男「死にたがりな幼馴染の自殺を止められない」 その3-2

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57 : ◆SetoseN//M [saga]:2015/09/07(月) 13:04:53.73 ID:5+fugc19o
今回の投下はここまでになります、お疲れ様でした

半人半吸血鬼の設定掘り下げ回でした、せっかくなのでここらへんで挟んでみました

ではでは、また来ますね
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/07(月) 17:15:54.57 ID:Fm/m/EhmO
おつんつん
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/11(金) 03:48:23.17 ID:YYuZvO3Q0
おつー
60 : ◆SetoseN//M [sage saga ]:2015/10/06(火) 23:07:04.53 ID:2JEedwc0o
とりあえず生存報告
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/07(水) 18:19:22.29 ID:Hu9IaySF0
おー待ってるよー
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/26(月) 15:13:58.88 ID:isWMJfW50
保守保守
63 : ◆SetoseN//M [sage saga ]:2015/11/06(金) 22:25:20.28 ID:Xr4G1xF+o
今日は来ました

ではでは、投下していきます
64 : ◆SetoseN//M [saga ]:2015/11/06(金) 22:26:15.52 ID:Xr4G1xF+o
男「わざわざ呼び出すなんて、不可思議屋は一体何の用なんだろうね」

初「私は知ってるけどね」

男「あれ、そうなの」

初「うん、近頃よく行ってたし」

男「確かに、そういえば近頃はいないことも多かったね」

初「地縛霊じゃなかったからね、好きに移動出来る内にね」

男「確かに普段の君は地縛霊だけれども」

男「なかった?」

男「あれ、何か君薄くなってない?」

男「触りにくくなってるし、あれ」

男「君、元に戻ってない?」

初「うん、戻ってる」

男「え?」

男「確かに初らしさが戻っている気はしたけれど」

初「そういうのあるの?」

男「まぁね」

男「なんとなく違うかな」

初「へぇ、見た目変わってないのにね」

男「ま、わかるよ」
65 : ◆SetoseN//M [saga ]:2015/11/06(金) 22:27:39.11 ID:Xr4G1xF+o
男「それで、用事ってのは何かな?」

店主「あれ、聞いてないのかい」

男「教えてくれなかったからね」

店主「もったいぶったね」

店主「いや、言い難かったのかな」

男「君、何かやらかしたの?」

初「えーっと、あのね?」

初「やらかしたって訳じゃないんだけど」

初「順番に説明するとね」

初「このままだとお盆が来る度に、こうなっちゃうじゃない?」

男「そうだね、来年もこうなることは想像に難くないね」

初「それだと困るよね」

男「まぁ、困るし、困ってるよね」

初「それで、私以外の私が帰ってこれなくすればこの問題は起きないかなって話になって」

男「霊が帰って来て女が死んでることが他者に認識されるようになるから、僕らのルールが破綻する」

男「確かに死んでる女を認識されなければ破綻はしない」

男「けれど、そもそも初が死んでることは認識されているから、幽霊として留まっている」
66 : ◆SetoseN//M [saga ]:2015/11/06(金) 22:29:03.89 ID:Xr4G1xF+o
店主「だけど、君たちのルールは破綻しなかった」

店主「そうだろう?」

男「そうだね」

店主「じゃあ、何が違うんだ?」

男「それは、初の幽霊はそもそも曖昧な記憶を発端とした噂話が怪談や都市伝説の体を成して」

男「その結果その話に合致する初が最終的には幽霊となった」

男「怪談や都市伝説が一番収まりのいい形に落ち着いたから、その形になったわけで」

男「元々は、女を特定している話ではなかったから?」

店主「おそらくは」

店主「我々において、似ていたり収まりが良かったりする話はそれらが合わさって一つの話になること自体よくある」

店主「そうして形を変えていくというのもまた、我々の在り方だ」

店主「そこから考えた解決策がある」

男「まさか」

店主「そう、別の話と融合させてしまえばいい」

店主「俺ならば、それが出来る」

男「何を言って」

店主「そう怒るな、感情的になるでない」

店主「まぁ、それも人間らしさか、見習うべきとこではあるのだが」
67 : ◆SetoseN//M [saga ]:2015/11/06(金) 22:30:44.36 ID:Xr4G1xF+o
男「つまり、この合成幽霊の女から初を残して切り離し、別の何かの話と混ぜ合わせて」

男「初のように、絶えず存在するようにする」

男「そうすれば当然、お盆だからと言って帰るわけではない」

男「それは初が女の家に強制送還されなかったことからわかっている」

男「ならば、僕らのルールは止まらない、そういうことか」

店主「どうしてそう怒っている?」

男「初、君はわかってて黙ってたね」

初「あはは、男くんが忙しそうだったから放っといただけだよ」

男「そんなことをする君じゃないだろう」

男「僕が反対するから、僕の為に黙ってたんだな」

初「うん」

男「あー、しまった、考えてもなかったな」

男「幽霊の君は非常にアクティブだったね」

男「いや、元々そういう傾向はあったけれど、既に死んでいるからしがらみがないんだ」

男「だから自由に行動出来てしまう」

男「少し、考えてもいいかな」

店主「好きにするといい」

店主「既に起きていることは変わらないのだから」

男「僕が考えるのは、これからのことだよ」

店主「そうだろうな」
68 : ◆SetoseN//M [saga ]:2015/11/06(金) 22:32:27.87 ID:Xr4G1xF+o
男「待たせたね、整理は出来た」

男「結論から言うと、僕は女の自主性を尊重するよ」

男「君がやりたいと思うことにこれといって反対はしない」

男「特に、僕の為にと思ってやったことに関しては、僕は何も言う資格はないだろう」

男「でも、それでもだ」

店主「いや、後の話は俺がしよう」

店主「最初に言っておくと、そういう考えを持ったのは彼女ではない」

男「君の入れ知恵か、まぁそうだろうね」

店主「あぁ、そうだろう、自分のルールについて深く考察ができる不可思議はそもそも滅多にいないからな」

店主「その結果だ、幽霊を隔離してしまうということ自体は成功した」

店主「成功したのだが」

店主「さらに言うと、初という地縛霊だけを残すことにも成功したのだが」

店主「数が足りなかったんだ」

男「数?」

店主「そう、隔離したからには流石に数えるだろう、集合霊とは厳密には違い、重なっている幽霊だから数えにくいのだが」

男「もしかして」

店主「そう、想像の通りだ」
69 : ◆SetoseN//M [saga ]:2015/11/06(金) 22:32:55.05 ID:Xr4G1xF+o
第40話





初「私の数が、足りなくて」




70 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2015/11/06(金) 22:33:29.58 ID:Xr4G1xF+o
本日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

ではでは、またきますね
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/07(土) 23:58:42.52 ID:oEfnyKiDO
きてた!
おつおつ
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/08(日) 03:20:53.90 ID:npm+liEMo
おつおつ
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/10(火) 21:15:08.48 ID:Sgi1HmgSO
おつおつ
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/01(火) 21:58:03.55 ID:TilyYzmI0
おつおつ
75 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2015/12/07(月) 22:39:10.38 ID:iWI/WN/Mo
とりあえず生存報告
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/31(木) 15:54:02.17 ID:SBqVrobF0
年越し前に読み返した記念。
77 :以下、2016年まであと4092秒。。。 [sage]:2015/12/31(木) 22:51:48.54 ID:dku6LyJJo
年越し
78 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/04(月) 02:34:34.49 ID:jEOtJOsIo
あけおめ
79 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/01/06(水) 16:43:58.52 ID:7/rv+MaVo
新年あけましておめでとうございます

今年は、頑張りたいですね、忙しい年になりますが
80 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/13(水) 17:50:54.92 ID:qbhMTzZJ0
期待
81 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/02/07(日) 03:16:42.14 ID:TehGKSCVo
一週間以内には

少し落ち着いた感じもしてきたし、モチベーションもあるので久々に洒落怖やSCP等のネット系オカルトを読みなおしていたり
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/07(日) 11:04:01.92 ID:GOqFKkC2O
期待
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/11(木) 23:49:20.02 ID:rd/RHuIy0
待ってるぜ
84 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/02/14(日) 15:59:37.31 ID:jPRmxhx6o
今日は来ました

投下していきます
85 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/02/14(日) 16:01:08.46 ID:jPRmxhx6o
男「数が足りないって、どういうこと?」

男「色々考えられるけれど」

初「あ、別に消えたわけではないから安心してね、流石にそれだったら気付いてるから」

男「うん、それは安心だね」

男「しかし、消えているわけではなく君の数が足りていないということは」

店主「悪いけど、分離時のミスとは考えにくい」

店主「分離時に何体か抜けたならその場で気付くだろうし、そもそもに」

初「私に逃げるメリットがないからね」

男「集合霊じゃなくなって、自由意志が無くなり存在しないはずの実家に向かった可能性は?」

店主「わからない、が少なくとも逃げられたという感覚はなかった」

男「ということは、最初から足りていなかった」

男「もしくは、どこかで分離してしまったか」

初「んー、わかんないね」

男「君にその自覚が無いのがなぁ」

男「厳密には君は集合霊ではないからそういうのわからないのだろうけれど」

店主「だろうな、集合霊ではなく存在が重なっているだけだから自分の一部を失ったという霊的な痛覚は備わっていないだろう」

店主「仮に備わっていたら、初を分離する際に死ぬほど痛がっていたはずだからな」

初「え、そんな痛いかも知れなかったのそれ」
86 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/02/14(日) 16:02:17.56 ID:jPRmxhx6o
初「聞いて無いんだけど?」

店主「言ってないからな、幽霊に効く麻酔なんて用意するのが難しいし」

男「むしろ存在するんだ」

店主「探せばあるかも知れないだろう、霊的な存在に外科的な手術等を施す為の技術が」

男「あるかも知れないね」

男「そう言えば少しは人間なんだっけ、ベースが霊能力者だからそういう方法があれば出来ちゃうのかもね」

初「痛いかもなんて聞いてないんだけど?」

店主「言ってないからな、別に痛くてもいいだろ?」

初「うん、慣れてるしね」

男「記憶は完全に同期したみたいだね」

男「それは良かったことだけれども、数が足りないのはいただけないね」

初「最初からいなかったってことは無いはず、多分だけど」

男「それはそうだろうね、お盆に帰ってこれない理由として弔われなかった、霊として既に存在している等があるけれど」

男「そもそもお盆は祖霊が帰ってくるはずだから厳密には帰ってくるのはおかしいけれど」

店主「直系の子孫どころか本人が弔ってるんだから帰ってきても不思議ではないだろう」

男「そういうことなんだろうねぇ」
87 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/02/14(日) 16:04:04.54 ID:jPRmxhx6o
男「となると、どこか僕らの知らないところで幽霊になっているということが無ければどこかで分離したことになるけれど」

店主「前者はないだろう、基本的に幽霊になったとしても君らの生活圏はずだし、それならばとっくに半吸血鬼が発見しているだろう」

男「考えにくいよね、実際」

男「じゃあ、自然に分離するってことは考えられるのかな」

店主「霊的な痛覚が無いということは、分離したことに気付けないことはあるが」

店主「流石に自然に分離したら気付くだろう、そんな距離をおいて発生するとも思えないし」

男「となると残っているのはどこかに閉じ込められている、ってとこかな」

店主「何らかの結界に触れて一部が取り込まれたとか、そういうことは考えられるな」

男「結構、僕から離れてうろうろしてたからなぁ」

初「ちなみに、心当たりはないよ」

男「そりゃあったら言っているだろうからねぇ」

男「さぁて、どうやって探したものかね」

男「あれ、同からメールだ」

男「あー、見つけたみたいだね」

店主「ちなみに足りないのは初と数えたら3人だったが」

男「え、足りないのって一人じゃないんだ」

男「とりあえず同に来てもらってから考えようか」
88 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/02/14(日) 16:06:07.34 ID:jPRmxhx6o
同「やっほー、持ってきたよ」

男「どこに?」

同「ほら、この写真に入ってる」

男「あ、ほんとだ」

男「というか、そのポラロイドカメラが幽霊を閉じ込められるってことなのかな」

同「っぽいね、他にも幽霊が入ってる写真は何枚かあるけど、幽霊以外が入ってることはなかったし」

同「試しにボクを撮ってみたけど特にダメージもないし、幽霊限定かなぁ」

店主「そのカメラは俺が貰っておこうか」

同「ボクが持ってても使わないからね、いいよ」

店主「ありがたい」

男「で、写真に入ってる女は出せるかい?」

店主「これは普通に破れば出てくるタイプだと思うよ」

男「へぇ、便利なカメラだね、それとも特別なのはフィルムの方かな?」

店主「うーん、これは両方かな」

店主「本体でもフィルムでも変わってしまったら幽霊を捉えることは出来ないと思う」

店主「どこでこれを?」

同「そこら辺歩いてたらカメラ構えてうろついてる変な人がいたから、軽くしばいてきた」

男「カツアゲじゃないか」

同「そのカメラ越しに見ると霊感とか無くても幽霊とか見えるみたい」

同「そのカメラが霊感のかわりになってるみたいな?」

同「で、ボクを見てあからさまにビビッてたから急いで気絶させたよね」
89 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/02/14(日) 16:07:51.54 ID:jPRmxhx6o
店主「カメラが霊感になってて、フィルムに閉じ込めると」

店主「汎用的な機械だが、妖怪に使えない時点で有用とは言えないな」

初「というか、その人大丈夫なの」

同「ヘーキヘーキ、ちょっと記憶が飛んだ位だから」

男「便利だねぇ、邪視」

同「人を殺すほど力はないけどね、針刺せば心が弱い人なら気絶くらいはさせられるようになったよ」

店主「この前の吸血鬼事件以降吸血鬼としての力が増してるな、面白いなぁ」

店主「バラしてみたいなぁ」

同「喰い殺すよ?」

男「なんでそう好戦的なのかねぇ」

男「で、このカメラの出所はわかってるのかい」

同「流石にそのくらいはわきまえてるよ」

同「と言ってもまともなこと答えられなそうだったから微妙だったけれど」

男「君、見られて即針刺したでしょ」

同「うん」

男「そりゃビビって話せないわけだ、君の不死者の王状態は霊感無くてもオーラみたいなの見えるからね」

同「纏ってるのはオーラじゃなくて影なんだけど」

同「ま、いっか」

同「それで、カメラの出所はあれだって」

同「座敷牢の魔女」
90 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/02/14(日) 16:08:26.51 ID:jPRmxhx6o
本日はここまでになります、お疲れ様でした

ではでは、また近いうちに
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/14(日) 18:02:19.84 ID:MELrMadDO
>>90
まってたんだ!
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/15(月) 20:57:37.37 ID:C5Xu9goL0
おつ
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/16(火) 17:12:06.04 ID:MR0qAF7Q0
おつ
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/03(木) 21:36:30.54 ID:muah2E4I0
ほっしゅ
95 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/03/14(月) 16:26:17.24 ID:6VveQ9Lko
今日は来ました
96 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/03/14(月) 16:27:37.83 ID:6VveQ9Lko
店主「座敷牢の魔女?」

男「知らないのか、意外だな」

店主「どこにでも行けるからと言っても、どこのことだって知っているわけではないからな」

男「それもそうか」

初「というか私も知らないんだけど」

男「ちょっと遠いからねぇ、電車に乗らなきゃいけない距離だし」

同「ボクは走っていけるね」

男「君ならいけるだろうねぇ」

同「まぁ、座敷牢の魔女って話はボクでも聞いたことはあるけれど」

男「むしろ君だから聞いたことあるんじゃないかな、君結構この街以外にも移動してるみたいだし」

同「まぁね」

男「しかし、それって都市伝説どころか噂話レベルの話だったと思うのだけれど」

同「それは同感、実在するとは思えないね」

店主「それが実在したとして、このカメラを魔女から貰ったってことか?」

同「いや、廃棄品みたいだね、持ってた男は拾ったか盗んだか知らないけど要らないんだったら貰ってもいいだろうみたいなこと言ってたし」

店主「このレベルの道具が要らない? そんな訳無いだろう」

店主「並の霊能家に売ってみろ、百万はくだらないだろうさ」

同「ま、その人も金目当てだったみたいだから捨てられたというよりは保管してたのでも盗難したんじゃない?」
97 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/03/14(月) 16:29:20.85 ID:6VveQ9Lko
男「その話だと、魔女が実在するようなことになるけど」

同「うん、そこが問題だよね」

男「話が広がらないということは、少なくとも表に出るようなことはしてないのだろうけど」

店主「ははは、マジックアイテムが表に出るルートでやり取りされる時代があったのか?」

男「一理あるね、除霊アイテム系の製造元にあたる可能性があるわけか」

店主「その場所を突き止めた欲深男が盗み出し、その効果を確認している間に吸血鬼にシメられたと」

男「運が無いにも程があるね、その人」

店主「悪いことは出来ないということさ、そういう話はよくあるだろう?」

男「欲深い人間がいいことになる話は、そりゃないからねぇ」

同「いやいや、悪いのは欲深いことじゃなくて弱かったことでしょ」

店主「ブワッハッハッハ、その通りだな、お前に負けなきゃいいんだもんな」

店主「そんな人間が安い盗みを働く訳無いだろうが」

同「そりゃそうだ」

男「まぁ、しかし座敷牢と付くのが気になるよね」

男「場所的には座敷牢があってもおかしくない旧家の本家ではあるが」

男「座敷牢って身体的、精神的に障害がある者を置いておく為の場所だった気がするんだけど」

同「変な性格なんじゃない?」
98 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/03/14(月) 16:31:10.95 ID:6VveQ9Lko
男「本当にカメラを魔女が作ったものだとして、閉じ込めて作らせてるってのが妥当なのかな」

店主「ありえないとは言えないが、閉じ込めるメリットが薄いな、むしろその力があって閉じ込められるのかが疑問だ」

男「座敷牢ってのは言葉だけで実際には閉じ込めてない、とか」

店主「その魔女が一人であるように見せるための騙りというのも有り得るだろう」

男「同じものなら一人で作ったと言う方が箔が付くもんね」

男「でも本当に閉じ込めていて、本当に魔女がいるとしたら」

男「本人は意図して作ることが出来ない様なタイプってことになるのかな」

店主「意識的に能力を使うことが出来ないから閉じ込めている、あたりならそうなるのだろうな」

男「というか、ここでうだうだ言っててもあんま進まないし、見てきてよ」

店主「いや、そんな簡単には移動出来ないのだが」

男「あ、そうなんだ」

店主「どこにでも在るだけであってどこにでも瞬間的に移動出来るわけではないんだ」

店主「それにどこにでもと言っても例えばここの国津神の神域内には移動出来ないし、そもそも空き地がないと入っていけないってのは言うまでもないか」

男「近くに空き地がないと君は近寄れないんんだね」

店主「ここから長くは離れられないからそうなるな」

店主「それに、これは物理的な移動ではなく概念的な存在の転移だからお前らが入っていると、多分お前らが死ぬことになるが」

男「バラバラになっちゃう感じか」

店主「そんな感じだろうなぁ、まぁ俺以外の移動が出来ないって認識でいいさ」
99 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/03/14(月) 16:33:41.89 ID:6VveQ9Lko
店主「それで、座敷牢の魔女は旧家なんだろう?」

店主「近くに空き地がないどころかそもそもに敷地が広くておそらく俺では行けないだろうな」

店主「退魔系のアイテムを作ってるとなれば尚更な」

店主「ま、そんな感じでこの家というか俺がか、万能ではないと思ってくれるとありがたいね」

店主「所謂万能さという奴は自由と引き換えに失ってしまったのさ」

男「そりゃ件の能力は万能だっただろうさ」

店主「ただ、その強さは不自由さの上に成り立っていたのさ」

店主「俺が世界を動かしているというよりは、世界に俺が動かされているような物だったからな」

店主「まぁ、大方の不可思議はそうなのだが」

店主「それにああいう所には俺はどうにも悪評でね」

店主「近づかないに限るのだよ、本当に」

男「君、バラ撒いてる側だもんね」

店主「ふふふ、そういう意味でもこの街は居心地がいいわけだ」

同「この街はボクと国津神が担当してるから攻撃されないもんね」

店主「国津神の末裔と吸血鬼の末裔がいる街だ、そもそも魔除け等の需要はなかったろうな」

男「その割には、やたらゴロゴロいると思うけれど」

店主「それは近年の話だろう、ここ百年程度、現人神も吸血鬼も力がなかったのだからそうもなろう」

店主「それにこの街じゃなかろうがゴロゴロしてるものだ、気付けないだけで」

男「ま、そういうものなんだろうね」
100 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/03/14(月) 16:35:36.94 ID:6VveQ9Lko
男「さて、問題になってるのは女がどこに捕まっているか、ということなのだけれど」

同「一人はこの写真、あと二人だよね」

男「座敷牢の魔女が実在していたとしても、まず女と接点はないだろう」

男「女はそこまで遠出はしていないのだから」

初「そうだね、精々この街の中くらいなものだよ」

男「と、なるとうっかり捕えられた他の場合を考えるべきなのかもしれないな」

店主「ん? その話はもう解決しただろう」

男「いや、あと二人足りないんじゃ」

男「あぁそうか、心当たりが無いのは初だけで、お前にはあるんだな?」

店主「クスクスクス、そういうことだ、それに心当たりではなく情報だ、精度が違う」

店主「実際足りない三人の内、二人は見つかっていたんだ、残り一人が本当に行方不明だから問題だったわけで」

店主「それをこのパトロールが持ってきてくれたわけだ」

同「誰がパトロールだ」

店主「結界に触れて隔離される可能性があると言ったろう?」

店主「あとの二人のうち、片方はこの店に、片方はあの神社にいるのさ」

男「君がイタズラ好きな天邪鬼だということを忘れていたよ」

男「嘘は言ってないけど、情報を全部出してるわけではなかったか」

男「そしてそうか、女が一人君の店に取り残されたのを見て女を分離出来るという着想を得たのか」

店主「流石にいきなり思い付くような内容じゃあないからねぇ」

店主「んじゃ、ちょっと神社にいる女ちゃん持ってきてよ」

店主「そしたら、はじめようか」

男「やれやれ、ずっとそっちのペースじゃないか」

店主「意趣返しという奴だ、さっさと行ってきたまえ」

男「わかったよ」
101 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/03/14(月) 16:37:04.21 ID:6VveQ9Lko
今回の投下はここまでになります、お疲れ様でした

んー、思ったように投下速度が上げられず申し訳ない
どうにも回復したモチベーションに時間やプロット制作がついてこれてない感じで

ではでは、またきますね
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/14(月) 20:43:45.23 ID:rN+VgM7DO
>>101
おつです
モチベがあって落ちる前に来てくれたら待てるよ!
落ちても定期的に探すけど
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/16(水) 08:28:29.92 ID:jbUvzCkiO
おつんつん
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/24(木) 06:21:20.29 ID:frWZNQQ2O
やっと追いついた
続きも期待
105 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/04/02(土) 19:35:24.61 ID:0UuJ+YOPo
今日は来ました

未だに読み返してくれたり、新規で読んでくれたりする人がいるみたいで嬉しい限りです

読んでくれる人がいるのは本当にありがたいことですね

というか流石に読んでる人がいなかったら書きには来ないでしょう、自分を含めた大抵の人は

ではでは、投下していきます
106 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/04/02(土) 19:37:31.21 ID:0UuJ+YOPo
男「やぁ、久しぶりというほどでもないけど、お邪魔するよ」

ク「お待ちしていました、お邪魔すると言っても私達の家ではないので気にしないでいいですのに」

男「本殿よりも奥の土地に行くわけだからねぇ、勝手に来てたら不法侵入になってしまうよ」

ク「この土地の保有者は確かに法律上は私の親ですが、神様の折り紙つきな男さんを誰が捕まえられるのでしょうか」

男「君がその神様の後継に当たるわけだし、君じゃないかな」

ク「なるほど、私なら捕まえていいのですね」

男「だから顔を出したんじゃないか、毎回と言うわけにはいかないけれど」

ク「時々来ていますよね」

男「お世話になってるからねぇ、この神様にはさ」

ク「お世話になったのは、こっちの方なんですけどね」

男「まぁ、そんな感じで良くしてもらっちゃうのも居心地良くないからね、神様とは仲良くさせてもらっているよ」

ク「それは嬉しいですね、それで今日はどのようなご用件で?」

男「んー、忘れ物を受け取りにって所かな」

男「ってあれ、何も聞いてない?」

ク「ええ、何も」

男「やれやれ、やっぱり隠れ家の方だったか」

男「それじゃ、行ってくるよ」

ク「私も一緒します」

男「そう、それなら行こうか」
107 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/04/02(土) 19:42:30.71 ID:0UuJ+YOPo
男「そういえば、神様は大丈夫だったかな」

ク「あぁ、この前の件ですね」

男「そうそう、大分弱っていたけれど」

ク「弱ってましたけど、二、三日寝ていたら治ったみたいですよ」

ク「もう元気にしています」

男「そっか、まぁあの神様として正しいことをしたのだから特にひどいことにはならなかったのかな」

ク「正しいこと?」

男「んー、外敵からこの街を守るって感じかな、元々大神と戦った神な訳だしさ」

ク「神様の性質としてってことですか?」

男「そうそう、縁結びの方が実は現人神となった後からついた能力で、そもそもは国津神だったのだから」

男「地方というと語弊があるけれど、この地域を守るという能力があったわけだ」

男「それが今の状態になってしまってからどれだけ残っているかは謎だけれど」

男「まぁ少なくともそれでも昔は大神を撃退したわけだ」

男「今回の相手は大神程ではないのだろうけれど、どちらにせよ神の類だったから」

男「どれだけ無理したのかなと思っていたわけさ」

ク「あの時は刀、持ってきてくれてありがとうございました」

男「いや、置いとくわけにはいかないだろうし、そもそも僕が持ちだしたようなものだからね」

ク「警察に刀が自主的に出てきたと言っても聞いてはもらえませんからね」

ク「でもここが被害届を出さない限り問題にならないのでは?」

男「あれは銃刀法に引っかかるんじゃないかなぁ」

男「国宝級の代物だとは言え、あれ切れるし」

ク「確かに、でも警察にはうちや同ちゃんの家ならそれなりにコネはあるからしばらくすれば釈放されるとは思いますけど」

男「やっぱりそういうのあるんだ」

ク「妖怪、悪霊退治は警察と協力することもありますからね」

男「警察内にそういう組織があるわけではないのかな」

ク「さぁ、そこまでは知りませんけれど」

男「興味深いけど、あんまり首突っ込んでいい話じゃないんだろうなぁ」

ク「そうでしょうね、私も出来る限り避けようとはしているのですが」

男「本職じゃ難しいと」

ク「まぁ、そうなりますね」

男「さて、ここに落ちれば到着だね」

ク「やっぱり慣れていますね、普通の人にはそうそう見つからないはずなのですが」

男「そんなことになってるんだ、いやなってそうだねうん」
108 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/04/02(土) 19:44:41.59 ID:0UuJ+YOPo
男「どうも、数日ぶりかな」

「毎日来いと言っておるだろう」

男「ここまで毎日ってのは、どうにも距離がね」

「信仰心の足りん奴だ、呼べば喜んで毎日来るやつだっているだろうに」

男「うん、まぁ本物の神がいるだからそうだろうけどさ」

「ま、お主がやたら忙しいのは知っておるがの」

男「ははは、暇な方がいいくらいなんだけどね」

「人外に好かれておるからの、魅入られてると言うのが正しいのか」

ク「神様も男さんのこと好きですものね」

「にゃっ、別に我はそんなことはないし?」

ク「そうですねぇ、くすくす」

「そうだ男よ、探しものはこれだろう?」

男「あぁ、ありがとうってこれはなんだい?」

「女の幽体の一部ではないのか?」

男「中に入ってる小さいのはそうだと思うけれど、この透明なボールみたいなのものは何なのかなって」

「本体から離れているせいで消えられても困るので、とりあえずの保護じゃ」

「適当に壊して開ければ問題なく出てくるぞ」

男「よく閉じ込められる子だねぇ」

「ふわふわしててそこらの何かに喰われてしまうよりは良いだろうて」

男「その通りなんだけれどね」

男「まぁ、とりあえずこれで揃った訳か」

男「あまり気は進まないが、しょうがないか」
109 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/04/02(土) 19:49:11.01 ID:0UuJ+YOPo
「そうそう、やたらと早く復活出来たことに関してじゃが」

男「やたら早かったんだ、ここに帰って来たからではなくてってことかい?」

「うむ、本来ならしばらく寝たきりではあっただろうの」

男「そんな無理してたんだ」

「最初から覚悟の上で出て行ったのじゃから、お主は何も思う必要はないがの」

「それでもここから出れるだけマシなのじゃ」

男「ま、そうだろうね、今は人間の体ではないのだから」

「そんな訳で寝込んでいた我を治癒したのが今代の巫女よ」

ク「いや、私は別に」

「謙遜するでない、その力は本物だろうて」

男「そんなこと出来るんだね」

「同じ神統、血筋だからの、同じ力を分け与えただけだから普通の人間の治癒が出来るわけではない」

男「クーちゃんやっぱり現人神としての力、あるんだね」

ク「お察しの通り、あの事件以降ですけれど」

ク「おかげで他の神社にも呼ばれるようにもなって、嬉しいやら今まで呼ばれなかった理由も考えると悲しいやらで」

ク「いいことだと思ってますけどね」

男「ならいいのだけれど」

「そもそもお主がいなければ今ここに我もこの子もいなかったのだ、そう考えすぎるな、何でもお主のせいにするもんではない」

男「そこら辺の折り合いの付け方はこれから考えていけたらなと、最近はそう思っているよ」

「ふむ、まぁいきなりと言うのも考えてみれば無理か、お主は数ヶ月前までは普通の人間だったのだから」

男「今も普通の人間なはずなのだけれども」

男「さて、今日はゆっくり出来ないからそろそろ行くよ」

「うむ、いつでも来るといい、歓迎しよう」

男「女を保護しといてくれてありがとうね」

男「でも、直接教えて欲しかったかなぁ」

「ふむ、そういうものか」

男「今の時代の連絡っていうのは人づてじゃなくていいんだよ」

「そういうものか、覚えておこう」

男「それじゃ、またね」

「うむ」
110 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/04/02(土) 19:52:13.19 ID:0UuJ+YOPo
店主「うむ、お使いご苦労様」

男「ここから神社って結構遠いんだから勘弁して欲しかったよ」

同「まぁ、ボクじゃいけないし」

男「あ、君まだいたんだ」

同「ひどくない?」

男「てっきり帰ってると思っていたよ」

店主「いやいや、うちの玩具で遊んでいたよ、なぁ?」

同「あれを玩具ってねぇ、まぁ遊んでいたけどさぁ」

店主「それで、もらってきたのかい?」

男「あぁ、ほら、カプセルみたいなのに仕舞われてたよ」

店主「また彼女は器用なことをするねぇ」

同「いや、あんただって似たようなことしてるじゃん」

店主「三人のはぐれた女の所在は写真と珠と、それとこの磁石」

男「U字磁石?」

店主「そう、しかし放っているのは磁力ではなく言うならば幽磁力」

男「要は幽霊を引っ張るわけか、確かにその磁石NとSじゃなくてP極とG極?」

店主「ファントム極とゴースト極だな」

男「同じものじゃないか、恐ろしく語呂悪いし」

店主「まぁ近くの幽霊を引っ張り寄せるだけのおもしろアイテムだからな」

男「あぁ、それで女を固定していたのか、そして同はそれで遊んでいたと」

同「いや、ボクは、えーとその別に」

同「ごめんなさい」

男「謝っちゃうんだ」

男「というか、この三人の女、どれも反応ないけど大丈夫なの?」

初「あ、それ私も思ってたんだよね」

店主「君以外が単体になるとほとんど意志がなくなるみたいだね」

店主「だからこそ、俺もあの神様もどっかいかないようにしたわけだ」

店主「さて、これで揃った訳だし、始めようか」

男「何か手伝うことでもあるなら」

店主「俺だけでいい、いや、俺だけがいい」

店主「そこで待っていてくれ、そうは掛からないから」

男「具体的な話はまだ聞いていないけれど、そうしておくよ」

店主「期待していてくれ」
111 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/04/02(土) 19:57:06.42 ID:0UuJ+YOPo
今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

久々にインターネット上で簡単に見ることの出来る洒落怖やらSCPや普通にWikipediaなんかでオカルト分を補給していますが、全然読み終わらないですね

というか、元ネタやら似たような話やら気になるワードやらでどんどん検索するものが広がってって収拾がつかなくなります

それが醍醐味ではあるのですが

そしてこのSSも数回読みなおすことになりました、細かい設定や伏線に使おうかと思ってたことやもう使った話やら、そういうのくらいどっかに別に書きだしておけばよかったと思わされました

後悔はしましたが、反省はしないので今後も脳内記憶と適宜調査で乗り切っていこうと思います

ではでは、また来ますね
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/02(土) 20:02:03.27 ID:8882CE9DO
>>111
おつです
情報検索してると時間立つよね
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2016/04/02(土) 23:07:32.38 ID:br8YFE4UO
おつおつー
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/03(日) 12:01:27.22 ID:9jaj6d6iO
おつんつん
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/03(日) 19:30:34.01 ID:Aap/PF2K0
おつー
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/03(火) 08:36:46.02 ID:G7rQTHPS0
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/05(木) 06:01:33.04 ID:CQ9LPBKXo
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/06(金) 06:31:22.64 ID:RoUtnLDRo
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/10(火) 23:23:59.55 ID:uWNlGLyj0
120 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/05/11(水) 23:14:30.99 ID:dWvwF81po
とりあえず生存報告だけ
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2016/05/11(水) 23:16:47.19 ID:e2EIOQCMO
報告乙
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/18(水) 17:01:14.26 ID:HHptV1CO0
123 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/05/29(日) 10:49:42.47 ID:SsBL5xzGo
今日は来ました

保守めっちゃ助かりました(ダメダメ過ぎる

ではでは、投下していきます
124 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/05/29(日) 10:51:20.28 ID:SsBL5xzGo
同「それで、これどういうことしてんの?」

男「あ、説明されてないんだ、僕も詳しくは知らないんだけれどさ」

同「女ちゃんがバラバラになってたというか、そこにまだ一人残ってるけど」

初「あ、私? 私は良いんだよね、これで」

初「そもそも私は学校の幽霊だしね、分離してしばらく経つしそろそろ潮時かなぁ」

同「やっぱりずっといられるわけじゃないんだ」

初「地縛霊だからね、名残りと磁力でここにいるだけだから」

男「そっか、まぁ、そうだろうね」

初「じゃあね、また学校で」

男「はいはい、明日にでも会いに行くさ」

店主「へぇ、消えたね」

同「そうだね、確かに」

男「何がだい?」

店主「幽霊ちゃんだよ、痕跡を残さずに消えたからさ、面白いなぁって」

男「幽霊なんだから出たり消えたりもするだろうけれど、それとは意味が違うんだろうね」

同「違う違う、全然違うんだよね」

同「移動する為とか、隠れるみたいな感じの幽霊が見えなくなる、いなくなるってのは何となくここにいるなぁってわかるし」

男「まぁ、君ならね」

店主「俺もわかるけど」

男「ダメだ、ここだと人間がマイノリティだった」

同「でさ、見えないって言ってもそこに在るってことは変わらないからさ」

同「消えるってのは変なんだよね」
125 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/05/29(日) 10:52:37.22 ID:SsBL5xzGo
店主「そうだね、要はワープしたってことだし」

男「ふーん、それって僕と女のあれみたいな感じ?」

同「あー、確かに似てるね、ワープとか死体が消えるのとかと同じかも」

男「要は瞬間移動した訳か」

店主「まぁ、そうだろうな、在るべきところに戻ったというのが正しいのだろうが」

男「しかし、ルールとはそういうものだろう?」

店主「確かにそうだったね」

店主「ふふふ、俺も感性が人間っぽくなってるのか」

店主「とりあえずそういう話は後にして、あれだ、待たせたね」

店主「出来上がったよ」

男「何を作っていたんだい?」

店主「良い物さ、ほら」

男「これは、手鏡?」

店主「覗いてごらん」

男「普通の鏡では無いのだろうけれど、一体何が」

男「女が、映ってる?」

店主「さぁ、これは何でしょうか」

店主「安心してくれ、別に正体を言い当てることが弱点のものではないから」

店主「ただ、物理的に叩き割ったりするのは避けてくれ」

男「あぁ、気を付けるよ」

男「さて、それでこの鏡の中の女は何なのか、という話か」
126 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/05/29(日) 10:57:06.39 ID:SsBL5xzGo
男「あー、これ君にも見えるのかな」

同「見えるよ、女ちゃんならね」

同「先に言っておくけどその鏡は普通の鏡じゃないね」

男「僕にだけ見えているわけでもない、そして触れても干渉が出来るわけでもない」

男「異世界の入り口などではなく、なぜか中に女がいる」

男「つまり幽霊が入っているわけだが、封印されているのか何なのか」

男「これ、君的にはどうなの」

同「ボク? んー、別にそれ妖怪とか何かなんじゃないの」

男「つまり、退魔系のアイテムじゃあ無い訳だ」

男「封印されてる説はそれでも無くなった訳ではないけれど」

男「鏡の妖怪なんて言ったら一つだろう」

男「雲外鏡」

店主「流石に簡単過ぎたかな」

男「鏡の中に幽霊が、なんてのはパターンも何も無いだろう?」

男「海外の変なものを持ってこられたら流石にわからなかっただろうけれど」

男「確か雲外鏡は古い鏡に霊力が宿り、化物が棲みついた物の事を言う」

男「その棲みついた化物というのに女を使い、古い鏡ならまぁここにあったよね」

男「反転世界の入り口になった姿見がさ」

店主「そ、雲外鏡の素材はあったというわけさ」

店主「これには女の霊が棲みついている」

店主「そういう風に俺が作った、だからこれからも女は死ねばそこに入るだろう」

店主「つまり来年以降のお盆の心配はしなくていい、はずだ」

男「なるほど、既にいる幽霊はお盆であろうと関係ない、そもそも現世に留まっているのは帰ってくるに該当しないから」
127 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/05/29(日) 10:59:09.49 ID:SsBL5xzGo
店主「そして都合の良いことに、その鏡を維持するのに必要な霊力は、集合霊自体でまかなえている」

男「だから壊さなければ大丈夫だと」

店主「霊能力者とかこの子みたいなのにも気を付けるべきだが、な」

同「ボクは食べないよ?」

男「あぁ、でも女の霊を君が食べたらどうなるんだろうね」

同「え、どうなるの?」

男「さぁ、君に食べられたら消えるんじゃないの」

同「多分」

同「というかそんなことしたらボクが男君に殺されそうだからやらないけど」

店主「はっはっはっ、吸血鬼がただの人間を敵にするのを恐れるか」

同「いや、恐れてるというか、まぁそれでもいいけど」

店主「俺ももう嫌だしな、消されるのは」

男「いや、あれは君が死にたがってたからであって、僕が積極的に消しに行ったわけでは」

男「まぁいいや、どちらにせよ人間相手なら立派な犯罪か」

男「とりあえず、これ中の女と意思疎通って出来るのかな」

男「何かこっち側の声は聞こえているみたいなんだけれど」

店主「あっち側からの音は恐らく通らないな」

店主「ちなみに、手鏡自体を動かす力はあるぞ」

男「なるほど、ふわふわと自力で飛べるなら落として割る心配もないね、人前で飛ぶのは避けてもらいたいけれど」

店主「意思疎通方法は後々考えるとしてだな、ここからが」

男「なんだい?」

店主「いや、ここからも本題なんだ」

同「やっぱりそうなんだ、あれ」
128 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/05/29(日) 11:01:34.72 ID:SsBL5xzGo
女「やっほー、生身だと久しぶり?」

男「え、女?」

女「そうだよ、わからない?」

男「いや、朝を待たずに現れているとは思わなくてさ」

男「あぁ、そうか、今日死んだ訳ではないからルールが機能するようになった瞬間に現れたのか」

店主「正確には居たことになった、なのだろうがな」

店主「改変に俺ですら気付け無い、いやそこの吸血鬼であろうと影響を免れることは出来ないのだから今更か」

同「ボクそんな便利なもんじゃないんだけどなぁ、半分人間だし」

男「んー、これまでいなかった間のことが補完されたのか」

女「男くんそこはわかんないだもんね」

男「普段は半日も無いからそんなに影響はないのだけれど、今回はちょっと長いから」

男「何があったか、というよりは何をしていたかを後で教えてね」

女「うん、そうだねってあれ?」

男「女? どうした? おい店主お前」

店主「いや彼女が涙を流しているのは痛いせいでは恐らくない、そして俺のミスか何かでは断じてない」

女「あ、私泣いてるんだ」

女「ごめんね、男くんのせいじゃないから、私のせいだから」

女「ごめんね、今はちょっと無理だから」

男「いや、待って」

同「あれま、どっか行っちゃったね」

同「追いかけなくていいの?」

店主「うむ、ああいうのは追いかけるべきだろう」

男「何で泣いてたのか皆目検討がつかないのだけれど」

男「だからと言って、追いかけるしか出来ることはないか」
129 : ◆SetoseN//M [saga]:2016/05/29(日) 11:02:00.06 ID:SsBL5xzGo
第40話





初「私の数が、足りなくて」






130 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/05/29(日) 11:04:38.22 ID:SsBL5xzGo
今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

どう見ても話が終わってませんが明らかに長くなり過ぎるので前編後編みたいな感じで、話数だけとりあえず変える感じです

話のネタはちまちま増えてるのにどうにも書く時間と話のまとまらなさに足を引っ張られてますね、ネタがあるうちは書きたい欲があるのですが

ではでは、また来ますね
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/30(月) 05:31:59.89 ID:TMsEY8MP0
おつんつん
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/01(水) 19:22:25.79 ID:B6bGJUzR0
おつ
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/13(月) 21:45:51.12 ID:sq2OyDd00
おつー
134 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/06/18(土) 21:24:15.30 ID:okAYiLYWo
今日は来ました、いきなり暑くなってきましたね
135 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/06/18(土) 21:25:38.09 ID:okAYiLYWo
女がいきなり泣き出した

と言うのはいささか語弊があるだろう

別に子供の様に泣きじゃくったわけではなく、涙だけ流していたのだ

咄嗟に不可思議屋に問い詰めてしまったが、別に何か女を分離する際にミスをしたからとか、そう言う何かを疑ったわけではない

ただ何か、何かわからないかと聞きたかっただけで

いや、答えを教えて欲しかったのだろう

安易に、簡単に、答えを貰い対処したかったのだろう

そもそも肉体的な苦痛で泣いているわけではないことは、むしろ僕の方がわかっている位である

ルールにより現れた女は肉体的なダメージを全てリセットされている、故に現れている時点で

ルールが正常に動き始めた時点で、ミスか何かで身体が痛いなんて事は有り得ないのだ

最も不可思議屋はそのルールに干渉出来るかもしれない、或いは干渉する何かを起こすかもと思わせるだけのことはしているのだが

そして同や不可思議屋が反応していない状態ということで何らかの妖怪や超常現象によって女に異変が起きた、ということも考えにくい

つまり、普通に泣いていたのだ

しかし女は人前では泣きじゃくらない、という訳ではない

僕と違って感受性が豊か、というかしっかり感情移入は出来るので映画や小説などで感動すれば泣いているし、そもそも嫌なことがあれば泣きもする

だけど僕は、泣かない女も知っている

女が絶対に泣かないのは、それに僕が関わっている時だ

彼女は自分が抱え込めばいいと思ったことは本当に抱え込んでしまう、僕らのルールの様に

彼女はこういう時、つまり僕が関わっている或いは僕が原因で女が傷ついたり、迷惑を被った際、僕にそれを知らせないようにする

むしろ、僕がそれに気付くことを阻害してさえいる
136 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/06/18(土) 21:26:21.85 ID:okAYiLYWo
だから僕は考える癖がついたのかも知れない、違和感や少しの情報の裏側を、原因へと思考の手を伸ばす癖が

僕らのルールの根幹や不可思議に逢った時の僕や女の対応というのは、僕らのルールが発生したからそれに合わせてというものではない

当たり前かもしれないが、実際には僕らは元々その様な癖があって、そこにルールが入ってきてより強調されているだけで

昔から、女は厄介事を抱え込み、僕は女の後を追う

そう言う関係性自体は何も変わっていないのだ

だからこそ、あの反応には強い違和感があったのだ

僕の代わりに死に続けた彼女は今までどんな表情だったかを考えれば一目瞭然だ

決して泣かずに笑って僕の前で死んでいく女が、僕の前で涙を流したのだ

似たような痛みをよく受ける同の反応を見れば女が普段どれだけ無理しているかわかるだろう

その女が泣くつもりがなかったということは、僕に言いたくない何かであるのはその時点で確実で

その後の女の反応なんて、必要もなくわかっていた

女が泣いた原因には、僕が関係していると

そして、大体原因も絞れている

会話の流れから、僕が覚えていないこと、正確には僕のみ知覚出来ない補完された女の

存在したことになった間の記憶や記録

それが原因なのだろう、詳細はわからないが

腹立たしいことに、あの二人はその理由を理解していそうと言うことだが

あの二人はむしろ、女がいなかった間の方の記憶が朧気になるのだから当然ではあるのだが

その上で僕にそれを教えず、女を追えとだけ言ってくる所だ

むかついていても仕方ないので、追ってはいるのだが
137 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/06/18(土) 21:26:48.99 ID:okAYiLYWo
とっさに逃げてきてしまった

後で男くんには謝らないと

久しぶりに現れたから色々と不安定になっていたのかな

別に泣くつもりなんて無かったのだけれど

私がいなかった時の話、というか事情位は現れた際に不可思議屋に聞いたのだけれど

簡単に言うと私達のルールが私の死を認識されることによって停止して

それを無理矢理幽霊の私達をバラして現世に留まる物に構成し直すことで再起動させたと

お盆が終わるまで待てなかった、と言うよりは彼女なりの恩返しなのかな

ルールに縛られていた自分を解放してくれた男くんが、ルールによって縛られているならば

助けたくはなるのかも知れない

男くんは最近やたらと人間以外にモテるのでいい気分はしないけれど

考えてみたらさっきまで私も人間じゃなかったし

今もまぁ人間ではあるけれど普通とは言い難いのでそういうことなのだろう

しかし、私がずっと生きていたことになった時の思い出を急に思い出して不安定になってしまうなんて

何回死んでるんだ、情けない

別に、お祭りに行ったりとかの遊んでいた記憶が、男くんにとっては認識できない

偽物の、存在しない歴史だったとしても

だからと言って悲しくなってはいけないはずなのに

久しぶりに身体を得たといっても、感覚的にはむしろ時間のほうが飛んでいるのだけれど

その何もしていないのに時間が何日も進んでしまったという感覚が消えない内に話したのは失敗だったかな

さて、もう追いつかれちゃうな

走るのも、しんどくなってきたしもう無理かな
138 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/06/18(土) 21:27:25.16 ID:okAYiLYWo
女「はは、今回の私はあんまり足が早くないみたいだね」

女「体力もそんなに無いし、ハズレかなぁ、はぁ」

男「どうして、逃げるんだい」

女「んー、どうしてかな?」

男「とりあえず、挨拶からやり直そうか」

女「ん」

男「久しぶりだね、いつも通りに戻ってくれて安心したよ」

女「そうなの? 私は幽霊だったときの記憶はないからわからないけれど」

男「あー、そうか、そういうことか」

男「記憶が飛んだってことになるのか」

男「で、これは僕側の記憶も飛んでいるってことで」

男「なるほど、無神経だったのかな」

女「んーん、別に私がわかってなかっただけだから」

女「何か夏休みがいきなり短くなっちゃって、悲しくなっただけだから」

男「間違ってたら謝るけれど」

男「思い出なら、これから作っていけばいいんじゃないかな」

女「随分と、柄にもないことを言うんだね」

男「それはお互い様だろう?」

男「泣いてる君と話すのは、随分と久しぶりだ」

女「これは、久しぶりに現れたから不安定なだけだもん」

男「それじゃ、感覚的には昨日ぶりの、そんでもって久しぶりにさ」

男「一緒に帰ろうか」

女「うん」
139 : ◆SetoseN//M [saga ]:2016/06/18(土) 21:32:07.65 ID:okAYiLYWo
女「そういえばさ」

男「あぁ、もう泣き止んだんだ」

女「うっさいよ」

男「そう恥ずかしがらないでもいいのに」

女「こっちの男くんには、言ってないことになると思うんだけど」

男「最近の君との記憶を僕が失ったみたいな形になるもんね、客観的に見ちゃうと」

男「僕がボケたみたいで嫌だし、バレる前に補完しとかないとね」

女「その、補完の一つになるんだけどさ」

男「うん」

女「近頃毎日同じ夢見るんだよね」

男「へー、予知夢の類?」

女「いや、わかんないけどさ」

女「内容は、殺される夢だけど」

男「うん、全然よくないね」

女「何でいきなりこんな話からってことなんだけど」

男「確かに」

女「何か夢と同じシチュエーションっぽいんだよね、今」

男「それ、やばくない?」

女「どうなんだろう、まぁ所詮はさ」
140 : ◆SetoseN//M [saga ]:2016/06/18(土) 21:33:48.78 ID:okAYiLYWo
第41話





女「最近見る夢の話」





141 : ◆SetoseN//M [saga ]:2016/06/18(土) 21:34:16.70 ID:okAYiLYWo
女「ってだけじゃない?」

男「そうなのかなぁ」
142 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/06/18(土) 21:36:56.14 ID:okAYiLYWo
今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

ルールの設定が複雑怪奇過ぎて自分で処理がどうなるかわからないで結構考えてました

主に女が復活した周りのところで

まぁ、ともかく久しぶりに女も現れて通常運転って感じのお話です、尺とネタの中身の関係で前の話とくっついてます

ではでは、また来ますね
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/19(日) 08:15:50.04 ID:hCr8LCrmo
おつおつ
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/21(火) 08:46:53.24 ID:NSDgLDALo
おつ
ヤキモチかわいい
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/23(木) 14:45:33.22 ID:zPWnTg1rO
おつおつ
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/16(土) 23:48:29.60 ID:pvs5j5Tg0
おつおつおつ
147 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/07/19(火) 19:27:35.68 ID:6EKwWgSWo
今週中には
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/19(火) 20:14:27.72 ID:BFH7UkAi0
まってる
149 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/07/23(土) 11:30:31.88 ID:dEYDJdQEo
今日は来ました
150 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/07/23(土) 11:31:02.80 ID:dEYDJdQEo
男「当然、その夢の話なんてものは僕は知るわけもないのだけれど」

女「そうだろうねぇ」

女「まぁ、実際は男くんにはこの夢の話、していたはずなんだけどね」

男「あぁ、そういうこと」

男「それで、その僕はなんて言っていたんだい?」

女「んー、私がいたことになったところの記憶だから微妙に思い出しにくいというか」

女「夢の内容を思い出すみたいな感じなんだよね」

女「何か話してた気はするんだけど、反応とかが思い出せないというか」

男「補完された記憶というか過去というかそういうのって、そうなるんだね」

女「いつもはもうちょっと思い出せた気がするんだけど、なんだろうまだ本調子じゃないとか?」

男「無いとは言えないけれど」

男「そういうものなんだろうね、そもそも鮮明に思い出そうとしたことってあったっけ」

女「言われてみればないかも、どうせ思い出しても男くん知らないし」

男「同じような結果になるようになっているもんね」

男「大抵、いつも通りのことしかしないというか」

女「むしろ、宿題がやったことになってるとかが重要だよね」

男「いつも通りの結果が残っているから僕も大体何してたのかわかるからね」

女「そもそも夕方に死ぬことが多いから、困ったことなかったよね」

男「で、こう話が長くなるというか」

男「時間を使ってしまうのも夢の通りだったりするのだろうね」
151 : ◆SetoseN//M [saga ]:2016/07/23(土) 11:31:29.72 ID:dEYDJdQEo
女「うん」

男「いや、うんじゃ困るんだけどさ」

男「予知夢ってことになるのかなぁ」

女「あ、それでこの後私死ぬんだけれど」

男「そんな切羽詰まった話してたの」

女「してたの」

男「いや、流石にそれならもうちょっと焦って欲しいというか」

男「んー、予知夢の強制力か」

男「君の思考力とか行動力というか、そういうものをかなり制限されていると見た」

女「そういう系なのかなぁ」

男「ちなみに、死因は?」

女「他殺?」

男「事故死とかではないと、ん、他殺って言い方ってことはもしかして」

女「うん、人間に刺されて死ぬ夢だね」

男「それ、犯人は僕とかいうオチは?」

女「そういうオチも悪く無いよねぇ」

女「でも、男くん包丁持ってないでしょ?」

男「あー、ちょっと待って」

男「話が見えてきた気がする」
152 : ◆SetoseN//M [saga ]:2016/07/23(土) 11:31:59.34 ID:dEYDJdQEo
男「それ、知ってる話かもしれないよ」

男「ちなみに、それって僕は?」

女「無事だったはず」

女「私だけを刺して、そのまま逃げてく犯人を見てるからね」

女「男くんは無事で、私のそばにいるね」

女「悪夢の特徴というか、私が死ぬところで目が覚めるからその後は知らないけど」

男「その場では僕が死なないのか」

男「僕を殺さずに逃げてく理由は、やはり犯人は人間だからで説明はつくか」

男「さて、この夢の結果変えるべきか変えないべきか」

男「君に聞いちゃダメなんだけれどね」

女「変えないでいいよ、変えない方がいいと思う」

男「ってなるものねぇ」

男「僕としては、変えたいのだけれど」

男「嫌かい?」

女「ずるいなぁ、その言い方」

女「あ、あの人だよ、あの人に私は刺されて死ぬ夢だね」

男「成る程、それじゃ逃げようか」

女「え、あ、引っ張らないでも」

男「いいから、走るよ」
153 : ◆SetoseN//M [saga ]:2016/07/23(土) 11:32:25.27 ID:dEYDJdQEo
男「さて、この時点で変わってくれればと思ったけれど」

女「追ってきてるねぇ」

男「ちなみに、夢の通りだった場合は?」

女「すれ違いざまに刺されるだけだから、こんな動いたりはしないよ」

男「僕としては、彼が本当に人間なのかとかそこら辺も気になるところではあるのだけれど」

女「それで、どこまで走るのかな」

男「助かるところまで」

男「と言いたいのだけれど、正直なところこの時点でお話は終わっていると思うんだよね」

男「それに、僕としては最近頑張って逃げていたことが多かったせいかどうにも忘れていたけれど」

男「こういう時って、君だけ逃げればいいんだったよね」

女「私の足だと追いつけれているもんね」

男「そういうことだね」

男「なるべく死なないように努めるから、頑張って離れてくれ」

男「出来ることなら、この道を真っ直ぐがいい」

女「うん、わかった」

男「さて」

男「時間稼ぎといこうか」

男「上手くいくといいのだけれど」
154 : ◆SetoseN//M [saga ]:2016/07/23(土) 11:35:14.26 ID:dEYDJdQEo
男「よかった、そのまま走ってくるから通れるのかと思ってしまったよ」

男「流石にそこで立ち往生してくれたか」

男「ちなみに、君は人間なのかな?」

男「だんまりか」

男「一応、ここを通れない理由は道の両端に置いてある置物」

男「って言ってもストラップサイズだから気付いてもなかったかも知れないけど」

男「このペアの置物の視線の間は、人には通れない」

男「本来ならば、通る気が起きなくなるから、そこで立ち往生するなんてことありえないと思うけれど」

男「不可思議屋の人避けアイテムだけど、小さいから一応持っておいてよかったよ」

男「ま、1,2分もここで立ち往生させれば、僕の目論見通りという訳で」

同「うーんと、これ、どういう状況? 女ちゃんが走ってきたから見に来たけれど」

男「いやいや、待っていたよ、君が来ることをさ」

同「あー、多分だけど、あの人は普通の人間だと思うよ」

男「なるほど」

同「だから、殺しちゃうとボクがまずいんだけど、気絶させとけばいい?」

男「うん、それで大丈夫だと思う」

同「さて、あれ」

同「何かここ、壁ない? 見えない奴」

同「ま、この程度じゃボクは止められないので」

同「フフフ、恨みはないけれど、敵みたいだからちょっと寝ててもらうよ」
155 : ◆SetoseN//M [saga ]:2016/07/23(土) 11:35:42.12 ID:dEYDJdQEo




「夢と違うこと、してんじゃねぇよ」




156 : ◆SetoseN//M [saga sage]:2016/07/23(土) 11:37:16.75 ID:dEYDJdQEo
今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

梅雨もあけて夏真っ盛りという感じになってきましたね、雨の降り方がもう完全に夏のそれです

夏といえばホラーなのでせっかくですし暑い内に何か怖い話でもかければなとは思ってます

ではでは、またきますね
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