19(土) 00:35:34.24 ID:B7BupQGT0
乙
819 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 01:05:58.01 ID:DvMtEeFAO
乙
820 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 12:19:04.96 ID:eYuMmtDm0
乙
あの舞妓さんたち何気にエリートトレーナーやジムトレーナーの次ぐらいに強いんだよな・・・
821 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 21:56:44.80 ID:rk6oPizAO
ブイズの安定感はさすがだな
822 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/20(日) 17:40:11.58 ID:Tv5+avUAO
乙
カイロス「カイ太…カー太…えへへへ…」
キャタピー「お巡りさんあいつです」
823 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/21(月) 17:08:30.26 ID:i+nr/eJDO
とうとうイーブイ進化くるかとオモタがそんなことなかった
824 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/03/07(月) 00:28:40.36 ID:sQxzyJlqo
おつー
やっと追い付いた
825 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/03/07(月) 07:05:10.33 ID:c1giMWwjo
おっつー
更新マダカナー?
826 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/03/26(土) 07:54:48.45 ID:AlqRzrnT0
へへっ、
827 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
:2011/03/26(土) 16:34:19.45 ID:tqosMbuUo
熱い捕手
828 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/03/30(水) 12:52:02.83 ID:8Nljzx4j0
地震に波乗り、それにスモッグとは
まだー?
829 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/03/31(木) 21:42:43.40 ID:FCXfuct5o
色々あって1ヶ月以上あいちまった……
もう人いないかもしれないけど、一応明日からまた投下したい
あっ、トリつけてなかったから
>>1
だと証明できないけど、一応
>>1
でございます
読んでくれていた方長い期間空いて申し訳ございませんでした
830 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/03/31(木) 21:50:31.86 ID:SLZAOOijo
待っていたぞ
831 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/03/31(木) 23:41:14.26 ID:4/bxsE5DO
きたああああああああ
この際だからトリつければいいんじゃない?
832 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/04/01(金) 13:08:38.83 ID:UZ4hPrec0
ほしゅ
833 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/04/01(金) 15:55:22.72 ID:Nbmq9TbY0
ここに保守はいらない
834 :
◆KyDuLODZns
:2011/04/01(金) 22:02:52.77 ID:ZiggdEpio
とりあえず、昨日言ったとおり投下を
一応なんかあったときのトリはこれで
あと
文中の行間の開け方ちょっと変えていこうかと思っています
その点とか「見難い」とかなにか意見あればいってくれれば、また改善したい
では
835 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 22:05:00.69 ID:ZiggdEpio
――38番道路
エンジュの西にあたるそこは草原地帯になっている
中型の野生ポケモンも生息するその道路はアサギシティへの道だ
この先のアサギシティを目指していた唯と律も必然的にここを訪れることとなった
律「結局あずかっちゃったなぁ」
そういった律の手には不思議な色の輝きを放つ鈴がある
一見すれば銀の色に見えるが、よくみれば銀の色に層がありとても神秘的に見える
唯「まぁ、しょうがないよ。りっちゃんが認められた証ってことだしね。
ロケット団がこれを狙って歌舞練場に何度も襲撃してきたんじゃ、
練習にならないだろうし」
律「あー、なんか唯は結構落ち着いてるな」
唯「うん、まぁ私もちょっと似たようなことあったしね」
そういって唯が少し引きつったような笑みを浮かべた
836 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 22:11:30.23 ID:ZiggdEpio
かつて唯はカントー地方でロケット団にかかわったことがある
それは一つの預かりものをしたことから生まれたわけだが……
当然危険もあったわけだが、後悔はしていなかった
律「っていっても、伝説のポケモンに繋がる鈴ねぇ……
やっぱりあんまり実感はないな」
唯「そうだね。私も伝説のポケモンって見たこと…………あ」
律「んっ どうした?」
唯「うんうん、なんでもないよ」
唯の脳裏に浮かぶの三匹の鳥ポケモン
ロケット団に使役されていた3鳥だったが、今頃は野生に戻っているだろう
そして伝説のポケモンはそう簡単に使役できるわけではない と言っていた人のことも思い出す
それは唯が敗北し、ジョウトに来るきっかけになった人物
唯「(強くならないとね……)」
あくまでジョウトに来た目的はあの人に勝つための経験をつむことだ
回り道や色々なことに首を突っ込んでもそれは忘れてはいけない と思う
837 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 22:18:00.95 ID:ZiggdEpio
律「そういや、次は唯もジムに挑戦するんだよな?」
唯「うん、そうだね。私もいよいよだよ」
律はまだ唯の強さを全てを知らない
当然、ある程度の力というのはわかる
そしてそのある程度の力という判断材料だけでも、はるかに自分より上にあることは分かる
ただ少し前、自然公園で不本意ながら唯のスピアーを相手にしたことがあった。それも唯の指示抜きで
トレーナーである唯の指示抜きだというのに、それはとても強かだった。
だから律は思う。かならず追いついてやると
そして
律「(強くなるさ)」
とは思うものの
律「いろいろややこしくなったなぁ」
唯「?」
律が人差し指でつまんだ鈴を一度揺らし、その音を響かせた
838 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 22:25:18.12 ID:ZiggdEpio
▼
――エンジュシティ(歌舞練場)
時は昨日にまで遡る
ロケット団の襲撃場面に遭遇した唯と律は、それを追い払い
そこの舞妓さんたちを救っていた
タマオ「単刀直入に言って、これ預かってもらえまへんやろか?」
それが始まりだった
律「え?」
唯「すず……だよね?」
唯がそう言うとタマオが頷くかわりに、一度その音を響かせた
律「きれいな音……」
唯「……うん、そだね」
二人がその鈴の音に耳を傾けていると自然とそんな言葉がでた
そんな様子をみていたタマオもまたニッコリと笑う
839 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 22:33:19.75 ID:ZiggdEpio
タマオ「どうでしょか?」
律「えっと……この鈴はどういう……」
律がそういったとき、横から少し幼さを残した声がきた
サクラだ。彼女はこの歌舞練場の姉妹のなかでも、一番下。つまり末妹だ
その彼女を見れば、少し真剣な面持ちになっている
サクラ「それは伝説のポケモンに繋がるかも知れない といわれた鈴です。
羽と一対になって海の神様へと繋がる、という言い伝えがこの地方に残されてるんです」
海の神様――それは律の記憶にも少し覚えがある
焼けた塔の一件の後のことだ
この街のジムリーダーがそのことを少し話していた
そして、今彼女が言った羽は
律「これか……」
唯「りっちゃん、その羽……もしかして?」
律「うーん、よくわかんないけど伝説のポケモンの羽らしい」
840 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 22:37:36.22 ID:ZiggdEpio
タマオ「えぇ、おっしゃるとおり、その羽は間違いなく伝説のポケモンの羽。
私が先日マツバはんのところを訪れた時、あなたがそれを持っているとをおっしゃってました」
律「(あの時か……)」
先日、唯に会う前のこと。
少し悩んでいた時期だった。
律はジム前で立ちすくんでいるときに、このタマオに会っていた
タマオ「きっとこの機会は神様のめぐり合わせどす。だから私はこの鈴もあなたのもとにあるべきだと。
そしてあなた達に任せたい と」
唯「……どうするのりっちゃん?」
律「うぇ!? 私が決めるのかよ」
唯「当たり前だよ。この旅はりっちゃんの旅だもん。わたしはおまけだよ」
律「む……」
そう言われると、返す言葉がない
そして目の前のタマオが頭を下げる
841 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 22:41:31.38 ID:ZiggdEpio
サクラ「ただ……」
サクラが続きの言葉を言い淀んだ
サクラ「その鈴を持つってことは、ロケット団に狙われることにもなるかもしれません」
タマオ「……さっきのロケット団もこれを狙ってきていた節があります。
そのことを、そういった負担を負わせるかもしれない。そういうことを承知でお願いします。
もちろん断ってもらっても構いません」
タマオがもう一度深く頭を下げた
そして横にいたサクラも続き、気付けば歌舞練場にいた姉妹達全てが頭を下げていた
律「……っとさすがにここまで言われたら断れないよなぁ」
唯「りっちゃん」
842 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2011/04/01(金) 22:48:24.53 ID:ZiggdEpio
そして
律「わかりました。えっと顔を上げてください。その鈴預からせてもらいます」
タマオが頭を上げて、少しためながら、ただ……というと
タマオ「まぁ、その鈴も本物かどうかわかりやせん」
律「へ?」
サクラ「その……言いにくいんですが、レプリカも多いんです。
神様の鈴ですから、それにあやかろうって作られたものが……
だから、そんなに気負わないでいってくださいね」
最後に気の抜けるような事実をきかされ、ふと心の中の緊迫した気持ちが削られたようだったが
それでも鈴は彼女達の手に渡った
タマオの手から律の手に渡る時鈴がもう一度その音を響かせた
やはりそれは綺麗な鈴の音だった
843 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 22:49:45.47 ID:ZiggdEpio
………
……
…
それから数十分後
歌舞練場にはすでに唯と律の姿はなかった
そこにあるのは舞妓たち、姉妹の姿だけ
その中でサクラがタマオに向かい一つの疑問をぶつけていた
サクラ「お姉ちゃん、なんで嘘をついたの?」
タマオ「はて、なんのことですやろ?」
サクラ「……」
タマオ「はぁ、サクラちゃん怖いわぁ〜、そんな顔して」
サクラ「とぼけないでよ〜」
頬を膨らませながら、サクラがタマオに詰め寄った
844 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 22:54:44.07 ID:ZiggdEpio
サクラ「あの鈴、レプリカじゃなく本物だよね。私達の家で受け継がれてきた正真正銘の……」
タマオ「あらっ、サクラちゃんだって、その後それらしくレプリカの話なんかしちゃって」
サクラ「むっ、私のは嘘はいってないもん。
それにあの人たちいい人だったからあの鈴のせいで色々縛られるのもいやだなって……」
そういったあとサクラの後ろでふふっ、笑い声が聞こえた
そしてその笑い声の持ち主は
サツキ「ふふっ、やっぱり姉妹ね。きっとタマオ姉さんも同じことを考えてたのよ」
サクラ「サツキお姉ちゃんっ!」
タマオ「あら、サツキちゃん、もう舞台の点検はいいの?」
サツキ「うーん、もうちょっと確認したいけど……っていうか姉さん達も手伝ってよ!それに姉さん京言葉を忘れてるわよ」
そういってサツキがタマオを引っ張り、舞台の上へと上がっていく
その様子を見たサクラが苦笑いで見送った
タマオ「(どうかいい旅を……そしてどうか……)」
845 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 22:59:44.78 ID:ZiggdEpio
▼
――38番道路
ややこしくなった と告げた律に唯が首を傾げた
唯「?」
律「いや、なんか全然問題が解決されないうちに、次々と積まれていくなぁ とおもってさ」
やはりその言葉に唯はよくわかっていないといった風な顔をする
律にはおおまかに3つの問題が積まれている
一つは、伝説のポケモンの問題
この件に関しては、ほとんど成り行きに任せて積まれていったため、自分でもよくわかっていない
そして二つ目、ロケット団の問題
ヒワダ・エンジュと関わってきてしまい、さらにさきほどの問題の鈴の件もある
律「(……おそらくこれではおわらないだろうなぁ)」
846 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 23:03:15.66 ID:ZiggdEpio
そして3つ目、シルバーの問題だ
ウツギ博士から受けた依頼からはじまったこと。
捕まえるのが目的だったのだが、焼けた塔で倒れていた後どうなったかは分からない
同時に、あれほどロケット団に執着していたことも気にかかる
ともあれ、行方がわからない上、手がかりもないことにはどうしようもない
とその時、律は服を軽く引っ張られる感覚を覚えた
引かれるほうに振り向くと、すぐに原因がわかる
唯だ
だが、その唯もどこか真剣な面持ちで足をとめている
律「どうしたんだ、唯」
唯「ねぇ、りっちゃん。おかしくないかな?」
律「?」
律は唯の言っている意味がわからない
そしてそんな律の様子を見た唯が説明をはじめた
唯「……さっきから野生ポケモンがいないよね……それに静かすぎるよ」
847 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 23:05:58.68 ID:ZiggdEpio
言われ律が周りを見渡した
身長ほどもある草、茂るように豊かな木々、そして地面に大きな影をのこす岩場
そのどこにもポケモンの姿がない
そしてそのことに気付いてみれば、連鎖的にほかのことにも意識は向かう
律「たしかに……静かすぎるな」
のんびりとした農場地帯にしても、この静けさは異常すぎる と思う
唯「やっぱりだよね」
だが、そうはいったものの二人には原因がまるで分からない
だから
唯「のどかな風景なんだけどねー」
暢気に言うが、その声色に警戒の色は隠せない
律「おい、唯……原因がわかったかもしれない……あそこだ」
律が指差した先、そこには違和感があった
唯「なにあれ……?」
848 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 23:07:30.79 ID:ZiggdEpio
共に捉えた視界の先
広大な草原に朱い体がある
そしてそれが立つ地面の草は焼き払われ、土がむき出しにされている
律「私は一度みたことある……」
律の記憶の中
思い出されるのは先日のことだ
焼けた塔――その地下で気を失う前に見たポケモンの一匹
No.244 エンテイ
ほえると かざんが ふんかする。
みなぎる ちからを おさえきれず
みちという みちを かけめぐる。
849 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 23:10:17.34 ID:ZiggdEpio
律「伝説の一匹か!!」
その言葉を言ったとき、圧倒的なプレッシャーがきた
思わず後ずさりそうになりながら、律はそれでもそれを見据える
横を見れば唯も気圧されているようにも見える
そしてそのプレッシャーは
律「来たっ!!」
熱量を伴いながらその体が大地を踏んだ
駆ける。足元の草がその足に踏まれるたびに焦げていく
やがて駆け出したその獣はスピードを捉える。一直線に
ただ律を目掛けて
850 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/04/01(金) 23:13:32.94 ID:ZiggdEpio
▼
律が反応したのはそのスピードの初速を見届けてからだった。
臆したわけではない
ただその毛並みを風に揺らしながら走る姿が美しく見えたからだ
だが、それをゆったりと眺めているほどの余裕もない
だからモンスターボールに手を伸ばし、開閉スイッチを押そうとしたとき
唯「行って、カラ太!!」
律の少し後ろ、そこに立っていた唯が律よりはやく行動を起こしていた
エンテイと律たちの間、その一直線上に飛び出たカラカラが骨を前に構える。
突進に備えるために
律「唯っ!!」
唯「りっちゃん、二人で行こう。きっと余裕を出していられる相手じゃないよ」
851 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 23:14:55.21 ID:ZiggdEpio
言っているうち、エンテイとカラカラがぶつかった
カラカラの骨が軋む。かろうじてその巨体を受け止めたが、
どうしてもその体格差の前には押されてしまい
やがて
カラカラ「!?」
真後ろへと吹き飛ばされた
唯「カラ太!!」
律「行け、アリゲイツ!!」
唯のカラカラが後ろへと吹き飛ばされたかわりに、律がアリゲイツを繰り出す
だが――エンテイが飛び出してきたアリゲイツに向かい一吼えした
呻りに近いその声に律は大地が揺れたかのような感覚にとらわれる
852 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 23:16:42.05 ID:ZiggdEpio
エンテイ「―――」
アリゲイツ「!!」
アリゲイツの勢いがその遠吠えだけによって止まる
まるで声という実体がアリゲイツを押し返したように……
律「アリゲイツ!?」
だが、その遠吠えをするためにエンテイの足も止まり、
場が硬直した。
そして吹き飛ばされたカラカラも体勢を立て直しエンテイの前に立ちふさがる
現在この場にいるのは3体
うち2匹はこちら側で数ではこちらが有利だと思う
だが同時に
律「(……体格差が違うか)」
853 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 23:17:16.89 ID:ZiggdEpio
こちらのモンスターはどちらかというと小型のモンスターである
体格差だけで勝負は決まるわけではないが、やはり直接のぶつかりあいでは大きな要因となる
律「なら……手数でいくしかないか」
唯と目を合わせると、同じことを考えていたのかコクリと頷いた
そして
唯「カラ太、ボーンラッシュ!!」
律「アリゲイツ、隙ができたところに冷たい一撃をぶち込んでやれ!」
カラカラが前へと飛び出しながら、宙へ跳んだ
目指すはエンテイの頭
そこを目掛けて振り下ろし骨で打撃する
854 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 23:17:51.29 ID:ZiggdEpio
エンテイ「――グルル」
真正面から頭で受け止めたエンテイがその攻撃に唸った
だが、攻撃は終わらない
そのままエンテイの懐へと着地したカラカラが今度はエンテイの顎をめがけて突き上げた
巨体がわずかだが揺れる
唯「カラ太!!もう一度上から揺らして!」
再びカラカラが跳び上がり、今度も頭を目掛けて振り下ろす
だが、今度はそれだけではない
もう一つ動きがある。
――アリゲイツだ。
855 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 23:18:44.87 ID:ZiggdEpio
カラカラのさらに上へと飛び上がったアリゲイツがそのままエンテイの胴のほうへと、
滑空するかのように飛び越えて行き拳を作る。
拳に纏うのは冷気だ。
律「冷凍パンチ!!」
その指示と共にエンテイの体めがけて拳が振り下ろされた
――よし、決まる
そう確信した律だが、それはすぐに裏切られることになる
律「!?」
気がつけば、アリゲイツの体を泡のようなものが包み込んでいた
そしてその泡は攻撃の勢いをとめることにまで成功している
唯「え?」
律「なんだ……?」
856 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 23:19:35.68 ID:ZiggdEpio
律があたりの風景を観察する
これはあきらかに水タイプによる攻撃、つまり目の前のポケモンの攻撃ではない
ということは、あきらかに第3者による介入があった証拠だ
そして律はあることに気付く
律「(エンテイがこっちを見ていない……?)」
唯「りっちゃん、あれ!!」
今度は唯がとある方向を指差した
それはエンテイの見ている方向。
そしてそれは律から見てずっと東の位置。
そこに水晶のような体をもった透き通るような青のポケモンがいた
「VSエンテイ 〆」
857 :
>>856訂正版
:2011/04/01(金) 23:33:26.65 ID:ZiggdEpio
律があたりの風景を観察する
これはあきらかに水タイプによる攻撃、つまり目の前のポケモンの攻撃ではない
ということは、あきらかに第3者による介入があった証拠だ
そして律はあることに気付く
律「(エンテイがこっちを見ていない……?)」
唯「りっちゃん、あれ!!」
今度は唯がとある方向を指差した
それはエンテイの見ている方向。
そしてそれは律から見てずっと東の位置。
そこに水晶のような体をもった透き通るほどの青のポケモンがいた
「VSエンテイ 〆」
858 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2011/04/02(土) 00:28:12.08 ID:tEyJ+7cAO
乙
859 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/04/02(土) 01:52:44.94 ID:EpXF/UlDO
乙
唯一神様きたか
860 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
:2011/04/02(土) 09:43:37.66 ID:zYLu0E1AO
乙
続きが気になる。
861 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/04/03(日) 09:54:24.41 ID:/+Ac3sCSo
乙です
862 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
:2011/04/04(月) 07:15:06.40 ID:SoeCn1PAO
俺の中で
唯→一年次学祭
律→制服
で再現されるんだが
863 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
:2011/04/04(月) 13:04:55.85 ID:+Ta1krQr0
フレドラをおぼえちゃった唯一神さまなんて唯一神さまじゃない!!
864 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/04/04(月) 13:36:38.78 ID:buMa/1BAO
俺も律ちゃんは制服の夏服のイメージ
865 :
!ninja
:2011/04/05(火) 02:16:46.96 ID:YMTXos50o
乙ですわあ
866 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/05(火) 21:44:43.98 ID:Iy+FP2rIO
各シリーズの女主人公の服装で勝手に脳内補完していた
律はリメ金銀の服装がなんか似合わないからクリスタル版で
867 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
:2011/04/08(金) 11:25:02.72 ID:19xwk1UAO
このSS3周くらい読みまくると、完璧に頭でアニメが出来上がる
868 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/04/08(金) 19:39:36.34 ID:GQdHTkgQ0
今日くるかな?
869 :
◆KyDuLODZns
:2011/04/11(月) 00:10:57.12 ID:9Z5oHP53o
遅くなってごめんよー。
とりあえず、服装については自分も描写を避けてきたから、各々で好きな風に補完していただければと
最初服装描写はみんな制服にしようかと思ったけど、この世界で制服はどうよ? とか突っ込まれるのが怖くて、一切服装描写かかなかった
ただなにかしらみんな鞄はもっていることにしといておくれー
では
870 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:11:48.29 ID:9Z5oHP53o
さきほどまでの乾燥した空気が少し湿りを帯びていた
北風だ
水気を含んだ風が、なでるように彼女達の髪をさらしていた
律「唯……少しいいか……?」
唯「ん……なにかなりっちゃん?」
さきほどまで熱を帯びていた戦場が時を止めていた
カラカラも、アリゲイツも、そしてエンテイですらも
突然現れた来訪者に誰もが目を奪われていた
No.245 スイクン
いっしゅんで きたなく にごった
みずも きよめる ちからをもつ。
きたかぜの うまれかわり という。
871 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:14:55.24 ID:9Z5oHP53o
律と唯の手に持った図鑑がそれの情報を示す
だが、それを気にもとめず律が言葉の続きを作った
律「悪い、唯。少しこっちを頼んでいいか。私は……あいつと向かい合わなきゃいけない気がする」
律は自分自身ですらもよくわからない感覚にとらわれていた
出た言葉の理由もなんとなく感じたからにすぎない
だが、それでも
律「頼む唯」
唯「うん、りっちゃん。こっちはまかせてよ」
律「……悪い唯。行くぞアリゲイツ」
そして彼女は走り出す。
少し遠く離れた場所に見える水色のポケモンの元へ
またそのポケモンも彼女を待っているかのようにただそこへ立ち尽くしていた
872 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:16:28.79 ID:9Z5oHP53o
▼
唯「さぁ、ごめんね。少し私につきあってもらうよ」
目の前の朱の体を持つポケモンに話しかける
すると目の前のポケモンも唯と向き合った
エンテイ「―――」
声にならない咆哮がまるで返事のように聞こえた
――構わない
まるでそういっているかのように
唯「君は……ううん、なんでもないや」
「さてと、やっぱりここは大きいポケモンで対抗するべきかな?」
唯の手持ちには大型のポケモンも存在する
だから、今目の前の力に真正面から対抗するにはポケモンを替えるという手もある
……どうしようっか
そう数瞬悩んだとき、目の前のカラカラがこちらを振り向いていた
873 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:18:21.84 ID:9Z5oHP53o
カラカラ「カラっ!!」
まだいける、その鳴き声はまるでそういった意味を含んでいるかのように思えた
だから
唯「そうだね、カラ太。うん、カラ太なら勝てるよ。だから――」
「やってみよう」
その言葉にカラカラも頷いた
そして
カラカラ「カラッ!?」
カラカラの体が眩いほどの光りに覆われる
その光りの中外観が変化していく
より逞しく、より機能的に
874 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:20:19.88 ID:9Z5oHP53o
ガラガラ「――!!」
No.105 ガラガラ
ははおやに あえない かなしみを のりこえた
カラカラが たくましく しんかした すがた。
きたえられた こころは かんたんに くじけない。
唯「カラ太も進化したっ」
ガラガラ「ガラッ!!」
唯「いけるね、カラ太?」
さきほどよりも手に持った骨にも力が入っている
それがガラガラの返事
だから
唯「お待たせ、ごめんね?」
目の前のエンテイにそう言うと、ガラガラが飛び出した
そしてエンテイも真正面からぶつかりに来る
唯「(あれ……お待たせ……?)」
ふと自分の言葉に疑問が生まれた
875 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:22:26.85 ID:9Z5oHP53o
▼
ガラガラが地面を蹴った
唯「ホネこんぼう!!」
2度目の真正面からのぶつかり合い
カラカラのときはすぐに吹き飛ばされてしまった
だが、今は巨体と押し合うこともできるようになっている
唯「……でも、やっぱり力は向こうのほうが上みたいだね」
エンテイ「――!!」
叫びと共に押し合っていたエンテイがガラガラの懐に頭を潜らせた
そしてそのまま、ガラガラを真上へと放り投げる
ガラガラ「!?」
唯「大丈夫、カラ太、落ち着いて。それほど飛ばされてないよっ」
876 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:24:22.68 ID:9Z5oHP53o
言葉にガラガラが落ち着きを取り戻し、クルリと空中で回り体勢を整えた
唯「ずつきだよ」
重力に任せ地面へとまっすぐに向かう
そこには待ち構えているかのようなエンテイがいる
そして
――ガンッ
大きな音が響いた
ガラガラがエンテイの頭に己の頭をぶつける音
エンテイ「――!!」
当然勢いをつけた攻撃には反動もある
だが、ガラガラはその反動で後ろへと着地し、また攻撃態勢を作る
877 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:27:49.59 ID:9Z5oHP53o
唯「みねうち!」
今度はガラガラが懐に入り込む
足とその胴体の間。エンテイのそこへと滑り込んだガラガラが一気にホネを降りぬいた
――
打撃音だけがその場に残る
そんな攻撃にエンテイがぐらりと揺れた
そして足を曲げ、地面に伏すような姿勢を作る
――バキッ
今度はなにかが折れる音がした
見れば、ガラガラの持つ骨が真っ二つに折れている
878 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:28:57.13 ID:9Z5oHP53o
唯「ふぅ……痛みわけだね」
伏したエンテイへと唯が近づいていく
そして自分のカバンからきずぐすりを取り出すと
――シュゥゥ
エンテイの足の部分へとスプレーし始めた
エンテイ「……」
唯「……君はなにかを試しに来たね?あるいは私達のことを計りにでもきたのかな? あの水色のポケモンも……」
エンテイはなにも答えない
だが、唯の独り言のような言葉は続く
879 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:30:48.93 ID:9Z5oHP53o
唯「君は炎のポケモンなのに、闘いの途中一切炎を使わなかった。そしてさっき私達の準備が整うまで待ってくれていたね」
エンテイ「……」
唯「あはは、分かるよ。だって待ってくれる相手っていうのは大抵こっちを思ってくれているってことだからね」
とあるジム戦のとき闘いの最中に待ってくれた人がいた
まるでこちらの万全を出し切れるように と
そして先ほどのガラガラへの進化の間、目の前のポケモンも待っていてくれた
それが先ほどの自信の疑問の答え
正解かどうかなど分からないが、それが不思議と間違いではないような気がした
唯「ふぅ……よっし、とりあえず手当ても終わり。次はカラ太の番だね」
ガラガラ「ガラッ!!」
唯「君ももう行っていいよ。あ、でもりっちゃんの邪魔はしないであげてね」
「……さてと、カラ太も逞しくなっちゃって、ふふふ」
ガラガラ「ガラッ!!」
880 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:32:14.31 ID:9Z5oHP53o
唯とガラガラがじゃれあいはじめる
が、エンテイはその様子を見守ることなく立ち上がり
エンテイ「……」
そのままもう一つの戦場を見つめると、朱の体が毛並みを揺らしながらまったく別方向へと走りだす
唯たちとの距離はどんどんと離れていく
だが、一度だけ足を止め遠くでガラガラとじゃれあう唯のほうを見た
唯とガラガラはそのことには気付かない
エンテイ「――」
ゆっくりとエンテイが一つの動作を作る
その様子はまるで唯たちに頭を下げたかのように見えるものだった
「VS ガラガラ」 〆
881 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/04/11(月) 00:35:17.67 ID:9Z5oHP53o
あら、予想以上に短かったからもう一個いくお
882 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:37:49.07 ID:9Z5oHP53o
▼
律「この羽を置いていったのはお前か?」
律の目の前には青いポケモンがいた
スイクンと認識されたそのモンスターは伝説とされているが、
律がそのモンスターを見るのは2度目だった
そして
スイクン「……」
律の質問に対するスイクンの答えは無言だった
吼えるわけでもなく、唸るわけでもなく、ただ沈黙する
それがそのポケモンの答えだった
883 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:40:14.75 ID:9Z5oHP53o
律「……私がこっちの鈴を手に入れたから、慌てて取り返しにでもきたのか?」
2度目の質問に対する答えは――
律「バブル光線か!! アリゲイツ!」
泡による攻撃だった
アリゲイツが律に呼ばれ、だされた泡をその爪で割ろうとするが
――バチン
アリゲイツの攻撃を受ける前にそれが破裂する
だがその泡の中からは、2つめの攻撃が仕込まれていた
……目晦まし!?
まるで泡の中に強引に光りを押し込み、割れたことによって中の光りが一気に開放されたかのようにそれが炸裂した。
それはまるで天然の閃光弾を連想させる
そして律もそれに気付いたときには、思わず目を閉じてしまっていた
やがて目を開けば驚くような光景がある
その数瞬の間、あたりの光景はさきほどとはまったく別の世界になっていた
884 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:42:15.14 ID:9Z5oHP53o
律「っく……しろいきりか!!」
真っ白の霧の世界
ふと頬に違和感を感じた律が己の頬に手を伸ばした
律「(……氷の粒が混ざってるのか……)」
そして
スイクン「――!!」
姿の見えないスイクンの鳴き声だけが響いた
同時、突風が発生する
氷の粒を巻き上げながら、風が向かう先は
――あたりを見渡しながらその姿を探していたアリゲイツの元だった
アリゲイツ「!」
885 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:43:45.40 ID:9Z5oHP53o
無防備なアリゲイツを氷を含んだ風が襲う
小さな氷の粒とも言えど、風に乗り勢いをつけたそれはアリゲイツの身を削っていく
まるで刃――あるいは弾丸のような氷だった
律「アリゲイツ、水鉄砲でこの霧を吹き飛ばせ!!」
風と氷に耐える中、アリゲイツはその声を聴いた
そして、一度大きく息を吸い込んだ。
口の中に氷が入ってくるが構わない
そして
アリゲイツ「――アリッ!!」
水を噴射した
886 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:46:46.62 ID:9Z5oHP53o
▼
まっすぐにアリゲイツの口から発射された水が霧の中を走っていく
霧の中を裂くように割断したそれが一本の道をつくった
律「よしっ、アリゲイツ。霧を抜けよう。そのまま水を出しながら走れ」
言いながら律が一歩を踏み出したとき、急にそれがきた
水流だ
アリゲイツの水流を押し返すように、真正面からその水流はきていた
律「押し合いか。負けるなよアリゲイツ!」
中空で起こるのは水と水のぶつかりあいだ
そしてぶつかり合った水は弾け、少しずつだが、霧を晴らしていく
律「(……やばい、押されてるか……向こうのほうがパワーは上)」
そう考えたとき、アリゲイツに一つの動きがあった
正確には、アリゲイツにではない、アリゲイツの周りにだ
887 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:49:21.66 ID:9Z5oHP53o
風だ
再びアリゲイツの回りを囲むように、突風が渦巻いていた
そして風は中心のアリゲイツへと範囲を狭めていく。――氷の弾丸つきで
律「まずい、アリゲイツ! 回りを見るんだ」
だが遅い
アリゲイツの反応は間に合わず、風の中に飲み込まれていく
律「……アリゲイツ!!」
なぜ……?
水鉄砲を撃ちながら、風による攻撃。そんなことができるのか……
そんな疑問が頭に浮かぶ
霧が晴れる
白の世界は再び緑の世界に戻ろうとしていた
888 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:50:36.15 ID:9Z5oHP53o
律「あれは……!!」
律が見たのはさきほどまでアリゲイツが水鉄砲を撃っていた方向――真正面だ
そこにスイクンがいたわけではない
ただそこには
律「ミラーコート……」
草原に不自然な水で作られた鏡のようなオブジェ
特殊攻撃を倍にして返す技がそこにあった
やられた……
律はそう思う。押し負けていた理由も理解した
考えてみれば、気付けたのかも知れない
わざわざ霧をはったというのに、自分の位置を知らせるような攻撃をするだろうか
そんなことに思い至っていればもっと別の方法があったのだろう
889 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:52:10.83 ID:9Z5oHP53o
スイクン「―――」
律の真後ろから透き通るような鳴き声が聞こえた
風が止む。霧と風両方がなくなった今、この場にいるのは律とおそらくその真後ろにいるであろうスイクン。
そして今攻撃を受けてなお立ち上がろうとするアリゲイツだ
律「ここまでか……アリゲイツ、戻れ」
告げた。それは己の力のなさを告げる敗北宣言
だが
アリゲイツ「――」フルフル
アリゲイツが首を振る
それはまだ負けていないという闘うための意思だ
律「……そっか……お前も私と一緒で負けず嫌いだったんだな」
890 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:54:42.54 ID:9Z5oHP53o
その言葉にコクリとアリゲイツが頷いた
……ならば
やることは一つだ。
もう一度あの水の獣を見据え、こいつに勝たせてやる。
それだけだ
だから
一歩、後ろに右足を引いた
そしてその足を軸にクルリと振り返ると
やはりそこにはスイクンがこちらを見つめながら待っていた
律「お前がなにをしにきたかは分からないけど、ここは勝たせてもらう……」
891 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:56:12.43 ID:9Z5oHP53o
アリゲイツも再び律とスイクンの間に立ちふさがろうと歩み出す
アリゲイツの視界に律の背中が写る
一歩踏み出した。彼女はまだ遠い
二歩目を蹴った。彼女の背中が近づいた
そして己の体が光っていることを認識した
これではいけないとアリゲイツも思う
自分は守られる側ではなく、守る側でなければいけない
そのためには彼女より前に出なければ、それが叶わないことを知っている
少し前、自分のトレーナーが悩んでいたことも知っている
それは無力さにだろうか、それは自分には分からないが自分がもう少し強ければなんとかなったのではないか
そう思う
三歩目でようやく彼女に並んだ
自分の体が彼女を見下ろせるほど大きくなっていることに気付いた
そして四歩目
目の前の伝説はまっすぐとこちらを見据えていた
背中越しに彼女の声が聞こえる
新しい自分の名前。
律「オーダイル!!」
892 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 00:58:18.58 ID:9Z5oHP53o
▼
律は目の前のスイクンをじっと見つめながら考えていた
……なぜこの時間を待っているのだろう?
私を攻撃をするならば今がチャンスだろう
だけど目の前の敵は、待っている
まるで私を計るかのように
そしてアリゲイツがもう一度自分の前に立ちふさがるのを待ち望んでいるかのように
ならば、このポケモンにもなにか理由があるのかも知れない
それはなにかはわからない
だが、相手が私にこれ以上を望むというのならば思い知らせてやろう
私とアリゲイツはまだやれるってことを
893 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 01:00:33.11 ID:9Z5oHP53o
――ザッ
背中でアリゲイツの歩みよる音を聞く
それは力強く、負けないという意思による一歩
そして二歩目の歩みの音がする
振り向いて確認しなくても分かる
今、自分のアリゲイツは進化の時を迎えていると
三歩目。さきほどよりもさらに力強く大地を踏む音がした
並んだ。横を見てみればとうに自分の身長などを越してしまったかつてのアリゲイツの姿がある
そして図鑑が開いた
No.160 オーダイル
おおきな からだを もっているが
ちからづよい うしろあしを つかって
ちじょうでも すばやく うごく。
894 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/04/11(月) 01:02:56.44 ID:9Z5oHP53o
律「(オーダイル……)」
この地方にきて初めて仲間になったパートナー。
ワニノコがアリゲイツにそして今オーダイルにまで進化した
ならば、今この新しい名前でよんでやろう
精一杯の信頼を込めて
四歩目、オーダイルがとうとう私の前へと歩みでた
大きな背中はワカバを旅立ったころとはまるで違っていた
律「オーダイル!!」
895 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 01:04:21.03 ID:9Z5oHP53o
▼
呼びかけと共にオーダイルが前足を地面にべったりとつけた
這うような格好になるが、これが一番スピードの出せる格好だ
そして
律「アクアジェット!!」
口から出した水流を後ろに発射し、そのまま体を突っ込ませた
速さは威力に直結する
まるでそう言わんばかりのスピードで巨体がスイクンに突進していく
だがスイクンもまたそれを避けることはしなかった
真正面、オーダイルが突っ込んでくるほうへと四肢で大地をけり駆け出した
――神速
そのスピードをもってスイクンはオーダイルに対抗する
直後、大きな音と共にその場が震えた
896 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 01:06:21.69 ID:9Z5oHP53o
スイクン「――!!」
だが、2匹は衝突後、距離を取ることはない
零距離。その位置で二匹の意地がぶつかり合っていた
だが、そこにさらなる介入がある
オーダイルに勝たせてやろうとする思いをもった律の指示が――
律「オーダイル!!」
組み合ったオーダイルが下から突き上げるように力を入れる
ゆっくりと……だが、たしかにスイクンの体が宙に浮いていく
そして頭上にまで持ち上げたとき、そのまま
律「――ばかぢから!!」
投げつけた。
スイクンの体が不安定なまま宙を滑空する
だがやがて、重力にひかれて地面に落ちるが
それでもその勢いは止まらず、砂煙を巻き上げながら地面を滑る
897 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 01:08:18.27 ID:9Z5oHP53o
律「よっし、やったなオーダイル!!」
オーダイル「――!!」
律「にしても、大きくなったなぁ」
言うとオーダイルが嬉しそうに鳴き声をあげた
律「なんだ、そんなに大きくなってもあんまり中身は変わってないんだな」
律がオーダイルの背中をなでながら、
ワニノコと旅立ちの頃を思い出す
律「(そういえばあの時噛まれたんだっけな、はは)」
少し苦笑いをして、ポンポンと軽く叩いた
898 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 01:10:26.06 ID:9Z5oHP53o
律「さてと……」
息を吐きながら言うと、もう一度砂煙のほうを見た
そろそろ砂煙が晴れる頃、そこにスイクンの姿が――
――あるはずだった
律「いない……?」
晴れたその場にスイクンの姿はない
だが、そのさらに向こう。50mほど先の位置に唯がいるのを確認した
唯「おーい、りっちゃーーん、大丈夫」
走りながら彼女はこちらに手を振っていた
律「おい転ぶなよー、唯ー」
唯「うわっと……」
律「言った側からかよっ!!」
899 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 01:12:27.31 ID:9Z5oHP53o
唯がエヘヘと頭をかきながら、律の前へとたどり着いた
律「ったく、そういうところは変わってないなぁ。」
唯「あはは、そんなに褒めてもなにもでないよ?」
律「褒めてねーよ!!」
唯「ふぅ……にしてもりっちゃん大丈夫だった?」
律「あぁ、まぁな。ふふん、唯にも見せてやりたかったぞ私とポケモンの勇士」
唯「むむっ、私のポケモンだってかっこよかったよ!!」
900 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 01:14:10.44 ID:9Z5oHP53o
唯と律が顔を見合わせ同じタイミングで笑い声を上げた
彼女達の南には光りがある
灯台だ。すでに夕刻となった空を裂くように一筋の光りがくるくると回っている
次の町は港町だ。それゆえ灯台が設置されている
律「行こうか」
唯「だねっ」
目指すのはアサギシティ
灯台の光りがまるで彼女達を歓迎するかのように彼女達を照らしていた
901 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 01:16:43.01 ID:9Z5oHP53o
▼
――とある道路
満月を背にしたとある大きな岩場の上、3匹のポケモンがいた
一匹の体は朱く、一匹の体は青く、そしてもう一匹は黄色かった
やがて集まるべくして集まった3匹のポケモンは互いに顔を見合わせ、コクリと頷いた
そして
エンテイ「――」
スイクン「――」
ライコウ「――」
三匹が満月に向かい咆哮をあげた
それはまるでなにか嬉しいことがあったかのように
そしてなにかを確信したかのように
「VS オーダイル」 〆
902 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 01:17:41.46 ID:9Z5oHP53o
3獣の鳴き声が……わからない……かゆ……うま……
903 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/04/11(月) 08:20:38.79 ID:KqyYH4d40
おつ
904 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
:2011/04/11(月) 09:54:01.41 ID:s9vrmGiAO
乙
アリゲイツ進化のところもんすごく感動したわ
905 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2011/04/11(月) 10:51:06.02 ID:6Ds/RgHAO
乙
906 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2011/04/11(月) 16:54:27.94 ID:okd05KLYo
唯のキャラが…
907 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
:2011/04/12(火) 22:10:11.02 ID:rhIDWWVAO
おつ
唯がストーリー通して成長してるのが凄くわかりやすくていい
そんななかいつもの調子でボケるあたりもいい
908 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/04/13(水) 01:08:15.05 ID:Mz32snTt0
乙!
御三家も最終進化で幼馴染ポケっぽいガーディより早い進化か
もう900だけどスレどうすんの?
見た感じではあと2話くらいはいけそうだけど
909 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/13(水) 20:02:41.39 ID:aRqj0s4DO
乙乙
38ばんどうろってミルタンクでてくるところだっけ
910 :
!ninja
:2011/04/15(金) 22:06:36.42 ID:QYn2ME/zo
おつ!
911 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
:2011/04/16(土) 14:37:40.79 ID:xw1kq6mAO
唯がジムに挑戦するって事は律はどうするんだろう?めっちゃ気になるし楽しみ
912 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/04/21(木) 01:36:56.32 ID:y2QBY3bgo
乙です
913 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
:2011/04/21(木) 10:49:41.63 ID:3BsMi/mAO
今日来る予感
914 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
:2011/04/22(金) 13:34:16.52 ID:2iCvsNuAO
唯がポケモンに懐かれるのが得意なら、律はポケモンの力を最大限に引き出すのが得意なんだな。
915 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/04/26(火) 22:17:18.71 ID:FzQaldsZ0
乙です
今日くるかな?
916 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
:2011/04/30(土) 14:43:53.89 ID:d8TZpR2fo
ほ
917 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/30(土) 17:50:49.46 ID:/efVyKeT0
ここに保守はいらない
918 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
:2011/05/02(月) 00:06:21.65 ID:8+npS5iAO
まだかな?忙しいのだろうか
919 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
:2011/05/09(月) 02:37:57.22 ID:5Mq82WVAO
>>1
まだー?
920 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/09(月) 04:30:10.92 ID:oLt0jGOSO
忙しいのか……
まさか……
921 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
:2011/05/09(月) 14:24:07.39 ID:5Mq82WVAO
逃亡はいやだ!
このSS楽しみにしてるのに!
922 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/05/09(月) 16:24:09.49 ID:kQsEX7zAO
気持ちは分かるが
>>1
が帰ってくるまで、投下分のレス数は残しておけよ
923 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/11(水) 21:59:59.81 ID:j6fFxG3t0
おれはいつまでも待つぞ
924 :
◆KyDuLODZns
:2011/05/19(木) 01:39:34.73 ID:UGsF972/o
また間が空いてしまった……
ごめんなさい
925 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/19(木) 01:40:29.15 ID:UGsF972/o
――アサギシティ
夜の港町。
空の高い場所に光りが点滅を繰り返していた。
その光りの発生源は街のシンボルともなっている灯台だ。
そしてその足元、二人の少女が灯台を見上げ、
唯「りっちゃん、見てみて灯台だよ!灯台!」
律「うおっー、近くでみると大きいなぁ」
唯「りっちゃん!」
律「唯!」
言うと二人は顔を見合わせ
唯・律「海だーー!!」
暗い海に向かって声を上げた
926 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 01:41:00.11 ID:UGsF972/o
律「って、唯お前はカントーで何度もみてるだろー!」
唯「ふふふ、りっちゃん海にきたら叫ぶルールがあるんだよ!」
律「聞いたことねーよ」
唯「ぶぅぶぅー、ノリわるーい。りっちゃん」
律「あ、そうだ……」
唯が疑問の顔を作った横、律が自分のカバンを漁り一つのモンスターボールを取り出した
唯「? ……オーダイル?」
927 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 01:42:14.28 ID:UGsF972/o
▼
――ポケモンセンター
律「たく、唯が悪いんだからなぁー」
唯「えっー? りっちゃんだよー」
二人はびちょびちょに濡れた全身をタオルで拭いながらぼやいた。
髪の毛からはまだほのかに磯の匂いが漂っている
律「にしても……派手に落ちたなぁ……」
唯「りっちゃんが初波乗りだー、とか言ってもう暗いのに練習をはじめたせいだよー」
律「……唯もノリノリだったじゃん! 自分も「ずるーい、リュー太私達も!」とか言ってはじめたくせに」
928 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/05/19(木) 01:42:41.64 ID:G/LF03Gjo
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
929 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 01:42:46.99 ID:UGsF972/o
唯「うぅ……にしてもなんだったんだろうねー、あの渦潮」
律「なんかもうちょっと海にでると渦潮が名物みたいに発生してるらしいけど……」
あんな街から近くでなんてなぁ……」
唯「ぷぷぷ、あの時のりっちゃんださかったね」
律「なにをっー!?」
唯「焦ってバランス崩して海に落ちちゃうなんて」
律「むむ、その後唯も落ちただろー!」
唯「私は落ちたりっちゃんを助けようとしたんだもん」エヘン
律「ぐぬぬ……」
唯「ふっふっふ……ハクシュン」
930 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 01:43:26.83 ID:UGsF972/o
律「……着替えようか」
唯「だねっと……明日はジム戦かー」
律「そういえば、ジムの明かり点いてなかったな……」
唯「夜だからじゃない?」
律「……そっか。そうだよな」
唯「さてと、今日は寝ますかー」
律「風邪引くなよ」
唯「りっちゃんこそ」
931 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 01:45:16.79 ID:UGsF972/o
▼
――アサギジム前
律「いない……!!」
唯「なんでだろうねー」
ジムの前で二人がドアノブに手をかけて開こうとすると、鍵の錠が音を立てた
そして二人はジムの横の窓へと回り込むと
律「……なんか最近こんなんばっかだなぁ」
唯「あ、やっぱりジムの中は空っぽだね。電気も点いてないや」
律「どうみても、これ覗きだよなー」
唯「うーん、どうしたんだろう……」
律「よし、人に聞いてみよう」
言うと、律が手上げて通りすがりへと声をかけた
律「おーい、すいませーん!ここのジムって……」
932 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 01:46:16.30 ID:UGsF972/o
▼
――灯台前
律「まったく、ジムリーダーが灯台でなにしてるんだよー」
唯「まぁまぁ」
律「………唯、今灯台見学できて嬉しいなぁ とか思っただろ」
唯「ギクリッ……」
すると律が肩をあげてやれやれとポーズをつくると
律「……まぁいいや。でもジムリーダー探しにきたんだからな。本分を忘れるなよ」
唯「了解であります! りっちゃん隊長」
律「んじゃ、いきますかっと」
933 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 01:47:10.15 ID:UGsF972/o
▼
――灯台1階
唯「ねぇねぇ、りっちゃん」
律「ん?」
唯「灯台ってさ、お昼も普通は灯りついてるよねー?」
律「まぁそうだなぁ」
唯「ここ入ってくる前に見上げたとき、灯りついてなくなかった? それに昨日のよるもなんかチカチカしてただけ
のような……」
律「そうだったかー? 昼間は明るかったから見えなかっただけじゃないのか? 夜はそれどころじゃなかったな…
…」
唯「うーん、そうかなぁ……」
律「ほら唯、階段、足元気をつけろよ」
934 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 01:48:23.14 ID:UGsF972/o
――灯台3階
唯「うーん、ジムリーダーっぽい人いないねー」
律「っていうか、人がいないな」
――灯台4階
律「うお、穴が空いてる」
唯「あ、でも見てりっちゃん。下の部屋のところにまた階段があるよ」
律「……うーむ、他に上に上がる階段はないし……降りてみるか」
――灯台5階
唯「ほらね、りっちゃんやっぱり一回降りてまた上るのが正解だったんだよ」エヘン
律「だれだよ……こんな構造考えた奴」
唯「うーん、みんなきっとみんなエレベーター使うんだろうね」
935 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 01:49:13.80 ID:UGsF972/o
――灯台6階
律「おおっと、ここが最上階か」
唯「おお、ナイスな眺めだね」
二人がたどり着いたのは360度ガラス張りの窓になっている部屋だった
そこには小さなベッドなども置かれているが、
律「……ん? あそこにポケモンがいるぞ」
唯「え? あ、ホントだー」
No.181 デンリュウ
シッポのさきが ひかりかがやく。
ひかりは はるか とおくまで とどき
まよったものの みちしるべとなる。
936 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 01:50:26.68 ID:UGsF972/o
律「へぇ、あ、じゃぁあいつがこの灯台の光りの源かー」
唯「………」
律「唯……?」
律の疑問の言葉に答える前に唯がそのポケモンにダッシュした
唯「りっちゃん、あのポケモン様子がおかしいよ!」
律「なにっ!?」
律が後に続き、デンリュウの元へと駆け寄った
そして唯が丁度、デンリュウに駆け寄った時
デンリュウ「リュウ………」パタリ
フラリとその黄色の体を傾いた
だが
律「いけ、オーダイル!」
倒れそうになったところに青の巨体が飛び込み受け止めた
937 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 01:53:10.75 ID:UGsF972/o
唯「……やっぱり……この子体調おかしいんだ……」
律「唯、そこのベッドに運ぶぞ。オーダイル頼む」
唯「まって、りっちゃん!! そこのベッドの影になにかいる……ってあれは足?」
律「人だ。人が倒れてる!!」
ベッドの影、そこに近づき、覗き込むと
一人の女の子が気を失い倒れていた
938 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 01:55:03.16 ID:UGsF972/o
▼
???「……うーん……ハッ、あかりちゃん!!……あれここは……」
唯「よかった……目が覚めた?」
???「え?あなたは……?」
唯「えっと唯っていうんだけど」
???「唯……さん……ですね。……なんで……あれ?ちょっと待ってください少し記憶を整理する時間を……」
そのとき、部屋の隅、ちょうどベッドのほうでまた違う声が上がった
律だ。
律「唯、駄目だ。おそらく毒系統にやられてると思うんだけど、毒消しがきかない」
???「!! そうだあかりちゃん!」
言うと、女の子がガバッと立ち上がり、ベッドへと駆け寄った
939 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 01:55:42.29 ID:UGsF972/o
律「あ、目が覚めたのか」
唯「うん、こっちは大丈夫みたい」
律と唯がベッドに駆け寄った女の子を見て、息をついた
そして
律「ごめん、悪いんだけどちょっと事情を説明してくれないか?」
律が女の子の肩にポンと手を置いた
すると、女の子が長い髪を揺らしながら振り返り
???「……はい、すいません。ですが、私からも一つお願いがあるんです」
940 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 01:57:16.53 ID:UGsF972/o
▼
………
……
…
律「で、ミカンちゃんだっけ? その話しは本当に……」
ミカンと名乗った少女が、律の言葉に頷きながら
ミカン「はい……たしかに本当です。昨日の夕方いきなりロケット団と名乗る集団が現れたと思ったら、
この部屋を占拠しだして抵抗したアカリちゃんと私を……」
律「……ふぅ……またロケット団か……」
ミカン「!……なにか知ってるんですか?」
律「いや、悪いんだけどここがなぜ狙われたとかはわからない」
ミカン「そう……ですか……駄目ですよね、私……友達になったポケモンすらも守れないなんて……
せめて自分のポケモンを持ち歩いていたら……
いえ、すいません言い訳ですね。忘れてください……」
941 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 01:57:59.46 ID:UGsF972/o
すると今まで黙って話しを聞いていた唯がミカンの手を取った
そして彼女と目を合わせると
唯「ううん、違うよ。この子は倒れそうになりながらも、あかりを灯してた……昨日の夜たしかに見たもん」
唯「あれはきっと、あなたを助けようとして助けを呼ぶ救援光だったんだよ。だから……」
唯「ミカンちゃんがこの子を助けようとした気持ちも伝わってるよ」
ミカン「……そうでしょうか……」
唯「うん、そうだよ」
ミカン「……ありがとうございます」
唯の言葉に今まで泣きそうだったミカンがかすかに微笑んだ
942 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 01:58:48.53 ID:UGsF972/o
律「さてと……それじゃ、いっちょ行って来ますか」
ミカン「……本当にお願いしてもいいんでしょうか」
律「はは、そんなに気にすることないよ。お使いくらいなら私にだってできるさ」
ミカン「いえ、そうではなく。 あったばかりなのに……」
律「気にしない気にしない。 で、そのタンバでひでんのクスリをもらってくればいいんだっけ?」
ミカン「はい、お願いします!! それがあればこのアカリちゃんの毒も大丈夫だと思うんです」
律「このりっちゃん隊長にまっかせなさーい」
唯「りっちゃん頼んだよ」
律「あぁ、唯もしっかりここ守っとけよ。またロケット団が来たら困るしな」
唯「イエッサー! りっちゃん隊長!」
943 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 02:01:03.80 ID:UGsF972/o
律「……それにしても、なんでロケット団はここに来てすぐ引き上げたんだろうな……」
ミカン「……わかりませんが、ただ」
律「ただ?」
ミカン「いえ、そんなに重要なことだとは思いませんが……おそらくリーダーであろう人が、そこの窓から向こうのほ
うを見て……」
律「向こう?」
ミカンが指を指し律が見たさき、そこにあるのは海ばかりだ
ミカン「えぇ、ただ一言待っていろ、と」
唯「なんだろうね……」
律「おっと、こんなことは後でいいか。とりあえずさっさと行って来るよ」
ミカン「あ、はい。すいませんお願いします」
ミカンがペコリと頭を下げると、律が背中を向け手を上げた
944 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 02:01:49.64 ID:UGsF972/o
▼
唯「おー、りっちゃん行ったねー」
ミカン「どうかご無事で……」
唯「ねぇねぇ、ミカンちゃん?」
ミカン「はい?」
ベッドの横で、デンリュウの看病をしながらミカンが首を傾げた
唯「ミカンちゃんはここに結構きてるの?」
ミカン「はい、アカリちゃんは友達で、意外に寂しがりやだから……それに私はこの街の……」
唯「えっ!? ミカンちゃんこの街の…………なの!?」
ミカン「あ、はい。すいません言ってませんでしたね」
唯「………りっちゃん帰ってきたら驚くよ」
ミカン「?」
945 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 02:03:31.35 ID:UGsF972/o
▼
――アサギ港
律「さてと、行くか。頼むぞオーダイル」
律が海へとモンスターボールを投げ、海に浸かったオーダイルの背中へと飛び乗った
律「よし、もう落ちないぞ……っと」
そのとき、オーダイルがフラリと水の中で揺れた
そして、波が少し引き
律「これは、あの時と同じ……」
思い出すのは先日のこと
ちょうど今のようにオーダイルで波乗りをしようとしたときだ
あの時も同じように
律「やっぱり、あの渦潮はおかしいと思ってたんだよなぁ……こんな街の付近でなんて」
律「で、また今回もってか。でも、今度はかまってやれないぞ」
No.117 シードラ
オスが こどもを そだてる。
そのとき ちかづくものは
もうどくの トゲを つかって おいはらう。
946 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 02:05:20.37 ID:UGsF972/o
図鑑の向けた先、うずの中心点。
そこに青いトゲトゲしいタツノオトシゴのような姿があった
律「毒か……近づくわけには行かないな……でも時間をかけるわけにもいかない」
律が数秒の間口元に手を当て、
律「ならっ……渦を飲み込むほどの激流だ。ハイドロポンプ!」
掛け声とともに律がオーダイルにしがみつき、
そしてオーダイルは口を大きくあける。
その口からでるのは波に負けないほどの水流だ。
オーダイルの口から放たれた水流は渦の上から呑みこんでいき、やがて中心部のシードラを飲み込んだ
律「よしっと、あとは……」
律がオーダイルに静止を指示し、モンスターボールを取り出した
律が待つのは、波がもう一度収まるとき
律「いまだ!」
ハイドロポンプの水流が消えたあと、そこに渦はなくただ一匹、ひるんだシードラが浮かんできていた
そして、そのシードラは律と目を合わせると、もう一度渦をつくろうとするが
律「おそいよ」
947 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 02:07:38.19 ID:UGsF972/o
律がモンスターボールをシードラへと放った
そしてそのボールがシードラを捕らえると、プカプカと水の上でゆれ
収まった
律「よっし、とりあえずシードラゲットか。ま、これが一番早いよな」
律が浮かんだボールを拾うと、ボールの中のシードラを見た
律「おおっと、まだイキがいいな。はは」
律「さて、急ぐぞ、オーダイル」
律は再びオーダイルへと指示を出し、どんどん小さくなっていくアサギの街を振り返った
律「そういえば、ジムリーダーみつけられなかったなぁ……まっ、帰ってからでいいか」
「VS シードラ」 〆
948 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/19(木) 02:10:17.57 ID:UGsF972/o
ちょいと短かったかも知れない。間が空いて本当に申し訳ないです
話し自体はできてるので、今度は近いうちにこれるようにがんばる
……もう一話くらいならこのスレでやれるよね
949 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/19(木) 08:51:19.53 ID:mcHusDXJ0
話忘れかけてた
乙
950 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/19(木) 12:28:28.00 ID:v7Gfy8JDO
おおきたか
乙!
あれりっちゃんつよくね
951 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
:2011/05/19(木) 15:07:22.19 ID:/pk5v7CAO
乙
まあ無理せんでな
自分のペースも大切だろうし
952 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/21(土) 13:50:49.36 ID:bLgeYTyr0
乙
投げ出さないならそれでいいと思うよ
早いとうれしいけど
953 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
:2011/05/21(土) 14:57:50.46 ID:fav60aDAO
シードラか
唯の持ってるりゅうのウロコとの関連性、渦巻き島突入フラグか
楽しみで仕方ない!
>>1
乙
954 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/22(日) 02:38:08.34 ID:GhjUW4qAo
正直唯が飛んだほうが早……くぁwwせdrftgyふじこlp;
955 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/05/23(月) 06:39:52.47 ID:A5AEAe1Xo
乙です
956 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/23(月) 07:18:57.53 ID:WSc1ooXDO
だから考察とかうぜーんだよ
半年ROMってろ
957 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 00:40:41.36 ID:NzpMTO1Mo
――41番水道
律「お、見えた。あれがタンバシティか」
オーダイルにサーフィンのようにのりながら、海を渡っていた律が前方を見た
律「意外に時間はかからなかったなぁ」
律がアサギシティを出発してから、それほどの時間は経過していなかった
律の感覚としては2時間程度。
その感覚が正しいか確かめようとポケギアを見れば
律「よっし、大体思ったとおり」
時刻は昼下がり
太陽が真上から下がろうとする時間帯だった
しかし、振り返り空を見れば雲がある
暗雲だ。
丁度ここへ来る途中見た、いくつかの島のあたりを暗雲が層を作っていた
958 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 00:41:39.57 ID:NzpMTO1Mo
律「もうちょっと遅かったら……」
雨の中あそこを通らないといけなかったんだろうなぁ、と言葉を作らずにに思う
そしてぶんぶんと首を振り
律「さぁ、ラストスパート頼むぞ、オーダイル」
言うと、オーダイルが速度を上げる形でその指示に答えた
律「はやくしないとな……」
959 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 00:42:32.57 ID:NzpMTO1Mo
――タンバシティ(タンバ薬屋)
律「え?夕方までかかるの……?」
タンバシティのフレンドリィショップ代わりともなっている薬屋で律が落胆の声をあげた。
律の前には年輩の老女が一人
薬師「うむ……症状は毒じゃったな? おそらく話しを聞くかぎりその毒は猛毒じゃろう……
とするとその毒に効くクスリとなると強いクスリが必要なんじゃが、
今そのクスリは作れないんじゃ……
だから複数のクスリで補うしかないんじゃが、数をつくるとなると時間がかかってそれくらいになってしまうのぅ」
律「そんなぁ……」
薬師「急ぎのようかい?」
問いに律がコクリと頷いた
薬師「そうかい、それは困ったねぇ……少し前であれば大抵の毒に効く万能薬ともいえるクスリがつくれたんじゃがなぁ」
960 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 00:43:35.47 ID:NzpMTO1Mo
律「そうだ、さっき強いクスリは作れないって……! なんでなんだ?」
薬師「そのクスリを作るのにあるポケモンのトゲが必要なんじゃが、
最近そのポケモンはうずまき島〜アサギのほうに住処を移したらしくてのう……
そのポケモンがタンバの付近であまりみられなくなってしまったんよ」
律「……しかたないか……はぁ……」
薬師「すまんのう……また夕方きてくれるかえ?」
律「はい、それじゃ……あ、ちなみにさっき言ってたポケモンって?」
律がショップを出ようとしたとき、顔だけ背中へと振り返り言った
薬師「あぁ、シードラと言って、こんな青い……」
律「!!」
961 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 00:44:15.68 ID:NzpMTO1Mo
薬師「なんじゃ?」
律「そのポケモン……持ってる。」
薬師「……本当か?」
律「あぁ、ほら」
律がモンスターボールを一つ取り出し老女の前へと差し出した
すると老女がボールを受け取り、その中を目を凝らし覗き込む
薬師「おお、このヒレのトゲの部分じゃ。これがあれば」
律「おっけー、なら。でてこいシードラ」
律がボールを真上に投げ、空中でシードラが放たれ下へと落下するが
そのまま腕を構えキャッチした
律「っと、水はないけど少し我慢してくれよ……」
シードラ「――」
薬師「ほう……少しそのままもっておれよ」
律「すまん、シードラ。少しトゲの部分もらうぞ」
言えば、シードラが律の手の中でコクリと頷き
それを見た老女がピンセットでシードラのヒレへと手を伸ばした
962 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 00:44:45.43 ID:NzpMTO1Mo
――タンバシティ
律「っと、シードラのトゲがあっても一時間はかかるのかよ……」
ポケモンセンターで回復を済ませた律はさきほどのことを思い出し呟いた。
律「さてと、この時間どうするかなぁ……」
何もすることがなく、ただ散策していた律は気付けば浜辺にまで出てしまっていた
律「うーん……ジムに挑戦にしたら時間が足りないよなぁ……」
呟いたそのとき、
――ポツリ
水の音が地面を叩いた。
雨だ。
空を見ればさきほどうずまき島の上空に見えた雲が真上にまで広がっている。
風も強く、雨はすぐに横雨となる。
963 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 00:49:19.56 ID:NzpMTO1Mo
律「ったく、最近濡れてばっかだなぁ」
そして律が浜辺から急ぎ足でポケモンセンターまで戻ろうかと思った時、
二つの異様な光景を見た
一つは波だ。
さきほどまでそれほど荒れていなかった波が、今では砂浜の漂流物を一切さらおうとするまでの高波となっていた
もう一つは……
律「なんだあれ……」
浜辺、下半身だけ胴着のようなものをきた上半身裸の中年の男がいた
だんだんと強くなる雨に呼応するように波も高くなる。
その波際だ。その男が仁王立ちでなにかを待つような姿勢だ
そして律があぶないなぁと、そう注意の声を出そうとしたときだとした時だった
突如、海の方角、さきほどまでの波とは比べ物にならない高波が来た
その高さは目測で、およそ2mほど
浜とそこに立つ人を飲み込むには充分な波だ
律「……おいおい、なんで動かないんだ!! 危ない!」
964 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 00:50:32.02 ID:NzpMTO1Mo
だんだんと浜へと近づいてくる波にも動きをみせない仁王立ちの男へと叫んだ
だが、やはり男は動じずなんのアクションも起こさない
だから律は
律「間に合え、ストライク!!」
ボールから飛び出たストライクは早かった
瞬く間に距離をつめ、その男を目指し走っていく
だがそれでも、波に間に合うかギリギリというタイミングだ
そしていよいよ波があと数瞬で男もろとも助けにむかったストライクを飲み込もうとした時だった
さきほどまでまったく動じていなかった男が、手を動かしなにかを取り出したのを律は見た
律「あの丸いのは……」
律の見たもの、それは自分もよく見慣れていたもの。
赤く、丸い、モンスターボールだった
965 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 00:51:28.95 ID:NzpMTO1Mo
▼
飛び出したストライクが男にたどり着く直前で足をとめていた
それを見ていた律が思わず息を呑んだ
そして男は
???「出ろ、ニョロボン!! 気合パンチじゃ!!」
呼応するように、男の手に持ったモンスターボールからポケモンが飛び出した
そしてすかさず波に向かって拳を構えると、
ただ一突き――その拳を振るっただけで……
律「……ありえねぇ……」
波が割れた。
男を中心に二つに別たれた波は、ただ回りの漂流物や岩石もぎ取りながらその威力を見せる。
が、男とその男の出したポケモン、そしてその男まであと少しといった距離にいたストライクは、
飲まれることなくその場に立っていた。
気付けば雨はやんでいた
まるでその男が波とともに悪天候すらも吹き飛ばしたかのように
そして男がこちらへと振り向き叫んだ
???「いやー、すまんかったのう!! これはいつものワシの修行じゃ。心配せんでもいいぞ」
そう言ってガハハと豪気に笑った男が、律を手招きよせた
966 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 00:52:15.78 ID:NzpMTO1Mo
▼
シジマ「ガハハ、いやぁすまんすまん。
……にしてもよく鍛えられたストライクだな。あそこからここまであのスピードで来るとはの」
シジマと名乗った男が、律の横に立ったストライクを一瞥してから言った
少し話してみるとどうやらシジマという男は、荒れた天気の時には今みたいな修行をしているとのことだった
律「……ったく……修行かよ」
と、ぼやいた律の言葉はシジマの耳にははいらなかった
なぜならシジマはアゴに手をあて、ストライクを眺めながらなにか考え事をしていたからだ
シジマ「……うむ、少女よ。一つ提案がある」
なにかを考えていたシジマが律へとそう言いながら、指を立てた
律「?」
967 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 00:53:10.19 ID:NzpMTO1Mo
シジマ「ここで一戦ワシと戦ってみんか?」
律「ポケモンバトルかっ!!……って駄目だ」
一瞬テンションの上がった律だが、すぐに肩を落とした
その様子を見たシジマがなぜと問いかけると
律「私はあと一時間くらいでこの島をさらなきゃならない。急ぎの用があるんだ」
シジマ「ふむ、一時間か……ならどうじゃ、1対1の勝負で。
交代はなし。時間が来たときに決着がついていなければ引き分けということで」
律「……うん、それならなんとか」
シジマ「よし、決まりじゃな!! ガハハ、まぁ心配はいらん。30分で終わらせてやるからのう」
律「……言ったな」
シジマ「ワシはこのニョロボンで行くとしよう」
律「……!! なら私はこのストライクで行く」
律が咄嗟に言葉を返す
舐められたというほどではないが、やはり対等でやりたかったからだ
968 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 00:53:46.49 ID:NzpMTO1Mo
シジマ「ガハハハ、その負けん気いいなぁ。しかし、こちらも勝負は負けん。
そうだな、修行に付き合ってもらう礼としては、ワシに勝てればジムバッチをやろう」
律「……ジムリーダー!!」
驚きの反応を見せた律にシジマが言う
シジマ「なんじゃ知らんかったのか」
律「……あ、あぁ」
シジマ「萎縮したか?」
すると律が首を横に振った
そして不敵に笑い
律「いいや、俄然やる気がでてきた」
969 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 00:59:39.40 ID:NzpMTO1Mo
▼
闘いの始まりは律からだった。
律「ストライク、高速移動」
今まで敵のニョロボンを見据えていたストライクが消える。
そして現れる場所は、ニョロボンの真後ろ。
ニョロボンの反応はない。
だから
律「もらった、れんぞくぎり」
ストライク「――!!」
背中を目掛けた一振りが走った。
完全な不意。ニョロボンの意識の外の攻撃だ。
だが
シジマ「みきれよ、ニョロボン」
背中側から振り下ろされる一撃。
それに対してニョロボンが取った行動は簡単なものだった。
自分の体へ届く前の刃。その側面へ手のひらをかざし、体の外側へと押し出す。
ただそれだけの行為。
だが、それを背中側をも見ずに腕と手の動きだけで行った。
ストライク「!?」
ストライクの鎌が受け流されるまま地面へと刺さった。
970 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:00:54.03 ID:NzpMTO1Mo
律「――!! なんだ!?来る攻撃が分かっていたのか」
その質問への答えはない。
その代わりに
シジマ「ニョロボン、気合をためろ」
律「!!」ゾクッ
ニョロボンが拳を構えた直後、律の背中に寒気のようなものが走った。
律「かげぶんしん!!」
シジマ「……ほぅ……察したか」
とっさにストライクが、地に刺さった鎌を抜きステップを踏んだ。
ニョロボンを囲むように、走り出したストライクが影をそこへと置いていく。
1つ……2つ……3つ……ニョロボンの周りに三体のストライクが現れる。
だが、さらにその3体はスピードを上げ、その倍――6体のストライクをニョロボンの目に映し出した。
律「(よっし……これでピンポイントにうつ打撃などは当たらない……)」
971 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:01:43.31 ID:NzpMTO1Mo
シジマ「今、安堵の顔を作ったな?」
シジマが口端を吊るすように上げ
シジマ「それが隙に……っと」
と言いかけたところでシジマがさらに声を張り上げた。
シジマ「じごくぐるま!!」
律「(なんだ……あのニョロボン今一瞬目を閉じた?)」
見間違いか、と律が思った、直後。
ニョロボンが浜の砂を蹴り、走った。
そのさきには一体のストライクがいる。
律「まずい!!」
と思った時にはすでに遅かった。
ニョロボンはストライクの本体を地面へと引き倒し、車輪のように転がり投げた。
シジマ「フハハ、本物だったようじゃな!!」
律「……っく、ストライク、体制を立て直せ」
投げられたストライクは地面を滑りながらも、立ち上がる。
972 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:04:15.22 ID:NzpMTO1Mo
シジマ「ふぅ……なかなかやりおるが、甘いな」
律「……さっきのはこころの目か」
シジマ「ほう、分かったか。ならばたった今の言葉を撤回しよう」
律「っく……」
その言葉にすらも悔しさを感じる。
相手は今、自分の上にいるつもりでいる。
たしかに今までの攻防では相手のほうが一枚上だった。
だが、まだ終わっちゃいない。
だから――
律「ストライク!!」
ストライクが今度はニョロボンへと真正面から切りかかりにいった。
速さだけに任せた押しだ。
973 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:06:20.61 ID:NzpMTO1Mo
シジマ「みきり!!」
だが、その一言だけでニョロボンは幾応にも重なる太刀を最小限のうごきだけで避けていく。
律「くそ、ストライク!!」
その呼びかけでストライクが律の目の前へと戻った。
ニョロボンの追撃はない。
そして律が一息、大きく息を吐いた。
シジマ「退くべきところはわかっているのか、申し分……」
シジマの感心した声を遮るように律が言葉を紡いだ。
律「攻撃を見切られる理由がようやくわかったよ……さっきので」
シジマ「……」
シジマの答えはない。
だが、それはまるでその先を促しているようで。
974 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:08:47.03 ID:NzpMTO1Mo
だから律は
律「さっき私が嫌な予感を感じて、ストライクにかげぶんしんを命じた。あれと一緒だったんだな」
「ようはあんたとあんたのニョロボンは私のストライクの攻撃の一々に嫌な予感みたいなものを感じ取ってるんだな?」
「アンタの場合、経験でそれを捉える範囲がハンパないんだ」
律が言い切ったときシジマが咆えるように笑った。
シジマ「大したもんだな!! そう攻撃とはつねに気配を持ちながら行われるもの。
よほどの訓練をつまなければ気配を消した攻撃などできん! ゆえにワシらはそれを感じ取り応じる。
それが武の力。ゆえにワシのタイプは格闘! 格闘のエキスパートじゃ!」
律「へぇ、そこまでいっていいのかよ」
シジマ「かまわん! だが、どうする少女よ。攻撃を当てなければ勝てはせんぞ」
律「分かってるさ。ようは分かってても避けられない攻撃をすればいい。そしてそれは速さだ」
シジマ「ほぅ……ならばワシは力を持ってそれを制そうか」
975 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:13:11.69 ID:NzpMTO1Mo
言ったシジマがこちらへと手の平を向け
シジマ「見ていろ、これがワシの力じゃ。ニョロボン、気合をためろ!!」
そして律は見た。
ニョロボンの構え。それはさきほどいやな予感がしたあの構え。
ニョロボンが拳を高く振り上げ
シジマ「――気合パンチ!!」
真下へと振り抜いた。
地面を穿った拳が浜辺の湿りを帯びた砂を巻き上げる。
そして穿たれた地面。そこに大きな穴があった。
律「!!」
それは幅としては大きいものではない。
驚くべきは深さにあった。
だいたい大人が二人ははいれてしまいそうなほどの穴だ。
そしてそれはニョロボンの攻撃の威力を表していた。
976 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:13:45.98 ID:NzpMTO1Mo
律「これが波を割った力……」
シジマ「うむ。 そういえば、まだ名前を聞いていなかったな」
律「律」
シジマ「そうか、律よ。この力を前にしてもさきほどの言葉をいえるか?」
律「……あぁ……だからと言って私がやることは変わらない。その力を制してやるよ」
シジマ「ガハハハ! 面白い!」
律「ところでいいのかよ?」
律がニヤリと笑った
シジマ「なにがだ?」
律「もう30分は過ぎようとしてるぞ」
シジマ「……言いよるわ!!」
シジマもニヤリと笑みを浮かべ返した。
――そして再び場が動き出した
977 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:14:25.49 ID:NzpMTO1Mo
▼
浜を駆ける音が聞こえる。
走り、跳び、踏み込み、そして攻撃する音だ。
そしてその音に交じり合うように声も聞こえる。
律「ストライク、スピードをあげろ!!」
2つの人影と2つのポケモンの影。
その人影の一つから声が上がった。
応じるのはその人影の前にいたポケモンの影。
――
ストライクとニョロボン。
2匹のポケモンがこの砂浜で攻防を繰り広げる。
片方が拳を穿てば、片方はその後ろへと回り込もうと宙へ跳び。
片方がその刃できりつけようと刃を立てれば、片方は体をそらすことでいなし
律「つるぎのまい!!」
シジマ「ほう……速さといいながら、力も上げるか。貪欲な」
だが
シジマ「悪くない」
978 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:15:03.86 ID:NzpMTO1Mo
ストライク「――!!」
シジマはストライクが応え、咆えるのを聞いた。
次の瞬間、ストライクが宙へと飛び上がった。
そして空でその羽で羽音を響かせ、地へと降り、また舞う。
剣の舞――それはまさしく闘いの舞い。己を鼓舞するための舞いだった。
シジマ「ニョロボン、バブルこうせんだ」
距離を取りつつも舞うストライクに対しての攻撃は泡による攻撃だった。
いくつもの泡がストライクへ向かい弾けていく。
大したダメージにはならない。
しかし、その泡の攻撃は舞の最中のストライクの気を散らしていく。
シジマ「ニョロボン、こちらもビルドアップだ!!」
ニョロボン「ニョロ!!」
律「こうそく移動!!」
ストライク「――!!」
979 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:15:46.27 ID:NzpMTO1Mo
ニョロボンの筋肉が膨れ上がり、ストライクが地を駆けスピードを上げていく。
そしてストライクが不意にニョロボンの後ろに現れた。
最初の攻防の時と同じだ。
律「れんぞくぎり!!」
シジマ「みきれ」
やはりその攻撃は最初と同じ結果だった。
ニョロボンが手のひらで刃を受け流す。
シジマ「かわらわり」
すかさずシジマがニョロボンに指示をだす。
ニョロボンが今度は手刀を作ると、刃を地面に振り下ろしたストライクへと向けた。
律「かげぶんしん!!」
シジマ「むだじゃ、こころのめ!!そして穿てばくれつバンチ」
ストライクが先ほどの6体の分身よりもさらに多い分身を作る。
数にして12.先ほどの倍に当たる数だ。
だが、ニョロボンはやはり一直線に本体を見抜き、そこへ向けてこぶしを放った。
980 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:16:35.22 ID:NzpMTO1Mo
律「っく!!」
ストライク「――!!」
その拳の突きに対してストライクが後ろへと退いた。
ニョロボンの手の届かぬ位置。
そこへとバックステップした。
シジマ「む、なかなか速いな。まだ上がるか?」
その質問に律は答えない。
だが、ストライクの行動がそれを示していた。
もう一度、浜を走る。
さきほどよりも速く、そしてするどさを増して――
981 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:21:57.44 ID:NzpMTO1Mo
▼
最高速はまだ遠い
そうストライクは思う
まだ上がる。まだ出せる。主人は自分の速さを誇った。
ならばそれに応えなければいけない
だから
――行った
982 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:22:28.10 ID:NzpMTO1Mo
▼
再び、ストライクの姿がニョロボンの後ろに現れた。
律「れんぞくぎり」
シジマ「なんどやればわかる!!!」
やはりその攻撃もあっさりと受け流される。
そしてさきほどの繰り返しだ。
相手のニョロボンの動きは速いわけではない。
だが、こちらの攻撃が通じない。
何故か? そう律は考える。
そしてそれは
……相手の予想内だからだ。
ストライクの速さはすでに充分速い。だが、足りない。
……もっと
律「ストライク!!」
浜を駆けたストライクが今度は一直線にニョロボンへと向かった。
真正面――そこから刃で斬りかかっていく。
近接戦闘。
983 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:23:10.80 ID:NzpMTO1Mo
ストライクのリーチとニョロボンの近接でのリーチは似たものだ。
わずかにストライクのほうが長いが、それでも状況はかわらない。
刃は拳で受け止められる。
拳は刃で受け止められる。
互いが互いに決定打のないままに近接での攻防をしていた。
……もっと
だが、わずかな間の0距離の戦闘。
はじめに間を取ったのはストライクだった。
攻撃した刃、そのかえす刃とともにストライクがバックステップで距離をとった。
つまりそれは――危機感を感じたのはストライクのほうということだった。
……もっと
距離をとった直後ストライクがニョロボンの周りを再び走り出す。
すでに視界には捉えられないレベルだ。
律「……そうだ、もっと速度を上げろ、ストライク!!」
ストライク「――!!」
984 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:23:41.55 ID:NzpMTO1Mo
音にならない鳴き声が上がる。
ただひたすらに速度を上げ、走り、相手を捉え、回り込み
そして
律「れんぞくぎり!!」
シジマ「すでに見切られるだけではすまんぞ!!」
さきほどの再生にはならなかった。
ストライクが回り込んだ段階で、ニョロボンがストライクの腕をとった。
そしてそのまま地面へとたたきつけてから、自分の体を車輪のように回しストライクを巻き込みながら。
シジマ「じごくぐるま!!」
律の前へと投げた。
律「ストライク!!」
シジマ「ふむ……これでおわりか」
律「いや……まださ」
シジマ「!?」
そう言ったシジマが見たのは再び立ち上がるストライクだった。
985 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:24:57.39 ID:NzpMTO1Mo
シジマ「ガハハハ、いいぞ! まだやれるのか!! いけ、ニョロボン」
今度は距離をつめたのはニョロボンだった。
地面を蹴り、立ち上がったばかりのストライクへと接近する。
シジマ「穿てよ――気合パンチ!!」
ニョロボンがストライクへと近づきながら、こぶしを構えた。
律「なっ、まずい。よけろストライク!!」
ストライク「――!!」
その声にストライクがいち早く反応し、ニョロボンの真上、上空へと跳び上がった。
律「(よしっ……逃れた)」
シジマ「さっきも言ったな。それが隙だと」
その言葉に律がシジマとニョロボンを見た。
シジマがニョロボンと呼応するように拳を作る。
律「(拳!? そんなまだ撃つきか!?)」
その数瞬の攻防、ニョロボンは真上へと跳んだストライクを見ていなかった。
見ていたのは――
律「(――地面!!)」
「まずい!!」
986 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:25:45.97 ID:NzpMTO1Mo
ニョロボンが地面を穿った。
そしてその結果巻き上げられるのが砂だ。
砂は真上へと礫のように舞い上がり、ストライクを射ち落とす
そして
シジマ「これでしまいじゃぁ!!」
ニョロボン「ニョロ!!」
なんとか着地したストライクの真後ろ、そこにすでに拳を作ったニョロボンがいた。
シジマ「気合パンチ!!」
律「あぶない、ストライク!!」
987 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:28:50.14 ID:NzpMTO1Mo
▼
叩き落された。
主人の声が聞こえる。
それは危ないと告げる言葉だ。
後ろにいるのは、ニョロボンだろう。
嫌な予感は背中からする。
速度――結局速さは足りなかった。
最高速だったのだろうか?
どうだろうか?
疑問は自身へと還った。
そして思うのは、まだ最高速ではないということだ。
なぜならまだ足は動く。ならばまだ戦える。
だからこそ反応しろ。
背中だ。背中から嫌な予感がするのならば前へと進め。
一歩、その最速で
――行った。
988 :
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:2011/05/30(月) 01:29:52.20 ID:NzpMTO1Mo
▼
次にシジマが見たのはニョロボンの拳が空を撃った姿だった。
さきほどまでそこにいたストライクはいない。
なら、どこに? と思いさらに前を見るとそこに
ストライクがいた。
シジマ「移動したのか、あの場所からそこまで!?」
989 :
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:2011/05/30(月) 01:30:35.67 ID:NzpMTO1Mo
▼
その姿を律だけは見ていた。
ニョロボンの拳から逃れる、その瞬間を
そして今までとの違いを
律「高速移動だ!!」
ストライクがニョロボンの周りを同じように駆け抜ける。
残像を数えてみれば、2桁の数だ。
シジマ「さきほどよりも速いな!!これは……背中の羽せいか!!」
ストライクの背中、さきほどと違う動きがある。
今までストライクの移動は足だけで行われていた。
だが、今は
律「いけ、ストライク!!」
羽ばたきがストライクの一瞬のスピードを爆発的に上げていた。
ストライクのスピードがさらにます。
すでに目視できないレベルだ。
990 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:31:24.48 ID:NzpMTO1Mo
そして
律「――ストライク!!」
シジマ「来るぞ、ニョロボン!!」
律の声に応じるようにストライクが行った。
それも今度は後ろにまわるのではなく――真正面からだ。
ニョロ「――!?」
律「れんぞくぎり!!」
れんぞくぎりの5刀目。それは最速の一撃だ。
その最速の一撃が、不意に目の前に現れ焦るニョロボンを襲う。
一閃。
ニョロボンのうずまき状の模様の見える体へとぶち込んだ。
そして次の瞬間、ニョロボンが後ろへと倒れこんだ。
シジマ「……ガハハハ、ワシの負けか!!」
991 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:31:50.99 ID:NzpMTO1Mo
▼
シジマ「ほれ、これがショックバッチじゃ」
律「ありが……」
シジマ「あぁ、いい。そういう挨拶はいい。それよりもうすぐあれから50分じゃぞ。急がなくていいのか」
律「え? あぁー!!」
シジマ「ほれ急げ急げ」
そういってシジマが慌てながら走っていく律を見送った
シジマ「さてと、ニョロボン。また修行の日々だぞ」
ニョロ「ニョロ!!」
シジマ「ガハハ、それでこそワシのポケモンじゃ」
992 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/30(月) 01:32:37.33 ID:NzpMTO1Mo
▼
なりゆきでジム戦を終えた律は、クスリを受け取りまた浜まで出ていた。
律「帰りもやっぱり波乗りだよなぁ……」
そうぼやいた時、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
???「律さーん!!」
聞きなれた声に振り向くとそこには
律「ゴールド!?」
「VS ニョロボン 〆」
993 :
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[sage]:2011/05/30(月) 01:33:46.17 ID:W3WNOZDIO
乙!
ストライクかっけぇwww
994 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
:2011/05/30(月) 02:21:49.65 ID:EUodHFRAO
乙
995 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
:2011/05/30(月) 03:10:09.96 ID:7rc2ZtxQ0
乙
996 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/05/30(月) 09:00:33.08 ID:eFmzHtNAO
更新ありがとうございます!
997 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/05/30(月) 11:33:45.13 ID:ay7wN4O8o
乙です
998 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
:2011/06/04(土) 02:46:53.18 ID:gL8Bc2HAO
乙!
次のスレでまた読ませて
999 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/06/05(日) 00:56:11.02 ID:2aG/XDpAO
次スレは?
1000 :
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(チベット自治区)
[sage]:2011/06/05(日) 00:56:15.33 ID:UA+DHAfOo
999
1001 :
1001
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