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文才ないけど小説かく(実験) - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/01/24(火) 21:42:57.25 ID:8CCH9KsV0
ここはお題をもらって小説を書き、筆力を向上させるスレです。


◆お題を貰い、作品を完成させてから「投下します」と宣言した後、投下する。

◆投下の際、名前欄 に『タイトル(お題:○○) 現在レス数/総レス数』を記入。メール欄は無記入。
 (例 :『BNSK(お題:文才) 1/5』) ※タイトルは無くても構いません。
◆お題とタイトルを間違えないために、タイトルの有無に関わらず「お題:〜〜」という形式でお題を表記して下さい。


※※※注意事項※※※
 容量は1レスは30行、1行は全角128文字まで(50字程度で改行してください)
 お題を貰っていない作品は、まとめサイトに掲載されない上に、基本スルーされます。

まとめサイト:各まとめ入口:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/
まとめwiki:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/wiki/
wiki内Q&A:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/wiki/index.php?Q%A1%F5A

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1327408977(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

シンジ「視聴者の皆さん、聞いてください」 @ 2020/05/26(火) 20:32:14.16 ID:2ZZ8SjRu0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1590492733/

【グラブル】ジータ「ジークフリートさんってちょっと色っぽいよね」 @ 2020/05/26(火) 19:55:42.86 ID:/h/H9RVf0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1590490542/

雛菜「第1回透先輩会議を始めま〜す」 @ 2020/05/26(火) 19:18:25.26 ID:YlSRBWfKO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1590488305/

花騎士 SS 団長「これはお見合いと言えるのか?」 安価 @ 2020/05/26(火) 18:28:28.56 ID:wXuzfzBKo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1590485308/

狂わしい765プロの女たち @ 2020/05/26(火) 17:19:44.53 ID:/xt0cV5N0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1590481184/

シンジ「流石にもう怒った」【エヴァ】 @ 2020/05/26(火) 15:51:37.69 ID:y/4HZL8g0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1590475897/

助けてくれ @ 2020/05/26(火) 12:05:12.49 ID:4izOlk630
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1590462312/

【イナイレ】【安価】によるグレートロード @ 2020/05/26(火) 11:18:44.72 ID:nSHSJChs0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1590459524/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/01/24(火) 21:44:19.28 ID:8CCH9KsV0
▽書き手の方へ
・品評会作品、通常作を問わず、自身の作品はしたらばのまとめスレに転載をお願いします
 スレが落ちやすいため、特に通常作はまとめスレへの転載がないと感想が付きづらいです
 http://yy46.60.kg/test/read.cgi/bnsk/1309692934/ 
 作業量の軽減にご協力ください
 感想が付いていない作品のURLを貼れば誰かが書いてくれるかも

▽読み手の方へ
・感想は書き手側の意欲向上に繋がります。感想や批評はできれば書いてあげて下さい

▽保守について
・創作に役立つ雑談や、「お題:保守」の通常作投下は大歓迎です
・【!】お題:保守=ただ保守するのも何だから小説風に保守する=通常作扱いにはなりません

▽規制されている方へ
>>1から辿って行けるまとめ板に、規制者スレがあります。
 そちらの方に投下していただければ、心ある人が転載してくれます。

▽その他
・作品投下時にトリップを付けておくと、wikiで「単語検索」を行えば自分の作品がすぐ抽出できます
・ただし、作品投下時以外のトリップは嫌われる傾向にありますのでご注意を

▲週末品評会
・毎週末に週末品評会なるものを開催しております。小説を書くのに慣れてきた方はどうぞご一読ください。
 wiki内週末品評会:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/wiki/index.php?%BD%B5%CB%F6%C9%CA%C9%BE%B2%F1
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/01/24(火) 21:47:10.42 ID:8CCH9KsV0
SS速報でたててみました。本音を言うと作品を投下したかった
問題ありましたら削除してください
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/01/24(火) 21:49:34.89 ID:/xPlIWlM0
お題:エヴェレットの多世界解釈
5 :さびしんぼ 1/6 (お題:ずる休み)  ◆lIMoc3EH5Q :2012/01/24(火) 21:50:26.09 ID:8CCH9KsV0
 大学と言うところは至極、自由なところである。高校の時のように縛られない。気分が乗らないときは勝手に
欠席なんて出来てしまう。ずる休みなんて簡単にできてしまうのだ。
 「といってもちゃんと行かないと単位貰えないのよな〜」
 思わず呟いたって誰も聞くでもない。私は、とぼとぼ歩きながら大学に向かっている。つまらない授業や、再
履修なんかで肩身の狭い思いをして受ける授業などは特に足が重い。授業に出てしまえば、適当に時間を潰した
り、内職(他の授業のレポートを良くしている)したりして過ごすので退屈しない。もとい退屈しないようにす
る。のだが、授業に行くまでが億劫なのだ。そんなものである。
 そう言った億劫で憂鬱な気分に浸っている時は、たいてい注意が散漫になる。この時もそうだった。
 気がつくと道端に備えている花瓶を蹴ってしまっていた。
 「おお。あー、やっちゃった」
 別に誰に言ううとでもなく、驚きと迂闊さを反芻する。
 誰かがここで事故にあったのだろう。花瓶だけではなく、お菓子も備えられている。こどもが轢かれたのだろう。
お菓子の状態は新品同然。最近亡くなったのか。
 「すまなかったな。あとでお菓子かって、供えるから」
 その場は倒した花瓶を元に戻した。
 「なんまんだぶ、なんまんだぶ。化けて出てくるなよ。頼むから」
 心霊現象に遭遇したことは一度たりともないが、怖いものは怖い。独り言の最後には笑顔もサービスした。
これでたぶんでない。といいのだが。
 授業が終わって、売店でチュッパチャップスを5個買った。あとミネラスウォーターも買った。お菓子は供え、
水は花瓶に注ぐつもりだ。これなら許してくれると思う。ちょっとやり過ぎなくらいだ。と買ってからは冷静に
なっていた。

 大学は自由なところである。そして今日は気分が乗らない。そんな時はずる休みである。幸い今日は一限だけ。
出席数も大丈夫だろう。そう、二度寝である。
 「……おやすみなさい」
6 :さびしんぼ 2/6 (お題:ずる休み)  ◆lIMoc3EH5Q :2012/01/24(火) 21:52:57.13 ID:8CCH9KsV0

 今日は体育の授業だ。大学に入ってまで体育をやらされるとは思ってもみなかった。おまけにこの授業、再履修
なのだ。去年はサボりにサボりまくった。結果、出席日数が足りなかった。落とした時の絶望感と言ったら。友達
にも笑われた。まぁ自業自得だ。出席さえしていれば取れる授業だったのに。おかげで肩身が狭い。まわりは一年生
だらけである。ストレスである。そして今日はサッカーだそうだ。適当にやって凌ごう。
 と思っていたのだが、いざやりだすと白熱するのである。体当たりなんてしちゃって。
 ボールは奪えず、敵の体が直撃する。
 「うっ」
 思いっきり右足首を捻った。激痛が走る。体が傾いていく。ああ倒れるのか。
 ___そこで目が覚めた。
 「……夢?」
 「二度寝したつもりだったのに……」
 時計は一限開始時刻よりも少し前。気分が乗らなくて体育はサボったつもりだったのに。体は授業にいけと言って
いるみたいだ。さすがに二度も再履修したくなかろう。と言っている。たぶん。
 「………行くか……」

 「じゃあ、早めに行ってくださいね。靭帯が剥離しているかもしれませんし。」
 「はぁ…」
 私の気のない返事が響く。
 「とりあえず湿布出しときますから。はい」
 と、看護師さんが湿布を貼ってくれる。ちょっと美人だ。なんか嬉しい。
 「整形外科はここがいいですよ。はい地図」
 「どうも…」
 「それじゃ、お大事に。あ、杖はいいですか?」
 「まぁ、何とか歩けますし。いいです」
7 :さびしんぼ 3/6 (お題:ずる休み)  ◆lIMoc3EH5Q :2012/01/24(火) 21:53:35.00 ID:8CCH9KsV0
 そう。私は捻挫をしたのである。体育のサッカーの時間に。右足首を見事に。しばらくほっておいたら腫れだして、
今ではかなり腫れている。正夢になってしまった。あの奇妙な二度寝の夢が。
 保健管理センターなるものは診てくれるだけのようで、本格的には整形外科へ。だそうだ。重度の捻挫の可能性が
あるので、大きな所に行かないと行けないようだ。今日は様子を見て後日行くことにした。
 「正夢なんていつ以来だろ……。でもこんなに鮮明な正夢は………。うん。初めてだな」
 今日は帰って寝よう。安静が第一である。自転車を友人に借りて、左足だけでこぎ家路に着いた。
 家路の途中、道端の花瓶が目に留まる。あの時蹴った花瓶だ。横目に流して見ていた。少し物憂げな印象を受けた。
なぜなのかは、分からない。

 その日からである。正夢を見るようになったのは。黒猫が通り過ぎる夢を見れば、現実でも黒猫が通り過ぎる。後
輩から愛の告白を受ければ、現実でも告白を受ける。マッキ―が立て続けに六本書けなくなれば、現実でも六本連続
で書けなくなる。兄から双子の甥が出来たと告げられる夢なら、現実でも兄は喜々として俺に電話をよこす。
 「おまえもついに若くして叔父さんだ。双子だぞ」 
 どうにも避けようがない。下らないことから、家族が増える一大事まで、実に幅広い。それに悪いことばかりでは
ないようだ。まったくもって迷惑と言うわけではない。ただ、現実に何が起こるのか分かってしまうから、面白味が
半減である。そんな呑気な感想を抱くほど慣れてきた。10日も続くと人間慣れてしまうらしい。慣れは怖い。この文
句を実感している最中だ。

 今朝の夢は、昼食がチキンカツと言うものだった。ものは試し。学食は種類が多少なりともある。チキンカツな気
分だったが、あえてカレーを頼む。案の定、ルーがなくて頼めなかった。嫌な予感はしつつも、麺のコーナーへ。ラ
ーメンも丁度三人前くらいで麺がなくなったそうだ。変な意地を張っても仕方ないので、チキンカツに落ち着いた。
 どうも避けられない。無理やりコンビニ弁当にでもしたら、正夢でないように出来るかもしれない。だがそれほど
昼休みは長くない。それに、コンビニへ行ってもチキンカツしかないような気がする。そうなっていただろう。変な
自信に似た感覚だ。直感と言う奴だ。
8 :さびしんぼ 4/6 (お題:ずる休み)  ◆lIMoc3EH5Q :2012/01/24(火) 21:54:05.55 ID:8CCH9KsV0

 「……わっ。わーぁあ!……」
 自分の悲鳴で目が覚める。汗が背中から腰にかけてびっしょりとかいていた。とても嫌な目覚めだ。
 「………あれ?何の夢だったんだ?」
 夢の内容が思い出せない。
 今日は正夢を見るようになって48日目。正夢を見るようになってからと言うもの夢の内容は覚えていた。覚えていた内容が
現実となっていた。正夢をみる以前ならまだしも、この48日の間、夢は必ず現実になるまで覚えていた。どんなに小さな
出来事だとしてもである。
 夢の内容が思い出せないなんて、正夢を見るようになってからはありえなくなっていたのに。
 その日は正夢なんて今までなかったかのように平穏な日だった。当たり前に過ぎていったのだ。

 正夢を見るようになってから49日目。
 私は車に轢かれた。即死である。医者が手を出すまでもなかった。家族は泣き崩れ___
 「あああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!」
 目が覚めた。夢だった。実にリアルで……。

 「嘘だろ…………」
 私は道路に立っていた。目が覚めたら、道路のど真ん中に突っ立っていた。夢遊病なんて患ったことなどない。どうして
こんな状態なのかまったく理解できない。寝間着姿の私は意識の無いまま動いたとしか考えられない。なぜそんな行動をと
ったのかまったく理解出来なかった。頭の中は、ぐるぐると混乱して。
 ___どうして道路に立っている?
 ただ。
 ___一体だれがこんな悪戯を?
 一つ理解していたのは。
9 :さびしんぼ 5/6 (お題:ずる休み)  ◆lIMoc3EH5Q :2012/01/24(火) 21:54:32.49 ID:8CCH9KsV0
 ___こんな性癖なんてなかったのに
 これから私は車に轢かれるのだと言うこと。
 ___おれは一体…。
 だから混乱していたのかもしれない。
 ___轢かれる…。
 ___轢かれる。轢かれる。轢かれる。俺は轢かれる。このまま木っ端みじんに。…ああ。ああああ。ああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!
 予想通りのヘッドライトは、朝霧の中、蠱惑的に目を惹き付ける。ああ、やっぱりと思うと急に混乱していた頭の中が整
理されていくようだった。心は何処までも穏やかで。凪のみなもみたく。
 ヘッドライトは大きくなり、煌々と路を照らす。異世界に続くような。いざなうような二本の輝線はますます大きくなっ
ていく。
 思いだした。48日目になぜ夢を思い出せなかったのかを。あの時も確かこんな幻想的な風景だった。あの時もやっぱり俺
は車に轢かれそうで。だから必死になって考えたんだ。逃げようとしても車は追ってきた。だから考えた。あの時俺は、考
えに考えた。でもやっぱり分からなくて死に物狂いに言ったんだ。


 「これは夢だ」

 
 「うわあああぁぁっ」
 目が覚めた。俺は布団から上半身を起こしていた。48日目とはちがう。今日はちゃんと覚えていた。俺は正夢を回避した
んだ。二度目もしっかり___

 「あーあ、つまんない轢かれれば良かったのに。お兄さんみたいな優しい人ならずーっと、一緒に道端に居ても退屈しな
10 :さびしんぼ 6/6 (お題:ずる休み)  ◆lIMoc3EH5Q :2012/01/24(火) 21:55:18.62 ID:8CCH9KsV0
かったのにさ」
 確かに聞こえた声は、小さな男の子の声だった。気配はもうない。

 唐突に理解した。

 同時に涙があふれた。

 ただ、ただ。

 滔々と、静かに。

 頬を伝った雫は、彼に届いただろうか?

 了
 
11 : ◆lIMoc3EH5Q :2012/01/24(火) 21:59:11.02 ID:8CCH9KsV0
>>4
すまない。お題はここで(http://yy46.60.kg/test/read.cgi/bnsk/1164121553/)もうもらっていた。

構想、脱稿まで4時間くらいの通常作だが、暇だったら読んでみてくれ。
あなたがたの意見を待っています。
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/01/24(火) 22:23:34.92 ID:oqQmGd+0o
>>10
なんか頭に入ってこない文章だな、まあ単に今読む気力というか態勢が十分ではないからかもしれないけど。

その日その日の行動に分けてるけどぶつ切り感が異常というか
日常すぎてつまんないことこの上ないから読み進めるのが苦痛。

途中から自称が私と俺と混ぜてるけど何の意味があんのか、読解するのもめんどい。

ラスト、少年の霊が去り、少年のことを慮って涙する主人公の気が知れないね、のちのち
思い返してのことならまあ許せる、けれど厄が過ぎた瞬間に少年を想って感傷する気には
ならないだろうよ、常識的に考えて。

あと―を_にしてるのは何で?その記号の意味を調べてみたのか?変なこだわりは持たないほうがいいよ
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国) [sage]:2012/01/24(火) 22:36:29.13 ID:uvDtzg1AO
読み易さを優先するなら小まめに改行する方がいい。
レスで切れるのは不恰好だしね。

記号にはこだわりがあるようだから、敢えてソコには突っ込まないよ。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/24(火) 22:57:03.38 ID:/iAJed9+o
場転の使い過ぎと一人称の変化で視点が混乱してる。一言でいえば読者を置き去りにしている
シーンの区切り方もはっきりしていなくて「いま誰の視点でどこにいるのか」が分かりにくい
おかげで追いかけるのが疲れる

一人称の変化はあからさまだから何か意味があるんだろうが、上記の理由で読むのが苦痛のため読み解く気になれない
そのせいで読み終わっても(とても余韻とは言えないような)不完全でぼんやりとした印象を受ける
>>12が言うように、主人公の心情にいまいち納得できないのも理由のひとつだと思う

>>13
改行に関してはwiki見る限り本スレからしてそういう形式みたいよ
台詞切れちゃってるのはあれだけど
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/01/24(火) 23:12:22.18 ID:8CCH9KsV0
>>12>>13>>14
・読者を置き去りにしている
 (読みにくい)
・一人称の変換の意図がつかめない
・___の意図がつかめない
いずれにせよ著者の文は、分かり難いことこの上ない物でした。反省。

主人公に感情移入できないのは致命的ですね。もっと丁寧に書くよう心掛けないと…。
参考になりました。ありがとうございますぅ。みなさんの意見はすべてメモ帳に永久保存されました。m(__)m
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) :2012/01/24(火) 23:18:03.10 ID:UXqPaC+AO
ところで移転ついでに品評会だけどこのまま誰も出さなかったらどうする?
提案としてはお題持ち越しがいいんじゃないかな、と個人的な願望込みで言ってみる
一週間の内にアイデアは出来たけど時間なくて書けなかった、って人はいるだろうし
移転初っぱなに新しいお題で1からスタートしてもやっぱり作品少ないってよりはいくらか余裕のある状態からスタートして
参加者増が見込める状況にしたほうが良いと思うんだよね

……そもそもお題が悪くてアイデア出なかったからこんな状況って考えも出来るんだけど
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage saga]:2012/01/24(火) 23:38:31.72 ID:yZkslIuAO
>>16
まぁ、既に「お題を安価で受けてSSスレ」ってのもあるんだけどね
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2012/01/25(水) 00:05:20.29 ID:Djflc2sVo
35 名前: ◆Meri///lNU [] 投稿日:2012/01/18(水) 00:38:37.52 ID:el3mwurl0
サクッとお題発表

 凡庸さというのは白い上着についた宿命的なしみと同じなのだ

                       (村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』より)

  第301回週末品評会  『平凡』


規制事項:特になし レス数自由。
投稿期間:2012/1/28(土)00:00〜2012/1/29(日) 23:30
宣言締切:日曜23:30に投下宣言の締切。それ以降の宣言は時間外。
※折角の作品を時間外にしない為にも、早めの投稿をお願いします※

投票期間:2012/1/30(月)00:00〜2012/1/31(火)24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票するよう心がけましょう※
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2012/01/25(水) 00:09:40.71 ID:Djflc2sVo
つまり週末に同じお題でみんなで書いて、感想書いて勝負しようぜオラァ! ってことですぜ
『平凡』をお題に土曜日から日曜日の23:30までに投下すればおーけー!
作品書いて、感想書いて、投票して、優勝者決めて、文才ない同士楽しもうぜ!
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/25(水) 00:15:02.24 ID:BxqJxzcD0
ここって1レス最大80行だろ、今回は規制事項特になしだから関係ないけど今後どうなんのかしら
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/01/25(水) 02:07:21.41 ID:P3fRdPLho
>>20
一レス160行、6000バイトだな

※※※注意事項※※※
 容量は1レスは30行、1行は全角128文字まで(50字程度で改行してください)

これをちょろっと改変すればおk
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 02:49:06.58 ID:yWvDWA4io
BNSKこっちに移転してたのか
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) :2012/01/25(水) 03:27:48.00 ID:Djflc2sVo
>>22
ていうか今移転したww
誰かお題くらはい
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 05:08:11.88 ID:pYo6G5t9P
吹いたぜwwwwwwwwまさかのSS速報へ移転かよwwwwwwww
創発とか文芸サロンとか他にいくらでも選択肢はあっただろうにwwwwwwww
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 05:11:12.76 ID:pYo6G5t9P
まぁSSの本来の意味からすれば間違ってないし、LRにも適合してるわけか

>>23
ポップコーン
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 06:16:06.17 ID:5OMXVF8Mo
>>5
他の感想erが言っていることに加えて、必要のない文章での水増しのせいで読みにくく感じるのだと思われる
一〜二行目にしても、必要な文章は最初の一文だけで、他は読み手に”そんなの知ってるよ”とウザがられるのがオチなわけで……
何が言いたいのかというと推敲を遂行しろ!
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) :2012/01/25(水) 06:55:31.65 ID:Djflc2sVo
作品書いたやつも感想書いた奴もおつーww
品評会も通常作もどっちも書くぜ書くぜー!
>>25
お題サンクスww
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 10:00:59.97 ID:ITAxUmMDO
創発は凍土だからなあ
29 :名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 16:06:29.01 ID:GeEEtq8Qo
ここって>>1専用のスレじゃなくて、総合系のスレでいいの?
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/01/25(水) 16:13:51.79 ID:Dmf6TBEoo
そです
お題どうですか?
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/25(水) 16:17:59.60 ID:GeEEtq8Qo
>>30
サンクス

洞窟
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/01/25(水) 16:19:28.63 ID:Dmf6TBEoo
スミマセンコトバガタリナカッタミタイ
お題もらっていきませんか?
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 16:44:25.31 ID:8/OmWDhlo
お題くれ
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/01/25(水) 17:31:12.38 ID:P3fRdPLho
>>33
飢え
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/25(水) 20:38:42.05 ID:J5kFTkGD0
>>20-21
1レス80行ですね。VIPの1レス改行制限が30行だったので、たとえばVIPで標準的だった5レスに換算すると150行、
なのでこっちでは2レス−10行、あるいはいっそめんどくさいから2レスまで、ってことになりますが、
問題はまとめとの兼ね合いですね。あっちは60行までOKなので、
今まで通り30行を規定にするか、それかまとめの限界を踏まえつつこっちで出来るだけやってしまうか

ただまとめの限界(60行)を踏まえた場合(30行規定だった時の)奇数レスが制限になると半端になってしまうって問題も
考えられますけど。個人的には1レス30行に決めてしまったほうが今まで通りでやりやすいと思いますが
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/01/25(水) 21:12:57.21 ID:ZDyenqWf0
お題くれれ
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) :2012/01/25(水) 21:31:07.72 ID:Djflc2sVo
>>36
ゴリラ
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/01/25(水) 21:48:59.84 ID:P3fRdPLho
>>35
専ブラでは一レス160行と出てるけど違うの?
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/25(水) 22:28:46.36 ID:K3YmJ1+j0
>>35
こういうことが聞きたかった。たまに規制スレなんかで1レスが31行あって転載中に慌てるることがあるから
いっそこっちでの投下をまとめの制限60行にあわせた方がラクでいいのかな、とも思ったけど
30行がやりやすいのなら俺もそれに賛成します
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/25(水) 22:58:53.93 ID:J5kFTkGD0
>>38
一般のブラウザでは80行です。どの道まとめとの兼ね合いがあるから80行でも160行でも変わりはないんですが

>>39
>たまに規制スレなんかで1レスが31行あって転載中に慌てるることがあるから
あぁ、それもありますね。他にも運用しながら色々問題が出て来るでしょうか
60行制限ならこれまでの規定を変更する(たとえば決して30行規定における奇数レスを制限に採用しない)などを
改善策とすることも出来ますし、60行なら一括で閲覧できるというメリットもあります

とはいえ正直なところ、いざ運用してみないとわからない、っていうのが現状だと思いますけど
ひとまず30行規定でスタートして、問題が出てきたら修正ってところでしょうか
30行規定をどこまで周知できるか、ってことも大事になりそうですね
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/25(水) 23:39:01.82 ID:6rHfCGsEo
お題もらうのにもトリ要るの?
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/25(水) 23:51:06.77 ID:K3YmJ1+jo
>>41
酉いらないよ
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/25(水) 23:53:10.38 ID:6rHfCGsEo
おk。ほんじゃお題くらはい。できればセリフ系のお題だとうれしいっす
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/26(木) 00:12:32.33 ID:Hqu7O+Nyo
>>43
もう一度言ってみろ

せりふ系のお題ってこういうこと?
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/26(木) 00:19:44.39 ID:1SOeADXbo
>>44
そそ。「もう一度言ってみろ」ですね。把握。
よく新ジャンル系のスレでこういうセリフ系のお題出てこない?
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/26(木) 00:41:12.50 ID:Hqu7O+Nyo
そうなんだ、それもおもしろそうだね
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/01/26(木) 05:02:31.71 ID:S5RJb43e0
>>37
把握。ありがと

>>45
なんそれ、おもしろそう
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/26(木) 18:12:53.30 ID:kOKfPnNIO
おーっす
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/01/26(木) 21:18:48.52 ID:0XJq1Npko
160行ってすげぇなあww イチレスで投下できんじゃんww
さあ書くぜ書くぜー!
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) :2012/01/28(土) 18:14:38.34 ID:M54gBvcto
お題ください
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2012/01/28(土) 18:24:47.69 ID:szlo91HKo
湧水
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/28(土) 20:04:52.27 ID:4EV0+/C7o
お題ください
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2012/01/28(土) 20:29:04.62 ID:amH+g3Qfo
梓弓
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/01/29(日) 22:17:28.98 ID:jmoVaYEFo
まさかとは思いますが、今週もぜ、ぜ――
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/29(日) 23:36:15.36 ID:MvniZFuUo
品評会を二週連続スルーするなんてbnskerも肝が座ってきたな
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/30(月) 01:09:18.18 ID:xo0bNgGPo
お題求む

もうVIPの方には立てないの?
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/30(月) 01:26:08.47 ID:wvGnslpwo
>>56
逆襲

VIPにも立てていいと思うよ。こっち来たの知らない人だっているだろうし、vip発祥だし
スレを継続的に保守できるかはわからんけどさ
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/30(月) 01:33:10.31 ID:xo0bNgGPo
>>57
サンクス

この過疎具合じゃ立ててもすぐ落ちそうだよなあ
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/30(月) 01:39:58.20 ID:wvGnslpwo
お題もらってなんか書いてみたいって人自体が減ったのかねえ

むかしはキャッキャウフフしたもんですが
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/01/30(月) 07:17:46.16 ID:cDCI8NJ00
書いてみようかな
お題くださいな
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2012/01/30(月) 07:39:00.99 ID:J0Cn4zrQo
>>60

『召還』
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/01/30(月) 07:41:09.21 ID:cDCI8NJ00
>>61
ありがとうございます
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/01/30(月) 11:19:59.82 ID:cDCI8NJ00
投下します
64 :紫煙 1/2 (お題:召還)  ◆p4MI6fJnv2 :2012/01/30(月) 11:20:44.92 ID:cDCI8NJ00
「それは誰の命令でもない。起こるべくして起こったんだ」
 そういうと男は煙草をくゆらせた。ふわりと浮かんだ煙の塊が天井へ昇っていく。それを目で追うと、煙の向こうにある天窓が目にとまった。それほど大きくもない天窓だ。
窓には雨が激しく打ち付けているようだった。音は聞こえなかったが、外ではずいぶんな豪雨なのだろうと推測できる。
 この部屋は不思議と外の音が聞こえてこなかった。それなりの防音設備を備えているのだろうけれど、あまりにも静かなので、どうにも落ち着かない。外の音だけでなく、
この部屋で発生した音まで、どこかへと吸い込まれていっているような気さえする。彼の声の響きも、いつもと違うように聞こえた。彼が発した声はまっすぐ僕へと届き、
僕を通過して、部屋の壁へと、そのままの精度で直進しているようだ。拡散せず、無駄な響きを削られ成型された、音の結晶のようだ。

 始めてこの部屋を訪れたとき、僕はこの部屋に好意的な印象を持てなかった。居心地が悪いのだ。けれどどうして居心地が悪いのかどうしても分からなかった。そしてその
分からないということが、さらに僕を居心地悪くさせ、苛立たせた。部屋を離れても、それはずっと消えなかった。僕を居心地悪くさせる原因が確かにあの部屋にはあるのだ。
僕はそれに囚われ続け、苛立ち続けた。毎日考え続けた。毎日毎日部屋のことを考え続けた。けれど考えれば考えるほど形がなくなり、曖昧なものがさらに曖昧になっていく。
 そのうち僕の苛立ちは色々なものへと向かっていった。部屋から始まり、部屋の持ち主である彼へと向かい、すれ違うだけの通行人へと向かい、テレビの中のタレントや広告、
新聞のテレビ欄やコーヒーカップ、食パンやテーブルや僕の部屋にまで苛立ちは及んだ。死滅することのないウィルスみたいに、どんどん増殖しては感染していく。ウィルスは
僕自身を養分に、飽くなき増殖を繰り返した。僕は疲労し、疲弊した。もういいじゃないかとも思ったが、けれどその気持ちにもやはり感染してしまう。僕はそこで彼の部屋へ
もう一度行くことを決意した。それだけはずっと避けていたけれど、彼の部屋から始まった苛立ちなのだ。彼なら何か知っているはずだ。
 彼の部屋に着き、僕は扉を叩いた。彼はすぐに顔を出し、何も言わずに僕を招き入れた。まるで僕が来ることを予想していたみたいに。僕は部屋に入るとすぐに彼へと詰め寄った。
胸ぐらを掴み、彼を睨みつけた。けれど彼は表情を変えずに、落ち着いて座れと静かに言っただけだった。従う気はなかったが、僕は彼の結晶のような声に従わざる終えなかった。
「どうすればいいんだ」僕の声はか細く、ひどく震えていた。けれどそんな情けない声も、この部屋に無駄をそぎ落とされ、成型され、精錬されて部屋へと吸い込まれていく。僕は
その違和感にぞっとしてしまう。苛立ちさえも削ぎ落とされてしまったようだった。
「なんだ、その苛立ちは。すごいな」彼が感心したように言うので、僕はそのまま口にする。
「感心するな。どうなっているんだ」
「苛立ちのウィルスみたいだな。だが心配しなくていい。この部屋には感染しないからな」
「これを見ろよ!」僕は彼に向かって両手を広げてみせる。シャツも靴も、服から覗いた皮膚もすべて苛立ちに侵されている。それは虹色に光る痣のようだ。腫れ上がり、腫れ上が
るにつれて光が強くなっていくようだった。
「すごいな。美しいよ、おまえ」
「どういうことなんだ、お前の仕業なのか」頭に血が上り、虹が輝きを増す。皮膚がどんどん盛り上がり、服を侵している苛立ちもさらに増殖する。
「おまえはもともとこの世界の存在ではないからだろうな」
 僕は言葉に詰まる。彼の言おうとしていることがまるで分からず、混乱し、苛立ちが膨れ上がる。
65 :紫煙 2/2 (お題:召還)  ◆p4MI6fJnv2 :2012/01/30(月) 11:21:10.50 ID:cDCI8NJ00
「呼び出されたんだよ、こっち側へ」
「誰に……」僕の言葉を彼が遮る。「誰の意思でもないし、それは誰の命令でもない。起こるべくして起こったんだ。そしてたぶん、不完全な形でだ」
「どういう……」またもや彼は遮る。「つまりお前の苛立ちはそのせいだってことだ。たぶん、おまえの安らぎは向こうにある。安らぎがないから、おまえはずっと苛立ったままなんだ。
そんなに腫れちまって」彼は煙草を床に落とし、靴ですり潰した。彼が足をずらすと、真っ白の床に黒い痣のようなものが残った。
「けれどこの部屋に来るまでそんなことはなかった」
「ほんとうにそうか? たぶん違う。おまえはずっと苛立ってたはずだ。この部屋に来たことによって苛立ちを自覚しただけだ」
「どうすれば」僕はそう言うしかなかった。
「俺にはどうすることもできない。向こうのおまえがおまえを呼び戻すしか方法はないだろうな」
「向こうにも僕がいるのか」
「そりゃいるだろうな。安らぎのおまえだ。たぶん向こうのおまえもおまえと同じような状態だろう。たぶん安らぎに侵されている。どんな状態かは分からないが、たぶんひどいだろうな」
「どうすればいいんだ。僕が向こうの僕に呼び戻されるためには」
「逆におまえが向こうのおまえを呼んでもいいんだ。つまりおまえが完全になれば場所はどこでもいいということだ」
 僕は倒れこんだ。限界がきたのだ。真っ白な床が頬にぶつかる。一瞬だけひんやりとした気持ちよさが頬に広がったが、すぐに苛立ちの熱がそれを打ち消した。苛立ちの痣はさらにひどく
なり、じわりと床に流れ出して小さな溜まりを作った。僕は安らぎに呼びかける。願いや祈りに近いかもしれない。安らぎの僕よ、僕へと戻れと、そんな陳腐な言葉しか浮かばない。目の前の
床にどんどん苛立ちが流れていく。指先も目頭も踵もすべてが熱い。僕はゆっくりと目を閉じた。

 俺は煙草に火をつけた。天窓に向かってゆっくりと煙を吐き出す。窓には闇がべったりと塗られ、その上に月が張り付いていた。煙草の煙のような雲が月にかかろうとしている。
俺は彼を見下ろしながら、煙草を落とした。線香の代わりにはなるだろう。
 もちろん、彼は死んだ。究極の安らぎは「死」だからだ。つまり彼は安らぎの自分と一つになれたということだ。どうやら彼の望みは叶ったらしい。
 たとえ苛立ちが彼のすべてを侵したとしても、苛立ちで死ぬようなことはない。せいぜい他人を[ピーーー]程度だろう。けれど彼は死んだ。向こうの彼は安らぎによって死の間際だったからだ。
彼は彼自身の死へと引きずられたのだ。生は死へと流れる、そういうことだろう。
 煙はまっすぐに天井へと伸びようとしていた。けれど形を保てずに、天井に届く前に消えてしまっている。ある地点までは綺麗な線を引いているが、その地点を越えてしまうと途端に崩壊する。
その点、彼の死へと向かう生は美しかった。まるでふかした煙が空気中へフェードアウトするように、美しいグラデーションを描いていた。継ぎ目のない流れだ。いや、正確にはどこかに継ぎ目が
あるだろうが、それを感じさせない美しさだった。俺はそういうグラデーションのような流れが好きだ。そして彼は美しかった。とても。
66 : ◆p4MI6fJnv2 :2012/01/30(月) 11:22:51.85 ID:cDCI8NJ00
ピーってなに…
「[ピーーー]」に置き換えて読んでください
67 : ◆p4MI6fJnv2 :2012/01/30(月) 11:23:49.31 ID:cDCI8NJ00
ああ…
「korosu」これで大丈夫だろうか
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/01/30(月) 12:03:12.31 ID:ieHnwnK3o
メール欄にsaga(sageじゃなくsaga)を入れると書き込める。
死ね、とか、殺す、っていう単語自体がこの板で規制されてるからね。


少し情景描写が多いしくどいかな、と感じた。多分読みづらさの原因はそこだと思う。
最初と最後を部屋の描写で挟んでいて、最後の場面は描写から『美しさ』を感じられるのに、最初の場面からは『苛立ち』や『美しさ』と対比する『醜さ』が読み取れなかった。そこが少し残念。
内容自体は嫌いじゃない。型にはまらないストーリー展開は好みです。


あと、上に一レス三十行ってあったけど行数増やしちゃダメだろうか。
イーモバイルで連投できないから投下する時携帯で挟んだりしなきゃいけないから面倒臭い。
みなさんご意見お願いします。



69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/01/30(月) 13:25:10.83 ID:cDCI8NJ00
>>68
なるほどsagaですね、了解です

感想ありがとうございます
くどかったですか。自分としてはまだまだ足りないと思ったのですが、読ませる力がないのかな
うん確かに、対比は大事ですね。そこまで頭が回らなかったです
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/01/30(月) 13:29:58.12 ID:cDCI8NJ00
あ、行数については増やしてもいいのではないでしょうか
短い物語なら1レスで投稿できるので手間が省けるかなと

上の小説はその辺よく分からなかったので今までの規定で投稿しましたが
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/30(月) 17:27:37.34 ID:iLNRz8MCP
意外と盛況じゃないか
試しに書いてみるか
お題プリーズ
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2012/01/30(月) 17:37:23.48 ID:J0Cn4zrQo
>>71

『幼馴染も知らない俺の影』
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/30(月) 18:28:52.24 ID:J0Cn4zrQo
なんかゴメン
すっげえ限定的なお題だった
膨らまないよね

改めて

 『僕のナイフ』
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/30(月) 19:09:55.78 ID:k1zOIddDO
膨らまないお題っていうのもいいな

俺にもください
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [saga]:2012/01/30(月) 19:27:40.82 ID:lbnVj9GOo
>>74
殺す
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/30(月) 19:30:31.31 ID:k1zOIddDO
>>75
ありがとー
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/30(月) 21:16:29.06 ID:iLNRz8MCP
>>72
いただいた。よくわからんお題民にとってはご褒美だ
>>73は遠慮しとく
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/31(火) 15:47:11.61 ID:3xj2jQkI0
お題もらえますか?
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/31(火) 15:50:02.97 ID:ZlmCMAZko
>>78
飛行船
80 : ◆xoqQYwssWY :2012/01/31(火) 16:47:04.63 ID:bsnJtUIDO
投下します
イーモバイルなので途中で携帯のレスが入りますがご容赦下さい。
81 :善意の妖怪(お題 梓弓)1/2 ◆xoqQYwssWY [saga]:2012/01/31(火) 16:47:30.43 ID:xzVNkHuno
 今年は3月に入ってからずっと暖かった。だからそれをぶった切るような今日の寒さに大叔父はあの婆さんらしいな、とぼやいていた。外は春雨が降りしきり、雨音は激しくないものの、雨の気配は室内にいても感じられる。祖母の納棺の日はそんな日だった。
 納棺の儀は誰の涙もなく淡々と進み、私の番が回ってきた。
 遺言にあった通り棺に弓を収める。祖母の顔が心なしか安らいだように見えるが気のせいだろう。彼女はもう死んでいる。きっと安心したのは私の方だ。
「最後です。お声をかけてあげてください」
 孫の私に気をかけてくれたのか、お坊さんはそう微笑んでくれた。その心遣いはありがたい、のかもしれない。けれど祖母と交わす言葉などすでになかった。
 代わりに棺の中に手を伸ばし、弓の弦に指をかけ、そのまま弾く。ビィィン、と澄み切った音が部屋の中に響き、その場にいた親戚みんなが一斉に顔を顰めた。なんだか少しだけおかしくなった。
 この弓は梓弓というらしい。神事に使う神聖なものだという。その弦の音は魔を払うという。
 人はそれを聞いてなんと言うだろうか。多分うさんくさいが一番多い気がする。そこまで言わなくても本気で信じる人はほぼ皆無だろう。
 けれど私はこの弓の力を信じている。誰がなんと言おうと私は信じる。なにせこの弓は私の家に巣食っていた妖怪を退治してくれたのだから。
 
 私が生まれた日もこんな春雨が降っていたらしい。予定日より一月も早い陣痛に母は焦り、救急車を呼ぼうとしたがあまりの痛みにその場でうずくまることしか出来なかったそうだ。
 最初に母を発見したのは散歩から帰ってきた祖母だった。
 祖母は母の姿を見ると血相を変え電話のある祖母の部屋の方に走り去り、それでやっと母は安心することが出来た。これで救急車が来る、無事に子供を産める、そう思ったそうだ。当たり前だ、誰だってそう思う。
 けれど祖母が持ってきたのは電話の受話器ではなく、一本の弓だった。
「赤子が生まれんなら空気をお清めしなきゃならねえ。も少し頑張ってくれ、な?」
 そう言うと祖母は涙を流しながら弦を弾きだした。もう救急車は呼んでくれたのか、と母が聞いてもなにも答えずひたすら弓を弾いていたらしい。
 痛みに苦しむ母とそのそばで泣きながら弓を鳴らすだけの祖母。想像するだけで吐き気がする。それが何に起因するかは分からない。恐怖か、怒りか、不気味さか。おそらくそれら全部だろう。
 結局救急車が来たのは父が仕事から帰ってから、陣痛が始まって二時間も経った時だった。私の左手に今もしびれがあるのはそのとき胎内の酸素が十分でなかったせいだそうだ。もう少し早く病院に着いていたら対処できたらしい。
「早産のあんたが無事生まれたのは神さんとあの弓のおかげだあ」
 祖母はよく幼い私にそう言って笑った。まるで冒険ごっこの成果を親に話す子供のように、誇らしげに、無邪気に、カラカラと。 
 何度も何度も。
 そしてその度に母は泣くのだ。ごめんね、ごめんね、と泣いて私に謝った。祖母が笑うと母が泣く、その因果関係にいつの間にか気づき、祖母の笑顔が嫌いになっていった。
 
 こんなこともあった。
 小学生のころ家の庭に母と私の畑があった。小さな小さな畑で、二人が並んで座れば隅から隅まで手が届く事ができるほど狭い、けれどとても大切だった私と母の菜園。
 当時は食費を浮かすためにこの畑を作ったと母は言っていた。けれど今考えればあんな小さな畑で採れる野菜が家計を助けていたとはとても思えない。おそらく母は祖母のいる家の中から離れる口実が欲しかったのだろう。
 母と私はそこでほうれん草やパセリを育てていた。私はそこで採れるほうれん草のグラタンが大好きだった。
 そしてそれ以上に、土いじりをしながらよく笑う母が好きだった。
「もうほうれん草は食べれそうね。明日採ってグラタンにしましょうか」
 母はそう言って笑い、私も笑った。
 次の日学校から帰ってくるとなんだか家の庭が様子がおかしかった。塀の上から見知らぬ植物の頭が突き出ていたのだ。
 急いで庭に行くと塀沿いに白い花をつけた低木が植えられていて、それを満足そうに眺める祖母の姿があった。
 祖母は私に気づくと嬉しそうに手招きした。
「ほれ見てみい。南天植えてもらったんだあ。こっちゃ鬼門だったからなあ」
 南天とか鬼門とかどうでもいい、私には畑のあった所に生えている木とその下で横たわる無残に掘り返されたほうれん草しか見えなかった。
「悪い気が溜まってたんだ。あんたの左手もそのせいだあ。これできっと治る、よかったなあ」
 そう言って祖母は笑い、隣で母はやはり泣いていた。それが悔しくて悔しくて、私も声を出して泣いてしまった。
 祖母はなぜ私が泣き出したか分からなかったろう。当然かも知れない。彼女には悪意なんてない、すべてが善意からの行動なのだ。祖母と私たちの常識の座標軸が大きくずれていた『だけ』にすぎない。
 しかしその『だけ』のせいで周囲の人間は彼女の巨大な善意に押しつぶされ続けた。
 いつまでこんなことが続くのだろう、祖母以外の家族全員が思っていたはずだ。
82 : ◆xoqQYwssWY :2012/01/31(火) 16:49:11.92 ID:bsnJtUIDO
83 :善意の妖怪(お題 梓弓)2/2 ◆xoqQYwssWY [saga]:2012/01/31(火) 16:51:45.94 ID:xzVNkHuno
 そんな日々の終わりは驚くほどあっさりやってきた。きっかけは夜中に起きた地震だった。
 小さな地震だったらしい。らしいというのは寝ていて気づかなかったからだ。私が目を覚ましたのは祖母の悲鳴と微かなビィィン、という弦鳴のせいだった。
 一緒に起きた母と祖母の部屋に向かうと祖母は低く唸りながら足をさすっていて、その横にはいつもは神棚に置いてあるはずの弓が落ちていた。おそらく地震で落ちて祖母の足にでも当たったのだろう。
 痛い、痛い、と喚く祖母を見てこの弓でも弾いてやろうかとも思った。けどすぐ冷静になって、代わりに受話器を手に取った。
 どうやら骨折していたらしい。翌朝、付き添いで救急車に乗ったいった母がそう教えてくれた。
 見舞いの時、祖母は想像以上にしょげていた。出産以外で病院にかかったことがないのが自慢で、毎日の散歩を欠かさなかった祖母。それがあの弓に奪われたことがショックだったようだ。
「罰が当たったんだあな。つい神棚に足を向けて寝ちまった。神さんが怒ったんだあ」
 なぜこの人は神様の怒りには敏感なのに私たちの悲しみには鈍感なのだろう。そう思ったが口には出さずに胸にしまい込んで、病室を後にした。
 その日の夜中、私は祖母の部屋にいた。落ちていた弓を手に取り、しびれる手で弦を持ち、ビィィン、と弾いた。
 この弓は梓弓というらしい。神事に使う神聖なものだという。その弦の音は魔を払うという。
 もちろん信じてなんかいなかった。ただ何かにすがりつきたかったのだと思う。
 願いながら弦を引く。魔を払え、と。
 想いながら弦を弾く。妖怪よ消えろ、と。
 毎晩毎晩、祖母の部屋から弦鳴が家の中に鳴り響いた。父と母はなにか言いたげだったが結局何も言わなかった。
 そして私は毎日祖母の見舞いに行った。もちろん心配してのことじゃない。確かめるためだ。
 私の予想外に祖母の身体は会う度に小さくなっていった。
 医者は入院生活で気力が削がれているかもしれない、と説明してくれたが、私は違うと確信していた。
「神さんとあの弓のおかげだあ」
 心の中で祖母の声が聞こえた。初めて祖母に賛同したくなったが、そこで違和感に気づく。
 心の中の祖母は笑っていなかった。

 納棺の日から断続的に降り続いた雨は明日まで続くらしい。参列者が少ないのを雨のせいにできるから祖母としては良かったのかもしれない。
 棺が火葬場に入って二十分が経つ。係の人は五十分はかかると言っていたので、その場にいるみんなが暇を持て余し、男性陣は喫煙所で、女性陣は自販機の前に集まり談笑中だ。私はその二つを遠巻きに眺めながら誰も祖母の話などしていないのだろうな、と考えていた。少しかわいそうなのかもしれない、けれどこれが祖母のやってきたことの結果なのだろう。
「コーヒー飲む?」
 不意に後ろから紙コップが差し出された。うん、と短く答え、母からコーヒーを受け取る。カップ越しに伝わる熱が優しかった。
「なんだか疲れちゃったわね」
 歳の割に少ない笑いジワを作りながら母は微笑んだ。これから歳相応にシワが増えていけばいいと思う。
「ねえ、お母さん。ほうれん草のグラタンが食べたいな」
 祖母が入院してから私は庭に小さな畑を作りほうれん草の種を植えていた。もうそろそろ食べられるはずだ。
 明後日は晴れるからその時に採ろう。今からもう楽しみでしょうがない。
 そんなことを考えているとビイイッと火葬の終わりをを報せるベルの音が鳴り響いた。その音はあの弓の弦の音に少しだけ似ていた。
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/01/31(火) 21:35:14.49 ID:ec2u4lU7o
>>83
骨折がもとで入院し、梓弓の魔翌力が祖母の身体を弱らせていき、死へと誘ったわけだけれど、
自分としてはもっと現実よりにしてほしかったかな。
骨折のような衰弱死にまでは至らない病ではなく、肺炎などのほうが、病気で亡くなったのか
魔翌力で亡くなったのかの境目をあいまいにできたんじゃないかなと思う。

面白かったです。次回も期待してます。
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/01/31(火) 21:36:58.50 ID:ec2u4lU7o
ところで、このままいけばまた品評会0だけど、その場合誰がお題決めるの?
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/31(火) 23:08:19.15 ID:7MVbc8MDO
アニメの一場面、10分ぐらいを描写するは?
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/31(火) 23:46:46.67 ID:wNo1zZW0o
ひたすら繰り越す!
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) :2012/02/01(水) 07:47:42.81 ID:sFMd9rJAO
今週の品評会は「平凡」の持ち越しでいいのかな
俺書いちゃうぜ?優勝しちゃうぜ?
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/01(水) 09:42:16.51 ID:QerZkQFro
>>84

感想ありがとう
うん、確かにあいまいにするにはそっちのほうがいいかも
祖母の死のきっかけを弓と絡めさせたくて骨折、ってことにしたけど今考えるとそこを絡める必然性がないよね
精進します

>>88

俺はいいと思うけどどうなんだろうね
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/01(水) 15:19:35.37 ID:z5878LuG0
オダイ,クダサイ
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/01(水) 15:33:25.98 ID:Z6W6wttDO
黄金比
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/01(水) 15:43:35.51 ID:z5878LuG0
>>91
安価無いけどお題としてとっても良いのかな?
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/01(水) 15:58:40.34 ID:Z6W6wttDO
>>92
ごめん、安価忘れた
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/05(日) 14:26:41.92 ID:zrGSptsC0
お題くださいな
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/05(日) 14:28:21.70 ID:TVgO74ENo
>>94
スニーカー
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/02/07(火) 23:57:15.24 ID:hMl2+u8n0
今週末も平凡確定かなww
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/08(水) 14:37:40.36 ID:d2fVEFZk0
月一でいいんでないかい?
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) :2012/02/08(水) 18:28:56.46 ID:Yr5Du3l10
隔週くらいで良いんじゃないかなと僕は思うわけだが
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/08(水) 18:33:05.51 ID:qi6uNjGUo
誰も参加しないんだから終了でいいんじゃない?
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/08(水) 19:02:51.32 ID:d2fVEFZk0
取り敢えず今書いてる分が終るまで終らせてくれるなよ
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) :2012/02/08(水) 21:48:48.21 ID:a6jAoPSAO
ネタはあるけど書く暇がねえ
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/08(水) 22:03:58.08 ID:MLLGymEao
前はもっと活気あったのにな

かく言う俺も忙しくて書けてないんだけど
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/02/11(土) 00:28:11.30 ID:Qfu//FO40
35 名前: ◆Meri///lNU [] 投稿日:2012/01/18(水) 00:38:37.52 ID:el3mwurl0
サクッとお題発表

 凡庸さというのは白い上着についた宿命的なしみと同じなのだ

                       (村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』より)

  第301回週末品評会  『平凡』


規制事項:特になし レス数自由。
投稿期間:2012/2/11(土)00:00〜2012/2/12(日) 23:30
宣言締切:日曜23:30に投下宣言の締切。それ以降の宣言は時間外。
※折角の作品を時間外にしない為にも、早めの投稿をお願いします※

投票期間:2012/2/13(月)00:00〜2012/2/14(火)24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票するよう心がけましょう※
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/02/11(土) 00:29:12.30 ID:Qfu//FO40
今週こそはね
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2012/02/13(月) 15:14:11.28 ID:KBLYRffko
おだいくれ
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/13(月) 18:11:42.39 ID:+ZDUTe0QP
>>105
消去法
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 18:07:28.95 ID:tbM4ZRxlo

            【完】
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/02/18(土) 01:43:50.86 ID:+/nI1hJXo
なんかちょうだい
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/18(土) 02:19:14.67 ID:LdZ5n/F0o
ネクタイ
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/18(土) 04:15:42.25 ID:8UKyAvyIO
ありがとう
111 : ◆/sLDCv4rTY :2012/02/19(日) 23:23:49.85 ID:nxXMESmk0
よやく
112 :平凡王 1/3 ◆v2z2fBjR0M :2012/02/19(日) 23:36:36.24 ID:nxXMESmk0
 やっちまえ、やっちまえ。油と兵器で黒く脆く肉を焼け。焼け、焼け、敵どもを。
 
 1
 
 ある世界のある大陸。そこでは3つの国が栄えていた。2つは歴史のある帝国と共和国だったが、もう一つの国は
最近一人の男によって作られた国だった。
 −−欲望王。ここはそう呼ばれる男の作った熱狂と機械でできた国。新しい武器と戦争の国。血と油で成り上がっ
てきた国だ。
 その国のど真ん中には王の住む巨大なお城……のようなものがあった。いやあれを初めて見て城だというものはい
るだろうか? この街に来た旅人はその城を精一杯良く言って−−「機械が積み重なった火山のようだ」と例えた。
ほとんどの者はゴミ山だと思った。しかもちょっと臭いと。その山の側面には深緑に光るむき出しの基盤や、大小さ
まざまなかつ色とりどりのコード、同じように時刻を表すディスプレイなどが張り巡らされてあった。そしててっぺ
ん中央には大きな細長い穴が開いている。瞳のようなその暗い穴。その奥にはミサイルの頭が銀色に光っている。
 無数のディスプレイが赤白に点滅して三時ということを過剰に強調する。するととたんに街中の三時のアラームが
鳴り響く。無愛想な音色だ。それにあわせて城の真中に近い部屋あたりからアラームのような大声がする。いやアラ
ームよりうるさくて無愛想。風呂場の壁に埋まった音量計の値が振りきれる。。
「ああ! クソ! ボケがあー!!!」
 パアン、とドアの横の電球が割れる。大声を出していた中年男が全力でスパナを投げつけたのだ。ディスプレイや
電球といった色々な機械が埋まっている壁に。そいつは青い工員服の「エルデシュ」という名前の男だ。彼は癇癪を
起こして書類まみれの机をいま叩かんとしている。
 スーツを着た長髪の男が書類をサッと取り上げる。ドン、と叩くも机は少し揺れるだけでただ手が痛い。エルデシ
ュはふらあと脱力した机に突っ伏した。そして、しくしく、と泣きはじめた。
 スーツの男は自分の髪をいじりながら言う。
「もー。いい加減んキレんの、もうやめてくださいっつーの。中年男が泣くな、泣くなですよ。情けねェ。もう、私
が立場を変わってあげましょうか? あそうそう汚した分は自分で掃除してくださいね」

 そしてエルデシュの上でも構わず書類をバサッと再び置く。シンマは書類にまみれて、まだ泣いている。スーツで
長髪の男は「ロジクド」という名前だ。
「でもさァでもさァ、ロジたん、なんで俺が人事!? なあ酒飲んで機械いじくろうぜ? それでいいじゃん。人生
いいじゃん。めっちゃいじいじしようぜ!?」
 そしてエルデシュは一人芝居のようにハッ、とした表情をして立ち上がる。
「いや、いや、そうだそうだ。酒、機械、その前にまずはバクチだ! うんうんよし今からバクチしに行ってくるわ
ー」
 が二秒で背中をムンズと掴まれる。
 エルデシュはロジの方をチラチラと見ながら嫌々椅子に戻っていった。そして、書類をまた始末しだした。
 え……という男は目付きはどこか鋭いものの、髪はボサボサで無精髭を生やして、ひどく気だるそうだった。頭を
ボリボリ掻いてはロジのスーツのフケを飛ばす。そしてロジにわざとらしく咳き込まれてる。むろんわざとである。
青い工員用の服は動きやすそうではあるが古い油のシミが多くついている。
「やっぱダメだ! 集中できん! リフレッシュに……」と言いかけたとき、別の工員が大急ぎで入ってきた。
 ・・・
「国王!」
 エルデシュは慌てて書類を始末しているフリをすると、こほん、と咳払いしてから工員に答えた。
「どうした?」伊達メガネなどクイクイと上げてみる。この見栄っ張りの変な工員は、実はその国の国王なのだった

「ようやく新しい兵器が完成いたしました! この国王が設計なされた、このっ"みさいる"という兵器を使えば! 
一発で敵の主要機関は落ちることになるでしょう!」
 工員はひどく興奮しているようだった。エルデシュは少し無言でいると、わざとらしく笑顔を作った。
「……そうか、よくやった。今日は全員に休むように言っておいてくれ。いや、明日も休みだ。前祝いのな。ワハハ
」 
「ハイッ!」
113 :平凡王 2/3 ◆/sLDCv4rTY :2012/02/19(日) 23:38:17.30 ID:nxXMESmk0
 そう返事をすると工員は鉄製のドアの向こうに去っていった。エルデシュの手には誤操作防止機能のついたスイッ
チがある。わずかに工員部屋のほうから歓声が聞こえた。
「……なあ、エル。ほんとうにそれ使うつもりなんですか?」ロジは言った。
「……」エルデシュは答えない。スイッチのつるつるとした表面を撫でている。
「ここが、自分の世界じゃないからって、そんなことしていいんですか? 戦に失敗して力がなくなったら、そのう
ち、王の座を僕が奪いますからね」
「……うし、決まった!」エルデシュは立ち上がる。「2−1−12……の、三連単だな!」書類の間から競馬新聞
のきりぬきがはらりと落ちる。
 げしげし。そうロジに踏まれながら、彼はぐずぐずと話す。
「でももう休みっていっちゃったしー。これで仕事終わりだしー。フーゾクにも行きたいしー」
「……よし、私と国王かわろうか!」

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 −−その知識ってやつァ、いったい誰のモンなんだ?
 
 2

「もう、今回だけなんですからね! 明日はおやつなしですしね!」ロジは拗ねながら言った。
 なんだかんだで彼らは外へ遊びに言った。エルデシュは勝ちまくった。勝つための理論をしっていたし、パチンコ
にいたっては彼が作ったものだった。
 道では皆が彼らを避けて通る。城にいる人以外は−−彼を欲望王として恐怖していた。
「アメちゃんいる?」エルデシュは景品の中からだした棒つきアメをロジに投げる。
「ん、サンキューです」彼自身もそれを美味しそうに舐めている。
「なあロジ。裸の王様、って知ってるよな? あれって俺達に似てたりしねえかな」エルデシュはぼんやり空を見て
いう。
「そりゃあですよ。向こうの世界にいたやつなら誰でもでしょう。でも、ここの人たちはそこまで馬鹿じゃあないと
思いますよ」
「ふむ」
「おい」
「ん?」
「なに、顔に疑問符つけてんだよ。……だから脱ぐなって」
 ばーん! きづけば、エルデシュは道の真ん中で全裸になっていた。靴下さえない、全裸にアメ一丁(?)である
。いやわざとらしく王冠はかぶっている。
「うむ、開放感があっていいな」エルデシュはいう。
 道にいる人々がざわめき始める。
 ロジは止めようとするが(いや、これで民衆から変態国王とされれば俺の王への夢も……)と考える。
「俺は知りませんからね!」服と荷物を持ちながら呆れたフリをして言った。
 とたとた、と歩くたびに、ざわざわと人々のざわめきができる。頭を回してそれを眺めると視線の先だけはいつも
しんとした。恐怖しているのだ。徐々に人が集まってくるが誰も王に話しかけない。
 ロジはいう。
「たしかに誰も注意なんてしませんね。まあ、当たり前でしょう。てかあれですね、俺のより小さいですよね。王様
のアレは粗末だって失脚しますよ」
「うるへー。これでも嬢には可愛い息子ねって言われるんだぜ。ま、いいさ。お前、知ってるか? この世界じゃ誰
も知らない、裸の王様のオチをよ」とエルデシュはいう。
 もちろんですよ。オチは……とロジが答えようとすると一層ざわめきが大きくなる。
 少女が群集から飛び出してきたのだ。
「ねえねえおーさま。なんで裸なの?」
 エルデシュとロジの二人はニンマリと顔を見合わせる。群集の中から、母親が叫びながら飛び出してくる。
 エルデシュがロジに耳打ちすると、ロジは涙ながらに謝る母親を途中で止めた。
 エルデシュはわざと尊大な言い方で見下ろした少女に脅しをかける。
「ほう、王の私を侮辱するのかね。平民よ、平民よ。我は国王ロジクド・ジープ。偉大なる欲望王であァる」
 彼は欲望王という自称に自分ながら笑いそうになる。
「君など我にかかれば一家もろとも拷問にかけ粉微塵になるまで殺しつくすことも容易いのだぞ」
 あ、君よりオマエの方が威圧感あったな、なんてエルデシュは思う。
 少女は少し下の方を見てから、ニッコリ言う。
「でもね、でもね。寒いとかぜをひくよ? でもさ、王様のおちんちんってオトーサンのより小さいね」
 股間を見ていたのである。
「オイ、ロジこいつの父親殺そうか」
「はいはい、王よりちんこでかい罪でも作るんですか? で、この子の母よ、尋問としてこの子は一旦預かりますね

 ロジは言う。
「そ、そんな……」母親はもう我が子が帰ってこないと思った。
 エルデシュは服を着直してアメをくわえ直す。
 そうして恐れる群衆を残して、彼らは城へ帰っていった。少女を連れて。
 
 これはおとぎ話の話のお話。
 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★
 
 そして、これもひとつのおとぎ話だ
 
 3
 
「でも流れで連れてきちゃいましたけど、いんんですか?」ロジは言うと、その言葉は足音とともに反響する。地下
室に向かう階段だった。ロジは続ける。アメを舐めて少女はるんるん気分で歩いている。
「ま、このまま短小変態王としての評判が広まれば俺が王の座を奪うのも……」
「ロジ」エルデシュが話しの途中で遮る。階段は暗くロジから彼の表情は読めない。
「な、なんですか、怒ったんですか?」
114 :平凡王 3/3 ◆/sLDCv4rTY :2012/02/19(日) 23:39:06.86 ID:nxXMESmk0
「これから俺がやることに対して、出来れば口を挟まないでいてくれるか? ……ここ数年、国を作ってから考えて
きたことなんだ」エルデシュは前を見つめたまま言う。
「ま、俺とアンタの仲です。なにか考えてるんでしょう? ま、勝手にやってくださいな」と呆れるフリをした。
「わあ、古いドアだ。ね、わたしが開けていい?」少女は言う。
 こくり、とエルデシュはうなずく。
 背伸びをした少女によってゆっくりと鉄の扉は開いていく。そこは、白い白い部屋だった。
「ここも久しぶりに来たなぁ」エルデシュは歩きながらつぶやく。
 そして真ん中あたりでくるりと少女の方へ振り向く。
   ・・・・・・・・・
「さあハダカノオウサマの少女よ!」ロジは叫んで語る。
「これに答えることができることができれは君を返してやろう。なに、単純な質問だ。正解しなくてもいいさ。答え
るだけでいい。なんとなれば褒美もやろう」
「うんいーよー」少女は部屋の不思議さとアメの方に夢中だ。
 彼は自分のポケットから二つのボタンを置く。
「そ、それは……」ロジが一瞬止めようとするが、エルデシュが手のひらを見せて静止するのに従う。
「これはミサイル……という新型兵器の発射ボタンだ。これを押せば狙いを定めてある場所に発射されることになる

「標準は二つ。一つは敵国の一つの城へ。もう一つは……この城だ。このミサイルなら城だけではなく半径二十キロ
は焼け野原になることだろう。ほぼ国土の十分の一で、両国ともほぼ城と城下町に頼っている。つまり発射されれば
その国の実質的な死と言っていい。」
 少女はぺろぺろとアメなめながらじっとエルデシュの目を見る。よく見れば隈ができてやつれているのがわかった

「もし選ばないならこの三つ目のスイッチを押そう。これを押せばランダムに発射される。そして、
     ・・・・・・・・・・
もちろん、君は家に帰れなくなる。制限時間は十秒だ。さあ、選べ。十……」
少女はぺろぺろとアメをなめる。
「九……八……」
 少女はぺろぺろとアメをなめる。
「七……六……。さあ早く押すんだ!」彼はギョロリと隈だらけの目で少女を見つめる。
 少女はぺろぺろとアメをなめる。
「五……四……三……二……一……。なぜアメ舐めてるんだ!?」
「最後のアメのあじをたのしもーとおもってねー」
「ゼロ!」エルデシュが叫ぶ。
 ロジは諦めたように壁にもたれてタバコを吸っていたが「ゼロ」という言葉を聞いた時少しだけ目を細めた。黒い
スーツに目立つ灰が落ちているのも気にしていないようだった。
「……少女よ、最後に聞こうじゃないか。なぜ敵へのミサイルを押さなかった?」エルデシュは真っ青な服と王冠の
奇妙な威圧でもって聞く。
「わかんない」少女は言った。
 エルデシュは腰につけていた短刀を抜く。そして少女の喉に突き立てる。
「答えろ! 自分に深く理由を聞くんだ!」
 ロジは二本目のタバコに火をつけていた。ぼうっとライターが火を立てる。火はゆらゆらと揺れながら風よけの手
の平を赤く照らす。
 ふうっと、ロジは壁のように白い煙を吐き出した。
「だって、人を[ピーーー]のはいけないことだから」
 少女の目からぼんやりと涙が出る。せきを切ったように涙があふれている。
「それだけか?」
 涙と同じく、いちどに言葉がでてくる。
「わたし、テキのこと殺していいってこと……わかるよ。でもでも、それをしてずっと生きてくのはやだなって。き
っと、アメもおいしくないだろうなあ、って。だから、だから、おかーさんやおとーさんが死ぬかもってわかって、
えらばないのをえらんじゃった」
 エルデシュはスイッチをとり出す。そして安全装置を外してから力を込めた。スイッチはカチリという音を立てて
、完全に最後まで押されきった。そしてエルデシュは手元のキーボードから何かを打って、エンターキーを叩いた。
 ぐず、ぐず、と崩れ落ちた少女は泣く。そしてどちらにミサイルが発射されたんだろうと思った。
 ふ、と前を見るとアメが差し出されていた。頭に重みを感じる。それをとってみる。
 ロジが呆れ返ってつぶやく。
「やっぱりそうすると思いましたよ」
 重みの正体は、王冠だった。
「おめでとう、あたらしい王さま。なによりも平凡な考えを、単純なただしさを持った王よ。そう−−平凡王よ」
 少女はアメをなめながらじっと彼を見つめる。
「なに、ミサイルは発射されていないさ。そのかわり、べつの無害なものが発射されたけどね。君が王になったこと
はそれによって告知された」
 エルデシュはニンマリと笑って、こう言う。
     ・・・・・・・・・・
「これで、城から帰れなくなったね」
ロジが立ちあがって言う。
「さ、行きましょうか。どこか遠くにでも行きましょう。もっともっと、バクチのように楽しめる場所に」
「ん、この子からなら簡単に王座を取れると思うぜ?」エルデシュはとぼけていう。
「やだなあ、エルさんから奪うのがいいんじゃないですか。さ、いきましょうよ」

 ★ ★ ★ ★ ★ ★
 これはひとつのおとぎ話 どこかから、どこかから、白い部屋に流れ着いた二人のお話
 
 4
 二人が階段を出ると、街中に花火が上がっていた。このために用意していたのだった。
 王の交代を告げる花火。
 白い部屋も実は壁一面がディスプレイで(白いのはスクリーンセーバーなのだ)その光景を少女に伝えていた。
「俺のような平凡な人間が、反則使って王になったことがよくなかったのさ」
「まあ、この世界じゃエルさんの知識は反則ですからねえ」
「さあ、気の向くままにこの世界を探検しよう!」
 こうして工員とヤクザの下っ端の旅は始まった!
115 : ◆/sLDCv4rTY :2012/02/19(日) 23:46:28.31 ID:nxXMESmk0
いじょーです
最近はマンガかきたいなあっておもってます
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) :2012/02/22(水) 21:31:07.27 ID:ShZYwrROo
さてどうしましょう?
117 : ◆/sLDCv4rTY :2012/02/23(木) 09:09:36.13 ID:Vja6Ru5Io
誰もいないかもしれないですけどできれば感想お願いしますー

品評会ですが、もう何作か来るまでまってたほうがいいのかな
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/02/23(木) 10:15:57.33 ID:f0lFD74AO
読んで感想書きたいけど、文章読むことを頭が拒否してる人は多そう
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/02/23(木) 21:54:22.98 ID:B92tF6IAO
すっげぇおもしろかった。
おれの好みにジャストミートでした。
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/02/24(金) 18:01:06.35 ID:wGs1K3zzo
>>119
感想サンキュー!
初めて物語を書けた気がするよ
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) :2012/03/04(日) 21:15:04.20 ID:P7DOLq7n0
スレ立ててくれた人ありがとう。
122 : ◆FcModpyaRc :2012/03/04(日) 23:13:53.33 ID:J6bwl3d7o
ほへーこんなとことでやってたんだ。気が向いたらなんか書こ
お題ぷりーず
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 23:42:20.03 ID:SGbCPTezo
宴会
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 23:45:24.46 ID:6kifRk+Lo
こんなところに移動してたのか
お題おくれ
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 23:51:42.41 ID:SGbCPTezo
通勤電車
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/08(木) 23:18:44.93 ID:wxAw3Xxmo
僕にもお題下さい><
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/03/08(木) 23:28:04.14 ID:hHjdyiFAO
>>126
浮気心
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/08(木) 23:29:13.94 ID:yTwKJRH7o
>>126
商店街
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/08(木) 23:33:54.98 ID:6hQAYo600
お題くださいな
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/08(木) 23:46:32.78 ID:G+fIwj6uo
>>129
バス停
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 00:11:21.11 ID:8fQxhowXo
>>127-128
二個とな?
把握しますた、ありがとう
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/09(金) 00:14:32.21 ID:AWGrtAjX0
>>131
貰います
133 : ◆/sLDCv4rTY :2012/03/09(金) 05:34:00.70 ID:h/wCyASBo
優勝者ではないですが、唯一投稿ってことで出させていただきます

第302回週末品評会  『ロリ』

ようじょ ってのはすばらしいものだ
かわいい とにかくかわいい
さあ! おまえらの得意分野だ!
ようじょ に かんすりゃ なんでもありさ!

規制事項:特になし レス数自由。ろりろりろり

投稿期間:2012/3/10(土)00:00〜2012/3/11(日) 23:30
宣言締切:日曜23:30に投下宣言の締切。それ以降の宣言は時間外。
※折角の作品を時間外にしない為にも、早めの投稿をお願いします※

投票期間:2012/3/11(月)00:00〜2012/3/12(火)24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票するよう心がけましょう※

投稿作品がない場合は一週間繰り越しになります。

 記念すべき第302回週末品評会でございます。
 奮ってご参加くださいませ。
 まだ感傷の道具にゃ させねぇず。
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/03/09(金) 09:56:42.27 ID:uSF/iGeAO
いや品評会は一時中止でいいんじゃないの
無理にやることはないでしょ
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/11(日) 15:21:27.00 ID:QiSD6cPSO
なんだ品評会投下されてたのか
まとめにも経過報告してくれよ
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) :2012/03/11(日) 18:19:27.25 ID:CbfyCCd3o
急すぎるしなんで時間おいてから発表したんだ
なんにせよやるならきっちり仕切ってくれよ
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) :2012/03/12(月) 09:41:48.10 ID:q98f9zOh0
>>135-136
こりゃ廃れるのも当然だわ
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/13(火) 01:37:54.23 ID:Y5mPt306P
>>137
全くだ
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) :2012/03/14(水) 13:35:55.46 ID:Vt510BBm0
おれも気づいた
確かに急すぎるまとめに発表してくれたらよかったと思うけど文句ばっかり言っててもしょうがないでしょ
それに誰もなんも動きないから次のお題発表したんじゃない?
廃れさせたくないと思ってるなら今週にでも品評会作品出品したらいいんじゃない
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/14(水) 13:48:28.45 ID:EvR8ZR0GP
>>139
誰に言ってる?
>>135-136はむしろ廃れさせたいんじゃないかと勘ぐるよ
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/03/14(水) 14:37:51.21 ID:mpn0MtmAO
まとめまとめって…
もう根っこから駄目だな
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) :2012/03/16(金) 10:15:39.05 ID:+ryJ+8FAO
久しぶりに見つけたぜー
お題呉れ
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2012/03/16(金) 10:36:32.25 ID:WoQP/QYAO
>>142
捨て猫
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) :2012/03/16(金) 11:04:20.77 ID:+ryJ+8FAO
>>143
ありがとー
145 :平凡王 2/3 ◇/sLDCv4rTY :2012/03/18(日) 00:06:47.82 ID:b2ixlPtwo
 そう返事をすると工員は鉄製のドアの向こうに去っていった。エルデシュの手には誤操作防止機能のついたスイッ
チがある。わずかに工員部屋のほうから歓声が聞こえた。
「……なあ、エル。ほんとうにそれ使うつもりなんですか?」ロジは言った。
「……」エルデシュは答えない。スイッチのつるつるとした表面を撫でている。
「ここが、自分の世界じゃないからって、そんなことしていいんですか? 戦に失敗して力がなくなったら、そのう
ち、王の座を僕が奪いますからね」
「……うし、決まった!」エルデシュは立ち上がる。「2−1−12……の、三連単だな!」書類の間から競馬新聞
のきりぬきがはらりと落ちる。
 げしげし。そうロジに踏まれながら、彼はぐずぐずと話す。
「でももう休みっていっちゃったしー。これで仕事終わりだしー。フーゾクにも行きたいしー」
「……よし、私と国王かわろうか!」

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 −−その知識ってやつァ、いったい誰のモンなんだ?
 
 2

「もう、今回だけなんですからね! 明日はおやつなしですしね!」ロジは拗ねながら言った。
 なんだかんだで彼らは外へ遊びに言った。エルデシュは勝ちまくった。勝つための理論をしっていたし、パチンコ
にいたっては彼が作ったものだった。
 道では皆が彼らを避けて通る。城にいる人以外は−−彼を欲望王として恐怖していた。
「アメちゃんいる?」エルデシュは景品の中からだした棒つきアメをロジに投げる。
「ん、サンキューです」彼自身もそれを美味しそうに舐めている。
「なあロジ。裸の王様、って知ってるよな? あれって俺達に似てたりしねえかな」エルデシュはぼんやり空を見て
いう。
「そりゃあですよ。向こうの世界にいたやつなら誰でもでしょう。でも、ここの人たちはそこまで馬鹿じゃあないと
思いますよ」
「ふむ」
「おい」
「ん?」
「なに、顔に疑問符つけてんだよ。……だから脱ぐなって」
 ばーん! きづけば、エルデシュは道の真ん中で全裸になっていた。靴下さえない、全裸にアメ一丁(?)である
。いやわざとらしく王冠はかぶっている。
「うむ、開放感があっていいな」エルデシュはいう。
 道にいる人々がざわめき始める。
 ロジは止めようとするが(いや、これで民衆から変態国王とされれば俺の王への夢も……)と考える。
「俺は知りませんからね!」服と荷物を持ちながら呆れたフリをして言った。
 とたとた、と歩くたびに、ざわざわと人々のざわめきができる。頭を回してそれを眺めると視線の先だけはいつも
しんとした。恐怖しているのだ。徐々に人が集まってくるが誰も王に話しかけない。
 ロジはいう。
「たしかに誰も注意なんてしませんね。まあ、当たり前でしょう。てかあれですね、俺のより小さいですよね。王様
のアレは粗末だって失脚しますよ」
「うるへー。これでも嬢には可愛い息子ねって言われるんだぜ。ま、いいさ。お前、知ってるか? この世界じゃ誰
も知らない、裸の王様のオチをよ」とエルデシュはいう。
 もちろんですよ。オチは……とロジが答えようとすると一層ざわめきが大きくなる。
 少女が群集から飛び出してきたのだ。
「ねえねえおーさま。なんで裸なの?」
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/18(日) 00:10:57.65 ID:b2ixlPtwo
転載ミス+誤爆とか……
本当に済まない
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/03/18(日) 05:02:59.13 ID:2334t+ik0
いえいえ
続けてもらえるだけで嬉しいです
4月になったら品評会にでも出したいなあ
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/18(日) 10:00:15.71 ID:eotkrk7IO
お題プリーズ!
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) :2012/03/18(日) 10:46:30.12 ID:Y45ig5EAO
>>148
ホールドアップ
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/19(月) 02:41:13.58 ID:2szqgu5lo
中絶と出産が同時に出てくる話を書こうとしてるけどむずい
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/03/23(金) 09:39:55.71 ID:XorYrOMH0
おだいくださいー
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/03/23(金) 10:15:12.37 ID:zSyxqFnAO
>>151
告白
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/03/23(金) 10:45:16.69 ID:XorYrOMH0
>>152
ありがとうございます
VIPに立ってた本スレ落ちたけど
他の板で立て直す?
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/02(月) 01:15:13.39 ID:Gams67Zvo
人いないなあ
お題頂戴
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 01:23:09.18 ID:56CCQIY/o
>>154
ハンバーガー
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/02(月) 01:54:21.93 ID:Gams67Zvo
把握
1週間後ぐらいまでに書く
お題をくれる人はいるんだな
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/04/02(月) 01:56:30.78 ID:akxWemaAO
人はいない
しかしなぜかお題は割と速くくれる七不思議
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 02:03:41.96 ID:kQ1beflzo
ほんとだよねww
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/02(月) 02:06:33.21 ID:Gams67Zvo
ねえ、みんなどこに隠れたの?
なんでこんなすぐ湧いてくるの?

お前らもお題もらって小説書けや!
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 02:31:12.22 ID:56CCQIY/o
じゃあお題くれや!
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 02:54:52.08 ID:1JQYeO02o
>>160
大逆転
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) :2012/04/04(水) 13:51:33.36 ID:3pt6E3nAO
二つばかりお題くださいな
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/04(水) 13:55:35.01 ID:W7ufc1Oxo
>>162
戦車

にんにく
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) :2012/04/04(水) 14:08:55.41 ID:3pt6E3nAO
>>163
ありがとうございます
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/04/04(水) 18:56:09.99 ID:ybG7iByao
お題横瀬
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/04(水) 19:07:21.77 ID:Q6YsPQ0oo
>>165
逢瀬
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/04/04(水) 19:07:53.38 ID:ybG7iByao
>>166
把握
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/04/05(木) 23:58:52.66 ID:rYvLSKiAo
初挑戦ですがお題くださいな
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/06(金) 00:26:49.04 ID:u+mlTQxQo
>>168
立候補
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/04/06(金) 00:38:35.53 ID:B1matnD4o
>>169
サンクス。がんばるよ
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/06(金) 06:34:19.19 ID:KsGaa2VJo
そろそろ書かねば
タイトル何にしよう
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/09(月) 08:51:09.25 ID:WMMc2N/Ao
そろそろ5レス分ぐらい行ったんだけど、終わる気配なし
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/04/09(月) 11:42:12.63 ID:hi42bubAO
読むからゆっくり書け
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/09(月) 21:23:49.17 ID:WMMc2N/Ao
あとお題が出てくる気配もまるでないし
175 :ap :2012/04/10(火) 03:28:36.05 ID:Sqgq5i8w0
『ホールドアップ』
『動くな!』
路地裏に声が響く、声の主の先はゴミが散らかった高い壁の袋小路であり、一人の男が追い詰めらている
『…まいったな』
声の主に追い詰められた男が悪態をついた。

『貴様には数えきれないほどの罪状がある!』
声の主は頭からつま先まで甲冑を着込み、腰のベルトには様々な物を付け、いかにも騎士といった風貌だ。

騎士が息を切らしながら高い声を張り上げる、男との距離は大股で歩いて五歩と言ったところだろう。
『俺は何もしてないんですが…何かの間違いでは?』

そういう男は、緑のバンダナを巻き、動きやすそうなベストで体を守り、ベルトには短剣を刺し、背中側には小物入れだろうか、ポーチを付けてあり、左足の側面に剣を帯刀してある。
その姿はまるで…
『黙れ!絵本に出てくる盗っ人の様な格好が何よりの証拠!この手配書そっくりだ!』

おそらく騎士の持っている手配書を見た者なら、誰もが思うであろう言葉を投げかけ騎士は続けた。

『これだけの事をしておいて何もしてないだと!?いいか!罪状を復唱する!第一に食い逃げ、第二に商品の窃盗!第三に工房内に不法侵入!第四に工房の無断使用!第五に…』

騎士は腰のベルトにつけていた剣やバックやら何やらに紛れ込んでいた小さな紙束を手に持ち、読みながら続ける。

『第九に竜人に術を使った事!第十に…』
騎士は追いかけて来た疲れが抜けてないのか、読みあげる声が小さくなって行く。

『第二十一に魔獣を呼び寄せた事、第二十二に魔獣に人を襲わせた事…』
しだいに小さくなって行く声を聞きながら盗っ人はバンダナの上から頭をかく。

(仕事熱心なお人だ…)
自分がそうさせているというのに、盗っ人は悪びれる様子もなく他の事を考えていた。
(どうにかして、逃げられないかな…?)
そんな事を考えているとは知らず騎士はまだ罪状を読みあげている、しかしその声は。

『第三十に、船の帆に放火、した事っ、第三十一に、船の積荷を、強奪した事っ』
まさに息も絶え絶えであった。

(これだけ仕事熱心なんだ、賄賂なんか通じないだろうな…)
この騎士に賄賂を渡したら腰の紙束が一枚増えるだけだろう。そう判断した盗っ人は次の案を考える。

(ポーチの中のロープで壁を登るか?)
そう考え、周りを素早く見渡すが。
(…届かない、か。)
この案も出来ない…と考えていると。

『…以上!だ!!自分のした愚行!思い出したか!?』
紙束を読みあげ、兜の目だし部分からこちらを睨みつける騎士と目が合う。
『えっ!?もう終ったんですか!?』
盗っ人の口から思わず本音が飛び出す、すると…

『貴様ぁ!まさか、まだあると言うのか!!』
騎士が怒りと息切れで激しく肩を上下させながら問いただす。
『いやいやいや!違います!ありませんよ!』
盗っ人は慌てて弁解しようとするが…

『ならば!私が読みあげた罪状は認めるのだな!いいか!罰金250宝貨!全て位は三段上の宝貨だ!払えないのなら闘技場で死闘枠10年間!もし払えても余罪を調べるため拘留させてもらう!』
騎士は大富豪でも怯むような値を盗っ人に伝える。

『250宝貨!?そんなもの払える訳無いだろ!?それに死闘枠なんかに入ったら一ヶ月も生きられない!!』
盗っ人は予想外の値段に戸惑い、声を荒げて正直に答える、すると騎士はその返答を待ってましたとばかりに腰のベルトから小さな筒状の物を取り外した。

(あれは…何かを飛ばす筒…?もしかして魔法弾か!?)
盗っ人はその筒を警戒し、袋小路の中で1番大きなゴミに素早く身を隠す。
(あの筒…魔法弾だとしてもそこまで威力はないはず、なんたってあの騎士は自分を捕まえるつもりだろうからな、致命傷になりにくい魔法は、良くて目くらまし…悪くて電流…かな?)
盗っ人は素早く状況と相手の持つ筒の可能性を把握する。
(魔法弾を打った後…何かしら行動を起こすはず!自分が動くならその時だ!)
盗っ人は方針を素早く決め騎士の行動を待ち受ける!

騎士はベルトに帯刀していた正義を表した真っ直ぐな長剣を抜き、宣誓するように言った!
『この者は罪状を認めたにも関わらず、罰を受けるのを拒んでいる!よって海街の安全を守る為、正義を貫く為、魔法具及び武器の使用で拘束が可能となった!』

声を張り上げ騎士が盗っ人に警告を告げる!
(捕まってたまるか!)
盗っ人もまた左足に帯刀させていた剣を抜いた…!

つづけ
176 :ap :2012/04/10(火) 03:41:09.77 ID:Sqgq5i8w0
始めて書いたから疲れました…
助言良かったらお願いします!
ちなみに盗っ人が海街から脱出するまで書きたいと思ってるんですけど、続きを書くのは駄目なんですかね?
始めてなのでよろしくお願いします。
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/10(火) 03:50:06.47 ID:pv5bqOX1o
とりあえず、>>1のテンプレを読んだほうが良いかと思います
続きものに関しては、連載形式っぽい形でやる人はほとんどいません
一つ一つで話にして、別の機会に同じキャラで続き書いたりとかはあるかも
たとえば、その脱出するところまで書いておいて、
まとめて投下するとか
178 :ap :2012/04/10(火) 03:57:54.44 ID:Sqgq5i8w0
>>177
あちゃー…そうでしたか、お題を貰ったらそれをただ書くものだと思っていました。
改めて>>1を見ると自分ルール外れ過ぎだ…
なんかすいませんでした。
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/10(火) 06:18:38.14 ID:f8ZRlVvKo
wikiのコラムを読んだ上で書くと読み手にも歓迎されるよ
感想もいっぱいつくよ
自分の文の修行にもなるよ の三点セット
180 :ap sage :2012/04/10(火) 14:07:58.21 ID:Sqgq5i8w0
今度は名前にタイトルも入れて三十行にまとめて書きますのでワンモアお題!
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チリ) [sage]:2012/04/10(火) 16:16:47.21 ID:lumhIAQv0
お題「文才のない私」
182 :ap [sage]:2012/04/10(火) 16:52:50.10 ID:Sqgq5i8w0
>>181ありがとう。
む、難しそうだ…けど頑張る!
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/04/10(火) 20:23:43.69 ID:6HmqpHeEo
お題ください
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/04/10(火) 20:26:16.26 ID:yx5wxCGco
>>183
合成繊維
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/10(火) 21:30:44.33 ID:rlsO1Oeso
お題
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/10(火) 21:36:13.40 ID:pv5bqOX1o
あんぱん
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/10(火) 21:40:23.43 ID:rlsO1Oeso
>>186
把握
188 :首を絞めるのに最適なもの (お題:合成繊維) 0/5 [sage]:2012/04/11(水) 01:44:55.50 ID:cvtayWf6o
投下します
189 :首を絞めるのに最適なもの (お題:合成繊維) 1/5 [sage]:2012/04/11(水) 01:46:39.05 ID:cvtayWf6o
 秋に差し掛かろうとしている今日この頃。私は机に肘を付きため息をついた。
 吐かれた息の白さと、薬品耐性を増す樹脂のコーティングされた机の無機質さは、この実験室の冷たさ、侘しさ、寂しさを、これでもかと誇示している。
 ナイロン製の安物白衣も、近所の被服店で買った革靴も、寒さを遮るには頼りない。
 私は内臓まで届きそうな冷気を震えながら耐え、閉ざされた将来の事を考えざるを得なかった。

 私は国立の研究所で研究職員として働いていた。専門は高分子合成化学である。
 白く冷暖房の効いた実験室で、溶媒の芳香の中、フラスコを振る毎日はそれなりに充実していたように思う。毎日が発見と失敗に満ち溢れ、興奮が冷めたことはなかった。
 当時はこの日々が定年まで続くと考えていた。甘かったのだろうか、若かったのだろうか。研究者としていわゆる『安全第一』は大前提であったはずなのに……。
 非常に不安定な劇薬を溶剤として使用していた際、フラスコを誤って加熱してしまった。私のいた実験室には毒ガスが充満した。一人の死者を出してしまった。化学者として考えうる最悪の失態と言えるだろう。私は立場も、信用も、全てを失った。
目の前が真っ暗になり、その後の事はよく覚えていない。上司や遺族の罵声が微かに耳に残っているだけである。
 そして気がついたら私はここにいた――。
190 :首を絞めるのに最適なもの (お題:合成繊維) 2/5 [sage]:2012/04/11(水) 01:48:45.69 ID:cvtayWf6o
 ここはすでに使われていない研究所のようだった。私の以前いた国立研究所とは比べ物にならない設備だ。もちろん悪い意味で……。
 空調はない。水も井戸から引いている。
 ただ日の当らない、冷涼な立地が功を奏したのか、残されていた基本的な試薬はまだ充分使えるものばかりだった。
 ガラス器具やアルコールランプなども一部破損していたが何とか使用できそうだ。

 決めた。私はこれから、ここにあるもので、一からロープを創り出し、それで首を吊ってここで死のう。自分の技術で、自分の知識で、自殺の準備をする……。それが最悪の化学者として滑稽で、それでいて相応しい最期だろう……。



 まず首を括るための紐としてどのような性質が必要であろうか。
 私の体重を支えるだけの耐久性は必要だろう。頸動脈を効率よく閉めるために弾性もほしい――。
 頭の中で分子の構造を思い浮かべる。研究所で働いていたときに感じていた快感を感じた。
 この快感に溺れたことが、私をここまで堕落させ、その境地でもなお創造の喜びを実感する……、皮肉な話だ。
 結局私は何の反省もしていないのだ。人の役に立つでもなく、社会を発展させるでもなく、私はただ、自分の創造欲に取りつかれてただけだったのだ――。
191 :首を絞めるのに最適なもの (お題:合成繊維) 3/5 [sage]:2012/04/11(水) 01:50:30.43 ID:cvtayWf6o
「なにやってるの?」
 不意に背後から声が聞こえた。甲高く、それでいて舌足らずな、聞くものをイラつかせる声だった。
 振り向くと底には5,6歳の少女がぽつんと立っていた。
「……なんでこんなところにいる?」
 私は手に持った試験管を立てかけ、少女に問いただした。ここはかなり山奥だ。それにただでさえ危険な薬品や、ガラスの破片が散らばっている。
「ここにはたまに遊びに来るの。 おじさんこそこんなところで何やってるの?」
 この研究所にはカギはない。あったのだろうが壊れている。子供が迷い込む事自体は不思議ではない。
 こんなところへ遊びに来るのは非常に危険だからやめろ、と咎めるべきなのだろうが、そんな気は起きなかった。
 この子もただ、自分の好奇心にしたがってこんな山の奥深くにやって来たのだろう。それを叱る資格は私にはない。
 私は置いた試験管を手に取って、その内容物をアルコールランプで加熱しているビーカーに、静かに注ぎ込んだ。
 ビーカーの中では二つの成分が反応し、白く濁った。
「わぁ! すごい!」
 少女はその様子を見て感嘆を上げた。顔を近づけ、目を輝かせてビーカーの中身を見ている。
 その少女の姿は、私に、私の少年時代を思い出させた。目の前で起こる摩訶不思議な現象を解明したい、利用して何かを成したい……。
 そんな無邪気で情熱的な日々を――。

 私は黙ったまビーカーを手に取った。少女の目はまだビーカーの中で起こる現象に囚われている。
 私はガラスの棒を手に取り、ビーカー中の溶液に突っ込んで、かき混ぜた。少女はぽかんと口を開けて呆けている。
 ガラス棒を持ちあげると、そこにはたくさんの繊維が巻きついていた。
「えぇ! なにそれ! なんでそんなのが出てくるの!? すごいすごい!」
 先ほどとは比べ物にならないほどの驚きを、少女はめいっぱいあらわにした。
 これからこの頼りない繊維が、私の首を絞め[ピーーー]、なんてことは想像だにしていないだろう。
 私はその繊維を手に取り、横に引きのばしてみる。耐久度を調べるためだ。その様子も少女は食い入るように見ていた。
 プツンッと、白い繊維は千切れた。失敗だ、この程度の力で切れてしまうようではとても私の体重に耐えられない。
 私は使用した試薬や配合率のメモされたノートに大きくバツ印を書きこんだ。失敗作は机の角に無造作に放った。
192 :首を絞めるのに最適なもの (お題:合成繊維) 4/5 [sage]:2012/04/11(水) 01:52:16.62 ID:cvtayWf6o
「ねぇ、触ってもいい?」
 少女はそう言いながらも、すでに先ほどの繊維に手を伸ばしている。
「……かまわないよ。 もしよかったら上げてもいい」
 特に触っても毒性はないはずだ。それにゴミを処理してくれるなら好都合だ。
「やった! ありがとう!」
 少女は白い糸を手に取り、マジマジと見つめた。その目はまるで宝石を目の前にしているかのように輝いていた。
 この少女のことはどうでもいい。
 しかしもし、この子が私と同じように創造の快楽に溺れてしまったら、もしそれで取り返しの付かない失敗をしてしまったら……。
 そのきっかけを作った私にも責任はあるのだろうか。
「ねぇおじさん! 私もおじさんみたいに、こんな風に物を創る事って出来るかな!?」
 少女は問いかけた。このままでは私と同じ過ちを犯してしまうのではないか。そうさせないのが私に出来る些細な償いになるのではないか。
 そんな考えが浮かんだ。
「あぁ、創れるよ」
 少女は希望の籠った曇りない笑顔になった。
「でもね、ただ自分がやりたいことをやるだけじゃだめだよ。 周りの人が『幸せ』になれるように、いつも考えながらやっていかないといけない」
 少女は首をかしげた。
「それって難しいこと?」
「そうだね、おじさんには出来無かったよ……」
 少女は、ふーんと言って、すぐに手元の繊維に目を落とした。まぁ少しこの子には早い話だったか。



 その後も私は繊維を合成し続けた。様々な試薬の組み合わせ、配合の割合、加熱や冷却の条件、大量の失敗作が積み上げられた。ノートのバツ印も増えた。
 失敗作の山は、少女のおもちゃになったようだ。彼女は2,3日に一度、この研究室にやってきて、めぼしい繊維があれば持って帰る……。
 そんなことを繰り返していた。

 2週間ほどたっただろうか、ついに首を吊るのに申し分ない合成繊維が完成した。
 強さ、しなやかさを併せ持ち、肌さわりも絹のようになめらかで、純粋な白色をしている。
 あとはこれを結い合わせ、ワッカを作り、そこへ頭を通すだけだ。

 それですべてが終わる……。
193 :首を絞めるのに最適なもの (お題:合成繊維) 5/5 [sage]:2012/04/11(水) 01:53:56.28 ID:cvtayWf6o
「おーじさーん!」
 少女が勢いよく研究室に飛び込んできた。私は咄嗟に出来上がった成功作を背後に隠した。
 これから死のうとしている、罪深い私だが、なぜかこの子にだけは首つり縄を見せることができなかった。
「おじさん、おじさん、これ見て!」
 少女は手を思い切り前に突き出した。その手には……。


 マフラーが握られていた。
「これ、おじさんが創ったいっぱいの糸から創ったんだよ!」
 そのマフラーをよく見ると、ところどころ黄ばんだり、縮れたりしている。ひとつの素材から出来ているわけではないようだ。
 それでもマフラーは、きれいに、ふっくらと暖かそうに編まれている。少女の創意工夫が見受けられる。
「付けてみて!」
 少女はマフラーを私の頭に通した。首のあたりに優しい暖かさを感じる。これは……。
「おじさん、『幸せ』になった?」
 私は机に向かいノートを取り出した。その表紙に大きく、力強くバツ印を書きこんだ。



194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/04/11(水) 03:01:56.61 ID:WEhyJEzAO
>>189-193
眠る前に心が暖かくなったわ

素晴らしい
よくまあそのお題からこんなの書いてきたな
頭の中にしっかり情景が伝わってきたし、自殺方法もまとめかたも良かった
乙です
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/04/11(水) 03:04:09.27 ID:J8UyiXuno
糞みたいなお題から素晴らしいストーリー
淡々とした一人称から主人公の未練や後悔がほんのり伝わってくる良い文章だと思う
変なお題を出してすまなかった。乙
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/11(水) 04:00:04.95 ID:Vu49Z2jho
>>189
おもしろかった
たんたんとしてておおげさでない感じが良い
ただ普通に自[ピーーー]る話も読みたいという別の欲求が……
自[ピーーー]るための道具を作るという部分がすごいおもしろそうだったので
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/11(水) 04:02:42.85 ID:Vu49Z2jho
ここって「こ・ろ・す」って書けないの?
ピーになった
じ・さ・つ・するって書いたら
自[ピーーー]るになった。
>>189の人の一部もピーになってるし
SS書く場所なのに……
198 :正義の炎〜胎動篇〜 [sage]:2012/04/11(水) 04:04:25.93 ID:J8UyiXuno
メ欄に【saga】と書き込もう。【さげ】でなく【さが】だよ
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/04/11(水) 04:12:44.47 ID:Vu49Z2jho
自殺するテスト
そんなめんどくさい機能があるのか
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/04/11(水) 08:36:14.40 ID:jhdRRzA7o
お題を、おねがいします
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/11(水) 10:28:13.34 ID:kAWvaFqIO
>>200
痛勤
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/04/11(水) 14:34:37.01 ID:jhdRRzA7o
>>201
了解です。ありがとうございます
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/04/12(木) 09:28:10.32 ID:1p27QVGwo
お題ください
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/12(木) 10:48:28.16 ID:h9jScAM+o
>>203
乳揉み
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/04/12(木) 12:56:06.94 ID:1p27QVGwo
グロ描写は控えた方がいいでしょうか?
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/04/12(木) 17:23:00.19 ID:7+k/l4EAO
いや必要ならば気にすることはない
一応メ欄に「saga」を入れて投下した方がいいかもな
207 :ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 0/16 ◆pxtUOeh2oI [sage]:2012/04/12(木) 23:57:10.36 ID:Ok8I1j8fo
やっと書けた
ながくてごめんね
お題あんま使ってないし
投下します
208 :ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 1/16 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/04/12(木) 23:58:02.31 ID:Ok8I1j8fo
 
   ウイングレス・ガーリィ 〜クーヘレン先生の微笑み〜


 気付けば暗い海だった。腕を足を背中を翼を、押されるがままに身をまかせて浮かんでいく。体を動かすこと
はできない。足はしびれているようで、白い翼が水をかくこともない。
 堕ちていくようにただ海を進む。
 イルカが一頭よってきた。体の周りを旋回し、頬にキス。彼女は「友達になろうよ」と鳴く。
「ありがとう。でも、無理だよ」海の中で呟く。「さようなら」
 イルカが悲しげに背中を見せると泡を残して泳ぎ去った。
 もう空が近いらしい。海に差し込む光が、終点までの道筋を伝えている。
 そうして産まれた。

「天使だ!」
 どこかの病院の分娩室。壮年の女性医師が、とりあげたばかりの血塗れの赤子を抱き上げて叫んだ。
 赤子は泣いていない。背には小さな羽があり、あたまの上には産まれた瞬間にはなかったはずの天輪が今にも
輝こうとして漂っている。
「お母さん、あなたは選ばなくちゃいけない」
 医師は赤子を抱いて、分娩台に固定された母親の目元に向かう。
「天使は人の社会にいられない」
「ああ」看護婦の誰かが声をあげた。
 慌ただしい室内に光がほとばしる。赤子は医師の手を離れて浮かび上がった。泣き声ではなく、いななき。天
輪の神々しいまでの輝きが、人でないことを明確に告げている。
 子供を産んだばかりの母親は憔悴していた。やっと出産を終えて、ただ幸せに浸るだけでよかったはずなのに、
産まれてきた子供は天使だった。
 だから選ばなければならない。
 そう確かに聞いていた。そんなことが自分と自分の子供にふりかかるはずはないと思いながら。
「どうしますか?」
 医師が母親に問うた。看護婦たちは光に抗ってまだ小さい天使をとらえようとする。
 母親は既に決まっていた答えを口にした。
209 :ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 2/16 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/04/12(木) 23:58:29.63 ID:Ok8I1j8fo
「私の子供を人間にしてください」
 捉えられた天使のいななき。用意されていた、しかし今まで使われたことのなかった道具が使用される。
 翼の切断手術。
 赤子はやっと産声をあげた。人としての初めての泣き声。そこで、あたしの記憶は一旦、途絶える。

 あたしの背中には大きな傷跡が二つある。子供の頃からずっとあって、それは生まれつきのものだと物心がつ
いたときにわかった。
 自分自身への証明は簡単、なぜなら産まれた瞬間の記憶を持っていたから。その後、二歳ぐらいまでの記憶は
ないけれど。
 あたしは天使だった。
 数百人に一人程度の確率で産まれた瞬間に発生する病気みたいなもの。でも今は違う。
 あたしは失天使(シツテンシ)だ。
 天使は人間の社会では生きられないから、羽を切断される。そんな人間もどきを失天使と呼ぶ。あたしは人間
みたいに成長して、今ではついに高校生にまでなった。
 アド・アポエルという名前を貰い、好物はファストフードと漫画で、嫌いなものは数学。髪を染めることは好
まず、黒のショートカット。陸上部に所属していて、背がそこらの男子並に高く、そんな身体的特徴の為、走り
高跳びをなりわいとし、毎日、少しでも高いバーを超えられるように練習している。そんな普通の女子高生。
 こっちの生き方を選んでくれたお母さんには感謝してるけど、なんかこう運が悪かったなとは思う。普通に普
通の人間に産んでくれればな、とか。言わないけどさ。
「ぎりぎりせーふってことだよね」ミィコが話す。「アドとこうして一緒にごはんしてるのとか」
 四時間目の授業が終わり、昼食の時間。ミィコ・ヒェングラートとシャル・ケルツとあたし、中の良い三人で
中庭に出た。花壇の段差に腰掛けて購買のパンを食べている。この中ではミィコだけが髪を明るい茶色に染めて
いるので目立つだろう。
「そういうこと」あたしはミィコに答えた。「もし天使になっちゃってたら、二人を天から見守る仕事とかして
たわけ。キューピッドの矢をミィコの嫌いなあいつに撃ったりとかね」
 ミィコがそれはやめて、と言い。シャルが声をあげて笑った。
 天使は羽を切断されなかった場合に、すぐ空に消え神の御使いとなる。そうなった天使がどうなるのかは知ら
れていないが、なにやら超能力みたいなものを持って、人間を見守っているとのことらしい。そんな風に噂され
ているし、午前中の授業でもそう習った。だから、ミィコがこんな話をしてる。
 ふと横を見るとシャルが、黒縁メガネの奥から心配そう目を向けていた。シャルはあたしの幼なじみで親友で
210 :ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 3/16 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/04/12(木) 23:59:19.91 ID:Ok8I1j8fo
ある。心遣いのできる素晴らしい子で、成績も良い。あたしには勿体ないほどの友達だ。ちなみにミィコは心遣
いのできない子であたしに程よい感じの友達だ。
 シャルはあたしの髪が長かったこと、短くした理由を知っていて、高校からの友達であるミィコは知らない。
おもてむきは部活動の走り高跳びの為だと言っている。
 でも、まあ、どちらも大切な友達であることは確かだ。
 揚げパンを食べ終わったので立ち上がり、制服のスカートをぱさぱさと持ち上げて揚げカスを払う。もちろん
ジャージを履いているからできる芸当だ。
「次はなんだっけ?」ミィコが聞く。
「保健体育」シャルが答える。「教室移動だよ。女子はLL教室」
 今日は座学で男女別の授業とのことだった。女子は視聴覚室、別名LL教室に集まることになっている。
「あたし、でないから」
「なんでよ」ミィコが言う。
「お腹が痛い」お腹を抱えるようにして言う。「ということにして別教室に来いってさ」
「ああ、そゆこと」
「そういうこと」
 あたしは、背中を見せる仕草で笑った。

 皆が移動しはじめる頃まで教室で話していて、そろそろかな、というところで、メガネをケースから出してか
けた。赤いフレームのアンダーリムでお気に入り。普段はかけていないけれど、授業のときは使っている。そん
なメガネをかけて、授業のあるLL教室に向かう流れに乗らずに離れることにした。
「じゃあ、何か聞かれたら、言っといて。お腹痛いって」
「了解」シャルが抑揚のない返答を返す。
「わたしには言わないの?」とミィコ。
「言わないの」
「だよねー」
 ミィコがノートと教科書を抱えて笑った。
 シャルとミィコと別れて、あたしは物理室に向かった。
 なんで物理室なのだろうか。それはよくわからない。三階の教室を出て廊下を進む。理科系の教室は各階の一
番東にある。窓の外にオレンジの電車が走っていた。そんな景色を横目に、突き当たりの物理室に入る。
 理系教室用の大きな教壇の中央に物理のクーヘレン先生が立っていた。
211 :ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 4/16 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/04/12(木) 23:59:50.86 ID:Ok8I1j8fo
 髪をバレエダンサーみたいなシニョンにしていて、ザマスとでも喋りそうなメガネをかけている。年齢は三十
代の前半か中ほどの結構、美人。若い頃には持てただろうと思うけど、結婚はしていないらしい。つまるところ
のオールドミスという奴だ。
 彼女はいつも着ている白衣を着ていない。教室のカーテンも何かの実験でもやるかのように閉められていた。
なにやら嫌な雰囲気がする。あたしは数学が苦手であるとする(仮定)。よって物理も苦手なのだ(定理)。数
学が大嫌いという仮定は真である(公理)。ゆえに物理の先生に親しみはない。Q.E.D!。
「こんにちは……」あたしは沈黙をやぶろうと挨拶をする。
 そんな声に応えるかのように、スピーカからチャイムが響く。
「こんにちは」クーヘレン先生が微笑んで、前の方の席を手で示した。「好きなところに座って」
 ここで一番後ろの席についたらどうなるだろうか、と考える。もちろん考えるだけで、足取り重くスムーズに
前の方の席に座った。
「では、授業をはじめます」
「あの、質問は……」あたしは片手を小さくあげた。
「どうぞ、適宜、してくださって結構です」
 それはいつもの物理の授業と同じスタイルだった。それがわかっているから手をあげた。
「今は保健体育ですよね? あたしだけ物理の補習とかじゃなく」
「ええ、物理の補修は別に行う予定です」
「えっ」
「冗談です」
 先生のアルカイックスマイルは神秘的なので怖い。
「今日は私が保健体育の授業を行います。理由はわかりますね」
 まあ、なんとなくは見当がついた。つまりはそういうことだろう。
「見苦しいかも知れませんが、一応、証明を見せましょう」
 クーヘレン先生は、背後に両手を回して、ブラウスのボタンを外していった。そうして、自由になったブラウ
スを前でおさえて、背中を見せる。
 傷跡が二つあった。
 白い肌よりくすんでいる島が二つ、ブラ紐の上、肩胛骨の隆起に合わせるように存在している。それは、あた
しの背中にあるものと良く似ている。違いがあるとするのならば、彼女のそのしぐさと白い体がとても美しいも
のだ、と感じたことだ。部活動で日に焼けたあたしの体とはまるで違う。
 あたしが、男子だったのならば、その傷跡に指を添えて滑らせただろう。そんな光景を想像して唾を飲んだ。
212 :ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 5/16 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/04/13(金) 00:00:22.55 ID:+8WHHyx8o
なにが見苦しいだ。欲を言えば、頭のお団子さえほどけば完璧なのに。
「見えましたか?」前をおさえてうつむきかげんからの流し目。
 あたしは黙って頷いた。
 その言葉を確認して、先生はブラウスを着直す。それから教壇の上にまとめていた白衣に手を通した。これで
いつも通り。だけど、今の光景が焼き付いて離れない。
「今、お見せした通りです」
 先生も失天使だった。それゆえ、あたし用に保健体育の授業を行う。そういうことなのだ。
 プリントを二枚渡されれ、それに沿って授業がたんたんと進んでいく。だけど先程の衝撃を超えるものはなかっ
た。内容がもうわかりきったことばかりだったからだ。
 人間と失天使の違いについて。
 失天使の女性に生理は来ない。
 失天使の男性に精通は来ない。
 失天使は、人間と交わっても子供ができることはない。
 要約すれば、だからやけっぱちになって『中出し乱交パーティ』などに参加するな、というありがたい道徳の
授業だ。
 一応、失天使でも失天使同士ならば、子供ができる。その子供が失天使である確率は、通常の人間が失天使を
産む確率と変わりがないらしいとの話もあった。
 結局、大人の用意したカリキュラムが、性に興味津々の高校生より先に進むことはないのだろう。そんなどん
欲さが何故、数学などの科目で出せないのかは問題であるが、答えはつまらないから、で済んでしまう。
 そもそも先生自身が失天使であるとは言え、専門外の教員に話せてしまうような内容なのだ。それがそんなに
優れた内容であるあるはずがない。
 自分と人間の体の違いについて、あたしは中学生のときに知った。
 その頃は周りと違って初潮がきていなかったけど、運動していたり背が高いと遅いことがあるとか聞いていた
ので、いつか自分にも来るんだろうな、と思っていた。失天使と人間の違いなんて背中のアザぐらいだろうと。
 まあ、それは間違っていたのである。
 陸上部で四百メートルを走らせれば一番だったあたしは、大会でも大活躍した。並走していたはずのライバル
たちを軽くおきざりにして記録新で優勝。都の記録に名前を残すはずだった。はずだった、けれど公式記録とし
て残してもらえなかったときに、やっと文字通り身の程を知った。
 自分が染色体イレギュラーなのだと。
 心は男とか、性同一性障害というわけではない。あたしはかっこいい男の子が好きだし、かわいい男の子も大
213 :ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 6/16 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/04/13(金) 00:00:52.56 ID:+8WHHyx8o
好きだ。シャルの成長した大きなおっぱいを揉むこともあるが、それは自分にはない女性らしさを確認したりと
か、やわらかいものをさわりたいとか子供の頃からは信じられない成長を確かめたいとか、ちょっと性格の問題
とかであって、断じてレズではない。
 ただ通常の女の子ではないことも確かだった。失天使はどんな記録を出そうとも公式の記録として残されるこ
とはない。第三(そして第四)の染色体保持者であるとされている。
 公表されている範囲では、失天使が通常の人間よりも肉体的に優れているという研究などは存在しない。しか
し、生まれつき羽を切断されなかった天使がじんつう? ……超能力みたいなものを持っていることは確かであ
る為、失天使も普通の人間ではないとされている。
 そこからは早かった。
 あたしは広大なネットを使い、失天使について得られるだけの情報を調べあげた。
 でてくるでてくるいろんな情報。学生時代のガールフレンドには、失天使がマジオススメなんて記事もあった。
理由はもちろん、できちゃわないからだって! マジファック!!
 そんなこんなで純真だったあたしは、心にまで傷をおって、陸上四百をやめたのである。彼氏もできたことは
ない。今では校庭隅で一人もくもくと、ひ弱なバーを相手にセンチ単位の暗い戦いをしている。
 ああ、神様、願い事がひとつだけ叶うのならば、最初から翼のない体をください。
「……本日の授業は以上です」クーヘレン先生が専用の教科書を閉じた。「わかりました? まあ、この授業に
はテストなどないですけど」
「よくわかりました。この授業ならテストがあっても大丈夫です」
 先生が教壇から降りて、ゆっくりと近づいてくる。何か怒らせるようことを言ってしまっただろうか。先生は
ポケットに手を入れた。なんだ銃でも出すのか? 実験器具か?
 ヒィっとわずかにびびったがそこから出てきたのはただのケータイだった。
「連絡先、交換しましょう」
 言われるがまま、あたしもケータイを出した。ケータイ同士をぶつければ、アプリによって情報が登録される。
「なんでも相談してください。物理の質問もどうぞ」
 それは絶対にしないと誓える。
「良いんですか? こういうの」
 生徒個人と親密な関係に、という奴だ。えこひいきみたいな。
「私が担任しているクラスでは、みんな知ってますから」
 クーヘレン先生の微笑み。なんだかちょっとだけ親しみを覚えたような気がしないでもないかもしれない。
 あたしはプリントを折り曲げポケットにしまって、一礼してから物理室を出ようとした。
214 :ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 7/16 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/04/13(金) 00:01:21.82 ID:+8WHHyx8o
「補修の連絡もしますね」
 はうあ、とあたしは振り返る。
「冗談ですよね?」
「冗談ですよ」
 先生がつまむようにもったケータイを白衣のポケットにしまう。
「一応、今はまだセーフです」

 物理室から出て、クラスへと戻る。クーヘレン先生の授業は、授業時間の半分を少し超えたところで終わって
いたのでまだ授業が終わるまでは時間がある。お腹が痛いで、授業を全部潰したように見せないという心遣いか
もしれない。
 授業中で静かな廊下を進み、クラスの後ろの扉を開ける。すぐ後ろのところにミィコが座っているはずだった
のだが、違った。
 近くに座っていた男子が驚いて変な声を出したので、クラス中の視線があたしに集まった。
 そうだったそうだった。女子はLL教室にいて、男子がこっちで授業を受けているのだったな。
 教室の前のほうに目をやると調子にのった男子教師が描いたらしい卑猥なコメントが黒板いっぱいに溢れてい
た。
「間違えました。ごめんなさい」
 あたしは何事もなかったかのようにガラガラと扉を閉める。
 こんなに男の子視線を奪ったのははじめてかもしれない。
 教室の中からは大爆笑が巻き起こっていた。
 あたしはむかむかと恥ずかしさのカオスに困惑しながら、LL教室を目指して廊下を戻った。なんだなんだよ。
間違えただけじゃないか。泣くぞ。渡り廊下を渡って、隣の校舎を目指す。途中、物理室の方に目をやるとカー
テンが開かれていくところだった。実験室仕様なので全部オートで。
 先生も気楽に背中を見せたわけではないのだろう。
 そう思うといくらか自分の恥ずかしさが和らいだ。というよりも先生の綺麗な背中を思い出してさっきの過ち
を忘れようとした。
 LL教室は物理室の向かいにあった。渡り廊下を終えてすぐのところである。こっちはこっちで、教室の前にし
か入り口がないため、結局、みんなの視線を集めることになる。
 あたしは静かにドアを開いて、こっちを確認して止まった教壇の先生に頭を下げてから、段々の教室をあがっ
ていって、シャルとミィコのいるグループの席についた。
215 :ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 8/16 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/04/13(金) 00:01:52.44 ID:+8WHHyx8o
 こちらの授業はプロジェクタを使っての映像講習だった。途中からなのでよくわからないが、一見、グロいピ
ンクの映像が流れている。
「どうだった?」ミィコが小声で聞く。
「クーヘレン先生だった。内容はありきたり。そんなの"知ってんし"みたいな」
 あたしのシャレにミィコが笑った。シャルは、辛いのを無理していない? とでもいいたげな視線をよこした。
確かにちょっとそんな気はしないでもない。だが、無理していると感じられたのなら、笑ってくれたほうが良い
こともあると思うんだよ。シャル、笑えよ。
「あと間違えて教室に戻っちゃった。男子の視線独り占め」
 ミィコが爆笑した。
 だから怒られた。
 でも、シャルも小さく笑っていたので良いと思う。
 流されている映像の内容はあたしとは関係のないことであるようであった。まあ、だから別授業となったのだ
ろう。「お腹が痛い」という理由付けも教師陣からの配慮だ。あたしが失天使であることがクラスのみんなに知
られない為の。
 でもやっぱり遅れている。
 失天使かどうかなんて、背中の傷跡を見ればすぐわかる。体育の授業で着替える度に隠すなんておかしいから、
女子はみんな知っている。
 そして女子が知っているということはだ。男子だってみんな知っているということである。彼氏のいる奴は全
員別れてしまえばいいと思う。特にシャル。

 毎日はたんたんと過ぎていく。授業中に寝たり、部活で膝をすりむいたり、いつも通りの毎日。たぬきを見る
ようなおもしろいことは何もない。
 クーヘレン先生のアドレスを貰ったことを二人に話したら、シャルが欲しいというので、先生に確認してから
教えた。あたしが先生にメールを送ったのはその一度っきり。シャルはどうやら物理について質問したりしてい
るようだ。たまにこいつは本当に女子高生なのかと疑いたくなる。たまたまその場にいたので、ミィコにも教え
たが、あたしと同じく利用することはないだろう。それこそが健全な高校生というものである。
 土曜日。陸部の練習で学校に来ていた。アップだけ他の部員と一緒に走って、その後は一人でバーと戦うのが
日課だ。めんどうなので大抵はバーの代わりにゴム紐を使ってるけれど。
「ありがとうね」
 体育倉庫から、校庭の端までマットを運んでいる途中、反対側でマットを持って手伝ってくれている後輩にお
216 :ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 9/16 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/04/13(金) 00:02:21.33 ID:+8WHHyx8o
礼を言った。彼は高跳びの選手ではないが、いつも準備を助けてくれるのだ。
「いえ」
 だが、そんないつもの返事を言った顔がいつもとは違っていた。明らかになんというかニヤついている。その
ニヤつきは嫌味な感じではなく、心の底から幸せを感じている、そんなニヤつき。つまりどちらにせよ、ヤナカ
ンジ。
「なにかあった? 幸せそう」
 嫌な予感。だが聞かねばなるまい。
「いえ、その……彼女ができたんです」
 予感的中。思わず、持っていたマットの持ち手を話しそうになったが、なんとか耐えた。
「あんまり言わないでくださいね。相手、マネのエルン先輩なんで」
 やっぱ放した。急に重さが増えたからだろう、彼は歩きをとめてうろたえていた。それからこちらの反応に対
して不満みたいなものを言う。だけど幸せそうで、不満もちょっと言ってみただけみたいな、そんな程度だ。
 エルンは、あたしと同じく二年の女だ。
 やな女だ。あたしは嫌いだ。
 というかマネジャーなんだから、本来ここでマット運びを手伝っているのは彼女のはずなのである。重たくて
持てないというかいうふざけた理由さえなければ。持ってるあたしはゴリラだとでも言うのか。
 その後はよく覚えていない。テキトーにちゃかして、時折笑顔で「別れなよ」とか本音を混ぜた雑談をして、
結局、マットは一緒に運んで、一人で練習をはじめた。
 バー代わりにゴム紐を張ったところへ、斜めに走りこんで体を捻り空を拝む。上半身は問題なく超えた。いつ
ものように空を超えてグラウンドの様子まで視界に入った。それなのに、向こうの方で練習する一団が見えて、
足をあげ忘れた。気付いた瞬間にはもう遅すぎて、足がゴム紐を巻き込み、左右の支柱ごとマットに転がり落ち
るはめになった。これではまだバーを使ってたほうがマシだっての。
 派手な音がたったので、顧問が様子に気付いてかけよって来そうだったが、いらない、というジェスチャーを
見せる。今、来られるのは困る。なぜなら衝撃で我慢できずに泣き出してしまったから。
 支柱を直すふりをして、グラウンドに背を向ける。こちら側は道路だけど、駅とは反対の道なので車しか通ら
ない。
 痛かったわけではない。幸運にも支柱があたったりはなかった。
 好きだったわけでもない。ちょっといいなと思ってた程度だ。いつも手伝ってくれるかわいい子だったのだ。
 そんなんでショックを受けるのが自分勝手だというのはわかる。あたしが今まで何もしてこなかったことも事
実だ。部活のあとになんか食べに誘ったりとかもしてない。
217 :ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 10/16 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/04/13(金) 00:02:50.70 ID:+8WHHyx8o
 できるか? そんなこと。恥ずかしいだろ。
 でも、そういったことができる奴がいるのだ。そんな奴が幸せになるように世の中はできているらしい。
 支柱を直したが、飛ぶことはせず、落ち着くまで走ることにした。ランニングとダッシュを繰り返すトレ。気
のせいかダッシュの回数が多くてすぐにへばってしまった。
 息を切らせて、空を仰いで、マットの上に寝転ぶ。見つかったら怒られるが、そうそうこちらを見ているもの
ではない。ジャージの前をあけて、シャツを引っ張り出し、顔の汗をぬぐった。
 あたしが、失天使だから勇気がいつも持てないのか。
 それは確かにある。だけど、そんなことを言い訳にしてもしょうがない。本当はただ勇気がないだけで、あた
しの体のことなんて小さくわがままな不安であることもわかっている。ただ情報に踊らされているだけでもある
だろう。
 だけど怖いのだ。
 好きになった人の顔が、あたしが失天使であるということによって、ゆがんでしまうことが。

「そもそもその後輩があなたのことを嫌っている可能性は考慮していますか?」
 高校から一駅離れたマクドナルドで、クーヘレン先生と向かい合って食事していた。
 ファストフードではやはりマックの完成度を認めざるを得ない。てりやきバーガーは素晴らしいし、ポテトの
細く適度な堅さは完璧だ。バーガー系に限っていえば、ロッテリアのエビバーガーこそが至高だが、セットで考
えるとどうしてもマックには勝てない。ちなみにあたしはモスが嫌いだ。あんなのが好きというブルジョアとは
友達になれない。
「聞いていますか?」
「はい」
 あたしは、口の周りについたマヨネーズをペーパーでぬぐって答えた。
 この先生は、落ち込んで相談している生徒になかなか心をえぐるようなことを言ってくれる。だけど確かに的
を射ている。
「容姿端麗だからそんな心配はない?」
 そんな風に思いきや、今度はいきなりほめられた。こんな問いに「はい」なんて言える人間がいるだろうか。
「はい」あたしは肯定する。「まあ、そこはちょっと置いといてください」
 ちなみにあたしは人間ではなく、ずうずうしい失天使なので問題はない。
 こんな状況になったのは、部活の帰り際に先生にメールしたからだった。落ち着いてみるととても気恥ずかし
い内容のメールであり、まさかこんなことになるとは思っていなかったが、たまたま近くにいて話を聞いてくれ
218 :ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 11/16 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/04/13(金) 00:03:21.77 ID:+8WHHyx8o
るというので、断れなくなった。
「気持ちはわからないでもありません」クーヘレン先生が言う。先生はホットコーヒーしか頼んでいない。
 あたしが相談した内容は、好きになった人が、あたしのことを好きになるのではなく、子供の出来ないあたし
の体を望んでしまうのが怖いということだ。
「そういう人達はたくさんいます」
 クーヘレン先生は自らの体験談であるかのように話す。
「生徒にも、先生方のなかにも、明確に口に出して誘う人もいました」
 聞きたくない。聞きたくない。そんなドロドロした人間関係。でも気になる。
「諦めてください。男の人はそういうものです。とくにあなたと同じぐらいの年齢ではね」
 理解はできる。そんな男がいることもわかるし許せる。だけど、好きになった人がそうなることは想像したく
ない。
「あなたはどうですか?」先生が問う。「そういうことに興味は?」
 予想外の攻撃に、含んでいたシェイクを吹き出しそうになった。そうはさせまいと慌てて飲み込んだため、逆
に喉が痛くなった。
「えっと……なくはないというか……」
「あると」
 それはもちろんそうだろう。でも言えないよ、それ。簡単には。想像ぐらいするし、最終的にはそれだし。
「女の人もそういうものです。ただちょっと男の人より品性があるので隠しているだけ」先生が微笑む。
 特殊な趣味の本を平気な顔で買ったりとか、部室のロッカーに持って行ったりとか、卑猥な趣味を隠さなくて
ごめんなさい。
「あんたを大切に愛してくれる人は、それほど簡単には見つかりません」
 誰でもそういうものでしょう、とクーヘレン先生は言う。
「だから結局、試してみるしかないのだと思います」
 そうなのだろう。そうなのだろうが、真顔でそういうことを言われると赤面してしまう。
「相談してもらったのにすみませんが、これは難しい問題で、私に明確な返答ができません。それにあなたが大
人になったとき、まったく別の問題にぶつかることも考えられます」
 それもある。失天使は人間との間に子供を作ることができない。子供が欲しければ、失天使の相手を見つける
しかないのだ。数百人に一人程度の異性の失天使を。そうして見つけたとしてもその人が素晴らしい人でない可
能性だってある。
「先生がご結婚をされていないのは、その問題のせいですか?」
219 :ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 12/16 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/04/13(金) 00:03:52.12 ID:+8WHHyx8o
 クーヘレン先生の見た目は綺麗だ。性格だって、こんな生徒の為に時間を使ってくれる人が悪い人であるはず
がない。結婚しようと思えば相手はいるだろう。だから、子供を望んでいて、男性の失天使を探しているのでは
ないか、とあたしはそう考えた。
 でも、そうではなかった。
「結婚しますよ」クーヘレン先生は言う。「今年中には」
「えっ?」
 あたしはまぬけな声を出した。
「結構、失礼ですね」
「いや、それは、今までしてなかったので」
 しどろもどろで弁明する。ただ先生も怒ってはいないようだ。
「相手は失天使ですか?」
 先生は相手を見つけられたのか。だけど、それも違った。
「違います。普通の人間です」先生は朗らかに笑う。「聞かれると思うので先に答えますが、元教え子です」
 想定外が連続する情報のオーバーフローにあたしは頭をシェイキングされたように混乱した。
 教え子? 人間。こんな真面目そうな顔をして生徒に手を出したのか。いや出された?
「それだと……」
「子供はできませんね」先生はコーヒーをすする。「でも、子供を産むために生きているわけではないですし、
相手がそれで納得してくれるのなら、問題ないと思いませんか?」
 混乱しながらも肯定した。しかし混乱をかき立てよ、とあたしのケータイがふるえた。ミィコから。メール。
小窓のポップには失恋の二文字プラスアルファが載っている。
「すみません」
 あたしは先生に許可をとって、ケータイを操作する。小窓をタッチして、拡大するとこんなメールだった。

タイトル:失恋したって聞いたよ
本文:ロッテでえびバーガーやけ食い行っちゃう( ´艸`)?

 してねーし。失恋とかそんなおおごとじゃないし。どこ情報で漏れたのか、想像もできないミィコの連絡網が
あるらしい。陸部の誰かを想像してもつながりのある人が思い浮かばない。そもそもそんな様子を悟られていた
とすればそれが嫌だ。つか、せっかく忘れてたのに何で思い出させる。失恋してバーガーやけ食いとかあたしど
んな女だっての。
220 :ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 13/16 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/04/13(金) 00:04:27.48 ID:+8WHHyx8o
 急いで返信する。あきらかにムキになっている自覚はある。

タイトル:Re:失恋したって聞いたよ
本文:それ、どこ情報?
   残念ながらしてませーん
   それよりクーヘレン先生結婚するんだって
   これマジ情報だから

 送信ボタンを押して、ケータイをテーブルに置く。
「済みましたか?」
「あ、はい。すみません」
 あたしはあたまん中をうねらせて元にもどそうとする。キーワードはクーヘレン先生・元教え子・結婚・失天
使。よし、取り戻した。
「その相手の人は……そのあの……」
「四年前の教え子で今年から社会人です。大学を卒業して働き出すまで結婚を控えていました」
「つきあい始めたのはさいきん……?」
 うつむき加減で尋ねる。それならなんとなく許せるからだ。
「彼が高校を卒業するときに真剣に告白されました。もっと言えば、その数ヶ月前にもありましたが」
「なにがですか?」
「先程、話したような、品性のない言葉のプレゼント」
 つまり、できないのだからやらせろよ的な言葉、ということか。
「そのときあたしは彼を殴りました。そうしたら、こうなりました。不思議ですね」
 不思議過ぎるがわかるような気もする。そもそもの言葉からして、本当はもっと別のことを伝えたかったので
はないだろうか。先生もそんな真意をわかっていたのだと思える。そうでなければ、男と二人っきりで、たとえ
正しくとも殴るのは恐ろしいだろう。特にそんな言葉をもらった後では。男ってバカ。
「それで……とても失礼なんですけど……品性もなくてすみませんが……」
 あたしは顔を先生の方に近づけて小声でささやく。やらせまくり? と。
 クーヘレン先生は、あたしのポテトを勝手につまんで垂直に立てた。そして一言、
「一回だけ」
 呟くとポテトを口に放り込んだ。
221 :ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 14/16 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/04/13(金) 00:05:14.49 ID:+8WHHyx8o
「いつ!」
 あたしは貪欲に突き進む。あたしの辞書にはいろいろな文字が載っていないし、いろんなところが丸で囲んで
あるみたいだ。
「彼が大学を卒業したとき」
 ついこないだ!
 先生のシニョンがほどかれている。しだれた髪を絡めるよう指が動く。元教え子で、歳も十は離れている。そ
んな彼が、乱れる息にあわせてはずむ背中の傷跡に、なまめかしい舌を這わせるのだ。這わせたのだ。
 きゃあ、いやらしい。
 あたしの想像が世界をかけめぐって氷山を溶かすように熱くなる。
 でも、一回ってそれじゃあ。
「それまではしなかったんですか?」
「まず、声を少し落としたほうが良いかと思います」
 先生の指摘に一旦、表面上は冷静さを取り戻した。だけど、内側ではマントルが煮えたぎっている。
「そういう約束でしたから、彼からの」
 はじめが失敗だったから、真剣さを伝えるために、そんな条件を持ち出したのだろうか。
 大学生なんていったら、安アパートで春樹するのが世の常みたいなものなのに、生殺しで……。耐えられるの? 
先生も。
「先生はそれでよかったんですか?」我慢できたんですか、という言葉は選択肢からなんとか除いた。
「デートはしてましたよ。映画見に行ったり、動物園行ったり、手をつないでね」
「そんな中学生みたいな」
「楽しいですよ。中学生みたいなデートも」先生は笑う。「そんな一緒にいることが楽しめなかったら、あなた
が言うように本当に体だけになってしまうでしょう?」
 クーヘレン先生の言っていることはもっともだ。どう考えてもあたしのほうがブレている。
「それに、我慢したほうがおいしいでしょ」
 大人だ。きたない大人をあたしは見た。こんな綺麗なくせに心はぜんぜん純真じゃない。なのに楽しそうだ。
 おいしかったんですか? と聞こうとした。そんなところで、テーブルの上のあたしのケータイがまたふるえ
た。ミィコか? いいところで邪魔をしやがる。
 先生に目で合図を送って、許可を貰う。向こうのケータイも何か着信があったらしい。先生は画面を見て顔を
しかめた。
「メール、ヒェングラートさんからでした」
222 :ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 15/16 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/04/13(金) 00:05:48.73 ID:+8WHHyx8o
 クーヘレン先生が、ケータイのディスプレイを見えるようにかかげた。そこにはミィコ・ヒェングラート 十七
歳からの脳天気なお祝いメールが絵文字いっぱいで表示されていた。
「すみません、ミィコにだけ、さっきつい教えちゃいました」
「そう」
 クーヘレン先生はケータイをテーブルに置く。
 そう。あたしが教えてしまったのはミィコだけのはずなのだ。それなのに、あたしのメールはシャルからで、
内容はこうだった。

タイトル:本当?
本文:クーヘレン先生が結婚するって、
   ミィコがショートSNSに書いてたの。
   とりあえず削除するようにって言っておいたけど。

 シャルは本当に気の利くよくできた子だと思う。それに比べてミィコは本当にあたしと同レベルでバカだ。先
生の結婚情報を全世界に公開しやがった。
 削除までにどれぐらいの時間があったのかはわからない。だが、少なくともシャルが確認する程度の時間はあっ
た、ということだ。他にも見た奴はいるだろう。そうなればもう波紋する情報を止めようがない。どんな繋がり
があるかも不明だ。
 先生のケータイがテーブルの上でふるえて止まった。ワンコール。きっとメールだろう。
 先生のケータイがテーブルの上でふるえて止まった。ワンコール。きっとメールだろう。
 先生のケータイがテーブルの上でふるえて止まった。ワンコール。きっとメールだろう。
 あたしのふるえは、止まりそうもなかった。
「あの、ミィコが……いえ、ヒェングラートさんが、ショートSNSに公開しちゃったみたいで、もう削除したとは
思うのですが……」
「それでこんなお祝いメールの山なんですね」
「すみません」
 あたしはあたまを大きくさげる。
「いいですよ別に」クーヘレン先生がケータイを手にとって言う。「お祝いですしね。中にはデリカシーにかけ
る子もいるようですが」
 できちゃった? とか聞いちゃうタイプのアホ男子だろう。でも、今日のあたしと同じような気分になった子
223 :ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 16/16 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/04/13(金) 00:06:18.97 ID:+8WHHyx8o
もいるかもしれないと、少しだけ思った。そうして余計なことをやってしまうのだ。
「月曜日にしかっておきます」
 どうぞ、そうしてください。あたしは、代官にあたまをさげる商人のようにへりくだったような気になる。
 テーブルの上に戻されたケータイはたびたび時間を置いて着信を繰り返していた。もしかして、これが一クラ
ス四十名弱分続くのだろうか。
「とても慕われてますね」
「楽しんでいるだけかもしれません」
 あたしは笑顔を返したあとで、ちょっとだけ真面目なことを聞いた。正直に言えば、話題そらしだ。
「失天使として生まれたことを怨んだりとか、辛いこととかありました?」
「ありましたよ。もちろん」先生が即答し言葉を続ける。「あなたにもこれからもいろいろあるかと思います」
 そうだろう。あたしが失天使であることに変わりはないし、問題は何も解決されていない。だけど、いくらか
楽になった。目の前のクーヘレン先生のおかげで。
「失天使で生まれてよかったことはありますか?」
「今のこの状況とかでしょうか?」
 先生は度々ふるえるケータイに目線を向けた。
「本当におめでとうございます。そう言ってもらえると……」
 笑って誤魔化そうとする言葉はあえなく遮られた。
「冗談ですよ」
 クーヘレン先生は微笑んでいる。                         <了>
224 :ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 17/16 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/04/13(金) 00:07:31.79 ID:+8WHHyx8o
以上です。
ながくてすみませんが、時間のあるかたどうぞ。
OPは灰羽のオマージュです。
というか灰羽から設定を思いついたみたいな
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/04/13(金) 05:23:31.56 ID:AWtXSt3AO
>>207
導入はまあまあ
ただ恐ろしく間延びしたな
アイデアは悪くないけど、自分で言ってるように正直お題は?て感じだし
苦悩やら葛藤が表現しきれてない上に、無駄に字数だけが積み重なってる
導入の地の文と一人称で描かれる主人公との落差が辛い
最悪なのがお題を、好物は○○でと語らせちゃって、更には嫌いなものやら陸上がどうで身長がこうでと紹介させる始末
何のための16レスだ、展開で読ませろ

言うまでもないが、まずお題を理解しよう
無駄を省こう、16レスもいらん

終わり方はまあ良かったよ
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2012/04/14(土) 00:31:36.65 ID:4LtcuG460
お題くれ
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/14(土) 00:37:28.00 ID:ppJJijogo
>>226
落書き
228 :私を見つめる眼 (お題:乳揉み) 0/7 [sage]:2012/04/14(土) 00:46:40.92 ID:qXvOulguo
投下します
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2012/04/14(土) 00:47:16.76 ID:4LtcuG460
把握
230 :私を見つめる眼 (お題:乳揉み) 1/7 [sage]:2012/04/14(土) 00:48:16.15 ID:qXvOulguo
 誰それが言うには、人間を創ったのは神だそうです。
 ならば私は、神を呪わずには居られません。

 幼いころに親に捨てられた私は、その身を穢すこと無しに生きることはできませんでした。私の乳房を揉む男の目は、人間のそれではありませんでした。

 私を、澄んだ目で見る人は誰もいませんでした。他人の歪んだ顔を見て、私は自分の身に蓄積された『穢れ』を意識する日々を送っていました。

 そんな私の前に、一人の男性が現れました。黒い外套を纏った若い男でした。
 彼は自分の事を「魔術師」と名乗りました。
 どうして私など訪ねてきたのか、何が目的なのか、そんな疑問は全く浮かびません。

 私の心を掴んだのは、彼の眼差しでした。
 彼は、まるで夜空に煌めく星々を眺めるような、一輪の野花を見詰るような、そんな眼差しを私に向けたのです。

 彼は私に言いました。
「君に興味がある。真理の探究に協力してくれないかね?」
 私はすぐに聞き返します。
「なぜ、穢れ切った私を、そんなにも清らかな目で見てくれるのですか?」
 彼は大笑いしました。非常に下品な、それなのになぜか清々しい笑いでした。
「私は何人もの人を解剖してきたが、『穢れ』なんて物は体のどこにも見たことはない!」
 普通なら『何人もの人を解剖してきた』という彼の言葉に驚くでしょうが、その時の私はそんな気は起こりませんでした。
 私はすぐに答えました。
「はい、是非協力させてください」

*
231 :私を見つめる眼 (お題:乳揉み) 2/7 [sage]:2012/04/14(土) 00:49:23.74 ID:qXvOulguo
 前日の彼との契約のあと、私は彼の自宅へ招待されました。
 彼に手を引かれるがままに山道を歩くと、石レンガ造りの大きな屋敷が見えてきます。
 ツタの絡みついた鉄の門をくぐり、玄関へ足を踏み入れると、調度品や装飾品のほとんどない殺風景な廊下がありました。

 その廊下の奥の部屋に私は入れられました。
 部屋には窓はなく、白い壁、清潔なシーツの敷かれたベッド、ちょっとしたタンスにテーブルがあるだけと言う簡素なものでした。
 それでも、その質素で清潔な部屋は、汚れきった私には眩しく感じました。

 彼は言いました。
「君はここにいればいい、何もしなくていい、ただ君の血液を、僕に毎日少しずつくれれば……」
 彼はポケットから小刀を取り出しました。
 しかし私は、彼の私を見るその眼差しに心を奪われたままです。
 彼の眼を見つめたまま、私はそっと人差し指を伸ばした手を彼に向けました。
 彼は優しく手を取り、小刀の刃を私の指に立てました。
 指先から赤い筋が走りました。
 彼は血液を数滴小瓶に受け取り、部屋から出て行きました。

*

 部屋のカギは掛っていないようでした。しかし私はここから出て行こうという考えは浮かびませんでした。
 私は一日中、彼の瞳を想像しています。それだけで時はただただ過ぎていきます。
 今日も彼は私の血を求めて部屋にやってきました。

*
232 :私を見つめる眼 (お題:乳揉み) 3/7 [sage]:2012/04/14(土) 00:50:09.77 ID:qXvOulguo
 今日も彼は私の血を求めて部屋にやってきました。

*

 今日も彼は私の血を求めて部屋にやってきました。

*

 今日も彼は私の血を求めて部屋にやってきました。

*

 今日も彼は私の血を求めて部屋にやってきました。

*

 今日も彼は私の血を求めて部屋にやってきました。

*

 なんだか気だるい。すこし寒気もします。
 今日も彼は私の血を求めて部屋にやってきました。

*

 吐き気と頭痛がしてきました。寒気も増してきました。
 今日も彼は私の血を求めて部屋にやってきました。

*
233 :私を見つめる眼 (お題:乳揉み) 4/7 [sage]:2012/04/14(土) 00:51:04.03 ID:qXvOulguo
 耐えられなくなってきた。
 今思うと彼の使った小刀は日に日に汚れていった。
 恐らく使用後に洗浄していないのだろう。
 それで傷口から何か入ったのだろう。
 私は部屋から出た。彼に会いたかった。彼に見つめられたかった。
 無機質な廊下は彼を見つけまいとさせるようだった。

 扉が半開きの部屋があった。
 私は足を引きずりながら近づき、中を見た。



 人の山があった。
 いや、肉の山と言うべきか。

「こんなところで何をしているんだい?」
 背後から声が聞こえた。叱責の色は感じなかった。
「あなたは、何がしたいんですか……?」
 混雑した思考の中から、絞り出された問いだった。
「僕はね、神になるんだよ」
 彼は部屋の中の山を指差した。
「この子たちはね、君の血を素に創りだしたんだ。本当に素晴らしい素材だよ。数滴からどんどん創り出せる」
 彼は宝物を自慢する子供のように話し続けた。
「特に今創っているのは最高傑作だ! 体はほとんど人間と違わない! 意思もはっきりして、視覚、聴覚も――」
234 :私を見つめる眼 (お題:乳揉み) 5/7 [sage]:2012/04/14(土) 00:51:46.89 ID:qXvOulguo
 私は目の前が真っ暗になった。
 目の前の凄惨な光景のせいではない。
 彼の超越した野望のせいでもない。

 彼は、私を見てなどいなかった。
 私の血に対して、あの眼差しを向けていた。
 その事実によって、だ。

「ん? どうしたんだい? なんだ熱があるじゃないか、分かった、これから薬を買ってこよう」
 彼はそう言うと部屋の戸も閉めずに出て行った。

*

 彼は帰ってきませんでした。考えてみれば当然です。
 生命を創りだそうとする人間が、安寧な世を渡れるはずもありません。いつ命を狙われも不思議ではありません。

 下衆な男たちは『私の体』しか見ません。
 人々は『私の穢』れしか見ません。
 彼は『私の血』しか見ませんでした。

 一体だれが、『私』を見てくれるのですか?
 教えてください、神様……。

 もう歩くことすら辛い。

*
235 :私を見つめる眼 (お題:乳揉み) 5/7 [sage]:2012/04/14(土) 00:53:00.87 ID:qXvOulguo
 私は今、床に這いながらこれを書いています。
 彼に拾われた日から書き続けているこの日記ですが、
 恐らく今日で最後になるでしょう。

 私はやっと見つけました。
 『私』を見てくれる人を。
 今、彼女は私の胸の中にいます。

 私の乳房を掴む、小さな手。
 そして私の顔を見上げる、澄みきった眼。

 どうか神様。この子だけはお助け下さい。
 どうか神様。この子だけはお助け下さい。
 どうか神様。この子だけはお助け下さい。
 どうか神様。この子だけはお助け下さい。
 どうか神様。この子だけはお助け下さい。
 どうか神様。この子だけはお助け下さい。
 どうか神様。この子だけはお助け下さい。
 どうか神様。この子だ




236 :私を見つめる眼 (お題:乳揉み) 7/7 [sage]:2012/04/14(土) 00:53:37.14 ID:qXvOulguo
 私は母の日記帳を閉じた。



237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/04/15(日) 06:21:28.54 ID:AR9lmy55o
文章は読みやすいと思う
けど中盤以降は展開が唐突で、読み手が想像していた世界観とは噛み合わなかったように感じる
そのせいで謎が謎のままで終わってしまい釈然としない部分も残った
でもお題の「乳揉み」から赤子と下賎な男の二つの手を連想した所まではすごく良かったと思います
ただその二つの対比をもっと強調してテーマを明確にしないと、読み手には何も伝わらないのではないかなとも思った

上では悪かった点ばかり挙げていますが、言葉の選び方や並べ方、文章のリズムはすごく好み
もし次回作を書くことがあれば、是非拝見させてください。お疲れ様でした
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/04/15(日) 16:59:22.50 ID:LYPKir71o
おだいください
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/15(日) 17:13:29.51 ID:uqGcuMKSo
>>238
ダイアモンド

お題ください
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/15(日) 17:16:05.19 ID:4cFyCTQRo
>>239
パイプ椅子
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/04/15(日) 18:04:57.94 ID:ppsjf20Do
お題下さい
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/04/15(日) 18:30:00.72 ID:KPMcXdeAO
>>241
覗き穴
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/16(月) 02:31:12.83 ID:VSynBKnoo
>>240
さんくす
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/04/17(火) 09:42:57.96 ID:i1iR1qlJo
お題
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/18(水) 17:17:07.55 ID:fvDM7gUqo
おっぱいふかふか
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/04/18(水) 19:37:43.89 ID:jQJzokUAO
>>244
影踏み
247 :石の壁 (お題:覗き穴) 0/5 [sage]:2012/04/19(木) 00:45:51.65 ID:8kZbww6po
投下します
248 :石の壁 (お題:覗き穴) 1/5 [sage]:2012/04/19(木) 00:46:36.13 ID:8kZbww6po
 ぺた、ぺた、ぺた……。
 生温い湿気を含んだ空気が充満する地下牢。そこに足音が響き渡ります。

 足音の主は王国の騎士でした。彼は国に忠誠を誓った近衛騎士団の団長です。
 その騎士が、何故地下牢に閉じ込められているのでしょうか。

 彼の遣える国では皇族、貴族が圧倒的な権力を持っていました。
 身分の低い民衆は財を献上し、高貴な者たちは彼らを統率していました。
 当然民衆の不満は募ります。

「我らが汗を流して稼ぐ金で、やつらは酒肉を貪っている!」
「やつらに逆らえば、王国騎士団に八つ裂きにされる……」
「ならば我らは付き従うしかないのか?」
「否! 闘おう! 奪い返そう! 矛をとれ!」

 王国一の剣の腕を持つ騎士でも、押し掛ける民衆を退けることはできません。
 貴族たちや騎士の部下は皆殺しにされました。
 彼は見せしめに処刑するために囚われました。
 そうして地下牢に閉じ込められているのでした……。

 彼はぺたぺたと歩きながら自分の状況を思慮し、なんとか成らないか思索し、そして絶望する……。
 何も産み出さない、どこにも行けない……、そんなことは分かっていても何故か騎士は歩き回らずには居られませんでした。
249 :石の壁 (お題:覗き穴) 2/5 [sage]:2012/04/19(木) 00:47:26.33 ID:8kZbww6po
 ふと彼は、石レンガの壁に小さな穴があいているのに気が付きました。
 人差し指ほどの直径で、隣の牢屋を覗けそうです。
 騎士は、何の気なしにその穴を覗いてみました。

 姫がいました。
 騎士の心臓は跳ねあがり、次に自分の目を疑いました。
 光の加減で見える幻かもしれない……。
 そんなことを考えながら、男は石の壁に顔を貼り付け、覗き穴を覗き続けます。

 そしてやっと、穴の向こうの姫は、確かにそこに存在することを認めました。

 姫は石で出来た床の上に、うつ伏せに、顔を騎士の方に向けて倒れていました。
 背中の上下で、呼吸を認めることはできましたが、瞳は閉じています。



 彼の心に黒い物が満ちました。
 自分の忠誠を誓った、護るべき者を、護れなかった……。
 その現実が、彼の中に絶望を注ぎ込みます。



 姫は盲目でした。
 常に目を閉じていました。
 その姫の隣で、姫を護るのが騎士の役割でした。
 そんな姫を、騎士はいつも眺めていました……。
250 :石の壁 (お題:覗き穴) 3/5 [sage]:2012/04/19(木) 00:48:35.00 ID:8kZbww6po
 騎士の心から希望が消え、何も考えず、ただ覗き穴から姫を覗くだけになりました。
 そうしていると、なぜか心が安らぐのです。

 騎士は気が付きました。
 今の騎士は、王宮で姫を護っていた時と何も違わないことに……。

 壁を挟み、目の見えない姫を、ただ見つめる……。
 違うのは、二人の間の壁が『石の壁』か、『身分の壁』か、それだけだったのです……。

 姫を覗き穴から見つめる騎士の目は、王宮で姫を護っていた時の目と全く同じでした。
 一枚の壁を隔て、姫を見つめる。
 時々近づこうとして、すると壁も近くなって、壁を壊せそうな気がする。
 しかしそんな力はなく、壁はどうしても壊れない。
 どうしようか思い悩み、カツ、カツ、カツと歩きまわる。
 そして結局また元通り……。

 そう考えてからは、騎士は残された全てを、姫を眺めることに費やしました。
 姫は相変わらず、ずっと顔を横にして倒れたままです。
 姫の呼吸で動く肩を、騎士はずっと覗き穴から見ていました。
251 :石の壁 (お題:覗き穴) 4/5 [sage]:2012/04/19(木) 00:49:51.75 ID:8kZbww6po
 三日後、一人の男が騎士の牢に来ました。
 騎士は悟りました。どうやら終わりの時が来たようです。

 男は騎士の肩を掴み、壁から引きはがしました。
 騎士は諦め、男に連れられ牢を出ました。

 ふと隣の牢を見ると、姫も同じように、別の男に手を掴まれ連れ出されていました。
 権力の象徴である姫と武力の象徴である騎士、二人を同時に処刑することで、最高の見せしめとする……。
 それが男たちの思惑でした。



 騎士は安堵しました。最期まで姫を眺めていられることに……。
 もう騎士には、姫を護れなかったことを悔いる心は残っていませんでいた。



 騎士と姫は二人並んで断頭台に立たされました。
 周囲の民衆は、二人に容赦なく罵声を浴びせました。耳を塞ぎたくなるような言葉ばかりです。
 それでも、騎士は姫を眺めることを止めませんでした。
252 :石の壁 (お題:覗き穴) 5/5 [sage]:2012/04/19(木) 00:50:45.24 ID:8kZbww6po
「最期に何か言い残す事はあるか?」
 死刑執行吏に扮した男が姫に問いました。意味のない形式的な問いかけでした。

 姫はゆっくりと、透き通った声で答えます。

「最期まで隣にいてくれてありがとう」

 騎士は目の前に光が差し込み、霧が晴れるような気がしました。
 騎士の耳には、もう民衆の雑言は聞こえません。

「あなたが考え事をする時の、あの足音が大好きです」

 二人は横に並ばされました。
 二人の首に輪が掛けられました。
 それでも騎士は目を見開いたままでした。
 それでも姫は耳を澄ませたままでした。

「いつまでも、私のそばにいてくださいね」
「はい、例えこの身が朽ち果てようとも……」

 二人が初めて交した会話でした。
 もう、二人の間に壁はありませんでした。



253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/04/19(木) 02:21:58.04 ID:lXaG9XZAO
>>247
無駄に装飾してないですらすら読める文章
多少、雑味が欲しかった部分もあるけど
気になったのは人差し指程の穴から呼吸の有無を確認した際に
そこまで背中の上下運動や肩の動きが分かるかな?と
仰向けなら分かりやすいけど、それじゃ悲壮感を得られないのかな?

 >騎士は気が付きました。
 >今の騎士は、王宮で姫を護っていた時と何も違わないことに……。

ここの「騎士は気が付きました。今の騎士は、王宮で〜」よりも、「騎士は気が付きました。地下牢にいる今でも、王宮で〜」
の方が自然かな

後は良かったです
遮られた壁を一瞬とはいえ取り払われた結末は、悲しいけれども納得
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/04/19(木) 08:33:06.44 ID:8kZbww6po
>>253
一応うつ伏せで顔を横にしていたのは
地面に耳を当てて騎士の足音を聞いていたと設定してましたが
死ぬ瞬間にネタばらしも冷めるかと思って
「この文章で伝わるか伝わらないか」の実験的な意味もありました。

もっと腕を磨かないといけないな
ありがとうございました
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/04/21(土) 12:42:29.67 ID:tdYRIXUAO
お題下さい
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/04/21(土) 13:49:32.03 ID:KA6izqiAO
>>255
正夢
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/04/21(土) 14:38:37.02 ID:tdYRIXUAO
>>256
把握しました。
ありがとう
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/23(月) 07:56:36.10 ID:DUDOb9PNo
O DAIKU RE
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/23(月) 08:36:53.57 ID:a0Un84Dpo
>>258
火山
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage;sage]:2012/04/23(月) 14:38:55.14 ID:Hjr0v5sAO
書きたいものがみつからない
自信ないがお題ください
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2012/04/23(月) 14:50:04.66 ID:ftEcIejAO
>>260
18禁
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/04/23(月) 15:14:55.79 ID:Hjr0v5sAO
>>261
エロス了解
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/25(水) 17:34:02.90 ID:KbaNzwJDO
お題をくださいな
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/04/25(水) 17:51:26.39 ID:4gnaaSzAO
>>263
隕石
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/25(水) 17:56:29.93 ID:KbaNzwJDO
>>264
貰います
266 :sage :2012/04/29(日) 23:57:35.54 ID:hWwsMHNp0
お題を
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/30(月) 00:10:45.03 ID:xSfx5ssso
>>266
電波時計
268 :sage [sage]:2012/04/30(月) 01:27:47.55 ID:sdzXDhZC0
arigatou
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/30(月) 01:47:12.09 ID:xSfx5ssso
どうせだから俺にも
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/30(月) 01:59:38.52 ID:DJyULoAao
>>269
どん底
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/30(月) 10:47:24.19 ID:xSfx5ssso
>>270
サンクス
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/03(木) 22:22:21.02 ID:YbKxAOZAO
投下します
273 :1ーB(お題:18禁)1/3 [sage]:2012/05/03(木) 22:28:06.89 ID:YbKxAOZAO
 ひっそりと静まりかえった校舎にひたひたと音が響く。

 窓から射し込む夕陽のなごりが、床と壁を赤く染めている。

その黄昏のなかに動くひとつの影。

 落とし主のいないその影の足下。その空間から曖昧模糊とした陽炎が現れる。

 除々に輪郭があらわになるそれは人の姿をしていた。

 古めかしい白いシャツに黒いスカート。袖や裾からのぞく白い肌。背中の半ばまである長い黒髪。
 少女の霊は廊下を歩いていた。
 ときおり戸を開いては中を覗き見、いない、ここにもいない、とうわごとのように呟いている。

 しばらくして少女の霊は部屋の手前で歩みを止めた。扉の上に 1ーB の表札。

 わずかに開いた戸の隙間にそっと顔を近づける。

 仄暗い部屋のなかに人影があった。

 机のなかに手を入れて中にある物をあさっている。中身は机の上に出されていた。

 まるでなにか忘れ物を取りに戻ってきた態だ。

 それから手を止めると椅子に腰掛け、小さくため息をつく。

 少女はしばらく正面の壁掛け時計を眺めていた。

 考えがまとまったのか椅子から立ち上がる。そして出入り口に視線を向け――

「ひっ・・・・・・」

 少女の喉からか細い悲鳴がもれる。

――眼があった。
274 :1ーB(お題:18禁)2/2 [sage]:2012/05/03(木) 22:35:38.40 ID:YbKxAOZAO
 引き戸がゆっくりと開かれていく。それにあわせて少女の両目も大きく見開かれる。

 現れたのは長い髪を垂らした女。顔半分が髪に隠れた人形じみた色白の顔。その顔がニタリと口角を歪めた。

 束の間の静寂。そして、

「っ・・・・・・きゃぁああああぁぁ!!!」

 少女は絶叫した。両手で机の上にあるものを手当たりしだい思い切り投げつける。

「えっ、ちょっなんでへぶしっ!」

 女の顔に飛んできた分厚い辞書が直撃した。

 少女は机や椅子を押しのけ、反対側の出口へと脱兎のごとく駆けていった。

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」

 鼻を押さえ痛みに悶えながら女が追いかけてくる。

「ひぃいいい!!!」

 少女は悲鳴をあげて脇目もふらず、必死のていで走る。

 そのまままっすぐ玄関を抜け外へ飛び出していった。

 その後ろ姿を見送り彼女はうなだれる。

 ふいに肩に手がぽんと置かれる。

 振り返るとそこに制服を着た茶髪の少女がいた。

「どうしたのさ」

 茶髪の少女は尋ねる。

 黒髪の少女はあれと指でさし示す。

 ちょうど小さな影が校門を抜けるところが見えた。茶髪の少女はああ、またかと得心顔をする。

「忘れっぽいよね、あの子」

 逢魔が時。暗い校舎の廊下に二つの影法師がぼうっと浮かんでいた。
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2012/05/03(木) 22:41:11.17 ID:YbKxAOZAO
忘れてた、お題ください
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/03(木) 22:50:19.70 ID:4GVBpxzgo
>>275
坂道
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/03(木) 22:54:00.59 ID:YbKxAOZAO
>>276
了解
278 :350 [sage]:2012/05/04(金) 03:16:32.72 ID:VncLR9Mdo
その女性は秋瑞絵里と名乗った。
今は亡き森村彩樹、親友の彩子の兄の関係者らしい。

岬の付け根、駐車場に隣接した展望公園の東屋で、アタシ達は自己紹介をした。
彩子は転倒のショックで気を失ったあと、意識を取り戻したがまだぼうっとしている。秋瑞さんは手際良く彩子の手当をしながら、アタシの行動を評価してくれた。
「良くここだと判断したわね悠子ちゃん、いい勘をしている」
セミロングの髪をかきあげて微笑む。笑顔が眩しい。
いや、そんな事より彩子が心配だ。
「それよりも、何がどうなったんですか?」
アタシはストレートに秋瑞さんに聞いた。
「彩子は何をしでかしたんですか?」
秋瑞さんは溜め息をついて答えた。
「彩樹の所に行こうとして、空を目指して猛ダッシュ。それを私が止めた訳」
やっぱり……。
「それでズッコケて気を失って、今はこう」
「彩子は、大丈夫なんですか?」
「身体は擦り傷だけ、骨には異常なし。もう少したったら気持ちもシャンとするでしょう」
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/05/04(金) 17:29:12.85 ID:jVCi7UsAO
>>272
うん
なんだろう、なんかすっきりしない
作者だけが理解しちゃってて読み手が置いてきぼりくらったような
オチの為に全てを犠牲にしたような文章

少女と黒髪の書き分け方も微妙
というかこれだけ短い中で「少女」を連発するのはどうかな
前半、怖さは伝わってきたから最後まで落ち着いて書いてくれ
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/04(金) 19:05:43.20 ID:fb7uDjhAO
>>279
thx
オチがわかりにくさの許容範囲を越えて強引すぎたな
一応ある言葉を強調したけど苦しい
あと必要ない描写ごちゃごちゃなのは自覚できてる気がする

それから人物の人称の書き方はどうしていいかわからなかった
名前付ければいいんだろうか、それかロリから離れるか

ついでにお題の18「禁」を拾えてないわ、すまない
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/04(金) 20:04:00.81 ID:BYh2Zhv+o
SS速報にスレあったの始めて知った。したらばの頃にちらちらやってた。
お題とかもこのスレで、もらえるのかな? なんかお題ください
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2012/05/04(金) 20:28:41.25 ID:fb7uDjhAO
>>281
人形
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) :2012/05/05(土) 18:38:39.87 ID:jilGfV5H0
お題くれる?
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/05(土) 18:54:04.85 ID:fw24M/X3o
電球
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) :2012/05/05(土) 18:58:39.85 ID:jilGfV5H0
ありがとう
286 : ◆2SsNZUBe2w [sage]:2012/05/06(日) 14:23:09.96 ID:/MdL4G3AO
てすてす
287 : ◆5GkjU9JaiQ [sage]:2012/05/06(日) 14:36:13.46 ID:/MdL4G3AO
第285回週末品評会『家族』の時に書き掛けた作品を投下し升。
288 :日溜まりの好きな幽霊(お題:家族)1/5 ◆5GkjU9JaiQ [sage]:2012/05/06(日) 14:38:19.56 ID:/MdL4G3AO
 二年前の祖父の入院を期に、緩やかだった周囲の時間が俄かに動き出した、と思う。
 父は定年間際に転職をし、母も長年勤めていたパート先が潰れた。姉は学生結婚をし、旧友の
誰々が結婚したという報せが人づてに聞こえてきている。
 飼い猫のクロも動き出した時間の歯車に呑まれたものの一つだ。祖父の入院に期を同じくして、
クロは老衰で亡くなった。齢二十一、猫としては大往生だろう。ほっそりとした端正な顔立ちの
黒猫で、プライドが高く、基本的に愛想が悪かった。ちょっかいを出して手痛い逆襲を受けたこ
とが数え切れないくらいにある。
 そんな連れない飼い猫が好んだのは、縁側の日溜まりだった。ぽかぽかとした陽気の中で、縁
側に新聞を広げた祖父と丸くなったクロは、背中合わせに座布団を半分こにして座っている。そ
んな風景は、祖父自身、クロ自身よりずっと色濃く心に焼き付いている。

289 :日溜まりの好きな幽霊(お題:家族)2/5 ◆5GkjU9JaiQ [sage]:2012/05/06(日) 14:38:57.89 ID:/MdL4G3AO


「病人が家に居るのも、鬱陶しいだろう」
 病室で母に向け、祖父がベッドの上で言う。
 清潔な空色の患者服を着た祖父。傍目には痩せてはいるものの健康に見えるが、先は長くない
と宣告されている。父が果たしてその事実を伝えたか私は知らない。二年間の病床生活、最期く
らいは長年住んだ我が家で、というつもりで勧めた名目上の一時帰宅だったが、結局は固辞され
てしまった。
 母は洗濯物を片付けに部屋を去り、私と祖父は見るともなく部屋の片隅の小さなテレビを見て
いる。
「――最近、クロの夢を見た」
 視線をテレビに向けたまま、祖父がぽつりと呟いた。どきりとして、しかし平静を装って相槌
を小さくうつ。
「あの縁側で相変わらずそっぽを向いてはいたが、どうやら俺には懐いていたらしい」
 そう言って微笑み、こちらを向く。
「迎えのつもりかもしらんな」
 予想していた言葉が出て来て、しかし私はまさか、と軽く笑い飛ばす。テレビの中の笑い声が
白々しく響き、妙な沈黙が病室に降りてくる。
 それを振り払うように、私はクロの昔話や大学での話を祖父にする。力まないように、不自然
にならないように。しかし祖父はどこか上の空で、思い出したように時折頷くだけだった。

290 :日溜まりの好きな幽霊(お題:家族)3/5 ◆5GkjU9JaiQ [sage]:2012/05/06(日) 14:39:30.16 ID:/MdL4G3AO


 クロが亡くなったのは、春先だった。
 祖父が倒れて病院に担ぎ込まれたばかりで、家が全く落ち着いていない時。私と父は祖父の看
病から夜遅くに帰って来て、もう静まり返った家の電気を点ける。するとクロが、廊下の隅でこ
ろりと横になっていた。品の良い猫だったから珍しい、と思いつつ歩み寄っても、ぴくりともし
ない。ハッとして触ると、薄目を開きすっかり冷たくなっていた。
 バタバタした時期だったから、遺骨を霊園に納めただけで、落ち着くまでは誰もそのことに構
っている余裕はなかった。
 やがて祖父の容態が落ち着き、家族も新たな生活リズムに慣れてきた頃になって、少しだけ不
思議なことが家に起こっていることに気付いた。
 縁側に面している客間の襖が、微かに開いていることがあった。猫一匹、通り抜けられる程度
に。そんな風景にふと気付くと、『ああ、クロか』と思い、そしてその後でクロが亡くなってい
ることを思い出す。決まって、縁側の雨戸を開けている良い日和の時のことだった。きちんと弔
ってやれなかったから、と家族で苦笑して、同時にそんなことを気にする猫だったのか、と言っ
て笑ってもいた。
 薄情、と言えば薄情かもしれない。けれど、それが私たちとクロの正しい距離感だったのだ。

291 :日溜まりの好きな幽霊(お題:家族)4/5 ◆5GkjU9JaiQ [sage]:2012/05/06(日) 14:42:49.94 ID:/MdL4G3AO


 病院の屋上では、白い清潔なシーツが穏やかにはためいていた。千切れ雲が疎らに浮かぶ青空。
欄干に手を掛け、日曜日の街を見下ろす。通りを行き交う人々もゆっくりとした足取りで、いか
にもな休日の昼時だ。
 祖父が亡くなることを考える。物心がついてから近しい人を亡くしたことのない私は、どうい
う気持ちになるべきなのかが分からない。案外、クロの時の様に目の前の忙しさにかまけ、いつ
の間にか受け入れているものなのかもしれない。こんなことを言うと、父は怒るだろうけど。
 そんな事を考えていると、不意に携帯電話が震えた。確認すると、父の番号。
『早く帰れそうだから、お前は家に戻ってていいぞ』、とのこと。
 恐らく、祖父に話をつけるのだろう。
 歯車が、進む。何処かで、私の見えない力で動く歯車が。



 家に戻り、何となく客間を覗くと、襖はきちんと閉まっていた。今日はクロも暇ではないらし
い。襖を開け、雨戸を開けると縁側に穏やかな陽光が差し込んだ。
 振り返ると、がらんどうの客間。いずれ目に馴染んでくる風景。クロと祖父の姿に上書きする
ように、埃の浮かんだ客間がいつか当たり前になる。
 姉が居なくなった時は分かり易く家が静かになって、父は分かり易く寂しそうに肩を落として
いた。それに慣れたのは、いつからだろうか。
 縁側に腰を下ろし、庭を眺める。陽の当たらない庭の隅に、青いキランソウの花が鮮やかに逞
しく咲いている。それはいつから咲いていたのか、思い出せない。
 クロ、と名前を呼ぶ。居ても居なくてもいい。どちらにせよ、きっと振り返りもしない。
 立ち止まりたい訳じゃない。でも、時間は急ぎすぎだと思う。正しい気持ちや言葉を見つけら
れないままに、色々なことが通り過ぎていく。それを時々思い出して、その脇をまた何かが通り
過ぎてゆく。私はそれを見送り、また歩んで行くしかない。
 不意に、塀に何かが飛び乗った。顔を上げると、黒猫。ハッとするが、のそのそと歩くその猫
はいかにも鈍重で太ましい体型。目を向けている私に、眠そうな細い目で一瞥くれると、そのま
ま一段高い隣家の塀に飛び乗り、立ち去って行った。
292 :日溜まりの好きな幽霊(お題:家族) ◆QVgBgKGhEs [sage]:2012/05/06(日) 14:46:30.47 ID:/MdL4G3AO
 あれと取り違えたらクロも不服だろうな、と考えると笑いが漏れる。何だか気が抜け、一息つ
いて立ち上がると、振り返った。
 すると、客間の引き戸が微かに開いている。猫一匹、やっと通れそうなくらいに。
 それを目にした瞬間、時間がぶれる。その風景は、私を『クロが生きていた頃の時間』に連れ
戻す。ほんの一瞬だけ。
 気が付くと、私はいつもの時間に居た。けれど何処か暖かい気持ちに包まれ、私はまた息を漏
らした。クロの匂いがするが、それが思い出のものなのか今現在の確かなものなのか、私には分
からない。単に戸を閉めきらなかっただけなのか、それとも、果たして。



 祖父が胡座をかいて新聞を読んでいる。縁側で、暖かい日差しの中。クロはもういないのに、
座布団は半分空いている。
 その後ろ姿を見掛けて足を止めていると、祖父は私の視線に気付いたのか、振り返ってばつの
悪そうな顔をした。
「何か、座りが悪いんだよ」
――墓参りにでも行くか。頭を掻き、そう呟いてそっぽを向いた。
 歯車は回り続けている。クロはそれを外から眺めているのだろう。きっと、暖かい日溜まりの中で。

―了―
293 :日溜まりの好きな幽霊(お題:家族) ◆5GkjU9JaiQ :2012/05/06(日) 14:48:19.87 ID:/MdL4G3AO
最後酉間違えた。
ご意見ご感想ご批評何でもありましたら、お聞かせ頂けると有り難いです。
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/06(日) 14:58:04.79 ID:qRXKXpcF0
お題を与えておくれ
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2012/05/06(日) 15:31:36.02 ID:18J52/4AO
投下します

>>294
「日溜まり」で
296 :猫ごろし(お題:坂道)1/2 [saga]:2012/05/06(日) 15:36:02.82 ID:18J52/4AO
 ひぐらしの鳴き声がジジジと寺の境内に響きわたる。

 木々の枝葉に覆われた木漏れ日ふりそそぐ階段坂。

 ひっそりと木陰を落とす涼しげその場所。

 そこは猫たちのたまり場になっていた。

「にゃ〜(ねっこひ〜ろし! ねっこひ〜ろし!)」

 猫たちがはやし立てる。その激励を一身に受けるのは最上段に佇む一匹の雄の三毛。

 今始まろうとしているのは、猫たちの間で語り継がれる猫又になるための儀式だ。

 香箱座りの彼はすっくと二本足で立ち上がる。

 かくして儀式は静かに幕を開けた。

 彼は前足を体の横にたらして全身を小刻みにゆすりだす。

「ゴロゴロ(ざわ・・・・・・ざわ・・・・・・)」

 異様な空気が場を支配し、まわりの猫たちは一様に喉を鳴らした。

 やおら彼は左後ろ足で片足立った。両前足と右後ろ足をぴんと伸ばし絶妙なバランスを保つ。続けて片足を軸に体を反対に捻り同じポーズを取った。

 間髪いれず正面に向き直り二本足を大きく開き仁王立つ。右後ろ足に重心を傾け、両前足を斜め上に「うー! にゃー!」と突き上げた。

 ふぅっと彼は一息吐いて狭い額の汗を拭う。ここまでは余裕だった。
297 :猫ごろし(お題:坂道)2/2 [saga]:2012/05/06(日) 15:37:17.09 ID:18J52/4AO
 彼はこの日のために階段坂を毎日走り込んでいた。ついでに餌を好物のまぐろ缶にするよう主人と交渉してきたのだ。

 次に後ろ足で地面を叩き、前足を横に揃えてみょーんと垂直に飛び上がる。くるりと中空で半回転、とんっと右前足一本で逆立ちした。

 ぐっと肉球に力を込めて、毛のふさふさした右前足の肘を限界まで曲げる。

 そして右前足をバネのように弾ませる。再び中空に舞い上がり一回転、二本足ですとんと着地した。

 最後に控えるのは最大の難関。通称猫ごろし。

 まわりからゴロゴロと期待と不安の入り混じる音が鳴る。

 彼は猫耳をぴんと張りつめ、覚悟を決めた。

「にゃ〜(うりゃぁぁああああぁぁ!!!)」

 背筋を思いきり弓なりに仰け反る・・・・・・仰け反る・・・・・・

ぱたん。

 彼は棒のように硬直したまま空を仰いだ。

 いまだこの儀式を成功させたものはいない。

 餌はカリカリに戻された。
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/06(日) 15:38:23.28 ID:18J52/4AO
お題お願いします
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/06(日) 15:42:07.70 ID:18J52/4AO
上の人のタイトルで無意識にお題ふってしまった
なんか感じ悪くてすまない
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/05/06(日) 16:25:31.11 ID:/MdL4G3AO
>>297
整合性を求めるべくもない話だけど、だからこそ取って付けたようなオチが好きです。
猫又になるべく、猫も不断の努力が必要なのだと私も思います。
けど、猫缶はやらん。

>>298
つ【高架下】
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/06(日) 16:30:34.24 ID:QmPACOhn0
お題お願いします
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/06(日) 16:46:05.60 ID:18J52/4AO
>>300
感想とお題感謝
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/05/06(日) 16:58:44.96 ID:/MdL4G3AO
>>301
白のクレヨン
304 :ひだまりスケッチ(お題:日溜まり)1/4 [saga]:2012/05/06(日) 17:57:47.74 ID:qRXKXpcF0
>>295さんお題ありがとうございます! 書きあがったものを投下させていただきます。


その男は十五年の懲役を終えて、釈放された。
彼は冤罪で牢獄に放り込まれたと訴えたが(そしてそれは事実だった)、しかしそれを証明する決定的な証拠もなく、すんなり彼に有罪判決が下されてしまい、刑が執行されてしまった。最高裁まで争ったが、現実は無情だった。

彼はその刑務所での十五年をただただ、ひたすらに耐えきった。
刑務所内の様々な派閥にいじめられ、時には助けられ、時には仲良くなり、こっそり手に入れた酒を飲み合ったりして、苦しくもあったが決して死にたくなる程の地獄ではない時間を過ごした。苦い思い出も、楽しい思い出もその刑務所内では確かにあったのだ。

そうして彼は渇きながらも絶望ばかりではなかったその刑務所を出た。
しかし五十三歳を迎えた私が釈放され、外の世界へ踏み出したところで私にとって今更この世界で何をすることができるだろう、という疑問が彼の中で湧き上がらずにいられなかった。

自分は(冤罪とはいえ)殺人罪で刑務所に入れられていたのだ。
そんな危険極まりない奴に、どのような人物、組織が仕事を与えると言うのだろう。既にして社会的に私は死んでいるのだ。それなのに娑婆の世界に戻されるだなんて、ある意味これが一番の無情ではなかろうか。どうせ働くことは出来ない。せめてコンビニのバイトか、出来て工場の派遣ぐらいだろう。果たして、ここに戻ってきてまで私は生きる意味があるのだろうか。彼は刑務所の外に出てから、ずっとそのようなことを悩んでいた。

刑務所を出てから一か月、彼は家の中で怠惰に過ごす、無為の日々を続けた。
食は一日一食で、たまに廃棄されたコンビニ弁当を拾えれば幸運と言う食生活だった。

そんな哀れな日々の中、彼はふと散歩に出かけることを決めた。
近所の公園の付近をぶらりと歩き回るだけだったが、しかしそれはいつになく穏やかな時間だと彼には感じられた。
公園の中に入りベンチに座りながら、何をするともなく池を眺めていたら、ふと一匹の猫が彼の足元に寄ってきて、彼の足を舐めはじめた。白と茶のまだら模様が特徴的な、小さい猫だった。

305 :ひだまりスケッチ(お題:日溜まり)2/4 [saga]:2012/05/06(日) 17:58:44.25 ID:qRXKXpcF0
彼は何となくその猫のことを気に入って「ほら、遊ぼうぜ」と声に出して言った。
猫はそれに答えるように、彼に向かって腹を向け、短く可愛らしい声で鳴いた。
「みゃぁ」
彼は、それを見て何故だか嬉しくなった。これは祝福された時間なのだ、と。日常の風景の中の何でもないワンシーンではあるが、これは確かに祝福された時間なのだ。彼は心の底からそう実感していた。
この暖かな日溜まりの中で、何気なく生活している事こそが、祝福された時間なのではないか。


そんなことを猫の腹を撫でながら考えていたら、ランドセルを背負った少年が、彼の側に近づいているのに気が付いた。
少年は、彼と猫との幸せそうな戯れをじっと見つめていた。彼は、その視線がどういう視線なのかを測りかねていた。少年は、彼のことを前科持ちと知っているのだろうか。近所で噂になっているおじさんと知っているだろうか。そして、蔑むだろうか。純粋な心を持つ少年は、彼をどう見ているのだろうか。

少年は、無邪気に微笑みながら彼の元まで走ってきて、興奮した様子で口を開いた。
「ねぇ! おじさんって猫使いなの!?」
それはとても楽しげな声だった。聞いている彼の心でさえも、それに同調して楽しくなってしまうかのように、純粋で無邪気さにあふれた声だった。
「ね、ねぇ、猫使いって、な、なに?」
彼は人と話すのが久しぶりだったためか、ひどくどもりながら言葉を返した。
少年は目をキラキラと輝かせながら、彼を敬うような目つきで答えた。
「あのね、猫使いはね、おじさんみたいな優しい人だよ!」
その言葉に、彼は何故か全てが救われるような感覚があった。何のフィルターも通さず、日溜まりの中のベンチに座って、猫と遊ぶ彼だけを見て、少年は確かに彼を認めてくれた。賞賛し、優しい人間だと言ってくれた。少年のその言葉は、彼の凝り固まった心の奥に優しく染み込むように響いていった。

「僕も猫使いになりたい!」
少年は元気いっぱいにそう言って笑った。
「どうやったら猫使いになれるの?」
「うーん……」
少年は期待に満ちた目で彼を見ていた。何か彼の滋養となる言葉を、少年の土の中に深く根付いて、温かなものを育てていくような言葉を言わなければと思った。

「猫使いになるのなら、決してこの世界を呪ってはいけない。例えどんなことがあろうと自分の生きる世界を呪ってはいけないよ。祝福しろ、何があっても呪うことだけは駄目だ。雨を呪ってはいけないんだ、それはいつか温かな祝福になるものだから。決して呪いを呟いてはいけない。呟いた瞬間に、君は呪われて、世界が駄目なものになってしまうから」

彼はかすれた声ではあったけれども、確かな意志を以って少年に向かってそう言った。決して意味が分からなくとも何かが伝わればいいと思った。

「うーん、難しくてよく分からないや」
少年は、小鳥のように首を傾げながらそう言った。
「そうか、そうだな」
彼もそれに対して微かな笑みを浮かべた。彼がそのような柔らかな笑みを浮かべたのは十六年ぶりだった。

306 :ひだまりスケッチ(お題:日溜まり)3/4 [saga]:2012/05/06(日) 17:59:15.97 ID:qRXKXpcF0
「ねぇ、おじさん、絵を描いてよ」
唐突に少年はそう言ったのだった。
そして手提げ鞄からスケッチブックを取り出し、それからゴムで押さえつけられた色鮮やかなクレパスの箱を取りだした。
「猫使いのおじさん、絵描ける?」
少年は不安そうに彼の目を覗き込んだ。しかし、彼は少年に向けて自信満々に「描けるぞぉ! 見てろよ!」と言ったのだった。彼自身、あまり自分に絵画の才能があるとは思っていないが、しかし恐らく少年が求めている絵はそういった絵ではないのだろうとも思った。ただ、猫使いとしての自分の絵が見たいのだと思った。だから彼は真摯に、誠実に絵を描かなければいけないと感じていた。

彼は少年をベンチに座らせて、猫を抱かせ、そしてその日溜まりの温かな風景を描いた。桜の花びらが舞い、それは温かな風に吹かれて世界を優しくかき乱していた。
その間、不思議と誰も彼らの周りを通らなかった。誰もかれもが彼らを邪魔することがなく、日溜まりの完璧な空間が、二人だけのために与えられていた。

彼は三十分かけて、その絵を完成させた。彼が付けたタイトルは『祝福された日常』だった。その絵を少年はひどく喜んで、胸に抱えた。
「おじさん! 僕ね、この絵を大切にするね。おじさんの絵はすごくきれいだよ。世界中の偏屈で嘘吐きの絵なんかよりずっときれいだよ」
少年はそう言って、自分は絵描きになるために勉強をさせられていると彼に告げた。少年曰く、自分には絵の才能があるらしく、その所為で親が自分に期待して、描きたくもない絵を描かされるのだと言う。
「でもね、この日溜まりの絵。僕は今まで見た中で一番好きだよ。あんま上手くないんだけど、この瞬間の連続こそが幸せって事実が、この絵から溢れてるんだもん。こういう絵って、僕大好きだよ」
少年はそう言って、彼を褒めちぎった。彼は、ぶっきらぼうに頭を掻きながらも、見るからに照れていた。少年はそれをからかって、彼はふてくされたようにそっぽを向いた。

「おじさん、人を殺したのは許されないかもだけど、でもね、これからやることに、それは関係ないんだよ。周りの人が何を思うかは知らないけれど、でもおじさんのこれからの人生は、そんなことで縛られたら駄目だよ。おじさんはもっと絵を描きなよ。幸せな瞬間を描きなよ。おじさんだから描ける、何気ない幸せな絵っていっぱいあるんだよ。だから、絵描きになってよ」
少年はそう言うと、なぜか涙を零した。彼はそれを見てひどく戸惑った。少年は、そのまま何を言うこともなく道具を仕舞って去ってしまった。彼だけがそこの日溜まりに取り残されて、猫もいつの間にか消えてしまっていた。




307 :ひだまりスケッチ(お題:日溜まり)4/4 [saga]:2012/05/06(日) 18:00:05.14 ID:qRXKXpcF0
彼は、その後なけなしの金でスケッチブックとクレパスを買った。
そして多くの日溜まりを描き続けた。来る日も来る日も、路上に座り、ベンチに座り、多くの日溜まりを描き続けた。
いつしか、彼のその素朴な絵を評価する者が、少なからず集まり始めた。
多くの人が彼の描く日溜まりに癒され、涙し、そしてその祝福された空間を噛みしめた。

彼は殺人という前科を持った画家として俄かに有名になった。
そして、彼は後にインタビューでこう答える。
「僕は決して世界を呪わなかった。目を背けもしなった。そうしてたどり着いた日溜まりに、僕を救ってくれる少年が居たんだ。彼は僕を何のフィルターも通さず素直に見てくれた。それが嬉しかった。しかし、少年自身は深く傷ついていた。だから、今度は僕が彼を救うために絵を描き始めたんだ。いくつもの雨を見てきたからこそ描ける日溜まりの絵で、僕はいろんな弾圧にあって苦しんでいる人を、そして僕に絵を教えてくれたあの少年を救いたかったんだ。どんな人間でも、救われていいはずなんだ。その人が本当に猫使いならば」
彼はそう言って、各地を旅しながら絵を描き続けた。
そして彼の傍にはいつも猫がいた。彼を癒し、求め、心を温めてくれるあの時の猫だ。

そうして彼は多くの絵を描き、そして六十三歳誕生日を迎える四日前に亡くなった。心不全だった。彼の死を悲しむ者もいたが、多くの人はその事柄に無関心だった。
一緒に居た猫はその後、保健所によって処分された。
それから彼に絵を教えた少年は、大学を退学し引き篭もりになった後に二十四歳で自殺した。

彼の絵の中ではいつでも日溜まりの優しい風景、そこにある人々、生命の優しさが描かれていた。
彼の墓石には、ある碑文が刻まれていた。それは彼が口癖のように言っていた言葉だった。

『雨を呪ってはいけないよ。日溜まりを祝福しなければいけない。どんな理不尽であろうと、世界はいつか優しさを与えてくれる。』


308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/06(日) 18:13:18.29 ID:LESFL7oA0
>>303

お題ありがとうございます。お題と多少、ずれているかもしれませんが、投下します。
309 :僕の好きな色1/3 [saga]:2012/05/06(日) 18:14:42.54 ID:LESFL7oA0

 僕は、クレヨンを使った事が無い。

 僕は、絵の具を使った事が無い。

 僕は、まだ、友達が居ない。

 僕は、絵を書いた事が無い。

 僕は、愛を知らない。

 でも、皆が皆。平等で無い事も知っている。

「◯◯君ー?」

 今日も、僕の“お世話係”がやって来る。大方、僕が“失礼”をしてしまったのだろう。

「オムツ替えましょーねぇ?」

「あーあ!」

 うっとおしい、嫌だ、苛々する、やめて!……だから、僕は、“抵抗する”

「先生ー!」

 皆が僕を押さえる。抵抗をしても無駄だけど、必死に逆らう。でも、無理だった。
310 :僕の好きないろ2/3 [saga]:2012/05/06(日) 18:16:03.38 ID:LESFL7oA0
「あー!」

 僕は、皆が居る所に行った。勿論、お世話係も居る。

「あー!」

「あー!」

「うぅ!」

「おっ……はよう、ごっ……ざいます!」

 此処は居心地が良い、仲間がたくさん居る。逆に、お世話係は、居心地が悪そうだ。

「◯◯君ー?何して遊ぶのかなー?」

 何時も、おもちゃを振り回してばかりだから。お絵かきをしてみたい、初めて僕は、クレヨンの箱を手に取った。

「あー!」

「お絵かきかなー?」

 僕は、気にせずクレヨンを手に取る。白色だ。

「あー!」

 皆、肌が汚れている、綺麗にしてあげる。皆喜ぶかな?

「あー!」

「やめてー!」

「いやだーよー!」

 僕は、白色のクレヨンで、皆の肌を綺麗にしてあげている。お世話係は、青白い顔で駆け出して居なくなった。

 僕は自慢だけど、かなり大きい!170以上あると、大きいらしい!だから、皆の肌を簡単に綺麗に出来る。

「あー!」

 最後に、汚い自分の肌を綺麗にした所で、また、皆が僕を取り押さえる。

 気付いたら、自分のベッドに拘束されていた。今日はもう、寝る事にする。
311 :ぼくのすきないろ3/3 [saga]:2012/05/06(日) 18:17:51.09 ID:LESFL7oA0

 僕は、クレヨンを使った事が無い。

 僕は、絵の具を使った事が無い。

 僕は、まだ、友達が居ない。

 僕は、絵を書いた事が無い。

 僕は、愛を知らない。

 でも、皆が皆。平等で無い事も知っている。

「◯◯君ー?」
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/06(日) 18:19:56.67 ID:LESFL7oA0
御粗末様でした。
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/05/06(日) 20:46:32.71 ID:/MdL4G3AO
>>307
登場人物末路が気に食わなくて、でもこの末路でなければオチもクソもないんだよなあ、と思った。
書き手の書きたい部分の重心が最後に偏り過ぎてて、それまでが長いフリにしかなってないから、かもしれない。
そんなこといいつつ結構好きです。

>>311
いつだか身障者の話を品評会で読んだのを思い出した。
何かを読み取るには言葉が少な過ぎる。のですが、膨らましようもない気もする。
感じやすい人は傷付きやすいんだよな、という一般論でお茶を濁しときます……
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/05/06(日) 21:06:54.09 ID:5PzvcIiZ0
>>313
評価ありがとうございます。確かに言葉足らずでした。精進します
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/06(日) 22:13:23.98 ID:Nr/sRCoVo
久々に賑わってるようじゃないか
ちょうどいいや、お題くれ
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/06(日) 22:18:08.43 ID:FCeTrR0oo
香 (お香の方)
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/06(日) 22:19:52.21 ID:Nr/sRCoVo
>>316
把握
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/05/06(日) 22:42:16.20 ID:GoDYwKbAO
猫多いなww
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/05/06(日) 22:48:41.78 ID:/MdL4G3AO
猫三連続だよ。
そして一番目の感想を誰かよこせ下さい
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/05/07(月) 21:26:55.19 ID:zzhfnjiAO
>>287
昨日は連休終わりで気分が鬱々していたもので、文章が頭に入ってこなかったんだ
ということで読んだ、まあ簡単に

家族を淡々と切り取ってていいね
全体的にすらすらっと読めるし構成もよい
猫が普段と違う風に横たわってる描写は思い出させるものがある
(…実際、飼い猫の死は冗談半分から始まるような気がするから鬱々したわ)

僅かな傷で決壊していくダムのように次々と不幸が家族を襲うものの、まるでその流れを変えるように…というのも良かった
特に文句を付ける箇所もなく
きちんとまとまってたように思う

とは言ったが一点だけ
>そんな風景は、祖父自身、クロ自身よりずっと色濃く心に焼き付いている。

細かいがここは少し妙だなと感じた
そんな風景は祖父自身、そして恐らくクロよりもずっと色濃く心に焼き付いている。
みたいにボカした方がいいんじゃないかな
他のクロに対する描写では、〜だろう等でちゃんと濁してるわけだし

次も期待してます
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/05/07(月) 23:25:04.83 ID:FJ6VtvzAO
>>320
読んでくれてthx。
思いの外濃い感想が貰えて嬉しい。こういう感想は次のモチベに繋がるから見習わんとな……。
指摘された部分については、言われた通り推敲不足だった。投下を焦るといかんね。
特に突っ込みどころがない、というのはよく言われるところで、個人的にはそこから脱皮せねばならんなぁと思う次第です。

感想ありがとう。嬉しかった。
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/10(木) 02:34:34.54 ID:OzzN+kHno
何かお題くれ
ここsage進行のがいいの?
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/10(木) 02:47:52.05 ID:mrKiXmg5o
>>322
胡散臭い

普段はsageでもageでもどっちでもいいんじゃない?
作品を投下したときはageたほうが感想をもらいやすいかも?
324 :350 [sage]:2012/05/10(木) 03:35:32.60 ID:xPdCNnHIo
秋瑞さんははだけていた彩子の服を整えると、すっと立ち上がって駐車場の方へ眼をやった。
駐車場には四台のバイクが停まっていた。
一台はあたしをここへ連れてきてくれたバイクショップのジンさんのバイク。黒くて厳ついデザインの、サーキットで走っているようなバイクだ。
その隣に、小さな原チャリ。これはアタシが連絡したあとに自分もと駆けつけてくれた級友、亮君の原チャリだ。
それから、初めて見るバイクが一台。
アメリカ映画にでも出てきそうなワイルドな形の大型バイク。
おそらく秋瑞さんのバイクだろう。
そして、一番端に、彩子が乗ってきたのだろう彩樹お兄さんのバイク。白いタンクにブルーのラインの入ったオールドマシン。
いま、その彩樹お兄さんのバイクの横で、ジンさんが工具を広げて何やら修理らしき事をしている。そして、その手元をジッと見つめつつ手伝いをしている亮君。
秋瑞さんは、その二人に向かって声を掛けた。
「もうこっちを向いて良いわよ」
ジンさんが振り向いて答える。
「オーライ。こっちも完了。これ以上出来る事が無い」
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2012/05/10(木) 14:32:09.09 ID:LvS9fQcAO
投下します
326 :火(お題:高架下)1/4 [saga]:2012/05/10(木) 14:34:44.67 ID:LvS9fQcAO
 わたしは歩いていた。

 いつからここにいるのだろうか。

 頭のなかに靄がかかり判然としない。

 立ち止まり周りを見渡してみた。ガラス越しに白い煙が立ちこめている。いや、霧だろうか。外の景色がすっぽりと覆い隠されている。

 足下の黒く弾力のある床は道の向こうまで延び、途中で暗がりにとけ込んでいた。ガラスに囲われた長い筒状のトンネルだ。

 自分の体を見やるが、特に変わったところがない。

 おもむろに上着のポケットに手を入れる。すると左手がなにか堅いものに触れた。指でなぞると厚さのあるコインの形が頭に浮かんでくる。片側の面に大きな窪みがあるようだ。

 それを指でころがしながら、ぼんやりと考えに沈んでいた。その時だった。

 びたん

 突如トンネル内に不気味な音が響いた。いつのまにか辺りが暗くなっている。

 頭上の気配。ぴちゃぴちゃと水の滴るような音が聞こえてきた。冷たいものが背筋をつたい、本能がそれを見ることを拒んだ。

 わたしは俯きながらゆっくりと歩きだす。

 びた・・・・・・びた・・・・・・びた・・・・・・びた・・・・・・

 こちらの歩調にあわせ、どこかいびつな影と粘ついた音が追ってくる。
327 :火(お題:高架下)2/4 [saga]:2012/05/10(木) 14:36:16.54 ID:LvS9fQcAO
 得体の知れない恐怖から自然と足早になり、いつしかわたしは駆けだしていた。

 ダンダンダンダンダンダンダン!!!

 ガラスを打ち据える音がトンネル内に響きわたった。

 道の先、天井から斜め左側にまわり込んできたそれがふいに視界に入る。

 同時に奇妙なことが起きた。

――アアアアアアアアア

 どこか遠くの方で人の甲高い叫び声が聞こえてくる。

 きょろきょろと目だけを泳がせて周囲を窺う。

 ほどなくして、それが自分の喉から発せられていることに気付いた。

 遅れてきた認識が追いついてくる。

 わたしは自分の口を両手で塞いだ。不随意に体が震えだし、歯がガチガチと鳴った。

 目に映ったもの。それは飛蝗に似ていた。ただそいつは人の倍の身丈があり左右非対称にねじくれている。

 異形の飛蝗は七本の足と生々しい白い腹をガラスにべたりと張り付けていた。濁った鉛色の目がこちらを見据え、その赤く塗れそぼる口がキチキチとせわしなく動きだす。

 わたしはなかば無意識に上着のポケットをまさぐった。さきに見つけたコインを探りあて、藁にもすがる思いでその中心の窪みを親指の腹で強く押した。
328 :火(お題:高架下)3/4 [saga]:2012/05/10(木) 14:38:23.62 ID:LvS9fQcAO
 無音の静けさが鼓膜をくすぐる。

 なにもおこらない。

 が、しばらくして変化があらわれた。

 異形の飛蝗の透明な羽がぴくぴくと痙攣しはじめる。そして出し抜けに、ダンッとバネ足でガラスを蹴りあげて立ちこめる霧のなかへと消えていった。

 わたしはその場に崩れ落ちる。いまだに体が小刻みに震えていた。自身になにが起きているのか理解できない。

 だが状況は考える暇を与えてくれそうもない。

 目の前の霧が意志を持つかのように急速に薄れいったのだ。そこに据えていたままの目が、否応なくガラスの外側へと吸い寄せられる。

 遙か眼下、岩くれの転がる赤黒い焦土が広がっていた。そこには体毛のないピンク色の肌をした四つ足の獣が這いずりまわり、ぬらぬらとした黒褐色の節足動物が小さく蠢いている。

 方々には悶え叫ぶように開いた黒い穴が見える。その苦悶の口からなにかが素早く這いだした。それは手近な生き物を捕らえると、ずるりずるりと元の場所へと引きずり込んでいった。

 その醜悪な光景は咀嚼するように、わたしの脳を犯し、正気を蝕んでいく。

 やがて、意識の糸がプツッときれた。

 だんだんと視界が霞み、あかく、あかく、染まって
329 :火(お題:高架下)4/4 [saga]:2012/05/10(木) 14:39:28.21 ID:LvS9fQcAO



――タンガタン ガタンガタン


 いつのまに眠っていたのか。

 額に汗がじっとりと浮かんでいる。胸に手を当てると心臓がドクドクと脈打っていた

 なにか恐ろしい夢を見ていたようだ。

「君、大丈夫かい?」

 ふいに声をかけられる。

 顔を上げると、斜向かいの席に座る年配の男性が心配そうにこちらを窺っていた。

 返事をしようした。

 その瞬間、キキィッ! とけたたましい音が鳴り響き、ぼくは前のめりに倒れかける。

 ややあって、電車が止まった。
 車内がざわざわと騒がしくなる。

 何があったんですかね、と先ほどの男性が他の客に話しかけていた。

 ぼくは座席から体をひねって後ろを振り返る。

 同じ窓側の席の乗客たちが、一様に窓の外をのぞき込んでいる

 なんだろう。

 ぼくは窓の外をみた。
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/10(木) 14:40:37.96 ID:LvS9fQcAO
お題ください
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/05/10(木) 16:22:49.31 ID:8bMc0VhAO
>>330
飢餓感

感想は後でするわ
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/10(木) 20:00:05.52 ID:FRo717YUo
>>330
大乱交
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/10(木) 22:34:24.68 ID:LvS9fQcAO
>>331
把握

>>332
把握
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/05/11(金) 02:38:27.44 ID:VOFbQNTAO
お題が鬼すぎるww
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2012/05/12(土) 20:53:48.45 ID:Ba6CwnpAO
投下します。ライトなアダルト描写が入ります。すみません。
336 :完全に変態(お題:飢餓感・大乱交)1/2 [saga]:2012/05/12(土) 20:57:50.91 ID:Ba6CwnpAO
 夜の帳がおりたころ、ある公園の暗がりで男女の密事が交わされていた。

 女は四つん這いになり、あられもない痴態をさらけだしている。そのか細い足を恥ずかしげもじもじとさせた。

 一糸まとわぬ淫靡な姿が男の情欲をいやおうなく煽り立てる。

 男は女のすべらかな腰にそっと両手をあてがった。女の過敏な肉体は僅かな刺激にもビクッ震え、その秘肌がさらなる熱を帯びる。

 その初な反応が男の理性を焦がした。やおら男は荒ぶる自身を女の柔らかな場所へと差し入れる。

 その瞬間、女は背筋をわななかせ小さな足先をぴんと伸ばした。せまい肩を僅かに揺すり、肉の悦びに身悶えする。

 男は緩慢な動作で雌の芯にモノを深く沈めていく。女のなかでそれはひくひくと妖しげ蠢いた。

 たちまち甘痒い性感が女を襲う。女は恍惚とした意識のなかで周囲の様子を窺った。

 少し離れたところで、数組の男女が躯を重ねあっている。木々の葉擦れに混じり、かすかに切なげに喘ぐ声音が聞こえてくる気がした。

 他者の淫らな行為にあてられたように、女はひたすら性の快楽を貪ることに没頭する。もはやその姿は一片のつつしみも見られない。
337 :完全に変態(お題:飢餓感・大乱交)2/2 [saga]:2012/05/12(土) 21:00:01.44 ID:Ba6CwnpAO
 ほどなくして頂が訪れた。女の背筋をぞわぞわと痺れるような快感が這い上がっていく。狭まる蜜口が男をしめつけ、その精を貪欲に搾り取った。

 そして情事は終わりを告げる。

 男は女に背を向け立ち去ろうとする。

 その後ろ姿を女の惚けた瞳が捉えていた。女はあるひとつの感情に支配され――


ーー

とあるファミレスに俺たちはいた。

 目下、所属している同人サークルの打ち合わせ中である。議題は次に出す予定の作品についてだ。

 俺は差し出された無駄に濃ゆいプロットに目を通していた。

「どうだろう?」

 向かいに座る彼は期待した面もちで俺からの返答を待っている。

 世の中には文房具やらキャラメルコーンやら常軌を逸したものも存在するのだ。それに比べればなんてことはない。俺はそう好意的に考えようとした。

 だが人間には、ひとつやふたつどうしようもなく苦手なものがあるはずだ。俺は再びテーブルの端に置いてある資料を、横目でちらっと視界の片隅に入れた。

 途端に背筋をぞわぞわと不快なものが這い上がっていく。

 無理だ。俺には描けそうもない。

 だがこちらに向けられる熱心な眼差しに推され、なかなか否定的なことも言えずにいた。

 ふと腕時計に目を落とす。時刻は正午を廻っていた。

 もしかすると腹を満たすことで前向きな考えに変わるかもしれない。これは戦だ。

 俺は本日二度目のベルを鳴らした。
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/12(土) 21:00:58.32 ID:Ba6CwnpAO
お題くださいな
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/12(土) 21:57:19.83 ID:PrX3sLvAo
>>338
叫ぶ
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/12(土) 22:01:08.97 ID:Ba6CwnpAO
>>339
thx
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/12(土) 22:25:50.12 ID:u6Xx5pjWo
>>336
やおい。やまなし、おちなし、いみなし
読み手に面白いだとか、何かしら感情を起こさせる部分が欲しい。
登場人物の個性が文中にほとんど現れていない。もしくは生かされていない。
形容詞とか動詞、名詞などの語彙は豊富だから、指示語とか接続詞を工夫して話の筋や人物の設定を練りさえすれば、個人的には化けると思う。がんばれ
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/12(土) 22:32:49.50 ID:u6Xx5pjWo

  題
    クレ
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/12(土) 22:42:57.07 ID:qGBPPBO/o
>>342

  く
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/12(土) 22:43:14.54 ID:Ba6CwnpAO
>>341
ありがとう
現状気にしてることずばりだわ
人物描写とか会話文が苦手すぎる
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/13(日) 00:38:19.70 ID:BrjOegnPo
なんかちょう題
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/13(日) 00:50:19.63 ID:BrjOegnPo
>>336-337
>文房具やらキャラメルコーンやら常軌を逸したもの
っていうのが意味がわからなくてなんか良かった。
同人仲間が作ってきたプロットももっと訳わからん方が面白かったかも
前フリに使われた一レス目が退屈だと退屈しちゃうじゃないですか!

347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/13(日) 00:58:03.02 ID:Zzc+Z4Qbo
>>345
隠し事
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/13(日) 00:59:19.98 ID:BrjOegnPo
>>347
いただきました
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/13(日) 03:21:57.54 ID:6C8IFRpAO
>>346
thx
さらなるカオスか、納得
350 :350 [sage]:2012/05/13(日) 10:32:17.33 ID:qYCZDhCBo
ジンさんは亮君に財布を渡すと自販機を指差し、何か言った。
亮君が自販機に向かって駆けて行く。
クラスでも人気の男子が使い走りをする光景は可笑しかったが、このメンバーでは仕方ないだろう。
ジンさんは手際良く工具を片付けると、ゆっくりとこちらに歩いてくる。
「多少傷は残るが、走るには支障はない」
もちろん、彩樹お兄さんのバイクの事だ。
「そっちは?」
初対面なのか、面識があるのかは判らないが、ジンさんは秋瑞さんに親しげな口調で聞く。
「こっちは残るような傷は無し。意識もあるし、状態も落ち着いてる」
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/13(日) 10:35:14.46 ID:mnIKD7zco
>>343
把握
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/05/13(日) 20:40:07.69 ID:/UgRSYZAO
お題下さい。
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/13(日) 20:43:56.13 ID:svcCTEDro
>>352
地下鉄
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/05/13(日) 23:28:20.48 ID:/UgRSYZAO
>>353
遅くなったけど把握です
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/16(水) 03:10:01.33 ID:skuSI6uAo


をください
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/05/16(水) 03:17:49.73 ID:7NFPydYno
あめ
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/16(水) 03:18:26.91 ID:FgsvgIBfo
>>355
猛特訓
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/05/16(水) 17:51:54.95 ID:Et6qCWgAO
投下しますよ
お題はロボットですよ
359 :魂の行き先(お題:ロボット) [sage]:2012/05/16(水) 17:52:56.01 ID:Et6qCWgAO
 月が陰った真夜中、船は孤独に黒い海をひた走る。その甲板を、初老の男が見回ってい
る。作業服と同じエンジ色の作業帽を目深に被り、その鼻下には白い髭を生やしている。
懐中電灯で光を走らせながら、気怠そうに歩く男――名をトルブと言う――は、甲板をぐ
るりと一回りして、船橋の入り口で足を止めた。煙草を食わえて火を付けると、途端に紫
煙は船尾に流されて行く。
 本来の巡察当番たる相方の同僚は酔っ払って眠りについている。貧乏クジだ。酒飲みの
尻拭いは、素面の人間がするしかない。そのことを思い巡らせ、感情を払い出すように舌
打ちを鳴らした。
 宵闇の海は穏やかにざわめき、船はその静かな秩序を真っ直ぐに貫きながら進んでいる。
向かう島には、明日の昼には着く筈だ。
 考えるともなく思考を移ろわせていると、背後から遠く、耳障りな異音が聞こえてきた。
トルブが振り返ると、通路の暗がりから“それ”は現れた。金属質な足音を立て、不自然
に身体を揺らしながら。
『ここは――』
「動くな」
 形こそ人間の五肢を模してはいるが、筋肉にあたる機構は剥き出しで、関節も動く度に
軋んでいる。鉄と配線で自律して動く、機械。
 言葉を発そうとしたそれを遮り、トルブは短銃を両手で構える。“それ”はぎこちなく
異音をあげながら両手を上げて首を振った。
『ワタシは――』
「動くんじゃない」
 安全装置を外し、改めて照準をつける。握把には汗が滲んでいる。
「識別を言え」
『AD−001−2557、ええと、管理コードはHum−329、名前は――』
「必要ない」
 視線を反らさず、片手だけをゆっくりと胸ポケットに持って行き、一枚の折り畳んだ紙
を取り出す。紙片を開いて一瞬だけ視線を走らせると、トルブは口を歪ませて鼻を鳴らした。
「とんだポンコツだな。墓場よりは博物館の方が似合いじゃねえか」
『墓場』
 文字通り機械的に、ノイズ混じりにその単語を復唱した“それ”は、両手を上げたまま
微かに俯いた。
『そうか、ワタシは』
 トルブはそのまま紙をしまうと、今度は作業用の安全帯に提げた小型の端末を取り出し
て管理コードを入力する。
『死んだんだ』
 この型番に武装はない。一致を確認し、トルブはようやく銃を下ろした。しかし、“そ
れ”は微動だにしなかった。呆然と、立ち尽くしているように。
360 :魂の行き先2/5(お題:ロボット) [sage]:2012/05/16(水) 17:54:33.11 ID:Et6qCWgAO
 欄干に腕をもたせかけ見下ろすその視界に、果たして自分の見える黒い海が写っている
のかは分からない。ともかくトルブは二本目の煙草に火を付けると、重い溜め息とともに
煙を吐き出した。
『これが、海か』
 微かに呟いた“それ”は、顔をトルブの方に向ける。
『太陽が出ていれば、きっと青く見えるのでしょうね』
「メモリには入ってないのか」
『ワタシは農業用でしたから、不要な知識は入っていません』
 事実を並べたその声は、どこか誇らし気に響く。“それ”は再び海に視線を下ろす。甲
板に吹く潮風は冷たく、煙草を挟む指先は薄く痺れ始めていた。
 機械の死体を運ぶ、貨物船。
 機械は、様々な原因で死に、また殺される。耐用年数を越えて死に、バグが元で殺され、
時に人の都合で殺された。トルブはこの仕事に就いて数年になるが、“死体”が蘇ったの
を見たのは初めてだった。そういう話を人づてに聞いたことはあったものの、まさか当事
者になるとは。面倒なものだ、とトルブは心中で毒づく。
「不要な知識なら、海も知らんのじゃないか」
 トルブは機械と話すのが、苦手だ。距離感が掴めないのだ。特に、人型は。
『奥方と御子息が、よく談笑されてました。夏になったら海に行きたいね、と』
 発された言葉は、その場で風に流されてゆく。トルブが早くに燃え尽きた煙草を弾くと、
音もなく闇の中に飲まれていった。
「満足したなら棺桶に戻れ。俺もまだ仕事がある」
 “それ”は何も言わず、動きもしない。拒否、だろうか。強制的に停止させる手はある
が、手間が掛かるし寝覚めも悪い。頭を掻くトルブを後目に、“それ”はじっと漆黒の海
を見つめている。
『主人が、死んだんです』
 平坦で、無感情な声。機械のそういうところが、トルブは嫌いだった。
『収穫の最中でした。心臓発作です』
 
361 :魂の行き先3/5(お題:ロボット) [sage]:2012/05/16(水) 17:55:09.39 ID:Et6qCWgAO
 何も答えず、トルブは時計を見る。巡察の時間を持て余すのはいつものことだが、今日
は針の進みが殊更鈍い。
『御子息はまだ幼いですし、農場経営の規模は縮小せざるを得ませんでした。ワタシは旧
 式で、他の仲間に比べてどうしても維持費が掛かります』
 死の理由など、人の数だけある。機械も同じだろう。聞き流しながら、トルブは目を細
めて甲板の闇を見据えている。鳴る潮風が、耳に煩い。
 そのまま沈黙がどれ程流れただろう。やがて、“それ”は形だけ人間を模したその顔を
上げて、トルブに向き直る。
『人は、神を信じています。それをワタシは、得体の知れない死への恐怖と不安を和らげ
 る為と認識しています。生と死、その向こう側にある世界の創造』
 トルブは“それ”を横目に、首を傾けた。信心は持ち合わせるには、彼の人生に救いの
手は少なすぎた。今彼の手元にあるカードは、生きていること、それだけだ。
『人はそれだけで、死を受け入れられるのですか』
「知るか」
 吐き捨てるように、一言。
 だが“それ”は表情を変えず――変えられず、ただトルブを見つめて押し黙っている。
「俺は人類の代弁者でも、それこそ全知全能の神でもない」
 人型の、旧式のポンコツ。自嘲が頭を横切り、トルブは鼻を鳴らす。
「そんなことを考えるのは、死ぬ間際で十分だ」
『ワタシは今まさに死のうとしています』
 その言葉で、沈黙が訪れる。音は風に流され、闇へと吸い込まれ。トルブは“それ”と
自分の姿を、薄く重ね合わせる。
「だが、お前の疑問には俺は答えられん。俺は神を知らないし、信じてもいない」
『アナタは死が怖くないのですか』
「実感のないものに想像力を働かせているほどの暇はないんでな」
 “それ”は頷き、再び外海に目を向ける。
『ワタシも、同じでした』
362 :魂の行き先4/5(お題:ロボット) [sage]:2012/05/16(水) 18:00:21.93 ID:Et6qCWgAO
 海に在る沈黙は、陸のそれと違う。人が海に居るときというのは、何かに守られ、そし
て海からは必ず切り離されている。その圧倒的な広さを、外から眺めることしか出来ない。
何処からも、何からも遠い船の上で、その沈黙は重く絶対的に佇んでいる。
 問われて、その存在をはっきりとトルブは感じることが出来た。それが人の言う神かど
うかは分からない。ただ、人が抗えないものは在るのだ。
『――人を創った者が神なら、ワタシ達にとっての神は人です』
 “それ”の言葉に、トルブが顔を向ける。“それ”は変わらず、闇に視線を投げかけて
いた。現実に救いがあるのは稀だと、トルブは思う。
『アナタ達は、ワタシを何処に連れて行こうとしてるのでしょう』
 船首が海を切り分け、漣が遠く鳴り続けている。
 慰めをかけるのは、苦手だ。だから、せめて嘘をつかないことにトルブは決める。
「お前は、生まれ変わる」
 他の魂と融け合い、新たな生を受ける。――機械として。
 “それ”は静かに振り返った。微かに軋む身体。無機質なそれは、これから先の未来、
どれ程人間に近付いていくのだろう。
『ありがとう』
 やがてトルブは溜め息を一つつき、端末を取り出して“それ”に向ける。
「最初から、こうすれば良かったな」
 管理コードの入力。h、u、m。
 “それ”は微かに頷き、もう何も言わなかった。
 3、2、9。強制停止。
 “それ”が言葉を紡ぐことはもうない。静かに膝をつき、前のめりに倒れる。
 トルブは“それ”を暫く見下ろしていたが、やがて時計を見る。いつの間にか針は進ん
でいた。仮眠室から同僚を引っ張り出して、これを棺桶に片付けて、巡察の交代。それで
終いだ。
 船は速度を緩めず、無感情に墓場へと近付いて行く。甲板で起きた小さな事件などに、
構っていられないのだ。
363 :魂の行き先5/5(お題:ロボット) [sage]:2012/05/16(水) 18:01:35.25 ID:Et6qCWgAO
――死体を積んだコンテナが、クレーンで吊り上げられてゆく。トルブはそれを見上げ、
空の青さと太陽の目映さに帽子のつばをぐいと下げた。
「昨日は大変だったみたいですね」
 その声に顔を向けると、顔見知りの若い船員が立っていた。鼻を鳴らし、肩を竦めるト
ルブ。
「管理はしっかりしてもらわんと困りますな」
「それを言われると返す言葉もありませんが、いやしかし珍しいですね。蘇る機械、か。
 ちょっとした怪奇小説じゃないですか」
 他人事のように一人笑う船員。トルブは視線を戻し、音を出さず溜め息をつく。
 コンテナは岸壁に下ろされ、その作業が幾度となく繰り返される。機械的に、人工的に。
「なあ、あんた」
 トルブはコンテナを見上げたまま聞く。
「俺達が死んだ後も、こんな風になるんだろうか」
 返事はない。振り返ると、そこにはもう船員は居なかった。自分の仕事は一区切り付い
たが、彼らは着いてからが忙しい。口をへの字に曲げて頭を掻くが、聞かれない方が良か
ったと思い至り、鼻で笑って自嘲する。
 波で緩やかに揺れる船の上、煙草に火を付ける。風は凪いでおり、茫漠と登る紫煙がや
がて空へと溶けていく。死後の世界が空にあると言い出したのは誰だろうかと、トルブは
ふと思った。

―了―
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) :2012/05/16(水) 18:02:06.21 ID:Et6qCWgAO
はい、お疲れ様でした。異常です。
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/16(水) 19:58:50.84 ID:MkS2nAoAo
>>364
読みました。

その、それ、そこ、などの指示語が多い気がします。必要のあるところで、指示語がない場合もありました。
細かいことばの間違いがある、もしくは現代においてはひらがなの方が勧められる語がありました(食わえて、誇らし気、どれ程、など)
語彙の豊かな部分とそうでない部分の差が少し気になりました。

船、だけでは具体的な大きさが分かりづらく、読む人によっては終盤で想像と現実のギャップが出てくると思います

トルブさんが機械さんに銃を向けた理由は、少し考えればわかりますが、文中に描写を補わないと分かりづらいかな

俺は神を知らないし、とトルブさんが言いましたが、もしこの世界が私たちの世界の延長線上もしくは分岐したものなら、
名前から察するに西洋圏のトルブさんが(構成上仕方ないかもしれないけれど)、神(キリスト教でいう主)を知らないということは、個人的にだけどあまり考えられません。そういう設定ならごめんなさい

雰囲気を出すために「墓場」についての内容を意図的に省いていると見受けられますが、省いてはいけない部分を省いていると思います。
廃棄処分になった機械を再利用する場所、というのは何となく分かりますが、抽象的な説明が多く、どんな場所なのか具体的な説明を入れるとスッキリするのでは、と思いました。

トルブさんは機械に対して冷たい態度をとっていましたが、何か理由があるのでしょうか。それとも地かな


世界観が素敵で、ロボットというお題からの着想も面白く、とても魅力的でした。
ところどころで、幻想的な世界を透明感のある言葉で表現しているのも、すごく良いと思います!
活躍を期待しています。えらそうに糞長い感想をすいませんでした
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/05/17(木) 08:24:42.59 ID:7CWDHczAO
>>365
読んでくれてthx。
読み返すとホント指示語多いっすね……。読み手にしちゃあ鬱陶しいわこりゃ。
指摘された通り、読み手を考えず書き散らかした結果、色んな情報が足りてない。推敲不足。
割と力を入れたというか、寝かした期間が長かったので思い入れがそれなりにある作品だけど、これじゃあダメダメですな。無念。
出直してきます。
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/05/17(木) 16:56:16.84 ID:XyekQImco
お題ください
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/05/17(木) 16:59:25.44 ID:Q8ruHSB/0
鼻毛
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/17(木) 21:34:05.68 ID:U4liqyhCo
>>367
ギャランドゥ
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/18(金) 18:35:34.09 ID:ETaXlWNXo
お題
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/05/18(金) 18:42:50.81 ID:Ps/tTWywo
エビ
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/18(金) 23:46:26.50 ID:DHaCecER0
久々にVIPでやらないか?
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/18(金) 23:58:31.96 ID:tW1GOKvRo
今から?
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/05/19(土) 00:38:06.01 ID:TDx33KtAO
たまにVIPにスレ立てるのは良いと思うけど平日の方がいいかもな
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/05/19(土) 22:38:30.29 ID:9oW2ktGwo
お題ください
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/19(土) 22:50:50.95 ID:hobMAEt2o
>>375
迷宮入り
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/05/19(土) 23:11:25.50 ID:AVWDIDYQo
お題下さいな
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/19(土) 23:14:21.96 ID:sObDHfpYo
>>377
3階建て
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/05/19(土) 23:21:17.50 ID:AVWDIDYQo
>>378
おおう、何か難しいが把握
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/20(日) 01:22:16.16 ID:56NdANO/0
布団の中で考えるからお題ください
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/20(日) 01:32:47.76 ID:u9So6bnPo
>>380
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/20(日) 01:48:46.38 ID:56NdANO/0
>>381
把握
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/05/20(日) 03:17:08.60 ID:/r/zvaHP0
久々に来たが今回の品評会のお題ってわかる?
今から頑張ってみよかと
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/20(日) 03:32:31.00 ID:lIcWqHTQo
残念ながら現在品評会は行われてないんですよ〜
現在は、ここでお題をもらって書いてここで発表して
感想をもらってまたお題をもらって……ていう感じで
細々とやってるんですよ〜
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/05/20(日) 03:34:16.17 ID:/r/zvaHP0
そうなのか
なら普通にお題をもらって書くよ
386 :350 [sage]:2012/05/20(日) 04:04:21.89 ID:Q6kduw6+o
>>385
コンディショングリーン
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/05/20(日) 04:37:31.09 ID:/r/zvaHP0
>>386
thxもらいます

しかし馴染みない言葉だなぁ
388 :350 [sage]:2012/05/20(日) 04:42:18.99 ID:Q6kduw6+o
>>387
デフコン1

の方が良かった?
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/05/20(日) 04:47:17.99 ID:/r/zvaHP0
>>388
いや>>386で書くよ
どちらにせよ知らない言葉みたいだ
390 :題名「カラー・チェンジ」 0/7 お題「コンディション・グリーン」 :2012/05/20(日) 08:18:55.42 ID:/r/zvaHP0
少し長くなったけどとりあえず書けたので投下する
391 :題名「カラー・チェンジ」 1/7 お題「コンディション・グリーン」 [sage]:2012/05/20(日) 08:20:36.45 ID:/r/zvaHP0

「大変だよ、三城くん」
 言葉のわりには落ち着いたような、むしろ落ち着くよう自分に課しているかのような口調で、文野はそう言った。言われてから数刻、三城は
右から左の耳を恐るべきスピードで通過して、そのまま大気に溶けてしまった言葉の意味を読みとれず、ただポカンと口を開けて文野を見た。
「三城くん」もう一度、文野は言った「大変だよ」
「大変ね。へえ……何が?」
 三城は口の中で飴玉を転がしながら、気のない返事をする。下の上にリンゴの酸味が広がった。

 文野は小鼻を鳴らした。怒らせたのかもしれない、三城は考える。というのも、どうやら先程の大変だよという言葉は、何の背景もない沈黙
から突然生まれ出たわけではなく、小石を水面に投げ込んだら波紋ができた、というような因果の元に発生した「大変」なのだ。
 けれども、どんな小石を投げ込んでいたのか、三城にはうまく思い出せなかった。こういう脈絡が急に消えてしまう現象は、しかしよくある
ことだった。特に文野との会話では。
 
 ――頭のいいやつと話すのは苦手だ。
 同級生との会話は難しくない。仲睦まじい親子のような会話のキャッチボールを楽しめる。しかし文野は超速球を投げてくる。三城の目はボ
ールがどこに来るかどう打てばいいのか、思考だけ進んで気がつけばボールだ。
 そこで少し気まずくなるのだ、三城はいつもそう思う。それから理解力のない自分に自己嫌悪する。どうして自分はこうもダメなのか、自分
の頭が悪いのか、文野の良すぎる頭が悪いのか。そもそも文野は自分のような冴えない阿呆と会話するタマではないのだ。才色兼備でクラスの
人気者。高校生ながら既に将来のヴィジョンを見据えてそこへ向けて努力している。そんな文野がどうして自分などとつるむのか、三城にはわ
からない。
 
 ――文野が悪いんだ。
 ――気まずいのが嫌なら、どうしてつるむんだ。たかが隣の席に居るだけだというのに。席がえすれば、変わってしまうのに。
 責任転換はなかなか終わらない。目的地がころころ変わるのだ。余談だが、三城の父親はドライブに行くと、あらかじめ目的地を定めても、
思いつきであっちだこっちだと進行方向を変えてしまう。それが短いスパンで起こるから、しまいには車の中だけで一日が終わってしまうこと
もある。そんな時に母親が言う小言が――
「大変だよ、三城くん」
 思考の脱線に気付くのは、大体文野の言葉なのだ。
392 :題名「カラー・チェンジ」 2/7 お題「コンディション・グリーン」 [sage]:2012/05/20(日) 08:22:29.24 ID:/r/zvaHP0
「ねえ、三城くん!」
「どうしたんだよ文野。何が大変だ? 何が」
「――それはこっちの台詞だ。ああ、まさかまたアレか。また飛んだな、三城くん。ねえ、きみは本当に覚えてないって言うのか?」
「悪いけどな文野。僕の頭はきみと違って、回転速度が遅いんだ。僕が忘れちまった時は、思い出すよりも」
「そうだな! 私が話した方が早い!」
 ――大声を出さないでくれよ、みんなこっちを見てる。何だよあいつと教室の中に間違って入り込んだ虫を見るような目。授業中じゃないか
らって、喧嘩かと思われたらいろいろと気まずいだろうが。
 飴玉を舌の上で転がす。普段はすぐ噛んでしまうのだが、好きな味の飴玉なので、まだ噛まない。
 
 三城の頭が少し落ち着き、ようやく自分がどこにいるかを思い出した。ここは学校だ。N市立第三高等学校の二―Gの教室。今は三時限目の
情Cの授業が終わったところだ。教師不在のため、半ば自習、もう半ばは自由時間だった。
 三城はインターネットを使っていつものように、助平な動画サイトへの侵入を容易くブロックされたのを、文野に軽蔑されていた。
 そんな時の文野の視線は厳しい。しかしそういうのを悪くないと、三城は思っている。あの視線で見つめられると、身体の奥が熱くなる。視
線を合わせるのはマズイと思い、少し下に下げると、そこに風船の如く大きく膨らんだ胸を見つける。凝視しても透けないことはよく知ってい
た。文野の胸をおがむためにどれだけ三城が努力を尽くしたことか――
 
「三城くん」
「なんだ?」
 取り澄ました顔を慌てて取り繕って、三城は応えた。文野の頬に汗が垂れている。眉間にしわが寄っている時は、かなり真剣な態度の表れ
だ。そんな彼女の様子を知ってか知らずか、呑気な同級生たちは、各々がのろのろと次の授業の用意を始めている。見ると授業開始までもう一
分もない。自分も早くしないと、早く飴玉を呑み込まないと―― 
 
 
「緊急警報状態(コンディション・グリーン)だよ」
393 :題名「カラー・チェンジ」 3/7 お題「コンディション・グリーン」 [sage]:2012/05/20(日) 08:23:47.33 ID:/r/zvaHP0
「は?」
「だから緊急警報が発令されたと言っている」文野は何かに怯えているように語気を振るわせている「さっきの放送、聞いてたろ」
「そういえばそんなことが」
 あれは情報の授業が終わってすぐのこと、寝起きのような粘っこい倦怠感の中を、止めたはずの目覚まし時計がまた鳴ったような感じで、
突然にスピーカーが叫んだのだ。その時の三城はただ何を思うでもなく文野の胸を凝視していて、スピーカーの言うことよりもあのDカップの
双丘の方がよっぽど――

「三城くん。飛んでる場合じゃない」
「いでっ!」耳を引っ張られた「何をする文野!」
「逃げるんだよ!」
 文野が叫んだ。周りの呆気にとられたような視線も気にしないで。
「――逃げるって? え? どこに? どうして?」
「三城くん。逃げないとまずい。状況をかいつまんで説明すると、このN市立第二十三高等学校に侵入者だ。うん、どうセキュリティ突破した
かだって? そこまでは知らない。どうしたんだろうね。もしかしたら北のスパイかもしれないな。こんな平凡な学校に何の用事かは知らない
けど
 とにかく例の不審者は。職員室に押し入り、教員を刺した模様」
「――殺したのか?」
「――殺したかもしれない。また、私たちも殺されるかもしれない。とにかく、逃げないとだめだ」
 文野が顔を近づける。やや色素の薄い唇が目の前で忙しそうに動く。
「三城くん。きみはまさか、生徒手帳のクソみたいに役立たずな校則を守ろうとしてるんじゃないだろうね。緊急警報時は教師の指示に静かに
速やかに従うのだ、と」
「そうするのが普通じゃないか」
「教師がいないのに普通もベンツもあるか!」
「でも」三城は文野から顔をそむける「まだ、誰も動いてない」


 三城の視線の先には、文野の胸が揺れていた。そこだけ風が通り抜けるように痙攣している。ぽたりと、何かの雫が胸を濡らした。雨でも降
っているのか、三城は思う、このまま制服が透けやしないか、と。
 キャンディと唾を同時に呑み込んだ。
「三城くん」文野の声は震えている「きみの意向はよくわかった」
394 :題名「カラー・チェンジ」 4/7 お題「コンディション・グリーン」 [sage]:2012/05/20(日) 08:25:55.57 ID:/r/zvaHP0
「文野?」
「きみはね、他の奴らとは違うと思ってた。あの愚鈍でゾンビみたいな無神経の奴らとは」
 周囲では誰も動いている気配がない。まるで彼らの存在が溶けて一つの大きな空気になってしまったかのように――そう言えば、先程も空気
に溶けるという表現があった気がと三城は考える。
「きみなら、私と同じようにこっちの世界に来られるのではと、そう思ったよ」
「文野」
「でも違う」
 文野が身を翻す。
「文野?」
 手を伸ばそうとするが、もう遅い。
「きみも所詮は同じだ」
 文野は二人を囲んでいた群衆を押し退け、扉の方へ向かう。
 
「きみらはそこで死んじまえ!」

 
 ――扉が開いた。
 ――扉の先に、ガスマスクをした男がいる。
 ――ガスマスクの男は、巨大な白い棒を握っている。
 
 ――きゃ、と文野が叫んだ。
 ――それから、肉を穿つ嫌な音がした。
 ――見ると、文野の背中から白い棒の先端が覗いている。
 ――文野が糸の切れた人形みたいに崩れ落ちていく。
 
 ――こちらを向いた時、彼女の唇が、
 ――文野の唇が、何かを呟いた。
 
 ――その言葉を、未だに三城は思い出せない。
 ――ただその後に聞いた第一声は、
 
 ――目的(キティ)を撃破。
 ――次いで、目撃者の記憶操作を行います。

 ――ガスマスクの男の声は聞き覚えがあった。
 
 誰かが、慌てたような感じでこう言った。

「あ、センセイ!」
395 :題名「カラー・チェンジ」 5/7 お題「コンディション・グリーン」 [sage]:2012/05/20(日) 08:27:46.14 ID:/r/zvaHP0

「哀しい事件です。まさか出席番号N03-0202G-384――おっと失礼。文野さんが、例のウイルスの被害者だとは」
 
 *
 
 ――ウイルスとは?
「北の連中が開発した、対象の大脳の中枢神経系を侵す、非キチーガ酸イミュフ性ガオス物質による、プルマッシュ症候群――要するに、対象
の社会への反抗心を擽り、増幅化させたのです」

 *

 ――不審者が校内に侵入したと、
「なるほど、誇大妄想を引き起こす作用まであるとは。まだまだ研究が必要なようです」

 *
 ――緊急警報が
「緊急警報? そんなものありませんでしたよ。――なに、彼女が言っていた。それは、きみ、文野さんの言葉を聞いて、本当にそれが起こっ
たかのように感じただけでしょう。一種の洗脳ですね。虚偽記憶です」

 *
 ――先生は白い棒を持ってました。
「馬鹿なことを言うな。あの時、私は職員室できみたちのテストの採点をしていた。証言者も多い。信用できる大人の教師たちだ。白い棒――
妄想だよ。そうだね、三城くん。違うなら、少々面倒なことになるが……そうだろう?」


「はい、その通りです。先生」
396 :題名「カラー・チェンジ」 6/7 お題「コンディション・グリーン」 [sage]:2012/05/20(日) 08:28:56.82 ID:/r/zvaHP0

 夏が来た。何があったかは知らないが、この夏までに学校を辞めた人間が数十人もいるらしい。その裏で何かのインボーが働いているのだ
と、よく数多い友人の富田は言うが、勿論それは偶然だろう。あるいは、芋づる方式に辞めたか。
 いずれにせよ、彼らが現実から脱落(ドロッブアウト)したのは確かだ。今時、学校を中退するなど屋上から飛び降りるも同然だ。きちんと
した学校に入学しきちんと学校を卒業する。それができない者は、たとえ学校を辞めても何もできないに決まっている。思えば辞めた連中は
皆、どこかふまじめな顔をしていた。彼らは今もどこかでふまじめな顔をしているのか。それとも――
 三城は隣の席を見た。ここに居た生徒も学校を辞めたのだ。今となっては顔も思い出せない。女子だったことは覚えている。まあそれもどう
せふまじめな生徒だったに違いない。そう結論をつけた。
 
「みっきー!」
「ああ。エミちゃん」
 エミリは元気よく身体を揺らし、三城の隣に腰を下ろした。彼女は現在の三城のお隣さんだ。つい最近転校してきたのだ。
 いい女だ。三城は思う。濃い紅を引いた唇、制服は上のボタンを二つ外していて胸が強調される形だ。しかもその胸が、恐ろしいことにEカ
ップである。ほとんど凶器だ、三城はそう思う。
 物欲しそうに涎を垂らす三城を、エミリは春の日差しみたいに優しげに見る。
 
「みっきー」
「エミちゃん、ぼくは」
「はい。あーんっ」
 はへ、と口を開けると、キャンディを突っ込まれた。
「へ、へみちゃん?」
「エミリ。実はみっきーにお願いがあるの」モジモジとするエミリに三城は黙って聞くしかない「そのね、実はね、エミリのお父さんとお母さ
んね、今日から三日間家を空けるんだ」
「だから?」
「だからぁ……」エミリの瞳がうるんだ「だから。お家、お泊りにきてくれたら、うれしいなって」

 三城は少し得意げに間を開けて言った。
 ――どうしよっかなぁ。あ、もう、勇気出していったのにいい! おいおい泣くなよエミリ。だってだって……。悪かったよ、泣かせて。ぐ
す、じゃあ来てくれる?
 ――勿論さ。僕が愛するエミリのお願いを断るはずがないだろう。エミリの誘いなら北でも南でも喜んでいさんじるよ! 僕たちは恋人同
士、おっぱいも触った仲だろ。だからね、ほら、


「泣かないで」
「うん!」
397 :題名「カラー・チェンジ」 7/7 お題「コンディション・グリーン」 [sage]:2012/05/20(日) 08:30:58.73 ID:/r/zvaHP0
 エミリの涙を救うと、彼女は気持ちよさそうにこちらへ身体を預けて来た。おいおい、みんなが見てるってと言うが彼女はきかない。猫みた
いに奔放な我が王女様を見て、もしかしたら本当に誰も見ていないのかもなと三城は思った。
 誰にもはばかることはない、三城はエミリの身体を抱き寄せる。

「ねえみっきー」
「なんだいエミリ?」
「幸せ?」
「幸せだよ」
「本当に?」
「本当さ!」
「文野って人を知ってる?」
「誰だよそれ」
「嘘吐き。浮気してるのエミリ知ってるもん」
「嘘じゃないよ。本当に誰だそれ?」 
「ふうん。しらばっくれるんだ。じゃあ、ガスマスクの男」
「僕はガスマスクなんて被ったことないよ」
「白い棒を持ってるくせに!」
「僕のはどっちかというと黒いぞ!」
「――それじゃ「コディション・グリーン」は?」
「……それは、」
「それは、なに?」
「――それは、確か、以前までうちの学校で採用されてた緊急警報状態を示す意味の語句だ。警報自体が廃止された今は、そんなものないよ」
「どうして廃止された?」
「従来の緊急警報は校内にいる教師生徒すべてに対して伝えられていた。しかし緊急情報は、思考能力の未発達な生徒にとって現状認識の混乱
を招くだけです。余計な情報を与えることで、ひいては学校全体の危機に繋がる、だからこそ警報は教師間のみに伝えられるべきであり、その
ために新体制の警報システム「コンディション・オレンジ」を設置したからです」
 
 エミリにキスされた。
「ちゅ。おはよう。もう授業始まるよ」
「あ、ああ――」
 気がつくと、授業開始のチャイムが鳴っていた。準備をするために学生鞄の中から用具を取り出していた時、三城は重要なことに気づいた。
 
 ――早く飴玉呑み込まないと。
 噛み砕いた飴玉は、三城の一番好きな、オレンジ味だった。   <fin>
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/05/20(日) 08:33:59.75 ID:/r/zvaHP0
終わりです
お題は調べたもののバンド名しか出て来ないし、動画もヒットしなかったので
こんな夜っぱらに深く考えずもせずにシコシコ書いてました

何か感想があれば言ってもらえるとありがたいっす
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/20(日) 13:08:13.45 ID:3BUygS8SO
お題欲しい
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/20(日) 13:27:58.96 ID:SvwhAZaAO
>>399
ブルー、オレンジ
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/05/20(日) 15:34:38.10 ID:ZJ383oWAO
>>398
コンディショングリーンといったらあるゲームの一場面が浮かんだ。まあそれはともかく。
序盤、主人公の思考が脇道に逸れすぎで読んでてテンポが悪かった。あと、比喩がくどいかもしらんね
話としては長いストーリーの導入って感じで興味を惹いたところで終わっちゃう。まあそれはそれで、なんだけど短編のお話としては物足りない。
発想からそのまま筆を走らせた印象。個人的にもよく取る手段なのだけど、得てして話としての核が薄くなりがちなので気を付けた方がいいとは思う。違ったら申し訳ない
三城だけが洗脳されてる印象だけど、どうなんかね。
文章自体は書き慣れてる感じなので、推敲を十分にすれば見栄えも内容もかなり改善されると思います。
お疲れ様でした。
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/05/20(日) 15:35:30.25 ID:ZJ383oWAO
忘れてた。
お題呉
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2012/05/20(日) 16:18:09.19 ID:SvwhAZaAO
なんか人いないんで
>>402
水槽と雨
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/20(日) 16:47:08.01 ID:tHBtDoTP0
お題ください l壁l・ω・`)
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) :2012/05/20(日) 17:12:06.37 ID:ZJ383oWAO
>>403
thx

>>404
つ【レトロ趣味】
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/20(日) 17:15:26.27 ID:tHBtDoTP0
>>405
センクス
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/05/20(日) 19:08:55.72 ID:/r/zvaHP0
>>401
主人公の回りくどさは意図的だったけど、確かに回りくどかったかもしれんね
発想は一応、洗脳されて従順になる若者っていうテマは思い浮かんでた
洗脳されたのは三城含めクラスのみんなかな、エミちゃんは違うけどww
推敲の不十分は読みなおして気づいた、所々おかしかった部分があった
以後は、導入から読みやすく分かり易いよう気を着けて、推敲も充分にするようにしよう

明日は月曜日だし今日はお題貰うんはパスだね
感想もらえて嬉しいよ、thx
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/05/20(日) 20:49:48.99 ID:dhrtoCyAO
>>390
俺はこういうの好き
導入のくどい(何度もすまない)部分とは違って残りはすらすら読めた
全体通して妙な淡白さがいい味出してるね
なんか短編でやるには勿体なかったな
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/05/21(月) 03:35:18.81 ID:iNg/UAjOo
おだい
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/05/21(月) 03:43:15.86 ID:oZcHJzXto
>>409
栄養
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/05/23(水) 20:31:35.85 ID:wiufuCQAO
週末までに一作書きたいな、お題下さい。
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/23(水) 20:37:49.06 ID:m5JgR2/so
深緑
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/05/23(水) 20:46:22.12 ID:wiufuCQAO
>>412
把握
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/24(木) 20:29:44.19 ID:rLsEotyLo
久々に書くか
お題くれ
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/05/24(木) 20:35:54.05 ID:XDex9a3AO
>>414
行列
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/24(木) 21:05:27.58 ID:rLsEotyLo
>>415
把握
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/05/28(月) 06:19:26.54 ID:D8U0yIiL0
お題が欲しいです
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/28(月) 08:22:01.15 ID:iR9rLGB0o
>>417
灯り
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/05/28(月) 10:38:17.41 ID:D8U0yIiL0
>>418
サンクス、把握した
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/28(月) 16:13:12.26 ID:8cjiPuSy0
明日もテストだけどお題下さい
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/28(月) 16:45:07.33 ID:VH4tnYpIO
>>420

お題俺も
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/05/28(月) 17:00:48.44 ID:iK1M39NAO
>>421
ピンクスライム
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/28(月) 17:46:56.00 ID:AcnduOELo
>>421
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/28(月) 19:12:19.28 ID:tLxaj0UDO
僕にもお題を
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/28(月) 20:13:53.51 ID:iR9rLGB0o
>>424
石鹸
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/28(月) 21:48:26.72 ID:PSwrNTNVo
>>422
>>423
把握
ピンクスライムは書けそうもない
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/05/28(月) 22:24:56.96 ID:iK1M39NAO
鬼畜だったか
流してくれ
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/05/30(水) 17:32:20.78 ID:etIZ86nBo
久しぶりにきた
誰かいたらお題くれ
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/05/30(水) 18:48:25.63 ID:iqS0w4sAO
>>428
秘密基地
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/30(水) 19:15:35.86 ID:etIZ86nBo
>>429
ありがとう書いてきます
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/30(水) 19:33:24.57 ID:w2AyTQuXo
処女作見返すしたら「と言った」が多すぎてワロタ
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/30(水) 19:58:07.34 ID:vDGMzVSAO
人のこと言えないがなかなかお題消化されないな
ここの作品読むの楽しみなんだが
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/30(水) 20:05:54.52 ID:KnfCJ2Wjo
〇〇: なるほどな、そういうことか
××: どういうことだ?

〜〜と〇〇は言った。

〇〇はそう呟くと、上着の内ポケットからくたびれたタバコを一本取り出した。
「おいおい、まさか禁煙じゃないよな?」と笑いながらタバコをくわえると、錆びたジッポライターでそれに火を付けた。


自分の書いたものを処女作から見返していると、こんな感じで変化していた。
リレー小説とかが流行っていたので最初のほうは台本みたいな小説だった。
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/30(水) 20:08:06.66 ID:KnfCJ2Wjo
とりあえず、便乗でお題でもいただければ幸いです。
気軽に1〜2つほどお題プリーズ
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2012/05/30(水) 20:10:02.99 ID:vDGMzVSAO
>>434
浮翌遊
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/30(水) 20:11:21.81 ID:vDGMzVSAO
なんだっけこのシステム
○浮 遊
×浮翌遊
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/05/30(水) 20:11:47.73 ID:iqS0w4sAO
あるある

〜と言った。
その〜この〜
僕(俺、私)はを多用

あとちょっと書き慣れたからってくどいくらい比喩を使ってたり
最近長編を読み直したら、削る箇所がありすぎて萎えた
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/31(木) 01:23:59.69 ID:utSI55PFo
お題秘密基地投下します
439 :滑稽な西日1/8 [sage]:2012/05/31(木) 01:25:23.89 ID:utSI55PFo
 子どもは、もともといい子になりたいそうだ。その証拠に、教科書を書くほどの知識人がこう書いている。

 『生まれたときから「わがまま」「犯罪」「非行」といった問題を起こす子どもたちはいないのです。』(「社会的養護」小池・山縣、2012)

 そうだとしたら、犯罪者個人が悪いわけではなくて、犯罪者を生み出してしまった周囲が悪いことになる。細かく言うならば社会教育、あるいは環境。
 僕はあいにく、教育も十分過ぎるほど受けているし、環境だって、放射能を別にすればずいぶんと住みやすい地域に住んでいると思う。
 ラスコーリニコフだって教育を受けたし、環境だって整っていると言えば過ぎるけれど、食べ物には困らなかった。
 しかし結局のところラスコーリニコフは老婆を殺した。
 僕は読書感想文の題材として、十一歳の夏にラスコーリニコフの長すぎる苦悩を懸命に読んだ。読み終わった後は、形容しがたい脱力感で文章なんか書くどころじゃなかったのを覚えている。けれど、僕は読みきった。そうしないと、山田の分の読書感想文が書けずに、また一つ僕を許してくれない理由が増えるから。
 …………

 ∇

 私は、ぬるいビールを飲みながら大学ノートを捲っていた。そして、半開きの窓の隙間から流れ込むそよ風を待っていた。
 窓の外は長閑(のどか)に照っていて、西日の明かりが入り込んだり、隠れたりしている。庭に植えてある名前も知らない木々がそよいで揺れて、日光を邪魔しているせいだ。私がノートから目を上げたのも、日光が木々のゆらぎに遮られて読書が邪魔されたからだった。
 5月の夕方は日を重ねるほど長くなってゆく。
 午後4時といえども、まだ外は明るく、気温も下がる気配はない。穏やかな風が心地よく感じるぐらい麗らかだったから、引越しの最中に読書に耽っても仕方がないでしょう?
 そう、私はたった今、引越しの最中だった。
440 :滑稽な西日1/8(訂正)(お題:秘密基地) ◆xaKEfJYwg. [sage]:2012/05/31(木) 01:28:07.45 ID:utSI55PFo
 子どもは、もともといい子になりたいそうだ。その証拠に、教科書を書くほどの知識人がこ
う書いている。

 『生まれたときから「わがまま」「犯罪」「非行」といった問題を起こす子どもたちはいな
いのです。』(「社会的養護」小池・山縣、2012)

 そうだとしたら、犯罪者個人が悪いわけではなくて、犯罪者を生み出してしまった周囲が悪
いことになる。細かく言うならば社会教育、あるいは環境。
 僕はあいにく、教育も十分過ぎるほど受けているし、環境だって、放射能を別にすればずい
ぶんと住みやすい地域に住んでいると思う。
 ラスコーリニコフだって教育を受けたし、環境だって整っていると言えば過ぎるけれど、食
べ物には困らなかった。
 しかし結局のところラスコーリニコフは老婆を殺した。
 僕は読書感想文の題材として、十一歳の夏にラスコーリニコフの長すぎる苦悩を懸命に読ん
だ。読み終わった後は、形容しがたい脱力感で文章なんか書くどころじゃなかったのを覚えて
いる。けれど、僕は読みきった。そうしないと、山田の分の読書感想文が書けずに、また一つ
僕を許してくれない理由が増えるから。
 …………

 ∇

 私は、ぬるいビールを飲みながら大学ノートを捲っていた。そして、半開きの窓の隙間から
流れ込むそよ風を待っていた。
 窓の外は長閑(のどか)に照っていて、西日の明かりが入り込んだり、隠れたりしている。
庭に植えてある名前も知らない木々がそよいで揺れて、日光を邪魔しているせいだ。私がノー
トから目を上げたのも、日光が木々のゆらぎに遮られて読書が邪魔されたからだった。
 5月の夕方は日を重ねるほど長くなってゆく。
 午後4時といえども、まだ外は明るく、気温も下がる気配はない。穏やかな風が心地よく感
じるぐらい麗らかだったから、引越しの最中に読書に耽っても仕方がないでしょう?
 そう、私はたった今、引越しの最中だった。
441 :滑稽な西日2/8(お題:秘密基地) ◆xaKEfJYwg. [sage]:2012/05/31(木) 01:30:14.00 ID:utSI55PFo
 引越し風景の例に漏れず、目の前には茶色した小汚いダンボールの山々で部屋が狭い。移動
する足場もないほどだ。
 それだけ荷物が多いということで、それと同時にゴミも多いということでもある。……あま
りにも勢いよく私のモノが押入れからわんさか出てくるので、[たぬき]を思い出したほどで
あった。多量の荷物とゴミ……そのゴミの方の紙類の山の中に、私が小学生の時に書いていた
日記帳を見つけた。
 日記帳は誰でも知っているキャンパスノートで、たぶん当時大学生だった兄から貰ったもの
である、と記憶している。
 表紙に黒のマジックペンで大きく6年2組と書かれてあり、下の左隅に「1」と書かれてい
る。そのほかにはコーヒーの茶色いシミや消しゴムの黒いカスが十四年も剥がされずに辛そう
な様子でこびりついている。
 数ページしか書かれていないまだ使えるノートだった。
 けれど、適当に開いたとたん再利用することを止めた。
 適当に開いたページに書かれていた文章は、そのころに読んでいた小説に影響されているみ
たいで悪い方向に背伸びをしていて確かに見るに耐えないものだ。けれど、問題はそのことじゃ
ない。問題は「山田」という文字が書かれていたことである。
 私は目を細めて唇を噛み締める。
 やはり、下のほうに大きく書かれた「山田」という文字だけは素直で、その筆跡もまた、ど
こまでも辛そうだった。

 「山田」はいい子だった。それは彼女の両親にとってのいい子であり、俗人の欲求におもね
ったいい子だった。それが本人が纏う雰囲気の全てである。
 もっというと、愛想が良く、行動力があり、リーダーシップがあって、年上を理解して尊敬
しようとする姿勢があり、人のいいところを見つけることが出来た。……おまけに男にたいそ
うモテた。
 当時私は人に好かれようとしていなかったから、休みたいときに休み、人混みを嫌った。結
果、誰からも好かれない代わりに、誰からも嫌われなかった。
 そんな正反対の立場である山田と私には、共通点などなかった。
 けれど、山田は私を受け入れ、私は山田のためにいい子になろうと決めた。
442 :滑稽な西日3/8(お題:秘密基地) ◆xaKEfJYwg. [sage]:2012/05/31(木) 01:32:02.91 ID:utSI55PFo
 △

 西日の明かりが眩しかった。とても眩しすぎて目がくらみ、右横を走り抜ける車のエンジン
音しか僕を楽しませる変化はない。通学路には長い坂の起伏が一箇所あり、いつも帰る時間帯
(特に夏の間)は、坂を登りきるまでのあいだじゅう西日に目を攻撃され、不快な気持ちにな
るのがいつものことだった。これも、後二年の辛抱だ。中学校は、西日に攻撃されない学校を
選んで進学するのだ。
 車の通り過ぎる音に耳を傾けていると、不意に後ろからのびのびとした気持ちのいい声がした。
「かーの! 次はお前の鬼だぞお」
 僕は声のしたほうに振り返る。鹿野は僕で、その僕の名前を呼び掛けたのは紛れもない山田
だった。
 僕はまじまじと彼女の姿を検分した。本当に山田だろうか、と思ったのだ。普段の彼女だっ
たら、そんな言葉遣いをしない。だから、時間をかけて彼女の髪型と服装を調べた。
 しかし、彼女は水いろの涼しげなワンピースをすとんと来ていて、頭の両端から三つ編みが
ぶら下がっていた。彼女の姿どれもが、声でさえも山田本人であることを事実と主張していた。
「かの! 鬼だから、言うこと聞かなきゃだめだかんね」
 山田の言いたいことを数秒かけて考えて、僕はようやっと彼女の言っている言葉の意味を理
解した。
「こんなところに日陰はないよ。だから、すぐに山田さんが鬼になっちゃう」
 彼女は、右足で何度も僕の影を踏んで、叫び続けた。
「ルールは守らなきゃだめ」
「でも、ぼ……私は、ゲームを始めた覚えはないから」
 そんな僕の言葉は彼女には届かないようだった。いや、届いてはいるが受け取るのを拒否し
ているようだった。
「私を捕まえたら、なんでも言うことを聞いてあげる。その代わり捕まえれなかったら、なん
でも言うことを聞いて」
 そういった途端、山田は一目散に走り出した。僕はあっけにとられて、山田が起こした風で
汗が乾ききるまで、動くことが出来なかった。
 要するに、長い間彼女を追いかけようか、どうしようか迷ったのだ。
443 :滑稽な西日4/8(お題:秘密基地) ◆xaKEfJYwg. [sage]:2012/05/31(木) 01:33:49.92 ID:utSI55PFo
 ∇

 私は、日記帳を放り投げて、空き缶の底に少しだけ残っているビールを飲み干した。日記帳
はフローリングの茶色い床の上に居場所を確保している。日記帳には帰る場所がないのだ、続
くナンバーがないのだから。
 茶色ばかりで嫌気がさしたので、携帯電話と財布と煙草とライターを持って、玄関の靴を履
いた。
 外にでて、靴のつま先を蹴っていると、鍵を忘れたことに気がついた。
 けれど、そのまま歩き出すことにした。部屋の中に入られて困る物はなにもない。むしろ、
私にとって困るに足るものは何もない。

 始めに言っておく。私はレズで処女で、クリトリスを弄られたらすぐに性交が終わってしま
うほどの不能者で、そしてフェミニストを嫌っている。
 理由はいくつか上げることができるが、大きな根っこは一つだ。
 ――どうせ媚びるなら、女がいい。
 ということだ。
 だってそうでしょう? 男に媚びても、共感されることは決してないんだもの。
 女は左脳で考えるし、男は右脳で考える。男女共同参画社会の本質が実現されていないのも、
きっとそういうこと。
 だから私は、「山田」に会うことの出来る秘密の場所に向かって歩を進める。

 △

 僕が山田の影を踏もうと追いかけている間、景色はぐんぐんと変わった。
 西日の眩しい上り坂を降りて山田と僕は、左手にある天神山(地元のちっちゃい山)の麓
(ふもと)の道路を勢い任せて走り続ける。
 夕日に照らされながら、目の前の彼女は楽しそうに両手を伸ばしてトンビみたいに駆け抜け
ている。本当は下り坂の延長線上を真っ直ぐ行くと僕の家のある市街地の入口だった。けれど、
まだ行ったことのない景色を目掛け走り抜ける山田を見て、言いようのない気持ちを感じて、後
を追いかけ続けた。
444 :滑稽な西日5/8(お題:秘密基地) ◆xaKEfJYwg. [sage]:2012/05/31(木) 01:36:16.89 ID:utSI55PFo
 山田は、天神山の頂上地点まで駆け抜けると草の上に大の字になって寝転んだ。僕は、寝転
んでいる山田の傍までいって、左側に同じように寝転んだ。草っぱらの匂いが心地よかった。
 頂上は気持ちのいい場所だった。街々から吹き上がる穏やかな風が汗を拭き取って、風景を
見る最高の状態に仕上げてくれているみたいだ。その実、ここから見下ろす街並みは、素敵だ
った。だってあんなに威圧的な団地が小ぢんまりとしているし、僕らの鳥籠である学校でさえ、
小さな箱のようなんだから。
「……私って、いい子でしょ」
 僕は切れ切れになった息遣いに混じえて、できる限りの相槌を打った。
「いい子になんか、なりたくないの」
「い、いい子になんか……なりたく、ない?」
「うん。パパやママの言ういい子はいい子じゃない。だって、人の言うことを聞くばかりの人
は、一人だって教科書に載ってなんかないのよ?」
「う、うん」
 僕は山田の言っている言葉の意味が分からなかった。少し怖くなって、山田のほうを盗み見
た。彼女の鼻腔は大きく膨らんだままだった。
「そ、そんなに嫌だったの?」
 山田は僕からの以外な質問に、思わず気の抜けた返事をした。
「なにが?」
「えーっと……」
 山田は、左の肩肘を着いて、左に寝転んでいる僕の顔を無遠慮に覗き込む。僕ば恥ずかしい
気持ちを押しとどめて、彼女の顔を見つめた。
 そのときの彼女の顔は、とても可愛らしかった。普段の絵画のような整った美しい顔立ちは
粘土を思い思いに捏ねて形作ったみたいに歪みきっていて、けれどむしろそれが無邪気な微笑
みと純粋な好奇心とでできた無防備な表情に映って見えたのだ。
 僕が山田の不細工な表情に心を奪われて何も言えないのをいいことに、彼女は言葉を重ねた。
「私は、いい子になるために生まれたの。人は誰だってそう。だから、私はみんなにいい子だ
って思われるように頑張って生きてる」
「うん」
「でも、みんなはそんな私を『無理してる、本当は家の中はめちゃくちゃなんだ』っていう」
「うん」
445 :滑稽な西日6/8(お題:秘密基地) ◆xaKEfJYwg. [sage]:2012/05/31(木) 01:37:06.01 ID:utSI55PFo
「ねぇ、私って無理してると思う?」
「分からない。けど、ぼ……私は無理してる。……みんな思っちゃうんじゃないかな。誰もが
自分と同じ人間なんだって。弱いところがあって、泣いたりするもんなんだって」
「私だって人間よ。弱いし、泣くこともある」
「どんなときに泣くの?」
「私だけの秘密の場所まで友達になりたい人を案内したのに、それでも心をゆるしてもらえな
いときよ」
 山田の顔がくしゃっと縮んだ。
「私、死にたい」
 鼻腔からきらきらした綺麗な水が流れ出て、眼球が潤んで光っている。
 僕は、どうしていいかわからなくなったから、両腕で彼女の両肩を挟んで引き寄せた。
「山田さんが死ぬなら、僕も死ぬよ」

 ∇

 出会いはどうもドラマティックに覚えているのだけれど、別れは読み終わった漫画本のよう
に滑稽なものだ。
 結果をいうと、山田は自殺した。実家の一室で首を吊った。
 私が彼女を両肩を引き寄せたって、彼女の笑顔に手を振ったって、何一つ変わらなかった。
 私は相も変わらず歩を進め続けている。目の前に大きな坂が見えた。ここを、山の麓に沿っ
て右折する。
 途中、何度か犬を連れた老人を見かけた。
 そして私は、山の頂上で糞をして気持ちよくなっている犬の姿を思い描いた。

 △

 山田は首元にうずくまりながら、僕の膨らみ始めた胸を掴んだ。
「……かのが羨ましい」
「どうして死にたいなんておもうの?」
「……」
446 :滑稽な西日7/8(お題:秘密基地) ◆xaKEfJYwg. [sage]:2012/05/31(木) 01:39:59.19 ID:utSI55PFo
「ぼ、私は羨ましいって思われるほど、まともな人間じゃないよ」
「どうして?」
「どんなことも、どうしても一生懸命になれないんだ」
 なされるがままに受け入れる僕の様子に、山田は満足して、まさぐっていた僕の乳房の先を
つねった。
「言うことを聞いて」
「うん、いいよ。どんなことだって言うことを聞く。約束だもんね」
 何故か、僕の心には不思議と一緒に死のうと言われても受け入れる準備が出来ていた。それ
が僕をみっともない姿にすることでも。
「こそばゆいことでも我慢する。それで、山田さんが生きてくれるなら」
 彼女が居なくなってしまうことが嫌だったわけじゃない。本当は、こうした時間を過ごした
彼女が自殺してしまうということがどうしようもなく怖かっただけなのだ。
 山田は、三編みを指で丸めながら、僕の乳首をさらに強くつねった。
 なんにも反応しない僕を見て、無表情でこういった。
「私は、明日死ぬわ。あなたは一生涯生きれなくなるまで、生きるのよ」
 その顔は、自殺の告白では決してなく、僕を永遠に[ピーーー]ための憎悪に満ちた一言だった。
 その一言は、団地が小ぢんまりとして見えて、鳥籠である学校が小さな箱に見えるこの山の
上で、唯一大きかったのだ。
 山田は、言ったとおり次の日の朝自宅で首を吊って死んだ。彼女が死んだ理由は、親でさえ
も見当がつかなかった。もちろん、僕にも。

 ∇ 

 山田という名前も十四年経った今では何の意味も成さない苗字の一つになってしまった。
「山田」という苗字はたった二十六年間の短い人生の中で7人も出会っており、私にとっての
二番目の山田は自殺した、という議事録みたいな一文だけ記憶になって残った。
 少し冷ための風が私の首元を撫でた。道の両脇に植えられている木々がざわついている。
 頂上にたどり着くと、紐を持った老婆が立っていた。西日に当てられて光り輝いている。私
は、老婆に何か声をかけようと思案した。
447 :滑稽な西日8/8(お題:秘密基地) ◆xaKEfJYwg. [sage]:2012/05/31(木) 01:40:40.72 ID:utSI55PFo
 もうここは秘密の場所でもなんでもない。二番目の山田は、ついぞ何を私に伝えたかったの
か分からぬまま死んでしまった。彼女が残したものは、私の偏った性癖と目に見えない首輪だ
った。そう、あの老婆の握る紐のように私の首輪には紐がぴんと張っているのだ。
 目の前の光り輝く老婆は、手元に握られている紐を引っ張った。そして、丘の下からやって
き、姿を表したのは犬だった。
 犬は立ち止まり、小刻みに震えると、糞をして元気よく吠えた。
 そのとき、私の首に嵌っていた首輪が溶けて、消え去った。
 気づけば老婆の後頭部目掛けて拳を固めて走っていた。

 END
448 :訂正 [saga]:2012/05/31(木) 01:53:03.11 ID:utSI55PFo
[たぬき]→ドラえもん
[ピーーー]→殺す
読み替えてくださると嬉しいです
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/05/31(木) 12:20:24.33 ID:G+WX7c2AO
>>438
面白い
言い回しも良かった
分かりやすい丁寧な表現で苦もなく情景が浮かんでくる
文章のリズムもいいけどそれだけじゃなくて起伏もあるからドキッとさせられた

さすがにお題と投下の間隔が短いからか、誤字脱字が何ヶ所かあるみたいだけど
思いもしなかった秘密基地をありがとう
投下お疲れさまでした
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/31(木) 18:15:07.08 ID:XfHG2Py5o
>>449
お題と感想ありがとう
誤字脱字があっても最後まで読んでくれて嬉しいです
書きたい要素をまとめているうちに良くわからんくなって
きっと伝わんなかったと思うけど、やっぱ楽しかった
これからもちょくちょく来ます
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/31(木) 20:03:52.08 ID:cl5X6h2AO
人物が生きてるな
自分もこういうの書きたい
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/31(木) 20:16:43.54 ID:ixpfuXpLo
VIPでやってたころに貰ったかなり前のお題のやつでも
ここに投下してもええの? フォルダ漁ってたら書きかけのがあったんだが
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/05/31(木) 20:17:26.41 ID:XCaBG+obo
ダメって言ったらどうするの?
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/31(木) 20:18:16.86 ID:cl5X6h2AO
どうぞどうぞ
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/31(木) 20:22:30.30 ID:ixpfuXpLo
>>453
なんとなく、SS速報のこのスレ上で貰ったお題じゃないとだめなのかなと思って
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/05/31(木) 20:27:36.79 ID:G+WX7c2AO
>>455
大丈夫じゃない?
文才スレなんだから
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/31(木) 22:18:59.60 ID:0BhObzPWo
>>455
>>456
※※※注意事項※※※
 容量は1レスは30行、1行は全角128文字まで(50字程度で改行してください)
 お題を貰っていない作品は、まとめサイトに掲載されない上に、基本スルーされます。
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/31(木) 22:20:03.97 ID:0BhObzPWo
途中送信

ということなので別に平気じゃないでしょうか
459 :卒業式(お題:パイプ椅子)  ◆Qfu.mTwFskGG [sage]:2012/06/01(金) 09:25:01.90 ID:wtElJCM/o
投下します
460 :卒業式(お題:パイプ椅子)  ◆Qfu.mTwFskGG [sage]:2012/06/01(金) 09:27:30.83 ID:wtElJCM/o
目を覚ました男の目に最初に飛び込んできたのは見覚えのある校章だった。
左右に暗幕の束を携えた舞台の上方に、その校章は掲げられている。
舞台の上は閑散としており、ありがちな表彰台だけがぽつりと置かれていた。
舞台から少し左へ目を逸らすと、そこには校歌の書かれた木の板が壁に掛けられている。
何故それが校歌だとわかったかというと、男はその歌詞に見覚えがあったからだ。
それは男が十年ほど前に卒業した小学校のものであった。
記憶が定かではないが、先ほどの校章も男の卒業した小学校のそれと類似しているように思われる。
ここはあの小学校の体育館なのだろうか。
男は下の向いて考える。
ワックスの塗られた床は遥か天井に吊るされた無数の照明の光を乱反射し、いくつかの影を映していた。
そのどれもがパイプ椅子に座った男の足元から伸びたものである。
赤、青、緑、黄、色とりどりのテープによって様々なコートが形成されている。
当時は何を指しているのか見当もつかなかったが、今ではそれぞれがどの球技に使われるものなのか手に取るようにわかる。
男は意味もなくその中の一つを目でなぞりながら、自分が置かれた状況を整理しようとしていた。
今朝はいつものような締まらない目覚めだった。南側の窓から差し込む日差しが眩しかったのを覚えている。
朝食とも昼食ともいえない中途半端な時間に適当に見繕った食事を取った後、数時間の記憶がない。
しかしこれはいつものことだ。おそらくインターネットかテレビで意味もなく時間を浪費していたのであろう。
その後、太陽が100度の角度を通過した頃、男は気晴らしのため散歩に出かけた。
記憶が残っているのはそこまでだった。
何度思い返してみても男がここにいる理由は見つからなかった。
男はパイプ椅子から腰を上げ、緑の線を徒に辿って歩いてみた。
スニーカーが擦れ体育館特有の甲高い音が響いた。
461 :卒業式(お題:パイプ椅子)  ◆Qfu.mTwFskGG [sage]:2012/06/01(金) 09:29:37.87 ID:wtElJCM/o
体育館には扉が三つあったが、そのどれもが硬く閉ざされていた。
体育館の半面を四角く描くように歩き再びパイプ椅子へ戻る。
答えは未だ出ない。
疑問はどのようにしてここまで移動して来たのかという所に帰結した。
この体育館があるはずの場所は男が暮らしていた街からは遠く離れていた。
男が生まれたのは海の見える小さな港町だった。子供の少ない町では皆が兄弟のようであった。
少ないながらも硬い友情で結ばれた仲間と共に、男は潮風に吹かれながら海へ、山へと忙しい毎日を送っていた。
だが、そんな生活も永遠には続かなかった。
小学校を卒業するのに併せて、男は両親の都合により生まれ育った町を離れることとなる。
移り住んだ先は今までとは比べ物にならないほど人に溢れた都会だった。
木々の代わりにビルが立ち並び、海の代わりに車が犇く様はまさに異界だった。
そうした環境に男が適応出来なかったのは言うまでもない。
最初は男の周りにも多くの人が集まった。
しかしそれは転校生という看板に吸い寄せられたに過ぎなかった。
月日が経つにつれ、一人、また一人と男の元から人々は離れていった。
こうして世界は男から笑顔を奪い去った。
残されたのはただ与えられるだけの日々だった。
元来真面目だった男はひたすらに勉学に励んだ。
それはまるで何かから逃げるかのように。
夢も目標もないままに高校、大学へと進んでいった。
気付いたときは男の元には何も残っていなかった。
大学を卒業したとき男に与えられた称号は『ごく潰し』だった。
以来男はただ時間を消費するだけの生活を送っている。
462 :卒業式(お題:パイプ椅子)  ◆Qfu.mTwFskGG [sage]:2012/06/01(金) 09:30:35.31 ID:wtElJCM/o
思い返してみれば実に碌でもない人生だった。
男は天井の照明を目を細めて見つめながら小さくため息をついた。
「気分はどうですか?」
突然背後から甲高い声が聞こえた。
慌てて振り向くと、どこから現れたのか一人の少年が佇んでいた。
安っぽい半袖、半ズボンを身につけた少年の表情は深く被った鍔付帽子で隠されて判然としない。
「誰だ、お前は。どうして俺はこんなところにいる」
少年に得体の知れない恐怖を覚えつつも男はこの不可解な状況の疑問をぶつけてみる。
少年は男の質問には答えず、一つの扉を指差して言った。
「出口はあの扉です」
それは到底少年とは思えない事務的な口調だった。
少年は他に何も言わず、ただそこに立ち尽くし、男を見ていた。
男は考えあぐねていた。
表情を読み取れないために少年の真意を掴むことが出来ない。
463 :卒業式(お題:パイプ椅子) 4/5  ◆Qfu.mTwFskGG [sage]:2012/06/01(金) 09:32:18.21 ID:wtElJCM/o
「お前は、何者なんだ。俺は、どうしたら良い」
駄目で元々と、男は再び少年に問いかけてみる。
「ぼくからは何も言う事は出来ません」
少年の肩が微かに上下した。
「ただ、ぼくはとても残念です。あなたはこんなところで何をしているんですか?」
少年は変わらず平坦な調子で言った。
その態度が男の焦りを逆撫でした。
「何をしているだって?俺は自分の意思でこんなところに来たんじゃない」
「そうでしょう。あなたにそんな勇気があるとは思えない」
「どういう意味だ、それは」
男の握り拳に力が入る。
「そのままの意味ですよ。あなたみたいな受動的な人が自らこんな場所に来るわけがない」
「知ったような口をきいてお前に何がわかる」
男の拳に微かに血が滲んだ。
「わかりませんよ、わかりたくもない。どうしてこうなってしまったんですか?」
男は限界だった。
パイプ椅子から立ち上がった男は少年の胸倉を掴み、その顔に口を近づけ叫んだ。
「ふざけるな。そんなことは俺が訊きたい」
少年の顔が傾き、初めてその表情が露になる。
それはまるで迷子の子供のような顔だった。
男をあざ笑うでもなく、男に怯えるでもなく、ただただ悲しいものを見るような表情だった。
少年は何も言わず男の目をひたすら見つめいる。それはまるで何かを訴えているかのようだった。
「わかったよ」
男は少年から手を離し、小さく舌打ちをした。
そして踵を返すと真っ直ぐに少年の指差した扉へと向かっていった。
扉は先ほどは違いすんなりと開いた。
扉をゆっくり開けながら振り返ると、子供らしく笑う少年の顔が見えた。
464 :卒業式(お題:パイプ椅子) 5/5  ◆Qfu.mTwFskGG [sage]:2012/06/01(金) 09:33:18.47 ID:wtElJCM/o
目を覚ました男の目に最初に飛び込んできたのは見知らぬ天井だった。
しかしながら白く無機質なそれに男は心当たりがあった。
白いベッドに白い布団、薄花桜色の病院着。
傍らに立てられた点滴の管は男の左腕へと続いていた。
その隣にはパイプ椅子に座った初老の女性がこくりこくりと首を揺らしながら眠っている。
「母さん……」
男の小さな呟きで女性は目を覚ました。
女性は細めた目を少し擦ると、今度はその目を大きく見開いて勢いよくパイプ椅子から立ち上がった。
「先生!息子が、息子が……」
部屋の扉の方へ要領を得ない叫び声をあげた女性が再び男の方を振り向く。
「よかった……。本当によかった……」
女性は安堵の声を漏らした。
そこで男はやっと自分の身に何が起こったのかを思い出した。
あの日、散歩に出かけた男は運転を誤った車に突っ込まれたのだ。
医師の話によけば、頭を強くぶつけた男はしばらく生死の境を彷徨っていたらしい。
状態はしばらくして安定したが、今の今まで意識を失っていたということだ。
カレンダーはあの日から丁度一ヶ月後の日付を示していた。
数日の検査の後、男は退院した。
後遺症が残ることもなく、事故に会う前と変わらず生活を送っていけるだろうと医師は言っていた。
それから数ヵ月後、男は小さな港町の卸売業を営む小さな商店に就職した。
給料は男が卒業した大学の同期から見たらささやかなものだったが、男の顔は何時になく生き生きとしていた。
引越しの準備をするために部屋の片付けをしていると古ぼけたアルバムが押入れの片隅から姿を現した。
そこには自分と同じあの日の少年が写っていた。
465 : ◆Qfu.mTwFskGG [sage]:2012/06/01(金) 09:35:08.43 ID:wtElJCM/o
以上です
最初番号付け忘れてて、途中から苦し紛れで付けてるけど意味ないよね
本当スミマセン

感想とお題モトム
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/01(金) 18:11:05.64 ID:ZBdR5mc6o
>>459
読んだ。読解力がなくて何度も読み直してしまった
最後の文章の
>自分の同じあの日の少年
は、自分が写っている写真に「あの日の少年」が写っていたのか
「あの日の少年」そっくりの自分が写真に写っていたのかが分からない
お話の大事な部分っぽいから、そこだけは明瞭に、丁寧に説明して欲しかった

きっと、アウトラインは決まっているけど、細部が決まってないまま
書き進めたんじゃないかなって思う。なんかそんな気がした

お題だったらUSBメモリでお願いします
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/01(金) 18:13:31.46 ID:ZBdR5mc6o

ごめん訂正
>自分の同じあの日の少年×
>自分と同じあの日の少年○
指摘しておいて書き抜く文章間違えるなんて……とんだ失礼してしまいました
ご無礼お許しください
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/01(金) 22:08:51.94 ID:2zl4wC6AO
>>459
くすぶっていた主人公の転機が事故と夢の内容だけだと弱い気がしたな
タイトルと導入部の場面のチョイスがノスタルジックな感じで好きだ
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/02(土) 03:21:17.66 ID:/r0WhNK3o
お題をください。
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/02(土) 06:51:50.95 ID:XwypTS8Lo
感想ありがとうございます

>>466
お察しの通り内容に関しては碌に話を練らずに書いてしまいました
書いてる間に自分の中では話が纏まってきたんですけど行き当たりばったりで上手く伝わってないようですね……
最後の一文については敢えて色んな意味に取れるように書いたつもりです
しかし前者のように取らせるつもりはなかったのでもう少し言葉を選ぶべきでした
お題把握しました

>>468
自分の中では筋が通ってるつもりでしたが、それを人に伝えるのは難しいですね
今回は内容よりも背景の描写に力を入れたので雰囲気が伝わっているなら幸いです
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/02(土) 07:10:12.82 ID:w+YtcI0AO
>>469
開かずの間
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/06/03(日) 12:00:57.56 ID:Jq+O5Iyv0
お題ください
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/03(日) 12:24:26.98 ID:PLcdoRHGo
>>472
力ずく
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/04(月) 19:46:45.72 ID:t7WfyXjAO
お題ください
前に貰ったお題がなかなか消化できないので平行して進めたい
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 20:12:14.25 ID:1sxumPyeo
もち肌
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 20:44:09.72 ID:t7WfyXjAO
>>475
thx
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/06/06(水) 20:50:29.24 ID:4njWC0Vho
お題ください
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 20:56:16.53 ID:sWE/8MXSO
珈琲と泥水の違い
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/06(水) 21:02:53.83 ID:4njWC0Vho
>>478
把握
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/07(木) 23:13:43.14 ID:JQo+vpNP0
お題下さい
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/07(木) 23:20:36.84 ID:UIYHf+f7o
>>480
見破る
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/07(木) 23:23:37.31 ID:JQo+vpNP0
>>481
ありがとうございます
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/06/08(金) 01:45:51.25 ID:KP45egqk0
昔好きだった人のツイッター見たらモヤモヤして寝れそうにないのでお題下さい
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 01:47:40.71 ID:vY1/s0pM0
愛すべき馬鹿
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 01:48:43.56 ID:8i1g+MvSO
シーソーゲーム

てかお題ばっかだけどどのくらいたまると話になる感じ?
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/06/08(金) 01:58:32.06 ID:KP45egqk0
>>484 >>485
お題ありがとうございます。出来うる限り両方を上手く絡めた話ができるように心がけて作業に入ります。
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/06/08(金) 03:44:19.99 ID:KP45egqk0
通常作品2レス投下します
488 :バカップル(お題:愛すべき馬鹿 ・シーソーゲーム) 1/2 :2012/06/08(金) 03:45:30.55 ID:KP45egqk0
昼休憩に入る事を告げて更衣室に急ぐ。
やっぱり、ロッカーの中では彼女からの返事が短く点滅していた。
微笑ましい言葉一つ一つに頬が緩ませながら、内容のあらましを頭に入れて携帯を閉じる。
彼女の言葉がしみた脳には光らなくなったランプすら愛嬌のある瞳のように思えて愛らしい。
なんと返事しようか考えながらコンビニの弁当を開く。
どんな言い回しなら一番ウケてくれるか頬の閉まりに気をつけながら咀嚼する。
こんな時、本当に世の中が便利で良かったなんて事を考えてしまう。
僕と彼女の距離は新幹線の力を借りても数時間。
僕の力だけでは決して叶えられない距離を結んでくれる携帯電話。
俗に言う“遠距離”の僕達を近づけてくれるインターネット。
科学の力が無ければ出会えなかった二人なんてちょっとしたSFなんじゃないだろうか。
丁寧に蓋を閉じて、袋の口も縛ってから携帯を開く。
返事には誤字も彼女の言葉の引用の間違いも許されない。意図的にする事で彼女の反応を引き出すことはあっても、
凡ミスでというのは僕自身の美学が許さない、頭の悪い男だなんて思われたくないもの。
顔文字やスラングも使わないし好まない彼女はぶっきらぼうにも見えて友人の評価はイマイチだけど。
知性的で不器用。そんな所も可愛らしくて大好きだから、僕はずっとふさわしい男であり続けたい。
携帯を閉じて席を立つ。
次は仕事が終わるまで携帯をチェックできない。
僕の返事になんて応えてくるだろう。頭の良い彼女の返す刀は僕の甘い所を見逃さないで切り込んでくる。
意地っ張りで負けず嫌い、彼女は本当にSo Cute。
もちろん彼女が気付くだろう隙もさっきの返事に盛り込んだ文章だけど、彼女の独創性は稀に想定外の反応を見せる時がある。
予想通りな彼女、想定外な彼女、いくつもの面を見せてくれる彼女の魅力。
返事を想像するだけで、退屈なルーチンワークもあっという間に過ごせる。
ポケットの中のランプを撫でながら作業場に戻った。
489 :バカップル(お題:愛すべき馬鹿 ・シーソーゲーム) 2/2 :2012/06/08(金) 03:46:50.88 ID:KP45egqk0
就業時間の後半は割りと暇だったので彼女と今までを反芻してた。
ずっとずっと彼女の言葉に僕が返し、それに彼女がまた返す。
彼女の言葉全てを思い出せるなんて事はないけども、彼女からの返事は全てテキストに起こして家のPCにバックアップしてある。
呆れるほどに僕は彼女に夢中だ。彼女にもそうであって欲しいと努力は惜しまない。
何度も繰り返して振り子のように刻んできた二人の時間。
プライドが高くて、なかなか本音を言ってくれない時もあったけど。それでも続く続いてく二人の時間。
作業場からの暗い廊下を歩きながら彼女との時を確信する。
僕らを繋ぎ続けてくれたロッカーの中の携帯に感謝しながら扉を開く。
金属の箱の隅で潤んだ淡い光が点滅を繰り返してる。

「もうやめてくれませんか?」
「人の挙げ足ばかりとって」

普段の彼女が他人からは冷静にしか見られないけども、実はとても感情豊かな事を僕は知ってる。

「それは物の例えです。ネチネチと詭弁ばかり」
「あなたがどこの誰だか知らないですけど、よっぽど暇なんですねニートか社会不適合」

普段の彼女が理路整然と喋るから他人から理性的に見られるけども、実は感情的で起伏の激しい事を僕は知ってる。
普段、彼女が周囲の人間に本音を漏らしたりしないけども、実は吐き出さないといられない脆い事を知ってる。
その捌け口が僕じゃなくなった頃から、ブログを始めていた事も、今は知ってる。
ブログが僕じゃない男との罪悪感を吐き出す場所になったのも、付き合ってた頃に知った。
僕の言葉に決して本気で応えてくれなかった。投げたボールは宙を切り、ボールは返って来ない。
手応えの無いシーソーを全力で揺らしてた馬鹿の頃より、今の僕らはずっと充実してる。
彼女がとっくに降りてしまっていたと気付いた時から始まったシーソーゲーム。
彼女が彼氏に揺れる。
二人の恋に揺れるブログ。
彼女が揺らして僕が揺らして、行ったり来たり。
馬鹿と本音を乗せたまま、今度は中々終わらない。
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/06/08(金) 03:49:57.49 ID:KP45egqk0
以上です。時間掛けてもこのぐらいの長さしか書けませんでした。
なるべく小気味良く落としてみようと思って書きましたので出来るだけ辛口の感想頂けたら嬉しいです。
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/08(金) 05:15:31.31 ID:CHPt+p4DO
他人の文章読んで感想書くのって久しぶりだから結構難しいな
小気味よく落とすという作者の意図通り、スンナリ読めましたけど、
そのまま特になんの感慨もなく終わってしまったという印象。
お題にこだわりすぎてるのかな。
お題の単語に沿った話、というよりただの男の独白を書いただけになってしまってる気が。
個人的にはお題なんて隠し味程度で、最悪お題どこだよって勢いでいいので物語を読ませてほしい。

あと気になったのが文章。
とても詩的というかなんというか。
良い悪い合う合わないは分かりませんが、私は好きじゃありません。
レス数が少ないのもありますが(ここは別に問題ではない)、小説を読んだという気になれない文章だと思いました。
ただ、気持ち悪い男の詩的な独白としてはサブイボが起つような臭さはなかったのが救いでしょうか。
嫌悪感はなく読めましたよ。

すいません。全て個人的な主観に基づいた感想なってしまいました><
2レスで読みやすい文章ですので、ここを覗いてる他の方もどんどん感想書いてあげてください。
>>490さん。次の意欲作も心待ちにしております!
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 06:30:52.49 ID:mJuqeFOAO
男の一方的な独白にどんでん返しを期待してしまった
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 14:43:06.63 ID:apAscEdoo
>>490
誰かの日記を読んでいるような気分になりました
そんなことあったんだね、っていう

愛すべき馬鹿で調べたらニコニコ大百科?が出てきて、「馬鹿だけど、どこか憎めない」などの人物がそれに該当するとありました
そういうのをちょっと期待していたのがなんだか予想外のほうに。申し訳ありませんが、少し落胆しました。
分かりやすいものでなければ、あらかじめお題の意味を調べた方がいいかもしれません

とはいえ、かなり口語的ではありますが文章に間違いは見当たりませんし、ことばの選び方もあいまって読みやすいものでした
これくらい書けるなら、話の構成だけしっかりしていれば、面白い物語が書けると思います
ただ、口語的すぎるのもよくないので、たとえば「してた」を「していた」等に直した方がよいのでは?
よい文章が書けるよう、頑張ってください。
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/08(金) 16:03:32.66 ID:rpeQXJZ70
ささやかながら投稿→感想の流れが続いてていいね。
僕にもお題ください。
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/06/08(金) 16:06:10.21 ID:gt0ZAmLMo
>>494
興亡
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/08(金) 17:19:53.99 ID:rpeQXJZ70
サンクス!
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/06/08(金) 18:39:13.22 ID:vVAlvEvAO
地の文をつける練習として、お題をください。
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/06/08(金) 18:43:35.31 ID:gt0ZAmLMo
>>497
夕暮れの川原に面した土手に座る男女
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/06/08(金) 18:59:51.82 ID:vVAlvEvAO
>>498
ありがとうごぜーます。

目標:地の文の行数/4>それ以外
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 21:00:00.06 ID:8+9w+0mAo
お題ちょーだい
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 21:01:14.48 ID:8i1g+MvSO
悪党
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/06/08(金) 22:27:41.67 ID:KP45egqk0
>>491 >>492 >>493
感想ありがとうございます。読んで貰えて、感想も貰える事がこんなに嬉しいとは知りませんでした。
コミカルな雰囲気から驚くようなどんでん返しがしたかったんですがヲチが読める、弱いと耳が痛いですww精進します。
いつも人称の視点がブレてしまいそうになるのを嫌って、独白のような形に逃げてしまうは悪い癖だとはわかってるんですが、、難しいです。
本当に物語って難しいですねwwww
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 22:57:34.49 ID:8+9w+0mAo
>>501
把握
504 :350 [sage]:2012/06/09(土) 00:57:22.19 ID:MbaXc1Hmo
再転載:或る白い歌姫(粗筋)

生まれつき、原因不明のメラニン色素不足を患っていた少女。

彼女は利発で声が奇麗で歌が上手く、ピアノとギターが好きだった。
しかし国が戦乱に巻き込まれ、両親を失い、同じ境遇の子供達と共に、国外脱出の為の逃亡生活が始まる。
銃火をくぐる生活の中、彼女は悲しみ怯える仲間を励ます為に歌を唄った。
時には仲間達の最後尾に立ち、銃を取って戦ったりもした。

そして国境を越える日。
平和な国への亡命を決行する日。
敵か味方かも判らない相手が銃撃してくる中、彼女はいつもの様に最後尾から、仲間の子供達が国境のゲートを走り抜けて行くのを、両手にアサルトライフルと言う姿で援護していた。

最後の子がゲートを抜け、向こうの国の警備兵に保護された。
それを見届けた彼女は、威嚇射撃を一連射すると、ゲートに向かって駆け出した。

その彼女の至近距離で、化学ガス弾が炸裂した。

蹌踉めきながらもゲートを抜けた彼女だったが、身体に痺れを覚え、そして喉を、声を、ガスで痛めてしまった事を悟った。

彼女は泣いた。
楽器を弾く指が、痺れてうまく動かない。
声は酷く擦れ、歌はおろか話すのも辛い。

亡命の事務手続きは淡々と進んだ。
一緒に脱出した子達は一様に安心感を表情に出していたが、彼女一人だけは暗い顔で塞ぎ込んでいた。
いま、彼女の心の中には、真っ黒い闇の固まりが幾つも生じていた。
「君は取り敢えず、国際赤十字支部付属病院に入院してもらうよ」
そう言った戦災難民保護センターの職員の言葉も、右から左へと抜けていった。

『両親を失った』
『故郷を失った』
『沢山の、故郷の人達が死んだ』
『楽器を弾く手で、武器を使った』
『仲間の為とは言え、人を殺してきた』
『何人かの仲間の命を、救えなかった』

『歌う声を失ってしまった』
『楽器を引く手を失ってしまった』

彼女は、赤い瞳を伏せたまま、ただ悲しみに沈み込んでいた。
505 :350 [sage]:2012/06/09(土) 01:02:35.74 ID:MbaXc1Hmo
スレ間違えた
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 01:11:36.07 ID:TQdHJzwCo
どんまい!
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/06/09(土) 01:17:09.35 ID:sepQAUbw0
3人称視点の物語が書けるようになりたいんですが難しいですね。
お題下さいませ
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 01:21:35.48 ID:zXZAuxTGo
>>507
フェリー
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 01:21:51.64 ID:HlmL25DSO
詐欺師
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 01:23:16.47 ID:TQdHJzwCo
>>507
ガチンコ勝負
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/06/09(土) 01:46:23.41 ID:sepQAUbw0
>>508 >>509 >>510
お題ありがとうございます。どのお題でやれるかわかりませんが、三つ全てはきっと手に余ると思います。折角出してくださったのにすみません。
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/10(日) 16:35:58.64 ID:0DN/CgvA0
お題ください
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 16:39:26.13 ID:8Nd5/Z+oo
>>512
空港
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/11(月) 09:04:05.52 ID:U/cHPw7Q0
おだいくらさい
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 09:44:35.36 ID:AT9ZZtZIO
>>514
小雨
516 :空は誰よりも空気を読む(お題:小雨)1/3 』 ◆euRfGW8cm. [sage]:2012/06/11(月) 10:59:58.41 ID:U/cHPw7Q0
 テニスラケットと教科書の入る大きなカバン。
 体操服と、給食着の入ったかわいい刺繍の布袋。
 二つだけでもうどれだけ重い事だろう。せめて学校に教科書を置いておければ良いのに、うちの担任は厳しくて許可なんてしてくれない。
 一部の男子はそれでも頑張って置き勉を繰り返しているけど、そろそろ職員室に持っていかれる時期だ。
 困った顔をする山田の顔が目に浮かんで、つい面白くなった。
 とりあえず、こんなにも重いのに、ちょっと雲がいつもより暗いかな、程度でお母さんに「今日は雨が降るわよ。傘を持って行きなさい」なんて言われても、面倒くさくて面倒くさくて、お母さんの言う事を無視して傘を持たずに家を出た。
 学校まで距離は15分と、わりと長い。走って10分以内になりはするけど、ずっと走り続けるなんてしたくない。別にしんどいのが嫌な訳じゃなくて、それ以上の距離を部活で走ってはいるけど、朝から身体が汗で臭くなっちゃうのがあり得ない。
 そう、あり得ない。スプレーでもその臭いは流石に、間に合わないし。
 私は気持ちだけ早歩きで道を進む。
 始業のチャイムまでは余裕の時間があるから、別に間に合わないってことはないけど、なんだかんだ言って、やっぱり雨はヤバかった。
 びしょびしょぐちょぐちょになったら、最悪体操服で授業を受ける事になるかもしれない。うわっ、考えただけで恥ずかしい。
 スカートの丈で膝が隠れる制服ですら死んでいるのに、体操服なんて絶望的だ。
 きっと、涼介君も笑う。
 嫌な笑い方はしないで、「濡れちゃったんだ、大変だね」なんて、名前の通りの涼しげな笑顔で言うに決まってる。優しいに決まってる。
 うわぁ、死ぬ! そうならない為にも、急げ私!
 「恋じゃないの? それ、絶対恋だよー! 」
 どでかい声で真由美に言われた言葉が、頭の中でぐるぐる回った。
 ぐるぐるぐるぐる。
 ヒィッ、分かったから! 恋です! 認めますので、だから、消えてください。
 消えてくださいと何度も心の中で呟きながら、後ろに流れて行くアスファルトのでこぼこを見つめて歩いていると、視界に何か、透明の線ようなものが見えた気がして、ヒヤッとした。
 ヒヤッとしてゆっくり目を凝らしてみると、やっぱりがっかり雨だった。
 お母さんのバカ、なんで言ってくれないのよと思いかけて、やめた。
 そういえば言われてた。
 バカは私だ。
517 :空は誰よりも空気を読む(お題:小雨)2/3 』 ◆euRfGW8cm. [sage]:2012/06/11(月) 11:01:40.63 ID:U/cHPw7Q0
走って汗だくか、歩いてびしょ濡れかの選択肢。
 数秒悩んでから、歩く事にした。だって、走ってもびしょ濡れになるかもしれないもの。
 びしょ濡れだし汗だくだし。なんて踏んだり蹴ったりは避けたかった。
 こういうのをなんて言うんだっけ? リスクヘッジ? お兄ちゃんがこないだテレビを見ながら熱く語ってた気がする。
 このまま雨足が強くならない事を願って、とぼとぼ歩く。ゆっくりと歩けば雨が当たる面積を減らせるかもなんて考えるバカな私。
 いやいや意外と、わかんないですよ?
 ここまでくれば学校まで後ほぼ6分。5分でなく、6分の地点だ。
 流石に2年も通うと、どこで後何分か、みたいなことを身体と頭が覚えてくるものだ。
 雨足は強くならないまま、私が6分の地点からほぼ5分の地点に移り変わろうとした時、違うルートから男子生徒が現れた。考えるまでもなく見破れるのは多分・・・・・・恋してるから?
 男子生徒は、涼介君だった。
「あれ、おはよう南。天気悪いなぁ今日は。午後から降水確率90%だってさ」
 涼介君は私を目にした瞬間から話しだした。なんていうか、頭の回転が速いんだなぁきっと。
「うん、おはよう。じとじとしてやだね。部活なくなったらちょっとラッキーなんだけど」
「マジで? 俺は部活したいなぁ。サッカーは楽しいよ、気が向いたらサッカーもやってよ。テニスで腕使ってんだから、足も使おうぜ」
 へへっ、と涼しい笑顔で涼介君は言った。いつだっていろんな物を、本当に楽しそうに言うから、好きで仕方がないんだ。
 しばらく二人で、前を向いて歩いた。
 警察署の横まで来て、後4分で着く距離。だけど、後1分くらい歩くと通学路が皆と合流して、「二人っきり」じゃなくなっちゃうなぁなんて、ちょっと罪深い事を考えてしまった。
 相変わらず、気にならない程度の小雨が降っている。目には見えるけど、身体に触れない、そんな雨。
 確かにあるのに、ないのと一緒。
 多分、恋心もそうだ。
 言わないと、伝えないと、ないのと一緒。
 「あれ、そういえば南。お前傘は? 午後は90%なんだから、絶対に振るよ」
 「荷物が重かったから置いて来ちゃった。大丈夫、職員室で借りられるからね」
 涼介君はそっか、と納得してくれた。
 ちょっとだけ、涼介君の傘に入れてくれたらいいなぁと思ってしまったけど、職員室の傘を借りると言ってしまったのでもうそれも望めそうにない。
 というか、本当に傘がなくても、そんなこと恥ずかしくて頼めた物じゃない!
 そりゃぁ、涼介君は良い人だから頼んだらノータイムでオーケーしてくれると思うけど、私の方がもたない。なんにしたって、無理な話だ。
 でも、よく考えると。と、ふと思った。
 今もし、雨が降り出したらきっと、自然に入れてくれるような気がする。
 というか、入れてくれる。これはもう、確信だ。
 だって、涼介君だもの。
 流石に嫌らしい思考をしてしまっている。
518 :空は誰よりも空気を読む(お題:小雨)3/3 』 ◆euRfGW8cm. [sage]:2012/06/11(月) 11:02:58.67 ID:U/cHPw7Q0
 空を見上げると、透明の線が放射状にスルスルと光っていた。でも、ほとんど冷たくない小雨。
 この路地を抜けると、ぞろぞろと投稿してる人達とすれ違う大きな道路に出る。
 そうなると、きっと私の友達も、涼介君の友達も居て、グループが混じり合う。
 二人っきりは後20秒。
 別に何も期待していないよ、と表層の私は言ってるけど、深層の私は悔しい事に、大きな声で、叫んでた。
 (雨よふれ!! いますぐに!!)
 もし振るとしたら、雨雲からはすでに大量の雨が落ちてないといけない。ようするに、今から願って叶うとしても、もはや間に合わないんだ。
 すでに叶っていないと駄目なんだ。
 もう、路地の入り口から、学校の人達がまばらに見える。横を歩く涼介君は笑顔で前を向いて歩いてる。
 もし・・・・・・もしだけど、つき合ったりなんてしたら、相合い傘なんて、普通の普通。当然以下の出来事なんだろうなぁと、ふと思った。
 そんな普通の普通な出来事すらも、神頼みでないとできない私はなんて惨めなんだろう。
 違うんじゃないの? 真由美の声が耳に響く。
 「アンタが言うのかどうか、それだけでしょ?」
 真由美の言う事はいつでも正論だ。だからこそ、難しい。
 私は決めないといけなかった。
 今言おうなんて、そんなすっとんきょでストイックな事は言わない。
 だけど、私はいつか、言うべきなんだ。
 私は涼介君の事を好きですって、ちゃんと、面と向かって言うべきなんだ。
 いつか言う。すぐに言う。
 ・・・・・・そうだ、言おう。
 後10歩ちょっと、10数秒だけの二人っきりの中で、私は静かに、決意した。
 ちょっとしたことを、決める。
 そんな簡単な事をしただけで、雨足が、最初はゆっくり、そして突然、強くなった。
 涼介君はあわてて素早く傘を開いて、何故か自分よりも先に、私の頭上に差し出した。
 流石に、優しすぎる人だった。
 私は涼介君に、恋をしている。
519 :青春を見守るもの(お題:夕暮れに河原に面した土手に座る男女) ◆nSDaZEDm5E [sage]:2012/06/11(月) 19:36:36.24 ID:i11jY58AO
私は今、土手にいる。
ちょうど夕暮れ時、青い空を赤々と照らしてゆっくりと太陽が沈んでいく。
そんな景色を眺めながら、私は腰を下ろした。

何をするわけでもなし、ただただ瑠璃色に煌めく川を見ている。
川の流れによって乱反射する光が眩しい。
そんな景色を見ていると、私は土手の下の方で高校生らしき姿を2人ほど見つけた。
520 :青春を見守るもの(お題:夕暮れに河原に面した土手に座る男女) ◆nSDaZEDm5E [sage]:2012/06/11(月) 19:37:20.94 ID:i11jY58AO
どうやら男子高生が女子高生に告白する…というシチュエーションのようだ。
男子高生は顔を赤々と照らしていたがおそらく夕日が原因ではないだろう。
そんな初々しい景色を見ていて、私は男子高生を温かく見守ろうと思った。

「初々しいな」
後ろから急に話しかけられた。
結構聞き覚えのある男の人の声のする方へ、私は振り向いた。

「オレらのも確かここだったよな」
私の後ろに腰を下ろしながら、男はそう言った。
初々しい景色の方に向きなおし、私は「そうね」と肯定した。
521 :青春を見守るもの(お題:夕暮れに河原に面した土手に座る男女) ◆nSDaZEDm5E [sage]:2012/06/11(月) 19:38:23.82 ID:i11jY58AO
高校生二人は水切りをしている。
男子高生の投げた石は向こう岸まで届いてしまった。
後ろの男も驚いたように、私も驚いた。

「あいつ範馬の血を受け継いでるやつじゃね?」
さっきの水切りを見た感想のようなものを男は言った。
女子高生もチャレンジしている景色を見ながら、私は「ただのグラップラーでしょ」と否定した。

「それも地下闘技場で闘ってるようなグラップラーか…」
そんな漫画の読みすぎな事を言いながら男はううむと唸っている。
結局5回水面を跳ねてチャレンジをやめた女子高生を見て、私は「もしかしたらそっちの道の人が来るかもね」と笑いながら言った。

522 :青春を見守るもの(お題:夕暮れに河原に面した土手に座る男女) ◆nSDaZEDm5E [sage]:2012/06/11(月) 19:38:53.41 ID:i11jY58AO
「…」
急に無言になる。
女子高生が男子高生の方に振り向く景色を見ながら、私も無言になった。

「なぁ──、もし良かったらもう一度…あの頃に戻らないか?」
中学校の頃から、何かと付き合っていた幼なじみの男はそう私に言った。
男子高生が女子高生にお辞儀をしている景色を見ながら、私は無言を貫いた。

「お母さん!もう帰ろ!」
小さな子供の声が後ろから聞こえた。
「えっ」と男の呆けた声を聞きながら、私は「そうね──。帰ろっか」

523 :青春を見守るもの(お題:夕暮れに河原に面した土手に座る男女) ◆nSDaZEDm5E [sage]:2012/06/11(月) 19:39:28.14 ID:i11jY58AO
「…くっくっ、一足遅かったってことか」
男は笑いながら、そうつぶやいた。
女子学生が男子高生の元を離れていく景色を見ながら、私は「ふふ、10年遅かったわね」と言って息子と手をつないだ。


「また会おう、親友」
「そうね、また機会があったらね。親友」

「お母さん、今の人誰?」
息子は疑惑の目で私を見て、尋ねた。
反対に歩き出した親友を振り向かずに、私は「お父さんよりよく知ってるかも知れない、私の友達よ」と微笑みながら答えた。
524 :青春を見守るもの(お題:夕暮れに河原に面した土手に座る男女) ◆nSDaZEDm5E [sage]:2012/06/11(月) 19:48:18.25 ID:i11jY58AO
以上でございます。
目標の 地の文(30) / 4 > その他(17) は達成できませんでした…orz
何で皆様そんなに地の文を長く多く書けるんでしょうか…

私が書くと「同じ行数の繰り返し」「同じ言葉の繰り返し」が多いですね…
もっと変化を付けなければ…



辛口の批判、感想を下さい。お願いします。
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 20:02:46.74 ID:vDVuR4w5o
>>516
普通に読めた。特に感想はない。本当の意味で
一つ質問させていただくと、オチどこ

>>524
色の描写が多くていいと思いますが、ご自分で言っていられるように、同じ表現を繰り返したり、直喩で色の名前を出しているのが少しくどいと感じました
地の文は出来事をそのまま書くだけでなく、登場人物の視点で話が進むならその人物の心情を自然に入れる、とか、
上手くいえないけれども、そう書けるように努力していれば増えると思います
ストーリーは普通によかったですよ
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/06/11(月) 22:20:23.37 ID:rjFbnd7AO
>>516
うーん
もっとこう表現力を鍛えてほしい
私は○○思った、私は馬鹿だ、私は…私は…
最初から最後までこんな感じだと、読み手はあーはいはいそうですねとしか思えない
恋に翻弄されている女の子をもっと想像してみよう

>>524
既に自分が気づいているみたいなので、何も言うことはなし
もっと人を観察してみよう
話はいいね
胸にくるものがあった
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 23:15:23.23 ID:P7pHUu2Go
お大事ください
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 23:16:06.18 ID:P7pHUu2Go
お大事→お題
誤変換ぇ…
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/11(月) 23:18:58.59 ID:xkbaD2Ndo
>>524
>私が書くと「同じ行数の繰り返し」「同じ言葉の繰り返し」が多いですね…
会話で物語を運ぼうとするから、そうなっちゃうのかも
「」は表現の幅が狭いけど口語文だから、すらっと楽に書ける
逆に、地の文はより正確に、視点を定めて書かなきゃいけないから
作者の頭の中で映像が浮かび上がっていないと難しい

プロットが決まったら、なんとなく書いていくんじゃなくて
そのプロットにどんなモノがあったら、伝えたい雰囲気に近づくのか練るといいかもしれない
長文すいませんでした
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/11(月) 23:20:43.92 ID:xkbaD2Ndo
>>528
消臭剤
531 : ◆nSDaZEDm5E [sage]:2012/06/12(火) 00:00:04.10 ID:2Q9GdoIAO
>>525 >>526 >>529
ありがとうございます。
頭の中の映像をそのまま書き出そうとすると、私の場合皆様の言ってるとおりものすごくクドくなってしまうようです…。


もっと表現力、言い回しを学ばなければ…。
532 : ◆nSDaZEDm5E [sage]:2012/06/12(火) 01:54:19.45 ID:2Q9GdoIAO
お題くださいな。

目標:空行・色による直喩・繰り返し文を乱用しない
   クドいこってり系ではなくあっさり系のSSを書く
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/06/12(火) 02:05:40.04 ID:NezOEuXAO
>>532
相席
534 : ◆nSDaZEDm5E [sage]:2012/06/12(火) 02:26:09.33 ID:2Q9GdoIAO
>>533
ありがとうございます
535 : ◆euRfGW8cm. [sage]:2012/06/12(火) 02:42:23.97 ID:pToBJsho0
>>525 >>526
なるほど・・・・・・確かに単調ですよね。
もっと工夫を凝らした表現を扱えるように努力します。
物語として構成されているかも、怪しいところでしたし・・・・・・。
ご感想ありがとうございました。
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/12(火) 08:00:25.59 ID:HxqD7aYIO
>>530
把握
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/12(火) 13:19:51.51 ID:pToBJsho0
お題をください
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/06/12(火) 14:07:18.81 ID:NezOEuXAO
>>537
ベッドの下に隠したもの
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2012/06/13(水) 18:44:27.56 ID:cLhlXC/AO
上げてないから更新気付かなかった

>>527
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/06/13(水) 18:45:30.01 ID:cLhlXC/AO
更新ミスった
キャンセルで
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/06/15(金) 03:08:30.98 ID:Lh1CBjKSo
お題よこせ
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/15(金) 03:23:00.02 ID:mMuZdgLGo
>>541
ジェネレーションギャップ
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/06/16(土) 03:10:04.90 ID:gT5lxw+Qo
最近VIPで見ないなと思ったらこっち来てたのねー
何かお題くーださいな
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/06/16(土) 03:59:55.48 ID:peqewNmFo
>>543
雨音
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/16(土) 09:42:44.24 ID:lXbed2smo
CCさくらキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/16(土) 09:43:16.47 ID:lXbed2smo
誤爆、すまん
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/17(日) 23:36:46.46 ID:s3U5QpY1o
お題よこしやがれ下さい
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/18(月) 00:42:21.95 ID:+k0yVMayo
>>547
遅刻
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/18(月) 02:08:01.27 ID:ln569CNAo
>>548

把握
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/19(火) 15:54:49.27 ID:GTfom2y3o
お題暮れ
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/06/19(火) 15:58:58.56 ID:WLpf7tm/o
マインドコントロール
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/19(火) 16:08:07.07 ID:VSWKzr4Mo
>>551
トンキュー把握
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/22(金) 20:42:41.41 ID:x57zD7aWo
お題所望だよお題所望が来たよ
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/06/22(金) 21:31:13.77 ID:+ZpA1WDAO
>>553
伊達眼鏡
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/22(金) 21:38:11.63 ID:x57zD7aWo
>>554
独眼竜メガネ感謝いたす
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/24(日) 20:40:15.72 ID:AvvuBxhz0
お題ください
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/06/24(日) 20:50:33.16 ID:4xJ3nn72o
飴玉
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/24(日) 21:48:36.21 ID:lCNAOJWoo
お題頂戴
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/24(日) 21:52:46.67 ID:a3ImkgQSo
サイキック
560 : ◆SiNZgg7e3I [sage]:2012/06/26(火) 13:33:40.38 ID:oQH3E0PAO
酉作った記念にお題くださいな
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/06/26(火) 13:44:55.04 ID:2Htmg2rWo
>>560
十二支
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/06/26(火) 23:29:01.50 ID:9nPiVl+AO
御題頂戴
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/26(火) 23:52:27.38 ID:vMkYEfP7o
>>562
危機感
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/06/27(水) 03:09:20.75 ID:Ck9ZthSAO
>>561
十二支って聞くとハンターハンターしか思い出せない私はもちろんjump脳。
お題ありがとうございます。


目標:できる限り自然な文体に。
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/27(水) 21:17:04.47 ID:zSVwSBFJ0
>>557
556です。
遅くなりましたが、ありがとうございます。
近日中に発表できるよう頑張ります。
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/03(火) 04:01:33.96 ID:8i93Dwi+o
書こうと思っても途中で躓いてしまう。

誰か俺を奮い立たせる意味で、お題をいくつかくれ。
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 04:08:54.66 ID:WYIbbx1SO
克己
砂漠
鋼の魂
珈琲
野暮天
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/03(火) 07:41:24.78 ID:nkcgOl3AO
>>566
妹の下着
潜水
セールスレディ
ぶら下がり
飛び降り自殺
後ろの正面
レプリカ
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/07/03(火) 15:08:22.99 ID:sT2Fhxi60
お題ください
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/07/03(火) 15:09:26.11 ID:IDKx84Iio
>>569
瞬間
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/03(火) 15:24:18.90 ID:Wt0F1syq0
>>569
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/03(火) 16:23:07.47 ID:YAEtqmmdo
>>569
百合
573 :世界から与えられる罪と罰(お題:瞬間)1/4 [saga]:2012/07/03(火) 17:47:09.34 ID:sT2Fhxi60
犬を殺した後で彼は、いつもの喫茶店に向かった。
 その喫茶店はコーヒーの味がとても美味く、それ以外の品は全てゴムのような味がするという些か変わった店だった。 
 彼は店の中へ入る。扉を開けた瞬間にベルがヒステリックな音を立てて彼を迎えたが、しかし店内に彼以外の客の姿はなく、マスター以外の誰も彼に目を向ける者などいなかった。彼はこの酷い音を立てるベルのことが大嫌いだったが、このあたりにある喫茶店の中ではこの店が一番不人気であったため、人が居る場所が苦手な彼は、この店を選んで通っていた。
 彼は誰とも目を合わせないようにここまでやってきて、マスターとも目を合わせないようにして、いつもの席に向かった。

 そうして彼は席に座り、コーヒーを注文してから、先ほどの行為を思い出そうとしていた。
 そもそも主な理由として、犬を殺したのは、彼女がそう願ったためだった。
 彼としては、別にその犬を特別殺したいと思わなかった。だが頭のおかしい彼女に付き合う形で、彼は実行犯としてその犬を殺さなければならなかった。
 彼女はその犬をとても大事にしていたはずだった。毎日可愛がり、優しく撫で、高級な餌を与え、ブランキース・ロメオと言う大層な名前を付け、一緒のベッドで寝ていたはずだった。
 しかしながら今朝のセックスの後に、彼女は犬の鳴き声がうるさいと言う理由で、一緒に犬を殺さないかと言う提案を、彼に向かって持ち掛けてきたのだった。
「私、犬が大好きなの。鳴き声とかが素敵でしょ? うるさくて、殺したくなる程に大好き! 本当に本当だよ、私はこの気持ち悪い犬が大好きなの。死ねばいいのに、足を裂いて、全ての神経を削いで、私の愛を伝えたいなぁ。わんわんって鳴いて、本当に苛々として、犬の鳴き声って気持ち悪いノイズミュージックみたいで大好き」
574 :世界から与えられる罪と罰(お題:瞬間)2/4 [saga]:2012/07/03(火) 17:47:47.17 ID:sT2Fhxi60
 そう言いながら彼女は犬のしっぽを全力で引っ張った。犬の腹を足で踏みながら彼女は楽しそうに犬のしっぽを引き千切ろうとした。犬はけたたましい鳴き声を上げる。犬は彼女に向かって、その圧倒的理不尽に向かって叫んでいた。なぜ突然、そのような痛みを与えるのだ! 私は愛されていたのではないのか! この世に生まれ、しっかりとした優しさにくるまれていたのではないのか! そう言うかのように、犬は彼女と、その後ろにそびえる理不尽な暴力に向かって吠えていた。 しかしながら犬は、途方もなく無力だった。犬はどうあがいても犬だった。
 そして彼女は柔らかくふわりとした犬の尻尾を引き千切った。犬はもちろん暴れた。主人である彼女に鋭い牙を向けたが、彼女はそんなことでうろたえなかった。頭のおかしい奴は、ほとんどの事でうろたえることがないのだ。
 彼女はまず犬の目を殴った。犬はおとなしくなり、やがてそれを静かに受け入れるように、黙って殴られ続けた。それはとても従順で、美しい姿だった。僕はその時、初めてその犬のことを美しいと思った。これが罰なのだ、私に対して与えられる、相応の罰なのだ、とでもいうように、犬はその罪のなき罰を厳かに受け入れていた。
 その後、彼女は犬に対して思いつく限りの拷問を与えた。それらがすべて行われた後で、彼女は彼に向かって包丁を手渡した。彼女は彼に、その犬の首を切ってくれないかと頼んだ。まだ微かに息のある犬を、世界に向け必死に呼吸をしている犬を、彼女は殺すように命じたのだ。彼は躊躇した。もちろんのこと彼はそこまで頭のおかしい人間ではなく、道義、倫理、理性、常識、そう言った、社会で生きていくべき、或いは普遍的に生きていくべきものをきちんと持ち合わせていた。些か暗く、人間嫌いで社交性のない面もあったが、彼はそこそこまともな人間だった。
 しかしそう言った常識を超えて彼女は美しく、とても純粋で綺麗な娘だった。彼としてはそんな彼女に嫌われたくなかった。彼女を否定することをしたくなかった。故に彼は頷いたのだった。
 否定し、断れば、彼女は自分と結婚してくれなくなるかもしれない。そう言った打算的な考えも彼の中には浮かんでいた。

 そして彼は犬の首を切った。犬は最後まで、自分に与えられる罰に対して文句を言わなかった。全てを受け入れたように、静かに、じっとしていた。犬はその最後を、従順に、沈黙によって死んでいったのだった。
  その一連の行為の後で、彼女は落ちた犬の首を拾い、それを庭の鉢植えの中に埋めた。そして肥料をまいて、水をかけた。
 「犬は生まれるよ、枯らさないように、しっかり育てて、たくさんの犬を世界に放つんだ、そして犬であふれかえった世界は、朽ち果てるように植物化すればいい、犬だらけの世界になって、私たちは働かずに家に篭りながら水を与え、犬の首が切られるのを見ながら、それを土に埋めて祝福するんだ、そしてまた育て始める、私たちは永遠に馬鹿みたいにそれを繰り返すの、夫の帰りを、馬鹿な犬みたいに笑顔でパタパタと向かえながら、馬鹿な犬みたいに汚い交尾をし、涎を垂らしながら従順なふりをして、餌をもらうんだ、犬は生まれるよ、私たちが生きていく限り」
 彼女はドイツ哲学を語るように、そう呟いた。
575 :世界から与えられる罪と罰(お題:瞬間)3/4 [saga]:2012/07/03(火) 17:48:29.99 ID:sT2Fhxi60
マスターが、この店で唯一美味と言えるコーヒーを運んできた。
 既に時刻は午後一時になっていて、お昼時であるのも関わらず、この店にランチを食べに来ようなどという、ユニークな客は現れなかった。
 そのあと一時間ほど、彼はその店でコーヒーを飲みながら、特に何をするわけでもなく座っていた。
 しかしながら彼はその、ふと与えられた穏やかで幸福な時間の中で、唐突に犬を殺した瞬間の事を、はっきりと自覚的に思い出したのだった。
犬を殺した瞬間の、ある一つの悟りのようなものが頭に浮かび上がってきたのだ。
 
 彼は彼女の微笑む姿の前で、処刑人のように犬の首を切った。
 そうして犬を殺した瞬間に彼は、ある稲妻のような啓示を受け取った。彼はその一生を、理不尽に犬を殺した者として生きなければならないと言う事実を。世に溢れる美しく頭のおかしい女に頼まれて、罪のない可愛い犬を殺した男として生きなければならない罪を。そして自分はいつかこの犬と同じような目に遭うだろう。いや、これよりももっとひどい罰が自分に対して与えられるかもしれない。犬はきっと復讐するだろう。自分に対して復讐をしにくるだろう。どんな手を使ってもそれは復讐を遂げるだろう。様々な方法を使い、時間を越えて、生命を越えて、個体ではなく、罪として、犬は私に襲い掛かるだろう。あぁ、まさしくこの瞬間に、自分は犬になったのだ。社会的な意味合いでも、組織的な意味合いでも無い。私は罪に対する犬になったのだ。彼はそう悟った。そして逃げ場がないと言うことも思い知った。もう私はどこにも逃げられはしないし、それは決定されてしまった事実なのだ。

 彼は窓の外を見る。若い女が犬を散歩させている。その犬が彼を見つめている。
 犬は言う。さぁ、これから始まるぞ、お前の人生をまるまる使った苦しい罰が、お前に与えられるのだ、これから時間をかけて、お前は先ほどの犬が味わった苦痛を超える想像以上の苦しみを味わうのだ、お前は絶対に逃げられないし、私たちはお前を決して許しはしない、お前は犬を殺した者として、様々な犬に罰を与えられるだろう、お前は犬を殺した瞬間に、世界に対して敵と認識されたんだ、だから私たちはお前を逃しはしないぞ、お前は死ぬまでその苦しみの中で生きていかなければならない。
 犬はそのように呟き、険しい目をしながら、彼を見続けていたのだ。
 或いはその光景自体は彼の妄想に過ぎないかもしれない、だが彼にとってその犬の言葉は絶対的真実でもあった。
 彼はもうどうしたらいいのか分からなかった。目に前で力強く生きていた大きな生命を、可愛らしい生命を殺してしまったと言うこと事実が、これほどまでに苦しいことだなんて知らなかった。あの瞬間を逃れる術はなかったのだろうか。罪が与えられる瞬間を。徹底的に幸福な人生からずれてしまう瞬間を。
576 :世界から与えられる罪と罰(お題:瞬間)4/4 [saga]:2012/07/03(火) 17:49:13.34 ID:sT2Fhxi60
 コーヒーの水面に映る彼の目は、すでにもう世界に対して怯えきっていた。
 世界の果ては確実に君を捉えるし、空と海が交じり合ってでも罪は君を巻き込もうとするだろう。 
 テーブルに置かれたメニュー表には確かにそう書かれていた。
 彼はもう自首したかった。誰に向かって自首すればいいのか分からなかったが、自首して匿われ、しかるべき場所で、安全に罪を償いたかった。
 彼は目の前の壁を見つめながら考えた。言葉にならない何かがたくさん浮かんでは消えて行った。彼は壁を見つめながら、混乱していく。壁はいつまでも白く、硬く、四方八方を塞いでいた。

 やがて彼は喫茶店で多くの時間をかけ、世界に向かって自首することを決めた。
 例え彼のその意思を世界が受け入れないとしても、彼は何度も自首しようと決めた。彼はこの罪をしっかりと償い、罪と向き合わなければいけない。
 そうして罪を認めた彼に対して、厳格さを貫いていた世界はやがて彼に向かって優しく微笑んで、彼に手錠をかけるだろう。二度と出られない暗闇の中に放り込むだろう。光のないその部屋は、しかし彼にとってふさわしい場所のようにも思えた。予め、彼が生まれた時から用意されていた収まるべき部屋であるように思えた。その暗く、窓も扉も無い部屋は、彼にとって正にふさわしい部屋となるだろう。
 そして彼は想像する。世界から手錠をかけられる瞬間を。その瞬間はとても美しいだろう。彼の綺麗な体と心が決定的に汚されてしまったと認められる瞬間。全てを諦め、世界に捕らえられる瞬間。その瞬間を彼は想像して、鳥肌が立った、世界にこれほどまでに美しい瞬間があるだろうか。手錠で捉えられ、決定的に暗い部屋に送られる瞬間。涙が出そうな程に狂おしく、美しく、まさに自分にふさわしい瞬間ではないか。そうか、分かった。初めからこの瞬間のために自分は生きてきたのだ。この瞬間を迎えるために、絵に、私は生まれてきたのだ。
 さぁ、手錠をかけてくれ。私は喜んでその美しい瞬間を迎えよう。
 罪に対しては罰が与えられなければいけない。私はその美しい断りを、素直に認めようじゃないか。犬として、犬を殺してしまった罪を、共食いをしながら身を滅ぼしていく罪を。
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/03(火) 18:59:21.04 ID:nkcgOl3AO
>>573
ある程度の、胸くそ悪いと思わせる力が素晴らしい
分かりやすく簡潔に淡々と描き、かつ余分なものがない
一行目で「読もう」と決めさせてくれるのも正直有り難かった

久しぶりにいいものを読めました
578 :心からの想い(お題:心)1/3 [saga]:2012/07/03(火) 19:07:24.78 ID:sT2Fhxi60
 ある日、僕は心を拾った。
 それは薄桃色をしていて柔らかく、とても純粋で綺麗なものなのだけれど、僕は誰もいない放課後の教室に落ちていたそのピュアな心を、思わず拾って鞄に入れてしまったんだ。

 そして家に帰って、その綺麗な薄桃色の可愛らしい心を、僕は部屋の引き出しにそっと仕舞った。誰の物かわからないけれど、ふと好奇心が湧いてしまって、そのピュアな心を家に持って帰って、じっくりたっぷり眺め倒してやろうと思ったんだ。
 とりあえず誰にも見られたくなかったから、こそこそと持って帰ったわけなんだけれど、僕には昔からそう言うところがあって、とりわけ心ともなれば、とりあえず誰にも見られたくないから、隠したくなるというものだ。当然だろう? 僕は自分の心だって、本当に親しい人にしか見せたくないんだ。実のところ(お分かりかも知れないが)僕の心はあまり美しくないし、他人に見せびらかすほどに素敵な心ではないんだ。

 しかしながら、これは僕の心ではない。僕の心の何倍も綺麗で、つるつるぴかぴかしている。
 この心は誰のものなのだろう。心を落とすなんてことはよほどの不注意でない限り、めったにないことだと思うけれど、まぁ落とした人はさぞ困っている事だろうな。こんな僕でさえ、心を落としてしまったなら必死で探すと思うよ。いくら美しくないと言ったって、それは僕の心なんだからね。一応は頑張って探してみるさ。
579 :心からの想い(お題:心)2/3 [saga]:2012/07/03(火) 19:08:09.87 ID:sT2Fhxi60
 さて、心を拾ったはいいとして(引きだしに仕舞って大事に保管してあるのもいいとして)これを僕はどうすればいいのだろう。そもそもなぜ僕は誰のものかもわからない心を拾ってきてしまったのだろうか。これは、ちょっとまずいことなんじゃないだろうか。誰だって他人に心を見られるのは嫌だもんな。こんなことじゃ、僕は他人の心を盗んで、それを引き出しに仕舞って、にやにや眺める変態的になってしまう。
 他人の心を部屋で一人覗き見るなんて、本当に最低な人間じゃないだろうか。まぁ、実際はニヤニヤなんかしてないけれどさ。でも、もしこれが同じクラスの可愛い女の子が落とした心であったなら、僕はこの心を使って彼女の思いや、記憶、秘密や好きなものなどを、その心を使って探ってしまうだろう。そして思いっきりいやらしいことを考えて、汚く変態的なことをして、その心を汚してしまうかもしれない。

 そもそも僕みたいな男の子にとっては、可愛い女の子の心を手に入れたと言うだけで興奮ものだけれど。さぁ、この心を使って何をしてやろう。心を落としたお前が悪いんだからな。たとえこの心に向かって毎日僕が口づけをしたり、自慰行為をしたりしたって、落とした君が悪いんだからな。こんな大事なものを、僕の机の近くに落とした君が悪いんだからな。
 しかし、まぁ、それはもしもの話であるんだよね。実際にはこの心が誰のものか分からないんだ。
もしかしたら、とってもウザったい山下君の心かも知れないし、そんなものだったら持ってても全然嬉しくないものな。というか、こんなくどくどと考えていないで、さっさと心を覗いてしまえば、これが誰の物か分かるかもしれないのに、どうして僕はやらないのだろう。
 やっぱり僕にも良心があるのだろうか。

 いやいや、そうじゃない。僕はこの瞬間をきっとじっくりたっぷり味わって、興奮しているんだ。他人の心を自由にできる。自由に見れる。そんな神様みたいなことを今から自分が出来るんだ。僕は好きなものを大事に後にとっておくタイプだから、自分で自分を焦らしているのだろう。本当に僕の心は汚らしいな。もし僕が心を落として他人に見られてしまったのなら、速攻で自殺するだろう。舌噛んで死んでしまうだろう。こんな汚い心誰にも見られたくない。本当にこの心を落とした人は可愛そうだな。まぁ、返してやらないけれど。
580 :心からの想い(お題:心)3/3 [saga]:2012/07/03(火) 19:09:24.00 ID:sT2Fhxi60
 僕はひたすら自分で自分を焦らしてから、ようやくその綺麗な心を覗いてみた。
 その心は、ひたすら愛に満ちていた。たくさんの愛する気持ちが詰め込まれていて、たくさんの可愛い言葉や考えが詰め込まれていた。だからこんなにもピンク色で、小さくて、ぴくぴく震えていたのか。
 これは多分女の子の心だろう。やったね、可愛い子だったらいいのだけれど、今はまだわからない。とりあえず僕は体がうずうずしてしまって、どうにも落ち着かない。
 宿題をやって、夕食を食べて、時間を置いて、再び僕は心を引き出しから出した。先ほどは興奮しすぎて、無駄な動きや筋トレばかりしてしまった。僕はとりあえずその女の子(推定)の心をお風呂場に持って行って、一緒にお風呂に入ることにした。その女の子の心の前で、裸の僕を晒してやるという、僕の汚い心の為せるが故の行動だった。

 そうして一緒にお風呂に入ってから、僕はその心と一緒にベッドに入って、再び中を覗き込んでみた。
 その心は相変わらず、恥ずかしくなるほどの愛で溢れていた。そしてどうやら、その溢れんばかりの可愛らしい愛は、僕の前の席に座る、山中君に向けられているようだった。
 山中君は僕の一番の親友である男の子だった。山中君は些か抜けている部分はあったが、まっすぐで明るい心の持ち主であった。そして山中君のことで密かに噂されていたのが、クラスで、いや学校で一二を争うほどの美人である柏倉さんが、山中君のことを好きだと言う事実だった。
 と言うことはもしや、これはもしや柏倉さんの心だろうか。こんなにも綺麗で、山中への愛で溢れている、この心が柏倉さんの心だと言うのか。そう考えてしまうと、僕の心はひどく嫉妬してしまって止まらなかった。許せないと思った。理不尽だと思った。僕の醜い心は、その汚らわしさをさらに増していき、どす黒いヘドロのような心に変わりつつあった。どうして山中なんかが柏倉さんの愛を受けなければならないのだろうか。ムカつく。殺してやりたい。そんなどす黒い心に支配されながら、僕はこの柏倉さんの心を徹底的に汚すことを決めたのだった。薄桃色の可愛らしい柔らかな心を、僕の汚いそれで徹底的に汚してやるのだ。そして学校で彼女を脅して、僕の心を擦りつけてやる。僕の心から逃れられなくして、僕に従わせてやる。なにせ僕は彼女の心をずるいやり方で手に入れてしまったんだものな。僕はこの心を自由に出来るんだ。僕の好きなように徹底的に心を犯せるんだ。男である僕の汚い心で、べちょべちょに汚してやる。毎日毎日、僕の部屋の中で誰にも見られないように、悪戯してやる。そして二人で、部屋の中誰にも見られないように毎日とてもいやらしいことをするんだ。
 そうやって柏倉さんは、不注意によって、僕みたいな変態男の毒牙にかかってしまうのだ。可哀相だね。でも、僕だってせっかく手に入れたチャンスを逃すほど清らかで優しい男じゃないんだ。君の可愛らしい心を山中なんかにとられてたまるか、僕は君の心を使って、君の体を手に入れてやるんだ。そして、毎日毎日可愛がって、君の心が嫌がったとしても、もう駄目なんだ。君の心は僕の手元にあるんだから、一生逃れられないし、僕は君の事が本当に好きだから、大事にするよ。だから君は安心して、泣くといい。こんな汚い僕の心に惹かれてくれる事なんて、ありえないとわかってるから。だから君はいやいや僕に心をさらけ出すしかないんだ。ごめんね。
 君はそもそも、その可愛らしい心を落とすべきじゃなかったんだ。そして、こんな僕が拾うべきじゃなかった。君はもっと正確に、山中君の元へ心を落とすべきだった。僕の見つからない場所に、上手く、隠すべきだった。
 心と言うのはとても大事なものなんだから、教室でおいそれと晒して、落とすべきではなかったんだ。汚い心の奴なんて実にたくさんいるんだから。例えば僕みたいに。上手く汚い心隠して、おとなしくしている奴らばっかなんだから。だから君は注意深く、心を抱えるべきだった。もっともっと気を付けるべきだったんだ。
  君も気を付けた方が良い。心を拾ってくれる奴が親切な奴らばかりとは限らない。心はとても大事で、傷付きやすいものなんだから。

 彼女の心を殺してしまった僕が言える言葉ではないけれど。
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/07/03(火) 19:13:27.92 ID:sT2Fhxi60
>>577
ありがとうございます。そう言って頂けて非常に嬉しいです! 
SSにしては長い文章を読んでくださって、とても嬉しく思います。ありがとうございました!
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/03(火) 19:42:39.15 ID:FW9rMRg6o
投下します。お題は>>478の珈琲と泥水の違いです。11レスで長いです。
583 :ハーミッツ・ジャムをパンに塗って(お題:珈琲と泥水の違い)1/11 [sage]:2012/07/03(火) 19:44:53.75 ID:FW9rMRg6o
 ●昔々あるところに――いったいどこに、ですって? そう、でもこれは、どこにだって起
こったことかもしれないのです――ひとりの旅人が旅をしていました。あるときは砂漠、また
あるときは森、あるときは山へ宝石を探すために旅をしていました。

 ある日旅人は、雨が降り続く街にたどり着きました。そこで、水浴びをしている娘と出会い
ます。
 旅人はその娘に尋ねました。
「どうして雨が降っているのに、水浴びをしているのですか?」
 娘は瓶を抱えて答えます。
「この瓶がとても美しいからです」
 娘が言った通り、瓶はとても美しいものでした。小さな宝石が水滴と重なって、色とりどり
に輝いています。
 旅人は言いました。
「私はその瓶より美しいものを探しています。この街に美しいものはありますか?」
 それを聞くと、娘は表情を曇らせました。
「あります。けれど、それを見た人は一人としていないのです」
 旅人は、長いあいだ、綺麗なものを探し続けていました。そのおかげで、赤色、緑色、黄色
などの色とりどりの宝石を手に入れました。しかし、宝石を色ごとに分けているうちに、それ
とは違う綺麗なものが欲しくなったのです。ですから、娘の言葉に惹きつけられてしまいまし
た。どうしても、欲しくなったのです。想像してみてご覧なさい。美しいものを眺めるひと時
のなんと素晴らしいことか!
「それはどこにあるのでしょう」
 旅人のお願いに、娘は答えようとはしませんでした。そこで、旅人は腰に下げてあった皮の
袋を取り出し、その中にあるたくさんの宝石を見せました。大きなもの、小さなもの、細いもの、
丸いもの、いろいろありました。それは、旅人が手に入れてきた宝石の一部でした。
「これをあなたに差し上げます。その代わり、美しいものの在りかを教えてほしいのです。き
っと手に入れて、あなたに見せてあげましょう」
 娘は表情を曇らせたまま、言いました。
「この街のお城の裏手に洞窟があります。その奥深くに、美しいものがあります。けれど、手
に入れることは叶わないでしょう。そこには恐ろしい魔物がいるのです」●
584 :ハーミッツ・ジャムをパンに塗って(お題:珈琲と泥水の違い)2/11 [sage]:2012/07/03(火) 19:47:18.14 ID:FW9rMRg6o
 ¶

 ここまで文章を書きあげて、私はノートパソコンのモニターをそっと閉じる。そして、眉間
を揉みほぐした。それでも体にのしかかる疲れが和らぐ様子はなかったので、背伸びをして肩
をゆっくりと回した。壁掛け時計に視線をやると、時刻は夜の九時半だった。蝉の泣き声が、
小奇麗な宿直室を満たしていた。
 ひとつ溜め息を吐いて、なんとなくポケットに手を差し込む。カーキ色のチノパンの右ポケッ
トには、カラフルな袋に包まれた飴玉があった。
 飴玉を机に並べて、今度は窓を眺める。街燈に照らされている一本の大きなカエデの木が、
柔らかな風にそよいで揺れいた。その木を通り過ぎるようにして配置された、施設と正門を繋
げる茶色い歩道には誰もいない。また、溜め息をひとつ吐く。
 ……無意識のうちに歩道へ視線を動かしていた自分に気づいて、なんだか可笑しくなって鼻
を鳴らす。
 二階にある宿直室の窓から見えるのは、緑色のカエデの木々と、ウレタンで舗装された茶色
い歩道、その両脇に規則正しく並んだ白い街燈、そして灰色の正門の四点だけだ。それから先
の景色は、山に邪魔されて、上手く見えない。
 
 私は知的障がい者入所施設で働いている。知的障がい者入所施設とは、障害を持った人が健
全な社会生活を営むことが出来るように、支援、訓練する場だ。
 私が働いている「きぼう園」では、主に軽度から中度の知的障がい者が入所している。無理
解にさらされている彼らには、この施設で仲間たちと共に生活し、人らしく生きる術を身につ
ける場が必要だった。
 そのためにこの施設では、行事をたくさん企画している。クリスマスパーティーを始め、遠
足、お泊り会、そして毎月行われるお誕生会。
 さっきまで書いていたのは、来月に催されるお誕生会の出し物として行う劇のプロットだっ
た。旅人が、「見たことのない綺麗なもの」を探すため、魔女と戦う。そしてお姫様と結婚を
する。そんな話にするつもりで書き始めた。
 健常者からすれば、幼稚に思えるかもしれない。しかし、彼らの話にのめり込む力は凄まじ
いものだ。ひとたび演じ始めると、見るものを圧倒する。実際、初めて彼らの劇を見たときの
感動は、いいようのないものだった。
585 :ハーミッツ・ジャムをパンに塗って(お題:珈琲と泥水の違い)3/11 [sage]:2012/07/03(火) 19:48:25.73 ID:FW9rMRg6o
 半年前、採用されて新しい仲間となった私のために、彼らが開いてくれたお楽しみ会で披露
してくれた『おおきなかぶ』は、今でも瞼の裏に焼き付いている。
 そして、舞台で犬役を必死に演じる美亜の姿に、私は心を奪われたのだ。
 もう一度、茶色い歩道に目を向ける。
 無人だった歩道に、人影が現れた。
 私は、デスクチェアに掛けてあった上着を取り上げ、窓の外でこちらを見上げて手を振って
いる人影に、手を振り返した。
 少し考えてから、ハンガーにかけてあったカーディガンを掴んで腕に掛けた。

「ダメだって言ったじゃないか。もう寝る時間だぞ」
「だって」
 美亜は頭をぐるぐると回して、唸っている。私は彼女が言葉を見つけるまで待つ。
「うんとね」
 柔らかな風が美亜の黒髪を揺らす。長くすらっと落ちた髪の束は街燈に照らされて少し茶色
がかっていた。半袖から伸びた白い腕も照らされて、一層白さを際立たせている。十九歳にし
ては、幼さが残った容姿だった。
「えぇっと」
 気温は心地よいものだったが、虫に食われることが心配だった。私は持ってきたカーディガ
ンを美亜に羽織らせる。
「さんぽ」
「散歩がしたかったのかい?」
「そう!」
 美亜は目を細めて、嬉しそうに笑う。そしてなぜか得意そうに鼻から息を漏らした。
 彼女は、突然しゃがみだし、ピンク色のパジャマのズボンポケットから、缶コーヒーを取り
出して私に見せる。
 昼に施設で支給している缶コーヒーだった。緑色のパッケージで、良くあるスチール缶の
コーヒーだったが、障がい者たちが製造しているコーヒーだ。
 正直言うと、とても飲めたものではない。その理由は、誰が作ったかは決して問題ではなく、
問題は製造コストを抑えるために安価な材料を使用しているからだ。
「ウチジマさん、あげる」
586 :ハーミッツ・ジャムをパンに塗って(お題:珈琲と泥水の違い)4/11 [sage]:2012/07/03(火) 19:50:17.16 ID:FW9rMRg6o
 私は缶コーヒーを受け取って、美亜の手を握る。美亜の手のひらは理由はわからないがベタ
ベタだった。
 缶コーヒーのプルタブを上げて、一息で飲む。出来るだけ美味しそうなに、嬉しそうな表情
を浮かべ、彼女に見せる。コーヒーの味は、クセが強かったが、甘くて美味しかった。きっと、
飲んでいる私を一生懸命に応援している美亜が、コーヒーの味を変えてしまったのだろう。
「ありがとう」
「どういたました」
 一度、彼女に支給されたこのコーヒーを飲んであげたことがあった。そのとき、食堂の隅で
美亜は泣きそうな顔をしてこの缶コーヒーを眺めていたのだ。
 どうしたのか気になって近づいて声を掛けると、飲めるかと尋ねられた。缶コーヒーのプル
タブは上がっていて、飲んだ形跡があった。きっと、一度飲んでみたくて挑戦してみたけれど、
口に合わずなかなか飲みきれなかったのだろう。
「飲めなかったら残してもいいんだよ?」
 と私は言って、泣き顔の美亜を宥めようとしたが、彼女は首を振って俯いてしまった。美亜
の顔が曇っている、それが堪らなく嫌だったので、私はコーヒーを受け取って一息に飲み干し
た。そして、ポケットから飴玉を取り出し彼女の目の前に置いた。
 ……あのときから、美亜は私にコーヒーをあげ、私は美亜に飴玉をあげる習慣が始まった。
 私はいつものように、ズボンのポケットに手を突っ込んだ。しかし、ポケットは空だった。
飴玉を机の上に置いたままにしていたことに気づいて、あっと声をあげる。
「ごめん。飴玉を忘れてしまった。今、取りにいくよ」
 美亜は首を大きく振り、にこっと笑った。
「いい。ねぇ、歩こ」
 私の湿った手のひらを強く握り、歩きだした。つないでいる手と手は、美亜が強く振るおか
げで、大きく波打っていた。

 ¶

 時々、美亜の体を強く抱きしめたい衝動にかられる。美亜は私にとっては美しいものだった。
どんな宝石よりも光輝き、空を覆う雲を晴らすような、そんな性質の美しいものだ。
 そう、古くからの友人に語ってしまったことがある。
587 :ハーミッツ・ジャムをパンに塗って(お題:珈琲と泥水の違い)5/11 [sage]:2012/07/03(火) 19:51:49.66 ID:FW9rMRg6o
 高価な椅子に深々と座っている友人は、嘲笑を隠さず、くつくつと声をあげた。彼が摘んで
いるコーヒーカップが上下に揺れるほどの、押し[ピーーー]ことのできない笑いだ。まるで、そんな
可笑しいことがあるか? とでも言っている様子だった。
「お前は憧れているだけさ」
「何に、だ」
 気分を害されて口調が少し攻撃的になってしまったことに気づき、私は唇を噛んだ。
「世界の素晴らしさを理解できる悟性にさ」
「言っていることがわからない」
 友人は、ふぅんと呟き、眉を寄せる。
「本当にわからないのか? お前は心の何処かで自分をこう解釈しているんだ。今、自分がし
ていることは、残飯に群がる蝿と同じだって。お前どうしてそうなっちまったんだ」
「美亜は……彼らは残飯なんかじゃない。社会的にはそう思えるかもしれないが、彼らのほう
が素直で人間らしい」
「ほら、認めているじゃないか。少なくとも自分は汚れている心の持ち主だってさ。いいか、
人間は誰しもが美しい心を持っているんだ。知的障害を持っているからって、健常者より心が
綺麗なわけじゃない。心の美しさはみな一緒だよ。彼女と俺の違いは、知的障害があるかないかだ」
「やめろ」
「お前は、彼女に……いや、精神が未成熟な人間全般に憧れを抱いているんだ。そして、美化
しようと努めてしまってる。自分の汚い心と彼女の心を見比べて、自分の心についた汚れを落
とそうと必死になっちまってるんだよ。そのせいで、心の汚れは広がって、もう落とせないと
ころまできてる。今すぐ施設の仕事なんて止めちまえよ。このままだと……」
 とうとう我慢ならなくなって、私はテーブルを強く打ち付けた。
 私の鳴らした大きな音のせいで、彼は押し黙って俯いた。よく検分してみると、ひどく憔悴
しているような様子だったことに、気づいた。
 しばし沈黙が流れ、私はばつの悪さを誤魔化すためにカップに口をつけた。コーヒーの香ば
しい匂いが口いっぱいに広がった。
「……お前は、彼女に人であって欲しいと願う立場にいながら、人ではない何か別のモノとし
て彼女を扱っている」
 彼は立ち上がり落ちた伝票を拾い上げると、背中を向けて去っていった。
588 :ハーミッツ・ジャムをパンに塗って(お題:珈琲と泥水の違い)6/11 [sage]:2012/07/03(火) 19:52:49.71 ID:FW9rMRg6o
 あれ以来、私は彼と連絡をとっていない。彼が今、どこで何をしているのかは知らないし、
知りたくもない。

 ¶

 美亜と歩く夜は素敵だった。まるで星が祝福しているように明るく輝き、風に揺れる木々が
たてる音が、静寂を賑やかなものに演出している。私は、静寂よりも賑やかなほうが好きだ。
 灰色の正門までたどり着くと、その傍に植えられている木に近づき、二人して腰を下ろした。
「美亜、ここは楽しいかい?」
 彼女は、地面の雑草を引っこ抜き始める。その作業のすがら、気のない返事を返した。
「うん。楽しい」
「みんなと仲良しだもんな」
「うん。でもね、こーちゃんはびみょうなの」
 こーちゃんというのは、比較的軽度の障害を持った男の子だった。情緒障害の気もあり、躁
鬱状態になり周囲を騒がすことが多い、言うなら気の掛かる少年だ。
「こーちゃんと、なにかあった?」
 二人は別々のグループなので、あまり接点がないはずだ。もちろん寝室と浴場は別々なので、
おおかた躁状態になっている彼を見て、怯えたのだろうと推測した。
 美亜は、雑草抜きを止めて、晒された土をほじくりだした。
「ひみつ。でも、びみょう」
「でも、微妙なんだな」
「それより、ゲキのお話、続き聞かせて」
「ん」
 今日の昼食の時間、食堂の隅っこで暇そうに空の皿をつついている美亜を見留めた。そのと
きに、劇のプロットを話してあげた。ちょうど皿を洗わなければならない時間が近づいていた
ので、話が途中になってしまったのだった。
 そのときの、真剣に私の話を聞いていた美亜の見開いた瞳を思い出して、私の口から笑いが
こぼれる。
「娘に美しいものの在りかを聞いたところまで、話したんだっけな」
「その次は?」
589 :ハーミッツ・ジャムをパンに塗って(お題:珈琲と泥水の違い)7/11 [sage]:2012/07/03(火) 19:54:33.59 ID:FW9rMRg6o
「うーん……旅人は言われた通りに洞窟に向かうんだ。洞窟を覗くと、大きな蜘蛛と小さな蜘
蛛がいた。二匹は糸を張って、ベッドを作ってその上に寝ていたんだ。よぅく目を凝らすと、
二匹のその奥に光輝く何かがあった」
 美亜は土いじりを止めて、頷きなから私を見上げた。どうやら話を真剣に聞く姿勢になった
ようだ。
 気分が良くなった私は、テンポをゆるめ、話の先を考えながら語っていく。
「旅人はもっと近くで見たかった。けれど、蜘蛛に見つかったら糸でグルグル巻きにされてし
まう。困った旅人は、一旦引き返した。帰り道の途中、草を摘んでいる老人に出会った。旅人
は老人に蜘蛛を倒す方法を聞いてみた。老人は簡単に答えた」
「剣かなぁ。魔法かなぁ」
「『私が作ったジャムを食べなさい。そうすれば、蜘蛛の友達になることが出来ます』旅人は、
老人からジャムの入った瓶を受け取って、食べた。もう一度洞窟に向かうと……」
「うん。うん」
「蜘蛛が寝ていた場所に、王子様とお姫様が寝ていた。実は、魔女に魔法をかけられて、蜘蛛
になってしまっていたんだ。お城にいられなくなった二人は、洞窟に隠されていたんだ。王子
様とお姫様は起き上がって、旅人にお願いをした。『魔女をやっつけてください。そうすれば
なんでも一つ、願いを叶えましょう』旅人は……旅人は、お姫様と……いや、光り輝く美しい
ものが欲しいと言った」
 美亜とお姫様を重ね合わせて創作することが、これほど楽しいとは思わなかった。私は今、
とても美しい話を美しい少女に語っているのだ。
 祝福の光を惜しみなく与え続けている星たちを見上げようと、顔を上げる。
 そのとき、施設のほうから走ってくる人影が視界端に映った。
「こーちゃんだ」
 美亜はまるで私の話なんて聞いていなかったかのようにすっと立ち上がり、こーちゃんの元
へ走っていった。
 私は苦笑いを浮かべ、腰を上げて二人に近づく。
 こーちゃんの様子は明らかに普通ではなかった。躁状態特有の落ち着きの無さで、体を激し
く揺さぶって興奮している。言葉も吃り気味で何を言いたいのかが分からない。近寄った美亜
も、少々怯えているのか、カーディガンの袖を握り締めている。
 彼の口元と動作を注意深く見ていると、彼は出し抜けに美亜に飛びついて、抱きしめ始めた。
590 :ハーミッツ・ジャムをパンに塗って(お題:珈琲と泥水の違い)8/11 [sage]:2012/07/03(火) 19:55:42.31 ID:FW9rMRg6o
「や!」
 美亜は、こーちゃんにいきなり抱きしめられて不快感を露にしている。
 私は手を大きく叩き、こーちゃんの注意をむけるように仕向けた。しかし、彼は美亜を抱き
しめたまま右へ左へ体を揺さぶるだけで、いつまでたっても止めようとはしない。
 仕方なく力づくで彼を美亜から引きはがした。そして、彼を抱きしめる。
 彼は、私の抱擁から逃げようと必死になって、うんうん唸り続ける。そして、今度はズボン
のゴムに手をかけ、脱ごうと必死になった。
「こーちゃん。こーちゃんどうしたの。こーちゃん」
 声をかけ、やめさせようと、ズボンを掴んだ。
 彼のズボンは、怒張したペニスに引っかかって上手に上げることが出来なかった。

 ¶

 灰色の正門を出ると、コンクリートの壁に停車してあるワンボックスのライトバンが見えた。
 私は運転席の窓を叩いて、一服していた小野さんと目を合わせ会釈する。小野さんは、にこ
やかな笑顔で片手を挙げて、今まで吸っていた煙草を筒状の灰皿に押し付けた。それを受け取
ると、助手席まで迂回し、ドアを開けて席に腰を下ろす。
「いやぁーはっは。暑いね」
 そういって、小野さんは首に掛けた真っ白いタオルで顔を拭った。
「……」
「今日は39度あるそうだよ。はっは」
「買出し、いつもご苦労さまです」
 私は、フロントガラスの奥を見据える。高い丘の上にある施設の入口からは、街が見える。
丘の上から見下ろせる玩具セットの街のようなそれらは、陽炎に揺れてはっきりと識別できない。
「業者で足りない部分もあるからね。今日もこうして汗だくさ。夏はいいもんだ」
「へぇ」
「タイヤは滑らないし、風も気持ちいい。時々、海沿いを走るんだ。もちろん買い物が終わった
後にだよ。そうだ、内島君も一緒にどうだい?」
「遠慮しておきます。これでも、グループワークの途中でして」
591 :ハーミッツ・ジャムをパンに塗って(お題:珈琲と泥水の違い)9/11 [sage]:2012/07/03(火) 19:56:51.29 ID:FW9rMRg6o
 小野さんは、はっは、といつものように笑った。横目で小野さんを覗くと、彼は脂汗で濡れ
ている鼻先を掻いていた。
「昨日の夜、美亜と何をしていたんですか?」
 さっきの私と同じように、小野さんは陽炎で揺れている街並に目を向ける。
「幸祐君から聞きました。正門の前の木の下で、あなたと美亜が抱きついて激しく動いていたと」
「……」
「一昨日の宿直は小野さんです。てっきり、同じことをしていると思った幸祐君は、昨日僕と
美亜が話していた場所にやってきて、小野さんと同じことをしようとしました」
「……それは悪いことをしたね。すまなかった」
「いいと思ってるんですか?」
 小野さんは、私の言葉を受けても、微動だにせずじっと陽炎を見つめているだけだった。
 車の両側の窓はもともと無かったかのように開け放しており、この空間は外とまるで同じだった。
「今すぐ辞職してください」
 小野さんは、暑いな、と一人ごちてもう一度タオルで顔を拭った。
「ふぃー……。一ヶ月まえぐらいかな。美亜に告白して、付き合うことになった」
 私は言葉を失ってしまう。
「何も、内島君だからじゃない。皆にも内緒にしている。そう、美亜と約束したんだ。そして、
一昨日の夜にプロポーズした。美亜が施設を出たら、一緒になろうと。……美亜は受けてくれた」
 小野さんは、ポロシャツの左胸ポケットからマールボロを取り出すと、口に加えて火を付ける。
「だからといって、決していいことだとは思っていない。あの夜は間違いだ。美亜の誘いを受
けてもいいと思ってしまった。君がそれを許さず、施設長に報告するなら、仕方のないことだ
ろう。しかし、君ならば安心だ」
「何故ですか」
「信用してるからさ」
 奥歯を噛み締めた耐え切れない音が、私の中だけで響き渡る。
「……美亜を言いくるめるのは、止めてください。これでも、私は美亜に信用されていると思
っています。その美亜から、そんな重要な話は一言も聞かなかった」
「へぇ」
 その言葉を聞いて、小野さんは口角を上げた。
592 :ハーミッツ・ジャムをパンに塗って(お題:珈琲と泥水の違い)10/11 [sage]:2012/07/03(火) 19:58:23.59 ID:FW9rMRg6o
「それに、相手は障がい者です。分かっているんですか? いつも被害を受けるのは彼らなん
だ。あなたのような狡猾な人が、彼らから大事なものを搾取する。事が明るみに出たときには、
障がい者であるがゆえに悪者にされ、一般人の無理解が手に負えないレベルにまで進むのです」
 言い終わった後に、ポロシャツがべっちょりと濡れていることに気がついた。私は、何か重
要な思い違いをしている。ボタンのかけ違いをしていて、それに気づかないような、そんな感
覚に気づいた。
 小野さんは、鼻から息を洩らし私に向き直ると、私の顔をまじまじと見つめた。
「君は二人いるのかい?」
 小野さんの質問の意図が理解出来ず、頭が真っ白になる。
「どうして俺が美亜を言いくるめたと断言しようとするんだ? 美亜が言っていたのかい?
『小野さんは”びみょう”って』さ。彼女は良くいうね。嫌なモノ事を”びみょう”と」
「それは……いや」
「君は言った。婚約の話は一言も聞かなかったと。それが美亜の気持ちを一番に表しているじゃ
ないか。俺との約束を守っているんじゃないのか。なぜ疑う? それとも君はこう言いたいの
かい? 知的障がい者は約束も守れないと」
「それとこれとは話が違う」
「違わない。君はこう考えているんだ。知的障がい者は、別の世界を見ていると。別の世界に
生きて、別の考えをして、別の思想に基づいて行動する生き物だと」
「そんなことは思っていない!!」
「思っていないのか」
「……ぼ、僕は、知的障がい者に……人間として生きて欲しいと思って、います」
「なら、もしかしたら君は、美亜に恋をしていたのかもしれない」
 私は背もたれに体を預けて項垂れたまま、頷いた。
「そうか、なら来月のお誕生会の劇は楽しみだな」
「え……?」
「君が脚本だろう?」
「ええ、昨日の夜に書き上がりました」
「美亜はきっとお姫様役だろう。君だったら、美亜を想像して作ってくれたはずだ。美亜も来
月誕生日を迎えて、二十歳になるものな。感謝するよ。ありがとう」
 私は小野さんに返事をした。今の私の顔は、きっと憔悴しきっているだろう。
593 :ハーミッツ・ジャムをパンに塗って(お題:珈琲と泥水の違い)11/11 [sage]:2012/07/03(火) 19:59:46.00 ID:FW9rMRg6o
 ●魔女を蜘蛛の糸でやっつけた後、旅人は王子様とお姫様のいる洞窟へ帰りました。お姫様
は喜びました。旅人はそうして光り輝く美しいものを手に入れました。旅人はお姫様にその美
しいものを差し出して、プロボースしました。お姫様は喜びました。
 旅人とお姫様は結婚して、その雨の降る国ですえながく暮らしました。この出来事がなくな
ってしまわないかぎり、ふたりはいまも生きていることでしょう。●

 このメルヘンの美しいものとは実はただの石ころだった。ジャムを食べる前の人から見れば
美しいものでも、ジャムを食べたらただのそこらへんに転がっている小石と同じものなのだ。

 ざわついている会場を一瞥して、私は舞台袖に引っ込む。そろそろ開演の時間だ。
 甘すぎるケーキのせいで、胃がむかついている。私はお腹をさすりさすり、溜息を漏らす。
「ウチジマさん」
 声がする方に目を向けようと顔を上げた。そこには美亜が蜘蛛の着ぐるみを着て、恥ずかし
そうに体を揺らしていた。
「なにモジモジしてるんだ。とっても可愛いぞ」
 美亜は、蜘蛛の頭にあたる帽子を手で抑えると、にっこりと笑った。
 彼女は得意そうにえへへと笑い、突然しゃがみこんだ。立ち上がった彼女の片手に握られて
いたのは、緑色のパッケージのあのコーヒーだった。
「ウチジマさん、大好き。だからこれ、あげる」
 私は受け取って、一息で飲み干した。甘くて美味しい味が、口の中に広がった。
 いつものように飴をあげようと、ズボンのポケットに手を突っ込む。
「ごめん、また、忘れてきたみたいだ」
「えー」
「だから、」
 私は、美亜を精一杯抱きしめた。私には、そんな卑怯なことしか出来なかった。チクチクし
た着ぐるみの毛が私を攻撃して、こそばゆかった。

 END
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga]:2012/07/03(火) 20:59:17.14 ID:FW9rMRg6o
長くてごめんなさい。感想や批判や非難とか待ってます。
ちなみに[ピーーー]は、殺すと読み替えてくださると嬉しいです。

>>573-576
読みやすくて良かった。私が翻訳ものが好きだからかもしれない
彼女の言い回しがとても素敵。愛を暴力で示す喜びを正当化している妄想が、
読んでいてグッときた。ドイツ哲学は知らんけど
けど、なんか一つ、幸福からずれてしまった決定的な出来事を書いて欲しかったかも
彼女は殺した自首したい主人公をどう思っているのかとか

>>578-580
文章が上手。
教訓的なお話だとしても、これじゃぁ何も思わないなぁ、と読み終わって思ってしまった
上の話も同じだけど、登場人物が心を語るだけだと、はいそうですかで終わってしまう
何かその人物に立場があったり、使命があったりすると、面白く見れるんだけどなぁ

きっと書きたい、言いたいことがあって書き始めたんだと思う
それを物語に落とし込んで欲しいと思いました
偉そうにすいませんでした
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/04(水) 00:30:12.84 ID:CMFv/P8Zo
お題を頂けませんか?
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/04(水) 00:39:46.59 ID:cxrvOEcuo
>>595
透明
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/07/06(金) 23:14:49.21 ID:+7g68U680
キブミーODAY
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/06(金) 23:16:56.92 ID:B4NMBj0eo
>>597
心臓
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/07/06(金) 23:20:36.47 ID:iiDVX1Yo0
>>598
謚頑升
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/07(土) 01:14:14.59 ID:oTyjAIGEo
投下いたします。
お題>>568の「飛び降り自殺」 3レスほど
601 :お題:飛び降り自殺 1/3 :2012/07/07(土) 01:17:35.30 ID:oTyjAIGEo
 一歩先を覗き込むと、遥か下に地面が見える。飛び降り自殺にぴったりな場所で、僕はただ立ち尽くしていた。
 この忌々しい世界からいなくなろうと自殺を考えたんだ。そして適した高い場所も探した。そしてそこに立っているというのに僕の心には嬉しさや喜び、達成感などは一つもなかった。味わったことのない恐怖が鈍い足音を立てて僕の頭の中を歩き回っているようだ。死にたかったはずなのにだ。

 ほんの数日前までは、この状況を望んでいたはずだった。どうやって死のうか一日中考え込んで計画を頭の中で何度も練った。
そして、思いついた。単純な話だったのだ、高いところから飛び降りて地面に落ちれば簡単に[ピーーー]ると。だからこそ、僕もそうしようと思った。

「くそ……、高いところは結構好きだったはずなんだけどな。今は凄く恐ろしく思える」
 自分の立っている場所から数歩先はもう足場が無い、そこを覗き込みながら僕は一人そう呟いた。
額からは汗が滲む、暑いわけではないのに汗が止まらない。なぜだ?もしかして、目前の死を恐れているのか? まだ未練があるというのか?

「ちがう、違う! そんな未練なんてあるものか! 僕はこの世界に嫌気がさしたんだ!」
 首を大きく振りながら叫んだ僕の声はあたりに少し響いた後に、風の音で消えていった。

 そうだ、僕はこんな世界は大嫌いだ。
 毎日毎日、上司には小うるさく命令されて仲間と一緒にひたすら与えられた仕事をこなす。僕達の仕事はチームワークが大事だと言われ、その連携を乱すようなことをすれば何を言われるかたまったものじゃない。必死だった、仲間に迷惑をかけないように。与えられた仕事を必死にこなした。
 そんな僕の哀れな姿を見て『働きアリね』と揶揄する者さえいた。……ふざけるな! 僕は、僕はそんなものじゃない。それなのにこんな扱いを受けている。

 僕は、怒りに身を任せて一歩踏み出そうとした。あと一歩踏み出せばもう落ちることができるだろう。しかしながら、僕の脚は地面に固定されてしまったかのように少しも動かなかった。実際に固定されているわけではないのに。
602 :お題:飛び降り自殺 2/3 :2012/07/07(土) 01:19:00.15 ID:oTyjAIGEo
「くそ……なんで僕の体なのに、僕の言うことを聞いてくれないんだ」
 額から流れる大粒の汗を拭う、喉がカラカラだ。両脚ともガタガタと震えている。
僕は死にたいと思ってここに来た。死にに来たはずなのに。僕の脚は言うことを聞こうとしない。
まるで下半身だけ自分の体じゃないみたいだ。不思議な感覚に僕は驚きを感じていた。

もしかして本当の僕は、心の奥底では生きていたいと願っているのだろうか。
自分の事がわからなくなる。やめてくれ、僕を惑わすのはもうやめてくれ。うんざりしていただろう、この世界に?
仲間に、上司に、仕事に。もう、うんざりだろう、こんな忌々しい世界に。

そうだ、こんな世界に未練なんてありはしない。
ありえない、必死に汗水流して重労働しても報われる保障もない。
ありえない、僕が仕事を頑張っているのに涼しい顔をして仕事をサボって僕に全部押し付ける奴ら。
ありえない、規則正しい列を作りひたすら与えられた仕事をこなし続ける毎日。

「こんな世界に未練など、ありえない!」
 僕は這いつくばる。言うことを聞かない脚など知りはしない。腕の力で前へと進む。見えるぞ、僕をこの世界から解き放ってくれるゴールがそこには見える。あと少しで僕はここから飛び降りて[ピーーー]るはず。あと少しだ、もがきながらも僕はさらに進む。体の半分以上が空中に飛び出す。さぁ、いくぞ。別れの時間はもうそこだ。

「さようなら、こんな世界に未練はアリません。サヨウナラ」
 重力が僕の体を引っ張っていく、高い場所から飛び出した僕はどんどん落下していく。先ほどまで汗をかいていたせいか、落下するときの風がどこか心地良い。死ぬ前に色々な思い出を頭がよぎると聞いたことがある、だけど僕の頭には何も思い浮かばない。そうか、とくに無いっけ。僕にとって思い出したい記憶なんて。どんどん地面が迫ってくる、そろそろだ。僕が死ぬその瞬間は確実にそこまで来ている。

 ありがとう、ありがとう。僕を死なせてくれて。
 ありがとう、ありがとう。こんな世界にさよならできて。
 地面が目の前まで迫ってきた。
 さぁ、死ぬ時間だ。それでは皆さん、さようなら。


……
603 :お題:飛び降り自殺 3/3 :2012/07/07(土) 01:27:58.15 ID:oTyjAIGEo

 私は、目の前で飛び降りた彼をみながら考えていた。彼の計画は殆ど完璧だったろう
高さもそれなりにあるし地面にはクッションがあるわけでもないし。でも、彼は[ピーーー]ないだろう。死ぬ事はできない。

 なぜかって? 彼は一つ大きな問題を抱えているからだ。
 彼は『アリ』なのだ。彼は知らなかったようだけれど、蟻はどんなに高いところから落ちても死ぬ事は無い。
人間と同じように飛び降りたとしても、その体の軽さが災いして落下の衝撃に耐えられてしまうのだ。だから、彼は飛び降りて[ピーーー]なかっただろう。彼の願いが叶うこともなかった。
 こんなに高いベランダから落ちたとしてもだ。彼の唯一の誤算は、彼の計画そのものを揺るがす大問題だった。

「残念ね、アリさん。[ピーーー]ないなんて”アリ”えないわね」
 私はそう呟くと、笑った。大声で笑った。あたりには私の笑い声が響き渡る、笑いが止まらなかった。
しばらく笑ったところで、ようやく私は落ち着きを取り戻した。乱れた息を深呼吸で整える。よし、もう大丈夫だ。落ち着いた。

「さてと」
 私は先ほどの彼が飛び降りていったベランダの柵に手をかけ下を覗き込む。人間の私から見てもここは高い。
 遥か下に広がっている地面を見つめて彼を探してみた。だけど、こんな高さから地面にいるアリの彼を見つけるのは不可能だ。実際、地面を見つめていても何も見つけれなかった。

「……よし、じゃあ次は私の番ね」
 そんなことを呟きながら、私は柵に足をかけて飛び越えた。勢いのついた私の身体は空中に放り出される。
 地球の重力が私の体を地面へと引き寄せていく、身体に感じる風が不思議と心地よい。約束された死が駆け足で私のもとへとやってくる。
 私に死を与えてくれる地面が目の前まで迫ってきた。
 さぁ、死ぬ時間だ。それでは皆さん、さようなら。

終わり
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/07/07(土) 01:29:16.12 ID:/HihWBGoo
>>601
昼なのか夜なのか。
飛び降り自殺にぴったりの高い場所と言っても、ビルやマンション、崖などがあるけど、記述がないのは意図してやっているのか。
とにかく背景がうすっぺらいので情景が浮かばない。あるのはくどくどしい心理描写だけ。多分叙述トリックなのだろうが、
一レス目でこれならニレス目など読む気は起きないだろう。僕はそっとスレを閉じた。
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/07(土) 01:30:04.53 ID:oTyjAIGEo
[ピーーー]は「死/ね/る」と読んでいただけると幸いです。
小さい頃、アリは高いところから落ちても死なないというのに驚いたことを思い出したので
なんとなく、無理やりアリを絡めてみました。つたない文章で申し訳ない
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/07(土) 01:37:14.49 ID:oTyjAIGEo
>>604
見苦しい文章で失礼致しました。
読みやすいものをかけるよう、出直してきます。

他の方の小説が投稿されるかと思いますので
スレッドを閉じるのは今しばらくお待ちいただければ、他の方も喜ばれるかと思われます
607 :あとあじ(お題:飴玉)1/5 :2012/07/08(日) 22:15:29.30 ID:KGdJr4PQ0
 机から顔を上げると、私は一輪挿しに目をやった。
綺麗な百合の花とは対照的にいびつで不格好なその一輪挿しをみると
なんだか自嘲的な笑いがこみあげてくる。
そして、同時にそれとは真逆のものまでもが、上へ、上へとあがってくる。
私はそれを抑えようと小さくかぶりを振って、
ポケットに手を伸ばし、包装された飴玉を取りだした。
静かに包装を破き、口の中へ転がす。
安っぽいイチゴの味が口中に広がると同時に少し後悔した。
608 :あとあじ(お題:飴玉)2/5 :2012/07/08(日) 22:16:33.50 ID:KGdJr4PQ0
 部活をしていない高校二年生にとって夏休みというものは恐ろしく長い。
それにこの暑さだ。
なにもしたくない。
机に上半身を預け、
だらりとしていると窓の外からさらりとした風が吹き、ブラウスを揺らした。
私は唐突に起き上がり、
「涼しい所に行こう!」
そう正哉に提案をしてみた。
宿題の問題集から私へと視線を移動し、
少し考えた素振りを見せ
「市の図書館でも行く?」
正哉はさっきの風を感じなかったのだろうか。
もし感じていたのなら、
「市の図書館」などというすっとんきょうな答えにはならないはずだ。
「人工的じゃなくて自然に涼しいところ。例えば、軽井沢とか」
「えっ?まさか今から!?」
その驚き様があまりにも可笑しく、少し声を震わして
「そんなわけないでしょ」
と突っ込みを入れた。
「よかった……」
正哉が呟き、安堵のため息と笑みを漏らした。
こういう時の正哉の表情が私は少しだけ好きだった。
609 :あとあじ(お題:飴玉)3/5 :2012/07/08(日) 22:18:06.46 ID:KGdJr4PQ0
 鈍行列車に揺られること約二時間。
ようやく目的地の軽井沢へと到着した。
ただ行くだけ行っても仕方がない。という正哉の意見で、
行く目的を作る為に、一昨日、人工的に涼しいところ(市の図書館)へ行きガイドブックを読み漁った。
 電車賃だけもかなり厳しいから、あまりお金を掛けずに思い出になりそうなところ。
そんな条件の合ったスポットを見つけるのは至難の業であったが、
正哉が珍しく良さそうな提案をした。
「ここなんてどうかな?」
ガイドブックに乗せられた指先には「川田ガラス工房」の文字があった。
吹きガラスという方法で、グラスや一輪挿しなどの製作体験が出来て、
当然作ったものは持ち帰ることが出来る。それに値段も、一人三千五百円程度。
私は二つ返事で
「うん。そこにしようか」
と正哉の意見に賛成した。
 軽井沢駅から「川田ガラス工房」までは、歩いて1時間近くもある。
地元では歩き始めて1分もしないうちに、汗がにじんでくるが、
さすがは避暑地で有名な軽井沢だ。
歩き続けても、少し汗ばむ程度で不快感は少ない。
やっぱり来て正解だったね。と横を歩く正哉に同意を求めたが、
正哉の反応は少し鈍かった。
 ふたりで話しながら歩いていたので、気が付かなかったが、
少し遠くに「川田ガラス工房」という看板が見えた。
正哉もそれに気がついたのか、静かにめくばせをし、
私がそれを認めると二人の歩調が少しだけ早まった。
「川田ガラス工房」の外観はガラス工房というより、おしゃれなカフェに近かった。
外壁がレンガ調で、建物全体は淡いクリーム色をしている。
地元にはこういうお店がないので、私はすこし見とれてしまっていた。
「そろそろ、入ろうか?」
正哉に促され、あわてて我に帰った。
扉を開けると、すぐさま
「いらっしゃいませ」
と、柔和な笑みを浮かべたマスターが姿を現した。
「一昨日、電話で吹きガラス体験を予約した須藤です」
すかさず正哉が答える。
マスターはよりいっそう笑みを深め、
「お待ちしておりました。こちらへ」
そう告げると、店の奥へと進んだので、
二人でそれに付いていく。
奥へと進むとようやく工房らしくなり、
色々な道具などが置かれていた。
 大きな箱の様な物の前でマスターが止まり
「それではこれより吹きガラス体験を始めさせて頂きます」
よろしくお願いします。と二人で頭を下げ、
マスターの説明に耳を傾けた。
道具や工程を一つひとつ丁寧に教えてくれるのでとても分かりやすい。
610 :あとあじ(お題:飴玉)4/5 :2012/07/08(日) 22:18:40.61 ID:KGdJr4PQ0
 一通りの説明が終り、私と正哉に鉄パイプの様な物(吹き竿というらしい)
が手渡された。
これをガラス溶解炉の中へ入れ、溶けたガラスを巻きつけていく。
さすがに溶解炉の前はかなり暑い。
けれども、作業に夢中の私は滴る汗を気にも留めず没頭する。
 巻き付け終ると、それをフリットという色ガラスを砕いた物を
ガラスの表面に焼き付ける。
 そして、形を整え、吹き竿に息を吹き込み、ガラスを膨らせ、
吹き竿をくるくると回転させながら、ガラスを冷やしていく。
ここまでの物を下玉というらしい。
 そこから一番最初にやったように、吹き竿を再び溶解炉へ入れ、
ガラスを巻き付けて大きくする。
 溶解炉から吹き竿を出すと、私は思わず感嘆の声を漏らした。
「すごくきれい……飴玉みたい……」
その透明感のあるオレンジ色は、高級な飴玉の様に美しかった。
私の感動を察したマスターが嬉しそうに
「これも吹きガラスの魅力のひとつですよ」
と優しく目を輝かせた。
それを聞いていた正哉が横から
「恵ちゃんって飴玉好きだよね?」
正哉に目を向けると、いつもに増して真剣なまなざしでこっちを見ていた。
「うん」
とだけ答えた。
正哉は何かを決心したかの様に、小さく立てに首を振り
「じゃあさ、これからは飴玉の様な思い出を作っていかない?」
あまりにも突飛なその発言に私はどぎまぎした。
「いきなり、なに言ってるの?」
私は平常心を装い、小馬鹿にしたような口調でそう返した。
「だから、その……ずっと甘さが続いて、
最後にふと無くなる様な後味の良い思い出……ってこと」
私は店内が暑いことに感謝し、
「なにキザな事言ってるの?似合わないよ」
笑いながらそう答え、立て続けに
「そもそも飴玉って後味良い?」
と捲し立てる様に問いかける。
「僕のはいつも良いんだよ」
少し拗ねたように正哉が反論する。
マスターが小さく、くすくすと笑っていた。
611 :あとあじ(お題:飴玉)5/5 :2012/07/08(日) 22:19:25.92 ID:KGdJr4PQ0
 私たちは「川田ガラス工房」を後にし、来た道を戻っていた。
製作中はとにかく暑かったので、風が本当に心地良い。
もう、日が暮れ始めている。
さっきのガラスみたいだ。
二人の足音だけが静かに響く。
その足音を聞きながら、
私たちはどちらからともなく、思春期に入ってから初めて手をつないだ。

 気が付くと飴玉はすっかり溶け、甘さだけが残る。
ふと、窓ガラスに目をやるとあの日の様なきれいな夕焼けが目に入ってきた。
そして、甘さで痺れたような感覚を感じながら、私は思う。
やっぱり私の飴玉は後味がわるい。
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/08(日) 22:24:31.18 ID:KGdJr4PQ0
読みにくいかと思いますが、感想頂ければ幸いです。
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/09(月) 23:52:24.81 ID:xCzhqQSd0
>>583-593
「違わない」と言ってそのまま押し切られてしまいますが、
明らかに小野さんは要点をすり替えていますね。
押しが弱い主人公にひたすらイライラ。
せめてなにかしらの答えを出して終わらせてほしかったな。
>>601-603
汗をかくアリも自殺の前に親父ギャグを言い放つ女性も死なすには惜しすぎる……。
>>607-611
その間だけ続く回想ってアイデアがいいなあ。
他人の前でキザな台詞言ってるところ想像して床を転げまわりそうになった。
というかふとなくなるような思い出って、よく誤解されなかったなおい。
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/10(火) 18:50:44.12 ID:8m2jSHDxo
>>613
583を書いたものです
感想ありがとう。半分諦めてたからメッチャうれしい
これって感想書きにくいよね。それでも思ったことを正直に書いてくれて嬉しかった
文章が幼稚っぽくても読んでくれてありがとう

>>601-603
読んだ。読みやすい、いい文章でした
けど味気ない。アリなりのユーモアがあったらオチが効いたかも
>>604で書かれてるように情景描写が無いから、
「死にたくても[ピーーー]ないのは分かったから」と適当に読み流してしまう
興味がどこにあって、どこを注目しているかは人それぞれなので、気負わずに、
ネタを映えさせることだけを考えて、文章の取り捨注ぎぎ足しをするとさらに良く見えるかも

>>607-611
青春の思い出を思い出した。ちょっとしんみり
1レス目の上から四行目
>真逆のものまでも
の表現が曖昧で読む気力が飛んだ
きっと、大事なことだろうと身構えてたからだと思う
百合の花はどこいったの! って思っちゃったぐらいだし
飴玉の後味が悪い理由を書ききってくれるとさらに納得できたなーと思った
でも、固有名詞だとか、主人公(女の子だと思う)が体験したさまや、
率直な気持ちが伝わったので、とても微笑ましいお話だと思いました
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) :2012/07/10(火) 20:32:18.27 ID:YbdWqgBo0
お題欲しいかも
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 20:34:15.10 ID:BMnYp9nSO
拡張
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) :2012/07/10(火) 20:36:37.98 ID:YbdWqgBo0
おk!
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/10(火) 23:41:16.68 ID:wXR1IATL0
俺にもお題
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/07/10(火) 23:51:36.85 ID:REPI6OzIo
添い寝
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/10(火) 23:56:52.66 ID:wXR1IATL0
thx
621 :>>533 お題:相席 ◆nSDaZEDm5E [sage]:2012/07/11(水) 00:43:42.82 ID:krCM+KlAO
「相席よろしいですか?」
行列の出来るラーメン店に来てラーメンを頼んだ後、不意にそう言われた。
別に相席しても構わないな。と考え、快く承る。と、

「あ、はいどう…っと久し振り」

「ん。久し振り」

旧友に出会った。


のっし、とガタイの良い体を椅子に預け、ふぅ、と一息ついた。
「あの流行りのラーメンを食べに来たのか?」
私は水を飲みながら尋ねた。

「違うと言ったらどうする?」
「そりゃ驚くさ」
へらりと笑いながらテストで0点を取るであろう返答をされた。
さながらアメリカンジョークのような答えを返した。
622 :>>533 お題:相席 ◆nSDaZEDm5E [sage]:2012/07/11(水) 00:44:19.56 ID:krCM+KlAO
「メニューは沢山あるのに、確率は1/全メニューだぜ?」

「メニュー全部の確率が同等じゃないからな。しかも流行っているし、そのラーメンを頼む確率は極めて高い」

「こりゃ手厳しい。で、どっちに賭けるんだ?」

何時の間に賭ける賭けないの話になっていたのか分からないが、ここは確率的に言っても性格的にいってもこれしかないだろう。と、思いながら

「流行りのラーメンを頼む、だな」
コップを置きながら答える。

「人ってのはロマンを求めるものだぜ?」

「理想より現実だよ。遺跡発掘とかじゃないんだから」
しかも人と言っても男だけじゃないか。と呟きながらそう返すと
「オレからしたら数学ほど理想なやつは無いがな」
と、ぐうの音も出ないような見事なカウンターが返ってきた。
何も反論できずにうぐぐ、と唸る。
623 :>>533 お題:相席 ◆nSDaZEDm5E [sage]:2012/07/11(水) 00:44:53.78 ID:krCM+KlAO
「お、数学者を論破したぜ」
「…こちとら反例を一つでも挙げられると論破だからな」
してやったり顔で言われたので、せめてもの反撃としてそう言った。

「まぁオレらもそれに近いところはあるがな」
「ハンデまで取られたちくしょう」
せめてもの反撃もカウンターを取られ、完敗。

「文系と理系っていう時点でお前は負けてるんだよ。あ、すいません『流行りのラーメン』一つ」
人を言いくるめるんだったら理系より文系の方が勝ってるぜ。といったような感じで言い放ったあと、店員に注文をした。

「…賭けには勝ったぞ」
「…しまった」
試合に負けて勝負に勝ったとはまさにこのことだろう。相手のミスに助けられたが。

「相変わらずうっかりしてるな。お前は」
「何も言えねぇ」
あまり性格の変わっていないところを再確認し、ククッと笑った。

624 :>>533 お題:相席 ◆nSDaZEDm5E [sage]:2012/07/11(水) 00:48:16.33 ID:krCM+KlAO
以上です。…すごい途中で終わった感が溢れていますがここで打ち止めです。ここから先は一方通行です。



…クドくは無いしあっさりしてるけど、内容が無いよう。台本形式やめろよう。
あぁ言い回しが、ボキャブラリーが表現力が乏しい自分が恨めしい…。
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/07/11(水) 05:33:00.27 ID:m8n4WYIwo
>>624
承る、とは目上の人に対して使う言葉。この場合、相手がどのような人物かもわからないんだから、
承る」を使うのは違和感を覚える。「快く承諾する」とかでもよかったんじゃないのか。

旧友に出会った。で済ませ、人物描写がほとんどない。これではどんな人物か、主人公とどんな関係にあるのか、読者には分からない。

> 「違うと言ったらどうする?」
> 「そりゃ驚くさ」
> へらりと笑いながらテストで0点を取るであろう返答をされた。
> さながらアメリカンジョークのような答えを返した。

さて次にこの部分。ものすごくわかりにくい。

> へらりと笑いながらテストで0点を取るであろう返答

とはどういう意味か。「違うと言ったらどうする?」という問いかけを、主人公はテストで0点を取るであろう返答と思った。
テストで0点ということは、明らかに間違っているわけだけれども、「違うと言ったらどうする?」という問いが=間違いを前提とした問いとして書かれている。
しかし読者にとってはそうじゃない。ある意味なぞかけにも等しい問いだ。しかし主人公は、流行のラーメンを食べにきた
のではないと即断している。一体どういうことだろうか。心でも読めるのか。しかしそんな人間離れした描写はない。
いや、このあとそれが明かされるのかもしれない。でも僕はもうこの小説を読む気が失せてしまった。
他の感想人にまかせて、お暇いたすとしよう。では、さらば。
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 14:19:42.36 ID:MOIgmMndo
お題くらさい
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/11(水) 14:30:27.24 ID:iy5LW96AO
>>626
オークション
628 :>>626 お題:オークション 1/2 ◆E9DH6CrGjo [sage]:2012/07/11(水) 19:46:50.11 ID:LHpxSvuYo
 ちょっとした法改正と、それを面白半分に取り上げるワイドショー。そして群がる人、人、
人。それまで細々と通い詰めていた俺みたいな客にしてみれば、面白くない、というのが正直
なところだ。
 悪態をつきながら、商品が押込められたショーケースを眺めまわす。年の頃も体つきも十人
十色。血色よく、無邪気な目ではしゃぎ回るもの。毛の艶さえも失われ、おびえきった表情で
うずくまるもの。年頃の色香を漂わせ、立場もわきまえずヒトに媚び入ろうとするもの。へた
り込み、白痴の表情を晒しているもの。誰もが服従の証たる首輪ひとつを身にまとい、一言で
言えば、そう、壮観かな――。
 定刻五分前にジリリリとベルが鳴り、ほどなく会場は満席になった。それでは開始します、
と抑揚のかけらもない声が宣言すると、最初の商品がステージに引きずり出される。まだ幼子
と言ってもいいメスだ。この手合いであれば落ち着きなく走り回るか、おびえて隠れてしまう
のが相場だが、この子はおとなしく、興味津々と言った目つきで会場を眺めている。血色も良
い。手元の資料に目をやると、名の知れたブリーダーの名前があった。さもありなん。
「ねえあなた、あの子にしましょうよ」
と品のいい女性の声。ああそうだな、と応える男の声と同時に、その席のライトが緑に光る。
ステージ上、カウントダウンが二〇から始まり、そしてそのまま〇、商品は無事落札。夫婦は
ステージに降りて首輪の紐を手に取った。後はお二方の意のままに、というわけだ。
 次の商品は年頃のお嬢さん、いや、雌犬といったほうがいいか。あどけなさの残る顔つきを
装いながら、その実会場に入ったときから妖しい目つきで一人の男をじっと見つめて離さな
い。見られている方、青年実業家といった風情の美男子もまんざらではないのか、逡巡した後
にボタンを押した。そのまま落札。生家を飛び出したところを保護されたらしいが、案外こう
なるところまで予想しての行動ではないだろうか。そこまでくると、雌犬どころか牝狐である
が。せいぜい幸せになっていただきたいものである。
629 :>>626 お題:オークション 2/2 ◆E9DH6CrGjo [sage]:2012/07/11(水) 19:48:34.29 ID:LHpxSvuYo
 さてその次は一悶着。全身の傷が癒えきっていない、やはり年頃の子。虐待されていたとこ
ろを保護された。さて、この手合いに入札するのは大きく分けて二通り。加虐趣味のある人間
の屑と、自分自身の優しさに浸る人間の屑だ。先に入札したシルクハットの紳士は前者。後か
ら入札した目つきの鋭いオバサマは間違いなく後者。さて結果はといえば、シルクハットが競
り勝った。シルクハットになで回され、商品が体をこわばらせる。その様子を見たオバサマは
甲高い声であらん限りの罵詈雑言を喚きちらしていたが、係員につまみ出された。いつもの光
景とはいえ、人間の業の深さにはつくづくため息が出る。
 そのあとも次から次に商品が落札されていくが、僕の琴線に触れることはない。参加者も次
第にその数を減らし、気づけば会場には僕一人。そして本日最後の商品です、とアナウンスが
流れ、ステージに現れたのは端正な顔立ちのメス。まだオトナになり始めたばかりの、傷一つ
ない奇麗な身体。そしてその目に宿る深い闇。一目見て、射すくめられてしまった。生い立ち
を見れば至って普通で、つい先日に事故で家族を失い、唯一生き残って行き場がなくなった
と。ああ、残り物には福来るとはよく言ったもので、まさに僕はこの子と巡り会うためにやっ
てきたのだ。認めよう。僕は人間の、最低最悪の屑だ。迷う間もなく入札のボタンを押し、
当然落札。ステージに降りてその頭をひと撫ですると、期待とも不安ともとれる視線が再度僕
を貫いた。


「……あなたが、私のご主人様になるんですね」


[了]
630 :628 [sage]:2012/07/11(水) 20:51:39.05 ID:LHpxSvuYo
あ、一人称がぶれてたり同じ単語繰り返し使ってたりでメタメタですね。お目汚しすみません………
(書いて1時間おいて読み直してから投稿したのに!)
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/11(水) 22:53:45.71 ID:iy5LW96AO
>>628
落語を聞いてるみたいですんなり頭に入ってきた
同じ単語を、と言ってるけどこれは逆に効果的なんじゃないの
寧ろもっとわざとらしく、くどく攻めてみたらより味濃くなったかも
このオークションなら、もっとえげつないのが欲しいわ

あとこの手の作品には、それなりのオチを期待しちゃうかな
あそびはあったけどしまりが悪い
でも全体的には面白く読めました
632 :628 [sage]:2012/07/11(水) 23:03:31.18 ID:LHpxSvuYo
>>631
感想dです。

本当に(比喩でなく)「イヌ」のオークションなのかも?
っていう疑念を読者に抱かせようと思ったのですが
最後に普通の鍵括弧で台詞を書いたらただの人身売買になっちゃいましたね……
難しいですハイ。
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/12(木) 22:16:36.84 ID:UBqUvHaV0
お題暮れ
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/07/12(木) 22:21:20.71 ID:3s92gdSFo
>>633
不足
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/12(木) 22:24:20.30 ID:UBqUvHaV0
>>634
dクス
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/07/12(木) 22:36:18.97 ID:3s92gdSFo
ついでに私もお題何か たのむ
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/07/12(木) 22:38:43.71 ID:AYgzAOROo
>>636
充足
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/07/12(木) 22:46:51.02 ID:3s92gdSFo
>>637
d
639 :>>636 お題:充足 1/1 ◆E9DH6CrGjo [sage]:2012/07/13(金) 18:54:02.83 ID:ZOdEjbQro
 雨期の終わりと焼け付くような陽射し。競うように草木の芽吹く、この国の春だ。
 豊穣な大地は長く続いた内戦のおかげで、立ち入ることの許されない地雷原に姿を変えた。
一兵卒の端くれとして戦略・戦術における地雷の意味を知らぬわけではないが、いま目の前に
存在するのは、危険と貧困にあえぐ罪なき人々。偽善、自己満足、税金の無駄遣い、母国で飛
び交うそんな言葉も届かぬ遥かなこの地で、私は地雷除去作業に従事している。
 『始動前点検、ヨシ』
現地隊員の言葉とともに、地雷除去機のエンジンが唸りをあげる。地響きをあげながらクロー
ラが大地を踏みしめ、爪のついたドラムが地面を叩く。ラジコンのオペレータは手慣れた、し
かし緊張感を持った手さばきで、その巨躯をゆっくりと進めていく。
 今日の作業でこの区画も一段落するだろう。道路、水場、住居地、耕作地、集会場、そして
学校建設予定地。村として機能するのに十分な土地が確保され、私たちはこの村を去る。次の
村では道をつくり、また一からの作業が始まる。そして作業が始まれば、さらにその次の計
画。いつ自分たちの土地は安全になるのかと、順番待ちの列は、それこそ争いにもなりかねな
い熱気を帯びている。この国では、誰もが生きることに、こんなにも真剣だ。
 もうすぐ離れることになるこの村を、もう一度歩こう。隊員に残り作業の指示を出し、現場
を離れる。水場を巡り、家々の間を巡り、自分の足で大地を踏みしめられる幸せ。こんな幸せ
を感じられなくなった母国に、もしかしたら私は、もう嫌気がさしているのかもしれない。人
間のなんて貪欲で、贅沢なことだろうか。
 村のはずれまで歩くと、若い女性が小さな子の手を引いて歩いていた。ここから先は道も荒
れ放題、道を外れれば地雷の除去もしていない危険な土地だ。もちろん彼女たちは百も承知
で、その線から先に歩みを進めることはけっして無い。地雷の犠牲者だろう、彼女の右足は義
足。その母に歩みを合わせる男の子。この国では当たり前の、悲しい、幸せな光景。
 ふいに子どもが、道の先を指差した。この道をずっと進めば大都市につながっている。将来
道路が整備されれば、この街道沿いの村も大きく発展するだろう。そのことを知ってか知らず
か、母親もかがみ込み、子と同じ視線で、子と同じ方角を指差した。もの言わぬその笑顔は、
我が子の将来の希望を信じてうたがっていない。

くさはらに ははのほほえみ みちたりぬ
        みちなるみらいは はるかにとおく
                                        [了]
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/07/13(金) 19:47:03.43 ID:iegPNbuXo


生きることに面倒臭さを感じている俺にはあまり理解できない充足感だ……。
だからこそ必要なテーマなのかもしれん、と思いました。
短くて読みやすい、それに加えて引き込まれる世界感に花丸をあげます。
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 23:39:33.58 ID:d4mkQfTHo
お題ください
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/13(金) 23:54:26.24 ID:t87nE35no
>>641
小指
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 23:59:42.96 ID:d4mkQfTHo
>>642
あざーす
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/14(土) 02:42:17.63 ID:JCZvsJB4o
お題下さい
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 02:48:57.53 ID:riagfjjto
>>644
寿命
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/15(日) 09:52:28.42 ID:BlsVpgrXo
>>644

窓を開けても風通しが悪い自室の寝苦しさに目を覚ます
針が指すのは丑三つ時、霧がかかったような意識の中で蝉の甲高い鳴き声が響いた

そういえば、検索の下の方にランクしているような寂れた他人のブログに
”蝉が唐突に鳴いた声は虫に食われた時に上げる断末魔”だと書かれていた覚えがある
そこまでの命だったのだろう 今はとりあえず階下に降りて何かを飲もう

そこまでの命?そこまでの運”命”だったのかそこまでの寿”命”だったのか
運で命が決まるなら結局は運が無い生だったと決まってしまうのだろうか?
そもそも”運”事態、喜怒哀楽で決まるようなものだ
ただ求愛の為だけに鳴く蝉にとっては”運”など無いのだろう では寿命か

思考は階段を半ば降りた辺りから響き始めた面白味の無いテレビと馬鹿笑いで中断される
親父だ 母さんが死んでからその酒を止める奴は居ない、人間のクズだ
いつもならこの時間は酔いつぶれている筈だが”運”が悪かったか

”運”?いや、母さんが居なくなってから俺に感情は消えた筈だ
暖かかった食卓も、厳しく叱りつけてくれた声も、寂しさを包んだその腕も、些細な事でも笑ってくれた笑顔も
親父が散々母さんを暴行して、ある日母さんは死んだ
では”寿命”か、俺が行動することは 

あ、やっぱり違うわ これは感情行動だから
そのまま転がってる空き瓶を拾うと”運命”に導かれるまま人間の屑に振り下した
647 :639 [sage]:2012/07/15(日) 22:13:57.31 ID:CwUbbn1Yo
>>640
わーい花丸ありがとうございます

……とここでネタばらし。背景はほとんどノンフィクションです。
日本人がアンゴラとかカンボジアで地雷除去やってるっていうリアル
ttp://www.youtube.com/user/YDYD1942
#私自身は関係者ではないですが


>>646
寿命、運命、何もかもを人の手にゆだねて自分は悪くないと思い込む、
否、思い込みたい未熟な心情が
単語の選択、文の構成、意図の読めないディテール、全てに発露している
紛うことなき中二病、完全なるかな、とぼそりと呟き
感想の代わりに手向けておこう
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 01:18:52.70 ID:QEYr/tYjo
お題くれたら小説書く
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 01:54:50.04 ID:o6aT1jKBo
>>648
アマチュア
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 02:41:04.39 ID:QEYr/tYjo
>>649
わかった
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/17(火) 03:50:00.65 ID:RDxd6l8Eo
他のスレであった、こういうお題って難しいのかな?

・小説形式に脚色してください。
・一人称三人称は問いません。

中学校の昇降口
どんよりとした曇り空
女子学生が帰ろうとしている
女子学生(傘を持ってこなかった)
空を見上げる
雨がぽつぽつと降ってくる
女子学生「どうしよう」
悩んだ後、雨にぬれながら走り出す
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/17(火) 08:29:26.38 ID:VPQJn4zAO
別に難しくはないんじゃないの
まあ、その手のはあんまり出されないよね
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 12:24:17.62 ID:hcIf55tJo
じゃあ>>651みたいなお題ちょうだい
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/17(火) 15:44:12.52 ID:VPQJn4zAO
>>653
飼い犬を捨てる時の葛藤
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 11:02:46.50 ID:jBdtjwGTo
>>654
把握
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/18(水) 21:20:15.26 ID:vaRlnhVKo
――品評会やりませんか?――

Q.品評会ってなに?

A.みんなで同じお題で小説を書いて、感想をもらう有意義な会です。

第302回週末品評会  『500円玉』 『ロリ』

規制事項:特になし レス数自由。
投稿期間:2012/7/21(土)00:00〜2012/7/22(日) 23:30
宣言締切:日曜23:30に投下宣言の締切。それ以降の宣言は時間外。
※折角の作品を時間外にしない為にも、早めの投稿をお願いします※

投票期間:2012/7/23(月)00:00〜2012/7/24(火)24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票するよう心がけましょう※

まとめスレで例に上がったお題『500円玉』と>>133のお題をモデルに作成しています。

品評会したいんだけど、していい?
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 21:34:31.93 ID:magVK9gso
>>656
運営できるならいいんじゃなイカ?
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 21:37:31.57 ID:3UBt4bzdo
>>656

いいと思うけど、投稿期間長くしたら? 
そもそもやらなくなった原因が投稿数が少ないからだったんだから投稿期間もっと延長してもいいんじゃね?
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/18(水) 21:41:29.46 ID:vaRlnhVKo
>>657
運営したことないから至らないかもしれないけど
品評会テンプレ貼りとまとめスレに転載することは最低限するつもり
>>658
どれぐらい長くすればいいと思う?
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/18(水) 22:00:17.05 ID:raQSvJtAO
久しぶりに品評会の話題出たか
期間は長すぎても短すぎてもネックになるからなあ

投稿期間:2012/7/28(土)00:00〜2012/7/29(日) 23:30
投票期間:2012/7/30(月)00:00〜2012/7/31(火)24:00

くらいでどうよ
661 : :2012/07/18(水) 22:04:11.05 ID:gV077isI0
お題いただけます?
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 22:06:25.85 ID:qpyY9gGSO
>>661グラフィック
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/18(水) 22:08:32.39 ID:vaRlnhVKo
>>660
了解した!
んじゃあテンプレ手直しして貼り付ける
ちなみに心得ておく事ってあるかな?
どこに開催するって書き込めばいいかとか

まとめのほうでも話題に上ってるし俺も書きたいから
みんな書いて投稿しようぜ!
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/18(水) 22:23:14.21 ID:vaRlnhVKo
第302回週末品評会  『500円玉』 『ロリ』

規制事項:レス数自由

投稿期間:2012/7/28(土)00:00〜2012/7/29(日) 23:30
宣言締切:日曜23:30に投下宣言の締切。それ以降の宣言は時間外。
※折角の作品を時間外にしない為にも、早めの投稿をお願いします※

投票期間:2012/7/30(月)00:00〜2012/7/31(火)24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票するよう心がけましょう※

まとめスレで例に上がったお題『500円玉』と>>133のお題をモデルに作成しています
お題はどちらでも結構です。ですが、どちらで書いたのかを表記してください
詳しくは

▲週末品評会
・毎週末に週末品評会なるものを開催しております。小説を書くのに慣れてきた方はどうぞご一読ください。
 wiki内週末品評会:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/wiki/index.php?%BD%B5%CB%F6%C9%CA%C9%BE%B2%F1

上記で確認ください
気がむいたらでいいですので、ご参加お待ちしております
665 : :2012/07/18(水) 22:28:50.62 ID:gV077isI0
>>661 ありがとです〜でも今日は上げれないっぽ・・・・
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/19(木) 01:11:45.11 ID:obYOzuGSO
ゆっくりでいいんでじっくり書いて下さいな
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) :2012/07/19(木) 22:31:51.30 ID:N2i4w9Lo0
官能系もいいのかな?(真面目に教えて先生)
668 :sage :2012/07/19(木) 22:33:10.14 ID:N2i4w9Lo0
うはwwwwww使用が変わってあたふた
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/20(金) 00:17:15.91 ID:9IOa8PrAO
あれこれってお題2つ絡ませなきゃいけないんだっけ
どちらかというわけじゃないよね?
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/20(金) 09:56:06.62 ID:OTCOtXbIO
前はどっちか一つだった希ガス
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/20(金) 12:51:42.38 ID:9IOa8PrAO
どちらか1つでいいんだね
ありがと
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) :2012/07/20(金) 22:19:41.19 ID:DQdmFIRg0
この前頂いたお題「グラフィック」投下します。
673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/20(金) 22:20:14.43 ID:X0eXgNYSO
拝見させていただきますの
674 :嫉妬 お題:グラフィック 1/2 :2012/07/20(金) 22:25:34.98 ID:DQdmFIRg0
隆は夏子の上で頂点に達すると、荒い息をたてながら夏子の上に倒れこんだ。
隆の背中にはしっとりと汗がにじんでいる。夏子の上で力を抜いている隆の身体は、
夏子にとって苦しいと感じることは無く、むしろ、その重みは心地よいと感じていた。
夏子は撫でる様に隆の背中へ指を滑らせている。
なめらかできめの細かい肌をした背中はとても触り心地が良く、触れるか触れないかといった
悪戯な気持ちを持ちながら夏子はゆっくりと指を遊ばせて、大きな背中に爪を立てた。

「あっつぃ・・・」

隆は夏子の上から転がる様に横へ身を投げ出した。その勢いで夏子の脇腹から隆のものが流れだす。

彼の寝息はあおむけになったとたんに聞こえて、夏子は隆の額の汗を手で拭い、
目じりにキスをしてから眉を人差し指でなぞりながら小さく呟いた。

「あなたは私だけなんだから・・・」

夏子は隆の顔を愛おしく眺めてから、デスクに置いてあるパソコンの電源になんとなく目を止めた。

電源は青白く光っている。隆の部屋にある彼だけのパソコンだった。
全くのプライベートルームでのそれには、認証設定などある訳もない。その青白く光る電源が、
スリープ状態であることを教える電源ランプだという事を、夏子は見た瞬間に分かっていた。
675 :嫉妬 お題:グラフィック 2/2 :2012/07/20(金) 22:26:54.08 ID:DQdmFIRg0
一糸まとわぬ姿でパソコンに近づくと、夏子はマウスに手を置いた。

それに手を触れた途端にモニターは生き返り、眩しい光を放った瞬間、27インチの画面から
隆が作成中のレイヤーが大きく姿を現した。

そこに居たのは、視覚表現されたアニメ姿の夏子である。

丸みを帯びた大きな胸、シェイプされたウエストからの美しいヒップライン・・・
はちきれそうな肉付きのいい太ももに細くひき締まった足首。顔は童顔で目は大きく潤んでおり、
唇はつややかに光りながらいやらしく開いている。
肌は張りのある感覚をうまい具合に色の濃淡で魅せていた。
隆のセンスと、グラフィックされた自分に対して、強烈に嫉妬した夏子は豹変した。

強制終了したパソコンからは既に青白い電源ランプは消えて、
ベットの上で横たわる隆の肌がぼんやりと浮かんで見えているだけである。

「あなたは私だけよ。教えてあげるわ・・・・・」

夏子は、隆を夏子の口なしではいられない男にしてやりたいと企み、彼の足元から這い上がった。
違う生き物の様な動きをする舌は、すぐに隆を夢から引きずりおろす。

隆は夏子の髪に指を這わすと、小さく吐息を漏らしながら力を込めて髪を握りしめていた。

676 : :2012/07/20(金) 22:27:38.47 ID:DQdmFIRg0
どもでした〜深夜もので失礼しました^^;
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/20(金) 22:46:30.36 ID:X0eXgNYSO
乙ー。
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 00:08:48.46 ID:7UuYqUGR0
乙。
何かお題頂けませんか?
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 00:14:23.88 ID:JQb2CNY9o
>>678
社長
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 00:14:27.73 ID:ubiIlPbso
>>678
腕時計
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 00:16:29.93 ID:7UuYqUGR0
>>679
>>680
ありがとうございます
682 : :2012/07/21(土) 22:42:12.64 ID:v2MGDLpc0
お題いただけますか?優しくして・・・・
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/21(土) 22:42:59.90 ID:qoRb5yBUo
>>682
バファリン
684 : :2012/07/21(土) 22:47:57.73 ID:v2MGDLpc0
>>683 それは胃にやさしい・・・・じゃなくて、違う優しさキボン
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 22:52:21.51 ID:IemqyDkSO
再安価か?安価なら海月で
686 : :2012/07/22(日) 12:18:30.27 ID:/4Nq5Wm00
>>685 海月いただきます〜お時間下さい
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/26(木) 00:14:04.28 ID:QDFI8GVIO
本当に今週末品評会やるの?というか誰か人がいるの?
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/07/26(木) 01:53:56.53 ID:lY9jq84A0
俺は投稿するつもりだった
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/26(木) 02:42:22.42 ID:TzZRH/U1o
>>688
>俺は投稿するつもりだった
まだ時間はたっぷりあるよ!
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/26(木) 03:24:35.78 ID:dm1HyIXAO
まあ今回が駄目でも新しい投下期間設定でたまにやるべき

そんな俺は幼い娘を亡くした独身男が、500円で幼女が出てくるガチャを半信半疑でやり家に連れ帰って育てていく
という妄想がなかなか筆先に乗らなくて四苦八苦
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/26(木) 19:17:53.45 ID:VkTgDNze0
>>690 書くべきだな
692 :saga [sage]:2012/07/26(木) 20:17:19.52 ID:g2RofehKo
うんこはひねり出さないと健康に良くない
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/28(土) 20:28:47.19 ID:5RGckxYuo
>>674-675
これ読んでこんな場合こーはなんないんじゃないかなーっていう感想が一番最初に浮かびました
もし俺が彼女のPCの中に二次元化された自分を発見したら「まったくも〜う。ほんと○○子は俺のこ
と好きなんだから〜。どこまでも好きなんだから〜」などと自己肯定がハンパなくなってたと思う
女の子の敵愾心にリアリティが感じられなかった

どうでも良いことかも知れないけど俺のよく読む市販のエロ小説にも「シェイプされた」という語彙が
出てくる、そのあたり意外とちゃんとそのカテゴリで書こうとしているというふうに読めて好印象でしたよ

694 :失踪 [sage]:2012/07/28(土) 21:03:24.86 ID:Qio/eZjCo
>>664のお題『500円玉』を使用

四六時中鳴き続ける蝉の音を背景に、少し綺麗になった墓石に手を合わせる
大学のレポートと付き合いに日々を押しつぶされ
気づけば家族の中で祖先に手を合わせてなかったのは俺だけだった

例年通り、現状を死者に伝えて顔を上げる
この暑さも残り1ヶ月を切っていると考えるとどこか寂しいものがある
海にも山にも行かずに単位を追い回しているのも体に悪い
同じく懐も寂しいが………まあ多少我慢すれば問題は無いはずだ

そう思案している頭の外で 唐突に軽い金属音が響いた
首を回すと花崗岩の林の中に一枚だけある金色のメダル500円玉
これから遊ぶ計画をしていた頭は特に疑問に思う事も無く、無意識にそれを手に取った



695 :失踪 [sage]:2012/07/28(土) 21:12:07.62 ID:Qio/eZjCo



歩き続けてかなり経ったがこの墓地はここまで広かったか?
行けども行けども墓石ばかり、木の一つすら見えやしない
その墓石もどれも荒れた様子もなく皆同じような形のモノばかり
気のせいだ、自分に言い聞かせ歩く
生憎、携帯は郊外のためか電波は入っていない 時計は残り5分で昼を告げる



これはおかしい!何故だ!どこまで行けば墓から出られる!?
景色は変わらない!どこまで行っても灰色のモノリス一色だ!
時計も太陽も変わらない、だが電池だけは刻一刻と減ってゆく
誰か、だれか助けてくれ!いないのか!
狂人でも、幽霊でも構わない 誰か俺に変化をくれ!
696 :失踪 〜終〜 [sage]:2012/07/28(土) 21:21:49.52 ID:Qio/eZjCo
                     もうどれだけ歩いたかわからない 足はもう動かない
                 落ちない真昼の日を見ながら虚ろに視線を向ける
                           変わらない灰色 蝉の鳴き声 人影
                  人影!?人!ヒトか!?

        おい!助けてくれ!          どれだけ彷徨ったかわからないんだ!
                         なあ?聞いテるか!         おレをたすケテクれ!
           なんでむシスンだよ!                  
                 なあ、タすけてくれよ!

                           タスケテクレヨオオオオオオオォォオオオオオ!!!!!!!!











                                       ―      チ ャ リ ン     ―







「……?なんでこんなとこに?
 まあ良いか、儲け儲け」
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/28(土) 23:00:12.98 ID:w+ojcacBo
 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  23時を回りました。
 |   CAUTION   .|  これ以降品評会作品を投下する方は、予約の上指示に従って投下して下さい。
 |________|  予約条件は「レス区切りまで終わり、後は投下するだけ」の状態であること。
   ∧,,∧ ||        締切は23:30となっております。規制中の方は救済スレッドまでどうぞ。
  (´・ω・)||        その際は、30行を超えていないか確認してくださいね。あちらは30行を超えても書き込めてしまいますので。
   /  づΦ
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/28(土) 23:09:43.06 ID:5RGckxYuo
                     _____
    / ̄ ̄ ̄ ̄\,,      /−、 −、    \
   /_____  ヽ    /  |  ・|・  | 、    \
   | ─ 、 ─ 、 ヽ |  |   / / `-●−′ \    ヽ
   |  ・|・  |─ |___/   |/ ── |  ──   ヽ   |
   |` - c`─ ′  6 l   |. ── |  ──    |   |
.   ヽ (____  ,-′   | ── |  ──     |   l
     ヽ ___ /ヽ     ヽ (__|____  / /
     / |/\/ l ^ヽ    \           / /
     | |      |  |     l━━(t)━━━━┥
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/28(土) 23:25:35.23 ID:HplAHPwIO
カオスタイムか
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/07/28(土) 23:33:32.88 ID:qno43yRdo
哀しくなるからやめてよね
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/28(土) 23:34:12.65 ID:w+ojcacBo
現在、週末品評会302thの投票受付中です。今回の品評会お題は『500円玉』と『ロリ』でした。
投稿された作品は■まとめ http://yy46.60.kg/bnsk/ -週末品評会302th- にてご覧頂けます。
投票期間は2012/07/30(火)24:00:00までとなっております。

感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
投票には以下のテンプレートを使用していただくと集計の手助けとなります。
(投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません)

******************【投票用紙】******************
【投票】:<タイトル>◆XXXXXXXXXX氏
【関心】:<気になった作品のタイトル>◆YYYYYYYYYY氏
     <気になった作品のタイトル>◆ZZZZZZZZZZ氏
**********************************************
― 感 想 ―

携帯から投票される方は、今まで通り名前欄に【投票】と入力してください。
たくさんの方の投票をお待ちしています。 
時間外の方も、月曜中なら感想、関心票のチャンスがあります。書いている途中の方は是非。
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/28(土) 23:40:31.03 ID:5RGckxYuo
一日早くないか?
それともキング・クリムゾンに時間を飛ばされたのか?
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/28(土) 23:42:29.76 ID:w+ojcacBo
あ、悪い焦ってテンプレ貼っちゃった
どうりで人こねーわけだ
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2012/07/28(土) 23:43:32.57 ID:Gccp+rHG0
土曜日をまるまる寝過ごしたのかと思ったがそんなことはなかったようだな
安心して書こう
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/28(土) 23:51:57.08 ID:ugUebg94o
明日もおなしゃす!
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/28(土) 23:56:30.72 ID:w+ojcacBo
ごめんね(これで品評会のこと思い出しただろう。さあ書くのだ!)
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/07/29(日) 18:00:12.01 ID:UA0tzlJN0
まだ一作しかでてないのか…
708 : ◆F00SERh74E [sage]:2012/07/29(日) 18:41:17.07 ID:wQd2OveG0
酉テス
問題なければ4レスで品評会投下します
709 :世にも地味に奇妙な話 1/4 ◆F00SERh74E [sage]:2012/07/29(日) 18:43:27.46 ID:wQd2OveG0
 大学をやめて田舎に帰りフリーターをしている高木から、用事でそちらに行くから一晩泊めてくれと
連絡があった。適当に待ち合わせ、昔よく一緒に飲みに行った店に入った。ここは変わらねえな、など
と月並みな台詞を吐くので、なにセンチ気取ってんだと茶化す。酒を飲みながら共通の知人のゴシップ
や昔話に花を咲かせた後、ところでこっちに来たのは何の用だ? と水を向けた。
 高木は返事をする代わりに、一拍置いてグラスに手を伸ばし、ちびちびと酒を口に含んだ。居心地悪
そうに壁の方に目をやり、一度深々とため息をついてから口を開いた。
「それなんだが――いや、やっぱり……そうだな、どう言ったもんか」
「妙に歯切れが悪いな。やましいことでもあるのか」
 何かを躊躇しているようだったが、やがて踏ん切りをつけてなぜか財布を取り出し、小銭入れから引
っ張り出したものを俺に手渡した。白銀で重量感のあるそのコインを目の高さまで持ち上げ、何度か裏
返してみる。
「うわ、旧五百円玉じゃん、これ。久々に見た」
 俺の反応を緊張した面持ちで窺っていた高木は、安堵した様子を見せた。その意味する所はまだわか
らない。もはや忘却の彼方に消えかけていた存在が思いもよらぬ形で目の前に現れた俺は、得体の知れ
ない高翌揚感を覚えていた。
「で、この世界屈指の高額面硬貨の旧バージョンがどうかしたのか?」
「端的に言えば俺の地元で流通している」
 沈黙。俺は高木の顔をまじまじと見た。冗談にしても出来は悪いが、高木の目は笑っていない。旧五
百円玉? 少なくとも俺の知っている世界ではもうお目にかかる機会はほぼ皆無と言っていい。高木に
渡されたコインをもう一度取り上げてみる。新硬貨にくらべて微妙にだが重いと断言できる。それほど
あの黄色い新五百円玉が手に馴染んでいるのだ。
「からかっている訳じゃない。真面目な話なんだ」
 そう言う高木の顔は切実だ。しかしあっさり信じた様子を見せて、担がれていたら甚だ癪である。こ
の状況に対する態度を決めかねて、俺は努めて疑わしげな目を向けながら言った。
「仮にそれが本当だったとして、なぜそんな事が起こるんだ? 今さら旧五百円玉が出回る現実的な経
緯がさっぱり描けないんだけど。それに何だってこんな話を始めたのかもわからん」
 高木は頷いて、答える。
710 :世にも地味に奇妙な話 2/4 ◆F00SERh74E [sage]:2012/07/29(日) 18:44:28.56 ID:wQd2OveG0
「何でこんなことになったのかは俺にもわからん。あくまで直観だが、これに合理的説明を加えようと
しても無駄だという気がする。何でこんなことを話すかってことだが、まさにそれが俺がこっちに来た
目的なんだ」
 俺は無言で続きを待つ。こういう時酒は便利だ。いったいこの元同窓生は何を言い出すんだ。予想も
つかない話の流れに、真偽はともかく好奇心を抱きつつある自分を発見した。
「とにかく俺の話を聞いてくれ。とはいえどう話せばいいのか自分でも見当がつかない。話すべきこと
はたくさんあるはずなんだが、全てデタラメのような気がしてくる。そうだな、まずさっきそれが流通
してるって言ったよな」
 高木は俺の持つ硬貨を指した。
「正確には流通してた、だ」
「それは日本中どこでもそうだろう」
「確かに。しかし問題は、旧五百円玉に取って代わったのが百円札だということだ」
 吹き出しそうになるのをなんとかこらえる。
「とにかく俺の地元は現在進行形でおかしなことになってる。使われなくなったはずの貨幣がどこから
ともなく現れては当たり前のように支払いに使われる。誰も疑問に思わないんだ。しまいには周りの方
が正常で、狂ってるのは自分の方だという気さえしてきた。どちらが狂ってるか確かめるために、こう
してお前を訪ねて来たってわけだ」
「とりあえずその異変とやらが起こり始めた所から話してみろ」
 俺が話を聞く態度を見せたので落ち着いたのか、高木は順を追って話し始めた。

 高木は実家に寄生しつつ、コンビニでバイトをして生活している。広々とした駐車場を備えポツンと
建つ店舗は、地域と地域を結ぶ幹線道路に面している。車での来客を前提に出店されたが、今や近所の
細々とした個人商店を駆逐して地元経済の中核を為しているという。コンビニなどとは相性が悪いと思
われがちな老人層も資本主義的に計算された味を覚え、たまに訪れる若者なんかよりも有り余った金を
落として行く上客になっているらしい。高翌齢者向けに、弁当・惣菜類の宅配までしているというから驚
きだ。
711 :世にも地味に奇妙な話 3/4 ◆F00SERh74E [sage]:2012/07/29(日) 18:46:11.26 ID:wQd2OveG0
 最初は旧五百円玉だった。レジ打ちをしていた高木は何気なく受け取ってから内心驚いたが、珍しい
こともあるもんだという程度でさほど気にしなかった。貯金箱の底にでも残っていたのだろう、くらい
に思って結論を出した。しかしその日を境に、支払いに使われる旧五百円玉の数は急増する。新旧が混
じって使われた数日の過渡期を挟んで以後、黄色の五百円玉は全く使われなくなった。レジから釣銭と
して五百円玉を出すときは、なんとはなしに新硬貨を優先していた高木だったが、ついにレジの中から
黄色い大コインが絶滅して高木は愕然とした。
 五百円玉と並行して、紙幣にも変化が起こり始める。いつしか客の出す英世が漱石に、一葉が稲造に
なった。諭吉は諭吉のままだったがデザインが旧版に戻った。この頃には高木も何か尋常ならざる事態
が進行していると確信し始めた。いかにも人の良さそうな顔をした(それが見た目程ではないことを高
木は知っていた)中年の店長を捕まえて、最近古いお金多くないっすかと聞いてみたが、店長は怪訝な
顔で、そりゃ多少使い古しのお金が使われることもあるだろ、とだけ答えた。高木の発言を店長は硬貨
の発行年代が古いとか、新札じゃないとか、そういう意味あいに取ったのだと後になって思い当たった
が、少なくとも現状に対する疑問を高木と共有していないということはわかった。それは店長に限った
ことではなく、高木と同じくレジ打ちに立つ同僚たちの誰一人貨幣流通状況の異常について話題にしな
かった。そんな中で声高に疑問を口にするのは、何故かはわからないがひどくリスキーなことに思えた。
レジや人々の財布の中身が異常をきたしたところで高木の生活に何か影響を及ぼすこともなかったので、
余計な波風を立てる必要もないじゃないかと思った。食糧その他の必需品は親が買ってくるし、娯楽の
類はネットを介して購入する。申し訳程度の生活費を家に入れるのを含め高木自身の決済は全て口座上
で行ったので、自分でその“異常な”貨幣を現金で使うこともない。高木はその状況に順応してはいな
かったが、疑問を抱き続ける必要もまたなかったのである。

「何か悪い冗談に付き合ってるような気分だった」
 と高木は言った。
「お約束というか、暗黙の了解みたいなのがあって、不本意ではあっても場を乱さないよう流れに従わ
ざるを得ないみたいな。それにさっきも言ったが、どんな理屈でこんなことが起こり得るのかいくら考
えても見当がつかない。ネット上で騒がれても良さそうだが、どこにもそんな記事はない」
「それで思考停止か」
712 :世にも地味に奇妙な話 4/4 ◆F00SERh74E [sage]:2012/07/29(日) 18:48:22.96 ID:wQd2OveG0
「仕方がないだろう。ずっと考えてると気が変になりそうだった。それに、俺の生活が直接どうにかな
るわけでもなかったしな」
「なら放っておけばいいじゃないか。ここでこんな話をすることはない」
 俺の発言はいささか冷淡だったかもしれないが、高木の話を鵜呑みにするつもりはない。
「五百円玉が百円札に取って代わられたって言っただろ。客があまり硬貨を使わなくなって、今度は見
たこともないような紙幣を使い出しやがった。事態は進行しているんだよ」
「つまりお前が言いたいのはこういうことか? お前の地元では貨幣の歴史が逆行していってると」
「ああ。そして知ってか知らずかあっちの連中は全く気にも留めてない。財布を開けば、何食わぬ顔で
レトロ紙幣を出してきやがる」
「そのうち小判とか銅銭になるんじゃないか」
 俺がそう言うと高木は力なく笑った。
「それが現実になりそうだから困っている」
 ははは、と乾いた笑い声を出す。
「それで、お前はどうしたいんだ?」
「いや、どうもしない。ただ自分が正気なのを確かめたかっただけさ。今日は話ができてよかった」
 お前は十分狂ってるよ、と言いたかったがやめておいた。これが全て作り話ならば文句なしに狂って
いるし、仮に本当だとしてもそんな世界に含まれている高木はやはり狂っている。どちらにしろ俺に確
かめる術はない。
 翌日、俺の下宿に一晩泊まった高木は帰って行った。見送ったついでに自販機で飲み物でも買おうと
したところで、五百円玉を返し忘れていることに気が付いた。まあいいかと財布から自前の新五百円を
自販機に入れた。しかし何度投入しても受け付けない。試しに高木の五百円玉を入れると、使えた。
 まさかね、とつぶやいてボタンを押す。

713 : ◆xoqQYwssWY [sage]:2012/07/29(日) 18:53:18.22 ID:GGfZBRzDO
あぶなく投下被るとこだった
投下します
714 :ピエロの体重1/1 (お題 500円玉)  ◆xoqQYwssWY [saga]:2012/07/29(日) 18:53:44.34 ID:Z4tlR4GVo
 四方をガラスで囲まれた珍妙な部屋の中に黒いタキシードに身を包んだ白髪の老人が一人、椅子に右腕以外を縛り付けられ、カタカタと小さく震える若い男が一人。
 二人の表情は対照的だ。
 老人は貼り付けられたような笑顔で、一方若い男は刑の執行を明日に控えた死刑囚のよう。しかしながらこの男は別に死刑になるような凶悪な人間というわけではない。
ただ人よりほんの少しギャンブル欲が強く、八百万の借金をこの老人からしている、というだけの、普通の人間だ。
 老人は腕時計をちらりと見やると、もったいぶるように一歩前に踏み出し、恭しくガラスに向けて頭を下げる。
 ガラス向こうには百に届かないであろう数の、身なりの整った老若男女がデザートを待つ子供のように目を輝かせ、部屋の中をガラス越しに見つめていた。 
「歴史を省みるに物の価値というものはその物の重さと比例してきました。あるものが発明されるまではね。それがなんだか分かりますでしょうか? クックックッ、お金です。マネーですよマネー」
 やや大げさな口上に、それこそ本当に大げさというべき盛大な歓声が一斉に沸き、観客たちの顔がぐにゃり、と歪む。
 子供は子供らしく子供のように、大人は大人気なく子供のように口を吊り上げて。
 老人は続ける。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。と申しますが、今宵こちらに集まりましたみな様は、人の死に様が見たいというひとでなし、馬鹿野郎どもです。
それでは本日のショーは愚者は愚者らしく、原始的直感からこいつを使うことにいたしましょう」
 ポケットから取り出したのは五百円玉。しかし日常で見慣れたそれとの若干の差異を観客たちは感じた。
「ふふふ、気づかれた方もいらっしゃるようですな。これは旧五百円玉です。約70.2グラム、この国で流通する中で最も重い、つまり愚者にとってもっとも相応しいお金です。
これをこの若者に与えましょう。これで未来あるこの若者は最高のチャンスを得たことになります。ふふふ、老人冥利に尽きますな」
 老人はそう言うと初めて若者を視界の中に捕らえ、そしていたわるように、彼の左の手のひらに五百円玉を握らせると再びガラスに向かって振り返る。
「さて、肝心のショーの内容ですがあまり趣向を凝らしすぎるのも興ざめというもの。こいつを使うとしましょう」
 懐から黒い、一般人には現実的ではない鉄の塊を取り出した。
「ニューナンブM57B。我らが宿敵、警察官の標準装備でございます」
 部屋の中に金属の落下音が五つ響き、ジャラララ、とシリンダーを回す音は観客の嬌声にかき消される。
「ロシアンルーレット。映画で見たことがおありでしょう。まあもっとも実物を見たことのある方もいらっしゃるでしょうが」
 老人の全く笑えないジョークに決して少なくない人数が声を上げて笑う。それが若い男に自分がいる場所は『そういう場所』なんだという恐怖感を突きつけ、男の震えはより一層激しさを増した。
 すると唯一自由に動かせる右手を老人のものとは思えない凄まじい力で抑えられ、無理やり銃を握らされる。老人は若者の目を見ながらさっきから一切替わらない笑顔で呟いた。
「一発ごとにお前の左手のものは十倍になる。一発なら五千円、二発なら五万円。五発目までいけば借金を返しても十分お釣りが来る。もちろんいつやめるかも自由だ。
一発も撃たずにギブアップしてもなんのペナルティもなく、そのまま帰ってもらって構わない。しかし昨日までような惨めな毎日を明日からも送ることになるがな。
さあ、どうする? 十秒以内にやるか帰るか決めろ。イエスなら首を縦に、ノーなら横に」
 若者が老人の言葉を理解するのに数秒かかった。そしてそれを吟味し咀嚼するのにまた数秒。
最後の一秒でうなずいた男の目の色は、さっきまで恐怖一色だったのに対し、数%ほど希望の色が混じっているように老人には思え、そこでようやく老人の顔に呆れのようなものが混じる。
 しかし観客にそれを感づいたものは誰もいなく、老人もすぐさま笑顔を貼り直し、再びガラスに向かって恭しく頭を下げた。
「それでは始めましょう。これよリ行われるは我らがサーカスのハナでありオオトリでございます。演目は大綱渡り。果たして彼は1/6の確率という細い綱を無事に渡り切ることができますでしょうか。
さあさあ、さてさて。本日のグランドフィナーレの紙吹雪は喋らぬはずのピエロの歓喜の叫びか、はたまた飛び散ちる脳漿か。みな様しかと御覧ください。
それでは最後に、これより一世一代の大博打を打つこの哀れなピエロにこころばかりの拍手をば」
 ガラス越しに伝わる盛大な拍手。それによってカチリ、という最初の一歩の足音はかき消された。

 
「旦那、終わりましたぜ」
 中年の大男はいつもの様に死体を片づけ、部屋の掃除をし、仕事の終わりを雇い主の老人に報告した。
「うむ、ご苦労。ほら今回の給金だ」
「へへへ、毎度どうも」
 慣れた手つきで万札の枚数を数える。手間の割に美味しい仕事ではあるが、実際には口止め料と、いざというときのトカゲの尻尾としての給料も含まれているのでそれほど多くはないのかもしれない。
「旦那、今日も儲かったみたいですねえ」
「まあ、な。金を払ってまで人が死ぬのを見たがる物好きなんて理解もできんがな。信じられるか? 今日の客の中には医者だっていたんだぞ。死体なんて見飽きているだろうに」
「はあ、金持ちの考えていることは分かりませんねえ。あっち、いてて」
「どうした?」
「いえね、さっき死体を片すときにぎっくり腰になっちまたんですよ。ほら人間って死ぬと重くなるじゃないですか」
「ふん、じゃあさっさと帰って寝ろ。明日も仕事だからな」
「そんな、聞いてませんぜ」
「今初めて言ったからな。安心しろ明日は少し給料は弾んでやる。今日は女は買わずにゆっくり休め」
 なおも文句言いたげな大男を手払いだけで部屋から追い出すと、老人はタバコに火をつけ、大きく吸い、煙と一緒に大きくため息を吐いた。
「人間は死ぬと重くなる、か。なんだ昔の人間はなかなか賢いじゃあないか」
 ガラス向こうの下卑た笑顔、金のために自分の命をかけるギャンブル狂、それを商売にする自分。
「確かに死んだほうが価値がありそうな奴らばっかりだな。人間なんてものは」
 そう言って老人は貼りつけたものではなく、本心からの自嘲した笑みを浮かべ、もう一度煙草の煙を吸い込んだ。
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2012/07/29(日) 18:57:19.36 ID:wQd2OveG0
書き忘れてたけど>>709-712のお題は500円玉です。まあ幼女出ないしね。
まとめスレないし建てときます。
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/29(日) 18:59:41.45 ID:rq22s7zAO
ほう
やはりこの期間は土日が2回あるから投下0とはならないんだな
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2012/07/29(日) 19:17:02.26 ID:wQd2OveG0
まとめ掲示板書き込みましたって出るのに反映されない……
ちょっとどうすればいいかわかんないので他の人に任せます。ごめんなさい。
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/07/29(日) 19:57:36.34 ID:/J/imio9o
もう終わってしまったのかと思って焦った
もう少ししたら書き始めよう
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/29(日) 20:41:56.66 ID:Db1iNYyKo
まとめスレたてて、転載しました。
>>709-712はお題の表記、>>714は1レス30行なので2レスに区切って転載しました
>>694-696はトリが無いので、このレス見たら教えてくださると嬉しいです
何か意見や疑問あったら教えて
720 : ◆XccWYZaGPo [sage]:2012/07/29(日) 20:58:36.40 ID:RQLBJ4eBo
>>719
自分のような未熟文をまとめていただきありがとうございます
トリは絶対ではないと思っていたのでつけませんでした
申し訳ない
721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/29(日) 21:01:47.53 ID:Db1iNYyKo
>>720
ありがとう本当に助かります
トリがあると、優勝したときの次回お題発表で本人確認できるから
使い勝手がいいんです。今からまとめてきます
722 : ◆xoqQYwssWY [sage]:2012/07/29(日) 21:12:48.30 ID:GGfZBRzDO
>>721
行数規制あったか、申し訳ない
723 : ◆IL7pX10mvg [sage]:2012/07/29(日) 22:44:17.06 ID:EC3QnlO+o
酉検
ここって連投規制とかありますか?
724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/29(日) 22:48:28.08 ID:+2r4yTWH0
久々に参加しようかと思ってたけど、どうやら時間外コースだわ。
725 :海に還る(お題:五百円) 0/8 ◆IL7pX10mvg [sage]:2012/07/29(日) 22:49:35.15 ID:EC3QnlO+o
25秒っぽいので引っかからないように8レス行きます
726 :海に還る(お題:五百円) 1/8 ◆IL7pX10mvg [sage]:2012/07/29(日) 22:50:50.16 ID:EC3QnlO+o
「物理的質量は七グラム。内訳は銅が七十二パーセント、亜鉛二十パーセント、ニッケルが

八パーセント。デザインと材質に変更があったのが今から十二年前のこと」
「あれはデザインって言うの?」
「視覚的な変更ならデザインでいいじゃない。ちなみに、その変更は高額硬貨たる五百円玉

ゆえに変造事件があったからなんだってね」
「へえ」
 物騒だったんだね、なんて視線を傾けながら、僕は改めて空を見た。暗い。夜の風は頬に

冷たく、仕舞いかけていた真冬の防寒具がもう一度役に立っている。
「他のコインはよく変造されてたりするの?」
「さあ、それはちょっとわからないけど」
 彼女のこの付け焼き刃的知識、僕は結構好きだ。五百円玉には詳しくなるくせに他のコイ

ンには全く詳しくない危うさとか、きっと知識として残るのは変造事件についてだけであろ

うこととか、彼女がこの時のためにいろいろと準備をしているのが感じられてなんだか愛く

るしい。
 そもそも、今回のテーマである「旅費は五百円」はほとんど語感だけで決まったものであ

るため、五百円玉には関連が薄いのだが、五百円と言われて連想するものと言えばワンコイ

ンフードか五百円玉くらいのものなので、つける知識としては間違っていないと思う。そう

いうことにしておこう。きっとそうするべきである。
「崩してきた? 五百円玉二枚」
「抜かりはないよ」
 閑散とした駅の改札前で、僕はコインを振った。蛍光灯の光で大きなコインは何度かきら

めき、やがて僕の手の甲に落ちる。表だ。それを見せると、彼女はしっかりとこっちを見て

にっと笑った。変わらないいつもの笑顔である。
 僕が思うに、結局片道五百円以内で計画を練ったことはあまり重要ではないのだ。いきな

り五百円以内で小旅行をすることになった、という状況が面白いわけで、そこに彼女の思惑

があるかもしれないなどという推論にはあまり意味が無く、そして面白くもない。だから僕

は今まで彼女のアイデアに黙ってついていったし、彼女も努めて面白いことをしようとして

いたのかもしれなかった。
727 :海に還る(お題:五百円) 2/8 ◆IL7pX10mvg [sage]:2012/07/29(日) 22:54:02.72 ID:EC3QnlO+o
 今回の目的地は海である。普段海にほとんど関係のない生活をしている僕にとっては、海
岸まで歩いて五分の駅に五百円以内で行けるという事実はなかなか驚異的なことだ。
「海は久しぶりだよね」
「そうだね、シーズンから半年以上経ってるわけだし」
「うん」
 彼女はコートのポケットに手を突っ込み、座席に浅く腰掛けている。今日は制服を着てい
くことに決めていたため、彼女のスカートが心なしかぱりっとして見えた。
「昆布食べる?」
「ありがとう」
 出かけるときは乾燥昆布だとか、決まりごとではないけれど大事にしているものはたくさ
んあって、それは僕らだけのものであり、僕らの仲を表しているものだと思う。凝り固まっ
ていると言ってしまえばそれまでだが、新しいことをしていくには土台はしっかりしていな
いと足元を掬われてしまう。信頼関係とは、そういうところからそういうところから作って
いくべきものではないだろうか。
 僕と彼女の間で不変だったものは確かにあった。では僕らの成長とは一体どこにあるのだ
ろうか。彼女はいつでも興味深い存在だったし、僕は彼女と一緒に楽しみ、それを記録して
きた。では僕らはその結果を自分たちに活かすことができていたのか。楽しんでいただけで
はなかったか。正直なところ、よくわからない。
「眠い?」
「いや、来る前に少し寝てきたから大丈夫」
「そっか」
 彼女が眠そうに見えたのは、いつもよりおとなしいせいだろうか。マフラーから覗く顔は
、不安と期待がない交ぜになったような表情に変わっていた。もうすぐ目的の駅である。
728 :海に還る(お題:五百円) 3/8 ◆IL7pX10mvg [sage]:2012/07/29(日) 22:55:18.37 ID:EC3QnlO+o
「海だ」
 堤防が見えたあたりから潮の匂いと波の音がわずかにし始め、階段を上るとそれらが一気
に増した。暗くて分かり辛いが、水平線や波打ち際であろう線が見えている。否応無く気分
は高翌揚するが、もう真夜中と言っていい時間なので叫んだりはしないほうがいいだろう。そ
れでも彼女は、僕の肩に一旦手を置くと波打ち際まで一目散に走っていく。僕も負けじと後
を追うが、足元は砂なので思うように走れなかった。
「来ちゃったね」
「うん」
 波打ち際で立ち止まった彼女の隣。波の音、風の音は聞こえているけれど、それ以外は何
もなくて、とても静かだ。暗闇の海には様々なものを飲み込んでしまいそうな怖さと、そし
て包容力があり、僕は後者をひしと感じた。
 彼女が静寂を破る。
「靴脱いで、母なる海と足だけ融合しよう」
「効果は?」
「生命の歴史を吸収して少し大人になる」
 題目はとても意義あることに聞こえるが、結局は折角来たんだから足だけでも浸かってい
こうということである。こういうとき、彼女は結果よりもやること自体に意味があると言い
、結構無理やりに人を引き込んでいく。そもそも僕自身も満更ではないのだ。ただ、未知数
である海水の冷たさに腰が引けているだけである。
「ほら、行こう」
 彼女の声と共に海へと歩を進める。水は予想通り刺すように冷たかった。だが、すぐに波
が引くのでそこまで応えることもなかった。喉元過ぎれば熱さを忘れるとはよく言ったもの
である。今回は冷たさだが。
「なんだか、気持ちいいね」
 彼女は決して冷たくて気持ちいいとやせ我慢をしているのではない。寄せては返す冷たさ
に慣れると、海に勝ったような気分になるからだ。実際僕もそんな気分になったからよくわ
かる。いつの間にか、彼女は腕組みをして、僕は腰に手を当てて仁王立ちしていて、冷たさ
が寒さに変わる直前までそのまま海と向き合っていた。
729 :海に還る(お題:五百円) 4/8 ◆IL7pX10mvg [sage]:2012/07/29(日) 22:56:32.34 ID:EC3QnlO+o
「花火やろっか」
 足を拭いて堤防まで上がってくるなり、彼女が言う。
「花火なんてあったの?」
「この時期の海っていえば花火くらいでしょう」
 それはその通りだが、僕としてはこの時期にどこから花火を仕入れたのかを知りたいとこ
ろだ。後で教えてもらおう。
 花火はよくある薄くて大きいあのパッケージである。あれには同じススキが何本も入って
いるので一度にたくさん持って消費してしまいがちだが、一本ずつ大事にしていけば相当な
時間をかけて遊ぶことができるのである。値段も安いし、言うことなしだと評価したい。
「じゃあ、始めるよ」
「うん」
 ろうそくに火をともし、蝋を垂らして地面に固定する。これを火種とするわけである。潮
風ですぐ消えそうになったが、火を維持するのも楽しみの一つだ。あらかじめばらしたスス
キを二本取り、彼女に一本渡す。そしてなんとかろうそくが消える前に火を移す。花火の先
から噴き出した光は、ろうそくで慣れたとはいえ少しまぶしかった。
「きれいだね……」
 どちらともなく自然に感嘆の言葉が出た。ススキの火は、白、緑、赤、青と様々に色を変
えていく。そして、それが消える前に次に火を移す。ろうそくの火はあまりにも頼りなかっ
たので、花火同士で火を繋いでいった。二本持ちして踊ってみたり、色の違う火を混ぜてみ
たり、時々ろうそくにも火をつけてみたりして、花火をゆっくりと消費していった。
 炎に照らされて、夜の空に僕らの顔が浮かぶ。僕らは笑っていたけれど、少しだけ、本当
に少しだけ寂しさの混ざった、そんな笑顔だった。
730 :海に還る(お題:五百円) 5/8 ◆IL7pX10mvg [sage]:2012/07/29(日) 22:57:51.77 ID:EC3QnlO+o
 ススキ花火も全て無くなり、残りは線香花火だけになった。去年も彼女と一緒に線香花火
をしたことはあったが、やはりと言うべきか、ここまで寂寥感に襲われることはなかった。
線香花火自体がもの悲しいイメージを持つものだからかもしれないが、終わりを強く意識さ
せられるとどうしても辛い。
「火、つけるよ」
 一本目。幸先良く落とさずにできるといい。しかし、それでもこよっていない部分を持つ
のは何かを試したいからだろうか。
 彼女がライターを持ち、僕のから先に火をつけていく。火薬部分がふわっと燃え上がり、
ゆっくりと丸まって火の玉を作る。しかし突然の風が邪魔をした。
「落ちたよ」
 彼女がふっと笑う。僕もつられて笑った。けれど、すぐに彼女は真剣な眼差しを取り戻す。
「私は、落とさない」
 僕は彼女に見えるように、しっかりうなずく。そして彼女が持つ花火の先端を見つめる。
ライターが近づけられ、火薬に火が移り、炎を上げた。彼女はライターを置き、姿勢を整え
る。
「落とさない」
 うわ言のように、独り言のように、彼女は繰り返した。火の玉が出来上がり、じゅくじゅ
くとうごめく。そして、大きな火花が一つ二つと散って――
「あ……」
 落ちてしまった。彼女はこよりのかなり下のほうを持っていたのに。火の玉が大きすぎた
のかもしれなかった。夜の海はそうやって暗闇を取り戻し、僕らを一人ずつにしてしまう。
とたんに風の音がうるさく聞こえ、耳を塞いでしまいたいのを強くこらえた。
 彼女は今、どんな表情をしているのだろう。
731 :海に還る(お題:五百円) 6/8 ◆IL7pX10mvg [sage]:2012/07/29(日) 22:59:16.81 ID:EC3QnlO+o
「ねえ」
 不意に彼女がライターを点けた。辺りはぱっとオレンジ色に照らされる。風にあおられて
火が消えそうになったが、彼女のまるい手がそれを遮った。背筋は丸まり、その火が無くな
れば一緒にいなくなってしまいそうなくらい、僕の目には頼りなく映った。
「楽しかったかな」
 彼女の表情は怯えたようなものに変わっている。
「私、君をずっと振り回してきたけど、その、迷惑とかさ」
 おどおどと、言葉を選ぶように彼女は感情を搾り出した。
「嫌じゃなかった?」
 僕は、小さいがそれでいて確かな怒りを覚える。もしかしたら今回は失敗になるかもしれ
ない、でもこれだけは言っておかないと。そんな覚悟を決めた。
「そんなことない」
 まくし立てる。
「ずっと面白いって信じながらいろいろやってきたじゃないか。君が曲げなかっただろう信
 念は本物だよ。それを今更曲げてどうするのさ」
 一呼吸入れて、さらに続ける。語気は荒げない。絶対に。
「僕らのこれまでを楽しくなかったなんて言えるのは、僕らだけだよ。それを君が楽しくな
 かったなんて言ったら、他でもない僕らがかわいそうだ」
「僕は楽しかった。これ以上無いくらい」
 強く言い切ると同時に立ち上がった。格好良く見せたいわけじゃないけれど、彼女に正し
く伝えるにはこれが一番いいと思ったのだ。自分のタイミングで振り向くと、彼女はマフラー
に顔を埋め、目を閉じていた。
 少しして、不意に彼女が笑う。
「大丈夫?」
 僕が聞くのは彼女が不安そうだからではない。実は僕自身が不安だからなのだ。
 そして、彼女は目を開け、まっすぐ海を見た。
732 :海に還る(お題:五百円) 7/8 ◆IL7pX10mvg [sage]:2012/07/29(日) 23:00:56.32 ID:EC3QnlO+o
「やっぱりまず謝らなくちゃね」
 落ち着いた声で、彼女は言う。
「これまで、私があれこれ振り回してきたこと、謝ります。ごめんなさい」
「そんなのいいのに」
「こうしないと、私の気が済まないの。自分勝手でごめんね」
 彼女は立ち上がって少し歩いた。そして振り向いて、僕を見る。
「きっとさ、私たちって、私たち以外が必要なんだよ」
 ゆっくりと喋ってはいるが、もう言いたいことは彼女の中で出来上がっているのだろう。
「私にはもっと知恵が必要だし、君には主体性がもう少し必要だと思うんだ。これまでの私
 たちは、とても面白かったけど、やっぱり私はもっと上を目指したい。これからも私たち自
 身に変化が出続けるから、それも無駄にしたくないしね」
 そこまで言って、彼女はもう一度こっちを向いた。
「私たちは、これから新しい出会いをたくさんしていくわけだけど、もし、それでもお互い
 がいいパートナーだと思えるようなら」
 確認するように、彼女は続けた。
「その時はまた、こうやってコンビ組もう」
 これはきっと、彼女の本心なのだろう。彼女はこれまでの経験から自分の至らない点を感
じ取っていたのだ。彼女はそこを自ら補おうとしている。そして、僕自身の成長も期待され
ているのかもしれなかった。
 僕らは、来る日のために、あえてそれぞれ一人で経験を積む。そして、一周りも二周りも
大きくなってもう一度出会えたらいい。そういうことなのだ。
「ねえ、この雰囲気が壊れないうちに、握手」
 おもむろに右手を差し出す彼女。僕はその手を取って程よく握り返した。彼女の手は暖か
くて、まるで手のひらの間で何かが燃えているかのように感じられた。
733 :海に還る(お題:五百円) 8/8 ◆IL7pX10mvg [sage]:2012/07/29(日) 23:02:22.69 ID:EC3QnlO+o
 いつの間にか空は白んでいた。線香花火も最後の一本ずつである。僕らは花火の先端を寄
せ合い、同時に火をつける。
「落ちないといいね」
 まったくその通りだ。海からの風も凪いでいて、今ならできる気がした。
 火の玉が無事に出来上がり、火花が散り始め、僕は少し安心した。しかし気は抜かない。
最後の小さな火花まで、落とさず見るのだ。線香花火というのは、緩やかに終わるのが特徴
の花火だと思う。名残を惜しむには最適だ。
 僕の花火が、先に終わった。彼女のこよりの先はまだ明るい。小さな火が必死にがんばっ
ていて、きれいだった。
「うまくいったね」
 彼女か花火を見たまま言う。至極満足そうな声だった。
「じゃあ、今回はこれでおしまい。湿っぽいのは明日で」
 そういって彼女は立てておいたろうそくを取る。しっかりごみを持ち帰るためにまとめて
いるのも彼女らしいところだ。
 僕はもう一度海を見た。明け方の海は変わらず静まりかえっていたが、しかし夜の海には
無い、去る者を送るようなやさしさがあるように感じた。自然に笑顔になれる。
「また、来るよ」
 誰に言うでもなく呟く。彼女も海を見ていた。きっとまた二人でここに来ることができる
だろう。僕らならきっと大丈夫。
 階段を下り、駅に向かって歩き始める。もう振り返る必要もなかったが、当然ながら振り
返っても堤防しか見えなかった。
 さあ、帰ろう。明日は卒業式だ。
734 :海に還る(お題:五百円) ◆IL7pX10mvg [sage]:2012/07/29(日) 23:03:25.57 ID:EC3QnlO+o
8レス終わりましたが、1レス目を訂正させてください
735 :海に還る(お題:五百円) 1/8 訂正 ◆IL7pX10mvg [sage]:2012/07/29(日) 23:05:09.60 ID:EC3QnlO+o
「物理的質量は七グラム。内訳は銅が七十二パーセント、亜鉛二十パーセント、ニッケルが
 八パーセント。デザインと材質に変更があったのが今から十二年前のこと」
「あれはデザインって言うの?」
「視覚的な変更ならデザインでいいじゃない。ちなみに、その変更は高額硬貨たる五百円玉
 ゆえに変造事件があったからなんだってね」
「へえ」
 物騒だったんだね、なんて視線を傾けながら、僕は改めて空を見た。暗い。夜の風は頬に
冷たく、仕舞いかけていた真冬の防寒具がもう一度役に立っている。
「他のコインはよく変造されてたりするの?」
「さあ、それはちょっとわからないけど」
 彼女のこの付け焼き刃的知識、僕は結構好きだ。五百円玉には詳しくなるくせに他のコイ
ンには全く詳しくない危うさとか、きっと知識として残るのは変造事件についてだけであろ
うこととか、彼女がこの時のためにいろいろと準備をしているのが感じられてなんだか愛く
るしい。
 そもそも、今回のテーマである「旅費は五百円」はほとんど語感だけで決まったものであ
るため、五百円玉には関連が薄いのだが、五百円と言われて連想するものと言えばワンコイ
ンフードか五百円玉くらいのものなので、つける知識としては間違っていないと思う。そう
いうことにしておこう。きっとそうするべきである。
「崩してきた? 五百円玉二枚」
「抜かりはないよ」
 閑散とした駅の改札前で、僕はコインを振った。蛍光灯の光で大きなコインは何度かきら
めき、やがて僕の手の甲に落ちる。表だ。それを見せると、彼女はしっかりとこっちを見て
にっと笑った。変わらないいつもの笑顔である。
 僕が思うに、結局片道五百円以内で計画を練ったことはあまり重要ではないのだ。いきな
り五百円以内で小旅行をすることになった、という状況が面白いわけで、そこに彼女の思惑
があるかもしれないなどという推論にはあまり意味が無く、そして面白くもない。だから僕
は今まで彼女のアイデアに黙ってついていったし、彼女も努めて面白いことをしようとして
いたのかもしれなかった。
736 : ◆IL7pX10mvg [sage]:2012/07/29(日) 23:06:09.62 ID:EC3QnlO+o
以上です。これにて失礼します
全感で会いましょう!
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/29(日) 23:06:15.33 ID:Db1iNYyKo
 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  23時を回りました。
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738 :裏切りのガーデン(お題:ロリ) 0/7 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/07/29(日) 23:28:31.09 ID:+qxTtRJto
予約
739 : ◆HmfYvBHWkM [sage]:2012/07/29(日) 23:29:00.50 ID:8q5/v6ip0
予約
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yoyaku
741 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/29(日) 23:29:33.66 ID:Db1iNYyKo
予約
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/29(日) 23:30:29.96 ID:Db1iNYyKo
現在、週末品評会302thの投票受付中です。今回の品評会お題は『500円玉』と『ロリ』でした。
投稿された作品は■まとめ http://yy46.60.kg/bnsk/ -週末品評会302th- にてご覧頂けます。
投票期間は2012/07/30(火)24:00:00までとなっております。

感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
投票には以下のテンプレートを使用していただくと集計の手助けとなります。
(投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません)

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     <気になった作品のタイトル>◆ZZZZZZZZZZ氏
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― 感 想 ―

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たくさんの方の投票をお待ちしています。 
時間外の方も、月曜中なら感想、関心票のチャンスがあります。書いている途中の方は是非。
743 :裏切りのガーデン(お題:ロリ) 0/7 ◆pxtUOeh2oI [saga]:2012/07/29(日) 23:31:59.74 ID:+qxTtRJto
終わっただと……

指示を待ってたけど、自分から投下しちゃってもいいかな
うん、しちゃうね

あと予約の人はトリを付けないと0時過ぎたらわからなくなるかも
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/29(日) 23:32:08.77 ID:Db1iNYyKo
予約
ID:+qxTtRJto氏
ID:8q5/v6ip0氏
ID:UA0tzlJN0氏
ID:Db1iNYyKo氏
の順番で投下していって下さい。
745 :裏切りのガーデン(お題:ロリ) 1/7 ◆pxtUOeh2oI [saga]:2012/07/29(日) 23:32:59.68 ID:+qxTtRJto
「はやと先生呼んできてって、あやこ先生に言われたー」
 元気なあふれる男の子が向こうから駆け寄ってきて、そんなことを僕に言った。
 ここはとある保育園の砂場、僕はこの園の下っ端保育士で、今は園児の子らとトンネルを作っているところだっ
た。
 秋は涼しく外で遊ぶのに心地良い。あのクソ暑かった夏が嘘みたいだ。
「わかった、ありがとう。すぐ行くよ」
 僕は一緒に遊んでいた子に笑顔で微笑んでから立ち上がる。
「どこで呼んでた?」
 職員室だろうか、それとも担当している百合組かな。
「一階のね、女子トイレ」

 まったくわけがわからない。僕は園庭をゆっくりと歩いて園舎に向かっていた。周りでは子供達がキックスクー
タでおにごっこをしている。
 どうして女子トイレに呼ばれたりするのか。高いところの電球が切れたから換えて欲しいとか? そんなこと
はないだろう。僕とあやこ先生はそんなに身長が変わらない。僕は男にしては低い方だし、あやこ先生は女にし
ては高い方なのだ。
 なんか嫌だなあ。
 あやこ先生は園で一番、園児よりもダントツで元気なお人で、ちょっと過激で暴力的な一面を持っていたりす
る。園児を全力でぶん殴ったりはしないけれど、躾と称して蹴りを入れたりはする。対象は先生、というか僕。
見せしめとして園児の変わりとして僕が躾を受けるのである。ちなみに、僕はそういうことに喜びを覚えるタイ
プではないし、あやこ先生のような背も胸もでかいようなタイプは好きではない。
「何かありましたか?」
 園舎に入ってすぐの女子トイレ前にはあやこ先生と園長先生、それから園児の女の子が二人集まっていた。
「立てこもり事件?」園児のさくらこちゃんが首を傾げながら言った。
「立てこもり事件?」僕も首を傾げそぶりで、あやこ先生や園長に尋ねた。
「ゆきのちゃんが、トイレに鍵をかけたまま出てこないんです」園長が言う。
「はあ」僕はなんとなく相づち。「理由はなんですか?」
 あやこ先生が睨むような目付きで言う。
「はやと先生、こないだ、ゆきのちゃんに何か言いませんでした? ずっと味方とかなんとか」
 たしかに数日前、ゆきのちゃんからずっと味方でいてとか言われたので肯定した覚えがある。僕はその旨を説
746 :裏切りのガーデン(お題:ロリ) 2/7 ◆pxtUOeh2oI [saga]:2012/07/29(日) 23:33:47.78 ID:+qxTtRJto
明した。
 あやこ先生の目がさらに鋭さを増す。
「はやと先生、今日、ゆきのちゃんに何か言いませんでした? ゆきのちゃんを叱るようなこととか」
 たしかに、さっき砂場で遊んでいたら、ゆきのちゃんがやってきて一悶着あった。おままごとをしようとか言
われたので、「別の子と遊んでいるので後でね」と答えた。そうしたら少しわがままを言ったので、軽く怒った
のだ。だけど本当に軽くで、別に大声を出したりしたわけでもない。あやこ先生の普段のほうがよっぽど迫力が
あるぐらい。
「そんなこんなで、はやと先生に裏切られたからトイレに立てこもることを決定したそうです」
「そうなんですか」僕は言う。
 なかなかすっとんだ論理だ。ほほえましいとも思えるが、あやこ先生と園長にプレッシャーをかけられると微
笑んでもいられない。
「何を笑ってるですか」あやこ先生が怒鳴る。
 近くいたゆきのちゃんの友達がびくっと震えた。
「別に笑ってないですよ」僕は答える。「どうしようかなあって、考えていたんです」
「さっさと謝ってくればいいでしょ」
 むなぐらでも掴まれそうな迫力であやこ先生が言う。
「悪いこともしてないのに?」
 あやこ先生は押し黙ってしまった。
 ゆきのちゃんがわがままを言ったので叱った。それを彼女は裏切りと感じたかもしれないけれど、悪いことを
たしなめないことを味方だなんて言えはしないだろう。
 問題が起きた。だからとりあえず謝る、それってダメな大人の見本だと思う。すみません症候群とかそんな感
じ。少なくとも僕は園児にそんな姿を見せたくはない。謝るのは本当に悪いことをしたときだけでいいと思う。
「とりあえず、話して見ます。なか、入ってもいいですよね?」
 一応、確認。ここは園児専用だが、まがいなりにも女子トイレなのだ。園長は心配そうにしていたが頷いた。
あやこ先生も睨みつつ黙っている。つまりいいよってことだ。
「じゃあ、行ってきまーす」
 僕は遠足に行く子供みたいな声で、女子トイレに突入した。

「ゆきのちゃん、どうしたの?」
 僕は壁によりかかって声を出す。女子トイレは立ってする用のトイレが並んでいないことと全体的にピンク色
747 :裏切りのガーデン(お題:ロリ) 3/7 ◆pxtUOeh2oI [saga]:2012/07/29(日) 23:34:17.20 ID:+qxTtRJto
なことを除けば、これと言って男子トイレと違いもない様子だった。
「へんたい! なんで女の子用なのに入ってるの」
 女子トイレで響く、ゆきのちゃんの第一声が、へんたいだった。まあ、あながち間違いでもないので良しとし
よう。
「先生はね、ゆきのちゃんの味方だから、ゆきのちゃんのところにやってくるんだよ」
 たとえへんたい呼ばわりされようとな。
「うそつき。ずっと味方だって言ったのに、さっきわたしのこと怒った」少しだけ泣いているような声。
「本当の味方って言うのはね、悪いことしてたら注意できることなんだよ。あやこ先生を見てご覧、人を殴っちゃ
いけませんって、誰も注意してくれなかったからあんなに大きく偉そうになっちゃって」
 ゆきのちゃんが笑った。
 入り口の扉の影から鋭い視線を感じたが感じなかったことにしよう。
「約束通り、そろそろおままごとをはじめようと思うんだけど、ゆきのちゃんがずっとトイレでお腹痛いしてた
ら、先生は誰と遊べばいいのかなあ。それともゆきのちゃん、もう大丈夫そう?」
 中から小さな音がした。座っている状態から、地面に足をついて立ったのかもしれない。きっとこれで事件は
無事解決ということだろう。解決の様相を感じてか、あやこ先生も寄ってきた。
「先生、あたしのこと好き?」中から小さな声が聞こえた。
「好きだよ」僕は答える。
「結婚してくれる?」
「それはできないけど……イテッ」
 あやこ先生が、僕をグーで殴った。そのあとで小声で叫ぶ。
「なんでそこで正直に言うんだよバカ」
「嘘はいけないって園児たちに教える立場なので……」
「あのね、ゆきのちゃん。結婚するには大人にならなくちゃいけないの。十六歳にならないとできないって決まっ
てるの。だからね、すぐにはできないけど、ゆきのちゃんが大きくなったら、きっとはやと先生を結婚できるか
ら」
「十年後のゆきのちゃんはかわいいだろうね、」
 僕はそんなことを思い描いて正直に言った。
 そうしたらさっきよりも酷い鉄拳制裁が発動した。
「わたし十年後は十四歳……やっぱり結婚できないの?」
「はやと先生がバカだから、計算間違えただけだよ。十年とあとちょっとあれば十六歳でしょ」
748 :裏切りのガーデン(お題:ロリ) 4/7 ◆pxtUOeh2oI [saga]:2012/07/29(日) 23:34:47.57 ID:+qxTtRJto
「二年があとちょっとっていう感覚はあやこ先生ならともかく、四歳の子供には通用しないと……」
 殴られた。
「それに、僕としては本当は十二歳ぐらいが一番好みで……」
 蹴られた。
「ちょっと待っててね、ゆきのちゃん。はやと先生と話をつけて……お話してくるから」
 トイレの中ではまた座ってしまったような、どさっという音。
 事件は長期化の様相を見せ始めていた。

「なにナチュラルにロリコン宣言かましてるんじゃ、われ!」
 職員室。カーテンまで閉められて、あやこ先生と二人っきり。なんだから熱々なイベントでもはじまりそうな
雰囲気だ。プロレスごっこというよりも総合格闘技ごっこ的な。
「大丈夫ですよ、園児のような小さい子には興味ないんで」
 僕は子供が好きだ。短い時間でどんどん成長していく様を見るのは楽しい。そんな姿を見たいし、助けたいか
ら僕はこの仕事を選んだ。
「十二歳も小さい子だろうが」
「第二次性徴がはじまったら小さい子じゃないですよ」
 僕は子供が好きだ。性的な意味で。だから高校の教師にも中学の教師にも小学校の教師にもなっていない。自
制って奴だ。そんな職業についてしまったら、間違いなく性職者になって新聞に名前が載ってしまう、と自覚し
ている。興味の持てない年齢の子供を見られるのは保育園だけなのだ。
「いいから黙ってろよ」
 あやこ先生が机を叩く。なんかもう先生と呼んでもいいものか迷う。あやこ鬼とかのほうがふさわしいと思う
がいかがか?
「そんなマニアなストライクゾーンの話知るか。そんなの世間一般さまから見れば等しくヘンタイなんだよ。保
護者に知れたらここの評判がた落ちだろ。次、ふざけたこと言ったら殴るからな」
 すでに殴る蹴るは終わっている。
「なんでこんな奴が園児にモテるんだよ」
「顔はいいからじゃないですか?」
 僕は言った。殴られた。事実なのに。あやこ先生と違って暴力的じゃないからという言葉は空気を読んで黙っ
ていたのにダメだった。
 すったもんだで、時間はおもいでのアルバムのように過ぎていく。僕とあやこ先生の年齢に関するディベート
749 :裏切りのガーデン(お題:ロリ) 5/7 ◆pxtUOeh2oI [saga]:2012/07/29(日) 23:35:16.76 ID:+qxTtRJto
は終わる気配をまったく見せずに、一部の園児達は向かいに来られた親御さんに連れられて帰宅するような時間
になっていた。
「ゆきのちゃんのお母様が見えられました」
 園長がおそるおそるという表情で入り口から顔を出し言った。
「はい」あやこ先生がどこかの営業戦士みたいな声を出す。「お母さんの前で、変なこと言うなよ」
「言ったら殴りますか?」
「殺す」

「すみません」ゆきのちゃんのお母さんの前で、あやこ先生が謝った。
 職員室。外来用のソファに座って貰い、僕とあやこ先生が相手をしている。僕は、落ち着いてそれまでの経過
を説明した。
「はあ……」
 ゆきのちゃんのお母さんは、怒ることもなく冷静だけど、困った顔していた。ここへ来る前に、お母さんがゆ
きのちゃんに直接話したけれどそれもダメだった。
「一応、鍵は外から開けることはできます」
「えっ?」あやこ先生が声をあげた。
「鍵をかけたまま倒れた子がいたときなんかに助けられるようになってます。コインとかで外から鍵を回せるよ
うなのがついてますよ。普通に見ればわかると思いますが」
「そうなんですか」と笑顔のあやこ先生が殺気を放った。
「それでは開けてもらえますか? 連れて帰りますので」
 ゆきのちゃんのお母さんが言う。それはごもっともだけど僕の考えは違った。早く移籍しないだろうか。
「それは本当の意味で問題解決をしていないように思います。たしかに、トイレにこもっているという問題は解
決されますが、そうやって無理矢理出されたら、余計に傷ついてしまうのではないでしょうか?」
「子供なんて、寝てしまえばケロっと忘れるんじゃないですか?」あやこ先生が言う。
「子供なんてと言えるほど、子供のことわかる大人なんていないと思います」
 もちろん僕を含めて。
「僕が責任を持って、お送りしますので、もう少し時間を頂けませんか?」

 僕が送るという約束で、ゆきのちゃんのお母さんには一旦、帰って貰った。あやこ先生は、小さい子供を僕に
まかせるのはとても不安だからというよくわからない理由で僕につきまとうことを決めたようだ。
750 :裏切りのガーデン(お題:ロリ) 6/7 ◆pxtUOeh2oI [saga]:2012/07/29(日) 23:35:46.42 ID:+qxTtRJto
 僕とあやこ先生はもう一度、ゆきのちゃんの待つ女子トイレに向かう。僕は夜の女子トイレに躊躇なく足を踏
み入れた。できれば園児用ではなく、どこかの学校のほうに足を踏み入れたいがそれはまた別のお話。
「ゆきのちゃん、お母さんは帰ったよ」
 返事はない。
「今日はもう遅いから僕とあやこ先生と一緒に帰ろう。それで明日は朝から一緒に遊ぼう」
 返事はない。ただの女子トイレのようだ。
 僕とあやこ先生は顔を見合わせる。それからあやこ先生が小さな声で言った。
「寝てんじゃん?」
 僕はうなずき、もう一度だけ、ゆきのちゃんに呼びかけたがやはり返事はなかった。
「開けましょう」僕は言った。
 寝ているだけならいい。もしかしたら、そうでないかもしれない。財布から百円だして、扉の鍵をあけ、扉を
開いた。
 そこには、よだれを垂らして、頭をかっくんかっくんさせながら、便座の蓋に座っている寝ているゆきのちゃ
んの姿があった。
「寝ているだけね」とあやこ先生。
「そうですね」
「起こして帰ろう」
「それはないですね」
 は? という顔のあやこ先生を遮り、もう一度扉をしめて、外から鍵をかけ直した。
 そして、
「ゆきのちゃん、寝てるの? 起きて!」
 僕は大声をだした。でも反応はない。
「起きなさい!」
 僕は音を立てようと扉を蹴った。そして割れた。園児用のトイレの扉って案外もろいもんだなあ。
 再びあらわれたゆきのちゃん。眠りから覚めて、でもまだ寝ぼけていて、びっくりしておかしな顔をしていた。
「はやと先生……」
「みんな心配してるんだよ。こんなに迷惑をかけて寝てたりしちゃダメでしょ」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
 ゆきのちゃんは泣き出してしまった。そんな怒ったつもりはないんだけど、壊れた扉があやこ先生的迫力を引
き出した恐れはある。
751 :裏切りのガーデン(お題:ロリ) 7/7 ◆pxtUOeh2oI [saga]:2012/07/29(日) 23:36:17.28 ID:+qxTtRJto
「もう怒ってないよ。ほら、いつも怖いあやこ先生だって怒ってないでしょ」
 いきなりふられたあやこ先生は微笑んで、ゆきのちゃんを抱きしめた。ゆきのちゃんの泣き声はさらにさらに
大きくなる。
「僕たちはゆきのちゃんの味方だからね、悪いことしたらちゃんと怒るけど、ゆきのちゃんのことは大好きだか
ら」

 明くる日。朝、笑顔のゆきのちゃんが登園してくれた。昨日、僕とあやこ先生と一緒に帰ったとき、あやこ先
生が嘘も方便とかいう戯れ言で、僕がゆきのちゃんを凄い心配して扉を壊して助けたとかのたまったのだ。
 それを信じた素直なゆきのちゃんは、もういちど、ちゃんと「ごめんなさい」して、今日休まないことを約束
してくれた。そして、約束を守ってくれた。
「今日は、何をして遊ぼうか」僕はゆきのちゃんに話す。
「おままごと!」ゆきのちゃんが言う。「あやこ先生がお母さんで、わたしがお父さんで、はやと先生がポチ」
 ポチ……? それはどんな人間の役割だったろうか。
「はやと先生がお父さんで、ゆきのちゃんがおかあさんとかじゃないの?」僕は言った。
「わたしはやと先生より、あやこ先生のが好きだから、わたしがお父さん」
 何故に? いつ順位が入れ替わった。
 あやこ先生がにやけて笑っている。
「あやこ先生、おっぱいが大きいから大好き!」                      <了>
752 : ◆HmfYvBHWkM [sage]:2012/07/29(日) 23:38:07.44 ID:8q5/v6ip0
投下乙
では自作を投下します
753 :彼女たちの絆(お題:ロリ) 1/8 ◆HmfYvBHWkM [sage]:2012/07/29(日) 23:39:01.38 ID:8q5/v6ip0
 食べる。食べる。食べる。
 机の上に並べられた山盛りのスイーツが次々に消えていく。ショートケーキ、ミルフィーユ、杏仁豆腐etc……
 終いには、私が取ってきたババロアまでもが彼女達の胃袋に飲み込まれた。ああ、食べたかったのに。
「えっと……私達がこれからやる事、分かってる?」
 勢いに気圧されながらも、これから成すべき事の最終確認をする。
「んん〜? ふぁふいひゃふをひゃっふけふんふぇひょ?」
 ごめん愛香。何を言ってるのか分からない。
「分かってるよ、由樹お姉ちゃん。今回のお仕事は独立組織「かがやき」のリーダー、長内寛を抹[ピーーー]ること。
 政府も厄介者払いができて満足、私たちもお金が手に入って満足。そういうことでいいんだよね?」
 モンブランをぺろりと平らげ、私の目を見据える真里菜の口調は筋が通ったしっかりしたものだった。
「正解。小さい組織みたいだけど、不穏分子は今のうちに始末しておこうっていう政府の考えみたいね。
あと今は由樹お姉ちゃんじゃなくて、リーダーって呼ぶこと。場の雰囲気ってものがあるんだから、
きちんと考えて発言すること。いいわね?」
「……分かった」
 真里菜はふっと寂しそうな顔を見せたけど、またいつもの無表情に戻る。私達は今から[ピーーー]か殺されるかの危険な
仕事に取り組むのだ。今までの仕事とは違う。命の危険に晒されるとなれば、緊張感の欠如は即ち死を意味する。
 妹達だって、本当は今回の仕事に連れて行きたくなかった。けど……。
「悪いやつをやっつけてすいーつをいっぱい食べるぞ〜」
 そんな私の考えをぶち壊すかのように、机上の掃除を完了した愛香がびしっ、と握り拳を突き上げる。
注意しようと一瞬思ったが、あっけらかんとした口調とその仕草がおかしくて私は思わず笑ってしまう。
「じゃあそろそろ行くわよ。手順は分かってるよね?」
「大丈夫、問題ないわ」
「バッチリだよっ! おねえちゃんこそ分かってる!?」
「こらっ、お姉ちゃんじゃなくてリーダーでしょ?」
「りーだー! 分かってますか?」
「もちろん! さあ、気合入れて行くわよ!」
 席を立つと、私はコップに半分ほど残っていたブラックのコーヒーを一気に飲み干す。
 刺すような苦みが喉元を通っていき、胃の中へすとんと落ちていった。
 目が覚めるような感覚が私を満たしていく。
 さあ、今日も仕事に取りかかろう。今を生きるために。
754 :彼女たちの絆(お題:ロリ) 2/8 ◆HmfYvBHWkM [sage]:2012/07/29(日) 23:40:03.29 ID:8q5/v6ip0
 店を出て数分、私達はかがやきへと向かうため道を歩いていく。雲ひとつない空に燦々と輝く太陽も鬱陶しいが、
足元から立ち上るアスファルトの照り返しも鬱陶しかった。おまけにビルの反射光が私達へ容赦なく降り注ぐ。
 周りには人がひっきりなしに歩いている。老若男女問わず、その顔は抜け殻のように虚ろだった。服装はどこか
薄汚れており、さっき私とすれ違ったサラリーマン風の男は、よれよれのシャツに皺だらけのズボンという姿だった。
 そして、一体この中の何人がチカラを持っているのだろう。
 そんな事を考えながら歩いているだけでも汗が全身から噴き出し、肌着がべっとりと張り付いている。
「あ゛〜〜あ゛づいよ〜あいすだべだいよ〜」
 後ろをアヒルの雛みたいについてきた愛香がぐったりとした声をあげる。場の雰囲気なんてあったもんじゃない
けど、愛香はまだ小学生だから仕方ないか、と自分を納得させる。
「アイスならさっきお腹いっぱい食べたでしょ?」
 私の突っ込みにすかさず愛香は胸を張って即答する。赤いフリルのワンピースがふわりと揺れる。
「あいすとけぇきは、べつばらぁ〜」
 ひょこひょこと動くたびに栗色のおさげが自己主張する。やれやれ、同じスイーツでも胃袋は種類ごとにあるようだ。
「愛香、この仕事が終わったら美味しいスイーツの店があるから、また三人で一緒に行こっか?」
 私と肩を並べて歩いていた真里菜が妹に呼び掛ける。
「いよっしゃー! やったあっ! ぜーったい忘れないでね、やくそくだよっ?」
「約束する」
 表情一つ変えず答えた真里菜に対し、愛香は白い歯を見せてにかっと笑う。
「ありがとう真里菜。ホント、愛香は単純なんだから……」
「うん、初めて会った時から全然変わってない」
 全くその通りだった。私が初めて会った時もスイーツの話をした途端、満面の笑みを浮かべていたっけ。
一人きりになってしまった自身の境遇など忘れたと言わんばかりに、あっけらかんと。
「真里菜はだいぶ変わったよね。初めて見た時なんか、これは私が何とかしないと絶対にだめだって思った」
 そう、初めて会った時の真里菜はどこか諦めたような――感情の見えない真っ黒な瞳で私を見つめていた。
 真横には腹部に大穴を開け、血だまりの中悪鬼のような表情で絶命した男が一人。
 少女の血に塗れたノースリーブからはにゅっと突き出た赤白まだらの腕と脚。
 すっかり痩せ細ったそれは鮮烈で、放っておけなくて。
「……うん、助けてくれてありがとう。このチカラがなかったら、きっと、みんなとは……」
 ボブカットに長い黒髪が特徴の我が妹はぽつりと呟く。
755 :彼女たちの絆(お題:ロリ) 3/8 ◆HmfYvBHWkM [sage]:2012/07/29(日) 23:43:00.12 ID:8q5/v6ip0
 頼れるのは自分自身のチカラだけ。
 そんな彼女の状況は、私達と全く一緒だった。頼れる人がいない少女三人が生きていく術なんて限られている。
 同情や憐みなんかじゃない。同じ境遇なら、二人より三人の方が強いに決まってる。力を合わせて、生きていくんだ。
 そこに血の繋がりがなくても。
「だから、ね。リー……由樹お姉ちゃんのためなら、何でもする、よ?」
「あたしも何でもする〜」
 真っ直ぐな瞳とくりくりした可愛い瞳が二つずつ、合計四つの瞳が私の目をしっかりと捉える。
 危険な仕事でも、お姉ちゃんと一緒にやりたい。私が妹達の熱意に負けた時に見せた、あの時の目だった。
 そんな健気な妹達を見た瞬間、私は我慢できなくなって――
「ごめんね……人殺しの手伝いをさせるなんて、ごめんね……」
 涙が、とめどなく溢れてきた。
「私達だってお姉ちゃんを助けたい。何もせずただ生かされていくだけっていうのはイヤなの。それに愛香だって
お姉ちゃんのためなら何でもするって言ってるし、ね?」
「うん、うん……ありがとうね……真里菜、愛香……」
 差し出されたハンカチで両目から流れた水を拭う。紫陽花みたいな淡いパステルブルーの、爽やかなハンカチで。
「……さあ、行くよ! 二人とも! あと、私のことは今まで通りお姉ちゃんとか、由樹お姉ちゃんと呼んでよろしい!
私達に場の雰囲気なんて言葉は、いらないから!」
「うん、由樹お姉ちゃんと一緒ならどこへでも行ける!」
「いくぞぅっ! おねえちゃん!」
 一歩踏み出し、足裏でじっくりと地面の感触を確かめる。そう、私達は前に進むしかない。かがやきの本拠地へ向かって。


 ダラダラと流れる汗を拭いながら地図を参考に歩くこと二十分、やがて二つの雑居ビルが立ち並ぶ場所に辿り着く。
周囲にはすっかり老朽化し、腐った木造二階建ての家が立ち並んでいた。瓦屋根はひび割れ、足元には雑草が生い
茂っている。私達がスイーツでお腹を膨らませた市街地とは全てが違っていた。
 町の中心は華やかでも、しばらく歩けば景色は一変してしまう。これまで何度も見てきた格差社会の現状だ。
そして、発展から取り残された住宅街と同化するように立ち並ぶ、みすぼらしい二つのビル。
「えっと……あっちが白鳥ビルでこっちが大月ビル。うん、ここで間違いないね」
 私達はくたびれた家の物陰に身を寄せていた。二つのビルから約五十メートル離れた地点から、目的地を凝視する。
756 :彼女たちの絆(お題:ロリ) 4/8 ◆HmfYvBHWkM [sage]:2012/07/29(日) 23:43:41.06 ID:8q5/v6ip0
「大月ビルの地下一階、正面玄関横の階段から降りた所がかがやきの本拠地ね。……後は打ち合わせ通りにいくよ」
「分かった」「おっけぇだよ、おねえちゃん」
 無表情な真里菜に、笑顔たっぷりの愛香。二者二様の表情で返事をする。全く、初めての仕事だっていうのに
この期に及んで普段通りとは。どこまで肝が据わっているのか、末恐ろしささえ感じてしまう。
 私は二人に目配せすると、五十メートル先の建物に向かって無造作に歩き始めた。下手に走っていったり
すると警戒されてしまう。あくまで相手を油断させるのだ。襲撃時間を日中に選んだのもその為なのだから。
 ビルに着くとお行儀よく一列になって階段を下りる。大人の男一人が通れるような螺旋状の狭い階段だった。
「こんにちは。どのようなご用件でしょうか?」
 黒ずくめな優男風の男が営業スマイルで私達を出迎えた。左手は右手の上に添えている。
「長内さんはいらっしゃいますか」
 長内の名前を出した途端、相手の瞳に警戒の色が浮かんだ。
「アポイントはお取りになられましたか?」
「はい、お取り次ぎ願います」
 もちろん、そんなものは取っていない。
 男は私達をじろじろと物色するように眺める。警戒されないように年相応の普段着(迷彩柄のチュニック)で来たんだけど……
 うーん、失敗だったかな?
 私を変なものを見るような目でじろじろと眺めた後、男はスーツの内ポケットから無線機を取り出す。
「お名前をお願いし……ごぼぁっ!」
 言い終わらない内に、天空から降り注いだ一本の氷柱が優男を串刺しにする。左胸を貫通したそれは、正確に
相手の急所を貫いていた。男がビクン、ビクンと震える度に澄み切った氷柱が紅い滴に彩られていく。
「もう無理だと思ったから、殺したよ」
 私の後ろで真里菜が眼を鋭く光らせる。優香はその姿を見ておぉ〜と感心している様子だった。十五歳にしてこの
ためらいの無さを身に付けた経緯を想像すると、やるせない。
 男が息をしていないことを確認してから、ダメ元で扉を引いてみる。ああ、やっぱり無理か。まあ、頭上で監視カメラが
動いてるし、一部始終はあっちに伝わっているはず。
 軽く息を吐いて待つ事十秒、バタバタと扉の向こう側が騒がしくなってきた。私はその音を確認すると、チュニック
スカートを翻しガーターベルトに差した銃を取り出す。サイレンサーを装着した後に両手で銃を構え、意識を集中させる。
 ピリピリした空気が肌に突き刺さる。おそらく敵は扉を開けると同時に、私達を攻撃してくるだろう。だが、その時こそ
こちらの攻撃するチャンスでもある。これはスピードの勝負、負けたら私達は地獄への超特急行き。
757 :彼女たちの絆(お題:ロリ) 5/8 ◆HmfYvBHWkM [sage]:2012/07/29(日) 23:45:01.03 ID:8q5/v6ip0
 喉がどんどん乾いていく。思わず私はごくり、と唾を飲み込んだ。
「……来るよ」
 騒々しい音と共に勢い良く扉が開けられる。きた!
「おねえちゃんをいじめるなあああああ!!!」
 優香の絶叫が辺りに響く。
 瞬間、空気中に発生したうごめくような波が周りを揺るがした。うねり狂う衝撃はそのまま扉の奥へ飛び込んでいき、
強烈な爆発音をもたらす。じっと待つ事数十秒、それは通路内を地獄絵図そのものへと変化させていた。
 惨状が目に飛び込んでくると同時に思わず吐き気を催してしまう。壁には肉片がべちゃっとこびり付き、胴体から
別れを告げた真っ赤な右腕が綺麗に床から生えていた。ゲームでこんなモンスターを見た事があったけど、何だっけ。
 援護が来ない事を確認した私はむかつく気持ちを抑えて飛び込む。悪臭漂う空間内で、死に切れなかった者にとどめ
を刺していく。とっとと長内を殺し、この場から立ち去りたかった。いくら慣れているとはいえ、この空間に長時間いるのはキツイ。
 後ろにいる真里菜は優香の目を両手で隠しながら、私のすぐ後ろを進んでいる。
「なんかくさいよぉ……おねえちゃん、気持ち悪いよぅ……」
 頑張ってね、と優香を励ます。優香が自分のやった事と真正面から向き合うには幼すぎたし、それは今やるべき事じゃない。
 最も優先されるべきは、生きていくために与えられた仕事をこなすこと。
「長内はきっとこの奥にいるはず、長居するのもアレだしさっさと終わらせよう」


 バアァン!!
 赤茶けた年代物の扉を開け放ち、銃を構える。その横では真里菜が正面に両手をかざし、目前に氷壁を展開させる。
「なるほどな、防御は万全という訳だ」
 このような状況にも関わらず、黒塗りの椅子に腰かけた目前の男――長内は不敵な笑みを浮かべていた。
 二十代後半だろうか? 無精ヒゲを生やし、角刈りにポロシャツといったいでたちの男は哀れみの目で私達を観察する。
「こんなかわいい女の子達が殺しをやらなくていい世界を作りたいんだがな……頼む、見逃してくれないか?」
「断る」
「代わりに雇うと言ったらどうだ?金はお前達の依頼主より倍は払おう」
「無理だ。信用問題に関わるからな」
「そんなのむりー!」
 流れるように優香が同調する。真里菜は嫌悪を込めた瞳で長内を睨み付ける。
758 :彼女たちの絆(お題:ロリ) 6/8 ◆HmfYvBHWkM [sage]:2012/07/29(日) 23:46:01.22 ID:8q5/v6ip0
「交渉決裂、か。なら仕方ない、このまま俺も殺される訳にはいかないからな!」
 そう言い終わると同時に、長内が動いた。
 二メートル程度あった間合いは一瞬でなくなってしまう。……えっ、さっきまで椅子に座ってたのに? 速い!
 完全に、不意を突かれた。
「くっ!」
 長内は氷壁が展開されていない真横に回ると、私の脇腹目がけて拳を繰り出してくる。だめ、避けられない!
「お姉ちゃん!」
脇をたたみ、とっさに左腕で脇腹を隠す。腕の周りには氷が広がっていく。長内の拳が、容赦なく氷を叩き割る。
「うあああっ!」
 受け身をとった私の左腕に拳が食い込んでいく。バキッ、と嫌な音が鳴った。衝撃で思わず体勢を崩してしまった。
 勝負は、あっけなく決まってしまった。私が体勢を立て直そうとした瞬間、こめかみに冷たい感触が――
「おおっと、変なことはするなよ。もしチカラを使うようなら、お姉ちゃんは死んでしまう事になる。そんなのは嫌だろ?」
 長内は妹達へ言い聞かせるように問いかける。
 痛み、悔しさ……煮えたぎる思いに身を焦がしながら私ははぎりっと歯を食いしばる。ああもうっ!
「っ……!」
「うえぇぇん、おねえちゃん……」
 ぴったりと私の右後ろに張り付いた長内は、左腕で抱き込むようにがっしりと私の体を掴んでいる。右手には、銃だ。
 押し当てられたそれは引き金を引いたが最後、たやすく私の命を奪うだろう。私はどうなっても構わない。けど、妹達だけは!
「私はどうなってもいい。だけど、妹達には手を出さないで。それにどうして私達を殺さなかった? その気になれば容易く
殺せたはず。高速移動のチカラを使って」
「ふふっ、やっぱりチカラを持つ者には見抜かれてしまうか。……俺はな、生まれ持ったこのチカラを有効利用したい。
その為に、俺と同じチカラを持った人間の助けが欲しい」
 角刈り頭は生気に満ちた表情で辺りを見渡す。
「俺はこの国を変えたいんだ。金持ちだけが私腹を肥やし、貧しい人々はそんな金持ちどもの為に身を粉にして働き、日々
生きていくだけの金を稼ぐだけで精一杯だ。あげくの果てに人体実験の道具となったり、奴隷として畜生以下の扱いを受ける」
 おそらく、この男がやろうとしている事は正しいのだろう。けど、そこに物事が正しいか間違っているかは関係ない。
 私達が求めているのはただひとつだけ。
 ――三人で生きる。
 そのためには仕事を成功させ、まとまった報酬を貰う。これの繰り返し。あの男の同志になるつもりなど、これっぽっちもなかった。
 真里菜の方に視線をやると……彼女と目が合った。透き通るような黒眼が私をじっと見る。どうやら、考えることは一緒みたい。
759 :彼女たちの絆(お題:ロリ) 7/8 ◆HmfYvBHWkM [sage]:2012/07/29(日) 23:46:41.59 ID:8q5/v6ip0
 ――お姉ちゃん、準備はいい?
 ――大丈夫。ちょっと痛むけど。
 あうんの呼吸。
 私達だったら、きっとできる。そこに血のつながりなんて関係ない。
「同じ人間なのに、酷い話だろう?出生で全てが決まってしまうなんてな。……お姉ちゃん達の戦いぶりは監視カメラ越し
にじっくりと見させてもらった。惚れ惚れするような戦いぶりだったよ。だから、このまま殺してしまうには惜しい。
どうだ、俺と一緒にこの腐った国を変えないか?」
 長内は口元に笑みすら浮かべている。妹達は私を助けるため、誘いに必ず乗ると自信があるのだろう。
 もし誘いに乗らなかったとしても、自らのチカラで私達を難なく[ピーーー]事ができる。妹達の攻撃も難なく避けるだろう。
 長内の態度は、私達より完全に優位に立っているという余裕が感じられた。
 だから……その油断を、突く!
 ――やるよ、真里菜!
 ――うん、由樹お姉ちゃん!
『断る!』
 言い終わるか言い終わらないかのタイミングで、私は指をパチンと鳴らす。と同時にありったけの力を右足に込めて、
右側へと飛び退く。
 私と長内の場所が入れ替わる。
 真里菜は目を大きく見開くと髪を逆立て、無数の氷槍を私がいた場所へ放つ。
 左腕から突然私を失った長内は、力の行き場を失い一瞬バランスを崩す。
 降り注ぐ無限の槍が男を貫く。白いポロシャツが腹部、肩部、胸部と順調に赤く染まっていく。美しい音色と共に氷が
降り注ぎ、それが長内を貫通するごとに、肉を切り裂く生々しい衝撃音が部屋を支配した。
 アキレス腱が切れた鈍い音が室内に響く。高速移動を発揮しようにも脚部は長槍によって床へ縫い付けられている。
 優香はその景色を食い入るように見つめていた。まるで金縛りにでもあったかのように。
 そして視線の先には、情け容赦なく死の雨を降らせ続ける真里菜の後姿があった。
 くっ……! 
 私は体を投げ出すようにして優香を押し倒した。胸で視覚を覆い隠し、両腕で必死に聴覚を奪う。
 まだ、早い。この光景はあまりにも惨すぎる。姉のこんな姿を見せてはいけない。
 その間にも標的には精緻な氷細工が次々に突き刺さり、角刈り頭にツノが生えていく。地獄のような光景だった。
 攻撃を始めて約一分後、ようやく雨が上がった。が、同時に目の前には一体の真っ赤なハリネズミが出現していた。
 かがやきのリーダーは何が起こったのか分からないというような顔で絶命している。ぴくりとも動く気配はない。
760 :彼女たちの絆(お題:ロリ) 8/8 ◆HmfYvBHWkM [sage]:2012/07/29(日) 23:48:25.42 ID:8q5/v6ip0
 十五歳の妹は荒い息をついていた。頬が上気し、雪のような白い肌がピンクに染まっている。
 八歳の妹はぶるぶると震えていた。私はそんな妹を体全体で包み込むように抱きしめる。
 標的は仕留めた。後は後始末をして、この場から離れれば仕事は終わり。けど……
「おねえちゃぁん……こわいよぅ……まりなおねえちゃんがこわいよぅ……」
 茶色い頭をなだめるように、愛しむように撫でる。震えが体に伝わってくる。
 真里菜は無表情のまま俯き加減に、
「由樹お姉ちゃんは気にしないで。こうなることは、分かってたから。はぁ、はぁ……」
 乱れた息遣いを必死に整えようとしていた。
 折れた左腕がずきずき痛む。
 ――やっぱり、妹達に仕事を手伝わせるべきじゃなかった。二人は真っ当に生きさせるべきだった。
 私は、自分の決断をひどく後悔した。
 前までの暮らし、取り戻せるかな。スイーツ、みんなでお腹いっぱい食べに行きたいな……
761 : ◆HmfYvBHWkM [sage]:2012/07/29(日) 23:49:00.31 ID:8q5/v6ip0
以上です、ありがとうございました。
762 : ◆xaKEfJYwg. :2012/07/29(日) 23:50:31.30 ID:Db1iNYyKo
ごめん投票貼るタイミング分からなかった
ID:UA0tzlJN0氏
投下どうぞー

763 :若さゆえ(お題ロリ)1/7 ◆InwGZIAUcs :2012/07/29(日) 23:52:43.72 ID:UA0tzlJN0
 駅前のロータリーを東に抜け、閑古鳥の鳴くシャッター街を横目に脇道に入るとその店はある。
 骨董と書かれたのれんに怪しげな香りのする店だ。
「こんにちわー」
 僕は躊躇いもなく、それこそ慣れ親しんだ友人の家に入る程度の感覚で扉を開けた。
スライド式の扉はすんなり開き、物々しい飾りが立ち並ぶ店内があらわになる。
「いらっしゃ――ああ、変態さんですか」
 店の店主は愛想を蹴飛ばし毒を吐く。やたらごってりとした装飾をした木製の机に座り、
怪しげなハードカバーの本というよりは書物を読んでいた。
 店主のマホさんだ。見た目からは想像も出来ないほどお歳を召している。
「ナチュラルに魔法使いのコスプレを着こなす人に言われたくないですよ」
「コスプレ? 聞き捨てなりません」
「分かってますよ! 突っかかってすみません」
 睨み付ける彼女は正真正銘魔法使いなのだ。だからこそ、こんな現代社会で浮こうがどう思われようが、
魔法塚いの格好でいる。なんでも格好から入るのが大事らしい。
「で、君は今日何の用で来たのですか?」
 居ずまいを正し、改めて僕に問う。
「いやあ、こないだ依頼した品を取りに来ました」
「依頼? ああ、これの事ですね」
 ガサゴソと乱雑にガラクタの山を掻き分ける……てか俺が受け取るのって商品だよね?
「これね?」
 そう言ってマホさんが手にしたは……。
「ん? 『心正品』とな? コレなんですか? 俺の頼んだのってこれ?」
「ええ、これは人の道を正す薬です。どんな変態でも一撃で真人間になりますわ」
「そうそう、俺はこれで明日から真人間なって人の役に立つ為――ってうおおおおおおいい!」
 泣いた。全俺が泣いた。
 これには流石にマホさんも後ずさる。
「違うでしょ? 違うでしょ? 僕が頼んだの違うでしょ?」
「わ、分かったからマジ泣きは止めましょう」
 苦虫を噛んだ顔をしながら、マホさんは僕の依頼の品を出す。
「はいどうぞ変態さん」
764 :若さゆえ(お題ロリ)2/7 ◆InwGZIAUcs :2012/07/29(日) 23:54:52.91 ID:UA0tzlJN0
「『退化の薬DX』! こ、これだ!」
 時は平成。幼い少女に恋をしてはいけないという雁字搦めの鎖の中唯一辿りついた聖なる希望。
 合法的に幼女と付き合う事ができる霊薬!
 この寂れた商店街でこの店が生き残っている理由は唯一つ、需要があるからだ。
「いいですか? よく用法を聞いて下さい。この薬は必ず合意を得た上で使用して下さいね?
一度服用したら基本的には戻れません……まったくこんな薬、誰に使うつもりですか?」
「それでそれで、どうやって幼女にするんですか?」
 何かを諦めたように嘆息してみせたマホは半眼をこちらに向ける。
「簡単ですよ。それを所望のお相手にぶっ掛けるだけです」
 なるほどなるほどと、僕はマジマジと薬を見つめた。
「さ、用が終わったのなら帰って下さいな。私は忙しいのです。あ、料金は百万円ですよ?」
 マホさんはどことなく不機嫌そうに言う。というか大学生に請求する額じゃねー。
 アイアイサーと片手をふりつつ踵を返す。
 が、そこで僕は言葉を紡いだ。
「あ、そうだマホさん? マホさんて今年でおいくつですか?」
 突拍子もない質問に、マホさんは開きかけたその書物を落としてしまう。珍しく狼狽いしたように目をパチクリ
させていた。これは本人にとって地雷なのだ。そう俺は今果敢にも地雷を踏み抜いたのだ!
「え? は? ええ?」
「知ってます。今年で二十八歳ですよね?」
 瞬間。激昂したマホさんは机の上に広がる商品に目もくれず両手で叩いた。
「違います! 私は今年で二十七歳です!」
「ああ! ごめんなさい! 勘違いしました……でも、マホさんって見た目以上に若く見えるけど……」

――仕草は三十路超えていますよね?

 冷風。寒風。やませ。ありとあらゆる寒さがこの店内に吹き荒れた。真っ白になるマホさんは目じりに涙が
溜まっているように見えるのは気のせいではないだろう。
「マ、マホさーん?」
 力尽きたボクサー宜しく真っ白になっているマホさんは首をかくかく動かした。
「マホさんは綺麗ですね」
765 :若さゆえ(お題ロリ)3/7 ◆InwGZIAUcs :2012/07/29(日) 23:55:50.84 ID:UA0tzlJN0
 かく。
「素晴らしいプロモーションだ」 
 かく。
「でも……」

――若い方がいいですよね?

 かく。
 俺の行動は素早かった。返した踵をさらに返しマホさんへと近づく。
「では若返りましょう!」
 ぴしゃあ! っとどことなく卑猥な音を立ててビンから放たれた薬品は、マホさんの真上に降りかかった。
 これで! これで! 幼女版マホさんと合法的恋愛が!
「ちょ、え? これって!」
 慌てたマホさんは机の下に手を伸ばした。何か拭くものを取ろうとしたのか定かではないが、
彼女の身体は為す術もなく小さくなっていく。来た! 来たあああ!
 やがで、ぶかぶかの黒いローブと、三角帽子を被る少女が現れた。勝手の変わった服にこける少女に、
俺は内心ガッツポーズを決め込む。
 俺はあらかじめ用意しておいた服を取り出そうとした時、引っ張られる足の袖に気づいた。
「お兄ちゃん、遊んで!」
 にっこり微笑む天使の微笑みが僕の胸を射抜く。無邪気な少女の言葉をどれだけ望んだ事か。
 しかし、次に狼狽するのは僕だという事に、この時はまだ気づいていなかった。


****

 
「ささ、今度はこれに着替えようねマホさん、いや、マホちゃん」
「はーい!」
 ひとしきり遊んだあと、僕は彼女を着せ替え人形のようにして遊んだ。幼稚園の服、ゴスロリ、チャイナ服に
メイド服、ナースにセーラーあ;ぶgrbはう;hg
766 :若さゆえ(お題ロリ)4/7 ◆InwGZIAUcs :2012/07/29(日) 23:57:38.57 ID:UA0tzlJN0
 もうなんかやばい。人としてのやばさもそうだけど、なんか空とか今なら飛べる気がする!
「ねえお兄ちゃん! 次は何を着るの? それとも違う事して遊ぶ?」
 マホさんの言葉で現実に戻る。しかし、次の瞬間ふと思った。
 次、次は何をするんだ? 俺は半分騙したように彼女を幼女に変えて、付き合うつもりでいた。
 付き合う、か。この年頃の女の子に付き合うという概念は果たしてあるのだろうか? どう説明する。
というかそもそも振られたら俺は彼女をどうすればいい? というかぶっちゃけ精神はそのままかと
思っていました……。テンション上がりすぎて大事な事がいくつか抜けていた。
「ね、ねえマホちゃん? 魔法って使えるのかな?」
「うん! 使えるよ!」
「じゃあ、自分を元に戻す事も出来るのかな?」
「元の姿? 出来るけど……お兄ちゃんは戻って欲しいの?」
 言葉に詰まる。いや、何と言うか今のマホちゃんは天使のように可愛く最高に萌えるんだけど……違和感に
気づいてしまった。一度気づくとそれを無視する事が出来ない。
 今更と遅いと笑ってくれ。そう、この状況には未来がない。
 言葉を切らしていると、マホちゃんはそっと唇を噛んでこう告げた。
「私はね……嫌」
「へ?」
「嫌! 戻りたくない! このままお兄ちゃんと遊んで過ごすの!」
 そう言って彼女はお店を飛び出してしまった。呆気にとられた僕は彼女の背中を見送る事しか出来なかった。
 一瞬の間。僕は思考を停止させていた。やがて、僕の耳に誰かの声が届く。

――これが君の望んだ状況ですか?

 その声に心底驚いて、首が百八十度回る勢いで振り向いた。そこには――
「え! マホさん?」
 ちょっとだけ軽蔑する眼差しを向ける彼女が立っていた。しかしそれ以上に驚くべきは半透明になっており、
向こう側が見えてしまっている! これはまさか……幽霊!
「先に言っておきますけど、幽霊ではないですよ?」
 僕の心を読んでくるマホさん。心臓を鷲づかみにされた気分だ。
「まあ似たようなものではありますが。君の薬を確認した瞬間、咄嗟に精神を別の媒介に移したのですよ。
767 :若さゆえ(お題ロリ)5/7 ◆InwGZIAUcs :2012/07/29(日) 23:59:00.93 ID:UA0tzlJN0
だから私に出来る事は何もないのでご安心を」
 そう言って、本日二度目の溜息をつくマホさんは吐き捨てるように言った。
「で、私に薬かけて楽しいですか? これが君の望んだ状況なんですか?」 
 僕は再度言葉に詰まる。死にたい。なんかとっても死にたいです。
「私は元に戻りたいのですが、いいですよね?」
 その言葉には、有無を言わせぬ迫力を持つ。
「……はい」
「あそこの引き出しに、魔法解除の薬が入っています。これをもう一回私にふり掛ければ私は元に戻ります」
「でも、本人逃げちゃった」
「私を誰だと思っているんですか? 私は私ですよ?」


****
 

 マホさんは言った。おそらく近所の広い競技場のある公園にでも行ったのだろうと。幼い頃から魔法の練習に
行っていたお気に入りの公園らしい。(魔法の練習は被害がでないように拓けた場所がいいらしい)
 ここは流石に本人。夕日落ちるグランドの片隅で地面に絵を描く少女を見つけるのは、そんなに難しい事で
はなかった。
「大人しくマホちゃんは捕まってくれますかね?」
 幽霊版のマホさんに語りかける。同時に、本物のマホちゃんにも気づかれた。
「まあ、無理でしょうね」
 ああ、なんか魔法陣が空中に浮かび上がっていくなー。あ、光りだした……って! ぎゃあああああ! 
光の奔流が俺めがけて飛んできた。
 慌てて横っ飛びをかまして着地をする。
「ちょ、ちょっと待ってくれええええ!」
 叫びながらも乱舞する光線を紙一重でかわす。
 また、マホちゃん本人もちょこまか動いてとても俺には追いつけそうにない。
 しかし。
「そんな調子では私は捕まりませんよ? なんとか私に追いつく方法はありませんか?」
768 :若さゆえ(お題ロリ)6/7 ◆InwGZIAUcs :2012/07/29(日) 23:59:58.95 ID:UA0tzlJN0
「ふ、僕もだてにマホさんのファンをしていただけではないぜ!」
 そう、僕も簡単な魔法なら使えるのさ! 見て驚け!
「グレートウィンドウ!」
 足首の辺りにちょっとした旋風が巻き起こる。
 しかし、そんな俺の究極魔法を見て半眼になったマホさんは淡々とこう告げた。 
「ただたんに風の力を借りて足を速くするだけじゃないですか」
「それは言わないお約束で!」
 とにもかくにも! これで僕とマホちゃんに、スピードだけなら拮抗できる!
 ここから僕の反撃が始まった。追いかける僕とヒステリーを起こして逃げるマホちゃん。
 距離は近づき、遠ざかり。一進一退を続ける。
「やはり、決定力に欠けますね」
 そう。追いついても薬をかける事ができないのだ。近づいただけであっという間に彼女は遠くへ
移動してしまう。……どうしたらいい?
「何か驚かして止めるのはどうでしょうか?」
 すかさずマホさんの助言が入る。
 そうか! 相手は子供。驚くような一言を告げればいい! 今日の晩御飯はハンバーグだとか、
おもちゃ買ってあげるだとか、でもでももっとインパクトのある言葉、そう、これしかない!
 そうと決まれば!

――マホさん! 好きだああああああああああああ!

 ビクッ! と一瞬、二つの影が固まった。マホちゃんは吃驚したのか目をパチクリさせている。
 そこでチェックメイト。
 存外大人しくマホちゃんは僕に捕まった。
「ごめんねマホちゃん」
「うん……」
 マホちゃんは顔を赤くしておう言った。因みに幽霊版のマホさんは本日二回目の
真っ白燃え尽き症候群に陥っている。
 僕はそっと薬をマホちゃんにかける。
「お兄ちゃん! でもね、でもね、最後に約束してくれる?」
769 :若さゆえ(お題ロリ)7/7 ◆InwGZIAUcs :2012/07/30(月) 00:00:33.40 ID:mx0fPGoL0
「ん?」
「おっきくなっても、私と仲良くしてね!」
 な! っと声を上げる僕とマホさん。やがて大きくなっていくマホさんの身体はサイズの合わない
服が破けて……と、そこからしばらく僕の記憶はない。


****


 クレーター。主に天体と天体の衝突によって発生する大地の窪みである。
また、俺の眼前に広がる光景でもある……。魔法ってすごいなあ。
「今日はこの辺にしておきます」
 星が夜空に浮かんだ頃、マホさんのこめかみに浮かんだ血管も収まったようだ。
「ふう、まあ幼い私に悪戯してたらあれですね、たぶん殺してましたけど」
 ぞっとする事を平然と言いのける。
「でも、幼いマホさんは本当に可愛かった」
 と言いかけたところで、マホさんの強烈な視線が俺の眉間を撃ちぬいた。
「でも、幼いマホさんも本当に可愛かった」
 慌てて言い直す僕。
「さて、私はもう行きます。君はここで明日までにこのグランドを元に戻しておいて下さいね」
 さらっと鬼畜な事を言う。ああ、本当にもうなんだかなあ。
 マホさんは魔女よろしく箒に腰をかけてこう言った。

――あと、ちゃんと約束は守ってくださいよ?

 真っ赤な耳をしたマホさんは青白い月を背に消えていった。僕はその背中を呆然と見送る事しか
出来なかった。なんつーかあれだな、今悟った。女に必要なのは若さじゃない、恥じらいだ。
 僕はマホさんの背を追いかけるため、トンボをせっせと動かすのであった。 

終わり
770 :てぶくろ(お題:ロリ) ◆xaKEfJYwg. :2012/07/30(月) 00:05:36.81 ID:b/0IA63qo
まとめ一時中断
投下します4レス予定
771 :てぶくろ(お題:ロリ)1/4 ◆xaKEfJYwg. :2012/07/30(月) 00:07:39.75 ID:b/0IA63qo
 私は、子どもと接するとき、多くを語らず態度で示すように心がけている。
 学校の帰り道のすがら、いろはが手を差し伸べ私の手を求めたときに、眉間にシワを寄せ拒否
したのは、そういった理由からだった。
「手、つないじゃだめなの? わたし、汗でびっちゃびちゃでも気にしないよ、ほら」
 いろははそう言ってにっと笑って、両手をあげ、汗で濡れて光った小さな手のひらを私に見せた。
「……わたしだって」
 彼女は、それでも私の表情がほぐれないことを気にして、指と指の間までしっかりと見えるよ
うに私に配慮した。
 私は知っている。さっきまでいろはが、蟻やダンゴ虫、ワラジ虫や蜘蛛をつかんで遊んでいた
ことを。
「……洗ったよ?」
 それも、知っている。公園で遊び終わった後に、水呑場で手を洗わせたのは私だからだ。
 私は、ポケットから白い手袋を取り出して、両手に嵌めた。そうしてから安堵の溜息を吐くと、
彼女の指の隙間を埋めるように、手のひらを重ね握る。
 いろはは、そうじゃない、と言って俯いた。
 知っている。そうじゃないことぐらい。
 いろはを家の前に送り届けるまで、私たちは手を繋いだまま歩いた。話はしなかった。

 縦割り教育というものがある。私といろはが出会ったのは、今年から始まった学校のカリキュ
ラムのおかげだった。登下校に家の近いもの同士が集まって話をしながら帰るというものだ。
 私の家は街の外れにあって、かなう学生は一人しかいなかった。つまり、二人だけで楽しくお
喋りをしなければならない。
 ……話といっても、中高一貫の私立高校三年の私と、付属小学校三年のいろはに共通する話題
なんてない。何を話せばいいのだろう?
 そのことを昼食中、友人に相談したことがある。
 彼女は向かい側で笑っていた。
「子どもなんて、公園で遊ばせときゃいいのよ。ボールでも用意してドッヂボールやりましょう?
鬼ごっこするよ。私が鬼よって。砂場でトンネルを作るのもいいわね。それでもどうしようもない
なら、体を持ち上げて高い高いでもすればいい。手を握ってぶらぶらするだけでも喜ぶものなの」
772 :てぶくろ(お題:ロリ)2/4 ◆xaKEfJYwg. :2012/07/30(月) 00:08:43.26 ID:b/0IA63qo
 友人は、そう言ってしまってから、私の白い手袋を見つけて、言葉を濁した。
 私は、苦笑いを浮かべて頬を掻く。
 誰のせいでもない、これは私のせいなんだよ。と彼女に言おうとした。
「ありがとう。ボールでも持って、一緒に遊んでみるね」
 友人の助言を受けて、ボールを持参したのが今日の帰り道だった。
 いろはと私は、帰り道の途中にある小さな公園でボールの投げあいっこをした。私は手を洗い、
いろはは草むらでいろんな種類の虫を発見して私に披露した。
 披露している彼女の顔は、まるで自分だけの秘密の宝物を見せてあげるといったふうだった。
おねえちゃんだから、見せてあげるんだよ?
 私は虫の恐怖でそれどころではなかった。

 お風呂で丹念に体の隅々を洗い、ドアノブをアルコールで拭き、部屋に戻って掃除機を掛ける。
そこまでして、やっと学習机に向かい日記を書く作業に取り掛かった。
 思い出すことは全ていろはのことだけだった。
 いろはが、私と直に触れ合いたいのは分かっている。手袋を嵌めた瞬間の、おどおどした態度、
泣きそうな表情は、全て私が悪いのだ。この病気を治すために病院だって行った。投薬治療の
効果は今のところ見られなかった。
 日記を書いて、もう一度書き終わった文章を見直してみる。
 一つ一つが小さく畏まっている文字は、何度も見慣れているはずなのに、無性に私を苛立たせた。

「おねえちゃんはわたしのこと、嫌い?」
 白い手袋越しに、いろはの緊張が伝わった。
「大好きだよ」
 私はいろはの言葉に返答して、付属小学校の正門まで急いだ。今日の登校は、なぜかいろはが
待ち合わせ場所に遅れて来たので、急ぎ気味だったのだ。
「うそだ」
 正門に着くと、いろはのワンピースの肩紐を直し、前髪を直してやって、頭を撫でた。
「大好きだよ。ほら、早く行かないと、先生に怒られちゃうよ。今日の帰り、一緒にアイスでも食べよう」
「はーげんだっつがいい」
773 :てぶくろ(お題:ロリ)3/4 ◆xaKEfJYwg. :2012/07/30(月) 00:09:59.98 ID:b/0IA63qo
「うん。おねえちゃん、行くからね」
 鞄を持ち上げ、今度は自分の高校の正門まで走って向かう。数歩走ってから、ふといろはの手
のひらを思い出して、振り返った。
 いろははずっと立ったまま、私に向かって手を振り続けていた。

 その日、下校時間になっても、待ち合わせ場所にいろははなかなか現れなかった。
 附属小学校の正門で一人立ち呆けている私を尻目に、他の学生は待ち人を見つけ仲良くここか
ら姿を消していく。
 走り寄る子どもを受け止めて抱き上げる中学生。大きな声を掛け合い点呼するグループ。授業
で制作したと思われる小物入れや、絵を見せ合う学生たち。そのどれもが、本来あるべき姿のよ
うに目に映った。
 私は鞄を地面に下ろし、白い手袋を眺める。一日中使っていたはずの手袋は、汚れが見当たら
ないほど、綺麗に白さを保っていた。
 唇を噛み締めて、手袋を外してみる。私だって、私だって。
 大きく深呼吸する。そのとき、正面玄関から、メガネを掛けた小太りの男が走ってくるのが見えた。
 男は私の前で立ち止まると、ハンカチで額を拭い一息でまくし立てた。
「いろはさんの担任やってます。溝口といいます。あなたはいろはさんの……」
「え、ええ……」
「いや、今ね、いろはさん体調崩しちゃって、保健室で寝てるんですよ。で、ですね……」
 喉が乾いていくのを感じた。一目散に保健室に向かって走る。
 ところで、保健室ってどこにあるのだろう?

 廊下をぶらついていた子どもに保健室の場所を聞いて、その場所へ急いだ。
 保健室の扉を開け、カーテンを開けてベッドに寝ているいろはを確認する。彼女を見たとき、
力が抜けた。どうやらぐっすり寝ているみたいだ。
 深い安堵の溜息を吐いて、汗で濡れたいろはの額を拭う。額は熱を持っていて、すぐに風邪を
引いたことが分かった。掛け布団から飛び出した手をぎゅっと握る。
「あなた、いろはちゃんのお姉さん?」
 背中から聞こえてきた声のほうに振り返る。
774 :てぶくろ(お題:ロリ)4/4 ◆xaKEfJYwg. :2012/07/30(月) 00:10:43.59 ID:b/0IA63qo
「大丈夫。薬を飲ませたし、両親に連絡もした」
 白衣の女性は、微笑んでいろはの顔を見つめた。
「いろはは……具合が悪かったんですね。気がつかなかった」
 自分の不甲斐なさが悔しかった。いろはの心配の次に湧き上がった気持ちは、幾度となく感じ
続けてきた自己嫌悪だ。
 女性は、私に向かって優しい声で言葉を掛ける。
「ここに居て、菌と戦ってるいろはちゃんを励ましてあげて」
 両親がこっちに向かっているから、無理しなくていいけど、と言葉を繋げて彼女はカーテンを
締めた。
 私は、そのままの状態でいろはの寝顔を眺め続けた。どれぐらい経っただろうか、西日の明か
りが弱まり、保健室に蛍光灯が点いたころ、いろははやっと目を覚まして私の手を強く握り返し
た。そして、握り締めた手の持ち主を探るように、視線を宙にさ迷わせる。
「……おねえちゃん、ごめんね」
 彼女が、言葉と裏腹に嬉しそうに笑ったのを見て、私は嬉しくなった。
「アイスは明日食べよう。ちゃんと風邪が治ったらね」
 そういってやっと、あの私が直にいろはと手を握ってることに気づいた。
「アイスはいい。その代わり、ここでお話しよう? あのね……」
 いろはは、私の手をもう二度と離さないとでも言うようにきつく握り直し、微笑んだ。
 私は、子どもと接するとき、多くを語らず態度で示すように心がけている。子どもには、それ
だけで十分伝わるのだ。私は、今日の出来事で、少しだけ自分のことが好きになった。
 私も、いろはの嬉しそうな顔に微笑み返した。

END
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/30(月) 00:12:05.58 ID:b/0IA63qo
現在、週末品評会302thの投票受付中です。今回の品評会お題は『500円玉』と『ロリ』でした。
投稿された作品は■まとめ http://yy46.60.kg/bnsk/ -週末品評会302th- にてご覧頂けます。
投票期間は2012/07/30(火)24:00:00までとなっております。

感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
投票には以下のテンプレートを使用していただくと集計の手助けとなります。
(投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません)

******************【投票用紙】******************
【投票】:<タイトル>◆XXXXXXXXXX氏
【関心】:<気になった作品のタイトル>◆YYYYYYYYYY氏
     <気になった作品のタイトル>◆ZZZZZZZZZZ氏
**********************************************
― 感 想 ―

携帯から投票される方は、今まで通り名前欄に【投票】と入力してください。
たくさんの方の投票をお待ちしています。 
時間外の方も、月曜中なら感想、関心票のチャンスがあります。書いている途中の方は是非。
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/30(月) 00:14:58.96 ID:b/0IA63qo
週末品評会302th『500円玉』『ロリ』投稿作品まとめ
http://yy46.60.kg/test/read.cgi/bnsk/1343561233/

週末品評会302th『500円玉』『ロリ』投稿作品一覧

NO.1 世にも地味に奇妙な話(お題:500円玉)◆F00SERh74E氏
NO.2 ピエロの体重(お題:500円玉)◆xoqQYwssWY氏
NO.3 失踪(お題:500円玉)◆XccWYZaGPo氏
NO.4 裏切りのガーデン(お題:ロリ)◆pxtUOeh2o氏
NO.5 彼女たちの絆(お題:ロリ)◆HmfYvBHWkM氏
NO.6 若さゆえ(お題ロリ)◆InwGZIAUcs氏
NO.7 てぶくろ(お題:ロリ)◆xaKEfJYwg.氏
777 :若さゆえ(お題ロリ)7/7 ◆InwGZIAUcs :2012/07/30(月) 00:15:38.06 ID:mx0fPGoL0
久しぶりに全館をしようと思う。甘口と辛口どっちが今はいいのかな?
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) :2012/07/30(月) 00:17:55.40 ID:bZ6JrQRpo
もう少しで書き終わりそうなときにタブレットとフリーズして全消えした件
あうあうあう
投票だけでもすっかな
779 : ◆HmfYvBHWkM [sage saga]:2012/07/30(月) 00:19:21.02 ID:QMAHsNKe0
チベット自治区の人進行乙
そしてsagaって入れるの忘れたよ…
[ピーーー]は殺すでお願いします
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/07/30(月) 00:19:50.96 ID:mx0fPGoL0
>>778
本当に残念orz
781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) :2012/07/30(月) 00:20:38.74 ID:bZ6JrQRpo
まとめ人さん投稿者さん乙ですん
また盛り上がるといいよねぇ
782 : ◆IL7pX10mvg [sage]:2012/07/30(月) 00:22:12.40 ID:OJt+83Oao
あの、No8でいいので自分もねじ込んでくださいませんか…
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/30(月) 00:24:17.17 ID:b/0IA63qo
>>782
どうぞどうぞ!
784 : ◆IL7pX10mvg [sage]:2012/07/30(月) 00:28:51.47 ID:OJt+83Oao
ありがとうございます
まとめは自分でしたほうがいいというのを見落としていたのです
No7の方まで終わられたら自分でやっておきますゆえ
785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/30(月) 00:29:22.13 ID:DecIXnMmo
>>725-736が抜けてる?
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/30(月) 00:31:21.17 ID:b/0IA63qo
>>785
指摘ありがとう!
順番が違っちゃってすいません。訂正↓

週末品評会302th『500円玉』『ロリ』投稿作品まとめ
http://yy46.60.kg/test/read.cgi/bnsk/1343561233/

週末品評会302th『500円玉』『ロリ』投稿作品一覧

NO.1 世にも地味に奇妙な話(お題:500円玉)◆F00SERh74E氏
NO.2 ピエロの体重(お題:500円玉)◆xoqQYwssWY氏
NO.3 失踪(お題:500円玉)◆XccWYZaGPo氏
NO.4 裏切りのガーデン(お題:ロリ)◆pxtUOeh2o氏
NO.5 彼女たちの絆(お題:ロリ)◆HmfYvBHWkM氏
NO.6 若さゆえ(お題ロリ)◆InwGZIAUcs氏
NO.7 てぶくろ(お題:ロリ)◆xaKEfJYwg.氏
NO.8 海に還る(お題:500円玉) ◆IL7pX10mvg氏
787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/30(月) 00:33:01.15 ID:JoUbgWoT0
ずいぶん集まったな…俺も参加すればよかった…
788 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/30(月) 00:34:22.55 ID:b/0IA63qo
ごめん、まとめかぶっちゃった。
まとめのほうお願いします
789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/30(月) 00:35:33.59 ID:OJt+83Oao
>>788
こちらこそ申し訳ない…
一応こちらの早いので最後までやっておきます
お疲れ様です!
790 :裏切りのガーデン(お題:ロリ) 7/7 ◆pxtUOeh2oI [saga]:2012/07/30(月) 00:37:51.04 ID:csMZR+G4o
>>787
時間外という手もありますで、姐さん
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/07/30(月) 00:38:22.64 ID:csMZR+G4o
タイトル消し忘れた
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/30(月) 00:39:05.71 ID:3hPuiWZAO
久しぶりに賑わったな
投稿者、仕切り乙
793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/30(月) 00:44:03.92 ID:b/0IA63qo
>>782の意味取り違えちゃってレスしてた
本当に見落としててすいませんでした

はじめてテンプレ貼ったりしたから、不手際が多くなってしまった
まだまだ時間外っていうのがあるので書いてる人はぜひ投稿してみてね
投稿出来そうにない人も、気がむいたら読んで感想書いてみてね
こんなに集まって嬉しかったです
794 :全感 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/07/30(月) 01:41:19.14 ID:csMZR+G4o
全感と投票投下します
795 :全感 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/07/30(月) 01:41:54.92 ID:csMZR+G4o
NO.1 世にも地味に奇妙な話(お題:500円玉)1/4◇F00SERh74E
単純な疑問なんだけど高翌揚感って本当にある言葉? 造語? 打ち間違い?
ググっても辞書らしいのではでてこないし、だけど31万件ひっかかるし、気になった。
話は、なんかこれから話がはじまるんじゃないかというところで打ち切られたような気分。
これだけだと不思議なことがおこってるらしいとかだけで終わってしまったような。
これからどうなるというわくわく感だけが残ってもやもやしている。これが導入だったらよかったのに。
>一葉が稲造になった。
ここが好き。

NO.2 ピエロの体重(お題:500円玉)1/2◇xoqQYwssWY
人間は死ぬと重くなるって、動かない死体はずっしりと感じるというだけで、
重量が増えるというわけではないような。
どちらかというと魂の重さ分21グラム軽くなるとか、水分が蒸発するから軽くなるとか
そっちのほうが良く聞くかな。まあ、キャラの感覚次第なんだろうけど。
話は、なんかこう結構使い古された話に思えるので、それを書くならば
もうちょっとかっこいいセリフとかほしかったかな
なんかあらすじだけ読んだような気分

NO.3 失踪(お題:500円玉)1/3◇XccWYZaGPo
電池だけ減っていく? 携帯の電池?
何が起こったのかはなんとなくわかるけど、
何の話だったのかはよくわからなかった
変化が欲しければ蝉を殺せばいいじゃないとマリーアントワネット風に思った
796 :全感 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/07/30(月) 01:43:10.59 ID:csMZR+G4o
NO.4 裏切りのガーデン(お題:ロリ)1/7◇pxtUOeh2o
自分の。人が死んだりせず、無駄にセンセーショナルにせず、できるだけ平凡で、
日常にちかいようなことを書きたいな思っていろいろ考えたが、
これぐらいのイベントを起こさないと
俺の能力的に話にならなかった
あとスタートが遅すぎたので、最後がとてもかけあしになってしまった
時間超ぎりぎり

NO.5 彼女たちの絆(お題:ロリ)1/8◇HmfYvBHWkM
氷が作れるのならかき氷を売ればいいじゃない
まっとうに暮らしたいなら、お金を貰って裏切ってもよくね?
良い人そうだし。この仕事に誇りを持っているのなら裏切らないと思うけど
そういうわけではないようだし
イマイチ、こう来るものがなかった
嫌ならやらなければいいと思うというか、
なんでそんな追い詰められているのか世界観を説明したほうがよかったかも
あと超能力があるということも、できるだけとっておいておどかしたいというのもわかるが、
事前説明があったほうがいいかなともおもう
キャラがまったく好みじゃなかったぜ!
797 :全感 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/07/30(月) 01:43:40.03 ID:csMZR+G4o
NO.6 若さゆえ(お題ロリ)1/7◇InwGZIAUcs
見た目を書きましょうよ
>店主のマホさんだ。見た目からは想像も出来ないほどお歳を召している。
>「違います! 私は今年で二十七歳です!」
上のほうで800歳くらいのロリババア魔法使いを想像したので28と言われて「若っ!?」と思ってしまった。
体は普通の大人なのね。27で魔法使いのコスプレかあ……
なんで薬をかける必要があるんだろうね、いまのほうがごほうびだよね
というか薬をかけて、相手をこどもにしたら、魔法で合法的なんですっていいわけできなくない?
きみ、ちょっと頭おかしいねって、おまわりさんに病院をすすめられるよ
自分がかぶって、ロリと付き合うのかとおもった
>私に出来る事は何もないのでご安心を
大人マホさんの精神体の前で、子供マホさんとコスプレプレイでしょ、
それこそ恥じらわせるのに一番のプレイじゃないか、これなんてエロゲ
登場人物が男と女二人だけでいちゃいちゃするのろけ話みたいなのはあんまり好きじゃないような
けっこうおもしろかったような
マホさんがこの男に告白されて、キモイと思わず、はじらう理由ってあるのかな?
そういうところがすっとばされてるので、「登場人物が男と女二人だけで〜」といつも思う
こういうのって最初っからできてるんだよね、告白なんかなくても
うらやましくなんかあるよ

NO.7 てぶくろ(お題:ロリ)1/4◇xaKEfJYwg.
>「はーげんだっつがいい」
男に貢がせる将来が期待できるお子さまだぜ
前半はかなり好きだった。
後半は障害の乗り越え方が簡単過ぎるような気がした
まあ、書いていく上でそういう順番になるのかもしれないんだけど、
最後の予定があって、そのためにとってつけたようなやわい壁だったような
たとえば、目の前で熱で倒れた大事な子供を見ても、自分の潔癖症(だよね?)のせいで助けられなくて、
周りの人間が助けるのをただ見てるだけで、少しだけ手遅れで、そんな自分を嫌悪するけどみたいな
そういうのが前半残酷なほうがもりあがるというか、そういう絶望が俺は好き
それでそこまで行ってからさらにそれを乗り越える方法をライブ感で書くともっとおもしろくなるのかなと思ってる
この話に限らず、全体的な書き方のやりかたとして
798 :全感 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/07/30(月) 01:44:36.71 ID:csMZR+G4o
NO.8 海に還る(お題:五百円) 1/8 ◇IL7pX10mvg
ラブラブですね。
五百円関係なくね? 前半のうんちくいらなくね?
2レス目3行目がスタートでよくね?
もうお題なんてほっとこうぜ!
やっぱりこう
登場人物が男と女二人だけでいちゃいちゃするのろけ話みたいなのはあんまり好きじゃない
妬ましいので
海もなんかありきたりというか、こういうの理想だよねというイメージを書いただけというか
そんなことを押井守が言ってたけど、CMは理想的な様子を描くけど現実はあんなんじゃないとか
その理想がおもしろいと思えるほど現実感がないというか力がなかったような気がする
言葉がつくりものぽいような
>「靴脱いで、母なる海と足だけ融合しよう」
>「効果は?」
>「生命の歴史を吸収して少し大人になる」
このへんなど
個人的にいつも思うのは、こういうありきたりなのを書くのならば、
最後とか山場に、作者のオリジナリティあるかっこいいセリフとかが必要なんだと思っている
それがあればよくある話でも突き抜けられるので
自分もそういうセリフを書きたいと思ってる、できてはいないけどな!

総評:500円を書いた人、ググってウィキペって、書いただろう。
それをやめたほうが絶対おもしろくなると思う。
登場人物がお題に対して、妙に詳しく語りたがりになるところがBNSKのダメなところだと思ってる。
ロリを書いた人、もっと好きになれるキャラがほしかった。どうなんだろう、他の人だと
こういうロリに萌えるのか? 今回で好きなキャラはマホさん(大人)と手袋少女だった。
子供が大人の考える子供像っぽいかな。自分のも含めて。
799 :投票 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/07/30(月) 01:45:18.64 ID:csMZR+G4o
******************【投票用紙】******************
【投票】:なし氏
【関心】:NO.6 若さゆえ(お題ロリ)1/7◇InwGZIAUcs氏
           ――感想――
     もうちょっと他の人とかでたほうがよかったかな、あともっと突き抜けた変態であってほしいとか
     NO.7 てぶくろ(お題:ロリ)1/4◇xaKEfJYwg.氏
           ――感想――
     もうちょっと残酷にしてたら、そのごの感動もひとしおなのに好みなのにと
     投票には一番ちかい
**********************************************
次点はNo.01かな、もっと続きを……
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/07/30(月) 01:45:56.67 ID:csMZR+G4o
ひさしぶりなので、書くのも読むのも楽しかった。感想はきつめかもしれないがそれほど不満があったわけじゃないです。
また少しあけて、やってほしいな。来週からしばらくはドラクエやるので参加できないけど。
たまたまやるのをみつけられよかったわ。
書いた人、これから感想の人、投票の人、おつかれさまです。
運営の人、おつかれさまです。ありがとうございました。

よし、サッカー見るぜ
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/30(月) 01:46:52.49 ID:b/0IA63qo
全感乙です
802 : ◆InwGZIAUcs :2012/07/30(月) 02:02:24.71 ID:mx0fPGoL0
全館投下
まず始めに。予想以上にロリが使われていなくて驚きました。変態の多い場所だと思っていましたが改めます。
そして全感想は率直な意見を述べさせていただきます。BNSKのいいところは忌憚の無い意見を聞ける事だと
思って居ますので棚上げで申し訳ありません。また、同じく私も感想を頂けたらと思います。
では僭越で恐縮ではありますが、はじめさせていただきます。


NO.1 世にも地味に奇妙な話(お題:500円玉)◆F00SERh74E氏
世にも奇妙な物語ですね。分かります。しかし、その内容が
怖いと思えるほどの異常でないが故に、怖いと思う前に何故?
という疑問が立ってしまい、消化不十分で終わってしまいました。
文章は上手いと思いますが、文章の密度が高いので、何故と思えるまでも
時間がかかり、読むのが苦痛でした。ごめんなさい。


NO.2 ピエロの体重(お題:500円玉)◆xoqQYwssWY氏
物語としてまとまっていると思います。面白いかといわれると、
短いが故に山場も無く淡々と作品に込めたメッセージを読者は受け取るだけ
になってしまい、面白さは感じられませんでした。おいらは物語って最終的には
メッセージ性が大切だと思います。だからメッセージが込められてるのは本当にいいとおもうのです。
それを伝える為に色々なキャラクターとか山場とか技術があると思うのです。
今回はぽっと「こうだよね!」って言いたい事を言っただけで、聞いたほうは、
「お、おう」って少なくともおいらはなりました。


NO.3 失踪(お題:500円玉)◆XccWYZaGPo氏
何故500円玉はホラー路線にwwwwwwwwうーん、
なんというか着地点が良く分からなかった。怖い話をしたかったとしたら、
どうでもいい情報が多かった気がします。大学生活のうんぬんあたり。
そして500円玉である必要も無いかと。
803 : ◆InwGZIAUcs :2012/07/30(月) 02:02:58.75 ID:mx0fPGoL0
NO.4 裏切りのガーデン(お題:ロリ)◆pxtUOeh2o氏
来た。ロリ来た。かけ合いは面白いと思います。ただ話しとしては後半尻すぼみなイメージでした。
引っ張ったわりには落ちが普通というかなんというか。先が気になる展開であればよかったのですが、
SSなので不要な内容はもっと削れたのでは? と思ってしまいます。うーんもう一味足りないイメージ
で何と言うか上手く言えません。ごめんさい。

NO.5 彼女たちの絆(お題:ロリ)◆HmfYvBHWkM氏
重厚なストーリー。読みづらくてついて行くのが大変でした。冒頭はやはり読者を引っ張る内容……になってる!
愛香可愛い!と思ったのもつかの間……内容重いwwwwwwwwそして重いままオワタwwwwwwwwwwwwww
いろんな意味でぶっ飛んだ内容でした。ただ、やっぱり着地点が分からないというか、後悔して終わってるし。
うーん設定は好みだったのですが、もう少し軽めの内容が良かったなあ……。

NO.6 若さゆえ(お題ロリ)◆InwGZIAUcs氏
       (<、,,> ":::::::::::::::::::::::::::: 、
      〜〈/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::)   い  ロ た
       〃:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<、   い  リ ま
     ~そ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,)  よ  コ に
  、_ ,, /::::::::::::::::::::::::、,ゝ===く:::::::,:::::ヽ  ね ン は
    `V::::::::::::::::::::、_γ      `ヾ,_ < ! も
     l::::::::::::::::::::::く(   γ⌒ヽ  )> く,
 〜v,ん:::::::::::::::´:::::::=;       ,=ニ `/l/!/⌒Y
     l:::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ===イ ´::::゙:::::::::::::::::::::::::::::::
 、m,.. ,ゞ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
 ´ " ~ ヘ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
804 : ◆InwGZIAUcs :2012/07/30(月) 02:03:26.57 ID:mx0fPGoL0
NO.7 てぶくろ(お題:ロリ)◆xaKEfJYwg.氏
うん、良かったです。特にいう事がないです。面白かった。
やはり物語は成長が大事ですよね。参考になります。

NO.8 海に還る(お題:500円玉) ◆IL7pX10mvg氏
これもいいですね。切ない。切ない。
うーん、面白かった。特に言う事ないです。


総評:pxtUOeh2o氏の感想でもあったとおりそうですね。BNSKは無理にお題を絡めて、
   結局それ必要かな? って話が多くなって違和感がある作品になってしまう可能性があるかと
   思います。そこをなくす為にはやっぱりお題を上手く使う必要があると思います。
   いずれにせよ面白いは正義。結局のところ面白ければいいのだと思いますが。
   あと冒頭でも書いた通り、ロリが少なくて、もっとロリがあって可愛い子がたくさん居るかと
   思っていたのは残念ですwwwwwwでも本当に久しぶりに書いて文章を書く楽しさを思い出しました。
   また是非品評会が活性化すればなあと思います。運営の皆様、参加された皆様、本当にお疲れ様
   でした。ありがとうございます。

******************【投票用紙】******************
【投票】:NO.8 海に還る(お題:500円玉) ◆IL7pX10mvg氏
【関心】: NO.7 てぶくろ(お題:ロリ)1/4◇xaKEfJYwg.氏
**********************************************
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/30(月) 02:06:11.94 ID:b/0IA63qo
全感乙ですー
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/07/30(月) 02:17:08.57 ID:U4H0LHTTo
おーつーつー
807 : ◆FcModpyaRc [sage]:2012/07/30(月) 02:52:01.67 ID:uqIWhuOko
まじかよ人多いじゃん・・・
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/30(月) 02:54:24.43 ID:vuHF/o4eo
品評会やるよって言えばけっこう人集まるんだな
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/30(月) 03:08:05.24 ID:3hPuiWZAO
というか普段からお題くれって言ったら地味に早い反応するから人自体はいるんだよね
投下締め日に無理があっただけで
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/30(月) 03:37:06.55 ID:p9JG2przo
じゃあもし品評会を続けるとしたら、次も8月の最終の土日?
月2回にして第2、第4の土日?
まだ今回の結果も出てないのに早すぎるかww
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/30(月) 03:46:45.07 ID:3hPuiWZAO
月の最終土日締め日いいんじゃない?
覚えやすいし
812 :全感1/3 ◆xaKEfJYwg. :2012/07/30(月) 04:49:29.94 ID:b/0IA63qo
NO.1 世にも地味に奇妙な話(お題:500円玉)◆F00SERh74E氏
 話の立ち上がりが面白かっただけに、投げっぱなしジャーマンに感じてしまった。
 不思議だなーで終わるなら、主人公が不思議に取り込まれる瞬間まで書いてくれると
 なお良かったかもしれない
 この立ち上がりを使った長編ホラーサスペンスが読みたいな

NO.2 ピエロの体重(お題:500円玉)◆xoqQYwssWY氏
 上手くまとまってた
 起承転結でいう転が無かったから、「そうだよなあ」で終わっちゃったのが残念
 もう少し若い男のほうの描写があると、残酷さが際立ったのかも
 そうすると、老人たちのゲスさがアップしたかも

NO.3 失踪(お題:500円玉)◆XccWYZaGPo氏
 何が起こったのか説明がもう少し欲しいところ
 歩いているのが500円玉だった! とおどかしたいなら主語を隠したのは納得なんだけど
 なぜ恐怖しているのかが未だに分からない。なんでなんだろ
 500円玉拾ったのは凄い幸運だよなぁ。いいなー

NO.4 裏切りのガーデン(お題:ロリ)◆pxtUOeh2o氏
 園児を追い詰めてるよなぁ……ゆきのちゃんカワイソス
 あといくら園児相手じゃないからって、見えるところで暴力振るったら
 一発でクビになるよな、とフィクションなのに気になってしまった
 今おままごとで園児のやりたがる役はペットらしいですよ
 理由は可愛いから! ゴロゴロして楽して暮らしてるから! だとか
 前は頼れるお母さん役が大人気だったのにね……
813 :全感2/3 ◆xaKEfJYwg. :2012/07/30(月) 04:49:57.02 ID:b/0IA63qo
NO.5 彼女たちの絆(お題:ロリ)◆HmfYvBHWkM氏
 筆がのってるなあ。読みやすかった
 お金一杯手に入ったらこの三人でレストランでも経営しましょう、
 とか未来の方向性があると良かったのかなぁ。ヨルムンでそんな奴らいたけど
 どっちかというとバトルよりも、
 こんな子どもたちに四苦八苦しながら教育する姉ちゃんが見たかった
 あと、レスあったのに[ピーーー]のまま転載して申し訳なかったです

NO.6 若さゆえ(お題ロリ)◆InwGZIAUcs氏
 楽しかった。投票します
 幼女になったマホさんが楽しそうに動いていたのが、一番良かった
 NO.5と同様に筆がのってるなーとも思った
 勢いで読ませる力は私にはないので、とっても羨ましかったり
 女の子が可愛く書けてたから、言うこと無いんだけど、しいていうなら
 もう少し導入部の説明文章を推敲するとなお良かったかも
 前半部を見て、ロリババアきたぜひゃっほぅ! ってテンションが上がったけど
 そんなことなくてちょっとガッカリしちゃったから

NO.7 てぶくろ(お題:ロリ)◆xaKEfJYwg.
 自作。駆け足滑り込みセーフで間に合わせた作品
 書くって大口開けていったはいいものの、筆がのらなかった
 やっぱりジレンマ解消が簡潔過ぎるよね
 感想くださったひとありがとう! これから感想くれる人びしびし批判して!
814 :全感3/3 ◆xaKEfJYwg. :2012/07/30(月) 04:50:52.71 ID:b/0IA63qo
NO.8 海に還る(お題:500円玉) ◆IL7pX10mvg氏
 完成度の高い掌握だと思います
 高校生ぐらいなのかなーすごい高校生っぽい感じが出ててとても良かった
 もうちっと説明があると情景が浮かんで読みやすかったかも
 何歳ぐらいで、どんな関係なのか、出会いはどうなのかとか
 >「この時期の海っていえば花火くらいでしょう」
 で、秋の終りに花火なんかするかなぁとか
 私の読む姿勢のせいなんだけど、読むのにエネルギーが必要だった
 きっと文章の良し悪しじゃなくて、語る順序が理解できなかったからだと思う
 一つ一つの段落がぶつ切りのように感じてしまった
 あと、見落としてしまって、申し訳なかったです


******************【投票用紙】******************
【投票】:NO.6 若さゆえ(お題ロリ)◆InwGZIAUcs氏
     幼女が楽しそうに動いてたので
【関心】:なし
     NO.8に入れようかとも思ったけどすんなりと読めなかったので
**********************************************


――総評――
 bnsk品評会(一時)復活! ということで、沢山の人が参加してくれて
 めちゃめちゃ嬉しかったし、楽しかった
 全体的に間に合わせの作品というか、それだけに楽しんで書けている感じが伝わって
 面白く読めました。煮詰まったお話が少なかったのは仕方がなかったのかな、なんて
 参加してくれたみなさま、全感してくれたみなさま、これから参加する人、お疲れ様でした
 品評会に次回があることを願っています
815 : ◆F00SERh74E [sage]:2012/07/30(月) 05:50:20.30 ID:2any6a+i0
全館
No.01 世にも地味に奇妙な話(お題:500円玉)◆F00SERh74E氏
自作ですねえ。やだなあトップバッター。
全館の一番上にくるのっておそるおそるスクロールしたのに急に見えちゃうからやだ。
ショートショートらしき何かです。なんかこう、グニャグニャした塊。特にメッセージとかありません。
読者にはい、って笑顔で掌の上のグニャグニャを差し出します。申し訳ないので文章は少し気をつかっています。
タイトルは投稿直前に10秒で決めます。
別に、続きとかは僕の脳内にもないです。これに続きって要る? ぐにゃぐにゃ。つまんない物語は始まらないのです……。
高翌翌翌揚感は誤植です。2レス目の高翌翌翌齢者も誤植です。どっから来たんだこの翌。この話最大の謎がここにある(適当)

No.02 ピエロの体重(お題:500円玉)◆xoqQYwssWY氏
この地下パーティは地下パーティ地下パーティしてますねえ。
下っ端の大男も下っ端下っ端している。
最近とみに思うのだけど、このいかにもな物をいかにもな感じで出すのに、みんな(?)もう少し意識的に
なってもいいんじゃないか。全編わたって独創力に溢れたものを書け、なんて暴論振りかざすつもりは
全くないんだけど、ちょっと俺今いかにもな感じで書いてるよ、といかにもな物を書いてるときに
ちらと思って欲しい。

No.03 失踪(お題:500円玉)◆XccWYZaGPo氏
人は時に五百円になる。良いじゃないですか。実にいい。
墓場って好きです。普通のはか石(モノリス!)ばっかり並んでるのはつまんないけど、新興墓地なんか
行くと菩薩立ってたり、「〇〇家之墓」の代わりに「おもいやり」とか書いてたりして超楽しい。
>時計は残り5分で昼を告げる が良い。昼といういったい何時から何時までなのかわからない曖昧な
時間区分を時計があと5分だよ! と教えてくれる。
なんかミスを槍玉にあげてるみたいに見えるけどそんなことはない!
こういう言葉は無駄に書き馴れてくると出てこなくなるんで大切にしたい。
816 : ◆F00SERh74E [sage]:2012/07/30(月) 05:52:11.00 ID:2any6a+i0
No.04 裏切りのガーデン(お題:ロリ)◆pxtUOeh2o氏
キャラ小説? とレッテル貼りに走るのは(我ながら)感心しませんが……。
あやこ先生の、キャラ。ゆきのちゃんの、キャラ。ゆきのちゃんのお母さんの、キャラ、は、あんまり出てないや。
文字上のキャラクターって基本的に興味持てないんです。10ページくらい読んでくると、興味っていうか
自然に追えるようになるんですが。画像だと0.1秒でこの幼女背も胸もでけえ! とわかるんですが、
文字だとせいぜいせもmくらいなんです。
最近萌え四コマ雑誌(きららとかそういうの。ジャンプの三分の二(体感)くらいの厚さが全部四コマでびっくり)を
読む機会があったんですが、画像だけど全然興味沸きませんでした。絵はわりとみんなうまい。
どうすりゃいいんや。やっぱストーリーか……。
つーかこの作品はキャラ小説じゃないですね。うーんこの感想。

No.05 彼女たちの絆(お題:ロリ)◆HmfYvBHWkM氏
キャラ小(ry
ここまで吹っ切れてくるといっそ清々しいです。将棋の駒みたいなキャラの初期配置。
キャラに役割を与えるのではなく、役割にキャラを与える。将棋よりはバリエーション多いですが。
あと将棋ほど団体戦じゃないですが。へったくそな喩えだなあ。
>「なんかくさいよぉ……おねえちゃん、気持ち悪いよぅ……」
ふぇぇ……
>「おねえちゃぁん……こわいよぅ……まりなおねえちゃんがこわいよぅ……」
ふゑゑ……つーか八歳だったのか! いやまて業界では年頃か! ふぇぇ……

No.06 若さゆえ(お題ロリ)◆InwGZIAUcs氏
キ(ry と思いきや話の流れ、好きです。

No.07 てぶくろ(お題:ロリ)◆xaKEfJYwg.氏
設定イイネ。集団下校の年の差カップル。この時点で期待高まる。うまし。
設定イイガ……。病気って個人的には割とホットな項目なんだけど、こう、単に乗り越えるべき壁って
いうか克服してヤッタネってなるために出てくるのは、ちょっとヤダ。
話づくり的には仕方ない気もするが……むむ。
817 : ◆F00SERh74E [sage]:2012/07/30(月) 05:54:23.17 ID:2any6a+i0
No.08 海に還る(お題:500円玉) ◆IL7pX10mvg氏
壁殴り代行はよっ
そう、JRは五百円でわりと別世界に行けるんです。それを確認してる辺り、良かった。
人生の岐路。これからお互い知らない人と出会ってお互い知らない枝葉を伸ばしていくけど、またコンビを組もう。
ぐあー。まぶしいー。しにたいー。うぉなだい。

******************【投票用紙】******************
【関心】:No.07 てぶくろ(お題:ロリ)◆xaKEfJYwg.氏
     No.08 海に還る(お題:500円玉) ◆IL7pX10mvg氏
     No.03 失踪(お題:500円玉)◆XccWYZaGPo氏
**********************************************
おまけ:票入れた理由とか入れなかった理由とか
No.01
グニャグニャだから(一読者として)。グニャグニャじゃなかったら投票したかも(大嘘)。

No.02
掌編内の人の生き死には、おっしゃる通り五百円より軽い。

No.03
話の出来とかはいまいちだけど、いろいろピンポイントで刺さって面白かったから。

No.04
文字媒体で日常系やるのは死路……っ! とまでは言わないけどなんか欲しい。
なんかとは……?

No.05
なんか盛り上がりに欠けるというか。
818 : ◆F00SERh74E [sage]:2012/07/30(月) 05:55:39.07 ID:2any6a+i0
No.06
話の流れ以外はあんまり……。

No.07
追加で言うことはあんまりない。設定うまし。病気の扱いヤダ。間をとって関心。

No.08
花火するところとか正直好きじゃないけど、書くことが徹底していたから。
徹底して俺を殺しにかかっていたので間をとって関心。

今出てる全館に対して自作のこと(このコーナーはとばしておk)
◆pxtUOeh2o氏
翌の字とは。謎。
この話は断言できますがやっぱり絶対に続きません。続きは読者の心の中に☆、なんて言うつもりもないです。
なんかわくわく感を感じて頂ければ、それで。
◆InwGZIAUcs氏
世にも奇妙な物語じゃありません! なんてこと言うんですか!
「世にも」は「地味に」にかかっています。
あと世にも奇妙な物語の名誉のために言っておきますが、あれは怖い話集じゃありません。
あと自作に対してじゃないけど、メッセージって必要ですか?
◆xaKEfJYwg.氏
続きはありません!(半泣き)

終わりに
二年ぶりに品評会出しました。
やっぱ品評会は楽しい!
二年前にもおんなじこと言った気がする。楽しいよマジで。
それでは!
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/30(月) 05:58:04.17 ID:b/0IA63qo
全感乙です
820 : ◆F00SERh74E [sage]:2012/07/30(月) 05:58:17.77 ID:2any6a+i0
あと翌の字はパー速の仕様だということが判明しました。
みなさんちゃんとsagaしましょう。
821 : ◆HmfYvBHWkM [sage saga]:2012/07/30(月) 21:03:42.41 ID:QMAHsNKe0
全感投下。

NO.1 世にも地味に奇妙な話(お題:500円玉)◆F00SERh74E氏
世にも奇妙な物語的な話。
まとまってて悪くないけど、パンチ力に欠ける印象。

NO.2 ピエロの体重(お題:500円玉)◆xoqQYwssWY氏
舞台設定がグッド。クズ人間に哀れな末路を歩ませる為の流れが良かった。こういう皮肉った感じの話は好き。
ギャンブルに狂う人間の思考回路って、自分は絶対に負けない、負けても絶対に取り返せるっていう考え方なんだよね。
特にパチンコは人間の射幸心を煽るのが上手いなあって思う。
そんな人間の愚かな部分を短いレスで表現した作品だった。
ただ、このギャンブル依存症の男を主人公にして、一人称で心情及び思考回路を語らせてみても面白かったかも。

NO.3 失踪(お題:500円玉)◆XccWYZaGPo氏
無限回廊を彷徨う内に発狂していく的な。
話の内容はよく分からなかったけど。

NO.4 裏切りのガーデン(お題:ロリ)◆pxtUOeh2o氏
作者、今放送してるアニメで貧乏神が!って見てる?違ってたらごめん。
変態思考の主人公と暴力的ヒロインという漫画的な味付けをしたキャラに、ほんわか暖かないい話をブレンド。
王道展開の安定感にギャグでスパイスを利かせてる。
ただ…主人公は暴力を振るわれても仕方ない思考回路の持ち主なんだけど、あまりにヒロインの暴力描写が多すぎた。
その部分でげんなり。まあこれは人の好みだよね。

NO.5 彼女たちの絆(お題:ロリ)◆HmfYvBHWkM氏
自作。
世界観の説明をしようとは考えたんだ。けどダラダラ長くなりそうだったので最低限にした。
これだったらいっそ全く説明しない方が良かったかな。能力バトルとキャッキャウフフに傾斜して突き抜けるべきだったか。
822 : ◆HmfYvBHWkM [sage saga]:2012/07/30(月) 21:05:04.57 ID:QMAHsNKe0
NO.6 若さゆえ(お題ロリ)◆InwGZIAUcs氏
退化の薬が出てきた瞬間、マホさんにぶっかけるんだろうなと思ったら本当にぶっかけた。まあ突っ込み所はそこじゃないか。
良い意味でラノベ的なお話だった。主人公も魔法使えんのかよ!とか何でマホさんはこの主人公に惚れてるの?とか突っ込み
はあるけど、作者が書きたかったのはそこじゃないだろうし。
良いいちゃいちゃだったと思いますです。はい。

NO.7 てぶくろ(お題:ロリ)◆xaKEfJYwg.氏
>「ここに居て、菌と戦ってるいろはちゃんを励ましてあげて」
菌と戦ってるって!
主人公といろはちゃんを対比させた台詞なんだろうけど、ちょっと露骨で不自然に感じる。
もう少しスマートにできなかったのだろうか。
>そういってやっと、あの私が直にいろはと手を握ってることに気づいた。
酒に酔った勢いで告白して成功、流れでセックスに発展といった類の軽さ。

いろはちゃんの手を握るまでに、
素手で触れようとしている自分に気付く

湧き上がる嫌悪感に葛藤しながらも勇気を出して素手で手を握る事に成功

いろはちゃんの手の暖かさ、素肌同士の素晴らしさを主人公が感じる

こういった流れでじっくり描写を挟めば良かったと思うんだ。
けど作者の人柄が伝わって来るようないい話だと思ったよ!
823 : ◆HmfYvBHWkM [sage saga]:2012/07/30(月) 21:06:38.25 ID:QMAHsNKe0
NO.8 海に還る(お題:500円玉) ◆IL7pX10mvg氏
導入から既にげんなりしてしまった。熱く語りすぎです。
>そもそも、今回のテーマである「旅費は五百円」〜
この下りを最初に持ってきた方が読者に主人公達の目的が冒頭に提示されて分かりやすいと思う。
>「靴脱いで、母なる海と足だけ融合しよう」
>「生命の歴史を吸収して少し大人になる」
ちょっと仰々しすぎるなー。
最後のいちゃいちゃっぷりは良かったと思います、ええ。

******************【投票用紙】******************
【投票】:なし
【関心】:NO.6 若さゆえ(お題ロリ)◆InwGZIAUcs氏
     NO.2 ピエロの体重(お題:500円玉)◆xoqQYwssWY氏
**********************************************
こんばんは。久し振りに品評会が開催されると聞いて、不肖ながら馳せ参じて参りました。
皆様、クソ暑い中お元気でしょうか。
それはそうと今宵の品評会。月並みな言葉ですが非常に楽しかったでございますです。
やはり運営の皆様、他執筆陣の皆様があってこその品評会である事を実感致しました。
次回の作品発表の機会までに、私も筆を研鑽しようとする所存であります。
それでは、ごきげんよう。
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/30(月) 22:35:19.94 ID:KENxgic/o
ぜんかんおつ
8作も集まったなんて地味にスゴイじゃないですか
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/30(月) 22:49:48.38 ID:3hPuiWZAO
全感お疲れさまー
826 :脱走 ◆D8MoDpzBRE [sage saga]:2012/07/31(火) 00:51:10.21 ID:U4+w33in0
割と全館も出て来てしまっているところに敢えて空気を読まず時間外を放ります。
お題:ロリ
タイトル:『脱走』
レス数:6
827 :脱走 1/6 ◆D8MoDpzBRE [sage saga]:2012/07/31(火) 00:52:28.00 ID:U4+w33in0
 私はつい先日まで、家出少女を家にかくまっていました。
 少女の名前はニナ、と言いました。フルネームをどのように表記するのか、私には分かりません。偽名でないという保証
すらありませんでした。身分を識別できるようなもの、それこそ保険証やら学生証といった類のものを、彼女が何一つ持ち
合わせていなかったからです。
「足が付いたら、困る」
 とニナは言いました。
 まるで犯罪者めいた言い分でしたが、ニナにはそうする立派な(と言えるかどうかは分かりませんが)理由がありました。
単に、家出の事実を咎められて自宅に連れ戻されることを恐れていたのではなく、彼女は自分自身の年齢を隠していたのです。
 何故ニナが家出をしようと思ったのか、私には分かりません。そもそも、彼女が「家出」中であったことを知ったのも、
随分と経ってからでした。ゆえに、私はついにその動機を聞きそびれたのでした。
 ニナが今どこで何をしているのか、私は知りません。

 私がニナと出会ったのは、寒空から雪がぱらついていた、二月のとある日のことでした。
 その日私は勤務を終えて、午後十一時を回った頃に、京王井の頭線・高井戸駅にたどり着きました。平日の深夜であった
ことに加え、寒さのせいもあり、人影はほとんどなかったように思います。
 まだ夕食をとっていなかったので、私は駅からほど近い場所にあるファーストフード店に足を踏み入れました。店内の暖房
をありがたく感じましたが、あまり長居をすれば却って店を出づらくなると思い、テイクアウトすることにしました。
 その時、私は一人の少女と目が合いました。
 後から考えれば、彼女こそニナに間違いありませんでした。とにかく、人もまばらなこの時間に、女の子が小さなテーブル
席にコートを着たまま座っていたのです。
 こんな夜遅くに何事かと、思わなかったわけでもありません。
 ニナが、派手目なギャル系ファッションとでも呼ぶべき服装をしていたのならば、そんな心配はしなかったでしょう。寒い
中ご苦労なことだ、という平凡な感想で終わったか、そもそも視界に入らなかったかと思います。
 しかしながら、黒髪のボブカットとチャコールのコートという至って地味な取り合わせには、私の視線の網にかかるだけの
何かがありました。物珍しさと、違和感。
 とはいえ、それはその場限りの違和感に過ぎませんでした。少なくとも、家路を急ごうとする私の意志を曲げてまで関わる
べき問題とは思わなかったのです。
 ゆえにニナの第一印象は、店を出たときには既に意識の埒外へと追いやられていました。
 それにしても、思い出すにつけて何とも寒い日でした。電柱にくくりつけられた街灯が、舞い落ちる雪を寂しく照らしてい
ました。私はいつものように裏路地然とした路地を辿り、五分ほど歩いたところで居住するアパートに到りました。
828 :脱走 2/6 ◆D8MoDpzBRE [sage saga]:2012/07/31(火) 00:53:38.10 ID:U4+w33in0
 つけられていたとは思いませんでした。
 六畳一間のワンルーム、ユニットバス付き。大卒三年目の会社員が日々寝泊まりするのには、いささかわびしい部屋かも知
れません。しかしながら、特定の女性と交際をしているわけでもなく、必要最低限の生活さえ出来ていれば特に不満を感じず
に過ごせる私にとっては、必要十分な環境でした。
 チャイムが、鳴りました。
 まるで私の帰宅を待っていたかのようなタイミングでした。着替えようとシャツを脱ぎかけていたのですが、敢えて直すのも
億劫に思い、そのままの格好でドアを開きました。
 少女が立っていました。
 私は、訝るように少女を凝視しました。近くで見ると、黒髪のボブという髪型はますます幼い印象を彼女に与えていました。
肌は白く透き通っているようで、ちょうど顔がライトの影に重なっていたせいで、随分と顔色が悪く見えました。
「泊まるところがないんです」
 と少女は言いました。
 要は、泊めろということでしょう。
 どのような経緯で彼女を泊めることになったのか、良く覚えていません。帰れ、と素直かつ冷淡に突き返せば、その時の彼
女の勢いでは抗えなかったでしょう。
 しかしながら、何はともあれ私は彼女に寝る場所を貸し与えました。狭い部屋に万年床が一つあるだけという質素な間取り
でしたが、「同衾」と呼ばれる状態を辛うじて避けられるポジションに収まることが出来ました。
 少女は、ニナ、と名乗りました。しかしそれ以外の出自に関しては、堅く口を閉ざしたままでした。
 一晩、宿を貸すだけ。
 当然そのつもりだったのですが、翌日以降もニナが出て行く様子はありませんでした。幸か不幸か、家の中には何も盗まれ
るようなものがなかったので、彼女に出て行けと強要できないうちに、何となく日が流れていきました。
 正直に告白すると、ニナに出て行って欲しくなかったというもの事実です。
 その後、ニナが語ったところによると、彼女としては一緒にいて不快にならない程度の相手に宿を貸してさえもらえたらよ
かった、とのことです。一人暮らしの男性ならガードも緩そう、とも。
 襲われる心配はしなかったのか、と問いかけたときも、しれっとしたものでした。
「その時は、その時――でも、あなたにそんな度胸はないと思う」
 私は、苦笑いを返すしかありませんでした。
 ニナは、私のことを見くびっていたわけではないようです。むしろ、そんな度胸のない私をなじるかのように、夜をまたぐ
毎に距離を狭めてくるのでした。同じ布団に入ってくる、体を接触させてくるなど、はじめはたわいのない行為でした。
 道を踏み外した、という表現が適切かどうか分かりません。確かに、ニナは幼いという印象を否が応でも抱かせる顔立ちを
829 :脱走 3/6 ◆D8MoDpzBRE [sage saga]:2012/07/31(火) 00:55:05.77 ID:U4+w33in0
していました。身長も百五十センチ前後と、小柄な部類と言えたでしょう。
 しかしながら、私に近寄ってくるときの仕草には、照れや恥じらいといった要素、言うなれば迷いがありませんでした。そ
れによって私が感じたのは、「男の扱いに慣れている」という雰囲気に他なりませんでした。
 一方で私自身の女性経験に関して言及するならば、皆無ではないものの、とても慣れたものとは言えないレベルでした。相
手の領域に一歩踏み込む毎に、何かしら緊張を伴いましたし、ニナと関わっているときの私の言動は、とにかくぎこちないと
しか言いようがありませんでした。
 異性経験で私の上を行っているであろうニナが、まさか私よりも十歳以上も年下だったとは、思いもよらないことだったの
です。
 唇を重ね合わせたときでさえ、ニナが私を拒絶することはありませんでした。女性がキスを誘うときの表情を、彼女は完璧
に心得ていました。生まれついての本能でこの表情を作っているのだとしたら、驚嘆する以外ありません。それに接吻を深く
するにつれて体の緊張を緩める所作も、あまりに自然にこなしてみせたのです。
 一線を越えて私がニナの服に手をかけたとき、薄暗がりの中で彼女はニッと笑いました。それを見て私は怖気立つ感覚に襲
われました。背中の芯が冷え、首筋を嫌な汗が伝いました。
 宿を失い途方に暮れていた少女は、もう何処にもいませんでした。
 私は半ば突き動かされるように、ニナの服を剥いていきました。焦りが生み出した混乱が私の手元を狂わせ、ボタンを引き
ちぎったり服の生地を伸ばしたり、とにかく散々でした。自ら脱衣を手伝うでもなく、彼女は淡々となすがままにされていま
した。
 ニナの下着は、純白のレース地だったように記憶しています。清潔感はありますが、いわば何の変哲もない下着です。赤や
黒の毒々しい色をした下着が出てくるのでは、と警戒していた私にとって、これはやや意外なことでした。ただ、その落ち着
いた色合いの下着を目にすることで、私はようやく落ち着きを取り戻すことが出来ました。
 純白の下着を取り外すのには、少々の罪悪感を伴いました。ニナは、何も喋りませんでした。居心地の悪い沈黙を前に、結
局私は手を動かさざるを得ませんでした。
 下着を取り払うと、当然ニナにとっての秘部が露わとなります。
 暗闇の中でもはっきりと分かる、色素の薄い乳輪や、量の少ない恥毛。元々華奢な体つきだとは思っていましたが、裸の姿
を見るにつけ、いよいよ肉付きの薄さは明らかでした。今まで見知ってきた女性とは、根本的に異なる体のつくりをしている
のだと思い知らされました。

 奇妙な同棲生活の中で、私とニナとの間の関係は微妙に変化していきます。
 社会人としての生活を送っている私と、かたや一切の素性が不明のニナとでは、当然生活周期そのものが同調しません。ニ
ナは日がな一日六畳一間のボロアパートの中で暮らし、家事をするわけでもなく私の帰りを待っているのでした。
830 :脱走 4/6 ◆D8MoDpzBRE [sage saga]:2012/07/31(火) 00:57:21.78 ID:U4+w33in0
「郵便物の配達人やらセールスが来ても、応対するな」
 ある日、私はニナにそう申しつけました。私に断ることなく、彼女は郵便物を受け取っていたのです。私は特に近所づきあ
いというものをしていませんでしたが、年端もいかない少女と住んでいるなどと言うことが知れ渡ったら、流石に立場という
ものがありません。犯罪行為さえも疑われるでしょう(事実、自分自身ではなるべく考えないようにしていましたが、立派に
法律に抵触しているのでした)。
 しかし、一度ニナの行動を疑い始めると、あとは崖から滑り落ちるように、何もかもが怪しく思えてきます。疑念が新たなる
疑念を呼んだのです。
 ついに、私はニナに外出そのものを禁じました。買い物に出かけたい、と言い出したのです。
「食料なら十分買い与えている。どうせ料理の一つもしないのだろう」
 そう私が言うと、ニナは口をとがらせて反抗しました。
「洋服だって欲しいし、この家には私が楽しめるような雑誌の一つも置いてない。もともと冬服しか持って来てないから、
春になったら困る」
「だったら外に出なければいい。家の中でなら俺の服を着てたって誰も文句を言わないさ。何なら一日中下着で過ごしたって
いいんだ。暇つぶしをしたいならテレビでも見てろ」
 そのように言ってどやしつけても、ニナはなお不服そうな顔をするのでした。
 ニナは何をされても、ここから出て行くことはないだろう。
 私がそのような油断をするようになったのも、実際にニナがどのような扱いを受けても私の指示に淡々と従っているからで
した。仕事上のストレスを溜め込んだまま彼女と接していると、ついつい声を荒げたり手を挙げたりすることもあったのです
が、彼女は態度でこそ不服そうな素振りを示すことはあっても、決まって最後には折れるのでした。
 自分一人では何も出来ないという事実を、誰よりも痛切に自覚していたのでしょう。
 私とて、いつもニナに対して辛く当たっているばかりではありませんでした。外出を控えさせていた分、ニナが欲しいとリ
クエストするものに関しては極力買い与えていましたし、暇を持て余しているだろうと思って小さなお下がりのパソコンを
一台ゆずったりもしました。流石に女物の下着や洋服を一人で買いに行くだけの度胸はありませんでしたが。
 ニナとのセックスは、いよいよ手放しがたいものになっていました。
 打てば響く鉄製の玩具を弄ぶように、私はニナの様々な反応を楽しみました。ただし、彼女が望まないことを強要したこと
はありません。新たな性体験に関することであれば、彼女の方がむしろ貪欲だったと言えるでしょう。彼女の提案に私の方が
眉をひそめるなどと言うことも幾度かありました。
 ニナは子供だったのです。
 まだ与えられるには早すぎるオモチャを手にしたニナは、奔放な発想を最悪な手段へと変えていきました。
 私に気づかれぬよう部屋の窓を開けたまま、鋭い悲鳴のような喘ぎ声をあげ続けられた時には、まさに心胆を寒からしめら
831 :脱走 5/6 ◆D8MoDpzBRE [sage saga]:2012/07/31(火) 00:58:12.58 ID:U4+w33in0
れる体験をしました。ことが果ててから気づいたのです。
 すべてのコンドームに穴が空けられていたこともありました。子供を欲したのではなく、単に悪戯心がその動機のすべてで
した。
 流石に何度も肝を冷やすと、次第に警戒心も育ってきます。窓を開け放つという手段もそうそう何回も使えるわけではあり
ませんし、避妊具もこちらで持ち歩けばいいだけの話です。
 好奇心は猫をも殺すと言いますが、ニナは進んで自らを死地に向かわせているようですらありました。いつしか私はそんな
ニナを愛おしく思うようになっていましたし、必要に応じて彼女の手綱をたぐり寄せることこそが自分の役目だと思うように
なっていたのです。
 足が付くと困るから。そう言って、ニナは身分を明かすようなものを置き去りにして、私の元に身を寄せるようになったはず
でした。大人しくしていさえすれば、そうたやすく足取りが割れることもなかったでしょう。にも関わらず、実際に彼女は刺激
的な性体験にかこつけて、様々な無茶を繰り返すのでした。
 今にして思えば手持ち品から身元が割れるなど、そんなあっけなくも興ざめな幕切れは願い下げだった、ただそれだけのこと
だったのでしょう。年齢を敢えて隠していたのも、子供だと思われて相手にされないことを恐れたのかも知れません。もしくは、
単に面白半分に伏せていただけという線も有り得るでしょう。ともかく、足が付くことさえをも担保にして味わうスリルに、
ニナはただ酔いしれていたのです。
 果たして、私の直感は正しいものだったと思い知ることになります。
 ただし、最後まで私はニナの発想の上を行くことは出来ませんでした。

 職場で、私宛てに問い合わせが来ているとの報せを聞いたのは、ニナと出会ってからおよそ半年後のことでした。受付に二人
組の男性が来ている、と。
 何とはなしに受付に赴いた私を待っていたのは、いかにも尊大な態度の中年二人組でした。
「君の自宅から中学二年生の女子生徒が保護された。あとは、分かるな」
 大柄な方の男が、周囲に聞こえるような声で言い放ちました。
 終わりだ、と直感しました。むしろ、最後までとっておいたデザートにようやく辿り着けた、とでも形容すべき達成感すら
感じていました。
 私は、今日の今日まで中学二年生の女子を自宅に飼っていたのです。ニナの口からは、敢えて年齢を聞き出しませんでした。
いつか、露見するだろうから。それを知ることが一つの達成だと考えていた私にとって、待ちに待った日がやってきた、ただ
それだけのことです。
 なぜ中学二年生の女の子が、たった一人で宿を求めて高井戸駅周辺をうろついていたのか。なぜ私との生活が、私との関係が
警察関係者の捜査網にかかるに到ったのか。
832 :脱走 6/6 ◆D8MoDpzBRE [sage saga]:2012/07/31(火) 00:59:01.65 ID:U4+w33in0
 聞き出したいことは山ほどありましたが、それをこの二人組に問いただすのは端から無理そうでした。きっと弁護人の口から
教わることになるのでしょう。
 私は、二人組に言われるがまま車に乗せられ、職場をあとにしました。早退をするのはこれが初めてでしたが、きっとこの
先にもないことだと思われます。会社もこれが見納めでしょうし、下手をすれば娑婆ともしばしのお別れです。
 気がつけばかなりの数の野次馬とテレビ局の職員と思しき一団が、車の周りを取り囲っていました。私が引き起こした事件
が、それなりのインパクトを持っていたと言うことでしょうか。
 同意の上での同棲生活だったと主張しても、何ら意味を持たないことは明らかでした。あまつさえ、ニナ側は拉致監禁され
ていたのだと言い張っていると聞くに及び、もはやそれは私にとってどうでもよいことに成り下がりました。
 ニナと対話する機会は失われたのだ。
 それだけが私に残された事実でした。
 車は、外苑通りを進んでいきます。夏の日差しと先行車の排気が、アスファルトの所どころに陽炎を作っています。セミの
鳴き声が、窓の外でいつまでも響いていました。


 中学校二年生の女子が半年にわたって拉致監禁される、というセンセーショナルな事件が明るみとなった。事件解明の手が
かりとなったのは、容疑者自らが投稿したと思われる動画だった。
『女子中生と性交してみた』
 挑戦的なタイトルが示すとおり、固定カメラからひたすら男女の性行為を撮り続けたものだ。
 視聴者からの通報を受け、動画は即座に削除されることになった。むろん、実際に女子中学生と性的関係を持つことや、
このような猥褻な内容をアップロードすることはまさに違法行為であり、ゆえにこの事実は自然と捜査の対象となったわけ
である。
 そのことが、とある別事件の捜査に進展をもたらすこととなった。映っている女子生徒の顔が失踪人として捜索願が出され
ている女生徒と酷似していると、署内で持ち上がったのだ。
 程なくして、容疑者の身柄は確保された。
 これから、たっぷりと時間をかけて、犯行に到った動機などが調べ上げられていくだろう。
 そして何より、保護された女子生徒の心身に渡るケアが、当面の最重要課題として挙げられることだろう。
833 :脱走 ◆D8MoDpzBRE [sage saga]:2012/07/31(火) 00:59:32.57 ID:U4+w33in0
おしまい
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/31(火) 01:21:39.27 ID:UibezEDTo
全感乙と時間外乙ですー
835 :全館 ◆D8MoDpzBRE [sage saga]:2012/07/31(火) 15:51:06.11 ID:Gg4tw8cp0
NO.1 世にも地味に奇妙な話(お題:500円玉)◆F00SERh74E氏
 発想のとっかかりが面白い。身の回りで旧貨幣が理由も無く浸透していく様を、話者の混乱と共にうまく描写でき
ていると思う。ストーリー的には単発のサスペンスといった趣で、不可思議な現象に対しての考察が一切行われない
というのも、ある意味潔いとも言える。オチも、サスペンスならではのオチと言ったところだろう。
 惜しむべきは、この現象に巻き込まれることによって起こる、より深刻な事態があった方が良かったのではないか、
という点だ。若しくは、何かしら主人公と直接関わりのある世界での、ちょっとした変化と同調させて描いても良い。
 どちらかというと、素材感むき出しで加工されていないアイディアの塊のような印象を受けた。

NO.2 ピエロの体重(お題:500円玉)◆xoqQYwssWY氏
 単発のシーン劇で、シーンの切り抜きを使うなら使うで、きちんとオチを付けるべきだったと思う。お題を無理矢理
使った感があると興ざめである、という誰かの寸評にもあった言葉だけれども、ここで登場するコインが五百円玉で
あったり、使用する拳銃がニューナンブだったりと、舞台の雰囲気とアイテムがそぐわない点も気になった。
 そもそも現行の主力であるところのニューナンブM60は5発装填だったはず、ってことで調べたところ、正式採用を
見送られたM57Bは自動拳銃なので、ロシアンルーレットには向かないことが分かる。まあ、こんな些末なことはどう
でもいいのだけれど、やはりそれぞれの舞台に適したアイテムってものは存在すると思う。どうしても五百円玉を使い
たければ、やくざものに半丁博打でもやらせておいた方がまだマッチしただろう。

NO.3 失踪(お題:500円玉)◆XccWYZaGPo氏
 これも単発のサスペンスというべき趣向なのだろうけれど、墓場での因縁などに触れられるでもなくただ単に神隠し
に遭うだけ。例えば戦争映画などで端っこの方で戦死する一兵卒を、そのシーンだけを抜き出して書いても面白くない
ことは明白で、神隠しにおいてもそれは同様だとまでは言わないが、少なくともスポットライトの当て方がよろしくない。
 先ほどの戦争映画の例えを再利用するならば、不幸にして死んだ一兵卒にも背景となる人物設定なりドラマがあるはず
であり、そう言ったものを絡めないで神隠しを書いても、モブの失踪でしかない。

NO.4 裏切りのガーデン(お題:ロリ)◆pxtUOeh2o氏
 ロリ、というか園児。ロリにコンが付かなかったのがせめてもの良心だろう(付いていたけど、園児が対象じゃない
のでセーフ)。幼児に翻弄される様や、子供の気まぐれなどの描写は読んでいて大変微笑ましい。緩い描写の連続なので、
これだ!という感じは受けにくかったが、こういうのが好きな人は多分好きなのだと思った。
836 :全館 ◆D8MoDpzBRE [sage saga]:2012/07/31(火) 15:51:52.80 ID:Gg4tw8cp0
NO.5 彼女たちの絆(お題:ロリ)◆HmfYvBHWkM氏
 中途半端に重さを持ち込もうとするなら、もう少し思わせぶりな表現を多用すればいいと思った。表向き仲良し三
姉妹、背景にはおもっくるしい展開がある、っていうプロットを貫くには、絶対的に分量が不足しているので、もはや
思わせぶりに誤魔化すしか選択肢は残されてない。
 書きたいものがありすぎて、雰囲気や方向性をまとめるのに失敗している典型だと思う。せめて喜劇タッチなシーン
とそうでないシーンは、たとえちぐはぐと言われても、くっきりはっきり書き分けないと、どっちつかずになってしまう。
この話の中では、喜劇の相とシリアスの相がめまぐるしく変わりすぎていて、最後の着地でバランスを失っている。

NO.6 若さゆえ(お題ロリ)◆InwGZIAUcs氏
 良い意味で脳味噌が軽い話。コメディに徹するならここまで脳天気でなければならないという、優れた示唆を与え
てくれる。この手のコメディの優れている点は、細かい突っ込みどころなんかは総じてスルーOKな点だ。時代考証、
キャラクター設定、物理現象、e.t.c.……すべて無視して構わないという手形が約束される。
 その分コメディが難しいのは、たとえ破綻していてもキャラは愛されないといけないし、ギャグは面白くないとい
けない点だ。そういう意味で、この作品の評価は読み手の好みに大いに依存してしまう。正直なところ僕が抱いた印象
は、キャラはテンプレートに貼り付けられた昆虫標本さながらのテンプレっぷりだったし、ストーリーは有り体に言え
ばドラえもんが女の子になっただけだった。
 それでも好きな人は好きだという、テンプレものの強み自体は持っていると思う。

NO.7 てぶくろ(お題:ロリ)◆xaKEfJYwg.氏
 いい話を書こうとして、実際にいい話なので、成功している。葛藤という装置は物語を書く上での、おそらくは最も
原始的かつ重要な要素なんだと思う。そこに分かり易く焦点を当てた構成が光った。
 覚悟や犠牲と引き替えに葛藤のツタを一本ずつ解いていくというやり方は王道だけれど、小盛りながらもストーリー
に山を用意した展開は丁寧でよいと思った。

NO.8 海に還る(お題:500円玉) ◆IL7pX10mvg氏
 カップルがいちゃいちゃするだけの話を、壁を殴りながら読んだ読者の立場に、若しくは壁の立場になって欲しい。
カップル同士によるカップル同士だけが相互に理解できる(若しくは理解したつもりになれる)会話がことさらに壁を
殴る手の勢いにブースターをかける。おかげで壁のライフはゼロだ。近所にも迷惑である。
837 :投票 ◆D8MoDpzBRE [sage saga]:2012/07/31(火) 15:52:43.34 ID:Gg4tw8cp0
******************【投票用紙】******************
【投票】:NO.1 世にも地味に奇妙な話(お題:500円玉)◆F00SERh74E氏
     読んでいて多少でも引き込まれるところがあった枠。
【関心】:NO.6 若さゆえ(お題ロリ)◆InwGZIAUcs氏
     ラブコメの王道、ド真ん中。
     NO.7 てぶくろ(お題:ロリ)◆xaKEfJYwg.氏
      普通に。
**********************************************
【総評】:ジジイばりの感想を言わせてもらうと、昔の方が面白かった。いや、割と真面目に。でも、書き続けていれば
きっと良いことがあると思う。今後に期待したい。
838 :全感 ◆IL7pX10mvg [sage]:2012/07/31(火) 19:52:29.65 ID:IR6OsneVo
NO.1 世にも地味に奇妙な話(お題:500円玉)◇F00SERh74E氏
おかしいおかしい言ってたら、何がおかしいのか分からなくなる。
むしろおかしいのは自分じゃないのか。疑心暗鬼。
…ということなんでしょうか?
話の筋がどこにあるのかいまいち掴みきれない感じでした。
謎は面白いんですけど、オチが弱いというか。
お前は狂って〜のあたりで「お、『俺』は奇妙に取り込まれてたか」
と思ったら普通に新五百円使ってるし。
ところどころ引っかかる表現があったのも残念です。

NO.2 ピエロの体重(お題:500円玉)◇xoqQYwssWY氏
重さ=価値って事ですね。たぶん。
たぶんって言うのは、最初のほうで
>八百万の借金をこの老人からしている、というだけの、普通の人間
と言ってしまっていて、この人間の価値を捨てきれていないように見えるからでしょうか。
皮肉は効いていると思います。死んだほうがいい人間なんてたくさんいますから。
それを真正面から表現できるのは小説ならではですね。

NO.3 失踪(お題:500円玉)◇XccWYZaGPo氏
ああ、そういうことか。話はかなり面白いので、小説の体を成して欲しいです。
焦燥感を煽る地の文、というのもやっぱりあるのでぜひやってみていただきたい。
ただ、五百円というのは金属、いきものよりも長い時間を生きるわけです。(生きる?)
それこそ、人間に使われて、姿形を変えられて、それでも静かにしているわけですから、
そこまで使って欲しいと強く願っているコインがいるかって言うとどうなんでしょうね。

NO.4 裏切りのガーデン(お題:ロリ)◇pxtUOeh2o氏
いいですね。おっぱいおっぱい。
こういう強い女の人って、不意に母性を覗かせてくるからあざといですよね。
面白く読めました。自分はこういう男女関係を描くのが苦手なので、見習いたいものです。
一つだけ。向かいではなく、迎えではないでしょうか?
839 :全感 ◆IL7pX10mvg [sage]:2012/07/31(火) 19:53:13.95 ID:IR6OsneVo
NO.5 彼女たちの絆(お題:ロリ)◇HmfYvBHWkM氏
由樹姉、愛香、真里菜、優香、全部で三人……?
なんていうか、ツッコミどころが先に立ってちゃんと読めなかったです。すいません。
今回の任務、って言うくらいの経験の子たちががごめんって泣き崩れたりとか、うーん……
それと、もう一レスくらい使ってまとめて欲しいです。
彼女たちがこれからどうなるかとか。

NO.6 若さゆえ(お題ロリ)◇InwGZIAUcs氏
惜しい。
話の流れは王道で、マホさんはかわいいんですが、それをしっかり書いて欲しかった。
未発達なんだから幼女ぱんつ一丁にしたっていいじゃないですか!(大真面目)
それを恥ずかしがるマホさんとかも見たかったです。

NO.7 てぶくろ(お題:ロリ)◇xaKEfJYwg.氏
表情って大事ですよね。
隠し切れない感情だとか、真剣さの度合いとか、いろんなものが出ますから。
お姉ちゃんが顔をしかめたのは必然だったわけですが、
いろはちゃんはそこからあまりに多くを読み取ってしまった。
仕方の無いこと、っていうのは小さい子には説明してあげ辛いところってあると思います。
そういうところを一つずつ整理しながら、人って仲良くなるもんです。
淡々と語っていますけど、面白かったです。

NO.8 海に還る(お題:五百円) ◇IL7pX10mvg
自作です。
投稿、まとめとちょっといろいろありましたが、まあ無事に済んでよかったかなぁと。
投稿を焦ってしまったので、行頭に句読点が来たりしています。
sagaっていうコマンドも知りませんでした。申し訳ない。
願わくば、品評会の行く末に幸あれ。
840 :全感と投票 ◆IL7pX10mvg [sage]:2012/07/31(火) 19:54:42.45 ID:IR6OsneVo
時間外NO.1 脱走(お題:ロリ)◇D8MoDpzBRE氏
悦楽を求めるのは人間の性なんですかね。
エロくていいと思います。性交渉をする仲ってのはシリアスなもんです。
ただ、ちょっと物足りない気がしました。自宅に捜査官が来るとか、してもよかったのかも。

******************【投票用紙】******************
【投票】:NO.4 裏切りのガーデン(お題:ロリ)◇pxtUOeh2o氏
【関心】:NO.6 若さゆえ(お題:ロリ)◇InwGZIAUcs氏
     NO.7 てぶくろ(お題:ロリ)◇xaKEfJYwg.氏
**********************************************

投票作は単に面白かったので。好みです
関心作は、どちらも後一歩でした。もうちょっと詰めると、もっとよろしいかと思います

いただいた感想には、自分の死角が浮き彫りになっていると思います。
冒頭が脆いとか、重いとか。いちゃつかせたつもりじゃなかったのに、とか……
とても為になっております。精進します。

それでは、このあたりで失礼させていただきます。
今回はありがとうございました。
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/31(火) 22:38:52.99 ID:u6ATeH0Xo
全感乙ですー
時間外作品読んだので感想をば

時間外NO.1脱走(お題:ロリ)◆D8MoDpzBRE氏
 時間外でなければ、関心票いれてたと思います
 青空文庫で夢野久作の作品を読んだ感覚。「だろうなぁ」で終わってしまったのが残念
 ニナの両親や行動に至るまでの目的があったなら、もう少し面白く読めたのかも
 お金が欲しくてやったのなら、両親によりけりだけど、目論見は失敗しているしなぁ
 ロリコンに鉄槌を下す意味での作品なのかも。読みやすく、展開を追いやすい文章が良かったです
 次作楽しみにしています
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/01(水) 00:02:17.04 ID:dgxtpvrRo
皆様お疲れ様です。

投 関
1 ‐ NO.1 世にも地味に奇妙な話(お題:500円玉)◆F00SERh74E氏
‐ 1 NO.2 ピエロの体重(お題:500円玉)◆xoqQYwssWY氏
‐ 1 NO.3 失踪(お題:500円玉)◆XccWYZaGPo氏
1 ‐ NO.4 裏切りのガーデン(お題:ロリ)◆pxtUOeh2o氏
‐ ‐ NO.5 彼女たちの絆(お題:ロリ)◆HmfYvBHWkM氏
1 4 NO.6 若さゆえ(お題ロリ)◆InwGZIAUcs氏
‐ 5 NO.7 てぶくろ(お題:ロリ)◆xaKEfJYwg.氏
1 1 NO.8 海に還る(お題:500円玉) ◆IL7pX10mvg氏
‐ ‐ 時間外NO.1 脱走(お題:ロリ)◆D8MoDpzBRE氏

優勝は『NO.6 若さゆえ(お題ロリ)』を書かれた◆InwGZIAUcs氏です。
おめでとういございます。
お題発表時期の発表、その他諸々お願いします。
皆様本当にお疲れ様でした。
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/01(水) 00:12:34.87 ID:KcLja6Aso
◆InwGZIAUcsさんおめでとう!
その他諸氏お疲れさん!
なんか、すべての流れが久しぶりで懐かしいな。
優勝者の酉を見るのも何年ぶりだろう。

次があるなら楽しみにしてる。
個人的には毎週はきついだろうけど、隔週くらいなら、と思う。
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/01(水) 00:15:07.37 ID:FYBXYEc8o
今までのルールと同じなら、時間外でも関心票はオッケーだよ
投票はなしだけど
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/01(水) 00:16:54.78 ID:9vdsAvvSo
おおう、いつのまにか0時をまわってた
運営の人おつー
◆InwGZIAUcsさん、おめー
またいつかの機会こそ勝つ
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/01(水) 00:25:54.31 ID:dgxtpvrRo
>>844
まじで? それなら関心表いれます。とっても文章読みやすかったし、胸にくるものあったので。

投 関
1 ‐ NO.1 世にも地味に奇妙な話(お題:500円玉)◆F00SERh74E氏
‐ 1 NO.2 ピエロの体重(お題:500円玉)◆xoqQYwssWY氏
‐ 1 NO.3 失踪(お題:500円玉)◆XccWYZaGPo氏
1 ‐ NO.4 裏切りのガーデン(お題:ロリ)◆pxtUOeh2o氏
‐ ‐ NO.5 彼女たちの絆(お題:ロリ)◆HmfYvBHWkM氏
1 4 NO.6 若さゆえ(お題ロリ)◆InwGZIAUcs氏
‐ 5 NO.7 てぶくろ(お題:ロリ)◆xaKEfJYwg.氏
1 1 NO.8 海に還る(お題:500円玉) ◆IL7pX10mvg氏
‐ 1 時間外NO.1 脱走(お題:ロリ)◆D8MoDpzBRE氏

拙い運営でごめんなさい。不平不満を抑えてくれてみんなありがとう。
実際、bnsk活性化というよりも、自分の進捗度合いを確認したくて開催しました
bnsk民が、これだけ文章が書けるのに機会がなくて発表できないこと事体、もったいないなと思ってたし

出来れば隔週だといいなーって思う。参加する人のモチベ次第だけど、今回参加したくても出来なかった人いるだろうし
そんな参加出来なかった人のモチベ下げたくないしなーって
出来ることならなんでも手伝おうと思う。それも含めて、優勝者にバトンを渡したいです。
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/01(水) 00:29:36.39 ID:RpEOPTWbo
◆InwGZIAUcs氏おめ!
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/01(水) 01:05:27.61 ID:fXXK/wXAo
◆InwGZIAUcsさん優勝おめでとー
ID:dgxtpvrRoさん運営お疲れさまー
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/01(水) 01:11:52.05 ID:cTlMpG3AO
仕切りお疲れさま
優勝者おめでとう、投稿者も全感もお疲れさまでした
850 : ◆InwGZIAUcs :2012/08/01(水) 01:19:42.63 ID:aw1Puqr60
遅くなり申し訳ありません。今帰りました。
運営の皆様、参加された皆様、お疲れ様です。
そしてありがとうございます。僅差で優勝できたのは、
ほとんど運だと思います。そもそも投票なしが多かったのは
D8MoDpzBRE氏の仰られるとおり、全体的に昔のレベルでは
なかったのだと思います。そこはとても悔しいところなので、
皆で切磋琢磨し上達していきたいと思います。
851 : ◆InwGZIAUcs :2012/08/01(水) 01:25:21.58 ID:aw1Puqr60
って総意みたいなこと書いてごめんなさいwwwwてんぱってますwwwwww
これは俺の願望です。参加者増えたらいいなあと思います。
そして、お題を発表させて頂きます。

『女神』

投稿期間は再来週の8月11日の土曜としたいと思います。
期間に関しては隔週が良いとの意見が多かったので、
そうさせて頂きました。よろしくお願い致します。
852 : ◆InwGZIAUcs :2012/08/01(水) 01:33:06.46 ID:aw1Puqr60
>>818
返信させて頂きます。
うーん、俺は大事かなと思ってるんだけど、どうだろう。でも、改めて考えてみて分かったのだけど、
そんなに必要ないのかもしれない。この作品で何がしたいかってコンセプト的なものが大切で、
その中の一つにメッセージを込めるっていう要素があるのかなあと思いました。そもそもSSなんで、
あれもこれもとはいかない分取捨選択が難しい。自分が書いて、読んだ後読者が「だから何?」
ってならない為にはメッセージ性があった方がいいと思っていたって事でした。
なんか自己完結ですがめっちゃ勉強になりましたwwwwwwwwありがとうございます。
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/01(水) 01:33:11.37 ID:dgxtpvrRo
>>851
優勝おめでとう!
それとお題ありがとう!

第303回週末品評会  『女神』

規制事項:

投稿期間:2012/8/11(土)00:00〜2012/8/12(日) 23:30
宣言締切:日曜23:30に投下宣言の締切。それ以降の宣言は時間外。
※折角の作品を時間外にしない為にも、早めの投稿をお願いします※

投票期間:2012/8/13(月)00:00〜2012/8/14(火)24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票するよう心がけましょう※

こんな感じになるのかなー
昔は長文嫌って規定レス数の表記が多かったんだけど
どうする?
854 : ◆InwGZIAUcs :2012/08/01(水) 01:34:56.40 ID:aw1Puqr60
あ、それ忘れてたwwwwwwww今は昔みたく30、40集まらないので、
制限は無しでもいいかなと思うけど、一応10レスにして頂ければと思います。
まあ10レスなんて滅多にみませんがwwwwww
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/01(水) 01:43:39.90 ID:dgxtpvrRo
第303回週末品評会  『女神』

規制事項:10レス以内
投稿期間:2012/8/11(土)00:00〜2012/8/12(日) 23:30
宣言締切:日曜23:30に投下宣言の締切。それ以降の宣言は時間外。
※折角の作品を時間外にしない為にも、早めの投稿をお願いします※

投票期間:2012/8/13(月)00:00〜2012/8/14(火)24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票するよう心がけましょう※

よっしゃ今回のリベンジも兼ねて頑張って書くぞ
なんだかんだ言って、昔から書いて結果を残している方が多かったのね
勉強になると同時に、次回の参加を是非是非お願いします
気がむいたらでいいからね。お盆時期でもあるし

メッセージ性で思い出したけど、それとは別に心が動く瞬間を書いてくれると
言うことなしなんだけどなーってbnsk作品を見て常々思う
掌握にそれ盛り込むと長文になっちゃって難しいんだけどなー
856 : ◆1ImvWBFMVg :2012/08/01(水) 07:38:50.53 ID:idTh5FcP0
優勝おめー

そしてウルトラ時間外を投下してみる
857 :少年よ五百円玉を抱け 1/10 ◆1ImvWBFMVg :2012/08/01(水) 07:41:58.11 ID:idTh5FcP0
 いろいろあり過ぎてなにから話せばいいか皆目見当もつかない。だが、下手に整理して
みたところで、果たしてそこに筋など通るのだろうか。そのような出来事でもなかったの
ではないだろうか。
まあいい。およそ数ページにおよぶ長々しい奇譚をここで語るに当たり、ありのままぶち
まけてみると言うのもまた一興かもしれない。とはいえ事の起こりぐらいははっきりさせ
ておくべきだろう。
あれはたしか。あやふやな記憶を頼りにこうして記憶をさかのぼるだけで、ずいぶん遠く
にきたような錯覚を覚える、そんな体験をする前の事。
そう。きっかけは五百円。あの何の変哲もないただの小銭からだった。


その少し汚れた硬貨が自分のポケットに入り、機会をうかがうように忍び込んでいたあ
る日の午後。
そんなこととは露知らず、能天気にあくびをしながらアルバイトに出かける自分の姿が玄
関前に現れたのが三時半。じつに気だるそうに駅に向かう姿勢、これは日本人的な勤勉さ
に対する一種のアンチテーゼなのだろうか。
街の到る処には学校帰りの小・中・高が群れをなし大移動を起こし、あちこちに井戸端
やらしゃべり場と呼ばれるノマドが群雄割拠している。
そんな人混みをひどく優雅にふらつき歩いている自分は、いきなり募金箱を抱えたボラ
ンティアの女の子と目が合って、文字通りカチンコチンに固まっている所だった。
見つめ合った状態のまま、十秒間は立ち尽くしていただろうか。一体なぜ? そんな疑問
が頭の中で縦横無尽に飛び交う。そんな中、少女の潤んだ瞳が物言いたげにただ見つめて
くる。
やがて自分の思考は一つの希望的観測を導き出す。これはもしや、もしかしたら例のあの、
アレではないのか。好みの異性として見られている時の特殊なシチュエーションではない
だろうか。そう、噂でしか聞いたことのない、一目惚れとか言う代物。
「あの……恵まれない者達に愛の手を」
 もちろん分かっていた。分かってはいたが、ただひたすら縋り尽きたかった。希望すら
抱けなくなってしまわぬようにというそんな必死の抵抗、それぐらいは許してほしい。
「あの……」
さて募金である。そのまま通りすぎるという選択肢もあるにはあった。だが自分には出
来なかった。何故ならそこには抗えない魅力があったのだ。
なんと少女の面影は、まさしく自分の理想に描いて日々を暮らし、夜は夜で身もだえてい
た、可憐な美少女そのもの理想像だった。そう、一目惚れしたのは自分の方だった。
「ぜひご協力させてください」
 有無を言わせず、右手をポケットのなかに入れた。どれくらい寄付しようか、今の勢い
858 :少年よ五百円玉を抱け 2/10 ◆1ImvWBFMVg :2012/08/01(水) 07:43:21.62 ID:idTh5FcP0
では財布まるごと行ってしまうかもしれない、などと勝手に一人盛り上がっていると、指
先があまりに現実を突きつけるような硬い感触に当たっていた。
 五百円玉。それしかない。残金はきっちり五百円。何度も手繰ってみるが五百円だった。
そう。あまりにもうっかり忘れていたが、銀行にもなくまさしく素寒貧なのだ。バイトの
給料が入るまで五百円で戦わなければいけない身である。飲食業のうま味で飯ならタダで
ありつけるとはいえ、なかなか切羽詰まった状況に置かれていた。
もちろん使うわけにはいかない。だが先ほどから少女の視線が、右手に持った五百円玉
に注がれていた。
「……TSUTAYAのサービス券でいいですか」
 視線だけがずっと、一点に注がれている。終始無言のままだ。
「……バ、バイト先までの電車代で」
 しかしなんという曇りのない瞳だろう。ただこちらの善意のみを信じて疑わず、微笑み
待っているそんな笑顔である。しかもここが重要なポイントであるが、可愛らしい。
こんな天使のような笑顔をされたら誰だって敵わないはずだ。普段からケチで有名だった
親戚の孝子おばさんだって、嫌々財布に手をかけ掛けざるを得ないではないだろうか。
 手が勝手に動いていた。握っていた五百円が募金箱の小さい穴へ落ちていくところが見
えた。遅刻は決定だろうか。
「素晴らしい。あなたはとても正しい行いを選択しました。神様もお喜びになっていますよ」
 よく聞く独特の言い回し、彼女は修道院に入っている子だろうか。寂しいことに、どこ
となく一般的ではないその響きに、恋愛感情などは一ミリも感じられなかった。
「神様ではなく、あなたに喜ばれたいなぁ……」
「え?」
「いえいえ、ほんとにもう……、あはは」
 笑い声にも力がなかった。ただ金がないと言うだけで、どうしてこんなにわびしい気分
になるのだろう。気分は真っ暗闇だった。
「わたしにですか? 喜んでいるに決まっているじゃないですか。多少時間はかかったけ
ど、こんなにいい人を見つけられたのですから」
 いちいち大仰な言い回しである。可笑しくなった。そしてそう言うと少女はまた天上の
授かり物のような笑顔を見せた。まるでほんとうに光が差しているかのようではないか。
気のせいか、輪っかや羽のような物まで見える。
いやはや世の中にはこんな少女がいるのだ。まだまだ捨てた物ではない。そんな風に溜飲
を下げようとしていた時だった。少女が聞き慣れない言語をつぶやいた。
「※※※※※※※※」
「え……?」
「※※※※※※※※※※※※※※※※」
859 :少年よ五百円玉を抱け 3/10 ◆1ImvWBFMVg :2012/08/01(水) 07:44:26.83 ID:idTh5FcP0
 空の光が急にいっそう力強く輝いた気がした。次の瞬間、自分はその場で気絶していた。


 気づくと自分は道の端に仰向けで寝転がっていた。こんな往来の真ん中でごろりと昼間
からである。常識では考えられないことだ。急にすこし恥ずかしくなり、大急ぎで起き上
がった。すると周りが少しだけこちらを見て、素早く視線を外してくる。
なんだろう、酔っぱらいにでも間違われでもしたのだろうか。慌てて埃を払い、何でもな
い態を装った。とはいえ自分の置かれている状況がつかめずすっかり泡食っていた。少女
もどこかに消えている。何がなんだか分からない。
パニックを起こしかけていた。だが段々とぼやけた意識が定まり、いつもの平静さをどう
にか取り戻せた。冷静になって推測するに、恐らくこういう事ではないだろうか。
募金に来たすてきなジェントルマンに、急な失神が起きた。慌てた少女は、取りも直さ
ず近くの店に助けを求め向かっていった。ジェントルマン、待っていて! 少女駆け出し、
舞台から退場。
一人残されるジェントルマン失神男。だが男は思ったよりもあっさり蘇ってしまっていた。
おお、愛しの君! なんというすれ違い!
ふむ……、ここはアレだろうか。次の場面で、心配している少女が肩を揺さぶり、そんな
少女を優しく抱きかかえる、シーンが繰り広げられる、これで間違いないだろうか。しか
しいい胸してたなあの子、あれはDカップ以上あるな楽しみだ。おっと早く寝転がらなけ
れば。 
さっそく先ほどの体勢に戻ろうとした、そのときだった。信じがたいことに、手にしてい
た五百円玉から頭に直接、某かの響いてくる声があったのだ。
『あの……もうお加減の方は大丈夫でしょうか』
 それは間違いなく少女の声だった。もちろん頭に直接きこえてくる声がだ。咄嗟のこと
でなぜか普通に受け答えしていた。
「あ、はい。すいません。いや失神なんて初めてですよ」
『ごめんなさい、さっきの失神は私のせいです。ちょっと上手く変換できなくて』
「へん……へんかん……?」
『はい、エネルギーが暴走しました。やはりこの観念的な姿が一番落ち着きます。あの姿
でいるとすぐ消耗してしまいますのでとても大変で』
 一体なにを言っているのだろうこの少女は。だがそのとき先ほど聞いた不思議な言語が
思い出された。うん? 頭に直接声。それで肝心の少女はどこにいるのだろう。
 汗が噴き出した。五百円玉を握る手を慌てて振り払おうとした。するとなぜか余計に強
く握りしめてしまった。自虐的な苦笑いが口の端を歪ませた。
『落ち着いてください。なんの危険性もありません。私はあくまで非現実的な存在ですか
ら。実体を持つあなたには何の効力も持てません。例えば絵本のなかのキャラクターみた
860 :少年よ五百円玉を抱け 4/10 ◆1ImvWBFMVg :2012/08/01(水) 07:45:23.36 ID:idTh5FcP0
いなものです』
「天使……?」
『ちなみにいまわたしを抱きかかえることは出来ません。もちろんこれは、まだあなたが
そうしたいと思っているならの話ですが』


 超越的存在である少女の口振りは、まるで世間話でもする友達のようだった。
『いや直接、現実的に干渉することだってもちろん出来なくはないのですよ。けどですね
ぇ、それなりの代償もありますので。しかもそのそれなりがですね、ちょっと大きすぎる
代償というか』
「大きすぎる? 一体どんな代償ですか」
『そこであなたです。慈愛に満ちたあなたのような人が必要です。わたしの代わりに恵ま
れない人々に愛の手をさしのべてくれませんか?』
 ありえない。誤魔化された怪しさもそうだが、それ以前にいろいろと本当におかしな点
ばかりだ。とにかく面倒くさそうになってきたので、ひとまずここは安全策として逃げる
ことに決めた。
「ちょっとバイトがあるので失礼します」
『あ、じつは言っていませんでしたが、そのバイト先でこれから事件が起こります。あな
たの勤めているキッチンで今日夕方にね』
「はい?」
『ちなみにあなたはその事件で死にます。そのほかも大勢の死人やけが人が出る予定です。
お話し聞いていかれます?』



 黙って聞いていると頭がおかしくなりそうで、なるべく足を動かし、その五百円玉から
流れてくる少女の話声に耳を傾けていた。
「なるほど。つまり今日事件が起きるのはどうしたって避けられない事態だと。……ちな
みに僕がバイトに行かずこのまま逃げたらどうなりますか?」
『どうもなりません。死ぬ数が一つ減るだけです』
 あまりにあっさりと言うその突き放した物言いに、冗談めいた響きは一切感じられなか
った。
「あの……どうすればいいんですか?」
『あなた次第です。そして事態を変えることができるのは、おそらくあなた一人だけでし
ょうね』
「事前に警察に連絡するというのは」
861 :少年よ五百円玉を抱け 5/10 ◆1ImvWBFMVg :2012/08/01(水) 07:46:10.07 ID:idTh5FcP0
『彼らが動くとは思えません。もしかしたら事件の方は防げるかもしれませんが、ただそ
れでは起こした犯人自体を救うことが不可能になってしまいます』
「えぇ? 犯人を助ける? 一体なぜ?」
 犯人の事まで救うとは。天使だから、当然といえば当然の考え方なのだろうか。たいそ
う立派な志であるが、なるべくなら面倒事は避けたいというのがこちらの本音だ。
『そうですね、なるべくなら避けましょう。ファイトファイト。ところで本当に恵まれな
い人というのはどういう人たちの事だと思いますか?』
「え?」
『さきほど募金のときもお伺いしましたが、恵まれない人に救いの手をさしのべてほしい
と言うお願いについてです。それでは本当に恵まれない人々というのは、どのような状況
に置かれている人たちのことでしょうか?』
「……貧しくても心は錦、とかそういう話ですか」
『違います』
 なるほど、どこか違うような気はしていたが言ってみた。やはり違ったようだ。
『希望をなくすこと。これが一番の不幸です。どれだけ貧しかろうと、いつかは贅沢して
やるという野望を捨てないこと。不幸に見舞われようと、そのような幾ばくかの望みさえ
あれば、人は案外生きていけるんです』
「それは……」
『本当に希望すらなくなった時、人の心は簡単に折れます。その歪みは色々な過ちを犯す
原因のような物を作り出します」
「つまり犯人の……」
『ジェントルマンさん、あなたは罪を犯した人々が、全員悪意に充ち満ちていたと思いま
すか?』


 ずるずるとバイト先についてしまった。駅前の商店街を少し入ったところにある、一軒
家より少し大きいぐらいの洋食屋だ。キッチンスズキ。オーナーは父親の知り合いである
初彦おじさんだ。シェフも兼ねている。店長は綾音おばさん。二人とも実によくしてくれ
ているとてもいい人だ。ほんとうにいい人たちなのだ。
「どうした克俊、ずいぶん元気ないじゃないか」
 調理場のすみに吊していた給仕服に着替えていると、初彦おじさんが忙しそうに顔だけ
出した。店内にはすでに客が入り始めていて、席がちらほらと埋まってきている。
「いや、そんなことはないです……元気です」
もう席に居るのだろうか。ため息が自然と出る。何度も何度も繰り返し出てくる。
「んん? 何があったかは知らんがね、お客の前ではもっとにこやかにな」
『うん、なかなかいい店みたいですね。夕方なのに賑わっているし、働いている人たちも
862 :少年よ五百円玉を抱け 6/10 ◆1ImvWBFMVg :2012/08/01(水) 07:47:02.41 ID:idTh5FcP0
生き生きしている』
 シャツの下、手首に貼り付けた五百円玉から、少女ののどかな声が響いた。今から大惨
事が起きるかもしれないというのに、ずいぶん悠長なものだ。
『すいません。でもわたしは見ているだけですから。頑張ってください、ジェントル克俊
さん』
 調理場のせまい入り口から中へ入ると、いつものようにレジに綾音おばさんの姿が見え
た。
「あらようやくお出ましね。さっそくだけど窓側のお客さまの注文お願いね」
プラスチックの注文バインダーをこんなに重く感じたのは生まれて初めてだ。そして今
日が最後かもしれない。
「どうしたの。ほらチャッチャと急ぐ。いっといで」
 押されるように向かった席にいたのは、見ていられないほど悲壮な表情をしたスーツ姿
のくたびれた中年男性だった。
『愛の手を。どうかあなたに出来るだけの慈しみを持って』


藤澤正也、五十二歳。職業公務員。家族は最近亡くなったばかりの妻・清美と、その妻
の間に生まれた娘・正美の二人がいる。娘は幼い頃から何万人に一人という難病にかかり、
とても長い闘病生活を送っていた。公務員である正也に蓄えなどあるわけもない。
夫婦で何とか毎月の入院費を稼ぐだけで精一杯の苦しい暮らしであった。しかもその入院
もただ症状の悪化を遅らせるだけで、根本的な解決につながる訳ではない。治すには海外
の専門の病院での大がかりな手術が必要だった。
なにより金が必要不可欠だった。そうこうしているうちに月日は流れ、去年の春のこと。
娘の主治医はついに正也に余命一年の宣告を告げた。恐れていた日が実際に来ようとして
いた。正也は今まで一度も休んだことのない仕事を放り出して、日夜金策に明け暮れた。
だが金はいっこうに集まらなかった。困り果てていたある日、妻が何かを決心したように
こう言い出した。
「あなた、私にいい案があるの。一日二日待っててね。必ず正美に手術を受けさせてあげるから」
 何度問いただしてみてもいっこうに訳を言わない妻に、正也は幾ばくかの不安を感じな
がらも、藁にすがりつく思いで頼むと答えていた。
 次の日、妻が死んだ。正也の携帯にそれを知らせる警察からの連絡が入った。どうやら
高速道路で車を運転中、ハンドル操作を誤り車体をスピンさせ、そのままガードレールに
直撃したらしい。即死だったそうだ。
バカなことを。正也は激しく後悔していた。保険金だ。妻は保険金狙いで、自らを事故死
に見せかけようとしたに違いない。なぜそんなことを。いくら正美のためだってお前が死
863 :少年よ五百円玉を抱け 7/10 ◆1ImvWBFMVg :2012/08/01(水) 07:47:47.70 ID:idTh5FcP0
んだら何にも意味がないと言うのに。正也はあの時の妻の不穏な様子を見ながら、止めら
れなかった自分を強く呪った。
 だが一ヶ月後、保険会社から届いた手紙の内容は、とてもじゃないが妻の悲痛な願いを
叶えてくれるような代物ではなかった。様々な言葉や保険のルール、法律などが事細かに
書かれている数枚の書類が入っていた。だが、結局言いたいことは最後の【保険は満額下
りません】というその一行でしかなかった。会社が合併したときに保険の制度を変更した
影響だという。
詐欺だ。こんな事が許されていいのだろうか。だが用意された書類の数々はそうは語って
いなかった。文句があるのなら法廷で会いましょう。じっくり読む気は起こらなかった。
そんな風にして妻の決死の想いが灰に消えようとしていた。正也は骨壺を抱きかかえな
がら、妻の遺した手紙を眺めて数日間を無為に過ごした。
それから正也は、猟銃を用意した。以前知り合いの怪しげなツテに、そういう危険な物を
取り扱っている人物がいたのだ。銀行強盗だ、やるしかない。ほかに手は見当たらなかっ
た。払い先は海外の病院だ、ちょうどいい。他のこともやってみれば何とかなるだろう。
なにより妻もいない今、正也には娘しか残されていないのだ。
さてイチかバチかとはいえ、実行には綿密な計画が必要だった。もちろん失敗は許されな
い。猟銃とマスク、銀行の正確な見取り図。そのほか逃走経路、高飛び用の旅客機の切符。
正也はすべてを車に詰め込み、入念なリハーサルを行った。そしていよいよ実行に移す前
の日のこと。これが現在、つまり今日だ。
 正美が死んだ。急死。あまりにあっけない幕切れ。主治医からお悔やみを申し上げられ
ながら、正也はどこまでも遠く放心していった。見ている景色のすべてに色がなくなって
薄れていくようだった。そこには希望などひとかけらも見当たらなかった。


 席についたその父親からは、およそ人が持つ生気という物をいっさい感じられなかった。
何かを食べようとして入ったというよりは、気づいたらそこに座っていたという風である。
オーダーをとっていい物か迷ってしまった。
『早くしてください。そろそろ猟銃の入ったバックを落として暴発させる時間です』
 わかっている。わかっているけど、実際どうすれば良いのか。第一、具体的な対処法を
まるで聞いていないではないか。
『それはあなたが考えることです。あなたに出来る最上の策を採ってください』
「あの……」
『下手に説得しようとするとこじれますよ。無意識にトリガーをいじっていますから』
 少女の言うとおり、父親はバックの上から猟銃を弄んでいる。とたんに緊張感で手に汗
が噴き出してくる。
「はい?……」
864 :少年よ五百円玉を抱け 8/10 ◆1ImvWBFMVg :2012/08/01(水) 07:48:24.63 ID:idTh5FcP0
「メニューはよろしいでしょうか。お決まりならお伺いします」
「え?……あぁオーダーだ。えっと、とりあえずコーヒー」
 目がうつろで視線が定まっていない。まるでさきほどまでベットで悪夢にうなされてい
た人のようだ。
「かしこまりました。コーヒーはホットとアイスどちらにしましょうか」
「どちらでも……あぁ、すいません。ちょっと色々こう……あぁ、もうなぁ」
 何かを思い出したように、頭を抱える父親。まずい。ショックで固まっていた感情が吹
き出しそうになっているのが端から見ていてわかるほどだ。
「なんでかなぁ……我慢したのになぁ……どうなってんのかなぁ。ええっと、コーヒー?」
おそらくこのままでは恐慌を引き起こしてしまうに違いない。その手に猟銃はひどくま
ずい。ただこの状態の父親に、娘のことを話題に揚げたりしたらどんなスイッチが入るか
分からない。
もう!一体どうすれば良いんだよ、干渉できないとかどうこう言ってないで助けてくれ! 
汗が止まらない!
『愛の手を。慈愛深き慈しみのこころをもって』
 声だけが帰ってくる。いやさ、俺だってこのおじさんに同情はするよ。どうか救われて
ほしいとも思う。でも今はそういう精神的なことじゃなくて。それぐらいわかるもんだろ。
「ホットだろうがアイスだろうがさ。どうせ正美はもう飲めないんだよね。なんでかなぁ
……我慢?」
『手をさしのべてください』
 手を。いやでも汗まみれであの。あ。……やべ。五百円落とした。
「ん? んん? なんだい給仕さんこれは。ん?」
 汗で自分の手からすべり落ちた五百円玉が、机の上に転がり落ちていた。一緒に先ほど
までの不穏な空気が一瞬途切れた気がした。
「……五百円玉?」
「す、すみませんお客様。手元が狂ってしまいまして。大変失礼いたしました」
 朗らかに笑う父親。初めて見るとても人なつっこそうな笑顔は、とても魅力的な顔だっ
た。こんな朗らかな人をあれだけ生気のない生き物に変えてしまう年月が、恐ろしくなった。
「大丈夫だいじょうぶ。あれ?くれるの、この五百円?」
「いえ、あの」
「でもたりないなぁ! これっぽっちじゃ全然足りない、わかる?」
 どうやらこの程度の刺激ではだめだったようだ。スイッチは以前入ったままだし、バッ
クを持つ手にますます力が入るのが見える。
死を覚悟した、そのときだった。
「……正美?」
865 :少年よ五百円玉を抱け 9/10 ◆1ImvWBFMVg :2012/08/01(水) 07:49:04.66 ID:idTh5FcP0
 さきほどまで狂気を募らせていた父親の顔つきが、急に憑き物が落ちたみたいに真顔に
なった。それから必死で、こちらには聞こえない音を聞き漏らさないように真剣に耳を側
立てている父親。
「正美。ごめん、手術間に合わなくて。ごめん。いや父さんホントな、だめだ……」
 涙する父親の手には、五百円玉が握られていた。なんということだろう。少女の名前は
正美だったらしい。どこかで聞いたような名前があった物だ。
結局救われたのは完全に自分の方だった。綾音おばさんがいつまでもオーダーを採らない
自分を不思議そうに見てきたが、しばらく当分の間は動けそうになかった。


 五百円を片手に、何度もお礼を言う父親を見送りに外へ出ると、夕焼け空が見えていた。
またこの景色を拝める事に感謝の念を覚えながら、一方で荒唐無稽な体験を早く忘れたい
気持ちでいっぱいだった。
とくにあの少女の存在だ。父親を救うためとはいえ、よくもまあ吹聴してくれた物だ。現
実に干渉ができないとか、何のことはないただの幽霊だったんじゃないか。……あれ、充
分すごいのか。まぁとにかくすっかり巻き込まれてしまった。お礼も言いたかったが仕方
ない。懐かしきかの日常に戻ろう。
「いえいえ。お礼なんかけっこうですよ。この場の不幸な事件はこうして未然に防げましたから」
「え……?」
声がする方に振り返ると、後ろには少女が立っていた。五百円玉に憑依する前の可憐な姿のバージョンだ。
「どうもどうも。お疲れ様です。しかし私を使って父親の正気をひきだすとは。意外な解決策でした」
「え?……あぁ、なるほど。お別れの挨拶ってやつだ。べつに良いのに。早く父親のとこ
ろに行ってあげてください」 
 これでも自分では精一杯の気を利かせたつもりだったが、少女にあっさり否定された。
「あ、ちがいます。正美さん本人ではありません。だいたい言ってなかったけど、わたし
少女の姿じゃありませんから」
 またおかしなことを言い出していた。どこをどう見たって少女だ。これを否定するとい
うのだろうか。
「というかね、皆さんわたしの中に自分の一番理想とする姿を見るみたいなんですよね。
でね、人間って入ってくる情報をかなりの割合視力に頼っているので。まぁそういった意
味では軽く望みを叶えることが出来るというか」
「はぁ?」
「いやはい。だからあなたには可憐な少女に見えるし、藤澤正也さんには娘の正美さんに
866 :少年よ五百円玉を抱け 10/10 ◆1ImvWBFMVg :2012/08/01(水) 07:50:07.58 ID:idTh5FcP0
見えたと。もちろんイケメンが好きな女の子にはジャニーズ風の男の子にみえるわけです。
わかりました?」
「そんなのありなの?」
「さぁ? まぁだから飢饉や重税で苦しんでいた中世の農民たちには、天使にみえたと。
あまり深入りは出来ないけど、あれも気休めぐらいにはなっていたのでしょうか。希望っ
て物はどれだけあっても困りませんから」
「あ、あんた一体何なんだ……天使でもないとしたら」
「うーん。人間の言葉では表す表現がありませんね。※※※※※※※※です」
「痛い痛い痛い! その音やめて!」
 少女に見えるそれは、意地の悪い笑みを浮かべうれしそうにこちらを見ている。とんで
もない存在に見初められてしまった。
「えっと? で、なに? さようならでいいの? じゃあさよなら!」
「まぁそう言わずに。人間でいう友達ってやつですか。それになってください。ね?」
 こんなバカな話があってたまるか。抵抗すら出来ないなんて。理想の少女的ななにか。友達になれるのだろうか。とりあえず五百円は早めに返してほしい、そう思った。


≪了≫
867 :少年よ五百円玉を抱け 11/10 ◆1ImvWBFMVg :2012/08/01(水) 07:52:16.60 ID:idTh5FcP0
投下終了ー

感想だけーだれかーたのむー
ぜんかんも書くからー
868 : ◆xoqQYwssWY [sage]:2012/08/01(水) 14:36:11.91 ID:M+qp9hwgo
品評会参加したにもかかわらず、仕事忙しくて投票できなかった。職場に泊まりこみなんて初めてやったよ、本当に申し訳ない。
執筆者の方々、運営の方、感想をくれた方々、本当にありがとう&お疲れ様でした。
そしてInwGZIAUcs氏、優勝おめでとうございます。次回の『女神』にも拙作ながら参加させていただくつもりです。(無理ならせめて全感だけでも……)


>>867

10レスの長さを感じない文章のテンポの良さを感じた。
目を先に先に動かしてくれるリズムってのは大事だよね。
ただ、主人公の視点がバタついていた気がする。そのせいで流れがよく把握できないところが少なからずあったのでそこで少し「うん?」ってなってしまったかな。
だから少女や父親のキャラクターがうまく伝わって来なくて残念だった。




869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/01(水) 17:53:15.60 ID:prhaTG7To
ウルトラ時間外乙です

少年よ五百円玉を抱け◆1ImvWBFMVg
 ラノベ原作アニメの第一話な感じ
 天使との掛け合いがもっとあると可愛さ倍増なのになー
 状況が上手く把握出来なかった。おとぼけのノリは楽しくていいんだけど、
 情景描写をしっかりと書いた上でやってくれると、もっと状況が把握出来て
 主人公の間の抜けた部分が効いたんじゃないかなーって思う
 あと、文の主語が少なくて、誰視点なのかも上手く理解できなかった
 テンポのいい文章なだけに、さらっと読んでしまって後で混乱しちゃった
 きっと、何か狙いがあってのことだと思うんですけどね
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/01(水) 21:02:35.91 ID:HAKJA4ddo
ウルトラ時間外だけ読んじゃいましたよ
少年よ五百円玉を抱け ◆1ImvWBFMVgさん
ごく普通の男の子が偶然出会った他者から半ば強制的に選ばれて困難(事件)を解決する骨子にも、本作品中の
難病の娘とか妻の死とかその人の望む姿で見える超越的存在というワードにも、話者の饒舌さにも、目新しさがなか
った。
親父が必要に迫られて銀行強盗を思いつき綿密な計画を立てる時点で、近い過去銀行強盗がほとんど成功していな
いこと、同じ狙うなら現金輸送車襲撃の方が成功率が高いことに気づかないとか、神秘的な存在の少女(仮)が相手
の望むような姿で見えるということを説明しても、主人公がなかなかその理屈が飲み込めないあたり、書き手の都合
のような気がする。実際そこを読んでる俺が少女の説明に「あー、あるある」って思えてるわけだし
そんなこんなでなんというか作者がちょっと手を抜いている気がした。料理上手がありあわせの物で晩ご飯作りましょ
う。むしろありあわせの物でも作れるんだぞみたいな。スラスラと書かれた感じが。せっかくならもうちょっと苦心した小
説読んでみたいですね
作中のクライマックスといえる洋食屋での対峙シーンで行動描写が不足しててもったいない気がした。もうちょっとあれ
したらもっともりあがったと思う。全編を通して会話が問答中心でキャラ萌えが足りなかった。彼氏彼女の私的な面が
見えるような会話があると俺得だった

感想書いてから思ったけど一旦物語の流れをブレイクしてナラティブの異なる親父物語がけっこう長めに入るのは意
外とカッコいい。じわじわ来る

871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/01(水) 21:07:56.73 ID:HAKJA4ddo
お題の500円のこと完全に失念してた。500円の使い方は素敵だったっす
872 : ◆D8MoDpzBRE [sage saga]:2012/08/01(水) 22:29:16.34 ID:HVItY8PY0
>>866
キーアイテムが五百円玉であるところの必然性であるとか、天使さんがかくも迂遠な手段を使って人助け
をしたことの意味であるとか、そういう無粋なツッコミは果てしなく出来ると思う。
でも、この作品のいいところは、解決部に仕組まれたトリック的な部分に尽きると思う。ひらめきの一手
というか、とにかくこれで丸く収めた。
導入にしても話の運び方にしても、まだまだ改善の余地はあると思うけれど、投稿時間に間に合っていれ
ば投票相当、投票時間に間に合っていれば関心相当だった。
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2012/08/01(水) 23:26:22.69 ID:HVItY8PYo
なーんかお題くださーい
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/08/01(水) 23:27:38.02 ID:ZMGRW2iGo
>>873
クズ
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2012/08/01(水) 23:28:42.14 ID:HVItY8PYo
>>874
一瞬喧嘩売られてるのかと思ったわwww 把握
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/01(水) 23:58:35.17 ID:UoihXbJ/o
なんだかお題がほしいですねっと
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/08/01(水) 23:59:48.11 ID:ZMGRW2iGo
>>876
ビッチ
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/02(木) 00:01:08.62 ID:HFEmbiEHo
>>877
なんかすごいのもらった気がする
ありがとうございます
879 : ◆1ImvWBFMVg [sage]:2012/08/02(木) 03:05:51.96 ID:7XtPK0Dq0
いまさら全感投下します
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) :2012/08/02(木) 03:07:28.35 ID:STBuyhG50
うっす。品評会復活おめでとうございます。
いまさらながら全感想を投下さててもらいます。酷評ぎみです。
本当は作品投下できるはずだったんだけれど、PCの不調で消えてしまった。無念。

NO.1 世にも地味に奇妙な話(お題:500円玉)◆F00SERh74E氏
設定はキュンとくるけどそれだけかなあ。話を作ってない感がする。いや、別にBNSKだしいいんだけどね。
というかワンアイデアを中心にするならもっといいアイデアを使うべきだ。一撃必殺のような。
これぐらいのアイデアだとある程度話を進めて欲しい。結局何も話がすすんでないし、オチもとりあえずつけただけ。
感想としては他の人と同じく「もっと続きを」かな。

NO.2 ピエロの体重(お題:500円玉)◆xoqQYwssWY氏
目が滑る。俺も人のことを言えないが、一文が長い。
これを作るとき、きっと何か一つのキュートなアイデアを思い付いたはずだ。
しかし、そのアイデアが文章のクドさで隠されていると思う。

NO.3 失踪(お題:500円玉)◆XccWYZaGPo氏
いいかもしれない。単純にオチが好きだ。長かったら読む気がなくなるタイプだが短いので無問題。
作者さんは書き慣れてない感じがあるけれど、書き慣れてもこんな風にシンプルでいて欲しいと思う。

NO.4 裏切りのガーデン(お題:ロリ)◆pxtUOeh2o氏
氏の作品は個人内でいつも上位三割に入ってくる。けれど、なにかそれ以上の評価をする気になれない。
全体としては小さくポイントを稼いでいる。少し面白いところが多くある。ただ、とびきり面白いところはなにもない。
もちろんこういったところでとびきり面白い、なんてことを求めるのは間違っているのかもしれない。
でも読者としては、やっぱり氏の大振りのホームラン狙いが見たいと思う。たとえそれが空振りであっても。

NO.5 彼女たちの絆(お題:ロリ)◆HmfYvBHWkM氏
独りよがり、というかどうでもいいところを強調しているような。たとえば最初の大食らいの描写とか。
書き慣れてはいるし、構造も作れるけど、強弱がなんかすごく間違ってる。

NO.6 若さゆえ(お題ロリ)◆InwGZIAUcs氏
普通に面白いんじゃないでしょうか。でも続きが読みたいと思う展開ではなかったかなあ。
ありがちなのは一瞬十分に面白い反面、次が予想できて続きを読む気がそこまでしないよね。

NO.7 てぶくろ(お題:ロリ)◆xaKEfJYwg.氏
唯一始まりが面白かったです。高望みとはいえ、もっと面白さを強くして欲しいなと思いました。

NO.8 海に還る(お題:500円玉) ◆IL7pX10mvg氏
うへえ、ごめんなさい。最後まで読めんかった。

時間外NO.1 脱走(お題:ロリ)◆D8MoDpzBRE氏
それなりに面白い、ぐらい。一レス目でおセックスするんだろうなあ、と思ったら当たった。なんかすごくそういう系の文章。
他の作品にくらべて続きを読みたくなるけど、一つ一つの事柄の面白さが弱い。オチは正直とって付けたように感じた。

ウルトラ時間外
二レスで面白くならなかったのでスルー。ごめんなさい。

総評
早めに面白いこといってくださいっていつもいってるじゃないですかー!
投票するならNo.7 関心票ならNo.6と3かなあ。
正直ぐだぐだ言わせてもらうと、中途半端に現実的なのってなんかつまんないです。典型的な文学の主人公のことだけど。
いつも思うけど本当小説が衰退した原因ってつまんないからだろなー、って思う。そのうち伝統芸能みたいになるんじゃないか。
もっとさー、アグレッシボウにさー、空想的な話しようぜー。昔だってただの人がでてくるのよりも、空想の生物とかばんばん出てきたじゃん。
なんでいまそれやると子供向け見たいな評価されんだろーかね。もっと空想的に、神話的に書こうぜ。現実的なのってマジでつまんねーよ。
面白いものほど重大な問題をもっているってそう思うよ。つまり、空想的な、神話的なものほど大人も楽しめるって。
881 : ◆1ImvWBFMVg [sage]:2012/08/02(木) 03:08:37.46 ID:7XtPK0Dq0
NO.1 世にも地味に奇妙な話(お題:500円玉)◆F00SERh74E氏
 あぁ、はい。これNO.3と同じミスですね。スレ順に読んだのでそちらを先に見ました。
つまり貨幣が逆行していく理由がまるで設定されてない。していたら物語がここで終わる
訳がないし、たぶん未曾有の大事件にまで発展する導入部っぽい。
 よく見る酉だし、時間がなかったのかな。とくに感想もないです。できたら続きを。

NO.2 ピエロの体重(お題:500円玉)◆xoqQYwssWY氏
うーん。はい……。映画のワンシーンみたいですね。でも、これだけ見せられても感想
の持ち様がないというか。オチがあればぜんぜん納得できるんですが。普通のストーリー
だとしたらせっかくギャンブルっていう美味しい状況があるわけですから、いくらでも膨
らませられると思います。もう少し練ってみてください。

NO.3 失踪(お題:500円玉)◆XccWYZaGPo氏
 ふむふむ。あぁ、はい。うーん……。なんかこう、いろいろ足りないですね。たぶん一
番足りないのは五百円玉になった理由かな。
たとえば五百円玉のことを考えていたとか、五百円玉に強い執着があるとか、自分の境遇
を五百円玉に重ね合わせていたとか、何でも良いと思いますけど納得できる理由を設定し
てみてください。
決めておくと、実際にその設定を書いてなくてもにじみ出たりする物なので。大まかな筋
は悪くなかったと思いますよ。次の作品、期待しております。

NO.4 裏切りのガーデン(お題:ロリ)◆pxtUOeh2o氏
ほう……。まさかここからムフフな展開が……。うわめんどくせっ。女の子ってそう言
うとこあるからアレだよな。
はいはい。あいかわらず読みやすい文章ですらすら読める。でもあれかな、意外な展開が
ないのかな。うん。はい、読み終わりました。『転』がないです。『寝てた』や『暗い幼稚
園で』だけでは少し弱いかと。キャラとか筆者の思想性とかは充分だったとおもいます。

NO.5 彼女たちの絆(お題:ロリ)◆HmfYvBHWkM氏
ふむ、文章だけでは分かりにくいな。絵だ!参考資料の同人誌をうpしる!あああああ
あああああああああああ!!!!!!!!ロリはかわいいいいいいいいいい111111
1!!!!!
うーんとね。ちょっと会話の印象がベタついているかな。もっとロリポップチェーンソー
というか可愛いは正義とか、そんな感じのぶっ飛んだキャラで良いと思うよ。ちょっと壊
れている位の方が心地良いというか。うーん?ふむ……。
 どう……だろう。起承転結からかな。話全体が散漫とした印象になっている。まず盛り
882 : ◆1ImvWBFMVg [sage]:2012/08/02(木) 03:09:48.27 ID:7XtPK0Dq0
NO.1 世にも地味に奇妙な話(お題:500円玉)◆F00SERh74E氏
 あぁ、はい。これNO.3と同じミスですね。スレ順に読んだのでそちらを先に見ました。
つまり貨幣が逆行していく理由がまるで設定されてない。していたら物語がここで終わる
訳がないし、たぶん未曾有の大事件にまで発展する導入部っぽい。
 よく見る酉だし、時間がなかったのかな。とくに感想もないです。できたら続きを。

NO.2 ピエロの体重(お題:500円玉)◆xoqQYwssWY氏
うーん。はい……。映画のワンシーンみたいですね。でも、これだけ見せられても感想
の持ち様がないというか。オチがあればぜんぜん納得できるんですが。普通のストーリー
だとしたらせっかくギャンブルっていう美味しい状況があるわけですから、いくらでも膨
らませられると思います。もう少し練ってみてください。

NO.3 失踪(お題:500円玉)◆XccWYZaGPo氏
 ふむふむ。あぁ、はい。うーん……。なんかこう、いろいろ足りないですね。たぶん一
番足りないのは五百円玉になった理由かな。
たとえば五百円玉のことを考えていたとか、五百円玉に強い執着があるとか、自分の境遇
を五百円玉に重ね合わせていたとか、何でも良いと思いますけど納得できる理由を設定し
てみてください。
決めておくと、実際にその設定を書いてなくてもにじみ出たりする物なので。大まかな筋
は悪くなかったと思いますよ。次の作品、期待しております。

NO.4 裏切りのガーデン(お題:ロリ)◆pxtUOeh2o氏
ほう……。まさかここからムフフな展開が……。うわめんどくせっ。女の子ってそう言
うとこあるからアレだよな。
はいはい。あいかわらず読みやすい文章ですらすら読める。でもあれかな、意外な展開が
ないのかな。うん。はい、読み終わりました。『転』がないです。『寝てた』や『暗い幼稚
園で』だけでは少し弱いかと。キャラとか筆者の思想性とかは充分だったとおもいます。

NO.5 彼女たちの絆(お題:ロリ)◆HmfYvBHWkM氏
ふむ、文章だけでは分かりにくいな。絵だ!参考資料の同人誌をうpしる!あああああ
あああああああああああ!!!!!!!!ロリはかわいいいいいいいいいい111111
1!!!!!
うーんとね。ちょっと会話の印象がベタついているかな。もっとロリポップチェーンソー
というか可愛いは正義とか、そんな感じのぶっ飛んだキャラで良いと思うよ。ちょっと壊
れている位の方が心地良いというか。うーん?ふむ……。
 どう……だろう。起承転結からかな。話全体が散漫とした印象になっている。まず盛り
883 : ◆1ImvWBFMVg [sage]:2012/08/02(木) 03:11:09.17 ID:7XtPK0Dq0
時間外作品NO.1脱走 1/6 ◆D8MoDpzBRE氏
 ん?口語体?供述調書?とにかく珍しい書き方だな。え、日本なの?ふーん。
おい。まさか、……うらやまけしからん的な話かこれ。いいなああああああああ!!!!
うん。物語に引き込まれました。三島由紀夫的なね。でも最後の段落いらなっかったよう
な。だって『〜してみた』って。急にニコニコ動画の緊張感のない画面がフラッシュバッ
クしたもの。


もう投票はできないけど入れるとしたら6と時間外1かな。でも時間外はニコニコ動画が。
あとは4が気になった作品。
皆様おつかれっす。次は時間内に出そう。じゃあまた。
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/08/02(木) 03:14:46.94 ID:9E/+2CTgo
あ、挟まっちゃった。すまんのう

>>880
我ながら最後の文章はいろいろと日本語として間違ってると思う
まあ、内容は棚上げで言ってだけなので気にしないでくだせぇ
885 : ◆1ImvWBFMVg [sage]:2012/08/02(木) 03:16:49.67 ID:7XtPK0Dq0
上がりがないのが難点。屋敷に行って[ピーーー]だけなら一行で終わりというか。もっと複雑に
話の糸を絡ませないと見応えがないような。
ミッションがあまりに簡単すぎたんだと思う。むりやり膨らましてるようにさえ見えてし
まうので非常にもったいない。せめて街中で運動をしている途中を狙わせるとか。無理な
状況をどうやって遂行するのかが見せ場のような気がするので。次回はもうちょい頑張っ
てみてください。

NO.6 若さゆえ(お題ロリ)◆InwGZIAUcs氏
おおう。くだらない与太話の臭いがプンプン漂ってくるぜ。大好物です。
こういうのはなんて言うんだ、外法ロリかな。いいですな。いけ!やれ、もっとやれ!
ふーん、記憶なくなっちゃうんだ。あれ、書いてたかな、書いてないな。ここら辺がオチ
だなきっと!
セックス……? いけ! ピリオドの向こう側まで飛んでしまえ! ほうほう。……精神
だけ? うわなんか書いたのちょっと被ったな。ごめんごめん。全員のさらっと見てから
書けば良かった。
 ふんふんふん。おう。ふーむふむ。面白かったです。ごちそうさまでした。
 
NO.7 てぶくろ(お題:ロリ)◆xaKEfJYwg.氏
なんか真面目な作品きたな。ふむふむ。なーるほどう。ワンシーンの切り取りですな。
丁寧でしっかりした文章運びは好印象。バットだがしかし。話の内容の普通すぎて印象が
薄れている。もう少し補強する必要がありそう。回想場面をいれて、比較させてみたり、
メタファを組み込ませるとかいろいろとね。
その上でもう少しストーリー展開があると良いかと。執筆頑張ってください。

NO.8 海に還る(お題:500円玉) ◆IL7pX10mvg氏
 えーと、見づらいですな。むかしから改行してなかった自分が言うのも何ですが。改行
や遂行はしっかり行いましょう。
リア充すなぁ……。いやいや、乾燥昆布て。もう銀魂の神楽しか思い浮かばないです。生
命の歴史を吸収したらって大人になるか? コ、コンビ!?その言葉のチョイスはどうな
んだろう。お笑いが流行ってるし、お笑いコンビという意味に見えてしてしまうような。
うーん。うーん。うーん。
まぁあれだ。全体の印象としては涼宮ハルヒのまじめなシーンといった感じですかね。メ
インじゃないというか。もしこれだけで見せたいなら、色々と工夫や趣向が必要だと思い
ます。まずは文章力をせっせと磨くとか、あとはもっと散文的な小説を読み込んでみると
か。頑張ってください。


うーん。全感カオスか。こんな時間なのに。
886 : ◆1ImvWBFMVg [sage]:2012/08/02(木) 03:24:38.78 ID:7XtPK0Dq0
>>884
本当にすまないと思っているなら全部読んで感想を書いて欲しいような。せめて最後まで読んでよ!
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) :2012/08/02(木) 03:58:35.03 ID:STBuyhG50

>>884
読んだので感想。酷評ぎみ。
これもそこそこ面白い、ぐらい。正確に言うと、つまらなかったけど少し面白いところがいくつかあるぐらい。積極的に読む気はしない。
無駄が多いという印象。

例えば一行目
>いろいろありすぎて?
まず最初から内容がない。
最初に別の口調で語り始める、というのは良くある手法だ。だけれどそれには目的があって
1、早めに目的、結果等を公表しておいて、読者を引き付ける
2、世界観の説明等、どうしても別口調でならない場合
なんてのが思いつく。だけどこの作品では工夫すれば削れる。

設定、話の筋に関しても無駄が多い。天使の設定とか、犯人の設定とか、そういうのはもっと削れたはず。
話の筋も無駄が多い反面、ところどころ描写が足りてない。
さらっと読んだだけなんで読み違いも多いと思うけど、感想というとこんな感じかな。
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) :2012/08/02(木) 04:04:06.10 ID:STBuyhG50
↑の安価は>>884ではなく >>886でした。すいません
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/02(木) 04:29:35.99 ID:hw7DKbyDO
全感とかってどうせなら自作についても大いに語って欲しいなとけっこうマジに思う

自分が投下作読んで感想とか書いちゃってた日には5倍ぐらいのゲインでそう思う

まあぜんかんおつはおつなのですが
890 : ◆1ImvWBFMVg [sage]:2012/08/02(木) 05:38:26.85 ID:7XtPK0Dq0
>>889
 えっと、これは俺のこと?もちろん書いてもらった感想は一つ残らずありがたく読ませていただいてます。ああやって
書いたのがこんなになる印象なんだー、って新鮮な気持ちになるというか。
でも自作に対してはあまりこう。今回のは雑だなー、とかぐらいで。というか時間おかないと冷静に見られなくて。まぁ
あんまり評判よくないみたいなのでそういう感じなのかなと、ぼんやりとね。おもしろい作品書きたいなー、って感じで
す。あ、感想ありがとうございました。
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/02(木) 07:59:27.92 ID:im3StFkpo
>>889
読むほうとしてだったら、自作についての感想をして欲しいと毎回思う
感想書いても一方通行のやり取りで終わっちゃって、建設的な感じしないもの
「ひょっとして全然違う方向で考えちゃってるのかな?」って思うことも怖い
けどなによりも、どんな気持ちで作品を書き始めたのかを知りたいと純粋に思う

けど、書くほうとしてだったら、やっぱり極力自作語りはしたくない
小説はウンチクや意匠、思いや経緯よりも内容や文章が勝負どころだし
あんがい語らずとも、読んでくれる人って書いている人の弱味を見抜いてくれるし
自分の知らなかった良い部分を教えてくれるから

でもでも、積極的に自作語りして欲しいですね。皆様全感乙でした
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/02(木) 22:43:18.94 ID:/gvRIfzio
>思いや経緯よりも内容や文章が勝負どころだ
これをあまり深く考えすぎなければいいんじゃないかな
自作語りを読んで投票結果が変わっちゃうようなら
それは結局、読む人の問題なのかなと
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/02(木) 22:52:51.64 ID:/gvRIfzio
>>880
なんとなく感想返しNo04幼稚園ロリコンの作者です

>全体としては小さくポイントを稼いでいる。少し面白いところが多くある。ただ、とびきり面白いところはなにもない。
これねえ、すごい当たってるというか、なんというか、
今回目指してたのは大きな事件のない日常のちょっとした場面みたいな感じで
小説としては言われてるようなポイントをまんべんなくそれなりに取る感じにしたかったんだ
ちょっと小さすぎたんだろうが
やっぱ難しいな
894 :脱走 ◆D8MoDpzBRE :2012/08/02(木) 23:07:53.62 ID:/bvplfXwo
 自作語り推奨とのことなので、語ってみます。
 まず、お題のロリ。言うまでもなくナボコフによる『ロリータ』という作品に端を発する概念です。ただし僕は本作を
実際に読んだことがないので、それに対するオマージュを仕掛けたりとかそういう芸当は残念ながら出来ませんでした。
 現代においてロリータという単語は、単に幼児性愛嗜好を指し示すロリコンの類縁の用語として語られるばかりでなく、
ファッションや文化などの一ジャンルとして存在しています。非常に重要なタームであり、これに対する知識をあまり持
ち合わせていなかった自分の不勉強をまずは反省した次第です。
 さて自作について語るとなると、何から手を付けて良いか分かりませんが、全感想で触れて頂いた箇所に対して注釈を
加えていくというスタイルにしましょうか。ただし、ここで自分の至らない文章を弁解するというのは、明らかに書き手
の本分を外れたりもすることだと承知してますので、自分的には敢えて書き手としてだけではなく、少し距離を置いた一
人の読み手としての視点も加えて語ってみたいと思います。
>>883 >ん?口語体?供述調書?とにかく珍しい書き方……
 今回地の文を丁寧語で構成したのは、述懐している内容と語り手である主人公との時間的・立ち位置的な隔たりを表現
する一つの手法として考えたからです。また、改まった書き方をすることでむしろ読者を共感の視点から遠ざける目的も
ありました。少なくとも、作中で語られる人物に対する感情移入などが間違っても起きないよう、と試みたわけです。
供述調書を取られるときの様子とリンクされて考えられた方もいらっしゃるようですが、時間的にはもっと隔たった時
点からの回想であると想定しています。
>>841 >ニナの両親や行動に至るまでの目的……
 二ナの素性に関しては、基本的に謎との方針を貫くつもりでした。一貫して主人公の視点から描いていると言うことも
あり、それについては冒頭で「ニナが今どこで何をしているのか、私は知りません」としている辺りからも分かって頂け
るかと思います。また、行動の動機については、本文中から読み解けるキーワードで探ってみると、「悪戯心がその動機
のすべて」「足が付くことさえをも担保にして味わうスリルに、ニナはただ酔いしれていた」と言ったところだと思いま
す。これを、「まだ与えられるには早すぎるオモチャを手にした」「子供」として描いてみた、といったところです。
>>840 >自宅に捜査官が来るとか、してもよかったのかも……
 話のピークをどこに持っていくか、と言う部分に関わってくる話だと思います。これに関しては、山場を盛り上げきれ
なかった自分の責任が大きいと自覚しています。ちょっと淡々としすぎたかも知れません。しかしながら、捜査云々の
パートには極力焦点を当てたくなかったので、むしろ最後にオマケの付け足しのようにこの部分は描写しました。あく
まで、ニナとの関係性に焦点を当てて山場を作れたらよかったのでしょう。
 総括して、多分僕はロリコンの罪深さとかそういうのを書きたかったわけではないと思います。結局のところ、書き
たかった物は書かれている物だ、としか言いようのない現状なんですが……こんなところで勘弁願いたいと思います。
895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/02(木) 23:32:58.72 ID:7XtPK0Dq0
あぁ、あれだ。結局言い訳っぽくしかならないのが嫌で書くの止めたんだわ確か。
しかも品評会だと投票期間と被ってて、後付けで説明してる人(ちなみに俺)いて、それどうなんだ?とか思って。
こんな風に結果出てからならぜんぜん問題ない話なんだけどね。
896 : ◆1ImvWBFMVg [sage]:2012/08/03(金) 01:56:42.06 ID:YLtc17xY0
と言うかアレだよね。「自作語りはしません!(ドヤッ!」って書いてる直後にみんな語り出すとか、これ完全にピエロだよね。
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/03(金) 02:00:03.25 ID:fps1BXToo
実作者の側から作品を言葉にしてもらうのは、書くことだけじゃなく読むことも学びたい自分のような人間にはありがたいものだよ
ただなんとなく語りにくいものだというのもわかる。まあ語ってくれなくて当たり前、語ってもらえたら感謝です。と言いつつ>>889
半分寝た状態だったもんで本音が出ちゃっててすみません
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/08/03(金) 02:20:48.09 ID:oYUxu+zo0
自作を読み返したとき、意外と面白いなと感じる悲しい現象に名前つけようぜwwwwwwwwww
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/03(金) 02:36:43.74 ID:i5CHX9iao
自作感想乙です
そういう意図があっての話作りだったら、案外意図通りだったのかも
自作感想付けてるうちに、自分がどういう気持ちで作品を練っていったのかに気づくことってありますよね

>>892
確かに深く考えすぎかも。>>894で書かれているように、文章そのまま受け止めれなかった部分指摘されてるし
誠実に一文いちぶん書いたからこそ、感想を真摯に受け止める、って頑なになってるところがあるのかもなぁ
以前、読みにくい文章書く人と醜く応酬したことがあって
「こう読むのはおかしい。俺はこのつもりで書いた」「いやいや、読む人の自由でしょ。そんならそう読ませてくれよ」
こんな感じに、醜くくはなっちゃったけど、書く姿勢と読む姿勢の議論が出来て楽しかった

書き慣れてない人ほど、あーでもないこーでもないと一生懸命考えて話作ってると思うから、
その気持ちを抑えてしまう雰囲気にはしたくないよね
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/04(土) 01:59:37.33 ID:BHyHKuJ2o
>>898
悲しいのか?
自作を読んでつまらないほうが悲しくないか?
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2012/08/04(土) 04:14:34.07 ID:9iYNyH//0
>>898
自画時賛

まあでもわかる気がする。下っ手くそだけど、自由に書けていた
今度の品評会は久々に参加しよう
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/05(日) 00:16:21.34 ID:3UC79HmP0
次回のお題は女神かー。なに書こうかな。
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/05(日) 00:19:21.07 ID:VJSRt2jZ0
品評会復活してたんか
今から感想書いても構わんかしら
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/08/05(日) 00:36:52.34 ID:b6q5qhsso
>>903
大歓迎
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/05(日) 21:19:32.93 ID:1aw+WpfIO
全感はまだなのか
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/05(日) 23:23:11.07 ID:djuxla9e0
今読み終わった。感想はまだ書けてない
907 :感想 [sage saga]:2012/08/06(月) 00:24:41.33 ID:XiPSvHLq0
読んで感想書きたくなったものだけ書くことにした。小説って面白さの如何もさることながら
語りたくなってナンボだと思うから、語りたくない小説にはご縁がなかったってことで今回はあきらめていただきたい。

 NO.8 海に還る(お題:500円玉)◇IL7pX10mvg氏
 これが一番語りたくなった小説だった。技巧だのなんだのはどうでもよくて、何か書きたいものが作者の中にあって
それが上手く形にはならずともとにかく書いてやった、って言うのが見えた。

>彼女のこの付け焼き刃的知識、僕は結構好きだ。五百円玉には詳しくなるくせに他のコインには全く詳しくない危う
>さとか、きっと知識として残るのは変造事件についてだけであろうこととか、彼女がこの時のためにいろいろと準備
>をしているのが感じられてなんだか愛くるしい。

 この一節が作品のキーワードめいた機能を果たしている。付け焼刃的、と書いているけれど、この小説自体起こる出
来事のほとんどを主人公が描写しきれないまま次の出来事が起こり、全体として主人公を置き去りにする形で現実の流
れが進行していく。そもそも二人が海に行く、となったのも「語感」だけで決まった突発的なものだし、海に行くのも
滅多にないらしい。それだけでなく、たとえばこういう一連の文章。

> 僕が思うに、結局片道五百円以内で計画を練ったことはあまり重要ではないのだ。いきなり五百円以内で小旅行を
>することになった、という状況が面白いわけで、そこに彼女の思惑があるかもしれないなどという推論にはあまり意
>味が無く、そして面白くもない。だから僕は今まで彼女のアイデアに黙ってついていったし、彼女も努めて面白いこ
>とをしようとしていたのかもしれなかった。

> 僕と彼女の間で不変だったものは確かにあった。では僕らの成長とは一体どこにあるのだろうか。彼女はいつでも
>興味深い存在だったし、僕は彼女と一緒に楽しみ、それを記録してきた。では僕らはその結果を自分たちに活かすこ
>とができていたのか。楽しんでいただけではなかったか。正直なところ、よくわからない。

 文末に注意すればわかるけれど全ては仮定だったり推測にとどまっている。主人公の中で何か確信的なものがあるわ
けでもなく、彼女とも確かな関係が結べているわけでもない。それは風景の描写だったり、行動に観念的な意味づけを
与える文章にもあてはまる。
908 :感想 [sage saga]:2012/08/06(月) 00:25:17.81 ID:XiPSvHLq0
> 波打ち際で立ち止まった彼女の隣。波の音、風の音は聞こえているけれど、それ以外は何もなくて、とても静かだ。
>暗闇の海には様々なものを飲み込んでしまいそうな怖さと、そして包容力があり、僕は後者をひしと感じた。

> 題目はとても意義あることに聞こえるが、結局は折角来たんだから足だけでも浸かっていこうということである。
>こういうとき、彼女は結果よりもやること自体に意味があると言い、結構無理やりに人を引き込んでいく。そもそも
>僕自身も満更ではないのだ。ただ、未知数である海水の冷たさに腰が引けているだけである。

>花火はよくある薄くて大きいあのパッケージである。あれには同じススキが何本も入っているので一度にたくさん持
>って消費してしまいがちだが、一本ずつ大事にしていけば相当な時間をかけて遊ぶことができるのである。値段も安
>いし、言うことなしだと評価したい。

> どちらともなく自然に感嘆の言葉が出た。ススキの火は、白、緑、赤、青と様々に色を変えていく。そして、それ
>が消える前に次に火を移す。ろうそくの火はあまりにも頼りなかったので、花火同士で火を繋いでいった。二本持ち
>して踊ってみたり、色の違う火を混ぜてみたり、時々ろうそくにも火をつけてみたりして、花火をゆっくりと消費し
>ていった。

 こういう文章ははっきり言うと何にも残していかない文章だったりする。事実すぐに二人の会話なり展開の進展なり
が続いて時間は流れていき、思い浮かんだことも忘れていく。それこそ現実ならではだよなあ、と思えるのもさること
ながら、重要なのはこうした独白が心が安定しきっていない主人公によって為されている、ということ。沈黙を嫌って
やたらと話しかけてくる人間っていないだろうか? そして口にされる言葉が大抵意味がない、っていうことも?
あれは言うまでもなくコミュニケーションを図ろうとする努力であって、人間はとにかく話せばなにかしら気持ちが通
うような気がするから話さざるをえない。この小説の主人公にとってもそれは同じで、何も決まりきっていない状況、
視界の効かない夜の海、それから不安定な関係を結んでいる「彼女」とどうにかしてコミュニケーションを取ろうと頑
張って言葉を並べる。でも大抵は実を結ばない。そんなハラハラとした緊張感が6レス目まで上手く書けているし、5
レス目の線香花火にまつわる叙述はもはやメタファーとして機能している。
 その緊張感が、6レス目になると「彼女」の一言によって崩される。「楽しかったかな」という言葉は現実に流れる
時間をとどめて、二人の思い出として今ある風景をどう対象化しようか、という提案でもある。ここで不安定だった二
人の関係性は決定的なものになるし、未知に近い海は二人の思い出ともなる。それに主人公もこういう言葉で答える。
909 :感想 [sage saga]:2012/08/06(月) 00:25:44.14 ID:XiPSvHLq0
>「ずっと面白いって信じながらいろいろやってきたじゃないか。君が曲げなかっただろう信念は本物だよ。それを今
>更曲げてどうするのさ」
>「僕らのこれまでを楽しくなかったなんて言えるのは、僕らだけだよ。それを君が楽しくなかったなんて言ったら、
>他でもない僕らがかわいそうだ」

 主人公はここで自分の意志を明確にする。何もかも不安定だった中やってこれたのはひとえに君に対する絶対的な信
頼があったからだと。そして「彼女」もそれに応える。主人公に対する絶対の信頼があるからこそ、一旦離れても問題
ないのだと。ここで不安定なままだった関係性は確実なものに変わる。

> 僕はもう一度海を見た。明け方の海は変わらず静まりかえっていたが、しかし夜の海には無い、去る者を送るよう
>なやさしさがあるように感じた。自然に笑顔になれる。

 めでたしめでたし……と言いたいところだけど、正直言って6レス目からの展開はお粗末。無理矢理に話に収拾をつ
けようとして、読者を置き去りにしてしまっている感がある。卒業するからなのね、ではフォローしきれない。大体こ
れまで君らはなにしてたんだと。卒業したらどうすんだと。そういう消化不良感がある。
 でもこういう処理の拙さは物語を展開させるのが下手なんじゃなくて、作中の登場人物が醸し出す緊張感に作者が負
けてしまった、という印象を受ける。これは悪いことじゃない。だって、緊張感を作り出しているのも作者なんだから。
もしくは、自分の作り出したはずのものが自分の手に負えなくなってしまった、ということは小説にとって理想的な、
人物が勝手に動いていく、という状況を作り出せていることにもなる。そういう風に積み上げていったものをなんとか
解決させようとすると、こうなってしまうのはしかたないんだろうな。
 こういう作品には改善点を挙げるよりも、どれだけ登場人物達に寄り添えるか、という作者自身の問題に全てがかか
っていると思うから、正直与えられる助言はなかったりする。個人的な趣向でいうならこの緊張感を最後まで読ませて
ほしいし、無理矢理な解決をつけなくてもいいのでは、と言ったところ。作者の意図がどうかはわからないけど、この
緊張感をどうにかして書きたかったんだろうな、と推測できるから、ならそれだけでもいいんじゃない、というわけで。
もし投票に間に合っていたならあと一歩、という意味を込めてこれだけに関心票を与えていたと思う。
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/06(月) 00:40:45.20 ID:GvGXr5SIO
この書き方……前回優勝者かな。全感おつおつ。
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/08/06(月) 01:31:25.80 ID:9H0AV9gL0
読んだので感想を。

時間外作品NO.1脱走 1/6 ◆D8MoDpzBRE氏
あー上手いなあ。文章が分かりやすいのはそれだけでとてもいいことですよね。
内容も面白い。先が気になった。予定調和でないのもリアリティがあって個人的には良かった。
中二か……あうとだと思います><
たぶん投票か関心票はいれたと思います。

ウルトラ時間外
おいらが言うのも何だけど、展開や設定がラノベっぽくて好み。先がきになって面白かったです。
なんともむずかゆい気分になるのはオチで似たような事をおいらもたくさんしてきたからでしょうか。
ただ、ちょっと強引かなと思うところに違和感を感じてしまったので、おそらく関心票を入れたと思います。

ふむ、時間外なのが勿体無い二作でした。昔もありましたねwwwwwwww優勝者を涙目にさせる時間外作品wwwwwwww
とにもかくにもお疲れ様でした。
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/08/06(月) 07:44:05.03 ID:chK5TEBAo
おだいくれ
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/06(月) 08:22:57.87 ID:Xo5DrwyAO
>>912
転校生
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/06(月) 12:54:09.61 ID:GvGXr5SIO
全感おつ
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2012/08/09(木) 00:22:43.87 ID:mEfVay+G0
ちょっと疑問に思ったんだが、
このスレって1レス80行まで書けるよな
まとめって1レス何行まで書き込みできるんだ?
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/09(木) 01:16:03.92 ID:jTaNy5gbo
>>915
ものはためしでやってみたら
37行は書き込めた
117行はダメだった

ごめんよ、避難所に変なレスを残してしまった……
あれぐらいならエラーだと思ったんだ
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2012/08/09(木) 01:28:51.90 ID:mEfVay+G0
>>916
いや調べてくれたのはうれしいんだが、
肝心の最大レス行は何行なんだ?
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2012/08/09(木) 01:43:43.81 ID:mEfVay+G0
とりあえず自分でテストしてみた
60はOK
70はNGだった
品評会のレス数はどっちをベースにしたほうがいいんだろう
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/09(木) 02:38:02.86 ID:oN6KeVaco
>>918

個人的には1レスあたり長いほうがいいな
連投規制があるから短いと色々めんどいから
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/09(木) 02:50:41.26 ID:kXRYt+Blo
個人的にはVIPと同じほうがいいんじゃないかな〜と思うんだけど。
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2012/08/09(木) 08:16:15.06 ID:mEfVay+G0
>>919,>>920
コメントthx

vipのときは本スレのほうが行数が少なかったから、
本スレ⇒まとめに転載するときに問題がなかったんだけど、
今回は、本スレのほうが行数を多く書き込めるので、
限度まで書くと、本スレ⇒まとめに転載するときに行数オーバーで書き込めない可能性がある
行数オーバーしていると、まとめでオーバーした行数を次のレスに書き込むとかしなくちゃいけないんだけど、
そうするとまとめで品評会のレス数制限をオーバーする可能性がある。
単純に今回のレス数制限が10レスで80行フルに書き込むと800行。
まとめに持っていくと、800行/60レスで13レス分になる。

まあ、細けえことはいいんだよ
ってことであれば、適当でいいんだろうけどさ
一応案としては、
@本スレの限度(80行)を1レスの基準とする
Aまとめの限度(俺が調べた限りでは60行)を1レスの基準とする
Bvipの時の限度(30行)を1レスの基準とする
ってとこか

今のうちに基準を決めておいたほうがいいって場合は、
「決めといたほうがいいんじゃね?」というニュアンスのレスしてほしい
そんな意見が多い場合は、勝手に俺が仕切って多数決等で決めていく

で、俺の意見を言うと、今は急いで決める必要はないと思っている
多少のレス数オーバーは許容してもいいかな、と。
要は何を言いたいかというと、俺はまとめの限度まで書き込むぞJOJOーーーってことだ
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/09(木) 13:28:05.61 ID:N6rqPFDIO
三十だろうな、というかあんまり基本ルールは変えないようにしようぜ
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/09(木) 13:53:07.69 ID:gnnol6YAO
あ、でもsagaの記述はテンプレに加えてほしいかな
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage ]:2012/08/09(木) 14:10:00.99 ID:WSGI978e0
品評会催してみてわかったけど常連コテが大半みたいだし、
実際まとめに載ってる作品もほとんど30行以下が基本だし、
昔のまんまで良いんじゃないんかね。一応ここに移ってきたのも、
VIPへの復帰のための充電期間って名目だし、復帰した時に困るのは避けたい
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/09(木) 14:12:43.87 ID:DAelycyOo
今までは1レス30行でレス数超えれば超過表記じゃなかったっけ
別に行数オーバーしたからって投下しちゃいけない訳じゃないし、投票の対象にならないだけだから存分に超過していいと思う
個人的には、話事体がだらだら長すぎたり一行の文字数を揃えてなかったり、無駄な改行が多過ぎると読みたくなくなるから
読みやすいって意味で、規定作品だけ読むようにしてるよ
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/08/09(木) 15:35:28.70 ID:GW2Sy9Ipo
いっつも30オーバーして直すの大変だったしちょっとぐらいならはみ出るの許して派
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/08/10(金) 02:05:45.00 ID:6zmZyINl0
最初からメモを30行にしておくと捗るという助言
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/08/10(金) 04:16:20.38 ID:zRc6Y0Q3o
つまり最大10レスで300行か
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/11(土) 00:19:37.17 ID:rmdphz/fo
後ろから30行で切っていけばいいだけじゃね?
137行だったら、最後だけ17行で分けて、
それ以降は120、90、60、30とか30の倍数のところで見れば簡単
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/08/11(土) 18:10:15.79 ID:1S4O/cnq0
今日だっけ締め切り。誰か書いてる一いるー?
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/11(土) 18:46:08.45 ID:7FjeOS+Xo
〆切りは明日じゃないかな。休みだから俺もなんか書きてえなあああ
932 : ◆XccWYZaGPo [sage]:2012/08/11(土) 19:35:55.36 ID:UwjyJPYqo
書きたいけどネタが下りてこない…
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2012/08/11(土) 19:51:35.45 ID:UF8ietlk0
久々に参加したので頑張って書いてるけど、無駄に長くなってきた。書き終わるかどうか……
934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/11(土) 20:42:28.36 ID:uDWhVcfto
登場人物の名前で悩んでいた
ミカにしようかなと思った
なんか変なのが思い浮かんだのでやっぱ変えることにした
935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/08/11(土) 23:57:54.75 ID:zIuJrKFCo
神ではなく女神である必要性が……とか考えてたらもう土曜日でござる
936 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/12(日) 03:29:48.82 ID:9RNYkJF7o
ドラクエがおもしろすぎて書いてる暇が……
書かねば
937 :みんなでしあわせになりたいな 0/8 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/08/12(日) 16:19:42.70 ID:Fg9PIfkpo
品評会、投下します。
8レス

sagaテスト:殺す
938 :みんなでしあわせになりたいな 1/8 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/08/12(日) 16:20:18.62 ID:Fg9PIfkpo
 人々が、魔法を捨て科学を選んでから数千年が経過した時代。
 人々が、相違な価値観を受け入れることができないほど遅れた時代。
 人々が、人々と徒党を組み、人々と敵対し、そうやって生きていく普通の時代。

「それではアズランさまに祈りましょう」
 国府津家の食卓。夕食をかこんで、四名の家族皆が目を瞑り、手を胸の前でにぎり、祈りを捧げる。
「母と子と精霊よ、アズランの御名に、今日この食事を賜れることに感謝します」
「いただきまーす」国府津ミズキとアズランさまが大声を出してからご飯をほおばりはじめた。
 これが毎日の光景である。ミズキもアズランさまもどちらも食欲が旺盛なのだ。
 ミズキはこの家の子供だった。中学一年生の女の子。髪が短くボーイッシュで、線が細いが運動は得意、そん
な感じ。
 アズランさまは神様だった。容姿はミズキと同じくらいの女の子に見える。だけど年齢は桁が三つか四つぐら
い違う。髪は長く亜麻色で、胸はミズキよりも大きく平均的だが、見た目はとても子供っぽい。そんな感じの神
様で、今はこの国府津家に居候している。
「ねえ、アズランさま」
「なに?」
 ミズキの呼びかけに、からあげをほおばっていたアズランさまは顔を斜めにして向き合った。
「前から思ってたんだけど」
「わたしが綺麗ってこと?」
 アズランさまの言葉をミズキは無視する。
「アズランさまって、ご飯の前に、何に祈ってるの?」
 アズランさまがからあげに伸ばしていた箸が止まる。夫婦で話していたミズキの両親も会話が止まった。
「あたしとお父さんとかは、アズランさまに祈ってるわけでしょ? じゃあアズランさまは?」
「……自分自身?」
「疑問系?」
 だって、みんなが祈ってるのに自分だけ我をあがめよみたいにふんぞりかえったりできないじゃん、とアズラ
ンさまは思った。別にやってもいいけどさ、ともアズランさまは思った。
「空気を読んでるんだよ。合わせてあげてるの。祈ってるんだよ、これかも家族みんなしあわせにでいられるよ
うにって」
「ふーん」
939 :みんなでしあわせになりたいな 2/8 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/08/12(日) 16:20:47.95 ID:Fg9PIfkpo
 ミズキは興味なさげに、白米をほおばっていた。そのあと笑った。
「ありがと」

 アズランさまは神様である。
 ずっと昔、この国を三分にしていた大宗教のうちの一つ、アズール教の女神であった。しかし、今は現代、次
々に科学が発展していった過程においてアズール教は、この国の宗教はほぼ形をなさないものとなっていた。
 教会のような建物もなく、毎週お祈りに来るような人も減った。人々の祈りの減少に従って力の衰えていった
アズランさまは、今でもアズール教を信望している珍しい一家であるこの国府津家の一軒家に、ドラえもんみた
いな様子で済んでいた。昔は大御殿に住んでいたアズランさまなのにだ。
「アズランさま、宿題やって」
「自分でやりなよ。私はリビングの蛍光灯を換えてってお母さんに言われてるんだから」
 アズランさまの力は、人々の信じる心によって決まる。
 もっと言えばそれは普通の人間も同じだった。信じる心によって、神も人も昔は魔法が使えたのだ。そのレベ
ルが違うだけで。
 大昔であれば、アズランさまは、天気を操り人々を怯えさせ敬わせ、いろいろな貢ぎ物を要求したりもできた。
だけど、今は、この町でアズランさまを信じているのはこの一家しかいないため、ほんのちょこざいな魔法ぐら
いしか使えなかった。蛍光灯のカバーを外さずに、中身の蛍光灯を新品と入れ替えたりとか。あのカバーには虫
の死骸が溜まっているから手ではあけたくないのである。ちなみに小さな羽虫の死骸も魔法で庭に捨てるという
完璧さ。
 アズランさまは、自分の衰えを自覚していたけれど、あの青狸よりは役に立つだろうとも自負していた。
「アズランさまってバカだから、中学生の宿題できないんでしょ?」
「そんなわけないじゃん。貸してよ」
 いくらなんでも中学生の、それも一年生の問題がわからないはずがない。はずがない、はずだった。
「わたし、この国の生まれだから英語はちょっと……」
 三単現のSの使い方にとまどうアズランさま。今の子供はこんな難しいことをやっているの? と思う。
「あたしもこの国の生まれだけど、これぐらいわかるよ。アズランさま、わからないんでしょう」
「それはミズキがわたしのことバカだと思ってるからだよ。いつも言ってるでしょ。ミズキが信じてくれればそ
れがわたしの力になるって。信じてよ」
「たかが英語の宿題にそんな……アズランさまは三単現がわかる。アズランさまは三単現がわかる。アズランさ
まは三単現がわかる」
940 :みんなでしあわせになりたいな 3/8 ◆pxtUOeh2oI [sage saga]:2012/08/12(日) 16:21:18.41 ID:Fg9PIfkpo
 ミズキが念仏のように唱える。その声を聞くと、アズランさまは、自分の頭の灰色の脳細胞がめまぐるしく活
動を開始したような気がしたのを感じたかなと思った。
「なんだ簡単じゃん。こんなの余裕だよ」
 アズランさまは三単現の問題をやっつけた!
「じゃあ次のページもお願いします」ミズキが言う。
「はいはい、よゆうよゆう……え?」
 次のページはbe動詞で受動態のコーナーである。
「アズランさまー。早く蛍光灯かえてくださーい」
 階下から母親の声が虚しく響いた。

 アズランさまは、国府津家のお母さんとはなまるマーケットを見ていた。今日はとくダネ!がイマイチだった
からである。
 番組も終盤にかかり、おせんべいも一袋消費しかけたところで、お母さんがお茶をいれなおす為に席をたった。
そのとき事件が起きたのである!
「あの子、おべんとう忘れてる」
「ミズキはアホの子だなあ」アズランさまはラストセンベイをバリッた。
「すみませんけど、持って行ってもらえますか?」
 めんどうだな、とアズランさまは思った。めんどうそう、とアズランさまが思っていることがお母さんにもわ
かった。
「お昼にマクドナルドのテリヤキバーガー買ってきていいですから」
 差し出される五百円玉。つまりバリューセットでということだ。アズランさまはその大切な貢ぎ物に免じて、
ミズキのお弁当を届けてやることにした。
「じゃあ、行ってきまーす」

 アズランさまはミズキの通っている中学校までやってきた。アズール教に無関心な人にはアズランさまの姿が
見えることはない。かといってお弁当が浮いて進んでいるようにも見えたりはしない。
 だって、そういう人達は魔法も信じていないから。そんな不可思議な現象を捉えることはできないのである。
 そんな便利で物足りない世の中を進んでやってきたアズランさまは、お母さんから聞いていたミズキのクラス
に赴いた。
 そういえばミズキの友達ってどんなんだろう、とアズランさまは思う。小学生のころはよく遊びにいったり、
941 :みんなでしあわせになりたいな 4/8 ◆pxtUOeh2oI [saga]:2012/08/12(日) 16:21:56.49 ID:Fg9PIfkpo
家に呼んだりしていたが、中学生のミズキは陸上部に入っていて、いつも夕方過ぎまで練習しているので、その
ような友人を家に呼んだりはしていない。
 まあ、ミズキよりアホの子はいないだろう。そんな気持ちでクラスの中へと入る。もちろん誰もアズランさま
には気付かなかった。どうやら今は休み時間らしい。わがままそうな幼い子供達がぎゃあぎゃあと騒いでおると
アズランさまはミズキを探した。
 えっと……。とりあえず、騒がしそうな女子グループを見るがミズキはいない。かとっいて大人しく本を読ん
でいるグループにもいないだろうと一応見たがやっぱりいない。
 トイレにでもいっているのかな、と教室の端のほうで待っていようと思ったとき、その端の席で机につっぷし
ている女の子が目に入った。髪が短く、黒い。ミズキだった。
 アズランさまはミズキに駆け寄る。
「ミズキ、どうしたの? 具合悪いの? 保健室に行く?」
 アズランさまが肩を揺さぶるとミズキはけだるそうに顔をあげた。
「寝てるだけだよ。つまらないから」
 家とはまったく違う。アズランさまの知っている元気なミズキはここにはいなかった。
「おい、国府津がなんか一人でぶつぶつ言ってるぜ」近くにいた男子が声をあげた。
「やめなよー」女の子が言う。
「かよちゃん、そんなこと言って楽しそうじゃん」かよちゃんと呼ばれたとなりの子がケラケラ笑う。
「おべんとうありがとね」小声で話して力なく微笑んだ。
 ミズキはアズランさまからかすめ取るようにお弁当を受け取ると、そのまま机の中に押し込んだ。
「また、なんか言ったぞ」
「変な宗教やってるから頭おかしいんだろ、ほっとけって」
 アズランさまは動けなかった。たしかに今までそういった迫害がなかったわけではない。世の中にはいろんな
宗教があり、問題を起こすものだってあった。異なる宗教同士で戦争だって起きた。だけど、こんな身近にいた
ミズキが学校でそんな風に扱われていることは知らなかった。
 小学校までは普通にいっぱい友達がいたんだ。
 陸上部で忙しいだけだと思ってた。
 ミズキは一人で走るのが楽しいから陸上部にしたと言っていた。
 いつも笑ってくれていた。
 そんなミズキは学校で、"いじめ"られていた。
「バカらしい」ミズキが周りを侮蔑するように言った。「おかしいのはお前らの頭だ」
942 :みんなでしあわせになりたいな 5/8 ◆pxtUOeh2oI [saga]:2012/08/12(日) 16:22:25.74 ID:Fg9PIfkpo
 ミズキはアズランさまに帰るようにという視線を送る。目には涙がにじんでいる。
 アズランさまは、自分にできることを考えた。だけどそんなものは何もない。力の源である信じる者がここにはかよわいミズキしかいない。そして周りに、信じない者が多ければ多いほど、力がそがれてしまう。今、ここでアズランさまにできることなんて普通の人間にできることほどもないのだ。
「昔は、こうやって魔女を殺したらしいぞ」
 男の子がどこかから持ってきたらしい、ライターでミズキの髪に火をつけようとした」
「ふざけんなよ」
 ミズキは熱を感じて机を押し出し、机ごとライターを持っていた男の子を突き飛ばした。
 それを見て、怒った周りの男の子がミズキを押さえつけた。
 アズランさまはミズキを助けようとしたけれど、ミズキ以外にふれることもできない。
 教室は大騒ぎになって、他のクラスから教室を除く子供達が増えて行った。ぎゃあぎゃあ地獄の餓鬼みたいに
わめきさわぎたてる子供達。何かのイベントみたいで、もしかしたら、数年後にあんなことあったよね、と笑っ
て話せるかもしれないそんな感じの大騒ぎ。
 だけど、それは、やられている当事者以外の話。
「何やってるんの!」
 誰かが呼んできたらしい先生がやってきた。男子は今にも火をつけようとしてたライターを隠す。
「国府津が、いきなり机で押してきたんです」周りにいた、男の子の味方が言う。
「こいつが人の髪に火をつけようとしやがった」
 ミズキはまったく冷静さを失ってさけんだ。
「おまえの気のせいだろ。頭おかしいんだよ。なんか一人で言って笑ってたし。宗教のせいで幻でもみたんじゃ
ね」
「そういうことを言うのはやめなさい」先生が男子をたしなめる。「火をつけようとしたのを見た人はいますか?」
 誰も答えなかった。俯いていた。そんなこの状況が、ミズキに友達がいないことをしめしていた。それがわかっ
ているから、こいつらもこんなのことができるのだとアズランさまは思った。
「ふう……。何かあったかもしれませんが、国府津さんも乱暴はやめましょう」
 先生の言葉にあの男の子達がにやにやと笑う。
「もっとみんなと仲良くしましょう。アズーリ教ですか? それも個人の自由ですが、そんな宗教なんかでケン
カをしていては損じゃないですか」
 ミズキに味方はいなかった。
 アズランさまは、「ごめんね」と膝をついてなんとか体を起こしているミズキを抱きしめた。熱かった。泣い
ている。放心している。目が力なく。まるで、ただ、意識の固まりだけになったように。エネルギーだけを感じ
た。
943 :みんなでしあわせになりたいな 6/8 ◆pxtUOeh2oI [saga]:2012/08/12(日) 16:22:54.80 ID:Fg9PIfkpo
 そのとき、イカズチが走った。
 アズランさまが、弾き飛ばされる。人々を縫う様に走ったイカズチは、黒板をまっぷたつに引き裂いて火をつ
けた。
 悲鳴がうずまく。
 魔法は人には見えない。ただし、力を物理現象に換えるまでは。
 魔法を使ったのはアズランさまではなかった。ミズキがやってしまったのだ。
「なんかなんて言うな!」
 ミズキが泣き叫ぶ。イカズチとかまいたちが教室を荒らす。かろうじて人は傷つけていない。まだなんとかぎ
りぎりのところで留まっている。
「国府津が狂った」誰かが言った。
「なんだよこれ」泣き出す奴もいる。
 ミズキには魔法の才能があった。大昔ならば、賢者として皆にあがめられるぐらいの才能だ。しかし、今、現
代にその才能の発露はない。
 だからずっと奥の方で、死ぬまで隠れていたであろう力だったのに、目覚めてしまった。ミズキの信じる心と
目的を達するための最高に純度の高い望みよって。
 事件は学校中に波及した。多くの人間が逃げ惑う。進化した科学も、突如発生した魔の台風に太刀打ちするよ
うに準備はできていない。
「やめて、ミズキ」
 アズランさまはミズキにかけよって止めようとする。だけど近づけない。弾き飛ばされる。ミズキはアズラン
さまを意識できないぐらいに暴走していた。
「なんだよ、お前。誰だよ」
 何がなんだかわからないまま腰を抜かして泣いていたかの男の子はアズランさまを視界に捉えた。魔法を信じ
てしまったから。
「みんな消えちゃえよ」
 炎の玉が男の子めがけて飛ぶ。アズランさまは、それをなんとか魔法で逸らした。自分に力が戻りつつあるこ
とがアズランさまにはわかった。多くの人間がこの異常現象を信じ始めたのだ。
 このまま力が戻ればミズキを止めることができる。ただ気は抜けない。ミズキの願望が強まっていけば、それ
だけミズキの力も増えるのだ。ミズキには一瞬にしてこの学校を消すような力が備わりつつある。
 アズランさまは、まず、学校中の人間を校庭にワープさせた。
 教室にはミズキとアズランさまだけ。
944 :みんなでしあわせになりたいな 7/8 ◆pxtUOeh2oI [saga]:2012/08/12(日) 16:23:24.41 ID:Fg9PIfkpo
「もうやめよう。ねえ、死んじゃうよ。死んじゃったら戻すのは大変なんだよ。今のわたしじゃできないぐらい」
「だって止め方がわかないよ」ミズキが泣きじゃくる。「だって明日はどうするの? みんな生きてて、学校が
あって、またいじめられて。みんな消えちゃうしかないじゃん。それともあたしが消えればいいの?」
 アズランさまには答えることができなかった。
 皆の信じ恐れる念において、知能が急激に発達したアズランさまには答えもわかっていた。
「じゃあ、わかったよ」
 アズランさまは、ミズキと自らを校庭の一番目立つ位置に飛ばした。ミズキがあらわれたことで、ミズキのク
ラスメイトは恐れおののいた叫び声を悲鳴を発する。
「控えろ!」
 アズランさまは周りを遠ざけるように円形の雷を落とした。誰も傷つけないように気をつけて。
「我はアズール教の神、アズランである」
 言葉に合わせて、雷を落とす。そうやって人々が怯えれば、それだけの力が得られる。
 ミズキはアズランさまの足下にへたりこんで、ただただ目の前の状況を見つめていた。アズランさまが何かを
やってくれるのだと。
「ミズキ」足下の「ミズキにはみんなを消すことなんてできないからさ。わたしがやっとくね」
「えっ」
「みんな、みんな消しておくよ」
 ミズキがアズランさまにしがみつく。
「じゃあね、ばいばい」

 朝。国府津ミズキは、中学校に向かって歩いていた。おべんとうも持っている。部活のジャージもある。宿題
もやった。学校には友達もいる。だけど何か足りない。そんな気がする。
 朝食は、お母さんと二人で食べた。お父さんはいつも先に仕事に行ってしまうから。
「おはよう」クラスメイトがミズキに挨拶をした。
「はよっ」ミズキは挨拶を返す。「かよちゃん、今日も元気だねえ」
「ミズキに言われたくはない」
 二人で声をだして笑った。
 学校は楽しい。友達もいるし、部活だっておもしろい。家はあんまり楽しくない。なんだか空虚で嘘みたい。
でも、それが普通の中学生かなって。そんな風にミズキは思う。
 そのとき、風が吹いた。いくらか優しい風に包まれた気がする。何かを思い出したような気がする。だけど忘
945 :みんなでしあわせになりたいな 8/8 ◆pxtUOeh2oI [saga]:2012/08/12(日) 16:23:53.14 ID:Fg9PIfkpo
れていなければいけない気もする。
 頬に水がつたった。
 泣いている? そんな風に思ったけれど、すぐに小雨がふってきて、道路を黒くぽつぽつて斑点模様に染め出
した。
 ミズキは、傘をもってなかったので、かよちゃんと走りだした。
「あ〜あ。次はどうやって信者増やそうかな。そのまえに、済むところ見つけないと……」
 そんな声は誰にも聞こえない。涙も見えない。                       <了>
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/12(日) 16:24:55.61 ID:Fg9PIfkpo
以上です。
ホームランとは言わないがタイムリーツーベースぐらいかなと自賛してみる。
犠牲フライぐらい?
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/12(日) 16:25:25.34 ID:Fg9PIfkpo
あとカオスが来る前に次スレがないとやばいかも。
948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/12(日) 16:37:34.25 ID:Fg9PIfkpo
まとめまで終了
改行ミスって入らなかったところと明らかな誤字を一カ所訂正しちゃいました。
こっちよりまとめのしたらばのほうが1行の文字数制限が短いようです。
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/12(日) 17:18:35.59 ID:vqmhor3IO
おつ
SS板ってスレ立てどんな感じなんだろうな
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage ]:2012/08/12(日) 17:23:56.91 ID:c+J0p65J0
およそ半月かけて完走か
夏休み終わっても品評会出来るようだったらVIPに隔週くらいで立てたいものだね
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) :2012/08/12(日) 20:21:00.08 ID:xlog1xIL0
カオスになったらいいね
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2012/08/12(日) 21:26:49.26 ID:j3F87tL90
できたあああ。けど10レス超えてたああああ。
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/12(日) 21:59:54.92 ID:vqmhor3IO
>>952
無駄な文章をごりんごりん削るんだ

954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/12(日) 22:37:11.88 ID:Fg9PIfkpo
あれ、参加少ない系?
それともみんな追い込み中か
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/08/12(日) 22:52:19.52 ID:jt57Ksiv0
おいこみだけど、正直間に合うきがしない
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/08/12(日) 22:58:48.88 ID:E/Fy78tB0
先週は滑り込みが多かったけどねえ
ちなみに先週出したけど今週は諸事情で見送り。
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/12(日) 23:10:25.62 ID:Fg9PIfkpo
はい、現在カオスタイムです。
準備ができたら「予約」とトリ付きで書き込み、
指示に従って投下しましょう。

一応ね、人いないけどね
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2012/08/12(日) 23:18:49.91 ID:qeSRLq9f0
俺も間に合わずwwwwww
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/12(日) 23:20:03.70 ID:Fg9PIfkpo
みんな俺に恐れをなして逃げ出したか
さみしいよう……
960 : ◆AWMsiz.p/TuP :2012/08/12(日) 23:25:18.39 ID:j3F87tL90
品評会予約します。
全10レス
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/12(日) 23:25:51.37 ID:Fg9PIfkpo
◆AWMsiz.p/TuPさん、投下どうぞ

予約するかたはかまわず予約してくださいね
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/12(日) 23:26:43.27 ID:ez1SVrJF0
ぬう、もうちょいだが思わぬタイムロスで時間食ってる。カオス来ないかな。
963 :その命、尽きるとき(お題:女神) 1/10 ◆AWMsiz.p/TuP :2012/08/12(日) 23:26:44.84 ID:j3F87tL90
 年季の入った冷蔵ケースを開いて、僕はソーダ味のアイスを取り出した。いつもと変わらないひんやりとした水色。どこかの誰かが、
青いものは食欲を失わせる効果があると言っていた。じっとアイスを眺めてみる。僕は袋を開けながら、あれは嘘だと思った。
 ソーダ味のアイスには棒が二本ささっており、真ん中のくぼみに沿って縦に二つに分けられる。条件反射のように気が付いたら二つに
割っていた。あいにくもう片方を食べる相手はいない。僕は右手のアイスを口に頬張ると、左手に取り残されたアイスを袋に戻して、冷
蔵ケースの隅っこに隠すようにして入れた。
「あんたこんなところで暇しとらんで、友達と遊びに行ってきな」
 駄菓子屋の奥から、祖母のしゃがれた声が聞こえた。
「僕もそうしたいんだけどね」
 店先のベンチに座ったまま、僕は少し強く声を出した。すぐ近くで蝉が激しく鳴いている。毎年のことだが、やはりうるさい。しかし
祖母に言わせると、それでも少なくなったらしい。あの日、清々したとも、寂しともとれる表情で呟く祖母から目を逸らし、そうだかもね、
と僕は蝉に負けないように少し声を強くしていった。今年八十歳になる祖母の耳には、もういくらかの蝉が映らなくなっている。
 小麦色の肌をした数人の小学生が店に駆け込んできた。いまどきエアコンもない店に喜んでくる物好きは彼等くらいのものだ。十円や
二十円の駄菓子をあれやこれやと計算しながら買っている。そうやって算数の基本や損得をここで覚える。
「よお、坊主」
 声に気付いて顔を上げると、白い髭を蓄えた茂さん(しげさん)が僕の隣に腰を下ろしていた。ランニングシャツに茶色の短パン。左
手に持っている薄汚れた団扇の上で、古臭いアイドルが水着姿で笑みを浮かべている。彼は祖母の古くからの友人だ。もっとも祖母に言
わせれば、腐れ縁というやつのようだが。
「どうも。ご無沙汰してます」
「なんだあ暇そうにして、学校は?」茂さんは煙草を咥えて火を点けた。
「当分前に卒業しました。今は社会人として少ない夏休みを満喫中です」
「ああ、そうだったそうだった。いやいや、歳をとるのは嫌なもんだ。子供はいつまでも子供のままに感じよる」
 それは僕の背が低いからじゃないですか、と言おうとしてやめた。皮肉をいってもしようがない。
「それにしても」僕はアイスを一口かじった。「僕ってそんなに暇そうに見えますか?」
 はは、と茂さんは軽く笑った。
「まあ、若いくせに、こんなボロい駄菓子屋に喜んで入り浸っているのは、お前さんくらいなもんだろう」
 店の奥から、ボロで悪かったね、というしわがれた声が聞こえた。茂さんは、聞こえてたんか、と言いたげに顔をしかめた。
「別に喜んでいるわけじゃないですよ。いないんです。友達が」
 僕は食べ終えたアイスの棒をゴミ箱に放り投げた。地面には数滴染みができていて、そこに蟻が三匹群がっている。就職して一年以上
が経ち、友人とは疎遠になった。僕の仕事は夜勤が多いこと、それと土日祝日が休みでないことが理由のひとつだった。夏休みも七月の
最終週と中途半端な時期なので、土日ならまだしも平日は構ってくれる相手がいない。
964 : ◆7az9zC1iQs :2012/08/12(日) 23:27:15.00 ID:27/YQd0ao
テスト
965 :その命、尽きるとき(お題:女神) 2/10 ◆AWMsiz.p/TuP :2012/08/12(日) 23:27:43.50 ID:j3F87tL90
「そりゃあ寂しいなあ。昔はほれ、うちの隣の空き地で毎日野球しとったのに。わしの家の窓ガラスを一番割ったのは坊主だからなあ」
「その節はどうも申し訳ありませんでした」
 僕は冷蔵ケースを開けて、食べ残しのソーダアイスを取り出そうとした。ごそごそと漁っていると、隅っこから半分だけのアイスが三
本出てきた。どれもなんとなく心当たりがある。
「暇だったらよう」茂さんはどこか遠くを見ながらいった。「一つ頼まれてくれんかい」
「頼み、ですか?」
 うん、と茂さんは顎を引いた。その瞳はまだ遠くを見ていた。空を見ているでも、木に止まった蝉を見ているでもないような気がした。
もっとおぼろげな、例えるなら夏のそれ自体を眺めているようなそんな視線だった。
「内容によります。できれば、窓ガラスの弁償は勘弁して欲しいです」
 僕は三本の中から適当に一本取り出して口に入れた。冷蔵庫の中では菌は繁殖しないからアイスには賞味期限は無いと、誰か偉い人が
いっていた気がする。
 はは、と茂さんは笑い声をあげた。
「それはもう許したから安心せい」
「そうなんですか」
「ガラスを割った後、しっかりと謝りにきたじゃあないか。まあ、そのあと何枚もガラスを割られたから、まったく反省はしていなかった
ようだが。だけどちゃんと謝りにきた。謝りもせんで逃げ出しとったら、そのぶんのガラスは弁償してもらっとるわい」
 どう答えていいかわからず、僕は茂さんと同じようにぼんやりと夏を眺めた。ありがとう、でもごめんなさい、でもないような気がす
る。小学生の一人が、俺クジにしよう、と言い出した。やめておけ、と喉から出かかった。長年通っている僕でも、ここのクジが当たって
いるのを見たことがない。
「それで、頼みというのは?」
 実はな、といって茂さんは地面で煙草をもみ消すと、ポケットから携帯灰皿を取り出して吸殻を入れた。
「女神様に会いたいんだ」
「……女神様。それは僕も会ってみたいです」
 やったー、という少年の声が聞こえてきて、僕はぎょっとした。どうやら僕が未だお目にかかったことのない女神様に、少年は出会う
ことができたらしい。振り返って扉から中を伺ってみると、なにやらマシンガンのような形をした水鉄砲を片手に持っていた。当然、他
の者は羨望の眼差しを向けている。もちろん僕もその一人だ。
「柴田めぐみ」
「はい?」
「柴田めぐみという女性を探して欲しい。二十八年前に、『銀河』というスナックで働いていた女だ。当時三十歳くらいだったから、今
は六十歳前後か。いや、水商売の女なんぞ平気で歳をごまかしよるから、正確なところはわからん」
966 : ◆ihO9dxzf9I [sage saga]:2012/08/12(日) 23:27:54.18 ID:30xXBl/o0
予約
967 :その命、尽きるとき(お題:女神) 3/10 ◆AWMsiz.p/TuP :2012/08/12(日) 23:28:19.12 ID:j3F87tL90
「二十八年前ですか」
 口にしただけで、疲れを感じる年月だった。
「写真はあるんですか?」
 茂さんは、首を横に振った。名前と年齢と、三十年ほど前の勤務先だけで人を探す。人探しの経験は無いが、一日二日でどうにかなる
とは思えなかった。それこそ駄菓子屋の店先でソーダアイスを食べるより、無駄な時間を過ごす羽目になりそうだ。
「坊主にこんなことを言いたくはないが」断ろうという僕の気配を察してか、逃げ道に立ち塞がるように茂さんがいった。「わしはたぶ
んもう長くない」
 蝉が聞き耳をたてるように、ぴたりと鳴きやんだ。
「どこか悪いんですか?」
 はは、と茂さんは乾いた笑い声を漏らした。「もういいところを探すほうが難しいなあ」
「そうだとしても、なにかそう思うきっかけがあったわけでしょう」
「いいや。なんとなくだな。この歳になると、なんとなく自分がもう先が長くないことがわかってきよる。いつ倒れてもおかしくない身
体だから、弱気になっとるだけかもしれんけれども、とにかくそんな気がしよる。足音、というかな、そういうものが聞こえてきよる」
 いつの間にか蝉が騒ぎ出していた。蝉が大きな音で鳴き叫ぶのは、死にゆく自分の存在を夏に刻みたいからだ、と誰かが言っていた。
もしそうだとするなら、彼等は自分自身がもう長く生きられないことを悟っているのだろうか。彼等にも茂さんと同じ類の足音が聞こえ
ているのだろうか。もしかすると、彼等は叫ぶことによって、どこからか聞こえてくる足音を必死でかき消そうとしているのかもしれない。
「女神様に会って、どうするつもりですか?」
「そうだな……なにをするかまでは考えとらん。ただ会いたい。それだけじゃあ駄目だろうか。正直に言うと、少し不安なんだ。今まで
一度も死んだことがないからなあ」
 茂さんは呟いて、煙草を咥えた。火を点けて大きく煙を吸い込む。その横顔には、様々な線が刻まれていた。次の瞬間、茂さんの顔面
に勢いよく水がぶつけられた。振り向くと、水鉄砲をもった小学生が顔を強張らせていた。きっと銃が暴発したのだろう。
「くおらああっ。くそガキどもおおお」
 茂さんは歳を感じさせぬ勢いで立ち上がった。ごめんなさい、と叫びながら、小学生が脱兎のごとく逃げ出した。
「わっはっは。逃げていきよった」
 茂さんは満足気に笑うと、水気を吸ってしおしおになった煙草の先端に火を近づけた。意外にも、火が点いた。
「茂さん」
「ん?」
「先に言っておきますけれど、僕は人探しをしたことがありません。だから本当に見つけたいのであれば、探偵なり興信所なりプロに頼
むのが一番だと思います」
「わしもそれは考えた。でも駄目じゃな。それじゃ足が……そう足が出る」
968 :その命、尽きるとき(お題:女神) 4/10 ◆AWMsiz.p/TuP :2012/08/12(日) 23:28:51.81 ID:j3F87tL90
「足が出る?」
「うん。恥ずかしい話なんだが、なにせ少ない年金で細々と暮らしている身だからなあ。ああいうところは金がいくらかかるかわからん
から、手が出んのよ」
 確かに探偵に人探しを依頼した場合の相場などわからない。しかし、茂さんが探偵を敬遠するのは、それだけが理由では無いように思
えた。思いつくのは警戒心だ。僕も探偵というものには近づきがたい響きを感じる。
「わかりました。じゃあ、期限は僕の夏休みが終わるまでの四日間。それで見つからなければ、悪いですが僕は探すのを断念させてもら
います。それでいいですか?」
「やってくれるのかい?」
 僕は黙って頷いた。少し間を置いて、茂さんは頼りなさげに煙を吐き出しながらいった。
「……実はもう一つ頼みがあるんだが」
「何ですか?」
「柴田めぐみには、わしが探しているということを伝えんで欲しい」
 なぜですか? と、訊こうとして止めた。柴田めぐみと茂さんの関係は不明だが、彼の名前を出した時点で今後の接触を拒否されるか
もしれない。居所をさえ掴めれば、あとは茂さんが自分のタイミングで会いにいけるのだ。
「……わかりました。なんとかします。じゃあ、またここで」

 * * *

 茂さんから教わった住所は、駅から徒歩で十五分の場所だった。住宅街とまではいかないが、少し裏手には民家が並んでいる。茂さん
の家からだと、歩いて二十分くらいであろうか。昔は僕もこの街に住んでいた。しかし、中学生のときに引っ越したので、この場所に来
るのは初めてだった。
 現場を訪れてみて、早々に問題が起きた。スナック『銀河』がすでになくなっていたのだ。もちろん、三十年も前なのだから、すでに
店がなくなっていることは予想していた。予想外だったのは、スナック『銀河』が建物ごと無くなっていたことだ。教えられた住所は、
今では大きな道路の一部となっていた。これでは、建物のオーナーや管理している不動産屋をあたる方法は使えない。
 どうするか、と周囲を見渡すと、道路を挟んだ向かい側に古びたラーメン屋があった。暖簾は綺麗だが、建物の外装はかなり汚い。時
計をみると、午後三時をまわったところだった。そういえば、今日はまだ何も食べていない。
 横断歩道を渡り、ラーメン屋の暖簾をくぐると、いらっしゃいませっ、という男女の声が響いた。調理場をL字に囲むようにして、カ
ウンター席が十五席ほどある。昼時を過ぎたせいか、客はひとりもいなかった。
「塩ラーメン大盛り」
 カウンター越しに注文する。「はいっ塩ラーメン大盛りね」と中年の男がいった。歳は四十歳くらいのようだ。慣れた手つきで、麺を
お湯の中に入れている。彼が店主なのだろう。奥さんと思われる女性は、ラーメンの器を取り出し、後は暇そうに店主の動きを眺めていた。
969 : ◆1ImvWBFMVg [sage]:2012/08/12(日) 23:29:07.22 ID:ez1SVrJF0
じゃあ予約
970 : ◆7az9zC1iQs :2012/08/12(日) 23:29:08.59 ID:27/YQd0ao
挟まってごめん予約!
971 :その命、尽きるとき(お題:女神) 5/10 ◆AWMsiz.p/TuP :2012/08/12(日) 23:29:20.13 ID:j3F87tL90
「あの」僕は奥さんに声をかけた。
「はいっ」弾けたように、奥さんが笑顔で反応する。
「ここのラーメン屋はいつくらいからやられているんですか?」
 ええと、と奥さんが口ごもる。すると店主が口を開いた。
「うちの親父が始めたのが最初なんで、五十年くらい前からやってますよ。それがなにか?」
 店主がどんぶりにスープを入れながらいった。なんとなくメニューを眺める。醤油ラーメン、塩ラーメン、味噌ラーメン、牛乳ラーメ
ン。牛乳ラーメン?
「いや、実は人を探してまして、道路挟んだ向かい側にあった店なんですけど、今日来てみたらなくなっていました。スナック『銀河』
という店なんですけど、ご存知ですか?」
「ああ、覚えてます。二十年位前かな……。そこの道路広くするってんで、ビルごと取り壊されちゃって。あそこで一杯やったお客さん
が、よくうちで締めに喰ってってくれたんですけどねえ」
「どこかに移転したんでしょうか」
「さあねえ。お前知ってるか?」
 店主が奥さんに目線を向けた。奥さんが黙って首を振る。店主は茹で上がった麺を上げながらいった。
「自分はずっとここに住んでるんですけどね。昔からあそこの道路は事故が多かったんですよ。まあ狭い道路なんで、そんなにスピード
が出てないことが多いから大きい事故は少ないんですがね。あの取り壊されたビルがちょうど目隠しになって、車も歩行者も気付きづら
くなってたんですよ。はいっ。塩ラーメン大盛りお待ちどう様」
 カウンターに塩ラーメンが置かれた。半端じゃない大盛りだった。
「いただきます」
 麺をすする。鶏と野菜の旨みがふんわりと口に広がった。旨い。チャーシューは鶏肉だ。さっぱりとした肉質が、スープに良く合う。
メンマが少し厚めに切られていて、こりこりとした食感が新鮮だった。
 そういえば、と突然奥さんが口を開いた。「事故の話で思い出したんですが、毎月、向かいの電柱におばさんがお花を持ってくるんですよ」
 僕は箸を止めた。「花?」
「ええ。昔あそこで亡くなった人がいるらしくて……。月命日だと思うんですけど、毎月二十七日に、お花を持ってくるんです」
 それを聞いて店主も何度か頷いた。
「そうだそうだ。俺がまだ小学校の五年か六年くらいだった時に、事故があって女の人が亡くなったんですよ。今から二十七、八年前の
夏ですね。当時はあの電柱の真ん前に例のビルがあったんですけど、あそこの事故で亡くなられたのは、その時だけじゃないかなあ」
 僕は携帯電話を取り出し、日付を確認した。
「二十七日というと……明日ですか」
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/08/12(日) 23:29:49.78 ID:jt57Ksiv0
よやぃ
973 :その命、尽きるとき(お題:女神) 6/10 ◆AWMsiz.p/TuP :2012/08/12(日) 23:29:57.18 ID:j3F87tL90
 ラーメン屋を出ると、僕は駅前にある図書館に向かった。スナック『銀河』のあった場所で起こった事故を調べるためだ。
 二十八年前までスナック『銀河』で働いていた柴田めぐみ。それと二十七、八年前の事故。時期が近いことで、なんらかの繋がりがあ
るような気がした。もちろん、偶然の可能性のほうが高い。しかし、どちらにしても調べておいて損はないと思った。ともすれば、事故
に会ったのが、柴田めぐみ本人という可能性もある。
 早速、二十八年前の六月二十七日の新聞を確認した。小さな記事もしっかりと目を通していくと、隅のほうに、早くも目当ての住所が
書かれた。鈴木亮介。十六歳。軽傷。運転手も軽傷。これではない。
 続いて、七月二十七日を見ていく。なかなか神経に堪える作業だった。できることなら、早く見つかって欲しいのだが。この日の新聞
に事故の記事はなかった。
 八月二十七日。同じように見ていく。事故があった。吉田豊。六十二歳。軽傷。こちらは運転手に怪我はなし。これも違った。
 次に二十八年前の九月を確認するか、それとも二十七年前の六月にするか迷って、僕は九月の新聞を見た。夏、といっていたが、九月
でも十分に暑いので、勘違いした可能性もある。
 新聞を見ていくと、例の場所で事故があった。村上咲子。四十五歳。死亡。これだ、と思った。どうやら僕の心配は杞憂に終わったら
しい。事故にあったのは柴田めぐみではなかった。ついでなので、さらに記事を読み進めてみる。『村上咲子さんは事故に合ったとき、
持っていた鞄の中に新聞紙で包んだ包丁を所持しており、彼女が何らかのトラブルに関わっていた可能性もあるとみて調べを進めている』
とそこにはあった。こちらはこちらで、なにやら物騒な話のようだ。

 * * *

 花を持った六十代の女性が現れたのは、二十七日の午後五時を少しまわった頃だった。何時に来るかわからないので、朝十時から待って
いた僕は、女性が電信柱に花を手向けた瞬間に、飛び出して握手をしたい衝動に駆られた。
 ここからが問題だ、と手を合わせている女性を物陰から眺めた。下手に話しかけて、彼女が柴田めぐみだった場合が最悪だ。探してい
ることは伝えないで欲しいと茂さんにお願いされている。
 まずは彼女が柴田めぐみではないことを確認するのが先決だ、という結論に達した。柴田めぐみであれば任務達成。そうでなければ、
偶然を装って話しかける手段を取ればいい。僕は鞄からデジタルカメラを取り出し、フラッシュ機能をオフにして目を瞑っている女性の
顔を斜め前から撮影した。すぐに隠れて様子を伺う。全く気付いていないようだった。
 しばらくしゃがんで手を合わせていた女性が、すっと立ち上がった。僕はデジタルカメラを鞄にしまい、彼女の後を追った。

 * * *
974 :その命、尽きるとき(お題:女神) 7/10 ◆AWMsiz.p/TuP :2012/08/12(日) 23:30:33.24 ID:j3F87tL90
「彼女を尾行したところ、家の表札に柴田めぐみの名前がありました」
 駄菓子屋の店先で、僕は茂さんに昨日プリントした写真を渡しながらいった。午前十時のおやつ時ということもあり、早くも小麦色の
小さなお得意さんが群がっている。
「写真の女性が柴田めぐみだと思うんですが、どうでしょうか」
「ああ、面影がある。ずいぶんと老けてしまったが間違いない」茂さんが感嘆の声を漏らした。「まさか本当に見つかるとはなあ」
「正直、運がよかったです。それだけのことです」
「恩に着るよ。これ、少ないけれど」
 茂さんはいつもの茶色い短パンのポケットに手を入れると、万札を数枚取り出した。取り出すときにポケットの裏地がちらりと見えた。
白だった。この短パン、元々は何色だったのだろう。
「いえ、それは結構です」僕は丁重に断った。「ガラスの弁償代にしてください」
「ガラスのことなら、気にせんでいいと前にも行っただろう?」
 茂さんは眉間に皺を寄せると、押し付けるようにお金を突き出した。
「いえ、子供の頃のガラス代ではなく、これからのことです」
「これから?」茂さんの眉間の溝がさらに深くなった。
「はい。今度また、ガラスを割りに行きます。だからどうか、元気でいてください。叱ってくれる相手がいないと、割り甲斐がないです」
 茂さんは、一瞬きょとんとした表情を浮かべると、ははっと吹き出すように笑った。
「馬鹿たれが。なんの反省もしとらんようだな」
 立ち上がりながら、茂さんはポケットに万札を乱暴にねじ込むと空を眺めた。僕も空に目を向けた。自然と笑みがこぼれる。綺麗な青
空だった。
「じゃあな。坊主。ありがとよ」
 茂さんは何か目標があるかのように、しっかりとした足取りで去っていた。その背中を見ながら、僕は大きく伸びをしてベンチに寝転
がった。昨日寝るのが遅かったので、少し眠い。
 茂さんは、これから柴田めぐみに会いに行くだろうか。女神様に会っていったいどうするのだろう。そういえば、柴田めぐみは女神様
というほどの美人ではなかった。まあ二十八年前はどうなのかわからないけれど。小学生がなにやら騒いでいた。明日、空き地でサッ
カーをやるらしい。そういえば、あの空き地はまだ空き地のままなのだろうか。向かいの家のひまわりは、まだ咲いているだろうか。ひ
まわりといえば、柴田めぐみはなぜあの場所に花を手向けていたのだろう。事故で亡くなった村上咲子とは、どういう関係なのか。また
あそこの塩ラーメンを食べに行きたい。きっと……。
975 :その命、尽きるとき(お題:女神) 8/10 ◆AWMsiz.p/TuP :2012/08/12(日) 23:31:09.44 ID:j3F87tL90
 喉がへばりつく感触で、僕は飛び起きた。口の中がからからになっている。全身にぐっしょりと汗がまとわりついており、脳みそは靄
がかかったようにぼやけていた。時計を確認すると、時間は十四時になっていた。茂さんと別れた後、四時間も居眠りをしていたことになる。
 のろのろと立ち上って駄菓子屋の中に入り、冷蔵庫からラムネを取り出した。最近のラムネはビンじゃないところが残念だ。プラスチ
ック容器の先端にあるビー玉を押すと、ラムネが待ってましたとばかりにしゅわしゅわと音を立てた。
「この暑いのに、よう寝れるわ」
 僕が一息つくのを待って、祖母がいった。
「たまに自分が怖い」僕は祖母の隣に腰を下ろした。
「そういえば、ここ最近、茂になんやら頼まれとっただろう」
「えっ? うん。まあ、人探し」
 答えながら、祖母は本当に耳が遠くなったのだろうか、と疑問が湧いた。
「よう知らんけれど、あの呆けの言う事を真に受けたらいかんよ。あいつは昔から調子のいいことばかりいいよる」
 僕はラムネのビー玉を、くぼみに引っ掛けずに飲んでみた。挑戦してみると、なかなか難しい。気を緩めた拍子に、ビー玉が飲み口を塞いだ。
「むかし嫁さんを見つけたときもそうさね。浮かれ腐って、転んで肥溜めに頭から突っ込みよった」
 ぶはっと僕は吹き出した。今の子供を叱る茂さんからは想像もできない。
「阿呆なんよ。あいつは。女神様を見つけた、とか野良犬にまで自慢しとってなあ」
「女神様?」
――女神様に会いたいんだ。
 ふいに茂さんの声が聞こえた。背筋が震えた。
 次の瞬間、僕は走り出していた。子供の頃、遊んだ空き地。その隣にある茂さんの家に向かって全力で走っていた。
 空き地を通り抜け、その隣の家に向かう。子供の頃ガラスを割るたびに、震えながら通った門。その表札を見て、自分の馬鹿さ加減に
腹が立った。表札には『村上』とあった。村上咲子。スナック『銀河』の前で事故死した女性。彼女は茂さんの奥さんだ。
 玄関のドアを割れんばかりの勢いで叩く。薄い扉ががたがたと揺れた。どうやら茂さんはどこかに出かけているらしい。もしかしたら、
すでに柴田めぐみに会いにいっているのかもしれない。
 僕は茂さんの家の前にあった鍵の無い自転車を乱暴に掴むと、柴田めぐみの家へと急いだ。柴田めぐみが危ない。村上咲子が茂さんの
奥さんだとわかった今、事は非常に単純だ。スナックで働く女。そこに通う夫。ナイフを持った妻。茂さんはスナック『銀河』で働く柴
田めぐみに入れ込んだ。どこまでいったのかはわからない。とにかく奥さんがナイフを持って、柴田めぐみの元に行くほどのことだ。しか
し、村上咲子はナイフを持ったまま事故に会って亡くなってしまう。茂さんは女神に謝ることすらできなくなってしまった。
 亡くなった奥さんに謝る方法を、茂さんはずっと考えていた。自身の死期が近いことを悟った茂さんの思考が、柴田めぐみの殺害に辿
りつくことは想像に難くない。亡くなった奥さんが死の直前に行おうとしていたことを受け継ぐことで、それを贖罪にしようしたのだ。
探偵に頼まなかったのも、柴田めぐみを殺した後に足がつくのを恐れたからに違いない。茂さんが捕まれば、動機を追及されることにな
り、女神の殺意が暴かれる。それは避けたかったのだ。
976 :その命、尽きるとき(お題:女神) 9/10 ◆AWMsiz.p/TuP :2012/08/12(日) 23:31:37.35 ID:j3F87tL90
 近頃の運動不足も相まって、心臓が悲鳴を上げていた。自転車も油が乾ききっているようで、僕と同じようにきいきいと嫌な音を立て
ている。勢いよくカーブを曲がったせいで、散歩中の野良猫を轢きそうになった。振り返ることなく、ごめん、と心の中で呟く。柴田め
ぐみの家まであと少しだ。ふと、公園に目がいった。通り過ぎる間際、見慣れた白と茶色が視界の端に映った。僕は慌てて、ブレーキを
引いた。自転車が金切り声を上げる。振り返ると、公園のベンチに茂さんが一人で小さく座っていた。
「茂さんっ」
 首を持ち上げるのも面倒だ、という動きで顔を上げると、茂さんは目を見開いた。
「坊主? なんでここに?」
 僕は茂さんを睨んだ。言葉は発しなかった。というよりも息が上がりすぎてしゃべれなかった。
「……お見通しっちゅうわけか」茂さんが観念したように、ポケットから果物ナイフを取り出した。剥き出しの刃が、太陽の光を反射し
て鈍く光った。血で汚れていないことに、ほっとした。
「柴田めぐみとはもう?」僕はぜえぜえ言いながら、茂さんの隣に座りながらいった。
「ちらっとな。遠くから見ただけだ。まだ会っていない」
 じわじわと太陽の光が僕等を照らした。身体の内側にある水分を奪うような暑さだ。なんとなく、茂さんは望んでそこにいるような気がした。
「坊主はわしがなんで彼女を殺そうとしたと思う?」
「亡くなった奥さんに対する謝罪のためだと思っています」
「普通は、そう考えるわな」
「だったらなぜですか?」
 茂さんは煙草を取り出して、ライターで火をつけようとしたが、途中で止めた。煙草をソフトケースに戻す。
「わしはな。たまに家で生前の咲子の服を着ている」
 あまりに突拍子も無い話で、僕は言葉を失った。なにを言い出したんだ。この人は。
「気が違ったように思うだろう。だけど、別に女装趣味ってわけじゃあない。そうしていると、生前の咲子がわしの中に宿るような、
そんな妙な安心感があるんだ」
 僕は黙って話を聞いた。蝉の声も、風の音も、少し遠くで遊ぶ子供たちのはしゃぎ声も、今は凄く遠くに感じた。
「わしが自分の死に際が近いと感じたとき、わしは不安と同時に、ふと咲子はどんな気持ちで死んでいったのかが気になった。だからわしは
事故以来始めて、妻の死んだ場所に行った。それまで、ずっとスナック『銀河』には近づかないようにしていたからな。万が一にも、柴田
めぐみには会わないようにと誓っていた。それが妻への最大限の謝罪のつもりだった。行ってみると、事故現場に花が添えられておった。
なんとなく柴田めぐみだと思った。そこで焼きが回ったわしが思いついたのが、柴田めぐみの殺害さ。柴田めぐみを殺せば、あの時の咲子
の気持ちがわかるんじゃあないか、と思った。わしの中に、咲子が宿るんじゃあないかと、そう思った。冷静になって考えれば、なぜそん
なことを考えていたのかもわからんほど、馬鹿げた話だ。だけど、あの時は、それが唯一の救いのように感じた。ついさっき実際に柴田め
ぐみを見て感じたよ。彼女を[ピーーー]ほどの理由がわしにはない。そうである以上、咲子の気持ちは一生わからない。漸く気が付いた」
「それでよかったんだと思います。殺意なんて何も生みません。例えどんな理由があったとしても」
977 :その命、尽きるとき(お題:女神) 10/10 ◆AWMsiz.p/TuP :2012/08/12(日) 23:32:09.65 ID:j3F87tL90
 茂さんは首を捻った。「そうかな。もしも、わしに殺意があれば、もしかしたら女神様に会えたかもしれない」
「殺したところで、女神様には会えませんよ。絶対に」僕ははっきりと言った。
 はは、と茂さんは自虐的に笑った。夢を夢だと否定されたような、寂しげな顔だった。
「そのとおりだな。死んだ人間に会うことなんて出来るわけが無いわな。呆けた爺の独り言だと思って忘れてくれ」
「そうじゃありません」立ち上がった茂さんを制するように、僕はいった。
「殺しても女神様に会えないというのは、そう意味ではありません。たぶんですが、茂さんの奥さんは、死の間際に人を殺そうと考えて
はいなかったんだと思います」
 茂さんが、こちらを向きなおした。眉が八の字になっている。
「あそこの地形を覚えていますか? あそこではスナック『銀河』のあったビルが目隠しになっていて、よく事故が起こっていたそうで
す。ビルが目隠しとなるのは、ビル側から横断歩道を渡ったときだけで、向かいの歩道からは見通しがよかった。奥さんもそうだと思
います。ビル側から横断歩道を渡り、事故に遭った。つまり、スナック『銀河』に向かう途中ではなく、帰る途中で事故に遭ったんです。
きっと奥さんは、思い直したのではないでしょうか。殺意をもってスナック『銀河』へ行ったけれど、思い留まったのではないでしょうか。
少なくとも殺意に動かされるままに亡くなったのではないと、僕は思います。だから、もしも茂さんが彼女を殺したとしても、きっと奥さ
んと同じ気持ちにはなれなかったと思います。女神様にも会えなかったと思います」
 話し終わっても、茂さんは何も言わず遠くを眺めていた。僕は漸く気が付いた。茂さんの目が見ていたのは、夏ではなかった。きっと
記憶の中から、どこかにいる女神様を探しているのだ。
「そうかもな。そうかもしれない。争いごとは嫌いだったから」
 だけど、と茂さんは続けた。
「もうそれを訊くこともできない」

 * * *

 茹だるような暑さの中で、僕は蝉の声を聞きながら、夏休みの最終日を満喫していた。祖母も諦めたようで、もうなにも言ってこない。
 僕は冷蔵ケースの中を覗き込み、以前食べかけしにしていたソーダ味のアイスを取り出した。食べかけは残り二本ほどあったはずだが、
一本しか見当たらない。僕はどうか見つかりませんように、と願いを込めて、冷蔵ケースの蓋を閉めた。
 二つに割ったアイスの断面はまっすぐではなく、微妙に凹凸していた。それは、片方の一部を奪い、片方に一部を奪われた溝だった。一
緒だったものが別れるということは、そういうことなのかもしれない。アイスも人も。もしかしたら蝉の鳴き声も。
 気が付いたらアイスが溶け始めていた。
「おっと」
 僕は一人呟いて、口を近づけた。しかし遅かった。
 青い粒が一滴、地面に跡を残した。それは涙のようにも見えた。
 
 完
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/12(日) 23:33:03.23 ID:Fg9PIfkpo
おつかれさまでした。余裕がありましたらまとめスレに転載もよろしくお願いします。
http://yy46.60.kg/test/read.cgi/bnsk/1344756608/

◆ihO9dxzf9Iさん投下どうぞ

投下順

◆1ImvWBFMVgさん
◆7az9zC1iQsさん
ID:jt57Ksiv0さん?
979 : ◆AWMsiz.p/TuP :2012/08/12(日) 23:33:19.46 ID:j3F87tL90
以上です。
すごく長くなってしまった上に、一部ピーになってるっていうね
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/12(日) 23:34:25.31 ID:Fg9PIfkpo
ピーはここの仕様なので、
メル蘭にsagaって入れたほうがいいですね
この後の人も
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/12(日) 23:36:14.62 ID:ICcEqNECo
ていうか次スレは?
982 :あなたの声を祈りによって聴く可能性について1/10 ◆ihO9dxzf9I [sage saga]:2012/08/12(日) 23:36:16.72 ID:30xXBl/o0
 6月25日(月)晴れ
 東北大会で三回戦負けしたチームは三年生のほとんどが引退し、川城を中心とした新体制がスタートした。T大とC大、
それぞれに推薦が決まっている岡崎さんとリュウタくんはウィンターカップまでやるつもりだという。二人とも良い人だ
しありがたい。
 5時間目をつぶして行われた東北大会の報告会にて岡崎さんは他がガチガチになっているのを余所に、センターライン
付近でドリブルしている時のような背筋を伸ばしたスタイルで壇上に立っていた。バスケ部でも岡崎さんだけは自分のこ
とばかりを考えるのではなく、他人のことをよく気にかけてくれる。他人を自分の中に取り込んだ上で、それぞれの動き
が将棋盤の上で行われているように俯瞰で見ることが出来る。そうなりたいと思って、岡崎さんのアドバイスで日記を始
めた。日記をつければ他のことに目が行き、今の自分が見えてくるらしい。今の自分?
 書いてみてもよくわからない。これから効果が出てくるんだろうか。日記を書いた後にシュート50本。
 6月26日(火)晴れ
 川城は大人しいから他の誰かが声を出さなくてはならず、声が枯れてしまった。給水しているとサエに出くわし、カラ
スみたいだね、と笑われてしまう。あいつは隣のコートから聞こえてくる俺の大声をどんな風に聞いた上でからかってき
たんだろうか。似合わないことをしてる、と思われたんだろうか。明日は大人しくしたい。
 6月27日(水)晴れ
 前々から観たかった『秒速5センチメートル』を新田から借りる。女子の気持ちがわかるらしい。体幹を鍛えながら観る。
 虫唾の走る映画だった。なんでこんなにも胸糞悪いんだろう。子供の頃に付き合ってた女子が疎遠になってやがて他の
男と、なんてよくあることだろう。それを引きずる男の方が悪い。問題はその解決方法だ。グズグズしながらも最終的に
脱却できればオーケー、なんてふざけてる。それが処方箋なんてことは初めからわかりきってるんだ。わかりきってるな
ら始めからグズグズする必要はない。確かに人間はグズグズするのが普通だ。でも、わかりきってる中でグズグズしてる
なら、グズグズしてること自体実はカッコつけてるんじゃ……こんがらがってきた。恋愛はカッコつけてやるもんじゃない。
 6月28日(木)曇り
 新田に抑えた感想を伝えていると、佐藤が首を突っ込んできた。ヤればよかったじゃない、セックスしなければ健全っ
て頭おかしい、セックスも含めて愛なんだって……中学生で処女を失った言葉は童貞二人にはキツい。素直すぎても恋愛
は上手くいかない。体幹のみ。
 6月29日(金)晴れ
 バロテッリの2ゴールでイタリアが決勝進出、爽快。ドイツに賭けていた新田から言い訳をたっぷりと聞く、爽快。ス
リーポイントが5本連続で決まった、つくづく爽快。
983 :あなたの声を祈りによって聴く可能性について2/10 ◆ihO9dxzf9I [sage saga]:2012/08/12(日) 23:37:55.83 ID:30xXBl/o0
 6月30日(土)曇り
 川城君って部長に向いてないよね、とサエが言ってきた。まだ一週間だからわからねえよ、とドリブルしながら話半分
に聞いているフリをしていると、もっと自由にプレーさせればいいのに、と川城の方をじぃっと見ながら独り言のように
言っていた。あれはなんのつもりだったんだろう。他にも色々と話したが、よく覚えていない。
 7月1日(日)雨
 今日も部活。1年の動きが良かった。早く新体制で練習試合がしたい。川城は今日もおとなしい。けれど岡崎さんもリ
ュウタ君も口を挟まないし、部員の動きも活発だ。父さんに相談してみたら、仕事が出来るヤツはいるだけで周りを動か
せるもんだ、と言っていた。サエとは時間がズレたため何も話さなかった。雨だから筋トレに勤しむ。
 7月2日(月)晴れ
 イタリア惨敗。スペイン人にあらずばサッカー選手にあらず。
 7月3日(火)雨
 おかしな夢。だだっぴろい部屋に一人でいるとサエがいる。何か言ってくる目が上から下から覗きこんでくる。向こう
が動いてるんじゃなくてこっちが動揺しているんだか。サエは誰かに連れられて行った。誰かを連れていったんだったか。
小さい子供だった覚えがある。ハレーションみたく視界が白くぼやけていく。サエは歩きながらこっちを振り返りまた何
かを言っていた。追いかけると夢から覚め、なぜかパンツが汚れていた。サエは裸だったのか? 白い肌を光に溶かしな
がら小さな天使を連れて歩いていく。そんな裸婦画を見たことがある。女神サエ? バカバカしい。
 学校でサエとはまともに話せなかった。篠原とダベっている声が耳について仕方ない。篠原が、帰りに新田も連れてド
トールに行かない、と誘ってきたが断った。サエと向かい合ってしまったら俺の見た夢も、サエに対する思いも何もかも
バレてしまいそうだし。こうして何もかも終わった後では、自分の頭の中で勝手な思い込みをやっていただけだとわかる
のに、いざ向かい合ってみると思い悩むのが面倒で仕方ない。ヤケクソにシュート100本。
 7月4日(水)晴れ時々曇り
 今週は調子が悪い。何を書いてもグチにしかならない。書いた先からこんなことを書きたいんじゃない、と思って消す、
その繰り返し。自分の考えがよくわからない。自分が他人のようにどうしようもない。ひょっとして自分も思い通りにな
らないのが普通なんじゃないか? 昨日のサエと向かい合っている時の感覚も、思い通りに行かない自分がサエによって
あぶり出されて……でもそれって、他人は所詮自分のために利用するものでしかないって考えにしかならないんじゃ。
 明日から反転攻勢。
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/12(日) 23:38:20.69 ID:Fg9PIfkpo
今、次スレたててます
985 :あなたの声を祈りによって聴く可能性について3/10 ◆ihO9dxzf9I [sage saga]:2012/08/12(日) 23:38:46.53 ID:30xXBl/o0
 7月5日(木)曇り
 練習中、高岡からよく声を出していてよろしい、と言われる。なぜか恥ずかしい。お前のために声を出してるわけじゃ
ない、なんて悪態をつきたくもなったが、高岡は良い先生だから気が引ける。高岡も他人が良く見えている人だ。父さん
がバスケの応援に来た時に高岡を評して、でかい図体で仕事が出来る人っていうのは気おくれしてなあ、いちいち圧力を
醸し出すもんだから気圧されて段々と降参するしかないと思うようになるんだ、なんて言ったことがあった。降参すると
いうより、活力をもらうといった方が近いとは思う。数学が苦手だった新田も、勉強は教師が良くないと駄目だよな、と
知ったような口を聞いていた。
 授業の質問で職員室を訪れた時、小難しいが面白い数論の話をしてくれたことがある。数学は意味がない、使えない、
だとか言われてるけど、実用性を度外視したところに生まれる価値っていうのもあるんだ、その点君は楽しく人生を送れ
るよ、とも言い添えられた。数学は好きだがそんなことは考えたこともなかった。高校数学なんて一年でマスター出来る、
なんて言っていた兄貴の薫陶を受けたおかげで今の自分が出来ているだけだ。それに楽しく人生を送れると言うが、何を
すればいいんだろう。数学に一生携わる? 教師にでもなればいいんだろうか。想像もつかない。学問もバスケも結局は
自分のためにやるものだから、そう長くはやらないだろう。もっと他人のためになることがしたい。
 7月6日(金)曇り
 昼休み、リュウタ君から食堂に誘われた。部活のことをしゃべっていると脈絡もなしに、サエちゃんとはどうよ、と訊
かれた。どうよもなにも、特にない。どんだけウブなんだよ、となじられたが、言えるものなら言いたい、だけど言った
ら何かが崩れる気がする。そんな風に返したら、お前将来サエちゃんの顔見て失望するタイプだよな、と呆れられた。リ
ュウタ君はどうやって踏ん切りつけたんすか、と訊いたが、踏ん切りなんてもんじゃねえよ、好きだから好きって言い続
けただけだ、と当たり前の答えしか返ってこなかった。
 何かが崩れる、っていうのは偽りない気持ちだ。成功しようが失敗しようが、自分が崩れる気がする。サエを一方的に
見ていることで生まれる自分が。その後の関係とかではない。結局童貞の負け惜しみか。モテる男っていうのは自分の中
で何かを考えるのではなく、常に外側(相手)に合わせ続けてこそだとリュウタ君が言っていた。そんなものなのか。
 7月7日(土)晴れのち曇り
 七夕。願い事は無難にウィンターカップ出場と書いておいた。リュウタ君にからかわれる。サエからももうちょっと大
きな願い事にしなよ、と言われた。そういえば、サエとまともに話すのは久しぶりだ。
 7月8日(日)曇り
 川城の調子がやたらと良い。岡崎さんでも止められなかった。珍しくテツや広松の指導もやっていた。部長の自覚って
やつか、とからかったつもりが、そうだねえ、と3on3を見ながら呟いていた。深く呼吸しつつ視線を固めているものだ
から、部員のプレイを見てるというより自分の考えをまとめているといった感じだった(まあ、いつも通りだ)。
986 :あなたの声を祈りによって聴く可能性について4/10 ◆ihO9dxzf9I [sage saga]:2012/08/12(日) 23:39:43.66 ID:30xXBl/o0
 その川城から、性格ってどう変えられるのかな、と訊かれた。そんなもの生まれつきだろ、どこまで行っても同じまん
まだよ、と返すと、だよな、と事もなげに言う。
 話を聞きつけた岡崎さんが、性格って生まれつきのものもあるんだけど周りとの兼ね合いで決まることもあってな、と
教えてくれた。たとえばクラスと部活の立ちふるまい方はそれぞれ違う、それだけでなく苦手な人間と好きな人間との接
し方も違う、そういう風に性格は周りと自分をかけ合わせることで決まっていく、世間ではそのギャップが嫌で「本当の
自分」なんてものを求める流れが絶えないけれど、自分っていうものが相手によって決められるからには本当も何も、ど
れも自分でしかない。川城は岡崎さんを見ながら、岡崎さんの外面のみならず中身まで見透かそうとするように視線を変
えずに話を聞いていて、面白いですね、それ、他人の数だけ多くの自分がストック出来るってことなんだから、と感心し
ていた。
 部活が終わった後岡崎さんが駅まで一緒に行こうと誘ってきた。川城もあいつなりに考えてたんすね、と言うと、あい
つはいつも考えてしかいないんじゃないか、自分がどういう立ち位置にいるか、どういう行動をすればいいか、しっかり
と見据えている、さっきの話には続きがあってな、自分の周りをしっかりと踏まえられる人はそこで空中かどこかに自分
の居場所を、絶対に崩れない自分の足場を確保出来るんだよ、それが「本当の自分」ってやつかはわからないけど、たま
にいるだろ、いついかなる時もマイペースでいられる人、川城はそういうヤツじゃないのかな、と言った。俺からすれば
そういうことを背筋を崩さずに言える岡崎さんこそ、と言いたかったが、駅に着いてしまったため途切れてしまった。
川城は良くも悪くも自分のことばかり考えている人間だと思っていたが、表立てないだけということもあるのだろうか。
 7月9日(月)晴れ
 今日でこの日記を書き始めて2週間。岡崎さんに成果はどうだ、と訊かれる。2週間ではなんとも言いようがない。モ
ヤモヤしたものを文章にしてみるとすっきりとしてくるから悪いものではないと思う。読み返してみると意外と面白いこ
とを考えていると思わないか、と来たが、まだそこまではいかない。日記を書いてて楽しいですか、と切り返してみる。
日記を書いてる間はともかく、物事が面白く見えてくるってことはあるよ、キリスト教は毎日礼拝をするけど、礼拝堂で
神の訓示やら讃美歌を声にすることで神の視点を手に入れた上で俗世の一日を迎えるんだそうだ、その点、日記を書くの
も祈りみたいなものかもしれないな、と(笑)付き。祈り。話が明後日の方に行ってやしないか。
 7月10日(火)晴れ
 来週から期末テストが始まるので部活も一週間休み。公園に行けばリングがあるから練習のしようはある。川城と1on1
に明け暮れているとテストはどうよ、と訊かれる。数学と英語はなんとかなるが現代文と歴史が危うい。川城は歴史は得
意だが数学が苦手だというので図書室で共に勉強することに決まった。九州の雨が酷いらしい。
987 :あなたの声を祈りによって聴く可能性について5/10 ◆ihO9dxzf9I [sage saga]:2012/08/12(日) 23:41:09.26 ID:30xXBl/o0
 7月11日(水)曇りのち雨
 図書室にて川城と新田と勉強しているとサエが混ぜろとやってきた。進学校に行ける頭はあっただけに教え方がうまい。
現代文は消去法で解けば良いとわかる。途中で篠原も加わって新田と騒ぎ出したので図書室から追い出された。
 雨の中ドトールへ。傘を忘れた川城の横を歩いていると、唐沢さんって優しい人だよね、困ってたらすぐに何か言って
くれるし、とサエと篠原がダベっているほうをぼんやりと見ていた。なんと返せばよかったんだろうか。そういえば、サ
エの川城に対する態度は、今日は俺とそう違うところはなかった。
 7月12日(木)雨のち曇り
 現代文の佐々木に読解力が上がる方法を訊ねにいくと、本を読めと堂々巡りに近い言葉で返される。何も分厚い本でな
くともいいのだと、村上春樹を薦めてくれた。佐々木が大学時代にハマった本らしい。170ページくらいだから三時間
程度で読めてしまったが、よくわからない。面白かった気はする。ただ、なにか引っかかる。佐々木の何かに諦めたよう
な風体は村上春樹から受け継いでいたのか。村上春樹はもうちょっと情熱めいたものが奥に潜んでいる気がする。情熱が
なければ170ページもの文章を書けない。あの黒縁メガネの奥にも何か残っているのだろうか。
 7月13日(金)曇り
 気になって仕方ないから村上春樹を机の中に忍ばせて授業を受ける。「1973年9月、この小説はそこから始まる。
入口だ。出口があればいいと思う。もしなければ、文章を書く意味なんて何もない。」この日記にも出口はあるのだろう
か。ずっと続いていく気がしてならない。それは無意味なのか? 出口が来てしまったら何もかも消えてしまう気がする。
 昼休みに読んでいるとサエに取り上げられて、うわナルシー、と投げられた。俺まで傷つけられた気分になる。こうい
うのって、ナルシシズムでしかないのだろうか。夜のニュースで九州の惨状が報じ続けられていた。濁った茶色の水に町
が浸され、家が浮島のようになっている。あんな光景が二年続けて。
 7月14日(土)晴れ
 暑くて勉強どころではない。本も映画も見る気にはなれず、兄貴が残していったCDラックを漁っていると、syrup16g
を流したくなった。今までまともに聴いたことはない。「Reborn」と「翌日」が良いと覚えている程度だ。
 声もいいし演奏もいい。歌詞が受け付けない。ひたすらネガティブを貫く姿勢はポーズだと思う。きっと絶望を突き詰
めれば希望があると信じているのだろう。それは悪いことじゃないが、いつしか絶望自体が希望になってしまう。サウン
ドも声色も、絶望の中でヌクヌクとダラけている。絶望は悪以外の何ものでもない。その先に希望があるから、なんて約
束してしまえばそれは最早絶望ではない。その先にあるものも希望ではない。偽物の絶望・希望だ。
 ほとんどの歌詞が自分で勝手に絶望と希望を繰り返している。他人によって動かされているのではない。自分だけで何
もかもに値段をつけた上で、楽そうなものにすがっている。音楽って一人で作るからこうならざるを得ないんだろうか。
耳って、自分の外で鳴る音を聴いてこそのものじゃないのか。
988 :あなたの声を祈りによって聴く可能性について6/10 ◆ihO9dxzf9I [sage saga]:2012/08/12(日) 23:41:47.86 ID:30xXBl/o0
 7月15日(日)晴れのち曇り
 サエからメール。勉強中は勘弁してくれ。最近勉強に励んでいるみたいだけど、行きたい大学でもあるの? とのこと。
考えてもいなかった。180を越えない背でバスケを続けるつもりはないから、推薦はない。今から名門に入るほどの頭
も養えないだろう。どうすればいいんだろうな、と放り出してみると、ちゃんと考えとけ、と拳のアイコンが加えられる。
 目の前のことばっかり考えて将来のことを考えないのはアンタらしい、と呆れられたが、愉しむにつけ苦しむにつけ目
の前のことに精一杯にならないと乗り越えられないんだよ。お前や岡崎さんほど他人に気が使えるわけでもない。こうし
て日記で書いてやっと今の自分が保てている有様なのに、将来なんて、と愚痴っぽい文面に嫌気がさして返信を怠る。
 もうちょっと他人に頼ってみたら? と不意に咎められる。自分のことを他人にぶちまけたところで聞いてもらえるの
だろうか。聞いてもらえたところで、わかってるわかってる、となだめられるのも違う気がする。自分のことくらい自分
で出来る。また愚痴が並べられる。じゃあ俺はどこの大学に行けばいいんだ? と頼ってみると、そういうことを言って
るんじゃない、目の前のことを少しでも他人に手伝ってもらってから生まれた余裕で将来を考えろって言ってんの、と激
怒の顔文字。ごもっともだ。本当にサエは優しい。
 7月16日(月)曇りのち晴れ
 今日からテスト。現代文と歴史に当たる。手ごたえは悪くない。難関を乗り切ればあとは悠々とした航海が続く。帰り
は公園でバスケ。途中でリュウタ君も加わったから3on3が出来た。
 7月17日(火)晴れ
 二日目は数学・物理・倫理・古文。数学以外は程々。神に関する問題にて、倫理の幡野が熱弁していたことを思い出す。
神は何でもかんでもやってくれる存在というより、人間に理解できない何もかもをやってしまう存在だと言ってしまった
方が正しい、神が起こすとされる天変地異はなんの意図もなく起こるし、それを悪とするのは人間の勝手な価値づけでし
かない、神には人間の言うところの善もないし悪もない、神とはこの世界に潜んでいる不思議と対応する、あらゆる科学
も初めのころはそうした神秘を解き明かす欲求と結びついていた、神を信じるとは不条理な世界を信じることであって、
世界を生きのびる力を養うことでもある……。
 もっとまとまっていたはずだ。うんざりせずにノートを取っておけば良かった。
 7月18日(水)晴れ
 テスト終了。結果は上々だと思う。体育館に行きたかったが、その前に幡野の許へ。神の話をしてもらおうと思ったが、
忙しかったようだ。また後で、と言いかけたところ突き放すのも癪だったのか坊主頭を掻いて、これを読書感想文のタネ
本にしてみろ、わからなかったらまた来い、と文庫本を渡された。『レヴィナスと愛の現象学』。神の話のみならず面白
い話だらけだそうだ。もっとも、哲学がわかってる人間にとっては、との前置きつき。
 放課後は自主連。広松が調子づき始めてきた。一年の中では一番うまい。だからこそ徹底的に叩く。
989 :あなたの声を祈りによって聴く可能性について7/10 ◆ihO9dxzf9I [sage saga]:2012/08/12(日) 23:42:45.40 ID:30xXBl/o0
 7月19日(木)晴れ
 広松に完勝。3ポイントのみならずドライブでも抜きまくった。帰り際にお疲れ、と声をかけると悔しそうに、お疲れ
っす、と声を振り絞っていた。部活の将来だとかそんなことを抜きにして、勝つこと自体が楽しい。見下せることの喜び
みたいなものではない。全力を振り絞った末に報われたことの喜びみたいなものとも違う。
 勝つことによって負けた方を認められる。負けた方の人間を大事な存在なんだと思えることの喜び。
 まだ言葉にはしきれないが、とにかく勝つことは楽しい。負けても意味がある、なんて言葉が甘く思えるくらいなんだ。
 7月20日(金)曇り一時雨
 『レヴィナス』を読み始める。時折意味がわからない箇所があるが、大事なことが書かれている気がする。
 初めから自分というものが存在するわけではないのだそうだ。自分は他人によって作り出される。自分があまりにも自
分の思い通りになるものだから俺は最初からいたのだと思いこんでしまうに過ぎない。とはいっても、他人もまた最初か
らいるわけでもない。自分がいないところに他人はいないのだから、自分と他人は共に生まれると言った方が正しい。
 自分と他人は持ちつ持たれつなのだが、ここで他人を自分勝手に定義してはまずい。自分のサジ加減で理解できるなら、
それは最早他人ではなく自分の想像物だ。他人は好意によっても悪意によっても捉えられないまま自分の手元から逃げて
いく。他人の代表格は神なのだという。神はこの世界を作ったけれど、何のために作ったのかわからない。神という他人
によって成り立っている自分がこの世界で生きていくには、自分の存在理由を根拠づけるために神を求めなければならな
いが神はすりぬけていく。「唯一なる神への道程には神なき宿駅がある」
 神が本当にわからないものなら、仮定することさえ出来ないんじゃないか。そこで神=この世界そのもの、とするとし
っくり来るのか。意図はわからないけれど、こうして存在する世界はある。そこからは逃げられない。
 7月21日(土)曇り
 終業式と共にテストの結果も返ってくる。赤点どころか平均点以下は二つだけ、数学はクラスで2番。高校に入ってか
ら一番良いテストだ。結果を誇らしく眺めていると、サエが後ろからのぞいてきて、やるじゃん、と言ってくれた。サエ
の成績と比べれば物の数にもならない。そう言うと、ハナから比べる対象にすらならないっての、と頭をはたかれた。
 どうにか補習をまぬかれたらしい新田もやってきて、夏休みどっかに行きてーよな、と誘ってくる。合宿もあるし、し
ばらくはバスケに集中しなければならないが、お盆ごろにはどうにかなりそうだ。
 7月22日(日)曇り時々雨
 夏休みに入ってようやく県ベスト8のR高との練習試合。川城と広松にボールを集めつつ、隙あらば外から狙っていく。
メンバーを入れ変えつつ3試合3連勝。広松は3試合すべてに出て計50ゴール、ハッパをかけた甲斐があった。やるじ
ゃん、と声をかけると、まだまだっす、とふてくされたように言うのでリュウタ君と共にからかう。おまけに高岡もアド
バイスと称した訓示をやり始め、広松は皆に笑われっぱなしだった。
990 :あなたの声を祈りによって聴く可能性について8/10 ◆ihO9dxzf9I [sage saga]:2012/08/12(日) 23:43:33.67 ID:30xXBl/o0
 7月23日(月)晴れ
 休憩中にサエから、男子はどうよ、と声をかけられる。一年のことをあれこれと話していると、ちゃんと副部長やれて
んだ、と笑った。上手くやろうとしているのは事実だが、いざ言われてみるとなんだかむず痒い。川城の調子も訊いてき
たので、いつも通り淡々としてる、と答えたら、やっぱり? 良くも悪くも変わらないからこそかえって部長に向いてる
のかなあ、と川城の方を見やると、岡崎さんと何か喋っていた。そこにリュウタ君がやってきて、微笑ましいツーショッ
トですなあ、とからかってくる。サエはそちらも最近はどうですか? と小指を立てて受け流していた。
 女子はレギュラーを占めていた三年がごっそりと辞めて土台作りの段階だ。誰でもレギュラーになれるから、練習はい
わずもがな普通に話すだけでもどこか気の置ける所があって言葉を選ぶにも気を使わざるを得ない。一度お互いの立場が
決まってしまえばやるべきことがはっきりするのだろうが、いちいち目配せをしないといけない状態は中々しんどいのだ
そうだ。まあ、その緊張感が常にあってこそ強くなれるんだろうけどね、と言ってサエはコートに戻っていった。
 7月24日(火)晴れのち曇り
 国体選抜に岡崎さんと川城が選ばれる。リュウタ君と俺も候補入りはしていたらしいが外れた。リュウタ君を先導に祝
福と腹いせを兼ねて練習後にペットボトルのシャワーをプレゼントする。納涼も出来て至れり尽くせり。
 7月25日(水)曇り一時雨
 今日からサッカーだけ先取りする形でオリンピックが始まる。なでしこはともかく男子は大丈夫だろうか。バスケを見
るつもりはあまりない。どうせアメリカが勝つに決まっている。アメリカ人は簡単そうにプレイするからつまらない。そ
んなことをリュウタ君と話していると岡崎さんも同意してきた。殊勝にも参考にすべきところはある、なんて言うと思っ
ていたが、難しそうにプレイしてる所こそ興奮できるし、参考にするにも熱狂出来ないとダメだしな、と岡崎さんは言った。
 7月26日(木)曇り時々晴れ
 なでしこは順当に勝利。練習終わりに幡野と会ったので『レヴィナス』について話す機会が出来た。色々と話したのだ
けど、幡野が唐突に変えた話題のほうが頭に残っている。
 キリスト教の復活って知っているか? ハリツケにされ死んだイエスが弟子達の前に現れたっていう話だ、これを実際
にイエスの肉体が目の前に現れた、なんて解釈するとファンタジーにしかならないし、科学的に生きている私達が関わる
必要はないんだが、復活という現象自体はありうると思うんだ、弟子達はイエスを裏切った後に復活に立ちあった、この
間彼らはイエスに対して罪の意識を背負っていたと考えるのが妥当だろう、その意識が現実に生きている中で何らかのき
っかけで喚起される、例えばまたもや誰かを裏切ってしまったとかね、そこで弟子達は頭の中にイエスを召喚するんだ、
今度こそ裏切らないために、自らを律するために、あの時果たせなかった誓いをやり直すために、復活とはこういう具合
に倫理を打ち立てる決定的瞬間として訪れると解釈したほうがいい、つまり肉体が復活するんではなくて死者の生前の在
り様が蘇ってくるわけだね、ドストエフスキーという作家は復活の問題を本気で考えていたよ。読む本がまた増えた。
991 :あなたの声を祈りによって聴く可能性について9/10 ◆ihO9dxzf9I [sage saga]:2012/08/12(日) 23:44:31.08 ID:30xXBl/o0
 7月27日(金)晴れ
 兄貴が帰ってきた。お盆は帰ってこれないからテスト前に墓参りを済ませておくのだという。月曜になったら帰ると言
うので、また俺を踏み台に数学の土台点検が行われるのかと思ったが、今回は話があっちこっちに飛んだ。
 因果律はアテにならず結果ありきで原因を措定する場合だってあるだとか、社会を分析してる連中は自分自身の分析は
全く行ってないだとか、大体自我なんてものはないんだとか、まあお前が高校でやってることなんて本当にくだらないこ
とだよだとか、輪をかけて不敵な人間になっていた。ああいう人間が学問に向いているんだろうか。
 7月28日(土)晴れのち曇り
 ベスト8のO高とベスト16のM高との合同練習試合。結果は二連勝。ベンチに下がった時広松が話しかけてきて、先
輩ってどうやって今の先輩みたくなったんすか、と訳のわからないことを訊いてくる。努力の源めいたものを訊ねてきて
いるらしい。俺よりもっと努力してる人間がいるからそれを真似してるだけだとしか言いようがない。
 7月29日(日)曇り
 今日もウチを会場に練習試合。駅で隣街まで練習試合に行くというサエに出くわした。明日の午後はオフだから遊びに
行かないかと誘われる。兄貴が帰って行った。大学に遊びに来いよ、面白い授業に誘ってやるから、どうせバレないだろ
うし、と言われた。お盆に帰ってこれない理由ってなんだったんだろう。
 7月30日(月)晴れ時々曇り
 川城や篠原も誘うのかと思ったが、二人きりだった。個人的に話したいことがあったというから期待してしまった。
でも、告白よりも厄介なことを話されたのかもしれない。
 いつものドトールで待ち合わせ。服なんて何を着ていっていいかわからないから兄貴に見繕ってもらったが、サエはボ
ーダーのタンクトップにカットソー、デニムのショートパンツなんていう、すらりとした体に見栄えのする服装でやって
きたので、そこから落ち着かなくなってしまった。
 注文もそこそこに、近頃なんかあったの、アンタ? と訊かれる。随分と気合が入っているように見えるから、ガス欠
してしまわないかと心配するんだそうだ。どこまで答えたらいいものかわからず、部活はキツいけど根詰めてるって感じ
ではないから大丈夫だよ、と言うと、将来の見通しでも立ったんじゃないかって思ってね、私たちには内緒で、とサエは
余所を向いた。目的が見つかったわけではないが、漠然とした方向性めいたものは出来かかっている気がする、ただそれ
を言ってどうなるものか、こうして書いている間もぼんやりとしているから結局、まだわからない、わかるまでの下準備
のための努力って感じかな、という曖昧な答えに留まってしまう。
 別にアンタがどこに行こうと自由なんだけど、とサエは余所を向いたまま、一人でなんでも背負っちゃうっていうか、
努力の末に一人で十分やってけるなんて思っちゃったらダメだと思うんだよね、と言う。今の女バスもそんな感じでね、
皆が皆一人でやっていこうとしてる、三年がいなくなったから私がってところなんだろうけど、そんな風にいられる人っ
992 :あなたの声を祈りによって聴く可能性について10/10 ◆ihO9dxzf9I [sage saga]:2012/08/12(日) 23:45:39.50 ID:30xXBl/o0
てマレじゃない、たとえば川城君とかね、最初から自分一人でやっていける力があるからこそ性格もそうなっていくし、
周りもそれに合わせてくれるんだろうけど、そんな力がない人間も含めた全員が自分だけで生きていったら、力がある人
も活きなくなっていくでしょ、違う? とサエはようやく顔を戻してくれた。
 もっともなことだと思う。それどころか、俺が普段考えていることに近い。そう同意すると、だよねえ、だからアンタ
も他人に頼りなよ、自分で思ってるより不器用なんだから、と指を指された。でも今にして思えば、それだけで二人きり
で話す理由になるのだろうか?
 合宿のことやお盆のこと、それから修学旅行のことなど色々と話した後、店から出て公園におもむきハンデありの1on1
をやろうと提案される。俺のペイントエリアへの侵入およびペイントエリアでのブロックは禁止。おまけにジーンズを履
いていったから動きづらくて仕方なかった。けれど11−10でギリギリ勝利。その後3セットやって一度だけ負けた。
一度だけ勝った時、サエは本当に嬉しそうにガッツポーズをしていた。
 日が暮れると、サエは駅まで送ってくれた。合宿、お互いに頑張ろうね、と手を振ってくれる。俺はうなずくことくら
いしかできなかった。一体なんと返せばよかったんだろう。俺にはサエの方が一人で背負ってしまっている気がする。サ
エは優しいから、もしかしたら川城みたいに一人でやっていける人間なのかもしれない。でもそうじゃなかった時、どん
な言葉をかければいいんだろうか……その言葉を見つけるための日記なのに何にも出てこない。
 7月31日(火)晴れ
 日記を書き始めて一ヵ月経っている。岡崎さんの言うような、他人に目が行き今の自分が見えてくる、という状態にな
れているのかはよくわからない。日記を書いたり読んだりしているとその時々の自分が別人として現れ、励ましたり悩ま
せたり叱ったり、そんな声が聞こえてくる気がする。自分の書いたものなのに気味が悪い。これと折り合いをつけられる
ものか、それとも打ち消した方がいいのか。昔よりはバカじゃなくなっていればいいんだが、それさえも危うい。
 8月1日(水)曇り
 今日も会えないと思っていたのだが、川城と帰り道を歩いているとサエと会った。英語の宿題でつまづいたため早めに
やってきたのだという。一昨日のことだけど、と言うと首を傾げられた。かといって、特別上手い言葉が見つけられたわ
けでもない。思わず話題にせずにはいられなかっただけだった。もうちょっとお前にも頼ってみようと思うよ、と言った
ものの、そう言っときながらアンタは頼ってこないじゃん、と満足の行く答えではなかったらしい。ま、お互いじっくり
と悩んでいこうよ、と笑って言われたので、重い空気にはならず自分の至らなさも和らげてもらえた気がした。
 サエと別れた後川城に何の話かと問われたので、かいつまんで説明すると、俺は他人の分まで悩むのなんて面倒だけど
なあ、と冗談めかしてから、でも他人に聞いてもらえると、それだけで自分がハッキリするってことはあるのかもな、自
分の責任感を裏付けてもらえるっていうか、と要を得ないことを言った。
 明日から静岡に合宿。バレると面倒なので日記は持っていけない。
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/08/12(日) 23:46:12.18 ID:Fg9PIfkpo
おつかれさまでした。余裕がありましたらまとめスレに転載もよろしくお願いします。
http://yy46.60.kg/test/read.cgi/bnsk/1344756608/


次スレはこちらです。以降はこちらに投下してください。
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1344782343/

では、◆1ImvWBFMVgさん投下どうぞ

投下順

◆7az9zC1iQsさん
ID:jt57Ksiv0さん?
994 : ◆ihO9dxzf9I [sage saga]:2012/08/12(日) 23:46:26.83 ID:30xXBl/o0
終わり。次の人どうぞ
995 : ◆rmqyubQICI [sage]:2012/08/12(日) 23:49:30.36 ID:wi5yN2dxo
てす。そして予約。
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/13(月) 00:01:39.22 ID:xdrjkKxn0
ここ埋めたほうが良いんかな
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 00:08:55.09 ID:3Nh1DjOWo
梅?
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 00:18:00.19 ID:TGKNQyFho
参加しようと思ったが夏の暑さにやられて書けなかった、ということにしておこう
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/13(月) 00:28:38.00 ID:CJaPDSIqo
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/13(月) 00:33:54.26 ID:kCjQ1TvPo
          
   〜  〜   
  (Φ  Φ )  
   \く /     BNSKよ!
     |д|     私は帰ってきた!
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1001 :1001 :Over 1000 Thread
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嫁宣言して60分以内に嫁AAにお断りされなければ結婚避難所 @ 2012/08/12(日) 23:55:54.70 ID:D5kMMKfJo
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気になってる部員に安価メールする。 @ 2012/08/12(日) 23:54:14.88 ID:pGCPxmPo0
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文才ないけど小説かく(実験)2 @ 2012/08/12(日) 23:39:04.25 ID:Fg9PIfkp0
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ここだけ能力者の集まる高校 さらにコンマゾロ目で異能の力に覚醒81 @ 2012/08/12(日) 23:35:04.58 ID:AUru8Jmqo
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魔法少女まどか☆ブレード Part2 @ 2012/08/12(日) 23:24:38.60 ID:VyTSlKb90
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安価で戦場を生き残る @ 2012/08/12(日) 22:24:08.52 ID:KF5VmxhZo
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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その41 @ 2012/08/12(日) 22:17:20.68 ID:MgDgJ9Dzo
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フィギュアスレ避難所 @ 2012/08/12(日) 21:45:18.82 ID:ABzidIwLo
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