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上条恭介「ギャランドゥの処理をしないと……」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/29(月) 23:45:08.67 ID:0r/qyLZc0
ネタと理不尽と適当オリ設定に塗れた糞SSです
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二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/29(月) 23:46:08.22 ID:0r/qyLZc0
ここは見滝原のとある病院。

一人の少年がちょうど入口から出てきたところに、出待ちしていた二人の少女が駆け寄った。

さやか「恭介! 退院おめでとう!」 

上条「うん、ありがとう」

仁美「また上条くんの演奏を聞くことができるなんて、夢のようですわ」

上条「ああ、そう。志筑さんは大袈裟だね」

少年の全快を喜ぶ二人に対し、当の本人はどこか浮かない顔をしている。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/29(月) 23:47:02.06 ID:0r/qyLZc0
さやか「あっ、まだ本調子じゃないんでしょ? 荷物持とうか?」

仁美「それなら少々お待ちになってください。今お車をお呼びしますから」

上条「いや、大丈夫。気持ちだけ受け取っておくよ」

彼女たちへの返事もどこかそっけない。

上条「はぁ……」

本編の主人公たるこの少年、上条恭介にはある悩みがあった。

事は数日前に遡る。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/29(月) 23:47:39.80 ID:0r/qyLZc0
数日前、上条恭介の個室。

上条「くそっ……くそぅ……」

患者衣を着た少年がベッドの上で何度も寝返りを打っては、意味をなさない悪態を吐いている。

彼は今し方、担当医から自分の腕がもう一生動かないことを宣告されたばかりであった。

上条「僕は、どうなってしまうんだろう……」

今の自分にはヴァイオリンを弾くどころか普通の生活を送ることすら難しい。

これからは障がい者として生きていかなければならないのだろうか。

そんな漠然とした不安が脳裏を過ぎった。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/29(月) 23:48:27.70 ID:0r/qyLZc0
QB『お困りのようだね』

上条「え?」

突然声を掛けられ、驚いて辺りを見回す。

QB『僕はここだよ』

声のした方向を見遣ると、真っ白なぬいぐるみのような何かが窓際に腰掛けていた。

QB『僕の名前はキュゥべえ。君は?』

上条「お、お前は、いったい」

QB『ふん、恭介というんだね。実は君にお願いがあって来たんだ』

この奇妙な生き物は人の話を聞く気がないらしい。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/29(月) 23:49:30.14 ID:0r/qyLZc0
QB『僕と契約して魔法少女になってよ!』

上条「魔法? 少女? そんなことより、お前は何なんだよ。幻覚か? それとも白昼夢なのか?」

QB『僕と契約してくれるのなら、どんな願いでも一つだけ叶えてあげられるよ。例えば、君の腕を治すとかね』

上条「えっ……?」

恭介は思わず耳を疑った。

上条「な、治せるのかい? 本当に?」

QB『もちろん。さあ、騙されたと思って契約してごらん』
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/29(月) 23:50:18.41 ID:0r/qyLZc0
上条「する! 契約するよ! だから腕を……」

QB『分かってる、分かっているさ』

キュゥべえなる不思議生物はベッドにピョンと飛び乗ると、耳から伸びた器官を胸の正面に伸ばしてきた。

上条「うっ」

胸に鈍い痛みが走り、ふっと喪失感を覚える。

QB『君の願いはエントロピーを凌駕した。さあ、受け取るといい。これが君の運命だ』
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/29(月) 23:52:36.66 ID:0r/qyLZc0
     <>、       ,ィシ'
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9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/29(月) 23:53:14.94 ID:0r/qyLZc0
上条「怖っ! 何だよ、これ」

QB『これはソウルジェム。君の魂を結晶化したものだ』

上条「魂?」

QB『ときに腕の調子はどうだい?』

キュゥべえの言葉にハッとし、拳に力を入れてみる。

上条「あ、う、動く……動くぞ!」

手の平をグーパーしたり、腕を大きく振り回すなどして感覚を確かめる。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/29(月) 23:55:25.74 ID:0r/qyLZc0
上条「何てお礼を言えばいいのか……ありがとう、君は僕の恩人だよ」

QB『うん、盛り上がってるところ悪いんだけどさ、ちょっと仕事の話をしてもいいかな?』

上条「ん? 仕事?」

QB『ほら、言ったでしょ。魔法少女になってくれって』

上条「ああ」

QB『君にはこれから魔法少女として魔獣と戦ってもらうよ』

上条「魔獣? それに戦うって?」

QB『百聞は一見に如かず。まず実際に変身してみようか。さあ、それを手に取って』

言われるままに覇王の卵、ではなくソウルジェムを掌に乗せる。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/29(月) 23:56:21.25 ID:0r/qyLZc0
QB『リリカル・マジカル』

上条「うん?」

QB『続けて』

上条「リ、リリカル、マジカル……」

QB『あっ、間違えた。こっちは封印するときのセリフだった』

上条「え? えっと、じゃあ何て言えば」

QB『うん、ごめん。今のはただの茶番なんだ。ソウルジェムに力を込めてやれば変身できるよ』

上条「遊ばないでくれよ……というか、力を込めるってどうやって?」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/29(月) 23:57:03.81 ID:0r/qyLZc0
QB『考えるな、感じろ』

上条「そんな無茶苦茶な」

QB『男ってのはどうしてこう理屈っぽいんだ。女と足して2で割れたらいいのに』

上条「分からないものは分からないよ」

QB『うーん……こう、だね。変身するぞーっていう気合を入れてだね』

上条「仮面ライダーみたいな?」

QB『いいじゃないか。ライダー……変、身!』

上条「ん? 何それ?」

QB『何だ、知らないのか。夕方頃に再放送とかやってない?』
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/29(月) 23:57:47.91 ID:0r/qyLZc0
上条「まあ、ちょっと試してみるよ」

一度深呼吸して、昔好きだったライダーの変身ポーズをイメージする。

上条「へ、へん……ちょっと席外してもらえないかな」

QB『駄目だね。この段階で恥ずかしがってるようじゃ後が辛いよ』

上条「うぅ、分かったよ……へ、へ、変身!」

あまり勇ましくない掛け声と共に、ぎこちないポージングをキメると、真っ青な顔のベヘリットが不気味な光を放った。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/29(月) 23:58:43.36 ID:0r/qyLZc0
上条「うわっ! 何か光ってるよ!」

QB『落ち着いて。すぐに済む』

キュゥべえの言う通り、発光は数秒ほどで収まった。

……何やら違和感がする。

やたらとスースーするような……。

恐る恐る首を下に傾ける。

上条「こ、これは……」

QB『それじゃ見づらいだろ。ほい、鏡』
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/29(月) 23:59:24.44 ID:0r/qyLZc0
キュゥべえの余計な気遣いによって、恭介は鏡に投影された自分の姿を直視することになった。

上条「うっ、なんだこりゃあ……」

上は青と白を基調とした露出の多いドレスを纏い、その上に純白のマントを羽織るような格好をしている。

下はミニスカートと白のハイニーソで、その間から太腿が自己主張するかのように顔を覗かせていた。

上条「うわぁ……うわぁ……」

身じろぎするたびにマントとドレスの裾より、臍やら腋やらがチラチラと見え隠れする。

変わり果てた自身の姿に、恭介は堪らず目を反らした。
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/30(火) 00:00:23.26 ID:sBgLSUZN0
上条「何だよ、この格好……同じ日曜朝でもプリキュアの方じゃないか」

QB『魔法少女だからね。少女よ、少女』

上条「スカートとか嫌だよ……胸もパカパカだし……」

恭介の身体は男性と称するには未成熟であり、同年代の少年と比べても華奢な方だ。

それでも肩幅や腰回りはもう立派に男性のそれである。

男子中学生が少女の格好をするのは、やはり視覚的にキツイものがあった。
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/30(火) 00:01:24.64 ID:sBgLSUZN0
QB『何にせよ、無事に変身できて良かったよ。もう体が覚えただろ? 自転車の乗り方みたいなもんさ』

上条「こんなのさっさと脱ぎたいんだけど……あっ、着てた服はどこに消えたんだ?」

QB『変身を解除すれば元に戻る。解除の仕方なんていちいち聞かないでくれよ』

上条「君ってけっこう冷たいんだな」

キュゥべえの雑な対応に不安を覚えながらも、元の姿に戻るよう強く念じる。
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/30(火) 00:02:06.62 ID:sBgLSUZN0
上条「おっ、戻った」

プリティでキュアキュアな衣装は霧のように立ち消え、すっかり着馴れた患者衣が戻ってきた。

上条「これってどういう原理なの?」

QB『ああ? それは、ほら、魔法的なアレだよ』

上条「はぁ、魔法って便利な言葉だなぁ」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/30(火) 00:02:55.01 ID:sBgLSUZN0
QB『最初に言った通り、君には魔法少女として戦ってもらう』

上条「いや、戦うとか明らかにそんなこと言ってなかったろ」

QB『魔法少女とは戦うものだ。違うかい?』

上条「違うんじゃないかな」

QB『他所は他所、うちはうちさ』

上条「うーん……なんか釈然としないけど、腕は治してもらったしね。恩は返すよ」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/30(火) 00:03:37.84 ID:sBgLSUZN0
QB『そう言ってもらえると助かる』

上条「でも、あの格好は正直ちょっと……」

QB『うん、あれはねー、旧システムの名残なんだよ』

上条「どういうこと?」

QB『ちょっと前までは文字通り、少女たちに魔法少女をやってもらってたんだ』

上条「ふん?」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/30(火) 00:04:21.92 ID:sBgLSUZN0
QB『百年くらい前だったかな。試験的に男性と契約してみようって話が出てきてね』

上条「はあ」

QB『でも何万年もかけて培ってきたシステムを即座に変更ってわけにもいかなくてさ』

上条「うん」

QB『それで新たなシステムが確立されるまでの場つなぎに、旧式の魔法少女システムを男性に適用しているんだ』

上条「その新しいシステムができるまでどれくらいかかる?」

QB『あと300年待ってね』

上条「とっくに死んでるよ」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/30(火) 00:04:56.30 ID:sBgLSUZN0
QB『まあ、要するにだ。格好については我慢してもらうしかない』

上条「やだなぁ」

QB『次は魔獣との戦いについて……面倒だな。実戦に臨んだ方が早い』

上条「え? ちょっと待ってよ。いきなり放り出すつもりなのか? 命の危険とか、そこらへんどうなのさ?」

QB『うちは現場主義なの。それに、あれを口頭で説明するのは難しいしね』

上条「不安だ……」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/30(火) 00:05:32.31 ID:sBgLSUZN0
QB『なに、フォローくらいはするさ。君たちには長生きしてもらわないと困る』

上条「やっぱり危険なんじゃないか。もうケガするのは嫌だよ」

QB『大丈夫、大丈夫。さあ、医師を呼んで退院の手続きをするんだ』

上条「人に見られたりとかは? 拘束時間はどれくらい?」

QB『細かい話は追々していく。今は健康を享受することだ』
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/30(火) 00:06:09.16 ID:sBgLSUZN0
上条「はぁ……今は君に従うしかなさそうだね」

正直なところ、キュゥべえに対する不信感は募りまくりだ。

それでも、恩人の頼みはできる限り聞いてあげたかった。

QB『ん、ここに契約は完了した。これからよろしく』

キュゥべえが前足をすっと差し出す。

上条「うん? なに?」

QB『握手』

上条「あ、ごめんね」

握ったその足はふにふにしていた。
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/08/30(火) 00:07:06.39 ID:sBgLSUZN0
そして現在に至る。

上条「うーん、女装か……」

さやか「ん? 何か言った?」

上条「いや、早くヴァイオリンに触りたいなぁって」

仁美「ふふっ、上条くんは本当に音楽がお好きなのですね」

上条「スカート……うーん……」

少年の長きにわたる闘争が今、始まろうとしていた。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/08/30(火) 00:08:14.35 ID:sBgLSUZN0
取り敢えずここまでです
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 00:11:14.01 ID:p5uAZvQ10
いいねぇ
でもとりあえず
>>8は本来の持ち主に返せやww
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 00:17:44.06 ID:xbGWZSyH0
くっそ、スレタイで既に笑っちまったwwww
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 00:22:38.92 ID:lU28urLWo
上条さん毛深いのか
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/30(火) 02:17:13.00 ID:IP7UMIFQ0
>>8それ覇王の卵や
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 02:21:02.88 ID:IP7UMIFQ0
あ、sage忘れた
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/08/30(火) 04:21:32.89 ID:hfwUe0yAO
すごく良いね!
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 04:28:59.17 ID:XLWyiprDO
しかしまぁ、上條くんはSS業界ですっかり戦う魔法男娘キャラが定着したなww
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/30(火) 04:32:13.46 ID:kRGTSnzAO
ベヘリットww
よかったじゃん、絶望しても自我を持ったまま更にパワーアップ出来るぜw


さてと、今の内にガッツさん呼びに行くか……
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2011/08/30(火) 07:07:26.10 ID:DHFA1fZD0
まぁ変身でもしないと行きずりのやさぐれシスターに幼馴染連れてかれて心中されちゃうからな。

自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 08:43:54.35 ID:RiYFdxJIO
スレタイでアルター能力に目覚めて即死光線銃と人間ワープを使うのかと思ったら全然違った
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/30(火) 12:03:55.94 ID:67YR3Ah/o
>>34
あぁ、伊達さん呼んでこないとだな
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 02:38:26.82 ID:ypqyLobZ0
>>1
贄でやられたのか
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 06:55:08.08 ID:dXBqCbxIo
まだ三日だ
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/02(金) 17:04:05.14 ID:pYJN/qGT0
一応いくらか書けてますけど、告知あったら見づらくないですか?
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 17:14:39.24 ID:O1x9UkeUo
読みづらいのは確かだなぁ
いつまで告知出てるのか知らないけど
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:05:59.14 ID:le/zh4zH0
しばらくはこのままなのかな

さすがに待てないので投下します

25からの続きです


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:06:53.23 ID:le/zh4zH0
恭介が退院した翌日、見滝原中学にて。

上条「やっぱり知らない顔がチラホラいるなぁ」

恭介は二年に上がってから一度も学校に顔を出すことができず、今からでもクラスに馴染めるのかと不安に思っていた。

上条「さやかのグループに入れてもらおうかな……」

中沢「ん? よお、上条! 上条じゃないか!」

上条「あ、うん、久しぶり」




自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:07:44.41 ID:le/zh4zH0
中沢「本当に久しぶりだな、おい。元気そうで安心したぞ」

上条「よく言うよ。見舞いになんか来なかったくせに」

中沢「許せ、許せ。こっちも馬に蹴られたくはないんでね」

上条「馬? 何の話だよ」

中沢「相変わらず鈍いやつだな。ほら、そんなとこに突っ立ってないで教室入ろうぜ」

上条「ちょ、押すな、押すなって」

中沢「お前らー、上条先生がご帰還なされたぞー!」

上条「おまっ、やめろよ!」

どうやら心配は杞憂に終わりそうだ。




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45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:08:22.18 ID:le/zh4zH0
さやか「おはよう、恭介。よかったじゃん、みんな歓迎してるよ」

上条「はは……いや、参ったよ」

さやか「ところで、今朝は一人で大丈夫だった? 本当に付き添わなくても平気?」

上条「平気、平気。むしろ前より元気になったくらいさ」

これは本当のことだ。

なんだかすこぶる体調がいい。




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46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:08:58.10 ID:le/zh4zH0
さやか「無理だけはしないでね。保健委員はまどかだから、何かあったらすぐ相談するように」

上条「鹿目さんね、覚えておくよ」

さやか「そうそう、まどかだよ、まどか。あの子最近テンション高くってさ〜。ほら、あれ見てみなよ」

上条「あれ?」




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47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:09:37.33 ID:le/zh4zH0
まどか「ほむらちゃん、学校には慣れた?」

ほむら「はい……でも授業の内容が難しくて、ついていけないかも……」

まどか「ん? 例えば?」

ほむら「数学がどうしても分からなくて」

まどか「それなら今度一緒に勉強しようよ」

ほむら「一緒に? 鹿目さんと?」

まどか「まかせて、数学は得意なんだ。学年末テストで52点取ったんだから」

ほむら「52……え?」




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48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:10:25.35 ID:le/zh4zH0
上条「あの子は?」

さやか「暁美ほむらさん。ちょっと前に転校してきたんだ。見ての通り、すっかり気に入られちゃって」

上条「へえ、鹿目さんって控えめなイメージがあったんだけど。ずいぶん積極的に絡んでるね」

さやか「そうなの、もうべったりでさ。たっくんが産まれたとき以来じゃないかな、あのはしゃぎ様」

上条「言われてみれば……案外世話好きなのかもね」




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49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:11:17.65 ID:le/zh4zH0
そんなこんなで昼休み。

上条「よっこらせっと」

恭介は音楽室へ向かおうとヴァイオリンケースを担いだ。

さやか「わざわざ学校にまで持って来なくても……」

上条「だいぶブランクが空いたからね。早く勘を取り戻したいんだ」

さやか「ん、そっか」

上条「聴く? 錆びついた腕でよければだけど」

さやか「いいの? 容赦なくダメ出しするよ」

上条「どうぞどうぞ。扱き下ろされるのには慣れてるさ」




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50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:12:29.37 ID:le/zh4zH0
仁美「あの、すみません。私もご一緒させて頂けないでしょうか?」

上条「志筑さん?」

モブ子「ずる〜い、わたしも聞きた〜い」

上条「え?」

モブ代「上条くんのカッコいいところ見たいな〜」

上条「いや、困るよ、そういうの」

モブ奈「ねえ、いいでしょ〜?」

上条「あのさ、悪いけど人に聴かせられるようなものじゃ……」




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51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:13:12.02 ID:le/zh4zH0
さやか「ハッ、モテる男はつらいね〜」

上条「茶化すなよ……ああもう、時間押してるし、静かにしてくれるなら構わないよ」

モブs「はーい、静かにしまーす」

上条「はぁ、もう二度と持ってこないぞ……」

結局恭介が折れる形となり、一行は移動を開始した。

中沢「憎しみで人が殺せたらいいのに……!」








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52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:13:49.82 ID:le/zh4zH0
ギャラリーを交えての練習を終え、恭介は一人後片付けをしていた。

上条「チッ、こんなもので間に合うのか……?」

予想以上に衰えた技量に苛立ちを隠せないようだ。

上条「次のコンクールまで日が無いのに……くそっ」

さやか「恭介、まだやってたの? 授業始まっちゃうよ」

恭介「すぐ終わる」

さやか「もう、そんな仏頂面しないの。しばらく触ってなかったんだから仕方ないでしょ」

上条「ああ」

さやか「……次は移動教室だから急いでね」

上条「ああ」




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53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:15:56.39 ID:le/zh4zH0
QB『女の子侍らせて演奏会か。復学早々とばしてるね』

さやかに生返事で応対しつつも作業を済ませ、そろそろ戻ろうかという時にその声は降りてきた。

上条「キュゥべえ……」

QB『口は開くな。こっちも見るな。変に思われるだろ』

上条「む……」

さやか「どうしたの? 早く行こうよ」

QB『彼女に僕の姿は見えていない』




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54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:16:32.64 ID:le/zh4zH0
上条「ごめん、先に行ってて」

さやか「え?」

QB『待って、この際だ。早退する旨を伝えてもらいなよ』

上条「……急に気分が悪くなっちゃって、早退したいんだ」

さやか「あ、ごめんね、気付かなくて。大丈夫? 家に連絡入れる?」

上条「いや、一人で帰れる」

さやか「無理しちゃダメだって。病み上がりなんだから」

QB『どうする? 着いてこられても支障は無いけど。一般人は魔獣の存在を知覚できないからね』




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55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:17:08.50 ID:le/zh4zH0
上条「初陣か……」

QB『怯えているのかい? 保護者に同伴してもらう?』

上条「僕一人で十分だ」

さやか「そう? そこまで言うなら……」

上条「悪いね」

QB『さあ、着いてきて。敵さんはこっちだ』




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56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:17:45.60 ID:le/zh4zH0
諸々の手続きをさやかに丸投げし、恭介とキュゥべえは学校の外へ繰り出した。

上条「君の頼みはなるべく聞いてあげたいけど、今日みたいなことが続くと少し困るな」

QB『ごめん、ごめん。どうにも人手が足りなくてね……着いたよ、ここだ』

キュゥべえに連れてこられた場所は近所の公園だった。

昼下がりの時間帯ということもあり、幼児連れの母親の姿がチラホラ見られる。

上条「本当にここなの? 特に変わった様子はないみたいだけど」

QB『ここで間違いない。君も何かしら感じているはずだ。こんなにも瘴気が濃いのだから』

上条「は? 瘴気?」




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57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:18:27.46 ID:le/zh4zH0
QB『間もなく此処は死地となる。チビちゃんたちを避難させてあげないと』

上条「うん、でもどうやって?」

QB『それくらい自分で考えなよ』

上条「そんなぁ……」

非協力的なキュゥべえを恨みがましく一瞥し、重い足取りでママさん達の元へ向かう。




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58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:18:53.65 ID:le/zh4zH0
上条「あの、すみません」

ママA「あら、どうしたのボク?」

上条「その、ここは危なくなるんです」

ママB「あなた学校は?」

上条「えっと、早退しました」

QB『何をモタモタしてるんだ』




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59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:19:28.14 ID:le/zh4zH0
上条「あっ、そうだ。天気予報で午後は雨になるって言ってました」

ママC「あらやだ。洗濯物取り込まないと」

恭介は何とか機転を利かせ、親子連れを退散させることに成功した。

上条「雨がちゃんと降ってきますように」

QB『ご苦労さん。でも、あと一人残ってるよ』




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60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:20:03.56 ID:le/zh4zH0
上条「はぁ、どこの子だよ」

ゲンナリした気持ちを抑え、砂場で遊ぶ子どもに声を掛ける。

上条「おーい、そこの君、もう家に帰りなさい。雨降りになるよ」

タツヤ「?」

上条「うん? あれ? タツヤくんじゃないか。久しぶり、僕のこと覚えてる?」

タツヤ「……わかんない」




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61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:20:37.67 ID:le/zh4zH0
上条「そっかー。まあ、最後に会ったのは君が1歳にもなってない頃だったもんなぁ」

QB『知り合い?』

上条「クラスメイトの弟さんだよ。写真とかよく見せてもらってるんだ」

タツヤ「うー、ねこ、ねこさん」

QB『おやおや、僕のことが見えているのか。ちょ、痛い、やめて、尻尾を掴まないで』




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62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:21:16.12 ID:le/zh4zH0
上条「はいはい、放してあげて。それにしても大きくなったね。タツヤくんはいくつになったのかな?」

タツヤ「みっつ……」

QB『3歳? それにしてはあまり喋らないね』

上条「人見知りしてるんじゃない? こっちが一方的に知ってるだけだし」

QB『ふーん……あ、ヤバい』




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63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:21:53.67 ID:le/zh4zH0
上条「え? あ……」

突如として強烈な寒気に襲われる。

QB『鈍感な君にも理解できるか。奴さんのお出ましだ』

上条「これ、なにが」

うまく言葉を発することができない。

QB『来るよ!』

上条「……っ!」

タツヤ「?」

恭介は震えながらも、タツヤを庇うように抱きしめた。




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64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 10:22:24.48 ID:le/zh4zH0
何とも形容しがたい気味の悪い空間。

その中に少年と幼い子ども、そして奇妙な獣がポツンと立っている。

QB『どうやら取り込まれたようだね』

上条「キュゥべえ、ここは、いったい」

QB『結界だよ。外界より遮断された不可侵の領域』

悪寒が未だに治まらない。

何かがすぐそこまで来ている。

そして、地から生えるようにズルリと、白衣の巨人が姿を現した。

上条「う……うぁ……」

QB『この異界から逃れる術はただ一つ。魔獣を倒すしかない』




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65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/03(土) 10:23:47.52 ID:le/zh4zH0
ここまでです

改行このくらいでいいですか?
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66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 10:28:40.84 ID:1WK3rLUyo
おk乙
魔獣になってるけどまどかもいるんだな
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67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/03(土) 12:14:20.19 ID:PHi67o8wo
上条君がなんか可愛いんだが…この先どうなるんじゃろと続き楽しみにしてる。乙
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68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:38:01.53 ID:le/zh4zH0
ほい、64からの続きです
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69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2011/09/03(土) 19:38:42.44 ID:le/zh4zH0
上条「これが、魔獣……」

圧倒的な脅威を前に足が自ずと震え出す。

少しでも力を抜いたらそのまま崩れ落ちてしまいそうだ。

QB『いつまで呆けてるつもりだ! 死ぬぞ!』

ポリゴン状に角ばった頭部が僅かに傾き、恭介を捕らえる。

無貌の瞳に射抜かれたような気がした。




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70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:39:34.92 ID:le/zh4zH0
QB『早く変身するんだ!』

上条「む、むりだ、あんなの……」

QB『ならどうする! みんなで仲良く心中するか!』

キュゥべえの怒声にハッと我に返る。

上条「タツヤくん……」

タツヤ「?」

腕の中の幼子は何が起きたのか分からずキョトンとしていた。




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71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:40:13.99 ID:le/zh4zH0
上条「キュゥべえ、この子を頼む」

QB『任された。あれは今のところ君しか見ていない。存分に相手をしてやるといい』

上条「あれの倒し方は?」

QB『死ぬまで殴れ』




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72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:40:48.17 ID:le/zh4zH0
上条「さあ、来い、化け物! 僕はこっちだ!」

魔獣をこの場から引き離すべく、声を張り上げて挑発する。

上条「そうだ、こっちに来るんだ」

その声に釣られてか、白の巨人は左右にゆらゆら揺れながら恭介の跡を追ってきた。

QB『はてさて、彼は生き残れるのかな? あっ、こら、そっち行っちゃダメ、めっ!』




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73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:41:35.59 ID:le/zh4zH0
上条「ふぅ、ここら辺でいいか……変身!」

生きるか死ぬかの状況で格好を恥じらう余裕は無い。

ソウルジェムが光を放ち、身に纏う衣装が魔法少女のそれへと変わる。

上条「……行くぞ」

脚部に力を入れ、大きく跳躍。

その勢いのまま3メートル超の巨体を軽く飛び越し、ガラ空きの後頭部に拳を打ち下ろした。




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74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:42:10.52 ID:le/zh4zH0
上条「すごいな! これが魔法の力なのか!」

特撮ヒーローばりのアクションをこなす自分に思わず興奮する。

QB『はしゃぐな。パンツ見えてるぞ』

上条「ぐっ……」

QB『それに、あんまり効いてないみたいだ』

渾身の力で殴りつけたにも関わらず、魔獣は健在だった。




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75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:42:53.88 ID:le/zh4zH0
上条「何回でも繰り返すさ。動きも遅いし、いい的だ」

QB『ふん、縮こまってるよりは幾分マシだけどね。調子に乗ってバッタみたいに跳ねてると撃ち落とされるよ』

上条「そうは言うけど、あのヒラヒラした服が邪魔過ぎて」

衣服は衝撃を通しやすいらしいが、ボディは正直狙いたくない。

いきなり手が伸びてきたりしたら怖いからだ。




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76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:43:22.65 ID:le/zh4zH0
QB『悪いことは言わない。跳ぶな』

上条「だからどうして?」

QB『あれの攻撃手段は』

キュゥべえが言葉を発するのとほぼ同時に、魔獣の衣がバサリと捲れ上がった。

QB『レーザー光だ! 走れ!』




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77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:44:07.20 ID:le/zh4zH0
ほっそりとした五本の指から怪光線が撃ち出される。

上条「そういうことは! 先に言えよ! はひぃっ!」

純白のマントに焦げ跡が増えていく。

――――ジュッ

上条「ひぁ……」

光芒が頬のすぐ脇を掠めた。




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78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:44:44.58 ID:le/zh4zH0
QB『足を止めちゃ駄目だ! 動き続けて!』

上条「もう無理! 帰る!」

QB『骨になれば帰れるだろうよ!』

上条「死ぬ……殺される……!」

QB『泣くな! 視界が塞がる!』




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79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:45:17.98 ID:le/zh4zH0
泣こうが喚こうが魔獣は待ってくれない。

両の手を交差するように構え、上空へレーザーを乱射する。

散弾の如くばら撒かれた光弾が空一面を白に染めた。

上条「光が、降ってくる……」

QB『これは……受けるしかない。がんばれ!』




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80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:45:53.99 ID:le/zh4zH0
恭介は、今更ながらとんでもない安請け合いをしてしまったと猛烈に後悔していた。

上条「……熱っ! 痛い、怖い……」

今はマントに包まるように身を屈め、殺人流星群が止むのを震えながら待つしかない。

上条「腕、守らないと……」




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81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:46:42.90 ID:le/zh4zH0
QB『終わったよ! ぼさっとするな!』

無限とも思える苦行の時も、実時間では数秒に過ぎない。

QB『何をやってるんだ! そっちに向かっているぞ!』

魔獣が巨体を揺らしながら恭介に接近する。

だが、当の恭介は未だに丸くなったままだ。

QB『痛覚を切るんだ! 無理やりにでも体を動かせ!』




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82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:47:40.51 ID:le/zh4zH0
魔獣の腕がゆっくりと伸び、厚手のマントをがっしりと掴む。

上条「ひっ……お願いだ……やめてくれ……」

そして、その細腕からは想像もつかない力で少年の体を目一杯持ち上げると、受け身すら取らせぬ勢いで地面に叩きつけた。

上条「ぁ……か、ぁ……ぅぁ……」

背中を打ちつけられた衝撃に、恭介が口をパクつかせる。

さながら陸に上がった魚のようだ。




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83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:48:09.41 ID:le/zh4zH0
QB『惰弱な魔法少女め。一対一でも勝てな、やめ、やめなさい、潰れちゃうでしょ』

タツヤ「アンパンマン! たすける!」

QB『何? 何が言いたいの?』




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84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:48:54.10 ID:le/zh4zH0
この獲物には最早抵抗する気力も残っていない。

そう判断したのか、魔獣は身悶える恭介の体を押さえつけ、オーラ的な何かを吸い上げ始めた。

上条「や……」

QB『感情エネルギーの吸収……ここまでか』




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85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:49:35.49 ID:le/zh4zH0
タツヤ「ねこ! アンパンマンだして!」

QB『そんなものはない』

タツヤ「うーっ!」

QB『まったく、動物みたいだ』

タツヤ「ん!」

QB『そうだね。お兄さん死んじゃうね』

タツヤ「あれ! あれきる!」

QB『ん? ははぁ、君の言わんとするところが分かってきたよ』




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86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:50:24.82 ID:le/zh4zH0
QB『恭介! 聞こえるかい! もう少し粘ってくれ! 助かるかもしれない!』

タツヤ「へんしん、へんしんするの」

QB『君の願いはアンパンマンのようなヒーローになって彼を助けること。そうだね?』

タツヤ「はやく、はやく」

QB『はーい、ちょっとチクッとしますよー。我慢してねー』








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87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:51:06.46 ID:le/zh4zH0
自己を形成する感情を奪われ、上条恭介という存在は今や風前の灯だった。

上条「……」

音楽への情熱が冷めていくのが分かる。

何もする気が起きない。

走馬灯だろうか。

家族や友人たち、幼馴染の姿が頭の中に浮かんでは消えていく。




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88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:51:37.81 ID:le/zh4zH0
タツヤ「アンパンチ!」

QB『おおぅ、やるじゃないか』

あれ。

なんだろう。

少し楽になったような気がする。

気のせいかもしれないけど。




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89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:52:31.24 ID:le/zh4zH0
QB『んふふ、大量大量。かなり貯めこんでたんだなぁ』

魔獣の遺品である黒っぽいキューブ状の結晶、グリーフシードを掻き集めては背中の口に収納していく。

QB『おっと、穢れを取り除いてあげないと』

恭介のソウルジェムの前にグリーフシードをかざし、穢れを転移させてやる。

QB『感情の赴くままに行動できる子どもの方が役に立つか。いや、それじゃ駄目だ。男性に切り替えた意味が無い』

上条「う……うぅん……」

タツヤ「にーちゃ、おきろ」

QB『恭介、起きるんだ。結界が崩壊する』




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90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/03(土) 19:53:36.08 ID:le/zh4zH0
主を亡くした結界は音も無く消え去り、一行は現世へ帰還した。

QB『いつまでその格好でいるつもりだい? せっかく助かったんだ。社会的に死にたくはないだろ?』

上条「雨……」

QB『うん?』

上条「降らなかったね」

QB『そうだね』

上条「……もう、戦いたくない」

QB『好きにしたら? さて、チビちゃん、お家に帰ろうか。おやつが待っているよ』

タツヤ「ん、おやつ、かえる。にーちゃ、ばいばい」

上条「……ああ」




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91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/03(土) 19:54:40.04 ID:le/zh4zH0
ここまでです

誰でもいいから女を主人公にすればよかった

リョナ展開を書きながらそんなことを考える1であった




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92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage ]:2011/09/03(土) 20:32:17.91 ID:O2eG6TeF0
徒手空拳は辛いな
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93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:02:45.97 ID:U2RiFr3co

危うく初戦敗退するところじゃねーかw
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94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/04(日) 01:18:15.67 ID:1zI5KHiR0
魔法少年(女装)が絶望した成れの果てが魔獣か…
この世界は男も契約対象にしてみようか。だから魔女も魔法少女も健在じゃないのかな。
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95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 11:09:10.51 ID:eyudZdhSo

恭介の情けなさが半端ないな
3歳児に助けられるとかないわww
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96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2011/09/04(日) 19:26:53.96 ID:9ZzFXd4Y0
けど辛いなぁ。
たっくんにはマミリも魔獣化もお理もしてほしくないよ。
ショウさぁん、一発魔法ホストにまで契約条件厳しくしてくださいよぉ。
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97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:01:00.92 ID:TQs6yl5+0
告知今まで書き込んだ分はそのままなのね

もう一日待てばよかった

何にせよ90からの続きです
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:01:47.20 ID:TQs6yl5+0
魔獣に殺されかけた次の日、恭介は公園のベンチに腰かけ、子どもたちが遊ぶ姿をぼへーっと眺めていた。

上条「はぁ……」

佐倉「……」

上条「……? うわっ!」

ふと横を見ると、頬のこけた牧師さんがすぐ隣に座っているではないか。

上条「な、何ですか?」

佐倉「いえ、何やら悩んでおられるようでしたので、つい」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:02:15.52 ID:TQs6yl5+0
上条「宗教の勧誘はノーサンキューです」

佐倉「ああ、身構えなくて結構です。本当に少し気になっただけですから」

上条「……そんなに顔に出てます?」

佐倉「ええ、それはもう」

上条「そうですか……」

佐倉「私でよろしければ話を聞きますよ」

上条「うーん……」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:02:56.23 ID:TQs6yl5+0
そんなわけで、誘われるままホイホイ教会にやって来たのだ。

上条「おぉ、本物の教会だ」

ひっそりと佇むそれは多少寂れてはいるものの、未だ荘厳な輝きを放ち続けている。

佐倉「どうぞ、こちらです」

上条「そういえば牧師さんは公園で何を?」

佐倉「はい、床屋が混んでいたので暇潰しを」

上条「髪はいいんですか?」

佐倉「家内に怒られるかもしれませんが、まあいいでしょう」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:03:32.56 ID:TQs6yl5+0
杏子「マミのやつ、くたばったのか」

マミ「!?」

杏子「そんなことを言ったような気もしたけれど、あたしたちは立派な親友だ。なっ?」

マミ「そ、そうね」

佐倉「今戻りましたよ」

杏子「あ、お帰り」

マミ「お邪魔してます、牧師さま」

佐倉「こんにちは、巴さん。ゆっくりしていってくださいね」
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:04:04.70 ID:TQs6yl5+0
杏子「あれ? 親父、美容院行かなかったの?」

佐倉「また今度行きます。今からこの方のお悩みをお聞きしますので、静かに遊ぶように」

杏子「ふん? お兄さん、何か悪いことしたのかい?」

佐倉「杏子、あなたは懺悔の何たるかを理解していないのですね。いかなる人間であろうと罪から逃れることはできません」

杏子「はいはい。お説教は後で聞くよ」
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:04:40.05 ID:TQs6yl5+0
佐倉「申し訳ありません。愛娘が大変失礼なことを」

上条「いえ、別に気にしてません」

佐倉「ありがとうございます……こちらが懺悔室です」

壁の出っ張りのような、小ぢんまりとした部屋に案内される。

上条「へぇー、狭いんですね」

佐倉「本来、顔を見知った状態で懺悔を聞くのはルール違反なのですが、私は破戒僧なのでそんなことは気にしません」

上条「はあ」

佐倉「さあ、お入りください」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:05:06.57 ID:TQs6yl5+0
小部屋の中は教会の厳かな雰囲気も相まって、息苦しい感じがした。

佐倉「気楽に話してもらって構いませんよ。それこそ母親に愚痴を漏らすように」

仕切りの向こうから牧師さんの声がする。

上条「……何を話せばいいのか」

佐倉「思いつくままにどうぞ」

上条「えっと、そのですね。頼み事を引き受けたんですけど、うまくできなくて。僕よりもずっと小さい子どもが解決しちゃって」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:05:51.29 ID:TQs6yl5+0
佐倉「悔しいのですか?」

上条「どうなんでしょう……ただ、あんなことはもう二度としたくない」

佐倉「逃げることは罪ではありません。主も御赦しになるはずです」

上条「別に逃げてるわけじゃ……」

そこまで言いかけてあることに気付く。

もし自分がこのまま全てを忘れて日常に戻ってしまったら。

キュゥべえは、あの子を戦わせるつもりなのか?
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:07:01.08 ID:TQs6yl5+0
上条「行かないと」

佐倉「どうやら答えを得たようですね」

上条「失礼します!」

佐倉「道中お気をつけて」

少年が懺悔室の扉を慌ただしく開閉させ、部屋の外へと走り出る。

牧師はその様子を座ったままで見送った。

佐倉「……まだまだですね」
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:07:37.12 ID:TQs6yl5+0
義憤に駆られるまま鹿目家へやって来た恭介だったが、いざ敷居を跨がんとする段階でふと我に返った。

上条「どうしよう……連絡入れてないぞ」

和久「おや? もしかして上条君かい?」

上条「うっ、はい、ご無沙汰してます」

和久「久しぶりに遊びに来てくれたね。ちょっと待ってなさい。お小遣いあげるから」

上条「ああ、いえ、間に合ってますんで」

和久「はっはっは、遠慮しないで。あんまりお見舞いに行けなかったから、その分だと思いなさい」

上条「はあ」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/04(日) 23:08:34.17 ID:fPJcbNN5o
知久 さんでっせ
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:08:34.20 ID:TQs6yl5+0
和久「まどかは部屋でたっくんと遊んでいるよ」

上条「鹿目さんいるんですか……」

仕方なしに、まどかの部屋へ向かう。

上条「何気に初めて入るんだよな」

実のところ、鹿目家のリビングから先に入ったことは無かったりする。

上条「……行くか」

恭介は意を決してドアを叩いた。
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:10:36.47 ID:TQs6yl5+0
まどか「はーい」

上条「上条です。弟さん借りたいんだけど、いいかな?」

まどか「え!? うそ! ちょっと待ってて!」

扉の向こうからドタバタ音がする。

上条「やっぱりアポ無しはまずかったか」
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:11:09.86 ID:TQs6yl5+0
まどか「は、入っていいよ!」

十分後、ようやく入室を許される。

上条「悪いね、いきなり押しかけて」

まどかの匂いだろうか、甘い香りが鼻孔をくすぐった。

上条「それで、タツヤくんはどこに?」
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:11:38.61 ID:TQs6yl5+0
まどか「たっくん……たっくんに用事があるの?」

上条「正確には、彼のお供にかな」

まどか「えっとね、たっくんは今ちょっと出れないかな」

上条「出られない? それはどういう……」

恭介の視界の端に、もぞもぞと動く物体が引っ掛かる。

よくよく見てみると、ベッドの下に押し込まれたぬいぐるみの群れの中に一際大きな塊が紛れていた。
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:12:06.17 ID:TQs6yl5+0
白いもこもこに足が生えている。

上条「……」

足を軽く掴み、下から引っ張り出す。

タツヤ「?」

まどか「あわわわ、これは違うんだよ!」
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:12:45.83 ID:TQs6yl5+0
少女趣味全開のピンクのドレス。

カボチャ型に膨らんだスカート。

短い髪をリボンで結って。

上から下までファンシー一色。

昨日は観察する余裕がなくて分からなかったが、これが鹿目タツヤの魔法少女姿のようだ。
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:13:30.40 ID:TQs6yl5+0
まどか「私が無理やり着せて喜んでるとか、そういうんじゃないんだよ! たっくんが可愛い格好してたから撮影会してただけであって……」

上条「キュゥべえめ、さっそく扱き使ってるのか」

タツヤ「?」

上条「キュゥべえ、猫さんはいないのかい?」

タツヤ「ねこねこ、どっかいっちゃった」

上条「そっか……タツヤくん。あの猫が君を戦わせようとしたら、僕を呼ぶよう駄々を捏ねるんだ」

タツヤ「?」

上条「お兄さんとの約束だよ。ほら、指切りしよう」

タツヤ「はりせんぼん……」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:14:24.57 ID:TQs6yl5+0
上条「これでよし。それじゃ、僕はこれで。バイバイ」

タツヤ「ばいばーい」

まどか「上条くん! 今日のことはクラスのみんなには内緒だよ!?」

上条「ああ、うん。誰にも言わないからさ、写真は残さないであげてね。この子の将来のために」

取り敢えず目的は果たしたと、恭介は鹿目家を後にした。
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/04(日) 23:14:55.06 ID:TQs6yl5+0
QB『ふん? 昨日の今日でもう立ち直ったのか。これが若さってやつなのかね』

佐倉「良いことではないですか」

QB『まあ、手駒が増えるのは歓迎すべきことだけどさ』

佐倉「キュゥべえ、友人をそのように呼んではいけません。主の御許では全てが平等なのですよ」

QB『はぁ……神なんて存在しないっていつも言ってるだろ。君たち人類に叡智を授けたのは僕だ』

佐倉「主は全てを見ておられます。無論、あなたのことも」

QB『やれやれ、君の相手は疲れる』

佐倉「……それはそうと、巴くん遅れていますね」

QB『仕事抜けられないんだろ。先行く?』

佐倉「そう、ですね。行きましょうか。世界の歪みを正しに」
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/04(日) 23:16:25.65 ID:TQs6yl5+0
ここまでです

108さんはありがとう

でも知久さん、あと何回出てこられるんだろ
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:20:02.26 ID:nUCbkZkWo

杏子パパj魔法中年…?
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2011/09/04(日) 23:22:26.37 ID:9ZzFXd4Y0
そこは魔法祈師(エクソシスト)って言ってやれよ。
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/04(日) 23:22:51.86 ID:fPJcbNN5o
S.H.フィギュオーツ



女装戦隊マギカマン結成の予感
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国) [sage]:2011/09/04(日) 23:38:43.11 ID:0Omy5xxAO
杏子の父さんが言峰で再生される。
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 01:01:32.71 ID:Jc2ZjQmV0
QBが起こったー
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/05(月) 04:01:46.75 ID:uqbzW9PY0
まさかのあにショタ
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:35:26.55 ID:vbYijdHc0
117から続き
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:36:05.43 ID:vbYijdHc0
――上条恭介様へ――

昨日は大変でしたね。

お怪我の具合はいかがでしょうか。

僅かばかりですが、私からの気持ちの品を添えさせて頂きました。

一日も早いご回復を心からお祈りしております。

――キュゥべえより――
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:36:57.00 ID:vbYijdHc0
上条「何だこれ」

帰宅すると、自室の机に手紙が貼り付けられていた。

上条「見滝原テーマパーク優待券? いらないなぁ……」

どうせくれるなら千葉のアレの方が良いのに。

上条「しかも期限明日じゃんか……二人分って誰と行きゃいいんだよ」

1 捨てる
2 押し付ける
3 一人で行く
4 あの子を誘おうかな

上条「1でいいや。週末はみっちり練習したいし」
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:37:51.85 ID:vbYijdHc0
QB『君は本当に気の利かないやつだな』

上条「うわっ、出た」

QB『そこに魔獣が出現するから倒してこいって言ってるんだ』

上条「ひどすぎる……週末くらい、ゆっくりさせろよ」

QB『休み? そんなものはない。魔法少女は年中無休、月月火水木金金だ』

上条「第一、僕はもう戦いたくないって」

QB『こっちが何も知らないとでも思っているのかい? 鹿目タツヤに釘を刺したことくらいお見通しさ』

上条「む……」
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [age]:2011/09/05(月) 22:38:17.90 ID:1oUke1Zm0
安価させろよwww
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:38:23.83 ID:vbYijdHc0
QB『それにだ。怠惰には相応の罰が下ることになっている』

上条「罰?」

QB『あ〜、でもこれ言っちゃっていいのかな〜。まずいよな〜』

上条「何なのさ……」

QB『ソウルジェムあるでしょ? 顔の怖いやつ』

上条「うん」

QB『それね、放置してると濁ってくるの』

上条「それがどうしたのさ」

QB『真っ黒になるまで放っておいたら君死ぬから』
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:39:00.25 ID:vbYijdHc0
上条「……は?」

QB『穢れが許容量を超えると割れちゃうんだよね。パキーンって』

上条「ちょ、ちょっと待ってくれ」

QB『渡すときに言ったでしょ。これは君の魂だって』

上条「死ぬって……え?」

QB『まあ、安心しなよ。穢れを除去する手段はちゃんと存在するから』

上条「それはいったい」

QB『魔獣の落とすグリーフシードを使うんだ』

上条「魔獣……」
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:39:29.27 ID:vbYijdHc0
QB『要は真面目に働いてくれたらいいんだよ。ケガは治った。肉体も以前とは比べ物にならないほどハイスペックになった。元は取れてるだろ?』

上条「うーん……」

QB『これでも君のことを買っているんだ。どうでもいいと思っていたら何も教えないよ』

上条「……その何とかってやつがあれば、大丈夫なんだね?」

QB『グリーフシード。そんなに気を揉むな。すぐお陀仏ってわけじゃないから』

上条「う、うん」
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:39:58.72 ID:vbYijdHc0
QB『よろしい。明日、遊園地で待ってるよ』

上条「分かったよ、行けばいいんだろ……ん? この券じゃ25%引きにしかならないんだけど」

QB『そんなことはどうでもいい。ああそうそう、君は弱っちいんだからデートの相手もちゃんと連れてくるんだよ』

キュゥべえは誤魔化すように捲し立てると、窓をすり抜け、外に出て行った。
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:40:29.22 ID:vbYijdHc0
上条「死ぬ……ほんとに死んじゃうのかな」

懐からソウルジェムを取り出し、しばし見つめ合う。

上条「黒く、なってないよね?」

ソウルジェムは何か言いたげに口を動かしたが、言葉を発することは無かった。
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:40:58.19 ID:vbYijdHc0
翌日。

知久「じゃあ、今日はよろしく頼むよ」

上条「はい、任せてください」

恭介は電話口での交渉の末、タツヤを連れ出すことに成功した。

自分がどれだけこの子と一緒に遊びたいかを力説したため、少々不審に思われたかもしれないが。
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:41:26.70 ID:vbYijdHc0
上条「さあ、行こうか」

タツヤ「ぱぱは?」

上条「後で迎えに来てくれるよ」

小さな手をしっかりと握りしめる。

上条「はぁ……」

戦いをボイコットさせるどころか、自ら巻き込んでしまった。

駄目過ぎる自分に嫌気が差す。
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:41:56.57 ID:vbYijdHc0
上条「……まずは何から乗りたい?」

タツヤ「ぶーぶー」

上条「うん? 豚? 動物はいないよ」

タツヤ「くるま……」

上条「ああ、ゴーカートね」

QB『待ちなよ。何普通に遊ぼうとしてるんだ』
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:42:25.30 ID:vbYijdHc0
上条「キュゥべえ……」

QB『こっちだよ、付いて来て』

タツヤ「やー! あれのるー!」

QB『我慢して。君の力ならすぐ終わる』

上条「本当に大丈夫なの? 僕は壁にしかなれないよ」

QB『乗り物と盾の役を全うしろ。それ以上は望まない』
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:42:54.29 ID:vbYijdHc0
十数分後、一行はホラーハウス内に展開された結界に侵入していた。

上条「今日はガラガラでよかったよ」

QB『今日だけじゃなくて毎日だけどね。可哀想になるくらい客足無いんだ』

上条「ふーん……ねえ、キュゥべえ。お化けっているのかな?」

QB『霊魂は存在する。目に力を込めてみろ。新しい世界が君を待っているよ』

上条「……遠慮しとく」
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:43:36.64 ID:vbYijdHc0
そうこう言ってるうちに、人の気配を嗅ぎつけた魔獣達が床からズルリと現れる。

それも一体や二体ではない。

ざっと見るだけでも二十体近くいる。

上条「うわあ! こ、こんなにたくさん……もう駄目だぁ……!」

QB『落ち着け。こっちにはタツヤ大先生がいるだろ。抱っこしてあげて』

上条「わ、分かった……」

タツヤ「?」

QB『よし! ひたすら前に向かって走れ! ゴー!』
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:44:08.52 ID:vbYijdHc0
例によって降り注ぐレーザー。

それらを必死に躱しながら光群を突っ切る。

上条「死ぬ……死んじゃう……!」

QB『根性無しめ、もう限界か。チビちゃん、あれやって』

タツヤ「?」

QB『アンパンチ』

タツヤ「おぉー」
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:44:37.44 ID:vbYijdHc0
胸に抱いたタツヤが右腕をグッと後ろに引く。

QB「よく見ろ。感情を持て余す幼子にしか成せない業だ」

そして、一瞬溜めるような動作をした後、真っ直ぐに掌底を放った。

タツヤ「アンパンチ!」
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:45:08.48 ID:vbYijdHc0
小さな手の平から力の奔流が吹き荒れる。

上条「うわ! うわわわ! な、何だ!?」

巨人の集団が塵芥の如く、暴力の波に呑まれては消えていく。

上条「くぅっ……!」

一層苛烈さを増す衝撃波に、堪らず目を閉じる。

上条「……ん」

次に目を開けた時、あれだけいた魔獣の集団は影も形も無くなっていた。
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:45:44.85 ID:vbYijdHc0
QB『うーん、今回は不作かな。ポイポイっと』

上条「……パンチ?」

QB『剛掌波、かめはめ波、波動拳。広義では拳法と呼べるだろ』

上条「いや、どう見てもビームにしか……」

タツヤ「ぶーぶーのるー。はやくー」

上条「あ、ああ……そうだね……」

QB『残心を忘れるな。結界はまだ維持されている』
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:46:30.27 ID:vbYijdHc0
上条「え? まだ生き残りがいるってこと?」

QB『うん、せっかくだ。君一人で戦ってきなよ。実戦に勝る鍛練はない』

上条「勘弁してくれよ……」

QB『情けないやつ……ん? この感じ……あいつか、仕事熱心だこと』
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:46:59.61 ID:vbYijdHc0
QB『君らの先輩が来てるみたいだ。挨拶しに行きなよ』

上条「先輩って、男?」

QB『そらそうよ』

上条「せめて変身解除してから」

QB『あぁん?』

上条「分かったよ、このまま行くよ……」
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:47:31.54 ID:vbYijdHc0
佐倉「祈りなさい。せめて安らかに眠れるよう」

向かった先では、いつぞやの牧師が複数の魔獣と攻防を繰り広げていた。

上条「うわぁ……」

上半身にはノースリーブとヒラヒラした長めの裾が特徴的な中華風の紅いドレス。

下半身には濃桃色のプリーツスカートと黒のニーソックスを身につけている。

脛毛と腋毛が大変見苦しい。

上条「これは……強烈だなぁ……」

QB『君も端から見れば、あんなもんだ』

上条「嘘だろ!?」
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:48:04.03 ID:vbYijdHc0
ヒョロい外見に反して牧師は恐ろしく強かった。

佐倉「神罰です」

一丈もの巨体を文字通り、千切っては投げ千切っては投げ。

見てくれさえまともなら鬼神か何かと見間違えていたかもしれない。

佐倉「主よ、我が愚行を許し給え」

程なく最後の一体を細切れにし、パンパンと埃を掃いながら恭介たちの元へやってくる。

佐倉「またお会いしましたね」

上条「は、はい」

佐倉「このような見苦しい格好で申し訳ありません」

上条「いえ、お互い様ですから……」
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:48:34.68 ID:vbYijdHc0
QB『残心、残心』

上条「え? そうか、結界がまだ……危ない!」

潜伏していた魔獣達が闇に乗じて奇襲を仕掛けてくる。

佐倉「ぬるいですねぇ」

牧師が指をパチンと鳴らす。

次の瞬間、烈風が吹き荒び、跳びかかってきた魔獣達をバラバラに切り裂いた。

QB『出来ておる喃』

今度こそ最後だったのだろう。

周囲は本来の光景を取り戻した。
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:49:06.28 ID:vbYijdHc0
上条「凄い……まるでカマイタチだ」

佐倉「ВАНГЁ МАМЭЦУ」

上条「は?」

佐倉「失礼。それはそうと、また新たな悩みが生じたご様子で」
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:49:56.03 ID:vbYijdHc0
上条「その……あなたは魔法少女について、どこまで知っていますか?」

佐倉「ああ、なるほど。キュゥべえに脅かされたのですね」

QB『おいおい、人聞きの悪いこと言うなよ』

佐倉「取り敢えず着替えましょう。この姿ではあまりに滑稽ですから」
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:50:25.26 ID:vbYijdHc0
新たに牧師を加えた一行は、昼食がてら園内のレストランに移動した。

佐倉「あまり高いものは頼まないでください。持ち合わせが少ないので」

QB『手加減してあげてね。こいつ冗談にできないレベルで貧乏だから』

上条「はは……じゃあ、おにぎりセットで。タツヤくんはお子様ランチでいい?」

タツヤ「はたある?」

上条「あるある」

佐倉「お子様ランチですか。娘たちにもいつか食べさせてあげようと思っていたんですがねえ。いつの間にか大きくなって……はぁ……」

上条「……やっぱり水で」
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:51:13.32 ID:vbYijdHc0
QB『子どもの前で辛気臭いこと言うなよ。仕方ない、今日は僕の奢りだ。みんな好きなものを頼め』

佐倉「ご面倒お掛けします」

QB『でもタッパーはやめろよ、みっともないから。恭介も遠慮するな』

上条「じゃあ、カレーで」

QB『ついでに飲み物とデザートも頼んどけ』




154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:51:43.82 ID:vbYijdHc0
佐倉「主よ、あなたの慈しみに感謝します」

QB『いや、僕に感謝しろよ』

佐倉「いただきます」

上条「いただきます」

タツヤ「いたーきます」

QB『まったく……』
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:52:12.05 ID:vbYijdHc0
QB『ときに恭介、君ってプロ? アマ?』

上条「何だよ、急に。ヴァイオリンならアマだよ」

QB『コンサートとかできない?』

上条「コネを使えば、できないこともないけど」

QB『金取れる?』

上条「営利目的はまずいよ」

QB『チャリティなら?』

上条「いやいや、どっちにしろ無名の演奏家一人じゃ客集まらないって」

QB『それは残念だ』
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:52:39.16 ID:vbYijdHc0
上条「何なのさ」

QB『いやね。教会主催のチャリティコンサートとか洒落てるだろ?』

上条「そこまで経営難なの?」

佐倉「キュゥべえ、余計な気を回さないでください」

上条「あっ、すみません」

QB『まあ、君が有名になったら考えてよ』
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:53:12.40 ID:vbYijdHc0
佐倉「さて、それではお話しください。本来、安息日に労働をしてはならないのですが、私は破戒僧ですので」

上条「その、ソウルジェムが濁り切ったら本当に死んじゃうんですか?」

佐倉「事実です。しかし恐れることはありません。主の御許に召されるのですから」

上条「そんな……」

佐倉「……まあ、私のように既に終わった人間ならばともかく、可能性に満ちたあなた方には些か性急な話ですが」
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:53:41.82 ID:vbYijdHc0
佐倉「以前も言いましたが、逃げることは罪ではありません。そもそも一介の学生があのような怪物と戦うなど、三文小説の如き蛮行です」

上条「でもそれじゃあ……」

佐倉「グリーフシードの融通くらいしてあげますよ。あなた方のような子どもが戦場に赴く必要はありません」

上条「それだとあなたの負担が大きく……」

佐倉「幼児さんを連れ回されるよりは余程良いです。己の本分を辨えなさい」

上条「あ……」

佐倉「おっと、いい時間になりましたね。そろそろお暇させて頂きます」

上条「……」

タツヤ「?」
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:54:25.06 ID:vbYijdHc0
佐倉「……魔獣は人類の負の側面を映し出す鏡」

上条「……え?」

佐倉「私達は人の子として世界と向き合わなければなりません」

上条「いきなり何を……」

佐倉「何が起ころうとも人を愛し続けなさい。主は全てを愛してくださるのですから、息子たる我々にも同じことができるはずです」

上条「は、はぁ……」

佐倉「それでは」

食事を終えた牧師が席を立つ。

キュゥべえも料金を過不足なくテーブルの上に置くと、その後に続いた。
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:54:56.04 ID:vbYijdHc0
上条「何を伝えたかったんだろう……」

タツヤ「かんらんしゃのるー」

上条「ん、分かった。食休みしてからね」

タツヤ「よこになるとぶたになる……」

上条「……今日はごめんね」

タツヤ「?」
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/05(月) 22:56:50.37 ID:vbYijdHc0
QB『あんまり甘やかすなよ。君も若くないんだから』

佐倉「年には勝てませんね。最近、腰痛がひどくて。若い頃の無茶が祟りました」

QB『哀れなものだ。もう健康な部位を探す方が難しいんじゃない?』

佐倉「もしもの時のために保険は掛けてあります。家族が飢えることはないでしょう」

QB『まあいいさ。もうじき最後の魔女が此処を訪れる。それを葬れば君の仕事は終わりだ』

佐倉「弄ばれた少女たちの魂、ですか……主よ、憐れみ給え」

QB『一つの時代が終わる。それだけのことさ』
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/05(月) 22:57:24.28 ID:vbYijdHc0
ここまでです

板が重い
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/05(月) 23:17:04.30 ID:u4VcUGzpo



少女「たち」のと来たか……あなたに夜が来る?
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 23:22:41.29 ID:PTahkcS2o

それを葬れば終わりってどういうことだ?倒すと100%死亡?
それだとGS融通の話は嘘になってしまうが
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 23:26:13.76 ID:PTahkcS2o
ああ、それとももう凄まじい数のGSでも溜め込んでるのかな
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 23:34:29.00 ID:7DRele+Bo
杏子パパゲーニッツかよww
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/06(火) 02:11:05.80 ID:ZCAwjcK60
乙!この杏子パパはマミさんの父親の片目奪ってそうw
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 17:25:16.59 ID:7bPycjgSO
乙!

>>122のせいで杏子パパのイメージがスカートはいた言峰になっちまったじゃないか!
どうしてくれるんだwwww
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/07(水) 00:49:26.53 ID:bcmSVk300
ちょっとだけ更新

161から
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/07(水) 00:50:35.81 ID:bcmSVk300
インキュベーターレポート Number, 09

――18XX年 1月――

正体不明の巨人が出現。

魔女および魔法少女に被害を確認。

異例の事態に調査を急ぐ。

――同年 5月――

魔法少女の死亡率が45パーセントを超過。

エネルギーは回収できず。

連戦による疲弊が原因か。

システムの早期見直しを提言する。

――18X4年 9月――

巨人は感情を吸い上げ、それを素に体内でグリーフシードを形成している模様。

魔女と同質の存在か。

以降、巨人を魔獣と呼称する。

――18X7年 2月――

魔獣産グリーフシードからエネルギーの抽出に成功。

長期的展望に立ち、魔獣からエネルギー回収を行う路線に変更を求む。

尚、魔獣の行動原理は未だ不明。

――同年 9月――

男性との契約に成功。

現時点において不具合は見られず。

爆発力に欠けるが、安定性は女性の比ではない。

魔獣との相性も良好。

魔法少女システムの環境最適化が待たれる。

――同年 12月――

改良版ソウルジェムが女性に大不評。

何故だ。

――19XX年 8月――

例の一体を除く全ての魔女の消滅を確認。

他方、魔獣は依然として増加傾向にあり。

超長期間の戦闘行動において男性の優位性が証明される。

詳細は添付資料を参照されたし。

現状を鑑み、新規プロジェクトへの完全移行および旧プロジェクトの全面凍結を申請する予定。
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/07(水) 00:51:09.84 ID:bcmSVk300
週末明けの月曜日、恭介は学生の本分を修めるべく学校に登校していた。

上条「僕の本分……音楽か」

学業はどうした。

上条「でも、今の僕には雑音しか出せない」

さやか「何たそがれてんの?」

上条「……ちょっとね」
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/07(水) 00:51:43.38 ID:bcmSVk300
仁美「あぁ……上条くん……憂い顔も素敵ですわ……」

さやか「ケガは治ったのに……いったいどうしたの?」

まどか「まさか……いや、もしかして……」

ほむら「鹿目さん?」
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/07(水) 00:52:10.88 ID:bcmSVk300
上条「……このままじゃ駄目だ」

さやか「恭介?」

上条「早退する」

さやか「ええ!?」

上条「後は頼んだ」

言うが早いか恭介は颯爽と窓から飛び降りた。
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/07(水) 00:52:39.11 ID:bcmSVk300
さやか「どうしよう! 恭介が不良になっちゃった!」

仁美「思いの外ワイルドですのね……」

まどか「すごい! 着地と同時にダッシュして……ああ、もう見えないや……」

ほむら「え? ここ何階……え?」
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/07(水) 00:53:08.58 ID:bcmSVk300
少年は一人疾走しながら虚空に声を飛ばす。

上条「キュゥべえ! いるかい!」

QB『はいはい、いますよ』

上条「魔獣はどこだ! どこにいる!」

QB『おー、遂にやる気になってくれたか。うれしいよ』
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/07(水) 00:53:35.65 ID:bcmSVk300
QB『けど、いいのかい? チビちゃんは三歳児検診でお休みだ』

上条「……別に連れてかないよ」

QB『ふふん、説教が堪えたか』

上条「関係ない」

QB『そうかそうか。意志薄弱なお坊ちゃんかと思っていたが、反骨精神はしっかり持ち合わせていたみたいだね』
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/07(水) 00:54:02.06 ID:bcmSVk300
QB『複数相手は不安だろ。少し歩いたところにハグレがいるから、そいつで腕試しするといい』

上条「分かった」

QB『遺書はどうする? 都合よく助けが入ったりはしないよ?』

上条「必要ない」

QB『青いねえ』
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/07(水) 00:54:32.48 ID:bcmSVk300
通算三度目となる結界への侵入。

纏わりつくような嫌な感覚にも慣れたものだ。

上条「……あれか」

一体の魔獣がポツンと、所在無げにユラユラ揺れている。

上条「先手はもらうよ」

聳える巨体に足払いを仕掛ける。

QB『あら、考えたじゃない』
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/07(水) 00:55:18.32 ID:bcmSVk300
バランスを崩し、転倒しかけたところに胴廻し回転蹴りを浴びせる。

QB『足技? ああ、指痛めたら大変だもんね』

しかし大振りな蹴りを放ったことで、恭介自身も大きく体勢を崩してしまう。

対する魔獣は倒れ伏した状態からでも、お構いなしにレーザー光を掃射した。

上条「……ッ」

立ち上がる隙などあるはずもなく、ひたすら地を転がって逃げるしかない。

QB『まずいな……切り返す手段がない』
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/07(水) 00:55:44.79 ID:bcmSVk300
上条「くぅっ……!」

QB『お?』

恭介がマントを盾に無理やり身を起こす。

上条「痛ってぇ……!」

柄にもなく汚い言葉を吐きつつ、両脚で地をしっかりと踏みしめる。

上条「はぁぁぁぁ……!」

気合一閃。

少年の体は宙へ大きく飛び上がった。
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/07(水) 00:56:27.86 ID:bcmSVk300
QB『なっ……君は鶏か! 身動きの取れない空中じゃ、的にしてくれって言ってるようなもんだろ!』

魔獣が両手を上に構え、対空砲火を開始する。

QB『言わんこっちゃない!』

上条「黙って見てろ!」

宙に浮かぶ恭介の全身を白地のマントが包み込む。

上条「もってくれよ……!」

少年の期待に応えるかのように、撃ち込まれた光の弾幕は尽く跳ね返された。
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/07(水) 00:57:46.32 ID:bcmSVk300
上条「……いける!」

マントが生物のように蠢き、ドリル状に回転する。

そのまま魔獣に向かって急降下し、正面から激突した。

上条「貫けぇぇぇぇ!」

気迫で勝ったか。

恭介の体は勢いを殺すことなく魔獣を貫通。

その巨躯を四散させた。
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/07(水) 00:58:18.20 ID:bcmSVk300
上条「はぁ、はぁ、あぁ、げほっ、ふぅーっ」

QB『大丈夫?』

上条「はぁーっ、ふふっ……飛翔斬……できてしまった……」

QB『まあ、悪くはない。けどね、タイマンで勝てたからって調子に乗るなよ』

上条「分かって……るって……あの二人には……遠く及ばない……」

QB『視野が狭い。先人たちと比べりゃ、チビちゃんも赤貧牧師もカスみたいなもんよ』
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/07(水) 00:59:53.19 ID:bcmSVk300
上条「冗談……だろ……?」

QB『戦争は英雄を生む。二度にわたる大戦で多くの戦士が輩出された』

上条「百年前って……ちょうどその頃か……」

QB『とりわけ優秀だったのがスツーカ乗りの……名前は何だったか……単機でワルプルギスの夜を圧倒したのは後にも先にも彼らだけだ』

上条「北欧のお祭りが……どうしたっていうのさ……」

QB『お祭り……確かにそんな感じかな。今じゃ、だいぶ落ちぶれた感があるけど』
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/07(水) 01:00:20.90 ID:bcmSVk300
上条「そんなに……凄い人たちが……いたなら……騒ぎに……なったんじゃない……?」

QB『個人の武勇で戦局は動かない。そして戦況を覆すような大きな願いを抱けるほど、彼らは夢想主義ではなかった。無双はしてたけど』

上条「そう……」

QB『夢のない時代だったからね』
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/07(水) 01:00:48.13 ID:bcmSVk300
上条「あぁ……それにしても疲れた……家に帰って……ヴァイオリンでも弾こう……」

QB『恭介』

上条「うん……?」

QB『ひよっこ卒業おめでとう』

上条「……どうも」
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/07(水) 01:01:19.35 ID:bcmSVk300
ほい、ここまで
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/07(水) 02:57:58.35 ID:p8sPfIuAO
>>1

胸熱の少年漫画仕立てなのに脳内再生時に女装が邪魔を…orz
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/07(水) 13:41:47.45 ID:z5xcgb7AO
魔女と魔法少女が居るところに魔獣も現れて三つ巴になったからシステムを切り替えたのか。
それにしても、男は怪物化をしないのね。
衣装がそれぞれにあったモノであれば格好つくのにw
あとQBの性格がいいな。
なんか原作よりも好感が持てる。

てかソウルジェムの形状変える必要あったのか?よりによってベヘリットはねえわw
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/07(水) 15:19:20.53 ID:2Pkrs3Vdo
スツーカ乗りってルーデルかよwwwwww
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/07(水) 20:45:57.20 ID:EJkojygw0
某スツーカ乗りでも落とし切れなかったって、ワルプルギスはどんだけチートなんだ。
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 01:04:32.20 ID:1AKqyXsSO
スカート姿のルーデルとか考えると胸熱wwwwww
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 22:56:02.50 ID:UHGmn7hO0
186から続きです
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 22:56:34.65 ID:UHGmn7hO0
本日の上条くんの演奏、どう思われました?

そうですね、以前よりも荒々しくなりましたね。

やっぱり……あの繊細な音使いはどこに消えてしまったのやら。

どうします? 矯正させましょうか?

……しばらく様子を見ましょう。

では今回の選考は?

見送りということで。
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 22:57:02.30 ID:UHGmn7hO0
さやか「コンクール残念だったね……」

上条「うん、今回は仕方ない。ちょうど方向性を探ってる途中だったから」

さやか「方向性?」

上条「今日の聴いてどう思った?」

さやか「うーん……豪快というか大雑把というか……そんな感じがしたかな」

上条「あれ? もしかして微妙?」

さやか「ううん、そうじゃなくて……何て言えばいいんだろ……」
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 22:57:58.83 ID:UHGmn7hO0
上条「僕としては今のスタイルの方が弾いてて楽しいんだけど」

さやか「……ねえ、恭介。最近何かあった?」

上条「いや、別に何も」

さやか「本当に? 悪い人たちと付き合ってたりとかしない?」

上条「大げさだな。授業ちょっとサボっただけだろ」

さやか「恭介……」
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 22:59:09.38 ID:UHGmn7hO0
上条「……という話があってさ。まったく、お前は僕のお袋かっての」

QB『はっはっは、あまり邪険にしてやるな。心配されてるうちが華だよ』

上条「それが余計なお世話なんだ」

QB『贅沢な男だ……ほい、到着』

恭介は先日の初勝利で大いに自信をつけ、キュゥべえの案内の下、魔獣狩りに勤しむようになっていた。
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 22:59:35.53 ID:UHGmn7hO0
上条「相変わらず数だけは多いな」

QB『実際増えてきている。おそらく今月末にピークを迎えるだろう』

上条「まあ、何匹いようが同じことだけど」

背中のマントを取り外し、魔獣の首に巻きつけ。

上条「ふんっ!」

手元まで一気に引き戻し、首を切断。
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 23:00:09.35 ID:UHGmn7hO0
魔獣達も当然反撃を試みるが。

上条「はい、ひらり」

恭介は闘牛士のごとくマントを翻し、レーザーをいなす。

上条「攻撃パターン少なすぎなんだよ」

そのまま強引に魔獣の群れの中心へと押し入る。

上条「それっ!」

そして魔獣達が構えるより先に、その並び立つ巨大な胴体を、硬質化させた白布で横一文字に薙ぎ払った。
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 23:00:36.90 ID:UHGmn7hO0
QB『ん、終わったか。ご苦労さん』

上条「なーんか面白味がないな」

QB『おいおい、あまり調子に乗るな。君はまだルーキーなんだから』

上条「大丈夫、もう慣れた」

QB『その慣れてくる頃が一番危ないんだ』
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 23:01:05.60 ID:UHGmn7hO0
上条「でもあれだね。こうも作業感が強いとだれるね」

QB『うわ出たよ。こういうこと言い出すから子どもは面倒なんだ』

上条「む……」

QB『この際だ。はっきりさせとこう。君は何のために戦う?』

上条「死にたくないからだよ」

QB『グリーフシードが欲しいのなら必要なときだけ戦えばいい』

上条「いや、でもそれだと普通の人達に被害が出るだろ」
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 23:01:39.16 ID:UHGmn7hO0
QB『ほう? 民間人のために命がけのボランティア? 誰からも称賛を得ることなく? 女の格好までして?』

上条「なんなのさ……」

QB『自分だけの戦う理由を考えておけって言ってるの』

上条「理由?」

QB『魔獣の存在を知ってしまった以上、見て見ぬ振りはできない。そんなの動機としては弱すぎる』

上条「別にいいだろ」

QB『精神衛生上良くない。君は子どもだから分からないかもしれないが、大人になると時間取れなくなるんだ』
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 23:02:17.07 ID:UHGmn7hO0
上条「仕事あるから?」

QB『そう。一日でも休んでみろ。同僚からは非難轟々、下手すりゃクビだ』

上条「ふーん」

QB『他人事じゃないぞ』

上条「いいや、僕は音楽家になるから関係ない」

QB『なんて嫌なガキだ』
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 23:03:30.89 ID:UHGmn7hO0
上条「というかさ、魔獣って無限に湧いてくるの? ずっと昔からいるみたいだけど」

QB『そうとも、まさしく無限だ。あれは感情に糧に存在している。人類という種が存続する限り、消えることはない』

上条「へえ……なんだか共生してるみたいだ。魔獣がいなければ、僕は今頃車椅子だったろうし」

QB『言い得て妙だ。奴らは魔法少女の契約を交わしたときに、いや、奇跡を起こしたときに爆発的増加を果たすからね』

上条「そうなの? それってマッチポンプなんじゃ……」

QB『気にするな。僕はこれで失礼させてもらうよ』
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 23:04:12.35 ID:UHGmn7hO0
上条「気にするなって……あっ、タツヤくん」

タツヤ「?」

歩いているうちに、いつの間にか公園まで来ていたようだ。

上条「お友達と遊んでるの?」

タツヤ「とんねるつくる」

上条「砂遊びか……お兄さんがお城を建ててあげようか?」

タツヤ「いらない」

上条「うっ、そ、そう……」
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 23:04:39.39 ID:UHGmn7hO0
タツヤ「うー」

上条「……よし」

恭介は何を思ったのか、ケースからヴァイオリンを取り出すと、公園中に響き渡るよう声を張り上げた。

上条「ちゅうもぉぉぉく!」

タツヤ「!?」
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 23:05:19.00 ID:UHGmn7hO0
タツヤをはじめとする幼児たちが一斉に振り向く。

幾対ものまん丸お目目に凝視され、気をよくした恭介は意気揚々とヴァイオリンを弾き鳴らした。

タツヤ「……? ……! アンパンマン!」

そう。

恭介が弾き始めた曲は、ちびっこに大人気のヒーローアニメのOPテーマ。

アンパンマンのマーチである。
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 23:05:59.60 ID:UHGmn7hO0
タツヤ「あんあんあんぱんまぁん!」

公園のあちこちで舌足らずなアンパンマンの大合唱。

何が楽しいのか、恭介はにやけながら演奏を続ける。

まどか「……上条くん?」

上条「……」

ちょっと待ってろと言いたげな視線をクラスメイトに送る。

まどか「ご、ごめんね……」
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 23:06:55.18 ID:UHGmn7hO0
上条「……」

演奏を終えグッとガッツポーズ。

その表情は妙に満ち足りていた。

タツヤ「もっかいやって! もっかい!」

上条「んーふっふ、どうしようかな」

まどか「あの、もういいかな?」
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 23:07:38.02 ID:UHGmn7hO0
上条「うん? なに?」

まどか「えっと、たっくんと遊んでくれてありがとう?」

上条「どういたしまして」

まどか「ああいや、そうじゃなくて……何してるの?」

上条「弾き語り。歌ってないけど」

まどか「何で?」

上条「ノリで」

まどか「上条くん、最近はっちゃけてるよね……」

上条「そう?」
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 23:08:11.55 ID:UHGmn7hO0
まどか「何かあった? 私でよければ相談に乗るよ?」

上条「はぁ、どいつもこいつも」

まどか「上条くん?」

上条「いいかい、僕は……」

刺客「君、ちょっといいかな」

上条「はい?」

刺客「私、こういう者です」

上条「ジャスラ……え?」
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 23:08:46.41 ID:UHGmn7hO0
上条「もう二度と路上ライブなんてやらねえ……」

まどか「はは……災難だったね」

タツヤ「まどかー、かえろー」

まどか「ん? お腹すいた?」

タツヤ「ごはんー」

まどか「分かった。帰ろうか」
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 23:09:44.40 ID:UHGmn7hO0
上条「言っとくけど、僕は何も変わっちゃいないからね。余計な気を回さないでくれ」

まどか「うん……信じるよ」

上条「全然そんな顔してないくせに」

タツヤ「にーちゃ! アンパンマン!」

上条「おーし! なろうか、アンパンマンに」

タツヤ「ばいばい!」

まどか「上条くん、ばいばい」

上条「ん、二人ともばいばい」
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 23:10:20.50 ID:UHGmn7hO0
所変わって某教会。

佐倉「……嵐が近付いてきてますね」

QB『全盛期よりも大幅に弱体化してるから君でも倒せると思うよ、たぶん』

佐倉「巴くんは来られますか?」

QB『四月はなぁ、地獄なんだよぉ、民間も公務員もよぉ』

佐倉「ですか」

QB『恭介とチビちゃん連れてきなよ。あれでけっこうやれるよ』

佐倉「馬鹿を言ってはいけません。危険すぎます」

QB『そうかい』
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/08(木) 23:11:35.61 ID:UHGmn7hO0
杏子「親父、入るよ」

佐倉「おっと! 杏子、ノックをしたら返事を待ちなさい」

杏子「はいはい、今度から気をつける……あれ、誰かと話してたんじゃねぇの?」

佐倉「電話です」

杏子「ふーん」

佐倉「……杏子」

杏子「あん?」

佐倉「母さんとモモを、頼みましたよ」

杏子「は? なにさ、いきなり……」

佐倉「さあ、夕飯にしましょう。今日はカレーですよ」

杏子「やったー! ねえねえ、肉は?」

佐倉「ありません」
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/08(木) 23:13:02.64 ID:UHGmn7hO0
ここまでです
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 23:50:11.01 ID:2au6uxVPo

恭介やさぐれてきてるのは感情吸われた影響?
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:36:16.95 ID:uqLD2if70
久しぶりに更新

215すぐ上からです
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:36:54.06 ID:uqLD2if70
恭介が調子に乗っている間にも時は流れていく。

そして四月が終わり、暦の上での夏がすぐそこまで来ている今日この頃。

見滝原は大荒れの天気に見舞われていた。

さやか「外すごいね……」

上条「スーパーセルだっけ? パーフェクトセルとどっちが強いんだろ」
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:37:29.90 ID:uqLD2if70
恭介たちは家族と一緒に学校の体育館に避難していた。

タツヤ「やー! おうちかえるー!」

まどか「たっくん、無理なんだよ……みんなの迷惑になるから、おとなしくしてて……」

慣れない環境で不安なのか、幼児や赤ん坊の泣き声がいたるところから聞こえてくる。

さらには、子どもの泣き声に苛立った大人たちの怒号が飛び交い、館内は混沌とした様相を呈していた。
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:38:00.79 ID:uqLD2if70
上条「ヴァイオリン弾ける雰囲気じゃないな……」

さやか「わざわざ持ってきたんだ」

上条「もう放さないって決めたからね」

さやか「うわぁ、偏執的」

上条「一時は捨ててしまおうかと思ったけど、やっぱりこいつは僕の魂なんだ」
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:38:32.29 ID:uqLD2if70
上条「そういや志筑さんの姿が見えないね」

さやか「ほら、仁美はシェルター持ってるから」

上条「シェルター、そういうのもあるのか」

さやか「でも日本の建造物は頑丈だからね。地上だろうが地下だろうが差は少ないと思うよ」
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:39:10.12 ID:uqLD2if70
ほむら「ほぉら、ぬいぐるみだよ〜。遊んでって言ってるよ〜」

まどか「優しいお姉ちゃんだね〜。よかったね〜」

タツヤ「やっ!」

ほむら「きゃっ! あぁ……飛んでっちゃった……」

まどか「たっくん! めっ! ごめんね、すぐ取りに行くから」
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:39:45.87 ID:uqLD2if70
上条「座ってていいよ。僕が取ってくるから」

まどか「上条くん」

上条「少年、悪い事をしたらちゃんと謝るんだ。それができないと立派なヒーローになれないぞ」

さやか「何言ってんだか」

タツヤ「ごめんなさい……」

さやか「通じた?」
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:40:15.14 ID:uqLD2if70
上条「確かここら辺に落ちたと思ったけど……」

QB『探し物はこれだろ』

上条「ああうん、それそれって、お前何してんだよ」

QB『よお、元気?』

上条「いや、元気だけどさ」
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:40:46.83 ID:uqLD2if70
QB『そいつは重畳。今日はね、今ノリに乗ってる君にお願いがあって来たの』

上条「おいおい、こんな日に魔獣退治しろってのか」

QB『こんな日だからこそだ、鈍いやつめ。これは自然災害でも何でもない』

上条「何だって! まさか魔獣が……」

QB「ああ、違う違う。これは魔女ってやつの仕業なんだ」
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:41:18.67 ID:uqLD2if70
上条「魔女?」

QB『君は運がいい。時代の節目を目撃できるのだから』

上条「よく分からないけど、そいつを倒せば嵐は鎮まるんだね」

QB『そういうこと。魔女を倒して見滝原の英雄になってよ!』

上条「いいとも、いいとも。さっそく案内してくれ」
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:41:51.91 ID:uqLD2if70
外は雨こそ降ってないものの、とても歩けるような状態ではなかった。

暗雲の隙間から稲光が走り、看板や瓦が空を舞ってはアスファルトを穿つ。

上条「ここは本当に日本なのか」

QB『驚くのはまだ早い。この先にもっと面白い光景が待っているよ』

恭介はキュゥべえに先導されるまま、嵐の中を突き進んだ。
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:42:23.97 ID:uqLD2if70
QB『ここだ』

上条「ここ? 何もいないけど」

QB『結界が展開されてるのさ。この嵐はそこから滲み出る余波にすぎない』

上条「相当な強敵みたいだね……」

QB『今から尻尾巻いて帰るかい?』

上条「行くに決まってるだろ。これは武者震いさ」
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:42:52.29 ID:uqLD2if70
結界の中は一転して炎天下。

全身を焼きつける太陽と砂と礫だけの世界。

そして砂漠一帯を覆い尽くす魔獣の群勢。

見渡す限り魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣。

佐倉「煉獄とは、このような場所なのでしょうか」

上条「あ、牧師さん」

佐倉「来てしまいましたか」
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:43:20.60 ID:uqLD2if70
上条「大丈夫ですよ! 昔とは比べ物にならないくらい強くなったんですから!」

QB『雑魚散らしには使えるだろう。連れてってあげて』

佐倉「巴くんは」

QB『台風ごときで仕事が休めると思うなよ』

佐倉「ですか」

上条「お願いします。絶対役に立ちますから」

佐倉「……自分の身は自分で守るんですよ」
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:43:47.26 ID:uqLD2if70
二人は魔獣の群れを蹴散らしながら結界の最奥を目指す。

佐倉「おどきなさい。あなた方の相手をしている暇はないのです」

牧師が風を纏った突進を仕掛け、すれ違いざまに魔獣を切り裂く。

上条「我が前に敵はなし!」

一方の恭介は自慢のマントをばっさばっさと翻し、行く手を阻むレーザー光を全て反射した。

上条「守りはまかせてくださいね」

佐倉「……」
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:44:35.12 ID:uqLD2if70
QB『全滅はさせるなよ。魔女を結界の外に出すとまずいことになる』

上条「というと?」

QB『それは……ストップ、スタァァップ!』

上条「うわっ、なんだよ」

QB『なんだよじゃない。前方700メートル先を確認! 大至急!』

上条「どれどれ」
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:45:20.25 ID:uqLD2if70
遥か遠方を見渡すと、白く細長い何かが宙に浮かぶ巨大なオブジェにうじゃうじゃと張り付いているのが見えた。

上条「魔獣、なのか? 遠目からだと蛆みたいで気持ち悪いな」

QB『そっちじゃない。デカブツの方だ』

上条「群がられてる方?」

オブジェと思しき物に視線を移す。

よくよく眼を凝らしてみると、それはゆっくりとだが時計の針のように回転しているようだった。

どうやら結界付属の造形物ではないらしい。
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:45:48.87 ID:uqLD2if70
佐倉「痛ましい……」

牧師が右手を軽く振り上げ、巨大オブジェを中心に竜巻を引き起こす。

佐倉「女性に乱暴してはいけませんよ」

荒れ狂う暴風に逆らえず、魔獣達はなす術なく砂塵に呑まれた。
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:46:30.07 ID:uqLD2if70
QB『ごらん、あれが魔女だ』

蜜に群がる虫を一掃したことで、キュゥべえの言う魔女の全貌が露わとなる。

ゆっくりと回転する逆しまの体。

その真っ白な相貌に目鼻はなく。

淡々と施された口紅が異彩を放つ。

佐倉「主よ、救い給え」

開きっぱなしの口から甲高い哄笑が漏れた。
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:47:19.02 ID:uqLD2if70
上条「はあ……家より大きいかも……」

巨大であるということはそれだけで脅威となる。

本来であれば畏怖を感じているところだろう。

しかし、上空の魔女はどうにも強そうに見えない。

QB『古傷が癒えてないようだね』

美しい藍色であっただろうドレスはすっかり色褪せ所々破けている。

ドレスの裾から見え隠れする歯車も至るところが欠けてボロボロ。

角のように尖った頭頂部は今にも折れそうだ。
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:47:52.64 ID:uqLD2if70
QB『さあ、女共の浅ましい妄執を終わらせろ』

佐倉「……よくそんなことが言えたものだ。あなたにも聞こえるはずです。あの子たちの悲壮な叫びが」

QB『借り物の奇跡に縋った罰だよ。自業自得。彼女たちは滅ぶべくして滅んだのさ』

佐倉「救いを求めることに、何の間違いがあるというのですか……」

QB『全てだ。彼女たちの願いが世界に歪みをもたらしたのだから』
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:48:19.42 ID:uqLD2if70
QB『一応感謝はしてるよ。おかげで宇宙の終焉はもう少し後になりそうだ』

上条「なあ、キュゥべえ。どうやって攻撃すればいいんだろう?」

QB『ん? マントで引っ張って下ろしたら?』

上条「えー、絶対重いだろ」

佐倉「……待ちなさい。ЁНОКАЗЭで削ってみます」
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:48:56.34 ID:uqLD2if70
半径20メートルもの旋風が魔女を切り刻む。

時折青い布切れが風に運ばれ、こちらにまで飛んできた。

QB『いいぞー、そのまま裸にひん剥けー』

佐倉「黙りなさい」

上条「効いてるんだか、効いてないんだか」

QB『分かりにくいよね。あれ無駄に堅いんだ』
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:49:36.80 ID:uqLD2if70
佐倉「このままでは……やはり……」

上条「牧師さん?」

QB『前を見ろ、前を。攻撃来るぞ』

七色に輝く少女のシルエットが二人に襲いかかる。

上条「雑魚はまかせてください! ふん! そりゃ!」

恭介はマントを手足のように操り、魔女の放った尖兵を軽くあしらった。

上条「なんだ、てんで弱いじゃないか」

QB『ふん、結界内ならこんなもんか』
242 :なすーん [なすーん]:なすーん
                     __        、]l./⌒ヽ、 `ヽ、     ,r'7'"´Z__
                      `ヽ `ヽ、-v‐'`ヾミ| |/三ミヽ   `iーr=<    ─フ
                     <   /´  r'´   `   ` \  `| ノ     ∠_
                     `ヽ、__//  /   |/| ヽ __\ \ヽ  |く   ___彡'′
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243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:50:19.09 ID:uqLD2if70
佐倉「……」

QB『どうした。手を休めるなよ』

佐倉「私は……」

上条「……? あれ? 頭が上に向かってきてる……」

QB『!』

見上げればすぐ近くにあった魔女の頭部が、いつの間にか天に届かんとしている。

QB『馬鹿な。早すぎる』
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:50:54.94 ID:uqLD2if70
佐倉「風に乗ったのでしょうか」

QB『悠長に構えてる場合か! 早く仕留めろ!』

上条「いったいどうしたんだよ。何が起きてるんだ」

QB『あれが完全に上を向いたら君たちは終わりだ!』

上条「え……」

佐倉「……」

QB『駄目だ、もう遅い。せめて楽に死ねるように祈れ』
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:51:23.43 ID:uqLD2if70
佐倉「……嫌なことに付き合わせてしまいましたね」

上条「え?」

佐倉「失礼」

恭介は唐突に地面に押し倒された。

上条「いたっ! 何するんですか!」

佐倉「伏せていなさい。風が守ってくれます」

上条「なにを……」

抗議の声を上げようとした次の瞬間、全ての音が消え失せた。
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:52:01.91 ID:uqLD2if70
上条「……ん……は……あれ……そと……?」

QB『結界が破られた。見滝原はもうお終いだ』

高層ビルがおもちゃみたいに空を飛んでいる。

これは本当に現実なのだろうか。

上条「ぼくし……さん……?」
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:52:29.32 ID:uqLD2if70
QB『すぐ傍にいるよ。隣を見てみろ』

動くのも億劫で首だけを横に傾けた。

牧師がうつ伏せに倒れている。

でも何だかおかしい。

背があまりにも低すぎる。
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:52:56.76 ID:uqLD2if70
視線をスライドさせる。

背中しか見えない。

眼を擦ってもう一度よく見る。

腰から先が見えない。

立ち上がって見下ろす。

ない。

足が無い。

下半身が全部ない。
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:53:58.43 ID:uqLD2if70
上条「なんだよ、これ」

地面が赤く染まっている。

鉄のような匂いがする。

マントが血に塗れている。

上条「うっ、ぐぷっ、うげぇ……!」
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:54:25.47 ID:uqLD2if70
QB『かわいそうに、グロ耐性ないのか……ん? なに? 生きてたの? ああ、いいよ。繋いであげる』

上条「ぼく、ぼくしさん……! なんで……! げぼっ、こんな……!」

佐倉『見苦しいものを見せてしまい、申し訳ない』

上条「ぼくしさん……?」

QB『テレパシーだ。僕を介して君の頭の中に直接語りかけている』
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:54:51.02 ID:uqLD2if70
上条「いきてるんですか……?」

佐倉『魔法少女ですから』

上条「は、はは……」

佐倉『……大変心苦しいのですが、どうか一つだけ私の頼みを聞いて頂けないでしょうか?』

上条「なんですか……? なんでもいってください……」
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:55:23.92 ID:uqLD2if70
佐倉『私を……魔女のところまで連れて行ってください』

上条「でも……」

佐倉『お願いします』

上条「……はい」

残された上半身をそっと抱き起こす。

くたびれた壮年の顔は蒼白を通り越して土気色になっている。

上条「あ……」

体を起こした衝撃で臓器がぼとりと零れ落ちた。
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:55:53.38 ID:uqLD2if70
佐倉『お気になさらず。ソウルジェムさえ無事なら心臓がなくても動けるんですよ』

上条「……ゆっくり、進みますね」

牧師の体をマントに包むようにして抱える。

QB『急げ。住民数千人の命が君の双肩に懸っているぞ』

佐倉『そうです。遠慮はいりません』

上条「でも……」

佐倉『急いでください』
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:56:26.99 ID:uqLD2if70
ビル、陸橋、電柱、大型車、大小様々な物体が魔女の周りをデブリのように漂っている。

佐倉『行けますか?』

上条「足には自信があります」

次々と射出される人工物を潜り抜け、一心不乱に魔女のもとへ向かう。

QB『まったく冷や冷やさせてくれる。いつまで浮いててくれるのやら』
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:56:52.41 ID:uqLD2if70
佐倉『……戦うことはつらいことです。誰かを助けるために自分が傷つかなければならないのですから』

上条「はい」

佐倉『正義を成すというのはそれくらい難しいことなのです。自分が傷つかなくてすむ正義などありはしません』

上条「はい……」

佐倉『そうそう、いつでもいいですから一度教会に来てください。グリーフシードの蓄えがいくらかあるので』

上条「……」

佐倉『あの子と仲良く分けるんですよ』
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:57:50.18 ID:uqLD2if70
上条「……着きました」

佐倉『ありがとう。ここで降ろしてください』

上条「牧師さん……」

佐倉『そんな顔をしないでください。天に召される時が来ただけです』

上条「……キュゥべえ、助けてあげられないの?」

QB『無粋なこと言うなよ。てかさ、こいつが失敗したら次は君だよ? 分かってる?』

佐倉『死力は尽くしますが……もしものときは、お逃げなさい』
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:58:20.87 ID:uqLD2if70
魔女をぼうっと見上げる。

この位置からでは歯車の動く様子しか見えない。

佐倉『離れていなさい。巻き込んでしまいます』

上条「……」

QB『行こう』

恭介は、身動き一つとれない牧師を魔女の下に置き去りにした。
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:58:59.94 ID:uqLD2if70
風が強い。

いや、強くなった。

SF映画に出てくるような大竜巻が渦巻いている。

QB『あ、割れた』

暴風の中に火柱が巻き起こる。

浮遊していたビル群が轟音と共に落下していく。

肉の焼ける匂いが、したような気がした。
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/11(日) 23:59:43.93 ID:uqLD2if70
雲の切れ目から青空が顔を覗かせ始める。

台風一過というやつだろうか。

QB『いやー終わった終わった。さて、飛び散った肉片を掻き集めてやらないと。葬式出すとき困るからね』

今は何も考えたくない。

ただ黙々と瓦礫の山を漁る。

QB『首が無事ならいいんだけど』

残骸に挟まった身体の欠片を見つけてはマントに放りこんだ。
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/12(月) 00:00:37.94 ID:8DDTvpB70
QB『おっ、下半身発見』

上条「いた」

QB『ん? 何が?』

それは奇跡的にも原形をとどめていた。

上条「……」

生気のない瞳が心配そうに何かを見上げている。

彼は最期に何を見ていたのだろうか。
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/12(月) 00:01:16.90 ID:8DDTvpB70
上条「……ぅ……ぐぅっ……ぁ……あぁぁ……!」

膝をつき嗚咽を漏らす。

感情の整理がうまくできない。

QB『他人のために死ねたんだ。本望だったろうよ』

こんなに寂しい死に方をして、この人は本当に満足だったのか?

誰にも知られることなく、己の身を削り続けることが正義なのか?

上条「ぼくしさん……ぼくに……こたえを……」

少年の問いは答えられることなく風の中に消えていった。
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/12(月) 00:01:50.52 ID:8DDTvpB70
ここまでです

魔獣×魔女で一本書けるな
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/12(月) 00:11:26.46 ID:Podgv9+so
お疲れ様です。



牧師様と言うかむしろおやっさんと呼びたい 佐倉氏は良い師匠だった
ところで巴さんってやっぱり事故で妻子に先立たれてるんでしょうか
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/12(月) 00:21:23.16 ID:8DDTvpB70
>>263
マミさんは101に出てます
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/12(月) 00:26:50.07 ID:Podgv9+so
……ほんとだぁっ!



大黒柱が居なくなった佐倉さんちはどうなるのかも気になる所ですね
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/12(月) 03:01:23.37 ID:SJN1NynAO
面白い!
でも女装が邪魔をする
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 06:16:34.63 ID:2RtiZWm00
佐倉のおっさん…
保険はかけてあると言ってたがこの死に方で降りるのかな
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/12(月) 06:31:02.16 ID:IQq2mAPAO
女装じゃなけりゃ最高にかっこいいんだけどなぁ……
ワルプルVS魔獣の大軍。
ほむほむの全力よりダメージ負ってるのは魔獣の結界に取り込まれてるから本来の力が出ない+数の暴力なのか?
でも本気のワルプルさんにはあっさり蹴散らされちゃうのね。
トドメは佐倉家の伝統奥義自爆か……。弱ってたとはいえワルプル撃破できるのは凄いな。
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/12(月) 11:45:03.37 ID:qHWms4sx0
ワルプルは災害その物だから、理由も無く去っていく可能性もある。この時点だと撃破出来たかそうでないかの判断が難しい。
魔獣が魔女を食らっていたのか、魔女が魔獣を食らっていたのか・・・
大黒柱とは言っても杏子父は稼ぎが無く、嫁さんの稼ぎで暮らしているから生活的に影響は出ないのだよな。
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:32:54.36 ID:UZe9zpg30
ほいほい261から続き
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:33:25.32 ID:UZe9zpg30
――教役者である佐倉氏の遺体が欠損した状態で発見された事件を受け、県警は――

――氏の遺体には鋭利なもので切断された箇所が見られ、また所々に炭化した跡が――

――捜査本部は事故死との見方を強めており、事件性はないと――

杏子「脳無しどもめ。あたしは誤魔化されないぞ」

赤髪の少女はスクラップした記事を一通り読み終えると引き出しに戻した。

杏子「……さてと、今日のおつとめを果たしに行きますかね」

佐倉一家は教団の好意のもと、現在も教会の居住スペースに留まっている。

母方の実家に帰ろうという提案に、杏子が猛反発したためだった。
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:33:59.13 ID:UZe9zpg30
杏子「人は皆草のようで、その華やかさはすべて草の花のようだ」

杏子の朝は、礼拝堂で覚えたての聖句を諳んじることから始まる。

杏子「草は枯れ、花は散る。しかし、主の言葉は永遠に変わることがない」

彼女は亡き父に代わり、自分がこの教会の牧師として立つことを目標に掲げているのだ。
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:34:31.46 ID:UZe9zpg30
モモ「おはよう、お姉ちゃん。お弁当できたよ」

杏子「ああ、そこ置いといて」

モモ「それとね、寄付金また来てるよ。今回も匿名みたい」

杏子「はぁ、またか。気味悪ぃな……」

モモ「そんなに心配しなくてもいいんじゃない? こんな場末の教会に寄付したって何の得にもならないだろうし」

杏子「だから怪しいんだろうが」
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:35:04.09 ID:UZe9zpg30
モモ「でも助かってるのは事実でしょ?」

杏子「……まあな。少なくとも学費の心配はしなくてすみそうだ」

モモ「お姉ちゃんは真面目だなぁ。私はほとんど趣味に注ぎ込んでるよ」

言いながらサイン入りCDを鞄から取り出す。

杏子「お前も好きだよな。えっと、誰だっけ?」

モモ「上条だよ、上条恭介」
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:35:31.37 ID:UZe9zpg30
説明しよう。

上条恭介とは、学生の身でありながらプロとして音楽活動をしている新進気鋭のヴァイオリン奏者である。

嵐のように激しい演奏と、本人の親しみやすいキャラクターで一躍人気を博す。

支持層は主に女性だが、特にお姉さま方からの支持が厚く、ちょっとしたクラシックブームの立役者となった。

杏子「あー、そんな名前だったな。クラスのやつが騒いでたわ」

モモ「なんていうかさ、影がある人なんだよね。基本笑顔なのにどこか儚い感じがするっていうか。なんだか守ってあげたくなるの」

杏子「お前はそいつの何なんだ」
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:36:04.14 ID:UZe9zpg30
杏子「しっかし相当お熱だね。あんなモヤシみたいなやつのどこがいいんだか」

モモ「会ってみれば分かるって」

杏子「そうかぁ? 男は渋い方がカッコいいだろ。こう、年季を感じるような」

モモ「うわぁ、おじさん趣味……」

杏子「うっせ、悪いか」
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:36:32.15 ID:UZe9zpg30
モモ「あっ、もうこんな時間。そろそろご飯食べないと遅刻するよ」

杏子「ん、わかった。着替えてから行く」

杏子は寝巻から制服に着替えるべく一度自室に戻った。

杏子「上条ねぇ……あの顔どこかで……」

何故だか記憶に引っ掛かりを感じる。

杏子「……気のせいだな」
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:37:09.85 ID:UZe9zpg30
ここで件の上条恭介が通う見滝原中学校に視点を移そう。

中沢「お前、腹筋割れてんのな」

上条「こう見えて鍛えてるから」

普段から多忙を極める上条少年だが、今日は普通に登校しているようだ。
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:37:41.54 ID:UZe9zpg30
さやか「いつの間にこんな立派になっちゃって……」

まどか「ねえねえ、触ってもいい?」

上条「かまわないよ」

まどか「おぉ……かちんかちんだ……」

中沢「俺のも触っていいんだぜ?」

まどか「ほむらちゃんも触りなよ」

ほむら「え? 私は別に……」
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:38:27.09 ID:UZe9zpg30
上条「……」

恭介がおもむろに胸筋をピクピクさせる。

ほむら「ひぁっ……!」

さやか「こら! セクハラすんな、バカ!」

上条「してないしてない。生理現象だから」

QB『恭介、ちょっといいかな』

上条『魔獣か。すぐ行く』

QB『悪いね』
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:38:55.51 ID:UZe9zpg30
まどか「上条くん、今のはちょっと」

上条「ごめんごめん。今度、氷川きよしのサインもらってくるから許して」

まどか「ほむらちゃん、きっと悪気はなかったんだよ」

ほむら「え……」

さやか「買収されんな」

中沢「顔か、顔なのか。顔のいい奴はセクハラしても許されるのか」
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:39:38.58 ID:UZe9zpg30
さやか「それはそうと、今週のスケジュールはどうなってんの?」

上条「明日には東京、その次に横浜。あとは新幹線で仙台行って、それから飛行機で大阪かな」

QB『時間あったら現地で魔獣狩りしといて』

上条『言われなくともそうするつもりだ』

まどか「お仕事たいへんそうだね」

上条「いや、充実してるよ」
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:40:29.06 ID:UZe9zpg30
キュゥべえの要請を受けた恭介は仕事と偽り早退すると、いつものように魔獣退治に乗り出した。

上条「22、23、24、ラスト!」

かつての彼とは状況も境遇も違う。

いつ学校を抜け出そうが、もはや誰もサボリだとは思わない。

QB『さすがだ』

上条「25体、だいぶ落ち着いてきたか」

普段の彼を知るものが今の彼を見れば間違いなく驚くことだろう。

友人たちに見せる年相応の悪ガキの顔でもなく、メディア向けの営業スマイルでもなく、険しい戦士の面差しがそこにあった。

……その前に女装に驚く?

知らんな。
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:41:12.15 ID:UZe9zpg30
上条「僕が留守にしてる間は巴さんを働かせろ。タツヤくんには頼むなよ」

QB『チビちゃんの方が早く終わって助かるんだけど』

上条「駄目だ」

QB『そうは言うけどさ。あいつ火力ないし、今の仕事に就いてからは運動不足にもなるしで正直単独では厳しいんじゃないかな』

上条「ゴリ押しでなんとかなる。あの回復力はとんでもないから」

QB『うーん、仕方ない。外回りのときに行かせるか』
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:42:26.43 ID:UZe9zpg30
QB『それで、君はこれから新幹線かい?』

上条「ううん。まだ時間あるし、花を新しくしてくる」

QB『お供しよう』

恭介が向かった先は魔女との決戦の地であった。

上条「瓦礫の撤去、なかなか終わらないな」

QB『こういうのは年単位でかかる』

上条「そうか」
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:43:24.31 ID:UZe9zpg30
QB『……おや? 見ろよ、あの子また来てるよ』

上条「……」

小柄な少女の後ろ姿が見えた。

両手に軍手をつけ、一人瓦礫をどかす作業をしている。

杏子「ふぅーっ……暗くなってきたな……」

額の汗をぬぐうたび、後ろで結った赤髪が揺れる。

その揺れるさまが炎のようで、今にも夕陽に溶けてしまいそうに思えた。
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:44:17.13 ID:UZe9zpg30
QB『よくやるよ。常人の発想で真相に辿り着けるわけなんてないのに』

あの人の体を完全に修復することはできなかった。

もっと綺麗な状態で見つけられていたならば、彼女も父の死を受け入れることができたのだろうか。

上条「……」

いたたまれなくなり、無言で踵を返す。

QB『帰るの?』

上条「うん、日を改めて……」
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:45:11.26 ID:UZe9zpg30
虫の知らせか、それとも彼の声か。

ふと嫌な予感がして後ろを振り返る。

上条「……っ!」

少女がバランスを崩し、背中から倒れそうになっている。

後ろには剥き出しの鉄杭。

下手をすれば命に――――
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:45:52.17 ID:UZe9zpg30
上条「変身!」

魔法少女姿に変身し、マントを帯状に鋭く伸ばす。

上条「間に合えっ!」

彼女の身に何かあれば、二度とあの人に顔向けできない。

躊躇などある筈がなかった。
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:46:34.43 ID:UZe9zpg30
杏子「う……あれ……?」

襲い来るであろう衝撃に目を閉じた瞬間、ふわっとした浮遊感を覚える。

杏子「ん……?」

恐る恐る目を開けると、真っ白な布に包まれていることが分かった。

杏子「いったい、なにが……」

恭介は見事、杏子の身を絡め取ることに成功したのだ。
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:47:14.18 ID:UZe9zpg30
杏子「お……」

体を包み込む布がゆっくりと解かれていく。

だんだんと開けていく視界に女性、と思しき足が映り込んだ。

膝上まで覆うほどの長いソックスに、下着が見えてしまいそうなくらい丈の短いスカート。

……ムダ毛の処理をしていないのだろうか。

太腿には男らしいモジャモジャが生えている。
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:47:47.82 ID:UZe9zpg30
さらに視線を上昇させていく。

この人は青と白からなる綺麗なドレスを着ているみたいだ。

角度によっては、おへそが見えてしまうデザインのようで割れた腹筋がチラチラと……。

……胸は、全くない。

バストはあるけど、それはたぶん筋肉で……。

あ、脇の処理もしてな……これ女じゃない!
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:48:42.89 ID:UZe9zpg30
杏子「へ、変態だぁぁぁぁぁ!」

上条「……」

恭介は少女の罵声を気にも留めず、マントを装着し直すと変身を解除した。

杏子「こ、こっちくんな! くんなよぉ……!」

上条「……」

杏子「ひぃ……うん……?」

怯える杏子を華麗にスルーし、いつもの場所に花を供える。
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:49:36.02 ID:UZe9zpg30
上条「ようやく、あなたの役に立つことができました」

杏子「な、なあ。もしかして、いつも花供えてくれてたの、あんただったのか?」

上条「……」

杏子「あんた、親父の何なんだ? 教会では、見たことないけど……」

上条「……ここで危ない真似をするのはやめてください。警察でも分からなかったことなのに、あなたに分かるわけがないでしょう」

杏子「なっ! こ、この変態女装野郎! お前に何が分かるってんだ!」

上条「この場所をいくら調べたところで何も出てきませんよ」

杏子「どういうことだよ!」

上条「これ以上嗅ぎまわらないでください」
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:50:09.04 ID:UZe9zpg30
もう相手をするつもりはないとばかりにピシャリと話を切り上げ、この場を立ち去る。

杏子「待てよ! 知ってること全部教えろ!」

恭介の足は止まらない。

杏子「お前が女の格好してたことばらすぞ!」

恭介の歩みは揺るがない。

杏子「おしぇて、くれよぉ……!」

恭介の姿はもう見えない。
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/13(火) 23:50:53.35 ID:UZe9zpg30
杏子「ちっくしょー……。変態め、今に見てろよ!」

杏子は急ぎ自宅へと戻り、軍手も外さぬまま電話機を手にする。

杏子「もしもし? マミ、あたしだ。中学のときの制服貸してくれ。まだ持ってんだろ?」

さっきは冷静さを失ってて気付けなかったけど、あれは間違いなく上条なんちゃらだった。

前にテレビで見た顔と同じだ。

杏子「何に使うのって着るんだよ、あたしが。ああ、うるせー、なんでもいいだろ。黙って貸せ!」

どんな手を使ってでも親父のことを吐かせてやる!
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/13(火) 23:52:49.99 ID:UZe9zpg30
ここまでです

まどかSSは敵さん倒してスパッと終われないから困る
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/14(水) 03:51:39.09 ID:WETYZ9SAO
あんこちゃん、女装には突っ込まないであげてw
もう吹っ切れてるだろうけど内心ちょっとは傷付くだろうからww

そういえばここのほむほむはメガほむなのね。
メガほむにセクハラとか最悪泣かれそうだなw
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/09/14(水) 03:55:10.88 ID:FGE4NdOAO
乙、敵を倒しても終われないからこそ続きが気になる
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/14(水) 06:17:36.33 ID:pOatgPheo
マミさん卒業しちゃってるのね
杏子が着たらぶかぶかになりそうだなあ胸とか
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:13:34.16 ID:RN7tbWEa0
ほいほい296から続きです
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:14:02.48 ID:RN7tbWEa0
杏子と変質者の邂逅から数日。

杏子「んー、確かに制服は受け取った。恩に着るよ」

マミ「どういたしまして。でも、ごめんなさいね。クリーニングに出したから持ってくるの遅れちゃって」

杏子「別にそんなことしなくてもよかったのに」

さっそく試着してみる。

杏子「どう? 変じゃない?」

マミ「いいんじゃないかしら。私たち背格好はそんなに変わらないし」
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:14:31.37 ID:RN7tbWEa0
杏子「これならどっから見ても、学校の生徒さんにしか見えないな」

マミ「ねえ、そろそろ教えてよ。いったい何に使うつもり?」

杏子「お宅の母校に忍び込むんだよ。スパイだ、スパイ」

マミ「はぁ、何をするかと思えば……」

杏子「よーし。これで野郎の弱みを握って、洗いざらい白状させてやる」
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:14:58.41 ID:RN7tbWEa0
一方その頃、恭介はというと。

上条「腰が痛いなぁ。二時間半座りっぱなしはキツイよ」

QB『お疲れさん。歓迎するよ』

上条「やあ、どうも。君がこの地区を担当してるキュゥべえなのかな?」

QB『そうだよ。短い間だけどよろしく』

上条「こちらこそ。ところで牛タンのうまい店知らない?」

絶賛遠征中であった。
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:15:25.84 ID:RN7tbWEa0
そんな事情を知る由もなく、杏子は上条恭介の所属する見滝原中学に潜入を開始するのであった。

杏子「すげー……でけー……どんだけ金かけてんだ……」

お坊ちゃん、お嬢様が通う学校だと聞いてはいたが、実際に目にすると驚きの連続だ。

杏子「全面ガラス張りだ……暑くないのか? 冷房が入ってるのか? どうして机が木製じゃないんだ?」

物珍しさには勝てず、ついキョロキョロしてしまう。
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:15:56.42 ID:RN7tbWEa0
杏子「……いかんいかん。怪しまれちまう」

気を取り直して、見取り図を頼りに三年生の教室を探す。

杏子「三階じゃない? 三年なのに……」

校内はかなり広く、なかなか目的地に到達できない。

杏子「しゃあない。人に聞くか」
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:16:36.70 ID:RN7tbWEa0
杏子「おーい、そこの。ちょっといい?」

ほむら「はひっ、な、なんですか?」

杏子「三年の教室ってどこ?」

ほむら「迷子、ですか?」

杏子「どこ?」

ほむら「は、はい。こっちです……」
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:17:04.46 ID:RN7tbWEa0
杏子「なあ、あんた。上条って知ってる?」

ほむら「上条くんですか? クラスメイトですけど……」

杏子「悪い奴か?」

ほむら「いえ、そんなことは……」

杏子「カマっぽい?」

ほむら「は?」

杏子「いや、なんでもない」
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:17:31.42 ID:RN7tbWEa0
ほむら「ここです」

杏子「おう、ありがとさん」

目当ての人物を探すべく教室を見渡す。

杏子「いない……」

ほむら「あの、上条くんはお仕事でお休みです」

杏子「ああん? チッ、無駄足踏んじまった」
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:18:02.19 ID:RN7tbWEa0
まどか「上条くんがどうかした?」

杏子「ああ、いやな。ちょっと聞きたいことがあってな」

まどか「聞きたいこと? 私でよければ答えるよ。上条くんとは付き合い長いからね」

杏子「そうか……その、変な質問なんだが……上条ってやつは女装癖があるのか?」

まどか「えぇー! なにそれー!」

杏子「見たんだよ。日曜朝にやってるアニメみてえな格好してるとこ」
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:18:37.07 ID:RN7tbWEa0
まどか「うーん、プリキュアかぁ……好きなの?」

杏子「別に。てか見てない」

まどか「おもしろいよ」

杏子「おいおい、いい年してアニメなんか見んなよ」

まどか「むっ、人の趣味にケチをつけないでほしいな」
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:20:58.14 ID:RN7tbWEa0
さやか「なにケンカしてんのさ。まどか、早くいつもの見せてよ」

まどか「ああ、ごめんね。はい、今日のたっくん」

ピンク髪の少女は鞄からデジカメを取り出すと、友人たちに画像を披露し始めた。

ほむら「かわいい……」

さやか「いいなぁ、私にも弟がいればいいのに」

まどか「いいでしょ〜」

杏子「なんだってんだ?」

気になって思わず覗きこむ。
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:21:27.50 ID:RN7tbWEa0
写っているのは三つか四つほどの小さな子どもだ。

薄桃色のフリフリドレスを着せられている。

弟、という単語が先程聞こえたが、なるほど確かに顔つきは少年のそれだ。

杏子「……!」

それにしてもなんという鬼畜の所業であろうか。

哀れ鹿目タツヤの将来は闇に閉ざされた。

な〜む〜。
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:22:00.03 ID:RN7tbWEa0
杏子「これだ……この服だ!」

まどか「うるさいよ、どうしたの?」

杏子「おい! この子パッと一瞬で着替えたりしないか!?」

まどか「え!? そ、そんなこと、あるわけないよ……」

杏子「ふっふっふ、追いつめたぞぉ」

まどか「あわわわ……」
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:22:26.63 ID:RN7tbWEa0
そして放課後、鹿目家宅。

まどか「ただいま……」

タツヤ「ねこ、まどかきた」

まどか「また妖精さんとお話してたの?」

タツヤ「ないしょ」

杏子「よう、坊主。ちょっといいか?」

タツヤ「?」
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:22:54.81 ID:RN7tbWEa0
杏子「ほれ。この写真みたいな服に着替えてくれ」

タツヤ「?」

杏子「いや、だからな? えっと……上条の野郎が手品か何か仕込んだんだろ? それを見せてくれ」

タツヤ「へんしん?」

杏子「そうそう」

タツヤ「ん」
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:23:39.32 ID:RN7tbWEa0
タツヤの全身が光に覆われ、写真に写っていたものと寸分違わぬ姿となる。

杏子「ほぁ……どういうトリックだ?」

まどか「魔法だよ。きっとそう」

杏子「坊主も災難だな。あんな変態にこんな芸覚えさせられて」

タツヤ「……ねこ? てき? どこ?」

まどか「たっくん?」

タツヤ「いく」

タツヤが突如として駆け出す。
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:24:09.10 ID:RN7tbWEa0
まどか「たっくん! もう夕方だから外出ちゃダメだよ!」

杏子「って、はえーよ! ガキの足じゃねえ!」

ものすごい勢いで家を飛び出したかと思うと、もう点になっている。

杏子「くそっ! 舐めんな!」

杏子は家で待つことを由とせず、タツヤの追跡を開始した。
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:24:36.32 ID:RN7tbWEa0
杏子「坊主! どこだ!」

やってきたのは、ひっそりとした路地裏。

杏子「ここに入り込んだはずだけど……」

ぉ、ぉぉぉ、ぁぁぁぁ

杏子「ひ……」

柱の陰から呻くような声が聞こえる。
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:25:05.76 ID:RN7tbWEa0
巴「誰か、誰かそこにいるのか……」

杏子「……あれ?」

巴「私はもう駄目だ。どうか妻と娘に伝えてほしい。愛していたと……」

杏子「おっちゃん、何やってんの?」

巴「はぁっお! びっくりした!」

壁にもたれるように座り込んでいたのはスーツ姿のおっさん。

自分の友人である巴マミの親父さんであった。
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:25:34.35 ID:RN7tbWEa0
巴「いやー、面目ない。営業してたら疲れてしまって」

杏子「ふーん……?」

ぽっこりと膨らんだビール腹に視線を落とすと、何やら赤くなっている。

杏子「おっちゃん?」

巴「血糊だ! 血糊! ピンチの演出だよ!」

杏子「まあ、そんなことだろうと思ったよ。相変わらずアホやってんなぁ」

巴「はは……」
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:27:33.29 ID:RN7tbWEa0
杏子「ところでさ、こっちに小さい子ども来なかった? これくらいの」

巴「……見てないな」

杏子「そっか、見間違いだったのかな」

仕方なしに引き返そうかと考えていると。

巴「……待て! そっちに行くな!」

目の前に閃光が走り、建物の外壁が消し飛んだ。

耳をつんざく轟音が遅れてやってくる。
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:28:02.85 ID:RN7tbWEa0
杏子「……え?」

円形に削り取られたかのような壁穴。

その穴の先に佇むフリフリ衣装の幼子。

タツヤ「おっちゃ、いた」

巴「結界ごと破壊したのか……まずいなあ……警察沙汰になってしまう……」

杏子「……」

壁をコツコツと叩く。

杏子「硬い……」
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/15(木) 17:28:32.52 ID:RN7tbWEa0
巴「そうだ。見なかったことに」

杏子「坊主、今のお前がやったのか?」

タツヤ「てきたおした」

杏子「おっちゃん、何がどうなってんだ? この子はいったい何者なんだ?」

巴「み、見なかったことに……」

杏子「上条のやつもこうなのか? おっちゃんも?」

巴「ど、どうしよう……上条くんに怒られる……」

タツヤ「?」
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/15(木) 17:29:20.18 ID:RN7tbWEa0
ここまでです
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 17:44:02.01 ID:HJWl5qVwo

出オチで巴のおっちゃん死ぬのかとおもた
しつこそうな杏子にバレちゃってやべえな
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/15(木) 19:07:01.75 ID:oRCR9OcS0
台詞にかなり余裕があるから二戦目が有るかと思ったけど、そんな事は無かったぜ。
杏子が正史のほむほむポジか。
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:56:40.26 ID:S8hsKhv0o
自分の親父も同類だとは思い至ってないのかww
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/16(金) 04:13:59.65 ID:HUrc8y2AO
>>326
あんこちゃんがもし言い触らしたら(社会的に)死ぬな、巴のおっちゃんw
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/16(金) 21:01:04.98 ID:8ZY5mCGVo
>>328
少なくとも原作ではお父さん子だったし、思いたくないでしょう……
自分の親父さんのドレス姿想像してごらんなさいな



あ、乙した
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:12:09.95 ID:nF/SNczZ0
324から続き

今日が最終回です
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:13:18.87 ID:nF/SNczZ0
上条「明日は大阪か。ああ忙しい……うん?」

ポケットの中の携帯が震える。

着信欄には巴の文字。

上条「上条です。はい? なんですか? ちょっと落ち着いてください。はい、はい。今すぐ戻れ? 無茶言わないでください」

現在の人気は実力で勝ち獲ったものではない。

有力な後ろ盾もない今、公演をすっぽかしなどしたら永久に干されてしまう。
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:13:53.13 ID:nF/SNczZ0
上条「は? バレた? あの格好見られたんですか? 見られてない? タツヤくん? あ?」

恭介の声に怒気がこもる。

上条「巴さん、僕言いましたよね。タツヤくん戦わせるなって。強いって、そりゃ強いですよ? でもそうじゃないでしょ」

電話口から弁解の声が響く。

上条「杏子? あの人の娘さんが……分かりました。何とか丸めこんでください。いざとなったら体張ってくださいね。それでは失礼します」

一旦電話を切り、急ぎマネージャーの番号をプッシュする。

上条「もしもし、マネージャーさん? 実は家で飼ってたペットが亡くなりまして、お葬式をあげたいと……え? 金魚ですよ、いけませんか?」
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:14:22.23 ID:nF/SNczZ0
巴「上条くん? もしもーし?」

杏子「坊主はどうして手からビーム出せるようになったんだ?」

タツヤ「ぱんち……」

杏子「そっかー、パンチかー」

巴「んん、何を馬鹿なことを言っているんだ。あれはプラズマだよ。魔法なんてあるわけない」

杏子「魔法?」

巴「んん! 今のは言葉の綾だよ!」
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:14:57.10 ID:nF/SNczZ0
杏子「じゃあ、あの早着替えは?」

巴「トリックさ!」

杏子「ふーん……うわ。坊主、悪趣味なアクセサリー付けてるんだな」

タツヤ「へんしんするの」

杏子「似合ってないから外せ。もっとかわいいの買ってやるから」

タツヤ「アンパンマンがいい!」

杏子「いいぞ」
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:15:26.22 ID:nF/SNczZ0
巴「よくない! いや、えっと、その、まずいんだよ。それがないと」

杏子「どうして?」

巴「どうしても……」

タツヤ「うぅー。ねこ、だめだって。いらない」

杏子「いらないのか? 本当に? もう買ってやらないぞ?」

タツヤ「うー……」
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:15:53.04 ID:nF/SNczZ0
巴「まあ、その、なんだね。今日はもう帰りなさい。暗くなってきたしね」

杏子「ふん……わかった。わかったよ」

巴「ふぅー……」

杏子「おっちゃんが女装してるってマミとおばちゃんに言いつけてやる」

巴「えぇ!? いきなり何を言い出すんだい!? 事実無根だよ!」
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:16:23.01 ID:nF/SNczZ0
杏子「うるせぇ! やっと掴んだ手掛かりなんだ! 逃がしてたまるか!」

巴「う……君はまだお父さんのことを……」

杏子「上条と坊主の接点は女装と馬鹿力だ。あの野郎、布切れ一枚であたしを持ち上げやがったからな」

巴「その上条くんがどうしたっていうんだい?」

杏子「あいつ親父の知り合いみたいなんだ。しかも死因知ってるくせぇ」

巴「迂闊な……」
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:16:55.50 ID:nF/SNczZ0
杏子「おっちゃんはどうなんだ? 何か知ってる?」

巴「いや、私には分からん」

杏子「……おっちゃんに乱暴されたって言いふらしてやる」

巴「もっとひどいことになった!?」

杏子「頼むよ……おっちゃんは親父の友達だったんだろ? 教えてくれよ……」

タツヤ「ねーちゃ?」

巴「杏子ちゃん……」

らしくない弱々しい語気。

こんな彼女を見るのは葬儀の日以来だった。
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:17:29.38 ID:nF/SNczZ0
娘と同じ年頃の、友人の忘れ形見だ。

かわいくないわけがない。

一度懇願されてしまったが最後、自分は全てを打ち明けてしまう。

そんな確信があったからこそ、今まで彼女を避けてきたのだ。

だが、それもここまで。

巴「……荒唐無稽な話になる」
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:17:59.10 ID:nF/SNczZ0
上条「……その結果が天の岩戸ですか」

恭介は地元にとんぼがえりするやいなや、教会へ呼び出された。

巴「佐倉くんは私達の仲間でリーダー的な存在だったと言っただけなんだが……」

なんでも杏子が自室に閉じこもってしまったらしい。

上条「いや、普通にショックでしょう。自分の父親が女装集団の頭領だなんて言われたら」
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:18:29.95 ID:nF/SNczZ0
巴「そうか! しまったなぁ……」

上条「いいえ、一周回ってナイスプレーです。何とかなるかもしれません」

恭介は謎の自信を顕わに、ドアをノックする。

上条「佐倉さん、上条です。入っていいですか?」

杏子「……」

上条「沈黙は肯定と見なします。変身」
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:19:02.33 ID:nF/SNczZ0
気でも狂ったのか、恭介は魔法少女姿に変身した。

巴「な、何を考えているんだ!」

上条「まあ見ててください」

マントを極細の紙縒に変質させ、鍵穴にねじこむ。

程なくカチリという音と共にドアが開いた。
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:19:37.54 ID:nF/SNczZ0
上条「失礼します」

杏子「てめぇ勝手に入ってく、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

衣を引き裂く女の悲鳴が教会中に響き渡る。

上条「落ち着いて。僕はただ話をしに来ただけです」

女装した男に押し入られたら誰だってビビるわ。
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:20:06.18 ID:nF/SNczZ0
杏子「帰れ! 帰ってくれ!」

上条「お父さんの話が聞きたかったんじゃないんですか?」

杏子「やめてくれ! これ以上親父を汚さないでくれ!」

上条「君のお父さんを殺したのは、僕だ」

杏子「……あ?」
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:20:33.79 ID:nF/SNczZ0
巴「上条くん……それは違うよ」

上条「……」

杏子「どういうことだ、おい」

上条「察しの通り、僕たちは女装と奇術を愛する集団だ」

巴「ちょ」

杏子「……」
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:21:03.71 ID:nF/SNczZ0
上条「覚えているかい? あの嵐の日を。あのとき、僕と牧師さんは嵐を止めに行ったんだ」

杏子「馬鹿げたことを」

上条「本当のことさ……ちょっと外に出ようか」

不審顔の杏子を庭へ連れ出す。

上条「これ壊してもいいかな?」

庭先に放置された石柱を撫でる。

杏子「好きにしろよ」
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:21:48.76 ID:nF/SNczZ0
上条「それでは失礼して……疾ッ!」

居合抜きの要領でマントを一閃。

柱は斜めにスライスされ、ずるりと滑り落ちた。

上条「けっこうなもんだろ? ああ、タネは教えないよ」

杏子「……普通の布、だよな。なんでだ?」

上条「手品だよ、ただのね。この技術があれば自然災害にだって打ち勝てる。僕はそう信じて疑わなかった」
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:22:21.18 ID:nF/SNczZ0
上条「でも無理だった。牧師さんは突風から僕を庇い瀕死の重傷を負った。そして、動けないあの人を僕は見殺しにしたんだ」

杏子「……あんたが芸達者なのは理解したよ。けどな、いくら何でもその話には無理があんだろ」

上条「僕のせいであの人は死んだ。これは覆せない事実だ」

杏子「まだ恨みか何かで思わずやっちまった、って言ってくれた方が信憑性あるっつーの」

上条「それで君の気が済むのなら」

杏子「いや、そういう問題じゃなくて」
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:22:58.41 ID:nF/SNczZ0
巴「事実は小説より奇なり。どれだけ言葉を尽くそうと、納得のいく説明はできないと思う」

杏子「おっちゃん……」

巴「彼は誰よりも優しく強い男だった。反面、不器用で人が良すぎて貧乏くじばかり引いてるような奴だったけど」

上条「本当に、本当に短い付き合いでしかなかったけれど、僕はあの人が好きだったよ。変な意味じゃなくてね」

杏子「そっか……わかった。今は、その言葉だけで、十分だ」

期待していた答えが得られたわけではない。

けれども自分の父が今尚慕われている。

杏子にとって、その事実は何よりも嬉しいことだった。

杏子「でも、女装はマジなんだな……親父……」
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:23:41.47 ID:nF/SNczZ0
QB『イイハナシカナー?』

上条「確かに勢いで押し切った感はある。とはいえ、魔獣とか魔法とか説明のしようがないだろ」

巴「冷静に考えると、私達と佐倉くんの名誉が傷ついただけかもしれん」

上条「いい方に考えましょう。理解者が増えた、父親離れの契機になったと」

QB『まあ、勉強になったろ。いつの時代も魔法少女は周りに不幸しかもたらさない。そういうことさ』

上条「いや、そうは思わない。魔法があったからこそ、僕は曲がりなりにも音楽家として成功できたんだ」

巴「そうだな。私も家族を失わずにすんだ。それに若き友も得られた」

QB『願い自体に罪はない? それは違う。魔法少女は条理を覆す存在だ。魔法を行使するたびに、奇跡を冀うたびに、世界は歪んでいく』
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:24:21.00 ID:nF/SNczZ0
QB『歪みは魔獣へと形を変え人間を襲う。魔法を生みだす感情を奪うために。分かるか? 元より君たちに正義などない』

上条「たとえそうだとしても、僕が自分で選んだ道だ。恥じたりはしない」

QB『ふん、からかい甲斐のないやつ。これだから男はつまらない』

上条「それはそうと、巴さん。最近出資少なくありません?」

巴「たはは……勘弁してくれ。あの子たちは確かにかわいいけれど、家にも娘がいるんだよ」

上条「そうですか。なら今月は僕が負担します」

巴「面目ない……ああ、そうそう。その娘から頼まれてね。君のサインがほしいんだが……」
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:24:50.12 ID:nF/SNczZ0
そして、いくつもの季節が過ぎ去った。

杏子「今日はやけに人多いな……」

モモ「当然だよ! あの上条恭介がこんな場末の教会でコンサート開いてくれるんだから!」

見滝原の復興は疾うの昔に完了し、大災害の記憶は薄れつつある。

モモ「一発屋の下馬評を覆して今じゃ若手のトップ! 恋人にしたい有名人TOP10入りも果たしたんだよ!」

杏子「……理解に苦しむ」
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:25:35.04 ID:nF/SNczZ0
タツヤ「牧師さん! 牧師さぁぁぁん!」

杏子「おう、坊主。今日も元気だな」

タツヤ「匿ってください! 姉ちゃんがカードキャプターたつやの撮影するとか意味不明なこと言い出したんです!」

杏子「女の格好なんてしてるからだ。悔い改めろ」

まどか「見つけたよ、たっくん! ほむらちゃん確保して! ゴー!」

ほむら「ご、ごめんね?」

タツヤ「謝るくらいなら来んなよぉぉぉ!」

ほむら「ひぅ……」

杏子「教会ではお静かに。つまみだすぞ」
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:26:11.24 ID:nF/SNczZ0
――上条恭介 奇跡の生還! この男は何か持っている!――

――ロサンゼルスから帰国予定の上条恭介氏を乗せた旅客機が墜落した事故を受けて――

上条「まさか飛行機の中で魔獣に襲われるとは夢にも思わなかったよ」

QB『前にも言ったろ? 原因不明の事故や事件の背景には魔獣の影があると』

上条「お客様の中に魔法少女はおられませんかってね。いや、ほんと参ったよ」

QB『これで君の女装癖が全世界にバレてしまったわけだが』

上条「うーん、たぶん大丈夫じゃないかな。勝手に写真撮ろうとしたやつらのカメラは全部叩き壊してやったから」

QB『おお怖い』

上条「何にせよ、ケガ人が出なくてよかった」
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:26:44.83 ID:nF/SNczZ0
キャー! カミジョウサマー! コッチムイテー!

上条「ありがとう、ありがとう」

イヤァァァ! キョウスケェェェ!

上条「どうも、どうも」

上条さん! これからのご予定は!

上条「ええ、コンサートの後は友人と飲みに行こうかと」

二股疑惑について何かコメントを!

上条「二股? ああ、最近パイプオルガンに浮気気味なんです。本日、お披露目しますよ」
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:27:16.41 ID:nF/SNczZ0
巴「うまく躱したね」

上条「お久しぶりです。また太りました?」

巴「んん! そんなことはないよ!」

上条「もう年なんですから気をつけてください」

巴「はぁ……会う人みんな同じこと言うんだから」
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:27:57.23 ID:nF/SNczZ0
巴「で、どうなんだい? 実際のところ」

上条「どうしましょうかねぇ……」

巴「おいおい、佐倉くんが草葉の陰で泣いてるよ」

上条「そう言われると弱りますね……分かりました。今日中に答えを出します」

巴「そうしなさい」
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:28:37.39 ID:nF/SNczZ0
上条「しばらく来ないうちに、すっかり変わって……」

教会へ出向く前に、例のあの場所を訪れる。

復興が進み、花を供えることができなくなってからは来ることのなかった場所だ。

上条「……」

瓦礫は撤去され、以前のように高層ビルが立ち並んでいる。

魔女の爪痕はもうどこにもない。
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:29:08.11 ID:nF/SNczZ0
上条「牧師さん、見えますか? あなたが守った街です」

ケースからヴァイオリンを取り出し、弓を構える。

上条「レクイエムってのも変だし……アヴェ・マリア……誰のを弾こうか……あ、そうだ」

逡巡の果てに奏でたのはアンパンマンのマーチ。

傷つくことを恐れない優しい正義の歌。

上条「正義はあるさ。絶対に」
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:29:41.75 ID:nF/SNczZ0
まどか「おぉ、上条くん、久しぶりだねぇ。私のこと覚えてる?」

上条「もちろんだよ、鹿目さん」

ほむら「あの、その……」

上条「こんにちは、暁美さん。髪下ろしたんだ? 似合ってるよ」

ほむら「ひゃ、ひゃい……」

タツヤ「にーちゃん! 助けてくれ!」

上条「あー……鹿目さん? お手柔らかにね?」
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:30:22.94 ID:nF/SNczZ0
さやか「あ、あのさ、恭介。今日は、えっと、この後空いてる?」

仁美「恭介さん、よろしければ今夜一緒にお食事でもいかがでしょうか?」

さやか「……」

仁美「……」

上条「二人とも、これが終わったら大事な話がある」

さやか「え? それって……」

仁美「もしかして……」

上条「うん」
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:30:57.26 ID:nF/SNczZ0
モモ「上条さん! 握手してください!」

上条「いいよ。いつも応援ありがとう」

モモ「ありがとうございます! もう手は洗いません!」

巴「遅かったね。どこかに寄って来たのかな?」

上条「ええ、まあ」

杏子「よお、変態。今日は頼むぞ」

上条「いいだろう。世界の上条の実力、とくと見るがいい」
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga]:2011/09/17(土) 19:31:29.50 ID:nF/SNczZ0
上条恭介「ギャランドゥの処理をしないと……」

おしまい
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/17(土) 19:31:56.57 ID:nF/SNczZ0
投下は以上です

今までお付き合い頂き、ありがとうございました
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/17(土) 19:34:28.89 ID:kqirQH12o
乙!
半オリキャラのおっさん多目なのに違和感なく読めたし
みんな生き生きとしてて面白かったぜ
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/17(土) 19:38:59.00 ID:CX4Ej7bOo
乙でした!
絵面想像したくないけどかっこいい人たちだった
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/09/17(土) 20:13:54.26 ID:b0t7j/KAO
乙、正義と変態に溢れる素晴らしいSSだった!
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/17(土) 20:33:15.21 ID:M4M+NEGv0
乙!
男の魔法少女じゃこんな物。
いい年こいたおっさんが女装…親離れするにはあまりにもヘビーな割礼だった。
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/17(土) 23:47:09.26 ID:GqMkzDBAO
面白かった乙!
番外編とかやってくれたら嬉しいなって
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