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垣根帝督「はぁ? 俺はオタクじゃねえぞ」

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341 :nemui >>200「ガチホモキメセク輪姦垣根」  ◆q7l9AKAoH. [!orz_res saga sage]:2015/07/02(木) 02:18:06.92 ID:uW//TFY30

狩られるはずの獲物は息を潜めて反撃のチャンスを待っていたのだ。
たとえばの話だが。
頭のいいキツネを狩るにはそれより賢く対処しなくてはいけない。
狩場に慣れた猟犬が獲物に出しぬかれるなんて珍しくはないのだから。
それも、相手がキツネならと言う話で。
牙を剥いた猛獣相手に少々の訓練を積んだ犬ごときが太刀打ち出来るわけもない。

「暴走なんざビビって能力者やってられっか。本気で無力化させるつもりなら、意識そのものを奪っとくんだったな。
無様っぷりを思い知らせようなんざ、下らねー理由で俺を起こしておいたテメェらが悪い。弁明出来るもんならしてみやがれ、コラ」

場の支配権はすっかり変わっていた。
強者は弱者に、弱者は強者に。
その序列がかわっていく。
『未元物質』の出現がそれをはっきりと表していた。

「思考が鈍ってようが、たとえコンディションが最悪だろうが。演算が出来てりゃ能力そのものは使えるんだけど……
ああ。テメェらにはわかんねーか。クソ以下のゴミムシだったなそう言や」

それは汚されて貶められ、散々な醜態を今のいままで晒した者の態度ではなかった。
つまらない。道端のゴミを眺めるような目をしていた。
垣根は床に落とされていた自分の服を拾いあげた。
それらを順に身につける間、喉を慣らすように彼はゆっくりと語り続ける。


「まぁ、美味い飴も貰えたしな。あんなのはメシがわりみてえに散々食わされたけど。昔開発官に言われなかったか? 薬の扱いには注意しろって。
特にこれは血流と代謝の促進、ついでに感覚がえらく冴えちまうのが服用時に目立つ作用だ。
リスクとベネフィットを考えねえと、他の薬の邪魔をしちまう薬品があるって話も少なくねえ。
お勉強が足りてねーな」

ゆっくりとした言葉は噛んで含めるよう。
だが、まるで教える気のない台詞だった。
馬鹿を相手にする気はないのか。
勝手気ままに呟く口調は楽しげで、同時に吐き捨てるようでもあった。
342 :けしてなかったorz>>200「ガチホモキメセク輪姦垣根」  ◆q7l9AKAoH. [!orz_res saga sage]:2015/07/02(木) 02:20:58.58 ID:uW//TFY30

シャツの襟を直しながら語っていた垣根は。
黙って突っ立っている連中を鼻で笑った。
男たちは動くことも出来なかった。
さっきブチのめされた仲間の一人は中途半端なブリッジみたいな姿勢のまま、悲鳴を上げて。
まだ。
確かに動いていた。
白い凶器に貫かれたグロテスクなストレッチを並んで一緒にしたがる奴はここにはいないらしい。

「ほら、お仲間がついてこれてねーぞ。なんでテメェらはしくじったんでしょうか? 答えてみろよ。センセー」

「……あの馬鹿が、余計な真似をしたからかと。脳の血流が促進されれば働きは活性化される。鈍らせていた思考力が戻るだけでなく、
四肢の麻痺までこんなに早く抜けるとは……ちくしょうお前、俺たちを、騙していただと」

「おいおい、ちょっとそっちのレベルに合わせてやっただけで随分な言われようだな。それに痛みってのは人間の体に必要な信号だぜ? 
喜べよ。テメェらのお気遣いは最初っから充分過ぎるほど受け取らせてもらった、ってな」

と、そこで垣根は一度言葉を切ると、

「まぁ、一つ賢くなったろ? 超能力者を……あんまり甘くみるんじゃねえ」

堂々と言い放って最後にジャケットを手に取った。
軽くはたいてから上着に袖を通し他の着衣の乱れも確認する。
多少の汚れに目をつぶれば、見た目はいつも通りの彼の姿がそこにあった。
体は長い時間痛めつけられ、おまけに能力で傷ついている。
それでも。垣根は自らの力でそこに立っていた。

確かめる様に腕を、指を曲げ伸ばしながら垣根は首を鳴らした。
だるそうに一つ息をはくと。
その両手をポケットにさし入れた。

「大分……マシだな。悪くねえ、いい気分だぜ? 久しぶりに――心底ムカついてるよ。この俺がさぁ」

引き裂くような笑みと共に音もなく背中に現れたのは六枚の翼。
能力者としての圧倒的な力の象徴だった。
散々垣根を馬鹿にしていた男達は。
最早。
ただの一人も口を開くことが出来ずにいた。
目を反らすことも許されていない様にただその白い翼を見つめていた。
343 :>>200「ガチホモキメセク輪姦垣根」  ◆q7l9AKAoH. [!orz_res saga sage]:2015/07/02(木) 02:24:03.91 ID:uW//TFY30

ビリビリとしたプレッシャーが室内に満ちる。
その沈黙を破ったのは間抜けな電子音だった。
散らばった雑多な物に紛れて床に転がっていた携帯電話からだ。
垣根のものはとっくに踏み砕かれていたから、不愉快な三下連中のうちいずれかの持ち物だろうが。
垣根はうるさく呼び出し音を鳴らすそれを当たり前の様に拾いあげた。

『随分長い間音信不通だったが、問題はなさそうだな』

通話中のよその回線に勝手に割り込んでくる、なんてことも平気でやるくらいだ。
暗部組織の『制御役』を自称する正体不明のエージェントが、その辺の電子機器を乗っ取っても今更垣根は驚かない。
しかし彼は怪訝そうに眉をひそめた。
『未元物質』まで披露した反撃のタイミングで、まるで水を差されたように感じたのか。

「空気は読めねえ癖に相変わらず、ぞっとする程察しのいいヤツだなお前。まぁ、いい。これだけ時間があったんだ、勿論裏は取れてんだろうな」

垣根は馬鹿にしたように、挑む様に口にした。
「何があったのか」も「どうしたのか」も相手には聞かれなかった。
「垣根の無事」も、わかっていなければそもそもここに電話を掛けてくる意味がない。
それを踏まえて垣根は問い返した。

この状況を「何故」、「どうして知っているのか」は問題ではない。
余計な質問はする気もなかった。

だから結論だけを求める。
それが相手には可能だと彼は理解しているからだ。
この相手が、暗部の任務でも、それ以外のケースでも。
必要に応じて複雑に入り組み刻々と変わる過程を把握した上で。
その先を行くようでなくては。
甘んじて、下された指令を仰ぐなんて真似を今まで垣根は許さなかっただろう。
そこにあるのは信用でも信頼でもない。
暗部で仕事をこなすうち積み重なった事実に基づいた関係性だった。

344 :>>200「ガチホモキメセク輪姦垣根」  ◆q7l9AKAoH. [!orz_res saga sage]:2015/07/02(木) 02:27:42.91 ID:uW//TFY30

『そいつらは『人形製造(バックオーダー)』。『置き去り』中心の人身売買をしていた組織だ。
顧客や資金の出所も、今ある『素材』の保管場所も押さえてある。
今日の話を持ちかけたやつの方は……時間の問題だ。
それでお姫様、いつお迎えにあがりましょうか? 馬車の支度は済んでおりますよ』

電話の『制御役』は淡々とした口調から一転して明るいトーンで答えた。
メルヘンチックな言い回しが余計だが。
垣根に対する馬鹿にした態度はむしろいつも通りだ。
超能力者の略取なんて学園都市ではいい笑い話だ。
それだけでなく結果として、下衆な取引にも使えそうなネタを今回垣根は不本意ながら提供してしまった。
暗部の尾をどこまでとらえられるかは別として。
もしこいつらが、そして悪趣味な依頼主とやらがその気になれば脅迫の対象は垣根個人にとどまらないかもしれない。
だが。
そんな風にして『スクール』の看板に泥が塗られそうになるのを、みすみす見逃すつもりは上の人間どもにもないらしい。
そう垣根は理解した。
彼が無事なら撃って出るのに戦力は充分すぎる。

「そうか。舞踏会と洒落込む前にとりあえずシャワーと着替えだな……清掃車を二台回せ。
『酸性浄化』は多め、忘れんなよ。ちまちました後片付けなんざしてられっか。ここのゴミ処理と掃除は任せる」

雑用をこなす下部組織への指示を伝えると垣根は深く、長く息をはいた。
乾いた唇が愉快そうに弧をかく。

「ああ、そう急がせなくていい。ゆっくり来いよ。俺も……もう少し遊んでくからさ」

通話はそのままに、元のように床に落とした携帯をバキバキ踏み砕くと垣根は振り返る。

「さぁーて。お楽しみはこれから、そうだよな。簡単に楽になれると思うんじゃねーぞ? 死ぬ程ひでえ目なんざありふれててつまんねえだろ。
死ぬより悲惨な状況ってのをたっぷり味わわせてやるから感謝していいぜ。テメェらにふさわしい末路ってのを与えてやろうじゃねえか。
トレンド入り間違いなしの最新の生き地獄をさ」

垣根は笑っていた。
凄惨な処刑の宣言に軽々しく言葉を並べて。
いっそ晴れやかなくらい、心底楽しそうな顔をしている様に。
そう、見えた。

345 :>>200「ガチホモキメセク輪姦垣根」  ◆q7l9AKAoH. [!orz_res saga sage]:2015/07/02(木) 02:31:12.10 ID:uW//TFY30

「あー、まだダメだな。調子出ねえなぁ、なんかすっげえ外れるんだけど。どっかのバカ共がおかしな真似してくれたおかげだろうな。
っつうことは、これはもう仕っ方ねえよなぁ?」

垣根は白々しく男に尋ねた。
仕留める為に狩るのではない。獲物をただいたぶるだけのようなそんな態度だ。
首を掴まれ、背後の壁と白い翼に挟まれた男は答えられずにうめいていた。
刃物の様に鋭く尖った羽根が何度も男に突き刺さるが、どれも急所は捉えていない。
翼は撫でるような動きで体の上を行き来する。
無数の羽根の先はずぶずぶと浅く深く肉を抉っていた。

「く、クソぉ……」

「おっと。テメェらも大人しくしてろよ。そう焦るな、順番に相手してやるからさ」

そう告げた途端。
ゴシャア! と残りのメンバーも床の上に崩れ落ちた。
垣根はズボンのポケットに右手をしまうとその内一人に近寄っていく。
頭に足をかけると靴底の泥を落とすようにして顔を踏みつけ、上を向かせた。

「テメェは……そうだな。関節一つひとつすり潰してやる、とかどうだ? 人形気分が味わえそうだろ。
安心しろ、あっさり楽にはしてやらねえから。テメェの体が使いものにならなくなるのをただ黙って見てやがれ」

床の上で唸る男には一見、何もされていない様だが。
体に接した床に、わずかな亀裂が走っていた。
『未元物質』の作用による異常な重圧が男の体を押さえつけているようだった。
人間の体は意外にも丈夫に出来ている。
ゆっくりと少しずつ圧をかけていけば、数百キロなんて潰れずに耐えてしまう。

その時。
ごり、と鈍い音がした。
おさえつけられ赤く変色した指が、途中から空気の抜けた風船のようにくたくたになっていく。
目の前で少しずつ、端から順に。
自分の手指がゴム手袋のように変わり果てていくのを男は目の前で見せつけられていた。
大きく見開かれたまぶたの中でがちゃがちゃと目玉が揺れる。
それに見つめられた垣根は。
端正な顔に笑みを浮かべたままゆっくりと首を左右に振った。

「うわぁあああああ! ああああ……あ、お゛ッ」

ぼきん。
今度は、叫び出した男の頬からだった。
片方の顎の関節が「黙れ」と言わんばかりに一足先に砕かれた音だった。

「お望み通り遊んでやるよ。テメェら……俺を満足させてくれんだろ?」

無様に、なす術なく転がる男たち一人ひとりを見下ろして。
垣根は愉快そうに笑う。

「ははははは!! ははははははははッ!!」

バサリと白い翼が一閃する。
タガの外れたような笑い声と共に。
鬱屈とした部屋の中を真っ白な暴虐が吹き荒れた。
346 :>>200「ガチホモキメセク輪姦垣根」  ◆q7l9AKAoH. [!orz_res saga sage]:2015/07/02(木) 02:33:58.65 ID:uW//TFY30


「気をつけろ。そこのダルマ、それまだ生きてんぞ。せっかく失血なんざで死なねえ様に、余分なパーツを丁寧に削ってやったんだ。
クソつまんねえ一生を簡単に終わらせてやるなよ」

垣根は乱れた髪を手で直していた。
すぐ横で肉塊のお片付けをしている下っ端をイラついた様子で睨みつける。

「そういやすげー腕の医者がいるんだっけ? なあ、そこにそのガラクタ持ってったらそんなんでも治すと思うか? 
そいつら、きっと死にたがると思うけどさぁ」

今度はケタケタと腹を抱えて笑う。
機嫌がいいのか、悪いのか。
一転してはしゃいだ口調はいつもより子ども染みた様に聞こえるが判断はつかない。
声を出すのは垣根一人。
残りの連中は黙々と手順に従って、現状の清掃を行っていた。

「おいおい。お前らぁ……返事は?」

それまで勝手気ままに吐き出されていた呟きが一瞬で冷めたものに変わった。その一言に。
ざわざわざわ、と低いざわめきが広がった。
下を向いて作業していた男達はそれぞれ勝手に呟き返したようだった。
言葉に最低限従わなければ残虐な白い矛先が向けられるとでも思ったのか。
何人かは歯の根が合わないような震えた声だった。
凄惨な室内に広がるなんとも異質な光景だが、いやに上機嫌な垣根は反応があったことに自体に満足したのか。
微笑むと大きく腕を伸ばしていた。

「ったく……いってぇ。え、マジで痛えんだけど」


建物の外に停められていたのは一台のワゴン車だった。
ものはよくあるツーボックスフォードア。ただし、すべての窓に貼られたスモークで中はちっとも見えない。
すみからすみまで真っ黒な車に垣根が近づくと静かにドアが開けられた。
黙って乗り込むと彼はブランドもののジャケットを脱いだ。
どろりとした赤黒い汚れがあちこちついていたがしみついてはいないようだった。
不愉快そうにそれを睨むと、垣根はシャツもまとめて投げた。

「ったく、まだベタつく」

脱いだインナーで髪や顔、首周りをざっと拭うと返り血(その他etcドロドロしたもの)でぐしゃぐしゃに汚れたそれも垣根は放り捨てた。
革張りのシートが汚れるのはこれっぽっちも構わないようだった。

座席に置かれた紙袋を覗くと。
ビニールに包まれた、クリーニングしたての服が用意されていた。
見慣れた、なんの変哲もない、無機質な。
それでも日常の一端がそこにあった。
それを見て垣根は吐き出すように口を開く。

「まだ……だいぶ血腥えな。薄汚え、クソ共の臭いだ」

改めて、噛みしめるような言葉と共に。
右腕、その上に大きく走る傷を垣根は左手でなぞった。
出血は『未元物質』で既に塞がれていたが。
垣根の指は何度もそれを辿っていた。
347 :>>200「ガチホモキメセク輪姦垣根」  ◆q7l9AKAoH. [!orz_res saga sage]:2015/07/02(木) 02:43:10.22 ID:uW//TFY30

垣根帝督は決して長くはない人生のなかで。
有り余る、などという前向きな言葉でははかれない、過剰すぎるほど多くの経験を――良くも悪くも――積み重ねてきた。
その中でも先ほどまでの時間は、まぎれもなくトップクラスに『ムカつく』ひと時だった筈だ。
それでも、全てが無駄なものだったろうか。

打つ手はないと見えた状況が、覆せると気付いた時のひらめき。手ごたえ。
その為に必要なのはなにか、どうすれば手に入るのか。
窮地にあって少しでも己の勝利に向かってカードを引くだけの、それをかなえる力が彼にはあった。
はびこる現状を塗り替え、意のままに従わせる。
最後に笑う勝者はただ、一人だ。

勝てる。
負けない。

そう理解してからの時間は、次の手へ進めるために一分一秒でも早く過ぎるのを待つだけの退屈なものでしかなかったが。
垣根が得たのはそれだけではない。
怒りをねじ伏せ苦痛と、忍耐を幾度も幾度も重ねた上で解放された瞬間。
復讐をとげたあの味は。たまらなく甘美だった。
乾いた砂に水が次々と染みていくように。
喉を焼くほどの苦く重い甘さが垣根の脳に、腹の底に深く沈んでいった。

剥き出しの神経の束を肌の外に晒す様に。
薬剤で細く鋭く尖りすぎた感覚は余計な情報さえ耐えず頭に送り続ける。
要不要の精査もされず膨大で無作為な電気信号は、ガチョウの腹に流し込まれる穀類の様にただでさえ低下した脳の処理能力を圧迫していく。
少しバランスを崩せば即クラッシュ。
ハンドルからもう手は離せない。余所見をしている暇なんてない。
そんなギリギリまでアクセルを踏み続けた時のように追いつめられていた。
人間は本来ならきわめて強い緊張と恐怖を感じるように出来ているが。
同時にそれを克服し自滅を回避するための機能を備えている。

そんな危うい高揚感は体の中にまだ残っていた。
胸を打つ鼓動の高まりも、全身をめぐる血液のありえない熱も。
呼吸を忘れるほどの苦悶も。
得た一切の信号をみな快楽と錯覚するほど。


何より。
壊すことが、愉快だった。
思いついた暴力をただそのままに。
制限なく思い切り振り下ろすことが。
果物を剥ぐように、潰すようにして人の肉や骨を壊すことが。

タノシカッタ。

他のことが、頭の中の余計なものが。
チカチカ瞬く愉悦に押しのけられていく。
ぶつん、とスイッチを切り替えるように頭の裡が白く白く一色に塗りつぶされる。
タノシイからしているのか。しているのがタノシイことなのか。
どちらが先かわからないニワトリとタマゴのような問いはいつしか変わっていた。その境界もあいまいになっていく。
みずから尾をくわえた蛇のようにそれはぐるぐる回っていた。
今も、昔も。
わかっているしっていることがひとつあった。
善い悪い快不快メリットデメリット、正しいか否か。
それはみな一過性のゆらぐ価値観だ。見ようによっていくらだって変わってしまう。

そんなものより確かな一点を求めればいい。
単純な答えを掲げろ。

楽しんでしまえば、それでいいのだと。
348 :>>200「ガチホモキメセク輪姦垣根」  ◆q7l9AKAoH. [!orz_res saga sage]:2015/07/02(木) 02:48:11.86 ID:uW//TFY30

いけない、またタノシクなってきた。

「ふ、くくくっ……はははは、はははははッ!」

落ち着かない様子で垣根は膝を叩いていた。
おかしな高揚感はまだ体に残る薬品のせいなのか。
笑いが止まらないのはどうしてなのか。
ただただ、愉快だからなのか。

それだけ、なのだろうか。
むき出しの肩を掴んだ垣根は。
細い体を抱きしめる様に、背中を丸めて声を上げていた。

「あれ。お前……見ない顔だな」

ひとしきり笑い終えた垣根が顔を上げると。
声を掛けられた運転席の男はビクゥ! っと肩を震わせた。
乗り込んできたお偉いさんが突然ものすごい勢いで爆笑していたら、それだけでも充分恐怖の対象だろう。
男はこわごわとした様子でそうですかぁ、と尋ね返した。

「まぁ、下の奴らなんざ一々覚えちゃいないけど。でも新入りだろ」

若い男に所属を告げられると。
垣根は目を細めた。

「ふーん。そっか、最底辺の補充用かお前」

首を傾げて少し、考える様子の後。
垣根は前の座席に身を乗り出すと急にハンドルを切った。
ドライバーは慌ててブレーキを踏もうとしたが邪魔をされてなかなか止まらない。
その間も垣根がハンドルを切り続け。
騒いでいたドライバーが静かになる頃には車は道を外れて裏通りに停められていた。
辺りは暗く、人気もない。
真っ黒な車体は闇に溶け込むようだった。

「ひっ……あぶ、危ないだろぉ。何なんだよぉ」

「なぁ」

あくびを一つ。
首を鳴らして。
垣根は更に詰め寄った。
349 :>>200「ガチホモキメセク輪姦垣根」  ◆q7l9AKAoH. [!orz_res saga sage]:2015/07/02(木) 02:55:02.26 ID:uW//TFY30

「時間あんだろ。どうにも調子が戻らねえし、眠気覚ましだ。ちょっと付きあえよ」

何がなんだかわかんねえ、と言いたそうにまばたきした若い男は。
それでも何とかこの事態に対応しようとしたのか。
上着のポケットから携帯電話を取り出していた。

「あのぉ、予定だと、あんたを拾ったらまっすぐここに送れって言われてんだけどぉ」

「あのなぁ。俺は誰だ? そんなもん、俺がルールだろ。違うか?」

仕事内容を知らせるメールが表示された携帯の画面を見せられて。
ため息をついた垣根は勝手にサイドブレーキを引き、勝手にキーを抜いてしまう。
彼の態度に苛立ちや怒りは感じられなかった。
残念だ、と言いたげな憐れみに似たものが含まれているようだった。
諦めきった目をした垣根は肩をすくめて首を振る。
実に。
芝居がかった仕草だった。

「お前の仕事にはこれが無いと困るんじゃねえの? で。どうすんだ。そこまで言わねえとわからねえほど救えねえ馬鹿なのか。黙って俺に、従えよ」

ちらつかせたキーを握りこむと垣根はそこで再び笑った。
獰猛な笑みを向ける暗部組織のリーダーに、昨日今日入ったばかりの下っ端が歯向かえるだろうか。
答えは一つ。二択のどちらを選んだところで、恐らく結果は変わらない。

「なにをすんだよぉ…?」

「決まってんだろ。タノシイことだよ」

怯えきった男の姿を前に。
そう告げた垣根は楽しげに唇を舐めた。
350 :>>200「ガチホモキメセク輪姦垣根」  ◆q7l9AKAoH. [!orz_res saga sage]:2015/07/02(木) 02:57:14.93 ID:uW//TFY30

「なんで、なんで俺ぇこんな……こんなことっ…しに、来たんじゃぁ」

「うるせえ。想定外はこっちもだ。あー、まだ頭いてえんだけど。あとで調整すんのに面倒だから人の体に勝手におかしなもん使ってくれんなっつうの」

「リーダー? ちょ、あの俺本当……ほんとこんな趣味じゃぁないんだってほんとに」

「はいはいお前は大嘘吐きだな。せめてもう少し我慢してから物言いやがれ。なんだこのみっともねえザマは。
はぁ……やっぱさっきの、殺しといてやりゃよかったか? 死体にもなれねえのって悲惨だよなあ」

「聞いてねえ……っこんなの、え。待て待てほんとに?」

「いってえな。ったく、傷が開いたらどうしてくれんだよこの馬鹿。どうせならこっち押さえてろよ。ったく、まだ……グラつくな」

「まずいってまじかよぉ、うっそぉ……なんだこれ……っ」

「うるせえっつってんだよ聞こえねえのか! テメェの声は随分耳障りだな? 
ああ!? 雑魚は黙って、俺の、好きにされてりゃあ……んっ、いいんだよ……クソが!!」

「やばいっ……これぇやばいッ、らめらってぇ」

「静かにッ…して、ろっつうの……はぁ。殺すぞ?」

そう言ったきり、それまで一方的に口を動かし続けていた垣根も口を閉じた。
鈍い音を立てて。
しばらくの間車内は静かに。それでいて騒がしく揺れていた。

351 :>>200「ガチホモキメセク輪姦垣根」  ◆q7l9AKAoH. [!orz_res saga sage]:2015/07/02(木) 03:00:25.95 ID:uW//TFY30

「おい。車もう一台よこせ」

繋がった瞬間に垣根はそう下した。
相手は考えるより一瞬早く、それに応じた。
時差などない通話の間に短い沈黙が挟みこまれる。

『はい。ええと……確かこの前入ったって新人が向かった筈ですけど。ナビ通りならもう着いてる頃ですがどうしました。何かトラブルでも?』

「そうじゃねえ。運転もド下手クソだったからさ。ダメだな、ありゃ全っ然使えねえよ」

頭を掻くと垣根はちらりと後ろに目をやる。
停められた車は派手にボンネットが歪んでいた。
そのまますこし手を加えればすぐにスクラップに出来そうだった。
中のものは片付けた方が良さそうだが。

『じゃあその携帯から現在地を送ってください。すぐ代わりを用意させます』

リーダーの要求に応じると組織の構成員は彼の名を呼んだ。
不安や気遣いは感じられない、単純な疑問の声だった。

『それにしても一体何があったんです? こんな時間に突然連絡よこしといて、こっちが幾ら聞いても電話のあいつ何も言わないんですよ。
垣根さんが単独で出てるから迎えを出せばいいの一点張りで』

それを聞いた垣根の頭に突然、と言うのが少し引っかかった。
垣根と連絡が取れないと気付いたのはいつだ。
行方が追えなくなった時、『スクール』ではそれを捜索しなかったのか。
正規構成員でさえ、急に下部組織を動かした理由を知らされていなかったらしい。
まあ。
暗部組織なんてのは後ろ暗い人間の寄せ集めだ。
関連した組織も含めて一枚岩とはとても言えない。
詳細はともかくリーダーが行方不明、何者かに捕まった、なんて失態が組織内で不用意に広まるのを避けたのかも、しれない。

今は細かい思考の整理が出来る様な、そんな余裕は垣根にはなかった。
頭も体もぐちゃぐちゃで疲れきっていた。
後で考えればいいことだ。
そう疑問を断じると。
垣根は無駄にストラップをじゃらつかせた趣味の悪い携帯電話を肩で挟んで近くの建物の壁にもたれた。
再び袖を通した皺だらけのシャツが一層汚れる。
352 :>>200「ガチホモキメセク輪姦垣根」  ◆q7l9AKAoH. [!orz_res saga sage]:2015/07/02(木) 03:02:33.03 ID:uW//TFY30

「別に気にするほど大したことじゃねえよ。はー、しっかし俺も何してんだろな。らしくねえの。けど頭は少しマシになってきたかも……」

まるで。
そうしないといけないように。
何かに急き立てられる様に垣根はずっと口を動かし続けていた。相手のことはかまわない。
頭の中の雑音を散らすノイズ。代償行動の一つ。
独り言も気を紛らわせる作業だ。
壁を打つような。ただ地面を蹴るような行為でも無駄にはならない。
その感触から、自分が立っていると感じることが出来ればいい。
知覚できる現実が当人の世界の真実だ。
その足元がどれだけ汚れ歪んでいるかはまた別の問題になる。

『なにかしたんですか。似合わないこと』

「いや……一仕事終えて一服、みたいなもんかな」

無駄な雑談に応じる声に。
右のこめかみから側頭部を指で撫でながら垣根は答えた。
どくどくと指の下に流れる音は少しくらい落ち着いたかもしれない。

『垣根さん煙草なんてやりましたか?』

「だから。気が紛れっかなーって。効果はどうだか。わかんねえけどさ」

別に未成年だから、と言う社会通説一般常識に従ったわけではない。
なぜ好き好んで自分のコンディションを外的要因から乱されなくてはいけないのか。
垣根はそれが今まで疑問だったが。
もしかしたら息抜きやリラックスと言う面での効果だってあるかもしれない。
タバコとは随分とものは違うが、おかしな思いつきでもストレスのはけ口として役立つ期待をしていた。つもりだった。


353 :>>200「ガチホモキメセク輪姦垣根」  ◆q7l9AKAoH. [!orz_res saga sage]:2015/07/02(木) 03:05:32.79 ID:uW//TFY30

かといって食後の一服と言うのはどうか。
口直しのデザートと言うにも悪食過ぎるし酷いものだった。
八つ当たり、スケープゴート、いずれにしてもくだらない真似をしたのだとは、垣根も自覚していた。
そんなことでは満たされない。
屈辱はすすげない。
だが。
それをどう解決すればいいのか。今の垣根にはわからなかった。

垣根の実状も思惑も会話の意図さえしらない構成員はスピーカーから聞こえるため息をどう受け取ったのだろうか。

『お疲れですか。珍しく』

「ああ。あとな、すげー……喉が渇く」

では運転手に何か持たせます、と付け加えて通話が切れた。

過ぎてみればふり返ることもないくらい短い時間だった。

車を待つ間。垣根はふと頭上を見上げた。
分厚い雲に覆われた空は暗かった。
その上には月が出ているだろうか。
だが、垣根の目にはうつらない。
ならばそれは無いのと同じだ。それに遥か彼方、天上の意志は地上に立つちっぽけなものの事情には構わないだろう。
ただそこにあるだけ。晴れようが荒れようが変わらない。

つまらないことにいつまでも足を止め、立ち止まってはいられなかった。
今回降りかかったのは垣根にとって巨大な災厄ではなく小さな火の粉程度だった筈だ。
寝覚めの悪い、下らない。
だが。大したことのない問題だ。
垣根帝督に敗北は必要ない。どれだけその身を貶めても。
必要な二文字は、自分の腕でつかみ取る。
だから。
そんなものはきれいさっぱり忘れてしまえば、またいつものようにつまらない日々が帰ってくると。
その時の垣根は思っていた。
それ以外何があるかなんて。考えもしなかった。





突然別れを告げたありきたりの、昨日までが。
クソみたいな笑顔でやってきて片手を上げて挨拶する。
こんにちは垣根帝督、新しい『今日』がやってきましたよ。

ふざけるな、反吐が出る。



少年の日常は、その時一度、失われた。



354 :行間 蛇足・或いは  ◆q7l9AKAoH. [ saga sage]:2015/07/02(木) 03:08:11.50 ID:uW//TFY30


じりじりと舐める様な強い日差しの下で。
少女が二人、並んで歩いていた。
下校途中だろうか二人以外にも道には制服姿の生徒たちがあふれていた。
ファストフードの新商品、なんだか舌を噛みそうな名前のドリンクをストローでかき回していた少女は残念そうに肩を落とした。


今朝は何だかとっても萌え滾る夢を見たはずなんですけど、知らない人が出てきたんですよ。うーん。なんで目がさめるとちゃんと覚えてないんでしょうね


しらない人が夢に出てくるなんてあるんだ?あははーもしかして運命の人だったりして。
あ。ねえそこのお花かわいいねえ。これなんて言うの?


これですか? シロモッコウバラです。これは棘がないんですよ。えっと花言葉は、『夢は叶うもの』です


テキトー言ってない? 本当かな……そうそう今度の都市伝説も夢の話なんだよね。なんでもAIM拡散力場の干渉で他人の――




雑踏と街の喧噪にかき消されながら少女たちの他愛のないおしゃべりは続いていた。


355 :>>200「ガチホモキメセク輪姦垣根」でした  ◆q7l9AKAoH. [ saga sage]:2015/07/02(木) 03:14:23.17 ID:uW//TFY30

ドーモ。


>>200「ガチホモキメセク輪姦垣根」

モブマシセリフマシマシトウカチョモランマエロスクナメチュウニオオメカキネツラメ

とりあえずゴールしていいか
じゃあまた
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/02(木) 08:01:48.68 ID:5R/ytMyAO
乙、すげー乙
読み応えあってふっつーに面白かった、>>1の技量やべえ。
というか感服過ぎて何ホモ書かせてんだよって感想が一番にくるわww
マジで乙ww
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/02(木) 14:04:13.72 ID:eUF+Ye4DO
きてた!
まさか本当に書ききってくれるとは
激しくおつ
ただもしもしから読めないんだけどどしたらいい?
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/02(木) 17:10:01.02 ID:5R/ytMyAO
>>357
まとめ速報をgoogleで挟め、鳥ググればすぐいける
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/02(木) 19:12:35.72 ID:eUF+Ye4DO
アヘ顔ダブルピースだったらどうしよと思ったけどシリアスやばいね
エロでもよかったしエロもみたい
垣根最後どうなった?すげー気になる
>>358ありがとう愛してる尻Ass使っていいよ
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/02(木) 20:48:59.07 ID:8i2/FQmo0
突然の伊東ライフww
にしても電車の中で読んだら拷問だった。カキネクンってこんなに可愛かったのな。乙です乙です
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 13:41:38.75 ID:wy7mRZUMO

モブがむかつくはずなのに、なんかキャラがいいなこいつらw
脇役なのに口調とかキャラ固まってんのがなんかそれっぽい
肝心のエロシーンがありませんがどちらでみれますか(迫真)
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 16:33:49.25 ID:pDucOzIAO
愛も尻も垣根以外はノーセンキューだ

次安価201じゃろ?渾身デレじゃろ?
なんかホモい目で見そうで怖いから払拭出来そうなのオナシャス
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 23:49:11.96 ID:dM5JKpTvo
てゆーか何気に来月一周年?俺男だけど>>1の事を愛してるよ
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/04(土) 11:00:21.14 ID:zIPhxRB4O
モブとエロい事のプレイ内容の詳細よろしくお願い申し上げます。
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/04(土) 22:45:51.14 ID:sImcbIQZ0
まじにホモネタ書くとか乙
価値にこだわるのがそれっぽいんだけどつらい
次は笑えるのがいい
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/04(土) 22:47:12.52 ID:sImcbIQZ0
勝ちだすまん
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/05(日) 17:52:47.42 ID:Dog3kXyvO
初春の夢かよw
この集団デパートだっけ。幼女監禁してた暗部のやつ思い出す。
安価もいいけどメインのスクールのやつもよろしく。ここのはほのぼのしててすきだ。
1もすきだぞ。
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/06(月) 15:20:50.46 ID:X5O99CPJ0
>>367 
初春の夢に垣根がされた事が出てきた予知夢っぽいのじゃないの
未元物資の中身とかリアルでしょ
369 :超能力者が鎮守府に……? ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/07/10(金) 02:15:15.05 ID:AU4lR2f10


垣根「お前、またそれやってんのか。楽しいか?」

ゴーグル「艦隊っち、垣根さんもやってみます?」

垣根「どう言うのなんだ」

ゴーグル「よくあるブラウザゲーっス。ユーザー登録さえすればあとは基本無料っス。序盤にレア艦やレア空母並べてもコスト高で運用出来ないんでガチャ建造に課金は必要ないっスよ。資材も弾薬も放っとけば勝手に増えるんで問題ないっス。低レシピと一面周回してとりあえず艦の数を揃えて隊組んでください。序盤は泥のダブりはそのまま取っておいてくださいね。後、艦隊のフラッグシップはなるべくスキルが有利な方が――」

垣根「とりあえず日本語喋れよ」

ゴーグル「実際見た方が早いっスかね。えーっと、色々充実してくるとこんな感じになります。マイペ、母港本部の内装とかも変えられたりしますね」

ゴーグル「この隊の旗艦(フラッグシップ)が秘書艦って言ってここの、ホーム画面に表示されます。ボイス付きなんで色々喋ってくれるんスよ。友軍ってフレンド機能で共有出来るのもこのキャラっス」

垣根「喋んの」

ゴーグル「キャラによってセリフにも個性がっスね。あと結構史実ネタも充実してるらしくて萌えキャラじゃなくてそっち派のマニア受けもいいみたいっス。切り替えがここで……」

カチッ 提督!御用ですか!
カチッ てーとく
カチッ ……しれいかんさん
カチッ はぁい! だぁりん!
カチッ よお! ていとく!
……

垣根「……こいつら馴れ馴れしいぞ」

ゴーグル「垣根さんすいませんそこは仕様なんで我慢してください。断じて呼び捨てにしてる訳じゃないっス」


370 :うん。また小ネタなんだ ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/07/10(金) 02:23:02.59 ID:AU4lR2f10

垣根「ん? これは?」

ゴーグル「あー、これは敵陣のボスキャラっスね。深海棲◯◯姫シリーズ、実はこいつらも色々裏設定があって……どうかしました?」

垣根「いや……何かこのデザインに妙な親近感があるんだけど」

ゴーグル「え。この中二御用達カラーリングモノクロ反転一目でわかるザ・闇落ちみたいなキャラデザの一体どこに? 垣根さんどっちかっていうと闇属性っつうか光系の見た目っスよね」

垣根「何でだかわかんねえけど。こいつらって口ん中も黒いのか?」

ゴーグル「どうなんスかね」



垣根「とりあえずタダでやれんのはいいとして、ちまちまレベル上げんのが面倒過ぎるんだが」

ゴーグル「最初はそうっスよね。そこは作業ゲーの仕様っつうか、でも段々パーティの幅が出てくると楽しいっスよ? DVDとかかけます?」

垣根「何だそれ。時間潰しのゲームの時間潰しって意味あんのかよ。飽きるぞ。飽きる……あー、もう飽きた!」

ゴーグル「じゃあ……俺のところにあかぎっちがすげー余ってるんで一体トレードします? 火力上がればもうちょい経験値のいい面に低レベ連れてっても安定しますよ」

垣根「なんで同じの山ほど持ってんだ。え、ページ半面枠埋まってるぞ」

ゴーグル「イベントとかどの編成でも使えるようにあえて未覚醒のを取ってあるんスよ。一応レア五の子なんで……あと一〇は少なくともプレイヤーランクを上げてもらわないと、コスト不足でまともに艦数揃えた隊が組めないんスけど」

垣根「じゃあ上がったら言うわ。次もログインして、そん時覚えてればな」

ゴーグル「でもこれで垣根さんも艦っち仲間かあ。下部組織にも布教したんであと三人居るんスよ」

垣根「そんなにして楽しいか? 別に複数でやるようなもんでもねえだろ」

ゴーグル「そりゃそうっスけど。みんなでおんなじ話で盛り上がれるじゃないスか。あ、SNSでゲーム用のグループもわけてあるんでよかったら入ってくださいっス。こっちが個別でRPGのと、あとソシャゲと……」

垣根「お前組織の奴らと何してんの」

371 : ◆q7l9AKAoH. [ saga sage]:2015/07/10(金) 02:28:37.52 ID:AU4lR2f10
ドーモ
着任したみたいです。一応。
艦隊っちです。艦これはやったことないんでしりやせん
垣根提督ってしたかっただけ


>>312
昔みさきちが腐ってるSSがあったじゃなぁい?
被害力がなかったからいいけどぉ、洗脳能力でそっちの趣味だと恐ろしいわぁ
食蜂「『強性操作(カテゴリー801)/性的指向対象は同性である』あなたたち、抱き合いなさぁい☆」
とかつまりそういう?こわい

>>313
「超能力者」でやってるから女子軍もふざけあってるよね。御坂は両手に花にきまってんだろ!ばいーんぺたっばいーんだよ

>>314
それだ!

>>315
ドーモ
ありがと>>1も小ネタが好きでね

>>316
でしたねスマンね

>>317
そんなに?!つうかおそれおおくね

>>318
このスレでよければつかんでいなされ つ藁
1もいろいろまってる。一番は原作、派生作品の露出ですよねたしか今日発売日ですよねとうぶん読めませんがね(淀んだ目)

>>319
まてまだあせるじかんじゃない



↑の流れを汲んで個室サロンでカラオケ、ダベりからのホモごっことかしてた筈の暇な日の超能力者たちも落としましょうかね
コピペ踏襲ネタ
372 : ◆q7l9AKAoH. [ saga sage]:2015/07/10(金) 02:31:56.79 ID:AU4lR2f10


御坂「ホモごっこ……って何よそれ」

垣根「なんつーか。どっかでそんなことしてはしゃいだ馬鹿がいて、すげーウケたらしい。じゃあ真似してゲイっぽいこと言ってみようぜ、みたいな流れになってさあ」

食蜂「そんなの面白いのかしらぁ?」

麦野「つうかオマエは組織の人間と何遊んでんだ?」

一方「やだァ、早く挿れてェ?」

垣根「一方通行、お前……いつももっと上手にねだれるだろ?」

麦野「ぷっ」

一方「こォか」

垣根「そうそう。ありえねえよな」

麦野「なにそれおっかし……っ」バンバンバシバシ

一方「ツボにはまりすぎだろ。テーブル割れンじゃねェのか」

御坂「あっ、あんた達ねえ! そんなごっこ遊びがあってたまるかーっ!」

食蜂「全然手で隠せてないわよぉ御坂さん。こう言うのは慣れてるんじゃないのぉ。それとも少年力の高いのがお好きなのかしらぁ?」

麦野「あーっはっはっはっは!!……はーおっかしかった。おいおいお嬢様ったら何カマトトぶってんのかにゃーん?」

御坂「違う違う! 男子ってこう…直接的にネタにするの? まだ黒子のがマシじゃない…って言うかカマ? 何?」

削板「?  何を入れんだ? 気合か? 根性か?」ぐっ

垣根「わからねえんならそのままにしとけ。拳を作るな」
373 : ◆q7l9AKAoH. [ saga sage]:2015/07/10(金) 02:38:27.89 ID:AU4lR2f10


麦野「しっかしまた、上手いことガチっぽいのをやったよなぁ」バシバシ

一方「……ガチ根ゲイt」

垣根「やめろ馬鹿。叩き落とすぞ」

一方「はァ。随分座り心地の悪ィ椅子だ」

垣根「そうやって人の上でふんぞり返ってテメェが格上気取りかぁ? いい御身分だなあオイ」

一方「事実だろォが」

麦野「なーんだアンタら実は仲いいんじゃない? 二人はホモだちって……ふふふ」

食蜂「ぷぷぷ……でもなかなかの傑作力ねぇ。こんな面白いツーショットはそうお目にかかれないわぁ」

垣根「食蜂。お前リモコンこっち向けんなよ? 俺は自分の敵には容赦しねえぞ」

食蜂「何よぉ。冗談力が通じないわねぇ。大丈夫よぉ、何かあっても記憶は消してあげるからぁ」

一方「オマエの頭の電気信号逆流させてやろォか」

御坂「えっ。食蜂、アンタってそう言う……」

食蜂「あのねぇ、私の『心理掌握』はそんなつまらないことには使わないわぁ。『心理掌握』は精神高潔で高尚力のたかぁい私だからこそ許された能力よぉ? 価値を貶めてどうするのよぉ」

麦野「でもその能力だと派閥どころかなんでも好き放題でしょ。逆ハーでも奴隷牧場でも、ムカつく奴を炙ったりとかさあ」

御坂「げ」

垣根「何でお前ってそう、露骨に品がねえんだよ」

削板「牧場であぶって…肉か? でもこいつは人間の頭を操作するんじゃなかったか?」

一方「そォだな。ブタや牛っつうのは偉いよなァ。オマエは根性の曲がった話に混ざンなくてもいいぞ」

食蜂「もう。麦野さんたら見かけ通り下劣力高すぎだゾ☆」

麦野「何だろうね……コイツたまにものすごくムカつくんだけど。ちょっと弾いてみていいかにゃーん」

御坂「気にしなくてもいいんじゃない? 私もよくあるから」

垣根「お前ら、攻撃力皆無のヤツに全力で相手すると悪者でしかねえぞ。少しは加減してやれ」

一方「俺らが言うことでもねェけどな」

削板「そう言うのはな。正々堂々タイマンでやろうぜ!! よっしゃ、表出るか?!」

食蜂「えぇ〜これだけ居て私の味方力ゼロなのぉ?」
374 : ◆q7l9AKAoH. [ saga sage]:2015/07/10(金) 02:42:12.11 ID:AU4lR2f10


席順 

麦 御 食


垣 一 削



御坂「え。さっきの、私たちもするの?」

垣根「何だよ。次はそっちの番じゃねえの」

麦野「まぁ確かにそっちだけじゃヤリ損よねえ」

一方「もォちょい言い方あンだろ」



麦野「それじゃあ今夜はたぁっぷり啼かせてやろうかにゃーん。ねえ? み・こ・と?」

食蜂「あらぁ。私も御坂さんのツンツン顔を蜂蜜色に染めてみたいわぁ♡」

御坂「あはは……ジョークなら、いいんだけどね」

垣根「しっかし……同じ超能力者でも、ここまで違うもんか」

一方「どこ見てンだよ」

垣根「御坂、御坂」ちょいちょい

御坂「何?」

垣根「ちょっとそこ代わってくれよ」

御坂「いいわよ」


席替えタイム

麦 垣 食


御 一 削


375 : ◆q7l9AKAoH. [ saga sage]:2015/07/10(金) 02:45:18.42 ID:AU4lR2f10

御坂「うわぁ」

一方「なァーンか途端にいかがわしい店みたくなったなァ」

垣根「超能力者を侍らせるクラブとかあったらすごそうだな」

食蜂「『みーちゃん』を御指名ありがとうございまぁす。サービスしちゃうゾ☆」

麦野「お客さんいい男ね。もしかして同業?」

垣根「バレたか? って誰がホストっぽいんだよ」

一方「いや。どォ見てもオマエだろ」



垣根「よっしゃ。何でも好きなもの頼めよ。支払い? んなもん気にすんな」

食蜂「お兄さん太っ腹ぁ☆ うれしいわぁ。じゃあフルーツの盛り合わせとぉ」

一方「DXチキンバスケット。ソースはハバネロにしろ」

御坂「じゃあ、私はオムライス」

垣根「何で俺の横に座ってもねえお前らが真っ先に注文してんだよ。せめてシェア出来んのにしとけ」

一方「さっき上に座ってやったろォが。充分過ぎる釣りが出ンだろ」

麦野「やだ。シャケ弁置いてないじゃない」

垣根「こんなとこに普通ねえよ」

一方「幕ノ内じゃダメか」

麦野「邪道ね」

御坂「へえーお弁当はあるのね」

削板「おっ、垣根のおごりか? ありがとな! よーし、根性入れて食うぞ!!」

垣根「はぁ。そいつに端末独占させんなよ?」

376 : ◆q7l9AKAoH. [ saga sage]:2015/07/10(金) 02:48:02.06 ID:AU4lR2f10


食蜂「やだぁお兄さん、おさわりは別料金よぉ?」

垣根「ちょっと当たった程度で金とんのかよ」

一方「払えばいいってのもどォなンだ」

麦野「ちょっと操祈大丈夫だった? こんな野郎に肩なんて触られて」

食蜂「平気よぉ。もぉ、沈利さんってばぁヤキモチ焼き屋さんなんだからぁ♡」

御坂「あ。それまだ続いてたの」

垣根「そう言えばお前ら女子校なんだよな。本当にあんの? こう言うの」

御坂「それは、無い……わけじゃないけど。でもでもほとんどの人は普通よ?!」

食蜂「御坂さんには熱烈力全開なファンがいるのよねぇ」

麦野「ふーん。じゃあ学校で『お姉さま』とか呼ばれちゃってるわけ?」

食蜂「そうそう。モテる美人は大変よねぇ?」

一方「へェ」

御坂「なっ何よお。馬鹿にしてんの?」

垣根「いやー。すげーな?」

削板「お前らぁ、よってたかっては根性が足りてねえぞ!!」

食蜂「ひゃん?!」

麦野「いきなり怒鳴るんじゃねえよ。何、アンタまだ居たの」

御坂「これだけ存在感があるのに、そう言えば静かだったわね」

削板「料理が来たのに誰も食わねえからメシくってましたっ!」

垣根「あーっ! エンデュミオンバーガーがすでに半壊してるじゃねえか」

削板「うまかったぞ。食うか」

一方「あァ、一番下はもらったぞォ」
377 : ◆q7l9AKAoH. [ saga sage]:2015/07/10(金) 02:51:53.12 ID:AU4lR2f10

削板「お前らの話は聞いててもよくわかんなかったけどな。つまり麦野も食蜂も御坂が大好きで、垣根だって一方通行が好きなんだろ?
数字の順番だけじゃねえ、コイツはすげえヤツだってビシっと感じてんだよな!!」

食蜂「なーに言っちゃってるのかしらぁ」

麦野「誰がだよ。死ね。面白オブジェに変えてやろうか」

垣根「キモいこと言うな。ばーか、死ね。愉快な死体になりてえのか」

一方「お、この肉うめェな」

御坂「限定ゲコ太コースター付き? いつの間にこんなメニューが……!」



削板「うるせえ! 同じ能力者としてお互い認め合える存在ってのはそうないんだからよ。
お前らへらへら誤魔化してないでてめぇの気持ちに素直になりやがれ。もっと根性、入れろよ!!」

麦野「お、おう。ついうなずいちゃったわ。何コイツ」

垣根「無駄に暑苦しいよな」

御坂「べっ、別にそう言うのは……間に合ってるって言うか……」

食蜂「超能力者って野蛮力の高い人ばっかりよねぇ」

一方「……そォ言うオマエはどォなンだァ」

削板「俺か? 俺はお前らみんな好きだぜ!! 根性のすわった、いいヤツらだ!!」ドバーン!!

垣根「あ。ダメだこいつとは話があわねえ」

麦野「同感。私らとは相性悪すぎね」

一方「体育会系青春ノリの元暗部とかシャレになンねェよ」
378 : ◆q7l9AKAoH. [ saga sage]:2015/07/10(金) 02:54:17.77 ID:AU4lR2f10


御坂「いやー、ここまで突き抜けてるといっそ清々しいわね……って、食蜂下向いてどうしたの?」

食蜂「なっ何よぉ。私が御坂さんのことどぉ思ってようが関係力ないでしょぉ?」

御坂「は?」

食蜂「御坂さんはいいわよねぇ。いつも元気で、健康的でぇ。動物的でぇ、わっ我儘力は高いしぃ……ヒック」

一方「なンでアイツ半泣きなンだ?」

食蜂「みじゃが……グスッ、ど」

御坂「ちょっと待って食蜂! どうしたのよ落ちついて話し合いましょう?」

食蜂「……みさきちゃん、って呼んでぇ?」

御坂「 」

麦野「 」

垣根「いや、引きすぎだろ。何だその面。麦野、お前女としていいのかそれ」

削板「おう! なんだお前ら青春してんのか? いい根性だぜ!!」


食蜂「うっ、グスッ……ふぇえ」

一方「あーァ。御坂が泣かしたぞ」

御坂「えええ?!」

食蜂「ひっく、御坂さんがいじわるなのぉ…好悪付与、印象操作ぁ……」

垣根「おい待て何か妙だ。リモコン持たせんな」

麦野「止めなさいって。それ御坂には効かないんでしょ?」

379 : ◆q7l9AKAoH. [ saga sage]:2015/07/10(金) 02:58:28.61 ID:AU4lR2f10


御坂「あー。はいはいよしよしいいこいいこ頼むから大人しくしてなさいよ?」

食蜂「えへへぇ。こっちはふわふわねぇ」

麦野「はいはい。ねえ、なんなのこの子。明らかに変でしょ」

一方「その系統の超能力者が精神操作はされねェだろォし……オマエら、まさか酒は頼んでねェよな?」

垣根「超能力者は全員学生ってのは常識じゃねえか。んなバレたら一発で廃業にされそうな部屋に酒なんざ向こうが持ってこないだろ……いや」ハッ

麦野「おい。何でこっち見た」

垣根「お前コンビニでも問題なく買えそうじゃん」

麦野「テメェに言われたくねえよ!!」

垣根「はぁ? 酒なんて飲んだら気軽に能力使えねえだろ。飲んだら飛ぶな、飛ぶなら飲むなって言うだろうが。
ちょいとよそ見程度で起きちまう事故の規模が、俺たちは車の比じゃねえんだぞ。そんな馬鹿が許されんのは無能力者ぐらいだろ」

麦野「普通は飛ばないけど。まあ確かに狙いはマズくなるわよねえ」

御坂「子どもがお酒はだめってぱ、親に言われなかったの? ……って、ちょっとこれ何とかして!」

食蜂「ほらぁおいしいわよぉ? あーんしてぇ」

削板「そう言やフルーツポンチみたいなのがやけに消毒薬臭かったな。根性出しても流石に食えなかったぞ」

一方「あァこれだな。ン……ガッツリ酒の味がすンぞ。ちょっとそいつ貸せ」

食蜂「なによぉ触んないでよぉ」

一方「血中アルコール濃度が〇.〇八はあるなァ。立派な酔っ払いだ。ったく、もしガキが食ったらどォなってたか」

麦野「ビール一、二本空けたくらいか。ああ、確かに強いキルシュがそのままぶち込んであるわ。マチェドニアにしてもやり過ぎ。バイトのミスじゃないの。まあ……味はいいわね」

御坂「……ねえ、コイツって」

垣根「しっ。黙っとけ」
380 : ◆q7l9AKAoH. [ saga sage]:2015/07/10(金) 03:02:25.23 ID:AU4lR2f10


削板「なんだ根性の抜けた店だな。食蜂は大丈夫か?」

食蜂「うふふーみぃさかさんつかまえたゾ☆ ぎゅー☆」

御坂「この通りぐでんぐでん。ちょっと、重いわよ」

垣根「いざとなったら俺とお前で押さえるか。洗脳ってのは『反射』出来るもんなのかわからねえしな」

削板「お前らは俺のことを普通じゃないと思っているようだが、根性で何とかなるだけで怪我もするし骨も折れる生身の人間だからな。
あと根性あるやつの洗脳はまだされたことがないから、俺にもどうなるかはわかりません!!」

垣根「よし。今すぐそいつの鞄とリモコン全部取り上げろ。ついでに腕も縛っとけ」

食蜂「だ〜めぇ〜。これはぁ、みいちゃんのだいじだいじなのぉ。それにみんなぁ仲良くしなきゃダメなんだゾ? よい、しょ」

御坂「いい加減に……しろーっ!」ビリビリッ

麦野「危なかったわね。でも食蜂落ちたわよ、ってアンタどうしたのよ一方通行、フラフラじゃない」

一方「……気持ち悪ィ」

垣根「一口でそれか? 耐性なさ過ぎだろ!」

麦野「本当に虚弱ねコイツ」

御坂「顔どころかあちこち真っ赤じゃない。平気?」

一方「ン……駄目だなァ。御坂が四人に見える」

麦野「それって少ないくらいじゃないの?」

削板「何でだ」

麦野「……ただの冗談だっての。説明なんかしたら笑えないわよ」

垣根「あー、もしもし。ええ。実はそちらの料理に問題がありまして至急お話ししたいことがあるんですよね。こちらはプラチナボックスの部屋番――、そうだよ。こっちは超能力者だ、とっとと責任者と担当よこせコラ」

381 : ◆q7l9AKAoH. [ saga sage]:2015/07/10(金) 03:06:06.97 ID:AU4lR2f10


削板「大丈夫か一方通行。座れ、水飲め。根性入れるか?」

一方「頭、割れそォ……左右に」

削板「なんか背中から黒いの滲んできたけどどうすりゃいいんだ? このままさすってたら消えるか?」

垣根「それは根性でどうにかなるもんじゃねえ。そいつもそのまま落とせ。ここを更地にしたくなけりゃ、大至急だ」

削板「任せろ。よっこいせ!」ゴシャッ!

御坂「……ねえ、大丈夫? 今嫌な音しなかった?」

削板「峰打ちだ安心しろ」

垣根「でもさ、峰打ちでも骨くらい折れるんだろ」

麦野「こいつの馬鹿力にモヤシ体型じゃ……最悪、全身イッてんじゃないの」

御坂「でも……ああ、いざとなったらゲコ太先生がいるわね」



マネージャー「お客さま、大変お待たせいたしました……本日はまことに……」

店員「申し訳ございませんでした!!」

御坂「さーて。おかげで色々大変だったのよねえ。今から聞かせてあげるけど」

垣根「こっちは二人やられてんだ」

麦野「それなりの落とし前はつけてもらおうかにゃーん」

削板「物騒なこと言ってるが安心しろ。こいつらだってきっと話せばわかるさ。お前ら二人の根性は見届けてやる」

麦野「おい」

垣根「削板」

削板「ん? ああ!! やいっ、歯ぁ食い縛れ! その根性叩きなおしてやるぜ!! よーしこうだな?」




食蜂「ふふふ……、りー……そんなに走ると転ぶわよぉ」スヤスヤァ

一方「……ボケッとしてると置いてくぞォ?……と……だー」クカァ

382 : ◆q7l9AKAoH. [ saga sage]:2015/07/10(金) 03:08:39.07 ID:AU4lR2f10


お酒は20歳になってから!!
御坂家では大人になっても異性がいる時に酒は飲むなってきつく言われてそう

あっちこっちで大事にされてる御坂家のいもうとさんだけど実は御坂遺伝子には相当なモテ法則因子があるんじゃないのか。上条さんにはそげられてるだけで
あの子は冥土帰しのところにでも入ればお見舞いくらいは出来てそうなんだけどね?

それではみなさま良い発売日を
じゃあまた
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/10(金) 12:15:13.41 ID:xxo4VPhHo
俺も艦コレ知らないけど、垣根はWW1時第二位の海軍国ドイツ帝国が似合うかも。最後第一位の英国に敗けるし
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/10(金) 12:57:39.09 ID:rKnvewoAO
深海棲艦にシンパシー感じんなやwwww
というか色々ツッコミが追いつかないがこれだけは言わせてくれ、
酔っ払いみさきちかわええええええ
ありがとう!ありがとう!!
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/11(土) 08:42:07.19 ID:XGXmFsJmO
ワロタw
垣根ゴーグルに甘いし
黒翼でてくんのちょろいし
麦野おまえもうだめだろww
ここのレベル5ぶっ壊れてていいな
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/07/11(土) 12:01:05.92 ID:wWQ9vg9n0
……おかしい、垣根と削板が常識人に見える
確かに原作での言動も一方や麦野ほどぶっ飛んでないけど
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/11(土) 12:23:07.09 ID:rkHOgj4+O
すごく良かった。やはりゴーグルへの愛が溢れている。
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/11(土) 12:31:34.40 ID:htO3UZKDO
何このみさきち可愛い
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/11(土) 19:07:54.02 ID:sNBEK4rt0
仲良しレベル5って好きだけど
この面子だと常識通用しないホストが常識的だったりすることが多い謎

>垣根艦これ
曙「このクソ提督!」 垣根「あ?」
解体不可避
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/11(土) 21:16:31.59 ID:BP4tZuQX0
垣根はドMで苦労人だからな他の連中とはそのへんの差がついてしまうんだろ
中身は一番幼いけど
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/12(日) 11:22:30.66 ID:zI8C6B6pO
垣根と麦野がうける
>垣根「こっちは二人やられてんだ」
ってやったのお前らだろ!
削板も空気読めるんだなw
392 : ◆q7l9AKAoH. [sage saga]:2015/07/15(水) 00:25:37.33 ID:0k4V3Fdj0
>>200についてあれこれとレス


>>1は激怒した。
必ず、かの邪智暴虐>>200の安価に片をつけねばならぬと決意した。
>>1にはエロSSがわからぬ。
>>1は、ただの暇人である。
さもないSSを書き、スレで遊んで暮して来た。
けれども初めて振った安価に対しては、人一倍に敏感であった。
って具合にあえて別ベクトルにガチなやつでやっつけたがご好評でなにより。

>>356
何をいっしょうけんめいやってんだろうと何度か我にかえったがたのしんでもらえたならいちもうかばれるくさばのかげでがっつぽーず。
垣根には悪いことしたね犠牲はつきものなのだわ。

>>357
書きましたー!

>>359
別に書いてないとこはお好きにドーゾだわ。黒幕ブッ殺エンドでもまさかのドナドナでも構わんよ。垣根にとってムカつく結果になったのは間違いないだけで。
しりあすって…え?シリアスって?
ちょっと上手いこと言ってんじゃねーw

>>360
元ネタこれか!一つ賢くなったありがとう。
そうかかわいいのか流石垣根は未元物質なんでもカバーするね。ありがとありがと。

>>361
垣根の口を塞いだらモブが無駄にやかましくなった。個性的な口調は楽でいいなかまちーは天才だな。
垣根がひどいことをされるシーンは都合削減した。でないとどんだけ長くすりゃいいのかわからんし切ってよかった気もする。
投下で三時間は正直ツラかった。
当時の全容なら『スクール』で回収しただろう撮影時のテープか、『滞空回線』にログがあるのでは、と1は『電話の相手』に見してーって言えばいんじゃないかそもそもネタでパラレルだけどなと無理を承知で進言します。

>>362
安心しろ。グレーゾーンなんて温いことは言わねえ。次の安価は真っ黒だ。
本編じゃやらないことを安価でしようぜネタに走るよ。だから次のも前のも気にすんなそのあとなんかどうするんだいレッツ常盤台だよ。

>>363
まさか一年も続くたあ驚き桃の木にしたって気が早くね。
つかなにこの流れ告白大会なの?そうか1はな…キリンさんがすきですでもかまちーはもーっとすきです!だから三期をよろしく。

>>364
詳細か

一人目主にバック、長音の人。恐らくこの中では一番ノーマルな趣味をしてるが子ども相手に暴力振るってもむしろ喜んじゃうタイプなので軽蔑すべきクソ野郎。巨根遅漏守銭奴の三重苦。

二人目拘束・SM、逆にの人。きっと機械工作が好き。相手が死ななきゃ何してもいいとか思ってそうな軽蔑すべきクソ野郎。他が濃すぎて影が薄い。

三人目BUKKAKEetc、ヤク好きの馬鹿の人。
調子こくとてきとうに薬盛っちゃうし『素材』の自爆補填が一番多い軽蔑すべきクソ野郎。ジャ◯顔のクズ。

四人目眼鏡の人。小さい時なんかあったっぽいが今では小さい子にひどいことするのも見るのも好きな立派な軽蔑すべきクソ。ロリペド教師予備軍
描写がほとんどないのはめんどくさくなったからではなく一人だけ安価内容にそぐわない為。とか言う勝手なこじつけで最終的に属性も変更。

最低限の描写でリンカーンっぽくしようとプレイのバリエーションだけでほわっとごまかした感があるんだが、かったるかったりエロがかけなかった訳ではありますん。
こう言うことが聞きたいんじゃないんだろうけど。心配するな自覚はある。
あんま考えてないからご丁寧におねがいされましてもお答えできかねます。
>>1が書いてないことは妄想暴走お好きにドーゾ。

>>365
乙ありです。
まって誤字からのダブルミーニングつらいやめて。

>>367
どの花飾り風紀委員さんでしょうね。4コマからだっけ?腐ネタがあんの。
需要があんなら供給があるのかなと思って『雑貨稼業』さんをパク…インスパイアしました。
ありがと。本編も頑張って進めるわ。
>>1も垣根が好きだよ。

>>368
夢が先か事件が先か。さてどちらなんでしょうね。
『守護神』は『対空回線』の夢を見るか?でもいいと思うしAIM拡散力場がどうのでもいいと思う。

393 : ◆q7l9AKAoH. [sage saga]:2015/07/15(水) 00:26:28.98 ID:0k4V3Fdj0

>>383
Marchenな第二位だけにか。
軍服ってかっけーよね!垣根はうまく乗せたらコスプレとかしてくれるとおもう。

>>384
あの白ベースオレンジ目とかが何となく垣根ホワイトを思い出してしまった。クレイジーサイコホモ気味なレーズン垣根は元気にしてっかな。
みさきちかわいいよな。でももしかしたら麦野も酔うとかわいいかもしれんぞ。


>>385
黒い翼は、レッドブル飲ませたら…ってのもやろうと思ったけどやめた。
しっ!
麦野はもう原作からしてワガママワンマン女王様だから。
多分このメンツでも麦野と削板は他人と会話のキャッチボールをしないと思う。きっと投げっぱなしだろあいつら自由だよね。
多少の壊れはギャグってことで。尖らせてる自覚はある。

>>386
やばいぞ非常識&非常識がまともにみえてくるなんておかしな集団・超能力者に毒されてるぞ早く冥土帰しに診てもらった方が良さそうだね?
超能力者が全員ずーっとぶっ飛んでるとやばいよ。誰か上条さん呼んでこいだよ。
まあ一番ちゃんとした良識があるのは美琴ちゃんだよね。

>>387
え?はい、ドーモ。
おかしいなやつを愛でたつもりもさせたつもりもないぞ。
でもゴーグルがいないと『スクール』は任務以外のイベントが起きない感がやばいから大事にしたいと思います。狂言回し大事。超大事。
垣根と心理定規二人にするとそのまま会話なくても別に平気そうなんだもん。

>>388
みさきちほんとかわいい。超電磁砲ドリー編ですっかりファンになりました。
でもここ最近禁書で一番萌えたのはやたらとパワフルなおじいちゃんとカッコイイ犬です。どうしようorz

>>389
うぃき先生に聞いてきた。解体だ……僅かな資材と装備を残してバラされてしまうんだ
ギャグやらせるとツッコミ・ストッパー役=常識人みたいにみえてしまう気もする。
上条さんとか御坂もそっち寄りっぽいよね。
とかもっともらしいこと考えてみたけど。
見た目ホストっぼいから周りの面倒見せたりまとめさせても似合うんじゃないか?
あとあの中で、外面は一番いいとおもう。

>>390
そうなのか。まあ原作の扱いは、うん。仕方ないよね

>>391
垣根「正当防衛ってしってるか。やられる前にやっただけだ」
ソギーはいいやつだからな!

394 : ◆q7l9AKAoH. [sage saga]:2015/07/15(水) 00:29:05.12 ID:0k4V3Fdj0

強すぎる一撃には反動がつきものらしい。
ポケモ○の破壊光線の1ターンスタンよろしく、ホモネタを戦闘シーンにすり替えるために地の文を費やした1の精神は非常に落ち込んでいた。
その為何が生じたかというと。
苦労して前回薄めたホモ成分を超えるひどいものが出来上がった。

なので次の安価レスはデレるどころかひたすらホモネタ大喜利をする垣根です。今度はほぼご機嫌です。よろしく
どうしてこうなった。本当に。

とまあこれだけじゃなんだから次小ネタ。
ちょっと時期外れだけどパズデックスのあれ。
395 : ◆q7l9AKAoH. [sage saga]:2015/07/15(水) 00:31:04.61 ID:0k4V3Fdj0

謎解学園てきななにか
※一方さんが会長のあれ。まさかの2本目
※諸々あって『スクール』は風紀委員をしてます


登校時


ゴーグル「はぁ。昨日の小テストが上手くいかなかった。また放課後補習とかになったら嫌だー」

青ピ「ボクはちゃーんとやったで? 赤点ギリ回避!」

ゴーグル「担当が男だからやる気出してるんじゃないよな?」

青ピ「はっはっはー。その通りっ! 野郎に叱られてどないせっちゅーの! ってセンセんとこは確か……
第二外国語、オリアナ先生やん! マンツーマンで個人レッスンとか?! うーわー出来るんならして欲しいわ」

ゴーグル「はぁ。そんなの考えただけでツラい。そうなったら委員の仕事を盾にしてでも断固回避するぞ」

青ピ「あれ。センセ、なんやテンションえらい低くない?」

ゴーグル「ああ言う激肉食系女豹女子はあんまり……男子学生が露骨な下ネタ大好きだと思ったら大間違いなんだって」

青ピ「あー、センセの好みはおとなしい子ぉやったね」

ゴーグル「そうだよ……青ピ君とこの、姫神さんとか」

青ピ「姫神が?」

ゴーグル「ど真ん中ストライク……黒髪ロングストレート、清楚系で薄幸美人とか何だよ属性フルコンプじゃないのか?! あー、もう王道最高!!」

青ピ「そうやったん? でもセンセ、ウチのクラスはほぼカミやんフラグが済みになってるから難しいんやないかなあ」

ゴーグル「現実に高望みはしないから。同じ学校にあんな子がいるってだけで俺は充分です。心のオアシスっス」

青ピ「またそんな謙虚なことを……どう? 今度帰りにみんなでお茶しまへんか〜とか。誘ってみます?」

ゴーグル「えっ!」

青ピ「ボク同じクラスやし声かけたってもええよ? あ、ええんやでそんな気にせんでも! ボクとセンセの仲やないの!!」バシバシ

ゴーグル「……何が目的だこの野郎」

青ピ「え? どうせならセンセも女の子連れてきたってな〜。Wデートっ! あの、風紀委員の副委員長さんとか!!」

ゴーグル「あの子まだ中学生だぞ?」

青ピ「せやから?」

ゴーグル「……ようじょとかよりはいいんだろうけどさ。幾らなんでも委員の身内は売れねえっス。青ピ君も、いい度胸してるよな。風紀委員とフラグなんてもう立たないんじゃないか? 
職質の常連通り越してそろそろブラックリストに入るっスよ」

青ピ「ボクのことをしらん子は風紀委員に居らへんってことやね!!」

ゴーグル「前向きだよなぁ。それより俺の居ないとこでしょっちゅう問題起こさないで欲しいっスね」

青ピ「なんで?」

ゴーグル「女子の風紀委員から俺に苦情と未処理の報告書が押し寄せるんス。すっかり俺が専用窓口っつうか。
おかげで無駄に忙しい…ん? いや、一度くらい委員長直々に徹底的にシメてもらえばそんな気もなくなるかもしれないよな? 早速見回りの強化をしてもらって――」

青ピ「いやー! センセにはいっっっつもお世話になってます! このとーり!! もー、んなイジワル言わんといて? な? あのセンパイさんおっかないやんイケメンやけどっ!」

ゴーグル「あ。噂をすればあんなところに垣根さん」

青ピ「おーっとじゃあボクもう行くわー、さいならっ!」


396 : ◆q7l9AKAoH. [sage saga]:2015/07/15(水) 00:32:15.55 ID:0k4V3Fdj0

シェリー「よぉ。垣根」

垣根「クロムウェル先生。おはようございます」

シェリー「お前のこの前の課題。なかなか良かったぞ。細部の造形まで良く仕上げたじゃない。お前の創作は見事だよ、迫力の完成度が違う」

垣根「ありがとうございます」

シェリー「ただなぁ。芸術にはもう少し遊びがあっていいぞ。作品にもっと熱を込めてみろ。面白くなるわよ」

垣根「……そうですか」

シェリー「お! おーい削板!!」

削板「おおっと。おはよーございますっ!」

シェリー「うふふ。おはよう。朝から調子がいいらしいな、作品にもよく出てるよ」

削板「『根性は爆発だ!No.20』か。あれ? でも先生は絵が好きなんじゃなかったのか」

シェリー「そうね。確かに、前作の大胆な空間の使い方。あれも良かったがお前は筆を鑿に変えても魅せるねえ……お前、本格的にこっちに進む気はないの?」

削板「うーん。俺は体動かすのが合ってる気がすんだよなあ。作って遊ぶのも嫌いじゃないけど」

シェリー「まあ考えときなさい。色んな道があるからね。しばらくは立体作品が続くけど、筆がとりたくなったらいつでも言いな。美術室を好きに使っていい。居残りどもと一緒でよけりゃあな」



ゴーグル「垣根さんおはようございます。はー、人って見かけによらないんスね」

垣根「わっかんねーな。いや、理解したくもないけどさ」

削板「お、お前ら!  オッ   ス !  !」ビュオッ

ゴーグル「あー、走っては…ないんスね。なんだあれ新技か?」

垣根「なあゴーグル」

ゴーグル「はい」

垣根「昼休みが、楽しみだな」

ゴーグル「俺は既に胃が痛いっス」


397 : ◆q7l9AKAoH. [sage saga]:2015/07/15(水) 00:33:56.26 ID:0k4V3Fdj0

放課後



上条「ううう……二時間格闘した粘土の上に道具をひっくり返してしまうとは。我ながらなかなか不幸だ」

上条「流石にまだ居残りしてるのは俺たちくらいだな。みんなぱぱっと終わらせちゃうしなあ」

一方「連日居残り皆勤のオマエと違って俺は忙しいンだ。誰かさンが年中データをブチ消したり書類をダメにしてくれるからなァ。放課後にそンな時間がねェ」ペタペタ

上条「上条さんだって……無差別にそげりたくてゲンコロしてるわけじゃありませんっ!」

一方「そォですか。それより進んでねェ現実をなンとかしろ」

上条「むしろまた潰したんで後退してます。ちくせう。自由課題だからな。もう、長く伸ばしてイモムシってのはどうだ。いやーでもみんなすごいな。なかなかの力作だ」ウロウロ

上条「お。一方通行の方はどう……」

一方「ンー。こォ、か?」ペタペタ

上条「…………」ゴクリ

一方「……なンだよ」ガリガリ

上条「えーと。これはなんと言いましょうか……か、かわいいな?」

一方「……ン。まァな」

上条「えっと、それはペンギン……か何かでせうか?」

一方「はァ?」



垣根「うらー下校の時間だ。いつまで残ってんだ……って、テメェらか。何だ何だ? 生徒会役員様が授業の居残りですかあ」

一方「なンだオマエかァ」ぐにゃー

垣根「……へぇ」

一方「なンだよ」

垣根「いや? もうちょっとここは短くしたほうがいいんじゃねえの」

一方「うるせェ。余計なお世話だ」のばしのばし

上条「(垣根)」

垣根「あ? (何だよ)」

上条「(あれ、何だかわかるのか? 上条さんはさっぱりですが)」

垣根「(え。最終信号だろ?)」

上条「はぁあああああ?!」

一方「上条、うるせェぞ」ガチャガチャ

上条「あの何とも名状し難い粘土の塊が、打ち止め……? なんでわかったんだ」

垣根「あのアホ毛っぽいのとか、顔の割にやたらデカい…目…なのか、あれは? その辺のバランスがなんとなく…だな。
いや、相手があれじゃ断言は出来ねえぞ」

シェリー「お前ら今日はそろそろ終わりにしろよ。お、一方通行のも仕上がってきたじゃない」

一方「あァ」

シェリー「うんうん。お前の作品はエッジが効いてるな。そろそろ名前は考えたのか? 作品にはタイトルも大事よ」

一方「そォだな……」

垣根「(何だ、何がくる? 俺の読みは一体どこまで通用するんだ)」

上条「(もし本当にそうだったらかわいそうだが本人には見せてやれないぞ)」
398 : ◆q7l9AKAoH. [sage saga]:2015/07/15(水) 00:36:04.97 ID:0k4V3Fdj0



一方「……『道端の犬』だな」

上条「犬?!」

垣根「マジかよ!!」

上条「犬だったじゃん! 大ハズレだぞ」

垣根「これが……犬、だと……? 上条、ならテメェは何だと思ったんだよ」

上条「ペンギン」

垣根「は。俺の勝ちだな」

上条「何でだよ」

垣根「同じ哺乳類だろ」

上条「そこ? いやいやお前のほうがひどいぞ? これと一緒にするなんてかわいそうだ」

シェリー「盛り上がってるとこ悪いけどなあ上条。そろそろ何か提出してくれないとアンタの今学期の成績がつけられないのよ。これまでまともな作品がゼロじゃねえ」

上条「え」

一方「言っとくが次の会議は休ませねェぞ。記録係が不在じゃ話にならねェ」

上条「はい?」

シェリー「途中点でもいいけど……これは、流石に作り直すだろ?」べしゃあ

上条「マズい。このままでは技能教科の成績まで……なぁ、垣根」

垣根「はい。三階の施錠は終わりました。生徒の退去の確認を終え次第戻ります」ピッ

上条「垣根! 頼む助けてくれ!」

垣根「何だよ。んなきたねえ手で触んなよ?」

上条「なんとか粘土をこねるから、出来上がった奴が『何があっても壊れたり変形しないように』してくれないか? 
上条さんは何度も何度も、何度も何度も! やり直すのはもう耐えられません!」

垣根「嫌だ」

上条「何でだよ」

垣根「俺は風紀委員、テメェは生徒会。俺は自分の敵には容赦はしねえ。残念だったな」

上条「そん……なぁあああああああ!」

一方「まァ、そンなに凹むな。俺はそろそろ終わるからな」

上条「へ」

一方「少しくらい…いや、時間があったらだけど……よォ」

上条「一方通行……おお、上条さんの心の友よ!!」

垣根「削板のって……これか?」

シェリー「うふ。うふふふふ。ああ。私も教師になって初めてここまでの才能の『原石』を見つけたわ。二五〇年に一人の逸材と言っても惜しくないくらいだよ」

垣根「やべえ。微塵も良さがわからねえ。前衛的にも程があるぞ」




後日

ザワザワ

青ピ「カミやん……またえらいもんを作り上げたみたいやね?」

土御門「実はカミやんもそっちサイドだったとはにゃー。邪神像が増えてるぜよ」

上条「ハハハハハカンセイシタノニフコウダー」


399 : ◆q7l9AKAoH. [sage saga]:2015/07/15(水) 00:38:26.44 ID:0k4V3Fdj0
ドーモ。
最近こんなんばっかで悪いな。

シェリーさん美術の先生にしてしまったが宜しいか。
第一位が実は画伯属性持ちだったら爆笑して愉快なオブジェになる。
でも、何でも出来る奴よりプラス欠点があるとおいしいだろ!
イケメンだけど羽が生えたりよ!!

じゃあまた
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/15(水) 10:49:36.64 ID:EStQ0NTeo
イケメンな上に羽が生えるとか利点でしかないだろ!いい加減にしろ!

垣根は美術作品は意外と堅実なのか。常識が通用しないピカソみたいな感じかと思ったが
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/16(木) 00:44:25.33 ID:pFcMGr1DO
まとめで一気に読んだけどどれもネタ多くてスゲー笑ったw
ホモのも普通に面白かったし
電話の男にデレてる垣根ははじめてみたかも
もっとえろくてもいいよ
ここの1の垣根愛はすんごいな
頭んなかどうなってんの
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/16(木) 09:18:36.16 ID:89AI6318O
相変わらず垣根への愛に溢れていて良かったよ。
このスレ見てからゴーグルも好きになってきたが、原作ではもうほとんど出番ないんだろうなあ……
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/16(木) 09:50:46.54 ID:BkggXRVjO
ていうかもう死んでるし
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/16(木) 14:50:24.66 ID:K9dua+MiO
セロリ画伯ワロタwwww
セロリもデレてるしみさみこ百合とかほもとかあれか
イッチは両刀か
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/16(木) 21:38:29.16 ID:9LqWfnkh0
垣根は能力に反して自分自身は常識から脱却できてない感じなのも似合う気はする
万能秀才だけど突き抜けてなくて、それが二位の壁っていうか
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/17(金) 00:17:33.32 ID:qykE4l9zO
この学校楽しそうでいいなw
校長はビーカーから飛び出して攻撃してくんの?
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/18(土) 10:23:54.71 ID:vkLMyOTZ0
非常識を極めるにはそれだけ常識、当たり前の概念に精通してないとな、と思わんこともない
極論だけどそれらの真逆が常識外の事だし
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/18(土) 14:19:50.26 ID:zZZYxVrYO
そういえば垣根って何歳なんだ?
校門で制服チェックしてる垣根におはようございます先輩って言われたい
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/18(土) 14:46:19.66 ID:K5dOLv4/O
あと白井が同じ学校で生徒会だと初春と垣根は同じ支部になるのか?帝春来る?
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/18(土) 18:08:28.84 ID:Eocbd2TIO
風紀委員の支部は学区内の幾つかの学校でまとまってんだっけ?同じ学校なら一緒だよな
トラブルのない垣根と初春の出会いは新しいかも
でも削×垣、一×上で薄い本のネタにされる未来が見える
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/28(火) 11:32:16.11 ID:BoziQS7/0
その後、さらに垣根に頼み込んで粘土を固めて貰うもげんころして不幸だーの展開が見える
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/28(火) 14:51:08.35 ID:2OsUHThzO
邪神化する前に軌道修正出来なかったのかよ
>>411
セロリ作だって知ってたら固める前にぶっこわしそうじゃね?
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/28(火) 18:08:01.85 ID:dJS3U45/O
青ピの気持ちがわかる
垣根になら放課後個人指導して欲しい
風紀めっちゃ乱れてるから直してくれるよな風紀委員さん
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/07/28(火) 22:56:41.97 ID:Dylg+ScK0
>>1マダァ-?
(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/29(水) 01:46:01.67 ID:6DRJpZm3o
>>1マダァー?
(U)←チンチン
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/29(水) 15:18:46.94 ID:yb3v818PO
>>1マダァー?
 ∩
( 人 )←チンチン
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/02(日) 14:22:54.57 ID:1w9Oj+E2O
垣根のご冥福をお祈りします(-_-)/Ω チーン
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/02(日) 15:11:58.25 ID:YfCex2qq0
垣根提督ネタで思ったけど
艦娘の台詞を提督(役職)→帝督(名前)に変換すると
なんか親密度とか関係性が違って見えてちょっとニヤニヤできるな

生真面目な感じの台詞も名前呼び捨てだと途端に甘く聞こえる
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/03(月) 00:59:54.15 ID:3LE603sAO
ちゃんと考えようと思うと提督として着任させること自体が難しくてやれるネタじゃねえなあって断念したが、深海側で提督やらせんのならアリかもな
というかレ級やほっぽちゃんに懐かれる(物理)ホワイトが見たい
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/05(水) 12:34:28.89 ID:3XF9Zivb0
15巻後〜新訳のパラレルで、黒垣根モドキ的なのが深海棲艦の発生原因
それに対抗するための未元物質製自律兵器が艦娘
艦娘の統率・運用のために脳みそ分割から復活させられた垣根が提督に着任
学園都市に付けられた枷のせいで本人は戦えない&提督やるしかない(資源に使う未元物質も制限)
鎮守府は学園都市が作ったメガフロート的な

禁書ベースならそんな感じの設定も考えたことあるなぁ
深海側の方がハマる気もするけど、また一方通行あたりにやられる未来しか見えなくて…
艦これベースならなんやかんやあって提督になりましたでいいんじゃね?(適当)
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/05(水) 14:33:00.75 ID:mXmz99y2O
さすがに艦これはスレ違いじゃね?
>>1も別にやってないんでしょ
それよりデレる垣根はよ
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/06(木) 18:20:59.55 ID:+4k25sQJO
別にここの1はほっといても書くだろ
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/08(土) 13:01:57.44 ID:q+5fr0k4O
スピンオフの方でもいいから漫画にスクール出ないかな
424 : ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/08/17(月) 00:42:27.73 ID:Bv+OH5KO0

我がもの顔でカンカン照りだった太陽が少し傾きはじめた夏の昼すぎ。
とあるマンションの一室、その中でも一番日当りのいい窓辺に置かれたカウチソファ。
その上に寝そべっていたのは背の高い少年だった。
超能力者、垣根帝督は持て余し気味な長い足を組んでいた。ちなみに靴は履いたままだが、能力でちょっと工夫すると靴底なんて汚れないんだと彼は組織のメンバーに自慢げに語ったことがある。
女子なら真っ先に避けそうな紫外線直撃スペースで、彼は涼しい顔してくつろいでいた。
やかましいセミの声も屋外のうだるような熱気もここまでは届かない。
そのかわり室内にはプラスティックやカーボン、アルミ。
硬質な小さなものの擦れあう無機質な合唱が響いていた。
その中心点からふと、気の抜けたサイダーのような声が上がった。

「あれ……そう言やさっき…心理定規来ませんでした?」

「バイトだって言ってたろ。さっきって、もう一時間は前じゃねえか」

「そー…でし…たっけ?」

やる気、というか生気のない声で答えるゴーグルの少年。
カウチに背をあずけていた垣根は顔を上げると、その背中に目をやって顔をしかめた。

「お前いつからそれなんだ」

別に『スクール』の用事があったわけではない。
この隠れ家の一室で垣根が寛いでいるところにたまたま心理定規がやってきて(彼女はついでだと言っていた)、ゴーグルの少年はリーダーが来るよりずっと前から私用で室内を占拠している。

頭の装置から腰まで垂れ下がったコードに囲まれた姿は何だかクラゲのロボットにでも乗っ取られたようにも見える。SF映画に出てきそうだ。
猫背気味に丸まった背中もまるでゾンビのようだった。
パソコンのモニタに視線をはりつけたまま、B級ホラーものっぽい異様な雰囲気をかもしだしている少年は声だけで返事をする。

「昨日の夜っス。いやー、四つのゲームのイベント開催が被った上に、どうしても出ない素材があって。このままだと揃わないんでもう追い込みかけんのに必死です。あ、ちゃんと寝てます。二時間机で」

口調はだるそうだったが、腕から先はまるで別の生き物のように素早く動いている。
手元の携帯ゲーム機、二台並んだパソコン。
どれもシーク音を立ててばっちり働いていた。
頭に装着したゴーグルで同時に幾つものゲームをすすめているのだろう。
恥も外聞も、尊厳さえ捨てたような姿勢でゲームに打ち込む姿はまさに『廃人』と言う言葉がぴったりだった。
そこまで聞いてねえよ、と垣根は呆れたように首を振ると視線をてのひらのスマートフォンに戻した。

425 : ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/08/17(月) 00:47:31.84 ID:Bv+OH5KO0

少年は腰の機械のスイッチを切ると、ケーブルを外してゴーグルを取った。
疲れているのかだらけた様子で息を吐いた。
グシャグシャと頭をかいて両手で目元をこする。

「あ゛あ゛あ゛、ちくしょー物欲センサー爆発しろ」

ぐちりながら近くのビニール袋からペットボトルを取り出すと薄オレンジの液体をぐーっと飲み干す。
カフェインたっぷりのエナジードリンクと電解質バランスのいいスポーツドリンクでカクテルを作ると効きがいいと言うのはよくある噂だが。実際どうなんだろうか。
プラシーボなんてものでも馬鹿にできない効果はあったりするが、怪しいところだ。
そんな体によくなさそうな色をしたドリンクをうまそうに飲むと、少年は腕と肩を伸ばしてからもう一度ゴーグルを手に取った。
位置を合わせて頭にかぶり、コードを順につないで。
何気ない動作で。
スイッチを入れた。

「……あ」

ヤバい、と声にする前に。
後ろのローテーブルに置かれたタブレットの上で。
ぐしゃぐしゃとタッチペンが潰れていった。

「あーーーーーーー! またやったぁあああああああ!!」

悲鳴を上げたゴーグルは勢いよく立ち上がる。
ガシャッ! と派手な音を立てて椅子が転がるが、彼は構わずそのままタブレットの前に走っていく。

「あああああああ……よかった、ひとまず平気みたいで」

「何騒いでんだよ」

「危うくこいつをお釈迦にするとこでした。無傷って訳にはいきませんでしたけどギリセーフですよもー」

タブレット端末は液晶に傷とひびは入っているが、動作そのものに問題はないらしい。
被害は、その上で『念動力』によって操作されていたペンに集中していた。
金属製のペンの軸は乱暴にもみ消した煙草の吸殻のように変貌していた。
426 : ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/08/17(月) 00:49:23.83 ID:Bv+OH5KO0

「うっかり『目』を離すと切り替え時の再設定しくってたまーにやるんス。あー、集中力切れてんなー」

残念そうに言いながら、少年は端末の横のケースから別のタッチペンを取り出した。
一度、ウエストポーチのように巻かれた装置に目を向けると机に置いたペンを宙に浮かべて丸を書く。
調整は問題なかったのか、うんうんうなずきながら席に戻って椅子を起こした。

「『念動力』も力加減が難しいんで。俺はまだその辺が甘いっつうか、最大と最小の幅がありすぎんのも考えものっス。ただボタン押すだけだって、人間の指一つでも再現するのは結構大変なんスから。
前に三徹した時は、ゲーム機バキバキに潰して……あれから俺は赤牛、打破と仲良くするのと能力で遊ぶのは二徹までって決めました」

「要はさ、たるんでんだろ。何してんだか」

超能力者級の自己管理を求められても困るのか、少年は情けなく眉を寄せた。

「俺みたいな能力だと事故ってプレスとかローラーみたいな機械で起きるのと一緒なんですよね」

作業中の不意の巻き込みっスから、と息をはくと、

「能力のフィードバックも自動じゃないっスから。大体これくらい、ってしてても少し設定しくじると簡単に」

パン! と両手を叩いた。

歪んでいた金属製のペンは丸めたガムの包み紙の様に小さく潰れていた。
カフェインの摂取と睡眠不足でハイになっているのか、ゴーグルは一人早口で喋り続けている。

「だから、ちゃんと見える範囲で能力つかわねえと。コロンブスの卵くらいならいいけど生き物って意外と脆いんだよなあ。こう――」

「ちょっとやってみろよ」

「はい?」

コロンブスの卵、と復唱すると垣根は当たり前のように、部屋に置かれた冷蔵庫を指さした。


427 : ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/08/17(月) 00:52:20.74 ID:Bv+OH5KO0

急で意外すぎるリクエストにこたえてゴーグルの少年はよく冷えた卵の紙パックを両手でささげ持つように運んできた。

「お前、それ着けてると幾つ出来るって言ってたっけ。四か、五か」

「いまはいいとこ三つですね。カメラの台数によるんで」

何で今やるんですか、と少年の投げかけた疑問は、
「見たことねえから」
の一言で切り捨てられた。

「そうかそうか」

ゴーグルが手にしたパックから一つつまみあげると垣根は無造作に卵を放り投げた。

一つ、二つ。
パックが空いていく。

「いいッ?!」

ラックの上に飛んで行った卵が空中で止まる。
続いてパソコンのモニタの近くでもう一つ。
壁にぶつかる直前ですとんと下に向きを変えたものもあった。

卵の動きが止まると、少年は慌ててパックを横に置いた。
体の前で両手をおわんのようにしたゴーグルの少年は宙を見つめたまま息を止めた。
息を吐くと同時に、卵たちは不可視のレールに乗せられたように空中を滑り落ちていった。
中のものを零す様にゴーグルの少年は慎重な動きで両手のおわんを左右に崩す。
コロコロゴトン、と集合した卵が静かに床の上に転がった。
ひびが入っているものもあったが中身が漏れたりひどいことにはなっていない様だった。

コロンブスの卵は生卵を手を使わずに逆さに立てる念動能力専攻の学生にはおなじみの学習メニューだ。
難易度はちょっと高めだが、異能力者でも練習すれば一つくらい成功する様になるだろう。
でも投げられた卵を割らないようにキャッチする遊びは、かすりもしない別物のはずだ。

「いきなり、何、やらせるん、ですか! あーびびった。俺これ嫌いなんですよぜってえ失敗したくな」

文句を言っていたゴーグルの言葉が途中で止まった。
垣根が指でつまみ上げたものがそれを遮っていた。
卵はもう一つ残っていたらしい。
428 : ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/08/17(月) 00:53:24.85 ID:Bv+OH5KO0

「嫌か。なら仕方ねえな」

気ぃ抜くなよ、と言うと垣根はにやりと笑った。
ゴーグルの少年の目の前にかざされた白い卵から。
垣根はすっと指を離した。
そのまま静止しているのを確認すると、彼を放置してカウチに座りなおしてしまう。
わけのわからないまま、卵とその場に残されたゴーグルの少年は眉を寄せて。
動きを止めた。

「零すなよ? 部屋が汚れる」

垣根が気軽にそんなことを言った先から、何かきしむように嫌な音が立ちはじめた。
ビシッ、と殻の先端に小さなひびが入る。
目には見えない力、重圧が卵の周りにかかっているようだった。

「うえ?! なんッ……だこれぇ!」

少年の悲鳴が上がった。
それにあわせたように、テーブルに大人しく転がっていた小型ボールカメラの向きが一斉に変わる。
まるで重いものを持ち上げているように少年は自分の腕を必死につかんでいた。
一〇、二〇、三〇秒。
それに少しプラスして、それでも一分はもたなかった頃、耐えかねたような声が上がった。

「かき、垣根さん! ギブですって……もう勘弁してください」

あっそ、と垣根がやる気なく返事をした途端、ゴーグルの少年は膝をついた。
べしゃっ。
へたりこむ少年の前で床に落ちた卵は落下の衝撃で無惨に潰れていた。

「ボウリングん時にした話覚えてたんですか? でも俺、防御は得意じゃないっていいませんでしたっけ? 言った気がする。それで重くて小さいピンポイント攻撃ぶつけてくるとか鬼ですか? 卵越しに? うううううちくしょう頭いてええええ」


寝不足と、それ以外の理由で充血しきった目をがしがし押さえているゴーグルの少年に。
垣根はあきれるほどあっさりした声を掛けた。

「なんだ。やれば出来るもんだな。どうだ、眠気は飛んだか?」

「そりゃ、もう……バッチリです」

しゃっくりを止めるために、心臓を止めるほどのドッキリを仕掛けても超能力者なら許されてしまうのだろうか。

そうなっても蘇生処置をすれば問題無いとか思っているかもしれない。おまけに心臓の真上を拳で思い切り叩くような荒っぽいやり方で。

生き返るなら死んでもいいのはゲームの中だけの話だ。


429 : ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/08/17(月) 00:55:01.82 ID:Bv+OH5KO0

ちょっとげんなりしながらゴーグルの少年はテレビの横でゲームのセッティングをしていた。
用意されているのは壁の『外』製の、随分と古い機種だった。
今の学園都市の技術なら、指先程度の大きさの記録メディアにこのハードで遊べるゲームのデータが何十本も入ってしまうほど昔の技術で作られたものだ。
人気のあった作品は同じ会社の最新機種でも移植やダウンロードで当時のゲームが遊べるようになっているものがあるしリメイク版も作られていた。
技術は進み、時代が変わっても色あせないもの何てものはあるらしい。
前にゲームセンターでやってみて以来、垣根も少しそのへんのものに興味がわいているらしかった。

「垣根さん、アクションゲームは頭でやるもんじゃないんスよ。わずかなラグやタイミングの癖を体に教え込んでボタンを押すんです。反復練習っス。
格ゲーも基本一緒っス。コンボなんてそのうち指が覚えますから」

「んなもんとっくだけどな。コイツがやたら反応鈍いんだよ」

「喋ってるとまた打ち漏らしますよ? ほら、あ。また、コンボ途切れてますって。意味ねえっスよ」

「うるせえ黙れ。ボタンつぶれてんじゃねえのこれ」

NPC相手にコントローラーをガチャつかせながら垣根は画面を睨んでいた。
ゲーム機の方に文句を言われて、私物をわざわざ隠れ家まで持ってきた持ち主の少年は首を振った。

「そんなことないですって。これ、なかなかきれいなの残ってないんスよ。現役で動くようなのは特に。中古っスけどちゃんと手入れされてたの探したんス。生産なんてとっくに終わってんのに、部品からリペアしてる人がいるんスよね」

称賛にも似た得意げな目を本体に向けて少年は語るが。
それはただのゲーム機だ。
簡単な計算も今日の天気も教えられない、平凡な子どもたちを非日常の冒険に少しの時間連れて行くことしか出来ないただの機械だった。
画面端にNPCを追い込んでとどめを刺している非凡な少年は気付いていないかもしれないが。
その口元にはなんだか、言葉に反して楽しそうな笑みが浮かんでいた。

「このゲームは壁ハメから卒業しないと対人は勝てませんよ」

テレビの前まで椅子を転がしてきたゴーグルの少年は、普段なら絶対に出来ない上から目線でそう言った。
ちょっと勿体を付けて、ゲーム機の入っていたケースの中からもうひとつのコントローラーを取り出す。
ことゲームに関してならゴーグルの少年に一日以上の長がある。
他のあらゆることで敵わなくても、得意分野の土俵の上でなら格上の相手の鼻をあかすことも出来る。
あと、もしかしたらさっきひどい目にあった仕返しも含まれているかもしれない。
430 : ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/08/17(月) 00:56:09.25 ID:Bv+OH5KO0

「でもハンデ盛り盛りの接待プレイだと怒りますよね。こっち半ゲージなんて将棋の一丁半みたいなもんスよ。
ダメ減、コンボ、P縛りはしなくていいんスよね。どれか足しても飛車角落ちだと思いますけど」

「いいっつってんだろ。早くしろよ」

垣根の悪態を横目に画面を確認するとゴーグルの少年は自分の方の設定を変えてからゲームをスタートさせる。
前に同じゲームで対戦した時に「開始十秒は殴り放題」なんてルールを設けたが。
その後逆転負けした垣根にものすごく怒られたことがあった。
垣根は自分が負けると当然怒るのだが、彼がちょっと気を利かせてわざと勝ちを譲ってもそれに気付いて怒る。
でもまあ、垣根の上達には目を見張る早さがあったから、加減抜きで本気の対戦が出来る日もそう遠くないかもしれない。

「ゲームだろうとなあ、お前如きに手抜かれてんのは頭にくるんだ、よっ!」

「あー、また角が落ちた! 玉来いっての!」

開戦からボタンを叩いていた二人だったが連打の音がいきなり途切れた。
ピコンと画面がポーズモードになる。
スタートボタンを押した垣根は、コントローラーを握ったまま後ろを振り返った。
無人のパソコンの前でマウスが忙しく踊っていた。
と言うか確認なんてする前に、近くに座っている少年が頭にゴーグルをつけて遊んでいると言うのはつまりそういうことだ。

「言ってるそばから一人同時プレイしてんじゃねえよ! ああ? ナメてんのか?」

「えっ、俺言ってました? うっかり口に出してました?」

あれ? え? と、とぼけきれないゴーグルの頭を片手で掴むと垣根は力任せに揺さぶった。
相手が寝ぼけていようが能力を使っていようがお構いなしの容赦ない八つ当たりだ。

「誤魔化しもしねえのかよ。せめてばれないようにやれよ! 気分悪いんだよクソが!!」

「ちょっ、頭引っ張んないで下さい! ぎゃあああ線が、ケーブル抜けますってマジで!!」

騒いだままゲームも再開したが。
またしても少年は勝ってしまった。集中力が落ちているとその辺のさじ加減も難しいのかもしれない。
さらに。
垣根の不機嫌さのスイッチに手をかけたついでに、ゴーグルの少年は何か良くない法則でも引きよせたのか。
その後目的のクエストを何周してもお目当ての報酬は全然手に入らなかった。
431 : ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/08/17(月) 00:56:48.08 ID:Bv+OH5KO0

「よし。もう一回」

「ダメです。ゲームは一日一時間っス」

「お前にそれは言われたくねえよ」

そんなゲーム界の格言みたいなセリフも。
平然と、体力の限界まで挑戦する人間から聞かされてはこれっぽちも説得力がない。

「でも垣根さんペース上げてやりこむとすぐクリアして飽きちゃうじゃないスか。こう言うのは、楽しみを長くとっとくもんです」

「そんなもんか?」

「それに長年の苦労を、たった数日で抜かれたら俺はどう立ち直ったらいいんですか」

「相手が悪かったな。諦めろ」

そこは得意げに言い放つ垣根。
その横顔からは言葉にするまでもない重みが感じられる。
現実に、ゲームのようなキャラクターシートやパラメータリストが存在していても垣根ならあらゆる項目でA以上の判定が出そうだった。
幾つか難あり、なポイントがあってもトータルの数値では圧倒的だろう。
たとえば……寛容さ、協調性なんかの数値が低くても、強制力やカリスマ性なんてところでカバーできてしまえそうだし。

「全方位チート(リアル対応)かぁ……わー、実生活用のPARってないのかな。昏睡とか副作用のないやつで。なんて言うといっそDNAマップの塩基配列からやり直した方が早い奴じゃねえっスか?」

笑いながら出来もしない愚痴をこぼす少年に垣根は、わかんねえなあ、と言いたそうな目をしていた。

432 : ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/08/17(月) 00:57:14.26 ID:Bv+OH5KO0

「たまには体動かしたらどうだ」

「いいっスけど、能力使用オーケーならボウリングはこの前みたく俺がもらいますよ」

「そんなとこだけ強気だなお前」

「俺遊びには全力っスから。でも垣根さんもけっこーエグい配置ばっかこっちに出したじゃないスか。どっかのバラエティの無茶ブリみたいなの」

以前出かけた時に立ち寄ったボウリングコーナーで、スペアやスプリットの練習用にピンの配置が出来るコースをみつけた。
そこで二人はそれぞれ難しいフレームを作っては相手にトライさせる、と言う遊び方を試していた。
一ゲーム辺りに能力を使っていい回数も決めて相手の手を読み合いながらスコアを競うやり方は、即興にしてはいい思い付きだったらしい。

「あ、この前知り合ったヤツらはあれから連絡とってます?」

「何それ」

「えっ、あの時隣でやってたグループと垣根さんすっかり仲良くなってませんでした? ほら、俺がジュース買いに行って、SNSのアド交換して、確か今度飯いこうって話まで……あれ? しません、でした?」

「そうだっけ。ああ言うの、その場では盛り上がるんだけどな」

あまりに垣根が意味わかんねえ、って顔をしたのでゴーグルの少年はすごく不安そうな顔をしていた。
超能力者の記憶力を疑うくらいなら、自分の頭の記憶操作を心配した方が早い、みたいな反応だ。
異能あふれる学園都市では宇宙人の誘拐より小学生のイタズラでそんなことが起きかねない。

「別にいいだろ。そう言うの」

「そっスか?」

大した興味もなさそうに、吐き捨てるように垣根は言った。
単純に興味がなくて忘れていたということらしい。

コミュニケーション的な意味でなら、ゴーグルの少年も割と一人上手な方だとは自覚していたが。
それでも学校で、それ以外でも友達はいる。
なんと言うか垣根は違う。
ゴーグルの少年は、ほんの少しの関わりあいの中でしか彼のことを知らないが。
その部分だけでの印象でいうなら。世界がごく身近な、手の届く範囲で完結してしまっている感じだ。
超能力者だとそう言う価値観でも仕方ないのかもしれない。
頂点というのは文字通り点で、並ぶものがないから線にはならないし輪もつくれない。
それ以前に。
色んな経験値をすでに埋めてしまって、上りきった技能やスキルでステータスを埋め尽くしていそうな存在からするとそれ以下なんて見えているものが違いすぎて、てんで話にもならないだろう。

433 : ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/08/17(月) 00:57:42.09 ID:Bv+OH5KO0


「何かそれ新しくなってねえ。あと後ろの壁もか。どうした」

一見、違いなんてないように見えるインテリアの一角を見た垣根はにらむように目を細めた。

「そうなんスよ。ちょっとダメにしちゃって。『スクール』のツテ使ったらすぐ済みましたけど。いやあ、まさか心理定規にゲームさせたらああなるとは思わなかったんス」

キャリーケースにゲーム機を大事そうにしまっていた少年は苦笑いをしながら答える。

「ふうん。で?」

それでどうしたのか簡潔に説明しろ、的なオーダーが凝縮されたクエスチョンマークに少年はうなずいた。

「ゲームなんて楽しいのかって聞かれたんで、心理定規でも出来そうなシューティングやらせたんス。廃墟系の」

「なぁ、いきなりオチが読めたんだけど」

「ちょっと我慢して下さいっス。この機種は普通のディスプレイはもちろん体感型のヘッドマウントディスプレイにも対応してるんスけど」

テレビの近くのラックに置かれているのは小さな最新機種のハードだった。
高音質高グラフィック、シアター並みの環境美の追求を謳ったコマーシャルで話題のハイチューンモデル。
真っ黒なボディは新品特有の指紋も曇りもない輝きを放っていた。
お前のそれみたいなもんか、とゴーグルを見ながら垣根が尋ねるが少年は首を振った。

「これは普通に目にするヤツっスから。俺のゴーグルに比べるとおもちゃみたいにかわいいっス。で、最初のボスに苦戦してるなーと思ったら……心理定規さんたらテンパってコントローラーぶん投げてそのままスカートに手を……」

その上に乗せられた、アイマスク型のディスプレイを手に取るとゴーグルの少年は外側についてしまった傷をいたわるように撫でた。
遠い目をしてかわいた笑いを浮かべている。
どうやらあまり楽しい出来事ではなかったらしい。

「へえ、よく無事だったな。っつうかあいつ普段どこに武器隠してんだ」

「まあ殺傷力なんてあってないような模擬弾入りの護身用だったみたいなんスけど。俺は後ろであそこのモニタ見てたんで。あと速攻で本体ぶち抜いて映像落としてくれたんで被害が最小で済みました。心理定規涙目になってましたよ」

そう言って少年は後ろを指さした。
小型ディスプレイとは別に、パソコンにも映像を飛ばしていたらしい。

「ふーん。お前ら面白そうなことしてんな」

「実は動画があります。いつもの実況用に使ってた機材一式はこっち側にあったんで無事でした!」

「じゃああいつ来たら流そうぜ」

「え。来る前じゃだめなんスか」

「その方が面白いだろ」

リーダーの口から出ると提案も決定事項になってしまうらしい。


434 : ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/08/17(月) 00:58:28.53 ID:Bv+OH5KO0

その後。
小遣い稼ぎのバイトを終えて戻ってきた心理定規の前で、ゴーグルの少年秘蔵のムービーの上映会が行われた。

「内緒って言ったよね!? なんで彼に話しちゃうのかな。おまけにビデオがあるとか聞いてないんだけど?」

「いつもの癖で幾つか撮ってたやつがっスね後からひょっこりっスね……でもどこにもアップとかしてないっス」

普通に撮れていれば、『悪戦苦闘する女の子のゲーム初挑戦』って感じの微笑ましい動画になったかもしれない。
けど、心理定規がとてもネットには出せない様なオチを付けてしまったのでお蔵入り確定だった。
発砲する中学生とか少なくとも日本ではNG過ぎる。

「もうやだ……信じらんない。ちゃんと同じの買ったし、部屋の修理もしたし。ごめんねおしまいって話したよね。何でまたこんなことするの? なんで見せちゃうの?」

心理定規は腰に手を当てて少年を怒鳴りつけていた。
大画面で失態を流されたのだ。当然ながら怒っていた。
珍しく大声を出す彼女の剣幕に、誠意のアピールとして床に正座をしたままゴーグルはひたすら頭をさげつづけた。

「それは、そうなんスけどね? ええっと俺にもいろいろと事情がっスね?」

ちらちらと垣根を見ながらゴーグルの少年は言い訳をしたが、リーダーは弁護なんてしてくれなかった。
それで大体状況は分かったのだろう。
心理定規は話にならないと思ったのか怒りつかれたのか、ぽすんとソファに座った。

「あーあ。ショックだわ……私すっごく傷ついた。ゴーグル君ってばひどいんだから。どうしてあげようかな。君の彼への心理距離を操作しちゃおうかなー」

「そんなこと出来んの? っつうか俺関係ねえよな」

心理定規の問題発言に、我関せずを通していた垣根がやっと顔を向けた。
それでも。
二人で勝手に騒いでろ、みたいな迷惑そうな顔をしている。

「どうせけしかけたのはあなたなんでしょ。二人で私のことからかってたんだから悪いのは一緒よ」

むくれた顔で頬杖をつくと心理定規はぼんやりとゴーグルの少年に目を向けた。
ため息混じりの沈黙に嫌なものを感じたのか、少年はあわてて立ち上がった。

435 : ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/08/17(月) 00:58:56.19 ID:Bv+OH5KO0

「待って下さいっス! 心理定規前に、悪趣味なことはしないって言ってましたよね? 言ってましたよね!」

「君が先にいじわるなことしたんじゃない。えーっと……何で君、かなり親密な距離にアニメのキャラクターがいるの? この名前ってそうだよね?」

「心理定規! 心理定規!! タンマっス。絶対に止めて下さい。俺はまだ来週の放送も明日の太陽もこの目で拝みたいんです!! 遠回しに死刑宣告は嫌ですって」

「ふーん。どんなの」

「確かよく名前出してる……あー、これかな?」

心理定規はスマートフォンで検索すると、出てきた画像を寄ってきた二人に見せる。
アイドルみたいなフリフリ衣装のいかにもなアニメヒロインみたいなイラストだった。
だが、それを見たゴーグルの少年はなぜかほっとしたような顔をした。

「あ。それなら多分大丈夫っス。まだ」

「じゃあこっちのは?」

今度出てきたのは、なんてことのなさそうなアニメキャラの画像だった。
長い髪にセーラー服、大人しそうな顔で笑う女の子。
それに今度は少年の剣幕が変わった。
合わせた両手を頭の上にかかげて拝むように心理定規に頭を下げた。
そりゃもうお白洲にひったてられた罪人か、セーブしてないのにゲーム機の電源切れと宣告された、みたいな必死の形相だった。

「その子は洒落にならないんで止めて下さい。もし垣根さんを一瞬でもそんな風に捉えたら俺は即愉快な死体決定っス」

「お前にとってそう言うのって、なんなの」

「日々の癒しと生き甲斐っスかね」

「何でそれで死体になっちゃうの?」

意味がわからないのはいつものことだけど、本気でわけがわからない。
そんな顔をする二人の前でゴーグルの少年は、苦しい胸を掻くように体の前で手を握った。


436 : ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/08/17(月) 00:59:25.03 ID:Bv+OH5KO0

「心理定規は……俺が
『垣根さん昨日も今日も明日も未来永劫かわいいっスね! もはや世界の常識不変の真理っスね! 垣根さんペロペロ( ^ω^ )』
とかトチ狂ったことを悪気無く、つい、ポロっとうっかり本気で言ってしまったりしてもいいんですか? それで済めばいいんですけどね俺は嫌です絶対嫌です本当に!! どうか勘弁して下さいこの通り!!」

懺悔か祈りのポーズで叫んだ少年だったが、あんまりにもあんまりな発言に周囲の空気は急速に冷え切っていく。
心底軽蔑したような目を向ける垣根。
今にも息絶えそうな可哀想なものを見たような顔をする心理定規。

「テメェ、じゃあ望み通り死ねば?」

「あのね。私はさっきすっごく恥ずかしかったの。いやだったの。だから君もそんな気持ちをわかってくれるといいなぁって思っただけよ? そこまでしなくていいから。ね?」

「恥ずかしくて死んじゃうってのがシャレじゃなくてマジになるって言ってるんスよ! 
垣根さん、怖い顔はやめて下さいおねがいします。言いませんから、万一垣根さんが天使みたいに可愛いあの子に思えてもそんなこと冗談だって口にしませんから!!」

「誰が天使でメルヘンだって?」

「言ってません! 俺そこまで言ってませんからぁああああ!!」

バキバキと伸びた翼が近くの椅子やテーブルを押しのけるのを目の前にして。
ゴーグルは後悔どころか燃え尽きたような顔をしていたが既に手遅れだろう。
自分は能力も手も出さずに、ほとんど何もしないで最終的には少年をこらしめることに成功した心理定規は。
男の子って面白いなあ、みたいな顔をしてドタバタ騒ぐ二人を眺めていた。

437 : ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/08/17(月) 01:00:06.82 ID:Bv+OH5KO0

ドーモ。
久しぶりにメインっぽいのを。書き手体感でデレ大目だったからかなんか垣根が不機嫌です。
ゴーグルごめんよ。残りの二人の人間性がいまいちわからないからついやりやすくてやりすぎる。まあ原因はリーダーなんだけどね。
安価はまたじゃあまた。

438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/17(月) 01:36:31.37 ID:j2/IzdxB0
乙ーん
実際垣根のキャラは俺もよくわからんなあ、振れ幅有りすぎて
どんなキャラしてても垣根らしくもあるし垣根らしくもないし
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/18(火) 17:53:07.23 ID:Cd8Q+8XDO
ゴーグル欲望に忠実すぎwオープンな職場だな
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/18(火) 17:57:31.31 ID:BDh4HU/PO
>>438
どこの作者?
ここって結構作者っぽいひと来るよね
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