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上条当麻「高確率でそげぶする」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/11/13(火) 23:49:52.05 ID:OGZxmCuX0

俺、上条当麻。
少しばかり昔には、この街の光の屈折と闘ったりしていた。
間にはいくつかの出会いがあり、時折ラブ・ロマンスだったり、当時の俺にはわからなかったかもしれないが、成長する機会、己と向き合う機会があったっていう、
そういう生き方をしていた人間だ。

これを観ているアンタがいつの時代の誰かは知らない。
だから、別に、この話は特段大声を出して語るような内容にはならないと思う。

プロットも筋書きもない、今の俺の日常録だ。気が向いたら聞いてやってくれ。
その程度でいい。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1352818191
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お姉ちゃん(15)「大きくなったら結婚してくれる?」男(7)「やだ」 @ 2020/06/05(金) 01:16:51.46 ID:KzHMXUyn0
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勇者と魔王と安価とコンマ @ 2020/06/04(木) 23:17:31.11 ID:W1jGQiIF0
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【イナズマイレブン】円堂「今日から中学生だ!」【安価】 @ 2020/06/04(木) 13:55:25.81 ID:d3ky/AYq0
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【イナズマイレブン】サッカーバトル部を作ろう【安価】 @ 2020/06/04(木) 12:16:56.92 ID:OjI06eFwO
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芳乃「立ちバナナありすって言うんですけど、」未央「橘ありすだろ」 @ 2020/06/04(木) 00:38:29.45 ID:dnUnUvtE0
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【エヴァ】アスカが影響されてるようです【ss】 @ 2020/06/03(水) 23:13:18.26 ID:Ka3mKluk0
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【ガルパン】×【古畑任三郎】 零距離射撃 @ 2020/06/03(水) 21:25:24.21 ID:s1pUPJta0
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パー速ママスレ本舗8 @ 2020/06/03(水) 19:20:06.31 ID:PXAcN5s80
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1591179606/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/11/13(火) 23:50:29.85 ID:OGZxmCuX0
#1 超電磁砲
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/11/13(火) 23:54:11.54 ID:OGZxmCuX0
御坂美琴と俺が再会したのは、あの一件から10年が経った頃だった。
出会ったのはいつかと同じ、路地裏。御坂は相変わらずの喧嘩腰で、あいつなりの正義を電気にのせて発信していたんだ。

当然のことながら人は歳を取る。
俺だって、当たり前に歳を喰って、お世辞にももう若いとは言えなくなった(もちろん、世の中の30代の人たちにそんな事言ったら怒られるけど)。

さて、どうやってこいつの状況を打開しようか、そもそも打開してあげる必要があるのか?と悩んでいたときに、向こうから声をかけられた。

「アンタ」

一言。透き通った声は相変わらずだった。俺は無言で御坂を見つめて、それから軽く首を横に振った。
「助け舟はいらないだろ」の合図。御坂は微笑して、それから、

「ねえ、ヒーローになってくれないの?」

あいつもこの数年で多少は大人になったみたいだ。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/11/13(火) 23:57:00.39 ID:OGZxmCuX0
「甘えることを学習したのか」

「ふん、別に。ちょっとそういうやり取りがしたかっただけ」

御坂は今いくつなんだろう。
たしか俺が高校生のときに中学生だったはずだから、年齢的にはもう成人しているはず。
にもかかわらずまだこの街にいることが気になった。

「ま、仕事ってことで。金、弾むよな?」

「話は後よ。別に、この程度だったら私でどうにかなるけど、アンタには貸しを作っておいたほうが得だと思うの」

二人でスキルアウトを一蹴する。
作業は一瞬だった。

今回はそんな、電撃姫との再会の話。



5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/11/14(水) 00:00:35.51 ID:nkJqv1150
俺と御坂は通りを出て、交差点の向こうにあるカフェに入った。
なんだかこうして二人っきりで話をするのもひさびさだ。

入ってすぐに注文を取る。
御坂はサンドウィッチと、コーヒーを頼んだ。俺もそれにならって同じものを注文する。

「芸がないわね。で? 私に接触してきたのはどうして?」

「理由がなかったら10年越しの再会も喜べないのか、俺たちは」

「何を喜ぶかっつーの。相変わらずね」

喧嘩越しなのはいいとしても、俺に対しての態度は少し気になった。
まあ、理由はだいたいわかっていたんだけど。

6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/11/14(水) 00:07:20.09 ID:nkJqv1150

「俺のこと、どう思ってる?」

「ああ、もう! 本当にアンタってデリカシーないわよね、昔から。急にそれなの? まだ店に入って二分も経っていないのに」

「ジョークだよ。嫌になったか」

「わかって言ってるくせに」

御坂は今だから(今だからというのは俺が成人しているからという意味で)言えること(もちろん面と向かっていえるわけじゃない)だが、非常に整った顔をしていた。
セリフを一言吐くたびに画になる。絵画の完成をいちいち目の当たりにしているみたいだった。
透明感のある透き通った瞳。抑揚があり、感情を少し内面に隠しつつも、どうにも自分が抱えている過去の問題から脱しきれていない様子。

端的にいえば、魅力的だということだ。

「なんだかなあ。なんでこんなやつのこと好きだったんだろ」

「過去形?」

「聞かないで」


7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/11/14(水) 00:12:20.35 ID:nkJqv1150
「本題に入りましょうよ」

「本題? 何が本題なんだ。こうしてカフェで有意義な時間を過ごしていることそれ自体か?」

「ねえ、その語り方。やめたほうがいいと思うわ。私ってそんなに子供?」

「そうは思わない」

「ならなおさらよ。……今は何の仕事をしているの?」

おおっぴらに言えるような仕事じゃない。
俺は言葉を濁した。

「何でも屋」

「何でも屋?」

「そう。困っている人を助けるんだ。ヒーロー。それが俺の仕事」

俺はコーヒーを一口ふくんで、視線を外に向けた。
通りには腕を組んだカップルや、何かに追われるように足早にあるく研究者、学生と思われる青年。

学園都市は相変わらず……、相変わらずだった。

「変わらないよな」

御坂は沈黙する。






8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/11/14(水) 00:19:54.88 ID:nkJqv1150
沈黙した御坂に、俺は言葉を浴びせることで対処をした。

「学園都市の暗部」

「!」

表情が一変する。
なるほど、こいつもあれから足かせを外しきれていない側の人間だったか。『暗部』というキーワードに反応する人間は多くはない。

「統括理事会とつながって、『実験』を再開している人間がいる。ミサカネットワークを全世界に展開した後の後始末か何かはわからないが、同じような実験を進めているってタレコミだ」

「まさか。あの一件は解決したはずよ」

「表向きには。だが、お前が関わった一件についても本当の目的は隠されていた。不思議な話じゃない」

「でも……」

「俺がお前に接触したのはその一件だ。力を貸してほしい。助手が必要なんだ」

御坂は訝しいといった様子で、こちらをちらちら、時折携帯電話を確認していた。
俺の話のどこまでが本当かまだ判断できないという意味だろう。

こっちの事情はまだ明かしてないのだからその反応は当然だ。












9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/11/14(水) 00:25:06.27 ID:nkJqv1150
「色々と聞きたいことがあるわ。なんで私が助手として必要なの? それに、アンタの雇い主は誰? なぜこの件に首をつっこんでるの?」

「その質問はすべて一言で解決する。『これが俺の仕事だからだ』。雇い主については今は明かせない」

「私に話したのは拒否権がないから? ねえ、そんな人だった? なんか、違う。アンタってそんな人じゃなかった」

俺は答えなかった。

「別に今ここで返事をもらいたいわけじゃない。気が向いたときに折り返してくれ。ベリーハードだよ、この案件。レベル5の頭脳とお前が持っている資本価値なしには、到底解決できない」

「嫌だと言ったら?」

「なあ、御坂。俺たちはドラマを演っているわけじゃないんだ。示された道を拒否するしないの前に、お前の中の電子の正義はもう答えを出しているだろう?」

御坂はやはり沈黙した。
嫌われるきっかけになったかと感じたが、どうやらそうでもないらしい。

「信頼は、してる」

言い聞かせるようにそう吐き捨てた。












10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2012/11/14(水) 00:28:20.73 ID:nkJqv1150
こんなかんじで投下していきます。
コンセプトはちょっと大人な禁書目録。よければおつきあいください。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage saga]:2012/11/14(水) 00:34:51.76 ID:z6obx51Zo
気体
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/14(水) 00:35:09.74 ID:ZqKRuEz20

なかなかいい雰囲気  できれば長くおつきあいさせてもらいたいです
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/14(水) 00:55:28.43 ID:7S2wSjEK0
タイトルがギャグ風味だけど
中身は真面目だったでござる…乙
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/11/14(水) 07:27:04.09 ID:q+groPTK0
どれくらいの頻度で更新するのかkwsk
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/11/14(水) 16:33:44.50 ID:U7kD3OqNo
期待
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2012/11/15(木) 00:49:36.69 ID:9MJwdkWy0
「学園都市も変わったわよね」

「そう?」

変化に疎い生物はこの街では生き残ってはいけない。10代の頃に俺が学んだ教訓だ。
幾千もの出会いの中で、誰しもが少しずつ変化していく。他者との関係性も。

俺たちの関係性も。

「街が変わったのか。それとも俺と御坂の間にあるものが変わったのか」

「それって野暮じゃない? ね、二人で最後に話した事、覚えてる?」

忘れたと伝えた。そう、と返された。
もちろん本意じゃない。


「アンタってあの頃に比べて、顔もくっきりしてるし、まあ、いわゆる、世間でいうところの……あくまで世間でいうところのよ? ……えっと」

「イケメンってやつか」

「そんな事、昔なら恥ずかしげもなく言えるような人じゃなかった」

「思ったんだけど、この会話、20代のそれじゃないよな」

「それもそうね」






17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2012/11/15(木) 00:57:58.46 ID:9MJwdkWy0
「実験、ねえ」

御坂が遠い目をしていた。
実験というのは、当時まだこの街が脳開発に躍起になっていた頃、希少価値が高いとされる超能力者(巷ではLevel5と認定されていた)を使った、
人体実験のことだ。

話が長くなってしまうのでいきさつについては省略するが、御坂は間接的にその被検体だった。
そして、同時に加害者だった。

「今でもたまに思い出すの。人間の脳みそって不思議よね。吹っ切れたって思ってたのに、何かの拍子にフラッシュバックする」

「犠牲になった妹達のこと?」

妹達という言い方をするとこれもまた語弊があるが、要は彼女の細胞を使って生み出されたクローン体だ。

「うん。理屈じゃないのね、こういうのって。今日もちょうど考えてたーーーー」

木製のテーブルに横たわった、ゴシック調のスプーンを握りながら、御坂は複雑な表情をしていた。
多分、こいつは何度も自分を責めてきたんだろう。

もちろん、あの時点からずっと、というわけではないと思う。
だけれど人間ってやつは愚かな生き物で、成長の証として過去の出来事を別角度から批評し、
時として古傷を自分で掻きむしってしまう習性があるようだ。






















18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2012/11/15(木) 01:06:01.32 ID:9MJwdkWy0
「変な事考えてないわよね」

「変な事って?」

沈黙した。
こいつは昔からよくわからないところがある。
例えば突然、何の前ぶれもなく俺に体当たりをかましてきたり、出会い頭に顔を真っ赤にして電撃を放ってきたり。
もちろんガキだったからって理由もあるかもしれないけど、俺にはよくわからない。

「ああ、安心してくれ。これをネタにどうこうとか、そういうのじゃない。そんなに信頼ないか? 俺」

「そうじゃなくって……」

急にもじもじと動き出す。
わからない。

「私、モテるんだから」

「それはよかった」

「……」


会話はそれ以上続かなかった。











19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2012/11/15(木) 01:11:05.44 ID:9MJwdkWy0
御坂と別れて、俺は学園都市の郊外にあるアパートに戻った。
家賃はそこそこ。世間的にみたら、無能力者の俺が右手の力を抜きにして考えたところも差し引くと、まあ妥当な物件だろう。

アパートの鍵はあいていた。
俺に同居人はいない。

こういうときは決まってアイツの出番だ。

「……土御門」

「んにゃ」

相変わらずとぼけた様子で、窓際に立つ黒い影があった。

当時はアロハシャツにサングラスがこいつのトレードマークだったのだが、今は少しイメージ・チェンジを計ったようで、
黒のロングコートにサングラスなしの素顔がデフォルト仕様。

パッと観た感じはまるで西洋のマフィアみたいだった。
いつも思うのだが、気配を消して人の家に上がり込むのはやめてほしい。

「合鍵は破棄してくれって言っただろ」

「別に破棄してもよかったんだけどにゃー。一応、クライアントは俺だし」

資本の論理でせめて来る。昔からそういうやつだった。





















20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2012/11/15(木) 01:19:43.99 ID:9MJwdkWy0
「超電磁砲とは接触したのか」

「なあ、その固有名詞はやめてやってくれよ。御坂美琴。ちゃんと名前がある」

「悪いけど興味の対象外だぜい。で? 成果は?」

仕事の話になるとペースがあがるのがこいつの悪いくせだ。
客の仲介には手数料を取っていないという。

だからといって、嫌いじゃないんだけど。

「会ってきたよ。元気そうだった」

「そりゃ結構。助手には向かなそうだが」

「何事も、使う側の問題だよ。プロデューサーは黙って結果だけ観てくれたらいい。そうだろ」

「さすがカミやん。頼りになる」

どうだか。社交辞令じみたやり取りに少し気だるさを感じる。

「このアパート、色々と穴だらけだぜ。合鍵なんかなくたって俺なら一分で全部の部屋の鍵を外せる」

「セキュリティ面でそんなに苦労していないんだよ。取られて困るようなものもない」

「だけどカミやん、この案件、失敗したら俺たちの一番大事なものを取られるんだぜ」

そんなことは分かっていた。
お互いの利害が一致しているのは自明だった。

できることならこういう仲で仕事はしたくなかったということが本音だ。
友人同士で金銭のやり取りをするしないの前に、土御門は俺の親友だし、
こんなギリギリのラインで仕事をするような関係性になるはずじゃなかった。

「やっこさんはもう動いてる。『実験』を阻止できなかった場合は想定していない。
 なぜなら、その時点で俺たちはゲームオーバーだからだ」

「なあ、お前が暗部から足を洗わないのはなぜだ? 一旦は解散したって話じゃないか。
 あいつの……『一方通行』のおかげで」

「わかってないな」

土御門は両手を広げて演説する。




21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2012/11/15(木) 01:27:33.08 ID:9MJwdkWy0
「闇を世の中からなくしたら、光に満ちた世界がそこに広がるわけじゃない。
 影のないところに光は生まれないんだよ。いくら表向きに闇を圧迫したところで、
 それですべてが解決すると思ったら大間違いだ。抑圧された闇はまた別のところで闇を生む。
 そうやって世の中の……少なくとも資本は動いている」

そうじゃない。そんなことは俺もわかっている。俺が言いたいのはそこにお前がいる必要があるのかってことだ。
しかし言いかけた言葉を読み切って、学園都市でも有数に頭のキレる俺の親友はこう言った。

「大事なことは、バランスを取ること。ところがこいつが、誰にでもできることじゃない。
 光と闇をパラレルに生き抜くにはそれなりのスキルってのが必要なのさ。もちろん俺じゃなくてもいいかもしれない。
 だけどなカミやん、今のところそいつをこなせるのはこの街で俺だけなんだよ」

「自己犠牲じゃないか。妹は……舞夏はもう、弱みとして握られているわけじゃないんだろ」

「言わせるなよ、カミやん。もっとシンプルだ。『これが俺の仕事だからだ』。後はわかるはずだぜ」


部屋には秋の風が舞い込んで、少し肌寒さを感じる。
土御門が経験してきた裏の顔について、俺は言葉で少し温度を共有しただけに過ぎなかった。
これ以上は野暮だ。


22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2012/11/15(木) 02:41:23.73 ID:9MJwdkWy0
筆がのらないのでここまで。
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/11/15(木) 06:49:35.19 ID:JK+ArBCLo
乙でした
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/16(金) 00:29:29.75 ID:Uq8RMOqIO
面白いなー乙
25 :1です [saga]:2012/11/22(木) 03:12:21.69 ID:7PbGDZeIO
引越しでまだネットがつながっていないのでしばしお待ちを。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/11/22(木) 05:30:41.93 ID:8HjqXD2Fo
ゆっくりでおけおけ
待ってる
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/05(水) 07:05:47.69 ID:Nw7Sp6l80
土御門は窓際から離れると、貧相なチェアに腰をかけた。机を二度ノックして、座れよの合図。
長くなりそうだった。

俺はやはり着ていたコートを脱ぎ捨て、同じく腰をかける。対面したときの土御門の表情には、懐かしい色が灯っていた。

「10年だ」

即座にあの頃の記憶が呼び起こされる。そう、10年だ。
一般的に10年という歳月から連想されるものはなんだろうか。その数字に根拠があるわけでもないのに、人は区切りとして認識する。
俺たちもそういう人間だった。

「あの頃はまだ、科学と魔術の対立ーーーもっといえば、大きなうねりの最中だったよな」
「ああ。オレもカミやんもその表舞台に、……いや、俺は裏方だったが」

昔からこいつは物陰に潜む術に長けていた。
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/05(水) 07:17:32.30 ID:Nw7Sp6l80
「オレもガキだったが、カミやん、アンタはもっとガキだった。失ったものもあっただろう。
 だけれど、その多くは回収できたはず。これまでは」
「これ、までは」

リフレインする。大概において、少年時代のなくしものは後で取り戻せたり、もともと必要のなかったものだったりする。

「だけどこれからはそうじゃない。オレたちはもう巣立たなきゃいけないんだ。失敗は、許されない。今度こそ」
「今までだって失敗は許されなかった。なあ、暗部に俺を招くのに、抵抗はなかったのか」
「人聞きの悪い。親友に向けて吐ける台詞じゃないな」

もちろんジョークだ。

「別に……、悪く言ったつもりはないよ。それに加担する理由もある」
「それはかつてのヒーローとしての台詞か? それとも、『こちら側』の人間としての台詞?」
「俺はヒーローなんかじゃない。前にも言わなかったか。手の届く範囲は俺の世界なんだ。
 そこで立ちすくんでいるやつをひっぱりあげたいだけさ。ただの性分だ。それ以上でもそれ以下でもない。
 俺の右手で壊せるものは、高確率でぶち壊す。お前が俺を引っ張ったのは、それが理由じゃないのか」
「少し違う」

なんだ、こいつまだつっかかってくるのかよ。
俺はため息をついてげんなりする。

「カミやんは親友だにゃー。よくある話だぜい、『友人の紹介』ってやつ」
「はぐらかすなよ。前から聞いておきたかったんだ」
「なあカミやん。大事なのは、ここにいる理由より、何かをする理由じゃないのか。不安定で、立ち位置が定まらないのはわかる。
 でも、もう後戻りできないんだ。動き出してる。オレも、ヤツらも、多分、カミやんの心も」

わかっている。土御門は俺を暗部の仕事に誘うとき、しっかりと事前に説明をしていた。
それでもなお、俺は引き受けた。闇に足を踏み入れたのだ。

昔の俺ならどうしただろうとふと考える。
もっと大雑把に動いたかもしれない。10年の歳月は、俺をどう変えたのか、まだわからなかった。




29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/05(水) 07:24:39.60 ID:Nw7Sp6l80
「超電磁砲は返事待ちか」
「ああ」

次にはもう立ち上がっていた。気配がしない。たったこれだけの動作で、こちらの世界でのキャリアを彷彿させる。
なるほど、重宝されるはずだ。

「といっても、まあ、99パーセントはやってくれるさ。御坂はああみえて責任感が強いんだ。
 残りの1%は、10年の歳月のせいにしてくれ。その場合は別のやり方で動く。リスクが増えちまうけどな」
「1%はどうするんだ、と言いたかったが、まあ、そこの読みはオレと一緒だな。
 やっこさんから連絡が来たらすぐにオレにつないでくれ。まずは顔合わせ、次に仕事の内容の説明だ。
 まだカミやんに話していないこともある」
「おい」
「ヘーキだって。オレはリスク主義だ。危ない橋は渡らせても、失敗はさせないさ」

ずいぶんと人任せな主義主張だな、と思ったときには、土御門はドアの外にいた。
ドア越しに、「御坂美琴は、オトコができてないといいな」などと、よくわからない台詞を吐き捨てて。

部屋に一人になる。
俺は使い古したカップを取り出して、中にインスタントのコーヒーを入れた。

さて、思考の時間だ。
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/05(水) 12:34:04.97 ID:ZwmSTv34o
来てましたか。
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/08(土) 22:24:07.33 ID:W6zhBiVV0
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/15(土) 05:34:14.80 ID:Z7/zYIySo
状況についてはそろそろ、これを読んでいるアンタも把握したと思う。

そう、俺は他愛ない事情によって暗部に堕ちることとなった。

当時の俺からしたら考えられないような事態だ。
この組織群が行っていることの何もかもが、俺の中の図太いスジみたいものを真っ二つに割るようなことばかりだった。

土御門が在籍していたことについては特段の感想はなかった。せいぜい春の並木道で突風がこちらに吹いて来た程度の認識だ。

冷たいと言われたらそれまでだけど、俺はこう見えても義理とか人情とかは大切にするように教育されてきてはいる。

目的はいくつかある。それはこれを読んでいるアンタにもそのうちわかっていくだろう。

土御門は、闇を光りで抑えても無駄だと言った。今の俺は、あいつの言い分とは少し違う角度からの発言になってしまうが、概ね同感だ。


じゃあどうするか。

決まっている。

闇を以て闇を制する。抑圧なんてしない。この俺の右手が生きている限り、この街で好き勝手やっている黒い奴らを片っ端から攻撃する。

10年前と違うのは、それがビジネスになっているかいないかの差だけだ。
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/15(土) 05:36:59.65 ID:Z7/zYIySo
「何でも屋」

そう、何でも屋。影の組織に生きるスイーパーだ。

ああは言ったが、御坂の協力をもってすれば、この案件の解決は容易いだろう。

問題はその後の話。さて、真面目なあいつがどう出るか。

結局その日、俺は一睡もできなかった。
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/27(木) 07:03:25.22 ID:t9kuAmI/0
次の朝、俺は起きるとすぐに身支度を整え、外に出た。
学園都市の朝はいつだってまぶしい。俺は自分に対して光を失ったという自覚はないが、いかんせん生活習慣がそちら側に移行してきているようだ。
土御門との一件はとりあえず置いておいた。

次にコンタクトを取らなければならない人物がいるからだ。

はっきりいって得意な相手でもないし、どちらかというと苦手なタイプの人間だ。
出会いは多分これを読んでいるアンタが知らないところだと思う。特にそのことについて記載するつもりはない。
大切なのは、今のこの状況だからだ。

学区と学区の合間にある、小さな事務所。
くたびれたコンクリートが路地を支配し、中央にまたがるやはりくたびれた扉。

俺はチャイムを鳴らす。すると、くぐもった声の男が応対してきた。


「上条だ。話は通してある」
「……、客です」


小声でやり取りが聞こえる。俺はドアをあけて、オフィスに入った。










35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/27(木) 07:09:32.68 ID:t9kuAmI/0
「よう。楽にしろよ」

会話の主は少し派手なスーツを来た、金髪の男。
とはいっても土御門ではない。名前は、

「垣根帝督。今の本業は総会屋か」

俺の言葉に反応して周囲の人間が詰め寄ってくる。垣根はそれを観て軽く笑うと、持っていた灰皿を床に置いた。
あまりにも自然すぎて気付かなかったのだが、地面に人間が一体、頭から血を流して倒れている。
どうやらそういうことらしい。

なるほど。

「まあ違いはねえ。おい」

一言の合図で、人が処理されていった。

「吸うか」
「いや、俺はいい」

ふん、と鼻を鳴らせて座る。俺は警戒を怠ることなく、垣根の対面に座った。
ヤクザとはいえ、それなりに筋は通している方と聴いている。


「ここに来るやつには二種類いてな。テメェみたいな『仕事』を取りに来る奴か、『金』を取りに来る奴か。
 どちらにせよ俺にできることはそんなにねえ。向かい合った野郎の頭を縦にふらすか横にふらすか、あるいは、頭をぶちまけることくらいだ」
「高圧的なのは構わないが、俺はその程度じゃ特に何も感じない」
「いいね」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/27(木) 11:49:25.65 ID:J2jIPKXMo
期待期待
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/12(土) 03:55:10.27 ID:xQnjRU8SO
いいな 乙
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/31(木) 00:19:48.37 ID:zJue4lUD0
乙  コンセプト通りの感じだね 期待
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 03:56:37.11 ID:ywrXhDx2o
1です。ちょっと仕事が忙しくて更新遅れてます。ちびちび書くつもりなのでお暇なときにでものぞいてやってください。
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/06(水) 10:36:28.62 ID:xpPgVaIto
りょうかい
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 21:33:03.59 ID:r+r85Vwn0
承知之助
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/17(日) 09:57:59.20 ID:tenSkPNW0
「用件を聞いていなかったな、幻想殺し。語れよ。手短にな」
「たいした話じゃない。聞きたいのは『実験』についてだ」

 ぴく、と耳元が動くのを確認する。垣根帝督は未だその異様なまでの暴力性を身にまとっていたが、彼の周囲の空気が少しだけ揺れるのを知覚した。

「土御門元晴か。動いているのは」
「さすが察しがいい。俺とアイツは昔から腐れ縁なんだ。実行部隊が俺、アイツは裏方。
 アンタがこの街の闇の中心に極めて近い所にいることは俺もアイツもよく知ってる。コネも、俺たちにないものをいくらでも持ってる」

 垣根帝督は灰皿をにらみ、しばらく動かなかった。部下であろう男たちが周りをうろいついている。
 俺は垣根の反応を待った。
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/21(木) 23:13:18.96 ID:elseQN0F0
乙ー
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/03/07(木) 03:07:33.61 ID:aq6rRISl0
「商売上、俺は特別なつながりをこの街に持っている。統括理事会がこの街に残していった『闇』について、色々とな。
 あいつらは俺たちをおもちゃにしていたんだ。遊んだら、片付けなくちゃいけねえ。だが、それを放棄した。
 その結果としてこの街には新たな『闇』がはびこるようになった」

「その『闇』に俺たちは、利害関係っていう名前をつけることができる。カネとコネ、保身と欲望が支配する街の底。
 だが、なんだってそこにテメェみたいな『光』側の人間が迷いこんだ?
 ヒーローにでもなったつもりか」

「俺はヒーローなんかじゃない」


 視線を垣根帝督に合わせることはできなかった。


「なら何だっていうんだ。俺が昔、ムカついてたアイツに、似てきているぜ。テメェの面」

「一方通行のことか」

「ふん。今はその影すら見ることもできねえが。……『実験』という言葉を使ったな。
 相当数噛んでいると判断する。間違いはねえな?」

「どうだか。うちの裏方がネタをバラしてくれないんだ。いつだって苦労するのは現場の人間さ」

「くくっ、闇に堕ちて少し自嘲的になったか。テメェのニヒルな部分は嫌いじゃないぜ」

 
 垣根帝督は、当時(といっても実際に出会ったのはこの街から統括理事会が引き上げた後になる)の印象としては少しスれた少年、という印象だった。
 不良少年が、この街に少し毒された程度の印象。瞳に映る影のようなものが特徴的で、俺は特段それ以上の何も感じなかった。

 だが、今は違う。この男がまとっているのは漆黒の泥のようなものだった。底の知れない沼のような印象だった。










45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/03/07(木) 03:22:22.79 ID:aq6rRISlo
「まったく、今日び人身売買なんざ珍しいことじゃねえが。いつだって『大人』の考えることは子ども以上にガキだよな。
 俺もテメェも被害者だ。いや、全員、あのときこの街にいたやつらは被害者だ。
 俺がこの組を仕切るようになった理由はな、上条。そういう『大人』に一泡ふかせてやるためさ」

「ついでに、逃げ込んだアレイスターのしっぽをつかめる可能性があるから、だろ」

「そりゃあオマケみたいなもんさ。本当だぜ。もう交渉権に興味はねえんだ、これは本心からな。
 そうか、
 ……ふむ。いいだろう。相手方の『大人』はちょうどシマの交渉に決裂したところだった。
 貸すぜ。だが、テメェが先陣をきることが条件だ。うちの兵隊も人手に困っているわけじゃねえんだが」

「アンタのとこの兵隊さんなんかより、俺の方が確実さ」

「言うね。気に入った。バックアップは任せろ。後はテメェの好きにすればいい。ぶっつぶした後始末はうちでやってやる」

 こうして俺たち大人は、『大人』に対して共同戦線とまではいかなくても、協力体制を整えることになった。
 アンタが知っているこの街とはやっぱり違うと思う。

 これから話すことも。

 今回の話において『実験』自体にそんな価値はない。もちろんそれはこれを読んでいるアンタが決めてくれたらいいことだけれど。
 
 
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 21:08:29.57 ID:+B68jLyJ0
きれいなていとくんもいいけど初期のチンピラ風が好きなんだよな
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/04/29(月) 23:08:20.24 ID:wEWBQiFS0
上条さん静かなのに存在感ある  
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/04(土) 16:09:37.78 ID:p1Rq4c1y0
そろそろだろうか
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