らき☆すたSSスレ 〜そろそろ二期の噂はでないのかね〜

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2013/02/11(月) 19:07:56.21 ID:W145K4B60
ここは「らき☆すた」のSSスレです。

・どんなジャンルでもどんどん投下したまへ〜 by こなた
・でも、他所からの作品の無断転載は絶対ダメよ! by かがみ
・あとね、あんまりえっちなのはちょっと恥ずかしいから遠慮してほしいな by つかさ
・メール欄に「saga」と入力するとこの板特有のフィルターを回避できます。「sage」ではありませんよ。
 代表的な例が「高良」です……よろしくお願いしますね by みゆき
・長編作品はタイトルをつけてもらえるとまとめるときとかに助かります! by ゆたか
・それと、できればジャンルを明記するようにしてほしいの。
 特定のジャンルが苦手な人もいると思うから…… by あやの
・パロディとかクロスオーバーとかもおっけーだけど、
 あんまり度が過ぎると他の人に引かれっから気をつけろよなー by みさお
・シラない人へのハイリョがアればgoodネー byパティ
・初めてでもよっしゃーいっちょ書いたろかって人大歓迎するでー by ななこ
・まとめてくれる人募集中です……そして、現在のまとめ人には感謝してます…… by みなみ
・お題を出せば書いてくれる職人さんもいるっス。ネタのため……
 いや、いろんなお話を読んでみたいんで、いいお題があったら書いてみてください! by ひより
・そしてそして、SSだけじゃなくて自作の絵もOK!
 投下された絵は美術室に展示されるからジャンジャン描くべしっ! by こう
・注意! 荒らしへの反応は絶対ダメ。反応する悪い子は逮捕だ! by ゆい


(避難所)
 
 避難所は休止中(再開の見込みは今の所ありません) 

(まとめサイト)
 http://www34.atwiki.jp/luckystar-ss/

(SSスレ用画像掲示板)
 http://www.sweetnote.com/site/luckystar/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1360577276
2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/11(月) 19:30:55.31 ID:PL0Oeqr7o
こんなスレが存在してたこと自体今知ったよあたしゃ
3 :ひよりの旅 39/112 [saga sage]:2013/02/11(月) 20:16:47.10 ID:W145K4B60
前スレ続きです。

ゆたか「コンちゃんの教育係?」
私は頷いた。ゆーちゃんの話が終わると今度は私が今までの経緯を話した。ゆーちゃんは食い入るように私の話しを聞いていた。
ひより「昨日行ってきたけど……まぁ、子供と言うのか、笑っちゃうくらい」
ゆたか「そ、そうなんだ……」
ゆーちゃんは少し寂しそうな顔になった。
ひより「ん、どうしたの?」
ゆたか「え、あっ……佐々木さんは私にコンちゃんの話しはしなかったから……私ってまだ子供なのかな……」
ゆーちゃんがこんな事言うなんて……ゆーちゃんも教育係をしたかったのだろうか。
ひより「そうかな、佐々木さんは私にゆーちゃん程詳しく自分達の話しをしてくれなかったから……同じじゃないかな?」
ゆーちゃんはあまり納得していなかった様子だった。私は話しを続けた。
ひより「それで今度、柊家に彼を連れて行く」
やたか「えぇ、それって、正体を話しちゃうって事、だ、ダメだよ」
身を乗り出して迫ってきた。
ひより「い、いや、そうじゃなくて、まばぶさんがまつりさんにお礼を言いたいって言うから……勿論、正体なんかばらすつもりは無いよ、いきなりコンはお稲荷さんで、
    人間に化けて来ましたよ、なんて言ったって信じてくれるわけ無いから」
ゆーちゃんは私から離れてホッと胸を撫で下ろした。
ゆたか「そうした方が良いよ……まつりさんにお礼……もしかして、コンちゃんは……まつりさんの事……」
ひより「そうだね、愛している……とは言えないけど、少なくとも好意は持っていると思う、殆どまつりさんが世話をしたって言うから、当然と言えば当然だね」
ゆたか「……そ、そうなんだ……ねぇ、ひよりちゃん……」
今度は改まって私に迫ってきた。だけど目は私を見ていない。言い難い話しなのかな。
ゆたか「うんん、何でもない……なんでもない……まなぶさんとまつりさん……か……うまく行くと良いね」
何を言おうとしたのだろう。少し気になるけど……今は考えるのは止めよう。
ひより「ふふ、ダメダメ、きっとまつりさんの好みじゃないと思うよ」
ゆたか「そんな事ないよ、きっとうまくいくよ!!」
珍しく私のおふざけに食いついてきた。もちろんまつりさんの男性の好みなんて知らない。適当にふざけただけだった。それなのにこの食いつき様は……
これはゆーちゃんも私と同じような状況にあると思って良い。
『よし!』
頭の中で気合を入れた。
ひより「もしかして、ゆーちゃんも誰かと誰かをくっ付けたい、なんて思っていない?」
ゆたか「えっ!?」
ゆーちゃんの表情が固まった。図星だ。この状況から察するに答えは自ずと導き出される。
ひより「ズバリそれは、佐々木さんといのりさん……」
ゆたか「え、え〜ど、ど、どうしてそれを……」
動揺してどもってしまうゆーちゃん、やっぱりゆーちゃんは嘘を付けない。ちょっとだけホッとした。
ひより「佐々木さんがコンを引き取りに来た時、佐々木さんといのりさんが良い雰囲気だったのを思い出したから、もしかしたらと思ったのだけどね」
暫くするとゆーちゃんは納得したように落ち着きを取り戻した。
ゆたか「ひよりちゃん凄い……あの時そこまで気が付かなかった、鋭い洞察力だね」
ゆーちゃんにまで同じ様に褒められるとは。流石に照れてしまう。
ひより「それで、お二人はどこまで進んでいるのかな〜?」
調子に乗った私はまたちょっとふざけ気味になった。ゆーちゃんの顔が曇った。
ゆたか「私がいのりさんに整体院を教えてから何度か通うようになって……」
いのりさんが整体院に通う……見た所身体が悪そうに見えないけど……好きになると通いたくなるものなのかな〜
整体師と巫女の恋物語……う〜ん、ちょっといやらしいかな、いや、そう思う私がいやらしいのかもしれない……でも、もっと良い題名付けられないかな……
ゆたか「ひよりちゃん……聞いている?」
ゆーちゃんの声に我に返った。
ひより「は、はい、 なんでしょうか、佐々木さんが通うようになった……はい、次お願いします」
ゆーちゃんは頬を膨らませて怒った。
ゆたか「やっぱり聞いてない……」
やばい、やばい、妄想が止まらなくなってしまう。いつもの癖が出てしまった。私はゆーちゃんを見て集中した。
ゆたか「……いのりさんが佐々木さんに好意を持っているのは私もそこで分ったのだけど……佐々木さんの方がいのりさんを避けているような感じがする……
    何とかしたいのだけど、私の力ではどうする事も出来ない……何か良い考えがないかな……」
4 :ひよりの旅 40/112 [saga sage]:2013/02/11(月) 20:18:31.09 ID:W145K4B60
ひより「う〜ん」
両手を組んで考え込んだ。これは難題だ。そもそも恋愛は私の得意分野ではない。いや、そもそもこうすればこうなるみたいな方程式なんか無い。
それが恋愛……
まなぶとまつりさんも同じ。それはつかさ先輩と相手のお稲荷さんも然り。
ひより「ごめん、私もそれに関しては全くのノーアイデア」
ゆーちゃんは沈んだ顔になった。もしかして、ゆーちゃんはこの恋愛の為に私の記憶を消したのかもしれない。
そうだ、そうに違いない。それしか考え付かない。自分だけで解決したい……そうか。無理しちゃって……
ひより「まなぶとまつりさんを会わせてそのまままつりさんがまなぶを好きになってくれれば私は何もする事がない、でもそう簡単にはいかないと私も思っている、
    こうして片足を突っ込んだからには何とかしないと、お互いにね、ゆーちゃんもそう思っているでしょ?」
ゆたか「それじゃ……ひよりちゃんも?」
ひより「恋って他人がどうこうするものじゃないって言うのは認識しているけど、相手がお稲荷さんだとやっぱり放っておけない」
ゆーちゃんは当然と言わんばかりに相槌を打った。
ゆたか「このまま私はいのりさんと佐々木さんを担当するから、ひよりちゃんはまつりさんとコンちゃんをお願い」
ひより「うん」
さて、ゆーちゃんと話してほぼ目的を果たした。でも、もう一つ決めておかないといけない事がある。
ひより「……みなみちゃんにはどうやって説明するか、それが問題だね」
突然ゆーちゃんの顔が豹変した。
ゆたか「みなみちゃ……みなみには話す必要なんかないよ」
ひより「へ?」
私は呆気にとられた。どう言うことなんだ?
ゆたか「ひよりちゃん、この話しはみなみに話したらダメだから、約束して」
いつになく強い口調だった。
ひより「……約束するのは構わないけど、みなみちゃんと何かあったの」
ゆたか「ひよりちゃんには関係ない事だから……」
言葉のトーンが少し下がった様な気がした。関係ないと言われても関係ないはずはない。
ひより「もしかして、喧嘩でもしたのかな」
ゆたか「もうその話しは止めて!」
ひより「う、うん、もう話さないよ」
また強い口調になった。どうやら喧嘩をしたのは確かなようだ……そういえば泉先輩を見送った後、かがみ先輩がそんな話しをしたっけ。
私には気が付かなかったけど、かがみ先輩の方が私より鋭い目を持っているのかもしれない。
喧嘩とはまた厄介な問題だ。
ゆーちゃんはああ見えて一途な面をもっている。みなみちゃんはちょっと言葉足らずな所があるから今まで喧嘩をしなかったのが不思議だったのかもしれない。
やれやれ、これも私がなんとかしないとならいみたいだ。
ゆたか「あっ、もうこんな時間、もう遅いし、夕ご飯を食べていかない?」
いつものゆーちゃんに戻った。
ひより「え、私は……」
ゆたか「遠慮しないで、いつも二人で寂しいから、おじさんもきっと喜ぶし、ね」
ひより「……それではお言葉に甘えまして……」
なんだろう、ゆーちゃんにこんな二面性があったなんて、これもツンデレの一種なのだろうか。いや、みなみちゃんと何があったからかもしれない。
でも喧嘩なんてどっちもどっちって落ちが殆どだし……
取り敢えずまなぶと会う前にみなみちゃんに会う必要がありそう。

 夕食はゆーちゃんとおじさんを含めた三人で食べた。おじさんは泉先輩の話しかしなかった。ゆーちゃんは何故かつかさ先輩の話しが中心になっていた。
その合間を縫うように私は雑談をした。やっぱりなんだかんだ言って泉先輩が抜けたのはこの家にとって大きな出来事だったのだろう。
そんな気がしてならなかった。
話しは長くなりすっかり夜も遅くなってしまった。おじさんの車でゆーちゃんが家まで送ってくれると言うので送ってもらう事になった。

5 :ひよりの旅 41/112 [saga sage]:2013/02/11(月) 20:19:25.02 ID:W145K4B60
ひより「家に連絡をとって兄に迎えに来てもらうよ」
ゆたか「うんん、引き止めたのは私だし、気にしないで」
ゆーちゃんは車のロックを解いた。
ゆたか「どうぞ」
私は助手席に乗った。そういえばゆーちゃんの車の運転は初めてだった。ゆーちゃんは運転席に乗りシートベルトを締めた。ゆーちゃんは私の方をじっと見つめた。
ひより「はい?」
ゆたか「シートベルト」
ひより「あ、そうだった」
私はシートベルトを締めた。その瞬間、ゆーちゃんの目つきが鋭くなった。道路の向こうの一点を凝視する目、獲物を狙う猛禽類そのものだった。
ひより「え、な、何?」
戸惑う私を尻目にゆーちゃんはサイドブレーキに手をかけた。
ゆたか「いくよ!!」
『ヴォン!!』
エンジンが爆音を上げた。
嗚呼……ゆーちゃんは成実さんと同じ血が流れているのを忘れていた。隣に座っているのは紛れもなく成実さんの妹であった。
その後の私はゆーちゃんのドライブテクニックを嫌と言うほど味わう事となった。

 数日後私はみなみちゃんに連絡を取った。するとみなみちゃんの方から私の家に出向くと言ってきた。私はすぐに了承をした。

6 :ひよりの旅 42/112 [saga sage]:2013/02/11(月) 20:20:22.01 ID:W145K4B60
 さて、みなみちゃんを呼んだのは良いけどどうやって話せば……
ゆーちゃんは昨日の話しはするなと言う。曲がりなりにも約束をしたからにはうかつには話せない。
みなみ「急用は何?」
ひより「え、えっと……」
ここに来て口篭る。みなみちゃんはゆーちゃんと一緒に居たから気兼ねなく話せたけど、こうして二人きりだと話しのペースが掴めない。
どうやって切り出すか。みなみちゃんはまごまごしている私を不思議そうに見ていた。ここ単刀直入にいくしかなさそうだ。
ひより「最近、ゆーちゃんと喧嘩していない?」
みなみ「ゆたかと……喧嘩」
復唱するとそのまま黙ってしまった。ゆーちゃんと違って表情からは何も分らない。
ひより「泉先輩の引越しの見送りに来なかったでしょ、泉先輩が出発した後ね、ゆーちゃんが……」
みなみ「あの時は用事があったから……」
私の話しに割り込んで来た。
ひより「みなみちゃんの話しはしたくないって……数日前だよ、本当はゆーちゃんもここに連れてきて一緒に話しをさせたいくらい」
みなみ「……その必要はない、あんな分らず屋といくら話しても結果は同じ」
ひより「ちょ……みなみちゃん……」
みなみちゃんとは思えないセリフだった。事態は思ったより深刻そうだ。
みなみ「ひよりは聞いたの、佐々木さんといのりさんの話しは……」
ひより「えっ!?」
まさかその言い方からするとみなみちゃんも話しを聞いているって事なの?
みなみ「お稲荷さん、あえてそう言わせてもらう、彼らはつかさ先輩、かがみ先輩の命を奪おうとした、そんな人達といのりさんを一緒にさせるなんて正気の沙汰とは思わない」
ひより「人間もいろいろ居るのと同じ、お稲荷さんだっていろいろ居る、佐々木さんは私が見た所普通の人と同じ思考だと思う、いや、普通の人より理性的、
    一緒に考えちゃダメだよ」
みなみちゃんはお稲荷さんの事を良く思っていない。つかさ先輩の話しを聞いていた時は感動している様にみえたのに……
みなみ「みゆきさんは言った、人は人意外愛せないって……まして彼らは他の星から来た者、愛し合うなんて出来るはずない、ゆたかのしようとしている事は悲劇しか生まない」
う、確信を付いてきた。確かに普通に考えるとそうかもしれない。でも、何故、みなみちゃんは心変わりしてしまったのかな。高良先輩の名前が出てきたけど……
そうか、高良先輩の影響をもろに受けてしまったみたい。高良先輩もお稲荷さんを良く思っていないって泉先輩が言っていたのを思い出した。
みなみ「ひよりからも止めるように言って欲しい……」
急に悲しい顔になった。喧嘩をしていてもゆーちゃんを心配している。そこは変わっていないみたい。なんかホっとした。
でも、みなみちゃんの言っている内容はそのまま私がしようとしている事に対しても止めろと言っている様に聞こえる。
ゆーちゃんはこうなるのを分っていて話しをするなって言ったのかな。
ひより「私は……止められない、正しいのか、間違っているのか、私には分らないけど、これだけは言える、好き合っているなら良いんじゃないの」
みなみちゃんは私を鋭い目で睨みつけた。
みなみ「……ゆたかはそんな不確かな感情で動いている、遊びで二人を弄んでいる、それこそ佐々木さんの怒りを招くだけ……」
ひより「あ、遊び……」
みなみちゃんは立ち上がって身支度をし始めた。
遊びだって……私はそんな浮ついた気持ちでまつりさんとまなぶを会わせようなんて思っていない。胸が熱くなった。込み上げる感情を抑えられなくなった。
ひより「違う、違うよみなみちゃん」
みなみちゃんは身支度を止めた。
みなみ「違う?」
ひより「そうだよ、私は命を懸けて佐々木さんの所に行った、それを遊びだなんて言わないで、私は……私は、少なくと私は間違っていないと思うから、二人を会わせて、
    その後は二人で決める、それだけだよ、無理強いなんかしないし、させない、切欠を与えるだけ、それでもダメなの?」
みなみ「な、なにを言っているのか分らない、私はゆたかに言っているのに、なぜひよりがムキになる……」
私は我に返った。しまった。思わず自分に言われているような気がしてしまった。そんな私を見てみなみちゃんは微笑んだ。
みなみ「ひよりが趣味以外で熱く語るのを初めて見た……ゆたかが羨ましい」
みなみちゃんは身支度を終えると部屋を出ようとした。
みなみ「私は手伝えない、だけどひよりが正しいと思うならゆたかを助けてあげて……お邪魔しました、帰ります」
みなみちゃんは部屋の扉に手を掛けた。
ひより「もし、真奈美さんが生きていたら、きっとつかさ先輩の友達……親友になっていたよね、うんん、もうとっくに親友だった、二人はお稲荷さんと人間だよ……
    だから私も同じ様に……」
一瞬動作が止まったけど、そのまま玄関の方に向かい、家を出て行ってしまった。
ゆーちゃんとみなみちゃんの仲直りすら誘導できないなんて……みなみなちゃんの言うように私達は間違っているのかな……
いや、成功させれば誰も文句は言わない。ゆーちゃんの為にも成功させてみせる。

7 :ひよりの旅 43/112 [saga sage]:2013/02/11(月) 20:21:21.40 ID:W145K4B60
 私達は柊家に向かっていた。
ひより「打ち合わせの通りお願いね、シミュレーションを忘れないように」
まがぶ「分った……」
それから一週間後、二回目のまつりさんの取材の日になった。今度はまなぶと一緒だ。まつりさんがどんな行動をするか事前にシミュレーションをしておいた。
万全には万全を、少しでもまなぶの好感度を上げておきたい。あれ、まなぶの表情が硬い。
ひより「まなぶさん、まだ会ってもいないのに緊張しちゃダメ」
まなぶ「分っている、分っているけど、人間として会うのは初めてだ、私を見てどう思うだろう?」
ひより「……私はまつりさんじゃないから分らない、あまり気取らないで自分らしくいくしかないと思う」
この程度のアドバイスしか出来ないとは我ながら情けなくなる。
まなぶ「……家が見えてきた」
ひより「まつりさんには私のアシスタントも同行するって言ってあるから」
まなぶは手の平に人と三回書いて飲んでいる……そんなおまじないで緊張が解けるわけ……まさかお稲荷さんがその起源?
確認をする間もなく柊家の玄関の前に着いた。
ひより「それでは行きます……」
私は呼び鈴を押した。暫くすると扉が開いた。
かがみ「いらっしゃい、待っていたわよ……」
私の隣にいるまなぶをかがみ先輩がじっと見た。かがみ先輩にはまなぶの正体はまだ言っていない。取材が終わったら話すつもりでいた。
かがみ「……貴方が田村さんのアシスタントね……」
ひより「はい、大学の同級生でまなぶと言います」
まなぶ「よろしくお願いします!」
まなぶは深々と頭を下げた。
かがみ「取り敢えず中に入って、まつり姉さんが買い物から帰ってこないのよ……」
ひより「はい」
私達は家の中に入った。
かがみ「居間で待っていて、直ぐに呼ぶから」
かがみ先輩は携帯電話を取り出した。
まなぶは何の迷いもなく居間に向かって歩き出した。しまった。まなぶはこの家は初めての筈、だ、だめだよ。私は小走りでまなぶの前になって居間に進んだ。
ひより「家に入ったら勝手に歩いたらダメって言ったでしょ?」
私は彼の耳元で囁いた。
まなぶ「あっ、そうだった、ごめん、狐の頃を思い出してしまった、今度から気を付けるよ」
まなぶも小声で囁いた。これじゃ先が思いやられる……
かがみ先輩は携帯電話でまつりさんと会話をしている。おそらくさっきは見られていない。
かがみ「そうなのよ、もう彼女達来ているわよ」
……
かがみ「忘れていたって……ちょ、姉さんしっかりしてよ、今どこに居るの?」
……
かがみ「それじゃ直ぐ戻ってきて……急いで!!」

8 :ひよりの旅 44/112 [saga sage]:2013/02/11(月) 20:22:34.09 ID:W145K4B60
 かがみ先輩は携帯電話を仕舞うと居間に来て私達の前に座った。
かがみ「ごめんね、姉さんすっかり忘れたみたい、急いで戻ってくるから少し待っていて」
ひより・まなぶ「はい」
かがみ先輩は私の隣に座っているまなぶをじっと見つめた。
かがみ「ふ〜ん、成る程ね……」
かがみ先輩は腕を組み納得する様に二度頷いた。
ひより「なんでしょうか?」
かがみ先輩はまなぶを指差し言った。
かがみ「あんた、コンじゃない?」
ひより・まなぶ「ふえ?」
あまりに唐突で、的を射た発言に私達二人は奇声を上げるしかなかった。そんな私達を見てかがみ先輩は笑った。
かがみ「図星みなたいね」
ひより・まなぶ「ど、どうして分ったの?」
かがみ「コンは人の顔を見る時、二回瞬きをする、そのタイミングと間隔が全く同じだった」
まなぶは慌てて両手で目を隠した。それを見たかがみ先輩はまた笑った。
ひより「そ、それだけで、たったそれだけで分ったのですか?」
かがみ「勿論それだけじゃ分らない、田村さんのいままでの行動や、私の体験、つかさの話しとかを総合的に考えてね……今は私しか家に居ないから
    思い切って聞いてみたのよ、仮に違っていても彼にさんにとっては意味不明な会話になるから問題ない」
ひより「まいったなぁ〜そこまで考えた上の質問だったっスか……私からはもう何も言う事はないっス」
まなぶ「ま、まずい、これじゃまつりさんにもバレしまう……は、早く帰ろう……」
慌て始めたまなぶを見てまたかがみ先輩は笑った。
かがみ「ふふ、まつり姉さんは分らないわよ、お稲荷さんの話しを知らない、仮に知っていたとしてもまなぶさんとお稲荷さんを結びつけるような思考はないと思う、
    田村さんみたいに想像力がある人じゃないと理解できないわよ」
ひより「そ、そうですか」
これって、褒められているのだろうか……
急にかがみ先輩は真面目な顔になった。
かがみ「それはいいとして……なぜ連れてきたの、コンの話しをするのに本人を連れてくるなんて……もっと相談くらいはして欲しかった」
私とまなぶは顔を見合わせた。
ひより「……これには人には話せない深い事情がありまして……」
かがみ「深いって……今更私に何を秘密にすると言うのよ、つかさ、こなた、みゆき、私はもう殆ど知っているのよ、貴女達だってつかさから聞いているでしょうに」
ひより「はい、ですから事情であります」
かがみ「事情……事情って何よ」
かがみ先輩はまなぶの方を見た。まなぶは俯いて少し顔が赤くなっている。
かがみ「……何よ、人に言えない様な恥かしい事なの……」
私達は黙った。
かがみ「……ちょっと待って、まさか、まつり姉さんを……た、田村さんちょっとこっちに来なさい」
かがみ先輩は立ち上がり居間を出た。
かがみ「まなぶさんはそこで少し待っていて下さい」
私は居間を出ると二階に上がりかがみ先輩の部屋に連れられた。部屋に入るとかがみ先輩は扉を閉めた。
かがみ「どう言う事なの、あんたまなぶさんを好きじゃなかったの」
ひより「いいえ、私は別に好きでもなんでもないです、あの時は否定するほどかがみ先輩が勘違いされるものですから……」
かがみ先輩は自分の間違えに気付いたせいか少し照れてしまっていた。
かがみ「そ、そうだったの……そ、それなら別に問題はないけど……それにしても、選りに選って……まつり姉さんなのか……」
私は頷いた。
かがみ「確かにまつり姉さんはコンの世話をしたかもしれないけど……それはあくまで犬として、狐として見ていただけでしょうに」
ひより「それは私も彼に言いました、それでもお礼を言いたいって……」
かがみ「……あんた、何故そんなに首を突っ込む、下手をするとつかさの二の舞になるわよ……」
みなみちゃんと同じような言い方だ。
ひより「もう突っ込んでしまっていますから、私が何もしなくてもまなぶさんはきっとまつりさんに会おうとする、それならお膳立てくらいはしても良いかなって……」
かがみ先輩は腕を組んで考え込んでしまった。ここまで話したのならもう一つの話しもするかな……
ひより「あの、もう一つついでに……いのりさんと佐々木さんも同じような事をゆーちゃんがしようとしています」
かがみ「はぁ……な、なんだと、つかさといい、姉さん達といい、あんな狐に化けるお稲荷さんのどこが良いのよ」
呆れ顔でお手上げのポーズのかがみ先輩。
ひより「つかさ先輩は置いておいて、お二人はまだお稲荷さんの正体を知らないから何とも言えないっス」
『ブルブルブル』
かがみ先輩のポケットから携帯のバイブ音が鳴った。かがみ先輩はポケットを手で押さえた。
かがみ「まつり姉さんが帰ってくる……あぁぁん、もう、こんな時に限って早いんだから……もうこうなったら自棄(やけ)よ、田村さんは居間に戻って、
    私もそれとなく手伝うから、どうなっても知らないわよ」
ひより「はい!!ありがとうございまス」
私は急いで居間に戻った。かがみ先輩が協力してくれるとは思わなかった。希望が湧いてきた。

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