幼馴染「10年後の8月に・・・」

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146 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/06/02(月) 22:14:14.28 ID:sbXawIfA0
幼「んーー♪おぃひぃでふ♪」シャリシャリ

男「ん...うまい。すげー久しぶりに食った」

友「おぅ!?あ..頭痛ぇ...」キンキン

幼友「がっついて食べるからでしょバカ...んっ!」キンキン

友「がっついてたべr幼友「なんか言った?」ガシッ 

友「言ってないのでアイアンクローはやめて下さい!!」

男「何してんだお前ら」

幼「男君、一口どうぞ」アーン

男「んむ...じゃあ俺のもやるよ」アーン

幼「むふー、おいしいです」

友「...」

幼友「...あげないわよバカ」

友「えーー」

幼友(...だって恥ずかしいじゃない...)

147 : ◆P8G.IC5UqUBR [sage]:2014/06/02(月) 22:16:32.25 ID:sbXawIfA0
狐候補バラバラ過ぎだろwww
とりあえずこの候補の中から独断と偏見で選びますかな
148 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/06/12(木) 00:15:44.86 ID:7WfNBvqE0
友「っと、そろそろ明日の打ち合わせの時間だな」

幼友「もうそんな時間?じゃあうちとコイツはもう行くね」

幼「太鼓のお話ですか?」

幼友「うん。搬入とか開始時間とか色々ね」

友「んじゃ、そゆことで」

男「おう、がんばれよ」

幼友「あっ、忘れるとこだった。男って明日の朝へーき?」

男「あ?どゆこと?」

友「そういや男に明日の朝うちの太鼓搬入手伝ってほしいって師匠が言ってたな」

男「朝か...何時くらい?」

友「多分8時くらいだと思うけど。今日の打ち合わせで詳しくわかる」

男「そっか、師匠には世話んなってたしな〜。幼、行ってもいいか?」

幼「勿論ですよ♪お祭りはお昼からですし」

男「サンキュ、じゃあとりあえずOKって師匠に言っといて」

友「分かった、マジ助かるわ」
149 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/06/12(木) 00:16:18.89 ID:7WfNBvqE0
幼母「じゃああたしらも帰るか」

幼「はい♪男君、行きましょう?」

本来ならここで華麗にgo to homeを決めているところだがそうもいかない事態が発生していた。
友と幼友が帰った途端、境内のどこからか違和感を感じる。

男「あ〜悪い、ちょっと寄るトコあるから先帰っててくれ」

幼「用事ですか?じゃあここで待ってますけど...」

男「いや、幼も今日は疲れたろ。早く帰ってゆっくり休め」

そう言うと幼はキョトンとしていたが幼母は何かを感じ取ったようだ。

幼母「...じゃあ先に帰るぞ。行こっか幼ちゃん」

幼「え...でも」

幼母「大丈夫大丈夫。おい男、用事が終わったら家に来い。晩飯くれてやる」

男「あいよ。ありがたく頂きますかな」

幼「じゃあまたあとで♪」

男「おう」
150 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/06/12(木) 00:17:10.99 ID:7WfNBvqE0
二人に別れを告げると、幼母が去り際に耳打ちをしてきた。

幼母「...気配が一匹、お前に関係あんのか?」

武道を習得していると五感が強化され、なんとなく気配や殺気を感じ取る事ができるようになる。
さすが幼母、すでに俺が感じている違和感を気配として感じ取っていたようだ。
だがこの違和感の正体が何なのか分からない。ただ先程の夢に出てきたモノになにか関係があるような気がする。

男「...分かんねーけど心当たりがある」

そう言うとそれ以上は追求してこなかった。

幼母「まぁ悪い気配じゃねーから大丈夫だろ。ただ気をつけろよ」

男「....了解」
151 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/06/29(日) 23:50:42.49 ID:zVawLtUB0
男「...さてと」

二人がいなくなり、境内を静寂がつつむ。
目線は例の祠に向けたまま、ゆっくりと近づいていく。

男「...そこにいんだろ?出てこいよ」

??「...」

祠の裏からでてきたソレはとてもキレイな色をしていた。

男「...やっと見つけたぞ」

??「やっと見つけてくれたわね」

黄金に輝くその体。耳は大きく目は鋭く、何より目につく九本の尾。

狐娘「はろはろ〜。あたしの名前は狐娘。よろしくね♪」


152 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/06/29(日) 23:51:43.32 ID:zVawLtUB0
男「...」

狐娘「ありゃ?驚かないんだ?」

男「そりゃここ最近奇想天外アンビリーバボーな出来事に見舞われ続けてるからな」

狐娘「そりゃそっか。なんせ十年後から飛ばされてきたんだものねー」

そう言って狐娘と名乗る目の前の野生動物はケラケラと楽しそうに笑う。

....おいおいおいなんだよコレ!なんでキツネが喋ってんだよ!てかこいつキツネだよな?ホンドギツネだよな?
Vulpes vulpes japonicaだよな?なんで喋ってんの?動物って口を横に開く(い)の発音が出来ないんじゃないの?
驚かないわけねーだろアホが!ご自慢のポーカーフェイスだバカヤロー!ポーカのルール知らねぇけど!

狐娘「なんだ、しっかりと驚いてるじゃない。安心したわー。流石に無反応って傷つくのよねー」

...なん...だと...
コイツ心を読みやがった。俺のプライバシーが爆散したぞうぉい。

男「...てめぇ一体何者だ。今までの一連の出来事は全部てめぇの仕業か?」

狐娘「まぁまぁそんなに睨まないの。あたしはただの案内役よ」

153 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/06/29(日) 23:52:31.52 ID:zVawLtUB0
男「じゃあ案内役さんよ、とりあえず色々聞きてぇ事はあるがまずこの状態はなんだ?」

狐娘「見たまんまよ。あなたは十年前に飛ばされてきた、それ以上に何か必要かしら?」

男「当たり前だろ。なんでこんな事になってる?」

狐娘「まぁそれは順を追って説明するわ」

狐娘「まず天界には二人の神様っぽい奴がいるのよ。片方は生を司る神、もう片方は死を司る神」

男「おい、神っぽいってどーいう事だよ」

狐娘「うっさいわね、いちいちつっこまないでくれる?」

おうおう、なんだコイツ。イラッとしちゃったぞ♪

狐娘「んでもってある日、生を司る神は言いました...」

男「...」ゴクリ

狐娘「田舎を舞台にイチャイチャする幼馴染同士のラブコメが見たい!!」

男「...はい?」

あれ?なんかシリアスな感じになるはずなのにおかしいぞ?え?神様ってそういう感じなの?謎すぎだろ。

狐娘「まぁ最近奴の部屋にラブコメアニメのDVDが散乱してたしね〜」

男「神様DVD見んの!?」

狐娘「しかもこの間なんて部屋から大声で「めんまーーー!!」って叫んでたし」

男「謎発言の原因分かっちゃったよ!!」

やばいよ神様、重症だよコレ。

狐娘「それでなんやかんやあって貴方を十年前に戻して幼馴染とあなたをくっつけようと言うわけですね」

男「なんか最後適当じゃねぇ!?」
154 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/06/29(日) 23:53:20.33 ID:zVawLtUB0
狐娘「でもここで一つ問題があります」

狐娘「あなたがこの時代に介入することによって未来が少なからず変わってしまいます。例えば死ぬはずの人間が死なない運命を辿ったり」

狐娘「それをよく思わないのが死の神様です」

男「...」

狐娘「...やだなぁ、そんな厳しい顔しないでよ。それ自体はあんまり問題じゃないんだから」

男「そうなのか?」

狐娘「ここで大事なのは変化の度合いよん。死の神だってそんなにヒマじゃない、一人二人生き残ったって気付かないわ」

狐娘「ただあまりにもとの運命から遺脱した行為をすると流石にばれるわよ」

男「...バレるとどうなる?」

狐娘「全事象の運命が貴方を殺しにかかる。勿論幼馴染もね」

男「生の神はなんとかしてくんねーのか?」

狐娘「人の死は管轄外なのよ。手出しできないわ」

男「なるほどな。手出し出来ない代わりにお前を寄越した、そういうことだろ?」

狐娘「話が早くてたすかるわー」

狐娘「つまりあなたは死の神にばれない程度で更に幼馴染が生き残る為の小さな変化を起こして運命を変える必要があるの」

大きな変化を起こしてしまうと死の神にバレて死ぬ。
しかし変化が小さすぎても今度は幼馴染が死ぬということか。
155 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/06/29(日) 23:54:07.57 ID:zVawLtUB0

男「...それって結構厳しくねぇか?」

狐娘「うん、厳しいね」

さらっと言ってくれるぜ。何するにしても程よくが一番難しいのに。

狐娘「んでもって、なるべく失敗しないように派遣されたのがあたしってわけ。お分かり?」

男「ってことはお前はどうすればいい具合に運命が変わるか知ってるわけだ?」

狐娘「んにゃ?全然?」

男「は?」

狐娘「人が死ぬ運命を見ることができるのは死の神だけ、あたしにはじぇんじぇん分かんないわ」

おいおいそれじゃあ意味ねーだろ。何のためにお前いんだよ。

狐娘「ムッ..あんた結構失礼な事言うのね」

男「頼むから心読むなよ...」

狐娘「うっさいわね、我慢しなさい童貞」

男「うるせぇ野生動物が。同定すんぞ」

狐娘「...寒っ」

目の前のキツネが何でコイツ生きてんの?死ねば?と言わんばかりの目線を送ってくる。
...結構うまいこと言ったと思うんだけどな。
156 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/06/29(日) 23:54:52.91 ID:zVawLtUB0
男「..コホン。で、お前は何が出来んだよ」

狐娘「あたしが出来る事は色々あるけど、大きいのは2つ。人の心を読む事。それと、少し先の未来を見ることよ」

男「...未来を見る?」

狐娘「そっ。ただ未来と言ってもそんなに鮮明には見れないわ。Happy endかBad endか、常に変化する運命の先がどちらに転ぶかが大雑把に分かる程度よ」

男「それって役に立つの?」

狐娘「立つか立たないかは使い手によるわよ。あんたはすでにあたしと主従の契約結んでんだからうまくやりなさい」

男「.....は?」

157 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/06/29(日) 23:57:19.65 ID:zVawLtUB0
お待たせしました。
もう誰も見てないかもしれませんが(泣)
キツネは結局♀って事になりました〜
引き続き温かい目で見守って下さいな
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/06/30(月) 00:31:40.91 ID:ytC4c70cO
見てますよぉ!

楽しみにしてますよぉ!

159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/06/30(月) 01:35:09.69 ID:nmGdbVD70
見てないとでも思ったか 1レス30匹はいるんだぞ
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/30(月) 14:38:41.68 ID:rQwH3uCsO
待ってた!
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/06/30(月) 21:18:19.97 ID:PYvQM7HXo
待ってた(´・ヮ・`)
162 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/07/01(火) 00:17:03.82 ID:PYSMCw/u0
男「いやいや待てよ、俺契約なんて結んでねーんだけど?」

狐娘「あんたさっきあたしの祠に血ぃ垂らしたでしょ?あれで契約が成立しちゃってんのよ」

男「え?契約ってそんな簡単でいいの?実印は?」

狐娘「いるわけ無いでしょバカ。古くから人と妖かしは血の契約によって結ばれるって決まってんよ」

狐娘「と、いうわけで。これからよろしく」

男「まぁ..そういう事なら...よろしく」

163 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/07/08(火) 21:41:03.56 ID:CQiFx+Xk0
男「で?お前はこれからどーすんだ?」

狐娘「あたしには運命が正しく変わるまで見守る義務があるわ」

狐娘「ってことであんたのとこでお世話になりまーす」

男「いや、それはいいんだけどよ。キツネのまま家に来るのか?」

狐娘「なんか問題あんの?」

男「いやさ、俺のばあちゃんマタギだからさ。まぁ大丈夫だとは思うけど」

狐娘「ふーん...じゃあこれなら問題ないでしょ?」ボンッ

男「うおっ!?煙!?」

すると先程までの九尾のホンドギツネの姿は無く、目の前には巫女服を羽織った同い年くらいの少女が立っていた。

狐娘「...っと、これでよし」

男「いやいやいや、なんもよくねーよ。家に知らない女が居たら大問題になるだろーが。しかも狐耳、尻尾、巫女服なんつーお決まりの格好しやがって...
見つかったら俺が死ぬわ。社会的に」

狐娘「それに関しては大丈夫よ。あんた以外にあたしの姿は見えないし触れないから」

男「そなの?俺にはめっちゃハッキリ見えるけど?」

狐娘「あんたはあたしと契約したからよ。あとはよっぽど霊感的なものが強い人じゃなきゃ気配すら感じ取れないわ」
164 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/07/08(火) 21:42:16.90 ID:CQiFx+Xk0
男「んじゃもうひとつ。その格好何?」

狐娘「巫女服はあたし達の正装よ。あんたが勝手に変な目で見てるだけよ童貞」

男「童貞関係ねぇだろ...。んで?耳と尻尾は?」

狐娘「普通化身の時に耳とか尻尾が生える事は無いんだけど...ここに来る前に奴にやられた。これが王道だー!っつって...」

そう言うと狐娘は悔しそうに拳を握る。
...神様ホントに重症だな。
まぁコイツは顔も小さく整ってるし髪も長い狐色で綺麗だし、正直似合ってるからいいと思うが。

狐娘「耳はまだいいんだけど尻尾が邪魔よ。9本もあるから鬱陶しくてしゃーないわ」

男「それは消せないもんなのか?」

狐娘「術をかけられたからね。呪いみたいなもんよ...あのクソヤロォ...」

男「ご愁傷様。そのうち慣れんだろ。俺以外に見えないなら問題ねぇ、とっとと帰るぞ」

狐娘「ほーい。あたしお腹すいたー」

男「帰ったらな」

ばあちゃんへ
変な同居人が一人増えます。


165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/09(水) 06:58:52.62 ID:myxfkXoeO
おつん
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/07/12(土) 01:39:55.07 ID:h1/WPd2iO
乙!
167 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/07/12(土) 18:15:32.95 ID:ef8TouEl0
とりあえずキツネを連れて家に帰宅。
まだばあちゃんは帰ってきていないようで少し安心した。

男「とりあえず上がれ、後は適当に過ごしてろ」

狐娘「ほーい。おっじゃまっしまーす」

ズカズカと居間に入り込む狐娘を横目に着替えを準備する。

狐娘「あれ?あんた幼馴染の家に行くんじゃないの?」

男「お前話聞いてたのかよ。...盗み聴きはよくないぞ」

狐娘「あんたが今思ってることを読んだだけよ」

男「マジかよ...」

ホントになんでもありだなこのキツネ...

男「先に風呂はいんだよ。一日焼きそば焼いてたから汗とソースの匂いが染み付いてヤバイ」

狐娘「へーそー、行ってらっしゃーい」

...この野郎、聞いちゃいねぇな。
つか人の煎餅勝手に食ってんじゃねぇぞ。
あと紙敷け紙、ポロポロこぼれてんだろーが。
まぁ言ったところで無駄だろうけどな。

男「...麦茶は冷蔵庫にあるから、勝手に飲め」

狐娘「ほいほーい」

着替えを持って風呂場に向かう。
脱衣所で服を脱いでいると居間から叫び声が聞こえた。

...そういや昨日の麺つゆコップに入れっぱだったな。

168 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/07/12(土) 18:17:06.29 ID:ef8TouEl0
風呂も上がり、一人で幼の家に向かうともう既にご飯の準備がされていた。
ちなみに狐娘は居間で爆睡してたからおいてきた。

幼「ん..男君いい匂いがしますね」

男「まぁ風呂入ってから来たからな。幼はまだ入ってないのか?」

幼「家に着いてからすぐ入りましたよ〜」

そう言って頭をすり寄せてくる幼。

男「ホントだ、いい匂いがする」クンクン

幼「えへへー、くすぐったいですよぉ//」

あぁ〜癒やされるなぁ。やっぱ幼が一番だな。どっかの我が儘娘とは大違い。

幼母「....お前らこのクソ暑い中なにしてんだ?」

男「ぬぉ!?びっくりしたー!なんだ、あんたか」

幼母「ねぇお前やっぱ死ぬ?それとも死ぬ?」

男「いやごめんなさい。ちょっと調子乗りました」

幼母「...まぁどうでもいいから飯食うぞ。とっとと座れ」

幼「はーい♪」

あれ?いつもならここでありもしない罵詈雑言を叩きつけてくるはずなのに。
なんか幼母がやさしいぞ?
169 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/07/12(土) 18:18:12.12 ID:ef8TouEl0
男「ごちそーさま」

幼「ごちそうさまでした」

幼母「ん、お粗末さん」

幼母が作った肉野菜炒めを食べ終わり、お腹が程よく満たされた。
...てかコレ絶対今日の残りだよね?麺がない焼きそばだよね?何それ悲しい。
しかし作って頂いた身分でケチなど付けれるはずもなく、ただただ静かに現実を受け止めていた。

幼母「幼ちゃん悪いんだけどスイカ切ってきてくれない?」

幼「わかったー」

男「じゃあ俺も手伝おうか...」

幼母「まぁ座ってろ」

男「...はぁ」

いつにもなく真剣な表情をする幼母に少し気圧されてしまった。

幼母「....んで、どうだったんだ?」

男「どうだったと言われましても...まぁ..」

ぶっちゃけこの人にはすべてを話してしまおうかと考えていた。
なんせ当人の母親だ。自分の娘の身を誰よりも案じているはずである。
しかも普段はこんなふざけた人だがきちんと話を聞いてくれる人だ。
こんなふざけた事実もしっかりと聞き入れてくれるだろう。

でも...だからこそ言えなかった
170 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/07/12(土) 18:22:05.79 ID:ef8TouEl0
幼母「...言えないか?」

男「いえ...」

幼母「いやいいんだ。無理に聞き出そうとは思ってねぇ。ただこれでもお前のことは気にかけてんだよ」

男「...」

幼母「お前は人の為、特に幼の事になると少し無茶をする癖があるからな。心配なんだよ」

男「....あの時は迷惑かけました。すんません」

幼母「まぁ幼を守るためだったし、何よりお前が無事だったからもういいさ」

幼母「...今何が起きてんのかは知らねぇが無茶だけはすんなよ。いつだって頼ってきていいんだからな」

男「...はい」

今ここで幼の未来、俺の現状を話せばこの人は色々と必死になって助けてくれるだろう。
でもだから、だからこそこの人には言えない。
誰よりも娘を強く想い、昔から俺を実の息子のように接してくれるほど優しい人。
今話せば未来を大きく変えてしまうかもしれない。それだけの力がこの人にはあるんだ。
少なくとも今は言う時期ではないのだ。

静かな部屋に幼の明るく抜けた声が響く。

幼「スイカ切ってきましたよ〜」

幼母「おぉ、幼ちゃんありがとな。ほら男も食うぞ」

この話は終わりだと頭をガシガシと撫でてくる。
少し痛いこの感触が、心地いいと感じる。
大丈夫だと、今は言わないでいい、ただいつでも守ってやるからと伝わってくる。
...やっぱり母は強しなんだな。
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/12(土) 21:15:34.48 ID:gXWicZEB0
半年前から見てます
頑張って下さい
ちなみにあの花は最近みました
172 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/07/16(水) 19:04:50.05 ID:g6HrR+5D0
男「ただいまっと」

自宅に戻り、居間の扉を開くと例のキツネがまだ爆睡していた。

男「...おい、そろそろ起きろ」ユサユサ

狐娘「ん...んあぁ..ふぁ〜よく寝た〜。今何時ぃ?」

男「9時過ぎだ。とっとと風呂入ってねろ」

狐娘「えぇー..お腹すいたぁ〜」

コイツ寝起きだとこんな感じなのかよ。ちょっとかわいいじゃねーか。

男「...入ってる間に作ってやるからとっとと行って来い」

狐娘「む〜...はぁーい」

ったく、結局夕飯作んなきゃならねぇじゃん。
もうめんどくさいし素麺でいいだろ。

173 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/07/16(水) 19:05:43.71 ID:g6HrR+5D0
ーーーー次の日の朝

男「ってことで俺は今からちょっと出るからな」

狐娘「はいはい、お手伝いね。行ってら」

男「くれぐれも俺がいない間に問題起こすなよな?」

狐娘「分かってるから早く行きなさいようるさいわね」

男「...お前寝起き以外ホント可愛げないな。びっくりするわ」

狐娘「はぁ?あんたに媚び売ってどうすんのよ。バカなの?」

男「バカじゃねーわコラ。...じゃあとりま行ってくるからな」

狐娘「ほーい」

174 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/07/16(水) 19:06:48.61 ID:g6HrR+5D0
>>171
ありがとうございます
これからも頑張って書いていきます
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/16(水) 22:40:04.75 ID:ikcLlXWQ0
おつんつん
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/07/18(金) 00:15:07.31 ID:UgTJPI5rO
ゆっくり自分のペースでこれからもよろしくです(^o^)
すっごい楽しみにしてます!
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/08/06(水) 01:07:54.25 ID:oi0R/UnDO
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/08/06(水) 09:40:48.68 ID:OzhP2+bnO
期待
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/08/22(金) 19:29:31.80 ID:g7B0ja+tO
まだかなー
180 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/08/24(日) 23:47:38.71 ID:thkwnUa80
ガラガラ

友「おっす、迎えに来たぞーっと」

男「おう、ちょうど今出ようとしたところだ。じゃあ行くか」

ーーーーーー

男「とりあえず師範の家か?」

友「そ、俺とお前で師範の家にある太鼓を軽トラに積む」

男「あいよ、..っともう着いたな」

友「師範ー!男連れて来ましたよー」

友が玄関前で叫ぶと、家の中から恰幅のいいスキンヘッドの親父が出てきた。
181 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/08/24(日) 23:48:53.48 ID:thkwnUa80
師範「おう男かぁ!しばらくぶりだなぁ!!」

男「しばらくぶりです、お元気そうでなによりです」

師範「まぁな!まだまだ歳にゃー負けねーよ!」

この人が友や幼友、そしてかつて俺に太鼓を教えていた師範である。
見た目完璧にやーさんだが実際に軽くやーさんである。
一応植木屋なんだがこの辺りの催事を指揮したり、色々な揉め事を力で解決しようとするおっさん。
だが見た目はヤバイが普通にいい人である。俺もよく世話になってるし、10年後もこっちに戻ってくると大体一緒に飲む。

師範「悪いな男、夏休みなのに呼び出しちまって」

男「全然大丈夫ですよ。いつでも呼んで下さい」

師範「いやぁーまったく...いい男に育ったもんだ!それに比べて...」

友「ねぇ師範?なんで俺の事見てんの?その温かい目やめてくんない?」
182 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/08/24(日) 23:49:44.67 ID:thkwnUa80
男「そういえば幼友とか他の人は?」

師範「あぁ、あいつらは今日叩かせるから怪我させれねーんだわ。だから俺と男と友の三人だけ」

男「なるほど。確かにそうですね」

友「そこで納得しちゃうのは俺の価値観のなさを揶揄してるの?」

男「お前は怪我したっていいだろ。むしろしろよ」

友「よくねーよ!俺も叩くんだよ!ちょっとは労ってくんね!?」

師範「んじゃまず六寸からどんどんトラックに載っけよう」

友「でたよスルー!最近多いなぁ!」

男「うっす、友、何張り乗りそう?」

友「んだよチキショー...とりあえず六寸六張りだな。それから寸胴はデカイから一張りでそのあと残った三尺載っけて隙間に締めだな」

男「じゃあ台とチャンチキは最後だな」

友「そだな、じゃあ運ぶか」


183 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/08/24(日) 23:50:27.42 ID:thkwnUa80
男「これで全部載ったか?」

師範「とりあえずは平気そうだな!男、ロープで落ちないようくくっといてくれ!」

男「もやいで引っ掛けて南京で締め上げる感じですか?」

師範「それで頼む」

友「あれ?ラチェット無かったでしたっけ?」

師範「去年お前が壊してから買ってねぇ」

友「...てへっ」

男「...フンッ」スパァン!!

友「痛ぇよ!!ロープは駄目だろ!常人だったら死んでるぞ!?」
184 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/08/24(日) 23:55:08.04 ID:thkwnUa80

...夏って忙しいよな(訳;ホントに申し訳ない)
保守していただいた方々、ホントに助かりました。
夏休みも今日で終わりなのでこれからはなるべく空けないようにします...

あとちょくちょく分かる人には分かる単語が出てきますのでご了承ください
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/08/25(月) 00:36:35.63 ID:N0/3QM5p0
おつn
186 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/08/26(火) 22:25:18.88 ID:x4Dnf6vJ0
ーーーーーー

師範「到着っと」

ついた場所には既に舞台ができており、後は太鼓を並べるだけのようだ。

師範「じゃあどんどん下ろすぞ。配置はこの紙に書いてある」ペラ

男「了解です」

友「男ー!これどうやって解くの!?」

男「こんなの引っ張りゃいいんだよ」シュルッ

友「すげぇ」
187 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/08/26(火) 22:26:32.83 ID:x4Dnf6vJ0
男「おいしょ...っと。これで全部かな」

友「こんなもんでしょ、これでいいよな師範?」

師範「おうOKだ!二人共一回帰るだろ?」

男「まぁそうですね」

師範「じゃあ送ってやるから荷台乗っとけ」

友「うーっす」

ブロロロロ

友「おっふ...荷台だと振動が直にくるな」

男「ゴムパッドも敷いてないしな。流石田舎のベンツ」

友「いやベンツではねーだろ」

188 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/08/26(火) 22:27:50.98 ID:x4Dnf6vJ0
男「ただいまー」ガラガラ

幼「あっ!男君おこえりなさい!」トテトテトテ

男「なんだ幼、来てたのか」

幼「そんなことより男君!こっち来てください!」

男「おいちょっ...、ひっぱるなって、分かったから」

幼「ほら!これ見てください!」

男「はいはい。なんでそんな興奮して.....」スッ

居間をのぞくと、見慣れたキツネが一匹腹を出して寝ていた。

....おい、早速問題起こしてるじゃねーか。どうすんだこの状況。てかなんでキツネに戻ってんだよ、目視確認されちゃってんじゃん。

幼「男君の探していたキツネさんですよ!」

男「うん...そうだね...」

幼「気持ちよさそうに寝ていますね〜♪かわいいです♪」

幼が幸せそうな顔で眺めていると、その視線に気が付いたのかキツネが目を開けた。

やばっ!!コイツの寝起きは結構アホだからヤバイ!!このままだと多分...!!

男「幼!ちょっとこっちk狐娘「んっ...ふぁ〜...男ぉ..おかえり〜」

男「」

幼「!?」

狐娘「んぁ....あっ」

あっ、じゃねーよ。

幼「き...キツネさんが喋ってる!!」

...最悪の事態が起きた。

189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/08/27(水) 18:23:02.03 ID:hg4m02I80
いつも楽しみにしてます!
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/08/27(水) 18:24:11.55 ID:hg4m02I80
いつも楽しみにしてます!
191 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/09/04(木) 22:35:39.22 ID:11Lh1QcK0
幼「男君!今このキツネさんしゃべりましたよね!?」

男「あぇ?そうだったぁ?空耳じゃねーの?」

おいこの野郎どうすんだ!
とりあえずこれ以上喋らすわけにはいかねぇ...
がんばって狐に目配せをし、なんとか伝えようとする。
この想い!君に届けぇ!!
するとキツネがこちらを見て、頷いた。
よし!分かってくれたか!
とりあえずこれ以上は絶対しゃべんじゃねーぞ...
普通のキツネアピールだ、Vulpes vulpes japonicaになりきれ!!
...てかなんで学名って2回続くの多いんだろう、ゴリラの学名なんてGorilla gorillaだし、ニシローランドゴリラに至ってはGorilla gorilla gorillaだからね?ゴリラっていう情報しか入ってこないからね。ゲシュタルト崩壊するレベル。
192 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/09/04(木) 22:36:37.97 ID:11Lh1QcK0
まぁんなこと今はどうでもいい、なんとかこの状況を打破してくれ!!


狐娘「ゴホン...オッス、オラキツネダヨ!フクワジュツデシャベッテルンダ!」

男「そうじゃねーよ!!」

なんなんだお前は!どうしてそうなった!?バカなの!?

幼「男君腹話術なんてできるんですか!?」

男「おっ...おう!俺はなんでもできるからな!」

幼「あれ?でも声はキツネさんから聞こえた気が...」

男「そういう仕様だ!」

幼「おぉ!男君すごいです!!」

幼がアホの子でよかった、とりあえずは大丈夫だな。
とりあえず狐娘はどっか行け!はやく!

狐娘「...」コクッ タッタッタ...
193 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/09/04(木) 22:37:31.40 ID:11Lh1QcK0
幼「あー、いちゃいました...」

男「そりゃそうだろ野生動物なんだから...」

ふぅ....なんとか凌げてよかった。
ったくあいつは...何考えてんだ、ホントビビったわ...

狐娘「いきなりだったんだからしょうがないでしょ」

背後から聞こえた声に振り返ると、人型になった狐娘が戻っていた。

男「おまっ!なんでもd狐娘「静かにしなさい」キュッ

背後をとられた俺はそのまま首をキメられ口を塞がれた。
てゆーかマジで死にそう。コイツ本気で締めてるわ、むしろこのまま指が喉仏の右外方三横指分の位置から胸鎖乳突筋を突き破る勢い。何それ死んじゃう。
194 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/09/04(木) 22:38:25.98 ID:11Lh1QcK0
狐娘「あの子にあたしの姿は見えてないんだから騒がない。言いたいことあったら心のなかで言って」

そうだった。俺以外の人間にはコイツの人型の姿は視認できないんだ。

男(てか心読めんだったらなんでさっきの状況で読まなかったんだよ!)

狐娘「こっちだって常日頃から読めるわけじゃないのよ。意識してある程度集中しないと」

男(つまりさっきは寝ボケてたと)

狐娘「うっさい」ゴキッ

男「グエッ」バタッ

幼「どうしたんですか男君!顔が青いですよ!?」

男「あぁ...ちょっと暗殺されかけただけだから大丈夫」コヒュ- コヒュ-
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/09/05(金) 10:53:04.42 ID:gIbO+Fuu0

待ってたぜ
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/09/06(土) 11:40:03.71 ID:XIKAyWmH0
追いついたぞ
早く頼む
197 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/09/10(水) 23:54:27.82 ID:M2Bn26Pf0
男(頼むから今はおとなしくしといてくれ!)

狐娘「ハイハイ分かってるわよ、あたしはあんたの部屋でもう一眠りしてくるわ」

男(どんだけ寝んだよ。校長の授業聞いてる時の俺かよ)

狐娘「それはちゃんと聞きなさいよ...まぁなんでもいいわ。後は二人でお好きにどーぞ」

男(あぁ、それと午後から外出るからな...って、もう2階行きやがったあいつ)

幼「男君さっきからボーっとしてどうしたんですか?」

男「んあ?あぁ、何でもない。ちょっと暑くてな」

幼「太鼓運んできたんですもんね。いま麦茶淹れてきます」

男「サンキュー」
198 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/09/10(水) 23:55:32.61 ID:M2Bn26Pf0
午後

男「宿題もある程度やったし、そろそろ祭り行くか?」

幼「そうですね♪じゃあ一回戻って準備してきますね〜」

ーーーー10分後

幼「お待たせしました〜」

男「おし、じゃあ行くか」

アブラゼミが奏でる爆音に囲まれながら二人で道を歩く。
幼と二人でのお祭り。こういった何気ない時間がどれだけ大切か、俺は既に知っている...
皮肉なものだな、本当に大切なものってやつは大体失ってから気付くもんだ。常に側にいるから、失うなんて思っちゃいないから、だから間違えた。
死ぬほど後悔した。けど、後悔も反省も意味がなかった。次が無かったから...もう二度と手に入らないものだと思っていたから...

男「....」キュッ

幼「あっ...えへへ♪」

すぐ隣りの小さな手を握る。夏に手を握ると暑いな...
けど....今度は離さない。

男「よし!幼、何が食いたい?なんでもいいぞ?」

幼「うーんっと、男君の作った焼きそばがいいです!」

男「ごめんなさいそれ以外で」

幼「クスクスッ、冗談ですよ♪」

この笑顔を...守ってみせる。
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/09/11(木) 01:06:30.92 ID:l1RWgRzG0
待ってたぜ
200 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/09/16(火) 22:57:09.53 ID:KGyIUL0s0
ーーーー祭り会場・大通り

男「やっぱ最終日ってだけあって活気づいてんな」

幼「日曜日なので人も多いですね〜」

男「んじゃとりあえず飯食うか、腹減ったわ」

幼「私じゃがバタ食べたいです!」

男「おっし、じゃあ探すか」

ーーーー

幼「あっ!男君!ありましたよ!」

男「どれどれ...幼、こいつぁダメだ」

幼「えー?何でですか?」

男「ここのじゃがバタは蒸かしてるだけ、俺が求めてるじゃがバタは蒸かしプラス揚げだ」

幼「おぉー、確かに。そっちの方がお美味しそうです」

男「だろ?値段は高くなるがその分うまいんだよなー。ほれ、あっちのじゃがバタは揚げてあるしあっちの買おうぜ」

幼「ホントだ!しかも見てください男君!バターつけ放題ですよ!」

男「...神だな」

幼「神ですね♪」

201 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/09/16(火) 22:58:04.60 ID:KGyIUL0s0
幼「あ!金魚すくいですよ!」

男「金魚すくいは破れないようにゆっくりやるとドツボにはまるぞ。ある程度思い切ってすくい上げろ」シュパッ

幼「わ〜!ヨーヨーです!」

男「輪っかが表面張力で水面にくっついてるやつが狙い目だ」ヒョイ

幼「缶落としです!」

男「っうぉらぁ!!」ガッシャン!!

幼「クジもありますよ!」

男「それは無理!!」
202 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/09/16(火) 22:59:44.36 ID:KGyIUL0s0
男「結局クジやったのはいいけど...何このちっちゃい蛍光色のムカデ、クソ懐かしいんだけど」

これはアレだな、確か押入れの缶の中にかなり溜まってたはずだ。
子供の時はエアガンが欲しくてかなりクジやったなー...当たったこと一度もねぇけど。

幼「でも他は凄いいろいろ取りましたね!男君昔から屋台遊びが得意ですよね〜」

男「まぁばあちゃんの遺伝だわな、腕が鈍ってなくてよかった」

幼「桜祭りの時も遊んだじゃないですか、そんなすぐに鈍りませんよ」クスクス

男「.....そうだな」ワシャワシャ

幼「わわっ」

幼の頭をガシガシと乱暴に撫でる。
幼と一緒に楽しく遊んでいると、たまに自分が10年後から来た存在だということを忘れそうになる。
...まぁ家に帰ればあのアホ狐がいるから嫌でも思い出すんだけどな。

男「っと、そろそろ友と幼友の太鼓始まんじゃね?」

幼「そうですね、見に行きましょう」

203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/09/18(木) 08:48:38.85 ID:lAKKN3C80
おつんつん
204 :</b> ◇P8G.IC5UqUBR<b> [saga]:2014/09/24(水) 21:58:03.09 ID:Qw8q8DYk0
ここの祭りは多くのお店が立ち並ぶ町の大通りを通行止めにして開催される。
左右にズラッと屋台が並ぶ大通りを真っ直ぐ行くと、その終点には神社があり、隣接する広いスペースがメインの会場になる。
ここでは各自治体ごとのイベントが行われたり、なんかしらの演奏や出し物が行われ、夏の終わりには納涼盆踊り大会なんかも行われたりする。
その会場から懐かしい太鼓の音が聞こえる。

男「あれ?もう始まってんじゃん」

幼「あっ!友くんと幼友ちゃんですよ!」

二人は黒い法被を身に纏い、又引きに足袋といった出で立ちで、背中には赤い線で家紋のようなマークが書かれている。
友は手拭いを喧嘩かぶり、幼友はねじり棒をを頭に巻き、それぞれが担当する太鼓を叩いている。

幼「幼友ちゃんかっこいいですね〜」

男「まぁアイツはもともと上手かったからな。...ってか友のやつ頑張ってんな」

幼友はオーソドックスな一尺六寸の太鼓を叩いている。振り上げる腕の高さもリズムも周りのメンバーとピッタリ合っていて流石である。
そして問題は友である。
友は今年から任されたのであろうポジションにいた。

男「...桶胴に長胴、締め二つか...大変だな」

締太鼓は皮の締め付け具合をロープ、またはボルトで調節して音程を変えることができる太鼓で、友が使っている二つの締太鼓もそれぞれ出る音が微妙に違う。
音程の違う締太鼓二つと桶胴、長胴太鼓に囲まれている状態は、まるでドラムのように見える。

幼「友くんのソロですね!」

男「うおっ、めっちゃ早打ちじゃん!えげつねー」
205 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/09/24(水) 21:59:01.01 ID:Qw8q8DYk0
ーーーー

幼「二人共お疲れ様です!!」

幼友「いやー疲れたー!二人共見てたの?」

幼「バッチリ見てましたよ!カッコ良かったです!」

幼友「アハハ...なんか恥ずいな、けどありがと」

男「そうそう。スゲー上手かったぞ?ほれポカリ」ポイッ

幼友「ありがと、まぁ目立ったミスもなくて良かったわ」ゴクゴク

友「ねぇ男、俺は?俺は?」

男「お前全体的に少し走りすぎ、あと誤魔化したみたいだけど一回バチ当たってたのバレバレだぞ。帰れ」

友「何その酷評!?」

男「罰としておまえだけアクエリだ」

友「...ん!?」

206 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/09/25(木) 00:00:48.96 ID:A2Xhuadm0

男「冗談だ、上手く出来てたぞ」

友「ったく、素直にそう言えよ。ホント男はツンデレだな」

男「はぁ?何言ってんだてめぇぶち殺すぞハゲ」

友「ツンがでけーよ!致命傷レベルだわ!」

幼友「ほらバカやってないでとっとと行くわよ。皆片付け始めてるんだから」

友「やばっ!師範に殺される!じゃーな二人共!」

男「あいつ元気だな」

幼「それが友くんの取り柄ですからね」

男(...この子結構酷いこと言うな)
207 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/09/25(木) 00:02:47.46 ID:A2Xhuadm0
ーーーー

幼「あ!あの猫の置物かわいいですね♪」

男「んぁ?どれどれ...射的か。ちょっとやってみるか」

幼「男君がんばって下さい!」

しかし置物は意外と重量があり、現代のシモ・ヘイヘと呼ばれた俺でも倒す事は至難の業だった。

男「クソッタレ、あと二発しかねぇぞ」

幼「倒れても落ちてくれませんね〜」

おっちゃん「ガハハ!諦めな兄ちゃん!」

そう、射的のルールとして獲物を倒すだけでなく台から完全に落とさなければ獲得とはならない。

男「どーすっかなー...」

??「ありゃありゃ、この程度の獲物で苦戦するようじゃまだまだだな」カチャ

男「!?」

突然声をかけられたと思ったら、縦に繋がった二本の鉄の棒が目の前に現れた。
これは...

おっちゃん「じ...上下二連式散弾銃!?」

上下二連式散弾銃とは、日本の狩猟用の銃として多く利用されるポピュラーな銃である。
狩猟ライフルと比べれば射程も威力も低いが、扱いやすく汎用性が高い銃である。
そしてこんな銃を人前で振り回すような人間を俺は一人しか知らない。

男「そんなもんで撃ったら粉々になるでしょーが。おかえりばーちゃん」

ばば「スラッグ弾でこの距離だから大丈夫。たでーま」

御年58歳の現役マタギ...俺のばーちゃんである。
何が大丈夫なんだよ。駄目だわ、吹き飛ぶわ。
208 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/09/26(金) 00:46:40.57 ID:ZVIcNOEo0
幼「おばーちゃんこんにちは!」

ばば「あらま幼ちゃん、元気にしてたかぃ?後で肉差し入れに行くからお母さんに言っとき」

幼「わぁ!ホントですか!?ありがとうございます!お母さんに言っておきますね♪」

男「ちなみに何肉?鹿?」

ばば「おっこt...唯の猪だ」

おい、今何言いかけた?狩っちゃったの?海を渡ってきた白い猪狩っちゃったの?

男「てかスゲー獣クサイんだけど、風呂入ってこいよ」

ばば「そぉか?まぁ一応顔出しに寄っただけだからすぐ帰るべ」ヒョイ

男「っと、何で銃奪うんだよ」

ばば「まぁ見てろって...」カチャ パン!パン! ゴトッ

男「すげぇ」
209 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/09/26(金) 00:47:42.69 ID:ZVIcNOEo0
ばーちゃんと別れ、二人で大通りをぶらぶらする。
祭りも終わりに差し掛かり、この喧騒もラストスパートといったところだ。

幼「明日から本格的に夏休みが始まりますね♪」

男「まぁ毎年この祭りが終わって夏休みがスタートするって感覚だからな」

幼「今年もいっぱい遊びましょうね!!」

男「どっか行きたい場所でもあんのか?」

幼「はい♪海とか山とかいっぱいあります!」

男「...そっか」

今更だが俺は夏が好きだった。友や幼友、そして幼と一緒に過ごす夏休みは何よりも充実していた。
幼を失ってからは夏がくるたびに心にポッカリと穴が空いたような虚無感を感じるようになっていた。
いつだって幼の死が脳裏に浮かび、俺はそのたびに自分を責めていた。
俺の夏の時間はあの時からずっと止まったまま、時計は壊れたままだ。
けど...

男(...ばーちゃんがいつも言ってるな、壊れたものは直せ、無いものは作れって...)

材料はすべて揃った。モノ作りと修理は俺の十八番だ。
あとは組み立てるだけ...

幼「あ!友くんと幼友ちゃんですよ!」

男「おうお前ら、デートか?」

幼友「誰がこんな奴と...太鼓の片付けが終わったからブラブラしてただけよ。暇つぶし暇つぶし」

男「って言う割にはめっちゃ食い物持ってんのな」

幼友「動いたからお腹すいちゃってね〜、友が奢ってくれるって言うし」

友「...こいつ結構食うのな」

男「まぁなんだ...お疲れ」

幼「クスクス♪」

止まっていた時間が、今、動き出す。
210 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/09/26(金) 00:48:27.95 ID:ZVIcNOEo0

...やっと夏休み入れた
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/09/26(金) 00:56:12.52 ID:SL/zspU70
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/09/26(金) 03:55:41.46 ID:NaGMQ0bj0
今日初めて読んだが面白い!応援してる。
213 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/10/06(月) 23:50:32.74 ID:YaM6CfX30
ーーーー次の日

シャアーシャアシャアシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ

男「...くそっ...うるせぇ...」

昨日は結局あのまま皆で少し祭りを周ってから解散した。
時計を見るとまだ7時...あと3時間は寝れるな、よし!

バサッと布団に包まる。この堂々と2度寝ができるしあわせ...
だが待ってほしい、本来二度寝とは許されない状況下で行うのが最も快感であるとされる。
ソースは俺。ちなみに火曜日の二度寝は睡眠欲と背徳感がベストにマッチングして最高の快感を伴う。
おいおいこれはもう二度寝は18禁にすべきだろ、お子様にはとてもじゃないがオススメ出来ないな。
なんぜなら人間が腐る。ソースは俺....俺ソースありすぎ、広島かよ。

狐娘「...一人でなにブツブツ言ってんの」

男「んあ!?お前居たのかよ。いきなり声掛けんな」

狐娘「くだらない事考えてんならとっとと起きなさいよ。幼、来てるわよ」

男「おっふ...マジか、二度寝出来ねーじゃん」ファーァ

狐娘「その割にはうれしそうな顔してるわね」

男「このくらいの事でも俺にとってはうれしーんだよ。知ってんだろ」

狐娘「まぁね。だから精々がんばりなさい」

男「...あぁ」
214 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/10/06(月) 23:52:37.59 ID:YaM6CfX30
一階に降りると幼とばーちゃんが朝ごはんを作っていた。

男「おはよー」

幼「ッ!?」ガシャン!

男「いや、何驚いてんの?普通驚くのこっちだからな?」

幼「お...男君が自分で起きてる!?」

男「えー...俺ってそんな廃人だったっけ...」

ばば「あれま?珍しい事もあるもんだね。まぁちょうどご飯もできたからこれ持ってって」

男「はいよ。幼も一緒に作ったのか?」

幼「はい♪夏休みなのでおばーちゃんのお手伝いです♪」

ばば「幼ちゃん助かるよ、ありがとね。こいつには勿体無いくらい出来た娘だよ」

男「うるへー。とっとと飯食おうぜ」
215 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/10/07(火) 00:22:41.32 ID:jenhF+yY0
「「いただきまーす」」

ばば「そういえば幼ちゃん、お母さんは?」

幼「昨日お祭りの打ち上げで遅くまで飲んでたみたいで、まだ寝てます」

ばば「まったく...しょーがない子だねぇあの子も」

幼「あはは...でもすごく楽しかったそうです」

幼とばーちゃんが楽しく喋りながら朝食を啄いている。
そんな光景を見ながらふと疑問に思った。

男(あいつこれから飯どうすんだろ...)




狐娘「勿論食べるわよ?お腹すいたし」

男「!!??」ガンッ!
216 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/10/07(火) 00:23:22.58 ID:jenhF+yY0
幼「男君!?膝大丈夫ですか!?」

ばば「なに急に暴れてんだおまえ」

男「あぁ...大丈夫だから..気にしないで...」

男(てめぇふざけんな!!いきなり声掛けんなってあれほど言ったろ!!)

狐娘「あんたが気付かないだけでしょ?それより少しずれなさい、あたしも食べるから」

男(は?おいおい待て待て。ここでお前が食ったら大変なことになんだろーが!)

狐娘「大丈夫よ、二人には見えてないから」

男(お前は見えなくても茶碗とか箸が見えんだろーが!またマジシャンやる気かぁ!!)

狐娘「そうじゃないわよ。貴方以外には私が見えないのは知ってるでしょ?それと同じように私が使用中の物も同じように霊体化して一時的に見えなくしてんのよ」

男(...なんかすげぇ都合よくね?)

狐娘「そうでも無いわよ?あんまり大きい物は霊体化できないし、だからこの家もそのまんまでしょ?あたしが霊体化できる物なんて精々コップとかお茶碗とかの小物よ」

男(なるほど。じゃあばーちゃん達には見えてないんだな?)

狐娘「そのはずよ」

男(ならいいんだが...)
217 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/10/07(火) 00:24:03.04 ID:jenhF+yY0
幼「男君?どうかしたんですか?」

男「んぁ?あぁ、なんでもない。この味噌汁は幼が作ったのか?」

幼「分かりました?」

男「ばーちゃんのと少し味が違うからな....ん、うまい」ズズッ

幼「えへへ、お口に合ったみたいで良かったです♪」

ばば「あーもーお前ら結婚すればー?」

男「なにその投げやりな感じ...そのうちな」ズズッ

幼「////」

狐娘「...なんかこっちが恥ずいんですけど」
218 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/10/07(火) 00:25:52.93 ID:jenhF+yY0
>>212
ありがとう。がんばる。
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage]:2014/10/07(火) 00:31:02.21 ID:kd0wgGMH0
来た来た!!
支援よ
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage]:2014/10/07(火) 08:38:59.25 ID:xKyEEvRp0
このあとの展開が楽しみ
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/10/19(日) 14:30:15.88 ID:iOlgSPxY0
続きが気になりますねぇ
222 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/10/20(月) 22:51:09.47 ID:RHDZbbx50
男「ところで今日の予定は?」

幼「特に何も決めてませんがどうしましょうか?」

ババ「だったらちょっと手伝ってくんねぇか?」

男「内容次第だな」

幼「もちろんです!何をすればいいでしょうか?」

ババ「ありがと幼ちゃん。ちょっと畑の茄子を収穫してほしいんだけど」

男「えぇー、めんどい」

幼「分かりました!」

ババ「ごめんね〜幼ちゃん、助かるよ」

幼「いえいえ〜♪」

男「ねぇ無視?無視なの?」

ババ「うるせぇ、とっとと準備しろ」カチャ

男「Sir, yes, sir」

狐娘「じゃああたしはもう一眠りしt男(待てコラ)ガシッ

男(タダ飯食わせる気はねぇーぞコラ)ゴゴゴ

狐娘「顔怖っ!?いやほら...幼ちゃんもいるんでしょ?だったらあたしがいたら駄目じゃない?」

男(箸持てんならハサミも持てるな、よしGO)

狐娘「ちょっまっ!行くから!行くから尻尾は引っ張らないで!!」
223 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/10/20(月) 22:51:51.07 ID:RHDZbbx50
男「ってことで」

幼「畑に到着しました!」

ばーちぁんの畑は歩いて5分程の場所にある。大体200平米、およそ60坪ぐらいだろう。
まぁちゃんと測った事ないし完璧に目測だけどね。
一応連作障害を防ぐために夏野菜と冬野菜に区分けして輪作をおこなっている。

男「んで、茄子だっけ?だったらそこまで量はないな」

幼「トマトはまだですね〜」

狐娘「なんであたしまで...」

男(うちに居る以上この位はやってもらうぞ)

狐娘「別に居たくて居るわけじゃ...」

男(あぁ?)ギロ

狐娘「ヒィ!?なんでもないです...ってかなんで今日のコイツはこんな強気なのよ」

幼「男君そんなに怖い顔してどうしたんですか?」

男「いやほら、今日も日差しが強いからな」

幼「私はちゃんと帽子被ってきましたよ〜」

男「まぁそれ俺のなんだけどね、どっから持ってきた」

幼「男君の部屋です!」

男「だろーね!」
224 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/10/20(月) 22:53:57.22 ID:RHDZbbx50
男「まぁなんでもいいや、はやく済ませて帰ろうぜ。幼はむこうの端から始めてくれ」

幼「はーい♪」

狐娘「はじからはじめるの?」プッ

男「...」スッ

狐娘「謝るからヒトシくんこっちにむけないで、トラウマあるから」

男(撃たれたことあるんだ...)

狐娘「んで、あたしはなにすればいいのよ」

男(このハサミで茄子をひたすら切る。こんな感じで)パチン

狐娘「ダックスフンドじゃなくて?」パチン

男(お前の神様やべーな)パチン

コイツの主である生の神様は重度のアニオタである。
225 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/10/20(月) 22:54:35.64 ID:RHDZbbx50
男(あとダックスフントな。ドイツ語だと最後のdは濁らねーんだ)パチン

狐娘「へー、ドイツ語なのね」パチン

男(ドイツが原産の犬種だからな。ドイツ語でダックスはアナグマ、フントは犬でダックスフントだ)ゴソゴソ

狐娘「なんでアナグマ?もとはアナグマとか?」パチン

男(アナグマはイタチ科だアホ。ダックスフントはもともとアナグマを狩る猟犬なんだよ。んで同じ穴の狢って言葉があるようにアナグマは穴の中で生活すんだけどよ)パチン

狐娘「ちょまち、むじな(狢)ってアナグマの事だったの?ってかクマなのにイタチ科なの?」ゴソゴソ

男(知らなかったのかよ...まぁいいや。ダックスフントって足が短いだろ?ありゃアナグマの穴に入るために短くなってんだ)パチン

狐娘「へぇーなるほどねー。なんでそんなに詳しいの?」パチン

男(まぁ農林水産系の大学行ってたからな。猟犬の事だし多少分かる)パチン

幼「男ー!日焼けした茄子はどうするんですかー?」

男「別のケースにいれといてくれー」

狐娘「...このナスなんか色が薄い」

男(...ボケナス)

狐娘「は?喧嘩売ってんの?」

男(ちげーよ。色がうすくてボケて見える茄子の事をボケナスって言うんだよ。他意はねぇ)

狐娘「ほんとぉ?」ジー

男「...」フイッ

狐娘「おいコラ」
226 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/10/20(月) 22:59:26.11 ID:RHDZbbx50
遅くなりました
コメントしていただきありがとうございます
頑張って書かせていただきます

ちなみにヒトシくんは対害獣用の道具です。ググれば多分でてきます。
あと俺は犬ハサ好きですよー、ああいうアホっぽいやつwww
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/10/20(月) 23:10:27.65 ID:VlfB1aHQo
質問なのだが、この2003年の夏に存在しているはずの男自身はどうなっているんだろうか?
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/10/20(月) 23:25:20.16 ID:y7Ohw6ixo
二週間空くとすっかり忘れてるから読み直さねばな……

乙です
229 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/10/21(火) 22:36:13.95 ID:wS7XLLb30
男「おいしょっと」ゴト

幼「これで全部ですね〜」

男「あぁ、ケース5つ分か。まぁまぁ採れたな」

狐娘「やっと終わった...暑いよー...喉乾いたよー...」

男(帰ったら麦茶あるから我慢しなさい)

狐娘(やだ、ジンジャーエールがいい)

男(んなもんねぇ)

幼「これどうしましょうか?」

男「ばーちゃん呼んで軽トラで運ぶ」

幼「じゃあ呼んできましょうか?」

男「俺が行くからいいよ、お前は休んどけ」

幼「このくらいなら大丈夫ですよ?」

男「だーめーだ、いいから待ってろ。行ってくるから」

狐娘「あたしは?」

男(お前も待機、来られても邪魔)

狐娘「扱いが違うのは分かるけどムカつくわね」イラッ
230 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/10/21(火) 22:37:03.48 ID:wS7XLLb30
男「ばーちゃーん?収穫終わったから軽トラ出して」

ババ「もう終わった?意外と早かったな」

男「まぁ茄子は少ないしね。って何してんの?」

ババ「あぁ、銃の手入れな。結構暴れたから土入っちゃてんだ、ほれ」カチャ

男「...何したら引き金と逆鉤の間に土が入るんだ」

ババ「カッカッカ!まぁ何回か吹っ飛ばされたしな」

男「よく死なねぇな...」

ババ「んなわけだ、鍵渡すからお前やっといてくれ」

男「おい、無免は犯罪だぞ」

ババ「何を今更。それに田舎だから大丈夫」

男「全国の田舎在住の方々に謝れ」

231 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/10/21(火) 22:37:48.02 ID:wS7XLLb30
男「まぁホントは免許持ってるしな」

軽トラに乗り込みキーを回す。
この時代の田舎の軽トラはほとんどMTだ、ギアを一速に入れてハンドブレーキを下げたらアクセルを軽く踏みながらクラッチをゆっくりあげる。発進したらすぐ二速にいれ、畑に続く舗装されていないあぜ道を少し走る。
もともと歩いて5分程の位置にある畑なのですぐ到着した。

幼「あれ?男君が運転ですか?」

男「まーな。箱積み終えたら幼は助席乗れ」

狐娘「あたしは?」

男「荷台にでも乗ってろ。あと荷台では立つなよ」

狐娘「ホント!?あたし荷台乗るの初めて!」

幼「積み終わりましたー」ガチャ バタン

男「おっけ、じゃあ出るぞ」

発進すると荷台から騒がしい声が聞こえた。

狐娘「きゃー!風がきもちー!」

荷台に乗ってる狐娘が興奮して楽しそうに立ち上がっている
立つなっつったろ...あとなんかコイツが楽しそうだと腹立つな。

男「幼、軽く急ブレーキかけていいか?」

幼「?いいですよ?」

キィッ!

狐娘「んがっ!」ゴン!!

幼「!?」


232 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/10/21(火) 22:43:35.15 ID:wS7XLLb30
>>227
この時代の男の身体に10年後の男の精神が乗り移ったと考えていただければいいかと
まぁこの手の話でそこはあまり気にしないでいただけるとありがたい

>>228
ありがとう
がんばって読みなおしてくれ
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/10/21(火) 23:17:25.52 ID:lMHFbOUyo
>>232
なるほど
そう考えて深く気にせず楽しませてもらうことにしよ
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage]:2014/10/21(火) 23:34:42.44 ID:jyhLfP5y0
待ってました!!
235 :</b> ◇P8G.IC5UqUBR<b> [saga]:2014/10/30(木) 02:16:27.88 ID:u7pfZT6j0
男「さてと...後は農協に持ってくだけか」

野菜の選別、洗浄が終わり、後は売るために農協に持っていくだけだ。
流石に自己販売できる程の余裕はない。

幼「そういえばお昼まだでしたね。何か作りましょうか?」

男「そだなー。じゃあちょっと農協行ってくるから適当に作っといて」

幼「分かりました♪」

ーーーー

男「じゃあよろしくお願いします」

農協職員「あいよ!いつもご苦労だね!今年は無事に収穫できそうかな?」

男「そですね。梅雨もちゃんと来ましたし。気候的には大丈夫そうですね」

農協職員「去年は空梅雨の上にマイマイガが大量発生したからな」

男「...あれはホントに堪えました」
236 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/10/30(木) 02:17:12.38 ID:u7pfZT6j0
狐娘「ねぇ、マイマイガって何?」

帰りの軽トラの中で暇つぶしとして連れてきた狐娘が尋ねてきた。
ちなみにトラックの中では普通に声を出して会話している。他に誰もいないしね。

男「まぁ名前の通り蛾の一種だ。成虫は小さいんだが幼虫はデカイしキモい」

狐娘「うっへぇ...そんなのがいっぱいいたの?」

男「いっぱいなんてもんじゃねぇ...10年以上たった今でも思い出すくらいだ」

想像してほしい...ありとあらゆる場所を不気味な毛虫が占拠している光景を...。
農作業中ちょっと休憩しようと鍬や鎌をその辺に置いとくと数分後には2〜3匹くっついてるからね。
しかもそれに気付かないで毛虫ごと握っちゃうなんて事が多発する。

男「しかもマイマイガは広食生、つまりなんでもかんでも食っちまうから余計に質が悪い。
特定の作物に寄るなら対策のしようがあるけど、コイツらほとんどの作物を食い荒らすからな。」

狐娘「最悪ね...でもなんで大量発生したの?」

男「さぁな、大量発生には色んな原因が考えられる。まず大量発生には2つ種類があって、だいたい決められた周期で大量発生を繰り返すのと、もう一つは周期とか全く関係なくいきなり起こる非周期的な大量発生だ。
周期的な大量発生の方はサイクル変動って呼ばれてて大体10年周期で大量発生を繰り返す。もう一つの非周期の方は...そうだな、トノサマバッタの大量発生とかが有名かな」

男「んで大量発生の理由、まぁ要因なんだがまずサイクル変動の方で大きく3つの説がある。非生物的要因説と個体群外部の生物的要因説、それと個体群内部の生物的要因説だ。簡単に言うと非生物説が気候変動とか生息環境の変化によるもの。
個体群外部説が食い物とか天敵とかが原因って考え方で内部説が早い話内輪揉めだ」

狐娘「えらくざっくりしてるわね」

男「これ以上詳しく考えたらキリがねーんだよ。言っとくが野ネズミの個体群変化だけで22項目の要因があげられてんだぞ、しかもほとんど仮説。それにサイクル変動の要因は1つの項目で処理しきれるものじゃなくていくつかの要因が複雑に絡み合って発生するもんなんだよ」
237 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/10/30(木) 02:17:55.60 ID:u7pfZT6j0
狐娘「はいはい。んで、もう一個の方は?」

男「お前聞く気ねぇだろ...まぁいい、非周期的な大量発生ってのも色々原因が考えられる、まぁ昆虫の大量発生の多くは気象要因が深く関わってるらしいが。トノサマバッタの群生相って聞いたことねぇか?」

狐娘「あるわけないじゃないそんなの...ってゆーかさ、そんなに大量発生繰り返してたらそのうちその生き物で溢れかえるんじゃないの?どうして大丈夫なの?」

男「まぁそうだな。大量発生の要因の一つとして捕食者の減少、またはその捕食者以上に繁殖するってのがあるぐらいだからどんだけ捕食されてもなかなか減らないし増え続けるよな」

狐娘「でしょ?それってもうネズミ算式に増えていくわよね?」

男「それがそうでもないんだよなぁ...」

狐娘「?なんで?」

男「たとえばマイマイガ。去年は死ぬほど大量発生したけど今年は通常どおりの量だったはず。10年前だから詳しく覚えてねぇけどな」

狐娘「じゃあ去年生まれた蛾はどこ行ったの?」

男「死んだ」

狐娘「...は?」

男「大量発生を起こした生物は最終的に大量に死滅した後にもとの数に戻る。まぁこの大量死の原因も色々あんだけど、一番有力なのが病気だな」

狐娘「病気?」

男「そうだ。例えば病院とか学校ってたまに集団感染っての起こすだろ?インフルエンザなんかだとあっという間に蔓延して学級閉鎖になったりするな。なんでだと思う?」

狐娘「そりゃ子供がいっぱい集まってるし...あ」

男「そういうことだ。大量発生とはつまり過密化するという事。そんな状態で一匹でもウイルスに感染したら爆発的に広がるわけだ。だから一気に大量死滅を起こす。
マイマイガの場合だとバキュロウイルスだな。こいつに感染した幼虫は葉っぱの上に留まりながらドロドロになって死ぬ。そのドロドロがついた葉っぱを食べたマイマイガもウイルスに感染してっていうローテーションで爆発的に蔓延、大量死って感じだな」

狐娘「あのドロドロに触ると死ぬぞぉ!!」

男「水の中に逃げてもドロドロは遅くなんねぇぞ」

狐娘「首をお返しします!鎮まり給えー!!」

男「なに?お前右手でも呪われてんの?ってか飽きたからってネタに走んな」
238 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/10/30(木) 02:21:35.36 ID:u7pfZT6j0

今年のマイマイガ大量発生はホントに堪えました。
6月に実習で森に居たんですけどそこら中にうようよしてました。
慣れればデコピンで吹っ飛ばせるようになりますけど。
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/01(土) 13:15:53.95 ID:swBcLVCqO
おつん
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/11/09(日) 11:09:00.97 ID:zp2D+tHtO
面白いな、頑張れ
241 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/11/19(水) 00:25:23.73 ID:EQ9cjah50
男「ただいまー」

幼「男君おかえりなさい♪」

男「あれ?ばーちゃんは?」

幼「電話受けた後どこか行ってしまいました。すぐ戻ってくるとは言ってたんですけど...」

男「そっか、じゃあ先に飯食っちまうか」

猟銃もないし恐らく害獣駆除関係で呼ばれたんだろ。
基本的に今は猟期じゃないから狩猟は行えないけど害獣駆除の依頼が役所や地方団体からバンバン入ってくる。
ばーちゃんは顔も広いし腕もいいからねー。

狐娘「そういえば今日はあの二人来ないのね」

男(さすがに昨日は疲れたんだろ)

太鼓を本気で叩くと手に大量の血豆が出来てホント辛い。
長い年やってると皮膚が硬くなるしテーピング巻くから少しはマシだけどそれでも人差し指の付け根辺りはズル剥ける。

242 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/11/19(水) 00:26:32.95 ID:EQ9cjah50
男「...知ってる天井だ」

昼飯を食った後知らないうちに二人とも寝落ちしてしまったようだ。
目を覚ますと隣には未だ夢から戻ってこない幼の姿がある。

幼「スゥ...スゥ...」

男「すげー気持ちよさそうに寝てんな」

まぁ無理も無いだろ。午前中は農作業をしてたわけだ、いくら慣れているとはいえ夏の農作業は体にくる。

男「...ふぅ」

畳の上で大の字になりながら大きく息を吐く。別に賢者タイムと言う訳ではないぞ。
肌からじんわりと汗が染み出し少し服が湿っている。それは隣にいる幼にも当てはまることだ。
ただ寝苦しさは全く無いようでむしろとても気持ちよさそうだ。
全開に開けた欄間窓(縁側に続く大きい窓)から風が入り込み、吊るしてある風鈴にじゃれつく。
都会の夏はアスファルトの反射やビルの照りつけ、室外機の熱で纏わりつくような暑さだが、ここの夏はホントに清々しい。

男「でもさすがに喉が渇いたな...暑ぃよ...」

台所に行くといつの間にか帰ってきていたばーちゃんが夕飯の準備をしていた。

ババ「あらおはよう」

男「おう、てかお帰り」

ババ「ただいまー。いま夕飯作ってるからもう少し待ってな」

男「別にゆっくりでいいからな。麦茶もらうわ」

ババ「古いのから飲んじゃってね。さっき新しいの作ったから」

男「ほーい」

冷蔵庫を開けると茶色い液体が入った容器が3つあった。
新しい麦茶と減っている古い麦茶、もう一つは...またアレかな?


243 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/11/19(水) 00:27:40.96 ID:EQ9cjah50
男「ほら起きろー」ツンツン

幼「...ん...ふぇ?」

男「ほら起きろ。もう夕方だぞ」

幼「...あれぇ〜...なんで〜?」

目元をゴシゴシ擦りながら起き上がる幼。
...なんでと来ましたか。これは時間の概念を教えればいいのか?しらねぇよんなもん。

男「ほれ、いいから麦茶飲め」

幼「ふぁ〜い」ゴクゴク

狐娘「ふぁ〜...おはよー」トテトテ

お前も寝てたのかよ。

幼母「よーっす、ばーさんいるかー?」

男「今飯作ってるよ。ってか玄関から入ってこいよ」

幼母「はぁ?何言ってんのおまえ?」

男「あるぇ?俺が間違ってんのぉ?」

幼「あ、お母さん。おかえりなさい」

幼母「ただいま幼ちゃん。今日はこのままこっちでご飯食べるよー」

男「え?そうなの?まぁいいけどなんで?」

幼母「さっき役所にばーさんが来てな、良い肉が入ったからごちそうするってよ」

男「あぁ、そういう事だったのね」

幼「何肉ですかね〜、鹿肉だといいですね〜」

この年頃の子が鹿肉とか平気で言っちゃうのはどうなんだろう...

ババ「幼母ー!来てるならちと手伝えー!」

幼母「へいへいっと、今いきますよー」
244 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/11/19(水) 00:28:39.42 ID:EQ9cjah50
狐娘「男、あたしに麦茶は?」

男(勝手に取ってこいよ)

狐娘「ったく...分かりましたよーだケチ」トテトテ

狐娘が麦茶を取りに台所へむかう。

幼「ねぇ男君」

男「ん?どした?」

幼「明日は何して遊びますか?♪」

そう言って無垢な微笑みを見せる楽しげな幼。
夕日は傾きながらもこの町を赤く照らし、蝉達はまだまだ残業を続けるようだ...マジ社畜。
力強く鳴くアブラゼミとミンミンゼミがまだまだ夏は始まったばかりだと教えてくれる。
この調子だと夜まで鳴いてそうだな。

男「そうだな...」

明日も天気は良さそうだな...
なぁ知ってるか?夜に蝉が鳴くと次の日晴れるらしいぜ?
山にだって川にだって海にだってどこへでも行けるしなんでもできる。
明日も明後日も、その先もずっと...幼と、幼達と一緒に...もう一度...

そんな少し特別な夏の幕開け...

さて、明日はなにをしようかな?



狐娘「ブゥゥゥゥッッ!!!っぺ!なんじゃごりゃ!!」

男「お前...麺つゆ好きだな」
245 : ◆P8G.IC5UqUBR [saga]:2014/11/19(水) 00:36:15.68 ID:EQ9cjah50

お久しぶりです。ちょっと実習で山に籠もってたので更新が遅れてしまいました。すんまそん。
お知らせとして次回からちょっと書き方をかえます。
今までのは一応プロローグや序章みたいな感じなのでストーリー進行をしていましたが、
次回からは短編形式とさせていただき、短編を重ねながら物語が進行する感じになります。
まぁ見てくれればどういう事か分かると思うのでこれからもよろしくお願いします。
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