幼馴染「10年後の8月に・・・」

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568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/10(土) 08:56:21.27 ID:LVkcE5vco
スレ立て10年後の8月に完結させるんだろ
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/09/21(水) 02:26:46.33 ID:Nlhud2DK0
10年後の完結までついていきます!
570 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/09/21(水) 21:38:06.59 ID:CcyObxn5O
男「ここも懐かしいな」

幼「そうですか?確かに去年振りではありますが」

俺にとっちゃ10年振りなんだよ。
幼がいなくなってからめっきり外遊びもしなくなったからなぁ...

男「もうすぐで日の入りだが、さすがにまだ蛍はいないか」

幼「まだほたるんいないのん?」

それはほたるじゃなくてれんげだ。
ってかなんで知ってるの?知らないよね?
571 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/09/21(水) 21:38:34.62 ID:CcyObxn5O
男「おぉーギンヤンマだ、綺麗だな」

幼「めっちゃ早いですね」

超低空飛行からの急上昇、急降下を繰り返すギンヤンマ。
こう見てると緑色の体色と相まって零戦みたいだ...っつーか烈風?
秋月型呼んでこないと捕まえられなさそう。

そういえばクレー射撃してたときに、構えた瞬間トンボが照星に留まってどうすればいいか分かんなくなった時あったな...ちょーかわいかった。
572 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/09/21(水) 21:39:02.89 ID:CcyObxn5O
辺りが段々と薄暗くなっていき、林の中はほぼ暗くなってしまった薄明時。
セミも鳴き止み、風が優しく池面を撫でていく。

幼「あ!あの光ってるのホタルじゃないですか!?」

目を凝らすとうっすらと見える緑色の優しい光。
よく見ていないと見失ってしまいそうな弱い光だった。

幼「...なんだか弱々しいですね。一匹しかいませんし」

確かに今は一匹しか光っていない...でも...

男「まぁ見てろって、すぐに待ち望んだ景色が見られるから」

幼「ホントですか....ぁ」
573 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/09/21(水) 21:39:29.98 ID:CcyObxn5O
生物界において、ある一匹の個体が動き出すとそれにつられて他の個体も同じように動き出す現象が度々みられる。
経験したことはないだろうか?スマホに夢中になり、気が付いたら空がうっすらと青くなりかけた頃。
一匹の朝を告げる囀り、それに続けと一斉に鳴き出す小鳥達を。
感じた事はないだろうか?いつの間にか一斉に鳴き出し、いつの間にかひっそり息を潜めるセミの爆音を。

それらを生物学では“同期現象”と呼ぶ。

最初は見落としてしまいそうな一匹の雫が、気が付けばすべてを飲み込む海流になって押し寄せてくるのだ。
574 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/09/21(水) 21:40:27.68 ID:CcyObxn5O
男「ほらな、こんな風に」

幼「....!!」

目を開けば視界いっぱいに翠色が広がる。
何百ものホタルがお互いを照らし、自分の命を燃やしているのである。

幼「すごい...綺麗...」

男「こんだけすごいのは初めて見たな」

池面いっぱいに広がったホタルが、二人を包み込む。
575 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/09/21(水) 21:41:16.18 ID:CcyObxn5O
幼「男君!ホタルが指先に留まりました!」

男「おー綺麗だな。どれ、俺も...」

手を差し出すと一匹のホタルが指に寄ってきた。
そしてそのまま....

幼「おー、私と同じ場所に留まってますねー」

男「おいおい...左手の薬指とか...」

なにこれめっちゃ恥ずかしい...
二人して左手の薬指で光ってるとかまるで...

幼「ホタルってよく見るとかわいくないですね。光ってなかったら害虫ですよー」

男「....」ワシャワシャ

幼「わーわー!なにするんですか!髪が乱れちゃいますよー」

男「いや....なんか幼が幼で安心した。」

このやろう...俺のなけなしの思い出を返せ...
576 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/09/21(水) 21:42:11.85 ID:CcyObxn5O
男「じゃあ遅くなってもあれだからそろそろ帰るか」

幼「そうですね。あ、男君!」

男「んぁ?」

振り替えると翠色に囲まれた幼が微笑んでいた。

幼「また来年も...二人で来ましょうね♪」ニコッ

男「...覚えてたらな」

幼「もー、そういうこと言っちゃダメなんですよ?」

男「いやいや、お前には言われたくないわ」

真っ暗な林道を二人で歩く。

なぜか懐中電灯つける気にはならなかった。
577 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/09/21(水) 21:43:00.18 ID:CcyObxn5O
〜幼家にて〜

男「ただいまー」

幼母「おう、お帰り。飯できてんぞ」

幼「わー、カレーのいい匂いです!」

幼母「今日は夏野菜カレーだよ」

幼「美味しそうです!」

男「おー、このナスめっちゃうまそうじゃん」

幼母「それお前のとこの畑から採れたナスだぞ」

男「秋ナスは嫁に食わすな、なんて言いますもんねぇ」

幼母「夏野菜だっつってんだろ!!」
578 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/09/21(水) 21:45:36.48 ID:CcyObxn5O
あと7年がんばるかぁ...
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/22(木) 09:33:25.04 ID:3z08/0uJO
おうまた明日な
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/24(土) 08:59:32.77 ID:bjKh1vINo
孫の代まで書かないとな
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/24(土) 20:47:48.27 ID:YIlw1xlwo
582 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 21:27:48.89 ID:oLDvjsZQo
ーーーー

男「....ふぁ」ガラガラ

ババ「おはよう」

男「おはよー。あれ?今日は山じゃないの?」

ババ「猟友会のじーさま方も疲れてるんだぃ。そんなしょっちゅう行けないよ」

男「あー...体力的な問題ね。そういえば師範は最近撃ってんの?」

ババ「なんか仕事が忙しいらしくて最近は来てないねぁ」

男「そっか」ピンポーン

ババ「こんな朝早くに誰だい?悪いけど見てきてくれ」

男「ほいほーい」
583 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 21:28:38.01 ID:oLDvjsZQo
男「どちらさまっ...なんだ噂をすればってやつか」

師範「ガハハ!よぅ男!相変わらずしんく臭い顔しやがって!」

朝っぱらから暑そうな人がやってきた。
なんで朝からそんな元気なんだよ。

男「辛気臭いな。なんだよシンク臭いって、水垢凄そう...ん?獣の匂い?」

一瞬いろはかと思ったが、当の彼女は俺の部屋の押し入れの中で爆睡している。昨日帰ってきたのを確認してないので、夜中にひっそり帰ってきたのだろう。

師範「いやぁよ、最近俺の杉林にイノシシの痕跡があってな。放っておいてもよかったんだがそのうち村に降りてくると思って、箱ワナ仕掛けておいたんだ。んで朝見てみたらこうなってたって訳よ」

師範が乗り込んできたユニック付き2tトラックの荷台を見ると、恐らく体重70kg前後の立派な雄イノシシが箱ワナにかかっていた。
584 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 21:29:31.50 ID:oLDvjsZQo
男「おー立派だな。んで?なんでうちに生きたまま持ってきたんですか?師範は銃持ってるでしょ?」

師範「それがよぉ、最近許可捕獲行ってなかったから弾買ってねぇんだよなぁ」

男「なるへそ...譲り受け帳の弾数越えたんですか?」

師範「いや、300発で申請してるからそれは大丈夫だ。射撃用の弾は余ってるんだけどなぁ」

男「いや、スラッグじゃないとダメでしょう。そもそも射撃用で申請した弾で獣撃ったら、目的外使用でアウトですよ?」

日本では弾を買うのにも警察からの許可がいる。
この目的のために一年で実包をどれだけ買うという申請書を、使用予定表と一緒に提出しなければならない。しかも有料で。さらにこの申請は各目的毎に必要になるので、射撃と狩猟と許可捕獲をする場合には、三種類の申請書を警察に提出する必要がある。なので当然、狩猟のために買った弾を、許可捕獲で使用するといった事は禁止されているのである。
585 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 21:30:22.43 ID:oLDvjsZQo
師範「ってなわけで、ばーさんに頼もうと思ってな」

男「おk。じゃあばーさんに呼んでくるわ」

居間に戻ろうとすると二階からちょうどいろはが降りてきた。

いろは「おはふぁ〜はぅむにゅ」

男「なんて言ってんのか全然分からんがおはよう」

いろは「...あさからなんかさわがしぃよぉ...ふぁ」

男「あー色々あってな。とりあえずコーヒー飲むか?」

いろは「...のみゅ」

ほんと寝起きだけはかわいいのなこいつ。
586 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 21:30:52.84 ID:oLDvjsZQo
男「ばーちゃん、師範が止め刺ししてほしいってさ」カチャカチャ

ババ「あれ?なんであいつ自分でやらないんだぃ?」

男「弾がねーだとさ」コポポ...

ババ「なるほどねぇ。ついでに電殺器の作り方教えてやるか。じゃあちっと見てくるよ」ヨッコイセ 

男「いってら」カチャカチャ

いろは「...すぴー」

男「ほら起きろいろは。濃いめのアイスコーヒー入れたぞ」

いろは「んぅ...飲ませて...」

男「おうこら金取るぞ」
587 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 22:44:00.14 ID:oLDvjsZQo
男「んで?昨日はどこ行ってたんだ?」

いろは「この前の事をちょっと色々確認したくてね。クソ神への報告のついでに市役所行ってたのよ」

濃いめのコーヒーを飲んで目を覚ましたいろはは、服の裾で目元をごしごしと擦りながら言った。
っていうかなんで俺の服勝手に着てんだよ。お前神様の承諾がないと服脱げないんじゃ...あ、勝手に承諾してたのね。おい、いい加減目を擦るな。おへそ見えちゃってるでしょーが。

男「へー?あれ?でもお前他の人から見えないのに市役所行ってどうすんの?」

いろは「あたしが行ったのは人外用の市役所。
あんた達人間が作った市役所をカモフラージュにしてね。同じ場所でもそこだけは天界になってるのよ」

なるほど。2礼2拍手すれば入れんのかな。なにそれ素敵な喫茶店が出てきそう。んでキツネがワンって鳴きそう。
588 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 22:44:53.12 ID:oLDvjsZQo
いろは「それで色々調べてもらったんだけど....この前あんたが襲われたのってカラスだったでしょ?」

男「いや、多分そうなだけで確信はねぇ。でも十中八九そうだと思う」

いろは「普通のカラスはあんなスピードで逃げれないし、スピード狂の鳥が集まる公園に行ってみたんだけど...そんな早いカラスは見た事ないし、いたら撃墜するって言ってた」

男「なにその公園、すげぇ怖い」

いろは「鳥界の大黒PAって呼ばれてるわ」

男「湾岸にはちと遠いがな」

いろは「んで、調べた結論から言うと...少し厄介な奴が紛れ込んでるみたいね」

男「...それはもしかしなくても死の神関連か?」

いろは「ご名答。彼女の使獣...八咫烏よ」
589 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 22:45:29.64 ID:oLDvjsZQo
いろは「まぁぶっちゃけ誰だっていいのよ。つまりは彼女が本気を出して来たってこと」

男「なんで...なんで幼馴染にそこまで執着するんだ...」

いろは「...分からないわ。でもね、神様ってのはいつだって気紛れなのよ。それこそあなたを10年後から引っ張り出してくるうちのアホ上司のように」

男「...」

いろは「何を考えてるか知らないけど、あなたの願う事、するべき事は何も変わっていないのよ?ただ周りが少し小うるさくなっただけ」

いろは「過去は悔やんだ、未来も願った。じゃあ現在はどうするのかしら?」

そう言い放った彼女は、とても美しく、まさしく神獣であった。
590 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 22:46:27.15 ID:oLDvjsZQo
男「...いろは」

いろは「カラスだがガラムだか知らないけど、あたしがフィルターまで吸って灰皿にポイしてやるわ。だからあんたは幼ちゃんだけを守ってればいいの。

あんたの事は、あたしが守ってあげる」

ははっ、そりゃガラムならそうしてやらんとな。

本当にこいつは...普段は食っちゃ寝ばっかしてるくせに...

男「いろは」

いろは「ん?」

男「...さんきゅ」

いろは「...いいえ〜、お仕事なので♪」

そう言った口元には優しい微笑みが浮かんでいる。
頬が少し赤いのは気のせいではないだろう。

ホント、寝起き以外は可愛くない奴め!!
591 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 22:47:09.86 ID:oLDvjsZQo
久し振りに本気出した
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 12:07:29.90 ID:38xVrIzo0
支援
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/29(土) 01:32:30.56 ID:Vlbm5n/A0
本気と書いてマジ
マジ出した←何を?
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 10:27:10.88 ID:HWcTRHxU0
まだかなー
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/23(水) 01:45:34.50 ID:E7CLuktbo
支援
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/27(日) 16:35:34.81 ID:MQPc6Och0
支援
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/05(月) 21:25:17.60 ID:qXONbYFQ0
@@@@
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/05(月) 23:31:07.77 ID:GG40NbvH0
支援
599 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/11(日) 01:23:14.35 ID:wi4eF1Yv0
ーーーー男の家

友「焼肉食いてぇな」

男「...」

幼友「...」

幼「ッ!?」

友「...焼肉食いてぇなぁ!?」

男「いや聞こえてるから。なんなのいきなり」

友「あれ?以外と反応が薄い感じ?」

幼友「どっちかっていうと餃子の気分だったし」

男「そういう問題かよ」

幼「...ふっ、しょうがないですね」スクッ

男「お前は一回座れ。なにやれやれみたいな雰囲気だしてんだよ。めっちゃ笑顔じゃん」
600 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/11(日) 01:23:54.85 ID:wi4eF1Yv0
友「なんかさ最近食ってねぇなーって思ってさ。折角だしバーベキューみたいな感じでやらね!?」

男「いや...やんのはいいんだけど、いつやんの?」

友「今から」

男「...道具は?」

友「ない」

男「...食材は?」

友「ない」

男「...どうすんの?」

友「どうにかしろ」

男「」イラッ
601 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/11(日) 01:24:28.78 ID:wi4eF1Yv0
友「いででででで!!?うそうそッ!ごめんって!!」メキメキメキィ

男「幼、ちょっとそこの剣鉈取ってくれ。こいつ解体して肉にしようぜ」

幼「...」スッ

幼友「ちょっと待ちなさい。なにホントに渡そうとしてんのよ」ガシッ

幼「いえ、この際友君の肉でも良いかなと思いまして」

幼友「何もよくないでしょ...」

いろは(うるさくて起きちゃったけど...この状況なに)
602 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/11(日) 01:24:57.38 ID:wi4eF1Yv0
友「はぁ...死ぬかと思った」

男「おう、殺す気だったからな」

友「おっと顔がマジだぞこいつ。近々俺が死んでたら男が犯人だからよろしく」

幼友「それで?どうするつもりなの?」

友「多分道具は師範に言えゃ貸してくれるだろ。問題は食材だが」

男「まぁ野菜は出してやる。肉も獣肉でよければやるよ」

友「問題が解消した瞬間である」
603 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/11(日) 01:25:26.35 ID:wi4eF1Yv0
幼「どうせならいろはちゃんも連れて河原でやって、釣った魚とかも食べたいですね」

幼友「あーそれいいかも!あそこの川だったらヤマメとかいたもんね!」

男「だってよ友。釣れよ」

友「いいけど...お前のほうが適任じゃね?」

男「俺は釣りが苦手なんだよ」

友「そういえばお前が釣りしてるところあんまり見たことねぇな」

幼「男君は待てができない子なので釣りにむかないのです」

幼友「たしかに、言えてるわね」

男「動く釣り方も沢山あるんだが...どうもな」

幼友「その点友は結構釣りしてるもんね?」

友「師範がよく連れていってくれたからな。まぁ魚は俺ががんばるか」
604 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/11(日) 01:27:21.03 ID:wi4eF1Yv0
>>592->>598
支援感謝
遅くなってすまん
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/11(日) 02:09:21.87 ID:QIDNIq9e0
支援
606 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/25(日) 21:15:27.25 ID:1oy2bfVT0
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男「....」ボー

あれからなんやかんやで準備を進め、必要最低限の荷物だけを持って河原にやってきた。
河原といっても渓流なので、山間の少し開けた場所でやることに。

男「...なんかあれだな、こう揺れる水面を見てるだけで心が洗われるな」

いろは「そうねぇ...なんだか洗濯機みたいだものね」

男「確かにそうだけど...その例えはどうなのよ」

いろは「だってそこそこ流れ早いじゃないここ」

男「そりゃ渓流だからなぁ...幸い治水工事が全然入ってないから上流に砂防ダムも無いし、護岸されてないから植生も豊富だ」

いろは「たまにチラッと魚が見えるわね...イワナ?」

男「どうだろう...ここまで下がってきたらいるかもしれんが。多分ヤマメかアマゴじゃねぇの?」

いろは「へぇ...とりあえずそれだけ魚はいるのね」

チラッといろはが釣りを担当している友と幼友に視線を送る。
ここから見ている限りでは、釣果はあまり芳しくないようだ。
607 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/25(日) 21:15:57.06 ID:1oy2bfVT0
男「...まぁ許してやれ、養殖と違って天然は釣りにくいらしいから」

いろは「そういうものなの?」

男「俺自身釣りはあんまりしないから分からんけど、そういう話はよく聞く」

いろは「でも同じ魚なんでしょ?そこまで違うのもの?」

男「やっぱ飼育下の魚と天然じゃ警戒心が違うんじゃねぇの?」

ひょいと小石を水面に落としてみると、ふらふらと泳いでいた魚が一瞬で岩陰に隠れた。

608 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/25(日) 21:16:34.29 ID:1oy2bfVT0
幼「薪割り終わりましたよ〜っと、何かしゃべってました?」テトテト

男「あー、ついいろはに喋り掛けちまってな」ナデナデ

いろは「コーン」モフモフ

幼「わはー、なんだか渓流とキツネって合いますねぇ♪」

男「ところで釣班の方はどうだ?」

幼「あまりよくないみたいですねぇ。一応2匹は釣れたみたいですけど」

男「この時間から始めて二匹釣れれば上々だろ。俺は火の準備をしてくるから釣班を呼んできてくれ」

幼「りょーかいです」ビシッ テトテト

男「さて...火口はカラマツの落ち葉でいいとして...細枝が少ねぇな。いろは、ちょっとその辺から拾ってきてくれ」

いろは「いいけど...あの三人はどうするの?」

男「あの3人はまだ川でもみくちゃしてるから平気だろ。戻ってきたら適当に言っとくし」

いろは「じゃあ拾ってくるから。少し待ってなさい」
609 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/25(日) 21:17:05.21 ID:1oy2bfVT0
友「結局粘って3匹しか釣れなかったな...」

幼友「私なんて一匹も釣れてないわよ...」

幼「お二人ともお疲れさまです♪」

男「おー、おかえりさん。どうだった?」

友「全然だよ...ほれ」

男「そうか...もっと手っ取り早く捕まえる方法があったんだけどな」

幼友「なにそれ?そんな方法あるなら早く教えなさいよ」

男「まずバイク用のバッテリーを用意します」

友「おいこらその先は言わせんぞ」

男「なんでだよ。一発で大漁だろ」

友「一発で逮捕なんだよなぁ!?」
610 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/25(日) 21:17:31.37 ID:1oy2bfVT0
幼「そういえばいろはちゃんはどうしたんですか?」

男「んー?そろそろ戻ってくるとガサッ お、戻ってきた...か?」

友「おっと...これは野生の血が目覚めちゃったかな?」

幼友「なんかこう...すごいわね」

おいおい、俺は小枝を拾ってこっつったよな。
それがどうなったらこう...

幼「カラスって食べられるんですかね?」ジュルリ

いろは「...」フガフガ

カラス「」ピャー
611 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/26(月) 00:21:33.30 ID:ymsSpvG60
男(...えー男よりいろはへ、現状を報告せよ)

いろは(フゴ...フゴフゴグェ)

男(なんで頭で会話してんのに口が詰まった感じになってんだよ...いいからはよ)

いろは(ング...拾った)

男(拾ったって...カラス拾うってお前...よく考えたらたまにあるな)

いろは(あるんだ...)

男(んで?どうすんのそれ?一応カラスも食えるけど...)

いろは(いやいや、こいつ足三本ある)

男(足三本って珍しい奇形だ...)

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いろは『あんたが襲われたのってカラスでしょ?』

男『それはもしかしなくても死の神関係か?』

いろは『彼女の使獣...八咫烏よ』

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男「あぁぁぁぁあぁぁぁぁ!?」
612 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/26(月) 00:22:10.15 ID:ymsSpvG60
幼「ふぇ!?」

友「うぉいびっくりした、何でお前が一番驚いてんの?」

男「す...すまん、ちょっと気が動転して」

幼友「それで?あのカラスまだ生きてるけどどうするの?飼い主さん?」

男「あ、あーそうだなー。まったく一体どこで拾ってきたんだー。森に返してあげないとなー(棒)」

男「というわけで!俺はいろはと一緒にカラスを返してくるから!先にお肉食べて待ってて!」ダッ

友「お、おい...行っちゃったよ」

幼友「なんかすごい怪しかったけど...どうする?」

幼「どうでもいいのでお肉焼きましょう。お腹が空きました」

友「お、おう...それでいいのか幼馴染...」
613 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/26(月) 00:22:40.31 ID:ymsSpvG60
男「ゼェ...ゼェ...この辺でいいか。それで、詳しく話してくれ」

いろは「詳しくも何も、枝拾ってたらこのカラスが呑気に寝てるのを見つけたから、拉致ってきたのよ」

男「なるほど...いや何も分かってないけどさ。とりあえず絵面がアニマルプラネットだから人型に戻ってくれ」

いろは「はいはーい...と、これでいい?」ボンッ

男「...コスプレした女の子がカラスの首を鷲掴みにしているシュールな光景になったでござる」

いろは「あんたも同じようにしてあげましょうか?」イラッ

614 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/26(月) 00:23:29.87 ID:ymsSpvG60

男「それで?そいつは本当にあの八咫烏なのか?ってか生きてるのかコイツ?」

いろは「気絶してるだけよ。そもそも押さえつけて羽交い締めにしただけだし。というより最初から弱ってたわ」

男「弱ってたねぇ...こいつは人型にはなれないのか?」

いろは「使獣だし勿論なれるわよ。する?」

男「え?できんの?」

いろは「ちょっと待ってなさい」

いろはが気絶しているカラスに手を当てる。
優しい光がカラスを包み込んだ瞬間、大きくなった体がドサッと地面に落ちた。
615 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/26(月) 00:24:13.52 ID:ymsSpvG60
男「うわマジだ...」

現れたのは黒い作務衣のような服に、地下足袋を履いた黒いショートカットの女の子であった。
一つ普通の人と違う点は、その背中に伸びているカラスの羽だ。

彼女は気絶している上に、人化の衝撃で少し服が乱れている。
っつーかこれ完全に...

いろは「おぉーっと!野生のポリスメンがっ!!」

男「てめぇ通報はやめろやぁ!!つか、おまえがやったんだろ!」

いろは「ヤッたとか...ごめんなさい、私ノーマルなんです」

男「知らねぇし、いらねぇよその情報...誰得だよ」

いろは「そっか、男はあれだもんね。うんうん良いと思うよ。あたしは気にしないからさ。友君と仲良くね」

男「ホモじゃねぇし。てめぇこの野郎犯すぞ」

いろは「野郎犯すだなんて...やっぱり!!」

男「だーっ!もういいんだよこの話は!!とりあえずこの子の服装の乱れを何とかしてくれ」

八咫烏「...目が覚めたらなんかやべぇやつに囲まれてるッス。貞操の危機ッス」


616 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/26(月) 00:26:14.14 ID:ymsSpvG6o
今日はもう寝る
クリスマス暇だから頑張った(白目
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/26(月) 01:38:47.56 ID:5P4PWBQb0
久しぶりの更新ありがとう。
見てるからこれからも頑張って!
618 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/26(月) 21:03:26.30 ID:ymsSpvG60
男「お、目ぇ覚ましたか」

いろは「とりあえずあんたには色々聞きたいことがあるんだけど」

八咫烏「え?え?なんで人型になってるッスか?どうなってるんスか?っていうかあんたは...あ」

男「ドーモ。カラス=サン。男です」

八咫烏「...」ダッ!!

いろは「あ!逃げっ...」

男「...」ヒュン!

ドスッ...パラパラ...

八咫烏「ぴゃー...」ヘタリ...

いろは「鉈って投げても木に刺さるものなのね...もう数センチでグロ画像不可避だったけど」

男「おいおい...そうはしゃぐなよ...」ユラァ...

男「また会えてうれしいぜぇ?」ニッゴリ

八咫烏(あー、ここでウチ死ぬんスね)
619 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/26(月) 21:04:14.76 ID:ymsSpvG60
----

八咫烏「あのー、ほどいてもらえないッスかね?」

いろは「あんたが逃げようとするからいけないんでしょ?...にしても縛るの上手ね」

男「おう、ロープワークは得意分野だ」

いろは「それにしたって、もう少しまともな結び方は無かったの?女の子相手にガチで縛るって...色気も何もないわね」

男「相手は使獣だし念には念をな。ってか色気のある縛りってなんだよ。亀甲縛りでもやれってか?」

八咫烏「地味に関節が痛いんスけど...はっ!?さてはこのまま性的に乱暴するんスね!?エロ同人みたいに!!」

男「おっと、何騒ぎだしてんだこのアホは」

八咫烏「でも無駄っすよ!何をされたところでウチは負けないッス!!」

いろは「ぐへへ、口ではそう言ってもこっちのお口はどうかなぁ?」

八咫烏「こんな屈辱を味わうなんて...くっ...殺せ!」

いろは「ほぅら?ここか?ここがええのんか?」

八咫烏「悔しい!でも感じちゃう」

男「...おまえら実は仲良いだろ」
620 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/26(月) 21:04:56.72 ID:ymsSpvG60
八咫烏「とまぁ冗談はここまでにするッス」

男「お前が仕切るのかよ」

いろは「男、やっぱ亀甲縛りにしましょう。味気ないわ」

男「お前はちゃんと仕切れよ」

八咫烏「ぶっちゃけもう体力的にも限界なんで、逃げるのは諦めてるッス。こんなトコで脳漿炸裂ガールにはなりたくないッスし」

男「...こんなことお前に聞くのもあれだが、なんでそんな疲弊してるんだ?」

八咫烏「あー、ウチもよく分かってないんスけど、普通に飛んでたらいきなり猛禽類達に襲われたッス」

男(絶対大黒PAの皆さんだ...)

八咫烏「あいつら本気で撃墜しようとしてたッス...木の葉落としとか初めて見たッス...」

男「零戦かよ...」


621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/27(火) 23:41:49.04 ID:BpeSvBjp0
待ってました!
622 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/29(木) 00:48:07.02 ID:0czZ6klc0
八咫烏「それで、ウチは何を話せばいいッスか?」

男「なんだよ、やけに素直じゃねぇか」

八咫烏「今のウチじゃ二人から逃げれそうにないッスからね。別に隠すことも無いッスし」

男「じゃあ...とりあえずお前は誰だ?なんで俺を殺そうとする?どうすれば俺達は助かる?」

八咫烏「とりあえずって言ったくせにガッツリ聞くんスね。まぁいいッスけど」

八咫烏「ウチは八咫烏。死神の使獣、黄泉への案内係ッス。男様を殺す理由ッスけど...仕事?ッスから?」

男「なんでクエスチョンなんだよ。つーか、なぜに様付け?」

八咫烏「ウチは使獣で男様は姉御のお気に入りッスから。当然ッスよ」

男「おい、コイツの方がしっかりしてんだけどどゆこと?」

いろは「八咫烏は情報通でもあるくらい勤勉よ。あんたなんか足下にも及ばないわ」

男「てめぇがしっかりしろって揶揄してんだよアホ」

八咫烏「...お腹が空いたんでとっとと終わらせたいんスけど...」

623 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/29(木) 00:48:47.52 ID:0czZ6klc0
八咫烏「なんでか知らないッスけど、姉御は男様にえらく執着してるんスよね。だから幼馴染様を殺して男様も殺したいんスよ」

男「ちょっと待て、なんで俺が執着されると幼が殺されるんだ?無関係じゃねぇか」

八咫烏「そうっすねぇ...男様、人間は死ぬとどうなると思うッスか?」

男「あ?...どうだろうな、考えたことねぇけど」

いろは「幸福感や達成感、満足感を持って死んだ人間は天界へ...絶望や恐怖みたいな負の感情を多く持って死んだ人間は死神に召集される」

八咫烏「さすが神の使獣ッスね、その通りッス。ウチはその召集係みたいなもんなんスけど...満足した人間はそのままキレイにリセットされて次の生に転生するんスよ。輪廻転生って言うんスかね?
でも負の感情が多い魂が次の生に移ろうとすると、拒絶反応とか色々問題がでるんスよね。まぁ悔いとか未練タラタラッスから、当然っちゃ当然なんスけど。
んで、そういう奴は一回死神...ウチの姉御ッスね、のところに集めて、浄化してあげたり悔いを無くしたりっていうクッションが必要になるんスよ。所謂成仏ってやつッスかね。
だから逆に幸福のまま死ぬと姉御んとこにはいけないんス」

男「だから、それがどう幼の死と俺が殺されるのに関係するんだよ」

八咫烏「あー...もともとの原因は...ウチよりそこのキツネさんに聞いた方が早いんじゃないッスかね?」

いろは「...」
624 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/29(木) 00:49:14.62 ID:0czZ6klc0
男「...なんか知ってるのか...いろは」

いろは「...10年後のあの日、あんたは死ぬ予定だったのよ」

男「...は?」

いろは「...ねぇ男?今のあんたにとって、一番避けたい事ってなに?」

男「そりゃ俺が死ぬことと...幼が死ぬことだ」

いろは「そう、あんたにとっての一番の絶望は幼ちゃんが死ぬこと。10年後のあの日、偶然にも幼ちゃんの事を深く思い出してしまったあなたは...あの後自殺する予定だったの」

男「...」

いろは「たまたま見ていた夏の風景画...写真...そういったものがあなたを絶望に追い立てた」

八咫烏「んで、無事に自殺した男様は晴れて姉御とご対面。男様の魂は永久に姉御の側にっていうハッピーエンドのはずだったんスけどねぇ」

男「...生の神が俺を10年前に飛ばした事でそれが叶わなくなった上に、幼が生き続ける事で俺は死神に会わなくなる可能性がでてきた...と」

八咫烏「理解が早い人は好感持てるッスよ」

いろは「...」ギロッ

八咫烏「じょ、じょーだんッス」
625 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/29(木) 00:49:55.27 ID:0czZ6klc0
男「でもなんでわざわざお前に殺させる?死神ならもっと簡単に殺せるだろ?」

いろは「前に海でも言ったけど、あんたはこの世界にとってのイレギュラーなの。あんたの行動、思想、生死はあんた自身でしか干渉できないわ」

八咫烏「姉御は今の男様には手も足も出せないッスからね。だからウチが呼び出されてるんスよ」

八咫烏「ほっとけば幼馴染様は死ぬ運命、そう知りつつも先に自分が死んでしまえば男様はきっと悔やむッス。だからこの際どっちが先に死んでもいいんスよ。
こうなると邪魔をしてくる男様を先に殺す方がてっとり早いんス」

そう言ってケラケラと笑う八咫烏。
見た目はただの女の子だが...かなり危険だ。
626 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/29(木) 00:51:46.27 ID:0czZ6klc0
...なんでこんな話になってんだ?
これちゃんと収集つくのか俺ぇぇ...
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/29(木) 08:29:57.42 ID:I4f+ZRmy0
>>626
どうしたんだろうね
頑張ってけろ
628 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/29(木) 22:08:44.85 ID:0czZ6klc0
男「それにしても...なんでそこまで俺が狙われにゃいけないんだ」

八咫烏「それはホントに知らないッス。姉御もそれだけは頑なに教えてくれないッスからね」

男「なんか心当たりはねぇのかよ?」

八咫烏「強いて言うなら...愛ッスかね」ドヤァ

男「重いよ...これが愛なら愛なんていらねぇわ」

八咫烏「まぁこうは言ったッスけどね?ウチはあんまり男様をどうこうしようとは思ってないんスよ?」

男「はぁ?」

八咫烏「ウチらは本来死んだ魂を受動的に受け入れるだけ。能動的に殺すなんて事はしないんスよ」

男「じゃあお前としては俺を殺すのには抵抗があると?」

八咫烏「あー、抵抗はないんスけど...正直規定の業務外なんでめんどくさいッス。殺すのも別に得意じゃないッスし」

男「なにこの役所仕事臭」

いろは「神の仕事なんてそんなもんよ。基本的に管轄外はノータッチだから」

八咫烏「大体これって出張手当付くんスかね?完全に職員を私用で使ってるんスけど」

いろは「あたしの場合は時間外業務に含まれるっぽいのよね。貰えるのは本来より全然少ないけど、大事な時以外自由にしていいみたいだし」

八咫烏「あー、やっぱそうなんスか。でもウチ来月厳しそうなんスよね」

男「おーい?なんで上司の愚痴話しになってんの?なんならもう居酒屋行くか?」
629 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/29(木) 22:09:16.10 ID:0czZ6klc0
いろは「それで、こいつはどうするの?」

男「とりあえず野放しにはできないな...いつ殺されるか分からないし。お前の不思議パワーで何とかできないのかよ」

いろは「無理よ、そんな都合のいい術なんてあるわけないじゃない」

男「えー...殺すわけにもいかないし困ったな」

いろは「そう?カラスに戻してあげるから首落としちゃえば?」

男「女の子になってるトコ見ちゃってるからなぁ」

八咫烏「会話の内容がドン引きッスけど...」
630 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/29(木) 22:09:50.69 ID:0czZ6klc0
八咫烏「とりあえずこのままだとヤバそうなんで、抵抗させてもらうッス」プチッ パラパラッ

男「ロープが...そうか、鉈を放置したのは失敗だったな」

八咫烏「申し訳ないッスけど男様、仕事なんで死んで貰うッス」ダッ

いろは「!?...男っ!!」

八咫烏「えいっ!!」ヘナヘナ

男「...?」パシッ チョップ!

八咫烏「ヘブッ!?」バタン

男「...」

いろは「...」

八咫烏「...」シーン

こいつ...めっちゃ弱ぇ...
631 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/29(木) 22:10:28.89 ID:0czZ6klc0
八咫烏「うーん...ん...あれ?」

いろは「あ?やっと目を覚ましたのね?」

八咫烏「あ、おはようございまッス。ところで、なんでウチは膝枕されてるんスか?」

いろは「河原にそのまま寝かせるわけにもいかないから、お前の夢と脂肪がつまった太ももを枕にしてあげろって男がね」

八咫烏「男様がッスか...当の本人はどこにいるんスか?」

いろは「ほら、あそこでバーベキューしてる最中よ。幼ちゃんと友君と幼友ちゃんの4人で」

八咫烏「通りでいい匂いがするッスね...空きっ腹には拷問ッス」

いろは「あとでお肉貰ってきてあげるから我慢しなさい」

八咫烏「...ウチはどうなるんスか?まさかあそこにお肉として並ぶッスか?」

いろは「んなエグい事しないわよ...一つ聞きたいんだけど、男に襲いかかったときって全力?」

八咫烏「あれが精一杯ッスよ。確かに疲労困憊してたッスけど、全力とあんまり変わらないッス」
632 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/29(木) 22:11:00.56 ID:0czZ6klc0
いろは「それでよく襲いかかろうと思ったわね...」

八咫烏「ワンチャンあると思ったんスけどね。でも殺しなんてやったことないッスし、体術もかなり苦手なんスよ。そもそも直接殺せる技術があったら、最初っから瓦なんて落とさないで
直接殺りに行ってるッス」

いろは「そう...なんというか、同情するわ」

八咫烏「だからウチに出来ることはせいぜい事故死を作り上げることっす。これもかなり条件縛りがあってキツイんスけどね」

いろは「そう...じゃあ心配事は杞憂だったのね」

八咫烏「ん?なんスか?」

いろは「まぁあれね...先に謝っておくわ、ごめんね」

八咫烏「え、ちょっと待って下さいッス。なんで謝るんs男(お、起きたのか八咫烏)...へ?」

男(そろそろ肉持ってっていいぞ。ここに皿置いとくからな。あと箸も)

八咫烏「...なんで契約してないのに男様の心の声が聞こえるッスか?」ダラダラダラ

いろは「あははー...あのね?流石に強襲みたいなのが何回も続くと大変だし面倒だから...じゃあ契約しちゃえば意志疎通できるから強襲はできなくなるんじゃない?って言ってしまいまして...」

八咫烏「も...もしかして」

いろは「寝てる間に血を飲ませて...」

男(あーそうそう、俺の身の安全の為に契約させてもらったから。よろしく)

八咫烏「....なぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」

633 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/29(木) 22:11:34.73 ID:0czZ6klc0
男(あれ?まずかった?)

八咫烏「まずかったもなにも!そんなの強姦と同じッス!レイプッス!睡姦ッス!!」

男(おいこら、人聞きの悪いこと言うな。身体にはほぼ触れてねぇぞ)

八咫烏「わー!ウチはじめてだったのに!寝てる間に無理矢理なんてひどいッス!!」ワンワン

男(...なんだろう、部分的に合ってるだけに反論しにくい)

八咫烏「ひどいッス...鬼畜ッス...」グスグス

いろは「あーあ、女の子泣かしたー」チラッ

男(おめぇが提案したんだろうが!!なに?そんな重大な事だったの?なんかごめんね?マジで)

634 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/29(木) 22:12:02.90 ID:0czZ6klc0
八咫烏「まぁ別に契約自体は大したことないんスけど...男様と契約したなんて...姉御にばれたらなにされるか分かんないッスよ...」ビクビク

いろは「あー、そっちの心配ね」

男(契約したのってやっぱバレるもんなの?)

いろは「今年は平気だけど...来年の更新の時には書かないといけないからバレるわね。保険もちょっと変わるし」

男(なんだよ更新って...免許かよ)

友「んー?どうした男?渋い顔して」

幼友「もしかしてまだ生だった?ごめんね」

男「あぁ、ぜんぜん大丈夫。言い焼き加減だぞ」

幼「ヤマメ...おいしいです」ハフハフ

男「もっとゆっくり食えよ...こぼれてる、すげぇこぼれてるって」
635 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/29(木) 22:12:33.49 ID:0czZ6klc0
男(まぁこの話はまたゆっくりしよう。とりあえず今は腹ごしらえだ)

いろは「じゃああたしは肉とってくるから、もう普通に座れるわね?」

八咫烏「あー、申し訳ないっす。ふとももお借りしましたッス」スクッ

幼「男君、このお肉は何肉ですか?」

男「あー?多分シカの背ロースだな」

幼友「魚以外と美味しかったわね。友、もっと釣ってきなさいよ」

友「もう勘弁してもらっていいですかね...」

男「そういえばさっきフレッシュなクマ糞あったから気をつけてね」

幼友「...どうやって?」

幼「男君、クマっておいしいですか?」

男「俺は食ったことないけど、美味しいって話はよく聞くな」

友「あれぇ?ここに置いといた肉、誰か知らね?」

幼友「自分で食べたんじゃないの?」

友「そうだっけぇ?」アレー?

八咫烏「ウチはシカよりイノシシの方が好きッス」

いろは「それって大抵の人がそうじゃない?」

俺を殺しにきたカラスがいたり。
そいつがとんでもねぇ運動音痴だったり。
色々あってそいつとも主従の契約を結んだりしたけど。

日常は何も変わらずに進んでいく。

渓流の魚だけが、流れに逆らって力強く泳いでいた。

636 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/29(木) 22:13:04.94 ID:0czZ6klc0
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ガラガラ

鉄砲屋「いらっしゃい。おや?」

ババ「世話になってるねぇ鉄砲や」

鉄砲屋「いえいえ、いつもご贔屓にしていただいて感謝の極みです」

ババ「銃のことはあんたに任せておけば間違いないからねぇ...またよろしく頼むよ」

鉄砲屋「イッヒッヒ、そりゃありがたい。それで本日は何用ですかな?」

ババ「...一つ注文がしたい」

鉄砲屋「弾頭ですか?火薬ですか?それともパーツ?」

ババ「いや...ライフルを一丁」

鉄砲屋「...詳しく聞きましょう」
637 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/29(木) 22:13:46.07 ID:0czZ6klc0
今日はここまで。
明日は飲み会だから多分更新できない。
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/30(金) 03:07:31.89 ID:3Sg97EJWo
おつおつ
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/31(土) 14:58:45.36 ID:9XZTeIPA0
どんどん話し膨らんでいくなww
640 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/01/01(日) 20:50:15.57 ID:XD6K+CcE0
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男「ただいまー」ガラガラ

いろは「あれ?おばあちゃんは?」

八咫烏「おじゃましますッス」

男「そういえば鉄砲屋行くって行ってた気が。もう幼もいないから人型になっていいぞ。八咫烏はまず風呂入ってこい」

八咫烏「あ、すんませんッス。お先にいただきますッス」テクテク

男「あいつの部屋着も俺の着なくなったジャージでいいか」ナタカタズケ

いろは「パンツは?幼ちゃんの着替え用はあたしが使っちゃってるけど」テアライ

男「それはばーさんに言ってあるから買ってきてくれてるはず」

いろは「そう」

男「...」モクモク

いろは「...」テキパキ

八咫烏「いやおかしいッス」ガラッ ホクホク
641 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/01/01(日) 20:51:02.14 ID:XD6K+CcE0
いろは「随分早いわね。ちゃんと洗った?」

男「おめーが無駄に長風呂なんだよ」

八咫烏「いえ、しっかりいただいたッス。ありがとうございましたッス。...いやそうじゃなくて」

男「...?」

八咫烏「なんで男様を殺しに来たウチが、男様の世話になってるんスか?おかしくないッスか?」

男「あー、俺としては知らないトコでうろうろされたり画策される位だったら、目の届くとこにいて欲しい」

いろは「そうよ。それにほら...」ポン

八咫烏「?」

いろは「世の中には抹殺対象にたいやき一つで懐柔されちゃう宇宙一の殺し屋だって存在するんだから」ニコッ

男「お前神様のマンガこっそり読んでるだろ。悪いががトラブルだけはおこすなよ」

642 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/01/01(日) 20:53:43.56 ID:XD6K+CcE0
あけましておめでとうございます。
がんばって今年中には絶対終わらせます。ほんとです。たぶん。
みなさんのコメや応援、とっても励みになります。
今年もよろしくお願いします。

>>639
もう自分が一番困惑してる
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/06(金) 00:31:31.49 ID:Wl6QhnjE0
頑張れよ
今年中にとは言わんが完結させなかったら恨むからな
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/06(金) 22:40:47.80 ID:235p+7+U0
お、これは結構面白いオリジナルss
まあ俺もみんなには頑張ってもらいたいと思ってるけどねー
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/06(金) 22:51:10.92 ID:73/6bYQA0
age荒らしかよ
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/31(火) 00:45:57.45 ID:yw19oQVr0
続きまだ〜?
647 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/02/13(月) 20:05:20.83 ID:Cx3yNoNmO
ばば「ただいまー...あ?」

八咫烏「あ、お帰りなさいッス」ウィーーー

ばば「...あ...ありのまま 今起こった事を話すぜ!家に帰ったと思ったら黒い羽の生えた女の子が掃除機をかけていた...な...何を言っているのかわからねーと思うが、あたしも何が起こっているのかわからなかった...頭がどうにかなりそうだった...ダイソンだとかルンバだとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」

男「残念ながら時間止める系の能力は持ってないぞ」

八咫烏「風を操る程度の能力はありそうッス」
648 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/02/13(月) 20:06:50.27 ID:Cx3yNoNmO
――――

男「っつーわけで、一匹増えるけどいいか?」

ババ「...事情はわかった。けど大丈夫なんか?」

男「あーあれだ。こいつに直接殺される心配は皆無だぞ。デコピンでも勝てる」

八咫烏「さすがにそれは弱すぎないッスか?」

いろは「実際そんなもんでしょ」

八咫烏「普段はデスクワークしかやってないッスからねー」

ババ「まぁ二人が受け入れてんならいいかぇ。これからよろしくね」

八咫烏「なんかホントに申し訳ないッス。お世話になります。ウチに出来ることがあれば何でも言って下さいッス」

いろは・男「「ん?今何でもって言ったよね?」」

ババ「うるせぇ」
649 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/02/13(月) 20:07:19.88 ID:Cx3yNoNmO
ばば「しかし、殺しに来たことを除けば一番真面目そうだぇ」

八咫烏「いえいえそんなことないッスよ。でもありがとうございますッス」

ばば「その様子じゃずっと掃除してくれてたんだろ?お茶でもいれようか」

八咫烏「あ、ウチがやるッスよ。おばあちゃんは座ってて下さいッス」

ばば「そうかい?ありがとねぇ」

男「俺コーヒー」

いろは「あたしはクワトロベンティクラシックキャラメルバニラアーモンドヘーゼルナッツアドジェリーエキストラチョコレートチップエキストラチョコソースエキストラキャラメルソースエキストラホイップエキストラシロップノンティーダークモカチップフラペチーノ」

八咫烏「ねぇッス」

男「あるよ」

八咫烏「あるんスか!?」

ばば「いやねぇよ」
650 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/02/13(月) 20:08:50.29 ID:Cx3yNoNmO
ここ最近家にすら帰れてない
少ないけど更新
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/16(木) 20:23:36.70 ID:y7LAsx92o
やっと追いついた……
男のCV杉田感と幼のCV水瀬いのり感
応援してるぜおつおつ
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/16(木) 23:17:14.61 ID:rdeoh0TA0
完結十年後説ホントになりそう
653 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/03/02(木) 23:32:51.67 ID:hlXPWo1No
ばば「〜〜」カチャカチャ

八咫烏「...」

ばば「〜ん?どうしたんだい?」

八咫烏「え?いや〜...そういえばそれで撃たれそうになったなって思ったッス」

ばば「あぁ、そんなこともあったね」キュッキュッ

八咫烏「...」ジー

ばば「...」カチャカチャ

八咫烏「...」ジー

ばば「...銃に興味があるんかい?」

八咫烏「はぇ?あ...いやー、どうッスかねー。自分体力ないんで銃あったら便利かなってちょっと」

ばば「...そうかい。じゃあ少し教えてあげようか」

八咫烏「え?いいんスか?」

ばば「折角興味を持ってくれたんだ。年寄りってのはそういうもんだよ」

八咫烏「はぁ...そういうもんスか」
654 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/03/02(木) 23:35:25.06 ID:hlXPWo1No
男「なぁばーちゃ...」ガラガラ

八咫烏「これがライフル銃ってやつッスか」

ばば「ほんとは自分以外の人が触っちゃいけないんだけどね。はっちゃんは獣だし法律関係ないだろ」

八咫烏「はっちゃんッスか...なんか思ったより銃口ちっちゃいッスね」

ばば「あたしが使ってるのは小口径高速弾だからね」

八咫烏「もっと大きいのもあるんスか?」

ばば「大きいって言うと308とかかねぇ。弾頭のバリエーションが多いのは270とかになるね」

八咫烏「ばーちゃんのはどれになるんスか?」

ばば「あたしのは243だね。この年になると少しでも軽くしたくなるのさ。小口径だから当たりどころが悪いと走られるけど、きちんと当てれば問題ない。ほれ、これが弾だ」
655 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/03/02(木) 23:36:39.15 ID:hlXPWo1No
八咫烏「へぇー。あれ?なんかサラサラいってるッス」

ばば「中に火薬が入ってるからね」

八咫烏「もっとぎっしり入ってるかと思ってたッス」

ばば「同じ弾でも火薬の量を変えれるからね。この銃でこの弾頭を使うんだったら、このくらいの量が一番着弾が安定するんさ」

八咫烏「へぇー、色々あるんスね」カチャ

ばば「銃を扱うときは銃口を絶対人に向けちゃいけないよ。引き金に指もかけちゃだめ」

八咫烏「こ、こうッスか?」

ばば「そ。んでそこのボルト動かしてみ」

八咫烏「はい」カチャカチャ

ばば「それをあと5回」

男「なんでライフルの講習会始まってんの?」
656 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/03/06(月) 21:53:04.34 ID:Xi1Be5tMo
ーーーー

男「それで銃を教わってたのか」モグモグ

八咫烏「そうなんッス。ウチも欲しなっちゃいましたッス」モグモグ

いろは「そんな簡単に買えるもんなの?」モグモグ

ばば「人だったら警察行って初心者講習会受けてって色々必要だけど、いかんせんはっちゃんは獣だからねぇ」モグモグ

他にも弾装ロッカー、ガンロッカーを揃えたり、いちいち警察署に行って書類提出しなきゃならん。
金も手間もかなりかかる。

それにしても...

男「はっちゃんか...随分と仲良くなったのな」

ばば「よく手伝ってくれるし話も聞いてくれるからね。あたしにとっては只のかわいい女の子だよ。もちろんそれはいろはちゃんにも言える」

男「俺を殺しに来たのに?」

ばば「んなもん知らねぇ」
657 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/03/06(月) 21:54:25.46 ID:Xi1Be5tMo
男「そういえばさ」

八咫烏「?どうしたッスか?」

男「いろはには少し先の未来を見たり俺に憑依したりする能力があるけど、お前ってなんか能力あんの?」

八咫烏「まぁ一応あるッスよ。男様とは契約したので憑依もできますし。そうッスね...」

そう言うと、ちょうどご飯のおかわりに立ったいろはを指差す。

八咫烏「"不慮の事故"」

ガッ!!

いろは「っ!?くぅぅぅううううう!!」

男「おぉ、タンスの指に小指ぶつけた」

八咫烏「これがウチの能力ッス。事故を予言したり、タイミングが合えば起こしたりすることができるッス」

ばば「...なるほど、だから瓦を落とせたのかい」

八咫烏「うっ、申し訳ないッス」

困ったように頭を掻く八咫烏。
こうしていると普通の女の子...いや羽生えてるから普通じゃねぇけど。
一応俺の事を殺すために派遣された使獣。
そんなやつと今は同じ円卓で飯をつついている。

男「俺も順応してきたなぁ」

いろは「こ...小指がもげた」プルプル
658 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/03/06(月) 21:55:20.49 ID:Xi1Be5tMo
出張長ぇ
家に帰りたい...
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/06(月) 23:33:34.35 ID:uUe381Tjo
おつおつ
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 00:30:28.49 ID:wQSMLvxA0
ホテルのモーニングはたまに食うと旨い
ずっとは飽きるけどな
661 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/03/07(火) 23:25:20.87 ID:zoXklRw0o
ーーーー

いろは「ふみゅ...おはよぉ」ファァァ

男「おう。顔洗ってこい」

八咫烏「ちょうど朝ごはんできたッスよ」ジュゥゥ

ばば「ありがとねぇ。ホント助かるよ」

男「家事やってくれんのはありがたいけど...無理して潰れんなよ?」

八咫烏「嫌いじゃないんで全然へーきッスよ。どうぞ」コトッ

男「目玉焼きとウィンナーと味噌汁か...無難だな」

いろは「ソーセージじゃないの?」

男「...どうなの?」

八咫烏「ソーセージは腸詰めの総称で、ウィンナーは羊の腸、フランクフルトが豚の腸だった気がするッス」

ばば「日本農林規格だと太さで呼び方が変わるね」

いろは「ですってよポークピッツ」

男「なめんな。戦闘時にはアメリカンドックになるんだよ」

いろは「...それって包まれてんじゃん」

八咫烏「?何の話ッスか?」

男「やめて。そんな綺麗な目で俺を見ないで」
662 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/03/07(火) 23:25:47.63 ID:zoXklRw0o
ばば「さて、今日は畑仕事だ。男は暇かい?」

男「わりぃ、幼と買い物行く約束してんだわ」

ばば「そっか、じゃあしょうがないね」

いろは「一応ついて行った方がいいのかしら?」

男「んー...そこんとこどうなの?」

八咫烏「ウチが手を出さない限りはあの日まで安全に過ごせるはずッスよ」

ということは今更どうこうできるものでも無いということか。
とりあえず一安心ではあるが、運命の日一発勝負である可能性もでかくなったわけだ。
どちらにせよ八咫烏を手元においといたのは正解だったな。
663 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/03/07(火) 23:26:15.83 ID:zoXklRw0o
いろは「んー...そゆことね。じゃあ今日1日暇ね。どうしようかしら」

ばば「いろはちゃん暇なのかい?だったら畑手伝ってくれると助かるんだけども」

いろは「任せて!前に男とやったことあるわ」

八咫烏「ウチもお手伝いするッス!」

男「いろはは俺のジャージでいいけど、八咫烏のはどうしようか。服装チェンジとかできないの?」

八咫烏「基本的にこの服だけッスね。神具なんで汚れる事も無いッスし」

ばば「じゃあ下着とかも買ってきたけどいらなかったのかい?」

八咫烏「そんなことないッス!めっちゃありがたく使わせてもらってるッス!」
664 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/03/07(火) 23:26:45.03 ID:zoXklRw0o
男「そういやいろはの巫女服もそんな感じだったな...ん?」

こいつ、出会った当初は紅白の綺麗な巫女服を着ていたはず...
しかし、今現在のいろははどうだろうか。俺のスウェットを履いてTシャツ一枚でゴロゴロしてる姿を見て、誰が神の使獣だと思うだろうか。

男「お前最近巫女服着てないけど、どうしたの?」

いろは「あーあれ?なんかこっちの方が楽なのよね」

男「おい、仮にも神の使いがそんなんでいいのか」

いろは「こっちに来てから本当の自分に出会えた気がするわ」

男「なにドロップアウトしてんだよ...」

665 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/03/07(火) 23:30:14.43 ID:zoXklRw0o
今日はここまで

>>659
おつあり
>>660
それが会社で平屋借りてるから自炊なんすよ...
なんもいいとこねぇなこの島。本土に帰りてぇ
666 :sage :2017/03/08(水) 01:40:17.84 ID:C/MHlHHSO
おつ
島なんか久しく行ってねぇな
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2017/03/08(水) 01:47:25.82 ID:C/MHlHHSO
すまんsageミスった
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