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おさかな目録? -
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1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/24(日) 08:27:36.92 ID:Xyb7XGHi0
とある魔術の禁書目録の登場人物がおさかな、つまり水生生物の雑談をする。ただそれだけのSSです
コンセプトは『さかなくん先生が禁書SSを書いたら?』ですが、ストーリー展開もラブもエロもバトルもありません
それってSSなの? とか禁書でやる意味あるの? とかその辺は置いといてお楽しみいただければ幸いです
また、生き物の話なので、人によっては不快感を覚えるネタがあるかも知れません。ご注意下さい
一回の投下は以下の三つのパートで構成されていることが多いです。合わせても4〜6レスくらいです
第一部 上条当麻とインデックス インデックスは解説役。上条さんは質問とたまに軽いセクハラ担当
第二部 超電磁砲の四人組 『食』がテーマが多い。役割分担は特に無いけど、白井黒子はゲテ物担当
第三部 一方通行と打ち止め 一方さんの長い解説は読むのが大変かも。オチ担当ゲスト有り
そんな感じの「水槽を見てたら思いついたけど使えなかったネタ」、略して『水槽ネタ』の世界。いただきます
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/
木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
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こんな恋愛がしたい 安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/
エルヴィン「ボーナスを支給する!」 @ 2024/04/14(日) 11:41:07.59 ID:o/ZidldvO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713062467/
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/24(日) 08:31:35.24 ID:Xyb7XGHi0
とりあえず、これまでとある総合スレに投下したものを貼っていきます
一回分ずついきますね
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/07/24(日) 08:33:15.75 ID:Xyb7XGHi0
☆
「なあインデックス、どうしてウナギは長時間水の外で生きていられるんだ? アレって魚なんだろ?」
「突然どうしたの? とうま」
「いや、なんとなく。なんでだろうなって」
「よくわかんないけど、ウナギはエラ呼吸以外にも皮膚呼吸が異常に発達しているからじゃないかな」
「あのぬるぬるに空気中の酸素が溶け込んで、それで呼吸するってことか。んじゃあドジョウも同じなのか?」
「ドジョウはエラと皮膚だけじゃなくて、口から空気を取り込んで腸で酸素を吸収できるんだよ」
「へえ〜、じゃあドジョウがオナラするのは腸呼吸しているからだったんだな。あ、そうだドジョウと言えばドジョウ豆腐」
「ほえ? ドジョウが入ってるお豆腐のこと?」
「水を張った鍋に豆腐と生きたドジョウを入れて火に掛けると、熱さから逃れるためにドジョウが豆腐に飛び込んでいくっていう」
「出来上がりは見た目ただの湯豆腐だから、生臭が禁じられてたお坊さんが好んで食したってのは作り話みたいだよ?」
「そうなのか? まあ言われてみれば豆腐に潜る前にドジョウが茹で上がっちゃいそうだけどな」
「うんうん、ドジョウの潜る性質を利用した拷問なんてのはあるんだけどね」
「拷問? どんなことをするんだ?」
「それは……えっと……ど、ど忘れしちゃったんだよ!」
「(完全記憶能力……)そっか、ど忘れなら仕方ないよな。そうだ、シマドジョウって知ってるか?」
「日本中の河川にいる小型のドジョウの仲間で、日本産淡水魚には珍しく観賞用として欧米への輸出もされてる魚だね」
「さすがインデックスだなあ。そう、小さいんだよ。子供用だよな」
「え?」 「え?」
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/07/24(日) 08:34:07.32 ID:Xyb7XGHi0
☆
初春「サザエのグルグルの部分って、お店で出てくるときなんで捨てておいてくれないんでしょう……」
佐天「ワタのこと? アレがおいしいんじゃない!」
初春「私はどうも苦手です。見た目気味悪いですし苦いじゃないですか」
白井「ワタは新鮮ならほのかに甘みがあって御刺身でもいけますのよ?まあ、苦い部分もありますけど」
御坂「新鮮なサザエかあ。この辺りではなかなか手に入るものじゃないわね」
佐天「あ、じゃあじゃあ、淡水の貝類はどうですか? タニシとか」
御坂「タニシって、テレビで見る水田のふちにがっつりケバケバしいタマゴつけてるアレでしょ?なんかイヤだなあ……」
白井「お姉様、それはスクミリンゴガイ、通称ジャンボタニシといって一般に食用とされるタニシとは別物ですの」
初春「古くから日本で食用とされてきたのはマルタニシとオオタニシいう種類ですね」
白井「だけど、淡水貝は寄生虫や病原体が心配だから生食は絶対ダメですのよ」
御坂「時間をかけて泥抜きしてからしっかり火を入れる必要があるわけね。御味噌汁や、サザエみたいに壷焼きもいいかなあ」
佐天「そう言えば、タニシ類は卵胎生かつ子沢山なんですよね。だからメスのタニシは肉の中に沢山の子貝……」
初春「すとーっぷ、佐天さんすとっぷ!」
御坂「大体想像出来ちゃったわよ……まあギリギリセーフ?」
白井「まあ、そういう食感をお好みでしたらカワニナがオススメですわよ? ジャリジャリバリバリ感は他の淡水貝の追随を」
「……」 「……」 「……」
白井「あら? 皆さん、どうかなさいまして?」
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/07/24(日) 08:35:06.25 ID:Xyb7XGHi0
☆
打ち止め「ねえねえ、どうしてギンブナにはメスばかりなのって、ミサカはミサカは質問してみる」
一方通行「あァ? ンな事ワザワザどうして俺に聞く?」
打ち止め「ほら、この雑誌のプレゼントクイズの問題なんだってばって、ミサカはミサカは理由を述べてみたり」
一方通行「人を検索エンジン扱いしてンじゃねーぞ、クソガキ!」
打ち止め「……」
一方通行(ヤベ、言い過ぎたか?)
打ち止め「知らないならそう言ってくれればいいんだよって、ミサカはミサk」
一方通行「なめてンじゃねェえええ!!! イイだろう教えてやる、せいぜい覚悟しろってンだ!」
打ち止め「覚悟するともさ、ってミサカはミサカは計画通り!」ニヤリ
一方通行「端的に言えば3倍体のギンブナは雌性発生で繁殖するからなンだが……ふむ、ちっと噛み砕いて説明すンぞ」
打ち止め「どんとこーいって、ミサー」
一方通行「通常、オスとメスがいる生き物は御互いの遺伝子を半分ずつ出し合って子供を作るンだが、細胞の中の遺伝子が
偶数セットある場合はソレでいいよなァ。だが奇数だった場合は半分にする事が出来ない。3倍体ってヤツだな。
こォいう生き物は基本的には一代限りの命なンだが、ギンブナは3倍体であるにも関わらず、とある手段で繁殖に
成功してる。タマゴをオスの遺伝子を受け取らずに成長さしちまおう、って方法だ。そうすると通常の雌雄交配で
行われる遺伝子の混ぜ合せもなく、メスの遺伝情報がまるごとコピーされて子供が生まれる。結果、メスばかりに
なったってワケだ。わかったかクソガキ!」
打ち止め「お、おう!……え、あれ? それってもしかして」
一方通行「あァ、そォいうことだな……。メスの遺伝情報をまるごと受けた子供は、遺伝子レベルで母親と同じ。クローンだ」
打ち止め「……そうなんだ。あれ? じゃあオスのギンブナって全く居ないのかなってミサカはミサカは当然の疑問を提示する」
一方通行「イヤ、オスとメスで繁殖を行う2倍体も少しは居るンで、ゼロじゃねェよ」
打ち止め「でも少ししかいないんだね。なんでクローンの方が多くなったの? ってミサカはミサカは新たに質問してみる」
一方通行「そりゃよォ、厳しい自然界で繁殖期に成熟したオスとメスがタイミングよく出逢って交配するより、メスだけで勝手に
ポンポン増えるほうが簡単だからじゃねェの?」
打ち止め「ふーん、ってミサカはミ……10032号、『魚類も恋は大仕事です、フナなのにコイってぶふぃー』って面白くないよ?」
一方通行「やっぱり妹達も聞いてンのか……っと、3倍体クローンの繁殖にオスが完全に必要ねェってわけじゃねェからな」
打ち止め「ほえ?」
一方通行「むしろギンブナのオスは大変だぜェ。メスが産んだタマゴはオスの遺伝子をきっかけに成長をはじめンだわ。
受け取るわけじゃなくきっかけとしてだけどな、だが必要には違いねェ。だから繁殖期にはあちこちでメスが
オスをフェロモン出して誘ってくる。数少ないオスをなァ。まるでどこぞの三下みてェな話だが……」
打ち止め「クローンにモテモテ、ってワケだねってミサカはミサカはどこぞのヒーローさんを思い浮かべてみる」
一方通行「まァ、オスの数が全然足りないから仕様がねェンだけどな。けどここでウラ技がある。3倍体のタマゴにとって
オスの遺伝子はきっかけに過ぎない、どうせ受け取らないンなら同じギンブナのオスの物じゃなくても構わねェ
だろうと。例えばニゴロブナとかキンブナとか、そういう近縁のオスをフェロモンで誘って済ませちまうのが
むしろ一般的らしィな。そのほうが競争相手も少ねェからな」
番外個体「ほうほう、それはつまり第2、第3のヒーローで妥協するみたいな?」
一方通行「……ウマヅラハギは淡水魚ですらねェ!!!」
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/24(日) 08:38:07.41 ID:Xyb7XGHi0
以上で一回分です。山も谷もありません。誰も得しません〜
7 :
Hhdh◇ml5A
[sage ]:2011/07/24(日) 09:02:29.51 ID:Xyb7XGHi0
第二回分も書き直し終わったので貼っておきます。それとトリ? って言うのコレ、付けてみた
8 :
Hhdh◇ml5A
[sage saga]:2011/07/24(日) 09:05:15.79 ID:Xyb7XGHi0
☆
「なあインデックス、お前タガメって食べたことあるか?」
「とうま? 一般的に食用とされるメンダーはタイワンタガメって言って日本のタガメとはちょっと違うんだよ」
「そうなのか。でもタガメには違いないんだし食べられないことはないんだろ?」
「強い毒があるわけじゃないから、実際に食べる人もいるみたいだね。オスのメンダーはキンモクセイの香りがするみたい」
「カメムシ目だもんな、ニオイもあって当然だろ。そういえばアレ、かなり強い虫なんだぜ」
「現出したとある悪魔が、陸海空を征し自身の数倍の体重の獲物を仕留める事の出来るタガメこそ最強の生物だ、って言ったらしいよ」
「悪魔? なんだそりゃ」
「なんでもないかも。ところで日本ではタガメを始めとした水生カメムシ類は多くが絶滅危惧種なんだよ」
「都市化やそれに伴う水質汚染なんかで生息域が減少したのが原因だろうな」
「広大で浅く綺麗な水溜りなんてもうめったに見れないもんね」
「ちょっとした田舎でもアメンボしかいないもんな」
「とうまも、ウエドッチとかシタドッチって知らないんじゃない?」
「馬鹿にするなよ?ミズカマキリのことだろ。長い触角と長い尻尾のある長細い体のせいでどっちが頭か分らないっていう」
「な、なんで分ったのかな……? 方言なんだよ、それ」
「へっへー。生き物の地方名ってのは結構いい加減でオカシイ名前が多いから何となく覚えちゃうんだよ。タイコウチの地方名とか」
「とうま!! それ以上は口に出すべからずなんだよ!!」
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/07/24(日) 09:07:54.01 ID:Xyb7XGHi0
☆
佐天「橋の上から川を見ると、魚の群れがウヨウヨしてることがあるじゃないですか。あれって食べれる魚なんですかね?」
初春「さー、どうでしょう? 都市型河川の場合、コイを大量に放流することがあるみたいですが」
白井「綺麗になった川をコイが悠々と泳ぐ、そんなイメージ戦略でしょうけど。コイは相当な汚水でも平気な魚だというのに」
御阪「むしろ水底を引っ掻き回して水草をダメにしちゃったり、環境的にはマイナスも多い放流なのかもね」
白井「それはともかく、コイならもちろん食用。場合によっては高級魚扱いもされますわね」
初春「ただ、底棲魚類は雨の後のニオイと同じ成分を体内に蓄積してますし、生息地によってはその度合いが増します。結構クサイです」
佐天「時間をかけた泥抜きとニオイの元を分解する必要があるのね。食べるのにかなり手間がかかるなあ」ムー
御坂「河川の中流域で見つけた群れなら、オイカワかもしれないわね」
初春「地方によってはハエ、ハヤ、シラハエ、ヤマベなんて呼ばれるみたいですね。カワムツやウグイと混同されることもあるとか」
白井「まあ、学名に雑魚って付くくらいどうでもいい扱いの魚ですから。遊びで川釣りをなさる方には人気のようですけど」
佐天「で、それ食べれるんですかね?」
初春「オイカワは……食べられなくはないと思いますけど、もしこの魚が美味しかったら佐天さんどうします?」
佐天「え、そりゃあ網でも持ってきていっぱい捕まえて……あ、そうか」
御阪「沢山いるのに誰も捕まえないんだから、味は期待できないって事よね」
佐天「残念だなあ。やっぱりそんな旨い話はないよね……」ハァ
初春「佐天さん……。あ! ありますよ! 沢山いてしかも美味しい魚! 遡上を狙うんです!!」
御阪「遡上って、鮭とかアユとか? そりゃその辺りは味は保証済みだけどさ、沢山捕まえ放題って感じじゃないわよ?」
白井「それともマイナーなところでカワヤツメなど? アレも近年漁獲高が減って来ているとか。美味しいですけど」
初春「いえいえ、そんな一級品やググるな危険を用意したりはしません! 私がオススメするのは『ボラ』です!」
佐天「ボラ? あー、時々ニュースで川を大量に埋め尽くす魚って出てくるアレ? ……全く良いイメージ無いんだけど」
御阪「いやいや、なるほどね〜。ボラは確かに美味しい魚よ? コイと同じく水底系だから生息域によってはニオイがあるけど」
白井「かなり大きな魚ですし、調理に際して特別な処理も必要ありませんわよ。確かにオススメですわね」
御阪「焼いてよし、揚げてよし、煮てよし、刺身でよし。タマゴはカラスミの原料だし。初春さん、いいとこ突いてくるわね」
初春「なにより、普通すぎて大量発生でニュースにならない限り誰も注目しない魚なんです。普通な佐天さんにピッタリです!」
佐天「」
御阪「いや、でもほら、ボラは出世魚だしさ……」
佐天「アタシの行き着く先はトドですかあああああああああああああああああああ!?」
10 :
Hhdh◇ml5A
[sage saga]:2011/07/24(日) 09:09:31.41 ID:Xyb7XGHi0
☆
打ち止め「ねえねえ、ザリガニって美味しいのかなあ?ってミサカはミサカは突然疑問を投げかけてみる」
一方通行「なンだァそりゃ? お前最近俺をホンキでナメてンな?」
打ち止め「ミサカは日本の自然と農業、そして漁業を真剣に考えているんだよってミサカはミサカは大真面目な顔でアピールしてみたり!」
一方通行「くっだらねェ。なーンでそれがザリガニの味と関係すンだっつーの」
打ち止め「はっ、あなたは1から10まで説明しなければ理解が出来ないんだねってミサカはミサカは……痛っ、グリグリはやめてー!」
一方通行「ったく、調子にのンな。で、結局何が言ィてェンだよ?」
打ち止め「うぅ〜……。んとね、ここでいうザリガニはおよそ90年前に輸入されてきたアメリカザリガニのことなの」
一方通行「聞いたことあンな。食用のウシガエルのエサとして仕入れたザリガニが20匹だけ逃げ出して爆発的に繁殖、日本中に広まったって」
打ち止め「その話は全く真実味がないよね、ってミサカはミサカは陰謀説を仄めかしてみたり」
一方通行「まァ、ブラックバスみたいに誰かの暗躍があったのかもな。ンな事ァ今更どうでもイイが」
打ち止め「とにかく日本全国に一気に広がったアメリカザリガニは色々な問題を起こすの、ってミサカはミサカは両手でチョキチョキ」
11 :
Hhdh◇ml5A
[sage saga]:2011/07/24(日) 09:10:47.36 ID:Xyb7XGHi0
一方通行「雑食性で繁殖力が強く、天敵が少ねェから他の生物は堪ったもンじゃねェ。水棲昆虫や両生類、魚卵に稚魚まで食い尽くす。
それは植物も例外じゃねェ。ハサミで切り倒されて朽ちて土に返る事すらなくヤツラの食料になっちまう。というか朽ちた
植物すら食べるンだったな。そンな多様すぎる食性を持ってるからどンな環境でも棲息しちまう。河川、湖沼、水溜り、池
それに農業用水に水田にドブ川。タニシに匹敵するタフなヤロォだ」
打ち止め「結果としてアメリカザリガニが増えるとアメリカザリガニしか居なくなるの、ってミサカはミサカは誇張表現を使ってみたり」
一方通行「言い過ぎじゃねェよ。実際そォなっちまうとザリガニは共食いをして命を繋ぎつつ別の場所を探すンだがな。そォいや本場
アメリカじゃコイツらの対策ってあンのか?」
打ち止め「天敵のブラックバスがいるアメリカでは爆発的発生はあんまりないみたい。それを日本でも真似てザリガニ対策にバスを放流
したって例もあるんだって、ってミサカはミサカはバッカじゃねェの? って柄にも無く毒づいてみたり」
一方通行「逆にバスを駆除したからザリガニが増えたじゃねェか、とか言い出すヤツもいるだろォからその辺にしとけ。ンで? 増えすぎ
たザリガニは水田では稲を切り倒したりもするらしィが。それでどォすンだよ、駆除かァ? 確かアメリカザリガニは特定外来
生物に指定されてねェんだろ? 日本の侵略的外来種ワースト100には選ばれてどォして要注意生物なのか知らねェが法的には
それほど脅威じゃねェって扱いされてンじゃねェか」
打ち止め「そうなの、だからこそだよ! 積極的に駆除するまで法律が動いていないんだったら、捕っちゃえばいいんじゃないかって」
一方通行「なるほどな、そこで最初に話が繋がるワケか。ウマイかどォか」
打ち止め「そういうこと、美味しいなら沢山捕って数を減らそうってミサカはミサカは今夜はエビフライがいいと希望を述べてみたり」
一方通行「アメリカザリガニは食える、それは間違いねェ。原産国アメリカじゃ名物料理になってンしフランス料理にだって使われる。
寄生虫が怖いつってもそりゃ全ての淡水生物に言える事だ、火さえ通せば問題ねェ。大きさのわりに食えるトコが少ねェが
そォいうもンだと割り切りゃイイ。肝心の味もマズくはねェらしィな。けどよォ、じゃなンで誰も捕らねェ?」
打ち止め「え……っと」
一方通行「イメージが悪ィンだよ。ドブ川に棲ンでる生き物ワザワザ食わなくても誰も困らねェくらいには豊かな国だしなァ。それと
泥ン中で生活してるンで調理の前には長時間泥抜きしなくちゃいけねェ。そのまま使える旨いエビが売ってンなら誰しもが
そっちを選ぶンじゃねェのか?」
打ち止め「そっか……食べつくして環境保護作戦は難しいかあ、ってミサカはミサカはあの美味しそうな赤色を恨んでみたり!」
12 :
Hhdh◇ml5A
[sage saga]:2011/07/24(日) 09:13:37.46 ID:Xyb7XGHi0
一方通行「考え方は悪くねェけどな。っと、あの赤色はカロチノイド由来だ。ザリガニが元から持つ色じゃねェ」
打ち止め「え、えっと、ビタミンAってこと?」
一方通行「ここではその理解でイイ。動物は基本的に作れない成分だよなァ。他にも鮭の肉の色やフラミンゴの色もそォだったっけ。
カロチンを原料にして作るアスタキサンチンってやつだ。エビの場合にはそれとそれにタンパク質をくっつけた青い色素
カロチノプロテインってやつが合わさって体色が出来上がってる。エビやカニを茹でると赤くなンだろ? アレはカロチノ
プロテインのタンパク質が加熱による変性でアスタキサンチンを離しちまうからなンだわ」
打ち止め「カロチノイドで赤を作って、赤にタンパク質がくっつくと青くなって、青のタンパク質が壊れると赤……」ブツブツ
一方通行「そこでだ。もしザリガニがカロチノイドを含まないエサで育ったらどォなる? アメリカザリガニの赤い色はどんどん失われ
次第に青くなり、更には白くなっちまうンだぜ。植物性のエサを避けてアジやイワシなンかで育てれば誰にでも出来ンぞ」
打ち止め「白いアメリカザリガニ!? なんだかとっても可愛い気がするって……あ、でもビタミンAを抜くってことなんだよね?」
一方通行「あァ、皮膚や粘膜の正常な分化、粘液の精製を司るんだったかなァ。そォいう白いザリガニは実は栄養失調って事だな」
打ち止め「し……死んじゃあダメだよ!ってミサカはミサカは思わず抱きついてあなたの体を心配してみる!」ダキッ
一方通行「は、離せクソガキ、俺が白いのはカロチン不足じゃねェよ!……多分」
打ち止め「だってお肉しか食べないし、そういう理由か!ってミサカはミサカは天然さんじゃないあなたの白さがちょっぴり不安なの」
一方通行「ったく。大体なァ、肉だってカロチノイド貯めてる部位食やァ補給出来ンだよ。エビやカニでもイイしな。それと言っとくが
天然の白いアメリカザリガニだって居るンだ。突然変異個体だが、アルビノって言うなよ?」
打ち止め「アルビノは先天的なメラニンの欠乏だよねって、ミサカはミサカはあなたはそうじゃない事を再確認してみたり」
一方通行「あァ……多分な。天然の白いザリガニは何らかの原因でアスタキサンチンの赤い色が発現してねェって事だ。だからエサで
白くしたザリガニと違って栄養失調状態だったり弱ったりしていねェ可能性もある。だが自然界は厳しい。雪山でもなきゃ
白い色の生き物なンて目立っちまうからなァ。当然外敵に襲われやすいンでそういう個体は寿命まで生きらンねェだろォな」
打ち止め「……頑張ったんだねってミサカはミサカは……」ダキッ
一方通行「俺は大丈夫だっつってンだろォが! ……もう、大丈夫なンだよ……今は」
ガチャっと『ただいまー』
番外個体「ちょっとお、 言われたとおりザリガニ沢山捕って来たんだけど、コレどーしたらいいのかな?」ビチビチビチビチビチビチ
芳川桔梗「エビフライ楽しみだわ。でも凄かったわよ、こうビビビッって。アレも電気漁っていうのかしら?」
一方通行「……せめて話を全部聞いてから行けェ!」
13 :
Hhdh◇ml5A
[sage saga]:2011/07/24(日) 09:25:55.50 ID:Xyb7XGHi0
というわけで2回分の過去作でした。
第二回分の最後のパート、カタカナ語がいくらなんでも多すぎました。
ところで、各ネタは本編の登場人物や出来事に見立ててることがあります。単なる自己満足です
コレってアレのことじゃねえ? とか思ったらたぶんそういうヤツです
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/07/24(日) 09:41:09.27 ID:RM6Twd6AO
いいねェいいねェ最高だねェ!
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/07/24(日) 09:46:35.85 ID:2PFA2jsv0
おお立ったか
総合の時から見てたぜ!
支援
16 :
◆TdiQuuMc9o
[sage]:2011/07/24(日) 10:00:44.81 ID:QpJvwyuAO
ほんとにスレ立てキテター
期待しちゃうんだからね
だがしかしそれは酉ではない
名前欄に「#(半角シャープ)」に続けて適当な文字を打ち込むんだ
変な文字列は勝手に生成してくれる
ちなみに↑は「#ざりがに」な
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2011/07/24(日) 10:53:59.01 ID:qd9rMsGAO
チンボキリは広島訛だったかな?
てかいちいち上手いな、ちょくちょくでクスリと来るww
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2011/07/24(日) 11:30:58.69 ID:0LccFguAO
海洋大生が通りますよっと
19 :
Hhdh◇ml5A
[sage saga]:2011/07/24(日) 11:54:30.87 ID:Xyb7XGHi0
おお、こんなに反応あるなんて。ありがたい限りです
>>16
おぉお! こんなカラクリがあったのね。覚えておきます〜どうもです
>>17
何のことかわかんないですけど? そっちじゃないトコはさむ名前もアルヨー
>>18
コレは頼もしいです。あくまでネタなので生物情報がかなり歪曲する場合があるので
明らかな間違いなどありましたら指摘してくれたりしたら・・・いや、出来たらでイイデスヨ
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/07/24(日) 12:36:09.17 ID:J3rgVlYAO
なにこれ支援
21 :
◆96XoVRe9oA
[sage saga]:2011/07/24(日) 14:18:11.33 ID:Xyb7XGHi0
教えてもらった酉も新たに、第三回と四回分貼っておきます
22 :
第三回
[sage saga]:2011/07/24(日) 14:22:55.19 ID:Xyb7XGHi0
☆
「なあインデックス、ナマズって何であんなに可愛いんだろうな?」
「へ……と、とうま? 今日はさすがに何を言いたいのか全然判らないかも」
「いやな、あの平ぺったい顔といい、つるっつるの肌といい、最高じゃないか!」
「とにかく、ナマズの話をすればいいのかな? ナマズの凄さに驚いて聞き終わったら嫌いになるかも」
「ふっ、面白い……。俺のナマズ愛を打ち砕けると思うなら、何処からでもかかって来るがいい!」
「その熱意、気味が悪いんだよ……。まあいいや。えっと……まずは、多くのナマズ目は電気魚なんだよ」
「え? 発電細胞を直列繋ぎ状態にして高電圧を発生させるデンキナマズとかの話じゃなくて、か?」
「そう。電気魚というのは強力な発電が可能な種に限らず、弱い発電を持続的に行うだけの魚、自らは発電しない魚も含むんだよ」
「弱い発電ってのは自家発電で出来た電場が乱れる様子を感知して視界不良でも周りの状況を確実に掴むための能力だよな」
「だね、『れえだあ』みたいなものだよ。で、発電しないタイプは獲物が発生する微弱な電気を感知するだけなんだけど」
「そういう微弱な電気を感知する能力があれば電気魚と呼ばれるわけか。で、ナマズもそうだっていうのか?」
「うん。他にはロレンチーニ器官を持つサメやエイなんかも含まれるの。電気魚はその能力で100万分の1秒すら知覚できるんだよ」
「へえ〜、ナマズは軟骨魚と同じような器官を持ってるってわけか。でも別に嫌いになるようなことじゃないぜ?」
「む! いい、とうま? 例えばデンキナマズは最高350〜500Vもの高電圧で人間だって麻痺させちゃうんだよ!?」
「……、え? なんだ。全然大したこと無いじゃないか」
「とうまは別の意味で麻痺してるかも……今日はこの辺にしておくんだよ」
23 :
第三回
[sage saga]:2011/07/24(日) 14:24:12.16 ID:Xyb7XGHi0
☆
佐天「聞いて下さいよ。この間実家からカニを送ってもらったんだけど、ハサミが一本無かったんですよ!」
初春「カニのハサミ一本は大きいですね〜。そういえばそういう怪我したカニは治るんでしょうかね?」
白井「カニやエビ、ザリガニなどは外敵に襲われた際にハサミを自ら切り落としてその隙に逃げるんだそうですわよ」
御坂「で、無くなったハサミは脱皮するごとに徐々に再生していくみたいね」
佐天「へえ〜。じゃあさ、カニはお腹が減ったら自分のハサミを食べればいいんじゃないですか?」
初春「そんな、タコの自足喰いじゃないんですから」
白井「タコが自分の足を食べた時はいつもと違って生え変わらない、なんて話もありますわよ?」
御坂「そうそう迂闊に手脚を切り落とすなんてしないほうがいいってことね、当たり前だけど」
初春「ですねえ、そもそも脚の欠損がそのまま回復するような生き物は下等動物に限られるんじゃないですかね?」
白井「プラナリアやコウガイビルなら切り分けた数だけ元の形に再生するんですの」
佐天「うげっ、体を3分割したら3匹に増えるって事ですか……それって記憶はどうなるんですか?」
御坂「そういう生き物の脳は神経節だっけ、全身で記憶する感じだから。結果全ての個体が同じ記憶を持つことになるかな?」
佐天「ふーむ。で、結局脊椎動物ではそういう驚異的な再生は出来ないんですかね?」
初春「トカゲの尻尾切りは有名ですけど、生え変わったシッポには骨がないんです。完全な再生とは言えませんね」
白井「うーん……いえ、居ないことは無いですわ。脊椎動物でありながら高い再生能力を持つもの」
御坂「なんだろ? 想像も付かないわね。教えて黒子」
白井「その生き物、異名も高き『半裂き』ですわ」
佐天「なんですかその、ジーンズの片脚切っちゃいました!みたいな名前の生き物は!?」
初春「んー、どこかで聞いた気が……あ! 思い出しました。サンショウウオの事ですね!」
御坂「捕まえたサンショウウオを引き裂いて半分食べて残りを川に流すといつの間にか元の姿に……って話だっけ?」
白井「実際はそこまで化け物ではありませんけど、脚が何本無くなっても再生可能な生き物なんですのよ」
御坂「へ〜、両生類ってやっぱりスゴイのね。でも黒子、アンタよくそんなこと知ってたわね」
白井「ええ、ちょうどこの間イモリの黒焼きを購入する際にサンショウウオの燻製も一緒に入手いたしましたので」
初春「イモリの黒焼きはホレ薬として使われますね。とするとサンショウウオは精力剤でしょうか?」
白井「そうなんですの、ですけど燻製では余り効果が無かったようで。やはり生のまま丸呑みしていただかないと……あ゛」
御坂「アンタは誰でその効果を試したのかしら????」ビリビリ
24 :
第三回
[sage saga]:2011/07/24(日) 14:25:10.02 ID:Xyb7XGHi0
☆
打ち止め「ねえねえ、この間のアメリカザリガニの大発生みたいな話が聞きたいなってミサカはミサカはおねだりしてみる」
一方通行「はァ? この間って……部屋中ザリガニだらけになったアレか……チッ、今度は何でだよ?」
打ち止め「えとね、良くも悪くも大量発生して繁栄している生き物っていうのは強いと思うの」
一方通行「まァな」
打ち止め「その生態を知ることで、ミサカ達の今後の生き方の指標が出来るかなってミサカはミサカは人生設計してみたり!」
一方通行「ふーン……だが、タメになるかどォかは知らねェぞ?」
打ち止め「教えてくれるの? やったー!ってミサカはミサカはクルクル回って全身で喜びを表してみたり! で、どんな生き物?」
一方通行「タニシ」
打ち止め「」
25 :
第三回
[sage saga]:2011/07/24(日) 14:26:17.24 ID:Xyb7XGHi0
一方通行「日本でアメリカザリガニが大量発生したよォに、アメリカで日本のマルタニシとオオタニシが大発生してンだってよ」
打ち止め「タニシは淡水に居る小さな巻貝だよねってミサカはミサカは今更ながら確認しておく」
一方通行「あァ。で、大発生の原因もザリガニと似ていて、日本人移民が異国の地でも故郷の味を、とタニシを放流したのが
元らしィな。日本でも古くからタニシを食ってたンだが移民は19世紀末からなンで100年以上の歴史があンな」
打ち止め「淡水生物は人の手による移殖以外では遠距離移動しにくいからねってミサカはミサカは補足してみたり」
一方通行「海がフェンスになるからな。ンじゃ問題。北米での大発生を支えたタニシの強さってなンだ?」
打ち止め「ほえ?? うーんと、外敵の攻撃から身を守る硬い殻と、乾燥を防ぐ蓋かな?」
一方通行「不正解。硬い殻? ンなもンはカニの腕力やコイの噛み砕きの前じゃ無意味なンだよ。それと乾燥だって万全には守れねェ」
打ち止め「そっかあ、炎天下の石の上に居たら乾燥しなくても壷焼きになっちゃうもんねってミサカはミサカは再び思案……」
一方通行「時間切れだァ、正解はその食性の豊富さ。タニシは雑食性、と言うと普通だがここでは文字通り『何でも食べる』だ。
肉だろォが魚だろォが植物だろォが何だか分ンねェ有機物だろォが、なンでも栄養に出来る。で食べ方も豊富なンだ。
植物や肉を削り取って食べる、水底の沈殿物を掬い取って食べる、水をエラで濾して浮遊物を集めて食べる。こォいう
食性があったからどンな場所でも、例え他の生物が棲めねェ低栄養な環境でさえ、生き残ることが出来たってわけだ」
打ち止め「へええ。魚が無ければ草を、草も無ければ水底のゴミを、それも無ければ水中の浮遊物を、かあ」
一方通行「そォいうことだ。オマエラも一つの事だけに囚われ過ぎると、万が一ソレを失ったら脱け殻みたいになっちまうからな」
打ち止め「次々と目的を持って生きていけ、ってことだねってミサカはミサカは余りに真っ当な教訓に正直ビックリしてみたり」
ガチャっと『ただいまー』
番外個体「で、お約束どおり大量に捕ってきたわけだけど、どうしたらいいのかな?」バケツ イッパイ
芳川桔梗「このジャンボタニシはタニシとは無関係なんだけどね。食べても美味しくないらしいし」
一方通行「……コレがタニシ的生き方だァ」ウンザリ
26 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/07/24(日) 14:33:35.62 ID:Xyb7XGHi0
以上が第三回です。最初のパートで中途半端だったナマズ話の完結篇が次回です。
ちなみに、ジャンボタニシことスクミリンゴガイ。作中では美味しくないとか書いてますが実際は
他の淡水生物同様、生息環境次第だったりします。
では、問題作の第四回。ナマズ話です
27 :
ナマズ話
[saga sage]:2011/07/24(日) 14:35:00.79 ID:Xyb7XGHi0
【前回のおさらい】
とうまは、いつもいつも変なことを言うんだけど、今回は度が過ぎてたんだよ。「ナマズ可愛い」ってなにそれ?
だってナマズだよナマズ。あんなヌルヌルで扁平で美味しくて危険で食べやすくて、ってそんな事はどうでもいいんだよ!
魔道書図書館たる私の淡水魚知識を使ってナマズがどれだけ凄い魚かとうまに理解させて、二度と可愛いとか言えないよう
にしてやるんだから。覚悟するんだよ、とうま!!
で、とりあえずナマズ目の多くが電気魚だって紹介したんだけど、ここでおさらいしておくね。
電気魚とは
1)獲物の発する微弱な電気を感知することが出来る感覚器(ロレンチーニ器官など)を持つ
2)常時自ら微弱な電気を起こし、発生した電場の乱れる様子から周囲の状況をレーダーのごとく捉えたり
同種の魚と電気コミュニケーションを行う(弱電気魚)
3)瞬間的に獲物や外敵を攻撃するための高電圧を発生させる(強電気魚)
このうち(1)さえ持っていれば電気魚である、と言えるの。あ、もちろん(2)が出来る魚は当然(1)も
出来るし、(3)が出来る魚は全ての能力を持ってるんだよ。
強電気魚は有名なデンキウナギやデンキナマズ、弱電気魚はアロワナ目のいくつか、自ら発電しない(1)だけの魚は
サメやエイ、チョウザメやハイギョなどが該当するんだよ。ナマズは大体(1)かも。これら電気魚はその優れた能力で
人間には絶対不可能な100万分の1秒単位の知覚が可能なんだよ。
総じて電気魚って古代魚と呼ばれるタイプに多いのかも。ではではそろそろ本編に行くんだよ!
28 :
ナマズ話
[saga sage]:2011/07/24(日) 14:40:35.37 ID:Xyb7XGHi0
「あの〜、インデックスさん? おさらい部分ちょっとクドくないでせう?」
「とうまはうるさいんだよ! 電気とかは子供にも判るから紹介しやすいんだよ、ホントはまだ書き足りないんだよ!!」
「えっと……なんでそんなにキレてるんだか分んねーけど、まあいいか。じゃ、どんどんいこうぜ」
「『そなあ』的なウェーバー器官の説明は面倒だから省くんだよ。ナマズは『れえだあ』常備な魚、って認識でいいかも」
「ふむ、ところでナマズの仲間って多いのか?」
「魚類全体でいえばナマズ目は種類数で世界第三位のブランドだね」
「ナマズは第三位かあ、何故だか分らないけどしっくりくるな。ちなみに他の順位はどうなってるんだ?」
「2位はコイ目、1位は断トツでスズキ目だね。純淡水魚に限ればナマズ目がトップなんだよ」
「へえ〜、ということは世界中の淡水にナマズの仲間が居るってことか?」
「うん、基本的にどんな山奥の湖だろうが砂漠の小さな小川だろうが洞窟の水源だろうが、ナマズは居るんだよ」
「世界に広がるナマズネットワーク……。大陸移動説の根拠とかになりそうだな」
「その多様性は進化の不思議を読み解く鍵にもなるのかも。次は本当は怖いナマズの話なんだよ」
「ナマズの怖い話? 地震を起こしているのは地面の下に住むオオナマズ、とかじゃないよな?」
「それはナマズが天変地異の前なんかに大暴れする様子から昔の人が想像したお話だけど……」
「地震などの直前に暴れる理由は実際まだ良くわかってないんだってな」
「うん。だからそういう話じゃなくて、ナマズは素手で触ると痛い目をみるよってこと。多くのナマズはトゲがあるんだよ」
29 :
ナマズ話
[saga sage]:2011/07/24(日) 14:41:47.90 ID:Xyb7XGHi0
「トゲ? 針みたいなアレか。ツンツンしてる」
「うん、背びれや胸びれに付いてるんだよ。かなり鋭いから刺さるとちょろっと血が出たりするかも。毒を持つのも居るし」
「うげぇ、痛いのは勘弁だなあ。って何? 毒??」
「ゴンズイって海に戻ったナマズの仲間はトゲに毒があるから絶対に触っちゃダメだよ。本体が死んでいても毒はあるから」
「あの派手なゴンズイはナマズの仲間だったのか。明るいところで固まってゴンズイ玉なんか作ってるくせに」
「ナマズは臆病で夜行性が多いから意外かもね。ゴンズイの毒は怖いよ。刺されると熱が出たり腫れ上がったり大変なんだよ」
「死亡例も無くはないからな。海水浴に行くなら特に気をつけようぜ」
「でも、もっと恐ろしいナマズも世界には居るんだよ!」
「もっと怖いナマズ? っていうとジャングルの奥地に居るという女性の股間を襲う『感じるぅう!ナマズ』のことか?」
「とうま! その魚は冗談じゃなく恐ろしいヤツなんだよ! それと感じる、じゃなくて『カンディル』!」
「そうそう、それそれ(まさか実在するとは……)。で、どんなナマズなんだ?」
「魚釣りや水遊びなどで川に入った人や、川で用をたそうとした人の……、開いてる部分から体内に侵入して食べるの」
「た……食べるって人の体をか? ふざけるなよ! そんなトコ食べられたら大変なことになるじゃねえか!」
「カンディルはアンモニアに反応するから、とくにその辺りから侵入してくるんだよ。細長い体も侵入に丁度いいしね」
「と、ちょっと待てインデックス。ナマズにはトゲがあるんだったな? じゃ、一度侵入されると……」
「そう、トゲが釣り針の返しみたいに引っかかって取れなくなるの。引っこ抜くのはまずムリだね。急いで外科処置しないと」
30 :
ナマズ話
[saga sage]:2011/07/24(日) 14:42:50.97 ID:Xyb7XGHi0
「……えーと、その、カンディルの描写は過激になる恐れがあるのでこの辺にしておこうか」
「南アメリカのジャングルで川に入る事さえなければ大丈夫かも。そういう人食いナマズが居るってコトだけ覚えといてね」
「よし! やっぱり日本のナマズだよ、可愛い可愛い日本のナマズの話をしようぜ!」
「はっ……趣旨を忘れかけていたんだよ。じゃ、次はいわゆるナマズ、俗に言うマナマズを紹介するね」
「そういえばナマズは何を食べて生きているんだ?」
「日本の淡水魚としては珍しいほぼ完全な肉食魚なんだよ。獰猛で旺盛、淡水のサメって感じだね」
「ふーん、似たような感覚器官を持っていたし、サメと近い仲間なのかもな」
「だとしても種が分かれて数億年、ってレベルの話だから余り意味がないかも。あ、釣りの対象としてもナマズは人気だね」
「釣りねえ。エサは何を使うんだ?」
「ルアーかな? 生き餌を使うならカエルが一般的みたいだね。ゆさゆさ揺らしてたら飛びついてくるんだって」
「あの……インデックスさん、この話のオチが大体読めてきたのですが」
「そんなの最初からバレバレなんだよ。気にしたら負けかも」
「んー、まあ仕方がないから続けるか。で、釣ったナマズを食べるとして、ナマズって旨いのか?」
「ナマズは小骨が少なく匂いが無く、低脂肪高蛋白でクセの無い上品な白身魚だね。専門店じゃないと中々食べられないけど」
「確かにどうやって処理すればいいかとかわかんねえな。でも美味しいのか……。あと水槽で飼ってる人も多いみたいだな」
「マナマズも飼われてるけど、観賞用のナマズの仲間は豊富だからね。それと信仰の対象になってる地域があるね。九州とか」
31 :
ナマズ話
[saga sage]:2011/07/24(日) 14:43:37.65 ID:Xyb7XGHi0
「とうとう神様になるナマズまで出てきやがったか。凄え、凄えよナマズ!」
「ふふっ……、食用、釣りの対象、観賞用、進化や大陸移動説などの研究材、そして信仰の対象」
「なんて利用価値の豊富な魚なんだ、魅力が多すぎて可愛いとか言ってる場合じゃねえええええ!!」
「そうなんだよ! 分ってくれたみたいでうれしいんだよ、とうま。じゃ最後に、ナマズの特徴をまとめておくんだよ」
電気魚で、ツンツンしてて、世界中至るところに居て、利用価値が非常に高い、カエルが大好きな第三位のブランド魚
「というわけで、あのビリビリは」 「短髪は」
『ナマズをパクッていたんだよーーーーー!!!』ドーン
32 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/07/24(日) 14:52:45.90 ID:Xyb7XGHi0
以上、三〜四回分でした。
ナマズ話は、何かを考証する時に、最初に結論ありきで始めると筋書きに都合のいい理屈ばかりが目に入って
結論がイイカゲンになりがちだよね、って警告だったりするわけもなく、ただのナマズ話なのです。
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/07/24(日) 15:34:21.71 ID:J3rgVlYAO
かまちーに見せたいレベルで御坂だなwwwwww
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/24(日) 15:44:40.90 ID:F3nLS9Iuo
乙、これはすばらしい
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/24(日) 15:57:37.66 ID:dPgNFvPC0
乙
流石「5スレ」宣言しただけある
支援
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/07/24(日) 16:10:16.51 ID:MvIGPOePo
何これ期待
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(香川県)
[sage]:2011/07/24(日) 16:15:27.80 ID:Rca8DLpx0
スレたてたのかー
期待
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2011/07/24(日) 19:22:59.05 ID:0LccFguAO
ナマズは俺も好きだ
部活のサークルの企画で霞ヶ浦で釣りをして採ったが、泥臭かった
39 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/07/24(日) 21:10:46.97 ID:Xyb7XGHi0
なんだろ、ウケてるのか?・・・いや、まだわかんねえぞ。何しろ新作は書きあがってないんだし!
とりあえず、今後しばらくは過去作を修正し一日一回分ずつ投下して時間を稼ぐ予定です。ストックすぐ無くなりますけどね!
>>35
何のことですか? な、何のことですか? こんなの5スレもネタが持ちません!(主にオチが)
>>38
ナマズも淡水魚ですから、絶対臭わないってワケにも行かないようですね。情報感謝ですー
ではご期待に沿えるかどうか分りませんけど、また明日ー
40 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/07/25(月) 20:06:19.84 ID:USp6H7Zd0
第五回分、投下します。テーマは「みんな。何かを忘れてる」です
ヒル話が加筆されてます、ちょっと気持ち悪いかも。
41 :
みんな。何かを忘れてる
[saga sage]:2011/07/25(月) 20:07:42.06 ID:USp6H7Zd0
☆
「なあインデックス、川や用水路にヒルっているだろ。アレは一体どんな悪意の産物なんだ?」
「とうま? 生きとし生けるものは全て我らの父の愛によって守られる尊い存在なんだよ、でもヒルはダメだよね」
「ああ、何しろ見た目がアレだからな。それに血を吸うってなんだよって話」
「あ、でも単に吸血ということだけであれば水生生物には珍しいことではないんだよ」
「へ〜、たとえばどんなのが生き血をすするんだ?」
「とりあえず、簡単にヒルの説明をするね。大きく分けるとミミズの仲間だから、体がたくさんの節で出来ているんだよ」
「ふーん、ナメクジのような軟体動物とは違うんだ。それであいつらやたら丈夫なんだな……」
「引っ張っても千切れないし、陸生のヤマビルなんて踏んづけても潰れないらしいね。その不死身の肉体、まさに吸血鬼かも」
「……ん? まあいいか。で、ヒルはどうして血を吸うんだ? 破裂するくらい吸ってるけどそんなに血ってウマイのかな」
「味は置いといて、実は人間から吸血するヒルは日本には三種しかいないんだよ。チスイビル、ヤマビル、ヌマビルだね」
「へえ。確か日本にはヒルが数十種類いるって話だから、割と珍しい食性なんだな。となるとますますなんで吸血なんだろう?」
「確かな事は言えないけど、例えばヤマビルは数ヶ月〜1年に一度の吸血で生きていけるんだって。血って栄養豊富なのかも」
「むしろそれはヒルの生命力を評価する話かもな。ところで咬まれてるときは、実際どんな風になってるんだ?」
「人の体に吸盤状の口でへばり付いたヒルは、口の中の鋭い歯で皮膚を食い破り、ヒルジンなどの血液凝固阻害物質を注入しつつ…」
「…………、」
「血が止まらないようにして吸い続け、その間に水を排出して成分を凝縮しながら、約一時間のお食事が終わるとコロンと離れるの」
「ヒルに咬まれた後、血が止まらないのはそういうカラクリだったんだな……。しかしキツイ話題だぜ」
「唾液に麻酔成分があるから咬まれた事も分らなくて、気が付いたら血まみれなんだよね。吸血量はせいぜい2〜3mlくらいだけど」
「血まみれで気付くのもイヤだけど、靴を脱いだら何匹もヒルがくっついていたら……いや、やっぱりダメだ。許せねえ!!」
「吸血で、ヌメヌメで、汚れた水に棲んでいて、知らないうちに血塗れにされる、とか嫌われ要素が多すぎるからね。でもねとうm」
「んああああああ、もういいだろヒルの話題は! もっと爽やかな吸血生物の話をしようぜ、なっ!」
「……、分った。私も正直ヒルの話は辛いんだよ。ケルススとか先端医療の話とか考えてたけど、話題を変えるね」
42 :
みんな。何かを忘れてる
[saga sage]:2011/07/25(月) 20:08:32.68 ID:USp6H7Zd0
「さてさて、他にはどんなカワイイヤツラが生き血を啜るのですかなインデックスさん?」
「いつか話題にした水棲カメムシ類、タガメやアメンボは吸血どころか蛋白質を溶解する酵素を使って肉まで吸っちゃうんだよ」
「……意外と怖いじゃねえか。アイツら確か麻痺毒で獲物を動けなくするっていうし」
「うんうん、あとはホタルやトンボの幼虫も同じような食性だね。水生昆虫はほとんどそうなっちゃうかも」
「ええい、ちっとも爽やかじゃねえよ! 昆虫は無し、他のにしてくれよ!」
「むー、でもとうま? 血を吸うって言うだけでかなりの嫌悪感があるんじゃないかな。爽やかってのは無理かも」
「……、そっか。そもそも蚊やノミだって見た目だけなら悪くないのに嫌われ者だし。無茶な事言っちゃったな、ゴメン」
「いいんだよ。あ、ちなみに体内寄生虫や肉食獣は当然血を摂取するけど、吸血生物ではないからね。吸うってことが大事なんだよ」
「あくまで食性、というか食べ方で分けられるってことだな。で、他にはいないのか?」
「ええと、脊椎動物ではカワヤツメがそうだね。大きな獲物に、吸盤状の口でへばり付いてチュウチュウしちゃうんだって」
「傍目からだと巨大なヒルが憑いてるみたいに見えるんだろうな……、吸血方法もそっくりだし」
「繰り返しになるけどカワヤツメは検索注意なんだよ。人によっては見た目が激しくアウトな生き物だから」
「近縁のヌタウナギの英名が鬼ババアってのも頷けるよなあ……っと、もうそのくらいか?」
「まだまだ居るんだけど、ねえとうま。私たち大事な何かを忘れてないかな。このテーマに欠かせないような……」
「吸血生物を語る上で。欠かせない事? ん〜。いや。心当たりは無いけど?」
「忘れるようなことだったのかも? まあ。別に問題ないんだよ」
43 :
みんな。何かを忘れてる
[saga sage]:2011/07/25(月) 20:09:57.43 ID:USp6H7Zd0
☆
佐天「そういえばこの間、弟が渓流でイワナのつかみ取りをしたよってメールして来ました。そんな季節ですねー」
初春「涼しそうでいいですね〜。イワナは美味しいし、楽しそうです」
白井「つかみ取りというと他にアマゴやニジマスなどが使われますわね。なにか関連性があるんですの?」
御坂「ん〜……強いて言うならそれ全部サケの仲間よね。あ、サケのつかみ取りしてるトコもあるわよ」
佐天「サケのつかみ取り?? そりゃまた豪快ですねえ〜。で、なんでサケの仲間がつかみ取りには使われるんでしょう?」
初春「そうですねぇ。食べるための遊びですから、食味が良く可食範囲が大きいというのが理由かもしれませんね」
白井「確かにサケ類は食用魚としてはトップクラスの人気ですわね。日本ではその種類も多いんですのよ」
御坂「私、それにはちょっと疑問があるんだけどね。サケ目サケ科はワンパターン過ぎるのよ」
初春「そう言われてみるとサケとマスの明確な違いって無いんですよね。英名の和訳くらいしか根拠が無かったり」
白井「生息する湖の違い以外、見た目も生態も変わらない物が異なる魚種で登録されていたりするんですの?」
御坂「そういうことよ。北海道のサケ類なんてほとんどどれも同じ……いや、もういっそのこと全部シャケって呼べばいいのよ」
佐天「そ、それは言い過ぎだと思います!! サケ類だって種類ごとにちゃんと違いを認めてあげるべきです!」
白井「ま、まあ、少し前に話題になった絶滅したはずのクニマスだってサケ類ですしね。これはお姉様が少々悪いのでは?」
初春「そうですよー、他にも今は外されちゃったけどキュウリウオ目やニギス目だって昔はサケの仲間だったんですから」
御坂「そのアユやハゲイワシの仲間が外れたせいでサケ目はサケ科だけになったんだけどね。でも確かに言い過ぎたわ、ゴメンね」
佐天「いえ、私も熱くなっちゃって。あ、あと、皆さん忘れてますよ。日本最大の淡水魚もサケ類です。なんて名前だっけなー?」
初春「それって、天然物はほとんど誰も見た事がない絶滅寸前のイトウのことですか?」
佐天「……名前だけで良いんじゃないかな、初春。まあとにかく2m以上にもなるらしいですよ。油が乗って美味しいですし」
白井「食用に養殖もされてるんですのね。あ、一応触れておきますけど、サケ目は全て白身魚ですわね」
御坂「サケの身があんな色なのはザリガニと一緒ね。……それにしてもさあ、今回オチがないのよね……どうしようかしら?」
鮭という字は魚へんに圭。うおけい、うおっけい、おっけー、だからオチがなくてもオッケー! どばーん。
白井「無理に落とそうとすると大怪我しますから、たまにはこんな終わり方もいいですの」 『ですよねー』
44 :
みんな。何かを忘れてる
[saga sage]:2011/07/25(月) 20:11:10.95 ID:USp6H7Zd0
☆
打ち止め「ねえねえ、ホタルでお部屋をいっぱいにしたら綺麗だよねってミサカはミサカはアニメを見過ぎてみたり!」
一方通行「……やらねェし、今回だけは番外個体にも捕まえに行かせンなよ? ホタルを捕まえンのは万死に値すンだよ」
打ち止め「う、うん。分ったってミサカはミサカは聞き分けのいい振りをしてとりあえずやり過ごしてみる」
一方通行「洒落じゃなく今回だけは捕獲すンな、コレだけは絶対守れ。約束破ったら許さねェからな」
打ち止め「わ、分ったよ!ってミサカはミサカはあなたの真剣すぎる態度にますますホタルのことが知りたくなってみたり」
一方通行「良し、説明してやる。どォしてホタルは捕まえちゃいけねェのかしっかり理解しろよォ」
一方通行「と、その前にホタルそのものを良く知っておかねェとな。ンじゃ問題、日本のホタルと言えば?」
打ち止め「楽勝だよー、ゲンジボタルとヘイケボタルだよねってミサカはミサカは速攻即答大正解ー!」
一方通行「まァ、代表的なのはその二種だな。コイツらは淡水で幼虫時代を過ごすンだが、これはむしろ珍しい種類なンだ」
打ち止め「ほえ? 他のホタルは幼虫時代から陸に居るの?」
一方通行「そォだ。だからゲンジボタルなどは水ボタルって言って陸生の物と区別すンだ」
打ち止め「ふーん、でも確かホタルの幼虫の好物は貝だよねってミサカはミサカは博識を披露してみる」
一方通行「あァ。陸生の幼虫はカタツムリを食うのが多いらしィ。水中のほうが貝が多いからと川へ進出したのがその二種だ」
打ち止め「その水ホタルの幼虫は年を越して春に川から出てくるんだよね?」
一方通行「だな、そして夏まで待機だ。ちなみに産卵直後の卵と前蛹期以外は光ンだぜ。サナギもな」
打ち止め「へえ〜って、ミサカはミサカは光るサナギって正直どうなのって思っちゃったり」
一方通行「何を主張してンだか分らねェよな……。そしてゲンジボタルなら上陸後1〜2ヶ月、ヘイケなら2〜4週で羽化だ」
45 :
みんな。何かを忘れてる
[saga sage]:2011/07/25(月) 20:12:40.36 ID:USp6H7Zd0
打ち止め「ホタルの生態は何となく理解したけど、それでどうして捕っちゃいけないのかなってミサカはミサカは質問してみる」
一方通行「良く聞いとけよ。まず第一にホタルを追うのは危ねェんだよ。ホタルが一番湧くのは雨の直後の湿度の高い夜だ。
暗く視界の悪い中、地盤も弱く水位も高い。そンな時に水辺に行くのは、背の低いガキには殆ど自殺行為なンだよ。
いいか? 覚えとけ。ガキが雨ン中で川に落ちたらまず助からねェンだぞ」
打ち止め「う……うん、ミサカは気をつけるよ……。他にも理由があるの?」
一方通行「あァ。第二に、ホタルの成虫ってのは繁殖の為だけに存在してンだ。相手を探して水しか飲まねェで、命がけでなァ。
長くて3週間で死ンじまうその大切な時を、勝手に奪っていい訳ねェだろォ? 水ホタルなら卵は水辺に産まなきゃ
いけねェンだ。見知らぬ部屋で無駄に光って終わらせる権利なンざ誰にもねェンだよォ!!」
打ち止め「う……、ミサカが間違ってたよ、ってミサカはミサカは短慮を深く反省してみたり」プルプル
一方通行「待て、まだあンだよ。例えばゲンジボタルの幼虫はカワニナって巻貝がエサなンだが一匹が生涯で20個ほど食う。
ゲンジボタル一匹の命を無駄にするって事は、カワニナ20個、もし部屋中にホタルを撒こうとすンならお前は一体
どれだけの命を無駄にすることになるンだろォな? お前はそンな光を綺麗だって楽しめるクズなのか? ア?」
打ち止め「……ミサカは、ミサカは、うぅ……ごめんなさああい、ひっく、絶対捕まえたりしないんだからって」シクシク
一方通行「分りゃイイ、ウゼェから泣くな。……、『恋に焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす』って言うだろ?」
打ち止め「……え? 『恋に焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす』? ホタルの光は熱くないよね?」ルシフェリン?
番外個体「うんうん、『恋に焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす』って蛍光灯なら1万度のプラズマだけどね」アッシュク?
芳川桔梗「こらこら、『恋に焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす』、メルヘンでいいじゃない。からかわないの」メッ!
一方通行「……なンでホタルすぐ死ンでしまうン?」 ズーン
46 :
◆96XoVRe9oA
[saga ]:2011/07/25(月) 20:16:21.70 ID:USp6H7Zd0
以上、第五回でした。魚類の話がほとんど出ない、いわゆる中だるみ回だった気がシマス
ではではまた明日ー
47 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/07/25(月) 21:12:46.85 ID:USp6H7Zd0
と、間違いが一つ・・・。2パート目で「イトウ」を天然物を誰も見たことない、とか書いてますけど
場所によってはイトウ釣りが出来る場所があるんでした。お詫びして訂正いたします
イトウさんスイマセンでした。
48 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/25(月) 21:52:19.54 ID:rb9YXT+No
いやノミの見た目は悪いだろww
蚊はゲーム化する程度の人気はあるけど
49 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/07/26(火) 20:25:38.90 ID:0gZLPaqq0
第六回分の投下です。おさかな話が一切ない番外編なので、いつも以上にぼんやり見ていただければいいかと
無かったので第三パートを追加しておきました。それではどうぞ
50 :
おさかな番外
[saga]:2011/07/26(火) 20:27:01.22 ID:0gZLPaqq0
☆
「なあインデックス、スシにはワサビが付き物だけど一体何でなんだ?」
「とうまはホントに日本人なのかな? そんなのサムライ時代から常識だと思うんだけど」
「いえーい、完膚なきまでにバカにされましたよっと。いや、食あたり対策だって事くらいは知ってるんだぜ」
「ふーん、それ以外を知りたいってことなんだね。じゃ、今日はおさかなはお休みしてワサビ講座だね」
「そうだな、せっかくだからワサビそのものにも詳しくなっておくか。あれはどんなものなんだ?」
「あ、その前に。今日はいわゆる本ワサビの話をするから、ワサビダイコンとかのことは自力で調べるんだよ」
「色々ゴチャゴチャ言われると混乱するからさ、まあ好きにしてくれよ」
「うん、わかった。まずワサビはアブラナ科の植物で、日本原産だから奈良時代の書物にも出て来るんだよ」
「日本原産の食用植物って意外と少ないんだけど、ワサビはその希少な例だったんだな」
「そうだね。で、あのツーンとしたワサビは主に地下茎をすりおろしたものなんだけど、ワサビの栽培風景って知ってる?」
「ああ、確か山奥で川の中にワサビが並んで育ってたのをテレビで見た気がするなあ」
「うんうん、それだよ。でもね、ワサビは別に水辺の植物じゃないんだよ」
「へえ、てっきり稲やレンコンみたいな物だと思ってたよ。なんでそんな面倒な育て方をしてるんだ?」
「理由はあの辛味成分なんだよ。最初にとうまが言ったようにワサビは殺菌作用で食あたりを防いでいるんだけど」
「ふむ、じゃあ水に漬けて育てるとより辛くなるとか、か?」
「違うよ。ほとんどの植物は根に菌根菌を付けてるの。菌は植物の成長を助けて代わりにデンプンを得るっていう共生関係だね」
51 :
おさかな番外
[saga]:2011/07/26(火) 20:27:45.88 ID:0gZLPaqq0
「窒素固定をする根粒菌とかの話だな。……あ、そういうことか。畑で育てると周りの作物の菌を殺して枯らしてしまうんだな?」
「それだけじゃないよ。もし陸地にワサビがあるとワサビ自身も育てなくなるんだよ。ちなみに周辺の土がワサビ味になるんだよ」
「自分の辛味で自分が枯れちゃうのかよ。困ったヤツだなあ」
「だから水辺で栽培するんだよ。辛味成分がどんどん流されていくから、自家中毒を起こさないで大きく育つんだよ」
「強い殺菌力があるってことは分った。他にスシにワサビをつける理由ってあるのか?」
「昔は、ピリっとした辛味と香りで、生臭いネタや味がぼけたネタでも食べられるようにって事だったみたいだね」
「江戸時代はスシは屋台で出ていたんだってな。当然新鮮なネタばかりって訳でもないんだろうし。江戸前の技ってやつか」
「うんうん、でもねとうま。あくまでもおすしにとってワサビは引き立て役なんだよ。無いと寂しいんだけど目立っちゃダメなの」
「そりゃそうだ。ワサビ大増量のスシなんてただの罰ゲームじゃねえか」
「大量摂取すれば人間でも中毒を起こすしね。現代のおすしにとってワサビはネタの味をハッキリさせる為にあると言える、かな」
「味が気に入らないから辛口でネタを殺そうとすれば、ワサビが自分の辛味で枯れちまうようにスシを味わう舌も死んじまうよな」
「おすしは美味しく食べたいよね。だったら嫌なネタは流すのがいいんだよ。そのほうがみんな幸せなんだから」
「よっし、ありがとなインデックス。じゃあ今晩の夕食は奮発して」
「なになにとうま、おすし食べに連れて行ってくれるの!?」
「シャキシャキモヤシのにぎり寿司風、豆もやしの軍艦巻き風、モヤシのソテー入りちらし寿司風の豪華フルコースだあ!」
「……ワサビをお寿司屋さんでは『なみだ』っていうんだよ。そのフルコースじゃあ『なみだ』も出ないんだよ!!!」
52 :
おさかな番外
[saga]:2011/07/26(火) 20:28:32.01 ID:0gZLPaqq0
☆
「白井さん、御坂さんって電撃を光速で撃ち出す事が出来るって本当ですか?」
「ええ、事実ですわよ初春。ご自身でもそのように理解して扱っておられるようですし」
「でも、それっておかしくないですか?」
「はあ? といいますと?」
「電子といえども質量のあるものですから、光速にしたら無限大まで重くなっちゃうじゃないですか」
「小学校で習いましたわね、物質は光速下では無限大の重力質量を持つように見えるって話。で、そこに何か問題でも?」
「無限大の質量を持つ粒子なんてブラックホールみたいなものじゃないですか。でもそういう現象は起きてないようですし」
「ああ、そういうことですの。でしたら電波、のような状態でお使いになっていると解釈するなら問題ないのでは?」
「え、でも電子線って粒子線ですよね? 波形であれば電磁波、それなら光速であっても当然ですけど……」
「確かに電磁波ではレーザーにはなっても電撃とは言えませんわね、ふむ。少々考えて見ましょうか、お姉様の電撃の正体を」
53 :
おさかな番外
[saga]:2011/07/26(火) 20:29:31.32 ID:0gZLPaqq0
「とりあえず、光速で撃ち出されるものである、と決め付けて考察しましょう。そうなると粒子状態ではダメなんですよね」
「かといって波形でもダメ、となると。波形でも粒でもない状態、ということは考えられませんの?」
「どちらにもつかない曖昧な状態の電子を操って光速ビーム砲を……あれ、なんか違和感がスッゴイですコレ」
「ふむー、その状態ではエネルギー量も電荷も定かではありませんわね。別の方向を考えましょう」
「では、この考えはどうでしょうか。御坂さんが扱っているのは電気の性質を持つ別の何か、である」
「また何やら小難しくなりましたわね。つまり、光速になっても既存の物理法則に従わない物質を作り出していると?」
「そうですそうです、私の電撃に常識は通用しないのよ! みたいな。………………、なぜだか物凄い悪寒が。これも違いますね」
「良く考えたらそれは考察の放棄のような設定ですわよ? 他の可能性を当たってみましょう」
「うーん、ところで御坂さん自身は自分の能力の原理を良く理解されているんですかね?」
「当然でしょう初春。LV5がLV5である所以、そのものを疑ってどうするのですの」
「そう、ですよね。いえ、私たちが考えても答えがなかなか出ないから、ひょっとして自分でも良く分らない力なんじゃないかって」
「理屈も分らないままでは加減も何もあったものではありませんの。真面目に考えてくださいまし」
「……となると、こういうのはどうでしょう? 御坂さん自身も私たちも、勘違いをしているっていうのは」
「初春、何を馬鹿な事を言い出すのです。実際は光速で撃ってなどいない、そのつもりになっているだけだ、とでも?」
「ですです、仮に御坂さんが高位の精神系能力者であれば研究者すら巻き込んで事実を誤認させ続けることが……」
「その可能性だけは微塵もあってはならないですの!!! あんなの☆とお姉様を同じ仲間にしないで下さいですの!!!」
「むむ〜〜〜、結局よく分りませんでしたね。まあご本人に聞いてみればいいんですけどね」
「それでもパーソナルリアリティに関わる問題ですから、他人が聞いても理解可能ではないかも知れませんわよ?」
「否定は出来ませんね。それにしても、もし本当に電子を光速で飛ばせるとしたら物凄い能力ですよねー」
「実際そういう装置がありますわね。たしか粒子加速器とか……、これこそ言っちゃいけないような気がするんですの」
「電撃を荷電粒子の玉突きと見做せば光速越えたっていいじゃない! ま、でもたまには頭使うのもいいわよね。ほっとこ」
54 :
おさかな番外
[saga]:2011/07/26(火) 20:30:54.57 ID:0gZLPaqq0
☆
打ち止め「ねえねえ、フルートって楽器は金属で出来てるのにどうして木管楽器の仲間なのってミサカはミサカは訊ねてみる」
一方通行「……ハァ? 俺はバカなクイズ番組の解答者じゃねェ。何でも聞きゃイイってもンじゃねェぞ!?」
打ち止め「あ、さすがにこういう文化的な疑問は答えられないのかな、ってミサカはミサカは聞く人を間違えたと後悔してみたり」
一方通行「ザケンなクソガキ! 質問が安易過ぎンだっつーの。『発音方法による分類』『元は木製だった』、好きな方選びやがれ!」
打ち止め「ちょ、ちょっと突き放しすぎかもって、ミサカはミサカはせめてもうちょっと分りやすい解説をお願いしてみる」
一方通行「チッ……、つまり前者は息を使って演奏する楽器、つまり管楽器のうち唇を閉じて息を吹く時の振動、いわゆるブルブル音を
増幅することで音を出す、日本語で言うところのラッパかどうかって事だ。管楽器でありラッパであれば金管楽器って事だ。
フルートはエアリードつって……、笛はラッパじゃねェから木管楽器ってこった。材質は関係ねェって分類だな」
打ち止め「今、一瞬誤魔化さなかった? ってミサカはミサカはスルーしようかどうか迷いつつ一応聞いてみる」
一方通行「エアリードの正確な説明なンてフルート奏者でも出来ねェンだよ! 空き缶の飲み口に息を吹きかけると鳴る現象、アレだ。
まだ知りたきゃ自分で調べろ。ンで、後者は管弦楽にフルートが登場した当初は木製だったから、今も木管楽器ってこった」
55 :
おさかな番外
[saga]:2011/07/26(火) 20:32:18.66 ID:0gZLPaqq0
打ち止め「ふうん。聞いてみればなーんだって理由なんだねってミサカはミサカは、あ! じゃあ反対に木製の金管楽器ってあるの?」
一方通行「あった、と言うのが正しいのかねェ。例えばコルネットとセルパンって楽器だ」
打ち止め「セルパンっていうのは知らないけど、コルネットって普通のトランペットじゃないの?」
一方通行「楽器名ではこォいう混同がしょっちゅう起きンだよな。そもそもお前の言ってるコルネットとトランペットは別の楽器だし。
コルネットは若干小せェって覚えとけ。で、俺の言ってンのはまた全然別の楽器で、木製の縦笛のような格好をしてンだが
それを強引に金管楽器の唇ブルブル音で鳴らすってヤツだ。音程の不安定さ、音量不足、それらが原因で演奏が難しいなど
様々な理由で現在のトランペットやコルネットに負けて一線を退いた楽器だ。ちなみに、現在のコルネットと区別するため
廃れた方はツィンクって呼ぶ事もあンだってよ」
打ち止め「ツィンクってなんかカワイイ名前だね。そしてセルパンっていうのはどういう楽器なの?」
一方通行「ツィンクはトランペットの音程、つまり高音を担当してンだが一方セルパンは低音、ベース音ってのか? そォいう楽器だ。
原理はツィンクと同じ楽器なンだが、低音域を出すために管を長くする必要がありつつ、且つ一人での演奏を可能にするため
ウネウネと曲げてある。見た目は名前通りセルパン(海蛇)って感じだなァ。コレもまたさっきのと同じ理由で後続の楽器に
居場所を奪われちまったって訳だ。今はセルパンの楽譜はテューバが代わりに担当することが多いンだとよ」
打ち止め「栄枯盛衰、盛者必衰、諸行無常だねってミサカはミサカは風の中の塵のように儚い楽器達を思ってみたり」
番外個体「ベルリオーズの幻想交響曲の『断頭台への行進』でウッホウッホウッホウッホってヤってんのがセルパンだっけ?」
一方通行「……イヤ、ありゃオフィクライデだ。まァ楽譜ではそォ指定されててもテューバが演奏すンのが普通だろォがな」
芳川桔梗「じゃあ同じ幻想交響曲の『ワルプルギスの夜の夢』の Dies irae もそれなのね。弦バスとボントロだけだと思ってたわ」
打ち止め「あのね、みんないつもの見事なツッコミが入るの待ってるんだよ? ってミサカはミサカは催促してみたり」
一方通行「なンでも見境なくツッコむと思ったら大間違いなンだよ! どれ選んでも大怪我すンじゃねェか!」
56 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/07/26(火) 20:36:45.41 ID:0gZLPaqq0
以上、番外編の第六回分でした。第三パートは、音楽用語のカッコよさは異常だよねって思っただけなんです
次回からは通常のおさかな話に戻ります〜。ではまた明日
57 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/07/27(水) 20:37:18.86 ID:eM8LnRjG0
第七回分、投下します。コレと次回分は総合の現行に投下したものの加筆修正版なのですが
多分コッチの方が読みやすいので、既読の方も良ければどうぞ。「帰って来たおさかな話」です
58 :
帰って来たおさかな話
[saga]:2011/07/27(水) 20:38:45.87 ID:eM8LnRjG0
☆
「なあインデックス、スーパーで売ってるシジミって生きてるけど、そのまま水槽で飼育できるのか?」
「とうま? 日本で食用とされるシジミはほとんどが汽水域に生息するヤマトシジミなんだよ。半分くらいは宍道湖産かも」
「汽水域っていうと、河口みたいなの真水と海水が混じり合うトコだよな。ってことは普通の水ではダメだろうな」
「ちょうどいい飼育水を常時用意するのは困難かも。でも、真水でも大丈夫なシジミもいるんだよ。マシジミっていうんだけど」
「ふ〜ん、マシジミねえ。それはちなみに食べられるのか?」
「うん、立派に食用だよ。ただ、汚い水の中でも平気な外来種と間違えやすいから見分けられない場合は食べないほうがいいかも」
「そこまで似てるニセモノがいるんだな。まあそれはいいとして、本物は川に行けば居るのか?」
「だね。本物かどうかは保証しないけど河川の中〜上流、流れのゆるい岸で、砂利や砂地のトコをじっと見ると多分落ちてるよ」
「よーし、んじゃ拾ってきたとしてどうやって飼うんだ?」
「とうま!? 水槽ネタ水槽ネタと言いながら、飼育方法に言及するのってこれが初めてじゃないかな」
「んー、そうだっけ? まあどうでもいいじゃねえか。とりあえずいつものようにマシジミ講座してくれよ」
「飼うとなったらしっかり知っておかないとね。マシジミは繁殖も生活も淡水で行う、雌雄同体で卵胎生の二枚貝だよ。以上!!」
「オイ! いつも以上に適当過ぎやしませんかインデックスさん??」
「あ、いまのはヤマトシジミとの違いを言っただけだから。心配しなくてもこの後ゆっくり説明するんだよ。焦っちゃダメかも」
「くっ……、じゃあ水槽を用意しました。底に砂を敷きました。マシジミを入れました。後はどうするんだよ?」
「底砂はホントに川の砂じゃなくても、赤玉土とか細かい砂利でも水が濁らなければいいかも。次は水草を入れないとね」
59 :
帰って来たおさかな話
[saga]:2011/07/27(水) 20:39:46.95 ID:eM8LnRjG0
「水草ねえ。あ、そういや水槽っていうとポンプとかフィルターとかそういうの要るんじゃないのか?」
「あればもちろんいいんだけどね、特に二枚貝は酸欠に弱いからエアレーション的に。でも今回は無しで、そのためにも水草なんだよ」
「ふむ。んじゃまあ、根を張らないような水草を入れました。水は生息地のもの、無ければ水道水を処理して。次は?」
「シジミは動きが少ない上に、水を吸って栄養を取る生き物だから水流が無いとダメなの。だから酸欠に強いメダカか金魚を入れるの」
「メダカや金魚は水面から底まで良く動くからね……って、オイ! これじゃ普通の金魚鉢じゃねえか! シジミ潜っちまうし!!」
「気づいちゃった……? でもでも、シジミは水を吸って、プランクトンを始めとする汚れの元を食べてくれるんだよ!」
「お陰で水槽の中はいつでもピッカピカって、いやいや。シジミを飼ってるって実感は持てねえのかよ?」
「……あるにはあるんだよ。貝類は死ぬと体組織が溶けて広がるから、すっごく水が汚れるんだよ」
「あんまりだ……そんなのってねえよ! 元気な時は金魚やメダカが優雅に泳ぐ姿を演出し続けて、目立つのは死ぬ時だけなんて」
「ま、まあ、温度だけ、水温が極端に上がりさえしなければ多分そんなに死なないんだよ。水質浄化用に飼う人は割と多いかも」
「夏場は要注意ってことだな、他のおさかなを飼う場合にも言える事だけど」
「うん、水温を下げるのは難しいからね。それにしても派手な活躍は無くても地味にいい仕事するマシジミって素敵かも」シミジミ
「普段全然出てこないけど、その存在感の無さが活躍の証。じっと動きもせず一日中何か食ってるマシジミの話だったけど」
「飼育に関しての内容はかなり省略してるから、ホントに飼いたいって人はちゃんと調べることをオススメするんだよ」
「水替えとか掃除方法とか適正水量とかPHとか、雌雄同体かつ三倍体で雄性発生の自家受精って何? とか、ほんと説明不足だよな」
「私はマシジミだから。一人で何でも解決しちゃうヒーローになっちゃダメなんだよ。目立たないことが大切なのかも」ホクホク
「(マシジミは噛み付かねえし、静かだし、水槽の掃除役だし、エサ代かからねえし、……ここはツッコむトコなのか?)」ブツブツ
「とうま? 何か言いたいことがあるならハッキリ言えばいいんだよ?」キョトン
「イヤ、別に。…………、俺も貝になりてえ、ってな……」
60 :
帰って来たおさかな話
[saga]:2011/07/27(水) 20:40:46.02 ID:eM8LnRjG0
☆
初春「めーんめんメ〜ダカは目がデカい〜、デッカい目っ玉でメダカだよ〜♪」
佐天「いや、ゴメン初春。そんな知らない歌じゃ盛り上がれないよ。それにメダカはかわいいけど、食べれないじゃん?」
御坂「え、佐天さん何言ってるのよ? メダカは地方によっては今も食用だし、昔は胸の薬としても使われていたのよ?」
白井「誤解のないように申し上げておきますけど、胸の薬と言っても肺の病や母乳の出を良くする、って意味合いですの」
初春「だれも誤解しませんよー。ところでメダカって身近なようで知らないことの多い魚ですよね」
佐天「ん、身近って言えるのかなあ? 確か絶滅危惧種なんでしょ?」
御坂「それにはちょっと複雑な事情があるんだけど、まあ地域ごとに大切に保護したい魚ではあるわね」
白井「メダカは特に繁殖行動の面で注目せざるを得ない魚なんですのよ。その点を私、白井黒子が説明いたしますわ」
61 :
帰って来たおさかな話
[saga]:2011/07/27(水) 20:42:36.47 ID:eM8LnRjG0
白井「メダカのオスメスの見分け方は簡単で背びれに切れ込みがあって尻びれ……お腹の下の長いヒレですけどコレが
平行四辺形ならそれはオスですわね。メスは背びれに切れ込みが無く尻びれが三角、繁殖期にはお腹がボテっと
してくるのでそれで判りますの。あとオスの中には胸ビレ……体の大体真ん中の下部にある一対のヒレですけど
コレが黒く変色するものがおりますのでそれも見分けるポイントになるかと。繁殖を観察するならメスに対して
オスを多めに飼育する事をオススメしますわ……。では、ここまで何か質問がありましたら答えますわよー?」
初春「そんなの皆、小学校で習ってますよー、次へ行ってくださーい」
白井「ぐぬっ……、後で覚悟なさい初春! で、寒い冬を越して春に段々と水温が上がってまいりますと20℃を越えた
頃から繁殖が始まり25℃くらいがピークになりますの。このころに水槽内で見られるのがメスを争うオス同士の
戦いですの。オスは自分の力を見せ付けてメスにアピールして、いよいよ交尾……。とても体外受精をする魚類
とは思えない熱い愛の抱擁をするんですの!」
御坂「さっき言ってたオスの背びれと尻びれでメスを横から抱きかかえてね、こう、揺さぶるのよ。タマゴを産むように刺激を与えて」
白井「ええのんかー、これがええのんかー、おっほ、ようけ出したやないか。よしよしオッちゃんが種付けたるさかいなあ、ですの」
佐天「ちょ、白井さん! お店の中でそんな大声で。後ろの人に見られてますよ! ……まあ、それでオスが放精して完了ですか?」
初春「そうですけど、世の中はそんな良い子だけで出来ていないんですよ、佐天さん」
白井「ですの。オス同士の戦いで勝利した個体がメスを獲得しましたけど、負けた魚たちも諦めませんの。彼らはカップルを
遠巻きに見て交尾の時をじっと待つんですの。そしてメスが産卵を始めたら一気に隙を突いて近寄りパパッと放精して
逃げたり、交尾が終わったばかりのタマゴを持ったメスにパートナーの目を盗んで近寄って放精したり。とまあ、一見
かなり情けないことをするんですの」
御坂「メダカの場合はそういう行動をスニーキング、そういうオスをスニーカーって呼ぶわね。ただ似たような事をする魚は
結構居るけど場合によって用語が変わることもあるから注意が必要ね」
白井「で、いろいろあって受精完了したタマゴはメスのお腹の下に10個くらいぶら下がってしばらく大事に守られるのですけど
数時間後には水草や植物の根など簡単に流されない所に付けられて、そこで孵化を待つことになるんですの」
御坂「ただし、メダカのタマゴは川の生き物にとって良質のエサ……、あろうことか産んだ母親もその卵を喜んで食べちゃうのよ」
初春「淡水、しかも川っていうのは低栄養な環境ですから。口に入る大きさの物は迷わず入れるって本能があるので仕方がないですね」
佐天「本来守るべきものを食べちゃうのかあ、……それって悲劇ですよね」
??(自分はスニーカーでもストーカーでもないですし、守るべき者を食べるなんて考えられません。……卵、美味しいんですかね?)
62 :
帰って来たおさかな話
[saga]:2011/07/27(水) 20:44:07.28 ID:eM8LnRjG0
☆
打ち止め「人は〜だれで〜も〜、未知のォ世界に マコガレイ〜♪ ってミサカはミサカはニモって男か女か気になっていたり」
一方通行「……。」
打ち止め「あれれ? 聞いてないのかなって、ミサカはミサカはニモの性別について質問を繰り返してみるー!」
一方通行「……あのなァ、流石に話題が古過ぎンだろ、ソレ? 渾身のギャグもダダ滑りじゃねェか」
打ち止め「むぅううううう、良い物は時代を超えて価値が受け継がれていくんだもんってミサカはミサカは懐古主義的発想を展開する!」
一方通行「ンな大げさなもンじゃねェ! まァイイ。ニモってアレだろ、クマノミ……だよな」
打ち止め「そうだよ、カクレクマノミ。サンゴ礁の海でイソギンチャクの中に住んでるんだよってミサカはミサカは説明してみる」
一方通行「で、ガキなンだよな。だったら簡単だ。性別は無い、つーか性的に未成熟だ」
打ち止め「むむむ? 良くわかんないんだけどってミサカはミサカはちゃんとした説明を要求してみる」
一方通行「チッ……、クマノミを理解するにはまず、魚類の性転換について知る必要があンだが」
打ち止め「え……男の子が女の子になっちゃうっていう、おネ……」
一方通行「そォいう余計な知識は捨てて聞けェ! まァざっくり説明すっと、ある種の魚類では体のサイズで性別が決まンだよ」
打ち止め「ますます混乱してきたよ??? ってミサカはミサカは黙って次の説明を促してみたり」
一方通行「黙ってねェけどな。で、成長に従いオス→メスになるのを雄性先熟、逆を雌性先熟って……、用語はどォでもイイか」
打ち止め「小さいとオスで大きくなるとメスになる、またはその逆ってことかなってミサカはミサカは脳みそフル回転ぐりんぐりん」
一方通行「ン、やりゃ出来ンじゃねェか、そォ言うこった。それを踏まえてクマノミの説明に入ンぞ」
63 :
帰って来たおさかな話
[saga]:2011/07/27(水) 20:45:30.39 ID:eM8LnRjG0
一方通行「クマノミはカップルで卵や稚魚を守るンだが、オスとメスは一匹ずつしか居ねェ。これは群れの中での大きさの順番で性別が
決まるからなンだ。その法則はこォなっている。一番大きな個体がメス、二番目がオス、第三位以下はオスでもメスでもない
未成熟っていう具合にな。だからさっきの用語を使うならクマノミは雄性先熟ってことになるな」
打ち止め「ほぉお、第一位はメスで第二位がオス、第三位はまだお子様って事だねってミサカはミサカは……」
一方通行「その考え方だとこの先キツイぞ? 例えば、この群れから第二位が居なくなると、第三位が繰り上がってオスになる」
打ち止め「第三位が繰り上がってオスに変化……相手は第一位のメス……イメージ中」モンモン……
イヤーーーーーー…… オエッ、オエッ
一方通行「……どっかで関係ねェヤツがキツくなっちまったみてェだな。ンで、ニモの場合なンだが……」
打ち止め「あああああ、そっか! あの話だと……」
一方通行「だろォ? まァ、ガキとして描かれているンで性転換は何故かどちらにも起こらなかったと捉えるべきなンだろォが」
打ち止め「それにしても、第三位はオスになるしかないのかな、ってミサカはミサカはアイデンティティが崩壊の危機だったり」
一方通行「心配しなくても陸上の脊椎動物では種として性転換が起こるものはいねェから安心しとけ」
打ち止め「よかった、ってミサカはミサカは半分冗談なのに気を使ってくれたあなたの優しさがちょっぴり怖かったり」
一方通行「ウゼェ……まさに未成熟、ガキそのものだなァ」ケケッ
打ち止め「ひどーーーい!! ミサカを引ん剥いたりお風呂に入ってきたりして何度も裸を見てるのに、性別不定だなんて!!!」
フラフラ〜
番外個体「うぷっ、まだキモチワルイ……。おい、そんなことより第一位の性別がハッキリしないとこっちは寝てらんないんだけど!」
一方通行「……だから見りゃわかンだろォが!! その話題もそろそろ古ィンだよォ!!!」
64 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/07/27(水) 20:51:32.75 ID:eM8LnRjG0
以上、第七回分でした。
作中のスーパーで売ってるシジミ、コレを淡水で飼育する事は不可能ではありません。但し、一週間で半分は死に
一ヶ月で八割は死ぬくらい(体験談)なのでオススメはしません。繁殖も期待できませんしね。
次回で過去作は最後になります。なにかテーマは無いものかと探しつつ、また明日〜。
65 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/07/27(水) 22:22:44.40 ID:ae+HJZ9N0
うぃ、乙ですの
66 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/27(水) 22:30:31.34 ID:Dq4NGRhJ0
乙〜
関係ないけどあさりの酒蒸し食べたくなった
67 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/27(水) 22:47:17.20 ID:qbxOaZ3SO
スレ立て&投下乙!
それぞれの会話の流れがすごく好きです
68 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/07/28(木) 00:31:19.96 ID:nV8erwnAO
乙。ネタと話者を上手く選んでるよな。
そろそろ馬鹿面くんや超きぬはたや麦のんが見たかったりする。
69 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/07/28(木) 18:59:20.43 ID:LQ3NzhXAO
全く関係ないけどカタカナでイトウと書くとエロマンガか南国思い出すね
70 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/07/28(木) 20:54:16.96 ID:Oc7893yo0
第八回分、投下します。コレで過去作はオシマイです。
本来、コレは最終回として書いたモノだったのですが、投下時にミスしたためサヨナラが言えなかった
そんな回でした。そして今に至る。
第三パート、最後に軽いオマケを付けておきました(長い解説が無かったから)。ではどうぞ。
71 :
第八回
[saga]:2011/07/28(木) 20:56:20.58 ID:Oc7893yo0
☆
「なあインデックス、お前の好きな素麺がいっぱい届く季節なんだけど。そもそもお中元って何のためにあるんだ?」
「とうま? うん、美味しいけど……、それはともかくお中元は日ごろの感謝や息災を相手に示す、って行事だね」
「いや、分るんだけどさ。なんで贈り物をしなくちゃいけねえのかって。挨拶で充分だと思わないか?」
「とうまはイマドキの若者みたいな事を言うんだね。贈り物にはちゃんと意味があるんだよ。それは魔術的とも言えるかも」
「オイオイ、お中元が魔術儀式とでも言うのかよ。……、つっても否定できる知識も無いんだけどさ」
「歴史的には古代日本に渡ってきた中国の習慣が元になっているんだよ。今と内容は違うけどね」
「ふむ、そのころのお中元はどういうものだったんだ?」
「昔の中国のお中元は、今まで犯した罪の償いの為に、一日中焚き火をして神様に御供え物をする行事だったみたいだね」
「へえ。で、それが渡来して結局どう変化したんだ?」
「日本では土着の精霊信仰と結びついて、一年の中日に先祖の霊を呼び、御供え物をして感謝を示す日になったんだよ」
「ふーん。ご先祖、つまり死者を祀る行事ね……。ってオイ! それは結局お盆のことって訳じゃねえのか?」
「仏教の盂蘭盆会、お盆が伝来するより前からお中元はあったんだよ。だから仏教浸透後に再びお中元は変化するの」
「そりゃ意味が被っちまうし、時期もほとんど一緒だからな。で、結局どんな日になったんだ?」
「ご先祖さまに感謝するのはお盆、じゃあお中元には自分達が生きている事を喜ぼう、って行事になったんだよ」
「お盆が死者の祭りで、お中元は生者の祭り、って訳か。ちなみにそれはいつぐらいの話なんだ?」
「2つの行事が完全に分かれたのは室町時代のころかな。贈り物をする習慣が出来たのもこの頃なのかも」
「御供え物が精霊や神様からご先祖さまに渡って、で今度は生きている人間に渡り、今に至るって訳か?」
「そういう理解でいいかも。つまりお中元の贈り物っていうのは贖罪や感謝や生存報告、いろんな意味が詰まってるんだよ」
「なるほどねえ。まあギフトな行事にしたのは百貨店の陰謀だったりするかもだけど、ちゃんと根拠はあるんだな」
「うんうん。江戸時代には現在と同様の、親しい者同士や御世話になってる人への贈り物をする習俗になっていたんだよ」
72 :
第八回
[saga]:2011/07/28(木) 20:57:15.34 ID:Oc7893yo0
「ふむふむふむ。いや、いつもながらに勉強になったぜ。……、あ!!! おさかな話するのを忘れてた!!!」
「……。大丈夫、まだ慌てるような時間じゃないんだよ。私の知識を使えばここからでもおさかな話になるんだよ!」
「おお! 頼むぞインデックス!!」
「舟盛りに乗ったつもりで任せるんだよ! ……、お供え、贈り物、死者、贖罪、魚…………、サバ!」チーン!
「サバ? 魚へんに青いと書いて鯖、のサバか?」
「うん、江戸時代の将軍家へのお中元の贈り物はサバに決まっていたんだよ。町人はうどんやおそうめんだったんだけどね」
「ほほう、そりゃまたなんでサバ限定だったんだ?」
「太古、神への供物は生ものに限られてて、それは『生飯』って書いて『さば』って読むんだけど、それに因んだのかも?」
「伝統を受け継いで生飯(さば)を贈るってことは、将軍家は神に等しいって周知させる意図があったのかな?」
「そこは良く分らないけどね。ただ生サバはさすがにムリだったみたいで贈る際には開いて干物にしてたみたい」
「冷蔵なんてねえ時代にサバだからな。『サバの活き腐れ』なんていうくらいすぐ痛んじまうんだろ?」
「サバが痛みやすいっていうのは、死ぬと食中毒の原因になるヒスタミンが生成されるのが一番の原因みたいだけどね」
「実際は全ての青魚がそうみたいだけどな。でもサバは脂肪分の多い魚だから実際に悪くなりやすいって事もあるだろ?」
「もちろんそうだね。あと、内臓に居る寄生虫(アニサキス)が鮮度が落ちてくると肉の中に入ってくるからそれも原因かも」
「釣りでサバを持ち帰りするなら、その場できちんと処理する必要があるって訳だな。サバ折りとか……」
「そして運搬は必ず氷温で。コレだけ守ればたぶん大丈夫なんだよ。でも残念だけどサバアレルギーってのもあるんだよね」
「そんなふうに食あたりの原因が多かったせいで、足の早い(腐りやすい)魚扱いされてた訳か。なんか気の毒だな」
「足なんて無いのにね。それはともかく、お中元の歴史からサバのお話になんとか繋げたよ! 私、えらい?」ドヤッ
「正直どっちの話も中途半端な感は否めないけどな。まあでも、うん、えらいえらい。ご褒美に晩飯は素麺だぜ!」
「とうま……、どうしてご褒美がおそうめんなんだよ!!!???」
「贖罪と死者への供物、生命への感謝など様々な意味が詰まったサバの代用品の素麺、魔術サイドなら最高のご馳走だろ?」
「とうまに言い負かされるとは、一生の不覚なんだよ……」ズーン
73 :
第八回
[saga]:2011/07/28(木) 20:59:03.43 ID:Oc7893yo0
☆
佐天「ウニって、漢字で書くと『海胆』とか『海栗』とか『雲丹』とかありますけど、違いってあるんですか?」
初春「前の二つは同じでいいですけど、『雲丹』は既に死んでますね」ウン
御坂「それはちょっと語弊があるんじゃないかな。『雲丹』は食べ物、それ以外は生き物って覚えるといいわよ」
白井「そう言えば、ウニは全ての生き物の中で最も好色な種類の一つなんですのよ。ウニの分際で」
佐天「好色って、エロいって事ですか? ……あのイガグリ頭の中は色々なエロエロが詰まってるのかあ」
初春「いえ、ウニには頭が無いんですよ佐天さん。だから顔も無いし前後左右の区別もありません」
白井「というか脳が無いのですの。だから目も鼻も耳もありませんし、ついでに言うと心臓も無いんですの」
御坂「殻を割ると分るんだけど、生殖腺以外はほぼ空洞なのよね。そんなシンプルな生物のくせに雌雄があるの」
佐天「ふむふむ、まさにエッチの為だけに生きてるようなヤツですね。でも、ちょっと変過ぎて理解が追いつかない……」
初春「空洞には海水が入ってそれが血液の代わりだったり、確かに常識外の生き物です。何の仲間なんですかね?」
白井「ウニは棘皮動物と呼ばれる種類ですけれども、その意味ではヒトデの親戚なんですの」
御坂「ヒトデは五芒星形☆してるでしょ? ウニも実はそうなのよね。トゲで見難いけど、五放射状に体が作られてるの」
佐天「ヒトデの仲間かあ……、正直ヒトデも良く分らないんですけど。そういえばウニって何を食べるんですか?」
初春「殻から触手みたいなのを出して移動しつつ、海草や海底の堆積物を探して食べるみたいですね」
御坂「感覚器官も無いのにどうやって食べ物を探すかというと、コレがまた常識ハズレなのよ」
白井「体全体を一つの目、一つの鼻として機能させて食べ物や交配相手を探すようですわね。光センサーのように」
佐天「前後左右の区別が無いだけに、却って全方位に死角の無いセンサーってわけですね。すごいなあ、ウニって」
初春「それに、棘皮動物ってほぼ不死身ですしね」
御坂「シンプルな構造してるからか、体のどこを切断してもまず死なないし、傷もあっという間に回復しちゃうのよね」
白井「切断方法によっては分裂再生するくらいですのよ。まあでも無敵、と呼ぶには攻撃力が無さ過ぎますけど」
佐天「いくら不死身でも、丸ごと食べられてしまえば負けですもんね」
初春「ですね、食べちゃえばいいんですよ。ウニなんて」
御坂「ん? なんだか分んないけど、ウニは美味しいわよね。獲れたて生ウニなら最高よね」
白井「何の話か分りませんけれど、ウニの白子は食べると猛烈にお腹を壊しますから、ぜーったい食べちゃダメなんですのよ!」
74 :
第八回
[saga]:2011/07/28(木) 21:00:18.32 ID:Oc7893yo0
☆
打ち止め「ねえねえ、魚類の中で一番強いのってなあに? ってミサカはミサカは割とベタな疑問を投げかけてみたり」
一方通行「また漠然としてンな……。強いってどォいう意味で言ってンだよ? サイキョーにも種類があンだよ」
打ち止め「え、あ、そんなに細かく考えて無かったよ、ってミサカはミサカはいろんなサイキョーを知ってみたくなったり!」
一方通行「メンドクセェ……、ンじゃ適当に答えてやっから気楽に聞ィとけ」
一方通行「まずは……、そォだな。一番デケェ魚。体の大きさっつーのはそのまま耐久力、繁殖力、攻撃力に繋がるからな」
打ち止め「コレはミサカも知ってるよー。一番大きな魚はジンベイザメだよね、ってミサカはミサカの先手必勝〜」
一方通行「やるじゃねェか。そォ、ジンベイザメだ。最大体長18m、最大体重15t以上って文字通りのモンスターだ」
打ち止め「ちょっと想像もつかない大きさだよね、ってミサカはミサカはコレで決定しそうになってみたり」
一方通行「焦ンじゃねェよクソガキ。次は一番種類の多い魚、つまり一番繁栄してる種類って事だな」
打ち止め「一番種類が多いってことは、他の魚より優れた点が多かった証拠だもんね、ってミサカはミサカは補足してみる」
一方通行「だな。ンで魚類全体約三万種の30〜50%を占める巨大な一群、圧倒的第一位、それがスズキ目だ」
打ち止め「そ、そんなにスズキ目が多いのって何でなの? ってミサカはミサカは不思議に思ってみたり」
一方通行「実はカラクリがあって、例えば種類別第三位のナマズ目などと異なりスズキ目には全体で共通する特徴がねェ」
打ち止め「え!? それじゃあ同じ仲間とは言えない気が……。どうやって分類したの?」
一方通行「その辺は細かくなるし面白くもねェから触れねェが、まァ簡単に言うとまだ研究途上ってトコか?」
打ち止め「代表的な特徴をどれか一つでも持ってれば仲間にしちゃってたのかな、ってミサカはミサカは短絡的に非難してみたり」
一方通行「鯛もマグロもヒラメも雷魚もスズキ目って事に違和感覚えとけばイイ。コレでスズキの話は終わりだ。」
打ち止め「分ったよ、ってミサカはミサカは今一つ納得いかない気分だけど次の話題に興味津々だったり」
75 :
第八回
[saga]:2011/07/28(木) 21:01:30.27 ID:Oc7893yo0
一方通行「ンじゃ次は環境適応性、何処でも生きて行ければそれもサイキョーだろ?」
打ち止め「他の魚よりタフってことだね、ってミサカはミサカはコワモテなゴッツイ魚を想像してみる」
一方通行「残念だがそのイメージじゃねェな。正解は三下の中の三下魚、メダカだ」
打ち止め「ほえ、メダカってあの小川で戯れる薄黄色の小魚だよね、ってミサカはミサカは念のため確認する」
一方通行「あァ、ヤツらはスゲェぞ? 熱帯魚が即死する高水温に耐え、海水魚が苦しむ塩分濃度にも平気なンだ」
打ち止め「へええ。あ、それと酸欠にも強いって聞いたことがあるよってミサカはミサカは出所不明の情報をリークしてみる」
一方通行「そりゃ大抵メダカは水面直下にいるからな。ま、腕っぷしは全然だし、泳ぎも上手くねェ。死なねェだけなンだが」
打ち止め「どんな絶望的状況でも生き残る。それはやっぱり強さだよ、ってミサカはミサカは三下魚を尊敬してみたり」
一方通行「ン。……、あとは速く泳ぐ魚、卵を一番多く産む魚、一番古い時代から姿が変わっていない魚……」
打ち止め「バショウカジキ(120km/h)マンボウ(一回の産卵で三億個)サメか、ハイギョのような肉鰭類かな?」ピピピ
一方通行「……寿命の長い魚、一番強い毒を持つ魚、最も長い時間泳ぎ続けられる魚……」
打ち止め「ジンベイザメ(150年?)ドクウツボ(マイトトキシン、フグ毒の200倍)クロマグロ(平均100km/h、一生涯)」
一方通行「こンなトコか? コイツらは解説するような事もねェよな。調べたけりゃ自分でヤレ」
打ち止め「答えたのはミサカだよ、ってミサカはミサカはミサカネットワークをフル活用した事実を隠して威張ってみたり!」
一方通行「隠してねェし、バレバレだったけどな。……、ケドよ、なンでサイキョーの魚なンて知りたかったンだ?」
打ち止め「あなたを魚に見立てたら何かなって。でもどれもピンとこなかったの、ってミサカはミサカは肩を落としてみる」
一方通行「フーン、それでサイキョーを並べたと。……まァ、安易にホオジロザメとか言わねェ辺りは分ってンじゃねェか」
ガチャッと『話は聞かせて貰ったわ!』ドーン
芳川桔梗「あなたたち、最強で探すから見つからないのよ。彼を魚で言うならコレに決まってるじゃない」ビシッ
番外個体「いや、ん〜、コレ単に白黒のシマシマ柄ってだけじゃね? ってそれ以外に特徴無かったわー」ギャハ
打ち止め「これはイシダイ? ……おぉ〜〜〜〜!! ミサカはミサカはコレで決定って宣言してみる!!」
一方通行「……前言撤回、テメエ達のは安易なンてレベルじゃねェ。そりゃ単純(バカ)ってンだよ!!」
76 :
第八回
[saga]:2011/07/28(木) 21:02:45.11 ID:Oc7893yo0
【オマケ】
「ねえねえ、ちなみになんでマグロはずっと猛スピードで泳ぎ続けるの? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
「ンとな、大抵の魚はエラ蓋を開け閉めしてエラに新鮮な水、つまり酸素を送って呼吸すンだがマグロのエラ蓋は固ェ。
自力で開け閉め出来ねェくらい固ェ。なンでそンなに固ェかっつーと、より速く泳ぐ為に魚雷系のスタイルに進化した
からだ。だからエラ蓋の開け閉めによる呼吸が出来ねェ。エラ蓋開けンには、口を開けて高速で泳ぐ必要がある。水を
口から取り入れてエラ蓋をその水圧で開けてエラに酸素を送りつつ、使った水は排出。そのための高速遊泳って訳だ。
止まっちまえば再びエラ蓋は閉じちまうから、新鮮な水がエラに送られず呼吸困難になって死ぬ。だからマグロは一生
寝る事も無く泳ぎ続けンだよ。まァ、脳の半分だけ仮眠して、半分起きて、って事をするらしィがな。」
「ほ、ほぉ……。いつもながら読み飛ばしやすい説明だね、ってミサカはミサカは、あれ? ねえねえ?」
「今、スッゲェ聞き捨てならねェ事言ィやがった気のせいがしたンだが……、まァイイ。何だ、別の質問か?」
「マグロが速く泳がないといけないのは、止まったら死ぬからなんだよね?」アレ?
「そォだ」
「マグロが止まったら死ぬような進化をしたのは、より速く泳げるようになるためだったんだよね?」ワケワカラン?
「そォだ…………、自然って一筋縄じゃ行かねェンだよ! マグロをバカにすンなよ!!」
77 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/07/28(木) 21:15:31.16 ID:Oc7893yo0
以上、第八回分でした。お供えのサバ、ウニ、色んな最強などの直裁なネタで攻めてみました。
ちなみに第二パートで扱ったウニ、ヒトデなどが属する棘皮動物、他にはナマコも含まれます。かなりの例外生物達って感じ?
遅ればせながら、応援、感想ありがとうございます。何処までいけるかワカリマセンが行けるトコまで頑張ります〜。
他のキャラを使ったお話は現在考え中です。もう少々お待ちを。
では、また明日〜
78 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/07/28(木) 21:21:00.69 ID:EFGwazZAO
乙
餌に逃げられたくない→速く泳げばいいんじゃね?→魚雷化→あれ呼吸できない→高速水泳呼吸法→眠れねぇ……→泳ぎ続けるしか!→永続高速水泳呼吸法
79 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/28(木) 21:35:39.15 ID:0InZOmjX0
乙〜
もうオチなんていらない
だからスレも落とさないで粘ろうぜ
80 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/07/29(金) 08:45:43.78 ID:cMuRN7lAO
まあNIPは筆者に意志ある限り落ちないから。主の書き込みから3ヶ月経過しないと落ちないんだよな確か。
81 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/29(金) 09:57:51.72 ID:5S9kiZwRo
書き込みも投下じゃなくて生存報告だけでいいしな
82 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/07/29(金) 20:58:33.57 ID:RpqfmHaX0
今日の分、投下しまーす。第九回です。
新しく書いたもの、当然だけど未評価。面白ければいいんだけど、どうなるか
テーマは、やっちゃいけないこと、触れないほうがいいこと「禁忌」です。ではどうぞ
83 :
禁忌
[saga]:2011/07/29(金) 20:59:45.77 ID:RpqfmHaX0
☆
「なあインデックス、夏は薄着の季節だけどさ。カップルで外出する時とか相手の男はイヤじゃないのかな?」
「とうま? それを私に聞いても意味がないかも。むしろとうまは公共の場で相手が肌をいつもより露出してたらどう思う?」
「悪かったな!! 上条さんには、今までそんなステキなご縁がありませんでしたのことよ! だからどうなんだろってさ」
「……………………、一緒に海行ったのに。水着も着たのに。……、とうまはやっぱりとうまだね。じゃ、エビの話するね」
「唐突!? なにか薄着と関係あんのかよ?」
「とうまはうるさいんだよ! とにかく黙って聞けばいいの!! 日本の淡水エビは大きく分けて2種類だよね、分る?」ギロッ
「(……、なんだか分らんがココはインデックスに合わせよう)ん〜、名前だけならな。ヌマエビとテナガエビだっけ」
「そう。エビは雑食性だけど、比較的小型で草食傾向の強いヌマエビと、長いハサミ脚が特徴で肉食傾向の強いテナガエビだね」
「ふむ。ところでテナガエビって言うとフランス料理なんかで出てくる高級品ってイメージだよな」
「それはたぶん海に居るアカザエビの事だね。ハサミが長いからテナガエビって呼んでるだけで全然違うエビなんだよ」
「へ〜。とすると俺は本当のテナガエビって見たことないのかもな。珍しい生き物なのか?」
「ううん、何処の川にもいるなんでもないエビだよ。テナガエビ科、として見ればスジエビもそうなんだよ」
「ああ、釣りエサで言うブツエビ、川エビ、モエビ、シラサエビとかって色んな名前で売ってる透明なエビだよな」
「素揚げにしてお塩で食べたいよね。あれもテナガエビの仲間なんだよ。そんなに大きな種類じゃないよね」
「なるほど。確かにアカザエビみたいに一匹で一品料理になるようなサイズじゃねえな。で、ヌマエビってのは?」
「ヌマエビは地上で言うところのアリの役割を淡水中で担う川の小さな掃除役だよ。捕獲も飼育もわりと簡単な種類が多いかも」
84 :
禁忌
[saga]:2011/07/29(金) 21:00:47.27 ID:RpqfmHaX0
「ふーん、それで今回はどうしてエビの話になったんだ? そろそろ教えてくれてもいいんじゃないかと……」
「エビって、美味しいよね? 水中の生き物にとってもエビはご馳走なんだよ。普段は硬い殻で食べられるのを防ぐんだけど」
「ふむふむ。人間でもエビの殻はそうそう噛み切れるもんじゃないもんな」
「ところがこの殻の防御性が失われる事があるんだよ。とうまはソフトシェルクラブって知ってる?」
「あー、脱皮したてを調理するから殻ごと食べれるワタリガニの事だろ? つまり脱皮直後はエビの殻も柔らかいんだな?」
「そうなんだよ。ここで魚に狙われればひとたまりもないんだけど、エビは脱皮後にそれを周りに知らせるフェロモンを出すの」
「はあ? 何を考えてんだよ! そんなもん出したら腹を空かせた魚がウヨウヨ寄って来ちまうだろうが!」
「だよね。でもメスのエビはそれをする必要があるんだよ。エビの脱皮は成長に従って準備され、刺激によって開始するの」
「ん? 成長によって準備ってのは分る。今までの殻がキツくなるほど中身が増えるってことだろ。刺激ってのは何だ?」
「外部刺激、例えば水質や水温が突然変わることだよ。コレをきっかけにして脱皮をするんだよ」
「ふうん、んじゃ飼ってるエビを別の水槽に移し換えたりすると脱皮始めんのか?」
「その可能性は高いね。で、重要なのはこの時もしそのエビが抱卵していたら抜け殻と一緒にタマゴも落ちちゃうんだよ」
「え……、エビの受精卵は母エビが何百と抱えてて、新鮮な水を脚で送り続けながら保護しねえと孵らないんだろ? じゃあ……」
「うん、基本的に殻に付いてたタマゴは全滅するの。それを避けるために、脱皮直後のメスがフェロモンを出すんだよ」
「……、なるほど。終了直後なら万が一刺激があってもしばらく脱皮しねえから、それをオスに知らせて交尾するためなのか」
「子孫を残すための命懸けのメッセージなんだよ。魚に狙われる事も恐れず必死でアプローチしてるんだよ。とうま分る??」
「ああ…………、エビってスゲエな! 二重の意味で『食べごろよ』ってフェロモンを出すのかあ。勇気あるよな」
「…………、へ? 感想それだけ?? とうま、コレがどういう話だったか覚えてる?」
「え、そりゃもちろん。アカザエビはテナガエビじゃない、ヌマエビは川のアリ、エビの殻は脱皮直後は柔らかい。完璧だろ?」
「とおおおうぅううううまああああああ!」ギラーン
ガブリッ
「理不尽だあああああああああああああああ!?」
85 :
禁忌
[saga]:2011/07/29(金) 21:01:50.44 ID:RpqfmHaX0
☆
白井「エスカルゴはカタツムリ、という認識はそろそろやめるべきだと思うんですの」
御坂「黒子? 唐突にどうしたのよ。エスカルゴってフランス語では食用かどうかに限らず一般にカタツムリを指す語でしょ?」
佐天「私、なんとなく白井さんの言いたい事、分る気がします。カタツムリを食べるってやっぱりイメージが……、ね」
初春「エスカルゴとは陸生の食用貝を調理したもの、って思えば確かにイヤな感じはないですね。そういうことですか白井さん?」
白井「全然違いますの。ブルゴーニュ種やプティ・グリではなくて日本のカタツムリ食を考えようってことですの」
佐天「ダメです、却下です、キモイです、やめてください、死んでしまいます」
初春「第一、カタツムリや蛞蝓には怖い寄生虫がいるんですよ? 素手で触っちゃいけないような生き物を食べるんですか?」
御坂「海が遠い地方とかでは食べてた記録もあるみたいだけど……。黒子、なんでそんなオカシナ事を思いついたのよ?」
白井「お姉様も皆さんもよくお聞きになってくださいな。来るべき人口爆発時代、食糧難で深刻な動物性タンパク質不足に
陥りますと今食べているような肉や魚はなかなか手に入らない食材になるでしょう。では代替に何を食べるかですが
現在、その候補として特に上がっている生き物は何だと思います?」
佐天「お肉やお魚の代わりの生き物……、嫌な予感しかしませんが、それって脚がいっぱいあったりなかったりします?」
白井「ご想像のとおりですわよ、佐天さん。世界各地で昆虫食というものが盛んに研究されているのですの。昆虫は成長の
為の栄養が家畜や水産物に比べて圧倒的に高効率、つまりコストが安いんですの。しかも高タンパク、高カロリー。
まあ、現在でも知らないだけで毎日たくさんの虫を私たちは食べているんですけれどもそれはひとまず置いといて。
どうですの? 将来の食卓に毎回必ず、食べ物として虫が出てくるようになっても構わないんですの?」
初春「イナゴやハチノコやクマゼミは美味しいみたいですけど……。毎日食べたいものじゃないですね……」
御坂「ゴメン、私はダメだわ。埋葬虫とかカミキリムシの幼虫とかでしょ? アレを食べ……、想像したくもないわよ!」
白井「余りにも普段の食べ物と形体が違いますから、忌避感覚が起こるのは当然なんですの。ですから次善の策として私は
カタツムリ食を提唱する訳なんですの。陸生とは言え貝である、地方によっては食べられていた、エスカルゴという
成功例。このように、カタツムリを食用にすることは昆虫食に比べて敷居が低いのではないかと思うのですの!」ドーン
86 :
禁忌
[saga]:2011/07/29(金) 21:02:54.78 ID:RpqfmHaX0
佐天「ふむ。かたつむりって何食べるんでしたっけ?」
御坂「草食であるって言っちゃっていいんじゃないかな。草や苔や木の葉を食べるみたい。蛞蝓は農作物を食害するわね」
初春「貰ったキャベツにアレが付いてたら丸ごと捨てちゃいますね……。あ、コンクリートを食べるって聞きましたよ?」
御坂「殻を作るのに必要なカルシウムが水中なら豊富だけど、陸では手に入りにくいからコンクリートを削って食べるみたいね」
佐天「そりゃまた変わった物を食べますねえ。ちなみにタニシと何処が違うんでしょう?」
御坂「蓋の有無、かなあ。カタツムリは蓋の代わりに殻の出口に粘膜を張って乾燥を防ぐのよ。あと雌雄同体ってトコ」
初春「雌雄同体ってことは単為生殖が可能なんですね。でも絡み合ってるかたつむりを見たことありますよ?」
御坂「一匹でも子孫を残せるけど、普通は交尾するみたいね。それも御互いが御互いに精子を渡して御互いが受精するのよ」
『かたつむりってすごいなあー』
白井「黒子は……いらない子ですの? 何がいけなかったんですのおおおおおおお!?」ゼンゼン ムシ デスノ
87 :
禁忌
[saga]:2011/07/29(金) 21:03:52.37 ID:RpqfmHaX0
☆
打ち止め「ねえねえ、素手で触ると魚が火傷するって本当なの? ってミサカはミサカは半信半疑で訊ねてみる」
一方通行「……、ンだァ? 概ねその通りだけどよォ、そンなに不思議か?」
打ち止め「うん。だってね、人間の体温って36℃くらいでしょ? 夏場の気温だってそのくらいになるよね?」
一方通行「猛暑日ってやつだな。だが水温はそンなに上がらねェぞ。何が言いてェンだ?」
打ち止め「時々、水位の低い川で暑い日にピョンピョンおさかなが跳ね飛んでるでしょ? 火傷しちゃうんじゃないかなって」
一方通行「気体は熱を伝えにくいし、その程度なら問題ねェだろ。それにありゃそれどころじゃねェ緊急事態だ」
打ち止め「ちょっとだから大丈夫なのね。それより緊急事態って何? ってミサカはミサカはしっかり質問してみたり」
一方通行「水温が上がると水中の溶残酸素量は下がる、しかも水量が少ないってことは酸素も少ないって事だろ?」
打ち止め「あ……、つまりアレは息が出来なくて苦しいって事なの? ってミサカはミサカは悲しい現実に直面してみる」
一方通行「水位の低い川で暑い日ならその可能性が高いな。陸や空から獲物として狙われても構わねェくらい切羽詰まってンだよ」
打ち止め「かわいそう……。他にも飛び跳ねる理由があるのかなってミサカはミサカは補足を求めたり」
一方通行「そォだな、水面付近を虫が飛ンでりゃそれを捕食する為に跳ねンじゃねェ? あと何かに驚いて跳ンだりな」
打ち止め「なるほど〜、よく分ったよってミサカはミサカは山よりも高く納得してみたり」
一方通行「アァ。…………、オイ待て、テメエの最初の質問は魚を素手で触ると火傷するって話じゃなかったか?」
打ち止め「うん、そうだけどそれはもう解決したよねってミサカはミサカは忘れちゃったの? って心配してみたり」
一方通行「オイ、あンまリ俺をナメンじゃねェぞクソガキ。じゃ聞くが、なンで魚は人間の体温程度で火傷すンだよ?」
打ち止め「え、あ、あれ? おやおや? ……、言われてみればなんでだろ? ってミサカはミサカはやっぱり理解してなかったり」
一方通行「ケッ、ンなこったろォと思ったぜ。……、多くの魚類は冷血動物、故にその体温は水温に準じる。分るか?」
打ち止め「鳥や哺乳類などの恒温動物は体温を一定に保つ仕組みがあるけど、魚類は環境で体温が左右されやすいってことかな」
一方通行「それが分ンなら、気温よりも低い水中の魚の体温が人間よりもずっと低いってのも分ンだろ? じゃ、行くぞ」
88 :
禁忌
[saga]:2011/07/29(金) 21:05:18.17 ID:RpqfmHaX0
一方通行「淡水、特に川ってのは場所によって、また時間によってかなり水温が違う。高い水温で活発になるような魚の場合
突然周りの温度が下がったら体温もそれに準じて下がるとする。途端に動きが鈍くなっちまったり、中には人間と
同じようにショックで心臓麻痺を起こすよォな事もあるかもな。それを防ぐ為のシステムが無かったらの話だが。
……、魚類は一般的に体表に粘液による膜を張ってンだよ。直接外部と触れないよォにして急激な温度変化も膜を
通して徐々に伝わるよォにな。だから例えば『冷てェ!』って感じたらそこから離れる程度の余裕があンだよ」
打ち止め「ふむふむ。ガードがしっかりしてるんだね、ってミサカはミサカは魚のぬめりを見直してみたり」
一方通行「だが、この粘液で出来た膜に乾いた手が触れると膜は剥がれちまう。そォなると人の高い体温が直接表皮に届く。
コレで全ての魚が火傷するわけじゃねェが、特に泳ぎの速い魚は弱いと思っとけ。その上、触ることで起こる害は
火傷だけじゃねェンだ。膜は温度変化だけでなく、病原菌や寄生虫、乾燥などからガードするためにも不可欠だ。
それが剥がされた状態で水ン中戻されても、無防備極まりねェだろ? 膜が剥れたトコが傷付きゃ終わりだな」
打ち止め「そっかあ。だからこそ魚を素手で触るのはいけないんだね、ってミサカはミサカは今度こそちゃんと理解してみたり」
一方通行「一部が全部じゃねェ。素手で触ろうがタワシで擦ろうがビクともしねェ魚だっているがな。他にもヒレが鋭いとか
毒針があるとか噛み付くとか、別の意味で触っちゃいけねェ種類もあるから何にしろ気ィつけろよ」
打ち止め「うん、分った! ってミサカはミサカは満面の笑顔で大納得してみたり」ニッカー
番外個体「時に第一位の体は、膜が剥れてもタワシでコスったってへっちゃらな頑丈さがあるのかねえ?」 ケケケ
芳川桔梗「あんまり虐めないの。彼は素手で触られただけでウロコが爛れて火傷しちゃうような虚弱に決まってるじゃないの」
一方通行「あァ、何しろ俺は超音速で移動するくらい速ェしな……、って乗せてンじゃねェぞ、この大ボケコンビがァアアア!」
89 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/07/29(金) 21:17:26.39 ID:RpqfmHaX0
以上、第九回「禁忌」でした。
第三パート、よく知ってる魚であれば扱い方も分るでしょうし、魚に詳しい人なら触る事の可否も判断できるでしょうが
そうでない場合は、とりあえずは触らない方が魚にも人にも危険が無いです。ので、敢えて一切魚の名前が出てきません。
ワザとです。
次回は、実験的に他のキャラで書いたおさかな話の予定です。出来が心配でなりません。
ではまた明日〜
90 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/29(金) 21:18:52.69 ID:JYt9B5zn0
乙
次回は
>>1
の真価が試されるのか
期待
91 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/07/29(金) 21:35:44.36 ID:u7i6M8MZo
乙
インデックスさんや、鈍感上条さんにはそんな例え話は通じないよ
92 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/29(金) 22:10:41.46 ID:5S9kiZwRo
乙
インデックスさん、その例えは少し考えないと気付けないレベルだww
93 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/29(金) 22:53:07.02 ID:18qCuUUDO
海老の話うめぇww
エスカルゴと言えどカタツムリは食えたもんじゃないぜ
94 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2011/07/30(土) 14:16:00.37 ID:4SE/QtxAO
頑張ってほしい
95 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/07/30(土) 22:12:47.24 ID:GZUzibUI0
今日のおさかな話は、いわゆるテスト版です。
登場人物は第一パートがステ神裂、で第二パートが麦滝絹浜です。第三パートはオマケで、最初の2人が再登場です。
話の作り方も微妙に違ったり? キャラ崩壊極まりなかったり? 情報があやふやだったり?
いろいろ問題がある気がする、そんな今回の「おさかな外伝」 とりあえずどうぞ
96 :
おさかな外伝
[saga]:2011/07/30(土) 22:13:59.66 ID:GZUzibUI0
☆
「悪いね神裂。急にロンドンに呼び戻したのはこっちだっていうのに、夕食まで用意して貰って」
「そもそも私の残務でしたし構いませんよ、ステイル。それと、この料理は是非あなたに食べてもらいたかったんですよ」
「ぶほっ、 きっ、君! 人聞きの悪い言い方をするなよ!! 僕らは決してそんな甘い関係ではないだろう?」
「はあ? 何を言っているのかこちらも分りませんが……。ともかく、もうすぐ焼き上がりますから」 チーン
「ん、どうやら出来上がったみたいだね。懐かしい香ばしさ……、もしかしてパイかい?」
「ええ、日本でもお馴染みの食材を使ったイギリスの伝統料理に挑戦してみたのですが。っと、綺麗に焼きあがっていますね」
「うんうん、いい色じゃないか。で、これは何のパイなんだい? 伝統料理っていうとミートパイかな?」
「そのミートパイの原型ですよ。到着してすぐテムズ川で捕れたウナギを使った英国伝統料理『うなぎパイ』です」ドゾー
「…………、」
「私なりに、ヨーロッパウナギの元気、勇気、根気、本気を引き出してみたつもりなのですが……」
「……、テムズ川のウナギって言ったか?」 ホント?
「ご心配なく、天草式の術式により化学汚染や泥臭さは瞬時に抜き取る事が出来ます。安心して食べてみてください」ドゾー
「君はどうして……、コレを僕に食べさせようと思ったんだい? 試食役なら女子寮のシスター達だっているじゃないか?」
「シスター達では感想にどうしても御世辞が入ってしまいます。ステイルなら、率直な意見を期待できると思ったんですよ」
「イギリス出身の僕がこの料理にどんな思いを持っているか、それも分った上で食べろと言うんだね。全く、君ってヤツは」
「ステイルの分際でゴチャゴチャと言い訳がましいですよ。さ、冷めないうちに」ドゾドゾー
97 :
おさかな外伝
[saga]:2011/07/30(土) 22:15:16.28 ID:GZUzibUI0
「くっ……、分ったよ、戴くとしよう」サク パクッ
「…………」
「むぐむぐむぐむぐ」ゴッキュン
「…………、出来はどうですか、ステイル?」 ドキドキドキドキ
「このうなぎパイは出来損ないだ、美味し過ぎるよ」パクパク ムッシャムッシャ
「は、え、……、美味しいのに、出来損ない、なのですか???」
「神裂、君は伝統英国料理、と言ったね。ハフハフ。その真髄は『素材の全てを殺さず、全てがそのまま』、ゴキュン、って事なんだよ。
ジャガイモはジャガイモの風味、つまり苦味もえぐみもそのままでなければいけない。たとえ肉の添え物になっていてもね。フゥ
このうなぎパイはウナギの香りがパイの香ばしさとマッチして、ウーン、ぶつ切りであるにも関わらずその身はパイの食感と、サクッ
重なり合って、ハムハム、全てが渾然一体、完璧な和の世界を体現してしまっているんだよ。ウマー。言ったとおりにウナギに臭みも
無いし、皮のヌルつきだって感じない。ゲフッ。伝統英国料理を名乗るなら、もっと素材同士を喧嘩させなければいけないね」フキフキ
「……、味付けや外見に気をとられて、つい日本料理の感覚で作ってしまった、と言うわけですか。修行が足りませんでした」
「だけど、道は厳しいぞ? 本当のうなぎパイは、きっとあの子だって一口食べて止めるだろうからね……」 ゴチソウサマ
「あの子が食べ物を残す、考えられない光景ですね……。伝統英国料理、甘くみていたようです」 オソマツサマ
98 :
おさかな外伝
[saga]:2011/07/30(土) 22:16:16.46 ID:GZUzibUI0
☆
絹旗「ヒマです、超ヒマです。浜面、何か面白いことを5分以内に考えてください。3、2、1、どーん」パーンチ
浜面「ゲブゥーーーーーーッ。ちょ、それなんて麦野?? ……、突然面白い事って言われてもよお。……あ、そういえば」
麦野「人の名前勝手に使ってツマンネエ事言ったら、分ってるわよねえ。はまづらくーん?」
滝壺「大丈夫だよ、一触即発の空気の中、絶体絶命のはまづらを私は応援してる」
浜面「ゴメンナサイ、アリガトウ、どういたしまして!! ったく。あのな、今、超能力者の間でおさかながブームなんだってよ」
麦野「あ? 私が知らないのに、超能力者の間でブームって何よそれ? いい加減な事言ったから拷問決定でーす、おめでとー!」
絹旗「麦野、浜面を処刑するのは構いませんけど私もそれ、聞いた事ありますよ。なんでも第一位は超無類のさかな博士だとか」
滝壺「その噂は事実だよ、むぎの。超電磁砲は後輩とコンビで『常盤台のキャットフィッシュ』って呼ばれてるんだよ」
麦野「……、何か気に入らないね。そもそも、魚の何が面白いっての? そりゃシャケは美味しいけど……」グリグリグリグリ
浜面「気に入らないのは分ったから握り拳を俺の頭に押し付けんのは止めよう。いえ、お願いですから止めてください麦野様」
滝壺「大丈夫、私は虐められても笑顔を絶やさないはまづらを、それなりに応援してる。そして私は結構好きだよ、おさかな」
絹旗「あ、私も……ヨロイウオとかマツカサウオとかウロコフネタマガイとか、超硬い装甲のおさかななら詳しいですよ」 エヘン!
麦野「……! 絹旗お前、にわかだね? ヨロイウオは逆立ちで泳ぐ平ぺったい小魚じゃん。名前だけで選んだのバレバレよ?」
絹旗「え、そうなんですか!? 恥ずかしいこと言っちゃいましたね/// ……、って麦野。そんな魚なんで知ってるんですか?」
浜面「マリンダイビングが趣味ならヨロイウオは知ってるぜ? でも麦野にそんな趣味あるなんて聞いた事ねえけど」
滝壺「大丈夫だよ。私は本当は魚マニアなのに自分のイメージを心配して隠そうとしたむぎのを応援してるよ」
99 :
おさかな外伝
[saga]:2011/07/30(土) 22:18:17.59 ID:GZUzibUI0
麦野「…………、ああ、そうだよ。私だって第三位なんかに負ける気がしないくらいの魚知識があんのよ。いえ、通し回遊魚なら
誰よりも詳しいって自負があるわね。でもね、もう遅いのよ。ブームが始まっちゃってから乗ったってさ、死滅回遊だろ?
無効分散なのよ! や、あー、何て言ったらいいかな。シャケの卵は川でしか孵化しないでしょ? 変な海流に親シャケが
乗っちゃったら、繁殖行動できる体だってのに川に辿り着けなくて、老いて死んじゃう。そんな感じになるだろうが!?」ガー!
絹旗「麦野……。(ダメです、言ってる事が超ほとんど理解できません。滝壺さん、何とかフォローお願いします!!)」チラッ
滝壺「ごめん、はまづら。後は任せたから」チラッ
浜面「ナニソレ!? 何この超上級問題! 回答間違えたらブチコロシが確定しちゃうのよ?? ……、あ、いいか? 麦野」コホン
海で捕れたシャケと川のシャケ、旨いのは海のシャケだ。川のシャケは寄生虫も増えるしよ。いいじゃねえか、出遅れたって。
大海原を悠々と泳いで、美味しく食われる鮭に何の不満があるってんだよ? お前はお前なりの魚道を行けよ。お前は回帰性の
強いベニザケじゃなかってだけの話だろ? カラフトマスみたいに迷い鮭になってただけなんだよ。恥ずかしがるなよ、なあ!
麦野「浜面……、テメェ」ゴゴゴゴゴ
絹旗「(え!? 滝壺さん、浜面の説得にダメな所があったんですか? 私、また理解できなかったんですが……)」ゴニョゴニョ
滝壺「大丈夫、カラフトマスは不細工で不恰好な魚だけど鮭缶の原料になるこの魚を私は応援してる」
絹旗「(はあー?? どうして麦野をブサイクにたとえたりするんですか??? 浜面はホント、超バカ面ですね……)」 ドキドキ
浜面「うるせえな、つい焦っちまったんだよ!! つーか滝壺は俺じゃなくてシャケの味方!? これでグッバイ俺の人生なの??」
バン!
麦野「鮭って呼べるのはシロザケだけだろうが! ……、次にシャケを大雑把に扱ったら拷問から獄門に進化だからね〜♪」
浜面「晒し首!? (っていうか気に入らないトコそこ? 何か機嫌治ってるし。女ってホントにワケわかんねえ……)」
絹旗「な、なんとか事態は落ち着きましたか……。 鮭って元々シロザケって魚だけを指す言葉だったんですね。超勉強になります」
滝壺「……。(シャケ弁の鮭はギンザケ。むぎのなら当然知ってる。……、はまづらのヘタな説得に応じる為の照れ隠しかな?)」
100 :
おさかな外伝
[saga]:2011/07/30(土) 22:19:52.98 ID:GZUzibUI0
【むぎのん ほんわかシャケ話】
本編が投げっぱなしで進んだからって、何で私が解説しなくちゃいけないのかにゃーん? ま、他のヤツじゃ出来ないかもね。
んじゃあ、難しいと思う単語やら魚の名前をおさらいしてあげるから、各自一回で完璧に覚えるように。おっけー?
まずは、最初のほうで絹旗が三種類のおさかなの名前を言ったよね。ヨロイウオ、マツカサウオ、ウロコフネタマガイ。
これが知ったかぶりだって私は見抜いたワケだけど、実はコレ仕掛けがあんのよね。とりあえず関係ないヤツから紹介するわ。
ウロコフネタマガイとは、インド洋の深海、熱水が噴出しその中に溶けていた金属などが沈殿堆積して出来た煙突状の構造物に
集団でへばり付いてる底棲の小さな巻貝ね。つい最近発見されたばかりのこの貝の最大の特徴は、貝なのにウロコがあること。
しかもそのウロコが鉄(正確にはウロコの材料が硫化鉄)で出来てるって事なの。低酸素で超高温な環境での生活に特化してて
普通の海に連れて行くと酸素が多すぎて体が本当に錆び付いちゃうっていう、常識ハズレの超硬質生物ね。
まあ、んで本題。ヨロイウオってのは銀色の体に一本筋が入った、笹の葉みたいな形の魚ね。さっきも言ったけどこの魚は
普段は集団で生活してて、頭を下にして浅い海中をふよふよと漂ってんのよ。ダイバーなら知ってるってのはそういうこと。
キスやイワシのようなヤワな魚じゃないけど、超硬いとは言えないわね。でも、仕掛けってのはそこじゃないの。
マツカサウオってのはちょっと深めの岩場なんかに居る15cmくらいの魚なんだけど、見た目はまるで『まつぼっくり』ね。
大きなウロコが綺麗に重なり合って、その体は頑丈そのもの。包丁なんて入る魚じゃないのよね。あと、チョウチンアンコウ
みたいに光る魚だって話もあるけど、そこはよく判んないからパス。
で、ここにどんな仕掛けがあったか。マツカサウオはその特徴から別名が沢山あんの。ヒレを動かす時、パタパタって音が
するから『パタパタウオ』、松毬に似てる、ってことは当然なんだけどコレにも似てる『パイナップルフィッシュ』、んで
その幾重にも重なり合ったウロコが中世の騎士を思い浮かべさせるから、『ナイトフィッシュ』、『アーマーフィッシュ』。
ん? わかんないかな? つまりね、ヨロイウオってマツカサウオの別名でもあるの。というかその名前で呼ばれることが
結構多いのよね。
だからまとめるとこう!
「あちし、ヨロイウオとマツカサウオ 超好き好き」パタパタ
超好きなのに、マツカサウオの別名を知らないはずがないよね? なのに止せばいいのに「詳しいですぅ」とか言っちゃう。
詳しいなら、紛らわしいヨロイウオなんか持ってこないでイシガニとでも言っとけばいいのに。にわかが露呈してるでしょ?
そこを見逃さなかった私、やっぱりすごいよねえ。ま、絹旗は勉強して立派なパタパタになればいいんじゃないかにゃ?
そして、次の用語なんだけど『通し回遊魚』……あ゛? まだ解説半分も終わってねえこんなトコでなんで終了なんだよ!?
……、次のパートだあ? なんでそんなもんに私が気を使わなきゃいけねえんだよ!! ちょ、待ちやがれテメエら!!!
ワー キャー ドーン ギャー
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――
―――――――――
浜面「次回があると、約束はしないけど、お楽しみにー……」イキテタラネ
101 :
おさかな外伝
[saga]:2011/07/30(土) 22:21:07.62 ID:GZUzibUI0
☆
「たびたび悪いな神裂。日本に出張なんて珍しいことじゃないのにわざわざ道案内ごときに君の手を煩わせるなんて」
「構いませんよステイル。それにここ有明海は我々にとって拠点の一つ。土地勘に優れた者が動員されるのは当然ですよ」
「有明海というのは広大な干潟が有名な四県に跨る九州西部の湾で、その地政学的特長が生み出す独自の生態系がウリだってね」
「その説明口調、時々出てきますね。まあどうでもいいのですが。さて、準備しましたので地の物で食事にしませんか?」
「ふうん。この間のうなぎパイのリベンジでもするつもりかい? ま、僕は有明海の幸が戴けるならなんでも構わないが」
「いちいち引っかかる言葉遣いは止めたほうがいいですよ? 無用に敵を作りますから……、まずはムツゴロウですね」
「サガ県ではムツって言うんだったか? 干潟をカエルみたいにピョンピョン跳ねてる変な小魚ってイメージだね」
「まあ、そうですね。捕獲方法は干潟で寝そべってるムツに釣り針を直接投げて引っ掛けるっていう達人芸ですが……」ドゾー
「これは、ムツの串蒲焼、とでも言えばいいのかい? イタダキマス。ハゼ類は新鮮なうちでないと身が崩れてしまうというが」ハフハフ
「ええ、ですから捕ったら即調理しないと味が落ちますね。見た目がグロテスクで料理されていても手が出ない人もいるのですが」
「黒焦げにも見えるような、ハムハム、料理法だけど、脂が乗って肉質も柔らかく頭から、ボリボリ、尻尾までそのままいけるね」ウマー
「口に合ったようなら良かったです。続いてはタイラギ貝のバターソテーの軍艦巻きです」ドゾー
「へえ、スシかい。昔はこの海苔ってのがダメだったんだ。海の汚れの原因を食べるってどんな拷問なんだい? って」
「今は日本食が世界に広まり、スシやオニギリが日常で珍しくもなくなりましたからそういった偏見は消えましたね」
「そうでもない、爺さん達にはまだまだコケみたいなものさ。パリッ ムギュホロリ。ん、タイラギの貝柱の食感もいい」ムッコムッコ
「生ものにもまだまだ抵抗のある方が居ますから、今日は敢えて火を通してみました。さて、次で最後ですよ」ドゾー
「さて、これは一体なんだろうね。アム ムグムグ。味噌の味しかしない……、食感は噛み切れるゴムって感じだね」ギョムギョム
「それはフクオカの柳川というところの名物で、ワケの味噌煮と言う料理です。気に入りませんでしたか?」
「いや、確かに素材自体に味は無いんだが、この食感はなんかクセになるね。ムグムグ。で、ワケって何なんだい?」ゴッキュン
「イシワケイソギンチャク、Sea Anemone、ワケノシンノス、どれでもお好きな名前でどうぞ」フッ
「……、へえ、イソギンチャクは食べられるんだ。全く日本人の食への探究心には感服するよ。素材が弱ければ味を足せ、か」パクパク
「え、あれ、あれれ? ……、もっとゾーーッ! とかゲーーーーッ! とかそういうリアクションは無いのですか??」
「だって美味しいじゃないか、僕には何も文句は無いよ。ところで神裂、ワケノシンノスってどういう意味なんだい?」ゴチソウサマ
「ワケノシンノスは、あの、地元の方言ですが、その、えっと、自分で調べてください」 オソマツサマ
102 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/07/30(土) 22:29:04.28 ID:GZUzibUI0
以上、第十回「おさかな外伝」でした。ええと、まずは
本当は美味しい英国料理、本当は食事時に音など立てない英国紳士、ゴメンナサイ。
にしてもやっぱり難しいですね、色んなキャラを扱うのは。反省点の多い回だったかもです
次回は通常にもどる予定です〜。ではまた明日
103 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/07/30(土) 22:43:55.65 ID:L5Dj7qWAO
乙ー。
麦のん可愛い!
104 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/30(土) 23:05:14.08 ID:bvuCz8qJ0
麦のんぺロp……
乙〜
麦のんの回遊魚話が聞きたいです
105 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/30(土) 23:58:07.57 ID:FCyo0HJao
>元気、勇気、根気、本気
そのうなぎパイは夜のお菓子だぜ神裂さん
106 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
[sage]:2011/07/31(日) 02:08:52.07 ID:QRKaYTGn0
毎回本当に勉強になるな〜。それはそうと、そろそろリアルお魚くん登場しても良いんじゃないかなー(チラッ)
107 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/31(日) 07:23:21.11 ID:UFSsUzvAO
英国紳士ェ……
108 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/07/31(日) 22:06:52.55 ID:6k9hLXL90
今日のおさかな話は、書き立てホヤホヤ! ストックが尽きたとも言う!!
そんなわけで誤字脱字満載で? お送りする今回のテーマは「変態」 ではどうぞ
109 :
変態
[saga]:2011/07/31(日) 22:08:17.67 ID:6k9hLXL90
☆
「なあインデックス。おさかなにも変態っているのかな?」
「とうま? 言いたくないけどそのネタは前に使ったんだよ。ちなみにアホロートルの話はこもえのイメージだったかも」
「違う違う、そういう言葉遊びじゃなくてさ。なんつうの? 本能の赴くまま、年上、年下、誰彼構わず抱きつくような変態だよ」
「それは本能って言葉を勘違いしてるかも。ある入力に対応して設定済みの決まった反応をする、そういうのの固まりが本能だから」
「えーと……。難しくてよく分んねえけど、つまり本能とは、意思と関係なく現れる行動を集約した、データベースってことか?」
「とうまの表現も意味不明だけど、まあそれでいいんじゃないかな。だから、誰彼構わず抱きつくのは本能じゃないよね?」
「ん? むう……。そう、かもな。少なくとも、女の子なら誰でもオッケー、って言ってる時点でそういう意思があるんだもんな」
「……、だ、だね。だから、たぶん人間よりはるかに本能での行動が多いおさかなにそういうのは……、いた! モクズガニ!」
「いるんかよ!? ……、モクズガニって西のほうじゃヅガニとかケガニって呼ばれる腕毛モサモサの淡水ガニのことか?」
「うん、地方によってはかなりの高値で取引されるとっても美味しいカニだよね。そもそも上海ガニの仲間なんだよ」
「まあ、そんな大きなカニじゃねえけどな。せいぜい甲羅の横幅が7〜8cmってとこか。で、このカニのオスは変態なのかよ?」
「変態ってわけじゃないんだけど。繁殖期になると、未成熟の個体だろうとオスガニだろうととりあえず抱きついちゃうんだよ」
「なんだよそれ? まさに俺の言ってる変態そのものだと思うんだけど??」
「うんとね、なんて言うのか、このカニのオスは見る目が無いんだよ。繁殖行動が可能なメスガニを見分ける能力が無いの」
「ふうん、そういうことか。モクズガニの繁殖はオスガニのアタックで始まるけど、相手を間違える事があるんだな?」
「そんなお間抜けさんだけど、交尾に至るまでの道のりがすごく大変なカニなんだよ。簡単にモクズガニの一生を説明するね」
「おう!」
「海で生まれたモクズガニの幼生は他の海のカニと同様、最初はゾエアとかメガロパとか言うプランクトンみたいなものなの」
「完全に淡水に適応したサワガニは親と同じ姿で生まれるのにな。ってことはモクズガニの幼生も大半は魚のエサになるんだな」
「メガロパ幼生はエビみたいに多少泳げるけど、そこまで成長できる個体は少ないね。でもその流され体質で分布を広げたんだよ」
「海流に乗って全国、いや世界各地に行ける、か。何にでも理由ってあるんだなあ。……で、次はカニ時代の話かな?」
110 :
変態
[saga]:2011/07/31(日) 22:12:59.07 ID:6k9hLXL90
「幼生が変態してカニの姿になるんだけど、その子ガニ達の特徴は長い移動脚だね。変態後に河口に入り川を上るんだよ」
「泳ぐだけじゃ越えられない障害物を乗り越えるための脚ってわけだな。で、どのくらい移動するんだ?」
「仲間内でエサの取り合いを防ぐ意味もあるかもだけど、かなり広範囲に分かれるみたい。場所は早い者勝ちなのかも」
「不幸なカニは下流も中流も既に占領されてて、仕方なく上流までの途方も無い距離をエッチラオッチラ……、負けんなよ!!」
「そういう上流まで行くカニは大型化傾向があるんだって。でね、この移動の時期のカニもまだまだ魚のエサなんだよ」
「頑張ってるのに……、自然界って厳しい。んじゃ、幸運に恵まれて住処を獲得する頃のカニはどのくらいの大きさなんだ?」
「ようやく1cmってとこだね。ここから2〜3年を川で過ごすうちに成体になるんだよ。成体のモクズカニは無敵の暴君って感じ」
「アメリカザリガニの強さを10としたら?」 「モクズガニの成体は100くらいかな」 「そりゃすごい!」
「何しろ硬い、何しろ速い、何しろ怪力。そんなモクズガニなんだけど、主食は藻や苔なんだよ」
「そりゃまた似合わないベジタリアン……。いや、川のカニ漁って、魚のアラをエサにして捕まえるんじゃなかったっけ?」
「魚も肉も大好物だけど毎日じゃ胃がツライ、って事かな? だから懐かしのザリガニ釣りを川でやるとたまにモクズガニが釣れるよ」
「木綿糸の先にイカのゲソッ! を結びつけて用水路の中に投げ込んで、ザリガニがハサミで掴むのを待つっていう……?」
「獲物を見ながらの釣りだからそういうのを見釣りっていうんだよ。それはともかく、成体になったカニは冬に海を目指すの」
「いよいよ繁殖の季節か。って、ここでまた上流まで行ったヤツが遠距離移動で可哀想だよな……頑張れよ!!」
「子ガニ時代と違って食べられちゃう事はほとんど心配しなくていいけど、危険な旅には違いないんだよね」
「滝に落ちんなよ! 道路に出て車に轢かれんなよ! 腹減らした仲間に襲われんなよ!」
「飼育下では共食いが起きやすいけど、個体ごとに距離が取れる川では心配ないかも。で、幸運にも海に辿り着いたカニ達は……」
「そうなんだよな…………、そこまで頑張って来て、なんで相手が分んねえんだよ!! 無神経で鈍感にもほどがあんだろうが!!」
「あ、でもね。例えば抱きつかれたのがオスガニなら当然だけど、準備の出来てないメスガニでもちゃんと拒絶するからいいんだよ」
「ふうん。ってことはオスよりメスの方が強いのか? エロのパワーはすさまじいだろうに、ちゃんと断れるんだから」
111 :
変態
[saga]:2011/07/31(日) 22:14:00.93 ID:6k9hLXL90
「モクズガニは平均的にメスの方が大きくて強いね。但し、最大個体はオスであることが多いの」
「強い女の子ばかりが目立つけど、ヒーローは常に男ってことか。どっかのラノベみたいな社会なんだな」
「そのたとえはよく分んないけど、オスでは大きな個体とそうでないものの間で外見的に差異があるんだよ」
「ノコギリクワガタの小さいヤツのアゴが直線的で短いのに対し、でかいヤツは湾曲した大きくてご立派なアゴを持つ、みたいな?」
「まさにそんな感じだよ。強いオスはその暴力に特化した巨大なハサミで他のオスから御目当てのメスを隔離、独占するんだよ」
「弱いオスは、とにかく交尾の成功率が低いからその機会を増やすべくナンパに特化。移動に邪魔なハサミを小さくするんだな」
「うんうん。生き残り、っていうか自らの遺伝子を残すための戦略だね。身長が多少低いからって、諦めないで!」マヤッ!
「……。ちなみになんだけど、繁殖行動の詳細ってどんな感じなんだ? ここまで来たら上条さんもがっつり聞いちゃうよ!?」
「浅い波打ち際あたりで交尾は行われるんだけど、まずオスはメスガニを探してぶらぶら海岸を放浪するの」
「海だから、違う種類のカニなんかもいるだろうな。まさかそれにも間違えて飛び掛ったり……、しねえよな、さすがに」
「しちゃうんだよ。モクズガニのオスのアタックは何の求愛行動も無く突然行われるからダメなんだけど」
「バカで放浪癖があって仲間じゃないヤツにも抱きつく。確認ぐらいすればいいのに、ホントどうしようもないな」
「まあ、いろいろあって正しい相手に出会えたら交尾。終了後にはオスはメスをガードするんだよ。一日だけだけどね」
「他のオスガニが寄ってくるのを防ぐんだったな」
「そうだよ。ここで腕力のあるカニは相手のいるメスを奪っちゃったり、その後しっかり守ったり出来るんだよ」
「……、結局強いヤツが勝つんじゃねえか。しかも一日でハイサヨウナラ、だろ? なんかムカつく生き物だなあ」
「まあ、強いオスは次々にメスを獲得するし、弱いオスはそれなりにってとこかな。で、数ヶ月に及ぶ繁殖期を終えると」
「その間、何も食べる事も無く繁殖に勤しんでいたオスもメスも疲れ果て、哀れ海のモクズになるってわけか」
「だね。ところで結構長くなっちゃった上にオチが付かないモクズガニ話、こんなのでいいのかな?」
「たまにはいいんじゃないか? ただコレだけは言わせてくれ。……、身長が多少低くても、諦めないで!」 マヤッ!
112 :
変態
[saga]:2011/07/31(日) 22:15:07.72 ID:6k9hLXL90
☆
初春「日本の川魚って、なんて言うんですか、華が無いっていうか地味っていうか。真面目で素朴って感じですよね?」
佐天「頭に花乗せてる初春に言われちゃ世界中の魚が可哀想だけどね。まあでも確かに派手なヤツは居ませんねえ」
白井「いえいえ、日本にも派手な魚は居ます。ほら、ちょーーーっと前に話題にしたオイカワって魚、覚えてらっしゃいませんの?」
御坂「ええと……、
>>9
だったっけ? 雑魚も雑魚、特に利用価値も無い普通の魚として紹介しちゃってるわね」
佐天「どんな話だったか全っ然、覚えてないでーす。でも、そんなに派手な魚なのに雑魚扱いって酷くないですか?」
初春「ん〜、あれ? オイカワは見た目も雑魚丸出しのはずですよ。銀色の魚体は確かに綺麗ですけど……」
白井「ええ、確かに普段は別段パッとしない魚ですけど、ある時期においてオイカワは覚醒するのです。そう、己の変態に!」
御坂「変態はアンタだけでいいわよ……。いわゆる婚姻色の話ね。夏場、繁殖期に入るとオスが見せる一種の……変態?」 アレ?
白井「そもそもオイカワは琵琶湖水系のアユを養殖の為全国へばら撒く過程において、アユの卵にオイカワの卵が混じってたことで
日本中に蔓延した国内移入種、という扱い方をする地方が多いのですがそれはさておき、オスの派手な婚姻色で有名ですの。
繁殖期に入るとオスの体は@尾びれ以外のヒレが赤くなるA横っ腹が緑色になるB下腹がピンク色になり、緑と混じって虹色
のような体色を作り上げる、といった変化を致します。もともと成体のオスは尻びれが大きいので、ヒラヒラの赤いヒレを
振るうカラフルメタリックなその姿はまるで、一昔、いえ二昔前のアイドル。マトモな美的感覚を越えた姿ですわね」
御坂「ほかにも、オスは成体になると顔が黒くなって追星って言う、ん〜……、突起物? がいくつも出来るのよね」
白井「オイカワにとって追星というのは、頭突きの効果を高めるもののようですわね。実際オイカワは縄張り意識の強い魚ですし」
御坂「複数匹を水槽で飼うと、一番大きなヤツが一日中他の魚を体当たりで追い払う様子が見られるわよ。ホントしつこくね」
白井「その暴れん坊を他の水槽に移すと、二番目に大きかったオイカワが同じ事を始めるんですの」
佐天「ふうん。じゃ、一匹だけで飼えば問題ないんじゃないですか?」
御坂「それがね、一匹で飼うと妙に神経質になっちゃって、多少の音や刺激で暴れまわったりエサを捕らなくなったりするのよ」
初春「なるべく同じくらいのサイズを複数で飼育、がベストですかね? それにしても困った性質です……。せっかく綺麗なのに」
白井「他人が見ていない変態なんて、何も燃え上がるものがありませんもの。オイカワの気持ち、私には良く分りますの」
初春「だからそっちの変態は白井さんだけで充分ですから」
113 :
変態
[saga]:2011/07/31(日) 22:17:10.05 ID:6k9hLXL90
☆
一方通行「打ち止めァアアアアアア!!! 何処にも行かせねェ、お前は俺の、ずっと俺だけの女だァアアア!!」 ガシッ!
打ち止め「ミ、ミサカは!! ミサカも……、一生あなたと離れたくないって、ミサカはミサカは永遠の愛を誓ってみたり」 ギュッ
(作画・CV・演出 芳川桔梗)
芳川桔梗「と、こういう場面も、求愛行動の一端って言えるかしらね。まあ対象が対象だけに変態扱いしたくもなるけど」
番外個体「ふーん。行為としては正常の範囲内ってこと? にしても……永遠、とかずっと、とか適当な言葉だねえ」
芳川桔梗「言葉は全てを伝えられないのよ。だから割と大げさな表現でないと充分に気持ちが伝わらないのかもね」
番外個体「にしても、こんな話を聞かせて第一位はミサカにどうしろと言うのかね? あとアンコウ何処行った??」
それよりちょっと前)
114 :
変態
[saga]:2011/07/31(日) 22:20:27.12 ID:6k9hLXL90
打ち止め「ねえねえ、お魚のカップルって産卵したらそれでサヨウナラばかりなのかな? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
一方通行「そォいう種類が多いのは確かだが、まァ当然なンだよ。オスメスで子育てするっつーのは難易度が高いからな」
打ち止め「自然界ではペアを組むとしたら子育ての為なのね。で、それが難しいっていうのはどういうこと?」
一方通行「例えばだ、産卵を水中に放出するように行う魚なら、無秩序に散らばっちまう。産卵数が極端に多くても同じだが」
打ち止め「つまり、子供の保護そのものが不可能だからペアを組まないってことねってミサカはミサカは納得してみる。他には?」
一方通行「メダカみてェに卵を親が喰っちまう魚なら、オスが一緒にいたらリスクが高いだけだ。コイツらもペア組む意味は無ェ」
打ち止め「悲しいお話……。逆にペアで子育てするお魚ってどんなのがいるのかな? ってミサカはミサカは質問を変えてみたり」
一方通行「前にやったろ? クマノミ。淡水魚ではトミヨやイトヨ……。ちょっと方向が違うが、オスが巣を作って子育てすンな」
打ち止め「鳥みたいなお魚が居るんだね。でもオスが作った巣に卵を産んで、オスが子育てしてる間、メスは何処に……?」
一方通行「……オスは、水草で作った巣に産み落とされた卵を受精させ、外敵から守り、新鮮な水を送り続ける。孵化までな。
その間、全く食事も取らず警戒し続けるためかメスよりも短命っていう、まァ、苦労症なヤツだ」
打ち止め「あの、その、出来たらミサカは仲良し夫婦なお魚の話が聞きたいな、ってミサカはミサカは軌道修正してみたり」
一方通行「俺の話が気に喰わねェとは、エラくなったもンだねェ打ち止めちゃん? ンじゃ永遠の愛を誓う魚の話をしてやンよ」
115 :
変態
[saga]:2011/07/31(日) 22:21:57.99 ID:6k9hLXL90
一方通行「チョウチンアンコウ類のオスはメスに比べて非常に小せェ。同じ種として認識できねェくらい小せェこういうオスを
矮雄(わいゆう)っつーんだが、その比は最大で13倍にもなンだとよ。メスが全長65cmならオスは5cmか。ンで
そンなチョウチンアンコウのメスは常にオスを数匹従えてンだ。繁殖すンのにチビなオス一匹じゃ能力が足ンねェし
時期が来てから探してちゃ見つかる保証がねェからな。ま、メスを探すのはオスの仕事らしィが」
打ち止め「すっごい女王様って感じだね、ってミサカはミサカはそのカックイイー! メスの姿を想像してみたり」
一方通行「深海魚だから、見た目はグロ系が多いがな。で、そンなチョウチンアンコウ類のオスの中には、メスに本当の意味で
寄生するヤツがいる。その種のオスはメスを見つけるとその体に噛み付き、自分の体とメスの体を一体化させる。
栄養もメスの血管を伸ばしてそこから吸収し、次第にメスの体の一部になっちまうンだ。つまり受精卵を一匹の魚が
作っちまう、両性具有? 雌雄同体? ……、そンな魚なら仲良し夫婦に違いねェだろ?」
打ち止め「え、あの?? よく分んないよ?? そもそもそれまで一匹で生きてきたオスが何で寄生しちゃうの?」
一方通行「この種の魚は同化することによる刺激で性成熟すンだよな、つまり俺がオスのアンコウだとしてこう……」ガブッ
打ち止め「ひゃ!! メスのアンコウのお腹をガブっと、これが永遠の愛を誓うキスみたいなものなの?」イタイイタイ
一方通行「ほォはわ。っと、そォだな。もォずっと離れらンネェっつーか……、この刺激でペア双方が大人になン……」
番外個体「…………、変態?」 ジトー
一方通行「番外個体!? バカ、白い目で見ンじゃねェ。待て!! 芳川に聞け! アンコウの話をしてただけなンだよ!!!」
116 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/07/31(日) 22:28:35.66 ID:6k9hLXL90
以上、第十一回「変態」でした。
いつもの事ですが、モクズガニをもし川で捕まえても、生食は危険です。美味しいカニですがちゃんと火を通しましょう
というわけで、今日はこの辺で。また明日〜
117 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
[sage]:2011/07/31(日) 22:31:08.05 ID:QRKaYTGn0
乙でした〜
PS
>>1
は生物学者のタマゴか何か?
118 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/31(日) 22:41:48.65 ID:CvAHms63o
乙っす!
119 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/31(日) 22:46:10.96 ID:igxy7yp90
乙
安定の芳川さん。お仕事お疲れ様です
120 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/01(月) 01:44:42.24 ID:1RJkh7SDO
一方さんまさかマジで打ち止めの腹噛んだんか
121 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/01(月) 01:47:21.66 ID:cs9PUVZyo
イタイイタイって言ってるから普通に噛んでるな
ねぶるような甘噛みしちゃえばいいのに
122 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/08/01(月) 20:46:29.83 ID:K/VR1d5C0
乙がとっても嬉しい、そんな
>>1
はただのおさかな好きです。
今日はまだ新しいのが書けてないので、第一パートで触れてる「変態」のモトネタと軽いオマケを貼っておきます。
毎日更新できる人ってスッゲーって、あらためて思いつつ。ではどうぞ
123 :
変態 モトネタ
[saga sage]:2011/08/01(月) 20:47:36.66 ID:K/VR1d5C0
☆
「なあ、インデックス。変体でも編隊でもなく、変態について聞きたいんだけど」
「とうま、わざわざ確認しなくても判るんだよ。私は変態にはすごく詳しいかも。で、どんな事を聞きたいのかな?」
「おぉ! 助かるよ(正直こんな話に乗ってくるとは思わなかったぜ……)。じゃ、グチャグチャドロドロなヤツで頼む!」
「体がとろける感じかな? それは完全変態だね。チョウや蛾、甲虫などに見られるサナギを経由する変態のことなんだよ」
「え、あの、いや……、そういうことじゃなくてですね」
「そういう変態をする生き物は幼生状態では必要な栄養を摂取することに専念して、成体では繁殖に特化した体になるんだよ」
「ん〜、どう言ったらいいのかなー」
「完全変態では成長した幼虫はサナギに変化するんだけど、その中では体組織を全部溶かして組みなおす作業がされるんだよ」
「あの、インデックスさん! 大変興味深い話ではありますけど、私、上条当麻が聞きたいのはその変態ではありません!!」
「あれ、そうなの? 完全変態じゃない、って事は……、不完全変態っていうのはサナギを経由しない変態だよ」
「……、ワザとだな。コレ」
「完全変態に比べると、羽が伸びるくらいで、そんなに見た目が変化しないのが多いかな。バッタやセミがこのタイプだよ」
「そういうのじゃねえ、もっと行き過ぎた感のある変態の話を聞きてえんだけど!」
「ほえ? 行き過ぎた変態?? ……それはたぶん、過変態や多変態のことかな。住んでる場所によって体の形が変化するんだよ」
「あー、もう! なんでそれが行き過ぎてるんだよ!!」
「だって、このタイプは完全変態の一種なんだけど、幼虫の間に何回もサナギになって劇的に体を変化させてしまうんだよ?」
「……なるほど。変態はリスクが高い行為。だけど一度だけでは満足できずに繰り返し手を出しちまうヤツラなんだな」
「サナギの間は敵に襲われ放題だし変態は失敗の可能性があるし、危ないよね。まあ、そうするべき意味は必ずあるんだろうけど」
「大規模に体を組みなおすためにドロドロに溶かすんだったな。失敗したら……。じゃねえよ! 俺の聞きたいのは」
「光沢材で有名なカイガラムシみたいに完全とも不完全とも言える変態もいるから奥が深いよね、この世界は」
124 :
変態 モトネタ
[saga sage]:2011/08/01(月) 20:49:01.77 ID:K/VR1d5C0
「んあー、よーし分った。じゃあこう聞いたらどうする? 俺が聞きたいのは人間の変態だ!」
「むむ! とうま、そこに気が付くとは今日はやけに冴えてるね。でも人間の話をするためにはちょっと回り道するけどいい?」
「なんだ? まあここまで来たらどんな話でも付き合ってやるけど」
「うん、素直でいいかも。えとね、とうまはメキシコサラマンダーって知ってる?」
「魔術関連……、じゃねえよな。とするとアレか、1980年代に流行ったっていうウーパールーパーってやつか?」
「そう、メキシコの湖に住んでる両生類なんだけど日本ではアルビノ種がCMで有名になった事があったみたいだね」
「ピンクのヒラヒラと円らな瞳が印象的なカワイイ生き物ってイメージだけど、アレがどうかしたのか」
「うん、メキシコサラマンダーは本来両生類だから変態するはずなんだけど、幼生の形のまま性成熟してしまう種なんだよ」
「あー、聞いたことはあるぜ。子供の姿のまま大人になる、そういうのをアホロートルって言うんだよな」
「その名称はメキシコサラマンダー限定で、普通はネオテニーって言うんだけどね。ちなみにピンクのヒラヒラはエラなんだよ」
「エラが残るって事はカエルで言えばオタマジャクシの姿で繁殖行動するんだな。でもそれと人間の変態に何の関係があるんだよ?」
「チンパンジーの幼形と人間には外見での類似点が多いから、ヒトもネオテニーではないかと言われているんだよ」
「ん? つまり本来人間はゴッツイ毛むくじゃらになるはずなのに、ツルッツルの起伏に乏しい姿のままで成熟しちゃってるって?」
「うんうん。でもまあ、そういう説もあるって覚えておく程度でいいかも。進化の話に関わると立場上、説明が難しいんだよ」
「へ〜。本来なら変態するはずがしていないのが人間、か。ありがとな、インデックス。面白かったぜ」
「どういたしまして、なんだよ」ニコッ
「(アレ、当初の目的を忘れちまった気がするんだけど……)」
「(私にえっちぃ事を言わせようとするなんて十万三千年早いんだよ、とうま!)」フフーン
125 :
変態 モトネタ
[saga sage]:2011/08/01(月) 20:50:43.46 ID:K/VR1d5C0
【おまけ 生き物の名前の表記】
「なあインデックス、『おさかな目録?』ではほとんどの生物の名前がカタカナで書かれてるけどなんか意図があるのか?」
「とうま、今頃気付いたの? ……日本語が多様な表記法を持ち、文字による伝達性に優れた言語だっていうのは分る?」
姫神「漢字と仮名。難読漢字を多用すると内容が乏しくても高尚に見える。けど読みにくい。平仮名だけでも読みにくい」
「なるほど。つまり読みやすさと分りやすさの為、ってことなんだな?」
「だね。仮に、生き物の名前を漢字で書くとお話はこんな風になるかな?」
『なあ禁書目録、白黒熊こと大熊猫っているだろ? あれが発見されたのは小熊猫より後なんだよな?』
『当麻? 確かに大熊猫こと色分熊の発見は十九世紀後半で、小熊猫は前半だね。それがどうしたの?』
『道理に合わないとは思わないのかよ? 大、小ってのは何を持って決めたんだよ?』
『大熊猫って名付けた時には小熊猫はただ熊猫だったんだけど、大熊猫が有名になって、熊猫は大熊猫のことになったんだよ』
『それで熊猫より小さいから小熊猫って名前にされたのか。理不尽だなあ……、あんなにカワイイのによ』
姫神「ダメ。これだと誰も読まない。頑張って読んだところで面白くも無い」
「内容はともかく、読みにくいよね。じゃ、コレの続き。名前をカタカナにしたらどうなるか!」
『……俺は断然レッサーのほうが好きだけどな。レッサーが愛くるし過ぎて上条さんは夜も寝られませんよ〜』
『むっ、とうま。パンダって名前が付く動物はみんな可愛いに決まってるんだよ』
『大体さあ、そっちはシロクログマとかイロワケグマって立派な名前があるじゃねえか。名前を持ちすぎなんだよ』
『あ、でもねとうま。レッサーだってパンダって呼ばれる一方で、英語や他の言語では「炎の狐」とも言われるんだよ』
『……Firefox??』
姫神「確かに読みやすい。だけどたぶんこれ。パンダを主題にしたのが間違い」
「別の何かの名前だったり、他の何かの事じゃないかと思わせちまったり。ワザとじゃない場合はこういうの、困るな」
「……複数の意味がある言葉は混乱を招くよね。こういう、適切な表記の選択が難しい事象は、最初から扱わないのも手なんだよ」
「この場面で何でアレが出て来ないんだ!? ってことがあったら、表現の都合上だと思ってくれってことか」
「うんうん。出番を無くしちゃうのは残念なんだけど。言葉にも、それぞれの書き手の力量にも限界があるんだよ」
姫神「つまり私。作者の日本語表現力の範疇に収まらない女?」
126 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/08/01(月) 20:57:36.94 ID:K/VR1d5C0
今日の投下は以上です。
ちなみに、ウーパールーパーって美味しいらしい・・・。
というわけで? 何を書こうか迷いつつ、また明日〜
127 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/02(火) 07:13:25.02 ID:DzGDM9X2o
禁書でレッサーと言えばあの子しかいないよね
上条さんったら
128 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/08/02(火) 20:27:21.68 ID:F4kTtFrF0
今日のおさかな話は、水槽にまつわる怖い話、「怪談」です
もちろん、全然怖くないですけどね。ではどうぞ
129 :
怪談
[saga sage]:2011/08/02(火) 20:28:57.74 ID:F4kTtFrF0
☆
「なあインデックス、シジミ飼育の話の時に水草を入れろって言ったけど、川で採ってくるのと店で買うので違いってあるのか?」
「とうま? 生き物の飼育は出来る限り生育環境を再現することが常にベストなんだよ」
「じゃあシジミが居たトコに水草があればそれを採ってくるのがいいのか。でも川なんて水草があるとは限らないんじゃ?」
「まあね。そういう場合は他の場所で採取したり、お店で買うことになるよね。でも、水草はちょっと注意が要るんだよ」
「ん? 水草の種類によって育ちにくいとか、逆に繁り過ぎるとか、そういうことか?」
「そんな当り前のことじゃなくって。安易に水草を水槽に入れると、とんでもないものを招き入れる事になっちゃうかも」
「なんだよその言い方。またあれだろ? 病原菌とか寄生虫とかお決まりのさ、火を通せば大丈夫デスー、ってのじゃねえの?」
「とうまはヤツらを知らないからそんな態度でいられるんだよ。水槽を愛する者にとってそれは悪夢、その名はスネイル!」
「出たな魔術師!!!」
「スネイル、スネールとも言うけど何種類かの巻貝のことなんだよ。コレが何でそんなに怖いかというとその増え方なの」
「………………、いや、うん、続けてください」
「中でも特に恐れられているのがサカマキガイって種類だね。これは雌雄同体の貝だから単為生殖する可能性すらあるんだよ」
「ふむ。そいつらが水草についてる場合があるから気をつけろ、って事か。ところでそいつらの繁殖期はいつなんだよ?」
「自然界では暖かい時期みたいだけど、高温で安定した水槽内では年中無休なんだよ。とにかく一匹でも入れちゃったら……」
「でもさあ、タニシみたいに卵胎生って訳でもないだろうし、そんなにすぐタマゴから成長しちゃうってことも無いだろ?」
「甘いんだよ! 卵塊っていうゼラチン質に包まれた平均50個くらいの卵は、二ヶ月もしないうちに繁殖可能な個体になるんだよ!」
「ほ、ほう……、そいつらが全部成熟しちまったらさすがに大変かもな」
「だからとうまは甘いって言ってるんだよ! サカマキガイは絶好調なら一日おきで産卵をするんだよ。分る!?」
「ちょ、おいおい……、そんなのが一年中続くってのか?? 貝だから他の魚を攻撃したりはしねえだろうけど」
「でも、水草を食害するし、ガラスにびっしりへばり付くし、水を綺麗にするバクテリアを食べちゃうし、何もいい事はないんだよ」
130 :
怪談
[saga sage]:2011/08/02(火) 20:30:03.18 ID:F4kTtFrF0
「ん〜、これは確かに対策を考えないといけないかもな。第一に水槽に持ち込まないことだろうけど」
「うん。特に川や池で水草を採ってきた場合は、水槽に入れる前に流水で綺麗に洗って、目視で貝や卵の有無を確認すること!」
「店で買ってきた水草にだって、絶対付いてねえって保証は無いよな。自分の目で確認しといたほうが無難だな」
「でもね、どこまで慎重になってもある日突然、水槽内で見つかる事もあるんだよ。次はそうなった時の対策だよ!」
「だけどさ、水槽内で一匹サカマキガイを見つけたら50匹は居るってことだろ? 対策って……」
「正直、何が悪夢かって言うとコレが一番悪夢なんだよ。……見つけ次第、潰すの」
「………………、いや、あの、もっと、平和的解決っていうかさ、文明の利器を使った解決って無いのか?」
「誘引物質を使ってサカマキガイを集めるような商品も売ってるみたいだけど、集められたとして、どうするの?」
「そ、そっか。生態系を乱す行為だから絶対に川や池や用水や排水溝に放つことだけはしちゃいけないしな。つまり……」
「そう、やっぱり潰すしかないんだよ。直接手を下したくなければ貝を食べる魚を投入するって手もあるけどね」
「なんだよ、いい方法があるんじゃないか。まあ、貝にとっては可哀想なのに変わりないけど」
「だけど、魚を投入できるのは水槽内に小魚やエビなどの小さな飼育種が居ない場合に限られるんだよ」
「ああ、殻のある貝を食べるほどの魚にとっちゃ、そういうのはいい獲物だもんな。んじゃ、その場合は地道にプチプチ……」
「でもね、毎日どんどん増えていくからそのうち本当にイヤになるんだよ。で、行き着く先は……、リセット」
「飼育種を別の水槽に移し変えて、貝が湧いた水槽を空にした後、完全に洗浄しちまって、始めから作り直すってことか」
「一回コレを経験するとトラウマになって、次にサカマキガイが沸いたときに水槽飼育を止めちゃう人がいるくらいなんだよ」
「見た目は小さな小さなアワビみたいな可愛い貝なのに。まさかその優れた生態が嫌われる原因になるなんてなあ……」
「肺呼吸も出来るし、水中での呼吸も出来て水の汚れにも強いから、初心者でも簡単に飼育可能な種のひとつではあるけどね」
「……、水温を低くしてやれば繁殖スピードを抑えられるんだろ? 仕草もかわいいみたいだし、飼ってみようかな」
「と、とうま!? ……、水槽の悪夢を育てるような余裕があるなら、私にお腹いっぱいご飯を食べさせるべきかも!!」バンバン
「確かにお前は、猛烈に増えないだけありがたい……、かな?」
131 :
怪談
[saga sage]:2011/08/02(火) 20:31:28.37 ID:F4kTtFrF0
☆
御坂「夏といえば怖い話よね。というわけで佐天さん。何か新しいネタ、ないかな?」
佐天「そうですねえ。……あ、にぼしの話しませんか? アレって結構、魚を飼い始めたばかりの人にはショックだと思いますよ?」
初春「にぼし、ですか? につぼうちょ……。イワシの小魚を塩茹でして干したダシの素のことじゃないですよね?」
白井「佐天さんが仰ってるのは、飼育している魚が水槽を飛び出して干からびることですわね。見た目は煮干しそのものですけど」
御坂「金魚を飼った経験がある、ってだけで他の魚を飼うと起こるのよね。ほとんどの魚は水面以上に飛び上がる事があるのよ」
佐天「川魚のジャンプ力はすごいですからねぇ。ドジョウの仲間は空気呼吸の為に頻繁に水面から顔を出しますし」
初春「驚いたり、敵から逃げようと瞬間的に大ジャンプするエビ類もそうですね。……、これは干しエビっていうべきかな?」
白井「あと巻貝類などは壁面を這って移動する都合上、意図せず水槽外に出る事がありますわね。大抵は自力で戻れませんけど」
佐天「このにぼし、何が怖いかって、まずは発生になんとなく気付いちゃうってことなんですよね」
白井「大抵飛び出しは深夜ですから。なんとなく『ポトッ』って音が何処からか。でも既に寝入っていて確認する事もなく」
御坂「朝起きて、そういえば昨日の音はなんだったんだろ? とか思っても原因を見つけられることはまず無いのよね」
白井「夜になって帰宅しますと、何となーく水槽周辺に違和感が。辺りに近づいてよーく見てみますと……」
佐天「電源コードや絨毯の影に隠れるように、哀れなにぼしが出来上がってるわけですね。埃や毛糸をいっぱい巻きつけて」
御坂「最後までもがいて、できるだけ乾燥を防ごうと物の影に隠れたのねって……。見つけられなかった罪悪感がスゴイのよ」
白井「それを一度経験しますと、寝ていてもほんの小さな物音で起き出して水槽の周りを見に行っちゃいますもの」
御坂「まあ、水槽に蓋をすればいいんだけどね。とにかく一度乾いちゃった魚が回復する事は難しいから気をつけてね」
白井「蓋を乗せるだけではモクズガニなどは5kgの重しがしてあっても逃げ出すそうですので、蓋は固定をお勧めしますの」
佐天「早めに見つけて、まだ生乾き状態で生きてるんだったら、運を天に任せて一応治療しても損は無いと思いますけど」
御坂「そうよね、乾燥に強い魚も居るし。……ところでさ、これって怖い話のはずじゃなかった? 全然怖くないわよね?」
初春「水槽あるあるネタを延々続ける皆さんの姿は、怖いといえば怖いですよ」 ニコッ
132 :
怪談
[saga sage]:2011/08/02(火) 20:33:19.00 ID:F4kTtFrF0
☆
打ち止め「お〜ばけ〜だゾォォオォオオオッ! ってミサカはミサカは微睡むあなたを恐怖のどん底に突き落としてみたり!」ドーン
一方通行「………………、前に言ったよな、俺の眠りを邪魔すンなって。…………、恐怖のどン底落ちンのはテメエだクソガキ!」
打ち止め「おっと!! 待ってよ、聞きたい事があるんだってば、ってミサカはミサカはオカルト雑誌を取り出してみたり」ゴソゴソ
一方通行「ンだァ? 胡散臭さの塊魂じゃねェかこンなもン……、メンドクセェからとっとと用件を言ェ!」パラパラリ
打ち止め「あのね? その本に書いてある、雪男や幽霊やブルトンやバーゴンって架空の生き物でしょ?」
一方通行「―――――、あのなァ、他のはどォだか知らねェが霊魂の実在は学園都市の科学が証明してンだろォが」
打ち止め「な、なにその爆弾発言?? ってミサカはミサカは寝ぼけて別位相に飛んでるらしいあなたを心配してみたり」
一方通行「死ンだら終わり、だから霊魂はねェってンだから、他媒体や大人数で意識を共有出来るってはその否定だろォ?」
打ち止め「ちょ、ちょっと待ってねって、ミサカはミサカは余りの予想外の展開にフリーズ気味の頭をフル回転してみたり」
一方通行「適当に聞けばイイ。つまり個人の死がその意識の断絶を意味しないって考えちまってる科学は、既にオカルトなんだよ」
打ち止め「えーと、つまり、科学で意識は掌握可能って考えた時点で、却って意識は非科学であるって認めたってこと?」ワケワカラン?
一方通行「……、と、こォいう論理の飛躍が胡散臭い話には蔓延してるから注意しろよ。で? 本題はなンだよ?」
打ち止め「よく分らないけど、ミサカは弄ばれたんだねって……。それはともかく、夏らしく魚のオカルト話が聞きたいなって」
一方通行「……、魚とオカルトは相性がイイのか、その手の話は枚挙に暇がねェんだ。エジプトの川の話なンざ考えたくもねェぞ」
打ち止め「お? 候補が多すぎるから絞れってことかな? ってミサカはミサカは気が付く女だから、幽霊な魚! って言ってみる」
一方通行「幽霊ね……。そォだな、ユウレイウオって呼ばれてる魚が居ンな。知ってるか?」
打ち止め「ううん、知らない。普通の名前が別にあるのね? ってミサカはミサカは確認してみる」
一方通行「あァ。ンじゃ、俺の解説でこの魚、ユウレイウオが何の別名か当ててみるか? 趣向を変えてクイズになっちまうが」
打ち止め「おお! 望むところだよーって、ミサカはミサカは……、実際に誰も名前を知らないような魚じゃないよね?」
一方通行「心配すンな、少なくとも名前だけなら誰でも知ってる……、多分な。じゃ、行くぞ」
133 :
怪談
[saga sage]:2011/08/02(火) 20:36:28.88 ID:F4kTtFrF0
一方通行「ユウレイウオは海を回遊する魚で、成体の全長は平均で1m、重さはせいぜい2kgってトコか。肉食で小魚やアミを
食うための鋭い歯が特徴だ。主な生息域は沖合い、水面近くから水深100m程度の中層、そして泥底。群れを組んで
生活し、稚魚は夜に、成魚は朝夕にそれぞれ活発になるっつー棲み分けがある。……さて、第一ヒントは終了だ」
打ち止め「え〜〜〜〜、何もそれらしいヒントは無かったんじゃない?? ってミサカはミサカはぶーたれてみたり」ブーブー
一方通行「そォかァ? サイズ聞いてオカシイと思わなかったンかよ? 分ンねェならテメエ自身と比べてみろ」
打ち止め「ほ?? あ!! 軽い、敵は圧倒的に軽い……。つまり細長系ってことだねってミサカはミサカは勘付いてみたり!」
一方通行「だな。ンじゃ続き行くぞ」
一方通行「柔らかく淡白で上品な肉質で、どンな料理にも合うユウレイウオは漁業種としてだけでなく釣りの対象としても人気
がある。引きが強く、群れで生活してるから釣れ始めると止まらねェンで遊びで釣りするヤツにも人気だ。
さて、ユウレイウオの別名はココで付いたとも言える。集団で素早い移動をするンで、さっきまでバカみたいに釣れ
てても、一瞬で全く掛からなくなる。逆に全くアタリが無いと思ったら急に釣れだす。瞬間移動を思わせるこの習性
が、幽霊のように神出鬼没だってことでユウレイウオと呼ばれるようになったワケだ。……さて、分ったか?」
打ち止め「細長くて、歯が鋭くて、美味しくて、釣りの対象だね。候補は絞れて来たよってミサカはミサカはワンモアプリーズ!」
一方通行「コレ以上は答えを言うよォなもンだけどな。……、まァイイか」
一方通行「集団で素早い移動をするユウレイウオだが、普段泳いでる姿からはそンな事が出来るとは思えねェ。何しろ頭を上にして
立ち泳ぎしてンだからな、それも集団で。上を向いているのは、エサになるモノが落ちてくンのを直接見てンだろォな。
で、この魚の体表にウロコは無く、代わりにグアニン質って銀色の層に包まれている。昔はコレから銀粉を作ってラメの
原料にしたンだってよ。そンなもンに包まれた体はまるで細い金属片、それこそ日本刀みてェじゃねェか?」
打ち止め「はいはーい!! 正解は、タチウオだねって、ミサカはミサカは終了間際の飛び込みセーフで大正解ー!」ヨッシャア!
一方通行「……、タチウオで正解は正解だけどよォ。罰ゲームも商品もねェのに、どォしてそんなにテンション高いンだよ?」
打ち止め「だってね。出題と回答、クイズを通して二人の意識が繋がってるのがなんだか幸せだなってミサカはミサカは、アレ?」
番外個体「だからね? 第一位のヤツ、今度はタチがどうしたとか言ってんでしょ。やっぱ変態なんじゃね?」ゴニョゴニョ
芳川桔梗「うーん。打ち止めも繋がる、とか言ってるし。二人にもちゃんと教育したほうがいいのかしら……」ヒソヒソ
一方通行「前の設定を引きずンじゃねェ!! 大体、テメエらの論理の飛躍はオカルトレベルなんだよ!!!」
〜おしまい〜
134 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/08/02(火) 20:43:25.23 ID:F4kTtFrF0
以上、第十二回 「怪談」でした
ちなみにサカマキガイ。普通に水道で流しちゃうと、パイプの中で繁殖することもあるらしいです。コレもダメってことです
どうしても潰せないって人は、地面にばら撒くのがいいかな・・・
というわけでまた明日〜
135 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/03(水) 03:40:50.70 ID:bgcApvBxo
にぼしは・・・ヘタな怪談よりずっと眠れなくなる話だなw
136 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/03(水) 06:38:19.96 ID:fNsH/jHso
あいつら飛ぶんだよなー
137 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/08/03(水) 23:26:23.88 ID:KIFxBpEx0
今日のおさかな話は、若干変化球気味・・・、第三パート無いし
ちょっと変化球気味ですが、よろしければどうぞ
138 :
テーマは、例外
[saga sage]:2011/08/03(水) 23:27:48.05 ID:KIFxBpEx0
☆
「なあインデックス、俺は常々疑問だったんだが、タツノオトシゴってアレはなんだ? 虫か? エビか?」
「とうま……、頭、大丈夫? 暑さでおかしくなってない?? ……、どう見たってタツノオトシゴは魚類なんだよ」
「おいおい。そりゃ魚だろうなって思ってはいたけど。『どう見たって』って、何処をどう見ろって言うんだよ!?」
「軟骨では無い骨格を持ち、エラ蓋のある呼吸器官を持ち、胸ヒレ、背ビレを持つ。私には硬骨魚以外には見えないかも」
「……、ハイハイソウデスネー。ペンギンは鳥デスネー。コウモリはホニュウ類デスネー。人類ミナ兄弟デスネー」
「ヤケになったとうまは全然かわいくないかも。……まあ、タツノオトシゴは変わった特徴の多い魚ではあるよね」
「だろ??? 言いたかったのはそういうことなんだよ。やあー、気持ちが伝わるっていいもんだよなー」
「調子がいいっていうかキャラがブレてるっていうか、なんだか気持ち悪いんだよ。まあ、とりあえず解説するね」
「おお、頼むよ! まず第一にアレは一体何の仲間なんだ? 近い種類の魚で有名なのっているのかな?」
「タツノオトシゴはトゲウオ目って分類なんだけど、まずはこのトゲウオ目を説明したほうがいいかも」
「トゲウオね……、とりあえず聞き覚えは無いなあ。ってことはそんなに多い種類でも無いんだろ?」
「少なくもないよ。トゲウオ目の代表的な特徴は、@小さな魚が多いA変わった姿が多いBオスが子育てする、だよ」
「ふーん。例外はあるだろうけど、タツノオトシゴもその特徴に対応してるわけだな」
「そうだね。@については20cm以下のサイズが多いんだけど、美味しいアカヤガラもトゲウオ目なんだよ」
「……そんな魚、誰でも知ってると思うなよ。全長1.5mを越す筒状の口を持つ細長い高級食用魚じゃねえか!」
「うんうん、これ以外のトゲウオ目は小さいからほとんど食用にはされないんだよ。でも、ヤガラも変な形の魚だよね」
「ああ、次はAだな。タツノオトシゴといえばあの形。直立しつつも顔は前方を向き、筒状の口はまるでラッパ」
「馬の顔みたいだよね。英語では『海の馬』って……、というか日本語でも海馬って言うよね?」
「だな。ちなみに短期記憶を司る脳組織、『海馬』はタツノオトシゴに形が似てるからそう呼ぶみたいだぜ」
「ウマヅラはドラゴンの子なんだよー! って、そんなオチはダメだよね……。でね、この変な形は擬態の為なんだよ」
139 :
テーマは、例外
[saga sage]:2011/08/03(水) 23:30:19.87 ID:KIFxBpEx0
「擬態ってのは、周囲の環境や他の生き物に姿を似せて、敵から逃れたり逆に獲物をおびき寄せたりする事だよな?」
「トゲウオ目の擬態は敵から逃れるためだよ。生息域に合わせて、海草や石やサンゴにそっくりな種類も居るね」
「ウロコが変化して出来た殻に包まれた柔軟性に欠ける体で、ヒレも小さいから、速く泳ぐのは無理だもんな」
「隠れる事に特化したってことだね。長い尾で海草などに巻きついて体を固定してたら、なかなか見つけられないよ」
「だよなあ。……で、Bなんだが、魚ってそもそも育児をするもんなのか?」
「育児、と言ってしまうと人間のそれと混同するかも。要はタマゴが孵化するまでオスが保護をするってことだよ」
「ふむふむ、そういうことか。例えばどんなふうに?」
「トゲウオ目の中でも、種によって様々だね。水草で巣を作ってメスに卵を産ませてそれを保護するとか」
「あー、淡水魚のトミヨやイトヨってやつだろ? 他には?」
「オスの体表に卵を産み付けるとか、もっと徹底した種ではオスの育児嚢の中にメスが卵を産みつける、とかだね」
「育児嚢? カンガルーの袋みたいなもんか。ってことはオスのお腹が膨らんで、オスが稚魚を産むのかよ……?」
「うんうん、タツノオトシゴがまさにそうだよ。孵化後、オスは体を震わせて親と同じ姿の稚魚を放出するんだよ」
「変わってるのは形だけじゃないんだな……。解説してくれたインデックスには悪いけど、ますます魚には思えねえや」
「む、何が言いたいのかな? トゲウオ目のタツノオトシゴって海棲魚はこういう魚です。それじゃダメなのかな?」
「いいか……、何でも型にはめて、わかりやすくカテゴライズされて、勝手に付けられた番号順に並んだような、そんな
そんな社会は、人間のそれだけで充分じゃねえか、なあ。人間中心の都合をタツノオトシゴに押し付けんなよ! 理屈
じゃねえ。一目見れば誰だってそう思うに決まってる。アレが魚に見えるのかよ? アレをお刺身で食えんのかよ?
ふざけた事言ってんじゃねえ! 甲板で守られた体躯はエビのよう、独特の風貌は馬のよう、ふよふよと海中を漂う様
は妖精のよう、それがみんなタツノオトシゴなんじゃねえのかよ? オスが出産する、そんな魚が居るわけねえだろ!
……コレだけ言ってもまだ、タツノオトシゴはトゲウオ目ヨウジウオ亜目ヨウジウオ科の硬骨魚だって思ってんなら、
まずは、まずはその幻想をぶち殺す!!!」 ドッギャーン!
「…………、おさかな話じゃ、お説教が出来なくてストレスが貯まってたの? でもちょっと無理矢理過ぎかも」
「〜♪」 スッキリ
140 :
テーマは、例外
[saga sage]:2011/08/03(水) 23:33:34.13 ID:KIFxBpEx0
☆
初春「水槽でおさかな飼ってる人って、たとえば美味しい魚を飼育していても食欲沸かないんですかね?」
佐天「初春〜、それは猫を飼ってる人に向かって『いい猫ね、いつ食べるの?』って聞くようなもんだよ?」
白井「まあ、絶対食べる気が起きないか? と言われれば中にはそういう方も居るかもしれませんけど」
御坂「ドジョウだろうとナマズだろうと、大事なペットであり家族なのよね。ただ、料理されたものは別よ?」
佐天「そうなんですよねぇ。馬が好きな人は桜肉を食べない、って聞くけど。魚好きは魚、普通に食べますよね?」
白井「それどころか、いろんな魚の調理法に詳しかったり、自分でさばく技術を持ってる方が多いですわね」
初春「そこなんですよ。食べるのも好きなら、飼ってる魚にだって食べたい気持ちが出るのが普通だと思うんですけど」
御坂「いや、ん〜……、違うのよね。なんて言ったらいいんだろう?」
春上「それはこういうことだと思うの」
東城マミカ(10歳)さんがお友達に手伝ってもらってやっと捕まえたオタマジャクシは、彼女にとって初めてで大切な
オタマジャクシ。でも、ジャムの空き瓶に入れて大喜びで帰る途中で、マミカさんはいじめっ子に出会っちゃったの。
「なんだよこんなもん!」
いじめっ子はマミカさんから空き瓶を取り上げると道路に向かって投げつけたの。短い破裂音の後、ガラス片と水飛沫
が飛び散って、鉄製の蓋の付いた部分は勢いよく跳ね返って、そして、大切なオタマジャクシは短い一生を終えるの。
泣きながらトボトボと、いつもより時間をかけて家に帰ると、様子を見てた周りの友達から連絡がいったのか玄関先に
既にいじめっ子とその親が来ていたの。いじめっ子の手には、水の入った小さなビニール袋があったの。
「ごめんな。これ、お詫びに」
いじめっ子は親に殴られたのか怒られて泣いたのか、赤く腫らした顔を俯き気味に、いつ捕まえたのかオタマジャクシ
の入ったビニール袋をマミカさんに差し出すの。一瞬、きょとんとした後、マミカさんは言うの。
「なんだよこんなもん!」
ってことなの。
「…………」 「…………」 「…………春上さん?」 「…………」
春上「かけがえの無い、世界にただ一匹だけのおさかなは他のものとは全く違う、大切な友達なの」
初春「……、春上さんのお話で私、わかりました! おさかな好きは理屈に合わない人種ってことですね?」
白井「いや、ええと……、愛は理屈では語れない、と言う次元であればそうだと言えなくも無いですけれども……」
御坂「うまく言葉に出来ないわ……。まあ、お友達の家に水槽があっても、食べないの? とは聞かないほうがいいわね」
春上「それが無難なの」 ニマー
〜おしまい〜
141 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/08/03(水) 23:40:23.43 ID:KIFxBpEx0
以上、第十三回、「例外」でした。
ちなみに、トゲウオ目にはいつか話題に出たヨロイウオ(本物)も含まれます。甲板に包まれた魚なのです。
第二パートの飼ってる魚をどうのこうの、ですがシジミを飼育しつつ、シジミ狩りしてお味噌汁しちゃうあたり
私も理屈に合わない人種なのかもしれません。
次回はちょっと日が開くかと思います。見つけたら是非によろしくおねがいします。
では今日はこの辺で〜
142 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/04(木) 00:12:41.26 ID:p8W2xKYJo
乙
ヤガラは最近テレビで見る事が増えた希ガス
143 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/08/06(土) 20:26:01.64 ID:doazxaet0
久しぶりのおさかな話。十四回目です。
久しぶりだけど何の変化も無く、だらだらといつものメンバーに雑談してもらいました。
それではどうぞ、っと、テーマは「適当」です
144 :
適当
[saga sage]:2011/08/06(土) 20:27:10.70 ID:doazxaet0
☆
「なあインデックス、イカは高蛋白低脂肪でプロのボディビルダーはその筋肉の維持、育成を構成バランスの面で…」
「とうま、その質問に悪意が無いと、天にまします我らの父に誓って言える?」 ギロッ
「や、やだなあ、大げさな。ちょっとしたワル乗りだって。……でもさ、イカってのも不思議な生き物だよなあ」
「体のほとんどが筋肉で、神経系が研究材として理想的に発達した海棲軟体動物、ってくらいしか私も知らないんだよ」
「へえ、インデックスが『知らない』なんて言うのは珍しいな。じゃあ今日は俺が代わりに解説してみようか?」
「む、とうまはおさかなの解説をナメてるね。とうまは素人なんだからうまく出来るわけがないんだよ」
「心配すんなよ、ずっとお前の解説を聞いて来たんだ。進め方は充分心得てるつもりだぜ? 心配は犬にでも食わせな!」
「言葉の意味はよく分らないけど、とにかくスゴイ自信なんだよ……。好きにすればいいかも」 ハァ
「よーし、まずはええと……パラパラ……パラパラ……、ふむふむ、イカは軟体動物門頭足綱十腕形上目の生き物だ」
「……」
「軟体動物門ってのは、っと、んー……後生動物旧口動物? あ、なんだ。つまり貝とかタコとかイカだってさ」
「……」
「で、頭足綱ってのは、イカやタコ、オウムガイや絶滅したアンモナイトもそうらしいぞ、すっげーな」
「……」
「十腕形上目ってのは、ん〜と……、あの、インデックスさん? この辺で質問してくれないと話が続かないんだけどさ」
「やっぱり私が解説するんだよ。とうま、その参考書貸して」
「ぐぬぬ、ちくしょう。何がいけなかったってんだよ……」
「むしろ私の解説がとうまにはそういう風に見えてたってことがショックかも」パラパラパラパラパラパラパラパラ パタン
「って言ってる間に読み終わっちゃったのか。んじゃ、あらためて聞くけどそもそも軟体動物って何なんだよ?」
「イカも含まれる軟体動物っていうのは、骨格を持たず、体表が粘膜で覆われた乾燥に弱い生き物の総称だね」
145 :
適当
[saga sage]:2011/08/06(土) 20:28:23.80 ID:doazxaet0
「ふうん。でもさ、イカって中骨っつーの? 板みたいなの入ってるだろ。あれは骨格じゃねえのかよ?」
「アレは貝で言うところの貝殻なんだよ。とうまの言ったオウムガイの持つ殻が、進化の過程で体内に隠れた物だよ」
「ふむ、言われて見ればナメクジの貝殻も体内にあるんだっけ。貝が外殻を失う進化をナメクジ化って言うんだもんな」
「うんうん。イカの仲間で、渦巻き状の殻を体内に持つトグロコウイカは、それが元は外殻だという生きた証拠だね」
「へえ。あ、それでさ、イカって言えばやっぱりダイオウイカ。巨大で凶暴なイカらしいじゃねえか」
「確かに大きな生き物ではあるんだけど、深海に棲んでいるイカだから生きている姿はほとんど確認されてないんだよ?」
「そうなのか? じゃあ、凶暴とかそういうのはイメージだけなのかな?」
「まあ、ダイオウイカを見る事があれば、体や目の大きさ、トゲの付いた吸盤、腕の長さは恐怖の対象になって当然かも」
「目だけで直径30cmとかあるんだもんな。トゲ付きの吸盤なんてマトモじゃねえし。イカ飯なら何人前だよって、なあ」
「大きなイカは浮力を得るために塩化アンモニウムって物質を蓄えてるから、しょっぱくて臭いみたいだけどね」
「水より比重が軽いアンモニアを使うのはサメと同じだな。サメも時間が経つとスゴク臭いって言うし、ふむ」
「まあ、重さだけで言うならスルメイカの2000倍以上だから、か、か、か、軽く2000人前ってことになるのかな??」ゴクリ
「塩漬けして水洗いを繰り返せば……、ま、この話は止めとこう。人気者スルメイカの名前が出てきたことだし」
「日本人が一番、ってことは人類が一番消費している魚介類かも知れない、それはスルメイカなんだよね」
「安いのにビタミンEやDHAが豊富でタウリンの塊、ゲソもワタもえんぺらも旨い、欠点の殆ど無い完璧な食材だな」
「一年で急速に卵から30cm大になることで、古代から現代まで人間の食生活を支え続けてくれた、究極の海の幸なんだよ」
「スルメ様々ってとこか。……というわけで今日はイカ、漢字で書くと烏賊……、カッコイイな、の話だったわけだけど」
「烏賊ってのは、イカを食べようとしたカラス(烏)をイカが返り討ちにして海に引き擦り込む様子から付いたんだって」
「へえ〜……って、チクショウ! 結局俺は、おさかな解説でインデックスには勝てねえって自分で認めちまってるよ」
「とうま…………。でもね、とうまの質問が無かったら私もスムーズに解説出来ないんだよ。適材適所ってことかも」
「だろ〜? 俺も常々、上条さんは質問のプロなんじゃないかと思ってたんだよ。褒められると参っちゃうな」アハハ
「調子がいいっていうか変わり身が早いっていうか……。このイカみたいな柔軟さがとうまの良さなのかも?」
146 :
適当
[saga sage]:2011/08/06(土) 20:29:27.53 ID:doazxaet0
☆
佐天「母親が、海の無い県に旅行に行ったんですけど、旅館でマグロのお刺身が出たのが残念だったみたいで」
白井「郷土料理を期待してそれではガッカリですわね。まあ、土地のものが目的の旅行なら事前に確認が必要ですの」
初春「天然の川魚などは旬もありますし。アユでさえ、いつでも美味しく食べられるとは言えないですもん」
御坂「でもさ、フナとかタナゴとか、およそ食べ物と思ってない魚が実は美味、みたいな発見も旅の魅力じゃない?」
佐天「ふむ……、けど小さい川魚って、大抵は甘露煮というか佃煮というか、元の味なんて消しちゃう味付けですよね?」
白井「それらの調理法は、大量の小魚を特に処理せず食べるためのものですの。少なければ油で揚げてもいいですわね」
御坂「包丁を入れられるサイズの魚の場合は、料理法に関わらずウロコやワタを処理するほうがいろんな意味でいいわね」
初春「苦味、臭み、寄生虫対策ですね。あと、コイなどの底棲魚のニオイは、酸で分解出来るって言いますね」
白井「中華の魚料理はやたら、揚げて甘酢あんかけ、でしょう? つまりそういうことなんですの」
御坂「日本と違って、川は泥臭くて当たり前の時代を数千年続けてきた食文化だからね……。学ぶところはあるわね」
佐天「ところで、ムリかも知れませんけど、川魚をお刺身で食べたい時は何か方法があるんですかね??」
初春「佐天さん? クドいくらい言ってますけど、寄生虫や病原菌の心配があるから生食は絶対ダメなんですよ!」
御坂「絶対ムリ、とまでは言えないんだけどね……。もちろん、綺麗な環境で養殖した魚を使う場合じゃないわよ」
白井「つまり、あれですわね。川で捕まえた魚を清水に入れて泥を吐かせた後に、数日間冷凍するってことですの」
初春「冷凍ですか……、それなら確かに寄生虫も退治出来るかもしれないですね」 フム
佐天「獲れたてピッチピチ、じゃないけど。食べようと思えば手段はあるんですねえ。でも美味しいかどうかは別、かな」
白井「絶対安全、とまで言っていいかどうか分らない方法ですので、くれぐれも自己責任でお願いしますの」
御坂「で、調理して食べてみて『ダメだ』と思ったらもったいないとか考えないで、それ以上食べないことね」
初春「あと、知らない魚、分らない魚は火を通そうが冷凍しようが、絶対に食べないで下さいね」
佐天「ナ……ナニコレ!?」
147 :
適当
[saga sage]:2011/08/06(土) 20:30:55.05 ID:doazxaet0
☆
打ち止め「ねえねえ、世界で一番小さな魚ってなあに? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
一方通行「……、ソレは結構、難問だぞ? 充分に成長した成体同士を比較するにせよ個体差がどォしてもネックになる」
打ち止め「ほほお〜……、どういうこと? ってミサカはミサカは解説を促してみる」
一方通行「簡単に言ェば、黄泉川の知り合いの実験生物が居ンだろ? アレを人間のサイズに含めてイイのか?」
打ち止め「な……なるほど、ってミサカはミサカは目から鱗をポロポロと落としてみたり」
一方通行「あンなのは例外として排除するとしても、最大物を探すみてェに単純に並べりゃイイってもンじゃねェ」
打ち止め「他種と比べて圧倒的に小さければ別だけど、差がわずかな場合は平均を出す必要があるから?」
一方通行「あァ。だから『新種の魚は最小の魚』って事にすンには数を相当調べねェとイケネェ……」
打ち止め「だけどそもそも、それまで知られていなかった魚を見つけるだけでもスゴイ事だもんね。ふむむむむ」
一方通行「他に、以前話題にしたアンコウ……、メスに比べてオスが異常に小せェンだろ? そォいうのはどォする?」
打ち止め「寄生虫サイズのオス、矮雄だったかな? 確かにメスを無視して小さな魚種、とするのは問題があるね」 ムゥ
一方通行「まァ。そォは言っても、世界一小せェ魚って一応言われてンのが居るには居るがな、何種類か……」
打ち止め「まだまだ研究途上なのねって納得しつつもミサカはミサカはちなみにそれどんな魚? って聞いてみる」
一方通行「そン中で一番有名なのは、ドワーフ・フェアリー・ミノー(7.9mm〜10mm)だろォな。コイ科の魚だ」
打ち止め「1cmのコイ?? というかミノーってコイのことなの? ってミサカはミサカは色々驚いてみたり」
一方通行「コイの仲間はほとんどが5cm以下の小魚なンだよ、超ミニサイズのこの魚も含めてな。じゃ、行くぞ」
148 :
適当
[saga sage]:2011/08/06(土) 20:32:28.23 ID:doazxaet0
一方通行「ドワーフ・フェアリー・ミノーと呼ばれる魚はインドネシアのスマトラ島中央部の泥炭湿地林に生息してる。
泥炭湿地林っつーのは水の貯まり易い低地で、水没した木材が通常の分解をせずピートとなって敷き積もり、
その上に再び木が生えて……を繰り返して出来た熱帯特有の森林だ。そこの水質は、ピートに含まれる硫黄が
原因で強酸性、PHは3。コレがどンな意味か分るか? ちょうどレモンの絞り汁のPHがそンなもンだ。普通に
考えて、マトモな水生生物が居るわけもねェそンな苦水の中で、この魚は発見されたンだ」
打ち止め「へええ。ところで、ピートってなんなの?」
一方通行「聞いてなかったンかよ。木材が微生物の分解よりも速く堆積することで作られる、泥状の炭だよ」
打ち止め「ああ、スコッチの香り付けに使うヤツだねってミサカはミサカはオトナの嗜みにも深い造詣があったり」
一方通行「何の役にも立たねェ豆知識アリガトウ。……説明、続けンゾ」
一方通行「見た目はモロコっポィが、全然小せェコイツは最近発見されたばかりだが既に日本の水族館でも見れるし
繁殖に成功したアマチュアもいるよォだな。なンせ熱帯雨林は森林伐採やら火災で次々消滅してンだろ?
自然のコイツらが絶滅する可能性は低くねェ。生息環境を守ってやれれば最高だが、誰にも知られること
無く完全絶滅すンのは当面防げたワケだ。ソレは喜ンでも、俺は、イインじゃねェかと思う」
打ち止め「難しい問題だけど、居なくなるより居たほうがいいのはそうだよね、ってミサカはミサカは頷いてみたり」
一方通行「ン……。ちなみにだが、この魚は最小の脊椎動物でもある、かもしれねェ」
打ち止め「今日の話題は要所要所でボカシが入るんだね、ってミサカはミサカは慎重なあなたにちょっとビックリ」
一方通行「何しろ確定してる話じゃねェし。出来るだけツマンネェ嘘は使いたくねェンだよ」
ガチャッと『お邪魔するですじゃん』
月詠 小萌「例外とかあんなのとかアレとか一体誰の事です? 嘘付きじゃなければ、間違えてるです!」プンプン!
黄泉川愛穂「月詠先生ゴメンじゃんよ。まだ誤解させたままって言うか……、そっちのほうが面白いじゃん?」
打ち止め「ホントに可哀想……、自分のこと普通だって、記憶を上書きされてるんだねってミサカはミサカは……」
一方通行「マジか……、違ェンかよ…………、え、液晶はイカの内臓から作ってた。イカ、スゴイじゃなイカ?」
〜おしまい〜
149 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/08/06(土) 20:38:47.87 ID:doazxaet0
以上、第十四回「適当」でした。
一番今回「適当」だったのは先生たちの口調だったり・・・違和感があったらすいません
ではではまた次回〜
150 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チリ)
:2011/08/06(土) 20:56:57.15 ID:OZXX8b4l0
まいど勉強になるなあ
こないだ岩魚の刺身を頂いたんだけど養殖だったんだろうか
乙
151 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/08/06(土) 22:34:20.51 ID:JTNr82J5o
乙
川魚といえば前ウグイ釣って食ったことあるけどまあ微妙だったな
152 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/06(土) 23:38:41.70 ID:6b5e6jP+o
釣った魚の味は正直、非日常感の補正が大きいと思う
祭りの日の屋台のお好み焼きと同じで
153 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/07(日) 20:02:42.35 ID:JRqMUmXDO
乙
小さいと比べるのも大変だろうしなぁ
154 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2011/08/08(月) 07:18:25.05 ID:F9NO8/eAO
川魚は揚げる事が多いが、味はあんまりよくない…
155 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/08/08(月) 08:48:44.62 ID:joRyHX7H0
朝からおさかな! と言いたいトコですが前回の話でちょっと触れておかねばならない部分が
第1パート、サメが浮力を得るためにアンモニアや尿素的なものを使っていると誤解しかねない表現がありました
サメが尿素的なものを使うのは浸透圧調整の為で、上条さんもそれは心得た上で発言していると思ってください
紛らわしい表現、大変失礼しました
第2パート、川魚の食べ方ですが・・・ハッキリ言って人によってかなり意見が分かれますよねコレ。
綺麗なトコで捕れた魚なら云々、薄造りにして洗えば云々、そもそも気にスンナ、絶対ムリだろjk・・・
ですがココでは教科書的に、川の天然物を直接生食は無謀、とさせておいて下さい
そして一般川魚の味。火を通しても、・・・トイレのニオイがする魚とか居ますし、甘露煮って偉大だなって思う
一級品以外の川魚は、食べられなくは無いけど、味は期待しないでね。って感じでしょうか
そのほうが美味しかったらビックリできますしね
というわけで、前置きが長くなりましたが今回のテーマは「人/魚」です。いえ、パリパリ的なアレじゃないです
ではどうぞ
156 :
人/魚
[saga sage]:2011/08/08(月) 08:51:00.35 ID:joRyHX7H0
☆
「なあインデックス、マンボウって魚は泳ぎが下手で、水槽のガラス面にぶつかって死んじまうってホントか?」
「とうま? 泳ぎが下手かどうかは別にして、マンボウは水族館で飼育するのが難しい魚だっていうのは聞くね」
「まあ何しろデカイからな。のんびりぼーっとしてるだけとは言え、大きいのだと体重1トンを越えるんだっけ」
「ん〜……、とうまのマンボウのイメージはなんだか偏ってるかも? ちょっと修正してあげるんだよ」
「ん? そうかなあ? まあ、詳しいわけじゃないから教えてくれるのは大歓迎だけどな。じゃ、まずは分類か」
「うん、マンボウは大きく言えばフグの仲間だね。おちょぼ口で、何となくフグ顔でしょ?」
「言われて見ればそうだな。フグ類ってのは速く泳ぐのが苦手で、外敵から逃げる手段がないのが多いけど」
「代わりに、膨張したり、針を出したり、ガッチガチの装甲で身を守る魚が多いね。マンボウは装甲タイプかも」
「あれ? でもさ、確かマンボウはウロコが無くて皮膚が弱いんじゃなかったっけ?」
「粘液で守られた皮膚は確かに人が触っただけで痕が残るくらい弱いけど、その皮の厚みは数センチもあるんだよ」
「へえ。そんなに厚いんじゃその辺のサメにちょっと咬まれたって平気だろうな。そういう装甲ってわけだ」
「うんうん。ヒレの退化具合といい、防御形態といい、フグ目の特徴をしっかり備えていると言えるんじゃないかな」
「とは言え、体型は独特だけどな。どう言ったらいいか……、常盤台中学の校章を横向きにしたような」
「で、尖ってる方を頭としたら、尾のほうの端の上下に飛行機の羽を付けて……おー、まさにマンボウ形かも!」
「わかりやすいな。で、マンボウはこの飛行機の羽の部分、背ビレと尻ビレしか動かせないんだろ?」
「一応、末端の部分、舵ビレっていうのかな? そこも動くんだよ。まあでも確かに、巨体の割に動く部分は少ないかも」
「だよなあ。ちなみにここまで、上条さんの最初持ってたマンボウのイメージは何一つ変わっていませんけど……」
「焦る魔術師は貼るルーンの枚数が少ない、だよ。 ここからが本番かも。まずは『翻車魚』。コレ読める?」
「ん? おいおいインデックスさん、いくらなんでもバカにしすぎだろ? 『まんぼう』だよ(テーマだし、多分)」
「意外……、とうま漢字強いんだね。でね、何でこの字をあてるかっていうと、マンボウは宙返りをするからなんだよ」
157 :
人/魚
[saga sage]:2011/08/08(月) 08:51:59.67 ID:joRyHX7H0
「へ? おいおい。泳ぎが下手で、体重1トンを越えるような魚がジャンプ出来るわけないだろ?」
「するものは仕方がないかも。実際、飛んできたマンボウに当たってケガしたり、潰される事故の報告があるしね」
「海って怖い……。しかし、そんなに高くジャンプ出来るとなると、それなりのスピードで泳げるってことか?」
「かつては殆ど遊泳能力が無い魚って思われてた時代もあったけど、深海に潜ったりイカやエビを捕食するみたいだから」
「そんな事が可能だとすれば、泳ぎが下手なワケがねえよな。ちなみに、なんでマンボウはジャンプするんだ?」
「……、日向ぼっこと並んで謎行動のひとつなんだよ。寄生虫を落とすため? とか言われてるけどまだ分ってないかも」
「寄生虫? そんなの体にいつも付けてるのかよ。……まあ、巨大な生物は往々にして付着物に寛大だったりするけど」
「だね。ご他聞に漏れずマンボウもそうなの。マンボウの寄生虫は体の内外合わせて数十種類にも及ぶんだって」
「それはなんと言うか、同情するよ……。食べても食べても寄生虫の栄養になっちまうな。何が主食か知らないけど」
「おちょぼ口で、クラゲをつんつんして食べる事が多いみたいだよ。つまりはプランクトン食ってことかな?」
「ふうん。まあ、最大魚類のジンベイザメだってプランクトンを食べるから変じゃないけど。まあ、肉食なんだな」
「みたいだね。水族館では剥き身のエビをエサにしてるんだって。でも、消化能力が低いのか骨のある魚は苦手みたい」
「そりゃまた飼育員泣かせだね。っと、そういえばマンボウと言えばこれを忘れちゃいけない、卵3億個!」
「最も卵を多く産む生物、ってことになってるけどそれすらもまだ良く分ってないところがあるんだよ。産卵場所とかね」
「……、今日はそういうのが多いな。まだまだマンボウは研究途上の魚ってことか」
「そう。主要な食用魚ではなかったこともあって、まだまだ調べる余地がいっぱいあるお魚なんだよ」
「美味いかどうかで魚の価値を決めるのは人間の傲慢、でも調査をするのは人間だから人間中心で当たり前。ふむ……」
「とうまが最初に持っていたイメージは、まさに人間中心の価値観で切り取ったマンボウだったんだよ」
「のんびりに見えるのも、自然界での自分の防御力に絶対の自信があるからかもな。要は見方次第ってことか」
「そういうことかも。じゃ、まとめるね」
……マンボウ、硬骨魚最大の魚。でありながら骨格のほとんどが軟骨で構成され、更に浮き袋がないなど例外的性質を…
「でも本当は、ヤリマンボウとトンガリヤリマンボウの話がしたかったんだぜ? 主に語感的に」
「とうま! 変な価値観で私の締めを邪魔しないで欲しいかも!!!」
158 :
人/魚
[saga sage]:2011/08/08(月) 08:53:59.20 ID:joRyHX7H0
☆
白井「だからカタツムリといえど、殻ごと真っ黒焦げに焼いてしまえばただの貝なんですの。意外とイケますわよ?」
初春「と、このように、ここの白井さんはゲテ物担当なんですけど、ゲテ物好きに愛される御坂さんって……」
御坂「この黒子にとって私は、ヤツメウナギとかコウガイビルとかアカハライモリみたいなものなのかしら……」
佐天「もしそうならイヤ過ぎですね。ところで、おさかなにも変なものを食べるヤツってのはいるんですかね?」
御坂「ん〜……、人間の感覚で言っちゃうとゲテ物喰いしか居ない、ってことになるから難しいわね。変なもの、か」
初春「ですねえ。よく話題にする、口に入る物は食べ物、な魚にとっては食べられない物のほうが珍しいのかも?」
白井「いわゆる雑魚、オイカワとかウグイとかカワムツなんて、ご飯粒に群がりますのよ。むしろお米好きかと思うほど」
御坂「小麦粉でも寄ってくるわよ。……あれ? ってことは、オニギリとスナック菓子をエサにして釣れるのかしら?」
佐天「あの〜。皆さん、話題がズレてます。白井さんみたいなおさかなは居ないかな? ってことなんですけどー」
初春「白井さんみたいな、ですか。ん〜、メスなのに追星の出るキンブナとかですかね?」
御坂「皮膚が盛り上がって出来る追星は繁殖期のオスの魚の特徴だけど、なぜかキンブナはメスにも出るのよね」
白井「追星は主に、敵を攻撃したり、性的刺激をメスに与える為のものですわね。って、誰が無駄なオス化ですの!?」
佐天「すっごく興味深いワードが出ましたけどそうじゃなくて。テーマは『ゲテ物喰いな』おさかな、ですよ〜!」
白井「ゲテ物、と言いますかなんと言いますか、見るに耐えない食事風景と言う事でしたら……、あるにはありますわね」
御坂「ダメ! 黒子が何を言いたいか分ったけど、それはダメだからね。……、オシリスのナマズってことでしょ?」
初春「口に入れば何でも食べる、つまりそれが生きてる魚の一部であっても例外ではない、という話かもですね」
佐天「あの?? さっぱり分んないんですけど?? それは普通に魚を飼育してると見える光景なんでしょうか?」
御坂「うん、残念ながら観察できると思うわよ。自然界でケガをするってことがどんなに危険か分るわね」
初春「大量死以外で、マトモな魚の死体を見る機会がほとんど無い理由も分りますよね。コワイコワイ」
白井「私の話をしていて、オチがコレってどうなんですの? まあ、話が分らない方は魚を一度飼ってみては如何?」
159 :
人/魚
[saga sage]:2011/08/08(月) 08:55:34.89 ID:joRyHX7H0
☆
打ち止め「ねえねえ。『愉快だすな〜』、の『だすな〜』ってどういう意味? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
一方通行「あァ? 何言ってンだかサッパリ分ンねェぞ?? 何処かの方言か……」
打ち止め「ほら、毎週日曜の、楽しい楽しい海産物ホームアニメのエンディングテーマだよ。知らないの?」
一方通行「……。オイ、ありゃ『愉快だっな〜』だろォ? 耳まで腐ってンのかこのクソガキは」
打ち止め「(―――――――ビデオで確認)……、おかしいよ、確かにだスなーって言ってたってミサカはミサカは…」
一方通行「チッ……、まァ古い録音や発声法の関係でS音が空耳すンだろ」
打ち止め「うぅぅぅううぅぅううぅう!! ……それはそうと、フグって猛毒を持ってるんだよね?」
一方通行「……、テトロドトキシン。生体電流を抑制して麻痺を起こすンだったか? 解毒剤はねェし耐性もつかねェ」
打ち止め「電流を抑制……、私達には効くのかな……? ってミサカはミサカは話題のすり替えに華麗に成功してみたり」
一方通行「フグ毒での主要な死亡原因は麻痺による呼吸器の障害だ。中毒が起きたら体内電流操作で呼吸を確保してみろ」
打ち止め「毒素が排出されて麻痺が無くなるまで頑張るのねって、ミサカはミサカは無茶だよ! ってツッコんでみる」
一方通行「それまで何時間も掛かンだろォしな、精密作業だし。まァ、最低でも超電磁砲程度の能力が無ければムリだろ」
打ち止め「そう考えたら、お姉様って逆に、触るだけで人の呼吸を止めちゃったり出来るのかな……」
一方通行「触る必要ねェだろ……。その気ンなりゃ周囲の人間の、呼吸器だろォと循環器だろォと自由自在なンじゃね?」
打ち止め「オオゥ……。そんな怖い話はさておき、なんでフグはそういう毒を持ってるの?」
一方通行「ンー……、シガテラって知ってるか? コレの顕著な例がフグ毒って言ってもイイ。生物濃縮ってヤツだ」
打ち止め「シガテラっていうのはよく分んないけど、生物濃縮は生き物が原因で何かが貯まっていくってこと?」
一方通行「そォだな。ンで、シガテラってのは主に熱帯の海の魚が持つ数種類の毒が原因で起こる食中毒だ」
打ち止め「あ〜、ひょっとして! こないだ出た一番強い毒を持つ魚、ドクウツボのマイトトキシンもそれだったり?」
一方通行「よく覚えてたな。そしてソレはドクウツボ自身が合成した毒じゃねェってこった。ンじゃ、行くぞ」
160 :
人/魚
[saga sage]:2011/08/08(月) 08:58:25.91 ID:joRyHX7H0
一方通行「シガテラにしてもフグ毒にしても、その大元は微生物だ。プランクトンや細菌が作った微量の物質、ソレが
貝に吸い込まれ、ヒトデに舐め取られ、少しずつ集められていく。さらにその貝やヒトデをより大きな生物
が食べ、最終的にフグやドクウツボに貯まっていくワケだ。こォした、食物連鎖により何らかの化学物質が
生体内で濃縮される現象を生物濃縮つーンだが、コレが起こるのはその化学物質が代謝されにくい物であり、
ソレを作り出す生物が良質なエサである、って場合だろォな。そしてたまたま、ソレは毒だったってことだ」
打ち止め「ほお〜、ところで、毒を貯めてもフグはどうして平気なの?」
一方通行「毒に耐性がある、ってトコなンだろォが……、毒は毒だ。大量に投与すればフグでも中毒を起こすぞ」
打ち止め「ふうん。でも、充分高い濃度で毒を貯めこんでる気がするんだけど、ってミサカはミサカは気になってみたり」
一方通行「その辺や、最強の毒のはずのマイトトキシンで死亡例が少ない事はまだ研究段階らしィな。……続けンぞ」
一方通行「食物連鎖によって取り込まれたテトロドトキシンはフグの種類によって、季節によって、また様々な要因で
体内に於ける濃縮部位が変わる。肝臓や卵巣が危ねェってのはよく聞くと思うが、実際あらゆる部位が毒に
成りかねねェ。法律で肉、皮、精巣のいずれか以外は食うなって言ってンのもその為だ。中には何処も食え
ねェフグだって居る。ハコフグにはテトロドトキシンはねェが、別の毒を貯めてることがある。ド素人には
決して有毒部位の見分けは出来ねェ。死にたくなければ、フグの調理はすンなってこった」
打ち止め「ハコフグは、ギョギョッ! のあのお魚だよね。ところで、なんでフグは毒を貯めるようになったの?」
一方通行「ソコは不思議だよな。何しろ体内に猛毒を持ってたところで、外敵にソレが見えなければ襲われンのを防げ
ねェ。能動的にテトロドトキシンを使って攻撃するヒョウモンダコってのが居るが、フグはそォじゃねェし。
一説には、テトロドトキシンにはフグを呼び寄せるフェロモン的な効果があるらしい。だとすると、コレを
卵巣に貯め込むことで、オスのフグを呼び寄せることが出来ンのかもな? アトは卵巣、つまり卵が喰われ
ねェ為、かね。なンにせよ、二次的に蓄えられる物質であるにも係らず、人工飼育化で無毒化されたフグを
天然フグと一緒に飼育すると有毒化しちまう事例などからも、毒を持っていることが自然であり、有利って
ことなンだろォな。シガテラの場合は、毒の有無が自然状態でも個体によって違うンで何とも言ェねェが」
打ち止め「なるほど〜、ってミサカはミサカは理解しないままとりあえず頷いてみたり」
一方通行「心配すンな。『愉快だすな〜』とかマヌケな聴き間違いしてるヤツが一回で覚えるとは思ってねェよ」
打ち止め「むぅううう、ミサカをバカにしてぇえええ!!! ってミサカはミサカは怒りのあまり制限解除してみたり!」
一方通行「あン? ……ちょ、なンだオマエら、オイ!? 何人いンだよ???」
ガチャッと『…………』ゾロゾロゾロ
打ち止め「1.2.3.go!」
打ち止め、10039号、19090号『んんんんーんん 愉快だすなーーーーーーーーー!!』フリフリ
10032号、13577号、番外個体『んんんん〜んん 愉快だスな〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!』フリフリ 芳川桔梗「ッ!」テンッ!
一方通行「微妙にハモってンじゃねェ! 地味に太鼓叩いてンじゃねェ!! ンで、『愉快だっなー』だっつーの!!」
〜おしまい〜
161 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/08/08(月) 09:05:52.95 ID:joRyHX7H0
以上、第十五回「人/魚」でした
っと、第一パートのマンボウの日向ぼっこって、マンボウが水面に横たわってじーっと動かない状態のことです
ホント、何してるんだろ?
というわけで、また次回〜
162 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/08(月) 20:16:47.69 ID:9FjU9y5DO
乙
マンボウが寄生虫取ろうと海上に体たたき付けて死ぬことがあるのは知ってる
163 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2011/08/08(月) 22:21:37.00 ID:VoRMzQU30
他の地域は知らないが捕鯨で知られる和歌山のとある町では食うよ、マンボウ
透明感の在る白い身は水分が多く味らしい味はないが、コリコリプルプル独特の食感が楽しい
オレンジ色の肝(通称か?どの臓器かは知らない)はトロリと濃厚
薄切りの身と肝を二枚ワンセットで食べるとこれが……
口からビームが出る、程ではないが
偶然海面に浮いてるのが見つかった時に手鉤で引っ掛けて捕まえるそうなんで、いつも食えるわけではない
日向ぼっこ中だったのね
164 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/08/08(月) 23:20:07.44 ID:fhvSsxyEo
カブトムシやクワガタなんかはメスがオスを皆殺しにしたりするから分けて飼わなくちゃいけなかったりな
まあ生き物を飼うのはそいつの死と隣り合わせ的なところあるよね、知ってれば防げるものも多いけど
165 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/08(月) 23:23:55.98 ID:WtQkO15Io
子供が生まれたら犬を飼いなさい、という言葉があってだな
166 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2011/08/08(月) 23:44:51.31 ID:VoRMzQU30
子供が一番多感な年頃に…ってやつね
167 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/10(水) 02:28:49.32 ID:RIhWc6q7o
(性的な意味で)
168 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/10(水) 02:29:38.88 ID:RIhWc6q7o
(性的な意味で)
169 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/08/10(水) 20:19:15.82 ID:Ghmcbtyo0
新刊発売かー・・・いいなあ・・・読みたいな・・・。それはそうと
おさかな話は決して教育テレビや道徳の授業じゃないので、たまには悪ふざけもしたいのです
特にダジャレ心が爆発寸前だったので、今回は思い切って脱線してみました
新刊読みたいよおおおおお、の怨念を籠めて、『脱線』です。期待しないでどうぞ
170 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/08/10(水) 20:23:45.25 ID:Ghmcbtyo0
☆
小萌『上条ちゃんには宿題として、とある大型店舗の市場調査をして来て貰います。頑張ってくださいです〜』
上条『ちょっと待って先生、単に市場調査って言われても。一体何をすればいいのか……」
小萌『なんとかフェアの真っ最中だそうなので、訪れたお客が何を買ったか記録してくるのです。分りましたか?』
上条『どこまでもアバウトな説明!?』
――――――――――――――――――――――
――――――――――――
―――――
上条「と言うワケで私、上条当麻は学園都市最大のアクアリウムショップに。……、まあ手当たり次第行きますか」
禁書「〜♪」 テクテク
上条「第一調査対象発見! って、インデックス?? お前、こんなトコで何してんだよ?」
禁書「あ、とうまだとうまだー! ――――何してるって、お買い物だよ? ほら、こんなの買っちゃった」 バーン
上条「…………、一体どんな無駄遣いをしやがった……、って水草!?」
禁書「うん! ハート形の葉っぱがカワイくてミントの香りがする、日本生まれの『カーナミン』だよ!」
上条「ほほう、『カーナミン』か。割と簡単に育つ種類で、熱帯魚水槽には定番の……でもウチにはそんなもんねえぞ?」
禁書「シジミ水槽に入れるからいいんだよ。それより今、ウチには食べ物が無いから早く帰ってきてね。じゃあねー」
171 :
脱線
[saga sage]:2011/08/10(水) 20:25:38.23 ID:Ghmcbtyo0
上条「水草買う金があったら何か食料を、って考えには至らなかったんだろうか……。っと、次のターゲット発見!」
御坂「ブツブツブツブツ……、っ!」
上条「なんだよ今度は御坂か。えーと、実はコレコレこんな事情で……。何か買った物があれば見せてくれないか?」
御坂「ふぇ? ……、宿題で調査? ふ〜ん。でも私、水草買っただけだし、見たって面白くもないわよ?」 ホレ
上条「いやいや、サンキューな。……、ん? これはこれは、今のお前にぴったりだなあ」
御坂「あ、アンタ、この水草を知ってるの? ――――――いや、コレには特別な意味は無くて……その、あの……」
御坂「し、知ってるならさ、あの、あげようかコレ? アンタも確か水槽を持ってるんじゃなかったっけ?」
上条「あるよ。でもさ、コイツは俺が持つよりもお前が持ってるほうが絶対良いと思う。だから、大切にしろよ?」 ホイ
御坂「(水上葉が全部四葉になる『ウォータークローバー』……。幸運のお守りだって知ってて、コイツは……)」
上条「(日本名『デンジソウ』……。超電磁砲に引っ掛けてんだな。まあ、自分大好きってのは悪い事じゃ無いぜ)」
172 :
脱線
[saga sage]:2011/08/10(水) 20:26:58.83 ID:Ghmcbtyo0
上条「―――――御坂のヤツ、なんか突然顔赤くして行っちまったけど、どうしたんだ? ……っと、仕事仕事〜」
絹旗「ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ……」 テクテク
上条「(……、この店の客はブツブツ言わなきゃいけない決まりでもあんのか?)あの、すいません。ご協力を……」
絹旗「はあ? ああ、私の買った水草を超見たいって事ですか? んー、まあ減る物じゃないから構いませんけど」 ホイ
上条「ん? これは……。あの、失礼を承知で聞くけどさ。君この水草の名前を言えるの?」
絹旗「ホント超失礼ですね。繰り返し暗誦しましたから超当然言えますよ。『アルテルナンテラ・ロサエフォリア』!」
上条「アルテルたんったらラオウさえふぉーりんらー? ……、付属の商品タグによると南米原産のヒユ科の水草だな」
絹旗「失礼なだけでなく、頭が超残念な人なんですかね? 『アルテルナンテラ・ロサエフォリア』ですって」
上条「……、この、あるてるなんちゃらは、栽培がスッゲー難しい上級者向けの水草みたいだぜ。何でコレを?」
絹旗「バカ面に管理を任せて、名前を間違えて呼んだり、万が一にも枯らしたりしたら超オシオキするためです」
上条「……、いろいろ気になるところだけど」
絹旗「詳細は超機密事項です。おっと、赤くて綺麗なこの水草に合う超硬い淡水魚を探してるので、私はこの辺で」 デワ
173 :
脱線
[saga sage]:2011/08/10(水) 20:29:21.23 ID:Ghmcbtyo0
上条「あんなにちっちゃくてカワイイ子のオシオキなら、人によってはむしろご褒美かも? っと、アレは……」
姫神「上条くん。小萌の宿題ご苦労様。私の水草はコレ」 ハイ
上条「おお、話が早くて助かるよ。…………、これは……、蒲(ガマ)そっくりだけど…………、『ヒメガマ』?」
姫神「コレを一発で同定出来るのは凄い。さすが同定の上条くんと言われるだけある。うん。ここからはただのダジャレ」
「アンジェレネのこれは『コインウォーターチェーン』? 確かに丸い葉っぱが硬貨っぽいな。で、ルチアの水草は」
「……、二股に分かれた枝先が鹿の角のような浮き苔『カヅノゴケ』こと、『リシア』ですけど何か?」
「ルチアがリシア……。さすがにくだらなすぎる……、なんかゴメンな」
「い、異教徒の哀れみなど不要です!! シスターアンジェレネ、帰りますよ!!」
「オリアナが買ったのはブラジル産の『アルアナの夕焼け』? コレはまた変な名前の水草があるもんだね」
「変な名前とは随分ね。そんなキツイこと言われるとお姉さん、アルアナが夕焼けみたいに熱くなっちゃうわよ?」
「ハードなシモネタはご遠慮下さい!! でも水草自体はワインレッドがとっても綺麗な、姿のいい有茎草だな」
「明るいところに出してあげないと赤くならないのよ。見られると興奮するのはお姉さんと一緒ね」 フフン
「っと、いつかのアンチスキルの超グラマーお姉さん……、黄泉川先生でしたっけ? これは『ロタラナンセアン』?」
「いくら小萌先生んトコの悪ガキとは言え、この呼び方は譲れないじゃん。『ロタラナンジャン』じゃん!」 ドッサリコ
「は、はあ……。でも、こんなに大量に金魚草が入り用なんて、先生はお家で水族館でもやってるんですか?」
「ウチのバカ居候たちが、ザリガニだのタニシだの考え無しにバンバン拾ってくるから、そのエサなんじゃんよ」 ゲンナリ
「おー、吹寄も来てたのか。それは……『アナカリス』かよ? また随分と普通な雑水草を選んだもんだな」
「なっ!? 『コカナダモ』か『クロモ』かも知れないでしょ?? 全く、貴様という男はいつもいつも適当な事を」
「ちょ、こんなトコでお説教は勘弁! えーと、葉幅が広くて分厚いから、魚もエビも喰わねえ『オオカナダモ』だよな」
「なんだ、詳しいのね。……、成長が無茶苦茶早い上に肉厚でボリュームがありすぎて、確かにあまり人気は無いわ」
「いや、俺は嫌いじゃねえよ? とっつきやすいしな。毎日見た目に気を配れば、迫力もありつつ綺麗になるんだぜ?」
「それ、『オオカナダモ』の話よね? ……、あたしも頑張ってみるかなー。水槽の話だから勘違いしないでよね」
174 :
脱線
[saga sage]:2011/08/10(水) 20:33:11.88 ID:Ghmcbtyo0
「さて、あちらの美形な外国のお姉さんには見覚えが……、いや、どこかで会ったことがあったっけ? すいませーん」
「……ッ!!(……ん? ああ、この格好だから私が誰か判んないのね。じゃ、言葉が通じないフリして)」
「あちゃ、日本語分らない人か。……参ったな。エクスキューズミー? プリーズ ショウミー ユア ……ユア…」
「……(アレ? でも学園都市の学生ってのは数ヶ国語使えて当たり前って聞いた事あんだけど??)」
「ええい、チクショウわかんねえ!! 綺麗なお姉さん、水草を英語でなんて言うか教えてください!!」
「Water plant ?」
「サンキューサンキュー! では改めて。 エクスキューズミー? プリーズ ショウミー ユア ワラプラン」
「……えーと、ワザとやってんでしょ? むしろお願いだからそうだと言って」
「なんだ日本語話せるんですかー、意地悪だなあ。……で、宜しければお手元の水草を」
「……」 ホレ
「コレは……、『ハナガガブタ』だっけ。北アメリカの花……、いや、水草として使う場合は、コレを水に浮かべて……」
「……(へえ、詳しいじゃない。まあ、植物の名前にやたら明るいオトコってのはどうかと思うけど)」
「むき出しの殖芽は房ごとバナナそっくり。だから別名『バナナプラント』って……、あ、ひょっとしてお前ヴェント?」
「貴様、やっぱり全部判っててやってんだろォ!?」 ンガー
175 :
脱線
[saga sage]:2011/08/10(水) 20:35:12.27 ID:Ghmcbtyo0
☆
初春「まあ、なんだかんだ言っても一番美味しいのはツナ缶ですよね。料理にも使いやすいし栄養も豊富だし」
佐天「そういう発言は、このパート自体を否定しかねないと思うけどね……」
白井「ところで、カツオとマグロ、どっちが初春は好みなんですの?」
初春「はあ? ツナ缶の話ですよねコレ? どこからカツオが出てきたんです??」
佐天「ん? ……もしかして初春、ツナ缶はカツオとマグロの両方あるって知らないとか?」
白井「そもそもtunaとはサバ科マグロ族の魚類を纏めていう言葉ですから。元の意味からカツオなども含まれますわよ?」
初春「や、やだなあ。そんな事は昂然、当然知ってますよ〜。カツオの缶詰は認めない! って言ってるだけで……」
佐天「そうかな? 私は結構、マイルドの方が好きなんだけど」
白井「カツオを使ったツナ缶は、マイルドと表記されるようですわね。って、初春? どうかしましたの?」
初春「…………」
その夜から私の孤独な戦いは始まった。まずは国内から、ツナと呼ばれる食品にマグロ以外を使う事が出来なくなるよう
サバ科の研究、とりわけカツオを缶詰にする事に対するネガティブなファクターの発見を急がせるよう、政治を動かし、
専門家たちの尻に火をつけたのだ。そのための手段は幾らでもあった。嘘でもデタラメでも構わないのだ。データの改竄
なら私の得意分野、ネット上に散らばる個人のプライバシー収集は私の専門分野。そしてそれらは見事に結実した。
続いて「日本国内においてツナ缶の原料となるのはマグロだけ」、この事実をもって海外に出るにあたり、どうしても
無視できないのが"tuna"をマグロ類を指す言葉として使う英語圏の国々だった。しかしこうした言葉の問題というのは、
結局のところ力のあるほうに流れるモノ。まずは日本国、学園都市双方の財力を思う存分解放させ、ODAなどを通して
ツナ缶工場を世界各地に設けた。そこで扱われる魚は主にビンナガマグロ。もちろん、そんな名前で呼ばせはしないが。
とにもかくにも、非英語圏社会において、ツナとはこの魚だけを指す言葉にしてしまう、それだけを目指した。
私は、間違っていなかった。いや、間違っていた時代があったかも知れないが既にそうではなかった。
全世界的にカツオをツナに含める者は徐々にマイノリティになりつつあったのだ。
そしてあの運命の日、日本時間午前8時ジャストに全世界の主要な水産会社、海洋学者、政治家、漁師たちに送られた
メール。その酷く単純化されつつも現状を的確に示すメッセージは、地球上に於ける全人類に、新たなるツナの誕生を
宣言するものだった。送り主不明、意図不明のメール、ではあったが誰もが素直にそれを理解し、それを受け入れた。
全世界の小学校で扱われる全ての教科書の最初のページに、その原文は今も残る。
【ツナ=マグロ】
私はその後、影の初代世界帝王として未来永劫語り継がれるのだがそれはまた別の……
佐天「初春、うーいーはーる? おーい、戻ってこーい!」 ブンブンブン
初春「…………、はっ! 佐天さん?? あ、すいません。ちょっと考え事してました」
白井「全く、心配させるんじゃないですわよ。……で、なんだか分りませんけどその考え事は終わりましたの?」
初春「はい、心配かけちゃったならゴメンなさい。全然大したことじゃないので、気にしないで下さい」 ニコ
176 :
脱線
[saga sage]:2011/08/10(水) 20:38:36.17 ID:Ghmcbtyo0
☆
打ち止め「ねえねえ、この前は一番強い魚類の話をしてくれたけど、一番強い水生生物って言ったら何かな?」
一方通行「魚類以外も含めて考えろってのか。そォだな……。サイキョーの水生生物…………」
177 :
脱線
[saga sage]:2011/08/10(水) 20:39:31.08 ID:Ghmcbtyo0
アレイスター「ソレは私だ」
178 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/08/10(水) 20:45:30.10 ID:Ghmcbtyo0
以上、第十六回「脱線」でした。脱線言う割にハジケ具合が足りない・・・
水草の名前についてはほとんど私も知りません。調べながら書いたのでいろいろ間違ってるかもです。あしからず
次回は正気に戻ってる予定です。ではでは〜
179 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)
[sage]:2011/08/10(水) 22:09:04.14 ID:hljhGxqto
アレイスターくそふいたwwwwww
今回みたいなのもキライじゃないわよ
次回も期待してます
180 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/08/11(木) 00:18:48.32 ID:9+1Jmav0o
よーし、アレイスターを縛って北極海にブチ込もうぜ!
181 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(滋賀県)
[sage]:2011/08/12(金) 13:01:57.14 ID:eCm+dNOn0
アレイヒトデさんなにやってるんですか
182 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/08/13(土) 22:05:14.68 ID:ui60Sx280
何事も無かったかのように目覚める、おさかな話
今日のテーマは「原石」・・・のつもりだったんだけど、大きくズレた気もします
お祭り縁日の定番のアレについての話題が多目です。ではどうぞ
183 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/08/13(土) 22:06:09.79 ID:ui60Sx280
☆
「なあインデックス、身長が高い人ってのはなんて言うか、美人が多い気がしないか?」
「とうま? それは私がちっちゃくて美人じゃないって言いたいのかな? 言いたいのかな? 言いたいのかな???」
「ん? 俺はお前を美人だ、なんて思った事は一度もねえよ?」 ウン
「………………………………………え」
「そんなことより、『背が高い=美人』は俺の幻想なのかそうじゃないのか。どう思う?」
「……………dedicatus545」 ボソッ
「おお!? その名前を出すということは本気で答えてくれるってことだな!」
「とうまも覚悟はいい? 血迷える者を正しき所へ導く、コレは私たちの本来の使命だから……。まあ、話だけはするね」
「なにその重い決意? ん〜、よくわかんねえけどよろしく頼むよ」
「……、とうまは金魚の大きさを聞かれたらどのくらいって答える?」
「え? 突然おさかな話かよ……? そうだなあ、(親指と人差し指を広げて)こんなもんか? せいぜい5cmとか」
「店頭で売られてるサイズはその位だけど、金魚すくいで取ってきた金魚が30cm以上に成長することは珍しくないんだよ」
「30cm!? お前そりゃちょっとしたコイじゃねえかよ!」
「コイは言い過ぎだけど、普通のフナの品種改良種である金魚はフナ並の大きさになって当然なんだよ」
「いや、でもさ。30cmオーバーはフナでもかなりのサイズだぜ? 池のフナが全部そんなになるワケじゃねえだろ?」
「そうだね。ところで『魚類の無限成長』って聞いたことない?」
「心なしか説明が乱暴だなあ……。それはともかくアレだろ? 人と違って、魚は成長に限界が無いって……」
「簡単に言うなら、適切な環境下においては魚類は死ぬまで大きくなる、って考え方だね」
「お、おう。……ん? 死ぬまで成長するんなら、やっぱりフナは全て大きくなるのか?」
「適切な環境下って言ったのが聞こえなかったのかな? 金魚を例にとって話を進めるから、ちゃんと聞いてね」
184 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/08/13(土) 22:06:53.94 ID:ui60Sx280
「おう、頼りにしてるぜインデックス大先生! どうすると金魚はでっかくなっちゃうんだ?」
「……まず、大きく成長するのに必要な要素を十二分に満たした空間にいること」
「ふむ……。つまり、狭いトコでは魚は大きく成長しねえって事だな? あと、水が綺麗とか冷たくないとか」
「小さな水槽では大型化が望めないのは正解だけど、水質や水温は魚によって好みが違うんだよ」
「あ、そっか。養殖場の金魚って緑色の水の中に居るんだっけ。だから綺麗、ではなく適切な水質ってワケだな」
「うん。そして良質なエサが必要な時期に豊富に供給されること。普通、金魚は夏場を中心に大きくなるんだけど」
「人工的に常にその時期の水温にしておくと、ずっと成長し続ける、か?」
「30℃を越えたりするとバテちゃうから適切な温度で、って感じかな? 25℃前後をキープ出来ればいいと思うよ」
「ふむ、適温下では金魚もよく動くからエサをよく食べて、結果的によく育つと。他には何かあんのか?」
「通常は金魚飼育では全く使わない場合もあるんだけど、器具によるエアレーションかな。酸素量を多めにするの」
「曝気(ばっき)か。金魚って割と泳ぎが下手だから水流を作っちゃうとこれまたバテるって聞くけど」
「細かい泡でブクブクするのがいいかもね。大きな泡で溺れる金魚も居るらしいし」
「ふーん。なんか聞いてると、単なる元気な金魚の作り方って感じだけど」
「そうでもないよ。成長期の金魚は病気になりやすいし、ケガもしやすい。それをずっと続けるんだから」
「へえ。その、生温くも過酷な環境で幸運にも病気や怪我をせずに健康で居られたら、でっかい金魚になるってわけか」
「一生大きくなるけど、一番成長しやすいのは生後1〜2年って言われてるから、そこが勝負だね」
「ふむ。随分と手間が掛かる上に、割と魚体にも厳しくて最後は運任せなんだなあ。…………あれ? オカシイぞ?」
「とうまが疑問に思ったのは、じゃあ池の大きなフナはどうなんだってことだよね? でも同じ事なんだよ」
「つまり、人工的に巨大な金魚を作るための条件が、自然界で偶然揃った場合にフナがでっかくなっちゃった、って?」
「自然界の場合には外敵に襲われる、とか悪条件が更に増えるから上手く行っても数年でそんな巨体にはならないけどね」
185 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/08/13(土) 22:07:38.96 ID:ui60Sx280
「そこで『魚類の無限成長』が出てくるわけだな?」
「だね。適正飼育下やそれに似た環境中の個体が、通常より長生きをすると巨大になる可能性がある、って事なんだよ」
「ん?? そこまで来て『可能性がある』なのか? まだ何か大型化を阻む因子が存在するのかよ?」
「というか、コレが本題かも。大きな魚が欲しい場合に、まず大事なのは稚魚の時に美形かどうかなんだよ」
「稚魚が美形…………、いや、まあ金魚は観賞魚だし、美形っちゃ美形だろうけど。フナは、う〜ん?」
「もっと視点を単純にするんだよ。ヒレや体型が左右対称かどうか、骨に異常は無いか、怪我や病気の痕は無いか、とか」
「ウロコが剥がれてねえか、とかか。ふむ、つまりはバランスのいい健康な魚体であることが見て取れるかどうかだな?」
「そう。魚の場合、病気や怪我はずっと後を引くし、バランスの悪さは一生治らないの。だから稚魚選びが大事なんだよ」
「なるほどな。でも確認なんだけど、コレはあくまでも魚が大きく育つ方法、だよな?」
「そこは間違えないで欲しいかも。見栄えが悪くても大きくならなくても、魚は生きてるんだよ」
「巨大化は魚にとって幸せなのか分んねえし。俺としては自分の魚は、どんな姿でも最後までかわいがって育てたいな」
「それで最初の話に戻るんだけど。稚魚の時に美形のフナや金魚が大きくなる可能性が高い、ということは?」
「そこから繋げる!? ……あー、つまり背の高い人が美人、かどうかは置いといて」
「バランスのいい整った顔立ちやスタイルをした子供を理想的な環境で育てたら高身長になりやすい、かな?」
「ま、人間の場合はもともと微妙な差だし、遺伝的要素が大きく絡んでくるだろうから魚の場合より曖昧だけど」
「美幼女を連れた子供好きに『その子、あと5年もしたら貴方より背が高くなるよ』くらいは言ってもいいかもね」
「最後のは聞かなかったことにする……。でも、そうなるとあれだな」
「さて……、解説は終わったんだよ。覚悟はいい、とうま?」 ギラーン☆
「お前も整った顔立ちで生活は規則的。食事量は言うまでも無い。きっと将来はナイスバデーな美人になるんだろうなあ」
「ッ!!!…………と、とうま/// …………あれ? それって私が成長期ってことで、つまりまだ子供ってことで!!」
「やっぱり噛むね」ニコッ ガブッ
「ほ? 褒めたのに?? 不幸だあああああああああああ!!!」
186 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/08/13(土) 22:08:24.63 ID:ui60Sx280
☆
初春「どこかの国では金魚鉢で金魚を飼育するのを禁止しているそうですけど、どんな根拠なんでしょうね?」
佐天「丸い器の中でふよふよ丸っこい金魚が泳ぐからこその金魚イン金魚鉢でしょ?? 何処のおバカ国家なのそれ?」
白井「金魚がその丸っこいガラス製の器から外を見ると、景色が歪んで見えて結果視力が悪くなるからとか」
御坂「その理由はどうかと思うけど、金魚鉢は水量が少ないから確かに長期の飼育には向かないけどね。でも……、ふむ」
佐天「御坂さん? あの、どうかしましたか?」
白井「こういったお気楽な雑談で取り扱いにくい話題がおさかな関連にはいくつかあるんですの」
初春「例えば、放流や養殖についての話題ですね」
御坂「そうね。金魚で言うなら、金魚すくいって虐待だと思う?」
佐天「あたし? え、え〜と、そうですねえ……、正直あんまり考えた事無かったですけど」
初春「狭くて浅いプールにギチギチに入れられてマトモに呼吸も出来ない中、ポイで次々狙われるんですよ?」
佐天「ふむ、それは確かに可哀想っちゃ可哀想か……。金魚すくいの金魚は弱ってて、すぐ死ぬって言うし」
白井「ですけどそもそも金魚すくいの金魚は売り物にならなかった金魚であることが多いんですの」
御坂「金魚の稚魚のうち、ペットショップの店頭に並ぶような魚は0.1%程度。それ以外は……」
佐天「それで金魚すくいにはあんなに金魚がいるんですねえ。もちろん、金魚すくい専門の養殖業者も居るんでしょうが」
初春「佐天さん、アレはまだいいほうなんです。ほとんどの商品にならなかった金魚は、肉食魚のエサになったり」
白井「稚魚の段階で死んでしまったり、ですの。……さて、では私からも伺いますが、金魚すくいは虐待ですの?」
佐天「ん〜〜〜〜……。金魚すくいを廃止すれば、売り物にならない金魚は全部エサ……? いや、選ぶことが酷い?」
初春「綺麗な金魚を選別して販売する事がそもそも虐待だとすれば、それを購入、飼育することも同じく虐待ですよね」
白井「そこまでいけば金魚という存在自体が虐待ですの。見栄えの為だけの品種改良とは何事か! ですわね」
御坂「じゃ、金魚を絶滅させるのが動物愛護? っていうね……。生き物の飼育って元々人間のエゴだからさあ……」
初春「一つ確実に言えるのは、魚を飼育するのは良い事であるとは限らないってことですね」
御坂「むしろ悪いことかもしれない。そう思いつつ飼育したら魚に申し訳なくなって、もっと大切に育てたくなるかもね」
佐天「ふ、ふむふむ……。話が重い、重すぎです」
白井「だから最初に言いましたの。触れたくない話題があるって」
187 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/08/13(土) 22:09:56.35 ID:ui60Sx280
☆
打ち止め「ねえねえ、コイってどんなものかしら? ってミサカはミサカは紛らわしく尋ねてみたり」
一方通行「紛らわしく、とか言っちまったら台無しじゃねェのソレ? つまりコイ、池の鯉だろ?」
打ち止め「コレが学園都市第一位の頭脳か……、ってミサカはミサカは素直に負けを認めてみたり。うん、そのコイだよ」
一方通行「……つっても、コイなンてメジャー過ぎて語る余地ねェだろ。何が聞きてェ?」
打ち止め「あのね、錦鯉とコイの関係は金魚とフナの関係と同じなのかな? ってミサカはミサカは疑問を呈してみる」
一方通行「……何でそんな疑問を持ったか、ソレこそ疑問なンだが。まァ誤解してるヤツも居ンだろォな。同じじゃねェ」
打ち止め「およ? と言う事は錦鯉は元々コイとは別のお魚ってこと?」
一方通行「そォは言ってねェ。むしろ逆で、錦鯉っつーのはコイそのものなンだよ」
打ち止め「んんんんん? よく分んないよってミサカはミサカはとりあえず思考を放棄してみたり」
一方通行「金魚は、古代中国でギベリオブナの突然変異種、赤い色なンで緋鮒って呼ンでたンだがソレを掛け合せなどで
固定化させた種、つまり品種改良による新種だ。ソレに対し錦鯉は変った色の真鯉……、普通の鯉の中で色が
多少薄いとか明るいとか、そォいうのを掛け合わせて産まれた稚魚の内、綺麗に発色した魚だ。何処が違うか
わかンねェか? 錦鯉は遺伝子的に固定されてねェンだよ。だから、赤い錦鯉同士を掛け合わせても、子供が
全て赤にはならねェ。勿論、普通の色のコイ同士よりは色の違いがハッキリする傾向はあンだがな。つまり、
錦鯉と普通のコイには何の違いもねェってこった。一番フナに近い和金って金魚でも体型がフナとは異なるが
コイと錦鯉にはソレもねェ。とは言ェ歴史が違うから今後どォなって行くかまでは分らねェがな」
打ち止め「錦鯉ってそんなに最近になって産まれたの? ってミサカはミサカはフォローをお願いしてみる」
一方通行「19世紀の日本、ニイガタ県の農民が育て始めたのが最初らしィな。金魚は4世紀の中国が起源だそォだ」
打ち止め「ふうん。それにしても野生のコイと錦鯉に違いが無いなんてビックリだよってミサカはミサカは…」
一方通行「ンー……、野生のコイと錦鯉は全く別モンだぞ? 遺伝子的にも見た目もな」
打ち止め「??????? 言ってる事が変わってない? ってミサカはミサカはあなたのブレを指摘してみたり」
一方通行「チッ……。こォ言えば理解出来るか? 野生のコイなンてそォ滅多にいねェ」
打ち止め「えーと……つまり、錦鯉の元になるコイも養殖のコイだったってこと?」
一方通行「その辺りのことを説明しとくか。ま、大体答えは出てっから気楽に聞け」
188 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/08/13(土) 22:11:21.73 ID:ui60Sx280
一方通行「コイはアジア原産らしィンだが、肉質が良く飼育が簡単でデカくなるンで現在では世界中の淡水に居る。
普通に池や川で見かけるコイはソレなンだが、別に野生のコイってのが日本には居たンだ。ソレは滅多に
姿を現さねェ。茂みの陰や川の深みに隠れてるからな。池のコイは勿論、昼間にコイが川面でふらふらと
泳いでンのを見たら、ソレは過去に食用として養殖されてたもンの子孫だと思って間違いねェ。おそらく
放流や養殖場から逃げた個体が基になってンだろォが、あまりにもそっちのコイとの付き合いが長すぎて
自然の中に養殖由来のコイが居ても日本人は違和感を覚えなくなっちまってンだよ」
打ち止め「へえ〜。ところで、野生のコイは見た目がどう違うのかな?ってミサカはミサカは確認してみる」
一方通行「横から見るとやや丸みを帯びてるのが養殖系、比較的流線型なのが野生のコイだ」
打ち止め「ほうほう、ってことは泳ぎ方も違いがありそうだね」
一方通行「野生のコイは俊敏に泳ぐ、らしィな。……ンじゃ、続き行くぞ」
一方通行「前述したが、あまりに養殖系のコイが一般的になったために、日本ではコイは遠い昔に中国から輸入された
種ではないかと思われて居た時代があった。だが他方で、釣り人や漁師の間から漁場によって形の違うコイ
が獲れる事があるって報告が少なからずあり実態が掴めねェでいた。コレに答えを出したのが皮肉なことに
コイ以外には全くの無害、ただコイだけ100%殺すコイヘルペスウィルス病だ。各地でコイの大量死が起き
死んだコイの中に明らかに見た目の異なる個体が多数確認され、調査の結果遺伝子的にもかなり従来のコイ
と差があることが分ったンだとよ。コレが日本固有種説もある野生のコイの発見。ごく最近の話だ」
打ち止め「……発見はともかく、かわいそうな話だねってミサカはミサカは目に涙を浮かべてみたり」
一方通行「カワイソウなのは病気で死ンだコイだけじゃなかったンだが。このウィルスはキャリアとなっても発症する
とは限らねェ。つまり見た目で安全かどォか区別出来なかったンだ。また、このウィルスは30℃以上の熱で
不活化すンだが、一旦キャリアとなった魚をそォいう高い水温下で飼育してもウィルスを退治出来なかった。
だから一匹の魚が養殖場で……、つまり池や湖だが、コイヘルペスウィルス病を発症したら、全てのコイが
感染疑いと見做される。結果、感染魚の発生場所と繋がってる水系のコイは全殺処分となった。移動が禁じ
られたから売り物には出来ねェし、ソイツらが残ってンじゃ新しくコイを育てることも出来ねェからな……」
打ち止め「…………」
一方通行「……つーワケで、錦鯉とはコイそのもの。錦鯉と野生のコイは別物って話だったが。理解出来たか?」
打ち止め「ウィルスの話が重すぎて……。うん、でもよく分ったよってミサカはミサカは首を縦に振ってみたり」 ウンウン
一方通行「その件で廃業した養鯉業者も大勢いた。今もワクチンの開発やウィルス耐性のあるコイの研究が続いてンだよ」
打ち止め「今度はコイもみんなも救われる嬉しいお話が聞けたらいいなってミサカはミサカは虚空に祈ってみたり」
ガチャッと『ただいまー』
番外個体「金魚の話をしてんじゃないの?? こんなにたくさん救ってきたんだけど?」バチャビチャ
芳川桔梗「これはね、『掬い』と『救い』を掛けてるの。金魚の命を掬うことで救った、って良く出来た話でしょう?」
一方通行「古いダジャレを解説すンじゃねェよ……。それより、金魚助けンならさっさと水槽入れる準備しろォ!!」
打ち止め「うん、了解!ってミサカはミサカはとりあえず消毒の準備に取り掛かってみたり!」
〜おしまい〜
189 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/08/13(土) 22:32:36.36 ID:ui60Sx280
以上、第十七回「原石」でした。テーマ入れ忘れてた・・・
第一パート、巨大金魚育成法ですが、ここでは書きませんがもっとキツイ手段がいくつもあります
第二パート、金魚鉢禁止はローマだったかな? 記憶が曖昧です
第三パート、いわゆる野ゴイは、琵琶湖や四万十川などの大きな河川で見られるそうです
ちょっと今回は不快な思いをさせる内容だったかもです。反省しつつ、ではまた次回〜
190 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/14(日) 03:21:20.01 ID:b1mRzXiDO
テーマ名かっこいいなおい
マイナーな種類について知るのも面白いけどやっぱりメジャーな種類がくるとテンションが上がるな
191 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2011/08/14(日) 09:13:16.33 ID:whDYSVAAO
乙
金魚掬いのあり方については色々考えさせられますな
192 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/16(火) 05:17:00.50 ID:nQYUOuCC0
「……………dedicatus545」ボソッに笑った。
数年後インデックスに身長で並ばれ苦悩する上条さんを幻視した
193 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/08/17(水) 18:15:57.13 ID:+7XNge4m0
ニーズも流行りも良くわからないまま、好き勝手におさかな話してますけどコレでいいのかね?
そんな今回のテーマは「名前」です。第三パートが打ち止めの暴走させすぎで漫才風になっちゃったので
漫才ってことにしました。軽い番外編?な感じで捉えていただければいいかなあと思います。ご了承下さい
ではどうぞ
194 :
名前
[saga sage]:2011/08/17(水) 18:17:43.11 ID:+7XNge4m0
☆
「なあインデックス、スフィンクスは三毛猫、つまりネコだけど、寝てばかりだから寝子(ネコ)ってのが語源だっけ?」
「とうま? ネコの語源は定かではないんだけど、有力な説ではあるよね。でもそれがどうかしたの?」
「ん〜……いや、身近な動物の名前の由来くらい知っておいたほうがいいだろ? 深い意味はねえよ」
「ふうん? でも、日本語の場合は難しいかもね。身近であればあるほど名前の由来はハッキリしなくなるんだよ」
「はるか有史以前に起源を持つ自然発生的言語で、且つ文字を得るまでの空白期間が割と長かったのが原因かなあ……?」
「ムリして難しく言わなくてもいいかも。あまりに古い時代の事だから、まだよく判らないってことだよ」
「つまりこう言いたいわけだな?……今後の研究者の活躍にご期待ください、彼らの戦いはまだ始まったばかりだ!!」
「打ち切りみたいな事言わないで欲しいかも!!! あ、でも逆に最近名前を付けたものなら語源もハッキリするよ」
「例えば?」
「おさかなの名前」
「いや、ソレはオカシイ。身近なおさかなだって沢山いるじゃねえかよ」
「ドジョウやフナくらい身近だとやっぱり由来はハッキリしないんだけどね。全体的には分類が遅い分野だったんだよ」
「ふむ……、そうなのかなあ。じゃあそうだな……、サザエって何でサザエっていうんだ?」
「小波(さざなみ)のサザと家(イエ)をくっ付けてサザイエ、つまりは小さな家ってことだよ」
「ほお〜、見た目というか生態というか、サザエそのものをよく表してる名前だったんだな」
「それがどんな生き物か説明するのに便利ってメリットがあるから、見た目で名付けられた種は多いね」
「じゃあ、海の貝つながりでハマグリはどうしてハマグリなんだ?」
「コレも見た目だよ。栗の実に似ていて浜辺に居るから浜栗。他の二枚貝も栗に似てるじゃんってツッコミは止めてね」
「そこは早い者勝ちだったのかな……。じゃ、負けたアサリの由来は?」
「アサリの潮干狩りを思い浮かべてみて欲しいんだけど。皆で貝を漁ってるでしょ? だからアサリ」
195 :
名前
[saga sage]:2011/08/17(水) 18:19:42.64 ID:+7XNge4m0
「漁る(あさる)ってなんかイメージ悪いなあ……、いやまあ、でもそうか。漁をするってことだもんな」
「うん。でもコレは正直何にでも当てはまる名前だよね。こんな風な分りやすいネーミングは同時に、安易と言えるかも」
「そうだな。んじゃあさ、語源がハッキリしてるけど、分りにくい難解なネーミングのおさかなっているのか?」
「学名そのままだったり、外国の名前をカタカナにしただけのおさかなは分りにくいけど。それじゃダメだよね」
「そういう難しさじゃ聞いても面白くないからな。へえー! って言えるようなヤツ頼むよ」
「じゃあ、日本人のとうまなら当然知ってると思うけど、平敦盛(たいらのあつもり)って少年武将がいたでしょ?」
「……、へえー!」
「まだ何も紹介してないよ?? カサゴ目トクビレ科にはこの武将由来の魚が何種類か居るんだよ」
「カサゴの仲間、ということは大体想像できるんだけど。鎧武者な感じの外見をしてるからだろ?」
「最後まで聞いて! 源平一の谷の戦いで熊谷次郎直実に討たれた敦盛は赤い具足を身に纏っていたんだよ」
「はいはい、わかりましたよ〜。赤くて鎧みたいな外見の、アツモリウオってのがいるんだ」
「だから話を先に進めないで欲しいかも!! ……実際、そうなんだけど。でね、色違いのクマガイウオってのもいるの」
「源平話からの拝借って事だろうけどさ、同じ仲間の魚に、敵同士の名前を付けるのってどうなのかね」
「お話のキャラってそういうものかも。で更にクマガイウオを細くしたような魚、サブロウ」
「熊谷次郎直実、次郎より細いからサブロウ? ……、ソレは確かに名前から由来を予想できないな」
「ふふふ、コレで終わりじゃないんだよ。さらにサブロウより細いからヤセサブロウ! シロウ! シチロウウオ!」
「次郎から三郎四郎、で七郎と細く小さくなっていくのか? 終いにはハッカクみたいなガリガリになっちまうだろ」
「そもそもトクビレ科のトクビレって、関東でハッカクと呼ぶ魚のことだよ。さあ、どう?どう? へえー! でしょ?」
「ん〜……変な名前のバーゲンセールだとは思うし、語源も安易じゃない。けどさ」
「けど、なんなの?」 ムッ
「5番目と6番目は多分○○姫、女の子だろ? 妹をシークレットにするメリットがわかんねえんだけど?」
「……、とうまが何を言ってるのかこっちこそ分らないんだよ」
196 :
名前
[saga sage]:2011/08/17(水) 18:22:27.87 ID:+7XNge4m0
☆
白井「潮だまりは生き物の宝庫、磯のワンダーランドですの」
初春「干潮時に海水が取り残されて出来る、タイドプールの事ですか? 確かに多種多様な生物が見られますね」
佐天「ヒトデや巻貝、エビやカニ、ハゼやらタコやら、……中にはミョーなヤツも居るけど」
御坂「磯遊びで見かけるミョーなヤツと言うと、うん。黒子、任せた」
白井「ツリエサでお馴染みのゴカイ、ふにゃふにゃなムカデみたいなヤツですけどソレを巨大化させたオニイソメ。
全長1mにもなるというご立派な体躯で、噛まれると結構痛い、むしろ心が痛い、危険生物ですわね
ゴカイの系統で言いますと、ハデな毛羽がわっさわっさの巨大なケムシ状の生き物、ウミケムシ。
本家のケムシ同様に毒針を持っていて、触ると刺されてこれまた痛い、やっぱり危険生物ですの。
あとは、海水浴や潮干狩りで見ることもありますがナマコやウミウシ、アメフラシなども潮だまりでしたら
わりと高確率で観察できるのではないかと思いますの」
初春「おさらいですけど、ゴカイは環形動物、ウミウシやアメフラシはナメクジ化した貝で、ナマコは棘皮動物ですよね」
御坂「そうね。どことなく似てるし、踏むし、見るとテンション下がるし、キモイし、一緒にしがちだけど」
佐天「ウミウシの仲間は綺麗なのや個性的なのも多いですよー。そういう珍しい種類もタイドプールなら居るかもですね」
白井「あと、注意が必要な生き物と致しましては、ちょっと深いところなどですとウツボが取り残されてるかも。
大型のウツボの歯は凶器、噛まれれば海水浴なんて言ってられない事態になりかねませんの。
そして結構有名なスベスベマンジュウガニ。つるっつるで丸っこくて小さなカニですが、数十年前にこのカニは
なんとフグと同じ毒など数種の毒を持つ種だと判明しましたの。食べなければ問題ないのですが、ご注意を。
それから、敢えて言及が必要かどうか判りませんがクラゲ、特にカツオノエボシはビニール風船のような見た目
で子供は触りたがりますが刺されるとシャレになりませんの。死亡例もある超危険生物ですわね。
あとは火山のミニチュアのようなフジツボや、岩の割れ目からニョキニョキ生えてるカメノテ。どちらも甲殻類
ですが、これらは岩場で転んだ時に手や膝などを傷つけますわね」
佐天「クラゲは痛いし、フジツボはほんとにザックリ切れちゃうからなあ。……、フジツボ膝って知ってます?」
初春「佐天さん? 根も葉もない噂話はここではしませんからねー」
御坂「ところでフジツボは勿論、カメノテも美味しいのよね。でも岩からなかなか剥がせないのが残念よね」
白井「美味しさを求めるならヒザラガイもいいですわね。外側はなんと言いますか、世紀末的な関節のプロテクター風。
ですけど内側は……、まあ見た目はともかく刺身に煮付けに味噌汁の具に何でも来い、な味の濃い貝ですの」
初春「へえ〜。磯に行けば確かにそんなのあったような気もしますが、気にも留めてませんでした」
佐天「今度磯遊びに行く時はマイナスドライバー必須ですかね」
御坂「ただ、そこが採取を含めて遊べる磯かどうかは地元の人に聞かないと分らない場合もあるから、気を付けてね」
初春「私としては、結構高確率で取り残されてるタコの吸盤でちゅっちゅくされるのがたまらないですけどね」
白井「初春、さすがに心得てますのね。噛まれることに気を付けさえすればアレこそタイドプールの悦楽ですの」
佐天「え……。タコの吸盤に吸い付かれても痛いだけじゃないですか? にゅるにゅるだし、ねえ御坂さん? あれ??」
御坂「……(ホントに気持ちいいのは吸い付いた吸盤をムチムチムチって剥がす時、ってのはセーフ……よね??)」
197 :
名前
[saga sage]:2011/08/17(水) 18:24:33.75 ID:+7XNge4m0
☆
【とある2人のウニ漫才】
打ち止め「ねえねえ、海の底には愛と勇気と力が静かに眠るって言うけど、じゃあアンパンなマンも居るのかな?」
一方通行「……、この導入はムリにも程があンだろ。海底のパンなンてスカシカシパンが関の山だし」
打ち止め「それ、一時期ちょっとだけ流行ったウニの仲間だよねってミサカはミサカは記憶をたどってみたり」
一方通行「お、この方向でイイのか……? そォだな。スカシカシパンはウニ網タコノマクラ目の…」
打ち止め「そこだよ!」 ビシッ
一方通行「ドコだァ?」 キョロキョロ
打ち止め「えっと、タコノマクラ! みたいにウニの名前はいい加減すぎるよねってミサカはミサカは憤慨してみる!」
一方通行「全部のウニが全部ってワケじゃねェが、まァ確かにイカレた名前を付けられてンのが居るな」
打ち止め「でしょう? だからミサカは物言わぬウニに代わってそうした暴挙を白日の下にさらけ出したいのって…」
一方通行「要するにアレかァ? 珍名のウニを列挙して笑ってやろォと」
打ち止め「ちーがーうーの! ってミサカはミサカはあくまでミサカのウニ愛に基づく善意の行動だと主張してみたり!」
一方通行「愛って言葉の使いドコロ、確実に間違えてンぞ。……まァ、好きにしろ」
打ち止め「許可を貰ったからあらためて! 『ミサカの、こんな命名許せない あほウニランキ〜ング!』いえーい」
一方通行「……、ウニ愛とやらは一瞬で何処かへ飛ンでったよォだな」
打ち止め「スカシカシパンとタコノマクラは惜しくもランク外だったけど、来週はガンバレーってミサカはミサカは…」
一方通行「なァ芳川、俺コレどォしても続けねェとダメ? ア、そォ……」 ガックリ
198 :
名前
[saga sage]:2011/08/17(水) 18:28:16.07 ID:+7XNge4m0
打ち止め「第三位は、ドラムロロロロロロロロルン!! 『バフンウニ』! 解説はお願いってミサカはミサカは華麗にパス回し」
一方通行「俺は解説者か……。バフンウニ系はムラサキウニ系と並ぶ二大食用ウニだ。比較的棘の短い、どこの海にも
転がってる種でありながら味の濃さ、色の濃さ、漁獲量の少なさなどでムラサキウニよりも高級とされてる。
特にエゾバフンウニはウニの中で最上級って言われてンな。草色の短い棘が丸まった様子は植物繊維の塊を
髣髴とさせその姿はまるで……だが、食用生物に付けていい名前じゃねェよなァ……」
打ち止め「もうちょっとマシな別名って無いの? ってミサカはミサカは補足も要求してみたり」
一方通行「ムラサキウニより実が赤いンで『アカ』とかウニの古称『ガンゼ』とか、無い事はねェンだが…」
打ち止め「逆に実が白いからムラサキウニは『シロ』とか『ノナ』って言うみたいだね」
一方通行「残念ながら一般名の代役が務まる程の別名はねェな。つーか、コレ第一位じゃねェの……?」
打ち止め「では、続いていくよー。第二位! 昔話の題名を借りパク『ブンブクチャガマ』たち、だよ!」
一方通行「コレは名前だけは有名だが実物は見た事ねェヤツが多いンじゃねェか? 昔話も超メジャーじゃねェし。
あらすじは、何だっけか。罠に掛かったタヌキを助けた男に恩返しをするためにそのタヌキは茶釜に化け
自分を売って金にしろ、と男に言う。売られた先で茶釜として火に掛けられたところで変化が中途半端に
解けて、茶釜から手足頭が出てるタヌキっつー姿で男の家に逃げ戻り、また世話になる。その後オカシナ
姿を生かして自分を見世物にすることでタヌキは金を稼ぎ、男は裕福に暮らしましたとさ、だっけ」
打ち止め「要はたぬきの恩返しなんだよね、ってミサカはミサカは貴方の恩返しを24時間365日いつでも待っててみたり」
一方通行「後半何言ってンだかサッパリですけどォ? ンでまァウニだが、見た目は毛の生えた茶釜ってトコだな」
打ち止め「コレ一種なら問題なかったんだけど、ブンブク目全体では名付けのセンスが疑われるんだよね」
一方通行「タヌキの話から名前を付けてンのに、キツネブンブクとかライオンブンブクとかウルトラブンブクとかな」
打ち止め「じゃあついでに、そういう安易な名前のウニを一挙に紹介するもうすぐランクインだよー!」
一方通行「……、何のヒネリもねェ名前のウニを言えばイインだな? ンじゃ、順不同で
ラッパウニ、パイプウニ、マンジュウウニ、ネオマンジュウウニ、コメツブウニ、マメウニ、タマゴウニ
ノコギリウニ、ジンガサウニ、コデマリウニ、オトヒメウニ、ウラシマウニ……、キリがねェンだが?」
打ち止め「全部見た目一発って感じかな? ってミサカはミサカは、でもウラシマオトヒメは違うかもって思ったり」
一方通行「オトヒメウニ亜目の種はミリサイズのウニらしいンで、由来は見た目じゃねェかもな。実際知らねェが」
打ち止め「課題が残っちゃったね、ってミサカはミサカは貴方の更なる精進を期待してみたりって痛っ!」 ビシッ
一方通行「ったく、テメエは何様だっつーの。……ンで、栄えある第一位はどォした?」
打ち止め「うう、今のチョップで忘れちゃったよってミサカはミサカは悲しいお知らせをしてみたり」
一方通行「……ハァ?」
打ち止め「冗談だけどね、ってミサカはミサカは痛たたたたたっ、ぐ、グリグリにも負けずに最後まで頑張ってみたり」
一方通行「御託はイイから、さっさとこのクソくだらねェ時間を終わらせろ!!」 グリグリグリグリ
199 :
名前
[saga sage]:2011/08/17(水) 18:30:27.45 ID:+7XNge4m0
打ち止め「だ、第一位は、『アリストテレスのちょうちん』! ってミサカはミサカは痛みに耐えて発表してみる!」イタタタ
一方通行「最後の最後で、ウニの名前じゃねェの出してどォすンだよ……」
打ち止め「細かいことはいいからいいから。解説よろしくねってミサカはミサカはお願いしてみる」
一方通行「チッ……今言ったが、コレはウニの名前じゃねェ。多くのウニの仲間が持つ咀嚼器、口の部分を表す名前だ。
ウニは体の丁度真下の中心部分にあるこの口の中の5枚の歯でコケやら海草やらを削って食べる。解剖すると
この部分はがっちりとした骨質で出来たドーム状になってっから誰でもすぐ見分けられるだろォな」
打ち止め「でも、ブンブクチャガマはそれを持ってないんだよねってミサカはミサカはフォローしておく」
一方通行「そォだな。ウニの分類においては重要な器官と言えるかも知れねェ」
打ち止め「それにしても余りにもミスマッチなネーミングだよね。何でこうなったの?」
一方通行「古代ギリシアの知の巨人、アリストテレス。全ての学問はコイツが源流とさえ言われる怪物だ。哲学、倫理
政治に文学、後世に影響を与えた事例は数知れず。科学だって宗教だって例外じゃねェ。とにかくあらゆる
知的活動の基礎を1000年以上も担い続けた大天才、の名前がどォしてウニの口器に、しかも提灯とペアで?
この疑問の答えは簡単で、実際にアリストテレスがウニをレスボス島ってトコで観察していて、その部分の
事を『提灯そっくり!』って書きとめていた、とされる記述が後の世に発見されたからだ」
打ち止め「さすがの偉大な哲人も、ソレが原因で後世に自分の名前がそんな所に残るとは予想できなかっただろうね……」
一方通行「現存すンのは本人の記述じゃなく死後に他人が纏めた物だから、ンな考慮はそもそもしてねェだろォな」
芳川桔梗「ちなみにね、アリストテレスって名前は『最高の目的』って意味なのよ」
番外個体「ほうほう。ちなみにミサカは『最悪の目的』で一方通行言行録を纏めてんだけどね。黒歴史的な」 ケケケ
一方通行「まだ本人生きてンのに勝手な事すンじゃねェ! ヨーロッパタヌキブンブクぶつけンぞゴラァ!!」
〜おしまい〜
200 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/08/17(水) 18:38:15.47 ID:+7XNge4m0
以上、第十八回「名前」でした。
第二パートでタコの吸盤がどうのこうの、ですが吸盤内は割と汚れてるので長時間ペタペタするのは良くないかもです
第三パート、ヨーロッパタヌキブンブクはウニの仲間ですが、ウニを投げるとウニの健康を損なうおそれがあるので
絶対に投げないで下さい
次回は・・・、おさかなネタで普通のSSを無理やり書いてみようかとか思いつつ、ではでは〜
201 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2011/08/17(水) 21:03:55.29 ID:xaJ6YKe40
ザンボット…
202 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/17(水) 22:08:45.81 ID:v5ic+TpDO
上条ちゃんの珍妙な名前はー?・・・ってあれ?
203 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/08/17(水) 23:57:51.91 ID:+7XNge4m0
第一パートの補足忘れてたあげ。
サブロウは熊谷次郎より細いからサブロウなのは確かだけどシロウ以下の由来はホントは定かじゃないのに
話の中では大きさで名前がついたって決め付けちゃってます。ネタで使うときなどはご注意ください
>>202
見た目だけならムラサキウニかガンガゼだけど、不幸で苦労してるからクロウニとか?
204 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 00:42:46.34 ID:i5RCG1NIO
磯の話でフナムシさんが出て来なくてホッとした
205 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/08/18(木) 01:27:04.10 ID:jhHD4tPAO
需要ならあるんだよ!
なにげにこのスレが今一番のお気に入りかもしれないんだよ!
次もすごく期待してるんだよ!
206 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/08/23(火) 20:42:49.16 ID:xXM2uyOH0
ひっさしぶりのおさかな話、予定していたSS風味がなかなか書けないので通常番を投下しまーす
今回は、若干小難しい単語が出てきますがそういうのは無視しても大丈夫な気もします。
岩の割れ目から一匹が顔を覗かせると、続けて数百匹が超高速でゾロゾロゾロゾロゾロなフナムシ話は
残念ながらありませんが。
そんな今回のテーマは「進化」です。ではどうぞ
207 :
進化
[saga sage]:2011/08/23(火) 20:44:01.32 ID:xXM2uyOH0
☆
「なあインデックス、ニワトリの卵でときどき黄身が二つ入ってんのがあるけど、そのまま育ったら双子になるのか?」
「とうま……。それ本気で言ってるの?」
「そのカワイソウな人を見るような目はなんなんですかぁ!? 俺だって普通に売ってる卵が無精卵だってことくらい…」
「無精卵は言うまでも無いんだけど、有精卵でも双子のヒヨコは産まれないんだよ。ちょっと人間の場合を考えてみて」
「人間の双子の場合って事か? ……って言われても、お母さんが大変なんだろうなー、くらいしか想像出来ないけど」
「そこだよ。二人をお腹の中で育てるのは一人の時よりもすごく大変で努力が要ることなんだけど、卵はどう?」
「卵の努力? あ……、そういうことか。卵ってのは母体から独立しちまってるから、努力が出来ないってことだな?」
「うん。最初から限界が決まってるからイレギュラーで黄身を複数抱えてしまうと、成長を支えられないんだよ」
「なるほどね。ニワトリの卵はあくまでもヒヨコ一匹分の栄養貯蔵庫にして保護装置。だからムリ、か」
「そうだね。ちなみにそういう卵は主に産卵を始めたばかりの若い雌鶏にみられるんだよ」
「体が出来上がって、産卵に慣れてくれば残念な卵を産むことも少なくなって……、でも簡単に見分けってつくのか?」
「双子かどうかを? ……器具無しで見分けるのは難しいけど、敢えて言うなら双子卵はちょっと細長い感じがするかも」
「ふ〜ん。それにしてもニワトリも子供を産むようになればそんな問題は無くなるのにな。進化がまだまだ途中っつーか」
「とうま? それはちょっと違うんだよ。卵生も胎生もそれぞれ現代まで淘汰を免れた最適な解答なんだから」
「ん? いや、だってさ。一番進化してる生物であるところのヒトが、子供を産む『胎生』だろ?」
「……、とうまの進化の考え方は、悪い意味で進歩史観的に偏っているのかも? これは治しておかないとね」
「な、なんだよ。悪い考えを治すとか穏やかじゃないぞ? 異教のサルとか言い出さないでくれよ……」
「まさにそれ! サルが人間より遅れているという認識なくしては出てこない悪い言葉。進化を勘違いしてるんだよ」
「いや、コレは元々俺のセリフじゃ……、(まあいいか。黙って話を聞くとしよう)。 ほうほう、というと?」
「適者生存って表現のほうが判りやすいかな。今、存在している生き物はその環境に最も適応してるってことだよ」
208 :
進化
[saga sage]:2011/08/23(火) 20:45:08.10 ID:xXM2uyOH0
「ん〜、概念とか理論の話は難しいから、……そうだな、さっきのタマゴか子供かの話で説明してくれないか?」
「そだね。じゃあねえ、脊椎動物の系統ってわかる?」
「系統? えーと……、魚類から両生類、それと爬虫類と哺乳類が出来て、爬虫類の一部が鳥類に、ってヤツか?」
「まあそれでいいよ。次は魚類、両生類、爬虫類、哺乳類、鳥類のうちタマゴを産むのはどれ?」
「鳥と魚は当然として、えーとカエルは……、タマゴだな。ヘビもタマゴだし。つまり、哺乳類以外全部だろ」
「哺乳類でも、カモノハシとかハリモグラとかはタマゴを産むよ?」
「そ、そっか、そうだよな。ってことは全ての脊椎動物がタマゴを産む……、いやいや、ヒトはタマゴじゃねーよ」
「子供を産む爬虫類や魚類もいるしね。魚類で言えば、軟骨魚類と硬骨魚類って知ってる?」
「軟骨魚類、サメやエイだよな。現在の硬骨魚類よりも昔から居たってのは知ってるけど、それがどうかしたのかよ?」
「サメの多くは卵胎生、つまり子供を産む魚なんだよ。一方、硬骨魚は卵生だよね。コレをとうまの理屈で言うと」
「硬骨魚の方がより進化している種類だから、子供を産むよりタマゴを産むほうが優れているってなっちまう、か」
「うんうん。タマゴかどうかだけで見ても、進化はたった一つの究極を目指すものでは無いって事がわかるよね」
「つまり適者生存とか自然淘汰って『問い』には最適な解答がいくつもあり得る?」
「もちろんだよ。ただ、長い時間をかけて磨きぬかれたはずの現在の生き物たちが本当に最適かと聞かれると…」
「そうなんだよな。無駄な習性を持つ生き物とか、何でそんなトコに棲むんだよって生き物って居るし」
「進化は基本的に意思や努力とは無関係だから、その意図不明な性質には生き物自身も観察する人間にも判らない利点があ
るのかもね」
「なるほどわからん。現在まで生き残ったのは結局運が良かったからでした、ってオチもあり得るんじゃねーの?」
「そういう場合の用語もあるよ。畑にまいた種から出た芽のうち、たまたま鳥に食べられずに成長した苗、みたいな」
「他と比べて傑出した才能を持っていたワケじゃなく、運が良かった、ツイていた、の連続で生き残るヤツか」
「適者生存に対してその場合は運者生存って言うんだよ。短期間、個体ごとに観察する場合に起こることが多いかも」
「運命に逆らって生きるタフなヤツ、って感じかな。……ところで、サメがタマゴでなく子供を産むということはつまり」
「あ、もうオヤツの時間だね。それじゃ今回は流れに逆らってこの辺りで終わるんだよ!!」
209 :
進化
[saga sage]:2011/08/23(火) 20:46:31.45 ID:xXM2uyOH0
☆
佐天「雷神トールって居るじゃないですか、北欧神話の。アレっていろいろおかしくないですか?」
初春「トリウムや"thursday"の語源になってる神様ですよね。今いろいろと話題ですけど、なんのことですか?」
佐天「まずはあのミョルニルだっけ? 振れば雷を起こし掲げれば雨を降らし投げれば必ず敵を粉砕して戻ってくるって」
白井「神話に突っ込んでも詮無きことですけれど、まあ聞けば何とも便利な道具ですわね」
御坂「ところが、ミョルニルはバカみたいに重い上に常に高熱を帯びていたから素手では触れない危険物だったのよ。トール本人も含めてね」
佐天「力帯と篭手がないと使えない武器って、言っちゃえば欠陥品ですよね。神のクセに欠陥品掴まされるって」
初春「まあまあ。ミョルニルは他にも無限の再生能力やらなんやらいろいろ司っちゃう超便利なお宝だったんですから」
白井「反面で扱いが難しいというのは、チート防止の観点からみれば当然ですの」
佐天「ところがですよ、トールはそのお宝武器を敵対していた巨人に盗まれるんです。うっかり居眠りしている最中に」
初春「本人でさえ素手で触れない物をどうやって盗んだかは置いといて、なんて不注意な……」
御坂「トールは『返してくれー!』って、巨人に頼みに行くのよね。敵相手に随分と呑気な神様だわ……」
佐天「当然、タダでは返してくれない。見返りは『超美人の女神を嫁にくれたら交換してやる』……、平和ですよね」
御坂「女神に、『嫁に行ってくれない?』って頼んで当たり前に断られて、トールはさらに訳の分らない事をすんの」
佐天「つまり『じゃ、俺様が女装して嫁に行けばいいんじゃね?』作戦ですよね」
御坂「うん。マッチョで毛むくじゃらの容姿を花嫁衣装で隠す程度の女装でやり過ごせると思っちゃったみたい」
白井「……神様なら完璧な変身だって出来るでしょうに。それで結局どうなりますの?」
佐天「嫁入りする美女神、として巨人の屋敷に入ったトールですけど、誤魔化し続けて最後までバレませんでした」
御坂「で、結婚式の儀式用品としてミョルニルを出してきたから、それを奪い取って大暴れ。まあご都合主義よね」
初春「ところで皆さん。今日はおさかな話はしないんですか? トール関係で何かあればまだ間に合いますけど……」
佐天「え、あ……、強いて言えばアレかな。罪を犯した挙句に色々な姿に変身して逃亡する神様を捕まえた話」
御坂「サケの姿になって川を下ろうとしたところをトールが捕まえたから、サケの尻尾は薄くなっちゃいました」チャンチャン
白井「え、いやいやいやいや、お姉様? 捕まえたのはサケに化けた神様で、本物のサケではないですわよね?」
御坂「おバカなトールのことだから見ただけじゃどれがソイツか分らなくて、とりあえず全部掴んでみたんじゃない?」
佐天「……、話を聞いていて何と無く思ったんですけど、御坂さんってトールって神様のことキライですよね?」
御坂「いや、神話を語っただけよ?? 特に他意はないわよ?? 本当よ??」
210 :
進化
[saga sage]:2011/08/23(火) 20:47:45.55 ID:xXM2uyOH0
☆
打ち止め「ねえねえ、ヒトはどうやったら水の中で生活できるのかな?ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
一方通行「……、潜水艦とかダイビングの話か?」
打ち止め「ううん、そうじゃなくて。おさかなみたいに器具のいらない水中生活をしてみたいんだけど」
一方通行「………………………………………………………………、取りあえず座れ」
打ち止め「おお? 未だかつて無い本格的講座の予感?ってミサカはミサカは期待に胸を膨らませてみたり!」チョコン
一方通行「ワケ分ンねェ事言ってンじゃねェ! ……で、結局、テメエは魚になりてェのか?」
打ち止め「あ、いや、別にそこまで求めてな…」
一方通行「答えはイエスかノー限定だ! 魚になりてェのか、どォなンだよ?」 ドンッ
打ち止め「なんでそんなに怒ってるの? ってミサカはミサカは疑問なんだけど、ひょっとしてミサカは魚になれるの?」
一方通行「ほォ……イエス、だな? ……テメエは魚類であることを望ンだ。後悔すンなよ?」
打ち止め「これからミサカは体中を好きに弄くられて、おさかなにされるんだねって……、いやいやちょっと待って!!」
一方通行「ン? リコールは受け付けてねェぞ。潔く諦めろ。とりあえず魚類とは何かについて話してやるから良く聞け」
打ち止め「あわあわ、無意識に悪魔の契約書にサインした気分だよ、ってミサカはミサカは動揺を隠し切れずにいたり」
一方通行「もう遅ェ。さて、ンじゃ解説前の導入なンだが……、単細胞生物って分るか?」
打ち止め「一番最初の生き物がそんな感じだよねって、ミサカはミサカ自身は多細胞生物だと主張してみたり」
一方通行「ココではその理解で充分だ。ところで、ソイツらはどォやって呼吸してると思う?」
打ち止め「単細胞生物の呼吸? えっと……、やっぱり皮膚呼吸みたいな?」
一方通行「細胞膜を通したガス交換だから、イメージとしては正解だ。この手の呼吸法は小さなサイズでは有効なンだが」
打ち止め「大きくなると不都合があるんだねって、ミサカはミサカは先回りしてみたり」
一方通行「あァ。例えばの話、一辺が10の立方体で出来た生物の体積は1000で表面積は600だろ?」
打ち止め「うん、ミサカはあなたが何を言いたいのかよく分らないけどそれでいいと思う」
一方通行「……、次に一辺が1000の立方体の場合、体積は10億で表面積は600万」
打ち止め「ふむふむ。大きくなったことで体積、つまり体の大きさに比べて呼吸に使える表面積の比率が減ってるね」
一方通行「そォ言う事だ。つまり、皮膚呼吸のよォな方法だけでは多細胞生物は間に合わなくなっていく。ンじゃ行くぞ」
211 :
進化
[saga sage]:2011/08/23(火) 20:48:45.20 ID:xXM2uyOH0
一方通行「単細胞生物から多細胞生物への進化においては、体の大型化が容易になった一方で前述したよォに新たな
呼吸手段を見つける必要が出てきた。表面積を増やすために体を大きくすることは出来ねェワケだから、
既に持ってるモノを改良しなければならねェ。そこで目を付けたのが消化管だ。栄養を吸収するのが主な
目的の器官だが、体の内部のよォで実は外部に接してンで丁度都合が良かったンだ。それで最初は大きな
肉体的変化を伴わない腸壁経由のガス交換による呼吸をしていたンだが、この方法にも欠点があった」
打ち止め「腸を呼吸に使うことの欠点って何?ってミサカはミサカは注意深く尋ねてみたり」
一方通行「腸だとク……食い物が詰まってたら息が出来ねェだろ」
打ち止め「なるほど〜、ってミサカはミサカは焦って言い直す紳士なあなたはちょっと違うんじゃないかって思ったり」
一方通行「余計なツッコミ入れンじゃねェ! ……、ちなみにドジョウが行う腸呼吸はその名残だ。ンじゃ、続けンぞ」
一方通行「腸を使った呼吸は不安定で限界もすぐに来ちまった。さらに体を大型化するには最早呼吸専門の器官を作る
必要があった。そこで産まれンのがエラを持った生物だ。エラはやはり消化管の一部、具体的には口腔内や
咽頭内から外部へと繋げた水の通り道に作られた。専門の呼吸器だから形状は呼吸だけの都合で構わねェ。
水に溶けた酸素を効率よく取り込めるよォに、なるべく表面積を大きくするべく糸状や弁状を集めた物って
基本形は全てのエラを持つ生物に共通してる。そして、当然だがエラは魚類の呼吸器の典型だよな」
打ち止め「話が佳境を迎えているんだねって、ミサカはミサカがヒトで居られるのもあとわずかなのかなって涙ぐんだり」
一方通行「……、ちなみに現在の魚類を大きく分類すると軟骨魚と硬骨魚に分かれンだが、違いは判るか?」
打ち止め「ほえ? どちらも骨格を持ち脊椎を持つけど、軟骨魚は骨格が全部が軟骨だ、とか?」
一方通行「例えば頭骨は元々全ての生物で硬骨だったってのに、現存の軟骨魚はそこすら軟骨に変えちまってンだよな」
打ち止め「ところで軟骨魚といえばサメやエイ。とっても大きな魚ばかりだよねってミサカはミサカは確認しておく」
一方通行「逆に硬骨魚は小せェよな。そして太古の水中では個体サイズが圧倒的に違う勢力同士のサバイバルが起こる」
一方通行「結果的に海を制したのは巨大化に成功した種、つまり軟骨魚とイカなどの祖先が含まれる軟体動物だった。
体の小さな硬骨魚はそれらの影で細々と種を紡いでたンだが、いつまでもココに居てはエサとして喰われる
だけ。ならばいっそと、海を捨てる集団が出てきた。魚類の淡水、つまり川や湖への進出だ。海水魚が淡水
に適応するのは容易な事じゃねェ。逆に言やァ、淡水に適応出来れば最早大型の軟骨魚に追われずに済む。
こォして淡水への進出を始めた硬骨魚の一部だが、淡水には浸透圧の違い以外にも大きな問題があったンだ。
ソレは酸素不足。海に比べれば圧倒的に水量が少なく、且つ不安定な川や湖はそこに棲む水生生物にとって
常に酸欠の危険性を持つ場所だった。コレに対抗するべく作られたのが水中の酸素ではなく、大気中の酸素
を取り入れるための器官、つまり肺だ」
打ち止め「むむむ? つまり肺は淡水に進出した硬骨魚が起源だって事?ってミサカはミサカは要点をまとめてみたり」
一方通行「そォだ。だから現在の海水魚で肺を持ってンのは川から海へ戻った種って事だ」
打ち止め「ん??? 肺を持ってる魚なんてハイギョとかくらいで、ほとんど居ないんじゃないの?」
一方通行「ソレはどォかな? 確かにこの世界には肺で呼吸する魚は少ねェが、なら肺は何処へ行ったのか。ラストだ」
212 :
進化
[saga sage]:2011/08/23(火) 20:49:57.41 ID:xXM2uyOH0
一方通行「淡水魚は空気中の酸素を口から取り込む器官、肺をやはり消化管の一部を変化させて作り上げたが、現在の
水棲魚類で肺呼吸をする魚種はテメエの言うとォり少ねェ。コレは淡水中では海中のように大型種の脅威に
晒されなかったンで、当初は当然のように目指していたはずの自己の大型化が必要なくなった、ということ
も理由だろォし、そもそも海中に比べて栄養が少なく、大型になれる環境ではなかったから酸素がそれほど
要らなかったから、とも考えられる。だが何よりも、体の中に空気を貯めておく器官っつーのは水棲生物に
とって呼吸と並ぶと言えるほどの便利な使い道があったンだよ。サメやエイなどの淡水に未進出な魚は持っ
ていない、多くの魚が大して力を使わずに水中を漂って要られる所以。ココまで言えば分るだろ? 多くの
魚類は肺を浮き袋として変化させて使ってンだよ。軟骨魚以外で浮き袋を持たない魚を探すのが難しいほど
浮き袋、専門用語では鰾だったか……、は一般的な魚を語る上で外せねェ器官だろ? 何しろ生きた化石の
シーラカンスでさえ、ちょっと退化が進ンではいるが持ってるくらいだからなァ。そして現在では浮き袋を
持つ硬骨魚は海中でも淡水中でもその特性によって大きく繁栄してるってワケだ」
打ち止め「ふむふむふむ。つまり魚の浮き袋は呼吸に使わなくなった肺、ってことを長々と説明したんだよね?」
一方通行「ほォ……、立場も忘れて偉そォな態度取ってるが、これからテメエは魚になるンだろ?」
打ち止め「…………あ、あれは冗談だよね? だよね???ってミサカはミサカはみさあおあうおあうあおうああー!」
芳川桔梗「ぷっ。やっぱりこの子、ちゃんと話を聞いてなかったみたいね。ほら、説明してあげなさいよ」フフッ
一方通行「バァーカ! 最後の解説をよく思い返してみろ。『現在の水棲魚類で肺呼吸する魚種は…』って言ったろ?
コレが何を意味するかだが、水棲魚類ってのは水の中に棲む魚だろ? 変な表現だと思わなかったのかよ?
水の中に棲ンでねェ魚が居るって事を暗に示してンだ。そンなもン居るはずねェって思うか? ところがだ。
肺を獲得して空気中の酸素を取り入れることが可能となった魚の一部は川から上がり陸上での生活を始める。
これが両生類、爬虫類と哺乳類の誕生だ。そン中で爬虫類の一部、恐竜と呼ばれていた種から鳥類が誕生し
現在の脊椎動物の大系に近づいて行くンだが、問題は、その全てが硬骨魚類から進化したって事だ。これを
分岐分類の観点で論じると、ヒトは硬骨魚って事になる。エラは退化しちまったが硬骨魚の証の肺を持って
ンだろ? つまり、テメエは何もしなくても既に魚類って事なンだよ」
芳川桔梗「ヒトを生物として分類するとき、単系統群で見た場合は硬骨魚に含まれる、と言って間違いないわね」
打ち止め「あの……、だまされたー!ってトコなんだろうけど、難しくて良くわかんないよってミサカはミサカは…」
番外個体「おや、こんなところに謎の紙袋が。……解説が不満なら、優しい妹がおさかな変身セット探したげるよん?」
打ち止め「よく分ったよおおおお! ってミサカはミサカは身の危険を感じて態度を一変してみたり!!!」
〜おしまい〜
213 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/08/23(火) 21:02:49.42 ID:xXM2uyOH0
以上、第十九回「進化」でした。
第一パート、えーと、サメを漢字で書くと鮫。つまり交わる魚・・・えーと
第二パート、あちらの神話ではサケが出ることが多い気のせいがします
第三パート、実に小難しくなっちゃってますが何が言いたかったというと「魚になりたいよー」 「ヒトも魚だよ?」
ってことです。伝わらなかったらごめんなさい。
というわけで、また次回〜
214 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/24(水) 01:51:02.38 ID:4UblJk+So
脊椎動物を硬骨魚・軟骨魚で分ければ人は硬骨魚だよ!
って事だよな?
215 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2011/08/24(水) 14:58:49.32 ID:uT8Is8mAO
人類皆魚類
216 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/08/26(金) 21:47:11.18 ID:AYcJMeGK0
早くも投下間隔が開きまくりな「おさかな目録?」 まだ、終わらせる気は無いよーー、ですが
8月中はなかなか時間が取れない上、自覚はないけど回ごとの出来にムラがあるようなので
次回作は少々お時間を戴くかと思いますがご了承いただきたく存じます。
>>214
ですです。で、その前に魚類を大きく分けると硬骨と軟骨、って前置きしてるので何もしなくても魚類だぜ! という論理
・・・うん、分りにくいデスヨネ
というわけで、しばし投下できませんのでご意見ご質問ご不満悪口雑言美辞麗句などございましたら
残していってくださいませ。・・・次回の参考にするかもですのであしからず
217 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟県)
[sage]:2011/08/26(金) 23:33:28.94 ID:I0rG2RZGo
まさかこの歳になって生物の資料集を引っ張り出すとは思わなんだ
218 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/09/06(火) 20:12:17.17 ID://qUjfx70
久しぶり過ぎる更新です。力不足が否めない・・・
そんな今回のテーマは「視点」です。いつもよりムダ情報の濃度を押さえ気味にしたんだけどどうなんだろ?
いつも以上に心配しながらの投下ですが、宜しければどうぞ
219 :
視点
[saga sage]:2011/09/06(火) 20:13:22.83 ID://qUjfx70
☆
「なあインデックス、イルカとクジラの違いってのは大きさだけなんだよな。デカイのがクジラっていう」
「うん、そうだよとうま。明確な基準じゃないけど、最大体長4mが境目って考えればいいかも」
「当たり前だけど最大体長で区別してるってことは、クジラの子供がイルカってワケじゃないんだな」
「言うまでも無いかも。ついでにいうとヒゲクジラの仲間には小型種が居ないから、イルカは全部ハクジラの仲間って事だね」
「イルカとクジラが含まれるクジラ目を、主に歯の形状で分類したのがハクジラとヒゲクジラだっけ?」
「まあそれでいいよ。ヒゲクジラの仲間は普通の歯の代わりに口の中にヒゲ板がずらっと並んでるんだよ」
「大量の海水を飲み込みそれを濾過して残ったオキアミなんかを食べるための器官だよな。体の割に小さな好物っつーか」
「現生最大哺乳類のシロナガスクジラもヒゲクジラなんだよ。まあ正直、口に入れば大体のものは食べちゃうみたいだけどね」
「以上を踏まえて質問なんだけど、シャチっているだろ? アレはクジラとイルカ、どちらに分類されるべきなんだ?」
「もう一度イルカの定義をおさらい! イルカはクジラ目のハクジラの仲間で最大4m以下の種を表すんだったよね?」
「獰猛なシャチは当然鋭い歯を持つハクジラの仲間で、最大で10m近いんだっけ……。そんなイルカがいるか?」
「定義どおりならシャチはクジラ、なんだけどマイルカ科に属し、イルカのイメージの体型をしてるシャチをクジラと呼ぶのは抵抗があるよね」
「…………だよな。ま、要はクジラとイルカは慣例的分類に過ぎないって事か。だからシャチはシャチって呼ぶのかもな」
「ちなみに英語ではシャチを"Killer whale"とか"Orca"って言うんだよ」
「ふーん、英語圏ではクジラって認識なんだな。って言うか直訳なら『殺し屋クジラ』か……? もう一つの名前も聞いたことはあるけど」
「"Orca"は学名の"Orcinus orca "が由来だね。属名と種小名で表されるこの名はラテン語で『冥府より来たりし魔物』ってとこかな」
「……なーんか殺し屋とか冥府とか魔物とか、一気に幻想世界に引き込まれた感があるんだけど……。オルキヌスねえ」
「それくらい恐れられている生き物ってことだよ。シャチは大型のクジラだってサメだって襲うんだから」
「殺し屋の名は伊達じゃない、か。素手の人間が襲われたら手も足も出ないだろうな」
「でもね、人間を食べ物と認識して襲う事はないみたいだよ。あってもアザラシとかと間違えてるだけで」
220 :
視点
[saga sage]:2011/09/06(火) 20:14:51.90 ID://qUjfx70
「いや、その理屈はオカシイ。区別出来てないってことは食べ物と認識されてるってことじゃねえか」
「まあそうなんだけど。違うと判ればもう襲わないみたいだし、決して人間の敵じゃないんだよ」
「あのな、よく聞けインデックス。美味しいリンゴと硬くて歯も通らないけどいい香りのするカリンの実があるとする」
「ほえ? リンゴとカリンの実を想像すればいいの?」
「この2つを見分けられない人は、かじって初めてそれがリンゴかどうか判る。リンゴならそのまま食べればいいけど」
「カリンだったら硬くて食べられなくて結局捨てる、かな? それでそれで?」
「果物を動物にたとえるのもなんだけど、リンゴにとってその人は捕食者だよな。カリンにとっては違うといえるか?」
「ん〜、言いたい事はわかるんだけど、果物のほうに視点を持っていくのはおかしいよ。あくまで人間目線じゃないと」
「そこだよな。熊や毒蛇などの危険な獣ってのは人間にとって、つまり人間から見て危険だからそう言われるんであって」
「……確かにシャチは人間を襲わない、って話はシャチの視点になってたね」
「何かをより良く、またはより悪く表現するために別の、この場合人間以外の視点を持ち出すのは問題があるんじゃねーか?」
「視点の変化自体は普通の表現方法なんだけど、何かを恣意的に評価するための視点をわざと用意するのはちょっとインチキかもね」
「俺はそう思うぜ。例えばほら、役立たずの大飯喰らいで、最近じゃ得意の魔術解説さえ他人にお株を奪われる超絶ダメシスターとかさ」
「無責任な放言で自分勝手に他人の努力を否定した挙句、暴力でしか物事を解決できない最低最悪の欠陥ヒーローとかね」
『……………………』
「……特定の物事を貶める為に複数の視点を用いて一つの虚像を作り、結果、誰の考えでもないそれが一人歩きしちまう例だな」
「逆に何かを讃えるために虚像を作ってる人は、自分がやってることがコレと同レベルかも? って注意したほうがいいんだよ……」
「……まあ、さ。動物が何を考えてるかなんてわかんねーんだし、その上で勝手に良い子悪い子の区別を付けてるんだから」
「人間の視点から判断されなくては不自然だね。となると"Killer whale"より"Orca"を使おうって働きかけも変なのかも」
「殺し屋じゃイメージが悪いってか? そういうシャチ大好きな人が居るのは理解できるけど、他人に押し付けちゃダメだよな」
「そうかも。外海でシャチを直接見て恐怖を感じないワケがないもん。怖くないオルカなんておるか!? だよ」
「それもダメだろ」 「…………だよね」
221 :
視点
[saga sage]:2011/09/06(火) 20:16:05.93 ID://qUjfx70
☆
初春「ネットで見たんですけど、御坂さんと白井さんってコンビで『常盤台のキャットフィッシュ』って呼ばれてるらしいですよ」
佐天「ナニソレナニソレ何か怪しい響きじゃん? もしかして御坂さん、とうとう白井さんの魔の手に堕ちちゃったり?」
御坂「魔の手って……、いや、私達がおさかなを良く知ってるからって事じゃない? いわば通り名かしらね」
白井「キャットフィッシュ、つまりナマズですの。……私はその名はどうかと思いますけど。ヒゲ面のヌメヌメですし」
御坂「そう? 私は結構気に入ってるわよ。知り合いがナマズと電撃使いは共通点が多いって言ってたし」
白井「その知り合いの方が一番気に入りませんの! とは言え、勝手に周りがそう呼んでいるだけですから仕方ないですわね」
佐天「ふむふむ、でもコンビ名ってなんか燃えますよねー! 次はバトル方面への展開ですか?」
白井「話を聞いてませんの?? そんなの私たちの本意では…」
初春「いいですね!! じゃあ、宿命のライバルのコンビ名を考えましょう!」
白井「初春〜〜、佐天さんの悪乗りに付き合ってどうするんですの。お姉様も何とか言って下さいまし」
御坂「そうねえ、キャットフィッシュのライバルだからネズミって名前のつく魚がいいのかなあ??」
白井「お姉様……?」
佐天「いやいや、ネコとネズミじゃ一方的な捕食関係じゃないですか。ここはやはり、犬でしょ!」
白井「単純にネズミウオと呼ばれる魚が何種類もいて、中から一つを選ぶのが面倒だったんではないんですの?」
初春「犬と魚……、オオカミウオはどうですか? 鋭い牙としっかりした臼歯を持つ怖い顔が特徴の海産魚ですけど」
白井「初春は何の名前を決めてるのかさえ忘れてません? チーム名『オオカミウオ』ってセンスの欠片もないですの」
御坂「いやあ、さすがにオオカミ相手じゃネコが可哀相よ。やっぱり犬、というよりキャットに対してだからドッグで探すべきね」
白井「ハァ…………あの、でしたら私に心当たりが。脂が少なくてマズイので犬しか食べない、という由来の名前を持つ魚が居ますわね」
佐天「……それ、なんか悲しいですね。必要とされてない事をわざわざ名前にするなんて」
白井「他にも安物の魚、撒き餌にするより仕方の無い魚、などの悲しい異名を持つこの魚ですが、日本では扱いが違いますの」
御坂「あー、それだけ言われれば私にも判ったわ。ドッグサーモンことシロザケ、いわゆるシャケでしょ?」
初春「確かに日本ではサケといったら代表的な食用魚、秋味なんて呼ばれたりもする好きな人が多い魚ですよね。この違いはなんでしょう?」
御坂「新巻鮭という保存法を発明したのが大きかったんじゃない? 脂が少ないことが逆に長期保存には適していたのよ」
佐天「所変わればなんとやらですね。英語圏の人にもシャケの美味しさが判る日がいつか来るのかな?」
初春「それはともかく、御坂さんたちのライバルチームの名前は『ドッグサーモン』で決定ですね」
佐天「宿命の好敵手、『キャットフィッシュ』と『ドッグサーモン』の血で血を洗う抗争が始まるわけかー」
白井「物騒なことを言わないで下さいまし。大体、私たちに敵うサケ属性のコンビなんて都合よく居るはずがないですの」
御坂「もし実在したところで、川じゃサケなんて体は大きいけどほっとけば自滅する魚だから、名前からして相手にもならないわよ」
初春「みなぎる自信溢れるコメント戴きました!! ……あの、ところでお二人の後ろにいる、すごい美人の方はお知り合いですか?」
佐天「び、美人だけど、なんか今にも爆発しそうな顔でこちらを睨んでらっしゃいますけどおおお?」
御坂「ん〜、心当たりはないけど身に覚えはあるような。……皆は先に行ってて、すぐ追いつくから」 ニコニコ
222 :
視点
[saga sage]:2011/09/06(火) 20:18:23.99 ID://qUjfx70
☆
打ち止め「ねえねえ、第7学区のオープンカフェ付近で爆発だって。怪我人はゼロだけど近くの廃ビル一棟丸ごと消し飛んじゃったって」
一方通行「あァ? 今日も学園都市は平和だねェ。……どォせ調子に乗った能力者がハシャイだンだろォが、バッカじゃねェのっつーの」
打ち止め「能力者同士の仕業だとしたら……あなたにそんなことを言う資格は1ミリもないけどねってミサカはミサカは毒舌してみたり」
一方通行「…………………………………………まァ、そりゃそォだ」
打ち止め「大体あなたはすぐ他人を評価したがるけど、他人を評価する絶対の基準を持ってるつもりなの?ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
一方通行「……そンなに評価しまくってねェよ。三下とか悪とか善とか闇や光の世界の住人とか、その程度だろォ?」
打ち止め「それが道理に適った正しい評価だと思ってるなら、あなたは自分のことを正義だと思ってるって事になるよね」
一方通行「テメエ……、ウゼェ説教はそン位にしておけ。それに正義っつーのはそンな単純なもンじゃねェンだよ」
打ち止め「一方通行が正義を語る、は次の機会で。ところでドジョウって地味じゃないよねってミサカはミサカは唐突に話を変えてみる」
一方通行「………………オイオイ、流石に急展開過ぎンだろ。その話題自体、旬を逃した感もあるしよォ」
打ち止め「でもね、仮にこの評価が不当なものだとしたらドジョウに失礼だと思うのってミサカはミサカは問題点を指摘してみたり」
一方通行「ンな事気にする魚類が居るかよ。だが、割と名前は出してンのに詳しく解説した事はねェな……」
打ち止め「だよねだよね。せっかくだからこの機会にドジョウを良く知れたら嬉しいなってミサカはミサカは頼みこんでみる」
一方通行「チッ……、念のため言っとくが今から話すのはドジョウ、時にマドジョウとも呼ばれる最も一般的な種について、だ」
打ち止め「ドジョウの仲間は、シマドジョウやスジシマドジョウ類、フクドジョウにホトケドジョウ、イシドジョウ、アジメドジョウ…」
一方通行「アユモドキ、もだな。それぞれで生息地も生態も姿形もかなり差異があって一括りに出来ねェからな」
打ち止め「だから食用としても身近な魚としても代表的なマドジョウを取り上げるのねってミサカはミサカは納得してみたり」
一方通行「そォだ。今回は特にドジョウの飼育と食用について取り上げるが、多分に独断と偏見を含むンでそのつもりで居ろ」
打ち止め「いまさら何を?いつものことだよ?ってミサカはミサカはその予防線の意図が掴めなかったり」
一方通行「ガキには判らねェ事が色々あンだよ。まァ気にせず行くぞ」
223 :
視点
[saga sage]:2011/09/06(火) 20:23:33.57 ID://qUjfx70
一方通行「円筒形の体とコイ目の特徴の噛み切る歯のねェ口での吸ィ込み食性で『川のミミズ』と称されるドジョウは、しかしミミズが
土壌をその生態によって改良し植物の育成に多くはプラスに働くと考えられてンのに対して、むしろ川底を掻き乱し生物層を
単純化させる害魚の一面を持つ。特にコイツらは砂に潜るンで底の掻き回しレベルは有害魚の代名詞なコイより悪質だろォな。
水槽で飼育するとその悪癖がよく判る。時に砂に潜ったまま移動して水底に貯まったゴミを舞い上げるよォに泳ぎ、苦労して
整えたレイアウトを崩しまくり、対処せず水草を植えてンなら確実に掘り返しちまう。コレを川でヤれば、水草に付くエビや
水生昆虫も居なくなり、当然ソイツらを餌にする小魚も居なくなる。結果的にドジョウの多い水域では水が汚れ、生物が棲み
難い環境になるが、ドジョウはかなり悪化した水質でも平気なンだな。『死んだ川』って表現があるが、アメリカザリガニと
ドジョウすら居ねェ川ならそォ呼ンでもイイ。ま、ソレはドジョウが『殺した川』なのかも知れねェけどな」
打ち止め「ちょ、ちょっとドジョウを悪く言い過ぎかも?ってミサカはミサカはフォローを催促してみたり」
一方通行「フォローになるかどォか判らねェが、通常のドジョウの生態程度で水質が変化しねェ大きな川にも当然ドジョウは居るンだが
用水や田圃、池や沼で見られる個体よりもこォした水流のある場所の個体は大型になる場合が多いよォだ。具体的には普通の
ドジョウは最大でも15cm程度だが、河川産の中には30cmに届くモノも居るらしィ。水底が石礫で、体を潜らせる事が容易に
出来ねェ場所では大きな石の下に隠れて過ごすよォだし、生息域に合わせて生態や体型を比較的柔軟に変化出来ンのかもな。
また、運動量が非常に豊富でかなり速く泳ぐ事も出来るそのパワーの一因である腸を使った空気呼吸をする為でもあるンだが
水底だけじゃなく上へ下へとよく動くンで飼育する上で見てて飽きが来ねェンじゃねェ? ただ空気呼吸に特化し過ぎた為か
たとえ酸素が充分溶けた水中であってもエラ呼吸だけでは生きられねェから水槽の水量には気を付けた方がイイ。天板ギリで
水を入れちまったら空気呼吸がうまく出来ずに徐々に弱ってく事もあるンだとよ」
打ち止め「派手に動き回る暴れん坊にも弱点があるんだねってミサカはミサカは学習してみたり」
一方通行「他の魚に比べて弱点と言ってイイ程のモンかは疑問だがな。あと、コイツらの動きで天気を予測出来ンだそォだ」
打ち止め「ふぇ??? 暴れていたら雨、大暴れなら大雨とか?ってミサカはミサカは適当な推察をしてみる」
一方通行「ほとンど正解だ。解明されてねェが、どォやら気圧の変化に敏感らしく雷雨などの直前にいつも以上にウネウネすンだと」
打ち止め「ふーん、ってミサカはミサカは直前じゃイマイチ役に立たないんじゃないかなとも思ってみたり」
一方通行「ヒトに知らせるためにやってるワケじゃねェだろ。……続き行くぞ」
一方通行「周りの環境を時に強引に自分好みに変えちまったり、一方で幅広い水質に対応可能だったり、結果的にどこにでも生息してる
ドジョウはソレゆえ古来より重要な蛋白源でもあった。何しろ水の抜けた田圃や小川の底を掘り返せばウジャウジャと獲れる
魚なンて他には居ねェからな。形の似たウナギよりもずっと安易に手に入り、栄養価では決して負けてねェから長らく日本の
一般的な大衆魚のひとつだったンだが、近年は様子が変わっちまった。生息地の水辺の消失、清潔志向の一環だろォが自然物
を自前で捕獲して食べるっつー行為そのものへの忌避感、農薬散布などによるドジョウの減少、等々の様々な理由で個人では
なかなか手に入らねェ魚となってる。実際ドジョウを食べた事のあるヤツは若年層では少数だろォし、食べていても専門店で
調理されたドジョウの話。そンなトコで食えるドジョウは、当然なンだが泥臭ェハズもねェし大衆魚って値段でもねェ。食用
のドジョウに関して言ェば今や非常に繊細で美味な高級魚、としてしか存在してねェンだ。どォしても泥臭ェドジョウを食ィ
たければ川で捕って来てワザワザ素人作業で調理すりゃイイが、今更そンな事する必要があるとは思えねェよな」
打ち止め「泥臭いドジョウはムリしないと食べられないのね、ってミサカはミサカは関係ないけど柳川鍋って苦いよねって思ってみたり」
一方通行「余談だがドジョウの卵とじを柳川鍋って呼ぶ語源は、@かつてソレを出した店の名に由来A福岡の柳川産の土鍋を使ったから
B鍋の中でドジョウが柳の葉のよォに見えるから、など諸説ある。江戸時代以来の人気料理だったよォだ。更に付け加えると
テメエの言ったドジョウの苦味だが川魚のウマさは苦味にこそある、とか言い出す年寄りなら構わねェだろォが普通に考えて
欠点だよな。コレを抑えるには味付けを甘辛く濃くしつつ、酒の肴にすンのが……、ってそれこそクソガキには早かったな」
打ち止め「じゃ、ミサカがお酒飲めるようになったら柳川鍋食べに連れて行ってね、ってミサカはミサカは予約しておく!」
一方通行「……テメエと酒飲む機会なンざ来ねェ事を祈る。イヤ、なンとなく」
打ち止め「? それにしてもやっぱりドジョウはちっとも地味で泥臭い魚じゃなかったよね、ってミサカはミサカは確認しておく」
一方通行「図鑑や昔の記憶だけを頼りに話をしたンだろォな。そンなヤツでも観賞用の色変種、ヒドジョウを飼ェば考えも変わるだろ」
打ち止め「普通の黒っぽいドジョウと違ってオレンジ色のキレイなマドジョウだよね、ってミサカはミサカは補足してみたり」
一方通行「アレなら見た目からハデだからな。…………、ところでいつものボケコンビが出て来ねェンだが、何してるか知ってるか?」
打ち止め「お約束どおりドジョウを捕まえに田圃に向かったんだけど、まだ水が張ってるから引くのを待つんだってさ」
一方通行「……って、落水や稲刈りが終わるまで待つ気か?? いつも以上に体を張ったボケだが……、どォ突っ込めっつーンだよ!!」
〜おしまい〜
224 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/09/06(火) 20:37:34.81 ID://qUjfx70
以上、第二十回「視点」でした
第一パート、シャチとは逆にスナメリなどは小さいけどイルカと呼ばれてなかったりします
第二パート、ちょろっと出てきたネズミウオと呼ばれる魚とは、ベラとかホッケとかツムブリとか骨鰾類のなにかとか、色々いるようです
第三パート、詳しく解説するとか言わせといて、ほとんどムダ話で終わっちゃいました・・・ドジョウについてはまた今度の機会にー
という訳で、生存報告的投下?でしたがお楽しみいただけたら幸いです。ではではまた〜
225 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)
[sage]:2011/09/07(水) 02:42:07.93 ID:Xm1O6adb0
乙
くじらとイルカとシャチって大体同じ生き物だったのか・・・
あと上条さんとインデックスの罵倒し合いわろた
226 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/09/07(水) 16:21:38.33 ID:NcXFZ4ZF0
ぼくたちは、なかよく
>>1
乙してるよ
∧_∧
===,=(´・ω・ )
>>1
乙
||___|_゚し-J゚||_
∧_∧/ //.___|^∧_∧
>>1
乙 (´・ω・ ) /|| |口|(´・ω・ )
>>1
乙
./(^(^//|| || |口|⊂ _)
>>1
乙 ∧_∧ /./ || || |口| || ∧_∧
∧_∧ (´・ω・ ).
>>1
乙..|| || |口| || (´・ω・ )
>>1
乙
(´・ω・ ) /(^(^/./ || || |口| || ゚し-J゚
"" ゚し-J゚:::'' |/ |/ '' " :: ":::::⌒ :: ⌒⌒⌒ :: "" `
:: ,, ::::: ,, " ̄ ̄ "、 :::: " ,, , ::: " :: " ::::
227 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/09(金) 00:47:48.08 ID:QbiKnYNDO
シャケという単語が出た瞬間麦のんが頭に浮かび、続けて読んだら麦のんらしき人が出てきてニヤリとなり、
建物消滅というオチで(お約束通りという意味で)安心した。
228 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/09/12(月) 18:39:13.12 ID:1W4TiO540
今回はおさかな目録? じゃないです。ごめんなさい。
こないだ自分が初めて書いた禁書の二次創作をチラッと見返して、出来の悪さと成長のなさに愕然としただ。
それはそうと、その話で使おうかな? と思ってた考察ネタを思い出しちゃって
せっかくなので膨らませて1本書いたはいいけど、総合に投下するにはちょっとなんとなくうーん、だし
似たような話を第6回「おさかな番外」でやっていたのでココでいいかなって。
第6回「おさかな番外」の第2パート、黒子と初春が御坂美琴の雷撃の槍をぼんやり考察する話ですが
その話の続きっぽくなってますのでおヒマでしたらそちらもどうぞ。
そんなわけでテーマは「続編」です。おさかな話を期待して開いた方には本当に申し訳ないですが
今回はこれでご勘弁くだされ。ではどうぞ
229 :
続編
[saga sage]:2011/09/12(月) 18:42:02.13 ID:1W4TiO540
☆
佐天「ふ〜ん、御坂さんの電撃の正体かあ。結局白井さんと初春じゃ結論が出なかったんだね」
初春「そうなんですよ。本当に光速なのか? だとすると何故それが可能なのか? 御坂さんは玉突きって言ってたそうですが」
佐天「よくわかんないけど、その光速ってのも曖昧じゃない? 真空中の光の速度のことなのか大気中のことなのか」
初春「おぉ! もしも荷電粒子を使って真空中での光速を大気中で出しているのならチェレンコフ放射があr…」
佐天「……いや、だから、青い光も放射線も出てないから粒子線じゃない。けど電磁波でもないって今説明してくれたじゃん」
初春「で、でしたね。…………まあ正直言って、その本質は電撃使いにしか判らないのかも?って、今は思ってるんですよ」
佐天「かもね。私もさあ、白井さんの空間移動でお馴染みの11次元だっけ? 授業で聞いてもチンプンカンプンだもん」
初春「ん〜……。突然ですけど、佐天さんは知らないピアノ曲の譜面を初見で演奏する自信がありますか?」
佐天「へ? ムリムリ! 楽譜に音階書いて片手ずつ練習して体で覚えたあと、やっと両手で合わせてみて……、そんな感じ?」
初春「ピアノが上手で初見の利く人なら出来る。この違いは楽譜がどう見えているか、じゃないですか」
佐天「あ〜。『文章を読むのと同じだよー♪』とか言うよね。そんな言語ねぇっつーの!」
初春「それはあくまで出来る人の捉え方なんです。実際、文章のように楽譜を読もうとしても素人には無理ですし」
佐天「つまり初春は、ある能力者がその能力を使う時の感覚は、他人には説明されても理解出来ないって事をたとえてるのかい?」
初春「理論を万人向けに翻訳したり、現象を細かく分析してそれに近いモノを得ることはあるかも知れませんけど」
佐天「さっきの、あたしがピアノ曲を弾けるようになるまでの道のりがそれにあたるんだ?」
初春「そうですね。そして大事なのは、それを幾ら繰り返してもピアニストにはなれないこと。最初からアプローチが違うんです」
佐天「楽譜を読む力も、自由に動く指も、それらは地味で地道な反復練習と……、言いたかないけど才能の賜物だからねえ」
初春「そういう優れた技術が、その人独自でありつつもセンスのいい歌心と出会う時、その人を音楽家と呼ぶんです」
佐天「ふむふむ。確かに音を出すだけなら機械にだって出来ちゃうもんね。技術だけじゃだめなんだ」
初春「逆に、文化祭でオリジナルのギターソロを弾いて黄色い声援を浴びる妄想が得意なだけでも……、ダメに決まってますね」
佐天「アハハ、教室にテロリストと同じで、実際そんなことばっか考えてるヤツいないって。わかりやすい例だけどさ」
初春「いないかなあ? まあどうでもいいんですけど」
佐天「で、そういう音楽家に届かなかった人が評論家や愛好家になって、自分の分析した音楽の魅力を伝えたりするわけだ」
初春「それと同じで能力者に対する研究者やスポンサーの中には、かつて能力への憧れを持った人がいるのかも」
230 :
続編
[saga sage]:2011/09/12(月) 18:43:54.07 ID:1W4TiO540
佐天「……あ、そうだよ。そもそも能力者の話、っていうか御坂さんの電撃の話だったじゃん。どこで脱線したんだろ?」
初春「さあ? 私はずっと『光速の謎は、謎のままでも仕方がない』って話をしていたつもりですけど」
佐天「あれれれれ? ……そういえば光速と電撃で思い出したんだけど、こないだアケミにバカにされてさあ」
初春「よくわかりませんが、佐天さんがバカなことをしてバカにされるのはいつものことですよね。何をやらかしたんですか?」
佐天「よーし、あとで折檻したるで楽しみにしとりゃあ。それはともかく、落雷を見てから避ける方法を考えてたのよ」
初春「折檻はイヤですけど、やっぱりバカだ……、って佐天さん、両手をワキワキさせながら近づかないで下さい!!」
佐天「全くもう、話が進まないでしょー? 次は本当にギュってつねって両方一緒にグリグリひねるからね」
初春「き、聞きますよ。ええと、雷が落ちるのを見てから、それをヒラリと避ける方法でしたっけ? 不可能だと思いますが」
佐天「実際出来るとは思ってないって。マンガみたいな事をするには何が必要か? とかって考えるの楽しいじゃん」
初春「認知と行動への反応速度や回避の速度、雲からの距離、あ、落雷自体の速度も考えないと……」
佐天「お、乗ってきたねー! ……こっちもそんな感じで計算してみたんだけどさ、肝心の雷の速度がわかんなくって」
初春「え? そんなのネットで適当に調べればいいじゃないですか。ほら、こんな感じでポチッとな」 ターン!
佐天「当然調べたよ。だけどさ、まず雷の速さが2種類出てたんだよ」
初春「……この、先駆放電と主雷撃っていうのですか? 前者が平均秒速200km程度なのに後者は光速の数〜数十%だとか」
佐天「比較しやすいように主雷撃を光速の約30%の速度、秒速10万kmとすると判りやすいけど、全然違うでしょ?」
初春「速度が大きく異なるのは判りましたけど、だからどうしたと……、もしかしてどっちを避ければいいかってことですか?」
佐天「そのとおり! 先駆放電なら達人が『見切った!』とか言えそうな速度だけど、主雷撃だと結構大変そうでしょ?」
初春「(こんなこと言ってたらそりゃアケミさんじゃなくてもバカにしますよー)えーと……、うん。どうしましょうかね」
佐天「更に問題があってさ。そもそもあたし、計算とか苦手なんだよねー。数が大きかったり小数点以下とかだとお手上げで」
初春「それドコのゆとりですか!? ……まあ折角なので、すごく適当にでよければ一緒に考えてもいいですよ?」
231 :
続編
[saga sage]:2011/09/12(月) 18:45:09.14 ID:1W4TiO540
佐天「その言葉を待っていた!」 ポン
初春「んもう、調子いいんだから……。一緒に、ですからね? 佐天さんもちゃんと考えてくださいよ」
佐天「はいはいわかったわかった〜。それで初春博士、まずは何から手をつけますかい?」
初春「落雷の速度で飛んでくる物を見て避けるってどういうことか、コレを小学生でもわかるレベルで考えましょう」
佐天「ほーい。なんとなく大雑把な感じでちゃちゃっとアバウトに見積もってくれれば概ね許容するからさ」
初春「言われなくても。ただ重ねて断っておきますけど、今から出すのは何の参考にもならない数値ですからね」
初春「とりあえず状況設定から。3km離れた場所からテニスボールが佐天さん目掛けて秒速200kmで減速せずに飛んできます」
佐天「最初は先駆放電の速度からだね。あたしは、ボールが発射されたのを確認してからそれを避ける」
初春「避けるにはどれだけ動けばいいかですけど、計算しやすいから1mにしましょう」
佐天「発射された瞬間に確認できて、同時に回避行動を開始するとしてボールが到着する前に1m移動が可能な速さは…」
初春「ボールは発射から0.015秒で佐天さんを貫きますので、それまでに1m動くとなると……、時速240km以上ですかね?」
佐天「あれ……、新幹線レベルの速度でいいのかあ。なんか拍子抜け?」
初春「実際は人間の反応速度の限界よりもずっと短い時間ですから、予測しないかぎり絶対に避けられませんけど」
佐天「そういう細かいことは言わない約束でしょ? 大体、3km先のテニスボールが見えるって事があり得ないんだから」
初春「でも反応速度の限界は、知覚を五感に頼る以上たとえ怪物でも超人でも物理的に免れないモノなんですけど……」
佐天「博士は常識に囚われすぎなんだよ。えーとそれで、秒速10万kmの主雷撃の場合はどんなことになるんだい?」
初春「……さっきと同じシチュエーションで考えた場合、到達までの時間は0.00003秒。避ける為には時速12万km以上必要?」
佐天「おお〜、なんかトンデモ的な感じ! 『涙子は音速の約100倍のサイドステップで雷撃をかわした!!』だね」
初春「佐天さんはどうでもいいとして、回避で起こる衝撃が地面を含む周囲をどの程度消し飛ばすかが心配な速度ですよね」
佐天「人をミサイルか何かみたいに言わないでよ。まあ最低でも時速12万kmで人間が衝突する以上のエネルギーなのかな?」
初春「細かく計算しませんけど、最低でもTNT換算で数トン分以上の可愛いミサイル程度にはなるかと」
佐天「そうかー、あたしの可愛さは戦略兵器レベルかー」
初春「すごいですね。…………、まあつまりは、主雷撃のスピードは確認とか回避とか、そういう範疇じゃないんですよ」
佐天「だね。んじゃ落雷を避ける話の場合は、先駆放電の速度で考えよう!」
232 :
続編
[saga sage]:2011/09/12(月) 18:47:32.43 ID:1W4TiO540
初春「ところがそんなワケにも行かないようですよ? 佐天さん、落雷の仕組みは理解してま……ませんよね」
佐天「ふっふっふー、ひっひっふふー。だからクエースチョンしてるんじゃん〜」
初春「大人になりたくないオバケの歌なんか知りません。アレはバージョンが古いほど曲がいいアニメで…」
佐天「意味不明な脱線してないで、とっとと仕組みってのを解説したほうがいいと思うよ?」
初春「む〜……。でも正直言って私もよく知らないんですよ。だからネットの情報を鵜呑みにしゃべりますからね」
佐天「それで構わないって。むしろ難しいことを言われても聞く気ないし。ただ、あたしにもパソコン見せてよね」
初春「ほいほい。では色々すっ飛ばして……雷雲が出来上がりました。下側はどんどんマイナスの電気が集まります」
佐天「……。(たぶん初春は用語も噛み砕いて説明してくれてるんだろうなあ。優しい子やで、ほんま)」
初春「雷雲のマイナスに晒されると、直下の地表にプラスの電気が貯まります。プラスとマイナス、惹かれ合う間柄ですよね」
佐天「あたしたちみたいだねー!」
初春「えへへ。んと、ちなみにこの雷雲と地面は3km離れてることにしましょう。だってそう書いてあるんだもん」
佐天「あ、それでさっきのボールの話は3km先から発射だったんだ。それでそれで?」
初春「プラスとマイナスの間には電気を通さない空気があるんですけど、電位差が巨大になると一転、通っちゃうんですよ」
佐天「人間の皮膚は絶縁体なのに、数十ボルト以上の電圧をかけると普通に通電するとか聞くけど、そんな感じ?」
初春「さあ……? ともかくこの時最初に雲側から発生する細い雷を先駆放電と呼びます。空気の絶縁を壊していくんだそうです」
佐天「秒速200kmのやつね。どれどれ……、ん? ちょっと進んで休んでまたちょっと進んで、を繰り返して枝分かれしながら」
初春「空気中に電気の通り道を作っていく、って書いてありますね。電気が通りにくいものを、強引に通りやすくしちゃうのかな」
佐天「なんで休み休みなんだろ? っていうかそれで秒速200kmだったら休まなかったらどんだけ速いのよ??」
初春「一回で進む分を50mとしましょう。50mの絶縁破壊で力を使い果たすと、先端に連続的に送られる電荷が貯まっていきます」
佐天「で、充分貯まったら次の50mを破壊して…、結果休み休みになるのか。えーと……、電気の延べの移動距離はどれくらい?」
初春「そんな風に考えるんですか? 単純に50m進んでは最初に戻る事にすると……3km間で、ざっと30倍。90kmくらいかな」
佐天「むむむ! 実際進んでいた距離が30倍なら、雷撃自体の速度もさっきの30倍ってことに」
初春「なりませんよ。だって絶縁破壊された経路を電荷はたぶん秒速10万kmで進んでますから」
佐天「そ、そっか? じゃあさ、休み時間や超高速とはいえ長い寄り道分を加味した先駆放電そのものの速さはどのくらいかな?」
初春「絶縁を破壊して進む速度ですよね。ん〜……、せいぜい30%アップくらいじゃないですか? 秒速260kmとか」
佐天「ふう、助かった。それならまだ避けられる範囲内だぜ……」
初春「いやいやいや。キャラがブレてる佐天さんも魅力的ですけど、問題はここからです」
233 :
続編
[saga sage]:2011/09/12(月) 18:53:23.61 ID:1W4TiO540
佐天「ほほう、面白い。まだそんな遅い攻撃があたしに通用すると思っているのならその幻想、試してみるが良いわ」
初春「……、50mずつ地面に近づく先駆放電はマイナスです。プラスと惹き合ってます。それが地面に最も接近すると……?」
佐天「地面のプラスのほうもガマン出来ずに飛び出す?」
初春「佐天さん、そのとおり! 地面から先駆放電に向けてプラスが飛び出します。これを先行放電と言うらしいです」
佐天「先駆と先行って紛らわしいね。……あれ? って言うかさ、地面側から放電しちゃったらあたしはどう避ければいいの?」
初春「それは後回しにして、とにかく先駆放電と先行放電が結びついた瞬間、その経路に大電流が流れます。これが主雷撃です」
佐天「ひょっとして、主雷撃がやたら速いのは電気の通り道を作ってもらった後に流れるから?」
初春「冴えてきましたね。主雷撃は出来上がった通り道を地上と雲の電位差を中和するべく1回から数十回流れるようです」
佐天「それら一連の動きをひっくるめて落雷と呼ぶんだね。ちなみになんで稲妻って光るの?」
初春「へ? ええと、そりゃあれですよ。電子が分子に当たって数万度の熱を発生させてプラズマがぴかーちゅーで」
佐天「ふむふむ。纏めると、雷によって熱せられた空気が光ってるわけね」
初春「分ってるなら聞かないで下さい!! ……気を取り直しておさらいです。雷が直撃するとはどういうことか、佐天さん?」
佐天「はいはーい。えーっと、主雷撃が……、ん? あ、これさっき後回しにした問題じゃない?」
初春「そうですね。地面からのお迎え、先行放電が先駆放電に向かって行く。こうなったらドーンですから」
佐天「あたしは先行放電の発射先?にならなければいいのか。ってどうすれば……」
初春「雲からの先駆放電が地上に最も近づいたときに、その先端から見て一回の進展距離範囲内に居なければいいんです」
佐天「進展距離って、仮に50mにしてたアレね。じゃあ、あたしに向かって来る雷を避けるには……」
初春「先駆放電が最も地上に近づく一手前の50mを進む間、0.00025秒以内に範囲外に出ればいいんじゃないですか?」
佐天「無茶でしょ!? 何処まで逃げればいいのよ……。大体、その短時間じゃたった100m移動するだけで約マッハ100だよ?」
初春「他の方法としては、先駆放電の範囲は10kmくらいらしいので、発生したら地面に近づくまでに10km移動するという…」
佐天「ええと、えーと、0.015秒以内に10kmって約マッハ2000以上だよね。バカなの???」
初春「でもこれだと先駆放電の3倍速く走ってることになるので、確実に避けられます。私は何を言ってるんでしょう……」
佐天「いや、うん……。よく解ったよ初春。雷を見てからサッとかわすってのは、それくらいバカらしい話ってことだーね」
初春「佐天さん! やっと、やっと気付いてくれましたね!! 私、嬉しいです!」
佐天「あとは……なになに? 着ている物や持ち物に関係なく落ちる時は落ちる。へ〜、金属とか付けてなきゃいいと思ってた」
初春「雷の高電圧の前に絶縁なんて関係ねえんだよ、ですかね。あと直撃以外に側撃雷とか誘導雷とかで被害が出てるそうです」
佐天「雷の大電流が原因の過電圧で別の電流が流れちゃうワケね。いや、あたしも何を言ってるのかさっぱり解んないけど」
初春「そういうのを電磁誘導?と言うらしいです……まあ、いいじゃないですか。雷は怖いってことですよ」
佐天「初春〜。んとさ……、後半は能力と関係ない雷の話だったんだから、御坂さんに教えてもらえば良かったんじゃない?」
初春「……早く言ってくださいよ、佐天さん」
〜おしまい〜
234 :
続編
[saga sage]:2011/09/12(月) 18:57:29.31 ID:1W4TiO540
【おまけ】
佐天「御坂さんの電撃の秘密だけどさあ、雷とは違うってことはなんとなーくわかったね」
初春「え? ああ、確かに光速の雷というのはありませんでしたからね。でも正直、謎が深まっただけですけど」
佐天「あたしは雷撃の槍は『能力によって生み出された電気の性質を持つ何か』説を支持するね」
初春「まあ確かに既知の物理法則外の運動っぽいですから、そう考えるのが自然かも知れませんけど。何か根拠があるんですか?」
佐天「当然ないよ」
初春「期待してませんでした」
佐天「ただ、それを証明できる人が学園都市には居るらしいじゃない?」
初春「はえ?」
佐天「アレだよアレ、都市伝説の『どんな能力も効かない能力者』ってあったじゃん。その人に向けて電撃してみればいいんだよ」
初春「……、ゴメンナサイ。佐天さんの言ってることが聞こえてるのに理解できません」
佐天「つまりだね、もし御坂さんの電撃がその人には効果が無い場合、それは能力そのものだからと言えないかね?」
初春「逆に効果がある場合は、それは御坂さんが能力で発電した普通の電気ってことになる……、なりますかね?」
佐天「だってね、考えてもみなよ。能力で初春の頭の上に100kgの石を移動させたとして」
初春「たとえにしても、酷くないですか??」
佐天「石が落ちてくるのは重力だし、石自体の質量も能力とは無関係でしょ? それと同じだと思うんだけど」
初春「放電ってのは単なる自然現象だから、能力とは無関係……。でも、どこからどこまでが能力なのか解りませんけど?」
佐天「あ、そっか。狙ったところに飛んでいく放電現象って、そんな便利な使い方が出来るならスタンガンは兵器になってるよね」
初春「そういう兵器もあるような……。まあ、あの現象そのものが自然じゃないって意見には同意です」
佐天「ということは、命中した上で効果が無いか、命中する前に誘導されてる状態が解消されて当たらないか、で見分ければ…」
初春「なんにせよ、試してみる価値はあるかも知れませんね。今度御坂さんに話してみましょう」
……後日、御坂さんにその話を持ちかけたが、マトモな返答は無かった。むしろその様子は支離滅裂とすら感じた。
「わかんないけど効かないのよ!」など、まるで都市伝説の男と面識があるかのような馬鹿馬鹿しい発言さえ聞かれた。
ただ、いつになくワタワタする可愛い姿が印象的で、白井さんの気持ちがちょっと解ったのは収穫と言えよう。
今回は失敗だったが、我々のいい加減な調査、適当な考察の日々はまだまだ続く。
次の標的は初春、あなたかも知れない。
〜おしまい〜
235 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/09/12(月) 19:09:39.44 ID:1W4TiO540
以上、おさかな目録?とは無関係な「続編」でした
黒子や美琴、あるいは一方通行などに考察させてしまうと、知らない事があるのが不自然に感じるので
出来ない子たちが間違ってるけどそれなりに頑張って考える話にするためにこのペアにしました
いや、ワシらの考察ってこんな感じじゃよ? って雰囲気が出てればいいんですけど
てなわけで、次回はちゃんとおさかな話を・・・日曜日が終わるまでには書きたいな
ではではまたー
236 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/12(月) 19:24:07.55 ID:eCExmdBPo
そもそも人間は銃弾だって見てから回避するのは不可能なのであって
それでも銃弾を避けること自体は可能なわけで、それはどうやっているのかというと銃口から避けているわけで
つまり雷雲の……あれ銃口ねえぞ雷雲
237 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage saga]:2011/09/12(月) 20:34:01.85 ID:w2sTs15M0
拳銃で最も多く採用されている9oパラベラム弾(9×19)で大体360m/s(時速1296q)
人間の反応速度は0.1秒が限界(一般人0.15~0.2秒、一流のプロボクサー0.13秒)
走る速度ではボルトの最高速度7.8m/s(体がバラバラになっていいなら理論上17.8m/s)
銃弾だと10pずらせば当たらない(顔の長さ23p前後)距離を17.8m/sで進むには0.1056秒必要
どれだけ早くても回避行動を取れるには約36mの距離が必要で拳銃の有効射程距離は50mだけど
動く物に当てるには特殊部隊の人でも10mが限界(素人なら2m未満)だから見てから回避は不可能
ちなみにボクシングジュニアライト級チャンピオンのジャブで8.3m/s
上条さんと同程度の体格なら構えてから顔に当たるまで約0.07秒(ボクサーは予備動作や勘で回避)
まあSFに物理法則は(ry
良い子の皆は人を撃つ時に顔より圧倒的に範囲の広い胴体を狙おうね
238 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/12(月) 22:44:18.28 ID:ifb6kQGBo
胴体撃って動きを止めてから頭を狙えば良いって事は分かった
239 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/13(火) 03:09:38.86 ID:f+zLxSyQo
次元もそう言ってたから間違いない
240 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/09/16(金) 19:33:14.63 ID:pasz+bH+0
てなワケでおさかな話なんですけど、前回の考察の勢いが残り気味・・・考察するのって楽しくないですか??そうですか
そんな独り言はさておき今日のテーマは「まぼろし」です。序盤が若干アレですけど、どうぞ
241 :
まぼろし
[saga sage]:2011/09/16(金) 19:34:28.06 ID:pasz+bH+0
☆
「なあインデックス、俺は常々気になってしょうがない事があるんだが聞いてくれるか?」
「とうま? そんなに真面目な顔して何なのかな? お腹でも痛いの?」
「茶化すなよ。事と次第によっては世界の根幹を揺るがすような問題かもしれないんだ!」
「ふうん? まあ聞いてあげなくもないけど、長々と説明されても困るから一行で纏めて欲しいんだよ」
「……、じゃあ答えてくれ。なんで魔術師はやたらと科学知識に詳しいヤツらばかりなんだ?」
「え? …………、いけないのかな?? 魔術師とは言え現代を生きる人間なんだから文明の恩恵を受ける権利があるんだよ」
「違う。別に一般人と同じレベルの事、携帯や電子レンジや自動車なんかを使うことを問題にしてるワケじゃないんだ」
「そうなの? じゃ、何処が気に入らないのかな??」
「宇宙工学や兵器などに代表される軍事知識、数学的理論や量子論など、そういったものの最高峰はどこだ?」
「科学サイドの本拠地、学園都市のことかな?」
「だよな。上条さんはそこの住人。にも関わらず、魔術師は俺に対して科学知識を講釈してくるんだぜ? つまり、」
「それは言っちゃ悪いかもだけど、とうまがとうまだからだよ……。大体、魔術師は必要な知識ならなんでも取り入れるんだよ?」
「だから違うよ。俺がバカにされてるってのは解る。使えれば科学だって使うのも解る。……けど、そういうことじゃないんだ」
「む〜? もったいぶったくどい言い回しは好きじゃないかも。結論を早く言うんだよ!」
「じゃあ聞くが、手から炎を出す魔術ってあるよな? 炎ってのは気化した物質が激しく酸素と結合し発光、発熱する状態だが…」
「ちょちょ、ちょっと待つんだよ! 魔術の炎を科学で解説されても困るんだよ。魔術の法則は科学とは無関係なんだから」
「そこだ! 魔術は、俺たちが知ってる法則とは違うんだよな。詳しくは知らないけど物質を生み出したり慣性を無視したり」
「何度も言うけど、とうまは魔術に詳しくなっちゃダメなんだよ? 魔術知識は能力者には勿論、一般人にも危険なんだから」
「常識を根底から揺るがす異質の法則。魔術師はこれを学んで身に付けて、そして信じているんだよな」
「うんうん。血の滲むような修行と命を削るような研究の成果だからね。起こす現象に疑いを持つ魔術師なんているわけないんだよ」
「だったら科学に詳し過ぎちゃダメだろうが! それこそ魔術師の常識を破壊する危険な知識じゃねえかよ!?」
「…………で、でもでも、魔術はあくまでも現実に対抗する手段でもあるんだよ。敵を知り己を知ればってことなんだよ!!」
「そんなレベルじゃねえよ。たとえるなら、巨大な金属の塊が空に浮くことは無いと信じつつ飛行機を操縦するような話だぜ?」
「とうまから見たら矛盾していて理不尽な存在かもしれないけど、魔術師はそういうものだと思うより仕方が無いかも……」
242 :
まぼろし
[saga sage]:2011/09/16(金) 19:37:36.45 ID:pasz+bH+0
「それにさ、魔術に対しては魔術で対抗しなくちゃいけないってルールを勝手に作ってるけど、納得できないね」
「……、よくわかんないかも?」
「例を挙げる。拳銃で強い魔術師を撃つ。なんか防御術式?が働いたとかで無傷でした」
「腕のいい人ならガン程度でケガするようなヘマはしないんだよ」
「他方で、魔術師の放った炎は耐熱装備で身を固めているはずの兵士を容赦なく焼き尽くす」
「それはおそらく、人そのものを燃やす性質の魔術を使ったからだよ。装備がどうあれ防御術式無しでは防げないかも」
「ある魔術に対抗するには、別の魔術を用意しなくてはならない。だが、科学には魔術で対抗できちまってるよな?」
「さっきも同じようなことを言ったけど、魔術の歴史は抵抗の歴史なんだよ。一般の兵装の攻略は出来て当たり前かも」
「俺も同じようなことを言わせて貰うと、普通の武器防具は通常の物理法則で成り立ってるんだよ。それに干渉するってことは」
「そんなの知らないけど、魔術で出来るんだから出来るんだもん。文句を言われても困るんだよ」
「そうはいかない。魔術側は科学側を知っているから対抗できるんだとしたら、科学側が魔術を知ったら科学で対抗できるのか?」
「……判らないけど、ルールが違うから少なくとも一般科学のみで魔術に正面から対抗することは出来ないと思う」
「そこだよ。だから俺は、ルールが違うのはお互いさまのはずなのに勝手で理不尽だって思うんだよ」
「じゃ、じゃあとうまは魔術と科学の関係がどうあるのが自然だと思うのかな?」
「ん〜……、野球選手と将棋の棋士が勝負するとしてだな、互いの領域では互いに敵わないだろ?」
「そりゃそうだね」
「だからまあ、野球ゲームで戦いました。少なくともそうあるべきじゃないか?」
「現実には、科学側がグローブ付けて守備位置について相手を待つ間に、魔術師は一人で王手を決めて勝っちゃうけどね」
「だろ? つまり科学と魔術が対峙する場合には、必ず魔術の領域で勝負が行われるんだよ」
「あ、でもでも、科学側も勝手に塁を回ったり、魔術側の無気力を指摘すればいいだけのことじゃないのかな?」
「それを審判が認めてねえって話だろうが。となると、法則として魔術は科学の上位にあるんじゃないのか?」
「考えたこと無かったけど、ある意味正しいかも。表面的には科学に出来ることで魔術に出来ないことは無いはずだしね」
「で最初に戻るんだが、この世界を取り巻くルールとして科学より上に位置する、言い換えると科学などよりも正しく
現実を解析しているらしい魔術。それを知りそれを扱いその中で生きる者、つまり魔術師がなぜ劣った科学知識などに
精通しなくちゃいけねえんだよ? そんなもの、原始人レベルの間違った知識のはずだろ??
携帯電話で通話が可能なのは、音声を電気信号に変換した上でそれを無線と有線を通して伝え、再び音声に戻すから。
そんな面倒な手順を踏まなくても遠距離間での意思疎通が出来るのなら、携帯電話の仕組みなど知る必要無いだろ?
むしろ声というものが単なる空気の振動であるとか、電気というものは電荷の移動に関する諸現象にすぎないとか
そんな劣った間違った知識を覚えて何の得があるんだよ?
一般人だって携帯電話や自動車の仕組みを完全に理解して使いこなしているのは少数。いや、ほとんどいねえよ。
でもな、知らなくても使うことは出来るし、使えることに疑問を持つことも無い。
それは科学によって生み出された技術を科学の法則の中で使うからこそ受けられる恩恵なんだ。
それと比較して、魔術師が科学を語る姿がどれほど異常かって言ってるんだよ。科学的にありえない現象を起こすのに
それがありえないことだと判っているってのはどういう状態なんだよ?
さっきお前は『起こす現象に疑いを持つ魔術はいない』っつったけど、これは疑いなんて生易しいもんじゃないぜ?」
「違う!! とうまには解ってもらえないかもしれないけど、魔術師は科学知識を知っているだけで理解していないんだよ」
「…………はあ?」
243 :
まぼろし
[saga sage]:2011/09/16(金) 19:41:24.58 ID:pasz+bH+0
姫神「上条くん。回答者を追い詰めては誰も得をしない。落ち着いて。言葉も選んだほうが議論は深まる」
「……、そうかもな。いや、悪い。別にお前を責めているワケじゃないんだよ。単純に不思議だなって思うからさ、その…」
「ぜーんぜん気にしてないよ、とうま。それよりさっきの話だけど」
「知っているけど理解していないだっけ……。良ければ説明してくれるか?」
「任せるんだよ! 感覚的に一番解りやすい偶像の理論で言うとね、見た目と役割が似ていれば本物の力が宿るんだけど」
「それ、何回か聞いたことあんな。天使を模倣することで強大な天使の力を得る、とか」
「うんうん。でね、突き詰めればこの理論は『ある働きをするモノの力を得るには、それを象ればよい』ってことなんだよ」
「ん?? ちょっと抽象的過ぎて解りにくいかな……。簡単な具体例とかあるといいんだけど」
「具体例? ん〜……。ある人が、リンゴが木から落ちるのを見てひとつの着想を得たとするね」
「万有引力の発見か? ニュートンのアレは後世の作り話らしいけど」
「科学の見方は置いといて、錬金術師だったその人はこう思ったんだよ。『物体は地面に落ちる。では地面とは何か?』って」
「ナニソレ? いや、地面は地面だろうが?? テメエの足元にあるモン……ですよ?」
姫神「下に落ちる。に対して地面には引き寄せる力がある。という考え方は一見。引力を語っているように見える」
「そうかなあ? ん〜〜〜〜〜」
「次第にその考えは[地面とは何か? 土と草と石と、そして足跡があるものだ。そこへ向かって物は『落ちる』のだ]となるの」
「余りにも現象の理解が表面的じゃないか? それだと地面の構成物を揃えれば上方に『落とす』ことだって出来ちゃうだろ??」
「うん、だからそれが魔術なんだよ。まあ、コレを実現するにはいくつかの課題がありそうだけど」
「草で編んだ小袋に土と小石をいれて一年間馬に踏ませ続ける、とかか? 地面の役割を別のものに与える、ねえ……」
「さっき話していた通信術式でも同じなんだよ。例えばその機械でお話が出来るって事実を利用するの。コレを使ったりしてね」
「その、掌に収まるくらいの……、カマボコの板に携帯電話の役割を与えるってのか?」
「とうま、かなり解ってきたかも! あとは声を電気にする?知識を利用すれば逆に声を聞いた人を感電させる魔術も作れそうだね」
「さっきのそれはそんな意味じゃねーよ……。でも魔術としては理屈が通っているのか」
「そういうこと。どこでも通話できるって知識を利用すれば、意識を共有する人間で世界中にネットワークを作ることも可能かな」
「なるほどな。つまり、なんつーか……。本質は重要じゃないんだな。現象のある一面の意味を取り上げてるだけなのか」
「だけ、って言われちゃうのは心外なんだけど、とうまたちからはそう見えるはず。科学知識を『理解』してはいないでしょ?」
姫神「私。そろそろ帰るね。見送りはいらないから。また明日」 ガチャ
「お、またなー」 「あいさ、大したお構いも出来ずにゴメンなんだよー」
バタン
244 :
まぼろし
[saga sage]:2011/09/16(金) 19:44:56.03 ID:pasz+bH+0
「えーと、話が途中だったけど『知っているけど理解していない』っての、なんとなく感覚はつかめた気がする、かな」
「大事なのは、知識を自分を縛るべく捉えないって事なんだよ。科学は違うんでしょ?」
「ん? ……、ある事象を研究するってのは、それの可能性を限定していく作業だって事か?」
「仮定を幾つも立てて検証し、ひとつずつ否定することで正解に近づくんだよね? 魔術は望む仮定の数だけ正解があるのかも」
「……、インデックスの魔術知識を使えば世界を好き放題出来るって意味が怖いくらい理解出来たよ」
「そうは言っても、世界規模の大魔術を行使するには人間ではとても用意できないほどの莫大な魔力がいるんだよ?」
「だからそんな事態、そうそう起こらないって? ところが俺の身近で何度も起こってるんだよな……。不幸だ」
「……、そこだけは素直に同意するかも」
「いろんなヤツがいたからな……。最初の頃、ステイルが吸血鬼にビクついてたのが今となってはお笑い種だもんなあ」
「吸血鬼?? それは絶対ダメだよ!! そんな物が存在したなら世界は幾つあっても足らないんだよ!!」
「え? その反応は予想外……。なんでだよ? 既に世界を滅ぼす力を持った魔術師なんて幾らでも出てきたろうが」
「忘れたのかな、人間の魔力の源は生命力だから限界がある。だから大魔術には大人数が必要だったり人間以外の力を使うんだよ」
「人間以外の力ってのは龍脈とか地脈とかてれずま?だっけ。覚えてるけどそれがどうしたんだ?」
「とうまは察しが悪いんだよ! 人間に限界があるように、そういう力も莫大とはいえ限界があるんだよ」
「石油の埋蔵量みたいなモンかね? 自然に生成される量を超えて使えば枯渇することもあるって感じか」
「さすがに世界に溢れる全ての力を一度に使って行使する魔術なんて考えたくも無いけどね。つまりそういうことだよ」
「え??? 今の何の結論だったんだ??」
「だーかーらー、吸血鬼が実在したら世界は幾つあっても……って話だよ。吸血鬼は不死、無限の生命力を持つんだよ?」
「あ……、地脈や龍脈にだって大量とは言え限りがあるのに、魔力の素となる生命力が無限ってことか」
「コストを気にせず、自分の生命力を使うだけだから何処までも自由に、望む範囲で望む変化を実現できてしまう存在なんだよ」
「そうか……、発想次第では宇宙全体を一瞬の内にぶっ壊す、なんてことも可能なのが吸血鬼ってワケだな」
「うんうん、ただしそんなことは今まで一度も起こっていないでしょ? だから吸血鬼なんているはずがないんだよ」
「いーや、実は吸血鬼は争いや破壊が嫌いなだけかも知れないぜ? まあそうなると、なんで伝説になってるんだって事になるけど」
「……、魔術師にとっては本当に恐怖の対象なんだよ。あまり考えたくもないかも」
245 :
まぼろし
[saga sage]:2011/09/16(金) 19:48:10.36 ID:pasz+bH+0
「ふーん、そんなものかねえ。………………………………………………………………あっ!」
「ほえ? ……………………………………………………………………………………あ!」
『おさかな話!!』
「どうすんだよ? 長々と結論の出ない考察で段落を稼いでおいて、コレで終わりじゃ収集がつかねえよおおおおお!」ジタバタ
「わ、わ、私に言われても困るんだよ!! とうま、今からなんでもいいから質問するんだよ!!」 アタフタ
「なんでもとか、そういう曖昧な注文が一番困るんだよお、って俺は3年目の主婦かって、じゃなくて。えーと、そうだなー…」
「今日の話にちなんだ事でもいいんだよ。おさかな話だって自信があるから任せるんだよ!!」
「頼りにしてますインデックス大先生!! じゃあアレだ、居るようで居ないようで、実は本当に居なかった魚、ってどうだ?」
「ややこしいんだよ!! でも、ちょっと待ってね。頑張ってみる」
「頼むぞー! 何かこう、インパクト重視の出オチで構わねえから。どうせあと十行くらいしか残ってないんだしさ」
「そういうこと言うの、いけないと思うの。でも、ええと、じゃあねえ……、ブロブはどう?」
「何言ってんだ、俺はブログなんて持ってねえよ?」
「アイヴァン・サンダーソンって生物学者がグロブスターって名付けたコレは、海岸に漂着する謎の大きな肉塊の総称なんだよ」
「……、時間が無いのにボケを挟んでスイマセンでした。それはそうと、グロブスター? 聞いたことないな」
「グロテスク・ブロブ・モンスターの略だよ、ブロブは丸っこい塊って意味なんだけど、近年まで正体が判らなかったの」
「昔から海岸でそういうものが発見されていたのか。生物の死体なんだろうけど、確かにちょっと不気味だなあ」
「特に昔の人は、こんな巨大な異形がそのまま海を泳いでいたら……、なんて想像して恐怖のどん底だったんだよ」
「だけど現代にはDNA鑑定などの科学技術があるから安心なんだぜ。結局その愉快なオブジェの原料は何なんだ?」
「鑑定が出来たものの多くはクジラの死体、それも固まった脂肪の塊だったんだよ。だからって全部クジラだとは言えないけど」
「巨大な生物の死体といえばウバザメもよく名前が挙がるよな。まあ知らぬが花ってやつか」
「だけどね、世の中にはグロブスターが見つかると新生物発見の期待で夜も寝られない人が今でもたくさん居るんだよ」
「その度にクジラでしたー、サメでしたー、って聞かされるって思っててもワクワクしちゃうんだろうな。その気持ちは解るよ」
「クラーケンやシーサーペントのような目撃例の多い未確認生物は少なくないしね。海はまだまだ不思議に満ち溢れてるのかも」
「ところでさ……、魔術を使えば海洋探査でも科学側よりずっと高い能力の設備を有することが出来るんじゃねえの?」
「そういう目的に命を捧げる覚悟の魔術師がいれば、だね。目的が無ければ魔術師は行動しないんだよ」
「長々と話してもらってこんな結論で悪いけど、なんつーか。やっぱ、ズルいよな……」
「そこはあえて否定しないかも。ところでとうま。長丁場の上、突然の方向転換で疲れたよ。何か食べたい!」
246 :
まぼろし
[saga sage]:2011/09/16(金) 19:51:19.71 ID:pasz+bH+0
☆
御坂「守口大根じゃあるまいに、長ければいいってものじゃないでしょうがああああああああああああああああ!!!」
白井「お、お姉様? 何に憤慨されているのか判りかねますけど、傷に障りますからどうぞお気を確かに」
佐天「御坂さんケガしてるんですか?? まさかこの間の超怖い女の人に何かされたとか……」
初春「あの後、廃ビルが消滅したって通報があって心配したんですけど、あれは誤報だったみたいですね」
御坂「え? 誤報?? そ、そうなんだ……? それはそうと心配かけてゴメンね。何とも無いのよ、ちょっと大袈裟にしてるだけ」
白井「お姉様ったら……。そう言って黒子に包帯を巻かせてもくれませんの。こんな時こそ頼ってくださっていいのに」
初春「白井さんに体を許してタダで済むなんて、日頃の行いを見てれば到底思えませんから……」
佐天「だね……。えーと、話は変わりますけど、おさかなの病気や怪我の治療にはやっぱり薬を使うんですか?」
御坂「そうね。生き物の種類や病気、ケガの種類で使える薬が違うから、購入前にちゃんと調べたほうがいいわね」
白井「ネットの情報が存外、役に立ちますの。病名が特定できれば、薬自体はホームセンターで入手出来るものもありますわ」
初春「でも観賞魚用の薬剤って割と分類が大雑把なイメージです。消毒か殺菌抗菌、栄養補助とかそんな感じで」
佐天「ふ〜ん。まあ分類が大雑把なら人間の薬みたいに用法用量をきちんと守らず、適当に使っても良さそうかな?」
御坂「そういう訳には行かないわよ。魚に薬を使う方法としては、水槽全体に溶かしたり、薬剤入りの隔離水槽を作ったり…」
白井「淡水魚は水を飲まないのでエサに混ぜ込んだりしますわね。で、ケガや病気には殺菌と抗菌、消毒が必要ですけれども」
初春「その手の薬剤は多かれ少なかれ生物にとって有害です。量の指定を間違えれば猛毒にだってなりかねません」
佐天「魚を治療してあげたくて薬を使うのに、それではあんまりだね…………」
御坂「もちろん治療しなければ良くならない事が多いけど、薬剤使用はイチかバチか、最後の手段って面もあるのよ」
白井「魚類向けの薬の中には貝やエビにとって完全な毒もありますの。また同じ理由で、水草を購入する際もご注意を」
初春「出荷前に農薬を使っていた水草の残留成分でエビが全滅、なんてこともありますからね。大抵記載はされていますけど」
佐天「へえ……。薬も、水草さえも安易に投入しちゃいけないんですね。おさかなってデリケートだなあ〜」
御坂「水道水で魚が飼えると思ってる人はさすがに少ないと思うけど、薬剤を入れた水槽はそれと同じと考えていいかもね」
白井「だから水道水をそのまま、若しくは1%程度の塩を溶かして魚の治療に使う、なんてことをする方も居るそうですの」
初春「原理的には同じだから、塩入り水道水には効果があるかも? まあ何より大事なのは病気の発生を防ぐことですけどね」
白井「日頃のこまめなケアですわね。水槽のような閉鎖空間はケガや病気の因子が蔓延しやすく、故に罹患しやすいんですの」
佐天「自然に比べたら狭いですからねえ…………、白井さんの病気も案外それが理由かも?」
御坂「じゃ、塩が効くかな…………?」
247 :
まぼろし
[saga sage]:2011/09/16(金) 19:54:41.72 ID:pasz+bH+0
☆
打ち止め「ねえねえ、ウナギを生で食べるといけないって本当?って話をしたかったんだけど……」
一方通行「なンだ? 止めンのかよ」
打ち止め「詳しくは言わないけどほとぼりが冷めるのを待つね、ってミサカはミサカは後悔を後に立ててみたり」
一方通行「よくワカンねェが、まァ、早いモンが勝つのが世の理ってことか? じゃ、今日はこの辺で終わっとくか」
打ち止め「僧は問屋が卸さないからご注文はお近くの寺院まで! あ、待ってよーーーーーー!!」
一方通行「マンザイがしたけりゃ色ボケかババァかニートを相手にしろっつーの。……、コーヒー飲みてェ」
打ち止め「ははっ、こちらに!! ってミサカはミサカはテレビで見た猿真似をしてみたり」 ズイッ
一方通行「ン? 気が利くじゃねェの…………で、どォしてこンなにヌルいンだよ???」
打ち止め「冷蔵庫でキンキンに冷えておりましたので私めの懐にて人肌で温めましてござるぅいたたたたたたたた痛ーい!」
一方通行「サル違いだろォがァアアアアアア!!! 割とマジでナメてンじゃねェ!!!」 グリグリグリグリグリ
打ち止め「うぅぅ……、でもそんなキツイ事を言いながらミサカが渡したコーヒーを飲んでるあなたって、優しいよね」
一方通行「言ってろ。単に冷蔵庫開けンのが面倒だからだ……。ンで、ネタは見つかったンかよ?」
打ち止め「ムダ話と見せかけて何を質問しようか考えていることに気付いてたとは流石!ってミサカはミサカは感心してみる」
一方通行「クソガキの浅薄な思考なンぞ読むまでもねェよ。さっさと来やがれ」
打ち止め「じゃあ、ちょっとボンヤリした質問だけど……、魚の胡散臭い話が聞きたいな、ってミサカはミサカは尋ねてみたり!」
一方通行「以前オカルト話を扱った時に言ったろ? その手の話は数が多すぎて絞れねェってよォ」
打ち止め「絞ればいいんだねってミサカはミサカは範囲選択をやり直して、近代日本の記録に残る胡散臭い魚の話ならどう?」
一方通行「フム……、花子の話でもするか。余りに規格外で信じらンねェ一匹のコイについて、だ」
打ち止め「ハナコ? それはまた懐かしい匂いのする花時計みたいな名前だねってミサカはミサカは思ってみらら」
一方通行「古臭くて当然なンだが、まァそれは後々説明する。……後、断っておくが、コレは単なる情報で他意はねェからな」
打ち止め「また謎の予防線?? 危ない話はしなくていいんだよ? ってミサカはミサカは心配してみたり」
一方通行「今回の話は特定の個人に関する話題でもあるからな……。重ねて悪意、中傷の意図は無いと言いつつ、行くぞ」
248 :
まぼろし
[saga sage]:2011/09/16(金) 19:57:58.63 ID:pasz+bH+0
一方通行「つーワケで、解説の幾つかの箇所が不自然にボケるが許容しろ。
花子は、とある大学の学長が管理していた緋鯉(ヒゴイ)だ。緋鯉っつーのは橙、赤系の色をしたコイだ。
錦鯉とコイは同じ魚って話題があったろ? 変った体色の個体を選んで交配させて生まれた稚魚のうち
成長に伴いキレイに発色したコイを錦鯉と呼ぶって。つまり緋鯉はその変った色の個体、錦鯉の親だ。
さて、この学長は高齢の祖母からよくこンな話を聞かされてた。
『花子はずっと昔から居る、って私のお義母さんがそのまたお義母さんに聞かされていたそうだ』
人間関係がチト複雑だが、判るだろ? 花子は飼い主よりもずっと長ェ事生きてるってワケだ」
打ち止め「いや、あの、関係も判らないけど、あのさ? コレ、長いとかそんなレベルじゃない気がするよ???」
一方通行「コイってのは割と寿命の長い魚だ。現在では平均2〜30年程度と言われて居るが50年生きても珍しくねェ」
打ち止め「だから、もっとずっと花子は長生きしてるんじゃないのって聞いてるの!ってミサカはミサカは念を押してみる」
一方通行「そォだよな。一体どのくらい生きてきたのか? 当然起こる疑問だ。続けンぞ」
一方通行「魚の年齢を調べる方法は幾つかあるンだが基本的には同じで、木の年輪と同様に決まったサイクルで体に刻まれる
痕跡を観察する。具体的な部位としては脊椎骨、耳石、鱗など。成長具合に季節ごとで偏りがある場合、硬質な
それらの部位には規則的なシワが出来る。コレを一つ一つ数えることで年齢を算出できるンだが、問題もある。
魚種、生息域、天候などによっては成長の偏りが規則的でない場合があるとか、脊椎骨や耳石、耳石っつーのは
内耳にある炭酸カルシウムの結晶だが、要は頭ン中だ。その辺は解剖しなきゃ調べられねェ、とかな。
つまり、魚を生かしたままで正確な年齢を調べるのは非常に困難なンだよ。殺した所で無理な場合もあるがな。
そこで花子だ。代々語り継がれるほどの長寿な可能性があるコイを、調査の為に解剖するワケに行くはずもなく
その学長は複数の異なる部位から鱗を採取して年齢の算出を試みたンだ。調査は予想通り困難を極めたよォだが
たっぷり二ヶ月掛けて完了した。結果、花子はその時点で213歳だった」
打ち止め「213歳?? 実験が……あ、コイは関係ないか。ところでそれはいつのことなの?ってミサカはミサカは質問してみたり」
一方通行「この調査は1964年に行われたよォだ。つまり、花子が生まれたのは1751年って事だな」
打ち止め「まだアメリカ合衆国が出来る前だし、大英博物館だって出来て無いし、日本じゃ徳川家重の時代だよ??」
一方通行「妹達には歴史好きが居ンのか? どォでもイイが……。ンじゃ、最後だ」
一方通行「花子は最初の?調査から14年が経った1977年に死ンだ。享年226歳って事になンのかね?
その間、ラジオで花子の事が話題になったり、同じ池に居る他のコイを花子の時と同じく調査して130歳を超える
個体が何頭も確認されたりすンだが、花子を含めソイツらの年齢は現在では公式に認められてねェ。
その理由はやはり、木の年輪を数えるよォな方法では正確さが保証されねェってトコだった。
現実的に、成長痕を数えての調査は生後数年が限度、顕微鏡を使っても20歳以上の個体は判定不可能なンだと。
学長の旧家ってのは江戸時代から村の実力者だったンで、今も残る古文書に家の場所やその池が記されてンだが
そこにヒゴイに関しても記載が……、無かったのかねェ?
ともかく信憑性に欠けるっつって、例えばギネスブックなどでは参考記録になってンじゃなかったか?
まァ、その学長はコイが大好きな男だったらしく旧家の池に留まらず、新築の家にも池を造り部屋の一部の床を
ガラス張りにしてその下にも水を引きコイを泳がせてたそォだから筋金入りだな。そンな男が鱗とは言えコイの
体に、調査の為ではあるが傷を付けてまで調べた結果が信用されねェってのはそれなりに悲劇なのかもな」
打ち止め「ふ〜ん。……でもさ、その人はコイが好きだったんだから、たとえ記録的長寿で無くても大切な友達だったんだよ」
一方通行「ケッ…………、特にコイは人に懐くからな。犬やネコに対する感覚に近いモンがあったかも知れねェ」
芳川桔梗「ちなみに、人間の年齢を推測する方法としては歯を使うのが一般的ね」
番外個体「アレでしょ? 象牙質の中のD-アスパラさん? 死体の年齢鑑定に使うってヤツ」
一方通行「D-アスパラギン酸か? ラセミ化反応っつって加齢によって蓄積されるコイツを調べりゃ年齢が…」
打ち止め「……、その方法でミサカを鑑定したら何歳って出るの???」 番外「つか、それ、ミサカの方が深刻じゃね???」
一方通行「ムダに膨らンだ0歳児?って法医学者を悩ませンのがイヤなら身元不明で死ぬな! それで問題ねェ!!」
〜おしまい〜
249 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/09/16(金) 20:11:33.74 ID:pasz+bH+0
以上、第二十一回「まぼろし」でした
第一パート、魔術を話すインデックスが見たかった、ただそれだけです!
第二パート、捕獲してきた淡水生物を水槽に移し変える前に、ほんの薄い塩水に短時間曝しておくと死亡率が下がるかもしれません
第三パート、花子は70cmくらいのコイだったそうです。実際何年生きていたんだろう・・・
次回は、水曜日までくらいに? ではではまたー
250 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/17(土) 16:37:33.82 ID:UezwUPdx0
乙
理論上鯉の長命種で何歳までいくんだろ
251 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/09/17(土) 22:17:51.16 ID:EMR5w56O0
>>250
打ち止め「ちなみに、生き物の科学的な寿命の算出法ってあるの?ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
一方通行「ン? そォだな……、哺乳類なら成熟までの期間の五倍が寿命とか言われてるが」
番外個体「ヒトは20歳でオ・ト・ナ。だから100歳が寿命って考えると……、割とイイ線行ってんじゃね?」
芳川桔梗「身長の伸びが完全に止まるのが一般に30歳くらいでしょ? それを考慮すると、150歳も可能かも知れないわね」
一方通行「だが、当然コレを全ての生物に当てはめる事は出来ねェ。例えば魚類は死ぬまで成長すンだろ?」
番外個体「ん? そりゃ、あれだね。死ぬまで死なないね」
芳川桔梗「他方で昆虫などでは性成熟と寿命がセットなのが普通でしょ? セミとかカマキリとか」
打ち止め「繁殖行動を終えたら死んじゃうんだよね、ってミサカはミサカは魚や虫は哺乳類とは違った法則が必要って思ってみたり」
番外個体「それもそうだけどさ、そもそも何で生き物には寿命があんだろね?」
一方通行「何で、っつーのは理由か原因かどっちだよ? まァ、どちらも現状定かではねェけども」
打ち止め「理由っていうのは、種として生物が勝ち残っていくための選択ってこと? 死んだほうが役に立つってヤダな……」
芳川桔梗「原因としてはテロメア説や心拍数説が有名だけれども、多くは現象を逆に見ただけ、とも言えるのよね」
一方通行「寿命が無限大って生物も少なくねェしな。まだまだ研究の余地がある分野なンじゃねェの?」
番外個体「出たよ、逃げの文句『研究の余地がある』。コレ言っときゃ何でも先送り出来る魔法の言葉だよねえ」
芳川桔梗「それはちょっと言い過ぎじゃないかしら? 幾ら科学が発達しても長い年月が必要な研究というのは無くならないのよ」
打ち止め「……、試しにミサカがネットでコイの寿命を調べてみたんだけど、ナニコレ?ってミサカはミサカは頭を抱えてみたり」
番外個体「どれどれ? 10年足らず、20年、40年、50年、70年、80年、100年以上生きる個体も居る……、コレは酷い」
芳川桔梗「研究者によっても、時代によっても随分違うわね。最近はどんどん寿命を長くみる傾向にあるのかしら」
一方通行「花子じゃねェが、生体サンプルから寿命を算出すンのが難しくても、管理の記録で証明すりゃイイからな」
打ち止め「つまり、時間をかけてちゃんと観察してみたらやっぱり長寿だったってこと? ……、なんだろこのモヤモヤした気持ち」
芳川桔梗「恋かしら?」
番外個体「鯉だけに」
一方通行「同じネタ、それも使い古しのネタを繰り返すンじゃねェよ……。そろそろテメエらも寿命なンじゃねェのか?」
って感じですかね・・・つまり、よく判ってません
252 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/18(日) 01:00:23.84 ID:xE6N/wNBo
寿命のメカニズムが分かってない以上、保護・観察して何歳まで生きるか調べるしか手段はないって事か
253 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/18(日) 09:50:29.98 ID:R2bQss6To
鶴千年
254 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/09/18(日) 11:34:53.55 ID:nYHScvbNo
まさかのアドリブ更新
これは乙せざるをえない
この気持ち、もはや鯉
255 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/09/24(土) 12:59:10.36 ID:iB2W5skB0
予告より大幅に遅れました、おさかな話。
今回は今までのおさらいっぽく、複雑な感じで、尚且つ作中作までねじ込んで、多分一読では混乱するような内容です
面白いか?と問われても書いた自分もこんがらがっちゃってて・・・そんな感じに仕上がりました
そんなわけでテーマは『総集編』ちょっと長い?けど、どうぞ
256 :
総集編
[saga sage]:2011/09/24(土) 13:00:59.71 ID:iB2W5skB0
☆
初春「白井さん、白井さーん??? アレ? 居なくなっちゃいましたか…………」
初春「どうしましょう……。せっかく風紀委員の書類整理を手伝ってもらおうと思ったのに」
初春「………………」
初春「そもそも白井が頻繁に一人で出動しちゃうから、私が自分の後始末をしなくちゃいけなくなるんですよ??」
初春「後出しの設備使用申請に、修繕依頼に、関係各位への謝罪と反省文……。まったくもう!!」
初春「白井のボケがちゃんと私を見張っておけばこんなことには……。そこんところ解ってないですよね、あの変態女」
佐天「おい、親友……?」
初春「ぶっほへあうい??? あsjdtるえたvふぁ…………!? さ、佐天さん、いつからそこに???」
佐天「ついさっき、あんたが白井さんを大声で呼んでる時だよ。……全然気付かなかったの??」
初春「あ、アハハハハ、ハハ……」
佐天「ま、いいや。それにしても、なんかすごい量の書類の束だね。全部初春の仕事なの?」
初春「そうなんですよ。だから前もって断っておきますけど、今日はくだらない考察に付き合ってるヒマないですからね」
佐天「…………」ホゥ
佐天「…………」 ガソゴソ
初春「……? 佐天さん?」
ピッ 『白井のボケが――――――――――――――あの変態女』
佐天「うんうん、キレイに録音出来てる。さっきの初春の声、バッチリでしょ?」
初春「」
佐天「どうしたの? 逃走中、白髪の男に出会ったサラシ女みたいな顔してるよ? ああ、仕事の頑張りすぎじゃない?」
初春「で、ですかね……、ちょっと休憩しようかな〜。ついでに佐天さんの話も聞きましょう!」
佐天「そう来なくっちゃ。頼りになるのは君だけだよ、初春博士!!」
初春「ううううう、今日は徹夜を覚悟しなくちゃダメかも……。じゃ、せめてサクサクっと終わらせましょう。テーマは?」
佐天「慌てない慌てない、一休み一休み。それに今日は考察じゃないよ。一緒に見てほしいものがあんの」
初春「ふぇ? 見て欲しいもの、ですか……?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
257 :
総集編
[saga sage]:2011/09/24(土) 13:02:20.07 ID:iB2W5skB0
☆
上条「なあインデックス、ちょっと俺、最近悩んでることがあってさ。聞いてもらえるか?」
禁書「とうま? どんなことで悩んでるか分らないけど、それこそシスターの本分なんだよ! どォんとこーい!」 ドンッ
上条「……、悪い。……、お前には心配ばかりかけて、頼りきって……、いつかたっぷりお返ししなくちゃな」
禁書「と、とうま!? 私は何も気にして無いし、今でもとうまのお陰で充分幸せだから……、もっと頼っていいんだよ!」
上条「ありがとう、ありがとう!! 恩に着るよ」 ドゲザッ
禁書「とうまっ!? そこまで感謝されると、ちょっと他人行儀が過ぎるかも……? 心配になってきたんだよ……」
上条「……でさ、お前に聞いてもらいたい悩みってのはビリビリ。いや、御坂のことなんだよ」
禁書「それかよ」
上条「あいつにもなんか随分心配かけちまっててさ。ホントならどれだけ頭を下げても足らないくらいなんだけど」
禁書「デスヨネ」
上条「っても勘違いすんなよな? 別に甘い話とかそういうんじゃないんだよ」
禁書「ハァ……、流れ的にはそういう話のほうが人として正解なんだよ、ばかとうま……。で、短髪がどうしたのかな?」
上条「いやな、なんかまた新しい戦いが起こりそうだろ? 世界規模の、とんでもない敵を相手にした」
禁書「そうみたいだね。私もよく分っていないから何とも言えないんだけど」
上条「それを御坂のヤツ、勘付いちゃったみたいでさ。心配するくらいなら一緒に戦うとか、そんな空気になってるんだよ」
禁書「とうまは周りの人たちを巻き込みたくないんだよね? 自分勝手で歪な正義感にかけて」
上条「そう……、だな。イヤなものはイヤ、ただそれだけなんだよな。それは正義感だなんて立派なものじゃ無いよ」
禁書「……、言ってあげたいことはたくさんあるんだけど、長くなりそうだから話を先に進めるね。それで?」
上条「御坂のことだよな。当然、巻き込みたくねえよ。あいつだって女の子なんだ。危険に晒すわけには……」
禁書「……でもさ、女の子と共闘したことなら今まで何度もあったと思うけど?」
上条「へっ……? あ、でもそういうのは俺が巻き込んだと言うよりは俺が巻き込まれた場合に限るんじゃないか?」
禁書「とうまの右手が災厄を呼び込んでるって考えたら、実は全員巻き込まれてるんだけどね」
上条「うぅ、ホント罪深いよな。俺って……」 ズーン
禁書「そ、そういう意味じゃないよ。人はそれぞれに、とうまと同じで戦う理由があるんだから気にしちゃダメなんだよ」
258 :
総集編
[saga sage]:2011/09/24(土) 13:03:58.33 ID:iB2W5skB0
上条「……でもさあ、御坂がいくらレベル5だからって、これからの戦いでは正直通用しないと思うんだよ」
禁書「とうまは自分の戦いを一度最初から思い返してみるといいんだよ……。ところで短髪はどんな能力者なの?」
上条「ん? ナマズ話でやったじゃないか。喩えるなら、落雷クラスの発電力を持つ強電気魚か?」
禁書「な、まっ……!!」
上条「電場を操る派生で磁場を操って、鉄骨を操ったりもするらしいけど。そんなんじゃ最近のインフレ状態だと、なあ?」
禁書「とうまはバカなんだよ!! 今までなんで短髪と一緒に戦わなかったんだよ!?」
上条「は? いや、共闘は何度かあるんだぜ? 俺と御坂は何度かケンカしたこともある……、みたいだし」
禁書「理論的に短髪は無敵の最強生物なんだよ!!! 通常の物理法則下なら、相手がマンガキャラでも楽勝なんだよ!!」
上条「……コレは珍しい意見じゃないか? どういう理屈でそう思うんだよ」
禁書「ん〜と……あ、そうだ! 光る画面のアレ、使うね」
上条「ノートパソコン? ネットで何か調べものでもするのかよ?」
禁書「そうじゃないよ。ええと、どうするんだっけ……。あれ? ココでもない、ココでもない、コレだ!」
上条「どれどれ? ……なんだよ、ただの小説投稿掲示版じゃないか」
禁書「そうだよ。私は一人でヒマな時、この掲示板の設定質問スレでおさかなとオカルトの質問に答えていたんだよ」
上条「へえ? 暇つぶしになっていたのならパソコンの簡単な使い方、教えておいて良かったよ。で、何が言いたいんだ?」
禁書「その中でよく宗教関連の質問を出す人が居てね、その人が書いてるお話がとうまの疑問を解決してくれると思うよ」
上条「つまり……電撃使い、その名が最強であることをココで証明するってか?」
禁書「その言い回し、よくわからないけどカッコいいかも。……あ、とうま。見つかったよ」
上条「ふむふむ、題名は……、え? これって……」
禁書「文章はクセがあってちょっと読みにくいけど、面白いと思うよ。質問があったら後で答えるね」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
259 :
総集編
[saga sage]:2011/09/24(土) 13:06:03.18 ID:iB2W5skB0
「謎のエロカッコいい修道女見習いさんに協力してもらって書いた面白いお話」
260 :
総集編
[saga sage]:2011/09/24(土) 13:07:03.69 ID:iB2W5skB0
【前回までのあらすじ】
「明日の学園都市の天気は、……ありません?」
突如、天気予報のお姉さんが語る不穏な予告。それに端を発する様々な機械通信系の大規模なトラブルに見舞われた学園都市。
人々は詳しい状況も分らぬまま混乱するを余儀なくされ、情報の渦にただただ翻弄されていた。
そんな暴動一歩手前に陥った科学の総本山に舞い置いた一筋の光。遠くリオデジャネイロからも肉眼で視認出来たという
奇跡の正体は、神話の存在にて想像上の、信仰の対象にして圧倒的畏怖を見る者に与える者ども、天使の大群であった。
圧倒的な超常現象を目の当たりにした一般市民は本能に命じられるがごとく羽根持つものに傅き救いを求めた。
だが天使たちはただ神の意思のままに、迷える子羊らの魂を肉体ごと救済するべく無差別な総攻撃を開始した。
失敗した積み木を乱暴に崩すように消滅していく町並み。老人は言う。「そこに悲劇は無い。あるわけが無い。なぜなら
たとえ結末が滅びであっても、人の喜びとは神の御手に導かれることなのだから」と。
鮮やかな光の中、果てしない永遠の時に包まれた学園都市の崩壊は、もはや確定された事実でしかなかった。
ただしこの都市に、人の子の理を外れた者ども。即ち超能力者が存在していなければ、の話であるが。
彼らは、聖書の中から飛び出した異形に呆然と為されるがままの学生や教員たちの前に颯爽と現れた。
ある能力者がよくわからない現象を操り、なんとなく天使を吹き飛ばすと
ある能力者はやたらと派手なビームを撒き散らして天使を困り顔にさせる。
真っ先にそして不用意に突っ込んで接近戦を挑んだ白髪頭は、天使にフルボッコされて涙目で退場しつつ
己の能力で発見した敵の弱点を他の者に伝えて、いつものように静かに息を引き取った。
そんな彼らの姿は、天使といえど絶対の存在では無い、という思いを次第に都市住人に想起させる。
ここは天国じゃない、もちろん地獄でもない。人が住み人が治める人の世界だ、と。
たとえ天使や神であってもこの世界を好きに出来る権利などあってはならないのだ、と。
実はそのような思いを人々が抱いた背景には、表舞台を嫌うとある能力者の導きが多少あったのだが。
その他、遠くのほうで「不幸だー」とか聞こえるけど色々ひっくるめて、天使を撃退する態勢は整った。
今こそお待ちかね、みんな大好き!噂の電撃系超絶美少女の出番である。
『神の御使い』天使と『科学の申し子にして神の写し身』人間、果たして勝つのはどちらか?
261 :
総集編
[saga sage]:2011/09/24(土) 13:08:59.58 ID:iB2W5skB0
▽第19025話『最強(笑)』
「……(俺は生きてンのか)」
崩壊したビルの瓦礫の中で、血塗れの肉塊、もとい、死体のような肌色の少年は突然息を吹き返した。
水面の静まりきった池に小石を投げ入れた後のように、波紋が広がるがごとく意識が世界を取り戻していくのを感じた。
すぐさま記憶を整理し、現状の確認を急ぐ。過去の経験は語っている。戦場で気を抜くヒマなどありはしない。
冷静に冷酷に冷徹に、学園都市第一位の自分がこの指一本動かせない惨めな姿を晒すまでを思い返していく。
「……(天使の大群が都市を攻撃。防衛機能が麻痺状態の上、兵隊どもは一般人と同様に魂を抜かれ無力化されてた)」
「……(オレは手っ取り早く騒ぎを止めるため、天使の群れに殴り込みをかけた)」
「……(記憶が曖昧だが、黒とか白とか出れば楽勝だろって……)」
「……(ところが多勢に無勢。エンゼル右ストレートからのトリプルエンゼルアッパーでダウンしちまった)」
「……(戦意を喪失してンのにも拘わらず、ヤツらは執拗にオレを責め続け、そして……)」
「エンゼル華麗なパス回しからの、エンゼル強烈なミドルシュートで窓の無いビルに叩きつけられた?」
「そォだな……、いや? なンとか意識を繋いで、吹き飛ばされる軌道を修正して瓦礫の山に落ちたンだ。……って、オイ」
白髪男の思考に突然乱入してきたのは、有名中学の制服を着た「お姉様」と呼ばれる絶世の美少女。
その接近に全く気付けなかったのは、天使との戦闘で半端では無いダメージを受けたためでもあり
また己の能力の大部分をおなじみの半自動生命維持機能で内臓や大血管の損傷をカバーするために
無意識に割いていたせいでもあるだろう。少年のなおざりなツッコミを責めてやるのは酷である。
ちなみにこの二人、不倶戴天の敵同士であったりもする。
「何よ? 死人が軽々しく口を開くなっつーの。カッコ付けて飛び出して……、同じ超能力者として情けないったらないわ」
「今頃ノコノコ出て来て偉そォに寝ボケてンじゃねェぞ、クソガキが……」
見目麗しい「お姉様」の垂れ流す極めて軽い調子の悪口雑言に対して精一杯の虚勢を張りつつ、少年は解析作業を続ける。
そんな態度を取ったら更にカラまれるってことまで考えが及ばないのは仕様であるから仕様が無い。
「ところでアタシさあー、その空中血管状態? 初めて見たんよ。思ったよりグロいんでムービー撮っちった☆」
「撮影してどォすンだよ………………………………って、アレェ?」
思わずバカっぽい声を発した彼の、その思考は「何故だ?」で埋め尽くされていた。
湧き上がる違和感。それは彼の経験則、そして意識が途切れる直前の記憶。
これらから当然導き出されるはずの結果が出ていないことが原因。
そしてこの、魅惑のセクシーダイナマイトガールの存在。
不自然にして不条理な難問、
彼にとどめを刺すべく追って来ていた数体の天使は何処へ行ったのか?
何故、このプリティかつキュートな女の子はこの過酷な戦場で緊張感の欠片もなく生き残っていられるのか?
即座に、納得できない解答が導き出される。
262 :
総集編
[saga sage]:2011/09/24(土) 13:12:54.82 ID:iB2W5skB0
「撮ってどうするって、ソーシキで遺影の代わりになるんじゃね?」
そんな軽口を相手にする余裕もなく、彼は疑問を疑問のまま提示してしまう。
「……、テメエ、まさかアイツら倒せンのか? だったらオレなンか弄ってねェでさっさと行け」
彼の、自称・優秀な頭脳が弾き出した答えは『彼女は天使に対して絶対の強さを持っている』であった。
パーがチョキに勝てないように、子犬が100匹集まっても一匹の猫の可愛さには敵わないように。
ソレが何によるものかまでは解らないが、自分より格下のはずのこの、月も花も恥らう美貌の乙女は
あの怪物たちを苦も無く叩き潰すことが出来る。そうとしか考えられなかった。
「……(オレを追って来た天使も、コイツが片付けたってのかよ……、一体どォやって?)」
少年の困惑に対して少女は「はぁ〜、やだねえ。女の子とマトモに会話出来ない童貞野郎はこれだから」と相変わらずだ。
その姿を武道の達人が見るなら『焦りも気負いも無い理想的な勝負姿勢』と評したかもしれないが、白髪頭は残念ながら
ただのガキなのでイライラが募るだけだった。
「オレの言った事無視してンじゃねェ!! さっさとムカつく羽根虫を落として来やがれ」
「……アンタさあ、そういうセリフは一体でも敵を倒してから言うもんだよ? それに、こっちは絶賛準備中なの」
「チッ……」
他人には何処までも厳しく自分には極端に甘いのは若者の特権である。だがソレも行き過ぎれば誰にも認められない。
そしてこの少年は、長いこと世界最高レベルで若者の特権を振るい続けてきた弊害の塊なのである。
今だって、純情可憐な「お姉様」がここを離れないのは、彼女の言う何がしかの準備のためでもあろうが、それよりも
満身創痍の彼を天使の攻撃から守るためである事を既に理解してるのに、安いプライドが壊れるのが怖くて感謝の言葉を
掛けられないでいる。だったらモジモジしないでオネンネしてればいいのに。
そういうのは早めに治しておかないと後々苦労するよ、ってミサカはミサカは対人スキルの不足したあなたを慮ってみたり。
そんな少年の事情など知ってやる義理も無い「お姉様」はそれから数分間、動けない彼をトコトンまで弄り続けていたが
やがて100人中31人が惚れてしまうであろう蟲惑的な笑みを浮かべて、こう言った。
「さて、そろそろ真打登場と行くかね。前座の年寄りをあんまり働かせんのも悪いし」ニタニタ
プールに入る前のおざなりな準備運動って感じで手首や足首を数回プラプラ震わせた後、彼女は飛び立って行った。
最後に白髪頭の少年を振り返り、一言付け加えるのも忘れずに。
「じゃーねー、負け犬くぅうううん!! また来世がんばれー」
今にも泣き出してしまいそうな程に傷ついた少年の心情を表すように、空はいつの間にか厚く重い雲に覆われていた。
〜つづく〜
263 :
総集編
[saga sage]:2011/09/24(土) 13:15:23.00 ID:iB2W5skB0
【次回予告】
遅れてやって来て全てを持っていく者、その名は主人公。そう、「お姉様」の登場により戦況は180度転換した。
音速を遥かに超える天使たちによる攻撃の嵐の中、涼しい顔で全てを回避し己の能力を振るっていく彼女。
落雷が全ての天使をまとめて消し飛ばすと、眩い光の束とともに虚空に現れたのはボスっぽい雰囲気の威厳ある天使。
そいつも落雷で瞬殺しちゃうってどうなんだろ? 陸に上がったナマズの性能がココまでスゴイとは……。
果たして、そんな戦闘描写で物語として成立するのか。それは誰にもわからない。
次回『チートってレベルじゃねェぞ、コラァ!』 お楽しみに!
264 :
総集編
[saga sage]:2011/09/24(土) 13:16:35.46 ID:iB2W5skB0
☆
一方通行「打ち止めァアアアアア!!! テメエは性懲りも無く何くだらねェモン書いてンだ!!!」ビシビシビシビシ
打ち止め「痛い痛い!……、ううぅ、まさか匿名掲示板なのにミサカの犯行だと看破するとは思わなかったよ、って…」
一方通行「これだけハデに自己紹介しといてナニ寝ぼけた事ヌカシてやがるこのクソガキ!」ビッ
打ち止め「え、あ! ミサカ口調を文中で……。今までの人生で一番悔しい!ってミサカはミサカは唇を噛んでみる」
一方通行「チッ……、身バレするよォなモンに手ェ出してンじゃねェよ。このスレ、削除を依頼すンぞ」
打ち止め「そ、それは止めて!ってミサカはミサカは顔も知らないミサカのお話の読者さんたちに代わって抗議してみる!」
番外個体「おいおい、お子様相手に強硬手段とか恥ずかしくないのー? 大目に見てやりゃいいじゃん」
一方通行「番外個体、テメエ……。本文中、特にセリフに関してはお前が書いてンだろォが!?」
打ち止め「何処まで鋭いんだろこの人は、ってミサカはミサカはその推論が大正解であることを暗に認めてみたり」
番外個体「いやソレ、完全にバラしてんじゃんか……。いい性格してるぜ、アンタ」
一方通行「性格だけならイイ勝負だろ……。ま、テメエ達がオレをどォ思ってるか、よく判ったケドな……」
打ち止め「さ、作中の一方通行及び登場人物、団体、国は架空の存在だよってミサカはミサカはフォローしてみたり!!」
265 :
総集編
[saga sage]:2011/09/24(土) 13:18:10.01 ID:iB2W5skB0
☆
上条「……えーっと、インデックスさん? コレ何だったんですか??」
禁書「何って、とうまの疑問がするりっと解決できたでしょ? 私も協力した甲斐があったんだよ!」
上条「わからない、わからないぞ??? そもそもオレの疑問って何?ってレベルでわからなくなったぞ???」
禁書「なんでそんなに混乱してるのかこっちがわからないかも。そもそもはとうまが悩んでたことが発端なんだよ」
上条「ホントに忘れてるワケじゃねえ! えっと、御坂が戦うのが心配だったんだけど、インデックスの意見は違ってて」
禁書「そうそう。短髪は史上最強生物だという証拠を見せてあげるって」
上条「で、あの小説……? 一方通行のような登場人物がひたすら情けないだけだったような気がしますけども??」
禁書「今回はそうだね。でも、大事なのは次回のお話なんだよ」
上条「だったらそっちを見せてくれればよかったんじゃねーの? 派手な能力バトルがあるんだろうし、絶対面白いだろ」
禁書「見せたいのは山々なんだけど、
>>1
をよく読んでみて」
上条「ん? またおかしなことを……」
禁書「ほらココ、私達の会話には『ラブもエロもバトルも』あっちゃだめなんだよ。だから仕方なくこうなったんだよ」
上条「そんな言い訳すんのか。バトル展開書くのが苦手ですスイマセンって正直に言えばいいのに」
禁書「まあ、そんな外枠の話は置いといて。この次回予告で充分に、とうまの悩みや疑問は解決できるんだよ」
上条「おいおい、ホントかよ? かなりさっくりと短いぜコレ」
禁書「大丈夫なんだよ。無理やりとしか思えない不自然さだけど、ちゃんとキーワードが入ってるからね」
266 :
総集編
[saga sage]:2011/09/24(土) 13:20:14.24 ID:iB2W5skB0
☆
佐天「どうどう、ヘンテコな話でしょ? やたら口の悪いヒロインを繰り返しやたら可愛いって持ち上げるとことか」
初春「学園都市と実在の能力者をモデルにしたパロディなんですかね? だとするとこのヒロインは……」
佐天「御坂さんかなって思ったけど、イメージが違いすぎるよね。でも、途中でミサカミサカとか突然出てくるっしょ?」
初春「まとめると相当熱烈な御坂さんのファンで……、自分もミサカ、だということは……、身内の犯行ですね!」
佐天「あはは、犯行は酷いなあ。でも作者はその線かもね」
初春「乱暴な口調や第一位への態度は恐らくですが、作者自身の投影ですよね。……ふふ、既に特定できたも同然です」
佐天「まあ、その辺はどうでもいいよ。それより次回予告の中で気になる一節があってさ、そこを初春に見て欲しかったの」
初春「……、唐突に出てくる『陸に上がったナマズ』って表現ですよね。どういう意味なんでしょうか?」
佐天「うんうん、魚が陸に上がったら干からびちゃうだけだもんね。いつかの『にぼし』じゃないけどさ」
初春「ふむ、ちょっとナマズの生態について調べてみますね。何かヒントが見つかるかもしれませんし」ポチポチッと
佐天「ほーい、んじゃあたしは、このムダに膨大な話を遡ってナマズ関連の話題を探してみるね」
初春「はいはーい、とか言ってるうちにこちらは調べ終わりましたけどねー」
佐天「おおおー!? さすが初春。んで、疑問の答えは判ったの?」
初春「ちょっと待ってて下さいね、今整理しますから。……ま、要はナマズは異常に優れた電気魚だということですよ」
佐天「ん……、電気魚って何? デンキナマズと普通のナマズは全然違うことくらい知ってるよ?」
初春「だーかーら、順を追って説明していきますから。そもそもコレは『電撃使いは陸のナマズである』って意味なんです」
267 :
総集編
[saga sage]:2011/09/24(土) 13:21:56.27 ID:iB2W5skB0
☆
一方通行「超音速の攻撃の嵐を全て余裕でかわすナマズ、こと『お姉様』か。面白ェ事知ってンじゃねェか」
打ち止め「ミサカも電気系能力者のはしくれだよ、ってミサカはミサカはパスタで箸クレ日本人とか面白い事を言ってみたり」
番外個体「いや、それ全然つまんねーぞ」
芳川桔梗「そうね、説明する時はちゃんとしてボケるときは圧倒的にボケなさい。ダジャレだってメリハリが大事なのよ」
一方通行「テメエらにクソガキを注意する資格はこれっぽっちもねェが……、とりあえず自作解説してみろよ」
打ち止め「了解!ってミサカはミサカはひとまずナマズの生態をおさらいする必要があるかなと思ってみたり」
上条「ナマズの生態については、えーと……、
>>27
からのナマズ話でそれなりに扱ってるよな?」
禁書「そうだね。ここではナマズの電気魚としての性質の、れえだあが鍵になっているんだよ」
上条「電気魚に分類されるナマズは、獲物や敵の発する微弱な生体電流を感知する器官を持ってるんだっけ」
禁書「短髪はそれに加えて、弱電気魚の自家発電による知覚能力を持っているはずなんだよ」
上条「発生した電場が乱れる様子から周囲の状況を五感に頼らず把握する、か」
禁書「その能力で電気魚は百万分の一秒単位の知覚が可能なんだけど、つまりそういうことなんだよ」
上条「人間の反応速度の限界なんて軽く凌駕する、まさに神速の世界っつーの?」
禁書「ナマズも含まれる電気魚は、光速の軌跡さえ捉えることの出来る理論上唯一の生き物なのかも」
佐天「光の動きが見れる? それって凄いじゃん!?」
初春「見える、とは言ってませんよ。あくまで捉えることが出来る、ですからね」
佐天「あ、そか。目で追ってるワケじゃないんだよね。……、具体的には何が出来るの?」
初春「そうですねえ……、たとえばマッハ100程度で移動する物体に対しては静止物と大差なく対処できるでしょうね」
佐天「ふわ!? って言うかそんな高速で動くものって存在しないよ??」
初春「そこは参考として、実戦ではフェイントや集団による一斉射撃が全く効かないって形で現れるんじゃないですかね」
佐天「……ふむふむ。天使の総攻撃だって所詮超音速の世界だから、御坂さんにとっては隙間だらけの弾幕かもね」
初春「私達からその様子を見たら、相手の攻撃開始より先に回避を始めている、くらいの絶対防御なんです」
268 :
総集編
[saga sage]:2011/09/24(土) 13:24:12.88 ID:iB2W5skB0
一方通行「だが、電気魚と言っても千差万別だろ? 例えばサメも獲物の放つ電気を感知出来るンだが」
打ち止め「その範囲はたったの数十センチって言われてるよね、ってミサカはミサカは意味ねえって罵ってみたり」
芳川桔梗「サメの場合は遠距離探知には嗅覚を使うのよ。血の匂いに誘われて、とか聞くでしょ?」
番外個体「あくまで至近距離の獲物がジタバタすんのを確実に仕留めるための電気魚ってことだあね」
上条「ナマズの場合はどうなんだよ? サメと同じく自分で発電する能力は無いから、実は大したことないんじゃ?」
禁書「眉唾な情報で恐縮なんだけど、こんな話があるよ。琵琶湖って知ってる?」
上条「シガ県の総面積のおよそ95%を占める巨大な淡水湖だっけ?」
禁書「実際は1/6程度だけど、そんな印象あるよね……」
佐天「で? 琵琶湖とナマズがどうしたって?」
初春「乾電池一本を水に落とすと、そのわずかな変化にナマズは湖の何処に居ても気づくんだそうです」
佐天「いやいやいや、ちょっと無茶じゃない?? それじゃ琵琶湖のナマズは全部、琵琶湖の全てを掌握してるっての?」
初春「さすがにそんな訳ないですよね。まあ、ナマズは非常に優れた超広範囲レーダーを持ってるって解釈してください」
打ち止め「五感以外の知覚といえばあなたも持ってるけど、本質が全然違うよねってミサカはミサカは偉そうに語ってみる」
番外個体「ベクトル操作膜は体を覆ってるだけだからね。現象の分析が主目的みたいだし?」
芳川桔梗「彼が近接戦を好むのもそれが原因かもね。知らない攻撃をみると知的好奇心が湧いてしまうんでしょう」
一方通行「オレの話は関係ねェだろ。第一、探知だけなら流体を使って二次的に広範囲サーチだって出来ンだよ」
打ち止め「それは知ってるけど、そうじゃなくて。ほら、えーっと、説明が難しいんだけど……」
芳川桔梗「つまり『順位が下の能力者が出来ることなら、上の能力者に出来ない訳がない』という幻想の否定、かしら?」
番外個体「個性やら相性やらを無視したバカな意見だけど、結構そんな感じのこと言ってるヤツ居るよね」
一方通行「ンなもン、当たり前なンだがな。パーに絶対勝てるチョキはグーに負ける、それだけの事だろ」
上条「俗な例えで言えば、ある場所で活躍してる人間はそこが合っている、って見方とかだな」
禁書「うん。つまり違いはあくまで違いでしかないってことなんだよ」
上条「何かが出来たり、誰かに勝ったり、それで絶対的な優劣が決まる訳じゃない。考えてみたら当然だ」
禁書「逆に、今がぱっとしてない人は現状がその人に合ってないのかも。適材適所って難しいからね」
269 :
総集編
[saga sage]:2011/09/24(土) 13:26:57.06 ID:iB2W5skB0
佐天「話が抽象的過ぎて難しいよ。つまりどういうこと??」
初春「んーと、たとえばですね。口下手で暴力的な男って、何かの役に立ちますか?」
佐天「へ? いや、そりゃ付き合いたくないっていうか、なるべく近くに居て欲しくないっていうか……、って感じだけど」
初春「まあ、一見何処でも通用しませんよね。でも、ニヒルなブラックヒーローってつまりそういう人じゃないですか?」
佐天「あ〜、確かにね。闇と静寂と破壊の中ではむしろ万能に見えちゃうかも」
初春「実際は無能の厄介者って扱われてる場合が大半なんですけどね。では、この人が格闘技の選手だったら?」
佐天「ふむ……? 仮にチャンピオンになっても受け答えが苦手だったら、あんまり人気者にはならないかな……」
初春「こんな風に、人の性質は置かれた環境で様々に評価されうるんです。わかりますよね?」
上条「だからオレの御坂に対するイメージだって、実は絶対的なものじゃないって?」
禁書「ようやくちょっと気付いてくれたかも。大体、ニセモノだってチンピラだって場合によっては活躍出来るんだよ?」
上条「そのニセモノやチンピラってのが誰を指してるかは敢えて問わないけど、まあそうだな」
禁書「でしょ? だったら本物の超能力者、短髪の力をもっと信じていないとおかしいんだよ」
上条「乱暴だけど便利で腕のいい電気屋としてなら信じてるけど……、ふむ」
禁書「私には正直、活躍出来ない場合を考えるほうが難しいんだよ」
上条「確かにこの次回予告みたいなことはオレにはムリだけど……、あれ? そういえばもうひとつ不思議があったな」
禁書「短髪の攻撃で天使があっさり倒せてしまうことだよね? そこには私の知識がたっくさん使われてるんだよ」
打ち止め「えとね、古来より雷は神様と結び付けて考えられることが多かったんだよってミサカはミサカは解説してみたり」
一方通行「モーセが十戒を受け取ンのは神の山、そしてモーセが山に入ってる間、雷鳴が鳴り響き続けたとかな」
芳川桔梗「モーセといえば、出エジプトの際に起こした奇跡にも雷が関わっていたわね」
番外個体「地には炎を、天からは雹と雷を落としまくってエジプトをボロボロにしました。めでたしめでたし、でしょ?」
打ち止め「ミサカの見せ場が……、ま、負けないよ! 十字教以外でも、おなじみトールとかゼウスとかイザナギとか!」
一方通行「人の手が届かねェ空を人の手の届かねェ神の世界と考え、その空で起こる事を神の意思と見做すワケだ」
番外個体「安易っちゃ安易だけど、世界中の大抵の宗教でそう考えてんだよね。実は合理的な理由があんのかも?」
芳川桔梗「ともかく、雷が神の意思であるとすると、莫大な破壊力を伴う落雷は当然、神の怒りと考えられてきたわけ」
270 :
総集編
[saga sage]:2011/09/24(土) 13:29:41.67 ID:iB2W5skB0
佐天「神様がゴラァ! でドーン、とするのね。でもそれでなんで神の御使いのはずの天使を倒せちゃうの?」
初春「この考え方は普遍的とまでは言えないんですが、仮に天使ってのは神の意思に従うだけの存在、だとします」
佐天「自らの意思を持たない操り人形みたいな? ちょっと違和感あるんだけど……」
初春「私も納得出来ませんけどね。まあ、そう考えた場合の話です。一方で、神の怒りは徹底的に無慈悲なんですよ」
佐天「一切の弁明を許さず、罪を究極まで罰するって感じかな。それで?」
初春「その怒りの矛先が、天使に向けられたらどうですか? 彼らに抗うことが出来るでしょうか?」
佐天「……いや、わかんないけどさ。つまり何? 天使は電撃に弱いってこと?」
初春「電撃ではなくて落雷に、ですね。話は変わりますけど、この間
>>232
でやった落雷の仕組みって覚えてますか?」
上条「つまり、雷雲が作り出した電位差の放電による中和現象が雷で、それが地面との間で起これば落雷になる」
禁書「雲の下層にマイナスの電荷が貯まると静電誘導によって地面はプラスに帯電するんだよ……私、何言ってるんだろ?」
上条「電位差が巨大になり一定値を越えると両者間で放電が始まる。先駆放電、先行放電ってヤツだ」
禁書「マイナスの先駆放電とプラスの先行放電が結びついた電気の通り道を通る大電流。これが落雷の本番、主雷撃だね」
上条「ああ。雑に言っちまえば先駆放電が一番先に辿り着いた先行放電の発射先と結びついてそこに落雷するワケ」
禁書「だから空に浮いてる天使を纏めてプラスに帯電させてしまえば、後はただの的になっちゃうって寸法なんだよ」
上条「神の意思が自身を罰することだったとしても、天使は無抵抗で焼かれることを選択せざるを得ないのか?」
禁書「科学的には判らないけど、少なくとも魔術的な意味でこの落雷を天使が防ぐことはあってはならないのかも」
打ち止め「同様に、天使を信奉する人間は落雷を防げないよね、ってミサカはミサカは宣告してみたり」
番外個体「あー、オカルトは知らないけどさ、確か十字教ってのは落雷にトラウマを抱えてんだよね」
一方通行「アレだろ? 中世以前の教会っつーのは町で一番高い建物だったンで落雷被害が多かったンだが」
芳川桔梗「近代に入り科学者、例えばフランクリンが有名だけど、落雷に対する防御策として避雷針を発明するのよ」
番外個体「けど、聖職者たちは『神の怒りが敬虔な信徒たる我らの頭上に降りかかるはずが無い』って避雷針を拒否すんだね」
芳川桔梗「そして次第に『雲行きが怪しくなったら教会から離れろ!』が雷対策として通用するほど十字教は威厳を失うのよ」
一方通行「それでも熱心な信者は教会の力を信じた。花火職人が雷を避けよォと教会に大量の火薬を持ち込ンだ、とかな」
打ち止め「悪い予想通り、落雷は教会を襲い大爆発……、変な意地を張りすぎなんだよってミサカはミサカは憤ってみたり」
271 :
総集編
[saga sage]:2011/09/24(土) 13:33:18.52 ID:iB2W5skB0
禁書「最終的には科学者が気を使って『避雷針なんて雨の日の傘と同じで科学って程の物じゃないから』って言ってくれて」
上条「で、今では避雷針が教会の標準装備になってる……、カッコ悪い話だなあ」
禁書「十字教徒であれば、落雷を防いでしまうのは当時の信徒たちに対する欺瞞に他ならないんだよ」
上条「苦い事実が確かにあったのに、自分達だけは落雷の被害に遭わない対策するのは……、確かにちょっとな」
禁書「魔術的にも同じことが言えるんだよ。敬虔な十字教徒であれば落雷は防いではならない、って」
上条「神の怒りが自分に向けられるはずが無いし、もし万が一にも向けられたなら喜んで罰を受けるってことか?」
禁書「うん、ただし十字教だけに没頭する人に限った話ではあるけれどね。魔術師はそうじゃないことが多いんだよ」
上条「落雷を防いだエピソードをもつ別の宗教や神話を利用して防御を可能にしちまうのか。やっぱり魔術師ってズルい」
佐天「でも十字教を信じてる以上、完全に防いじゃったらやっぱり自分の信じるものを裏切ることになるんじゃないの?」
初春「その辺は想像上の話だから私にも判りませんよ。ただ、程度次第って感じはしますかね?」
佐天「例えば十字教半分、北欧神話半分で構成される魔術師は落雷完全防御を半分の完成度でしか実現できないとか?」
初春「だからやってみないとわかりませんよ。もちろん魔術師なんて職業の人が居れば、ですけどね」
佐天「ふむ。……あ、じゃあ想像ついでに。神様の力を宿した人間が居たとしたら落雷が効かないんじゃない?」
初春「神の怒りが神自身に向けられるって図式ですか……。自分で自分を殴ったって確かに効きませんけど」
佐天「でしょでしょ? だからこの小説にはたぶん、そういうキャラが出て来るんだよ。『私は神の子ですから』とか」
初春「ああ、それはいいですね。『神に神罰は下りませんよ』とか。年配の女性キャラって感じがします」
一方通行「まァ、神に向けられる神の意思を表した神話だってあるから結局どォなるか分ンねェけど」
打ち止め「北欧神話の最高神オーディンの話もそうだよね、ってミサカはミサカは例示してみたり」
芳川桔梗「彼はルーン文字を読み取り魔法の歌を教わるための手段として、最高の神に最高の生贄を捧げたのよ」
番外個体「つまり自分を生贄にして自分に捧げた……、やってる本人がシリアスなだけにシュールだね」
一方通行「真面目に分析すンなら、『装置としての神』と『存在としての神』が別物って事だろ」
打ち止め「自分の座ってる地位に願を掛けたって考えたら話は通じるね、ってミサカはミサカは納得してみたり」
芳川桔梗「でもたぶん、そう考えてしまうのはダメなのよ。神の絶対性が損なわれてしまうでしょ?」
打ち止め「むむむ。でもこれ以上の考察は素人のミサカには無理かも、ってミサカはミサカは諦めモードに突入してみたり」
番外個体「要するに、知らないことをどれだけ考えたって答えは出ねーって事だよ。おつかれさん」
272 :
総集編
[saga sage]:2011/09/24(土) 13:36:23.74 ID:iB2W5skB0
☆
初春「やってみないことには分らない、だからどれだけ話し合ったって……」
初春「この書類の山は消えてなくならないんですよね……」
初春「佐天さんも帰っちゃったし、寂しいな……」
初春「ええい、とっとと終わらせて私も日常へ戻りますよー! やらなきゃ分らない、やったら終わるんです!!」
上条「そうだな。実際に戦いが始まる前からアレコレ心配しても、その時にはまた違う状況だったりするだろうし」
禁書「備えあれば憂い無しではあるけれど、下手の考え休むに似たりでもあるんだよ。偏りすぎはダメってことかも」
上条「しかし、そんなに深いメッセージがこの短い話の一端に隠されていたとは……」
禁書「多分作者さんはそんなこと考えてないと思うけど。でも、本を読んで抱く感想が人それぞれだから読書は面白いんだよ」
打ち止め「つーまーり、ミサカ的にはお姉様バンザイなお話を書きたかったのってミサカはミサカは打ち明けてみたり」
番外個体「このミサカとしては、その裏で情けない第一位を書いてんのが楽しくって楽しくって楽しくって」
芳川桔梗「そんな単純な動機のお話だけど、読者が様々な空想を働かせれば一大叙事詩にさえ成り得るのかしらね」
一方通行「くだらねェ……。ともかくまだ書くつもりなら身バレに注意すンのと……、オレの活躍を忘れンじゃねェぞ」
「『え?』」
御坂「……で、私の出番はないの? 私の話題っぽいのに本人登場しないの? ありえなくない???」
白井「お姉様……。時には主張しないことが正解、ということもあるんですのよ……」
〜おしまい〜
273 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/09/24(土) 13:51:37.70 ID:iB2W5skB0
以上、第二十二回『総集編』でした。いろいろすいません。
ちなみに、ナマズの背ビレはとても小さく、ぴょこぴょこ動きます。アホ毛みたいで可愛いですよ。
あと、作中の登場人物、団体、物理法則などは全てフィクションで、実在のものとは全く無関係です。
万が一にも気分を害された方がいましたら、作り話だからと納得していただくようお願いします。
今回は完全に妄想垂れ流しで収拾も付けず、重ねてすいません。ではではまたー
274 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/09/24(土) 14:42:31.09 ID:O5LeyMVAO
乙
相変わらずおもしろいんだよ
途中までてっきり佐天さんが書いたSSかと思って読んでたら、まさか番外止めコンビが作者だったとはwwww
で、1話から19024話までと19026話以降の話を連載するスレ立てはまだかね
275 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/24(土) 16:08:54.37 ID:Gu0FkVIDO
ナマズか…
276 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/24(土) 19:51:56.07 ID:yH5Yx/+mo
つまりデイン系の呪文は勇者の専売特許なんだな
そして神の奇跡も打ち消しちゃう上条さんには神の怒りだって効かないと
277 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2011/09/24(土) 22:25:58.35 ID:jUFekn0AO
今日川に行ったら釣りをしていたおじさんがものすごくでっかいナマズをくれた
だけど持ち帰る事もできなかったから結局逃がした
278 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/09/27(火) 18:33:30.84 ID:toNUJFT80
今はもう秋、って感じで? 今日のおさかな話は前回の反省というか補足というか言い訳というか
前回同様に今までのおさらい要素も多いので総集編パート2でもあるような。うまくまとまらない・・・
そんなわけで今回のテーマは『わからない』 通常サイズでお送りします。どうぞ
279 :
わからない
[saga sage]:2011/09/27(火) 18:35:04.96 ID:toNUJFT80
☆
「なあインデックス、ウチの水槽ってちょっと地味過ぎじゃないか?」
「とうま? それはちょっと聞き捨てならないかも。ドコが不満なのか教えてほしいんだよ」
「ドコがって……、まず第一にコレ水槽って呼んでるけど、実は100円ショップで買った収納ケースだよな?」
「そんな安物じゃないかも! これは由緒ある家庭用品専門店で運良く手に入れた半透明衣装ケースなんだよ!!」
「要はホームセンターのセール品ってことだろ? 100均と同じようなモンじゃねえか」
「むぅ〜、安物扱いするけどコレだって水を入れればちゃんと透明になって水槽として機能するんだよ!」
「……それは確かに。同じ容量のガラス水槽は何千円もするから経済的にもお得……、いやいや」
「しかもキャスター付きだから移動も楽チンなんだよ。重いから滅多に動かさないけどきっと楽チンなんだよ!」
「あーもう! 分ったよ、入れ物はコレで納得してやる。けど中身は妥協できないからな?」
「それこそなんでなんだよ!? インデックス教会学園都市アクアフロント支部をこれ以上バカにするのは許さないかも!!」
「何にでも長い名前を付ければオシャレだと思うなよこの"献身的な子羊は強者の知識を守る"さん!」
「好きな物に好きな名前を好きなだけ付けるとそれだけ好きが増えるもん! それはいいからさっさと不満点を説くんだよ!」
「じゃ、じゃあ言わせてもらうけどな。この中、マシジミとメダカしか居ないだろ? 動きが無くてツマんねーの!!!」
「何てことを言うんだよ!! ちゃんと私が選んで買ったカーナミンだって植わってるんだよ!」
「その水草だって突然買って来るから、夜中に第21学区まで行ってこっそり川の土を拾ってくるハメになったけどな」
「でもキレイでしょ? 薄緑色でまっすぐスクスク育つからレイアウトも簡単だし、何より水槽全体が明るくなったんだよ!」
「そこも否定できないけど……、やっぱり一番の問題は主役のおさかなが地味だってことなんだよ」
「それは速くも強くもないくせに、どんな過酷な状況になっても生き残っちゃう不死身の三下魚、メダカのこと?」
「目立たない、っていうか居ることすら忘れるのが元気な証拠。じっと動かず一日中何か食べてるマシジミのことだよ!」
「……、ある意味欠点が無いよね」 「……だな、むしろ理想的だ」
「っても、常に砂に潜ってるマシジミとほぼ一日中水面スレスレを泳いでるメダカじゃ、どうしてもバランスが悪いだろ?」
「ぽっかり真ん中が空いてるからそれはまあそうかも」
「だから上条さんとしましては、何か別のおさかなを追加したいなって思うわけ」
「最初からそれを言えばいいのに。いっつも思うんだけど、とうまも他の人も説明が回りくどいんだよ……」
「お互いさまだけどな。ま、異論が無いならニュウタンクメイトを導入しようぜ」
「ニュウじゃなくてニューなんだよ! ニュウタンクのともだちってなんなんだよ! ふざっけンじゃねェぞ!!」
「い、いや、今のは軽い言い間違いですけどお気に触りましたら深く謝罪いたしますですのことよ??」
「言葉に気ィつけろォ? ……コホン、でもこの水槽だと新しい生き物を入れるには問題があるよね、分ってる?」
280 :
わからない
[saga sage]:2011/09/27(火) 18:36:19.30 ID:toNUJFT80
「ああ。現状は水量およそ35リットル中にメダカ10匹とシジミ10個。ただしエアレーション及び濾過装置は未設置だ」
「生体の数とサイズに比べて、割と大目の水量と表面積の大きい容器でカバーしてるけど…」
「実は酸素不足に陥りやすい環境なんだよな。だからこのまま追加投入するのは危険すぎる」
「カーナミンが光合成を頑張ってくれているけど、それでも劇的な状況の改善は見込めないと思うんだよ」
「機材を取り付けようにも衣装ケースだからなあ。投げ込み式のぶくぶくをひとつ買ってみるか」
「大型水槽じゃないから安いセットで何とかなるかも。パッケージに適応水槽サイズが書いてあるから参考にしてね」
「あと、濾過装置一体型は結構デカイんだけど、水草の配置を工夫すれば見た目もそれほど悪くならずに済むかな?」
「人にもよるけどあんまり気にしなくていいかも。慣れの問題だと思うよ」
「よーし、じゃあ今度の休みにでも買ってくるとして、早速だけど新しく入れるおさかなを決めちまうか!」
「あれ、とうまはもう候補が決まっていたりするの?」
「まあな。あくまで主役はメダカとシジミだから派手な観賞魚は入れたくないし、かと言って不恰好なのもパスだな」
「メダカだって正面から見たらすごくブサイク、じゃなくて愛嬌のある個性的な顔なんだよ……」
「そこで川魚、となるとコイ目ばかりだろ? アイツらは泳ぎ方や体型がメダカと似通ってるからなあ」
「雑魚オブ雑魚のオイカワとかヌマムツのことかな? 中層をカバーしてくれるからぴったりだと思ったのに」
「以上を勘案して私、上条当麻が選んだのは、この間取り上げたばかりの電気魚、ナマズだあああ!」
「な、まっ!!」
「暗く地味な体色、それでいて愛らしいフォルム。下半身を左右に振りながらゆったりと泳ぐ様はサメのごとし!」
「とうまがナマズ大好きなのは知ってるし、盛り上がってるところ悪いんだけど……」
「ヒゲで食べ物の味を感じて……、なんだよインデックス? 深刻な顔して何か問題でもあるのかよ?」
「ナマズは魚食魚なんだよ? 10cm程度の若魚ですら、この水槽中のメダカを食べつくすのに1時間も掛からないかも」
「あ……、あ、あ……、オレとしたことがナマズが飼えるかも?って期待のあまりそんなことを見落とすとは……」ガクッ
「食べられても構わないのなら別にいいけど、主役はメダカなんだよね? だったらナマズとの混泳は論外なんだよ」
「うう、ちくしょう……。あ、じゃあさ。ナマズを主役にして飼うとしたら何と一緒なら飼えるんだ?」
「深い意味は全然ないけど、ナマズは基本的に単独飼育しか出来ないんだよ。縄張り意識が高くて攻撃的だからね……」
「なるほど……、危うく主役も脇役も全部喰われちまうハメになるトコだったぜ……。深い意味は全然ないけどな」
「どうしても飼いたいならプレコとかコリドラスみたいなおとなしい外国産のナマズにしたらいいんじゃないかな?」
「ん〜、そっちに手を出すくらいならナマズじゃなくてもいいよ。ま、おいおい考えるとするか」
「だね、私も考えておくんだよ!(深い意味は全然ないけど、悪く思わないでね。ナマズ!)」
281 :
わからない
[saga sage]:2011/09/27(火) 18:38:06.39 ID:toNUJFT80
☆
白井「あの、お姉様?? 先ほどから一体何をブツブツと……?」
御坂「そりゃさ、60cmにもなるし? 50年以上生きるって言うし? 死ぬまで面倒見ろとか今は言わないけどさ……」ブツブツ
佐天「ペロッ、これは……、毒電波ですよ!! もしかしたら以前の『誰かが見ている』みたいな…」
初春「ちょ、風紀委員の前で無責任なこと言わないで下さい! ……、でも明らかに変ですけど、どうしましょう??」
白井「……初春、覚えておきなさい。こういった場合、私達ジャッジメントは体を張って治安を守るんですの」スッ
初春「なっ……、いつの間に御坂さんの背後にっっっつつ! そしてゆっくりとその両の手があわわわわあわわわ」
佐天「あ、あ、ああ、白井さんの指が頂点に届いて……。《ゴンッ》 うわあああああ、む、無意識での自動防御だとぉ!?」
御坂「私はずっと正気よ! ……あ、えーと……ちょと、その、ゴメンね。ちょっと考え事をね。ね、年金問題?とかさ」
佐天「年金って、うら若き花の乙女が老後の心配しても仕方なくないですか? あ、もしかして親御さんが既にご年配だとか」
白井「イタタ……、それは無いですわね。お姉様のお母様はほとんどお姉様ですの。サイズ的には超超超お姉様ですけど」
御坂「そんなの聞いたらあの人調子に乗るからやめてよね。じゃなくて、えーとほら、おさかなの話よ、おさかな。ね?」
初春「はあ。おさかなの老後ですか……? そういえばおさかなの寿命って意外とバラバラなんですよね」
白井「短いものですとアユの別名に年魚というのがありますが、通常1年で一生を終えるところからついた名前ですの」
初春「飼育下では数年生きることもあるメダカですけど、これも自然界では年魚と言っていいですね」
御坂「う……、他にもサンマとかサヨリなどのダツ目の魚は1〜2年が寿命……ああ、メダカも同じダツ目だったわね」
佐天「メダカはともかく、一年でミリ単位のタマゴからよくあんな大きさに成長しますよねー。おさかなスゴイ」
初春「大きさと言えば、サケ類の寿命は4年程度ですけど例外的にイトウのような巨大魚は20年ほど生きるんです」
白井「最大サイズが大きくなる魚ほど寿命が長い傾向は確かにありますわね。ただしあくまで統計的なものですけど」
佐天「例えばカレイとヒラメってそっくりだけど、カレイのほうがずっと長生きするんだって。一概には言えないよ」
御坂「長く生きるから大きくなる、逆から見たら大きな魚は長生き。どっちが先かって話かもね」
初春「寿命が短い魚は、短い一生のうちの少ないチャンスで子孫を残して儚く消えていくんですね」
白井「ですからそういった種類にとって繁殖期間は戦いですわね。オスとメスのバランスが悪ければ悲惨なことに…」
佐天「逆に寿命の長い魚は焦らなくていいのかな? まあ、魚も若いうちが花だとしたら同じことですけど」
御坂「そうよね、おばさんになったら手遅れだもんね。……第一、アイツは生き急いでて、スグ消えちゃいそうで」ブツブツ
白井「はっ、お姉様また発作が!? ジャッジメントとして今すぐ正気に戻してさしあばばばばばばっばばばばば」ビリビリ
御坂「……」ブツブツ
282 :
わからない
[saga sage]:2011/09/27(火) 18:41:36.31 ID:toNUJFT80
☆
打ち止め(『10032号、お土産には中型投げ込み式エアレーションセットだよってミサカはミサカはお薦めしてみる!』)
一方通行「…………」
打ち止め(『でね、G地点にお姉様が居るから見つからないように、でもなるべく近くを通り過ぎてねってミサカは…』)
一方通行「…………?」
打ち止め(『そう、お姉様だけが気付いてあなたを追ってくるよう仕向ける作戦ってミサカはミサカは撒き餌に説明する』)
一方通行「……(寒気?)」ゾワッ
打ち止め(『だーかーら、3人でケンカになっちゃえ!って言ってるのってミサカはミサカは物分りの悪いヤツだぜって…』)
打ち止め「ふぃー。ま、案ずるより産むが安しってことさ、ってミサカはミサカは自分の気配りに感心してみたり」
一方通行「……、よくわかンねェけどお前、何か産むのか?」
打ち止め「ううん、ミサカじゃなくっておr、きゃああああああああああああああ!? 突然びっくりさせないで!!」
一方通行「ソッチこそ突然叫ぶなうっせェ!! 大体、オマエがボーっとしてンのが悪いンだろォが」
打ち止め「あ、ご、ごめんなさい。ちょっとマ、マラエ?のことを、ってミサカはミサカはあわてて取り繕ってみたり」
一方通行「どォして古代ポリネシア環礁文化の祭祀場跡地の事なンて想ってンだか……、やっぱりさっぱりわからねェ」
打ち止め「思いつきの単語なのに意味が判るあなたの頭ってホントどうなってるの?ってミサカはミサカは呆れてみたり」
一方通行「ンだよ……。今日は原始社会、それも島嶼に於ける階層分化の流れを解説すンのかと思ったじゃねェか」
打ち止め「勘違いさせちゃってまたまたごめんなさいってミサカはミサカは、あ! 折角だから勘違いな魚の話を聞きたい!」
一方通行「オレの話をオマケ扱いすンのか。……イイカゲンにしろよ、このクソガキ!」
打ち止め「や、やっぱり突然のリクエストじゃ話も用意できない?ってミサカはミサカは無理ならいいよって言ってみる」
一方通行「誰が出来ねェだとォ!? 勘違ェな魚の話なンざ百通りでも話してやろォじゃねェか、あァ!?」
打ち止め「す、すごい自信!! 期待していいのかなってミサカはミサカは胸をワクドキさせて待機してみる!」
一方通行「チッ……、心配もクドければ嫌味になンだよ。……そォだな、もう季節だしカキでイイか?」
打ち止め「"カキクケカ カケカカクカキ 法隆寺”のカキじゃなくて、オイスターのほうのカキ?」
一方通行「原型がねェ俳句は意味がわかンねェが、後の方で合ってる。海のカキに関する勘違い話、行くぞ」
283 :
わからない
[saga sage]:2011/09/27(火) 18:43:32.13 ID:toNUJFT80
一方通行「まずは軽く基本情報から。カキは岩などに付着して一生の殆どを過ごす二枚貝で世界中で古来より
食用だけに留まらず様々な用途で活用されてきた人類に馴染み深い生物だ。日本でも貝塚って聞いたこと
あると思うが、そンな時代からずっとカキの世話になってンだよ。
で、一般的なカキ、マガキの生態はかなり単純で夏場に産み落とされたタマゴが変態を繰り返した挙句に
適当な硬いモンを見つけてソコにへばり付く。後は濾過食つってタニシの話でもやったが水を取り込んで
水中のゴミを食べて生きてく。だから全く動く必要もねェし、動かねェから筋肉はほとンど退化しちまう。
カキの風味がアサリやハマグリとは全く違うのはその為だ。ありゃほぼ内臓なンだよ」
打ち止め「ふーん、確かに肉の歯ごたえ?みたいなのは無いよねってミサカはミサカはカキの食感を思い出してみたり」
一方通行「試しに他の貝の内臓だけを喰ってみろ。カキの味がするだろォよ」
打ち止め「そういう言い方されると食欲が……、ってミサカはミサカは、アレ?でもカキは食べたいな。不思議!」
一方通行「内臓とかハラワタっつーと禁忌なイメージがあンのか? 肉でも骨でも死体の一部に違いねェだろォ?」
打ち止め「あなたがそういうこと言ったら洒落にならないよ!ってミサカはミサカは話題変更を希望してみたり!!!」
一方通行「ンだァ? ワケわかンねェ……。まァイイ、続けンぞ」
一方通行「重要な食用貝であるカキは欧州では紀元前から養殖されてた。方法はカキの幼生が浮いてそォな海流に
貝殻とか硬ェもンを吊るして放置しておくと勝手にへばり付くンで、あとはソイツを栄養が豊富な海域に
移動させて更に放置すると勝手に成長する。まァ単純なンだがココで一つ言及する事がある。
カキは水中のゴミを食べるっつたろ? つまり栄養豊富な海っつーのは汚ェ海と言えなくもねェンだよ。
スーパーで売ってるカキは生食用と加熱用に分けられてるが加熱用ってのは栄養豊富な海で育てたカキで
生食用はキレイな海で育てた、又は殺菌した海水で一定期間浄化したカキだ。旨みやら何やらで比べたら
どちらがイイか言うまでもねェだろ? 生食用は生で食べる為だけにワザワザ手間を掛けてカキの長所を
削り取ってンだよ。とは言え、旨いかも知れねェからっつー素人考えで加熱用を生で喰うなよ?」
打ち止め「新鮮かそうじゃないかの違いじゃないんだねってミサカはミサカはそれくらいは知ってたけど驚いてみせたり」
一方通行「かわいくねェ……。ちなみにカキは食中毒原因の種類が多い印象があると思うが、実は潜在リスクは他の貝と
大差ねェ。細菌由来の中毒は食材を充分に加熱せず食べることで危険度が上がるよな? かつての日本では
本格的に養殖が開始される江戸時代に於いてもカキの生食はタブーだったそォだ。先人が苦しンだ結果か?
生食が一般化すンのは明治より後、欧米のことならなンでも真似してた時代にアチラの食文化だったソレを
おそらく多数の犠牲を出しつつ試行錯誤の上で取り入れたモンであって云わば輸入文化なンだよ。
オマケで触れておくが英語でRの付く月以外はカキを食べるなってのは5〜8月は繁殖の為に精巣と卵巣が
巨大になってるからなンだと。但しコレはマガキの話で、その時期でも食べられる種類はあるがな」
打ち止め「にぽんじん、なまでさかなくう、やばんじんでーす とか言ったヤツ表へ出ろやコラァ!だね」
一方通行「スシが世界中で割とポピュラーになって、ンな事言ってたヤツも既に忘れてンだろ。許してやれ」
打ち止め「ふむー! ……あ、それで結局一体何が勘違いだったの? それっぽいのがいっぱいあったけど」
一方通行「全部まとめて勘違いされやすい貝だろ。……っと、アレを忘れてた。ラスト短め、行くぞ」
一方通行「通常カキを漢字で書くと『牡蠣』なンだが実は『蠣』だけでカキって意味なンだ。では『牡』は?
この字は牡羊座とかで使うが意味はオス、♂、雄だろ? つまり『牡蠣』とはオスのカキって意味だ。
だが逆にメスのカキ『牝蠣』ってのは居ねェ。この理由は古代、カキの雌雄が見た目で区別出来ず
他の貝ではオスの色である白っぽい物ばかりだから、カキにはオスしか居ないと誤解された為だ。
実際のカキの雌雄は顕微鏡でも使わなければ判別できねェし季節で変っちまう。その上、僅かながら
オスでもメスでもある個体すら存在し得るンで昔の誤解を責めてやンのは酷だがな」
284 :
わからない
[saga sage]:2011/09/27(火) 18:50:17.76 ID:toNUJFT80
打ち止め「見た目で性別が判らない白いのかー、そーかー。(番外個体のオチが期待できるね、ってあれれ?)」
打ち止め(『上位個体より本日の作戦の途中経過報告を要請するってミサカはミサカは意味も無くカッコつけてみたり!』)
一方通行「……なンだ? またボーっとしやがって」
打ち止め(『10032号の作戦は……、あの人がうっかりあなたの胸を触って怒ったお姉様の電撃でお土産が吹き飛んだ?』)
打ち止め(『よくわかんないけど、お姉様少しは元気になったのかな? おろ、10032号もわかんないけど良かったの?』)
打ち止め(『で、番外個体は何してるのー、もうオチの時間だよー?ってミサカはミs え、何?……』)
打ち止め「それヒドい!!」
一方通行「……オイ、何か問題でも起きてンのか? 何があった?」
打ち止め「番外個体が昔書いた小説がまとめサイトに載ったんだけど、変な改行になってるみたいであの子落ち込んでる……」
一方通行「ンなもン知るか!!! どォせまたオレが酷ェ目に遭う話なンだろォが、気にせず書き続けりゃイイだろォ!」
打ち止め「カキの話だけに?って、ミサカはミサカはこのコンビじゃオチないよ……、と司令塔の決定力不足を嘆いてみる」
一方通行「ちがっ、バカ、今のはボケじゃねェし!! チッ……、番外個体を今すぐ呼べ!」
打ち止め「ほ? 呼ぶのはいいけど元気ないかもよ?ってミサカはミサカは期待しないであげてと要望しておく」
番外個体「ちがうもん。ミサカあんなに読みにくく書いてないもん。ミサカ悪い子だけど悪くないもん……」ブツブツ
打ち止め「うわぁ……。まるで別人だけど連れてきてどうしようって言うの?ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
一方通行「決まってンだろ、オレに出来ンのは解説だけだ」
番外個体「……、ほ?」 キョロ
一方通行「つーワケで今日は勘違いされやすい貝、カキの話題だったンだが折角だからカキの栄養についても触れとく。
見た目と食感から『海のミルク』と称されるカキだが、牛乳がほぼ完全食品であるのと同様にカキもその
豊富な栄養が魅力の一つになってる。具体的にはビタミンB類、各種アミノ酸、グリコーゲンにタウリン、
高度不飽和脂肪酸などの含有量が優秀だな。だが何と言ってもカキはミネラルの宝庫なンだ、中でも亜鉛。
亜鉛っつーのは細胞分裂に深く関わっているらしい。新陳代謝が活発な年代、若しくは活発にしたい時には
カキは理想的な食材だろォな。……、特にアレだ。男が抱えがちな悩みに効果的かも知れねェ」
打ち止め「男の悩みって例えば何?ってミサカはミサカは当然の質問を投げかけてみたり」
一方通行「……、色々あンだよ。中でも細胞分裂に関わるミネラルが対処出来ンのは、薄毛とか、精子欠乏とか、EDとか…」
番外個体「み……見えたあああああああああああああああ!!」
打ち止め「い、いきなりどしたの? 何が見えたの!?」
番外個体「色々ダメになった第一位がお姉様に牡蠣まみれにされて海のミルクだか違うミルクだかで白濁して白狂する話!!」
一方通行「どォやら正気に戻ったよォだが、そんなモン書いたって載せるトコありゃしねェだろォ……。無ェよな?」
〜おしまい〜
285 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/09/27(火) 19:17:49.95 ID:toNUJFT80
以上、第二十三回『わからない』でした。
第一パート、小魚1匹に対して水1リットルが適量とか。酸素消費の多いおさかなもいるのであくまで目安ですけど
第二パート、3m以上にもなる巨大カレイとしておなじみのオヒョウは40年生きた記録もあるとか。他方ヒラメは数年の命だったりします
第三パート、おさかな話のイメージ的にギリギリセーフ・・・? ちなみに食べ物に即効薬理効果を期待しちゃダメです
というわけで次回は日曜日くらいになるかと。ではではまたー
286 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北陸地方)
[sage]:2011/09/27(火) 19:39:53.60 ID:P2+sHTeAO
乙
インデックスさんは暗闇の五月計画の被験者だったのか・・・
287 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/27(火) 21:33:02.15 ID:h0YPDHMDO
乙!この学園都市のアレイ☆のビーカーには魚が泳いでいそうだな…
一方さん若くして枯れてそうだから蠣食った方が良いんじゃないか
月刊誌の連載コラムみたいなこの雰囲気が好き
末永く続いて欲しい、次もまったり待ってます
288 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/28(水) 01:15:48.09 ID:Q8LiE2MLo
ナマズの話おもろい
level5のナマズ姫がすぐ後ろに控えてるしw
289 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/10/04(火) 03:13:15.52 ID:P095Mtf/0
やっぱり予告に間に合わないおさかな話、今日は(というか今回も?)かなり変な話です。
キャラ崩壊もすごいよー。特に上条さんが悪い意味で誰??って感じになってるよー。ご注意くださいー。
とうまの水槽シリーズ1本立て。途中長文があったりしますが飛ばしても大丈夫・・・かな?
話の都合上、キャラの挙動が不自然ですけどご容赦ください。ではどうぞ
290 :
とーまのすいそう
[saga sage]:2011/10/04(火) 03:14:50.63 ID:P095Mtf/0
☆
上条「水槽に新しい生き物を入れたい、そのためにはエアレーション用の器具が必要だったんだけど」
上条「いざ学園都市最大のアクアリウムショップで探してみると、こんなに種類があるんだな」
上条「二人がアドバイスしてくれなかったら悩んじまうトコだったよ。助かったぜ、ありがとな。御坂と御坂妹」
御坂「いいのいいのお礼なんて。ホントならこの子がこの間アンタにあげる予定だったセットで充分だったんだから」
御坂妹「それをお姉様が電撃でダメにしてしまったので今日はそのフォローです、とミサカは状況説明をします」
御坂「だからそれは悪かったってば。……ちょっとあの時は私もテンパってたし、その上あんなの目の前で見せられたら」
上条「ううっ、ソレは忘れてくれ!! 御坂妹の胸を触ったのはあくまで不可抗力で、確かに俺も悪かったんだからさ!!」
御坂妹「あなたが『ニュウタンクのメイトが……』と口走ったのでミサカはミサカの事を求めてるのかと一瞬期待しましたが」
上条「あれはニュータンクメイトの言い間違いで……、(って言うかニュウタンクって何? 見当たりませんけど??)」
御坂「?? ……ま、いっか。これで約束どおり全部チャラってことで、ね?」
御坂妹「そうはいきませんお姉様。まだミサカへの償いは残っている、とミサカは本日の懺悔ツアーの予定表を見せ付けます」
御坂「ほいほい、って事だから私たちはこの辺で。って、ちょちょ、ちょっと、分ったからスカートを引っ張るなああ!」
上条「おう、またなー。水槽のリニューアルが完成したら連絡するから二人で見に来いよー」
上条「……ん? 今オレ、何気に女の子を家に誘ったってことになるの?」
上条「いやいやいやいや、おさかな仲間の交流だから問題無いよな、うんうん。何もやましいことはない」
上条「それにインデックスだってオレ以外にも解説を聞く人がいたほうが嬉しいはず」
上条「つまり実に気が利いた判断だったワケだ ……オレ様は気遣いの男、上条当麻だ! なーんつってゴブゥ」 メキャッ
上条「お、お、お、……、この人体の急所への的確かつ容赦ない打撃、テメエ土御門!! いきなり出てきて何しやがる!?」
土御門「よっ、悪い悪いカミやん。『そろそろヤツを止めろ』ってどこからか聞こえた気がしてな」
上条「なんだか知らねーけどあんな攻撃、普通死ぬぞ!? ったくもう、痛ってえなあ……」
土御門「はっはっは、まあまあそう怒るなって。そんなことよりお目当ての物は買えたのかにゃ〜?」
上条「何でお前が知ってるのかは敢えて問わないけど、このとおり無事購入完了! っつか、思ってたより全然安いのな」
土御門「小型水槽クラスの投げ込み式エア濾過一体型セットなら外食一回分でお釣りが来るぜよ」
上条「確かにファミレス一食分だな。ポンプの電気代も年間で数百円しか掛からないし、もっと早く導入するんだったぜ」
土御門「実は維持していくと意外なところに金が掛かるんだけどにゃ〜……。で、そっちの大荷物はなんぜよ?」
上条「ん? ああ、これは御坂たちが『後で必要になるから持ってけ』って……」
土御門「ほほー、大量のフィルターと活性炭の替えカートリッジ。こういう消耗部品はすぐ交換時期が来るもんですたい」
上条「そうみたいだな。でもこれだけあれば当分大丈夫だろ。で、そういえばお前はなんでこんなところに?」
土御門「いやあ、ちょっとした野暮用で…………げっ、マズい!! カミやん急だけど失礼させてもらうぜーい」 バーイ
291 :
とーまのすいそう
[saga sage]:2011/10/04(火) 03:17:07.24 ID:P095Mtf/0
上条「なんだあ、あいつ? 突然現れて人をブン殴ったと思ったら早速走り去りやがって……」
上条「まさかまた大規模な魔術的事件が起こってるとかじゃないだろうな?」
上条「土御門は時に有無を言わさず強引に人を巻き込むクセに、自分のことは一切他人に関わらせないヤツだからなあ」
上条「そういう態度は却って周りの人に心配を掛けるってわかんねーのかよ……。ったく」
舞夏「おー、こんな店の真ん中で何をひとりごちてるんだ上条当麻ー?」ヌッ
上条「おわっと! 土御門、舞夏……。ん? お前がここに居るということは……」
舞夏「ところでお前ウチのバカ兄貴見なかったかー? 鉄拳制裁しなくちゃいけないんだがー」
上条「(そういうことかよ。心配すんじゃなかった!!)っと、さっきまでココに居たよ、でも後を追っても多分ムダだぜ?」
舞夏「一歩遅かったかー。仕方が無い、寮で待ち伏せするとしてお前はどうするんだー?」
上条「ん? ああ、もう少し店を見て周ろうかと思ってるけど」
舞夏「まさかと思うけど、もう生き物を買っていたりはしないだろうなー?」
上条「いや、まだ候補を探してる最中だけど。気になることでもあったのか?」
舞夏「水生生物を店で買ったら、直ちに且つ慎重に帰宅しなくてはいけない。コレは鉄則なんだぞー」
上条「そりゃそうだ。サイズの小さな生体の場合忘れがちになるけど、移動には酸欠その他のリスクが付き物だからな」
舞夏「もちろん川や海で捕まえた場合も同様だな。その場合持って帰れないと判断したら逃がすことも視野に入れるんだぞー」
上条「飼育していて死なせちまうのは悲しいけどコレはそれ以前の問題。肝に銘じておくよ」 マタナー
上条「……それにしてもあの義兄妹、ホントにデキてたりするのかなあ」
上条「もしそうなら土御門のヤツ、なんて罪作りな男だ! もしそうならだけど!!」
上条「報われない想いってのは一向に遂げられないからドンドン溜まっちまう。だから無理矢理でも区切らなきゃダメなんだ」
上条「相手の好意に甘えてズルズルと答えを出すのを引き伸ばすようなマネは最低だよな」 ウン
結標「同感よね。アイツは歳の数だけ生まれ変わって罪を浄化するべきだわ。つまり16回死ね! ってこと」
上条「いや、ソレはちょっと言いすぎじゃないか? って……あの、あなたは?」
結標「あら、やっぱりこの間は正気じゃなかったのかしら? まあいいわ。私は結標淡希、貴方には命を救われた事があるの」
上条「は、はあ……そうなの? っと、オレは……、……上条当麻は買い物の途中ですけど何か?」
結標「ぷっ、なにその説明口調? 上条君、って言うの? あの時はホントにありがとう。……意外と面白い人なのね」
上条「アハハ、ハ……。いや、こちらこそ覚えていなくて失礼しました。それでその、結標さんはこちらで何を?」
結標「特に用事はないんだけど、観賞魚ってキレイじゃない? ヒマだったから目の保養にね。そっちは?」
上条「ウチの水槽、今メダカとシジミしかいなくてちょっと寂しいんで、脇役の候補を探してるって感じですね」
結標「ふうん、おさかな飼ってるのね。あ、それなら脇役が何になるかは置いといて、エビや巻貝を入れるといいわよ」
上条「エビや巻貝? エビはともかく巻貝は嫌われ者のステ……じゃなくてスネイル? って扱いなんじゃないの?」
結標「巻貝の種類や環境にも拠るのよ。でね、そういうのを入れる利点は彼らが働き者の掃除屋だってことなの」
上条「掃除屋ね……。確かにそいつらなら壁面や水草に付く水垢やコケ、エサの食べ残しなんかを処理してくれるかも」
292 :
とーまのすいそう
[saga sage]:2011/10/04(火) 03:22:01.19 ID:P095Mtf/0
結標「自分で掃除する手間が完全に無くなるって程ではないけどね。でもとにかく一日中頑張ってくれるはずだわ」
上条「へえ〜、詳しいんですね。あ、じゃあついでにエビってヌマエビ系とテナガエビ系、どっちがオススメですか?」
結標「ヌマエビに決まってるわ。スジエビなどのテナガエビ系は大型で肉食傾向が強いからメダカには危険だし」
上条「危険だし?」
結標「何よりヌマエビは小さいじゃない? ちっちゃなハサミでちっちゃな顔でずーっとちっちゃくツマツマしてるのよ?」
上条「はあ……、まあ、そうですね。えーっと、じゃあ巻貝はどんな種類なら水槽に入れても大丈夫なんですか?」
結標「タニシ類やイシマキガイって事になると思うんだけど、オススメはイシマキガイね。なぜなら…」
上条「……ひょっとして、小さいから?」
結標「そう! タニシは油断してるとバカみたいに大きくなる種類もあるの。ったく、デカイ貝なんてキモイだけなのよ!」
上条「で、デスヨネ! タニシは入れすぎると増えすぎる場合もあるって聞くし。うんうん」
結標「メダカとシジミ、そこにヌマエビとイシマキガイ。うふふ、ちっちゃいもの水槽……、きっとステキな眺めになるわ!」
上条「……さ、参考にします。じゃ、オレはこの辺で。またいつかどこかでー」バイバーイ
上条「ふー。突然雰囲気が変わってなんか怖かった……。店が広くて助かったけど、あの売り場には当分近づけないな……」
上条「なんつーかあれだ。自分の主張しっぱなしで相手の意見を封殺しちまうのは良い事じゃないよな、うん」
上条「大した理屈もないのに強引に気持ちを押し通すってのは、暴力と変らないよ……。結標さん……、だっけ」
上条「自分の気持ちよりも相手の気持ちを思いやれるようになれば、きっとすごく魅力的になるんだろうな……」
削板「すごいパンチ」
上条「……へ?がぼっ!! おぅううううううううう、、、……な、テメエいきなり何しやがる!?」
削板「ふん、根性無しがそれなりの根性を見せてくれるじゃねえか。だが『何しやがる』だと?」
上条「知ってるぞ、お前はナンバーセブンだろ? 超能力者のクセにどうしてオレみたいなヤツ相手にケンカを売るんだよ?」
削板「こんなもんはケンカじゃねえ。お前はソレすら理解していない。わかるか? お前はオレの気持ちを思いやっていない」
上条「いきなり能力振るう相手の気持ちなんて知った事かよ!! それとも何か? オレにうらみでもあるってのか!?」
削板「すごいパンチ」
上条「がふっっっっつつつ」 ドーン
削板「今の質問は『コイツはオレを誰かと勘違いしている。だから意図を聞けば誤解が解ける』って寸法だろ?」
上条「がっ……ぐっ、だったら、だったら何だよ!? オレは、こんな目に遭わされる覚えなんて……ねえよ!」
削板「つまりだな、『自分はいつも正しくて他人は間違っている』言葉では否定してもお前は常にそう思ってるって事だ!」
上条「ワ、ワケわかんねえよ……。くっ……、第一、オレは絶対正しいなんて……」
293 :
とーまのすいそう
[saga sage]:2011/10/04(火) 03:24:41.44 ID:P095Mtf/0
削板「現に今だって自分の間違いを認めねえじゃねえか。ったく、物分りの悪いヤツだ。……お前、メダカ類って判るか?」
上条「はあ……? 唐突に何が言いたいのかサッパリだけど、メダカなら飼ってる。けどメダカ類ってのは知らない」
削板「現在の分類上メダカはダツ目だが、昔はメダカ目ってのがあってカダヤシやグッピーなどと同じグループだったんだ」
上条「カダヤシってのはアメリカ原産のメダカそっくりの小魚で、グッピーは最も基本的な熱帯魚だな」
削板「うむ。メダカ類とはそのメダカ目に含まれていた魚種、更にそれとは全く無関係だがメダカ風の小魚を漠然と含む」
上条「……つまり、正式な分類ではなく慣例的というか、単に『メダカっぽい魚たち』って意味として使う言葉か」
削板「そこまで理解したところで、かつてのメダカ目、現在はカダヤシ目に分類されるカダヤシという魚について考えるぞ」
上条「その昔ボウフラを食べるからという理由で日本に持ち込まれた外来種として、か?」
削板「加えて卵胎生でポンポン増える上に水の汚れや冷温に割と強く、強い肉食傾向で在来種を駆逐してしまう魚として、だ」
上条「確かに野生のメダカが居なくなって換わりにコイツが繁栄、って水源が少なくないって聞くけど……」
削板「現在ではその脅威から特定外来生物に指定されている。まあ、厄介者って扱いだ」
上条「ブラックバスやアメリカナマズと同じカテゴリかよ。だけど、ソレがどうしたって言うんだ?」
削板「メダカが好きらしいお前に聞くが、カダヤシは日本から居なくなったほうがいいと思うか?」
上条「……そりゃ、まあ。生態系の乱れってのは微妙なバランスで成り立つ自然環境全体を破壊する事だってありうるからな」
削板「ならばちょっとばかり無理な例えだが、カダヤシのみを全て殺す薬品が存在するならお前はソレを使えるか?」
上条「はあ?? いや、仮にそんなものが出来たとしたら使うのは専門家だろ? オレがどうこうする話じゃあ……」
削板「ふん、全く根性無しのセリフだな。カダヤシが居なくなればいいと言いつつ、判断は他人任せか」
上条「そういう意味じゃねえ! 仮にその役を正式に任されるたのなら躊躇せずに駆除するさ」
削板「へぇ? …………、ところでこの店は研究機関向けにカダヤシを常時ストックしている。ホレ、この水槽を見てみろ」
上条「これが……見れば見るほどメダカそっくりだな。移動や販売は原則禁止だから、今日ココで見れるとは思わなかったよ」
削板「さてそこで、この水槽の管理者であるオレがお前に依頼する。そいつら全部殺してくれ……、って言ったらどうする?」
上条「え…………、」
削板「任されたら害魚カダヤシを殺す。お前は確かにそう言ったな? なに、このビンの中身を一滴垂らすだけ。簡単な話だ」
上条「ふ、……ふ、ふざけんなよ? 何の意味も無くおさかなを、メダカそっくりのコイツらを殺せるワケが…」
削板「意味ならあるさ。この薬の効果、特に専門家以外が適当に使う場合でも期待通りカダヤシが死ぬか。それを調べる」
上条「なんでだよ……、コイツらだって生きてるんだぜ。勝手な都合で命を奪う権利なんてどこにも無いだろ!」
削板「現実を突きつけられて矛盾を起こす、か。……お前はホントに根性の欠片もねえどうしようもないクソだ」
上条「矛盾でも根性無しのクソでも構うもんか。オレが正しいだなんて言わねえよ。だがな、いいか?…」
294 :
とーまのすいそう
[saga sage]:2011/10/04(火) 03:28:26.36 ID:P095Mtf/0
上条「この世に絶対の真理なんてモンがあるのかはオレは知らない。だけどコレだけは言える。命より大事なものは無い。
知識よりも歴史よりも、もちろん金や名誉みたいなくだらないものとは比較にならない価値が命にはあるんだよ。
飯を食ってウマイと感じることも、風呂入って気持ちいいのも生きてこそだろ。テメエにはわかんねえのか!?
ヒトが生きてメダカが生きて、同じようにカダヤシだって生きてんだ。大体さっきも言ったけどなあ
カダヤシってのはもともと北アメリカ原産の小魚だったけど、蚊の幼虫ボウフラを好んで食べる性質があるから
その名のとおり蚊を絶やし、蚊の媒介する伝染病を防ぐことが期待され世界中に移入されたんだよな。
だけど、その強い肉食性、攻撃性、繁殖力、貪欲さが各地で大きな問題になってるってのもわかってる。
小さな体だけど、他の魚のタマゴや稚魚を襲って食べつくして移入地の生態系を大きく乱しちまうんだ。
今じゃ世界の侵略的外来種ワースト100に選ばれている、そういうヤツだってのは知ってるって言ってんだよ。
日本でもメダカやその他の小型淡水魚減少の一因がコイツだっていう可能性は低くない、なんて言われてんな。
でもな、考えてもみろよ? カダヤシはどうやって北アメリカからはるばる海を越えて日本にやって来たんだ?
ああ、そうだよ。人間の都合だろうがよ! 大正時代の始めに輸入したんだろうがよ!!
諸手を挙げて大歓迎しておいて、期待ハズレだったから忌み嫌い挙句には殺す? 理不尽にも程があんだろうが!!
無定見な移入が人間の責任だったら、ソレが原因で起こる在来種の減少も生態系の乱れも罪を償うべきは人間だ!
なのにカダヤシを駆除すべき厄介者として悪者扱い。罪を擦り付けてるだけじゃねえか!!
オオクチバス、コクチバス、ブルーギル、アメリカザリガニ、ミシシッピアカミミガメ、ヌートリア、キョン……。
同じ様な事態が今日まで何度も繰り返されてきたけど、一瞬たりともそいつらのことなんて考えてねえ。
自分たちの失態のツケをおさかなに押し付けてんじゃねえよ! 命を軽く扱ってんじゃねえよ!!
移入や移殖を計画するヤツはオレなんかと違って優秀なんだろ? なんで在来種と移入種の共存を考えない?
ヒトもメダカもカダヤシも幸せにずっと暮らしていける、そんな環境造りをなんで考えない?
考えたけど出来なかったってことなら、出来るまで諦めずにやれよ! 100回失敗、いや1000回失敗したからって
次もまた失敗って決まったワケじゃねえんだよ。コレだけ言っても判らないなら何度でも教えてやる。
命より大切なものなんて無い、コレは絶対に正しい事なんdゴブフゥウウウウウウウウウウッ」 ゴッキャグチャ
削板「すごいパーンチ、…………話が長い!! いい加減にしとけ、オイ」 上条「 」
削板「菓子や玩具売り場で幼児はダダをこねるよな? ありゃあ親に自分の願いを無理強いしてるんじゃねえ。
ダダをこねたらなんでも上手く行くと思ってんだ」
上条「 」ピクッ
削板「誰が、すら考えてない。泣き喚いていたらどうにかしていつの間にか問題が解決する、そう信じてんだな」
上条「 …」
削板「お前はナリだけ立派な幼児、いやそれ以下だ…………、おい? 人が話をしてるのに寝るな! この根性無し」 ペチペチ
上条「 …………、……寝てねー……よ。……………」
削板「よし、続けるぞ。お前が一番ダメなのは本心と言行が一致してるってことだ。……ん? 違うか? いや…………、
あー、ややこしい!! ややこしいが、燃えるオレの根性でわかりやすく説明してやる。
最初お前はカダヤシは駆除すべきと言った。だが目の前にカダヤシを用意された途端にガラリと主張を変えたな?
実際どっちもお前の本心からの発言だ。真剣に物事を考えていたならありえない変節だがな。
場当たり的で何の見通しも立てていない100%感情依存の自分の発言にこれまた無根拠の自信があんだろうが
それを世間一般で何て言うか覚えとけ。『妄想』だ!
頭ん中で作り上げたお花畑の世界を実現したいんだろ? しなくちゃイヤなんだろ? 出来るはずだと思うんだろ?
出来ていないのは他人の責任だと思っているんだろ!? だとしたら罪を拵えて擦り付けてんのはお前自身だ!!!
特定外来生物、またはそれには含まれないが環境への悪影響が大きい生物の名前をいくつか出したよな?
悪いのは生き物じゃなく何度も間違いを犯す人間だって? ああ、確かに生き物に罪なんざありゃしねえさ。
だがな、お前は身の周りにどのくらい外来種が存在しているのか考えたことがあるか?
大陸と海で隔てられた島国。南北の差が産む日照や温度差、急峻な山々から流れる急流が削り出す複雑な地形差
長い時間を掛けて作り出された土地ごとの環境に応じた動植物の独自の進化。
そしてそこに歴史を刻んできた人間が統治形態や物流の制限によって長らく地域差を守ってきたのが日本という国。
この国は元来、他国に比べてユニークな生態系が発展し維持されやすい特性を持ってんだ。
そんな日本に現在どのくらいの外来種があるのか想像してみろって言ってるんだよ!
で、さっきから外来種在来種と言っているがちゃんと理解してねえだろ? しゃあねえからついでに解説してやる」
295 :
とーまのすいそう
[saga sage]:2011/10/04(火) 03:31:24.75 ID:P095Mtf/0
削板「手元の小学国語辞典によるとだな、外来種とは……、載ってない…………。外来種なんてホントは居なかったのか?
………………違うからな? 困ってるワケじゃあねえ。……辞典に収録されないなんて実に根性の入った言葉だな!
ま、一般的には最も広義な捉え方『人の手により移入され定着した元々そこに居なかった生物』という意味で使うが
規制や何かをする場合の用語としてはそれだけでは足りない。時間的な起点を決める必要があんだよ。
例えば我が国の外来生物法では、明治時代以降に移入された生物が規制の対象である、とかな。なんでかわかるか?
もちろん時代が古くなれば記録も定かでないってのも理由の一つだが、んなことよりも明快な話なんだな。つまり
『起点を決めずに外来生物、外来種を規制しようとすればほとんど全ての生物が対象になってしまう』からだ。
植物で考えてみろ。主食の米に始まって、茶、大根、タマネギ、キャベツ、ほうれん草、きゅうり、ジャガイモ
サツマイモ、ゴボウ……キリがねえが、食用栽培種は全部外来種と考えて98パー間違いないぞ?
他にも竹や一部の松、イチョウなんかも外来種だよなあ。草木花果に満遍なく蔓延してるが、どうする?
動物でも同じことだ。ほとんど全ての家畜、ほとんど全ての愛玩動物、多くの淡水食用魚は元々移入されたもの。
ネコもイヌもウシもブタもニワトリもウマもニジマスも連れて来られなかったら居なかったはずの生き物だ。
このように外来種というのは定める起点によってほぼ0〜100の幅を持ってる。対する保護すべき在来種の定義が
『外来以外の種』であることと併せるとまったくややこしいことになっちまう。
……何が言いたいのか判らないって顔をしてるな。安心しろ。例えばそうだな、ムチャを通して
『カダヤシを駆除するのなら全ての外来生物も同様に規制、場合によっては駆除すべき』とか、逆に
『外来種が溢れているのが現状だ。だからカダヤシは駆除しなくても良い』なんて極論に走るつもりはねえ。
そうじゃなくて、古来より日本では外来種を多く取り入れていて、多くの成功例を持っているってことを示したんだ。
まあ何を持って成功とするかさえ基準によって変っちまうからアレなんだが、更に突き詰めてしまえばこうか?
『外来種問題の原因が人間なら、外来種の生態が引起す事象を問題とするのも人間』じゃねえのか?
稲作がイヌビエって雑草の繁殖地を減少させたことを問題にするヤツがいるか? クニマスが本来の生息地以外で
発見されたことを糾弾して駆除しようというヤツがいるか? 江戸時代の文献では食用では無いとされるキュウリが
今では生で食べられるみずみずしい野菜になっちまったことを嘆くヤツがいるのか? 居るはずねえよな。
人間が困るか困らないかで有害有益を判断するのは自然なことだ。なにしろ人間は自然の一部なんだからな。
ところがお前は違う。
カダヤシを殺すのを嫌がるのも、メダカが減少するのはダメだというのも、人間が困るからじゃないんだ。
カダヤシやメダカが困るからイヤだ、っていう不自然なことを本気で言ってるんだ。実に救いようの無いバカだ。
豊かな自然を守ろう、かけがえの無い命を大切にしよう、美しい地球を未来の子供たちに残そう。いい響きだな。
だが普通こういう美辞麗句は頭に『自分のために』をつけて考えるべきであり、考えて使っているはずなんだ。
山の森林を大規模伐採して耕作地に替えてしまったがために、毎年のように水害に襲われる国がある。緑化運動は
例えばそうした被害を防ぐための直接的な手段であり、決して『緑が溢れると地球も元気になるよね!』なんて
クソメルヘンの世界とは無縁だろ? 保護も駆除も開発も言葉にした時点で人間のエゴだからな。
それなのにお前は妄想世界と現実が違うことがイヤで、わかりもしないのに生き物の代弁者になったつもりで
人の行為を罪に仕立て上げて断罪したんだ。自分がどんだけバカでクズだがそろそろ気付いたか?
更にお前が悪いのは、自分の言行を自分のためにやってるってトコだ。ん? それは普通だって話じゃないかって?
ココが一番ややこしいんだが……、さっきまで言ってた自分のため、人間のため、ってのは目に見える利がある。
平たく言えば『そっちのほうが実際に得だから、やろうぜ』……、そういうベクトルの感情ってことで理解しろ。
一方お前の考える自分のため、ってのはそうじゃない。目に見える実利が無いんだ。
カダヤシの命を守りたい、なぜって自分が満足するために……。カッコイイよな? だがそういうことでもない。
満足を求めるんならいずれ全ての生き物を死から守らなきゃいけなくなるからな。そうじゃなくてお前は、
『カダヤシの命を守って満足するオレカッコイイ』ってみんなに思ってもらいたいんだよ。
自分の考えを善と捉え、自らの欲求に従ってそれを為す。その上でアレは自分のためだ、と言い放つ。
それでいて関係ない世界など考えもしない、だって自分の為だから。深く計画することも無い、だって今やりたいから。
ドコまで思い上がっているんだか。神にでもなったつもりか? ……って思ったがそうじゃねえんだなあ。
確かにお前は自分以外の全ての人間を見下している。力が無いと言いながら自分の異能が何より優れた力だと思ってる。
根拠の無い思いつきの行動であっても持ち前の幸運で全てが上手く行くと信じている。全知全能ってこんな感じかね。
それがそうじゃねえってのは、お前の世界は頭の中で完結してるって意味だ。
カダヤシが害魚扱いされてるのもヌートリアが日本の河川で悠々と泳いでるのも全部、現実だと思ってねえ。
だから無責任なことが言える。だから適当な行動に出る。だからそれでも運良く事態は改善に向かう。当然だ。
お前が見てるお前の世界の中ではお前の考えが絶対に正しいに決まってるんだから。正しさもお前が決めるからな。
現実とリンクしていない妄想の世界を限りなく広げて、それで満足してりゃ良いのにお前は評価を欲しがった。自分の
作った箱庭の出来を見せびらかす。ソレがお前の言う自分のためなんだよ。やってることはガキの人形遊びと同じだが
現実世界と他人の妄想世界を壊すんなら悪だ。悪は懲らしめなくてはならない。だからオレはお前を制裁した。
わかったか? お前は妄想世界の本音と現実世界の言行が一致してしまっている。余りに幼稚で未熟で醜悪なほどにな」
296 :
とーまのすいそう
[saga sage]:2011/10/04(火) 03:37:48.61 ID:P095Mtf/0
上条「なんてこった……。正直内容はほとんど意味不明、勢いに押された感で満載だけど………、オレは間違っていたんだな」
削板「間違いに気付けば今は充分だ! 過ちては則ち改めるに憚ること勿れと、かの王冨も言っている」
上条「そりゃ孔子のセリフだ! 王冨って火薬で空を飛ぼうとして爆死した中国明時代の官僚だろ?」
削板「言ってないとは限らないから間違いとは言えない!!」
上条「強引なヤツだなあ。……まあでも、有頂天になったりしないよう気をつけるよ。忠告サンキューな」
削板「ああ、久々に根性出して説教できてスッキリしたぜ。じゃあな、第二位!」
上条「またどこかで……、第二位? おい、第二位って何のことだ?」
削板「今更何を言ってやがる? お前が超能力者第二位、垣根なんちゃらだということは綿密な調査で既に確定的に明らかだ」
上条「えーっと…………、あの……、人違いデスヨ?」
<オヤ カミジョウ マタフコウナメニ アッテルミタイダケド? ナニ? コイツノナマエ? カミジョウダケド ッテ ソギー ダケド
削板「………………」 上条「………………」
『………………』
削板「じゃ何か? その、上条は、謂れの無い説教を喰らって何故か反省したってのか? お前頭大丈夫か???」
上条「やかましいいいいいいい!!! まずは間違えてゴメンなさいすんのが人として正しい態度だろおおおおお!!!」
削板「人に罪を擦り付けるなと言ったろうが! 間違えるのは人間の特権だ!! 大丈夫、何も問題ない!!!」
上条「もう誤魔化されねえぞ!! 適当なことばっか並べやがって、こっちだって我慢の限界だああああああああ!」
削板「終わったことをいつまでもウジウジと、全く大した根性無しだ。よし、じゃあこうしよう。ホレ、一発殴れ」 ズイッ
上条「な?? ………………フン、お返しなら三発だろ?」
削板「細かい事に拘るんじゃねえ! もうそれでいい、三発殴って全部チャラだ!」
上条「最後の最後まで偉そうにしやがって、よーし! 三倍になったこと後悔すんなよ!!! うりゃ!」 ガンッ
削板「どうした!? 拳に根性が乗ってないぞ! 手加減など要らんから何発でも本気で来い!!」
上条「痛ってえええええ! どうなってんだテメエの体は!? 畜生、もうこうなりゃヤケだ!!! うりゃ! そりゃ!」
上条「 」 ズーン
削板「終わりか? んじゃ約束どおりこれで全てチャラだな。ま、オレが気に入らなければいつでも来い。じゃあな!!」
上条「酷い、あからさまに酷い目にあった……、不幸だ……」
上条「人違いでコレだけ人をボコボコにした挙句に延々と、それも割と誰にでも罪悪感を与えるような説教しやがって」
上条「体が弱れば心も弱るんだ! たとえデタラメな内容でも、誰だってボッコボコにされた後なら聞き入れちまうだろが!」
上条「あんなのは万が一言ってることが正しくても絶対信用しちゃいけないタイプだぜ……」
297 :
とーまのすいそう
[saga sage]:2011/10/04(火) 03:40:19.19 ID:P095Mtf/0
上条「とかなんとか言ってるうちにもうこんな時間か。戻らなきゃな」
298 :
とーまのすいそう
[saga sage]:2011/10/04(火) 03:41:16.46 ID:P095Mtf/0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――
上条「…………ん」
禁書「おはよう、とうま!」
上条「……くあ〜。ああ、おはようインデックス」
なんか変なユメ見たんだけど内容忘れちまったよ 変なユメ? ユメは魔術的にも重要な意味を…
ああーっと、面白そうな話だけどさ、ソレはまた今度な! むう、とうまはまだ魔術をバカにするのかな??
ち、違うよ。朝は飯の準備に出かける仕度に、休んでるヒマの無い戦争なの! 戦場ならとうまは五等兵くらいかも?
それって偉いのか? 知らない
――――――――――――――――――――――
――――――――――――
――――――
禁書「行ってらっしゃい、とうま。……あ、そうだ」
上条「んじゃ、行ってくるからなー……っと」
『水槽に新しい生き物を入れるための準備を揃えに、買い物に行くの忘れないでね』
上条「…だろ?」
禁書「人のセリフ先読みしてカブせないで欲しいかも!! まあとにかく帰ってくるの楽しみに待ってるからね」
上条「おう、学校の帰りに必ず見てくるから任せとけ! じゃあ留守は頼むぞー」 バタン
〜おしまい〜
299 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/10/04(火) 04:07:32.44 ID:P095Mtf/0
以上、第二十四回「とーまのすいそう」でした。毎回のごとくですが、いろいろすいません。恒例の言い訳タイムです
侵略的外来種の問題はどうしても簡単に答えが出ないのですが、一度は扱ってみようと思ってて
でも対話形式だとどっちかが正解って感じに流れちゃうので、他人の話を全く聞かない人たちの討論にしたらどうかなって
結果はこのザマだよ・・・。構成の都合上、上条さんは通常の2倍は鈍感になってるし・・・
で、実は最終回のつもりだったので夢落ちして朝起きたらおさかな世界から脱出してる、ハズだったんだけど
やっぱりもうちょっと続けようって無理に改変してみたらあら不思議! なんとも奇妙なループ話に! ・・・見えたらいいな
というわけで、グダグダな言い訳もセットで付いてきてお得なおさかな話。次回は通常版でお届けします
ではではまたー
300 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/04(火) 07:11:33.35 ID:KxjKohHDO
乙!続くなんて俺歓喜
ソギーきたぁ!!ていとくんに説教して何をどうするつもりだったんだよ第七位
そして話なっげえぇぇぇwwwwww文字数の多さにニヤニヤしちまったww
上条さんの発言がいちいちブーメランになっててかつツッコミがこの上無く的確でわろた
次もゆっくり待ってます
301 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2011/10/04(火) 09:34:40.39 ID:7bgUgcbAO
外来種とは関係ないかもしれないけど、人間には自分たちの利益となるものは積極的に利用して害となるものは排除(駆除)しようとする都合のよさがあるな
まあ、当然か
302 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/10/10(月) 21:52:26.73 ID:sqFkZxMh0
いや、僕じゃナイデスヨ
と、謎のつぶやきからスタートしたおさかな話。今日はすごく簡単な話題で行きたかったんです本当です
第三パートがスッキリしてないままの投下をお許し下さい。テーマは『結晶』です。ではどうぞ
303 :
結晶
[saga sage]:2011/10/10(月) 21:53:36.80 ID:sqFkZxMh0
☆
「なあインデックス、女の子はキラキラした宝石が好きな子多いだろ。なんでなんだろうな?」
「とうま? 言いたい事が良くわかんないけど、硬くて立派なものに惹かれるのは人間なら誰しも同じじゃないかな?」
「……………………コホン。ん、つまりアレか。宝石の魅力は見た目の美しさとその永続性っつーこと?」
「もちろん例外はあるけどね。その神秘的な存在感が太古の昔から人間を魅了し続けているんだよ」
「神秘的、か。確かにダイヤモンドは傷つかないからソレを持つ者の命を守る力があるとか言うしな」
「宝石、例えば紫水晶を粉末にして飲んでた時代もあったんだよ。鰯の頭を信じない人は地獄に落ちる、みたいなものかも」
「『しんじんから』はそういう意味じゃねーけど。ちなみに水晶って二酸化珪素の結晶だっけ?」
「とうまの教科書によるとそうみたい。宝石って割とありふれた元素が素になった物の結晶であることが多いんだね」 パラパラ
「珪酸塩鉱物ってことで言えば水晶はもちろんとしてオパールやトルマリン、翡翠にベリルにガーネット、……キリがねーな」
「ダイヤモンドは炭素の結晶だしね。あと、コランダムってアルミナ(酸化アルミニウム)の結晶……、あれ?」
「そうそう。コランダムの中で宝石としての価値があるものがサファイアで、更にその中で赤い色をしてるのがルビーだな」
「つまりルビーって赤いサファイアなんだね。……はっ、とうま! アルミ箔からルビーを作って大儲けするんだよ!!」
「んなこと簡単に出来たら誰も苦労しねーよ。それならガスコンロでアルミ箔をあぶってダイヤモンド作ったほうが速いぞ?」
「それだって顕微鏡で見ないとわかんないようなチビダイヤでしょ? 宝石とは呼べないかも」
「だな。まあアレだ。宝石が貴重なのは、長い時間と途轍もないエネルギーと偶然が重なって初めて出来るからってことだろ」
「そだね。……あ、でもねとうま。宝石扱いされる物の中にはそうとも言えない例外があるんだけどわかる?」
「ん? ん〜…………、ああ、琥珀か?」
「琥珀は樹液の化石だね。弦楽器奏者が使う松ヤニそっくりだけど、決して短期間で出来るものじゃないかも」
「むむ……、じゃあジェット?」
「黒玉とも呼ばれるイギリス的宝石だけど、これも(樹木の)化石だよ。もっと短い時間で出来るもので考えて欲しいかも」
「……ふむ。要するにインデックスは真珠の事を言ってるんだな? おさかな話だし」
「うんうん、よく気が付いたねとうま! 誰でも知ってることだけど真珠ってただの石じゃないよね。水産物だもん」
「っても細かいことまでは知らないけど」
「真珠島とかバロックとか金・銀・パール・プレゼント♪ なんかで割と耳や目にする機会が多いのにね」
304 :
結晶
[saga sage]:2011/10/10(月) 21:54:50.42 ID:sqFkZxMh0
「今日はそんな真珠の話ってワケか。とりあえず常識として、貝の中で出来るんだよな」
「そうだよ。代表的なのはアコヤガイやアワビ、淡水真珠貝のイケチョウガイ、黒真珠で有名なクロチョウガイなど、かな」
「ちょっと待った! アワビ? 他の貝は良くわかんないから置いておくとして、アワビから真珠って採れるのかよ?」
「順を追って説明するから慌てないで欲しいかも。まず第一に、そもそも真珠の成分は貝殻と同じなんだよ」
「えーと、貝殻と同じってことは鍾乳石と同じ炭酸カルシウムが主成分なんだな。それで?」
「貝は外套膜っていう部分からの分泌物で殻を作るんだけどね、この部分が何かの拍子で小さく千切れることがあるんだよ」
「外套膜っつーのは、貝の中身が殻に接している部分の名前か。で、千切れる場合って例えば?」
「砂粒や寄生虫の進入とかかな? で、その外套膜の破片が軟体組織内……、要は体の中に入っちゃうと勝手に復元するの」
「ん??? 破片が復元ったって、外側の部分なのに体の内部に移動しちゃもうダメなんじゃねーの?」
「ダメって言うか、元の場所に戻ることは出来ないから結局その場所で袋状の組織になるんだよ。これを真珠袋っていうの」
「……ああ、そういうことか。外套膜は貝殻を作る。同様に袋状の外套膜、真珠袋の中でも貝殻が、つまり真珠が出来ると」
「養殖真珠の場合は中心となる核と外套膜の切片をセットにして、手術で生殖巣に入れるの。真珠袋が核を包むようにね」
「ふむ。天然の美しい真珠は偶然の産物だけど、養殖なら入れる核によって希望の大きさや形くらいは揃えられるわけだ」
「それもある程度だけどね。商品価値のある真珠が採れる確率は5〜30%くらいみたいだし」
「ふ〜ん。にしても貝にとっては災難だよなあ。たまたまキレイな貝殻を持ってたってだけで手術だの養殖だの……、あ」
「気付いた? アワビも貝殻の内側がとってもきれいな虹色でしょ? ああいうのを真珠層って呼ぶんだって」
「なるほどね。殻の内側がキレイな真珠色をしている貝が真珠を作るって考えればいいんだな」
「うんうん。たとえ千切れた外套膜が袋を作って体内で貝殻が出来たとしても、キレイじゃなきゃ真珠じゃないんだよ」
「アサリやハマグリの殻の内側は真っ白だったりするから、仮に真珠?が出来てもやっぱり白いのかな」
「だと思うよ。そういうのは区別して真珠様物質って呼ぶんだよ。だからお味噌汁飲んでて何か入ってても大喜びしないでね」
「いや? 上条さんとしてはソレはソレで大当たりだと思うぜ? 記念になるし、珍しいし、立派にお宝だろ??」
「最初のとうまじゃないけど、私は男の子のそういうところがわからないかも……」
305 :
結晶
[saga sage]:2011/10/10(月) 21:56:22.38 ID:sqFkZxMh0
☆
白井「唐突ですけど、サンゴって最近あまり名前を聞きませんわね」
佐天「え? そりゃいくら名作って言っても連載が終わって随分経ってるから仕方ないですよ」
御坂「最後は結局どうなったんだっけ? 実家のお寿司屋さんを継ぐとか大学でオリンピックを目指すとか……」
初春「あれ? 白井さんは宝石のサンゴのことを言っているんじゃないですか?」
白井「ええ……、3月の誕生石コーラルこと珊瑚ですの。まさか初春しか分ってくれないとは思ませんでしたけれども」
御坂「え、そっち?? …………でも確かにそうね。サンゴと聞いて宝石を思い浮かべないんだもん」
初春「世界的に見れば乱獲が問題になっていたり大国の買占めがあったり、全然大人気ですけどね」
佐天「でもさ、サンゴって結局真珠と同じ炭酸カルシウムでしょ? 鶏卵のカラをありがたがるみたいで、なんだかなあ」
白井「卵殻でもイースターエッグでしたら時には美術品以上の価値がありますわよ? 組成など些細なことですの」
御坂「だね。それに昔は宝石サンゴの赤い色は血の色に見立てられて、数多くの伝説の証とされてきたのよ」
初春「蛇女メデューサや十字教で言う神の子の血が固まったものって話ですね。まあ赤い色の宝石にはありがちですけど」
佐天「真珠は人魚の涙ってのに比べたらちょっとバイオレンスだね……。あ、そういえばサンゴって動物なんですよね?」
初春「サンゴ虫ですね。動物にしては変な生態をいろいろ持ってますけど。まずそもそも動かないですし」
御坂「種類によるけどね。分類としてはイソギンチャクやクラゲなどの親戚って考えればいいかな。刺胞動物ってグループね」
白井「その中で一箇所に留まって骨格を作り出す性質を持つものをサンゴと考えればいいんですの」
佐天「つまりサンゴって骨を作るイソギンチャクですか……。じゃあ同じように口や触手があるんですか?」
御坂「かなり単純な形になってるけどちゃんと獲物を捕まえて食べるみたいよ」
白井「ですが珊瑚礁を作るものと宝石を作るものは別種でして、特に栄養摂取の面では大きな違いがありますの」
初春「珊瑚礁を作るサンゴはかなり浅く透明度の高い海に棲んでいますね。きれいな海って、響きはいいですけど」
佐天「多くの生き物にとっては食べるものが無い死の海でもあるんだよね。なんでそんなとこにわざわざ?」
御坂「珊瑚礁を作るサンゴを造礁サンゴって言うんだけど、必ず体内に褐虫藻って単細胞生物を飼ってるのよ」
白井「要は植物ですわ。造礁サンゴは体内でそいつらに光合成をさせて栄養を補給出来るんですの。もちろん捕食もしつつ」
初春「だから海底まで光が届く透明度の高い浅い海に棲むんです。一方で宝石サンゴはかなり深い海に居ますね」
御坂「造礁サンゴは褐虫藻を飼っていない宝石サンゴに比べて骨格を作る速度が段違いなのよ。光合成のお陰なのかな?」
佐天「そりゃまあ、島まで作っちゃうくらいですもんね。宝石サンゴはそんなわけには行かないだろうし」
御坂「1cm成長するのに50年掛かる種類もあるみたいね。でも珊瑚礁だって出来上がるには長い時間が掛かるのよ?」
白井「珊瑚礁にはサンゴに隠れて生活する小魚やソレを捕食する大魚が集まって、死の海はやがて極彩色の楽園になりますの」
初春「深海のサンゴも珊瑚礁のサンゴも気の長い芸術家ってトコは同じですね。美しいのは生き方そのものですけど」
初春「え? ……オチなんてありませんよ? …………、空気を読めない子は後々苦労しますよー」
306 :
結晶
[saga sage]:2011/10/10(月) 21:58:06.17 ID:sqFkZxMh0
☆
打ち止め「ねえねえ、最大の魚類はジンベイザメだよね。じゃあ最大の水生生物って何?ってミサカはミサカは質問してみる」
一方通行「…………よく覚えてねェが前に同じよォな流れが無かったか? ソレはともかく、最大の水生生物か……」
打ち止め「およ、もしかして久々の難問だったりする?ってミサカはミサカは謎の手ごたえを感じてみたり!」
一方通行「オマエの価値観なンざ知ったこっちゃねェが、確かにその問にはある難題が関わってる。群体をどォ扱うか、だ」
打ち止め「グンタイ? 超能力者と互角に渡り合う人的暴力装置のこと?ってミサカはミサカは不穏当にボケてみたり」
一方通行「……話を聞きたくねェのか? フザけてンならオレは止めても構わねェけど」
打ち止め「聞きたい聴きたい嬉々期待!! ってミサカはミサカは今後は気をつけるからお話の続きを切望してみる!」
一方通行「次はホントに打ち切るからな。……で、アレだ。通常、現生最大生物はクジラの仲間ってことになってる」
打ち止め「ほほぉ、ということは有名なシロナガスクジラが一番大きいんだねってミサカはミサカは確認してみたり」
一方通行「だな。体長30m以上、体重150トン以上、一日の食事量は4トン。最長・最大・まさに規格外の海棲哺乳類だ」
打ち止め「数字だけ聞いてもホント圧倒的だよね。それに特殊能力を使わず遠距離の仲間と意思疎通したり出来るんでしょ?」
一方通行「よく知ってンな。巨体を使った単なる鳴き声も規格外。180ホン超の低周波で通信圏は100km以上なンだとよ」
打ち止め「……何もかもがデタラメなサイズでイメージしにくいんだけど、コレ以上の生き物がホントにいるの?」
一方通行「ンー……、とりあえずソコは後回しにしとけ。ところでカツオノエボシって分るか?」
打ち止め「ミサカネットワークをナメたらいかんぜよ!ってミサカはミサカは唐突な質問に『毒クラゲ』と即答してみたり」
一方通行「便利だなソレ……。そォ、空気の詰まった青いポリ袋のよォな外見の、危険だが珍しくもねェクラゲだ」
打ち止め「大きさは餃子以上メロンパン未満ってとこかな。で、このカツオノエボシがどうしたの?」
一方通行「その大きさってのは水面に浮かぶ袋の部分だけだろ? その下には最長で50m以上にもなる触手があンだよ」
打ち止め「50m!? あな……、あなおそろしや、誰かの全力疾走で20秒くらい掛かるほどの長さの触手って……。あれ?」
一方通行「そンなモヤシは知らねェが、言いたい事は分る。最長のはずのシロナガスクジラより長いよな?」
打ち止め「つまりカツオノエボシには最長生物とされない理由があって、それがさっき言ってたグンタイに関係があるのね?」
一方通行「正解。で、群体ってのは簡単に言えば無数の個体が群れを成し一個体のよォに振舞ってる状態を指す」
打ち止め「小魚が群れを作ってまるで一匹の大きな魚みたいに見えることがあるけどそういうこと?ってミサカはミサカは…」
一方通行「そのレベルじゃねェ。一匹のクラゲに見えるカツオノエボシは実は群体なンだよ。ンじゃ、詳しく行くぞ」
307 :
結晶
[saga sage]:2011/10/10(月) 21:59:41.78 ID:sqFkZxMh0
一方通行「っと、群体の解説に入る前に紛らわしい用語、『クラゲ』について最初に説明しておく必要があンな……。
普通、クラゲと聞けば生物の名前だと思うだろォが今回は別の意味でも使うからな。
イソギンチャクやクラゲ、サンゴなどが含まれる刺胞動物というグループは大別して二種類の型がある。
一つはポリプ型。これはイソギンチャクをイメージすりゃ良いが円筒状の体型の一端が口になっていて
逆側は岩などにへばり付くための部分って構造をしたタイプだ。
そしてもう一つがクラゲ型、クラゲと聞いてイメージするだろォ傘を持つ浮遊生活に向いたタイプだ。
この二つの型をそれぞれ単にポリプ、クラゲ、と呼ぶ事があるから注意しろ。
例えば海水浴の嫌われ者として馴染みのあるミズクラゲってのが居るだろ? 刺されても然程痛くねェヤツ。
アレは浮遊する幼生が岩などに固着してポリプとなり、イソギンチャク同様の生活をしつつ成長した挙句に
分離して再びクラゲとして海中を漂い、その成体は有性生殖の後に幼生を放出して一生を終える。
判ったか? 名前か型か、そのクラゲがどっちを意味してンのか注意してねェと混乱すっから気ィ付けろよ」
打ち止め「えーっとつまり、クラゲがクラゲじゃないときでもクラゲはクラゲなのねってミサカは……、ややこしいよ!!!」
一方通行「それ以外にもクシクラゲはクラゲでは無いと言っても間違いじゃねェとか、クラゲ話は紛らわしいンだよ」
打ち止め「クシクラゲは刺胞動物じゃなくて有櫛動物だからだよね。でもクラゲと言っても間違いじゃない……」
一方通行「その辺は自分で調べた方が良いだろォな。とにかくクラゲの話題には気をつけろってこった。続けンぞ」
一方通行「カツオノエボシはヒドロ虫綱クダクラゲ目ってのに分類されンだが、これまたミズクラゲやエチゼンクラゲ、
アンドンクラゲなどの鉢虫、箱虫綱じゃねェって理由でクラゲでは無いとされることもある。
じゃ何だ?っつーとヒドロ虫の群体、ってコトになるンだが……、今回は面倒なンでヒドロ虫の説明は省略して
さっきの『群体とは無数の個体が群れを成し一個体のよォに振舞ってる状態』の話に移る。
クダクラゲ目の体は一本の管から気泡体や栄養体、感触体や生殖体が生えてるよォな構造をしてンだが
その一つ一つのパーツが実はそれぞれ別個のヒドロ虫なンだ。つまり、浮き袋になってるだけの個体や
獲物を捕らえるだけの個体。食べるだけの個体に有性生殖を担当するだけの個体。他に遊泳担当の個体を
備えた種類も居るがそォした多数の個体が一箇所に集まりそれぞれ別個の活動をすることで全体としての
まとまった生命活動になっている状態、こォ言うのを群体と呼ぶ。たとえるなら、ネジを回すだけのヤツと
色を塗るだけのヤツ、溶接するだけのヤツなンかが集まってる製品工場のイメージかね? 一人一人の仕事は
ソレだけでは意味が無いが全体として見るとクルマやらテレビが次々作られてくだろ?
で、その個々のパーツなンだが別にその辺をふら付いてたクラゲが集まってるワケじゃねェ。カツオノエボシでは
まず最初に小さなポリプともクラゲとも呼ばれない状態、幼生として海を漂い、成長に伴い変態をしていく。
そのうちに一端は浮き袋、もう一端は口と触手を備えた一本の管(クダ)状に変化し更にその後、この管の部分が
木の幹と同様にいくつかの成長点で伸びそこから各器官の役割を担う個体が次々に発生する。
植物の芽のよォに増殖するそれぞれの個体は生えてきた位置によって役割が決まり形も機能も様々ではあるンだが
最初は一個体の幼生だろ? つまり群体を構成する無数のヒドロ虫は全て無性生殖によって生まれたクローンだ」
打ち止め「んんん??? 同じ遺伝子を持つ異なる役割の器官を備えた集合って、ふつうの生き物と何が違うの???」
一方通行「オマエって時々ヤケに鋭いな……。確かに群体は単細胞生物から多細胞生物への進化段階と見做される場合もある」
打ち止め「まあ、何を言ってるかミサカ自身は分ってないんだけどねってミサカはミサカはカンニングを暴露してみたり」
一方通行「…………覚えとけ、正直は美徳とは限らねェぞ。ラスト行くが聞きたきゃ勝手に聞け」
一方通行「最大の生き物は何か? って問題にカツオノエボシが挙がらない場合がある理由は以上のよォに単独の個体とは
言えないからだが、もし群体も考慮すンなら他にも巨大生物は存在することになる。
クダクラゲ目の別種、マヨイアイオイクラゲは幹の長さが40mの細長い群体生物である、とかな。
ただソイツらを認めちまうと、更に厄介な存在が浮上してくる。多くが刺胞動物門花虫綱六方亜綱に属する動物、
骨格を作る小さなポリプが群体を成し果ては珊瑚礁すら作っちまう、造礁サンゴって呼ばれるグループだ。
体内に褐虫藻を飼うことで光合成によるエネルギー補給が可能なコイツらは、より多くの太陽光を浴びるために
せっせと骨格を造り群体全体を水面近くまで盛り上げていく。生命活動をしてンのは表面だけであとは石灰質の
ただの土台だが結果として島レベルのデカさに成長すンだろ? クラゲの長さはもちろん、クジラの重量すら比較に
ならないンじゃねェか? もちろん、群体を考慮するとしてもその大きさは生きてる部分のみで考えろって批判も
あンだろォが、なら樹木はどォなンだよ? アレだって太い幹の大部分は単なる柱で、生命活動はしてねェ。
だから樹木の大きさを表す場合は葉や根毛や樹皮直近部分のみで考えろ、なンて誰も言わねェだろォが。
とは言え、生命活動の結果出来上がってンだから珊瑚礁全体を生物と見做すべきだ、なンて誰も主張しねェがな。
群体はその形態によって、或いはドコまでを一塊と扱うかで大きさに際限が無くなっちまうコトがある。
オマエの言う普通の生き物との違いはその辺りかもな」
308 :
結晶
[saga sage]:2011/10/10(月) 22:02:25.74 ID:sqFkZxMh0
打ち止め「ふむむ……、ホント紛らわしくてややこしい話だったねってミサカはミサカは見も蓋も無く総括してみたり」
番外個体「そんで、無数の個体が演算装置部品として機能する知的生命群体の誕生はまだかね?」
芳川桔梗「残念ながら刺胞動物には脳が無いし、パーツもただ反射的に活動してるだけだからソレは難しいわね」
一方通行「……そンなモンが産まれるためには、まず種の維持にエネルギーを使う必要の低い環境が必須だろォな」
打ち止め「死なないために必死で個々が役割分担してたら他のこと出来ないもんねってミサカはミサカは頷いてみる」
番外個体「ふーん、所詮SFの話か。……あ、それとさ。ミサカネットワークって繋がり合うクローンが作る集合じゃん?」
打ち止め「その発想は無かったよ……。物理的には全然繋がって無いけど、意識は電気的に集合し一つの脳のような…」
一方通行「端から意識を持つ個体同士なンだから知的に関係しあって当然だろ。それにテメエらは群体とは言えねェよ」
芳川桔梗「そうね。打ち止めからポコポコ妹達が生えてくるならまだしも。……ん〜、あなたたちの状態は群体と言うより」
<ガチャっと 「超お邪魔します、と言っても超セクシー系美少女の私がお邪魔である理由など考え付きませんが!」
絹旗最愛「その場合は群体ではなく、超個体と超言うべきですね。分業が無いのでコレも超正確な表現ではありませんが」
打ち止め「突然誰?? ってミサカはミサカはコンパクトな侵入者に警戒してみたり」
番外個体「へ? なにこのチビコロ? オチドロボー?」
芳川桔梗「だけど『オチ盗人に罪は無し』よね。知らないおちびさん、何だかわからないけどオチ担当ご苦労様」
一方通行「いや、オチてねェだろォ!? それとそこのクソチビ、終盤に未解説の用語を出すンじゃねェ!!」
打ち止め「もう行っちゃったよ? ってミサカはミサカは言われっぱなしの謎の童女にちょっと同情してみたり」
絹旗最愛「超個体とは、完全に分離独立した多数の個体が形成する一体の生物のように振舞う集団です。群体と異なり
個々のパーツは超短時間であれば集団を離れる事が可能です。イメージが沸きませんか? バカですか?
昆虫のハチを思い浮かべてください。オスと女王バチが生殖を、働きバチが栄養摂取や防衛を担当しますよね?
それぞれのハチは完全に一個体なので移動も可能ですが、巣から離れての単独生活は超無理です。
この場合の蜂の巣を中心とした群れ全体を超個体と超呼びます。個々のハチはただのハチなので超要注意です。
ただコレは多分に概念的な表現ですので、例えば人間集団の行動が超個体的と言っても間違いじゃなかったり
もっと行き着いてしまえば生物全体が超個体であって互いに干渉しあい究極の進化を目指す、なんて意味不明な
話も作れちゃいます。究極の美に最も近い私と、浜面こと超浜面が同じ生物の異なる部分を担当するかのごとく
扱われていいはずないですよね? 大罪にも程があります。浜面調子乗んなです。あと私ちっちゃくないです!
そんなちょっと理解が超難しい言葉なので、生物学を本気で学ぼうとしない限り忘れちゃっても構いません」
浜面仕上「……、何の話だ??? オレ突然呼び出されて何でバカにされてんの??? オレは何の役割なの???」
絹旗最愛「栄光の大オチですよ? そんなこともわからないから浜面はいつまでたっても超キモ面のウマ面のバカ面の…」
〜おしまい〜
309 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/10/10(月) 22:20:37.44 ID:sqFkZxMh0
以上、第二十五回『結晶』でした
第一パート、養殖真珠は核を入れる手術から半年程度、貝を育てる期間を含めても5年程度で出来ます
万年単位、或いは億年単位を必要とする宝石に比べればあっという間です。
第二パート、サンゴからの分泌物が小動物のエサになるので生物が集まってくるって説がありますが
実は大したエネルギーじゃないので、なぜ珊瑚礁の海が生物で溢れてるのかは謎だったりします。
第三パート、一通「クラゲ話は紛らわしいンだよ」
はい、仰るとおりです。私には少々荷が重かったです・・・。精進しなきゃです
そんなわけで強引になってしまった部分もありましたが、今回はこの辺で。ではではまたー
310 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/10(月) 22:44:55.58 ID:cmcpqSAE0
超お疲れ様です
311 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/10/13(木) 19:42:37.35 ID:IF3+GNLCo
硬くて立派なものに惹かれる、か……
ちょっとインデックスの前で下半しn(ry
あと黒夜ちゃんは手がわらわら生えてきますが群体ですか超個体ですか。サイボーグですね
しかしこのスレはレスするのがなんか難しいな
面白いんだが
312 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/10/17(月) 18:17:48.61 ID:zi2KRvIF0
投下間隔が開きまくって申し訳ないです。今週中にはなんとかなるかな・・・。
レスか・・・、適当に「何巻のアレをおさかな的に解釈してみろやボケェ!」とかご注文してくださればやるかもです。
やらないかもです)
取り急ぎ生存報告まで、ではでは失礼致しましたー
313 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/20(木) 18:34:38.18 ID:NmG9j6dC0
専門的だからどう感想を言っていいのか分からないんだよ
リクエストはダイオウグソクムシをして欲しいかも
314 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/19(土) 02:13:45.19 ID:6uQfuIwDO
魚の病気ってどんなのがあるだろう
315 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/11/20(日) 01:42:56.58 ID:P55bsVWX0
御久しぶり過ぎて皆様に向ける顔の無いおさかな話、いやほんとに申し訳ないです。
そんな今回は大急ぎで書き上げただけあって過去一番自信の無い仕上がり。てにおはレベルの確認だけはしましたけど・・・
とか読み手を不安にする前置きはそのくらいにしてテーマは「獲物」です。よろしければどうぞ
316 :
獲物
[saga sage]:2011/11/20(日) 01:44:44.25 ID:P55bsVWX0
☆
「なあインデックス、今更だけど川や池や海なんかで魚を捕まえる方法ってあんまり話題にしてこなかったよな?」
「とうま。それは魚の捕獲は規模の大小の差こそあれ、紛れも無い直接的な環境破壊だからなんだよ」
「へ? いやまあ確かに自然への強引な介入って意味ではそう見えなくも無いけど、ちょっと言葉が厳しすぎないか??」
「甘いんだよ!! 実際過去にテレビや雑誌やウェブは数多くの水場に回復不可能なダメージを与えてきたんだよ」
「ソレはアレか? 例えば珍しい魚の生息地とか、手軽で効率の良い捕獲法を安易に紹介するなってコト?」
「当然かも。不特定多数に制限無しで充分な考慮もせず情報を垂れ流しておいて反省もしない人たちのマネはしないんだよ!」
「まあなあ……。一時期アウトドア系のコンテンツは暴走してたよな。移入種問題の大部分も実は情報媒体依存なんだし」
「同じ舌で美しいふるさとを守ろうとかよく言えたものなんだよ。こーがんむちなんだよ!!」
「……どちらも恥ずかしくて痛々しいコトでしょう。ってやかましいわ!!」
「なにが??? ……まあ、とにかく言いたいのはおさかなを捕まえるのは良い事じゃないってコトなんだよ」
「遊びで捕まえるなら尚更だな。でもそれじゃ話が終わっちゃいますけど……」
「ワガママで悪い事をさせて貰ってるって思ったらムチャは控えるでしょ? まずはそういう意識を持つことが大事なのかも」
「ふむ。偉そうに個人の権利を主張すんのはお門違い。自然の中では謙虚にせいやッ! って感じかね?」
「うんうん。とは言っても、これだって個人的な意見だから何の強制力もないんだけどね」
「自然の捉え方は人それぞれだからなあ。規制されていない遊び方なら何をしても良いってのは正直イヤな気もするけど」
「アリを踏んでも気付かないのが人間なんだよ。そしてアリの範囲は人によって違う……、そういうことなのかも」
「……えーっと、話がそっち方面に行くと収拾が付かないんでそろそろ方向転換しないか? もうちょっとライトに」
「そう? じゃあ簡単な魚の捕獲方法をその害も付け加えて紹介してみる?」
「…………ますますダークな方面に落ちちまいそうな予感がビンビンするぜぇ。でも敢えて今日はそれで行こう!」
「心配しなくても誰でも出来る、またはやったことがある方法しか触れないんだよ。ある意味原始的狩猟かも」
317 :
獲物
[saga sage]:2011/11/20(日) 01:46:21.88 ID:P55bsVWX0
「原始的っつーと……、手づかみとかタモ網とかか?」
「そだね。そういうのは池や川の岸辺、小川みたいな比較的浅い水辺ですると思うけど、どんな魚が捕れるかな?」
「ん〜、フナとかオイカワやカワムツ、ヨシノボリやシマドジョウみたいな底魚、メダカやよくわかんない稚魚……」
「多くの稚魚、小魚が浅瀬に居るのは流れが弱く大型の捕食魚が近寄らない浅瀬でしか生きられないからだよね?」
「ソレを狙って網を入れるということは小魚を浅瀬から遠ざける……つまり纏めて殺すことにもなるかもしれないワケか」
「うん。更に手づかみや網の場合、水に入ってすることも多いと思うけど……、水底には何も居ないのかな?」
「いや、前述のヨシノボリやドジョウ類、水生昆虫やスナヤツメやカマツカ、時期によっては色んな卵もあるだろうな」
「水の中を歩くたびにそういった命を踏み潰す可能性があるかもしれないって心に留めて置いて欲しいよね」
「うむむ、他には手網を使って水底をガシャっと引掻いて砂石ごと魚を捕る……、魚が傷つかないワケねーな」
「かなり効率が良い方法ではあるけどね。他にも草が水に張り出してるトコの下部を網でガサっとすると色々捕れるけれども」
「ヌマエビや隠れていたナマズなんかだな。でも沢山一度に捕れるって事はそれだけ重要な隠れ家だったってことで」
「ソコを引っ掻き回されるのは生き物にとっては大迷惑なのかも。網で地形が変っちゃえば使えなくなる事もあるしね」
「そもそも魚の稚魚は緩やかな環境の変化には強いけどショックには弱いんだよな。だから網で捕まえただけで死ぬことも」
「そうなんだよね。石をハンマーで叩いて衝撃波で下に隠れている魚を気絶させて捕まえる方法も、稚魚には致死ダメージだし」
「見えないところにも被害があるかも知れないって気遣うだけで殺さずに済む魚が結構増えるんじゃないかな……」
「魚捕りは楽しいからついついやり過ぎちゃうけど、それだけムダに命を散らしているんだってまずは知る事からなんだよ」
「予想通りというか、今日はあんまり楽しい話題じゃなかったな。でも勉強になったよ」
「どう致しましてなんだよ。……あ、とうま。冷蔵庫が空っぽだけど今日の晩御飯はどうするの?」
「へ? 昨日一週間分の食料を買い込んだはずなんだけど……?」
「そんなの言ってくれないと判らないんだよ。もう食べちゃったかも!」
「インデックスさん?? 食欲も加減を守らないと家計に回復不可能なダメージを与えかねませんけどお??」
318 :
獲物
[saga sage]:2011/11/20(日) 01:48:51.41 ID:P55bsVWX0
☆
佐天「そーいえば、マグロやカツオの一本釣りって豪快でカッケェ! ですけど何であんなことするんでしょうか」
初春「佐天さんの疑問は網でごっそり捕まえたほうが効率が良いのに手間を掛けて一匹ずつ釣り上げる理由は? ですかね」
白井「網での漁は、捕まえた大量の魚体同士がお互いに擦れあい皮や筋肉が傷付くリスクがあるんですの」
御坂「あと特にマグロは有名だけど止まったら死ぬじゃない? 長時間拘束する漁法は鮮度の面でも問題なワケ」
佐天「ふむふむ、要するに網漁での品質劣化を回避するために一匹ずつ釣り上げて素早くシメるんですね」
初春「じゃあいっそのこと網なんか禁止して全ての漁を釣りにすれば良いのでは、と考えちゃうところですけれど」
白井「そこは佐天さんが仰るようにコストが掛かる方法ですから、安値の魚まで適応するのはムリがありますわね」
御坂「ちっちゃな魚だと更に面倒だろうし……。一本釣りは比較的高値の魚をより良い状態で捕獲する方法って事ね」
初春「ところで佐天さん、カツオの一本釣りの針には返しが付いていないのは知ってますよね?」
佐天「返し……刺さった針が抜けるのを防ぐための突起のこと? ソレが無い針じゃカツオが逃げちゃうでしょ??」
御坂「逆にすぐ抜けちゃうから良いのよ。……えーっと、カツオ漁の流れを説明したほうがいいのかな」
白井「でしたらこの黒子にお任せを。20秒で解れ簡単一本釣り講座ですの!!」
白井「かつてのカツオ漁はカツオ鳥という、正式にはなんと言うのか解りませんがある種の鳥の群れを洋上に見つける事が
最初の仕事でしたの。その鳥はイワシが大好物なので群れが居るということはそこにはイワシの群れが居て、さらに
イワシを追うカツオが居るはず、ということですの。現在では魚群を探す機械の発達もあって探索をカツオ鳥のみに
頼ることは無いようですが……。まあなんやかやの後、カツオが居るポイントに漁船を移動させましたらエサ用の
イワシを海に撒いてカツオを船の近くに集めますの。
仕上げに船上からの放水。これは海面に水しぶきを上げることでカツオに『イワシのとんでもない大群が居る!』と
勘違いをさせ興奮状態にする効果があるそうで、そうなれば何にでも、たとえエサも付いていない釣り針にさえも
喰い付いてしまうんですの。針に掛かったカツオは屈強な漁師に一気にその頭上まで引き上げられ、その勢いと重力と
慣性といろいろで刺さっていた針が抜けるという仕組みですの。返しの付いた釣り針を抜くのは結構な手間ですので
針を入れればどんどん釣れる状況でそんなことに時間を取られないためにも返しは必要ないんですのよ」
御坂「遊びの釣りでも、針の返しを切っちゃう人は居るんだけどソレは魚体へのダメージを軽減するのが目的なのかな」
初春「カツオの一本釣りの場合はとにかく時間短縮の為ですね。数秒に1匹のペースで釣るんだそうですよ」
佐天「よっ、はっ! よっ、はっ! って感じ?? そんな速さで獲ってたらカツオいなくなっちゃわない???」
白井「豪快とは言っても釣りは釣りですので、漁獲量は網とは比較にならない少量ですの。貴重品たる所以ですわね」
初春「カツオ鳥の話が出てましたけど、他にもクジラや流木を目印にしてカツオを探すこともあるみたいですね」
御坂「そうね。それ全部、本命のカツオじゃなくてそのエサになるイワシを見つけるためのサインだけど」
佐天「喩えるなら白井さんに会いたい時は御坂さんを探せって感じ?」
初春「御坂さん=イワシ、で白井さん=カツオですか。でも白井さんじゃ一本釣りしても全然高級感が無いですけど?」
白井「一言余計ですわよ……。まあ私を捕まえたければ大量のお姉様を用意すれば良いって事ですの。ありえないですけど」
319 :
獲物
[saga sage]:2011/11/20(日) 01:50:26.61 ID:P55bsVWX0
☆
一方通行「………………」
打ち止め「ねえねえ……、どしたの?ってミサカはミサカは水槽を見て固まってる姿に疑問を覚えてみたり」
一方通行「……どうしたって、見てわかンねェのか? 多すぎる水槽の管理だ。ったく、ここはアクアトトかっつーンだよ!」
打ち止め「意味不明な単語を叫ばれても困るんだけど……。それにあの二人が『おさかなボケ』の度に何か持ってくるからね」
一方通行「誰もそンなボケ期待してねェだろ……。エサやらコケ掃除、水草のトリミング……ヤツら手間を考えちゃいねェ」
打ち止め「まあいつもはヨミカワがやってるんだけどねってミサカはミサカはあなたのイメージ崩れを防いでみたり」
一方通行「チッ……、それにしてもだ。スクミリンゴガイ、アメリカザリガニ、マドジョウ、金魚…………」
打ち止め「一般的な観賞魚は金魚しか居ないんだよねってミサカはミサカはチームの構成バランスを評価してみる」
一方通行「金魚も金魚すくい出身の和金だからセンター飾るほどの華はねェけどな。まあ他のヤツは完全に別ベクトルだが」
打ち止め「アメリカザリガニだって大人になったら真っ赤なヨロイみたいで絵になるよってミサカはミサカは反論してみる」
一方通行「イヤ、見てくれがどォって話だけじゃなく……、単純な価値観だが嫌われ者属性が強くねェか?」
打ち止め「あ、それはそうかも。特にスクミリンゴガイは稲の食害貝だもんね」
一方通行「ザリガニとドジョウも水域の環境悪化力が強ェしな。決して飼育種として人気が無いワケじゃねェが」
打ち止め「ヌマビルを飼ってる人が居るくらいだからこれくらい充分許容範囲かもってミサカはミサカは断じてみたり」
一方通行「まァゲテモノにはゲテモノで魅力があンだな……。気色悪けりゃ悪ィ程価値があるってンなら面白ェ」
打ち止め「生理的嫌悪感を快感に置き換えて理解するみたいな?ってミサカはミサカはフロイトかぶれを気取ってみたり」
一方通行「さァな。第一、ガキはヘビでもゴキブリでも平気で口に入れたりするし……、嫌悪感で纏めて語ンのは無理だろ」
打ち止め「そんなお子様見たこと無いよ…………。未就学児の居ない学園都市だからかもしれないけど」
一方通行「オレも詳しくは無ェが、一般のガキってのはママゴトのご飯をダンゴムシを集めて作るよォな蛮族らしいぞ?」
打ち止め「マルムシを食べるの??? 外の世界ってどうなってるの???ってミサカはミサカは驚愕を露わにしてみたり!」
一方通行「ママゴトだっつってンだろ。ありゃ外骨格ばかりで喰えたモンじゃねェぞ? ……とはいえ甲殻類ではあるンだが」
打ち止め「ダンゴムシがエビカニの親戚筋に当たるってこと……?ってミサカはミサカは嫌な予感を口にしてみたり」
一方通行「銀河系単位で遠い親戚だから気にスンナ。しかし面白ェ。同じ甲殻類でこォも嫌われ好かれが違うってのは」
打ち止め「嫌われる生き物の特徴って何なんだろうね?ってミサカはミサカは疑問を投げかけてみたり」
320 :
獲物
[saga sage]:2011/11/20(日) 01:52:59.75 ID:P55bsVWX0
一方通行「そォだな、あくまでもオレの意見として聞け。ヒトが特定の生き物に嫌悪感を覚える原因は主に3つ。
@危険生物、またはそれに類する特性、A外見、B食性を含む生態
@については解説の必要もねェだろォが有毒であったり凶暴であったり病原菌を媒介したり、人間に直接的な害を
与える可能性のある生物をヒトは嫌悪する。猛獣や毒蛇なンかが思い浮かぶだろォが、皮膚病でボロボロの野良猫
を見てカワイソウだと感じても抱き上げて頭を撫でてやろうとは思えねェだろ? ある意味極めて本能的な感覚に
拠る嗜好だ。
Aは所謂見た目。コレは推測だが、どれだけソイツの日常とかけ離れた姿をしてるか? が嫌いになるポイントだと
思う。見慣れた環境の中に違和感を放り込むってヤツだ。室内犬などで見られンだが、芋虫や大型の鳥類に対する
過剰な反応……咆え続け怯え続けるよォな、自分の知らない物を恐怖するって意味ではコレも本能的な感覚だな。
体毛の極めて少ない種のネコが居ンだろ? 混乱すっから種名は言わねェがアレだって一見では嫌悪感を催しても
致し方ねェ。同じ種類でも自分の知る姿と違っていれば起こり得るンで本能的ではあっても忌避の必要性の点では
薄いと言っていい。
Bだが、熊やサメのよォな凶暴な肉食種の事では勿論無く、屍食や糞食を主とする生物やそォいう死体や糞の傍で
生活をする生物の事だ。コレには洞窟や沼地などのヒトが嫌がる場所に居るってだけで嫌われる生物も含まれる。
コウモリは昆虫食の哺乳類だろ? 野生動物だから病原菌を持ってンだが実は危険性は他の動物と大差ねェンだ。
暗くなると飛び回る、アイツらはたったそれだけの生態で必要以上に嫌われちまってる。他にもネコを飼った事の
無いヤツが初めてその生態を見るとダメになる場合があるよォだな。用を足した後を舐めて掃除して、同じ口で
飼い主の顔を舐めるとかな……。まァ、Bについては多分に後天的な、人間だからこそ感じる嫌悪なのかもな」
打ち止め「ん〜……、考察してもらって悪いんだけど、それでエビとダンゴムシの好感度の違いを説明できるの?」
一方通行「……どォだろ? まず@についてはどちらも該当しねェよな」
打ち止め「Aは微妙だよ? 沢山の脚がお腹の下でワッシャワッシャしてるのは同じなんだもん」
一方通行「そこはエビは食材として見慣れてる、って事で納得しろ。だがBも微妙だな……」
打ち止め「どっちも主に有機物を分解する掃除屋さんだもんね。ただ居場所が海中と落ち葉や石の下って違いがあるだけで」
一方通行「海中のエビの生態は意識されねェからかもな。それと見た目の大きな違いを忘れてンじゃねェか?」
一方通行「以上のよォに実際エビとダンゴムシは食用か否かくらいしか差がねェワケだが……、ココで悪い知らせがある。
大抵のダンゴムシは火さえ通せば食っても大丈夫なンだよ。加熱すると殻の中の水分が膨張して身が弾けるから
食べ時も解りやすい。まァ美味くは無いらしいが、エサを腐葉ではなく魚肉などにすればこの点も改良出来るかも
知れねェ。どちらも食える、となると両者は益々違いが無くなっちまうが仮にダンゴムシが常食として流通しても
生物として人気には成り得ねェだろォ。根本的にダメなンだよなァ……。
エビにあってダンゴムシに無いもの、それは眼だ。別にダンゴムシには眼が無いってワケじゃねェが小さ過ぎる上
上から見下ろしても判らねェだろ? ヒトにとって生物の眼はソイツが何を考えてンのか推し量る鏡だからな。
たとえ複眼のよォなモノであってもハッキリ判別出来る眼のある生物には気持ちを入れやすいンじゃねェか?
その意味で、大抵のエビの眼は飛び出してンだろ。どっから見ても判る大きな眼が両者の扱いの根拠だって話だ」
打ち止め「ん〜……でもでもさ、眼が原因だとしたら大きな眼のダンゴムシが居るなら人気者になれるって言うの?」
一方通行「じゃねェの? まァソレこそ個人差がデカいだろォがな。……、眼のデカいダンゴムシの例を挙げておくか」
一方通行「そもそもダンゴムシっつーのは等脚目、その多くは海に棲む種なンだが……、防波堤で見かけンだろ? 超高速で
超集団で穴から穴へ移動するヤツらを。そォ、フナムシなどに近い仲間って考えればイイ。他にはタイの口の中で
生活するタイノエや、クワガタムシそっくりな外見を持つウミクワガタなどが含まれンだが、等脚目の多くの種は
ダンゴムシがそォであるよォに見た目や生態で嫌われる場合が多い。まァ先に出たタイノエに限っては割と刺激の
強い生態だから仕方ねェ気もするが……。
そンな等脚目はその殆どが全長1cm以下なンだが最大種はその限りでは無ェ。奇妙な深海生物の中でも異彩を放つ
メキシコ湾海底に棲む世界最大のダンゴムシとも言われるダイオウグソクムシの事だ。最大体長50cm、体重1kgと
桁外れの体を持つコイツは深海生物だけあって詳しい生態は未解明なンだが日本近海の近縁種、オオグソクムシの
生態から察するにやはり死んだ魚などを食う海底の掃除屋なンだろォ。だが等脚目の中では圧倒的に人気者だ。
その秘密がオレはダイオウグソクムシの特徴の一つであるデカい複眼なンじゃねェかと思うンだが、コレは写真を
見ねェと判ンねェかもな。SFの異星人か新型のモビルスーツか? って顔付きだから一度確認してみろ」
321 :
獲物
[saga sage]:2011/11/20(日) 01:59:09.04 ID:P55bsVWX0
打ち止め「ミサカはダイオウグソクムシを知ってたから別に確認しなくてもいいよね?ってミサカはミサカはあうあうあうあ」
一方通行「イヤならムリすンな。ありゃ見ようによっては恐怖心すら覚えかねない容姿だし」
打ち止め「ふ〜……、ん?? でもあなたの理論で行くとその恐怖心は危険性でも生態由来でも無いよね?」
一方通行「見慣れたダンゴムシが50cmもの巨体になってたら怖くて当然だろ。Aの外見、日常との違和感が原因なンだろ」
打ち止め「でも割と人気があるんだよねってミサカはミサカは再確認してみたり」
一方通行「あァ。個人差としか言い様がねェが……、捉え方にも拠るンじゃねェの」
打ち止め「光の届かない暗部で死体処理をする、うすらデカくてキモイ生物って考えたらあの眼は怖いね……」
一方通行「世界最大の等脚目であり甲殻類最大級の複眼を持つ深海生物として見ンなら……、ソレでも嫌いなヤツは嫌いかね」
打ち止め「まあ、ダンゴムシを食べる日が来なければミサカはなんでもいいけどねってミサカはミサカはぶっちゃけてみたり」
一方通行「フン。ちなみにだが、フナムシやダイオウグソクムシはマズいらしいがオオグソクムシは美味いらしいぞ?」
打ち止め「グソクムシ恐るべし……。鎧兜を意味する具足を名に冠するだけはあるね」
一方通行「そりゃどォいう感想だ? ……にしても、今日は随分とグダグダな話になっちまった気がすンだが」
番外個体「嫌われ者の第一位だからしょうがないんじゃなーい?」
一方通行「ア゛? ……テメエ、いきなり出てきて何が言いてェ」
芳川桔梗「この子は貴方の挙げた嫌われ生物の3つの原因の事を言ってるのよ。ちょっと考えてみてくれる?」
打ち止め「性格は凶暴、異常な白さと細さで異彩を放つ見た目、食性は…………、嫌われ属性コンプリート???」
一方通行「………………そォかよ、そりゃ結構。ヒトに好かれるために生きちゃ居ねェし、問題ねェよ」
打ち止め「だ、ダメだよ! ええと、食べたら美味しい……、は使えないから、えーと……、眼!! 眼を強調しよう!」
芳川桔梗「眼、つまり明確な意思をドンドン見せていこうってことかしら? それはいいアイデアかもしれないわね」
番外個体「えー、何をしたいのか解らないあやふやさも人間の本質の一つだと思うけどなー。この男も含めてさ」
打ち止め「もっと素直になって気持ちを正直に訴えれば皆もっと好きになってくれるよってミサカはミサカはアドバイスする!」
一方通行「ンな事ァどォでもいい、つってンだろ。……ソレよりテメエら。今日のオチはどォするつもりだ?」
炊飯器 「ポン ポン ポン ポン ポン ポポポポン」
一方通行「?? オイ……、この破裂音はまさか……?」
打ち止め「今日の話でそんな音を立てる物って……まさか??????」
番外個体「うふ☆ たーっぷり召し上がれ、このミサカの愛情料理だよん」
一方通行「テメエらの言う明確な意思を以って、断る!!!」
〜おしまい〜
322 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/11/20(日) 02:17:26.42 ID:P55bsVWX0
以上、第二十六回「獲物」でした
第一パートのおさかな捕獲法、自治体によってはタモ網や釣り以外のワナや網漁を禁じてる場合もあります
勿論、管理水域であれば許可無しでは一切の捕獲が禁止ですし、そのあたりは近所の方に確認してみるのがいいです
第三パート・・・ワーストさんはポップコーンでも作ってたんですかね。ですよね
ちなみにフナムシは刺激的な味、ダイオウグソクムシは腐敗的な味がするそうですが
そんなわけで次回は来週末予定は未定で。ではではまたー
323 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(チベット自治区)
[sage]:2011/11/20(日) 09:03:52.87 ID:C11ftPj6o
舞ってた
324 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/20(日) 16:27:15.41 ID:22pb2usB0
乙
ダイオウグソクムシってプレデターの元ネタの一つだと信じてる(副官ブーバ+ダイオウグソクムシ)
325 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(関東)
[sage]:2011/11/21(月) 09:52:42.09 ID:4+1BuftAO
まあ、ダイオウグソクムシは死肉を食べてるからね…
326 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/11/27(日) 11:21:58.70 ID:EA0k90rA0
という訳で珍しく予告に間に合ったおさかな話!
でも良く考えたら日曜日は週末じゃなくて週の頭なのかな。この辺まぎらわしくてよく判りません
今回のテーマはそんな気持ちを籠めて「まぎらわしい」です。ではどうぞ
327 :
まぎらわしい
[saga sage]:2011/11/27(日) 11:23:46.78 ID:EA0k90rA0
☆
「なあインデックス? もういいだろ?? オレ我慢できねえよ…………、入れるぞ!」
「ま、待つんだよとうま!! まだ早いかも! 焦っちゃダメなんだよ!!!」
「そんな事言ってるけど、ココ見てみろよ。グッチョグチョに濡れてんじゃねえか!」
「そ、それは言わないで欲しかったんだよ……、って、ダメだってばとうま!! せめて、せめてアレをつけてから!!」
「いいや、限界だ。出すぞ!」
「あ!! ……あ、あ、…………あああ。中に広がって行くんだよ……」
「ふう……………………、ようやく水槽に新しい仲間を投入完了っと! こんなに大仕事になるとは思わなかったぜ」
「大体とうまが急ぎすぎるからなんだよ! 水あわせはしっかりやっておかないと大変なことになるのかも!」
「水槽と投入する魚が居る水の、水質や水温の違いに魚を慣れさせる『水あわせ』。今回は水槽の水を魚が居る袋に入れたけど」
「強い魚だったら温度あわせだけでも良いかも。その場合は魚をビニール袋に入れてそのまま水槽に30分くらい漬けておけばいいんだよ」
「で、その水あわせでお前が水をこぼしちまうから……」
「それはだって、ポンプで吸い上げる勢いが強すぎたからなんだよ! でも、確かに私の不注意だったかも……」
「え、いや、そこまで落ち込まなくても。……、オレだって舞い上がりすぎてエアレーションのスイッチ付け忘れてたし」
「あ、そうだった! 袋から出したお魚はもう水槽中に散らばってるんだから早くブクブクしてあげないと!」
「了解! ぽちっとな」カチッ ブクブクブクブク…
「これで本当に完了だね。で、今回新しく水槽の仲間になったのは……、とうまが愛して止まないナマズの仲間なんだよ」
「本当はマナマズが良かったんだけど、主役のメダカの天敵だからな。で、妥協してオレが選んだのが」
「日本産淡水魚、ナマズ目の小型種『アカザ』だね。見た目は確かにナマズなんだけどなんだか気持ち悪かったんだよ」
「嫌なコト言うなよ。……ま、魚とは思えないようなウネウネとした泳ぎっぷりといい赤黒い体色といい、まるでヒルだけど」
「今回は5cmくらいのサイズの子を3匹手に入れたんだよね。ところで実はアカザは軽い絶滅危惧種だったりするんだけど」
「……大切にしないといけないな。エサもメダカ用とは違うものを用意しないといけないし」
「うんうん。メダカを食べるほどのサイズじゃないとは言っても立派な捕食魚だから、生餌が用意できれば十全かも」
「生餌……、水生昆虫やミズミミズを自然界で入手すんのは結構な手間だよなあ。とりあえず乾燥赤虫で様子を見るけど」
「そういう人工餌でも慣れれば食べるみたいだよ。でもミズミミズは天然水で飼育環境を作ってる以上、既に発生してるはず」
「そうなの? じゃあエサいらず……、って楽をしようとしたらイカンですよ。地味な水槽を彩る赤い三連星はオレの夢なんだ!」
「……でも、とうまの夢のアカザは既に見当たらないんだけど。いつもの水槽と何にも変らないよ??」
328 :
まぎらわしい
[saga sage]:2011/11/27(日) 11:25:26.60 ID:EA0k90rA0
「へ?? あれ?? ちょ、どこ行っちゃったんだよ! …………え〜〜〜、全然見つけられねえぞ??」
「ん〜、とうま。アカザってナマズなワケで、夜行性なワケで、マナマズ以上に臆病なワケで、平ぺったくてウネウネでしょ?」
「はっ! ということは……、例えば水槽の中の……この石をそーっと持ち上げると……、いた!」
「どうやら明るい時はそういうところにずっと隠れて過ごす生態なんだよ。活動するのは誰も見てない真っ暗闇だけなのかも」
「…………えーと、ということはアカザ導入で水槽の華やかさアップ作戦は……、失敗?」
「答えを出すのはまだ早いんだよ。あ、ほら! メダカがエサの食べ残しを探して石の下をつんつんしてるでしょ?」
「ふむ? …………あ、アカザが飛び出てきた!」
「あんなふうに隠れ家の周りで騒がれると起き出して来て、ウネウネしばらく泳いだ挙句また隠れるんだよ」
「主役のメダカの都合で引っ張り出されて、大した用事も無いからすぐ退場するアカザ……。不憫だな」
「……なんだか私は却って、この気持ち悪い子に親しみを感じてきたんだよ。ちなみにアカザの名前の由来は覚えてる?」
「え〜っと、アカザのアカは体色の赤で、ザは刺すの意だろ? かなり鋭いトゲを持ってるらしいな」
「背ビレと胸ビレにね。弱いけど毒もあるから刺されたらかなり痛むかも。まあ素手で触る機会はあまり無いけど」
「へえ〜。男の子にとっては、実は有毒生物って人気があるんだぜ? まあアカザをそう認識してるヤツは流石に居ないか」
「キングコブラとかアンスラックスとかタランチュラとか、ちょっとワルなボーイが好きそうなイメージかも」
「ふむ。例えばTシャツの柄にアカザ……、赤いナマズ柄って一周回って新しいかもな」
「全く理解出来ないセンスかも……あ、ところでアカザは底棲魚に準じるから一つ注意しなくちゃいけないことがあったんだよ!」
「ん? 現状の水槽環境では何かアカザにとって不都合があるかもしれないのか?」
「というか、水質と底環境にかなり神経を使う必要があるのかも。アカザは汚れに弱いんだよ」
「ふうん? まあ、今回導入した濾過装置で日常はカバーして、割とこまめな水替えで行けるんじゃないかな」
「こまめ、って一口に言うけど、大変でも一週間に一度は水槽の水を三割くらい入れ替えるつもりで居たほうが良いかも」
「ふむふむ。でも水の替え過ぎは水質の急激な変化によるショックの原因になるから加減が大事なんだよな」
「だね。目安としては濁りや黄ばみが視認出来ない程度を維持すればいいと思うよ」
「……にしても、手間の増え方の割に得る物の少ない新キャラ導入だったワケで……。もう一種類くらい何か入れようかな」
「あまり種類を増やしすぎると、水槽のまとまりが無くなっちゃうからほどほどにね。長くなるから今回はオチ無しなんだよ!」
329 :
まぎらわしい
[saga sage]:2011/11/27(日) 11:28:11.03 ID:EA0k90rA0
☆
御坂「いい加減にしなさいよ黒子! 毎回毎回アンタの悪趣味には付き合ってられないわよ!」
白井「今回ばかりは私も主張を曲げるわけには行きませんの! 絶対間違いないんですの!!」
佐天「へ? 初春、あの二人どうしちゃったの? 聞いてる限りではまた白井さんが変態行動でもやらかしたみたいだけど……」
初春「あ、遅かったですね佐天さん。……えーと、今日はそういうんじゃないんですよ」
御坂「佐天さん、ちょっと聞いてよ! 黒子のゲテモノ趣味は判ってたけどさ、ちょっと今回のは聞くにも耐えないんだから!!」
白井「こちらこそ望むところですの。佐天さんに判定してもらいましょう。……佐天さん、ハサミムシは美味しいと思いますわよね?」
佐天「へ? …………ハサミムシ? ってアレですか。石の下や枯葉の下、じめっとした場所にいる小さな虫?」
御坂「大きさなんて問題じゃないわよ……。あの姿は何なの!? 羽根の無いコオロギの胴体、尻尾の代わりに大きなハサミって!!」
初春「確かにまあ、異形生物レベル5って感じですね。生ゴミ置き場に湧いてるし……、正直あんまりイメージ良くない虫です」
白井「私も所構わず捕まえたハサミムシを食べる気にはなりませんわよ。……そうですわね、枯れる川の話でもしましょうか」
御坂「唐突に話を変えて何のつもりか判んないけど、枯れる川って、大河川の支流みたいな季節によって水が無くなるトコのこと?」
白井「ですの。本流からの水の供給が充分長期間であればその川の生物の濃度、つまり生物の数は本流並みになりますわよね?」
佐天「ん〜? ……要するに水と一緒におさかなも流れてきて、支流に留まってるってことですか?」
初春「比較的流れもゆるい支流で本格的な魚獲りが楽しめるのはそういう場合なんです。……でも枯れちゃうとなると」
白井「では段階的に川の枯れる様子を紹介いたしますの。まずは本流の水量が減少して支流への水の流れが無くなりますの。
支流が本流の水量調整装置として機能、つまり洪水などを防ぐため水位が上がり過ぎないよう逃げ道になっている場合
その必要が無ければ当然水が行かないということでして、具体的にはそれぞれの川底の高さを調整しているわけですの。
第一段階で流れを失った支流ですけど、まだ充分な水量がありながらさっそく犠牲になるおさかなが。
アユなどの本来急流に棲む魚種は必要酸素量が多く、水流によるエアレーション無しでは酸欠になってしまうんですの」
佐天「ふむふむ。つまりそういう川ではアユが獲り放題なんですね?」
初春「佐天さん……、川で死んでる魚は食べないほうが良いです」
御坂「私もオススメしないかな。で、黒子。そこからどうハサミムシの味に繋げるつもりなのよ?」
白井「お姉様、そう答えを急がずに。……続いて第二段階、支流は水の供給を失いましたが川なので当然下流へと水は流れていきますの。
ですから水位の低下がゆっくりと続くのですがこの段階での犠牲者は大型魚。たとえば50cmを越えるような体高のある大型のコイ。
そんな大魚が浅瀬に追いやられ乾燥して死んでいきますの」
初春「何十年も生き続けたコイがたまたま支流に取り残されたってだけで……。諸行は無常なんですね」
御坂「水位が低下するとサギやカワセミみたいな魚を捕るのが上手い鳥が大喜びでやって来るし。自然のサイクルではあるんだろうけど……」
佐天「でもまだ始まったばかり。ここからが本当の地獄、ですよね?」
330 :
まぎらわしい
[saga sage]:2011/11/27(日) 11:30:18.79 ID:EA0k90rA0
白井「佐天さんの仰るとおり。第三段階に入りますと更に水量が減り川底が露出してきます。水は池のように浅く点在するばかり。
30cm程度のコイや大型の底棲魚、底棲と言っても縄張りを作るタイプのドンコやカジカなどが耐え切れず死んでしまいますの」
御坂「その状態の川を一度見たことがあるけど酷いもんだったわよ。網漁で大量の魚を一度に捕まえる様子ってテレビで見た事ない?
ちょうどあんな感じで川魚がバチャバチャと残り少ない水場に集まってさ……。カワイソウだけどどうすることも出来ないのよね」
初春「この段階でサギやカワセミに代わって、カラスが大群でやってきます。特別な技が無くても好きなだけ魚が捕まえられますからね」
佐天「そりゃそんなに密集してるんならそうだろうね……、見たくない光景だけどさ」
白井「そして第四段階……。いよいよ川だった場所は白い石の平原となりかわり、水場は探せば何とか、それも水溜り程度ですけれど。
そこに至るまでに殆どの魚は死んでいて水溜りにもぎっしりと魚が浮いているのですが、まだ全滅ではないんですの。
例えばマナマズやアカザなどのナマズ類、カマツカやドジョウやヨシノボリ、タイミング悪く孵化してしまった色々な魚の稚魚
そしてスジエビやテナガエビやヌマエビなどの甲殻類がしぶとく命を繋いでいますの」
御坂「もっと大量の魚が死んでるはずなんだけど、思ったほど目には入らないのよね。カラスや、もしかしたら野犬が食べるからかな?」
初春「でも鮮魚店の香りはぷんぷんしますけどね。命の儚さを知る教育に最適な現場だと思います」
佐天「初春、前半のセリフは聞かなかったことにするよ。……そしてとうとう完全に枯れるんですね」
白井「まあそうなんですけどその前に、非常に少ない水量で割と魚が生き残っていられるのは何故だかお判りになります?」
御坂「今の黒子の質問は、酸素の絶対量が足りないはずの水溜りで、ありえない数の魚が生きていられる理由は何か? って事ね」
初春「ん〜、伏流水みたいなものですか? 地下を流れる目に見えない川が水質や酸素を最低限保証してるからっていう……」
佐天「あ、そっか。川底って別にコンクリ床とかじゃないから見えない部分にも水の流れはあるんだ」
白井「と言っても多くの魚は地下深くまで潜ることは出来ませんの。最終段階、水溜りすらも消失してしまえば全てが終わり。全滅ですの。
綺麗に石だらけと化した川底を歩いてみましても、土の香りがするばかり。死んだ魚なんて少しも見つけられない事でしょう。
さて、最後まで水溜りとして命を繋いでいた場所もすっかり乾いてしまっているのですけれど、そこの石をひとつ持ち上げてみると
『ああ、ここは川原だったんだな』と思えるはずですの。ちょっぴり湿ったその石の下には水溜りで一番最後までしぶとく生き残った
エビ類を目当てに大量のハサミムシが……、というワケですの。
つまりハサミムシはハサミムシでも川原の石の下に居るハサミムシはエビをエサにしているので美味しいはず。異論は無いですわね?」
初春「通常の腐葉や生ゴミに群がる、ダンゴムシみたいな食事をしてる個体ではなくて川原の……。いや、それでもムリです!」
御坂「当たり前よ! 長々と講釈垂れて何なのよその結論は!! エビを食べたからってあのキモ虫がエビ味になる訳ないでしょうが!」
白井「な……、わ、判って下さいませんのお姉様? …………いえ、今回判定するのはあくまで佐天さんですの!」
御坂「コイツに言ってやってよ佐天さん。遠慮は要らないから本心でガツンとキモイならキモイって!」
佐天「なるほど、そういうことだったんですか。…………私、長年の謎がやっと解けた気がします」
御坂「……はい?」 ナニガ?
佐天「ツインテールがエビ味なのは川原のハサミムシだったからなんですね!!」
白井御坂初春『それ何の話???』
331 :
まぎらわしい
[saga sage]:2011/11/27(日) 11:33:46.93 ID:EA0k90rA0
☆
打ち止め「ねえねえ、水槽の金魚の様子がおかしいの、ってミサカはミサカは急いで見て欲しいと要望する!」
一方通行「ンだァ? オカシイだけじゃ判ンねェだろ。具体的にどんな異常があンだよ?」
打ち止め「え? ええと、その……、簡単に説明できないから見て欲しいって言ってるのにって……、ミサカはミサカは涙目になってみたり」
一方通行「…………、ったく面倒臭ェ。―――――――――――――――――――――― で、オカシイってのはどの金魚だよ?」
打ち止め「この水槽の、ちょっと大きめの金魚なんだけど……」
一方通行「……ン? 泳ぎが不安定っつーか、確かに多少バテてンな。体表に若干スレがあンのも気に掛かるが……いや、コレは……」
打ち止め「どうかな? 原因は突き止められそう?」
一方通行「オマエ、この調子悪そうなヤツが他の金魚に追い回されてンの、見たことねェか?」
打ち止め「うんうん、どうして知ってるの? 確かに元気の無さそうなこの子をもう一匹がしつこく追い回してて、すごくカワイソウで…」
一方通行「ンじゃ心配いらねェよ。こいつはおそらく繁殖期だ。追ってたのはオスで、逃げてたコイツはメスってだけの話だ」
打ち止め「そうなの? ならメスのこの子が疲れちゃってるのは産卵に体力を使った為なのかな」
一方通行「金魚の繁殖行動は、オスがメスに産卵を促すべく執拗に追い掛け回す事の繰り返しだ。メスが逃げ切り続けたら繁殖出来ねェぞ?」
打ち止め「ふ〜ん。深く考えちゃうとイケナイ話題な気がしたからココで納得しておくね、ってミサカはミサカは……、でもタマゴないよ?」
一方通行「水草の陰にでも産み付けてンじゃねェの? それか既に腹ン中か……」
打ち止め「え……、金魚もメダカと同じく自分のタマゴを食べるの!? それじゃ頑張った意味が無いじゃん!!」
一方通行「同じ水槽に居る限り口に入れば稚魚すら喰うぞ? まァ増やそうと思わない限り水槽で金魚は増えねェ、つーことだな」
打ち止め「むむ……、新たな課題は出来たけど当面の心配はとりあえず去ったから……、差し引きゼロかな」
一方通行「謎の損得勘定すンじゃねェよ。まァしかし、いつもと様子が違うのを発見出来なきゃ何も手が打てねェワケで」
打ち止め「だよね。ミサカが毎日観察してたから金魚の繁殖期に気付けた。継続は力なりィ! ……まあ最初は病気かと思ったんだけど」
一方通行「もし異常の原因が病気だったとしても、早期発見が出来れば治療が可能な場合もある。同じく観察が重要だろォよ」
打ち止め「……そういえばさ、魚の病気の話ってあんまりしてないよね?ってミサカはミサカは確認してみる」
一方通行「コイヘルペスウィルスの話では名前だけだったか? ……そォかもしれねェな」
打ち止め「今日はおさかなのいろんな病気の話を今後の為に聞いておきたいな、ってミサカはミサカは頼み込んでみたり!」
一方通行「ンじゃ、金魚が罹りやすく症状が重めのヤツをいくつか紹介しとくか。解説に移ンぞ」
332 :
まぎらわしい
[saga sage]:2011/11/27(日) 11:38:00.78 ID:EA0k90rA0
一方通行「病名や症状を紹介する前に、一つ最も基本的な事実を覚えとけ。自然界でも水槽内にも生体自体にも、病気の原因は常に存在する。
細菌やウィルスや原生生物や寄生虫の全く存在しない環境なンぞ遺伝子操作でもするよォな施設以外では実現不可能ってワケだ。
つまり、魚は常に罹患するリスクを持つ。が、全ての魚が病気になりゃしねェよな。また自然界で病気による魚の大量死なンて
あまり聞かねェだろ? 有毒物の流出や水量低下による酸欠ならよくある話だが、養殖物以外では病気はメジャーな死因じゃねェ。
水槽飼育では逆に、魚を病死させたことの無い飼い主が神扱いされるくらいで圧倒的に病死が多いンだが……、その理由は単純だ。
飼育水の汚れや水温、水質の急激な変化といった悪環境。音や光や衝撃で魚を驚かせる、などの直接的干渉。相性無考慮の混泳等
水槽ってのは魚にとってストレスの多くなりがちな場所なンだよ。で、それが引き金となって病気が蔓延する、と。
中でも特に飼育水だな。エサのやり過ぎや食べ残しの掃除し忘れで病気のリスクは簡単に跳ね上がる。定期的な水替えは勿論だが
日頃から水質や温度を一定に保ち、有機物が貯まりやすい底の掃除には気を抜かねェ事が肝要だ」
打ち止め「食べ残しのエサは細菌の培地にもなるし、魚にとって有毒な汚れの素にもなるしね。でも水温を一定っていうのは……」
一方通行「ウチの水槽にも夏場の冷却用にファンと、冬場用にヒーターが付いてンだろ。あとは直射日光と外気を避ければ問題ねェよ」
打ち止め「ふむふむ。あとびっくりさせちゃいけない、みたいなこと言ってたけど、どうしてなの?」
一方通行「驚いて急発進して壁面にでもぶつかれば体表に傷が付くだろ? ウロコが剥がれれば寄生虫が喰い付くし、傷が深ければ
そのまま細菌の培地だ。またショックを与え続ければエサを喰う量も減って体力が落ち、結果病気に罹りやすくなンだよ」
打ち止め「ふうん。思ったよりデリケートな子たちなのねって、ミサカはミサカは和金を見直してみたり」
一方通行「魚は繊細で当然だろォ……。ンじゃそろそろ、具体的にどンな病気に罹ンのか説明すンぞ。まずは最もメジャーなヤツから。
『白点病』
原因は白点虫とかイクチオフティリウスとか言う繊毛虫類……、平たく言えば原始的な虫の粘膜層への寄生だ。
症状としては文字通り、不規則な白い点がヒレやエラ付近に見つかり出す。この一つ一つの点が白点虫の成虫なンだが
悪化するとやがて点は体中に無数に増えていく。感染した金魚は患部が痒いのか底砂に体をこすり付けるよォなしぐさをしたり
活性を下げじっと動かない時間が増えるよォになっていく。この病気で直接死に至ることはまず無ェが、エサも喰わなくなるから
衰弱して抵抗力が落ち別の病気で、って所謂万病の元だな。まァ、白いホクロ状の症状を見つけたら早めの対処を心掛けろよ」
打ち止め「白い黒子に気を付けるのねって……、あれ? ねえ、こっちの子の顔に付いてるのって……、もしかしてそれなの??」
一方通行「ン? コイツか? コレは病気じゃねェ。この白点は繁殖期のオス金魚の特徴『追い星』つー……、発情の証だな」
打ち止め「……つまり、さっきあなたが繁殖期だって断定したのはその追い星?があったからなのね。でも紛らわしい点々……」
一方通行「金魚の場合、追い星が出ンのは胸ビレとエラだけで割と規則的に並ンでるから見分けンのはワケねェよ。それに、衰弱してるか?」
打ち止め「あ、元気にメスを追い掛け回してたっけ、ってミサカはミサカは思い出してみたり」
一方通行「治療行為が魚体に与えるダメージは小さく無ェ。誤診で魚を傷付けてちゃ意味ねェから注意しろよ? さて、話題を変えンぞ」
一方通行「次の病気だが、原因菌の感染箇所によって呼び名が異なるンでとりあえずの呼称として捉えろ。
『尾腐れ病』『ヒレ腐れ病』『エラ病→エラ腐れ病』『口腐れ病』
原因となるのは主にフレキシバクター・カラムナリス菌の感染、故に総称としてカラムナリス症と呼ばれる事もある。
症状は字面を見りゃ解るとおり。尾腐れ病なら尻尾が先端から白っぽく変色し、次第に腐ったよォに脱落する。病状が進行すると
骨組みだけ残して、或いは骨ごと尾が無くなっちまう。まァ箇所が尾やヒレ、或いは口ならば即、命に係わることは無ェかもだが
エラは呼吸器だろ? 腐って脱落したら確実に死ぬ。加えて悪い事にエラはエラ蓋で覆われてるから発見が遅れやすいンだ。
金魚じゃねェが重度のエラ腐れ病のナマズを見た事があンだが、エラ蓋からはみ出た白っぽく変色したエラが順次溶けるからなのか
飼育水自体から生臭い匂いが立ち、その中を時折狂ったよォに回転しながら高速で壁面にぶつかり続けてたな……。
そのナマズもそォだったらしいが、発見した時には既に手遅れであることの多い注意すべき病気だな」
打ち止め「こ、怖い病気って事は解ったけどさ、注意って何を気をつければいいの?ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
一方通行「この菌は傷口から生体内に進入して蛋白質を分解するンで、まァ……魚にケガをさせンな、ってとこか?」
打ち止め「ふむふm……でもでもでも、エラ腐れの場合ってエラ蓋で保護されてるエラはそもそもケガしにくいんじゃないの?」
一方通行「エラに食いつく寄生虫ってのが居ンだよ。その傷口から細菌感染しちまうってワケだ」
打ち止め「なるほどね……。せめて早期発見する手は無いのかな、ってミサカはミサカは絶望するのはまだ早いって思いたかったり!」
一方通行「初期の呼吸困難の魚は溶残酸素の多い場所に留まりがちになったり、エサを吐いたりする。それらしい兆候を見つけたらそいつの
エラ蓋を開けてエラが変色していたり怪しい付着物が無いか確認すれば見つけられなくもない。まァ、運が良ければ、だがな」
333 :
まぎらわしい
[saga sage]:2011/11/27(日) 11:45:59.62 ID:EA0k90rA0
打ち止め「しっかり予防するのが現実的な対策かな……、ってミサカはミサカは考えを改めてみたり」
一方通行「フレキシバクター・カラムナリス菌は水質悪化で増殖する。また死体や酸化したエサも菌を増やす一因になる。言わずもがな
尾腐れで脱落した組織片は超危険物だ。とにかく日頃の水質管理と掃除である程度は予防可能だろォし、感染魚が出たとしても
ソイツを隔離して治療しつつ、飼育水を大幅に入れ替えることで感染拡大は割と防げンじゃねェか?」
打ち止め「ほうほう。それで、白点病や尾腐れ病の治療ってお薬とか使うのかな?」
一方通行「ここでは具体的な治療方法は言及しねェ。状態によって対処の仕方が異なるし、さっきも言ったが治療行為は魚へのダメージだ。
あくまで自分で調べるなり詳しいヤツに頼るなり、責任と覚悟を持って行うべきだと思うからな。
ただ、薬剤を使うにしても塩水浴するにしても出来る限り魚体へのストレスを低減させるべく、水槽と温度を合わせておくとか
物理的なショックを与えないよう慎重に注水するとか、あとエラ腐れの魚は特に酸欠だろ? 治療用隔離水槽のエアレーションを
しっかり準備するとか、必要な手間も多い。病気で抵抗力の落ちた金魚はちょっとした刺激が命取りなンだ。
だからコレだけは言っておく。病気を疑われるよォな魚を見つけても絶対に焦るな! 落ち着いて病名を特定して適切な対処法を
丁寧に確認するのが一番効果的なンだよ。急いで大雑把に治せるモンなぞありゃしねェと思っとけ」
芳川桔梗「解説お疲れ様。まだ二種類の病気しか紹介していないようだけど、キリがいいんじゃないかしら?」
一方通行「体が膨れ上がりウロコが毛羽立つ『松かさ病』や、眼が飛び出し時には脱落する『ポップアイ』にも触れたかったが……」
打ち止め「ミサカの優秀な頭脳もパンク寸前なので今日はこの辺で勘弁してあげるよ! ってミサカはミサカは嘯いてみる」
一方通行「……傲慢に謙遜してンじゃねェよ。ところで、番外個体は居ねェのか?」
芳川桔梗「あの子なら都市伝説の検証に出かけたわよ。なんでもエビ味のツインテールが居るとか居ないとか?」
一方通行「相変わらず意味が判ンねェにも程があンだろ……。何をどォすりゃ検証出来ンだ?? 情報に踊らされてンじゃねェか」
打ち止め「噂ってそれこそ伝染病みたいなものだから、純粋培養のあの子は弱いんだよってミサカはミサカは出来の悪い妹を心配してみたり」
芳川桔梗「太陽の光を浴びて世間の風を受けて、日頃から抵抗力を付けるように心掛けてあげなきゃダメね。手間の掛かる子だわ」フフフ
黄泉川愛穂「……水槽の汚れも自虐ボケも、ちゃんと回収しないと気持ちが悪いって例なんじゃん?」
〜おしまい〜
334 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/11/27(日) 12:23:35.81 ID:EA0k90rA0
以上、第二十七回「まぎらわしい」でした。恒例の補足と言い訳です
第一パート、とうまの水槽に新しく加わったアカザ。キモイキモイって言わせてますけど割と飼ってる人が多い気がします
人によって飼育難易度の評価がマチマチなのもアカザの特徴だったり。
第二パート、この話は実家の近くの川を思い出して書きました。なのでドコにでも当てはまるかどうかは不明です。
かなりの極限状態で生き残ってるヤツらの中に、汚れに弱いはずのアカザが何故か居るわけで。 ほんとに謎な魚です
ちなみにハサミムシは油で揚げればなんとか食べられなくもないそうです・・・
第三パート、金魚の代表的な病気は他にも沢山ありますが、異変に気付いたら本文中にもあるようにまずは落ち着くのが大事です。
治療が原因で死亡するほうが病死よりもよっぽど確率が高い、くらいの認識でオッケーかもです
本格的に寒くなってきたので風邪などに気を付けて、とか時節の挨拶も入れつつ今回はこの辺で。
ではではまたー
335 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/27(日) 18:15:02.89 ID:Zj9psTWb0
乙
リクエストをまだ受け付けてるならリュウグウノツカイを頼むんだよ
336 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/27(日) 18:49:56.49 ID:eDedlJzFo
乙
川の干上がりは凄惨だよな
337 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(関東)
[sage]:2011/11/28(月) 11:41:02.79 ID:00vNoanAO
毒針があるので手に持つのは躊躇するが、アカザって可愛いよな
ゆるゆりの赤座あかりと同じくらい…
いや何でもない
338 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/11/28(月) 18:48:27.09 ID:03s0maN50
乙
339 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/11/29(火) 02:52:51.59 ID:HFS6+xYw0
予告忘れてました。次回は来週中には投下予定です。
感想、ご意見ご要望、その他いつでも大歓迎です!
どんなマニアックなお題でも喜んで・・・対応出来るかどうかは面白さも含めて未定ですが
限りなく存在感の無いアカザ、の次に水槽に入れる生き物候補とか考えつつ
ではではお騒がせしましたー
340 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/12/07(水) 23:59:16.27 ID:EXPngorvo
乙
341 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/12/09(金) 22:59:32.25 ID:s8cMJNCn0
新刊発売に先んじて投下しようとしたらネタがちっとも思いつかなかったおさかな話
そんな今回は、苦肉の策ですけど・・・おさかな話の裏設定を使った小ネタ集的番外編な感じに仕上げてみました
それだけだとコレを初めて読む人がもしいたら申し訳なさ過ぎなので、番外編恒例の軽い考察ネタも入れていたり
とってもバラエティに富んだ内容です。悪く言えば余りモノのごった煮です
元々使えないネタで書いてるおさかな話の、さらに残り物ってことで今日のテーマは「Leftovers」です。軽い気持ちでどうぞ
342 :
Leftovers
[saga sage]:2011/12/09(金) 23:01:32.98 ID:s8cMJNCn0
☆
【第三の】
「…………、なあインデックス」
「どうしたのとうま?」
「コレ、今まで言っていいかどうか迷ってたんだけどさ……。やっぱりこんなの不自然だろ?」
「ほ? 何の事を言っているのかさっぱり判らな……、あ」
姫神「……。」
「なあ姫神? いつも、せっかくインデックスを訪ねて来てくれてるんだから、お前も参加してくれていいんだぞ?」
「あいさは、おさかな話をするときは毎回必ず遊びに来てくれてるけれど、全然話に入って来ないかも」
姫神「……。気にしないで。私。楽しんでるから。」
「そ、そうか? ん〜、無理強いする訳じゃないし、姫神がそれでいいなら上条さんも構わないのですけれども……」
「とうまのツッコミ所満載のおばか発言に我慢できなかったら何時でも口を挟むんだよ! じゃ、始めるんだよ」
アーデモナイ コーデモナイカモ! フコーダー
姫神「下手な演者よりも最前列の観客を選ぶ。それが私の正義。……開き直ってるわけじゃない。」
343 :
Leftovers
[saga sage]:2011/12/09(金) 23:03:18.17 ID:s8cMJNCn0
☆
【オーナー】
「とうま。そう言えば、いつもお世話になってるあの大きなお店の名前って何て言うのか知らないんだよ」
「あの水槽屋な。ん〜、レシートに店名がプリントされてたような……」 ゴソゴソ
「あったあった。……んと」
〜エディ・アレックスのアクアホリックショップ〜
麦野「そりゃどこのヴァンヘイレンだっつーの!!!」
絹旗「え……、突然どうしたんですか麦野?? 超意味不明な…………ヴァン、何ですって?」
浜面「確かそいつは大昔のロックバンドの名前…………だったような。定かじゃねえけどよ」
滝壺「ごめん、麦野。フォロー出来ない」
麦野「…………違うもん。年寄り臭くないもん。ハードロックカッコいいもん」 ズーン
滝壺「(ヴァンヘイレンより私はランディローズ。コレは譲れない)」
344 :
Leftovers
[saga sage]:2011/12/09(金) 23:04:37.25 ID:s8cMJNCn0
☆
【お嬢様の水槽】
初春「お二人もおさかなを飼ってるって設定ですけど、確かあの寮はペット禁止のはずですよね?」
白井「設定って何のことですの? ソレはともかく初春の言うとおり、あの部屋には水槽は置いておりませんの」
御坂「他の学校の寮でも原則ペット禁止が多いんだろうけど、みんな普通に黙って飼ってるわよね。でもウチの場合は……」
佐天「あの寮監さんが居ますからね……。でもじゃあどうやっておさかなを?」
白井「学内の施設を使わせていただいておりますの」
御坂「水着モデルのときの湾内さんと泡浮さんって覚えてない? あの子たちに頼んでるのよ」
初春「読めない名前の代表格ですよねー。覚えてますよ。水泳部の方ですよね?」
佐天「え、ってことはもしかしてプールでおさかなを飼ってるんですか??? スケールが違いすぎます!」
345 :
Leftovers
[saga sage]:2011/12/09(金) 23:05:44.72 ID:s8cMJNCn0
白井「そんなわけ無いですの。プールは水抜きして掃除して消毒しますから」
御坂「ただ、使ったあとの水を排水する時に常盤台では工場廃水処理施設並みの処置をするのよ」
佐天「DNA情報漏洩対策ですか? 話には聞いていたけど随分神経質なんですねえ」
初春「それはともかく、結構大掛かりな設備なんでしょうね」
御坂「そうね。良く知らないけど、中和と物理ろ過、生物ろ過用にそれぞれタンクがあって順番に排水が浄化されていくみたい」
白井「そして最終チェックとして……、処理水を通し続ける水槽内で魚を飼い、異常が無いか確認するんですの」
佐天「炭鉱のカナリアですか!? あ、でもそもそも大した毒性は無いんですよね?」 プールデスシ
初春「むしろどんな天然水よりも安定した上質な水が出来上がりそうです」
御坂「うんうん。それに更にその処理水は一時的に屋外の溜め池に行くんだけど、そこにも大きな錦鯉がたくさん泳いでるの」
佐天「念には念を入れて、ですか……。それで結局、お二人の水槽はどこに?」
白井「溜め池に水を送る施設内ですの。年中20℃の水が使い放題なので、水槽内に水を送りっぱなしにしても平気なんですのよ」
初春「ふむ、ふむふむふむ。……ふむ!」
佐天「水替えも温度管理も必要ないし、良い環境ですねー、……って初春? どした?」
初春「マネーの香りがしませんか佐天さん!? 『お嬢様のダシ汁でまるまると育った鯉料理のお店』 絶対流行りますよ!!!」
御坂「…………それ、変態を見つけて排除する処理施設?」
346 :
Leftovers
[saga sage]:2011/12/09(金) 23:07:11.48 ID:s8cMJNCn0
☆
【禁断の考察ネタ】
佐天「あのさ、初春。こないだの考察の続きなんだけど……」
初春「このあいだのって、御坂さんの電撃の槍の問題ですか? あれなら解析不能って結論が出たじゃないですか」 カチャ
佐天「いや、ね。そうなんだけどさ。やっぱ中途半端じゃ納得が行かないじゃん?」
初春「気持ちは判りますけれど……。何か新たな切り口を見つけないと、結局同じ事の繰り返しになりますよ?」カチャカチャ
佐天「そう。電撃の槍が光の速さで飛ぶ理屈を、真正面から考えようとしたから行き詰ったんだよね。だから今回は趣向を変えるよ!」
初春「……へえー。何だろー、楽しみですー」 カチャカチャ
佐天「全然乗り気じゃないよね?? とりあえず鯉料理の店プラン練るのは今度にして、一緒に考えてよ。お礼もするからさ」
初春「お礼? じゃあ今度『佐天さんの手作りいちごおでん』、作って下さいね。それで手を打ちましょう」
佐天「オッケーオッケー任せときな! でさ、まず始めに初春に調べて欲しいことがあんのよ」
初春「ほいほい、おでんにバナナ追加で承ります〜。で、何を?」
佐天「御坂さんと同系統の能力者でありつつ、まるで別の現象を起こす人ってのを探して欲しいの」
初春「……なるほど、それなら新しい切り口になるのかも。書庫は流石に使えないから、軽くネットで情報を集めてみまーす」カタタタ
佐天「(ふふふ、名付けて『急がば回れ蟻の一穴、王道に近道無し大作戦!』 ちょっと長いかな?)」
佐天「……それで、どう? いつもみたく一瞬で検索完了! じゃないみたいだけど?」
初春「ん〜……、予想通りというか、電撃使いって比較的ポピュラーな能力なので候補がちょっと絞りきれないですね」
佐天「高レベル能力者で探すんだよ? そういう人は破壊活動やら暴力行為で目立ってるに決まってるからさ」
初春「なんという偏見………………。まあでも、キーワードに破壊と凶暴を追加して……。ん??? これ何でしょう??」
佐天「どれどれ? 『俺の上司は破壊光線を撒き散らす超ゴリ系女』…………? よくわかんないけど凄そうじゃん!」
初春「あ、でもこの能力はちょっと問題がありますね。やはり私たちでは考察不可能です」
佐天「へ? なんでよ?? 電子系っぽいこと書いてあるよ? 電子を粒々と波々の中間状態でドーンするビームだって」
初春「そこですよ。今日は難しいこと一切抜きで行きたいので……、うん。いちごおでんを思い浮かべてください」
佐天「能力の秘密と初春の肥料に何の関係があんの?? まあ、想像したけどさ」
初春「肥料じゃないですけど佐天さんの言うように、私が今頑張ってるのはいちごおでんを貰えるという期待があるからです」
佐天「約束はちゃんと守るよ。レシピ知らないけどダシから作っちゃうから楽しみにしといて!」
初春「うふふ。さて、きっと私は現物のいちごおでんを手にすることでしょう。つまり電子って私にとってのいちごおでんなんですよ」
佐天「…………へ???」
初春「ですから、期待と現物。それぞれ電子の波形と粒子に相当すると思ってください。では、その中間ってなんですか?」
佐天「中間って、えっと……、期待と現物の? ちょっと待ってよ、まるで別物じゃん。真ん中なんて無いよ!?」
初春「ええ、そんなもの無いんですよ。でもそもそもいちごおでんが存在しなければ私にこんな考察させることは出来ません」
佐天「つまり、『自分だけの現実』の壁だね。その能力者本人や同系統の高位能力者にしかわからない、期待と現物の間のおでん……」
347 :
Leftovers
[saga sage]:2011/12/09(金) 23:09:10.82 ID:s8cMJNCn0
初春「だからこそ却って、その破壊光線の威力も射程距離も速度も全く他人には推測不可能でしょうね。だって存在しないんですから」
佐天「能力者の認識がどれだけ現実を歪めるかに依存する、か。にしても、簡単な話にするって言ったのにややこし過ぎだよ!」
初春「まあ、電子の性質っていうかふるまいっていうか、それに理屈を付けようとすれば見えない世界の話だけに混乱しますよね」
佐天「なんだっけ、量子の話? そういうの、小学生時代から苦手だったからなあ。超ひもを纏めてMをどーしたこーしたとか」
初春「正直、そのあたりになると空間移動能力者の独壇場ですよねー」
佐天「うんうん。小さな世界の物理を考えるには空間と時間の四次元では足りなくて、宇宙は十一次元で出来ているはず、とかさ」
初春「ちなみに佐天さん、ドコまで意味が判って言ってます?」
佐天「実のところ全く理解してないよ!」エヘン
初春「じゃあついでに空間移動を簡単に考察してみましょうか。もちろん超適当に、ですけどね」
佐天「え……、そこに手をつけても大丈夫なの?? 何か嫌な予感しかしないんだけど」
初春「難しかったら止めればいいじゃないですか。無責任に乱暴になら、ヤッちゃって構わないと思いますよー?」
佐天「初春って、時々怖いよね……。でも、面白そうだから乗っとくー!」
初春「空間移動ってレアだし単純に不思議ですからね……。演算で座標をアレしてコレしてどうしてテレポートになるんだか」
佐天「十一次元上の絶対位置座標、理論値を特殊な計算式で……だっけ? 意味のある言葉なのかなあ、コレ」
初春「ひとまずは理解可能な言葉から考えませんか? 例えば次元ってどういう使い方をする言葉でしたっけ」
佐天「空間上の点の位置が幾つかの異なる数値で表される時、その数値の分の次元であるとか……。だから苦手なんだってば!」
初春「例えば、私から見て佐天さんは5メートル離れてます。一次元的にはそれだけで位置が決まるんですけど」
佐天「ん? ああ、北東方向に5メートルって言えば二次元的だし、更に仰俯角度も付け加えれば三次元的に、ってことね。それなら解るよ」
初春「ついでに言うと佐天さんはいつでもそこに居るわけではないですよね?」
佐天「現在時刻の指定でしょ。これで空間と時間の、四次元時空的に初春からみてあたしの位置が決定したワケだ」
初春「で、私たちに確認可能なのはそこまでの次元なんですけど、素粒子のことを考えるにはそれでは足りないんです」
佐天「さー、意味不明な世界になってきました。これをどう単純に教えてくれるんでしょうか初春ハカセ!?」
初春「え? グラビトンがちゃんと観測されちゃう世界ですから面倒なことはスルーです。次の話題に行きましょう」
佐天「ハカセ……」
348 :
Leftovers
[saga sage]:2011/12/09(金) 23:11:05.48 ID:s8cMJNCn0
初春「さて、次元とはある点の位置、つまり座標を定める数値の数だと考えてもらいましたが」
佐天「十一次元ってことは座標を定めるのに十一個の数値が要るんだね。詳細はわかんないけど」
初春「だから私たちでも見えるとこから、えーと、そうですね……。何か二つのものを思い浮かべてください。それぞれを点で表します」
佐天「何でも良いの? あたしと初春とか」
初春「大丈夫ですよ。学園都市とハワイでもいいですし、地球と火星でもいいですし、太陽系とマクー空間でも何でもオッケーです」
佐天「不思議なペアがある気がするけどまあいいや。でも、点ってそんなに何にでも当てはまるの?」
初春「おかしな意味付けしない限りは、点は何も決めないただの概念。いわばゼロ次元ですから」
佐天「ふむふーむ。単なる座標の最小単位、だから役立たずのゼロね。よーし、サッパリ理解不能だぜ!」
初春「すごく適当な説明なので理解も適当でいいんですよー。さて、次はその二つが乗ってる線を思い浮かべてください」
佐天「線は点が連続した集まりだっけ。初春とあたしを結ぶような線を……、ほいほい。で、それがどうしたの?」
初春「世界がその線だけだとしたら私から見た佐天さんの位置は一つの情報だけで確定します。一次元です」
佐天「それはさっきもやったでしょ。実際はその距離の円周ってか球状? のどこか、としか言えないはずでしょ」
初春「今回は線上以外の場所は無い、って言いましたよ? 周りがあるなら二次元以上ってことです」
佐天「…………ん?? でも線分って二次元にも三次元にもあるじゃない。線だけの世界からそれ以外って見えないの?」
初春「さあ? でも、実際は二次元、三次元なのに見えないのだとしたら……、線から外れることが大きな意味を持ちませんか」
佐天「線から外れたら、世界から消えちゃうってことかな……。平面世界から垂直方向へ脱出するみたいな?」
初春「脱出というか、平面しか認識できないけど実は立体世界だったら、高さの座標も考えることで移動出来そうじゃないですか」
佐天「えーと、えーと、つまり纏めると……、確認できない次元まで計算に入れて移動すると世界から消えてなくなる?」
初春「そのままならそうかも知れませんけど、認識できる次元への移動に認識できない次元を通るとすると?」
佐天「姿を消して再び現れる? ……あ、それがテレポート??? …………そうか、あたしたちは四次元以上を認識出来ない」
初春「自分の位置座標を十一次元で計算出来たとすれば、それは漫画のキャラがコマの外の世界を意識したのと同じ事なんですよ」
佐天「でも、ホントに意識可能では無いよね。あくまで特殊な計算で求められる理論値で世界を飛び出してるって話なわけで」
初春「おそらくそうですね。また三次元での移動って、二次元キャラには見えないだけでなく理解不能ですよね。それと同じで」
佐天「十一次元での白井さんがどうやって移動しているのかは、白井さん自身にも判らないかもしれないと。……ふむふーむふむ」
初春「つまり、何故計算だけで空間移動が出来るかといえば、見えない次元に足を踏み入れるからってことです。おーしーまいっ!」
佐天「ふむ。……何か割とシンプルにまとめたけどさ、今更ながらこんな強引でデタラメな考察って許されるのかなあ?」
初春「逆にデタラメだからまだ許されるんですよ。無責任な妄想を聞いて、白井さんもきっと草葉の陰で笑ってくれてます」 ウンウン
佐天「勝手に殺すなああ! ……ま、結論が確認不可とか認識不可とか、今回も無駄な時間を過ごしたってことだあね」
初春「佐天さんと一緒に頭使うの楽しかったし、ムダじゃないですよー。あ、でもいちごバナナおでんはちゃんと作って下さいね?」
349 :
Leftovers
[saga sage]:2011/12/09(金) 23:15:51.95 ID:s8cMJNCn0
☆
【結構難しいよ?】
芳川桔梗「突然だけど、イメージって大事だと思わないかしら?」
番外個体「今回は最初から登場すんだね。それはともかく、イメージって何の話してんの?」
芳川桔梗「例えば、暴走が似合うあなたと何を考えてるのか判らない私。そんなイメージの二人だからオチを担当してる、とか」
番外個体「まー、おさかな話の強引なボケを第一位がやるイメージは無いね。一生懸命ザリガニ捕まえる白モヤシって、ありえねー!」
芳川桔梗「実のところ生物の解説を嬉々として語るあの子、っていうのも違和感が無いとまでは言えないのだけれどね」
番外個体「いやいや、ありゃお子様のワガママに嫌々付き合ってんじゃねーの?」
芳川桔梗「最初はそうだったかもしれないわね。でも徐々に、むしろ語っても大丈夫な雰囲気というか、新しいイメージを構築したのよ」
番外個体「ん? 要するに、やっと皮が剥けたってことかい」
芳川桔梗「それを言うなら一皮剥けた、ね。クールな雰囲気を保ちつつ解説役もこなすのだから、たいしたものよ」
番外個体「……そう言われると、何か気に喰わねーんだけど。一人だけ勝手に成長したつもりで居るんでしょ?」
芳川桔梗「ふふっ、どうかしらね。そこで今日の本題なのだけれども……、私たちも解説属性を身に付けていけない理由があるかしら?」
番外個体「…………、無い。むしろ学習装置やミサカネットワークで知識はバッチリなんだぜ! 芳川も何気に学者崩れだしね」
芳川桔梗「崩れじゃなくて崩しているの……、そこはどうでもいいわね。じゃあ、早速おさかな話を始めましょうか」
それから20分後)
番外個体「…………おいおいおい。ネタはどうすんのさ?」
芳川桔梗「……盲点だったわね。話のきっかけ、導入役が居ないと自然に始まらないわ」
番外個体「このミサカが『ねーねー、○○ってなあに?』とか、絶対やっちゃダメだろうし。つか、やりたくねえし」
芳川桔梗「私はやってもかまわないけど、立場上あなたに知識を求めるのはヘンよね……。最終信号は重要な役割を担っていたんだわ」
番外個体「オチだって大抵あのチビがきっかけを出すしね。司令塔気取りで『何々をしろ!』って指示して来る時もあんだよ」
芳川桔梗「それにしてはほのぼのとしたオチが少ないのは不思議だけれどもね。……さて、どうしたものかしら」
さらに10分後)
番外個体「……、このミサカがこんなことを言うのもなんだけど『自分のカヌーは自分で漕げ』だよ。きっかけ待つだけじゃダメじゃね?」
芳川桔梗「積極的にお題を考えたり、精力的に話を進行させるのは私の信条に反するのよ。カヌーのオールはあなたが持ちなさい」
番外個体「知ってたけどメンドクサイ人だなあ。それにカヌーの櫂はオールじゃなくてパドル……、いや、オール……、"oarfish"?」
芳川桔梗「思いついたのね? 今日は折角だからその話をしましょう。まあ、何を語るか未だ判っていないのだけど」 フフフ
350 :
Leftovers
[saga sage]:2011/12/09(金) 23:19:34.51 ID:s8cMJNCn0
番外個体「んじゃ"oarfish"……オールフィッシュの話をやっちゃうよん?」
芳川桔梗「オール、日本語で言うと『櫂』。ボートを漕ぐときのアレね。時代劇で見る舟のアレは『櫓』だから間違えないように」
番外個体「ぶっ飛んだカッコの魚だね。銀色の細長い体、真紅に統一したヒレが背側を炎のように走り、頭部のそれはながーいモヒカン風」
芳川桔梗「アメリカ先住民モヒカン族の戦士が、頭髪を真ん中だけ残したスタイルね。あれ、正しくはマヒカンだそうよ」
番外個体「んで、オールフィッシュって呼ばれる理由が腹ビレ。細くてすっげえ長い赤いヒレの先端に木の葉みたいなのが付いてんの」
芳川桔梗「ボートのオールって水を押して推進力を得るために先端が広くなっているでしょう? ちょうどそういう感じなのね」
『ん〜…………………………………………』
番外個体「……で、体長も長いんだなコレが。正確に測定された硬骨魚最長記録はコイツが持ってるんじゃなかったっけ」
芳川桔梗「あら? 最長の硬骨魚はキャビアの親であるベルーガ、オオチョウザメじゃなかったかしら? まあどうでもいいわね」
番外個体「捕獲された最大個体は頭から尾まで11メートル、重さ270キロ以上だったってよ。発見される平均は3メートルくらいだけどさ」
芳川桔梗「ふうん。平均サイズはともかく、オオチョウザメの記録は確か8メートル程度だからそちらの勝ちね。おめでとう」
番外個体「んで、深海生物だから詳しい生態は不明なんだけど、その割りにやたら知名度が高いね。いろんな謂れの多い魚だし」
芳川桔梗「深海魚の定義は曖昧で、主な生息域が水深200メートル以下であれば仮にそれが水面を泳いでいても深海魚と呼んで良いのよ」
『む〜…………………………………………???』
番外個体「……あのさあ、全然話が進行してる気がしないんだけど。コレ、このミサカが悪いんじゃないよね?」
芳川桔梗「あら、それは私に原因があるって言いたいのかしら? フォローに徹していただけで邪魔した覚えは無いのだけれど」
番外個体「見当違いのフォローはフォローじゃ無いでしょ! 合いの手が主題に沿ってないとテンポが狂っちゃうよ……」
芳川桔梗「でも今日の主題を私はまだ知らないのだけれど。何の話かハッキリさせないで強引に進めたのもどうなのかしらね?」
ダトォ? アラ フフフ コッロース オコトワリネ
打ち止め「……ねえねえ、あの二人は何をしてるんだろ?ってミサカはミサカは絡まった状況の的確な表現を要求してみたり」
一方通行「そォだな、体育教師の『今のは悪ィ見本だァああああ!』ってヤツか?」
打ち止め「解説って、知識の自慢でも意見をゴリ押しすることでもないもんね。誰でも出来るけどそこを間違えちゃダメな気がするよ」
一方通行「ま、次回はオールフィッシュ……、リュウグウノツカイの解説にすっか。――――――――オマエら二匹、ネタ振りご苦労ォ!」
〜おしまい〜
351 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/12/09(金) 23:31:13.16 ID:s8cMJNCn0
以上、第二十八回「Leftovers」でした。・・・はい、ムダおさかな知識を期待していた方にはゴメンナサイです
次回は通常版を一週間以内に、遅くても来週末までに。
今回中途半端だったアレも真打さんにやってもらいますのでどうかご容赦を
ではでは今日はこの辺で、またーー
352 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/12/10(土) 14:14:17.59 ID:2h8y0HAXo
乙
353 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/10(土) 19:11:07.39 ID:O2oveizYo
乙
お魚界最硬をモース、ヌープ問わず教えて欲しいんだよ
354 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/12/18(日) 11:56:06.15 ID:7CrIUF3R0
予告って、間に合わない可能性を示唆するためにするんだよ
いきなり反則気味の言い訳で始まるおさかな話。そんな今回はいつものメンバーが交換されたりいなかったり
バランスが崩れたらどんな話が展開するかって試みだったんですけど、かなーりアウトな出来上がりになりました
自戒の念も籠めてテーマは『間違い』です。いつもよりちょっと長くてちょっと言い回しがクドいですが、どうぞ
355 :
間違い
[saga sage]:2011/12/18(日) 11:57:38.28 ID:7CrIUF3R0
☆
「とうまがまたどこかへ行っちゃっていて、今日はインデックス一人なんだよ」
「こんなときに限って何故かあいさも遊びに来ないんだよ。…………、ヒトリゴトってあんまり面白くないかも」
「とうまと一緒に食べようと思ってこっそり買っておいたカツオ節、三本とも食べきっちゃったんだよ……」
「でもヒマだからって、私は手持ちブタちゃんにはならないんだよ! ってそれを言うなら手持ち無沙汰ちゃんなんだよ!!」 ノソノソ
「――――――というわけで、ひさしぶりにこの『のーとぱそこん』の出番なんだけど…」 スイッチ オーン
「疑問質問掲示板ってどうすれば見れるんだっけ……? あ、これかな」 ポチ ポチ
「見つけた見つけた。さー、インデックスが未解決の難問奇問、柿右衛門をズバッと解決してあげるんだよ。覚悟するがいいかも!」ビシッ
「…………、テンション上げてないと決定的な何かが切れちゃいそうなんだよ。そこは勘弁して欲しいかも」 ポチ ポチ
「科学や兵器の質問は問題外、政治情勢や経済や法律関係の話題はつまんないし。おさかな関連の珍問は無いのかな?」
「お! 噂をすれば影が差すんだよ! この文面からは相当歯ごたえのありそうな雰囲気がそこはかとなく漂ってるかも」
「ええと……。『私の泣き顔は最低でもアレの五倍は超可愛いですし』…………、余計な情報が多すぎなのはタマにキズなんだよ」
「質問を纏めるとこんな感じかな?」
●同僚に『おさかな初心者』の烙印を押されてしまったので勉強中
●どうせ勉強するのなら好きなおさかなから始めたい
●そこで世界一硬い魚類を教えて欲しい
「好きなものについての情報を探すのはどれだけ大変でも不思議と苦痛じゃないから、物事を学ぶ導入にはバッチリかも」
「やがて好きなものの知識が軸になり、そこから枝を伸ばすようにそれ以外の知識への取っ掛かりになるんだよ」
「そうなったら完全無欠の博覧強記も夢じゃない。けど、好きなものだけをとことん極めた人だって相当カッコいいかも」
「だからこの人の選択は正しいと思うんだよ。それだけに私もしっかり回答してあげなきゃね」
「……まずは魚の物理防御を実現する鎧、特にウロコの硬さについて、かな」
「結論から言うと魚のウロコって基本的に生体由来物質。そして魚類はヒトを含む全ての脊椎動物のモトだから…」
「質問者さんにはひょっとしたら残念な事実かもだけど、どんなウロコであってもその材質はヒトの体のパーツとほぼ同じなんだよ」
「つまりその硬さも想像の範囲内ってこと。そしてウロコは幾つかの種類に大別出来るから……、簡単にまとめておこうかな」
356 :
間違い
[saga sage]:2011/12/18(日) 11:59:31.33 ID:7CrIUF3R0
「いわゆるモーホロジーで言うホモロジーって観点を加えてウロコを分類するとこんな感じ?」
1)楯燐 サメなど軟骨魚に見られるウロコ。成長とともに数が増える。歯とほぼ同じ組成なので皮歯とも
2)硬鱗 古いタイプの硬骨魚に見られるウロコ。成長とともにウロコが大きくなる(数は一定)。組成は楯燐に近いが構造は異なる
3)骨鱗 現生の硬骨魚鱗の主流。成長とともにウロコが大きくなる(数は一定)。文字通り骨質で作られる
「このうち(1)の楯燐はみんなの身近に実物があるんだよ。拵えのちゃんとした日本刀を持ってきてグリップの部分を見て欲しいんだけど」
「柄巻き紐の下地に白い粒々が見えるでしょ? これがそう。歯と同じくらい硬くてすごく細かいトゲ状のウロコなんだよ」
「体の成長とともにウロコの数が増えていくのはこのタイプだけ、ってことは覚えておいたほうがいいかも」
「次に(2)の硬鱗。淡水魚だとエンドリケリ=エンドリケリとかガーとかチョウザメ、海ならシーラカンスが有名かな」
「古代魚って、一見して違和感があると思うんだけどそれは奇抜な体型だけじゃなくてウロコにも原因があるんだよ」
「基本形はひし形。それが水平方向に対して斜めを向いてまるで屋根の瓦みたいに規則的に並んでるから大きなウロコが際立っちゃうのかも」
「そして(3)の骨鱗は最も一般的なウロコだね」
「葉状鱗とも言うんだけど、要するに誰でも知ってるウロコかも。一応触れておくと更に二つのタイプに分かれるんだよ」
「一つは円鱗。コイやメダカやサケがこのタイプだね。文字通り丸っぽくて表面は滑らか」
「もう一つは櫛鱗。スズキやマダイやサバはこっちかも。円鱗との違いは端っこに小さなトゲが並んでることだけなんだよ」
「さてさて、単に頑丈さを求めるなら体をすっぽり一枚板で覆う装甲が最良なんだけど、それじゃ極端に動きが制限されちゃうよね」
「小さなウロコで体を覆うことは防御と機動力を両立して、その上損傷を負った場合にはその部分だけ取り替えれば済むでしょ?」
「えっと、つまり……虫歯治療で、歯が全部繋がっていたら大変だよねってこと。そんな利点だらけのウロコなんだけど…」
「この中で材質的に最も硬く厚いのは楯鱗で、それから硬鱗そして骨鱗って進化の流れの中でウロコはより薄くより軽くなっていくんだよ」
「カワヤツメやアンコウみたいに完全にウロコが退化し、代わりに粘液を多めに分泌することで体表を守る魚種も少なくないよね?」
「そんな防御で大丈夫か?って聞きたくなるかもだけど、これは硬いウロコの魚は古いタイプって所がミソなんだよ」
「太古、イカや貝などの祖先が海洋の王であった時代。魚類は装甲をより頑丈にすることで彼らの牙から逃れたんだけど」
「魚類の黄金時代になると硬さも頭打ち。むしろ防御は最低限にしてその分機動力を確保したほうが生存競争上より有利になるんだよ」
「だってどれだけ頑張っても歯よりも硬いウロコは作れないでしょ? まあ進化の順序的にはウロコが歯になったんだけどね」
「どんなに頑丈でも噛まれれば終わり。されど噛まれなければどうということは無い、ってコトなんだよ」
「ウロコについてはこんな感じでいいかな……。実際は例外がたくさんあるんだけど、それは自分で見つけていけばいいんじゃないかな」
「そんなことより本題に入るんだよ。ウロコの硬さは歯や骨のそれに当たるって説明をしたんだけど、結局は引掻き硬度に過ぎないからね」
「生命を守る鎧としての硬さは少なくとも押し込み硬度で考えるべき問題だもん」
「あ、用語の意味は深く考えなくていいかも。要するにここからが頑丈な魚の話なんだよ」
「ちなみに世界一硬い食品はカツオの本枯節かな。噛めば噛むほど味が出るけど、削ってダシを取っても美味しいよね」
357 :
間違い
[saga sage]:2011/12/18(日) 12:01:37.46 ID:7CrIUF3R0
「と、脱線はこのくらいにして、質問の『世界一硬い魚』のお話に行ってみよー!」
「…………でも、これってどうやって順位付けするんだろ?」
「例えばマンボウは分厚い皮で体を守っていて、拳銃弾くらいじゃ致命傷にならないとまで評される防御力がありつつも」
「ウロコが殆ど退化してるから皮膚はグズグズで弱いんだよ。これは硬いと言えるのかな……?」
「さっきも言ったけど材質的には上限が決まってるし、完璧にどれが一番硬いって言い切ることは困難かも……、う〜ん」
「悩んでいても仕方が無いから、すっごく硬いとされる魚をいくつか紹介しようかな。それで勘弁してもらおっと」
「まずはアーマードプレコ! ナマズの仲間なのに硬いウロコがあるプレコの仲間の中でも最硬を誇る『皮の鎧を着た魚』だよ」
「プレコの仲間の生息地は南アメリカが中心で、アマゾン川やその支流域では普通に食用にされるんだけど」
「ウロコが硬すぎて処理できないから直接火に掛けて丸焼きにするの。なんていうか白身なのに味が濃くてとっても美味しいんだよ!!」
「最大でも40cmくらいの中型魚でとにかくウロコが角ばっててカッコイイ、だけどおとなしくて水槽飼育にも適した魚種だね」
「続いてはカワビシャ。これは比較的暖かい海でたまーに捕れる、カワハギをブサイクにしたような魚なんだよ」
「英名はアーマーヘッド……、英語圏の人って硬いとすぐにアーマーを連想しちゃうのはちょっと安易かも」
「平べったい上にとてつもなく硬く細かい櫛鱗があるからお肉は少ないけど、甘くてコリコリでお刺身に最適なんだよ!!」
「大きさは30cmくらい。深めの岩礁域に生息してるからダイビングの達人ならこのブサイクちゃんの生きてる姿を観察できるかも」
「まだまだ行くよー、イットウダイ! 漢字で書くと一刀鯛とか一等鯛とか。これはおなじみキンメダイの仲間なんだよ」
「近縁には『包丁が全く通らない魚』として誰もが知ってるマツカサウオがいるね。これも暖かい海の岩礁などに棲んでるみたい」
「赤い体色に複数の白の横縞が均等に入るキレイな魚。だけどすっごく硬い、ところがやっぱりお鍋にばっちりなんだよ!!」
「せいぜい30cmの比較的小型の魚で、その縞模様から英語圏ではリスっぽい魚って呼ばれてるんだよ。そこまでカワイイかな?」
「あとはアリゲーターガーやシーラカンスなどの硬鱗を持つ古代魚は確かに頑丈なんだけども」
「やりかた次第で普通に刃物が通るから除外したんだよ。決してシーラカンスが煮ても焼いても美味しくないからじゃないんだよ!!」
ポチポチ ターン ポチ ポチ ポチ
「……さてと、こんな感じでいいかな? 質問者さんも納得してくれればいいんだけど……。ちょっと真面目すぎたかも」 スイッチ オーフ
「今日の話題がつまらなかったらそれはとうまのせいなんだよ!!」
「………………………」
「とうまがいるとすぐに話が脱線するし、おバカでエッチな冗談言うし、話がまとまらないまま終わっちゃうこともよくあるけど……」
「やっぱり私ひとりだけじゃ、面白いおさかな話は出来ないかも………………」
「………とうま、早く帰ってこないかな」
358 :
間違い
[saga sage]:2011/12/18(日) 12:04:54.42 ID:7CrIUF3R0
☆
佐天「あれ? 今日は御坂さんも白井さんも居ないの?」
初春「あっ、佐天さん……、そうなんですよ。なんでも御坂さんは熱帯魚を捕まえに行ったとか。白井さんはいつものパトロール中です」
佐天「……………………………………何で熱帯魚? ……よくわかんないけど、遠出ならお土産貰えるかな〜?」
初春「さあ? そんで白井さんが『あなた達二人だけじゃ間が持たないですのですの』ってお友達を呼んでくれたそうなんですけど……」
バサッ
婚后「それはわたくし、婚后光子のことですわ!」 バーン
佐天「…………お、お久しぶりです? えーと、その節は大変お世話になりまして厚く御礼申し上げ奉り候。というか張三李四?」
初春「あーあーあー、かわいいニシキヘビちゃんの飼い主さんですよね? って、他に適任者が居なかったんでしょうか?」
婚后「ちょ、ちょっとあなた方? あまりにも扱いがぞんざいじゃなくって? それとヘビちゃんではなくてエカテリーナちゃんですわよ!」
佐天「やあ〜、そう言われてもねえ……。水着モデルとポルターガイスト事件と誰かが見てる、では確かにお世話になりましたけど」
初春「ヘビ使いの方におさかな話が出来るとは思えませんもん。白井さーん、チェンジですー」 パン パン
婚后「お待ちなさいな!! こちらが大人しくしてたら言いたい放題、絶対チェンジなど認めなくてよ!」 ガー!
婚后「それに初春さん、おさかなって魚類に留まらず、水棲生物のことじゃありませんの? 今までだってカニやウニを取り扱ったでしょう」
婚后「でしたら冷静に考えて、このヘビ使いにも『水棲爬虫類』を語る権利があるんじゃなくて?」
佐天「冷静に考えてヘビ使い呼ばわりは否定しないといけなかったんじゃ……、でもまあ一理ありますね」
初春「あらあら婚后さんったら。そこまで仰るのでしたら水棲爬虫類の話、聞いてあげてもよくってよ? ウフフ」
佐天「誰が喋ってるかわかんなくなるから紛らわしいマネしない! ……えっと、ところで水棲爬虫類というとカメとかワニとか?」
婚后「初心者相手に各論を説いたところでせいぜいが一時の豆知識に過ぎませんわ。このわたくしを呼んだからにはそれ相応の難m」
佐天「……あ、じゃあせっかくなのですっごく基本的な質問ですけど、魚と水棲爬虫類って何が違うんですかね?」
初春「佐天さん?? それは流石に常識中の常識じゃないですか……」
婚后「いえいえいえいえ。人のセリフに割り込む無作法はさておき、その質問はなかなかに奥が深いかと」
佐天「でしょ? だってさあ、ほら? どっちもウロコがあるし水の中にいるし、ウミヘビなんて魚だか何だかわかんないじゃん??」
初春「ちなみにウミヘビと呼ばれる生物には、コブラの近縁の爬虫類タイプとウナギの親戚の魚類タイプ、両方いるんですよ」
婚后「っつ、そのとおりですが………………、わたくしの見せ場を奪うとはさすがはあの白井黒子さんの同僚……、やり手ですこと」
佐天「ふむ。なんか初春も婚后さんも詳しそうだし、二人で交互に話を……、相違点とその解説って進めれば面白そうじゃん?」
婚后「なるほど。つまり、一人が魚と爬虫類の違うところを端的に紹介し、もう一人はそれを詳細に解説出来たらポイントゲット! と?」
初春「最終的により多くのポイントを獲得した勝者は輝ける『第一回ウミヘビキング杯王座』って事ですね! 燃えてきましたー!!」
佐天「そんなことは言ってないけど…………、これ収拾つくの??」
359 :
間違い
[saga sage]:2011/12/18(日) 12:09:05.09 ID:7CrIUF3R0
婚后「では口火はわたくしが切りますわね」
婚后「魚類の呼吸器は主にエラで爬虫類は肺。水棲爬虫類は肺によるガス交換を行う生物にしては異常な潜水時間を誇りますわ」
初春「いきなりちょっとヒネってきましたねー……、まあ問題ないですけど
まずここでのガス交換とは、濃度の高いほうから低いほうへと物質が移動する『拡散』によって血中へ酸素が、外へ二酸化炭素が
それぞれ移動することを指します。エラ呼吸であれば新鮮な水をエラに触れさせると酸素濃度の高い水のほうから毛細血管の膜を
通して酸素が血中に向かい、逆に二酸化炭素濃度の高い血液から水中へ二酸化炭素が溶け出ます。互いに渡しあうからガス交換。
すごく乱暴に言えば、濃い塩水を真水に入れたら全体がしょっぱくなるのと同じ原理ですね。
肺についても、エラ呼吸に於ける水が大気に置き換わるだけでやってることは大差ないんですけど、だからと言って液体で肺呼吸は
極めて特殊な条件下で無ければ出来ませんから注意してくださいね。
ではどうしてカメやワニなどは非常に長い時間潜水していられるのでしょうか。例を挙げれば、温帯性のカメは時に水底で
冬眠してしまいます。ウミガメなどでは数ヶ月間潜水可能なんて噂される種も存在します。不思議ですよね?
これは爬虫類を全体的に見れば他類と比較してエネルギー消費効率が優れているから、としか言いようが無いですね。個別に見れば
消化管を含む皮膚呼吸で水から溶存酸素を取り込むことに長けた種がいたりヘモグロビンが高性能だったり、様々です」
佐天「……」
初春「じゃあ次は私からお題を出しますよー!」
初春「魚類のウロコは真皮由来であるが、爬虫類のウロコは表皮を起源とする」
婚后「オーッホッホッホ…………、失礼。そんな簡単な事をご存知無い方が居るとも思えませんけれど、お題はお題。仕方がありませんね。
ではまず庶民の目線で、真皮や表皮といった用語からご説明いたしましょうか。
原腸陥入後の細胞塊、おなじみ原腸胚において細胞はそれぞれの基本的な役割が位置的に決定しますわよね。つまり外胚葉と内胚葉、
また内胚葉の作用によって外胚葉の一部が中胚葉へと変化いたします。大雑把に申しますと外胚葉は体の表面側の素になり
内胚葉は文字通り消化管や一部の内臓組織など体の中身になって行きます。中胚葉は外と内の間、体腔を埋めるように器官や組織を
作り上げる原材料と認識されている方が多いかと存じますが、一応例を挙げるなら筋肉や骨格や膜や血液や血管やリンパ管に性腺、
膵臓や腎臓などが中胚葉性ですわよね。脊椎動物のような高等動物の場合、複雑な体組織形成をこの三胚葉性で可能にしております。
ちょっとご自身の腕をご覧になって下さいな。表面を外胚葉性の表皮が覆い、その下には中胚葉性の真皮や肉や骨が詰まって……、
あら、思わず先走ってしまったかしら? まあ結論が早くなるのは構いませんけど。
つまり、表皮とは皮膚における最も外側の構成要素であり真皮とはその直下のそれにあたるのです。外界と生体を分けるのが表皮で
いわゆる皮革、三味線の胴や野球のグローブなどの革製品と呼ばれるものの原料は真皮と覚えてくださいな。
さて、ウロコの話に行ってもよろしくて? よろしくなくても行きますけれども。
魚類のウロコが真皮由来とはつまり、皮膚の内側の真皮の部分が変形して外部に露出しその表面を表皮が覆って出来た小片が魚類の
ウロコである、というほどの意味。繊維層の上に骨質層が、更に古代魚類では象牙質層やエナメル質層が重なり形成されるウロコは
それゆえ真皮に埋没しておりいわばウロコ全体が生きた組織なので本体の成長とともにウロコも成長いたします。
それに対して爬虫類のウロコは基本的に表皮起源。ヒトで言えば垢すりで落とすような角質が硬化したものであって、それ自体は
成長しません。ですので新しいウロコが次々に作られ、古いものは剥がれ落ちてしまうのですがそれがつまりは脱皮とお考え下さいな。
また、ワニなど強靭な装甲を誇る爬虫類に関しては真皮由来の皮骨や骨格とウロコが癒合しておりますけれどもこれは例外ではなく
ウロコ自体はあくまでも表皮起源であって二次的に硬度を高めるべく結合しているのだとご理解くださいませ」
佐天「…………」
初春「思ったよりやりますね。ホモロジーは私の得意分野だったんですけど」
婚后「そちらこそ。ですが、形態学(モルホロジー)でいう相同(ホモロジー)と仰ったほうが余計な誤解を産む心配が無いのではなくて?」
初春「それこそ余計なお世話ですよー。何にしてもコレほど楽しめる相手は久しぶりでした。またヤリましょう!」
婚后「ええ、是非に!」
佐天「……………」
佐天「……………………………………………」zzz
360 :
間違い
[saga sage]:2011/12/18(日) 12:12:00.93 ID:7CrIUF3R0
☆
上条「…………」
御坂「(何なのよ……、コレって一体どういう状況なワケ? さっぱり理解不能なんだけど!?)」ボソボソ
上条「(俺も……、上条さんも『この公開講座は不足分の単位代わりになってるです』って聞かされてただけで……)」ゴニョゴニョ
御坂「(アンタが『熱帯魚に興味ないか?』って言わなきゃこんなトコ来なかったわよ! よりにもよって講師がアレって何の冗談?)」
一方通行「つーワケで、科学が発達した現在に於いても深海ってのはそこに棲む生物も含めて未だに多くの謎を秘めてやがる。
ヒトってのは内容物が判ンねェハコを開けずに居られねェモンだ。『好奇心ネコを殺す』って言葉があンだろ?
ハコの中身が爆弾だったらヒトだって死ぬ。同様に現在まで深海に魅せられて命を落としたヤツは少なくねェ。
それでもヒトがヒトである限り知的好奇心は止められない。理性を強く持つ生物にとって知ることは生きることと同義だからな。
神が知を悪と見做すならヒトの命そのものが悪になる。ならば深海はヒトの知性を断罪する深淵、って考えると面白ェじゃねェか」
御坂「(んあーーーーーーっ、どの口で神とか言ってんのよ。クソの紙みたいな顔色してる分際で……)」 ブツブツ
上条「(気持ちは解る、解るけど落ち着いてくれー! 上条さんはこのチャンスを逃したら留年800%確定なのでございますことよー)」
御坂「(ったく……、ハイハイ。講座妨害でアンタもろとも途中退出にならない程度には我慢するわよ。でもコレ、貸しだからね?)」
一方通行「以上を踏まえて、今日の本題。……今時、しかも学園都市で黒板にチョークで字を書くってどォなンだよ?」カッ カカッ カッ
〜リュウグウノツカイは異形か、凶兆か、それとも「 」か〜
一方通行「まずは基本情報から。リュウグウノツカイはアカマンボウ目リュウグウノツカイ科に属する外洋性の大型深海魚であり
詳しい生態は不明だが過去のデータから推測するにプランクトンを常食とする群れを作らないタイプの魚のよォだ。
最大の特徴は巨大であること。発見される固体の平均サイズは全長3m程度だが確認されたもっとも長いヤツは11m、
さらに船上から目視での推測だが15m級の個体も存在するらしい。そのサイズ的におそらく極めて長寿の魚種だろォな。
体表にウロコは無く代わりにグアニン層って……あー、タチウオ知ってンだろ? 銀色のペラペラの、焼くとウメェ魚。
アレと同じ銀色の光沢を持つ物質で体を保護してる。更に生きてる間は側線の上下にそれぞれ色違いの縦線が入ったり
黒暗色の斑点があンだが死ぬとそれらは急速に薄れ、全体の光沢もくすむ。
ヒレも独特で、背側全体を赤色の背ビレが覆い、特に頭頂部付近のそれは極端に長い。腹ビレは左右一対の細長い糸状で
先端が木の葉のよォな形状をしてる。この部分はちょうどナマズやドジョウのヒゲと同じくニオイや味を感知する器官だと
考えられてンな。おそらく遊泳能力が低く歯を持たないコイツにとって、エサに関する情報収拾は重要なンだろォよ。
細長く、薄く、銀光沢を持つこの魚の姿を、全く知識のねェヤツに言葉で伝えンなら
『キッチンにあるアルミ箔を部屋の隅から隅まで伸ばしたモノが海を漂っているのを想像しろ』とでも言っとけ。
実際、漁師がコイツをただのゴミと見間違えたって話はよく聞くしな」
上条「(リュウグウノツカイがテーマのおさかな話かよ。コレならなんとか居眠りせずに済みそうかな?)」
御坂「(テキトーな解説ね……。アカマンボウ目がマンボウとは全く関係ないって言わなきゃ誤解する人もいるでしょうに)」ヒソヒソ
上条「(え? そうなのかよ。じゃあヤリマンボウとも無関係??)」コソコソ
御坂「(勿論。アカマンボウはマンボウに形は似てるけど、全然別種の美味しい深海魚よ。アカマンボウ目にはレアな種が多いわね)」
361 :
間違い
[saga sage]:2011/12/18(日) 12:20:34.75 ID:7CrIUF3R0
一方通行「話を続けンぞ。リュウグウノツカイの名前の由来は読ンで字の如く『竜宮の使い』だよな。おとぎ話にもあったろ。
大昔に海亀を助けた浦島太郎ってヤツがその亀に恩を仇で返されて途方に暮れる、だったか? 竜宮はそこで出てくる
人跡未踏の海底深くにあるとされる伝説上の海神だか龍神だかの棲む宮殿のことだ。
リュウグウノツカイが竜宮の使いに見做された理由としては発見記録から推察するに海中でのコイツらの休憩姿勢が原因だろォ。
頭を上にして直立し水中で静止する10mの魚、平均的な透明度の海では頭の側から尾が確認出来ねェかもな。それこそ海底から
伸びてるかのよォに昔の漁師が誤解しても不思議じゃねェ。余談だが浮き袋が退化してンのにそォした姿勢を保ち続けられるのは
浅い海に居る魚に比べて高密度の体組織、主に骨や筋肉のことだが、を減らす代わりに多量の水分を蓄えてるからなンだと。
深海魚では低比重の水や脂肪やワックスを蓄えて浮力を得るのが一般的だがコイツもその例に漏れず、っつーことだな。
また、日本に於ける人魚伝説の正体はリュウグウノツカイって説もある。例えば日本書紀には、とあるところの漁師の
『ある日オラが仕掛けたワナに名前がわからねえモノが入っていただよ。魚でもねえし、人でもねえずら!』的な報告がある。
そしてその話を聞いた聖徳太子が
『ひとさかなが見つかるのは悪い事が起こる前兆。国に災いが降りかかる前触れである』と言ったと聖徳太子伝暦にある。
時代が下って鎌倉期には人魚とはヒトに似た顔を持つ魚、と認識されていたよォで各地の民話にズバリ人魚という名で登場する。
非常に長い体を持つ人魚、白く光る顔と赤い髪の人魚、サルのよォな突き出た口の人魚……
どれもが少なくとも今日で言う人魚の正体、ジュゴンやマナティなど海棲哺乳類の特徴には当てはまらねェだろ?
むしろいくつかの伝承を組み合わせると、飽くまで個人的にだがリュウグウノツカイ以外には候補がありえねェとまで思える。
……っても、鎌倉以降になると中国の人魚伝説の影響を受けて鋭いキバを持つ人魚や赤ン坊のよォに泣く人魚が出現するし
江戸期に入ると更に西洋文明が染み込み、半人半魚の女体っつー現在のイメージに繋がる人魚が一般に語られちまう。
まさに情報化社会の弊害ってヤツだ。
さて、西洋に於いてリュウグウノツカイは豊漁の兆しとされている。英名は腹ビレの形状がボートのオールに似てることから
オールフィッシュ(Oarfish)だが、コイツが漁の最中に現れるとニシンが大漁になるってことでニシンの王(King of Herrings)
なンて別名を持つほどにな。まあリヴァイアサンのモデルやシーサーペントの正体とも言われ化け物扱いが無いワケじゃねェが
一般的には変わった形の珍しい魚、デカいンで遊びの釣りの対象になる魚、って程度の認識だ。
ところが日本じゃ、聖徳太子の話で触れたが随分な扱われ方だと思わねェか? 国難の兆しだとか地震の前触れだとかキモイとか。
コイツの死体がどこかの浜辺に漂着するとニュースになり、『悪い事が起きる知らせで無いことを祈ります』なンて。
タコやクジラやコイ同様、洋の東西で同じ生物が全く違った印象を与えるケースのひとつと言っていいだろォ」
上条「(……長い。ちょっと理解が追いつかなくなって来ちまった。……なあ、御坂?)」ゴチョゴチョ
御坂「(は? 今のパートは脱線みたいなモンだからわかんなくても平気よ。なんならノート取ってるから後で見れば?)」
上条「(ほ〜、意外だな。…………お前、結構真面目に講義受けてるんだな)」
御坂「(一体誰の為だと思って……!! ふんっ、…………とにかく次の話がキモだと思うからそのつもりで居なさいよね)」
362 :
間違い
[saga sage]:2011/12/18(日) 12:22:04.21 ID:7CrIUF3R0
一方通行「では何故リュウグウノツカイの発見が日本において凶兆とされるのか、を考えるにあたりココで断りを入れておく。
この後から数行に渡る内容は主にネットで収集した情報を基に構成されている為、一部に特定の地名や団体名が入るが
決して悪意、誹謗中傷の目的は無い。だが今回は多くのソースの主張とは異なる結論を出す予定であり、そのことに
不快感を持たれても全く仕方が無いと思う。よって当然の事実を確認しておく。この講義は一切が俺の独断だ。
誰の主張の肩代わりでもなくむしろ一方通行な言いっぱなしに過ぎないので、出来れば深刻に捉えないで貰いたい」
一方通行「さて、江戸時代の文献にこンな記述がある。
『宝永年間のこと、ある村の漁師が人の顔と魚の体を持つ生き物を見つけ殴って殺した。その後、村は暴風と地割れで消えた』
宝永年間と言えば富士山の最後の噴火を引き起こした宝永地震の起きた時代だがそれとの関連は残念だがわからねェ。
それはそォとその記述、諸国里人談によるとこの生き物は首の下に鶏冠(トサカ)のような赤いヒラヒラを付けてたらしい。
これがリュウグウノツカイを思わせる外見の生物の発見が大惨事の引き金になった証拠としてよく使われるンだがどォ思う?
理性的に考えてもし村の悲劇の原因がその魚だったとしても、コレはソイツを殺すと罰が当たるって教訓話なンじゃねェか?
まあ、昔話では確認不可能な事も多いンで最近の話題に移る。2009年末から2010年中旬に掛けて日本海側の各所、ニイガタから
ヤマグチあたりで比較的多くのリュウグウノツカイ発見報告があり、新聞やニュースで報じられた。報道量は過去最大だった。
元々の生息地が太平洋側と考えられているコイツが日本海側で多数発見された事を受け、当然ながら地震を連想したヤツも居た。
だが、目立った大地震はあったか? 翌年のインパクトのせいで思い出せないなら覚えとけ。2010年、日本付近で震度5強以上の
地震はゼロだったンだよ。最大で沖縄本島近海を震源とする震度5弱だから、魚の発見箇所には何の繋がりもねェよなァ?
ンで、リュグウノツカイが地震の前触れだと主張するヤツらは今、こォ言うンだがどォ思う?
『リュウグウノツカイが発見された年、または次の年に大地震が起こる』
たまに居ねェか? デジタル時計を見るといつも数字がゾロ目だ、とか言ってるヤツ。ソレならまだ偶然数字が揃っている場合に
限り記憶に残る為って理屈が立つが、いつも数字がゾロ目または一つ違いだ、だったら話になンねェだろ?
勿論この手のバカ話と違って大量発見にはなンらかの原因があるはずで、ソレを辿れば生息域に変化が起きた、地磁気に乱れが
発生した、ってトコにたどり着く可能性が無いとは言えねェ。だが検証もせずに安易に断じる事が正しいとは到底思えねェよ。
では根拠の薄いデータしか存在しない状態で凶兆説が根強いのは何故かと問われりゃ、日本人の精神性に関わってンのかもな。
珍しい出来事、普段と違うやり方、場違いな作法……。街中で霊柩車を見かけたら、とか毎日の日課をサボると気持ちが悪いとか
着物の左前とか。これらの共通点は異常な状況とそれを前兆として現れるとされる様々な不幸だ。要するに日本人は伝統的に
日常に異物が入り込むことを極端に恐れ、それによって悪い事が起こるかもしれないと注意を促す為に諺や伝承で伝えて来たンだ。
だが例えば、夜に爪を切ると云々って話は現在では殆ど意味を成してねェだろ? 生活が変化すりゃ当然に日常も変わる。
そして実際何も起こらない事を理屈じゃない部分で理解……、曖昧な言い方だが、とにかくソレが出来れば解消するってこった。
リュウグウノツカイについては確かに外洋性深海魚だから稀な浜辺への漂着でしか一般人には見る機会が無いために、日常を壊す
異物として認識されそれ故に凶兆と見做されるって事になるワケだ。さて、この評価が覆されるとしたらどンな場合だろォな。
多くの漁師にとって深海魚の殆どは食味が悪く値段が付かないので網に入ってもそのまま捨ててる、って事実を知ったとしても、
群れを作らない単独生活の為に希少と嘗ては信じられていたが実際はかなり頭数が多いって知っても、外国でのこの魚の評価を
聞いてもこの迷信を捨てンのは難しいだろォよ。理性の論理は必ずしも理屈じゃねェからなァ……。
いつの日かこの魚の生態が綿密に調査されて伝説の真実が明かされるのを待つのが唯一の方法、どォかと思うがソレしか無ェな」
御坂「(む? 凶兆説は迷信、って事はデタラメだって考えてんの? でも調査を待つとか……、ハッキリしない話だなー。ん?)」キョロ
上条「(ゆ、許せねえ! 罪も無い魚を悪者に仕立て上げて、その理由が珍しいから、だけだなんてアリなワケねえだろ!!)」プルプル
御坂「(……うーん、ゴメン。いくら美琴さんでもその目標不明な意思には賛同できないわ)」
363 :
間違い
[saga sage]:2011/12/18(日) 12:25:16.31 ID:7CrIUF3R0
一方通行「さて最後オマケだ。時に凶兆、時に怪物、時に異形、などかなり特殊な生物って扱いのリュウグウノツカイだが実際はどォか。
結論を言う。深海魚の代表的な特徴を上げるとリュウグウノツカイが出来ンだよ。骨格、筋肉、浮き袋の退化とそれに代わる
水分、脂肪量の増加。わずかな光で視界を得るべく巨大化した眼球。大きく広げることが可能な口、上方からの太陽光を反射し
捕食者から姿を隠す為のCDのよォな体色。これらは中深層ってカテゴリに棲む魚の共通点だがリュウグウノツカイそのものだろ?
更に結論を展開する。地球に於いて陸地面積は3割弱で残り7割は海だ。そして深海と呼ばれる水深200m以下の海ってのは
海水全体の体積比で実に93%に達する。つまり、地球は大部分が海であり、海はほぼ深海で出来ているってことだ。
なら、地球の代表的な場所は深海であり、地球の代表的な生物はそこに棲む生物の特徴を全て持つ、リュウグウノツカイだよな?
当然本気で言ってるワケじゃねェぞ? 要は、物の見方をホンの少し変えるだけで常識なンて案外アッサリ崩れちまうって話だ。
いつも思い込みだけで動いて失敗してるヤツや自分の決意に振り回されてるヤツ、変化を嫌い日常を守ンのに必死なヤツ。
そンな連中はいつか選択を間違えて袋小路に迷い込むだろォ。ゲームオーバー、手遅れになっちまう直前に、もし気が向いたら
今日の俺の話を思い出して……イヤ、俺はどォでもいいからリュウグウノツカイの事を思い出してみろ。
その正しさはタダの思い込みじゃねェのか? 本当にそれしか道がねェのか? その行動に意義はあンのか?
リュウグウノツカイが地球代表でもあり異界の怪物でもあるって話を自分の置かれた立場に当て嵌めりゃ、多分別の解答が
思いつくンだろォぜ。判断に迷うことがあったら……、イヤ、自分の判断にむしろ絶対の自信がある時にこそ試してみろよ。
ただまァ……………、新たに思いついたそっちが正答とは限らねェがよ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 以上だ」
上条「ありゃ、アイツとっとと行っちまったよ。質疑応答とか無いのな」
御坂「アンタ何か聞きたい事あったの? っていうかこの状況で手を挙げて質問する気だったの? バカなの? バカよね! バーカ!!」
上条「え、ええと……。そんなつもりで言ったんじゃないけど、気を悪くしたなら謝る。ゴメン」
御坂「…………。講義のノートは今日の貸しを返したら見せてあげる。どうせレポート提出するんでしょ?」
上条「そうだった! …………では、ワタクシは一体何をすれば宜しいのでせう??」
御坂「そーだなー今度何かオゴって貰おうかなー? それともー……」
<ポーン
上条「ん? 館内放送か?」
『本日の公開講座、受講お疲れさまでした。尚、講師より記念品といたしましてリュウグウノツカイ一匹が贈呈されております。
全長4.1m体重20kgのお手ごろサイズ。都合により先着一名様限りですが、希望される方は入り口受付カウンターまで〜』
御坂「んー? そういえば私の後輩が『一度で良いからリュウグウノツカイを食べてみたいですのですの』って言ってたっけ……」
上条「それは俺にアレを貰って来いと? どうやって持って帰るんだよ!? 持って帰ったとして保管はどうするんだよ!?」
御坂「なんとかなるんじゃない? 黒子と、いつかの白シスターも一緒にこれからアンタん家でお鍋とかさ。それで貸しはチャラでどう?」
上条「先生、これが袋小路なんですね……。あー、もう。わかった、わかりましたよ! 不幸だかどうかもわかんねえええ!」
364 :
間違い
[saga sage]:2011/12/18(日) 12:31:35.67 ID:7CrIUF3R0
芳川桔梗「おつかれさま。終始堂々として結構板についてたんじゃない? 実は君には教師の素質があるのかもね」
打ち止め「うんうん、カッコよかったよー!ってミサカはミサカはあなたの晴れ姿に思わず惚れ直したのを白状してみたり!」
一方通行「っざけンな!! アイツらが来るって知ってたら死ンでも断ってたっつーの!」
黄泉川愛穂「仕方ないじゃん。コレはそもそも月詠先生が留年の可能性が高い学生たちの救済策の一環として企画した講座なワケで」
番外個体「いつだったかその合法ロリ教師がオマエさんとチビコロの会話を聞いて、それ以来目を付けられてたってこったーね」
一方通行「ンな事情知るか! とにかく二度と、天地が逆転したってこンな真似しねェからな!!」
芳川桔梗「あらもったいない。せっかく持ってるスキルは生かさないと宝の持ち腐れよ?」
一方通行「チッ………………、もォ用は無ェンだろ? 帰る」
打ち止め「うーん、機嫌悪くしちゃったかなってミサカはミサカは本作戦にかけた期待が高すぎだったかも?って思ってみたり」
番外個体「バカだねー。ホントに嫌なら受講生におねーたまが居んの見つけた瞬間に帰ってんでしょ。ありゃそういうヤツだよん?」
芳川桔梗「人間の心なんて結構単純に出来ているのに、その外見は複雑なものなのよ。大抵の場合、本人すら本心は推し量れないんだから」
黄泉川愛穂「ちょうど生物の生態みたいなもんじゃん。何の理屈で特定の行動が行われてるか、偏見抜きでじっくり見守ってやんないとね」
番外個体「そんで結果的に、ありゃ最低の外道だぜって証明されたら大笑い」 ケケケ
芳川桔梗「ところで、参加賞とやらで処分したのね……、アレ」
打ち止め「ああ、アレ……って、ミサカはミサカは巨大物体の面影が脳裏から離れずブルブルブルブル」
番外個体「ミサカとしても、まさか断線した海底ケーブルに電気流したらあんなもんが浮いてくるとは。いやはやビックリビックリ」
黄泉川愛穂「毒流し漁、爆破漁、そして電気漁はほぼ世界中で犯罪じゃん! そしてアレを持ち帰った不幸な受講生に幸あれじゃん……」
『リュウグウノツカイは筋肉や骨を減らし、代わりに比重の軽い水分を大量に蓄えることで……、つまりそれはドロドロの物体に過ぎない!』
禁書「とうま! このふやけたスポンジみたいなブヨブヨの何か、とっても美味しいんだよ!!」 ハフハフ
白井「いえ、正直味は……、ですけど原形を留めないほど崩れた身は非常に魅力的ですの!」 フー フー
禁書「すごいよとうま! ホットプレートが水浸しになるくらい切り身からお水が出てくるんだよ!!」ジュー ジュー
白井「皮にうっすら残る怪しい模様もかなりの高ポイントですの。残念ですけど、お鍋では完全に身が溶けてしまいましたわね」 グツグツ
御坂「黒子もだけど、あの白い子もスゴいわね。…………、リュウグウノツカイの水分含有量ナメてたわ。ゴメン」
上条「この頼りになる二人に出来るだけ処理してもらおう……。で、残りはご近所にでも配るかな……」
御坂「それなら私も心当たりが二人ほど居るわ。でも、貰って困るものは贈っても喜ばれないだろうなー」
〜おしまい〜
365 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2011/12/18(日) 13:00:24.20 ID:7CrIUF3R0
以上、第二十九回「間違い」でした。定型のありがたみをとことん思い知りましたとも・・・
ちなみにシーラカンスがホントに不味いのかどうかは知りません。インドネシアのどこかでは普通に食べてたとか聞くけど
他方でアブラっぽいハブラシを噛んでるみたいって感想もあったような。
もひとつちなみに、リュウグウノツカイは深海魚だと紹介していますが実際は思ったより上、中層付近をフラフラする魚かもしれないそうです。
オキアミ食べてるんなら確かにそのほうが自然かなー・・・
そんなわけで、今回はちょっとヤリスギだよなーと反省しながらこの辺で。ではではまた来週ー
366 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/18(日) 15:23:28.12 ID:u2tD6Ve7o
乙
アンコウとかも美味しいけど鍋にすると物凄いべしょべしょになるよね
367 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/19(月) 21:12:25.97 ID:0anh8dlIo
おさかなじゃないけど、時期的にクリスマス関係の話はどうでしょう
368 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/23(金) 10:01:05.43 ID:Wpapicyfo
乙です!
リュウグウノツカイぐぐってみたらグロかった…食えねぇよこれは
もはや魚じゃないけどヒトガタとかの海のUMAのお話はどうでしょう
369 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/12/31(土) 23:27:55.47 ID:nmlmNVyK0
やたら年末忙しくて全くダメダメなおさかな話。あっというまに大晦日になっちゃってどうしたものか
新年第一週のうちには新しいの書きますよって、今日は軽い一発ネタだけの投下でご勘弁をー
皆様良いお年をの願いを込めて
370 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2011/12/31(土) 23:29:10.66 ID:nmlmNVyK0
☆
「ねえとうま。クリスマスについて考えた『おさかな話』、どうしてお蔵入りなのかな?」
「あのなインデックス、確かに比較的しっかり考察した部類ではあるしお前もノリノリだったけど」
「けど?」
「シモネタに走りすぎたろうが! 上条さんはあんなガチエロな話題を華麗にサバくような人生経験送ってないんですよ!!」
「それは聞き捨てならないかも。私はただ宗教的魔術的には魚っていうのはヴァ…」 「シャラーーーーーーップ!!!」
「……てなわけでだな、せっかく頑張ってもらったけどアレはまた今度にしようぜ」
「納得いかないんだよ!! せめてペテロの魚の話だけでも…」
「あーあーあーあーあーあー、そーんなことより!!」 ホレ
「なんなんだよ!! ……ってナニコレ!?」
「アメ玉を落としてお年玉、なんつって!」 ビシッ
「…………」
「おーっと、落としたっ、まあ。お年玉!」 バシッ
「…………」
「………………」
「はぁ……、とうま?」
「はい、何でございましょうインデックスさん!?」
「お年玉の語源も知らずにそういうありきたりなボケをしたってダメなんだよ。お年玉というのは歳神様の精神の欠片をお餅に落として
それを子供たちで分けあって精気を養うって大昔の風習が基になっっているんだよ。だからアメ玉を上から落とすってのは元の意味と
カブっちゃって全然面白く無いんだよ!! それにお年玉を貰うのは子供だけだから私は対象外……、ってもしかしてとうまは未だに
私の事をお子様とか思っちゃってるのかな! だったら新年早々オシオキを覚悟してもらわないといけないんだよ!!……」
<ガブっとな☆>
「だああああああああ、白い獅子舞があああああああああああああ」
〜おしまい〜
371 :
以下、あけまして
[sage]:2012/01/03(火) 23:13:35.23 ID:fLjKWbkNo
乙
このSS面白いしかなり待ちわびてるけどその割には読むの後回しにしてしまう。中身詰まってるから
リュウグウノツカイさんは図鑑とかで見てうおーってなる魚の代表格だと思うんだ
あと日本ではクリスマスといえばエロイ話ってのは間違ってないと思います
372 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2012/01/10(火) 01:02:59.53 ID:2wTBt1S30
新年一発目の更新ー! 遅くなりすぎましたーー!!
そんな今回は、辰年だから竜を取り上げようとして行き詰まり・・・
なら行き詰ったコトをネタに! って無茶な発想で出来上がってます
テーマは、内容がわからない様子「茫漠」です
伝わらないかなあ、と思いつつ。どうぞ
373 :
茫漠
[saga sage]:2012/01/10(火) 01:04:15.01 ID:2wTBt1S30
☆
「なあインデックス、信じられるか? この上条さんが新年を無事迎えてるんだぜ?」
「とうま…………、なにはともあれオメデトウなんだよ」
「去年はとにかく色々あったからなあ。覚えてないから定かじゃないけど、アレで平年並みってことは無いよな」
「毎年あんな災難にあってるならとうまはとっくに神の御許かも。って言うかむしろお迎えから嫌われてるレベルなんだよ」
「でもな、生きることに希望が少しも見えなくても生きてること自体が希望ならそれでオッケー、って思わないか?」
「そんな悟ったこと言っちゃ悲しすぎるんだよ!! それと年明けなんだからもっとハレな会話をしなきゃダメかも!」
「わーってるって。でな、こっそり予習してきたんだけど、新春一発目だし干支にまつわるおさかな話なんてどうだ?」
「えっと……、つまりそれって辰のこと?」
「おう! 辰ってのは想像上の存在ではあるけど十二支の中で唯一の水生生物だからな」
「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥……、確かに辰以外は実在の陸上動物なんだけど…」
「なんだよ? このテーマに何かご不満でも?」
「ううん、そういうんじゃないんだよ。ただちょっと……、とうまには荷が重いんじゃないかなって」
「……言葉がキビシくないか? そりゃあさ、とどのつまり幻想獣の話なワケで、いわゆるお前の専門なんだけどさ」
「って言うかね、辰こと竜は語るべきことが多すぎるんだよ。基本情報の羅列だけで単行本が50冊は書けるかも」
「オイオイいくらなんでも50冊って、大げさな表現にも程度ってモンがあるぞ?」
「むぅ、やっぱり全然わかってないんだよ。素人が触れちゃダメな事が世の中にはあるってそろそろ学習して欲しいかも」
「はあ? んじゃ竜について話すだけで大罪だ、ってのかよ??」
「ちがうかも。私が言ってるのは、『竜とはどんなものであるか』は危険物、取り扱い注意ってことだよ」
「いやいやいやいやいや、お前の考えがさっぱりわかんねーよ。竜なんて所詮ドラゴンだぞ?」
「とにかく少しの間で良いから黙ってて欲しいかも!! 今からその腐った思考を叩き治して差し上げるんだよ!」
「なっ…………、」
「大雑把な説明だからすぐ終わるんだよ。準備はいいかな?」
374 :
茫漠
[saga sage]:2012/01/10(火) 01:06:04.03 ID:2wTBt1S30
誰でも知っているしさっきから何度も言ってるけど、十二支の辰とは竜のことだよね?
その存在を説明するとなるとどうしても避けられない問題が起こっちゃうんだよ。
えっと、簡単にまとめると
1)十二支の発祥は中国だけど、竜は世界中に類似の伝承があり起源が定かじゃない
2)その姿は、大きなウロコを具えた長い胴体に鹿のような角と長いヒゲを蓄えた獣の顔、なんて描写されるけど
実際は幻獣だから当然なんだけど真の姿というものを持ってない
3)またその基本的な姿さえ複数の幻獣や実在の動物のイメージが混合しちゃった結果だからイメージの基になったモノ、
つまりモデルが何なのかさえハッキリ言えない
4)そして地域によって宗教によって人によって竜の位置づけも様々。怪物だったり神様だったり悪魔だったり……
5)ココに西洋のドラゴンを竜の一種として持ってきたら話は更に無茶苦茶になっちゃう
ドラゴンは一般の人にとっては災いの象徴であるのと同時に知恵を授けてくれるモノっていう不思議な存在だからね
付け加えると、近代魔術師にとってはまた別の意味になっちゃったりするし
と、こんなふうに竜って曖昧で不可解で、吉でも凶でも無く、またそのどちらでもあるの。
そんな竜を安易に『こういうモノです』って断定しちゃうのは最悪、他人の神様を侮辱するってことになるんだよ。
逆の場合もあるだろうけどどっちにしても深刻なトラブルになりかねないデリケートな話題なのかも。
「どう? それでも竜の説明をしたいのならそれ相応の覚悟が必要かも」
「……え? イヤ、全然納得出来てねえんだけど?? 別に俺としては竜を貶めるようなことをいうつもりは無いし」
「貶めるとか誉めそやすとかの問題じゃあないもん。まったく、とうまは物分りが悪すぎるんだよ!」
「じゃ、じゃあどう考えればいいんだよ? 何がどうしてダメなのか解るように説明してくれよ」
「ん〜〜、そだね。たとえばハーレムラノベのヒロインとかバトル物の最強キャラとかを断定的に語ったらどうなるかな?」
「?? そんなの好きなようにやればいいんじゃねえの? 作り話の解釈なんて人それぞれなんだから…」
「ふ〜ん。じゃあ、えーっと、一休さんのメインヒロインって桔梗屋の弥生さんだよね?」
「はあああああ? お前全然解ってねえな!? 一休さんには相思相愛のさよちゃんがいるだろ!」
「それこそありえないんだよ。一休さんは小坊主だけど実は帝の子供なんだよ? 庶民じゃ釣り合わないもん」
「んなもん関係ねえよ! それに弥生は高飛車でトラブルばっか起こしやがるし、バカな兄弟子の秀念がお似合いだろ!」
「秀念さんが弥生さんにホレちゃってるのは、作中で弥生さんが人気キャラって事を証明してるとも言えるかも」
「弥生を贔屓したいからって深読みし過ぎだ! 大体、身分を言うなら露姫が一番相応しいってことになっちまうぞ!」
「……やんちゃ姫は無いよね。あんなワガママで意地汚くてウルサくて生意気な子がヒロインって、無い無い」
「実は素直でいい子って描写もあるにはあるけどな。とにかくヤヤコシイ事情抜きに考えたらさよちゃん一択なんだよ」
「南北朝のヤヤコシイ時代の、出自のヤヤコシイ主人公の周りのヤヤコシイ人達からヤヤコシサを抜くって意味不明かも?」
「そうじゃなくてだな、弥生は一休さんに対して特別に好意を寄せてる感じが無いだろ? その時点で資格が無いの!」
「だったらまだ幼いさよちゃんだって同じかも …………と、こういうことなんだよ」
375 :
茫漠
[saga sage]:2012/01/10(火) 01:08:13.23 ID:2wTBt1S30
「なにがだよ!?」
「だから、竜についても今の話みたいにアチラを立てたらコチラが立たない感じになっちゃうんだよ」
「……、つまり竜とはどんなものかを説明する場合には遍く全方位に気を使った描写が必要になるってことか」
「誰も傷付けたくなければ、だけどね。逆に言えば他人を害しても良いって覚悟があるなら好きにすればいいんだよ」
「……、そりゃ下手したら『俺は無神経です』って真顔で自己紹介するようなモンだ。ワザとそんなマネできないよな」
「無自覚だったらなおさらタチが悪いかも? 竜は存在していないかもだけど、竜を語る人は実在するからね」
「オチもないしおさかな関係ないし曖昧な話だったな……、ま、一発目だしこんなもんか?」
「テーマが過大だったからね、仕方ないかも。まあそんなことより定番の挨拶で締めておくんだよ!」
「定番? ああ」
『今年もよろしくなんだよ』
376 :
茫漠
[saga sage]:2012/01/10(火) 01:09:50.82 ID:2wTBt1S30
☆
佐天「という訳で、辰年にちなんだ都市伝説といえばアレしかないですよね!!」
白井「また都市伝説ですの? 佐天さんの辞書には懲りるって文字が無いとしか思えませんの」
御坂「なんだかイヤな予感しかしないわね……」
初春「アレって言われても全然心当たりが無いのに、それ以上言っちゃダメって悪寒がビンビンします!」
佐天「あるえー? 皆さん、ノリが悪いですよー! もっと盛り上がっていきましょうよ。ほら、アレを予想するとか」
白井「と言われましても…………。竜に関係する都市伝説……」フムー
御坂「竜……、ドラゴン……、マカラ……、ナーガラジャ……、八岐大蛇……、ワイバーン……、九頭竜……」
初春「うーん。都市伝説ですから、もっと俗な話じゃないですかね? 路地裏がどうとか下水道がどうとか」
佐天「ああ、ニューヨークの下水道の都市伝説もあるよね。なんだっけ? 薄暗い地下道に蠢く白いワニ……、だったかな」
白井「それ、くだらないB級パニック映画のモトネタですわよね? ええと…」
御坂「あががっが!! ち、違くて、えーっと、あ! 解ったわよ解った!!! 空に掛かる虹は竜の宝物の根元の妖精!」
初春「どうしたんですか御坂さん? 言ってる事が支離滅裂ですけど??」
佐天「多分それは『虹の根元に辿り着くと幸せになる』じゃないですか? 宝物とか竜とか関係ないと思うけど」
白井「いえ、虹という字には虫が入ってますでしょう? これは大昔、虹は巨大な神秘生物と思われていた名残ですの」
初春「虫じゃないのに虫偏なのは蛇とか蜥蜴とか蜃とかと同じですね。ま、言っちゃえば竜みたいなモノですかね?」
御坂「そうそうそう、そういうことなのよ。ホラ、西洋のドラゴンってお姫様と宝物を奪ってくるイメージじゃない」
佐天「ははあ〜、それで奪ってきたものが虹の根元にあるから辿り着けたら幸せになるって…」
白井「はて? わたくしの知ってる話では虹の根元に宝を埋めているのは妖精さんだったような……」
初春「虹の根元に行くと良いことがあるって伝承は世界中色んなトコにありますからね。それぞれ微妙に違いますけど」
御坂「まあ、現代まで伝わってる話は色んなトコの色んな伝説が融合してるってことでしょ」
白井「晴れた日にホースで水を撒けば解りますけれど、そもそも虹に根元なんてありえません。ただのまん丸ですの」
御坂「そこっ、夢の無いコトは言わない! むしろ普通は辿り着けない場所だからこそいいのよ」
初春「奇跡がそんな簡単に狙って起こせたら奇跡じゃないですからねー。ところで佐天さん?」
佐天「ミラクルかあ、ふむふむ……、ほ? なんだい初春?」
初春「結局、佐天さんの仕入れた辰年ならではの都市伝説って何だったんですか?」
御坂「そういえば聞いてなかったわね。ついでだし、良かったら教えてくれる?」
佐天「あ、えーとですね……。正直スケールの小さな話なんで無かったことにしてください! ゴメンなさい!!」
白井「期待していたわけではないですけど、無かったことにと言われると気になりますの……、ではまた次の機会に」
377 :
茫漠
[saga sage]:2012/01/10(火) 01:13:13.16 ID:2wTBt1S30
☆
打ち止め「ねえねえ、ロマンティックの日本語訳ってなにかな?ってミサカはミサカはたずねてみたり」
一方通行「辞書引け、と言いたい所だが……。またどォして今日はそンな質問なンだよ?」
打ち止め「クイズで死神博士が浪漫的って答えて不正解にされてておやおや?って…」
一方通行「何の話だよ? まァその浪漫的ってのは英語の音の当て字だから訳語としては不正解なンだろォが」
打ち止め「ふうん。でもさ、それなら正解は何なんだろってミサカはミサカは再び質問してみる」
一方通行「だから辞書引きやがれこのクソガキ! 大体、ロマンって言葉くらい知ってンだろ?」
打ち止め「ロマン? ロマンスなら見当がつくんだけどってミサカはミサカは耳年増なお年頃アピールしてみる」
一方通行「チッ……、何を勘違いしてンだか見えねェが覚えとけ。ロマンやロマンスってのは物語のことなンだよ」
打ち止め「物語って、つまりお話とか小説とかそういうの?」
一方通行「あァ。中でも特に伝奇、つまり普通じゃねェ世界を描いた超現実的な話をそォ呼ぶ」
打ち止め「あれ? でもロマンはともかくロマンスって、何かもっとこう、ねえ? ってミサカはミサカは曖昧モコモコ」
一方通行「ちったァ自分で考えるクセ付けろ! 語源知ってりゃ難しいコトじゃねェンだしよ」
打ち止め「言葉の意味が判らないのに語源なんて知ってると思うの?ってミサカはミサカは当然の返答をする」
一方通行「……そりゃそォか。ンじゃ軽くロマン、ロマンス、ロマンティックを説明してやる」
打ち止め「いいけどこのままだとおさかな話にならないよ?ってミサカはミサカは釘を刺してみたり」
一方通行「無駄な心配すンじゃねェ。俺を誰だと思ってる?」
打ち止め「……、じゃあお任せするね!」
一方通行「フン……。大昔のヨーロッパに於いて公用語はラテン語って決まってたンだが」
打ち止め「ラテン語、ふむふむ」
一方通行「公的な言葉ってのは、堅苦い雰囲気を与えンだろ? 次第に日常で使い難くなる」
打ち止め「日本語だと文語って感じかな?ってミサカはミサカはたとえてみたり」
一方通行「だな。で、必要に迫られて次第にラテン語を基にした会話用の気軽な言語が派生する」
打ち止め「今でも文書の言葉とおしゃべりの言葉はちょっと違うもんね。それで?」
一方通行「その会話用の気軽な口語がロマンス語、転じて口語で記される気軽な読み物をロマンスって呼ンだっつー事」
378 :
茫漠
[saga sage]:2012/01/10(火) 01:15:33.21 ID:2wTBt1S30
打ち止め「ほほぉ〜、くだけた表現の楽しいお話ってトコロなんだね。ちなみにその名前はドコから来たのかな?」
一方通行「ラテン語の中心はローマだったンだよ。ローマには現在でもラテン語を公用語にしてるバチカンがあンだろ」
打ち止め「つまりローマの人が使い始めた言葉だからロマンス語とよばれたワケかあ」
一方通行「繰り返しになるが、物語としてのロマンスには血湧き肉踊る異能冒険長編が多かったンで…」
打ち止め「あれれれ? それはどっちかって言うとロマンのほうじゃないのかな?ってミサカはミサカは疑問を呈してみる」
一方通行「ロマンスがオマエの思ってる意味になってンのは、その手の話にありがちなヒロインの所為だろォ」
打ち止め「ヒロイン? お姫様とか幼馴染とか実は異性だったライバルとか毛布を纏った美女とか?」
一方通行「最後のは知らねェがそンなトコだ。
ヒーローに絶望の淵から救われる囚われのヒロイン。
実際にはありえない状況だからこその文字通り劇的な感情のぶつかり合い。
そして誰もが羨むハッピーエンド。
そンなロマンスに描かれるよォな恋愛、恋愛と言えねェ気もするが、それに憧れて
『私も物語のヒーロー(ヒロイン)みたいな恋がしたい』とか考えちまう脳味噌に問題のあるヤツラ。
ヤツラの考えが一般に定着しちまって、今ではロマンス=劇的な純愛って意味で使えるっつーコトだ」
打ち止め「それで、日本語だと混同を避けるためにもともとのロマンス(物語)の意味をロマンに当てたのかな?」
一方通行「生きてる言語だからな。まァ、ンなトコじゃねェの?」
打ち止め「ふーむふむ……、それでロマンティックの日本語訳は結局なんなの?ってミサカはミサカは三度目の正直」
一方通行「〜テイックってのを中国語の音訳で的って字を当てンのと同様、○○的と訳すべきだが」
打ち止め「となると今までの話から……」
一方通行「物語ってのを軸にすンなら『空想的』『幻想的』『非現実的』が適当か?」
打ち止め「ドラマみたいなラブラブムードって感じだと『感傷的』『叙情的』『劇的』かなあ?」
一方通行「ついでに付け加えると芸術用語としては『ロマン主義的』なンて意味もあるが」
打ち止め「……、なんだか言葉の意味の幅が広すぎ!ってミサカはミサカは頭を抱えてみたり」
一方通行「だよなァ……。例えばこンな一節があったとする
『彼は感傷的な台本を劇的に改定し空想的な発想で幻想的に展開した非現実的な計画を叙情的に批判したロマン主義者だ』
『要するに彼はロマンティストだ』
上半分だけでは意味不明、後半は簡潔に述べられているが漠然に過ぎるよな」
打ち止め「だね。単にロマンティックって言われたら注意したほうがいいかもってミサカはミサカは心してみる」
379 :
茫漠
[saga sage]:2012/01/10(火) 01:19:29.41 ID:2wTBt1S30
芳川桔梗「彼も言った様に、その手の問題が起こるのは言葉が成長し進化する生き物のような性質を持つ為ね」
番外個体「でもさ? それだと他人の話は単語の数だけ解釈が枝分かれすんじゃん。それでいいのん?」
打ち止め「ヒトは雰囲気や前後の文脈や環境からそれとなく意味を推測してるんだろうけど、考えたら危ういよね……」
一方通行「現実世界は滞りなく営業中だろォ? ンな心配するヒマあンなら辞書引いて語彙でも増やしとけ!」
芳川桔梗「曖昧なままでも日常では問題ないのよ。但しそれは確固たる基準があればこそ、なのだけれども」
打ち止め「言葉の基準って、つまり絶対に変化しない言語ってこと?ってミサカはミサカは、そんなのあるの?」
一方通行「生き物が成長進化すンのは生きてるからだ。なら言語も死ンでりゃ変化しねェだろ?」
番外個体「死語ってヤツ? ナウなヤングにバカウケのイケてる超トレンディちゃん、的な」
芳川桔梗「それは今でも普通に通じるでしょう?」
一方通行「……、死語で正解だがソッチじゃねェ。日本人が全滅した場合の日本語、って感じの使用者が居ねェ言語だ」
打ち止め「言語が生きてるように変化するのは日々いろんなヒトに使われてるから。だから死語は変化しない、ってことね」
番外個体「法律用語とかが古めかしく難解過ぎんのはひょっとして、生きた言葉が起こす意味の曖昧さを回避する為かいな」
一方通行「で、ラテン語っつー死語の話をしたろ? 大昔に廃れた堅苦しい公的言語って」
芳川桔梗「口語がどんどん発達する一方でラテン語はその権威だけが上がって誰も使わなくなってしまったの」
一方通行「ラテン語が学術上統一的な真名、つまり学名で使われてンのはそンな事情で格式高く変化が無いからだ」
芳川桔梗「勿論、現在は西洋文明が支配的であるからって前提があるのだけれどもね」
打ち止め「学名って、鳥のトキを”Nipponia nippon”とか 表すアレかな」
芳川桔梗「そう。全ての分類された生物には学名が付くのよ。当然、おさかなにもね」
番外個体「ほお〜。ん? でもさ、死語ってことは新しいモンを表現するには語彙が足りなくね?」
一方通行「ホントにムダなトコだけ鋭いよなオマエら……。実際の学名は生きてる言語をラテン語化させて作ンだよ」
芳川桔梗「ん〜……、そっちに話が行くと収拾が付かないからその辺にしておきなさい。大して面白くもないんだし」
一方通行「あァ? 面白くないとかバカ言ってンじゃねェよ。命名規則にはロマンが溢れてンだよ!」
番外個体「良く知らないけど、誰かがロマンティックなんだね」
打ち止め「うんうん、ミサカもあなたの止まらないロマンティックに胸が苦しくなるよ」
一方通行「……………、ってオイ待て! コレでオチって、シュール過ぎンだろォがああ!?」
打ち止め「だってロマンティックだからしょうがないよってミサカはミサカは曖昧な言葉で締めてみたり!」
〜おしまい〜
380 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2012/01/10(火) 01:36:09.56 ID:2wTBt1S30
以上、第三十回「茫漠」でした。ドラゴンには触れてはならんのじゃ・・・
第三パートで出てくるラテン語ですが、実際は時代その他で幾つかに分類されます。古典ラテンとか教会ラテンとか中世ラテンとか
あとバチカンで普通に使う言葉はイタリア語なので念のため
おさかな話っていうより言葉弄りみたいになっちゃったけど今日はこの辺で。ではではまたー
381 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2012/01/10(火) 08:59:21.18 ID:UlpoGn0AO
アカデミック!
乙!
382 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2012/01/15(日) 19:23:32.93 ID:FCrX9efXo
ダイナミック!
乙!
383 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2012/01/18(水) 21:51:39.40 ID:SThyf77I0
投下量と投下間隔(重要)、そして内容になかなか進歩が見られないおさかな話
今回は試しにちょっとドラマを作ってみよう!って、いつも通りの軽い思いつきが大事故に繋がった感じです
テーマは「禁句……かな?」・・・なんとも微妙ですけど、どうぞ
384 :
禁句……かな?
[saga sage]:2012/01/18(水) 21:55:44.40 ID:SThyf77I0
☆
「なあインデックス…………………、あれ? インデックスはドコ行った??? ってお前は!!」
「やあやあ、久しぶりだね上条当麻」
「ステイル! どういうことだよ、インデックスに何があった!?」
「……、説明するのもバカらしいことなんだけどね。暫定保護者である君には伝えておくべきなんだろうなあ」
――――――――――――――――――――――
「……つまり要約すると、お前んトコの偉いヒトが貴重品を金庫に入れてそのカギを魔術で保管していたんだけど」
「そ。あろうことかあのバカ……、いやその方は自分の掛けた魔術の解法を失念してしまったらしくてね」
「そこであらゆる魔術に精通するインデックスが必要になったワケか。でもそれならそれで一声掛けておけって…」
「わからないかな、だから僕はココに居るんだけど? 君が今の僕以上に不機嫌になる資格など無いってことさ」
「お前も相変わらずいい性格してんなあ……。じゃあ用事も済んだんだろ? お帰りはあちらだぜ」 ヒラヒラ
「これはご丁寧に。当然言われなくとも失礼すr……………なあ、おい?」
「なんだよ、何か文句でも付け忘れてたのか?」
「……コレは君の、上条当麻の水槽かい?」 トントン
「俺の部屋にあるんだから当然だろ? ……、でも最初に飼おうって言い出したのはインデックスだったかな?」
「…………………………………………」
「しょっちゅうおさかなの話をしてたらなんかその気になっちゃって、そしたらある日突然この衣装ケースを買って来て…」
「…………………………………………」 フム
「(『好きなヒトの好きなモノは好きになるものなんだよ!』 か……。まったく、余計なことを思い出させてくれる)」
「……で、メダカとシジミだけじゃ寂しいからアカザを入れたんだけど全然目立たなくってさ。目下追加投入を…」
「もういいよ。君は趣味の話になると止まらないタイプなのかい? 残念だけど僕は君の影響を受けるつもりはないんだよ」
「っと、悪い悪い。水槽をじっと見てるし、お前もおさかな好きなのかなって思っちゃって」
「嫌いとは言っていないけども。まあ、僕の場合は飼育よりむしろ食べるほうが好みかな」
385 :
禁句……かな?
[saga sage]:2012/01/18(水) 21:58:05.82 ID:SThyf77I0
「オイ? ウチの飼育水は薬品を入れてねえからメダカもマシジミも食べようと思えば食べれるけど、やらねえぞ?」
「そういう意味じゃない。君もあの子と同じような事を言うんだね……………………いや、なんでもない」
「何だよ? まあ、しつこく注意したから今ではスフィンクスだってメダカを狙わないんだ。だから頼むぜ?」
「ほう。僕などネコ畜生にも劣ると?」 パララパララ
「待て待て待て!! 悪かった!! だからこの部屋でルーンをバラ撒くのはご勘弁戴きたく願いけるのことよ!」
「フン……、そのラテン語混じりの気取った宗教家言葉を日本語に直訳したような語り口も鼻に付くが、まぁ良い」 シュッ
「え〜〜、まあ、なんだ? アレだよな。見てて全然飽きないしキレイだしカワイイし、飼育っていい趣味だと思う」
「…………、一応確認しておく。それ、おさかなの話だよね?」
「ん? いや別に犬でもネコでもチャボでもサラマンダーでも、なんでもいいんじゃねえの?」
「そ、そうか。そうだな……」
「んでお前はどうなんだよ? 何か飼ってたりしないのか?」
「僕の話なんてどうでもいいだろう? ……、神裂は未だに熱帯魚を飼ってるらしいけど」
「へえ、あの神裂が熱帯魚……」
「ああ。なんでも若いころからずっと続いてる趣味らしい」
「……、その言い方だと今は若くないって聞こえないか?」
「だからそう言ってる」
「……………………、それはともかく意外なトコに水槽仲間が居たんだなー。どんな熱帯魚が居るのか興味あるな」
「おい、変な気を起こすな? おそらく今はイギリス清教の女子寮に設置されてるだろうから」
「ってことはロンドンか……、今度あっちに行く用事があったら見せてくれよ」
「本当に君はヒトの話を断片的にしか理解しないな。絶対に行くなよ。騒ぎの火種になるのがオチだから」
「ダイジョーブだって。おさかな好きってのは知識があるから他人の水槽を表面上褒めちぎるのは得意なんだぜ?」
「知ってるよ。そのくせ内心では自分の水槽が一番だって確信してるんだろ? それに問題はそこじゃあない」
「そうですね。私としても上条当麻に魚を見せる分には構いませんが、女子寮に連れて行くのは憚られます」
「ほらみろ、神裂もそう思うだろ? …………………………って、なんだ居たのか。もう『用事』は終わったのかい?」
「滞りなく。あの子もこの通り、お返しします」
「とうま、ただいまーなんだよ!」
「インデックス、今日は突然ご苦労様だったな。よーし、晩飯は上条さんが腕によりを掛けてゴチソウ作ってやんよ!」
「ゴ、ゴチソウって、期待しちゃうんだよ!? どうせモヤシが主役だってわかっていてもワクワクが止まらないかも!!」
ワイワイ ギャーギャー
「……フン、邪魔者は消えるとするか」
「ですね。貴方には少々言い聞かせておかねばならない事がありますが、それは道すがらにでも」
386 :
禁句……かな?
[saga sage]:2012/01/18(水) 22:01:38.55 ID:SThyf77I0
☆
初春「そーいえば、マズイ魚の話ってしたことありましたっけ?」
佐天「ん〜、どうだったっけ? 条件によってクサイとか苦いとか、そういうんじゃなくて?」
白井「毒があるとか小さすぎて食用に向かないとかでもなく、単に食味が悪いって話ですの?」
御坂「それも『あんまり美味しくない』じゃなくて極端に味の悪い魚か。コレはゲテモノ好きの黒子も範囲外じゃない?」
白井「お、お姉様!? 今更ながらその紹介はあんまりですわよ!」
佐天「そもそも食用種って美味しいから食べるんですもんね。マズイ食べ物って言葉として成立してないのかも」
初春「ですよねえ。だからこそそんな魚って居るのかな?って気になりまして」
御坂「うーん、身近な魚種でなければ候補は沢山居そうよね。でもそれじゃ面白くない」
白井「あの、わたくしほったらかしですの?」
御坂「例えばミドリガメことミシシッピアカミミガメってどう? アレには顕著な毒も無いはずよ」
佐天「結構大きくなりますしね。食用亀として認識されてないってことは美味しくない可能性が高くないですか?」
初春「ん〜、残念ですけどネットの情報を見る限りミドリガメは調理次第でなんとかなるみたいですよ」
白井「当然ですの。カメなんて流水で一定期間泥抜きしたら首をぐっと引っ張って…」
御坂「あ、じゃあじゃあアブラハヤなんてどうかな? 川釣り好きにはド外道扱いされてるしさ」
佐天「聞いた話だと体中ヌルヌルのヌメヌメなんですよね。見た目は雑魚一般って感じなのに」
初春「これも佐天さんの言う雑魚一般、つまりオイカワやウグイと同じで生息域次第って感じかもです」
白井「そりゃ雑魚だけあってドブ川に近いような水域でも見つかりますからイメージは最低ですの。ですけどヌメリが…」
御坂「ふむ、ドブ川ね……、そっか! ニゴイはマズイって聞いたことあるわ!」
初春「あーあー、確かにそれはよく聞くかもですね。ほぼ雑食底棲魚だからとにかく臭くてエグイって」
佐天「え? ウチの実家ではニゴイは普通に食べますよ?? おろして皮剥いてフライで食べるとホックホクなんですよ」
白井「なにせ捕獲が容易な50cmを越える大魚ですの。先人がどうにかして食べようと色々と工夫した結果ですわね」
御坂「これも地域差があるのかあ。ん〜、こうやって考えてくと絶対的にマズイ魚ってホントに居るのかしら?」
初春「突き詰めてしまえば、料理って食べられないものを美味しくする技術ですからね」
佐天「むむ……、このままじゃオチが無いからイチかバチか! 白井さん、何か心当たり無いですか??」
白井「最初っからわたくしに聞けばいいですのに。当然、身近かつ絶対的にマズイおさかな、存じておりますの」
初春「おおっ、流石と言うかなんと言うか。で、それは一体なんですか?」
白井「金魚のタマゴですの。どこまでも生臭く重い粘液質がいつまでも口に残って軽いトラウマになりますわよ?」
御坂「…………だからコイツからは聞きたくなかったのよ」
387 :
禁句……かな?
[saga sage]:2012/01/18(水) 22:05:12.59 ID:SThyf77I0
☆
番外個体「違うもん、ミサカじゃないもん……」 ブツブツブツブツ
一方通行「なァオイ、またアイツのアレは、例のアレか?」
打ち止め「そうみたい、ってミサカはミサカは敢えて詳細を伏せてみたり」
一方通行「フン……。ところで、俺の知ったことじゃねェがそもそもどォしてオマエらは小説なンざ書いてンだ?」
打ち止め「……、それは聞かないほうがいいかも?ってミサカはミサカはミサカ達の加虐精神の発露を隠蔽する」
一方通行「……………………」
打ち止め「そ、そんなことより世界一小さなカエル! 世界最小の脊椎動物の話が聞きたいなってミサカは…」
一方通行「……………………悪りィが、今日は気分が乗らねェ」 ガタッ
打ち止め「あ……、」
打ち止め「(どうしよう、あの人の虚弱メンタルを無闇に刺激しちゃったよ、ってミサカはミサカは現状確認する)」
打ち止め「(末っ子も極限ダウナー状態だし、このままじゃお話にならない……、何とかしないと)」
打ち止め「(ん? 何? 19090号、この難局を打開する秘策があるの!?)」
打ち止め「(ふむふむ、ほうほう、え? いや、それはちょっと……、あ、うんうん、なるほど…………)」
打ち止め「(ミサカネットワークのトップシークレットのひとつがミサカの女優魂に掛かってるね)」 ギュッ!
< コンコン
打ち止め「あの、お話聞いてもらっていいかなってミサカはミサカは一応断りを入れてみたり」
「―――――――――――――――――――――― 」 シーン
打ち止め「じゃ、じゃあ勝手に独り言するから気にしないでねってミサカはミサカは扉に向かって宣言してみる」
388 :
禁句……かな?
[saga sage]:2012/01/18(水) 22:07:26.92 ID:SThyf77I0
打ち止め「じゃあいくよー、ヌマエビの交尾のお話! ってミサカはミサカはお題を発表してみたり」
あなたにとっては常識かもしれないけど、再確認させてね。
淡水エビを大きく分けると肉食傾向の強いテナガエビ類と草食傾向の強いヌマエビ類に分けられるよね、って
ミサカはミサカはザリガニを完全に蚊帳の外に置いてみたり。
それでヌマエビ類なんだけど、分類が細かすぎて全部を挙げられるほどミサカは知識が無いから誤魔化しつつ
説明するので許してね、ってミサカはミサカは予防線を忘れずに張っておく。
基本的に比較的小型で、しかもザリガニやテナガエビのような長いハサミを持っていなくて、攻撃力に欠けてるから
獲物を捕らえることはほぼ不可能。だからいつもは動かないものを小さな脚でツマんで小さなアゴでカジって食べるの。
草食傾向が高いのはその為だけど、動かないものなら当然肉も食べるの、ってミサカはミサカは核心を匂わせておく。
そんなヌマエビ類で、現在日本の自然で一番普通に見つかる種類がミナミヌマエビじゃないかと思うんだけど、って
ミサカはミサカは勝手な推測をしてみる。
ミナミヌマエビは小川や池、沼とかの流れの弱かったり無かったりする浅い水場の水草の周りに集団を作って生活する
小型種が多いヌマエビ界の一員に相応しい、せいぜい全長3cmくらいのエビだよ、ってミサカはミサカは解説してみたり。
攻撃性が低く沈殿物やコケなどを一日中処理し続ける生態が水槽の掃除屋さんとして重宝されてるヌマエビの仲間の中で
飼育種ではヤマトヌマエビって種類が人気があるかな。大きくて食欲旺盛で透明なボディが美しいエビだからね。
それに比べてミナミヌマエビは小さくて、食欲は旺盛だけども食べるのが遅くて、どちらかというと地味な子だから……。
付け加えると、ヤマトヌマエビは淡水エビだけどその幼生、つまり子供時代には塩分が無いと生きられないの。
タマゴから孵化した後、川の流れに乗って海まで行ってエビになってから戻って来るって性質があるんだよね。
だから淡水の水槽内では繁殖が期待出来ない、別の言い方をすると勝手に増えることが無いの。
ミナミヌマエビが全生活史を淡水で完結させてるから水槽内で異常繁殖しがちなのとは対照的だよね、って
ミサカはミサカはそんなところも飼育人気の差なのかな?とか邪推してみたり。
で、飼い主が好む好まざるに関わらずミナミヌマエビは水槽内で特に工夫も無く繁殖が期待できるって話だったんだけど
ココからが根幹だからよく聞いておいてね、ってミサカはミサカは相変わらず返事が無いドアに向かって語りかけてみる。
平均的な寿命が1年程度のミナミヌマエビ、自然界では寒い冬の間に大人の体に成長して暖かい春から夏が恋の季節なの。
交尾は大体こんな流れじゃないかとミサカはは思うんだけど、ってミサカはミサカは想像してみる。
1)まず、タマゴの素をがっつり溜め込んだメスがオスを惹き付けるニオイを出す
2)それに釣られて興奮した多数のオスがメスに向かってくるけど、この時点ではメスは逃げ回るだけ
3)メスが脱皮する。オスを惹き付けるニオイは最大最強になる
4)脱皮後に最初にメスを捕まえたオスと交接する
5)遅れてきたオスたちから逃げ延びたメスは産卵後、タマゴを孵化するまでお腹の下で大事に抱え続ける
言うまでも無いことだけどこれは成功例、うまくいった場合の話だよって
ミサカはミサカはセイコウレイってスレスレの日本語だよなあとか考えないよう釘を刺しておく。
メスがニオイ、フェロモンだっけ? でオスを興奮させたくせに自分が脱皮するまで逃げ回るのは、とある情報筋によると
脱皮前に受精・産卵しちゃうとその後に脱皮した時に抱えたタマゴごと脱げてしまってムダになるからなんだって。
だからこそ『防御が手薄になりますよー』って予告することになってもオスに事前に脱皮を知らせないとダメなの。
だって、脱皮してから宣伝してオスが興奮するのを待ってたらその分無防備な時間が増えてますます危険になるからねって
ミサカはミサカは断じてみたり。
389 :
禁句……かな?
[saga sage]:2012/01/18(水) 22:12:38.22 ID:SThyf77I0
この一連の繁殖行動の流れって一見、全てが上手く行くように設計されてる感じだけど落とし穴があるんだよね、って
ミサカはミサカはちょっと悲しい話をする。
メスは脱皮後速やかに交尾を済ますことが出来るよう事前に複数のオスを興奮させているけど、実際カップルになれるのは
一匹のオスだけ。じゃあ余ったオスはどうするんだろ?
それと一般にエビのメスは交尾の際に完全に動きが止まってしまうんだよね? 一切の回避動作、攻撃動作をせずオスに
身を任せるってトコかなってミサカはミサカはイメージを膨らませてみる。
これらのこと、そしてヌマエビの生態そのものが重なり合うと何が起こるか、もうお分かりですね? って
ミサカはミサカはタメを作って盛り上げてみたり!
メスが脱皮後に最初に出会ったオスと交尾をする際、行為そのものはごく短時間、数秒で終わるはずなんだけど
その間にも別のオスがニオイに釣られてドンドン集まってくるの。でも既に指定席は予約済みだから徒労だよね?
交尾のチャンスを逃した他のオスたちはそのメスを諦めざるを得ない。ニオイに釣られたことも忘れてしまうの。
で、ふと目の前を見ると、何があったかな?
そこには決して動くことの無い、しかも柔らかくて大きな肉の塊があるんじゃなかったっけ?
ヌマエビは一日中何かをツマンで食べる生き物、獲物を捕らえるのは苦手だけれども動かなければ肉も食べるんだよね?
本能に従って行動を止めているメスのエビは、出遅れたオスたちのスイッチが入れ替わっても抵抗すらせずに
ツマツマツマツマと傷付けられていくの。ミナミヌマエビはメスの方が体が大きいし、力だって強い。
いつもなら軽くあしらえるオスたちに好き放題にされてしまうの。
そしてその間、パートナーのオスは行為に専念して他のオスを追い払うこともしないから、もうどうしようもないよね。
最悪、行為途中で相手の体が不十分なことに気付いたパートナーはそれがエサに見えちゃうことがあるくらい……。
じゃあどうしてこんなことが起こるんだろ? どうすれば防げるんだろ? ってミサカはミサカは問題提起してみる。
もちろんだけど、この悲しい出来事は過密状態での飼育で見られがちだから、あまり多数のエビを一箇所に纏めないのは
有効な対策だよ? でもね、決して根本的な解決策じゃないと思うのってミサカはミサカは嘯いてみる。
だって自然界でのこのエビの習性的に、過密状態ってのは普通なんだもん。手網で数百匹一度に捕まえられるエビだから。
だからむしろ少数飼いの方が不自然じゃないかなってミサカはミサカは考えてるの。
川や池でも恒常的に交尾時の共食いは行われているって考えたほうが理に適ってるんじゃないかなあ。
だから視点を変えて、エビの行動に間違いが無いかを考えてみるってミサカはミサカは話題を華麗にチェンジングー。
出演者はオスを興奮させ呼び寄せるメス一匹、パートナーのオス一匹、それ以外の出遅れた複数のオス。
悲劇の本質はメスが食べられて死ぬこと。食べてしまうのは主に出遅れたオスたち。
本能によりメスは反撃できない状態で、且つパートナーのオスはメスに夢中で一切関知しない。
概要はこんな感じだよね。ひとつひとつの出来事の問題点を考えて行くよ、ってミサカはミサカはラストスパート!
メスまたはパートナーが抵抗しないからいけない?
メスがオスを呼びすぎたのがいけない?
出遅れたオスたちがおとなしくその場を離れればいい?
そもそも交尾などしなければ良かった?
防御力が極端に弱い脱皮直後に交尾をしなければいい?
ミナミヌマエビって存在が間違ってる?
そう、ミサカにはこの難問に答えが見つけられないの、ってミサカはミサカは告白してみる。
どの問題点もエビたち自身には防ぐ手段が無い、避けがたい、どうしようもないことだもん。
だけど悲劇は実際に起こって、パートナーと余ったオスは生きて、メスは死んだんだよ。それだけは確かなの。
誰も悪くなかったなんて言えないけど、間違っていたのは確かなんだけど、償われるべき者が既に居ないんだけど。
だから、だからね? あの……、その……、
せ、せめて生き残ったエビにはカッコ悪い捻じ曲がった姿で居て欲しくないの!! ってミサカはミサカは……
<ガチャっと
390 :
禁句……かな?
[saga sage]:2012/01/18(水) 22:19:55.27 ID:SThyf77I0
一方通行「……、あのよォ」
打ち止め「……………………、うん」
一方通行「ヌマエビだってエビだぜ? 腰が曲がってて当たり前だっつーの」
打ち止め「」
一方通行「それになンなンだよオマエの長ったらしい上に中身の薄い愚にも付かねェワンマントーク聞かせやがって」
打ち止め「……、ゴメンナサイ」
一方通行「情報が未整理、知識が足りてねェ、生物を擬人化する、あとなンだ? ……、とにかく酷ェ内容だった」
打ち止め「……うん、わかってるってミサカはミサカは大いに反省してみたり」
一方通行「だから……、つまりアレだ。こォいうマネは二度とすンな」
打ち止め「えっ? でもそれじゃあ……」
一方通行「物分りが悪りィガキだなオマエは!? 他のヤツには任せられねェ、解説役は俺だっつってンだろォが!」
打ち止め「!?」
一方通行「今日みてェなブザマなマネは二度と、あァ、俺も含めて二度と許さねェから、肝に銘じとけ!!」
打ち止め「……うん、また今度カエルの話、お願いねってミサカはミサカは予約も忘れずお返事してみたり!」
一方通行「(しかし、引っかかる……。アレがアレの例え話だったとすると)」
一方通行「(『メスのエビは本来ならオスより強いが仕方なく殺される』 ってのが気に入らねェ)」
一方通行「(あのクソガキのことだから大した意図は無ェのかも知れねェが……、っと)」
一方通行「(そォいう瑣末なコトに拘った結果が今回のダセェ事態じゃねェのか!? 学習しろ、俺!!)」
番外個体「ん? オチビの説教は終わったのかね第一位?」 ニヤニヤ
一方通行「……、オマエこそフザけた冗談言える程度には回復しましたってか? いらねェ報告ご苦労」
番外個体「ハテ? 何のことやら? このミサカは次回作の構想に忙しかったりすんだけど」
一方通行「どォせまた代わり映えの無ェ、俺が酷ェ目に遭う話だろ? 飽きねェよな………………、ン?」
番外個体「は? 何だべさ?」
一方通行「ひょっとしてオマエらの小説の中の俺を痛めつけてる方法ってのは、何かモトネタがあったりすンのか?」
番外個体「あぁ、それは―――――――――――――――――――――― ソレハ禁則事項デス」
〜おしまい〜
391 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2012/01/18(水) 22:37:30.27 ID:SThyf77I0
以上、第三十一回「禁句……かな?」でした
補足・・・第一パートは別にイイや
第二パートで出てくるニゴイ、その名のとおりコイに似た魚(似鯉)です。地元では下の下魚扱いです
第三パート、重くなりすぎないように色々ボカしたので、よくワカンねーよ!と思われた方が居たら申し訳ないです
エビの話は以前も扱いましたけど、いろいろ興味深い生態の多い生き物なので再登場でした
ドラマとおさかな・・・相性悪いのかな、とか今更後悔しながら ではではまたー
392 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2012/01/19(木) 11:35:56.65 ID:6M4Yu1CAO
乙
393 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/19(木) 19:23:00.58 ID:JCp41YGPo
乙鰈
394 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2012/01/24(火) 19:46:24.61 ID:oqlGOeXO0
毎回毎回、投下ってなんでこんなに精神を乱すんだろ? とかどうでもいいネタから始まるおさかな話
今回のテーマは「罵詈」、罵詈讒謗とか罵詈雑言の罵詈です。正直記号にしか見えない・・・けど、よろしければどうぞ
395 :
罵詈
[saga sage]:2012/01/24(火) 19:48:13.23 ID:oqlGOeXO0
☆
「なあインデックス、ちょっと折り入って詳しく教えてもらいたいコトがあるんだけど……」
「とうま? その他人行儀な腰の低さがなんだか嫌な予感なんだよ。でも、とりあえず言うだけならタダかも?」
「それもそうだな。…………あのさ、あらためて魔術について質問を…」
「あのねとうま?? コレまで何度も言ってきたけど、とうまたちは魔術に詳しくなったら絶対ダメなんだよ?」
「ああ、分ってる。別に俺は便利っぽいとか強そうとか、そんなバカな理由で覚えたいってコトじゃなくてだな…」
「むぅ? その言い方だと私にはやっぱりとうまは見当違いをしているように感じるんだよ」
「……、どういうことだよ?」
「そもそも魔術は利便性や序列的強さを求める技術ではないんだよ。乱暴に表現するならむしろ不便で弱いのかも」
「えーっ? それはいくらなんでもオカシイな展開だろ……うん、んなワケないありえない」
「ほら、ほらっ!! やっぱり判ってなかったんだよ! 今まで私の話を右から左に受け流し続けてたんだよ!!」 ガタッ
「ちょと待て、インデックス落ち着けって!! 興奮すんなよ、な? くーるだうーーん」 シンコキュー!
「ふぅ〜〜ひぃ〜〜〜。ともかく、とうまがいつもいつもいっつも人の話をちゃんと聞いてないのがイケナイのかも」
「ん〜? 俺ってそんな頻繁に話を聞き逃して失敗してるイメージある? ちょっと大げさに言いすぎじゃないか…」
「例えばアレだよ! ひょうかが天使になっちゃって、人がバタバタ倒れた日!!」
「……、また随分と懐かしいコトを」
「私はあの術式の正体を、神聖なるモノへの害意に対する戒め、つまり天罰を魔術的に引き起こしてるって予想したよね?」
「確かそうだったな。敵意とか悪意とか嫌悪感とか? 術者に対するそういった感情をトリガーにして昏倒させるって」
「距離や場所を問わず、にね。だから私はあの時、とうまにこう言ったんだよ」
〜私にその魔術師の素性を話さないで!
「歩く教会の防御力が有効で無い以上、私に天罰が下りない保証は無いからね。とうまは、そうか、って返事した」
「んーっ? なら俺はちゃんとお前の言ったことを理解していたんじゃん」
「でもそのすぐ後、私と別行動する際に、さらっとその魔術師の名前も所属も目的も全部喋っちゃったんだよ!!」
「うそおおおおっ!?」
「あの時の私の気持ちがわかる? 緊急事態だからとうまを責めなかったけど、実はハラワタ煮えくり返ってたかも!!」
「……、あーっと、いや、しかしだな、それがあったからその程度の情報では天罰が下らないって証明されたワケで…」
「ふざけるんじゃないんだよ!! もし私が倒れていたらあの子もひょうかも、学園都市だってどうなっていたことか……」
「―――――――――――――――――悪かった、悪かったよ。確かに俺の不注意だった。ゴメン」
「肝に銘じるんだよ! 結果オーライならとりあえずオッケーって考えは今後許されないと覚悟しておくんだよ!!」
396 :
罵詈
[saga sage]:2012/01/24(火) 19:52:38.93 ID:oqlGOeXO0
「それで……、話を元に戻すんだけど」
「魔術についてだよね? 気が進まないけど、心優しいインデックスさんは耳を傾けてあげるんだよ。感謝するといいかも」
「ああ、んじゃ…………………………………………、ふぅひぃ〜……、頼むよ」
「ん? んっ? ん〜っ? とうまが何て言ったのか、清い心のインデックスさんには聞こえなかったかも?」
「…………、だから…………」
「ねえねえどうしたの? 頼みがあるなら、泣いて跪いてブザマにお願いするのが筋なんだよ、と〜うーま?」
ニヤッ
「ぷぷぷー、インデックスさん? そんな見え見えの手に引っかかる上条さんではありませんのことよ!」
「ふぇ? い、いきなり何なのかな??」
「俺がまた話をちゃんと聞いてないと思ったろ? お前の不自然に厳しすぎる態度、違和感だらけなんだよ」
「……、そのココロは?」
「俺たちはやはり魔術を学ぶべきじゃない、だから空気を悪くして話を終わらせようとした。……、そんなトコだろ?」
「(やっぱりとうまはヘンに鋭くて、破滅的に鈍いんだよ……)……、だったらどうだって言うのかな?」
「お前が話したくないなら無理強いしない。だから……、俺が魔術を解説する!」 \ドッパーン/
「……、は?」 ワケワカラン ?
「俺が魔術をどう認識してるか?って話を俺自身がするんなら、決して危険な知識に触れることが無いだろ?」
「待って、よくわかんないんだけど……、それをして何かの役に立つの?」
「役に立つか?と言われると、そーだな。俺の考え方がどのくらい間違ってるかハッキリするとか…」
「それと、聞き役は私なのかな? それって結局、あとから私が間違いを訂正するワケで二度手間じゃないかな?」
「ふむ。……じゃ、上条さんが誰か俺以上に知識の無いヤツ相手に魔術を解説するから、お前はただ笑って見てろよ」
「??? それじゃあますます何の為にとうまがヤル気になってるのか……、無意味にも程があるのかも」
「細かいことは気にするなよ。気持ちに正直になる事に理由なんて必要ないんだから。そうだろ?」
「……ハァ、とうまが奇妙な精神論を語りだしちゃったら止められないかも。もう好きにすればいいんだよ」
「さすがインデックス、よく解ってるじゃないか。そうと決まれば誰か相手を呼ぼうぜ!」
「今日はグダグダ過ぎてどうでもいい気分なんだよ……。でもとうま、呼ぶのはいいけど一体誰を呼ぶの?」
「誰って、そりゃあ……」
「私の知る限り、とうまって能力者の人とあんまり関わり合いが無い気がするけど」
「バカ言ってもらっちゃ困りますよ? 上条さんには刎頚の交わりレベルの知り合いがたっくさん…」
「その中で、いきなり呼び出された挙句に素人が語る魔術の話なんて聞いてくれそうな奇特な人は居るのってことだよ」
「……、例えば魔術に知らず知らず関わってるとかで、俺の話に興味を持つ可能性がありそうなヤツだな」
「金髪の変な子の説明を聞いてたいつかの白い人、キンピラチンピラ、黒服童女は除外するとして、あと誰か居る?」
「う〜ん……、意外と思いつかないぞ」
姫神「上条くん。大事なこと忘れてる」 ←ワタシ マホウツカイ
「大事なこと……?」 『あっ!』
397 :
罵詈
[saga sage]:2012/01/24(火) 19:55:07.85 ID:oqlGOeXO0
「……そうか、姫神が居たんだったな。悪い、蚊帳の外に置くような扱いしちまって…」
「ごめんねあいさ。全然そんな気は無かったんだよ?」
姫神「私は平気。それよりも早速本題に入るべき」
「ああそうだよな、じゃ急いで今日のテーマを決めるぞ!」
姫神「テーマ……?」
「何がいいかな〜、おいインデックスも考えてくれよ?」
「わかってるよ! お正月はもうオワコンだよね……、ええと……」
姫神「……この話し合いの内容。魔術の解説に必要とは思えない」
「そーだ、節分の豆撒きと言えばアレがあるじゃねえか!」
「……、良い所に気が付いたかも! 今日は時間も無いしそれで行くんだよ!」
姫神「ちょちょちょ。ちょっと待って欲しい。上条くんとペアで魔術講座はどうなった?」
「いや〜、せっかく姫神がおさかな話を聞きに来てるのに関係ない話題を続けちまって、ホント悪かったな」
「そっちはまた今度、聞き役もとうまがちゃんと選んでおくんだよ。では大急ぎで本編突入するよー」
「インデックス、2月の節分つったら豆撒きと最近じゃ恵方巻きが主流の行事だけど忘れちゃいけないのが…」
「だね、とうま。節分といえばイワシなんだよ!」
「恵方巻きが元々ごく限られた地方での半ば人工的な風習に過ぎないのに対し、イワシはほぼ全国的な伝統だからな」
「でもね、今ではこんな話をしても『何を言ってんだかワカンネーYO!』って若者が増えてるみたい」
「以前に『鰯の頭も信心から』でダジャレをやったろ? アレとか理解してもらえてなかったのかな……」
「かもね。悲しいけどコレって時代なんだよ……」
「いやいやいやいや、そう容易く歴史を忘却の彼方へ追放しちゃダメだろ! だから今日は節分イワシを復習しようぜ!」
「望むところなんだよ! まあでも、簡単に説明すると節分の日にイワシを焼いて食べるだけなんだけどね」
「大事なのはその前と後だろ? イワシは油が多いから火に掛けると煙が凄い。その煙でまず邪気を追い払うんだ」
「うんうん。そして食べ終わったらその日の夕方にイワシの頭をヒイラギの枝に突き刺して玄関に飾るんだよ」
「それもやっぱり鬼避けなんだろうな。昔は節分、つまり季節の変わり目には悪い事が起きがちって思われてたらしいし」
「節分イワシは、そういう邪気(邪鬼)による災いを防ぐ宮中行事が元になった由緒正しい日本のスタンダードなんだよ」
「でも、廃れ気味なワケで」
「まあ……、煙モクモクで魚を焼くのも玄関に焼いたイワシの頭を結構長い間飾っておくのも実際問題、今は難しいよね」
「せめて焼きイワシを食べるだけでもいいから残しておきたい風習なんだけどな」
「体に良い成分いっぱいのイワシを食べて寒い冬を乗り越えよう! とか宣伝すれば流行るかも?」 ガッテン!
「なるほどな。さて、間に合わせではあるものの一応おさかな話の体裁は保てたんじゃないか?」
「急場しのぎにしてはバッチリかも。あいさも楽しんでくれた?」
姫神「節分イワシの気持ち。私にはわかる。立派な主役で無いならむしろ忘れられてたほうが良い。って言うか鶏口牛後?」
398 :
罵詈
[saga sage]:2012/01/24(火) 20:02:47.62 ID:oqlGOeXO0
☆
御坂「マンガとかでさ、神様とか高次元の生命体とかが人に宿る展開ってなーんか萎えちゃうのよね」
佐天「えーっ? ベタだけど燃えるじゃないですか!? 古の精霊宿りしこの拳、全ての過ちを破壊せんっ! みたいな」
白井「おガキんちょみたいな話題で盛り上がらないでくださいな。わたくし、さすがに参加しづらいですの」
初春「わ、わたしもちょっと厳しいですねー。形而上の存在を安易に目に見える何かとして考察するのは陳腐の極みですよ」
御坂「思ったより反応悪いわね……。ふたりとも佐天さんを見習ってよ。どんな話題でも喰い付いてくる姿勢をさあ」
佐天「……、なんかその言い方だとあたしって見境無く何にでも首を突っ込んでるって感じですけど?」
白井「極めて正確な自己分析ですの」
初春「つまり佐天さんはダボハゼってことですね」
佐天「う、初春?? いくらなんでも親友に向かって『このダボォ!』呼ばわりは酷いよぉ……」
白井「時代錯誤なテンプレ三下のセリフですわね。元来はダボもダボハゼも同じく、ある種の魚のことですけれど」
御坂「うーん? どっちが先なのか微妙なんだけど、ダボってアホを強調した言い方ともされるわよ?」
初春「でも魚の名前をダボハゼと呼ぶ地域はアホ→ダボ文化圏よりずっと広範囲ですからまあ、ハッキリしませんね」
佐天「じゃ、じゃあそのダボハゼってのは一体どんな魚なんですか? ハゼって付いてるから大体想像出来ますけど……」
御坂「う〜ん……、」
白井「どんな、と言われましてもダボハゼは特定の魚種を表す名詞では無いんですの。ですから…」
初春「要するにですね、釣りしてる時に狙ってないのに掛かってくる小型のハゼ類をまとめてそう呼ぶんです」
御坂「例を挙げると淡水ハゼのヨシノボリ類とかヌマチチブ、海なら潮溜まりに居るアゴハゼとかね」
白井「ハゼの仲間は口が大きいですから、時折自分のキャパシティをはるかに超えるような獲物にさえ襲い掛かるんですの」
初春「つまり、立派な大物を狙ってる仕掛けであっても時折ちっちゃなハゼが釣れちゃう、と」
佐天「そりゃ釣り人も『このダボォ!』とか言いたくなるね……。じゃあ人に向かってダボハゼ呼ばわりするってのは」
御坂「ん〜……、お前なんか御呼びじゃないよ、とか?」
白井「そうですわね……、分別無くフラフラと物事に首を突っ込みがちの小物で外道、といったところですかね?」
初春「というか単純に、このアホー、でいいんじゃないですか?」
佐天「よーし分った。初春、あとであんたを今世紀最高のエロイ目に遭わせてあげる!!」
399 :
罵詈
[saga sage]:2012/01/24(火) 20:11:44.21 ID:oqlGOeXO0
☆
打ち止め「ねえねえ。厳しい冬の間、海や川のおさかなは大丈夫なの?ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
一方通行「大丈夫かって、遊びで人があまり行かねェだけむしろ安全じゃねェの? ……、何が聞きたいンだよ?」
打ち止め「だってほら、魚って水温が下がると食欲が無くなって動かなくなるんでしょ? 襲われ放題じゃないかなって」
一方通行「襲うヤツだって魚だろォが……。その辺り、オマエが心配する必要ねェ程度に自然は良く出来てンだよ」
番外個体「だからこそ自然の摂理に反したクソ寒い間の魚獲りって、普段はお目に掛かれないレアモノゲット出来んだよね」
芳川桔梗「寒くて動きたくない魚が水底に固まってるのを捕まえるだけだから簡単だしね。ちょっと可哀相だけれども」
一方通行「俺には理解不能な趣味だがな。駆け引きの無い勝負に価値なンざねェよ」
打ち止め「珍しいのが手に入るなら充分価値あるかも、ってミサカも魚獲りしてみたい!とミサカはミサカは思ってみたり」
芳川桔梗「それは暖かくなったらにしなさい。あなたが思ってる以上に冬の水場は厳しい環境なのよ?」
番外個体「つっても、暖かくなったらなったで決してお子様向けの遊び場じゃないけどねえ」
一方通行「……、実際オマエらは泥に塗れてザリガニだのドジョウだの獲ってっからその辺の事情に通じてンだな」
番外個体「カッコ良くフィールドワークって言ってくれないかなあ? ただ闇雲に水遊びしてんじゃないんだしー」
芳川桔梗「言い方はともかく、知識偏重な君よりは私たちのほうが経験値が高いはずよね」
番外個体「そうそう。本読んだりネット見たりするだけじゃ知りえない危険って、いっぱいあるんだよ?」
一方通行「ムダな知識と経験増やしただけでナニいい気になってンだそこのバカふたり? あンま調子乗ンなよ」
打ち止め「まあまあまあ、落ち着いてよってミサカはミサカは水場の具体的な危なさについて知りたくなってたり」
番外個体「ほぉ、知りたいと申すか小童め。ならば道理を示すが人の道なるぞ?」 クイクイ
打ち止め「ははぁ! ってミサカはミサカはテレビのマネして秘蔵の極濃ミルクプリンを差し出してみる」
一方通行「……、ンだァありゃ?」
芳川桔梗「時代劇の袖の下、賄賂のシーンかしらね? まあ、あの子たちなりの演出ってことじゃないの」
番外個体「うむ、年端も行かぬ内から商いの裏道に敏いとは流石ミサカ屋の子倅。このミサカ、感服したぞ」
打ち止め「お褒めに預かり恐悦至極。なれどミサカ様には到底敵いませぬ、とミサカはミサカは畏れながらに返答する」
一方通行「チト設定に凝り過ぎてクドイがな……」
400 :
罵詈
[saga sage]:2012/01/24(火) 20:15:54.17 ID:oqlGOeXO0
番外個体「話も決まったトコで、テンポ良く適当に何が危ないのか挙げてこうかね」
芳川桔梗「そうね。まず第一になんと言っても水場の危険といえば、水そのものなのよ」
打ち止め「……、えっ?」 ソコカラ?
一方通行「オイオイ。タメにタメ作っといて、ンな当たり前のコト恥ずかしげも無く口にしてンじゃねェぞ!?」
芳川桔梗「どうしようもなく甘いわね。とりあえず聞きなさい」
番外個体「溺れる、服や所持品が濡れる、濡れた石ころなんかで滑ってゴッチン。
そういうのって、気を付けてれば防げるとか思ってんだろうけどさあ……、甘いよね。
自然はイレギュラーの宝庫なんだよ。足場が崩れるなんて珍しくも無いし天候だって予測できないじゃん?
川だったら上流の具合によっては前兆無しで鉄砲水っつって、大量の水が一気に押し寄せてくることもあんの。
海なら潮の干満をウッカリ忘れて岩場に取り残されちゃったりね。
あと、背が届く深さだから大丈夫とか泳ぎが得意だからってのは考えちゃダメだね。
プールと異なり水温が場所によって大幅に違って当たり前。それは容易にヒトの体に異常を起こすんだよ。
考えてもみい? 60cm程度の深さの水場で両足が攣っただけで人生ゲームはバッドエンド直行だよん。
海なら水深によって流れがあるから、んなモンに巻き込まれたら地上と永遠にサヨナラだってあるぜー」
芳川桔梗「両側がコンクリート護岸のごく浅い小川でザリガニ獲ってたらにわか雨が降り出したから帰ろうとして、
下りてくる時は問題なかったコンクリートが雨で一気に濡れてツルッツルになっていてね……。
堤防に上がれない。困ったわ……、って思ってるうちに地響きにも似た低音が足元からするのよ。
まさかウワサに聞く鉄砲水……。これはまずいわねって、あの時は私も覚悟したわ」
番外個体「このミサカが居なかったらポンコツ研究者はどーなってたか、詳しく解説しよう!」
一方通行「それは要らねェよ。まさかホントに体験してるとは思わなかったがな……」
打ち止め「た、確かに子供だけで、と言うか大人でも一人で遊びに行ってたら対処の仕様が無いね…」
番外個体「理解が良くて大変結構。では次の危険を説明するぜーっ!」
芳川桔梗「次も自然そのものの恐ろしさだけれどもね。つまり、野生動物よ」
一方通行「つーかよォ? 魚を捕まえに行ってンだから動物ったら魚だろ。ヒレだのトゲだので怪我するとかか?」
打ち止め「キバのあるおさかなに噛まれたりってそんなに頻繁にあるの?ってミサカはミサカは疑問を持ってみたり」
芳川桔梗「ダメね。全然ダメ。あなたたちは木を見て森を見ていないわ」
番外個体「うむ。ぶっちゃけその方が話しやすいんだけど。
コレは特に川へ行く時の危険かも知んない。キャンプしたことあるヤツならピンと来るだろかね?
虫、ヘビ、そして犬とか。水場へ行くのに林や茂みを突っ切ると遭遇しやすいかも。
ヤブカやアブに刺されていつもより余計に腫れ上がる、くらいなら笑い話になるんだけどねー。
多分、一番被害者を出してんのがハチかな。低木の茂みの中に巣を作ることのあるアシナガバチは
それと知らずに人が枝を揺らして刺激しちゃうと攻撃されたと判断して時に集団で襲ってくる。
前になんかの話題でチラッと触れた超個体ってヤツよ。自分自身が傷付けられても気にしないくせに
巣に対する攻撃には過敏に反応すんの。そういう意味でよりタチが悪いのがスズメバチだけどー…」
芳川桔梗「スズメバチの巣は自然界では木の根元だったり洞だったり、そう簡単に見つけられない場所に作られるの。
だからアシナガバチの場合と違って誤って巣に刺激を与えてしまう可能性は少ないわ」
番外個体「それなのに、だ。見張り役のハチが巣の周りを飛んでるんだけどコイツがクセモノなんだよ。
こっちの意思とは無関係に、巣に近づいた者を警戒音で威嚇してそれでも退かないなら毒液を噴射してくる。
掛かっちゃったら一大事、それを目印に大量の兵隊バチが攻撃してくるんだもん。
もちろん毒液だから目に入れば大変だし、集団で襲われちゃったら範囲電撃くらい出来なきゃアウトだぜ?」
芳川桔梗「出来れば横に居る人間に被害が無いレベルで手加減が可能な能力でお願いしたかったのだけど……」
一方通行「つまンねェトコでオマエら死線越えすぎだろォが……。犬ってのもワリと嫌な感じするけどよ」
打ち止め「飢えた野犬の群れに林の中で出会っちゃったらとか考えたくもないよ、ってミサカはミサカは震えてみたり」
401 :
罵詈
[saga sage]:2012/01/24(火) 20:21:07.41 ID:oqlGOeXO0
番外個体「でしょでしょ? 恙無く、で御馴染みのツツガムシだって超危険生物のクセに実は珍しくもないんだよ?」
芳川桔梗「自然、野生を軽視しちゃいけないということね。と言いつつ次に紹介する危険原因は人間、ヒトなのだけど」
一方通行「……、事ココに至って頭のネジが緩ンじまったか? 河童じゃあるまいに海や川ン中にヒトが居るかよ」
打ち止め「危ないヒトだったら身近に居るけど、ってミサカはミサカは誰だか知らないのに皆知っていたり」
番外個体「どっちかつったらチビコロ上位個体の回答が惜しいね。
川でも海でも山でもさ、気兼ねなく魚捕まえられる場所って大抵人目につかないトコなんだよ。
で、民家や道路から離れてっから俗世間から解放されたって気になっちゃうのか知らないけど
奇矯な行動に走るヤツが結構居るんだあね。
大昔には橋の下ってのはアレでしょ? 健全な青少年がある種の書物をリサイクルする場所だったとか。
それがある種の映像記録媒体に代わったとかその程度なら何の問題も無いんだけどさ。
特に夏場に多いのが全裸の男。全裸ってのはもちろん一糸纏わぬスッポンポンのことだよ?
培養装置の中のミサカたちと違ってお粗末なモンをブラブラぶら下げ…」
芳川桔梗「ん、んっ……。体全身を隈なく日焼けしたいとか、開放感を全身で感じたいとか色々理由はあるでしょうけど
私有地で無い限り決して褒められた行動では無いわね。ただまあ、私たちが出会った数人の例では……、ね」
番外個体「そうそう。指差して見られてんのに気付いたら、何事も無いフリで横向いたまま徐にパンツ穿きやがんの」
芳川桔梗「ばつの悪い思いをさせてしまった、で私たちは済んだけど体のサイズの小さなあなたでも同じとは限らないわ」
番外個体「もっとヤバいのが男女ペアでさあ。盛り上がっちゃったんだろけど、せっせと大自然の中で…」
一方通行「それ以上の説明は無用だろ! まァ、その手の状況じゃ男はヘンに虚勢を張りたがるモンだからな……」
番外個体「良く分るね。いきなり『なに見てんだよ!』っつーからこっちも『見てもらえるほどのもんかよ!』って…」
芳川桔梗「とにかく!! 外見がお子様の最終信号には危ないことが多いってわかって貰えたかしら?」
打ち止め「……、そうだね。でもミサカはみんなで行きたいって思うから、ってミサカはミサカは問題ないよと笑ってみる」
一方通行「オマエなァ……。クソ面倒にもツマラねェ解説したバカどもを労ってやれよ……」
芳川桔梗「こちらの苦労なんてどうでもいいのよ。それよりも皆で、とは嬉しいこと言うじゃないの」
番外個体「しかーし、いくら人数が増えようとも大人が混ざっていようとも危険因子は存在するんだなあーっ!」
一方通行「……、オマエはまだ語り足りねェのかよ? メンドクセェ、さっさと喋ってラクになれ」
打ち止め「でも、もう残りあと少しだから駆け足でねってミサカはミサカは細かく注文してみたり」
番外個体「おーけーおーけー。んじゃ、つらつらっと行くよー!
水場に続く林の入り口にある大きな岩の陰には何故かビニール袋に詰められた大量の錠剤があったりするよね。
それとお、漁港の水底がたまーにすごくキレイな時ってあんじゃん? 底に沈んでる拳銃とか見えるよね。
裸の男で思い出したけど、実際現場に住んじゃってる人の場合フツーに川の中で体洗うんだよ。
そういう人は他人の目が気にならないみたいだからワリと安全かもね。二度とその場所へは行かないけどさ。
あと台風とか大雨のあと、橋脚に引っかかってたり淵に浮かんでたりするのを見つけたら、即行ばっくr」
芳川桔梗「異常を感じたいずれの場合も速やかに治安維持組織に連絡することをオススメするわ」
打ち止め「水遊びって……、ひょっとして裏社会の窓口なの???ってミサカはミサカは絶句してみたり」
一方通行「……、オマエらどンだけ事件に引き寄せられてンだよ!? どこぞの不幸ヤロォかっつーの!」
〜おしまい〜
402 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2012/01/24(火) 20:45:01.71 ID:oqlGOeXO0
以上、第三十二回「罵詈」でした。
おさかな話っていつも勝手に喋ってもらって逐一修正するイメージなんですが今回は喋らせっぱなしな感じ・・・
結果いつも以上にグダグダだったかなと思いつつ、いつもの言い訳と補足と後付けコーナーへ
第一パート、柊鰯用にこの時期ヒイラギの枝を用意する生花店とかスーパーもあるんだそうな。見たこと無いよ
第二パート、ハゼと呼ばれる魚は基本的に水底に居て胸鰭が吸盤状になっていて正面から見るとブサイクちゃんです
でも全部が全部ダボって事じゃないのでご注意を
第三パート、ほとんど経験談だったりします・・・ハチに追われたことは無いけど。
学園都市だと第二一学区の山岳地帯には猛獣がいるってコトになってましたっけ? 犬どころじゃないや
そんなわけで、何とか半分までは行きたいなって最終目標も言いつつ今日はこの辺で。 ではではまたー
403 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/01/24(火) 23:02:31.38 ID:ZBThW7Huo
お疲れい
恵方巻きはある意味社会の流れを作ることができる実例なのかもしれないですね
404 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北陸地方)
[sage]:2012/01/25(水) 00:07:59.75 ID:gdn0lYUAO
乙
405 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/25(水) 00:30:34.04 ID:+koWa+yko
乙
駄菓子菓子、最近鰯は高いのであった
これって俺の地域だけ?
406 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/01/25(水) 03:11:10.09 ID:GkTWHMeAo
なぜ恵方巻きなのか・・・やっぱコンビニで売れやすいからなんだろうなあ
407 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2012/01/25(水) 03:34:02.59 ID:YjAeOQ6Oo
なんつーデンジャラスな体験談
カブトムシ蹴り落とそうとしたらハチが反応してやっべくらいしか無いわ
あと川の石は滑る。分かってても滑る
408 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2012/01/25(水) 11:32:30.23 ID:pZ4eJugAO
食べられるコイやムール貝でもドブ川の水や工場排水をたっぷり吸収してそうなものは食べる気が起きない
あとスズメバチはマジヤバい
RPGの世界にいても違和感ないぐらい危険
409 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2012/01/31(火) 21:41:28.33 ID:b/yNqukd0
おさかな目録?はフィクションです。
なんとなく最初に注意書きをしたほうがいい気がした今回のおさかな話
テーマは「撞着」です。寛大な心でご覧下さい
410 :
撞着
[saga sage]:2012/01/31(火) 21:43:04.06 ID:b/yNqukd0
☆
「なあインデックス。こないだ話してた『上条さんの魔術講座』の受講希望者募集だけど、お前の言うとおりだったな…」
「とうま……、当たり前なんだよ。魔術知識が一切無いのに素人の魔術解説に興味がある人、なんて居るわけないかも」
「う〜ん、魔術にそれと知らず触れちまった知り合いの心当たりは少なくなかった。だけど誰も本気で信じてないんだよ」
「この都市の人は現状、魔術のことを学園都市以外で研究されてる超能力の一種だって誤解してるんだったよね?」
「誤解って言うけどな、人の認識ってのは一度確定してしまうと覆すのは容易じゃない。例えばご飯のニオイの話とかさ」
「えーと……、日本人は炊き立てご飯の香りって大好きだけど、とある国ではアレはただの悪臭ってこととか?」
「他にも、そーだな……。マツタケの学名ってたしか日本語訳が『ゲロ以下のニオイがプンプンするキノコ』だろ」
「どっちも多くの日本人には許容出来ないイメージかも。でもそう思ってる人は世の中に少なからず居るんだよね」
「ひとつの物事に相反する認識があって、互いに歩み寄るワケにいかないとなると……。必然、無視か対立が起こる」
「……? んー? ……突然よくわかんない展開かも」
「つまりだな、それが吹寄や白井や海原光貴、それに災誤先生に俺の誘いがまともに伝わらなかった理由じゃないかと」
「……。とうま、ムリして難しい理屈を捻り出すまでもなく、もしかしてただ単に人を見る目が無いんじゃないかな……」
姫神「(……今日は口を挟まない。多分。悲しくなるだけ)」
「聞こえてるぞー。まあ、そんなワケだから一端保留して気分転換に明るいおさかな話でもしようぜ!」
「うんうん。考えすぎた挙句に出た答えって大抵つまんないからね。行き詰ったら引き返すのが賢者の道なんだよ」
「一事が万事そうじゃないけどな。さて、じゃあ今日のテーマは何にするかな……」
「こないだ節分イワシだったから次は当然決まってるんだよ! 主にカレンダー的な理由かも」
「ん? 2月の、節分の次の行事……、ああ立春か」
「そうそう、春来たと目にはさやかに見えずともやっぱり寒いよまだ真冬かも……って違うよ意味わかんないよ!!」
「じゃあ建国記念の日?」
「なぜ2月11日なのか、なぜ建国記念『の』日か……、とうまバカなの!? 薄々そうじゃないかとは思ってたけど!」
「冗談だって、そう怒るなよ。頭にバの付く、カカオの香りでヤロウどもが一日中落ち着きを失う例のアレのことだろ?」
「分ってるならどうしてイジワルを…、 …………あ、とうまひょっとしてひとつも貰えないかもって拗ねてる?」
「そうだよ期待してねーよ悪いかよ。どうせ上条さんはモテないしあんまり学校にも行ってなかったし……」
「そこは安心するんだよ!! ……今年は身近に居る素敵な誰かさんから1個は確実にもらえるかも?」
姫神「2個かも。……///」
「……お前たちに予知能力でもあるなら嬉しい予言だな。でも気遣いは有難いけど根拠が無いんじゃなあー」
『…………』
411 :
撞着
[saga sage]:2012/01/31(火) 21:44:15.65 ID:b/yNqukd0
「ま、それはいいからさっさと本題に入ろうぜ。結構ムチャなお題だけどインデックスには何か心当たりがあるんだろ?」
「……あ、うんもちろん! ちょっとベタかもだけど、名前にチョコが入ったお魚がいるでしょ?」
「チョコ…………? あー、観賞魚には疎いから良く知らないけど、人気のある熱帯魚にそれっぽいのが居たような…」
「たぶんとうまの想像通りかも。正式な名前じゃなくて俗称なんだけど、チョコレートシクリッドって子だね」
「ふむ、確かそんな名前だったような。チョコのような赤っぽい体色の……、外来魚のカワスズメみたいなヤツだろ」
「シクリッドってカワスズメのことだから当然かも。ただ体色はコロコロ変化しちゃうんだけどね」
「ふーん。ヨシノボリみたいに興奮すると色が変わるってことかな。にしてもクリスマスに続いてまたカワスズメって…」
「十字教に縁の深い魚なのかもね。……、そんなに心配そうな顔しなくてもペテロの魚の話はしないかも」
「そうしてくれ。あんなディープな話題は扱えないからさ……。でも、不思議だな」
「ん? 何が?」
「いや、14日は十字教的には大切な日なんじゃねーの? シスターのお前が日本のお祭りムードに浮かれて良いのかなって」
「……んとね、かの聖人の実在は旧教的には認められていないの。つまり必ずしも宗教性が高い日だとは言えないんだよ」
「へっ?」
「あ、勘違いしちゃダメなんだよ。もちろん信仰の対象として、また魔術的に重要な位置付けであることは間違いないの」
「なんだよそれ? じゃあ、兵士たちを秘密裏に結婚させたことを理由に処刑されたっつー話はデタラメなのか?」
「彼の名を聖人暦に戴く私の口からそこまでは……。ただねとうま? その日に贈り物をする風習は世界に広がったんだよ」
「うん、まあ……。それで?」
「そして国ごと、土地ごとでそれぞれ独自に発展していったの。日本のやり方だってその一例なんだよ」
「いや言いたいことがサッパリ判らないぞ? つまりどういうこと?」
「だーかーら、正式なやり方が無い以上、私の考えをこの国で主張したってそれはご飯は臭いって言うのと同じなんだよ!」
「えっと……、つまりアレか。郷に入っては郷に従うってコト?」
「ついでに、とうまたちは敢えて海外のやり方にあわせる必要なんて無いってこと。クリスマスだってそうかもね」
「違いを知っておくのは大切だけど、だからって自分たちが間違ってるとかネガティブに考えるな、と……」 フム
「チョコレートシクリッドは普通エメラルドシクリッドと呼ばれるの。でもどっちが、じゃなくてどっちも正解なんだよ」
「ふーん、最後に再びおさかなを持ってくるとはウマイこと纏めたな」
「うまくて当然かも。だってチョコレートが美味しいのは万国共通の真理だもん。……、おあとがよろしいかも!」
412 :
撞着
[saga sage]:2012/01/31(火) 21:45:33.68 ID:b/yNqukd0
☆
佐天「つまりですよ? 有限の生命に無限の存在が取り込まれる意義はですねえ…」
御坂「いや、でも無限なのよね? だったら宿主が死んだって、って言うかそっちのが自由になれてお得じゃないかなあ?」
白井「まだそのトンデモSF話、続きますの? こっちは正直飽き飽きしてるんですの」
初春「ふたりとも集中すると周りが見えなくなっちゃいますからね……。もっと中学生らしく浮いた話とかしたいですけど」
ガッッッ!!
佐天「今っ!! 今、何て言った初春!? あんたまさかあたしに内緒で特別な好意を向けるべき対象(男性)が???」
御坂「ホントに!? 何よステキじゃない!! ねえねえ聞かせて聞かせて!どんな人ドコが好きドコまで行った???」
初春「……、違いますよー。そういう話が出来たらいいなって言ったんです。皆さんも相当興味があるみたいですけど……」
白井「食いつきが異常ですの。先程までの話題が遠く銀河の彼方へ光の速さの数倍で吹っ飛んでいきましたわね」
御坂「何よー? そりゃ、私だって女の子だもん。誰が誰を好きとか、そういうの聞いたら黙ってられないわよ」
佐天「まぁ…………、ですよね」
初春「ええ…………、同意です」 ウン
白井「……、真に遺憾ですけど正直腹に据えかねますけどお姉様。それ、フリですの?」
御坂「ふぇっ? あっ……、なっ、何をアンタたちが考えてるか見当も付かないけど私はあんなヤツのこと全然……!!」
佐天「……、(ダメだこの人も)」 カワイイケド
初春「……。(成長してませんね)」 マッカデスネ
白井「……まあ、精神的にも既成事実的な進展も一切無いということで納得しておきますの」 ケッ
御坂「……だってさ、……、いや私とアイツは考えが、……だからって、でも……、」 ブツブツブツブツ
佐天「あらら。御坂さんしばらく使い物にならないですよ、これ」
白井「全く。人外の演算能力を持つが故に答えが無い問題にさえ真正面から挑んでしまう。高レベル能力者の悪い癖ですの」
初春「円周率の最後の桁、数字は何? みたいな感じですかね。ほぼ3で演算終了したって全然構わないのに」
白井「常人と異なり、苦悩の末に最後の数を見つけてしまうのが超能力者ですの。……、今は見つけちゃダメですけども!」
佐天「ふ〜ん。それって信念とか強いココロってヤツですよね? 自分だけの現実を作るのに必要って言われる…」
初春「佐天さんがちゃんと覚えてた……、明日は記録的大雪ですかね?っていきなりヘンなトコ触らないでくださいっ!!」
佐天「あんたねえ、私だって真面目な時はマジメなんだから茶化さないでよ! 次は容赦しないからねええええ」 ワキワキ
白井「乳児体型の初春のドコ触ったって何の違いもありませんけどまあ、佐天さんの仰ることはひとまずそれで宜しいかと」
413 :
撞着
[saga sage]:2012/01/31(火) 21:47:30.07 ID:b/yNqukd0
佐天「なるほどね。円周率は無限小数だって決め付けてしまわないで、限界を超えて計算してみるような姿勢かあ……」
初春「みんなヒドイです……。でもそれってつまり、常識を疑えってコトになりますかね?」
白井「観念的に全てを説明できるわけではありませんけど、まあ近い感覚かもしれませんわね」
佐天「疑って終わり。じゃなくて、自分なりの答えを出していってそれを以って世界を再構築していくってことかな?」
初春「何だかファンタジーな表現ですけど、そうして世界を遍く掌握した者がレベル5ってことなんですかね……」
白井「さあ? わたくしもそこまで至った訳ではありませんし。ですけど、それには更に先があることは予想できますの」
佐天「ん? 先って……。ややこしくなってきたなあ……」
初春「ん〜……、全てを疑って全てに答えを出してきたわけだから……。あっ! 疑い、答えを出す主体ですかね!?」
白井「たぶんそういう事になるんではないかと。全てを知るはずの自分全てを疑う……、絶対に答えの出ない難問ですの」
佐天「って、ちょっと待ってくださいよ!? そもそも自分を強く信じることが能力の根幹なんでしょ?」
初春「自分で築き上げた世界を、その確固たる絶対の指針である自分も含めて全て疑う……、あれ?」
佐天「おかしいよね。だって自分は間違ってるかもしれないって考えるのも自分。じゃあ疑う自分も疑わなきゃいけない…」
白井「有名な『私の話は全部嘘です』という文句みたいなものですわね。それが嘘なら彼はホントのことを語っているはず」
初春「となると、やっぱりこの人の話は嘘だということになる……。永遠に堂々巡りですね」
佐天「それじゃ能力開発の行き着く果ては、矛盾だらけでウジウジと悩み続けざるを得ない行き止まりなんですか?」
白井「いえ、そんな段階まで到達した方には心当たりがありませんからコレはあくまでも私たち程度の者の想像の範疇」
初春「そうですね。つまるところ円周率も割り切れない私たちでは見ることすら叶わない領域かもしれません」
佐天「あー、やっぱそれ系の結論になっちゃうワケか。まあ、その行き止まりを越えちゃったら神様以上ってことだもんね」
白井「……、確かにある意味で造物主たる自分を疑い、正しい答えを出せたなら神を超えたと言って差し支えないですが…」
初春「この場合、神を超えたものってやっぱり神じゃないですか? 少なくとも私たち凡人からはそう見えます」
白井「超えたところで何も変わらないであろう事が始めから予測出来てる壁など、果たして越える必要があるでしょうか?」
佐天「え〜っ、と……。まさか更に先の展開まであるとは思わずテキトーに喋っただけなんですけどー……」 マイッタナ
「……あのさ、アンタたちいつまでその話題続けるわけ? 入るタイミングが全然わかんないんですけど?」
佐天「みみみみみみ、御坂さんっ!復活待ってましたよおおおお!!! 早くこの場の空気を何とかしてください!!」
御坂「ほら、佐天さんずっと困ってたじゃない……。頭の中の話なんて所詮メルヘンなんだからあまり考え過ぎちゃダメよ」
白井「お姉様だけには言われたくないですの……」 ブスー
初春「ああ、これが自分だけは正しいって思考なんですかね……」 シラー
414 :
撞着
[saga sage]:2012/01/31(火) 21:50:35.77 ID:b/yNqukd0
御坂「な、何よ……。い、良いから話を変えるわよ! えーっと、おさかなと矛盾とメルヘンで、はい佐天さん!」
佐天「なんですかそのムチャ振りはっ!? ええと……、ん〜……、メルヘン……、おとぎ話? 恩返し……」
白井「ふむ……、恩返しと言えばわたくし、前々から納得出来かねている表現がありますわね」
初春「白井さんの振るネタはつまらないのが多いですけど、この際だから我慢します。一体どういうことですか?」
白井「初春、後で屋上ですの。それはさておき、たとえば鶴の恩返しと言う昔話をご存知かと思いますけど」
御坂「おとぎ話ではトップクラスの人気作じゃない。アレに何の文句があるのよ?」
佐天「罠に掛かった鶴を助けた男に、その鶴が恩を返す。良い事をすると良い事があるよって教訓ですよね」
初春「……のぞきダメ、絶対! と言う白井さんこそ読むべきお話……、あの、調子に乗りましたごめんなさいすいません」
白井「ったく。……ま、それとともに命の大切さを伝える話でもありますわね。鶴を救ったことが良いことならですけど」
佐天「ん? 良いことに決まってるじゃないですか。人だろうと鳥だろうと命は掛け替えの無い宝物ですもん」
御坂「……、なるほどね。黒子の言いたいことが分ったわ。どんな命も大事と訴えながら鶴を助けた矛盾……か」
初春「へ? 助けちゃいけないんですか?」
白井「まず第一に、鶴は罠に掛かっていた。罠を仕掛けた狩人は獲物を失ったわけで、この責任は償われておりませんの」
佐天「ああ、確かに生活が掛かってるはずの狩猟を邪魔してますね……。これは良くないかも」
御坂「それだけじゃない。鶴、おそらくここではタンチョウだと思うけど、雑食性の長生きで大きな鳥よね?」
初春「……鶴を助けたことで将来的にたくさんの別の命が鶴の食料として消費されてしまうことになる、って事ですか」
白井「浦島のカメなども多くの魚を食べて長生きするのでしょうし、単純にめでたしめでたしなのかは疑問ですわね」
佐天「ひとつの命を守ることが多くの命を見捨てることに繋がるのに、あたしたちはそれが良いことだと誤解してた……?」
御坂「いや、深刻に考える必要はないわよ。命を救うことはその命にとって良いこと。それ以上でもそれ以下でもないの」
初春「優しさは他人を殺める、って感じですね……。あれ? ところで今の話、おさかな出てきました?」
白井「ここからですの。鶴にとって小魚は単なるエサ、ですが彼らもただ食べられるのを待つばかりではありませんのよ」
御坂「ん? ああ、ちょっと前に問題になってたアレね。ドジョウが大好きな絶滅種の鳥、トキのことでしょ」
初春「ドジョウやフナなどコイ目の魚が持つビタミンB1を破壊する酵素が原因で、なんか酷くバテちゃったんですよね」
佐天「栄養バランスの良いエサがちゃんと用意されてるのに、敢えてドジョウばかり食べて体調崩すなんてどんだけ…」
白井「一般的にコイ目は川や池で最も数が多い種。ですから彼らは他の生物にとって身近で手軽な栄養源なのですけど」
御坂「いくらでも居るからってそればっかり食べてるとやがて食欲が落ち背骨が変形し、挙句に心不全とかでポックリと」
初春「ふむふむ。確かに『自分たちしか食べないような生き物の存在を許さない』って強い意志がある気がします」
佐天「でも強烈な毒を持つとかして『絶対に喰われてやらない!』って進化じゃないのが何て言うか……、健気ですね」
御坂「もちろん魚自身が考えた結果じゃあないけどね。……、でもこれってさっきの矛盾に対する答えになるんじゃない?」
佐天「あるがままを拒み、あるがままを受け入れよ……、とか? 自分で言っておいて全くサッパリ意味不明ですけど」
初春「生きながら死んでるネコなら知ってますけどね」
415 :
撞着
[saga sage]:2012/01/31(火) 21:53:29.21 ID:b/yNqukd0
☆
打ち止め「ねえねえ、海のパイナップルで御馴染みのホヤってさ……、ぶっちゃけ全然パイナップルじゃないよね?」
一方通行「……、確かに。大抵その手の異名ってのは実像以上にイメージを膨らませがちなモンだが、アレは段違いだ」
打ち止め「海産物即売所で子供が『ママ、ぱいなぷつるだって。ボク欲しいよー』とか言うからなんとなくお土産にして」
一方通行「その日の夕食で悲劇ってか? 知らねェヤツにとっちゃホヤの破壊力は並じゃねェからな……」
打ち止め「いわば魔女っ子の皮を被った極め技師だよねってミサカはミサカは叙情的にたとえてみたり」
一方通行「……、フリフリ衣装のカールゴッチ……とか、か? その喩えがドコを目指してンだか欠片も見えねェが」
打ち止め「……あなたならこの強引な進行の意図に気付くと思ったのに、ってミサカはミサカは軽く失望してみる」
一方通行「勝手に買い被ンなよ。オマエの行動予測なンて無益な演算するほどの余裕は今も昔もこれからも無ェ」
打ち止め「おぉっ、それって『俺たちの未来は神様のサイコロ通りにゃさせねえぜっ!』っていう一種のプロポーズ?」
一方通行「何を愉快にノボせてンだこのクソガキ。つまンねェ冗談ほざく前にさっさと用件を済ませろ」
打ち止め「もうっ! 良いよ、じゃあ聞くけどそんな風に実物とかけ離れた異名を持つおさかなって他に何がいる?」
一方通行「ンだよコロコロ機嫌上げ下げしやがって忙しいヤツだなオイ……。それはともかく、偽りの看板な魚か……」
打ち止め「既成概念を打ち壊すようなパンチの効いたお話を期待ってミサカはミサカはハードルを上げてみたり」
一方通行「注文が多いぞフザけンな! そォでなくともチト無茶なテーマなンだから黙って待ってろよ」 ンー
打ち止め「……、難しいなら違うお題でも良いよ?ってミサカはミサカは微妙な優しさもアピールしてみる」
一方通行「何度も言わせンな黙れつってンだろ」 エート
打ち止め「でもミサカが一言も喋らなかったら話が成立しないよ?ってミサカはミサカは冷静に問題点を提示してみる」
一方通行「ウゼェにも程があンだろォが!? チッ……、どォにも絡むの止めねェ気なのは分ったから好きにしろォ……」
打ち止め「うんうん、人間関係ってウザいのが普通なのってミサカはミサカは一面の真理を突いてみたり」
一方通行「……コレが普通とは光の当たる世界ってなァ想像以上にアクが強ェンだな……、分った。出来る限り善処する」
416 :
撞着
[saga sage]:2012/01/31(火) 21:56:24.71 ID:b/yNqukd0
一方通行「そンじゃまァ、思いつくままテキトーに挙げてく。まずはメジャー過ぎかも知れねェが『ハダカカメガイ』だ」
打ち止め「またの名を『流氷の天使☆クリオネ』だねってミサカはミサカは追随してみる」
一方通行「クリオネっつーのも確かギリシア神話の歴史を綴る女神の名が元ネタ……、妖精だったか? まァその辺だ。
指先ほどの大きさに過ぎない一種のプランクトンだが、中心に赤を据えた透き通るテルテル坊主のよォな体。
その胴体のちょうど肩に当る場所から両に伸びる翼状の足を揺らして優雅に泳ぐ姿。
頭部の先にチョコンとツノのようにくっついてる2本の触覚。
まさに自然の造形意匠ここに極まるってトコか? シンプルでありながら異世界を感じさせるキュートなヤツだ。
和名ハダカカメガイはそンな神々しく幻想的なイメージを随分と乱暴に傷付けてるワケだが
却ってコイツが貝、巻貝の一種であることを簡潔に示してンな。
漢字で裸亀貝ってのはおそらく、亀の甲羅を引っ剥がしたらこンな感じっつートンデモ発想が由来だろ。
一応言っとくとカメの甲羅は肋骨や脊椎と皮とで出来てるンで、脱がせたら極彩色の中身が丸見えだがな。
ついでに、巻貝である証拠にコイツは孵化から数週間はちゃンと殻を持ってる。成長の途中で捨てンだな。
貝が外殻を失うのをナメクジ化っつーだろ? だからクリオネとはどンな生物かと問われたら
『甲羅を剥がしたカメのよォなナメクジ化した巻貝の一種』って答えてやれ。誰にも伝わらねェだろォが」
打ち止め「うん、その説明じゃあ『なにそれ?』だよ。あと有名だけど、過激なお食事風景はホントに怖いよね」
一方通行「頭部の触手がまるで花が咲くよォに一気に開いて獲物を優しく抱き、そいつの養分を吸収する」 コレナラドォダ?
打ち止め「いやそんな表現してもやっぱり怖い、とミサカはミサカはバッカルコーンの響きが耳から離れなかったり」
一方通行「まァな。厳しい冷海に居るだけにエサだってまともなモンがねェから、殆ど共食いに近い食性らしいしな」
打ち止め「あんなにカワイイのに知れば知るほど凄い子なのね、とミサカはミサカは無難な感想を述べてみる」
一方通行「ンで次は……、そォだな。『キノボリウオ』の話でもするか」
打ち止め「キノボリって、木登りするの? おさかなのくせに随分ワイルド アーンド ダイナミックな子なんだね」
一方通行「イヤ、登るワケねェだろ。看板に偽りがある魚の話なンだからちっとは気付けよマヌケ。
キノボリウオはアジアの熱い地方の淡水に棲む現地ではそォ珍しくもない20cm程度の魚だ。
日本ではコイツの近縁なベタとかトウギョって呼ばれる観賞魚が良く知られてると思う。
他にも何とかグラミーと呼ばれるヤツらとかタイワンキンギョとか、コイツの仲間は派手なナリのが多い。
季節的にはチョコレートグラミーなンてのも居るな。かなり飼育難易度が高い魚なンで安易な入手は禁物だが。
で、キノボリウオも鑑賞用に食用にと人間との関わり合いが深い魚なンだが、
さっきも言ったよォにエッサホイサと木に登る習性があるワケじゃねェ。
ベタの近縁だって話をしたが、どンな魚か知ってンだろ? そォ、コップの中で飼える熱帯魚だよなァ。
観賞魚は溶存酸素量が低い環境では生きらンねェのが普通だが、その意味で最悪なコップなンて馬鹿げた容器で
ベタが飼育可能な理由は、エラ蓋の中にラビリンス器官っつー特殊な呼吸器官を持つことで空気呼吸が可能な為。
水中だけでなく空気中からも呼吸を確保することで劣悪な環境に耐えてるってワケだ。
そのベタと同じ器官を持つキノボリウオ、言及がしつこくなるが木登りが可能な体の構造してるワケもなく、
陸地に上がるったって、せいぜい岸辺の石ころの上で一休みって程度のモンだ。じゃ、名前の由来はなンだ?
明らかになってるワケじゃねェが、一説に拠るとこォだ。鳥が咥えてきたコイツをうっかり落として見失った。
そいつが枝の上で生きてるトコを見つけた誰かが、木登りする魚だと誤解した。……まァ、無い話じゃねェな」
打ち止め「空気呼吸が出来るから枝の上でも息が続いてて、それが水場から離れてたら誤解したってしょうがないかもね」
一方通行「今ではキノボリウオ亜科には100を超える種が登録されてる。当然一種たりとも木には登らねェがな」
打ち止め「それはまたなんとも困った展開だね……、ってミサカはミサカは嘆息してみる」
一方通行「付け加えると、ドジョウもそォだがコイツも空気呼吸に依存する割合が高い。つまり…」
打ち止め「空気が吸えないと溺れちゃうってこと? ってミサカはミサカはそれ既に魚じゃないかもと極論してみたり」
417 :
撞着
[saga sage]:2012/01/31(火) 22:00:20.72 ID:b/yNqukd0
番外個体「じゃあ今日からソイツをキノボラズウオモドキと呼んでやろう」
芳川桔梗「冗長ね。名付けは出来る限りスマートであるべきなのよ。だからニセキノボリウオが良いんじゃないかしら」
打ち止め「そういう話じゃあないと思うけど……」
一方通行「別にイチャモン付ける気はねェからな。……アレだ、ホタルイカとホタルイカモドキの関係だ」
芳川桔梗「ええと、発光することで知られるホタルイカ。ホタルイカ漁で混じって獲れるホタルイカモドキ」
一方通行「両者は似てンだがモドキはあンまり旨くねェらしい。それはともかく、ホタルイカはホタルイカモドキ科だ」
芳川桔梗「日本での発見順序と海外でズレがあったからよね。世界的にはモドキが基準になっているのよ」
一方通行「ホタルイカモドキ科にはニセホタルイカなンてのもいる。更に紛らわしいが、結局それが面白いンだよ」
打ち止め「あれ、なんでだろ? って思って調べ始めると深みに嵌ってく感じだね、とミサカはミサカは推測してみる」
芳川桔梗「名前なんて所詮人が付けたものに過ぎない。だけれども、いえ、だからこそドラマがあるのよ」
番外個体「芳川のクセにナマイキな。単純にビミョーな命名センスのヤツを探して笑ってやろうってんじゃねーの?」
一方通行「何でも良いンだよ。楽しければソレで……、つーかハッピーにルンルン出来ればココロウッキウキだろ」
打ち止め「……、何その似合わないセリフ? ってミサカはミサカは思わず寒気を感じて訝しい目を向けてみたり」
番外個体「さてはキサマっ、敢えて貧弱白モヤシに化けてこの家に乗り込んだ一方通行モドキだな!!」
芳川桔梗「そんな展開も面白いわね。ニセ第一位vs本家、夢の対決……。幸い、棒人間でリアルにシミュレート可能だわ」
一方通行「なるほど…………、やっぱり普通ってウゼェモンなンだな」 シミジミ
〜おしまい〜
418 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2012/01/31(火) 22:23:47.88 ID:b/yNqukd0
以上第三十三回「撞着」でした。どこかみんな変、でもそれでこそ普通っていう・・・
今回は細かく補足するとやぶ蛇になっちゃいそうなのでさらっと
第一パート、マツタケの学名の日本語訳、正しくは「吐き気を催させるキシメジ」だそうな・・・だいたいあってる
第二パート、フナとかコイを人が食べたら害があるという事じゃないのでご注意を
第三パート、一回だけホヤが美味しいと思ったことがあった気がする、一回だけ
そんな感じで今回は投げっぱなしが多かったかな・・・と思いつつこの辺で。ではではまたー
419 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)
:2012/02/01(水) 00:49:20.65 ID:XImGowRAO
僕はホヤ好きですね。
いつも楽しみにしてます!
420 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北陸地方)
[sage]:2012/02/01(水) 09:23:31.91 ID:7pNYnvDAO
乙
421 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/01(水) 19:33:44.58 ID:fbC6DHfAO
三陸のホヤをまた食いたいもんだ。
乙
422 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2012/02/01(水) 21:20:12.34 ID:TvaL7JH5o
ホタルイカモドキ科ニセホタルイカか……
まあ贋作の類が出るのは有名な証だよね、名前がそうなだけでオリジナルだけど
423 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/05(日) 02:31:45.18 ID:bAsYRSoDo
乙
424 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2012/02/07(火) 20:19:40.16 ID:EdJ+Y5420
レスを戴いて、唯一の美味しいホヤ体験は東北通過時だった気がしました。もう一度確めたいな・・・
そんな今回のおさかな話は、噛みあわない会話でいつも以上にテンポが悪い。特に第三パートがイレギュラーな感じでヒドイ。
その辺りを薄目で楽しんでいただけたらいいかと思います。テーマは「逆転の発想」です。ではどうぞ
425 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/07(火) 20:22:56.66 ID:bSn+H89to
いやっほう!
426 :
逆転の発想
[saga sage]:2012/02/07(火) 20:24:52.67 ID:EdJ+Y5420
☆
「なあインデックス、トラウィスカルパンテクウトリの槍って覚えてるか?」
「とうま? 私には完全記憶能力と103000冊の魔道書の知識があるから当たり前なんだけど、とうまこそ良く覚えてたね」
「上条さんには無意味な文字列を目的も無く暗記するクセがあんの。ま、それはどうでもいいんだけど」
「そういうヒトたまにいるよね。ふっかつのじゅもん?を幾つも言えたりするオジさんみたいな」
「へ? ……槍の話に戻るぞ。あれさ、金星の光を黒曜石のナイフに反射させてその光線が当たった物を分解する魔術だろ?」
「それはとうまが戦った魔術師がそんな感じだっただけ。まあでも、それが偽者の限界かもね」
「つまりあれは劣化版か。じゃあ本物はどんななんだよ?」
「ちゃんとあの時に説明したのに……。アステカの破壊神が放つ、金星の光を浴びたもの全てを殺す炎の槍だよ」
「記憶にあるようなないような……。けど今回はそっちじゃなくて、お前の言う偽者について疑問があるわけで」
「ん〜……言い難いんだけど、とうまみたいな素人の独自解釈って誰も得しないかも。だからやるなら簡潔にして欲しいんだよ」
「鋭いご指摘……。よし、一瞬で終わらせる! アレが車に当たるとバラバラになる、でも生物でもバラバラって変だろ」
「要するに、部品の集まりである機械と違って生き物には継ぎ目なんて無いのになんで解体されるのかってこと?」
「さすがインデックス、今の説明だけでよく理解出来たな」
「ふふーん、このくらい朝飯前なんだよ! で、答えは術式の本質は機能消失であり構造の分解ではないから、だよ」
「ん〜と……。殺す=働きを毀すと解釈して、それを対象をバラバラにするという現象で実現するって寸法か」
「うんうん、言ってみれば目に見える現象は何かの手段に過ぎないんだよ。これは魔術というものの限界でもあるんだけど」
「ふむ。分解魔術って感じで記憶してたせいで混乱したかな。なるほど、完成前のパーツに戻すことが目的じゃ無いのか」
「例えば縫い目の無い服。組み合わせを解く術式では攻略出来ないけどその術式の場合は細切れにされちゃうね」
「待てよ……、逆に元から機能を失っているもの。例えば廃車なんかはひょっとして壊せないんじゃないか?」
「印象が随分変わるよね。そういうの、別に魔術に限ったことじゃないんだよ。とうまトビウオって知ってるでしょ?」
「トビウオってのは特定の魚の名前じゃなくて、ダツ目の……トビウオ的なヤツらを纏めて言う言葉なんだっけ?」
「そうだね。日本近海だけでも数十種を越えるトビウオが居るの」
「ふむ。んじゃ誤解を与えないようにトビウオ類って呼んだほうがいいのかな?」
「そこらへんのことはTPOに合わせればいいと思うよ。TPOって意味わかんないけど響きがカワイイかも」
「判らない言葉を使うなよ……。んで、トビウオの話はどこ行った?」
「あ、そうだった。ではではとうまに質問なんだけど、トビウオって魚偏に飛って書くけどどうしてか分るかな?」
「……、ちょっと上条さんをバカにしすぎじゃありませんか? そんなもん、文字通り飛ぶ魚だからだろ」
「強気だね。じゃあ、どんな手段でなにを目的に飛ぶかわかる? どんな原理でどんな感じで飛ぶか、ねえ分るの?」
427 :
逆転の発想
[saga sage]:2012/02/07(火) 20:26:46.02 ID:EdJ+Y5420
「途中で難易度クラスチェンジすんのは反則だろ…………。えーと、まず飛び方はグライダーと同じだよな?」
「そう、滑空だよ。体型やヒレの形がたまたま滑空機の機能を持っていた。それが適者生存の篩を攻略する鍵になった」
「自然選択説か。でもひとまず難しいことは後回しにして、実際どのくらいの飛行能力があるんだろ?」
「ものの本によると時速70kmで水面から飛び出し、高さは最高10m、飛距離は最大400mだってさ。未確認なら更に上も…」
「おいおい、それだってサーマルとかウェーブを期待出来ない状況なんだから揚抗比がべらぼうになるんじゃないか?」
「……。大きく発達した胸ビレを水平に開いて飛ぶんだよ。種によっては尻ビレも翼として使えるみたい」 キイテナーイ
「もしもーし。ちょっと科学な話になったからって無視すんなよー」
「それ以外にも飛行に適した特性があるんだよ。食べたものは速やかに消化され体脂肪率は1%以下とかね」 キコエナーイ
「……ホント魔術側の人間は都合のいいときだけ科学を利用するよな。実は俺も何言ってんだか判ってなかったんだけど」
「前も言ったけどぼんやり知っていれば事足りるもん。それはともかく、さっきの質問はまだ終わってないかも」
「ったく、へいへい。残ってる項目はなんだっけ…………、飛ぶ目的か」
「さあさあ、どうしてトビウオは魚のクセに海ではなく空を行くの? ホラホラ、答えられるものなら答えてみるんだよ!」
「待て待て、なんでそんな強引で偉そうなんだよ!? お前には在りし日のビリビリでも憑いてんのか!?」
「ちょっ、とうまっ! そういうのは冗談にしても慎むべきだよ……、自分の命がほんの少しでも大切なら尚更かも」
「…………そ、そうだな悪ノリが過ぎたな。人を呪わば穴三つって言うし…」
「関係ない人巻き込むのが前提なの?? 穴は墓穴、数は二つ、相手と自分用ので十二分なんだよ……」
「そっか、そうだよな〜……。と、脱線はこのくらいにしてトビウオが飛ぶ理由、見事に答えてやるよ」
「えっと、もしかしてその脱線ってダツと掛けてたりする? 『脱線で思い出したけど、ダツ目って〜』とか」
「だっ……、誰がそんなしょうもないダジャレで話を繋ぐかよ! 確かにトビウオがダツ目だって話をするつもりだけど」
「ならいいんだよ。……ダツ目はダツやトビウオの他にサンマやサヨリなどが含まれているんだよね」
「俺が好きなメダカもそうなんだけど、ちょっと毛色が違うんだよな」
「体の一部にダツ目特有の構造があるだけだからね。まあメダカは今回は横に置いておいたほうがいいかも」
「そうだな。それで本題だけど、ダツ目の魚は色んな状況でジャンプをすることが知られている」
「サンマやサヨリが群れでピョンピョン移動してたり、ダツは光に反応して跳んでくる性質があったり、だね」
「中でもダツはホントに高く跳ぶんだとさ。しかも英名が『Needle fish』っていうくらい、細長くて先が尖ってんだよな」
「ダツが突き刺さって大怪我する事故は珍しくないんだよ。ライトを使う夜釣りの際は気を付たほうがいいかも」
「しかも回転しながら跳んで来るらしいぜ? ……んまあそんな風にダツ目ってのはジャンプするのが得意なやつらなんだ」
「うんうん、続けて続けて」
428 :
逆転の発想
[saga sage]:2012/02/07(火) 20:28:39.98 ID:EdJ+Y5420
「さてそこでトビウオ、の前にサンマの話をさせてくれ」
「サンマ苦いかしょっぱいか? 食べればわかるんだよ」
「何だそれ? ……まあいっか。さっきサンマもジャンプするとは言ったけど、実は時々トビウオみたいに飛ぶんだよ」
「サヨリもそうだね。滑空、生き物だから滑翔かな。もちろんトビウオほどの能力は無いんだけど」
「ああ。ジャンプに長けたダツ目は進化の過程で飛ぶ技術を得た。その中で滑翔適正がダントツなのがトビウオなんだ」
「軽く細長い体、幅広く大きなヒレ、極限に発達した筋肉のお陰だね」
「そういうこと。そんな特別な素質を持っているからトビウオは飛ぶことを選んだってワケ」
「うんう……、ん? それで終わり??」
「へ? だって残ってたのは飛ぶ目的だけだろ? 飛ぶのが得意だから飛ぶ、これで何か文句あるのかよ?」
「それ本気で言ってるなら首絞めたくなるほど哀れなんだよ……。じゃあ聞き方を変えて、どんな時に飛ぶの?」
「どんな時って、マグロやカツオみたいな大型の捕食魚に追われた時とか?」
「でしょ? つまり、トビウオが飛ぶ目的は逃げるため。これが正解なんだよ!」
「そりゃあ、追っかけてた魚にとっちゃ突然消えて数十秒後に全然違うトコ着水されたらテレポートも同然だよな」
「それよりも! 大事なのはあくまでも主として逃走の為に飛ぶってこと。コレを忘れるとヘンなことになるんだよ」
「……、というと?」
「例えば、トビウオをハトの代わりに山から飛ばそうとしてみたり沢山のトビウオを使って船を飛ばそうとしてみたり」
「なっ、いくらなんでもそんなバカな??」
「飛べる魚、って理解が先に来ちゃうとバカなことがバカじゃなくなるんだよ。エグゾセじゃないけど軍事利用を考えたり」
「超低空海面追随飛行が可能な中距離対艦ミサイル? いや、生体爆弾か……。んな計画上手く行くはずないだろうに」
「目的は逃げること、手段は滑翔。ここで混乱すると間違えちゃうのかも。最初の魔術と同じでしょ?」
「目的は対象の全機能破壊、手段はバラバラにする現象……。殺すため壊す、逃げるため飛ぶ。……なるほどな」
「ついでに、とうまが魔術を便利で強い技術だと誤解してるのは、凡そ手段と目的を取り違えてるのが原因なんだと思うよ」
「……、そこはヤッパリ納得行かないけどなあ。第一、間違ってるって言うワリに細かく教えてくれるワケでもないし」
「知りたい? 簡単に喩えるなら卓球はフライパンとバスケの球でも出来るけど翌日腕がパンパン、ってことなんだけど。判る?」
「その話は何かを説明してるつもりなのか……、コレ上条さんがバカだからわかんねーんじゃ無いよな?」
429 :
逆転の発想
[saga sage]:2012/02/07(火) 20:30:47.80 ID:EdJ+Y5420
☆
御坂「佐天さんが金属バットで黒子を後ろから狙った。黒子はフルスイングが頭に触れた瞬間にそれを察知して避けた」
佐天「来る方向が判ってるから電撃は避けられるって理屈にはそれの100倍シビアな能力が必要ですよね……、アリエナイ」
初春「そんな白井さんなら死角とか無いですね。だってどんな攻撃も当たった瞬間に来る方向が判る攻撃になるんだから」
白井「なんでわたくしが……。まあそんな人間が普段はボコボコ殴られてるのなら、情報のどこかにウソがあるのでしょう」
御坂「うそか……、ウソねえ…………、うそうそうそうそ、カワウソ〜♪」
佐天「……えっ、あ、カワウソってイタチみたいなやつでしたっけ? しし、知ってはいるけどイメージしにくい生き物ですよね」
初春「カモノハシと似ていたような……、あれ? それはレッサーパンダだっけ……。確かに良くわからないかもです」
白井「ビーバーやアナグマなどと混同した姿で記憶されてる方も少なくないかと。まあ、水辺の哺乳類ですわね」
御坂「やあ、ぼくウソつきのカワウソホンマだよっ! …………、あれー? 面白いでしょ? 何で誰も笑わないの??」
白井「常盤台入学時にお姉様の暴走に対しては様々な意味で手出し無用と教わっておりますの。それよりカワウソの話を」
佐天「そ、そうですよー。御坂さんは川の生き物には断トツで詳しいでしょ? カワウソだってバッチリでしょ?」
初春「誰だってギャグかどうかの見当もつかないモノの道連れはゴメンです。さあ、カワウソの解説お願いします」 ニコニコ
御坂「うーん。前々から思ってたけど、みんなの感性ってズレてるわよ? ま、いっか。ニホンカワウソの話で良い?」
白井「んっ、まーっ!! いいですわねニホンカワウソ、それで行きましょうそうしましょうそれが最高ですの!!」
御坂「そ、そんなに好きなのニホンカワウソ? ……黒子が乗ってくれるなら大丈夫かな、みんなも良いわね?」
佐天「(さすが白井さん……、勢いつけて話に乗っかることで御坂さんの暴言を無かったことにした……!)」
初春「(ええ、唯一無二のパートナーを自称するだけのことはありますね)……あ、話はこちらもそれでオッケーですよー」
御坂「了解っと。なるべくわかり易く話すわね」
430 :
逆転の発想
[saga sage]:2012/02/07(火) 20:32:38.34 ID:EdJ+Y5420
御坂「さて、まずは軽く分類をおさらいしとこっか。ニホンカワウソは食肉目イタチ科に属するんだけど…」
佐天「あ、やっぱりイタチに近いのかあ」
初春「レッサーパンダはちょこっと遠い親戚ってとこですね」
白井「近縁には他にラッコやオコジョ、フェレットやテンといった、ネコ系の可愛らしい仲間が多いですわね」
御坂「食肉目はネコ目とも言うもんね。これでもイメージ出来ないならラッキーくんっぽいヤツだと思えばいいわ」
初春「最後にそのたとえを持ってくると却って分りにくくなるような……。マギーさんがどうこうじゃないですけど」
佐天「それにしても、カワイイ動物なんだろうにどうしてこんなに絵が浮かばないんでしょ?」
白井「考えるまでもありませんの。ニホンカワウソは既に絶滅していると見做されているから、そうですわねお姉様?」
御坂「そう。かつては日本中の水辺でごくありふれた生き物だったんだけど。明治以降の近代化の流れの中で……、」
白井「最後の目撃例が西暦1979年ですが、この調査の段階で既に誰の記憶からも消えかけた存在だったかも知れませんわね」
初春「絶滅の原因はやはり高度経済成長化における環境破壊なんでしょうか? 生息地が護岸工事で奪われたとか」
佐天「……でも初春? そんなの頭数が減少してるの判った時点で保護すれば済むでしょ。 絶滅って多分もっと凄い事だよ?」
御坂「佐天さん鋭いわね。そう、ニホンカワウソは絶滅が確定的になるまでほとんど保護出来なかったのよ」
初春「なぜですか? 可愛くて身近で、それに特に人に危害を与えるような動物でも無いなら……」
白井「……、イタチ科にはミンクという動物も居ますわね。毛皮で御馴染みですけど……、そういうことですの」
佐天「つまり、保護が間に合わないほど急激な乱獲があったと…………。でもカワウソの皮ってそんなに良いものなんですか?」
御坂「エビやカエルを捕食するような水中生活に適したその皮は、高い防水保温効果があったそうね」
白井「そうした毛皮目的での乱獲によって数を減らしたところに、初春の言う生息地の環境悪化が重なったと」
御坂「それと漁師にとってはある意味害獣だったのよ。畑のモグラと同様にね」
佐天「漁場を荒らすから駆除してたんですね……。それは責められないけど……、ん? あのー……、あれっ?」
御坂「そうよね、当然疑問が沸くと思う。環境悪化以外の絶滅原因は近代化以前から存在してたってことでしょ?」
初春「はあ。言われてみたら毛皮は昔だって需要があっただろうし川漁師さんは今より多かったはず……」
白井「となると、大昔はニホンカワウソ捕獲に対して何らかの歯止めがあった、という事ですの?」
佐天「そして時代とともに失われた……。それは一体どんな抑止力だったんですか?」
御坂「…………そのチカラ。一言で表すなら、オカルトよ」
431 :
逆転の発想
[saga sage]:2012/02/07(火) 20:35:33.77 ID:EdJ+Y5420
御坂「ニホンカワウソは日中は岩陰や草むらで過ごして、エサを探すため活動的になるのは夜中なの。
そういう夜行性の野生動物はべつに珍しくない。けどね、ちょっと想像力を働かせてみて。
電気もガスもない、つまり日没とともに暗闇に支配される時代。夜は人にとってどんな時間だったか。
見えない恐怖だけじゃなく、むしろ見える恐怖。昼間ハッキリしていた木々や山の輪郭が闇に溶け
全ての境界線が曖昧になる。だって手元の灯りで作られた自分の影さえ周囲に馴染んでいくのよ。
それはこの世とあの世の区切りさえ頼りなくボヤけた時間。世界が冷たい漆黒と熱を帯びた…」
初春「要するに明かりが無いと人間なんて無力だから、時には変な妄想に駆られたりするものだということですね?」
佐天「ふむふむ、夜の山道でガケから落ちたり野犬に襲われたり。そんな本能的恐怖が暗闇の禁忌を作ったと」
白井「暗闇を恐怖の対象とすれば、暗闇に蠢くものたちを同じく恐れるのは自然の成り行き。そこでカワウソですわね」
御坂「……あ、うん。……さっきも言ったけどニホンカワウソは夜行性、つまり暗闇の中を動き回る生き物なの。
恐怖の対象であり単純に危険も多いと言っても、昔の人だって真夜中に外出することが無かったわけじゃない。
頼りは提灯や松明、それに月明かりだけかなあ? とても心細い道すがらだったんでしょうね。
当然だけど他人の姿なんて無いし物音も少ないから、普段は意識の外側にある世界が際立つことになる。
幽霊の正体見たり枯れ尾花じゃないけど、昼間に見慣れてるものでさえ異界の住人に成り代わるのよ。
なら、予備知識の無いモノが予測不能の動きをしたらどれほど恐ろしくどれほど畏るべきことだったかと…」
佐天「ははあ、つまり深夜に月明かりが映る水面を見たらカワウソが泳いでて、そうと知らない昔の人はビックリしたと」
初春「川の中でにゅっと突き出た鎌首と光る獣の目が暗闇の中でうっすら見えるんですね。怖かっただろうなー」
白井「それを物の怪、妖の類と扱ったのも詮無きことですわね。つまりカワウソはかつて一般人とってバケモノだったと」
御坂「そう、そうなんだけど……。あれー? なんだろこのスッキリしない感じ。むぅ〜……。
と言うわけで、タヌキやキツネが人を化かすなんてのと同様、ニホンカワウソも人知及ばぬ怪異の一部だったのよ。
地方によっては成長したカワウソが人を捕って喰らうカッパになるなんて言い伝えが残ってたりね。
成長したらって、んじゃカッパは年老いてハg……、頭頂部付近の体毛密度が著しく低下したカワウソなの?
バッカらしい話だけどさ、こんな根拠の無い迷信のお陰でカワウソは長い間守られていたとも言えるのよ。
カワウソに最も近い仲間がラッコ……、っていうよりラッコってずっと海に居るカワウソのことなんだけど
アレも毛皮の為の乱獲で絶滅寸前まで追いやられたのよ。伝えられてるそのラッコ猟の様子がなんて言うかね……。
貝やらカニやらを拾ってきて水面にプカプカ浮かび石ころでカンカン叩いて食べる、そんなノンビリした印象でしょ?
実際、ラッコは攻撃性が低くてしょっちゅうボーっとしてるような生き物なんだけど、その性格が災いしたワケね。
捕獲の為に人が船で近づいても逃げない。それどころか好奇心丸出しで向かって来ちゃったりするの。古い記録には
もともと海岸で生活するラッコも居たけど簡単に捕まえられすぎて即絶滅。現存タイプだけが残った、ってあるくらい。
カワウソも同じだったのよ。捕まえようと思えば簡単だった。だけど昔はオカルトが抑止になっていた。
『おとなしそうに見えても、その実は牙を剥き人の生き血を啜る怪物だから手出しは禁物である』なんてね。
長きに渡り動物と人を区別せず、いえ、区別したとしてもむしろ上の存在と見做したからこそ守られたものがある。
意図的で有る無しに関わらず、バカバカしいオカルトにだってそれなりの役割があったって言えないかな?」
佐天「カワウソは怖ろしい。そんな幻想を文明開化が軒並み壊してしまった。ただの下等な小動物だと……」
初春「そして今、私たちはニホンカワウソの姿を思い浮かべることさえ出来ない。ホントの幻想になってしまいました」
白井「そう考えますと……。幻想を壊す、つまりウソを暴くことが一概に良いことかどうか。悩ましい問題ですわね」
御坂「まあね。守るべき幻想なんて判らない。だけど壊さないほうがいいウソも中にはある、ってせめて知っておくべきなのよ」
御坂「って、みんな暗いわよ……、景気付けに歌っとく? うそうそうそ、かわうそ〜、カワウソホンマ〜♪」 フンフン♪
白井「(そのフレーズがツボに入ったんですのね。さて、そのつまらない幻想は壊すべきか否か……、悩ましいですの)」
432 :
逆転の発想
[saga sage]:2012/02/07(火) 20:40:33.90 ID:EdJ+Y5420
☆
打ち止め「ねえねえ、ブルーギルっておさかな居るでしょ? アレって日本のおさかなに比べてそんなに強いの?」
一方通行「……典型的な勘違いだな。そォした意味合いで言えば生き物に強弱はねェよ。あるのは相性ってヤツだ」
打ち止め「じゃあブルーギルが猛威を振るってるのは相性が良かったから……? よくわかんないんだけど」
一方通行「メンドくせェ……。例えばアレだ、ポーカー知ってンだろ? カードゲームの定番の」
打ち止め「通常5枚の手札を用いて特定の役を作りその強弱を競う、だったかな? とミサカはミサカは思い出してみたり」
一方通行「フン…………、オマエは今死ンだぞ? ンな上っ面の理解だけでカードを語ンじゃねェよバカが」
打ち止め「問われて答えたのになんと理不尽コレが現実!? ってミサカはミサカは騙し合う嘘つきだねと締めくくってみる」
一方通行「アレはプレイヤー同士がテメエを偽りながら真実を読み合うゲームだ。決められたルールの中でな」
打ち止め「内心ビクビクしながら表面は余裕の顔、だけど相手を萎縮させ過ぎちゃダメとかそんな感じかな?」
一方通行「……まァそォだ。ポーカーフェイスっつーのは無表情って意味じゃねェンだよ」
打ち止め「それで、そのゲームとブルーギルと相性がどう関係するの?ってミサカはミサカは軌道修正してみたり」
一方通行「ポーカーの基本ルールは知ってンな? なら相手の手札が全部見えたら勝負にならないってコトはわかるだろ?」
打ち止め「自分の手札が相手より強ければ受けて、弱ければドロップしちゃえば良いから……。そりゃそうだけど」
一方通行「勿論、相手の手札を覗くのは反則だ。……但し、対戦者同士がそう決めた同じルールで戦ってンならだが」
打ち止め「つまりブルーギルが日本のおさかなに対して相性が良いというのは、手札が丸見えのポーカー状態だってこと?」
一方通行「そンな感じであくまで偶然にだが、向こうのルールがコッチに対して圧倒的に有利だったって事だ」
打ち止め「でも自然には人の決めたルールなんてないよ? とミサカはミサカは至極真っ当な疑問を投げかけてみる」
一方通行「ルールってのはモノの喩えだ。この場合、それぞれの生物が進化の過程で得た個別の特性のコトだと思え」
打ち止め「……原産地の自然環境に適応する生物を別の場所に移動させたら、より過剰に適応し繁栄した……。う〜ん?」
一方通行「繁栄ねェ? 好敵手の居ない勝負師は存在価値ゼロだ。ゲームに限らず勝ち過ぎは破滅と同義なンだよ」
打ち止め「じゃあ、たくさん増えて在来種に取って代わろうとしてる今の状況はブルーギル自身にも良くないの?」
一方通行「そォだが……、悪りィ。後はその辺の問題に詳しいヤツに聞け。紹介してやる」 ポチポチ
打ち止め「えっ……別にそんなこと望んでるわけじゃ、とミサカはミサカはあなたの少々捻じ曲がった親切に困惑してみたり」
一方通行「ン、何か言ったか? ―――――――――場所はいつもの水槽屋だ。連絡してやったからとっとと行って来い」
433 :
逆転の発想
[saga sage]:2012/02/07(火) 20:44:57.27 ID:EdJ+Y5420
【学園都市最大のアクアリウムショップ 〜エディ・アレックスのアクアホリックショップ〜】
打ち止め「なんでこんなことにーーっ! ってミサカはミサカは広い店内に響き渡るほどの大声でグチってみたり」
芳川桔梗「でも、あの子が素直に他人を頼ったことは評価に値するわ……。同居人の気持ちには無頓着なままだけど」
打ち止め「ホントだよ! 第一どうして話を聞いて来いって言うだけ言って一緒に着いて来てくれないの?」
芳川桔梗「そう言えば何だか変なこと言っていたわね。『アレと俺とじゃ会話が成り立たねェンだよ』とかなんとか……」
削板軍覇「どうも。そのアレです」 \ドッパーン/
打ち止め「」
芳川桔梗「」
打ち止め「……えっ、えっと」 ナニコレ?
芳川桔梗「……、終わったら携帯に連絡を入れなさい。近くで待機してるから安心して。……頑張りなさいね」
打ち止め「なっ………!!」 ニゲタ !?
「…………」 「…………」
――――――――――――――――――――――
―――――――――――――
――――――
打ち止め「それじゃあ、あなたはあの人が誰かも知らないの? ってミサカはミサカは打ち解けた雰囲気で問いただしてみる」
削板軍覇「俺は店の設備を借りてるだけ。店員じゃねえから客の個人情報は把握できんしあの人がどの人か見当もつかん」
打ち止め「でもあの人は連絡しとくって言ってたんだけど……、とミサカはミサカは一体どういうことなのかまるで解らなかったり」
削板軍覇「おう、確かに丁度38分前に非通知で『チビがブルーギルの話聞きに行く。準備しろ』と知らないヤツが掛けて来たな」
打ち止め「……えーと、」
削板軍覇「待てよ? あの声はいつもの……、根性不足のエノキ野郎だったような気がするな。あの人ってのはそいつか?」
打ち止め「最近は乾燥シメジと称しても過言じゃない!とミサカはミサカは擁護し……あれ? じゃあやっぱりお知り合い?」
削板軍覇「時々訪ねて来て問題のある魚を置いていく困ったヤツだな。次遭ったら根性入った説教してやるつもりだ」 バチコーン
打ち止め「あの人が一緒に来なかった理由が判ったよ、とミサカはミサカは……、それはそうと問題のあるおさかなって?」
削板軍覇「俺の専門でもある特定外来生物だ。『同居人が拾ってきた魚ン中に混じってた』などとくだらん言い訳しながらな!」
打ち止め「それ多分ウソじゃないし、さっきミサカの横に居たのが真犯人の一味なんだけど…」
削板軍覇「さて、そんなどうでもいい話などとっとと切り上げて本題に入るぞ! テーマは『ブルーギルと根性』だ」
打ち止め「……ツッコミ気質が無いミサカにはこの人の相手は厳しいよ、とミサカはミサカは今更先行きに不安を覚えてみる」
削板軍覇「では行くぞ! まずはミサカワミサカ? がどの程度の予備知識を持っているか…」
打ち止め「ちょちょっ、ちょっと待って今のはそんなミサカもさすがに見過ごせない! ミサカワミサカってミサカのこと?
ってミサカはミサカはミサカのことはミサカか打ち止めって呼んでほしいと淡い希望を述べてみたり」
削板軍覇「了解だ! 俺はミサカワが予備知識をどの程度持っているか知らんので基本的な話から始める。それでいいな?」
打ち止め「う……、色々含めてもう……いい、とミサカはミサカは早くも諦めムードの心中を吐露してみる」 グッタリ
434 :
逆転の発想
[saga sage]:2012/02/07(火) 20:48:17.24 ID:EdJ+Y5420
削板軍覇「何はともあれ実物を見るのが一番だな! ちょっとこの水槽のほうへ来てくれ」 コイコイ
打ち止め「えっ? 本物が居るのってミサカはミサカはおずおずと近づいていき……。ほほぉ〜、ふむふむ〜、なるほど〜」
削板軍覇「コイツらは全長10cm以下のブルーギル(若魚)だ。感想があるなら聞いておくぞ?」
打ち止め「んーと、薄い縦じまがあって、横から見た形はフナみたいな楕円形なんだけど……なんだか随分薄っぺらいね」
削板軍覇「確かに、明るいところで観察すると背骨が透き通って見えるほど薄いな。他に気になるところは無いのか?」
打ち止め「背ビレとかが尖っていて危なそう……。あとエラ蓋のトコに何かくっついてるね」
削板軍覇「その通り! コイツのヒレは危険、素手での扱いには注意が要るぞ。そしてエラ蓋のアレが名前の由来だ」
打ち止め「ほほ〜。エラ蓋の上に黒っぽいというか紺色っぽい小片があるからブルー(青い)ギル(エラ)ってこと?」
削板軍覇「英語が喋れるとはミサカワは賢いな! 要するに、ギルと省略してしまうとそれはエラと言う意味なのだ!」
打ち止め「ギルがいっぱいいる池、と言われてエラが溢れてる様子を誰も想像しないと思うけど、とミサカはミサカは…」
削板軍覇「で、今度はこちらの水槽だ。充分に成長した個体はこの大きさになる」
打ち止め「うわっ! すごく地味な体色だけどフナと言うよりマダイのような? 大きさも50cm近くあるんじゃないコレ?」
削板軍覇「うむ。若魚のように薄っぺらくない実に逞しい体だろ? まさに根性の為せる業だ!」
打ち止め「後半さっぱりわかんないけど、とミサカはミサカはちなみにブルーギルが何の仲間か尋ねてみたり」
削板軍覇「分類か! サンフィッシュ科だから、一般的にブラックバスと呼ばれるヤツらが近縁だな」
打ち止め「ん? でもブラックバスって全然カタチが違うよ? アレはもうちょっと細長くて丸くて口が大きくて…」
削板軍覇「分類は表面の見た目で決まらない場合も多く素人には理解し難い。だから気にする必要なぞ無い!」
打ち止め「ソウデスカ……。あと、サンフィッシュって確かマンボウも英語でそんな名前だったような?とミサカはミサカは…」
削板軍覇「ミサカワは本当に博識だな! そう、マンボウは英語でサンフィッシュ。だがサンフィッシュ科とは無関係なのだ!」
打ち止め「偶然同じ名前になっちゃってるだけなのねとミサカはミサカは納得してみる」
削板軍覇「さて、まだまだ言及しておくべきことは山ほどあるが、こっからは当初のミサカワの疑問に答えつつ紹介してくぞ」
打ち止め「ブルーギルが有利なトコロ、増えすぎの反動や害だよねとミサカはミサカは忘れないうちに思い出しておく」
削板軍覇「っと、以下はネガティブなイメージの話題でもある。ガラじゃねえんだが一応ヒトコトだけ言い訳させてくれ」
打ち止め「はあ……、お任せしますとミサカはミサカはゴーアヘッドのサインを送ってみたり」
削板軍覇「個人的な意見を押し付けるなという意見は個人的な意見の押し付けである。これをジレンマと言う!」
打ち止め「…………それ言い訳とは違うような、でもツッコんだら負けのような、とミサカはミサカは躊躇逡巡してみる」 ウーン
435 :
逆転の発想
[saga sage]:2012/02/07(火) 20:53:20.77 ID:EdJ+Y5420
削板軍覇「ブルーギルは北アメリカ原産の淡水魚で、主に流れの弱い河川または池や沼などの止水を好む魚だ」
打ち止め「分布は淡水全体だけど、余り流れが急じゃないところが好きなのねってミサカはミサカは情報を補完してみたり」
削板軍覇「肉食傾向の強い雑食性のクセに縄張りを作るよりも集団で行動する、つまり一匹見つけたら云々な習性を持つ」
打ち止め「コックローチさん……。それにしても群れを作ってエサを獲ってたらすぐ周りに食べ物が無くなっちゃうんじゃ?」
削板軍覇「目の付け所が素晴らしいな! どうやら周囲に食べ物が豊富な場合、一匹ずつに好き嫌いが出来るようなのだ」
打ち止め「俺とオマエじゃ喰いモンが違ンだよ! 肉喰ってりゃ幸せなンだよ! 肉無くなったからエビ食わせろ! って感じ?」
削板軍覇「中には水草だけとか底の堆積物専門で喰う変わり者もいるらしい。結果的に、環境全てを利用可能なワケだな」
打ち止め「いつかのアメリカザリガニみたいな子なのねってミサカはミサカはボンヤリと思い出してみたり」
削板軍覇「繁殖はサンフィッシュ科に共通するのだが、オスが砂地に巣を掘りメスを誘って産卵させるというものだ」
打ち止め「……、話がコロコロ変わり過ぎだよ! とミサカはミサカは愚痴りつつもオス魚の苦労を偲んでみる」
削板軍覇「巣を作るだけじゃないぞ? 産卵後もオスは巣に残りタマゴや稚魚を狙う捕食者を追い払い続けるのだからな」
打ち止め「その時メス魚ってドコへ……、とミサカはミサカは夫婦仲って水物だなあなどとテキトーな事を言ってみたり」
削板軍覇「さて、捕食魚としてのブルーギルは止水に於いて非常に優れているのだが……。それはどんな所かわかるか?」
打ち止め「えっ? いきなりそんなことわかるわけが……けど、もしかしてこの水槽を見ればヒントがあるのかな?」
削板軍覇「おいおい、ミサカワはホントはチビッ子の皮を被った学者とかじゃねえだろうな? 鋭いにも程があるぞ……」
打ち止め「……それはともかく、ブルーギルって普段はこんなにじっとしてるおさかななの?」
削板軍覇「違うな。動きがただ少ないんじゃなく、停止時の動きが極端に少ねえんだ。ホレ、ヒレもシッポも止まってんだろ?」
打ち止め「……、ホントだ。フナやヌマムツみたいな魚だって一箇所に留まるためには結構細かく運動してるのに」
削板軍覇「水の中で動けば波が起こり、周囲に自分の存在を知らせちまう。では動くこともなく一点に留まれたら、どうだ?」
打ち止め「それはつまり気配を消して相手が近づくのを待ち、警戒させないまま攻撃出来ると……。まるで暗殺者だね」
削板軍覇「だろ? その上、追撃特性も優れている。停止→トップスピード→停止をほとんど加速減速なしで実行したり」
打ち止め「お〜〜! お値段が惑星ひとつ分の宇宙船みたいだねってミサカはミサカは感嘆の声を上げてみたり」 ヒュー
削板軍覇「360度全ての向きで停止が可能だったりな。背ビレと胸ビレを器用に使って前を向いたまま高速バックだって出来る」
打ち止め「ふむふむ。まさに止水のファンタジスタって感じだねってミサカはミサカは総括してみるんです」
削板軍覇「他にも冷温や酸欠、汚水に耐えるスゲエ根性がある。そんなブルーギルが日本の水環境に入ればどうなるか」
打ち止め「多少の悪状況を問題にもせず、食べられるものを全て食べつくし、一方で自分の子供たちはがっちりガード」
削板軍覇「狙った獲物は逃さない運動性能を持ち、コレといった天敵も見当たらない……。一人勝ちってヤツだな!」
打ち止め「そうだね……。じゃ次は、勝ち過ぎがどうして破滅に繋がるのか教えて欲しいとミサカはミサカは頼んでみたり」
436 :
逆転の発想
[saga sage]:2012/02/07(火) 20:57:40.94 ID:EdJ+Y5420
削板軍覇「ある種の魚が極端に水域を占有すりゃ当然弊害がある。人間側から見れば漁業の損害が代表的だな」
打ち止め「お金になる魚が食べられたり、環境そのものを悪くされたり、網に掛かってもヒレが危険で外す手間ばかり掛かったり」
削板軍覇「そうなりつつある場所もその懸念がある場所もありってトコだ。特定外来生物に指定されるだけの根性があるな」
打ち止め「だから根性って何なの……。そういえばそんな暴れん坊をどうして移殖したの?とミサカはミサカは質問する」
削板軍覇「ルーツは20世紀後半、生物学者でもあらせられるいとやんごとなき方がアメリカご訪問の際に寄贈された15匹だ」
打ち止め「アメリカザリガニの話でも思ったけど……、最初はホントにホンのちょっとだったのね」
削板軍覇「それを食用や釣り目的の研究の為日本に持ち帰り、水産庁に寄贈……と、ここまでは何も問題無かった」
打ち止め「ああ、見えるよ……。その後、養殖池が洪水で溢れて逃げ出したとか、流行を作ろうとして密放流したとか……」
削板軍覇「バス釣りを流行らそうとした輩が、バスのエサになるってデマを信じて放ちまくったなんて話もある。だが実は逆だ!」
打ち止め「ブラックバスは狩りが下手だからね……。ブルーギルは何でも食べるからバスのタマゴだって食べちゃうわけだし」
削板軍覇「今では各地で駆除の対象だ。基本的に許可なく飼育、移動、放流、譲渡などすれば罰せられるから気を付けろよ!」
打ち止め「ん? あの……、ひょっとしてあの人がここに生きたまま特定外来生物を持ってきちゃったのってダメなことなの?」
削板軍覇「俺は許可を持ってるが正直グレーだぞ。だから以前『最大1億円の罰金刑だ!』とヤツには警告したんだが……」
打ち止め「あー……、あの人はそれ系の罰には麻痺してるとこがあるのってミサカはミサカは代理で弁解してみたり」
削板軍覇「桁の多い数がピンと来ないクチか、俺と同じだな!」
打ち止め「あ、いやそうじゃなく……。それはそうとちょっと疑問なんだけど、移動が禁止って持ち帰ることもダメなの?」
削板軍覇「原則で言えば、殺してから持ち帰ればOKということだ。それまで禁止したら捕まえた時点で罪になりかねん」
打ち止め「ふむふむ。あのね? それならブルーギルを釣って食べちゃってもかまわないよね」
削板軍覇「もちろんだ。そもそも原産地では立派な食用魚だしな……。但し、法律とは関係ない問題点がいくつかある」
打ち止め「それは何?ってミサカはミサカは頭の中で料理法を模索しながら尋ねてみたり」
削板軍覇「一般的な淡水魚と同様コイツも生息域によって味が変わり、時に喰えたものじゃないレベルまで落ちる場合もある」
打ち止め「まあ……、それはしょうがないかも、とミサカはミサカは話の続きを促してみたり」
削板軍覇「その上、個別で嗜好が違うって話をしただろ? 食べ物の違いはそのまま食味の違いに繋がるからな」
打ち止め「泥みたいなものばかり食べてた魚が泥臭いのは当たり前か……。しかも見た目じゃ違いがわからないよね、それ」
削板軍覇「更に件の食用魚としての研究の結果、日本では不適合であると結論が出ている。理由は主に2つ、わかるか?」
打ち止め「サイズの違うブルーギルの水槽を交互に指差しながら質問した、ということは大きさの問題?」
削板軍覇「その通りだ! 原産地ではこのビッグサイズまで成長するが日本では20cm以下が大半だ。しかも成長が遅いときた」
打ち止め「でっかくならないと薄っぺらだから食べるところが殆ど無いもんねとミサカはミサカは得心してみたり」
437 :
逆転の発想
[saga sage]:2012/02/07(火) 21:01:07.61 ID:EdJ+Y5420
削板軍覇「ではあまり話が長くなってもいかんので、そろそろ核心に入るぞ。根性入れて聞く準備は出来てるか?」
打ち止め「……お、おうっ! とミサカはミサカは半ばヤケクソ気味に最後のスタミナを振り絞ってみたり」
削板軍覇「優占種。ある場所で主に見られる生き物をそう呼ぶが、それが行き過ぎた結果最終的にどうなるか、だったな」
打ち止め「もう最初の質問なんて覚えて無いからどうでもいいよとミサカはミサカは開き直ってみる!」
削板軍覇「その意気や良しだ! ではこういったお題では定番だがヴィクトリア湖の悲劇の話を……、ひょっとして知ってるか?」
打ち止め「…………知らない、とミサカはミサカは空気を読みつつもアフリカ最大の湖、ヴィクトリア湖の話を期待してみる」
削板軍覇「そう、まずデカい。琵琶湖の100倍とも言われる広大な淡水湖だ。俺の根性を以ってしても飲み干すことは難しい」
打ち止め「えーっと、ついでに10万年以上水を溜め続けている古代湖だよねとミサカはミサカは一部無視してフォローしてみる」
削板軍覇「うむ。巨大な隔離水系が長期に渡り存在すればそこには非常に独自で多様な生態系が発達する」
打ち止め「日本の琵琶湖固有種でさえ、国内の淡水魚種のかなりの割合を占めてるもん……だから簡単には想像もできないよ」
削板軍覇「一説によると20世紀初頭までヴィクトリア湖には400を超える固有魚種が居たらしい。既に確認する術も無いが」
打ち止め「その悲劇のせいで、だねとミサカはミサカは詳しく解説してくれることを遠まわしに求めてみたり」
削板軍覇「中央アフリカ東部に位置し3国に跨るヴィクトリア湖は20世紀中頃までイギリスの支配下にあった。
いわゆる植民地のように本国以外に生活圏を広げる場合まず何より先に確保する必要があるのが水と食料だが
この湖は周辺国へのイギリス入植初期段階ではその期待に充分に応えた。なにしろ根性入ったデカさだからな。
しかし人口の増加傾向に徐々に漁獲量が追いつかなくなり、やがて水産資源が底を突くおそれさえ出てきた。
イギリスとしては何か手を打つ必要があったのだ。そして目を付けたのが同じくアフリカ原産の、とある魚だ。
その名をナイルパーチ。ナイルと付くが直接ナイル川に縁が深いことは無い。最大で2m、200kgに達する大型魚だ。
日本の魚で言えば白っぽい体に赤い目が特徴のスズキの仲間、アカメに良く似ている。というかほとんどアカメだな」
打ち止め「白っぽくて赤い目の第1位スズキ目……そりゃ問題児ですわ、とミサカはミサカは海よりも深く納得してみたり」
削板軍覇「いや、必ずしもコイツが悪いわけではないぞ? 何を納得したのか良くわからんが……、まあ続けるぞ。
イギリスは食糧確保の為に大型で肉質が良く現地の環境に適応可能なナイルパーチをアフリカ中の淡水に移殖した。
ヴィクトリア湖もそのひとつだった訳だが、この試みはひとまず成功する。
食料として、また外貨獲得の輸出材として、更にはゲームフィッシングなどに、とナイルパーチは幅広く利用された。
その裏で刻々と破滅が広がっていくのを誰も気付かないままにな。
考えてみろ。2mを越す大魚は何をどれ位食べてその大きさになるんだ? そんな魚に天敵は居るか?
ましてそれが、殆どの在来魚類が草食傾向の強いものだったヴィクトリア湖に放たれたらどうなるのかと。
導入から数十年後、湖の様相は一変していた。ナイルパーチの食欲によって固有魚種は200種以上絶滅した。
また、水草を食べる種の減少によって植物プランクトンが異常発生し酸欠状態が湖各所で常態化。
つまり負のスパイラルとも言うべき事態で更に生態系の破壊が連続し、湖全体が死で埋め尽くされてしまった。
だが植民地時代の終わった現在においてもナイルパーチ養殖は外貨獲得の手段として続けられている。
湖の名からヴィクトリアパーチなんて呼ばれたりもするこの魚は今尚、名も無い白身魚として先進国で食されてる。
ヒトの歴史よりも遥かに長い時を刻んだ生態系の完全な崩壊は、既に確定してしまってるのかもしれん。残念だ!」
438 :
逆転の発想
[saga sage]:2012/02/07(火) 21:06:41.41 ID:EdJ+Y5420
打ち止め「…………うーん。話の規模が大きくてなかなかイメージ出来なかったけど、とにかく大変なことになってるんだね」
削板軍覇「それだけ判れば十分だ! そして、これを日本の淡水とブルーギルに当て嵌めて考えられれば更に素晴らしいぞ!」
打ち止め「ふむふむ……、ブルーギルの場合はそこまで大きくならないのがまだマシなのかな……」
削板軍覇「それでも! 天敵の居ない繁殖力の強い外来生物が国内全体に蔓延している状態は決して健康ではないだろ」
打ち止め「うん。さっきのナイルパーチだって他の生き物が居ない汚れた水で育ったら商品価値も減って、結局ダメになるよね」
削板軍覇「だな。コレばかりは根性で解決できる問題ではない。つまり勝ち過ぎはやがて己の身を滅ぼすということなんだ」
打ち止め「なるほどね、とミサカはミサカはようやく回収できた疑問点に安堵の表情を浮かべてみたり」
削板軍覇「とにかく、まともな天敵が居ないというのが逆にコイツらの弱点なんだ。だからだな、ゲームフィッシングで
『命は大切だから、キャッチアンドリリース』
なんて言うが、コイツらがホントに好きならば是非とも心を鬼にして天敵の代わりになってやってくれ。
直接手を掛けることに抵抗あんなら、近くに穴でも掘って埋めてやればいい。あくまでもブルーギルのためにな。
もちろん一個人の力でどうこうなるような問題じゃねえかもしれねえが、少なくとも何もしないより効果はあるはずだ。
淡水巻貝のカワニナの一種がコイツらの巣で親に追い払われることなくタマゴを捕食していたって報告もあるが
その程度でいい。大切に思うなら……カワニナ程度の助力はしてやりたいじゃねえか。そう思わねえか、ミサカワ?」
打ち止め「良い事言ったのに最後で台無しだよ……、とミサカはミサカは一応頷いて賛意を表しつつ不満を述べてみたり」
――――――――――――――――――――――
――――――――――――
―――――
芳川桔梗「お疲れ様……、って本当にお疲れの様ね。脱力具合が半端じゃないわ」
打ち止め「よお裏切り者テメエ今まで何してた、とミサカはミサカはヤサグレ気味にお迎えを感謝してみる」 グター
芳川桔梗「さっきの子は序列第七位の超能力者。元、とは言え研究者の私が許可なく直接面識を得てしまうのは問題なのよ」
打ち止め「もっともらしい言い訳だよね……とミサカはミサカは、さっきのあの人やっぱりレベル5か! と納得してみたり」
芳川桔梗「あら、超能力者に随分と偏見を持っているようね。まあでも、それは偏見では無いのかもしれないのだけれども」
打ち止め「……、と言うと?」
芳川桔梗「こんな与太話があるわ。
学園都市の超能力開発は元々、自然に産まれてくる能力者を研究することで実現した技術だと。
環境、教育、思想、その他様々な要因が複雑に重なり合い一般人とは違う脳構造を得たそうした人を
大昔は奇跡の体現者と呼び、今ではジェムストーンに準えて原石と呼ぶのだそうよ。
そしてさっきの子、彼はどうやら世界最大の原石と称されているらしいわ。言い換えれば理想モデルね。
つまりこういうことよ。学園都市の能力開発とは要するに、人工的に彼のような人間を作り上げる技術。
そして超能力者とはその技術によって目標である原石、つまり彼に最も近づけられた人間。
これが正しい推論だとしたら……そんな者たち、レベル5がまともであるはずが果たしてあるかしら?」
打ち止め「あ、ありがちな考察だけどなんという説得力……、とミサカはミサカは色々な人を思い浮かべて意味もなく涙してみる」
〜おしまい〜
439 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2012/02/07(火) 21:29:12.97 ID:OUqEodeS0
以上、第三十四回「逆転の発想」でした。考察的なアレはただのトッピングです。あまりマジメに受け取らないように・・・
第1パート、ダツが跳んで来て突き刺さる事故画像にもご注意を
第2パート、ニホンカワウソには一応、昭和初期に捕獲禁止令が出てますが既に手遅れだったようです
第3パート、さすがに飼育禁止の魚をいつもの人が喋って、いつもの人たちが捕まえてくるとダメだろと思って。
なので以前にカダヤシ話をしてくれた方に任せました。誰なら彼にツッコミ入れられるんだろ・・・
それと一応注意しておきますがこのパートは当該魚の飼育や保管を促すものでは有りません。あしからず
過去最長になっても内容は薄い、そんな今回はこの辺で。ではではまたー
440 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/07(火) 21:44:38.76 ID:d5sfGCs/o
乙
441 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2012/02/08(水) 00:07:25.63 ID:Uzzp/gZAO
乙
何か結合通信を思い出した
442 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/08(水) 01:18:08.57 ID:CZ5TRjC5o
>卓球はフライパンとバスケの球でも出来るけど翌日腕がパンパン
似合わない事すると知恵熱出すぜい、って事か
443 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/10(金) 13:22:00.09 ID:lJ+z+A5Wo
うん、乙
444 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2012/02/11(土) 10:08:20.81 ID:Stq5WZOJ0
一生懸命に書いたパートって、無駄な脱線が多かったりするおさかな話。頭ヒネるとつまんないことが次々沸くのかな?
今回はそんな、おさかなとはあんまり関係ない脱線? 小ネタ? を形にしてみたっていう。
ようするに番外編です。「みずみずしい話」 穏やかな気持ちで、どうぞ。
445 :
みずみずしい話
[saga sage]:2012/02/11(土) 10:10:28.67 ID:Stq5WZOJ0
☆
白井「最近、初春のお姉様に対する態度……、知り合った当初には憧れの的だったのがウソのように無礼極まりないですの」
佐天「無礼って……。まあ結構人見知りする子だし、仲良くなって段々と本性が出せるようになったんじゃないですか?」
白井「冗談じゃないですの。この辺でビシッと、自分の立場を弁えられるよう指導する必要がありますのよ!」
佐天「立場とか指導とかなんか大仰ですけど……、一体何をやらかすつもりです?」
白井「ええ、そのことで佐天さんにも少々のご助力を願いたく……」
〜数日後〜
御坂「……それでさ、私はそいつに言ってやったのよ。 『アンタ、他人の鹿尾菜盗るなんて食ひじき張り過ぎよ』 ってね」
初春「うわー、相変わらず御坂さんのギャグって何を目指してるのか全然見えないです。誰も真似できませんねー」
御坂「……そ、そう? あの初春さん、それって褒め……てないわよね?」
初春「大丈夫です。私って、ほんの少しでも面白かったら笑いを堪えることが出来ませんから」 ニコニコ
御坂「つまり欠片も面白くなかったってコトね……。んー、そっかー……」
白井「(あ、あ、あの巧言令色、傲岸不遜! お姉様の優しさに甘えて調子に乗り過ぎですのよ万年花フェスタ!!)」
佐天「(くひじき……食ひじき、食い意地?)」 ヒデェ
白井「(その腐った球根を叩き潰す! ……では佐天さん、先日の打ち合わせ通りにお願いしますの!)」
佐天「(気が進まないんだけどなあ……、今更言ってもしょうがないけど)」 ラジャー
白井「コホン)ちょっと空気が重いですわね。……話題も途切れたことですし、気分を変えてパーッとした話などありませんの?」
佐天「はいはいっ! じゃあ久しぶりに童心に返ってなぞなぞしませんか? 盛り上がると思うんですよー、いやーマジで!!」
初春「はあっ、佐天さん?? なぞなぞって……」 エー?
白井「ナイスアイデアですわ! 思考の柔軟性を鍛え、出題と解答を通して仲間の絆も深まる。最高ですの!」
御坂「なぞなぞ……、ゴメン。悪いけど私はパスさせて」
佐天「あれー、そうですか? そうなると、あたしは進行だからー……、あれ? 初春と白井さんの一対一になっちゃった!!」
初春「なんなんでしょうこの茶番劇?」
446 :
みずみずしい話
[saga sage]:2012/02/11(土) 10:12:42.80 ID:Stq5WZOJ0
白井「おやー、初春? 風紀委員同士の対決と考えればむしろ自然でしょうに、まさか怖気づきましたの?」
(そう! 本作戦の主眼はお姉様の眼前で、初春をお得意の頭脳戦にて叩きのめすこと)
初春「ふぇ? そういうんじゃありませんけど……」
佐天「じゃあいいじゃんやろうよ! あ、そうだ。せっかくだから御坂さんには審判とか細かい評価とか、お願いします!」
(御坂さんは以前、初春とのなぞなぞで痛い目を見てるから不参加は想定済み。予定通りのマッチメイクです!)
御坂「はあ……、良くわかんないけどそれくらいなら」
白井「あとは、多少の縛りがあったほうが勝負としては格好がつきますの。ですから出題のテーマなどを……はい、お姉様!」
御坂「えっ? ちょ、何よテーマって? 私?」
佐天「はいはい戴きましたーっ! 私、つまりテーマは『御坂美琴』ですね? それでは問題のシンキングタイムスタート!」
(白井さんが言うには、初春の増長は心理的御坂美琴像の歪みが全ての原因だと。……いや、サッパリ意味不明だけど)
白井「承知しましたの! ささ、初春も急いで考えなさいな」
(ふふ、お姉様に関するなぞなぞで初春をギャフンと言わせて深層心理まで矯正して差し上げますの!)
御坂「…………ねえ、初春さん。コレってなんだと思う?」 初春「さあ……、端的に言えば素人の浅はかさですかね?」
447 :
みずみずしい話
[saga sage]:2012/02/11(土) 10:15:00.03 ID:Stq5WZOJ0
佐天「そろそろ良いですかー? 思い付いた人から出題してくださーい」
白井「ではわたくしが先手を取らせていただきますの。敢えて初春お得意の暗号問題で参りますわ!」
【白井黒子の問題】
常盤台のエースにして、わたくしだけのお姉様こと御坂美琴。彼女の宝物と言えば当然、白井黒子ですが
それ以外にもうひとつ。瞼の裏に焼きついた大切な何か。さて、それは一体なんですの?
[ミ ケ ヒ ロ ミ ミ ヒ ヨ ミ ヒ ン ミ]
ヒントはこの暗号。さあ、答えて御覧なさいな。
佐天「白井さんからの問題、かなりの難問な雰囲気が漂っております!! さあ〜、見事に初春は応えて見せるのか!?」
御坂「問題文にいくつかツッコミどころがあったけど……、それはまあ後回しにしておくわね」
白井「なかなか良い出来のなぞなぞだと思いません? わたくしこの日の為にずっと考えて参りましたのよ!!」
佐天「即興のはずなのにそれバラしちゃダメじゃないかなー……。っと、審判がスルーしたのでセーフですかね?」
御坂「今更そんなことに目くじら立てる気は無いわよ。……そんなことには、ね」
佐天「は、はあ。……なんか審判は別に気になることがあるようです。それはともかくこの問題、初春は解けた?」
448 :
みずみずしい話
[saga sage]:2012/02/11(土) 10:17:04.07 ID:Stq5WZOJ0
初春「まあ……、一応解答しますけど、最終的には御坂さんにお任せすることになるかなーと」
白井「なんですの? 答えに自信が無いからせめて部分点を貰おうとする出来の悪い学生みたいなマネするつもりですの??」
初春「いえいえ、そう言うんじゃなく……あー、面倒なので答えてから説明します」
【解答】
初春「ヒントの暗号はこのままだと意味不明です。そしてこれを解くにはカギが要ります」
佐天「カギって、でもそれらしいこと問題の中で全然触れられてなかったんじゃない?」
初春「いえ、覚えてませんか? 御坂さんの宝物は、瞼の裏に焼きついてるんですよ」
佐天「さっきの問題文の一節だね。んで?」
初春「瞼の裏に焼きついたものを見るための方法は瞳を閉じることです。それがこの暗号を解くカギというわけです」
佐天「ふむふむ、つまり目を閉じて暗号文を見ろと。って見えないじゃーん」
初春「……、瞳を閉じれば浮かぶその宝物は、暗号の中の『ヒ』と『ミ』の文字を閉じることで解る。つまり答えは『ケロヨン』です」
佐天「な……、なるほどー! 説得力のある解答を戴きましたが白井さん、判定をお願いします!」
白井「……、正解ですの」
佐天「ですよねー。ところで、御坂さんや初春はさっきから何か気になってたみたいでしたけど?」
御坂「……んと。こう言っちゃ黒子に悪いんだけど、コレあまりにも問題の質が低いのよ。簡単すぎるって意味じゃなくてね」
初春「そうですね。まずカギとなる言葉が『瞳を閉じる』だったんですけど、例えば『目を閉じる』でも意味は変わりません」
御坂「つまりカギになる言葉単体でカギであることの証明が不足していて、逆に暗号のほうから擦り寄っていく必要があるの」
初春「目じゃダメだったから瞳で、って感じですね。そんな自ら解かれようとするかのような暗号は暗号として不適当なんです」
御坂「まだあるわ。初春さんは『瞳を閉じる』を『ヒとミを閉じる』、『ヒ』と『ミ』を暗号文から消すって意味に解釈したけども」
初春「そうなんです。別にコレ、『ヒ』と『ト』と『ミ』を消すと考えても日本語として意味が通じてしまいます」
御坂「今回のヒントは偶然どちらの場合でもよかったけど、決して汎用性のある暗号とはいえないわね」
初春「更に『閉じる』を消すと言う意味で使って良いのか? とかヒントの中に同じ文字が繰り返し入りすぎてバレバレだとか…」
佐天「あの、白井さんがそろそろ泣いちゃうのでその辺で勘弁してあげてください」
白井「……何もそこまで言わなくても、わたくしの自信作ですのに。頑張って考えましたのに……」 ズーン
御坂「…………初春さん正解したし、一応なぞなぞは成立してたってことにしてあげるわよ。だからさっさと正気に戻りなさい!」
449 :
みずみずしい話
[saga sage]:2012/02/11(土) 10:20:34.81 ID:Stq5WZOJ0
佐天「き、気を取り直していきましょー! じゃあ今度は初春の番だよ!」
白井「そう、そうですの! さあさ、とっとと初春もなぞなぞを出すんですの!」
(こちらのなぞなぞは……想定外の結果でしたが、初春の問題をアッサリ解いてせめてイーブンにしますの!)
初春「わかりましたよー。じゃあこんななぞなぞ、どうですか?」
【初春飾利の問題】
直径3メートル、外壁の厚さ10センチの継ぎ目ひとつ無い球形のガラス容器があります。中は空洞です。
あ、間違えました。中には隙間なく水が入ってました。
あ、また間違えました。ついでに意識の無い御坂さんも入ってます。
このままでは間もなく御坂さんは溺れてしまいます。なんとかして、この容器を破壊することなく御坂さんを救出してください。
佐天「おぉー? 白井さんの暗号とはまるで雰囲気の違う、なんかトンチ問題みたいな感じだね」
御坂「一体どうやって私は継ぎ目の無い球体の中に閉じ込められたんだろ?」
初春「さあ? でも所詮なぞなぞですから、そんなに難しくならずに簡単に考えてみてください」
佐天「私には答えの糸口さえ掴めてません。果たして初春の言うように気楽に考えることがコツなんでしょうかー?」
御坂「球を破壊することなく……、うーん? 昔の漫画で似たような問題を見たような……」 パピプ?
佐天「ちょちょっとーっ! 御坂さん、パクリ指摘はご遠慮くださーい!! ……さて、それでは白井さん。解答をどうぞ!」
450 :
みずみずしい話
[saga sage]:2012/02/11(土) 10:23:14.61 ID:Stq5WZOJ0
白井「初春……。わたくしの問題の不手際を指摘しておいて、自分の問題に抜け穴があるのには気が付きませんでしたの?」
初春「抜け穴ですか? なんのことでしょう?」
白井「コレだけ言ってまだ気付かないんですのね。……それではわたくしなりの解答を発表させて戴きますの!」
【黒子の解答】
白井「この問題は本来、おそらく佐天さんが仰るような俗に言うトンチを使って解く類のものだと思いますの」
佐天「まあ、だって密閉容器を壊さずに中のものを取り出すなんて不可能ですからね。それで?」
白井「そう、不可能ですわよね。ですがここは学園都市、そしてわたくしはレベル4の能力者。……もうお分かりですわね?」
佐天「なっ……、そうか。問題文のドコにも能力を使えるかどうかについての文言がない。……ってことは」
白井「ええ。小賢しい回り道など考えるまでもなく、わたくしが球体の中に入りお姉様を連れて脱出してしまえば終了ですの」
佐天「おおおーーーっ! ちょっと反則気味な気もするけど、確かに容器を壊さずに目的を果たせますね!」
白井「しつこいですが初春が別の答えを用意していたとしても、それはわたくしの解答を否定する根拠にはなりませんの」
佐天「さあ、これはどうなんだ? イレギュラーな解答なのでジャッジがさっきより重要っぽいぞー! では判定は如何に!?」
御坂「…………これは、黒子の負けね。そうでしょ初春さん?」
初春「ですね。それでは正解には成り得ませんよ」
白井「なっ、何でですの? お姉様まで一緒になって、空間移動を使ってはいけないと明言しなかった以上は…」
御坂「落ち着いて黒子。そうじゃない、そうじゃないのよ。初春さんの解説をとりあえず聞いてみて」
佐天「白井さんの解答は纏めると 『容器内部にテレポートした後、御坂さんとテレポートで脱出』だよね。どこがいけないの?」
初春「問題文をよく読めば分りますが、御坂さんを外に出すことが目的ではありません。救出しないといけないんです」
御坂「そう、救出する。つまり助け出すってことが黒子の答えには欠けていたのよ……」
白井「……、は?」
初春「ご自身で良く理解しているでしょうけど、白井さんのテレポートは移動先の物体を押しのけて出現します」
御坂「それは紙切れ一枚でコンクリートの柱を切断するほどの、いわば究極の内圧ってところかしら」
初春「今回の場合、水で満たされた容器の中に白井さんが出現すると、白井さん一人分の水が強引に押しのけられます」
御坂「だけど相手は密閉容器。そして水は空気と違って圧縮率がとても小さなもの。水が縮む様子なんて見たことある?」
初春「球体に満たされた水に対して白井さんの体積は0.3%ってとこですか。それだけ水を圧縮するとなると……」
御坂「容器内には瞬間的に高水圧が満遍なく発生。でも、容器が破損するレベルまでは行かないと思う」 100キアツ クライ?
初春「なぜって、外壁より脆く水より圧縮しやすいモノが容器内にあるから……。それがどう変化するか、説明要ります?」 ニコッ
451 :
みずみずしい話
[saga sage]:2012/02/11(土) 10:26:45.34 ID:Stq5WZOJ0
白井「あ゛っ!…………ぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
初春「まあそういうわけでして、白井さんの方法では御坂さんを助けることは出来ないんです。具体的にどうなるかというと…」
佐天「初春っ! それ以上は言わないであげて……、白井さんが戻ってこれなくなっちゃう!!」
白井「おねっ……おねえさ、まあ゛あ゛あ゛。 くろこは、くろこは取り返しの付かないことをおおおおおお、お゛おおおお」
御坂「大丈夫、大丈夫だから、ねっ? ほら、私は何とも無いでしょ? どこも潰れてないし元気だから安心しなさい」 ヨシヨシ
佐天「しかし初春……、アンタえげつない問題出すよね。……で、ちなみに答えはなんだったの?」
御坂「オーヨシヨシ、ホラ ナクナー ……、初春さんのことだから答えはあるのよね。もう決着も付いたことだし教えてくれる?」
白井「ワタクシ……、ホネエサバ……ツブツブツブ…………」
初春「いいですよ。では答え合わせです」
【解答】
初春「難しく考える必要はない、的なヒントを出しておいたのでみんなわかると思ったんですけどねー」
御坂「あれ? それってヒントだったの?」
佐天「ん〜〜〜〜〜、ダメだよ全然わかんない。焦らしてないでさ、パパッと答えを教えてよ!」
初春「はいはーい。正解はですね 『何らかの方法で速やかに、ガラス球を破壊してでも急いで御坂さんを助ける』 です!」
『「…………、えっ?」』
佐天「ちょっと待ちなよ初春! アンタのなぞなぞって容器を壊しちゃいけないってのが条件だったでしょ?」
白井「ブツブツブツブツ…………」
御坂「まさかそう来るとは………………、佐天さん違うのよ。初春さんが言いたいのはそういうことじゃない」
初春「さすが御坂さん、主人公タイプだけあって理解が早いですね。そう、この問題のポイントは『一番大事なものは何か』です」
佐天「…………、ほ?」
初春「だから、『問題』は何をしたら失格とかじゃなくて、御坂さんは絶対守らなくてはいけない。そんな『簡単なこと』なんですよ」
御坂「ルールを守っていたら命が奪われてしまうかもしれない状況で、ルールなんかに縛られてはいけない、ってこと……」
初春「助けられる方法があるのなら是非を問わず行うべき。これを否定すると色んな人を敵に回しますよ?」
御坂「確かに似たようなことしょっちゅう言ってるヤツ知ってるけど……、アレをインチキ呼ばわりすることになるわけね」
佐天「――――そしてこの日を最後に、白井さんも初春となぞなぞすることは無かったそうな。めでたくなしめでたくなし」
452 :
みずみずしい話
[saga sage]:2012/02/11(土) 10:31:24.96 ID:Stq5WZOJ0
☆
番外個体「バカだねー、やっぱアレかい? 体がチビッこいと想像力もミニサイズなのかい?」
打ち止め「ほほぉー、ミサカをバカにするとはいい度胸って……でもそれって結局妹達全体をバカにしたわけだからつまり」
番外個体「そりゃこのミサカだって同じだけどさー、なんてーの? 個体ごとの個性的なアレがコレしてさ、チビ的なんじゃね?と」
打ち止め「なんだかわかったようなわかんないような説明の中にチビだけ明確に浮き出てる!!」
ギャー ギャー ワー ギャーー ドヒー
一方通行「ンだァありゃ?」
芳川桔梗「あら居たの……。あれは、ちょっとした論争のこじれに端を発するいざこざってところかしらね」
一方通行「論争ねェ? ……ンでオマエは何してンだ、止めねェのかよ?」
芳川桔梗「あのふたりに質問されたことを考えてる途中なのよ。答えが出たなら止められるんでしょうけども」
一方通行「その論争とかいうモンの原因か……。聞かせてみろ」
芳川桔梗「君が? いえ……、これはそもそも君だからこそ答えが出せる問題だったわね。いいわ、聞きなさい」
芳川桔梗「あの子たちはさっきまで、いつものように君がヒドい目に遭う小説を書いていたらしいのよ。
今回の舞台は川。この間、私の武勇伝を話したでしょう? アレに触発されたようね。
それであの子たちが言い争ってるのは、君と川のツルツル石が対戦したらどうなるかということなの。
想像してみて? 君は小川を……、靴底を濡らす程度の水深しかない川なので歩いて渡ろうとした。
そして当然のごとく、表面にびっしりとコケを生やしたツルツル石の上に足が乗る。
常人ならばズルッといくわよね? でも君は一方通行だった。だからこそ悲劇が起こった。
君はベクトル変換能力によって自分が倒れこむベクトルを反射……、でもこのベクトルを産み出したのって君よね?
コレを反射するというのは自分が歩こうと脚を踏み出す運動ベクトルを反射するようなものであって、つまり……
まあ、ソコはひとまず考えないことにして君のズッコケベクトルは石ころに与えることにする。でもまだ問題があるの。
ズッコケベクトルを与えられたツルツル石は川の中でズルッと動こうとするんだけれども、石の上には君が居る。
石がズルッとなったら、再び君はズッコケてしまわないかしら? だから更にそれを反射するとなると……。
最終信号は『石ころもあの人も微動だに出来ずにずっと永遠にそのまま』派で
番外個体は『石ころが足の下でグルグル回っている上で、干からびて死ね』派なのよ。
さてどちらかが正解、若しくは正しい答えが別にあるのか。君の考えを聞かせてもらえるかしら?」
一方通行「ンなモン知るか!!」
453 :
みずみずしい話
[saga sage]:2012/02/11(土) 10:37:34.57 ID:Stq5WZOJ0
☆
絹旗「ちょっ、水槽が超濁ってるじゃないですか! これは浜面の管理が超適当である証拠ですよね、ええそうですとも」
浜面「待て待て待てい! 俺に制裁を加えるより先に、自分が数分前に何をしたか思い出してみろ!!」
絹旗「数分前って……、アレですか? ネット通販で買った底砂を水槽に超入れましたけど」 ソレガナニカ?
浜面「覚えてねえのかよ……。包装袋の裏に『使用前に洗え』って書いてあんのにメンドウだってそのまま投入したろ?」
絹旗「あー、でしたでした。するとこの濁りは……」
浜面「こういう砂ってのは袋の中で擦れて細かい粒子が沢山出来てんの。だから洗わず入れんのは泥を入れるのと同じなの!」
絹旗「へー、ほー」
浜面「聞く気ゼロですかそうですか……。大体それもこれも、こんな巨大な水槽を買うからいけないんじゃねえか?」
絹旗「言うほど超巨大ってことも無いと思いますけどね? そりゃ以前の60よりは大きいですけど」 ヨコハバ 60センチ
浜面「150だぞ150! 60から150ってどんだけジャンプアップなんだよ!? 界王拳でも使ったのかっての!」
絹旗「大げさなんですよ浜面は。容量で言ったら60リットルが300リットルになっただけじゃないですか」
浜面「300リットルってそれもう一般人には風呂と変わんねえんだよ! ったく、未だに金銭感覚がフザケてんなあ」 10マン クライ?
滝壺「でもこれ、ほとんど麦野がお金出したんだよ? 皆の水槽だから大きいサイズのほうが良いって」 ゼンブデ 40マン ダッテ
絹旗「そんな麦野の優しい気持ちを……、フザケてるとか占いババとか超言っちゃう浜面ってどうなんでしょう?」
浜面「言ってないからね! 俺は界王拳とは確かに言ったけども麦野はババアとか言ってな…」
麦野「ほう」
浜面「よ、よよよよよ、よお麦野。来てたのかー。そーかー、だが違うぞー? 俺は決してだなー、つまりだなー……」 ガクガク
麦野「なーにテンパってんのよ、みっともない。それより水槽は? 絹旗のアーマードプレコ部隊はどうなったの?」
滝壺「まだ移動して無いよ。こっちの水槽はまだ試運転中だし、濁っちゃってるし、レイアウトだって考えてないから」
絹旗「なにせこのサイズだと水を用意するだけでも一苦労ですから。なかなかすんなり行かないんです」
麦野「ふーん? でもアレだね。こうして部屋の中に納まってみると、然程大きくないね……。ちょっと残念」 ハァ
滝壺「……やっぱり麦野は以前に話してた計画を諦めてないの?」
絹旗「ん? なんです、その計画って?」
浜面「俺も聞いてねえな。……ひょっとしてもっとデカイ水槽、例えば180とか買うつもりだったのか?」 1t デスヨ?
麦野「私の計画ってんだから決まってるでしょ? シロザケの一生をひとつの水槽で観察したいなって思ったのよ」
滝壺「学園都市の外周に水槽を張り巡らせて淡水ゾーンから汽水、海水って区切れば回遊も出来るかもって言うから」 ムリダヨ
絹旗「夢はありますけど……。要はアクリルのフラフープの中を超シャケが廻るってことですよね?」
浜面「水圧とか水換えとかそんなチャチな問題じゃねえ……。ただ、それ作るより北海道でも買収したほうが早いよな」 ヤスイシ
〜おしまい〜
454 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2012/02/11(土) 10:53:50.76 ID:Stq5WZOJ0
以上、番外編「みずみずしい話」でした。小ネタなのに膨らみすぎた・・・
最初のなぞなぞパート、初春の問題は黒子であればテレポートを別の使い方するべきだったのでしょう。
第一位vs石ころ、……ズッコケベクトルって語感が気に入っちゃって、それだけなのです。ごめんなさい。
最後のフラフープ水槽、建設費の計算なんて当然してません、っていうか出来ません。あしからず
てなワケで、随分とおバカな感じの番外編でしたが・・・次はちゃんとします! ではではまたー
455 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/02/11(土) 11:12:25.14 ID:Ra2cFeebo
バンコランそっくりさんが玉ねぎ弟をどうこうするやつですか
直径3m厚さ10センチだとガラス容器の方をテレポートさせるって方法は使えないかな
456 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2012/02/11(土) 11:34:55.93 ID:kDTVivFAO
初春は禁書版と超電磁砲版のキャラが混ざってる感じかな?
457 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/11(土) 12:00:46.90 ID:q1s/AyQK0
乙!」
458 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2012/02/13(月) 17:50:58.27 ID:xGVnLik5o
wikipediaさんによると崩壊は破壊とは違うらしい
つまり勝手にガラスが老朽化して水圧で壊れるのを待てば
……ミコっちゃん頑張れ!
459 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/02/13(月) 22:52:57.92 ID:8OGf9dbio
まぁ、座標移動ならなんの問題もないんだろうけど
460 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2012/02/17(金) 22:34:00.17 ID:5K4tTapM0
前回の番外編、なぞなぞはもう少し考察が必要だったかな・・・と後から思ったり。元ネタがこんなにあっさり指摘されたのも予想外だし。
座標移動については、水ごと美琴を閉じ込める方法は水中の美琴を囲む形で容器を出現させる外なく、
初春の知る限りそれが可能な能力者は結標だけ。つまり犯人なので救出に協力しない。
そんな論理を用意してたんだけど、なんとなくガラス容器の重量を計算してみたら7t弱とか変な数字が・・・。
そんなわけで、みんな座標移動の可能性にはたまたま気付かなかった。そういうことにしてくださいませ。
それと初春のキャラはご指摘どおりで、全編通してどの顔が出るか油断のならない子って感じのつもりなのですが
こんなの初春じゃない!! ブレんな!! と思われた方がいらっしゃいましたら申し訳ないですが、特に変更する気もないのでご容赦ください。
そんな余計なことばかり思いつくおさかな話。最近、注意してないとダジャレとこじ付けと皮肉が増量してしまいます。
今回のテーマはそんな気持ちを籠めて「反撃」です。言ってるそばから問題が多いんですが、宜しければどうぞ
461 :
反撃
[saga sage]:2012/02/17(金) 22:36:39.08 ID:5K4tTapM0
☆
「なあインデックス? 姫神が来てるけど特に用事があったワケじゃないみたいだし、慌てて戻ってくる必要はないからな」
『とうま? それは了解だけどふたりのおさかな話も聞きたいんだよ! だからデンワーはそのままにしといて欲しいかもー』
「わかったよ。だけどお前そろそろ帰りのバスに乗るんだろ? マナーだから乗る前にはちゃんと切っとけよ?」
『あ、当たり前なんだよ! だってとうま前に言ってたよね。学園都市では人ごみでの通話はカンツーザイで死刑だ、って…』
「――― ってことで悪いな姫神。せっかく遊びに来てくれたけどアイツまだバス停だから、帰りは1時間後くらいだと思う」
「全然構わない。むしろ私は。この千載一遇の好機を生かすのみ」
「……、ん? なんか知らんがスゴイやる気だな」
「当然。苦節数ヶ月にしてとうとう訪れた私の桧舞台」
「よーし、んじゃ上条さんと姫神のおさかな話、はじめようぜ!」
「望むところ。今日までの鬱憤を。一気に晴らさせて欲しい」
【中略】
「へ〜、意外というかピッタリというか。同じコイ目の仲間でも姫神はドジョウよりはそっち系が好みなんだな」
「うん。……それはともかく。今ちょっと納得行かない展開が。あった気がした」
「そうか? まあ上条さんの司会っぷりはインデックス仕込みだから、英国風のクセが少々クドいかもしれないけど」
「いやそんなことじゃなく…」
<トウマ トウマ トウマーーーーーーーーー!
「っと、ちょっとゴメンな。……なんだよインデックス? そんな大声出さなくても聞こえるって」
『だってさっきから呼んでるのに全然答えてくれないんだもん! せっかくあいさの話に補足してあげようと思ったのに』
「あーそっか、そりゃ悪かったな。んじゃ、お前さえ良ければ今からでもお願いしていいか?」
『わ、わかれば良いんだよ。ふたりのお話の最初のほうから振り返っていくからしっかり聞いておいて欲しいかも』
「こういうテンプレな流れ。嫌いじゃない。嫌いじゃないけど」
462 :
反撃
[saga sage]:2012/02/17(金) 22:37:57.82 ID:5K4tTapM0
『まず第一に、あいさが好きな魚として挙げた3種は全てコイ目コイ科カマツカ亜科に属するんだよ』
「ふ〜ん。じゃあ、あの中の代表的な種がカマツカって事になんのか?」
『分類ってそういうことじゃないかも。でもまあ、確かに一番馴染み深いおさかなかもね』
「これまでも名前だけは何度か出てきたもんな。ここらでおさらいも兼ねてちょっと勉強しておくか」
『いい心掛けかも。ではでは謎の超有名魚、カマツカの正体を探っていこー!』
「超有名なのに。正体は謎。カマツカの真実に迫る。……そんな大袈裟な話?」
「あまり寒く無い地方の河川の中流〜下流の水底、それも砂地に居ることの多い底棲淡水魚……ってことは常識なんだけど」
『腸呼吸が得意なのか止水にも居るんだよ。おさかなを飼ってる人には底の掃除屋さんってイメージかも』
「下向きの口を伸縮して、砂を吸い込んではエサになるものを選り分けて食べる性質があるからな」
『その砂をエラ蓋から吐き出す様子はホント古い掃除機ソックリなんだよね』 ポンコツ ナ カンジ
「…………キレイ好きと。言うべき」
「見た目は……、ブチの細かい三毛猫的なメタリックざっくりポテトフライって感じだよな?」
『それ、あいさにも言ってたけど全然伝わってないかも。細長く角ばった体型の金属光沢を持つ斑模様の小魚って事だよね?』
「せっかくカッコ良く表現してみたのに……。だが、少女マンガも真っ青の輪郭さえ超越した大きな目。これは譲れないぞ!」
『そっちは確かに分りやすいかも。顔の上部に半ば強引って感じで配置されてて、とってもブサカワイイんだよ』
「…………ブサは余計」
「可愛いと言うよりウマヅラ一歩手前と言うか行き過ぎっつーか。……で、そんな魚は日本の川じゃ目立つはずなんだけどな」
「でも川に行っても。素人には見つけられない。なぜな…」
『なぜならカマツカは臆病な魚で、人が近づいてくるような物音に敏感に反応してすぐ砂に潜っちゃうからね』 ビビリ ダネ
「大きな目が顔の上部に付いてんのは、砂に潜りつつも周りを確認せずに居られない小心者の証ってワケだ」
「…………」
『だけど、カマツカをよく知ってる人には却ってそれが目印になっちゃうんだよ。頭隠して尻隠さず……、逆かも?』
「ああ。晴れた日に川底を覗くと、砂地の中でカマツカの頭が日光を反射して金色に輝いて見えるんだってな」
「そう。つまり万人受けではなく。判る人だけが判る強烈な個性。そんなところが私は好…」
『一般には他の魚を探してたらいつの間にか砂と一緒に網に入ってる変な魚って感じかな? 月並みな言い方だと雑魚かも』
ぷちんっ
カサネガサネ ジャマシタ アゲク …………… ヘン ナ ザコ ?
463 :
反撃
[saga sage]:2012/02/17(金) 22:40:11.91 ID:5K4tTapM0
「…………」 フム
「んー? そんな難しい顔してどうした姫神? インデックスに質問があるなら早めに聞いとけよ、そろそろバスの時間だし」
「……じゃあ質問。とてもよく似ているズナガニゴイとカマツカ。素人でも見分けられるポイントを教えて欲しいって。上条くんが」
「…………、へっ?」 オレ?
『わわ、言ってるそばからだんだん人が集まってきたかも。えーと、ズナガニゴイは中層に居てカマツカは底棲なんだよー』
「それだと生息環境中でしか比較出来ない。知りたいのは。動かなくなった魚が一匹だけ居る場合でも判別出来る方法」
『も、もうデンワーを切らないとダメなのに! ……じゃあ、そのおさかなの尻ビレと排出腔の位置関係を見ればー』
「難しい表現は避けて欲しい。上条くんは具体的に何をすれば見分けられるか尋ねているから。あと。声がちいさい」
「あの……、姫神さん? 俺は別に何も……」
『だーかーらー! ひっくり返して肛門、お尻の穴がどこに付いてるか見て欲しいんだよーーーー!!!』
ピッ
「おい……。ひょっとしなくても、いつものあの服装で、人が集まってるバス停で、今のセリフを叫んだってのか???」
「目立つ子だから。もっと目立つようにしてあげた。それだけ」
「インデックスに何の恨みが……。いや、とばっちりで上条さんもオシオキ確定ですよねコレ……」 フコウ ダ
464 :
反撃
[saga sage]:2012/02/17(金) 22:41:31.91 ID:5K4tTapM0
☆
初春「御坂さーん、最近177支部で白井さんが何かと私に厳しいんです。なんとかしてくださいよ〜」
佐天「そりゃあんた……。こないだのなぞなぞ、やり過ぎたんだから自業自得だよ。当分は覚悟しとくんだね」
白井「人聞きの悪い。わたくし、私怨で他人に辛く当たるような小さな器ではないですの。そもそも初春の日頃の態度が…」
御坂「まあまあ、その辺にしときなさいよ。私だって端から見てて、確かに黒子ちょっとキツいんじゃないかなって思うもの」
白井「んまーっ! お姉様までそのように初春の肩を持ちますの? これは差別ですの、抑圧ですの、言葉狩りですの!!」
御坂「いや良くわかんないけどそう言うんじゃなくてさ、この間のアレってアンタが何か企んだのが発端だったんでしょ?」
白井「で、ですからっ! 先日の件がどうこうという問題ではなく…」
佐天「成り行きで私も乗っかっちゃってましたけど……。暴走する白井さんを止めてあげられずに、ホントすいませんでした。
御坂さんに生意気な態度を取る初春をなぞなぞで打ち負かして矯正するって、今思えば謎だらけな計画だったのに……」
初春「私も、決して御坂さんを軽んじてなんかいないですけど、でもそう見えるんだなってちょっとだけ反省しました……」
白井「っ…………」
御坂「ほらね。時には厳しさも必要だけどさ、他人を許して認め合う事を通しても人は成長できるものでしょ?」
白井「……、ズルイですわよ。これではまるでわたくしが悪者ではないですの」 ブスー
佐天「えーと、いや……、そんなつもりじゃないんだけどなあ」
御坂「なによ、意地張っちゃって。黒子がスネたってかわいくないわよ?」
白井「可愛くなくて結構ですのですのっ!」
佐天「ちょっ、御坂さんも口下手過ぎですよ。余計に拗らせてどうするんですか…………」 アチャー
御坂「だってコイツが…」
白井「ですのですのっ!」
初春「…………、あのっ!」 ガタッ
465 :
反撃
[saga sage]:2012/02/17(金) 22:42:46.65 ID:5K4tTapM0
白井「……初春?」
初春「私が間違ってました! 白井さんの厳しさは未熟な私を気遣う優しさだったのに、そんなことも理解できずに不満ばかり」
白井「へ? あ、いや……その」
初春「だからお願いします、これからも変わらずビシビシ指導してくださ…」
白井「お、おまっ……お待ちなさい、お待ちなさいな初春! それ以上ふざけた事を言うと許しませんわよ?」
初春「白井さん……?」
白井「わたくしごときが本気であなたを指導、など出来ると思っているなら買いかぶりも甚だしいですの」
初春「…………」
白井「ええ、わたくしだって未熟な半人前ですのよ。あなたがそうであるように日々間違えながら成長してる途上ですの」
初春「白井さん……。だ、だったら……、だったらこれからも私と一緒に一人前を目指して頑張ってくれますか?」
白井「それでしたらもちろん喜んで……いえ、こちらこそお願いしますの。掛け替えの無いパートナーとして」
初春「あ、ありがとうございます! そして、あらためて宜しくお願いします!!」
白井「ですのですのー」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
御坂「〜ってな感じの仲直りを想像してたんだけどさ」
佐天「なんかもう普通にいつも通りですよね。ドラマチックな展開とか特に無かったんですか?」
初春「さすがに次の日はピリピリしちゃいましたけど、なにせ風紀委員って忙しいですからね」
白井「負の感情を引き摺るヒマなんか無いのですの。まあ、日常を必死で生きてる者の人間関係は概ね良好って事ですわね」
佐天「……それ、なぞなぞで初春ギャフン作戦なんて企んでなきゃ結構説得力のある言葉でしたけどね」
白井「『企んで』とは心外ですの。あれは優しいお姉様に成り代わり……、言うなれば托卵(たくらん)みたいなものでしたのに」
御坂「う……、上手いコト言って私にまで責任擦り付けないでよ! それにアンタが托卵とか言うと理解不能の寒気がするわ!」
初春「……上手いかな? ……えーっと、その常盤台レベルの駄洒落はともかくとして白井さんは何が言いたいんですか?」
白井「初春、後で全裸プール。……托卵とはキモいタマゴ……ではなく、自分の産んだ卵の世話を他のものに託す行為ですの」
466 :
反撃
[saga sage]:2012/02/17(金) 22:44:33.76 ID:5K4tTapM0
佐天「それってカッコウって鳥で有名なヤツですよね? 別の鳥の巣に卵を産んでその親鳥にヒナを育ててもらうって」
初春「あの……、プールは冗談ですよね……、ね? 白井さんはそのカッコウみたいな惨いことしませんよね??」 ヒィィ
佐天「へっ、何でムゴいの? カッコウは結局子育てを手抜きするんだから、どっちかって言うとズルい話なんじゃない?」
御坂「物の見方にもよるけど、托卵はそんな甘いものじゃないわよ。まぎれもない生存競争なんだから」
白井「例を挙げますの。カッコウが狙うのは早贄でお馴染みのモズなどの巣。親鳥の留守を見計らい産卵しますのよ」
御坂「巣には当然モズの卵がいくつかあるんだけどカッコウはひとつだけ卵を産んだ後、モズの卵をひとつ捨てるの」
初春「帰ってきた親鳥にバレないための数合わせ工作ですかね? どっちの鳥も卵の見た目は割と似ていますし」
佐天「入れ替わりの犠牲になっちゃうんだね……。でも確かに可哀相だけど、たくさんあるうちの一個だからまだ救いが…」
白井「そんな甘い話では無いと言ってるんですの。カッコウがひとつしか卵を産まない理由を想像して御覧なさい」
初春「体の構造的な制約は置いといて、カッコウのヒナは単独で育雛されるよう行動する性質があります」
御坂「つまりカッコウの卵が2つあると、孵ったヒナ同士がお互いを巣から追い出そうとしちゃうのよ。どちらかが死ぬまでね」
佐天「ああ、だから無駄な争いを避けるために一個ずつ産み落と……、ってじゃあモズの卵はどうなっちゃうんですか?」
御坂「カッコウは他の鳥と比較して孵化が早い。だからそのヒナは邪魔されることすらなく他の全ての卵をポイしてしまうの」
白井「最終的にモズの巣の中には、自分の子供を皆殺しにした他人の子だけが残ることになりますわね」
初春「親モズはそれに気付くこともなく、時には自分よりも大きくなるヒナにせっせとエサを運び続けるんです」
佐天「で、ある日突然ソイツは勝手に巣立ってっちゃうのか……。うん、これはとことんムゴい話だったわ」
白井「鳥だけではありませんのよ? おさかなにも托卵をする種が居りますの」
御坂「口の中で大量の稚魚を、こう『ワッサー!』って感じで保護する魚って時々テレビとかで見かけない? アレを狙うのよ」
初春「ある種のナマズの仲間はそうしたマウスブリーダーの卵に自分の卵を紛れさせて保護してもらうんだそうですよ」
御坂「まあ、予想は付くと思うけど……。そのナマズの稚魚は保護されながら周りの卵や稚魚を食べて成長するんだけどね」
佐天「なあああっ! 悪気無いのは分ってますけどあんまりじゃないですか!! 大体、親は托卵対策しないんですか!?」
御坂「いや、実は異物として排除される方が圧倒的に多いのよ。それと、カッコウで言えば一個ずつしか卵を産めないでしょ?」
白井「ですからカッコウはダメ元でたくさんの鳥の巣に産卵するんですの。しかもそれぞれ別のオスとの卵を」
初春「悲劇はその全ての巣で起こるのではなくて、注意力の低い親鳥だったとか極めて短期で孵化することが出来たとか
そんな偶然の産物なんですよ。逆にカッコウにとっては蜘蛛の糸みたいな奇跡に縋って種を繋いでいるわけで…」
佐天「下手な鉄砲、数撃ちゃ当たる方式なのかあ。それじゃますます誰も責められないじゃない……」
初春「……それが自然の成り行きですから。産まれる事も出来ずに死んでいった卵は文句なしに被害者なんでしょうけど」
佐天「他者に自分の卵を託す、それと気付かず育ててしまう、他の卵やヒナを排除して恩恵を独り占めする……」
御坂「そっちは程度の差こそあれ加害者と言えば加害者なのかもしれない。けど……、文句言ってもそういう世界なのよ」
白井「同様に、お姉様の意を汲み初春を糾そうとしたわたくしの行為も皆さんに批難される謂れは……、ぎょぼええええっ!」
御坂「アンタのやったのは托卵じゃなくてむしろ盗卵でしょうが! っていうかそれ全然私の卵じゃないし!!」 ビリビリビリ
佐天「いや〜……、ホントにいつも通り過ぎて安心しちゃいますね、アハハ」
467 :
反撃
[saga sage]:2012/02/17(金) 22:45:53.73 ID:5K4tTapM0
☆
打ち止め「さがれさがれさがれー、さがりおろー、ってミサカはミサカは依然マイブームな時代劇ソングに染まってみたり」
一方通行「…………」
打ち止め「ちゃんばーらー、ちゃんばーらー」
一方通行「……、オマエの言ってンのは俺の知ってる時代劇じゃねェな。ったく、ンな知識ドコで仕入れやがった?」
打ち止め「さあ、学習装置に入ってたんじゃないかな?ってミサカはミサカは生まれる前から知っていた事実を表明する」
一方通行「ならその機械を監修したヤツがオカシイのか……。ったく一体ドコのバカ学者なンだか」
打ち止め「誰が、なんてどうでもよくない? 事実ミサカはこの歌を知ってるんだからってミサカはミサカは意見してみたり」
一方通行「……覚えとけ。ソレを言って許されンは自分の仕事を横取りされたヤツだけだ」
打ち止め「…………、ん? 会話の繋がりがおかしかったような……、とミサカはミサカはあなたのセリフを反芻してみる」
一方通行「深読みの必要はねェよ。只の一般論だ」
打ち止め「ふーん?」
一方通行「…………」
打ち止め「……ひょっとしてなんだけど、『横取りな魚』ってテーマで予習してきたからミサカを誘導したかったの?」
一方通行「くだらねェ。なンでオマエ程度の相手にこの俺が参考書片手にお勉強しなきゃなンねェンだっつーの」
打ち止め「それもそうだよね、とミサカはミサカは……、でもおさかなに横取りってありえるのかな?などと蒸し返してみる」
一方通行「所有って考えが無けりゃ端から横取りもない。だが、ヒトが認識する分についてはその限りじゃねェ」
打ち止め「それ捕まえたのあの子なのに、どうして後から来たお前が……って感じ?とミサカはミサカは漠然と例示してみたり」
一方通行「横取りに見えンだろ? 実際の所、多くの動物は自分が今食ってるエサさえ自分のモンだと思ってねェが」
打ち止め「じゃあワンちゃんのご飯皿を動かそうとすると吠えるのって、厳密には盗られると思って怒ってるんじゃないのかな?」
一方通行「だろォな。換言するとヤツらの目の前にあンのは好機に過ぎず、故に狩りと同じ緊張感を持ってるって事だ」
打ち止め「なるほどね……さっぱりわかんない、とミサカはミサカはイヌの気持ちに通じてるあなたにビックリしてみる」
一方通行「勘違いすンな。イヌの心理が判るンじゃなく、あくまで行動を観察して類推してるだけだ」
打ち止め「ほー……? いやいやまずまずなかなかぼちぼち……」
一方通行「まァ、理屈並べた所でクソ程の価値もねェよな。……そォだな、今日はウツボの話でもしとくか」
打ち止め「え?? このあまりに唐突な流れにミサカは置いてけぼりな気分ってミサカはミサカは現状報告してみたり」
一方通行「単純にウツボネタと捉えて構わねェ。蛇の外見に獣の牙を持つ魚属性の怪物……、海のギャングの噂話だ」
468 :
反撃
[saga sage]:2012/02/17(金) 22:56:47.38 ID:5K4tTapM0
一方通行「ウツボは世間的には海水浴なンぞで注意が必要な生物、って程度の認識に過ぎないかもしれねェが
実はかなり面白ェ魚でなァ……。とりあえず基本情報を確認しておく。
温暖な浅い海に棲む、ウナギ目の特徴である円筒形の体型と強い肉食傾向の食性が顕著な大型種の多い魚で
中には体長4mを超すオナガウツボなンて巨大な仲間も居るが、日本のイメージではせいぜい1m程度か?
腹ビレは完全に退化し背中側のヒレは全て一体化しちまってる。またウロコも殆ど退化してる。
そンなのっぺりとした、っつーの? アクセントとなる部分を欠くことで逆にインパクトを与えられる造形だな。
体色は種によって様々で、温暖な海の魚らしく驚くほどカラフルなものも多い。
鋭い牙を持つデカイ口にさえ気を付けりゃ、充分見て楽しめる身近な海の生物のひとつじゃねェかと思う」
打ち止め「でもやっぱりキモコワなイメージの方が強いよ?とミサカはミサカはウツボの鑑賞適正に疑問符をつけてみたり」
一方通行「そりゃ実際噛まれて大怪我するヤツが居るからな。変にウツボを刺激するからなンだが」
打ち止め「刺激って、脚で殴ったり引き千切ったり逆流させたり?ってミサカはミサカは想像を膨らませてみる」
一方通行「……、ウツボは獲物を追いかけるよりも隠れ家でエサが寄ってくるのをじっと待つタイプの捕食者だ」
打ち止め「ふむふむ。つまり目の前をチラチラされたら色々とジャマなのね。……噛み付きたくなる気持ちもわかるような」
一方通行「ソレも含め海のギャングって異名に不足無し、かどォか……。とりあえず話を続けるから良く聞いとけ」
一方通行「ウツボの仲間は共通して咽頭顎っつー……、表現が難しいンだが、口を大きく開けると飛び出す第二の口、
つまりエサを体内に引き摺り込む為の器官を持つ。SF怪獣なンかの喉の奥から伸びる口を想像すりゃ近いか?
ンな事聞くとますます恐怖生物っぽく感じるかも知れねェが、コレには割と情けない必要性がある。
魚類は一般に、口を開けたときに発生する陰圧を利用した吸い込みによってエサを喉奥まで運ぶンだが
ウツボ類の場合、そのデカイ口と細い胴体の所為で吸引力が弱い。ヘッドを外した小型掃除機みたいなモンだ。
ヤガラのよォに口まで細くすりゃ圧は稼げるがソレだとエサの大きさが制限される。かと言ってボディを大型化すると
今度は岩場や砂地に身を隠す事が困難になり結果として積極的な狩りをしなくては生きていけなくなる。
咽頭顎は大きなエサも喰いたいが余り動きたくもない、そンなワガママを叶えるステキ器官って事だな」
打ち止め「ほほー……。なんだかズボラに進化してきた子なのね、とミサカはミサカはテキトーなことを言ってみる」
一方通行「敢えて言及する必要はねェと思うが、進化に意思は介在しない。飽くまでも例え話として捉えとけよ?」
打ち止め「ある部分が偶然役に立って生き残った。そんな『たまたま』の集大成ってことだよね」
一方通行「あァ…………、ソレを自主的な選択であるかのよォに説明すンのは単純に解り易いからだ。話も短くて済むしな」
打ち止め「だから逐一自分で翻訳しながら聞けって事?とミサカはミサカは暗にそれも面倒だよと愚痴ってみたり」
一方通行「まァな……、ソコまで踏まえて本題に入る。ウツボの不思議な生態から何かを掴ンでみろ」
一方通行「さっき説明したよォに、ウツボはデカイ口を持つ肉食傾向の高い魚で他の生物にとっては恐るべき存在のはず。
だが、ヤツらの周りには生息域の平均以上に小動物が溢れていることが多い。ある種のエビ類や小魚などが
明らかにウツボの巣に近寄って生活してンだよ。……最強の怪物の傍なンざ気紛れでエサにされても文句ひとつ
言えねェだろォにオカシイとは思わねェか? 当然、集まってくる小魚はマズイとか毒があるとかそォいう事でも無い。
実際、時折喰われてるしな。……さて、不自然な現象にも合理的な理由を求めたくなンのが人情だ。
観察すりゃ判るが小動物どもが集まってくる目的のひとつはウツボの体表や口中に残る有機物。要はウツボ自身が
エサの塊ってトコだな。小動物の小さな口でも食べられるサイズに分解されたエサが集中的に存在してるってのは
ヤツらには貴重な事で、多少の危険を冒してでも留まる価値のある場所って事なンだろォ。
ウツボにとってはそォした小動物の啄ばみが掃除として機能してると解釈可能だ。汚れの放置は病気の素だしな。
だから、小魚どもは食べちまっても構わねェがほっといても悪くない存在、などと捉えられてンのかも知れねェ。
更に観察から推測するに、ウツボの近くに棲息する小動物はウツボによって他の捕食者から逃れてると言える。
なにせ浅い海では無敵の暴君だからな。誰に狙われるか判らない海域で下手にビクビクするよりマシなンだろ。
またウツボにとってはそンな捕食者さえもエサだ。それにどォせ喰うならチビより大物のが良いのは当然だろ?
小動物を狙った迂闊なタコなンかが待ってるだけで来る状態、つまりウツボは撒き餌を侍らしてるも同然って事だ。
このよォに異なる生物が関係を持ちながら生息場所を同じくし、ソレが双方にとって得なら相利共生と言う。覚えとけ」
469 :
反撃
[saga sage]:2012/02/17(金) 22:58:49.46 ID:5K4tTapM0
打ち止め「ふーん……、内容はともかく今日は『だろォ』とか『べき』とか『よォだ』みたいな歯切れが悪い表現が多くなかった?」
一方通行「気付いたか? そりゃ、一般人が思春期を過ぎて外国語を学ぶのと同じ理屈だ」
打ち止め「……また何か遠まわしに説明してるのかな?とミサカはミサカはミサカの能力をフルに使って情報を解析してみる!」
一方通行「だからソレじゃダメだっつーの。全然見当違いなンだよなァ……」
芳川桔梗「学習装置やネットワーク経由の情報取得は知的活動では無いのよ。たぶん君はそう言いたいのでしょう?」
一方通行「さァな。オマエに意見は求めてねェが、知的でない意識活動なンざ有り得ねェハズじゃねェのか?」
番外個体「さっきのってUGだっけ? 子供はどんな言語も極めて短期間で完璧に習得すんのに、大人は出来ない言い訳理論」
一方通行「穿った理解過ぎだろォ……。オマエらは軸になる知識を元に学習した経験がねェのかよ?」
打ち止め「えーっと、それはつまり知らないものを勉強する時に自分の記憶を頼りにするって事?」
番外個体「それ、意味なくね? 知らないコトの記憶は存在しない、コレは普遍の原則でしょ」
芳川桔梗「難しく考えてしまっているわね。要するに知識を応用して未知の状況に挑む、普通に誰もがやってる事よ」
一方通行「特に自己確立以降の学習は依存度こそ様々だが全てそォであるはず。オマエらのは例外にも程があンだよ」
芳川桔梗「知らないことを学ぶのに知らない世界へどっぷり漬かっては却って理解が浅く遅く危うい。効率の問題でもあるわね」
一方通行「専門バカとか言われるヤツが、やたら別世界の話題に詳しいのも実はバカだからこそだ」
番外個体「ふむふむ。犬を知りたいからって犬の気持ちになるバカじゃなくて、知ってる事しか知らないバカって意味だね」
芳川桔梗「その場合、仮に犬の気持ちを完璧に理解した人間が居れば、それはもう既にヒトではなくただの犬なのよ」
一方通行「自分がどンな知識を持ってるか、ソレが自分がどンな人間かを示してる。ココを壊すのは愚の選択って事だ」
打ち止め「競合する知識を無自覚に持つことで思考が中途半端になれば本物のお馬鹿だよねとミサカはミサカは断言する」
芳川桔梗「そんな人間は何を覚えることも何を考えることも出来ないでしょうね。どうやってその状態にするかは置いておいて」
番外個体「ふむ。……にしても、結局小難しい屁理屈大会になってんじゃん。もっと生き物の話しよーぜ」
芳川桔梗「あらそう? じゃあこんな話。ウツボと小動物は相利共生だったけど、共生関係にはいくつかのパターンがあるのよ」
一方通行「生息箇所を同じくしながら片方だけが得する片利共生、片方が得して片方が害を受ける寄生、とかな」
打ち止め「じゃあ、ミサカとあなたは当然相利共生で、ヨシカワとあなたが片利共生で、末妹とあなたが寄生……?」
番外個体「寄生とは聞き捨てなんねーな! どうせなら片害共生って言ってもらいたい」
黄泉川愛穂「それ、どれもが明確な線引きの出来ない概念じゃん。……、あ、芳川と私だけは別じゃん」 カンペキ キセイ ジャン
〜おしまい〜
470 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2012/02/17(金) 23:30:36.87 ID:5K4tTapM0
以上、第三十五回「反撃」でした。今までで書き直しが一番多かった回かもしれません。
第一パート、最初は姫神の好きな魚をカマツカの近縁でもありカマツカの異名でもあるツチフキにしてたのですが
漢字で書くと土吹・・・、なんか違う話になっちゃうので変更しました。でもカマツカも意味ありげだったり。
あと、生き物の話をする時は周りに気を使いましょう。特に死体がどうしたとか交尾がどうしたとか・・・。
第二パート、托卵をするナマズの名前はシノドンティス・ムルティプンクタートス、される魚はシクリッドの仲間。
クイズ番組の問題に・・・使われないだろうな。
第三パート、解説パート以外は、何かそれっぽいことを言ってる的に読み飛ばしてもらえばいいかと。
ちなみに、ウツボは油で丸揚げしちゃもったいないクラスの高級食用魚だったりします。
そんなわけで、ちょっと迷走気味?な姿勢を正しつつ今回はこの辺で。ではではまたー
471 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/02/18(土) 02:10:56.72 ID:WPfpoug8o
最強ロボも水戸黄門も知りません
ええ、知りませんとも
472 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北陸地方)
[sage]:2012/02/19(日) 09:00:31.50 ID:qmbMi6sAO
乙!
黄泉川が出てきたの初めてかな?
473 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2012/02/19(日) 11:21:20.03 ID:0lXNK8dKo
乙でござる
アニメ水戸黄門?世代的に天井くンの仕業かww
474 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2012/02/19(日) 13:37:20.59 ID:DqXszDoAO
ウツボと言えばマリオ64の巨大ウツボはトラウマ
DSのはだいぶマシだけど
475 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/19(日) 22:16:48.17 ID:35/7CfzQo
ウツボット!
乙!
476 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/02/19(日) 23:32:16.12 ID:GJ5sIT3AO
乙
477 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2012/03/19(月) 22:33:28.06 ID:U7/pK2V90
随分と久しぶりの投下、おさかな話って覚えてるヒトいるのかな・・・ちょっとだけ振り返えらせてくださいな。
前回の第一パートで上条さんは電話越しでインデックスに人ごみの中で恥ずかしいセリフを言わせてました。
今回はその続きから始まります。
また今回は全体的に考察系な内容で書いていたんですけど、第三パートが新刊の内容と大きく矛盾しちゃってたので書き直し
結果、一方通行さんにはお休みしていただき最初の二人が再登場してます。ご了承下さい。
あんまりおさかな話じゃ無い気もするのでテーマは『異物』です。読みにくいかなあ・・・と思いつつ、どうぞ
478 :
異物
[saga sage]:2012/03/19(月) 22:34:17.74 ID:U7/pK2V90
☆
「な、なあインデックス…………待て、話せば判る!! だあああああっ!?」
「とうま、何か心残りがあるのかな? 前回、私を公衆の面前であれだけ辱めておいて……、口答えの余地無しなんだけど」
「いいい、いやですからアレは上条さんの本意などでは決してなく然るに本人の与り知らぬ行為の責任を追及される謂れは…」
「士道不覚悟。せめて潔く。最期の花道を堂々と逝って欲しい」 シレッ
「ちょっ、おい姫神! そりゃあんまりだr…」
「見苦しいんだよとうま! 観念しておとなしく悔い改めるがいいんだよ!!!」 ングワッ
ぱんっ☆
『……、えっ?』
「いい加減にしなさい、とミサカ10032号は銃を構えつつ現状最優先の案件を忘れ気味のお二人に注意を促します」 ガシャコン
479 :
異物
[saga sage]:2012/03/19(月) 22:35:31.41 ID:U7/pK2V90
「も……、もちろん忘れてなんかいないぜ? お前が……、御坂妹がインデックスを緊急で呼び出すほどの一大事なんだから」
「ととと、当然かも! ハヤリに流されて水槽持ってないのに川でおさかなを捕まえちゃったって聞いた時にはビックリしたけど」
「だな。しかも捕獲の際にヒレを傷付けたから、そのまま逃がしてしまえば命の危険があるのでは? って電話貰って」
「それで私が現場まで輸送用水槽セットを持って迎えに行ったんだよ。一時的にとうまの水槽で保護するためにね」
御坂妹「輸送用水槽セット? とは、この酸素の出る石が入った発泡スチロール箱でしょうか、とミサカ……、は確認します」
「うん……、出来たらウチの入れ物のクオリティには敢えて突っ込まないでくれると助かる……」
「まあ、そういうわけで今はその子の水あわせの真っ最中なんだよ。ともかく想像していたほどの怪我じゃなくてひと安心かも」
「見た感じ治療の必要もなさそうだな。ま、とりあえずしばらく預かるけど、御坂妹も自分の魚なんだからちゃんと見に来いよ?」
御坂妹「当然そのつもりです、とミサカは本来真っ先に頼るべきお姉様の水槽が常盤台敷地内にあるデメリットに感謝します」
「ん〜……っと、よくわかんねーけど要するに、この水槽が役に立ったってことか?」
「ふふーん、思い知ったとうま? インデックス教会学園都市アクアフロント支部の救済力はハンパないんだよ!」 ドヤッ!
「この水槽そんな名前だったっけ? …………さてと、そろそろいいんじゃねーの? コイツを水槽に移してやろうぜ」
ぽちゃんっっと
「―――――――― 投入後数分経過、不自然な挙動やショックを受けた様子は無し。……ひとまずオッケーだな」
「うんうん。それで……、今更なんだけどとうま。このお魚って何だと思う?」
「……………………、はあっ? 名前も調べずに持ってきたのかよ?」
「それが、ね……? ふたりで帰りのバスの中でもずっと考えてたんだけど、どうも種類が特定出来ないんだよ……」
御坂妹「当該魚のスペックを再確認します。採取場所は学園都市内の一級河川中流部浅瀬、採取日時は本日ヒトロクフタマル」
「手にて中層を遊泳中捕獲。全長7.0cm、体型は紡錘形、やや大きめのウロコ、全体に銀白色、側線付近に顕著な色変化無し」
「尾ビレはやや大きめの三角形。またその他のヒレも含め、フナなどの丸みを帯びた三角では無い明確な角を確認」
「更に各ヒレは光線の加減で他の部分に比して黄色掛かって見えなくも無い……、とミサカは簡易ながら報告を終えます」
「見た目や捕獲状況でこの子がハス以外のダニオ亜科、いわゆる雑魚オブ雑魚の若魚だって所までは判ったんだけど……」
御坂妹「オイカワよりはヒレが小さく、カワムツの特徴である暗色の太い縦帯がなく、ヌマムツよりもウロコが目立ってるのです」
「その3種、稚魚のうちは見分けるのが難しいんだけど、このサイズになれば特徴がハッキリするはずなんだよ。なのに……」
御坂妹「どの種だとしてもあるべきものが無く逆にあってはならないものが有る、とミサカはこの謎魚を再びガン見します……」
姫神「このふたりの知識と情報量。上条くんでは逆立ちしても敵わないはず。だけど……上条くんは同定力がハンパない」
「……姫神の言うとおり、お前たちが知らない魚をオレが知ってるワケ無い。けど、だからこそ判ったぜ。コイツの正体!」
「おおっ、とうまの理不尽なひらめきが役に立ったんだよ!! それでそれで、この子は一体なんなのかな?」
480 :
異物
[saga sage]:2012/03/19(月) 22:36:40.59 ID:U7/pK2V90
「精緻な分析と正確な知識を以って判別出来ない、つまりそれはイレギュラーってことだろ? おそらくコイツは雑種なんだ」
「雑種? ……って、例えばライオンとトラの子供『ライガー』とか『タイゴン』みたいな俗に言う種間雑種のこと?」
「そう、イヌやネコの雑種と違って2種類の生物が親になってるって意味の雑種だよ。オレも詳しいわけじゃないけど」
「でもさっきの3種はダニオ亜科オイカワ属(オイカワ)とカワムツ属(カワムツ・ヌマムツ)だよ? 交雑可能なほど近縁とは……」
「難しい話は勘弁……。でも、そもそも種や属って考え方はヒトの都合が大きく関わってるんだし例外も多いんじゃねーの?」
「まあそうだけど……極端な話、ヒトと豚でも受精だけなら可能だったりするわけだしね」
「………………」
「……とうま、どうかしたの? のーとぱそこんをじっと見てるけど」
「……あっ、いやあ、あれだ、あれ! ネットで情報を収拾してみようかなって」 サッ カチッ ポチポチ
「ふーん?」
「んーと、『オイカワ』の『雑種』で検索…………。ほらっ、コレ見てみろよ? 似たような魚の画像が結構出てくるじゃん」
「ふむふむ。どの子もピッタリと一致こそしないけど、そこは雑種ならではかな? ってとうまいきなり何するの???」 グイッ
「(ちょっと内緒話。御坂妹には聞かせたくない内容だからな……。とりあえずこのページの記述を読んでみてくれ)」 ボソボソ
「(何だかわかんないけど……、ふーん。カワムツとヌマムツでは交雑せず、オイカワと他2種間で雑種は産まれるんだね)」
「(ああ。元々棲息域が重なりがちなカワムツとヌマムツが交雑可能だったら、とっくの昔に種が統一しちまってるはずだろ?)」
「(……オイカワが勢力を拡大したのは最近。それで新たにこういう子が出来る可能性が明らかになったって事?)」
「(おそらくな。放流や河川の水量低下が、自然化では本来有り得ない組み合わせのイレギュラーを作ったんだろうぜ)」
「(…………、とうまが内緒話にした理由が分ったんだよ。それが本当ならこの子はおそらく遺伝的なデメリットを抱えてるかも)」
「(……、まあそんなトコだ。生き物ってのは設計図と材料に無理があっても時として強引に成り立っちまうんだけど)」
「(無理にはツケが付き物。種間雑種で言えば短命であったり100%でガンになったり……、生殖能力を欠いていたり)」
「(そうしたデメリットは種が離れているほど大きい。例えばさっきのヒトと豚なんかだと受精卵は一切成長しないからな)」
「(うん……。この子は今のところ順調に成長しているように見えるけど…………、だけど………)」
「(オイカワ属とカワムツ属の属間雑種。報告例は少なくないけどまだまだ詳細は不明。正直どこまで生きられるか……)」
「(捕まえたおさかなが飼えるって、あんなに喜んでたのに……。どうしようとうま? この事伝えたほうが…)」
御坂妹「なるほど。つまりこの個体は許されざる禁断の愛の結晶なのですね、とミサカは内緒話に割り込みます」 ズイッ
481 :
異物
[saga sage]:2012/03/19(月) 22:37:27.59 ID:U7/pK2V90
「おまっ!? どうしてそんな離れたトコからオレ達の話が……」
御坂妹「ミサカイヤーは熱膨張、とミサカはミサカの優れた聴力で盗み聞きしたことを婉曲に解説しま……、分りますか?」
「くっ……空気の振動を温度のムラと解釈し、更にそれを電磁波として捉える事で遠距離から音声情報を取得したってか……」
「とうま、ボケにボケを返すのはシンプルにマヌケかも。……そんなことより、聞いたとおりなんだけど、その……、あのね?」
御坂妹「分ります。この子は、産まれ存在するべきではなかった魚、と言うことですよね? とミサカは機先を制します」
「いや……、何もそこまで……。ただオレたちとしてはだな、つまり……」
「そう、そうなんだよ! ちょっと体が弱いかもしれないとか、足りないところがあるかもってことだけで……」
御坂妹「ミサカは心の機微というものには疎いのですが、おふたりは暗に今回の飼育に期待を持つなと警告しているのでは?」
『…………………………………………』
御坂妹「ただ……、既にミサカはこの小魚はミサカが飼育するに相応しいと結論付けてしまいました。というのも…」
御坂妹「この個体の出生は極めて不自然で許しがたい。では、それを以って命を否定することが出来るでしょうか?」
「……、出来るハズない。ああそうだよな。なんだかんだ叫んだってコイツは生きてる。だからそれは絶対に祝福されるべきだ」
御坂妹「短命であり重大な欠陥を抱えている可能性が濃厚だからといって、この個体に生きる意味は無いのでしょうか?」
「そんなわけないんだよ! 生きとし生けるものは与えられた命の限りに精一杯生き尽くすのが正しいに決まってるもん!」
御坂妹「その想いに必要なのは強さ。運命など吹き飛ばしてしまえという強さです。ミサカはだからこそ、この……、この……?」
「お前……、わかったよ。怪我が治るまでの間ここで保護するから、そっちはなんとかして飼育環境を用意しておけよ」
「もちろん私も相談には乗るし、協力は惜しまないんだよ。だから……、立派にその子を育て上げようね!」
御坂妹「お心遣い感謝します。が……それよりも、ミサカは現状この……、この……、この子の種名が不明な点を指摘します」
「種名? ……あぁ、そういえば雑種の場合は名前ってどうなるんだ?」
「んと、色々な名付け方があるんだけどこの子のケースはライオンとタイガー(トラ)の子供みたいに両方の名前を使うらしいよ」
「『ライガー』や『タイゴン』はそういう法則だったのか。って事はコイツはオイカワとヌマムツ、若しくはカワムツが親だから……」
御坂妹「つまりオイカワ・ヌマムツなら『カワヌマ』、オイカワ・カワムツなら『カワカワ』……、とミサカは響きの良さに感動します」
「一応正解はオイカワ・ヌマムツで『オイムツ』、オイカワ・カワムツで『オイカワムツ』なんだよ」 カワカワ ?
「ま、まぁ……、個人的に使う分には御坂妹の呼び方でも構わないだろ。とりあえずどっちのタイプか判ったら連絡するよ」
482 :
異物
[saga sage]:2012/03/19(月) 22:38:31.98 ID:U7/pK2V90
☆
御坂「(あの思い出したくも無い実験……、アレって不可解な点がいくつもあるんだけど)」 テクテク
御坂「(最たるものは妹達が現在の私と同じ年恰好をしているってトコよね。つまり…)」
御坂「(実験が始まったのはここ数ヶ月以内でなければいけなくなってしまう)」 テクテク
御坂「(年齢設定は自由が利くし外見だって変えようがあるはずなのに、私と瓜二つに仕上げられたのが何よりの証拠)」
御坂「(だけどあの実験、多少なりとも名が売れている人物の容姿を使うこと自体には何のメリットもない。とすると…)」
御坂「(レベル5になったばかりの頃とも違う、もう少し成長した姿でもない、第三位の現在の姿を使うことに意味があったはず)」
御坂「(今の私、今の姿。何故それを模したのかは判らないんだけど……、とにかく実験開始はごく最近だったに違いない)」
御坂「(…………、確かにアレは向こうにとって超有利なハンデ戦だったけど、それでも一万通りの戦闘をほんの数十日で?)」
御坂「ふむ〜……、およっ?」 テクテク
御坂妹「こんなところで奇遇ですねお姉様、とミサカは人目につかない裏路地での邂逅であることを説明します」
御坂「……、説明って誰によ? それになんでアンタが居るのに私が気がつかなかったのよ? 電磁波はどうなってたの??」
御坂妹「……、お姉様のレーダーでも感知出来ませんでしたか。修行の成果があったというものです、とミサカは勝ち誇ります」
御坂「はあっ? バカな事言わないでよ。発電能力者が無意識に発する電磁波ってAIM拡散力場そのものだから…」
御坂妹「能力者である限り放出を止められない、とミサカは努力や才能でどうにかなる問題ではない事を再確認しておきます」
御坂「うんうん、そうよね。ってことはやっぱり何かのトリックだったわけ?」
御坂妹「ある方と先程まで身体の一部を接触していたため一時的に無能力状態になっていたのでは、とミサカは考察します」
御坂「その表現はどうかと思うけど。……そっか、そういやアイツの寮がこの近くにあったわね。何か用事でもあったの?」
御坂妹「ミサカの大事なものをあの少年の部屋で、初めての……、えーと……、あのですね………………」
御坂「んーっ、要するに何かを預かってもらったってことかな? 初めて、アイツの部屋……。例えば捕まえたおさかなとか」
御坂妹「はいそのとおりです……、とミサカは勘が冴え過ぎていてイジり甲斐の無いオリジナルを恨めしそうに見つめます」
御坂「…………………………………………、そっか」 フム
御坂妹「……? どうかしましたか?」
483 :
異物
[saga sage]:2012/03/19(月) 22:39:43.84 ID:U7/pK2V90
御坂「あぁいや、なんでもないのよ。それよりそっちはどんな魚を捕まえたの?」
御坂妹「えっと……、どうやら交雑個体だったようでその場で正確な分類が出来なかったのですが…」
御坂「あっ……」
御坂妹「ご心配なく。ミサカ自慢のおさかな第一号、最期まで大事に育てていく覚悟は既に完了していますから」
御坂「……………………強いわね。見た目こんなに私とそっくりなのに全然強い」
御坂妹「……お姉様?」
御坂「あっと、いや……、それよりさあ、今度確認に行く時は一緒に連れてくこと。アンタの魚なら私にとっても大切なんだからね」
御坂妹「……わかりました。つまりお姉様はミサカに上条当麻の部屋に潜入するためのギミックになれと…」
御坂「あはっ、なんでそうなるのよ? ……ホント、同じ顔してるのにアンタの発想には付いていけないわ」
御坂妹「同じ顔ですか? それはまあ、同じ遺伝子マップを基にミサカたちは出来上がっているので…」
御坂「ん〜……でもさ、私とアンタが中身全然違うのと同じで妹達同士も色んな子が居るんじゃない?」
御坂妹「仰りたいことが判りかねますが、個性と言うことでしたら多少は確認可能なレベルに達しているかもしれません」
御坂「あ、それと能力もね」
御坂妹「そうですね。厳密にはお姉様と妹達、妹達それぞれ、もちろんチビや新古米、誰一人として同じ能力ではないです」
御坂「自分だけの現実、ってまさに字のとおり一人用だからね。便宜的に同系統って纏めちゃうから誤解されるんだけど」
御坂妹「遺伝子的に同一であって全く同じ成長を遂げ開発を受けたとしても、能力は異なってしまうのです」
御坂「平行世界なんて考え方で言うなら違いがあって当然なんだけど……、不思議よね」
御坂妹「能力開発には未だ解明されていない部分が多くありますから、とミサカは理解の及ばないことを理解してみます」
御坂「まあね。大体『未来は確定していない』って考えを利用して『確定された未来を作る』なんて外の人に理解できるのかな?」
御坂妹「ミクロの事象を操り新たな世界を作り出す。つまり能力者が一人生まれるたびに宇宙全体が更新されますからね」
御坂「そう。強度や性質に関係なく……、たとえレベル0に過ぎなくても能力者ってのは世界を塗り替えた者なのよ」
御坂妹「だから妹達一人一人が同じ能力であるはずが無いのです。違った色にその都度全体が染まるのですから」
御坂「でも出力されるのは似通ったレベルで見分けが付き難い電撃使い系なのよね。どういう仕組みなんだろ?」
御坂妹「演算を司る脳機能がどのようにミクロの世界に干渉しているかが詳らかで無い以上、そこはブラックボックスでしょう」
484 :
異物
[saga sage]:2012/03/19(月) 22:41:20.24 ID:U7/pK2V90
御坂「ふむふむ。そうよね、干渉してるのはあくまで脳。見た目や年恰好じゃないはず」
御坂妹「干渉の様式とでも表現しましょうか、そうした働きに関係しているのかも知れません、とミサカは推察します」
御坂「……様式ってどういうこと?」
御坂妹「ドジョウ類とヘビ、ミミズなどの外見は似通っている点がありますよね? とミサカは唐突に解説モードに移行します」
御坂「ホントに唐突だけど、まあアレでしょ? 細長くて脚とかそういうものが無いってことじゃない?」
御坂妹「ええ。地面であったり水底であったりしますが彼らは這う生き物なのでそれに適した姿形をしていますね」
御坂「コウモリとハトがどっちも空を飛ぶための翼を持ってるのと一緒で、相同性ってヤツよね」
御坂妹「一部のトカゲなどにも手足やウロコの退化した種が居ます。彼らは地中生活に適応してますとミサカは付け加えます」
御坂「んーと、大丈夫だと思うけど一応注意しておくわね? 種の進化に個体の意思は影響しないわよ」
御坂妹「勿論存じてます。ですが……それでは質問しますがコウモリは何故空を飛ぶのでしょうか?」
御坂「へっ? そりゃ、移動したりエサを探して捕まえたりするためじゃないの?」
御坂妹「……質問が不適当だったので言い直します。コウモリは進化の過程でいつ空を飛んだのでしょう?」
御坂「ふむ……? コウモリの進化は専門外だからよく判らないけど」
御坂妹「質問の意図はこういうことです。コウモリは空を飛ぶために翼を適えたのか、翼があったから空を飛んだのか」
御坂「あっ……、いや、でもそれは……、ん〜? むむむむむむ……」
御坂妹「個体の意思が進化に影響しないので前者は否定されますが、後者では翼が何故備わったのか説明出来ません」
御坂「いや、飛翔以外のなんらかの役に立つ機構として進化していってある段階から飛ぶために使われたんじゃ…」
御坂妹「ではお姉様はコウモリはたまたま飛べたので飛んだ、もし飛べなかったら飛ばなかった……とお考えですか?」
御坂「飛べなかったらってのは無いでしょ? 翼っぽいものが付いて初めてコウモリなんだから……」
御坂妹「確かに原初のコウモリはモモンガやムササビのような滑空するネズミだったのかもしれませんけど」
御坂「ふむ〜…………。それで、一体この話で何を伝えたいわけ? 興味深い内容ではあるけどさ……」
御坂妹「結論としては……同じ環境中の外見が似ている生物は本質まで似通っているとは限らないということです」
御坂「んんっ? ……、それだけ??」
御坂妹「付け加えればその外見はその環境でこそ力を発揮しますが、格好が先か環境が先かを考えるのは難しいってことです」
御坂「(……つまり妹達が私そっくりにされているのは私が学園都市から受ける影響と同じものを得るため、とか?)」
御坂妹「頭脳明晰なお姉様が何を考察されてるか窺い知ることは叶いませんが、たぶんそれは違いますとミサカは断言します」
485 :
異物
[saga sage]:2012/03/19(月) 22:43:05.69 ID:U7/pK2V90
☆
「なあインデックス、空気呼吸が発達した魚類って結構居るだろ? んじゃ陸上生活に適した魚類って居ないのかな?」
「とうま? それは地味に魚類の定義に関わる問題なんだよ。何を以って魚と呼ぶか、ってことなんだけど」
「ん? 魚類の定義って……、魚は魚だろ? 泳ぐのが得意でウロコやヒレがある……、そうじゃないのも居るけど」
「ちょっと乱暴すぎかも。とりあえず系統を考えてみたらいいんじゃないかな?」
「系統……、前ちょっと触れたアレか? 全ての脊椎動物は魚類から進化して枝分かれしてどうこうってヤツ」
「うんうん。じゃあ、『魚類から進化』ってところを詳しく説明できる?」
「詳しく、って……。ん〜と、最初の魚類ってのはヤツメウナギとかヌタウナギのようなアゴの無い生き物だったんだろ?」
「だね。アゴはもともとエラを支える骨が進化したものだから鰓孔で呼吸する無顎類には当然アゴが無いんだよ」
「鰓孔ってのは体の側面に何対も並んで開いてる穴だな。んでまあ、そいつらからまず硬骨魚類が枝分かれしたらしい」
「そこは実のところ確定的じゃないんだけど、無顎類→硬骨魚類→軟骨魚類って考えてる人が多いのは間違いないかも」
「無顎類の骨が軟骨だったり骨格そのものがなかったりするからややこしいんだよなあ。まあ殆ど絶滅しちまってるんだけど」
「うん、今言ってる無顎類は現在の無顎類とは違うからね。恐竜時代のモンスター的外見のアレとかソレとかの話だよ」
「っと……で、どこまでいったっけ? …………えーと、アゴか。アゴのあるやつらの一部が淡水に進出し肺を獲得する」
「……、軟骨魚は肺も浮き袋も持って無いよね?」
「ですよねー。だから、硬骨魚類……、系統を語る場合だから硬骨魚綱の方がいいか? それが両生類に繋がるってワケだ」
「爬虫類や鳥類、そして私たち哺乳類もね。さて、それじゃああらためて。魚類とは一体なんなのかな?」
「ココまでをふまえて考えるんだな? んーと、魚類とは……脊椎動物の無顎類と軟骨魚類と硬骨魚類を指す!」
「それじゃダメだよ。自分で言ったこと忘れたのとうま? 硬骨魚綱には哺乳類だって含まれちゃうんだよ?」
「そ、そうだよな……。じゃあアレだ。魚類とは……脊椎動物の……爬虫類や鳥類、哺乳類や両生類では無い動物?」
「うんうん。こうも言えるかな? 『脊椎動物の進化の過程で一度も陸上生活に適応しなかった生物群』とか」
「ウシの遠い親戚、クジラやイルカみたいな陸上生活の後に水に戻った一群は除くってことか」
「他にも……、脊索は有してるけど脊椎の無いナメクジウオも魚類には含まれないんだよ」
「脊索ってのは棒状の筋肉、脊椎ってのは骨格。ともに背中を通る神経を保護してる部位だよな」
「背骨が一生のうち一度でも備わる、またその痕跡があれば脊椎動物に含まれるからそこだけちょっと注意しなくちゃだけどね」
「ふむふむ。……それで最初の質問に戻るんだけど、陸上生活に適した魚は居るのかどうなのか。って……自明だな」
「でしょ? 形体に関わらず、水中生活から脱した生物を魚類とは言わないんだからそんなものはいないんだよ」
「なるほどね。なんかツマラない結論だったけど勉強になったよ。ありがとなインデックス」
「……、ただーし! 例外的存在はどんなトコにもあるのかも。今日はそんなお話をするんだよ!」
486 :
異物
[saga sage]:2012/03/19(月) 22:44:08.40 ID:U7/pK2V90
「例外?」
「そう、魚類でありながら生活史の大部分を水の外で過ごす子たちのこと。オキスデルシス亜科って知ってる?」
「…………グレムリンの正規メンバーにそんなのが居たっけ?」
「魔術師の名前に付いててもおかしくない感じだけど……、これはハゼの仲間の一群なんだよ」
「ハゼかあ……。確かにハゼって水深の浅いトコに棲んでて結構頻繁に水から飛び出すイメージがあるなあ」
「それとピョンピョンと水底を移動する種が多いでしょ? その能力は陸上でも機能するんだよ」
「遊泳力を振り絞った所で釣られた魚がビチビチすんの見りゃ判るけど水の外じゃ役に立たない。でも跳ねる動きなら別だ」
「だからハゼの仲間は比較的陸上での活動に向いてるの。その中でも極めて尖った子たちがオキスデルシス亜科なんだよ」
「ほほう……、例えば?」
「皮膚呼吸が異常に発達していて空気中でも酸欠にならないとか、あと特殊な代謝機能を持ってるとか」
「代謝? 代謝……、うんうん……、代謝だよな。大事なことだよなあー」
「新陳代謝の代謝だよ? 陳は古いもので謝は無くすの意だからつまり、古い物を捨てて新しい物と代える細胞の働きだね」
「ふむふむふむ。つまり特殊な代謝機能、ってんだから排出についてのトンデモ能力があるんだな?」
「そう。摂取したタンパク質の代謝で不要な窒素が出ると、動物はソレを溜めといて捨てなければいけないでしょ」
「窒素とか言うと小難しく聞こえるけどアレだな。おしっこ」
「まあ確かに人間の場合は窒素を尿素に換えて排出するんだけど、硬骨魚はアンモニアとしてエラから排出するんだよ」
「へーっ。エラって酸素と二酸化炭素の交換以外にも使い道があるんだな……」
「だけどエラが水に触れていないと排出も出来ないの。コレも空気中で魚が生きていけない理由のひとつだね」
「んでさっきのオキスデルシス……? だっけ。そいつらはその問題をどうクリアしたんだよ」
「なんと彼らは体内でアンモニアをアミノ酸に変えることが出来るんだよ。つまり排出の必要がないのかも」
「……ふ〜ん。今ひとつ凄さが伝わらないけども……、凄いんだろうけど」
「トイレにずっと行かなくてもいい人類ってスゴく便利じゃないかな?」
「その喩えもどうかと思うぞ?? んまあ、何にせよその魚たちは陸上に例外的に適応してるって考えていいんだよな?」
「ううん。水から離れた魚は皮膚が乾燥してしまうでしょ? 結局そこまでスゴくても水辺を離れられるワケではないんだよ」
487 :
異物
[saga sage]:2012/03/19(月) 22:47:53.43 ID:U7/pK2V90
「……、オキスデルシス亜科とか例外とか仰々しく言ってもそんなもんか。それじゃその辺のムツゴロウと同じじゃんか」
「正解っ! ムツゴロウやトビハゼなどの干潟でピョンピョンしてるマッドスキッパーたちがオキスデルシス亜科なんだよ!」
「つーか……、だったら最初からムツゴロウの話として進めれば良かったんじゃねーの?」
「んとね、正体が判らないまま『魚なのに陸に上がる』とか『特殊な代謝能力がある』とか聞いてとうまはどんな魚を想像した?」
「どんな? いや、そーだな……。ハゼの仲間だからソレっぽい外見だとは……、でも知ってる魚だとは思わなかったかな」
「あのね、もしもこの世界が水中だとしたら……。とうまにとってムツゴロウは魔術師なんだよ」
「またいきなり唐突な展開を……」
「魚のルールの裏技を使って陸上へ進出するトコが、現実世界の裏技を使ってありえない現象を起こすのと似てるでしょ?」
「強引な説明だけど、まあ……。けど、それだとムツゴロウが決して水から離れることは出来ないのと同じように…」
「そう! そこを判って欲しかったんだよとうま! 魔術は不思議だけれども、所詮は既存のルールの裏技に過ぎないんだよ」
「裏技って言えばゲーム。特定の動作やコマンド入力やバグによる通常プレーの範囲では現れない効果が思い浮かぶけど…」
「それだと素人でも操作が正しければ魔術が使える理由が判るかな? さしずめ魔術師はプログラムに精通するプレイヤー?」
「なるほど。完全にプログラムを掌握しちまえばどんなことでも思いのままだもんな」
「ん? ……私が言いたいのはそうじゃなくて、魔術師なんてタネを明かせばムツゴロウってことなんだけど」
「……あのさ、遺憾ながら上条さんの頭脳は回りくどい表現を適切に解すには向いてない直感型なんですよ」
「しょうがないなあ……、いい? 普通の魚が一般人で、魔術師はムツゴロウ。決して四足動物じゃないってことだよ」
「……脊椎動物全体から魚類を抜いた残り、要は一度は陸に上がった歴史を持つ動物を四足動物と纏めることがあんだよな」
「両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類だね。まあ両生類はちょっと置いといて、完全に陸上に適応してるでしょ?」
「乾燥に強く空気呼吸に長け、窒素は尿素や尿酸の形で排出できるからな。確かに魚とはまるで世界が違う」
「巨大なサメだろうとマカジキだろうと、船に上げられたら無力。ムツゴロウだって例外だけど他聞に漏れないってことかも」
「なんとなく分って来たぞ。インデックスはいつもオレが疑問に思ってる『魔術は弱い』ってことを説明しようとしてるんだな?」
「……、さあね? それはともかく水の中や水辺であればこそ魚は強いのであり、魚を超えた魚は魚ではないってことだよ」
「魔術師はムツゴロウ、魚はどこまで行っても魚、四足動物と陸で争う能力など無い……。四足動物が能力者にあたるのか?」
「私は魔術側の人間だからそっちのことは良くわからないかも。じゃあ交代して、能力について説明してくれる?」
488 :
異物
[saga sage]:2012/03/19(月) 22:50:01.87 ID:U7/pK2V90
「ああ。でも悪いけど、オレは知識としてしっかり習得してないからアバウトになっちまうけど勘弁してくれよな?」
「能力はおそらく身に付かないんだから勉強くらいしといたほうがいいと思うよ。まあ、出来る範囲でいいんじゃないかな?」
「ううっ……、多忙すぎる人生が恨めしい。っと、とにかくだ。能力ってのは薬剤や電気や音声、その他の刺激で脳を開発して…」
「それ、前に説明してくれた『脳を開発して回線を繋いだら能力者』って適当にも程がある話かな? だったら必要ないかも」
「うぇ? オレの能力開発に関する知識なんてそんなもんだぞ??」
「それでよく能力は科学的、とか言えたものだと思うよ。じゃあ聞くけど開発された脳はどのように異能を起こすのかな?」
「んー、それはだな。シュレディンガーとかハイゼンベルグとかが……、つまりは量子を観測して……」
「うん……、ムリな注文だったみたいだからもう一度私のターン。魔術についてちょっとだけ話をさせてね」
「……、ホントスイマセン」
「落ち込んでるとテンポが悪くなるから元気出して行こーっ! 魔術はヒトの歴史とともに発達した厳格な法則のある技術だよね」
「おーっ! おっ? 法則自体を詳しく教えてはくれないからイマイチ納得できてないけど、お前がそういうならそうなんだろ」
「もちろん大昔には裏技なんて認識ではなくて、自然を知り世界を知りたいという人間の知的活動の一部だったんだよ」
「ふむ。聞いた覚えがあるようなないような。で、アレだろ? 原石だとか聖人みたいなことを才能の無い身でも……って」
「そこに行く前に、段々人間が世界の理に通じてくると、この世には普通と異常があるってことが判ってきたの」
「ん〜、魔術が異常な技術体系として認識されて……、で?」
「異常に手を染めることは人間として終わりだってことも判ってくる。でもどん底にいると一発逆転したいのがヒトのサガなんだよ」
「魔術を覚えるって簡単に言うけど、それは言ってみりゃ首を吊る代わりの手段なんだな……」
「そうだよ? 魔術なんて覚えるべきものじゃないの。……それとね、宗教に政治が入るとそれさえ弾圧されちゃうんだよ」
「あー、そりゃそうだよな。聖人は神に愛されればこそ奇跡を起こすんであって、誰にでも使えたら神への信仰が無くなっちまう」
「宗教を利用した統治下ではそれは絶対許されないことだもん。ただの知識に過ぎなかった魔術は禁忌になっていくんだよ」
「そういやヒトに真理を教える超自然の存在って、ルシフェルとかアザゼルとか最近じゃコロンゾンとか、どれも悪魔扱いだよな」
「最後のは幻覚剤中毒者の妄想かもだけど、まあそうだね。多分に体制側の都合が反映されてるきらいがあるかも」
「ふーむ……で、とにもかくにも魔術は地下に潜ることになるのか?」
「一部を除いてね。体制側が使う魔術ってあるでしょ? 神に愛された証だから自分たちは使ってもいいって理屈だね」
「どこの国だよ? 魔術を弾圧しといて国王はバンバン魔術つかうような下衆な体制……、あ、うん。ゴメン」
「ほえ? ……続けるね。地下に潜った魔術師たちは島嶼の生態系が独特になりがちなのと同様、ユニークに進化していくの」
「地域によって違った魔術があるのはその名残かね。で、弾圧を避けつつ技術を磨き知識を蓄える時代はいつまで続くんだ?」
「世界の理を解明していく学問に科学って名前が付いた頃までかな? 宗教の力が弱まってきた頃、でもいいけど」
489 :
異物
[saga sage]:2012/03/19(月) 22:51:42.80 ID:U7/pK2V90
「自分で言っといてなんだけど、ソレはおかしいんじゃないか? 現に今だって魔術はアンダーグラウンドだろ」
「んーとね、現在の魔術って求める者にとっては開かれた世界なんだよ。どう、とは説明できないけどそういうモノなのかも」
「……誤魔化された感でいっぱいだぜ?」
「正直その辺は勘弁して欲しいんだよ。でね、憚りながら日の当たる世界に舞い戻った魔術師たちに大きな展開があったの」
「展開……、想像するにアレか? 独自に発展した各地の魔術師たちが交流を深めて互いに練磨したとか」
「遠からず近からずだね。例えば日本神道系の魔術師が放つ破魔の光ってゾロアスターの吉眼と本質が似てると思わない?」
「んな専門用語並べられてもチンプンカンプンに決まってんでしょーが! 上条さんをなんだと思って居られますかアナタは!?」
「……調子に乗っちゃったかな? ゴメンね……、魔術の話が出来てつい嬉しくなっちゃってたかも」
「あ、ちがうちがうちがうちがう。上条さんは怒っていませんのことよ? 自分のバカさ加減を嘆いただけだから気にすんなよ」
「……そう? でもちょっと噛み砕くね。要するに、各地で独自に進化した魔術を体系立てて整理統合する者が現れたんだよ」
「なるほど。祈る相手が月だろうと山だろうと、何がどうなって何が起こるって原理を解明すると同じことだったとかそんな感じか」
「魔力やテレズマ、地脈なんて概念もそういう流れの中で確立されたの。実はまだまだほんの最近のことなんだけどね」
「ふむふむ。で、魔術全体が急速に洗練されて今に至る、と。……以上、ヒトの歴史とともにあった魔術の歴史でした」
「じゃなくて、ここからが本題なんだよ! とうまの言うとおり魔術の歴史はヒトの歴史と同じくらい長く深く広いんだけどね」
「だよなあ。魔術師ってやつらは底が全然見えねえもん」
「だけど、だけどね。だからこそ既に伸びしろの少ない研究し尽くされた技術でもあるんだよ」
「ふーん?」
「例えば私は10万3000冊の魔道書を記憶してるんだけど、仮に自由にその力を行使できたとしたらどうかな?」
「……それは正直想像もしたくねえよ。天地を曲げ生死を操る魔神みたいなことになるんだろうけどさ」
「怖いけどそうかも。では更に、そんな魔神な私の前にもう一人魔神な私が現れて戦ったら、どっちが勝つと思う?」
「へっ? なにそのトンデモ発想?? 勝負自体はスペックが同一である以上引き分けってこったろうけどさ……」
「そう。引き分けだけどコレはスペック云々じゃないくて、魔術を極めるってことは全ての魔術に対応出来るということなんだよ」
「……それで?」
「だから言い換えると、魔術を極めてしまうと全ての魔術には返し技があり、絶対の魔術など存在しないことが分るってこと!」
「伝説の暗殺拳の始祖みたいな話だな……」
「魔術を極めれば万物の頂点に立った気になれる、はずないよね。だって自分で自分の弱さが判っちゃうんだもん」
「でもそれ他人にはわかんねーだろ? そうそう負けることは無いはずだと思うけども……」
「そうは行かないかも。だって例えばある戦いにおける戦法を考えるとして、そのヒトは絶対に最適解に辿り着けないでしょ?」
490 :
異物
[saga sage]:2012/03/19(月) 22:56:44.95 ID:U7/pK2V90
「あー、万能すぎて却って全てにおいて失敗を予測してしまうのか。確かに思いつく全ての技に※が付いてたら何も出来ないな」
「うんうん。コレはだから相手が誰であっても同じことなんだよ。魔術師のジレンマだね」
「それにしちゃあ魔術師ってどいつもこいつも『自分が一番つおーい、他はカス!』って感じで出てくる気がするけどな」
「……それは偏見、でもないか。とうまも言ったけど魔術はアンダーグラウンドの技術でしょ? だからなのかも」
「むむっ? アイツらが偉そうなのは闇とか暗部とか、裏社会に生きる者の特性ってコトかよ?」
「そう。実際は表の世界に匹敵する裏なんて存在するはずもないんだけどね。基本、役立たずで無能なダメ人間の巣窟だし」
「おいおい、手厳しいにも程があるだろ!? インデックスこそ何か偏見を持ってんじゃねーのか……」
「だって良く考えてみるんだよ。最先端知識にしても技術にしても、画期的な発想は常に表でなされるでしょ?」
「それは……、地下世界のコトなんてわからないから何とも言えないけど」
「裏で使われる技術や知識なんて最先端ではありえない。型落ちを流用して悦に入ってる連中ばかりなんだよ」
「ちょっと待て。なんでありえない、なんて断言できるんだ?」
「簡単だよ。隠れてコソコソ研究してたら無責任な他人の批判が聞こえてこないでしょ? それでは進歩が無いの」
「…………井の中の蛙大海を知らず、か?」
「武力だってそう。例えば毒ガスや生物兵器、核兵器は立派な光り輝く世界で生まれた代物でしょ?」
「うむむ……。だけど、そういうものを裏社会的団体が利用するとかだって聞くぜ?」
「隠れてコソコソ、でしょ? そんなのせいぜい大昔の流失技術や禁忌破りの裏技を使って隙間産業してるに過ぎないのかも」
「暗部なんてものは、表の社会に比べて無能……。ただモラルやルールを逸脱することでせこせこ日銭を稼ぐ集団だと?」
「その通り! 保護される価値も必要もないクズの掃き溜めだから、人材だって使い捨てだしね。それだけのことなんだよ」
「……なんつーか、身も蓋も無い総括だな。魔術の専門家なお前が言うんだから余計シュールだぞ」
「ちょっと漫罵だったかも。まあ今日のまとめとしては、正体不明の相手を情報以上に高く見積もるのは間違いってことだね」
「そこは納得出来るかな。スゴいことなら隠れてする必要も無いんだし、コソコソしてる時点でそれは大したことじゃないんだな」
「うんうん。そして小物ほど増長し、大物になると弱くなる。変な世界だけど、これも現実なんだよ」
「となると学園都市の能力とはやっぱ違うんだな。だってこっちは割と公開されてるだろ?」
「違いはそんな瑣末なトコだけじゃないけどね。魔術師から見れば能力者は世界の法則の範囲外の存在なんだから」
「へっ? そなの?」
「今日は長くなっちゃったからこの辺で終わるけど、簡単に言えば陸上動物の常識はおさかなの非常識ってことだよ。」
「ほうほう…………。しっかし今日の話は終始、こんな調子だったな。正直、半分も理解できてない……」
「私の立場上、話が曖昧になるのは仕方ないのかも。またいつか続きをするならもうちょっと噛み砕くから許して欲しいんだよ」
〜おしまい〜
491 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2012/03/19(月) 23:17:50.55 ID:U7/pK2V90
以上、第三十六回『異物』でした。
第一パートで出てくる雑種、生息域や繁殖期が異なる種が不自然な環境に集められると発生しがち。
もちろん、大部分の魚が体外受精だからこそなんですけど
第二パート、ドジョウは水底を這い、砂地の潜ることに向いた体をしていますが
それは彼らが水底で過ごし続けた結果進化したのか、それとも形が出来てからそれに見合った水底へ向かったのか?
構造主義というか全体論というか・・・、行き過ぎるとツマンないのでやめときますけど不思議じゃないですか?
第三パート、ムツゴロウやトビハゼは四足動物であるカエルなんかよりよっぽど水の外で生活する時間が長い魚です。
むしろ水中を避けてるくらいの変なヤツラですけど、それでも魚は魚なのです。
そんなわけで、長々といらんことばかり書きましたけど今日はこの辺で。ではではまたー
492 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2012/03/20(火) 00:46:26.91 ID:IpRBsDoAO
乙。
相変わらずためになるなー
493 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2012/03/20(火) 02:38:46.45 ID:IvUCrPCZo
良スレ発見!
494 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2012/03/21(水) 23:01:05.94 ID:XFzyChqVo
全体的に色々面白い話だが新古米が地味にツボった
495 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2012/03/22(木) 09:57:18.83 ID:MNIQ2FtAO
2355に出てくるトビハゼのトビーは可愛い
496 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2012/03/22(木) 20:40:45.82 ID:Mh4Lqaxv0
来てたー!!
乙!
497 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/24(土) 17:54:02.25 ID:qd0FJrEio
おつ
498 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2012/03/25(日) 10:46:04.76 ID:QZriQ74o0
おさかな話って、ドコが面白いって聞かれても正直困る。っていうかそんな聞かれ方したらツマンない気がしてくる。
ホントはひょっとして自分以外誰も読んでないんじゃなかろうか・・・。だってアレだよ、さかなの話だよ?
今回はそんな感じの内容です。いえ、出来に自信が無いとか不安だとかではなく、ホントってなんだろ?ってお話。
テーマは「幻現」です。少々暴走気味なパートもあるのでご注意の上、どうぞ。
499 :
幻現
[saga sage]:2012/03/25(日) 10:50:04.86 ID:QZriQ74o0
☆
「なあインデックス、こないだ御坂妹が持ってきた魚はどうやらオイカワとヌマムツの雑種『オイムツ』だと判明したんだが…」
「とうま、とっても細かい作業お疲れ様なんだよ。尻ビレの筋とかウロコの数をじーっと見続けて眼が疲れちゃったんじゃない?」
「それは問題なかったよ。カメラとPCがありゃただの単純作業だからな……。それは、な」
「ふぇ? じゃあ何をそんなに、ムグムグ、とうまは思い悩んでいるのかな? ん〜っ、ぷはー」
「……あんまりがっつくなよ。ホラ、お茶」
「ありがと、んぐっんぐっんぐっ…………、ふぅぃ〜。それにしても短髪の持ってきたケーキとゼリー、とっても美味しいんだよ!」
「だろうな。なにしろゼリーは天下の黒蜜堂の……、贈答用セット? ケーキは……えっと、パスチックセリなんちゃら…」
「PASTICCERIA MANICAGNI って書いてあるんだよ。モンブラン……、イタリア語だからモンテビアンコがグンバツなんだよ!」
「そりゃ良かったな……、でも一体コレ全部で幾らするんだ……? そもそもなんで御坂はこんなもん持ってきたんだ?」
「一時間ほど記憶を振り返ってみたらいいかも。このおさかなの名前が判明して、とうまは何をした?」
「えーと、約束だからすぐ御坂妹に『名前判ったから見に来いよ』ってメールした」
「冗談で『手土産は食べられるものがいいぞー』とか書いてたよね」
「そうだっけ? そしたらついさっき御坂が訪ねて来て『あの子、二〜三日用事があって出て来れないのよ』って伝言してくれた」
「そんな短髪をとうまはどうおもてなししたんだっけ?」
「んーと……」
――――――――――――
―――――――
―――
『わざわざありがとな御坂。あ、ついでに御坂妹に会ったら見に来るのはいつでも良いって伝えといてくれよ』
『えっ? そ、それは構わないけど、何? さかな、見せてくれないの?』
『えっ、いや、別にいいけど……』
『?? いいけど何よ?』
『いや〜、ほら。御坂といえば電撃だろ? 小魚ばかりの水槽の周りで放電しても大丈夫なのかなって……』
『…………………』
『メダカやアカザはもちろんだけど、御坂妹のオイムツはケガしてるからショックとかそういうの出来るだけ避けたいんだ』
『……そっか。あ、その紙袋の中身テキトーに処分しといてよ。それじゃ…………、邪魔して悪かったわね』
500 :
幻現
[saga sage]:2012/03/25(日) 10:53:34.83 ID:QZriQ74o0
「紙袋の中身はウチの水槽専用濾過フィルターとカートリッジ、そして沢山のスイーツだったワケで……」
「ケーキ食べながらおさかな見つつ、楽しくおしゃべりするつもりで来たら門前払いされたってことだよね」 モグモグ ゴックン
「連絡後たった一時間のうちにケーキ屋、黒蜜堂、水槽屋でお土産を準備して来てくれた御坂を……」
「普段のとうまがやってることに比べたら全然大した仕打ちじゃないけど、まあちょっと可哀相かも」 ヒョイ パク
「能力のこと言っちまったし、謝っておくか。PiPiPi …………、ええいっ、御坂のケータイはどうしてこう繋がらねーんだ!」
「ふぅ、イチゴのヤツもおいしかったー! ちょっとそれ貸して? ……、もしもし短髪? インデックスだよー」
「んっ………、へっ??」
「ケーキとゼリーの差し入れありがとうなんだよ! とうまも美味しい美味しいって、あっという間に食べちゃったんだから」
「なぜ電話が……?? そして、なぜ沢山あったはずのスイーツが殆ど無くなってる?? これが時空の歪みか??」
「えっ? ううん、それはとうまが神経質過ぎなだけだから気にしなくていいんだよ。全く、ホントにデリカシーがないもんね」
「ちょっ…」
「だからまたいつでも遊びに来て欲しいんだよ! ちなみにとうまはプリンも大好きでケーキはホールを丸ごと食べたい派かも」
「…………おーい」
「ち、ちがうもん。私は神に仕える身だから我欲のままの欲しがりさんじゃ……、ふぇ? とうまならいるけど? ……ふんふん」
「おっ、代わってくれってか?」
「うんうん、わかったかも。一言一句違えず伝えておくんだよ。じゃあまた近いうちに遊びに来てね、ばいばーい」 <Pi
「オイオイオイオイオイ、お前いつの間に御坂と仲良くなったんだ? ってか電話切るなよ!?」
「そんなこと知らないよ。だってとうまと話がしたいとは言ってなかったもん」
「そ……、そっか。やっぱり御坂サンはご立腹デスヨネ…………。んで、伝言って?」
「……、反省してるんならよく聞いておくんだよ。えーとね、『にんきなんかの話を聞いてほしいかも』 だってさ」
「にんきなんか??? 『人気なんか関係ねえっ! とは言ったものの評判とか悪口とか気になるぜ!』ってこと?」
「心臓に毛の生えたノミ!? ……あのね、人気なんか、じゃなくてたぶんニンキナンカ。未確認生物の名前だと思うよ」
「なんだよそのフザけたネーミングは! ファンタジーなめてんじゃねーぞっ!!」
「とうまに馴染みのある言語じゃないから語感が微妙なのは偶然かも。ちょっと変則的だけど今日はそんなお話するんだよ」
501 :
幻現
[saga sage]:2012/03/25(日) 10:57:05.83 ID:QZriQ74o0
「つまりはUMAの話……。まさか神裂とかが退治するよーな怪物か?」
「どうかな? とりあえず生息地から行くよー。ニンキナンカはアフリカのとある小国の沼地に居ると言われているんだよ」
「とある小国? 国名うやむやにする理由がワカラナイぞ……」
「それは大人の事情、ってことでご容赦願うんだよ。ちなみにニンキナンカとは現地の言葉で悪魔の竜って意味みたい」
「今更ラノベとかで使うには躊躇するくらいベッタベタでコッテコテだな……。にしても、あんまりお前も詳しくないみたいだけど?」
「あ、うん。ニンキナンカの情報はネットの掲示板に来てた質問丸写しだから……。信憑性薄いけど気にしないで欲しいかも」
「掲示板ってお前が暇つぶしでオカルトと宗教の質問に答えるってアレか。学園都市に住んでてオカルトに走るってコトは…」
「質問者はティアーズインヘブンって人だね。いつも内容が突拍子も無くて面白いから楽しませてもらってるんだよ」
「ふーん。まあそういうことなら深く追求しねーよ」
「ありがと、じゃあ続けるね。……悪魔の竜、ニンキナンカは全長50メートル幅1メートル。たてがみを持ちウロコに覆われた…」
「はいっ、オカシなコト言いましたー! 全長50メートルもあんのに幅1メートルって細すぎだろ!!」
「だって沼地に棲んでるから仕方ないんだよ。普通のワニみたいな比率だと水深20メートルの沼とかじゃないとダメでしょ?」
「確かにその深さならもう沼じゃないけど、明らかに設定が後付けじゃねーか。未確認生物にツッコんでも詮無いけどさ」
「まだまだツッコミドコロは沢山あるけどね。この怪物は四本の脚と翼を持ち、口からは炎を吐くってウワサも有るんだよ」
「翼とか炎とかは最早手遅れだけど、脚ってなんだ? 50メートルをどうやって支えるイメージで設定したの?」
「なんでこんないい加減なスペックかと言うと、目撃情報が少ないからだよ。今まで確認されたのはつい最近のたった一件なの」
「つまり一人しか見たことが無いのか? じゃあ見間違いとか、最悪ウソって可能性も否定出来ないぞ……」
「でも現地の伝説上の生き物だよ? その伝承によると『ニンキナンカを見た者は死ぬ』から誰も探したがらないんだけど」
「ちょっ、何度ツッコませれば気が済みますかアナタはっ!? 見たら死ぬなら目撃者が居るのオカシイじゃねーかっ!」
「さっきの人は不思議な木の実を食べたから大丈夫なんだってさ。危ないところだったかも」 ヨカッタネ
「いやいやいや、最初っから最後までムチャクチャにも程があるぞ……。大体、そんな話を周りの連中は信じんのかよ?」
「当然かも。だってこの国は今日でも、現大統領の身内が呪われたって理由で隣国の呪術師に魔女狩りさせてるんだよ?」
「か、か、カルチャーショックってこういうことか。とても現代の事件とは思えない……、ってか本当の話とは思えない」
「そんなんでホントの魔女が捕まるわけないのにね。という訳でドコまでホントかわかんないニンキナンカの話、おしまいっ!」
502 :
幻現
[saga sage]:2012/03/25(日) 11:03:06.03 ID:QZriQ74o0
「うむむ……………………、なーんてな。上条さんはバカだけど騙されっぱなしじゃありませんのことよ?」
「〜♪ 何のコトかな?」
「いみじくもインデックスは『ドコまでホントか』って言ったろ? アレ正しくは、『ドコがウソか』ってことじゃねーのか?」
「ふむふむ、意味は同じようで全然違うかも。……じゃあ、とうまは私の話のドコがウソだと思うのかな?」
「まず胡散臭い怪物の話だけど、コレの真偽はどうでもイイ。この話のキモは『目撃者がたった一人』ってことだった」
「そのココロは?」
「だから、ソイツが語る怪物の姿はそのまま真実として扱われた。つまり今日のお前の話が最初からウソだってコトを…」
「んー……、端折り過ぎかも。どんな素晴らしい内容も、ちゃんと順を追って説明しないと他人には伝わらないんだよ?」
「そりゃ正論だけど……、苦手なんだよな。結論だけガァーッって叫んで後は聞き手に解釈してもらうほうが楽だし」
「どうしようもなくズボラだね、知ってたけど」
「でもまあ一応やってみるよ。
……、まずなによりお前と御坂の電話は違和感だらけだった。
○ケータイ知識の無いお前はリダイヤルだの電話帳機能だの使えるはずがない。なのにどうやって電話を掛けたのか?
○直前にオレは繋がらなかったのに何故お前は通話できたのか?
○オレの知る限りお前と御坂はそれほど親密じゃない。にしては会話の様子がフレンドリー過ぎた。
○御坂はオレと会話したいと言わなかったそうだが……、それならオレのケータイからの着信の時点で無視するはず。
○極めつけが伝言。お前は『一言一句違えず』伝えると約束した。それで『〜を聞いてほしいかも』? まんまお前の口調だろ!
……で、挙句にオレと通話させることなく電話を切った。
そこへ来てさっきのニンキナンカだっけ? お世辞にも完成度も説得力も足りてるとは言えない低品質オカルトだったよな。
ホントにそんな伝承があんのか、お前の掲示板にホントにそんな質問が来てたのか。……んなコトは実はどうでもいい。
アレの主眼はさっきも言ったが『確認者は一人だけ』ってトコなんだろ?
そう。ニンキナンカも御坂との会話も、確認したのは一人だけなんだ。つまりお前は胡散臭い怪物の話を通じて
さっきの電話が実は一人芝居だった事実を暗に示していたんじゃねーのか?」
「ふーん。頑張って推理したことだけは褒めてもいいけど、それじゃ答えにならないかも。例えば私はなんでそんなことしたの?」
「なんでって、そりゃ……。ウソついたことをバラして、ドッキリでした的展開に…」
「ソレで私に何の得があるのかな??? あと、短髪に電話できるはずが無いって言ったけど、完全記憶能力を忘れてない?」
「……、電話番号を教えたとかそんな覚えはない。確かにお前なら何かの拍子でチラッと見ただけで充分なんだろうが…」
「そして根源的な話になるけど、確認者が一人なのは怪物や電話だけじゃないもん。短髪の訪問だってそうじゃないかな?」
「へっ? いや、そりゃ確かに応対したのはオレだけだけど…」
「それってホント? 短髪は実際にお土産を持って訪ねてきたのかな? とうまの勘違いって可能性はゼロなのかな?」
「なっ、バカ言うなよ! 実際にケーキやゼリーが……、無い。いや、んなワケあるはずが……、あれーーー???」
「ウソって軸が複数になると当事者だけじゃ立証不能になるよね。PiPiPi……、とうま、短髪に電話掛けたけど、お話する?」
「……もしコレが御坂と繋がっていたら話は全部ホント……、いやそんなはず無い。けど……、わかんねーーー!!!」
503 :
幻現
[saga sage]:2012/03/25(日) 11:07:32.48 ID:QZriQ74o0
☆
白井「お姉様、電話どなたからでしたの?」
御坂「んー? 間違い電話。……って言うか、いちいち人の電話まで詮索しないでよ」
初春「今更ですけど、本気でウザがられるくらい白井さんは御坂さんのことが大好きなんですねー」
佐天「だね。……聞いたことあったかもですけど、やっぱり一目惚れなんですか?」
白井「とんでもない。一目惚れとは所詮、対象の容姿だけに惹かれることですの。そうではなくわたくしはお姉様の内面に…」
御坂「そんなこと言うクセにアンタ、私のママ……、母親に会った時だっておかしくなってたじゃないの」
白井「あの時は確かに不徳の至り。ですけど、あのお姉様オーラ大インフレを前にして黒子に耐えろと仰る方がムリですの」
初春「オーラってよく判りませんが、白井さんは御坂さんの御坂さんらしさに惹かれているって事でしょうか……?」
佐天「ほうほう。となると、仮に御坂さんそっくりで、従順で、しかも白井さんを慕う女子が現れても白井さん的には関係ない?」
御坂「いっ……!?」
初春「興味深い思考実験ですね。どうですか白井さん?」
白井「何度も申し上げますけれど、わたくしが惹かれているのはお姉様という人間ですの。ガワなど些細なことですのよ」
御坂「……へーっ。じゃ、じゃさ私からも聞いていい? 例えば第五位の精神攻撃で私がアンタに深い好意を持っちゃったとして」
初春「あー。さらっと今、御坂さんが白井さんに好意を持つ事はマインドコントロールでもされなきゃありえないって言ってますね」
白井「おっ……、お姉様。それはあんまりですの」 ドヨン
御坂「いいから聞きなさい! 私が、間違いなく本人がアンタを、あ、愛してるって状況になったら……、どうすんの?」
佐天「そんなことが出来ちゃう能力者がいるって知ってはいたけど、想像するとヤッパリちょっと怖いなあ……」
初春「まあ現実問題、知らないだけで人間は心を他人に操られながら日々生きてるんですけどね。とか言ってみたり」
御坂「なにそれ怖い。……で、黒子。答えは決まった?」
白井「そんなの考えるまでもありませんわ。……当然、あの女を倒しお姉様を即刻元に戻せと命じますの」
佐天「おおおっ! 意外と言うか王道というか……。白井さんとしては当たり前なんでしょうけど、カッコイイですよ!」
初春「白井さん、それ本気ですか? 一口くらいつまみ食いしようとか絶対思わないですか?」
白井「初春、これ以上わたくしを侮辱する言葉を放つのでしたらそこの警備ロボットと一体化させますわよ?」
御坂「まあまあ、冗談を本気で怒らないであげてよ。……、私の質問もちょっとイジワルだったし。ゴメンね?」
504 :
幻現
[saga sage]:2012/03/25(日) 11:13:12.62 ID:QZriQ74o0
佐天「ん〜……ところで、さすがに精神を操ったり幻覚を見せたりするおさかなって、居ませんよね?」
御坂「そうねえ……。ちょっと違うかも知れないけど、汚い川で見かけるハリガネムシはそんな感じかな」
白井「ハラビロカマキリなどに寄生する黒くて細長い虫……、類線虫というのでしたっけ? 割と名前は知られてるのでは」
初春「知らない方には『物凄く長い髪の毛、それもぶっとい剛毛がウネウネしてるような生き物』って教えてあげましょう」
御坂「ウネウネ動く髪の毛って……、黒子じゃあるまいし。まあ確かに体表をキューティクルで包んでるんだけど」 キモチワルイ
白井「今日のお姉様は黒子に厳しい気がいたしますの。それはともかくこの生き物、名前の通りに硬いんですのよね?」
初春「ハサミで切れないとか聞きますがそれは干からびた末の話で、生きてるうちは太い髪の毛みたいな手触りらしいですよ」
佐天「なんでそんなに髪の毛を押してくるんだい……。ひょっとして黒髪ストレートなあたしへの精神攻撃?」
御坂「茶色や白っぽいヤツもいるけどね。で、実はハリガネムシは別にカマキリ専門の寄生虫じゃないのよ」
白井「そもそも最初にお姉様が仰いましたがこれは基本的に水生生物ですの。当然、寄生先は水棲昆虫などですわね」
初春「えーっと……。カゲロウとかヤゴとかが水と一緒に彼らの幼虫を飲み込んで、体内で育ててしまうハメになるみたいです」
佐天「ふむ。カマキリがその宿主を食べちゃって寄生先が代わるってことか……。って一緒に食べられるのに死なないの?」
御坂「ハリガネムシは他の寄生虫に比べて、宿主と運命共同体って感じじゃないらしいのよね」
白井「宿主が攻撃を受けその身に危険が迫るとみるや、パパッと宿主の体内から脱出する術を有しておりますのよ」
初春「捕食者によって深刻なダメージを受ける前にこっそりそっちの体内へ移動しちゃうんです。まさしく神業です」
佐天「厄介なヤツですね……。ちなみにソイツに寄生されると何か特別な害があったりしちゃったり?」
白井「まず、寄生虫は宿主の養分で育つわけですから当然その害がありますの。あと生殖機能を奪われるようですわね」
御坂「そして本題なんだけど、夏から秋に掛けての川岸にはなぜか沢山のハラビロカマキリがいるのよ」
初春「川岸というか川の中にも、ですよね。数多くのカマキリが投身自殺をしに水辺にやってくるんです」
佐天「穏やかじゃないねえ……。それってハリガネムシが水中に帰りたくてカマキリを操って水辺に連れてきたってことですか?」
御坂「んー、そこは明らかになってないのよ。ウネウネ虫に宿主の脳を支配して行動を制御するような知能があるはずないし」
初春「寄生されたカマキリの脳から特殊なタンパク質が発見されていて、これが行動制御の素かも? なんて噂もありますけど」
白井「確かなのは不自然な数の、それも寄生されたカマキリばかりが暑い最中に水辺に来る……、ということだけですの」
佐天「何がどうなって、ってのが判らないのが一番怖いですね……。しかしホント、今日の話はキモかったなー」
白井「ま、わたくしが仮にお姉様の体内に寄生するなら精神の乗っ取りなどではなく真の合体を目指すでしょうけど」
御坂「黒子……、アンタがそんな言い方したら妙に生々しいから止めなさい。冗談抜きで寒気がするわ」 マジデ
505 :
幻現
[saga sage]:2012/03/25(日) 11:17:52.55 ID:QZriQ74o0
☆
打ち止め「ねえねえ、今更こんなことを聞くのもなんなんだけどおさかなって泳ぐの上手だよねってミサカはミサカは言ってみる」
一方通行「……そンな常識を真顔で聞けるオマエの度胸は大したモンだが……、質問の趣旨は何だよ?」
打ち止め「あのね? ヒトに比べておさかなの筋肉ってそんなに多く無いのになんであんなに早く泳げるのかなって」
一方通行「……種類ごとで違うが、例えばマグロの筋肉量は体重比で60%以上じゃなかったか? ヒトは40%程度だが」
打ち止め「えっ……。それはちょっと誤算だったかも、とミサカはミサカは今日の話の展開に迷子ってみたり」 アワアワ
一方通行「ンだァ? つまり筋肉量が同程度の魚が何故ヒトよりもずっと速く泳げンのか、で話を進めりゃイイのか?」
打ち止め「なんとかなるならお願いしたい! ってミサカはミサカは不手際を陳謝しつつ頭を下げてみたり」
一方通行「まァイイ、傍でずっと落ち込まれてもウゼェだけだしな。で、ヒトと同程度の筋肉量の魚と言えば……、ギンダラか?」
打ち止め「ここでの魚は何でも構わないけど、とにかくその子は人間よりずっと速く泳げるよね。どうしてなのかな?」
一方通行「投遣りな質問だなオイ……。答えは体型が泳ぎに適してるとか、殆どの筋肉を泳ぐ為に使えるとか、その辺だ」
打ち止め「だよね。じゃあ、ヒトが生身の力で彼らに泳ぎで勝つにはどうしたらいいかな? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
一方通行「コレが本題かよ。確認だが生身ってのは能力や、あー……、その他モロモロも使わずガチって意味だよな?」
打ち止め「うんうん。ちなみに人類最速と魚類最速ではどのくらいの差があるのかな? とミサカはミサカは確認しておく」
一方通行「人間はせいぜい秒速2メートル程度だろ? 最速の魚については以前オマエが調べてなかったか」
打ち止め「えーと……、いろんな最強魚の話の時だっけ。たぶん無難にバショウカジキ(120km/h)って言ったような」
一方通行「その説を採ると、秒速33メートル以上か? ……、世界が違い過ぎンな」
打ち止め「でも普通のおさかなの泳ぐスピードはそこまで速く無いはず。さっきのギンダラとかなら何とかならないかなあ?」
一方通行「……、ムリだろォな。何故って底魚なヤツらが本気で泳ぐコトは稀だが、スタートダッシュはマグロと大差ねェからな」
打ち止め「むむ……、足ヒレ付けてもパドル付けてもダメ? とミサカはミサカは再度確認してみたり」
一方通行「ンな付け焼刃でどォにかなるワケねェだろ。大体、ヒトはその非力を嘆けばこそ進歩してきた生物じゃねェか」
打ち止め「進歩って科学技術だよね。んー……でもでもさ、なんかモーターとかエンジンとかロケットは夢が無いっていうか……」
一方通行「そのセリフ、この街の科学者が聞いたら泣くぞ。ファイブオーバーシリーズって知ってンだろ?」
打ち止め「純粋な工学技術で素になった能力を超える、とかご大層なお題目を掲げた実益皆無なガラクタだよね」
一方通行「あァ。能力者の発想は従来の常識では到底辿り着けないモンらしく、全く新しい技術へ繋がるカギだとか言って」
506 :
幻現
[saga sage]:2012/03/25(日) 11:22:58.13 ID:QZriQ74o0
打ち止め「そんな思想があるのに、お姉様を単なる大火力、色々非現実的なゲテモノで超えようとしたのが全然意味不明だよ」
一方通行「まァな。機械に能力が扱えない以上あのシリーズは全て、モーターで魚を超えたって言い張ってるだけだからなァ」
打ち止め「それも普段ゆったり泳いでる魚を最高級モーターから火を噴くほど酷使してやっと、でしょ? 正直バカだよね」
一方通行「そォいやオマエは本来研究者嫌いだったな。っと、他にもモデルケース・メンタルアウトなンてのもあるよォだが…」
打ち止め「それだって、能力者と全く違う方式なのに能力者名を利用するから誤解されるんだよ、とミサカはミサカは憤ってみる」
一方通行「威力や効果で超えるってコトが目的になっちまって、新発想の獲得って意図が消えちまってンだよな……」
打ち止め「本来の意味でお姉様の技術を活用したかったら、大電流が使えるってトコをもっと掘り下げなくちゃダメだよ」 プンプン
一方通行「カビで幻覚を発生させるって派生研究もあるが、使えるヤツがごく限られる工学なンざ青カビほどの意味もねェよな」
打ち止め「ふぅ〜……、それで何の話をしてたんだっけ? とミサカはミサカはちょっとスッキリしたので素に戻ってみたり」
一方通行「……、魚よりずっと速ェ?」
打ち止め「そうだった! でもどうやら不可能みたいだから話題変更して……、幻覚なおさかな。……居るかな?」
一方通行「脳を操るって話になりゃ難しいが、目眩し程度なら有名なのが2種類居ンじゃねェか。タコとイカだ」
打ち止め「エー? ……墨を吐くだけでしょ? とミサカはミサカは骨の無いヤツらをあからさまに見くびってみたり」
一方通行「軟体動物ナメンなクソガキ。ンじゃ聞くが、両者の墨の決定的な違いを知ってンのか? あァ!?」
打ち止め「なんかそれ聞いたことある気がする、ってミサカはミサカは記憶と言う名のネットワークに旅してみたり」
一方通行「……、ンじゃその間にテキトーに解説しておく。さっさと思い出さねェとオレが答えちまうからな?」
一方通行「イカとタコは頭足綱ってカテゴリに属する割と近縁なヤツラだ。脚が多いとか吸盤が有るとか共通点も多いよな?
墨を吐くのもそのひとつなンだが、どっちの墨も生物由来の暗色色素として馴染み深いメラニンが素になってる。
余談だがメラニンには黒褐色の真性メラニンと橙赤色の亜メラニンがありヒトの髪の色もこの二種の配合で決まる。
当然、墨は真性メラニンで出来てンだが特にコイツらの場合にはセピオメラニンって呼ぶらしい。
セピア色っつーコトか? 常識だが”sepia”ってのはコウイカの学名で、セピア色ってのはイカ墨色を指すからな。
またイカもタコも共通して墨は漏斗っつー、噴射器官から放出される。アレは口じゃねェから間違えンなよ?」
打ち止め「ふむふむ。メラニンが足りないあなたにはちょっと羨ましい生き物だったりする?」
一方通行「クダらねェコト言ってるヒマがあンのか? 両者の墨の違いが解ったンならさっさと答えてみろ」
打ち止め「あと一分……、ミサカにあと一分だけ時間を下さい、ってミサカはミサカは最後のお願いをしてみたり」
一方通行「ほォ……、60秒だな? 待ってやるが、発言には責任を持てよクソガキ」
507 :
幻現
[saga sage]:2012/03/25(日) 11:28:08.33 ID:QZriQ74o0
一方通行「ンじゃ、その間にもう少し余談を。
イカ墨は食材としても有名だがタコ墨料理は聞かれない。タコ墨はマズいからって噂があるがそりゃ間違いだ。
旨み成分を比較するとタコ墨のほうがイカ墨よりもずっと多いンだからな。
試しにタコ墨でパスタを作ってみたら思いのほか美味だった、なンて実験したテレビ番組もあったほどだ。
そンなタコ墨が料理にあまり使われない理由は………………、どォだ? そろそろ思い出したかよ?」
打ち止め「うん。とりあえず……、イカ墨は粘っこくてタコ墨はさらっとしてるのってミサカはミサカは情報を小出しにしてみる」
一方通行「そォだ。粘り気がイカ墨の真骨頂。パスタなどに良く絡み色効果も風味付けにも都合がイイ」
打ち止め「逆にさらっとしてるタコ墨は効率が悪いってことになるよね。つけ麺のタレと普通のラーメンスープって感じ?」
一方通行「ちょっと語弊はあるが、まァそンなトコか。粘性の違いはセピオメラニンに何がくっついてるかの違いと思っとけ」
打ち止め「次に量が違う。イカの墨は同程度の体重のタコに比べて多いの、とミサカはミサカは論じてみる」
一方通行「種によって様々だが、概ね正解だ。コレも料理にタコ墨が使われない理由のひとつだな」
打ち止め「ほんのちょっとしか無い上に、タコの墨袋はイカと違って取り出しにくいんだってさ」
一方通行「イカの墨袋はバラせば一目瞭然、デカイ内蔵にへばり付いてる黒い筋だ。タコのは消化管の最後端付近にあンな」
打ち止め「そして使い方もちょっと違う。どちらも主に外敵に襲われたときに墨を吐くんだけど…」
一方通行「つまり逃走の為だが、墨の質の差が意味の差になる」
打ち止め「うん。タコの墨はさらっと少量。海中に噴出されると広範囲に展開され煙幕として機能するの」
一方通行「イカ墨はドロっと大量。噴出された墨はある程度の硬さを持ったカタマリとなり、本体の身代わりになるとされる」
打ち止め「タコは墨を吐いて相手が怯んだ隙に逃げて、イカは墨を吐いて相手が分身に気を取られてる内に逃げるんだね」
一方通行「当然、例外もある。たとえば有毒成分が多く含まれる墨の場合は攻撃手段にも成り得るだろ?」
打ち止め「あと、深海のタコは煙幕の意味が無いから墨を吐かないんだって、とミサカはミサカは当たり前のことを言ってみた」
一方通行「深海のイカには逆に発光バクテリア入りの墨を吐いて眩しさで敵を脅かすヤツも居るンだとよ」
番外個体「あーのさーあ。長々と話してっトコ悪いけど、結局イカとタコのドコが幻術使いなワケ? ミサカ全然わかんねーっす」
一方通行「うるせェな。イカのは立派な影分身だし、タコのは視覚と嗅覚を同時に奪う文字通りの幻惑技じゃねェかよ」
芳川桔梗「……、あなたたちが起こすような超常現象を現実に置き換えると……しょっぱく聞こえるのは仕方が無いのよ」
打ち止め「ファイブオーバーが名前負けしてるのと同じで? とミサカはミサカはしつこさと厳しさと心苦しさを表明してみる」
芳川桔梗「あのシリーズについては元の目的から現在の思想に至るまで、真実は語られていない気もするのだけれど……」
番外個体「まあ研究者崩れがそう擁護せざるを得ないくらい、明らかな失敗って事だがね」
一方通行「オマエもムダにキツいな……。オレはモデルケース・アクセラレータを勝手に作られよォが気にならねェと思うぜ?」
番外個体「ほぉー、オマエさんの顔写真がプリントしてある戦車とか想像してみろよ? もちろん幼女センサー搭載だよん」
一方通行「……、欠片もオレの能力の要素が無いだろォ。だが、オマエらからすりゃ現状も似たよォなモンってコトか」
〜おしまい〜
508 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2012/03/25(日) 12:24:15.09 ID:QZriQ74o0
以上、第三十七回「幻現」でした。今回全部オチが弱いって? それは幻覚です。
第一パートは・・・妄言の中でしか語られなかった協力機関の妹達の安否情報って結局ウソなの? って感想と
ニンキナンカの語感を交差させたらワケがわからなくなった、そんな感じです。
第二パート、カマキリを水に漬けるとお尻からにゅるっと、時には3匹とか出てくるハリガネムシ。
馴染みの水場の水面にコイツが浮いてると少々残念な気持ちになります。
第三パート序盤、魚の泳ぐ速さの話題。バショウカジキ(120km/h)のように調べると色んな数字が出てきますが
実のトコ、これらはかなりテキトー(適当ではなく)な推察ではじき出されてます。
本気で泳ぐ魚を観察する機会なんてそうはないし、運良く高速で泳ぐ魚を見れたとして、それが本気だと言える根拠もない。
そもそも中層やら深海やらに棲む魚種の場合は生態を観察すること自体が非常に困難。
じゃ今ある数字は一体どうやって計算したかと言うと
釣りしてて一秒間に持っていかれた糸の長さ、とか船を追い越す感じから目測で、とか・・・ガッカリな方法だったりします。
そんなわけで、幻覚とか精神とかムリにおさかなに組み込もうとするから・・・とか後悔しつつ今日はこの辺で。ではではまたー
509 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/25(日) 14:21:41.96 ID:2EkXypGAO
乙。
510 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大分県)
[sage]:2012/03/25(日) 16:21:00.83 ID:eFnPr6n20
乙です
511 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/03/25(日) 16:28:53.30 ID:HCbpvW7uo
乙です
あとカマキリが持ってるのははしご状神経節で脳じゃないと思ったり
512 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/25(日) 17:49:53.67 ID:cHcn8bMDO
レウコクロリディウムに寄生されたカタツムリは明るい場所に行きたがる、
みたいな話も聞くけど
どうやって操ってんのかねー
「レウコクロリディウムって何?」とか思ったヤツは
絶対に画像検索したりしちゃダメだぞ
動画とかも見ちゃダメだからな
絶対にだぞ
513 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/25(日) 19:33:07.98 ID:rTKQkEqB0
乙です!
>>512
俺は画像を見ただけだがトラウマになった……ウゲェ
514 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2012/03/26(月) 12:15:24.24 ID:IR0gKdZv0
>>511
ご指摘感謝です。そして誤解を招く書き方をしまして申し訳ありません。これは説明しないとですね。
問題は、第二パートに出てくる『カマキリの脳』って言い回し。コレがどうダメなのかと言うと・・・
脊椎動物と昆虫では中枢神経系が全く異質で、その意味でカマキリにはヒトなどの脳に相当する部位がありません。
禁書的に言うと、能力者が魔力を消費せず魔術師に演算の必要が無いのと同様、カマキリには脳が無いのです。
はしご形神経系とか体節制とか管状神経系とか、マジメに勉強したい方はその辺りを調べてみるといいかもです。
ただし「脳」と系統発生的には別物だけど似た働きを持つ、昆虫などの頭部神経節を指して脳と呼ぶ場合もあります。
必ずしも正しい用法じゃないのは前述の通り。使いどころには気を付けなくてはいけません。
あくまでバテた能力者の放つ「もうMPスッカラカンよ」って軽口程度の次元であれば、カマキリには脳があるのです。
なのでお手数ですが作中で彼女たちはこれらを承知の上、あえてお気楽に『カマキリの脳』と言ったと・・・
もしくは『カマキリの脳〜』という箇所は『カマキリの脳(いわゆる脳神経節)〜』と言っているのだと・・・
まことに勝手ながらそう解釈してくださいませ。あくまで間違えたのは私だけ、ってことでどうかひとつ。
このように文句や注意を戴きますと、海より深く反省しつつ結構嬉しかったりします。
今後もお気づきの点は情報、内容問わずツッコんでみてください。たまに長々と言い訳するかもしれません。
というわけで、繰り返しですが今回は本当に申し訳ありませんでした。そしてありがとうございました。ではまたー
515 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2012/03/26(月) 16:15:26.40 ID:FhEwNrQAO
>>512
鳥の体内で卵を産み、幼虫を鳥のフンに潜ませ、近づいたカタツムリに寄生させるあいつか
だいぶ前にテレビで見たことあるな
516 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/27(火) 07:16:44.66 ID:5VxkQEMDO
そういや深海魚ってアンコウとリュウグウノツカイくらいしかやってないよな?
結構変なやつ多いし、取り上げてもらえたら嬉しいかも
517 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2012/03/29(木) 20:26:59.48 ID:4q9ID7HZ0
最初の感じが失われすぎかなー、とふと思ったおさかな話。ので今回はテイストを戻してみたのですけど・・・
そんなわけで今回のテーマは「回顧」。第二パートの登場キャラが違う理由は特にないです本当です。ではどうぞ
518 :
回顧
[saga sage]:2012/03/29(木) 20:28:28.82 ID:4q9ID7HZ0
☆
「なあインデックス、ガムシって知ってるか?」
「とうま? 今日はまた随分素直な質問だね。そして当然知ってるんだよ。なにしろ一応、ギリギリ水生昆虫だもん」
「一応とかギリギリとか……、そんなにパッとしない虫だったっけ? 正直オレは名前しか知らなくてさ」
「んとね、川とか池とかじゃなくて、水溜りで遊ぶ子供にはハズレな虫としてお馴染みだった子なんだよ」
「ハズレ? そりゃまたいったいどういう意味だよ?」
「水溜りには季節によって色んな生き物が来ることがあるでしょ?」
「現代の水溜りのコトじゃなくて、ちょっと昔の田舎の話か。例えばカエルが産卵したり水棲カメムシ類が飛んできたり」
「そうそう。かつては結構当たり前の光景だったんだよ……、実際には知らないけど」
「昭和は遠くなりにけりだな。当然、上条さんもそんな経験はしてない……、はずだ」
「まあそれはそうと、当時の子供たちは水溜りにやってくる生き物にランク付けするのが慣例だったみたい」
「ほほう。まあ現代の大人だって、釣りに行ってヒットしたら嬉しい魚もそうじゃないのもいるよな。そこは分る気がする」
「釣りで言うと大物って価値が高いよね。そんな感じで水溜りの生き物も種類やサイズをシビアに査定されていたの」
「そんな中、ガムシはハズレ扱いだったと。一体どんな虫なんだよ?」
「外観は、えーと……、ツルツルなコガネムシというか……」
「ん? 水の中でコガネムシみたいなヤツって、そりゃつまりアレじゃないか? えーと……、ゲンゴロウ?」
「そう、ガムシは人気者ゲンゴロウと良く間違えられるの。それがハズレな虫たる由縁のひとつなんだよ」
「ランクが絡んでくるワケか。ゲンゴロウは高ランクでガムシは低ランク。しかもよく似てるからガッカリが起きやすいと」
「更に、水溜りで見られるガムシの仲間は大粒アーモンドチョコみたいな大きさなの。もしゲンゴロウなら特Aランクくらいのね」
「水生昆虫にそれほど詳しく無い子供が『でっけーゲンゴロウ捕まえたー!』って大喜びしてるとこを、ハカセ役がツッコむのか」
「そだね。『ぷぷぷっ。喜んでるトコ悪いけど、それハズレですからー』とか。そうしてみんな大人の階段を一歩昇ったのかも」
「まあ子供はそれでいいとしても、ガムシは不憫だなあ。ほとんどゲンゴロウと変わらない虫なんだろ?」
「細かい違いはあるんだよ。ゲンゴロウより獲物を捕まえるのも泳ぐのも下手だし、ゲンゴロウと違って肉食傾向は強くないし」
「ふーん。そういえばゲンゴロウはハンミョウやマイマイカブリみたいな肉食昆虫の仲間だったな。ガムシは何に近いんだ?」
「分類が難しい虫だけど、一番近いのはエンマムシかな? あとダイコクコガネとか……、俗に言うクソムシの仲間かも」
「クソムシって……、いや、うん。子供の世界じゃその名前だけでも嫌われて仕方がないな」
「それもハカセな子が皆に教えるのかもね。いつの時代も子供は無邪気で残酷なんだよ」
519 :
回顧
[saga sage]:2012/03/29(木) 20:30:01.99 ID:4q9ID7HZ0
☆
結標「スッポンってね、首がみょんみょんと自分の背中まで伸びるの。うかつに甲羅を持ったら噛まれちゃうから気を付けなさい」
結標「そうじゃなくて後ろから。お尻のほうから掴んであげれば噛まれる心配はないわよ」
結標「臆病なカメだから、目の前に手を持っていくのも危ないの。頭がぎゅーんと伸びてガブリっとなっちゃうんだから」
結標「もし万が一噛まれた時、ムリに引き抜こうとすればより傷口が深くなるだけ。とりあえず落ち着くのが大事ね」
結標「俗に『雷が鳴るまで絶対離さない』なんて言うけど、水に戻してあげれば大抵の場合すぐに噛むのを止めてくれる筈よ」
結標「さっきも言ったけどスッポンは臆病なの。怖い相手に噛み付いてるより水中に逃げたほうが安心だからかしらね」
結標「だーから、持ち方に気を付ければ全然平気だってば。うん、そりゃメダカや金魚に比べたら危険度は高いけれども」
結標「えっ……? ふふっ、意外とあなたも怖がりなのね。……、それならとっておきの方法があるわ」
結標「日本のスッポンの成体は甲羅の長さが30cmくらいが標準的なの。そのサイズなら当然頭も大きくて噛む力は強い」
結標「最初からそんなのを飼おうとしたら誰だって怖いわ。首の伸ばした姿は女の子には暴力的に過ぎるしね」
結標「他のカメに比べて陸の上でも水の中でも俊敏で活発だから、飼い主がスッポンに慣れてないと手に余っちゃうかも」
結標「そうそう、だからね? とっておきと言うのは子ガメから飼育を始めることなのよ」
結標「子ガメってどのくらいの子ガメかって? んー……、お腹側がオレンジ色で黒い模様がある、生後数ヶ月の子かしら?」
結標「サイズは5cm未満。それなら頭だってあなたの小指の先よりずっとちっちゃくてカワイイものよ?」
結標「スッポンの甲羅は角質化してないから全体がふにゃふにゃしてるの。そのお陰で他のカメより体重が軽く動きが速いわ」
結標「想像してみて? 水槽の中でちっちゃなスッポンがワシャワシャと元気に動き回る様子を!」
結標「息継ぎの時なんか、めいっぱい首を伸ばして脚をバタバタさせながら子供の証の黒斑点を見せ付けてくれるのよ?」
結標「首の伸び縮みで空気を肺に送る呼吸法の為の動作なんだけど、正直あの姿は誘ってるようにしか見えないわ」
結標「でも、怖がり屋さんだから人が水槽に近づくと水底に戻っちゃうの。エサを食べる姿とか観察するのは至難の業ね」
結標「その意味でも、飼い主とスッポンの双方が慣れていける子ガメからの飼育。オススメよ?」
結標「あら、どうして? ……、良く判らないわね? ミドリガメに比べたら甲羅の違いの分ずっと軽くて世話もしやすいのに?」
結標「確かに子ガメは病気やケガに弱いけど、普通に魚を飼ってる人ならスッポンは難易度の低い部類よ?」
結標「理解が遅いわねえ、尻尾のアレは総排泄腔。いろんな夢が詰まって飛び出すステキな……、大事なモノだわ」
結標「……、まだ文句があるって言うの? …………そ、それは、それは生き物だもの。当然、悲しいけど成長するわよ?」
結標「最初の一年で10cm……、冬眠させないようにしてたら15cm以上になってしまうかもしれないけど」
結標「ワンパクな、大事な息子がむくむく成長していく。そして自分の手を離れていく喜びを疑似体験するみたいな感じが…」
結標「最高の一瞬をともに過ごしてあげられた奇跡、その価値を不出来なあなたは想像出来ないのかしら??」
結標「……残念ね、でも私は諦めないわ。……、スッポンみたいにしつこい? 褒め言葉のセンスは悪くないわね」
520 :
回顧
[saga sage]:2012/03/29(木) 20:32:23.88 ID:4q9ID7HZ0
☆
打ち止め「けろっけろっけろっ ふふふふんふーん♪ とミサカはミサカは今日のテーマを匂わせつつ登場してみたり!」
一方通行「…………オマエなァ。今更だが、ヒトにモノを教わろうってヤツがそンなフザけた態度を…」
打ち止め「あなたがそんな常識的なコト言うのだって相当フザけてるんだし、気にしたらダメだよってミサカはミサカは…」
一方通行「チッ……、ンじゃ非常識なオレはオマエの頼みなンざ無視してやるよ。文句ねェよな?」
打ち止め「さ、流石は最強のヘリクツ王……。そんなあなたのお話が聞きたいな、とミサカはミサカはおねだりしてみるけど」
一方通行「………………」 シラー
打ち止め「むぅ……、コーヒーのおかわり欲しくない? とミサカはミサカはモノで釣れないか試してみたり」
一方通行「…………」 ポケー
打ち止め「……、そっか。どうしてもお話してくれる気が無いのなら仕方がないね、とミサカはミサカはモードを変更する」
一方通行「…………?」 ランルー
打ち止め「いつもミサカに楽しく説明してくれてるけど、実は面倒臭かったんでしょ? とミサカはミサカは手間の掛かる女」
一方通行「……、」
打ち止め「そりゃそうだよね。こんな最高にかわいいだけで他に価値の無いミサカなんてあなたには邪魔なんだろうし」
一方通行「……」 ウズウズ
打ち止め「お姉様も『腐れ外道に阿婆擦れ』ならアリ、って言ってたのにミサカはそうなるよう努力しなかったんだもん」
一方通行「……、意味のわからねェコト延々続けンじゃねェよ。何か話せば気が済むンなら話してやるから黙りやがれ!」
打ち止め「わーい、大成功! とミサカはミサカは無邪気さアピールで飛び回りつつ喜びを表現してみる!」
一方通行「フン、急くンじゃねェよ。言ったろ? オマエの質問に答える気はサラサラ無ェ」
打ち止め「えっ!? じゃあ今日は何の話をしてくれるの? ってミサカはミサカは興味津々であなたの言葉を待ってみたり」
一方通行「非常識な魚と、阿婆擦れな魚。オマエの選択でテーマが決まる。さて、気になンのはどっちだ?」
打ち止め「えっと……、んー……、どっちも聞いてみたいけど」
一方通行「選べねェのか。ンじゃ、テーマは邪魔なさかなで決定だ。覚えとけ……、チャンスの女神は後頭部がハゲてンだよ」
打ち止め「言ってることが良くわかんないけど、とにかく邪魔なおさかなの話なのねってミサカはミサカは理解してみたり」
521 :
回顧
[saga sage]:2012/03/29(木) 20:33:56.43 ID:4q9ID7HZ0
一方通行「生き物の姿ってのは主な生息地の環境に適応した、つまりそこで生活すンのに便利な形体であることが一般的だ」
打ち止め「ふむふむ。時には全然違う種類の生き物であっても似てきちゃうことがあるくらいだもんね。それで?」
一方通行「そして最善を突き詰めて求めるとしたら、即ち生物の外観は状況に関わらずシンプルになるハズだ」
打ち止め「説明すっ飛ばし過ぎだよ……。ざっくり言うと装飾過多は効率が悪いの、とミサカはミサカはフォローしてみる」
一方通行「例えば魚類だ。ドジョウ、ハゼ、サバ。この三種の姿を使えば大部分の魚種のスタイルを説明出来る」
打ち止め「えーと、ヒラメとかフグとかエイとか……、例外が数え切れないほどあるような」
一方通行「まァ……、本旨はソコじゃねェから深く追求すンな。結局、最適な姿ってのは単純なモデルに集中するンだよ」
打ち止め「常時泳ぐなら流線型なサバ、底魚であれば腹側が平らなハゼ、砂に潜り穴に潜むなら細いドジョウ……」
一方通行「ムダの無いヤツらだろ? パーツを含む体の造り全体が機能美とでも言うべき完成度に達してやがる」
打ち止め「ふむふむ。でもそれ美的センスの問題でもあるし断定は出来ないよ……、とミサカはミサカは要らぬ心配をしてみる」
一方通行「そォか? 不完全な生物と比較すりゃ誰でも同じ感想を持つンじゃねェの?」
打ち止め「……不完全? 洗練されて無いとか出来損ないとか?? そんなの生き物に掛けて良い言葉じゃないよ!!」
一方通行「今回は便宜的ってコトで聞き流せ。例えばクジラの仲間で、イッカクって知ってるだろ?」
打ち止め「……そりゃ、うん。長いツノを持ったオスの姿が有名な北極の海に棲んでる全長5mくらいの暴れん坊だよね」
一方通行「今オマエはツノっつったが、アレは牙だ。口の中から生えて歯肉や上アゴを突き破ってねじれながら伸びてンだから」
打ち止め「言い方が痛々しいね……。それで、オスだけがツノ……、牙が2m以上も伸びるってことにはどんな意味があるの?」
一方通行「明らかにはなってねェ。と言うより通常メスやガキには備わってねェ時点でそもそも必要性は無いはずだ」
打ち止め「ムダな装飾かあ……。成長段階で牙が肉を日に日に突き破って行けば感染症のリスクもきっと高いだろうに……」
一方通行「ただ、牙の長いオスは多くのメスを惹き付けンだと。オスっぽさの象徴としては機能してるのかも知れねェ」
打ち止め「ふむふむ。なんとなく、あなたの意図は判ったよ。そういう説明不能で理解できない生き物のお話をするんでしょ?」
一方通行「ンー……いや、まだイッカクの話止める気はねェぜ?」
打ち止め「そうなの? あ、いや、別に不満があるとかじゃないけど、ってミサカはミサカは慌てて取り繕ってみたり」
一方通行「今日はオマエの意見は聞かねェつったろ。好き勝手に解説してンだから茶々入れンじゃねェよ」
打ち止め「……、つまりスネてヒネてるのねってミサカはミサカは察しがいい子なので大人しく聞き手に徹してみたり」
522 :
回顧
[saga sage]:2012/03/29(木) 20:35:41.34 ID:4q9ID7HZ0
一方通行「好きに言っとけ。……さて、イッカクは不完全な造形のクジラっつー話。
牙を持ってンだから当然だがイッカクはハクジラ目、とりわけ小型クジラのグループに属する。
近縁にはベルーガ……、シロイルカやシロクジラって名前のほうが判るか?
牙の折れたイッカクをベルーガと見間違う程度には似てるらしい。
まァ、水族館の人気者と違ってイッカクは未だ謎の多いヤツではあるンだがな。
なにしろオマエも言ってたが、北極の海に棲むクジラだから実在の確認そのものだって遅かった。
公式には19世紀までUMA扱い、伝説の生き物だったンだと……。
現在でもソコへ行くだけで冒険になるよォな極寒地帯にしか居ないコイツを調査すンのは並の難易度ではなく、
故に様々なイメージを補完されて実態が語られている状態だと言ってイイだろォ」
打ち止め「……それって、悪く言えばデタラメ情報がいっぱいってこと? とミサカはミサカはクリティカルシンキングしてみたり」
一方通行「そォとも言える。例えば牙だが、かつてありゃオス同士の殺し合いの道具だと言われてた」
打ち止め「ネジれて尖ってるんだもん。しかもブンブン振り回してるんでしょ……、そう考えて当然だと思う」
一方通行「その他にも敵を追い払うための見せ掛け武器だとか、アンテナだとか、氷を穿つアイスピックだとか…」
打ち止め「なんとなく人間寄りな見方……。それで結局、正解っぽいのはオスがカッコつけるためのシンボルってだけなの?」
一方通行「イヤ、構造的に感覚器としての用を持つ可能性も指摘されてる。群れのボスにだけ意味がありそォな説だが…」
一方通行「イッカクは通常10頭程度の群れを作って行動すンだが、そこに明確なボスが居るかどォかは定かでは無い。
ただ、オスの牙は長いほどメスを惹き付けるって話をしたろ?
繁殖期には立派なモンを伸ばしたオスの周りにメスが群がって……、一種のハーレムが出来上がる。
ところでイッカクも水生生物である以上、空気中の様子は把握し難いよな? 温度や気圧、風の様子などだが。
仮にその手の情報を入手すりゃ海が荒れることを事前に感知したりエサのイカや魚の動きが予測可能だとすると
牙が感覚器の役目を果たすって説と同時に、長ければ長いほどメスが集まってくる理由に説明が付く。
つまり、水の外に出れないイッカクが牙を空に掲げることで空気中の情報を得てンじゃねェかと。
そォであれば牙の長さに比例して得られる情報量が違うコトになるよな?
群れで情報を共有すンなら、ゴミネタが数あっても邪魔なだけ。信頼出来ンのは最高のモノに限る。
なら最も牙の長いオスだけが正義になるワケで、モテて当然っつー……、コレもイメージに過ぎねェがな」
打ち止め「確かにソレが正しければ、ボス以外のオスの牙は無用の長物……とミサカはミサカはウマイこと言ってみた」
一方通行「ただただ邪魔だろォな。ちなみにイッカクの歯は二本。オスの牙じゃない歯とメスの歯は上あごに埋もれたままだ」
打ち止め「噛んだり切ったりな普通の歯としての役割は全然無いんだね。モテるオスにしか需要が無いかもしれないし…」
一方通行「稀に二本とも牙になったり、メスなのに牙が生える場合もある。極レアな二本牙のメスの報告例もある」
打ち止め「メスにモテモテのメス……。若しくは『オスなんか要らない、だってわたくしにも牙があるんですもの』……なメス?」
一方通行「その辺りは報告例の少なさから言ってイレギュラーであり、ソコに意味を求めても詮無ェだろォけどな」
523 :
回顧
[saga sage]:2012/03/29(木) 20:40:38.54 ID:4q9ID7HZ0
打ち止め「なるほどね、ってミサカはミサカは邪魔なさかなの話のはずがクジラに終始しちゃったことを反省してみたり」
一方通行「邪魔な牙を持つ水生生物、何も間違ってねェだろ。氷の浮かぶ海での移動に捕食に、常に邪魔になるンだからよ」
打ち止め「そりゃわかるけど……、改めてヒトに喩えれば上唇を突き破った長さ80cmの前歯だもん」
一方通行「役に立たないとかムダってレベルじゃねェ。明らかに大きなマイナスだな」
打ち止め「でも、イッカクは今日まで種を繋いできたワケで決して最適化に失敗してないよねとミサカはミサカは再確認してみる」
一方通行「潜水時間や深海への対応能力、クジラには珍しく頭を自由に振ることが出来る、など有用な特技も多いしな」
打ち止め「いつか今よりも研究が進んだらあの牙のホントの意味が判るかも? とミサカはミサカは期待を口にしてみたり」
一方通行「さァな? 大昔はあの牙、ユニコーンの角だとか衝撃の杖だって名目で高額取引されてたンだぜ?」
打ち止め「イッカクが実在してるのすら判らない時代に? ……えーと、漂着した骨を拾って、とかそういうことかな」
一方通行「入手方法はおそらくそォだろ。そしてイッカクって存在が知られてねェからこそ、その手の大法螺が通用したンだよ」
打ち止め「ふむふむ。奇妙にネジれた長くて硬い不思議なモノだし、説得力はあったんだろうね」
一方通行「外見の齎すイメージってのはバカに出来ねェからな……。ンで、現在は保護動物でありながら狩猟の対象でもある」
打ち止め「あー。普通は獲っちゃダメだけど伝統的な生活を維持してる一部のヒトに限っては獲ってもいいよってヤツかな?」
一方通行「そォなると、保護する人間と狩る人間でそれぞれに適したイメージが用意され対立が始まる」
打ち止め「……あの、この話題続けても大丈夫? とミサカはミサカは一抹の不安を拭いきれなかったり」
一方通行「関係ねェ。……、牙で殺しあうってのが否定されたのも今から考えれば平和的な動物アピールの一環かも、とかな」
打ち止め「あの……、いや……」
一方通行「つまり、個々人の思惑で先入観を植え付けられてる可能性が否定できない現状で、未来の分析なンざ…」
打ち止め「そこーーーーまでーーーーー!!! ってミサカはミサカは強制終了を掛けてみたり!」
一方通行「ンだよ? ココからが本題じゃねェか……」
打ち止め「まだ語り足りないの? とミサカはミサカはそんなにネタが有るなら次回に取っといてとお願いしてみたり」
一方通行「そォかよ。じゃ次回は頭から、不自然で邪魔にしか思えない形状の生き物の宝庫、をテーマに行かせてもらうぜ?」
打ち止め「ヘンな生き物がいっぱい居る場所……、深海? ってミサカはミサカは発言を読み解いてみたり」
一方通行「そォ。どンな説明不能生物を扱うかは秘密だがな」
芳川桔梗「中途半端な所で話を終えられるとオチがつけにくいのだけれども。待ってる身にもなって欲しいわね」
番外個体「ガキみたいにキレた勢いだけで喋ってたからなー。よーし、次回は邪魔しまくってやろーぜ」
〜おしまい〜
524 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2012/03/29(木) 21:02:36.95 ID:4q9ID7HZ0
以上、第三十八回「回顧」でした。補足と言い訳を少しだけ
スッポンは当たり前ですけど脚があるので、魚の水槽に入れるとインパクト大です。カワイイです。
ただ、知らないうちに小魚やエビを食べちゃうので単独飼育が基本です。
イッカク・・・牙の話だけで終わっちゃったけど、けどアレはスゴイもん。意味ワカンナイもん。補足にならないけど。
そんな軽めの回でしたが今日はこの辺で。ではではまたー
525 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/03/29(木) 21:15:07.04 ID:8FcVqTu1o
さすがにイッカクは獲ってこれなかったか
乙です
526 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
:2012/03/29(木) 22:12:44.60 ID:qzEMeShAO
為になるなあ
乙
527 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/30(金) 18:00:17.51 ID:8Xg9XZCWo
さかなさかなさかなー!
528 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/02(月) 22:41:22.32 ID:oaBmzCfFo
さかなーをーたべーるっとー
529 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/04(水) 18:43:16.02 ID:5jYBvwVDO
さかなさかなさかなー
530 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/04/05(木) 10:41:03.61 ID:Kk/Fpehno
さかなーがーよくーなるー!
531 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2012/04/11(水) 23:31:53.98 ID:DSDNV2np0
・・・何その暗黒星人進化説? とか何とか謎のメッセージから始まるおさかな話。今回も迷走してます。
第一パートの担当が上条さんとインデックスではなく謎の二人組なのでご注意を。
テーマは「ズレた」。 全然深い意味はありませんが、よろしければどうぞ
532 :
ズレた
[saga sage]:2012/04/11(水) 23:34:36.10 ID:DSDNV2np0
☆
「ボス? こりゃ一体なんですか」 スイソウ?
「見て判らないバカにわざわざ説明してやるほど私はヒマじゃない」
「あ、いえ……。そりゃ私にだってコレが物質的生物的に魚だってことは判りますよ。そうではなくてですね…」
「水槽と魚。ソレが理解出来ているのにまだ何か疑問があるような部下に存在価値は無い。リストラ対象だな」 カチャ
「わぁあああ、待ってくださいボス! リストラも大概ですけどその手に握られた正体不明のメカメカしい物体はヤバ過ぎてっ!」
「美しいカラクリだろう。ここをヒトの腕にザクッとするとだ、先端が血管に絡みつき徐々にクルクルと巻き取っていくそうだぞ?」
「どういう理屈で?? 循環系でパスタごっこして何が面白いんですか!」
「無痛かつ無出血で致命的なダメージを与える、俄には信じ難いだろ? 丁度実験台を捜してたのだ喜べ協力させてやる」
「イヤですよ絶対イヤですよ!! 理不尽ですよ不条理ですよ御無体ですよっ! 最悪死んじまうじゃないですか!?」
「それは罰ゲームを渋る芸人のマネか? 文字通りだが往生際が悪いな」 クルクル
「な、なんとか話題を変えてこの場を凌がないと…………あーっ! ぼ、ボス!! この魚はジャパニーズ・ドンコですよね?」
「テンパって心の声を口に出す。前世紀のボケだがまあ、古典に目を向けた姿勢に免じて答えてやる。それがどうした?」
「どぉー、どっ、ドンコは漢字で『鈍子』と書くとおり動きの少ないハゼ類の淡水魚ですが、観賞用には不向きではないですか?」
「バカ野郎の分際で詳しいな。だが、不向きとは聞き捨てならん。確たる目的も無く生物の可能性を狭めてどうする?」
「だって、当然ご存知でしょう? コイツは一日中全く動かないことだってあるんですよ? 見た目も土色で地味極まりないですし」
「そうか? 派手さやインパクト頼りのコンテンツが軒並み爆死してる昨今、逆位置の地味や渋さを無視する訳にはいくまい?
『瑞々しさが抜けた魅力』を萌えに染まった若者に浸透させる好機が来ているのだよ。まあ、それもキャラ頼みには違いないが」
「はあ……、いきなり次元の違う話題になってますけど、要約するとボスはおっさん専?」
「ふむふむ、おかしいな。あくまで概論を説いただけで個人的な性癖の話をしたつもりはなかったのだが」 キリキリキリ カチッ
「だああああああっ、それ! とりあえず片付けてくださいボスぅ!!」
「ダメだ……と言いたい所だが、コイツは調整が難しい。面白いドンコの話など聞いていては到底作業に集中できんかもな」
「…………つまり命がけでおさかな話をしろ、と? ……、セヘラザードな気分ですよ」
「前置きは要らん」 クッ プシュー!
「はいはいはいっ! 早速それじゃドンコの楽しいマークさんがわかり易く解説して楽になります!!」
「……貴様、この程度の有事に平常心を保てぬそのザマでよく結社の中枢にいられるな。逆に感心するぞ」 コリコリコリ
533 :
ズレた
[saga sage]:2012/04/11(水) 23:36:47.15 ID:DSDNV2np0
「な、何はともあれ基本を抑えておきましょう。ドンコはハゼ亜目ドンコ科の純淡水魚。純淡水魚って言葉は判りますよね?」
「当然だ。一生の内ただの一度も降海せず淡水で過ごし続ける魚、という意味だな」
「ええ。実は淡水ハゼ多しと言えどその大半は稚魚の時代にプランクトン生活を送っており、海まで一旦流されてしまうのですよ」
「シロウオやチチブやカワアナゴなどは遡上する魚なのだな。一方、ドンコは川で生まれ川で育つ、と」
「だからドンコはハゼなのに飼育の点で汽水や海水が一切必要ないんですよ。上手くすれば繁殖だって可能です」
「つまり最も手軽に長期飼育が可能なハゼの一種だと。ドンコめ、つぶれあんまん顔のクセにやるじゃないか」 フム
「クチビルゲルゲですし……、よく言えば味のある顔ですかね。また、多くのハゼ類と異なり腹ビレが吸盤状ではありません」
「むっ……、そのようだな。ヨシノボリやヌマチチブを水槽で飼うとガラス面にへばり付く姿が見れるが、アレが出来ないのか」
「ええ。吸盤は急流に体を持っていかれないよう石や底に固定するのに役立つモノですが、ドンコには必要ないのですよ」
「ほほう、なぜそう言える?」
「普段から流れを嫌っているからです。なるべく穏やかな河川の底、大抵は岩の下などに隠れて過ごしてるんです」
「なるほど。それなら大雨で多少水嵩が増しても仔細なかろうな。ならばこの水槽にも隠れ家を用意してやったほうが良いのか」
「どうですかね? コイツは水草並に動かない魚であると同時に、眼前のものには大きさを問わず襲い掛かる暴れん坊です」
「昼行灯と罵られるグータラなとっつぁんが闇夜に蠢く巨悪を裁く。ジャパニーズ好みのギャップ持ちキャラだが、だから何だ?」
「つまりドンコは非常に強い縄張り意識を持ってるんですよ。単独飼育でないと深刻なトラブルを巻き起こしちまうような」
「ふむ。まあ、ナマズやモクズガニなど、そういうのは特に珍しくも無いがな」
「ところがですよ? 単独飼育下のドンコは当然、周りに敵が居ません。すると恒常的に隠れなくなるんです」
「水槽内だから流される恐れも警戒するべき相手もいないので隠れなくてもいい。それをこの大福崩れは理解するというのか?」
「さあ? ただコイツはヒトに馴れやすく、個体によって甘えたりエサをねだるような仕草をします。知能の高さは相当でしょうね」
「虜囚にも生きる意思があるなら、それが最善の選択。見た目の割りにあざといのだな」
「纏めますと、この通りブサイクな魚ですが飼育は容易であり、賢くて愛嬌もあるので趣味に合うならオススメな魚種かと」
「ん? 最初と意見が変わってるようだが、この短時間で変節したか?」
「まさか。ドンコが好きな人には向いてるって話ですよ。ぶっちゃけ私には、動かない意地汚い地味な魚を飼う意味が判らな…」
「貴様の安い命は解説の行方次第だったことを忘れたか? 仮にもコイツは私の愛玩生物なのだぞ」 ギョルギョルギョルギョル
534 :
ズレた
[saga sage]:2012/04/11(水) 23:37:44.38 ID:DSDNV2np0
「ちょちょ、ちょっとボスっ!! あーっ、そうです! そもそも、どうしていきなり水槽なんて始める気になったんですか!?」
「ん? ああ、それは学園都市に出向いた折に立ち寄ったとあるアクアリウムショップの店長に薦められたからだが何か?」
「えっと……、店長って、店長ってまさかあの店のオーナーってあなたまさかっ!?」
「全く、ヒトを喰ったヤツだ。真名を都市の看板に掲げ、更に諱で商売しながら世界中の魔術師を煙に撒き続けていたのだから」
「そんな御気楽な話じゃないですよ!! 何を勝手に決定的なソロ活動してるんですボス!?」
「勘違いするな。こちらは店員を質問攻めしただけの善良な客、向こうは呼ばれて出てきた店主に過ぎんよ」
「…………、そんな剣呑な『店長を呼べ!』は地球の為にも人類の為にもよくないです!!」
「予定調和を楽しめよ。……まあ、そんなこんなの末、店側から『迷惑をかけたお詫び』にと水槽を貰ったのだよ」
「はぁ……、しかしそりゃまた随分太っ腹な大魔導師ですね。結構¥するんでしょ、こういうの?」
「庶民目線で考えるな、格が知れるぞ? で、借りを作ったままではいかんので代わりに魚を購入しようと申し出たのだが」
「貸し借りなんてのも随分下世話な発想ですがね。それと、ドンコなんて水槽に比べたら全然安い魚ですけど……?」
「コレは店長のオススメだと言ったろう? ……実態はこの私を誘導して判じ物を解かせるという、悪趣味が過ぎた遊びだがな」
「判じ物? つまり、アチラさんがこの水槽にこのドンコを薦めた。その意図を読み解けって事ですか?」
「私に相応しい魚は何であるか、と問うと同時に水槽のセッティングとドンコの投入が終わっていたのだから、そうなのであろう」
「一歩間違えたら押し売りですね。しかし魚に詳しくないボスを相手にドンコで謎を掛けるってのは少々違和感がありますが」
「ドコまで先を読まれたか想像も付かん。貴様に禁書目録のおさかなレクチャーを受けさせておいたのは単なる偶然だっだが、
結局それは謎を解く道筋が予め用意されていたという事だ。してみると何もかもヤツの掌の上だったのかも知れんな」
「……遊び、と仰いましたけどまるで鎬の削り合いですね。私ら程度じゃ追いつかない段階のお戯れなんでしょうか」
「テキトーに喋ってるのだからテキトーに聞き流せ。物事は誠実に受け止めるべきだが、常に深刻に捉えるべきではないのだ」
「はあ……、ところでボス。結論といいますかその、なぞなぞの答えはお判りなんですよね?」
「なんだ、聞きたいのか?」
「それは……………、」
「貴様は雑誌のオマケのクロスワードや間違い探し、自力で解けたとしても答えを確認せずにはいられないタイプか?」 スッ
「そ、そんな面倒な部下は要らないって展開ならさっき聞きましたから!!」
「命の危機程度でいちいち喚くな、話がちっとも進まんじゃないか。そんなに死にたくないのなら自分の考えを先に言ってみろ」
「へっ……、はいっ?」
「みなまで言わすな愚か者。貴様の足りない考察をこの私が直々に評価してやるんだ、さっさとしろ」
「………………、会話術の巧みさも組織のボスには必要なんですねー、んぎゃっ!!! やりますらりますうむううるう!!」
「おっと、余計な事を言うものだからついうっかり装置が刺さってしまったな。……、起動させて欲しくなかろう?」
535 :
ズレた
[saga sage]:2012/04/11(水) 23:38:48.99 ID:DSDNV2np0
「だ、だ、だ、第一に水槽は我々の業界的に、内と外を分ける……、区切られた場と考えるべきでしょう」
「まあ妥当ではある。中には水が満たされ完全に外と異世界になってる箱庭だからな」
「その水もただ水道を捻って出てくるものではなく、目的の為に特別に調整された水です。要するにコイツは儀式場ですね」
「ん? おい、結論を逸るな。どれだけ共通点があったところで魔術とは模倣であり剽窃であり一面の見方に過ぎんぞ?」
「その通りです。が、だからこそ完全な間違いが存在し得ず、ある意味『言ったモノ勝ち』なんですよね」
「二次創作を参考にした小説のようなもので、力の総量と引き換えに自由度をあげることも可能……、話がズレてるな」
「……、戻しましょう。さて儀式場、と考えることも出来るこの箱庭には一匹のドンコが入っています」
「うむ。しかし見れば見るほど味のあるヤツだな。吸盤状になっていない腹ビレはあのように使うのか」
「頭部を持ち上げる際に、ジャパンの箸置きの原理で腹ビレを垂直に立てるんですね」
「底と体の摩擦を減らす意味があるのだろう。両の胸ビレをワシャワシャと振って這うように移動する際など便利かもしれん」
「しかし何度も言いますが、コイツが活発に動く姿はなかなか見られませんがね」
「いや、底魚だから水質悪化にはやはり弱かろう? 大型甲殻類などと共泳させてもいい。動く姿などいつでも見れるさ」
「ボス、そりゃ禁じ手でしょ!? ペットに特別な行動を取らせたいがために、生命の危険に晒すだなんて…」
「バカ者、あくまで仮定の話だ。……下僕相手ならともかく、愛玩生物を鬼畜実験の対象にするほど私は壊れてないぞ?」
「ですよね……。と、とにかくです。特別に調整された環境の中で殆ど活動せず外の様子を伺う者、を私たちは今見てるワケで」
「ほうほう。つまりこれは窓の無いビル、乃至はその中枢に位置するとされる文字通りの”水槽”を見立てていると?」
「そうなるとこのへちゃむくれがアレ……。この推理に、ある決定的な問題点が無ければそれで話が通ったんですが」
「ドンコが純淡水魚だという事実だな? 確かに、彼奴の人生を象るにこれほど相応しくない魚は居るまい」
「誰よりも魔術に精通したが故に、魔術の底を痛感し魔術を捨てた男。せめて遡上ハゼならその『変節』を示しえたのですがね」
「ならば我々は外から何を見ていることになる? 箱庭で生まれ育つ存在とは何の隠喩か、思い当たるモノがあるのだろう?」
「それは壁に覆われた異世界で生み出される者たち、学園都市と能力者を表している……と、誰もが思いつくだろう事ですが」
「先の仮定の問題点、純淡水魚の下りを箱入りの能力者に当て嵌めたか。では、それが私に相応しいとはどういうことだ?」
「そうですね……、学園都市は外界と隔絶された環境でありつつ、同時に透明性の高い組織であることを謳っています」
「うむ、あの都市はあくまでも普通の世界の一部。アレほどの異常が……、確かに日常に紛れ込んだ異世界。水槽と同じだ」
「例として最高機密の一種であるはずの能力の情報を、ごくさわりだけとは言え一般に公開しているんですよね」
「確かに秘密主義に過ぎる魔術業界と比べるべくもないある種の明るさがあるのは否定出来ん」
「そしてレベルの高い能力者は、ドンコと同じで見た目や普段の様子からでは全く推し量れない凶暴さ、破壊力を秘め…」
「語弊があるな。能力者は魔術師にとって相容れぬ存在だが、それはヤツらの言う強度とは然程関係ないだろう?」
536 :
ズレた
[saga sage]:2012/04/11(水) 23:39:47.33 ID:DSDNV2np0
「……、ボス?」
「例えばだが、能力なんて『スプーン曲げるならペンチが、火が欲しけりゃライターが』あれば必要ないとのセリフ、どう思う?」
「誰の言葉か知りませんが、本気で言ってるなら身包み剥いで山奥にでも捨ててやりたい程度のバカですね」
「それがどれほど我々魔術師にとって、いや人類全体にとって恐るべき意味を持つか……、その身で学ばせてやるためにもな」
「人間を物理的な方法で即死させるために必要な最小限の力、それはスプーンを曲げられる力の何百分の一なんでしょうね?」
「”その程度”のことであれば学園都市の学生、殆どが可能らしい。全くドコまでもフザケタ話だ」
「自覚の無いまま振るわれる異能。……実のところ、水槽の外から見ているだけでも寒気がしますよ」
「魔術は既存のルールの裏技。……そう。結局、既存のルールの一部なのだからな」
「素人が見れば、通常の物理法則を越えて常識を覆す様は魔術も能力も変わらないんでしょうが、本質は全く違う」
「魔術が想定する世界には能力など存在し得ない。当たり前だ、ヤツらは手前勝手に法則を拵えているのだから」
「表裏問わずあくまで世界の構成要素が効果対象たる魔術には、故にスプーンを曲げる能力を直接防ぐ手段が存在しない」
「より深刻な表現をするなら学園都市の学生180万人はほぼ全員、最強の魔術師を倒せてしまう力を持っている、だな」
「血反吐を吐き涙を啜り、全てを捨てた上で長年の修行に耐え、毫にも満たない確率を生き抜いてやっと得た至上の力が……」
「ぽんぽんと流れ作業で育成される学生たちの異能に劣るのだ。……、納得出来る者など居ないさ」
「完全絶対防御を魔術で構築しようとも、この世の法則ではない能力は守備範囲外。将棋で王将を放り投げられるようなもの」
「だからこそ魔術師が能力者と戦う場合、努めて魔術のルールで戦うのだがな。陸で勝てないなら水に引き込めば良いのだよ」
「……その考えで行くとこのドンコ、魔術師を表す記号って線が出てきますね」
「我々は、この水槽を見るのと同様に彼奴を、学園都市を、能力者を高みから観察しているつもりだった」
「ですが実態は、壁を通して監視しあう関係……、にも満たない。なにせ我々は外ではなく内だったのですから」
「水の中なら無敵も目指せるが陸に揚げられれば常に無力。そんな我々など、既に観賞の役にしか立たぬ……、か」 フン
「そのようにミスリードを促された可能性もありますがね……。少々皮肉が効き過ぎの感がありますし」
「かも知れん。朝から晩までパタパタするだけのブサイク魚一匹で魔術業界全体にケンカを売るなど狂気の沙汰だしな」
「彼は元から売ってますけどね。……でもやはり、我々が考え過ぎただけだと思いますよ? 何よりそう思ったほうが平和です」
「……そうだな。ともあれこのドンコに罪は無い。せいぜい可愛がって大事に育ててやろうじゃないか」
「ところでボス? この、腕に刺さったメカ的なモノ……、いつになったら抜いていただけるのでしょうか?」 エヘッ
「ん? ああ、勝手に抜け。…………、手順を間違えると強制起動するから気を付けろよ、と言っておいたほうが良かったか?」
537 :
ズレた
[saga sage]:2012/04/11(水) 23:41:37.36 ID:DSDNV2np0
☆
御坂「インターホン連打おじさん……、名門校に通う本物のお嬢様……って、コレ都市伝説でもなんでもなくない??」
白井「工事中のビル内に蠢く怪しい影やら、マンホールおじさんとやらも……、ただの作業中の勤労者ではないのですの?」
初春「佐天さんがネタに困った時の為にストックしといたという秘蔵の超C級都市伝説ノート……、さすがにヒドいですね」
佐天「いやいや。一見なんの変哲もない古い屋敷にこそ、悪魔は潜むモノなんです! 御坂さんにも心当たりあるでしょ?」
御坂「くだらない噂話だと思ったら大事件の発端だった、とか? まあ……、確かにそういうの飽きるほど経験してるわね」
初春「まあ甘く評価すれば、何万件ものゴミ情報の中にはアタリが絶対に無いとは言えず、馬券拾い程度の意味はあるのかも」
白井「馬券拾いってなんですの? ……、褒められた行為でないのはニュアンスで伝わりますが」
佐天「初春、その喩えには悪意しか感じないよ……。この中であたしだけが都市伝説に詳しいっての、結構自慢だけどなあ」
白井「ぬ〜ん? 都市伝説が無益かどうかはさておき、自慢などされてはコッチはたまったものじゃありませんわよ?」
佐天「へっ? あー……、騒動の発端になっちゃうこともありましたね。そーいうのはもちろん反省してまーすってば」
御坂「私はあくまでソースのひとつとして、当たればデカイけど手酷いハズレが殆ど、って情報はアリだと……思うけどさ」
初春「ハイリスクノータリーンですからね。白井さんの気持ちも分らなくないです……」
佐天「あ、あれ……? 思ったより擁護が少ない」 オカシイナー ?
御坂「それは仕方がないわよ佐天さん。……、でもみんなは別に都市伝説自体を非難してるワケじゃないのよね?」
初春「面白がって聞く分には暇つぶしになりますから、根絶やしに殲滅せよっ、撲滅せよっ! とか思ってはいませんよ」 ニコッ
白井「わたくしたちが問題視しているのは、噂を額面通りに受け取るおバカや真相を暴こうと危険な行動に出る輩ですの」
佐天「あーっ、そっかそっか。つまりふたりはジャッジメントだから素直に夢を追えないんだなー」
白井「…………、いちいち癇に障りますわね。自分の非を棚に上げて他人を哀れむ心得違い、教育的指導が必要ですの!!」
初春「えーっと……、佐天さんは変に煽り過ぎですし白井さんは唐突に怒り過ぎですよー。ケンカはダメです」 メッ
御坂「初春さんも人のこと言えないような……でも、そうね。煽りや怒りなんかで盛り上がるより、あおりやいかり……」
御坂「アオリイカとヤリイカの話で盛り上がったほうがいいわよね!」 ナンチャッテ
佐天「うっわー……」
初春「荒れ模様をムリな話題変更で誤魔化すのは猥雑で卑怯で最低ですけど……、コレはそんなレベルじゃないです!」
白井「ええ、これぞお姉様の真骨頂。つまらぬ諍いを険悪な雰囲気も残さず、双方の顔を立てつつ治める話術……流石ですの」
538 :
ズレた
[saga sage]:2012/04/11(水) 23:42:50.16 ID:DSDNV2np0
☆
打ち止め「ふーん。デメギニスってすごいんだねってミサカはミサカは大袈裟に驚いてみたり」
一方通行「オマエの耳は飾りモンかよ? ありゃニギスの仲間。シロギス、つまりキスに似た魚の仲間だっつってンだろォが」
「うんうん。インデックスさんから言わせて貰うと、漢字で『出目似鱚』って書けばもう間違えることはないかも」
「あのー…………、家主を一切無視して繰り広げられるおさかな話ってどうなの?って当麻は当麻は意見するけど」
「……えーっと、だからね? 出目、つまりびょーんと伸びた目を保護するための透明な膜が頭部を覆ってるんだよ」
一方通行「脳味噌が透けてると感じても仕方ねェ異形だよな。上を見続けるのに都合良く進化した結果なンだろォが」
打ち止め「それなら目は前を向いたまま姿勢ごと上を向くほうが自然じゃないの? ってミサカはミサカは正論を述べてみたり」
「俺の話を聞くんだよ! 家主ほったらかしなんてありえないかも! えーと…………、俺だよ俺、俺だもん!」
一方通行「チッ……、まァともかく深海では光だけ見えりゃ事足りるし、光源は上にしか無ェだろ?」
「そして深海生物はなるべくエネルギー消費を抑えられるようなスタイルであることが多いんだよ」
打ち止め「ふーん。そういうこと全部ひっくるめた答えのひとつが、あんな変な顔なのねってミサカはミサカは頷いてみる」
「……つかよォ? オマエさん方、ちっとばっか調子に乗りスギでせゥ? 上条さンの話ば聞きンさィやァ!!!」
539 :
ズレた
[saga sage]:2012/04/11(水) 23:44:30.76 ID:DSDNV2np0
打ち止め「……あの、さすがに今のは色んな方面からお叱りを受けるレベルだよ、とミサカはミサカはスルー失敗してみたり」
一方通行「…………、あらゆる意味で気にする必要ねェンだが、止まっちまったら仕方ねェな」
「とうま? 微妙な物真似のゴリ押しでお客さまに気を使わせるのは良くないかも」
「ちょっ……、なんなのこの疎外感!? ……と、とにかく今すぐナウこの状況に至った経緯を説明しろよ!」
「だーかーら、さっきも言ったよとうま? 私がオマネキしたんだってば」
打ち止め「今日は同居人のテンションが異常でいつもの部屋でお話するのは危険だったの、とミサカはミサカは要約してみる」
「だけど二人はおさかな話が出来るような、落ち着けて且つ疚しくないほかの場所に心当たりが無かったんだってさ」
打ち止め「うんうん。それでね、ココに電話したら『大丈夫だよ! 今すぐ来ればいいかも』って…」
「んな気軽にウェルカムな間柄じゃねーぞ!? 大体、話すると危険だなんてちょっと大袈裟過ぎだろ!」
打ち止め「それはあの二人を知らないから言えるセリフ、ってミサカはミサカはテンプレ的な返答をしてみたり」
一方通行「……リュウグウノツカイ、覚えてンだろ? ヤツらはただ話にオチを付ける為だけにアレを獲って来たンだぜ?」
打ち止め「今回は変なフラグも立ってたし、テーマが『あり得ない深海生物』だったし、ヨミカワにも迷惑かけたくなかったから」
「魚獲ったどー!オチだね。……それってひょっとして、美味しいお魚をテーマにしたらみんながすっごくハッピーな結末かも?」
打ち止め「それはムリ。なぜならオチ全般が基本的にこの人へのイヤガラセだから、とミサカはミサカは残念な報告をする」
一方通行「ちなみに深海魚一般が食味の点で劣るなンて事はねェから気を付けろ。……さて、余計な時間喰ったが続けるぜ?」
打ち止め「あ、じゃあせっかくだから! あり得なくて美味しい深海生物を教えて欲しいってミサカはミサカは頼んでみたり」
一方通行「……。アンコウやギンダラ、キンメダイだって深海魚。食味だけに注目すりゃ幾らでも挙げられるが…」
「分りやすいインパクトが欲しいんだね。美味しいのにグロ過ぎとか、美味しいけど食べちゃダメとか……」
一方通行「フム……。中深層に棲む魚の典型的な特徴、覚えてるだろ?」
打ち止め「えーっと……、骨や筋肉を減らすかわりに水分や油分を増やして、目と口は大きく、体色は透明や銀色だっけ?」
一方通行「あァ。気体……、つまり浮き袋に頼らず浮力を得、また僅かな光を活用するべく進化した結果なンだが…」
「浮き袋云々〜は、高水圧下では気体による浮力が期待出来ないからなのと、水圧差で可哀相な姿になるのを防ぐ為だね」
一方通行「そン中ではハダカイワシなどが、ワリとオカシな姿で且つ普通に喰える魚だな」
「ホウライエソも頑張れば……、食べるトコがないかな? 噛み付き特化型のキュートなおさかななんだけど」
一方通行「牙が伸びすぎて口が閉じられねェヤツをキュートって呼ぶセンスは……、正直理解不能だが?」
「そ、それを言うならハダカイワシも表皮が弱く水揚げでズルっと剥けちゃうからあんな姿なだけで、海中では別に普通かも!」
「ほうほう、ハダカに引ん剥かれる噛み付き魔か……。一度味見したいようなそうでもないような」 ボソッ
540 :
ズレた
[saga sage]:2012/04/11(水) 23:46:54.88 ID:DSDNV2np0
一方通行「…………、うるせェの二匹がジャレてる隙に次に行くか」 <フコーダー
打ち止め「頭部からの出血は多めに見えるっていうか実際大量だね……、ってミサカはミサカはそんなことより次はなあに?」
一方通行「中深層には辛うじて光が届きそれなりの生物層が展開されてンだが、真の深淵はまだ奥だ」
打ち止め「ふむふむふむ。……垂直方向へ、つまり浅い海との間の移動だって生息域が深すぎたら難しいもんね」
一方通行「まァな。確固たる定義があるワケじゃねェが、今までのはおおよそ水深1000m程度迄の話だと思っとけ」
打ち止め「もっと深いトコの生き物は更におかしな特徴が……、コレ難しい話になる? とミサカはミサカは心配してみる」
一方通行「難解で有用な解説が聞きたけりゃヨソ当たれ。アホガキに説法するほどオレはヒマじゃねェ」
打ち止め「…………、了解っ! ってミサカはミサカは暗闇の奥を色々想像しつつ聴講準備を完了してみたり」
一方通行「……さて、繰り返し触れてるよォに太陽光が届く限界深度は水深1000m程度迄。それより下は暗黒の世界だ。
生態系は生産と消費、そして分解で成り立つ。無光は生産者、主に植物にとって致命的な環境っつーのは解るな?
サンゴの話でもやったが一般に光合成は水深数十メートルが限界とされる。
つっても例えば水深100mとか辺りに棲む魚が生産の恩恵に与れねェワケじゃねェ。海には波や流れがあンだろ。
表層で作られた栄養や酸素は水が掻き回されンのと同時に海全体に満遍なく広がっていこうとするからな。
だが、深海の始まり水深200m付近にはソレを妨げる存在がある。底に向け一気に水温が降下する温度跳層だ。
この部分が障壁となり、浅い海で頻繁に水が掻き回されていても深海には影響が及ばねェンだ。
つまり当然だが深海は酸素や栄養が慢性的に不足し、それらを直接得るには浅い海への移動が必要になる。
中深層の魚が浅い海へ移動する日周鉛直運動にはそォした背景がある。
そォなるとオマエの言う、浅層への移動が困難な深度に生物が居ンのは不思議じゃねェか?
酸素と栄養が足りンのか、足りるとしたらソレは何故か? ……、答えは暗黒の世界ってトコにある。
マリンスノーって言葉、知ってるか? 海を漂う視認可能な有機物の残骸物質……、微生物その他のダンゴだな。
コレは一応個体、故に温度跳層を越えて深海奥底へ降り積もってく。
深海に於けるエサの不足を補う面では表層生産の間接的な恩恵と言えるが、実は良いコトばかりでも無い。
生態系の構成要素のひとつ、分解者たる細菌が有機物を分解する際に多くの酸素を消費するからだ。
充分な供給が無い以上、タダでさえ不足しがちな深海の酸素濃度はマリンスノーによって更に低下する。
実際に中深層には酸素極小層と呼ばれる範囲があり、ソコには生物が殆どいねェ。
ところが更に深度を増し太陽光が一切届かなくなるとその分解者すらも耐え切れず姿を消してく。
すると細菌の減少に合わせ海水全体での拡散効果によって酸素濃度が少しずつ回復する。
ソレにつれて生物数も多少増加すンだとよ。細菌にとってすら厳しい環境だってのにな……。
つーワケで、水深1000m以下は満足な生産も分解も無く、ただ消費者が居る世界ってコトなンだが、理解したか?」
打ち止め「久々の長々とした解説でちょっと難しいけど、余裕だよ! とミサカはミサカは虚勢を張ってみたり」
一方通行「解ったのか解ってねェのか解ンねェコトは解った……。ンじゃそンな極端な世界の住人たちの話に行くぞ」
打ち止め「ほぼ食べる子しか居ない極寒暗黒世界ね、とミサカはミサカは大事な何かを忘れつつ今後の展開に期待したり!」
「ほ、ほらインデックスさん? 俺なんか齧ってるとお前を置いてドンドン話が先に進んじまうぞ? なっ??」
「それがとうまの暴言を許す理由にはならないんだよ!! 喰いあらためるんだよ!!!」
541 :
ズレた
[saga sage]:2012/04/11(水) 23:48:27.50 ID:DSDNV2np0
一方通行「さて光が届かない、そして常にエサが満足にあるとは言えない深度に棲む生物とはどンなモノか? 予想してみろ」
打ち止め「ふぇっ!? えーっと、あの、ほら……」
一方通行「……、要らねェトコ削って、要るトコデカくするって考えろ」
打ち止め「………………、ふむふむ。というと、光が届かないから受光器官は必要ない。だから退化しちゃう?」
一方通行「基本だよな。深海に限らず土中や洞窟の生物は目が非常に小せェか、又は痕跡しか残ってねェヤツが多い」
打ち止め「深海魚じゃないけど、泥の中に棲むワラスボとかも目が無いもんねってミサカはミサカは例示してみる」
一方通行「だが注意しろ? ほぼ全ての深海魚は発光する。ソレを確認する為にも受光器官は完全に無くなるワケじゃねェ」
打ち止め「ふーん。エサを獲ったり仲間を見つけたりするために光るのかな? 真っ暗だから弱い光でも目立つだろうし…」
一方通行「逆に光ることで姿を消すコトも出来るし、仲間にしか見えねェ色で発光すりゃ敵に気付かれずに合図を送れるよな」
打ち止め「なるほどね。じゃあ、あり得ない光り方の深海魚もいる? ってミサカはミサカは本題を忘れてなかったり」
一方通行「……、発光部位も用途も様々なンで、あり得ねェってほど尖ったヤツは……、オオクチホシエソはそォかもな」
打ち止め「ほー? どんなおさかななのかなってミサカはミサカはそろそろカワイイ子を期待してみたり」
一方通行「所謂クラゲや甲殻類なら深海にもビジュアルで勝負出来ンのが居るが、オオクチホシエソは魚だぜ……?」
打ち止め「じゃあやっぱり名前の通りお口が大きくて体はブヨブヨでなんじゃこりゃ?な形なのね……、うん。それで?」
一方通行「この魚は中深層からそれ以下に分布し、発光部位は眼下。光の色は赤外線に片足突っ込ンだ赤だ」
打ち止め「ふんふん」
一方通行「……ところで、ホタルイカやミオドコーパなど、生物発光は一般に青系が多い気がしねェか?」
打ち止め「言われてみればそうかもね……って、まさかもしかしてその魚があり得ないのは赤く光るコトだけなの?」
一方通行「そォだが、大したコトねェと思うか? プールの中思い浮かべてみろ。水は青以外の光を通しにくいンだぜ?」
打ち止め「うん。確かに視界全体が青っぽくなるよねと、ミサカはミサカは話の展開に不安を覚えながら返答してみたり」
一方通行「多くの発光生物が青っぽく光ンのも、水中で出来るだけ遠くへ光を届けンのに都合がイイからだ」
打ち止め「ふむふむ。そんな中オオクチホシエソが赤く光るのは何か利点があるの? とミサカはミサカは一応聞いてみる」
一方通行「大アリだ、それは何か? 生物発光ぐらいしか光るモンが無い深海では受光器官はソレを捉えられれば充分。
つまり要らねェ部分は削るの原則に従い、多くの深海魚は生物発光の代表色、青しか感知出来ねェンだ。
そンな中オオクチホシエソは赤く光り(同時に緑色光も放つ)、また赤色光を感知する器官を持つ。
殆ど赤外線レベルのヤツらの光は他の生物には全く見えず、故に一方的に標的をロックオン出来ンだよ。
また、繁殖期など同種間のコンタクトが必要な場合にも、捕食者に見つかることなく的確に相手を探せる。
……、チートだと思わねェか? 懐中電灯でサバゲーしてる中、一人だけ暗視ゴーグル持ってるよォなモンだぜ?」
542 :
ズレた
[saga sage]:2012/04/11(水) 23:52:36.59 ID:DSDNV2np0
打ち止め「そこまで言われれば凄過ぎかな……、とミサカはミサカはしぶしぶ驚嘆してみたり」
一方通行「……、まァイイ。ちなみにコイツは体内に葉緑素を持ってる。赤色と関係あるかどォかは知らねェが」
打ち止め「変な子っ! 暗闇で光合成なんて出来るはずないから、何か別の意味があるのかな?」
一方通行「さァな……。補足だが、練り物の原料になるヒメ目のエソとワニトカゲギス目のオオクチホシエソは全くの別種だ」
打ち止め「ミサカは基準になるエソ?を知らないからふーん、としか……とミサカはミサカは気の無い返事をする」
一方通行「名前を知らねェだけで普通に喰ってンだがな。メロやメルルーサだって今じゃ一般に知られてるが…」
「ちょっと昔は名前を隠したり別名で呼んだりしてたんだよね。深海魚って言葉にゲテモノ感があるからかもだけど」
一方通行「チッ………………。なンだよ、もォ咀嚼完了か?」
「なんのこと?? そんなことより、とっても面白いお話なんだけどちょっと長すぎるかも。そろそろ終わって欲しいんだよ」
一方通行「……はァ? フザけンな!! まだ予定の二割も消化してねェぞ!?」
「ペースが遅いんだよ! 大体、超深海のオモシロ話なら6000m以深の魚とか古細菌とかを最初に触れなきゃダメダメかも!」
一方通行「…………、オイオイ何だよオマエ? このオレにダメ出したァ、一体ドコのナニサマのツモリですかァ!!」
「上条さん家のインデックス様なんだよ!!!」
打ち止め「はいそこまで! ケンカは一番ダメでしょ? ……ところで当の家主さまはドコに? とミサカはミサカは尋ねてみる」
「とうまなら宅配便のお兄さんの相手してるんだよ。随分大きな荷物が届いてるみたい」 クール?
一方通行「……荷物だと? 誰からだ?」
<ゴクローサマー
「……よっと。えー、送り主はベルフラワースト・ギフトサービス。宛先はウチで宛名がイポツコ様ってコレ、一方通行だろ」
一方通行「チッ……、万が一居場所を突き止められても番外個体はココへ来たがらねェだろォと踏ンでたンだが」
打ち止め「まさか宅配とはね。安心してたのに……、とミサカはミサカは、それはともかく箱の中身が気になる!」
「え、何? 開けていいのかよ? ……、ほいほい。………………おっ! コレは真空パックの…」
打ち止め「……見事な魚のお造りだね、とミサカはミサカはコレ何のお造りなんだろ? とみんなに意見を求めてみたり」
543 :
ズレた
[saga sage]:2012/04/11(水) 23:56:08.12 ID:DSDNV2np0
一方通行「この極端に白い身は……、恐らくアブラボウズ……、イヤ待て! かすかに残った皮に棘状のウロコ……」
「うん、これは多分バラムツかも。流通が禁止されてるけど、とっても美味しいって噂の深海魚なんだよ」
「へえ〜……。んじゃ、さっきから話に出てた二人組がわざわざ自力で獲って捌いたってのかよ? スゴイな……」
打ち止め「あの二人はそういう人たちだから……。それで、コレどうするの? とミサカはミサカは疑問を投げかけてみる」
一方通行「……場所提供者へのプレゼントだ、処理は任せる。バラムツがどォ危険かはそこのシスターなら知ってンだろ?」
「うん。食べ過ぎ注意……、っていうか食べちゃいけない魚かも。でも美味しいらしいよ? すごく美味しいらしいよ!?」
「なんだよそれ……、毒でもあんのか? んなもん貰っても困るんですけど??」
一方通行「心配すンな。毒的な成分は無ェし余程運が悪くねェ限り、度を越した量を喰わねェ限りは死にゃしねェハズだ」
「そ、そうだよね! この切り身の厚さだと……、三切れなら大丈夫かも! それ以上食べさえしなければ…………」
一方通行「そンなモンだろォな……ま、好きにしろ」 ガタッ
打ち止め「えっ、あ、待ってよ!……。では今日は突然お邪魔しました、ってミサカはミサカはお先に失礼いたします!」 ペコッ
「ん、帰んのか? 良く解らんが、ともかくお刺身ありがとなー……」 アデュー
「嵐のように去っていったなアイツら……。で、インデックスさん? コレ多分お造りだけで5kgくらいありそうなんですけど」
「二人で食べるにはちょっと多いかも。……あっ、いつかのリュウグウノツカイのときみたいに短髪たち呼べばいいんだよ!」
「……ふむ、そうだな。御坂たちには日頃世話になってるし、お礼代わりにちょうど良いかもな。電話してみるよ」 <Pipipi
「あと、あいさも食べるでしょ?」
姫神「美味しいなら。いただく」
打ち止め「ちょっと待ってよーってミサカはミサカはせっかくだから一口くらい食べてから帰っても良かったのにって思ってたり」
一方通行「食べたかったら勝手にすりゃイイ、今からでも戻れよ。……ただ、今回の悪質なオチに巻き込まれるだけだぜ?」
打ち止め「ほぇ? でも毒があるわけでもなく、ちょっとなら食べてもいいんでしょ? とミサカはミサカは復唱してみたり」
一方通行「あァ、喰ってもまず死にはしねェよ。……、社会的生命は絶たれるかもしれねェがな」
〜おしまい〜
544 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2012/04/12(木) 00:20:36.30 ID:ZSJL7ejt0
以上、第三十九回「ズレた」でした。勢いに任せすぎかしらん・・・
今回は補足したい部分が多すぎるのですが、我慢してちょっとだけ
第一パート、ドンコと呼ばれる魚はたくさんいます。ハゼ類の比較的大きいのをまとめてドンコって呼んじゃったり
エゾイソアイナメって海の魚をドンコと呼んでたり。今回のドンコは標準和名「ドンコ」なのであしからず。
第二パート、ヤリイカとアオリイカはとっても近い仲間ですね。
第三パート、インデックスさんがぽろっと言ってた古細菌。コレこそ地球上で一番オカシなヤツらなのですが
凄すぎて手に余るので今回はパス。大雑把に言えば、生き物が生きていけない場所を好む生き物・・・?
あと、バラムツとアブラソコムツは食べないほうがいいと思う。何が起こるかは調べればすぐわかります。
というわけで、最初の注意書きに面白くない回は飛ばしてくださいって書いとけば良かったなーとか思いつつ、今日はこの辺で
ではではまたー
545 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/12(木) 08:25:43.48 ID:pYm3aiTDO
乙です
深海魚リクした者だけどハダカイワシとホウライエソくらいしかわかんなかったぜ…orz
アブラソコムツはかなり美味いらしいから一度食べてみたいんだが、
その名の通り油分が多く、消化しにくいどころか下剤的な作用があるのでたくさん食べると…ゴニョゴニョ
546 :
◆96XoVRe9oA
[saga]:2012/04/14(土) 23:12:07.95 ID:joJbNKq90
大事なこと書くの忘れてたーー! 大変勝手ながら次回は来月になると思うのでご了承下さい。
不定期で間隔開きすぎでダメダメで申し訳ないです。
リクエストや文句、不平不満やおすすめのおさかななど、この隙にもし宜しければ残しておいて下さいませ。
では、また皐月ー
547 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/15(日) 00:30:14.97 ID:VMyaWPXDO
デメニギスキタコレ!
乙!
548 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/15(日) 08:45:27.53 ID:YN/Ny6ZDO
乙。
549 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/16(月) 21:49:42.85 ID:DKqsZAHjo
乙
550 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/21(土) 20:25:58.26 ID:da3CqtvFo
乙
551 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2012/04/27(金) 23:40:45.06 ID:hQxSV2kLo
遅ればせながら乙
んでググってみたけど……ああ、なんか聞いたことあるな
謎胃袋を持つインデックスさんはともかく、上条さんは不幸補正で確実に失格になるよね!
552 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2012/05/01(火) 21:01:48.05 ID:a6jG5YJPo
乙
ここの姫神が大好きです
553 :
◆96XoVRe9oA
[saga sage]:2012/05/31(木) 23:40:56.33 ID:J0E2FJqp0
ようやくヒマが出来たので書くぞー、と思ってはや一週間。
予定してたテーマが難しすぎてなかなかシンプルにならない・・・
現状を喩えるなら上条さんのヘリクツをインデックスさんに噛み砕いてもらってるところ。
ので、もう2〜3日ほど掛かります。五月に更新できずにすいません。
以上、報告と言い訳と謝罪でした。ホント面目ないです
554 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/14(木) 00:19:56.68 ID:e9l8aOt30
まってるよー
555 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/01(水) 01:16:06.95 ID:0m84pcaV0
まだまだまってるぜー
556 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/31(金) 02:34:46.99 ID:kj9YGyqE0
まだ
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[ Aramaki★
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