主任男「今月の目標は前線基地構築か、ツライな」

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23 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/29(月) 23:14:12.51 ID:48xrBSKdO

ーー S県内出張所 主査 ーー

特定範囲に簡易ステルスか…厄介なもの開発してくれたな…。

検証により隠蔽作業は個人毎では無く、限定された範囲に施されたものだと推定された。


その報告を受け開催された緊急ミーティングに参加している最中だ。


管理係長「まだ推定の段階だが詳細判明するまでは工数投入は…」

推進係長「一時的なものかもしれないだろ、少し様子を見て…」

企画係長「いま展開されている工数で追加調査を…」


スタッフサイドが暢気に勝手なことを言っている。

こっちは部下が危機的な環境に晒されているのに知ったこっちゃないってか?

主査「ちょっと待ってくれ、それじゃ…」

技能2課長「現場の社員達は不透明な環境で業務に従事している」

俺が意見しようとした瞬間に技能2課長さんが重厚な声色で呟く。

技能2課長「三現、五現主義が基本だろ?
状況分析に精通している君達が現場に出て確認するってのはどうだ?」ギロッ


技能1課は半壊状態、課長の安否も不明。
G県側の社員バイタル信号の情報精度が悪いという報告もあり状況が良く分からないせいだ。

同じ部の人間としてこれ以上の負担は看過できないのだろう。俺も気持ちは一緒だ。


管理課長「と、言っても我々スタッフ部門が現場に行ったところで解決にならない」

黙って様子を見ていた管理課長が口を開く。

管理課長「どこかの部署で対応頂く検討をしないとですね」


技能2課長「ウチの課の人員で対応させて頂く」

管理/推進/企画係長「おーそれは良いですね」


…くそったれどもが、最初からそれが言わせたかっただけじゃねえか。


管理課長「では、後は技能さんと技術さんで擦り合わせをお願いします」スクッ

管理課長「あっ必要な事あったら言って下さい」
クルッ、スタスタ

テーブルを離れ部屋から出て行こうとする。
係長達がそれに付き従う。

主査「であれば…」

管理課長「」ピタッ

主査「本店から一人回してもらいたい人員が」

管理課長「申請書を提出して下さい、精査しますので」スタスタ、 バタン


会議室に技能2課長さんと二人きりになる。

主査「あの…」

技能2課長「…の、あのクソガキ共がぁ!」ダンッ

主査「」ビクゥ

机上の書類が舞い、ペットボトルが倒れる。
あーびっくりした。
24 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/29(月) 23:49:17.48 ID:c/sTA4Tr0


技能2課長「あぁすまない、つい」ヒロイヒロイ

主査「いえ構いません、私も同じ意見です」オコシ


技能2課長「しかも技術さんを巻き込む形になってしまった。改めて申し訳無い」ペコリ

主査「謝らないで下さい、我々も業務として従事してますから、同じ立場です」


技能2課長「だが…」

主査「多分。ウチの部長がここにいたらあの人達の首根っこ掴んで現場を引き摺り回してます」

技能2課長「確かに営業部長さんならやるな」プッ

主査「私がこんな事言ったの内緒ですよ」プッ

アハハハ


技能2課長「さてと、冗談はこれくらいにして仕事しないとな。主査さん先程の要請は?」

主査「あれですか?この状況を打破できる我が社唯一の人財ですよ」

カコカコ、タン

モバイルPCで申請書類を書き送信する。


技能2課長「??? うん、では課に戻って支度をするか。久しぶりの現場だな」バキボキ

指と首を鳴らしながら会議室から出て行く背中を見送る。


端末を装着し会議室を出る。
先輩男たちの情報を確認、整理をしながら歩く

端末『予定表が変更されました』

?……あっ。ガサゴソ

ポケットのPDAを引っ張り出す。

『x月xx日:高級中華飯店』

申請通ったか、さて俺も現場に出る準備しないとな


しかし…また高い店選ぶなー。容赦ない女だ。
25 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/30(火) 01:58:03.04 ID:bTB+X7DI0
>>22支援あざまっす。

年末は投下できない予感。
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2014/12/30(火) 08:50:05.21 ID:WaCwWzkBO
もうあの子と結婚しちゃえよw
27 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/04(日) 01:31:13.44 ID:4s8QLhHV0
ーー 商店跡 主任男 ーー

先輩男「技術課2係です、お待たせしました」

先輩男さん、後輩女、俺の三人で商店跡内に入る
後の人員は外周の警戒業務に当たる。


技能1係長「お疲れ様。と言いたいところだが、さっきの進捗は何だ?」

先輩男「と、言いますと?」

技能1係長「潜伏している先方を刺激したら行動に出るに決まってるだろ。
何故あの場面で刺激するような真似をした」

先輩男「??? では我々はどうやって合流しろと?
あのまま進んでいたら進捗を受けていた訳ですが…」

技能1係長「知らんよ。ハンドブックにも刺激しないよう書いてある。全く、だから技術は…」

先輩男「はあ」


進捗の動機になったのは申し訳無いが、労災ゼロ、先方進捗完了、合流成功の結果だ。

結果論だけでは無くプロセス、アプローチとしてもどう考えても最善の手法だと思う。

納得の行かない言い草ではあるが、ギリギリの環境下だから仕方ないか…我慢しよう。


技能1係長「で、これからどうするんだ?」

先輩男「それはこれから考えます。状況を簡単に教えて下さい」

技能1係長「教えてだと?見りゃ分かるだろ、動かせない人員が多数だ」

それは知ってるよ、人数とか労災の度合とかを聞いてんだよ。段々イライラしてきた。


先輩男「…。新人女、労災者の具合を見て報告してくれ」

端末『新人女:あ、はいです。今行きます』


健康管理委員の新人女を呼び状態を確認する。

搬送、移動不可、15名。進捗不可、17名。中、軽度でゆっくりなら業務可、15名。

新人女「…です」ペコリ

先輩男「うん、ありがとう。やっぱりここで凌ぐしか無さそうだね」


技能1係長「だからさっきから言ってるだろ。さっさと打開策を出してくれ」

…なんだろこのオッサン…。

主任男「失礼ですが、さっきから…」

先輩男「…」スッ、フルフル


意見しようとした俺を手で制し静かに首を横に振る。これでも我慢しなきゃなのか?


先輩男「主査、技能さんと合流したが二手に分かれた。俺は出張所跡のすぐ近く商店跡だ」

端末『主査:技術1係長から報告を受けている。
今から技能2課の面々とそちらに向かうから、暫くの間現状維持をしていてくれ』

先輩男「了解。現位置の移動不可の人員を早いとこシェアに帰してあげたい。
可能なら連絡車を回してくれないか?」

端末『主査:んー位置的に難しいなー。お前らの乗ってた四台が廃却になって物流課が渋い。
善処するがあまり期待しないでいてくれ』


先輩男「ということなので現状維持です、我々は外周警戒に戻ります」

技能1係長「碌な手も考え無いんだから警戒業務くらいはマトモにやってくれよ」
28 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/04(日) 02:22:13.58 ID:4s8QLhHV0

ーー 商店跡外周 後輩女 ーー

ガンッ

出口横の自販機が凹んだ。主任男さんの苛立ちの捌け口にされた被害者だ。

先輩男「放っとけ、相手にするんなって」

主任男「はい…了解しました」


さっきのやり取りは私も呆気に取られた。
というか、一瞬何を言ってるんだか理解ができないくらいだった。

ただ主任男さんの苛立ちを理解するには十分な言動だった。


個人の感情は引っ込め、課員達を集合させ状況を共有した。


先輩男「各員周辺警戒継続。あと通信男、観測機出して。例の新しいヤツ」

通信男「はい、どうぞ」ガサゴソ

先輩男「主任男、後輩女、特技男、一緒に来て
ここの周辺に埋設するよー」スタスタ

受け取った先輩男さんが歩きながら私達を呼ぶ。


通信男「であれば私も設定に同行しますが?」


先輩男「いや、設定は特技男にやってもらうよ。君だと折衝能力的にちょっとツラい」

通信男「っ!いえ、やれます。連れて行って下さい」フンッ

まぁプライドの高い彼ならこうなるでしょうね。


主任男「実は新型観測機に裏技があって、特技男しか知らないんだよ。
大っぴらに言えない案件だからあぁ言うしか無いんだ、理解しろ」ボソッ

耳打ちしてるのに丸聞こえです。しかもウソだし。


通信男「そうですか…それなら仕方ないですね」

意外にもこれで騙せてしまった。単純だなー


先輩男「じゃあ行くぞー。モブA取りまとめヨロシク」ヒラヒラ

モブA「了解」



先輩男「じゃあ取り敢えず周囲200mに設置するか。南側から行くよー」

東から南にかけて広がる住宅街の方へ進む。

まずは視界の乏しい住宅街側からのようだ。


ふと視線を上げると遠くに連絡車を斜面の下に引き落とす人員が見える。

技術と技能が共同で業務に当たっているようだ、あちらは上手くいってるようで良かった。


人の心配してる場合じゃない、目の前の業務に集中だ。
29 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/13(火) 23:41:01.21 ID:1AKo1dQZ0

ーー 住宅街 主任男 ーー

うん、イライラは大分治ってきた。

いつ進捗が発生するか分からない、冷静に周囲の変化を見逃さないようにしないとな。


先輩男「データリンクできてるか?もう一回確認してね」

狭い路地の住宅街の為、分散せず固まって進む

先輩男「主任男は左手、後輩女は右手、それぞれを目視で確認して。
特技男は端末情報で左手側をしっかり見てね」


さっきの折衝でこの付近の先方は粗方退職願えたのである程度は安心だ。

だけどステルス性能の全容が分からないこの環境では「だろう」業務はミスの元だ。


それなりに時間を掛け最初の設置箇所へ到達した

住宅街という環境で死角が多い。端末情報が頼りない現在、 現場感覚 が重要になる。

いまのところ
空気の変化は感じない。


特技男「では設置始めますね」ドリドリドリ


500ミリボトル程度の観測機が地に埋まっていく

こいつは自律計算で最適深度に静止し動体検知、集音、データ中継をしてくれる。

この新型は先方に発見されにくく排除される危険が低い。なので探査範囲の隠蔽が可能だ。

過去に先方の物をベンチマークし更に独自開発を加えたものだ。


後輩女「だけど前期の観測機や今回のステルス波とか、先方の技術開発は進んでますね…」


特技男「あーっと…それなんですが、そこら辺は先方の独自開発じゃないみたいですよ」

観測機の様子を見ながら特技男が呟いた。


先輩男「へえ、それは初耳だな」


端末『最適深度に達しました、諸元入力とポイント設定をして下さい』

特技男「ここだけの話ですがTWC社のライセンス品の可能性が高いです」ピーピッピッ

後輩女「TWC社!?あの最大手の?」

端末『設定完了。サーバーリンク正常。データ反映します』


TWC社は中部地方に本拠地を構える業界最大手の化け物会社で
規模は我が社の軽く10倍、競合相手と言うのもおこがましいレベルだ。


主任男「提携したってことか…だとすると厄介だな」

先輩男「ここ最近FHW社の装備拡充が盛んなのも納得がいったね」

特技男「これ重要機密なんで内緒でお願いしますよ」


この現場も課題が大きいが、更に中長期での難題が浮き彫りになった。

俺たちがいま悩んでも仕方ないことだ、考慮はしつつも一旦は忘れよう。


先輩男「さて、次のポイントに行きますか」
30 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/14(水) 00:38:05.94 ID:m5BMwo9O0

ーー 支店内車輌保管庫 主査 ーー


IT女「飛翔物検知、MDシステム作動、LS開口確認、防御弾発射……迎撃確認」


主査「おーっす、到着早かったな。シュミレートご苦労様」


AFVの梯子を下り制御コンソールの前に座るIT女に声を掛ける。

業務ボーナスとして受領した、前期鹵獲AFVの近代化改修がこんなに早く役に立つとはな…


IT女「業務命令、指示書」ピラッ

『本社特務情報課 IT女を営業3部技術課長補佐に任用する』


主査「ん?えっ!?」

俺が出したの応援依頼なんだけど異動辞令だよなこれ?

っていうか技術課長補佐って俺の役職じゃん


IT女「本店辞令」ピラッ

『技術課長補佐 主査。技術課長補佐、2係長の兼務を解き、技術課長を命じる』

主査「んぇ!?」


何だこの人事……いくら何でも急過ぎるだろ
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/14(水) 02:11:09.48 ID:AnqOk76Do
>>30
戦闘時の昇進ってあまり嬉しくないですよね…>主査

ぁ、「シミュレート」ですぉ
   simulate
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/14(水) 08:47:08.50 ID:tZCjDkKlo
修羅場ってる時の昇進とか、明らかに「さらに忙しくなるから頑張ってね(生温い笑み」って意味だからなぁ……。
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/14(水) 18:22:57.25 ID:KlxIEn6PO

そういや捕虜の協定(?)みたいなのってあるの?やっぱりヒャッハー状態なの?
34 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/15(木) 01:45:57.87 ID:IMlP4AJI0
>>31 はずかすぃ……ご指摘あざまっす。
>>32 修羅場の辞令=お前の責任ってことですわよね。
ただ主査はもう会社側の人間なので従うしかないのでふ。
>>33 各社の企業倫理によります。
深くはノーコメで。

更新超遅く不定期になりそうです。
エタらず完結はさせますので見捨てないで下さい。
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/15(木) 06:45:39.17 ID:jE7c8qEEO
おー!続き来てた!
待ってたよ
平が昇進しとる
36 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/18(日) 17:20:57.22 ID:sFTancLN0

ーー 商店跡 外周警戒中 通信男 ーー


PADで周辺情報詳細を確認する。

通信機を示すマークは5つまで増えている。


新人女「ふぁー」ナミダメ

モブA「コラ!弛んでるぞ、緊張感を持て」ゴツン


向こうで新人女がモブAさんにゲンコツをもらっている。

確かに先方の気配は皆無だし天気も穏やかで暖かい。眠くなる気持ちも分かる。


通信男「モブAさん、いま5ヶ所目の設置が完了したようです。
予定ではあと3ヶ所、遅滞無く進んでいます」

モブA「うん、ありがとう。何かあったら即報連相よろしくね」

そう言うとモブAさんは向こうの角に姿を消した。


新人女「痛ひ…」ナミダメ

通信男「自業自得、シャンとしろ」


少し離れた位置にいる新人女に話し掛ける。
視界の端で端末が内線の受信を報せる。


端末『主査:技術課員に連絡、いま支店を出発した。到着は1時間後の予定
各員現業務状況を維持、気を抜かないように』


通信男「陽も若干落ちてきた。新人男、新人女、視認性悪くなるので注意のこと」

新人男「はい」

新人女「ふぁい」


管理者のいない今、僕がしっかりしないとな。



37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/18(日) 18:36:09.11 ID:vy2XdQKCo
>>36
通信男、それは死亡フラグや…
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/18(日) 23:11:20.67 ID:47zCvpKp0
>>37
フラグブレイカーのモブAさんがいるから大丈夫だろ(適当)
39 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/18(日) 23:44:53.60 ID:sFTancLN0

ーー 住宅街 観測機設置中 特技男 ーー

主任男「マジで!?」
後輩女「えっ!?」


観測機をセットしていると後ろから二人の驚きの声があがった。


特技男「びっくりしたー。何すか?突然大きな声出さないで下さいよ」

主任男「あ、あぁすまん」


二人を一瞥し設置作業に戻る。

再度チラ見すると先輩男さんも交え三人でヒソヒソと話しをしている。

端末『設定完了。サーバーリンク正常。データ反映します』


特技男「どうしたんですか?何か異常でも?」

三人に近づくとヒソヒソ話が終わる。
あからさまに省かれるのは正直気分が良くない。


先輩男「特技男とモブAには言っておいた方が良いかな」

主任男「そうですね、俺もそう思います」

係長、主任レベルにだけの連絡か…何だ?


先輩男「まだ他の課員には口外無用ね」

特技男「はい」

先輩男「主査が技術課長にIT女が課長補佐になった」

特技男「はい?」キョトン


主任男「俺たちにも緊急発令だけで詳細は降りてきてないんだよ」

先輩男「うーん…本人に聞いた方が早いよね。主査、取れる?」


端末『主査:何だ?異常か?』

先輩男「うん、ある意味ね。なにこの人事?」

端末『主査:な、俺も驚いてるとこ。いま本店に詳細確認してるけど
人事課長が中々捕まらないで困ってんだわ』

後輩女「主査も何も聞いて無いんですか?」


端末『主査:あぁ、IT女が突然辞令持ってきた。
あとミッションシートもいつの間にか書き換わってたよ』


端末『主査:とにかく人事が変わってもやるこた同じだ、気にするな
あと区切り付くまでは内緒な。現場が混乱する』


先輩男「了解。課長さま」

端末『主査:うっせ、今まで通り主査で良い。気持ち悪い、鳥肌立つわ』

端末『主査:そっち着いたらまた話そう。じゃあな』


内線が切れ四人で顔を見合わせる。

主任男「ま、まずは戻りますか」

観測機の設置を終えた俺たちは商店跡へ戻るため歩きだした。

40 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/19(月) 00:05:37.52 ID:bGLO/CG10

ーー 住宅街移動中 主任男 ーー

しかし違和感しかない人事だ。
何でこのタイミングで?内示も無しに?

考えごとをしながら路地を歩く。


先輩男「主任男、気が散ってるよ。気になるのは分かるけどさ」

主任男「あ…、すみません」

そうだ、ここは現場だ。考えごとは後に回そう


端末『モブA:主任男さん取れますか!?』

その瞬間モブAからの内線が静寂を吹き飛ばす。


主任男「モブAどうした?」

端末『モブA:出張所跡から大規模な折衝を受けてます!まだ労災は無し
ですが先方のOJTレベルも高く工数も…チッ!とにかく指示を下さい』

内線の背後に折衝の音が聞こえる。
突発折衝で混乱もしているようだ。


主任男「正面から受けるな!商店跡に入って様子を見ろ!」

端末『モブA:了解です!早めの帰席をお待ちしてます!』プッ


先輩男「主任男は先に行って状況確認して、すぐ追い付くから」

主任男「はい!」ピッ、ピッ


端末『無音機動改、ブーストモードセット』


あっちは管理職が居ない状態だ。
一刻も早く戻らなくちゃ…

ブワッ、バシュン
41 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/19(月) 01:01:38.72 ID:bGLO/CG10

ーー 住宅街移動中 後輩女 ーー


商店跡から500mほどの現在地、到着には少し時間が掛かる。

焦って警戒を落として私達が退職なんて事態もあり得る。

焦らず、でも最速で合流しないと…。


後輩女「出張所跡からって言ってましたよね?
でも反応一切無かった気が」ダッダッ

先輩男「うん、俺の端末にも反応無かった…」ダッダッ


出張所跡の観測機が稼動できていたのも確認している。


特技男「あれ?いま現在だと反応取れてますね」ダッダッ

つまり観測機は正常稼動中。ってことは…


後輩女「観測機のレンジ外からの急速接近?」ダッダッ


先輩男「主任男!接近中止!戻れ!!!」


先輩男さんが立ち止まり叫ぶ。

私達の予想が正しければ…


端末『主任男:クッ!高機動連絡車を複数確認、やべ…捕捉されたっぽい』


やはり高機動連絡車での突発折衝か、ということは進捗能力の桁が違いすぎる。


先輩男「モブA、報連相甘いよ。高機動連絡車の台数と位置は?」

端末『モブA:すみません!何せ急に折衝が始まったので…』

先輩男「言い訳は良い。台数と位置は?」

端末『モブA:重ねてすみません。進捗が厚くて頭上げられない状況です』

端末『主任男:うお!うわ!だ、い数は4台!位置は道のど真ん中!』


主任男さんの焦った声が響き渡る、重火器の発砲音がこちらにも聞こえてくる。

だけどおかしい…熱源反応も取れて無い…。
そこまでの隠蔽能力があちらに?


先輩男「主任男無理するな、急ぎ離脱しろ」

端末『主任男:りょう…かい!っと!』


迂闊に近づけない状況に私達も進行を止める。

商店跡は中に籠もれば耐え切れるだろう。


主任男さんの戻りを待ちながら端末の表示を見つめる。
42 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/19(月) 01:35:32.81 ID:bGLO/CG10
本日の投下終了。

>>35 支援あざまっす。今節もよろしくお願いします!
>>37>>38 モブA絡ませておけば何とかry(超適当)
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2015/01/19(月) 08:52:29.36 ID:4xiTq/zhO
人事なにをしたいんや…
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/19(月) 11:55:08.68 ID:a/E46X+6o


熱源無し、振動反応も無しとなると……EVか?
相手も本気だなぁ……。
45 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/19(月) 22:56:03.43 ID:bGLO/CG10

ーー 商店跡付近 主任男 ーー


ドルルル…ドルル…、タタタタ…、チュンチュン


先行して駆け付けた俺は熱烈な歓迎を受けてる真っ最中。

目の前の端末に表示の無い連絡車からの重い進捗を絶賛回避中だ。


商店跡に飛び込もうとしても弾幕を張られ無理

住宅街に戻ろうとしても同じく無理。


端末『先輩男:主任男無理するな、急ぎ離脱しろ』

主任男「りょう…かい!っと!」


と言ったもののマジィなこりゃ……

この包囲網を潜り抜ける方法を見つけないと


端末『推奨移動ルートが更新されました』

何だ?端末が勝手に更新した?

端末『無音機動改、自動制御ON』

ピッピッ。バシュン


主任男「な、な、何だー!!!」グゥン

俺の意思とは関係無く無音機動が進路を決める。


主任男 「そっちはらめぇー!」

先方連絡車に向かって加速する。
終わったな、俺…。

46 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/19(月) 23:25:18.48 ID:bGLO/CG10


端末『主査:そのまま進行方向へ身体を預けろ』

端末『IT女:地点進捗準備完了。目標設定完了』


しゅさ?あいてぃーおんなさん?
なにがどーなってんだ?


端末『IT女:地点進捗影響範囲内社員反応』

端末『主査:構わん、やっちゃえ。主任男、避けろよー』


キラッ☆キラッ☆

端末『飛翔物検知、弾着予測位置を表示します』

主任男「………ハッ!」

加速Gに血液を持って行かれていた脳みそが俄かに動きだす。


弾着予測アプリを確認。うん、ここど真ん中。知ってた。


崩れた体勢を立て直し下半身を安定させる。

主任男「ぬおー!!」ドンッ

地面を踏み付け更に力を加える。

ブーツの脇からカートリッジが排莢されコンクリートが弾け飛ぶ。

俺の無音機動が " 改 " たる所以、カートリッジ式射出機動を発動させる。


主任男「ぐぅっ」ギシギシ

加速の上に更に加速を乗っけたGに身体が悲鳴をあげる。


ズン、ズン、スズーン

駆け抜けた後方で爆煙が上がる。


端末『無音機動改、自動制御OFF』

主任男「えっ?… ぐべぁ、ごばぁ」ゴロンゴロンズザー


最高速状態で制御権を戻されても無理ってもんです、IT女さん…。


土煙を上げ畑の中を転がる俺を余所に主査のAFVが走り抜けていく。


端末『主査:ちょっとそこにいろ』


主任男「ばい、ぞうざぜで頂ぎまず…」ガクックテ

47 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/20(火) 00:01:26.98 ID:cXi7i2HA0

ーー AFV内 主査 ーー


IT女「連絡車3輌沈黙」カタカタカタカタ


チッ、1輌撃ち漏らしたか…。

畑の中を盛大に転がっている主任男を横目に距離を詰める。


主査「主砲照準良し、発射!」パゥ

ズズン、ドンッ


IT女「連絡車全車沈黙確認」カタカタ

IT女「機銃自動管制セット。近接目標順」カタカタ、カチ

ダラララララ…ダラララ…


停車し周囲の一般作業員の落穂拾いを完了させる。


IT女「周辺動体反応無」カタカタ

主査「ご苦労さん、警戒を続けてくれ」フゥ


通常3人で行う火器、情報統合システム管制を1人でやっちまうとは…

しかも主任男の無音機動の遠隔制御まで同時操作

改めて化け物だなコイツ…


IT女「?」キョト

主査「いや何でも無い」

IT女が転籍してきたお陰で悩みのタネだったAFV運用の目処が立った。

良いデータも取れたしここまでは上々の結果だ。


主査「現位置警戒しながら技能さんの到着を待つ。先輩男取れるか?」

端末『先輩男:お早いお着きで。で、なに?』


主査「急ぎ商店跡に戻って労災人員の運び出しを準備」

端末『先輩男:了解、急行する』


主査「新人女、居るか?」

端末『新人女:ふぁ、はい!』

主査「そこの畑の中にボロキレ、いや主任男がいる。拾って手当てを頼む」


端末『主任男:お、お願いしまう…』


主査「商店跡、その他技術課員は本車輌周辺に展開、出張所方向を牽制」

端末『一同:はい!』


技能さんの連絡車を大分離してしまったな…

まぁほぼシェア内だしここを抑えておけば大丈夫だろ。

48 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/20(火) 00:27:50.22 ID:cXi7i2HA0

ーー 出張所手前 通信男 ーー


デタラメだ…何なんだこの人たちは…。

我が上司達ながら業務進行が理解できない。


PDCAもクソも無い。

行き当たりバッタリとしか思えない…。


端末『主査:各員出張所に接近、背後は見ててやる』

進行の指示に従い技術課員が歩き出す。


通信男「何でこの人達の評価が高いんだろう」ボソ

モブA「そりゃ成果を出してるからさ」ヒョコッ


いつの間に後ろに…。

…文句を言っているのを聞かれてしまった。


通信男「いや、いまのは、その…」アセッ

モブA「取り繕わなくて良いよ、だって俺もそう思ってたもん」


モブA「でも一番近くで見てきてるからそれ以上に凄ぇなっ、とも思ってるけどね」ニカッ


新人男「単にタイミングが良いだけですよね…」ボソ

珍しく新人男が会話に反応する。


モブA「タイミングのお陰?ハハハッ」スタスタ

それを聞くとモブAさんは笑いながら先に進んで行った。


後輩女「タイミングってあれば良いモンじゃなくて、逃しちゃいけない
ピッタリ合わせなきゃいけない、時には作り出さないといけない」


後輩女「それがどれだけ難しいことか分かる?」ヒョコ、スタスタ

今度はいつの間にか後輩女さんが現れ抜かして行く。


新人男「何言ってるか良く分かんねえ」ボソ

正直、新人男の意見に賛成だ。


理解できない…モヤモヤした気分のまま出張所へ向かう。

49 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/20(火) 01:20:19.56 ID:cXi7i2HA0

ーー 出張所外周 後輩女 ーー


商店跡の対応は先輩男さんにお任せし、他の人員は出張所周りに進行した。

ちなみに主任男さんは商店跡で回復中。
新人女はその付き添いで居残りだ。


後輩女「住宅街側はこの配置で平気なのでしょうか?」

端末『主査:ん?観測機で見える化できてるし、コイツの進捗範囲内だから平気だよ』


端末『主査:あと最悪は先輩男と主任男に対応させときゃ良いんだ』

後輩女「なるほど」クスッ


二人への信頼が垣間見える。

こっちの9人とあの二人でやっと同等ってことですね。


特技男「はー、しかし派手にやられたなー」

近づくにつれて詳細が見えてくる。


建物は基礎を残して跡形も無い。
地面の至る所が抉れて穴だらけ。

そこが出張所だった気配すら残っていない。


とはいえ先方の進行ルート上にあるこの座標は破棄する訳にはいかない。


端末『主査:じゃあ技能さん到着まで周辺警戒ねー』

各々が等間隔に距離を取る。


端末の広域表示を確認するとやっと端っこの方に技能課の反応。


モブA「だけどこの有様じゃここに詰めても仕方なく無い?」

確かに…モブAさんなのに鋭い指摘だ。


端末『主査:大丈夫、工機も1班呼んであるから。簡易施設くらいならすぐ設営できる』

特技男「工機か…。ん?もしや…」


4台編成の連絡車が橋に差し掛かる。

そろそろ肉眼でも見えるころ…


端末『IT女:飛翔物検知。個体数…カウント不能。MDシステム作動開始』バシュバシュバシュ


!?どこから?目標は?目標は私達!?

端末『IT女:着弾予測位置…。南西1.5km』バシュバシュバシュ

端末『主査:な、しまっ…』


頭上で無数の射出弾が弾け破片が降り注ぐ

端末『IT女:フレア射出。対飛翔物ネット展開』バシュバシュ


端末『主査:クソッ!やられた!!物流課、全速で橋から離脱だ!!!』

我々は橋に吸い込まれて行く弾道を見つめ立ち尽くすしか無かった。
50 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/20(火) 01:42:58.82 ID:cXi7i2HA0
本日の投下終了。

>>43 会社のやることって何で秘密主義なんですかね?
それなら早く言えよってイライラすること多いです。

>>44 確認前に全部進捗完了しちゃった。テヘ
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/20(火) 17:43:20.39 ID:ctB1LFdEo


つうか、主任と主査の技術進度が半端ないなww
52 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/20(火) 23:28:57.61 ID:cXi7i2HA0

ーー AFV内 主査 ーー

読める手ではあったが最低の悪手を選びやがった

先期といいコイツらは橋を落とすのを何とも思っちゃいねえ。


これで渡河ポイントはもう一つ下流の取水堰のみ…。

戦略上、期間も被害も経費も一番嵩む状況を産み出してくれた訳だ。


主査「こちら技術課 主査。緊急事態だ、部長を頼む」

管理係へ連絡し上司への取次ぎを依頼する。


端末『管理員:確認しますので少々お待ち下さい』

……
………遅い!

端末『管理員:営業部長は現在会議中とのことで…』

主査「経営に関わる問題だ!繋げ!」
……
………クソがっ!

ポケットからPDAを取り出し部長にコールする
初めからこうすりゃ良かった。

ザザッブツッ

主査「何だ?」ポチポチ


IT女「広域通信障害確認。原因探索……不明」

主査「何でこんなタイミングで」


端末『管理員:お待たせしました、営業部長は先程外しゅ…ザッ…ザザッ……』

クッ、こっちも…物理的にも情報的にも孤立したってことか。


端末『先輩男:主査、何が起きた?橋の方で煙が上がってるが…まさか…』

ローカルの内線は生きてる。まだ助かった。


主査「あぁあちらの遠距離進捗でな…。今回は俺たちが取り残されちまった」

端末『主任男:技能さん達は?救援に行かないと』


主査「徒歩で行っても仕方無い。俺が確認に向かう」


端末『技術3係長:課長取れますか?』

ん?あぁ俺のことか…

主査「何です?その呼称まだ止めて下さい」

端末『技術3係長:分かりました。こんな時に何ですが国道の北方向から
先方の課単位での進行が確認されてます』

…完全に嵌められたなこりゃ。


主査「到達予測は?」

端末『技術3係長:約10分と予想されます、可能な限り対応します』

陽が落ち始め視認性も低下している。
OA業務も困難……色々辛いな。
53 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/21(水) 00:00:46.41 ID:8FbCfCf10

ーー 出張所外周 後輩女 ーー


橋が落とされた…。

補充が断たれた、OA機器も使えない。
加えて労災人員を多数抱えての業務遂行。

悪夢の中に突然放り込まれた気分だ…。


端末『主査:出張所付近組、商店跡三人。後輩女と新人男を残し給油施設跡に合流しろ』

端末『技能1係長:ちょっと待ってくれ、ここの護衛はどうするんだ?
引き上げられると困るんだが』

この人の自分本意な発言もそろそろ慣れてきた。


端末『主査:狙撃手を中層アパートの屋上に配置します。牽制、時間稼ぎには十分です』

端末『主査:たった二人でしかも片方は女だろ?馬鹿を言うな』

中々に聞き捨てならない言葉を吐いてくれますね…


端末『主査:IT女、滞空センサー射出
技能1係長さん、そこの窓際に何か小さい物を置いて下さい』

バシュバシュバシュ、フワフワ


端末『技能1係長:何をこんな時に…』

端末『主査:いいからサッサと置いて下さい』

語尾に力が込もっている。…コワイ。


端末『主査:後輩女、視覚拡張とセンサー同期』

後輩女「了解です、そのまま射撃しても?」

端末『主査:構わん』


後輩女「視覚拡張オン、滞空センサー1番から3番に接続。画角調整自動設定」

薄暗くなった周囲に対しディスプレイの映像は真昼の様に明るく表示される。


後輩女「自動タスク設定、動体優先。タスク無し時は視線中心にセット」


カシン、パシュ

コインの真ん中に命中。ま、当たり前だけど…


端末『主査:これでも不足だと?』

端末『技能1係長:あ、あぁ…その、あれだ』

端末『主査:本来一人でも十分なんですが念押しで観測手も置いていきます』


端末『主査:技術課全員に連絡、給油施設跡に集合し北方からの折衝に備えろ
俺は技能課の状況確認後、給油施設跡に合流する』

端末『一同:了解!』


私は居残りですか…。いつも通りですが。

まぁ一番心配なのは新人男と二人っきりで空気に耐えられるか、かな?
54 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/21(水) 00:03:37.93 ID:8FbCfCf10
>>53誤記訂正

端末『技能1係長:たった二人でしかも片方は女だろ?馬鹿を言うな』
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/01/21(水) 00:36:18.35 ID:dkXK/LzSO
工機男…大丈夫か、あれなら。

しかし相変わらず容赦ないな〜>IT女

主任男生きてる?
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2015/01/21(水) 00:36:44.22 ID:osD4QTO5O
うわぁ
絶望的ー!楽しみ!
57 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/21(水) 01:09:13.42 ID:8FbCfCf10
もう一節書けると思ったけど無理だった
ってことで今日の投下終了。

>>51 半年前にこの業務環境だったら楽勝でしようね。
58 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/22(木) 23:12:13.48 ID:0nG6ZBgBO

ーー 給油施設跡 主任男 ーー


顔が痛い。肩が痛い。いや間違えた、全身痛い…

あんな派手に吹き飛んだのは装備受領直後の訓練期間以来だなー。


先輩男「身体の調子はどう?問題無い?」

主任男「何ともないですよー」ブンブン

ビキビキッ

主任男「ね゛?」ピクピク

先輩男「そ、そっか。無理しないようにね」


転倒での擦過傷や打撲はさして問題無いが、射出機動による脚への負担がキツい…。

もっと鍛えなきゃだなー。


端末『技術1A:先方が進捗可能範囲内に接近』

看板の支柱の天辺に登った観測要員から情報が展開された。


ターン……ドサッ


技術1A「」ピクピク

端末『技術1Aさんの退職届を受理しました』


先輩男「スナイパー!遮蔽物に隠れろ」


技術1係長「各個進捗開始!安全第一でな」カカカ、ズルズル

主任男「闇雲に進捗するなよ。目標と課題を見極めろ」カシュン、カカ


タタタン、タタタン

主任男「後輩女!観測弾…」

そうだ、居ないんだったな…。


先輩男「モブC、モブD、拡散マーカー用意
中心距離前方200m、範囲100m。左右に撃ち分けろ」

モブC/モブD「了解」

パシュン……パーン。パラパラ


端末『先方所在情報が更新されました』


新人女「オラー」カカカ、カカカ

主任男「話を聞け新人女。積極的に行くな。
ここはまず状況を安定させるんだ」カシュン

新人女「うぃっす」シュン


主任男「能動的に動けばその分リスクがデカい。
まずは状況整理、現状と在るべき姿の差を勘案し課題を抽出。できるな?」

主任男「うぃっす!」カシュン


とは言ったものの…打破する手が見つからん。
手離れ悪そう仕事だなこりゃ…。
59 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/22(木) 23:43:47.72 ID:yzLrW8qH0

ーー 給油施設跡 通信男 ーー

タタタタ、タタタタタタタ、ビシビシ

もたれ掛かった壁の端っこが削れていく。


主任男「主査が合流するまで現状維持」カシュン

先輩男「無駄弾撃たないでねー。補充期待できないよー」カシュン、カシュン


端末表示はマーカーの有効範囲内が真っ赤に染まっている。

きっと範囲外にも予備工数が待機してるだろう。


状況安定化。こちらから仕掛ける必要は無い。

ここまで押し込まれた業務環境は初めてなのでこの指示に少しホッとしている。


端末『後輩女:こちらにもリサーチ班が回ってきました。対処します。』

打破できなければ最悪の結果になるのが予想される。

陽も落ち薄暗い中、OA補助の心許ない環境。

踏ん張り切れるのだろうか?









ガチャン、タタタタタタタタ

「ぐあ!」「なっ!どこから!?」

『…さんの退職届を…』
『…さんの退職届を…』
『…さんの退職届を…』
『…さんの退職届を…』


主任男「!?道向こうの建物2階だ!建屋の中か、東側の壁の向こうに退避!」

タタタタタタタタ、ドン、タタタタ、ズズン


いつの間に!?課員達が次々倒れていく。何が起きてるんだ…。

『…さんの退職届を…』
『…さんの退職届を…』
……


特技男「通信男!惚けてんじゃねー!早く退避だ!」

通信男「あ、あ、は、はい」ワタワタ

モブA「通信男!後ろだ、避けろ!走れ!」カカカ

通信男「え?」

モブA「クッ!バカやろー!!」ドカッ


タタタタタタタタ

『…さんの退職届を…』
……

辛うじて遮蔽物に入れた…

通信男「ありがとうございます、モブAさ…」クルッ
60 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/22(木) 23:59:31.22 ID:yzLrW8qH0
本日はここまで。

支援あざまっす。
>>55 社会とは常に容赦がないものなのです。
>>56 会社には希望など落ちてません、絶望だけなのです。
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/01/23(金) 00:17:46.98 ID:eywavExyO
まさかな。まさかな。
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/23(金) 00:48:52.21 ID:+MpdBFSn0
モブA……お前……(期待)
ところで>>58の下の方、自分で命令して自分で答えてるぞww
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/23(金) 11:10:17.79 ID:s6xI8Da90
フラグは折るものってばっちゃがいってた。
モブAならきっと…
64 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/24(土) 23:50:47.83 ID:/MViYgOeO

ーー T橋 AFV内 主査 ーー


先輩男達を給油施設跡に行かせ技能さんの元に向かう。

IT女「河川内連絡車反応2台。バイタル…反応無」


G県側の基礎を僅かに残しT橋は崩れ去っていた。

前の車輌がタイヤを空転させながら牽引している

後ろの車輌は半分以上が宙に浮いていて
落下していないのが不思議な状態に見える。


主査「橋脚部の破損度探査」

IT女「音波探査作動……耐荷重予測NG。接近不可能」

チッ、コイツで牽引するのは無理か…。


主査「降りて状況を確認してくる、IT女はコイツの安全確保を頼む」タンタンタン、ガチャ

IT女「了解」カコカコ、ピピッ



AFVを降り連絡車へと走り寄る。

「ぬぉーーー!!!」


野獣の様な雄叫びが周囲に響き渡っている。

主査「やっぱお前か…」


工機男が崩れかけた橋の端っこで連絡車を引っ張り上げている。

身体拡張ツール?いや、それが生身なんですよこの人………人?


主査「車輌は破棄だ!早く全員降りろ!」

窓の外から中に呼び掛ける。何人かがこちらを向いた。


技能2-2「それが課長がシートに挟まってしまっていて…」


技能2課長さんか。落下して無くて良かった。
しかしツイてるんだかツイて無いんだか…。
65 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/25(日) 00:16:31.69 ID:vWYbgb5WO


主査「私は営業部技術課長 主査だ。ただちに全員降車せよ、業務命令だ」

フザケンナー、ミゴロシカヨ
カチョウヲオイテケネーヨ

主査「うるさい!私が対処する、黙って降りろ!」


ホントカー、シンジランネーヨ
ザワザワ


渋々降りていく技能課員達。中には俺を睨んでいく奴もいる。


最後の一人と入れ替わりで車内に入る。

主査「大丈夫ですか?」


爆発時に後ろから突っ込まれたせいか車輌後部が圧壊し車体や座席がグチャグチャだ。

その一部が技能2課長の膝から下を押し潰している。


技術の装甲連絡車と違い大人数用の一般連絡車故の悲劇だ。


技能2課長「あぁ…主査さんか。すまない」

主査「いえ、すぐに取っ払いますね」スラン、ヒーン

スパッ、スパン

最近支給されたヒートナイフを取り出しシートを切り取っていく。


カィンッ、カィンッ

クソッ、片足は出せたがこれ以上は無理か…。


主査「技能2課長さん…」チラッ

技能2課長「構わんよ、やってくれ」コクッ


主査「では…これ咥えてて下さい」スッ

胸ポケットからペンを取り出す。

技能2課長さんがそれを咥え目を瞑る。


ヒュパン

技能2課長「…グッ…」



主査「さ、行きましょう。肩をお貸しします」

技能2課長「すまない…。お願いする」
66 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/25(日) 01:14:23.06 ID:SDO2Dwg40


車輌を出ると技能課員達が不安そうな面持ちで遠巻きにこっちを見ている。


主査「健康管理委員、止血と応急処置だ、急げ!」

技能2課長を引き渡し、車輌後部へと向かう。


主査「工機男、もう大丈夫だ。離脱するぞ、ワイヤーを……」

工機男「ぬぉー!オゥ!」パッ


主査「あっ!バカ!ワイヤー切る前に離したら…」


車輌後部がゆっくりと落ちていく。
それに引き摺られた前の車輌が近づいてくる。


主査「クッ」ヒュパ

ナイフで車輌間をつなぐワイヤーを切る。
後ろの車輌が勢い良く川に吸い込まれていく。


主査「!」

ガラガラ…ザパーン……ガラガラ


衝撃に耐え切れず橋が崩れていく。

走っても間に合わないなこりゃ……。



工機男「フン!」ガッ

工機男が牽引ワイヤーを握り反対の手で俺の手を掴む。


工機男「おーい、引き上げてくれー」プランプラン

ワイヤーが引き上げられゆっくりと上に登っていく。


工機男「ぬ…マズイな…」ズルズル

主査「どうした?」

工機男「ワイヤーが滑って手が…」スポン


主査「え?」


ボチャン、ボチャン


67 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/25(日) 01:42:19.42 ID:SDO2Dwg40
本日の投下完了。

>>61>>63 支援あざまっす。

>>62 ふぁぁ、ご指摘ありがとござます

>>58
主任男「うぃっす!」カシュン…×
新人女「うぃっす!」カシュン…○

ですね。
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/01/25(日) 12:08:08.77 ID:IGuYSpvTO
うん、やっぱ工機男がいると妙な安心感がw
なんか二人して川に落ちた気がするけど気のせいだろう、うん。
69 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/26(月) 22:27:16.85 ID:GcOUWuIr0

ーー 給油施設跡 主任男 ーー


主任男「2係2班集合だ!こっちに来い!」カカカ

タタタタ、タタン

主任男「モブAぇ!RPG用意、向こうの建物をやれ!」カカカ


返事が無い…そこにいたはずなんだが…


通信男「う、モ、モブAさんがひ、ひさ…」

主任男「何があった!報告は要点をはっきり伝えろ!」カカカ

タタン、タタタタ


まさかアイツが…
通信男達が来た方向に視線を移す。


特技男「モブAさんが先方進捗により被災、労災の程度は不明」カカカ

タタタタタタタタ


弾が交錯し飛び交う中、うつ伏せに倒れピクリとも動かないモブAが見える。


主任男「なんであそこに放置している!さっさと…」カカカ

いや…それで被災者が増えたら元も子もない。


主任男「全員速やかに後退!特技男、そこのRPG拾え、発射だ!」カカカ

特技男「了解!」

バシュ、ドドーン


先輩男「北からの進捗も来てるからねー、上ばっか見てちゃダメだよー」カカカ

注意喚起しながらもモブAの方をチラチラ見ている。
元部下であり係の中核でもある。

俺も先輩男さんも駆け付けたい気持ちを必死に抑える。

タタタタ、カカカ、タタン、カシュン


新人女「!」ダダダッ

主任男「新人女!前に出るな、戻れ」カカカ


新人女「気を失ってるだけっス!助けるっス」ズルズルズル

特技男「バカやろー、勝手な行動すんな」ニカッダダッ

特技男が俺の方を見て笑いながら飛び出して行く。


通信男「モ、モブAさん!モブAさん!」ダダッ

それに続いて通信男も駆け出して行った。


主任男「お前ら命令を聞け。下がるんだ」カカカ


口ではそう言っているが本心では無い。
先輩男さんもホッとした顔をしている。

…ありがとう新人女。
70 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/26(月) 22:56:13.53 ID:qvGSNhSYO

ーー 住宅街 中層アパート屋上 後輩女 ーー

突発進捗に会い相当数の退職、労災が発生しているようだ。


端末『新人女:気を失ってるだけっス!助けるっス』

モブAさんが被災したみたいだ…他のみんなも無理せず無事でいて欲しい。


端末『先方の接近を確認。タスク設定します』

こっちはこっちでリサーチ班がちょこちょこ現れる。

カシン、パシュ


これでもう8人目。
無駄だと分かっているだろうに闇雲に投入して来る。


後輩女「新人男、周囲確認しっかりね。光学でシツコク確認して」チラッ

新人男「…はい」ボソ


探査が機能してない陽も暮れて直接目視もできない。
滞空センサーと暗視装置だけが頼りの厳しい状況。

気を抜けばあっという間に崩される。


後輩女「ん?」ジー

後輩女「あそこら辺なにか動いた気がする…
重点的に確認してちょうだい」ユビサシ

新人男「…はい」ボソ



端末『先輩男:モブDー。確かジャベリンあったろ?
端末『主任男:ありったけC4持ってこーい』

…何かあっちは物騒な会話が飛び交っている。



そこから暫くの間、定常業務が続いた。
退職者は出なくなったが労災はそこそこ多い。

辛うじて状況は安定したと言って良いだろう。


後は計画を再構築して、リスケを…

カッ!ドーン!スズーン


西の方が一瞬光り爆音が鳴り響いた。

新人男「ウソだろ…」ホケー


端末の暗視装置でチラッと西の方を確認する。

給油施設跡の向こうにあった建物が丸々消えていたように見えたけど…。


端末『主任男:よーし、道向こうは消滅したし瓦礫で北からも防げる。建て直すよー』


新人男「無茶苦茶だな…」ボソ

班内内線を聞きながら新人男が立ち尽くしている。


後輩女「新人男、ぼっとしてないで警戒に戻って」
71 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/26(月) 23:32:16.42 ID:qvGSNhSYO

…タタタ…タタタ…カカ…


給油施設跡の方から進捗の音が聞こえる。
対してからこちらは依然静寂に包まれている。

目を凝らし耳を澄ませる。…表面上異常は無い。

だけど僅かなほんの僅かな違和感を感じる。


後輩女「新人男、何か変だ。警戒強めて」

新人男「はぁ…」


滞空センサーを展開しているとはいえ穴はある。

目視と予測で異変を察知しカバーするしか無い。




ボン、ボン、ゴゥ

後輩女「!」ガバッ


商店跡の窓から火の手が!…観測機に反応は無かった、いつの間に!


カシン、パシュ、カシン、パシュ

後輩女「新人男!ぼーっと突っ立って無いで進捗する!」カシン、パシュ

新人男「は、はい」カカカ


…ダメだ、あそこまで近づかれたらここからだと死角が多過ぎる。


後輩女「降りて直接折衝するよ。着いてきて」タッ


ライフルを背中に回し腰からSMGを取り出す。

端末『装填:30、予備弾倉:30×4』


後輩女「移動遅いよ!早く!」タタッ


端末『技能1係長:技術ー!何してたぁ!ぐぁ…お前ら早く、早く消火しろ!』

端末『ダレカァタスケ…』『ソトダソト二…』
『ア゛ア゛ァアァ』『アチィヨォ』

タタタタ、タタタタ…


端末から断末魔の声が飛び込んでくる。

後輩女「外の先方の牽制を始めます!タイミングを見て脱出を…」


端末『技能1係長:ぐぁぁ、クソぅ!』

商店跡の入り口から火だるまになった社員が踊り出る。

タタタタ、タタタタ


端末『技能1係長:ガハッ!』プツッ


後輩女「クッ、行くよ新人男」パラララ

新人男「はい」カカカ
72 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/26(月) 23:34:49.70 ID:qvGSNhSYO




プスプス、ガラガラ


辺り一帯に様々な物が焼け焦げた臭いが充満している。

周囲に私達以外の動くモノは無い…。


商店跡を詰めていた先方は驚くほど呆気なく撤退していった。



後輩女「ここか…」


商店跡裏手の路地に開いたマンホールを見つける。

中を覗くと対電波防護シートが貼り込まれているのが確認できる。


後輩女「主査、取れますか?商店跡は機能消失。残存人員無しです」

……?返事が無い。


何か起きたんだろうか?

まぁ暫く待って様子を見よう。


後輩女「本位置の定点業務に移行する、さっきの位置に戻るよ」クルッ、スタスタ



新人男「…んも感じ…のかよ」

後輩女「ん?なに?」ピタ


新人男「…何も感じないのかよ!これだけ社員が一方的にやられて!」


後輩女「……悔しいわよ、自分のせいだとも思うわよ。だから何?」


新人男「だったら…」

後輩女「悔しがって、悲しい顔してれば仕事が進むの?それならいくらでもするわ」


後輩女「我々のやれることは業務を進めること。報いいるにはそれ以外無いわ」ザッザッ


若いな…。でも感情を出すこともできるのね。

ちょっとだけ安心した。

後輩女「行くわよ」


今できることはこっちのルートを進展させないこと。

私ができることを、業務を全力で全うしよう。
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/27(火) 00:39:17.16 ID:I4K2efOQ0
即死じゃないなら安心だな>モブA
74 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/27(火) 00:57:27.81 ID:Z9aTaa630

ーー 主査 ーー


主査「カハッ、ゲホゲホ」


何だ?どうした?ここは?俺は?……。

朦朧としている意識の中で薄っすら目を開ける。


泣きそうなIT女の顔が目の前にある。


必死に何かを呼びかけているが耳に入ってこない。


工機男「ぬははははー」バッシャンバッシャン


ゴツい男がバタフライでコッチに向かってくる。


そうか、ここは地獄だな。

そうに違いない…。


目が自然と閉じていく。抗えない…。


IT女「…!…さ…っ!……!」


IT女…そんな顔すんなよ…。

再び顔が近づいてくる、それと同時に意識が遠のいていく。


あぁ眠い。少し寝かせてくれ。
75 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/27(火) 01:09:22.27 ID:Z9aTaa630

ーー 給油施設跡 主任男 ーー


道向こうの建物を倒壊させ遮蔽物を設定したことで状況は一旦の落ち着きを取り戻した。


ただ、突発折衝の衝撃は精神的にも工数的にも大きく課内に動揺は残っている。


先輩男「労災者の移動、手当てを優先ね。1係と3係で北からには備えるから
2係、4係は手当てと建て直しに注力して」


主任男「2係2班集合ー」コイコーイ

一同「はい!」


主任男「で、なんでピンピンしてんの?」

モブA「…俺?えっ?俺?ピンピンしてちゃダメ?」


意識が無かったはずのモブAが平気な顔して立っている。

班のみんなもどこか納得のいかない表情をしている。


主任男「いや、ダメじゃないんだけどさ…何で無事なの?」

モブA「あ、そこ?これのお陰」スルスルッ


新人女「何ですかそれ?」ハテナ

特技男「ペンダント?ロケット?」ジーッ


モブA「そ、前に女子社員から避けられ掛けた時に通販で買ったんだ」キラッ


新人女「うわぁ……」ヒキッ

通信男「動揺して損しました…」ガクッ

特技男「たまたまそれで防げたってことですか?」


モブA「うん、高かったけどこんな風に効果が出るとはね」フフン


…モブA、避けられ掛けた では無く 避けられていた。だ
更に言えば 現 在 進 行 形 だ

あと目の前で新たにドン引きでお前を避ける女子が新規発生…。

もぅ何も言うまい……。


主任男「ともあれ、だ。まずは全員無事か相互健康チェック、その後装備チェック」

一同「はーい」ユビサシ、ヨシッ!


後は主査が来るまでローテーションで定点業務だな。


先輩男「偶数係は仮眠取っちゃってー」


みんな一日中働き詰めで疲労の色が濃い。

奇数係には悪いが先に休ませてもらおう。
76 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/27(火) 01:17:39.87 ID:Z9aTaa630
本日の投下完了。

>>68>>73 支援あざまっす。

鉄板二人、しかし絡んだ事なし。
さてこの後どうしてやろう?
77 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/29(木) 00:35:40.88 ID:lGmWkJN1O

ーー 主査 ーー



……「そっち回り込まれるぞー」……カシュン…

…「健康管理委員!こっちだ」……タタタタ…


何だ?騒がしいな…。


先輩男「4班!東側をケア、頭引っ込めさせろ」カシュン


……進捗中?

主任男「新人女、出過ぎだ!戻って来い」カシュン



主査「!」ガバッ


モブA「あっ!主査が起きた。新人女ぁ、メディカルチェックお願ーい」カシュン


新人女「うぃっす」タタッ


えーと、落ち着け。状況を整理しよう。

…技能2課長さんを降ろして、工機男と川に落ちて、IT女が見えて…。


主査「IT女は?AFVは?」キョロキョロ


先輩男「おっ、無事か主査?AFVは1係の特操とIT女で運用中だよ」

主任男「現在、後輩女のところで定点業務に就いてもらってます」


新人女「主査、あんまり動かないで下さいッス。チェックできないッス」



新人女のチェックを終え、端末を被る。

11時半か…大分寝ちまったな…。


主査「係長全員集合。あと主任男もー」


施設の端のドラム缶の周りに円を作る。

主査「長い時間不在で悪かった。端的に状況を聞きたい」

PADを二回り大きくしたミーティングボードを見ながら報告を促す。


先輩男「昨日夕方に折衝開始、以降折衝継続中。
スキル、手法的に技能系と技術系の混成WGと見られます」

先輩男「国道向かい側のパチンコ店跡二階より突発折衝を受け中規模の労災事案が発生
先方を建物毎対処することで対応しました」


主査「あの瓦礫の山がそれか…」

技術1係長「遮蔽物を設定し国道を寸断した為、相対関係としては優位になってますが…」


主査「何か問題でも?」

技術1係長「はい、依然本店、支店共に連絡不能の孤立状態。
庶務課による補充も無い為、積極的な進捗が行えないでいます」
78 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/29(木) 23:06:00.20 ID:gdL5rQIa0

まだ連絡網は復旧して無いか…。


橋の崩落による物理的孤立
連絡網停止による情報的孤立

加えてOA不作動ときたもんだ、流石にここまでの状況は初体験だな。


主査「まずは支店とコンタクトを…」

技術1係長「いま3係が向かってます」


主査「であれば、商店跡の技能班の移動…」

主任男「先方進捗により全員退職しました」


主査「橋の付近に定点観測員を…」

先輩男「ウチの班が待機し、現場維持と対岸の状況を確認させています」


ちゃんと課題の顕在化もできていて、標準手番通りに進めているみたいだ。

良くやってくれている。



主査「では、いまここの残存工数は?」

先輩男「技能2課 72名、技術課 58名、工機課 6名、合計136名。
内15名は進捗が難しい状態です」


主査「先方からの地点進捗は?」

先輩男「ここ12時間以上、中遠距離の間接折衝はありません」


ふーん…状況はボチボチ落ち着いている。
工数もそこそこ潤沢にある…、か。

対応課題を整理すると、

1.技能、技術課それぞれ現状把握 …これは良し
2.現在位置、給油施設跡での先方対応 …遂行中
3.出張所、商店跡方面でのシェア維持 …遂行中
4.支店の状況把握と連携復旧 …遂行中
5.本店との連携復旧 …これは無理そうかな
6.先方業務目標の予測 …これは次の段階


主査「よし、目の前の課題を片付けちゃおう。
この地域の来客数と分布の詳細出して」

主任男「はい。通信男ーちょっと来ーい」


端末『通信男:折衝中で手が離せないのですが』

主任男「良いから来い。状況説明しろ」

端末『通信男:はぁ、分かりました。キリの良い所で戻ります』


わざわざ班員を呼ばなくても良さそうなもんだが…。

まぁ何か考えがあってのことだろう、黙っておくか。
79 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/01/30(金) 00:09:00.09 ID:hCeSjjgB0
短いけど本日はこれだけ。

ちょっと方向性が安定しない…。
少し先々を練りながら書き溜めます。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 08:37:01.87 ID:WjJohGx6O
おつ
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/09(月) 01:12:16.41 ID:1H099oeO0
乙あげ
いっち見てるかー?エタるなよー

早くGンマー制覇の結末を見たい
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/02/25(水) 22:01:09.22 ID:LeC1UOOKO
スレ落ち回避の定期便ですよっと。

後輩女はどうした?
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/02(月) 02:04:19.47 ID:zZ1Q6S/7O
再開熱望!
一ヶ月開いてもまだ待ってるからなー
気楽に書きたいもの書けばいいさー
84 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/03/05(木) 23:29:57.06 ID:kukrysw90

ーー 給油施設跡 通信男 ーー


タタン、チュイン、チュイン、バシュ

「グッ」バタッ「クソっ!健康管理いいーん!」


身体のすぐ脇を弾が飛び交い、定期的に誰かが呻き声をあげる。


カカカ、カシュン、カシュン

端末『タスククリア、視認中心に目標設定』

通信男「早く彼を移動させて下さい、バックアップします」クイッ

「おう!」ダダッ、ズルズル


昨日からの昼夜連勤に課員全員疲労困憊だ。

進捗してきている彼方も勢いが緩んできている。
お互い似たような状況だし、きっと僕達と同じ気持ちなんだろうな…。


端末『主任男:通信男ーちょっと来ーい』


何だ?この忙しい時に

通信男「折衝中で手が離せないのですが」カシュン


「アイツもまだ退職してない、誰か来てくれ!」
「行くぞ!いち、にの、さん!!」

カカカ、カシュン、カシュン


端末『主任男:良いから来い。状況説明しろ』


「よし!早く健康管理委員のとこに…」
「お前も左手に被災して…」
「問題無い!次だ次…」


通信男「はぁ、分かりました。キリの良い所で戻ります」カカカ


通信男「すみません、ちょっと席外します」

「おー気をつけろよー」
「こっちは俺らがやっとくから気にすんなー」

カシュン、カシュン
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/05(木) 23:43:13.17 ID:PfYzz9pI0
生きてたんかワレェ!
86 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/03/06(金) 00:15:52.69 ID:DM4/2I9p0

ーー 給油施設跡 主任男 ーー


通信男「何でしょうか?結構忙しいのですが」

態度わるっ!あからさまに不機嫌そうだな…


主任男「現在の業務環境を主査に説明ならお前が一番良いと思ってな」

主査「集中してた所すまんな、説明頼む」


通信男「確かに主任男さんは説明苦手ですもんね、分かりました」スッ

この野郎…何気に毒吐きやがって
まぁ肝が座ってきた良い傾向と見よう。…説明下手は事実だし…。


通信男「こちらのPADをご覧下さい」

主査「ん?これは?」

通信男「先方の人員分布と工数増減を時系列で可視化したものです」


周辺地図に人数と時間が表示されていて、移動軌跡に線が引かれている。


通信男「3係が支店に向かう際に迂回して観測機を設置してくれたおかげで
先方にも課題があることが分かってきました」

主査「全然分からん、端的に頼む」


コイツの悪いとこは説明が回りくどいことだな、主査が若干イラついている。


通信男「先方のこの係が特徴的なのですが…」

主査「同一地域内を行ったり来たりしてるな、補充か?」

通信男「だと思います、それなのに人員は補充されてなさそうです。
本現場周辺全体を見ても工数がだんだん減少して充当されて無いようです」


主査「物資補充しかできてないってことか…」

通信男「恐らくは。原因は不明ですが支店との連携が取れていないと推察されます」


不確かな情報で業務計画を立てるのは失敗してくれと言っているようなものだ。
しかし、仮定で課題を設定し計画を立てる必要があるのも事実だ。

まだ俺ではこの場面での判断はできない。


主査「ふーん…。じゃ進行すっか」


技術1係長「……。え?」
通信男「いや、先方の孤立は推定でして…」

主査「日頃から言ってるだろ?分かんないこといくら考えても無駄だって、
できない、やらない理由考えてたって事態は好転しねぇよ」

通信男「しかし、相手の全容や此方の通信体制も…」


主査「だ、か、ら、リスクヘッジしながら進めりゃ見えてくるものがあるって」

主任男「とはいえ結構なリスクですよね。進める根拠は?」


主査/先輩男/主任男「ただのカンだ!」


やっぱな。誰だよこの人管理職にしたの。
通信男が口開けたまま呆けてるじゃん。
87 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/03/06(金) 00:23:19.18 ID:K0/EH/8PO
>>80-83
すみません、保守ありがとうございました。
暖かいお言葉ありがとうございます。

>85
リアルが正直死にそうです、主任男達の現場より状況悪いです。

書き溜め、構想練り。一切できせません(キッパリ)
なのでまたグダグダで続きます、お付き合いお願いします!
88 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/03/06(金) 00:33:32.23 ID:DM4/2I9p0









「クソまたアイツらだ!どこに隠れてやがった」

「本部、地点情報機での感知は?」



「なっ!いつの間に!?」


ザザッ、プツッ




.
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/06(金) 19:23:53.75 ID:onXqARl4o
おっ待ってた!
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/03/07(土) 22:33:58.63 ID:F9w5+6UwO
>>88
意味深やな…

ところで主任男よ、一緒に吠えるなw
91 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/03/08(日) 01:51:49.35 ID:zqOukXdpO

ーー 出張所跡 後輩女 ーー


チュイーン、バチバチバチ
ガコガコガコガコ


工機男「そっち完了したか?」ガッチョン

ウェーイ、ウィッス、オーケーッス


橋の崩落から難を逃れた資材を駆使して工機班が仮事務所を設営してくれている。

この短時間で簡易プレハブに防御壁、塹壕を完成させる手際は流石の一言に尽きる。


端末『IT女:AFV事務所格納。定点業務継続』

バシュバシュバシュ


センサーが射出され上空に浮かぶ。
端末の感知範囲が広がるのが確認できる。

対空防御も可能なAFVを半固定砲台としたことでここの業務精度は格段に良くなった。


端末『主査:後輩女、技能さんを送った。交代で工機と一緒に自班に復帰しろ』

後輩女「了解しました」


AFVの機動力、進捗能力が貼り付けになるのは痛いが課題の方向性を縛る為には仕方ない。


警戒業務に当たりながら技能班の到着を待つ。

ここ数時間は折衝も無く落ち着いているので若干気が抜けてきている。

ダメね、集中しなくちゃ。



程なくして技能班が2班到着し引き継ぎを行う。


後輩女「では給油所跡に戻ります。撤収準備大丈夫ですか?」

工機男「ぬ、問題無い。宜しく頼む」ムキッ



身体拡張ツールと資材の残りを満載した台車を引きながら出張所へと急ぐ。


何トンも有りそうな台車を引いて行くので進行が遅く………ならない…。

むしろ速い。


この人の身体は一体どうなっているんだろう?

92 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/03/08(日) 02:31:48.52 ID:zqOukXdpO





「国道は定置進捗だらけだ、迂回しろ」

「迂回路組からの連絡途絶えました!」


「スナイパー!スナイパー!」ブツッ




93 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/03/08(日) 02:34:08.74 ID:zqOukXdpO
>>89-90
支援あざまーす。
何とかストーリー展開を考えつけました。

牛歩ながらも頑張ります。
94 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/03/08(日) 22:51:24.42 ID:GxggmXoM0

ーー 給油施設跡 主任男 ーー


主任男「左から来てるぞ、新人女気を付けろ」

新人女「うぃっす」カシュン、カシュン


現在、合流した後輩女達と共に北からの進捗に対応している最中だ。


後輩女「タスク34番まで完了、残り業務の確認お願いします」

通信男「先方情報最新化しました。残タスクおおよそ25。北西11時方向に観測弾追加下さい」


後輩女「了解」カチャ、カシン。パシューウ

主任男「後輩女、観測弾の残数に気を付けろ」


この付近の業務は大分整理できた。

これなら次の課題に着手できそうだ。


端末『主査:技術2係、西の瓦礫を迂回して北に進行、技能Agrは東側から牽制』


先輩男「よーし、露払い頼むね2班のみんな」


1班の半分は定点業務で不在。つまり俺たちから着手開始か、責任重大だな…。


主任男「スリーマンセル形成、後輩女、新人女、通信男。モブA、新人男、特技男」

一同「了解」ササッ


主任男「相互連携、報連相をしっかり、安全作業で行こう」

一同「ヨシッ!」


連続機動的業務だ、ほんの少しの綻びでも全体業務が瓦解する。



新人女「うー」ソワソワ

後輩女「どうしたの?大丈夫?」

新人女「大丈夫っす、緊張してるだけっす」

特技男「ま、ミスっても俺達がフォローするさ、気楽に行こうぜ」


通信男「技能Agr配置に着きました」

主任男「さて、行きますか。遅れるなよ」タタッ


麗らかな天気、気持ちの良い午後の陽射しを浴びながらのピクニックの始まりだ。


タタッ、スッ。クイクイッ。

コクッ、タタタッ。

95 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/03/09(月) 01:08:53.49 ID:NxqBeGNT0

ーー 国道No.400脇 進行中 特技男 ーー


端末『主任男:特技男、後輩女』クイッ

コクッ。…パスッパスパスパスッ、パスパスッ


通信男のデータ分析で分かった事がもう一つ

限定範囲ステルスの作用で彼方さんの電子の目も潰れているということ。

つまり先方は俺達を光学補足から逃がしたら探査できない。諸刃の剣ということ。


端末『後輩女:タスククリア、視認範囲に目標無し』タタタッ


班内内線で連携しながら進捗すれば攻め手側の方が圧倒的に有利な環境で仕事ができる。


端末『主任男:そろそろ気付かれる頃だ。通信男、電波状況を常に把握しとけ』

端末『通信男:了解しました』


無音に徹する為、サプレッサー付きのハンドガンで進捗を進める。

道具を選ばず人外の命中精度を出す後輩女さんに尊敬を超え恐怖すら感じる。


端末『新人女:10時方向、先方人員発見。距離30、人数…4名』


ここ暫くで気付いた事もある。新人女の目標発見能力だ。

後輩女さんや主任男さんよりも早く異常を検知し、課題を見つけ出す。


端末『主任男:新人女、新人男やってみろ』

端末『新人女:うぇ!無理ですよ』ブンブン


端末『後輩女:やる前から無理とか言わない、サッサとしないとこっちが補足されるわよ』


端末『新人女/新人男:はい』スチャ


端末『新人男:新人女、声掛け頼む』

端末『新人女:了解、いち、にの、さん』パスパスパスッ

パスパスパスッ


あっ…やべっ。撃ち漏らしやがった。 パスッパスッ


端末『後輩女:40点。新人男、端末のサイティングと目視の調整甘い。
新人女、構えがブレ過ぎ』


俺が構える前に進捗完了…左右撃ちわけてこの速さとか…


端末『主任男:よし、進むぞ。くれぐれも音を立てるなよ』タタッ


最後尾でポイントマンをしているモブAさんに合図し進行を続ける。

目標ポイントまでもう少しだ。

96 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/03/09(月) 01:17:03.01 ID:NxqBeGNT0
本日の投下終了。
早くこのグダグダを抜け出したい…
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 20:47:56.89 ID:B1VT4qg+O

モブA最後尾っすか...それ...
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/03/11(水) 07:28:48.71 ID:IujFQqATO
>>97
大丈夫、モブAだしw

そして、見てみたいぞ>工機男の進捗
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/12(木) 00:30:39.12 ID:9Iref/8Go
>>98
そこにクレーターがあるじゃろ?
その向こうにもクレーターがあるじゃろ?
それを追っていけば見られるんじゃないか?
100 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/03/12(木) 23:33:00.69 ID:Vq14TXFd0

ーー 給油施設跡 主査 ーー


北側からの進捗はもう下火になってきたな。

あとは2係で後方から詰めれば課題完結だろう。


進行を見守る中、端末が緊急受信を報せる。


端末『IT女:高速接近物確認。迎撃準備』

主査「?」

俺の端末には特に感知がないが何だ?


主査「IT女どういうことだ?詳細報告してくれ」

端末『IT女:VSL全門開扉。連続射出開始』


端末『IT女:機動車6台確認。3台進捗完了。射程外離脱3台。給油施設跡方向進行確認』


ちっ、高速機動車を出して来やがった。
孤立化しているここのエリアへのテコ入れか…

既に何台も機動車潰してるのにまだ追加だと…
…リスクを犯してまでなぜここに固執する?


主査「技術1係ぃ!東側へ備えろ!高速機動車来るぞ!」

端末『技術1係長:いや、備えろと言われましても…』

主査「RPGでも防御ネットでも何でもいーから手を打ってくれ!」

端末『技術1係長:無理です、ほんと無理ですって。
あーもぅ文句言ってても仕方無い!行くぞみんな!』

端末『一同:はい!』

ウハーマジスカー。キッツイスネー


弱音とヤケクソと共に給油施設跡を出て行く技術1係長達の背中を見送る。

対処しろ言ったものの無理がある…すまない…



『…キタゾー…カカカ…バシュ…グアー…』


機動車が1台スタッフしているのが見える。

有刺ネットの敷設が間に合ったようだ、良くやってくれた。


端末『技術1係長:ネット敷設完了、2台目沈黙!』


端末『技術1係長:踏ん張れお前ら!クソッ!1台そちらに抜けました、すみません!』


白煙を上げる2台の脇をすり抜け車両がこちらに突っ込んでくる。


主査「ちょっと席を外す!技術4係長、ここを頼む!」ダダダッ


部下だけ苦労させて突っ立っていられるか!


主査「そこの技能さん!一緒に来てくれ!」

ウェーイ、オレラモイクゾー、ハシレー
101 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/03/13(金) 00:32:41.34 ID:TqY9fzZ40


主査「RPG斉射!」

バシュ、バシュ、バシュ、ズン、ズズン


ドルルルルル、チュンチュンチュンチュン

「ぐぁ!」「うおっ!」「退避ー!」


止まらないか…。


機動車が目の前に迫ってくる。

せめて、タイヤ一個でも潰せれば。


カチャ、ピンッピンッ


来やがれクソッタレ、吹き飛ばしてやる。
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/13(金) 23:54:55.20 ID:TqY9fzZ40


『P-EXsystem起動キー確認…認証OK』

『system起動シーケンス…スタート』

『起動率…30%,65%,95%…起動完了』


「各機能系作動チェック」



『上腕部…OK、下腕部…OK、脚部…OK』

『……各機能作動確認完了』


「データリンク、ローカル環境に設定」


『リンクシステム接続…情報同期率60%』

『現精度で情報更新』


『システム、オールグリーン。P-EX稼働開始』

『安全作業に留意しましょう』

103 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/03/15(日) 23:34:28.95 ID:x5ZPi3lM0

ーー 給油施設跡東部 主査 ーー


ガキン!


『捨て身は愚将の策、貴殿には似合いませんぞ』


ガションガション
キュンキュンキュン、バシュ、ズガーン


機動車が消え、大きな影が目の前を覆う。


主査「工機男か?すまない、助かった」

手に持ったグレネードのピンを戻しオレンジと黒の機体を見上げる。


端末『工機男:いや、こちらこそ対応が遅くなり申し訳無い、準備しておくべきだった…』



端末『IT女:北北東機動車反応2。レンジ外、移動開始』


主査「いや、動くなIT女。こっちは心配無い。な、工機男」

端末『IT女:???…状況検索…了解、現業務継続』


端末『工機男:無論。追加工数対処に向かう』

ガション、キュィーン…ブワッ、バシュ


強化外骨格『P-EX』を纏った工数男が飛び出して行く


ガションガション、ガションガション


工機A「大丈夫っすか?主査さん」ガション

工機B「ウチの大将がこっち回れって」ガチャン


主査「あぁ無事だよ、ありがとう。
…それにしても工機男のあの機体って…」


工機A「あぁ、あれですか。上にも内緒で大分改造してあるんで…
高機動型複合支援機体とでも言えば良いのか…」


…なんじゃそりゃ…


カッ…ズガーン…ズガーン


向こうの方で盛大に土煙りが上がる。

…あっちは任せておいて大丈夫だな。
104 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/03/16(月) 00:08:37.40 ID:OHJhGXPz0


ガッチョンガッチョン

ソコドイテー
オーイジュウデンキモッテコーイ


工機男の機体が工機A、工機Bに担がれ戻ってきた。


話を聞くと全力稼働では10分が限度らしい。

高出力化故の燃費の悪さだな…。


給油施設跡の端っこでソーラーパネルをつなぎ充電を始めた。

横で体育座りをして休む工機男とセットで日向ぼっこしているみたいだ。


技術1係長「ただいま戻りました」ボロッ


満身創痍ながらも一人も退職することなく帰席する辺り、流石1係1班だな。


主査「お疲れ、少し休んで下さい」

技術1係長「いえ、こんな工数不足の中で我々だけ休んでられないです」カチャカチャ


技術1係長「よーしお前らー補充できたか?元の作業に戻るぞー」

リョウカイデース。ホラオイテクゾー


技術1係長「では行って参ります」タタッ

技術1係長「頑張って今日中にここは終わらせちゃいましょう」ニカッ

モウヒトフンバリー。イクゾー。オー


笑顔を称えながら駆け出していく技術1係の面々

北の進捗に戻る背中を見送る。


…さて、俺ももうひと頑張りしますか。



105 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/03/16(月) 01:23:22.93 ID:OHJhGXPz0
>>97-99 支援あざまっす。

中々本題が進まない今日この頃…
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/03/16(月) 15:21:04.11 ID:XYV+qEOXO
>>103
これぞ………これぞパワードスーツ!!
…真剣こいてクレーター作りそうだな(汗
107 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/03/17(火) 00:36:59.95 ID:bNb5yTwo0

ーー 国道脇 飲食店跡 通信男 ーー


ササッ、ヒュパ、パスパスパスッ


端末『後輩女:5S完了、店内に進入どうぞ』


端末『主任男:了解、2班、3班中に入れ、4班は周辺警戒を宜しく』


迂回の末、先方背後の飲食店跡に浸入した。

ここまで何組かの定点業務員と折衝してきたし我々の進捗が認識されるのも時間の問題ですね。


端末『主任男:業務計画の確認をします、4班長中に来て下さい
その間、各自も目標管理アプリ確認のこと』


主任男さんの呼び掛けに各自が端末を操作する。


端末『個別目標と達成状況を表示します』ピッ

・経路Aを進行し定点業務員を進捗…完了
・経路Bから迂回し飲食店跡に浸入…完了
・飲食店跡内から他チーム応援進捗…未完
・指示に従い給油施設跡方面へ進行…未完
・進行経路上の先方社員を全員進捗…未完

端末『表示を終了します』ピピッ


…何回見てもざっくり過ぎですね…。

(主任男:詳細は臨機応変に)とか言ってましたが、臨機応変は詳細指示じゃないですし…。


端末『周辺通信波の周期変更を確認しました』


!!!定期のアルゴリズム変更にしては早い。

先方に察知された証拠だ。


通信男「主任男さん、先方通信周期変更。本チームが補足された可能性が高いです」


班長達の後ろに行き主任男さんに耳打ちする。


主任男「予定より早いけど行くよ!」ガバッ


主任男「各班進捗開始。安全作業で行こう!」

一同「ヨシッ!」ダダダッ

108 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/03/17(火) 01:14:54.73 ID:bNb5yTwo0
もう一本と思ってたのですが挫折。
本日の投下完了です。

>>107 彼は掘削機の類ですかw
新型機体はもう少しファンキーな機能が付いてる…かも…
(今から考えるのは内緒)
109 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/03/17(火) 01:51:34.18 ID:bNb5yTwo0
>>108おぅふ安価ミス
>>106さんでした。
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/03/17(火) 21:20:51.92 ID:FbtUxlkkO
>>109
パンチ一発でクレーターは男の浪漫でしょ?
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/06(月) 02:02:38.28 ID:1q8XmpRr0
スレ落ち回避ですよっと。
>>1 また激務時期なんかね?
決算前後だし仕方ねえか…
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/04/20(月) 23:52:09.89 ID:j2YplA1OO
>>111
年度末の亡霊と言う話も…

かくいう自身の仕事場(年度始めに配属)も亡霊がそこかしこにw

自分「これの納期って(汗」
上司A「よくある話w」
上司B「一週間前に要望変更するからw」
自分「笑い事じゃない希ガス」
上司s「気にしたら負けw」
自分「はぁ(・ω・;)」
113 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/05/02(土) 00:56:55.79 ID:80NhHaO50
>>111 >>112すみません、忙しさを言い訳にサボっております…。
ボチボチ再開しますので暫し猶予をば
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/05/24(日) 20:02:36.02 ID:OBFFzrwSO
保線作業ならぬ保守作業ですぉ󾭜

>113
年度開けて忙しいのって嫌になりますよね。
暇でも問題ディスガ
115 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/06/08(月) 23:57:35.20 ID:Ahn/N7y6O
ーー 国道NO.400 主任男 ーー


主任男「3班は右、2班は左。4班はバックアップ」ダダッ

主任男「各自目視にて目標全容確認を励行。先方一人も見逃すなよ」ズサッ、カシュン、カカ


端末『『『了解!!』』』


端末『通信男:確認結果集約、一元化シート作成開始します』


カシュン、カシュン、タタン、タタタタ

端末『後輩女:左方詳細確認完了、報告します』

端末『3班長:右方詳細確認完了、報告します』

タタタタ、タタン、タタタ、カシュン、カカカ


端末『通信男:一元化シート作成完了、点検お願いします』ピピッ


主任男「内容確認……OKだ。中距離通信封鎖解除、主査に送れ」カカカ


端末『通信男:了解です』

カシュン、カシュン、タタタタ、タタン


主任男「新人男!右だ!ボケッとすんな!」カカカ

端末『特技男:事前予測よりちょっと多くないですか?キツイっすね』


端末『タスク 1,2,5クリア.残タスクも抜け漏れ無いよう注意しましょう』

ターン、ビシッ、ターン、ビシッ


主任男「チッ!後輩女、あの影にいる目標が停滞項になりそうだ、頼む」


端末『後輩女:了解しました。新人女、カバーお願いね』

端末『新人女:了解したっす!』

カシュン、ターン、パシュ


端末『主査:2係、現在位置キープ。こちらを上げるよ、誤進捗に注意しろ』

ポスッポスッポスッ……ヒュー


主任男「迫撃進捗くるぞ!頭下げろ!」ガバッ
116 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/06/09(火) 00:34:09.73 ID:Lfjzkk+8O
ーー 国道NO.400 後輩女 ーー


ズガッズガッ、カッ、ズスーン

パラパラパラ、コン、コン

砂埃が舞い上がり、降りかかる土や石が端末を叩く。


ビチャッ


目の前に見知らぬ誰かの手首が落ちる。


後輩女「あぁもうこんな時間か…」


巻き付いた時計の針を見て夕方が近づいていることを再認識する。


ピチャピチャピチャ

バイザーに水滴が付く、ウザったい…。


「う、うわぁー!!」ダダッ、タタタン


混乱した先方がこちらに走り込んでくる。

カシュン

新人女「クリアっす、次!」スチャッ


カシュン「ぐぁ!」 カシュン「うぐぉお…」

小気味良いリズムで新人女が進捗を進める。
うん、やればちゃんとできるじゃない。


スッ、キラッ

パシュ 「がぁ!」カシン

馬鹿ね、キルフラッシュも着けないで…
どんな教育受けてきたんだろう?


後輩女「主任男さん、目標進捗完了しました
見た感じ狙撃係は終わりっぽいです」


端末『主任男:サンキュー、引き続き業務継続ヨロシク。あっ新人女ちょっと出過ぎだ、下がれ』


パシュ、カシン。
端末『タスククリア、次目標を…』

パシュ、カシン。
端末『タスククリア、次目標を…』


『そっち行ったぞー』

『え?どっち?あーいたいた』カカカ、ドシュドシュドシュ


カシュン、カカカ

「ひ、ひぃ」「あごごごごぉ」「うぐぼぉ」


カカカ、カシュン、カシュン……
117 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/06/09(火) 01:04:11.83 ID:Lfjzkk+8O
ーー 国道NO.400 コンビニ跡 主任男 ーー


主任男「全員相互健康チェック、その後ツール及び残弾確認」


3班に一人退職者が出ただけで進捗は完了した。

そのまま300m程前進し、国道脇にあるコンビニに腰を下ろした。


新人女「複数名擦過傷程度の被災がありますが、業務には問題無しッス」ぺこり

主任男「はい、報告ご苦労さん。じゃあ外の警戒よろしくね」

新人女「ウッス」タタッ


主任男「あっ、新人女!」

新人女「?」ピタッ、クルッ


主任男「さっきの進捗、基本も踏まえていて良くできてたぞ、その調子でな」

新人女「!! ウッス!」ダダッ



特技男「こらー調子乗ってんなー」コツン

新人女「うっす」


主任男「ははっ」


スッ

後輩女「はい、どうぞ。電源系生きてたのでちょっと頂いちゃいました」

主任男「おっ、ありがと」

後輩女から差し出されたコーヒーを受け取り視線を外に移す。


後輩女「そろそろ日が暮れますねー。主査からは何か?」


主任男「あー、ここで定地業務と周囲のスクリーニングだって」

後輩女「いつまでですか?」


主任男「明日の朝まで」

後輩女「この人数で?」


主任男「この人数で」

後輩女「え?無理じゃないですか?」


確かに三班20人で昨夜レベルの業務は無理だ。


主任男「主査も言ってたんだけど何か変なんだよなー」

後輩女「何がです?」カシゲ


主任男「いや、このコンビニも折衝無しで確保できたじゃん」

後輩女「確かに……。そういえば昨日から先方の工数が更に減ってる感じはしますね」

118 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/06/09(火) 01:11:40.76 ID:Lfjzkk+8O


主任男「多分なんだけどここら辺一帯、先方さん殆どいないんじゃないかって」


後輩女「……でももし居たら?」


主任男「それを試すのに一晩そこにいろって」


後輩女「…それって囮ってことでは?」




主任男「………そうだね」



夕焼けが綺麗だなー。

明日もきっと晴れだなー。
119 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/06/09(火) 01:16:28.16 ID:Lfjzkk+8O
本日の投下終了。

>>114保守ありがとうごさいます。
長らく中断していて申し訳ありませんでした。
何とか落ち着いたので間が空かないよう更新します。

待って頂いているのとても励みになります!
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/09(火) 10:56:14.23 ID:6BMl+K0bO
乙。展開忘れてるなぁ、読み直さんと
121 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/06/10(水) 00:47:12.59 ID:EX/cM/Jk0
ーー 給油施設跡 主査 ーー


端末『IT女:北北東飛来物接近、軌跡予測…給油施設跡。
速度質量解析…射出進捗。数6、到達予測45秒後』


主査「リモートで本施設の対空迎撃ツール作動!
AFVから届く防御ネット、地対空クラスターでも何でもいい!兎に角総動員で止めろ!」


端末『IT女:了解。命令事項処理完了済。』


ズン、ズズン…ガンガンガンガン

端末『IT女:処理完了。追加進捗検知無』


IT女の報告と共に破片が屋根を叩く。

こんな深夜に良くやってくれるわ、休む暇も与えないってか…。



主査「テントの課員、無事か?健康管理委員、即時確認、報告のこと」

主査「地上進捗の可能性もある、夜勤組の応援に各班2名警戒業務に入れ」


端末『技術1係長:了解です、各係毎に点呼、確認。非常時だ、騒ぐな焦るな。』



技術1係長を中心に冷静さを取り戻せている、まずは安心だな。


点呼の後、各員が周囲に散っていく。



端末『IT女:フローティングセンサー残量減。連続警戒可能時間 48時間』


うー庶務課不在が痛いなー。
せめて支店との連携を再構築できればなー。



主査「了解、把握。あー助かったよIT女。お前も少しは寝ろよ」


端末『IT女:適宜休息取得中。留意不要』


さよですか…と言いたいがアイツ体力ねぇしちと 心配だな…。


技術1係長「全班健康チェック完了しました。退職 0名、軽傷 複数名、不休業被災 2名です」


主査「ふぅ、まぁ良かった。被災者のケアをし通常業務にシフト、1係長も寝て下さい」


技術1係長「はい。…主査もお休みになって下さいね」ペコ


主査「ありがとう、おやすみなさい」



IT女の能力のお陰で電波障害下でもこの程度で済んだ。

とはいえ…その分を差し引いても出張所が無力化された時の進捗授受環境はやはりおかしい…


余りに一方的過ぎる……何か引っ掛かる…。
122 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2015/06/10(水) 00:59:25.02 ID:EX/cM/Jk0
本日の投下終了。

>>119…奇遇ですね、俺もです。
とか言ってる場合じゃないですね、すみません。
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