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小鳥「逆に考えるんだ」 -
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1 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 22:34:24.95 ID:9hRw6FZC0
小鳥「『結婚なんかしないほうがいいさ』と考えるんだ」
小鳥「そうすればほら、いくらでも自分の趣味に時間と資金をつぎ込めるし?」
小鳥「誰からも拘束されないって素敵よね?」
小鳥「そう!だって私は、翼を広げて大空を自由に舞う鳥だもの!」
小鳥「……」
小鳥「あれ?私、負け犬じゃね?」
SSWiki :
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1.5 :
荒巻@管理人★
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/
旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/
木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/
こんな恋愛がしたい 安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/
【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/
2 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 22:38:24.35 ID:9hRw6FZC0
結婚したら負け。そう考えていた時期が私にもありました。
女はいつでも自由に恋したい、なんてね。ははは……。
ああ、どうせ彼氏いない歴=年齢だよ。
恋愛?なにそれ甘いの?甘いのか!?甘いんだなチクショー!!
もういいんだ、そろそろ現実を直視しよう、私。
「まだ20代だから」なんて言い訳できる時間はもう残り僅か。
そりゃうちの親だって、いきおくれの三十路の娘なんていたら、恥しくて世間様に顔向けできないだろうさ。
でもね、だからってね……。
小鳥「お見合い、かぁ……」
3 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 22:42:47.57 ID:9hRw6FZC0
お相手は私より三つ年上、一流企業勤務のエリートサラリーマン。
弱小芸能プロダクション勤務の私とは、年収の桁がひとつ違う。
特別イケメンではないけど、誠実で優しそうな好青年って感じの人。
ま、お見合い写真なんて、そういうのを選んで使うものよね。
どんな人かなんて、実際に会ってみなければわからない。
それはお互い様だけど。
たかが写真の何枚かで、自分のことをわかったみたいに思われたくないのは、私だってそう。
まあね、今日だってせっかくのオフに、一人寂しくウィンドウショッピングですよ。
友達はみんな、休日となれば恋人恋人、旦那旦那、子供子供子供……。
ああ、そうだろうさ。私だってそうするよ。
相手がいればな。
……。
ははは、今ウィンドウにすごい顔した人が映ってたよ。怖い怖い。
……。
はぁ……。
4 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 22:46:00.63 ID:9hRw6FZC0
けっして悪い話じゃないんだけどね。
遅くなればなるほど、選り好みなんてできなくなるだろうし。
だからって、私にだって相手の希望ぐらいはあるんだから!
仕事熱心で、不器用だけど思いやりがあって、いざというときにすごく頼もしくて、
笑顔が素敵で、まわりのみんなから慕われてて……。
ちょっと年下の……
「あれ?音無さん?」
そう、こんな…………え?
5 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 22:48:55.83 ID:9hRw6FZC0
小鳥「プロデューサーさん?」
これなんて運命?
なんて言えたらいいんだけど、私も彼も活動半径は似たようなものなのよね。
だから、にやけてる場合じゃないのよ、私。
P「今日はお買い物ですか?」
小鳥「え、ええ。特に何か目的があるわけでもないんですけど」
P「見るだけならタダですからね」
小鳥「そういうのはデリカシーが足りませんよ?」
P「はは、すいません」
小鳥「ふふ」
いつものプロデューサーさんだ。
なにげないやりとりだけど、私にとってはかけがえのないひと時……。
彼がどう思っているかは知らないけど。
6 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 22:52:08.91 ID:9hRw6FZC0
プロデューサーさん、今日はオフじゃなかったわよね?
いつものスーツにビジネスバッグだし。
小鳥「プロデューサーさんはお仕事中、ですよね?」
P「ええ、そうなんですが……」
小鳥「?」
P「営業出るついでに、ちょっとサボりです」
小鳥「え?……ええ!?」
サボり?プロデューサーさんが?
あの律子さんですら呆れさせる仕事人間のプロデューサーさんが?
私じゃないわよね?うん、私は今日オフだっての。
P「律子には内緒でお願いしますね?」
小鳥「そ、それはもちろん」
P「ははは、どうも……」
私だって、プロデューサーさんのおかげで何度も律子さんのお説教を免れてるもの。
そんな野暮なことはしませんよ。
でもね、そんな浮かない顔してたら……。
これでも、私だって年上なんですからね!
7 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 22:55:38.24 ID:9hRw6FZC0
小鳥「なにかあったんですか?」
P「いえ……」
小鳥「私には言えないようなことですか?」
P「……」
小鳥「同じ職場の先輩として、少しは頼ってくれてもいいじゃないですか」
そう、職場の先輩と後輩、事務員とアイドルプロデューサー。
たまに昼食をご一緒したり、仕事上がりに飲み行ったりする、それなりに仲のいい同僚が私と彼の関係。
P「ふぅ……音無さんには勝てませんね。話しますよ」
小鳥「ふふ、はじめからそうやって素直になればいいんです」
P「そうですね。音無さんに嘘はつけませんから」
小鳥「え?」
どういう意味?
私に嘘をつくとバチでもあたるのかしら?
貴音ちゃんなら、ありえなくもないけど。
P「立ち話もなんですから、そこのカフェにでも入りましょう」
小鳥「は、はい」
8 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 22:58:21.86 ID:9hRw6FZC0
── カフェ ──
小鳥「それで、いったいなにが?」
P「実は……明日、見合いをすることになりまして……」
小鳥「え……?」
お見合い?プロデューサーさんが?
なにそれ、むしろこっちが相談したいことなんですけど。
小鳥「あ、明日ですか?」
P「ええ」
小鳥「そんな急な」
P「?」
小鳥「あ、いえ……」
近日中にお見合いを控えた二人。
実は彼のお相手が私で、私のお相手が彼……なんて素敵なサプライズがあったらよかったんだけど。
残念ながら、私のお見合いは来週の話。
つまり、明日プロデューサーさんとお見合いするのは私じゃない。
ああ、聞かなきゃよかったかも。
9 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 23:01:16.49 ID:9hRw6FZC0
小鳥「お相手の方は……?」
P「うちの親父の知り合いの娘さんで、俺より一つ下だそうです」
と、年の頃はお似合いね。
いくつも年上の私じゃ分が悪いかも……。
小鳥「き、綺麗な人なんですか?」
P「そうですね。さすがにうちのみんなってほどではないですが」
小鳥「それはまあ、アイドルと比べられたら」
それは私にも言えることですけどね。
おまけに、若さでは惨敗。
ははは、清々しいぐらいに勝算ありませんよ。
でも、悩んでるってことは、乗り気じゃない?
小鳥「断れないんですか?」
P「断ろうと思えば、まあ」
小鳥「だったら……」
P「なんというか……身内の事情があるんです」
あ、最初言いにくそうにしてたのって……。
触れられたくないところに触れちゃったわけよね、これって。
なにやってるんだろ、私……。
10 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 23:03:43.97 ID:9hRw6FZC0
小鳥「あの……言いにくいことだったら」
P「母が……」
小鳥「え?」
P「母がここ何年か病気を患っていて、たぶんもう長くはないと」
小鳥「……」
P「今まで好きなように生きてきた親不孝者ですから」
P「せめて生きてるうちに嫁さんをもらって、孫の顔を見せてやるぐらいは、と……」
小鳥「そう、ですか……」
P「すいません、こんな話。聞かされても迷惑ですよね」
小鳥「そんなこと……!」
小鳥「でも、それだったら、その……お見合いじゃなくても」
P「お相手のご両親が、母の病気の件でお世話になった人なんです」
小鳥「あ……」
それじゃ、この人はきっと断れない。
人の縁を大切にしている人だから。
お見合いをしたら、多分そのまま……。
11 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 23:06:34.79 ID:9hRw6FZC0
私と彼は、同じ悩みじゃなかった。
私のお見合いなんて、断ろうと思えば簡単に断れる。
でも、断ったとしても、彼はもう誰かの……?
ああ、ほんとに聞かなければよかった……。
P「音無さん」
小鳥「は、はい」
P「これからデートしませんか?」
小鳥「は、はい?」
P「デートですよ、デート」
小鳥「で、デートというと、二人でお出かけしたりする、あの……?」
P「そのデートです」
そんなもの都市伝説だと思ってましたよ。
いやぁ、まさかこうして自分が誘われる日が来るとは……。
しかも……しかもプロデューサーさんに!
えへへ……///
じゃなくて!
12 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 23:09:44.32 ID:9hRw6FZC0
小鳥「今、仕事中ですよね?」
P「今の状態じゃ、ちょっと仕事になりそうにありませんね」
小鳥「みんなほうは大丈夫なんですか?」
P「ええ。今日はもう外回りだけですから」
小鳥「明日はお見合いなのに……」
P「今日はまだ義理立てする必要はないでしょ」
小鳥「それに、ええと……」
P「はい」
小鳥「私なんかで……」
P「怒りますよ?」
小鳥「え?」
あれ?怒ってはいないと思うけど……ちょっと悲しそう。
そんな顔しないでください……。
13 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 23:11:42.79 ID:9hRw6FZC0
P「音無さんだからデートに誘ったんです」
P「付き合ってくれるんですか、くれないんですか?」
小鳥「は、はい!ご一緒します」
P「よかった。じゃあ、早速いきましょうか」
あ、手を差し出されて……。
これって、やっぱりそういうことよね?
小鳥「あの……」
P「デートですからね」
そう、デートですからね!
手ぐらい繋ぎますよね、なんたってデートなんですから!
プロデューサーさんと……///
ギュッ
小鳥「はい……よろしくお願いします///」
14 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 23:15:58.40 ID:9hRw6FZC0
── デート後 夜 ──
それから二人でショッピングをして、臨海公園までちょっと遠出をして、
観覧車に乗ったり、手……手をつないだまま夕焼けの海を眺めたり///
最後に素敵なイタリアンのお店で食事をして……美味しかったです、はい!
舞い上がってて、味なんかわからなかったけどね!
この時間が永遠に続いて欲しい……たぶん生まれて初めてそう思った。
こんな幸せを知らなかったなんて、可哀想な昨日までの私……。
でも、2X歳事務員の私に永遠なんて訪れない。
今、私の自宅の最寄駅……。
ここで夢の時間は終了。
明日になれば、彼は……。
小鳥「今日は……デートに誘ってくれてありがとうございました」ペコッ
小鳥「すごく楽しかったです!」
P「こちらこそ。音無さんが一緒に居てくれて……嬉しかったです」
小鳥「は、はい///」
15 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 23:18:31.91 ID:9hRw6FZC0
P「今日のお礼に、なにかプレゼントでもできればよかったんですけど」
小鳥「だ、ダメですよ!明日お見合いするのに、そんな……」
そういえば、私のほうのお見合いの話は結局できなかったなぁ。
いまさら言い出すタイミングもないし。
言わなくていいよね?たぶん、断るし……。
小鳥「ほんとは今日のデートだって、お相手の女性に失礼なんですからね?」
素直になれ、私。
言いたいことは、そんなことじゃないでしょ?
P「私服の音無さんが、とても可愛らしくて魅力的だったから……」
P「ということじゃダメですか?」
小鳥「」
はい?なに言ってるのこの人?
可愛らしくて魅力的で申し訳ございませんでしたね!
って、あれ?
あれれ??
小鳥「ぁ……ぅ……///」
P「今日が終わらなければよかった……」
16 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 23:21:19.41 ID:9hRw6FZC0
あ……。
もしかして、プロデューサーさんも私と同じ気持ち?
あと一歩踏み出せば、まだ夢の時間を続けられる?
P「さすがにそろそろ事務所に戻らないと……」
小鳥「あ……そ、そうですね」
なにやってんの、私。
今まさに私の人生最大のフラグが立つかどうかでしょ?
今立てなくて、いつ立てるの!
P「くれぐれも律子には」
小鳥「ええ、内緒ですね」
P「こんな時間までほっつき歩いてたら、どっちにしてもどやされるかな」
小鳥「……」
「行かないでください」「私のそばにいてください」
そう言うだけなのに。それだけでいいのに。
どうして言葉が出ないの?
17 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 23:24:29.64 ID:9hRw6FZC0
P「それじゃ……明日俺はオフだから明後日ですね」
小鳥「はい、また明後日に……」
P「おやすみなさい」
小鳥「おやすみなさい……」
プロデューサーさん、行っちゃう……。
行っちゃった……。
どうして?
私と同じ気持ちじゃないんですか?
私の勘違いなんですか?
なんで、なにも言ってくれないんですか!
バカ……プロデューサーさんのバカ!
勝手にお見合いして結婚しちゃえ、バカ!
……。
私の、バカ……。
18 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 23:33:56.01 ID:9hRw6FZC0
── 翌日 765プロ事務所 ──
小鳥「……」
律子「……」
小鳥「はぁ……」
律子「あの……小鳥さん?」
小鳥「はい……?」
律子「なにかありました?」
小鳥「なにか……?なにもありませんよ……ええ、なにも」
小鳥「ふぅ……」
律子「……」
律子「まあ、手は動いてるようだから、別にいいんですけど……」
小鳥「不思議ですよね、座ってるだけで手が勝手に動くんだから……うふふ」
律子「やっぱりなにかあったでしょ?」
小鳥「なにかあったら……あそこでなにかあったら……」
小鳥「むしろ今、浮かれて仕事が手につかなかったかも……うふふ」
律子「……」
律子「プロデューサーですか?」
小鳥「そうですよぉ。プロデューサーさんですよぉ」
律子「……」
小鳥「うぇ……」グスッ
小鳥「律子さぁん……ひぐっ」ポロポロ
律子「はいはい、いい大人なのにしょうがない人たちですね」ナデナデ
律子「なにがあったんですか?」
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/09(日) 23:35:47.22 ID:xXUoCJhZo
りっちゃんは大人だな・・・
20 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 23:37:06.83 ID:9hRw6FZC0
─────
───
─
律子「ほう、仕事中にデートですか?ほほう?」
あ、律子さんにばらしちゃった!テヘペロ
お説教タイムにはお供しますから、許してくださいね!
律子「まあ、あの人はいつも根を詰めすぎだから、たまに息抜きするぐらいは」
小鳥「え」
律子「でもデートはやりすぎです」
小鳥「ですよねー」
デート……。
うわ、なにこのスィートメモリー?///
本当にあったことよね?脳内デートじゃないわよね?
うん……///
律子「なにニヤニヤしてるんですか、気持ち悪い」
小鳥「ごめんなさい……」
律子「でも、そこまで盛り上がっておきながら、それ以上は何もなかった、と」
小鳥「はい……」
思い出させないでくださいよ……。
私の目と鼻の汗で、一張羅のスーツをドロドロにしてあげましょうか?
21 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 23:40:02.86 ID:9hRw6FZC0
律子「で、今日プロデューサー殿はお見合いですか……」
律子「まったく、あの人は……」
小鳥「律子さぁん……」グスッ
律子「ストップ!スーツが汚れる」
なんだとこの鬼!
冷血メガネ!
律子「たしか……小鳥さんもですよね?」
小鳥「なにがですか?」
律子「お見合いですよ」
小鳥「あ……」
そういえば、律子さんにだけはちらっと話したっけ。
自分のほうは、わりとマジで忘れてた。
できれば思い出したくなかった……。
22 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 23:43:29.62 ID:9hRw6FZC0
律子「小鳥さんは、それでいいんですか?」
小鳥「それは……」
イヤですよ、いいわけないでしょ。
自分でも驚くぐらい……彼のこと好きなんだから!
もう、どうしたってこの気持ちはごまかせない。
でもね、でも……。
律子さんだって、それでいいんですか?
あなたもたいがい素直じゃないですよね。
小鳥「そういう律子さんだって……」
律子「私には関係ありません!」
そうですか。じゃあ、そういうことにしておいてあげます。
あとから「やっぱ今のナシ」なんて言っても、聞いてあげませんからね!
23 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 23:46:23.52 ID:9hRw6FZC0
律子「そうはいっても、まさか今からお見合いの妨害に行くわけにも……」
小鳥「え?いいんですか?」
律子「ダメです!」
小鳥「ピヨォ……」
律子「そもそも、会場がどこかも知らないでしょ?」
小鳥「はい……」
まあ、プロデューサーさんに電話して、さりげなく場所を聞き出すとかは出来ると思うんですよ。
……律子さんなら。
律子「あ?」
こわっ!
いけないいけない、今の声に出てたかしら。
まあね、お見合い会場に乗り込んでぶち壊しにするなんて、普通にただの痛い人ですからね。
さすがに愛想つかされそうだし、やりませんよそんなことは。
24 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 23:50:26.42 ID:9hRw6FZC0
律子「いつまでもウジウジウジウジと、じれったい人たちですね……」
人たち?プロデューサーさんも?
ま、まだ彼が私のこと……す、すす好きかなんてわかりませんし!
わ、わかりませんよね?デートとかしたけど……///
律子「もう、スパッと告白して、はっきりさせればいいじゃないですか」
小鳥「それができれば、苦労は……」
律子「口答えしない!」
小鳥「ピヨッ……」
私はこの歳で彼氏いない歴=年齢ですよ?
そのへん察してくれてもいいじゃないですか。
だいたい!そんなこと、律子さんには言われたくないですね!
律子さんにだけは!
私の記録を更新しないように、せいぜい気をつけてくださいね!
律子「あ?」
ちょっ、勝手に声に出さないでよ、この口!
25 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 23:55:01.84 ID:9hRw6FZC0
── 翌日・朝 765プロ事務所 ──
昨日は結局なにも手につかなくて、たびたび律子さんからお小言を言われてた……と思う。
シラフでも記憶が飛ぶことなんてあるのね、あはは……。
家に帰ってから?
そっちはガチ記憶ないから、あはは……。
こんな私でも社会人ですから、どんなにボロボロだろうが仕事には来ますよ、ええ。
それに、まだお見合いがうまくいったとは限らないし。
そうよ!私をこんなに悩ませて!
いつもの鈍感力を発揮して、相手を怒らせてこっぴどくふられてくればいいのよ!
いいザマだわ、ふふん!
でもね大丈夫。私に……け、結婚を申し込めばいいんです!
今なら、可哀想だからもらわれてあげますよ!
ガチャッ
P「おはようございます」
小鳥「お、おはようございます!」
さ、さあ!決戦よ小鳥!
26 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/09(日) 23:57:50.38 ID:9hRw6FZC0
小鳥「き、昨日は、その……」
P「ええ、お見合い行ってきましたよ」
小鳥「え、ええ。それで……」
P「……」
小鳥「……」
P「たぶん……このままお受けすると思います」
小鳥「え……」
あれ……?
プロデューサーさんはふられて……でも、自分の気持ちに素直になって……。
結婚を申し込まれた私は、「仕方ないですね!」なんて照れ隠しで返して……。
違うんですか?
27 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/10(月) 00:00:40.57 ID:aB2rNtQz0
小鳥「あ……お、おめでとうございます」
P「ありがとうございます……」
あは、あはは……。
ふられたの私のほうじゃない。
告白もしてないのに、ふられちゃった……。
小鳥「プロデューサーさんに先を越されちゃいましたね。あはは……」
P「はは、面目ない」
小鳥「……」
P「……」
小鳥「あ、ちょっと用事を思い出したので電話してきます……」
P「はい」
─────
小鳥「──あ、お母さん?……そう、お見合いの話」
小鳥「……うん、やっぱり受けるから……よろしくね」
28 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/10(月) 00:04:30.45 ID:aB2rNtQz0
うん、まあこれでよかったのよ。
プロデューサーさんは一つ年下の可愛らしい奥様、私は三つ年上の優しそうな旦那様。
誰からも祝福される、お似合いのふた組じゃない。
姉さん女房なんて、いまどき流行らないわよね!
律子「小鳥さん?なにしてるんですか?」
小鳥「あ、律子さん……」
小鳥「おはようございます……」
律子「おはようございます」
小鳥「……」
律子「……」
小鳥「あの……」
律子「しばらく、屋上で風にでもあたってきてください」
小鳥「え?」
律子「その顔で事務所にいられても困りますよ」
小鳥「でも……」
律子「仕事は私がやっておきますから。ね?」
小鳥「はい、ありがとうございます……」
そんな顔って、どういうことですか?
心の汗が、ちょっと目と鼻から溢れてるだけじゃないですか。
失礼しちゃいますね!
ありがとう、律子さん……。
29 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/10(月) 00:07:59.55 ID:aB2rNtQz0
── 数日後・夜 765プロ事務所 ──
律子「それじゃ、私は上がりますけど……大丈夫ですか、小鳥さん?」
小鳥「え?ええ……戸締りはしておきます」
律子「明日はお見合いですよね?あまり遅くならないように……」
小鳥「そうですね、なるべく早めに上がります……」
律子「……」
小鳥「……」
律子「お疲れさまでした」
小鳥「お疲れ様です……」
ガチャッ
律子「まったくもう……」
バタン
律子さんには悪いけど、今は一人で仕事してるほうが落ち着く。
趣味に没頭しようにも全然身が入らないんだもの。
仕事してるのが一番気が紛れるわよね。
ん?私のお見合い?ああ明日だっけ。
いやぁ、不名誉な記録も明日で終了かぁ。感慨深いわぁ……。
……。
30 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/10(月) 00:10:43.72 ID:aB2rNtQz0
プロデューサーさんは、今日は珍しく早上がりしてた。
本人に直接聞くことなんてできないけど、律子さんがそれとなく探りを入れていたようで……。
今ごろ、例の彼女と会っているらしい。
やっぱり、そろそろあれよね。
正式に結婚を申し込んでもおかしくないわよね……。
どうぞお幸せに。
勘違い女は、別の幸せを見つけますよ。
せいぜい私のほうが幸せになってあげますからね。
大好きな、あなたなんかより……。
小鳥「ひぅっ……ぅ……」ポロポロ
31 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/10(月) 00:13:32.57 ID:aB2rNtQz0
ガチャッ
え?律子さん戻ってきた。
やだ、また泣いてるところなんか見られたら……。
P「音無さん……」
小鳥「え……」
うそ……プロデューサーさん?なんで?
今ここにいるはずは……。
小鳥「どうして……」
P「音無さんと話をしたくてです」
小鳥「話すことなんて……」
そんなの、今更ですよ。
言ってほしいことは、なにも言ってくれないくせに。
小鳥「例の彼女と……会ってたんですよね?」
P「え?ああ、知ってましたか」
P「ええ、さっき会ってきました。会って、ちゃんと話をしてきました」
小鳥「話を……」
32 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/10(月) 00:17:16.11 ID:aB2rNtQz0
「結婚を申し込んできました」ですか?
そんなことをわざわざ私に話すためにここに?
小鳥「ふざけないでください!」
小鳥「話をしてきた?だったら、なんで今こんなところのいるんですか!?」
P「聞いてください、音無さん」
小鳥「聞きたくありませんよ、そんなこと!」
P「聞いてください!」
小鳥「!」ビクッ
な、なんなんですか?
理不尽ですよ、そんなの。
私だって、言いたいことはいくらでも……!
P「やはりお付き合いはできないということで、お断りをしてきました」
小鳥「え……?」
今、プロデューサーさんなんて?
お断り?彼女に?
なんで……?
33 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/10(月) 00:20:01.28 ID:aB2rNtQz0
P「俺には好きな人がいるから、あなたを幸せにすることはできない、ってね」
P「おかげでひっぱたかれましたよ、ははは」
よく見ると、左の頬がほんのり朱色……。
いい気味です……。
小鳥「ひどい人ですね」
P「まったくです。彼女だけじゃなく、好きな人にまでひどいことをしてしまった」
小鳥「それに、勝手な人です……」
P「勝手は承知の上ですよ」
小鳥「……」
P「律子から聞きました。音無さんも明日お見合いだって」
あのおせっかい焼きのツンデレメガネ……。
大きなお世話ですよ、まったく……。
34 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/10(月) 00:22:53.41 ID:aB2rNtQz0
P「お見合い、お断りしてください」
小鳥「はい……?」
小鳥「ずいぶん勝手なことを言いますね?」
P「言ったでしょ、勝手は承知してます」
小鳥「じ、自分は若い女の子とお見合いしておいて、私には断れ、ですか?」
P「そうです、断ってください」
ひどい人、勝手な人……ずるい人。
わかってて言ってますよね、私の気持ち。
ほんとズルイ……。
35 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/10(月) 00:25:17.93 ID:aB2rNtQz0
小鳥「断らなかったら、どうするんですか?」
P「考えてません。断ってもらいますから」
小鳥「……」
小鳥「ふふ……なんですそれ」
P「あ、やっと笑ってくれましたね」
小鳥「え?」
P「ここ何日か、全然笑ってくれなかったでしょ?」
小鳥「だ、誰のせいだと……!」
P「はい、俺のせいです。ごめんなさい」ペコッ
小鳥「あ、はい」
小鳥「まったくもう……ふふふ」
P「音無さんは……笑ってる方が素敵です」
小鳥「うぅ……///」
P「はは」
36 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/10(月) 00:27:32.39 ID:aB2rNtQz0
小鳥「わかりました、お見合いは断ります」
P「はい!ありがとうございます!」
小鳥「好きな人がいるのにお見合いするなんて失礼なこと、私にはできませんから」
P「う……」
小鳥「うふふ」
ダメな私。
もう許しちゃってるんだもん。
でもね、しょうがないでしょ?
ひどくても勝手でもズルくても……大好きなんだから。
37 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/10(月) 00:29:19.14 ID:aB2rNtQz0
小鳥「ご両親とか先方とか、怒らせたんじゃないですか?」
P「そうでしょうね」
P「でも、俺が頭を下げて済むことなら、いくらでも頭を下げますよ」
小鳥「……」
言うほど簡単なことじゃないのに……。
それでも、あなたはここに来てくれたんですね。
私のところに……。
P「音無さん……」
ギュッ
38 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/10(月) 00:33:21.51 ID:aB2rNtQz0
小鳥「違いますよね……?」
P「え?ああ……そうですね」
P「小鳥さん」
小鳥「はい……」
ギュッ
P「好きです、小鳥さん」
小鳥「はい……私もあなたが好きです」
P「必ず幸せにします」
小鳥「はい、二人で必ず幸せに」
あなたと二人で幸せじゃないなんて考えられません。
そうですよね、プロデューサーさん!
P「結婚してください」
小鳥「はい、喜んで!」
おわり
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/10(月) 00:33:59.88 ID:/ncq+Pfjo
えんだああああああ
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/10(月) 00:34:11.70 ID:Tpj/yP7Ko
おっつおっつ
ピヨちゃんは正妻ピヨ
41 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/10(月) 00:34:35.96 ID:6wCM2yMyo
おつぴよ!
42 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/10(月) 00:36:16.90 ID:aB2rNtQz0
いよいよピヨちゃんメインしか書けないような気がしてきたけど、まあいいか。
ピヨちゃんはモノローグが一番書きやすいわ。
あくまでピヨちゃんが正妻可愛いことを書きたかったSSなので、
話がベタなのは勘弁してください。
読んでくれたみんな、ありがとう。
よかったら正妻という風潮とか、18歳ピヨちゃんのほうもよろしく。
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/10(月) 00:37:08.71 ID:6wCM2yMyo
あんたかよっ!
いつもいつも最高なんだよどうしてくれるんだ!
44 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/10(月) 00:38:10.32 ID:hqZnq2xDO
キマシタワー!乙
最近ぴよちゃんスレが少しずつ増えてきて僥倖僥倖
45 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/10(月) 00:40:02.51 ID:DKeigZu50
乙!
46 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/10(月) 00:41:29.86 ID:Tpj/yP7Ko
あんただったのか…握手(AA略
47 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/10(月) 01:11:21.44 ID:HFaMtkyoo
乙
良いピヨちゃんだった。
かけ値無しに。
48 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/10(月) 01:11:50.55 ID:HFaMtkyoo
乙
良いピヨちゃんだった。
かけ値無しに。
49 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/10(月) 01:14:28.43 ID:b+vGF2vko
(゚д゚ )乙 これは乙じゃなくてヘッドセットなんだからね
50 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/10(月) 01:33:00.55 ID:y0YT8Oyxo
雪歩からアイマスに入ったのにSS読んでるとピヨちゃんが可愛くて困る
おつでした
51 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/10(月) 01:48:38.32 ID:TwowBIKhO
乙
素晴らしい
52 :
VIPにかわりましてPIGがお送りします
[sage]:2013/06/10(月) 03:04:58.89 ID:M4PtV0Kgo
乙でした
ピヨ可愛い
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/10(月) 08:47:00.68 ID:C9WfMRPY0
乙
(;´Д`)スバラスィ
小鳥さんはなぁ…あずささん同様、妄想癖&腐女子ってのは敢えて付加した欠点要素ぽいからね
それがないとただの完璧な人になるからちかたないね
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/10(月) 23:31:02.77 ID:1Bosjz2no
おつー
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/10(月) 23:31:32.31 ID:QyKqjK4Do
乙ピヨ
56 :
◆PQxO3wwU7c
:2013/06/11(火) 20:20:05.57 ID:Euo5X8vN0
たくさん乙とヘッドセットをありがとう!
ちょっとティンときたので、これの続きの話を書いてみます。
57 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/11(火) 22:54:30.21 ID:/Vz9giTdo
おおー期待
58 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/12(水) 04:30:06.07 ID:LkoPVQhPo
見事な小鳥さん乙ーと思ったら続編とな
wktk
59 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/06/12(水) 20:24:22.61 ID:iNcQazci0
続き書くのはいいけど、前のやつ依頼出してからにしようぜ
60 :
◆PQxO3wwU7c
[sage]:2013/06/12(水) 20:48:14.90 ID:PLKPLtS50
ご指摘ども。
ルールは守らんとな。
ここも次の立てたら依頼出しときます。
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