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【咲SS】怜(いまようやく、先輩の言葉が理解できたわ) - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:29:29.75 ID:QI1xRxVf0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

   「…………」

 「…………」

 「…………」


   (わたしのことつけとる、よな……?)

   (もうちょっとでおうちつくし、走って……いたっ!)コツン

 「おまえがっこう来んなよ!」

 「ビョーキ持ち!」

   「いたっ……いたい、い、石なげんといて」

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【アサルトリリィ】神琳「耳かきですよ、雨嘉さん♪」 @ 2021/08/04(水) 07:44:27.99 ID:NHSBk182O
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歌詞を思い出せないガルパンシリーズ @ 2021/08/03(火) 22:47:14.11 ID:4NaNrAQc0
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可可「サウナがありマスね!」すみれ「っ!」 @ 2021/08/03(火) 20:07:35.14 ID:nJDA9/IDO
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第四十九回.やばいよ姫なんかボロだ @ 2021/08/02(月) 02:41:02.84 ID:M7CqGLzt0
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【ウマ娘】ダイワスカーレットから1番を奪ってみた結果[別編] @ 2021/08/01(日) 20:35:48.66 ID:hYEA20te0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:31:05.32 ID:QI1xRxVf0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 「プールとかお前がいたら入れんやろ!」

 「ビョーキがうつるやろ!」

   「う、うつらんよ……」

 「ウソつけ! そんなことだれが言ったんや!」


   「お……おかあさんが、言っとったもん……」

 「ならお前のおかんもウソつきや」

 「ウソつき一家や!」

   「ちがう……ちがうよ……おかあさん、うそつかんもん……」ポロポロ

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3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:31:57.44 ID:QI1xRxVf0
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 「うわ! こいつ泣きやがった!」

 「ばっちぃ、それさわったらビョーキうつるで!」

 「たいじしてやらな! みんな! さわらんように気ぃつけや!」

 「石なげればだいじょう、いたっ!」




 「だ、だれや! おれになんか投げたの」

  「わたしやで」

 「あ! お前」

    「オレもおるでー」

 「な、なんやお前ら……なんか文句あるんか」

  「あるで。寄ってたかって女の子に石投げるクズども」

  「小学校からやり直してきたほうがええで」

    「いや……あいつらもオレらも小学生やからな?」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:32:35.91 ID:QI1xRxVf0
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 「せっかくおれらがビョーキ持ちやっつけとんのにっ」

 「なんやお前ら、せいぎのみかたのつもりか!」

  「ちゃうで」




  「――わたしはかわいい女の子の味方なんや」




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5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:33:11.98 ID:QI1xRxVf0
■千里山中学 麻雀部部室

竜華「暑いなぁ、夏やなぁ」

怜「ほんま暑いで……死ぬ……暑さで死ぬわ」グッタリ

セーラ「未だに長袖のお前らが悪いわ」

怜「教室は教室でクーラがガンガン効いててキツイんやもん」




怜「しかし、ほんとに夏真っ盛りって感じやな」

竜華「せやなー……うちらも、もう一年もせんうちに卒業や」

竜華「その前に麻雀部引退も待っとるけど」

竜華「そういえば、二人はもう進路決まった?」

怜「私はまだこれ、というのは決まってないなぁ」

セーラ「オレは決まってとるでー」

怜「お、ほんま?」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:33:43.06 ID:QI1xRxVf0
セーラ「オレはな、インターミドルで良い成績を残して特待でどっか行こうと思うんや」

怜「おー、すごいなぁ」

セーラ「おまっ、バカにしてんやろー」

怜「してないしてない」

怜「私からはちょっと遠い感じやからさぁ、そういうの」

怜「でも夏の大会が終わって、セーラの行く学校が決まったら私もそこ一般で受けることにするわ」

竜華「私もー」

セーラ「なんだそりゃ……」


怜「ええやんええやん、小学校からの腐れ縁なんやから」

怜「ここまで来たら高校も一緒のとこ行きたいわ」

竜華「うんうん」

セーラ「ええけどな。でも、めっちゃ試験難しいとこにオレが特待で選ばれても知らんで」

竜華「その場合、セーラはセーラで入学後が大変やろ? 勉強も難しくなるから」

セーラ「そやった……」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:34:19.93 ID:QI1xRxVf0
怜「まあ、私と竜華はだいたい大丈夫やと思うわ」

怜「一緒のとこに入れたら、勉強ぐらい――」

後輩「あ、おったおった」

後輩「江口先輩、清水谷先輩、監督が大会のことで呼ばれてましたよー」

セーラ「おう、わかった。ありがとなー」


竜華「……ごめんな、怜、ちょっと行ってくるわ」

怜「ええよええよ」

怜「二人とも、頑張って優勝旗持って帰ってきてなー」

セーラ「おう、任せとけ!」

竜華「あとでなー」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:34:59.23 ID:QI1xRxVf0
怜「…………」

怜(麻雀は結構な差がついたからな)

怜(せめて、勉強ぐらい力になりたいわ)



怜(……ダメやな、ちょっと弱気になっとるみたいや)

怜(中学ではレギュラーなれんかったけど、高校では挽回する)

怜(それで、竜華やセーラと一緒に全国の舞台で――)
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:35:32.49 ID:QI1xRxVf0
■千里山女子高校 麻雀部部室

竜華「うわー、いっぱい居るなー」

竜華「みんな麻雀部入ろうとしとるんかな?」

怜「そらそうやろ」

怜「しかし、ほんとに多いな……いま部室におるのは、私ら一年生だけの筈やけど」

セーラ「まあ、千里山女子っていえば関西でも屈指――いや、最強の高校やからな」

セーラ「麻雀部目当てで入る奴らはたくさんおるやろ」


怜(セーラと竜華を応援しに行った時に見た顔が結構おるな)

怜(あの子、確かセーラといい勝負しとったな……あっちの子も、去年は結構惜しい成績やった筈)

怜「……すごいな」

竜華「そやなー、人いっぱいや」

怜「そうやなくて」

竜華「ん?」

怜「……いや、何でも無い」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:36:03.54 ID:QI1xRxVf0
怜(そうそうたる面子や……私、場違いやないんかな)

竜華「こんだけ麻雀部入りたい子がおる中で特待に選ばれるなんて、やっぱセーラはすごいなぁ」

セーラ「ふふん、まあそれほどでもないで」

竜華「でも、今年の特待生はセーラ含めて二人やろ?」

竜華「監督とかはどっちの方が強いって見てるんやろうか」

セーラ「オレに決まっとる」

??「うちに決まっとる」



セーラ「……話聞いとったんか? 竜華はどっちの方が強いか、って言ったんやで」

??「聞いとったわ。せやから、うちに決まっとるって言ったんや」

怜「えっと、確か……愛宕」

洋榎「愛宕洋榎や、よろしくなー」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:36:48.42 ID:QI1xRxVf0
怜「園城寺怜や。よろしくー」

洋榎「おう! よろしくなー」

竜華「うちは清水谷竜華って言うんやー」

セーラ「オレは江口セーラや」

洋榎「お前らは大会で顔会わせとるやろ!」


セーラ「つーか洋榎、何で千里山に来たんや」

セーラ「確か姫松行くとか行ってなかったか?」

洋榎「おか……千里山の監督と同じとこってのはアレやし、そのつもりやったんやけどな」

洋榎「姫松と千里山のレベル比べたら、やっぱり千里山の方が高いし」

洋榎「レギュラー取るのが難しい方が日頃の張り合いがあってええよな、ってことでこっち来たんや」

セーラ「ほー、まあ、頑張ればなれるんやないか? オレより後に」

洋榎「アホ! それはこっちのセリフや!」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:37:39.89 ID:QI1xRxVf0
竜華「レギュラーを目指してお互いに切磋琢磨する二人……ライバルや!」

セーラ・洋榎「「ちゃうわ!」」

セーラ「こいつがライバルとか御免被るわ、オレの格まで下がるやろ」

洋榎「下がるほど格が無いわ」

セーラ「なんやと!」

洋榎「やるか!?」


竜華「仲ええなー」

怜「あれでライバルやないなら何なんや……っと、監督来たで」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:38:28.33 ID:QI1xRxVf0
雅枝「はい、注目ー」

雅枝「麻雀部に入るに当たって少し注意事項を――そこの一年二人! いつまでケンカしとるんや!」

雅枝「特待生やからって容赦はせんで!」




雅枝「……よし、静かになったな」

雅枝「私が麻雀部監督の愛宕雅枝や」

雅枝「今日から一年生にも部活動に参加してもらうが、初日からさっそく対局してもらうで」

雅枝「最初の一ヶ月の練習試合は地区大会のメンバー選抜も兼ねる」

雅枝「成績次第では一年生をレギュラーに選ぶこともあるので、新入生も積極的に参加するように」

新入生『はい!』
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:39:01.51 ID:QI1xRxVf0
雅枝「それと、注意事項を一つ言っておく」

雅枝「藤白七実って三年生には対局以外では話をしないように」

雅枝「人相は……そこのドアの隙間から覗いとるヤツがそうや」

七実「…………」

怜・竜華((怖っ!))


七実「先生が部内イジメを助長してるー」

雅枝「去年、蔵垣に変な打ち方を教えてダメにしたのは誰や?」

七実「誰でしたっけ」

雅枝「…………」スッ

七実「あ! 先生! 体罰はダメですよ!?」

雅枝「お前、卒業したら覚えとけよ」

七実「御礼参り予告されてる……!」

雅枝「上級生の中にはコイツのようなのがいるから、パワハラ、セクハラされたら相談するように」

新入生『は、はい……』
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:39:34.09 ID:QI1xRxVf0
■一年生教室

怜「レギュラー入り、惜しかったなセーラ」

セーラ「んー……まあ、補欠としてベンチ入りすることになったけど」

セーラ「これより上は、千里山入って上がってきた以上に厚い気がするな」

セーラ「何となくやけど……まあ、実際に調子よく上がれたのは途中までやからな」

セーラ「やっぱ強いわ」


怜「私は調子良く上がるどころか下がった気がするわ、実際に三軍止まりや」

セーラ「最初の一ヶ月の区分けぐらい気にすんな」

セーラ「オレも怜もまだまだ入ったばっかり何やからな」

怜「ん……まあ、そうなんやけど」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:40:21.52 ID:QI1xRxVf0
怜「でも、部内レーティングあるやろ?」

怜「セーラも竜華も上位で、私は下位やから上位の二人と打つ機会が減りそうやから」

セーラ「あー……部内ではそうかもしれんけど」

セーラ「部の外で好きに打てばええやん。特訓も兼ねてな、付き合うで」

怜「ありがと、セーラ」


竜華「お待たせー。ごめんな、売店混んどった」

怜「おかえり。何買うてきたん?」

竜華「焼きそばパンとメロンパンとイチゴミルクや」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:41:44.13 ID:QI1xRxVf0
竜華「何の話しとったん?」

怜「セーラのレギュラー入り、惜しかったなーって」

竜華「ああ、ほんとやな。トップ率はレギュラーの服部先輩と同じなのになぁ」

セーラ「先輩の話だと、レギュラーはレートと連対率重視らしいわ」

セーラ「コンスタンスに勝てるメンバーやな、要は」

怜「そうなんや」


セーラ「かなり特殊なヤツなら起用も考えるらしいけどな」

竜華「特殊?」

セーラ「何て言ったらええかなー……」

セーラ「普通なら見えへんものが見えとったり、来る牌に偏りがあるとか」

セーラ「特定の状況で爆発するように強くなるヤツ」

怜「憩ちゃんみたいな感じか」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:42:37.60 ID:QI1xRxVf0
怜「ええなぁ……私にもそういう不思議な力が身につかんかな」

竜華「どんなのがほしいん?」

怜「そうやな……必ず天和で上がれるようになりたいな」

セーラ「それは流石に面白くないで、すごい作業ゲーになる」

怜「それもそうか」


怜(……でも、そういう力があれば」

怜(竜華とセーラと、一緒に同じ舞台に立つことが出来るんかな)
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:43:18.21 ID:QI1xRxVf0
■千里山女子高校 麻雀部部室

怜(まあ、無い物ねだりしててもどうしようもない)

怜(いまはただ必死に打つしか無いやろ)

怜(……二人と違って、私は弱いんやから)


怜「よろしくお願いします」

一年生A「よろしくお願いします」

一年生B「よろしくー」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:44:21.04 ID:QI1xRxVf0
竜華「…………」

洋榎「おう、休憩中かー?」

竜華「ああ、洋榎……うん、ちょっとな」

洋榎「たそがれとったけど悩みでもあるんか」

竜華「んー……怜がな、大丈夫かなって」


竜華「最近、あんまり一緒に打ててないから」

洋榎「いまは大会前の調整兼ねて、上位は上位のレートで打つことばっかりやからな」

竜華「まあ怜が心配ってのもあるけど、私も寂しくてな」

竜華「なるようにしかならんとは思うけど……せめて、何事も無ければええなぁ」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:45:17.57 ID:QI1xRxVf0









怜「あれ? ――さん、今日はおらんの?」

一年生B「退部したよ」

怜「え……」

一年生B「思っていた以上に千里山のレベルが高かったから、やめるってさ」

一年生B「私も今日の対局勝てなかったら、やめようかなーって」

怜「…………」

一年生B「冗談だよ、ジョーダン」


一年生B「……でもさ、園城寺さん」

一年生B「勝てないのに麻雀打ってて楽しい?」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:46:31.84 ID:QI1xRxVf0
一年生B「下位レートで勝って、少し上に行けたと思ったら上ではボコボコ」

一年生B「ラス引きまくって直ぐに下へ蹴落とされる」

一年生B「私達、レギュラーなんてなれると思う?」

怜「……まだ千里山に入って、ちょっとしか経っとらんやろ?」

怜「これからまだ巻き返しできるんやないかな」

一年生B「無理だよ」


一年生B「団体戦のレギュラーは基本的に五人」

一年生B「限られた枠数をこれだけの部員で取り合うんだよ?」

一年生B「私達なんて同年代に愛宕さんと江口さんもいる」

一年生B「他にも清水谷さんとか末原さんとか真瀬さんとか、上位の卓で打ってる子もいる」

一年生B「いまの時期に上まで行けてる子がいるのに、私達がレギュラーになれると思う?」

怜「上級生が引退していけば……」

一年生B「無理だよ。私達が二年、三年になる頃にはもっと才能のある子達が入ってくる」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:47:27.73 ID:QI1xRxVf0
一年生B「だから、私は面白くないよ」

怜「…………」

一年生B「……ごめん、ちょっと私も監督と話があるから」

怜「あ、ああ……うん」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:48:44.40 ID:QI1xRxVf0
怜(……麻雀部に入って、一ヶ月と少し経った頃だった)

怜(その頃から、少しずつ一年生が減っていった)

怜(限界を感じた、楽しくない)

怜(皆、やめるに至った理由は殆ど同じだったと思う)


怜(……私も)
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:49:43.38 ID:QI1xRxVf0
■千里山麻雀部 監督室前

怜(……来てしもうた)

怜(今日は部活休みやけど、監督はいるはずやけど)

怜(ノック一つするのも気が重いわ)


怜(……自分で決めたことなんやから、これぐらいはちゃんとやらんと)

怜(竜華とセーラに、相談の一つでもするべきやったかな)コンコン

??「どうぞー」

怜(あれ、監督の声やない……?)
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:51:03.74 ID:QI1xRxVf0
怜「失礼します……?」

七実「お、怜ちゃん、いらっしゃーい」バリボリ

怜「はあ、どうも……何で藤白先輩が」

渓「地区大会前の簡単なミーティング」

怜「岡本先輩」

渓「……監督が席外したら七実はサボり始めたけど」

七実「お煎餅食べる?」バリボリ

怜「いや、いいです……」


七実「まあ、そう言わずに食べよ? あ、甘いものがいい?」

怜「いえ、ほんとにいいんで……監督は帰られたわけじゃないんですよね?」

渓「ちょっと職員室に呼ばれてるだけだから、直ぐに戻ってくると思う」

怜「ありがとうございます。ミーティングされてるようですし、また時間改めるようにします」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:52:08.24 ID:QI1xRxVf0
七実「ちょ、ちょっと待って」

七実「私、アイス食べたくなっちゃったから怜ちゃんも一緒に行かない? ね?」

渓「七実、ミーティング中」

七実「本ミーティングは別の日やるからいいっしょ」

七実「ね? ナナミお姉さんが奢ったげるからー」

怜「いや、あの……先輩」


渓「七実……この時期に一年生が深刻な顔で監督室に来る用事ぐらいわかるやろ?」

七実「わ、わかりませーん……わかりたくありませーん」

渓「じゃあ単刀直入に聞くけど退部希望?」

怜「そうで」

七実「わー! わー! わー!」

渓「めんどくさいなコイツ……」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:53:13.48 ID:QI1xRxVf0
七実「怜ちゃん、こんな冷酷な女ほっといてデート行こうよ」

渓「七実」

七実「うっ……」

渓「後輩がやめるのは寂しいんやろうけど、大人になれや」

七実「うぅ……」


渓「……部内で人間関係のトラブルがあったからやめるわけや無いんよね?」

怜「はい」

渓「麻雀部やめたら何かやろうと思ってる?」

怜「いえ、まだそこまでは……」

渓「なら、一つ提案がある」

渓「嫌なら断ってくれていい――けど、受け入れてくれたらそこのバカは喜ぶと思う」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:54:39.64 ID:QI1xRxVf0
■千里山女子高校 麻雀部部室

セーラ「ロン、7700」

竜華「あっ……」

セーラ「竜華のトビやな」


セーラ「最近、調子悪いな……理由はだいたいわかるけど」

竜華「うぅ……怜が、怜さえおれば」

セーラ「毎日普通に顔合わせとるやろ」

竜華「せやけど部ではそれほど一緒におれんやろ?」

セーラ「このままやと、竜華のレートが下がって部でもよく一緒におれるようになるで」

竜華「……それもええなぁ」

怜「ええわけないやろ」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:55:29.74 ID:QI1xRxVf0
竜華「そら怜は怒るわなぁ……って怜!?」

怜「地区大会近いんやから、あんまり腑抜けとったら皆の迷惑になるで」

怜「まあ、私が言えたことでは無いんやけど」


竜華「どしたん、何かあったん?」

竜華「はっ……まさか、うちに会いに来てくれたん!?」

怜「違うわ。マネージャーの仕事しとるだけや」

竜華・セーラ「「マネージャー?」」

怜「うん」

怜「私、マネージャーやらせてもらうことになった」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:56:29.81 ID:QI1xRxVf0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

渓「なら、一つ提案がある」

渓「嫌なら断ってくれていい――けど、受け入れてくれたらそこのバカは喜ぶと思う」

渓「マネージャーやってみん?」

怜「マネージャー……?」


渓「知っての通り、千里山の麻雀部の部員は多い」

渓「部員が多いと雑用もそれなりの量になる」

渓「基本的には持ち回りでやってるけど、それを専門でやってくれる子がいれば……」

怜「練習に専念できる……?」

渓「そういうこと」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:57:42.82 ID:QI1xRxVf0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

渓「……ただ、一度部をやめるって決心した以上」

渓「マネージャーとして残るって話は受け入れがたいかもしれない」

渓「ひとまずは話を持ち帰って、よく考えてもらえれば――」

七実「いやいや絶対なるべきだよ! 嫌ならこのまま部員のままでいだぁ!」ベシッ

渓「お前は黙れ」


怜「……迷惑になりませんか?」

渓「ならへん。やってくれる子がいた方が助かる」

渓「一応、監督にも確認しないといけんけど監督も首を縦に振ると思うわ」

怜「それじゃあ……やらせてください」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:58:48.10 ID:QI1xRxVf0
怜「――というわけで、マネージャーやらせてもらえることになったんや」

怜「二人とも雑用とかやってほしいことあったら言ってな?」

竜華「は、はいはい! やってほしいことある! あるで!?」

怜「くだらんことはNGな」

竜華「くだらんことないで! 毎日うちに味噌汁を作ってほしいんや」

怜「作れん。ほなさいなら」

竜華「ああ待って! 行かんといて怜ぃ!」

怜「竜華、これで真面目に仕事しようとしとるんやから邪魔せんといてや」

七実「そーそー、しみずんダメだよ、怜ちゃんの邪魔しちゃ」

竜華「げっ……藤白先輩」


七実「怜ちゃんはこれから私とデート行くんだもんね!」

渓「黙れよ」ゲシッ
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 13:59:57.43 ID:QI1xRxVf0
七実「お、おぉぉぅ……脛が……!」

渓「園城寺さん、さっそく牌譜の整理手伝ってほしいんやけど」

怜「あ、わかりました」

渓「清水谷さんも江口さんも練習戻り」

渓「特に清水谷さん、最近ダメダメやから気をつけんといかんよ」

竜華「は、はい」

渓「まだ七実がトラックにハネられてレギュラーから外れる可能性があるんやからな」

七実「身の危険を感じる……!」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:01:02.28 ID:QI1xRxVf0
怜(私はマネージャーとして部活動に参加することになった)

怜(そのおかげで病床に伏すまで麻雀に関わることが出来たんだと思う)

怜(いまでもこの選択を間違いだとは思っていない――先輩たちのおかげだ)


怜(雑用は部内で持ち回りでやっていたおかげで直ぐに慣れた)

怜(掃除、記録取り、牌譜の整理、道具の整理、あとついでに藤白先輩のお守り)

怜(こういった雑用を私がすることで、竜華やセーラ達の力になれていると思えることが嬉しかった)

怜(……インターハイの舞台に、一緒に立つことは出来ないけれども)
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:02:10.34 ID:QI1xRxVf0
■千里山麻雀部 監督室

怜「合宿、ですか?」

雅枝「ああ、まあ合宿というより地区大会突破のご褒美の旅行みたいなもんやけどな」

雅枝「主に後援会の人らが勧めてくれるんやけど……」

七実「監督はそんな遊んでるヒマがあれば練習しろー派ですからねー?」

雅枝「そこまでは言わんけどな。息抜きも大事や」

雅枝「……藤白は息抜きしすぎやけど」

七実「ま、まあ、そんなこんなで合宿に行くんだよん」


七実「今年はレギュラーと控えと監督と怜ちゃんだね」

怜「え、私も?」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:02:38.11 ID:QI1xRxVf0
雅枝「マネージャーやからな」

雅枝「いつもよりやることは少ないけど、温泉もあるから羽伸ばし」

怜「いや、その……羽伸ばすほど仕事してないと思うんですが」

雅枝「他の部員がな、藤白のお守りしてくれてるのが大変助かるって喜んどったわ」

七実「使用者から続々と喜びの声が」

怜「そんな通販っぽく言われても……」


怜「マネージャーなってそんなに経っとらんのですよ」

怜「実質ご褒美の合宿連れて行ってもらうとか、心苦しいです」

七実「えぇー……一緒に行こうよー」

雅枝「無理にとは言わんけどな」

雅枝「その代わり、留守番はしっかり頼むで」

怜「はい」



38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:03:39.47 ID:QI1xRxVf0
怜(この年も地区大会を制したことで、千里山は9年連続インターハイ出場を達成した)

怜(全国ランキングは1位――優勝の最有力候補と目されていた)

怜(ただ、目されているだけで一筋縄でいかないことは全員が理解していた)

怜(なぜなら、千里山の優勝を妨げかねない高校がいくつもあったからだ)


怜(例えば、14年連続東東京地区代表の臨海女子高校の存在)

怜(少数精鋭且つメンバーを全員留学生で固めた特殊な高校)

怜(選手はいずれも海外で実績を残し、将来が期待された選手ばかり)

怜(大げさに言えば、海外オールスターチームと言ったところか)

怜(そのやり口には批判が多い……けど、毎年実績を残しているのは確かだった)
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:04:57.02 ID:QI1xRxVf0
怜(次に挙げられるのが九州最強の名門校、新道寺女子)

怜(毎年好成績を残している新道寺だったが、この年、かなり大胆なオーダーを採用した)

怜(スターティングメンバーのうち四人に一年生を配するというオーダーを)

怜(名門校と呼ばれる高校がこんなオーダーをすることは殆ど無い)

怜(普通は経験、実力共に下積みのある上級生を配する)

怜(このオーダーには外部から批判の声が相次いだらしい)


怜(――が、地区予選が終わってみればそんな声も上がらなくなった)

怜(理由は単純。ただ一年生レギュラーが他校を圧倒した、それだけ)

怜(この白水哩を筆頭とする一年生四人は引退するまでレギュラーに選ばれ続け)

怜(翌年入学した鶴田姫子を加えた時、過去最強のメンバーとも謳われた)
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:05:50.40 ID:QI1xRxVf0
怜(新道寺が将来有望だとすれば、あの高校はそれと真逆だった)

怜(愛媛県代表、大生院女子)

怜(かつては名門校と呼ばれていたが一昨年前に経営陣が一新)

怜(成績不振の麻雀部へ力を入れるのを辞め、年々力を落としていると言われていた)

怜(事実、この年以降は目立った成績を残せていない)

怜(それでもなお優勝候補の一つに挙げられるのは、後にプロ雀士となる戒能良子の存在が大きい)

怜(ワンマンチームとはいえ、千里山にとっても無視できない脅威となるのは明らかだった)




怜(――あの高校は、臨海、新道寺、大生院と比べればノーマークと言っても良かった)

怜(夏の全国大会が始まるまでは)

怜(以来三年間、千里山の前には常にあの高校が立ちはだかり続けることになる)
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:06:44.30 ID:QI1xRxVf0
■インターハイ 抽選会場

雅枝「今日は抽選のみとはいえ、どこと当たるかがわかる重要な日や」

雅枝「あと、開会式も控えているからあまりうろつかないように」

全員『はい!』



渓「さて、どこと当たるかな」

秋「楽なとこならええねぇ」

怜「……蔵垣先輩は何でそんなに顔色悪いんですか?」

るう子「緊張してきちゃった……吐きそう……」

渓「今日は抽選と開会式だけやろ……」

怜「エチケット袋いります?」

るう子「うん……」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:07:35.58 ID:QI1xRxVf0
るう子「……あれ? 藤白先輩は?」

渓「……誰か見張ってなかったん?」

叶絵「寝てた」

秋「てっきり渓が首輪でも付けてるのかと」

渓「……マズイ、非常にマズイ」

渓「きっとおそらく何かしらの問題を起こすはず……下手したら出場停止処分」

るう子「…………」カタカタ

セーラ「蔵垣先輩の顔色がさらに悪くなっとる」


渓「とにかく、手分けして探そう」

渓「さすがに会場の中にはいると思うから」

渓「私は念のため心当たりに電話しておく」

全員『はーい』

渓「……あ、もしもし良子? そっちに七実が行ってない?」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:08:38.78 ID:QI1xRxVf0
■インターハイ 抽選会場 廊下

怜(藤白先輩探しにきたものの……まさか迷うとは)

怜(まあ、私は別に開会式出んでええから迷っててもええけど)

怜(藤白先輩はどうかな……岡本先輩も、さすがに開会式すっぽかすことは無いって言ってたけど)

   「あ、千里山の子だ」

怜「?」

   「ナナミ捜索中? 大変だねー」

怜「あ、ええ、はい……?」

怜(誰やろこの人、確かどっかで……あ!)

怜「大生院の――戒能良子」

良子「うん?」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:09:25.35 ID:QI1xRxVf0
良子「どうかした?」

怜「あ、いえ、すみません……こんなところで会うとは思わなかったので」

怜「何されてるんですか?」

良子「ヒマだからフラフラしてた」

怜(ここにも自由人が)


良子「ナナミ、まだ見つからないの?」

怜「はい……どこに行ったのやら」

良子「お腹減ったら戻ってくるよ」

怜「そんな犬や無いんですから」


怜「…………」

怜「……戻ってくるかも」

良子「ね?」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:10:04.97 ID:QI1xRxVf0
   「あーーー!」

怜「あ」

良子「来たよ……」

七実「ヨッシーが怜ちゃんに粉かけてる……!」

良子「かけてない」

七実「私と結婚の約束までしといて……!」

良子「してない」


良子「……ナナミは平常運転だね」

七実「そんなことないよ、もうガッチガチに緊張してるよ」

七実「あ、でもぉ、ヨッシーのアツーイキッスがあれば元気でるよ」

良子「死ね」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:10:50.75 ID:QI1xRxVf0
良子「ケイから連絡あったけど、ダメじゃない、会場ほっつき歩いてちゃ」

良子「皆に迷惑かかるでしょ?」

七実「えっ、でも、さっき大生院の子がヨッシーのこと探してたよ?」

良子「私はちゃんとほっつき歩いてくるからね、って言って出てきたからいいの」

七実「な、なるほど、今度からそうするよ!」

怜「せんといてくださいね」


七実「……いよいよ高校最後の試合だね」

良子「なに、改まって」

七実「いや、何というか……終わりだと思うと惜しくなってね」

七実「おかげで三年間充実してたよ、戒能良子って目標を常に追っていれたから」

良子「まさか、わざわざそれを伝えにきたの?」

七実「いや、えへへ……もし、ヨッシーと対局する前に私が負けちゃったらいけないから」

七実「伝える機会がいましか無いかもって思ったら、居ても立ってもいられなくなってね」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:11:48.17 ID:QI1xRxVf0
良子「勝手に負けられちゃ、こっちも張り合いが無くて困るんだけど」

七実「ちゃんと勝ちに行くよ。ヨッシーこそ勝手に負けないでね」

七実「今年は追っかけるんじゃなくて、追い越すつもりなんだから」

良子「怖い怖い。しっかり逃げるよ」

七実「そ、そして、私が勝ったら籍を入れに市役所いひゃひゃひゃひゃ!」

七実「いひゃい! いひゃい! ほっふぇふぁはやめふぇ!」ギリギリ

良子「コイツの口取れないかな」


怜「仲いいんですね、お二人とも」

七実「めっちゃ仲良しだよ!」

良子「ウザいから嫌いだよ」

怜「あはは……」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:12:33.69 ID:QI1xRxVf0
怜(思えば優勝候補のエースプレイヤーがこうして並び立っとるんやな)

怜「……お二人は」

良子「ん?」

怜「お二人は、緊張とかされとらんのですか?」

七実「ちょーしてるよ。だからヨッシー、私にキスいだぁ!」

七実「む、無言で叩かないでください」

良子「叩かれるような発言するのが悪い」


良子「緊張してるよ。対局前になるともっと緊張する」

良子「基本的に負けたらそこで終わりだからね」

良子「やっぱり、普段の対局とは重みが違うよ」

良子「ただ、その緊張が緊張が心地いいんだよね」

七実「あー、あるある。ちょっと中毒性あるよね」

怜「中毒性って……」

怜(……私には縁の無さそうなことやな)
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:13:30.78 ID:QI1xRxVf0
怜「先鋒いうたらエースや無いですか」

怜「それを重いって感じることは?」

良子「あるよ」

七実「あるねー。牌まで重く感じることがあるよ」

七実「これ切ったら振り込んじゃうんじゃないか……皆に迷惑かかるんじゃないか……ってね」

七実「でも、重いって感じるのはイコール皆の期待がかかってるってことだから」

七実「エースの看板って重いけど……それでも面白いよ、麻雀」


七実「でも、みんなそーいう重いもの背負ってるからね」

七実「私の後ろにいてくれる四人とも、勝たなきゃーってプレッシャーと戦ってくれてると思うよ」

七実「……だから、先鋒の私がいっぱい稼ぐ」

七実「そしたら、四人とも少しは楽に打てるようになるんじゃないかなぁ、って思ってる」

七実「普段振り回してばっかりだから、これぐらいは貢献しないとねー」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:14:17.85 ID:QI1xRxVf0
七実「あと、重いの背負ってるのは怜ちゃんだって同じだかんね」

七実「いつもマネージャーの仕事ありがとう。すごく助かってるよ」

怜「いや、私は……そんな」

七実「照れてる照れてるぅ」

良子「後輩をいびらない」ベシッ




良子「さて……そろそろ戻るかな」

七実「えー、もっと三人でお話しようよー」

良子「いい加減帰らないと」

良子「後輩にすごく真面目な子が入ってね。いまごろ気を揉んでそう」

七実「ほうほう」

良子「まあ、もうすぐ親の都合で転校しなきゃいけないんだけど」

七実「関西にお越しの際は、ぜひ千里山へ!」

良子「関東行くって行ってた」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:15:10.62 ID:QI1xRxVf0
良子「またね。ナナミ、後輩ちゃん」

怜「はい」

七実「うん、まったねー」


怜「さて……そろそろみんなのところ戻りましょうか」

七実「うん、じゃあ私はちょっとほっつき歩いてくるから」ガチャッ

七実「……ん? なにこれ? 手錠?」

怜「持ってきた甲斐があったなぁ」

七実「ひぇぇぇぇー……」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:16:07.48 ID:QI1xRxVf0
怜(第69回インターハイ全国大会)

怜(団体戦、Aブロック準決勝で千里山と大生院がぶつかり合うことになった)

怜(先鋒戦は藤白七実と戒能良子の二人が暴れて大荒れ)

怜(残りの二校を突き放し、次鋒戦に繋いだ)


怜(試合が動いたのは中堅戦)

怜(中堅である蔵垣先輩が、小四喜に二度振り込んで1位から3位に転落した)
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:16:57.89 ID:QI1xRxVf0
■千里山女子高校 控え室

るう子「ごめ……なさい……ごめんなさい……」

るう子「わ、わたしの……せいで……」

秋「泣くな。うちも副将戦で取り戻しきれなかったやから」

雅枝「こういうこともあるのが麻雀や、あんまりクヨクヨするな」

セーラ「新道寺の中堅がおかしかっただけですって」

るう子「でも……でも……!」


渓「るう子」

渓「とりあえず、二位以上にはなってくる」

渓「帰ってきたら泣きやんどけ。ええな?」

るう子「……っ、岡本せんぱい……」

渓「――行ってくるわ」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:17:54.42 ID:QI1xRxVf0
■インターハイ準決勝会場 廊下

怜「先輩……」

渓「大丈夫や。二位で決勝に行けるんやからな」

渓「準決勝で良かったわ」


怜「……何て、言ったらええかわからんのですけど」

怜「頑張ってください。応援してます」

渓「うん、わかっとるよ……ありがとな」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:18:34.93 ID:QI1xRxVf0
渓「七実」

七実「ん」

渓「七実はいつも期待通りの結果を出してくれたな」

渓「私はお前に期待してばっかりやった……とにかく稼いで、後続に楽させてくれって」


渓「ごめんな、重たいもんばっかり背負わせて」

七実「へっちゃらだもんねー。重たいなんて、ちっとも思ったこと無いもん」

七実「だって私は――千里山のエースなんだから」

渓「そうか。さすが七実や」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:19:17.11 ID:QI1xRxVf0
渓「まあ、今回はさすがに自分で頑張るわ」

渓「その代わり、決勝では楽させてくれ」

七実「……うん」


七実「……期待して、いい?」

渓「ええで」

七実「そっかぁ……じゃあ、ちょっと重いの背負ってもらって、いいかな?」

渓「あいよ」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:20:10.15 ID:QI1xRxVf0
渓「必ず連れて行く――決勝まで」

七実「うん……頼んだよ、大将さん!」

渓「頼まれたよ、エース」


渓「…………」

七実「ど、どうかした?」

渓「ああ、いや……」

渓「先輩達も、こうやって想いを託してきたんだろうな、って思って」

渓「――悪くないね」

渓「うん、悪くない……むしろ、心地いいよ」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:21:15.49 ID:QI1xRxVf0
七実「……怜ちゃん、マジック持ってない?」

怜「マジック? ……これでええですか?」

七実「ありがと。ケイ、腕出して」

渓「腕? って、コラ、何書いとんや」

七実「気合注入。寄せ書きみたいに応援メッセージ書いちゃおう」


七実「ほら、怜ちゃんも書いたげて」

怜「えっ」

七実「私、みんな呼んでくるからー!」

怜「え、えぇ……?」

怜「書いてええんですか?」

渓「あー……ええよ」

渓「どうせ七実が書いたからな、一つも二つも大して変わらんわ」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:22:00.34 ID:QI1xRxVf0
叶絵「なに、渓の腕に落書きすればいいの?」

秋「絵でもええの?」

セーラ「何か気が引けるなぁ……何書こうかなぁ……」

洋榎「点数表とかどうや! 実用性もあるで」

由子「そんなの書いてたらきっと笑われるのよー」

竜華「これ書いてること事体が笑わ……あ、な、何でもないですよー!?」

恭子「自分のペン持って来ました」


渓「一人二人どころの話やなかった……」

七実「他の子も呼んでくるねー」

渓「やめろ!」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:22:42.55 ID:QI1xRxVf0
るう子「……先輩」

渓「るう子、書いてくれる?」

るう子「は、はい……」

渓「ネガティブなメッセージ書いたらお仕置きやからな、『ごめんなさい』とか」

るう子「うっ、うぅ……」




るう子「……これ、で」

 『決勝戦に連れて行ってください』

渓「ん……わかった」

渓「任せとき」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:23:26.14 ID:QI1xRxVf0
■インターハイ準決勝会場 実況室

実況「さあ、Aブロック準決勝もいよいよ大将戦に突入です」

実況「現在トップは新道寺女子。先鋒戦で大きく失点しましたが、次鋒・中堅・副将で挽回」

実況「今年大将を務めるのは一年生レギュラー、石戸霞」


実況「二位は全国ランキング4位、大生院女子」

実況「新道寺と同じく一年生レギュラーを大将に据えています」

実況「インターミドルでは好成績を残しました。大将、弘世菫」


実況「三位は全国ランキング1位、千里山女子」

実況「この大将戦では唯一の三年生レギュラーです」

実況「平均打点は関西最低ですが、平均和了速度は関西最速の大将、岡本渓」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:24:24.57 ID:QI1xRxVf0
実況「そして四位はトップと八万点差」

実況「二年ぶりの全国出場となる西東京地区代表、白糸台高校」

実況「かなり厳しい状況で最低でも二位を狙っていかなければいけません」

実況「……が、全国大会一回戦でようやく調子が出てきたのか」

実況「はたまた実力を隠していたのか」

実況「一回戦、二回戦共に十万点以上を単独で稼いだプレイヤーがついに登場です」




実況「白糸台大将――宮永照」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/03(金) 14:24:25.50 ID:YAZ9JcfOo
オリキャラ満載にキャラ居る場所変わりまくりとか何がやりたいのかさっぱり分からんな
なんだこれ
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:25:07.19 ID:QI1xRxVf0
怜(一年生の時のインターハイ)

怜(先輩達の頼もしさ、そしてインターハイ優勝にかける想い)

怜(いまでも目を閉じればありありと、あの夏の控え室の熱気と共に思い出すことが出来る)


怜(……けど、あの時、思ってしもうた)

怜(応援するだけじゃなくて、先輩達みたいにあの舞台に立ちたいと)

怜(それはかつて考えていた竜華とセーラと同じ舞台に立ちたいということと、同義であって)

怜(それは無理だと諦めたから……私はマネージャーとして、頑張ろうとしていたのに)

怜(……あの夏以来、心にしこりを抱えてしまった)


怜(正確には――未練か)
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:25:51.06 ID:QI1xRxVf0
■千里山女子高校 麻雀部部室

怜「部長、白糸台の牌譜ここ置いときますよ」

るう子「うん、ありがとう」

るう子「ごめんね、遅くまで手伝わせちゃって……」

怜「手伝ってもろうとるのは私ですよ。これはマネージャーの仕事ですから」

怜「まあ、こういうの恭子の方がまとめるのうまいんですけどね」

怜「私も真似させてもらってるんですけど」

るう子「末原ちゃんかー……うん、確かにわかりやすいよね」


るう子「さて、これかたしたら帰ろっか」

怜「はい」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:26:39.95 ID:QI1xRxVf0
怜「…………」

るう子「…………」

怜「……今日は部活休みだからってのもありますけど」

怜「何か最近、部室が静かに感じます」

るう子「ん……それは、先輩達が卒業したからじゃないかな」


るう子「何だかんだで藤白先輩は引退しても、ちょくちょく顔出してくれてたし……」

怜「そのたびに部長がひどい目にあってたような」

るう子「あ、あはは……愛のムチ的なものだよ……多分」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:27:37.29 ID:QI1xRxVf0
るう子「でも、もうすぐ賑やかな部室が戻ってくるよ」

るう子「新入生が入ってくるからね」

怜「ああ……そういう季節でしたね」

るう子「もうすぐ桜も見頃になって……そしたら、皆でお花見行きたいね」

怜「ええですね。席取りは体力自慢に任せときましょう、セーラとか」


るう子「新入生入ってきたら、直ぐに地区大会が待ってるね」

怜「…………」

るう子「……怜ちゃんは、もう選手には戻らないの?」

怜「マネージャーですから」

るう子「そっか……」

怜「……未練が無いわけや、ないですけどね」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:28:27.81 ID:QI1xRxVf0
るう子「じゃ、じゃあ」

怜「ただ、マネージャーやってて再確認できたことがあります」

るう子「再確認できたこと?」

怜「部長と私とセーラと竜華で打ったら誰が一番勝率低いと思いますか?」

るう子「……それは」

怜「当然、私になると思います」

怜「部員全体のレートで見て下から数えた方が早い……いや、いまなら一番下かもしれません」


怜「昔、私に『麻雀は勝てないとつまらない』って言った子がいたんですよ」

怜「私はそうは思いません」

怜「けど、『レギュラーなんてなれると思う?』とも言われました」

怜「それに関しては……なれないと思います」

怜「なぜなら、千里山の部員の質は高く、それに比べて私は弱いから」

怜「……どうせ、選手を目指しても役に立てないなら」

怜「マネージャーになって、みんなをサポートしようと思ったんです」

るう子「…………」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:29:11.46 ID:QI1xRxVf0
るう子「……レギュラーだけが全てじゃないよ」

るう子「レギュラー経験者の私が言うと、嫌味に聞こえるかもしれないけど……」

怜「いえ……」


怜「ま、まあ、この話はやめましょ」

るう子「うん……ごめんね」

怜「新入生、楽しみです。先輩としての心構えとかなんかあります?」

るう子「こ、心構え!? う、うーん……?」

怜「しっかりしてくださいよ、ぶちょー」




怜(新入生……私も高二になるんやなぁ)

怜(卒業までもつとええな)
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:30:02.97 ID:QI1xRxVf0
■千里山女子高校 麻雀部部室

怜「――この間、監督が言っとった通り、レギュラー選抜兼ねるから対局頑張ってな」

怜「他に何か質問ある?」

新入生A「は、はい! わからないことあります!」

怜「うん、なに?」


新入生A「園城寺先輩は彼女とかいるんですか!?」

怜「彼氏や無いんか。まあ、どっちにしろおらんで」

新入生B「ま、まじですか……! じゃ、じゃあ私が」

竜華「はいはーい、ちょっと怜借りてくなー! 部長が呼んどるからー!」

るう子「えっ、別に呼んでな……呼ビマシタ清水谷サン」

怜「おおぅ……ごめん、みんなまた後でなー」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:30:48.73 ID:QI1xRxVf0
新入生A「……園城寺先輩、ええよね」

新入生B「めっちゃ好み。先輩なのにめっちゃ庇護欲そそるわ」

新入生C「わかる。ちょー抱きしめたいわ」

新入生D「うちは無理に先輩っぽく振舞ってほしいなぁ」

新入生D「で、『悪い子やな』って言われながらポカンと頭を叩かれたい」

新入生A「ええなええな。それもええな」

新入生B「でも、ひょっとして清水谷先輩と付き合ってるとかじゃ……」

新入生A「それはそれで良くない? 見守りたい」

新入生E「あの二人、というか江口先輩もやけど幼馴染やで?」

新入生A・B・C・D「「「「なにその美味しい設定」」」」




怜「何の話しとるんやろ……?」

竜華「アカンで怜、聞いたら耳が腐り落ちる!」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:31:25.50 ID:QI1xRxVf0
竜華「ただでさえ怜はモテモテなのに、新入生も入ってきて私は苦しいわ」

怜「何が苦しいん」

怜「てか、私は別にモテモテやないと思うけど」

竜華「知らぬは怜ばかりや……新入生が入って一週間も経ってないのに慕われとるし」

竜華「卒業した先輩らからも結構人気だったんやから。三年の先輩らは言わずもがな」

怜「そうなん? よくわからんなぁ」


竜華「やっぱ、怜の守ってあげたいオーラがすごいからー」

怜「ふむ? じゃあ、竜華守ってー」

竜華「ま、任せとき!? 一生大事にするわ!」
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:32:18.71 ID:QI1xRxVf0
怜「まあ、そんなことはどうでもええんや」

竜華「そんなこと!?」

怜「竜華は新入生、どう思う?」

竜華「あー、んー……まだ入って一週間やからよくわからんけど」

竜華「結構ええ感じやと思うでー」

怜「上から目線やな」

竜華「怜が聞いてきたんやろ!?」


竜華「えっとな、例えば……洋榎の従姉妹の子とかキッチリ理詰めでやるええ子やな」

竜華「それ一辺倒や無いし。妹ちゃんの方も筋良さそうやったでー」

怜「絹ちゃんか」

竜華「あと、やっぱり頭一つ抜けとるのは――」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:33:19.55 ID:QI1xRxVf0
憩「あ、それロンなー」

漫「うわ、参ったなぁ……んで、何点?」ジャラジャラ

憩「32000♪」パタン

漫「……トビです」


怜「……やっぱ憩ちゃんやろうなぁ」

竜華「せやなぁ」

怜「憩ちゃんなら宮永照を何とかできるんやないかな?」

竜華「どうやろ。団体戦でうまく直接対決になってほしいなぁ」

怜「そうなると憩ちゃんで枠が一つ埋まって、竜華の出場厳しくなるで?」

竜華「おお、ほんまや」

怜「しっかりせ……」

竜華「怜?」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:34:02.57 ID:QI1xRxVf0
怜「ん……いや、何でもないで」

竜華「うん?」

怜「ちょっとお手洗い行ってくるわ」

竜華「あ、私もついてったげるー」

怜「恥ずかしいからやめてーや」


部員A「清水谷さーん、卓空いたでー」

怜「ほら、はよ打ってき」

竜華「ちぇっ、はーい」
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:34:45.00 ID:QI1xRxVf0







怜「…………」

怜(……まだ、大丈夫)

怜(ちょっと休めば、直ぐによくなる)

怜(まだ……みんなと一緒におれる)
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:35:36.71 ID:QI1xRxVf0
■病院

怜「なあ、先生」

医師「んー」

怜「私、いつ死ぬんかな」

医師「そりゃいつか死ぬわ」

怜「先生の見立てだと、いつ?」

医師「あと百年ってとこか」

怜「先生はヤブやなぁ……」

医師「担当医に対してその口か」ペチン
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:36:15.66 ID:QI1xRxVf0
怜「先生とも長い付き合いやろ? 病気と同じで」

医師「初めて会った時はもう少し儚げだったんだけどな、君は」

医師「最近じゃ中身がすっかりオッサンっぽくなってしもうて……」

怜「えー、これは先生にだけ見せる姿やからー」

医師「この間、うちの娘がセクハラされたって言っとったわ」

怜「覚えが無いなぁ……それはきっと怜ちゃんの仕業や」

医師「何やその妖怪は」



怜「……お薬増える?」

医師「ああ……苦いから嫌とか言うんやないで」

怜「でも、これ飲んだからって治るわけやないし」

医師「病気の進行は遅らせることができる」

怜「そんなの……苦しむ時間が長引くだけやん」

怜「まだ完全に治す方法が見つかっとらんのでしょ?」

医師「……今のところは、な」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:37:08.64 ID:QI1xRxVf0
医師「ただ、症状を遅らせることは無駄やない」

医師「治療法が確立された時に君がおらんかったら、何の意味も無いんやから」

医師「……せやけど、しんどい思いをさせとるよな……スマン」

怜「あ、い、いや、ちょっと愚痴りたくなっただけなんで」

怜「ごめんな、先生」

医師「ええよ。愚痴ぐらい聞くからいつでもおいで」

怜「……ありがと」


怜「それじゃ、今日は帰りますんで」

医師「もうちょっとゆっくりして行ってもええで」

怜「先生にはキリキリ働いてもらわんとー」

怜「私以外にも患者さんがいるんやから。それじゃ」

医師「ああ、またな」
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:37:51.89 ID:QI1xRxVf0






怜「…………」

怜(……先生は手を尽くしてくれとる)

怜(私が無茶なこと言って、まわりの大人たちを困らせてるだけ)

怜(大人にならんと)


怜(……でも)

怜(展望も無く、不確かな未来を見続けんといけんなんて)

怜(……つらいなぁ)ポロッ
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:38:36.20 ID:QI1xRxVf0
  「……先輩?」

怜「っ……け、憩ちゃん」

憩「大丈夫ですか?」

怜「い、いや……何ともないから」


憩「……こっち来てください」グイッ

怜「ちょ、ど、どこ行くん?」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:39:32.87 ID:QI1xRxVf0
憩「……この辺ならあんまり人通らんと思うんで」

怜「…………」

憩「つらいこと、貯めこまずにせめて泣いてください」

怜「っ……憩、ちゃん」

憩「はい」

怜「ちょっと、むね、借りるな……」





83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:40:12.61 ID:QI1xRxVf0
怜「……ありがと、楽になったわ」

憩「いえいえ、清水谷先輩みたいに豊かな胸じゃなくて申し訳ないんですが」

怜「憩ちゃんみたいに控えめなのも好きや、私は」

憩「でも清水谷先輩のが一番なんでしょう?」

怜「竜華はほどよくムチムチやからなぁ……」ワキワキ

憩「先輩、手つきやらしいですよーぅ」


憩「……私は、お父さんみたいに先輩を助けることは出来ませんけど」

憩「お話聞いたり、一緒におることは出来ますから、良かったら使ってやってください」

怜「ありがとな」

怜「もうちょっとだけ、一緒におってもらってもええかな」

憩「大丈夫ですよーぅ」

怜「病院に用事あったんやないん?」

憩「お父さんの着替え持ってきただけですからー」

怜「じゃあ、先生には悪いけど、憩ちゃんもうちょっと貸してな……」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:41:11.21 ID:QI1xRxVf0
■千里山麻雀部 監督室

怜「すみません、遅れました……!」

怜「……って、何でジェンガしとんですか」

雅枝「……暇つぶし?」

るう子「監督室って暇つぶしの道具多いですよね……主に藤白先輩の置き土産で」


雅枝「さて、じゃあ地区予選のメンバー選定するか」

怜「……あの、ほんまに私がいてええんでしょうか?」

怜「単なるマネージャーに過ぎないんですが」

雅枝「千里山の生徒の記録二番目に見とるのは園城寺やからな」

雅枝「ある程度、私の方でメンバーは固まってるけど忌憚ない意見を聞かせてほしい」
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:41:57.24 ID:QI1xRxVf0
雅枝「まず、部長の蔵垣は決定」

るう子「あのぅ……私じゃなくて別の方を……」

雅枝「却下や。馬車馬のように働いてもらうから覚悟しときや」

るう子「うぅ……」

怜「頑張ってくださいぶちょー」


雅枝「とりあえず、どこに配置するかはとりあえず置いとく」

雅枝「部内の成績を考慮すると、あとは穂積、江口、末原、清水谷、荒川の五人」

るう子「成績で見るなら洋榎ちゃんも、ですよね」

雅枝「……レギュラーにしたくない」

るう子「身内贔屓に見られそうだからですか?」

怜「みんな納得すると思いますけど」

るう子「だよね」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:42:50.14 ID:QI1xRxVf0
雅枝「なら……蔵垣、荒川、江口、愛宕の四人」

雅枝「残り一人をどうするかやけど」

雅枝「連対率重視なら安定感のある穂積」

雅枝「他に比べればトップ率は劣るけど、ラス回避率の高い末原」

雅枝「清水谷は結構鋭い読みしとる所為か、放銃率は一番ええな」

るう子「ちょっと迷いますよね……」

怜「…………」


怜(……ここで、私が竜華推しとけば竜華がレギュラーになるんかな)

怜(私はもう無理やけど、せめて竜華にはなってほしい)

怜(私個人としては、そうなってほしい)

怜(……けど、ごめんな)

怜(千里山のマネージャーとしては別意見なんや)
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:43:21.57 ID:QI1xRxVf0
怜「……穂積先輩がいいんじゃないでしょうか」

雅枝「ふむ?」

怜「先に選ばれた四人のうち、部長と洋榎は安定して勝ってくれると思います」

怜「けど、セーラは負ける時は大きく負ける時あります」

怜「あと、憩ちゃんもちょっと気分屋なところがあるのか、ムラがある時がありますし」

怜「ただ、二人とも稼ぐときはかなり稼いできてくれます」

怜「スコアラーは二人として、あとはその点を守れる可能性が高い人」

怜「……恭子と迷いましたけど、安定感のある穂積先輩が私は良いと思います」

雅枝「なるほど」


雅枝「他校をハコらせるほど火力特化ってのも浪漫あってええけど」

雅枝「多少は守りに入るべきか」

雅枝「蔵垣、荒川、江口、愛宕、穂積の五人にするか」

るう子「はい」

雅枝「じゃあ、次は配置やな。宮永照対策は打っときたい」

雅枝「今年は先鋒か大将に来ると思うから、まず先鋒は荒川で――」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:44:06.96 ID:QI1xRxVf0
■千里山女子高校 校門前

怜「……はぁ」

竜華「あ、怜、お疲れー」

セーラ「あんまり長引かんかったんやな」

怜「二人とも……待っといてくれたん? 先帰っといて、って言ったのに」

竜華「久しぶりに三人で甘いもの食べて帰りたいなーって思って」


怜「二人だけで行けばええやん」

セーラ「それはそれで虚しいやろー」

竜華「そーそー、幼稚園からの腐れ縁腐れ縁」

怜「……ありがとな」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:45:12.87 ID:QI1xRxVf0
竜華「怜、何か食べたいものある?」

怜「クレープ……いや、アイスがええな」

怜「今日はトリプルに挑戦や」

セーラ「おなかこわすで」

竜華「せやで。まあ、とりあえずアイス屋行こうかー」

怜「ん……」




怜「セーラ、竜華」

セーラ「ん?」

竜華「どしたん?」

怜「……ありがとな」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:46:13.04 ID:QI1xRxVf0
■インターハイ 北大阪地区大会 会場

アナウンス『次鋒戦が終了致しました』

アナウンス『昼休憩の後、1時30分より中堅戦を開始します』

竜華「お、終わったんや。中堅戦やるってことは飛ばんかったんやなぁ」

怜「今日は憩ちゃんが絶好調やったからなぁ……」

怜「早ければ洋榎あたりが直撃とって中堅戦で終わりかな?」

竜華「セーラが打てんでつまらんー、とか言いそうやな」


竜華「来年こそは、私もあそこで打って全国行くでー」

怜「その前に秋季大会があるやろ。まあ、あれは予選みたいなもんやけど」

怜「竜華ならきっとレギュラーなれるわ」
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:47:45.28 ID:QI1xRxVf0
竜華「……怜は」

怜「ん?」

竜華「怜は、もう選手として打つ気は無いん?」

怜「……無いな」

怜「どうもマネージャーが性に合ってるみたいでなぁ」

竜華「そっかー……」


怜「私は皆におんぶに抱っこでインハイ連れて行ってもらうわ」

竜華「私も同じやー。でも、来年は怜をおんぶさせてな?」

竜華「とりあえず、今年は怜の買い出しの荷物を持ったげるから」

怜「あっ、ちょっとそれ取らんといて。それは私の仕事なんやから」

竜華「まあまあ、これぐらいやらせてー」
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:48:31.98 ID:QI1xRxVf0
竜華「……怜、最近あんまり調子良くないやろ?」

怜「そんなことないで」

竜華「ウソ。憩ちゃんも心配してるみたいやったし」

竜華「小学校の時、倒れたやろ」

竜華「……完治したんやなかったん?」

怜「いや、完治したで? いまは……ちょっと調子崩してるだけやから」


怜「ほら、私ってびょーじゃくやし」

竜華「……ホント?」

怜「ホントホント」

怜「まあ、ご飯食べたらちょっと膝枕してほしいなぁ」

竜華「それぐらいお安いご用や」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:49:10.18 ID:QI1xRxVf0
竜華「ほんとに、無理せんようにしてな」

怜「大丈夫大丈夫」




怜(いかんな……竜華や皆に心配かけんようにせんと)
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/03(金) 14:49:33.78 ID:+fUp/kJso
先輩キャラはアニメ準拠か
そこを掘り下げるだけでよかったのに
各キャラの居場所シャッフルで台無しに
物語の上で全く機能していないし意味不明
それさえなければ千里山の外伝として楽しめたと思う
勿体無い
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:49:59.90 ID:QI1xRxVf0
■千里山女子高校 校門前

竜華「……怜、ほんまに行かんの?」

怜「行かんよ。大人しく留守番しとくから」

竜華「えー……怜と一緒に合宿行きたいー」

怜「うーん、そう、あれや、うちはびょーじゃくやから」

洋榎「取ってつけた感が半端ないで……」


怜「まあ、私は検査あるから行けんのや」

竜華「本当はわざと合宿に被るように予定入れたんやろ? 憩ちゃんに聞いたで」

怜「……あの先生、守秘義務とか守らんのかなぁ」
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:50:45.08 ID:QI1xRxVf0
怜「まあ、私はマネージャーやから」

怜「ちょっと、ズルしてご褒美合宿行くみたいで気が進まんのや……堪忍な」

竜華「怜……」

怜「それより、今年は海行けるんやろ? ほい、これ」

竜華「なに? クリームとオイル? ……あ!」

怜「竜華、肌弱いんやからちゃんと塗らんといけんで」

怜「……その様子やと、やっぱ買いもらしとったか」

竜華「うっ……い、いや、ちゃんと買ったで? 家に忘れてきただけで」

怜「同じようなもんや」



怜「まあ、私の分もしっかり楽しんで来てや」

怜「……あと、フナキューから借りたカメラで皆のええとこ取ってくるんやで」

浩子「お願いしますよ、清水谷先輩」

竜華「アンタら目がマジでひくわ……」
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:51:35.09 ID:QI1xRxVf0
洋榎「そういやお土産は何がええ?」

怜・浩子「「写真」」

洋榎「もうええわそのネタは!」


怜「くれるなら何でもええよ」

セーラ「ならオレは……あ、秘密にしとくわ」

怜「何でやー、教えてやー」

セーラ「サプライズがあった方がおもろいやろ?」

怜「ふむふむ。じゃあ、期待していい子して待っとくわ」

竜華「ちょっと怜が鼻血流して喜ぶぐらいのを買ってくるわ!」

怜「死ぬわ」
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:52:32.39 ID:QI1xRxVf0
雅枝「お前らー、そろそろバス出るで」

雅枝「園城寺と浩子は留守番頼むな」

怜「はい」

浩子「お気をつけて」

セーラ「土産期待しとけよー」

怜「ん、わかった」

竜華「毎日電話するからな……!」

怜「いったい何日行くつもりなんや」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:53:18.58 ID:QI1xRxVf0
怜「……さて、みんな行ってもうたなぁ」

浩子「出来る事なら自分で行って直接被写体をカメラに収めたかったんですが」

怜「フナキューなら来年には行けるわ」

浩子「頑張ります」


怜「私はちょっと資料の整理するわ」

浩子「インハイ対戦校のですか。手伝わせてください」

怜「ごめんな。マネージャーの仕事手伝わせて」

浩子「私が好きでやってることなんで」

浩子「データ吟味して研究するのは私の今後に繋がりますし」

怜「フナキューはデータ好きや、なぁ――」

浩子「性に合ってるんですよね。どうも小さい頃から」

怜「…………」ドサッ

浩子「――先輩?」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:54:12.53 ID:QI1xRxVf0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

  「――わたしはかわいい女の子の味方なんや」

 「な、なんやそれ……」

 「どうせ江口けしかけて自分は見てるだけやろが!」

  「ふっ……いつもセーラ頼みの私やないで」

  「今日はちゃんと秘策を用意してきたんや」ヒョイ

 「そ、それは……!」

 「アホウ! なんてもん用意してきたんや……!」

  「今日は聖剣エクソカリバーで相手したるわ」ヒュンヒュン

    「棒の先に犬のクソ刺しとるだけやん……」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/03(金) 14:54:59.26 ID:+fUp/kJso
こうなるんだったら最初に注意書きを入れておこうよ
初めて?
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:55:09.04 ID:QI1xRxVf0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

  「ほな行くで、覚悟しいやこのクズ、あっ」コケッ

 「ば、バカでー! こいつコケやがっ」ベチャッ

    「あ」

 「ギャアアアアアアアアア!」

  「お、おう……見てみぃ、セーラ。エクソカリバーのさきっぽが飛んでって頭に直撃や」

    「クソをフライングゲットやな」

  「フライングしたのはクソの方やけどな」


 「ちょ、こ、これ! 取って、取って!」

 「あ、ばか、こっち来んな」ベチャッ

 「「ギャアアアアアアアアア!」」

    「感染拡大してしもうた」

  「私は、なんちゅうもんを世に解き放ってしもうたんや……!」

    「笑っとらずにもう少し、もうしわけなさそうな顔しろや……」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:55:48.92 ID:QI1xRxVf0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「く、クソ! お前ら、覚えとけよ!」タッタッタッ

  「クソはそっちやん……」

    「ちっとはあわれんでやれや」




   「あ、あの……」

   「たすけてくれて、ありがと……」

  「こまったときはお互い様や。ほれ、立てる?」

   「だ、ダメ! ……うちさわったら、ビョーキうつる……」

  「うつるわけ無いやん、単なるアトピーやろ?」

  「うつるんはさっきのアホウどものバカさ加減ぐらいや」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:56:37.78 ID:QI1xRxVf0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    「家どっちや?」

   「え? えっと……あ、あっち」

  「あっちか。ほなら一緒に帰ろうや」



  「……あいつら、ちょっかい出してくるの初やないん?」

   「う、うん……」

    「転校してきたばっかりの子ねらうとか、オトコの風上にもおけんな」

  「先生に相談して、なんとかうちらの同じクラスに変えてもらえんかな」

   「え、ええよ……私がガマンすればええだけやから」

  「ガマンは体によくないで。私なんてガマンなんかしたことないわ」

    「ヨクボーにちゅうじつなだけやろ」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:57:33.21 ID:QI1xRxVf0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

   「っ……」

  「ど、どしたん? どっか痛いんか?」

   「ちゃ、ちゃう……」

  「泣いたらせっかくのかわいい顔が台無しやで」

    「まーたくどきはじめた」

  「私は欲望に忠実やからな」

  「ほら、笑って――――」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:58:11.41 ID:QI1xRxVf0
怜「――――」

怜「――どこ、ここ」

園城寺母「ん? ああ、起きた?」

怜「ふぁ……おふぁよ……」

園城寺母「はいはい、おはよう。怜はお寝坊ねぇ」

園城寺母「もう三日も寝てたのよ」

怜「はあ、三日」



怜「…………」

怜「みっか!?」

園城寺母「起き抜けでそんな大声出すとしんどいわよー」
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:58:40.02 ID:QI1xRxVf0
怜「いやいや三日って……何あったん? 全然覚えてない」

園城寺母「えっとねぇ……確か竜華ちゃんやセーラちゃん達を合宿に見送ったあとで倒れたとか」

園城寺母「あ、そうそう。学校の皆が心配してるみたいだから、あとで電話かけてあげなさいね?」

園城寺母「お父さんからも一時間ごとに電話あるけど……まあ、それは後でいいから」

怜「ん、わかった」

園城寺母「じゃあ私はナースさん呼んでくるから〜」

怜「あ、うん」




怜「……ナースコール押せばええんやない?」

怜(しかし、私、倒れたんか)

怜(こうも突然倒れるとか、皆にごまかしようが無いやん)
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 14:59:25.89 ID:QI1xRxVf0
怜(部の皆にはかなり心配されて、少し怒られた)

怜(竜華なんて怒るわ泣くわで病室からつまみ出されるほどで)

怜(まあ、心配させた私が悪かったわけやけど)


怜(だからせめて、早く退院してマネージャーの仕事に戻ろうとした)

怜(……せやけど)
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:00:10.40 ID:QI1xRxVf0
   「うああああ、ときぃ、ときのあほおおお」

    「もう! 竜華ええ加減泣きやめや! 他の人の迷惑になるやろ」

   「らってーぇぇぇ……」

怜「…………」

洋榎「おい、耳まで赤くなっとるで?」

怜「う、うっさい。ちょっとほっといてや」


怜「……ほんま、この度は大変ご心配おかけしました」フカブカ

洋榎「ほんまやで。調子悪かったんならあらかじめ言ってくれな?」

怜「あ、うん」
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:00:59.60 ID:QI1xRxVf0
洋榎「まあ、ゆっくり療養するんやで」

洋榎「休んでる間の勉強はノート取ってもってくるから」

怜「えっ、洋榎が取ってくれるん?」

洋榎「あ、いや、竜華や恭子がやってくれるって言ってたから」

怜「おお、それなら一安心や」

洋榎「なんでや! うちのノートが汚いみたいな言い草やな」


怜「そもそも、ちゃんとノート取っとるん?」

洋榎「…………」

怜「何で目ぇ逸らすん」
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:01:35.23 ID:QI1xRxVf0
怜「まあ、出来るだけ早く退院して部に復帰するようにするから」

怜「マネージャーの仕事、ほっぽり出しとるからなぁ」

洋榎「あ、それなら心配いらんで」ゴソゴソ

怜「? なにこれ、USB?」


洋榎「それにインハイで必要な情報がだいたいまとめられとるそうや」

洋榎「恭子や浩子らが怜の代わりに頑張ってまとめたんやでー」

怜「……そうなんや」

洋榎「せやから安心して休んでええで」
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:02:16.76 ID:QI1xRxVf0
怜「これ、借りてもええ?」

洋榎「ええで。少しは入院中の暇つぶしなるやろ」

洋榎「あ、パソコンあるんか?」

怜「うん――ちょうど、そのドアのとこから覗いとる母親が持ってきたっぽいから」

園城寺母「……入ってもいいのかしら?」

怜「ええから。看護師さんに通報される前に入って」


洋榎「どうもどうも、愛宕洋榎です」

園城寺母「どうもどうも、怜の母親です」

怜「あいさつとかええからノーパソだけ置いといて」

園城寺母「冷たい子ねぇ……」

園城寺母「あ、安心して。中身はパスワードかかってるから見てないからね」

怜「立ち上げはしたんかい」
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:02:49.39 ID:QI1xRxVf0
怜(皆が帰った後、一人で恭子とフナキュー達が作った資料を見た)

怜(非の打ち所のないものやった)

怜(他校の選手の打ち筋、牌譜を集められる範囲で過去の記録まで集めていた)

怜(必要であれば動画も添付されているものもあって)

怜(私がどれだけ時間をかけても作れないものがそこにあった)


怜(良かった、これで千里山は安泰やな)

怜(……などということは考えられなかった)

怜(嫉妬していた。自分の手が固く握りしめられていることに気づかないほど)
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/03(金) 15:03:49.46 ID:dkyKFsOFo
書き溜めを一心不乱に投下してるだけか
無意味な改変を入れるとこからみてひょっとして前に決勝戦妄想SS書いてた人?
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:03:59.72 ID:QI1xRxVf0
怜(私なんかが欠けても千里山には何の問題も無い)

怜(以前から心の奥底で気づいてはいたものの、ずっと目を背けていたことを痛感させられた)

怜(みんなのために、と言いながら、私は自分のことしか考えて無かった)

怜(麻雀部のマネージャーという立場を、どこか心の拠り所にしていたんだと思う)

怜(自分は必要とされていると……そう、思い込むために)



怜(結局、退院はインターハイが終った後になってしまって)

怜(千里山は今年も全国優勝を逃した)
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:04:33.30 ID:QI1xRxVf0
■千里山女子高校 廊下

セーラ「――せやから、オレの大量失点が無ければ勝てたんや」

竜華「また言うとる」

るう子「確かに、僅差ではあったけどね」

るう子「セーラちゃんだけじゃない……私があと3,000点稼いでれば勝てたわけだし」

セーラ「蔵垣先輩はオレの失点、めちゃくちゃ挽回してくれたじゃないですか」

るう子「うーん……私は、去年いっぱい失点したから」

るう子「未だにそれを取り戻し切れてないけどね」


るう子「……セーラちゃんが責任感じてるのなら、その分、来年は頑張って」

るう子「来年こそは千里山を優勝に導いてほしいなぁ」

セーラ「……来年は先輩おらんやないですか」

るう子「うん、もう三年生だからね」
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:05:17.84 ID:QI1xRxVf0
るう子「ただ、自分がいなくても千里山が一番好きな高校だから、優勝してくれたらすごく嬉しい」

るう子「……重みになるかもしれないけど、これは覚えておいてほしいかな」

セーラ「……絶対、優勝させます」

るう子「うん、お願いね」



るう子「……あ、麻雀部着いちゃったね」

るう子「それじゃ、私は進路指導室の方に用事があるから」

セーラ「打ってきましょうよ」

竜華「みんな大歓迎ですよ」

るう子「一応、もう引退した身だから」

るう子「元部長もいたら、洋榎ちゃんもやりにくいだろうし」
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:06:12.29 ID:QI1xRxVf0
怜「藤白先輩は引退してからも散々入り浸ってたような……」

るう子「うっ……せ、先輩は、その、アレだから」

怜・セーラ・竜華(((アレって……)))


るう子「それじゃ、セーラちゃんも竜華ちゃんも怜ちゃんも頑張ってね」

セーラ「勉強の息抜きでもええんで、たまには来てくださいよー」

るう子「うん、その時はよろしくねー」




セーラ「……頑張らんとなぁ」

竜華「うん」

怜「陰ながら応援しとるわ」

セーラ「何言っとるんや、怜も頑張るんやで」

怜「私もか」

竜華「とりあえず部室入ろ。新部長……じゃなくて、主将が待っとるで」

怜「ほんとに洋榎がなったんや」

セーラ「世も末や」
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:07:05.12 ID:QI1xRxVf0
■千里山女子高校 麻雀部部室

洋榎「お、怜。もう部の方に出てきてもええんか?」

怜「ん、別に大したことあらへんから」

洋榎「大したことなかったら何ヶ月も入院せんやろ……」

竜華「怜、ほんと無理したらいかんで?」

怜「大丈夫やって」


怜「洋榎、部長になったんやろ? おめでとー」

洋榎「せやで。まあ、本当は嫌なんやけど、どうもうちしかおらんみたいやからな!」

セーラ「駄々こねとったけど、みんなにおだてられてなったんや」ボソボソ

怜「なるほどな……」ボソボソ
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:07:43.12 ID:QI1xRxVf0
洋榎「あと、うちは部長やなくて主将やからな」

怜「はぁ、何が違うん?」

洋榎「主将の方がかっこええやろ?」

怜「せやろか」

洋榎「せやせや」


部員A「園城寺先輩!」

部員B「うわあああああ先輩だ! 先輩先輩!」

部員C「もう学校来て大丈夫なんですか!?」

怜「あ、うん。ごめんな、マネージャーの仕事まったく出来んで」

部員D「園城寺先輩の身体が一番大事ですよ!」

部員E「雑用とか主将にやってもらえばいいんですから」

洋榎「なんやて!」
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:08:18.91 ID:QI1xRxVf0
 ギャーギャー

怜「……何か、先輩らがおらんようになっても部は相変わらずやなぁ」

怜「ちょっと、ほっとした」

竜華「……そっか」


部員A「園城寺先輩! 快気祝いってことで一緒に打ってもらえませんか!?」

怜「ええっ……私弱いから遠慮しとくわ」

怜「それにマネージャーの仕事もあるし」

洋榎「部員の相手するのもマネの仕事やろ」

洋榎「三年生が引退して人数減ったし、すまんけど怜も協力してくれ」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:09:01.25 ID:QI1xRxVf0
部員B「ちょっと打つだけですって」

部員C「ひ、必要なら、フヒッ、手取り足取り指導を……」

竜華「しばくで、一年」

怜「ん……まあ、ちょっとだけなら」


怜(そういえば打つの、すごい久しぶりやな)

怜(いつもは何かと理由付けて断っとったけど)

怜(打っておこう……思い出作りのためにも)
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:09:52.67 ID:QI1xRxVf0











憩「ん……?」

絹恵「ん? どしたの憩ちゃん」

憩「なんかこう、びびび、っときたー」

絹恵「びびび、って……」

憩(何か覚えの無い感じやったなー)

憩(千里山のオカルト寄りの人が打ってたらだいたいわかるんやけど)
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:10:30.71 ID:QI1xRxVf0
■千里山女子高校 麻雀部部室

怜(……なに、この状況は?)

セーラ「そんじゃ、オレが北家で」

憩「えー、ちゃんと親決めましょうよーぅ」

洋榎「怜から引き。サービスや」

怜「いや、あの、何で私が千里山の現トップ3と打たなあかんの?」


洋榎「それはな!」

洋榎「…………」アブラアセ

怜「あ、ええわ、思い出せないなら思い出せないで」

セーラ「怜、最近すっげー調子ええやろ?」

怜「……そうでもないで」

恭子「いや、かなり調子ええよ」
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:11:13.21 ID:QI1xRxVf0
恭子「あくまで短期的な成績やけど、連対率は主将並み、振込もほぼ皆無」

怜「たまたまやて」

恭子「リーチ一発率も?」

怜「……単なるバカヅキや」

恭子「自分でもおかしいとは思っとるんやろ?」

恭子「……いや、もうほぼ確信しとるんやない?」

怜「…………」


セーラ「……オレは難しいことわからんけど」

セーラ「ここ数日の怜見てたら、オレと憩ちゃんと洋榎相手に怜が互角以上にやれそうなのはわかるで」

怜「私は、マネージャーやから」

竜華「そんなん関係ないわ」

竜華「私は怜と一緒にインハイ行きたい」

怜「…………」
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:11:59.99 ID:QI1xRxVf0
怜(正確にな時期はわからんけど、部で久しぶりに打ったときには既に見えてた)

怜(一巡先が――)


怜(チャンス、なんかな)

怜(あまりにも唐突すぎて、実感がわかんけど)

怜(もし私が千里山の戦力になれるなら、皆と一緒にインハイの舞台に立てる)

怜(私自身、降って湧いてきたこの力のことをわかっていない)

怜(けど、セーラと憩ちゃんと洋榎相手にいい勝負できるなら……)



洋榎「……どうする? やめとくか?」

怜「……打つ」

怜「打たせてほしい」

怜「私が通用するのか、試させてほしい」
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:12:34.58 ID:QI1xRxVf0
怜(その後、私は秋季大会のレギュラーに選ばれた)

怜(秋季はレギュラー入れ替えかのうで、枠事体が多いとはいえ、レギュラーになったのは初めて)

怜(しかも、竜華とセーラと一緒に選ばれたレギュラー)

怜(あの頃は、自分の力が認められたことに有頂天になってた)

怜(……認められたのは私じゃなくて、一巡先が見えるという力なのに)


怜(ただ、退院以来、とんとん拍子で本来自分が望んでいたものに手が届いたことは本当に嬉しくって)

怜(地区大会まで夢中で麻雀を打ってた)

怜(自分の身体のことも忘れて、本当に夢のようやった))

怜(秋季大会の決勝で、現実に戻されるまでは)
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:13:29.75 ID:QI1xRxVf0
■秋季大会 対局室

怜(南三局……二位と25,000点差あるとはいえ、気をつけんと)

怜(今日は大将させてもらっとるんやから、きっちり逃げ切りせな)

怜(これ勝って、絶対に春季大会に皆で行くんや)





怜(身体も調子ええし、一巡先―――――っ――――?)














129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:14:24.07 ID:QI1xRxVf0





             「―、――!」




                       「――――!」





130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:15:04.57 ID:QI1xRxVf0






怜「――っ、ぁ、ぁれ……?」

怜(なんや……いま、意識飛んでた……?)

  「あ、あの……ツモったので、点棒……」

怜「ご、ごめん。何点?」

  「えっと、倍満の親被りなので、8,000点お願いします!」

怜「――――」
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:15:53.10 ID:QI1xRxVf0
怜(あとでわかったけど、意識が飛んでるうちに鳴いてツモをずらすチャンスがあった)

怜(その後、必至に一巡先を見て、何とか一位で大会を終えることができた)

怜(控え室では皆にひやっとしたと散々笑われたものの、私自身は気が気で無かった)

怜(対局中、意識が飛んだ時の感覚が……合宿前に倒れたときとよく似ていたから)

怜(あまり長く生きてはいられないと覚悟はしていたつもりだったけど)

怜(突然、スイッチが切れたように目覚めなくなる)

怜(改めて死ぬことを実感させられ、眠るのが怖くなった)



怜(でも、誰にも話さずにいた)

怜(話してしまったら、また病院に逆戻りになって)

怜(もう、皆と同じ舞台で麻雀打つことができなくなるかもしれない)

怜(秋季大会以降も意識が飛ぶことは何度かあったけど、ずっと誤魔化し続けた)

怜(痛いわけでも苦しいわけでもない)

怜(ただ怖いのをガマンし続ければ良かった)
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:16:48.61 ID:QI1xRxVf0
■旅館

怜(冬季合宿も明日で最終日。夕方には飛行機に乗って大阪に帰らんと)

怜(なんだかんだで初めての合宿、楽しかったなぁ……ええ思い出になった)

怜(明日に備えて寝ないといけんのやけど……ん?」


竜華「…………」ゴソゴソ

怜(竜華……? 遅くに起きて、どこ行く気なんやろ)

怜(……追ってみよ)
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:17:49.62 ID:QI1xRxVf0
竜華「…………」

怜(星でも見てとるんやろか)

怜「りゅーか」

竜華「うわっ!? ……な、なんや、怜か」

怜「何しとるん? 優雅に涼むには寒すぎるやろ」

竜華「んー、なんや寝るのがもったいなくて」

竜華「怜と来る初めての合宿やから。星も綺麗やし」

怜「……朝風呂に入れんようになるで」

竜華「徹夜すれば両取りできるけど……明日がつらいか」

怜「なら二人で卓球でも打ちにいく?」

竜華「それはさすがに監督に怒られるでー」
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:18:34.73 ID:QI1xRxVf0
竜華「…………」

怜「…………」

竜華「……あんな」

怜「ん?」

竜華「あかり、見てたんや」

怜「星じゃなくて?」

竜華「うん……セーラがな、言ってたこと思い出してな」


竜華「去年のインハイで負けて戻った時、飛行機の窓から地元の街のあかりがたくさん見えて」

竜華「この中に一人くらいは自分を応援してくれてた人がおったんちゃうか――」

竜華「そう思たら、もう申し訳なくて悲しくて悔しくて、アカンかったって」

怜「らしゅないわ」

竜華「せやな」
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:19:19.55 ID:QI1xRxVf0
竜華「でも、そうなるのがインハイなんやないかな」

竜華「……三年のインハイ、怜と一緒に立てるとええなぁ」

怜「その前に春季大会あるって」

竜華「せやったな。レギュラー残れるように頑張らんと」

竜華「……やっぱり、おとなしく中入って寝よ。寒いわ」

怜「ん……せやな」



怜「りゅーか」

竜華「んー?」

怜「手、握って寝てええ?」

竜華「ふぁっ!? え、ええけど……うち、どきどきして寝れんかも……」

怜「私は快眠できそうや」
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:19:55.16 ID:QI1xRxVf0
怜(合宿の帰りの飛行機、セーラの見た光景が気になって窓から外を見てみた)

怜(きれいやった。月次な言葉やけど、地上に星空が降りてきたみたいやった)



怜(……ただ、同時に怖くてたまらなくなった)

怜(私は街のあかりみたいに、いつスイッチを切られて消えてしまうかわからなくって)

怜(いまの私なんて、そこら中にいっぱいある街灯の一つに過ぎなくて)

怜(消えても誰も心に留めず、誰の記憶にも残らない)



怜(……そんなのはいやや)

怜(みんなにわすれられるなんて耐えれん)

怜(だから春季大会で、夏のインハイで活躍をして園城寺怜というすごい選手がいたって)

怜(みんなの記憶に焼き付けたかった)
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:20:40.01 ID:QI1xRxVf0
怜(神様は意地悪や)

怜(人に力与えて、夢見させて、ほしかったものに手が来る寸前までいってたのに)





怜(年が明け、最初の練習の日……私は)

怜(みんなの前で――前のように倒れてしまった)
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:21:27.46 ID:QI1xRxVf0
■病室

雅枝「…………」

怜「…………」

雅枝「……何で黙っとったんや」

雅枝「一巡先を見ると意識が飛ぶこと」


怜「……いつもじゃなかったんで」

怜「それに意識飛ぶ以外は別段なんともなかったですし」

雅枝「意識飛ぶだけでも十分異常やろ」

雅枝「明らかにおかしくて、それが一巡先見ることに起因しとるのはわかりきってたはずや」

怜「…………」
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:22:00.83 ID:QI1xRxVf0
雅枝「とにかく、ゆっくり身体やすめとき」

怜「春季大会は……」

雅枝「お前はレギュラーから外す」

怜「――――」

雅枝「お前はまだ若いんや」

雅枝「夏のインハイもあるし、それ以降もチャンスが」

怜「それや遅すぎるんです!」


怜「私は、生きて高校卒業すらきわどいところで」

怜「ひょっとしたら……夏にはもういなくなってるかもしれへん」

怜「ある日、スイッチ切られた電灯みたいに消えてしまうかもしれない」
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:22:50.50 ID:QI1xRxVf0
怜「私が弱いからレギュラーになれん、それなら納得できます」

怜「でも、一巡先が見えるようになって以降はちゃんと結果は残してきました」

怜「きっとこれが、みんなと同じ舞台に立つ最後のチャンスなんです」


怜「私には……いましか無いんです」

怜「このまま消えてなくなってしまうなんで、耐えられません」

怜「監督……おねがいです」

怜「春季大会に……出させてください」

雅枝「…………」
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:23:35.65 ID:QI1xRxVf0
雅枝「……容認できん」

雅枝「対局中に倒れたらどうする。場合によってはそこで千里山の敗退決定や」

怜「……絶対倒れません」

雅枝「お前の身体が危ういってことを知りながら出して、何かあったら私の任命責任が問われる」

怜「春季大会終わるまで、絶対死にません」

怜「絶対、監督に迷惑かけません」

雅枝「アホ……もう迷惑かけとるわ」



雅枝「でも、子供が大人に迷惑かけるのは当たり前のことや」

雅枝「千里山の監督としてではなく、一個人としてはお前の望みを叶えてやりたい」

雅枝「……少し、時間がほしい」

雅枝「親御さんと担当医の人に相談してみる」

怜「――ありがとうございます」
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:24:28.03 ID:QI1xRxVf0
怜(結局、親の了解は取れた)

怜(お母さんには久しぶりに泣かれた)

怜(親不孝者ってことはわかっているけど、最後のワガママということで許してほしい)

怜(どうしても皆と晴れ舞台に行きたいから)



怜(ただ、監督が出した条件で少し引っかかった)

怜(千里山麻雀部部員、全員の了解を得るという条件で)
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:25:04.24 ID:QI1xRxVf0
怜「……私が春季大会出ること、了承してくれたんや」

     「まあ、ね」

     「園城寺さんがレギュラーから外れても私の席無いし」

怜「ご冗談を。十分レギュラー狙えるとこまで来てるやん」

     「ふふん。まあ、頑張ったからね」



     「麻雀部、やめなくてよかったと思うよ……お互いに」

怜「私はズルしてレギュラーなったもんやけど」

     「日頃の行いがいいからだよ」
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:25:42.51 ID:QI1xRxVf0
     「……監督と先輩に説得されて、惰性で麻雀部に居続けたけど」

     「いまもこうやって麻雀部にいるのは、どっかのマネージャーのおかげだよ」

     「データ持ちだしてトップ率は下がったけど、放銃率も下がったって励ましてくれたりさ」

怜「……お節介なマネージャーやな。本当は単なる偽善者やったんやで」


     「お節介でも、偽善でもいいよ」

     「それで救われたやつがいるんだから」
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:26:19.35 ID:QI1xRxVf0
怜(私が春季大会に出ることに反対する部員は、当然いた)

怜(けど、セーラや洋榎達が説得してくれた)

怜(大半が私の身体心配してって子ばっかりだったそうで……何か申し訳ない)




怜(ただ、一人だけ)

怜(一人だけ……竜華だけは最後まで反対してた)

怜(私が無理言ってお願いすれば、きっと竜華は折れてくれる)

怜(竜華自身もそう思っていたのか、中々病院には来てくれなかった)

怜(ようやく病院に来てくれたとき、私は春季大会に出させてほしいと頼むはずやった)


怜(……頼むはずやった)
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:26:53.88 ID:QI1xRxVf0
■病室

竜華「…………」

怜「来てくれたんやな」

竜華「怜のあほ」

怜「開口一番がそれか……」


竜華「ぜったい、春季大会なんか出させんからな」

怜「そんな怒らんでええやん」

怜「最後のお願いだと思って――」

竜華「最後なんて言わんといて!!」
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:27:31.11 ID:QI1xRxVf0
竜華「……お願いやから、そんな悲しいこと言わんといて」

怜「……ごめん」


竜華「…………」

怜「…………」

竜華「…………」

怜「……あんな」

竜華「……うん」

怜「…………」

怜「治るかもしれん、病気」

竜華「ほんまに!?」
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:28:03.76 ID:QI1xRxVf0
怜「いままで進行遅らすぐらいしか出来んかったんやけどな」

怜「昨日、先生に聞いたんや……治療法が確立されたって」

竜華「ほ、ほな、はよ手術して治」

怜「ただな」



怜「……ただ、私の場合は結構進行しとる関係で成功率低いんよ」

竜華「……どれぐらい?」

怜「先生は半々って言ってたけど……どうやろな」

怜「最悪、死ぬ危険性もあるらしい」

竜華「…………」
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:28:38.00 ID:QI1xRxVf0
怜「まあ、仮にやるとなったら状況見つつやばそうなら途中で切り上げたりもするから」

怜「一回の手術で即死ぬってわけやないけどな」

怜「二回目とか、三回目とか……私の体力が持つかって問題もあるけど」


竜華「……怜は、どうしたいん?」

怜「…………」

怜「春季大会に出たい」
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:29:09.74 ID:QI1xRxVf0
怜「……出たいつもりやった……けど、ようわからんくなった」

竜華「…………」

怜「たったの二択なんやけどな」

怜「手術受けるなら、当然できるだけ早い方がええ」

怜「けど、春季大会は出られんやろうし、手術も成功するとは限らん」

怜「春季大会出よう思っても、ひょっとしたら大会中に倒れてそのまま、ってなるかもしれん」

怜「みんなに迷惑かかる」

怜「仮に持って、春季大会終わってから手術やっても間に合うかどうかやな」



怜「……たった二択なんやけどなぁ」

竜華「…………」
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:29:42.49 ID:QI1xRxVf0
竜華「……私は」

竜華「私は、怜に生きててほしい」

竜華「怜と一緒に生きたい」

竜華「一緒にお酒飲んだり」

竜華「自分たちがすっかりおばちゃんになったって笑い合ったり」

竜華「一緒に赤いちゃんちゃんこ着たり」

竜華「そういう普通の人生でええんや」



怜「……私は」

怜「まだ、ちょっと迷ってる」
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:30:13.31 ID:QI1xRxVf0
竜華「私は怜も生きたい、って思ってくれてると思う」

怜「そうかな」

竜華「きっとそうや」


竜華「怜は一巡先が見えるんやろ?」

竜華「それって、怜がいまより未来を大事にしたいから見えたんやないかな」

竜華「本当は未来を見ていたいから」

竜華「未来が見たいってことは……生きたい、ってことやないかな」

怜「……竜華」

竜華「ん……?」

怜「ポエマーやな」

竜華「ちょっと! うちせっかくええこと言ったつもりになっとったのにぃ……」
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:30:43.35 ID:QI1xRxVf0
怜(いまよりも未来が見たい……か)

怜「……そうなんかもな」


怜「……決めた」

怜「春季大会はすっぱり諦めて、手術受けるわ」

竜華「ほんまに?」

怜「うん。早い方がええやろうからな、少しでも」


怜「ただ……春季大会出る方向でみんなに話し進めてもらってたのが、おじゃんになるけど」

竜華「私が一緒に謝ったげるから」

竜華「みんな、怜に生きててほしいって思ってくれてるやろうから、許してくれるわ」

怜「……何か振り回して申し訳ないな」
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:31:16.70 ID:QI1xRxVf0
竜華「秋季大会は諦めるにしても、夏のインハイは一緒に行こうな」

怜「手術成功したとして、そのまま力も無くなってしまうかもしれへんけどな」

竜華「そしたら特訓や。地獄の鬼特訓で怜の地力を上げるんや」

竜華「絶対手術成功させて、夏のインハイは絶対にみんなで行こう」




竜華「……約束して、絶対って」

怜「……うん」



怜「約束するわ」

怜「絶対に――みんなで行こうな」
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:31:51.18 ID:QI1xRxVf0
怜(一度目の手術には失敗した)

怜(私が持たんってことを見極めて、途中で止めてくれたから何とか死にはせんかった)

怜(……けど、執刀してみて、想定以上にひどいってことがわかったらしい)




怜(少し日を置いて、私の体力が戻ったら二度目の手術)

怜(けど……弱ってた私は風邪を引いてしもうて)
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:32:30.26 ID:QI1xRxVf0
怜「……おかーちゃん」

園城寺母「んー?」

怜「おみず、ほしい……」

園城寺母「はいはい」

園城寺母「落ち着いて、ゆっくり飲むのよ」

怜「ん……」







怜「……おかーちゃん」

園城寺母「なぁに」

怜「わたし、このまましぬんかな……」
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:33:15.43 ID:QI1xRxVf0
園城寺母「……ただの風邪よ、大げさな子ね」

園城寺母「ちゃんと良い子にしてれば、全部治るから」

怜「ほんまに……?」

園城寺母「お母ちゃんが嘘なんてつくわけないやろ?」

怜「ん……」





怜「……また、おちゅうしゃうたんといけんのかな……」

園城寺母「ガマンし。怜のためなんやから」

怜「ん……がまんする……」
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:33:59.83 ID:QI1xRxVf0


園城寺母「……竜華ちゃんやセーラちゃん」

園城寺母「みんなと、インターハイ行くって約束したんやろ?」

怜「…………」

怜「……うん」

159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:34:38.28 ID:QI1xRxVf0




怜「…………いきたい」












怜「――――みんなと、いきたい」



160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:35:05.29 ID:QI1xRxVf0
























161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:35:36.63 ID:QI1xRxVf0
竜華(――春季大会)

竜華(千里山は順調に勝ち進んで決勝まで来ることができた)

竜華(みんな、怜のことがあってか意気込みが違った)

竜華(決勝戦も順調にトップを走り続け、大将の私まで繋いでくれた)




竜華(怜はこの日、二回目の手術だった)

竜華(私達だけやない。怜も懸命に戦ってくれている)

竜華(怜は意地っ張りやから、自分が本当につらい時はガマンして、弱みを見せてくれないけど)

竜華(本当は怖くて怖くてたまらなかったと思う)

竜華(――勝ちたい)

竜華(勝って、怜に優勝を報告したかった)
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:36:20.29 ID:QI1xRxVf0

  「――続いて、現在トップの千里山女子高校」

  「大将を務めるのは昨年の秋季大会よりレギュラーとなった清水谷竜華」

  「秋季大会より現在に至るまで安定した成績を残し続けています」

  「現在の得点を維持することができれば優勝間違い無しでしょう」







  「しかし、王者白糸台はそれを許しません」
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:37:15.28 ID:QI1xRxVf0

  「昨年と一昨年のインターハイを制し、夏のインターハイを制すれば三連覇達成」

  「春季大会も昨年は優勝しており、今年優勝すれば春季大会二連覇達成です」

  「現在の順位は三位ではありますが、まだこの人が残っています」








  「白糸台大将――宮永照」
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:37:52.97 ID:QI1xRxVf0
























165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:38:42.17 ID:QI1xRxVf0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

   「ごめんな……ごめんな……」

  「もー……ええ加減泣きやみぃや」

   「うちのびょうきが、うつったせいや……」

  「だーかーらー、そっちのは単なるアトピー」

  「うつらへんわ……私が倒れたのジビョーやもん」



  「……ごめんな、心配かけて」

   「…………」フルフル

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:39:33.44 ID:QI1xRxVf0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

  「ほんま泣きすぎや……べっぴんさんが台無しやで?」

   「だってぇ……」

  「大丈夫、これぐらい、直ぐに治してみせるから」

   「ほんと……?」

  「ほんとや。私はかわいい女の子にはウソつかんで」

   「じゃ、じゃあ……うち、ぶさいくやからダメやん……」

  「なに言うとん」



  「竜華はかわええで」




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:40:06.35 ID:QI1xRxVf0
























168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:40:43.12 ID:QI1xRxVf0
竜華「…………」

??「……竜華?」

竜華「あ、う、うん? なに?」

??「どしたん、ぼーっとして」


竜華「……ちょっとな、昔のこと思い出しとった」

竜華「怜とセーラが私を助けてくれたこと」

セーラ「あー……怜が犬のクソ振り回しとった時のことか」

竜華「う、うん……確かにそうなんやけど、その思い出し方はないわ……」
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:41:27.04 ID:QI1xRxVf0
竜華「思えば遠くへ来たもんやなぁ」

セーラ「なんや、今日はえらく黄昏とるんやな」

竜華「だってそうやん。いま、なにやっとると思っとん」

セーラ「インターハイ準決勝や」

竜華「私達、三年生にとっては最後の大会やろ」

竜華「ちょっとは黄昏てもええやん」




セーラ「……怜がおったら」




セーラ「怜がおったら、なんて言うかなぁ」

竜華「……なんて言うやろな」
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:41:56.90 ID:QI1xRxVf0
セーラ「…………」

竜華「…………」

怜「…………」



怜「……あんな? 人が死んだみたいに黄昏んでや」

竜華「あ、おかえりー。おトイレ済んだ?」

怜「もうバッチリや。これで対局中にお漏らしすることも無いな」フンス
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:42:45.02 ID:QI1xRxVf0
怜「というか竜華、最後の大会やって自覚があるんならもっと頑張ってほしかったわ」

竜華「う……またその話か」

怜「私は何度でも言うで」



怜「誰や、夏のインハイはみんなで行こうって言ったのは」

竜華「わ、私やけど……一応、みんなで来れたやん」

怜「来れたな。竜華はレギュラー落ちしとるけどな!」

セーラ「せやせや」

竜華「うぅ……だってぇ」
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:43:27.82 ID:QI1xRxVf0
竜華「怜が学校に戻ってきてくれたから、安心してしもうて」

怜「もう地区大会のメンバー選抜の時から腑抜けになっとったな」

セーラ「何とか補欠にはなれたんやけどなぁ」

竜華「申し訳ないー」




怜「仕方ないから竜華の分まで私が頑張ってくるわ」

竜華「うん、頼んだで! 絶対に決勝まで連れてってな!」

怜「…………」

竜華「? どしたん?」

怜「あ、ああ……いや……何でもない」
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:44:09.51 ID:QI1xRxVf0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

  「必ず連れて行く――決勝まで」

   「うん……頼んだよ、大将さん!」

  「頼まれたよ、エース」


  「…………」

   「ど、どうかした?」

  「ああ、いや……」

  「先輩達も、こうやって想いを託してきたんだろうな、って思って」

  「――悪くないね」

  「うん、悪くない……むしろ、心地いいよ」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:44:45.36 ID:QI1xRxVf0

怜(――私には一生理解できないかもしれないと思ってたけど)

怜(こうして、インハイの舞台に立っている)



怜(いまようやく、先輩の言葉が理解できたわ)
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:45:17.21 ID:QI1xRxVf0

怜「……さて、そろそろ行ってくるわ」

怜「大将戦」

セーラ「おう、頼んだで」

竜華「頑張れ、怜!」

怜「頑張ってくるわ」











176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:45:54.38 ID:QI1xRxVf0

  「Aブロック準決勝、いよいよ大将戦です」

  「現在四位は臨海女子高校、大将は世界ランカーの雀明華」

  「副将戦で2位から4位に転落したものの、まだまだトップが狙える状況です」


  「三位は千里山女子高校、この大将戦では唯一の三年生、園城寺怜」

  「公式戦ではいままで無放銃。ただ、決勝進出には最低でも二位をまくらないといけません」

  「千里山女子はこれまで荒川、愛宕、江口が稼いで園城寺が得点をキープするのが黄金パターンでした」

  「今回は守るのではなく、攻めに行く必要があります」


  「二位は新道寺女子高校、鶴田姫子」

  「先鋒の藤原、次鋒の薄墨は振るわなかったものの、中堅の石戸が稼ぎ、点差を縮めてきました」

  「副将ではかなり稼ぎにくい状況で千里山の江口と共に白水哩が大暴れ、二位に浮上してきています」

  「このまま二位をキープどころか、鶴田選手ならダントツでトップを走る可能性もあります」
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:46:30.49 ID:QI1xRxVf0


  「一位は白糸台高校。副将戦で大量失点したものの、先鋒の宮永照が稼いだ点で未だトップ」

  「トリを務めるのはこの卓唯一の一年生」

  「しかしながら昨年度インターミドル個人戦で優勝しており」

  「今大会最強の一年生との呼び声も高い選手です」



  「白糸台大将――」

178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:47:08.88 ID:QI1xRxVf0


怜(――宮永咲、か)

咲「…………」

怜(臨海も新道寺も怖いけど、宮永照の妹であるこの子も怖いな)



怜(……思えば、私が千里山に入って以来、千里山の前には宮永がずっと立ちふさがって来たんやな)

怜「…………」

怜(決勝は絶対行く、けど)

179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:47:37.39 ID:QI1xRxVf0


怜(ずっと白糸台に好き放題されてるのは気に食わんな)



怜(トップ――まくっとくか)

180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:48:26.47 ID:QI1xRxVf0


  「果たして決勝に進むのはどの高校か!」

  「Aブロック準決勝、大将戦――スタートです!」





怜(……さて)

怜(頑張らんとな、勝つために)

181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/03(金) 15:49:05.11 ID:QI1xRxVf0
以上です。ひどい矛盾が……。
色々と申し訳ありませんでした。
182 : ◆htl2xznl8Q [sage saga]:2013/05/03(金) 15:50:34.26 ID:QI1xRxVf0
【使わせていただいたツール】
・(´д`)Edit
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/03(金) 15:54:53.32 ID:+fUp/kJso
もう一度だけいおう、勿体無い
基本は悪くなかった
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/03(金) 23:45:45.35 ID:7Ivp8mDuo
乙ー!
シャッフルは意味ないように思えたけど、洋榎は良い味出してた
最終回読む限りじゃ相当上手い竜華がレギュラー落ちて。どんだけ怜大好きやねん
いや大好きなのはわかるけど気が抜けすぎやろw
過去回想を挟むのも良かった
面白かったですよー!
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/04(土) 01:37:26.51 ID:zQpNJiCNo
馬鹿がいなければ気分よく読めた
馬鹿さえいなければ……
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/04(土) 01:58:29.01 ID:8wkgoy2Fo
気に入らないレスならNGにすればいいだけだろ?
そんなことで楽しめなかったとか…
最初にSSの説明があれば良かったと思う
でも悪くない話だったよ
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/04(土) 03:26:35.70 ID:SQRGcCp5o
乙乙
面白かったで
しかし、Aブロックに有力選手集まってきて、Bブロックが悲惨なことになってそうだ
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/04(土) 09:36:19.47 ID:PsvjPIaRo
ストーリーに絡まないキャラをいじったのはなんか意味あんの?
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/04(土) 12:12:33.46 ID:Ff55jTaio
特に意味ないやろ
とりあえず阿知賀どこ行ったw
190 : ◆htl2xznl8Q [sage]:2013/05/04(土) 17:18:08.12 ID:lAiSKZCf0
>>188
以前書いた別の咲SSの時系列的には前の話になるため、こんなことになってました。
他の方も言われている通り、先に書いておくべきだったのですが申し訳ありません。
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/05(日) 00:05:13.05 ID:Aotw+5TJo
>>190
関連作があってその設定を引きずっているならなおさらそのことを明記しておかないと初見にはイミフだよ…
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/06(月) 02:01:35.38 ID:JbTWqkkS0
まぁ乙
最初に注意書欲しかったな?
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/06(月) 11:45:58.01 ID:09rjtYFvo
結局なんの作品と関連してんのか
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/06(月) 16:12:47.50 ID:XaX8Fm3u0
【咲SS】「南槓に上がり目なし」

おそらくこの作品につながってると思う
これ準拠で考えるならオーダー的にも間違いは生じてないし、阿知賀がいない理由についても説明できる
ともかくも乙です、中々に面白かった
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/06(月) 19:22:11.74 ID:x+9Dtoi/o
>>194
教えてくれてありがとうございます

>>1
「南槓〜」スレには書けなかったけど、凄く楽しませて頂きました!
闘牌描写が丁寧で、このキャラならこう打つだろうって違和感を全く覚えなかった
このSSも面白かったし、次回作も楽しみにしてますー!
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