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マリーダ「了解、マスター」グラハム「マスターとは呼ぶな!」二機目 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/04/26(火) 04:06:49.06 ID:I3Xn7PpAO
やあ (´・ω・`)
ようこそ、このスレ。
この1/144ユニオンフラッグはサービスだから、まず作って落ち着いて欲しい。
うん、「次スレ」なんだ。済まない。
マリナの財布もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、このスレを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「まさしく愛だ」みたいな、まぁだいたいそんな感じの何かを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
そう思って、このスレを立てたんだ。
嘘だよ、本当は間違って立っちゃったんだ
とりあえず、注文を聞こうか。

1:此処は00世界を基準に宇宙世紀設定を織り交ぜた感じの世界です。改変が多く、名称は同じでも設定が違う単語も多いですが御容赦を

2:NT能力を持った00キャラが多数現れます。逆に名前だけ出演の他ガンダム作品キャラも沢山います。要はカオスです

3:色々と形を変えた他作品MSも多々現れます。基本的には00外伝から引っ張ってきますが、やっぱりカオスです

4:基本的にグラハムのガンダム愛が薄いです。NT化によるズレと認識してください。マリーダと稀にイチャイチャしますが、その時は壁があるじゃないか諸君


前スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/1299918768/l20

ガンダム速報さんの方で初期VIP時代はまとめられているようです
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

【安価】タイトルからあらすじを想像して架空の1クールアニメを作る 2024春 @ 2024/04/28(日) 16:37:54.07 ID:PHuiugtM0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714289873/

【進撃の巨人】俺「安価で巨人を駆逐する」 @ 2024/04/27(土) 14:14:26.69 ID:Wh98iXQp0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714194866/

諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/04/26(火) 04:54:36.26 ID:nTewpi62o
このスレッドは天才チンパンジー「アイちゃん」が
言語訓練のために立てたものです。

アイと研究員とのやり取りに利用するスレッドなので、
関係者以外は書きこまないで下さい。

                         霊長類研究所
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/26(火) 07:00:44.50 ID:aKsqFYGDO
>>2
NTwwww

そんでもってスレ立て乙!
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/26(火) 09:40:59.29 ID:v3xJlP6IO
ハリソンが戦った猿か
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2011/04/26(火) 12:19:55.99 ID:PmePglOAO


アレハンドロがもはや御大将にしか見えん
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/26(火) 18:02:16.43 ID:97QUhzTs0
乙!
あえて言わせて貰おう……前スレ>>1000、お見事であるとっ!!
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/27(水) 00:21:00.19 ID:nhFejIWGo
スローネ・アインは好きな機体なんで頑張って欲しいぜ…GNフィールドでガチガチのアルヴァトーレには打つ手無しだけど
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2011/04/28(木) 02:04:24.13 ID:IjmfbSkM0
再び>>1が書き始める前に追いつかねば!間に合え!間に合え!間に合えーっ!
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/29(金) 22:53:53.10 ID:uNbtG4D4o
ゴーカイジャーに出演らしいなフラッグファイター
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/05/02(月) 20:09:39.04 ID:m2Y3F5g/o
EXTREME VSにプルツー参戦と。
早くリボンズが出ないかな・・・・・

無論、フィンファングが残念な仕様でなくて。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga  sage]:2011/05/03(火) 03:47:33.07 ID:cTzS6Mog0
この人気……本当に羨ましいぞグラハム!
12 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 02:39:04.93 ID:VmIvWdkAO
GWに入り逆に忙しくなるとはな、世は分からんものだ

投下再開だフラッグファイター
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/04(水) 02:40:19.63 ID:qI5IwrXvo
待機していた甲斐があったな、待ち遠しかったぞ、ガンダム!
14 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 02:43:03.31 ID:VmIvWdkAO
ーバージニアー

マネキン「各自、緊急用の小型艇から離れるなよ。いつ敵が来るやも知れんからな」

『了解です』

ウィンッ

マネキン「!」

マリーダ「……」

マネキン「ん、予想以上に早かったなマリーダ」

マネキン「もう少し話し込んでから来ると思っていたが……もっとも、そんなに時間も無いか」

マリーダ「いえ、私達にはこれで十分です。お心遣いありがとうございました」ニコッ

マネキン「……私達、か」

マネキン「私がもっと気を利かせられるなら、何とかして君に機体を渡しているのだが」

マネキン「組み上げた予備機はコーラサワーの一機だけしか作れなかったから……な」

マリーダ「……」

マネキン(しかし、ニュータイプの精神感応というものなのか……まるで小一時間語り合えたとでも言うようにすっきりとした表情をしている)

マネキン「……私には、分からん世界だな」

マリーダ「はい……?」

マネキン「なに、気にするな」

オペレーター「大佐、こちらに接近する小型艦船を確認しました」

オペレーター「所属はユニオン、こちらに通信を求めています」

マネキン「……」

マネキン「先ほどの一件もある、リニアキャノンを小型艦に向け、注意しつつ対応しろ」

オペレーター「了解」

マリーダ「小型艦船……」

マリーダ「大佐」

マネキン「分かっている

マネキン「タイミングからしてグラハム大尉の関連の可能性が高いだろう。危険性は少ないが、念のためだ」

マリーダ「はい」

マリーダ(ピーリス少尉……頼んだぞ)
15 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 02:46:38.47 ID:VmIvWdkAO
ートレミーー

フェルト「左舷第一出力部被弾! 機能停止しています!」

クリス「GNフィールド発生機に異常発生! GNフィールドの展開が出来ません!」

スメラギ「エネルギーを右舷第二出力部に全て回して! リヒティは次射に備えて、任せたわよ!」ガタンッ

クリス「スメラギさん!?」

スメラギ「マイスター達には既にミッションプランを通達したわ、GNフィールドが発生出来ない以上強襲用コンテナでトレミーを守らなきゃ」

ピッ

スメラギ「イアンさんも強襲用コンテナへ! 砲手も多い方が良いわ、手伝ってください!」

イアン『りっ、了解だ!!』

スメラギ「クリス、ブリッジは宜しく!」

クリス「はい!」

ウィンッ

スメラギ「まだ死ぬわけにはいかない……いかないのよ」

ー宇宙ー

ヨハン「止まれぇッ!」

敵機の猛攻をかいくぐり、隙あらば反撃の粒子ビームを放つスローネアイン
だがそれも敵機のGNフィールドに傷を付けること適わず、時折放たれる敵の主砲を止めることさえ出来ずにいた

アレハンドロ『哀れだなヨハン・トリニティ……兄弟を殺され存在価値も無くし、敵だったソレスタルビーイングに与してまでささやかな抵抗を試みるが、その実、アルヴァトーレの前に手も足も出ないとは』

ヨハン「……ッ」ギリッ

アレハンドロ『また私の元に戻ってくるつもりはないか? 今からソレスタルビーイングの母艦を沈めてくるなら、また私の下で働かせてやってもいいのだが……』

飛び込んでくる不遜な通信に、ヨハンは血が滲む程に唇を噛み締めていた
16 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 02:57:50.27 ID:VmIvWdkAO
ヨハン「富や権力を手に入れると、恥を知る心も忘れるらしい……!」

ヨハン「我々を勝手に産み出した挙げ句、ゴミ同然に使い捨てたのは一体誰だッ! アレハンドロ・コーナーッ!!」

アレハンドロ『また拾ってやろうという温情も感じられぬとは、哀れを通り越して情けなさすら覚えるな』

ヨハン「貴様ッ……もはや人間の感覚さえも失ったかッ!」

アレハンドロ『違うな、超越したのだよ! 矮小な人間の領分の更に先へと!!』

刹那「嘘だッ!!」

アレハンドロ『ぬ!?』

アレハンドロの言葉を遮るように、アルヴァトーレのGNフィールド目掛け数多の粒子ビームが叩きつけられる
フィールドこそ破られはしないものの、不毛な会話の腰を折ることには成功したといえるだろう

アレハンドロ『貴様はッ……刹那・F・セイエイ!』

アレハンドロがモニターに映し出すは、支援兵器に身を包む蒼のガンダム
GNフィールドを切り裂く可能性を秘めし巨大な刃を携え、一直線にアルヴァトーレへと突貫していた

刹那「見つけたぞ、世界の歪み!」

刹那「ガンダムエクシア、GNアーマー! 敵機を駆逐するッ!」

ラッセ『やぁってやるぜ!』
17 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 03:04:02.18 ID:VmIvWdkAO
ーアステロイド付近ー

ギュゥゥ……ン

ソーマ「中佐、あと500カウントで目標地点に到達します」

セルゲイ「了解した。プランBの後プランZに以降、各機は散開、ガンダムへのラストミッションを開始せよ」

グラハム「プランZ……つまりは、現地での個々の判断に任せるということか」

ダリル「致し方ありませんぜ隊長、敵は三十六機の裏切り者部隊に、ガンダムなんですから」

セルゲイ「第三勢力の介入を前提としたミッションプランは想定されなかったからな……」

グラハム「……」

セルゲイ「乱戦が予想されるが、我々はその隙を突きガンダムを強襲、撃破の後戦域から即座に撤退する」

コーラサワー「撤退? アレハンドロとか言う奴はやっちまわないのかよ」

セルゲイ「……口惜しいが、我々の戦力はアルヴァトーレのようなMAと戦う術を持たん」

セルゲイ「あの粒子バリアに対抗することが出来ればまだ違うのだが……このままやれば犬死にだ」

セルゲイ「これはカティ・マネキン大佐と共通の見解だ、従ってもらうぞ少尉」

コーラサワー「う……大佐が言うなら……」

グラハム「……」

ガツンッ

グラハム「!? 接触回線か」

ダリル「隊長」

グラハム「どうしたダリル、わざわざ接触回線など使って」

ダリル「良いんですよ、行っちまっても」

グラハム「何……?」

ダリル「隊長の部下として長らく働いてきたんです、何考えているかくらいはすぐに分かりますよ」

ダリル「やるつもりでしょう? あの金ピカMAと」

グラハム「……」
18 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 03:11:05.10 ID:VmIvWdkAO
ダリル「隊長、これだけは言っておきますぜ」

ダリル「頼みます。絶対に、生きて帰ってきてください」

グラハム「ダリル……」

セルゲイ「……どうやら、話が先についてしまったようだな」

ダリル「!」

グラハム「スミルノフ中佐……」

セルゲイ「何も言うな。同じ事を二度も言うほど私もナンセンスではない」

セルゲイ「恐らく、あの男は何らかの強化改造手術を受けている。更にMAの武装の火力、粒子バリア、その性能はガンダム以上かもしれん」

セルゲイ「行くなとは言わん……だが、決して逝くな」

グラハム「スミルノフ……中佐?」

セルゲイ「もう、見たくないのだ。私より若い者達が死んでいくのは……」

ソーマ「中佐……」

セルゲイ「……」

ピキィィィィン

グラハム「……ッ」

コーラサワー「……」

コーラサワー(あ、今悟ったな。アルヴァトーレに中佐の残った部下がやられたの)

コーラサワー(トップガンの事だからなぁ……)

グラハム「アルヴァトーレ……アレハンドロ・コーナー」

グラハム「貴様が味わうのは勝利の美酒ではない。我が剣の錆びだ……ッ!」

コーラサワー「止まらねえぞ、こりゃ」
19 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 03:19:19.52 ID:VmIvWdkAO
ソーマ「ッ! 中佐、マスター!」

グラハム「!」

セルゲイ「おぉ……!」

ゴゴゴゴ……

コーラサワー「う、宇宙が燃えてやがる……ッ!」

ダリル「隊長……今までで一番厳しい戦いになりそうですね」

グラハム「あぁ」

グラハム「だが我々はそれでいいのだよ、ダリル」

ダリル「……」

グラハム「思えば……我々とガンダムの逢瀬に、楽な一戦など一つたりともなかった」

グラハム「圧倒的な性能差に押し切られ、苦杯を舐めさせられ、その度に努力し、我々は此処まで上り詰めた」

グラハム「多くの仲間を亡くした……多くの家族を死なせてしまった」

グラハム「だが我々は敗北する度に這い上がってきた、そしてその度に力を得、今ここに立っている」

グラハム「今日こそ勝つぞダリル、ガンダムをこのアステロイドに葬り去る!」

ダリル「遂にこの時が来たぞハワード……ッ!」

ソーマ「中佐に、マスターに、そして今まで戦って来た仲間達に……今こそッ!」

コーラサワー「俺だって今度こそッ! 大佐のキッスを頂きだぁぁぁぁぁ!」

セルゲイ「よし……!」
20 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 03:24:30.55 ID:VmIvWdkAO
セルゲイ「往くぞ……全機散開!」

セルゲイの一喝と共に、GN-Xは左右に分かれ、RGMの群れる戦場へと突入していく
生きて帰れぬかも知れぬ死地へと、戦友が数多散った世界の敵へと、互いの想いを胸に、五人の兵士達は星の海を突き進んでいく

グラハムはそのまま真っ直ぐに、一際激しい放火に呑まれる渦の中へ飛び込んでいった

グラハム「……ッ!」

ピキィィィィン

額に電波のように飛び込んでくるのは、アルヴァトーレと対峙する二つの影の像、そして遠方からでも容赦なく響く強烈なプレッシャー
どちらもが鮮明にグラハムの頭の中に浮かび上がる
GNフラッグの操縦桿を握る指に自然と力が込められた

グラハム「ぬ……?」

しかし近付く度に感じる違和感が、グラハムの背筋を冷たくさせる
強大な一つのプレッシャーに取り込まれたように、小さな精神の形がアルヴァトーレの影に重なって見えた為だろう
それが何を意味するのかは、今のグラハムには知る由も無い

グラハム「……」

ただグラハムはひたすら突き進んでいく
それは、自らの我が儘を聞き入れ、最強のフラッグを造り出した盟友の為
それは、フラッグファイターの矜持を自身に預け、宇宙に散っていった仲間達の為
そして、必ず帰ると、唯一約束した女の為に
自身の身体が上げる悲鳴も無視し、最大出力で戦線へと突入していった

『おっと』

『そうはさせないよ、ライセンサー』
21 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 03:32:40.70 ID:VmIvWdkAO
グラハム「ッ!?」

その時だった
横合いからグラハムを遮るように、紅い粒子の帯が見舞われる
とっさに機体を急停止。身体がコクピットの前のめり、急激なGに背骨が悲鳴を上げる

グラハム「ぐぅッ……!」

巨大な足に踏みつけられるような苦痛、顔が歪み汗が噴き出す
しかし苦しんでいる余裕は無い、即座に機体の向きを粒子が飛んできた方向に向ける
攻撃してきたのは二機のRGMカスタム……粒子ビームを放つGNロングレンジライフルを装備した群青色の遠距離機体と、実体弾をバラまく大型ガトリングガンを装備した朱色の中距離機体だ

グラハム「二機……足止めをしに来たか」

グラハム「ふ、だがガンダムでもないMSに私の相手は勤まらんよ」

舌先に鉄の味を感じながらも、自らを鼓舞する意味も込めて強気の独り言を漏らす

『何、ちょっとの間だけ此処で遊んでくれればそれで良いんだよ』

『ヒリング、油断は禁物だ。カスタム化されたフラッグとて、乗っているのはニュータイプだよ』

『分かってるよリヴァイヴ……でも所詮は人間。深追いしなきゃ、それでいいのさッ!!』

朱色のRGMカスタムがガトリングガンを構え、引き金を引く
ものの数秒で数百発もの弾丸が吐き出され、グラハムへと襲いかかっていく

グラハム「引かんよッ!」

斜め前へと急加速、放射状に広がる弾丸の横へと機体を回避させ、剣を構える

『あたしの弾を避けた!?』

『流石に良い動きだ、だが!』

グラハム「ぬッ!」

それを読んでいたと言わんばかりのタイミングと位置に粒子ビームが撃ち込まれグラハムの動きを止める
敵が仕掛けてきたのは、確かなコンビネーションとリーチの差を利用しての、徹底的な消耗戦
明らかにレベルの違う搭乗者、しかしグラハム・エーカーは怯まない。怯まないからこそグラハム・エーカーなのだ

グラハム「私の道を阻むなぁぁッ!!」

『楽しめそうね、ライセンサー!』

『有り難いよ人間、肩慣らしにはなりそうだッ!』
22 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 03:33:50.10 ID:VmIvWdkAO
ー一方アステロイド・ティエリア側ー

二方向に分かれたRGM部隊、その数は十八機
一際大きな隕石をぐるりと迂回し抜けようとしたその時、目の前に青い光球に身を包むMSが立ちはだかった
ティエリア・アーデの駆るヴァーチェ・フィジカルだ

ティエリア「数が多ければ勝てるという愚策は、今まで幾度となく叩き潰してきたッ!」

戦術予報による先制の一打、胸部GNコンテナミサイルの一斉放射が飛蝗の一群となりRGMを襲う
前方に配置されたRGMはおろか、部隊中枢にまで破壊は及び、次々にRGMを葬り去っていく
一挙に半数以上、十機が薙ぎ払われた

ティエリア「ロックオンの想い、このティエリア・アーデが成し遂げる……!」

ティエリア「たかが量産機に、ガンダムの相手が務まると思うなッ!」

背部のGNキャノンが逃げ延びた一機を狙い、粒子を放つ
一機は盾で防いだものの、押し込まれるように隕石にぶつかり、そのまま盾ごと焼き尽くされ散る

今まで使用してきたヴァーチェ、パーティクルと違う実弾兵器主体の武装形態・フィジカル
特筆すべきはその粒子フィールド、パーティクルでは武装に回した粒子をフィールドに回している為、RGMの武装などまるで通さない堅牢さを誇る

RGMは残り七機、しかし、見慣れぬ実体の刃を握るカスタム機がその中に紛れていた
23 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 03:51:19.84 ID:VmIvWdkAO
ティエリア「やはりな……私達を狙うための装備、意図的に構成された処刑者達という訳か!」

ティエリア「だがその程度の機体で、我々と相対出来ると思うなッ!」

GNバズーカを発射すると、砲弾が弾け数多の粒が噴き出すように広がっていく
元々フィジカルには存在しない散弾タイプの実体弾バズーカ、聞けばこれもシェリリン・ハイドがフィジカルパーツ搬入の段階で準備してくれたものらしい
強度に劣る三国MSやこの謎の量産機を相手取るには十分な威力であり、パーティクルに対し残弾の不安があるフィジカルにはうってつけの武装といえる

RGMが二機、霧のように散弾を吹きつけられ爆発する
カスタム機も下手に接近出来ず遠くから睨みつけるばかりとなっている
流れを掴んだ。手応えをティエリアは感じていた

コーラサワー「見つけたぁぁぁ!」

ダリル「退きやがれッ! そいつは俺達の相手だ!」

ティエリア「!」

すると、隕石の陰を抜け突然現れた二機のGNーX、RGMを横合いから撃ちつけ三機を一瞬で葬り去る

ティエリア「国連軍の残党……まさか、三つ巴の乱戦をやるつもりなのか!?」

スメラギの戦術予報には無かった相手だけに、動揺は抑えきれず、端麗な表情は僅かに曇る
しかし今のティエリアは、それらを跳ね除けるだけの強さを秘めていた
それを与えたのは他でもない。ロックオン・ストラトスの死である

ティエリア「彼の死に報いねば……私は先に進めない!」

ダリル「隊長を死なせて、あの人を泣かせるわけにゃいかねえんだ!」

ダリル「早々に片付けるッ! 悪く思うなよガンダムゥッ!!」

ティエリア「ロックオン・ストラトスの為にィッ!」

戦況は荒れる一方、しかし闘う者は皆迷うことなく、自らの意志で引き金を引いていった
24 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 03:58:42.83 ID:VmIvWdkAO
>>22の胸部ミサイルは脚部に変更頼む、済まない



ーアステロイド・アレルヤー

ハレルヤ「くははははは……!」

シールドクローの一撃を腰に受けRGMが両断される
アレルヤとハレルヤ、二度目の解放を果たした真の超兵は、他機からの攻撃を物ともせず既に五機のスクラップを生み出している
飛行ユニットを外しながらも、ガンダムキュリオスはRGMを圧倒していた

ハレルヤ「ビンビン来やがるぜ……お前等も脳量子波を使えるみてぇだが、所詮その程度」

ハレルヤ「俺達超兵にゃあ勝てねぇんだよッ!」

自らに向けられ、雨霰と降り注ぐ粒子ビーム
それらの情報を反射的に認知し思考、最も有効な回避パターンを実行。キュリオスは身を翻し縦横無尽に駆け回り集団を翻弄する

ハレルヤ「ソコだよ、逝けやぁ!」

追った一機のRGMがサブマシンガンに蜂の巣にされ、爆発する
トランザムという鬼札をキープしつつ、そのまま敵機を殲滅せんという勢いだ

ピピッ

ハレルヤ「!」

ハレルヤ「Eセンサーに反応……この識別番号は……」

アレルヤ「来たよハレルヤ……」

ハレルヤ「はっ!」

ハレルヤ「仲間割れした割には、いい度胸じゃねえか……女ァァ!!」
25 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 04:12:26.82 ID:VmIvWdkAO
ソーマ「……」

ソーマ・ピーリスは、宿敵を前に数時間前の事を思い返していた
それは自身の内面、夢にも現れたもう一人の自分との対話の最中、突然入った通信のことだった

相手はマリーダ・クルス。先ほどグラハムとの接吻を覗き見ていた件もあり、正直ソーマは舞い上がりながら通信を開いた

マリーダ『済まない少尉。一つだけ、頼みたいことがある』

次の瞬間、彼女はピーリスに頭を下げる
ピーリスが何かを言い出す間さえ無く、マリーダは更に言葉を紡ぐ

マリーダ『頼む。私の代わりに、マスターの力になってほしい』

マリーダ『不甲斐ない私の代わりに……彼を助けてくれ……!』

ソーマ「……」

ソーマ・ピーリスが、内なるマリーの申し出に対し迷っていた時だった
ブリティッシュ作戦の闘いで、真の超兵と自らを呼び、圧倒的な戦力を以てヤザンに相対した被験体E-57
そして、その圧倒的戦力に徐々に対応さえしてみせた、ヤザン・ゲーブル
この二人の闘いの中で、自らが背負っていた矜持は全て崩れていた。自身より以前に改造された出来損ないに劣り、全く改造していない、普通の人間より下の戦力しかない自分
崩れた矜持はつまらない自尊心に変わり、それまで僅かな時間の縫うように行われてきた、マリーとの対話を受け入れづらくする要因ともなっていた

ソーマ「……ッ」

しかし
先ほどの出撃の直前、マリーダからの個別通信によってそれは意識の外から完全に離れていった
あの彼女からの、常にグラハムの隣に居続けたマリーダからの、切なる願い
通信を受け、棘のように刺さっていた矮小なプライドは、嘘のようにあっさりと抜け落ちた
彼女が自身を頼ってくれた、それが何よりも嬉しかったから
その願いに応えたかったから

ソーマ「いこう、マリー・パーファシー」

ソーマ「超兵としての矜持の為で無く、私の大切な人々の為に……!」

ハレルヤ「往くぜ女ァッ!!」

ソーマ「そうだ、私達は戦う! 己の意志でッ!!」
26 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 04:19:01.60 ID:VmIvWdkAO
ハレルヤ「ッ!?」

キュリオスのシールドニードルとビームサーベルがぶつかり、その接点を軸に両機は同時に圧を横へとかける
アレルヤの見通しなら自身の揺さぶりで敵機はバランスを崩すはずだった、だがGN-Xは彼の思考反射の領域に確かな対応をしてきていたのだ

ソーマ「相手の先を読む……ッ」

ハレルヤ「てめぇッ!」

ソーマ「そして……」

ソーマ「私達はその上を往くッ!!」

マリーの見立て通りに、ハレルヤは一際強く力を掛けて弾きにかかる
その動きに抗わず、むしろ乗ることでその勢いを利用して横に強く回転

ハレルヤ「ッ!?」

ソーマ「はぁぁぁあッ!!」

ハレルヤ「がぁっ……!」

それは、セルゲイがスローネドライに見せたような強烈な後ろ回し蹴り
キュリオスのマシンガンの照準を許すことなく、上体を容赦なく蹴り飛ばす

アレルヤ「この動きッ……!?」

ハレルヤ「まさかてめえ、こっちの領域に踏み込んで……!」

キュリオスが体勢を立て直す。動揺が伝わってくるように感じられた
あのガンダムと被験体に対応出来た、その喜びが電流のように彼女の身体を駆け巡る

ソーマ「これがあなたの世界……」

ソーマ「マリー・パーファシーとソーマ・ピーリスの、思考と反射の融合!」

ハレルヤ「女ぁぁぁッ!!」

ソーマ「もう私は負けない!」

ソーマ「来い、ガンダム!」

体勢を立て直したガンダムに、ビームサーベルを抜き接近するピーリス
ガンダムもまたサブマシンガンで応戦しつつ、距離を詰め一撃を叩き込まんと狙いを定めていく
互いに超兵として完成した者同士の、最後の闘いが始まった
27 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 04:23:01.97 ID:VmIvWdkAO
ハレルヤ「舐めんなぁぁッ!」

ソーマ「それは此方の台詞だッ!」

獣のような超反射的反応を駆使し、両者共に一瞬の交錯を止まることなく重ねていく

アレルヤ「サーベルとシールドニードルで同時攻撃!」

ソーマ「防ぎつつバルカンで牽制……ッ!」

アレルヤ「シールドで防いで踏み込む!」

それでいながら思考は互いに互いを探り合い、熾烈な心理戦が内側で行われていた
故に二機は下手な手も打てず、秒感二度刃を交える程度の、ただただ凄まじい単調なドッグファイトを演じていく

ハレルヤ「ぐぅッ!」

ソーマ「甘いッ!」

振り上げられたシールドニードルにGN-Xは体当たりで対応、よろめいたキュリオスにビームライフルで追撃し出足を叩き流れを奪う
思考の及ぶ範囲ではアレルヤに軍配が上がっていた
ソーマがマリーであると気付いていないことも幸運であったが、基本人格として外に出ていた経験が、マリーの後一歩の戦術的追随を許さずにいた

ハレルヤ「くそッ……!!」

ソーマ「どうした被験体E-57! もう終わりか?」

ハレルヤ「はっ……聞こえねえなぁぁ!」

しかし、ハレルヤとソーマ、反射を担当する意識同士の闘いはソーマに分があった
能力の差か、機体の性能か、体力的問題か

ハレルヤ「ッ……」

違う。闘いを制する絶対条件には、どれも不適格だ
ハレルヤは初めて焦りを覚えた
負けているという事実さえ、彼の思考では理解しがたい事だったからだ
28 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 04:30:35.89 ID:VmIvWdkAO
不意に両機に襲いかかる粒子ビーム。二人は離れてそれをかわすと、争いの場を通信による舌戦に切り替え、乱入者の迎撃を始めた

ソーマ「何故押されているか分からないか、被験体E-57!」

ハレルヤ「あぁ?!」

ソーマ「私には分かるぞ、その理由が今なら分かる!」

四方から二機を狙うRGMに、両者不本意ながら背を合わせ迎撃行動に出る
奇しくもその動きは、頂武GN-X部隊の編み出した密集陣形に近いもの

ソーマ「お前は生き残る為、自分を守る為に戦っている。所詮は獣の本能のようなもの、そこに意志は宿らない!」

ソーマ「だが私は違う、スミルノフ中佐やマリーダ中尉、私の側にいてくれる人の為に銃を取っている!」

ソーマ「保身の為に引いた一歩と、誰かの為に踏み出す一歩。その差が私とお前の差だ!」

ハレルヤ「おセンチなこと抜かしてんじゃねえぞ女ッ!」

二機の連携でRGMは次々に撃ち落とされ散っていく
もはや一蹴に近いその光景、一瞬の出来事であった
邪魔者がいなくなった瞬間、二人は同時に振り向きビームサーベルとシールドニードルをぶつけ合う
火花がカメラアイを真っ白に塗りつぶす、それでもお互い力を緩めたりはしない

ハレルヤ「てめえには分からねえだろうなぁッ! 仲間殺して生き延びた、俺達の業なんぞよぉ!」

ソーマ「なっ……?!」

ハレルヤ「あの腐れた地獄から一緒に脱走まで、声かけあって助け合った仲間さ!」

ハレルヤ「だが俺は殺した! 酸素も飯も足らなかった、自分が生き残るためには何だってして生きてきた!」

ハレルヤ「だったらよぉ……何かデカいことやって、あいつ等の死に意味を持たせてやらなきゃ……」

ハレルヤ「アレルヤもあいつ等も、救われねえんだよッ!」
29 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 04:36:06.70 ID:VmIvWdkAO
両者の攻防が佳境に入る中、二機を離すように粒子の奔流が辺りを包み込む

ソーマ「ッ……!?」

ハレルヤ「なっ……!」

それは、別の場所で起こった一戦の余波
アルヴァトーレの粒子砲であった

           ・
                         ・
                         ・

蒼いGNアーマー目掛け、アルヴァトーレの粒子砲火が一斉に火を噴いていく
一拍に二十二発打ち上げられる紅い花火は、それらの一撃一撃を狙いすまして撃ったかのような精密さでGNアーマーに飛んでいく

ラッセ「舐めんじゃねえよッ!」

しかしただで当たるわけには行かない。GNアーマーも強固な粒子フィールドを形成、敵の猛攻を物ともせずに受け止める

ヨハン「そこだッ!」

スローネアインはアルヴァトーレの攻撃の瞬間、フィールドの解除した瞬間を狙いブラスターを数発立て続けに叩き込む

アレハンドロ『遅い遅い遅いぃッ!』

ヨハン「くっ……!」

しかしあろうことか、アルヴァトーレの巨体は戦闘機が行うような横方向の軽やかな回転でそれらを全て避けていく
GNアーマーを含めた十字砲火が届く頃には、再び頑強な殻に身を包み傷一つつけられない
苛烈な攻撃に堅牢な防御、同時代最強のMS・ガンダム二機で相手にしながら、状況は全く好転せず硬直していた

アレハンドロ「はっ! 所詮急拵えのトリニティに未熟なガンダムマイスターか、動きが透けて見えるわ!」

通信から飛び込んでくる罵倒、刹那は歯軋りし、爆発しそうな意識を平静に保ちつつGNライフルの引き金を引いていく
30 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 04:40:20.54 ID:VmIvWdkAO
GNアーマーの粒子キャノンも合わせ、アルヴァトーレへ強烈な一撃を叩き込む
だがそれらでさえもアレハンドロの嘲笑を止める一打にはならず、球体のバリアは揺るぎもせずMAを守り抜いてしまう

刹那「遠距離攻撃では手の出しようがない……ッ!」

ラッセ「飛び込むか!?」

刹那「今はそれしかない。やれるか、ヨハン、ラッセ!」

ラッセ「おう! 俺の身体、お前に預けるぜ!」

ヨハン「刹那・F・セイエイ、援護する!」

中距離以遠の対峙では勝ち目がない。ならばこそ、エクシアの距離に近付かねばならない
粒子を無駄に消費することは避けねばならない。ならば、やるだけだ

ヨハン「全弾持っていけッ!」

トゥルブレンツ・ユニットのミサイルコンテナから無数のGNミサイルが発射され、牽制とばかりにアルヴァトーレへと向かっていく
全発着弾、無論これでさえもGNフィールドに効果は望めない

ラッセ『今だ刹那!』

刹那「おぉぉッ!」

本命となるGNアーマーの巨体が粒子バリアを伴いながら加速、迂回するようにアルヴァトーレへと突撃を始める
元より対ガンダムの為に造られたガンダムエクシア、そしてその支援兵器であるGNアーマー・typeE。対粒子フィールドへの切り札は、刹那の手元にある

刹那「断ち切るッ!」

振り上げた大型ブレードを、爆炎の中に突き込ませる。これで終わらせる為に、渾身の力を込めて

刹那「……ッ!」

ラッセ「なっ!?」

刃が、直前になって止められる。粒子フィールドにぶつかった感触ではない。しかし、何かにぶつかるような感触は確かにエクシアへと届いていた
31 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 04:43:19.96 ID:VmIvWdkAO
アレハンドロ「見え透いた手だ。そんな手で私のアルヴァトーレを破壊しようと思ったのかね、刹那・F・セイエイ」

アルヴァトーレは粒子フィールドを解除し、GNアーマーのフィールドに真っ向からぶつかる形で前進していた
展開された金色の鋏が、大型GNソードの付け根をしっかと挟み押し返す
読み切られていた、その事実は刹那から一瞬思考を奪う

刹那「動けない……ッ!?」

アレハンドロ「くははっ!! この距離ならかわせまいッ!」

髑髏の口に似た砲門が展開、真っ赤に圧縮された粒子を吐き出さんとせり出される
このままでは、死ぬ

ヨハン「刹那・F・セイエイッ!!」

叫びながらブラスターを構え、狙いを定めるヨハン。しかしGNアーマーとアルヴァトーレの距離はかなり近い、一瞬の躊躇いが引き金にかかる指を伸ばしてしまう
その僅かな隙は、スローネアインの背後からの射撃にも対応を遅らせた

ヨハン「ぐぁっ!?」

機体を揺らす粒子ビームの一撃、大型ファングがヨハンの邪魔をするように四方からスローネ目掛け攻撃を加えていく
スローネの左腕が砕かれ、右足が貫かれて爆発する

刹那「ヨハンッ!」

アレハンドロ「飼い犬風情に、邪魔はさせぬよ!」

アレハンドロ「今度こそ最後の時だ……消え失せろ、イオリアの亡霊がッ!」

刹那「ッ……!」

発射まで秒読み段階。もう手の打ちようが無い、刹那は目をつむった
32 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 04:45:06.46 ID:VmIvWdkAO
ラッセ「分離しろ、刹那ァッ!」

刹那「はっ!?」

今わの際、ラッセの叫びに我に返る刹那
即座にGNアーマーとのドッキングを解除し、敵の砲門を踏み台にして離脱する

アレハンドロ「なッ!?」

とっさの事で、さしものアレハンドロも対応に身体が追いつかない。そして、エクシアと違い鋏に拘束されたGNアーマーには逃げ場など無い
ラッセは恐らくそれを理解して刹那を逃がしたのだろう
踏み台にされた瞬間下方にズレたアルヴァトーレの波動砲は、発射と同時にGNアーマーの脚部を一瞬で灰に変え、アステロイド地帯めがけ扇状に移動しながら放射される
RGM、ガンダム、プトレマイオス、GN-X……未だその場で戦う戦士等を薙払いながら、その一撃は宇宙を赤い炎で染め上げていく

ラッセ『刹那ッ……俺達の存在を……ザザッ』

ラッセからの返答が消える。仲間の命が消える感覚を、刹那は背後に感じていた

刹那「はぁぁあぁッ!」

それでも止まれない
GNソードを展開し、アルヴァトーレの胴体目掛け刃を突き出す
金色のボディに、薄緑に輝く刃が深々と突き刺さり、火花を散らした

しかし

アレハンドロ「なめるなぁッ!!」

刹那「かはっ!?」

下からすくい上げるように鋏がエクシアを強かに叩き、そのまま挟み込んで引き剥がしてしまう
とっさのことに突き立てた刃も抜け、細いエクシアの胴がみしりと嫌な音を立て軋む
33 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 04:48:42.03 ID:VmIvWdkAO
アレハンドロ「無駄無駄無駄ァァァ! 羽虫が何匹寄り集まろうがッ! このアルヴァトーレの前には無為に等しいッ!」

強化されたアレハンドロの反射神経は既に常人のそれを遥かに上回り、只でさえ小回りの効かないアルヴァトーレに精密な挙動を強要するまでに至っていた
再び身動きを封じられたエクシア、刹那はせめてもの抵抗としてモニターに映る醜悪な支配者を睨みつける

刹那「ッ……」

アレハンドロ「だが今のは流石に褒めてやろう。このアルヴァトーレに一太刀浴びせられたのは意外だった」

アレハンドロ「もっとも、今の一撃で貴様の仲間は風前の灯火だがな……聞こえないか? 敗北者達の哀れな慟哭が」

刹那「何ッ!?」

アレハンドロから送られる通信の合間から、叫ぶようにトレミーの破損状況を伝えるクリスティナの声
途切れ途切れに聞こえるだけでも、その損害の大きさが伺える
先ほどの一撃はラッセのみならず、トレミーさえも貫き灼いていたことを刹那はようやく理解した

アレハンドロ「私が貴様等を倒すためだけに主砲を撃つと思ったか?」

アレハンドロ「物のついでで狙わせてもらったのだよ、母艦と他のガンダムもな」

刹那「そんな……ッ!」

アレハンドロ「ふはははは……! 良い顔だ、後悔と絶望が入り交じった素晴らしい表情だよ刹那・F・セイエイ!」

刹那「アレハンドロ・コーナー……貴様という男は……!」

アレハンドロ「ふふ、君とも出会い方が少し違えば、良い関係が築けたかも知れんな」
アレハンドロ「だが、もう終わりだ!」
34 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 04:53:23.52 ID:VmIvWdkAO
再びアルヴァトーレが粒子フィールドを形成。その内側に半ばめり込むような形にエクシアが押し付けられる
再びせり出す主砲、エクシアは抵抗しようにも粒子フィールドとの干渉で手が動かない

刹那「世界の歪みを前にして……俺は……ッ!」

アレハンドロ「だとしても、これから私こそが世界の規範となり正しき形の見本となる!」

アレハンドロ「せいぜい地獄で仲間と仲良くな……二百年前の亡霊共ォッ!!」

エクシアに残された手、彼が亡霊と謗る男が託したガンダムの切り札
刹那はそれに手を伸ばし、モニターへと表示させた


刹那「トランザ……!」

刹那「ッ!?」

ボタンを押す直前、刹那の眼前に紅い粒子の閃光が散る
しかしそれはアルヴァトーレの主砲の光ではない、それは粒子フィールドをも貫徹し届いてみせた刃の一閃

刹那「な……?」

アレハンドロ「なぁぁにぃぃぃぃ!?」

両者の間に壁を作るかのように現れた長大な一撃により、主砲とエクシアを掴む鋏が同時に切り捨てられ、切り裂かれた粒子フィールドからエクシアが離脱する
何が何だか分からない。それはアレハンドロもヨハンも、刹那も同じであった

アレハンドロ「上からッ……!」

刹那「……!」

見上げた先に立つ者、それは、ロングソードにGN粒子を纏わせた黒いユニオンフラッグ

グラハム「会いたかった……」

グラハム「会いたかったぞ、ガンダムッ!」

それは、自らが追い求めた強者との再会に震える、阿修羅の姿だった
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/04(水) 04:54:43.91 ID:qI5IwrXvo
満を持しての登場!
騎兵隊のお出ましだ!
36 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/04(水) 04:58:15.45 ID:VmIvWdkAO
本日は此処まで

予想以上に長引きそうだ、デラツエイガーの活躍を見ながら待っていてくれフラッグファイター
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 07:36:54.92 ID:urtEPjPDO
来てたのだな、ガンダム!
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/04(水) 09:05:10.50 ID:M6gjVuKAO
ノリスケさんが止まらない…
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 12:48:20.43 ID:WCIpaQ2oo
流石だなフラッグファイター。
次回にも期待だ!
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 18:59:24.75 ID:VdSpBtEDO
エントリィィィィィィィ!!

投下乙
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/05/04(水) 20:19:17.41 ID:NV8Wl+Xzo
ラッセがダンクーガに乗っちまった
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/04(水) 21:45:15.50 ID:KdCVdJsDO
\やってやるぜ!/
\やってやろうじゃん!/
\やってやるわ!/
\やぁっ…先に言われた…/
\やってやるさ!/
\やってやります!/

とにかく>>1
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/05/04(水) 22:42:18.82 ID:GikHTjT2o
ノヴァは批評だよな。
オレは好きだが
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/04(水) 22:46:11.31 ID:LswLEthzo
刹那とヨハンの共闘とか胸熱杉です。

次回も期待!
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/05(木) 22:32:44.65 ID:FouF5b3o0
お前らがノリスケって言いまくるからイオリアが波平にしか見えなくなった
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2011/05/07(土) 14:40:19.44 ID:3+pITNNMo
左様
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/08(日) 10:23:55.59 ID:5fUKuo0AO
しかしこのノリスケ、ノリノリである
48 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/11(水) 01:24:08.64 ID:gKXWbJfAO
???「あげゃげゃげゃげゃ!」

グラハム「!」

再開だフラッグファイター
49 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/11(水) 01:25:03.39 ID:gKXWbJfAO
           ・
                         ・
                         ・


セルゲイ「つっ……!」

閃光が疾った直後戦場、アステロイドの影に隠れたことで難を逃れたセルゲイのGNーX
見回せばアルヴァトーレの一撃で焼かれたRGMの残骸が無惨にも散らばり、地獄絵図と化している

セルゲイ「自らの主に省みられもせず……殺されたのか」

セルゲイ「……」

敵とはいえあまりにも哀れな死に様、セルゲイはコクピットの中でそっと手を合わせ、冥福を祈る
命を落としてしまえば皆等しくタンパク質の塊と化す。裏切られた憎しみも忘れ、セルゲイはその場を後にした

セルゲイ「ピーリス少尉……!」

単騎でガンダムの下に向かった部下の援護の為、軋む機体を省みる事無くペダルを踏み込む
もしかしたら、この量産機達のように骸を晒しているかも知れない
そんな不吉な想像を振り払い、レーダーを頼りにピーリスを探す

セルゲイ「ッ!」

セルゲイ「反応……こちらか!」

動体を感知したモニターが方角を素早く指し示す
はやる気持ちを抑え、導きのままMSを進めるセルゲイ
無事でいてくれ、ただ切に願いながら
50 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/11(水) 01:27:35.23 ID:gKXWbJfAO
ー一方トレミー付近ー

ティエリア「何という失態だ……!」

強大なアルヴァトーレの主砲の直撃、ヴァーチェ・フィジカルのGNフィールドでさえそれに対抗する事は適わなかった
灼かれた装甲はGNフィールドの発生も出来ない。分厚い装甲も溶けて脆く固まり、ただの重荷としてヴァーチェにへばりついている
そしてGNバズーカ、コンテナミサイル、GNビームキャノンに到るまで、全ての武装が破壊され完全に沈黙していた
戦力はほぼ0に等しい

ティエリア(これは私自身のミスだ……!)

ティエリア(ヴァーチェ・フィジカルの防御力を過信しトランザムの使用を躊躇した、それがこの結果を生み出した……!)

事実、ヴァーチェ・フィジカルの武装にはトランザムにより強化されるビーム兵器が少なく、防御力もそれを必要としない堅牢さを誇っていた
ティエリアの判断にミスは無い、それ故に彼はぶつけようのない怒りに身を焦がしていた

ティエリア「……ッ」

ティエリア(いつまでもこの様な場所でくすぶっているわけには行かない……)

ティエリア(やればいいのだ、彼が望んでいたように!)

ティエリア「まずは遅れを取り戻すッ!」

ティエリア「ナドレ!」

融解したパーツを切り離し、ガンダムナドレの肢体を晒す
武装は唯一無事だったGNビームサーベルのみ、周囲の敵機が皆残骸と化していなければとても闘えない
一度限りのトランザムも残しているとは言え、粒子貯蔵量の乏しいナドレでは満足な時間は動かせないだろう

ティエリア(だとしてもやらねばならない……ガンダムマイスターとして!)

ピピッ

ティエリア「!」
51 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/11(水) 01:31:59.65 ID:gKXWbJfAO
エネルギー反応、即座に回避行動に移る。ナドレ目掛け頭上から粒子ビームが降り注ぎ、分離した破片を砕いていく
それは実体剣を装備した新型のRGMカスタム。RGMの中では唯一無傷で逃げおおせたらしく、存在を省みられなかったことなど意に介さず急接近してくる

ティエリア「新型のカスタマイズMS……まだ生き残っていたのか!」

現れた新型機は、驚くべき事に無傷。逃げるナドレを執拗に追撃してくる
乱射されるGNビームマシンガン、散らばる粒子ビームの威力は微々たるもののナドレの装甲では驚異となる
下手に当たることも出来ず、徐々に距離は縮まっていく

ティエリア「嘗められたものだ……ッ!」

接近戦しか出来ないナドレに、武器の利を見て接近戦を仕掛けるつもりだろう
ティエリアは最小限の動きで粒子ビームをかわしつつ、わざと距離を離すことなく詰めさせていく

ティエリア「その侮辱、万死に値する……!」

ティエリア「その身を以て償え!」

敵機のGNソードが触れる一瞬の間、かき消えるガンダムナドレ
RGMカスタムの挙動がスローモーションに見えるほどの加速、対するRGMカスタムは完全に置き去りにされてしまう

ティエリア「トランザム……!」

ティエリアは自らを捉え切れぬRGMカスタム目掛け、GNビームサーベルを抜き放つ
52 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/11(水) 01:45:23.58 ID:gKXWbJfAO
背後から腰部を一刀両断、RGMカスタムは真っ二つにされ力無く虚空を漂い、もがくことも出来ずに沈黙する
離れ際にカスタム機の握るビームマシンガンを奪い取り、トランザムの加速力で一挙にその場から離脱
遥か後方で爆発するRGMカスタムに、ティエリアは目もくれなかった

ティエリア「急がなければ、トレミーが!」

           ・
                         ・
                         ・

コーラサワー「ふぃ〜……危なかったぜ」

ダリル「あの野郎、味方ごと俺達を撃ちやがった……!」

ポイントを大きく外れた場所に二機のGNーX。破壊されたアステロイド地帯を眺め呆然と立ち尽くしていた

ダリル「しかし助かったぜ。あんた、何でさっきの一発が来るって分かったんだ?」

コーラサワー「ふっ、このパトリック・コーラサワーに不可能なんてないんだぜ?」

鼻高々に勝ち誇るコーラサワー。NT能力はあれど毛色の違う彼の力は、同じNT能力を持つアレハンドロに強く反応したのだろう
結果として両者は無傷。加えて状況は好転している

コーラサワー「さぁて……そろそろやっちまうかぁ!?」

ダリル「……」

コーラサワー「お、おいおい……流石に無反応は寂しいんだけど」

ダリル「! あぁ、悪い。ちょっとな」

千載一遇のチャンスに興奮するコーラサワー、対照的にダリルは不安感を露わに、星空の一点を見つめていた

コーラサワー「まぁ良いさ、あの一発でガンダムが傷ついてりゃ御の字だ」

ダリル「……」

コーラサワー「行くぜフラッグファイター、今度こそ大金星だぁぁ!!」

ダリル「すまねぇAEUの! 俺は戻る!」

コーラサワー「えええッ!?」

ダリル「距離的に隊長は俺達より速くあのMAと対峙しているはずだ! なのにアイツはまだ生きてる……!」

ダリル「胸騒ぎがしてしょうがねえんだ、済まん!」ガクンッ
53 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/11(水) 02:02:23.58 ID:gKXWbJfAO
コーラサワー「ちょ、置いてくなよ! おぉーい!!」

ダリル(隊長、生きていてくださいよ……!)

コーラサワー「……行っちまった……」

コーラサワー「……」

コーラサワー「おらぁぁぁぁぁ! ガンダムめ、このパトリック・コーラサワー様が相手だぁ!」

一機で敵の戦艦が確認された位置に向かうコーラサワー。その瞳は少しばかり潤んでいたとかいないとか……
           ・
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                         ・
アレハンドロ「グラハム・エーカー……!」

グラハム「アレハンドロ・コーナー、貴方の用意したゴシップにはなかなか踊らされましたよ」

グラハム「お陰で友との約束……守れずに終わってしまった」

開いた回線にアレハンドロは反応し、自らの顔をモニターに晒す
その変わり果てた姿にグラハムは顔をしかめ、哀れな、と一言呟いた

アレハンドロ「一体どんな手品を使ったかは知らぬが……アルヴァトーレに二度同じ手は通じぬ」

アレハンドロ「ガンダム諸共沈め、イレギュラー!」

グラハム「ッ!」

その様子に気付くことさえ無く、剥き出しのエゴに従いアレハンドロは引き金を引く
二十二門の粒子ビーム砲の一斉砲火、GNフラッグもまた最大戦速を以て全力で回避していく
ガンダム二機が手玉に取られた同時代最強MAとパイロット、グラハムの技量をもってしても、その砲火をかいくぐり接近するのは至難の業であった

アレハンドロ「ぬっ……!?」

と、アルヴァトーレを囲むように数発の弾丸が打ち込まれ、軽い炸裂音と同時に白煙を発し視界を遮る
機体を砕かれながらも状況を冷静に見極めた、ヨハン・トリニティの仕業だ

ヨハン「刹那・F・セイエイ! いったん距離を取るッ!」

刹那「しかしっ……」

ヨハン「頭を冷やせッ! 乱入したフラッグも味方とは限らんのだぞ!」

刹那「ッ……!」
54 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/11(水) 02:06:48.35 ID:gKXWbJfAO
グラハム「これは……新型の煙幕か!」

砲火が止み、アルヴァトーレから距離を取る
グラハムは結果として、攻めるか引くかの選択肢を迫られた形になった

グラハム「……」

虎の子の一撃、ハイパーGNビームサーベル改め【グラハムスペシャルU(命名:ビリー・カタギリ)】は結果的にガンダムを助けるため使ってしまった
盟友ビリー・カタギリの話では、二発目が成功する可能性は半々、成功するか機体が爆散するかの賭けになるという
中距離からでも対GNフィールドを有する一撃、その威力に相応しい賭ではあるが

グラハム「……」

易々と命を担保にすることを、今の阿修羅の価値観は是としない
そもそも不意打ちでもなければ、あのMAにグラハムスペシャルUを当てることは出来なかっただろう。そう考え、今は距離を取る
経緯はどうあれ今のアレハンドロが強いのは紛れもない事実。策も無く突貫すればガンダムにだって足元を掬われかねない
無理をしない、これはコーラサワー少尉からグラハムが学んだ処世術だった

グラハム「彼の片意地を張らない生き方がよもや決戦の場で活きるとは……パトリック・コーラサワー、つくづく読めん男だ」

グラハム「さて……どうしたものかな」

機体を隕石群の陰に隠し、息を潜めながら意識を周囲に集中させる
ガンダムの出方を見つつ敵機への対応を考える、堅実だが我慢弱い彼には辛い戦術でもある
55 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/11(水) 02:18:25.57 ID:gKXWbJfAO
グラハム「……」

ただ、グラハムにはどうしても気がかりがあった
アルヴァトーレの中から感じ取れる、見知らぬ何者かの気配のことである

グラハム「明らかに能力を持った者の意識……アレハンドロ以外の何者かであることには間違いない」

グラハム「だが奇妙だ。口では言い表せない感覚……」

グラハム「私はこの感覚を知っているのか……?」

PiPi

グラハム「!」

刹那『フラッグのパイロット、聞こえるか』

刹那『こちらはガンダムエクシアのガンダムマイスター、其方の意図を聞きたい』

と、フラッグの回線に飛び込んでくる通信
その送り主はまさかの相手、グラハムの想い人たるガンダムのパイロット
そしてそれは、アザディスタンでグラハムが何かを感じ取った謎の少年でもあった

刹那『!?』

刹那『お前はあの時の……』

刹那は其処まで言いかけ、脳内の回想に当時の映像を思い浮かべる
若く凛々しい副官の女性に自らをマスターと呼ばせ、仰々しい素振りの男
そんな印象しか無かったグラハムに対し、刹那はもうこの言葉しか吐くことが出来なかった

刹那『歪んだ男!』

グラハム「……ご挨拶だな少年。あの時のマスターという呼び名、不可抗力だと弁明させてもらおう」

当時のあの瞬間の刹那の表情を思い出し、グラハムは今更ながら頭を抱え弁明する
ただその直後の表情は、本人も意図せぬほど鬼気迫った面構えに変わる

グラハム「しかしまさか君がガンダムマイスターとは……センチメンタリズムな運命を感じずにはいられない」

グラハム「我々は、闘う運命にあったということだッ!」

刹那「ッ!」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/11(水) 02:20:53.02 ID:qTXKGwCSo
歪ンダム!
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/11(水) 02:22:06.40 ID:hvIJXFfPo
別に恋人同士と思えばそこまで歪んではないだろwwwwwwww
58 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/11(水) 02:24:22.44 ID:gKXWbJfAO
ヨハン『そこまでだ』

グラハム「む」

ヨハン『フラッグのパイロット、グラハム・エーカー上級大尉とお見受けする』

グラハム「……如何にも」

グラハム「君が新型ガンダムのガンダムマイスターか……」

ヨハン『ガンダムスローネのマイスター、ヨハンだ』

ヨハン『その表情では、此方と手を組むつもりは無さそうだな』

刹那『……』

グラハム「無論だ。君達は敵の敵である前に敵、ただ倒すならばあの強化人間の方が先決と判断しただけのこと」

グラハム「奴を倒してから、正式にガンダムとの決着も着けさせてもらおう」

刹那『……良いだろう』

ヨハン『……』

刹那『先ほどの一撃で俺とエクシアを狙うことも出来たはずだ。それに、この男は嘘がつけるほど器用じゃない』

グラハム「褒め言葉として受け取っておこう」

刹那『まずはあの歪みを断つ。この男に対する対応はそれから決めればいい』

ヨハン『……ふむ』

ヨハン『君がそう言うなら、従おう』

グラハム「ふ、冷静な判断だ。好意を抱くよ」

刹那『っ、必要最低限は喋るな!』

グラハム「おっと、邪険にされるとは……嫌われてしまったな」

ヨハン『…………』
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/05/11(水) 02:34:40.73 ID:GsXc9W9AO
>>56
チクショウwwこんなのでwwwwww
60 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/11(水) 02:49:58.93 ID:gKXWbJfAO
グラハム「……」

実際グラハムの内情は、今にでもガンダムに飛びかかりたいくらいの衝動に駆られていた
しかし、此処でガンダムを敵に回せばどうなるかくらい彼にだって分かっていた

グラハム「それに正々堂々、ガンダムとは決着をつけたいものだ」

グラハム「まずはお前からだ、アレハンドロ・コーナー!」

グラハムの独り言と同時に、彼が隠れていた隕石に百発近い粒子ビームが叩きつけられ、粉々に消し飛んでしまう
その場から素早く退避するGNフラッグ。見下ろす先には、未だその機能の殆どを残す金色の怪物、アルヴァトーレがいた

アレハンドロ「急拵えのフラッグもどきが一匹増えたところで、アルヴァトーレに勝てる気でいるのか? 滑稽だなライセンサー」

グラハム「滑稽なのは貴様の方だアレハンドロ・コーナー。そのアルヴァトーレの片腕と口、切り落としたのはどこの誰だったかな?」

アレハンドロ「……」ピクッ

グラハム「そうやって安い挑発ですぐに血が上る。衰えましたな、先輩殿」

アレハンドロ「言わせておけば……ッ」

グラハム「それを差し引いてもッ! 私が負けることは決して無いと思って頂こうッ!」

アレハンドロ「いい気になりおってぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

グラハム「何故ならば……勝利の女神の祝福は! このグラハム・エーカーの唇に授けられたのだからッ!」

61 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/11(水) 03:17:38.13 ID:gKXWbJfAO
アルヴァトーレの砲門ぼグラハムのGNフラッグ目掛け一斉に火を噴いていく
怒り心頭、茹で上がった頭でもアレハンドロは全砲門一つ一つで的確にフラッグを狙っていく
下手な接近は即死に繋がる。GNフラッグはアルヴァトーレの周りを回りながら機を見計らう

グラハム「ッ……!」

しかし、元来想定されていない暴力的な加速に晒され、グラハムの身体は内外問わずダメージを負っていく
内出血と筋肉の断裂、内臓への負担。口角に血の泡が滲み、視界はぼやけ始め像を上手く結べずモニターが霞む
身体が沸騰しそうな位にたぎる熱を歯を食いしばりながら耐え、粒子砲をすり抜け接近を試みる

アレハンドロ「愚かだな、自ら囮を引き受け姿を晒すとは」

アレハンドロ「そのガラクタを打ち砕き、中身を引きずり出してばらまいてやるわッ!」

グラハム「ガラクタッ……言ってくれるなアレハンドロ!」

グラハム「我が友とフラッグファイターの想いへの侮辱ッ! その命で贖ってもらおうッ!」

アレハンドロ「ほざけぇッ!」

ジグザグの変態機動、機体の節々が軋み悲鳴を上げるも、粒子ビームをかいくぐり射程圏内にアルヴァトーレを捉える
振りかざしたGNロングソードをアルヴァトーレ目掛け振り下ろす。アルヴァトーレの突き出す鋏とかち合い、眩い火花が飛び散った

グラハム「ッ!」

グラハム「斬れんとは……当たる瞬間鋏を横合いにずらし受けたか!」

アレハンドロ「精密動作には自信があるのでね、ライセンサー」

アレハンドロ「ところでそのガラクタ、機動性はそれなりにあるようだが……ッ」

アレハンドロ「この距離からの掃射、かわせるかね!?」
62 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/11(水) 03:34:55.45 ID:gKXWbJfAO
グラハム「かわさんよ、必要が無い」

アレハンドロ「ッ!」

粒子ビームが一斉にグラハムへと照準を合わせた瞬間、アルヴァトーレの真下から飛来する高機動の物体

アレハンドロ「あれはスローネ・トゥルブレンツの飛行ユニット……!」

高速で猛追するその勢いは衰えを知らない。直下は死角、このまま行けば、まず間違い無く衝突するだろう

グラハム「……ッ」

アレハンドロ「無人機による特攻、成る程な」

アレハンドロ「俗物が考えそうな手だ、だがアルヴァトーレにはまだこれがあぁる!!」

慌てず騒ぎながら、大型のファングを展開させ一斉に飛行ユニットを攻撃させるアレハンドロ
そのためのファングであり、強化されたアレハンドロの力でその動きは精密かつ正確に飛行ユニットを貫いていく



グラハム「さて、あのMAを倒すための作戦だが」

グラハム「まず私が真っ向から特攻してダメージを与え怯ませる。そうしたら君達が後から来て追撃し倒す。これで行きたいのだが構わないかな?」

刹那「却下する」

ヨハン「作戦として成り立っていないぞライセンサー」

グラハム「……分かった、ならばどちらかが私が奴に接近した段階で何らかのモーションをかけてほしい」

ヨハン「モーション?」

グラハム「奴にあのバリアを張らせるだけのモーションだ。鉄壁の防御に身を包んだその瞬間、それが奴の隙となる」

刹那「わざわざフィールドを張らせるのか……?」

グラハム「ふふ、我々が新型ガンダムから奪ったのは、腕と剣だけではないということさ」

グラハム「一発限りの隠し玉だ、囮も盛大に頼むぞガンダム!」
63 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/11(水) 03:52:37.98 ID:gKXWbJfAO


ヨハン「今だ、刹那・F・セイエイ!」

アレハンドロ「何ッ!?」

瞬間、ファング目掛け粒子ビームが撃ち込まれ次々に叩き落とされていく
ガンダムエクシアのビームライフルの狙撃であった

刹那「何を狙うか分かれば、何処に来るか位容易に読める……!」

刹那「狙い撃つッ!」

飛行ユニットの周囲に展開したファングは全て撃破され、大破寸前のユニットがアルヴァトーレ目掛け突貫

アレハンドロ「ちぃッ……!」

グラハムのロングソードを鋏む鋏を遠ざけ、アレハンドロはGNフィールドを展開
ギリギリのタイミングで飛行ユニットは粒子バリアに衝突、激しい爆発がアルヴァトーレを包み込む
GNアーマーの砲火にも耐え抜いたフィールド、無論無傷でそれを耐え抜いてしまう

アレハンドロ「無駄な足掻きを。アルヴァトーレのGNフィールドに……」

しかし

アレハンドロ「ッ……!?」

突如としてアレハンドロのモニターに映り込む、小型の砲塔端末
GNフィールドの内側に入り込んだそれは、形状こそ原型とは違うものの、ガンダムスローネツヴァイのGNファングそのものであった

アレハンドロ「馬鹿なッ……何故ファングが……!?」

グラハム「ほう、ファングというのかこの武装は」

アレハンドロ「ッ!」

グラハム「技術の解明が進まなかったので、全く違う武器として作り直させていただいた」

アレハンドロ「投げ入れたのか……フィールドを張る瞬間に……!?」

グラハム「噴進機能だけを復活させたGNショットダガー! ガラクタの隠し玉、とくと味わえアレハンドロ!」
64 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/11(水) 04:07:49.28 ID:gKXWbJfAO
グラハムの声に呼応したかのように、粒子を放出し突撃するファング改めGNショットダガー
先ほど刹那のエクシアが突き刺した装甲の裂傷に食らいつき、中に火花を放ちながら突き刺さっていく

アレハンドロ「おのれッ……!」

火薬が仕込まれていたようで、ショットダガーが刺さった場所が爆発しアルヴァトーレの各部が火を噴き機能障害を訴える
フィールドを解除しGNフラッグを狙い撃たんとするアレハンドロ、しかし解除の瞬間を待ち望んでいたかのようにGNブラスターが直下の腹に飛び込んでいく

アレハンドロ「ッ!?」

ヨハン「私を忘れないで貰いたいなアレハンドロ・コーナー」

ヨハン「此処で貴様との因縁、ケリを着ける!」

アレハンドロ「ッッ……!」

狼狽し取り乱すアレハンドロ。何か手は無いか、機器を漁り手段を探す最中、モニターにはロングソードを構え直すフラッグの姿

アレハンドロ「ひッ!?」

そして、GNソードを構え急接近するガンダムエクシアの姿

更に、ビームサーベルを抜くガンダムスローネアインの姿までが次々に映し出されていく

グラハム「切り捨て……御免ッッ!」

刹那「でぇやあああああああああッッ!!」

ヨハン「ミハエルの仇ぃぃぃぃいいいいい!!!」
65 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/11(水) 04:22:25.69 ID:gKXWbJfAO
スローネアインのビームサーベルが下からアルヴァトーレを串刺しにし、GNフラッグがロングソードで縦に深々と刃の一撃を加える
ガンダムエクシアのGNソードは横からアルヴァトーレに刃を突き立てると、そのまま前進し一文字に切り裂いていく

アレハンドロ「馬鹿な……この、このアルヴァトーレがッ……!?」

機能停止、危険の文字が画面一杯に広がっていく
アルヴァトーレは完全に破壊され、爆発しながらゆっくりと崩れ落ちていった

アレハンドロ「……!」

かくなる上は。アレハンドロはアルヴァトーレの真の姿を現すべく、機器に指を伸ばしコンソールを動かす

アレハンドロ「……!?」

しかし起動しない。如何にダメージが大きいとて、アルヴァアロンにはダメージが伝播しているはずがない
にもかかわらず、機器はアレハンドロにも分からないプログラムを立ち上げ、再構築している

アレハンドロ「何をやっている……!」

アレハンドロ「さっさと起動せんかぁぁぁぁぁ!!」

怒りに身を任せ、モニターを強かに殴りつける

『EXAMシステム・スタンバイ』

アレハンドロ「は……?」
聞き慣れぬ機械音と共に、アレハンドロの脳髄に電流が迸る
それは最後に黎明の時代を終わらせるため産み出された、最後のEXAM

ー???ー

プルツー「……」ムクッ

リボンズ「おや、起きたかいプルツー」

プルツー「リボンズ……」ギュッ

リボンズ「あぁ、彼女が目覚めたよ」スッ

リボンズ「アルヴァアロン・ブルーデスティニー……時代の終わりを飾るに相応しいMSだ」
66 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/11(水) 04:28:01.37 ID:gKXWbJfAO
本日の投下は終了だフラッグファイター

【GNショットダガー】

カタギリが壊れたファングを加工し、一種のパンツァーファウストのように作り直した代物
グラハムやホーマーはこれをGNクナイと名付けようとしたが却下された
無線のタイミングで噴進し刺さったら爆発、という仕組みで速度も遅いものの、対フィールド性能だけは残った(劇中時間差発射という使い方をされて披露はしなかったが)
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県) [sage]:2011/05/11(水) 04:56:02.95 ID:pohmwf4v0
元トリニティの武器が決め手になるのが運命か。
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/11(水) 05:36:38.08 ID:+WPpadbXo
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/11(水) 08:56:01.53 ID:GUydxc/AO

ブルーなのか黄金なのか…どっちだ
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/11(水) 17:29:41.30 ID:eytIeSYAO
マリオンは犠牲になったのだ
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/05/11(水) 21:35:48.03 ID:dxsc8DNNo
アルヴァロン未だキット化してないの?
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/05/11(水) 21:53:25.85 ID:O4fj9Kmjo
乙乙
グラハムスペシャルUは良くてGNクナイは駄目だというカタギリィ……
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/12(木) 00:18:07.75 ID:OtkEurDO0
乙です。
このSSのおかげでグラハムとマリーダが大好きになったよ。
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/12(木) 00:25:12.85 ID:5EyLOxsDO
投下乙
へへ…ドロップだ、食うか?
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/12(木) 00:56:54.54 ID:qEETkKgDO
GNクナイwwwww
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/12(木) 12:21:23.61 ID:4OlqHe4DO
地の文があるのに「」の前に名前を書くのはやめてくれぇ・・・・・・
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/12(木) 14:36:19.19 ID:EhzjgMjho
言いたいことは分かるけど、このSSの場合はあった方が読み易いよ
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/12(木) 16:47:35.85 ID:bp+d6heDO
>>76
無いと読みづらい
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県) [sage]:2011/05/12(木) 17:23:06.22 ID:8lLIqFG+0
地の文が多いからわかりやすい部類なんだけどなここのは
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/05/13(金) 00:58:35.11 ID:TjOXwzZ/o
最後のEXAMの覚醒。
そして、もしこれが破壊されたら誰が目覚めるのだろう?
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/13(金) 20:50:25.19 ID:iy8fb8LAO
>>80
ありがとう

きっと君を呼んでいる人もいるよ

マリオン

それよりこのEXAM二号機みたいにリミッター無いのかな
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/14(土) 14:51:11.54 ID:nbAGcOvdo
>>81
悪夢が来るぞそんなことしたら
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/15(日) 22:21:40.05 ID:pkkeevUe0
ここがフラッグファイター達の場かぁ・・・
はじめましてだな!みなのもの!
という挨拶は置いといて・・・初めての掲示板投稿だな・・・
楽しみにしてます

>>1の人!
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/15(日) 22:34:32.42 ID:TqholoUp0
とりあえずsageろ
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/15(日) 22:47:48.08 ID:mWgwZJpk0
sageって・・・もうしわけありませんがどうやるんですか?
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/05/15(日) 23:13:37.15 ID:p5R9ky58o
メール欄にsageぶち込め
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/16(月) 07:20:30.24 ID:EQS9Fqp/0
こうですか?
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/16(月) 11:15:21.74 ID:bNOt7gQn0
romってろよks
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/16(月) 13:30:03.73 ID:kuCqC0EDO
近年稀に見るアホだな
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/16(月) 16:10:32.06 ID:mG4YutzNo
専ブラ使ってなさそうだな
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/05/16(月) 21:17:19.25 ID:CTz6ASd3o
まあガンダム無双3やりながらゆっくりマテや。
92 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/18(水) 00:32:40.41 ID:EbTBknlAO
グラハム「未来への水先案内人は、この……!」

刹那「止めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

投下再開だフラッグファイター、スレ内の紛争には投下による武力介入も辞さないから覚悟したまえ
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/18(水) 00:40:10.50 ID:Vpfn3kVDO
流石ですフラッグマスター
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/05/18(水) 00:42:24.54 ID:awMq2zoWo
よもやリアルタイムで出会えようとは
牡羊座の私にはセンチメンタリズムな運命を感じずにはいられない
95 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/18(水) 00:49:06.19 ID:EbTBknlAO
ユニオン軍、基地

滑走路に降り立つ二機のユニオンリアルドがMS格納庫に滑り込むように入り、所定の位置に付く
かたや無傷、かたや模擬戦用のペイント弾をこれでもかと叩き込まれ、真っ赤に染まった無惨な様
これが戦場ならオーバーキルも良いところだ。整備士は、べったり付いたペイントに霹靂しながら、降りてきたパイロットを睨みつけた

「……」

「まだまだだなグラハム。これで俺が三十勝目をマークしてしまったわけだ」

「スレーチャー少佐……」

「どんな気持ちだ? ん? 今どんな気持ち?」

「〜〜〜〜!」

圧倒的な技量で陵辱された愛機を見つめうなだれるのは、まだ軍人となって間もない若きパイロット、グラハム・エーカー
からかってくる上官を恨めしげに睨むその姿は、まるで徒競走に負けた子供のような幼さが見える

「冗談だよ、熱くなるなって。だからお前のリアルドはこの様になる」

「う……!」

認めたくない気持ち、そして上官たるスレッグ・スレーチャーの技量への感嘆、この2つが入り混じる妙な感覚に、新兵グラハムは胸焼けのような不快感を覚えた
だがこんなことでへこたれていてはスレーチャー少佐の下では働けない。彼の反省会はここからが本番なのだ

「お前の操縦は独り善がり過ぎるんだグラハム。言っちまえばオナニーだなオナニー」

「オナ……!?」

「相手のことをま〜ったく考えちゃいない。だから操縦が自分勝手になって状況に乗り遅れ、相手の言いようにされちまう」

「分かってんのか? 軍人として空を飛ぶ以上、お前が独りで飛ぶことはまず有り得ないんだ。バカの尻拭いは仲間がやらなきゃならん」

「今みたいな飛び方してたら、真っ先に死ぬのはお前じゃない。お前のパートナーだ」

「はい……承知しています」
96 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/18(水) 00:56:54.11 ID:EbTBknlAO
いつもの厳しいお説教。グラハムは胸に突き刺さる指摘の数々に呻きながら、同時に満たされていく感覚に頬を緩める
毎日の訓練により少しずつ彼の背に近付けているという実感、そして彼と共に空を飛んでいる事実が、どうしようもなくグラハムを高揚させていた

「何にやけてんだ若造っ!」

「ふぐっ!?」

直後に振り下ろされた鉄拳、ゴン、という重い音。グラハムは頭を抱え痛みに涙を浮かべる
いつもながらの手厳しい仕打ち、馴れたと言うには少々一発が重すぎるのではないか。数少ない少佐への不満の一つだ

「つまりだ、相手が何を考え、どうしようとするか」

「それを考え、肌で感じて対応する。それが出来りゃあ少しは違ってくるさ」

「ファントンでもヘリオンでも、MSの操縦にパイロットの感情は必ず乗ってくる。後は、読むだけだ」

「なぁに、お前にもいつか出来るさ若造。何たって、俺が教えてるんだからな」

簡単に言ってくれる。笑いながら前を歩くスレーチャー少佐に心の内で文句を告げ、遅れないように付いて歩く



――この人のようになりたい
その憧れだけは、この日と今と、何ら変わりはしない
97 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/18(水) 01:00:21.41 ID:EbTBknlAO
グラハム「はっ……!?」

意識が現実に戻る。目の前では、破壊されたアルヴァトーレが火花を噴き上げながら燃え上がっていた
まだあのMAに刃を振り下ろした感触が残っている。時間にすれば、ほんの数秒の間の夢だった

グラハム「走馬灯……?」

全身に篭もる熱と痛みに顔を歪めながら、確かめるようにGNフラッグの操縦桿を握り直す
手足の筋肉は酷使した代償から鈍痛を帯び、肋骨は時折見え隠れする鋭い痛みに、一部罅が入っていることが疑われる
元々マリーダと別れた時からダメージを負っていたこの身体は、更なる強敵との戦いにより満身創痍であった

グラハム「……ッ」

刹那『終わった、のか?』

ヨハン『分からん。ただこの爆発なら無事ではすまい……』

通信が入り、他の二人の無事が確認される
ヨハンの駆るスローネアインが此方を警戒するように見つめ、距離を離す
しかしグラハムはアルヴァトーレの残骸から目を離せずにいた。
まだだ、まだ終わっていない。まだ何かある
グラハムの中の何かが、必死にその証拠を探そうと意識をアルヴァトーレに向けていた
98 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/18(水) 01:06:30.91 ID:EbTBknlAO
グラハム(奴の、アレハンドロのプレッシャーは依然として響いてきている)

グラハム(だが此処まで破壊してしまえば、さしものアルヴァトーレとて動けはしまい。動けたとしてももはや虫の息、逃げることさえもままならんはずだ)

グラハム(だが……)

刹那『……』

グラハム「……」

十数秒の思考。アルヴァトーレは爆発により切り裂かれた胴体が崩落し、GN粒子の煙で全体像も把握できなくなっている
ヨハンの動きに合わせ、刹那もまたグラハムを警戒し半身をずらしGNフラッグに隙を見せぬよう立ち位置を変えていた
動かねば不利になるのは自身、しかし、気になってしまう

グラハム「…………」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/05/18(水) 01:10:14.50 ID:8I1x95bQo
リアルタイムだ……!
待っていたぞフラッグファイター!
100 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/18(水) 01:11:31.75 ID:EbTBknlAO
その時だった

グラハム「ッ……!!?」

アルヴァトーレを中心に大気が張りつめるような感覚、グラハムの総身の細胞が一瞬にして戦慄き警戒態勢に入る
ニュータイプとしての直感が、恐るべき何かの存在を強く感じ取っていた

グラハム「退け少年ッ! 奴が来るぞぉッ!」

刹那『何……!?』

ヨハン『奴、だと?』

GNフラッグが飛び退くようにその場から離れる。エクシアはグラハムの叫びに粒子の出力を上げ対応力を上げるが、半壊しているスローネアインは行動に一歩遅れを見せてしまう

それが、生死の分かれ目となった

ヨハン『』

刹那『ぐぅっ!?』

グラハム「!」

噴煙の中から粒子砲が二発、別々の方向に迸り飛んでいく
視界不良の状況下でありながら、それを感じさせぬ精密な射撃、一本はガンダムエクシアの右肩を掠め、装甲の一部を削り取っていく
そしてもう一本は、スローネアインの胴体を深々と貫き通し破壊していた

刹那『ヨハンッ!』

ヨハン『刹那・F……!』

何が起きたのか分からない。無線から響いたヨハンの声は上擦っていた
貫かれた穴から爆ぜるスローネアイン、無線は途切れ、そのまま虚空に漂いぴくりとも動かなくなった

刹那『ヨハン・トリニティーッ!!』
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/05/18(水) 01:15:18.06 ID:JjJaHhuf0
ヨハ兄……
102 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/18(水) 01:17:23.92 ID:EbTBknlAO
グラハム「……!」

刹那の慟哭がGNフラッグのコクピットにも木霊する。しかし、グラハムには慰める余裕も叱咤する猶予も無かった
アルヴァトーレの中から二人を狙った何かの意識は、上空から兎を狙う猛禽の如く、グラハムを視ていたからだ

グラハム(一瞬でも気を抜けば向かってくる……!)

全神経を集中し、敵のモーションに反応出来るよう操縦桿を強く握りしめる
隣のエクシアからも、その緊張感がひしと感じられた
やがて煙も消え、視界を遮るものは無くなり
壊れたアルヴァトーレを踏み越え、中から【それ】は姿を現た

グラハム「な……ッ」

刹那『コイツは……!』

背に大きな翼を背負い、全身を眩い黄金に彩る疑似太陽炉搭載型のMS
砲身の長いビームライフルを腰にためて構え、微動だにしないその様は、古代AEUの彫刻にも通ずる美的調和さえ感じられるものであった

グラハム「あれが本体……」

グラハム「今まで我々が戦ってきたMAは、本丸を守る城塞に過ぎなかったということか…!」

アルヴァトーレとは違う、異質なプレッシャーに唾を飲むグラハム
二人の見守る中、それは一歩前に踏み出し、再び停止する

刹那「っ!?」

そして踏み出した右脚から、全身へと広がっていく深い蒼。金色の彫刻は、一瞬にして蒼い死神へとその姿を変貌させる

グラハム「色が変わった!?」

『EXAMシステム、スタンバイ』
103 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/18(水) 01:25:30.66 ID:EbTBknlAO
敵のビームライフルが一丁右に投げ捨てられた瞬間、赤い軌道が線を描き、グラハムの目の前で止まる
それが謎のMS、アルヴァアロンのカメラアイの色と分かるのには僅かながらの時間を要した

グラハム「え」

反応しきれなかった。フラッグが防御態勢に入る前に、アルヴァアロンの手刀が思い切り右肩に叩きつけられる
凄まじい衝撃に揺さぶられ、意識の追随がしきれない

グラハム「がっ……!?」

殴られた肩部装甲板のひしゃげる嫌な音が、直接グラハムの耳に届く
そのままアルヴァアロンは脚を振り上げ、踏みつけるようにフラッグへとそれを向ける

グラハム「ッ!」

恐らく狙いはコクピットなのだろう、踏み抜かれ、鉄塊に潰される自身の姿が脳裏に浮かぶ

グラハム「お……!」

グラハム「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

のしかかる恐怖感に耐えきれず、絶叫しながら本能に任せ機体を動かす
無理やり機体を捻り、右腕のGNシールドのアタックスパイクを脚にぶつけ、衝撃を利用し何とか離脱に成功した
相手の足裏にわずかながらスパイクが傷を付けるが、アルヴァアロンはフラッグの一撃を意にも介さぬ様子で見下す

『ふむ』

グラハム「はぁっ……はぁっ……!」

『悪くない』

グラハム(全く捉えられなかった……だと……!?)

グラハム(この感覚、まさかあの特殊システムは太陽炉搭載MSにも……!)
104 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/18(水) 02:03:40.68 ID:EbTBknlAO
刹那「アレハンドロッッ!」

仲間をやられた激情に駆られ、ガンダムエクシアがGNソードを振りかざし突っ込んでいく
蒼いMSは空いた手にビームサーベルを握ると、唐竹に振り込まれたそれを軽々とそれを受け止める

刹那「あぐっ……!?」

ビームサーベルとGNソードの激しい鍔競り合いが、両機の蒼を浮かび上がらせ照らす
だが一瞬目映い光が発せられたかと思えば次の瞬間蒼いMSがエクシアを押し込み、体勢を崩したその胴体部と蹴りを叩き込み突き放していた
パワーの差、反応速度、出力、機動性
一合の刃の交わりが、その圧倒的な性能を雄弁に語っていた

グラハム「なんと……」

刹那「コイツは一体……!」

『素晴らしい性能だ……!』

グラハム「!」

『望めば望むほど、更なる能力を私の前に見せてくれる! これがアルヴァアロンの、このアレハンドロ・コーナーの力!』

刹那「アルヴァアロン……?」

グラハム「やはり、あのMSには……!」

『最早ガンダム、ライセンサーなど……恐るるに足らんッ!』

グラハム「つッ……」

高笑いと共にビームライフルがグラハムに照準を合わせ、立て続けに粒子ビームを放出していく
GNフラッグも負けじと右へ左へと回避するが、急激なGの変動にグラハムが耐えきれず、次第に照準を外しきれなくなっていく
105 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/18(水) 02:13:19.67 ID:EbTBknlAO
二十二門の粒子ビーム砲ほどの密度はないにせよ、一発の威力と速度はアルヴァトーレのそれの比ではない
グラハム(このままでは……ッ!)

刹那「ライセンサー、援護する!」

グラハム「! かたじけない……!」

GNフラッグの窮地に、エクシアのGNビームライフルがアルヴァアロン目掛け数発発射される
しかしアルヴァトーレ同様、アルヴァアロンは粒子フィールドを発生させそれを容易に受け止めていく

刹那「GNフィールド!?」

グラハム「アルヴァトーレの機能は完備しているというわけか……」

グラハム「だが、この隙を逃す私ではッ!」

強力なフィールドを発生させたのならば、攻撃の手は一瞬であろうとも必ず途切れるのが定石
アルヴァトーレ同様の利点は、アルヴァトーレ同様の弱点になりうるとグラハムは考えていた

グラハム「アレハンドロ・コーナー……覚悟ッ!」

加速し、その一瞬の隙を突き一気に距離を詰める
先ほどのMAが強化パーツならば、アルヴァアロンがアルヴァトーレに勝る筈はない
反撃のビームライフルがフラッグの頬を掠め、装甲を僅かに焼く。それでもグラハムの猛進は止まらない
対フィールド性能を有した実体剣による、加速をつけた一点集中の一撃。思い切り、アルヴァアロンの粒子フィールドに突き出した

グラハム「行けぇぇ!」
『……ふん』

思惑通り、粒子フィールドを刃が突き破る。そのまま先端がアルヴァアロンの胸部目掛けて延びていき……

止まった

グラハム「なっ!?」

刹那「何だとッ!!」

アレハンドロ『甘いのだよ。サイコミュ的精神波によるGN粒子の操作、よもや自身にのみ許された能力とは思っているまいな?』

グラハム「まさか……!」

アレハンドロ『馬鹿め! その、まさかだッ!』
106 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/18(水) 02:25:20.61 ID:EbTBknlAO
ロングソードの切っ先を止めたのは、胸部の一点、ピンポイントに小さく生み出された多重構造のGNフィールド
GNフラッグの侵攻は完全に止まり、アルヴァアロンは手も使わずそれを成し遂げている

グラハム(対フィールド性能の武器でさえ貫けぬ極小圧縮フィールドを、真っ向からぶつけ攻撃を受け止めたというのか……!?)

グラハムの使い方とは全く逆の、防御に回した粒子干渉能力の応用
殺意を読み取る特殊システム機の力を併用すれば、このカウンターのような使い方も可能なのかもしれない
ただしそれは、GNフラッグがアルヴァアロンに出せる手が無くなった事をも意味する、死刑宣告でもあった

アレハンドロ『そのガラクタでよくぞ此処まで戦い抜いたものだ……』

ビームサーベルを左手に構えるアルヴァアロン、その粒子出力は強化され、極太の一刀となりGNフラッグに迫る
グラハムは咄嗟にブーストを逆噴射し離れようとするが、僅かに逃げ切れない

アレハンドロ『新世界の礎となれ、フラッグファイター!』
107 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/18(水) 02:46:31.29 ID:EbTBknlAO
咄嗟にGNシールドを構え、粒子の刃を受ける
絶大なエネルギーの塊に一秒と立たずフィールドは弾け、右腕を諸共に巻き込みながらシールドは融解
ビームサーベルの描く紅い軌跡が、GNフラッグの横をすり抜ける
一秒の間を空け、切り捨てられた右腕が爆発
断面から粒子が血のように吹き出し、星の海を紅く染め上げた

グラハム「ぐぉああっ!」

コクピットは衝撃でスパークし、機器の破片がグラハムの身体に容赦なく降り注ぐ
激痛に顔が歪む、それでもモニター越しのアルヴァアロンはビームライフルを構えグラハムに追い討ちをかけんと狙いを定めている
動け、動け、動け!
飛びそうになる意識を必死に繋ぎ止め、操縦桿を動かしロングソードを構える

アレハンドロ『はっははははははは……!!』

何発も何発も打ち込まれるビームライフルを、直感でロングソードをぶつけて受け続ける
朦朧とする意識の中、背にぶつかる石の感覚
見れば、大型アステロイドがグラハムの行く手を阻むように背後にそびえ立っている
逃げ場が、無い

グラハム「ッ!」

グラハム(ぬかった……!)

アレハンドロ『……ふん』

乱射されるビームライフル、GNフラッグを縫いつけるように撃ち込みながら背後の大型アステロイドを幾度も叩き、やがて罅を全体に走らせGNフラッグを押し込んでいく
機体はみしりと嫌な音を立て、各部に過剰な負荷がかかりアラート表示がモニターを埋め尽くす

アレハンドロ『終わりだ』

三発、とどめとばかりに放たれる粒子ビーム
閃光と衝撃。大型アステロイドは砕け散り、フラッグはまるで糸が切れた操り人形のように吹き飛ばされ別のアステロイドに叩きつけられる

刹那「フラッグのパイロットッ!」

グラハム「……ッ」ゴボッ

グラハム(強い……ッ)

グラハム(これほどとは……!!)

喉にこみ上げた血を吐き出すと同時に、グラハムの肉体から力が抜けていく
機体性能、パイロットの能力、OS、どれを取っても圧倒的な差
勝てる要素が、見当たらない
108 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/18(水) 02:58:05.69 ID:EbTBknlAO
済まない、眠い。ちょっとまとめなおしてくる

明日にまた投下し直す。済まんなフラッグファイター
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/18(水) 04:27:08.67 ID:78c8QKQ8o
アニメじゃのこのこ戦場にヤラレに来ただけのアレハンドロさんが…強い!
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/05/18(水) 04:38:23.83 ID:3rD9rj1AO
ヨハ兄……生き延びてくれると思ったのに

こんな手に汗握るSSは初めてだ、>>1乙と言わせて貰おう
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/18(水) 08:10:39.77 ID:tkxoMaFAO
青くなっただけで強くなるだと…
しかも見た目も良くなってるし…
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/05/18(水) 11:10:58.82 ID:cCfjnP/Xo
デビルウィングの生えたBD壱号機と大差無いデザインだもんな。細部はちがうが
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/18(水) 11:45:34.50 ID:jXvVZ18AO
だがNT能力ある大使乗せるとEXAMの性質上大使ヤバいんじゃね
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/18(水) 15:19:23.55 ID:ETDF6iSDO
>>1が帰還するまでこのEフィールドを死守する!!

投下乙
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/18(水) 18:27:26.36 ID:pMSVnXEq0
投下、おつかれさまです
ところで、グラハムさんのNT能力は、誰と同じ位ですか?
116 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/18(水) 23:29:32.15 ID:EbTBknlAO
プルツー「ふぅん……アレハンドロとは一緒に寝てるのに、あたしは駄目なのか」

それでは再開だフラッグファイター

>>115
そろそろ一期も終わるし纏めてみた

S:??? コーラサワー
【別格・毛色の違う壁】
A:ニール プルツー 大使
B:リボンズ マリーダ
C:グラハム フェルト
D:ビリー サーシェス

???は作中の誰かです
グラハムはCとBの間、だいたいシャアと同じ位の能力
Dに関しては感応したら感じ取れる程度の能力なので殆ど無きに等しい
ただ粒子干渉能力に関しては個々のセンスの領域で、能力の強さとは違う部分にある、といった感じです
脳量子波とNT能力の兼用は現段階ではリボンズのみです
117 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/18(水) 23:31:59.54 ID:EbTBknlAO
プルツー「ふぅん……アレハンドロとは一緒に寝てるのに、あたしは駄目なのか」

それでは再開だフラッグファイター

>>115
そろそろ一期も終わるし纏めてみた

S:??? コーラサワー
【別格・毛色の違う壁】
A:ニール プルツー 大使
B:リボンズ マリーダ
C:グラハム フェルト
D:ビリー サーシェス

???は作中の誰かです
グラハムはCとBの間、だいたいシャアと同じ位の能力
Dに関しては感応したら感じ取れる程度の能力なので殆ど無きに等しい
ただ粒子干渉能力に関しては個々のセンスの領域で、能力の強さとは違う部分にある、といった感じです
脳量子波とNT能力の兼用は現段階ではリボンズのみです
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/18(水) 23:35:31.22 ID:kEKZ3dwho
大事なことなら仕方ないな
それにしてもコーラサワーがSとは…
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/18(水) 23:36:11.73 ID:RzKW9gjDO
投下早っ
???はAレイさんか?
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/18(水) 23:41:49.19 ID:ETDF6iSDO
リアルタイムで遭遇!
足と手があります!!
121 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/18(水) 23:56:03.51 ID:EbTBknlAO
刹那「おい、応答しろ! ライセンサー、ライセンサー!」

刹那は必死に無線に呼び掛ける、しかし応答は無い
弱々しい呼吸音が微かに耳に届く、まだ生きてはいるだろう

刹那(気絶しているだけか、頑丈な男だ)

刹那(だが……あいつはもう戦えまい)

エージェントとして訓練された刹那から見ても、フラッグの損傷ははもう戦えない
いや、そもそもフラッグ程度のMSで此処まで戦えたことが奇跡なのだ
そして、最早刹那にも他人を気にする猶予は残っていない。フラッグに背を向け、蒼いMSへGNソードを構える

アレハンドロ『もうあのフラッグは戦えないだろう。後は貴様だけだ、刹那・F・セイエイ』

刹那「アレハンドロ……!」

アレハンドロ『流石はオリジナルの太陽炉を得たガンダム……未熟なパイロットながら私を最後まで苦しめるとはな』

刹那「……ッ!」

アレハンドロ『だがもうこれまでだ』

アレハンドロ『貴様を始末し、私の新世界を盤石な物とする……』

刹那はフラッグに攻撃していた様子を思い出す
あのMSの武装、威力は凄まじいがどれも取り回しに難があり、白兵戦に置いては扱いにくいものだと分析していた
ならば、付け入るのはその隙か
幸いにもアレハンドロは刹那を甘く見ている、近付く隙は幾らでもあるはずだ

刹那「……ふう……」

込み上げる怒りを抑えながら大きく息を吐く


刹那「ガンダムエクシア!」

アレハンドロ『消え去れ、ガンダムッ!』

刹那「敵機を駆逐するッ!」
122 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/19(木) 00:33:45.16 ID:QLm2n4NAO
刃と刃が交錯し、粒子の火花が二つの蒼を照らす

その様子を、遥か遠方から眺める者達がいるとも知らず……

ー???ー

デヴァイン「リボンズ、ヒリングとリヴァイヴは撤退に成功したそうです」

デヴァイン「RGMは損傷警備、しかし固有武装を失ったと」

プルツー「……」

リボンズ「そのまま帰還してくるように伝えてくれ」

リボンズ「流石に近接戦闘能力の高い機体ばかりのあの戦場に、中距離以遠の整備を施した機体では行かせられないからね」

デヴァイン「わかりました。ではそのように……」

プルツー「……」

王留美「プトレマイオスは大破。他の戦闘も徐々に収束し、残すはエクシアとフラッグ、そしてアルヴァアロンのみですわね」

リボンズ「ええ」

王留美「理想は相討ち……でもそう上手く行かないのも世の常ですわ」

王留美「最強の能力と最強のMSを有するアレハンドロが勝ち残った場合、始末はどうなさるおつもりなのかしら?」

リボンズ「……抜かりはありませんよ」

リボンズ「そのためのEXAMです。オリジナルの……ね」
123 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/19(木) 00:51:17.39 ID:QLm2n4NAO
           ・
                         ・
                         ・

全身を包み込む心地良い感覚に、そっと目を開ける。静かで優しい光に包まれながら、グラハムの意識は虹色の世界を漂っていた

グラハム「……ここは……」

グラハム「私は……死んだのか?」

見れば、パイロットスーツは消え、一糸纏わぬ姿
しかし不思議と恥じらいの感情は湧き上がらない。それは、此処が以前感じた思念の交わる場と同じだからなのだろう

グラハム(以前は……MSWAD基地で服も来ていた。だがこちらの方がより鋭敏な意識の発達を感じられる)

グラハム(成る程、媒介を使わぬ心と心の交わり……それがこの世界……)

『遅い! 遅いよお兄ちゃん!』

グラハム「!」

ふと、後ろから声をかけられる
瑞々しい、元気な若い少女の声……聞き覚えがある声だった
振り向くグラハム。そこに立っていたのは、栗色の髪を揺らし、明るく笑う少女の姿

グラハム「君は……」

プル『はじめまして、かな? グラハム』

グラハム「……!」

この場がそうさせたのか、死の淵故にグラハムの能力が鋭敏になっているのか
とにかく、彼女がいったい誰なのか……グラハムにはすぐに理解できた

グラハム「プル……エルピー・プル?」

プル『あったりー! えへへ、直ぐにバレちゃった』
124 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/19(木) 01:03:56.87 ID:QLm2n4NAO
グラハム「驚いたな……君は確か亡くなったと聞いたが」

グラハム「肉体が死んでも、死者の意志は世に残るというのか……?」

グラハムの問いに、プルは少し寂しげな表情を浮かべ首を横に振る

プル『あたしは他の人とはちょっと違うんだ……心の一部と力だけが離れて、此処にずっと縛られてるの』

プル『こうやって、力がある人や、う゛ぇーだの作った道の中なら出てこれるんだけど……ね』

グラハム「そうか……」

グラハム「……詳しい事情は私には分からんが、君がずっと私の近くにいたことは、今なら何となく理解が出来る」

グラハム「ニールが言っていたのは、君のことだったのだな……?」

プル『うん、ニールは凄く優しかったよ。グラハムを助けてって御願いしたときも、直ぐに飛んできてくれたんだから』

プル『それにしてもヒドいよ! ニールはすぐに気付いてくれたのに、グラハムお兄ちゃんは全く気付いてくれないんだから!』プンプン

グラハム「……謝罪しよう。だがニールほどの能力は私にはない、許してくれ」

プル『チョコパフェ買ってくれたら許したげる!』

グラハム「ははは、約束しよう」

プル『ほんとにっ!?』

グラハム「男の誓いに訂正は無いよ」
125 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/19(木) 01:22:43.00 ID:QLm2n4NAO
嬉しそうな表情のプルを見ていると、戦いの最中である事も忘れ、グラハムの顔が緩んでいく
マリーダの昔の頃も、この様に可憐な少女だったのだろうか……

プル『グラハム、マリーダのこと考えてるでしょ?』

グラハム「む?」

プル『此処じゃあ筒抜けだよ?』クスクス

グラハム「ぬ……」

グラハム(……こればかりはどうも慣れんな)

気恥ずかしそうに俯き腕を組むグラハム
そんな彼にプルは近付くと、その頬に両手を添え、優しい笑みを浮かべ語りかける

プル『でもねグラハム、あなたは気付かなきゃいけないの。マリーダがあなたを必要とする以上に、あなたがマリーダを必要としていることに』

グラハム「何……?」

プル『思い出して、あなたは一人じゃなかった。だからもう、後悔なんてしなくていい。誰かと一緒にいてもいい……それは決して悪いことじゃない』

グラハム「プル、一体何を……」

プル『あたしが手伝ってあげられるのはここまで……だから、あとはお兄ちゃん次第』

プル『大丈夫、きっとあなたなら進めるよ。あの人もそれを望んでいるから』

そっと突き放す、小さな手
突然重力に引かれるように、グラハムの身体は真っ逆様におちていく

グラハム「……!」
126 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/19(木) 01:56:47.31 ID:QLm2n4NAO
『御願いグラハム……生きて……!』

グラハム「はっ……!?」

気が付けば、そこは焼け焦げたコクピットの中
再び身体を支配する激痛、モニターには粒子残量とフラッグのダメージ状況が事細かに表示されている

グラハム「……」

意識は戻った、だが感じられる
まだ近くにエルピー・プルがいる

グラハム「……っ」

痛みを堪えながら、意識をバイオシートに乗せて彼女を探す
何故あんなことを言ったのか、その真意を知りたい一心に思念を広げていく

グラハム「いた……ッ!」

そして、プルの気配は直ぐに感じられる
グラハムが思っていたよりもずっと近く、彼女は確かにそこにいるという確信も感覚として存在した
頭部を動かすだけで節々からスパークし、嫌な音を立てるフラッグ
そして、モニターに映し出されたのは……

グラハム「……ッ!?」

エクシアを圧倒するMS、アルヴァアロン
127 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/19(木) 02:41:34.61 ID:QLm2n4NAO
グラハム「まさか……?!」

そんなはずはない、頭の中では否定しながらもグラハムの脳波は確かにプルの存在をアルヴァアロンに見出している
元よりアルヴァトーレの中から微かに感じた感覚が、今となってはエルピー・プルの存在としてはっきりと感じ取れてしまう

グラハム「……!」

特殊システムは、此方の敵意を読むように動く
彼女はニュータイプだ
そして、アルヴァアロンの性能とあの動き
様々な情報が結びつき、やがて一つの結論を導き出す

グラハム「……」

           ・
                         ・
                         ・

アレハンドロ『どうしたガンダム! 最初の威勢は何処へ行った!?』

刹那「はぁぁぁぁッ!」

エクシアのGNビームライフルを多重フィールドで受け止め、反撃の粒子ビームを撃ち返していくアルヴァアロン
完全に動きを読まれている、その事に刹那は焦りを覚えていた

刹那「だがっ……!」

粒子ビームを回避し、更に接近を試みる
エクシアがアルヴァアロンに勝つためには、まず何よりも近づかねばならない
ならば迷ってなどいられない。刹那は出力を更に上げ、蒼い死神へ再び接近していく
128 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/19(木) 03:00:36.96 ID:QLm2n4NAO
アレハンドロ『ふん、単調だなエクシアのパイロット!』

対するアレハンドロはビームライフルの弾幕をわざと弱め、出力を強化したビームサーベルでエクシアを迎え撃つ
挑発的な行為、だがチャンスでもある

刹那「おおおおっ!」

GNソードで横に一閃、深々と切り込んでいく
ビームサーベルとの、もう何度目か分からない刃の交錯。エクシアは僅かに身を引くと、一回転を加え更に左手のビームサーベルを抜き一撃を追加する

アレハンドロ『ふんっ!』

刹那「くっ……!」

しかし、どちらの切っ先もアルヴァアロンを捉えること適わず、強化ビームサーベルか多重フィールドのどちらかに阻まれそれ以上の侵攻を許されない

刹那「やはり……!」

フラッグのパイロットを瞬殺した性能、技量、そのどちらにも偽りはない
刹那はその強さを自ら体感し、自らの無力さに歯を食いしばる

刹那「だとしても……俺は戦う!」

刹那「ロックオンの為に、紛争根絶の為にッ!」

アレハンドロ『しゃらくせええッ!』

刹那「ぐあああッ!?」

アルヴァアロンが前に動き、エクシアの胴体を強かに蹴りつけ機体を揺らす
ガンダムはフラッグとは違いパイロットへの衝撃緩和も万全ではある、が、それでも刹那の意識は数瞬飛び、エクシアは隙だらけになる

アレハンドロ『そんなに仲間が恋しいか刹那・F・セイエイ!』

アレハンドロ『ならば貴様も送ってやろう……仲間の下へなぁ!』

刹那「ッ……!」
129 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/19(木) 03:18:52.71 ID:QLm2n4NAO
その時だった
遠方からアルヴァアロン目掛け、紅い粒子ビームが襲いかかったのだ

アレハンドロ『何ッ!?』

刹那「この威力は……!」

とっさにGNフィールドを発生させ弾き返すアレハンドロ。EXAMシステムによりこの奇襲もまた予測の範囲にあった
このレベルの粒子ビーム砲を持つのは、現状ただ一機

アレハンドロ『ガンダムスローネ・アインか……!』

ヨハン『刹那・F・セイエイ……逃げろ……!』

刹那「ヨハン・トリニティ!」

エクシアに通信が入る。モニターには血まみれのメットを被るヨハン、更に遠方からGNブラスターが立て続けにアルヴァアロンを狙い撃つ

アレハンドロ『ちぃっ……』

ヨハン『逃げろ刹那……私が時間を稼ぐ……!』

ヨハン『だから早く……ッ』ゴフッ

刹那「ヨハン、もういい! 後は俺がやる、だから……!」

GNドライブを砕かれ重症を負いながら、虚ろな意識でヨハンは引き金を引き続ける
それでもアルヴァアロンはびくともしない。その事実に、刹那は唇を噛み締め涙を堪えた

アレハンドロ『雑魚が……黙って残り数時間の命を噛みしめていれば良かったものを』

アレハンドロ『そんなに死にたければ、私自ら地獄に叩き落としてくれるッ!』

刹那「ッ!? 止めろおぉぉぉぉぉ!!」
130 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/19(木) 03:36:57.77 ID:QLm2n4NAO
GNフィールドを展開したままガンダムスローネへ突撃するアルヴァアロン
その手にはビームサーベル。今のヨハンにはそれを防ぐ手だてはない
エクシアはアルヴァアロンの侵攻を止めようと全速力で追撃する
だが初速から計算してみても、恐らくは追いつけない
エクシアが遅いのではなく、アルヴァアロンが速すぎるのだ

刹那「ッ……!」

GNブラスターが飛んでこない。恐らく粒子が尽きたのだろう
ヨハンを助ける方法は、一つしかない
やるしかない。刹那は覚悟を決めて、スイッチに手を伸ばした

アレハンドロ『ふははははははぐぁっ!?』ガゴンッ

刹那「ッ!」

トランザムを発動させようとした、ほんの一瞬の間
すぐ先を行くはずのアルヴァアロンの背中が、一瞬にしてモニターから消え去った
Eセンサーには、二機の反応が重なり合うように明後日の方向に外れていくのが見える
一つの機体識別反応はアレハンドロのアルヴァアロン、そしてもう一つは、あの男の駆るユニオンフラッグカスタム

グラハム「少年、此処はこのグラハム・エーカーが預かった! 君はあのパイロットを遠くへ!」

刹那「ライセンサー……!」

アレハンドロ『貴様ッ! まだ、動けたのか……!』

グラハム「私は諦めが悪くてね……それに、お前に勝たねばならないもう一つの理由も出来た!」

アレハンドロ『何だと?』

グラハム「問答無用ォッ!」
131 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/19(木) 04:11:53.02 ID:QLm2n4NAO
再び乱入したフラッグファイターは、先ほどとは別人のようなプレッシャーでアルヴァアロンに切りかかっていく
倒せるとは思えない。だが、今の彼ならば幾分か持ちこたえてくれるだろう
そう信じて背を向け、ガンダムスローネの下にエクシアを走らせる

刹那「ッ……!」

その直後、背後で巻き起こる大爆発
スローネのすぐ側で繰り広げられる戦闘、こうなっては直ぐに戻ることもかなわない
彼ならば耐えられる……その判断が間違いであったことを、刹那はすぐに思い知らされることになる

――

チャージされたアルヴァアロン砲が爆音と共に粒子の奔流を生み出し、アステロイドを次々と飲み込み破砕していく
捉えたか、姿が見えないことに一瞬安堵する
が、すぐに残骸の中から此方に向かってくるのが見えた。紛れもない、ユニオンフラッグカスタムUの姿だ

アレハンドロ『しつこい男だ……!』

ビームライフルはしばらく使えない。リスクは把握していたが、至近距離からの一撃なら、余波でも相応のダメージになると判断し撃ち込んだ
機能停止は確実かと思ったが、フラッグの動きは機敏さを失わず、パイロットのプレッシャーも全く衰えない
どうやらあのフラッグカスタムは予想以上にしっかりと作り込まれているようだ。自身の古巣だけに、ユニオンの技術力が高いことには喜びを覚える

アレハンドロ『限界を超えても尚戦うその信念、敵ながら賞賛に値しよう』

アレハンドロ『だが結果は変わらない。もう休みたまえ……ライセンサー!』

GNロングソードが真上から突き出されるのを、ビームサーベルで受け止める
更に繰り出される刃を、真っ向から全て受け止めていく
軽い一撃だ、アレハンドロは余裕を持ってそれを凌いでいた
132 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/19(木) 04:33:35.36 ID:QLm2n4NAO
相手の一撃に合わせ、思い切り正面から叩き込み弾き飛ばす
勝った、勝ち誇るアレハンドロを後目に、機体の体勢を立て直し、ロングソードを握り直すGNフラッグ
その機体から感じるプレッシャーは、グラハムがまだ諦めていないことをアレハンドロに教えていた

アレハンドロ『馬鹿な……無駄な足掻きだぞライセンサー』

アレハンドロ『分かっただろう。君と私の差、フラッグとアルヴァアロンの差。気合いだけで埋められる差では無い』

グラハム「だとしても……私は諦めの悪い男でね……!」

グラハム「今ここで退いてしまったら、私は死んでいった部下に合わせる顔が無くなってしまう……」

アレハンドロ『意地と矜持を支えに立ち上がるか、愚かしいな』

グラハム「意地も張れず、矜持も持てぬ一生など……此方から願い下げだと言わせてもらおう」

アレハンドロ『はっ!』

アレハンドロ『大局を見据えられぬ俗物の考え方だな! 人の想いなど、時代の流れには何の効力も持たぬ!』

アレハンドロ『そして私はその世界を、私色に染め上げるッ!』

グラハム「それが、それこそが間違いだと何故気付かない!」

アレハンドロ『何……?』

グラハム「人を包むのが世界なら、世界を成す最小単位もまた人だ!」

グラハム「人の想いを無視し、命を踏みにじって生まれる変革がッ……」

グラハム「世界を良くする筈がなかろうがッ!!」
133 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/19(木) 04:57:03.87 ID:QLm2n4NAO
数合の打ち合いと、一瞬の鍔迫り合いを繰り返し、二機はもつれ込み、ぶつかり合う

アレハンドロ『はっ! それならば何とする! 世界はどうしようもないほどに絡み合い、もはや取り返しなどつく筈もない!』

グラハム「暴力で変えられた世界は、いずれ暴力でまた変えられる! 力による支配を容認した時点で、世界から争いが無くなることはない!」

アレハンドロ『構わんさ。楯突くならば潰す! そしていずれは全てが私に跪くのだ!』

グラハム「世迷い言を!」

アレハンドロ『優しさで世界を直せると信じる貴様よりは、現実的な考え方だと思うがねッ!』

グラハム「貴様という奴は……ッ!」

アレハンドロ『あぁ……だからか。マリーダ・クルスを部下にして、主従関係ごっこをしているのは』

グラハム「……何が言いたい!」

アレハンドロ『女としては出来損ないも良いところだからな……優しくしてやればすぐに懐いただろう。もう抱いたのかね? なかなか良い身体をしていたじゃあないか』

グラハム「ッッ……!!」ブチッ

アレハンドロ『良いぞライセンサー、その顔だ! 今貴様の内に沸き起こる感情が、貴様の理想が間違いだという何よりの証!』

グラハム「黙れえぇぇぇぇぇッ!!」

アレハンドロ『怒りに狂った刃で私を捉えられると思うな……俗物ゥッ!』

フラッグの横腹にアルヴァアロンの膝が叩き込まれ、ビームライフルによる殴打でフラッグの頭部の一部が砕けて欠ける
場は完全にアレハンドロが支配していた
134 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/19(木) 05:12:35.82 ID:QLm2n4NAO
アレハンドロ『ははははははは!』

グラハム「ッ……!」

それでもフラッグは止まらない。何度でも何度でも刃を構え、終わらない

アレハンドロ『ふん、まだ立ち上がるのか。ここまで来ると哀れだな』

アレハンドロ『何より貴様は軍人だろう? 暴力を振るうのが仕事である軍人が……世迷い言だな』

グラハム「……力無き……」

アレハンドロ『ん?』

グラハム「力無き正義は無力なり……だが、正義無き力は暴力なり」

グラハム「貴様の振るう力には正義が無い……故に私は暴力と形容した」

グラハム「私を、私達を! お前のような男と一緒にするなッ!!」

アレハンドロ『屁理屈を……!』
135 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/19(木) 05:55:29.17 ID:QLm2n4NAO
アレハンドロ『黙れッ!』

上から打ちつけるアルヴァアロンの拳がフラッグを殴り飛ばす
アステロイドに叩きつけられ、激しく揺れるフラッグ
これならば減らずも叩けまい。そう考えた矢先、それでもフラッグは起き上がってくる

グラハム「ッ……」

グラハム「……貴様のMSに搭載されているシステムの中にはな……」

アレハンドロ『! 貴様まだ……!』

グラハム「一人のニュータイプの少女の心が……閉じ込められている……」

アレハンドロ『!』

アレハンドロ(エルピー・プルの事を知っているだと……いや、まさか!?)

グラハム「彼女は……自身が囚われの身でありながら、私を助け、身を案じ、生きろと言ってくれた」

グラハム「私に、助けてという一言さえも言わずにだ……!」

アレハンドロ『何だと……!』

グラハム「十分だ」

グラハム「命を賭ける、これ以上の理由など有りはしない……!」

肉は裂け
骨は砕かれ
神経は感覚を失いただただ熱く燃えるよう
視界は白濁に沈み淡い像しか結ばず
鼻は血の香のみを伝え過ぎてその機能を失い
耳は繰り返し遠雷のような耳鳴りだけを残し言葉すら聞き取れず
ただ、鮮明な意識だけが壊れた肉体を支配し、動け、動けと命令を繰り返す

グラハム「……」

頼む、私の身体よ
まだ倒れないでくれ
後少し、後少しでいい
もう少し動いたら、ゆっくり休ませてやる
そう念じ、出来ているのかも分からない深呼吸を何度も繰り返す

グラハム「……よし」

アレハンドロ『ッ……!?』

何故動ける、あれだけの損傷を受けながら
何故動ける、あれほどの損傷ならば中身とて無事では無かろうに

グラハム「……」ガコンッ

そうだ
そうだった
この男は、千機に近い大軍でさえ傷つけることかなわなかったガンダムの腕を、たった独りで切り落とし
雲海の先、成層圏を狙い撃つ男の射撃を難なく避けて見せ
道理を無理でねじ伏せ、EXAMの奇襲が生み出した如何なる危機的状況をも叩き潰し
現にアルヴァトーレを沈め、限界をとうに超えた機体と身体で、尚アレハンドロの前に立ちはだかっている

グラハム「……!」

そうだ
これこそがこの男の
グラハム・エーカーの真骨頂!
136 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/19(木) 06:12:35.89 ID:QLm2n4NAO
投下終了だフラッグファイター
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 06:22:40.08 ID:vBlW8x1yo


グラハムがかっこよすぎて濡れる
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 07:30:12.72 ID:DDsBi9mM0
乙です
良い所で・・・
次回はどんな風になるのか・・・
楽しみです!
まさかコーラがSランクとは・・・
ゼータの鼓動の様な技は出せませんよね?
139 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/05/19(木) 07:38:25.60 ID:QLm2n4NAO
以前どなたかが言ってたが、コーラサワーはXのNT(ポストティファ)なので戦闘以外の能力の見せ場が基本的に多い感じ
数千キロ離れたグラハムの安否を感じ取るようなことはしても、戦闘で役に立ってる気配0みたいな
無論Xのニュータイプが全員そういう感じではなく、あくまでコーラサワーはそういうNTという感じで頼む
どちらかというと異能炭酸生命体としての側面が(ry
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/05/19(木) 07:53:17.83 ID:XATM60eAO
>>1乙、ハムさんカッコ良すぎるだろ

俺が無知なだけかも知れないけど>>135の「減らずも叩けまい」って口抜けてないか?
141 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/05/19(木) 07:55:50.58 ID:QLm2n4NAO
>>140
済まない、完全な脱字だ
もっと確認しなきゃ……
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/19(木) 08:03:08.00 ID:7YKTiCyAO
DOMEはXのNTをただの超能力者って言ってたし…
超能力ならコーラが異能炭酸生命体でも不思議じゃないな!
ていうか、コーラには未来が見えてるのか?
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/19(木) 11:09:59.51 ID:ZgLynRSn0
乙です。
グラハムかっこいいよ!
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/05/19(木) 11:31:58.10 ID:SRtGrxNio
乙です
プルさんじゅういっさいが全く変わりなくて安心した
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/05/19(木) 11:33:46.73 ID:lsYDY8tHo
>>122
×損害警備
○損害軽微

146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/19(木) 14:09:59.91 ID:y7btNoqAO
マリオン「……」
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/19(木) 21:23:42.33 ID:QQJEAqGDO
つまりコーラは「明後日…そんな先の事は解らない」とか言い出したり、舞台が整い役者が揃えば暴走したり、AEUで飲むコーヒーが苦くてむせるようなNTと言う事か…
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 21:27:45.21 ID:9Hd8Hkhho
>>147
戦いは飽きたということだな
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/19(木) 22:05:04.45 ID:zgP49fjZ0
そんな硬派なコーラは似合わない……
と思ったら元祖異能生存体も女一人のために戦う男だったなww
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 22:26:19.32 ID:VjZwWavu0
ところで
>>1は、劇場版まで続けるつもりなのだろうか?
もしかしたらそのへんもう、前に書き込まれていたかもしれないが・・・
すまん、あんまりおぼえていない
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/19(木) 22:29:53.57 ID:hh1KtkC3o
第二部の構想はあると明言しているけど、劇場版については何も言って無いかと。
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/19(木) 22:31:51.93 ID:z6/SkHu+o
ブレイヴの名が出てるから有り得なくはないな
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/05/19(木) 23:17:08.20 ID:JuYxXO0AO
ここのグラハムはミスターブシドーにならなさそうだ
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/05/19(木) 23:21:34.83 ID:SRtGrxNio
それどころかこのまま行くとせっちゃんとの一騎打ちも難しそうだしなぁ
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/19(木) 23:24:39.80 ID:z6/SkHu+o
に、二期になったら戦うさ…00ライザーが負けちゃったら駄目だから…勝敗は……
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/05/20(金) 00:50:05.54 ID:xQT8dTiZo
>>155
エクシアリペアUがあるじゃないか
状況的にもラスボス倒した後で丁度いい
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/05/20(金) 01:22:08.78 ID:TaYm/b0w0
ユニコーンの原作でマリーダに対してミネバが、
ユニコーンが求めていたのは、あなただったかもしれないのに  
とか言ってたけど、どう言う意味なんだろ?
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/20(金) 03:34:13.33 ID:bDxIN8qAO
黄金大使もしっかり悪役してて好きだな
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/20(金) 07:00:50.11 ID:jzX009Y10
>>157
バナージが自分でも自覚はないがマリーダのことを好きだった、という意味だと勝手に解釈している。
スレチすいません。
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県) [sage]:2011/05/20(金) 19:06:24.82 ID:HJLYnWa70
小物ってことは変わらないけど黄金大使がラスボスらしいことになってるとわ
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/20(金) 19:23:27.54 ID:AzV9UUgso
アルヴァロンって性能的には普通に一期最強だったしね
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/20(金) 20:06:22.31 ID:3FEfw/HYo
アルヴァロンを二機の技術で作ったら無敵なんじゃね?
トランザム使えるアルヴァロンとか勝てる気がしない…
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/05/20(金) 20:07:53.17 ID:VtquAtRyo
>>162
つガデラーザ
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/20(金) 20:08:15.65 ID:3FEfw/HYo
あ、アルヴァトーレ含めてな
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/20(金) 20:09:29.89 ID:3FEfw/HYo
>>163
あぁ…いたな、そんなの…
存在忘れてた
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2011/05/20(金) 20:13:48.31 ID:pi7ct2fNo
リボンズのNT能力は際立って高いわけでもないんだな
脳量子波とは別なんだろうけど

それにしても刹那が活躍出来ないな・・・これまでCB側のメインはロックオンで
純粋種として覚醒するにもまだまだ先の話だろうし
それ以上にこの世界じゃグラハムの片思い相手でもないしな
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/20(金) 20:17:38.79 ID:J8bKxXDHP
おいおい、噛ませとしてネタになってるが、
ガデラーザもデカルトも印象に残る見せ場あったぞ。
あれらは良演出だった。
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/20(金) 22:10:35.67 ID:AzV9UUgso
リボンズは「イノベイター(自称ではなく)かつニュータイプ」ってのが凄いんだろうな
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/21(土) 00:26:23.29 ID:W7rkW10W0
そもそも1期の刹那はコーラとかグラハムとかの他のキャラクターの印象が強すぎて
『俺がガンダムだ』とはつトランザムの回くらいしか印象に残ってないな
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/21(土) 02:07:36.17 ID:zgzw+676o
リボンズはCVがアレだしな
作中じゃ中華おっぱい叩いたり小物臭いシーンもあったが総じて悪くないラスボスだったと思うぜ
本編じゃ覚醒刹那のダブルオーライザーしか相手にしたことないのが勿体ない所だ
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/05/21(土) 16:00:32.27 ID:nMcYHBmBo
デザイナーはタンク形態も入れたかったらしいんだよなアレ
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/21(土) 16:21:49.08 ID:qsPnVRkP0
青くしただけで大使ってわかり辛い!ふしぎ!
ttp://convini.ddo.jp/imguploader/src/up10154.png
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/05/21(土) 16:22:45.43 ID:5IBUC7Voo
>>172
カイオーガ思い出した
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/05/21(土) 17:15:58.81 ID:GoKBqGy8o
>>172
かっけぇ
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/21(土) 19:14:01.52 ID:nbGVyd9to
>>172
こう格好いいと、大使のセンスがどれだけ残念かよく分かるな
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2011/05/21(土) 21:00:18.85 ID:EO+L8yEe0
>>172
青ジム…ってただのブルーディスティニーだな
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/05/21(土) 21:38:45.21 ID:nMcYHBmBo
そのうちグラハムの中の人のスパロボ参戦作が増えたら中断メッセージで一人中村劇場とかやるんだろうか・・・
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/22(日) 08:42:39.38 ID:OCWArbyDO
>>177
グラハム以外だとマクロスFのアルト姫、ラインバレルの森次室長、あと第二次OGでジョッシュ役に確定したな >中の人
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/05/22(日) 09:05:45.06 ID:3+4obRTCo
>>172
背中のバインダー見たいのが後頭部に付いているように見えた私は、
きっと疲れているんだろな・・・・・
180 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/05/22(日) 11:32:51.48 ID:O9t2HX8AO
>>172
やだ……かっこいい……
支援感謝するぞフラッグファイター

一番最初にこのスレを立てた時のプロットを確認したら「コーラサワーが死なない話」とあった。いや確かに間違いないんだがな……

どんな話か見失いながらもやらせていただくよ、私はしつこくて諦めの悪い、俗に言う人に嫌われるタイプの男だ
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/22(日) 14:57:52.71 ID:ZvJdHmm2o
コーラサワーならサテライトキャノン撃たれても生きてるって信じてる
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/22(日) 15:34:22.66 ID:rcepiXg1o
XのNTなら未来が見えるんだぜ
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/22(日) 19:52:16.15 ID:dbdU+naXo
1人の少年の頑張りで覆される未来だけどな
184 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/25(水) 01:19:37.04 ID:GV8Tfe4AO
コーラサワー「マネキン大佐はバーロー可愛い……と」カタカタ

ちょっと投下再開だフラッグファイター
185 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/25(水) 01:23:49.78 ID:GV8Tfe4AO
アレハンドロ『死に損ないが……ッ!』

強気な言葉を吐いて見せても、その手の震えは他ならぬ自身が目の当たりにしている

アレハンドロ『もう良かろう……今度こそ奈落に沈め、!』

声まで震える前に通信を切り、大きく息を吸い込み平静を保たんと試みる
長い政治生活は軍人だった過去を蝕んだのだろう、アレハンドロがそれに気付く気配はない
改めて操縦桿を握り直し前を見る。依然としてGNフラッグは立ちはだかり、彼方からはガンダムエクシアの気配も感じ取れる

アレハンドロ『流れは私の方から奴に向いている……だが関係などあるものか』

アレハンドロ『如何に立ち上がろうと確実にコクピットを破壊してしまえば奴は死ぬ』

アレハンドロ『……そうとも、勝者はこのアレハンドロ・コーナーだ!』

急加速でGNフラッグめがけ突撃するアルヴァアロン。一番最初にグラハムが反応すら出来なかった接近速度だ
――これならば、殺れる!

アレハンドロ『今度こそくたばれ、ライセンサー!』

グラハム「……言葉が汚いなアレハンドロ」

アレハンドロ『はっ?』

グラハム「ふんッ!!」

突き出されたGNビームサーベルはフラッグのロングソードとかち合い粒子を放出、本来フラッグの右腕があった空間をすり抜けていく

アレハンドロ『なっ――!』

フラッグはその威力を受け流しつつ一回転、突っ込んでくるアルヴァアロンの横を抜け背後を取る
アルヴァアロンの最大戦速を逆手に取った、一瞬の出来事
何が起きた? 自らに問う間さえなく、フラッグの一撃は確かにアルヴァアロンを捉えていた
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/05/25(水) 01:41:45.85 ID:kPW+Y/PAO
そろそろと思ったら案の定きてた

私と君は運命の赤い糸で繋がっているようだな
187 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/25(水) 01:47:39.39 ID:GV8Tfe4AO
アレハンドロ『ぐぉっ!?』

グラハム「おおぉぉぉぉぉぉッ!!」

左翼部に渾身の一刀が食い込み、振り抜かれた刃がそれをむしり取っていく
小さな爆発と共に揺らぐアルヴァアロン。即座に急停止し、振り向き様ビームサーベルを大きく横に振るう
しかし切っ先ギリギリでフラッグは止まり、左半身に機体を傾け一撃をかわせば、ロングソードを構え一直線にアルヴァアロンへと突き出してきた

アレハンドロ『……ッ!』

グラハム「何のこれしきィッ!」

極小圧縮フィールドがロングソードを防ぐものの、それを読んでいたとばかりに体勢を立て直したフラッグが胸元に蹴りを叩き込む

アレハンドロ『がッ!?』

グラハム「ぐっ……!」

大きく仰け反るアルヴァアロンに対し、体勢をそのままに再びロングソードを構えるフラッグ
装甲表面には、揺らめく炎のようなエネルギーを纏っているのが見える

アレハンドロ『何だ……あれは!?』



グラハム「……ッ!!」

自身の攻撃で伝わる衝撃にさえ、グラハムの身体は電流のような激痛を感じていた
まだだ、萎えそうになる心を抑え、込み上げる血塊を喉奥に押し込み、全神経を集中する
グラハムがアレハンドロに勝てる数少ない要素、技量と精神力
この二つに全てを賭け、アレハンドロの心を損耗することに辛くも成功した

グラハム(動きは何度も見た、考え方もペラペラと喋ってくれたおかげで容易に掴むことが出来た)

グラハム(後は読み切って合わせるのみ……ッ!)

虎視眈々と狙っていた、一度限りのカウンター。絶妙なタイミングで訪れた絶好の機会を、グラハムは確かに物にしていた

だが
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2011/05/25(水) 02:08:17.59 ID:ALQGjPMW0
ゴクリ・・・
189 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/25(水) 02:23:21.26 ID:GV8Tfe4AO
GNフラッグはもとより、グラハム自身も限界を越えいつ倒れるとも分からない
そして片翼を失ったアルヴァアロンでも、冷静に立ち回れば今のグラハムをなぶり殺すだけの力は十分残されている
チャンスは、一度限り

グラハム「アレハンドロ・コーナーッ!」

アレハンドロ『ひッ……!』

実際問題、アレハンドロの力とアルヴァアロンならばまだ対処の余地があっただろう
だがそれが出来ないのは、アレハンドロが見てしまっていたからに他ならない
グラハムの、フラッグの中に集う【何か】を……

グラハム(今、今決めねば私に勝機は無いッ!)

アレハンドロ『来るな……来るなァァァッ!!』

グラハム「でやあぁぁぁぁッ!!」

一直線に突き出されたGNフラッグのロングソードがアルヴァアロンの頭部を捉える
多層GNフィールドが自己防衛の為に発動するも、発生器たる片翼を失いその強度は半減
遂には一撃の下に打ち砕かれ

アルヴァアロンの首が、宇宙に舞った
190 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/25(水) 02:39:17.27 ID:GV8Tfe4AO
アレハンドロ『ばっ……馬鹿な……!』

グラハム「……私の」

アレハンドロ『このアレハンドロ・コーナーがッ!?』

グラハム「勝ちだ!」

特殊システムによる稼働機体は、システムの中枢たる頭部を失えば活動を停止する
グラハムの読み通りアルヴァアロンの動きは止まり、力無くその四肢を投げ出し無重力に浮かんでいる
ところどころから火花を噴き出し、魂が抜けるかのように元の金色に戻り、プレッシャーも掻き消え完全に沈黙した

           ・
                         ・
                         ・

アレハンドロ「……う……」

焼け焦げたコクピット。血の雫と砕けた破片が舞っている
電力の集中した頭部を破壊されたことによる逆流が生み出した惨事に、アレハンドロは力無くシートに寄りかかっている


アレハンドロ「こんな馬鹿なことが……私は、世界を手にする資格を持った……!」

リボンズ『やぁ、アレハンドロ』

アレハンドロ「!?」

爆裂した破片に傷つくアレハンドロに、何者かが声をかけた
それは半壊したモニターに映る青年リボンズ、そして彼の肩の上に顎を乗せ無邪気に笑う少女プルツー
両者共に、端麗なその面持ちに侮蔑を浮かべアレハンドロを見下していた

プルツー『あ〜ぁ、酷い有り様だ。全く見てらんない』クスクス

リボンズ『そう言ってやるもんじゃないよプルツー、彼は十分働いてくれた』

アレハンドロ「リ、リボンズ、何を……」

リボンズ『ご苦労様アレハンドロ。貴方は最後までいい道化でしたよ……』
191 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/25(水) 02:58:54.07 ID:GV8Tfe4AO
二人からは自身に従っていた時の態度の片鱗さえも見えない
その邪悪な笑顔を見るにつれ、アレハンドロの脳裏に一つの結論が浮かび上がる

アレハンドロ『ま、まさか貴様等……私を裏切ったというのか……!?』

リボンズ『裏切った? とんでもない。最初から貴方は我々の計画の駒に過ぎなかっただから』

リボンズ『ともかくこれで第一段階は終了だ。まぁ……フラッグ如きに潰されるとは思わなかったけどね』

プルツー『まさか自分がニュータイプに覚醒したなんて、本気で思ってたんじゃないだろうね?』

プルツー『あっははははは! 強化人間にされて、【自殺兵器】に載せられた事実も知らないで! やることがいちいちマヌケなんだよアレハンドロ!』

アレハンドロ『……ッ!』

プルツーの嘲笑、リボンズの蔑視。それらによって曾祖父の代から受け継がれたコーナー家の悲願、その二百年の計画が踏みにじられたことをアレハンドロは知った

アレハンドロ『貴様等……コーナー家の計画を……!』

リボンズ『そんな物言いだから、器量が小さいのさ』

アレハンドロ『リボンズウゥーーーッッ!!』

燃え上がる怒り、搭載されたサイコミュがその思念を吸い取り力に変える
再び目覚めたアルヴァアロン。機能を復活させたサブモニターが見たもの、それは紅の光を纏い現れたガンダムエクシアであった

アレハンドロ『あ……』

リボンズ『……』クスッ

プルツー『バイバイ、アレハンドロ』
192 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/25(水) 03:14:14.97 ID:GV8Tfe4AO
           ・
                         ・
                         ・

グラハム「ッ!?」

確かに消えていたプレッシャーが復活し、もがくように手足を動かし始めるアルヴァアロン

グラハム「頭部を失えば動けないのではないのか……!?」

一度沈黙した機体だけに、驚きは隠しようもない
ロングソードを構え、追撃せんと身構えるGNフラッグ
だがその直後、レーダーに写る高速の物体がグラハムの視線を釘付けにする

グラハム「……ッ!?」

それは深紅に染まり、此方に猛烈な速度で接近してくるガンダムエクシアの姿
グラハムは初めて確認する、トランザム状態のガンダムであった

刹那「これ以上は……」

GNソードの巨大な刃がアルヴァアロンの腰を捉え、一刀両断、斬り伏せる
半ば暴走状態で制御の効かないアルヴァアロンも、真っ二つにされては最早手の打ちようも無く

刹那「やらせない!」

そのまま紅蓮の炎に飲まれ爆発。アレハンドロは断末魔を上げることなく、光の中に呑み込まれて消えた

刹那「……」

グラハム「……少年……!」
193 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/25(水) 03:16:53.25 ID:GV8Tfe4AO
投下終了だフラッグファイター

何だかアレハンドロが凄くあっさり死んでしまった気がする。もっとちゃんと書くべきだったなぁ……
とりあえず明日で一期は終わらせる。長々と済まんな
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/25(水) 04:17:37.25 ID:ca7wQ3SAO

自爆スイッチはついてなかったか
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/25(水) 08:09:15.39 ID:PVSH0+XAO
アレハンドロはこのくらいで調度良い
だが、刹那とグラハムの対決は……ないか
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2011/05/25(水) 19:24:50.43 ID:yXJ33cwT0
乙乙乙
この状態のグラハムに戦い挑んだら刹那極悪人だろww
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2011/05/25(水) 19:32:56.23 ID:CLXaDB1d0
乙と書かせていただこうフラッグファイター

あなたこそ真のフラッグファイターにしてマスターなのだろう

198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 20:05:18.26 ID:vPC3V6yDO
最近、いろんなスレをageまくってる荒らしがいるが、なんなんだろうな
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/05/25(水) 20:28:18.26 ID:S8iafgK40
>>198
荒らしの共通見解:気にしたら負け
200 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/05/25(水) 20:35:43.09 ID:GV8Tfe4AO
えぇいッ!予定ではやらなかったが、やはり刹那とグラハムは一騎打ちさせたい!
>>185からの昨日の更新は全て無かったことにしていただきたいッ!全て書き直した上で終わらせるぞガンダムッ!
本当に済まない

しばし待てフラッグファイター、我慢弱いのは分かるが耐えるのも男のステータスだ
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/25(水) 20:37:47.64 ID:yBUZWwOAo
画太郎先生みたいな事するのかフラッグファイターwwwwwwwwwwww
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/25(水) 20:41:35.60 ID:UDqv+dJmo
それで良いのかwwwwwwww
まぁ、グラハムと刹那が戦うのは俺得だからここは耐えるぞマスター…
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/05/25(水) 20:49:32.87 ID:Os3fCbETo
マリーダがポロポロ泣くような展開ならいくらでも耐えて見せるぞフラッグファイター
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 20:57:39.94 ID:mbp1Rcouo
MXでやってる再放送も来週はここになるのかな?
来週は『刹那』らしいが
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 21:51:17.92 ID:CihrcxoQo
どこの手塚先生だフラッグファイター
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/25(水) 22:04:08.92 ID:8Py52BFDO
今北産業を頼む、フラッグファイター
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/05/25(水) 22:18:27.82 ID:JdlQPy80o
素晴らしい。やり直すその姿勢、
貴方は真のフラッグファイターだ。
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/26(木) 01:12:51.84 ID:TpqvwLyDO
大使ェ…
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2011/05/26(木) 17:19:39.43 ID:lf9y4fk/0
グラハムは現実にいたらうざいけどいいやつなんだろうな
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/26(木) 18:20:26.84 ID:MphRXgXDO
そんな実験で〜スレのあげ荒らしの飛び火受けてね?
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/26(木) 21:46:33.25 ID:UCQOs6sDO
IDがUC記念sage
212 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/26(木) 22:42:45.78 ID:siIgkahAO
投下再開だフラッグファイター。私の我が儘を許してくれ
213 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/26(木) 22:47:17.23 ID:siIgkahAO
グラハム「さぁ、続きだ!」

アレハンドロ『…………』

しかしアレハンドロには、腑に落ちぬことがあった
ユニオンフラッグカスタムU、GNフラッグは基本性能こそ疑似太陽炉とバイオシートによる強化がなされているが、その装甲と強度まではオーバーフラッグ準拠のはずだ
事実ユニオンフラッグや前身のユニオンリアルドは、最悪ガンダムに蹴られるだけで墜落する
……そうでもしなくては飛べないからだ

アレハンドロ(何故だ、何故あれだけの攻撃を受けてまだあれほどまでに動ける?)

アレハンドロ(装甲は損壊しているにも関わらず動きが変わらない……ダメージが内部に通っていないのか)

アレハンドロ『ッ……まさか……!』

モニター照準を装甲に合わせ、拡大する
度重なる攻撃に割れたEカーボン。その隙間には光り輝く粒子の流れが微かに見える

アレハンドロ『GN複合装甲、だと!?』

グラハム「GN……何だと?」

アレハンドロ『はっ?』
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/26(木) 22:47:37.36 ID:HwgPpbqqo
どう変わったのか、結末を見届けさせてもらうぞフラッグファイター
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/05/26(木) 22:48:42.45 ID:Q1W8ww6eo
俺得展開が始まるのか
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/05/26(木) 22:48:47.41 ID:rZsAQXD4o
というか、書き直すの随分と速かったなフラッグファイターwwww執筆速度もフラッグ級かwwww
217 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/26(木) 22:54:03.60 ID:siIgkahAO
つい洩れてしまうアレハンドロの台詞、しかしグラハムは首を傾げ反応も乏しい
グラハムの今までの戦い方は、GN複合装甲による強度があればこその動きであり、それが無ければ初撃で墜ちていてもおかしくない
本能的に機能を理解していたのか、はたまたただの偶然か……
どちらにしても、一応納得のつく理由は見つけられたと言えよう


アレハンドロ(とにかく……バイオシートの共鳴による機動力の向上が、この粒子制御による粒子の膜がもたらした副次効果に過ぎんとすれば……)

アレハンドロ(ただの打撃に過ぎぬ奴へのダメージ、それが影響しない理由にも説明がつく!)

アレハンドロ『だが……だが分からん。だとしても、だとしてもだ!』

グラハム「……」

アレハンドロ『貴様にそれほどの力がある筈がない! ニュータイプとしての力はマリーダ・クルスにすら劣る貴様が……!』

グラハム「やはり貴様は軍人ではなくなったようだな、アレハンドロ」

アレハンドロ『…………………ッ!』

グラハム「分からんだろう。自分の事しか省みず、散っていく命の重さも分からぬ貴様には」

グラハム「他者の為に自らの命を盾とする……兵士という存在の事などッ!」

アレハンドロ『……まさか貴様……!?』

グラハム「今日は死ぬには良い日だな、アレハンドロ」

グラハム「……往くぞ」
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/26(木) 22:57:43.51 ID:Zpd/b6uAO
GNフラッグが変形しなくて良かった…
スイカバーしか思い浮かばないからな
219 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/26(木) 23:06:54.04 ID:siIgkahAO
機体が前のめりに傾き、GNフラッグは最大出力でアルヴァアロンに突撃する
装甲の内側、本来存在し得ない膜……後の研究で、バイオフィールドと呼ばれる存在……それを纏ったフラッグは、迷うことなく懐に飛び込んでいく

アレハンドロ『ッ!?』

グラハム「シィッ!」

刃と刃がぶつかり合い、粒子の光が暗闇の宇宙に小さな光点を生み出す
それでも止まらず頭がぶつかり、互いの装甲が欠けても尚グラハムは前進し、アルヴァアロンを勢いで制していく

アレハンドロ『玉砕覚悟……!』

アレハンドロ『私を道連れに、死ぬつもりかライセンサー!?』

グラハム「……ッ!」

グラハムは答えない。答える余裕も無い

アレハンドロ『だが、それでも!』

アレハンドロ『貴様の力では私は倒せないッ! 分かっているのかッ!?』

グラハム「……そんな道理……ッ」

グラハム「私の無理でこじ開ける!!」

圧し切られたアルヴァアロンが体勢を大きく崩し、突き抜けたロングソードが青色の装甲に紅い線を刻み込む

アレハンドロ『う……!』

アレハンドロ『うああああああ!!』

グラハム「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

そして、振り抜かれるGNロングソードの一閃
ビームサーベルが勢いで弾け飛び、切っ先がアルヴァアロンのカメラアイに触れ破片が飛び散る
とっさに身を退いた為カメラアイは無事だが、カバーを失いガンダムタイプの眼が露出し異様な光が線を描く

グラハム「はっ……はぁっ……!」

背後のアステロイドに叩きつけられ、激しい振動に揺さぶられるアルヴァアロン
ダメージは恐らく、皆無
煮えたぎる身体に呻き、グラハムの表情が苦痛に歪む

グラハム「まだだ……まだ……!」
220 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/26(木) 23:21:13.28 ID:siIgkahAO
グラハム「まだ……!!」

―ヴァージニア艦―

ビリー「マリーダ、準備は良いね?」

マリーダ「はいカタギリ顧問、いつでもどうぞ」

グラハムが死闘を繰り広げている頃、ビリー・カタギリはMSドッグの中で幾多ものコードと対峙していた

マネキン「どうかね、カタギリ顧問」

ビリー「やれるだけはやってみました。これで太陽炉とバイオシートを直結出来たはずです」

ビリー「理論上はこれでサイコミュの機能を最大限発動出来、マリーダの脳波を増幅出来る筈です」

マネキン「そうか……」

通路に設置されたコクピットシートには、アルヴァトーレにより潰されたGN-Xの太陽炉とコードにより繋げられていた
そこにはマリーダが鎮座し、頭部に特殊な機器を繋げている

ビリー「あとは、増幅された脳波がちゃんとグラハムのフラッグにあるバイオシートまで届くかどうかですけれど……」

マネキン「実験したわけではないのだろう? 可能性は?」

ビリー「……全くの未知数と意わざるを得ないですね」

マネキン「……っ」
221 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/26(木) 23:55:00.04 ID:siIgkahAO
マリーダ「カタギリ顧問……」

ビリー「信じてやってみるしかないさ、とはいえ、以前グラハムが話してくれた【夢】の話を元に構築した推論なんだけどね」

ビリー「向こうについたら、景気づけに一発尻でも叩いてやれ。頼んだよマリーダ」

マリーダ「……はい!」

ビリー「よしっ! オットー、火を入れてくれ!」

ビリー「バイオシートを最大出力で起動させる! 一か八かだ、頼むぞぉ!」

マリーダ(マスター……)

マリーダ「……」キッ

アレハンドロ『……成る程な』

グラハム「……」

ゆっくりと起き上がり、体勢を立て直すアルヴァアロン
そのプレッシャーには、先ほどまであった波は無く、嵐の前の静けさのような静寂が辺りを包み込む

グラハム「ッ……」

アレハンドロ『感謝するよグラハム・エーカー。私は今、自らの慢心を自覚するに至った』


アレハンドロ『もう手は抜くまい。全身全霊、全力を以て君を葬り去ってくれよう』

もう一本のビームサーベルが抜き放たれた瞬間、プレッシャーはグラハムを押し潰さんばかりに広がっていく
222 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/27(金) 00:13:21.54 ID:ZKiFhlRAO
依然として、アルヴァアロンの性能はフラッグを凌駕し
依然として、アレハンドロ・コーナーの強化された能力はグラハム・エーカーを超えている

グラハム「……」

アレハンドロ『ほう、気勢は衰えぬか。そうでなくてはな』

それでも、グラハムには明確な勝算があった
ただ一方的に殴られていたわけではない、ギリギリの範囲で見極めた確かな勝算が

グラハム(持ちこたえてくれ……!)

あとはそれを忠実に実行するのみ。身体など、それまで保てばいい

アレハンドロ『……』ニィ

グラハム(気付いた途端にこの感覚か……俗物め)

恐らく、敵はこちらの状況に感づいているに違いない
だとしても構わない。やることは一つなのだから
ロングソードを構え、出力を調整し加速体勢に入る
敵もビームライフルの照準を合わせているだろう、長期戦は不利になる

アレハンドロ『――死ねッ!』

グラハム『――参るッ!』
223 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/27(金) 00:39:26.86 ID:ZKiFhlRAO
圧縮された粒子の激流が鮮烈な輝きと共にGNフラッグに襲いかかる
アルヴァアロン砲、喰らえば塵も残るまい

グラハム「おおぉぉぉぉぉぉ!!」

黒い影がひらりと宙を舞い、その一撃をかわしアルヴァアロンめがけ一直線に飛翔する

アレハンドロ『甘いな、ライセンサー!』

グラハム「まだまだぁぁッ!!」

一瞬の邂逅、ぶつかり合う刃
弾かれつつその衝撃を利用し一回転して更にもう一撃
押し戻される瞬間出力を一時的に止めわざと戻されてから、即座に最大出力で突っ込み腕を突き出す

アレハンドロ『ッ……!?』

GNフラッグは片腕というハンデを思わせぬ動きを見せ、アレハンドロに【刀を振るう】ことを許さない
EXAMシステムも近接戦闘主体の戦いでは、その力を発揮しきれないでいた

アレハンドロ『えぇいっ!!』

グラハム「……!」

何とかして繰り出したビームサーベルの刺突も、出先を捉えられそれ以上先には進まない
それだけではない。体当たりもビームライフルも、全ての攻撃が命中することなく空振り始めたのだ

アレハンドロ『貴様ッ……何をした!』

グラハム「……」

つい先刻、あれだけ叩き込めた攻撃が一撃たりとも当たらない
先ほどの一撃でアルヴァアロンの頭部にダメージを負ったか?
それとも機器が故障し不備が発生したか?

アレハンドロ(違う……ッ)

アレハンドロ(この感覚、先ほどと何ら変わらない。アルヴァアロンに異常は見られない!)

アレハンドロ(だとするならば、私の攻撃が当たらないのは……!)
224 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/27(金) 01:40:58.11 ID:ZKiFhlRAO
グラハム「読めるのだよ、アレハンドロ」

アレハンドロ『何……!?』

ビームサーベルとロングソードの交錯に、激しいスパークが散っていく
アルヴァアロンの挙動より僅かに速く、GNフラッグは動き確実に対応してみせた
如何にMSの性能が高かろうと、如何にパイロットの身体能力が高かろうと、ニュータイプだろうと
命を賭け、身を以て学び取り、培った経験、技量だけは決して変わらない
グラハムが唯一アレハンドロに勝てるとすればその一点、グラハムもまたそこに賭けていた

グラハム「スレーチャー少佐から学び、エイフマン教授に導かれ」

グラハム「そして盟友カタギリが、部下達が支えてくれた今までの道のり……!」

グラハム「貴様ごときにッ! 否定されてたまるかぁぁぁぁぁッ!!」

アレハンドロ『ぐぉっ!?』

突き出されたビームサーベルを敢えて受けず、胴体に掠らせながらロングソードを繰り出す
アルヴァアロンは右手を上げ、腕ごとロングソードの軌道を変えることで難を逃れた

グラハム「ッ!!」

だが、その瞬間振り上げたフラッグの右足がアルヴァアロンの左手、ビームライフルを握る指めがけ叩き込まれる
フラッグの右足は衝撃で足首からへし折れるものの、四本の指が根元から引きちぎれ、ビームライフルを手放してしまう
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/05/27(金) 03:13:28.74 ID:PTAv7CYAO
まさか寝落ちかフラッグファイター?
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/27(金) 17:07:37.11 ID:kJxFQMhdo
今夜は来るだろうか…
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/05/27(金) 23:11:02.77 ID:t1n3iagJ0
金ジムの頭吹っ飛ばすのがギガンティック・フォーミュラーのラストバトルを思い出す
228 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/27(金) 23:55:25.32 ID:ZKiFhlRAO
寝落ちとは……諸君等にジャパニーズ・ドゲザが必要なようだ
済まないフラッグファイター、投下再開だ
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/27(金) 23:58:51.54 ID:g+TJZq6eo
時には休む事も必要だぞフラッグファイター
230 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 00:01:39.16 ID:vqZMeF7AO
グラハム(これでようやく五分ッ!)

蒼のマニピュレーターが、スローモーションのように落脱していくのが見える
アルヴァアロンに対しGNフラッグが初めて与えた明確なダメージ

アレハンドロ(並ばれた……ッ!)

機体の状態は未だ五分とは言えず、アルヴァアロンが優勢だろう
グラハムも満身創痍なのは変わらず、いつ倒れてもおかしくはない状態にある
だがGNフラッグで傷つけたという事実が、この一瞬のみ両者の差を同格へと押し上げる

アレハンドロ『馬鹿なッ……貴様、不死身か!』

グラハム「その言葉はパトリック少尉に言うのだな……ッ」

グラハム(だが五分では勝てん……!)

アレハンドロ『ちぃっ!』

振り下ろされたロングソードを、ビームサーベルが受け止める
劣るパワーを出力による加速でカバーし、一気呵成にぶつけ押し返す

グラハム「このまま一気に……ッ!」

それと、ほぼ同時に事は起きた

アレハンドロ『るあぁぁぁぁぁぁ!!』

グラハム「ッ!?」

アルヴァアロンが翼を逆展開し、GNフィールドでフラッグを覆い尽くし、完全に取り囲んでしまったのだ

グラハム「っ……!」

アレハンドロ『はぁっ……はぁっ……』

アレハンドロ『如何に見えようと……読めようと……』

アレハンドロ『動けねば意味など有るまいな、ライセンサー!』
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/28(土) 00:04:59.95 ID:xsnOkYApo
GNフィールドで相手囲むって戦法、普通に強そうだな
どうしても電子レンジの中のダイナマイトを思い出すけど
232 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 00:16:45.15 ID:vqZMeF7AO
グラハム「……」

アレハンドロ『……ん?』

その瞬間、EXAMシステムが最大警告を発しアレハンドロへ撤退を進言する

アレハンドロ『な、何だ!?』

モニターに拡大されて映るGNフラッグ、その手の中には粒子を纏うロングソードが握られている
その刃の紅い輝きは目に見えて膨れ上がり圧縮、半透明の薄い一刃を形成する

アレハンドロ『ッッ……!』

アレハンドロの言うとおり、グラハムはニュータイプとしては他に劣る能力しかない
既に脳も限界に達し、それを示すかのように血の涙が視界を赤く染めていく

アレハンドロ『それは……ッ』

グラハム「刮目しろアレハンドロ……」

グラハム「そうとも!」

それでも、グラハムは止まらない
戦友達の死が無駄ではなかったと示すために
先に逝った友、ニールへの敬意の為に
そして何より、自分自身の生き様を貫くために

グラハム「私が……!」

グラハム「私達がッ! フラッグファイターだッ!!!」

ブツリと音が響くような、エネルギーを真っ向から断ち切るハイパーGNビームサーベル
片翼の獣の一角はアルヴァアロンの頭部を穿ち、機体すら持ち上げ吹き飛ばす
GNフィールドも解け、投げ出されるGNフラッグ
その手に握られた剣は、奇しくも以前彼が捨てたパーソナルマークの剣に似ていた
233 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 00:27:02.36 ID:vqZMeF7AO
アレハンドロ『ばっ、馬鹿な!』

グラハム「……私の」

アレハンドロ『このアレハンドロ・コーナーが……!』

グラハム「勝ちだッ!」

紅刃を引き戻した瞬間、アルヴァアロンの節々がスパーク、内部で小規模の爆発が幾つも起こる
EXAMシステムは確かに機体性能を120%にまで引き上げる力がある
ただそれは機体をオーバーロード寸前にまで追い込み続ける諸刃の刃
故にEXAMによる稼働機体は、システムの中枢たる頭部を破壊されると一線を越え破損してしまう
少なくとも、このEXAMはそうであった

グラハム「ふう……ッ」

グラハムの読み通りアルヴァアロンの動きは止まり、力無くその四肢を投げ出し無重力に浮かんでいる
勝った……その事実がグラハムの張り詰めた気を緩め、その身をシートに投げ出させた
           ・
                         ・
                         ・
アレハンドロ「……う……」

焼け焦げたコクピット。血の雫と砕けた金属が舞っている
電力の集中した頭部を破壊されたことによる逆流が機器を爆発させ、その破片に深手を負わされたアレハンドロは力無くシートに寄りかかっている

アレハンドロ「こんな馬鹿なことが……私は、世界を手にする資格を持った……!」

意識朦朧として、譫言のように後悔の念を吐き出すアレハンドロ
その哀れな敗者に、何者かが声をかけた

リボンズ『やぁ、アレハンドロ』

アレハンドロ「!?」

それは半壊したモニターに映る青年リボンズ、そして彼の肩の上に顎を乗せ無邪気に笑う少女プルツー
両者共に、端麗なその面持ちに侮蔑を浮かべアレハンドロを見下していた

プルツー『あ〜ぁ、酷い有り様だ。全く見てらんない』クスクス

リボンズ『そう言ってやるなよプルツー、彼は十分に働いてくれた』

アレハンドロ「リ、リボンズ、何を……」

リボンズ『ご苦労様アレハンドロ。貴方は最後までいい道化でしたよ……』
234 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 00:31:47.52 ID:vqZMeF7AO
二人からは自身に従っていた時の態度の片鱗さえも見えない
その邪悪な笑顔を見るにつれ、アレハンドロの脳裏に一つの結論が浮かび上がる

アレハンドロ『ま、まさか貴様等……私を裏切ったというのか……!?』

リボンズ『裏切った? とんでもない。最初から貴方は我々の計画の駒に過ぎなかったのだよ』

リボンズ『ともかくこれで第一段階は終了だ。まぁ……フラッグ如きに潰されるとは思わなかったけれど』

プルツー『まさか自分がニュータイプに覚醒したなんて、本気で思ってたんじゃないだろうね?』

プルツー『あっははははは! 強化人間にされて、【自殺兵器】に載せられた事実も知らないで! やることがいちいちマヌケなんだよアレハンドロ!』

アレハンドロ『自殺……ッ!?』

リボンズ『EXAMシステムは対ニュータイプ殲滅用のシステム……』

リボンズ『すべての敵が消えた後、貴方ごと死んでくれるはずだったんだよ……君のアルヴァアロンはね』

アレハンドロ『あ……がっ……!』

プルツーの嘲笑、リボンズの蔑視。それらによって曾祖父の代から受け継がれたコーナー家の悲願、その二百年の計画が踏みにじられたことをアレハンドロは知った

アレハンドロ『貴様等……コーナー家の計画を……!』

リボンズ『そんな物言いだから、器量が小さいのさ』

アレハンドロ『リボンズウゥーーーッッ!!』
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/28(土) 00:37:24.17 ID:IL8mvErAO
やっぱり大使はあっけないwwww
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/28(土) 00:47:30.24 ID:Bbhu1E890
よく考えたら初めて戦う相手攻撃にあわせてドンピシャでグラハムスペシャルできる人間が
素人の大使の動きを読めないわけが無いか
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/05/28(土) 00:51:19.36 ID:bbZ+cM4wo
大使殿だって元はユニオンのエースだったんだぜ!だぜ!
238 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 00:57:24.75 ID:vqZMeF7AO
           ・
                         ・
                         ・
グラハム「は……ぐ……うぁ……!」

血まみれの身体を起こす気力も無く、グラハムは沈黙したアルヴァアロンを前にシートに身を預ける
呼吸をするのも苦しい。意識的に酸素供給をせねば、このまま窒息死してしまいそうだ

グラハム「……ッ」

全身の筋肉はもはや悲鳴すら出せぬほど痛めつけられ、気を抜けば指先すら動かせなくなりそうなほど疲弊しきっている
神経も、痛感が麻痺し深刻な痺れが身体を支配しつつあった
骨も何本かは折れているだろう。確認したくもないが、パイロットスーツ越しの感触から分かるだけでも三本は肋骨がお亡くなりになっている

グラハム「ッ……」

アルヴァアロンは倒した。これでスミルノフ中佐の部下や、トリニティに消された多くの命の慰めにはなろう
だが……慰めにはなっても、失われた命は還ってこない
どうしようもないと知りながら、無力感がグラハムの心に染み渡る

グラハム「……くそっ……」

その時だった

グラハム「……ッ!?」

宇宙空間に浮かび流されているアルヴァアロンの右腕が、ゆっくりと上に伸ばされたのが見えた
――馬鹿な
終わりだと安堵したグラハムの心に、衝撃が走る

アレハンドロ『逃がさん……貴様だけは……!』

活動限界を超えたMSの起動。何処までもしぶとくつきまとうアレハンドロに、さしものグラハムも閉口する
一度解した緊張感が、四肢から力を奪ってしまった
サイコミュ能力ももう限界、これ以上の発動はままならない
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/28(土) 01:33:07.90 ID:NZW6xuRDO
逝ったか……
240 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 01:48:04.08 ID:vqZMeF7AO
それでも頭部を失ったためか、アルヴァアロンの動きは先ほどに比べれば緩慢である
メインカメラもなく、ビームサーベルと親指しかない左腕を力任せに振るうしか攻撃手段も残されてはいない

グラハム「ッ――!」

アレハンドロ『おぉぉぉ……!』

それですらも対応出来ぬほどに、一度萎えてしまった身体は持ち直すことが出来ず
まるでチャンバラのようなデタラメなビームサーベルにも、フラッグは避けるしか術が無い

グラハム「……!」

逃げ回るだけでは、いずれ刃に捉えられるだろう
操縦桿を握り直そうと、指に力を込める
だが、パイロットスーツを伸ばすだけの精神力すら、今のグラハムには残っていない

グラハム(最後の最期で……ッ!)
241 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 01:57:32.82 ID:vqZMeF7AO
死を覚悟したその瞬間、何故か身体が軽くなったような気がした

グラハム「……!」

それは、死の間際に錯覚した都合の良い感覚か
動かぬ腕を誰かの手がそっと支え、握れぬ手の上から重ねるように細い指が絡む
血まみれの眼がそっと拭われ、淡い光に包まれた彼女の顔が、網膜に飛び込んでくる
傷ついた身体を労るように、温もりが伝わり痛みを消していく

『マスター』

グラハム「マリーダ……?」

幻聴か?
いや、幻聴ではない。確かに聞こえた、彼女の声
自身の身体の中に、彼女の命が入り込んでくるような、そんな満たされた感覚がグラハムの全身を包み込む
これならば、戦える!
242 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 02:06:38.39 ID:vqZMeF7AO
突然サイコミュが起動し、GNフラッグが息を吹き返す
重たかったペダルが、羽根のように軽くなっていき
操縦桿もまるで手の延長であるかのように、グラハムの手に吸い付きも違和感なく追随してくれる
盟友カタギリが仕上げてくれたような完璧な状態、コクピットに座るグラハムにとって、まるで時が戻ったような不思議な感覚をもたらしていく

グラハム「これならば……いける!」

怒り狂った金色の怪物がこちらを目指し、急接近してくるのが見えた
雄叫びを上げ、ビームサーベルを突き出し向かってくる

アレハンドロ『ぎぃっ……!!』

グラハム「はぁっ!!」

伸ばされた右腕は、フラッグに触れる前に二の腕から断ち切られ宙に舞う
がら空きの胴体の中心、グラハムは迷うことなくロングソードを突き出した

アレハンドロ『コーナー家の……悲願を……!』

グラハム「言っただろう……アレハンドロ」

グラハム「勝利の女神は、私の腕の中だとな」
243 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 02:12:59.78 ID:vqZMeF7AO
トドメの一撃がアルヴァアロンを穿ち抜く
その四肢は今度こそ完全に機能停止しダラリと垂れ下がり、野望に縛られた一人の権力者の死をグラハムに伝える

グラハム「……ふんっ!」

ロングソードを抜きつつ、その胴体を蹴りつけ遠くへと追いやっていく
しばらく離れてから眩い閃光が辺りを照らし、金色の機体は粒子の煌めきと共に爆発
宇宙の闇に飲み込まれるかのように、余韻を残しながら消え去っていった

グラハム「……ふう……」

終わった――
大きく息を吸い込み、肺に残る嫌な気を呼気に乗せ吐き出していく
ともあれ、最大の脅威は退けた
グラハムの興味は隣に立つマリーダへと向けられた

グラハム「マリーダ・クルス中尉」

マリーダ『はっ!』

グラハム「……本当にマリーダだ……」

マリーダ『正真正銘、マリーダ・クルスであります。マスター』

グラハム「……ひどく懐かしく感じるな、お前にマスターと呼ばれるのも」

マリーダ『出番がありませんでしたから』

グラハム「?」

マリーダ『いえ……此方の話です』
244 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 02:21:41.26 ID:vqZMeF7AO
グラハム「しかし驚かされた……マリーダ、お前は一体どうやって此処に来た」

グラハム「ッ、まさか……」

マリーダ『いえ、死んではおりません』

マリーダ『説明は長くなりますので、それは後ほどカタギリ顧問にお聞きください』

マリーダ『ともかくまずはご帰還を……その様なご無理をなさっては、後々に響きます……』

グラハム「……そんな顔をするな。我々は勝ったのだぞ」

グラハム「それに痛みは引いている。大事には……」

グラハム「……?」

グラハム「そう言えば何故、痛みが引いている? そんな機能はバイオシートには……」

マリーダ『……それは、バイオシートの共鳴で一時的ながらマスターの感覚を私に移しているからです』

グラハム「何だと……!?」

マリーダ『ご心配なく。苦痛には……馴れていますから』

グラハム「ぬ……」

マリーダ『以前お話いたしました通り、マスターに分けていただいただけのことです』

マリーダ『今の私は……空虚な人形ではない。貴方の隣に立つ、フラッグファイターです』

グラハム「……」

グラハム「……うむ」

グラハム「ありがとう。感謝してもしきれん」

マリーダ『お役に立てたなら幸いです』ニコッ

グラハム「……」フッ
245 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 02:32:24.72 ID:vqZMeF7AO
――ありがとう、お兄ちゃん

グラハム「!」

ふと、コクピットの中を何かが通り過ぎていく

マリーダ『!』

それはマリーダの心も感じたのか、GNフラッグが何かに共鳴するように脳波を響き渡らせた

グラハム「――」

眼を閉じて、彼女のことを思い浮かべる
可憐な少女が、花咲く笑顔を振りまき、星の海へと旅立っていくのが見えたような気がした

グラハム「……」

マリーダ『マスター……』

グラハム「見えたかマリーダ? お前の姉の心は、無事に還っていったよ」

マリーダ『……ッ!』

グラハム「泣くな、笑って送ってやるのが彼女への礼儀だろう」

マリーダ『はい――!』

グラハム「……」

グラハム「さらばだ、エルピー・プル」

グラハムが自然に取った姿勢は、敬礼
軍人として、一人の人間として、エルピー・プルという存在に敬意を表したが故の敬礼
彼なりの、最大限の感謝の印であった

グラハム「……」

グラハム「――来た!」
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/05/28(土) 02:33:18.28 ID:GL6kNoROo
来たか
247 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 02:44:50.23 ID:vqZMeF7AO
操縦桿を強く、強く握り直すグラハム
マリーダとの再会、エルピー・プルの解放に緩んだ顔は何処へやら。その表情は戦場に生きる兵士のものへと変わっていた

グラハム「マリーダ、済まない」

グラハム「もう少しだけ私の背を支えていて欲しい」

マリーダ『マスター……?』

グラハム「最後の仕上げが残っている」

グラハム「手伝ってくれ、フラッグファイター」

マリーダ『……』

マリーダ『了解、マスター』

グラハム「マスターは止せ」フッ

天を仰ぐグラハム。その眼差しの向こうには、紅い軌跡を残しながら急速接近する、MSの機影
それは一年間追い続け、恋い焦がれた存在
乙女座の運命が結びつけた、グラハムの宿命の敵である

グラハム「これだけ苦戦してから言うのは気も退けるが……やはり言わせてもらいたい」

グラハム「我々の戦いが、何処からともなく現れた外野との一戦で終わって良いはずがない!」

グラハム「やはり最後の〆は、私と、君とで終わらせるべきなのだッ!」

グラハム「……そうだろう!」

グラハム「ガンダムッ!!!」

その表情は、まさに想い人を待つ少年の顔
まさに今、決着の場にガンダムが降り立とうとしている

刹那「刹那・F・セイエイ……ガンダムエクシア!」

刹那「ユニオンフラッグとアルヴァアロンの戦闘行為を紛争と断定!」

刹那「武力介入に移行するッ!」

グラハムは戸惑った。使命感や信念とは全く違う、高揚感を伴った喜の感情が、背骨から全身の神経へと電流のように流れていく、その感覚に

――不謹慎極まりない
こんな時に、全ての根源を目の前にしておきながら
自身の中に、強者との戦いに震える自分自身が存在してしまっている!
ならば致し方在るまい
初めて君と剣を交えた時、初めて伝えたあの言葉! 今再び君に届けよう!
私と、マリーダと、フラッグファイターの誇りを乗せた!
このッ!GNフラッグでッ!!

グラハム「敢えて名乗らせてもらおう少年!」

グラハム「グラハム・エーカー……君の存在に心奪われた男だッ!!」
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/05/28(土) 03:04:13.43 ID:n4x/sqk30
まさかリアルタイムとは刮目させてもらおう!
249 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 03:04:31.46 ID:vqZMeF7AO
ガンダムエクシアのGNソードとGNフラッグのGNロングソードの刃が激しくぶつかり合い、火花を散らし喰らい合う

グラハム「正直理解に苦しむよガンダムッ!」

グラハム「あのまま逃げていれば追っ手も振り切れように、わざわざ虎の子の奥義まで使って駆けつけてくれるとは!」

グラハム「だが君に其処まで求められるとは、男冥利に尽きるというもの! このグラハム・エーカー、その想いに全力で応えてみせるッ!」

刹那「ぐぅッ……!」

バイオフィールドを纏う機体は興奮するグラハムのテンションに呼応、想像以上の力を発揮しエクシアを押し上げる
だがトランザムを発動したガンダム、無論これしきではびくともしない

刹那「貴様はロックオンを通じソレスタルビーイングを知り、アレハンドロを通じ世界の闇を知った!」

刹那「そして、それでもソレスタルビーイングに敵対することを選んだ! 世界の側に付くことを選んだ!」

刹那「ならば俺は貴様と、世界と向き合わねば先に進めない!」

刹那「それが俺の、ガンダムの意志だッ!」

グラハム「ぐぉっ!?」

グラハム「圧倒されたか……初めての逢瀬を思い出すな! ガンダム!」

圧倒的な出力差に弾き飛ばされるGNフラッグ
しかし、纏うバイオフィールドそのものが慣性を制御したのか、即座に体勢を変えロングソードで斬りつける
凄まじい速度で動き回るエクシアを捉えることは至難の業、だがエクシアもまたGNソード以外ではGNフラッグのバイオフィールドを貫けない
勝負は、まだどちらにも傾いてはいないのだ

グラハム「読み切るッ!!」

刹那「させるかぁッ!!」
250 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 03:26:17.31 ID:vqZMeF7AO
グラハム「君からは、ロックオン・ストラトスに似た感覚が感じられる……以前は無かった感覚だ」

グラハム「成る程、ロックオンがソレスタルビーイングで見いだした可能性が君か、少年!」

刹那「何を言っている……!?」

グラハム「ロックオン・ストラトスは言ったッ! ソレスタルビーイングは弱き者の最後の砦だと!」

グラハム「だが果たして、剣と矛は弱者に恵みをもたらすか!?」

グラハム「武力により得た富は、必ず敗者と憎しみを生み、いずれはまた同じ輪廻の輪で争いを始めるだろう!」

グラハム「無意味なのだよガンダム、ソレスタルビーイングの理念は!」

刹那「ッ……!」

ぶつかり合う剣と剣、動のガンダムエクシアに静のGNフラッグ
圧倒されながらも先読みし対応するグラハムに、刹那は臆することなく速度を上げ強気に立ち回る

刹那「だとしても、優しさだけでは世界は変わらないッ!」

刹那「想う気持ちもやがて暴走し、アザディスタンのような宗教の争いを生み出していく!」

刹那「俺も其処から生まれた……親を殺した人でなしだ!」

グラハム「なんと……っ」

刹那「愛でも……憎しみでも戦争は起こる」

刹那「ならばそのどちらでもない! 戦争への武力介入を行うためだけの存在、ガンダムで紛争根絶を為す!」

刹那「あんな思いをするのは……もう俺達だけでいいッ!」

グラハム「ぬぁっ!?」

感情的な刹那の動きはトランザムにより無駄なく加速され、読めたとしても対応出来ぬほどの超高速に引き上げられている
グラハムは先読みの先の領域に繰り出される攻撃に、幾度となく弾かれ振り回されてしまう

グラハム「まだまだ……ッ」

――ならば二手先、三手先を読み切り、そこで反撃を叩き込む!
251 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 04:16:20.87 ID:vqZMeF7AO
グラハム「だとしても私は、ソレスタルビーイングを見過ごすわけにはいかない……!」

グラハム「ユニオンのフラッグファイターとして、私は君を否定するッ!」

刹那「貴様ァァッ!」

残像を伴う超速の剣閃が、GNフラッグの右足を両断する
グラハムの反撃は、振る前にエクシアが射程から外れ空振りさえ許されない

グラハム「ッ……!」

グラハム「私は孤児だ……親もいなければ兄弟もいない、物心ついた頃から天涯孤独のみなしごだ!」

刹那「……ッ」

グラハム「だが私は愛を知っている! 父が、恩師が、盟友が、部下が! こんな私を愛してくれたからこそ、今君と対峙することが出来る!」

更に、エクシアの左手から繰り出されたGNブレイドがフラッグの頭部を貫く
だが今度は違った。完璧なタイミングでのカウンターが、ガンダムエクシアの左腕を切り落としていたのだ

グラハム「変革してみせろ少年……それでこそ私と雌雄を決するに相応しい存在!」

グラハム「それこそが、ガンダムッ!」

刹那「ガン……ダム……?」
252 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 04:27:59.37 ID:vqZMeF7AO
その時、エクシアの圧縮粒子が底をつきトランザムが解除される

刹那「ッ!」

グラハム「はぁっ!!」

すかさず振られたロングソード、とっさに下がり距離を取ったものの、切っ先はエクシアの左顔面を捉え丸々半分をえぐり取っている

刹那「トランザムがッ……!」

グラハム「奥義は時間切れというわけか……さぁどうする少年」

刹那「……」

トランザムの活動限界に達し、粒子残量の尽きたガンダムは著しく性能が劣化する
勿論刹那は忘れてなどいない
一般的な考えであれば撤退も視野に入れるべき状況である

刹那「……ッ」キッ

だがガンダムエクシアが取った行動、それはGNソードを前に突き出すように構え、前傾姿勢を取った突撃の姿勢
一直線に突貫するという覚悟を表した、刹那らしい構えであった

グラハム「……それが答えかガンダム」

刹那「ソレスタルビーイングに後退は許されない」

刹那「いや……許されたとしても俺は下がらない」

刹那「それがソレスタルビーイングのガンダムマイスターとしての、俺の覚悟だ!」

グラハム「……それでこそ、それでこそだ」

グラハム「ガンダム……!」
253 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 04:48:39.52 ID:vqZMeF7AO
対するグラハムも、大きく左腕を引き半身に構えエクシアに対峙する
此方も残るは左片手のみとはいえ、平突きを放てる体勢。エクシアと違い損傷は激しいが、マリーダのサポートにより機動力の損失は最小限に抑えられている
勝つのはガンダムか、GNフラッグか
勝敗の行方は、未だネットに弾かれたテニスボール
どちらに落ちるのかは、誰にも分からない

刹那「……」

グラハム「……」

が、ただ確実なのは、必ずテニスボールはどちらかに落ちるという事
そして……

刹那「うおぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

グラハム「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

それは、すぐに落ちるということ
254 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 04:52:45.46 ID:vqZMeF7AO
           ・
                         ・
                         ・

……グラハムが目覚めた時に見たものは、真っ白い天井と覗き込む二つの顔
頭に靄がかかったようで、思考が上手く働かない
呟くように、思ったがままの言葉を口走る

グラハム「……ここは地獄か。閻魔と小鬼が私を睨んでいる」

セルゲイ「起きがけに閻魔呼ばわりとは……言ってくれるなグラハム」

コーラサワー「小……鬼……?」ガクッ

グラハム「此処は……」

セルゲイ「ようやく意識もはっきりとしてきたようだな。ヴァージニアの医務室だ」

セルゲイ「君はもう三日ベッドの上だったのだぞグラハム」

コーラサワー「緊急の再生治療用のカプセルが他の重症者で埋まってたからヤバかったらしいけど、よくまぁ起きられたもんだなトップガン」

コーラサワー「ま、ガンダムセミヌードを撃破し無傷で帰還したこのAEUのエース、パトリック・コーラサワーには劣るがな」フンスッ

セルゲイ(機体は殆ど吹っ飛ばされていた筈なのに……本当に何故無傷なのだ? この男は)

グラハム「ぐっ……!」

セルゲイ「! 無理はするなグラハム、今ピーリスが医師を呼んでいる」

コーラサワー「お前全身打撲に骨折八カ所、その他諸々でヤバいんだぞ? 寝てろ寝てろ」

コーラサワー「まぁこのパトリック・コーラサワーは無傷なんだけどなっ」フンスッ

セルゲイ「……」
255 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 05:02:55.90 ID:vqZMeF7AO
グラハム「ヴァージニア艦……」

グラハム「私は、生きて帰ってこれたのか……」

セルゲイ「その点に関しては我々が保証しよう。君は間違いなく生きている」

セルゲイ「よくやった……グラハム」

グラハム「……」

グラハム「……ガンダムは……ッ」

セルゲイ「……」

コーラサワー「……」

セルゲイ「蒼いガンダムは、君のフラッグを撃破し離脱、後続艦隊の追撃も振り切った」

セルゲイ「行方を追ってはいるが、広い宇宙でMS一機が捜索対象だ……恐らくは見つかるまい」

グラハム「……」

コーラサワー「覚えて……ないのか?」

グラハム「あぁ、全くだ」

グラハム「だが納得は出来るさ。やれるだけのことはやり通した、結果として敗北したのなら受け止めよう」

グラハム「あの時の私には、勝利の女神が味方してくれていた……それでも駄目なら致し方あるまい」

コーラサワー「????」

グラハム「……中佐、ブリティッシュ作戦の結果を教えて頂けませんか」

セルゲイ「まだ絶対安静だぞグラハム」

グラハム「無論です。飛び出していくような真似は致しませんよ」

セルゲイ「どうかな……君のことだ、手足が折れていても口で操縦桿を動かしてフラッグに乗りかねん」

グラハム「ち、中佐……!」

セルゲイ「閻魔呼ばわりのお返しだ」
256 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 05:13:57.24 ID:vqZMeF7AO
――その後のことは、全てスミルノフ中佐からグラハムに伝えられた

ソレスタルビーイングは母艦轟沈、確認出来る範囲でMSは四機とも大破(内一機はパイロットごと回収)
ガンダムに搭載された太陽炉は回収ならず、他の三機の行方も不明

ブリティッシュ作戦はソレスタルビーイング壊滅により、大成功として幕を閉じたのだそうだ

セルゲイ「各国の連帯はこれを機に一層強まるだろう。噂によれば、もう地球連邦発足案が三国間でまとめられているという話さえある」

セルゲイ「これから世界は一つに統一されていくだろう。我々も忙しくなるぞ」

グラハム「……」

コーラサワー「ま、あんたはしばらくはお休みだけどなトップガン」

グラハム「…………」

コーラサワー「……トップガン、寝ちまったのか?」

セルゲイ「パトリック少尉、今は一人にしてやろう」

コーラサワー「あ、はい!」

グラハム「…………」

           ・
                         ・
                         ・
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/05/28(土) 06:12:36.59 ID:QdqGKVcAO
あえて投下終了といわなかったのか、はたまた寝落ちか……

とりあえず乙だフラッグファイター
258 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 08:20:48.55 ID:vqZMeF7AO
グラハムは、次第に鮮明になりつつある自身の記憶を辿り、その瞬間へと意識を遡らせていく

加速した二機のMSは、お互い刃に貫かれ、爆散し吹き飛ばされた
グラハムの記憶にも残っている、刃を突き立てる感触と、刃を突き立てられる感触
その直後フラッグは遂に限界を迎え、完全に機能を停止したのだった

グラハム「……」

――俺は生きる。生きてこの世界の行く末を見届ける
――ソレスタルビーイングの、ガンダムマイスターとして

微かに受信できた通信から聞こえた、刹那の声
そのままガンダムエクシアが遠退いていくのが、グラハムにもはっきり感じられた
生かされたという感覚より、相討ちという感覚がグラハムの実感としてあった

グラハム「……テニスボールは落下しなかった……」

グラハム「まだ、雌雄を決する場があるということか」

天井に右手を掲げ、銃の形を作る
あの男がしていたような、狙撃のつもりで狙いを定めて、心の中で引き金を引く

グラハム「少年、次は……」
259 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 08:49:27.41 ID:vqZMeF7AO
グラハム「……私が勝つぞ、ガンダム」

いつかの再会を夢見て、彼方に消えた背中へ語りかけるように呟いた
ガンダム、停滞した世界へと楔を打ち込んだ存在
いつかまた必ず現れるだろう。グラハムが軍人であり、彼等がソレスタルビーイングである限り

西暦2308年、グラハムは、ガンダムの戦いにひとまず幕を下ろした

グラハム「……」ボフンッ

ウィンッ

『マスターッ!』

グラハム「む」
260 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 09:14:45.11 ID:vqZMeF7AO
不意に、部屋に飛び込んできた人影
それが誰であるかなど、グラハムは一番よく知っていた

マリーダ「はぁっ……はぁっ……」

グラハム「マリーダ!」

マリーダ「……っ」

グラハムが言葉を紡ぐ前に、彼女はグラハムめがけ床面を蹴り跳んでいた
ぐんと近付く艶やかな眼差し、そして……

グラハム「む……」

マリーダ「マスター……!」

―医務室―

ソーマ「……」

ダリル「隊長ォォォォォ!!」

ビリー「グラハァァァァァァム!!」

ソーマ「!ダリル・ダッジ准尉にビリー・カタギリ…………」

ビリー「技術顧問でも何でも良いよ! それより」

ソーマ「今は駄目です、面会謝絶です」

ダリル「は?」

ソーマ「とにかく、面会謝絶です」

医師「そういうことだ君達。珈琲一杯飲む頃には、中に入ることも出来よう」

医師「飲むかね?」
261 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 09:44:42.59 ID:vqZMeF7AO
―そして、三ヶ月後―

グラハム「……」

久方振りに袖を通したパイロットスーツの感覚。それを待ち望んでいたかのように全身がわななき喜びを表現する

ビリー「どうだいグラハム、久し振りのパイロットスーツは」

グラハム「しっくり来る、やはりこうでなくてはな」

ビリー「はは……和服姿も悪くなかったけど、やっぱり君はパイロットスーツが一番似合う男だね」

グラハム「ふっ、誉めすぎだカタギリ」

グラハム「……行ってくるぞ」

ビリー「あぁ、気をつけて」

自身のパーソナルマーク、片翼とユニコーンの描かれた機体に乗り込むグラハム
コクピットの感覚に、身体が自然と覚醒していくのが分かる

マリーダ『マスター、ご指示を』

グラハム「フォーメーションFで敵陣を強行突破、司令部を殲滅し戦闘の即時終結を狙う!」

グラハム「休暇明けの初任務だ。頼りにさせてもらうぞ、フラッグファイター!」

通信からは、新人の一際大きな返事が響いてくる
グラハムの隣のMSが動き出し、グラハムの前を通過する
その肩には、左翼と剣の描かれたパーソナルマーク
以前のグラハムが使っていたものを、マリーダが新しく使い始めたものだ

マリーダ「マリーダ機、先行する!」

グラハム「……」
262 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 10:12:38.86 ID:vqZMeF7AO
あれ以来、ガンダムの気配は影も形も現れず、世間からソレスタルビーイングの存在は忘れ去られようとしていた
だがグラハムは感じていた、あのガンダムのパイロットの少年の存在を
世界を見届けるといった彼の視線を

グラハム「グラハム・エーカー、出るぞ!」

機器の数値を確認し、出力を上げペダルを踏み込んでいく
シートに押し込められるような感覚、心地良い圧迫感がグラハムを大空へと誘う
――良いだろう。ならば刮目しているがいい
我々がやれることなど微々たるものかもしれない。だが、私は私なりのやり方で世界に向き合い続けてみせる
これが、私の戦いだ!

グラハム「全機……フルブラストッ!」

遠い異国の地、統一の混乱により戦火のくすぶる空の下
グラハムは、世界と対峙し続けていた

TO BE CONTINUED...
263 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/05/28(土) 10:18:42.93 ID:vqZMeF7AO
投下終了だフラッグファイター
何かもうgdgdで本当に済まない。猛省する

とりあえず一期は終了、二期に飛ぶ前にその間四年間の一部をやっていこうかと思う(作品系列的にF辺りの時期)

描写しなかったがとりあえず最終決戦の流れは準拠。アレルヤは捕まりました

それでは、また
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/28(土) 10:25:42.23 ID:IL8mvErAO

二期にリディは出られるのだろうか…
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/28(土) 10:28:37.32 ID:/mKkY8JSo
乙!

我々の冒険はまだ始まったばかりだということだなフラッグファイター
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/28(土) 10:31:30.63 ID:PHSvswyKo
あえて言わせて貰おう。乙であると!
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/28(土) 10:45:36.40 ID:hX52UDSDO
ご苦労だった、フラッグファイター
あと関係無いが最後の

>アレルヤは捕まりました

で何故か吹いてしまったぞwwww原作通りなのにwwwwww
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2011/05/28(土) 14:25:06.73 ID:+EXnwzx+0
まさかこの私がリアルタイムで見れなかったとはな
残念だ

とりあえず乙だ武士よ
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/28(土) 14:55:24.57 ID:z70RBUTDO
ブシドー乙

そしてグラハムの飲むコーヒーは苦い
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/28(土) 14:59:41.59 ID:/qpw1X+go
乙!アレルヤはやっぱり捕まったのかwwwwww
ヨハ兄は死んじゃったの?
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/28(土) 15:54:58.12 ID:fjlP3fSB0
乙!
こっからいかにしてブシドー化するのだろうか……?
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2011/05/28(土) 17:16:43.11 ID:TEx2pjn50
アレルヤは拘束具がよく似合う・・ぼそ
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2011/05/28(土) 17:18:04.69 ID:TEx2pjn50
投稿乙でした。
そしてアレルヤは拘束具がよく似合う・・ぼそ
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2011/05/28(土) 17:19:24.04 ID:TEx2pjn50
連続投稿になってる〜!申し訳ない。
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/28(土) 18:34:26.17 ID:EagwV2AAO
>>264
それマリーダ死亡フラグじゃね
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/28(土) 19:03:29.93 ID:z3PkgE7Qo
>>275
このSSのグラハムは、フラグすら凌駕する存在だ!
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/05/28(土) 20:03:31.61 ID:KT+bKPQAo
何気にテクスさんがいたような…
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/05/28(土) 20:45:15.50 ID:GL6kNoROo
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/05/28(土) 21:18:20.65 ID:bbZ+cM4wo
乙乙
ダリル生存で俺歓喜、そしてヨハ兄もきっと生き延びてると信じてる
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/05/28(土) 22:32:57.25 ID:YpJEZyEE0

ヨハ兄が仮面被るんじゃ…
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/28(土) 23:07:31.21 ID:hX52UDSDO
>>280
仮面じゃ無くて真っ赤なサングラスだな、中の人的に考えて
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/28(土) 23:27:22.21 ID:m7apKwbYo
おうおうおうおうおう

別にパインケーキ喰わせてくれる人でもいいんだぜ
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/05/28(土) 23:43:40.69 ID:EB+ODZbso

続きも楽しみだ
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2011/05/29(日) 13:44:50.63 ID:PvhE/WpU0
マリーダをオリジナルのキャラにしてOVA作っても違和感がないな
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/05/29(日) 14:44:46.01 ID:w1xmHQYAO
グラハムに続いてリボンズまでゴーカイジャーに……
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/05/29(日) 20:02:50.97 ID:sdpMJtaco
>>285
実は結構前から出てたのは内緒だ
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/29(日) 22:25:43.17 ID:zAyFi0K5o
>>261-262でグラハム達はどんなMSに乗ってんだろ?
GIN-X系は原作通りに開発が進んでいるだろうけど
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/29(日) 22:27:30.54 ID:EEQEQiBro
三ヶ月しか経ってないならフラッグカスタムじゃないだろうか
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/29(日) 23:19:21.10 ID:ttDDAYDDO
OOの世界に御大将は似合いそうだよな。
ELSとか来たら大歓喜しそう
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/30(月) 00:55:25.39 ID:VeRIR8ADO
>>289
御大将は宇宙世紀じゃないから出て来なそう
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/30(月) 16:18:14.71 ID:PkqpcSZYo
パイロットは00と宇宙世紀からしか出ないのかな
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/05/30(月) 22:40:08.85 ID:7OEoOm5Fo
何故かスパロボじゃ宇宙世紀ガンダム扱いなんだよな∀
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/30(月) 23:40:19.57 ID:3Lzk86Af0
乙です。
第2期楽しみにして待たせてもらいます。
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/31(火) 21:21:07.78 ID:+CIS9O7DO
ターンAの黒歴史に、ZZもいたから、宇宙世紀の未来じゃね?
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/05/31(火) 23:44:35.69 ID:4h5c6jwv0
乙!
第二期待たせて貰おう、ガンダム!
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/01(水) 00:13:35.60 ID:ZEMvtqEwo
TOKYOMXのダブルオーも終わったしどっちも乙!!!
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/01(水) 17:58:22.87 ID:gx5efyjDO
医務室の医者はテクスか…あざといが嫌いではないぞッ!
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/06/02(木) 23:43:43.43 ID:/UCNxMWO0
いまさらだけど、エイミー・ジンバリストは出てこなかったなー。
描写されてないけど、予備パイロットとしていたが出撃せず、
負傷したジョシュアとかと一緒に撤退したのかな?
299 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/05(日) 02:06:03.38 ID:FT/xXSFAO
むかしむかし、遡ること二百年ほど昔の、とある小さな別荘
暖かな木漏れ日の差すテラスでは、二人の男性がテーブルを囲み静かなティータイムを満喫している
一人は黒い髭をたくわえ、禿げ上がった頭に強い意志の宿る双眸が印象的な初老の男性
もう一人は、オールバックの金髪に年齢を感じさせぬ若々しい肉体、赤いスーツがよく似合う男性だ

「リボンズ、少し席を外してくれ」

「はい」

初老の男性は、傍らに立っていた青年の名を呼びその場から人払いをする
機を見計らい金髪の男は口を開く。その表情は険しい

「彼が例のイノベイド……ですか」

「如何にも。人類を変革に導くための道標となる存在だ」

「道標……捨て駒の間違いではありませんかな?」

「……」

男の厳しい言葉に、初老の男性は口を噤み溜め息にも似た鼻息を漏らす

――まだ、私を許せないか?

初老の男性の呟くような一言にも、金髪の男の表情は変わらない

「私はビスト財団とは何ら関係無い、レイと同じく貴方の友人として忠告しているのです」

「この計画は貴方らしくもない、傲慢と独善の塊のようなものだ。人の心をこの様な一方的な手で変えられるとでも思っていらっしゃるのか」

「……だとしてもだよ大佐。それでも、私は未来に対し投げかけねばならない」

「ガンダムは警鐘だ。来るべき対話の為の布石……あの者が羽根を広げる前に、世界は一つにならなければならない」
300 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/05(日) 02:34:26.42 ID:FT/xXSFAO
初老の男性は確固たる意志を自らの言葉にして金髪の男に伝えていく
大佐、と呼ばれた金髪の男は、深く息を吐き椅子の背もたれに身を投げ出す

「確かに、私やレイには貴方のような強い力は無い。実際貴方が見た来るべき対話には、計画による備えが必要なのかもしれない」

「だがこれだけは言わせていただきたい。未来を作っていくのは老人ではない、やがて成長し巣立っていく子ども達なのだ」

「大佐……」

「あの二人の子がもうそろそろ生まれます。私は、あの二人に出逢って変わりました」

「もしかしたら、私はあの二人に逢わねば貴方に賛同していたかもしれない。そう思うと……尚更なのですよ」

あの二人、と言われ初老の男性の眼が僅かに歪む
それは自らの行為へ彼が抱く、ささやかな迷いの表れであった

「……彼等には、悪いことをした」

「彼は自らの意志で財団を解体致しました。彼の覚悟の証です」

「……だが、計画は絶対に遂行されねばならん!」

「ッ、イオリア・シュヘンベルグ!」

「私とて出来うるならば信じたい! だが人々は思い込みや先入観に囚われ、友と成りうる隣人に銃を突きつけ、霧中の真実を探そうとすらせず自らの欲を貪り続けている! 愚劣極まりない、この様な歴史をもう二千年以上繰り返しているッ!」

「……イオリア……!」

「確かに計画により多くの血が流れよう。イノベイド達にも産まれながらの隷属を架すこととなる、私は罪人だ」

「だが大佐、例えこの計画が間違いであったとしても!」

「……世界は……変わらなければならないのだ……!」

突然の激昂の後、初老の男性、イオリア・シュヘンベルグは俯き一筋の涙を流す
それを見た大佐は言葉を失い、肩を落とす。彼もまた、イオリア・シュヘンベルグが失ってきたものを知っているからだ
言葉だけでは世界は変えられない、ましてや憂うだけでは何も救えはしない

「……」

「私は、必ず計画を遂行する」

「行きたまえ。私はこれから月に上がる、私なりのけじめをつけるためにね」
301 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/05(日) 02:54:36.03 ID:FT/xXSFAO
「宇宙に……まさかもうコールドスリープに入るというのか!?」

「リボンズ、客人がお帰りだ。見送りを頼む」

「待てイオリア! せめて二人の子を、未来への可能性を見てから!」

イオリア・シュヘンベルグの言葉に大佐は慌てて詰め寄り説得する
半ば掴みかからんとする大佐の勢いに、イオリアは立ち上がり微笑みと共に相対した

「子供に逢ってしまったら……きっと私の意志は鈍ってしまうだろう」

「計画とは関係無い! これは二人の意志でもあるのだ!」

「駄目だ。財団の意志、彼等の想い、生まれてくる可能性、その全てを振り払った私にその様な権利は無い」

「その権利は彼等にあるのだ! イオリア・シュヘンベルグ!」

「もう決めたことだ。私は逢わない」

「何処までも頑固なッ……!」

「あぁそうだ。そしてそんな私に最後まで付き合ってくれたのは君達だけだった」

「済まない大佐、ありがとう」

「イオリアッ……!」

今生の別れを惜しむように、友情の抱擁を交わす二人の男性
「大佐……友人としての、最後の頼みだ」

「【箱】とシステムを君に託す。レイと共に来るべき時が来るまで保管してくれ」

「私の計画が可能性を妨げる存在になったり、悪しき方向へ進んでしまったなら……【箱】が計画を壊す最後の楔となる」

「頼んだよ大佐……いや、シャア・アズナブル」
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/05(日) 03:03:23.96 ID:w+Z5ZjnDO
台詞の前に名前入れるのやめてしまったの‥?
303 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/05(日) 03:04:40.97 ID:FT/xXSFAO
コーラサワー「……という夢を見たんだが……どう思う?」

猫「にゃー」

コーラサワー「お前に言っても分かんねえよなぁ……はぁ」

コーラサワー「イオリア・シュヘンベルグとか名前が出て来たけど……訳わかんねえ夢だったなぁ」

コーラサワー「……まぁいっか」

マネキン「何をやっているパトリック、私の家の前で」

コーラサワー「! はい大佐、このパトリック・コーラサワー、大佐をお迎えに上がりました!」

猫「にゃー」

マネキン「……全く……猫と会話とはな。貴公という人間もつくづく解らん男だ」ナデナデ

猫「ゴロゴロ」

コーラサワー「あぁ! 羨ましいっ……!」

マネキン「行くぞパトリック、これから忙しくなる」

マネキン「貴公の力も当てにさせてもらう。尽力せよ!」

コーラサワー「はっ! このパトリック・コーラサワー、大佐の命なら火の中水の中、何なりとお申し付け下さいっ!」

猫「にゃー」

マネキン「猫は下ろせ……毛だらけだぞ」



Intermission END
304 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/05(日) 03:10:11.07 ID:FT/xXSFAO
インターミッションということで、ちょっと追記した。わかりにくくて済まないなフラッグファイター

次からは続きだ、二期ではない真ん中の話だがどうなるのだろう、FなのかMなのかはたまたF2か……
とりあえず本日は投下終了だ、また逢おう

次回【再来】
それは、二百年の時を越えて
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/06/05(日) 03:25:36.03 ID:XFoF3UDZo
乙!と言わせて頂こう、フラッグファイター。
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/05(日) 03:44:50.30 ID:w+Z5ZjnDO
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/05(日) 07:48:43.23 ID:EsIIuVgDO
ついにユニコーンが来るか……。
しかも御大将フラグまで立つとは
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/05(日) 08:28:14.34 ID:P1agKClJo
流石当代No.1ニュータイプというところか!
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/05(日) 08:39:02.11 ID:8Aj/sPAAO

今度は丸裸さんか…?
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/06/05(日) 22:40:24.12 ID:DJctmR0No
パイロットとしての実力とニュータイプとしての実力は必ずしも比例しないって誰かが言ってた
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/06(月) 21:43:38.43 ID:pWhnCccA0
乙!ついに来たか
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/08(水) 15:50:06.72 ID:AO8YtWD30
御大将フラグどこにあった?
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/08(水) 15:50:52.22 ID:AO8YtWD30
御大将フラグいつ立った?
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga sage]:2011/06/08(水) 21:44:35.08 ID:9XC6V9zg0
二人とも浴衣でも着て将棋盤をにらんで座っているハムと御大将が思い浮かんだ
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/06/08(水) 22:56:28.71 ID:YYZABz/g0
なんだその微笑ましい光景
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/09(木) 01:32:42.64 ID:dn6w9OCDO
大使が完全に御大将と化してたからなぁ
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/09(木) 20:48:24.14 ID:bb4A7C6go
大使強かったねぇ
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/06/10(金) 17:41:14.47 ID:+1Reopnf0
本編もあれぐらい強けりゃな・・・・・・
機体スペック自体はかなりのもんだったんだろ?
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/11(土) 00:39:47.83 ID:sNtY114DO
新しいガンダムが駄目すぎる……
あれがガンダムであるものか!
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/06/11(土) 00:42:09.99 ID:ybG+N7RRo
子どもが楽しんでくれればそれで良いだろう、最初からそう意識してるなら分かりやすくてよろし。
それに年齢上組にはユニコーンがまだ展開続くし
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/11(土) 09:22:31.60 ID:C0TDbR+uo
Vガンダム一年見切ったあとにGガンダムの宣伝特番見たときも同じこと思ったし、始まればそれはそれとして楽しめると思う。
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/11(土) 11:02:46.49 ID:M1/80Vdjo
話や設定はまあそのうち慣れるとは思うがキャラデザだけは駄目だ
イナイレっぽくて受け入れられん、せめてガンプラビルダーズの絵柄でやってほしい
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/11(土) 14:48:40.23 ID:iEdw14iDO
スレチってレベルじゃねーぞ
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/06/12(日) 00:25:49.43 ID:7dHJlfq90
なんだあの子供向けにも程があるキャラデザ
325 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/12(日) 01:31:05.47 ID:Mf7/9J8AO
グラハム「うおおおお!くらえヤザン、新必殺グラハムスペシャルXゥゥゥ!」

ヤザン「来やがれライセンサー! 実は俺は酸素が足りなくなると死ぬぞぉぉ!」

ズバァァァァァ

ヤザン「ぐぁぁぁぁぁぁ……野獣(ザ・ビースト)と呼ばれたこのヤザン・ゲーブルが……馬鹿なぁぁぁぁ」

ドサッ

ヤザン「ぐぁぁぁぁぁぁ」

リボンズ「ヤザンがやられたか……」

サーシェス「だがアイツは我々イノベイターの中でも最弱……」

プルツー「グラハム如きにやられるなんて、イノベイターの面汚しだよ」

グラハム「切り捨てごめぇぇぇん!!」

三人「「ぎゃああああああ!!!」」」

グラハム「やった…ついにイノベイターを倒したぞ…これで少年のいるトレミーへの扉が開かれる!!」

刹那「よく来たな…待っていたぞ…」
(ギイイイイイイ)
グラハム「こ…ここがトレミーだったのか…!感じる…少年の愛を超え、憎しみを超えた宿命を…」
326 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/12(日) 01:31:59.12 ID:Mf7/9J8AO
刹那「……戦う前に一つ言っておくことがある お前は俺を倒すのに『可能性の獣』が必要だと思っていたようだが…別になくても倒せる」
グラハム「な 何と!?」

刹那「そしてイノベイターに捕まっていたお前の友人は赤毛の女を妊娠させてしまったので最寄りのコロニーへ解放しておいた あとは俺を倒すだけだな…」

(ゴゴゴゴ)

グラハム「フ…望むところだと言わせてもらおう少年…私も一つ言っておくことがある 私に議員の父がいる部下と、戦場の中で想いを伝えあった恋仲の女性が出来たような気がしたが、別にそんなことはなかったと!」

刹那「それは流石に引くわ」

グラハム「問答無用! いくぞガンダム、トランザム!!」

刹那「さあ来い歪んだ男!」

グラハムの可能性が世界を変革すると信じて…! ご愛読ありがとうございました!
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/06/12(日) 01:33:09.44 ID:7xCyMHIVo
ハジマタ
待っていたいましたよ、マスター
328 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/12(日) 01:33:52.29 ID:Mf7/9J8AO
投下再開だフラッグファイター
329 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/12(日) 01:35:02.64 ID:Mf7/9J8AO
―AEU軌道エレベーター・アフリカタワー―

マネキン「……」

軌道エレベーターの頂部一室、カティ・マネキンは今回のブリティッシュ作戦に於ける報告書を纏めていた

マネキン「……」

細くしなやかな指がコンソールを叩き、PCの画面へと情報を次々に詰め込んでいく
あれから一週間、世界は仇敵ガンダムの消滅に沸き立ち、統一という目標に向けひた走っている
だがマネキンからすれば、それほど楽観的になれる状況では当然有り得ない

マネキン「……」ピッ

記録上全てのガンダムを撃破したのは確かだが、ガンダムの動力源である太陽炉は一基さえも手に入らなかった
それだけではない、ソレスタルビーイングという組織の内情も、バックに存在したであろう協力者達の存在すら判明してはいないのだ
このままソレスタルビーイングが活動しないと高をくくるのがどれだけ危険なことか……勿論マネキンは報告書にもそれを記載していく
唯一捕らえられたパイロットも、恐らくは何も話しはしないだろうし、知らされてすらいまい
まるで機械のように統制された組織、マネキンは嫌悪にも似た感情を抱いた

マネキン「ふう……」

マネキン(とりあえずは、これぐらいで良いだろう)

マネキン(これから世界は大きなうねりの中に飲まれていく)

マネキン(その中で私が出来ること……)
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/06/12(日) 01:35:23.04 ID:NYU5TK+Go
マイスターもびっくりのナイス介入だぞ! マスター!!
331 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/12(日) 02:05:00.74 ID:Mf7/9J8AO
ピッ

マネキン「! 通信、これはスミルノフ中佐?」

マネキン「……」

ピッ

セルゲイ『済まないな大佐、今は大丈夫だったかな?』

マネキン「スミルノフ中佐、その階級章は……」

セルゲイ『ん、あぁ……今回のガンダム撃破と回収の功績により昇進してな』

セルゲイ『私一人の手柄にしてしまったようであまり喜べる状況でも無いのが何ともな』

マネキン「いえ、おめでとうございます大佐。スミルノフ大佐の昇進を聞けばピーリス少尉も喜びましょう」

セルゲイ『うむ……』

セルゲイ『それで、例の件だが』

マネキン「はい」

PiPi

セルゲイ『ッ!』

セルゲイ『これが、例の……?』

マネキン「はい」

マネキン「ブリティッシュ作戦の最終決戦時……ダリル・ダッジ准尉が遭遇したMSです」

マネキン「この緑色と薄青のアンノウンMS、明らかに人革連側の技術が転用されています」

マネキン「国連軍に寄せられたデータベースに照らし合わせた結果、緑色のアンノウンは該当しなかったものの、もう片方のMSは以前コンペに提出された試験MS【ヅダ】であることが確認されました」

セルゲイ『……』

マネキン「大佐、ヅダの開発者は……」

セルゲイ『デュバル少佐は、一ヶ月からその所在が不明になっている』

マネキン「そう、ですか」

セルゲイ『……火種はまだくすぶっている、ということか』
332 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/12(日) 02:28:03.04 ID:Mf7/9J8AO
マネキン「我々の仕事はまだまだ残されています。ガンダムを倒したとしても、世界は統一の過程で少なからず歪み、人々はその歪みの中で争いの火に呑まれていく」

セルゲイ『戦火に喘ぐ市民を護るのが我々軍人の責務だ。それは今までも、これからも変わらない』

セルゲイ『だがそれは我々自ら志願した大人によって為されるべきこと……何も知らぬ子供まで巻き込む必要は無い』

マネキン「……先日判明した、超兵の生き残りですか?」

セルゲイ『あぁ』

セルゲイ『少年が三名、生存が確認された。統合が現実味を帯びた為恥部を残す必要が無いと判断したのかは知らんが』

セルゲイ『情けない話だ……我々人革連は、償わなければならない罪をまた一つ抱えてしまった』

マネキン「それは我々も同じです。再燃する可能性のある紛争地域は我々の領地が半数を占めており、PMCトラストの解体も反対派が各地で抵抗しているため難航を極めている」

マネキン「強制された変革により、我々は自らの業を見せつけられている……」

セルゲイ『これも、ガンダムの目的だったのかな』

マネキン「それを知っているのは、彼等だけなのでしょうね」
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga sage]:2011/06/12(日) 02:37:04.81 ID:gD2AS3/k0
ヅダwwwwwwwwwヅダwwwwwwwwwwww
よりによってあの欠陥機か
全く何でもかんでもジオ○ックのせいにしやがって
334 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/12(日) 02:49:52.20 ID:Mf7/9J8AO
セルゲイ『そうだ、グラハムの件だが』

マネキン「はい?」

セルゲイ『今回の功績を認められ、奴もまた少佐への昇進が決定したそうだ』

マネキン「本当ですか?」

セルゲイ『うむ、だがアイツの事だ。あまり興味は無いだろう』

セルゲイ『マネキン大佐、未確認MSの情報が入り次第此方から連絡をする。其方も何かあったら報告してくれ』

マネキン「えぇ、その様に」

セルゲイ『では失礼するよ』

ピッ

マネキン「ふう……」

ヴンッ

マネキン「!」

マネキン「マリーダからか……ユニオン領の紛争再発地域とそれに対する軍隊の派遣、その内約」

マネキン「自身の意見も添えて私の意見を聞きたいと……」

マネキン「ふっ、相変わらずだな。熱心にも程がある」

マネキン「うちのコーラサワーも、もう少しエースの自覚を持ってもらいたいのだが……」カタカタ

マネキン「……まだ会議には時間がある、今の内に返信しておくとしよう」
335 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/12(日) 02:58:06.47 ID:Mf7/9J8AO
―大学―

沙滋「……」カタカタカタカタ

友人A「もう帰ろうぜ沙滋。講義も終わったしそんなに根詰めなくてもよ」

沙滋「ごめん、でも僕は今まで遅れた分もあるから……」

友人B「気持ちは分かるんだけどねぇ」

友人A「無理すんなよ沙滋。この前頼まれた講義の資料、圧縮して送っておいたから」

沙滋「有り難う、助かるよ」

友人A「良いってことよ」

友人B「ルイスに宜しくね」

沙滋「うん……」

沙滋(宇宙技師の試験も近い、大学の試験と併用してでも間に合わせなきゃ……!)

―大学・理事長室―

理事長「……そちらの旨は理解できました。それでは、沙滋・クロスロードの学費及び奨学金の返済は其方が全額負担と言うことで宜しいのですかな」

紅龍「はい。その様にお願いします」

紅龍「彼の後見人……とはいえもう彼自身成人も近いのですが、話は付けてありますので」

理事長「そういうことでしたら、我々からはなにも言うことは有りません」

理事長「彼にはこの短時間で不幸な事が起きすぎました……私としても彼の幸せを望まずにはいられない」

紅龍「……」

理事長「宜しくお願いします」
336 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/12(日) 03:14:37.88 ID:Mf7/9J8AO
紅龍(全く、思いもしていないことをペラペラと喋る……)

紅龍(昨晩は沙滋・クロスロードの一件など気にも留めず、愛人との夜を楽しんでいた癖に)

理事長「?」ニコニコ

紅龍「それでは私はこれで……」

紅龍(だが私が彼に、沙滋くんに出来ることはこれくらいしかない)

紅龍(絹江さん……あなたに報いるには、これしか……)

コツコツコツ

紅龍「……」

紅龍「!」

沙滋「……!」カタカタカタカタ

紅龍「沙滋くん」

沙滋「ッ!」

沙滋「あ……紅龍さん」

紅龍「講義は終わったのかね」

沙滋「はい、紅龍さんは……どうして此処に?」

紅龍「君に会いに来た、では理由として不足かな?」

沙滋「え、えぇ!?」

紅龍(何故そんなに恥ずかしがるのだ……?)
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/06/12(日) 03:16:45.88 ID:aNgcptibo
ウホッ
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/12(日) 03:22:20.58 ID:+EThZApPo
アッー!
339 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/12(日) 03:34:12.73 ID:Mf7/9J8AO
沙滋「ほ、紅龍さんは姉さんの昔からの友人だったんですよね!?」

紅龍「あぁ、そうだ」

紅龍「絹江さんとは取材の最中で出逢ってね、そのよしみで友人として付き合ってもらっていたよ」

沙滋「友人……」

沙滋「……っ」ササッ

紅龍「……」

紅龍「宇宙技師の勉強か」

沙滋「あっ!」

紅龍「進んでいるようで何よりだ、だが一番大変なのは実技だからな」

紅龍「ワークローダーによる練習がしたければ私に連絡するといい、用意させよう」

沙滋「え?」

紅龍「私は宇宙開発の事業展開をしていてね、絹江さんにもその関係で取材を受けたんだ」

紅龍「勿論君さえ良ければ、だが……」

沙滋「は、はい! その時は是非とも!」

紅龍「良い返事だ」ニコッ

沙滋「……!」ササッ

紅龍「……」
340 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/12(日) 03:55:41.98 ID:Mf7/9J8AO
<センチュリーカラーミリオカーラーデレッデレッデー

沙滋「あ!」

紅龍「メールかね」

沙滋「はい、ルイスからです!」

紅龍「ルイス・ハレヴィ……ガールフレンドだったかな?」

沙滋「はい……」ピッピッ

紅龍「……」

紅龍「不幸な事件だった」

沙滋「……良いんです。過去には戻れないし、ガンダムは倒された。もう過去の話です」

紅龍「……」

沙滋「今は、訳あって離れ離れになっていますけど」

沙滋「でもいつか、宇宙で働けるようになって、独り立ちして……必ず彼女を迎えに行くんです」

沙滋「絶対に……絶対に……」

紅龍「沙滋くん……」

紅龍(確かに、彼の身には数多の不幸が降り注いだ)

紅龍(だが彼ならば、沙滋・クロスロードならば……きっと悲劇も乗り越え、新しい時代を逞しく生きてくれるだろう)

紅龍(絹江さん、他ならないあなたの弟なのだから)

紅龍「きっと【彼女】もその日を心待ちにしているだろう……頑張れよ、沙滋くん」

沙滋「はい……!」

紅龍「では家まで送ろうk」

沙滋「い、いえ! 結構ですっ!」

紅龍「……」
341 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/12(日) 04:01:42.87 ID:Mf7/9J8AO
それから、更に1ヶ月。光陰矢の如しとはよく言ったもので、目まぐるしい日々は吹き抜ける風のように、実感の湧かないまま通り過ぎていった
ただし世界は確実に変革を迎え、暗躍する影は確実にその魔手を広げていっていた

―墓地―

グラハム「……」

グラハム「済まないハワード、報告が遅れてしまった」

グラハム「ソレスタルビーイングは壊滅、お前との誓いも何とか守れたよ……」

グラハム「だが大事なのはこれからだ、世界は統一に向けて大きく動き出すだろう」

グラハム「世界が変わったということを証明しなければ、我々の前に第二・第三のソレスタルビーイングが必ず現れる」

グラハム「…………」スッ

グラハム「ハワード、私は君の墓前に新たな誓いを立てよう。フラッグファイターとして、新たな世界を守り抜いてみせると」

グラハム「それが生き残った私の為すべき義務であり、権利であり……オーバーフラッグスの戦友達への弔いになると信じて」

グラハム「……さらばだ、ハワード・メイスン」

マリーダ「……」スッ

マリーダ「マスター、松葉杖を」

グラハム「あぁ」

グラハム「……無理を言ったなマリーダ、済まん」

マリーダ「それ以上はおっしゃらないで下さい。私が好きでやっていることです」

グラハム「……む……」

マリーダ「病院に戻りましょう。医師も心配されています」

グラハム「分かっている」

マリーダ「まだ身体も万全ではありません、ただでさえ先週も病院を抜け出しRGMのロールアウトを覗き見に出掛けているというのに……」

マリーダ「これ以上のご無理を重ねられては、部隊への復帰も遅れます。それに……」

グラハム「分かっていると言っている!」
342 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/12(日) 04:03:51.92 ID:Mf7/9J8AO
グラハム「全く、完全に私のお目付役だな」

マリーダ「本当にお目付役ならば、病院を抜け出す手筈など取りは致しません」

ピッ

マリーダ「マスター……カタギリ司令から連絡が入りました、お怒りのご様子です。急いで戻りましょう」

グラハム「……」ムスッ

マリーダ「……はぁ……」

マリーダ(全く、子供がそのまま大きくなったかのようなお方だ)

マリーダ(だがそれ故に裏がなく純粋……だからこそ、なのかもしれないな)

バタンッ
ブロロロ……

グラハム「……」ウツラウツラ

マリーダ「……」

マリーダ(まだ身体も万全ではないのに、相変わらず無理をなさる)

マリーダ(これで体調を崩されたら、ハワードも立つ瀬がないというのに)

マリーダ「なぁハワード……」フッ

《国連は今日未明、国際的な軍縮路線を進めていくことを議会で確認し、正式な会合を開いていくことで……》

マリーダ(この二週間、国連は統合した軍備の再編に負われている)

マリーダ(無理もない、ガンダムがいなくなったことによる紛争の再燃は、PMCトラストを始めとする軍縮路線に反発した傭兵会社を取り込み無視できない一大勢力として拡大しつつある)

マリーダ「世の中は良くも悪しくも変わる……か」
343 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/12(日) 04:16:14.04 ID:Mf7/9J8AO
マリーダ「……」ピッ

マリーダ(新たな人員の編入、及びライセンサーを有する独立飛行隊としての再編成)

マリーダ(ワンマンアーミーを基礎とするライセンサーとは別に、ライセンスを有する部隊長が部隊レベルでの独立した戦時介入を可能にすべく、自身でMS小隊を率いることを許す今回の計画)

マリーダ(人事の手がマスターに回っているということは、既に【ライセンサーズ構想】が進行しているということか)

マリーダ「ん……?」

グラハム「……」ZZZ

マリーダ「……」

マリーダ「全く、動かなければただ普通のいい男なのだがな」

グラハム「普通とは、私とは最も乖離した言葉だな」

マリーダ「ッ!?」

キキキィィィィッ

グラハム「ぬぉっ!?」

マリーダ「っ……申し訳ありませんマスター、起きてらしたとは思いもよらず」

グラハム「そんな驚くとは私も思わなかったぞマリーダ……以後サプライズは控えるとしよう」ドキドキ
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga sage]:2011/06/12(日) 04:28:16.14 ID:gD2AS3/k0
>>340
CENTURY COLORはネタにされるけど良い曲だよウン
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/12(日) 07:57:21.44 ID:blrdVWZZo
ヅダもプルツーのコレクションかな
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/12(日) 13:06:52.80 ID:bFUVPzrIO
>>344
ターンネーガンダムッ
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/06/12(日) 13:48:53.60 ID:0ZgoCBaAo
>>333
屋上
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/13(月) 13:27:46.97 ID:rZIXPtsJo
ヅダも出てきた事だしゼクなんかも出てくればいいなー……
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/06/13(月) 23:27:36.83 ID:RuwcNUsN0
正式採用のRGMはGNドライヴついてのか?
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/06/14(火) 00:15:09.47 ID:c+q4BoL1o
ドライブや各部の簡略化での低コスト&テロリストの使用防止の為のドライブ管理が主だから搭載してないんじゃね?
351 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/14(火) 00:50:51.28 ID:cJTS37xAO
グラハム「む、ライセンサーズ構想の資料か。もう目は通したのか?」

マリーダ「はいマスター、一応一通りは」

グラハム「そうか」

グラハム「独立したワンマンアーミーを更に昇華した、部隊レベルのライセンス集団……既にヤザン・ゲーブルがMS小隊を率いて実践に出ているという話もある」

グラハム「情報が錯綜しやすい現状の戦場では、ライセンサーのような独自判断を持った兵士の有能性がどこまで発揮できるか……疑念ではあるがな」

マリーダ「ヤザン・ゲーブル……あの野獣が、ですか」

グラハム「凄まじい腕前と的確な状況判断力の持ち主だと聞いた。私は会わなかったが、どうだった? マリーダ」

マリーダ「概ねその通りです。協調性と品性に著しく欠けている、という点が抜けていますが」

グラハム「……その様子だと一悶着あったようだな。お前ほどの者が、希有なことだ」

マリーダ「……っ」グッ

グラハム「詳しくは聴かんさ。ヤザン・ゲーブルという人物、直接会った時に刮目させてもらうまでのこと」

グラハム「しかし……協調性と品性に欠けた存在か。どことなく親近感が湧く」

グラハム「ふっ、好意を抱くな」

マリーダ「マスター、冗談でもその様なことは……!」

グラハム「……よほど嫌われているようだなヤザンとやらは」

マリーダ「あんな……っ」

マリーダ(あんな野獣がマスターと同等だなんて……認めるものか!)
352 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/14(火) 01:08:12.40 ID:cJTS37xAO
―一方その頃・モラリア―

『うっ、うわぁぁぁぁぁぁ!』

武装解除に応じず、武力による抵抗を続けているPMCトラストの前線部隊
ガンダムに対抗するという名目で軍備が増強されていた表の部隊の一つであり、サーシェスのような裏の部隊程ではないにせよ、AEUイナクトでのみ編成された最新鋭の部隊であることは間違いなかった

ヤザン「何だ、もう終わりかァ? 古巣も随分と生っちょろくなったもんだぜ」

その最新鋭の部隊、イナクトのみで編成されたMS三個小隊。その全てが、たった今一機のイナクトにより全滅した
深い緑に塗られた、ヤザン・ゲーブル専用AEUイナクト。その周りには破壊されたMSのパーツがそこかしこに転がり、死屍類々の荒野にただ一機、ヤザンのイナクトだけが存在していた

ヤザン「ちっ……やっぱり無理してでもガンダムと戦っておくべきだったな、同じ性能のMSでも全く相手になりゃしねえ」

ラムサス『ははっ、これじゃあライセンサーズ何たらも意味がありませんな!』

ダンケル『ヤザン大尉だけで戦闘が終わっちまうんだ。ある意味楽出来ますよこっちは』

ヤザン「悪ィなラムサス、ダンケル。しばらくは見学だけで我慢しろ」

ヤザン「まぁ良い、骨のありそうな奴ならまだいるだろう。せいぜい、統一世界の戦争を楽しませてもらうぜ」

ラムサス『次の戦場は、俺達にも引き金を引く猶予があってほしいもんだ』

ダンケル『まぁ無理だろうよ……この人がいたんじゃ、な』

ヤザン「くくく……ははははは! はーっはっはっはっはっは!!」

野獣の渇きは未だ潤せず、次なる流血を求め戦場を飛び回る
ヤザン・ゲーブルとグラハム・エーカーの道が交わるのは、もう少し先のことであった
353 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/14(火) 01:11:29.17 ID:cJTS37xAO
グラハム「それにだ、今は他の部隊のことを気にしている暇はないぞ」

マリーダ「?」

ピッ

グラハム「我々も世界も大打撃を被り、軍部はベテランを多く失い人員不足が否めない」

グラハム「我々のオーバーフラッグスも待機メンバー二人が既に抜け、別の地域で作戦に従事している」

グラハム「現在私を含めオーバーフラッグスは五名……この意味が分かるか?」

マリーダ「……」

マリーダ「新たなフラッグファイターの転任、ですか?」

グラハム「ふっ、流石だなマリーダ。察しがいい」

グラハム「私が以前から目を付けていた一人の兵士を、オーバーフラッグスに引っ張ってくるよう司令に懇願したのだ」

グラハム「本当ならばガンダム調査隊の時点で来るはずだったのだが、彼とも運命の赤い糸を感じずにはいられないな」

マリーダ「それはもしや、以前話していた……」

グラハム「あぁ」

グラハム「楽しみだよ……実にな」
354 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/14(火) 01:16:59.20 ID:cJTS37xAO
―病院―

グラハム「司令は帰ったか。流石に多忙と見える」

マリーダ「カタギリ司令のお仕事を増やした方が何を……」ハァ

グラハム「む……しかしこれ以上司令のご機嫌を損ねる訳にも行かん。そろそろご機嫌取りも考えねばならんな」

グラハム「なにせ、一源珊悪琴割のリョーテイが待っているのだからな……!」

マリーダ(何故この国の人間は漢字を妙に曲解するのだろうか……?)

ウィンッ

グラハム「む?」

マリーダ「!」

ソーマ「あ……!」

グラハム「ソーマ・ピーリス少尉!」

ソーマ「お久しぶりですマリーダ中尉、そして昇進おめでとうございますマスター・グラハム少佐!」

グラハム「もはや君の中での私の名前はマスター・グラハムか、ピーリス少尉」

マリーダ「久しぶりだなピーリス、変わりないようで安心したよ」

ソーマ「マリーダ中尉こそ、ご健勝で何よりです」

マリーダ「ふふ……少し背が伸びたかな?」

ソーマ「ね、年齢は中尉と同じですっ! そんな1ヶ月やそこらで……!」

マリーダ「少尉は成長期が遅いのだろう、これからきっと成長していくよ」

ソーマ「そう……でしょうか?」

グラハム(ほう……)
355 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/14(火) 01:25:16.18 ID:cJTS37xAO
グラハム「しかし少尉、何故君は此処に?」

ソーマ「はい、実は……」

           ・
                         ・
                         ・


グラハム「成る程な……そのジャン・リュック・デュバルという人物の開発したMS、【ヅダ】が最終決戦時に妨害行動を起こした」

グラハム「そしてその当人は1ヶ月前、この北米大陸に渡ってきてから行方知れずになっている」

グラハム「それの調査の為にスミルノフ大佐は君を伴い此方に渡ってきたと、そう言うのだな? 少尉」

ソーマ「纏めていただき恐縮です、マスター・グラハム」

グラハム「なに、事情を知らぬ者達にはこうでもしなければ伝わらないからな」

マリーダ「?」

ソーマ「?」

グラハム「コホン……それで、だ」

グラハム「手掛かりは見つかったのかね? スミルノフ中……大佐ならば既に何かを掴んでいそうなものだが」

ソーマ「はい」

ソーマ「シティホテルのPCから、彼の名義でビリー・カタギリ顧問にメールが送られていたのを確認し、ついでということで此方に足を運ばせていただきました」
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/06/14(火) 01:32:51.00 ID:1Ah3PDDyo
メタもイケる口か、フラッグファイター!!
357 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/14(火) 01:33:35.68 ID:cJTS37xAO
ソーマ「カタギリ顧問の話では、それがレイフ・エイフマン教授の作成した疑似太陽炉搭載型フラッグの草案だったと言うことですが……」

グラハム「!?」

マリーダ「GNフラッグの……プロフェッサーの設計図を?」

グラハム「マリーダ」

マリーダ「いえ……プロフェッサーの口からはジャン・リュック・デュバルなる人物の名は聞いたことがありません」

グラハム「私も先ほど初めて聞いた名だった。プロフェッサー・エイフマン、ユニオンのみならずMS関連の技術者としては世界的権威だった方だ」

グラハム「あの方がフラッグの設計図を、人革連の技術者に渡していたというのか?」

マリーダ「そんなっ……!」

グラハム(だがプロフェッサーの死が、カタギリの読んでいた【知りすぎた】ことに起因するとすれば……予め信用に足る何者かに情報を渡すことも考えられる)

グラハム(逃亡者の身で危険を省みず設計図を送りつけてきたのも、それならば頷けるというものだが)

グラハム「やはり、本人から直接聞かねば解らぬことか」

ソーマ「はい、大佐も同じことを言っておりました」

グラハム「スミルノフ中佐……済まない、大佐は今此処に?」

ソーマ「いえ、此方の人革連の大使館で情報を整理しています」

グラハム「そうか」

グラハム「そうと決まればこうしてはおれん! 今すぐにでも退院して……」バッ

マリーダ「マスター」ガシッッ

グラハム「……」ズルズルズルズル

ソーマ(あぁ……マスター・グラハムが……)

           ・
                         ・
                         ・


マリーダ「まだ骨も完全に繋がっていないのに無理をなさらないで下さい」

グラハム「えぇい、もどかしい! こんなことならば再生治療で一気に治癒すれば良かった」

ソーマ(まだ繋がってなかったのに外出していたのか……)
358 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/14(火) 01:43:37.08 ID:cJTS37xAO
グラハム「ピーリス少尉、見ての通り私は怖いお目付役のおかげで此処から外には出られない」

マリーダ「……」

グラハム「デュバル氏の一件、何か判明したことがあれば可能な限りで構わない、私に一報くれ」

ソーマ「はいマスター・グラハム、大佐にもその旨をお伝えしておきます」

グラハム「頼んだ。肝心の私が病院のベッドの上では申し訳ないことこの上……」ガチャッ

――グラハムはその時、初めて軽蔑という感情を親友に対し向けた

ビリー「……!」

本来グラハムが寝ているはずのベッドに、乱れた白衣をそのままに横になっているビリー・カタギリ
林檎のように真っ赤に染まった顔は、困惑と羞恥の二枚重ねで何とも情けのない色に仕上がっている

「あら残念、意外と早かったのね♪」

その上から覆い被さり、見方によってはビリーを押し倒しているようにも見える赤毛の女性
その着衣は身体の艶めかしいラインが浮き出るほどに乱れ、豊かな胸元は白い谷間がくっきりと見えている
露出した太ももは肉付きも良く、羚羊のような脚はビリーの長い脚に絡み、健康的なエロスを演出していた
この肢体を見せつけられたなら、男なら生唾を飲まずにはいられないだろう
問題はグラハムは女に興味が無く、肝心のカタギリが童貞であるということくらいだ
359 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/14(火) 01:46:36.13 ID:cJTS37xAO
グラハム「…………」

マリーダ「ピーリス少尉、見てはいけない」サッ

ソーマ「え? え??」

マリーダは入室とほぼ同時にピーリスの視界を手のひらで遮り目の前の痴態から遠ざける
グラハムとマリーダは無表情の中に最大限の蔑視を込め、ベッドの上のビリー・カタギリにそれをぶつけていく

ビリー「ちちちち違う! 違うんだグラハム、マリーダ! ていうかピーリス少尉まだいたの!?」

グラハム「ビリー・カタギリ技術顧問、とりあえずベッドから降りて服を直した方がいい。着衣の乱れは心の乱れだ」

マリーダ「要約しよう。さっさとベッドから降りてそこに直れ俗物」

ビリー「 」

?「ごめんなさいねビリー、もうちょっと早く始めていれば良かったのに」

ビリー「むしろやらないでくれよミーナ!? 幾ら何だって悪ふざけにも程があるっ!」

?「あははは、ノックしないとは思わなくって」

ビリー「彼の病室なんだからノックするわけ無いだろうッ!?」

グラハム「ノックするとかしないとか、そういうことじゃないと思うぞビリー・カタギリ技術顧問」

マリーダ「……」ジャキンッ

ビリー「わーっ! わーっ!」

ソーマ(い、一体何が起きているというの!?)

ソーマ(起きてマリー、今こそ真の超兵の力を……!)
360 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/14(火) 01:53:54.48 ID:cJTS37xAO
―十分後―

グラハム「成る程、事態は把握した」

ビリー「……」セイザ

?「正座なんて久しぶり〜」セイザ

マリーダ「…………」

ソーマ「あの、中尉……彼らは何故床に座らされているのですか?」

マリーダ「少尉、世の中には知らなくて良いこともあるんだ」

?「改めて自己紹介させてもらうわライセンサー、グラハム・エーカー少佐」

ミーナ「私はミーナ・カーマイン。ユニオン国立宇宙局の技術研究科所属、宇宙物理学を専門に研究しているわ。ビリーとは大学時代の同窓生なの」

ミーナ「お会いできて光栄だわ最強のフラッグファイター」

ミーナ「そしてその副官にして最年少のフラッグファイター、マリーダ・クルス中尉もね」スッ

グラハム「ビリーの同窓……成る程、旧友か」スッ

マリーダ「……」ピキィィィィン

マリーダ(思ったより純粋な心の持ち主らしい……見た目のギャップはあるが)

グラハム「だが旧交を暖めるのに私のベッドを使ったのは容認できんな」

ビリー「そ、それは彼女が勝手に……!」

グラハム「今度からちゃんとそれ相応の場所を選択し行うことを推奨する」

ミーナ「ラージャ♪」

ビリー「やること自体には肯定的なんだねグラハム……?」

ミーナ「ふふ、でも残念なことにまだそういう関係じゃないの」

グラハム「男女の関係には、友情もまた立ち入れぬ深い穴がある」

グラハム(27)「しっかりと順序を踏んで、健全な関係を築いてくれたまえ」

マリーダ(18)「お幸せに、カタギリ顧問」

ミーナ(何だろう……釈然としないわ)

ビリー「おぉ……神よ……」
361 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/14(火) 02:04:40.89 ID:cJTS37xAO
ビリー「さ、さて! グラハム、君に頼まれていた例のMSの情報なんだけどね」

グラハム「む、手に入ったかカタギリ」

マリーダ「ダリルが遭遇した、あのMSですね」

ビリー「あぁ。カティ・マネキン大佐に連絡したところ、二つ返事で送ってもらえたよ」

マリーダ「マネキン大佐が?」

ソーマ「スミルノフ大佐へもマネキン大佐から情報が送られてきたそうです」

グラハム「素晴らしい判断だ、AEUの女傑にはいつもいつも助けられる」

ミーナ「〜♪」ギュー

ビリー「う、写すよグラハム」

グラハム「断固辞退する」

ビリー「彼女じゃない、映像だ!!」

グラハム「あぁそうか、頼んだ」

ビリー「……はぁ……」

ビリー「まぁ兎に角、これは非常に貴重な映像だよ」

ビリー「それと同時に、危険な映像でもあるけど……ね」

ヴンッ

グラハム「!」

マリーダ「カタギリ顧問、これは……!」

ビリー「あぁそうさ、所属不明のアンノウン」

ビリー「この緑色のMSは、疑似太陽炉搭載型のMSなんだ」
362 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/14(火) 02:05:53.44 ID:cJTS37xAO
―???―

プルツー「何でさ!? あたしが出ればガンダムだってすぐにやっつけてみせるのに!」

リボンズ「駄目だ」

プルツー「リボンズっ!」

リボンズ「二度は言わないよプルツー。部屋に戻って大人しくしていろ」

プルツー「っ……!」

リヴァイヴ「……」ペラッ

ヒリング「……」ソワソワ

ヒリング「ね、ね、リヴァイヴ」

リヴァイヴ「何だいヒリング、今良いところなんだ」

ヒリング「そんな小説なんかよりさ、あの二人何を言い争ってんの?」

リヴァイヴ「……ヒリング、君のそういう野次馬根性のようなものは少し控えた方がいい。リボンズにも注意されただろう?」

ヒリング「気になっちゃったんだもの、仕方ないじゃない」

ヒリング「それに、何だかんだリボンズはあの人間の時だけ反応が違うから、見ていて面白いのよね〜」クスクス

リヴァイヴ「リボンズに折檻される前に口を閉じるんだね……庇いきれないよ、全く」

ヒリング「は〜い」

ヒリング「それで、それで?」

リヴァイヴ「……ハァ」パタンッ
363 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/14(火) 02:08:29.92 ID:cJTS37xAO
リヴァイヴ「プルツーは壊滅したソレスタルビーイング、及びその支援組織であるフェレシュテの捜索と太陽炉の奪取を提案している」

リヴァイヴ「だがリボンズは首を縦には振らず頑として受け入れない。そしてその対応はいつも通り……後で話すの一点張り」

ヒリング「あぁ、だからプルツーは気に入らなくて突っかかってるってワケね」

リヴァイヴ「リボンズの秘密主義はプルツーの逆鱗に触れやすい……」

ヒリング「いつもみたいに強制送還しないの?」

リヴァイヴ「ブリングもデヴァインも別件で今は不在だ」

ヒリング「リジェネもいないのよね、そう言えば」

リヴァイヴ「それに我々は彼女の強制送還が出来るほど力量差があるわけじゃない、リボンズだけで何とかしてもらわないとどちらかが怪我をする羽目になる」

ヒリング「曲がりなりにも彼女は強化人間、ちっちゃいからって侮れないのよねぇ」

ヒリング「ま、二人がかりで無理です! と言い切っちゃう私達の存在意義を考えちゃうと悲しいところよね」

リヴァイヴ「それは言わないでほしいなヒリング、私にだってそのことについては思うものが無いわけじゃない」

ヒリング「良いじゃない。RGMカスタム四号機と五号機のカスタマイズは進行中、ガ・シリーズの開発はまだ途中」ガサガサ

ヒリング「どちらにせよ私達の出番は当分まだなんだから、さ」パリッ
364 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/14(火) 02:19:32.84 ID:cJTS37xAO
プルツー「…………!」

リボンズ「……」

プルツー「…………!」

リボンズ「……」

リボンズ「はぁ……」

リボンズ「これを見るんだプルツー」

プルツー「最初からそうすりゃ良かったんだよ、全く」フンッ

ヒリング「あ、リボンズが折れた」

リヴァイヴ「ふふ、何だかんだ彼も甘いことだ」

リボンズ「……」

ヒリング(やばっこっち見た)コソッ

リヴァイヴ(はぁ……やっぱりこうなる)コソッ

リボンズ「……これは先日、ラグランジュ1付近で撮られた映像だ」

プルツー「例の、疑似太陽炉搭載型の未確認機かい?」

リボンズ「そうだ」

プルツー「……コーンスラスターじゃない。このMSはティエレンの技術を使ってはいるけど、疑似太陽炉に対する技術は既存のものじゃないのか」

リボンズ「GN-Xはコーンスラスター型、スリースラスター型は第二世代機にしか存在しないものだ」

リボンズ「以前宇宙に上がったテロリストを見逃させたのは覚えているね」

プルツー「あぁ、月のヴェーダを乗っ取っているときだろ?」

リボンズ「本来あの時にイノベイターを数人紛れ込ませ、スパイとして送っていた。それで情報が得られるからと敢えて放置したのだけれど……」

リボンズ「……その全てのイノベイターが何らかの方法で消され、彼らは完全に消息を絶ってしまった」

プルツー「え……?」
365 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/14(火) 02:24:25.94 ID:cJTS37xAO
リボンズ「……待機の命は変わらないよプルツー。今は膝の上で寝ていると良い、状況の分からない今君を出すわけには行かないからね」

プルツー「……」

リボンズ「計画に存在しないスリースラスター型の未確認機……そして排除されたイノベイター」

リボンズ「間違い無い。ヴェーダとソレスタルビーイングに深く通じる人物が、この宇宙に潜んでいる」

―宇宙―

「はっ……はぁっ……!」

アステロイドの狭間を縫うように飛び、一目散に逃げる一機のGN-X
パイロットの顔は恐怖に引きつり、時折何かに怯えるように後方を確認、アステロイドにぶつかりそうになりながら危なげに機体を動かしていく

「こんなはずじゃ……こんなはずじゃ無かったのに……!」

――そう、こんなはずじゃ無かった
同僚とガンダムの捜索任務に赴き、センサーとにらめっこしながらくだらない話に沸き立って
帰ったら一杯引っかけて、休暇の予定でも考えながらぐっすりと眠ろう
そんな他愛もない計画を立てながら、哨戒任務という退屈な作業をこなしていただけなのに
それは、友軍機を貫いた一条の光によって、一瞬で潰えて消えてしまった

「ッ!?」

センサーに感
それは徐々に追いつかれているという証拠であり、敵のMSが国連軍の最新鋭MS、GN-Xに匹敵する性能であることを示していた

「来るな、来るなぁ!」

モニターに移る敵の機影は、密集したアステロイドの中でも意に介さぬ軽やかな機動で迫ってくる
通常衝突を恐れ減速するこの地形において、このMSは速度を落とすどころか更に加速、アステロイドを蹴り上げ動力にすることで類い希な加速を生み出していた

――その速度は、減速しながら進むGN-Xの優に三倍
眼に焼きつく赤い機影、それはまさに……

「あ、赤い……彗星……!」
366 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/14(火) 02:33:38.94 ID:cJTS37xAO
逃げ切れぬと諦めたGN-Xは反転、ビームライフルを向け接近を拒むように粒子ビームを乱射する
赤いMSはそれらを軽々と避け、アステロイドを蹴ることによる変則機動でGN-Xを手玉に取っていく

『済まないが、私が欲しいのはそのMSと太陽炉だ』

『パイロットには……死んでもらおう』

腰から抜いたGNビームアックスが、オレンジ色の光を放ちながら分厚い刃を形成する
ビームライフルの照準は、赤いMSを全く追いきれずただただ哀れな抵抗を繰り返す

『えぇいッ!』

そして赤いMSが身を翻しGN-Xへ鋭い蹴りを叩き込む
小さな悲鳴のようなものが接触した瞬間回線に割り込んでくる。しかし赤いMSの挙動は小揺るぎもしない
続けざま、コクピットへのビームアックスによる一撃
パイロットは一瞬にして蒸発し絶命……GN-Xは赤いMSの手の中に堕ちた

『……』

《流石です大佐、逃げる太陽炉搭載型MSをいとも容易く仕留めるとは》

『パイロットが未熟だっただけのことさ』

『他のGN-Xの回収は終わったな?』

《抜かりありません》

『よし、帰投する。長居は無用だ!』

駆け寄ってきた深緑のMSと通信し、撤退命令を下すMSの操縦者
ふと眼下に見える小さな青い星、地球に目を向けると、思案するかのように立ち止まった

『……』

『ソレスタルビーイング、か』

『見せてもらいたかったものだな、新しいガンダムの性能とやらを』

マスク越しに、母なる星へと微笑みかけた男
新たなる戦禍を齎す凶星は、星の海で着々とその力を蓄えていた

TO BE CONTINUED...
367 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/14(火) 02:35:13.76 ID:cJTS37xAO
エコ「お〜い、機材はこっちでいいのか?」

シェリリン「違う違う! それは向こうでそれがあっち!」

エコ「へいへい……ったく」

黒ハロ『プルプルプルプルー!』コロコロ

エコ「……?」
368 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/14(火) 02:38:17.88 ID:cJTS37xAO
投下終了だフラッグファイター。寝落ちしていた、済まない

次回【雛鳥】

新たなるフラッグファイター、現る
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県) [sage]:2011/06/14(火) 03:09:13.03 ID:uq9g3GN50
フルフロンタルさんか……
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/06/14(火) 07:50:32.19 ID:dCqezT2mo
全裸か
赤い機体に擬似太陽炉の粒子は映えそうだな
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/14(火) 10:38:17.15 ID:kI7HesZDO
ということは、新人はバナージか?
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/14(火) 11:26:53.05 ID:e7WSxGqAO
いやリディだろ
読み直してこい
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/14(火) 12:23:05.13 ID:kadUp1slo
ミーナって誰だ?劇場版見てないんだよね…
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2011/06/14(火) 13:22:45.47 ID:uZLepqgAO
フロンタルいるってことはシャアもいたりするのかね
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/06/14(火) 13:52:41.60 ID:J+6ODhnZo
っていうかフロンタルじゃなくてシャアじゃないの?
フロンタルっぽいのはミスリードで。

>>373
来歴に関しては>>360
あと二人の姿がそっくりなのは、
ネーナの遺伝子にはミーナの祖先のものが使われているからとの事。(遠隔遺伝、いわゆる先祖がえり)
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/14(火) 14:09:42.82 ID:sEUguRLuo
この時点でミーナ登場と言う事はネーナとミーナの邂逅の可能性もあるのかww
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2011/06/14(火) 14:16:36.53 ID:sEUguRLuo
シャアは>>299-301で登場済みなのでフル・フロンタルで確定。
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/06/14(火) 18:50:49.48 ID:0kbcpnCAO
全裸大佐か……
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga sage]:2011/06/15(水) 00:27:53.09 ID:/wVOhegK0
あの翼の間に筍生やしたシナンジュか……いいじゃないか!
380 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/06/16(木) 00:27:44.26 ID:MnUk/ipAO
このSSにおけるグラハムとマリーダの関係って何なんだろうな、フラッグファイター

ところでフラッグファイター諸君、ソルブレイヴス隊の面々の人格や人間像が全く公表されていないことは兄等も知っての通りだ
よって諸君らでだべりながら妄想でもしてくれると彼等の活躍が増えるかも知れない。まだタケイ位しか作り込めていなくてね、なかなかに死活問題なのだよ
あと少し、諸君らの力を貸してもらいたい
さすれば私は、父スレーチャーの元に召されるであろう
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/16(木) 01:11:01.43 ID:erfw1Hxpo
まだ召されるわけにはいかんよ!
悔しいが00もUCも見てない自分にはアドバイス出来ない
これ程自分の無力さを歎いた事はこれまでなかったフラッグファイター
これはSAMURAI達の間で流行っているというSEPPUKUをして詫びる他無い!
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/06/16(木) 01:26:39.09 ID:3ju+tWU70
了解、フラッグファイター。劇場版で目立った、ネフェル姐さんは現在PMCトラストが解体中で就職先を探しているだろう。これで、カタロンに行くか、国連に来るかで二期の登場が決まるのではな
いか、個人的にはマリーダとソーマ以来の女性パイロットが来るので、同じ女性陣で会話や付き合い方を見てみたいな。ヴィクトルとルドルフはAEU出身だからコーラやマネキンの紹介で来そうだ。ヴィクトルはエミリオの元上官とか、戦友とかで、エミリオが死んだ作戦にも一緒に参加していたがヤザンに撃墜されて、予備役になっていたが、多くのベテランが死んだので復帰したとか、エミリオを殺したヤザンに因縁があるとか、あったら面白いな。
(かなり妄想が入っているので不快だったら無視してください)
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/06/16(木) 01:30:11.84 ID:NwTrkpNKo
↑のように幾らかは資料が出ているので(HGのプラモなど)、それらから妄想の羽を広げてみては?
出身国ひとつで結構いろいろ出ますし
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/16(木) 08:49:59.31 ID:uOLjz52Xo
映像じゃモブよりちょこっとマシな程度だったけど、そういやブイレブの一般機プラモはこいつら専用って扱いだったか
キャラよりMSの方が明らかに目立っていたからなぁ
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/16(木) 19:15:29.50 ID:M76w/jLA0
マスター少し質問が。

プトレマイオス大破轟沈したってことはモレロさん、クリス、リヒティアニメ同様フェードアウトでFA?
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/16(木) 19:17:45.27 ID:M76w/jLA0
とりあえず隊員まとめてみた。順番と(顔アングル)はHGブレイブから。

ヴィクトル・レオーノフ(右真横)
「ソルブレイブス」隊副隊長。
旧AEU圏出身のモスクワ生まれのロシア系白人。
多分部隊内で最年長のおっさん。(1stの時のセルゲイさんよりは年下っぽい)
隊長以外の男性隊員で一番背が低い。

ルドルフ・シュライーバー(左斜め上)
旧AEU圏出身のドイツ系白人。
ジニンさんと同い年くらい?(それだとハムより一つ下!)
月軌道戦でELSジンクスにうろたえたり、「隊長!ポイント206を!」と結構しゃべってた。
(以外といい声)

アキラ・タケイ(右斜め)
旧ユニオン圏出身で元沖縄基地所属の日系人。
オーバーフラッグス隊の生き残り。
特徴的な眉毛。部隊で最年少っぽい。

イェーガン・クロウ(真正面やや上)
旧ユニオン圏出身でオーストラリア系白人。
おっさん(グラハムよりちょっと年上?)
部隊で一番ガタイがでかい。

ネフェル・ナギーブ(左斜め)
唯一の女性隊員で、褐色肌で白髪のエジプト系。
モラリア共和国のPMCトラストに所属。
姐さん。

あくまで予想だけど劇中で二番目にやられたパイロットは若い男性声だったからルドルフさんかタケイさんのどっちか。
初回盤の絵コンテとかになんか書いてないかな…
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/16(木) 20:11:48.51 ID:M76w/jLA0
そして早速全開でヴィクトルさん妄想してみた。

・AEUロシア軍の少佐(1st)
・1stの時点で30代後半、映画だと1stセルゲイさんぐらい)
・2290〜2300年代の太陽光発電紛争でヘリオンのエースパイロットとして活躍(異名が欲しいね)
・ちなみにグリプス事件(同士討ち事件)は2303年、十分絡めるね。
・CB介入前にMSパイロットから退き教官職につく(トップガンはコーラに)
・連邦軍の再編とAEUトップガン全滅を機に前線パイロット復帰
・寡黙で冷静な性格。セルゲイさん並に状況判断も優れる。但しやや頑固な面も
(グラハムに振り回されそう)
・コーラの数少ない頭の上がらない人の一人(←これはさすがに無理か)

こんなので大丈夫なのかな…?
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/06/16(木) 21:10:32.07 ID:NwTrkpNKo
>>386
人づてに聞いたから確かではないけど、オーディオコメンタリーでルドルフだと言ってたそうな
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 22:17:08.31 ID:ydgtMH7zo
同じく人づてだから確証はないが、アキラ・タケイは戦死していないはずなのでルドルフさんが二人目の戦死者と思われる
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/06/16(木) 23:47:56.74 ID:3ju+tWU70
00Vを読んでいて気付いたんだが、エイミーが一期の時期に沖縄でシェルフラッグに
搭乗していた。という記述を見つけたんだが、タケイはエイミーと同じ基地にいたと
いう事で、話ができそうだ。しかし一方は沖縄のトップエース、方や基地一番のヘボ
パイロットというのだから、どんな交友があったのか想像がふくらむな。
(ちなみにエイミーはフォーリンエンジェル作戦にGN-Xの予備パイロットとして参加
していたらしいが、ブリティッシュ作戦に参加してたらマリーダを口説いて、彼女にブン殴
らてそう)
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/17(金) 02:15:18.28 ID:/4TWpOfno
エイミーはGN粒子使うMSで活躍しないとな…>>1さんの作品だとRGM生産されてるようだが、
そこで二つ名得るまで活躍できてるんだろうか。女ったらしって設定なのに、天然ボケのイメージが強くて好きなキャラだが…
うさん臭いロベールともども、コメディリリーフとしては映えるか?
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/17(金) 02:37:55.43 ID:4tJvb8Aj0
どこで見たのか忘れたが、G-ROOMS で福地神が描いたフラッグのパイロットがイェーガンらしい
つまり、イェーガンはカタロン構成員だったということになる
乳母車とカンガルーのマーキングが共通だったのかな……
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(佐賀県) :2011/06/17(金) 12:24:02.31 ID:kJiwNRCP0
>>386
「ルドルフ・シュライーバー」じゃなくて「ルドルフ・シュライバー」じゃなかったか?
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/17(金) 23:24:56.41 ID:YbEiLFnto
ジュドーやカミーユ、ハマーンはどうなってるんだろうかと考えて木星じいさんの事を思い出したww
イオリアのGNドライブ作成計画に同行してそのまま探査船に居残ってそうだ、ELS来たらメタルZZ、メタルジュドーか胸熱
シャアの事を考えれば皆死んでいるんだろうけど、ヤザンやプルの事を考えるとカミーユやジュドーは出てきてもおかしくないのかな?


あと、イェーガンがカタロン出身なら無理に絡ませない方が良さげかもしれない
敵が強すぎてこの世界のカタロンは難儀しそうだ、何かテコ入れしないとあっという間に滅びそう
ただでさえ沙慈がバラした直後に基地壊滅しちゃうくらいだし……
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東地方) [sage]:2011/06/18(土) 23:52:24.55 ID:zb+Se9Vh0
>>394
エゥーゴの面子なら居ても違和感ないな
アロウズなんかは元からティターンズ色強い組織だし
原作だとCBにフォーカスしすぎてハーキュリーのクーデターやマネキンの造反が駆け足気味だったからこのSSには期待してる
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 08:10:37.47 ID:2A81xxGDO
あまり出しすぎるとごちゃごちゃするから心配
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 09:27:35.82 ID:TJoVH3fO0
自分としては、このSSではマリーダさんに幸せになってほしい。
それだけは頼む、いやお願いします。
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 10:34:38.11 ID:hFaoR4LIO
マスラオたんが開発されるかがとても心配です
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 14:11:06.36 ID:JE1eKDPa0
ユニコーンガンダムとかデルタプラスでたらいいな
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/06/20(月) 11:57:25.61 ID:vK9MeQMT0
GN電池さんの活躍に期待
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/21(火) 00:22:31.05 ID:/Cssd9uAO
月光蝶の代わりにGN粒子を撒き散らしながら暴れるターンX・・・
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/21(火) 00:41:20.69 ID:BH2L5LRko

この太陽炉すごいよ、さすが擬似太陽炉のお兄さん!

 ト ラ ン ザ ム である!
403 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/21(火) 01:59:23.82 ID:q6O0+WVAO
やぁ諸君、君達の栄光はヅダと共に

投下再開だゴーストファイター
404 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/21(火) 02:03:55.62 ID:q6O0+WVAO
―ユニオン領日本・京都―

女将「それでは、ごゆっくりどうぞ」

ホーマー「うむ」

グラハム「……」

小綺麗な和装に身を包む女性が恭しく一礼し、障子戸を閉めながら消えていく
座敷はホーマーとグラハム、二人だけの空間となる
二人の間には所狭しと豪勢な料理が並べられており、遠くからは三味線の音色が微かに耳に触れ、静寂に一滴の風情を加えていた

グラハム「……」

ホーマー「くつろげ。もう骨も繋がり、今まで通りに動くことが出来るのだろう?」

ホーマー「約束通り馳走してやろうというのだ、遠慮などせず、冷めぬ内に食え」

グラハム「は……頂きます」

徳利を傾け、猪口に酒を注ぎながらホーマーが口を開いた
そのまま一口、くいと飲み干す。自らも倣って酒を注ぐと、透明な液体が小さな器に波紋を浮かべ、芳醇な香りを放つ
何時もならグラハムもこのまま美酒に酔いしれ、普段は口に出来ぬ和の真髄に舌鼓を打つのだが……今は少し状況が違っていた

グラハム(マズいな……)チラッ

ホーマー「……」ズズ

グラハム(マリーダにあの様なことをした手前、直視できん)

二カ月ほど前、最終決戦の折
マリーダ・クルスへしでかした行為を思い返すと、年甲斐もなく恥ずかしさに顔が朱くなる
ただの口づけだと言ってしまえばそれまでだが、ただの口づけで片付けられないから今グラハムは気まずさと対決している
――あれからしばらくマリーダが泣いていたせいで、ヴァージニア艦の面々には大体バレている事は、まだグラハムも知らないことである
405 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/21(火) 02:12:38.90 ID:q6O0+WVAO
グラハム「……」

ホーマー・カタギリという人物がどういう人物か、ユニオン軍の中でも特に自身は詳しいつもりだ
もし、娘(名義上ではあるが)を傷物にされたと彼が知ったならば……

グラハム「……」

グラハム(SEPPUKU……!)

最悪の展開である。とはいえ冗談でも無事で済むはずはない

グラハム「……旨いですな」

現状の問題を忘れようと杯を一気に傾け、熱燗を飲み干す
鼻先から抜けるアルコールの甘美な刺激も、グラハムの頭から当面の問題をぬぐい去ってはくれないようだ

グラハム「……」

ホーマー「む、箸の使い方がなっていないぞグラハム。以前連れてきた時から成長しておらぬではないか」

グラハム「はっ……申し訳ありません」

ホーマー「迷い箸も、行儀が悪いと教えたぞ」

グラハム「」

ホーマー「お前という奴はいつもそうだ、上官の言うことを聞かず気付いたらあっちこっち飛び回り、私に尻拭いばかり押しつける」

ホーマー「結果を出せばいいのではない。大人になれば過程や方法、周りの目を考えそつなく動くことが求められてくる」

ホーマー「お前は確かに腕が立つ。この一年間、アレだけの無理をして生き延びてこられたのも頷けるというものだ」

ホーマー「だがそれはビリーやエイフマン教授が与えてくれたフラッグの恩恵であり、共に戦う部下の助けによるものだ」

ホーマー「実際は知らん。だがそのつもりで日々驕らず、慎ましく生活することで人との軋轢は最低限のものに抑えることが出来る」

ホーマー「私に押しつける前に、自分からそういう下らん諍いを背負わぬよう努力してみせろ」

ホーマー「お前にマーセナスの坊やまで預けたんだ、ついてきてくれる部下の為にも、もう少し上手く世の中を渡っていかねばならんのだぞ?」

ホーマー「自分を律し、大きく構えていれば自然とそういうものは振り落とせるというものだ、お前は少しパフォーマンスが過ぎる。おいグラハム、聞いているか?」
406 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/21(火) 02:15:24.11 ID:q6O0+WVAO
グラハム(まずい……お説教が始まった……!)

こうなるとホーマーは止まらない。料理もホーマー側のものが一方的に無くなっていき、淡々とぶつけられる言葉のジャブにグラハムの箸は動くことさえままならない

ホーマー「」ガミガミクドクド

グラハム「……」

苦い顔を空の猪口で隠しながら、アルコールで舌の回るホーマーの武士道講義を右から左に聞き流す
此処にはホーマーの話に割り込んでくれる盟友もいなければ、彼を諫めてくれる奥方もいない

グラハム(まさに八方塞がり、四面楚歌というわけか。認めたくないものだな、この状況!)

グラハム(援軍はまだ来ないのか……!)

窮した眼差しでちらりと隣の席に視線を移す
こんな時に脳波で彼女を探してしまう自分が情けない、これが人類の革新ニュータイプのあるべき姿なのだろうか、いや無い!

グラハム「……ニュータイプ……」

グラハム(そういえば確か、あの時……)

必死に現実逃避するグラハムブレイン、走馬灯のように過去へと意識が戻っていく
そうだ、たしか退院の数日前に……


           ・
                         ・
                         ・

407 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/21(火) 02:20:16.22 ID:q6O0+WVAO
―回想・病院―

グラハム「……」

隔離された病室の見慣れた天井。外に通じる唯一の扉には黒服が二人警備に就いており、ビリー・カタギリやマリーダ・クルスが幾度も門前払いを受けている

グラハム「ふう……」

時折掴みかかりそうになるダリルの怒号、それを止めるタケイの影が垣間見える度、ハラハラさせられろくに休むこともままならない
接合途中の肋骨を支えるギブスのせいか、息苦しさが全身を押しつける

黒服「気分が優れないかねグラハム少佐」

グラハム「私は冷水に叩き込んできたり、顔が腫れるほど撫で回してくれた連中と一緒にいて気分が良くなる程マゾヒストではないと自覚している」

黒服「我慢してくれると此方も仕事がしやすい」

グラハム「見続けるにしても黒服の能面は頂けない」

黒服「見なければいい、テレビでも雑誌でも欲しければ用意させよう」

グラハム「男なら、もう少し違う発散の仕方もある。まさかそれまで見張るつもりか?」

黒服「趣味ではないが仕事だからな」

グラハム「……ナンセンスだな……」ハァ

黒服「で、するのか」

グラハム「辞退しよう。私はこれでも嗜好に関してはノーマルもいいところでね、その様な特殊性癖は存在しない」

黒服「それは助かる」

グラハム「はぁ……」

グラハム「で? 肝心の彼女はまだなのか」

黒服「まだ約束の時間より二十分しか過ぎていない」

グラハム「どの位過ぎたかではなく過ぎたという事実を重要視しないか!」

黒服「ミーナ女史のやることだ、いちいち目くじら立てていては身が持たん……」

グラハム「全く、ナンセンスだッ!」
408 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/21(火) 02:25:38.12 ID:q6O0+WVAO
ガチャッ

ミーナ「はぁいライセンサー、気分は如何?」

グラハム「二十三分の遅刻だ、私は我慢弱い」

ミーナ「あらごめんなさい、ちょっとした用事がありまして♪」

グラハム「仕事の前に用事を作るな……」

ミーナ「やん、虫の居所はだいぶ悪そうね少佐」

グラハム「すこぶる最悪だ。待ち人は遅刻しても悪びれず、目の前には可愛がられた黒服の面々……」

グラハム「これならばショーウインドウのマネキンでも眺めていた方が建設的というものだ」

ミーナ「あら、ショッピング中のマネキン大佐が見たいだなんて変わった趣味をお持ちなこと」

グラハム「……」

ミーナ「冗談よ、へそ曲げないで頂戴? これから質問するんだからお手柔らかにお願いね」

グラハム「質問? 黒服まで呼び出して何をするかと思えば……」

ミーナ「あによ、あたしだって出来ればこんなターミネーター集団呼びたくなかったわ」

ミーナ「政府から押し付けられちゃったんだもの、仕方無いじゃない……元々ビリーにも逢いたくて申請してたし、背に腹は変えられないって奴ね」

グラハム「ふん、私は口実か……」

ミーナ「三割はね。残りの三割は私自身の研究の為、もう三割は……」

ミーナ「……止めとくわ。これ以上あなたのへそを曲げたら黒服ぶっ飛ばしてでも抜け出しかねないし」

グラハム(……?)

ミーナ「はいこれ、ビリーから預かったの。BGM代わりにしちゃ勢いあるけど、かけてあげるから機嫌直して?」
409 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/21(火) 02:30:15.15 ID:q6O0+WVAO
グラハム「ケルト音楽か……流石はカタギリ、良いチョイスだ」

ミーナ「アナタってこういうの好きなの? 意外ね」

グラハム「疾走感がたまらない。唯一欠点を挙げるとするなら、空を飛びたくなるということくらいかな」

黒服「ミーナ研究員……」

ミーナ「あら、心配になってきた? ふふ、話の流れだとあなた達をぶっ飛ばして空飛びそうだものね彼」

黒服「程ほどにお願いしますよ、ターミネーターも人間ですので」

ミーナ「らーじゃ♪」

ミーナ「さて……」パチンッ

〜♪〜〜♪

ミーナ「改めまして、私はミーナ・カーマイン。以前話したように専攻は宇宙物理学、でもここ数年間はニュータイプ理論の研究も始めているの」

ミーナ「正直今の国連のニュータイプに対する態度には懐疑的なんだけど、それを覆すにしてもそれなりの研究結果が必要でね」

グラハム「……そこで私に目を付けたか」

ミーナ「注目したと言ってもらいたいわね、現在国連軍に在籍する中でもサイコミュを動かすほどのNTはアナタとマリーダ・クルス中尉だけだもの」

ミーナ「おまけに私のビリーとお友達、これはもはや運命といっていいんじゃない?」

グラハム「成る程……私も自身が乙女座であることを忘れていた。このグラハム・エーカー、縁というものにつくづく困らないらしい」

ミーナ「納得してもらえたようで幸いだわ。出来れば末永く、友好的な関係を続けたいものね」

グラハム「努力しよう。君が遅刻しないと約束してくれるならば」

ミーナ「極力善処しますわグラハム少佐」

ミーナ「さて……それじゃそろそろ、良いかしら?」

グラハム「その旨を由としよう」
410 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/21(火) 02:35:01.20 ID:q6O0+WVAO
ミーナ「じゃ、まずは最初の質問」

グラハム「……」

ミーナ「アナタ、ホモセクシャル?」

グラハム「……」

グラハム「はぁ!?」

黒服(今素が出たな)

ミーナ「真面目に答えてよ、これだって質問なのよ?」

グラハム「馬鹿を言うな、こんなものが質問か!? いやお前が馬鹿か!」

ミーナ「馬鹿とは何よ馬鹿! 軍内部では結構有名な噂なのよ、アナタはガンダムに欲情するとか、男、特に少年に反応する性癖の持ち主って」

黒服「……コホン」

グラハム「………………」

ミーナ「あら、結構ショックだった? ごめんなさいね」

グラハム「上官殺しやMr.プロパガンダと揶揄されたことはあるが……まさかそれほどまでに私は……」

ミーナ「同情するわ少佐」

ミーナ「で、どうなの? 真相のほどは」ワクワク

グラハム(こンのアマ……!!)

グラハム「断じて違う! 私は対物性愛者なければエフォボフィリアでもない! 至って普通に女性が好きな、ノーマルの人間だ!」

ミーナ「あっそ」サラッ

ミーナ「ビリーに手を出されたりビリーがそっちの道に走っちゃっても困るもの、手を打つ必要が無いみたいで安心したわぁ」ピッ

グラハム「…………」

黒服「少佐……その、なんだ。済まない」

ミーナ「ほらぁ、何惚けちゃってるの? 次の質問行くんだからしゃっきりしてよね」

グラハム「今からでも面会謝絶にならないものかな、暫く人生について考え直したい」

ミーナ「質問に答え終わったら幾らでもどうぞ」

グラハム「カタギリ……マリーダ……この戦場は地獄だ……」
411 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/21(火) 02:43:24.51 ID:q6O0+WVAO
           ・
                         ・
                         ・


ミーナ「さて……だいたいこんなもんかしら。御協力感謝感謝っ」

グラハム「……」

ミーナ「あれ? どうかしたの少……」

グラハム「マリーダに質問はしたか」

ミーナ「……」

ミーナ「あぁマリーダさんね。アナタの後にやろうと」

グラハム「間が空いたな」

ミーナ「っ……」

ミーナ(急に目つきが変わったわね、もしかして知らず知らずに地雷踏んでた?)

グラハム「……先ほどからずっと考えていた。全部で五十弱の項目の質問、その全てが私自身のことを知った上で作られた、妙に限定的な質問ばかりだった」

グラハム「本来調査対象が複数あるなら、共通した質問をある程度織り交ぜて行くもの……それが必要無いということは、だ」

ミーナ「グラハム……」

グラハム「凡例が存在する状態で特異な調査対象が現れた場合、つまりマリーダと私だけが特別なのではなく、私だけが特別ということだ」

ミーナ「グラハムッ!」

グラハム「……先ほど君は残りの三割を言いよどんでいたな」

グラハム「知っているな、【あの計画】のことを」

黒服「……」スッ

ミーナ「止めなさいッ!」

黒服「威嚇です、万が一もある」

ミーナ「彼はそんな愚かな男じゃないわ。ジョークでもそんなものを私の目の前に出さないで」

黒服「……」

ミーナ「……それでいいわ」
412 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/21(火) 02:53:52.73 ID:q6O0+WVAO
グラハム「……」

ミーナ「一つ聞かせて……どの辺から怪しんでた?」

グラハム「正直に言えば最初からだ。違和感のようなものだがな、君は少し無理をして明るく見せていたように感じた」

グラハム「いくら私が他者の感情が解らぬろくでなしでも、そのくらいはな」

ミーナ「……はぁ……」

ミーナ「演技には結構自信あったんだけどね、それも返上か」

グラハム「……確かに彼女【達】が残したデータは、研究に於いては有意義に働くことだろう」

グラハム「質問よりは遥かに貴重なデータがある以上私の重要性は薄い。イレギュラーである私と、彼女達とのデータ上の差異を見極めるのが君の仕事か」

グラハム「……人革連をどうこう言えんな、ユニオンも」

ミーナ「えぇ……本当に」

ミーナ「ごめんなさい。黙っていたのは悪かったわ」

ミーナ「あんな実験……彼女に思い出させてしまうと思うと、言い出せなくて」

グラハム「いや、今更だ。私こそ君を誤解していた、謝罪しよう」

ミーナ「お互い様ね……」

グラハム「あぁ、そういう事だ」

グラハム「それより私が畏れているのは……」

ミーナ「彼女を元に再び計画が再開されること、でしょう?」

グラハム「!」

ミーナ「アナタの顔を見ていればだいたい書いてあるもの、分かるわよそれくらい」

グラハム「……」

ミーナ「はっきり言ってそれは無いわ。政府はNTを制御こそしようとはすれ、量産しようとは考えていないもの」

ミーナ「あなたが考えているほど、今の国連軍はニュータイプに期待などしていない……」

グラハム「……?」

ミーナ「むしろこのままじゃ排斥が進みかねないほどに、あなた達を危険視しているのよ」

グラハム「何……!?」
413 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/21(火) 03:00:52.77 ID:q6O0+WVAO
           ・
                         ・
                         ・

グラハム(余計謎が深まった……!!)

ホーマー「おいグラハム、お前本当に聞いているのか?」ウィー

グラハム「えぇ勿論っ!」

グラハム(あれからミーナ・カーマインは黒服に制止され面会は中止になってしまったからな……厄介なことを思い出したものだ)

グラハム(しかし、政府が我々を危険視しているとは一体どういうことだ?)

グラハム(まさかまだ本気でソレスタルビーイングとの関連性を疑っているわけではあるまいな……それならばニールの存在を知らない政府が、ニュータイプごと疑う理由も無い)

グラハム(マリーダもろともに疑われている理由は……まぁ大体理解してるのだが)

グラハム(……)

『失礼します』

ホーマー「む?」

グラハム「!」
414 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/21(火) 03:27:11.79 ID:q6O0+WVAO
――その時、泥沼と化した座敷に一筋の光が差した

マリーダ「司令、お待たせ致しました」

ホーマー「うむ……」

グラハム「……!」

障子戸を開け姿を現したのは、和装に身を包み慎ましく座すマリーダ・クルスその人
普段の凛とした態度・姿勢とはまた違う……それでいながら普段の良さを微塵も失わない、美がそこにはあった

ホーマー「遅かったな。久しぶりで少し手間取ったか」

マリーダ「概ねその通りです。この一年間、軍服とパイロットスーツが殆どでしたので」

ホーマー「ふっ、流石に普段着に小紋は難しいか」

ホーマー「どうだグラハム、馬子にも衣装とはよく言ったものだろう」

グラハム「…………」

ホーマー「グラハム?」

呆けた表情を、直せない
視線を彼女から離せぬまま、グラハムは空の猪口を落としたことにも気付かなかった

マリーダ「……マスター、どうかなされましたか」

グラハム「美しい……」

マリーダ「え?」

グラハム「!」

譫言のような呟き、幸いにも二人には聞こえなかったようだ
隣に座るマリーダの顔がすぐ目の前に来て、ようやくグラハムは己を取り戻し、猪口を拾い上げ平静を装った

グラハム「い、いや、何でもない。よく似合っているよマリーダ」

マリーダ「……ありがとうございます、マスター」

ホーマー「マリーダ、グラハムに酌をしてやれ」

マリーダ「はっ」

ホーマー「少し話しすぎたな。料理が冷めてしまう」

ホーマー「グラハムも、見とれている暇があるなら食え。今日はお前のための席なのだからな」

グラハム「し、司令!」

ホーマー「くっくっく、慌てて酒をこぼすなよ」

グラハム「お人の悪い……こうなることを予測して仕掛けましたな?」

ホーマー「だが存外、戦果はあったようだ」

マリーダ「?」

ホーマー「……私の唯一の気掛かりだ」
415 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/21(火) 03:50:20.67 ID:q6O0+WVAO
それから、先ほどまでの混沌が嘘のように会食は進み、一行は帰路に着いた
ホーマーの別荘の一室に泊まることになったグラハム、敷かれた布団に身を投げ出し大きく息を吐く

グラハム「……」

先ほど、連絡があった
ガンダム掃討作戦に於けるGN-Xの残骸及びパイロットの遺留品捜索、その全行程を打ち切る、と
フラッグファイター達の乗った六機のGN-Xもその殆どが回収され、遺体や遺留品などは遺族に届けられたという
しかし、一機だけは例外として処理されたとビリー・カタギリから伝えられていた

グラハム(ギルボア機だけは回収されなかった、か)

グラハム(ギルボア……)

彼にはよく家族の写真を見せられ、自慢されていた
きっと息子は、きっと娘は、そんな未来を語る彼の眼差しをグラハムは思い出していた

グラハム「……」

死んだ
軍人も、そうでない者も
知人も、見知らぬ者も
沢山の人間の命が、この一年間で散っていった

グラハム「……ッ」

命の散る瞬間、筆舌に尽くしがたい虚無感が身体を通り過ぎていく
その感覚を思い出しグラハムは膝を抱え縮こまる
孤児院に居たときのような孤独感に、それはよく似ていた
416 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/21(火) 04:08:17.03 ID:q6O0+WVAO
ビリー・カタギリ
ハワード・メイスン
レイフ・エイフマン
ダリル・ダッジ

グラハム「……」

マリーダ・クルス
ニール・ディランディ
パトリック・コーラサワー

グラハム「違うの……だな」

思い返す、今まで逢ってきた人々の名前と顔を
いつの間にかそこには、明確な【区切り】が存在していた

グラハム「……」ムクッ

ミーナ・カーマインが言い残した、【排斥】という言葉が強くグラハムの心に突き刺さっていた
ニュータイプに覚醒してから、少なからず感じていた自身の変化
そしてその変化に対する他者の反応
それに敏感になっている自分

グラハム「怖いのか?」

またあの頃のように独りになるのが……
そう自身に問うてみても、答えを出せるほど吟味もしていない

グラハム「だから、マリーダに縋るのか……私は」

この感情は、彼女を利用する為の都合のいいものなのか
――もしそうなら、私は……
417 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/21(火) 04:20:38.10 ID:q6O0+WVAO
その時、グラハムの携帯電話が着信に震え点滅する

グラハム「!」

表示された名前は、セルゲイ・スミルノフ
確かデュバル少佐の調査に自ら出向いていたはずだ
これはその報告だろうか

グラハム「……」

取るべきか、取らざるべきか
グラハムは少し迷ってから、淡く光る携帯電話へと手を伸ばした

TO BE CONTINUED...

―ユニオン軍・宿舎―

<エントリイィィーーッ!!

「あれ、俺の出番は?」
418 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/21(火) 04:27:42.40 ID:q6O0+WVAO
投下終了だフラッグファイター

サブタイ詐欺は気にしないでくれ、よく分からんことになってしまった

次回【翼】

片方だけでは、飛べない
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/21(火) 07:26:25.21 ID:HQDAQokR0
>>1キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(・ )━(∀・ )━(・∀・)━イイ!!!!
おつおつ。
和服姿のマリーダが見れるとは・・・
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/21(火) 21:27:33.35 ID:o/O7TIz90
乙と言わせてもらおう
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/06/21(火) 21:30:08.66 ID:iKaOGPINo

なんかグラハムがかわいい
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/21(火) 22:03:52.78 ID:uJqBx8oDO
マイ技術中尉も登場しそうな予感
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/21(火) 22:14:15.76 ID:26co7wjDO
乙です。
マニアックな機体多いみたいなんで、ザンスカール系モビルスーツも出してみませんか・・・メッメドーザとかゲンガオゾとか・・・
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/06/21(火) 22:21:23.75 ID:GP0R3bFUo
ホルバイン氏がゼーゴッグで飛び込んだと聞いて
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/06/21(火) 23:04:02.57 ID:2LWgF4Wb0
しかし、今のハムの状態で可能性の獣に乗る場面が想像がつかないな。
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/22(水) 00:16:17.19 ID:Dr36T2aDO
あまり出しすぎると00の世界観壊れちゃうからほどほどでいいような
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga sage]:2011/06/22(水) 01:32:32.92 ID:LF/boeip0
このハムはブシドーになりそうもないな
しかしそうするとサキガケやマスラオやスサノオが出てこなくなりそう
特にマスラオが出ないと後のブレイブにまで響く
マスラオ(=勇気あるもの)からブレイブ(=勇気)って名付けられたわけだし
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/22(水) 01:43:49.27 ID:PWdAbitto
ブレイヴ関連は同意だが、マスラオ→スサノオ系の機体は設計思想偏りすぎてるよな。
あのGNソードが設定上すごい武装とはいえ、遠距離武器がビームチャクラムとトライパニッシャーの特殊武装しかないのが痛い。
スタンドプレーしか見えなくなった妄執ブシドーならではの機体かな?

リボンズも赤い人(?)も特化機体だけで襲ってこないだろうし、汎用性ないときつそう…
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga sage]:2011/06/22(水) 02:12:06.73 ID:LF/boeip0
ああっしまった!
ブじゃなくてヴだ!ブレイヴだ!
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/22(水) 07:34:14.72 ID:0q277O5AO
ブレイヴはすでに設計図があるじゃないですか
それを元に、マスラオができるかも
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/22(水) 19:01:12.42 ID:p2WolWv3o
あ、そういえばそうか…
いずれにせよ、RGMシリーズといいガノタ脳が活性化するスレですね!
続きも楽しみです
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/06/24(金) 11:47:04.69 ID:yxQJ/1bY0
今日G-ROOMSを読んでいたんだが、GN-Xて純国連製の量産一号機が生産できるまで三年かかった
みたいだね。まあ制式採用が決まって量産一号機の情報が公開されたから、もっと前に完成して
かもしれないが。この小説ではRGMのロールアウトはグラハムが入院中にもう出てきたので早いなと思
ったけど、この話でのGN-Xのロールアウトいつになるのかな?
(本編でGN-Xの量産が遅れたのは機体の解析と量産体制が整うのに三年かかったみたい。そのあい
だは既存のMSを使用して世界を統合していったみたいです。使用した機体には国連仕様のオーバ
ーフラッグもあったみたで、無理な機体設計を改善した機体を使用していたのかな?)
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/24(金) 13:07:13.49 ID:zb4zd6LDO
>>432
どうでもいいからsageてね
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/06/27(月) 13:06:03.51 ID:nSp4clGAO
今夜来るとみた
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/27(月) 14:38:42.10 ID:7VsY6H0IO
誘い出されて現れるか……ガンd(ry
436 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/28(火) 00:53:50.37 ID:1Bxy9QYAO
読まれていただと……!?

投下再開だ、フラッグファイター
437 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/28(火) 01:03:26.44 ID:1Bxy9QYAO
―ユニオン・イリノイ基地―

ジョシュア「ぶはぁっ! ……はぁ……」

ジョシュア「くそっ……もうこんな時間かよ」

ジョシュア(しかしまぁ、アラスカのジョシュアが此処まで衰えるとはな)

ジョシュア「……くそっ!」

ダリル「ようジョシュア」

ジョシュア「!」

ダリル「ひでぇ汗だな、まさか朝からずっとか?」ホレ

ジョシュア「何だよ、病み上がりをからかいに来たのか? 暇な野郎だなダリル」フキフキ

ダリル「ま、程ほどにはな」

ダリル「無理はすんなよ。肩が砕けてたんだ、いきなり鍛えたところでどうにかなるもんじゃねえんだ」

ダリル「今度は疲労で倒れましたなんて冗談、御免だぜ?」

ジョシュア「いつからてめえは俺の世話が焼けるほど偉くなったんだかな」

ジョシュア「……いまいち操縦桿を握れてるって感じがしねえ。無理にでも動かさなきゃ、止まっちまいそうでな」

ダリル「ガンダムを倒したってのに、俺達の仕事は一向に減りそうにねぇ」

ジョシュア「休暇が終われば忙しくなる、今の内に事に馴れとかなきゃしょうがないだろうよ」

ジョシュア「……そういや、タケイは?」

ダリル「ん、あぁ……アイツはMSドックだよ」
438 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/28(火) 01:12:39.52 ID:1Bxy9QYAO
ダリル「あそこは今、乗り手の居ないオーバーフラッグの解体作業が急ピッチで行われてる」

ダリル「目に焼き付けておきたいんだとよ……仲間の機体の最後を」

ジョシュア「へぇ……」

ジョシュア「あの無口がそんな事を言うなんてな、来たときは一番変な奴だったのに」

ダリル「アイツはアイツなりに、GN-Xに乗れないことを悔やんでいたみたいだからな」

ジョシュア「……仕方ねえだろう。アイツが憂いてどうにかなる話でもない」

ジョシュア「念仏でも唱えてた方がよっぽど供養になるぜ」

ダリル「……」

ジョシュア「それより、例の話はどうなってんだ? ほら、例の新型の件」

ダリル「あぁ……GN-Xの支給の話か」

ダリル「カタギリ顧問にも聞いてみたが、先行生産機はまず軌道エレベーター付近の警備に回されるらしい」

ダリル「現状の軍事行動は各国の旧型を使うことで対処しろってことだ」

ジョシュア「やっぱりそうなるか……けちくせえ」

ダリル「だが妥当だな。三大国合同の軍事力は今や圧倒的、例え全MSがアンフになったって敵らしい敵なんぞ……」

ダリル「……」

ジョシュア「? どうしたよ」
439 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/28(火) 01:29:28.05 ID:1Bxy9QYAO
ダリル「いや……忘れてたぜ。宇宙にいたんだったな、厄介な奴が」

ジョシュア「……例の新型か」

ダリル「あぁ、コードネーム【サイクロプス】。モノアイタイプの疑似太陽炉搭載型MS」

ダリル「ファーストコンタクトが俺だってのに、忘れちまうなんてな。情けねえ!」

ジョシュア「いきり立つなよドレッドゴリラ、暑苦しい」

ダリル「あぁ!?」

ジョシュア「それで、そっちに対する技術顧問殿の見解は」

ダリル「……チッ」ガサゴソ

PP

ジョシュア「へえ……」

ダリル「武装はライフルにも使えるビームマシンガン、ビームアックスにシュツルムファウスト、バズーカ持ちや旧世代の武装を流用した奴もいたらしい」

ダリル「あれから幾つも宇宙で小競り合いが起きてるらしくてな。RGMに代表される新戦力も半分以上がお空の上だ」

ジョシュア「へえ……」

ジョシュア「そういやほら、アイツも駆り出されたんだろ? あのアホウドリ」

ダリル「アホウドリ? あぁ……エイミーか」

ジョシュア「RGMカスタム・ストライカーユニット装着の近接タイプを受領したって喜んでやがったぜ、アイツ」

ダリル「ま、ガンダムとは戦えなかったからなアイツ……無事だった予備パイロットは即座に戦線に送り出されてたし」

ジョシュア「マリーダにちょっかい出して半殺しにされてたよなアイツ、よく即座に復帰出来たもんだ」

ダリル「軌道エレベーターで降りてる時か……ありゃサンドバッグもエイミーに同情したね」
440 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/28(火) 01:40:49.46 ID:1Bxy9QYAO
ダリル「その可哀想なエイミーちゃんなら、ほれ」

バサッ

【鋼鉄のカウボーイ エイミー・ジンバリスト! 軌道エレベーター防衛戦で五機のティエレンを撃破!】

【遅れてきた天才エイミー・ジンバリスト、その魅力とは!】

ジョシュア「……あらららら」

ダリル「あれから分かったんだけどな、アイツGN粒子を使うMSの操縦になると途端に腕が上がるみたいでな」

ダリル「RGMに乗り換えてからの戦果は新型に乗り換えた奴らの中でもぶっちぎり、他の奴らが馴れないでよちよちやってる隣でリミッター外してブン回してるとさ」

ジョシュア「暴れ馬を乗りこなすように新型MSを乗り回すその姿はまさに新時代のカウボーイ……あのアホウドリが大した出世だぜ」

ダリル「まぁRGMカスタムともなればGN-Xに並ぶ性能だ、人は何が取り柄か解ったもんじゃねえな」

ジョシュア「……」ペラッ

ジョシュア「……それに引き替え、グラハム少佐の記事はちっちえぇな」

ダリル「そりゃあインタビューも殆どうけちゃいないし、あの人のマスコミ嫌いは相当なレベルだ」

ダリル「マスコミは自分達になびかない対象にゃ手のひら返す、そういった意味じゃ隊長のマスコミ受けは最悪の部類に入るぜ」

ジョシュア「おーおー、【ライセンサーはGN-Xにも乗れないただの腰抜け】【ガンダム打倒の裏側、ただのプロパガンダか】、酷い書かれようだぜ」

ダリル「エイミーとはえらい違いだが……この調子でアイツには世間様の目を引きつけてもらいたいもんだな」

ダリル「毎度毎度記事がこんな感じなもんで、マリーダ中尉の機嫌が……だ」ピッ

ジョシュア「くわばらくわばら……」

ジョシュア「今頃どうしてんのかねぇ、うちの隊長殿は」

ダリル「さぁな……」
441 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/28(火) 01:46:37.13 ID:1Bxy9QYAO
           ・
                         ・
                         ・



セルゲイ『やあグラハム。容態はどうかな』

グラハム「お陰様で、有意義な休暇を過ごしておりますよ」

セルゲイ『そうか。日本の原風景は美しいと聞く、しばし戦場から離れて心を落ち着かせるのも一興だろうよ』

グラハム「えぇ、条約で保全されているだけのことはあります」

グラハム「いつか大佐をお誘いして、桜でも眺めながら一献と洒落込みたいものですな」

セルゲイ『それは夢のある申し出だ。君の全快祝の時には、それを見越して奮発させてもらおう』

グラハム「はは……期待させて頂きます」

チュドーン

『私は下士官以下のクズパイロットだ……こんなんじゃスミルノフ大佐に申し訳が立たないっ!』ウワァァァァン

ソーマ『落ち着け少尉! 今のミスは君の責任ではない!』

グラハム「……今のは?」

セルゲイ『あぁ、彼女は先日新しく配属された新人の女性士官でな』

セルゲイ『技量は高く度胸もある……だが如何せんメンタルが弱すぎて、ちょっと失敗するだけでいつもああなのだ』

グラハム「はは……苦労しますなスミルノフ大佐」

セルゲイ『だが光るモノもある。上手く育てられればきっと良い軍人になってくれる筈だ、気長に待つさ』

グラハム「スミルノフ大佐のお墨付きとは、いずれ共に戦う日が楽しみでなりません」

セルゲイ『他人事だと思って……全くお前という奴は』
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/28(火) 01:56:22.94 ID:AOJ4YreAO
なんとまぁ
あの泣き虫かい

最終決戦時には一気に垂直下降して相手を抑え込んだりと
伸び代はあるに違いない
443 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/28(火) 01:58:10.65 ID:1Bxy9QYAO
セルゲイ『しかし……パイロットスーツやユニオンの軍服を着た君はよく見るが、日本の着物を着た姿を拝見するのは初めてだな』

グラハム「作務衣です、ホーマー氏に貸していただきました」

グラハム「なかなかの着心地、爽快ですよ」

セルゲイ『新鮮だが、よく似合っている』

グラハム「ありがとうございます……少々、気恥ずかしい面も否めませんが」

グラハム「スミルノフ大佐とピーリス少尉にも私から一着お届けいたしましょう。特に少尉には、マリーダからも同じ提案がありました」

セルゲイ『ほう』

セルゲイ『私はともかくとして、ピーリスならば着物も映えよう』

グラハム「如何にも、可憐な和服姿が瞼に浮かぶようです」

セルゲイ『うむ……』

セルゲイ『ところで、君がその格好ならば彼女もそうなのだろう』

セルゲイ『で、どうだった?』

グラハム「は……?」
444 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/28(火) 02:09:31.56 ID:1Bxy9QYAO
セルゲイ『とぼけずとも良かろう。率直な意見を聞きたいだけなのだからな』ニヤニヤ

グラハム「お戯れを……」

セルゲイ『きっとよく似合うのだろう、彼女も年相応の乙女だ』

セルゲイ『乙女座と乙女か……ふふ、良いものだな、若いとは』

グラハム「た、大佐!」

『うわぁぁぁぁぁぁぁん!』

ソーマ『少尉ッ! 少尉ィィィイ!!』

セルゲイ『っと……何やら慌ただしくなってきたな』

セルゲイ『済まないなグラハム、夜半の暇つぶしに付き合わせてしまったようだ』

グラハム「え……?」

セルゲイ『マリーダ中尉の感想はまた後で聞かせてもらうとしよう。それでは……』

グラハム「そ、それだけだったのですか?」

セルゲイ『? どうしたグラハム』

グラハム「いえ……私はてっきり、軍部で何か情報が手に入ったり、例のヅダの一件についての話かと……」

セルゲイ『うむ、其方については分かり次第君にも伝えるつもりだ』

セルゲイ『今夜はただ、久しぶりに君と話したくて電話したのだが……もしかして迷惑だったかな、済まない』

グラハム「そんな、滅相もない!」

グラハム「ただ……」

グラハム(ただ……)

グラハム「……」

セルゲイ『……グラハム?』
445 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/28(火) 02:27:21.05 ID:1Bxy9QYAO
セルゲイ『……どうやら色々と考え込んでしまっているようだな、お前は』

グラハム「……っ」

セルゲイ『せっかくの休暇なんだ。ゆっくりと休めばそれでいい』

セルゲイ『一つだけ私から言えることがあるとすれば……君も私も軍人だ』

セルゲイ『だが私は、それ以前に友人として君と関わっていたいと思っている。それだけは知っておいてくれ』

グラハム「……!」

セルゲイ『それでは、ピーリスが新人に手を焼いているようなのでな』

セルゲイ『また……』

グラハム「大佐!」

セルゲイ『ん?』

グラハム「……おや……」

グラハム「おやすみなさい……スミルノフ大佐」

セルゲイ『……あぁ、おやすみグラハム』

ピッ

グラハム「……」
446 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/28(火) 03:04:27.47 ID:1Bxy9QYAO
グラハム「友人……か」

グラハム「勝手に壁を感じていたのは私の迷いか、間抜けな話だ」

グラハム「……」

グラハム「ふっ……らしくない。私ともあろう者が、他人との関わり合いに怯え竦むとは」

グラハム「私は私の道を進む……己の意志で世界と向き合う。そう誓ったばかりではないか!」

グラハム「新たなるフラッグファイターの為にも路を切り開かねばならんッ……迷ってなどいられるかよ!」

グラハム「そうと決まればッ!」

グラハム「 寝 る !」バッ

グラハム「……ZZZ……」スヤスヤ

―廊下―

マリーダ「……」

マリーダ(マスターの様子が芳しくなかったから見に来たが……やはり取り越し苦労だったか)

マリーダ(友人……か)

マリーダ「……」

猫「にゃーん」

マリーダ「ん、どうした十二。また司令が戸を閉めてしまったか」

猫「ゴロゴロ」

マリーダ「よしよし、今夜は私のところで寝ると良い」スッ

マリーダ「……おやすみなさい、マスター」
447 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/28(火) 03:31:43.89 ID:1Bxy9QYAO
―そして数日後―

リディ「うぅ……」

イリノイ空港からバスを乗り継ぎ、今まさにイリノイ基地へと向かうバスの中
リディ・マーセナス准尉は俯きながら襲い来るプレッシャーと車酔いに苦しんでいた

リディ(迎えの車を断ったまでは良かったけど、まさかこんなに長くかかるなんて……!)

車酔いはさほど強くない。酔い止めを持つ必要もないし、そもそもMSに乗った時の方が遥かに激しい衝撃に見舞われるのだから
問題はプレッシャーの方にある、リディ自身も自覚していることだった

リディ(確かに前線勤務は希望してたし、転任届も出してはいたけど)

リディ(まさかあのトップガン、グラハム・エーカー少佐直々にお誘いが来るなんて……!)

リディ「うっ……」

手のひらに「エレガント」と書いて飲む、もう何度繰り返したか分からない行為に没頭するリディ
昔パーティーに参加していた謎の人物に教えてもらった緊張をほぐす行為なのだが、意味があるかどうかは自身もよく分からないでいた

リディ(でもやらずにはいられないっ……!)

数にして三十五回目となる「エレガント」の記入を終えた頃、無情にもバスは基地の前で停止した
降りながらふと思い返す、グラハム・エーカーとの邂逅
あれは確か、士官学校でのことだったか……
448 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/28(火) 03:47:50.47 ID:1Bxy9QYAO
『初めましてだな、未来のフラッグファイター諸君』

『敢えて名乗らせてもらおう。グラハム・エーカー中尉だ、今日一日宜しく頼む』

リディ「……」

ちょうどガンダムが現れる一年ほど前になるだろうか、もしかしたらもっと早かったかもしれないし遅かったかもしれない
トップの成績で卒業し、未だその記録は破られないまま。最新鋭機フラッグのテストパイロットを務め、更には唯一無二の空中変形【グラハム・マニューバ】を使いこなすユニオン屈指のエースパイロット
彼がかつての母校に帰ってきたのは、本当に偶然だった

リディ(その日、たまたま遅刻してグラハム中尉を待たせちまったんだよな……)

リディ(いつもの調子で夜遅くまで筐体使って訓練してたから、あん時は流石に肝が冷えた)

当初、遅れてきた自分をグラハムは明らかに嫌悪の目で見た
嫌われたな……諦めはすぐについたが、やはり少し悲しかったのを今でも覚えている
それからの訓練で教官が気合いを入れすぎて、皆声も出せなくなっていたせいか余韻も糞もなかったのが幸いだったけど……

リディ(それがまさか、本人からご指名で配属先に決まるとは)

リディ「分かんないもんだな、世の中なんて」

基地の入り口、憲兵に階級章と書類を手渡し敬礼。中に入る
此処がこれからの自分の帰る場所になる、そう考えると少しワクワクさえしてきた
449 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/28(火) 04:03:31.51 ID:1Bxy9QYAO
「リディ・マーセナス准尉」

その時だった
不意に背後から名指しで呼ばれた。それが誰かなど気にする余地もなく、半ば反射的に応えて振り向く

リディ「! はい、何でしょ……」

完全に、不意打ちだった

グラハム「やはりか、体格が変わったな。一瞬分からなかったぞ准尉」

リディ「はっ……!?」

噂をすれば何とやら、其処にいたのは先ほどまで脳内で侮蔑の眼差しを送っていたグラハム・エーカーその人で
全く心の準備が出来ないままの遭遇に、全身の関節が硬直した

グラハム「迎えを断ったそうだな。気負うのは勝手だがそちらの方が時間もかからないし、何より椅子を尻で磨くだけの暇な兵士が一人減る」

グラハム「君も士官だ。そのくらいの贅は受けておいても罰は当たるまい」

リディ「あ……申し訳ありません……!」

グラハム「構わんよ。老害の小言と聞き流してくれればそれでいい」

グラハム「何年ぶりかの邂逅だ、改めて名乗らせてもらおう」

グラハム「ライセンサー、グラハム・エーカー少佐だ。以後宜しく頼むぞ、フラッグファイター」

笑顔で差し出された右手を、ただなされるがままに握り返す
今鏡を覗き込めば、口を開ききった情けない顔が映し出されることだろう

グラハム「……」フッ

そのせいなのだろう
握手した瞬間の少佐の顔が期待通りだと笑ったことさえ、この時は気付けなかった
450 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/28(火) 04:21:09.19 ID:1Bxy9QYAO
リディ「り、リディ・マーセナス准尉であります! 本日ただ今を以て、グラハム・エーカー少佐指揮下の部隊に入ります! 宜しくお願いします!」

グラハム「期待させてもらおうマーセナス准尉。さて、いきなりで悪いが顔を借りるぞ」

リディ「は……?」

グラハム「来たまえ、見せたい物がある」

そう言われ、連れてこられたのはMSドック。慌ただしく整備士達が走り回り、作業用のワークローダーが所狭しと駆け巡っている小規模の戦場だ

リディ「あ……!」

グラハム「……」

その中心に悠然とそびえ立つ黒い巨人、入ってすぐに目を奪われた
SVMS-01O、通称オーバーフラッグ。対ガンダム調査隊として集められた精鋭部隊が搭乗した、最高レベルのユニオンフラッグだ

グラハム「君の乗るフラッグだ。既に調整は済ませてある」

リディ「……オーバーフラッグ……」

――オーバーフラッグ
憧れもしたし、憎みもした機体
というのも、オーバーフラッグスの設立によりグラハム少佐の部隊への転属が大幅に遅れたという過去があるからだ
そして、目の前の【コイツ】はそれを忘れさせてくれるほどに、雄々しく、魅力的だった

リディ「俺の……フラッグ……!」
451 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/28(火) 04:37:52.85 ID:1Bxy9QYAO
見とれている間などない、そう言うようにグラハム少佐が口を開いた

グラハム「マーセナス准尉、訓練基地での記録は見せてもらった。かなり優秀な成績で卒業したようだな」

リディ「はっ、ありがとうございます。ですが少佐の記録ほどではございません」

グラハム「謙遜も上手いな、育ちの良さが伺える」

リディ「……生まれや育ちは関係ありません。私は私としてMSのパイロットを希望し、此処にいるんです」

グラハム「ならば問おう。君はMSパイロットとして最も必要な素質は何と考える?」

リディ「はっ! 冷静沈着な状況判断と、自らの力量に見合った戦術飛行を取ることです!」

グラハム「訓練基地で常に教わっていることだな、私も一日十回は復唱した」

グラハム「君自身の言葉では語れんか、准尉」

リディ「……」ムッ

急に突っかかってくるような物言いに変わる少佐
少々苛つきはしたが、そのまま言葉を返す

リディ「先ほど申し上げた言葉に偽りはありませんよ。ですがマーセナス家の人間としてではなく、リディ・マーセナスとしてやれることを示す」

リディ「それが俺自身の目標であり、矜持です!」

グラハム「……ほう」
452 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/28(火) 04:49:24.93 ID:1Bxy9QYAO
ビリー「いやはや、気持ちのいい啖呵を切るね。期待の新人君」

リディ「!」

グラハム「カタギリ」

若干睨み合いに近い会話を止めるかのように、背の高いポニーテールの男性が間に割り込んできた
グラハム少佐がカタギリと呼んだということは、彼が噂の技術顧問、ビリー・カタギリなのだろう

グラハム「準備は出来ているか?」

ビリー「勿論だよグラハム、休暇明けで相変わらずの無理難題だったけどもう馴れたしね」

グラハム「リディ・マーセナス准尉」

リディ「……はっ!」

グラハム「更衣室はこの先のドアを抜けて最初の曲がり角を曲がった左手側だ」

グラハム「着替えてこい。出撃の準備だ」

リディ「はっ……!?」

グラハム「リディ・マーセナスとしての矜持、口ではなく行動で示してもらおうというのだ」

グラハム「出来るか? リディ」

リディ「……!」

カタギリ技術顧問が笑っている、どうやら最初から誘導されていたらしい
仕組まれていたという不快感はなかった。ただオーバーフラッグに乗れるという高揚感と、目の前の彼の期待に応えたいという使命感のようなものが腹の底から湧き上がってくるのを感じた
――やってやる

――やってやるさ!

リディ「……やります!」

グラハム「それでこそだ、フラッグファイター!」
453 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/28(火) 05:06:17.72 ID:1Bxy9QYAO
技術顧問から渡された新しいパイロットスーツを手に、更衣室目掛け脇目も振らず走り出す

新しい一歩を踏み出したような感覚に、目眩さえ覚えた

TO BE CONTINUED...

『さぁて、そろそろ始めるとするか!』

『オレの、オレによる、オレの為の戦いをよ!』

『あげゃげゃげゃげゃっ!!』
454 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/06/28(火) 05:13:16.79 ID:1Bxy9QYAO
投下終了だフラッグファイター

次回【侵入】

彼女に引き金を引くことは出来るのか
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/28(火) 07:12:43.82 ID:LVd+v2or0
>>1キタ―(゚∀゚)-( ゚∀)-( ゚)-( )-( )-(゚ )-(∀゚ )-(゚∀゚)--!!!
おつおつ。
とうとうリディ来たか。。。
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/28(火) 09:33:59.91 ID:XG642yYDO
この世界、トレーズ様までいるのかよwwwwww
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2011/06/28(火) 16:41:35.04 ID:g374YTcS0
>手のひらに「エレガント」と書いて
トレーズ様さすがですwwwwwwww
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/28(火) 23:57:57.86 ID:qUdab9zg0
トレーズ閣下までいるのか
なんというGジェネ00・・・


いや、Gジェネマスターか
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/29(水) 00:57:18.55 ID:h1F4YFCAO
フラッグ的にGジェネファイターとでも呼ぼうか
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/06/29(水) 02:19:03.91 ID:TDVJUZN5o
トレーズ閣下wwwwwwwwwwww
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/29(水) 07:08:52.41 ID:qAqD0VrIO
乙乙
セルゲイとハムの会話が良い感じで好きよ
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/07/01(金) 00:20:12.74 ID:NCPPUV4AO
もうすぐ一月か
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/01(金) 04:27:12.50 ID:jp83yWNDO
コポォから始まったSSとは思えん
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/07/02(土) 22:19:45.41 ID:EoLHpK900
やばいぞ…、あげゃが来る…。
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/02(土) 23:27:53.58 ID:nVrGUTKDO
あげゃ好かん言ってたからフェードアウトかと思ってたが出るんか
466 :sage :2011/07/03(日) 01:40:15.51 ID:nNbelF3F0
あげゃはチートすぎるキャラだが、使い方よってはこいつならしかたないと
思わせる事ができて、物語をつくるうえで便利なキャラだからなー
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/05(火) 00:12:26.00 ID:q/S8QRFAO
そろそろ来ないかな
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/07/05(火) 00:15:12.83 ID:vWQ1dYfho
もう三日程度とみた
469 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/05(火) 01:01:35.51 ID:oyzlWSHAO
グラハム「マリーダ……来週までにコストを500落としてこい!」←2000コスト

マリーダ「!?」←2500コスト

投下再開だフラッグファイター
470 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/05(火) 01:05:18.35 ID:oyzlWSHAO
―ヴェーダ―

「…………」

量子型演算処理システム・ヴェーダ。電子によって構成された六角形の情報体が、この世界のあらゆるネットワークに食い込み膨大な情報をアップロードしていく

その中には肉体さえ持たないものの、ソレスタルビーイングで戦い続けた四人同様ガンダムマイスターの権限を有する存在、疑似生命体ガンダムマイスター874(ハナヨ)の存在があった

874「……」

彼女は今、自身の端末機であるHAROを使い、作業の真っ最中である
作業対象もまたHARO、黒いHAROに増設と特別な【システム】の組込、そして戦闘用端末として動くことの出来る最大限の吟味
874は今、ヴェーダの命令の外でこれらをこなしていた

『間に合いそうかな?』

874「ごめんなさい、もう少し時間がかかってしまう」

『うぅん、いいの。あたしの我が儘だもん』

874「そう……」
471 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/05(火) 01:15:22.60 ID:oyzlWSHAO
874「……」

『どうしたの? 874』

874「ヴェーダの中で、最初に貴女を見つけ出した時のことを思い出して……」

874「まさかこんなことまでしてあげるようになるなんて、あの頃は全く思わなかったから」

黒いHAROにマニピュレーターを突っ込み、混沌と化した配線を一つ一つ適切な配列に繋げ直していく
気の遠くなるような作業だが、そもそも疑似人格であるマイスター874には時間の概念すら存在しない
この器に組み込む為の中核を担うサイコミュ、その重要な部品をコアに作り込むこのHAROは一回りほどサイズも大きい代物
それ故に造った後の整備を他のHAROに任せることが出来ない。マイスター874はどうするべきかと思考を巡らせていた

『うふふ、874は優しくなったもの』

874「……私が……?」

『うん、そうじゃなかったら【亡霊】のあたしにこんなによくしてくれないよ』

874「……その言い方は好かない」

『うん、ごめん』

874「……ふふっ」

『うふふっ』
472 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/05(火) 01:19:18.99 ID:oyzlWSHAO
――事故により分かれた精神と共に、二十年近くを歩んだ自らの肉体
戻ろうと思えば自身の肉体に戻れたであろうに、彼女はそれをしなかった
それを彼女は新たな【個】と捉え、自身のモノではないと認識したからだった

『私は、私を殺せなかった』

同じ経験がある874位にしか解らないであろうこの思考と行動、故に874は彼女の為に新たな道を切り開こうとしていた
この高潔な魂が、新たな可能性を切り開いてくれると信じて

874「もう少しだけ……もう少しだけ私に時間を預けて、プル。貴女の望むままに動ける身体を、必ず造り上げてみせる」

『ありがとう、874』

874「いいの。私が望んだことだから」

不思議と、ヴェーダには何の警告も為されなかった
それはヴェーダが彼女の可能性を重く見ている故か、はたまたその存在に価値を見いだしていないのか
それは874もプルも理解の範疇外であった
473 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/05(火) 01:31:20.07 ID:oyzlWSHAO
―イリノイ基地―

グラハム「……」

ビリー「やぁグラハム、君がモニターとにらめっこだなんて」

グラハム「! カタギリ」

グラハム「全く、何処に行っていた? 探したぞ」

ビリー「ドーナツが切れたから補充しにいってたのさ。エネルギーは如何なる生産活動にも必須な存在だからね」

ビリー「君に頼られるのは悪い気分じゃないけどさ……また何かフラッグに取り付けるつもりじゃないだろうね?」

グラハム「今のところは、な」

ビリー「そりゃあ有り難い……マーセナス准尉のデータに合わせて半日でフラッグを整備しろって難題よりはマシなのを頼むよ」

グラハム「尽力するよ技術顧問殿」

グラハム「さて……本題に入るぞ」

ビリー「どれどれ?」

ヴンッ

ビリー「!」

グラハム「見ての通り……新型MS・RGMとそのバリエーション機だ」
474 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/05(火) 01:42:01.74 ID:oyzlWSHAO
ビリー「グラハム……こんなに詳細なデータ、一体何処で手に入れたんだい?」

グラハム「日本からの帰路でホーマー司令に少し、な」

グラハム「今朝マリーダから手渡された。流石は司令、仕事にそつがない」

ビリー「叔父さんも君達には甘いんだから……」ハァ

グラハム「ふっ、それを君が言うか? カタギリ」

ビリー「耳が痛いね。さて……どれどれ」

ビリー「キャノン、アクア、ストライカー、陸戦強襲型、スナイパー、寒冷地仕様、ヘビーウェポンA型からD型……」

ビリー「はっ、まるでパリコレのファッションショーだよ」

グラハム「全くだ。GN粒子のなせる業とはいえ、1ヶ月やそこらでロールアウトされたMSにこのバリエーションはおかしい」

ビリー「そもそもGN-Xの解析が済んですらいないのに、それよりも難しいコンデンサータイプの量産型がこんなに早く出て来ること自体有り得ないよ」

グラハム「先行量産型と支給対象の技量に応じてのカスタマイズ……まだ国連軍の保有するMS総数の数%にも満たない数だが、やはりおかしい」

ビリー「やはり、GN-X同様提供されたと考えるべきだね」

ミーナ「それも量産体制とそれを補うデータも含めて、ね」

グラハム「……」

グラハム「ん?」
475 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/05(火) 01:52:37.67 ID:oyzlWSHAO
ビリー「ミ、ミーナ!?」

グラハム「いつの間に……!」

ミーナ「逢いたかったわビリーっ! 私が居ない間寂しくなかった?」ギュー

ビリー「ち、近いよミーナ……!」

グラハム「君は相変わらずだなミーナ女史、真っ黒けの人食い共からは逃げられたのかな?」

ミーナ「抜かりなく♪ 貴方も随分肌の艶が増したんじゃない、グラハム少佐」

グラハム「お陰様でな、十分過ぎる休暇を取らせていただいたよ」

ビリー「グラハム、良いのかい……此処は軍のッ……」

グラハム「構わん。もう知らぬ仲ではないし、彼女のNT研究に協力するという話は着けてしまった」

グラハム「耐えろカタギリ、手は出すなよ」

ビリー「そんな殺生なッ……!」

ミーナ「あらん、私としては強引なのも好みだけど……」

リディ『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』チュドーン

ミーナ「ふぇ?」

ビリー「これは第三モニター、訓練用の筐体?」

グラハム「ハァ……馬鹿者め……」
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/07/05(火) 01:56:04.64 ID:DZV3wdFfo
なんという僥倖!まとめから此方に移ってきた甲斐があったというもの!
477 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/05(火) 02:04:34.24 ID:oyzlWSHAO
−訓練室−

プシュウウ……

リディ「ぐええ……」

ダリル「おいおい、吐くんじゃねえぞ新人。それと剥がれたSYOSYURIKIを壁に張り付け直すのも忘れるな」

リディ「はぁ……はぁ……っ」

ダリル「やれやれ、潰れたカエルの方がもう少しハンサムな死に様してるぜ」

ジョシュア「本日三度目の地面とのディープキスだな坊や、この調子だと坊やの撃墜数だけでマリーダが昇進しちまうぜ」

リディ「っ、坊やは止めてくださいエドワーズ少尉!」

ジョシュア「おっと、坊ちゃんの逆鱗に触れたか」

ジョシュア「親父さんに睨まれて別の基地に飛ばされないように気をつけなきゃな……くっくっく」

リディ「……くっ……!」

ダリル「ジョシュア、それくらいにしとけ」

ダリル「とはいえ……シェルフラッグのデータでオーバーフラッグを叩き落とすとはな」

ジョシュア「流石は少佐殿の切り札、マリーダ中尉ってところか」

プシュウウ……

マリーダ「……」バサッ

ジョシュア「うっへ、汗一つかいてねえ……」

ダリル「はは、末恐ろしい限りだぜ」

タケイ「……」ツンツン

リディ「つ、突っつかないでくださいよタケイ准尉!」
478 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/05(火) 02:18:53.95 ID:oyzlWSHAO
マリーダ「マーセナス准尉」

リディ「ッ! はっ、訓練有り難うございます中尉!」

マリーダ「状況判断が甘すぎる。牽制からの本命一発、トライデントストライカーの基本戦術に忠実過ぎて動きが単調になっているぞ」

マリーダ「それにミサイルも垂れ流すものではない、戦術の起点としても良し、一撃離脱の〆にするも良し、弾数が少ないとはいえ出し惜しみしていては重量の無駄だと訓練基地では教わらなかったか?」

リディ「……申し訳ありません……」

マリーダ「オーバーフラッグの性能でシェルフラッグにも勝てないようではマスターにもご迷惑をかけてしまう、荷物を纏める準備をするか、より一層の努力を期待する」

マリーダ「先に出る。後は任せたぞ」

タケイ「おつかれさまです、中尉」

ダリル(シェルフラッグで飛んでるオーバーフラッグにしがみつく人が言っちゃいけないよな……)

ジョシュア(重装型だったよなあれ……軽装型でもあんな動きする奴いねーっつうの)

リディ「……」ズーン

ダリル「ま、相手が悪かったな新人」ポン

ジョシュア「元気出せよお坊っちゃん、ありゃ別格だ」ポン

ビリー『……あらら』
479 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/05(火) 02:32:49.63 ID:oyzlWSHAO
ビリー「新人くんは随分と絞られたようだね、グラハム」

グラハム「マリーダには手加減無用と話してある。当たり前だ」

グラハム「今の彼女には私とて勝てるかどうか……ふふ、強いぞマリーダは」

ミーナ「その割りには嬉しそうじゃない? 少佐」

グラハム「後ろから追随されるプレッシャーがあるからこそ、前に進む活力が生まれるものだよミーナ女史」

グラハム「後はリディだな……まだオーバーフラッグの加速力、制御し切れてはいないらしい」

ビリー「当たり前だよ……オーバーフラッグスは各地のエースパイロットを召集した特殊部隊だったんだ」

ビリー「彼はまだ21歳、歴も短いし実戦経験だって……」

グラハム「それでも、奴は必ず伸びるさ」

ビリー「……」

グラハム「あぁ伸びるとも、伸びてもらわねば困る」ニヤッ

ミーナ「あら、悪い笑顔」

ビリー「先が思いやられる……」
480 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/05(火) 03:10:02.25 ID:oyzlWSHAO
ミーナ「それにしても、マリーダ・クルス中尉の技量はとんでもないものね」ピッ

ミーナ「もはや同年代の女性はもちろんのこと、現在登録されているパイロットの平均値を遥かに凌駕するレベルに到達しているわ」

グラハム「……」

ミーナ「ま、その理由については今更語る必要も無いでしょうけど」

ミーナ「MS工学についてもある程度精通してるらしいし、オペレーティングも高評価、おまけにNTとしての能力は少佐、貴方以上の数値が出ている」

ミーナ「嫉妬する気にもならないわね。まさにパーフェクト・ソルジャー……」

グラハム「料理も上手だ。司令の好物、肉じゃがを馳走になったがあれは美味かった」

ミーナ「へ?」

グラハム「それに猫に好かれるらしく、ホーマー司令の自宅に泊まった際は飼い猫がよく足元に群がっていた」

グラハム「幼い頃からアイスクリームが好きで、それを良く知るホーマー司令が自宅の冷凍庫にアイスをぎっしり詰め込み奥方に怒られていた……」

ビリー「……」

グラハム「私の中の彼女はそういう人間なのだよミーナ女史。戦士という側面も持ち合わせていれば、年相応の少女の一面も併せ持った、たった一人のかけがえの無い……命を預けるに足る、フラッグファイターだ」

グラハム「確かに彼女は強い。だがマリーダ・クルスという人物はそれだけで事足りる人物ではない……もっと違う側面から見てやってほしい」

ミーナ「……」

グラハム「私からの頼みだ、ミーナ女史。君を信頼するからこその、な」

ビリー「グラハム……」

ビリー(それにしても完全に婿養子状態だね……君は)

ミーナ「……ラージャ、了解よグラハム少佐」
481 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/05(火) 04:00:10.56 ID:oyzlWSHAO
グラハム「ならば良し、私も少し身体を動かしてくるとしよう」

ビリー「君もマーセナス准尉に稽古でもつけてくるのかい?」

リディ『ぬわーーーー!?』

グラハム「興が乗らんな」

グラハム「暫くは萎えた身体をいじめ抜くとするさ……近い内にすぐ任務要請も入るだろうからな」

グラハム「萎えた身体でオーバーフラッグに乗るわけにもいかん、我慢の時だよカタギリ」

ビリー「ふふ、相変わらずだね君という男は」

ビリー「このデータは貰っておいてもいいかな? 何かの役に立つかもしれないしね」

グラハム「構わん。元よりそのつもりだった」

グラハム「ミーナ女史は適当にくつろいでくれて構わん、だが羽目は外さぬようにな」

ミーナ「努力するわ少佐♪」

ビリー「努力だけでなく尽力してくれると助かるよミーナ……」

グラハム「ふふ、苦労するなカタギリ」

ウィンッ

マリーダ「!」

グラハム「おっと、済まん」

マリーダ「マスター、何処へ?」

グラハム「マスターは止せ。トレーニング室に向かう、付き添いは無しだ」

マリーダ「はっ」

グラハム「訓練後くらいゆっくり休め、休息もパイロットの務めだ」スタスタ

マリーダ「はい、また後ほど」

グラハム「あぁ、また」
482 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/05(火) 04:18:31.37 ID:oyzlWSHAO
           ・
                         ・
                         ・
ミーナ「じゃ、またねビリー」

ビリー「送るよ、研究所までは結構あるんだろう?」

ミーナ「職務放棄はマズいでしょ? 大丈夫よビリー、ありがとう」

ウィンッ

ミーナ「ふぅ……まだ、彼女のこと引きずってるか」

ミーナ「……かなわないなぁ……」

コツコツ

コツコツ

ミーナ「あれ……?」

マリーダ「あ……」

ミーナ「マリーダ中尉、どうしたの? もう消灯時間はとうの昔に過ぎてるはずじゃ……」

マリーダ「……」

ガシャンッ

ミーナ「え……」

ミーナ(ここ、トレーニング室よね?)

『ふんっ……!』

ガシャンッ

グラハム「はぁっ……はぁっ……」

グラハム「……っっ!」

ミーナ「グラハム……?」

マリーダ「中には入らないで頂けると……」

ミーナ「嘘……まさか、あれからずっと?」

マリーダ「いつものことです。あの方は努力を人に見られるのを嫌い、トレーニング室の空く夕刻からずっと……」

ミーナ「病み上がりよ? 幾ら何だってオーバーワークよ……!」

マリーダ「止めても聞く人じゃないから……こうやって見ているしか出来ない」

ミーナ「っ……」

マリーダ「意地を張りすぎて苦しいはずなのに、おくびにも出さずいつも笑って……」

マリーダ「弱みくらい見せてくれたっていいのに、あの人は頑固だから」

ミーナ「マリーダ中尉……」

マリーダ「……」
483 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/05(火) 04:29:39.80 ID:oyzlWSHAO
ガタッ

グラハム「……ふぅっ……」

マリーダ(終わったか、昨日よりは早いな)

マリーダ「ではミス・カーマイン、失礼します」スッ

ミーナ「あっ……」

『マスター、どうぞ』

『む……』

ミーナ「……」

ミーナ「何よ、妬ましいったらありゃしない……」

スタスタ

ミーナ「ん?」

ガコンッ

リディ「まだだ……まだ反応が遅いッ……!」

ミーナ「……あらら」

ミーナ(成る程、似た者同士って訳か)

ミーナ「……うふふっ」

ミーナ「頑張りなさい。未来のエースパイロットくん!」

リディ「っ!?」バッ

ミーナ「〜♪」ヒラヒラ

リディ「誰だっけあの人……確か少佐の……」

リディ(……胸、デカかったな……)

リディ「……そろそろ寝るか」
484 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/05(火) 04:34:43.63 ID:oyzlWSHAO
一時中断だフラッグファイター
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/05(火) 07:24:23.39 ID:rXO1JzCh0
>>1キタ - .∵・(゚∀゚)・∵. - ッ!!
おつおつ〜!
さて、今から読もう。
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/05(火) 08:41:28.62 ID:q/S8QRFAO

二期に入ってないのに面白いな
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/07(木) 19:17:30.21 ID:ovMJYv2h0
明日か今日辺りに来るか・・・?
>>1よ・・・
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/07/07(木) 19:30:14.70 ID:zdZC8nIIo
毎回急かすのは止せ、ってマリーダさんが小言いってた
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/08(金) 00:23:17.44 ID:OsderUxDO
一時中断というからすぐ来るものかと
490 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/08(金) 00:35:28.03 ID:kkEZtuPAO
――グラハム・自室――

グラハム「……」バサッ

マリーダ「マスター、お身体の具合は」

グラハム「悪くない。決められた回数のローテーション、二ヶ月前に比べるとまだまだ遅いが、段々追いつきつつはある」

グラハム「自分でいうのもなんだが元々かなりの痩せ形ではあった。予定を変更し少し鍛えてみてもバチは当たらんだろう」

マリーダ「はい、マスターがそう仰るならば」

グラハム「……」

グラハム「マリーダ、お前は例の話をどう考える?」

マリーダ「……RGMの件ですか」

グラハム「あぁ。お前のことだ、既にある程度の仮説は立てているだろう」

グラハム「聞かせてくれ。」

マリーダ「はい、マスター」

マリーダ「現在の状況に対してはカタギリ顧問と同じく、違和感を覚えます」

マリーダ「量産体制の確立とバリエーション機の開発、これらが既に完成しているのははっきり申し上げて異常です」

マリーダ「これらが成り立つ可能性は二つ……量産体制を含めた全ての情報がソレスタルビーイングの【裏切り者】から提供されたか」

マリーダ「もしくは、国連や三国の上層部にソレスタルビーイングの関係者が最初からいたか……」

グラハム「……」
491 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/08(金) 00:54:43.13 ID:kkEZtuPAO
グラハム「可能性としては前者が現実的だが、情報漏洩のことを考えても後者が0とは言い難い」

グラハム「最悪両方……ということにも繋がりかねんだろうな」

マリーダ「……」

グラハム「問題はその先だ」

マリーダ「何故、RGMを量産したか?」

グラハム「その通り」

グラハム「GN-Xに関しては三十機分の機体とGNドライブ、運用に必要な資材を渡しただけで後は完全にノータッチだ」

グラハム「だがRGMに関しては違う。開発に際して必要な技術力、データ、太陽炉搭載型という差異を含めても明らかにGN-X以上の情報量が手渡されている」

マリーダ「この一件がソレスタルビーイングの計画の内にあるとすれば、やはりRGMは地球圏統一の加速の為の布石……?」

グラハム「現れたのかもしれないな、想定外の何かが」

マリーダ「え?」

グラハム「どうしても国連軍の戦力を底上げせざるを得ず、RGMの投入を予定より早めなければならなくなるほどの強力なイレギュラーが……」ピッ

マリーダ「まさか……」

グラハム「RGMはその特性上拠点防衛に多く投入され、現在は軌道エレベーター周辺に重点的な配置が決定されているそうだ」

グラハム「マリーダ、私にはこのRGMの一件、計画した人物が相当慌てふためいたように感じられるよ」

グラハム「予想以上に根が深そうだ……人食い共に嗅ぎつけられなければいいがな」
492 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/08(金) 01:17:03.41 ID:kkEZtuPAO
PPP

グラハム「!」

マリーダ「私用の携帯電話……この番号は」

グラハム「カティ・マネキン大佐!」

PPP

マリーダ「マスター」

グラハム「あぁ……そうだな」

グラハム「いよいよ、我々が世界と関わる時が来たということだ……!」

――???――

『それでは、次の曲に行きましょう』

『2280年代、太陽光紛争時のユニオンで大ヒットした名曲をミーア・キャンベルがカヴァー』

『瞼を閉じれば、愛するあの人がいたあの時に帰ることが出来る』

『悲しみを胸に秘め、前向きに進んでいこうと歌う歌詞は、ユニオン軍の兵士達の永遠のスタンダードと呼べるでしょう』

プルツー「……」

『夜のささやかな時間、あなたの大切な人を思い浮かべながら聞いてください』

『【ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜】』

リボンズ「君がこんなものを聞いているなんてね」

プルツー「……リボンズか」

リボンズ「意外だよ。君も戦うことにしか興味がないと思っていたから」

プルツー「ヤザンやサーシェスと一緒にしないでほしいね」

プルツー「それに誰かさんから出撃停止の命令が下っているんだ、こんなことでもしなきゃ暇も潰せない」

リボンズ「それは失礼」

プルツー「思ってもいないことを……お前という奴はいつもそうだ」
493 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/08(金) 01:32:36.43 ID:kkEZtuPAO
リボンズ「なら、お詫びにしばらく此処にいよう。丁度こっちの仕事は一段落着いたからね、たまにはこういうのも悪くない」スッ

プルツー「……」

リボンズ「どうしたんだい? おいで、プルツー」

プルツー「ふん、あたしがそんな膝なんかで懐柔されると思ったら大間違いだ」

ポスッ

プルツー「……でも、今日は気分が良いから従ってやる」

リボンズ「素直じゃないね、君という人は」

プルツー「ふん……サーシェスの治療は、まだ終わってないのかい?」

リボンズ「完全に半身を灼かれていたからね、生きていること自体不思議な位だよ」

リボンズ「リハビリも考えればまだ半年以上は動けないだろう。有能な手駒だ、使えるようになるまではゆっくりと治療に専念させるさ」

プルツー「手駒……か」

プルツー「お前にとっては、あたしも手駒なんだろうな」

リボンズ「……そのことについては前に話した通りだよ」

リボンズ「他のイノベイターは上位種たる僕の支配下にあるからこそ、イオリア計画に関わり根幹となる任務に就いている」

リボンズ「僕が思考を読むことが出来ない君をわざわざ側に置き、ニュータイプであるにも関わらず重用していること」

リボンズ「それが答えだとね」

プルツー「……相変わらず節々が傲慢だ、気に入らない」ゴロン

リボンズ「傲慢ではないよ、絶対的な自信さ」

プルツー「同じじゃないか」
494 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/08(金) 01:40:34.28 ID:kkEZtuPAO
プルツー「それより、例の未確認機はどうなんだ? いつまでも此処に缶詰めじゃたまったもんじゃない」

リボンズ「計画を前倒ししてRGMを配備させたんだ、そろそろ向こうだって自由に動けなくなる」

リボンズ「各地に点在するコロニーに関しては査察団を遅らせて関連性を調べている、直に隠れ家だって見つかるはずだ。君に心配されるようなことは何一つ無いよ」

プルツー「ふん……能天気にやって足下を掬われなきゃ良いけどね」

リボンズ「その時はその時さ、また考えるとしよう」

リボンズ「今の今まで、世界が僕の手の中から転がり落ちたことなんて一度たりとも無いのだから」

プルツー「大層な自信だよ、全く」

リボンズ「ふふ……」
495 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/08(金) 01:54:34.22 ID:kkEZtuPAO
リボンズ(さて……そろそろあの男が動くはずだ)

リボンズ(ヴェーダの件は慎重過ぎる位がちょうどいい、万が一にでも嗅ぎつけられたら計画が瓦解する恐れさえある)

リボンズ(念の為彼を目覚めさせ動かしてはいるが、まだCBの残党の行方も掴めていない以上まずは此方を警戒すべきだろう)

リボンズ(補給基地の物資を軒並み回収した彼等を遮る物は何もない……プルツーを動かす日もそう遠くは無いだろう)

リボンズ(フォン・スパーク……君などに僕の計画の邪魔はさせないよ)

プルツー「スー……スー……」zzz

――地球・フェレシュテ基地――

『プルプルプルプルプルー!』

フォン「邪魔だ」ガンッ

『キャー!』

シェリリン「ちょっとフォン! そのHAROは874のお友達だよ、意地悪しないで!」

フォン「無駄にでけぇし黒いし邪魔な事には違いねえ」ボリボリ

『ランボー! キョーボー!』

フォン「あげゃげゃげゃげゃげゃ!」

フォン「今更だな。俺は犯罪者だぜ、乱暴凶暴、当然だろうが」

『バカー!』コロコロコロ

シェリリン「行っちゃった……874に怒られても知らないんだから」

フォン「あげゃ、そんときゃそんときだ」
496 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/08(金) 02:10:02.23 ID:kkEZtuPAO
――フェレシュテ基地・一室――

フォン「シャル」

シャル「! フォン、遅かったわね」

フォン「モラリアの一件はどうだ」

シャル「あなたの読み通りよフォン……部隊は拠点の放棄を早々に決定、GN-Xの追撃を振り切り消息を絶ったわ」

フォン「やはりか……」

エコ「やっぱり何だかんだ御託並べても傭兵だな、旧式MSじゃ勝てないと踏んで尻尾巻いて逃げちまった」

エコ「ま、ガンダムさえ勝てなかったGN-Xに旧式が勝てるわけ……」

フォン「おかしい」

シャル「……やはりそう思う? フォン」

エコ「へ?」

フォン「ここ最近の反国連軍の動きは妙に統一化されすぎている、先日のオーストラリアの部隊だって徹底抗戦の姿勢をあっさり翻して消えやがった」

エコ「だ、だからGN-Xに勝てないとふんだから……」

フォン「逃げるったって何処に逃げる? 今まで帰る場所だった拠点をさっさと捨てたのも疑問だ」

フォン「コイツ等の動きには迷いが無い……まるで最初から行く宛があるかのような鮮やかな撤退だ」

エコ「し、所詮傭兵だぞ? そんな頭がコイツ等にあるわけないって」

シャル「GN-Xの追撃と索敵に引っかからない移動ルートも気になるわ」

フォン「何者かが裏で手を引いてるとしか思えないな、この一件」

フォン「それも、裏切り者や政府関係者とは違う……全く別の何かだ」

エコ「全く違う……」

シャル「別の、何か?」
497 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/08(金) 02:19:25.79 ID:kkEZtuPAO
『ソレハナニ? ソレハナニ?』

フォン「さあな、検討もつかねえ」

エコ「んな、此処まで引っぱっといて……」ガクッ

フォン「あげゃげゃげゃ! 分からないなら見に行けば済む話だ」

フォン「シャル、行ってくる」

シャル「待ってフォン! 行くって何処に……」

フォン「中東だ。次に傭兵のぶつかり合いが発生するとしたら此処しかない」

エコ「おいフォン、CBの生き残りの捜索はまだやらないのかよ!」

フォン「あげゃげゃげゃげゃげゃ!」

エコ「っ!?」

シャル「……っ」

フォン「フラッグのようなポンコツと、出来損ないの強化人間如きに負けたガンダムマイスターなんぞに割く時間は無い」

フォン「俺は俺のために戦う、奴らが自分の尻も拭けないようならそのまま朽ちてもらって結構!」

エコ「なっ……!?」

シャル「そんな、あなたは!」

『……!』

フォン「事実だ。それにイアン・ヴァスティらプトレマイオスクルーに関してはシェリリンに任せてある」

フォン「あげゃげゃげゃ! さぁて、始めるとするか! 裏方で手を引いてる黒子探しになぁ!」
498 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/08(金) 02:36:58.84 ID:kkEZtuPAO
ヴンッ

874『フォン、報告があります』

フォン「あげゃ、何だ874」

874『先月分の軌道エレベーター内の記録を確認したところ、ソレスタルビーイングの実行部隊の人物が元の戸籍を使い地上に降りました』

フォン「!」

874『現在ユニオン領内にいるものと推測されます。指示を』

フォン「……ソイツは誰だ?」

874『リーサ・クジョウ。コードネーム――スメラギ・李・ノリエガ』

――ユニオン・イリノイ基地――

マリーダ「マスターッ!」

グラハム「銃を下ろせマリーダ、手出しは一切無用だ」

マリーダ「し、しかし!」

グラハム「冷静になれ、彼女は錯乱しているだけだ」

グラハム「それに私は軍人だ。銃を向けられるだけのことをしている……」

マリーダ「っ……」

グラハム「さて……私は君のことを知らない。初対面であり、君の名前さえ私は分からない」

グラハム「何故君が私に銃を向けるのか、無論私には心当たりが無い」

グラハム「だからもしその引き金を引くというなら、せめてその理由だけでも教えてもらいたい」

グラハム「どうだろう、お嬢さん?」

フェルト「……あなたは……っ」

フェルト「あなたは、私の家族を! 仲間を撃ったッ!!」ジャキッ

TO BE CONTINUED...

『キャプテン、大気圏突入コースに入りました』

「ようし、追撃を振り切る。重力の感覚に酔うなよ!」

デュバル「いよいよだな、キャプテン」

ジンネマン「あぁ……全てはこれから始まるんだ」
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/08(金) 02:43:35.88 ID:qxAt/l+AO

進出ス!か
500 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/08(金) 02:48:42.39 ID:kkEZtuPAO
投下終了だフラッグファイター

閣下もそうだがモブ的な他ガンダムキャラは結構な数が出てくるけど、大体ネタだから本編とはあまり関係ありません
だから閣下が地球圏統一して宇宙人と戦う展開も当然ありません、あしからず

グラハムのケルト好きや猫の出現率は中身ネタです、?が浮かんだ人も多かろうなので説明しておく


次回【フェルト】
失われた物、それは――
501 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/08(金) 02:56:43.86 ID:kkEZtuPAO
分からない人の為の

【フェレシュテ】

実行部隊であるソレスタルビーイングと四機のガンダムをサポートするために設立された支援部隊
ガンダムマイスター【フォン・スパーク】と第二世代ガンダム四機を軸に、ソレスタルビーイングに知られることなく裏方に徹した別働隊である
外伝【00F】の主役であり、フォン・スパークの破天荒ぶりのせいか怪作と言えるだろう
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/08(金) 08:06:28.87 ID:wY9z9GmAO
外伝は一度も読んだことなかったが…
フォンの笑い声って…
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/07/08(金) 19:19:05.12 ID:9pTchZpAO
やっと追いついたぞフラッグファイター

ガンダム速報で一目見た時に君に心奪われた存在となった!
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/07/08(金) 20:09:11.54 ID:4QJYcseQ0
あえて言おう、乙であると!
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/07/08(金) 21:41:35.72 ID:s5J2QG4Jo
パトリック「大佐ーこの魔女の宅急便って映画おもしろいですねー」
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage 漂流物と書いてドリフターズ]:2011/07/08(金) 22:52:46.44 ID:nXplcIsRo
お疲れ〜〜〜・・・・っと
何だ混沌っぷりww、どう話が転がっていくんだこれ?

>>閣下もそうだがモブ的な他ガンダムキャラは結構な数が出てくるけど、大体ネタだから本編とはあまり関係ありません
だから閣下が地球圏統一して宇宙人と戦う展開も当然ありません、あしからず

これで記憶があったら「漂流物」だよな〜〜ww

追記:リボンズの「EXTREME VS」参戦はps3版かな・・・・
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/09(土) 10:07:17.39 ID:eP2LmoW/0
>>1キタ━━━━(゚∞゚)━━━━━!!
おつおつ!
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/12(火) 07:17:37.99 ID:gqje1cOA0
読み返していてギルボアさんが最終決戦に参加していたのにようやく気づいた。行方不明にな
ったみたいだけど、グラハムやマリーダともう知り合いだったとは、GN-Xに乗っていたから国
を代表するエースだったのだろうし、二期ではどんな活躍をするんだろう。
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/15(金) 00:11:38.22 ID:31PqB78O0
今夜あたり来るか・・・?
510 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/07/16(土) 01:11:09.77 ID:0PmofFpAO
プル「今年の夏はグラハム×ニール本で確定だね!」

874(駄目だコイツ……早く何とかしないと)

投下再開だフラッグファイター
511 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/07/16(土) 01:17:03.01 ID:0PmofFpAO
きっかけは何でもない、ただの一枚の新聞記事
それも、自身の内側を掻き毟るだけの駄文に過ぎない代物であった

――それでも、気づけばスメラギさんに頭を下げ頼み込んでいた

ロックオン・ストラトスが友と呼び、刹那・F・セイエイを宇宙の闇に消し去った――

グラハム・エーカーに、逢いたいと
512 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/07/16(土) 01:23:38.77 ID:0PmofFpAO
フェルト「……」

タクシーが道路を進む。整備された街並みが目の前を通り過ぎていく
大気と重力のへばりつく感覚、宇宙で育ってきたフェルトにとってはいずれも未だ慣れない感覚であった
『フェルト、分かっているわね? あくまであなたはスメラギさんの遠縁の子として同行するの、地球に降りたからには私達との連絡は一切禁止よ』

フェルト「っ……」

出発前のリンダさんの言いつけがまだ耳に残っている
膝元に置いた指に自然と力が込められ、スカートを強く握りしめた
おおよそフェルトがソレスタルビーイングの一員であると分かる人間は皆無に等しいだろう
だからこそフェルトと組織の繋がりは立たねばならない。必然だったが、心細かった

スメラギ「フェルト、先方には無理を言ってご挨拶しに行くんだから」

フェルト「!」

スメラギ「あまり迷惑になるようなことしないでよ? 向こうだって今忙しいの」

フェルト「はい、スメ……クジョウさん」

隣で窓枠に肘をつきながら、わざとぶっきらぼうな言い方で注意喚起するスメラギ
それでも、仕草の節々から心配してくていることが伝わってきた
やがて街並みを抜け、郊外へと車が進んでいく
遠目からでも基地のシルエットが確認出来た

もうすぐだ
513 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/07/16(土) 01:47:36.26 ID:0PmofFpAO
幸い偽装データは看破されず、地球に降り立つまでは容易なものだった
また上がれる保証は無かったものの、その場合は面倒を見る、とスメラギがイアン等に言い切ったおかげでその辺りの不安は思ったより少なかった

フェルト「……」

トレミーに乗っていたクルーは、その半数が命を落としていた

クリスティナ・シエラ
リヒテンダール・ツェーリ
JB・モレノ

いずれも、特攻してきたコロンブス艦により轟沈したトレミーと運命を共にした
ソレスタルビーイングの中で育ったフェルトにとっては、いずれも家族と呼べる存在達だった

フェルト「……っ」

スメラギ「フェルト……?」

フェルト「大丈夫……大丈夫です」

自分の肩を抱き、逃げ出したくなる心を奮い立たせる
自分に言い聞かせるように、心配するスメラギに答えた
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/07/16(土) 01:48:26.23 ID:J/I1yKDFo
待ちかねたぞ、フラッグファイター!
515 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/07/16(土) 01:56:05.10 ID:0PmofFpAO
元々スメラギは地球でリーサ・クジョウという肩書きでの生活に入る予定であった
ガンダムの損傷……裏切りによる国連軍の軍備増強……生き残った二人のマイスターも重傷を負い、状況は予断を許さない
戦える筈もなく、明日を生きる糧さえ足らない現状、必要な人手の中に自分は入っていない、というのが理由だそうだ

スメラギ「……着いたわ」

フェルト「此処が……」

停車したタクシーから降りる。一面滑走路と何処までも続くフェンス、ソレスタルビーイングに幼い頃から関わっていたフェルトには、そこが悪鬼蔓延る牙城にさえ見えていた
何機ものMS……あれはユニオンリアルドだろうか……が絶え間なく発着陸を繰り返している

旧ユニオン軍、現在の統一国連軍に属するイリノイ方面基地
ここに、グラハム・エーカーがいる

スメラギ「行くわよフェルト」

口調が波立ったのを感じた。スメラギもまた緊張を隠せないでいるのが分かった
無理もない。ソレスタルビーイングの構成員が取る行動としては、組織が崩壊後最も接敵する行為なのだから

おまけに相手は事象の本質を見抜くとされる人類の革新、ニュータイプ
フェルトが見目格好から構成員だとバレるはずがないという前提の上に今回の行動は容認されていた
だが万が一、という可能性はどうしても拭い去れないのも事実であった

フェルト「……」

分かっている、ただの危険行為だ
得るものがあるかも分からず、もし悟られたら全てが終わるだけ
何を話すかさえスメラギには伝えていない、それどころか自分でも何を話すか決まっていない
516 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/07/16(土) 02:03:42.85 ID:0PmofFpAO
分かっている、利など何処にもない

それでも

フェルト「それでも……」

フェルト「逢ってみたい。ニールが、刹那が向き合った人に」

――イリノイ基地・応接室――

ビリー「やぁクジョウ! 久しぶりだね」

スメラギ「ごめんなさいビリー、無理を言ってしまって……情勢も大変なのに、迷惑だったわよね」

ビリー「まさか! どうせMSの搬入でやることも無かったんだ、むしろタイミングは完璧だったともいえるよ」

ビリー「流石は天才戦術予報士といったところかな? クジョウ」

スメラギ「ふふ……相変わらず煽てるのが上手ねビリー」

ビリー「煽てるだなんて、僕は本当のことをだね」

フェルト「……」

よく喋る男だ、と思った
スメラギが到着するのを門前で待っていたのにも驚いた、門兵がからかいに発した言葉を借りれば二時間は其処にいたというのだ
スメラギに好意を抱いているのは誰の目から見ても明らかだった

ビリー「昨日マネキン大佐から此方に連絡が来てね、反国連勢力は各地から中東、アフリカ寄りに集結しているとのことなんだ」

スメラギ「……小規模な戦闘ならGN-XやRGMで対処も容易いけど、大きな戦闘になればどうしても不確定要素が現れる……」

スメラギ「おまけにGNドライブ搭載型のMSはその性能から旧型のMSとは連携がしにくい……」

スメラギ「故のグラハム少佐、及びフラッグファイターの投入……という訳か」
517 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/07/16(土) 02:18:10.69 ID:0PmofFpAO
スメラギ「でも珍しいわね。いくら国連軍として統合されたとはいえ、カティがユニオン軍を動かすだなんて」

ビリー「彼女とうちのライセンサーは特別に交友関係があってね、そっち方面でお達しがあったのさ」

ビリー「それに、うちのライセンサーは国連軍の中でも指折りの使い手だ。いつまでも休ませておくのは勿体無いってね」

スメラギ「そうね……既存のMSを操り単独でガンダムと渡り合えるだけの力を持った兵士」

スメラギ「相手をする指揮官からすれば、本当やってらんないレベルだわ」

一瞬、そんなことを言っていいのかと思うほど感情の込められた言葉、幸い相手はスメラギに見とれていた為違和感も何も感じなかったようだ
さっきから重要な機密にも繋がりそうなことをペラペラと喋っているし、本当に軍属なのかと頭を傾げたくなるような鈍さである

スメラギ「それで……そのグラハム少佐は今何処に?」スッ

フェルト「!」

ビリー「っ……彼ならきっと格納庫に止めてある輸送機の中だよ……MSに触れてないと落ち着かない人だから……」

名前が出た瞬間、胸が強く脈打つのがはっきりと分かった
手に汗が滲み、どんな表情をしていいのか分からなくなっていた
スメラギが足を組みながら、フェルトに目配せを送る
肝心のビリーはその艶やかなラインが動く度にせき込みながら視線を外していた、サインは恐らくバレていないだろう

フェルト「済みません、ちょっと御手洗いに……」

もう長居は無用だと席を立とうとした
その時だった
518 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/07/16(土) 02:34:19.36 ID:0PmofFpAO
ビリー「そうだ、クジョウに見てほしいものがあるんだ。その筋のものから見たらプレミア物だよ」

スメラギ「え? 何かし……っ」

横の大型モニターのスイッチを、ビリーが押した

フェルト「ひっ……!」

四分割された画面、其処に映し出されたもの
それは――記録として残された、ブリティッシュ作戦の最後の映像

GNフラッグと対峙する、ガンダムエクシアの姿であった

ビリー「GNドライブ搭載型のNT専用フラッグでグラハムが出撃した際の映像だよ。頭は途中で切断されちゃったから、機体のサブモニタから記録したものなんだけどね」

スメラギ「あ……あぁ……っ!」

フェルト「 」

ビリー「これはあのエイフマン教授が残した、推論設計図を原型に開発した、遺作とも呼べるMSでね」

ビリー「こうやってガンダムとも対等に渡り合えている、次世代機としてフラッグを残すための、間違い無く礎になる機体だよ」

興奮してまくし立てるビリー、そんな言葉など二人には届いていない
仲間が、家族が切り刻まれている姿を見せられて平静を保てる者などいるはずがないからだ
ガンダムエクシアの左腕が宙を舞う、そしてその顔面が刃により砕かれた瞬間

スメラギ「フェルトッ……!?」

フェルトは、一目散に部屋から飛び出していた
519 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/07/16(土) 02:40:26.71 ID:0PmofFpAO
――同時間帯・ミーティングルーム――

グラハム「……と言うわけだ。我々は中東に向かいマネキン大佐指揮下に入り、反国連勢力の掃討に当たる」

グラハム「マリーダ、機体及び物資の搬入は?」

マリーダ「滞りなく進んでおりますが、予報通りに雷雨に見舞われた場合、僅かながら遅れが生じるかと」

グラハム「どちらにせよ今日はやることもないか……全員解散、明日に備えゆっくり休め」

グラハム少佐の言葉を受けて、皆が一斉に席を立つ
体調管理は各々に一存されている、パイロットとして当然のことだと思った

リディ「グラハム少佐、マリーダ中尉」

グラハム「ん、どうしたリディ」

マリーダ「……」

リディ「この後のご予定は空いていらっしゃるでしょうか? 宜しければシュミレーターを用いての訓練をお願いしたいんですが……」

グラハム「構わん。私はこれから輸送機の方に少し足を運ぶ、その後で良ければ相手をしよう」

リディ「有り難うございます!」

グラハム少佐は此方の目を真っ直ぐ見て話す。年齢に比べかなり若く見える面立ちではあるが、この話し方も相まっていつも相当なプレッシャーを感じさせられるのだ
実直で誠実な熱血漢。最近は融通の利かない頑固さや独自の美学を展開する場面も垣間見えたが、この評価が崩れることはないだろう
520 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/07/16(土) 02:50:10.59 ID:0PmofFpAO
つい先日、グラハム少佐が教練に参加してくれたのは今でも鮮明に思い出せる

リディ「……」

――圧倒的

その一言に尽きた
確かにこの部隊はエースパイロットが殆どを占めており、その操縦技術は誰を推しても高い水準にある
だが、他の三名はおろかマリーダ中尉でさえ、あれほどの技量には到達していないだろうとさえ思わされた
NT能力ではマリーダ中尉が上だと聞いていたが、それを補って余りある天性の才能がグラハム少佐を支えているようだった

リディ(でも……)

リディ(でもいつかは、俺だって……!)

自分に才能があるかどうかは分からないが、少なくともグラハム少佐に並ぶような力があるとは思えない
それでも、いつかは並んでみせる。決意は一層固くなった

リディ「……マリーダ中尉は、少佐とご一緒に?」

マリーダ「無論だ。何か問題でもあるのか?」

リディ「い、いえ! そんなつもりは……」

マリーダ「ならば良かろう。早めに食事は済ませておけ、訓練中吐かないようにな」

リディ(うわぁい……)
521 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/07/16(土) 03:01:23.77 ID:0PmofFpAO
部屋を出るとすぐさま食堂を目指す
ああ言われたからには、なるべく早く食べて消化しておかねばどうなることやら……

リディ「年下なんだけどなぁ……精神年齢絶対上だろ、あれ」

感情の起伏が激しく様々な顔を見せるグラハム少佐とは対照的に、マリーダ中尉の表情が変わるのをリディは見たことがない
弱冠十九歳、歩けば誰もが振り向く美しい顔立ちに抜群のスタイル、しかしながら凛とした立ち振る舞いと毅然とした態度が頼もしさすら感じさせてくれる
MS工学を代表する様々な知識とそれを扱う判断力も併せ持ち、MSパイロットとしては国連軍有数の実力者として知られている。聞けばユニオン上層部の要人の養女であるというではないか

リディ(う〜ん……カンペキや)

ある意味、グラハム・エーカーよりもとんでもない存在なのかもしれない
グラハム少佐も童顔ではあるが端整な顔立ちをしており、佇まいも他の軍人とは一線を画す何かが感じられる
四六時中、殆ど常に二人が並んで歩いても何とも思わないのは、やはり様になっているからだとリディは思った
522 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/07/16(土) 03:05:46.01 ID:0PmofFpAO
リディ(っと……他人をべた褒めしたところで何も変わりゃしないか)

食堂で渡された定食を手早く胃に詰め込み、早々に立ち去っていく
ものの五分も席には着いていなかっただろう、スクランブルを考えればこのくらいでちょうど良い

リディ「さて……」

ドンッ

フェルト「きゃっ!?」

リディ「おっと……!」

その時、不意に曲がり角から現れた何者かにぶつかる
小柄な少女だ。つい早足になっていたこともあり、相手は尻餅をついてしまった

リディ「大丈夫? 君、どこの……」

フェルト「あ……」

リディ「っ……」

眼が合った
吸い込まれそうなほど透明な瞳に、一瞬時が止まったような錯覚を覚えた

リディ(綺麗だ……)

フェルト「ッ……!」

リディ「あ……ちょ、ちょっと君!?」

リディ「……行っちまった……」

リディ「…………」
523 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/07/16(土) 03:14:14.01 ID:0PmofFpAO
向こうは確か格納庫の方だ、技術者か整備士の関係者だろうか

リディ「また、逢えるかな……」

きっとまた逢える、そう遠くない、近い内に
何となくそんな気配がした

そのせいだろうか

リディ「あ、雨……もう降ってきたのか」

彼は、携帯していた銃を無くしていたことに気付かなかった

――そして、輸送機内部――

分厚い雲が太陽を遮り、時折稲光が辺りを白く染め轟音を響かせる
予報通りの激しい豪雨、輸送機の窓を雨粒が叩き、今ならば銃声も飲み込まれて気付かれはしまい

グラハム「……」

フェルト「っ……!」

青ざめた顔に憎しみを浮かべながら、銃を突きつける少女
向けられた銃口は小刻みに震え、狙いも右往左往、何処を撃つかさえ定まってはいない
目の前の彼女が他人を撃つという行為に慣れた人間ではないのは、誰の目から見ても明らかであった

マリーダ「……」

二人から20mは離れた位置にマリーダがいる。フェルトを般若の如き形相で睨みつけながらも、その手は腰の銃から離れ身構えたままだ
輸送機の広い格納庫の隅、雷雨の為整備士達が作業を中断し昼食に向かったのは、幸か不幸か
今この場所には、この三人しか居なかった

グラハム「家族を撃った、か」

フェルト「動かないでっ!」

グラハム「言われなくても動けはしないさ。何せ銃口を向けられているんだ、状況は君にとって圧倒的有利なのだよ」

フェルト「っ……!」

嘘だ。確かにグラハムは動けないものの、マリーダ・クルスがいる
銃は下ろさせたものの、彼女の腕前ならば抜いて少女の頭を撃ち抜くまでに一秒とかかるまい

グラハム(だが……)

それだけは避けねばならない。自分の中の何かが叫んでいた
524 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/07/16(土) 03:19:07.28 ID:0PmofFpAO
本当に、とっさの出来事だった

マリーダが自分の側から離れ、積み込み終えたオーバーフラッグの最終調整をしている最中、彼女は突然現れた
豪雨の中を突っ走ってきたのか、全身ずぶ濡れになりながら
明らかな憎しみを瞳に宿し、誰のものとも知れぬ銃をグラハムに構えたのだった

グラハム「私を[ピーーー]か」

フェルト「それは……っ!」

グラハム「覚悟は常に出来ているさ、軍人として生きてきた以上死は誰にでも訪れる」

グラハム「だが今君は私に堂々と相対し、銃を向けている。これは暗殺とは呼べないな」

フェルト「っ……!?」

グラハム「せめて君の名を聞きたい。死に逝く者からの二度目の願い、聞き入れてくれるか?」

マリーダ「マスター……っ」

そんなことを言うなと言いたげに、マリーダが呟いた
今にも泣き出しそうな眼の中に、今にも牙を剥き飛びかかりそうな殺意が見え隠れし、それが何とも美しく見えた
予断を許さぬ状況下だというのに、頭が驚くほどに冷静でいられたのはそのためかも知れない

グラハム(私ともあろう者が、随分と惚れ込んだものだ)

フェルト「うぅ……っ」

マリーダが口を開く度に目の前の少女の動揺は増し、今は内股のまま膝まで震わせている
どう見ても計画的な行動ではない。直感だが、まず間違いなく当たっているだろう
命を奪うことに馴れていないなら、尚更その小さな指に引き金を引かせるわけにはいかない
――説得、馴れてはいないがやらざるを得まい
525 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/07/16(土) 03:20:37.46 ID:0PmofFpAO
フェルト「フェルト……フェルト・グレイス」

グラハム「フェルトか、良い名前だ」

フェルト「そんなこと、あなたなんかにっ……!」

グラハム「素直な感情さ。それが本当の名前で無いにしてもだ」

フェルト「っ! どうしてそれを……」

グラハム「やはりか、カマは掛けてみるものだ」

フェルト「!?」

グラハム「おっと、恐い顔だ。だが可憐な眼差しが台無しだぞフェルト・グレイス」

明らかに銃口の揺らぎが酷くなる、少し苛めすぎたかと内心反省した
マリーダからの視線もさることながら、この様な状態を何時までも続ける訳には行かない

グラハム「……」

フェルト「っ、動かないで!」

一歩、踏み出した瞬間二人の少女の身体がビクンと跳ねた
マリーダを制止しつつ一歩、また一歩、フェルト・グレイスとの距離を少しずつ詰めていく

フェルト「何で……っ!」

グラハム「フェルト、その銃は軍用だ。衝撃もかなりのものになる、しっかり踏ん張りよく狙え」

フェルト「いや……やめて……!」

グラハム「額か心臓……首も有効だ。ただし一発で仕留めろ、私の横の彼女は君が二発目の引き金を引く前に確実に君を[ピーーー]」

マリーダ「マスターッ!!」

グラハム「……」

フェルトは後退り、自身は踏み出す
それを十数度繰り返した頃、彼女の背中は壁についた

やれるか――

グラハム「……!」
526 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/07/16(土) 03:23:11.63 ID:0PmofFpAO
グラハム「……」

フェルト「ゃっ……いやぁ……」

フェルト「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

マリーダ「マスターーッ!!」

延ばした手が彼女の構える銃に触れ、ゆっくりとその矛先を下へと押しやる
それに連なるようにフェルトは膝を折り、嗚咽を漏らしさめざめと泣き始めた

グラハム「……ふう……」

彼女は引き金を引かなかった

引けなかったのだ

マリーダ「……」

グラハム「良く耐えてくれた、礼を言うぞマリーダ」

グラハム「誰か来たらマズい。まずは彼女をどこかに移動させよう」

グラハムは銃を無理やりポケットに詰め込むと、額の汗を軽く拭い大きく息を吐く
生身で銃を突きつけられたままそれに向かい歩くというのは、些か心臓に悪すぎる体験だった

グラハム(……)

グラハム(覚悟は出来ているという言葉に嘘は無かったが、それでも【死にたくない】と思ってしまうのは――性だな)

マリーダ「マスター」

グラハム「ん……どうした、マリー……」

いつの間にか目の前に来ていたマリーダ、不意にその手がネクタイを掴み力一杯引き寄せていた
とっさのことに対応出来ず、されるがままになってしまう
目の前にはマリーダ・クルスの顔
一筋の涙が頬に伝うその表情は、有らん限りの憤怒に満ちていた

マリーダ「二度と……」

マリーダ「二度とこの様な真似はしないでください……ッ!」
527 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/07/16(土) 03:28:08.61 ID:0PmofFpAO
グラハム「す……済まん」

マリーダ「謝るなら……!」

マリーダ「っ……くそっ……」

気圧されて言葉を続けることも出来ない。一瞬の沈黙が二人の間を通り過ぎた
マリーダはそれに耐えかねたのか、乱暴にフェルトの腕を引っ張り上げ、無理矢理に立たせて歩かせる

フェルト「きゃっ……!」

マリーダ「さっさと歩け、私が我慢出来ている間にな!」

フェルト「……っ」

マリーダ「……ふん」

グラハム「マリーダ、手柔らかにな」

マリーダ「言われずとも!」

グラハム「ぬ……」

茫然自失のフェルトはそのまま輸送機の廊下にマリーダと共に消えていき、広い輸送機の格納庫にグラハム一人が残される
一世一代の交渉の興奮はあっさり冷めていた

グラハム「さて……どうしたものか」

彼女は何者なのか
何故この場にいたのか
いつから此処にいたのか
そして、家族とは一体誰なのか

分からないことだらけではあったが、不思議と巡り合わせのようなものをこの出逢いに感じていた

乙女座故のセンチメンタリズムな運命か、それとも何者かの導きを感じたものか……
恐らくは、後者であろう

グラハム「……ニール?」

虚空に呟いてみたが、応えは返ってこない
まさかな――
一人ごちながらグラハムは向き直り、マリーダの後を追う
彼女から聞かねばならないことは山ほどあった
528 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/07/16(土) 03:49:36.38 ID:0PmofFpAO
――中東・クルジス――

ジンネマン「ギラ・ドーガの状態は?」

整備士「問題はありません。投下された疑似GNドライブ補給用のユニットも無事です」

見上げながら整備士に問う。期待していた通りの言葉が返ってきて一安心だ
黒いまだら模様に塗りつぶされた、ジンネマン専用ギラ・ドーガ。長い柄のついたGNビームアックスがその威容を高めていた

ジンネマン「ようし、ならさっさと動くぞ。俺達の任務は地上の反政府勢力を宇宙に上げることだ、グズグズしてたら全部叩き潰されちまう」

他には三機、ギラ・ドーガが存在した
疑似太陽炉搭載型のMS、スリースラスターと呼ばれる背部ユニットにより加速力はGN-Xの比ではない
扱いにくさは否めないが、此処にいるのは太陽光紛争からずっと自分に付き従っている戦争のプロだ
ひよっこ共には負けるつもりなどさらさらない。腐った地上の軍隊なぞ、全て蹴散らしてやる

ジンネマン「始めるぞ、【袖付き】の初陣だ」

ギラ・ドーガに乗り込み、起動させる
モニターには降下を予測したGN-Xが三機、此方に向かってくるのが見えた
狼煙にはちょうど良い、ジンネマンの顔は自然に笑みを浮かべていた

ジンネマン「さぁ来い……戦い方を教えてやる」

TO BE CONTINUED...

マリーダ「!」

グラハム「どうした、マリーダ」

マリーダ「いえ……何も」

マリーダ(何だ、この感覚は……?)
529 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/16(土) 04:04:31.94 ID:0PmofFpAO
投下終了だフラッグファイター

マリーダさんの過去のくだり見たら気力50になった、ボスケテ

次回【紅】

音の爆発は戦場に響き渡る
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/07/16(土) 04:16:57.20 ID:+NsSPnUpo
>>529
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/16(土) 06:03:32.80 ID:kRGh7o7Q0
>>1

>マリーダさんの過去のくだり
グラ公がそれ知ったら阿修羅を凌駕なんてレベルじゃなくなる
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/16(土) 09:53:10.51 ID:0sODZ8XDO

タケノコ付きのギラ・ドーガとか胸が熱くなるな
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/16(土) 09:58:19.38 ID:DNHqH9bAO

二期に入る前に袖付きと戦うのか
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/16(土) 11:16:51.76 ID:uBdeRGYb0
>>1キタ━━(゚ロ゚ノ)ノ ━━!!
乙おつ
ギラズールでなくギラドーガってのがいいですね!
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/16(土) 11:47:49.34 ID:XibgURK60
戦い方を教えてやる!
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga sage]:2011/07/17(日) 00:13:07.57 ID:rrinkH620
ギラ・ドーガとGN-Xのニコイチ・・・
俺に技量があればHGで試したのに
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/07/17(日) 21:56:27.11 ID:ICB5hBIPo
とりあえず、GN-Xの胴体にギラ・ドーガの頭と手足をぶっ刺せばいいんじゃね?
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/07/17(日) 23:46:41.93 ID:Lk28E3N/0
それはさすがに・・・
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/22(金) 07:34:11.89 ID:6AUABQ7AO
そろそろ来ないかなー
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 19:19:49.33 ID:SALaVg750
我慢も男のステータスだぜ
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/07/22(金) 21:18:59.01 ID:uEQcEdcwo
私は我慢弱い
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/07/22(金) 22:33:31.01 ID:qxR00AU/o
実は放送当時ロックオン脱落後にデュナメスはフェルトが搭乗するかと思ってたけど別にそうでもなかったぜ!
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/07/22(金) 22:53:48.02 ID:mg6Eqonno
マイスターは刹那とアレルヤ以外入れ替えと期待していたらそんなことも無かった!
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/07/22(金) 22:55:49.73 ID:mg6Eqonno
っと、アレルヤじゃなくてティエリア、ね。
アレルヤは洗脳されて敵方、ライルはソレスタルビーイング入りしないんじゃないかと思ってた。
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/07/24(日) 00:25:22.70 ID:CJOA/lQq0
はやく来ないかなー
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 00:33:06.38 ID:lod4pp0DO
<キュピーン>この感じ……明日か!
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/07/24(日) 02:03:21.69 ID:OYWamP4AO
今夜とみた
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 12:17:15.19 ID:nbsZPjaIO
だから急かすのはやめろとマリーダさんがあれ程(ry
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/24(日) 15:16:13.89 ID:Irf5wd2AO
ビリー 「あれ、マリーダは?」

グラハム「部屋に引きこもってしまった」
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/07/24(日) 18:46:33.61 ID:CJOA/lQq0
出ろぉぉぉぉ、フラッグッッッッッ!!
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/07/24(日) 18:49:36.96 ID:SdV/itu+o
上げるなて
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 19:47:24.13 ID:lod4pp0DO
夏だな
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/07/25(月) 01:03:28.63 ID:7scTBhQAO
虹の彼方に(上)まで読んだんだが、マリーダさん……
554 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 00:52:43.21 ID:xjV4v0OAO
ジェリド「コーラサワー? ……何だ、人間か」

コーラサワー「……」

投下再開だフラッグファイター
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/07/26(火) 00:57:38.44 ID:fAhkwl8so
来たのか!?
556 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 01:00:35.27 ID:xjV4v0OAO
――中東・クルジス――

広い荒野にポツンと取り残された廃墟群を、月の光が白く優しく照らしている
かつては人の営みを支えていたこの場所も、今では砂と風のみが昔を語っていた

ジンネマン「ずぇああっ!!」

ギラ・ドーガの振るう両刃のビーム刃が、GN-Xの胴体部に喰らいつき横一文字に吹き飛ばす
残された下半身が落下し土煙を上げ、唸る風も止み巻き上がる砂も落ち着いた
ようやく戦場に静寂が戻ったのだった

ジンネマン「お前ら、生きてるか?」

クワニ『えぇ、何とか』

アイバン『コイツのじゃじゃ馬具合にはまだ手を焼くってのに。流石はキャプテン、手慣れたもんだ』

ジンネマン「リアルド以前の奴らに比べりゃずっとよく動いてくれる。贅沢言うんじゃねえよ」

専用GNビームアックスの長柄を中心から折り畳み、機体腰部に収納するジンネマン
ギラ・ドーガの左腕には特徴的な形状の盾、更にその裏には二連装ビームガン、B型装備と呼ばれるバリエーション装備が顔を覗かせていた

ジンネマン「利用できる物は何でも利用する……懐事情ってやつだ」

一人ごちながら目の前に転がるGN-Xのビームライフルを回収
隠してある小型の汎用輸送機の方角へと機体を進めていく
このままでは規格が合わず使えないものの、簡単な改造ですぐに使用に足る物へ変えることが出来るのだ

ジンネマン「シュツルムファウストやグレネードは無駄遣いするな。暫くは補給もままならん、節約していくぞ」

『『了解』』

ジンネマン「あいつも連れてこれりゃ良かったが……ユニオンの家族の保護が確認出来なきゃ闘わせるわけにもいかねえしな」

アイバン『次の機会を待ちましょう』

ジンネマン「分かっている」
557 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 01:04:54.91 ID:xjV4v0OAO
辺りには偵察に現れた三機のGN-Xが残骸となって転がっている
連絡が途絶えれば直ぐにでも後発が現れるだろう。それでは、軌道エレベーターによる監視システムが開発される前に事を起こした意味がない

ジンネマン(さっさと移動しないと、また次が来るか……)

ジンネマン「行くぞ。すぐにこの場所から……」

クワニ『キ、キャプテンッ!!』

ジンネマン「っ!」

機体を後方のギラ・ドーガに向けた、その時だった

『あげゃげゃげゃげゃげゃ!!』

反応は、下から飛び出すように突然現れた
空中に躍り出た真紅の機体。広域用無線の回線からは、耳を塞ぎたくなるような爆発的な笑い声が響き渡る
吹き飛ばされたようにくるくると舞い上がりながら、右手の巨大なGNソードが展開し粒子の光を纏う
その刃が描く軌道は、微塵の迷いも無くジンネマン専用ギラ・ドーガに向けられていた

ジンネマン「ちぃっ!!」

とっさにGNビームアックスを掴み、刃を受け止める
粒子が火花となって辺りを眩く照らし上げる、辛うじてパワー負けはしていないようだ
サブモニターは、砂にまみれたMS用のカバーシートがゆっくりと落下するのを捉えている
――まさか、ずっとここに隠れていたのか
ジンネマンは焦りはしなかったものの、降下が何者かに読まれていたという事実に呻いた

『あげゃ、なかなかやるなおっさん』

ジンネマン「ガキの声……だと!?」

『あげゃげゃげゃげゃ!』

『はじめまして……そしてサヨウナラ、だ!』

ジンネマン「嘗めんじゃねえ……よッ!」
558 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 01:11:01.54 ID:xjV4v0OAO
機体を捻りながら柄を展開、一気に真紅のMSを弾き飛ばす
弾き飛ばした瞬間自身も反動で下がるが、その瞬間敵の機体は空中で軽やかに反転、ビームサーベルを抜き放ち虚空を切り裂いていた

ジンネマン(少しでも離れるのが遅けりゃ、やられていたってか……!)

『ぎぃっ!』

ジンネマン「近付ける訳には行かねぇ!」

『あげゃげゃげゃげゃげゃ!!』

背筋に刺さる冷たい感覚を振り払いながら、シールドの二連装ビームガンの引き金を引く
幾多の朱い粒弾が敵機に襲い掛かるが、真紅のMSはGNソードを盾代わりに使い、避けることなく向かってくる
その真っ赤な様相はけたたましい笑い声と重なり、ジンネマンにはまるで返り血に濡れた狂人に見えていた

クワニ『キャプテン、援護します!』

アイバン『下がってください!』

ジンネマン「おう……!」

二機のギラ・ドーガが後方から左右に展開、真紅のMSは二機が弾幕を張ってようやく距離を取ってくれた
だが諦めた様子は微塵もない。GNソードを振り上げ、無謀ともいえる突撃をただひたすらに繰り返してきたのだ

クワニ『何つう動きだ、化け物かコイツ!?』

ジンネマン「気張れよお前ら! こんなとこでやられたら、大佐と大佐を信じた同朋に顔向け出来んッ!」

再び風が吹き荒び、砂煙は渦となって巻き上がる
黒の斑と真紅の怪物が、刃と刃をぶつけ合う

ジンネマン「こんなところでェッ!!」

『あげゃげゃげゃッ!』

西暦2308年、【袖付き】と【ガンダム】、最初の邂逅であった
559 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 01:14:31.57 ID:xjV4v0OAO
――イリノイ基地・輸送機グラハム部屋――

グラハム「……」

フェルト「……」

マリーダ「……」

グラハム「……埒があかんな」

グラハム「マリーダ」

マリーダ「はっ」

グラハム「フェルト・グレイス、少し席を外す。もう一度、自身がどうすればいいかよく考えて貰いたい」

フェルト「…………」

グラハム「君はまだ若い。私としても、君への待遇は穏便に済ませたいのだよ」

グラハム「では、失礼する」

ウィンッ

フェルト「……」

フェルト「私……どうすれば……っ」

――グラハム部屋前――

グラハム「うぅむ……やはり何も喋らん。素性を調べれば早いのだが、今回ばかりはあまり大きな動きを見せられんのが痛い」

マリーダ「マスター、そろそろカタギリ技術顧問とリーサ・クジョウが怪しむ筈です。これ以上の個人的拘留は限界かと……」

グラハム「個人的拘留……あまり良いネーミングではないな。私にその様なアブノーマルな趣味はない、第三者に聞かれたら誤解を招きかねん」

――AEU・ロシア某山中――

刹那「クシュンッ」

刹那「風邪か……?」

――――

マリーダ(19)「……」

グラハム「……私にはその様な趣味は無い、断じてッ!」

マリーダ「承知していますマスター、お気をお鎮め下さい」

グラハム「ぬぅ……」

マリーダ「……しかし、確かにこのまま帰すわけにも行きません。かといって銃を向けた事を出すわけにも行かない……」
560 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 01:25:15.24 ID:xjV4v0OAO
マリーダ「ただ彼女に対し、少し下手に出過ぎている気もします。曲がりなりにもマスターのお命を狙った者、立場を考えさせねば……」

グラハム「先刻言ったはずだマリーダ、それに関してはお前も少しは感応したはずだとな」

マリーダ「……それは……」

グラハム「あの時の彼女の興奮状態、あれは何らかの情報を得たとき、周囲の負の感情を取り込んで心が暴走した形だと推測出来る」

グラハム「私にも心当たりがないわけじゃない。アイリス社の軍需工場で新型のガンダムを追い返した時は、他者の怨念や奴等への憎悪が肌を通して骨身に染み着いたような感覚だった」

マリーダ「……」

グラハム「私は軍人で大人だ、ある程度ならば流されずに我を保てようが……」

グラハム「彼女は年端もいかぬ乙女、そうも言ってはいられまい」

マリーダ「では彼女の行為は不可抗力であると、マスターは仰るのですね?」

グラハム「無論、彼女自身に私への敵対心が僅かでもなければああはなるまい」

グラハム「だがそれ以上に……彼女は誰かに支えてもらいたがっている、そう感じたまでのことだ」

マリーダ「し、しかし!」

マリーダ「……感傷です、それは」

グラハム「分かっている、私には彼女が求めているような役は相応しくない」

グラハム「若さ故の感情の流れにつき合えるほど……私は優しい男では無いからな」

グラハム「彼女も先ほどの一件で熟知したはずだ、面倒なことにはならずに済みそうだよ」

マリーダ「……」ホッ

マリーダ(……今何故私は安堵した?)
561 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 01:31:57.04 ID:xjV4v0OAO
グラハム「とはいえ、それのせいで話が進まなくなっているのも事実だ。さっきから一言たりとも口を開いてくれんしな」

マリーダ「マスターに求めた感情が無駄になると悟ったから……ですか」

グラハム「感覚としては失恋に近いのだろうか? 私には分からんが、本人と意志の疎通も出来ないのでは話にならん。取引云々以前の問題だ」

マリーダ「沈黙が一番有効であることを彼女は理解してはいないでしょうが、あの様子では心を開いてくれそうにありません」

グラハム「はったりの一つでもぶつければ答えるか……しかし、そういうのはどうにもな」

グラハム「どうやら彼女にも我々のような【素養】は有るようだ。此方に敵意が無いことくらいは感じ取ってもらえればやりやすいが……」

マリーダ「彼女は自身の殻に籠もっています、いくら力が有ろうとも、心に余裕がなければ如何ともし難いかと」

グラハム「感情を制御する、か。私も自信が無い分どうこう言えんが……」

グラハム「はぁ……厄介だな。私は異性への接し方が昔から不慣れな男だ、どうにも上手い手段が浮かびそうにない」

マリーダ「側にいると容易に理解出来ます、マスター」

グラハム「……」

マリーダ「とにかく、彼女の殺人未遂を露見させずとも彼女を易々と帰さないような手を考えれば良い訳ですが……」

グラハム「……どうしたものかな」

『やっほーお二人さん、デートの相談かしら?』

グラハム「!」

マリーダ「!」

ミーナ「お久〜、こんなところで正座なんかして、どうしたの?」

マリーダ「……」

グラハム「……」

ミーナ「? どうしたのか(ry」

グラハム「その手があった……逢いたかったぞッ! ミーナ・カーマイン!」

ミーナ「ひゃうっ!?」
562 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 01:40:09.95 ID:xjV4v0OAO
――イリノイ基地・暫定NT研究室(元ビリー技術顧問研究室)――

十二畳ほどの広さの部屋に簡単な工事で取り付けたマジックミラーの仕切り壁、事情聴取を行う部屋の一方がかなり広いという感じの暫定研究室
四畳の部屋にはNT脳波に反応するバイオシートが安置され、八畳の部屋にはそれをモニタリングする機器が並んでいる
ビリー・カタギリからミーナ・カーマインが奪い取っ……貸してもらったこの部屋で、フェルトは実験を受けていた

――脳波感知室――

フェルト「……」

――モニタリングルーム――

ミーナ「凄い……まさか此処に来てサイコミュに反応するだけの脳波を出せる子が見つかるなんて……!」

ミーナ「こんな逸材どっから探してきたのよグラハム、貴方って人はいつも突然なんだからもうっ!」カタカタカタ

マリーダ「やはり、か」

グラハム「何……たまたまだ」

グラハム(第一段階はクリア)

マリーダ(問題は第二段階……此方に関してはマスターが行うよりは私がやった方が確実だな)

グラハム「それで、どうだ? 彼女は」

ミーナ「実験用とはいえ、バイオシートにしっかり反応しただけじゃないわ」

ミーナ「暫定的な数値だけでもグラハムを上回っている、此処まで来ればマリーダ中尉並みね。この若さでこの数値……驚嘆に値するわ」

ミーナ「もしかしたら逆に、年齢が若ければ脳波が強くなる傾向にあるのかしら? まだ分からないことが多すぎるけど……」

ミーナ「あの子は間違い無く、本物のニュータイプよ」

マリーダ「……」

グラハム「そうか……」

ミーナ「あ……ごめんなさい。貴方が偽物みたいな言い方だったわね……少し興奮しすぎたわ」

グラハム「構わんよ。私としても自身がニュータイプである実感はあまりない」

グラハム「力があるだけでなく……他者の想いを感じ取れる、彼女やマリーダのような者が、人類の変革の名には相応しい」

マリーダ「マスター……」
563 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 01:44:49.74 ID:xjV4v0OAO
グラハム(そろそろか……)

グラハム「マリーダ」

マリーダ「はい、マスター」

ウィンッ

ミーナ「? 彼女は何をしに行ったのかしら」

グラハム「説得だよ。少し思うところがあって、マリーダに頼んだのさ」

ミーナ「説得……?」

グラハム「さて、私も私の仕事にかかるとするか」

グラハム「此方の方が、少し厳しいかも知れんからな」

バタンッ

ビリー「グ、グラハムっ……!」

スメラギ「はぁっ……はぁっ……!!」

グラハム「早かったなカタギリ、それにリーサ・クジョウ氏も」

ミーナ「……リーサ・クジョウ……?」

ミーナ「……」コソッ

グラハム「?」

ビリー「ひぃ……み……見つかったって本当……はぁ……」

グラハム「安心しろカタギリ、彼女ならば無事に保護した」

スメラギ「フェルトッ……!」

グラハム「失礼、それ以上は」スッ

スメラギ「ッ!? 退きなさいよ、何なの貴方!!」

グラハム「失礼といった、そしてこれ以上は進まないで頂きたいとも」

スメラギ「貴方、フェルトに一体何を……ッ!?」

グラハム「そのことについてと、これからのことについて今から説明をさせていただく」

グラハム「重要な話です。我々にとっても、フェルト・グレイス自身にとっても……そして【あなた方】にとっても」

スメラギ「え……」

グラハム「……」

グラハム(荒唐無稽な仮説だが、もしフェルト・グレイスがあの組織に関わっているとすれば……彼女もまた例外では無い)

グラハム(マリーダには言っていなかったが、彼女なら感づいているだろう……さて、説得はどうなるか)
564 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 01:50:01.11 ID:xjV4v0OAO
――――

フェルト「取引……ですか?」

マリーダ「あぁ。本来なら、君はこのまま拘束され、身元を徹底的に調べられた挙げ句裁判にかけられる」

フェルト「……ッ」

マリーダ「だがマスターは君の中の【素質】を高く評価している、こちらの要求を飲んでくれるならそれすらも不問になさってくれるそうだ」

フェルト「【素質】……ニュータイプの、ですか」

マリーダ「ほう、自覚はあったのか。名称に関してはゴシップにも取り上げられている、一般人が知っている可能性はあるということにしておこう」

フェルト「っ……」

フェルト(この人、もしかして疑っている……?)

マリーダ「どうした」

フェルト「私に……人殺しをさせるんですか」

マリーダ「馬鹿を言う、マスターに銃を向けたお前にMSなど与えるものか」

フェルト「う……」

マリーダ「……というのは冗談だ。だが私達はお前を戦わせたりは決してしない、安心しろ」

フェルト「え?」

マリーダ「フェルト・グレイス……こんなものはお前のような子が持つもんじゃない」チャキッ

マリーダ「この手を汚すのは、私達だけで十分だ」

フェルト「えっと……あの……」

マリーダ「マリーダ・クルス。階級は中尉だ」

マリーダ「軍には女が少ない。これから君の世話を焼くことになるだろう、宜しく頼む」

フェルト「マリーダ……さん……」

マリーダ「……取引の話をしよう。君のこれからにとって、最も重要な話になる」

フェルト「!」

マリーダ「心して聞いてほしい」
565 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 01:55:47.82 ID:xjV4v0OAO
スメラギ「ふざけないでッ!! 」バンッ

グラハム「我々は至って本気だ、ミス・クジョウ」

スメラギ「本気なら尚更よ! 狂ってる……!」

ビリー「お、落ち着いてくれクジョウ! グラハムも突然何を言い出すんだ……!」

グラハム「先ほどの提案、そのままに受け取ってもらって構わん。私は体裁や自らの言葉を取り繕えん男だ」

ビリー「そりゃ君の不器用さなんかいやってくらい知ってるさ!」

ミーナ「おまけに間も悪いわね……怒らせちゃったし」

グラハム「…………とにかく、だ」

グラハム「もう一度言おうミス・クジョウ。NT研究の発展の為、フェルト・グレイスの身柄を我々ユニオン軍に預けてもらいたい」

スメラギ「お断りします! 幾ら力があるからって、フェルトはまだ15歳よ!? そんな子を軍隊にだなんて……」

スメラギ「いかれてる、何を考えたらそんな!」

グラハム「正確に言えば軍属ではなく、軍のNT研究に密接なミーナ・カーマイン女史に預ける形で……」

スメラギ「同じことよ!」

グラハム「……」

スメラギ「兎に角、フェルトは連れて帰ります! 必ず!」

グラハム「……平行線だな……」

グラハム(概ね当然の反応。だがNT研究に対する反応を見れば、このリーサ・クジョウという女もまた何かを隠しているようにも見受けられる)

グラハム(さて、どうしたものかな……やはり女の相手は難しい)

グラハム「……」チラッ

マリーダ「〜〜〜〜」

フェルト「〜〜〜〜」

グラハム(向こうは巧く言っているようだな、流石はマリーダだ)

グラハム(少なくともミス・クジョウの気概だけは抑えておかねばならんか……正念場だな)
566 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 02:04:46.46 ID:xjV4v0OAO
スメラギ「何がニュータイプ……何が人類の変革! 所詮人間は人間よ、そんな妄言にあの子を巻き込まないで!」

ミーナ「……」ピクッ

グラハム「……」

スメラギ「そんなオカルトじみた実験、あなた達だけで勝手にやってればいいでしょう!!」

ミーナ「お言葉ねリーサ・クジョウ……ニュータイプの何たるかも知らないアナタにそんな事は言われたくないわね」

スメラギ「何ですって……!?」

ビリー「ミーナ!?」

ミーナ「ニュータイプは今、戦闘を経験し自ら死地をくぐった者達にしか確認出来ていない……」

ミーナ「彼女が完全な自然発生のニュータイプならば、今ニュータイプに対して向けられている【戦闘種族】という偏見を、唯一拭えるかもしれない存在なのよ」

ミーナ「戦いはさせないし彼女は戦闘区域には近寄らせない。それに少佐や中尉も同じニュータイプ同士、彼女だって問題ないでしょう?」

スメラギ「戦場では何が起こるか分からない、安全な場所なんか何処にも無いことは私がよく知っているわ!」

スメラギ「それに、フェルトと軍人風情を一緒くたに語らないでくれる? 同じじゃないことくらい誰にだって分かる筈なんだけど……!」

ミーナ「風情……?」ピクッ

ビリー「ク、クジョウ……ミーナも、少し落ち着いてくれよ……!」

グラハム「むう……」

グラハム(マズいな、いつの間にか私が入る余地がなくなってしまった)

グラハム(女の戦いが勃発してしまうとは想定外だが……対処出来るか、この私に)

ミーナ「……」

ミーナ「流石、恋人を仲間と殺し合わせた女の言うことは重いわね」
567 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 02:19:55.42 ID:xjV4v0OAO
グラハム「何とッ!?」

ビリー「ミーナ!!」

スメラギ「……今、なんて言った……?」

ミーナ「あら、聞こえなかったのかしら? じゃあ良いわよ、独り言みたいなものだし」

ミーナ「そんなに彼女を預けるのが嫌ならアナタも来る? 今回の作戦、掃討戦だから……きっと来るわよ、彼も」

グラハム「……」

ビリー「止めるんだミーナ、君は一体何を!」

グラハム「カタギリ」スッ

ビリー「……グラハム!?」

グラハム「女の戦いに手出しは無用だ。それに今回の件、正攻法ではどうにもならないと判断した」ボソッ

グラハム「卑怯と罵られようと、ここは阿漕な真似に身を染める以外道は無いようだ……辛いだろうが、黙っていてくれ」

ビリー「……ッ」

スメラギ「か、れ……」

ミーナ「アナタが軍を止める理由にもなったグリプス事件……その際カティ・マネキン側について戦い、敵対した味方を皆殺しにした【グリプスの野獣】」

ミーナ「ヤザン・ゲーブルもね」

スメラギ「ッッ……!!」

ミーナ「あら、その顔じゃ知らなかった? 今彼は出所して堂々と軍人に復帰しているわ」

ミーナ「悲しい事件だったわね。同情するわ」

スメラギ「あなたがっ……」

スメラギ「何も知らないあなたがあの事件を語らないで!」

ミーナ「……同じ言葉をそっくりそのまま返すわよ、味方殺しっ!」

スメラギ「っ……!」

パァンッ
568 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 02:49:42.80 ID:xjV4v0OAO
ウィンッ

マリーダ「……マスター?」

グラハム「マリーダ、話は終わったか」

マリーダ「はい……しかし」

スメラギ「……っ!」

ビリー「……」

ミーナ「っ……」

マリーダ「何故カタギリ技術顧問がミーナ女史に手を?」

グラハム「……色々とな」

グラハム「それで、どうだった」

マリーダ「はい、フェルト・グレイスは此方の要請に応じました」

スメラギ「えっ……!?」

マリーダ「詳しい話は中で、彼女が待っています」

スメラギ「あなた、一体フェルトに何を……!」

マリーダ「……急げと言われなければ踏み出せんか? 私が我慢出来ている間にさっさと行け、リーサ・クジョウ」ギロッ

スメラギ「つっ……」

ウィンッ

マリーダ「……ふう」

ミーナ「マリーダ中尉、部屋、貸してもらえる?」

マリーダ「……えぇ、どうぞ。鍵です」スッ

ミーナ「ありがと」

ミーナ「……ビリー、彼女にはごめんって伝えといて」

ビリー「ミーナ、僕は……!」

ミーナ「分かってる」

ミーナ「分かってるよ……」

バタンッ

ビリー「……」

グラハム「カタギリ、軽蔑するなら私を軽蔑しろ」

グラハム「先ほどのあの瞬間、唯一打算で動いたのは私だ。私に咎がある」

ビリー「……初めてだよ、女性に手を上げるなんて……」

ビリー「嫌なもんだ……二度とこんなことはしたくない」

グラハム「カタギリ」

ビリー「いや、良いんだ。話がこじれてあらぬ方向に飛んでしまうのは、大人の会話には良くある話だ」

ビリー「あんな収め方しか出来なかった……僕が、僕こそが最低だ」

グラハム「それは違うぞカタギリ……私は!」

ビリー「……少し外の風に当たってくるよ……ごめん」

バタンッ

グラハム「……」
569 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 03:04:26.12 ID:xjV4v0OAO
グラハム「どうしてこうなった……全く」ギシッ

マリーダ「マスターの方針に誤りはなかったと思います。誤算だったとすれば、あの三人の関係性が問題だったと……」

グラハム「色恋沙汰は分からん、ただこうなった以上は必ず成功させねばなるまい」

マリーダ「フェルト・グレイスは聡明で溌剌とした人物です。彼女ならば、リーサ・クジョウの説得も可能だと確信しています」

グラハム「そうか……」

グラハム「……何故かな。彼女からニールの匂いがするような気がするんだ、マリーダ」

マリーダ「マスターも……ですか?」

グラハム「! お前もか」

マリーダ「はい……精神感覚的なものですが、そのような気がします」

グラハム「……」

グラハム「まさかとは思うが、もしそうだったとしても」

マリーダ「彼女には何も問うおつもりはない、と?」

グラハム「あぁ」

グラハム「何を見て、何を学ぶかは彼女次第だ……私はその結末が見たいのかもしれん」

マリーダ「ときには保護者の庇護を抜け、苦労を重ねねば子は大きく育ちません」

グラハム「NT研究の為……か。ミーナ女史を結果的にダシに使ってしまったか、今回私は何一つ誇れる面が無い」

マリーダ「省みることが出来るならば次に生かせ、マスターが以前マーセナス准尉にお伝えしていた言葉です」

グラハム「私が冷静でいられるのはお前がいるからさ……マリーダ」

マリーダ「恐縮です」
570 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 03:14:12.17 ID:xjV4v0OAO
――――

フェルト「ごめんなさいスメラギさん……私があんな事をあの人にしなければ、こんなことには……」

スメラギ「もう良いのよフェルト……過ぎてしまったことは取り返せないわ」

スメラギ「それより、本当にそれで良いのね?」

フェルト「……」コクン

フェルト「私は、何のために此処に来たいのか、曖昧なままで来てしまったけど」

フェルト「今なら分かるわ……私、ソレスタルビーイング以外の場所から世界を見てみたい」

フェルト「ロックオンや刹那が……クリス達が変えようとした世界を、そして世界がどう変わったのかを、この眼で見てみたいの」

スメラギ「フェルト……」

フェルト「あの人は、マリーダさんは、必ず家に帰してくれるって約束してくれた」

フェルト「あの人と……グラハムさんを、私は信じてついて行ってみたいの……スメラギさん」

スメラギ「……」

スメラギ「あんなに引っ込み思案だったあなたが、こんなに色んなことを自分で考えるようになるなんて……何だか、私だけ置いてかれちゃったみたい」クスッ

フェルト「え?」

ギュッ

スメラギ「フェルト……あなたが選んだ道なら、もう私なんかが口出しすることなんてない」

スメラギ「その代わり約束して……絶対に、絶対に生きて帰るって、約束して」

フェルト「スメラギさん……っ」
571 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 03:27:41.15 ID:xjV4v0OAO
ウィンッ

マリーダ「!」

グラハム「……話は、ついたかな」

スメラギ「えぇ」

フェルト「……」

スメラギ「彼女の待遇に関する詳細、連絡手段、話し合わなければならないことは山ほどあるわ」

スメラギ「それにあなたのことだから、上層部との話も折り合いがまだついてないのではなくて? そちらに関してもお話しする必要があるわよね」

グラハム「お察しの通りだと言わせていただこう、流石はミス・クジョウ」

スメラギ「お互いの利益、というよりはフェルトの為だもの」

スメラギ「……さっきは少し熱くなりすぎたわ、ごめんなさい」

グラハム「頭を上げていただきたい。むしろ私こそあなた方には土下座しなくてはならないくらいだ」

マリーダ「やりすぎです、マスター」

スメラギ(そういえば……マスターって……)

フェルト(マスターって……///)

グラハム「では、詳しい話に入りましょう」

スメラギ「長くなるわ。今夜はこの基地に泊めてもらえると助かるんだけれど」

グラハム「手配は五分ほど前に致しました、食事の御用意も既に連絡を通してあります」

スメラギ「あら……気が早いのね」クスッ

グラハム「私は我慢弱い。思ったらすぐに行動せねば気が済まないのですよ」フッ

マリーダ「……」

フェルト「……」

マリーダ「どうした?」

フェルト「! い、いえ……っ」ササッ

マリーダ「……?」

グラハム「マリーダ」

マリーダ「!」

マリーダ「……了解しました、マスター」

バタンッ

スメラギ「彼女、何処へ?」

グラハム「事後処理の極意は後回しにせず、直ぐに行うものです」

グラハム「彼女なら適任だ、少なくとも私よりは遥かに」

スメラギ「……?」
572 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 03:41:40.29 ID:xjV4v0OAO
――マリーダ自室――

ミーナ「ひっく……ひっく……」

マリーダ「ミーナ女史」

ミーナ「あんなごと……あんなごと言うつもりながっだのに……うわぁぁぁぁぁん!」

マリーダ「……」ナデナデ

ミーナ「ビリーにきらわれちゃったよぉ……ぐすっ……あたしのばかぁぁ……」

マリーダ「カタギリ技術顧問は、そんなことで人を嫌いにはなりません」

ミーナ「うぅぅぅ……」グズッ

マリーダ「ほら、鼻水を拭いて」

ミーナ「……っ……」チーン

マリーダ「……泣きたいときは、泣けばいい」

マリーダ「泣けばいいんだ……」

ミーナ「う……うわぁぁぁぁぁ……!」

――――

結果として、フェルト・グレイス襲来事件は双方の思惑を通した形で幕を閉じた
表沙汰になったのはリディ・マーセナス准尉が銃を落としたことによる始末書くらいであり、それ以外の一件は全て闇に葬られていった
取引に関しては水面下の調整が次の日の夕方まで夜を徹して行われたが、フェルトが予想を裏切りリーサ・クジョウにグラハムへの殺人未遂を伝えたことで円滑に事は運び、ホーマー・カタギリの計らいもありフェルトの待遇は異例の速度で決まっていった

そして……

――輸送機・ミーティングルーム――

グラハム「うむ、似合っている。白衣姿もなかなか可憐じゃないか、フェルト・グレイス」

フェルト「何だか、恥ずかしいです……っ」

マリーダ「君はミーナ女史お付きの助手を兼ねながらこちらに同行する、下手に軍服を切ると何が起こるか分からないというリーサ・クジョウ氏の提言だ」

フェルト「我慢します……私服だと何かが違う気がするから」

ミーナ「んふふ〜、可愛い助手が増えてお姉さんも鼻が高いわ」

ビリー「ミーナ、使い方が違うような気もするけど……」
573 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 03:51:16.23 ID:xjV4v0OAO
グラハム「何か困ったことがあればマリーダやミーナ女史に言うといい。同じ女性の方が何かと捗るだろう」

ミーナ「何でも相談してねフェルトちゃん、何でも……ね?」サワサワ

フェルト「ひゃっ!? ど、どこを触って……!」

ビリー「穏やかじゃないね……刺激が強すぎるよ……」

グラハム「カタギリ……」

マリーダ「……」

ビリー「憐れみの眼差しは止めてくれって言ってるじゃないか! もう……」

グラハム「まあいい、そろそろ出発だ。日程を変えることなくフェルト・グレイスの件を間に合わせられたのは大きいな」

グラハム「だがフェルト・グレイス、やはりミス・クジョウの言っていた通り戦場は危険だ。いつ何時戦闘になるかは分からん、あまり彷徨かないようにな」

フェルト「はい。何かお手伝い出来ることがあれば、何でも言ってください」

グラハム「ふっ、その意気だ。無理はするなよ、戦闘は我々軍人の仕事だ」

マリーダ「マスター……」

グラハム「む、もうそんな時間か……」

グラハム「では失礼する、またなフェルト・グレイス」

フェルト「フェルトで構いません」

グラハム「了解した、フェルト」

マリーダ「……」

グラハム「? 何だマリーダ」

マリーダ「いえ、何も」

グラハム「……穏やかではないな」

ビリー「全くだ」
574 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 04:00:11.32 ID:xjV4v0OAO
フェルト「……」

フェルト(ロックオン……あなたの見ていた世界を、私も見てみたい)

フェルト(だから見守っていて、私が此処でもちゃんとやっていけるように)

フェルト(そして……ソレスタルビーイングのみんなの下に帰れるように)

ミーナ「じゃ、早速だけどシュミレータを動かすわ。準備してね」

フェルト「はいっ!」

――遡り、中東――

デュバル『追うかね、キャプテン』

ジンネマン「いや……止めておこう。どうせ追いつかん」

ジンネマン「それより撤収する方が先だ。急ぐぞ!」

一瞬、本当に一瞬の邂逅
まるで此方を品定めするような、ほんの僅かな戦闘行為であった
不審に思ったデュバルが支援に駆けつけてくれたのは、あれからすぐのことであった
ヅダを交えての四対一、圧倒的不利の状況でさえあの真紅のMSを墜とすことは叶わなかった

ジンネマン「……」

背を向けるMSの背からは、ライトグリーンの粒子が絶え間なく吐き出されているのが見える
大佐の言っていたオリジナルの太陽炉を積んだ謎のMS……顔は違ったが、あれもガンダムなのだろうか
また何処かで会うかもしれない。そんな予感が、ジンネマンの背筋を這い回る

ジンネマン「勘弁してくれ……」

           ・
                         ・
                         ・


874『フォン、宜しかったのですか?』

フォン「あぁん?」

874『当初の目的では彼等を撃墜し、第三勢力の出方を見るはずでしたが』

フォン「気が変わった。おれ様と戦ったあのMSのパイロット、ぽっと出の捨て駒じゃあなさそうだ」

フォン「恩を売ってアイツに黒幕までの道案内をさせるのも悪くない……まずは連中の目的を探ってから次を決めるさ」

874『……ただの一度、剣を交えただけなのにですか?』

フォン「あげゃげゃげゃげゃ!」

フォン「おれ様からは誰も、何も、隠せやしない……全てが俺の前では筒抜けになる」

フォン「一度で十分だ、一度でな」
575 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 04:07:52.84 ID:xjV4v0OAO
フォン「次は国連軍にちょっかいを出す。キュリオスから回収した太陽炉の搭載も済んでいるはずだからな」

874『では……次の目標は?』

フォン「決まってんだろ」

フォン「頭の上をブンブン飛び回る小うるさいフラッグファイター……おれ様の舞台からご退場願うとしようか」

フォン「あげゃげゃげゃげゃげゃげゃっ!」グシャグシャッ

TO BE CONTINUED...

――???――

アレルヤ「……う……」

プルツー「やぁ、ガンダムマイスター、アレルヤ・ハプティズム」

プルツー「今日はお前に会わせたい奴らがいるんだよ」
576 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 04:09:35.87 ID:xjV4v0OAO
投下終了だ、待たせてしまって済まんなフラッグファイター

鋼鉄の七人って響き、素晴らしいと思わないか

ではまた
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 04:29:59.46 ID:wJ5rhl3to
ギリの走馬灯シーンに泣いた
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 08:33:17.75 ID:H/8FWvbt0


公とX1は相性よさそうだ
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 23:18:14.53 ID:GI1GxQob0
>>1キテタ━━━━||○(゚∀゚)○||━━!!
外伝は読んでないからわからないんだよなぁ・・・。
勉強しなければ
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/29(金) 23:00:42.39 ID:jTswmp+DO
実に楽しみな展開だな
乙乙
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/07/30(土) 00:20:50.79 ID:EtLP4qxX0
まさか、ハムとキンケドゥの共演か
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/30(土) 05:58:33.25 ID:amCLf2+IO
>>581
鋼鉄の七人にシーブックはいないんだが。
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/07/30(土) 21:26:47.82 ID:bZ/Ty9120
そうだった。すまない。
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/07/30(土) 21:38:07.64 ID:7Q+XdkRDo
グラハムにX1とかwwwwww
「君が初めてだよ少年・・・・・・私にビームシールドを使わせたのはぁッ!!」
とか言い出しそうだな
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 11:17:41.25 ID:apN/x+tDO
ブシドー「お前は死んだんだぞ!?駄目じゃないか!死んだ奴が出てきちゃ!お前は死んでなきゃぁぁぁぁ!!」
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/07/31(日) 11:40:06.33 ID:yKDHTx7Vo
ロックオン(弟)「人違いだ」
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/31(日) 18:19:43.39 ID:dAFCbDe30
そういえば、フェルトとスメラギはネーナにそっくりな顔をしている、ミーナをどう思った
んだろう。ミーナはネーナのような邪気がないから、気づかなかったしれないけど。
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/07/31(日) 23:09:10.83 ID:91jvi3DI0
>>587
あ、あの人みたい。
くらいの認識じゃない?
589 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/01(月) 00:56:16.26 ID:8BrQa+yAO
グラハム「父親を連想してしまって」

セルゲイ「はっはっは、それは光栄な……」

父:セルゲイ
姉:マネキン
婿:コーラサワー
妹:ソーマ
マスター:グラハム
?:マリーダ

セルゲイ「あ……あれ……?」

投下再開だフラッグファイター
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/01(月) 01:03:03.05 ID:OOeyc4mDO
来たのか!
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/08/01(月) 01:05:58.06 ID:2CiSumlGo
遅ぇんだよ!
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/01(月) 01:11:47.02 ID:GuTNPufDO
待ちかねたぞ少ね……フラッグファイター!!
593 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/01(月) 01:14:35.60 ID:8BrQa+yAO
――中東――

『撃て、撃て!』

『敵を近づけさせるな! 一秒でも多く、同志の時間稼ぎを!』

ティエレン対空型が五機、煤けた空を見上げながらひたすら砲火を放っていく
上空にはRGMが三機、GNビームガンとシールドを装備した一般型が粒子を吐き出しながら滞空していた

『装甲まではGN-X程ではないらしい、やはり無茶はしてこないぞ!』

RGMは弾を避けながら旋回、なかなか踏み出せず頃合いを見計らっているようにも見える
それもそのはず、RGMはまだ配備の進まないGN-Xの代替機として大量生産が成されている
故にその装甲は既存のEカーボンより少し良質な程度であり、カスタマイズ機以外は旧型MSの携行火器でも十分対応出来るのであった
この一点に於いてはティエレンのパイロットの思惑通り――とある人物の作戦も加味し、分断された国連軍の戦力は、どの戦線でも追撃をしきれずにいた

『まだ弾はある……いけるぞ!』

そして今この場においては、張られた弾幕と温存されたミサイルの脅威に、追撃部隊が足止めをされている状態にあった
594 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/01(月) 01:33:56.43 ID:8BrQa+yAO
『国連軍の狗共め、指をくわえて見ているがいい!』

『同志の手により、正義の鉄槌が振り下ろされるその日までッ!』

原理主義組織の出であるこの部隊は、死さえも厭わず足止めを引き受けていた
狂信者、と呼ばれる類の者達である
ガンダムという無国籍、無思想の脅威が消え去った今、この様な存在がまた各地で紛争の火種としてくすぶり始めていた

マリーダ「……だったら、我々がその火を消すまでだ」

『!』

弾幕を張り続けていた、耳元でひたすら反響し続ける爆音の中
最初に気づいたのは、左から二番目のティエレンのパイロットだった
日光が一瞬遮られ、ティエレン対空型の前に躍り出る漆黒の機影
RGMが攻めきれずにいた二十門の対空砲の掃射をいとも容易くくぐり抜けたそれは、あろうことか彼らの目の前で姿を変え、人型として手の届く位置に降り立った

『な、何だコイツ!?』

『黒い……黒いフラッグだ!』

マリーダ「……」

動揺が波立ち、五機へと一斉に伝わる
ほぼ同時に、中心の一機の胸部に深々と紅い粒子の刃が突き立てられた

マリーダ「悪いが、そう時間をかけてはいられないのでな」

『ま、まさかコイツ……!』

砂煙を上げながら倒れるティエレン
その刃が、他のティエレンへと即座に向けられる
今まで対峙していたRGMなど、比較にすらならない圧倒的な戦力差
もはや、彼等に抗う力は残されてはいなかった

マリーダ「……蹴散らすぞ」

『ユニオンの、ライセンサ……!』

――それから三分後、照りつける太陽の下にはティエレン対空型だったものが五個、ただただ無惨に転がっていた
戦場において、死は列を成し平等に訪れる
彼等の手には、抗う術が無かっただけなのだ……
595 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/01(月) 01:45:59.49 ID:8BrQa+yAO
――中東・国連軍基地――

マリーダ「ふぅ……」

フェルト「お疲れ様です、マリーダ中尉」パサッ

マリーダ「あぁありがとう、ちょうどタオルを切らしていたところだ」

フェルト「連日大変ですね、こんなに暑いのに毎日毎日」

マリーダ「仕事だからな」フキフキ

マリーダ「それに今我々が追撃しているのは、ガンダムが現れる以前からテロを起こしていた反政府ゲリラ達ばかりだからな」

マリーダ「逃がすわけにはいかないさ……」

フェルト「……」

AEU兵士「中尉、お疲れ様です」

マリーダ「あぁ、お疲れ」

フェルト「……!」ササッ

AEU兵士「見てましたよ中尉、ハリネズミを五機潰した時の剣さばき!」

AEU兵士「流石はライセンサーの懐刀ですな、次も戦果を期待してますよ」

マリーダ「ありがとう。君も死ぬなよ」

AEU兵士「それじゃ、失礼します」

フェルト「ハリネズミ……ティエレン対空型を、ですか?」

マリーダ「あぁ」

フェルト「……」

マリーダ「フェルト、マスターを知らないか」

フェルト「それならマリーダ中尉より先に帰還して、今頃は作戦司令室にいるはずです」

マリーダ「そうか……ありがとう」スタスタスタ

フェルト「あ……」

フェルト「……っ」ギュッ
596 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/01(月) 01:58:25.64 ID:8BrQa+yAO
ミーナ「ティエレンツーウェイを五機、リアルドを三機撃墜。本機体の損傷は確認出来ず……流石ねぇマリーダちゃんは」

フェルト「……」

――基地・ユニオン軍休憩所――

椅子に座り、脚を組み直しながらモニターを見つめる女性、ミーナ・カーマイン
肌の艶やその抜群のスタイルは、同じ女性のフェルトから見てもスゴイモノである

ミーナ「グラハムはそうでもないわね〜、これはリディくんのお守りに熱心だったからかしら?」

ミーナ「ま、何にせよ戦場に復帰してからもう1ヶ月、ライセンサーの面目躍如ってところかしら」

よくよく考えてみれば、以前ソレスタルビーイングに接触してきた謎のガンダムマイスター【トリニティ】の紅一点、ネーナ・トリニティの外見と彼女はよく似ていた
最初にあった時はスメラギもフェルトも余裕など全く無い状態だったため気付かなかったが、特に声は瓜二つと言っても過言ではないレベルで、同一人物のものではないかと疑ったくらいである

ミーナ「あら、見つめちゃってどうしたの? フェルトちゃん」

フェルト「えっ? いや、何も……」

ミーナ「うふふ、大丈夫よフェルトちゃん。あなたならあと三年もすればこの位育つわよ、きっとね?」ポヨンポヨン

フェルト「っ……///」
597 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/01(月) 02:08:22.46 ID:8BrQa+yAO
皆が慌ただしく戦場を駆け巡る今となっては、ミーナと過ごす時間がフェルトの中では一番長いものになっていた
時間が空くとマリーダ中尉やダリル少尉が会いに来て話をしてくれたりもする、フェルトは最年少ということもあってか、此処でも妹のように可愛がられていた

ミーナ「ん、こんなものかしら。戦闘データなんかあんまり取ったってあたしの仮説には何にも役立たないし、別に良いわ」

フェルト「ず、杜撰です……」

ミーナ「それよりお昼にしましょ? お腹が空いては恋バナは出来ずよ」

フェルト「しなくて良いです!」

彼女といると、何処かクリスティナの存在を思い出す自分がいた
グラハム少佐や他の皆とは違い軍属ではないミーナは、フェルトと等身大の付き合いをしようとしてくれる数少ない人物であった
恋バナと称し『ファーストキスはいつだった』とか『今気になっている人は』とか聞き出そうとしてくるのは少々面倒だが……それでも今では一番仲の良い人物になっていた

ミーナ「マリーダちゃんのファーストキスの味が『鉄の味』って聞いた時は笑ったわね」

フェルト「後ろの方でグラハムさんが咽せてましたね……」クスクス

ミーナ「全く、あの犯罪者め。フェルトちゃんはああいう手合いに惚れちゃ駄目よ?」

ミーナ「ん……?」

フェルト「あ……」
598 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/01(月) 02:26:51.33 ID:8BrQa+yAO
リディ「お……フェルト、それにミーナさんも」

食堂までの一本道、いつものように壁に寄りかかるリディ少尉に遭遇する
スクランブルや出撃が無い限り、彼はいつも決まった時間決まった場所で二人を待っているのだ

ミーナ「あら、相変わらず待ち伏せ? 献身的じゃない少尉」

リディ「はは……ミーナさんにゃかなわないな。半分日課になっちゃったんですよ、惰性惰性」

フェルト「リディ少尉もこれから昼食ですか?」

リディ「はは……よそよそしいな、少尉だなんて。リディでいいよフェルト」

フェルト「は、はぁ……」

ミーナ「積極的過ぎるのも問題ねぇリディ」

リディ「ミーナさんまで呼び捨て!? つうか積極的って何の話ですか! アナタには言われたくない気もしますけど!?」

三人揃って並び、食堂に歩いていく
リディを見ていると、いつも明るく笑っていたリヒティが脳裏をよぎる
何となく名前が似ているだけかも知れないが……いつものこの時間だけは、昔に戻ったような懐かしさに襲われ、少しだけ寂しさを覚えてしまうのだった

リディ「フェルト……今何か失礼なこと思わなかったか?」

フェルト「いいえ、何にも思ってないッスよ」

リディ「何だぁ? その語尾……」

フェルト「ふふ、ちょっとね。昔の家族の真似」

まだ少し馴染めないことも多いが、きっとすぐに馴れていくだろう
そんな前向きな気持ちが、今のフェルトを支えていた
――もう少しだけ、こうしていたい
フェルトは自分でも気づかぬ内に、変革を迎えていた
599 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/01(月) 02:37:01.70 ID:8BrQa+yAO
――作戦司令室――

マリーダ「失礼致します。オーバーフラッグス所属マリーダ・クルス中尉、只今任務より帰還いたしました」

マネキン「来たか、マリーダ」

グラハム「話は聞いた。多大な戦果を挙げたそうだな」

マリーダ「マスター」

グラハム「よくやった、マリーダ」

マリーダ「……はい!」

マネキン「済まんなお二方、二人の世界に割り込ませてもらうぞ」

グラハム「む……」

マリーダ「た、大佐……!」

マネキン「ふふ、茶化しただけさ。そう熱くなるな」

マネキン「どうかなグラハム、マリーダ。新たなオーバーフラッグの力は」

グラハム「GNコンデンサによるビームサーベルの内蔵……素晴らしいの一言に尽きます」

マリーダ「GN-XやGNフラッグに比べると出力不足は感じますが、オーバーフラッグに搭載する分には最高峰の兵器です、大佐」

マネキン「喜んでもらえたようで何よりだよ。手配した私の苦労も戦果によって早々に報われたし、言うこと無しだ」

マネキン「ただ、うちの整備班では提案しても実現出来なかったものをああも容易く積み込むとは……流石はビリー・カタギリ技術顧問、とも言うべきかな」

グラハム「えぇ、私やマリーダの挙げた戦果の半分以上は、彼のもたらしてくれたフラッグのお陰といって過言ではありません」

グラハム「本当に頼りになる盟友です、カタギリという男は」
600 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/01(月) 02:51:14.38 ID:8BrQa+yAO
マネキン「だが油断は出来ん」

マネキン「もう知っているとは思うが……一月前、旧クルジスで例の未確認機【サイクロプス】が確認され、迎撃に出ていたGN-X三機が撃墜された」

グラハム「……」

マネキン「それにもう一つ、今日お前達も感じたと思う。我が国連軍は人員の数こそ多く、物資も豊富だが……」

マリーダ「パイロットの質は決して高くない、という事ですね?」

マネキン「その通りだ」

マネキン「一連のガンダム掃討戦において、我々は多くの優秀なパイロットを失った」

マネキン「MSの性能差が著しい今だからこそと、上層部は多くの新兵を前線に派遣してきている」

マネキン「……その結果が、あれだよ」

マリーダ「RGMの武装なら、三機の連携で地上から攻めれば突破も容易なはずでした」

マリーダ「それも分からず空中で右往左往……あれでは、マネキン大佐のお嘆きもごもっともです」

グラハム「此方も似たようなものだ。まんまと罠の張られた場所までおびき寄せられ、地雷で動けなくなるRGMが今日だけでも四機はいた」

グラハム「かといって既存機では、対空型を効率的に配置した敵の防衛ラインを突破するのは至難の業だ」

マネキン「故の君達、故のフラッグファイターだ」

マネキン「私の期待、裏切ってくれるなよ」スッ

グラハム「はっ!」

マリーダ「……!」

マリーダ「……そうだグラハム、昇進した君に頼みたいことがあるのだ」

グラハム「私に、ですか?」
601 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/01(月) 03:14:40.24 ID:8BrQa+yAO
マネキン「敵は捨て身のゲリラ戦を展開し、此方の気勢と行軍を阻害しようと躍起になっている」

マネキン「被害を少なくする為にも、最前線では現場の判断が重要になってくるのは間違い無い。そこでだグラハム」

グラハム「はい……?」

マネキン「君にAEUから数名兵士を預ける。ライセンサーとしての権限を使い、遊撃隊として最前線で戦ってもらいたいのだ」

グラハム「何とッ!?」

マリーダ「AEUの兵士を……ですか?」

マネキン「具体的には四名、改良型のイナクトに乗せて君の部隊に預けよう」

マネキン「小隊として、AEUではそこそこ名前の知れた部隊でな。隊長と副隊長に少々クセのあるところが目立つものの、私の見たところ十分君達と肩を並べて戦えるはずだ」

グラハム「……」

マリーダ「マスター……」

マネキン「頼めるか? グラハム」

グラハム「他ならぬ大佐の頼みです、断っては男が廃ると言うものでしょう」

グラハム「四名の命、確かにこのグラハム・エーカーが預からせていただいた! 必ずや全員五体満足でお返ししてみせましょう」

マネキン「……助かる。グラハム」

マネキン「早速手配を進めよう。イナクトは元々フラッグにも通じる機構が多いMSだ、一応整備班も此方から出すが、カタギリ技術顧問達ならば整備のしようはあるはずだ」

グラハム「彼等ならばきっとやり遂げてくれましょう、お任せ下さいマネキン大佐」

マネキン「任せる。それでは、四名の詳しい資料はこれに」

マリーダ「……」
602 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/01(月) 03:23:50.55 ID:8BrQa+yAO
グラハム「では、失礼致します」

マネキン「頼んだ」

ウィンッ

グラハム「ふふ……面白くなってきたではないか」

マリーダ「マスター、我々はともかく他の隊員は大丈夫でしょうか?」

グラハム「愚問だ。私に付き合ってきたあいつ等なら、ちょっとやそっとの軋轢など問題にはすまい」

グラハム「特別恨まれることをしなければ、つつがなく終わることだろう。そう心配するな」

マリーダ「はっ……」

グラハム「ところで、彼等の名前は分かるか? 誰が来るかぐらいは見ておきたいものだ」

マリーダ「了解です、マスター」

ピピッ

マリーダ「隊長:ヴィクトル・レオーノフ大尉」

マリーダ「副隊長:ルドルフ・シュライバー少尉」

マリーダ「以下二名の曹長を加えた第33MS小隊がオーバーフラッグスに転属してきます」

           ・
                         ・
                         ・

603 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/01(月) 03:35:07.76 ID:8BrQa+yAO
――中東・元PMC中継基地――

PMC兵士「クソッ! このまま解体しなくちゃならないってのか……」

PMC隊長「どう足掻いても次で最後だろう。昼間の戦闘では惨敗を喫した……我々の部隊の戦力ではもう……」

PMC兵士「畜生……」

PMC兵士「な、なぁあんた! ガンダムで何とかならないのか!?」

フォン「あん?」

874HARO『……』

PMC兵士「ガンダムは紛争に介入するんだろう? あんたがこの紛争に介入してくれれば百人力だ」

フォン「あげゃ、別に構わないぜ。どちらにも攻撃していいっつうんならな」

PMC兵士「そんな……!」

フォン「あげゃげゃげゃげゃげゃ!」

フォン「最初から自分の力で何も出来ないんなら、事を起こそうだなんて考えるもんじゃねえぜ」

フォン「責任は自分で取れ……それが自分の行いに対する最低限の礼儀だ」

PMC兵士「ぐ、ぐう……」

フォン「あげゃげゃげゃげゃげゃ、ぐうの音が出る内は何とかなんだろ。せいぜい気張れや傭兵諸君」

874HARO『ハロハロ』

874(……フォンはあれからずっと、以前在籍したPMCのツテを利用して戦場の側にこそ席を置いてはいるが、自身が戦うことは一度もない)

874(フォン……アナタは一体何を考えているの?)

PMC兵士「こうなったら、玉砕覚悟でも奴らに痛手を!」

PMC隊長「ぬう……」
『馬鹿なことを考えるんじゃないよ!』

フォン「!」

874「!」
604 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/01(月) 06:08:28.04 ID:8BrQa+yAO
「考えて考えて、考え抜いて戦った結果に死ぬんならまだ納得も出来ようさ」

「でも行き当たりばったりで暴れた挙げ句、突っ込んで玉砕? アホらし……あたしは嫌だよ。そんな死に方」

フォン「女……?」

874HARO『ハロハロ』

PMC兵士「しかし少尉、このままでは……!」

「仕方ないさ。とりあえずは例の連中とやらに合流するのが今のところ唯一の手みたいだ」

「あたしが時間を稼ぐ。その間に部隊を動かしておくれ隊長」

PMC隊長「ネフェル、まさかお前っ……!」

ネフェル「死ぬつもりは無いよ隊長。それこそ犬死にだからね」

ネフェル「ただ、どうせ目にモノ見せてやるなら渦中の人に見せてやろうってだけの話さ。アタシのイナクトなら逃げられる、直ぐに合流してやるよ、安心しな」

フォン「あげゃ……」

ネフェル「ライセンサー、グラハム・エーカー……」

ネフェル「アイツを狙い撃って、ね」
605 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/01(月) 06:09:20.85 ID:8BrQa+yAO
今日は投下終了だフラッグファイター

ではまた
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/01(月) 08:00:30.42 ID:oRrgjF0S0
>>1キタ━━━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━━━━!!
おつおつ。仕事あがったらゆっくり読もう。
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/08/01(月) 10:52:09.03 ID:uCkOZFs8o
お疲れ〜〜
ソルブレイヴスの紅一点の登場か。
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/08/03(水) 15:01:10.94 ID:7HO8zpDXo
一瞬シーマ様かと思ってドキドキしたわ
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/08/04(木) 10:59:30.78 ID:kLi1ZTk6o
1期OPの姫様みたいな人って擬人化エクシアだったのか
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/06(土) 22:39:51.61 ID:6RsOLIGS0
Mr.&Mrs.ブシドー・・・いや言ってみただけだ
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/09(火) 01:40:10.50 ID:Nu6/t1sAO
そろそろ…来るか?
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/10(水) 00:06:29.08 ID:UYo69Wxg0
今夜来るかな?
613 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/10(水) 00:07:49.51 ID:AO+uUbtAO
マリーダ「十三人いる!」プルツー

人数が違う気がするが気のせいだ、懐かしいな

投下再開だフラッグファイター
614 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/10(水) 00:16:19.87 ID:AO+uUbtAO
――某所――

バチバチバチッ

アレルヤ「がぁぁぁぁぁ!?」

将校「出力を上げろ!」

兵士「し、しかしこれ以上は人間の許容度を超えてしまいます!」

将校「構わん! どうせコイツは肉体強化された超兵、ちょっとやそっとじゃへこたれん」

将校「尋問を開始して、もう四月ほどだ。そろそろ何か一つくらいは吐いてもらわなくてはな」

アレルヤ「あっ……は……っ」

将校「どうだ? いい加減我々に力を貸してはくれないか」

将校「私だってこの様なことはしたくないんだ……君が協力してくれるなら、今すぐにでも待遇を変える準備がある」

アレルヤ「……っ……」

将校「ふふ、最近は死んだようにだんまりを続けていたが、最近はまた表情豊かになってきたようではないか」

将校「あの小娘は何をした? 誰かと面会させたとも聞いたが……」

アレルヤ「…………」

兵士「! 心拍数上昇」

将校「ふん……気に入らんな。我々の歓迎よりも小娘の方がお気に入りとは」

将校「構わん。続けろ」

兵士「はっ!」

将校「世界を混沌に貶めたソレスタルビーイング……その構成員に人権があるなどと思うなよ」

将校「じわじわとなぶり殺しにしてやる……悪魔共め」

アレルヤ「……」

バチバチッ

アレルヤ「っっ!?」
615 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/10(水) 00:23:57.62 ID:AO+uUbtAO
――???――

『あぁぁあああああああああああ!!』

プルツー「もう良い、回線を切れ!」

リジェネ「はいはい」

ピッ

プルツー「結局あの男は喋らず仕舞か……」

リジェネ「彼は君らのような強化を施された超兵、薬品による自白や肉体的苦痛にも飛び抜けて耐性がある」

リジェネ「よりによって捕まったのが彼とはね……間の悪い話だ」

プルツー「どうせガンダムマイスターに与えられた権限なんか微々たるものさ、吐いたところで何の役に立つか」

リジェネ「たとえ仮初めの自白でも、一度折れた心は決して元には戻らない」

リジェネ「君が彼に行った【面会】と【提案】に関しても、それなりに有利になるんじゃないかい?」

プルツー「どうかな……今更じゃないか」

リジェネ「淡泊な反応だ、意外だよ」

プルツー「ん?」
616 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/10(水) 00:34:31.69 ID:AO+uUbtAO
リジェネ「あの三人を処分手前で保護したのは、アレルヤ・ハプティズムの罪の意識を利用して此方側に寝返らせる為だと思ったのだけれど」

リジェネ「今の君の態度では、まるで彼に対するアプローチは物のついで……保護がメインといった感じだったから」

プルツー「……何が言いたいのさ」

リジェネ「素直に感心しているのさ、君にも感傷めいたものがあるんだなとね」

リジェネ「生き残りの妹さんにもまだ甲斐甲斐しく薬を届けさせているみたいだし……」

プルツー「……」

リジェネ「リボンズの玩具だと思っていたから、僕からすれば実に良い見世物だよ、プルツー」

プルツー「……ふん」

プルツー「お前等イノベイターの、そういう自惚れた自意識だけは全く慣れる気がしないね、反吐が出る」

リジェネ「自惚れとは違うな、上位種だけが持ちうる正当な優越感と呼んでもらいたいね」

プルツー「……」

プルツー「ヴェーダの使い捨てがエラそうに……」ボソッ
617 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/10(水) 00:48:46.01 ID:AO+uUbtAO
リジェネ「今のは聞かなかったことにしておくよプルツー……おあいこだ」

プルツー「ふん……そういうことにしておいてやる、今のうちはね」

ピッ

リヴァイヴ『プルツー、リボンズからだ』

プルツー「何だい」

リヴァイヴ『サイクロプスが地上に降りたのを確認、リボンズの読み通り反政府組織にアプローチをかけてきたようだ』

リヴァイヴ『そのせいか中東情勢が慌ただしくなってる、彼は国連軍の中にも此方の手勢を送っておきたいそうだ』

リヴァイヴ『最適な人物を選んでもらいたい、勿論君以外でね』

プルツー「ちっ……どいつもこいつも一々癇に障る」

リヴァイヴ『ちなみにヒリングがこの案件に関し立候補している』

プルツー「冗談だろう? 暇つぶししたいだけの奴を送るほどあたしは優しくないよ」

リヴァイヴ『……だ、そうだ』

ヒリング『ぶー! プルツーのいじわる!』

プルツー「お前等……いつも言ってるけど能天気過ぎるんだよ、全く」ハァ

プルツー「ヤザンに連絡を。アイツは小回りが利かないからね、こういうのにはうってつけだ」

プルツー「例のGN-Xの開発は?」

リヴァイヴ『急ピッチで進めているみたいだ、直にRGMで戦果を挙げた者達を中心に配備を進めるつもりなのだろう』

プルツー「とりあえずは旧式でもやれるか……ヤザンならイナクトでも何とかなるだろう」

プルツー「あぁ……それと」

リヴァイヴ『何だい?』
618 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/10(水) 01:05:07.24 ID:AO+uUbtAO
プルツー「例の被験体……S-35、E2-33、D-26の三人の様子は」

リヴァイヴ『薬品投与を行ったばかりだから暫くは保つだろう。各々趣味に没頭している』

プルツー「……そうかい」

リヴァイヴ『やはり同族は気がかりかな?』

プルツー「お前まで下手な勘ぐりを入れる、いい加減にしろ!」

リヴァイヴ『ふふ……私はそういう君も嫌いじゃないんだけどね』

リヴァイヴ『ヤザンには通達しておくよ、それじゃ』

ピッ

プルツー「くそっ!」ガンッ

リジェネ「クックック……」

プルツー「……!」キッ

リジェネ「僕はそろそろ失礼しようかな。噛みつかれては面倒だ」

リジェネ「またねプルツー、良い夢を」ウィンッ

プルツー「さっさといけっ!!」ブンッ

ガンッ

プルツー「っ……!」

――国連軍・MSドッグ――

グラハム「……」

ガチャカチャ

グラハム「!」

ビリー「ふう……」

グラハム「カタギリ」

ビリー「おや、どうしたんだいこんな夜更けに」

ビリー「僕かい? 僕はいつものようにフラッグの最終点検さ。GNビームサーベルと内蔵コンデンサの具合を確かめておきたかったのさ」

グラハム「まだ、何も言ってなかったのだがな?」

ビリー「ははっ、君の言いたいことくらい顔を見れば分かるさ」

グラハム「ぬ……そうか?」

ビリー「お互い長い付き合いだからね、そのくらいは分かるよ」

グラハム「そうか……」

グラハム「……あぁ、そうだな」
619 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/10(水) 01:25:05.41 ID:AO+uUbtAO
カチャンッ

ビリー「……」

グラハム「……」

グラハム「済まんな、カタギリ」

ビリー「ん? どうしたんだいいきなり」

グラハム「せっかく開発してもらったGNフラッグ……あれを取り上げられてしまったのは、私の責任だ」

ビリー「君が負けたから、かい?」カチャカチャ

グラハム「それもある。だがミーナ女史が予め教えてくれたにも関わらず、私は何の手も打てなかった」

グラハム「ニュータイプに対する厳しい政治的措置……バイオシートも実験で使うようなものしか与えられず、GN-XはおろかRGMすら回されてこない」

グラハム「GNフラッグをより完全な物に仕上げるための研究も予算が降りないと聞いた……私の不徳の致すところだ」

ビリー「君にしては弱気な発言だね、それに予算不足に嘆くグラハム・エーカーというのも珍しい」

グラハム「カタギリ!」

ビリー「話は聞いたよ。AEUイナクトに乗ったパイロットが四人、配属されるんだろう?」

ビリー「今現在RGMの量産の穴を埋めるため、イナクトが地上の治安維持の為製造されている。イナクトとの連携もいつかは起こり得る話だったさ」

ビリー「フラッグはもう増産されず、僅かに機体維持の為のパーツしか造られていないってのにね」

グラハム「カタギリ……」
620 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/10(水) 01:49:21.01 ID:AO+uUbtAO
ビリー「でも君はフラッグに乗ってくれている……今でも僕達に命を預けてくれている!」

ビリー「それだけで僕達は十分だ、十分なんだ!」

グラハム「……」

ビリー「だから……だからそんな事を言わないでくれグラハム……」

ビリー「僕は……僕はっ!」

グラハム「カタギリ!」

グラハム「……分かった、悪かったよ……」

ビリー「っ…………」グスッ

グラハム「良い歳して泣くな……フラッグの前で涙を流すなど、エイフマン教授に笑われてしまうぞ」

ビリー「ははっ……全くだね……」ズズッ

グラハム「……」

グラハム「機体の整備に支障が出れば、恐らく我々は部品の配備が間に合わないなどと理由を付けられ足止めを喰らうだろう」

グラハム「間に合うか? カタギリ」

ビリー「君達が被弾しないおかげで今のところはね。マネキン大佐のおかげで全機体にサーベルが付いたけど、予備在庫を考えると此方の方が怖いよ」

ビリー「君こそバイオシート無しのフラッグだ、反応速度の方は……」

グラハム「関節部への磁気コーティングとやらが利いてくれてるおかげで、大体はな」

グラハム「GNフラッグとは比べてはいけないものだと思っている、あれは色々な意味で異端だった」

ビリー「GN-Xが配備されれば、もう少し余地があるんだけどね……」

グラハム「いずれにしても、私が為すべき軍人としての責務には、まだこのフラッグの力を借りざるを得ない」

グラハム「任せられるな?」

ビリー「合点承知! ってね」

グラハム「ふっ……頼りになる友だ」
621 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/10(水) 02:04:00.36 ID:AO+uUbtAO
グラハム「……なぁカタギリ」

ビリー「ん?」

グラハム「例えばの話をする、軽い気持ちで答えてもらいたい」

ビリー「例えばの話?」

グラハム「まぁ心理テストのようなものだ……良いかな?」

ビリー「君からそんな話が出されるとはね……はは、珍しいことは続くものだ」

ビリー「良いだろう、それで何だい?」

グラハム「……例えば君が軍人で、同じ軍属の女性に想いを寄せたとする」

グラハム「情勢は荒れ、いつ死に直面するか分からない時勢に変わったとして……君は彼女とどう接する?」

ビリー「……」

グラハム「……」

ビリー「…………」

グラハム「…………」

ビリー「グラハム、それマ」

グラハム「言うなカタギリッ!!」

ビリー「……」

ビリー「……君という人は、本当に不器用な男だねグラハム……」

グラハム「……自覚はしているつもりだ」
622 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/10(水) 02:17:05.69 ID:AO+uUbtAO
ビリー「悪いけど、僕には答えを出すことは出来ないよ。第一重くて全然軽い気持ちで答えられないし」

グラハム「ぬぅ……」

ビリー「ま、共に闘うにせよ戦いから離れさせるにせよ……その女性とやらと話し合うしかないんじゃないかな?」

ビリー「軍人という生き物は、少なからず皆覚悟している。その覚悟を君がどう受け取るか、そこに僕は懸かっていると思うね」

グラハム「……」

ビリー「しかしまさか、君にこんなことを相談される日が来るなんてね……」クックック

グラハム「茶化すなカタギリ……私も真剣なんだ」

ビリー「了解だ、何か進展があったら教えてくれよ」

ビリー「仲人は是非このビリー・カタギリに……なんてね」

グラハム「カタギリッ!」

ビリー「あっはっは! じゃ、おやすみグラハム」

グラハム「ッ……全く、人事だと思って」

グラハム「……しかし」

グラハム「こんなことを考える日が来るとはな……」

薄暗いMSドッグには、グラハム一人が取り残されていた
見上げれば、完璧に整備されたフラッグ
その装甲には、かつて彼が掲げていたパーソナルマークから、片翼を外したものがペイントされている

グラハム「……スレーチャー少佐」

グラハム「今なら、貴方があの時空を飛んだ理由が分かるような気がします」

グラハム「今更になって惑う私を見たら、貴方はまた若僧と私を貶し笑うのでしょうか?」

グラハム「それとも……」
623 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/10(水) 02:55:23.70 ID:AO+uUbtAO
共に空を飛びたいという気持ちから、グラハムはパーソナルマークの一件を二つ返事で彼女に許した
だが、凄惨な過去を知っているからこそ、平穏な世界で幸せになってもらいたいというのも本心であった

グラハム「私は……違うだろうな」

恐らく、自身は一生MSに乗り、一生軍人として生きていくのだろう
そういう生き方しかきっと出来ない、盟友の言うとおり不器用な男だから
ソレスタルビーイングの一件以来、その想いはずっと強くなっていた
世界に関わる方法も、生きるための糧を得るやり方も
これ一つしか知らないのだから

グラハム「だが……」

しかし、彼女にまでそんな十字架を背負わせる気は毛頭無かった
セルゲイ・スミルノフがソーマ・ピーリスを戦わせたがらないのと同じ様に、グラハムもまた出自による宿命を是としない考えの持ち主なのだ

強化人間だから

ニュータイプだから

そんなことはどうでもいい
マリーダ・クルスはマリーダ・クルスだ
平穏を生きる権利が、彼女にだってあるはずだ

グラハム「マリーダは……応えてくれないだろうな」

それでも、きっと彼女は銃を取るだろう
それが彼女のアイデンティティであり、存在意義なのだから
そう、他ならぬ【マスター】の為に

グラハム「……今夜は寝付けそうにない」

また、フラッグを見上げる
何も答えてはくれない。MSなのだから、当たり前のことだ
しかし、グラハムは不意に慰めの言葉を聞いたように思えた
フラッグが慰めてくれたような、そんな錯覚を覚えた
624 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/10(水) 03:11:50.87 ID:AO+uUbtAO
――朝・輸送機内――

ダリル「ったく、ついてねえ。移動中にゲリラと鉢合わせとはな!」

ジョシュア「石油禁輸出規制のせいで中東国家とは折り合いがつかないとはいえ、こんな穴だらけの情報じゃあな!」

狭い更衣室、皆一様に慌ただしく軍服を脱ぎ捨て、白いパイロットスーツに着替えていく
リディは隅でゼリーチューブを口にくわえながら、スーツの袖に腕を通していた

リディ「しっかし……どうしてこう色んなとこから現れるんですかねっ!?」

ダリル「仕方ねえさ、元々中東は三大国家とは仲が悪い。手続きとかでもたついて偵察もままならないんだろうさ」

ダリル「とはいえ、もう少しやりようがあったと思うが、な!」

本来安全性が最も高いと言われていたルートだけに、油断がなかったとは言い切れない
それにしても情報が足りなすぎる、と皆不満を漏らしていた
命を懸けている兵士からすれば、政治的な軋轢で自身等が危機にさらされるのだ
当然だな、とリディは小さく呟く

ジョシュア「よしっ一抜……」

タケイ「……」スッ

ジョシュア「あぁっ!? タケイてめえ!」

ダリル「うるせぇよ! 隊長は先に行っちまってんだ、さっさと行け!」

リディ「っとと……!」

リディ「……フェルト、大丈夫かな」

ジョシュア「あぁ?」
625 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/10(水) 03:26:04.29 ID:AO+uUbtAO
ダリル「何だ新人、お前あのお嬢さんに惚れたか」

リディ「なっ!?」

ジョシュア「おいおい、犯罪だぞそれ。何歳差だよお前」

ダリル「ジョシュア、お前それ絶対に隊長の前で言うなよ。絶対だぞ!」

リディ「そんなんじゃないですよ! ただ気になっただけで……」

ジョシュア「ムキになるのが怪しいな、まぁ女の趣味はとやかく言える立場じゃねえがよ」

グラハム『先行するぞ、ハッチ開け!』

細い廊下を抜け、各々フラッグに乗り込んでいく
いち早く到着していた隊長機は一番にカタパルトへと移動し、発進準備に入っていた

リディ「ったく……すぐそうやってからかうんだから」

ジョシュア『可愛がってんだよ、お坊っちゃん!』

マリーダ『無駄口は其処までだ』

マリーダ『各員発進と同時に2マンセルで散開、輸送機を護衛しつつ敵機を撃破する』

ダリル『てぇと、やっぱり勧告には応じなかったんですね』

マリーダ『あぁ、残念だがな』

グラハム『だがこのままでは終わるまい。奴らが動く前に先んじる!』

リディ「了解……です!」
626 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/10(水) 03:30:59.73 ID:AO+uUbtAO
ハッチが開かれ、強い風がフラッグの翼に吹きつけられる
グラハムのフラッグがエンジンに火を点し、今か今かと出撃の時を待つ

リディ「……?!」

マリーダ『っ……!?』

その時、吹き抜ける風の音が遠退くような感覚に襲われた
えもいわれぬ不安に駆られる、背筋を嫌な感覚が這い上がっていく

グラハム『グラハム・エーカー、出るぞ!』

マリーダ『マスター、待っ……!』

グラハムのフラッグがエンジンに点火し、勢い良く発進していく

駄目だ

行ってはいけない

そう言葉にする前に、黒いフラッグが曇天の空に飛び出していく

そして、風を切り突然飛び出してくる何か

ダリル「はっ……?」

ジョシュア「え?」

タケイ「……!!」

フラッグの翼が、砕け散った
627 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/10(水) 03:41:34.99 ID:AO+uUbtAO
煙が尾を引き、流星のような軌跡を描き地面へと墜落していく

あのグラハム・エーカーのフラッグが、力尽きた渡り鳥のように重力に引かれて落ちていく

何が起きた

その時、誰もがそう思っていた

TO BE CONTINUED...

ジンネマン「……来たか」

?「済まない、少し遅れたようだ」

ジンネマン「構いませんよ。此方も急な訪問だった」

?「そう言ってもらえると助かります」

ジンネマン「スベロア・ジンネマンです」

クラウス「クラウス・グラード。この反政府部隊を指揮しています」

クラウス「早速ですがこれからのことについて話しましょう。我々にはもう時間があまり無いのだから」
628 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/10(水) 03:43:25.62 ID:AO+uUbtAO
投下終了だフラッグファイター

……何も考えつかない

ではまた
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/10(水) 04:21:10.04 ID:R2fGehVZo
乙でした

月曜から読み始めてやっと追いついた
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/10(水) 10:07:02.53 ID:crd49riDO
乙!
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/08/10(水) 12:17:22.04 ID:uM9oMtpN0
やっとグラハムがフラッグをたてたか
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/10(水) 15:31:57.62 ID:TomlzehAO
女の名を呼んだリディが危ない
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/10(水) 19:35:10.54 ID:tlACOXP40


マスタああああああああああ!!(CV.森川智之)
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/10(水) 21:31:24.87 ID:y7uHl0V60
>>1キタ━━(゚Д゚;)━━━!
おつおつ。
続きが非常に気になる。。。
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/11(木) 21:50:36.23 ID:ZC2e2Rrl0
乙でした
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/08/13(土) 22:06:12.29 ID:adWtVrJE0
乙!
マスターが....
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/08/15(月) 13:39:13.92 ID:DB3Xn/CNo
小説版4巻はマリーダのいろいろとアレな描写がいっぱい見れるぞ
638 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/08/16(火) 05:27:37.37 ID:XldYPG2AO
普段完全に無口であろうマリーダさんに対応出来るユニオン軍人が一体何人いるだろう

俺なら間違いなく耐えられなくなりアイスを差し出す

本日夜頃に投下再開出来るかも知れん、遅れて済まんなフラッグファイター
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/16(火) 06:53:48.83 ID:NLuqUAGt0
その旨をよしとする!!
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage ]:2011/08/16(火) 20:30:31.82 ID:2OA3Juo+0
わくわく
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/16(火) 21:06:55.99 ID:bBMGE2PUo
ところがぎっちょん!
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/16(火) 22:08:09.91 ID:+TpFHM8o0
wwktkが止まらん
643 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/17(水) 01:09:39.24 ID:A9FPM6rAO
【休憩室に汗だくのマリーダを配置し、アイスを持たせたユニオン軍人を投下した場合の考察】

マリーダ「……」

リディ「……た、食べます?」
(20秒で折れた。軟弱者)

ジョシュア「……ほれほ〜れ」

マリーダ「……!」
(アイスに反応するマリーダでひとしきり遊んで殴られる。二分十二秒)

ダリル「中尉、ご苦労様です!アイスは如何ですか?」
(趣旨を間違え即渡す。思いやりゴリラ)

タケイ「」ガタンッ

マリーダ「」ガタンッ
(場外乱闘勃発、理由は不明)

グラハム「マリーダ、これでも食べて精を付けろ」

マリーダ「はっ……ですが」

グラハム「?」

マリーダ「頂くのは、半分だけに致します」(論外)

投下再開だフラッグファイター、アイスクリームの食べ過ぎには用心しろ
644 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/17(水) 01:24:34.06 ID:A9FPM6rAO
――輸送機――

ビリー「一体何が起きたんだ!?」

オペ子「地上からの狙撃です! 兵装は恐らくレーザーカノン!」

ビリー「レーザーカノン……PMCか!」

オペレーター「グラハム少佐、応答してください! グラハム少佐ッ!」

オペレーター「駄目です……返信ありません……ッ」

ビリー「そんな……」

ビリー「グラハァァァムッ!!」

――地上・即席トーチカ――

スコープの中で小さな黒い物体が煙を上げ、急激にその高度を落としていく

本当に現れてくれた
情報が確かであったことを、今は神に感謝したいくらいだ

ネフェル「ッ……」

イナクトの上半身が多脚型ユニットの先端に装着されたMA、アグリッサ
それを特殊な金属板が囲い、ステルス機能を有した隠れ蓑を作り出していた
通常のMSでは装備できないレーザーカノンを装備した旧型MSバリエーション中最高級の性能を誇る機体
現状GN粒子を扱うMSらに対抗しうる唯一の存在である

ネフェル(流石はガンダムと渡り合った精鋭……一筋縄じゃいかないか)

『やったぜネフェル! 一機ダウンだ!』

ネフェル「浮かれるんじゃないよ馬鹿! 軸をずらされた……しとめ切れてない!」

ネフェル「死角からのスナイプが読まれた……まさか、噂のエスパー?」

下方からのレーザーカノンの一撃は、確かにフラッグの真芯目掛け撃ち放たれていた
だが出撃してからフラッグはすぐに急旋回、機体を異常なまでに傾けて左翼と腕部へと狙いを外していた

ネフェル「来るっ……!」
645 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/08/17(水) 01:44:42.45 ID:A9FPM6rAO
追い立てられた蜂のように、輸送機から黒い機影が次々と発進してくる
どの機体も小回りの利くMS形態で空に舞い上がり、隊長機に追随し高度を下げていく

マリーダ『そこかぁぁぁぁぁぁっ!!』

ネフェル「ちぃっ!?」

簡易トーチカ目掛けミサイルが軌跡を描き発射される
すぐさまアグリッサを動かし、トーチカを突き破り横飛びに回避。隠れ蓑にしかならない薄い鋼板は、機体の代わりに粉々に吹き飛ばされていった

ネフェル「気付くのが速いじゃないか! でもフラッグじゃあね!」

マリーダ『敵機確認、アグリッサタイプ7! 他熱源複数!』

マリーダ『ダリル、ジョシュアはマスターの下へ! タケイとリディは私に続け!』

ネフェル「来いよ、フラッグファイター!!」

マリーダ『貴様はぁぁぁぁッ!!』

イナクトの腕に握られたリニアライフルが火を噴き、蒼い弾丸が幾多の粒となりマリーダ機に降りかかる
それと同時に一斉に姿を現すヘリオン、イナクトの部隊。どの機体も天を仰ぎ引き金を引いた

リディ「う、うわぁぁぁ!?」

タケイ「リディ! くそっ!!」

まだ待ち伏せによる混乱が抜けていないのだろう、どのフラッグも動きが鈍く感じられた

――いける

ネフェルは確信めいた手応えを感じていた
646 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/17(水) 01:53:23.02 ID:A9FPM6rAO
PMC兵士『後方からミサイル攻撃!』

ネフェル「!」

その時、弧を描き地面に着弾していく数多のミサイル
後方から、ということは先ほど分かれた二機のフラッグからだろう
斜面に陣取っていたPMC部隊には届かない位置に、ただ砂煙を上げただけのミサイルだった

ネフェル「何だい……錯乱か?」

PMC兵士『はっ、噂のオーバーフラッグスも所詮この程度かよ!』

PMC隊長『煙幕が上がってくれて助かったな、下がるぞ!』

口々に安堵の言葉を発する同僚達
その会話がかえってネフェルの猜疑心を駆り立てた

ネフェル「誤射……本当にそうなのか……?」

前衛の三機が弾幕に耐えかねて撃ち込むならまだ分かる
だが後衛の、味方を救出しに向かったMSが何故そんなことをする必要がある?

ネフェル「可能性があるとするならそれは……」

ネフェル「救出する対象にそれが必要無いから……!?」

PMC兵士『よし、目標地点まで後退する!』

ネフェル「振り返るなっ! 奴が来るっ!!」
647 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/17(水) 02:10:31.86 ID:A9FPM6rAO
PMC兵士「え」

砂煙の壁から、飛び出してきた黒い影
背を向け退却を図ろうとしていたヘリオンとすれ違った瞬間、ヘリオンは腰から真っ二つに斬り捨てられ爆発した

ネフェル「ッ……!」

グラハム「見つけたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

爆風を背に加速し、アグリッサへと一直線に突撃してくるその機体はゎ左腕と翼を失い、墜落したはずのフラッグ
プラズマソードを右手に握りしめ、一気にその距離を詰めてきていた

ネフェル「えぇいっ!」

グラハム「ッ!」

アグリッサの前脚を大きく振り上げ、カウンターの蹴りを繰り出す
しかし読まれていたのか、容易く横に避けられてしまった

グラハム「はぁぁっ!」
一閃。

機体諸ともに回転し繰り出された一撃がアグリッサの前脚を両断する

ネフェル「くっ!」

飛び退きリニアライフルで牽制するも、装甲一枚掠めるだけで全く当たらない
それでもフラッグは更に距離を縮め刃を構える
このしつこさ、尋常ではない

グラハム「まだまだぁぁっ!!」

下に潜り込まれ、瞬く間に二本の脚が斬り飛ばされた
バランスを失い傾くアグリッサ、突き上げられたソニックブレイドが腹を穿ち機体にトドメを刺す
アグリッサは、もう捨てるしかない

ネフェル「分離……ッ!」

クラフトから分かれたイナクトは、苦し紛れに残された抜け殻を撃ち爆発させる
舞い上がった砂塵が戦場を再び覆い隠していった
これなら追撃を振り切り逃げられる
イナクトは身を翻し、退却ルートへと方角を合わせた

グラハム「そうはいかんよ……!」

ネフェル「なっ……!?」

648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/17(水) 02:13:41.36 ID:CVeTOUgY0
生で見れるとは、なんたる僥倖
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/17(水) 02:18:36.50 ID:73wPN8Wfo
相変わらずグラハムは格好いいな
650 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/17(水) 02:23:00.90 ID:A9FPM6rAO
振り返ったはずの場所、人ならば吐息さえかかるであろう位置にフラッグの姿
振りかぶったソニックブレイドが、耳障りな高周音を放ちながら向かってくる

ネフェル(これまで読まれて……!?)

回避など、間に合わない
ネフェルは死を覚悟して目を瞑った

『あげゃげゃげゃげゃ!』

グラハム「ぬぅ!?」

だが、横合いから飛来した謎の弾丸が、直前でフラッグの手の甲を捉え撃ち砕く
とっさのことで揺らぐ黒のボディ、一瞬だが、またとないチャンスだった

ネフェル「邪魔だっ!」

グラハム「ぐぉっ!?」

体当たりで機体を無理やり退かし、退却ルートへと一目散に逃げていく
振り向きはしなかった、いや、振り向けはしなかったと言うべきだろう
兎に角、此処から離れなければならない。隣の友軍を見れば、半数近い数が消えていた

ネフェル・ナギーブの記念すべき初邂逅は、逆転の一打による敗北で幕を下ろした

グラハム「……」

マリーダ「マスターっ!」

グラハム「マリーダか」

グラハム「見ての通り逃がしてしまった、敵もなかなか腕利きらしい」

マリーダ「お怪我は……!」

グラハム「見ての通りだ。左腕と翼をやられた、始末書では済まんな」
651 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/17(水) 02:34:31.14 ID:A9FPM6rAO
マリーダ「マスターご自身の方は……!」

グラハム「無傷だ。そう何度も怪我はしていられんよ」

グラハム「最後の一撃……左で繰り出せていれば届いていただろうに。運のいい奴だ」

マリーダ「……」ホッ

ダリル『隊長ッ! ご無事ですか!?』

ジョシュア『ったく、無理しやがる』

グラハム「ダリル、ジョシュア。良い援護だった、感謝するぞ」

ダリル『伊達にオーバーフラッグスの看板は背負っちゃいませんぜ。それに、隊長こそ流石です』

グラハム「狙撃戦闘私用だったのだろうさ、元々白兵戦闘が出来るような機体ではない。近付ければマリーダでも何とかなったさ」

ジョシュア『兎に角早く引き上げようぜ。そんなんじゃいい的だ』

グラハム「そうだな。全機帰投する! それに輸送機は一旦基地へ引き返す、進路の変更を!」

グラハム「……ステルス機能を持った待ち伏せ……」

グラハム「情報が漏れているとしか思えんが……」
652 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/17(水) 02:49:23.95 ID:A9FPM6rAO
――輸送機――

『オーライオーライオーライオーライはいストップー!』

グラハム「ふう……」カンッ

ビリー「グラハム!」

グラハム「カタギリ……済まん。フラッグのパーツが少ないという話をした矢先にこのざまだ」

グラハム「つくづく私の甘さを痛感させられる……君に合わせる顔がない」

ミーナ「何言ってるのよ、普通あのタイミングで狙い撃たれたら即死よ即死」

フェルト「……!」

ビリー「フラッグはやりくりすれば何とかなる、でも君の命はどうやっても一つだ」

ビリー「グラハム……本当に無事で良かった」

グラハム「カタギリ……」ジーン

ダリル『もっと詰めろよジョシュア! 隅に寄れんだろ!』

ジョシュア『俺は此処がいいんだっつってんだろファンキーゴリラが!』

ダリル『あぁ!?』

フェルト「あ……グラハムさん! 腕から血が!」

グラハム「ん? あぁ……最初の一発で飛んだ破片で切ったかな」

ミーナ「結構深いじゃない、早く医務室へ!」

グラハム「なに、このくらい掠り傷だ。放っておいても構わんよ」

ミーナ「でも……!」

グラハム「二言は無い。平気だと言った」

グラハム「カタギリ、マネキン大佐に連絡を取ってくれ。それと……」

フェルト「駄目ですっっ!!!」

グラハム「!?」
653 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/17(水) 03:01:19.52 ID:A9FPM6rAO
フェルト「軍人だって人間です……怪我をすれば血が出るし、痛いのは当たり前なんです!」

フェルト「どうしてそうやってやせ我慢するんですか……! 私達はそんなに頼れないんですか!?」

グラハム「フェ、フェルト……?」

フェルト「マリーダさんやビリーさんのことを考えないでそんな……大人のやることじゃありません!」

フェルト「そんなのカッコつけてるだけです、医務室に来てください。今すぐっ!」

グラハム「は、はい!」

ズルズルズルズル

ミーナ「……ありゃりゃ……」

ビリー「あのグラハムが圧された……だと……?」

ジョシュア「おーおー、なかなかやるじゃねえかあのお嬢ちゃん」

ダリル「正論だけに隊長も言葉を失ったか、将来が楽しみだな」

マリーダ「……」

マリーダ「純正のニュータイプだからなのかな……あの真っ直ぐさは」

ダリル「中尉、なにか?」

マリーダ「いや、何でもないさ」
654 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/08/17(水) 03:14:25.76 ID:A9FPM6rAO
済まない、一時中断だフラッグファイター
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/17(水) 03:19:31.54 ID:73wPN8Wfo
早く帰ってくるんだぞ…
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/08/17(水) 11:09:30.75 ID:pB9EWhVAO
まだか…
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/17(水) 14:00:08.25 ID:TrSo2fmTo
フォンはチートが過ぎなければ良いキャラだね。
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/08/17(水) 17:51:15.99 ID:RqTeIgd60
フォンとグラハムではどちらのほうが強いのだろう?
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/17(水) 18:22:21.65 ID:OSGwbgkAO
>>658
マスターに決まってるけどそういう話はここですんなって栗色髪の女の人がジト目で言ってた
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/08/17(水) 21:41:47.05 ID:i3OrW3oeo
>>659
(抱擁)
661 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/18(木) 23:37:13.07 ID:lSJ4D+pAO
再開だフラッグファイター
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/08/18(木) 23:49:24.37 ID:ePOn0zY60
来たか!
663 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/18(木) 23:50:00.20 ID:lSJ4D+pAO
――医務室――


グラハム「痛ぅっ……!」

医師「君も大概だな、利き腕に五針縫うレベルの怪我をしながら掠り傷だと言い切ったとは」

グラハム「その場しのぎですよ……先生に後で見てもらうつもりでしたので」

医師「指揮官としては正しいのかも知れないが、患者としては失格だな」

グラハム「結果的にフェルト嬢の逆鱗に触れてしまいました、ほとぼりが冷めるまでは此処に避難させてもらいたい」

医師「構わんが珈琲を切らしていてね、向こうについてから補充するつもりだったのだが」

医師「ご馳走は出来ないが、ゆっくりしていきたまえ」

グラハム「ふふ……それでは、お言葉に甘えさせていただきます」

――医務室前――

フェルト「……あんな事言って、もう」プンスカ

マリーダ「フェルト」

フェルト「! マリーダさん!?」

マリーダ「済まないな、みっともない姿を見せた。着替え途中でどうしても気になって……」

フェルト「い、いえ! そんなことは、ない、です」

マリーダ「?」

フェルト(髪を下ろしたマリーダさん……綺麗)

マリーダ「……少し汗臭いかな?」クンクン

フェルト「いえっ! むしろ良い匂いです! はい!」

マリーダ「そうか……?」

フェルト「……///」
664 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/19(金) 00:11:01.72 ID:iEF3OMxAO
マリーダ「それでマスターは……?」

フェルト「やっぱり傷は浅くなくて、後でこっそり先生に見てもらうつもりだったみたいです」

フェルト「軍人さんって、みんなカッコつけるところがあると思ってたけど……あの人のは、ちょっと異常です……」

マリーダ「……」

マリーダ「あの人は、ずっと一人だったからな」

フェルト「え?」

マリーダ「隣、いいか」

フェルト「あ、はい……」

マリーダ「……」

マリーダ「君が少し羨ましいよ」

フェルト「私が、ですか? そんな……私なんて、何もしてません」

マリーダ「君はマスターにも臆さず自分の意志を伝え、マスターを動かして見せた」

マリーダ「私には出来ない……私が出来るのは、あの人の隣をつかず離れずついて行くことくらいだ」

フェルト「それだって大事な役割です!」

マリーダ「どうかな……私はあの人を助けることは出来ても、あの人を変えることは出来ないから」

マリーダ「君のように真っ向から対立することは、きっと私には出来ない」

フェルト「そんなこと……」

マリーダ「無いとは言い切れまい? あの人は私の、マリーダ・クルスのマスターなんだから」

マリーダ「本当はこんなことを考えるのもおこがましいか……私も随分お喋りになったものだ」

フェルト「……」

フェルト(何故だろう……この人は、自身に対して価値をまるで見出していない)

フェルト(いったい彼女に何があったというの……?)
665 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/19(金) 00:38:56.75 ID:iEF3OMxAO
マリーダ「そろそろ基地に着く。オペレーティングの手伝いをしてくれるんだったな、準備してくれ」

フェルト「あ、はい!」スクッ

マリーダ「ミーナ女史が誉めていたよ、私も期待させてもらうよ」

フェルト「ありがとうございます。精一杯頑張ります!」

フェルト「……マリーダさんは、グラハムさんには会わないのですか?」

マリーダ「あの人のことだ、今顔を合わせたらきっと苦い顔をする」

マリーダ「それに髪も結ってない、みっともない姿は見せられないさ」

フェルト「そんな、綺麗な髪なのに……」

マリーダ「……ありがとう」ニコッ

フェルト「っ!」

マリーダ「ではまた……」

コツコツコツ

フェルト「……」

フェルト「今のは、ちょっと卑怯かなぁ……」

           ・
                         ・
                         ・


医師「……行ったようだな」

グラハム「また、彼女には気を遣わせてしまったようです」

医師「君達も相変わらず不器用なことだ」

医師「それにこれからは動きにくくなるな少佐。次はないかも知れん」

グラハム「……もう気付いていましたか」

医師「当たり前だ。あのタイミングでの襲撃、待ち伏せの配置を見ればすぐに分かる」

医師「スパイによる情報の漏洩か……はたまた意図的なものか」

グラハム「……」

医師「RGMの一件もある、意図的ならば救いようがない」

医師「……この世界に、君達が命を賭して飛ぶ価値は果たしてあるかな?」

グラハム「無くても飛びますよ……私には、それだけしか無いのだから」
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/08/19(金) 00:44:08.06 ID:jTTN5UrU0
リアルタイムで遭遇できるとは
667 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/19(金) 01:12:31.41 ID:iEF3OMxAO
――ゲリラ・アジト――

クラウス「そうか……分かった。追跡の可能性もある、注意して戻ってきてくれ」

クラウス「それと……戦死者達に哀悼の意を」

ピッ

ジンネマン「どうでしたかな」

クラウス「敵機を一機小破させるのに、イナクトを一機、ヘリオンを二機、アグリッサを一機失いました」

クラウス「私の見解が甘かったのを認めます……無理に奇襲をさせず留めるべきでした」

ジンネマン「あんたの作戦と指揮は正しかった。今回ばかりは相手が悪かった……それだけだ」

クラウス「戦い慣れてないのが如実に顕れています……指揮官がこれでは、世界を敵に回すなど夢のまた夢です」

ジンネマン「そのために我々が来ました。次は我々のギラ・ドーガが相手をします」

ジンネマン「宜しいかな?」

クラウス「……一つだけ、お願いがあります」

ジンネマン「何か?」

クラウス「敬語は止めていただきたい……年上の、自身より経験豊富な男性に使われると……肝が冷えます」アハハ……

ジンネマン「……そういうことなら、遠慮なく」

ジンネマン「さっさとPMCの部隊を引かせろ! そいつ等はまだ使える、部隊を編成し直してこっちの切り札を真っ向からライセンサーにぶつける!」

クラウス「……了解です!」

ジンネマン「それと例のガンダム……本当に信用出来るんだろうな?」

クラウス「私は実際に会ってないので何とも。そもそもガンダムです、信用も何もありませんでしょう」

ジンネマン「だな……」

ジンネマン「もしもの場合はあんたの力も借りるだろう。砂漠のエース、頼りにさせてもらう」

クラウス「それは此方の台詞ですよ……【袖付き】のキャプテンさん」
668 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/19(金) 01:29:55.31 ID:iEF3OMxAO
――ゲリラ輸送機――

ネフェル「……」カランッ

『あげゃげゃ、邪魔するぜ』

ネフェル「……何だ、ガンダムの坊やかい」

フォン「あげゃげゃげゃげゃ! そういうPMCのお姉様は自棄酒か?」

874「……」

ネフェル「これかい? これは弔い酒さ」

ネフェル「部下を二人、隊長一人……それなりに長い間背中を任せた仲さ。手向け位は必要だろう」

フォン「……」

ドスンッ

フォン「付き合うぜ、未成年だから水だがな」

ネフェル「はっ、ソレスタルビーイングとやらはそんなことも気にするのかい」

ネフェル「あたしは十三の頃から飲んでたよ……弔う気があるなら飲みなさいよ」カンッ

フォン「やだね、酒はマズい」ンベッ

ネフェル「この味も分からないようじゃやっぱり坊やか……」

ネフェル「いつかは分かるよ、いつかはね」ゴクッ

ネフェル「……ふぅ……」

フォン「……」グビッ

フォン「ネフェル・ナギーブ」

ネフェル「ん」

フォン「あんたは何故戦う?」
669 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/19(金) 01:52:27.20 ID:iEF3OMxAO
ネフェル「……傭兵にそんなこと聞くのかい? あんたも傭兵だったじゃないか」

フォン「ほう、何故そう思う」

ネフェル「PMCには裏の部隊がいるって話は表側でも有名さ……」

ネフェル「最近ではゲイリー・ビアッジって名前の兵士が、裏側から徴集された凄腕の傭兵だったって話もある」

フォン「アリー・アル・サーシェス」

ネフェル「……知ってたのかい」

フォン「昔の同僚だ。だが、そんな僅かな情報から俺様がPMCにいたことを読むとは……大したもんだ。褒めてやる」

ネフェル「はいはい、ありがとさん」

874「フォン、守秘義務が……」

フォン「874」

フォン「くだらないことで水を差すな。久しぶりに俺様は楽しめているんだ」

874「……はい」

フォン「まあいい、それに聞きたいのは傭兵の矜持じゃない。あんたのことだ」

ネフェル「あたしのこと?」

フォン「あぁ、あんた自身が戦うことになった理由だ」

ネフェル「……何でまたそんな」

フォン「オーディエンスに応えるのも、キャストの勤めだ」

ネフェル「……」ズズ……

ネフェル「そうさねぇ……どっから話して良いやら」
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/08/19(金) 02:04:15.30 ID:9RNCdxBwo
追いついたぞフラッグファイター
よもやリアルタイムに追いつけるとは
671 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/19(金) 02:10:00.13 ID:iEF3OMxAO
ネフェル「あたしの家……いや、そもそもあたしが産まれた村そのものが、その日の糧に困るような酷い貧困に陥っていてね」

ネフェル「あたしは何番目だったかな……兎に角、父親の節操の無さを表すみたいに何人も産まれてきた穀潰しの一人だった」

フォン「……」ガリッ

ネフェル「母親は頑張ってあたしらを養おうとしてくれたけど、そういうのはたいてい長くは保ちゃしない」

ネフェル「あたしも八歳の頃には父親に手を引かれて、二束三文と共に可哀想な女達の中にサヨウナラ……さ」

フォン「よくある話だな」

ネフェル「でもね……あたしは、顔も知らないような何処かの誰かさんの慰み物になって終わる一生なんか御免だった」

ネフェル「だから、最初に取らされた客の頭を、その客が服を脱いでる間に……」

ネフェル「ばんっ」

ネフェル「……その後は、あんまり覚えてないね。とりあえず逃げたかな、うん、多分逃げた」

フォン「はっ、よくまぁ表側にいたもんだなあんた」

フォン「裏に来てたら引っ張りだこだ……そんな生きのいい奴は」

ネフェル「運良く孤児扱いで拾われてAEUの取り仕切る施設に入ったのさ。結局その後はとんとん拍子でこっちの世界だから、あんまり変わらないけどさ」

ネフェル「誰かに食い物にされるよりは、誰かを食ってでも自分として生きていたかった……それがあたしの戦う理由、かな」

フォン「食い物にされんのも生き方の一つだ。そうやって誰かを支えるのもソイツの人生の意味になる」

ネフェル「へぇ……あんたのイメージとは随分違うことを言うね」

フォン「あげゃげゃげゃげゃ! 俺は俺だ、それ以上でも以下でもない」

フォン「俺も俺として生きるために此処にいる……全ては俺自身のためだ」

ネフェル「だろうね……あんたはそういう奴さ」

ネフェル「あたしと似ているようでやっぱり全然違う……あんた、異質だよ」

フォン「あげゃ、もう馴れた」
672 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/19(金) 02:34:16.25 ID:iEF3OMxAO
PPP

ネフェル「はい……」

ネフェル「…………」

ネフェル「了解、機体の搬入は予定通りに?」

ネフェル「……今のところはね。例の坊やはどうするんだい?」

ネフェル「……出来たらそうさせてもらうよ。多分無理だけどね」

874「フォン、恐らくはあなたを拘束しろという指令かと」

フォン「あげゃげゃ……だろうな」

ネフェル「あぁ。それじゃ」

ピッ

ネフェル「逃げな。こっちにギラ・ドーガが四機とヅダが向かってる」

ネフェル「あんた、相当危険視されてるみたいだね……宇宙から来た【袖付き】の戦力が全部集まるなんてね」

フォン「ご挨拶が過ぎたか?」

874「恐らくは」

フォン「だがいいのか? 俺を逃がしたとあってはあんたの立場が無いな」

ネフェル「命を助けられた貸しの返上だと思えばいいさ……それに加えて仲間の弔い分もプラスしとくよ」

フォン「……気付かれてやがった」

874「無理もありません、フォン」

874「それにしとめようとして失敗したと言うと体裁も保てません、此処はその通りにした方が無難かと」

フォン「あげゃげゃ! そうすっか」

フォン「おう、俺に感謝しろよ! あげゃげゃげゃげゃげゃげゃ!」

ネフェル「……感謝して損したのは生まれて始めてかも知れないね……」
673 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/19(金) 02:53:47.70 ID:iEF3OMxAO
フォン「874、アブルホールの準備は」

874「出来ています。何時でも出撃可能です」

フォン「結構、あげゃげゃげゃげゃ!」

ネフェル「じゃあね坊や、近い内にまた」

フォン「生きていたらな。あんたは遠距離からネチネチ戦うのがお似合いだ」

ネフェル「耳障りなことを……スナイパーは臆病者っていう類の人間かい? あんた」

フォン「俺はクロスレンジが好きだ。あんたとは違う」

ネフェル「本当に……合わないねぇ」クスッ

フォン「あげゃ、全くだ」

874「フォン」

フォン「あげゃげゃげゃげゃ!」

ブンッ

ネフェル「え」

ガンッ

ドサッ

フォン「行くぞ874」

874「了解、フォン」

ネフェル「 」

874「よろしいのですか? 彼女を生かしておいて……」

フォン「自分の意志で引き金を引く奴を殺す理由はない。いずれ俺の前に立ちはだかるなら、消すまでだ」

フォン「その時が楽しみだ……本当にな」ニタァ

874「……」

874(まるで自らを止めたがっているような口振り)

874(フォン……首輪の外れた魔獣、アナタは自ら首輪を求めているというの?)
674 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/19(金) 03:15:40.69 ID:iEF3OMxAO
――基地・屋上――

グラハム「……」

ガチャンッ

マリーダ「マスター」

グラハム「む……もう見つかったか」

グラハム「お前は私を見つけるのが上手すぎて、たまに困る」

マリーダ「……申し訳ありません」

グラハム「褒めているんだ、お前まで謝らないでくれ」

マリーダ「お前まで?」

グラハム「つい先ほどまでマネキン大佐に凄まじい勢いで頭を下げられていた。彼女の責任ではないというのに……本当に誠実なお人だよ」

マリーダ「……」

マリーダ「マスター、その件ですが」

グラハム「却下だ」

マリーダ「!」

グラハム「私は何があろうと下がりはしない。それだけは絶対に認められない」

グラハム「私が退けば私以外の者が死ぬだけだ。これは傲慢ではない、純然たる事実であることはお前もよく知っているはずだろう」

マリーダ「っ……」

マリーダ「しかし、これ以上は!」

グラハム「マリーダ!」

マリーダ「いいえ、言わせていただきます!」

グラハム「……何を焦っている……?」

マリーダ「焦りもします。今の貴方こそ……ニール・ディランディの、刹那・F・セイエイの影に急かされて……!」

グラハム「言うなっ……!」

マリーダ「フェルト・グレイスを引き取ったのだって、あわよくばガンダムとの関連性が掴めればと!」

グラハム「言うなといった!」

マリーダ「承服できません!」

グラハム「ッ……!」

グイッ

マリーダ「あっ……!?」
675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/08/19(金) 03:26:07.47 ID:9RNCdxBwo
グイッがゲイッに見えた悔しい
676 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/19(金) 03:45:33.67 ID:iEF3OMxAO
ビリー「グラハム、此処にいるのか……」

ビリー「 」

ビリー「わっ、わわわ!」バタンッ

グラハム「……」

マリーダ「っ……!」

グラハム「恨むなら恨め。私は言葉で言い返せぬまま、この様に口を塞ぐしか出来ない矮小な男だ」

グラハム「4ヶ月振りだ、この様な形になるとは思いも寄らなかったが」

マリーダ「……私は……っ」

グラハム「……」

グラハム「明朝、再度前線への移動を開始する。防衛戦は我々のオーバーフラッグスには不向き、お前もそれは重々承知のはずだ」

マリーダ「…………」グッ

グラハム「サイクロプスがまた確認された。目撃情報から推測するに、我々の受け持つエリアに近付くのは確実だろう」

グラハム「背中は預けたぞ……私のフラッグファイター」

マリーダ「……」

グラハム「付いて来れなくなったら……何時でも離れろ」クルッ

マリーダ「っ!?」

グラハム「だがこれだけは覚えておけ」

グラハム「私には、お前が必要だ」

バタンッ

マリーダ「……マスター……?」

――階段――

グラハム「……」

ビリー「……」

グラハム「カタギリ」

ビリー「なななな、何だいグラハム!?」

グラハム「私は寝る。お前も早く休めよ」カツカツカツ

ビリー「……了解……」

ビリー「……くそっ、壁殴っちまった」
677 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/19(金) 04:04:01.29 ID:iEF3OMxAO
マリーダ「……」

マリーダ「マスター……」

ガサッ

【親愛なるLへ Bより】

マリーダ「私は……十二番目などではない……っ!」

ビリビリッ

マリーダ「くっ……!」

マリーダ「例え汚れた身体でも、病魔に蝕まれようとも……」

マリーダ「マスターが求めるならば、私は……!」



――ゲリラアジト・MSドック――

デュバル「疑似GNドライブの出力安定……GN粒子放出」

デュバル「突貫工事だったが何とかなったようだな……地上戦でのデータも集まり次第ある」

デュバル「……ヅダはまだ戦える……!」

『少佐。私はね、自分達をこの西暦世界におけるイレギュラーだと認識しているのだよ』

『本来歴史に名を残すことのない、存在するはずのないゴーストファイター……我々も貴方も存在し得ない存在なのだ』

『だが私は存在する。かつて太陽光紛争の引き金にもなった宇宙開拓者の【棄民政策】……この世界で宇宙に住まう者の怨恨を受け止める器としての存在意義を持ってだ』

『デュバル少佐……貴方とヅダがこの世界に存在する意味とは、何かな?』

デュバル「……私が存在する理由……」

デュバル「今度こそ、今度こそヅダに、栄光をッ!」

TO BE CONTINUED...
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/08/19(金) 04:16:23.46 ID:9RNCdxBwo
乙かん!
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/08/19(金) 07:11:25.18 ID:eGrh7QeS0
乙!!
二日連続で書き込んでくるとは
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/19(金) 20:22:56.89 ID:p1AnQ/cNo
何気にテクスなんだな
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/19(金) 22:45:56.45 ID:+pzHLnZTo
コーヒーと名言が持ち味のお医者さんな
>>260の時点で登場済みだったのだ。
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/19(金) 22:47:04.94 ID:+pzHLnZTo
コーヒーと名言が持ち味のお医者さんな
>>260の時点で登場済みだったのだ。
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/21(日) 19:18:58.61 ID:iDCw25x30
「Lへ Bより」という手紙の内容が最初はわかりませんでしが、
マリーダの十二番目という言葉でアルファベット順の番号だと
わかりました。(プルB=プルツー・プルL=マリーダ)
というか、薬まだ送ってたんだプルツー。
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/08/24(水) 07:13:49.86 ID:8JPECRz70
今夜あたりに来ると見た
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/29(月) 01:29:41.34 ID:u9mQYRD4o
私は我慢弱い男だ…早く…早く…
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/29(月) 14:05:00.28 ID:Llq9SF2g0
我慢も男のステータスだぞフラッグファイター
687 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/08/30(火) 02:02:22.72 ID:K7laaKJAO
待たせて済まないなフラッグファイター、DVD3巻はやはりキツかった

明日からは投下を再開する予定だ。ではまた
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪) [sage]:2011/08/30(火) 02:24:46.62 ID:MvnJqnNY0
待っていたぞフラッグファイター、明日が楽しみだ
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 22:38:43.40 ID:DHQj8Wvjo
楽しみにしているぞフラッグファイター

注文していたMGX1フルクロスが届いたがまだ作れそうにない
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http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 23:43:24.98 ID:lG6E8f3xo
そろそろくるか・・?
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691 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/08/31(水) 22:19:35.44 ID:aV3g+vPAO
最終調整と言う名の夕餉に入っている、しばし待てフラッグファイター

余談だがちょっとした短編を書いた
かなり短いのでまぁ時間つぶしにはなるだろう

ガンダム速報にて
【バナージ「お義父さ……」ドズル「誰が親父か!」】
をまとめていただいた
待たせてしまったフラッグファイター諸君への謝罪になるかは分からんが楽しんでもらえたなら幸いだ
マスター・グラハムも一瞬出るぞ
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692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/31(水) 22:21:48.85 ID:xAwtsnufo
アレも貴方だったのかwwwwww
腹が減っては戦はできぬと言うし
ゆっくり召し上がってくれフラッグファイター
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693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/31(水) 22:25:05.96 ID:Jsg2c+zDO
なんとぉぉぉぉ!!
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694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/31(水) 23:23:45.85 ID:CdQZSKWho
マジか、あれも貴方だったのか
あっちもかなり好きなので、余裕があったら続編を書いてほしいです


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695 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 00:00:22.84 ID:7ugFIpTAO
アレルヤ「お義……」

セルゲイ「それ以上喋るな」

アレルヤ「(´・ω・`)」

投下再開だフラッグファイター
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696 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 00:06:37.33 ID:7ugFIpTAO
――クルジス――

砂塵舞う地表は薄いカーテンがかかったように褐色に染まる
国連軍、反国連軍の区別無く
それは容赦なく吹き付けて、装甲に爪を立てる音を響かせた

ゲリラ兵士『……来たぞッ!』

反して空は透き通るような蒼を湛え、旧式のカメラアイでも遠方までを見据えられた
各地で爆炎と轟音が響き渡り、戦いの激しさを物語っている
対空型ティエレンのパイロットが小さく叫び、部隊に緊張が走る

見えたのだ

獲物を喰らわんと一直線に空を駆ける、黒い獣の姿
今彼等が相対する国連軍、その最高戦力と呼べる存在が

ゲリラ兵士『近付けるなよ! 変形されたらおしまいだッ!』

後方から巡航形態のヘリオン、リアルドが飛び出していく
地上部隊も自らの指を引き金に掛け、照準は獣をセンターに捉える

固唾を飲むかのように、砂塵が吹き止んだ
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697 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 00:17:39.92 ID:7ugFIpTAO
黒い獣は一斉にその身を飛び散らせ、二つの影、三つの飛燕へと分散していく

それを目視してすぐ、一斉に地上部隊の対空放火が放たれ、空は弾丸で埋め尽くされる

ヘリオン、リアルド混成部隊が空戦を仕掛けんとぶつかっていく
しかし、飛燕は反撃もせずその合間を縫って抜けていく

その瞬間、三つに分けられた部隊の先端、三機のオーバーフラッグが四肢を大きく投げ出し同時に変形した

ゲリラ兵士『うわぁぁぁぁぁ!』

空気抵抗をわざと受け、地面に頭を向けたまま宙に浮くフラッグ
他の三機が前に出て、地上からの対空放火に牽制の射撃をバラまく
変形したフラッグから、通り抜けた空戦部隊へリニアライフルが浴びせられる
背後から弾丸を受けたヘリオンらは、一機、また一機と煙を上げ墜落していった

ゲリラ兵士『くっ……!』

ヘリオン隊の全滅から、まさに一瞬の間。フラッグは再び変形し一挙に距離を離す
追撃すらままならない速度、更には置き土産と言わんばかりのミサイルまでが地上部隊に降り注ぐ

散り散りになった反国連軍の前には、本隊のイナクト・RGM部隊が迫っている

そこからは、文字通り一瞬で片が付いた
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698 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 00:21:10.77 ID:7ugFIpTAO
「あげゃげゃげゃ!」

『……』

そんな様子を廃墟の隅から見ていた若者が一人
毛質の荒い金髪に緋色の瞳、発達した犬歯とつり上がった口元が特徴的な青年
ガンダムマイスター、フォン・スパーク

フォン「オーバーフラッグス……変形を取り入れた新しい戦術の開発に着手し始めたな」

874『本日だけで五回もの変形、戦線の攪乱と後続の為のライン構築のみに従事していますが、その戦果は絶大です』

丸い支援メカから浮かび上がる猫耳と尻尾を付けた立体画像少女、二次元の申し子874が語りかける
それに対してフォンは反応もまばらに、崩れた壁を登りオーバーフラッグスが消えた空を見つめた

フォン「いや……それしか出来ないのさ。オーバーフラッグじゃそれが限界なんだ」

874『……』

フォン「グラハムとやらの精一杯の足掻き……何処まで続くか見物だな」

フォン「あげゃげゃげゃげゃげゃ!」

フォンの名前の由来、代名詞ともいえる馬鹿笑いに呼応したのか
廃墟の影から光学迷彩を解き、黒い色彩の戦闘機のようなMSが姿を現す
キュリオスの素体にもなった第二世代型ガンダム、ガンダムアブルホールである

フォン「基地に戻ってアストレアを動かす」

874『では?』

フォン「あぁ」

フォン「埒が明かないなら自分で明ける……俺がいつもやる手だ」

壊滅していくゲリラ部隊を背に、アブルホールは悠々と空に消えていった
その影を追う者がいるとも知らずに……
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699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/01(木) 00:30:40.74 ID:qRih51+0o
やっぱ可変機は変形してなんぼだな
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700 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 00:34:37.59 ID:7ugFIpTAO
――前線基地・休憩室――

ダリル「ふー……」

タケイ「……」

リディ(マイ湯のみ持参なんだ……)

フェルト「お疲れ様です、皆さん」

ダリル「おうフェルトちゃん」

タケイ「……」ペコリ

フェルト「今日も……ご苦労様です」

リディ「俺達は援護担当だからね、そこまで疲れちゃいないよ」ゴシゴシ

ダリル「ったく、前線指揮官のグッドマンとかいう奴のおかげで、毎度毎度最前線だ」

リディ「仕方無いですよ……」

リディ『ゲリラなんぞに墜とされたライセンサーに期待が出来るか甚だ疑問だが……まあせいぜい頑張りたまえ』キリッ

リディ「……開口一番これですからね」

フェルト「……」

ダリル「くそっ、戦術もマネキン大佐に頼りっぱなしの白豚が偉そうに!」

タケイ「……」ポン

ダリル「! あぁ、悪いタケイ。つい熱くなっちまった」

フェルト「三人はまだロッカールームに……?」

リディ「あぁ、今日もマリーダ少尉だけが先に出て来たよ」

リディ「……俺達もアレが出来れば……ッ」

ダリル「……」

タケイ「……」

フェルト(グラハムさん……)
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701 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 00:46:35.99 ID:7ugFIpTAO
――ロッカールーム――

グラハム「……」

ジョシュア「……」

皆が着替えた後、二人はほぼ無言のまま長椅子に座りずっと俯いている
滴り落ちる汗はシャワーを浴びる気力すら搾り取り、ほぼ下着一枚の状態でもシャツ一枚着る気力さえむしり取られていた

グラハム「ジョシュア……大丈夫か」

ジョシュア「……」フルフル

グラハム「……そうか……」

グラハムが重々しく口を開く
ジョシュアは無言のまま首を軽く振る、憎まれ口はあと一時間は止まったままだろう
もう一人はシャワーこそ浴びに向かったものの、恐らく立ったまま浴びれず座って水滴を受けているはずだ
かれこれ三十分、姿を見ていない

この連日、四人は変形を本格的に取り入れた戦術パターンを実践していた
日に何度も変形、十を越える日も珍しくなく、パターン構築は順調に進んでいた
……しかし、マリーダ以外、それに付いていけている者は誰一人としておらず
身を削り、体力を極限状態に追いやるほどに、目に見えて疲弊していったのだった

グラハム(フラッグの耐G性能では、可変機構を完璧に取り入れるのが此処まで苦痛だとは……っ)

グラハム(グラハムスペシャルの持ち主がこれではな……プロフェッサーに合わせる顔がない)

ジョシュア「……」ガタンッ

グラハム「ジョシュア」

ジョシュア「着替えるだけだ……心配すんな」

グラハム「……そうか」
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702 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 00:52:17.39 ID:7ugFIpTAO
先ほどマリーダが届けてくれたドリンクに口を付ける
頬の筋肉がつりそうになるが、我慢しながら無理やり喉に液体を流し込む

グラハム「ぷぁっ!」

グラハム「はぁ……」

ジョシュア「……」フラフラ

ジョシュア「……負けて……たまるかっ……!」

グラハム「……」

グラハム「あぁ……そうだ」

グラハム「こんなところで……立ち止まってたまるものか!」グッ

――リディ回想・前線基地到着当日・食堂――

外はかんかん照りの太陽が基地に照りつけ、空にはこれ以上無いほどの蒼が広がっていた
それなのに、まるで分厚い雲に隠されているかのように空気が重い
息苦しさからか、食事もまともに喉を通らなかった

グラハム「……」

マリーダ「……」

リディ「…………」モソモソ

ここ最近、朝食は必ずこの二人と取っている
少佐は修行僧かと言うほどに早起きで、追随するマリーダ中尉も同様である
日常の一挙手一投足から学べ、というダリル少尉の言葉通りにしてはいるが、三日間もこの調子では胃腸がどうにかなってしまいそうだった

グラハム「……」ガタンッ

マリーダ「……」スッ

リディ「御馳走様です……と」

スクランブルエッグのケチャップが足りない以外には、此処の食事に不満は無い
前の基地ではとにかく我慢ならなかったベーコンの焼き加減も完璧だ、本来ならばがっついてもおかしくはないクオリティである

タケイ「……」ヒュボッ

ジョシュア「あぁっ! タケイてめぇ、俺のレタス返せ!」

ダリル「レタス奪い合ってどうすんだお前ら……?」

先輩方は相変わらずだ。こういう空気の時は傍観を決め込むのだという

……正直、言い出しっぺのダリル少尉まで傍観者なのは納得いかないが、それは後輩の辛いところだ
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703 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 00:53:53.78 ID:7ugFIpTAO
グラハム「リディ」

リディ「あ、はい少佐、何でしょう?」

グラハム「今日の正午には例のAEUの部隊が合流する。最初くらいは一堂に会し顔を合わせねばなるまい」

グラハム「東の滑走路に集合、彼等を出迎える。他の隊員にもそう伝えておいてくれ」

リディ「はぁ……」

いつもより小さく見えた背中は、そのまま食堂を出て影に消えていった
今みたいな伝令は、普段なら間違い無くマリーダ中尉を介して伝わるものだ
避けている――のではないと思う
理由は分からないが、彼女を気遣っているように感じられた

リディ「イナクト隊が来れば少しは変わるよな……?」

いつまでもこんな痴話喧嘩の後みたいな空気では、部隊の士気にも影響してしまうだろう

早く何とかしてほしいものだと、時計に目をやり一人ごちた

タケイ「……」ヒュボッ

ョシュア「あぁっ! タケイてめぇ、俺のジ返せ!」

ダリル「何それ怖い」
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704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/09/01(木) 00:59:14.54 ID:xVmNkTzco
!?
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705 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 01:01:47.66 ID:7ugFIpTAO
ミーナ「へぇ……そんな事があったのね」モグモグ

ビリー「そうなんだよ……全く、グラハムめ」

フェルト「……////」

ミーナ「心配ね、あの二人」

フェルト「確かに、年齢とか同じ部隊って制約はありますけど……でもお互いが想い合っているなら、それはそれで」

ミーナ「そうじゃないわよ」

フェルト「え?」

ビリー「……」

ビリー(グラハムは、マリーダ・クルスの過去の凄惨な出来事を知っている)

ミーナ(きっと異性との口づけ一つ取ってみても、彼女にとっては忌まわしい記憶を呼び覚ますきっかけにしかならないはず……)

ビリー(だから、グラハムはこれ以上踏み込むことが出来ずにいる……)

ビリー(きっと、彼女に軍を止めさせたいと考えていることを伝えられないのも……)

ミーナ「……自分のワガママを貫き通す訳でもなく、かといって諦めきれるような性格でもなし」

ミーナ「あの男も不器用よね……ホント」

ビリー「……」ズズ

フェルト「……?」
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706 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 01:05:52.35 ID:7ugFIpTAO
――E・滑走路――

正午、時間まではバラバラに好き勝手していた隊員も、気付けば時間前には全員滑走路に集まっていた
茹だるような暑さに、皆玉のような汗を浮かべている

ョシュア「まだ……来ねえのか?」

グラハム「いや、見えた」

グラハム少佐は双眼鏡を片手に遠くの空を眺めている
陽炎揺らめく乾いた空にはMSが二機、目視でも確認出来る位置にいた

グラハム「来たな」

マリーダ「数が足りません……やはり例の話は本当だったのですね」

グラハム「腕が立つ方が来るなら何も言わんさ。元々我々は少数精鋭だからな」

マリーダ「はい、マスター」

二人の様子にダリル少尉が安堵したような表情を一瞬見せたのを、フェルトは見逃さなかった
二人と一番付き合いが長いからだろうか、新参のフェルトから見てもダリル少尉の気の使い方はかなりのものである
胃薬を購買部で買っていたのもついさっき見かけたばかりだ

リディ「なぁフェルト……二人とも機嫌直ったのかな」ボソボソ

フェルト「そうならいいけど……」ヒソヒソ

最終決戦時、マリーダ中尉が少佐不在時に部隊を纏めるとなった時、部隊の反対派を説得したのもダリル少尉だと、タケイ少尉から聞いたことがある
ダリル少尉は、今やこの部隊には欠かせないクッションの役割をこなしていた

ダリル「隊長、部隊の編成は……」

『いぃぃぃやっほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!』
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707 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 01:08:16.47 ID:7ugFIpTAO
リディ「!?」

フェルト「へ……?!」

マリーダ「……」イラッ

何事か?
基地のマイクから発せられたのは、軍事基地で聞けるとは到底思えぬほどの浮かれた叫び声
管制塔からではない、目の前のMSからでもない
太陽を背に隠れるかのように現れた、イレギュラーからだった

マリーダ「……馬鹿め」

グラハム「はっははははは!!」

マリーダ中尉の表情は心底うんざりしている、心当たりがあるようだ
反してグラハム少佐は腹を抱えて爆笑している、この人はこんなにも良い笑顔をするのかと目を疑った
キョトンとするフェルトを後目に、皆一様にそれが何なのかを理解したような空気だった

『よぉトップガン、俺がいない戦場は随分刺激が足りなかったと見えるな!』

『だがもう安心だ、遂に満を持して登場のー……!』

『パト(ブツッ』

…………

ミーナ『グラハム聞こえる〜?』

ミーナ『五月蝿いって苦情が基地中から殺到したから、回線切ったわ』

グラハム「ご苦労ミーナ、いい仕事だ」

マリーダ「……」バキボキ

ダリル「中尉……お手柔らかにお願いしますよ」

リディ「うへ……」

フェルト「グラハムさん、今の人は……?」

グラハム「パトリック・コーラサワー」

グラハム「私に並ぶ実力を持つ、AEUのトップエースさ」

そう言葉に出した少佐の顔は、いつもの負けず嫌いで意地っ張りなグラハム・エーカーの顔だった
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708 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 01:10:27.57 ID:7ugFIpTAO
その時、突風と見紛う強い風が一同へと吹き付ける

フェルト「きゃっ……!?」

リディ「フェルト!」

マリーダ「これは……っ」

グラハム「……!」

その正体は、パトリック・コーラサワーの後に続いていた二機のイナクトの内の一機
巡航形態のまま勢い良く滑走路すれすれを疾走し、再び蒼空へと舞い上がる

『行きますよ大尉』

『あぁ……見せてやれルドルフ』

タケイ「ッ!」

リディ「あ、あれは……!?」

そして、機首を上空へと向けた瞬間、軽快な機械音を奏で手足は踊るように風を掴み広がっていく

ビリー「空中変形!?」

グラハム「……ほう」

速度を急激に落としながらも、空気の壁に座るような柔らかな挙動で浮かぶイナクト

――どうだ、もうこれはフラッグだけの物じゃない

そう告げるかのようにイナクトは滑走路に着地し、フラッグファイターを見下ろした

AEUの誇るエースパイロット

【不死身のパトリック・コーラサワー】

【鉄人:ヴィクトル・レオーノフ】

そして空中変形を行う五人目の男、ルドルフ・シュライバー

一筋縄では行かない空の男達が、たった今グラハムの下に集まったのだった

マリーダ「マスター、部隊編入の予定にあの男は入っていません」

グラハム「どうせ補給のために立ち寄っただけだろう、放っておけ」
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709 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 01:12:38.70 ID:7ugFIpTAO
――ミーティングルーム――

グラハム「それではまず各々から自己紹介を貰おう」

グラハム「私はグラハム・エーカー、階級は少佐だ。オーバーフラッグスの隊長であり、ライセンサーでもある」

グラハム「諸君等と飛ぶのを心待ちにしていた、どうかよろしく頼む」スッ

ヴィクトル「はっ……よろしくお願いします少佐」グッ

ルドルフ「噂にはかねがね聞いてますよ、ライセンサーのグラハム少佐」グッ

グラハム「それは耳が早い……だが私は噂では評価されたくない面倒な男でね」

グラハム「グラハム・エーカーがライセンスに相応しい軍人かは、君自身の目で確かめてもらいたい」

ルドルフ「是非ともそうさせてもらいますよ、元祖グラハム・スペシャルも含めてね」

マリーダ「……いちいちトゲのある言い方をする……」

ダリル「中尉、落ち着いて下さい……さっきコーラサワーで発散したでしょう?」

コーラサワー「うぅ……ほっぺがいひゃい……」ヒリヒリ

グラハム「レオーノフ大尉。鉄人ヴィクトルの異名、ユニオンにも届いております」

グラハム「轡を並べ共に戦える日が来るとは、このグラハム・エーカー、感動しております」

ヴィクトル「…………」

マリーダ「…………」

ヴィクトル「…………」

マリーダ「…………」

ヴィクトル「……それは、どうも」

ビリー(また寡黙キャラが増えるのか……意志疎通がしにくいのは辛いなぁ)

リディ「……ジョシュア少尉」

ジョシュア「あ?」

リディ「鉄人ヴィクトルって……何ですか?」

ジョシュア「知らねえのかよ? ったく……」
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710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/01(木) 01:13:58.18 ID:qRih51+0o
まさかコーラもブレイヴに乗ったりするのか?
そうだったら胸熱
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711 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 01:16:20.05 ID:7ugFIpTAO
ジョシュア「ダリル!」ボソッ

ダリル「おめえも知らねえんじゃねえか……」

タケイ「…………」

ダリル「第五次太陽光紛争のトルコ戦線で、人革連の特務部隊の猛攻が続き型落ちしてた旧型ヘリオンばかりの前線が完全に崩壊、トルコ基地も危機に晒されていた」

ダリル「それを当時曹長だったヴィクトル・レオーノフ大尉が前線の敗残兵を纏め上げ、新型のティエレンで構成された特務部隊を迎撃、トラップと策により特務部隊を潰走させ基地を守り抜いたんだ」

マリーダ「その時人革連の指揮官が、【AEUにもティエレンのような男がいた】と通信で呟いたことから、鉄人ヴィクトルの異名がついた……」

リディ「あ……鉄人ってティエレンってことなのか」

ヴィクトル「AEU所属でティエレン呼ばわりだ……ただの皮肉だよ」

リディ「う……」

グラハム「守将として機能する兵士は私の部隊には少ない」

グラハム「このグラハム・エーカー、防衛戦のスペシャリストである大尉に技術を学ぶつもりで共に戦わせていただきます」

ヴィクトル「……」

ヴィクトル「苔むしたロートルが役に立つなら……それもまた良いでしょう」フッ

グラハム「ご謙遜を……培われた経験は何よりの宝です」

ヴィクトル「機体性能で劣っていて、攻められなかったから守った、それだけです……」

ヴィクトル「期待なら、ルドルフにかけてやってください。ロートルは出来る仕事をこなすのみです」
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712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/01(木) 01:19:36.53 ID:qRih51+0o
なんだ違うのか
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713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/09/01(木) 01:21:05.23 ID:xVmNkTzco
>>710
あの機体自体、AEUの系譜が混じってるからね。むしろ劇場版でジンクスを選んだのが意外だった。

そしてルドルフが遂にきたか

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714 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 01:22:02.15 ID:7ugFIpTAO
グラハム「空中変形……見事なものだったよルドルフ少尉」

ルドルフ「お褒めに与り光栄です、少佐」

ルドルフ「イナクトでも空中変形出来るってこと……見せられて良かったですよ」フン

グラハム「機構は似通っているからな、いつかは誰かがこなすだろうとは思っていたよ」

グラハム「それが君であり、私の部隊に編入されるということ……乙女座のセンチメンタリズムな運命を感じるよ」

フェルト(関係ない気がする……)

ルドルフ(……ふん)

ルドルフ(コイツがライセンサーだと?)

グラハム「?」

ルドルフ(認めるかよ、何が免許持ちだ!)

ルドルフ(イナクトがフラッグの猿真似じゃねえってこと、証明させてやる……!)

ゾワッ

ルドルフ「ッ!?」ゾクッ

マリーダ「……」ギロリ

グラハム「ふっ……」

グラハム「マリーダ、そのくらいにしておけ」

マリーダ「……はっ」スッ

ルドルフ「っ……!」

グラハム「済まんな少尉、彼女は少し気が強い。気にしないでくれ」

ヴィクトル「……」

ヴィクトル(いくらルドルフが先に挑発したとはいえ、本物の殺気をぶつけてくるとはな)

ヴィクトル(グラハム・エーカー、とんだ食わせ者を飼っているようだ)ニヤリ

ヴィクトル「そのくらいにしておけルドルフ」

ルドルフ「……はい、大尉」

ヴィクトル「グラハム少佐、寄せ集めとはいえ我々は背中を預け生死を共にする同じ部隊の仲間だ」

ヴィクトル「探り合いは無しにしよう……よろしく頼む」

グラハム「此方こそ。歓迎します」

グラハム「ようこそオーバーフラッグスへ、お二方」

ルドルフ「……はっ!」ビッ

ヴィクトル「……」ピッ

コーラサワー「なぁ、食堂どっち?」

リディ「あっちですよ! 看板あるじゃないですか!」

コーラサワー「あ、ホントだ」
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715 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 01:28:55.23 ID:7ugFIpTAO
――グラハム自室――

ミーナ「しっかしまぁ……グラハム・エーカー少佐ともあろう者が、こんな六畳一間の端部屋くらいしか貰えないなんて」

ミーナ「基地の司令官、アーサー・グッドマンって言ったっけ? 随分嫌われたものね」

マリーダ「ミーナ女史……!」

グラハム「ふっ、予め与えられた部屋を用途ごとに分けていったら、余ったのがこの部屋だったというだけのことだよ」

グラハム「よもや作戦指揮や情報を纏める為にこの部屋を使うわけにもいくまい?」

ミーナ「その通りね、合理的な思考が出来る優秀な現場監督を持って私達は幸せだわ」

ビリー「つくづく君が指揮官で良かったと思ってるよ、グラハム」

グラハム「……皮肉にしか聞こえないのは何故だ」

マリーダ「以前の件があるからかと……」

ビリー「きにしないでくれたまえ グラハムくん」

ミーナ「うふふ〜、あたしとしてはしばらくは飽きないネタを提供してもらって助かるけどね」

グラハム「……そんな簡単な話ではない」

マリーダ「……」

ビリー「グ、グラハム……?」

ミーナ「ありゃりゃ……何やらいやんな空気」

ミーナ(やっぱり……しばらくはダリルの胃痛は収まりそうにないわね)

グラハム「そんなことよりだッ!」

グラハム「……例の計画、どうなっている?」

ミーナ「あ、話逸らした」

ビリー「ふふ……」

ビリー「抜かりはないよ、フラッグファイター」
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716 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 01:32:05.62 ID:7ugFIpTAO
ビリー「まず、グラハム・スペシャルを前提にした戦術マニューバプログラムの作成」

ビリー「これは以前から考えていたことだけど、君かマリーダしか空中変形を使えなかったから、なかなか作れなくてね」

ミーナ「ジョシュア・エドワーズ少尉と今回のルドルフ・シュライバー少尉の加入により、空中変形を本格的に部隊戦術に取り込んで作成出来るわ」

ビリー「ただ空中変形は只でさえ負担が大きい……それに技術的にも使える人間が少ない以上、もう片方の計画を優先すべきかもね」

マリーダ「空中変形を即座に実行可能にするプログラムOSの作成ですね」

ミーナ「そちらは私が担当してるわ」

ミーナ「マリーダ中尉とジョシュア少尉の変形パターンを解析してプログラム化、それを元にOSを作るつもりよ」

グラハム「私の変形パターンは使わないのか?」

ビリー「……君のは独創的過ぎるんだよ……あれをいきなり分析しろなんていわれたらあと三年は必要だね」

ビリー「本格的に解析するならまずマリーダとジョシュアのを根幹に作成した方が一応の形にはなるんだ」

ビリー「まずは基本のOSを作ってから、君の変形パターンも混ぜて本格的なものに仕上げるつもりだよ」

ミーナ「ルドルフ少尉のパターンも基本OSに使えそうね。何だかんだ彼も理論派、誰かが使うには理にかなったやり方みたいだし」

グラハム「ぬう……グラハム・スペシャルなのに私のデータは後なのか」

マリーダ「マスター、今は辛抱を」
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717 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 01:38:13.88 ID:7ugFIpTAO
ビリー「でも……この二つの計画も、所詮はこの計画を推進する為の準備段階に過ぎない」

グラハム「……」

ミーナ「ふふ、待ちきれないって顔ね。焦らないで?」

ビリー「……レイフ・エイフマン教授が残したこの草案」

ビリー「GNドライヴ搭載型フラッグ……コイツを完成させるための、ね」

マリーダ「GNフラッグの完成……」

グラハム「我々のフラッグの更なる高みか」

グラハム「待ち遠しいよカタギリ……あのフラッグの真の完成が」

ビリー「僕もだグラハム、結果的には今回のイナクト隊合流がこの計画に踏ん切りをつかせてくれたのは何とも言い難いが……」

ビリー「ただしあのフラッグはもう出せないよ。GNドライヴ搭載型としては、バイオシートありきのあのフラッグは毛色が違いすぎる」

ビリー「ただでさえフラッグの進化した姿なのに、NTにしか動かせない機体だなんて……エイフマン教授に怒られてしまう」

マリーダ「世界の警察としての役割を担うのがフラッグ……ですからね」

ミーナ「それに、乗ってるだけで内臓が滅茶苦茶になるほどの負荷がかかるMSなんて……聞いただけでもおぞましいわ……」

グラハム「そう言ってくれるな。あのフラッグが無ければ……私は仲間との約束も、愛する者の命も守れなかった」

グラハム「宿敵との決着も、恩義に報いることも出来た。私はそれだけで満足だ」

マリーダ「マスター……」

ミーナ「今のろけなかった? コイツ」

ビリー「さあね……昔からこういうところだけは変わらなかったから」ハハハ
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718 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 01:42:01.31 ID:7ugFIpTAO
グラハム「……だが、フラッグが世界を変えるわけではない。私は自らを律しなければならないな……」

ビリー「?」

ミーナ「何よ、いきなり水を差すわね」

グラハム「失礼……だが私の命題は世界と関わり、その行く末を見届けることだ」

グラハム「だが、もしその先が正しき道に無かったとしたら……」

ビリー「……」

マリーダ「……マスター?」

グラハム「……その瞬間に直面した場合……私は」

グラハム(私は、一体どうするのだろうな)

グラハム(なぁ……少年)

――???――

パチン

リボンズ「……では、国連統合本部からの情報が外部に洩れていると、そう言うのですね? 貴女は」

王留美「えぇ、此方の手の者に調べさせましたから確かな情報だと思いますわ? リボンズ・アルマーク」

リボンズ「思うだけでは困る。人類が最初に宇宙を目指してからもう四百年に手が届こうという今の時代でさえ、シャトル打ち上げには100%の成功確率が必要とされるのだよ」パチン

王留美「でもいつもの貴方なら、的外れの意見には敢えて反論せず微笑を浮かべるはず……」

王留美「つまり、ヴェーダもある程度の予測を立てており、私の情報はそれに則したものであるということですわよね?」パチン

リボンズ「……」
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719 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 01:42:37.53 ID:7ugFIpTAO
リボンズ「……良いでしょう、ならばそういう前提で話をするとして」

リボンズ「我々は何らかの手を講じる必要があるのは間違いない」パチン

王留美「その通り」パチン

リボンズ「……」ピクッ

王留美「ですが不思議ですわね。国連統合本部の情報に触れられるのは限られた一部の人間、それも三大国の高官か軍上層部に限られているはず」

王留美「わざわざ身の危険を犯してまで、得体の知れないテロリストの支援をするなんて……」

リボンズ「余程の利益を約束されているのか、それとも利潤目的では動いていないのか……」パチン

王留美「やはり例の未確認のMSと関連があると見て間違いなさそうですわね」パチン

リボンズ「チェック」パチン

王留美「……また負けてしまいましたわ」ハァ

リボンズ「世界の流れも所詮は盤上のゲーム」

リボンズ「まだ僕の方が上手ということだよ、王留美」

王留美「ふふ……そういうことにしておきますわ。今の内は、ね」

王留美「でも出来ればチェックではなく王手といってほしくてよリボンズ・アルマーク、せっかくの将棋なのだもの」

リボンズ「それは失敬……次からは気をつけよう」
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720 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 01:46:33.29 ID:7ugFIpTAO
プルツー「あたし達が動けない代わりにあの女が一極統合化を進めているってのがリジェネの見方だったけど……」

プルツー「リボンズ、やっぱりアイツは危ないよ」

リボンズ「今はまだ……リジェネに一理ある」

プルツー「リボンズ!」

リボンズ「地球圏統一の後に据える予定の大統領は、宇宙開発に力を入れたいと考えているようだ」

リボンズ「ならば尚更……こんなところで蹴躓いてはいられない」

リボンズ「彼等が腹に何かを含んでいるとしても、それすらも容認し計画を遂行する度量が必要なんだよ。イオリアの計画を超え、人類を革新に導く為には」

プルツー「……」

リボンズ「僕は創造主に弓を引いた咎人だ。だが、故に計画を遂行するのは僕でなくてはならない」

リボンズ「リジェネもそうさ。イオリア計画の実現が僕達イノベイターの存在意義」

リボンズ「些細なことなど……今更歯牙にかける必要もない」

プルツー「……」

プルツー「……相変わらず傲慢な奴」フッ

ポフッ

プルツー「もしもの時はあたしを動かせ……ちゃんとお前を勝たせてやる」

リボンズ「それが僕と君の契約だからね。プルクローン計画の成功者……二番目の名を冠した唯一無二のプルよ」

リボンズ(例えそれが、仮初めの肩書きだとしても……ね)


プルツー「……」
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721 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 01:50:00.79 ID:7ugFIpTAO
――ゲリラ基地――

ジンネマン「……」

クラウス「……」

ジンネマン「此処だ」ピッ

オォ……

クラウス「ネフェルに狙撃されてから一度目の変形……きりもみしながら落下する機体の機首を真下に向けた瞬間、か」

ジンネマン「四肢を広げジェットで減速しながらも、左手を失ったことによるバランスの悪化も調節している」

クラウス「まるでスカイダイビングだ」

ジンネマン「生憎フラッグやイナクトにゃ詳しくない」

ジンネマン「どうだ?」

クラウス「普通なら空中変形だけでも想定外、かつあんな状態からのは規格外です」

クラウス「これほどの被弾では、通常パイロットは早々に脱出を決めています」

ジンネマン「相当負けん気の強い、自身の技量に絶対の自信があるパイロットか……」

クラウス「……二回目です」ピッ

クラウス「高度300フィートでジェットを吹かしたまま反転、即座に機体を巡航形態に移行」

クラウス「この直後に他二体のフラッグがミサイル攻撃を敢行、それに呼応するかのように隊長機は地面すれすれを特攻……」

ジンネマン「そして弾幕による煙の壁の手前で三度目の変形、か」

ネフェル「……申し訳ありません。アグリッサと貴重な戦力を失いました」

ネフェル「現状責任を取るべきは私にあります。どうか部下には……」
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722 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 01:55:51.02 ID:7ugFIpTAO
ジンネマン「馬鹿言ってんじゃねえよ」

ネフェル「え……?」

ジンネマン「このフラッグが見せた空中変形を織り交ぜたコンバットマニューバ……これは今まで無かったものだ」

ジンネマン「如何に戦い慣れた傭兵といえど、コレに対応するにはまずどういうもんか知らなきゃならない。クラウスは先陣を切ったお前等を誉めこそすれ、処罰するような無能じゃない」

クラウス「はは……高く買われているようで何よりです」

ネフェル「……」ポカーン

ジンネマン「次の戦場に期待させてもらう、さっさと休め」

ネフェル「は、はっ!」ピッ

ネフェル「っ、つぅ……」

バタンッ

クラウス「まだ頭が痛むか、結構腫れてたからなぁ」

ジンネマン「例のガンダムのパイロットにやられた傷か……」

ジンネマン「こちらに無駄足を踏ませたタイミングといい、ネフェルを一撃で気絶させる腕前といい、悩みの種は尽きんな」

クラウス「全くです」

クラウス「……腕が立つなら、一度くらいは手合わせ願いたいものですが……」

ジンネマン「……」ギロッ

クラウス「うっ……」

ジンネマン(クラウス・グラード……コイツの腕前は相当なもんだが、それ故に前線に出たがる癖は何とか矯正せにゃならんな)

ジンネマン(大佐が欲しがる理由もよく分かる……コイツには優秀な指揮官になりうる才能がある)

ジンネマン(ライセンサーやガンダムからは、なるべく離さにゃならん……)

クラウス(何で今怒られたんだろう……?)
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723 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 02:11:39.50 ID:7ugFIpTAO
ビーッビーッ

クラウス「!」

ジンネマン「……」

ジンネマン「クラウス」

クラウス「? どうしましたキャプテン」

ジンネマン「この場所には、アフリカへと抜けるために続々と同胞たちが集結してくる」

ジンネマン「食うや食わず、物資もままならないまま追い回されて辿り着いた迷子みたいな連中だ……ろくに頭も働かないし、中には元々敵同士だった奴らも大勢いるだろう」

クラウス「……」

ジンネマン「そういう奴らは、頭のよく切れる賢い奴が上に立って纏めてやらにゃならん」

ジンネマン「俺達がそうであるようにな……」

ジンネマン「……」

ジンネマン「死ぬんじゃねえぞ。お前はやがて他の人間の上に立てる男だ」

ジンネマン「地べた這いつくばってでも生き延びろ……いいな」

クラウス「キャプテン……」

ジンネマン「行くぞ。敵を蹴散らして味方の退路を確保する」

クラウス「私のイナクトも出します。迂回して相手の腹を突いてやりますよ」

ジンネマン「任せる!」

           ・
                         ・
                         ・



――そして今――
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724 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 02:29:43.36 ID:7ugFIpTAO
グラハム「……」

変形を前提にしたコンバットマニューバはフラッグに劇的な戦果をもたらしている
対応しきれる兵士など殆どいない上に、目視した兵士は悉く潰してきた
もうオーバーフラッグスを止められる兵士など、敵側には殆ど残っていないだろう

グラハム(だが……)

それは国連軍も同じ事だった
GN-XとRGM部隊の性能ですら突破出来ないゲリラ側の最高戦力、【サイクロプス】の存在が戦場を完全に拮抗させていたのだ
優秀な兵士が大勢命を落とした先のガンダムとの戦い、今性能差以外でゲリラ側に優位を持った兵士が一体何人残っているだろう?
同種同性能の機体で歯が立たない以上、オーバーフラッグスとサイクロプス、いずれこの二つがぶつかるのは必然とも言えた

グラハム「……つっ」

疲れ果てた身体を起こし、汗を拭う
一回の出撃で殆ど余力の残らない現状、部隊を分けて先に一部を帰還させるなど幾つもの手は打ってみたが解決には至らない
先に引き上げさせたルドルフがまだシャワールームにいるのを見れば、結局は気休め程度の効果しか無いのは一目瞭然だった

グラハム「勝てるのか……?」
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725 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/01(木) 03:07:20.12 ID:7ugFIpTAO
――誰かが死ぬ

そんな予感が痛めつけられた身体を這い上がる

ハワード・メイスンを失ったあの時の喪失感が、再びこの身に降りかかる
そう考えただけで膝の震えが止まらなくなる
こんなにも自分は弱い男だったかと思うほどに、胸が強く締め上げられる

グラハム「……ッ」

勝てばいい
勝つしかない
その為にイナクトの二人を新たに編入した、その為に新たな武装を手に、新たな戦術を練り上げてきた

グラハム「勝たねばならん……!」



……時を同じくして、ギラ・ドーガを駆るスベロア・ジンネマンもまた、グラハムと同じことを考え決意を新たにしていた
それを両者は知る由もない

二人のマスターが刃を交える瞬間、それは刻一刻と近付いていた

TO BE CONTINUED...

グッドマン「ま、待て! もうライセンサーは一人いる! これ以上の受け入れは……」

グッドマン「くそっ……切りおった」

兵士「司令、どうかなされましたか?」

グッドマン「……野獣が、来る!」
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726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/09/01(木) 03:10:03.09 ID:7ugFIpTAO
投下終了だフラッグファイター

ではまた
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727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 03:16:21.69 ID:GbxfRS47o



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728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/09/01(木) 03:19:30.98 ID:xVmNkTzco
乙乙
ルドルフさんったらツンツンしちゃって///
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729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/01(木) 03:53:49.55 ID:qRih51+0o

チートだらけのすげー状態だな
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730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/09/01(木) 23:26:35.90 ID:mF+Tm+q5o

正直ソレスタルビーング要らんやんww

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731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/09/02(金) 16:03:57.40 ID:O7JnIvgl0
乙!
やっと野獣との邂逅か
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732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2011/09/11(日) 00:08:32.76 ID:tABacJGAO
まだかな
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:08:46.78 ID:SPhJq0rG0
急かすとマリーダさんに逆さ吊りにされるぜフラッグファイター
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/09/12(月) 00:44:47.93 ID:QfzMVjv+o
UCを先日三巻まで一気見したんだが、リディ君が想像してたよりもイケメン&柔軟性に溢れた良い男で驚いた。
てっきり、もっとヘタレな感じだと……
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/12(月) 00:59:26.30 ID:NuzrsY8AO
そっからの転落がスゴいからヘタレ扱いなのよね〜あの子
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/12(月) 07:37:35.60 ID:LTGw3/T6o
前の巻でバナージに「男と見込」まれたのにねー…
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 18:45:31.97 ID:wq/FSX9m0
でもUCは他のガンダムに比べて、かっこいい大人が多いからいいわー
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/12(月) 19:08:54.38 ID:oQtEaLXZo
他のガンダムは情けない大人が多いからな
そこが魅力でもあるんだが
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 22:31:00.80 ID:KU60QPVDO
ああ、vipのやつ保守し忘れて落ちてしまった。すまないマスター……
740 :どこぞの赤い人 [sage]:2011/09/14(水) 10:07:42.06 ID:dis8FQSR0
まだだ!まだ、終わらせんよ!
741 :どこぞの三男坊 [sage]:2011/09/15(木) 00:25:03.98 ID:zLKczIkD0
おわらせはせん。終わらせはせんぞ〜!!
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/15(木) 00:48:32.00 ID:5Jmnfb1eo
三男坊さんはキシリアが姉か妹かで2説あるんだよね
アニメでは呼び捨てかと思ったら、たまに「姉上」って言うし、オリジンでは完全に妹だし
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 17:57:06.44 ID:RvKWSXI80
見事な父の日だったぞフラッグファイター
744 :どこぞのゲームキャラ [sage]:2011/09/17(土) 12:23:13.74 ID:2LC0T9V/0
今日来る・・・はず。
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/09/18(日) 01:40:24.58 ID:QyUZ7rc3o
名前欄遊びは銃殺刑
746 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/09/21(水) 02:17:21.74 ID:UfLcb5dAO
生存報告と謝罪も兼ねて連絡するぞフラッグファイター

三巻は私には破壊力が強すぎた、文章の方がまだマシだったようだ
不甲斐ない私を許してくれ

だからこそ私は宣誓しよう
明日明後日には再開し今まで通りのラインに戻してみせる、と

ではまた、戦場の空で逢おう
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 06:28:48.07 ID:as+kPfLm0
よく言った
それでこそフラッグファイターだ
748 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 10:41:51.14 ID:3i7Iev5DO
エントリィィィィィィィィ!!
749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 14:02:20.21 ID:lrh5ofMy0
待っていたぞ>>1!!
抱きしめたいなフラッグファイター!!
750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 22:37:21.17 ID:LKa/dq0IO
ttp://imepic.jp/20110921/803960

下手くそでスマン
仕事帰りに電車の中で書き込み見たんで、急いでコロッケ食いながら描いた物です。
マリーダさんはユニオンのパイスー着てんのかな?
応援してるぞフラッグファイター!



751 :名無しNIPPER [sage]:2011/09/21(水) 22:45:52.99 ID:Eql8PqAAO
>>750
ほう…カラーインクとは
また乙なモノを使う…。
素晴らしいの一言を

慎んで贈らせて頂く!!
752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/09/22(木) 18:46:21.13 ID:uEMkcr9Mo
>>750
フッ…好意を抱くよ
753 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 00:56:32.49 ID:lgEFb8UAO
グラハム「投稿が終ったら(ジンネマンに)謝ります!>>1が!!(ホーマーに)土下座もさせていただきます!>>1が!!だから!」

マリーダ「 」

という展開にはまだなりません。あしからず

再開と行こうフラッグファイター
支援絵のお陰で今の私は三倍の出力を得ている!
754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/23(金) 00:59:23.58 ID:DVErv6D+o
今日が休日でよかった…今の俺は夜更かしも怖くはない
755 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 01:00:58.11 ID:lgEFb8UAO
爆炎が大地を灼き、黒色の炭塊と変わり果てたMSの残骸がそこかしこに転がっている

エジプトを背後に控えた、中東最後の激戦
一進一退の攻防が、ゲリラ連合と国連軍の間で繰り広げられていた

クワニ『クソッ、右見ても左見ても敵だらけだ!』

アイバン『馬鹿野郎、前見ろ前!』

連なる敵MSのうねりは地平線の先まで続いている
飛び交う砲弾と怒号、かろうじて逃げてきた味方のMSが流れ弾に当たり火花を噴きながら次々に地に伏していく
圧倒的な物量、逃げ場など何処にもない

ジンネマン「畜生がぁ!」

腹部を貫かれ動かなくなったGN-Xを盾のように使い、RGMの猛攻を凌ぐギラ・ドーガ
背後では脚をやられたヘリオンを抱え、アンフがゆっくりと退路をひた歩いている
粒子弾を吐き続けるGNビームマシンガンの銃口は、今にも溶けそうなほどに赤熱していた

デュバル「ヅダを嘗めるなぁ!」

対艦ライフルから放たれた135mmの弾丸が、盾を貫徹しRGMを胴体から真っ二つに吹き飛ばす
明らかなオーバーキル、RGM混成部隊の動揺は降り注ぐ弾幕の揺らぎで判別できた
猛攻に対する激しい抵抗、ジンネマン隊の活躍も加味され最終防衛ラインは小揺るぎもしなかった
しばらくして少しずつ弾幕が減っていき、やがて身を翻し撤退を開始するRGM部隊

これ以上の被害は無意味だと判断したのだろう
勝利と呼ぶにはあまりにも酷な結果に終わったこの戦い
だが多大な犠牲を払って、ようやく凌ぎきったのだった

ジンネマン「はぁッ……はぁッ」
756 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 01:08:04.07 ID:lgEFb8UAO
肩で呼吸をし、吹き出す汗を拭う
モニターに写る友軍機は四機、どうやら宇宙組は全員生き延びたようだった

デュバル「キャプテン、どうにか正念場は乗り越えられたようだな」

ヅダは空になった弾倉を投げ捨てながら、モノアイをしきりに動かし警戒する
旧型規格とはいえ流石はGNドライブ搭載MS、その装甲に大きなダメージは見当たらなかった

ジンネマン「あぁ……だが、死んだよ。何人死んだか分からないくらい、沢山な」

デュバル「無償で何とか出来た戦場ではない……気に病むな」

ジンネマン「……」

デュバル「敵も大部隊だ、移動に時間がかかりしばらくは攻めて来まい」

デュバル「行こうキャプテン。我々も撤退だ」

ジンネマン「……そうだな」

ヅダが気を残すようにモノアイを上げた
空を見上げれば、黒い機影が禿鷹のように旋回し此方の様子を伺っているのが見える

ジンネマン「オーバーフラッグス……」

今回も散々戦場を引っ掻き回してくれた猛禽の群、しかしついぞ彼らと刃を交えることはなかった

クワニ『この激戦でも、一回もぶつかりませんでしたねアイツ等とは』

ジンネマン「分かってるのさ。俺達が真っ正面からぶつかれば、双方半数以上が確実に死ぬことをな」

ジンネマン「奇襲による完全勝利を狙うか……グラハム・エーカー、噂とは随分違う戦い方をする」

アイバン『厄介ですね』

ジンネマン「あぁ、いざという時まで自分を殺せる奴は強い」

ジンネマン「猪突猛進な方が付け入れるってもんだが……さて、どうしたもんかな」

ジンネマン「また考えるさ……今は、大佐からの指示を待とう」
757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/09/23(金) 01:08:17.95 ID:JrUCplEb0
よもやまた再び会いまみえることができるとはな
758 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 01:11:18.37 ID:lgEFb8UAO
ルドルフ『隊長! 例の新型です!』

ダリル『追いますか!?』

グラハム「マリーダ、各機のGNビームサーベルの粒子残量は」

マリーダ『アベレージ14……危険域です!』

グラハム「……」

グラハム「撤退だ。各機スタンドモードのまま奇襲に備えつつ後退しろ」

ジョシュア『俺達ぁまだ……!』

グラハム「反論は聞かんッ!」

ジョシュア『……くっ』

ヴィクトル『少佐、後方は此方で引き受けよう』

ヴィクトル『宜しいか、タケイ少尉』

タケイ『無論です』

グラハム「任せます。リディ、レオーノフ隊のルドルフと交代して警戒に当たれ」

リディ『了解です』

ルドルフ『チッ、またかよ』ボソッ

グラハム「二度は言わんぞ、無理をしてまたシャワー室でうなだれたいか」

ルドルフ『……了解……』

グラハム「その素直さは好感に値するな……なに、いずれ見返りはある」

マリーダ『マスター、通信繋げました』

グラハム「報告を頼む」

グラハム(……幾度と無く奇襲を試みては見たが、全てかわされてぶつかることは無かったか)

グラハム(敵の指揮官が上手いのか、フラッグの限界か……前者であると信じたいな)

グラハム「これより全機帰投する。スナイパーに注意しろ、最後まで気を抜くな!」

『了解!』

グラハム(今は我慢の時……か)

グラハム(部隊レベルでの戦闘……ワンマンアーミーでない戦場がこれほどもどかしく感じるとはな)

グラハム「だが、悪くない」

――――
759 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 01:14:02.82 ID:lgEFb8UAO
ルドルフ『隊長! 例の新型です!』

ダリル『追いますか!?』

グラハム「マリーダ、各機のGNビームサーベルの粒子残量は」

マリーダ『アベレージ14……危険域です!』

グラハム「……」

グラハム「撤退だ。各機スタンドモードのまま奇襲に備えつつ後退しろ」

ジョシュア『俺達ぁまだ……!』

グラハム「反論は聞かんッ!」

ジョシュア『……くっ』

ヴィクトル『少佐、後方は此方で引き受けよう』

ヴィクトル『宜しいか、タケイ少尉』

タケイ『無論です』

グラハム「任せます。リディ、レオーノフ隊のルドルフと交代して警戒に当たれ」

リディ『了解です』

ルドルフ『チッ、またかよ』ボソッ

グラハム「二度は言わんぞ、無理をしてまたシャワー室でうなだれたいか」

ルドルフ『……了解……』

グラハム「その素直さは好感に値するな……なに、いずれ見返りはある」

マリーダ『マスター、通信繋げました』

グラハム「報告を頼む」

グラハム(……幾度と無く奇襲を試みては見たが、全てかわされてぶつかることは無かったか)

グラハム(敵の指揮官が上手いのか、フラッグの限界か……前者であると信じたいな)

グラハム「これより全機帰投する。スナイパーに注意しろ、最後まで気を抜くな!」

『了解!』

グラハム(今は我慢の時……か)

グラハム(部隊レベルでの戦闘……ワンマンアーミーでない戦場がこれほどもどかしく感じるとはな)

グラハム「だが、悪くない」

――――
760 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 01:26:04.31 ID:lgEFb8UAO
国連軍とゲリラ連合の戦闘は、中東を西へ西へと移動する大規模な戦争へと変化していった
小国家程度ではゲリラ連合を足留めする軍事力も無く、ゲリラ連合も通り過ぎるのみで決して手出しをしないため、国連軍は追い切れていない現状を打開できずにいた

だが、誰もが謎を抱かずにはいれなかった

何故彼等は此処まで大規模に行動を起こし、アフリカを目指すのか……ということであった

――前線基地――

グッドマン「休暇、だと?」

グラハム「左様です」

グラハム「我々オーバーフラッグスは連日の出撃で疲弊しています。現状グッドマン司令の御命令で戦列に加わらせて頂いておりますが、これから大規模な移動でしばらく戦闘も起きないと判断してのこと」

グラハム「一度指揮系統から外していただき、部下達を休ませていただきたいのです」

グッドマン「ふん……まるで私が君達を酷使しているような物言いだな」

グラハム「その様に感じられたならば謝罪致します」

グッドマン「だが少佐の言うことにも一理ある……好きにしろ」

グラハム「はっ、ありがとうございます」

グラハム「では失礼……」

グッドマン「グラハム少佐」

グラハム「はっ?」

グッドマン「例のサイクロプスの被害は甚大だ。奴らの目的が分からないとはいえ、敵である以上、これ以上の損害は増やしたくない」

グッドマン「勝てるか?」

グラハム「それが、私達の仕事です」
761 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 01:39:54.14 ID:lgEFb8UAO
ウィンッ

ビリー「や、グラハム」

グラハム「カタギリ」

ビリー「色好い返事は貰えたようだね」

グラハム「グッドマン司令は見た目に反して決断の早い人物だ、たとえ最善ではなくとも即断即決すべきという場面をよく知っている」

ビリー「うちの叔父さんにも近い思考回路の持ち主だね、思考の内容まで同じとは到底言えないけど」

グラハム「だがとりあえずの間を作ることには成功した、尚早すぎた部分を修正するには申し分ないほどの時間だ」

ビリー「パイロットの健康面……戦術とMSの噛み合わせ……新型の開発プラン……歪みはイヤと言うほどある」

グラハム「どうだ?」

ビリー「パイロットの健康面は問題ない。全員プロだ、データ上MSの操縦に支障が出た形跡も無い」

ビリー「だがこれから出ないとも限らない。アラスカ勤務のジョシュアは中東の高気温の環境に慣れていない様子だし、リディは秘密の特訓をまだ続けている」

グラハム「ダリルもだ。正直空中変形を取り入れたマニューバで隊員の意識に乱れが生じている」

グラハム「計画そのものが尚早すぎたのか、我々が未熟なのか。兎に角、今は何もかもを休ませて考えねば……」

『おや、グラハム少佐ではありませんか』

グラハム「!」

ビリー「あなたは……」
762 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 01:49:11.49 ID:lgEFb8UAO
リント「ご無沙汰しております。先の戦闘でも多大な戦果を挙げられたようで」

グラハム「アーバ・リント少佐……此方こそご無沙汰しています」

リント「全く、旧型であれだけの活躍が出来るのです」

リント「GN-Xに乗り換えた後の戦果が楽しみで仕方ありませんよ……本当に」クックック

ビリー「……っ」

グラハム(カタギリ)

ビリー(大丈夫だ、このくらいならね)

グラハム「……どのMSに乗ろうとも、特務部隊としてライセンスに恥じぬ働きをするまでです」

リント「期待していますよ。ホントに……」

リント「そうだ、明日の2300にポイント5822で籠城するゲリラ達を襲撃するミッションがあるのですが……ご一緒にどうです?」

グラハム「お得意の殲滅戦、ですかな?」フン

リント「嫌いですか? 私は好きですよ……殲滅戦」ニヤァ

グラハム「お言葉は嬉しいですが、先ほど部隊に休暇のお許しを頂いたばかりでね」

リント「ほう」

グラハム「一足早く羽休めとさせていただく」

リント「それは残念、少佐に戦術の何たるかをお見せしたかったのですが……またの機会に致しましょう」

グラハム「その機会を楽しみにさせていただきますよ……アーバ・リント少佐」

リント「リントで結構ですよグラハム・エーカー少佐……ではまた」
763 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 01:59:51.48 ID:lgEFb8UAO
コツコツコツ……

ビリー「くそっ……いやみったらしい」

グラハム「おおかた戦場で成り上がった私が気に入らないのだろうさ、よくあることだ」

ビリー「前線で現場を指揮する君に、後方から戦術予報する彼のような人物が目くじらを立てるなんて……ナンセンスだよ」

スタスタスタ

グラハム「先週私が独自判断で包囲殲滅を制圧戦に変えたのが、よほど腹に据えかねたのかもしれん」

ビリー「皆殺しを戦術と名乗るなんて……おこがましい」

グラハム「それくらいにしておけカタギリ、いちいち気にしていては身が持たん」

グラハム「休暇が取れたんだ、私は明日ミーナ女史の提案通りスイール王国にまで足を伸ばすつもりだ。お前も来い」

ビリー「……そのことなんだけど、僕は遠慮しておくよ」

グラハム「何?」

ビリー「さっき言いそびれたけど、正直エイフマン教授の草案を元にしたGNフラッグの完成案が全く進まなくてね」

ビリー「データは揃ってるのに、僕だけが足踏みじゃあ……君達フラッグファイターに申し訳が立たないんだ」

グラハム「……気にするな、とは言わん。お前が其処まで言うのなら私から彼女に話しておこう」

ビリー「ありがとうグラハム、後で僕の口からも済まないと伝えておくよ」

グラハム「根を詰めすぎてもよくはならんぞカタギリ、ほどほどにな」

ビリー「ほどほど、か。君には似合わない言葉だね」

グラハム「放っておけ……では」

ビリー「あぁ。また明日」
764 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 02:02:08.52 ID:lgEFb8UAO
――MSドッグ――

ルドルフ「…………」

ヴィクトル「よう」

ルドルフ「! 大尉」

ヴィクトル「隣、邪魔するぞ」

カンカンカンカン……

『バーニアの点検、昼飯までには済ませとけよー!』

ルドルフ「……」

ヴィクトル「……聞いたぞ。整備班の連中とやり合ったそうじゃないか」

ルドルフ「耳がお早いですね、大尉」

ヴィクトル「向こうから泣きつかれたんだ。お前がつっかかってくるから何とかしてくれってな」

ルドルフ「チッ」

ヴィクトル「俺から見ても、少し尖りすぎじゃないか? お前らしいといえばお前らしいがな」

ルドルフ「ッ、イナクトは今のままの武装でも十分戦えます!」

ルドルフ「あんな……トライデント何とかなんて装備しなくても……」

ヴィクトル「ハァ……」

ヴィクトル「トライデントストライカー、ありゃ良い武器だぞ。速射性に優れた小口径弾で弾幕を張りつつ、チャージした高速大口径弾を叩き込む……大型化して初めてバリエーションが持てるイナクトには無いものだ」

ヴィクトル「機動力を馬鹿ほど上げた今のイナクトなら十分使いこなせるだろう、ルドルフ」

ルドルフ「使いこなせるかどうかじゃない、フラッグの武器だから嫌なんです」

ルドルフ「整備班の連中には矜持ってもんが無さ過ぎる……自分達から余りのトライデントストライカーを譲ってくれなんて……」

ヴィクトル「……ふぅむ」
765 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 02:10:01.92 ID:lgEFb8UAO
ヴィクトル「整備班の仕事は、俺達が生きて帰れるようイナクトを万全に仕上げることだ」

ヴィクトル「彼等は技術を以てそれを為している、俺達だって優秀な技術を持ってる奴らがいたら真似するだろう。それと同じだ」

ヴィクトル「お前さんがグラハム・エーカーの技術を何度も真似して会得したようにな」

ルドルフ「ッ……それは……」

ヴィクトル「お前の友人の整備士な、泣いてたぞ。よかれと思ってやったのにってな」

ヴィクトル「後で謝っとけ。人の好意を無碍にする奴は独りになるぞ」

ヴィクトル「独りは……辛いもんだ」

ルドルフ「……大尉が、そうおっしゃるなら」

ヴィクトル「素直になれねえ奴だな……まぁ、いいや」

ザッ

ヴィクトル「ルドルフ、俺達の次の相手は【サイクロプス】だ。トライデントストライカーの主砲のストッピングパワーなら、奴らに効かないまでも動き位は止められるだろう」

ヴィクトル「性能差は戦術と技量でカバーだ、決め手は任せるぞ」

ルドルフ「はっ!」ビッ

ヴィクトル「その意気だ」

ヴィクトル「しっかり休めよ、マスターさんが決戦を見越して休暇を全員に取らせたんだ」

ヴィクトル「連中にくっついて街にでも行けばいい……旨いもんでも食って英気を養え」

ルドルフ「女連れにくっついていく度胸なんかありゃしませんよ」

ヴィクトル「若い奴が寂しいことを……良い女揃いじゃないか」

ルドルフ「手を出したら殺されるか宙づりにされるか狙い撃たれるビジョンしか見えませんね」

ヴィクトル「それは……うん」
766 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 02:17:24.78 ID:lgEFb8UAO
ヴィクトル「だがいいなお前は……イナクトにそこまで入れ込めるんだから」

ルドルフ「当たり前じゃあないですか、我が軍の最新MSですよ!」

ルドルフ「それじゃ……大尉は何とも思わないんですか?」

ヴィクトル「ん〜、お前には分かってほしくないなぁ。この感情は」ハハハ

ヴィクトル「……自分が頼りにしていたMSが味方を殺す……あんな思いはあれっきりで十分だ」

ルドルフ「は……?」

ヴィクトル「……風が強くなってきたな」

ヴィクトル「嵐にはならんだろうが、嫌な風だ」スッ

ルドルフ「……大尉……?」

ヴィクトル(……お前は今どこにいる)

ヴィクトル(ヤザン……)

――――

ジョシュア「…………」

ダリル「おい、ジョシュア」

ジョシュア「んだよ」

ダリル「せっかく隊長が合間を縫っての休暇をくれたのに、休憩室の長椅子でトドみてぇに寝転んで……」

ダリル「少しは外出てリフレッシュしてこいよ、何なら隊長達について街に来るか?」

ジョシュア「馬鹿言え……そんな暇があんなら俺は寝る」

ダリル「せめてこっち向いて会話しろ」

ジョシュア「首を動かすのも面倒だ」
767 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 02:19:36.53 ID:lgEFb8UAO
ダリル「まぁ……しょうがないか。聞いたぞジョシュア」

ジョシュア「何をだよ」

ダリル「一昨日の健康診断、体重が大分落ち込んだらしいじゃねえか」

ジョシュア「……」

ダリル「お前だけじゃなく、部隊全体での話ではあるがな」

ダリル「マニューバを実践する側の奴らはもとより、それについていくだけですら負担が大きい。只でさえ装甲を薄くしたフラッグだ、弾幕に飛び込んでいくのに掠ることさえ許されない緊張状態を強制されちまう」

ダリル「……やはり、このままオーバーフラッグだけでこの戦術をこなすのは……」

ジョシュア「ふぁ〜……」ゴロン

ジョシュア「相変わらず泣き言ばかりいいやがる、お前は成長しねえなダリル」

ダリル「ジョシュア!」

ジョシュア「だからこそ、隊長殿ご一行のショッピングに技術顧問殿は参加しないんだろう?」

ジョシュア「アイツぁ女に弱くて融通も利かねえ世渡りベタだが、やるときはやる」

ジョシュア「任せろよ、あれでもプロフェッサー・エイフマンの一番弟子、我らの隊長の盟友だ」

ダリル「だがよ……」

ジョシュア「無駄に心配してねえでお前こそ休んどけ、グラハムマニューバの練習で実戦が疎かになったらこっちがたまんねえ」ゴロン

ダリル「!」

ジョシュア「知らねえと思ってたならお前はリディと同レベルだ」

ダリル「……」

ジョシュア「お前にゃお前の役割がある、今更無理すんじゃねえよ……っと」
768 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 02:31:08.48 ID:lgEFb8UAO
ダリル「……ッ!」

ガンッ

ジョシュア「どわっ!?」ドサァッ

ジョシュア「いっつつ……」

ダリル「……」

ジョシュア「何しやがるダリル! いきなり椅子蹴る奴が……」

ダリル「俺だってなぁ……」

ジョシュア「!」

ダリル「俺だって空中変形さえ出来りゃ……隊長の隣で戦いてえんだ!」

ダリル「俺は……俺は!」

バタンッ
ドタドタドタ……

ジョシュア「……ダリル……」

――――

『やーやー、久しぶりだねタケちゃん』

『いやぁ参ったもんだね。オキナワのアホウドリなんて呼ばれてた俺も、今では【鋼鉄のカウボーイ】だもん』

『あの時の勝利の女神が微笑み始めたかな? ほら、以前話した俺より背の高いボインの女の子』

『まぁカウボーイの異名も、【首斬り雀のタケイ】に比べたら優しい方かな? ……悪かった、悪かったって! もう言わないからさ、そんな怖い顔しないでくれよ……』

『でもあの時期に比べたらだいぶ顔つきが丸くなった? 太ったって意味じゃなくて、一応』

『やっぱりグラハムさんが良いのかね……いつかはまた一緒に飛びたいもんだ、うん』

『おっと……出撃の時間だ。じゃ、またねタケちゃん。今度は出来れば戦場以外で……例の赤毛のボインちゃんの情報、送っておいてね』

ピッ

タケイ「……タケちゃんは止せと言ったろうに、アイツめ」
769 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 02:38:21.84 ID:lgEFb8UAO
――女子更衣室前――

男子禁制の聖地とも言える、女子更衣室
女性パイロットのいないこの基地では、普段の使用もマリーダくらいしかいないらしい

リディ「……こんなところにいて良いんですかね、隊長」

グラハム「何がだ?」

リディ「何がって……女子更衣室の前ですよ」

リディ「いくら今は貸切状態だからって……視線が……」

今は基地に近いスイール国の都市に外出する為、ミーナ、フェルト、マリーダの三人が中で準備をしている
男二人、軍服ではない私服で立つ姿は兄弟のようにも見えた

グラハム「……」ハァ

グラハム「リディ、お前は以前私に言ったな?」

グラハム「【生まれや家柄に関係無く、パイロットとしての自身を見せる】……と」

リディ「はぁ」

グラハム「だったら他者の眼や他人の風評になど踊らされるな。そんなもので立ち位置を決めるような生き方は、いずれ居場所を無くすぞ」

リディ「……そんなものですかね」

グラハム「そんなものだ」

リディ「…………」

グラハム「……」

会話は歯切れも悪く、長続きせずに失速し停滞する
リディが乗り気でないのを無理やり引っ張ったのはグラハム本人であった

理由は一つ

放置すれば、リディはまた隠れてハードトレーニングを行ってしまうからである
770 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 02:42:00.74 ID:lgEFb8UAO
グラハム「……」

リディがこの一カ月間、特別な成果を上げていないことに対し、特に思うことなどなかった
そうさせているのは自分だし、リディはまだ若い。戦果を意識させるような育成が功を奏すとも考えられない

だが周囲は予想外にリディへと期待の眼差しを送っていて、比例するかのように失望の声を上げていた

リディ「……もう少しなんです」

グラハム「ん?」

リディ「もう少しでグラハム・スペシャルのコツが掴めそうで、きっと次の実戦には間に合わせられるから……」

リディ「だから……こんなところで油売ってなんか……」

グラハム「……」フゥ

優秀な操縦技術に冷静な観察眼、不測の事態に対処しうる精神力に加え野心という名の向上心と度胸も持ち合わせている
これでまだ二十歳を一年過ぎた程度、まだ危なっかしいがオーバーフラッグを十分乗りこなしてもいる
この若い戦士の成長はまだまだこれからであり、長い目で見てやるつもりであった

グラハム(だが……私が直接指名したのが悪かったようだな)

実際、ジョシュアが「戦果を出せ」と発破をかけたのがハードトレーニングに拍車をかけた要因だった
ダリルとタケイ、ビリー・カタギリらは真意を汲み取り過度な期待をかけたりはしていない
最近はマリーダも訓練中には落ち着いた対応を見せてくれている
だが野心家のジョシュアやオーバーフラッグスを見てきた整備班はそうもいかなかった
リディにグラハム・エーカーの再来を見て、もっともっとと期待する
重荷を背負わせたのは自分だ。手が届くと思わせてしまった自分だ
そう愚痴をこぼし、マリーダに「傲慢だ」と怒られたのは、昨日の話である
771 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 02:44:52.55 ID:lgEFb8UAO
元々上院議員の息子という肩書きで浮いていた上に、ただでさえ目立つグラハム・エーカーの直接指名での抜擢が完全にリディを槍玉に上げていた

失敗だった。私としたことが、と後悔しても後の祭り
下手に動けばきっと状況は悪化する、そういう段階にまできてしまっていたのだった

グラハム(押し潰されなければいいが――)

焦りを見せるリディの横顔を見ていると、妙な気分に陥る
ユニオン史上最高のトップガン、父代わりの英雄の背中に追いつかんと必死になっていた、かつての自分を見ているような
そんな恥ずかしさの入り混じる、少し懐かしい気分に

グラハム「いいかリディ」

リディ「はい?」

グラハム「私はお前を気に入っている。だから……」

リディ「も、申し訳ありませんがその様な趣味はありませんッ!!」

グラハム「……歯を食いしばれ」ピキッ

兵士としても、男としても、きっと良いパイロットになる
気長に育てよう。そう改めて心に誓った

――その頃更衣室――

フェルト「ちょ……ちょっとヒラヒラしすぎじゃないですか?」

マリーダ「ミーナ女史……この様な露出度の高い服装は少々」

ミーナ「何よ〜二人とも恥ずかしがり屋なんだからぁ」

ミーナ「素材は良いんだからちゃんとキメていかないともったいなさすぎよ?」

フェルト「素材って……」

マリーダ(……付いていけん)
772 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 02:46:21.65 ID:lgEFb8UAO
シュル……

フェルト(……)

マリーダ「……少しキツいか」ジジッ

ミーナ「肩こるぅ」トントン

フェルト(何だか……敗北感が凄い)

フェルト(でもこのノリ、少し懐かしいな……)

『ほらフェルト、この水着なんか似合うわよ? ねえクリス』

『はいスメラギさん! やっぱりフェルトにはカワイイ系だよね〜』

フェルト(……っ)

フェルト「……?」

フェルト「マリーダさん」

マリーダ「どうした、フェルト」

フェルト「その鳩尾辺りの傷……どうしたんですか?」

マリーダ「ん、あぁこれか」

マリーダ「新型のガンダムが初めて現れた戦場で……ガンダムに撃墜されてついた傷だよ」

フェルト「!」

フェルト「スロ……新型の、ガンダム……」

ミーナ「んしょ、グラハムを庇って付いた傷よね確か」ヌギヌギ

ミーナ「脱がない限り見えないとはいえ、やっぱり女の子に傷は結構目立っちゃうわね……」

マリーダ「傷は兵士の勲章です。マスターを守って付いた傷ならば尚更、私は何も恥じるつもりはありません」

フェルト「……」

ポンッ

フェルト「あ……」

マリーダ「心配してくれるのは嬉しいが、過ぎたことだ」

マリーダ「これから気晴らしにいくというのに、そんな顔をしていたら福が逃げるぞ」
773 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 02:48:55.43 ID:lgEFb8UAO
ミーナ「フェルトは笑っていた方が断然可愛いもの、ね」クスクス

フェルト「……ありがとう、ございます」フッ

ミーナ「もうっこの可愛い生き物め!」ギュゥゥゥ

フェルト「ひゃっ!?」

マリーダ「……」

マリーダ(まだ少し固さが残るが打ち解けてくれたようだ)

マリーダ(これならいずれ彼女の秘密にも……)

フェルト「ふぁっ……ミ、ミーナさん!?」

ミーナ「うふふ、若いって良いわねぇ。肌のハリが違うわ……食べちゃいたいくらい」

フェルト「んぁ……そこ……だめぇ……っ」

マリーダ(無理かもしれない)

マリーダ「はぁ……ミーナ女史、もうそのくらいに」

ミーナ「残像よ」ヒュボッ

マリーダ「!」

マリーダ(いつの間に背後に……この私が目で追えなかった!?)

ミーナ「ふふふ、白衣という名の拘束具を外した私に勝てると思わないことね」

ミーナ「形・重量・ハリ……共に完璧なそのバスト」ツンツン

マリーダ「っ!?」

ミーナ「うっすら腹筋が浮かび上がり、それでいて肉付きもちょうど良い抱きつきたくなるようなウエスト」

ミーナ「そして腰からつま先に到るまで、究極的なラインを形成するそのヒップ……!」

マリーダ「ッ!」バッ

ミーナ「全て頂こうと言うのだよ! このミーナ・カーマインがぁぁぁぁ!!」ガバァッ

フェルト「マリーダさぁん!」

マリーダ(本気を出さねば……負けるっ!)
774 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 02:52:12.35 ID:lgEFb8UAO
――車内――

ブロロロロ……

グラハム「……」

リディ「……」

フェルト「……////」

ミーナ「ふっ、完敗だわ」ボロッ

マリーダ「マスター……申し訳ありません」ボロッ

グラハム「お前達のキャットファイトで四十五分、女子更衣室の前で待たされ衆目の冷たい視線に晒され続けた事に対する謝罪ならもういい」

リディ「そうっす、もういいっす」ムスッ

フェルト(絶対根に持ってる……!)

ミーナ「なぁによ、器の小さいことを言う」

グラハム「私は我慢弱い」

グラハム「激戦の合間を縫っての休暇、あまり時間は無駄にしたくないだけだ」

マリーダ「……」シュン

グラハム「……だが、休暇はまだ始まったばかりでもある」

グラハム「挽回の機会は与えるさ。私を満足させてみせろ、マリーダ」

マリーダ「! あ、ありがとうございます!」

リディ「お甘いことで」

グラハム「女の遅刻と嘘は許す。男の義務だ、覚えておけリディ」

リディ「どちらも縁遠そうで羨ましいですよ隊長」

グラハム「あぁ……私は幸運だ。この上ないほどにな」フッ

リディ「……」

タケイ「……」ガタンッ

リディ(タケイさんが運転するんだ……)

グラハム「さぁ、見えてきたぞ」

グラハム「楽しくなってきたな……全く!」
775 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/09/23(金) 02:53:07.43 ID:lgEFb8UAO
とりあえず本日は此処まで

また近いうちに必ず

アデュー
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/23(金) 03:00:31.43 ID:DVErv6D+o
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/23(金) 06:18:28.77 ID:oZ50F8nt0

このグラハムがブシドーになるとは思えん
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/23(金) 06:27:34.47 ID:Vvu3LRMDO
乙、マリーダさん00補正入って増量されてるのか。
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/23(金) 09:58:32.94 ID:JilMQi3DO
乙すぎる・・・・!!
780 :名無しNIPPER [sage]:2011/09/23(金) 10:57:08.23 ID:5n4IXqdDO
乙!
これからブシドー化するのか気になるな
781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/23(金) 14:05:45.98 ID:rMC6hokSo
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/23(金) 17:01:09.50 ID:N/upKxiso
                     ,r'´:.:.:.:.:.:.:.:.:`丶、
                      , -‐'/⌒_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
                  /:.:.__」_///ヘ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
                  {:.:/, ‐y`" ̄ ̄`丶、:.:.:.:.:.:.:.'
                 _」r彡'ン          \ヽ:.:.:}
              ,  ´‐ '´ ィ‐==-、    -==ぃ:./
             /  r /.个! 气汀トヽ ´斥汀ア l:ム
         _r‐/ / r' r'  い   ̄  l    ̄  ハリ
      _ ィ  [、/   ノ /   ヽi     ,       /ン′
    _f     八_r匕.イ      、   i} r    /´
  / / r'     ̄ ̄ノ           i、  , - - 、 イ
   〈__    _  ´        ,r! \   ̄ / jヽ
       >=≦___       ノ  ̄≫‐rr≪ ̄ {


今日、食堂でミスター・ブシドーの正体の話題で盛り上がった。
全員一致でグラハム・エーカーを予想したらしい。
隅の方で味噌汁を啜っていたリント少佐も頷いていた。
食堂を出ると、ミスター・ブシドーが自販機の間から阿修羅のようなオーラを出してこちらを睨み付けていた。
30過ぎのおっさんが仮面のサムライのコスプレをして自販機の間に挟まっている光景に、吹き出しそうなのを必死に堪えていたのだが、
横でピーリス中尉が耐えられなくなったのかくすくすと笑いだした。
強烈なプレッシャーを感じた俺は、すぐさまその場から逃げ出した。
後ろの方で、ピーリス中尉の「前髪は梳かないでぇ」「着物を着せないでぇ」という断末魔が聞こえた。

次の日、ピーリス中尉が行方不明になった。
そして、ピーリス中尉の補充要員として「ミス・ヒメ」という女性がアロウズに入った。
アロウズの制服の上から着物を羽織り、恥ずかしそうに俯いているその仮面の女性はどうみてもピーリス中尉なのだが、
指摘すると今度は自分が「ミスター・アシガル」だの「ザ・ニンジャ」だのになりそうで、結局何も言えなかった。
この日以来、誰もミスター・ブシドーの正体の話をする者は居なくなった。
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/23(金) 23:05:19.68 ID:GEOoBswIO
乙!汚い絵だが喜んでもらえてよかった!
生き恥を晒した甲斐があったというもの!
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/09/24(土) 00:27:47.58 ID:+PBj3RlAO

今回はえらく間隔が開いたな、フラッグファイター
785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/27(火) 20:35:57.66 ID:s01KDE4DO
再放送2期も後半に突入したしな
786 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 00:05:48.50 ID:MzbUxBxAO
ダンダリアンの少尉殿がグラハムにしか見えなかったので眼科に行ったら視力が上がっていた

投下再開だフラッグファイター、フルクロスが待ち遠しい
787 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 00:09:30.79 ID:MzbUxBxAO
――ゲリラ基地――

ジンネマン「クラウス、どうだ?」

クラウス「バディクラフトの被弾が激しすぎますね。少なくとも出撃にはドッキングを解除しないと……」

ジンネマン「そうか……」

ジンネマン「バディが無いならしばらくはお休みだ。雑務に専念しとけ」

クラウス「……はい」

ジンネマン(前に出過ぎていた矢先にこれか、ある意味運の良い奴だな)

カンカンカンカン

ジジジ…

ジンネマン「何とか凌いではみせたが、やはり散々だな」

クラウス「はい……無事な機体を探す方が大変です」

クラウス「各地から集結した部隊はどれも国連軍との交戦により損傷、修理も物資不足人手不足で間に合いません」

クラウス「最悪パーツを抜いて投棄も考えています。人を積むスペースは残さないと……」

ジンネマン「MSも必要だが一番貴重なのは人材だ、正しい判断だよそれは」

クラウス「甘いだけです……命の取捨選択は、どうしても手が震える」

ジンネマン「最初はそんなもんだ。他人の命を預かっておきながら、迷いもせずいきなり即断する奴などいやしない」

ジンネマン「ネフェルは……あぁ確かアフリカのPMCから送られてきたアグリッサの受け取りに向かったんだったな」

クラウス「疑似太陽炉と接続したテストタイプでしたね、無事に着いていればいいですが……」

ジンネマン「間に合えば戦力になる。MAを動かせるのはうちじゃ俺とお前、ネフェルくらいだからな」

クラウス「間に合えばですけどね……タイミングがシビアすぎます。勘定には入れられませんよ」
788 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 00:15:35.46 ID:MzbUxBxAO
『おい、何だこの飯は!』

『死に物狂いで合流したと思ったらこれかよ、ふざけてんのか!?』

ジンネマン「!」

クラウス「あいつら、また……!」

ジンネマン「何処の所属だ、PMCか」

クラウス「フランス外人部隊所属第四独立騎兵連隊……と名乗ってましたが、恐らくはPMC、それも裏の部隊です」

ジンネマン「ネフェルの言っていたハイエナ共、ということか」

クラウス「えぇ」

クラウス「本来ならあんな奴らを引き入れたりはしないのですが……状況が状況です」

クラウス「各部隊の軋轢にならないよう監視だけは強化してますが……コソコソされたらこっちも目が届かなくて」

ジンネマン「……獅子身中の虫にならなければいいがな」

クラウス「その場合は私が何とかしてみせます」

ジンネマン「気を逸らせるなよ、汚れ仕事は後々に響く」

クラウス「覚悟くらい……してますよ」

ジンネマン「つまらんことにその覚悟とやらを割くなと言っとるんだ」ザッ

ジンネマン「要らん輩に構い過ぎて時間を使いすぎたのでは……」

フラスト「キャプテーン! ちょっと良いですかー!」

ジンネマン「……続きはまた後だな」フン

クラウス「はい、また後ほど」フフッ

ジンネマン「今行く!」
789 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 00:23:33.94 ID:MzbUxBxAO
ジンネマン「どうした?」

フラスト「アフリカの先遣隊が準備に入りました、受け入れ対象の選別を始めたいとのことです」

ジンネマン「良い知らせだな」

フラスト「選別が問題です。部隊所属だけで判別するのは……」

ジンネマン「その辺はクラウスやPMCの一部に任せているさ」

ジンネマン「本来歴史上では駆逐されうる存在を生かすんだ……ある程度のあぶれは仕方あるまい」

フラスト「そう、ですね」

ジンネマン「期限までまだ少し猶予がある。いくら国連軍が軍備を増強しようが、上がっちまえばこっちのもんだ」

ジンネマン「だからこそ、【袖付き】に付き合ってくれる奴らは余さず大佐に届けたい。索敵、引き続き任せたぞ」

フラスト「了解、ですがキャプテンも無理しないでくださいよ」

フラスト「貴方に倒れられたらジンネマン隊は総崩れだ、クラウスに入れ込むのも分かるが、医者の不養生なんて笑えませんぜ」

ジンネマン「なぁに、腐ってもスベロア・ジンネマン。まだ若い連中にゃ負けねえよ」

フラスト「その意気だキャプテン、頼りにしてますぜ」

ジンネマン「お前もな、はっはっは!」

ジンネマン(……このまま奴らとは戦わずに終わりたいもんだがな)

ジンネマン(ガンダム、オーバーフラッグス……足元はまだおぼつかんか)
790 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 00:25:01.78 ID:MzbUxBxAO
――スイール――

マリーダ「……」パクッ

スイール王国
石油禁輸出規制による中東諸国の疲弊に反し、レアメタルと情報産業を軸に繁栄した中東最大の国家である
その先見力と国力から苦しい立場にある中東のリーダー的存在でもあり、解体に応じたPMCの一部を買い取り軍事力として配備しAEUの非難を浴びるなど、後々の憂いとして挙げられる国家でもあった

グラハム「我々が集結したテロリストを追撃する上で、中東諸国の反発がこの程度で済んでいるのはスイール王国のお陰ともいえる」

フェルト「スイールが周りの国に働きかけた……?」

グラハム「理由は様々だ。国連にはAEUにPMC問題を黙ってもらうよう口添えをさせたようだし、各地から集結する非アラブのゲリラを牽制する意味合いも多分に含まれているだろう」

マリーダ「……」パクッ

リディ「利益があるから反発しなかっただけで、国連と仲良くしてくれる訳じゃないんですね……」

グラハム「国家は微妙なパワーバランスにより成り立っている。僅かな判断ミスで何十億ドルの損失を生み、国民の誰かが少なからずその被害を受ける」

グラハム「当然の判断だ。テロリストを腹の中に蓄えようとしないだけ遥かにマシだよ」

マリーダ「…………」パクッ

ミーナ(マリーダ……アイスばっかり食べてる……)
791 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 00:28:49.66 ID:MzbUxBxAO
ビュッフェ形式の近代的なレストラン、色とりどりの料理を小皿に分け皆舌鼓を打っている

ミーナ「ほらマリーダ、そればかり食べてないで! フェルトも行きましょ!」

フェルト「あ……待ってくださいよミーナさん!」

マリーダ「……やれやれ」カチャン

はしゃぐ女性陣を見つめながら、静かに食事を取る男性陣
中東特有の濃厚な珈琲に眉をしかめながら、ゆっくりと過ぎる安息の時間に羽を休めていった

リディ「でもだからこそなんでしょうね……街並みだけ見たら先進国にも引けを取りませんよ」

グラハム「……そうだな」

グラハム「だからこそ、戦いたくないものだ。この国とも……中東とも」

リディ「え……」

タケイ「……」

グラハム「何だ、苦い珈琲は嫌いか?」

リディ「何も言ってないじゃないですか……」

リディ「それにガキ扱いしないでください、ブラックくらい飲めます」

グラハム「無理をしてでも飲むのが大人だと思っている時点で子供だ」

リディ「う……」

グラハム「何を入れて飲んでも良い……珈琲一つとっても自由を楽しめるのが、大人の特権だよ」

タケイ「……」ダバダバ

リディ「タケイ少尉……それじゃカフェオレですよ」

タケイ「苦いのは嫌いだ」

リディ(喋ったッ!?)

グラハム「私はMSWADの珈琲に慣れてしまったからな……ブラックが一番合う」

グラハム「しかし旨いな。あの基地の珈琲とはいったい何だったのか……なぁタケイ」

タケイ「……」フッ
792 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 00:33:21.24 ID:MzbUxBxAO
リディ「意外、ですね」

グラハム「何がだ? 私がブラックを好むのがか」

リディ「戦いたくないなんて言うことが、です」

リディ「もっと隊長は戦いたがりのバトルマニアみたいな……そんな印象がありましたから」

グラハム「私だって人の子さ。軍人は戦いを忘れられない生き物だし、私達は誰かの命を奪うことでしか自己実現出来ない存在だ」

グラハム「だからといって常に戦い続けられる訳ではない。それに我々が暇なくらいが、平和という一つの形でもあるのだからな」

タケイ「……」ゴクゴク

リディ「……隊長は、軍人がいるから戦争が無くならないとお考えですか?」

リディ「軍人なのに……そんなの不自然ですよ」

グラハム「軍事力の完全放棄が平和に繋がると言えるほど、私は夢想家ではないよリディ」

グラハム「ただ……消えていく命にも意味があり、これから産まれてくる命、育ち行く命の糧になっていると考えているだけさ」

リディ「無意味に死ぬ命は無い……?」

グラハム「そう考えでもしないと、軍人という生き物はあまりにも悲しい存在だ」

グラハム「奪った命の傍ら、より多くの命が育まれていく。それが死の意味になるなら、私は十分さ」

リディ「数の問題なんですかね……」

グラハム「それはまた違うがな。効率論では語れまい」
793 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 00:34:43.80 ID:MzbUxBxAO
グラハム「私は……」

ミーナ「あぁっ! もうこんな時間じゃない!!」

グラハム「!」

言葉を続けようとしたグラハムの手を取ったのは、ミーナ・カーマイン
話の腰を折られたにも関わらず、グラハムは僅かに安堵したような表情を見せた
――それに気付いたのは、マリーダとリディだけであった

ミーナ「メインイベントが待ってるわ、急がなきゃ」

グラハム「何だミーナ、もうショッピングか? 私が言えた義理では無いが、カタギリがいないからといって少々急ぎ過ぎのではないか」

ミーナ「ふふん、何を言ってるのかしらねえマリーダ」

マリーダ「はい女史」クスッ

グラハム「違う、のか?」

フェルト「私も……ミーナさん達に一任していたから行き先までは」

グラハム「……説明を要求しよう。これは君達の主催したドライブだ」

グラハム「行き先の分からぬフライトは嫌いではないが、理解するに越したことはあるまい」

ミーナ「ならば早く支払いを済ませなさい少佐、迅速な行動はパイロットに必要不可欠よ」

グラハム「だから説明を……!」

ミーナ「百聞は一見に如かず、でしょ?」

グラハム「……良かろう……!」

タケイ「」ムシャムシャ

リディ「何だぁ……?」

ミーナ「リディ少尉も急ぎなさい」

ミーナ「楽しいわよきっと、貴方達はね」

マリーダ「……」パクッ

フェルト「やっぱりアイスなんですね……」
794 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 00:45:35.77 ID:MzbUxBxAO
――人革連・東南アジア基地――

セルゲイ「……グラハムがその様なことを……」

マネキン『部隊レベルで多大な戦果を上げ、中東戦線戦力の中核を担っているとの事です』

マネキン『ですが……』

セルゲイ「マリーダ・クルスから送られてきた資料は見させてもらった、私から見ても彼女の不安は的中していると言えよう」

セルゲイ「あの馬鹿者め……焦りおったな」

マネキン『それで実際にはどの様な処遇が?』

セルゲイ「容疑こそ浮かんだが、確固たる証拠も無い以上奴が懸念したようなことにはならないだろう」

セルゲイ「そうでなくとも既に故人、グラハムの技量もあったとはいえ、ガンダムに対抗しうるMSの基礎を生み出し、それをどの様な形であれユニオンにもたらしたのだ。不問にもなろう」

マネキン『そうですか……妥当な判断ですね』

セルゲイ「とにかく、私もこれで現場復帰が可能になるというものだ」

マネキン『では?』

セルゲイ「うむ。完成したティエレン全領域対応型のみで編成した新・頂武、大佐の手に委ねよう」

マネキン『有り難い限りですスミルノフ大佐、これで中東戦線はもはや盤石と言っても過言ではありません!』

セルゲイ「宇宙のGN-X隊に配備されたピーリスも、出来ればグラハム達に逢わせたかったが……」

マネキン「……軍の命令とあらば致し方ありません」

セルゲイ「キム司令には便宜を図ってもらえるようお願いしているが……大丈夫かな」

マネキン「彼女は強い子です。大丈夫ですよ、きっと」
795 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 00:46:47.20 ID:MzbUxBxAO
《地球で生まれ育った、すべての人類に報告させていただきます》

セルゲイ「ん……」

マネキン『どうか致しましたか?』

セルゲイ「広域通信傍受に何処かのラジオ番組のものがひっかかったようだ」

《私たちは、ソレスタルビーイング。
モビルスーツ・ガンダムを所有する、私設武装組織です》

セルゲイ「……ソレスタルビーイングか」

マネキン『サイクロプスを所有する謎の勢力も、彼等と繋がりが有るのでしょうか?』

セルゲイ「どうかな……だが、そうだとしても我々が為すべきことはこれからも一つだ」

セルゲイ「ソレスタルビーイング……未来の為に必要悪を為す存在か」

セルゲイ「我々とは真逆、それ故に相容れぬのかも知れんな」

マネキン『真逆……』

《地球で生まれ育った、すべての人類に報告させていただきます》

《私たちは、ソレスタルビーイング。モビルスーツ・ガンダムを所有する、私設武装組織です》
796 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 00:49:57.63 ID:MzbUxBxAO
――スイール王国・イベント用広場――

西暦2308年、18m級の鉄騎【モビルスーツ】が戦争の主役となり、五十年に手が伸びようというこの時代

グラハム「おぉぉ……!」

地上から空を見上げる見物客の視線の先には

リディ「あぁ……!!」

骨董品を通り越し、もはや化石とさえ呼べそうな存在
【複葉機】が風を切り、雲の合間を舞っていた

グラハム「リディ・マーセナス!」

リディ「はい! あれはフォッカー Dr.I、第一次世界大戦の英雄【レッドバロン】マンフレート・フォン・リヒトホーフェンが搭乗していた複葉機です!」ムフー

グラハム「なんと……今から四百年近くも前にあの飛行機が空戦の主流だったというのかッ!」

リディ「知らなかったんですかッ!? 元祖エースパイロット! 隊長のご先祖様ですよ!」

グラハム「私にドイツ人の血は流れているのかな!? だが見ろマリーダ、あの軽やかな旋回! 三枚の翼が風をすり抜ける雄姿!」

グラハム「あぁいいなぁ……本当に気持ちよさそうだ……!」

マリーダ「はい、マスター」

グラハム「この感情……!」

リディ「まさしく愛ですッ!!」

グラハム「ははは! 全くだ! 愛以外の何者でもない!」キャッキャッ

ミーナ「予想以上にガキね」ボソッ

フェルト「ミ、ミーナさん……」
797 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 00:50:57.50 ID:MzbUxBxAO
リディ「隊長、パイロットが手を振ってますよ!」

グラハム「何と! ええい、あわよくば代わってもらいたいものだ! なぁマリーダ!」

マリーダ「はい、マスター」

グラハム「何とかして代われんものか……えぇい、あのパイロットが憎くさえ感じる!」

リディ「男のジェラシーですね隊長!」

グラハム「あぁジェラシーだ!」

リディ「見苦しいですね!」

グラハム「あぁ見苦しい!」

マリーダ「……」ガクッ

ミーナ「訳分からんわ……」ハァ

フェルト「二人とも興奮しすぎて我を忘れてますね、まるで子供みたい」クスクス

ミーナ「グラハムは元々あんな感じなのよ。いつもはすかしたナルシスト気取ってみても、根っこは我が儘な子供そのまんま」

ミーナ「いざ来ては見たものの暇ねえ……グラハムが素に戻れているから別にいいけどぉ」カランッ

フェルト「ミーナさん、最初からグラハムさんとリディ少尉をこのイベントに誘い出すためにこのドライブを企画したんですね?」

ミーナ「本当はビリーも誘いたかったのが本音なんだけどさ……グラハムが落ち着けばきっとビリーにも良い影響になるでしょ」

ミーナ「只でさえ例の件でやたら気を張ってたから……ね」

フェルト「例の件……サイクロプスですか?」

ミーナ「ん〜ん、もう一つの方よ」フルフル

フェルト「もう一つ……?」
798 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 00:54:36.39 ID:MzbUxBxAO
フェルト「……でも、男の人って何でああ言うの好きなんでしょうね」

ミーナ「浪漫ってやつ? 私は元々宇宙物理学専攻だし、そういうの判らないわけじゃないけどねぇ」

ミーナ「それでもあたしのは、将来的に人類の宇宙進出は近いと見越した上での専攻だし……打算無しに彼処までのめり込むのは無理ねえ」

フェルト「それにしても……こんなイベント、よく見つけましたね」

ミーナ「誰かさんからのリークよ。グラハムとリディにピンポイントのイベントがあるってね……」

ミーナ「あたしらにはつらいイベントだけど、午後からのショッピングにはしっかり付き合ってもらうし、まあいいんじゃない?」

ミーナ「ねえタケイ少尉?」

タケイ「……」ペコリ

ミーナ「気にしないで頂戴、互いの利害が一致しただけなんだから」

ミーナ「……ただまぁ、マリーダにはごめんなさいしないといけないわね」

フェルト「グラハムさんのお守りが出来るのはあの人だけだから……アハハ」

マリーダ「……」

マリーダ(何がいいのか全く分からん……が)

マリーダ(マスターが満足されているなら、それでいいのかもしれない)

グラハム「帰ったらカタギリに頼んでフラッグを出してもらうか……」

マリーダ「マスター、その時は」

リディ「お供しますよ、隊長」

マリーダ「!」

リディ「勿論マリーダ中尉も、でしょう?」

マリーダ「……当たり前だ!」

グラハム「ふふっ……」
799 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 00:57:21.68 ID:MzbUxBxAO
空中を優雅に舞う複葉機、フォッカー Dr.I
かつて愛機として操ったエースパイロットの異名の如く、イベント用のそれは赤く塗り替えられていた

ミーナ「そういえば……二百年くらい前にも赤の異名を持つ軍人がいたわね」

フェルト「【赤い彗星】シャア・アズナブルですか?」

ミーナ「そうそう、シャア・アズナブル」

ミーナ「宇宙移民政策がつい最近だったってのに、あの頃の段階で既にスペースノイド政策とジオニズムを提唱していた時代の寵児」

ミーナ「軌道エレベーター計画が少しでも遅ければ、人類の宇宙進出は今より百年以上早く行われていたでしょうね」

フェルト「……パイロットとしても活動家として活躍した伝説の男……シャア・アズナブル」

フェルト「太陽光紛争時に、宇宙移民からテロリストになった人々がジオニズムを掲げ地球に反発していましたけど……」

ミーナ「あら、詳しいわねフェルト」

フェルト「た、たまたまですよ……」

ミーナ「シャア・アズナブルは宇宙に適応した人類の革新が、新たな未来を切り開くと当時から予言していた人物でもあるの」

フェルト「人類の革新……それって」

ミーナ「ニュータイプ……その名称こそ最近になって使われたけど、初めて世に出たのはシャア本人の口から発せられた言葉からよ」

ミーナ「逢ってみたかったわね……もしかしたら彼もNTだったのかも」
800 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 01:02:13.86 ID:MzbUxBxAO
――時を同じくしてポイント5822――

廃棄された基地が火の海に包まれ、MSの機影が沈みかけた夕日に照らされ二つの朱に塗られていく

リント「な、何が起きたんです!?」

オペレーター「十二時の方向敵機! 友軍は総崩れですッ!」

潜伏している反政府ゲリラは少数、偵察機の情報ではそのはずだった
重装備のイナクト四個小隊ならば古ぼけた基地ごと焼き払えると、リントは殲滅戦を嬉々として選択していた

リント「馬鹿な……そんな馬鹿な……!!」

しかし
敵基地から浴びせられたのは旧MSの持つ砲弾ではなく、融解した金属の如き粒子ビームの雨
イナクト達は次々に撃ち抜かれ、包囲網は容易く崩れ去った

オペレーター「敵機捕捉! モニターに映します!」

リント「はひぃっ!?」

大画面に映し出されたのは、四つの眼を光らせた疑似太陽炉搭載型MS:GN―X
何故、彼らの手にそれが渡っているのか
何故、彼らがあれを操れるのか
リントの頭の中には様々な何故が浮かび収拾がつかずに消えていく

リント「全軍……撤退を……っ」

蛇のような狡猾さが抜けた諦観の顔で、彼が小さく呟いたのはその僅か数秒後のことであった
801 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 01:12:19.87 ID:MzbUxBxAO
――前線基地――

グッドマン「馬鹿な、GN―Xだと!?」

リー「……」

リント『機体照合には引っかかっていません。我々国連軍に関わらない、出自不明所属不明のゴーストファイターです』

グッドマン「……ぬう……」

リー「撃墜されたGN―Xを組み直したのでしょうか?」

グッドマン「それなら疑似太陽炉の基幹部の反応から出自が分かるはずだ」

グッドマン「奴らにはサイクロプスがある……まさか再設計したか?」

リー「完璧なGN―Xを複製する技術があるとは思えません」

リー「それに、わざわざこの様なタイミングで存在を明かしてしまったのではサイクロプスにあれだけ負担をかけて戦って隠した意味がありません」

グッドマン「確かに……宇宙から降りてきた訳ではないのだから、あれは地上にあったものということになるな」

グッドマン「……残る可能性は……」

リー「……我々が知らない裏で秘匿され、動いていたGN―Xがいる?」

グッドマン「それが何らかの理由で敵の手に渡った……」

グッドマン「荒唐無稽だ!」ドンッ

リー「……私はそうは思いません、奴らがいるくらいですから」

グッドマン「ライセンサー……か」

リー「GN―Xの対処は如何致しましょう?」

グッドマン「グラハムめ、とんだタイミングで休暇を楽しみおって……」

グッドマン「オーバーフラッグスの残存部隊を出せ! RGMもスイールの要請があれば三小隊までは出す!」

リント『し、司令!』

グッドマン「どうした!」

リント『GN―Xが……!』

グッドマン「……!?」
802 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 01:14:28.85 ID:MzbUxBxAO
――そして、スイール――

ミーナ「さー、次は何処に行く?」

街灯の明かりでパンフレットを確認するミーナら女性陣
大量の荷物を抱える男性陣は、苦笑いと無表情、明らかな疲労とそれぞれの顔でそれを見つめていた

リディ「まだ買うんですか……!?」

疲労を隠そうともしない男、リディは両手に背より高い箱を抱え悲鳴を上げる
グラハムは隣で紙袋を両手いっぱいに提げながら、苦笑と共にマリーダと会話を楽しんでいた

グラハム「せっかくこれだけ買ったのだ、後でしっかり着て見せてもらいたいものだな」

マリーダ「……時間が許す限りなら、いつでも」

懸念はもっともだとマリーダははにかみながら答える
フェルトとマリーダの購入したものは、半ばミーナ・カーマインの押しつけで買ったものが大半で、故になかなか日常で着るような落ち着いた服装ではないのだ

グラハム「沢山買っても着ないのでは、衣服も寂しかろう。なぁタケイ」

タケイ「……」

買ったもので埋まるタケイは、荷物が許す範囲の動きで頷き肯定を示す

フェルト「ごめんなさいリディ少尉、荷物持ちなんかさせて……」

リディ「気にすんなって、こっちもイベントに参加させてもらったしおあいこだよ」
803 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 01:18:17.95 ID:MzbUxBxAO
フェルト「でも……」

フェルトが俯き、言葉を続けようとした瞬間

フェルト「 」ピキィィィィン
グラハム「!」

マリーダ「この感覚……!?」

フェルト「え……?」

直感が脳内へ直接、危険信号を送る
とっさに身体が動く二人、しかし訓練されていないフェルトはそれが何か理解しようと身体を硬直させてしまう

リディ「フェルト!」

フェルト「きゃっ!?」

リディが荷物を手離し、フェルトを両手で抱き留め押し倒す
それとほぼ同時、爆発音と共に付近の高層ビルの上部が大爆発を起こし、破片と炎が雨のように降り注いできたのだった

グラハム「マリーダッ!」

マリーダ「くっ!」

ミーナ「きゃっ!?」

反応が早かったのは、やはりNT勢だった
マリーダはミーナの足を後ろから蹴り上げそのまますくい上げるように抱きかかえ、隣の店舗へと逃げ込む
グラハムはタケイを誘導し同じ様に店舗へと飛び込んだ


一瞬
近代的な繁栄を謳歌する街並みは、まさに一瞬で地獄へと変わった
砕け散ったコンクリートと硝子の破片が飛び散り、火花と炎が暗闇の街を紅く塗り潰していく
グラハムらは、自らの日常へと、無理やりに引き戻されてしまったのだった

グラハム「マリーダ……大丈夫か……!」

マリーダ「はいマスター……お怪我は?」

グラハム「問題ない。硝子で少し頬を切ったくらいだ」

ミーナ「いたたたたぁ……」

タケイ「くっ……!」

グラハム「二人とも無事のようだな」

マリーダ「……!」ハッ

ミーナ「フェルト……フェルトは!?」

グラハム「!」

タケイ「まさか……!?」
804 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 01:22:48.29 ID:MzbUxBxAO
店の外に飛び出す一行
突如として街並みを焼いた原因、それは見上げればすぐに見つかった

グラハム「GN―X……だと!」

スイールの軍隊から下から照らしあげているのだろう、ライトアップされた機影は朱い粒子を吐きながら夜闇にぽっかりと浮かび上がっていた
引き金を引き、無差別に粒子ビームを市街へと撃ち下ろしていく
その様は、半年前に消えたはずのソレスタルビーイングの新型ガンダム【スローネ】を彷彿とさせた

マリーダ「馬鹿な、一体何故!?」

グラハム「……!」

周りを見回す。リディとフェルトは何処にも居ない
恐らく逃げる人々の流れに呑まれてしまったのだろう
佇む間にも、何人もの人と肩がぶつかった

グラハム「タケイ、ミーナと二人でリディとフェルトを探せ」

グラハム「この恐慌状態だ、スイールにとって余所者の二人がどのような目に遭うか分からん……急げよ」

タケイ「了解!」

ミーナ「グラハムはどうするの!?」

グラハム「私とマリーダは基地に戻る、恐らくあのGN―Xは何らかの方法でテロリストの手に渡ったものだろう」

グラハム「一刻の猶予も無い……行くぞ!」

マリーダ「マスター、我々の車までのルートです!」

グラハム「最悪徒で行く!」

マリーダ「了解、マスター!」
805 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 01:26:37.47 ID:MzbUxBxAO
グラハムとマリーダは、逃げ惑う人の波へと飛び込んでいき、やがては消えて見えなくなる

タケイ「付近の避難所を当たりましょう。リディだけならともかく、フェルトを連れて遠くにいけるとも思えない」

ミーナ「……フェルト……」

タケイ「リディが付いてる。アイツも男だ、きっと大丈夫ですよ」

やがて二人も人の流れに沿って移動を始める
空ではスイールのイナクト隊がGN―Xを止めんと攻勢を強めたが、誰の目から見ても焼け石に水であった

――――

リディ「……くそっ……何だってんだ!」

フェルト「はぁっ……はぁっ……!」

瓦礫に押し潰されたバスの影に隠れ、パンフレットの中の避難所を目指すリディ達
GN―Xから逃れようとした人々のうねりに呑まれ、抜け出した頃には何処にいるのかすら分からなくなってしまったのだった

リディ「隊長達と合流しなきゃ、ヤバいってのに……!」

最初の爆発と人の流れからフェルトを守ろうとしたリディ
頭には浅くない傷がつき、とめどなく血が溢れ出していた

リディ「……あの人のことだ、一番俺達が行き着きそうな場所にまず探りを入れるはず」

リディ「一番近い場所の避難所……こっちか!」

フェルト「きゃっ……!」

空からは絶え間なく粒子ビームが降り注ぐ
人の影があれば撃ち込む、まさに無差別テロ
急がねば自分達が狙われるかもしれない、猶予はなかった
806 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 01:32:01.33 ID:MzbUxBxAO
バスが火花を散らし、小さな爆発が起きる
そこからフェルトを離すように手を引き、リディは走り出した

リディ「まだ走れるな? 一気に行くぞ!」

フェルト「リディ……!」

リディ「大丈夫、俺が必ず君を守る! だからついてきてくれ!」

フェルト「……!」コクン

リディ「良い子だ」ニコッ

引きずってきた小さな悩み、自身の傷の痛みすら忘れてリディは走る
この子だけは助けてみせると、ただ一つの命の為に

――MSドッグ――

ジョシュア「ったくいつもいつも、うちの隊長の行動にはオチがつくな!」

ルドルフ「状況予測は完璧だった。隊長に落ち度は無ぇよ」

ジョシュア「ほぉ……イナクト乗りがフラッグファイターをかばうとはな」

ジョシュア「明日はGN粒子の雨でも降るか?」

ルドルフ「文句あんのかてめえ!?」

ヴィクトル「止めろ馬鹿共! 尻ぃ叩かれなきゃ急いでMSにも乗れねえのかボケナスが!」

ルドルフ「うぇ……」

ジョシュア「っとと……」

ヴィクトル「しかしGN―Xめ、いくらアフリカとの直線上にあるからといって、近所のスイールに向かうとはな」

ダリル『よっぽど手に入れた玩具を使いたいのでしょう。誰に貰ったかは知らんが呑気なもんだ』

ヴィクトル「だがスイールにはグラハム少佐達が、そして何も知らない市民が大勢いる」

ヴィクトル「飛ばすぞ、ハッチ開け!」

『了解! 開きます!』

ヴィクトル「……命令系統はダリル、君が指揮するのかね?」

ダリル『隊長から、自分がいないときはヴィクトル・レオーノフ大尉に一任するようにと伝言が』

ヴィクトル「ふっ……隊長殿はロートルを過大評価する癖があるようだな」

ダリル『隊長の人を見る目は確かです。頼りにしてますよ、大尉』

ヴィクトル「過度な期待には、応えたくなるのが男というものだな……!」

ヴィクトル「ヴィクトル・レオーノフ! 出撃する!」

『ダリル少尉、隊長殿を頼みますよ!』

ダリル「おうさ! ダリル・ダッジ、フラッグで出る!」
807 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 01:36:47.83 ID:MzbUxBxAO
――その頃、グラハム達は――

マリーダ「道が塞がっている……!」

グラハム「えぇい、此処もか!」

決して遠くないはずの車までの道のり、しかし破壊された建物や放置された車により二人は必然的に遠回りを余儀無くされていた

グラハム「くそっ……このままでは我々も火に巻かれる!」

マリーダ「一度避難すべきでは……!?」

見上げれば、三機のGN―Xがスイールの防衛軍と交戦を始めていた
どうあれ地上の被害は免れない。危険はグラハム達にも等しく近づいていた

グラハム「最悪やむを得まい、この様な場所でお前を死なせるわけには行かんからな」

マリーダ「それは私も同じです……あなたを死なせたりはしない」

グラハム「久しぶりに意見があったな、そうでなくては!」

『馬鹿言ってんじゃねえ! ガンダムと喧嘩するようなもんじゃねえか!』

グラハム「ぬ……!?」

そんな中、高層ビルの合間から姿を現したのは白いイナクト
スイールが買い取ったPMC戦力の一部である特別なものだ

『PMCからせっかくこっちに転勤してきたってのに、もうあんなのとやり合うのはこりごりだ! 俺は降りるぜ!』

膝を突き、コクピットを開けて中から兵士が降りてくる
通信と外部への音声発信を同時に開いてしまうほど慌てていたのだろう
そのまま転げ落ちるように地面に降り立つと、ほうほうの体で燃え盛る街に消えていった
808 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 01:39:01.40 ID:MzbUxBxAO
兵士「くそっ!」ダッ

グラハム「MSを乗り捨てての敵前逃亡……!?」

マリーダ「俗物め!」

『ママー……ママー……!』

マリーダ「!」

紅蓮の炎が街を焼く中、マリーダが目を向けた先には親とはぐれた少女の姿
涙を流しとぼとぼと歩くか弱い命に、マリーダは迷い無く駆け寄った

グラハム「……マリーダ、その少女を連れて避難シェルターを目指せ」

マリーダ「え?」

しかし、グラハムの視線は無傷のまま乗り捨てられたイナクトに向けられていた

グラハム「停止されないまま放置されたということは、本来受け付けないはずの部外者の操縦でも動くはずだ」

マリーダ「マスター、お止めください! オーバーフラッグでも無い限りGN―Xの相手など……!!」

グラハム「急げよマリーダ。その子を死なせるな」

マリーダ「マスターッ!!」

マリーダの言葉を遮るように、すぐ近くのビルが粒子ビームにより削られ爆音を響かせた
瓦礫が二人の間を引き裂くように散らばる
グラハムはスイールイナクトのコクピットへと乗り込み、機器を指で叩いた

グラハム「流石はイナクト……多少の差違はあるがフラッグによく似ている」

グラハム「倒せるとは限らんさ……だが死なないことは出来るはずだ」

グラハム『行くぞ……!』

マリーダ「マスター……ッ」
809 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 01:45:16.94 ID:MzbUxBxAO
リニアライフルを握りしめ、イナクトが飛翔する
見上げるマリーダの視線を感じたが、敢えて応えることはしなかった

グラハム「おぉぉぉぉぉぉ!!」

此方に気付いたGN―Xがビームライフルを発射する
下から近づいたのでは避けやすくともビームが地上に当たる、牽制しながら高度を同じかそれ以上に上げながらプラズマソードを構える

グラハム(やはり動きが鈍い……!)

多少とはいえフラッグとは違う、全く自身専用にカスタマイズされていないMS
予想以上の重さだが、敵も扱いに馴れていないはずだ
条件は五分とは言い難い、だがやれないはずは無い

グラハム「うぉぉおおおッ!!」

突き出したプラズマソードの切っ先がGN―Xの肩先を焼く。すぐに離れ、機体を巡航形態に変形させ一気に距離を取る

グラハム「付いて来い……!」

目論見通りGN―Xは追撃してきた、旧機体に馬鹿にされたとでも思ったのだろう
とにかく、まずマリーダからコイツを離す
それから先の事を考えないようにしながらも、グラハムは重い操縦桿に力を込めた
810 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/10/03(月) 01:47:23.33 ID:MzbUxBxAO
本日は此処まで

そろそろちゃんと進めていきたいところ

ではまた
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 08:11:05.90 ID:ZSJEZF/DO
乙!
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/03(月) 15:13:16.38 ID:IELmonwAO
待ちかねたぞフラッグファイター!
乙!
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/03(月) 15:24:44.25 ID:IELmonwAO
待ちかねたぞフラッグファイター!
乙!
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/03(月) 16:28:17.55 ID:K4XC5zCIo
乙!
グラハムでイナクトとは浪漫!
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 16:56:37.96 ID:QXBdwY9H0
乙!
ちょっち質問。

>ミーナ「シャア・アズナブルは宇宙に適応した人類の革新が、新たな未来を切り開くと当時から予言していた人物でもあるの」

>フェルト「人類の革新……それって」

>ミーナ「ニュータイプ……その名称こそ最近になって使われたけど、初めて世に出たのはシャア本人の口から発せられた言葉からよ」

って、あるけど、提唱したのは、ジオン?シャア?
もしかして、

ジオン「謀ったな。キャスバル!!」
シャア「父上がいけないのだよ。」パンッ
って、こと?
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 17:23:03.78 ID:cLhBRXPvo
817 : ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/10/03(月) 18:08:00.23 ID:MzbUxBxAO
>>815

そんなことはないから安心してもらいたい
イオリアと交流がある為にシャアの背景であるザビ家との確執がCBに吸収されていると認識してくれ
ある一点のみを除けば結構このシャアはほのぼのとしたものなのだよ
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/04(火) 00:00:32.40 ID:JCI7eQqL0
乙おつ!!
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/10/04(火) 00:12:17.77 ID:zVtFyETco
フルクロス出たら俺、マント無視の実弾ヅダ自爆ぶち込んで気持ちよくなりたい
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/05(水) 00:31:16.58 ID:9ZHuMVvv0
フルクロスよりもGNランスひっさげたX2のほうが好き!
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/05(水) 01:49:31.31 ID:03W+aQVDO
おつ

ラファエルェ……
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/05(水) 14:20:48.29 ID:ehvWuyfF0
お前らここはダブルオーのスレだろ!
ラファエル推しはいないのかよ!
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/10/05(水) 21:50:41.47 ID:eYrzJJn/o
間違いなくラファエルはバグる
覚醒終わっても背負うほうだけ赤いまんまとか絶対にある
824 : ◆/yjHQy.odQ [sage]:2011/10/06(木) 04:28:56.83 ID:x1R5189AO
残念だが此処は00スレであって00スレに非ず、マリーダさんスレだ

とある場所で酉が被ったのを目撃したので変更する
825 : ◆FnwJR8ZMh2 [sage]:2011/10/06(木) 04:31:04.40 ID:x1R5189AO
ではまた
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/10/06(木) 10:09:40.14 ID:Nih0IwGGo
身持ちが固いなぁ!
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/08(土) 18:40:48.41 ID:caPtMpJIO
よもや、ガンダムスレで複葉機が出るとは!
ハムはアメリカ人だが、零戦が似合いそうだな。
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/08(土) 18:54:56.44 ID:caPtMpJIO
下げ忘れるとは、なんと言う失態……
私は鼻つまみ者だ……
829 :名無しNIPPER [sage]:2011/10/08(土) 20:46:05.41 ID:pssRhUGAO
過ちを気に病むことはない
ただ認めて次の糧にすればいい
それが大人の特権だΣd
830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga sage]:2011/10/09(日) 01:04:00.64 ID:VLBm86CY0
あなたは丸裸なんですか!
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/10/09(日) 03:05:42.66 ID:YR9HnXUZo
柔肌を晒すとは…、破廉恥だぞ!!
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/09(日) 03:36:16.53 ID:F1IFH3gUo
うおお半角ばっかり読みにくい
なぜに半角?
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/09(日) 08:43:57.23 ID:TGk1wrURo
え?何を言ってるの?
>>832だけ違う世界が見えてるの?
イノベーターなの?
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/09(日) 18:45:55.63 ID:F1IFH3gUo
えっ


えっ
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/16(日) 13:37:03.37 ID:wpHugXlIO
こっそり支絵んする。ロリマリーダさんと手抜きハムだ

ttp://imepic.jp/20111016/480730
このスレがきっかけでガンダムに好意を抱いたばかりなので、メカと野郎が描けん。許せ……。

余談だが、ネフェル姐さんはロン毛だと信じている。
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2011/10/16(日) 14:51:45.49 ID:yHhJgtQJo
ロリーダさんか…
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/17(月) 19:48:04.36 ID:RQ/Wi42D0
マスター、さすがにそれは犯罪だ
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/10/17(月) 20:20:03.75 ID:J94SLaQno
良い絵だ…
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/20(木) 12:04:25.34 ID:5prlv8eAO
私は我慢弱い!
楽しみ過ぎるぞぉ!

素晴らしい画力だな…私には真似できない…
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/21(金) 00:18:53.58 ID:6TRzZBMy0
括目させてもらう!!
841 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [sage]:2011/10/22(土) 03:10:17.22 ID:VAxSDOBAO
生存報告及び投下予告だ
私事で色々あって遅れてしまった、済まない
土曜日には投下していこうと思う。待たせたな

指摘にあった半角に関してはよく考えてみた、全角でやってみようと思う
質問やお願いには極力応えよう……「マリーダさんを幸せにして」というお願い以外はな!

支援絵感謝だ、いつもありがとう
懐かしい話を一つ。諸君等も知っての通りこのスレはこぽぉから始まった過ちのスレでな
その直前も色々遊んでいたんだが、それで立たなかったスレタイは

プル12「いかないでマスター!」バナージ「えっ」

だったりした。今となっては昔の話だけどな
ではまた、土曜日に
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/22(土) 18:42:08.05 ID:vB3+JbVb0
OK把握した。無理しないでリアルを優先にがんばってください。
今後も楽しみにしています
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2011/10/22(土) 19:44:55.17 ID:71aieDSyo
おk、じっくり待ってます。

>プル12〜
やだ、すごく面白そう……!
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/10/22(土) 22:11:34.27 ID:hikj3jIU0
くそぉ、このSSの影響をうけて、「HGグラハム専用フラッグ」を買ってしまった…
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2011/10/22(土) 23:29:15.78 ID:WJxDpQJpo
オーバーフラッグなら百分の一スケールがよさげだった。
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 01:26:58.90 ID:tgRDtkw6o
土曜日ってもしかして来週⁉
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/10/23(日) 16:09:40.44 ID:F/RpRnJFo
俺も初ガンプラとしてグラハム専用フラッグ買ってきた
このSSの影響だな
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 17:18:23.35 ID:BYTi6dyIO
リアルを大事にだ!フラッグファイター!

自分はハム専用だと思って買ったのが、普通のオーバーフラッグだったな
(´・ω・`)
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 21:02:45.21 ID:Ce2Wli1Co
ガンダム速報にまたまとめられてたな
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/10/26(水) 20:35:13.11 ID:oEjXpHWCo
待ち遠しいな、ガンダム!
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 07:50:35.60 ID:OwAP1tTQ0
フラッグファイター、他にも書いた作品はあるか?
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/27(木) 20:03:05.56 ID:/sKufYWd0
フラッグなら100/1を購入済みだ!
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/10/27(木) 20:07:56.54 ID:XJLFkoSmo
>>852
100倍の大きさのフラッグだと…?
1800mとかユニオンのフラッグは化け物か!
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/28(金) 14:01:10.67 ID:6DD4I6fHo
あの細い足じゃ立てそうにないなwwwwwwwwwwww
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/10/29(土) 12:18:32.79 ID:cHOMZ9It0
>「マリーダさんを幸せにして」というお願い以外はな!


そこをなんとか…(´;ω;`)
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/29(土) 12:21:48.47 ID:JbUgGSxmo
>>855
逆に考えるんだ
既にハッピーエンドは確定しているから改めて言っても無意味なんだと
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 21:59:47.06 ID:saikMW9l0
>>856
グラハム「この気持ち、まさしく愛だ!」
マリーダ「・・・・・・///」

こうだろ、俺には分かっているぞ
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/10/30(日) 17:29:01.27 ID:s4mdHK2AO
さて二回目の土曜が過ぎた訳だが
859 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/10/31(月) 02:12:57.07 ID:iogOaoRAO
Q:今一番欲しいモノは?

ティエリア「出番」

ヨハン「出番」

アレルヤ「マリィィィィィィ!!」

刹那「ガンダム」



投下再開だフラッグファイター
860 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/10/31(月) 02:18:16.31 ID:iogOaoRAO
――一方、リディ側――

救急隊「せー……のッッ!!」

リディ「ぬぁああああッ!!」

数人の男性達が渾身の力を振り絞り、鉄骨を梃子にして壊れた車のドアをこじ開ける
同時に、転がり落ちるように初老の男性が車外へと飛び出した

フェルト「大丈夫ですか!?」

初老の男性の怪我は浅く、フェルトの呼びかけに反応も見せた
粒子が煌めく度、皆一様に身を屈めつつも担架を使い男性を運ぶ
あれから数百メートル、惨状と化した市街地ではあらゆる防衛行動が遅々として進まずにいた

救急隊「後は我々が! ご協力感謝します!」

リディ「ご苦労様! あんた達も気をつけて!」

リディ「……さて、もうそろそろの筈……」

フェルト「きゃっ!」

リディ「ッ!?」

地図に目を向けた一瞬、頭上で発生した爆発が視界を白く塗り潰す
衝撃と破片が地上に降り注ぎ、逃げ惑う人々へと容赦なく襲い掛かっていく

リディ「好き勝手しやがって……!」

フェルトを庇いながらではゆっくりとしか進めない
それでも確実に、安全を確保しつつ足を動かした
を見上げれば、白いスイール・イナクトがGN―Xに幾度となくかかっていくのが見えた
が、一つとして例外なく、皆腕の一振りにさえ抗えず叩き落とされていく

リディ「……くそッ、フラッグさえあれば……!」
861 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/10/31(月) 02:22:41.53 ID:iogOaoRAO
フェルト「グラハムさん達……っ」

リディ「大丈夫だって、隊長達は軍人なんだ。今頃基地から援軍を呼んでいる頃さ」

フェルト「……」

言葉をわざと遮り、不安感を止めようと歩を進める
しかし、【嘘】をついたリディ自身の心からは、それが完全に消えることはなかった

リディ(俺の予測が正しければ、国連軍は来ない)

リディ(いや……来れない、か)

そして不運なことに

その予測は、正しいものになってしまっていた


――スイール・市街外――

ダリル『大尉、こりゃどういうことです!?』

ジョシュア『スイールの外で待機なんて、話が違うぜ!』

街並みは戦火の禍々しい紅に染まり、その様子を目の当たりにした兵士達は口々に不満をぶつけていた
通信を開けば、どの部隊も二人と同じことを叫んでいる
――待機せよ、これが司令部から送られてきた、ただ一つの命令であった

ヴィクトル「……命令は絶対だ。各機はその場で待機」

ダリル『納得出来ません!』

ジョシュア『ライセンスがあんだろう! 俺達だけでも……!』

ヴィクトル「落ち着け! スイールはまだ俺達の介入を許可していない」

ヴィクトル「今行けば、最悪国際問題に発展するぞ!」

ダリス「なっ……!」
862 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/10/31(月) 02:27:53.45 ID:iogOaoRAO
ルドルフ『大尉、許可が下りないのは……やはりGN―Xですか?』

ヴィクトル「だろうな」

ヴィクトル「俺達国連側は、あいつらが所属不明のGN―Xであることを認識している」

ヴィクトル「だがスイール側からすりゃあ、ありゃあ国連軍の所属MS」

ヴィクトル「ガンダムを倒した国連の切り札としか見えやしないだろうからな」

ルドルフ『……情報の錯綜する今行けば、俺達国連軍は奴らの支援に来た後詰めにしか見えないってことか』

ヴィクトル「GN―Xにたどり着く前に、スイールの防衛隊と一戦交える羽目になるだろうな」

ヴィクトル「だからこその待機、というわけだ」

ダリル『そ……それじゃあ……!』

ジョシュア『お偉方がスイール側に説明するまで、俺達は指くわえて見てろってのかよ!』

ヴィクトル「……そうなるな……」

ダリル『隊長がまだ彼処にいるんですよッ!?』

ジョシュア『マリーダやリディもだ! それを……ッ』

ヴィクトル「分かっている!」

ヴィクトル「そんなことは……分かっている……ッ!」

ルドルフ『大尉……』

ダリル「隊長……無事でいてください……!」
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/31(月) 02:43:25.59 ID:QN/3uHfuo
会いたかったぞフラッグファイター!
864 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/10/31(月) 02:46:41.47 ID:iogOaoRAO
――グラハム側――

グラハム「ぐおっ!?」

無人のビルに、イナクトの白いボディが叩きつけられる
コクピットに広がる、殴りつけられたかのような衝撃
パイロットスーツを着用していない身体が、みしりと軋み熱を帯びた

グラハム「……ッ……」

体感の衝撃は普段と変わらぬ強さに感じられる
不用意な挙動は機体こそ耐えられても、きっと自身が保たないだろう

グラハム「出力はこちらの約六倍……ビーム兵器よる完全武装……おまけに装甲もGN粒子を纏い攻守共に隙が無い」

モニターに移る爆炎、その中から姿を現すGN―X
先ほどから幾度もライフルを叩き込んだ装甲には、傷らしい傷の一つすら確認することは出来なかった

グラハム「こちらは調整はおろか馴れてすらいないMS……おまけに反応速度も鈍い……マリーダやダリルも……いない……ッ!」

グラハム「――それがどうしたッッ!!」

圧倒的な性能の敵を目の前にし、竦む心を言葉で鼓舞する
これしきの不利に萎縮するな
それでもお前はグラハム・エーカーか!
そう心に念じ、退くことなく前へと一歩を踏み出した
相手も此方の意図を理解したのか、ビームサーベルを抜き放ち構える

先に動いたのは、GN―Xの方だった
865 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/10/31(月) 02:58:56.35 ID:iogOaoRAO
横薙ぎに振るわれたビームサーベル
とっさに屈めば、粒子の光刃が頭部を掠めた

グラハム「そこだッ!」

即座にブーストを踏み、機体を前に押し出す
体の移動も相まってカウンター気味に刺さるタックル
GN―Xは大きく体勢を崩し、地面へと膝を折る

グラハム「やはり旧世代機と同じ姿勢制御法……足元を崩せば自ずと結果は出るか」

グラハム「地表スレスレを舞うように跳ぶ少年のガンダム……彼にはこの様な手は使えないだろうがなッ!」

三発、GN―Xの懐へと即座に叩き込む
怯むだけでダメージにはならないが、距離を取るには十分の時間だ
追撃を避けつつ空へと上がる
所詮は時間稼ぎ、スイールが国連軍の受け入れをするまでの鬼ごっこなのだ

『やるじゃあないか三番機! 何だかんだ言いながら……』

グラハム「ぬ、通信か」

『ッ!? 誰だお前!! 三番機のパイロットはどうした!』

グラハム「彼なら逃げ出した、代わりに私が借りている」

グラハム「GN―Xを退けてから、万全な整備を施しそちらに返還しよう。悪かったな」

グラハム「しかしもう少し点検には気を遣うべきだな。ペダルの反応が甘い、それに……」

『質問に答えろ、誰だと聞いている!』

グラハム「グラハム・エーカー……通りすがりの軍人だッ!」
866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/31(月) 03:03:49.57 ID:QN/3uHfuo
??「人の決め台詞を」…
867 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/10/31(月) 03:22:20.06 ID:iogOaoRAO
グラハム「ッ!?」

その時、下方から粒子弾がイナクト目掛け射かけられる
GNバルカンによる面の攻撃、威力こそ微弱だが旧世代機にとっては十分な脅威だ

グラハム「馬鹿の一つ覚えは卒業か……!」

右へ左へ、吊られた人形のような独特の挙動でGNバルカンを避ける
しかしバルカンを避けた先に飛来するは、ビームライフルの粒子弾

グラハム「つっ……!」

避け切れぬ弾はディフェンスロッドを構えて弾く
それでも、ロッドの表面は廻る度に少しずつ損耗する

グラハム(長くは受けられまい、所詮は一般機体か)

グラハム「だが流石というべきか……国連軍の新兵よりは考えた戦い方をする!」

『そういえば聞いたことがある……ガンダムと単騎で渡り歩いた、ユニオンのエースパイロット』

『名前は確か……!』

『マスター・グラハム!!』

グラハム「待てぇい!?」

グラハム「ぐっ!」

汗で濡れた裾が、首筋に冷たい感覚を残す
引くイナクトと迫るGN―X
稼いだ距離も一瞬で詰められ、猛攻が白色の装甲を焼いた
振り下ろされたビームサーベルを、組んだ両腕で腕を抑えて受ける
しかし……どう足掻いても抑えきれない

グラハム「援軍は……まだか……ッ!」
868 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/10/31(月) 03:23:56.92 ID:iogOaoRAO
           ・
                         ・
                         ・


男「ぎゃっ!?」

タケイ「……」パンッ

ミーナ「終わった……?」コソコソ

タケイ「ええ、つつがなく」

ミーナ「強いのねタケイ少尉、暴漢五人がまるで子供扱いじゃない」

ミーナ「元特殊部隊経験とかあったりなかったり?」

タケイ「……」

ミーナ(あ、ありゃ、地雷だったかな?)

タケイ「行きましょう。時間がない」

ミーナ「あ、ちょっと!」

ズズズ……ゥゥン

ミーナ「でも……さっきの奴ら、こんな時にまで何やってんのかしらね」

タケイ「……」

ミーナ「自分の命が危ないかもしれないのに、かつあげなんて……馬鹿なのかしら」

タケイ「……」

タケイ「災害や大規模テロなどの非常事態時は、流言飛語が飛び交うものです」

タケイ「恐らく、GN―Xは国連軍が仕向けたもので、どこかに異国人のスパイがいるはずだ」

タケイ「もしくは、外国人を人質に攻撃を止めさせよう」

タケイ「……そのようなデマでも流れているのでしょう」

ミーナ「ちょっ、何よそれ!?」
869 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/10/31(月) 03:26:41.54 ID:iogOaoRAO
タケイ「不思議なことではありません。命の危機に晒されれば、一般的に人間は平静を保とうと攻撃的になるものです」

タケイ「矛先など構わない……終わった後に、非常事態だったから、で正当化は完了ですから」

ミーナ「あ……あまり納得したくない事実ね……」

タケイ「過去にも、大地震などの後に移民が市民の手により私刑された例が確認されています」

ミーナ「フェルト……っ」

タケイ「……」

『きゃあああああっ!!』

ミーナ「!」

タケイ「……この声は……!」

――――



リディ「……ッ」ペッ

フェルト「う……うぅっ……」ガクガク

市民A「強情な奴め! さっさとその子を渡せ!」

リディ「理由が分からなきゃ無理だね……」

市民B「こいつッ!」

ガッ
ドカッ

リディ「……っ!」

フェルト「もう……止めてぇ……!」

市民A「さっきから話しているだろう! 今街を襲っているあれは、国連軍の新型MSだ!」

市民C「自分達の国の人間がいると知れば、奴らだって怯むはず!」

リディ「……それで……フェルトをよこせって?」

市民B「若い女の方が同情を買えるからな、国連軍にはいい報いだ!」

リディ「……馬鹿か」ボソッ

市民B「何ッ!?」
870 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/10/31(月) 03:32:42.66 ID:iogOaoRAO
リディ「笑えるぜ……こんだけ良い大人が揃ってんのに、考えつくことは若い子人質にテロリストに交渉かよ?」

リディ「無差別に街を襲ってるMSがそんなもんに応じる訳ねえなんて、教わらなきゃ分からねえのか……あぁ?」

フェルト「リディ……っ」

リディ「いいから俺の後ろにいろ、出てくんな」

フェルト「でも!」

リディ「かっこつかねえだろ……男が前じゃないと」ハハ

市民B「元はといえば貴様等のせいだろう!」

市民A「お前ら異国人さえ来なければ……!」

リディ「言うに事欠いて外国のせいか、その対外政策で繁栄したスイール国民の言うことじゃあないよな?」

市民C「ぐ……」

リディ「何より許せねえのは、こんな時に自分達の保身ばっかり考える腐りきった性根だ……」

リディ「男なら!」

リディ「てめえの命張って何かを守ろうとしてみやがれ畜生ォォォォ!」

市民A「言わせておけば貴様っ!」

市民B「やっちまえぇぇ!」

リディ「ッ……!」

バッ

フェルト「……!」

リディ「フェルト!?」

フェルト「私だって……」

フェルト「私だって、守りたい!」

市民C「偉そうな口を利くなこのぉっ!」

フェルト「ッ!」

リディ「止めろぉ!!」
871 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/10/31(月) 03:42:00.90 ID:iogOaoRAO
ガシッ

市民C「えっ?」

リディ「あ……」

フェルト「……!」プルプル

マリーダ「悪いが、彼等は私の大切な友人だ」

市民C(手……手が無くなったみたいに動かない……!?)

マリーダ「――力ずくでも、退いてもらう」

ブンッ

市民C「うわぁっ!?」

市民B「うぉっ!」

マリーダ「大丈夫か、二人とも」

フェルト「マリーダ……さん……?」

リディ「……遅いっすよ……」ズルッ

マリーダ「済まない、迷子を見つけたので少々寄り道をな」

ミーナ「フェルトぉ!!」ダキッ

フェルト「ミーナさん!」

ミーナ「よかったぁ……よかったよぉ……」グズッ

フェルト「……う」

フェルト「う……わぁぁぁん……!」

マリーダ「……間に合って良かったよ、本当に」

リディ「タ、タケイ少尉は?」

マリーダ「見張りを片付けている。駆けつけてはみたものの、路地裏故に見つけるのが遅れた」

マリーダ「済まなかった、傷は痛むか?」スッ

リディ「俺は軍人ですよ……この程度撫でられた程度のもんです」

マリーダ「軍人だって人間さ、殴られれば痛い」

市民A「この……」

マリーダ「……」ギロッ

市民A「ひっ!?」

マリーダ「無傷……か。無抵抗の人間をなぶるとは、こうはなりたくないものだ」
872 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/10/31(月) 03:43:50.25 ID:iogOaoRAO
タケイ「中尉、お急ぎを。GN―Xが一機近い場所にいます」

マリーダ「分かった」

マリーダ(とはいえ……困ったものだな。一般市民ですら暴徒化する現状、避難場所も決して安全とは言い難いが)

ミーナ「リディ、いい男が台無しね。ほら血が出てる」

リディ「いつつ……」

マリーダ(リディ少尉、あれだけ殴られながらも市民に手はあげなかったのか)

マリーダ(評価を改めるべきか……マスターが評価する理由が少し分かった気もする)

マリーダ「とりあえずスイールの外に出よう。国連軍もそこに待機しているはずだ」

タケイ「車を手に入れますか?」

マリーダ「いや、道路が封鎖されていてまともに動けまい」

マリーダ「それに下手に動けばGN―Xの的になる、やはり徒歩しか……」

ピキィィィイン

マリーダ「ッ!?」バッ

タケイ「中尉……?」
873 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/10/31(月) 04:01:16.58 ID:iogOaoRAO
――視線の先に立っていたのは、一人の青年であった

マリーダ「……!」

???「……」ニコッ

整った目鼻にところどころ波打った金髪、中東では不自然な白いコートに身を包んでいる
神に愛されているかの如く、彼の周りだけはただ一つの破壊も及んではいない
その青年は明らかに異質なモノとして、自然にそこに存在していた

マリーダ「何者だ……!?」

???「……」

『ヒクサー、ハヤクハヤク』

彼の足元には、黒いペットロボットがすり寄るように転がっている
ヒクサーと呼ばれた青年はそれを拾い上げ、最後にマリーダと視線を合わせた

ヒクサー「バイバイ……12番目の妹」

マリーダ「!」

ヒクサー「君が【もう一つのイオリア計画】に選ばれるべき者かどうか……もう少しの間だけ見せてもらうよ」

黒HARO『プルプルプルプルー!』

マリーダ「ま、待て!」

タケイ「中尉! 上ですッ!」

駆け寄ろうとした瞬間、二人の間を貫くビームライフルの一閃
爆発にたじろぎ、向き直った頃には青年の姿は見えなかった

マリーダ「今の男は……一体……?」
874 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/10/31(月) 04:02:24.92 ID:iogOaoRAO
本日は此処まで

近日には続きを……待たせて申し訳ない

ではまた
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 06:43:03.24 ID:WEuwW/1f0
会いたかったぞフラッグファイター!!
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 07:40:53.07 ID:QVVX4ErIO
この気持ち、まさしく愛だ!

てか、ヨハ兄生きてる!?
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(福島県) [sage]:2011/11/02(水) 18:41:15.69 ID:8PLCvn+0o
乙!
もはや世界に拡がる『マスターグラハム』とはな!
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長屋) :2011/11/03(木) 11:08:24.35 ID:WNh3YlZB0
グラハム専用イナクト・・・良い・・・
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/03(木) 15:16:57.27 ID:pOWXatzAO
>>878
無いから下げろ
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 17:13:18.72 ID:GqTSgRBIO
やばい、マリーダさんのフィギュア見つけてもうた…
可動フィギュア以外買わないと決めてるのに…
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(鹿児島県) [sage]:2011/11/04(金) 13:21:11.07 ID:/Y1QTMUAo
そのフィギュアを可動式に改造すれば良し
882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) :2011/11/04(金) 20:54:58.67 ID:E3/Tgi8m0
ヒクサーが好きな僕にとってこんなに嬉しいことはない
883 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [sage]:2011/11/07(月) 21:32:02.26 ID:NN78H7CAO
済まないフラッグファイター

もしもしを紛失してしまい書きためを失った
新たな機体を揃えたのだが、慣れるのに幾ばくの時間を有する
待たせてしまい申し訳ない
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(埼玉県) [sage]:2011/11/07(月) 22:18:24.86 ID:hstX4xfEo
>>883
なんという失態!万死に値する!
携帯無くされてしまったのですか
挫けづ頑張って下さい
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 00:20:15.30 ID:effeoWfO0
そんな道理、お前の無理でこじ開けろ!フラッグファイター!
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 12:28:18.05 ID:g3UlNiUIO
風邪引いて仕事休んだから暇潰しに来てみたら…
デジタルは無くしたり、データが消えたりすると何一つ残らないのが辛い。

とりあえず、いつか釣りに使おうと思ってたのを20分で塗ってみた。
ttp://imepic.jp/20111108/439100
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海・関東) [sage]:2011/11/08(火) 15:38:56.93 ID:tqHefA/AO
>>886
なんという愛らしさだ…
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(群馬県) [sage]:2011/11/08(火) 17:27:35.34 ID:kxxopf11o
>>886
オ・ノーレー!
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/11/09(水) 00:36:14.54 ID:fxZqYHoU0
>>886 
こいつなら抱けるわ
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(岡山県) [sage]:2011/11/09(水) 07:56:54.42 ID:gnAVZrLDo
そういやイナクトだけじゃなくてフラッグも太陽光発電受信が可能なんだってね
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(宮城県) [sage]:2011/11/09(水) 23:28:41.47 ID:JFBSxSHJo
え?だっけ
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(岡山県) [sage]:2011/11/10(木) 07:25:57.69 ID:g1U89c38o
フラッグの型番SVMS-01はソルレシーブド・ヴァリアブル・モビルスーツ(太陽光発電受信型可変式モビルスーツ)の略なんだって
リアルドはVMS-15
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(埼玉県) [sage]:2011/11/10(木) 15:04:57.57 ID:/ZQIuyU9o
ただ水素エンジンで動いてるから
そこらへんどうなんだろうな
894 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/12(土) 02:37:57.89 ID:6dcCFJHAO
リディ「愛に年齢なんて関係無いっ!」

グラハム「そんな道理、私の無理でこじ開ける!」

ビリー「おまわりさんこいつらです」

リディって原作でさえ割とヤバいラインだと思うの

投下再開だフラッグファイター、支援感謝する
895 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/12(土) 02:38:33.12 ID:6dcCFJHAO
タケイ「中尉ッ! !」

マリーダ「!」

タケイの声に反応し、空を見上げる
GN―Xの影が見えた――そう認識した瞬間、自らの体が木っ端のように浮き上がった

マリーダ「ぁがっ……!?」

ミーナ「マリーダ!?」

フェルト「マリーダさぁぁん!」

横転した車のボンネットに叩きつけられ、ようやく止まる
通り過ぎた突風は弱い自分をあざ笑うかのようにかき消えた
粒子による制動力を過信した荒い着地、マリーダはそれの二次被害を受けたのだった

マリーダ「っ……!」

GN―Xのカメラアイが此方を捉えた
しかし、全身を支配する痺れが指一本の挙動さえ許してはくれない

リディ「離してくださいっ! 中尉が……中尉がッ!」

タケイ「……ッ」

GN―Xは複数存在する
全容までは把握できないにせよ、スイール軍が発見し対処するにはこのGN―Xは静かすぎた
よしんば発見したとしても、マリーダに気付かなければ間違い無くミサイルなどで攻撃してくるだろう
助けが来ても、来なくても
彼女の運命は変わらないのだ

リディ「中尉ぃぃぃ!」

踏み潰されるか、流れ弾により灼かれるか
彼女の生命は、もはや風前の灯火であった
896 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/12(土) 02:40:57.29 ID:6dcCFJHAO
――――

「ねえ、いいの? ヒクサー」

ヒクサー「何がだい、887(ハヤナ)」

逃げ惑い隠れる人々の合間を、涼しげな顔で通り抜けるヒクサー
その横には黒いHARO、そして887と呼ばれた少女が並んで歩いている

887「あの強化人間、テロリストに見つかったみたい。死んじゃうよ」

ヒクサー「かもしれないね」

887「かもねって……計画に選ばれるかもしれないんでしょ? 最近のヒクサー、なんか分かんない」

頭部の特徴的な猫耳をピコピコと動かし、尻尾をフリフリと揺らす887
マイスター874同様、人工生命体ならではのこの謎装備に、ヒクサーが指摘したことは一度もない

ヒクサー「ヴェーダの提示した情報はあくまでも可能性……」

ヒクサー「はっきり言うなら、この程度で死ぬくらいならそれまでの存在ってことさ」

887「ほ、本当にはっきり言うのね……」

ヒクサー「エージェント887から見たら、不服だったかな」

887「当然! こんな丸いものを持たされるあたしの気にもなってよね」

黒HARO『プルプルっ』

ヒクサー「持とうか?」

887「……それはそれでいやっ」

ヒクサー「ふふ。気難しいね、887は」
897 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/12(土) 02:43:55.27 ID:6dcCFJHAO
ヒクサー「…………」

ヒクサー「ガンダムマイスターとしての僕は、彼等をいつか対峙するであろう敵として認識している」

887「え?」

ヒクサー「そして、計画を影より遂行するCBのエージェントとしての僕は、彼等を重要レベル対象外、ヴェーダ同様継続観察するに値しない存在とさえ見ている」

黒HARO『……』

ヒクサー「でも……」

887「ヒクサー?」

ヒクサー「……一人のニュータイプ【ヒクサー・フェルミ】としては」

ヒクサー「彼等に未来を感じて仕方ないんだよ、これがね」

887「ニュー……タイプ」

黒HARO『ヒクサー、ニュータイプ!』

ヒクサー「……ッッ」

887「!」

887(ヒクサーが、笑った?)

ヒクサー「おかしいよね、自己を捨てて【計画】の為に自らを捧げた筈のこの僕が、こんなことを言うなんて」

ヒクサー「ほんと……グラーベが見たら、なんて言うか」

887「ヒクサー……」

ヒクサー「……」

ヒクサー「兎に角、当面僕の仕事は観察」

ヒクサー「フォン・スパークの目的と【袖付き】の組織概要を調査することだ」

887「……そーね、特にフォン・スパークの計画はギッタギタに潰してやらなきゃ!」

黒HARO『フォン・スパーク、アイツキライ!』

887「あら、初めて意見があったわね。そうこなくっちゃ」
898 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/12(土) 02:46:46.39 ID:6dcCFJHAO
ヒクサー「ただまぁ、フォンの動きを辿って此処に来たのもあるけど」

ヒクサー「現地に来て正解だったかもね……あのGN―Xはまず間違い無く国連軍の正規品だ」

887「じゃあ、この襲撃はやっぱり国連軍の偽装?」

ヒクサー「それはないね。【袖付き】の概要が何も分かっていないのに、国連軍を動かしている彼等が強硬手段に出るとは思えない」

ヒクサー「可能性があるとすれば、正規の部隊ではない裏の存在……」

887「例のプルツーの部隊ってこと?」

ヒクサー「出処は、多分ね」

ヒクサー「乗っているパイロットが違うとすれば、あの機体を捕らえてパイロットだけを殺した勢力がいることになる」

887「【袖付き】!?」

ヒクサー「いや……統率の取れた組織ならこんな八つ当たりじみた使い方はしないだろう」

ヒクサー「三機のGN―Xは連携もなければ明確な目標もない、恐らくはあの機体をただ渡されただけの反政府ゲリラさ」

887「じゃあ……」

ヒクサー「あぁ、此処で繋がってくるのさ」

ヒクサー「この惨劇を招いたのは恐らく……フォン・スパーク」

ヒクサー「とうとう彼が動いたのさ。何らかの目的を以て、ね」
899 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/12(土) 02:54:09.57 ID:6dcCFJHAO
887「でもガンダムマイスターでもあるはずのアイツが何故こんな……」

ヒクサー「フォン・スパークは元々宇宙移民二世、反政府ゲリラ出身のテロリストだ」

ヒクサー「隕石などを利用した、同じテロリストにさえ危険視されるほどの超規模テロを計画し、結果追放されるほどの危険人物」

ヒクサー「ガンダムマイスター以前に、彼の存在そのものがかつての核兵器以上に危険なものといえるだろうね」

887「……」

ヒクサー「そんな彼を支援しろと言われたシャルや874の苦労は計り知れないね」

ヒクサー「特に、874の存在は彼にとっても大きいだろうから」

887「……マイスター874……やっぱり消しとくべきだったわ」

ヒクサー「確かに、今回の件は彼女の力が強いだろう」

ヒクサー「でも君がこのHAROを手に入れてくれたこと……それこそが一番の収穫だと思っているよ」

黒HARO『マリーダ、マリーダ』

ヒクサー「そう慌てないで……まだ第二世代型ガンダム【サダルスードtypeF】を出すべき時じゃない」

ヒクサー「もしオリジナル太陽炉のガンダムの所在がバレたら、【二番目の妹】と対峙する可能性もある」

ヒクサー「フォンが今回の作戦を完全に放任したのもきっとそれさ……彼女と戦うことだけは避けなくてはならない」

887「でもサダルスードFの太陽炉はキュリオスから手に入れたもの、トランザムがあるじゃない!」

ヒクサー「確かにトランザムは優秀さ……でも彼女には【アレ】が用意された」

ヒクサー「アストレアなら何とかなるかもしれないけど……サダルスードでは賭になる」

黒HARO『GNソード! GNソード!』

ヒクサー「彼はそれをも見越してサダルスードを盗ませたのだとしたら……」

887「ま……まさかぁ……」

ヒクサー「そうだね、考え過ぎと信じたいところさ」

ヒクサー「だが結果的に僕は見ているしかない。歯がゆいね、イヤになる」
900 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/12(土) 02:59:40.26 ID:6dcCFJHAO
ヒクサー「……来たようだね」

見上げるヒクサー
路地裏の狭い空に、雄々しい白い影が通り過ぎた

887「あれは……イナクト?」

ヒクサー「止まることを知らぬ戦士の生き様……いつか更なる力に潰され、消えゆく定めだとしても」

ヒクサー「それでも僕は願ってやまないよ……飛べ、もっと高くとね」

――飛べなかった僕と、彼の代わりに
彼の呟きは風に掻き消され、誰の耳にも届きはしなかった

――――

仄暗い銃口が向けられた、その瞬間だった
激しい激突音と突風、伏した身体が浮き上がりそうな衝撃
はっとして見上げる
やはり、彼の乗るイナクトだった

グラハム「彼女からッッ……!」

マリーダ「マスター!!」

グラハム「離れろォォォォォォォォォォォォ!!!!」

マリーダ「!」

イナクトの左手に握られたソニックナイフが、つんざくような悲鳴を上げてGN―Xの顔面に突き立てられる
予想外のダメージと共に衝突の勢いそのままに、ビルへと押し込められるGN―X
砂漠での総力戦の際、ロックオンのガンダムへ本人が敢行した、グラハムスペシャルそのままの流れるような挙動だった

ミーナ「今のうちよマリーダ! 早くこっちへ!」

マリーダ「し……しかし」

ミーナ「アイツを誰だと思ってるの!? 信じなさいよ、あんたのマスターなんでしょう!!」
901 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/12(土) 03:04:28.06 ID:6dcCFJHAO
グラハム「っぐぅ……!」

しかし、機体も違えば状況も違う
GN―Xは身を翻し、押してくるイナクトをかわした
ビルに激突するイナクト、瓦礫が辺りに散乱する
ナイフが刺さったままでもセンサーは生きているのか、迷いの無い動きだった

『!』

グラハム「まだまだァァァァァァァァァァァァッ!!」

それでもグラハムは、追撃を決して止めなかった
かわされた時の反動で左肩がスパークし、腕が上がらない
それを右手で無理やり掴み、ディフェンスロッドを動かして前に進む

迎撃の為に放たれた粒子ビームがロッドを削り、装甲を抉り、遂には左腕をも吹き飛ばす
それでもイナクトは止まらない
止められないのだ

ヒクサー「…………」

足が地を蹴り、力一杯踏み込まれたブーストが白いボディを押し上げる
跳躍、ビームライフルの弾道を飛び越え、地面と平行にGN―Xへ飛びかかる

グラハム「ッッ!!」

マリーダは確信した
彼が狙うとすれば、場所は一つ
突き刺さったままのソニックナイフだ
微塵の迷いも無い、渾身の一撃
逃げるのもほどほどに、見惚れてしまった
902 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/12(土) 03:05:53.85 ID:6dcCFJHAO
――――

GN―Xの顔面に叩き込んだのは、イナクトの膝
ソニックナイフの柄頭を確かに捉えたそれは、カメラアイを貫徹し、内部センサーと操縦補助の全システムを滅茶苦茶に引き裂いていく

グラハム「がッ……!」

もつれ合い、倒れる二機のMS
激甚の衝撃がコクピットを襲い、口腔に血の塊がこみ上げる
ぼやけた視界に映るGN―Xは、首から上が完全に破壊されていた
生まれた幾ばくの猶予、それでも操縦桿を握る手は緩まない

『無茶をするぜマスター・グラハム! イナクトで疑似太陽炉搭載機に突っ込むなんて!』

グラハム「ッ……明らかに相手は慢心していた、賭だったがやれないことはなかったさ」

『死んだのか?』

グラハム「いや、頭部にはサブコントロールがある」

グラハム「メインカメラも無くなった……暫くは木偶の坊と信じたい」

我慢出来ず、コクピットの隅に血を吐き出す
スーツ無しで直に感じる衝撃、その予想以上のダメージに眉をしかめた

スイール軍に言った言葉は嘘ではない
ただ【賭だったがやれないことはなかった】は、終わってから考えが追いついたというのが本当のところだった
903 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/12(土) 03:08:51.45 ID:6dcCFJHAO
グラハム(彼女の危機を感じ取った瞬間……)

グラハム(頭に血が上って特攻したなどと言ったら、また部隊の者に笑われるな)

血に濡れる唇を袖口で拭い、機体を動かす
左腕部脱落 頭部センサー損傷 右膝関節に異常発生
イナクトは無茶が祟り、満身創痍の状態にあった

グラハム「……GN―Xは最初から散開してスイールを襲っていた」

『ん?』

グラハム「出所が同じと仮定すれば各パイロットは面識があり、ある程度以上の通信も可能な状況にあるはずだ」

グラハム「先ほど追っていた機体は逃げおおせ、かつここには身動き取れない一機……次の動きなど、予測するに足らん」

グラハム「他の防衛隊を集結させろ……来るぞ」

足元を小画面で確認する
三人の安否、そしてマリーダ・クルスの無事が確認された
すぐにその場を離れるよう、残った右腕で合図を送る
恐らく彼等も次の展開が読めているのだろう、即座に行動へと移ってくれた
ただ一人を除いて、だが

グラハム「そんな顔をするなよ……美人が台無しだ」

自嘲気味に笑い小画面を切る
軽く咳き込めば、飛沫に変わった血がモニターを汚した
レーダーに感
数は2、足元のそれと同型のGN―X

やはり、援軍に来たか
残った武装は右腕に握るブレイドライフルのみ
ガンダムタイプを相手にするには、あまりにも心もとない装備だった
904 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/12(土) 03:11:22.90 ID:6dcCFJHAO
グラハム「思ったより合流が早いな」

『さっき逃げた一機がもう片方を呼んだのか……!?』

グラハム「だろうな。思ったよりは、やる」

グラハム「だが逃げに回られると追いようがないのは、口惜しい話だ」

おかげで彼女達を救えたのだが――
その言葉は飲み込んで、レーダーに映る光点を数える
スイール防衛隊も続々集結しているが、既に何機も倒されており、加えて元より性能差は歴然
ギリギリ目一杯集まって、その数は七
ガンダムに対する旧機体の戦力的数として鑑みれば、これは絶望的な数字だった

グラハム「こちらの増援は後少し、といったところか」

『し、しかしマスター・グラハム……』

グラハム「私が一体を止める、一対七なら深追いしなければ何とかなる筈だ」

グラハム「耐えるぞ、なぁにもう少しの辛抱だ!」

わざと明るく演じてみたが、効果は薄いようだ
通信から聞こえてくるのはかたや溜め息、かたや呻き声
パイロットスーツも着ておらず、半壊したイナクトに乗っていては実に説得力に欠けた檄に聞こえただろう
だが、男の誓いに訂正を加えるつもりは無い
七機のイナクトが持ちこたえてくれることを願い
彼女達が少しでも遠くへ逃げてくれるのを信じ
ただ、戦い抜くだけなのだ
905 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/12(土) 03:11:57.79 ID:6dcCFJHAO
グラハム「私は、戦うことしか出来ないニュータイプだからな……」

ふと呟きが口から漏れた
ニュータイプが戦うことしか出来ない存在と、認めたくない本心がそうさせたのかもしれない

GN―Xのビームライフルが此方に照準を合わせるのが、微かに見える

グラハム「来るかッ!!」

そして、目映いばかりにきらめく紅い粒子光

戦場の第二幕が切って落とされた



切り裂かれて墜ちる、GN―Xと共に

『な……』

グラハム「何ッ……!?」
906 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/12(土) 03:13:29.97 ID:6dcCFJHAO
もう片方のGN―Xも、対峙する自分達自身も、その突然の来訪者に全ての動きを止めた
何が起きた、スローモーションで進む目の前の事態に、脳内が追いつかない
辛うじて追えたのは、両断され墜落するGN―Xの姿
そして、先ほどまでGN―Xがいた場所に立つ、イナクトの姿だった

グラハム「ッッ!!」

その機影を見た瞬間、総身が毛を逆立て警鐘を鳴らすのを感じた
アレは、危険だ
恐ろしく危険な存在だ
敵か、味方か
グラハムの本能はその位置すら超越し、目の前の存在に警戒態勢を敷いていた


――イナクト・コクピット――

今思えば、此処から始まったのかも知れない

ヤザン「ふふふふふ――――」

グラハム・エーカー

そして、ヤザン・ゲーブル

ヤザン「はぁーはっはっはっはっはっ!!」

阿修羅と野獣、この世界に於ける、二人の因縁は

今この瞬間から、始まったのかも知れない

――To Be Continued――

――スイール・郊外――

クワニ『畜生、あの馬鹿共め!』

デュバル「…………」

クワニ『好き勝手暴れやがって、これだから狂信者ってやつは!』

アイバン『幸い国連軍は足踏み状態だ、今なら踏み込めるぜ』

デュバル「なんだ、これは」

クワニ『直接逢うしかないか……どうします少佐! 少佐!?』

デュバル「私がヅダに与えたかった栄光は……こんなものでは……!」

【ジャン、認めよう。ヅダも君も、優秀な存在だ】

【だがこれだけは覚えておいてくれ】

【いつの世も至上とされるのは技術ではない、人間なのだよ】

デュバル「これが咎なのか……プロフェッサー……!」
907 :893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/12(土) 03:25:21.11 ID:yDDm5EBz0
リアルタイムとは、私は、運がいい。
あと、シャアの質問の返答、感謝感激雨霰。
返事遅くなって、申し訳ない。
908 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/12(土) 03:26:43.43 ID:6dcCFJHAO
投下終了だフラッグファイター

【ヒクサー・フェルミ】

イノベイドであり、第三世代ガンダム【ラジエル】の支援機【Gセファー】のマイスター
街を歩けば女の子が振り向く美男子で、同じくイノベイドのグラーベ・ヴィオレントと共に第三世代マイスターのスカウトと査定も行った(スメラギなどのクルーも少々、ただだいたいグラーベがした)

当初はボインちゃんをマイスターにすべきと意気込んでいたが、枠が少なすぎた為(四枠中二枠は裏口確定、ニール・アレルヤも優秀だった為)その夢は叶わなかった
諸々の事情により気さくだった自身を捨て、任務に徹するエージェントとして暗躍する

なお、脳量子波とNT能力(C)が両立したイレギュラーである
グラーベもまたイレギュラー(NT:B)であったが、グラーベ存命時は覚醒していなかった

それなりに重要人物、かもしれない
909 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/12(土) 03:47:21.06 ID:6dcCFJHAO
GNセファーみたいね、あらやだ恥ずかしい

ではまた
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/12(土) 12:57:56.48 ID:P7Tt7OxW0
乙だフラッグファイター!

ついにマスターVS野獣か・・・!
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/12(土) 22:56:51.40 ID:ONyxbzXzo
UC見たら、余計にマリーダさんには幸せになってほしくなった
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/11/13(日) 00:31:29.22 ID:xyl5/aqL0
>>1 乙、もしもし無くしたのは痛いだろうが頑張ってくれ
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 18:45:44.89 ID:7yccKLqIO
あえて言おう!乙であると!

ずっと気になっているんだが、マリーダさんはユニオンの制服なのですか?フラッグファイター!
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 23:56:13.06 ID:xrtF8PWDO
しかしここのリディは一体どうなんだろ?
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 16:50:01.72 ID:J3ARIcKDO
そういえば、グラハムさんがブレイブに乗ってた時に、脳量子波が使える奴が乗った時に出る、円還のGN粒子が出てたっけ。
実はイノベイターへの覚醒の予兆があったりして
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 00:02:23.84 ID:RkJgl0PIO
確か、イノベーターかどうかでは無く、ツインドライブか単純に太陽炉ニ機搭載型で八の字?が出るとかだった気がする。
間違ってたらごめん。
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 22:27:25.94 ID:/BIycl4DO
>>916
アレルヤのは出てたけど、アルヴァトロンとか出てなかった気が
918 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/23(水) 01:04:09.91 ID:Hcc31S6AO
マリーダ「おかえりなさいあなた」

マリーダ「お茶漬けにする? 食パンにする? それともう・ど・ん?」ニコリ

グラハム「……飲み会で帰宅が遅くなったことに関しては全面的に私が悪かった、ごめんなさいだから家に入れてくださいほんとにお願いします」

くそっ! 11/22に間に合わないとは一生の不覚!

投下再開だフラッグファイター、UCサントラ2いいね
919 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/23(水) 01:07:55.88 ID:Hcc31S6AO
――スイール・市内――

デュバル「……ッ」

燃え盛る街、逃げ惑う人々。目を向けないように意識しても、かえって視線はそれらを辿ってしまう
テストパイロットとして戦場を知らぬ訳ではないが、胸糞の悪い光景だと心中で毒づいた

クワニ『動けるか!? ……よし、いい子だ!』

GN―Xに接触通信で話している声が聞こえる
声などの感じから、向こうのパイロットは酷く怯え、萎縮してしまっているのが何となしに感じられた
クワニのギラ・ドーガがGN―Xを脇に抱えるように支えながら飛ぶ
自分のヅダとアイバンのギラ・ドーガが後方からの敵機に弾幕を張り、離れる
退却はスイールと国連軍の話し合いが終わらない内に済ませねばならない、時間との勝負だった

デュバル「左をカバーしてくれ、飛び込まれたら酷だ」

アイバン『了解です!』

GN―Xを子画面に映し、拡大した
彼等が行動を起こしてからすぐに突入した筈だが、その左腕は肩から切断され、バーニアや装甲には無数の損傷が生々しく残っている
人間に喩えれば、まるで野生の猛獣に飛びかかられたかのような重傷であった

デュバル(即座に帰還していれば、無傷のGN―Xを三機も手に入れられたものを……)

当初の連絡には三機と報告されていたのに、結果二機が撃墜され、一機はこの有り様
やはり狂信者に期待など、出来るはずもない
生還した本人を前にしても、改めてそう思った
920 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/23(水) 01:12:12.60 ID:Hcc31S6AO
市街を抜け、砂塵散る荒野に飛び出す
追っ手は数機、いずれもRGMで、一定以上の距離をつかず離れず追跡してきていた

デュバル「ヤザン・ゲーブルは……いないか」

話には聞いていたが、やはり恐ろしい男だった
自分等が合流した時には、既にGN―Xを一機撃墜され、もう一機は袋叩きにあっていた
もう一機からは何とか引き離したものの、退き際に三機目のGN―Xが強襲され、結果撃墜
頭部を破壊された機体では、対応のしようすらなかっただろう
ヤザン・ゲーブルの判断は確かに早かった
それでも何か手は打てなかっただろうかと思ってしまい、悔やんでも悔やみきれなかった

デュバル(我々が合流してから、イナクトでは勝てないと踏んだのだろう)

デュバル(リカバーも完璧……こちらのリターンも最小限に抑えつつ反撃の隙さえ与えない見事な判断力)

デュバル(あれがもう一人のライセンス持ち……とんでもない男が敵に回ったものだ)

イナクトで太陽炉搭載機を圧倒する技量もさることながら、兵士として一番重要な判断力と決断力、度胸も兼ね備えている
何度か相対したグラハム・エーカーとは、似通っていながらも違う何かを感じさせる存在であった

デュバル「厄介なことには変わりない……がな」
921 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/23(水) 01:18:24.57 ID:Hcc31S6AO
アイバン『少佐、前方二時十時方向、敵機!』

デュバル「やはり来たか……!」

望遠モードのモノアイが、敵機を捉える。
元々状況はかなり悪い
少数で飛び込み、GN―Xと合流しつつ半ばその力を頼り敵陣を突破するのがキャプテン・ジンネマンのプランだったからだ
それが半壊のGN―Xを抱えながらの逃避行となれば、知恵の輪が制限付きダミー満載の爆弾処理に変貌したくらいの差があるだろう
だが危機感はさほど感じられなかった
ヅダと共にいる、それが自らに力を与えてくれているようで、自然に笑みが浮かんだ

デュバル「突破するぞ、ついて来い!」
ヒートホークを抜き、マシンガンを構える
ギラ・ドーガとヅダでは性能に差があるものの、GNドライブと土星エンジンの親和性はそれを埋めてあまりあるものだ
街のことは忘れろ。ヅダが燃やしたわけではない
今まで通り、闘いの中でヅダの存在を証明する。それしかないのだ、そう自分に言い聞かせペダルを踏み込んだ

デュバル「ライセンス持ちでもない端役では、些か物足りないがな」

デュバル「退いてもらおう――私とヅダの道からッ!」

まだ死ねない。ヅダの名を永遠不動のものにするために
湧き出す雑念に眉をしかめながらも、ただただ前へと突き進んだ
           ・
                         ・
                         ・
922 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/23(水) 01:20:28.36 ID:Hcc31S6AO
――前線基地・西格納庫――

唐突に起こった今回の襲撃事件、その終結もまた唐突なものだった
GN―Xの出自、撤退を援護したサイクロプスの存在
事態は収拾に向かっているとは言い難いものの、一応の区切りは付いたのだろう
何より、スイール市内で休暇を楽しんでいた仲間達の安否が判ったこと、それを素直に喜びたかった

『カタギリさん、戻ってきましたね』

ビリー「あぁ……」

出撃していた全てのMSが帰還してくる光景、それは慌ただしくもあり、壮観でもあった
しかし目はすぐに格納庫へと戻る
もっととんでもないものが其処にあるからだ

ビリー「……これが、もう一人のライセンサーのイナクトか」

事件を即座に解決し、更にはいの一番に帰還した新緑のイナクト
見上げるだけでも分かるその威容、技術者としての血が沸々とたぎるのを感じた

キッド「すげえなぁコイツ、がわはイナクトなのに中身はまるで別物だぜ!」

ビリー「オーバーフラッグス同様、コンデンサタイプのGNビームサーベルを装備しているようだが……内部構造はそれ以上に凄いみたいだね」
923 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/23(水) 01:23:41.23 ID:Hcc31S6AO
ビリー「格闘戦用の高性能モノアイ……プラズマエンジンも一回り大型の見たことのない代物だ」

ビリー「二眼カメラにしたGNフラッグとは真逆の調整……搭乗者の希望なのかな」

ミカムラ「エンジンは既存型に合うものがない、どうやら特注品のようだな。このサイズならばオーバーフラッグどころか、ティエレンだって浮くだろうよ」

ビリー「……」

軽く装甲に触れ、指で叩く
衝撃が鈍く沈むような低音、伝わる感覚だけでもその頑強さが伺えた

ビリー「積層されたEカーボン……質もさることながら、特筆すべきはその量だ」

ビリー「恐らく、オーバーフラッグのそれとは比べ物にならない分厚さの装甲が使用されているのだろう」

オットー「重装甲を爆発的な出力で無理やり動かす……惹かれますね」

ビリー「例えるならオーバーフラッグは戦闘機、このイナクトは重攻撃機といったところか」

ビリー「それでも、巡航形態ならオーバーフラッグに近い速度が出るだろう」

ビリー「こんな掛け値違いの設計思想があるなんて……何というのかな……こういうの」

ビリー「……」

キッド「? どした、カタギリさん」

ビリー「いや、あまり参考にはならなかったからね」

ビリー「このイナクトは僕と教授の目指したフラッグとは違いすぎる、もういいかな」

キッド「お、おいおい……」
924 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/23(水) 01:25:42.91 ID:Hcc31S6AO
目の前のイナクトを何故か見ていたくなくて、目を逸らす
イラつきが棘のように残り、自然と吐く息を荒げさせた

ビリー(惑わされるな……僕は僕の道を行けばいい)

ビリー(そうさ、この設計図に従っていればいつか、いつか必ず!)

キッド「……」

キッド「……カタギリさん、最近様子おかしいよな」

モーラ「ん〜、妙にフラッグに固執してるっていうか、教授に拘ってるっていうか……」

ミカムラ「以前の柔軟性が見られんのは、感心せんのだがな……」

整備班の不安は自然につぶやきとなるが、それが耳に届くことはなく
自分の腹の底、くすぶる感情が嫉妬だと気付くことも、今は出来ずにいた



――休憩室――

リディ「いててっ!?」

医師「動くな、軍人だろう」

リディ「うう……」

ダリル「何がともあれ、全員が無事に帰ってきてくれて良かったよ」

ミーナ「良くないわよ……」クタァ

ヴィクトル「ん? こっちは元気なさそうだな」

タケイ「……」

ミーナ「あれだけ沢山買った服やアクセサリー、全部瓦礫の中に埋まっちゃったのよ?」

ミーナ「元気も吹き飛んじゃうわよ……骨休めの筈が、とんだ骨折り損のくたびれもうけだわ」

ルドルフ「命あっての物種だ、死ぬよりはずっとマシだろう」

ミーナ「マリーダやフェルトの服っ! あれを見てたらあんた達も絶対後悔の念を穴という穴から吐き出すわ!」

ジョシュア「なんだそりゃ」
925 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/23(水) 01:34:44.59 ID:Hcc31S6AO
ヴィクトル「ハッハッハ、良いなぁ、若いってのは」

リディ「……でも、良かったんでしょうかね。帰ってきちゃって」

ダリル「何がだ、リディ」

リディ「……」

リディ「隊長、いくら仕方がなかったとはいえ、スイール防衛隊のイナクトを拝借しちゃったんですよ?」

リディ「変な言いがかりつけられて、隊長に危害が及ばなきゃ良いけど……」

ジョシュア「そうなのか?」

ルドルフ「そうだよ、話聞いてなかったのかお前」

ミーナ「……へんな言いがかりも何も、完全な犯罪行為だけどね」

ダリル「逆にあの場にいた方が色々厄介だ。後はお偉方同士の話し合いで決めりゃあいい」

ダリル「言い方は悪いが、バックレちまえばこっちのもんだってな」

リディ「……まぁ……正当防衛ってことでこっちはだんまり決め込んじまえばいい、のかな?」

リディ「……むう……」

タケイ「……悩む気持ちは分かるがな」

リディ「え」
926 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/23(水) 01:41:45.07 ID:Hcc31S6AO
タケイ「だがあの人が行ったこと、それが正しかったか否かはあの場にいた俺達が一番分かっているはずだ」

タケイ「必ずしも社会の枠組みから外れないことが正しいとは限らない、男なら理解くらいは出来るだろう」

リディ「あ……はい……」

タケイ「折り合いをつけろ。お前は真面目すぎる」

タケイ「……」チラッ

ジョシュア「おう」

タケイ「……」

スタスタスタ

リディ「……」

ジョシュア「あいつ、まだちょっとリディにはよそよそしいのな」

リディ「よそよそしいんですか、あれ!?」

ダリル「喋らなくなってからが本領だからな」

ダリル「しかし、言ってることは理解できたろう。それでも納得出来なきゃ、隊長と話してみるといいさ」

リディ「間違いだと思えるほど自惚れちゃいません」

リディ「ただ、なんていうか……その……」

ルドルフ「……」

ヴィクトル「今日はもう休め、せっかく白馬の騎士を演じきってみせたんだ」

ヴィクトル「明日になれば考えもまとまっているだろう。肝要なのは、焦らないことだ」

リディ「……はい……」

ジョシュア「ったく、せっかく男として株を上げてきたってのにこれだもんな」

ダリル「良いじゃねえか、考えられる内に考えるのが一番だ」

ジョシュア「お甘いこって」
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) :2011/11/23(水) 01:53:55.91 ID:rx/dRjRu0
まさか、リアルタイムで会えるとは…
00の外伝(特にP)は面白いから一読を勧めるよ
928 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/23(水) 02:12:23.74 ID:Hcc31S6AO
ダリル「さあて……そろそろ隊長もグッドマン司令から解放された頃か?」

ジョシュア「……リディじゃねえが、お咎め無しであることを祈るしかないか」

ヴィクトル「今回の一件、グラハム少佐も一応金星あげてるんだ。無事と思いたいが……」

ルドルフ「…………」

ルドルフ(やはり大尉の様子が少しおかしい)

ルドルフ(あのヤザン・ゲーブルと……何かあったのだろうか?)

ヴィクトル「…………」

――居住区・ミーナ自室――

PPP

PPP

スメラギ『はい、リーサ・クジョウです』

スメラギ『現在所用により手が放せません、ご用の方はピーッという発信音の後にメッセージをどうぞ』

フェルト「……」

『ピーッ』

フェルト「……スメラギ……さん……」

フェルト「あたし達……世界を変えられたのかな……っ」

フェルト「ここは何も……何も変わってないよ……っ……」

フェルト「クリスは……リヒティはっ……何のために……ぅっ……ひっく……」
929 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/23(水) 02:17:18.48 ID:Hcc31S6AO
今日は此処まで
近い内にまた

マリーダの制服とパイスーはユニオン準拠
私服はUC準拠もしくはミーナチョイス

ヤザンはAEU準拠、ただパイスーだけはティターンズ仕様
軍服もティターンズ仕様になるのはもう少し先

デュバル氏はジオン準拠、ただしヅダもろとも袖付きです
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/23(水) 22:07:14.67 ID:LUQWQt8yo
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 00:39:34.75 ID:bVlnunzDO
>>1
過ちを気に病む事はない。ただ認めて次の糧にすればいいって全裸の人が言ってたぜ。つまりいい武士の日たる今日投下すりゃいいんだぜ。
932 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/24(木) 14:43:31.96 ID:weZ121dAO
リント「彼女も作戦に参加させていただきたい」

グッドマン「君は……ミセス・ブシドー」

マリーダ(もうやだこの軍隊)



成る程、天才がいた
投下再開だフラッグファイター
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/24(木) 14:44:27.03 ID:mxD+P4aIo
こんな時間とは珍しいなフラッグファイター
934 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/24(木) 14:46:23.56 ID:weZ121dAO
――廊下――

帰還した兵士や整備班で賑わう他の棟とは裏腹に、妙な静けさを湛えた司令棟
廊下を歩く度に、間隔の違う二つの足音が小気味良く響き渡っていった

グラハム「ふう……ようやく説明が終わったな」

マリーダ「はい、マスター」

グラハム「これでグッドマン司令からの口添えが貰えれば、スイール国にも言い訳のしようもあるというものだが」

マリーダ「カタギリ司令にも先ほど報告を……苦い顔はされましたが、手は打っておく、と」

グラハム「……あの方には一生頭が上がらんな」

グラハム「だが思っていた以上にグッドマン司令の追及も弱かった、楽に済んでとりあえずは一安心かな」

マリーダ「カスタム機ならばともかく、一般機体でGN―Xを行動不能に追い込んだとあればかける言葉も見失いましょう」

グラハム「彼が静かなのは構わん、かえって気が楽だ」

グラハム「だが、お前が静かだと些か拍子抜けしてしまうな」

マリーダ「…………」

グラハム「寡黙な女も嫌いではないよ。理知的とあれば尚更だ」

マリーダ「からかわないでください」

少し眉をしかめ、顔を逸らすマリーダ
機嫌を損ねたというよりは、冗談を真に受けてふてくされた、という感じだ
だが、どんな顔をしても品を失わないのが彼女の特徴でもあった
935 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/24(木) 14:52:02.93 ID:weZ121dAO
マリーダ「マスター」

グラハム「ん?」

マリーダ「スイールでは……助けてくださり、有り難うございました」

グラハム「言うな。むしろ私は謝らねばならん立場だ」

グラハム「あれだけ懇願されたにも関わらず、流石に私も無謀が過ぎたというものだ」

マリーダ「……」

グラハム「今回ばかりは本当に無茶をしたという自覚がある」

グラハム「今後はもう少し節度をもって動くようにする、無茶はしない。誓わせてもらおう」

マリーダ「無茶はしない……」

マリーダ「それでは、相変わらず無理はなさるのですね。そうですか……」

グラハム「……ぬう……」

マリーダ「分かりました……あまり期待はせずに、心に留めておきます」

グラハム「くっ!」

マリーダ「お気になさらず、どうぞお話の続きを」

顔の位置が元に戻り、まとめられた髪がしなやかに揺れる
無表情ではあるが、してやったりという心中がにじむようであった
口で彼女にかなわないのが、少し悔しかった

グラハム「兎に角、これからまた忙しくなる」

マリーダ「ヅダとサイクロプスの編隊は、GN―Xを連れたままエジプト近辺で消息を絶ちました」

グラハム「最終防衛ラインに反応がないとなれば、アフリカには逃げられていないはずだ」

マリーダ「潜伏しているとしても、そう長くは保たないはずです」

グラハム「索敵にかかる前に遠回りをしてでも海路を使うか、残りのサイクロプスらと協力し、ラインを突破して逃げるか……か」

マリーダ「反国連勢力の計画は内容こそ不明ですが、発動時期は近いと推測されます」

グラハム「となれば……強行突破か」
936 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/24(木) 14:55:59.25 ID:weZ121dAO
グラハム「マリーダ」

マリーダ「はっ、直ぐに部隊の招集と機体の搬送準備、輸送機の手配を」

グラハム「全てお前に任せる」

グラハム「私は……彼と少し話してくる」

マリーダ「彼、ですか……」

グラハム「……」

マリーダ「マスター、お気をつけて……奴は危険です」

グラハム「分かっている、だが敵ではない。案ずるな」

グラハム「……マリーダ」

マリーダ「はっ」

グラハム「無茶はしない……確かにそういった」

グラハム「だが、もしまたお前の命が脅かされたとき……そのときは」

マリーダ「マスター」

グラハム「!」

マリーダ「そうならないよう、全力を以て行動します」

マリーダ「ですがあなたの価値は……私などのそれとは比べ物になりません」

グラハム「マリーダ、それは……!」

マリーダ「ですので!」

グラハム「っ……」

マリーダ「ですので、私もあなたの命が永遠に失われようとしたときは……迷いなくこの身を捧げます」

グラハム「……」

グラハム「全く、お互い一年、何も変わっちゃいないな」

マリーダ「それでいいのではないのでしょうか……少なくとも、今の私達は」

グラハム「そう、なのかな」

グラハム「……行ってくる」

マリーダ「はい……マスター」
937 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/24(木) 14:57:50.40 ID:mxD+P4aIo
なんて不器用な二人…
938 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/24(木) 14:58:22.38 ID:weZ121dAO
二つの足音が分かれ、ゆっくりと遠退いていく
それでも言葉を発した唇に、温もりが何時までも残っているように感じた

グラハム「…………」

立ち止まった、扉の前
少し戸惑いながら開閉ボタンに手を伸ばした
気後れする心を映すかのように、扉はゆっくりと開く
奴は、其処にいた

ヤザン「……よう、随分と遅かったな」

グラハム「そうかな? 私としては、少し早いくらいのつもりだったのだが」

ヤザン「はっ、言ってくれるぜ」

大きなソファーの真ん中で、不遜に陣取りウイスキー片手に不敵な笑みを向ける金髪の男
上半身は裸、身長は自身より頭半分ほど抜けているだろうか
大柄で逞しく、荒々しさを随所から滲ませた野性的な男という印象だ

ヤザン「ヤザン・ゲーブル大尉、ライセンサーだ」

グラハム「グラハム・エーカー、階級は少佐。ライセンサーだ」

ヤザン「敬語は使うべきですかな、少佐殿?」

グラハム「最初に使わなかったんだ、同じライセンサーとして同格扱いで構わん」

ヤザン「そりゃ助かる」

向かいに座ると直ぐ杯を一つ勧められる
軽く手を振り断ったが、ヤザンは嫌そうな素振り一つ見せずに杯を引いた
既に瓶の中身は半分ほど無くなっているのに、酔った様子は全く見られない
939 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/24(木) 15:00:19.11 ID:weZ121dAO
グラハム「何より、尊敬の念の無い敬語ほど耳障りなものはないからな」

ヤザン「へへっ……そりゃあちと誤解だなグラハムさんよ」

ヤザン「何のカスタマイズもされていないイナクトでGN―Xを止められる奴はそうそういない、これでも一目置いているんだぜ」グビッ

グラハム「…………」

グラハム「貴様がマリーダに対して行った侮辱、忘れてはいまい」

ヤザン「……さぁてな」

グラハム「謝罪しろ、とは言わん。だが念を押して言わせてもらう」

グラハム「今後彼女に対し、侮蔑の言葉を浴びせること……それはこの私が決して許さないと」

ヤザン「…………ふん」

ヤザン「思ったよりは器の小さいことを……そんなことを言うために此処に来たのか?」

グラハム「……半分はな」

ヤザン「半分、か」

グラハム「…………」

改めて腰を据え直し、小さく息を吐く
ヤザンは立ち上がると冷蔵庫の中からよく冷えた水を取り出し、薦めてきた

ヤザン「酒の友が水とは、締まらねえ話だ」

グラハム「下戸はどの世界にもいるさ、飲むか否かはその者の自由だ」

MS搬入の光が点滅し、窓からグラスを赤く染めていく
互いの赤を軽く触れ合わせれば、硝子の擦れ合う透明な音が響いた
上機嫌のままに、ヤザンが口を開く
始まりは取り留めもない世間話
掴みとしては上々だろう、水を流し込みながら耳を傾けた           ・
                         ・
                         ・


何を話しただろうか
下らない世間話、これからの作戦、新型MSの性能の話
時間にして一時間弱、肴になる程度には進んでいた

ヤザン「おい、グラハム」

グラハム「何だ」
940 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/24(木) 15:06:16.42 ID:weZ121dAO
ヤザン「さっきマリーダに対する話が半分と言ってたが……」

ヤザン「残りの半分を聞きそびれた。覚えてたら、教えてくれ」

グラハム「……」

仕掛けてきた、と思った
一時間の雑談の合間も、お互い機会を探り合うかのような緊張の中にあった

グラハム「残り半分は、お前という存在を見極める為に」

ヤザン「ほう……」

グラハム「そう考えてきたつもりだったのだがな」

ヤザン「見えないのか? 俺が」

グラハム「当然とも言える。私は軍人だが、カウンセラーでもないし心理学者でもない」

ヤザンという人間がどのような存在かは、目の前にしても深くは理解できない
恐らくはヤザンもそうなのだろう
だからこそ仕掛けてきた
良いだろう……目的が同じなら、乗ってやる

グラハム「軍人は……戦うことでしか世界と向き合えん」

グラハム「戦ってみないことには、理解など出来ないと思わんか?」

グラハム(さぁ、来い……!)

ヤザン「……!!」

奴は、その瞬間笑っていた
941 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/24(木) 15:14:39.83 ID:weZ121dAO
ヤザンが勢い良く立ち上がる
この瞬間を待ち望んでいたような、生き生きとした表情を浮かべながら、此方を睨みつけていた
真っ直ぐに視線を交わらせるその瞳は、獲物を見つけた野獣のそれに瓜二つだった

――――

会話以外に音のない部屋、衝撃で倒れたグラスの音が大げさな位に響いて跳ねた

ヤザン「それは……俺と戦いたいって言葉と受け取るが構わねえな?」

吐息さえ感じられるほどに近い距離
額が擦れ合いそうなくらいに顔を寄せ、確認の言葉を吐いた
酒臭さが癇に障ったのかグラハムは嫌悪感こそ露わにしたが、顔を背けはしなかった

グラハム「分かっているなら話は早い……あまり言いたくはないが、謹んでこの言葉を贈らせてもらおう」

グラハム「ヤザン・ゲーブル……表に出ろ!」

ヤザン「上等だ……ユニオンのモヤシ野郎ッ!」

交わした言葉は多くなく、すぐ前に奴が宣言した通り軍人に人間観察など出来るものではない
だが、軍人だからこそ感じる【直観】が、ひしひしと己の脳髄に信号を送っていた

獅子の群にリーダーが二つも並ばぬように
虎が決して群れないように
似ているからこそ、近しいからこそ
――コイツは、決して相容れない存在だ、と

ヤザン「ダンケル、ラムサス! イナクトの準備だ! 急げよ!」

グラハム「カタギリ、フラッグを用意してくれ。皆まで聞くな、頼むぞ」

お互い真っ直ぐに格納庫に向かう
それ以降言葉は交わさなかった、ルールも決めはしなかった
戦って確かめる、その目的一つあれば十分だったからだ
942 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/24(木) 15:16:08.08 ID:weZ121dAO
――休憩室――

キッド「マ、マリーダぁ! 大変だ!」

ダリル「お?」

ジョシュア「なんだぁ、いきなり」

キッド「はぁっ……はぁっ……」

マリーダ「……どうした?」

キッド「グ、グラハム少佐がフラッグを持ち出して……ヤザン・ゲーブルとやりあうって……!」

マリーダ「な……っ!」

リディ「なんだってぇ!?」

――基地外――

ビリー『待ってくれグラハムッ! せめて模擬戦用のペイント弾に詰め替えて……!』

グラハム「構わん。申請無し、未許可の模擬戦だ。タイミングもそこそこ、僅かな時間さえ惜しい」

グラハム「それに……どうやら奴もそのつもりのようだ」

ビリー『そんな……!』

――

ラムサス『だ、大丈夫なんですか大尉!? いくらライセンサー同士ったって……未許可で実弾使用の模擬戦なんて!』

ヤザン「MSは戦争の主力、殺し合いの道具だ! 玩具を担いでチャンバラする代物じゃあねえ」

ヤザン「っと……」

ダンケル『ですけどよ、相手はグラハム・エーカーですぜ! 万が一……』

ヤザン「万が一……俺が殺されちまうとでも?」

ダンケル『い、いや……』

ヤザン「そうだな……やっちまった後のことは考えておくか」

ダンケル『冗談キツいぜ大尉……』
943 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/24(木) 15:16:50.01 ID:weZ121dAO
グッドマン『ヤザン・ゲーブルッ! 貴様何を考えている!?』

ラムサス『うぉっ!?』

ヤザン「あぁ?」

グッドマン『今すぐ馬鹿げたお遊びを止めろ! グラハムもだ、貴様らライセンスを持っているという自覚が無いのか!』

ヤザン「ライセンス権限の模擬戦だと言っている! 迷惑はかけやしませんよグッドマン司令」

グッドマン『ラ、ライセンス権限だとぉ!?』

ヤザン「へっ、此処は今戦時下だ。戦場でなら俺の好きなようにさせてもらう!」

グッドマン『なっ、なっ……なぁっ!』

グラハム「グッドマン司令、私からもお願いします」

ヤザン「!」

グッドマン『グラハム! まさか貴様までもがそんな……!』

グラハム「あのような問題の後です……申し開きのしようもありますまい」

グラハム「ですが、これはこの紛争で私が彼と肩を並べて戦う上で、欠いてはいけぬものなのです」

グッドマン『……!』

グラハム「ご理解いただけぬとは思いますが……」

グッドマン『もう、いい』

グッドマン『勝手にしろ、この戦闘狂共がッ!!』ブツッ

グラハム「……また嫌われてしまったな」

ヤザン「好かれる努力もしないくせに、何をほざいてやがる」
944 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/24(木) 15:18:00.21 ID:weZ121dAO
ゆっくりと夜の荒野を踏みしめ、基地から離れるフラッグとイナクト
滑走路を抜け、荒れた大地に並んで立つ
ヤザン専用のイナクトは、グラハム専用機に比べると一回りほど大きく見える
メインエンジンの周りなどは、殊更に違っていた

マリーダ「マスターッ!」

ビリー「マリーダ!」

マリーダ「カタギリ顧問、マスターとは話せないのですか!?」

ビリー「駄目だ……もう回線を切っている」

マリーダ「そんな……っ」

リディ「中尉、少佐はっ!?」

ダリル「あぁっ……!」

ミーナ「うそ……ほんとに?」

タケイ「……!」

――――

グラハム「……」

リニアライフルの照準を、目の前のイナクトに合わせた
操縦桿を握る指の震えが、肘にまで伝わるのを微かに感じ取った

グラハム(こんな感覚は、アレハンドロ・コーナーとの一戦以来だな)

グラハム「刮目させてもらおう……ヤザン・ゲーブル」

グラハム「貴様の全てを、私の前にさらけ出して見せろ!」

GNビームサーベルにいつでも手が伸ばせるよう、機体の左手は遊ばせておく
ヤザンのイナクトもまたクロスレンジに特化した近接格闘用のMS
耐え難い緊張感に、自然と舌が唇を舐めた
945 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/24(木) 15:20:31.20 ID:weZ121dAO
――???――

リヴァイヴ「ねえプルツー、例の手紙の件はどうなったんだい?」

プルツー「知らないよ、まだ何の連絡も来やしない」

リヴァイヴ「知らない? それは困るな――あれを書いたのはこの私なんだよ」

プルツー「返事が返ってこないなんて……変なこと書いたんじゃないだろうね! リヴァイヴ・リバイバル!」

リヴァイヴ「まさか、君に言われるがままの内容を書いたまでのことさ」

ヒリング「ねえねえねえねえっ!!」バァンッ

プルツー「ん?」

ヒリング「ヤザンから連絡っ! なんかグラハム・エーカーと一戦交えるってよぉ!」

プルツー「!」

ウィンッ

リボンズ「その話……もっと詳しく聞かせてもらおうか?」

――――

ヤザン「へへっ……たまらねえな」

大型ブレイドライフルを構え、サイトの中にオーバーフラッグを捉える
手のひらがじわりと汗に濡れる。久しい感触に、頬は独りでにつり上がっていった

ヤザン(なりは小せえのに、プレッシャーはガンダム並みか……期待させてくれるじゃねえか)

ヤザン「楽しませてくれよグラハム……このままじゃ収まりがつかねえからな」

ヤザン「あのマリーダを従えた男の力……腹一杯食わせろやッ!」

右手はGNビームサーベルで即座に攻撃出来るよう、意識を傾けておく
相手は左利き、それに加え速度と対応力では他の追随を許さぬグラハム専用カスタムフラッグだ
甘美な死の予感に、背筋が震えた
こんなに愉しい戦争は、初めてかもしれない
946 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/24(木) 15:24:36.13 ID:weZ121dAO
あまりにも、唐突

基地の中から見守る兵士達は、皆一様にそう思ったはずだ

グラハムは軽いとはいえ、流血を伴う負傷をしている
ヤザンは先程戦闘から帰還したばかり、疲労が無いはずがない
今でなくても良い、何故今なのだ、と

誰もが、そう思った

グラハム「…………」

ヤザン「…………」

動きが、止まる
二機の間、その距離は百メートル程度
踏み込めば、一挙に詰められる一触即発の距離だ
いつの間にか基地のほぼ全ての人間が、固唾を飲んでその一騎打ちを見つめていた

マリーダ「…………」

唐突ではないのだと、薄々マリーダは理解していた

グラハム・エーカーとヤザン・ゲーブル
共に戦場で名を馳せ、戦うことにのみ意義を見出す存在
そんな二人を同じ環境に置けば、一度は必ず、近い内にこうなるはずだったのだと
それがたまたま、このタイミングであっただけであり
所詮、早いか遅いかの差でしかないのだと

マリーダ「っ……」

心が通ったような気がしても、また置き去りにされたような感覚に陥る
無意識のうちに手が伸びて、頬を一筋の熱が重力に引かれて落ちていく

マリーダ「……かな……で……」

マリーダ「行かないで、マスター……」

動いたのは、無情にもフラッグの方
求められた手を振り払うように、突撃した

グラハム「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぁぁッッ!!!!」

ヤザン「るあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!!」
947 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/24(木) 15:25:11.69 ID:weZ121dAO
此処まで!

EP4見てくる、ではまた
948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/24(木) 15:31:52.64 ID:mxD+P4aIo
お疲れ様でしたフラッグファイター
大きな子供と言わざるを得ない二人の周囲は大変だwwww
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県) [sage]:2011/11/24(木) 15:32:49.73 ID:2IOv2+jwo
あえていおう
乙だと!
果たしてこの二人は分かり合えるのか
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) :2011/11/24(木) 17:59:54.54 ID:/hGB5ZST0
乙!
ちょいと疑問に思ったんだがヤザンはあのチートイナクト使っててGとかは大丈夫なのだろうか?
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 18:05:07.59 ID:qT87cIvh0
むしろヤザンならトールギスをも乗り回しそう・・・
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [saga sage]:2011/11/24(木) 19:48:40.61 ID:eyW8xh9Q0
乙である!

>>949
なに、ぶつかることで深く結びつく友情、傷ついたことは無駄じゃなくなるさ

それにヤザンの声が声だし
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 20:26:06.37 ID:qXUCYuHDO
ZZしか見てないから、ヤザンに違和感がある
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 22:14:10.39 ID:NT/xpFKIO
二日連続だと!聞いて無いぞ、ブラックファイター!
おかげでこんな物しか無い。
ttp://imepic.jp/20111124/791450
マリーダさんの服装の質問に答えてくれてありがとうございます!
私服はミーナチョイスですか。
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県) [sage]:2011/11/24(木) 22:19:06.16 ID:2IOv2+jwo
>>954
あれ・・・?マリーダってこんなに可憐だったっけ
おかげでイメージが変わったぞ
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(宮城県) [sage]:2011/11/24(木) 23:51:11.94 ID:sdQwsy2qo
>>955
基本的に宇宙世紀はどんな美少女でも顔付きが濃ゆくなるから………アイナ様を除く
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/25(金) 00:10:59.67 ID:uMEX8+rwo
そろそろ次スレの時期か?
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県) [sage]:2011/11/25(金) 17:15:40.74 ID:6vMkek5no
GNフラッグってビームサーベル使ってるとき
普通のエンジンとのハイブリットなんだよな
959 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/25(金) 20:21:44.29 ID:Yw/Uqu8AO
一直線、お互い最大戦速、最大威力の一撃がぶつかり合った
一瞬の間に抜かれたビームサーベルは、手練れでなければ確認すら出来ない速度に到達していた
ぶつかり合うエネルギーとエネルギーは、重ねられた二つの紅刃を中心に波紋の軌跡を映し出す
イナクトとフラッグの顔が、深紅の光に染まった


グラハム「ふッ……!!」

衝突に近い激突、パワー不足を埋めてあまりある豪快な一撃をフラッグは繰り出した
重量に差のあるMSとの近接戦闘は不利でしかない、グラハムはレバーとバーニアを忙しなく調整、ハイパワーのイナクトに吹き飛ばされまいと食らいつく

ヤザン「ぐぅッ……!!」

対して、出遅れから流れを毟られぬよう、イナクトはパワーを頼みに前に出る
焦りすぎて足元を掬われぬよう、繊細な挙動と冷静な判断力がヤザンには求められた
機体の特性とは正反の課題、それをヤザンは苦もなく余裕さえ見せて操った

グラハム「はぁぁぁぁぁああ!!」

ヤザン「ずぇああぁぁ!!」

交差するサーベルを軸に数度回転、遠心力と互いの剣裁きにMS一機分の間が空いた
一閃、そしてまた一閃
息つかぬ、幾重にも繰り出される数十合の応酬
皆、息を呑んだ

ヤザン「そらぁぁッ!!」


大きく叩きつけられたブレイドライフル、それをグラハムはビームサーベルで受ける
すかさず懐に突き出されたヤザンのサーベル
しかしフラッグは機体を丸め、逆にヤザンの懐へと入り込む

ヤザン「!」
960 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/25(金) 20:24:20.95 ID:Yw/Uqu8AO
イナクトの腹と背中を合わせるフラッグ、逆手持ちのソニックナイフが唸りを上げてプラズマの刀身を延ばした
狙い目はただ一点、イナクトのコクピット
突きつけてホールドアップ、それで終わる筈だった

ヤザン「猪口才……なぁ!」

グラハム「がっ!?」

だが、刃は届かない
イナクトはプラズマソードの発生より先にフラッグへと体当たりをかまし、即座にバックブーストし距離を取ったのだ
空回りする一撃、イナクトは軽く跳躍すると空中変形、その巨体を易々と夜空へ持ち上げた

グラハム「お次は空か……!」

ヤザン「嫌いじゃあねえだろう!?」

グラハム「無論、空は私のホームだ!」

フラッグも追随し、その身を頭上深き闇の中に投げ込んでいく
絡み合う二機の機動、一瞬の交錯と数発のライフル、あわやというタイミングですら互いの弾丸は相手に届かない
前線基地にまで届くほどの暴風、二機は台風の目となり円を描いてぶつかっていく

ヤザン「ホーム? そりゃあ残念だなぁ!」

グラハム「何が言いたいッ!」

ヤザン「俺が勝てばお前の空は俺のもんって事だ、今の内に別れでも惜しんどけ!!」

グラハム「言ってくれるなヤザン・ゲーブル……!」

グラハム「ならば、他人の家に土足で踏み込むということの意味、その身を以て味わえッ!!」
961 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/25(金) 20:26:09.71 ID:Yw/Uqu8AO
太陽炉搭載機でも付いていけるか分からないほどの、壮絶なドッグファイト

最速旋回時には12G以上もの圧がかかるカスタムフラッグを、グラハムは蝶のような軽さにまで昇華させイナクトを襲う

ヤザンもまた、速度の緩急、変形の僅かなズレを意図的に利用した変則機動でグラハムを攪乱し対等近くにまで持ち越していく

死の狭間の攻防、二人の顔は愉悦に満ち満ちていた

グラハム「ぐ……ッッ!」

ヤザン「は……ッッ!」

苛烈なGに遠退く意識、つなぎ止めるように操縦桿を握った
数度の交錯、背後を取っても、急速旋回からまた背中を狙われる
互角、機体性能からフラッグが優勢ではあったが、後一歩がグラハムは掴めない

軋む身体が、意識に追いつかないのだ

グラハム「馬鹿な……奴の方が反応速度が速いとでもいうのか……!?」

ヤザン「反応が鈍い、Gに耐え切れていないのか? 情けない――!」

ヤザン「だがこのイナクトじゃ細かい動作が利かねえ……付け入るのは、ちと無理だな」

グラハム「身体の方は奴の方が遥かに精強か……だとしてもッ!」
962 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/25(金) 20:29:38.02 ID:Yw/Uqu8AO
十三度目の交錯、イナクトの肩先を蒼弾が掠め、フラッグの頭部頭頂部が僅かに削れて散る
僅かな拮抗が、二人を苛つかせた

グラハム「このままでは埒があかん……!」

ヤザン「ちっ、まどろっこしいっつうんだよ!」

グラハム「ならば――!」

ヤザン「そろそろ……第2ラウンドと行こうかぁ!!」

大きく旋回、夜空に白い無限大の印を描き、十四度目
両者共に空中変形、ビームサーベルを抜き一直線に相手へと突っ込んでいく

グラハム「でゃあッ!!」

ヤザン「ぬぅッ……!!」

開幕同様二刀で立ち向かうヤザンに対し、グラハムは両手でビームサーベルを握りしめる
再びの激突、その威容に反し、弾かれたのはヤザンのMS
手に握っていたブレイドライフルが、砕けて落ちた

グラハム「反撃体勢の前に押し込むッ!」

ヤザン「嘗めんじゃねえええええ!!」

グラハム「うぉっ!?」

高度を下げたイナクトを、踏みつけ落とさんとフラッグが構えた
だが蹴りは届く前に横合いからの張り手に叩かれ、逸れてすり抜けていく
同時に胸元に叩き込まれた左の拳
装甲がみしりと音を立て、衝撃がグラハムをシートに押し付けた

グラハム「かっ……」

ヤザン「どうだッ!」

グラハム「……逃がすッ……!」

ヤザン「な、に!?」

グラハム「ものかよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

ヤザン「ぬぁぁっ!!」
963 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/25(金) 20:35:08.13 ID:Yw/Uqu8AO
踏み損ねた脚が虚空に揺れる
それでも、確かな何かを踏みしめ大空で堪えた
その重量故に体勢の整わぬイナクト、そのがら空きの胴体にフラッグは飛び込んだ

ヤザン「ぐうううう……!」

グラハム「つう……!!」

ビームサーベルの紅刃がもつれ込み墜ちる二機を照らす
基地のあちこちから呻くような声が聞こえた

皆はようやく気付いたのだ
模擬戦がいつの間にか、純然たる死合に変貌していることに

グラハム「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

ヤザン「つぁああああああああ……!!」

弾けた粒子の光は、二人が離れたことを告げた
離れる瞬間にさえ、刃と刃は五度ほどぶつかりせめぎ合っていた
地表すれすれ、巡航形態による減速と変形
普通なら地表に激突してもおかしくない変態着地を、二機は瞬時に行ってみせる

ヤザン「ふーっ……ふーっ……!」

グラハム「はぁーっ……はぁーっ……!」

互いの距離は五百メートル以上
また二人が踏み込めば、一瞬でその距離はゼロになるだろう

ヤザン「ふ……ふふふふふ………!!」

グラハム「はっ……はははははははっ……!」


肩を大きく揺らし、呼吸をする二人
自然ともれる笑みが、二人の表情を恐ろしい何かに変えていた
964 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/25(金) 20:37:38.72 ID:Yw/Uqu8AO
止めるなら、明確な硬直が生まれた今しかない
だが……誰も前に出ようとはしなかった

グッドマン司令が待機させたMSは、その場に足踏みし一向に進まないでいる
それもその筈だった、彼等の眼差しは、生身の視線で捉えるものと違う存在を見ていたからだ

国連兵士「ひぃっ……!」

――お互い傷つきながらも、相手の喉笛に食らいつかんとする二匹の餓えた野獣
そんなものの間に飛び込む者は、誰もいやしない

恐怖は時に自らを縛り付け、生命の危機から離そうとする
MSという鉄騎の中においては、人の感覚は鋭敏に研ぎ澄まされていく
その結果が、この有様なのだ

グラハム「……!」

ヤザン「しぃっ……!」

二人の呼吸が同時に整う
笑みも消え、決着に向けて思考を巡らせ意識を集中させていく
それと等しく、視線は同じ場所を見つめていた

グラハム(ビームサーベルの粒子残量、もう保たんか)

ヤザン(ちっ、出しっぱなしのフル出力で斬り合う奴なんかいなかったからな)

グラハム(あの装甲を貫くには、プラズマソードでは力不足……このままでは不利なのはこちらか)

ヤザン(強気に振れるサーベルじゃねえと、小回りが利くフラッグには分が悪いな……)

グラハム「ならば、決めるしかあるまい……!」

ヤザン「それじゃあ、決めるしかねえなぁ――!」
965 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/25(金) 20:41:04.87 ID:Yw/Uqu8AO
阿修羅と野獣、お互い一歩も譲らず最終局面

フラッグはライフルを投げ捨て、ビームサーベルを両手に握り正眼の構えを取る
イナクトはスピードでは不利と感じたか、脇にビームサーベルを構え、後手のカウンターを狙う

決めるつもりだ。お互いこれが最後の邂逅になると、心の中で確信した

グラハム「……」

ヤザン「……」

一触即発、時が止まったかのように基地が静まり返った
ただ唯一、世の理の不変を伝えるが如く、風のみが二人の間をすり抜けていく

ビリー「っ…………」

ミーナ「ごくり…………」

高鳴る鼓動が五月蠅いくらいに全身を響かせる
静まれと願うことはない
その時が来れば止まると、二人は知っているからだ

リディ「……ッ……」

フェルト「ぅ…………っ」

そして

グラハム「おぉッッ!!」

ヤザン「はぁッッ!!」

風が、止んだ
966 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/25(金) 20:42:31.79 ID:Yw/Uqu8AO
『――マスター――』

グラハム「……あ……!」

一瞬

二機は一気に最大戦速に到達し、一瞬で距離を詰めた

ぶつかり合う機体、爆発のような砂煙が二機を中心に巻き起こり、周囲を大地の色に染め上げた

ヤザン「……」

グラハム「くっ……!」

ヤザン「グラハム」

ヤザン「てめぇ、何のつもりだ……あぁ!?」

止まっていた風が再び吹いて、砂煙をかき消し去っていく
ビームサーベルの紅刃は一つ、ヤザンのイナクトが握る一振りのみが淡く光っていた
フラッグのビームサーベルは粒子を解除され、ただの柄となり果てている
粒子が切れたのではない。わざと解除したのは明白だった

ヤザン「答えろ、何考えてやがる! グラハムッッ!」

二機は離れ、直後フラッグの手の中から柄が落ちた
ヤザンは血管を額に浮かび上がらせ、一度は引いたビームサーベルをフラッグに突きつける

グラハム「…………」

グラハムは応えない
そればかりか、フラッグの頭部は何かを探すように基地を見つめている
ヤザンの表情が、怒りに歪んだ

ヤザン「嘗めやがって……!!」

イナクトのサーベルが、大きく振り上げられた
967 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/25(金) 20:45:15.35 ID:Yw/Uqu8AO
グッドマン『そこまでだ! もう良かろう!』

ヤザン「!?」

グッドマン『両者素晴らしい戦闘だった、これを以て模擬戦を終了とする!』

その瞬間、大音量のスピーカーが絶妙なタイミングでかけられた
それは決着と見なしたグッドマン司令が、事態を収めようと慌てて放送したものだった
直後、割れんばかりの歓声が基地中から響き渡る
敵を倒さんと振り上げたビームサーベルが、観衆の歓喜を誘う引き金になっていたは皮肉としか言いようがない

ヤザン「なっ……何だ!?」

グラハム「……何とか……収まったか」

最高峰のパイロットの演じる、最高峰の模擬戦
行き過ぎた戦いの落とし所としては、これ以上無い結末になっただろう
呆けている内にイナクトのビームサーベルは粒子切れで刃を失っていく
グラハムは小さく息を吐き、フラッグを基地へと向けた

ヤザン「何言ってやがる……こんな終わり方、納得がいくものかよ!」

グラハム「……」

ヤザン「あ、こら待ちやがれ!」
968 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/25(金) 20:47:05.48 ID:Yw/Uqu8AO
グラハム「良い模擬戦だった……久しぶりに血沸き肉躍る闘いに酔いしれた」

ヤザン「てめぇッ!」

グラハム「……ヤザン、貴様も一端の軍人だろう」

グラハム「まさかライセンサー同士、本気で殺し合っていましたなどと上に報告する訳にもいくまい」

グラハム「私の上司にも……貴様の上司にもな」

ヤザン「ぐっ……」

グラハム「良くも悪くも、これが限界だ」

グラハム「納得してくれ、私はまだライセンサーとしてやるべきことがある」

ヤザン「……」

軋むボディをゆっくりと動かし、フラッグが基地へと歩く
その後ろ、少し遅れてイナクトも動く
近付く度にMSの装甲越しにも歓声が聞こえてくるのを感じる
少しこそばゆい感触が、二人の熱を冷ましていった

ヤザン「……貸しにしとくぜ、誘ったのはてめぇなんだからな」

グラハム「ちっ、こんなところだけはこすずるい……好きにしろ!」

機体から降りると、すぐさま鬼の形相のグッドマンが近づいてくる
パジャマ姿でありながら気迫に満ちた、ヤザンですら気圧されるプレッシャーで二人の前に立つ
しかし周りの盛り上がりように、何か思うところがあったのだろう
指で【次はない】と念押して、その巨体を揺らしながら自室に帰っていった
969 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/25(金) 20:47:45.69 ID:Yw/Uqu8AO
――格納庫――

フラッグを定位置に戻し、グラハム少佐がコクピットから降りてくる
メットを外すと、汗が光の粒のように輝き、散っていった

リディ「お疲れ様です、隊長」

グラハム「助かる」

水とタオルを手渡し、メットを受け取る
グラハム少佐はその場で水を一口飲むと、残りを頭の上からかけて気持ちよさそうに髪をたくし上げる
御満悦の表情は、実年齢よりずっと若く、活き活きとして見えた

グラハム「……ふぅー……」

マスコミ受けの悪さに反し、男女問わず人気の高い人だ
汗を拭く動作一つにさえ、つい見惚れてしまう
不意に、グラハム少佐がこちらを向いた
見とれたのが恥ずかしくなり、少し視線を逸らしてごまかした

グラハム「マリーダは?」

リディ「それが、俺に水とタオルを渡してそのまま中に……」

グラハム「だろうな……舌の根も乾かぬ内のことだ。怒るのも合点がいく」

リディ「何のことです?」

グラハム「男女の間柄を詮索するのは感心しないな、リディ少尉」

リディ「……本当に何かあったりとか……?」

グラハム「安心しろ、何もない」

リディ「…………」

グラハム「心配性だな、お前は」
970 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/25(金) 20:50:12.30 ID:Yw/Uqu8AO
ビリー「グラハム!」

ミーナ「何やらかしてんのよあんた! まだ昨日今日の話じゃないのよ!?」

ダリル「隊長ーッ!」

続々と人が集まり、あっという間に少佐を囲んで群がっていく
身動きが取れない詰め物状態、少佐は窮屈そうにしながらも、静かに笑っていた

グラハム「……賑やかだな」

リディ「当然ですよ。いきなり隊長がヤザン大尉と殺し合うんだから……冷や汗かきました」

フェルト「やっ、やっぱりそういう戦いだったんですか……?」

ダリル「隊長、水臭いですぜそんな!」

グラハム「リディ……」

リディ「あ、いや……!」

グラハム「案ずるな、本当にただの模擬戦だ」

グラハム「少し熱が籠もりすぎただけのこと、結果は御覧の通りだ」

ジョシュア「御覧の通りというより……御覧の有様って感じだな」

ミーナ「フラッグもベコベコだしねー」

グラハム「……兎に角、何もない。何もないと言っている!」

グラハム「明日からまた戦場だ、今日はもう休め」

フェルト「でも……!」

グラハム「そんな泣き腫らした目で言われてもな、せっかくの可愛い瞳が霞んでいるぞ」

フェルト「か、からかわないでください! もうっ」
971 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/25(金) 20:52:50.36 ID:Yw/Uqu8AO
そう誤魔化すと、すぐにグラハム少佐は人混みを抜けて小走りで基地に入っていく

「ま、また徹夜だぁ……!」

「フレームの歪みとかどうすんのよこれ……」

後ろからは整備班の各チーフがうずくまり、嘆きの声を上げている
それを無視し、追いかけそうになるフェルトの肩をとっさに掴んで引き留めた

リディ「待ったフェルト、隊長の言うとおりだ」

フェルト「でも、リディだって感じたでしょ!? あんなの、グラハムさんじゃ……」

リディ「その辺のリカバーも兼ねて、お二人の邪魔をしちゃいけないんじゃないか?」

フェルト「あ……」

フェルトの言うことはもっともだった
事実、あの死闘が模擬戦だったなどと思っている人間は、グラハム隊の中には誰もいない
マリーダ中尉がいないことが、それを確信づけてさえいた
何時もと変わらないグラハム少佐を見ても、不安は残った

ダリル「……だからこそ、あの人に任せようぜ」

ジョシュア「そういうこった……ファァ」

タケイ「…………」

先輩方は、何も問題ないという表情で基地に帰っていく
きっと彼等は、自分などよりずっと信頼しているのだろう
グラハム・エーカーという男を、そしてマリーダ・クルスという仲間を――

フェルト「……」

フェルトも最後には納得したように、ミーナと並んで帰っていく
気丈な、優しい子だと思った
972 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/25(金) 20:54:20.11 ID:Yw/Uqu8AO
リディ「……」

模擬戦の間中、ずっと声が聞こえていた
本当にささやかで、必死に耳を澄まさなければ聞こえないような小さな声
闘いに呑まれていたグラハムを引き戻した、かけがえの無い声を

それが誰の声かは、解っていた
だからこそ、追わせなかったのだ

リディ「良いよな……ほんと」

風が耳元をすり抜ける
胸の中の靄が抜けていくような気がした
今なら、家もしがらみも捨てて、もっと高く飛べそうだ
掴めそうな気がして、夜空に手を伸ばした

――基地内・グラハム自室――

グラハム「やはり、そこに居てくれたか」

扉の前、中には入らず寄りかかる
金属の板一枚隔てて、彼女はそこにいた

マリーダ『……』

グラハム「やはり……怒っているのか」

マリーダ『約束をしていただいた……故に大丈夫だと安心したのは間違いでした』

グラハム「……」

マリーダ『でも、今はもうそんなことどうだっていい……』

グラハム「マリー、ダ?」

マリーダ『あなたは留まってくれたから――私の声で、戻ってきてくれたから』

マリーダ『今は、それが何よりも嬉しい……』

グラハム「……そうか」
973 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/25(金) 21:17:52.97 ID:Yw/Uqu8AO
グラハム「あのとき私は……ヤザンを殺し勝つことしか考えられていなかった」

グラハム「あの男の気迫と、イナクトの意志に呑まれていたのだと今は感じる」

グラハム「闘うことしか考えられないワンマンアーミー……私は自らが最も目指してはならない場所に、片足を突っ込んでいたんだ」

グラハム「知ろうとしてまんまと引きずり込まれていたのだ、情けないことにな」

マリーダ『……』

グラハム「……私は、自分の意識一つ取っても自由に出来ない、至らない男だ」

グラハム「お前はそんな私の隣にいてくれる……正直、救われる」

マリーダ『……はい……マスター』

グラハム「感謝する、マリーダ」

マリーダ『勿体無いお言葉です――私こそ、こんな私を側に置いてくださり、感謝しています』

グラハム「……明日も早い。もう休め」

返答の代わりに、扉が開いた
涙の痕を残したまま、笑って彼女は横をすり抜けていく

グラハム「おやすみ……マリーダ」

その小さな背を見送り、自らも部屋に入る
甘い匂いがまだ残っているように感じ、はにかむ顔をそのままにベッドに飛び込んだ



今は、まだこれでいい
いつか必ず、過去を断ち切ってみせる
そう誓い、瞳を閉じた


To Be Continued




ジンネマン「……駒は、全て揃った」

ジンネマン「反撃だ。目標、国連軍前線基地」

ジンネマン「敵戦力を壊滅させる!!」

ジンネマンの叫びに、その場にいた全ての兵士が呼応し拳を突き上げた
その背後には、モノアイを有した大量のMS
これならば勝てる、希望と共に闘志が沸き起こるような気がした

カークス「いよいよ……か」

ジンネマン「これがこの紛争の、最後の戦いになる」

ジンネマン「勝って終わりにしよう……ジーク・ジオン!」

『ジーク・ジオン!』

『ジーク・ジオン!』
974 :>>1 ◆FnwJR8ZMh2 [saga]:2011/11/25(金) 21:20:55.26 ID:Yw/Uqu8AO
投下終了だフラッグファイター

なんかデレすぎな気もする、EP4の反動だなこりゃ

残りは雑談などで潰してくれ、質問などもあれば受け付ける
新スレは終わり次第建てよう
ではまた、新たなる空で逢おう
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) :2011/11/25(金) 21:25:43.22 ID:6ACO/w780
乙!!
ジっジオンだと!?
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 21:27:54.00 ID:QsAUdqD+o


最近更新ペース早くて嬉しいな
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [saga sage]:2011/11/25(金) 21:28:50.22 ID:7WurEvGg0
乙!
ジーク・ジオン!
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/25(金) 21:31:13.68 ID:N4si22ZGo
ヤザンは流石だったな、乙乙
そして次回ついに大きな変換点を迎えるようで楽しみだ
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/25(金) 21:33:13.29 ID:OY+yCUZO0
乙!
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(群馬県) [sage]:2011/11/25(金) 21:50:09.06 ID:36/fM3hQo


高クオリティできちんと更新してくれるし
かわいいマリーダさん描く人もいるし
ここはいいスレだな
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 22:24:41.37 ID:HhEFQzKIO
乙!ターンシリーズはユニコーンと敵対すんのかな?

このスレ読んでいると紅茶党のはずなのにコーヒーが飲みたくなる不思議。しかも、クソ不味いやつが飲みたい。
まあ、和風割烹着マリーダさんが淹れてくれれば不味くても……。

982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(宮城県) [sage]:2011/11/25(金) 22:49:45.92 ID:s96Nknpko
乙乙

そういえば確かにブシドーとヤザンは近しいものがあるね→戦闘狂
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 22:52:13.12 ID:UGqICmNSO
乙乙
いやーリアルタイムで読んでたらヤザンにやられるんかとドキドキしたわ
先が楽しみ楽しみ
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/25(金) 23:13:02.97 ID:uMEX8+rwo
これだけ面白いのに、まだ2期じゃないんだよな…
985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県) [sage]:2011/11/25(金) 23:16:42.35 ID:6vMkek5no
一期から二期まで4年あるからな
映画はその更に二年後・・・
楽しみだなフラッグファイター
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 23:32:30.29 ID:CxzbcJPDO
乙!

しかしバナージやユニコーンは出てくるんだろうか?
ユニコーンは兎も角として、バナージはセルゲイ達おっさんキャラと相性良さそうではあるけど…
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 23:33:14.66 ID:hrpWP66x0
マリーダさんがいるのにグラ公がブシドーになる未来が想像できん・・・
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 00:09:08.45 ID:mI0orOcIO
マスターって言うと今だにアレが思い浮かぶな。「貴方が私のマスターか?」ってやつ。
ttp://imepic.jp/20111125/860080
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(宮城県) [sage]:2011/11/26(土) 00:10:33.76 ID:+3aFuM4co
SSF
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 00:20:42.43 ID:ktPSgHoSO
>>988
くっそやられたしwww
サントラ2、REMIND YOUがすごくいいんだが
歌詞がちょっとぞっとする
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(茨城県) [sage]:2011/11/26(土) 00:36:18.03 ID:LKXTL2sno
グッドマンがカッコいい上司に見えるww

992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海・関東) [sage]:2011/11/26(土) 11:56:35.05 ID:aPHCSPPAO
グッドマンさんこの調子だと2期の頃には心労で痩せてるんじゃね?
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県) :2011/11/26(土) 17:01:17.27 ID:d97Jlbt40
>>987
なるにしても原典とは違う動機かもな
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 19:50:08.20 ID:VTNP4jEh0
>>987
裏を返すとだな…
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 22:46:43.09 ID:VTNP4jEh0
どこぞのスッドレのせいでマスターとマリーダさんの石破ラブラブ天驚拳を幻視してもうたwwwwwwww
…はあ、いつか「マリーダさんを幸せにしてください!」は無理、って宣言してましたっけね
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/27(日) 00:14:37.42 ID:N62i7joDO
そういえば人食いにはあの人所属してんだろうか?中の人は別の人で出てるけどさ。
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/27(日) 21:09:28.86 ID:L03mjcF50
どれほどの性能差であろうと!
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 04:18:27.10 ID:O28vWQm+0
今日の私は!
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) :2011/11/28(月) 14:40:59.15 ID:SdcGx20AO
俺を踏み台にした!?
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(徳島県) [sage]:2011/11/28(月) 15:11:12.70 ID:6DtVEQKHo
マリーダ「了解、マスター」グラハム「マスターとは呼ぶな!」三機目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322459920/
1001 :1001 :Over 1000 Thread
                      ''';;';';;'';;;,.,                  ブーーー
                       ''';;';'';';''';;'';;;,.,   ブーーー
       ブーーー            ;;''';;';'';';';;;'';;'';;;
                     ;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;; ;;'';;'';;;
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ブーーー         /⌒ヽ/⌒ヽ/⌒ヽ /⌒ヽ/⌒ヽ/⌒ヽ            ブーーー
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       イレ,、                                                      http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/
1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
マリーダ「了解、マスター」グラハム「マスターとは呼ぶな!」三機目 @ 2011/11/28(月) 14:58:40.77 ID:SdcGx20AO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322459920/

僕は友達が少ない @ 2011/11/28(月) 13:00:42.50 ID:1ZFoJeJ/0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1322452842/

年下ラヴァー 〜(非)リアな姉と時々妹〜 @ 2011/11/28(月) 12:46:17.44 ID:fNEqP/Sqo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1322451977/

元カノと寄りを戻したい @ 2011/11/28(月) 11:21:53.45 ID:GmmUzvfTo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1322446912/

凶華の茶のしずく石鹸 @ 2011/11/28(月) 06:52:29.65 ID:BZlP3OhSO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1322430749/

お前らが諦めてる事って何? @ 2011/11/28(月) 04:24:40.64 ID:YIxFT7uDO
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予測変換しりとり @ 2011/11/28(月) 02:28:20.63
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勇者「ハーレム言うなって」魔法使い「2だよっ!」 @ 2011/11/28(月) 02:11:37.30 ID:Pg5Fg1gP0
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