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モバP「ウサミン星人のそつぎょうしき」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:11:20.68 ID:OmVsWzrd0

・関係あるSS

モバP「少女は星を望む」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1427559080
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【速報】サヴァイヴ・アライブ設定資料集公開 @ 2024/10/10(木) 19:53:04.03 ID:RKeHQIOXO
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ポケモンGOのイベント疲れたお… @ 2024/10/10(木) 16:53:31.35 ID:eggYh/l2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1728546811/

らめぇぇぇええええびっぷサーバパンクしちゃうのぉぉおおお!!! @ 2024/10/10(木) 08:34:13.01 ID:ZCl+1W3BO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1728516853/

■ 萌竜会 ■ @ 2024/10/10(木) 07:19:27.70 ID:Ynt9o1PQo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1728512367/

■ 萌竜会 ■ @ 2024/10/10(木) 07:18:55.45 ID:T+UZrh92o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1728512335/

■ 萌竜会 ■ @ 2024/10/10(木) 07:17:01.10 ID:WVNYYrCMo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1728512220/

■ 萌竜会 ■ @ 2024/10/10(木) 07:16:03.40 ID:cJq7TJojo
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■ 萌竜会 ■ @ 2024/10/10(木) 07:14:54.54 ID:sgfZC7myo
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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:15:14.81 ID:OmVsWzrd0





安部菜々『……あの、Pさん。その……驚かないで、聞いてほしいんです』




菜々『ナナは……アイドルを引退しようって、思うんです』




3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:16:24.67 ID:OmVsWzrd0

パラッ


P「やっぱり、どこも取り上げてるよな」


パラッパラッ


P「菜々……」



ガチャッ


千川ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん」


P「……ああ、お疲れ様です、ちひろさん」


ちひろ「それで……どうですか?」


P「まだ全然です。俺自身、どうしていいのかさっぱりで」ハァ


ちひろ「ですよね……私もまだ、驚いてますから」

4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:17:46.00 ID:OmVsWzrd0

ちひろ「でも、どうしてアイドルを引退するなんて決めたんでしょう」


ちひろ「……何か、あったんでしょうか」


P「……まだ、分かりません」


P「でも、仕事で追い詰められていたとか、大きな失敗したとか」


P「思い詰めていた様には見えなかったんです」


ちひろ「そうですか……」

5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:20:01.88 ID:OmVsWzrd0

――――――――――――――――――――


P『引退って……冗談だよ、な?』


P『どうしたんだ、何かあったのか?』


菜々『……続けられなくなったから、ですかね』


P『続けられなく、なった……?』


菜々『その、地元に帰らなきゃいけなくって』


P『地元?』


菜々『はい……』



菜々『……ナナは、ウサミン星に帰らなきゃいけなくなったんです』



P『ウサミン星に……帰る……?』



P『……ウサミン星って千葉じゃなかったのか!?』


菜々『ち、千葉じゃないですよ!!?』

6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:22:09.73 ID:OmVsWzrd0

菜々『えー……コホン』


菜々『……本当は、もっとアイドルを続けていたかったんですけどね』


P『それって、どういうことなんだ』


菜々『帰ってこいって、言われたから』


菜々『……ごめんなさい、ナナにはどうしようもないんです』


P『菜々……』


菜々『せめて、最後にライブができたらなって』


菜々『……ごめん、なさい……こんな、わがままばかりで、ちゃんと言えなくて』


P『そうか』



P『……分かった。菜々が本気なら、俺も菜々のために出来ることをする』


P『ただ、今じゃなくていいから……どうしてなのか、辞めるまでにちゃんと教えてくれ』


菜々『……はい。ありがとうございます、Pさん』

7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:23:26.64 ID:OmVsWzrd0

――――――――――――――――――――


P「……」


池袋晶葉「おい、P。聞いてるのか」


P「ん、晶葉か」


P「えっと……すまん、何の話だ」


晶葉「ウサミンの話だが……やけに上の空だな?」


P「突然、引退するって言われたからな……俺もまだ、整理しきれていないんだ」


晶葉「……そうか」


P「晶葉から見て、菜々は何か変じゃなかったか?」


晶葉「全くだ。普段通りだったと思う」


晶葉「……いや、気になった点があったな」


P「本当か!?」

8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:25:07.31 ID:OmVsWzrd0

晶葉「ああ、大したことじゃないんだが……前まで貸してくれなかったものを、急に貸してくれたんだ」


P「それって、何なんだ?」


晶葉「口止めされているんだが……ウサミンが、宝物だって言っていたよ」


P「菜々の、宝物……」


P「……そうか」




晶葉「それで……ウサミン、本気なんだな?」


P「ああ。もう引き返せないしな」


晶葉「……彼女のアイドルとしての姿勢は、憧れだったんだ」


晶葉「あんな風になりたい、と思ったものさ」


P「……寂しくなるな」


晶葉「……そうだな」


晶葉「せめて、何かロボでも作ってあげたいものだよ」


P「そうしてあげてくれ。きっと菜々も喜ぶと思う」


晶葉「ああ。Pも手伝って……いや、君は仕事に専念してくれ」


P「?」


晶葉「少しでもウサミンに付いていてあげてほしいんだ」


晶葉「ウサミンは結構、繊細だからな」


P「……ありがとな、晶葉」

9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:26:50.46 ID:OmVsWzrd0

――――――――――――――――――――


「1、2、3、4!」パンッパンッ


菜々「っ!」タンッ スタッ


「安部! ステップ遅れてるぞ!」


菜々「はいっ!」バッ


「振りが遅い! もう休憩するか!?」


菜々「……だ、大丈夫ですっ!」ゼェゼェ




P(……それから、菜々はレッスンに仕事に、休む間もなく活動を続けた)


P(体力持つのは一時間、なんて言っていたはずなのに)


P(一度、本当に危ないと思って止めた事があったけれど……)


菜々『だ、大丈夫ですよ、Pさん……! ウサミン星人は、ナナは……こんなことではへこたれませんから!』


P(なんて、押し切られてしまった)

10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:28:14.51 ID:OmVsWzrd0

P「……大まかにはこんな感じだが、何かあるか?」


菜々「……」ボーッ……


P「菜々?」


菜々「わっ、な、ななな何でしょうかっ!?」ガバッ


P「いや、聞きたいのはこっちだが……聞いてたよな?」


菜々「は、はい! それで、えっと……あれ、何の話でしたっけ……」


P「……最後のライブだ。ひと通り説明はしたから、何かあるか聞きたかったんだが」


菜々「あー、そうでしたね……」アハハ


P「しっかりしろよ? ライブで倒れないか心配だぞ」ハハッ


菜々「……大丈夫です、Pさん」


菜々「ナナは、最後の最後まで……アイドルでいたいですから」


P「……そうだな」

11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:30:45.13 ID:OmVsWzrd0

P「……よし、菜々。いい時間だしどっか食べに行くか」


菜々「えっ、いいんですか?」


P「ああ。たまにはいいだろ」


P「どこでもいいぞ。もしお酒が飲みたいなら……」ニヤッ


菜々「な、ナナはまだ永遠の17歳ですからねっ!?」ブンブン


P「分かってるって」


菜々「そ、そうですよね……!」ホッ


菜々「……でも、嬉しいですけど、折角ですから」


P「?」


菜々「事務所の皆さんも一緒だったらなーって……ダメですか?」


P「お、おう……菜々がいいなら、それでいいけど」


菜々「ありがとうございます、Pさんっ!」


P「……ああ。それじゃ、今いるみんなに声かけて来るよ」

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:31:49.47 ID:OmVsWzrd0



……バタンッ



菜々「……ごめんなさい、Pさん」



菜々「ナナに、勇気がなくて……」


13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:33:02.15 ID:OmVsWzrd0

――――――――――――――――――――


菜々「……これで最後だと思うと、や、やっぱり緊張しますね!」ガタガタ


P「菜々、手が震えてるぞ」


P「何ならこれが最後じゃなくてもいいんだけどな」


菜々「あ……」


菜々「あ、あはは、それもそうですよねっ」


菜々「……でも、ナナは決めましたから」


P「そう言うと思ったよ……ごめんな、笑えない冗談だった」


菜々「いえ……ナナも、悪いんですから」



「開演五分前です! 準備お願いします!」



菜々「はーいっ!」


菜々「……それじゃ、行ってきます。Pさん」スッ


P「ああ。楽しんでこい、菜々」スッ



コツンッ

14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:34:47.27 ID:OmVsWzrd0

『その時空から、不思議な光が降りてきたのです……!』


「あれは、誰だ、誰なんだーっ?」


『それは……ナナでーすっ♪』





P(……結局、理由は聞けなかった)


P(突然の事だったから、準備に追われていた事のもある)


P(でも……チャンスはあったのに、どうしても上手く切り出せなかった)



P(舞台の上の菜々は、楽しそうだった)


P(来てくれた皆を楽しませようと、一生懸命で)


P(晶葉が憧れていたのも……俺が、少しだけ、きっと少しだけ、惚れていたのも……頷けるくらい)


P(菜々は最後まで、アイドルだった)

15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:35:56.75 ID:OmVsWzrd0

菜々「えへへ……やっぱりライブって、アイドルって楽しいですねっ!」


菜々「……こんなに楽しい時間が、もっと、ずっと続けばいいのにって思います」


菜々「でも、ナナはもう、決めちゃいましたから……この楽しいステージも、アイドルも、今日で卒業です」



『菜々ちゃーんっ! やめないでーっ!!』


『菜々さーんっ!! まだ大丈夫だぞーっ!!』



菜々「……っ」


菜々「みなさん……ありがとうございますっ!」


菜々「もう少しで、ライブも終わって……皆さんとお別れになっちゃいますけど」


菜々「ナナは、ウサミン星は……永久に不滅ですからねっ!!」



菜々「それじゃあ、最後の曲、行きますよっ!」




P(もしかしたら、客席からも見えていたかもしれない)


P(あの時、菜々はきっと――)

16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:36:44.13 ID:OmVsWzrd0

――――――――――――――――――――


P「……お疲れ様、菜々」


菜々「はい……Pさんも、お疲れ様でした」


P「最後、よく我慢したな」


菜々「なっ、何のことですか?」


P「……何でもないよ」



P「いいステージだったな」


菜々「そうですね……今までで一番、楽しかったです」


P「もう、大丈夫か?」


菜々「……はい」


P「そっか」

17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:38:05.89 ID:OmVsWzrd0

P「……明日、事務所のみんなが予定を合わせてくれたから」


P「悔いの残らないようにな」


菜々「そう、ですね……」




菜々「……あの、Pさん」


P「どうした?」


菜々「ナナは、Pさんに感謝しているんです」


菜々「Pさんが、ナナにアイドルという夢をくれたから」


菜々「……この星の中で、ナナを見つけ出してくれたから」


P「……大げさだな」


菜々「いえ、本当のことですから……」

18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:39:24.62 ID:OmVsWzrd0

菜々「……あはは、やっぱりナナにはこんな話、似合いませんよねっ!」


菜々「帰りましょうか、Pさん……もう、遅いですし」


P「菜々……」



P「なあ、菜々。この後大丈夫か」


菜々「……っ」


P「このまま帰らなくても、誰も何も言わないさ」


P「……明日、ちゃんと菜々が出てくれれば」


P「菜々がアイドル辞めるまでに、理由を教えてくれるって言ったろ」


菜々「……はい」


P「アイドルは、今日限りだもんな」


菜々「!」


P「……嫌なら、もう聞かないことにするよ」


菜々「……いえ」


菜々「ナナも、ちゃんとお話します」

19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:42:01.61 ID:OmVsWzrd0

――――


ブロロロ……


P「……なあ、菜々」


菜々「何ですか?」


P「アイドル、楽しかったか?」


菜々「……はい。とても」


P「そうか」


P「……トップには届かなかったけど、結構有名になって」


P「仕事したりライブしたり、楽しかったよ」


菜々「……ナナもです」


菜々「Pさんやみんなと一緒にいられて、ずっと、楽しくて」


菜々「……なんだか、名残惜しいですね」


P「そうだな」


菜々「でも、もう決めたことですから」

20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:43:54.63 ID:OmVsWzrd0

P「……たまには事務所に顔出してくれると、皆喜ぶよ」


菜々「……」


P「っと、着いたぞ」


菜々「は、はいっ!」



バタンッ


菜々「わぁっ……」


P「事務所に星の好きな子が多いからな。俺も調べてたんだ」


菜々「……綺麗ですね」


P「だろ。晴れて良かったよ」

21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:50:23.85 ID:OmVsWzrd0

P「――ウサミン星は、ここから見えるのか?」


菜々「どうかな……見えるかもしれませんね」


P「ああして光ってる星は、ほとんど恒星だけどな」


菜々「……もしかしたら、見えるかもしれませんよ?」


P「そりゃ凄いな」


菜々「誰かが見つけてくれるのを、待っていますからね」


菜々「宇宙にはたくさん星があって……地球みたいに、人がいる星はそんなに珍しくはないんです」


P「そうなのか」


菜々「ずっとずっと、遠くにありますから」


菜々「今の技術では……まだまだ、届きませんけどね」


P「月に行くだけで精一杯なのに、他の星なんてもっと遠いもんな……」


菜々「ええ」

22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:52:21.03 ID:OmVsWzrd0

P「……なあ、菜々。どうしてアイドルを辞めることにしたんだ」


P「地元に帰らなきゃいけないって、地元ってどこなんだ」



菜々「……星に、帰らなきゃいけなくなったからです」


菜々「地球での任務を終えて、ナナはウサミン星に帰るんですよ」


P「……!」




P「……やっぱり、ウサミン星は実在するのか」


菜々「はい。ずっと遠く、何億光年も先の宇宙に……ウサミン星はあるんです」


菜々「ナナの作った設定だと、思ってました?」


P「……まあ、な」


菜々「ナナも……こっちに来てからは、地球があんまりにも楽しくて、忘れちゃいそうでしたから」


菜々「だから、ナナがナナであるために……ウサミン星からやってきたアイドルだって言ったんです」


P「そうか」


菜々「……Pさんは、信じてくれますか?」


P「いや……もう、何にも驚かないよ」


菜々「……ありがとうございます、Pさん」


P「長い付き合いだからな。嘘かどうかくらい分かるさ」

23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:53:31.79 ID:OmVsWzrd0

菜々「……だから、もうすぐナナは帰るんです」


菜々「帰って、地球は良い星だって、報告するんです……」


菜々「地球を侵略したりとか、映画みたいなことにはなりませんよ」


P「そうか。それは良かった」


菜々「でも……もう、こっちには来れないかもしれません」


P「……」


菜々「他の星の調査に行けるのは、一度だけ」


菜々「きっと、次に来るのは……ナナじゃない、別のウサミン星人です」


P「……菜々とは、もうお別れなのか」


菜々「……」



菜々「もしも奇跡が起こって……いつか、ナナが地球にまた来れたら」


菜々「Pさんは……あの時みたいに、ナナを見つけ出してくれますか?」


P「……当たり前だ、菜々」


菜々「あはは、ですよね……ありがとうございます」

24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:56:01.77 ID:OmVsWzrd0

菜々「……またいつか、帰ってきます」


菜々「Pさんに、みんなに……会いたいですから」


菜々「それじゃあ、そろそろ戻りましょ……」



P「……菜々っ!」


菜々「!」


ギュッ


P「……ちゃんと、また帰って来るんだよな」


菜々「……きっと、です」


P「必ずじゃ、駄目か……?」


菜々「!」


P「いつか、帰って来るよな……?」


菜々「……はい」グスッ


菜々「いつか、必ず……帰って、来ますから……!」ギュッ

25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 01:59:20.28 ID:OmVsWzrd0

――――


P(……次の日。菜々のお別れパーティーは、事務所総出の大規模なものになった)


P「すっかりちひろさん達に任せきりにしてたけど……すごいな」


晶葉「私も驚きだが……それだけ、ウサミンが皆にとって大きな存在だったんだろうな」


P「確かにな」


晶葉「……それで、ウサミンとはちゃんと、話せたのか?」


P「ああ。もう大丈夫だ」


晶葉「それは良かった」


P「そういえば、プレゼントは出来たのか?」


晶葉「……うむ。最新式のウサちゃんロボだ」


晶葉「山でも海でも……それこそ宇宙でだって動いてくれる最高のウサちゃんロボだ!」


P「!」


晶葉「まあ、宇宙での動作性は理論上だし、流石に宇宙に持ち出されることはないだろうけどな」ハハッ


P「そ、そうだな……」

26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:00:21.20 ID:OmVsWzrd0

晶葉「それじゃあ、ウサミンに渡してくるよ」


晶葉「……ちゃんと、ウサミン星まで持ち帰ってくれるといいな」


P「?」


晶葉「いや、なんでもない。行ってくる」


P「ああ、行ってらっしゃい」



P「……」


P「本当に、ウサミン星に帰ってしまうのか……」

27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:02:34.00 ID:OmVsWzrd0

P「菜々、大丈夫か」


菜々「はぁい、ナナは大丈夫ですよぉ……♪」ヒクッ


P(主役がこの有り様のため、パーティーはお開きとなった)


P(みんな、永遠の17歳じゃなくなったからって、遠慮がなさ過ぎだ)


P「家まで送って行くからな」


菜々「えへへぇ……ありがとうございますぅ……」


P「吐くなよ」


菜々「大丈夫ですからぁ……」ポワー


P「……不安だ」

28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:06:55.67 ID:OmVsWzrd0

菜々「ねぇ、Pさぁん……!」


P「どうした?」


菜々「Pさんはぁ、もっとナナと一緒にいたいですか……?」ヒクッ


P「そうだな。明日からさようなら、ってのは信じられん」


菜々「ナナも信じられませんからねぇー……」


P「帰らなきゃいいんじゃないのか」


菜々「……へっ?」


P「ずっと、地球にいればいいじゃないか」


菜々「プロデューサー、さん……」


P「それじゃ、駄目なのか」


菜々「約束、ですから……」


菜々「ナナはウサミン星の、みんなの期待を受けて……地球にやってきたんです」


菜々「やっぱり、ナナは、帰らなきゃ……」グスッ


P「そう、か。そうだよな」

29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:10:12.06 ID:OmVsWzrd0

P「……ほら。着いたよ」


菜々「はい……ありがとう、ございます」


P「ああ、待て。忘れ物だ」


菜々「……!」


菜々「晶葉ちゃんの、ウサちゃんロボ……」


P「晶葉、ウサミン星まで持ち帰って欲しいって言ってたぞ」


菜々「そうですね……ウサミン星と、地球の」


菜々「ナナと晶葉ちゃんとの、友好の証ですから……」



P「……それじゃあ、おやすみ」


菜々「はい。おやすみなさい、Pさん」


P「……いつでも、帰ってきていいんだからな」


菜々「……はい」

30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/29(日) 02:12:31.42 ID:/sMJMAuH0
何かあったら俺の星に来い
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:15:17.79 ID:OmVsWzrd0



菜々「それじゃあ、Pさん。また……いつか」



菜々「……お元気で」



32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:21:25.73 ID:OmVsWzrd0

――――――――――――――――――――


P「さて、こんなものか……」カタカタ


P「……コーヒーでも飲むか」




ガラッ


P「あれ、こんなお茶あったか……?」


P「……そういえば、菜々が買ってきたんだっけ」


P「たまにはお茶にするか」




P「……なんか、違うな」ズズズッ


P「やっぱり、菜々がいないと……」


P「って、そんなこと言ってても仕方ないか」


P「もう3日も経つのにな」

33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:24:42.35 ID:OmVsWzrd0

ガチャッ


ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん」


P「お疲れ様です」


ちひろ「あら、珍しいですね。お茶ですか」


P「ええ。菜々が買ってきたお茶があったので」


ちひろ「……菜々、さん?」


P「前に買ってきてくれたんですよ。安かったからって……」


ちひろ「えっと、プロデューサーさん……」


P「はい?」



ちひろ「その、菜々……さんって、どなたですか?」



P「えっ――」


34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:26:10.35 ID:OmVsWzrd0

P「やだなぁ、ちひろさん。何言ってるんですか」


P「菜々は菜々ですよ、安部菜々。何日か前に卒業ライブもしてたじゃないですか」


ちひろ「あ、あれ……そう、でしたっけ……?」パラパラ


ちひろ「その……そう、ですよね。菜々さん、ですよね……?」


P「……どうしたんですか、ちひろさん」


ちひろ「……」


ちひろ「悪い冗談じゃないですよね、プロデューサーさん?」


P「さっきからどうしたんですか、ちひろさん」


P「ほら、卒業ライブの写真だって、ちひろさん撮ってたじゃないですか……」


P「……ありましたよ、ほら!」


ちひろ「……プロデューサーさん、ごめんなさい」



ちひろ「プロデューサーさんの言う、この菜々さんという人に……私は心当りがないんです」


35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/29(日) 02:27:15.09 ID:fWCPieKAO
わお……
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:27:27.59 ID:OmVsWzrd0

P「……ちひろ、さん?」


P「はは、何言ってるんですか。エイプリルフールはまだですよ」


P「菜々は確かにこの事務所でアイドルやってたんですよ」


P「ほら、写真だってある、ライブの書類だって、CDも……」


ちひろ「プロデューサーさん」


ちひろ「……私は、プロデューサーさんとは長い付き合いですから」


ちひろ「プロデューサーさんが嘘を付いていないことも、分かります」



ちひろ「でも……菜々さん、という方が、私には分からないんです」



P「ちひろさん……!?」


P「そんな、まさか……」


P「嘘ですよね、たった二三日で忘れるはずが、ないですよね……」

37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/29(日) 02:28:15.45 ID:HE55iHB60
えいえんはあるよぉ〜
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:28:27.65 ID:OmVsWzrd0

P「……どういうことだ」


P「菜々が忘れられたなんて、そんなはずが……」


P「誰か、誰か菜々を覚えている人はいないのか……!」




P(……俺は事務所にいたアイドル皆に、片っ端から聞いていった)


P(しかし……)


「ごめん、心当たりがないかな……」


「えっと……新しいアイドルの方ですか?」


「その、菜々ちゃん、ってアイドルなの? 見たことないなぁ」



P「……どうして」


P「どうして、みんな菜々を忘れてしまっているんだ……!」

39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:32:19.33 ID:OmVsWzrd0

P「駄目だ……誰もみんな、菜々のことを覚えていない……」


バタンッ


晶葉「おい、Pはいるか!」


P「……晶葉?」


晶葉「戻ってたのか……探したよ、P」ゼェゼェ


P「どうしたんだ、そんなに急いで……」


晶葉「君に、話がある」




晶葉「……ウサミンの事について、だ」


P「!」


40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:36:35.10 ID:OmVsWzrd0

――――


晶葉「おかしいと気付いたのは今朝だ」


晶葉「ふと私がウサミンの話題を出したんだが、皆が口を揃えてウサミンを知らないと言ったんだ」


P「……俺もだ」


P「ちひろさんが菜々のことをすっかり忘れていた」


P「おかしいと思って、事務所にいたアイドル達みんなに聞いて回ったんだが」


P「菜々の事を覚えている子は…誰も、いなかったんだ」


晶葉「そうか……」


晶葉「……こんな短時間に、皆がウサミンの事を突然忘れるはずがない」


晶葉「皆を疑いたくはないが……何か、あるのかもしれない」


P「っ!」


晶葉「とにかく、原因を探そう。今はそれしかない」



P「……菜々に、直接聞いてみるか」


P「晶葉、今すぐ支度してくれ!」


晶葉「分かった!」


41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:38:45.72 ID:OmVsWzrd0

ブロロロロ……


P「……そういえば、晶葉」


晶葉「どうした?」


P「菜々が本当に、ウサミン星って星から来た宇宙人だ、って言ったら」


P「晶葉は信じるか?」


晶葉「……君は前にも、そう聞いたことがあったな」


晶葉「ウサミンがウサミン星人だと言うんだから、信じるしかないさ」


P「そうか」


晶葉「現代の科学では、まだ宇宙人を信じられるレベルの発見は出来ていないが」


晶葉「宇宙人がいないことも、文明のある星が他に存在しないことも、証明できてはいない」


晶葉「……それに、ウサミンは嘘を付かないからな」


P「ああ」


晶葉「……少なくとも、私達を騙したり悲しませるような嘘は」


P「……そうだな」

42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:44:47.47 ID:OmVsWzrd0

――――


P「……着いた」


晶葉「ああ」




P「この階の……っ!」


晶葉「どうした?」


P「張り紙が……空家って、どういうことだ」


晶葉「そんな、もう引っ越したのか!?」


P「まさか……何日か前に来たけど、そんな様子じゃ……!」


ガチャッ


ガンッ!


P「鍵が……」


晶葉「どういうことだ、これは……!」

43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:46:21.41 ID:OmVsWzrd0

晶葉「P、電話は!?」


P「そうか!」ピッ



prrrr prrrr……


『お掛けになった電話番号は、現在使われて……』


P「……遅かったか」ピッ


晶葉「ウサミン……」



P「……帰ろうか、晶葉」


P「これ以上は、いても仕方ない」


晶葉「そう、だな……」

44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:47:29.30 ID:OmVsWzrd0

P「……」


晶葉「なあ、P」


晶葉「君は何か、知っているのか?」


晶葉「ウサミンは……どうして、消えてしまったんだ」


P「……」


晶葉「P、答えてくれ」


晶葉「何が起こっているんだ」



P「……俺にも、分からない」


P「ただ、俺は」


P「菜々との思い出を、菜々のことを」


P「このまま、忘れたくない……」


晶葉「……私もだよ」


晶葉「どうしてなんだ、ウサミン……」


45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:49:27.00 ID:OmVsWzrd0

――――


P(次の日から、俺も晶葉も少しずつ菜々の事を忘れていることに気付いた)


P(事務所に残っていたデータを見ては、思い出そうとしたけれど)


P(次第に、写真を見ても誰だか分からなくなってきていた……)




ちひろ「それで、どうだったんですか?」


P「何がですか?」


ちひろ「ほら、菜々さん……でしたっけ。何か分かったことはありましたか?」


P「……いえ」


ちひろ「そうですか……」


P「もしかしたら、菜々は本当はいなかったんじゃないか、って」


P「自分の記憶に、自信を持てないんです……」


ちひろ「プロデューサーさん……」

46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:52:14.04 ID:OmVsWzrd0

P「確かに俺がプロデュースしていたアイドルなのに……」


P「顔も、声も、段々思い出せなくなっている……」


P「……いつか、菜々の事を全部忘れてしまうんだろうか」



prrrr prrrr……


P「……晶葉?」ピッ


P「もしもし」


晶葉『P、今大丈夫か』


P「大丈夫だけど、どうした?」


晶葉『……君に見てもらいたいものがあるんだ』


P「見てもらいたいもの?」


晶葉『ああ。何故かは分からないが、それを見た時にとても大事なもののように思えたんだ』


晶葉『これは、Pにも伝えなきゃいけないって……そんな気がしたんだ』


P「……分かった」

47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:53:08.54 ID:OmVsWzrd0

P「……ちひろさん。ちょっと出掛けます」


ちひろ「どちらに?」


P「晶葉の所に」


ちひろ「……大事なこと、ですか?」


P「ええ、おそらく」


ちひろ「……そうですか。分かりました」


ちひろ「ほら、お仕事代わってあげますから早く行ってきてください」


P「……ありがとうございます」


ちひろ「いいんです。プロデューサーさん、久しぶりに真剣な顔してますから」


ちひろ「とても大事なことなんだって、分かりますよ?」


P「ちひろさん……借りは、返しますから」


ちひろ「ほら、晶葉ちゃん待ってますよ?」


P「……はい」

48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:55:14.31 ID:OmVsWzrd0

――――


晶葉「……すまないな、仕事中だったのに」


P「いや、大丈夫だ……それで、大事なものって」


晶葉「これだ」


P「!」




晶葉「君は、知っているかい」


P「金色の、レコード……」


晶葉「本来なら、ここにあるなんてあり得ない話なんだがな」


晶葉「どういう訳か、部屋から出てきたんだ」


P「それって、まさか」


晶葉「……なあ、P。教えてくれ。これはどうして私の部屋にあるんだ」


晶葉「どうして、このレコードを見ていると……懐かしいような気持ちになるんだ」


P「……」

49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:58:21.05 ID:OmVsWzrd0

『Pさんと会えたから、ナナはアイドルに変身できたんですよ!』


P「……」


『みんなを幸せにできるように……これからも、お仕事頑張っちゃいますね!』


P「菜々……」


『宇宙は広いから……独りじゃ寂しいですよね、Pさん』



『Pさんは、ナナの本当の姿を知っても……好きで、いてくれますか?』



P「……っ!」


晶葉「おい、P!?」


晶葉「何か分かったのか!?」


P「……このレコードは、きっと」



ピコーン



P「……ん?」


晶葉「この音は……?」

50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 02:59:27.17 ID:OmVsWzrd0

ピコーン


P「そのパソコンからじゃないか?」


晶葉「ああ、でもどうして……」


晶葉「……っ!」



P「晶葉?」


晶葉「P、車を出してくれ!」


P「どうしたんだ、いきなり」


晶葉「……ウサミンのことを忘れる前に、私が細工しておいたらしい」


晶葉「ウサちゃんロボが今どこにいるか、場所を出している」


晶葉「だが……今私の手元にいないウサちゃんロボは、あの一匹だけだ」


P「!」


晶葉「どうして私達は、忘れてしまっていたんだろうな」


晶葉「……P、行くぞ! ウサミンの所へ!」


P「……ああ!」

51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 03:03:50.68 ID:OmVsWzrd0

――――


ブロロロロ……


晶葉「……このレコードは、ウサミンから借りたんだった」


晶葉「それも、忘れているとはな」


P「……そうだな」


晶葉「やはり、ウサミンはウサミン星という星から来た、宇宙人なのか?」


晶葉「いきなり皆の記憶が消えるなんて、まるでファンタジーだ」


P「でも、菜々がやったとしたなら……きっと意図があるはずだ」


晶葉「そう信じたいな」


晶葉「……P、そこを左折してくれ」


P「分かった」

52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 03:07:21.62 ID:OmVsWzrd0

晶葉「……着いたな」


P「ここは……」


晶葉「ほう、随分と星が綺麗じゃないか」


P「ああ。初めて来た時に、俺もそう思ったよ」




P「……前に、菜々とここに来たことがあってな」


P「菜々に聞いたんだ。どうしてアイドルを辞めるのか」


P「そしたら、ウサミン星に帰るから、って言われてさ」


晶葉「……そうか」


晶葉「やはり、星に帰るんだな」


P「やっぱり、ウサミン星は実在するんだな」


晶葉「疑っていたのか?」


P「まさか」

53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 03:10:24.30 ID:OmVsWzrd0

P「……ん?」


晶葉「どうした?」


P「あれ、何だ……? ほら、あそこに」


晶葉「……線路じゃないか?」


P「空に架かってるな」


晶葉「確かにそうだな……」


P「まるで銀河鉄道だ」


晶葉「……電車で向かえば一時間、だったな」


P「確かに」



P「……行くか、晶葉?」


晶葉「もちろんだ」

54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 03:13:02.37 ID:OmVsWzrd0

菜々「……」


菜々「これでお別れ、ですね」


菜々「……それじゃあ、さようなら」




P「……菜々っ!」




菜々「!」


菜々「……あれ、おかしいな……Pさんの声が」


菜々「ナナも歳ですかねー……って、ナナは永遠の17歳ですからね!?」ビシッ


P「……菜々?」


菜々「……へっ?」


菜々「あ、あれっ……Pさん?」

55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 03:14:30.06 ID:OmVsWzrd0

P「……本当に、菜々なんだな!?」ガシッ


菜々「嘘、Pさん……どうして……」


晶葉「……やあ、ウサミン」


晶葉「ウサちゃんロボに、ちょっと細工させてもらったんだ」


菜々「晶葉ちゃん……」


晶葉「……疑うような真似をして、悪かったよ」


菜々「いえ、いいんです。何も言わずに帰ろうとした、ナナも悪いですから」


P「……なあ、菜々。どうして誰にも言わずに、帰ろうとしたんだ」


菜々「Pさん……」


菜々「……みんながナナの事を忘れちゃったら」


菜々「ナナも、みんなとお別れできるかなって。そう思ったんです」


P「菜々……」



P「……できるわけ、ないだろ」


P「忘れられるわけが、ないだろうが!!」


菜々「っ!」

56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 03:15:39.88 ID:OmVsWzrd0

P「……菜々をスカウトしてから、最後のライブまで」


P「ずっと、一緒にやってきたんだ」


P「失敗だって何回もしてきたし、その度二人で、みんなで乗り越えていっただろ」


P「……忘れられるわけが、ないだろう」


菜々「Pさん……」


P「俺は菜々の事を忘れない」


P「いつか必ず、菜々が帰ってくるって俺は信じているから……!」


菜々「……っ」グスッ




晶葉「……あー、いいか、二人とも」コホン


P「!」


菜々「あ、晶葉ちゃん?!」


晶葉「……二人でいい雰囲気になるのはいいんだがな」


晶葉「ウサミン、忘れ物だ」


菜々「忘れ物……?」

57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 03:17:03.75 ID:OmVsWzrd0

晶葉「ほら」


菜々「あっ……ナナの、宝物……!」


晶葉「……私には手に余るものだからな。ウサミンに返すよ」


菜々「そう、ですね……」


晶葉「……私も、ウサミンとまた会える日を楽しみにしているからな」


菜々「ありがとう、晶葉ちゃん……」


晶葉「何なら、ロケットでも作って会いに行こうじゃないか」


菜々「……ふふ、晶葉ちゃんらしいですね」


晶葉「最も、君が電車で来てくれた方が早いと思うがな」ハハハ


菜々「そうかもしれません」クスッ

58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 03:20:01.59 ID:OmVsWzrd0

菜々「……もうそろそろ、行かないと」


P「本当に、ウサミン星に帰るのか」


菜々「はい。地球の事を、ちゃんと伝えなきゃいけませんから」


P「……いつか、帰ってこれるのか」


菜々「……分かりません」


菜々「本来なら、ナナは地球上のみんなの記憶から消えていなきゃいけないんです」


菜々「地球はまだ、他の星との正式な関わりがありませんから……」


晶葉「私達の記憶は、消さなくていいのか?」


菜々「……一度は、消しましたからね」


菜々「それに、Pさんと晶葉ちゃんなら、悪いようにはしないと信じてます」


P「……ああ」


晶葉「ウサミンは、私の友人だからな」


菜々「……ありがとう、ございます」

59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 03:22:35.03 ID:OmVsWzrd0

菜々「それじゃあ……Pさん。晶葉ちゃん」



菜々「また、いつか」






P「……行っちゃったな」


晶葉「ああ。本当に、電車で向かえば一時間だったんだな」


P「……」


晶葉「P? どうした?」


P「……帰ろうか、晶葉」


晶葉「そうだな」


60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 03:23:25.23 ID:OmVsWzrd0


晶葉「なあ、P」



P「なんだ?」



晶葉「……また、会えるかな」



P「……」



P「ああ。いつかまた、会えるさ」



61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 03:28:57.82 ID:OmVsWzrd0

――――――――――――――――――――


晶葉「……やはり、ライブはいつまで経っても慣れないな」


P「緊張してるのか」


晶葉「少し、な。君はいつも通りそうだな」


P「晶葉を信じているからさ」


晶葉「そうか? そうか……ありがとう。なら、大丈夫だな」



「開演五分前です! 準備お願いします!」



晶葉「ん、もうそんな時間か。それじゃあ行ってくる」スッ


P「ああ。楽しんでこい、晶葉」スッ



コツンッ






晶葉「アー、アー……聞こえるか諸君!」



晶葉「今日は私のライブに来てくれてありがとう!」



晶葉「今日は大いに楽しんでいってくれっ!」

62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 03:30:49.53 ID:OmVsWzrd0

P(あれから、何年も経ったけれど)


P(俺は変わらずプロデューサーをしているし、晶葉もアイドルを続けている)


P(まだトップアイドルには程遠いけれど、晶葉は十分に名の知れたアイドルになった)




晶葉「……みんな、聞いてくれ! 私からの重大発表だ!」


P(……どうしたんだ、晶葉?)


晶葉「突然だが……私は、今年限りでアイドルを引退する!」


P「!」



『えぇーっ!?』


『晶葉ちゃん、辞めないでーっ!!』



晶葉「ふふ……ありがとう、みんな」


晶葉「……だが、もう決めてしまったことだからな」


晶葉「せめて悔いの残らないように、お互いにもっと、楽しもうじゃないか!!」




P「……やりやがったな、晶葉」クスッ

63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 03:32:22.06 ID:OmVsWzrd0

――――


晶葉「……お疲れ、P」


P「ああ、お疲れさん」


晶葉「その、すまなかったな」


P「やるなら前もって言ってくれ……ほら、汗拭いとけ」


晶葉「……ありがとう」


P「明日から忙しくなるぞ」


晶葉「そうだな……明日からもよろしく頼む」




P「……それで、どうするんだ?」


晶葉「アイドルを辞めて、か?」


晶葉「……勉強したい事が見つかったからな。進学するつもりだ」


P「そうか」


晶葉「……すまない」


P「いいんだ、気にするな。目標が出来たんだ、良いことじゃないか」

64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 03:34:09.63 ID:OmVsWzrd0

P「それで、何を勉強するんだ?」


P「やっぱりロボか?」


晶葉「いや、ロボはもう十分だ。学べるだけ学んだからな」


P「……流石だな」


晶葉「まあ、天才だからな。それでだ」



晶葉「何年も前から、興味を持っていたんだが……」


晶葉「宇宙について勉強しようと思ってな」


P「!」



晶葉「……君は、どう思う?」


P「いいと思うよ。晶葉が本当にやりたいと思ったんなら、俺は応援するだけさ」


晶葉「……ありがとう、P」

65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/29(日) 03:36:18.48 ID:OmVsWzrd0

晶葉「……ウサミンは、私達の事を覚えてくれているかな」


P「……あの菜々が、忘れてると思うか?」


晶葉「いいや、全く想像出来ないな」


P「きっとそうだと思うぞ」



晶葉「……なあ、P」


晶葉「いつか私達から会いに行って、驚かせてあげような」


P「ああ」


晶葉「私より、君のほうがウサミンに会いたそうだしな。楽しみにしていたまえ」ハハッ


P「……うるさい。帰るぞ」




P「……待ってろよ、菜々」


P「いつか必ず、会いに行くからな」


66 : ◆.FkqD6/oh. [saga]:2015/03/29(日) 03:40:25.55 ID:OmVsWzrd0
以上で終わりです。
ありがとうございました
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/29(日) 03:48:13.09 ID:ViRKgSc/o
おつー
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/29(日) 04:05:41.81 ID:VX80ydo+0
おつ
再開シーンもみたいかなーって
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/29(日) 04:50:43.87 ID:y5gpBvIzO
いいね!
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/29(日) 09:20:25.93 ID:rmF3YR1so

いつか星の海で……
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