忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」

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586 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/16(土) 23:33:30.04 ID:UuPrnmza0
陽子「――結局」

陽子「私たちのケータイにも画像が送られてから、シノとは話せなかったな」

綾「し、仕方ないわよ、陽子。普通は冬休みに、毎日のように会えっこないんだから」

陽子「それはそうだけど……シノたちは、ちょっと違うだろ?」

綾「……そうね」

綾「早ければ――もしかしたら、今年の4月には、もう」

陽子「こ、怖いこと言うなってば……」

綾「よ、陽子だって、同じこと考えてるんでしょう?」

陽子「そ、それは、まぁ……」

綾「――シノが、イギリスに行っちゃってるかも」タメイキ

陽子「さすがに考えるなぁ……そうなっちゃうんだとしたら」タメイキ


カレン「アヤヤ、ヨウコ! アケオメデース!」

陽子「カ、カレン!?」

綾「あ、あけましておめでとう……」

カレン「ハイ! 嬉しいデス!」

カレン「――冬休みから、お二人には会えませんでしたカラ」

綾「……風のうわさで」

綾「カレンとアリスが――ご実家に連絡をしてると聞いてたから」

カレン「……やっぱり、知ってたデスね」

陽子「まぁ――さすがに、込み入った話だからな」

陽子「私も、カレンたちには連絡しづらかったんだよ」

カレン「そうデシタか……」


アリス「アヤー、ヨウコー! あけましておめでとー!」

忍「お二人とも、あけましておめでとうございます」

陽子「お、おう、二人とも……」

綾「あけましておめでとう……」

アリス「? 二人とも、どうかした?」

忍「どうかしましたか?」

陽子(アリスの晴れ着も、シノの晴れ着も可愛いのはいいとして)

綾(そもそもシノの場合、袴じゃなくて私たちと同じなのに……ちょっと自信をなくしちゃうのもいいとして)


忍「――お二人とも、ちょっと」ズイッ

陽子「シ、シノ?」

綾「ど、どうかした?」

忍「……私」

忍「高校までは、お二人と一緒ですよ?」

陽子「……あ」
587 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/16(土) 23:34:14.77 ID:UuPrnmza0
忍「――クリスマスから今まで」

忍「このことで、私も色々と大変でした」

忍「なるべく早く、お二人と一緒にイギリスに行ったほうが――とも考えましたけど」

忍「それでも、高校まではここにいたいって思いました」

綾「……シノ」

忍「ごめんなさい。連絡は、ここでしようって決めてたので……ご心配をおかけしてしまいました」

陽子「いやいや、別に大丈夫だって……」

綾「大丈夫よ、シノ。あなたがどんな道に進んでも……」

綾「私たちはずっと、あなたのお友達、だから」

忍「陽子ちゃん、綾ちゃん……本当に嬉しいです」ニコッ


カレン「そうデス、みなサン!」

アリス「私たち、少なくとも高校までは一緒だよ?」

陽子「……二人とも」

綾「何だか、安心しちゃうわね、こういうの……」

忍「よかったですっ」ニコッ



――境内


忍「――とはいえ」

アリス「ひ、人、多いよぉ……」

カレン「凄い人波デス……」

陽子「いやぁ、まぁ……元旦だし、な」

綾「仕方ないわよね」

忍「――お二人とも、落ち着いてますね」

陽子「ま、まぁ、それは……」

綾「さっきのシノたちの話を聞いて……ちょっと、力抜けちゃって」

陽子「あ、でも! 私、みんなが結婚するなら、おうえ――」

綾「よ、陽子!? 声、声!」アセアセ

陽子「……ご、ごめん」ハッ

忍「可愛いですよ、陽子ちゃん」クスッ

陽子「シ、シノ!」カァァ


アリス「……三人とも、仲良しさんだね」ニコッ

カレン「――三人は親友デスから」ニコッ




――お参り後



陽子「……ふぅ、疲れた」

綾「何をお願いしたの、陽子?」

陽子「いや、それは……」

陽子「家族が、幸せに、って――」

綾「……そう」
588 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/16(土) 23:34:53.87 ID:UuPrnmza0
綾「私は、『シノたちが幸せに暮らせるように』って」

陽子「……そ、そっか」

綾「それじゃ、改めて。陽子は?」

陽子「――わ、私も同じだよ!」

陽子「『シノとアリスとかレンが、幸せに過ごせるように』って!」カァァ

綾「はい、ありがとね」クスッ

陽子「……わ、私をいじめて、楽しいか?」

綾「いや、むしろ嬉しいわ」

綾「――陽子もちゃんと、シノたちを見守ってくれるのなら、私も心強いから」

陽子「あ、綾……」タメイキ


カレン「――なんというか」

カレン「アヤがヨウコを赤くしてマス……」

アリス「うーん……何だか新鮮だね」

忍「ふふっ。綾ちゃんも陽子ちゃんも、お互いのことが大好きですから」

アリス「――シノは、何てお願いしたの?」

カレン「何をお願いしたデス?」

忍「……そ、それは」アセアセ

忍「お二人と同じ、ですよ?」

カレン「はぐらかされマシタ……」

アリス「シノも『私たちがずっと一緒にいられますように』って?」

忍「は、恥ずかしいです……」カァァ



――絵馬書き



忍「せっかくですし、書きませんか?」

陽子「そうだなぁ……へぇ、色々書かれてる――」

陽子「あっ」

綾「あら?」



『自分の知り合いの人たちがみんな幸せになってほしい』

『たしかに彼女は欲しいけど、それよりも↑と同じ』



陽子(名前……これってやっぱり)

綾「あの二人よね、きっと……」

忍「――わ、ほんとです」


陽子「……まったく」ハァ

綾「シノたちには幸せになってもらわないとね」

忍「……そうですね」

アリス「――ちょっと照れちゃうね、これ」

カレン「へ? このお二人、知り合いなんデスカ?」

陽子「ん。まぁ、ちょっと、ね……」
589 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/16(土) 23:36:40.80 ID:UuPrnmza0



――帰り道


陽子(結局……)

綾(図らずもみんなが「シノたちが幸せになれますように』なんてことを書いて)

陽子(私は照れるばっかりだ、まったく……)


忍「ね、陽子ちゃん、綾ちゃん?」

陽子「ど、どうかした、シノ?」

綾「シノ?」

忍「その――ですね」

忍「今日の晴れ着、似合ってました?」

陽子「――あれ? 言ってなかったっけ?」

綾「てっきり、言ったものだと……」

忍「もう、お二人とも? 言ってませんでした」プクーッ

忍「私、ちょっと気にしてたんですよ?」チラッ


綾「で、でも……」

綾「シノにはもう、アリスたちが――」

忍「綾ちゃん? あの二人と綾ちゃんたちは違います」

陽子「……シノ」

忍「陽子ちゃん、どう思います?」

陽子「――すごく、似合ってるよ。特にえーと……そのかんざしとか」

綾「ああ。特に、この帯がいいわね。いつものシノっぽいけど、ちょっとばかり派手というか」

忍「……ありがとうございます、お二人とも」ニコッ
590 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/16(土) 23:38:30.10 ID:UuPrnmza0
忍「――陽子ちゃんたち、ちょっといいですか?」ズイッ

陽子「ど、どうかした?」

綾「な、なぁに、シノ?」

忍「お二人とも」


忍「私に遠慮、しないでくださいね?」


陽子「!」ハッ

綾「!」ハッ

忍「たしかに私は、あのお二人とずっと一緒にいますけど」

忍「……それでもお二人は、私の『親友』です」

忍「それは、決して変わりません」

綾「……シノったら」

陽子「はぁ――まったく」

陽子「何だかんだで、いつも引っ張られてばっかりだなぁ……」

忍「わ、私は、そんな……」カァァ

陽子(嘘つけ……)

綾(シノは本当に――底が知れないんだから。もう)



アリス「ねぇ、カレン? 私たち卒業しちゃったら、ホントに」

カレン「場合によっては、イギリスに帰らないといけないかもデス」

アリス「そ、そっか……」

カレン「きっと――シノも嫌がらないと思いマスし」

アリス「だよね、きっと――」

カレン「……大丈夫デス、あの三人は」

カレン「『無敵』デス、きっと――」ニコッ

アリス「だよね、カレン……」ニコッ
591 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/16(土) 23:41:36.61 ID:UuPrnmza0
ここまでです。

シノにとってはみんな大切で、もしも遠く離れることになってもその気持ちは変わらない、みたいな話でした。
このSSの帰着点は決まっていませんし、どうなるかは自分自身も分かりませんが……。
クリスマスの後、元旦のお話でした。
次回は新学期で、もしかしたら脇役たちが目立つ話になるかもしれません。
久世橋先生も登場予定です。

それでは。
気づけば二期も半分って……怖いですね。
592 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/24(日) 18:49:12.37 ID:RwbU9xFX0



――中庭


カレン「……シノの膝って、何だか柔らかいデス」スリスリ

忍「そ、そうですか、カレン?」モジモジ

アリス「カレン! そろそろ私の番――」

カレン「アリス、もう少し延長お願いしマス」

アリス「延長、三回目!」プンスカ


陽子「……なぁ、綾?」

綾「なに、陽子?」

陽子「なんていうか、さ――」

陽子「三人がこうなってくれて良かったって、それはホントに思うんだけど……」チラッ

綾「――まあ複雑、よね」

陽子「分かってくれるか……」

綾「もちろん……」

綾「シノたちのお友達でしょう? 私たちは」ニコッ

陽子「――ちょっと前から、綾がどんどん私より先に行っちゃった気がするよ」ハァ

綾「そ、それは言い過ぎ」アセアセ




――中庭から少し離れて・渡り廊下



男子A「……なぁ」

男子B「なんだ?」

男子A「やっぱり……『噂』っていうのも、理由があるんだな」

男子B「……俺たちには『噂』ってよりも」

男子A「ま、まぁ……」

委員長「噂、ね。私も聞いてるけど……」

男子A「あ、委員長」


委員長「まあ」

委員長「あれを見る限り、火のないところに煙は立たない、ってことでしょうね」タメイキ

男子B「――知ってるのか?」

委員長「いや、何となくよ」

委員長「……それより」


?「――あ、あれが」

?「だ、男子生徒……なのよね?」


委員長「私には、向こうの方が気になるわ」

男子A「……ああ」ハァ

男子B「――なんだかなぁ」ハァ
593 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/24(日) 18:50:35.26 ID:RwbU9xFX0
委員長「――こんにちは、久世橋先生」

久世橋「!?」ビクッ

男子A「こんちは、クッシーちゃん」

男子B「……大宮さんが気になる?」

久世橋「あ、あなたたち……」

久世橋「そ、そうじゃなくて――えっと」

久世橋「……場所を、移しましょう」コホン




――生徒指導室



久世橋「……どうぞ」ガラッ

委員長「お邪魔します」ペコリ

男子AB「お邪魔しまーす」ペコリ


男子A「……何だか妙に懐かしいな」

男子B「いや――そんなに前でもないだろ」

委員長「そうよ。初めて私たちが久世橋先生に呼ばれてから……」

久世橋「あ、あまり、そういう話をしないで」モジモジ

久世橋「……実は、ちょっと恥ずかしいんだから」カァァ

男子A「――でも」

男子B「クッシーちゃんって意外と近づきやすいってことが分かって、ちょっと嬉しかった」

久世橋「――!」ハッ

委員長「……まったく、あなたたちは」プイッ


委員長「ところで、久世橋先生? どうして、またここに?」

久世橋「……え、えっと、それは」

久世橋「大宮忍、さんのことで、ちょっと」モジモジ

男子A「――学祭の後も、だったっけ」

男子B「クッシーちゃんって、心配性なんだな」

久世橋「も、もしも私が、かの――『彼』の担任になったら、と思うと」

委員長「……まだ、大宮さんと直接に会われてないんですか?」

久世橋「……ま、まぁ」


久世橋「私、九条さんたちのクラスの家庭科担当だから」

久世橋「ちょっと――『噂』が聞こえてきたりしちゃうから」

男子A「……噂」

男子B「やっぱり――あれ、だよな」

久世橋「……それで」

久世橋「私もちょっと、気になってたんだけど」

久世橋「私の担当するクラスの子の中でも、色々と不安定そうな子がいて」

男子A「……不安定」

男子B「それって、クッシーちゃん? 噂が……」

委員長「噂が関係してるんですか?」

久世橋「――ま、まぁ、そうかもしれないわ」
594 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/24(日) 18:52:35.59 ID:RwbU9xFX0
久世橋「だから……今日、ここに連れてきた理由は」

久世橋「あなたたちに、そういう子たちを助けて欲しくて……」

久世橋「このままだと、私もちょっとやりにくいし――何より、その子たちが可哀想だから」

男子A「……そ、それは、いいけど」

男子B「知り合いじゃなかったら、なぁ……」

委員長「それは同感ね。なかなか難しいかも……」

久世橋「そ、そうよね」

久世橋「念のため……名前は」




――生徒指導室前・廊下



三人「失礼しました」ペコリ

久世橋「ありがとうね」

久世橋「……出来れば、お願いね?」チラッ

男子A「は、はい」

男子B「――まあ何となく、アイツかもなぁ、とは思ってたけど」

委員長「ピンポイントでしたから、少し行ってみますね」

久世橋「ありがとう」ニコッ

男子A「――クッシーちゃん」

男子B「来年、俺たちの担任になってくれたらいいなって……」

久世橋「……そ、それは」アセアセ

委員長「それでは失礼します、久世橋先生」ペコリ


久世橋「――ああ」タメイキ

久世橋(学園祭の後で初めてあの子たちに会った時に)

久世橋(もう少し、威厳を保てれば……)

久世橋(いや、もしかしたらこっちの方が――)アセアセ




――再び・中庭前の廊下



?「……」ジーッ



カレン「シノ? アリスと私、どっちが気持ちいいデス?」

アリス「カレン!?」ビクッ

忍「……どっちも、ですよ」ニコッ

忍「ですから――二人とも、膝に頭を乗せても……」

アリス「カレンっ、私、左膝!」

カレン「それじゃ私は、ちょっとズレて右膝を――」

アリス「――シノの膝、気持ちいい」

カレン「右膝もいいデスよ、アリス」

忍「……」ニコニコ
595 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/24(日) 18:53:46.78 ID:RwbU9xFX0
忍(促して何ですけど……)

忍(――私、本当に、大丈夫なのでしょうか?)カァァ


陽子「……シノも大変そうだなぁ」ハァ

綾「陽子の方が色々と大変そうだけど?」チラッ

陽子「――綾」

綾「冗談よ」



?「……はぁ」

?「カレンちゃん――やっぱり、噂は」


男子A「松原」

穂乃花「わっ!?」ビクッ

男子B「やっぱり、か」

委員長「思った通り、だったわね」

穂乃花「さ、三人とも……」アセアセ


男子A「前から」

男子B「九条さんたちのこと気にしてたよな、たしか」

穂乃花「そ、それは……」カァァ

委員長「学園祭が終わってから、気落ちしてることが多かったし」

穂乃花「――い、委員長」

委員長「もう? 中学の頃とは違うでしょう?」

穂乃花「そ、それは――」


?「あ。また穂乃花をいじめてる!」スタスタ


委員長「……ああ、日暮さん。こんにちは」

穂乃花「か、香奈ちゃん……!」

香奈「もう……いつも、穂乃花を困らせて」ジトッ

男子A「いや、違うって日暮。むしろ……」

男子B「困らせてるのは俺たちじゃなくて……」

香奈「――いいよ。言いたいことは分かるから」

香奈「ね、穂乃花?」ニコッ

穂乃花「……ま、まぁ」

香奈「私、穂乃花のことなら、いろんなこと知ってるし」ダキッ

穂乃花「か、香奈ちゃん……!」カァァ


香奈「――たしかに」

香奈「噂では、うちのクラスの九条さんと……大宮さん、が。その」 モジモジ

穂乃花「……わ、私も」

委員長「噂は他クラスにまで広まってる……いえ。むしろ、九条さんのクラスだから」フムフム

香奈「ねぇ、委員長? 委員長はもっと色々知ってるんじゃないの」

委員長「わ、私はもう、日暮さんの委員長でも――まあ、それはいいわ」コホン

委員長「たしかに、松原さんと日暮さんよりは知ってるかもしれないけど……それより」
596 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/24(日) 18:56:13.84 ID:RwbU9xFX0
香奈「――この二人の方が知ってる、ってこと?」

男子A「……噂については、本当だよ」

香奈「……ホント?」ジッ

男子B「ホント」

香奈「……そっか」タメイキ

穂乃花「や、やっぱり、そうだったんだ……」タメイキ


香奈「いや、まぁ」

香奈「ほら。学祭で九条さんの相手の様子から、何となく思ってたんだ」

香奈「ああ。やっぱりあの二人……いや。あの三人は、ってさ」

穂乃花「そっか。カレンちゃん……あの二人と」

男子A「……松原」

男子B(やっぱり、何か寂しそうだな……)

委員長(一学期の頃とか「転校生の子がね、可愛いの!」なんて言ってたから……)


香奈「……大丈夫だよ、穂乃花」ギュッ

穂乃花「か、香奈ちゃん?」ビクッ

香奈「穂乃花のことなら、全部……じゃなくて」

香奈「色んなことはわかってるつもりだから、ね?」

穂乃花「……三学期に入ってから」

穂乃花「もうすぐ――香奈ちゃんやカレンちゃんたちと別々になっちゃうかも、って……」

香奈「クラスが違ったって、私たちは一緒だから。部活だって同じだし……」

香奈「……それって、むしろ」チラッ

穂乃花「う、うん……」

香奈「――そっか」

香奈「九条さんと離れちゃうの、キツい?」

穂乃花「……そ、そう、かも」

香奈「そっかぁ……ああ」タメイキ


男子A(――松原だけじゃなくて)

男子B(日暮も複雑そうだな……)

委員長(中学の頃から親友だったもんね……二人とも)

香奈「――なに、三人とも?」ジトッ

男子A「い、いや」

男子B「なんでも」

委員長「……日暮さん、大丈夫よ」

香奈「はぁ……信じていいのかな」ハァ

穂乃花「だ、大丈夫だよ、香奈ちゃん」アセアセ
597 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/24(日) 18:59:10.72 ID:RwbU9xFX0
穂乃花「……ね?」

男子A「ん?」

穂乃花「カレンちゃんは、つまり……」

穂乃花「その――あ、あの『男の子』と、もう一人の金髪の子と」

穂乃花「一緒、ってこと、だよね?」

男子B「……ああ。クリスマスのデートも、、ちょっとだけ手伝ったから」

穂乃花「そっか……」


穂乃花「――って! ク、クリスマスデート!?」カァァ

香奈「デ、デート……って。聞いてないけど」アセアセ

男子A「そりゃ、俺たちが話してないし」

委員長「私も年明けになってから伝えられたから、無理もないわね……」

香奈「あんたたちホントに、えっと……大宮さんが気に入ってるんだね」アキレ

男子A「……そりゃ、な」

男子B「同性だから」

委員長「――ということにしておいてくれる、日暮さん?」

香奈「……息、合ってるね」ニヤッ

委員長「それはないわね」

男子B「そうじゃないな」

男子A「それは違う」

穂乃花「わっ、ホントに息が合ってる……」


男子A「……松原」

穂乃花「な、なに?」ピクッ

男子B「クッシーちゃん……久世橋先生が、心配してたから」

穂乃花「く、久世橋先生が?」アセアセ

香奈「――クッシーちゃんって」

委員長「日暮さんはまだ、本当の久世橋先生を知らないのね……」

香奈「……委員長は知ってるの?」

委員長「まあ、ね……」

委員長(生徒の私から見てもとても可愛い先生って――)

男子A「九条さんは、松原と一緒で嬉しいと思うし」

男子B「そりゃまあ……付き合ってるのは、あの二人、だけど」

男子B「松原が遠慮する必要はないと思う」

穂乃花「……ホント、かな?」

男子A「それは、えっと……九条さん? と直接会ってみてから、だと思う」

男子B「大丈夫だよ、きっと」

穂乃花「――そうだったら、嬉しいな」

香奈「そうそう。穂乃花は心配しすぎなんだって」

香奈「大丈夫、私は最後まで一緒だから」ギュッ

穂乃花「か、香奈ちゃん……ありがと」ニコッ

男子A(――日暮)

男子B(そっか、コイツは……)

委員長(何というか、思ったより色々と大変になりそうね。2年からは)
598 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/24(日) 19:00:26.51 ID:RwbU9xFX0



――数分後・中庭前廊下


香奈「――何だか、あの三人が気になっちゃった」

穂乃花「香奈ちゃん?」

香奈「――全部、わかってるんだから、みたいな」

香奈「ああ、何だか……ちょっとムカッと」


?「二人とも、先生が呼んでたよ」


香奈「……あ」ピクッ

穂乃花「あ」

男子「? どうかした?」キョトン

香奈「――ねぇ?」

男子「な、何だ?」

穂乃花「そ、その……噂、知ってる?」モジモジ

男子「噂……あ」

男子「九条さんたち、か……」


男子「うん。知ってる」

男子「……あの三人のこと?」

香奈「そう、だね……」

穂乃花「知ってるんだ、やっぱり……」


香奈「どう思うかなって」

男子「……うーん」

男子「そりゃまぁ――俺は九条さんに告白したわけだし」

男子「色々あるけど……それでも、幸せになってほしいかなって」

穂乃花「そ、そっか……」

香奈「本気?」

男子「……日暮は怖いな」タメイキ

男子「いや、でも――それは本気だよ」ニコッ

男子「だって……三人でいる時の九条さん、凄く楽しそうだから」

香奈「――それは」

穂乃花「ホントに、ね……」
599 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/24(日) 19:01:24.37 ID:RwbU9xFX0



――教室


男子A「……大宮さん」

忍「あ……」ピクッ

男子B「噂、知って――いや。最近、どう?」

忍「――最近、ですか」

委員長「ええ。順調かな、って……」


忍「――ありがとうございます、皆さん」ペコリ

忍「私は、えっと……皆さんのおかげで、あの二人と、その」

忍「このような関係に、なれましたから」

男子A「そ、そっか……」カァァ

男子B「そりゃよかった――うわ、何か照れくさい」カァァ

委員長「あ、あなたね……」カァァ

男子A「委員長も顔、ちょっと赤くないか?」

委員長「――そっちだって」

男子A「うわ、そっか……」


忍「……ふふ」クスッ

忍「ありがとうございます、本当に――」ニコニコ
600 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/24(日) 19:04:16.25 ID:RwbU9xFX0
ここまでになります。
思ってたよりも随分長くなってしまいました。

補足すると、香奈と穂乃花と委員長たち三人は中学時代の同級生です。
穂乃花がカレンを気にしているのは原作通りかもしれませんが、その他の設定はこちらで付け加えさせて頂きました。

次回の予定は、ホワイトデーです。
それで、1年次のイベントはおしまいとなる予定です。
……オチが不明のまま進んでいくことに不安を覚えますが、何とかなると思いたいですね。

それでは。
601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 08:06:45.83 ID:0NJf7YCl0
卒業からその後まで書いてほしいとは思ってるが原作がそこまで進まないだろうから無理かな?
602 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage]:2015/05/30(土) 22:40:22.98 ID:osi/cxWg0
>>601
着地点が見当たらないので、なかなか迷ってます
そもそも着地点を考えたことがなかったもので
卒業以降は何となく案にはありますが、2年次を書くことすら多分出来ないかもしれないと思っているので……


次はホワイトデーと書きましたが、実際はバレンタインになるかもしれません

ところでIFストーリーを書くかもしれないのですけど、どうでしょうか?
その場合、このスレでIFだけで分けて書くのも何だかなぁ、と思っています
603 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/05/30(土) 22:45:27.23 ID:osi/cxWg0
IFネタとして考えているのは

・陽子が忍と結ばれた場合、というルート
・嘘つきブラザーズの一方が、誰かにいろいろな意味で興味をもつ話
・アリス、カレンルート(今まさに書いている話)の、あり得たかもしれないバッドエンドルート

もしかしたらこういったIFストーリーを書くことがあるかもしれません
その場合はスレッドを分けたほうが良いのでしょうか?
604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/31(日) 10:34:10.91 ID:xitpmoKC0
ここでいいと思うよ
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/01(月) 08:19:21.31 ID:dY7++HWH0
ifルートもいいな

badだと救いようのない鬱展開が…
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/09(火) 08:03:53.55 ID:/0EiQzAG0
ここは意表をついて忍×穂乃花という可能性はありでせうか?
607 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage]:2015/06/25(木) 00:15:27.99 ID:Flbolr3A0
ごめんなさい。
なかなか展開が難しく、停滞してしまってます。


一応、大まかな展開は浮かんでいるので、何とか形にできると思っています。
次回は、バレンタインの予定です。
2期も終わってしまいましたね……こっちも、早くしないとですね。
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 20:02:57.68 ID:JOtrvH4n0
HAHAHA2期が終わったなんて面白いジョークだな
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/29(月) 02:41:47.38 ID:oybtl+mvo
は?なに言ってだよ?
冗談だろ?HAHAHA
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 08:35:29.76 ID:iazHlW6pO
いやー今回のハローきんモザも面白かった
次回は久世橋先生回だから期待してる

このSSの続きも期待してます!
611 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/07/17(金) 23:00:03.18 ID:KOkyHw5G0
――私の目の前が、金色に染まりました。


 彼女は頭を枕に載せ、その長い金髪が私のベッドの上を支配していました。
 さっきまでの悪戯っぽい表情は、なりを潜め、今では戸惑っているような恥ずかしがっているような
 そんな風でした。


「……シノ」


 果たして、彼女が口を開きます。
 その声も、さっきまでの明るい調子から、か細く恥ずかしそうなものに変わっていました。
 私は、彼女の顔の両脇に手を当てながら、ジッと見つめていました。


「――ヤッパリ、シノも男の子、デス?」


 その言葉に、ハッとしてしまいます。
 顔を真っ赤に染め上げながら、彼女――カレンは、私からついと視線を逸らしました。
 私の目と鼻の先には、カレンの整った顔があって。
 ……いけません。


(こんな体勢のまま理性が壊れては……!)


 きっと、私の顔もカレンと同じようなものだったと思います。
 今更ながら、私も顔の熱さを自覚してしまいました。


 ――そもそも、どうしてこうなったのでしょうか。
 色々とあったような気はするのですが……いえ。そのことは、今思い出しても仕方ないのかもしれません。
 とにかく、この体勢はマズいというのは、さすがの私にだって分かりました。
 まだ、「そういうこと」を意識していなかった頃の私でさえ、アリスと今みたいな体勢になったことは記憶にないですし……。


 有り体に言えば、私は……カレンを押し倒している、ことになるのでしょう。
 カレンの息遣いが本当によく分かる距離にまで、私と彼女の顔は近づいていました。
 きっと、私の息遣いも同じで――それ、なのに。
612 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/07/17(金) 23:01:07.17 ID:KOkyHw5G0
「――シ、シノ。そろそろ、アリスが帰ってきちゃうと思いマス」


 そうです。カレンの言う通りです。
 カレンは頑張って笑おうとしながら、あまり上手く出来ない様子でした。
 無理もない、と思いました。
 ……この状況では、私も上手く笑える気がしません。


「そ、そうですね……ごめんなさい。カレン」
「い、いいんデス。私も、どこうとしないのが悪いデスし」


 言いながら、やはり私たちは動けないままでした。
 身体が硬直したように、言うことを聞いてくれません。
 それはきっと、カレンも同じなのかもしれません。


 ――トントン。
 部屋の外から、音が聞こえました。
 普段、私が聞き慣れているその音は――


「……ア、アリスが」
「帰ってきちゃう、デス……」


 そう言って、私とカレンは見つめ合います。
 どうすればいいのか分からないまま、私たちはただ、お互いの顔を覗き込みます。


 ――どうして、こうなったのでしょうか。
 カレンの顔を見て、アリスの表情も思い浮かべながら、私は思い出そうとします。


 今日という日を作った、きっかけになった出来事を。
 そして、色んな人たちの様子なども、一緒に思い浮かべながら――







 一旦、ここまでです。
 プロローグ的な何かで、次から本編です。
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/17(金) 23:02:43.39 ID:NR9OeCuzo
久々だな
614 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage]:2015/08/12(水) 01:03:20.01 ID:QoF0KUzt0
すみません、もう少しかかりそうです
バレンタイン編で色んな事を描きたいのですが、アイデアが煮詰まってしまってます
穂乃花たちの出番も増えると思います
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/12(水) 01:50:31.15 ID:hjButgyCo
気長に待ってます
ちなみに ×煮詰まる ○行き詰まる
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/20(木) 22:41:07.39 ID:Ymk5p5Foo
待ってる
>>603だけど、陽綾も書いてくれたらいいなー…なんて(小声
617 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/15(火) 18:45:41.26 ID:iD7Y/scb0
少しずつ投下していきたいと思います。

>>615
ご指摘、ありがとうございます。
そうでしたね……。

>>616
一応、それっぽいサイドストーリーは考えているので、いずれ形に出来ればと思います。
618 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/15(火) 18:46:25.52 ID:iD7Y/scb0


『2月14日 〜バレンタインデー〜』


――猪熊家


陽子「1、2、3……」

陽子「うん。足りてるな」

陽子(いやー、しかし……やっぱり慣れるもんだなぁ)

陽子(最初の頃とか全部グチャグチャに崩れちゃってたのに)


「……あっ、チョコ」

「わっ、美味しそう……」


陽子「――おっ」

陽子「二人とも、おはよ」ニコッ

空太「陽子お姉ちゃん、おはよ」

美月「おはよ」
619 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/15(火) 18:47:03.28 ID:iD7Y/scb0
空太「それ、昨日……」

美月「私たちに食べさせてくれた、よね?」

陽子「うん。おかげで助かったよ」

陽子「味とか酷かったら、誰にも渡せないし……」

空太「美味しかったよね? 美月」チラッ

美月「う、うん……」チラッ

陽子「おー、そっか! ありがとな」


空太(――いつもなら「美味しくなかった」とか言って、からかっちゃうけど)ヒソヒソ

美月(何だか最近、陽子お姉ちゃん、元気ないような気がするから)ヒソヒソ

空太(あんまり、ショックな嘘つけなくなっちゃったよね)

空太(……やっぱり、美月もそう思ってたんだ)

美月(うん。心配……)


陽子「二人とも、内緒話かー?」

空太「ち、違うって」カァァ

美月「よ、陽子お姉ちゃん……」カァァ

陽子「もうっ。二人とも、可愛いなぁ」クスッ
620 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/15(火) 19:21:12.69 ID:iD7Y/scb0


――集合場所


綾「……」

綾(今年も、この日が来たのね)

綾(いつも、そうだけど……何となく落ち着かない感じ)

綾(まぁ……「これ」の交換とかは楽しいけど)

綾(去年は、特に色んなことがありすぎた気がして……たとえば)


陽子「おはよ、綾っ! 一人だけ?」

綾「あっ。おはよう、陽子」

綾(たとえば……この子の調子とか)


陽子「えっと……ハッピーバレンタイン、綾」ニコッ

綾「ハッピーバレンタイン、陽子」ニコッ

綾「……最初の頃に比べると、随分上手くなったわね」

陽子「そ、そうかな。ありがと」

陽子「昨日、皆で作ってからさ。一人でも作ってみたりして」

綾「へぇ……人って変わるのね」

陽子「最初の頃はグチャグチャだったからな……作ろうとしても」

綾「ええ。……そういえば」

綾「『チョコ交換』も、もう4回目になるのね」

陽子「そうそう。綾が転校してきた年から始めたんだよね」

綾「ええ、そうだったわね」


綾「たしか、しのが最初に言い出して」

陽子「そうそう。『綾ちゃんも乙女ですし、今度のバレンタインはみんなでチョコを交換しませんか』だったっけ?」

綾「よ、よく覚えてるわね……」

陽子「いや、あまりにも意味が分からなくて……」

綾「え、ええ……まぁ、おかげで」

陽子「何だか楽しくなってるから続いてるんだよね」

綾「そうね。それはその通りだと思うわ」
621 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/15(火) 19:21:48.25 ID:iD7Y/scb0
綾「――ところで」

綾「しのたち、遅くないかしら?」

陽子「そ、そうだな……どうしたんだろ?」

綾「考えてみたら、陽子が私の次っていうのが早すぎるのね」

陽子「わ、私、そんな遅れてばっかりだっけ……?」

綾「ええ」

陽子「即答っ!?」ガーン


綾「……まぁ、まだ時間はあるし」

陽子「待ってよっか」

綾「そうね……」


忍「ご、ごめんなさい、お二人ともっ!」

アリス「お、遅れちゃったよぉ……」

カレン「ごめんナサイッ!」


陽子「……って、言ってる内に」

綾「ええ。来たみたいね」




陽子「――まぁ。時間には、まだ間に合うし」

綾「大丈夫よ、みんな……でも」

綾「あなたたちが遅れるなんて珍しいわね……陽子は、ともかく」

陽子「あ、綾ぁ……」

忍「す、すみません……今朝になって」

アリス「う、うん。もっと良いチョコ、作れないかなって」

カレン「ヨーコとアヤヤに渡すのに、失礼な物は作れないと思いマシタ……」
622 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/15(火) 19:22:14.63 ID:iD7Y/scb0
陽子「……み、みんな」

綾「あ、ありがたいけど……そ、そんなに気合入れてもらって何だか悪いわね」

忍「いえ、そんなことはありません。綾ちゃん」

綾「……え?」


忍「私たち、凄く感謝してます」

忍「去年、陽子ちゃんと綾ちゃんが……その」

忍「わ、私たちのことを応援してくれなかったら……ひょっとして」

アリス「う、うん。もしかして、って思っちゃうよ」

カレン「ハイ! だから、本気で作りマシタッ!」


陽子「――!」ピクッ

綾「あ、あなたたち……」

陽子「い、いや……凄く嬉しいけど」

綾「ええ、そうね。……そういうことなら」

陽子「うん。もらおっか」

陽子「嬉しいな、ホント」ニコッ

綾「……陽子」チラッ

陽子「ん? どうかした?」

綾「いえ……何でもないわ」

陽子「綾?」キョトン
623 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/15(火) 19:26:49.67 ID:iD7Y/scb0
一旦、ここまでです。
表記を原作に合わせました(シノ→しの、陽子、綾→ヨーコ、アヤ等)。

時間を置いて今日中に、もう少し書き進められればと思います。
遅筆で申し訳ありません……。
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/15(火) 20:46:48.13 ID:qSAcLc9uo
まだやってたのか、不快だな!本当に
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/15(火) 20:51:02.30 ID:90jYoWrJo
終わりにしろ
626 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/16(水) 01:10:58.20 ID:W1ZontJA0


――昇降口


忍「……それでは、改めて」

アリス「アヤ、ヨーコ! ハッピーバレンタイン!」

カレン「ハッピーバレンタインデスッ!」

忍「ハッピーバレンタインです。陽子ちゃん、綾ちゃん」


綾「み、みんな、ありがとう」

陽子「た、たしかに……気合、入ってるな」

綾「ええ……ラッピングとかも凄く綺麗ね」

カレン「本気で作りマシタッ!」

アリス「うんっ。……私もカレンも、お菓子作りとか苦手だったけど」

忍「私、今まで陽子ちゃんと綾ちゃんとチョコを作ってきたことを、二人に教えました」

忍「おかげで、何とか上手く作れたんだと思います」

陽子「しの……」

綾「そうね……たしかに」

綾「何度も練習すれば上手くなるっていうのは……あなたが、よく知ってるものね?」チラッ

陽子「そ、それは……そう、だな。うん」


綾「……た、たしかに」

陽子「これ、凄く綺麗だよね……」

綾「ええ。頑張らないと、こういうのは出来ないと思うわ」

カレン「さすが、アヤヤデスッ!」ニコッ

アリス「ありがとね。私たちも、ヨーコとアヤがくれたチョコ、大事に食べるねっ」ニコッ

忍「気に入って頂けて嬉しいです。陽子ちゃん、綾ちゃん」


綾「……しのも最初は、なかなか上手に作れなかったけど」

綾「やっぱり、慣れるのね」

忍「はいっ。綾ちゃんが、私と陽子ちゃんに教えてくれましたから」

陽子「だよね、やっぱり」

綾「ま、まぁ、そうだけど……それからは、あなたたちの頑張りだって思うわ」

カレン「……やっぱり、シノは」

アリス「うん。ヨーコとアヤが一緒にいるから強いんだね」

綾「あ、あなたたち……」

陽子「そ、そうだよ。ほとんどチョコの作り方を教えてくれたのは、綾で」

綾「よ、陽子……そ、そういう意味じゃないと思うわ」カァァ
627 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/16(水) 01:43:49.40 ID:W1ZontJA0


――2年A組


陽子「あっ……これ。美味いな」

綾「え、ええ……これはビックリしちゃうかも」

忍「陽子ちゃん、綾ちゃん……」

忍「あ、ありがとうございます」

陽子「し、しの……えっと」

綾「しのが上手になったのは知ってるつもりよ……中1の頃と比べたら」

忍「そうですよね……あの時は、綾ちゃんだけが凄く上手でしたから」

綾「し、しのっ!」


カレン「アヤヤ? 照れちゃってマス?」

綾「べ、別に、そういうわけじゃっ!」

アリス「もうっ、カレン。あまり、綾をからかったらダメだよ?」

アリス「アヤ? そろそろ、C組に行こ――」


ガラッ


男子A「……あぁ」

男子B「この日はキツイな……ホントに」


忍「……あっ」

陽子「!」

綾「……え?」


男子A「……なんていうか」

男子A「こういう、格差ってのが分かりやすい日は……キツいよな」

男子B「……そんなこと言ってるけど、お前ももらってるのは知ってるけどな」

男子A「そ、それ言ったら、お前もだろ?」


忍「……あ、あの」

忍「私、ちょっと行ってきます」

綾「し、しの?」

陽子「……そうだな」

陽子「え、えっと……私も、ちょっと行ってくるね」

綾「よ、陽子も?」
628 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/16(水) 01:45:42.63 ID:W1ZontJA0
忍「――おはようございますっ」

男子A「お、大宮さん? ……お、おはよ」

男子B「おはよ。……って、猪熊も?」」

陽子「お、おはよ。……悪かったな」

男子B「いや別に、そういうわけじゃ」

男子A「え、えっと……どうかしたのか?」


忍「はい」

忍「こちらですけど……受け取って頂けますか?」スッ

男子A「……これって」

男子B「チョコ……?」」

忍「はい」

忍「去年から今まで、お二人には本当にお世話になりましたから」

忍「良かったらですが……」


男子A「……そっか」

男子B「そういうことなら……ありがとな。大宮さん」

忍「は、はいっ!」

男子A「え、えっと……」

男子B「何か相談とかあったら……いつでも付き合うから」

忍「――あ、ありがとうございます」ペコリッ


男子A「……え、えっと」

男子B「何というか……ビックリしたな」

陽子「だよね。私もビックリしたし」

男子A「……い、猪熊」

男子B「ど、どうかしたのか?」

陽子「い、いや……別に、何でもないんだけど」

陽子「……こ、これ、あげるよ」スッ

男子A「……!」

男子B「チョ、チョコだよな、これ?」

陽子「な、なに? 私がチョコあげたらダメなの?」

男子A「いや、そういうわけじゃないけど」

男子B「何だか意外だったからな。つい」

陽子「あ、あのなぁ……」
629 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2015/09/16(水) 01:46:37.30 ID:W1ZontJA0
とりあえず、ここまでです。
穂乃花たちも登場予定です。

それでは。
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/18(金) 08:26:02.45 ID:dBe/wkkP0
おつ
頑張って
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/18(金) 09:38:57.19 ID:qtnP2vSao
苦しめ・・・お前らも
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/25(金) 15:15:42.29 ID:ShGj9PMC0
このSSは俺の生きがい
633 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2015/09/30(水) 23:20:35.95 ID:Bc+4k5Eq0
>>627
アリス「アヤ? そろそろ、C組に行こ――」
色々間違ってるので、この文は無かったということでお願いします。



陽子「えっと、二人にはしのたちのことで色々と世話かけちゃったし」

陽子「い、一応、お礼のつもりだったんだけど……」

男子A「いや、ありがとな。猪熊」

男子B「俺も。ただ、別に世話かけられたとかそういうんじゃないぞ?」

男子A「助けたいから助けただけだしな」

忍「……お二人とも」

陽子「そ、そっか」

陽子「まぁ、気が向いたら食べてよ」

男子A「おう」

男子B「わかった。それじゃ、今日の昼飯はチョコだな」

男子A「そうだな」

陽子「昼ご飯にするんだ……」


男子A「――あのさ、猪熊?」

陽子「な、なに?」

男子B「えっと……」チラッ

忍「?」キョトン

男子A「い、いや。大宮さんには渡したのかなって」

陽子「……え?」

男子B「チョコのことだ。色々、調子悪そうだったから……」

陽子「い、いや。何でそんなこと気にするんだ?」

男子A「そ、それは……」

男子B「まぁ……」

忍「陽子ちゃん?」

陽子「あ、あのなぁ……」


陽子「私、別にしのと、そういうのじゃないからっ」

忍「……!」


男子A「……あっ」

男子B「わ、悪い。変なこと、聞いちゃったな」

陽子「……あ」

陽子「い、いや。いきなり大声出して、ごめん」

忍「……陽子ちゃん」

陽子「え、えっと……」
634 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2015/09/30(水) 23:23:11.74 ID:Bc+4k5Eq0


委員長「おはよう。猪熊さん。大宮さん」


男子A「あっ」

男子B「委員長……」

忍「お、おはようございます」

陽子「あ、ああ。おはよ」

忍「そうですっ。委員長に渡したいものが……」スッ

陽子「あっ、わ、私も」スッ

委員長「あら? ……チョコ?」キョトン

忍「はいっ。委員長にも、たくさんお世話になりましたから」

陽子「私も。お礼だと思ってくれる?」

委員長「……あなたたちは優しいのね」クスッ

委員長「わかったわ。ひと月後、お返しするわね」

忍「ふふっ、ありがとうございます」

男子A「あっ、お、俺たちも」

男子B「ひと月後、お返しするから」

陽子「……べ、別に、そんなの」

男子A「まぁ、お礼だと思ってくれって」

男子B「気が向いたら、猪熊も受け取ってくれ」

陽子「わ、わかったよ……」

陽子「――それじゃ、しの。そろそろ戻ろっか」

忍「あっ、はい。……それでは、失礼しますっ」

男子A「お、おう」

男子B「それじゃな」


委員長「――あのね」

委員長「あなたたち、少し行き過ぎじゃない?」

男子A「……聞こえてたのか」

委員長「だから、私が割り込んだのよ。昔から、お節介焼きな所は変わらないんだから」

男子B「やっぱり、やり過ぎだったか……」

委員長「猪熊さんがどこか調子が悪そうなことは、私も分かってるつもりよ」

委員長「ただ、それでも猪熊さんは元気そうに振る舞おうとしてるはず。だから、そこを突っ込むのはダメだと思うわ」

男子A「うっ」

男子B「言われてみれば、そうだな……」

委員長「まぁ、今日みたいな日は複雑になっちゃうかもね。……ほら、たとえば」
635 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2015/09/30(水) 23:25:43.31 ID:Bc+4k5Eq0


香奈「あっ、いたいたっ!」

穂乃花「お、おはよう」


委員長「――わかるでしょ?」

男子A「……そうだったな」

男子B「猪熊だけじゃないんだよな……」

香奈「なに、ブツブツ言ってるの?」ジトッ

男子A「いや。何でもない」

男子B「今日も日暮と松原は一緒なんだな、って話」

香奈「……何か、今更って感じだね」

穂乃花「か、香奈ちゃんったら……もう」

穂乃花「――あっ!」


――


綾「……陽子、大丈夫?」

陽子「な、何が?」

綾「やっぱり、少し落ち込んじゃってるような気が……」

陽子「あ、綾まで……そういうんじゃないってば」

忍「……」

アリス「ヨーコ……」

カレン「何か大変そうデス……」


――


穂乃花「……カレンちゃん」

香奈「あっ、ホントだ。よく、ここに来てるんだよね」

穂乃花「う、うん……」

穂乃花「だよね。よく、あの子たちと一緒に……」

香奈「穂乃花?」

男子A「……え、えっと」

男子B「ま、松原たちは何か用があったんじゃないのか?」

委員長「……その手にあるのって」


香奈「あっ、そうそう。はい、義理チョコ」スッ

穂乃花「あっ、うん。私も」スッ

男子A「……今年もくれるのか?」

香奈「まぁ、一応ね。付き合いみたいなのも長い気がしないでもないし」

男子B「かなり遠回しな言い方だな……」

穂乃花「もう、香奈ちゃんったら……みんなとの付き合いも、やっぱり長いから」

香奈「まぁ、私と穂乃花ほどじゃないけどねー」ダキッ

穂乃花「か、香奈ちゃん……」カァァ
636 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2015/09/30(水) 23:27:48.97 ID:Bc+4k5Eq0
委員長「……私までもらっちゃっていいの?」

香奈「いいのいいの。……だって」

穂乃花「委員長も持ってるんじゃない?」

委員長「……やっぱり気づかれちゃったわね。はい、どうぞ」スッ

香奈「ありがとっ」

穂乃花「委員長のチョコ、苦味が効いてて美味しいよね」ニコッ

香奈「そうそう。いかにも委員長って感じで」クスッ

委員長「あ、あなたたち……」

委員長「そうそう。はい、二人にも一応」スッ

男子A「……委員長もくれるのか」

委員長「まぁ、何となくこの日になると作っちゃうしね」

男子B「……ありがとな」

委員長「まぁ、ひと月後のお返し……期待しないで待ってるから」

香奈「お返し何かなー、楽しみだね。穂乃花」ニコッ

穂乃花「も、もう、香奈ちゃんったら……」チラッ


男子A(……さっきから)

男子B(松原……明らかに、チラチラと向こうを見てる)

委員長(やっぱり……そういうこと、よね)

委員長「二人とも。ちょっと離れましょうか」

男子A「え? ……あっ、そっか」

男子B「そうだな。松原、日暮、また後で」

香奈「え? 何で?」

穂乃花「ど、どうして――」


カレン「――あっ!」

カレン「ホノカーッ!」

穂乃花「わっ!? カ、カレンちゃん」

香奈「おお、凄いスピード……」

カレン「私、ホノカたちに渡したいものありマス!」

カレン「ハッピーバレンタインデスッ!」スッ

穂乃花「……え?」

穂乃花「カ、カレンちゃん? 私にくれるの?」

カレン「もちろんデスッ! 友達デスし」

穂乃花「あ、ありがと……嬉しいよ」ニコッ

カレン「ハイッ! 私もデスッ!」ニコッ
637 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2015/09/30(水) 23:29:17.79 ID:Bc+4k5Eq0
香奈「……そっか。カレン、穂乃花にも」

カレン「カナの分もありマス!」スッ

香奈「わっ。ありがと」

香奈「でも、ごめん。まさかくれるとは思わなかったから、お返しが」

カレン「気にしないでくだサイ! 美味しく食べてくれれば、それがお返しデス!」

香奈「ありがと。でも、ひと月後に何かお返しするね」

カレン「本当デスカ? ありがとうございマス!」

穂乃花「……あっ」

穂乃花「わ、私も、お返しは……」

カレン「大丈夫デス! ホノカも美味しく食べてくれればそれでいいデス!」

穂乃花「そ、そういうわけには……」

穂乃花「わ、私も、ひと月後にお返しするね」

カレン「ありがとうございマス! 嬉しいデス!」ニコッ

穂乃花「う、うん……」


カレン「それじゃ、戻りマスねっ」

カレン「また、クラスで会いマショウ!」

穂乃花「う、うん……またね」

香奈「うん。また後でね」

穂乃花「……」

穂乃花「はぁ……」

香奈「穂乃花?」

穂乃花「う、ううん。何でもないよ」

香奈「……?」キョトン


男子A「……終わったか」

男子B「何だ。あの子、二人にも作ってくれてたんだな」

香奈「……何かビックリ」

香奈「あんなに気が利くなんて思ってなかったから」

穂乃花「カ、カレンちゃんは気が利くよっ」ズイッ

香奈「……穂乃花?」

穂乃花「あっ……ご、ごめん」カァァ

香奈「い、いや。謝らなくていいって」

委員長「……松原さん」
638 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2015/09/30(水) 23:32:29.29 ID:Bc+4k5Eq0
一旦、ここまでです。思う所があったのでsage進行にしました。
もう少し、バレンタイン編は続きそうです。
バレンタイン編が終わったら、陽子と綾だけの話を予定しています。

それでは。
読んで下さっている方、いつもありがとうございます。
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/02(金) 08:09:51.08 ID:mAjMHy4q0
あまり目立たない方がスレが荒れなくていいかもね
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/02(金) 08:21:41.63 ID:Hwb+pD/O0
乙です
陽子と綾の話楽しみです
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/09(金) 15:41:11.06 ID:S6gs++Q9O
つまんね
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/09(金) 17:05:57.93 ID:Ai7qCOj30
まだやってたんだこの[田島「チ○コ破裂するっ!」]
643 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2015/11/07(土) 16:37:23.47 ID:m8fNyzCo0


――授業中


陽子「……」

――私、別にしのと、そういうのじゃないからっ

陽子(……そういえば)

陽子(私、こういうこと何度か言ってたんだよね)

陽子(そうだよ。だってさ、しのは私の大事な幼なじみで親友で……)


――高校まではお二人と一緒ですよ?

陽子(……卒業したら)

陽子(しのはイギリスに行っちゃうかも、なんだよね)

陽子(何か軽く考えてたけど、その時……私、どんな気持ちなんだろ?)

陽子(私としのは、ずっと親友でそれは変わらないはず)


陽子(……何だろ? このモヤモヤした感じ?)

陽子(さっき、あの二人に大きな声を出しちゃったから? ……いや、多分違う)

陽子(きっと、もっと前からずっとこんな感じだったんだ――)


陽子(私が……しのに、アリスとカレンみたいな気持ちを持ってるんじゃないか、って)


陽子(それは、文化祭前に一回「無し」だって思ったのに、それからもずっとよく分からない感覚で残り続けて)

陽子(そうだよ。もっと早く、そう認められたらまだ良かった。……でも)

陽子(しのは、あの二人と一緒に……って。わ、私、何考えてるんだ?)

陽子(だ、だから私は! しのは大事だけど、そういう目で見たことなんて……ない、のに)


綾「……」

綾(陽子、さっきから落ち着きなさそう……)

綾(いつも授業中なら居眠りするか早弁したりするのに、今日はずっと頭を抱えているわね)

忍「……陽子ちゃん」

綾(あっ、しのの声。そうよね、心配よね)

アリス「……ヨーコ」

綾(アリスも心配そうだし。うーん)


綾(思ってたより、陽子は色々タイヘンみたいね……)
644 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2015/11/07(土) 16:38:43.23 ID:m8fNyzCo0


――昼休み・生徒指導室


男子A「……美味いな、これ」

男子B「だな。さすがクッシーちゃん」

久世橋「べ、別に、それほどでも……」

委員長「美味しいです。でも、いいんですか?」

委員長「生徒指導室でチョコをごちそうされるのって……」

久世橋「……先生方や他の生徒には内緒でお願いしますね?」

久世橋「生徒では、あなたたち以外には渡してませんし。バレたら、贔屓してしまってることになってしまいますから」

男子A「……俺たち、クッシーちゃんにそんな色々したっけ?」

久世橋「わ、私が直接お話し出来ない子たちと話してくれたでしょう?」

男子B「もう、俺からしたらクッシーちゃんが厳しいとか全然思えないけどな……」

委員長「それは同感ね。……松原さんや日暮さんは違うみたいだけど」

久世橋「……松原さん、ですか」

委員長「先生?」


久世橋「いえ。先ほどの家庭科の授業で」

久世橋「その子、とても浮かない顔をしていたもので心配だったんです」

男子A「……声、掛けてあげたら良かったのに」

久世橋「そ、それもしようと思ったのですが……」

久世橋「よろしければ、松原さんのことを気にかけてあげてくれませんか?」

男子B「言われなくても」

委員長「もう私たちも、心配してます」

久世橋「そうだったんですか。それでは、お願いします」

男子A「クッシーちゃんのお願いなら全然構わないけど」

男子B「たまにはクッシーちゃんからも言ってあげた方がいいと思うけどな」

久世橋「……ど、努力します」

委員長「もう、先生ったら。……それでは、ごちそうさまでした」
645 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2015/11/07(土) 16:39:23.38 ID:m8fNyzCo0


――廊下


男子A「……あっ、いた」

男子B「すぐだったな」

穂乃花「あっ、三人とも。どうかした?」

委員長「いや。何かあるってわけじゃないんだけど」

委員長「松原さん、何か悩み事とかない?」

穂乃花「……え?」

男子A「何か落ち着きないし」

穂乃花「そ、それは、えっと……」


香奈「あっ! また穂乃花を困らせてる!」

男子B「……お前、いつもそう言ってるな」

香奈「だって穂乃花は私の大事な相方なんだから」

男子A「相方……」

香奈「何か文句ある?」

男子A「いや、ないって。……そっか」


穂乃花「あ、あはは。……あっ、カレンちゃん」

香奈「え? あっ、ホントだ」

穂乃花「……みんなと一緒だね」

香奈「仲良しそうだよね、ホントに」

穂乃花「うん」


委員長「……」

委員長(さっき、九条さんからチョコをもらってた時の松原さん)

委員長(思い出すと、何となく違和感があったような……)

委員長(私の想像が正しければ、もしかして――)
646 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2015/11/07(土) 16:41:03.09 ID:m8fNyzCo0
男子A「……もしかしてさ、松原?」

穂乃花「な、なに?」

男子B「あの子に渡したいものでもあるんじゃないか?」

穂乃花「そ、そんなことは」

委員長(二人も感づいてたのね……)

香奈「……」

委員長(あら? 日暮さん?)


穂乃花「べ、別に、そんなことないよ」

穂乃花「ありがとね、心配してくれて。でも、私は大丈夫――」

男子A「今日って日だけは後悔しないでほしいし」

穂乃花「!」

男子B「だな。俺たちにくれたのより、よっぽど本気で作ったんじゃないか?」

穂乃花「……」

委員長「すぐ近くまで来てるし、行ってきたら?」

穂乃花「……」



穂乃花「う、うん」

穂乃花「それじゃ、そうしよっかな」

香奈「……穂乃花」

穂乃花「い、行ってくるね」

香奈「うん。行ってらっしゃい」

穂乃花「うん!」


男子A「……やっぱり、そうだったんだな」

香奈「まあ、私も何となく気づいてたけどね」

男子B「そりゃまあ、日暮の方が松原とは距離近いしな」

香奈「……でもさー」

香奈「まさか、あんたたちがそこまで穂乃花の背中を押すとは思わなかったかも」

委員長「……日暮さん」

香奈「でも、そっちのが普通なのかな」


香奈「――あれ?」

香奈「それじゃどうして、私……あの子にもっと強く勧めてあげなかったんだろ?」

男子A「……日暮」

香奈「うーん、分かんないなぁ……」

香奈「別に、あの子が誰にチョコをあげてもいいのに」

男子B(……これって)

委員長(思っていたより複雑になってそうね……日暮さんと松原さん)
647 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2015/11/07(土) 16:42:12.61 ID:m8fNyzCo0
ここまでです。
次回は放課後のつもりです。
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/08(日) 16:43:27.41 ID:wBr3UHHao
乙でした
649 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2015/11/21(土) 14:35:11.07 ID:xVtDSrud0
諸事情で入院することになりました
1ヶ月ほど書き込みできないかもしれません
ごめんなさい
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/24(火) 07:52:41.69 ID:RFYu/1i/0
楽しみにしていたきんモザSS二つとも更新停止か…
向こうのスレの酉も見て同じ作者さんだと初めて気付いた

まぁお大事にしてください
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/23(水) 20:56:57.01 ID:voxHR+qtO
652 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/06(水) 00:59:40.73 ID:SetUyjORo
まってるよ
653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/28(木) 16:46:37.48 ID:3h0CGbbsO
654 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage]:2016/02/24(水) 21:17:44.47 ID:qgFYMd2BO
すみません難航しています
もう少しで何とかしたいですね……
655 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2016/03/21(月) 20:41:46.55 ID:nOpzhme8O


――放課後


忍「……陽子ちゃん」

陽子「な、なんだ、しの?」

忍「何かあったのでは?」

陽子「そ、それは……な、何でもないよ」

忍「ホントですか? 嘘じゃないですか?」

陽子「……う、嘘なんて」


綾(――放課後)

綾(しのは真っ先に陽子に向かっていって……問い詰めていた)

綾(といっても、詰問とは違う。明らかに心配そうな声音だった)


アリス「……ヨーコ、調子悪そうだもんね」

綾「アリス……そうね」

アリス「うーん、どうしたら元気出るんだろ……?」

綾「……」
656 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2016/03/21(月) 20:42:22.98 ID:nOpzhme8O
綾「――あー、陽子?」

陽子「あ、綾?」

綾「えっと……今日の放課後、私と帰らない?」

陽子「……え?」

綾「し、しのたちは、その……ほら。一緒にいたいだろうし」

陽子「……」

陽子「そ、そうだな。うん」

綾「ね?」


綾「と、いうわけで」

綾「しの。もうすぐカレンも来ると思うし……アリスも連れて一緒に帰ってあげたら?」

忍「綾ちゃん……そうします」

忍「ありがとうございます」ペコリ

綾「そんな、お礼なんて言わなくていいのよ」


忍「それじゃ、帰りましょうか、アリス。カレン」

カレン「ハイ! 帰りマショウ!」

アリス「って、いつの間に!? カレン、速すぎ!」

カレン「私はジェット機みたいなものだと思ってくだサイ!」

カレン「それに……今日は特別な日、デスし」

アリス「そ、それは……えっと」
657 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2016/03/21(月) 20:43:14.85 ID:nOpzhme8O
綾「それじゃね、カレン」

カレン「アヤヤ……ヨーコと一緒に帰るデス?」

陽子「ま、まぁな。……そっちも楽しんでくれ」

カレン「ハイ! ……ヨーコ、ちょっと」

陽子「な、何?」

カレン「……何かあったら、いつでも話してくだサイ」

陽子「カ、カレン……」

カレン「それじゃ、またデス!」


陽子「――行っちゃったな」

綾「ええ……行っちゃったわね」

綾「……」

陽子「あ、綾……何か言ってくれって」

綾「え? ストレートに言っちゃっていいの?」

陽子「うっ……そ、それは」

綾「……ねえ、陽子?」


綾「歩きながら、話さない?」


――


忍「陽子ちゃんたち、大丈夫でしょうか……?」

アリス「だ、大丈夫だよ! ヨーコなら!」

カレン「そうデス! アヤヤも付いてマスし」

忍「そう、ですね……信じましょうか」

忍「……陽子ちゃん」

カレン「シノ!」

忍「カ、カレン?」

カレン「ヨーコの親友のシノが心配するのは当たり前デスけど」

カレン「ヨーコは……『強い』子だと思いマス」

忍「……」


忍「そう、ですね……」

忍「それでは、信じましょうか。……陽子ちゃんと綾ちゃんを」

アリス「そうだよ、シノ!」

カレン「ハイ! ……それじゃ、行きマショウか」

アリス「うん!」


アリス「シノの――私たちの家に!」
658 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2016/03/21(月) 20:58:49.46 ID:nOpzhme8O


――忍の部屋


忍「……チョコでいっぱいですね」

アリス「そうだね。ヨーコやアヤのもあるし……」

カレン「それに――私たちからシノへの特別なケーキもありマス!」

忍「ふ、二人とも……あまり言われたら照れてしまいます」カァァ

アリス「照れるシノも可愛いよ!」

忍「もう、アリスったら……」

アリス「待っててね? 今、紅茶淹れてきてあげるから」

忍「あっ、それなら私も……」

カレン「それじゃ私は、シノの部屋でもあさってマショウか?」

忍「カ、カレン!」

アリス「もう、カレンったら……それじゃ、行ってくるね」


カレン「……え、Hな本とかはなさそうデスね」カァァ

忍「か、顔真っ赤にして言わないでください」

カレン「……ホントは、シノと二人きりになりたかったりしたんデス」

忍「え……?」

カレン「たしかに、シノ、アリス、私の『三人でひとつ』なのは、その通りデス」

カレン「デモ……アリスは一緒のクラスなのに私だけ不公平だと思っちゃったりもするんデス」

忍「カレン……」
659 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2016/03/21(月) 20:59:48.42 ID:nOpzhme8O
カレン「――シノは、どうデス?」

忍「そ、それは……えっと」

カレン「私は今、この時間もいいと思いマス」

カレン「デモ、アリスが戻ってきたら……また元に戻りマス」

忍「……」

カレン「シノ……」

忍(ベッドに腰掛けながら、カレンは続けました)

忍(ちょっぴり上目遣いをしながら、そう語りかける彼女に私は――)


忍「……え?」

忍(気づいたら、カレンは軽く私のシャツの袖を引っ張って)

忍(私は、カレンを押し倒してしまっていました――)


カレン「……ワッ」

カレン「シノったら、ダイタンデスね……」カァァ

忍「カ、カレンのせいでしょう?」

カレン「私はジョーダンのつもりデシタ」

カレン「……どうしてどかないデス?」

忍「そ、それは……」

カレン「もしかして――」


カレン「シノも……やっぱり『男の子』だったデス?」
660 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2016/03/21(月) 21:00:55.91 ID:nOpzhme8O
忍「……それ、は」

カレン「私もアリスも」

カレン「きっと――『その先』を待っているんだと思いマス」

忍「!」

カレン「分かりマスか?」

忍「……」

カレン「……いいんデスか? ほら、アリスが階段を上がってくる音がしマス」

カレン「このままの体勢だと……アリスのことだからヤキモチ焼いちゃいマス」

忍「……カレン」

カレン「それとも――」


カレン「そのまま、勢いで……な、なんて、考えてマセン、か?」カァァ


忍「……」

忍(静かに、私はそこからどきました)

忍(そして、元通り座ります。傍らには、ベッドに寝転ぶカレンの姿がありました)


カレン「……考えてなさそう、デスね」

忍「……私、いえ、私たちは」

忍「まだ、早いと思います」

カレン「私もアリスも、そこまで気が長い方じゃないかもしれマセンけど?」

忍「……カレンはイジワルですね」

カレン「クリスマス、バレンタイン、そして……次はホワイトデーデスね」

カレン「シノは……どんなお返しをくれるんデショウか?」

忍「……それ、は」


アリス「お、お待たせー!」

アリス「ああ、疲れた。……あれ、カレン? 寝ちゃってるの?」

カレン「ええ。急に熱が出てしまったモノで……」

アリス「ええっ!? だ、大丈夫……って、シノ?」

忍「な、なんですか?」

アリス「え、えっと……」


アリス「どうして……顔、真っ赤なの?」

忍「……そ、それは、その」カァァ
661 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2016/03/21(月) 21:02:02.50 ID:nOpzhme8O
一旦ここまでです。
次は陽子と綾のパートを書こうと思います。
本当に遅れ遅れで申し訳ありません……。
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/21(月) 21:42:32.66 ID:qkDbiqIlo
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/21(月) 22:48:48.13 ID:TmvT6lIv0
乙!
お帰りなさい!
664 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/21(木) 00:21:59.48 ID:EhP0GouC0
665 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage]:2016/05/04(水) 16:12:59.88 ID:laf0A1/N0
すみません、遅れ遅れで……
次の話の考えは一応とはいえあるので進めたいと思います。
666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/13(金) 02:19:27.48 ID:pZgkMRHiO
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/19(木) 18:53:48.22 ID:iY2gYQrNO
てs
668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2016/05/21(土) 06:47:41.22 ID:xMMVd4mE0
age
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/21(土) 12:46:02.81 ID:HzIIVzJGo
ゴミ
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/21(土) 12:51:12.74 ID:HLd1brH2o
消え去れ屑共
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/21(土) 12:52:17.51 ID:HLd1brH2o
滓以下の連中が
672 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2016/05/26(木) 23:03:04.04 ID:wsXW8vt50


――その頃


陽子「……」

綾「あっ、陽子。ココアで良かったのよね?」

陽子「あっ、綾……ありがと」

綾「別にいいわ。はい」

陽子「……綾、コーヒーにしたんだ」

綾「まぁ、ね」

陽子「……半分こする?」

綾「な、ななっ……!」カァァ

陽子「綾が嫌ならいいけどさ」

綾「あ、あなたって人は本当に……」


陽子「……」

綾「……」

綾(――結局、か、間接キスみたいなことになっちゃって)

綾(まったく、陽子ったら……これからする話は、結構大変なのよ?)

綾(――私にとっても)
673 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2016/05/26(木) 23:04:04.06 ID:wsXW8vt50
陽子「……はぁ」

綾「陽子?」

綾「何か話したいことがあるならいくらでも聞くわよ?」

陽子「い、いや……別に何もないよ?」

綾「そう。それじゃ、ストレートにいかせてもらうわね」

陽子「……」

綾(――ああ)

綾(私は……自分のことを棚に上げて)


綾「陽子は、しののこと……好きでしょう?」


綾(何を、言っているんだろう……?)


陽子「……!」

陽子「べ、別に、そんなことないって! し、親友ってだけ!」

綾「そうなの? それじゃどうして……今日一日、あんな調子だったの?」

陽子「……そ、それは」

綾「……あのね、陽子。あなたは、まだ」


綾「自分の気持ちに整理をつけられてないんだと思うの」
674 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2016/05/26(木) 23:05:18.00 ID:wsXW8vt50
陽子「……」

綾「たしかに、あなたはしのたちの幸せを望んでるわ。それはきっと間違いないと思うの」

綾「でも……同時に、自分の気持ちに向き合うことに恐れてる。違う?」

陽子「……綾」


陽子「しょ、しょうがないだろ?」

綾「……」

陽子「あの三人に、私は応援しか出来ないんだから」

陽子「そ、それに! 私、今まで全然、意識してなかった! 綾だって知ってるだろ?」

綾「ええ、知ってるわ。中一から見てる限りではね」

綾「でも……あの時、卒業アルバムの一件があってから、陽子の調子はちょっぴり狂っちゃったと思うのよ」

綾「その後、しのが男子に告白されたり、あの二人と色々あったり……その辺りから、あなたの調子はまたおかしくなった気がするの」

陽子「……そ、それじゃ私は、ホントはあの三人の幸せを望んでないってこと?」

綾「いえ。そうは言ってないわ」

綾「ただ……陽子は、自分の気持ちに整理をつけられてるのかなって思っただけよ」

陽子「……」


綾「――いい、陽子?」

綾「今日みたいな陽子を見てるのは、私たちの誰も望んでないわ。これは間違いないこと」

綾「私だって……あなたの調子が狂ってるのを見るのは、本当に悲しいんだから」

陽子「……綾」
675 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2016/05/26(木) 23:06:28.14 ID:wsXW8vt50
綾「だからね、陽子――」


綾「私からひとつ提案があるんだけど……いい?」

陽子「……な、なに?」

綾「……」


綾(本当に私は)


綾「――しのに、気持ちを伝えるのよ」


綾(何を、言っているんだろう……?)


陽子「……!」

綾「陽子の想いを……素直に」

陽子「そ、そんなこと……!」

綾「難しいと思うわ。でも……そうしないと、陽子、きっとそのままでしょう?」

陽子「……し、しのの返事なんて決まってるだろ? しのはあの二人といることを決めたんだから」

綾「ええ、そうね。……それでも」

綾「陽子の想いを伝えることに意味はあるんじゃないかしら」

陽子「……うう」


綾「……決めるのは陽子よ」

綾「私は陽子がどう決めようと、応援するから。……親友として当たり前よ」

陽子「……綾」

綾「……ごめんなさい」

陽子「え?」

綾「……」
676 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2016/05/26(木) 23:07:17.68 ID:wsXW8vt50
綾(――私自身が自分の気持ちにけじめを付けられていないのに)

綾(こんなことを上から目線で提案している自分が……何だか嫌だった)


陽子「……どうしてさ? 綾が謝る必要なんてないよ」

綾「……陽子」

陽子「綾は私のことを考えて、そう言ってくれたんだろ? それなら、別に……謝る必要なんてないよ」

綾「……」


綾「――はぁ」

綾「あなたのそういう所で……私の罪悪感は、また大きくなるのね」

陽子「ど、どういう意味さ?」

綾「ま、いいわ。……それじゃ、どこかに寄って帰りましょうか?」

陽子「……綾。行きたい所とかある?」

綾「え? ま、まぁ、書店とかあるけど……陽子に合わせるわよ」

綾「調子の悪い友達に合わせるのは当然でしょう?」

陽子「……ありがとな、綾」

綾「……陽子。早く元気になってね?」

陽子「うん。努力する」

綾「無理しなくていいから」

陽子「綾たちのためだもん。頑張るよ」

綾「……陽子」
677 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage saga]:2016/05/26(木) 23:08:11.04 ID:wsXW8vt50
陽子「――さて!」

陽子「それじゃ、綾? いこっか?」

綾「……あっ」

綾(よ、陽子が手を差し出してる……)

綾(ど、どうしましょう、掴むべきなのかしら……それとも)アセアセ


陽子「えいっ」

綾「!」

陽子「ほら。いこっ?」ギュッ

綾「……もう、陽子ったら」ギュッ

綾「……」


綾(――もしもの話)

綾(陽子がもっと早くしのへの気持ちを自覚していたとしたら……陽子としのは付き合うことになっていたのかしら?)

綾(いえ。今、考えることじゃないわね。……少なくとも)


綾「――それじゃ、いきましょうか」

陽子「うんっ!」


綾(……こうして、この手に陽子の感触がある間は)

綾(この気持ちに浸っていましょうか……)
678 : ◆jOsNS7W.Ovhu [saga]:2016/05/26(木) 23:15:34.70 ID:wsXW8vt50
ここまでです。
このSSだと、どうして陽綾成分が薄くなりますね……。
いつか別のスレで陽子と綾の話も書いてみたいと思いました。

この話がどこまで進むかは未定ですが読んでくださっている方々には本当に感謝しています。
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/27(金) 00:02:31.74 ID:JOzwHTBuo
>>678
お前のおかげできんモザという作品に嫌悪感を持つようになったよ
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/27(金) 00:26:01.48 ID:y1ZhgfGm0

待ってたよ
自分こういうの好きです
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/27(金) 00:33:41.07 ID:edU88RVZ0
おつ。オリキャラ以外はかなり面白い。陽綾くっつけてもいいのよ
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/27(金) 07:31:58.11 ID:bYRO9ANkO
まぁ陽綾もいいけどあまり脱線しすぎない程度に
注意書もあるし「嫌でも目に入ってくる」ものではないはずだけど…
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/27(金) 07:53:31.62 ID:Q15N6BJIo
◆jOsNS7W.Ovhu 消えろ
684 : ◆jOsNS7W.Ovhu [sage]:2016/06/23(木) 21:36:03.37 ID:9F/WZ7VN0
すみません、もう少しかかりそうです……
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/02(土) 23:17:22.92 ID:zLsfJ0pR0
今更だし突っ込んじゃいけないかもだけどなんでカータレット婦人は性別を知らなかったん?親同士が仲良いなら言ってそうだしそれもホームステイなんてするときに
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