忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」

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527 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/03/30(月) 02:28:09.01 ID:bNuxkmvs0
アリス(――って、そんな何かのフリみたいなことを言いながら)

アリス(シノはお風呂に入りに行った……)

アリス「……秘密」チラッ

アリス(シノが秘密にするもの)

アリス(それって一体、なんなんだろう……)

アリス(――シノは、『男の子』)

アリス(男の子が、秘密にするもの……)


アリス「――!!」ピクッ


アリス(ま、まさか……!)

アリス(えっちな本……!?)カァァ


アリス「……」(←本に手を伸ばす)

アリス「――!」(←すんでのところで押し留まる)

アリス(ダ、ダメだよ、私!)カァァ

アリス(シ、シノが嫌がることをするなんて、絶対ダメ!)

アリス(……で、でも)

アリス(シノ……どんな子が好みなんだろ)

アリス(そ、そうじゃなくてっ!)ブンブン

アリス(わ、私とカレンをおいて……浮気?)

アリス(そ、そうでもなくてっ!)ブンブン

アリス「……ああ」

アリス(どうしようどうしよう……)アセアセ

アリス(こんなに寒い時期なのに、暑いよぉ……)カァァ



――少し経って


忍「ふう、いいお湯でした……」ガチャッ

アリス「……」ズーン

忍「ア、アリス?」

アリス「――ねぇ、シノ?」

忍「な、なんですか?」ビクッ

アリス「……そ、その」

アリス「シノが『秘密に』したいなら、答えなくてもいいんだけど……」

アリス「あ、あの本って……えっと」モジモジ


アリス「……えっちな、本?」カァァ


忍「」ビクッ

アリス「シノ……?」モジモジ

忍「――!」ハッ
528 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/03/30(月) 02:28:39.93 ID:bNuxkmvs0
忍「い、いいえ! 決してそうではありません!」

アリス「――でも、男の子が秘密にするのって」

忍「そ、そうとも限りません! 多分!」

アリス「……そ、そうなんだ」

忍「……」


忍(やっぱり、言ったほうがいいのでしょうか?)

忍(隠したのも、何となく秘密にしておいた方がいいと思っただけですし……)

忍(――でも、雑誌の中に『相手には秘密にしておいた方が効果てきめん!』なんて書いてありましたし)

忍(……やっぱり、今は)


忍「ごめんなさい、アリス」

アリス「ううん、怒ってないよ」フルフル

アリス「……えっちな本を読んでても、私はシノのこと嫌いになんてならないから」

忍(うっ、そう言いながら何だかとても悲しそうな顔に……)



――翌日・校内の廊下



忍(はぁ……)タメイキ

忍(結局、休み時間になるたびに)

忍(こうして隠れて、本を読み込んでしまってます……)ペラッ

忍(でも、注意深く読んでも、結局どうしたらいいのかわからないままです……)

忍(誰か、教えて頂けないでしょうか……でも、陽子ちゃんや綾ちゃん、それに二人の金髪少女も)

忍(きっと、こういった本は読んだことがないと思ってしまいますし……)


――えっちな本を読んでても、私は――


忍(……アリス)

忍(アリスは、やっぱり今日も複雑そうでした)

忍(健気に笑ってはくれるものの……不安そうで)


忍「……どうしましょう」テクテク

男子A「うわっ!?」ドンッ

忍「ひゃっ!?」ドンッ


バサッ


男子B「だ、大丈夫か!?」

男子A「あ、ああ……って」

男子A「大宮さん……」

忍「ご、ごめんなさい」アセアセ

忍「本を読んでて気づけなくて……」

男子A「い、いや、大丈夫だよ」

忍「うう……」シュン
529 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/03/30(月) 02:29:05.44 ID:bNuxkmvs0
男子B「――あれ?」

男子B「本がめくれてる……」

忍「あっ!」

男子B「――これは」

男子A「ま、まさか……」

忍「――え?」


男子B「あ、ごめん。見ちゃって」

忍「い、いえ……」モジモジ

男子A「……何だか、懐かしいな」

男子B「ああ――中学時代の思い出が」

男子A「トラウマじゃないのか」

男子B「うっせ」

忍「もしかして、読んだことが?」

男子A「ん、ああ、まあ……」

男子B「俺も、まあ、一応……」

忍「――」


忍「あ、あの」モジモジ

男子A「ど、どうかした?」

忍「――もし、なんですけど」


忍「よろしければ、お昼休み……お時間を頂けませんか?」



――昼休み


陽子「弁当だー!」

綾「あなた、ほとんど食べ終わってるでしょ……」

陽子「甘いね、綾。この時間のために、少しは残してるんだよ」

綾「……まあ、陽子らしいわね」

綾「でも、授業中に食べるのは――」

陽子「た、食べないと、集中できないんだよ!」カァァ

綾「陽子は変わらないわね……」タメイキ


カレン「お邪魔しマース!」ガラッ

アリス「あっ、カレン」

忍「お疲れ様です」

カレン「シノッ!」ダキッ

忍「カレン」ダキッ

アリス「――あ」ハッ

アリス(わ、私……二人の間に入って、大丈夫なのかな?)

アリス(昨日、シノを疑っちゃったし……それで朝も、何だかぎこちなくなっちゃったし)

アリス(うう……)
530 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/03/30(月) 02:29:53.36 ID:bNuxkmvs0
忍「アリス」

アリス「!」ピクッ

忍「どうぞ」ニコッ

カレン「ココ、空いてマス」

アリス「――あ」

ダキッ

忍「あ、こんな隙間にすっぽり入っちゃいました」

カレン「アリスは可愛いデス」

アリス「……カレン」ジトッ

カレン「素直に受け取ってくだサイ」

アリス「むぅ……」

忍「――こうして、三人で寄り添い合ってると、落ち着きますね」クスッ

カレン「温かいデス……」エヘヘ

アリス「うん……」ニコッ


陽子「――別世界、いってんなー」

綾「あの子たちが幸せそうにしてると、何だかこっちまで嬉しくなるわね」

陽子「うん、それはそうだけど……何か寂しくない?」

綾「否定はしないわ……でも」

綾「陽子だって、嬉しさの方が寂しさを上回ってるでしょ?」

陽子「……そうだなぁ」


カレン「それじゃ、ランチタイムデス!」

アリス「うん!」

忍「――皆さん」

忍「私、少し用事があるので、外に出ますね」

四人「!」

忍「ご、ごめんなさい……」

忍「約束が、あるので」

陽子「――あ、ああ」

陽子「昼休み中には帰ってくるよね?」

忍「はい」

綾「それなら、ここで四人で待ってるわ」

綾「行ってらっしゃい」

忍「……ありがとうございます!」

忍「それではっ」


アリス「……ああ、シノが」

カレン「Hnn……何かあるんでショウカ?」

陽子「ほら、二人とも私たちと一緒に食べよう?」

綾「お昼ごはんは楽しく食べるものよ?」

アリス「陽子、綾……」

カレン「Yes! それじゃ、たべマショウ!」

アリス「……うんっ!」
531 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/03/30(月) 02:30:57.12 ID:bNuxkmvs0
一旦、ここまで。
次回が終わったら準備段階終了、本番に移る予定です。
……正直、アリスの立場を思うと、気が気ではないかもしれませんね。

それでは。
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/30(月) 19:37:20.01 ID:354syVY0o
乙!
アリスだけ悩んでてかわいそうだなww
533 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/02(木) 21:40:40.66 ID:wnjAQmt10



――図書室


男子A「……あ、来た」

男子B「おっす」

忍「ど、どうも……」モジモジ

忍「わざわざ、ありがとうございます」ペコリ

男子A「いやいや、大丈夫」

男子B「……だってさ」

男子B「一応、友達、だよな?」

忍「……!」ハッ

男子A「まあ、『友達』の初デートだし」

男子B「協力するよ」

忍「――あ、ありがとうございます」カァァ

男子A(うわ、照れまくってる……)

男子B(正直、外見だけだと男子を困らせるのには十分すぎるな……)


忍「と、ところで」

忍「ホントに図書室でいいんでしょうか?」アセアセ

男子A「ああ、大丈夫」

男子B「昼休み始まったばかりで、ほとんど人もいないから」

男子A「ちょっと声抑えてればいいって。この時期、外は大宮さんだってキツイだろ?」

忍「……それもそうですね」


忍「それでは、本題に……」

男子A「……懐かしい」ボソッ

男子B「というかこれ、ほとんど変わってねえな」

忍「?」キョトン

男子A「あ、ごめん。こっちの話」

男子B「まあ、それはともかく……始めるか」

忍「は、はい」

忍「お願いしますっ!」スッ

男子A(おっ、小さめのノート……?)

男子B(それにボールペン……これは)


忍「頑張ります……」ゴゴゴゴ


男子AB(本気だっ……!)



男子A「――それで」

男子A「俺が見た限り、このルートが一番良さげだった」

男子A「ほら、オシャレな店もたくさんあるし……」

忍「たしかに……」カキカキ
534 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/02(木) 21:41:20.09 ID:wnjAQmt10
男子B「おい、ちょっと待った」

男子B「ここ、いいけど……想定金額見てみろって」

男子A「……う、まさかの」

忍「……5桁、ですね」タメイキ

男子B「これ、安さを売りにしてるのは確かだけど、それでも幅あるんだって」

男子B「……なるべく、安いほうがいいんだよな?」

忍「で、できれば……」コクッ

男子B「――それなら、こっちの」

忍「ああ、そこは私も聞いたことが……」カキカキ

男子A「ああ、ちょっとめくらせてくれ。これもアリかも」

男子B「あっ、そういやここもあったか……」

男子A「かなりいいだろ?」

男子B「……いや、もう少し」

忍「なるほどなるほど……」カキカキ



忍「……」カキカキ

忍「ありがとうございました」

男子A「いやいや、いいって」

男子B「途中からグダってた気がするけど、大丈夫だったか?」

忍「ええ、本当にありがとうございました」

忍「……凄く、嬉しいです」ニコッ

男子A(……ああ)

男子B(今更だけど……ホントに『男』なんだよな?)アセアセ


忍「――ところで」

男子A「?」キョトン

忍「お二人とも、その……」

忍「どなたかとお付き合いされたことが?」

男子A「」

男子B「」


男子A「……中学時代」

忍「は、はい」ピクッ

男子A「実は、好きなヤツがいて」

男子A「告白しようと思ってたら……えっと」モジモジ

忍「……?」

男子B「ああ、相手にはもう彼氏がいたってオチ」

忍「そ、それは……」

男子A「お、おい。最後まで言わせてくれって」

男子B「いや、辛そうだったし」

男子B「俺も似たようなもんだったしな。見ててキツい」

忍「……そちらも?」
535 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/02(木) 21:42:19.89 ID:wnjAQmt10
男子B「まあコイツとはちょっと違うけど、似てるよ」

男子B「――相手に告白出来なかったってトコは、同じだし」

忍「……!」


――あ、あの……凄く可愛いです――


忍「……」

忍(告白も出来なかった……というのは)

忍(きっと――相当、辛いのでしょうね)


男子A「そうそう。それで、同じ本……今、大宮さんが持ってるヤツ」

男子B「それ使って、一緒にすり合わせて考えたんだよな」

男子B「――後で、全部ムダになるなんて知らずに」

忍「そ、そんなことは!」

忍「お二人にも、いつか……お相手が出来るはずです」

忍「――こうして、親切に教えてくださるんですから」

忍「その時は、この本のことだって、きっと使えるはずです」

男子A「……そ、そうかな」

男子B「だったら、いいけどなぁ……」

忍「はい! 絶対です!」

男子A「――ありがとね」

男子B「何というか……高校に入ってから、相手の見込みすらないんだけどな」

男子A「俺もだなぁ」

忍「そ、そうだったんですか……」


男子A(――思えば)

男子B(中学時代、俺やコイツが好きだった女子のタイプって……)


忍「で、でも! お二人なら、いつかきっと……大丈夫だと思います!」カァァ


男子AB(今、目の前にいる子みたいな……)

男子A(まあ、もう相手いるし……)タメイキ

男子B(そもそも大宮さん、男だしなぁ……ああ)タメイキ

忍「??」キョトン

男子A「それじゃ、そろそろ戻るか」

男子B「そうだな。飯食う時間、なくなっちまうし」

忍「そうしましょうか」




――廊下



男子A「――あれ?」

男子A「お前、ほとんど休み時間中に食っただろ」

男子B「……そっちは授業中にな」

忍「お二人とも、陽子ちゃんに似てますね」クスッ
536 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/02(木) 21:42:52.05 ID:wnjAQmt10



――教室



カレン「……シノ、ちょっと遅いデス」

アリス「な、長引いちゃってるのかな?」

綾「大丈夫よ、二人とも。そう心配しないの」

陽子「そうだよ、二人とも」

陽子「すぐ帰ってくるって、シノのこと信じてあげなよ」

カレン「わ、私は最初から信じてマス……アリスは心配性ですケド」

アリス「カ、カレン!」


綾「あ、帰ってきたみたいね」

陽子「……あれ?」


男子A「それじゃ、そのルートでいい?」

忍「ええ、ありがとうございました」

男子B「……まあ」

男子B「大丈夫だろ。あの二人なら、大宮さんと一緒にいるだけで幸せだろうし」

男子A「……恥ずかしそうだな」

男子B「うっせ」

忍「本当に、ありがとうございました」ペコリ

忍「それでは」

男子A「うん」

男子B「おう」


忍「お待たせしましたっ」

綾「お、お疲れ様」

アリス「ちょっと心配したよ」

カレン「『ちょっと』じゃなかったデス、アリス」ニヤニヤ

アリス「……カレンだって不安がってたくせに」

カレン「アリスほどじゃありマセン」

アリス「……もう」プイッ


陽子「……」ジッ

男子A「?」

男子B「なんだ、猪熊?」

陽子「――いや」

陽子「二人と一緒にいるとは、思ってなかったからさ」

男子A「いや、まあ……」

男子B「ちょっと、他人事とは思えなかったし」

陽子「……そっか」タメイキ
537 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/02(木) 21:43:21.75 ID:wnjAQmt10
男子A「お、落ち込むなって」

男子B「そうだよ、偶然分かることだったってだけだし」

陽子「べ、別に、そういうわけじゃ……」アセアセ

男子A「それじゃ、俺たち飯食うから」

男子B「沈むなよー」

陽子「だ、だから……」


綾「……何を話してたの?」

陽子「い、いや……何でも」

忍「……私は、陽子ちゃんのこと頼りにしてますよ」

陽子「!」ピクッ

忍「ホントです」

陽子「……聞こえてた?」

忍「ちょっとだけ」

陽子「――照れるなぁ」カァァ

忍「可愛いですよ」クスッ

陽子「シ、シノ……」アセアセ


アリス「……はぁ」

アリス(昨日のえっちな――い、いや!)ブンブン

アリス(シノの内緒にしてる本のことも……色々と不安だけど)

アリス(昨日に比べたら気が晴れたみたいだし、良かった、かな?)カァァ

カレン「……アリス、Hな気分デスカ?」

アリス「う、うん、ちょっとだけ――」

アリス「カ、カレン……!?」ビクッ

カレン「アリスが何を考えてるノカ」

カレン「表情を見てれば、分かりマス」ニヤニヤ

アリス「わ、私は、別にHじゃ……」

カレン「Really?」

アリス「……め、Maybe」

カレン「やっぱりデスカ」クスッ

アリス「……もう」カァァ


忍「……」

忍(――やっぱり)

忍(私、アリスを変な気分にさせてしまってたみたいです……)

忍(何だか、悪いですね……でも)
538 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/02(木) 21:43:55.36 ID:wnjAQmt10
アリス「そ、それじゃカレンも、え、えっちな……?」アセアセ

カレン「アリス? 声が裏返りすぎてて何を言ってるのかわかりマセン」

アリス「き、聞こえてるくせに……」


忍(――あれ?)

忍(なんでしょうか、こう……)


アリス「カレンのバカぁ……」カァァ


忍(今のアリスを見てると……ゾクッとする感覚が)

忍(い、いえ! 私は何を考えてるんですか!)ブンブン



綾「……今、一瞬だけシノの顔が変わったような」

陽子「気のせいじゃないんだろうね、きっと……」

陽子「――シノ、時々ああいう風になるからなぁ」ヤレヤレ
539 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/02(木) 21:47:07.78 ID:wnjAQmt10
準備編、これにて終わりです。
ずいぶん長引いてしまいましたね……二期始まる前に、クリスマス編は一段落させたいのですが、どうなることやら。
最後にシノが鬼畜の片鱗みたいなものを見せましたが、おそらくこのSSのシノは基本的にどこかポンコツなままだと思います。

陽子はこれからどうなっていくのか……。
そもそも、以前書いたようにラッキースケベ的な描写は本当に書けるのか……。
色々と不安要素はありますが、書いていきたいですね。

それでは。
このSSでの、久世橋先生の出番も近い……?
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/02(木) 22:44:14.67 ID:PBtjOlFdo
乙デスヨ
鬼畜こけしネタくるのか……来ないのか
541 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/07(火) 01:14:06.00 ID:UjFu69qd0



――下校後・大宮家


忍「……」

アリス「シノ、今日は私が先にお風呂でもいいかな?」

忍「あっ、大丈夫ですよ」

アリス「……」

アリス「あ」ピクッ

忍「? どうかしましたか?」

アリス「……い、いや」

アリス「な、なんでも、ない、よ……うん」モジモジ

忍(明らかに何かありそうです……)

アリス「そ、それじゃ、お先にっ!」

忍「は、はい……」


忍「――どうかしたのでしょうか?」



――廊下


アリス「……ああ」トコトコ

アリス(シノが、えっちな……ううん)

アリス(私に内緒にするような本を読んでる、ってことを思い出したら……)

アリス(もしかして……シノ)

アリス(こうふん、したいのかなって……)カァァ

アリス(――前に、日本についての本で読んだことがあったっけ)

アリス(女の人が男の人より先に入ったら……あ、後で)

アリス「私のお湯、を……シノ、が」ボソッ

アリス「……」カァァ

アリス(そ、そんなことない、よね……うん)


勇「――アリス?」

アリス「わぁっ!?」ビクッ

勇「どうかした? 凄く顔、赤いわよ」

アリス「イ、イサミ……だ、大丈夫、だよ。うん」コクコク

勇「――ははぁ」ジーッ

アリス「な、なにかな?」ピクッ

勇「わかったわ」

勇「……シノに注意しないとね」

アリス「ち、違うよ、イサミ! こ、これは……私が」

勇「いいのいいの。少し、お話ししておきたいし」

勇「それじゃ、ごゆっくりー」ニコッ

アリス「……ああ」

アリス「ごめんね、シノ……」カァァ
542 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/07(火) 01:14:32.05 ID:UjFu69qd0



――忍の部屋


勇「で? アリスに何かしたの?」

忍「な、何もしてません」アセアセ

勇「……ふーん」

勇「ところで、シノ?」

忍「な、何でしょうか、お姉ちゃん?」

勇「……そのカバー掛かってる本、買ったの?」

忍「!」ピクッ

忍(あっ、慌ててたせいで、隠しそこねました……)アセアセ


勇「ね、見せてくれる?」

忍「……そ、その」モジモジ

勇「もしかして……Hな本?」

忍「そ、そんなことは――!」

勇「それで信じられると思う?」

忍「……あ」ハッ


勇「――いい、シノ?」

勇「『男の子』が、そうやって強く否定する時は」

勇「……女の子は、何か勘ぐっちゃうものよ」

勇「特に、それが……そういう本絡みの時は」

忍「――アリス」キュッ


勇「どれどれ……ああ、この本」

忍「し、知ってるんですか?」

勇「ううん。クラスの子たちが読んでたなぁ、って思いだして」

忍「……お姉ちゃんは、読んだことは?」

勇「――私には、相手はいないしねぇ」クスッ

勇「というわけで、私じゃ参考にならないでしょうね」

忍「な、何だか、お姉ちゃんは、こういうこと絡みだと強そうですけど……」

勇「……シノの中での私のイメージは、どうなってるのかしら」タメイキ


勇「まあ、とにかく」

勇「いい? あまりアリスを困らせちゃダメよ?」

忍「……そ、それは思いますけど」

勇「付き合い始めの時、一番怖いのは」

勇「お互い、まだ感情のコントロールに慣れてなくて……それで少しギクシャクしたりして」

勇「それで、色々とダメになっちゃうことなんだから」

忍「――お姉ちゃん、本当に未経験なんですか?」キョトン

勇「もう、シノったら。仕事柄、そういうお話を聞くことが多いだけよ」
543 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/07(火) 01:14:59.83 ID:UjFu69qd0
勇「それじゃね」

忍「……は、はい」

勇「――まあ、ちょっと怖いことも言っちゃったけど」

勇「アリスとカレンちゃんなら、シノから離れることなんてないと思ってるのよ」

忍「……お姉ちゃん」

勇「まあ、だからこそ……二人の気持ちも、きちんと考えてあげてね」ガチャッ



パタン・・・



忍「……」

忍(お姉ちゃんは、本当に頼りになります……)

忍(――この本)

忍(もう、12月も1週目が過ぎました……)

忍「……」



――少し経って



アリス「……た、ただいま。シノ」

忍「……アリス」

アリス「え、えっと」

アリス「は、入ってきても、大丈夫、だよ」アセアセ

忍(ああ、声が上ずって……)

アリス(――い、言えっこないよ!)

アリス(お、お湯のこと、なんて……!)カァァ


忍「――ちょっといいですか、アリス」

アリス「……シノ?」

忍「私、迷ってました」

忍「……アリスたちに内緒で進めて、当日にビックリさせたいなって」

アリス「――え?」


忍「こちらの本、なのですが……」

アリス「――あ」

忍「中身は……」ペラッ

アリス「……!」

アリス(え、えっちじゃない……これは)

アリス「……デ、デート?」アセアセ

忍「そうです」

アリス「……クリ、スマス」モジモジ

忍「ええ」

アリス「……」カァァ
544 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/07(火) 01:15:27.02 ID:UjFu69qd0
忍「ごめんなさい、アリス」

忍「そ、その……やっぱり私も、一応『男子』ですから」

忍「――心配、かけてしまいましたよね」タメイキ

アリス「シノ!」



ダキッ!



忍「――アリス?」

アリス「い、今は、私の顔見ないで」

アリス「……きっと、すごく恥ずかしいことになってるから」カァァ

忍「そ、そうですか……」カァァ


アリス「もう、シノったら……」

アリス「シノがもったいぶったせいで、わ、私……」

アリス「――変な気分に、なっちゃってたんだよ」

忍「変な、気分……」

忍(――って! わ、私は、何を想像してるんですか!)ハッ

忍(す、少しだけ、興奮してしまいました……)アセアセ

アリス「シノ?」キョトン

忍「……ごめんなさい、アリス。ちょっと動揺してしまいました」コホン


アリス「――ね、シノ?」

忍「アリス?」

アリス「シノのプラン作り、手伝おうか?」

忍「……」

アリス「――もし、一人でやりたいなら大丈夫だよ」

忍「――アリス」

アリス「あっ、気にしないで……それはね」


アリス「私もカレンも……」モジモジ

アリス「シノが一生懸命考えてくれた計画なら、嬉しくなるに決まってるから」カァァ
545 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/07(火) 01:19:18.78 ID:UjFu69qd0
 ――さて。

 どこまでも愛しくてたまらない「天使」を思い出しながら、私は今日を迎えました。
 期末試験というのものがあったような気がしますが、きっと何かの間違いでしょう……。
 仮に赤点だとしても、後悔はしません。
 というよりは、きっと全く後悔なんて出来ないと思います。


 なぜなら――


「シノ! 待ってマシタ!」
「わっ!」


 待ち合わせ場所に着いた瞬間、私の身体に心地よい重みがかかりました。
 確認するまでもありません。この金髪を見れば、それだけで十分です。
 そして、すぐ後に、とても芳しい香りが漂いました。
 ああ、今日もこの子は可愛らしい――


「カ、カレン! 抱きつきすぎ」
「もう、アリス? スキンシップは大事デス」
「そ、それはそうだけど……」


 いつものようにやり取りして、いつものように笑ったり照れたりするお二人を見ながら、私は胸がいっぱいになる気がしました。
 そう。このお二人と、初めての――
 そんなビッグイベントを前に、勉強なんて出来るわけがないのでした。
 ……ごめんなさい、烏丸先生。


 いいえ、今日は勉強や試験のことは忘れましょう。
 この大好きなお二人と一緒にいられる嬉しさを噛み締めましょう。


「……それではお二人とも、いきましょうか」


 そう言って、階段に向かいながら二人を振り返ります。


「初めてのデート……クリスマスデートです」
546 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/07(火) 01:22:38.06 ID:UjFu69qd0
ここまでです。
二期が始まりましたね。書いている間に放映されていたようで、今から楽しみです。
とはいえ、まさか二期が始まってからも続くことになるとは……

今更ですが、このSSでシノたちの1年次の担任は烏丸先生という設定です。
2年次から、どうなっていくのは未定です。

それでは。
次回は、クリスマスデート本番の予定です。
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/07(火) 23:47:59.14 ID:9j4c8KxBo
乙であります
楽しみに砂糖吐く準備をしておこう
548 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/15(水) 01:09:38.90 ID:08HsLqgo0
『12月24日 クリスマス・イブ』



――駅構内



カレン「Uh、楽しみデス!」ニコニコ

アリス「うん、そうだね、カレンッ!」ニコニコ

忍「ふふっ――お二人とも、はしゃいじゃって……」ペラッ

アリス「あ」

カレン「シノ? その小さなノートハ?」

忍「えっと……これは、魔法のノートです」モジモジ

アリス「魔法、の……」

カレン「Magical Notebook!」ビシッ

忍「わっ、さすが綺麗な英語……」

アリス「わ、私だって、出来るもん!」アセアセ

カレン「アリス? こういうのは、最初にやった人の勝ちデス!」ニッコリ

アリス「……むー」ジーッ

忍(――本当に)

忍(愛しくて、たまりません……)カァァ


忍(さて……)

忍(あのお二人と話した通りの目的地は――)

忍「お二人とも、次の特急に乗りましょう」

カレン「特急……」

アリス「Special Expressのこと、だよ。カレン」

カレン「Oh、ちょっと忘れちゃってマシタ」

アリス「ふふっ、今度は私の勝ち」エヘン

アリス「ね、シノ?」

忍「――ええ」

忍「アリスの英語も、とても可愛らしいですね」

アリス「ありがと、シノー……って」

アリス「か、可愛らしい……?」

忍「あっ、もうすぐ電車が来ますよ」

アリス「……シノ」ズーン


カレン「――アリス」

アリス「カレン……」

カレン「やっぱり、アリスは――可愛い、デス!」ナデナデ

アリス「カレン!」

カレン「え? どうして怒るんデスカ?」

アリス「わ、私だってシノに――綺麗、って」カァァ

アリス「も、もういいっ!」プイッ

カレン「……アリスはアリスデス」クスッ

アリス「もう……」
549 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/15(水) 01:10:06.72 ID:08HsLqgo0
忍「ごめんなさい、アリス」

アリス「……シノ?」

忍「アリスの英語も綺麗ですよ」

アリス「……あ」

忍「――でも」

カレン「アリスの姿は可愛い、と、そう言いたいんデスカ?」ニコッ

忍「さすがカレンです」ニコッ

カレン「ふふっ、私はアリスのことはなんでも――」


アリス「ふ、二人ともっ!」プンスカ




――『自然公園前』駅・改札



アリス「……あ」

カレン「綺麗、デス……」

アリス(駅前には大きなクリスマスツリーが飾られていて)

アリス(駅前の商店街の屋根には、カラフルなイルミネーションが施されている……)

アリス(すっごく、オシャレだった――)


忍「ええ」

忍「えっと……この駅前商店街がイルミネーションを始めたのは今から10年程前。
  それから若いお客さんがたくさん来るようになって、活気が――」ペラペラ

カレン「ワッ!? シノがガイドさんみたいニ……」ビクッ

アリス「さすが、魔法のノート……」

忍「……と、いうことみたいですね」パタン

忍「若いお客さん、というのはつまり――」

カレン「ツマリ?」

アリス「つまり?」

忍「――えっと」アセアセ


忍「わ、私たちみたいな、カップル――」カァァ

忍「そ、それでは参りましょう!」

カレン「わ、やっぱり私タチ……」アセアセ

アリス「カップル、なんだよね……」アセアセ




――商店街



アリス「わぁ……」

カレン「実際、中にはいってみるト――」

忍「迫力、ありますねぇ……」

忍「あ。このお店とか、どうでしょうか?」

アリス「あっ、可愛いビーズ!」

カレン「キラキラデス!」パァァ
550 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/15(水) 01:10:58.58 ID:08HsLqgo0
忍「ふふっ」

忍「……前に、お二人がこういうお品物が好きと話してましたから」

アリス「……もしかして、シノ?」

カレン「事前に……リサーチしてくれたのデスカ?」

忍「勿論です」クスッ

忍(図書室での打ち合わせが、本当に助かりました……)


カレン「――シノ」

アリス「大好き!」ダキッ

忍「わぁっ!?」

忍(だ、抱きつかれて――!?)

カレン「……ハァ」ウットリ

アリス「カレンも私も……一緒にハグしたくて、たまらなかったんだよ」

忍「そ、そうです、か……あはは」


「あらあら、仲良しねぇ」「最近は、友達同士でクリスマスを過ごすのかしら?」
「かわいー」


忍「――と、とにかく」

忍「中に、入りましょう、お二人とも!」

カレン「えー、もう少しクライ……」

アリス「は、離れちゃうの?」

忍「あ、後で、いくらでも……」モジモジ

カレン「Oh、それは素晴らしいデス!」ニコッ

アリス「シノ……嬉しい」ニコッ

忍(――いけません)

忍(愛しさと恥ずかしさで、頭が爆発しそうです……)カァァ




――店内



店員「いらっしゃいませー」

忍(入った先は、個人経営の小物屋さん)

忍(オススメ度:星5つ……デートスポットには最高の場所、とか)

カレン「あっ、これ可愛いデス!」

アリス「こっちのお人形さんもかわいー……」

忍「お二人とも、楽しんでますね」


忍「――あ。これとかアリスに」

アリス「わっ……この花柄、凄く好き」

忍「これは、カレンですね」

カレン「こ、これは……」

カレン「ユニオンジャックの、マフラー……」ジーッ

忍「お好きではないですか?」
551 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/15(水) 01:12:11.35 ID:08HsLqgo0
カレン「た、たしかに、好きデス。大好きデス」コクコク

カレン「――でも」

カレン「これ、ちょっとPriceが……」

忍「あっ、たしかに――」

忍(5000円超え、ですか……)

忍(うーん――これから色々と節約することを決めて、今日は、お二人にプレゼントしようと思っていたのですが)


店員「ああ、それなら、まけてあげてもいいよ」

忍「わっ!? ほ、ホントですか?」ハッ

店員「うんうん」ニコニコ

店員「せっかく、お友達同士で来てくれたんだし」

忍「おともだ、ち……」

カレン「? 私たち、やっぱりFriendsなんデスカ?」キョトン

アリス「ま、まあまあ、カレン」アセアセ

店員「?」キョトン


忍「――それでは、カレン」

忍「買いましょう、それ」

店員(おっ、踏み込むねぇ、この子は……)ニヤッ

カレン「――いいんデスカ、シノ?」

店員(結局、この子が買ってくれれば、それはそれで……あれ?)

店員(「いいんですか」……?)キョトン

忍「ええ」

忍「――私が、買って差し上げます」ニコッ

アリス「わっ。シノの顔が……」ビクッ

カレン「な、何だか――かっこいい、デス」カァァ

店員(え? え?)アセアセ

忍「それでは、店員さん」クルッ

店員「わっ!? は、はい」ビクッ

忍「こちらの花柄のお人形と、こちらのマフラーをお願いします」

店員「ど、どうもー」


カレン「――シノ、男らしいデス」ニコニコ

アリス「う、うん……嬉しいなぁ」ウットリ

店員「!?」ピッピッ

店員(お、おと、こ……?)

忍「? どうかしましたか?」キョトン

店員「い、いえいえ……」

店員(き、聞き間違いよね? そうに決まってるわよね?)アセアセ
552 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/15(水) 01:12:59.07 ID:08HsLqgo0
店員「――お、お買い上げ、ありがとうございましたー」

忍「はい、どうもありがとうございました」

カレン「シノ! プレゼント、ありがとうございマス」

アリス「……好きな人からの、クリスマスプレゼントだぁ」パァァ

店員(す、好きな人……)

店員(い、いえ! これはつまり――そう! バレンタインの「友チョコ」みたいなもの、よね?)ブンブン

忍「……ふふっ、どういたしまして」ニコッ

店員(こ、こんな笑い方する子が――おと)

店員(い、いや! もうやめましょう……)タメイキ




――店外



カレン「……何だか、あの店員さん、様子が変わってマシタ」

アリス「うん。何かおかしなことしちゃったかな?」モジモジ

忍「それはないと思いますけど……」


忍「――まあ、ともあれ」コホン

忍「お二人とも、お腹は空いていませんか?」ニコッ
553 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/15(水) 01:15:38.54 ID:08HsLqgo0
ここまでです。
気がつけば、もう2期も2話まで終わっていました。
久世橋先生が可愛くて、本当にたまりませんね……。
勿論、メインキャラもその他のキャラもみんな可愛くて、観ていて本当に安心できます。

さて、このSSでは、まだ1期ですが……。
久世橋先生の登場も、このデート回が終わったら近いと思います。
もうしばらくはデートの話で、「砂糖を吐く」ようなシチュエーションは、これからどんどん増えていくでしょう。

それでは。
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/15(水) 01:43:51.19 ID:H5LMo2z7o
今でも良い雰囲気なのにこれ以上の砂糖? どんと来い!
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/15(水) 12:35:47.45 ID:xSn/8qxUo

砂糖を砂糖で塗り潰す凶悪ssと化してきたな
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/16(木) 00:26:48.77 ID:CnMvRXsYO
アニメ堪りませんな〜乙です!!
店員さんの心の声がかわいいww
557 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/19(日) 02:37:11.68 ID:2VTl2wCy0



――街中


忍「――うーん、おかしいですね」

アリス「どうしたの?」

忍「この辺りに……クレープ屋さんのスタンドがあるはずなのですが」

カレン「クレープ!? 大好きデス!」キラキラ

忍「ですが――ちょっと見当たりませんね」

アリス「そうなんだ……」

カレン「Uh……ちょっと残念デス」

忍「ごめんなさい」ペコリ

アリス「ううん。シノが謝る必要は、全然ないよ」

カレン「ハイ! 私たちはシノと一緒にいるダケデ――」ニコニコ

アリス「ホントに嬉しい……」ニコニコ

忍「……あ、ありがとうございます、お二人とも」カァァ


カレン「何だか、街中がオシャレデス」テクテク

アリス「クリスマスだね……」トコトコ

忍「そうですねぇ……」テクテク

カレン「あっ――あの人たち、腕を組んでマス」

アリス「わっ、大胆……」カァァ

忍「ふ、二人とも。あまり見ちゃダメですよ?」アセアセ

カレン「シノ、顔赤いデス」

アリス「……照れちゃった?」

忍「そ、そんなことはっ……」プイッ


忍(……一緒にいるのは当然、楽しいですけど)

忍(体温が上がりきって風邪でもひかないかどうかは……心配ですね)タメイキ

カレン「――シノ? ちょっと、シツレイしマス」ズイッ

忍「は、はい?」ピクッ

忍(カレンが私に近づいてきました)

忍(隣では、アリスがキョトンとした表情を――そして)


カレン「ソレッ!」バッ


忍(私の腕が、宙に浮かぶような感覚に――)

忍(一瞬の後、私の腕には艶やかで細い腕と一緒に――って!?)


忍「カ、カレン……?」アセアセ

カレン「ごめんなさい、シノ。ちょっとやってみたくなったデス」

アリス「わ、わ……カレン」

カレン「シノがイヤなら、すぐにやめマス」ジッ

忍「――!」

カレン「……周りを見てたら」

カレン「少し、浮足立ってしまったみたいデス……」モジモジ
558 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/19(日) 02:37:42.28 ID:2VTl2wCy0
忍「――い、嫌というわけでは、全然」

忍「ちょっと……ビックリしてしまいました」

カレン「それじゃ、このママ?」

忍「――は、はい。大丈夫です、よ」カァァ

アリス(言いながら、シノの顔は真っ赤になる)

アリス(イルミネーションの光に照らされて、その姿が私の目にはしっかりと映っちゃうから――)


アリス(シノを心配に思うより先に――)


アリス「……」ズイッ

忍「わっ!?」

アリス「カレンが右、なら」アセアセ

アリス「わ、私……左もらっても、いい、かな?」カァァ

忍「――アリス」

カレン「Oh、アリスが意外と大胆デス……」

アリス「カ、カレンがそんなことするから当てられちゃったの!」モジモジ

カレン「アリス? ツンデレって、きっとそういうものじゃないと思いマス」

アリス「べ、別に、私――ツンデレ? じゃ……」カァァ

忍「金髪のツンデレ少女――」

忍「意外と、というより……鉄板の組み合わせかもしれませんね」

アリス「え、シノ? なにか?」キョトン

忍「あっ……い、いえ」アセアセ


忍(――なんて、そんなトリップしている場合ではありません)

カレン「シノの右腕、気持ちいいデス……」

アリス「ひ、左腕だって――凄くいいもん」

忍(右からはウットリとした声が、左からは何とも可愛らしい声が――)

忍(両方の耳から私の頭に響いて、おかしくなってしまいそうです……)アセアセ


アリス「……でもさ、ちょっと思ったけど」

カレン「?」

アリス「カレン――やっぱり変わったよね?」

忍「!」ハッ

カレン「私、デスカ?」

アリス「うん」

アリス「――今までなら、シノがこういうことをして」

アリス「それでカレンが、照れちゃって……」

忍「……」
559 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/19(日) 02:38:08.18 ID:2VTl2wCy0
カレン「――たしかに、そうデシタ」

カレン「デモ……私、もう分かっちゃいマシタ」

カレン「シノが、大好きだって、コト」カァァ

忍「――!」

アリス「そっか、だから……」

カレン「Yes! もう、ハグでもキスでも、何でもできマス」エヘン

アリス「カ、カレン……ちょっと声、おっきいよ」

カレン「――あっ」ハッ

カレン「キ、キスはまだ……ちょっと照れマスネ」カァァ

アリス「もう……」カァァ


忍「」

アリス「わっ、シノが固まってる……」

カレン「Hnn……何だか、ヤッパリ私とシノが入れ替わりになってしまったのでショウカ?」

忍「い、いえ……えっと」アセアセ

アリス「そういえば、前にカレンがシノのお家に泊まった時からだよね?」

カレン「何だか、ちゃんと聞いたことはなかった気がしマス……」

アリス「何かあったの?」

忍「――う」ピクッ


忍「じ、実は、ですね……その」

忍「お姉ちゃんの言った通り――アリスやカレンが、ただ『好き』だったって、それだけだったので」

アリス「……シノ」

忍「で、ですけど」

忍「文化祭とか色々あって……アリスやカレンが、何だか心配になることが増えて」

カレン「ママみたいデスネ……」クスッ

忍「……だ、だから」


忍「私――ボク、が」


二人「!」ハッ

忍「ふ、二人を守らないと、って――そう、思って」

忍「『守りたい』って思ってたら、な、何だか……とても、恥ずかしくなってしまって」アセアセ

忍「だ、だって……お二人の親御さんに、け、結婚なんて、たとえ冗談としても……」モジモジ

アリス「シ、シノ、ありがとう。もうわかったよ」

カレン「これ以上は体調悪くしそうデス……」

忍「あ、ありがとうございます……」カァァ
560 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/19(日) 02:38:47.40 ID:2VTl2wCy0
アリス「――そっかぁ」

カレン「やっぱり、さっきのお店でも思いマシタガ……」

カレン「シノ……何だか、『男』らしくなってマス」

忍「――わ、私は、やっぱり」

忍「『女の子』で、いたかったんですけど……」タメイキ

アリス「うん。シノは女の子だよ」

カレン「そして、男の子デス」

忍「――な、何だかそれはそれで、照れちゃいますね」カァァ


カレン「まあ、何にシテモ――」ダキッ

忍(み、右腕にカレンの細い腕が……強く)

アリス「私たちは、ずっとシノと――」 ダキッ

忍(左腕にアリスの、カレンより細い腕が――)


カレン「Be with Us! デス!」ニコッ

アリス「一緒にいてね、シノ?」モジモジ

忍(左右から、大好きな金髪少女が軽く頬を染めながら)

忍(カレンは笑顔のまま、アリスは少し照れくさそうに――)

忍(――上目遣い、とは何て卑怯なものなのでしょうか)


「わっ、あの子たちかわいー」「最近の子はダイタンね……」
「友達かな?」


忍「」

忍「お、お二人とも……そろそろ、向かいましょうか?」

忍「お腹が空いている所、申し訳ないのですが――」

忍(ケータイの時刻表示は――6時ちょっと過ぎ)カチカチ

忍(今からなら……『予定』通りに見れますね)


アリス「シノ? これからどこに行くの?」キョトン

カレン「Where do we go?」キョトン

忍「――それは、ですね」



――このルートなら、きっとこれがハイライトかな――

――お金もかからない割には評判メチャクチャいいみたい――



忍(そのアイデア……今、使わせてもらいますね、お二人とも)グッ



忍「駅の名前にもあった場所――名所・自然公園です」
561 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/19(日) 02:41:48.63 ID:2VTl2wCy0
ここまでです。
胸やけされた方には申し訳ありません。
それは自分も同じですので……。

砂糖に砂糖をまぶすような展開が続きます。
次回はおそらく、そこにハチミツでもかかるんじゃないでしょうか? 漠然と思い浮かべてる段階ですが、もはや……。
クリスマスはカップルを狂わせるものですね、多分。

それでは。
久世橋先生を見ていたら、このSSでも早く出したくなってしまいますね。
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/19(日) 04:09:03.88 ID:ECYhqwQ0O


羨ましい
563 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/19(日) 09:28:02.64 ID:FfsDbHfso
おっつー やっぱり外から見たら女3人でイチャついてるようにしか見えないわな
あと、カレンが既にシノとイチャついてるから、クゼハシ先生とイチャつかせづらそう
564 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/20(月) 00:27:08.12 ID:KKTULAjW0



――商店街を抜けて


カレン「……ちょっと暗くなりマシタ」

アリス「ライトがなくなっちゃったね……」

忍「あの辺りは賑やかでしたから」

忍「――移動の間は、少し暗いままかもしれませんね」

カレン「シノ……ちょっと怖いデス」ギュッ

アリス「わ、私も……」ギュッ

忍「も、もう……二人とも」

忍(私も、ある意味怖いです……)


忍(両腕の感触が熱すぎて、私の脳がショートしないか、とか……)アセアセ



カレン「――ところで、シノ?」

忍「な、なんですか、カレン?」

カレン「自然公園、って言ってましたケド……」

アリス「そ、そこって何かあるのかな、って……」

忍「――」

忍「それは……ヒミツです」

カレン「Secret、デスカ?」

忍「はい」コクッ

アリス「ねぇ、シノ……教えてくれない?」

忍「アリスの頼みでもダメです」

忍(た、たとえ、上目遣いでも……)


カレン「――私にも、デスカ?」

忍「カレンの頼みでも……」

カレン「教えてくれたら――私」ウワメヅカイ

忍「!?」ビクッ

カレン「シノに……」

忍「……」

アリス「……カレン?」

カレン「――やっぱり、何でもないデス」

忍「――もう、カレン? 私をからかって……」

カレン「アレ?」

カレン「シノ、何だと思ったんデスカ?」ニヤニヤ

忍「……そ、それは」

カレン「?」キョトン

忍「い、いやらしい、こと、とか……」カァァ

カレン「……あ」

カレン「――シ、シノはHデス」プイッ

忍「カ、カレンこそ……」
565 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/20(月) 00:28:06.52 ID:KKTULAjW0
アリス(いや、どうしてからかったカレンが照れちゃうの……)

アリス(――私だって、ちょっと焦っちゃったけど)

カレン「アリスもHデス……」

アリス「うん、ちょっとビックリしちゃったし――って」ハッ

アリス「カ、カレン!」カァァ

カレン「顔、真っ赤デス」カァァ

アリス「そ、そっちだって……!」


忍「……ああ」

忍(ここに至って、ようやく私にも分かりました)

忍(落ち着かないのでしょう)

忍(だから、カレンは照れ隠しで人をからかうし、アリスも明らかに落ち着いてませんし……)


忍「……お二人とも」

カレン「シノ?」

アリス「どうかした?」

忍「――絶対に」

忍「離しません、から」

カレン「……あ」

アリス「シノ……」

忍「で、ですから――」


忍「き、緊張したらダメですからね?」モジモジ


カレン「……」

アリス「――もう」

アリス「シノ、声震えちゃってるよ?」

忍「そ、それは……」アセアセ

カレン「デモ」

カレン「シノの……大切なお相手の頼みなら仕方ありマセン」

アリス「期待してるよ?」

忍「……もう」

忍「お二人は――本当に」


忍(……可愛すぎます)タメイキ




――自然公園・入り口



忍「……着きました」

カレン「ここ、デスカ?」

アリス「静かだね……」

忍「ええ、自然公園ですし」

忍「……それでは、中に行きましょうか」

アリス「う、うん」
566 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/20(月) 00:28:40.48 ID:KKTULAjW0
カレン「――シノ? 何だか腕、熱くないデスカ?」

忍「そ、そんなことは……」アセアセ

カレン「照れてマス?」クスッ

忍「――カレンはイジワルです」

アリス「もう、カレン? あまりシノをいじめたら……」

カレン「? 大好きな人のことを心配するのは当たり前デス?」

アリス「そ、それは……そうだけど」

カレン「アリスも、もっと素直になりマショウ?」ニコッ

アリス「――カレンは素直すぎっ!」プイッ

忍(右腕にはカレンの肌が、左腕にはアリスの――)

忍(あれ? わ、私……ちゃんと目的地に辿りつけますよね?)カァァ



――中心地・噴水前



カレン「……あ」

アリス「ちょっと明るくなったね」

忍「はい」

カレン「綺麗、デス……」

アリス「噴水も、何だか……少し色合いが」

カレン「あっ……噴水から前に進んだ所ニ」

アリス「おっきなクリスマスツリー……ここにもあるんだ」

カレン「なんだか……街灯? みたいなものも、たくさん並んでマス……」


忍「――今日だけ特別の演出みたいですよ?」

アリス「……あ、やっぱり」

カレン「それも――その『魔法のノート』デスカ?」

忍「ええ……」コクッ


忍「お二人を幸せにする魔法が、たくさん載ってるノートです」


アリス「……わぁ」

カレン「シ、シノ――そういうコトハ」

忍「……ごめんなさい、実は私も、ちょっと恥ずかしいです」カァァ

忍「でも――」

忍「ずっとお二人に抱きつかれていると、感覚も……」

アリス「シ、シノったら……」

カレン「シノは照れ屋さんデス」

アリス「……今のカレンは、それを言っちゃいけないと思うよ」

カレン「そ、ソレハ……」アセアセ
567 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/20(月) 00:29:15.57 ID:KKTULAjW0
忍「――それでは、座りましょうか」

アリス(そう言うと、シノは噴水の縁に腰を下ろした)

アリス(それにつられて、私たちもすぐ隣に座る――)

忍「……7時まで、後10分」 チラッ

カレン「シノ?」

忍「お二人とも、お手洗いは大丈夫ですか?」

アリス「だ、大丈夫だよ?」ピクッ

カレン「シノ、何かあるデスカ?」ピクッ

忍「――言ったでしょう?」


忍「お二人に魔法をかける、と」ニコッ


アリス(そんなことを言うシノの顔は赤かったけど……)

カレン(なぜだか凄く頼りがいのある笑顔で――私たちを安心させてクレル……)


「あ、先客がいるね」「マジか……というか、三人?」
「友達かな? それじゃ、ちょっと遠くに――」


忍「……あ、あはは」アセアセ

アリス(い、一気に笑顔が崩れて……)

カレン(ある意味、いつも通りのシノに戻りマシタ……)

忍「や、やっぱり――ここに来る人も、いますね」

アリス「……ねぇ、シノ? その魔法って」

カレン「有名、なんデスカ?」

忍「……」



――というかこれ、こんなコラム的な書き方でいいのかな……――

――気づいた人勝ちだな、これ――



忍「――魔法ですからね」

忍「誰にでも知られているのは、らしくないでしょう?」

アリス「……そっか」

カレン「シノがそこまで言うのナラ……」

カレン「私たちは、それを楽しみにするだけ、デス」

アリス「う、うん……そうだね」

忍「あ、で、でも……そうかしこまらないでください」

忍(さっきから、いちいち格好つけようとするだけで照れてしまいそうなんですから……)カァァ



――7:00


忍「……時計が」

アリス「わっ、音楽……」

カレン「――クリスマス・ソング、デス」

忍「……わっ」

アリス「シノ……あっ」

カレン「――!」
568 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/20(月) 00:29:47.27 ID:KKTULAjW0
 ――私たちの目の前で、クリスマスツリーがまず点灯しました。
 そこから伸びるような形で、街灯の灯りが一気に点きます。
 私たちから少し距離を置いた所まで、その光は届きました……。


 一口に光といっても、ただ黄色いものだけではありません。
 赤、青……その他、色々な色合いで、私たちの前方を彩ります。
「すごーい」という声は、私たちの後ろにいるカップルの方のものでしょう。


 ……私のお相手たちは、というと。


「……キレイ」
「音楽も、いい味出してマス」


 その光に照らされる二人の金髪は、本当にキレイでした。
 いや――私は、この子たちが「金髪」というだけで、好きになったわけではありません。


「――あっ、色が変わったよ」


 左隣のアリスは、どこか恥ずかしそうな、けれど本当に楽しんでくれていそうでした。
 顔に手を当てて「嬉しい」という素振りを見せつける彼女を見ていると、私は愛しさでいっぱいになります。


「グレートデス! 気持ちいいデス!」


 右隣からはカレンの、本当に明るく、私たちをいつも楽しませてくれる声がします。
 その満面の笑顔は、油断すると照れそうになってしまう私を「楽しい」という気持ちに、一気に引き込んでくれるものでした。




(……キレイ、です)


 目の前の景色も。
 左隣の、何とも可愛らしい金髪少女も。
 右隣の、明るくて気持ちのいい金髪少女も。


 ――こんなに幸せで、いいんでしょうか?


「キレイだねー……」
「もう少し、近く寄ってみるか」
「賛成!」


 と、私が恍惚としていると、後ろから声がしました。
 私たちと一緒に、その光景を見ているカップルの声――
 その後で、私たちの前を二人の影が過ぎて行きました。





アリス「……行っちゃった」

カレン「これで――今、ここにいるノハ」チラッ

アリス「私たち、だけ……」チラッ

忍「二人とも……?」

忍(わ、私たちだけ……?)
569 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/20(月) 00:30:14.03 ID:KKTULAjW0
アリス「……ねぇ、シノ?」ズイッ

忍「は、はい」

カレン「今、私たち……トテモ」ズイッ

カレン「――そ、その」

カレン「コウフンを、デスネ……」カァァ

忍「」

アリス「カ、カレン……もう」

アリス「――私だって同じなんだから、落ち着いてよぉ」カァァ

忍「……あ、あの?」

カレン「し、仕方ないデス」

カレン「――こんな所を見せられたら……もう、それダケデ」

アリス「た、たしかに……仕方ないよね」

忍「え、え?」


カレン「――最初に謝ります、シノ。ゴメンナサイ」ペコリ

忍「カ、カレン……?」

アリス「……いいんだね、カレン?」

カレン「アリスも謝っておきマショウ!」

アリス「ご、ごめんね、シノ」ペコリ

忍「ア、アリスも……?」


アリス「――いっせーの」
カレン「セっ!」ピトッ



 ――瞬間、両頬に甘い感触が広がりました。
 とても柔らかく、気温の低さにも関わらず……何とも温かい感覚。 


 頬が一気に赤らみ、私の表情が音を立てるようにして崩れそうになります。
 以前にも感じた感触は――そういえば今日まで感じませんでしたね、なんて考えながら。
 そうやって冷静さを保とうとしながらも、私の頭に色々な感情が広がっていきます――



忍「……」

カレン「シノのほっぺた、冷たかったケド」

アリス「温かかったね……」

カレン「私の口唇、真っ赤デス」クスッ

アリス「もう、カレン。それは元から――なんて、そうじゃないよね」クスッ

カレン「アリスの口唇も、真っ赤――」


忍「……えいっ!」ダキッ

カレン「ワッ!?」ビクッ

アリス「わぁっ!?」ビクッ
570 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/20(月) 00:30:40.97 ID:KKTULAjW0
カレン(――シ、シノが)

アリス(だ、抱きしめ、て……?)

忍「……まったく、お二人は」

忍「そうやって――私を困らせるんですから」カァァ

カレン「だ、だから、さっき……謝ッテ」

忍「謝ってもダメです!」ビシッ

アリス「……シノ」


忍「――ですから」アセアセ

忍「こ、これは……お仕置きです。バツです」ギュッ

アリス「バツ……」

カレン「おしお、き……」

忍「そうです――」


忍「ハ、ハグの刑、です……」カァァ


カレン(――今度、照れるノハ)

アリス(私たちの番、みたいだった)

カレン(シノの息遣い、肌の感触が私の中いっぱいに広がって……)

アリス(照れくさくなりそうになりながらも、何だか――愛しさでいっぱいで)


忍「――今度やったら、もっと凄い刑になりますからねっ!」


カレン(……モット)

アリス(凄い、刑――)



忍「だ、抱きつくだけじゃなくて……えっと、えっと――)アセアセ


二人(シノは、ちょっと可愛すぎ(デス)……)カァァ
571 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/04/20(月) 00:33:02.90 ID:KKTULAjW0
ここまでです。
「誰かどうにかしてくれ」と助けを求めながら、つらつらと書いていました。
しかし、これでも周りからは友人同士のスキンシップとすら思われそうな辺りが……。

久世橋先生を早く出したい、と書きながら、次回辺りじゃないとクリスマス回は、きっちり終われなさそうですね。
……ということは次回も砂糖が。

それでは。
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/20(月) 01:17:33.00 ID:nRjsyNKLO
オエー!(角砂糖)
573 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/08(金) 02:45:03.05 ID:lgwqkXIc0



――ファミリーレストラン


男子A「このチキン、美味いな……」パクパク

男子B「そうだな――美味い」パクパク

陽子「それじゃ私たち、このサラダ食べるよ」

綾「……い、いい、ですか?」モジモジ

男子A「あ、ああ。いいよ、全然」

男子B「いやー、二人のお陰で……ケーキが半額に」

陽子「――何だか、妙に引っかかるけどなぁ」

綾「よ、陽子。ほら、私たちも半額だし」

陽子「ん、そっか……このチーズケーキも、か」

綾「そ、そうよ。私のショートだって」


男子A「……まさか、猪熊たちが来るとは思わなかった」

陽子「こっちだって、まさか二人がいるなんて思ってなかったよ」タメイキ

男子B「いやいや、猪熊たちには感謝してるって」

陽子「――財布がピンチだった、とかだろ?」ジトッ

男子A「いや、それだけじゃなくて」

陽子「否定はしないんだな……」タメイキ

男子B「事実だからなぁ」

男子A「おかげで、男女割引セールに潜り込めたわけだし」

陽子「なんだかなー……」


綾「――あ、あの」

綾「ふ、二人は……ど、どうして、ここに?」

男子A「そりゃ――寂しいクリスマスを、せめて誰かと、って」

男子B「……やっぱり今年も、お前に相手は見つからなかったんだな」

男子A「そっちだってそうだろ」


陽子「そっかぁ……『そういう』仲だったんだなぁ」ニヤッ

男子A「おい、猪熊が明らかにからかってる」

男子B「気にすんな。きっと大宮さんたちがアレだから寂しくなって、ってことだろうから」

男子A「だよなぁ」

陽子「……!」プルプル

綾「よ、陽子。落ち着いて……」アセアセ


陽子「ああ、そうだよ」

陽子「シノたちがいないから、綾と一緒に……」

綾「わ、私は楽しいわよ?」チラッ

陽子「私だって楽しいよ」マガオ

綾「……も、もう、陽子ったら!」
574 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/08(金) 02:45:55.73 ID:lgwqkXIc0
陽子(そうさ、綾と二人だけっていうのも……そりゃ楽しいよ、勿論)

綾(――まったく、陽子ったら)

綾(前までの私ならとにかく……今の私が、あなたの微妙な違いに気づかないと思ったの?)

男子A「……何か、ヤブ蛇だったかな?」ヒソヒソ

男子B「ま、まぁ……何か楽しそうだし、いいんじゃないか?」ヒソヒソ


陽子「まったく……」

陽子「元々、二人とも――シノに、何を話したの?」

男子A「それは……ん?」

男子B「あ、こっちも……」

男子A「悪い、猪熊。ちょっと――」カチカチ

男子B「……そっか」カチカチ


陽子「――な、何かあったのか?」キョトン

男子A「いやいや」

男子B「……よかったな、ホント」

男子A「俺たちのダメージは、どんどんデカくなってる気もするけどな……」

陽子「??」


綾「――もし、かして」

綾「シ、シノ絡み、です、か?」モジモジ

男子A「小路さん……ま、まぁ」

男子B「ちょっと、いい知らせが――」



――少し遡って・喫茶店


カレン「……このケーキ、美味しいデス!」パクパク

アリス「うん。本当に……美味しいよ、シノ」パァァ

忍「そうですか。それは良かったです」

忍「――ちょっと、ビックリするような隠し味のお店も思いついたのですが」

アリス「わ、私は、そういうお店より……こういう方が」アセアセ

カレン「――か、辛子入りのケーキは、チョット」アセアセ

忍「……私、どういう風に見られてるんでしょうか」ズーン


忍「――ともあれ」

忍「喜んでもらえたようで何よりです」ニコッ

忍「……大好きなお二人に、できるだけ楽しいクリスマスを過ごせるように、と思ってましたから」

アリス「……も、もう、シノったら」カァァ

カレン「ホ、ホントに……ピンポイントで私たちを困らせマスね……」カァァ

忍「え? そう、でしょうか……」

忍「ただ――お二人が大好きってだけ、で」

アリス「……そ、そういう所がっ!」

カレン「シノ……あ、あまり人目がある所では、そういうコトは、デスね……」アセアセ

忍「ええ……?」
575 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/08(金) 02:46:33.40 ID:lgwqkXIc0
店員1「あ、あの、先輩……あそこのテーブル席の方たちって」

店員2「――可愛いわね。きっと、女子高生だと思うわ」

店員1「女子高生、かぁ……それじゃ、私より、ちょっと年下なのかな」

店員2「女子大生からしたら、もう『若い子』っていう感じね」アハハ

店員1「せ、先輩……目が笑ってません」ビクッ


店員1「それはともかく――」

店員1「あの三人って……ホントに女子高生、なんですよね?」

店員2「それはそうでしょう。最近の若い子は仲良しだから、ああいうことくらい――」



カレン「シノッ! アーン、デス!」

アリス「……わ、私も。ア、アーン?」

忍「……あ、あはは」

忍「まったく、モテちゃって困りますね……」カァァ


店員2「――あ、ああいうこと、くらい」ワナワナ

店員1「も、もしかして……あれは」



忍「……えいっ!」パクッ

アリス「わ、一緒に食べちゃった」

カレン「私とアリスの出したフォークが……一緒ニッ!」

忍「えへへ……」

店員2(――ちょ、ちょっとだけ、混ざっても)サッ

店員2「お、お客様? お飲み物のお代わりは、いかが――」


忍「――お二人のお気持ちは、一緒に頂かないと、ですから」

忍「それこそ……い、一応、婚約者、ですし」モジモジ

アリス「」

カレン「」


店員2「」

店員1「……え? な、なんて?」

店員2「な、なんでもなかった。うん!」

店員1「そ、そうですか……それにしても、あのテーブル席、凄い雰囲気が……」

店員2(そう、なんでもなかった、何も聞こえなかった……)ブツブツ

店員1(せ、先輩……?)ビクッ


アリス「……も、もう、シノったら」カァァ

カレン「さ、さすがに――私たちも、おかしくなりそうデス」カァァ

忍「え、そう、なんですか……?」

忍「私、お二人の親御さんが仰ったから――ほんの少し、覚悟を」

アリス「シノは極端すぎっ!」ビシッ

カレン「さっきまであんなに照れてたのに……張り切るときは張り切りすぎデスッ!」

忍「……うーん、自信なくしちゃいますねー」
576 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/08(金) 02:47:13.10 ID:lgwqkXIc0
アリス「大好きだよ、シノ」キュッ

カレン「愛してマス、シノ」キュッ

忍「――あ」

忍(お、お二人の腕が……私の腕に、絡まって……)カァァ

アリス(あ、やっぱり照れちゃった……)

カレン(良かったデス――何だか危なくなってきましたケド……しばらくは私とアリスがリードできそうデス)


店員2「――私、何だか色々と投げ出したくなってきちゃった」ズーン

店員1「せ、先輩……。私も同じだから言わないでくださいって」

店員2「さすがに……あれは見ててキツい」

店員1「ええ。私も、店長から頂けると言われていたケーキのおすそ分けを断っちゃいそうです」

店員2「――それくらいには」


忍「……う、上目遣いは、禁止です」

アリス「あっ……そっか。シノの弱点は、まだ」

カレン「アリス? シノより小さくて良かったデスね?」

アリス「カ、カレンだって――シノより5センチくらいは低いでしょ?」ジトッ

カレン「アリスは15センチ以上低いデス。だから……上目遣いも、凄い効果が」

アリス「カレン……もぉ」プイッ

忍「お、お二人ともやめて下さい……」カァァ


店員2「――私、ケーキいらないわ」ハァ

店員1「私もです、先輩。今、気持ちが固まりました……」ハァ



――それから


カレン「……何だか、店員さんたちの様子がおかしかった気がしマス」

アリス「もう、カレン? お店の人たちを悪く言うのは駄目なんだよ?」

カレン「アリス、わかってマス……でも、そうじゃナクテ」

忍「……」


忍(何となく、分かっちゃうこともあります)

忍(最初の雑貨屋の時は漠然としてましたが……結局、『そういうこと』なのだと)

忍(私たちが揃ってると、やっぱり……女子高生3人組、として映ってしまうんじゃないか、と)

忍「……」チラッ

カレン「何だか……おかしいのかな、とか気にナッテ」

カレン「って、イヤ! な、何でもないデス、シノ!」アセアセ

アリス「もう、カレンったら――わ、私も、ちょっと」

アリス「い、いや! そうじゃないよ、シノ!」アセアセ

忍(おもむろに私に顔を近づけてくる、二人の金髪少女……)

忍(やっぱり――何かしら、思う所があったのかもしれません)

忍(――ここは)
577 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/08(金) 02:48:24.17 ID:lgwqkXIc0
忍「……あ、あのっ!」

OL「は、はい?」ビクッ

忍「……こ、この、ケータイで」

忍「――私たちを、撮って頂けないでしょうか?」

アリス「シ、シノ!?」

カレン「……シノ」

OL「――ええ、いいわよ」


忍「二人とも? 私の両側に……いいですか?」

アリス「い、いいけど……シノ? 大丈夫なの?」

カレン「さっきまで、すっごく恥ずかしそうデシタ……」

忍「――いいんです、私の恥ずかしさなんて問題ないです」

忍「……それより」ジッ


忍「お二人が寂しい顔をしていることの方が、ずっとイヤです」


アリス「……あ」

カレン「……シノ」


OL「それじゃ、三人とも? いい?」

忍「あっ、よろしくお願いします、お姉さん」

OL「お、お姉さん……嬉しいわね、まったく」ニコニコ

OL「それじゃ――」

アリス(……さっきの、シノの顔)

カレン(普段からずっと思ってる可愛さと……そ、ソレと)

アリス(――カッコ良かった)カァァ

カレン(……これがシノ、デシタね)カァァ


忍「お願いします」ペコリ


アリス(――ああ、何だか)

カレン(自然と……頬が緩ンデ……)

アリス(隣にいるシノの、あまりの愛しさに)

カレン(隣にいるシノが、本当に頼りになって)


OL「――ピース!」

アリス(このまま……)

カレン(この時間が、終わらなければ……いい、ノニ)
578 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/08(金) 02:49:30.52 ID:lgwqkXIc0
――ファミリーレストラン


男子A「……三人とも、いい顔してるよな」

男子B「そうだな……あと、何というか」カァァ

男子A「――二人の顔が、凄く、その」カァァ

陽子「さっきから二人で何話してんの?」

綾「ちょ、よ、陽子!」

男子A「ああ、それは……その」

男子B「――ほら。これが三人の」


陽子「へぇ……ああ。シノとアリスとカレン、の……」ピクッ

綾「よ、陽子? 私も、ちょっと――い、い」ピクッ

男子A(言葉が途切れた……)

男子B(画面を凝視してるな……)

男子A(あ、顔が赤くなってきた、二人とも)

男子B(――きっと、俺たちもそう、なんだろうな)


陽子「――な」

陽子「何というか、えっと……」

綾「アレよね、そう……アレ」

陽子「ア、アレってなんだよ、綾?」

綾「そ、それは――」


綾「――もう」カァァ

陽子「普通の、カ、カップル、みたい、な……」カァァ

二人「……」モジモジ


男子A(――どうしよう。二人のおかげで)

男子B(むしろ、俺たちの方が……反応に困る感じに、なってきたぞ)




――その頃・電車内



忍「……」

アリス「……」

カレン「……」

忍(両手に花、ならぬ、両肩に金髪少女)

忍(お疲れなのか、座席に腰を下ろすとすぐに寝入ってしまいました)

忍(……すぐ近くに、お二人の顔があります)

忍(気のせいではないでしょうが、とてもいい香りがします――)


アリス「……シノ」

カレン「ん……シノ」
579 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/08(金) 02:50:15.14 ID:lgwqkXIc0
忍(――何故でしょう?)

忍(前までなら絶対に赤面したシチュエーションなのに、今はどこか冷静です)

忍(さっきの撮影の時に感じた……守らないと、という感覚)

忍(――まったく、この二人と一緒にいると、楽しさと愛しさでいっぱいになって困ってしまいますね)




――そうか……結婚、するつもりはないか――



忍「」

アリス「シノー……」

カレン「シノー……」

忍「あ、あわわ……」カァァ

忍(カ、カレンのお父さん! なんてタイミングで……!)

忍(ああ、いけません――油断してました)

忍(け、け、結婚……この、お二人と……ああ)モジモジ


忍「やっぱり私、まだまだですね……」タメイキ
580 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/08(金) 02:53:10.25 ID:lgwqkXIc0
ここまでです。
これにてクリスマス・イブの話は終了の予定です。
次回は、もしかしたら年明けになるかもしれませんし、それを飛ばして始業式辺りになるかもしれません。

油断大敵というお話でした。
ちょっと油断すると、すぐに赤面材料がやってくるというもので……結局、この三人で誰がリード出来るかというのもないのかもしれません。

それでは。
砂糖成分は次回で薄まるか、はたまた……
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/08(金) 07:51:50.36 ID:wJq4GmXG0
男子が普通に馴染んでる
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/08(金) 07:52:04.33 ID:1vhMhEfS0
男子が普通に馴染んでる
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/08(金) 09:53:12.37 ID:UYFyoVNOO
おつ!
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/08(金) 10:51:30.63 ID:23rI+CPpO

4人組もイブを楽しめてるようで何よりだぜ
585 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/16(土) 23:32:44.94 ID:UuPrnmza0



――年明け・神社


綾「……遅いわね」

陽子「おっす、綾」

綾「……まったく、いつも通り遅刻ね」タメイキ

陽子「ほ、他の三人の方が……」アセアセ

綾「――それは、そうだけど」

綾「ほら。あの三人は、ちょっと……」

陽子「――そりゃまぁ、そうだけどさ」

陽子「はぁ……まさか、シノがハーレムとは」

綾「そ、そういう誤解を招きそうなこと言わないのっ」アセアセ


綾「……というか」チラッ

陽子「ん? どうかした?」キョトン

綾「まさか――晴れ着とは思わなかったわ」

陽子「あ、綾……私、そこまでオシャレに縁がないと思ってたのか?」

綾「いや……ちょっと意外で」

綾「見とれちゃった」

陽子「え?」キョトン

綾「――あ」ハッ


綾(な、何を言ってるの、私……!)アセアセ

綾(今までなら、こんなこと絶対に言わなかったのに……)カァァ

綾(去年一年で色々と変わったとは思ったけど……まさか、こんな所まで)

陽子「綾も似合ってるよ」ニコッ

綾「……!」

陽子「綾らしい晴れ着だなぁ、って」

綾「あ、ありがとう」カァァ

綾「……それを言うなら、陽子も陽子らしくて、いいと思うわよ」

陽子「――やっぱり、変わったね。綾は」クスッ

綾「そ、そんなことは!」

陽子「うん、よかった」

陽子「……私一人じゃ、きっとシノたちを支えてあげられないからさ」

綾「……あ」

綾「そう、よね……」
586 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/16(土) 23:33:30.04 ID:UuPrnmza0
陽子「――結局」

陽子「私たちのケータイにも画像が送られてから、シノとは話せなかったな」

綾「し、仕方ないわよ、陽子。普通は冬休みに、毎日のように会えっこないんだから」

陽子「それはそうだけど……シノたちは、ちょっと違うだろ?」

綾「……そうね」

綾「早ければ――もしかしたら、今年の4月には、もう」

陽子「こ、怖いこと言うなってば……」

綾「よ、陽子だって、同じこと考えてるんでしょう?」

陽子「そ、それは、まぁ……」

綾「――シノが、イギリスに行っちゃってるかも」タメイキ

陽子「さすがに考えるなぁ……そうなっちゃうんだとしたら」タメイキ


カレン「アヤヤ、ヨウコ! アケオメデース!」

陽子「カ、カレン!?」

綾「あ、あけましておめでとう……」

カレン「ハイ! 嬉しいデス!」

カレン「――冬休みから、お二人には会えませんでしたカラ」

綾「……風のうわさで」

綾「カレンとアリスが――ご実家に連絡をしてると聞いてたから」

カレン「……やっぱり、知ってたデスね」

陽子「まぁ――さすがに、込み入った話だからな」

陽子「私も、カレンたちには連絡しづらかったんだよ」

カレン「そうデシタか……」


アリス「アヤー、ヨウコー! あけましておめでとー!」

忍「お二人とも、あけましておめでとうございます」

陽子「お、おう、二人とも……」

綾「あけましておめでとう……」

アリス「? 二人とも、どうかした?」

忍「どうかしましたか?」

陽子(アリスの晴れ着も、シノの晴れ着も可愛いのはいいとして)

綾(そもそもシノの場合、袴じゃなくて私たちと同じなのに……ちょっと自信をなくしちゃうのもいいとして)


忍「――お二人とも、ちょっと」ズイッ

陽子「シ、シノ?」

綾「ど、どうかした?」

忍「……私」

忍「高校までは、お二人と一緒ですよ?」

陽子「……あ」
587 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/16(土) 23:34:14.77 ID:UuPrnmza0
忍「――クリスマスから今まで」

忍「このことで、私も色々と大変でした」

忍「なるべく早く、お二人と一緒にイギリスに行ったほうが――とも考えましたけど」

忍「それでも、高校まではここにいたいって思いました」

綾「……シノ」

忍「ごめんなさい。連絡は、ここでしようって決めてたので……ご心配をおかけしてしまいました」

陽子「いやいや、別に大丈夫だって……」

綾「大丈夫よ、シノ。あなたがどんな道に進んでも……」

綾「私たちはずっと、あなたのお友達、だから」

忍「陽子ちゃん、綾ちゃん……本当に嬉しいです」ニコッ


カレン「そうデス、みなサン!」

アリス「私たち、少なくとも高校までは一緒だよ?」

陽子「……二人とも」

綾「何だか、安心しちゃうわね、こういうの……」

忍「よかったですっ」ニコッ



――境内


忍「――とはいえ」

アリス「ひ、人、多いよぉ……」

カレン「凄い人波デス……」

陽子「いやぁ、まぁ……元旦だし、な」

綾「仕方ないわよね」

忍「――お二人とも、落ち着いてますね」

陽子「ま、まぁ、それは……」

綾「さっきのシノたちの話を聞いて……ちょっと、力抜けちゃって」

陽子「あ、でも! 私、みんなが結婚するなら、おうえ――」

綾「よ、陽子!? 声、声!」アセアセ

陽子「……ご、ごめん」ハッ

忍「可愛いですよ、陽子ちゃん」クスッ

陽子「シ、シノ!」カァァ


アリス「……三人とも、仲良しさんだね」ニコッ

カレン「――三人は親友デスから」ニコッ




――お参り後



陽子「……ふぅ、疲れた」

綾「何をお願いしたの、陽子?」

陽子「いや、それは……」

陽子「家族が、幸せに、って――」

綾「……そう」
588 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/16(土) 23:34:53.87 ID:UuPrnmza0
綾「私は、『シノたちが幸せに暮らせるように』って」

陽子「……そ、そっか」

綾「それじゃ、改めて。陽子は?」

陽子「――わ、私も同じだよ!」

陽子「『シノとアリスとかレンが、幸せに過ごせるように』って!」カァァ

綾「はい、ありがとね」クスッ

陽子「……わ、私をいじめて、楽しいか?」

綾「いや、むしろ嬉しいわ」

綾「――陽子もちゃんと、シノたちを見守ってくれるのなら、私も心強いから」

陽子「あ、綾……」タメイキ


カレン「――なんというか」

カレン「アヤがヨウコを赤くしてマス……」

アリス「うーん……何だか新鮮だね」

忍「ふふっ。綾ちゃんも陽子ちゃんも、お互いのことが大好きですから」

アリス「――シノは、何てお願いしたの?」

カレン「何をお願いしたデス?」

忍「……そ、それは」アセアセ

忍「お二人と同じ、ですよ?」

カレン「はぐらかされマシタ……」

アリス「シノも『私たちがずっと一緒にいられますように』って?」

忍「は、恥ずかしいです……」カァァ



――絵馬書き



忍「せっかくですし、書きませんか?」

陽子「そうだなぁ……へぇ、色々書かれてる――」

陽子「あっ」

綾「あら?」



『自分の知り合いの人たちがみんな幸せになってほしい』

『たしかに彼女は欲しいけど、それよりも↑と同じ』



陽子(名前……これってやっぱり)

綾「あの二人よね、きっと……」

忍「――わ、ほんとです」


陽子「……まったく」ハァ

綾「シノたちには幸せになってもらわないとね」

忍「……そうですね」

アリス「――ちょっと照れちゃうね、これ」

カレン「へ? このお二人、知り合いなんデスカ?」

陽子「ん。まぁ、ちょっと、ね……」
589 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/16(土) 23:36:40.80 ID:UuPrnmza0



――帰り道


陽子(結局……)

綾(図らずもみんなが「シノたちが幸せになれますように』なんてことを書いて)

陽子(私は照れるばっかりだ、まったく……)


忍「ね、陽子ちゃん、綾ちゃん?」

陽子「ど、どうかした、シノ?」

綾「シノ?」

忍「その――ですね」

忍「今日の晴れ着、似合ってました?」

陽子「――あれ? 言ってなかったっけ?」

綾「てっきり、言ったものだと……」

忍「もう、お二人とも? 言ってませんでした」プクーッ

忍「私、ちょっと気にしてたんですよ?」チラッ


綾「で、でも……」

綾「シノにはもう、アリスたちが――」

忍「綾ちゃん? あの二人と綾ちゃんたちは違います」

陽子「……シノ」

忍「陽子ちゃん、どう思います?」

陽子「――すごく、似合ってるよ。特にえーと……そのかんざしとか」

綾「ああ。特に、この帯がいいわね。いつものシノっぽいけど、ちょっとばかり派手というか」

忍「……ありがとうございます、お二人とも」ニコッ
590 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/16(土) 23:38:30.10 ID:UuPrnmza0
忍「――陽子ちゃんたち、ちょっといいですか?」ズイッ

陽子「ど、どうかした?」

綾「な、なぁに、シノ?」

忍「お二人とも」


忍「私に遠慮、しないでくださいね?」


陽子「!」ハッ

綾「!」ハッ

忍「たしかに私は、あのお二人とずっと一緒にいますけど」

忍「……それでもお二人は、私の『親友』です」

忍「それは、決して変わりません」

綾「……シノったら」

陽子「はぁ――まったく」

陽子「何だかんだで、いつも引っ張られてばっかりだなぁ……」

忍「わ、私は、そんな……」カァァ

陽子(嘘つけ……)

綾(シノは本当に――底が知れないんだから。もう)



アリス「ねぇ、カレン? 私たち卒業しちゃったら、ホントに」

カレン「場合によっては、イギリスに帰らないといけないかもデス」

アリス「そ、そっか……」

カレン「きっと――シノも嫌がらないと思いマスし」

アリス「だよね、きっと――」

カレン「……大丈夫デス、あの三人は」

カレン「『無敵』デス、きっと――」ニコッ

アリス「だよね、カレン……」ニコッ
591 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/16(土) 23:41:36.61 ID:UuPrnmza0
ここまでです。

シノにとってはみんな大切で、もしも遠く離れることになってもその気持ちは変わらない、みたいな話でした。
このSSの帰着点は決まっていませんし、どうなるかは自分自身も分かりませんが……。
クリスマスの後、元旦のお話でした。
次回は新学期で、もしかしたら脇役たちが目立つ話になるかもしれません。
久世橋先生も登場予定です。

それでは。
気づけば二期も半分って……怖いですね。
592 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/24(日) 18:49:12.37 ID:RwbU9xFX0



――中庭


カレン「……シノの膝って、何だか柔らかいデス」スリスリ

忍「そ、そうですか、カレン?」モジモジ

アリス「カレン! そろそろ私の番――」

カレン「アリス、もう少し延長お願いしマス」

アリス「延長、三回目!」プンスカ


陽子「……なぁ、綾?」

綾「なに、陽子?」

陽子「なんていうか、さ――」

陽子「三人がこうなってくれて良かったって、それはホントに思うんだけど……」チラッ

綾「――まあ複雑、よね」

陽子「分かってくれるか……」

綾「もちろん……」

綾「シノたちのお友達でしょう? 私たちは」ニコッ

陽子「――ちょっと前から、綾がどんどん私より先に行っちゃった気がするよ」ハァ

綾「そ、それは言い過ぎ」アセアセ




――中庭から少し離れて・渡り廊下



男子A「……なぁ」

男子B「なんだ?」

男子A「やっぱり……『噂』っていうのも、理由があるんだな」

男子B「……俺たちには『噂』ってよりも」

男子A「ま、まぁ……」

委員長「噂、ね。私も聞いてるけど……」

男子A「あ、委員長」


委員長「まあ」

委員長「あれを見る限り、火のないところに煙は立たない、ってことでしょうね」タメイキ

男子B「――知ってるのか?」

委員長「いや、何となくよ」

委員長「……それより」


?「――あ、あれが」

?「だ、男子生徒……なのよね?」


委員長「私には、向こうの方が気になるわ」

男子A「……ああ」ハァ

男子B「――なんだかなぁ」ハァ
593 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/24(日) 18:50:35.26 ID:RwbU9xFX0
委員長「――こんにちは、久世橋先生」

久世橋「!?」ビクッ

男子A「こんちは、クッシーちゃん」

男子B「……大宮さんが気になる?」

久世橋「あ、あなたたち……」

久世橋「そ、そうじゃなくて――えっと」

久世橋「……場所を、移しましょう」コホン




――生徒指導室



久世橋「……どうぞ」ガラッ

委員長「お邪魔します」ペコリ

男子AB「お邪魔しまーす」ペコリ


男子A「……何だか妙に懐かしいな」

男子B「いや――そんなに前でもないだろ」

委員長「そうよ。初めて私たちが久世橋先生に呼ばれてから……」

久世橋「あ、あまり、そういう話をしないで」モジモジ

久世橋「……実は、ちょっと恥ずかしいんだから」カァァ

男子A「――でも」

男子B「クッシーちゃんって意外と近づきやすいってことが分かって、ちょっと嬉しかった」

久世橋「――!」ハッ

委員長「……まったく、あなたたちは」プイッ


委員長「ところで、久世橋先生? どうして、またここに?」

久世橋「……え、えっと、それは」

久世橋「大宮忍、さんのことで、ちょっと」モジモジ

男子A「――学祭の後も、だったっけ」

男子B「クッシーちゃんって、心配性なんだな」

久世橋「も、もしも私が、かの――『彼』の担任になったら、と思うと」

委員長「……まだ、大宮さんと直接に会われてないんですか?」

久世橋「……ま、まぁ」


久世橋「私、九条さんたちのクラスの家庭科担当だから」

久世橋「ちょっと――『噂』が聞こえてきたりしちゃうから」

男子A「……噂」

男子B「やっぱり――あれ、だよな」

久世橋「……それで」

久世橋「私もちょっと、気になってたんだけど」

久世橋「私の担当するクラスの子の中でも、色々と不安定そうな子がいて」

男子A「……不安定」

男子B「それって、クッシーちゃん? 噂が……」

委員長「噂が関係してるんですか?」

久世橋「――ま、まぁ、そうかもしれないわ」
594 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/24(日) 18:52:35.59 ID:RwbU9xFX0
久世橋「だから……今日、ここに連れてきた理由は」

久世橋「あなたたちに、そういう子たちを助けて欲しくて……」

久世橋「このままだと、私もちょっとやりにくいし――何より、その子たちが可哀想だから」

男子A「……そ、それは、いいけど」

男子B「知り合いじゃなかったら、なぁ……」

委員長「それは同感ね。なかなか難しいかも……」

久世橋「そ、そうよね」

久世橋「念のため……名前は」




――生徒指導室前・廊下



三人「失礼しました」ペコリ

久世橋「ありがとうね」

久世橋「……出来れば、お願いね?」チラッ

男子A「は、はい」

男子B「――まあ何となく、アイツかもなぁ、とは思ってたけど」

委員長「ピンポイントでしたから、少し行ってみますね」

久世橋「ありがとう」ニコッ

男子A「――クッシーちゃん」

男子B「来年、俺たちの担任になってくれたらいいなって……」

久世橋「……そ、それは」アセアセ

委員長「それでは失礼します、久世橋先生」ペコリ


久世橋「――ああ」タメイキ

久世橋(学園祭の後で初めてあの子たちに会った時に)

久世橋(もう少し、威厳を保てれば……)

久世橋(いや、もしかしたらこっちの方が――)アセアセ




――再び・中庭前の廊下



?「……」ジーッ



カレン「シノ? アリスと私、どっちが気持ちいいデス?」

アリス「カレン!?」ビクッ

忍「……どっちも、ですよ」ニコッ

忍「ですから――二人とも、膝に頭を乗せても……」

アリス「カレンっ、私、左膝!」

カレン「それじゃ私は、ちょっとズレて右膝を――」

アリス「――シノの膝、気持ちいい」

カレン「右膝もいいデスよ、アリス」

忍「……」ニコニコ
595 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/24(日) 18:53:46.78 ID:RwbU9xFX0
忍(促して何ですけど……)

忍(――私、本当に、大丈夫なのでしょうか?)カァァ


陽子「……シノも大変そうだなぁ」ハァ

綾「陽子の方が色々と大変そうだけど?」チラッ

陽子「――綾」

綾「冗談よ」



?「……はぁ」

?「カレンちゃん――やっぱり、噂は」


男子A「松原」

穂乃花「わっ!?」ビクッ

男子B「やっぱり、か」

委員長「思った通り、だったわね」

穂乃花「さ、三人とも……」アセアセ


男子A「前から」

男子B「九条さんたちのこと気にしてたよな、たしか」

穂乃花「そ、それは……」カァァ

委員長「学園祭が終わってから、気落ちしてることが多かったし」

穂乃花「――い、委員長」

委員長「もう? 中学の頃とは違うでしょう?」

穂乃花「そ、それは――」


?「あ。また穂乃花をいじめてる!」スタスタ


委員長「……ああ、日暮さん。こんにちは」

穂乃花「か、香奈ちゃん……!」

香奈「もう……いつも、穂乃花を困らせて」ジトッ

男子A「いや、違うって日暮。むしろ……」

男子B「困らせてるのは俺たちじゃなくて……」

香奈「――いいよ。言いたいことは分かるから」

香奈「ね、穂乃花?」ニコッ

穂乃花「……ま、まぁ」

香奈「私、穂乃花のことなら、いろんなこと知ってるし」ダキッ

穂乃花「か、香奈ちゃん……!」カァァ


香奈「――たしかに」

香奈「噂では、うちのクラスの九条さんと……大宮さん、が。その」 モジモジ

穂乃花「……わ、私も」

委員長「噂は他クラスにまで広まってる……いえ。むしろ、九条さんのクラスだから」フムフム

香奈「ねぇ、委員長? 委員長はもっと色々知ってるんじゃないの」

委員長「わ、私はもう、日暮さんの委員長でも――まあ、それはいいわ」コホン

委員長「たしかに、松原さんと日暮さんよりは知ってるかもしれないけど……それより」
596 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/24(日) 18:56:13.84 ID:RwbU9xFX0
香奈「――この二人の方が知ってる、ってこと?」

男子A「……噂については、本当だよ」

香奈「……ホント?」ジッ

男子B「ホント」

香奈「……そっか」タメイキ

穂乃花「や、やっぱり、そうだったんだ……」タメイキ


香奈「いや、まぁ」

香奈「ほら。学祭で九条さんの相手の様子から、何となく思ってたんだ」

香奈「ああ。やっぱりあの二人……いや。あの三人は、ってさ」

穂乃花「そっか。カレンちゃん……あの二人と」

男子A「……松原」

男子B(やっぱり、何か寂しそうだな……)

委員長(一学期の頃とか「転校生の子がね、可愛いの!」なんて言ってたから……)


香奈「……大丈夫だよ、穂乃花」ギュッ

穂乃花「か、香奈ちゃん?」ビクッ

香奈「穂乃花のことなら、全部……じゃなくて」

香奈「色んなことはわかってるつもりだから、ね?」

穂乃花「……三学期に入ってから」

穂乃花「もうすぐ――香奈ちゃんやカレンちゃんたちと別々になっちゃうかも、って……」

香奈「クラスが違ったって、私たちは一緒だから。部活だって同じだし……」

香奈「……それって、むしろ」チラッ

穂乃花「う、うん……」

香奈「――そっか」

香奈「九条さんと離れちゃうの、キツい?」

穂乃花「……そ、そう、かも」

香奈「そっかぁ……ああ」タメイキ


男子A(――松原だけじゃなくて)

男子B(日暮も複雑そうだな……)

委員長(中学の頃から親友だったもんね……二人とも)

香奈「――なに、三人とも?」ジトッ

男子A「い、いや」

男子B「なんでも」

委員長「……日暮さん、大丈夫よ」

香奈「はぁ……信じていいのかな」ハァ

穂乃花「だ、大丈夫だよ、香奈ちゃん」アセアセ
597 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/24(日) 18:59:10.72 ID:RwbU9xFX0
穂乃花「……ね?」

男子A「ん?」

穂乃花「カレンちゃんは、つまり……」

穂乃花「その――あ、あの『男の子』と、もう一人の金髪の子と」

穂乃花「一緒、ってこと、だよね?」

男子B「……ああ。クリスマスのデートも、、ちょっとだけ手伝ったから」

穂乃花「そっか……」


穂乃花「――って! ク、クリスマスデート!?」カァァ

香奈「デ、デート……って。聞いてないけど」アセアセ

男子A「そりゃ、俺たちが話してないし」

委員長「私も年明けになってから伝えられたから、無理もないわね……」

香奈「あんたたちホントに、えっと……大宮さんが気に入ってるんだね」アキレ

男子A「……そりゃ、な」

男子B「同性だから」

委員長「――ということにしておいてくれる、日暮さん?」

香奈「……息、合ってるね」ニヤッ

委員長「それはないわね」

男子B「そうじゃないな」

男子A「それは違う」

穂乃花「わっ、ホントに息が合ってる……」


男子A「……松原」

穂乃花「な、なに?」ピクッ

男子B「クッシーちゃん……久世橋先生が、心配してたから」

穂乃花「く、久世橋先生が?」アセアセ

香奈「――クッシーちゃんって」

委員長「日暮さんはまだ、本当の久世橋先生を知らないのね……」

香奈「……委員長は知ってるの?」

委員長「まあ、ね……」

委員長(生徒の私から見てもとても可愛い先生って――)

男子A「九条さんは、松原と一緒で嬉しいと思うし」

男子B「そりゃまあ……付き合ってるのは、あの二人、だけど」

男子B「松原が遠慮する必要はないと思う」

穂乃花「……ホント、かな?」

男子A「それは、えっと……九条さん? と直接会ってみてから、だと思う」

男子B「大丈夫だよ、きっと」

穂乃花「――そうだったら、嬉しいな」

香奈「そうそう。穂乃花は心配しすぎなんだって」

香奈「大丈夫、私は最後まで一緒だから」ギュッ

穂乃花「か、香奈ちゃん……ありがと」ニコッ

男子A(――日暮)

男子B(そっか、コイツは……)

委員長(何というか、思ったより色々と大変になりそうね。2年からは)
598 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/24(日) 19:00:26.51 ID:RwbU9xFX0



――数分後・中庭前廊下


香奈「――何だか、あの三人が気になっちゃった」

穂乃花「香奈ちゃん?」

香奈「――全部、わかってるんだから、みたいな」

香奈「ああ、何だか……ちょっとムカッと」


?「二人とも、先生が呼んでたよ」


香奈「……あ」ピクッ

穂乃花「あ」

男子「? どうかした?」キョトン

香奈「――ねぇ?」

男子「な、何だ?」

穂乃花「そ、その……噂、知ってる?」モジモジ

男子「噂……あ」

男子「九条さんたち、か……」


男子「うん。知ってる」

男子「……あの三人のこと?」

香奈「そう、だね……」

穂乃花「知ってるんだ、やっぱり……」


香奈「どう思うかなって」

男子「……うーん」

男子「そりゃまぁ――俺は九条さんに告白したわけだし」

男子「色々あるけど……それでも、幸せになってほしいかなって」

穂乃花「そ、そっか……」

香奈「本気?」

男子「……日暮は怖いな」タメイキ

男子「いや、でも――それは本気だよ」ニコッ

男子「だって……三人でいる時の九条さん、凄く楽しそうだから」

香奈「――それは」

穂乃花「ホントに、ね……」
599 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/24(日) 19:01:24.37 ID:RwbU9xFX0



――教室


男子A「……大宮さん」

忍「あ……」ピクッ

男子B「噂、知って――いや。最近、どう?」

忍「――最近、ですか」

委員長「ええ。順調かな、って……」


忍「――ありがとうございます、皆さん」ペコリ

忍「私は、えっと……皆さんのおかげで、あの二人と、その」

忍「このような関係に、なれましたから」

男子A「そ、そっか……」カァァ

男子B「そりゃよかった――うわ、何か照れくさい」カァァ

委員長「あ、あなたね……」カァァ

男子A「委員長も顔、ちょっと赤くないか?」

委員長「――そっちだって」

男子A「うわ、そっか……」


忍「……ふふ」クスッ

忍「ありがとうございます、本当に――」ニコニコ
600 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/24(日) 19:04:16.25 ID:RwbU9xFX0
ここまでになります。
思ってたよりも随分長くなってしまいました。

補足すると、香奈と穂乃花と委員長たち三人は中学時代の同級生です。
穂乃花がカレンを気にしているのは原作通りかもしれませんが、その他の設定はこちらで付け加えさせて頂きました。

次回の予定は、ホワイトデーです。
それで、1年次のイベントはおしまいとなる予定です。
……オチが不明のまま進んでいくことに不安を覚えますが、何とかなると思いたいですね。

それでは。
601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 08:06:45.83 ID:0NJf7YCl0
卒業からその後まで書いてほしいとは思ってるが原作がそこまで進まないだろうから無理かな?
602 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage]:2015/05/30(土) 22:40:22.98 ID:osi/cxWg0
>>601
着地点が見当たらないので、なかなか迷ってます
そもそも着地点を考えたことがなかったもので
卒業以降は何となく案にはありますが、2年次を書くことすら多分出来ないかもしれないと思っているので……


次はホワイトデーと書きましたが、実際はバレンタインになるかもしれません

ところでIFストーリーを書くかもしれないのですけど、どうでしょうか?
その場合、このスレでIFだけで分けて書くのも何だかなぁ、と思っています
603 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/30(土) 22:45:27.23 ID:osi/cxWg0
IFネタとして考えているのは

・陽子が忍と結ばれた場合、というルート
・嘘つきブラザーズの一方が、誰かにいろいろな意味で興味をもつ話
・アリス、カレンルート(今まさに書いている話)の、あり得たかもしれないバッドエンドルート

もしかしたらこういったIFストーリーを書くことがあるかもしれません
その場合はスレッドを分けたほうが良いのでしょうか?
604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/31(日) 10:34:10.91 ID:xitpmoKC0
ここでいいと思うよ
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/01(月) 08:19:21.31 ID:dY7++HWH0
ifルートもいいな

badだと救いようのない鬱展開が…
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/09(火) 08:03:53.55 ID:/0EiQzAG0
ここは意表をついて忍×穂乃花という可能性はありでせうか?
607 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage]:2015/06/25(木) 00:15:27.99 ID:Flbolr3A0
ごめんなさい。
なかなか展開が難しく、停滞してしまってます。


一応、大まかな展開は浮かんでいるので、何とか形にできると思っています。
次回は、バレンタインの予定です。
2期も終わってしまいましたね……こっちも、早くしないとですね。
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 20:02:57.68 ID:JOtrvH4n0
HAHAHA2期が終わったなんて面白いジョークだな
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/29(月) 02:41:47.38 ID:oybtl+mvo
は?なに言ってだよ?
冗談だろ?HAHAHA
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 08:35:29.76 ID:iazHlW6pO
いやー今回のハローきんモザも面白かった
次回は久世橋先生回だから期待してる

このSSの続きも期待してます!
611 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/07/17(金) 23:00:03.18 ID:KOkyHw5G0
――私の目の前が、金色に染まりました。


 彼女は頭を枕に載せ、その長い金髪が私のベッドの上を支配していました。
 さっきまでの悪戯っぽい表情は、なりを潜め、今では戸惑っているような恥ずかしがっているような
 そんな風でした。


「……シノ」


 果たして、彼女が口を開きます。
 その声も、さっきまでの明るい調子から、か細く恥ずかしそうなものに変わっていました。
 私は、彼女の顔の両脇に手を当てながら、ジッと見つめていました。


「――ヤッパリ、シノも男の子、デス?」


 その言葉に、ハッとしてしまいます。
 顔を真っ赤に染め上げながら、彼女――カレンは、私からついと視線を逸らしました。
 私の目と鼻の先には、カレンの整った顔があって。
 ……いけません。


(こんな体勢のまま理性が壊れては……!)


 きっと、私の顔もカレンと同じようなものだったと思います。
 今更ながら、私も顔の熱さを自覚してしまいました。


 ――そもそも、どうしてこうなったのでしょうか。
 色々とあったような気はするのですが……いえ。そのことは、今思い出しても仕方ないのかもしれません。
 とにかく、この体勢はマズいというのは、さすがの私にだって分かりました。
 まだ、「そういうこと」を意識していなかった頃の私でさえ、アリスと今みたいな体勢になったことは記憶にないですし……。


 有り体に言えば、私は……カレンを押し倒している、ことになるのでしょう。
 カレンの息遣いが本当によく分かる距離にまで、私と彼女の顔は近づいていました。
 きっと、私の息遣いも同じで――それ、なのに。
612 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/07/17(金) 23:01:07.17 ID:KOkyHw5G0
「――シ、シノ。そろそろ、アリスが帰ってきちゃうと思いマス」


 そうです。カレンの言う通りです。
 カレンは頑張って笑おうとしながら、あまり上手く出来ない様子でした。
 無理もない、と思いました。
 ……この状況では、私も上手く笑える気がしません。


「そ、そうですね……ごめんなさい。カレン」
「い、いいんデス。私も、どこうとしないのが悪いデスし」


 言いながら、やはり私たちは動けないままでした。
 身体が硬直したように、言うことを聞いてくれません。
 それはきっと、カレンも同じなのかもしれません。


 ――トントン。
 部屋の外から、音が聞こえました。
 普段、私が聞き慣れているその音は――


「……ア、アリスが」
「帰ってきちゃう、デス……」


 そう言って、私とカレンは見つめ合います。
 どうすればいいのか分からないまま、私たちはただ、お互いの顔を覗き込みます。


 ――どうして、こうなったのでしょうか。
 カレンの顔を見て、アリスの表情も思い浮かべながら、私は思い出そうとします。


 今日という日を作った、きっかけになった出来事を。
 そして、色んな人たちの様子なども、一緒に思い浮かべながら――







 一旦、ここまでです。
 プロローグ的な何かで、次から本編です。
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/17(金) 23:02:43.39 ID:NR9OeCuzo
久々だな
614 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage]:2015/08/12(水) 01:03:20.01 ID:QoF0KUzt0
すみません、もう少しかかりそうです
バレンタイン編で色んな事を描きたいのですが、アイデアが煮詰まってしまってます
穂乃花たちの出番も増えると思います
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/12(水) 01:50:31.15 ID:hjButgyCo
気長に待ってます
ちなみに ×煮詰まる ○行き詰まる
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/20(木) 22:41:07.39 ID:Ymk5p5Foo
待ってる
>>603だけど、陽綾も書いてくれたらいいなー…なんて(小声
617 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/15(火) 18:45:41.26 ID:iD7Y/scb0
少しずつ投下していきたいと思います。

>>615
ご指摘、ありがとうございます。
そうでしたね……。

>>616
一応、それっぽいサイドストーリーは考えているので、いずれ形に出来ればと思います。
618 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/15(火) 18:46:25.52 ID:iD7Y/scb0


『2月14日 〜バレンタインデー〜』


――猪熊家


陽子「1、2、3……」

陽子「うん。足りてるな」

陽子(いやー、しかし……やっぱり慣れるもんだなぁ)

陽子(最初の頃とか全部グチャグチャに崩れちゃってたのに)


「……あっ、チョコ」

「わっ、美味しそう……」


陽子「――おっ」

陽子「二人とも、おはよ」ニコッ

空太「陽子お姉ちゃん、おはよ」

美月「おはよ」
619 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/15(火) 18:47:03.28 ID:iD7Y/scb0
空太「それ、昨日……」

美月「私たちに食べさせてくれた、よね?」

陽子「うん。おかげで助かったよ」

陽子「味とか酷かったら、誰にも渡せないし……」

空太「美味しかったよね? 美月」チラッ

美月「う、うん……」チラッ

陽子「おー、そっか! ありがとな」


空太(――いつもなら「美味しくなかった」とか言って、からかっちゃうけど)ヒソヒソ

美月(何だか最近、陽子お姉ちゃん、元気ないような気がするから)ヒソヒソ

空太(あんまり、ショックな嘘つけなくなっちゃったよね)

空太(……やっぱり、美月もそう思ってたんだ)

美月(うん。心配……)


陽子「二人とも、内緒話かー?」

空太「ち、違うって」カァァ

美月「よ、陽子お姉ちゃん……」カァァ

陽子「もうっ。二人とも、可愛いなぁ」クスッ
620 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/15(火) 19:21:12.69 ID:iD7Y/scb0


――集合場所


綾「……」

綾(今年も、この日が来たのね)

綾(いつも、そうだけど……何となく落ち着かない感じ)

綾(まぁ……「これ」の交換とかは楽しいけど)

綾(去年は、特に色んなことがありすぎた気がして……たとえば)


陽子「おはよ、綾っ! 一人だけ?」

綾「あっ。おはよう、陽子」

綾(たとえば……この子の調子とか)


陽子「えっと……ハッピーバレンタイン、綾」ニコッ

綾「ハッピーバレンタイン、陽子」ニコッ

綾「……最初の頃に比べると、随分上手くなったわね」

陽子「そ、そうかな。ありがと」

陽子「昨日、皆で作ってからさ。一人でも作ってみたりして」

綾「へぇ……人って変わるのね」

陽子「最初の頃はグチャグチャだったからな……作ろうとしても」

綾「ええ。……そういえば」

綾「『チョコ交換』も、もう4回目になるのね」

陽子「そうそう。綾が転校してきた年から始めたんだよね」

綾「ええ、そうだったわね」


綾「たしか、しのが最初に言い出して」

陽子「そうそう。『綾ちゃんも乙女ですし、今度のバレンタインはみんなでチョコを交換しませんか』だったっけ?」

綾「よ、よく覚えてるわね……」

陽子「いや、あまりにも意味が分からなくて……」

綾「え、ええ……まぁ、おかげで」

陽子「何だか楽しくなってるから続いてるんだよね」

綾「そうね。それはその通りだと思うわ」
621 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/15(火) 19:21:48.25 ID:iD7Y/scb0
綾「――ところで」

綾「しのたち、遅くないかしら?」

陽子「そ、そうだな……どうしたんだろ?」

綾「考えてみたら、陽子が私の次っていうのが早すぎるのね」

陽子「わ、私、そんな遅れてばっかりだっけ……?」

綾「ええ」

陽子「即答っ!?」ガーン


綾「……まぁ、まだ時間はあるし」

陽子「待ってよっか」

綾「そうね……」


忍「ご、ごめんなさい、お二人ともっ!」

アリス「お、遅れちゃったよぉ……」

カレン「ごめんナサイッ!」


陽子「……って、言ってる内に」

綾「ええ。来たみたいね」




陽子「――まぁ。時間には、まだ間に合うし」

綾「大丈夫よ、みんな……でも」

綾「あなたたちが遅れるなんて珍しいわね……陽子は、ともかく」

陽子「あ、綾ぁ……」

忍「す、すみません……今朝になって」

アリス「う、うん。もっと良いチョコ、作れないかなって」

カレン「ヨーコとアヤヤに渡すのに、失礼な物は作れないと思いマシタ……」
622 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/15(火) 19:22:14.63 ID:iD7Y/scb0
陽子「……み、みんな」

綾「あ、ありがたいけど……そ、そんなに気合入れてもらって何だか悪いわね」

忍「いえ、そんなことはありません。綾ちゃん」

綾「……え?」


忍「私たち、凄く感謝してます」

忍「去年、陽子ちゃんと綾ちゃんが……その」

忍「わ、私たちのことを応援してくれなかったら……ひょっとして」

アリス「う、うん。もしかして、って思っちゃうよ」

カレン「ハイ! だから、本気で作りマシタッ!」


陽子「――!」ピクッ

綾「あ、あなたたち……」

陽子「い、いや……凄く嬉しいけど」

綾「ええ、そうね。……そういうことなら」

陽子「うん。もらおっか」

陽子「嬉しいな、ホント」ニコッ

綾「……陽子」チラッ

陽子「ん? どうかした?」

綾「いえ……何でもないわ」

陽子「綾?」キョトン
623 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/15(火) 19:26:49.67 ID:iD7Y/scb0
一旦、ここまでです。
表記を原作に合わせました(シノ→しの、陽子、綾→ヨーコ、アヤ等)。

時間を置いて今日中に、もう少し書き進められればと思います。
遅筆で申し訳ありません……。
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/15(火) 20:46:48.13 ID:qSAcLc9uo
まだやってたのか、不快だな!本当に
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/15(火) 20:51:02.30 ID:90jYoWrJo
終わりにしろ
626 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/16(水) 01:10:58.20 ID:W1ZontJA0


――昇降口


忍「……それでは、改めて」

アリス「アヤ、ヨーコ! ハッピーバレンタイン!」

カレン「ハッピーバレンタインデスッ!」

忍「ハッピーバレンタインです。陽子ちゃん、綾ちゃん」


綾「み、みんな、ありがとう」

陽子「た、たしかに……気合、入ってるな」

綾「ええ……ラッピングとかも凄く綺麗ね」

カレン「本気で作りマシタッ!」

アリス「うんっ。……私もカレンも、お菓子作りとか苦手だったけど」

忍「私、今まで陽子ちゃんと綾ちゃんとチョコを作ってきたことを、二人に教えました」

忍「おかげで、何とか上手く作れたんだと思います」

陽子「しの……」

綾「そうね……たしかに」

綾「何度も練習すれば上手くなるっていうのは……あなたが、よく知ってるものね?」チラッ

陽子「そ、それは……そう、だな。うん」


綾「……た、たしかに」

陽子「これ、凄く綺麗だよね……」

綾「ええ。頑張らないと、こういうのは出来ないと思うわ」

カレン「さすが、アヤヤデスッ!」ニコッ

アリス「ありがとね。私たちも、ヨーコとアヤがくれたチョコ、大事に食べるねっ」ニコッ

忍「気に入って頂けて嬉しいです。陽子ちゃん、綾ちゃん」


綾「……しのも最初は、なかなか上手に作れなかったけど」

綾「やっぱり、慣れるのね」

忍「はいっ。綾ちゃんが、私と陽子ちゃんに教えてくれましたから」

陽子「だよね、やっぱり」

綾「ま、まぁ、そうだけど……それからは、あなたたちの頑張りだって思うわ」

カレン「……やっぱり、シノは」

アリス「うん。ヨーコとアヤが一緒にいるから強いんだね」

綾「あ、あなたたち……」

陽子「そ、そうだよ。ほとんどチョコの作り方を教えてくれたのは、綾で」

綾「よ、陽子……そ、そういう意味じゃないと思うわ」カァァ
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