やはり俺の脳内選択肢が青春ラブコメを全力で邪魔しているのは間違っている。

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111 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/05(土) 17:08:15.27 ID:e3B25LSn0
 相模さんが仕事をサボることで、全体のモチベーションは下がっており、人も少なければ委員会に出ている人の仕事のペースも遅い。

 なんとか雪ノ下さんのおかげで成り立っているようなものだ。

 そこに、いったい相模さんは何をしに来たのだろう?

南「えーっとお、クラスの方も手が空いてきたんで、こっちの方行こうかって話しになってぇ」

 見ると、後ろには取り巻き二人が。

南「で、なにか仕事ってある? 雪ノ下さん」

 隣の八幡がイラッとした雰囲気が伝わる。

 正直、同じ気持ちではあるけれど……

雪乃「ないわ。あなたに手伝えることなんて。」

 雪ノ下さんが一蹴した。
112 : ◆oUKRClYegEez [sage]:2015/12/05(土) 17:09:05.55 ID:e3B25LSn0
※えと、明日も一応更新できます。
したほうがいいですか?
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/05(土) 17:17:38.28 ID:f5FW6/N4o
乙です!
当然です
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/05(土) 20:51:06.13 ID:Uv9pF1jsO
乙です
楽しみに待ってます
115 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/06(日) 12:06:55.87 ID:6yFtiBbL0
南「……え?」

 相模さんが聞き返す。

雪乃「今ここにいる人たちはあなたが実行委員に来ていない間にかなりの業務をこなしたわ。ある程度の慣れや連帯感もある。だから、あなたがすることはないわ。あ、実行委員長の挨拶くらいは考えておいて。」

 相模さんが絶句した状態で突っ立っていると、意外や意外、陽乃さんが助け船を出した。

陽乃「いいねぇ、文化祭は準備から楽しまなくっちゃ! 実行委員長が楽しまなきゃ、誰も楽しめなくなるわよねえ?」
116 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/06(日) 12:07:34.35 ID:6yFtiBbL0

 このセリフに、再起動した相模さんがのっかった。

南「そ……そうですよね!」

陽乃「ね、そうは思わない? 比企谷くん」

八幡「なんでここで俺に振るんすか……」

陽乃「いやあ、最近出番ないなあって」

八幡「確かに俺は影薄いですが、出番ってどういうことですか」

陽乃「微妙に意味わかっちゃってるじゃない。それより、君はクラスの方にはでなくてもいいの?」

八幡「俺がクラスの方なんかに行ったら、それこそ追い返されますよ。「お前どこのクラスのやつだ」ってね」

雪乃「……」

陽乃「あっはっはっは! さすが、面白いなあ比企谷くんは!
   ひねくれてるねえ!」

 雪ノ下さ――雪乃さんは沈黙、陽乃さんは大げさに笑った。
117 : ◆oUKRClYegEez [sage]:2015/12/06(日) 12:08:08.79 ID:6yFtiBbL0
あ、えっと……ここまでで。
118 : ◆oUKRClYegEez [sage]:2015/12/12(土) 16:09:44.52 ID:GptNZ4Tf0
二週間音沙汰ないときは保守レスおねがいします。
119 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/12(土) 16:12:44.71 ID:GptNZ4Tf0

陽乃「……ん、そだ。君は何をしてるの?」

 ネタを常時探している陽乃さんが、迷惑なことに――選択肢からしたらまあ妥当だろう――俺のほうに来た。

奏「仕事です」

 そっけなく返してやった。

 すると、

陽乃「あははっ、君もおもしろいねえ! 比企谷くんもなかなかだけど、君もなかなかだ!」

 と言って、わざわざ近くに来て肩をべしべしとたたいた。

 ……なんか、気に入られてしまったらしかった。

陽乃「お姉さんがかわいがってあげようか?」

 頭痛。

雪乃「何を言っているの姉さん」

 強い。痛い痛い痛い泣きそうまじでっ⁉

 雪乃さんがなにか言ってるみたいだけどほとんどわからない。

陽乃「あっれー? 雪乃ちゃんはてっきり比企谷君かと思ったんだけど、お姉ちゃんの間違いかな? まさかこの子のこと好きなのー?」

雪乃「そんなわけがないでしょう」
120 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/12(土) 16:13:25.44 ID:GptNZ4Tf0
陽乃「あーら、かわいそっ」

雪乃「っ……。甘草くんからも、何か言いなさい。黙ったままなの?」

 と、急に頭痛が止む。

 話の流れは全く分からないけど、ここで言えということなのだろう。
121 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/12(土) 16:14:13.62 ID:GptNZ4Tf0
奏「あ〜^心がぴょんぴょんするんじゃぁ^〜」
122 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/12(土) 16:14:40.93 ID:GptNZ4Tf0
 完璧に言えた。特にあの「^」の部分。

 そう(無駄に)確信すると同時に、あたりが沈黙していることに気付いた。

 ……俺、なにかおかしいことを言ったのだろうか?
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/13(日) 04:13:18.28 ID:avHBJYEfO
おかしい事しか言ってないwwww

124 : ◆oUKRClYegEez [sage]:2015/12/13(日) 19:01:26.64 ID:vmt+X2VB0
※追記
テスト爆死しました。
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/13(日) 19:37:20.23 ID:ESIeSSZBo
まあ、頑張れ
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/14(月) 10:00:19.97 ID:zo3LHru9O
明日があるさ
127 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/19(土) 19:07:04.95 ID:LVBoV3VA0
 陽乃さんが笑いをこらえるのに必死になっていた。
128 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/19(土) 19:08:03.39 ID:LVBoV3VA0
 そしてとうとう、文化祭当日だ。
129 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/19(土) 19:09:14.76 ID:LVBoV3VA0
 ブブブブ。

 とてつもなく大きなバイブが携帯から発せられて、目が覚めた。

 開いてみると、着信だった。

 久しぶりの神からだった。

『はろはろ〜、神で〜っすっ!
 お久だねー、甘草奏くん?
 いやあ、急になかなか連絡がとれなくて焦ってたんだよ。
 選択肢の力で他の神の力が届きづらくなってるみたいだね。
 この電話もさほど長くできないから、要件を簡潔に書くよ。
 その世界のちょうど三月、君は元の世界に帰ることができる。
 選択肢も、そこが限界みたいだ。
 で、だ。これは個人的な忠告なんだけれど。
 その世界には気をt ブツッ』

 と、ここできれた。

 もう少し時間の調整はできなかったのだろうか? 神だろ?

 そして、もう一つのメールが、俺にとっては重要だった。
130 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/19(土) 19:09:42.74 ID:LVBoV3VA0
『ミッション
 相模南に、文化祭を完遂させる』。
131 : ◆oUKRClYegEez [sage]:2015/12/19(土) 19:12:27.34 ID:LVBoV3VA0
 修正>>129


 と、ここできれた。

 もう少し時間の調整はできなかったのだろうか? 神だろ?

 そして、もう一つ、メールが届いていた

そっちのほうが、俺にとっては重要だった。



132 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/26(土) 13:35:40.08 ID:1JAqkcBw0
めぐり『文化してるかぁーー!?』

観客「「「おおおーーっ!」」」

 生徒会長のマイク越しの声に、オープニングセレモニー、まあ言うとこの総武高文化祭の開会式に集まった保護者生徒が吠える。

 ……吠えているのは生徒だけか。

 裏では八幡と雪乃さんが無線で言い争ってて、なかなかに面白かったけれど、一応仕事優先で。

めぐり『千葉の名物、祭りと――!?』

観客「「「おぉどりぃいいいいー!」」」

 ……そうなのかな?

 県外からきて間もない俺はしらないけれども。

めぐり『同じ阿呆なら、おどらにゃ――!?』

観客「「「しんがっそーーーん!!」」」

 大丈夫かな、この進学校。
133 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/26(土) 13:38:16.50 ID:1JAqkcBw0
 ともあれ、生徒会長あいさつ(?)はつつがなく――

【選べ

1、ステージに上がって奇声を、規制のかかりそうな奇声を発しながら転げまわる

2、雪ノ下雪乃と比企谷八幡の会話に「八幡って影薄いよね」 】

ごめん、八幡。許して。

 ステージの上で転げまわるのは、羞恥心がやばい――
134 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/26(土) 13:38:45.79 ID:1JAqkcBw0
奏「っ!?」

 頭痛。でも。

 やっと今、俺がどういう指針で選択肢を選んでいたか、思い出した!

 他人を、傷つけない!

奏「○×△□@ldifuvhcvnlk○△vbfkhbv−――⁉」
135 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/26(土) 13:40:01.82 ID:1JAqkcBw0
八幡「―――」

雪乃「〜〜〜」

 いつの間にか、イヤホンからは八幡と雪乃さんの言い争いが大きく聞こえてくるようになっていた。

 というか、会場が静かだった。

実行委員B「あの、副委員長。聞こえてます。
      それと、あれ、止めなくていいんですか?」

 すっかり「あれ」扱いされてた人が、ステージの上にいた。というか、俺だった。
136 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/26(土) 13:43:45.41 ID:1JAqkcBw0
俺をステージ上から取り除いた後、実行委員長挨拶。

南「き――!」

 共鳴。ハウリング。

 実行委員長挨拶はマイクが雑音を拾うことで発生するあのかん高い嫌な音で始まった。

 相模さんの顔は真っ赤だ。

南「ほ、本日は、ま、待ちに待った文化祭です。今日一日、勉強のことは忘れて――」

 なんとか、持ち直しはしたけれど、終始顔は恥ずかしさで真っ赤だった。

観客「「がんばれー!」」

 観客が呼びかける声も、相模さんには緊張と恥ずかしさが高まる要因の一つでしかない。

 相模さんがなんとかやり終え、オープニングセレモニーは終わった。
137 : ◆oUKRClYegEez [sage]:2015/12/26(土) 13:45:13.26 ID:1JAqkcBw0
※ よいお年を〜
これを見てくださっている方、どれくらいの人数がクリぼっちだったのでしょう?ww
自分もぼっちでしたよ☆
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 13:46:21.36 ID:lM7ItEpjo
乙です
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/28(月) 21:45:38.56 ID:XQHdYbWPO
乙です
もう強制一択ww
>>1さんも良いお年を
140 : ◆oUKRClYegEez [sage]:2015/12/30(水) 08:54:06.71 ID:hby5FE3s0
※親「来月からインターネットきるかぁ」
 僕「え?」
 ってことで、不定期になるかもしれないので、とりあえず書き溜めてるやつ投下します。
141 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/30(水) 08:57:01.15 ID:hby5FE3s0
奏「ふわぁ〜あ……」

八幡「お前も災難だな……」

 八幡が同情する。

 時間は、今は11時。

 文化祭が始まり、約二時間が経過といったところか。

 俺と八幡は「記録係」の本分を全うすべく、校内をうろついていた。

 オープニングセレモニーでの奇行で、校内校外とわず有名になってしまった俺は、廊下を歩いているだけでもひそひそ声でささやかれる。

生徒c「あれだよ、あのオープニングセレモニーでの……」

生徒d「ああ、あれが……」

 さすがに悲しくなってくる。

 でも、自分で選んだ選択肢。後悔はしていない。

 さて、ここで記録係についての説明を。

 この説明は、主に校内をぶらついているだけの俺たちを正当化するための説明だ。

 記録係は、後の世代に学園祭の雰囲気を伝えたり、写真販売で売ったりするときのための写真、記録をとることが仕事だ。

 だから、こうして校内を周回し、店や生徒たちの写真を撮っていってる。
142 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/30(水) 08:57:28.42 ID:hby5FE3s0
結衣「あ、ヒッキーと奏君!」

奏「やっはろー、だっけ? 由比ヶ浜さん」

八幡「おい、無理に合わせなくともいいぞ。バカのすることだ」

結衣「バカってなんだし! バカって言うほうが超バカなんだよ⁉」

八幡「もうその返しがな……」

結衣「ぐぐぐ……」

 由比ヶ浜さんと遭遇し、少し話す。

結衣「あ、そうだ、ヒッキー。ハニトー食べよ?」

 そういいながらビニール袋からパンを取り出し始める由比ヶ浜さん。

八幡「おい、どこか座って食えるとこ探そうぜ。廊下で立ち食いは汚いだろ」

結衣「あ、それもそっか。じゃあさ、教室行って、そこで食べよ?」

八幡「俺が食うこと確定なのかよ……。奏はどうする?」

 由比ヶ浜さんの方を見ると、「お願い! 二人きりにっ! あぁでも、やっぱ恥ずかしい……」みたいな顔をしていた。

奏「いや、いいよ。もう少し見回ってる。八幡はちょっと休んでなよ」

八幡「悪いな」

奏「気にすんなって」

 由比ヶ浜さんは顔をやや赤くしながら、「ありがとう」と口の形だけでそう言った。
143 : ◆oUKRClYegEez :2015/12/30(水) 08:57:53.68 ID:hby5FE3s0
 その場を離れると、すぐに小町ちゃんに会った。

小町「あっ、奏さん!」

奏「やあ、小町ちゃん。来たんだね?」

 軽くぴょんぴょんはねながら廊下で話す。

小町「はい! わたしも来年この高校受験しようと思っているので、その下見というか。
   あと、ごみいちゃんの様子を見ようかと」

奏「はは、そう。でも、今は行かないほうがいいかもよ? 理由は言えないけど」

 と、半笑いにごまかした。すると、

小町「おっ。ということは、結衣さんか雪乃さんですか。でも雪乃さんなら仕事してますかね、ということは結衣さんか。なかなかにやりますね……。」

 完全に見抜かれていた。

 洞察力が鋭すぎる。

小町「まあここは、奏さんに免じてもう少し待ってみることにします。
では、また〜」

奏「うん、また」

 で、一時的に別れることになった。
144 : ◆oUKRClYegEez [sage]:2015/12/30(水) 08:58:31.80 ID:hby5FE3s0
結衣「じゃ、じゃあさ、ヒッキー」

八幡「ん?」

結衣「また今度、ハニトー食べに行こうよ。……ふ、ふたりで」

八幡「ああ、また今度な」

結衣「うん、ありがと」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/30(水) 10:35:17.61 ID:lvnLUIr9O
えっ?
今月限りで終了なんですか?
良ssなだけに悲しい……
146 : ◆oUKRClYegEez [sage]:2015/12/30(水) 13:17:43.47 ID:hby5FE3s0
>>145
 なんとか不定期に更新はしようと思っています(ノパソは使えるので)。
 それにまだ全然完結していませんし、個人的に終わらせたくないです。スマホで投稿できれば一番なんですが、できますかね……
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/30(水) 13:37:45.00 ID:Ftzt8Bq3o
乙です
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/30(水) 14:57:10.58 ID:lvnLUIr9O
>>146
これからも更新して貰えるとの事で、安心致しました
不定期でも出来る限り続けて戴きたい


149 : [sage]:2015/12/30(水) 22:57:46.65 ID:527ickS/O
※別端末です。
書き込みできるじゃん!
ということで、定期にいけそうですw
お騒がせしましたm(_ _)m
150 : [sage]:2015/12/30(水) 22:59:19.26 ID:527ickS/O
※書き込みできてますか?
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/31(木) 03:52:35.45 ID:a9d5NYcqo
試験勉強wインターネット切るw
こいつ更新が遅れる言い訳ばっかやな
面白くもない上に更新遅いとか終わってんな
しかも心配されたらやっぱり大丈夫ですwとかね。とりあえずもうかかなくて良いと思うよw
入試優先させた方が人間として正しいと思うけどなー
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/31(木) 11:43:41.50 ID:mSfW6JrVO
>>150
書き込めてますよー
更新頑張ってー
153 : ◆oUKRClYegEez [sage]:2016/01/09(土) 17:35:52.92 ID:XN44CQz90
※い、いろいろと意見がありますが……
自分の趣味で書いて更新してるので、誰かにどうこう言われる筋合いはないと考えています。
ってことで、今週も更新。
154 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/09(土) 17:40:26.43 ID:XN44CQz90
雪乃「あら甘草君。あなたここでなにをしているのかしら? そのカメラはいつ使ったの?」

 八幡を待とうと、クラスの周辺の廊下を出店を見ながらほっつき歩いていると、雪ノ下さんに会った。

 ここまで〈文化祭実行委員〉の腕章が似合っている人は他にいないと思う。

 それくらい凛々しかった。

奏「あ、雪ノ下さん。いくつか写真は撮ってるよ。」

 素直にそう返す。

雪乃「そう。ちゃんと職務を全うしているのならばいいわ。
   ところで、比企谷君はどこか知らない?」

奏「いいや、知らない」
155 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/09(土) 17:41:28.77 ID:XN44CQz90
 知っているけれど、由比ヶ浜さんのために。雪ノ下さんには悪いけど。

雪乃「そう……。まぁ、あなたでもいいわ。忘れそうになったけど、一応奉仕部だし。付いて来て」

 雪ノ下さんについていくと、普通に出店をやっている教室についた。

奏「ここ? どうかしたの?」

雪乃「ここ、どうやら実行委員に提出している出店の内容と異なることをしているようなの。何をしているか、ちょっと探ってきてくれないかしら?」

 そこの出店は、どうやらトロッコを出し物にしているらしい。

奏「あ、うん、別にいいけ……」

 といいかけて。

生徒e「おー! ……げっ、実行委員⁉ まぁいいや、乗せちゃえ! 二名様ご案内〜」

生徒f「了解〜!」

雪乃「え⁉ わ、私は――」

 あれやあれやという前に、二人ともトロッコに乗せられてしまった。
156 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/09(土) 17:42:43.22 ID:XN44CQz90
 ごおおおお……おお……ごとん

 トロッコがやがて止まる。

 手作り感漂うトロッコだったが、なかなかに楽しかった。

雪乃「はぁ、はぁ……。
   文化祭実行委員ですが、少しいいですか?」

 疲れ気味の雪ノ下さんが、息を整えながら言う。

生徒f「は、はい……」

 すこし怯えたふうな生徒がこたえる。

雪乃「ここは申請とはやや異なる店をしていますね? 直ちに元の店に戻してください」

生徒e「すみませんでした……」

 そして、そこから少し離れて。

奏「雪ノ下さん、大丈夫? 顔色悪いけど」

 雪ノ下さんの仕事をねぎらって、話しかけた。

雪乃「油断していたから少し気分が悪いわ……。私は少し休んでいるから、甘草君は引き続き巡回してて……」

奏「んー、でも、雪ノ下さん辛そうだし――」

【選べ

1、「まぁいっか。じゃね雪ノ下さん」と言ってこの場を離れる

2、「ずっと這いつくばってろよwwwwww はっwwww」と言ってこの場をを離れる    】

奏「まぁいっか。じゃね雪ノ下さん」

 もうちょい気にかけてるのが本心だけど……。

雪乃「ええ……。ありがとう……」

 俺にはなんに対してのありがとうなのか、全くわからなかった。
157 : ◆oUKRClYegEez [sage]:2016/01/09(土) 17:43:41.84 ID:XN44CQz90
※ここまで!
来週あたりには6巻完結できるかな?
158 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/09(土) 17:45:53.38 ID:+g9PYrC+o
乙です
159 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/09(土) 20:06:48.63 ID:/L6y3lGwO
乙です
今回は無難な選択肢だったけど、反動で凄いの来そうだなぁ…
160 : ◆oUKRClYegEez [sage]:2016/01/16(土) 15:13:48.30 ID:LBxiw++V0
※更新します。
 6巻は完結させますが、火曜日も更新して、それで完結ということで。
 このss自体はまだ続けます。
161 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/16(土) 15:55:31.08 ID:LBxiw++V0
 話は飛ぶが、もうすぐエンディングセレモニーという時間。

静「うーむ……」

雪乃「困ったことになりましたね……」

 体育館では、少々困った事態になっていた。

隼人「どうしたんだい?」

 有志のバンドをやっていた葉山君が舞台裏に戻ってきてたずねた。

静「ああ、葉山……。実はな、エンディングセレモニーで挨拶をするはずの相模がいないんだ。もうすぐ集合する手はずになっているんだが……」

結衣「あの……相模さんがいないと困ることってなぁに? 最悪、挨拶は飛ばせば……」

雪乃「店の順位の集計結果を、あの人が持っているのよ。それも後日発表という形はとれなくもないのだけれど、地域とのつながりがテーマのうちの文化祭で、地域賞を後日発表にするのはさほど意味がないから、発表しなければいけないわ」

八幡「そして、今から再び集計をする時間はない。なんとか相模を見つけて、挨拶をするよう説得しなければならない、ってとこか」

 由比ヶ浜さんが理解して沈黙する。

八幡「まぁ最悪、誰も結果を知らないし、票数は公開しないんだからでっち上げでもなんとかなるとは思うがな」

結衣「わぁ、ヒッキーすこぶる最低だ……」

 平塚先生が八幡の方をしっかりと見て、言った。

静「比企谷、やってくれるか?」
162 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/16(土) 15:58:09.08 ID:LBxiw++V0
 皆がさっと八幡を見る。

 ここには、八幡をただのひねくれぼっちだと思っていない人が多くいる。

八幡「確実、とはいいませんが、心当たりならいくつか。それも、時間との勝負っすかね」

隼人「ヒキタニくん……」

翔「ヒキタニ君マジっべぇわ! 頼むぜ!」

奏「俺も手伝うよ」

八幡「おう」

雪乃「私たちは……できるだけ時間を稼ぎましょう」

隼人「優美子、もう一曲できるか?」

優美子「はぁっ⁉ それはちょっときついっていうか……」

隼人「頼むよ」

 ……イケメンボイス。

優美子「ま、まぁ? 隼人の頼みなら仕方ない…っしょ」

翔「えー、隼人くーん、それはきついでしょーお」

隼人「ほら戸部、あと一曲だけだから」

翔「はぁー……」

隼人「でも、稼げて5分くらいだぞ。どうする?」

 急にシリアスモードになって隼人君が聞く。

雪乃「そうね……どうしま」

陽乃「はろはろ〜、ゆっきのちゃーん。お困りのようだね〜」
163 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/16(土) 16:02:41.10 ID:LBxiw++V0
雪乃「姉さん……」

結衣「そうだゆきのん! 私たちでバンドしようよ!」

雪乃「え?」

陽乃「ガハマちゃーん、それいいねぇ〜」

結衣「ほんとですか!?」

陽乃「静ちゃん」

 近くにあった、葉山君たちのバンドが使っていないギターを軽く弾きながら、

静「ふむ。お前とやった曲なら、まだなんとかできそうだ」

 と、平塚先生は言った。

 高スペックだな……。どうしてこれで独身なんだろう?

陽乃「めぐり」

めぐり「はい! いけます!」

陽乃「雪乃ちゃん」

 観念なさい、とでも言いたげに雪ノ下さん(妹)の方を見る

雪乃「……わかったわよ。由比ヶ浜さん、言い出しっぺのあなたも歌うのよ」

結衣「わぁ、ゆきのんがんば……ってえぇ⁉ あたしも歌うの⁉
   あたしかしとかうる覚えだよ⁉」

雪乃「それをいうならうろ覚えなのだけれど……今ので少し不安になったわ」

結衣「ひどいよゆきのん! あたしがんばるからぁ!」

雪乃「よろしくね、由比ヶ浜さん。頼りにしてるわ」

結衣「! ……うん!」

雪乃「比企谷君、甘草君」

結衣「ヒッキー……」

八幡「おう。じゃあな」

奏「盛り上げてね!」

 こうして、俺と八幡は相模さんを探しに体育館を後にした。

 制限時間は、10分弱。
164 : ◆oUKRClYegEez [sage]:2016/01/16(土) 16:03:21.63 ID:LBxiw++V0
※ 明日に続く。
165 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/16(土) 16:29:56.51 ID:XJZ/TkZHo
乙です
166 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/16(土) 16:44:17.82 ID:BWTHQm8KO
乙乙

ココまでは原作と同じだが…どうなるんだろ?
167 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/16(土) 16:52:10.27 ID:PA10tlwAO
選べ……
1、「川崎、愛してるぜ」と言って立ち去る
2、「平塚先生、愛してるぜ」と言って求婚する
168 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/17(日) 14:40:07.78 ID:Oi4lgRQu0
八幡「時間が時間なだけに、やみくもに探しても見つからん。奏、ちょっと待ってろ」

 そう言って八幡は携帯電話を取り出し、どこかへかけ始めた。

義輝『我だ』

 八幡が手招きし、俺にも会話の内容が分かるようにしてくれる。フリーハンドというやつだ。

八幡「材木座、おまえがいつも一人で時間をつぶすのはどこだ?」

義輝『ん? むぅ? 我は教室にいても邪魔者だから、昼休みなどは図書館か屋上にいるが?』

八幡「そうか……。おまえちょっと、図書館に相模がいないかみてくれないか?」

 八幡は俺の顔を見ながら言ったが、

義輝『おお! この剣豪将軍、材木座義輝に任せろ!』

八幡「お、おお……。じゃ、頼んだぞ。もしいたら、エンディングセレモニーに行くよう言っといてくれ」

 フリーハンドモードで材木座君に聞こえていたようで、返事があった。

義輝『ふむぅ⁉ 我に女子と会話しろというのか八幡⁉ そんな、話かけられるかわからな――』

八幡「ありがとな、材木座! 愛してる!」

義輝『おう! 我もだ』

八幡「うるせえ!きめえ!」

 ぶつっ、と、そこで会話は終わった。
169 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/17(日) 14:40:46.49 ID:Oi4lgRQu0
沙希「あ、比企谷」

八幡「おう、川崎か」

 2−Fの教室の前で、川崎さんと会った。

八幡「なぁ、相模を見なかったか?」

 単刀直入に八幡が聞く。

沙希「相模さん? そこの階段を上がっていったけど」

奏「本当⁉ ありがとう!」

 言うやいなや、俺は走り出す。

 そこの階段の上に行けば、材木座君の言っていた屋上だ。

八幡「ありがとよ、愛してるぜ川崎!」

沙希「なっ……⁉」

 少しあとからついてきた八幡が何と言ったのか、聞こえなかった。
170 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/17(日) 14:41:30.04 ID:Oi4lgRQu0
 きいいぃぃ……ときしむドア(立ち入り禁止という紙があったが無視)をあけ、俺と八幡は屋上にでた。

 そこにいたのは――

八幡「相模」

 探し人だった。

南「なに?」

八幡「時間がない、用件だけ言うぞ。もうすぐエンディングセレモニーが始まる。実行委員長挨拶をしに体育館に戻れ」

南「どうして? 雪ノ下さんがいる。あの人が代わりにやればいいじゃん」

 言い争いが始まった。八幡に、少し焦りが見える。

八幡「お前の持ってる投票結果を発表しなきゃいけないんだ。早く戻れ」

南「どうして? じゃあ、この紙だけ持っていけばいいじゃん。どうせ私、最初の時みたいにつっかえるだろうし、それなら紙を持って雪ノ下さんや他の人がやった方がましじゃん」

 確かに。

八幡「お前が発表しなきゃ意味ないだろ、実行委員長なんだし――」

 そうだ、ミッション!

 『相模南に、文化祭を完遂させる』は、こういうことか!

 雪ノ下さんに頼ってはいけない、誰かに頼ってはいけない、ただの相模さんが、エンディングセレモニーを完遂しなければいけないのか!

隼人・女生徒A・B「「相模さん(南)!」」

 八幡の手が詰まってきたところで、隼人君が来てくれた。

 彼らの持つリア力には舌を巻く。

 隼人君がここにいるということは、隼人君たちのライブはもう終わっている。

 ……もう、時間はない。

隼人「さぁ、相模さん、みんな待ってるよ」

南「でも……うち……みんなに迷惑かけて……」

女生徒A「そんなのだれも気にしてないって」

女生徒B「そうそう!」

 八幡・俺のペアの時はてこでも動かなかった相模さんの態度がコロッと変わっている。

 リア充、恐るべし。

隼人「さ、戻ろう?」
171 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/17(日) 14:42:56.78 ID:Oi4lgRQu0
南「ウチ、最低……」
172 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/17(日) 14:43:23.45 ID:Oi4lgRQu0
 その瞬間。

 脳に激痛と文字が走った。

【選べ

 1、 比企谷八幡を犠牲にする

 2、 相模南を犠牲にする

 3、 甘草奏を犠牲にする            】
173 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/17(日) 14:44:57.67 ID:Oi4lgRQu0
 八幡を犠牲――これは、八幡自身が自分を傷つけるやり方で、『奉仕部への』依頼、相模南の自立を含む文化祭の成功をさせる、ということだろう。

 相模南を犠牲――具体的なことはなにも思い浮かばないが、これはなぜか、俺の選択肢のミッションに関わってくる気がする。

 甘草奏、つまり俺を犠牲――一番堅実で、それでいて他人を傷つけない選択肢。

 これがあるだけ、この選択肢はありがたいと思う。

 だれも傷つけずに、問題は解決する。

 だから。

 なにもしなければ1番になっていたはずの現実は、俺が3を選択することで、かなり変わることになる。


八幡「ああ、ほんっとうに」

奏「うん、本当に最低だね」

八幡・隼人・南・A・B「「「「!?」」」」

 屋上にいる全員が息を飲むのがわかる。

 八幡でさえも、信じられないという目でこっちを見ている。

 ちったあ、俺にも任せろよ。

 もちろん、選んだのは3番だ。

 なんと言えばいいのか――なぜか、頭の中にすらすらと文章が浮かんできた。

 まるであらかじめ知っていたように。
174 : ◆oUKRClYegEez [sage]:2016/01/17(日) 14:46:46.21 ID:Oi4lgRQu0
※ また火曜日に。
175 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/17(日) 15:16:12.17 ID:A9hJZ1ExO
乙です

奏無双クルー?
176 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/19(火) 11:13:33.52 ID:WEbwYXfS0
奏「本当に最低だね。
  自分から言い出した文化祭実行委員長の仕事を、最後には自分でやめようとしてるんだから。何がしたいのか、全くわからない。かと思えば、今度は葉山君の言葉には軽〜くのっちゃってさ? はぁー、今までの俺たちの苦労は何だったんだって話。だって、俺たちが別に頑張らなくたって、文化祭は成功したんでしょ? 委員長がやらなくていいんだから、俺たちがやってもやらなくてもかわんないじゃん。
  相模さん、君、奉仕部に変わりたいって依頼したんだって? 君自身に変わる意思がないのなら、表面上だけ頑張ってきた俺たちって何なんだろうね? 君は聞いてない? 奉仕部はただのボランティア団体じゃない」
177 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/19(火) 11:14:38.15 ID:WEbwYXfS0
 よくこんなに詭弁が自分の中から出て来るな、と思いつつも、続ける。

奏「君も知っての通り、世界は残酷で君になんか見向きもしない。オープニグセレモニーのことがチラついているのかもしれないけれど、誰にでも失敗はあるし、なんどでも繰り返してしまう。けど君は逃げようとしてる。葉山君の優しい言葉に甘えて、本当の友達と呼べないような友達に慰められて、君は、どこの誰より君自身から逃げようとしてる。」

 それは、俺が選択肢を持っているから、人一倍感じること。

 選択肢は、自分にうそをついてはだめだ。

 つらい。苦しい。いやだ。

 でも。ここで逃げたらダメなんだ!

奏「そうやってずっと逃げ続けてるんだ。君は友達がいるって思ってるけど、本当の友達なの? 友達じゃない、今もこうして糾弾してる俺たちが、一番先に君を見つけたんだ。誰も君を、本気で探そうとはしていなかったんじゃない? 君もホントは心のどこかでわかってるんじゃない? 君が思ってる友達の中で、自分はその程――」

隼人「そろそろ黙れよ」

 これが壁ドン! ただし俺が叫びたいことはキャー、でなく、がふっ、だ。

 葉山君、きついきつい……。
178 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/19(火) 11:27:38.88 ID:WEbwYXfS0
 葉山君が俺を抑えている間に、相模さんたちグループは屋上から出て行った。おそらくは、エンディングセレモニーに向かったのだろう。

女生徒A「なに、あいつ? 転校生?」

女生徒B「何様よ、南泣かせて」

南「ううっ、ううっ……」

 女子が出て行ってから、葉山君は俺の壁ドン、もとい拘束を解いた。

隼人「まさか、お前も比企谷と同じことをするとは思わなかった。……すまない」

 何を返すこともできず、葉山君は去っていった。

八幡「奏」
179 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/19(火) 11:28:20.22 ID:WEbwYXfS0
奏「……なに?」

 話せるくらいには、葉山君のダメージから復活してきた。

八幡「どうして、こんなことをした」

奏「どうしてって……。しなきゃ、八幡がしてただろ?」

八幡「それはそうだが……。学校内ですでにぼっちの俺と、転校したばかりでまだあまり人が定着していないお前とじゃ、傷つきの度合いが――」

奏「オープニグセレモニーでもう十分俺はアウトだよ。それに、それはお前が傷ついていい理由にはならない」

八幡「おまえだって――」

奏「終わったことだよ。それに、俺は俺が傷つくことには慣れてる」

 選択肢というもので。

八幡「……」

奏「いこう? もしかしたら、雪ノ下さんと由比ヶ浜さんたちのライブ、見えるかもしれない」
180 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/19(火) 11:33:27.89 ID:WEbwYXfS0
 BGM・Bitter Bitter Sweet


雪乃・結衣「「見つめるーたび ドキドキしーちゃう♪
      君にもっと、近づきたいのー……」」

 会場は大盛り上がり。

 雪ノ下さん(姉)のドラムが全体のリズムをコントロールし。

 会長の正確なキーボードが音階を奏で。

 平塚先生のベースが荒々しく会場を沸かせ。

 雪ノ下さんと由比ヶ浜さんの声が軽やかに響く。

 文化祭のラストにふさわしいライブだった。
181 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/19(火) 11:40:38.22 ID:WEbwYXfS0
 舞台裏。

女生徒A「おつかれ、南」

南「うえっ、えぐっ……」

女生徒B「あの転校生がなにもしなきゃよかったのにね。
     ドンマイ、南」

 近くで作業している俺にわざと聞こえるように喋る彼女ら。

 片づけ手伝えよ。

静「すまなかったな、比企谷、甘草」

八幡「いえ、どうってことないいっす」

 あのあと八幡には、屋上でのことは話さないように口止めした。

 彼女らは大げさに、俺のことをけなしまくった言い方で学校に広めるだろうが……かまわない。俺はそういうことをした。

 だから、八幡は先生にも屋上のことは話さない。

奏「はい、いやぁ、文化祭なんとか成功してよかったです」
182 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/19(火) 12:07:11.19 ID:WEbwYXfS0
静「そうか。比企谷。甘草。」

 平塚先生は、ふっと、柔らかな笑顔になっていった。

静「準備の段階から、君たちの功績は大きかったように思う。最後もそうだ。
  しかしだな。他人を救うため、というのは、自分が傷ついていい理由にはならないよ」

八幡「いいセリフっすね。奏に先越されてなきゃ」

静「そうだろうそうだろ……へっ!? 甘草、先に言ってたのか……」

奏「ええと、はい、まぁ……」

静「うう……。まぁーあれだ! お疲れさま」

奏「お疲れさまでした」

八幡「奏、目上にお疲れ様でしたは失礼になるぞ。まぁ他にいい言葉が出てこないのは確かだが」

静「はは、こういう時は素直にお疲れさまって言えばいいさ」

八幡「あんた国語教師だろ……」
183 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/19(火) 12:26:53.30 ID:WEbwYXfS0
 なんとなく、八幡の足が部室に向いていたので、俺も一緒に行った。

雪乃「あら、ヒキガエル君。それに甘草君。どうしたの?」

八幡「なぜ奏の名前は間違えず俺にはダイレクトに古傷えぐってくるんだ」

奏「雪ノ下さん、何してるの?」

雪乃「ふふ。……これ、進路希望調査
奏「俺たちも書くやつさっさと終わらせよう。八幡」

八幡「そうだな」

雪乃「なにかあるの?」

奏「文化祭のまとめ。俺たち記録係だから」

雪乃「そう。お疲れさま」
184 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/19(火) 12:27:28.73 ID:WEbwYXfS0
奏「雪ノ下さんも。お疲れ」

八幡「おつか――」

結衣「やっはろー! ゆきのん、ヒッキー、奏君! 後夜祭に行こう!」

 部室のドアを勢いよく開けて、由比ヶ浜さんが入ってきた。

八幡「後夜祭?」

結衣「うん!」

雪乃「語感から察するに、前夜祭の逆バージョン、といったところかしら」

結衣「そう! それ!」

八幡「いかんぞ」

奏「俺も」

雪乃「私も」

結衣「なんでこんな時だけみんな意見あうし! 行こうよ〜」

八幡「俺が言ってもみんな気ぃつかって楽しめねえだろ」

雪乃「同じく」

奏「俺は……」

【選べ

 1、「小町ちゃんに早く帰って会いたいから、行かないよ!」

 2、「相模さんに会いたくないから行かないよ」        】
185 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/19(火) 12:27:54.55 ID:WEbwYXfS0
 自分から言わないでほしいと言っておきながら2を選択するのはおかしいかな……

奏「小町ちゃんに早く帰って会いたいから、行かないよ!」

八幡「お、おう……小町も喜ぶな……」

結衣「シスコン……?」

雪乃「これはシスコンになるのかしら……。どちらかといえばロリコンのような……」

奏「と、とりあえず! 行かないからっ!」

結衣「ゆきのーん……」

雪乃「……わかったわ。行けばいいのでしょう?」

結衣「やったー! ヒッキーは?」

八幡「はぁ、俺は行かないと」

結衣「ヒッキーは?」

 怖

八幡「わかったよ」

結衣「奏くんは?」

奏「俺も行かなきゃだめ?」

結衣「うん!」

奏「わかった」

結衣「よーし! みんなで後夜祭にいこ―!」

 相模さんと会わなければ大丈夫……かなぁ……。
186 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/19(火) 12:29:36.33 ID:WEbwYXfS0
 大変だったけど楽しかった文化祭。

 進まない選択肢の謎。

 これから……どうなることやら。
187 : ◆oUKRClYegEez [sage]:2016/01/19(火) 12:34:59.79 ID:WEbwYXfS0
※祝・6巻完結!

 次からは7巻、修学旅行編ですが、書き溜め完全になくなった(今日のも最期の方、ぶっつけでかいてるやつ)ので、一週分休んで書き溜めます

 charlotteの方は書くので、見ていただければと。
188 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/19(火) 12:36:12.97 ID:spVPw6w3o
乙です
189 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/19(火) 20:44:58.40 ID:2taBsoFMO


選択肢で雰囲気ブチ壊すのかと思ってたら…まさかシリアス展開のままとは…
190 : [sage]:2016/01/20(水) 21:37:53.67 ID:SKVQLalSO
>>183訂正

雪乃「ふふ。……これ、進路希望調査票よ」

八幡「あぁ、あったなそんなの……」

奏「俺達もさっさと書くやつ終わらせよう、八幡」

八幡「そうだな」
191 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/30(土) 13:30:10.69 ID:q51Ta/mT0
 文化祭は終わり、体育祭もつつがなく終わり、そして数週間が過ぎた。

 俺の悪評はそこそこ広まりはしたが、文化祭実行委員のぐだぐだは割と多くの人が知っていいたことと、葉山君たちのフォローで、なんとかいじめられる様なことには発展しなかった。

 未だに相模さんグループからは嫌われているものの、それは想定内だし、どころかむしろ、想定よりかなり甘かったくらいだ。

翔「っつーか、修学旅行か。……っべーなー」

 最近の話題は専ら、京都への修学旅行のことだ。

 やはり高校の修学旅行という青春イベントは、青春を謳歌するリア充らしい会話だ。

 俺には全く理解できない。やっべーなだけで会話を成立させてる彼らの脳はとてもすごいと思う。もはや脳科学研究会に出た方がいいレベル。

結衣「やっはろー」

 八幡の正面に立ち、声をかける由比ヶ浜さん。

八幡「おう」

結衣「今日、部活行くよね?」

八幡「ああ」

結衣「そっか。じゃ、また部室で。」

 そこで由比ヶ浜さんはちらり、と俺の方を見て。

 視線をそらした。

 あ、あれ!? もしかして照れてる⁉

 と思うはずもなく。

奏(ギクシャクするなぁ……)

 まぁ、十中八九、どころか十中十くらいは相模さんのことだろう。
192 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/30(土) 17:06:34.33 ID:q51Ta/mT0
 いじめられる様なことはなくても、こういった「なんか接しづらい」という空気はある。

彩加「ねぇ、八幡」

 戸塚さん(くん?????)が八幡に話しかける。

彩加「今日のLHR、修学旅行の班決めなんだって。それでね? その……」

 なぜか戸塚さん(ほんとにくん????? すっげぇ顔赤らめてるんだけど)が、もじもじと口ごもる。

八幡「……じゃあ、一緒にするか?」

 八幡が察して続きを引き取る。

彩加「う……うん!」

八幡「それじゃあ、あと二人か……」

彩加「どうしよう?」

八幡「どっかの二人組とドッキングだろうな……」

彩加「あ、あのさ? 甘草くんは誘わないの?」

八幡「ああ……そうだな。後で聞いてみるわ」

彩加「え? 今聞けばいいじゃ?」

八幡「あいつにも、いろいろあんだよ」
193 : ◆oUKRClYegEez :2016/01/30(土) 17:15:17.73 ID:q51Ta/mT0
彩加「なにがあるの? ちょっと流れた噂なら、僕気にしてないよ?」

八幡「え? そうなのか?」

 え、そうなの?

彩加「だって、あの甘草君が噂みたいなことをするとは思えないもん。たまに変なことはするけど」

 教卓の上で豚の鳴きまねとかね。
194 : ◆oUKRClYegEez [sage]:2016/01/30(土) 17:18:46.36 ID:q51Ta/mT0
※ のうコメとうとう最終巻でましたね。
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/30(土) 17:35:22.48 ID:VNfRFwHg0
おつ
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/30(土) 17:52:32.82 ID:LzmQidsao
乙です
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/01/30(土) 19:40:21.37 ID:xXj/UqNsO
198 : ◆oUKRClYegEez :2016/02/06(土) 13:09:24.84 ID:wAMJWKYA0
 部室にて。

結衣「もー、ヒッキー暗いし……」

八幡「そんなもんだろ、修学旅行なんて。もともと社会を勉強するために行ってるんだ、行きたくない場所でも着いていかなきゃならんことはこれから山ほどあるだろ。なら、この修学旅行で行き先を自分が決めず、他人が決定したルートで行くのも、立派な社会勉強の一つだろ」

雪乃「完全に否定できないのが辛いところね……」

結衣「ゆきのんまでっ! 甘草君は?」

奏「俺? 俺は、他の人と話し合って決めるかな。どうせ行くんならみんなで楽しみたいし」

八幡「リア充の考え方じゃねえか……」

雪乃「話し合う……?」

結衣「えっ!? 普通そうだよね!?」

奏「大丈夫だよ、俺たちはおかしくないから……」

結衣「だよねっ!」

雪乃「比企谷くん。もしかして私たちっておかしいのかしら?」

八幡「ああ、お前はかなりな」

奏「八幡……認めよう……?」

八幡「俺はお前に言われるとかなりおかしなかんじなんだが……」
199 : ◆oUKRClYegEez :2016/02/06(土) 15:19:08.56 ID:wAMJWKYA0
 とんとん。

 と、部室のドアがノックされた。

雪乃「どうぞ?」

 入ってきたのは、クラスのリア充筆頭、戸部君と葉山君だった。

結衣「やっはろー、めずらしいね、とべっちじゃん! どうしたの?」

翔「おおー、結衣―」

隼人「や」

八幡「葉山か」

八幡(とお調子者の戸部)

奏「………」

雪乃「何をしに来たのかしら? 用がないならかえっていただいて結構よ」

 固まった俺と八幡を横目に見ながら、雪ノ下さんが言った。

隼人「あ、いや、用ならあるよ。依頼をしたいんだ」

翔「あー、でもやっぱりぃ? ヒキタニくんとかぁ、転校生に頼めれないっていうかぁ」

隼人「戸部……それは失礼だろ」

雪乃「では、出て行ってくれるかしら?」

八幡「わかったよ……」

奏「じゃ、俺も」

 と、俺たちが部室から出ようとすると、

雪乃「どうしてあなたたちが出ていくの? 出ていくのは彼らの方よ。頼む側なのに礼儀の心得もない、そんな輩の依頼をどうして受けなければならないのかしら。さぁ、早く出て行って」
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/06(土) 17:18:27.85 ID:jMKN4Ym3O
201 : [sage]:2016/02/13(土) 21:55:44.16 ID:c210IW4tO
※すいません、更新明日にします
おやすみなさい
202 : ◆oUKRClYegEez :2016/02/14(日) 14:13:55.47 ID:T46KgeFo0
翔「おっ、おうぅ……」

 戸部君がなさけない声をだしていたけど、俺も彼の立場なら絶対同じ声を出してた自身がある……。

隼人「すまない、雪ノ下さん。ほら、戸部も。謝って」

翔「雪ノ下さんマジパネェわぁ……。ゴメンな、ヒキタニくん、甘草くん」

奏「あ、うん、いいよ。俺がひどいことしたのは事実だし」

八幡「……で、依頼は?」

結衣「珍しい、ヒッキーから聞いた!」

八幡「いや、面倒そうだからさっさと終わって帰ってくんねぇかなと思って」

結衣「うわぁ……」
203 : ◆oUKRClYegEez :2016/02/14(日) 14:15:02.27 ID:T46KgeFo0
隼人「戸部」

翔「うー……わかった……。まぁヒキタニ君には夏に言ってるしな……よし!」

 葉山君の一言で覚悟を決めたのか、ぐっと拳をつくる戸部君。

 ちらりと名前の聞こえた八幡を見ると、訳知り顔で「ふぅーん……」って顔をしていた。

翔「お、俺さ、海老名さんのこと結構いいな、って思ってて……」

結衣「うんうん!」

 由比ヶ浜さんが話に大きく乗っかる。やっぱ恋バナとか好きなのかな?

翔「で……まぁちょっと修旅で決めたい的なことなんだけど」

奏(わかった?)

と八幡に視線を送ると、

八幡(わからん、言っていることが理解できん)

 と返ってきたものの、しかし表情はどこか察したような顔だった。どっちだよ。

結衣「マジ!?」

 由比ヶ浜さんはキラッキラしてるけど、雪ノ下さんは首をかしげて、なんのことだかわからない、という風だ。

リア充とぼっちの違い……
204 : ◆oUKRClYegEez :2016/02/20(土) 16:04:16.84 ID:8pfba9I50
 そんな雪ノ下さんに由比ヶ浜さんが耳打ちして教え、八幡が改めてわかりやすく簡潔に言った。

八幡「つまり、修学旅行で海老名さんに告ってつきあいたいと、そういうことでいいのか」

翔「そうそうそんな感じ。さすがにフラれるとかきついわけ。ヒキタニくん話早くて助かるわー」

雪乃「悪いけれど、お役に立てそうもないわ……」

八幡「俺もだ……」

奏「えっ⁉ どうして?」

結衣「手伝ってあげないの⁉ ゆきのん」

雪乃「つきあうって、具体的にどうすることかわからないし……」

八幡「だな……」

【選べ

1、「手伝おうよー、とべっち可哀そうじゃん」

2、「八幡、とりあえず俺とつきあってみる?」

3、平塚先生と付き合う                         】

 急に選択肢来るな最近へこみがちだと思ったら!

 普通に考えれば1が正解なんだけど、今までとべっちだなんて読んだことないしなぁ……。

 2はホモ扱いされる。腐女子大歓喜。以上。

 3? 考えるまでもない。

奏「手伝おうよー、とべっち可哀そうじゃん」
205 : ◆oUKRClYegEez :2016/02/20(土) 16:39:54.63 ID:8pfba9I50
結衣「そうだよゆきのん、とべっち困ってるみたいだし」

選択肢は正解。


雪乃「……まぁ、そこまで言うのなら」

八幡「はぁ……やりますか」

翔「まじサンキュー、結衣も雪ノ下さんも」

 あ、あれ? 八幡と俺は?

奏「具体的には何をすればいいの?」

翔「や、だからさー、俺が告んじゃん? そのサポート的なこと?」

 小さく、

結衣「ひゃー」

 と言っているのが聞こえたけれど…

八幡「思いのたけはわかった。逆に言うと思いの丈しかわからなかった」

 うん。具体的にって聞いたのになにひとつ具体的なことは言ってない。

八幡「けどな戸部、言っちゃなんだがそれって結構リスキーなんじゃないか?」
206 : ◆oUKRClYegEez :2016/02/27(土) 14:08:09.91 ID:9R08Iizx0
結衣「リスキー?」

雪乃「リスク。危険を被る可能性のこと」

結衣「それくらいわかるしっ! ゆきのん酷い!」

奏「どういうリスク?」

八幡「そうだな。海老名さんに告白するだろ? んで振られるだろ?」

結衣「そこ確定してるんだっ?」

八幡「それだけじゃない。告白した次の日からそのことがクラス中に知れ渡って、噂される。それを偶然耳にしてしまい、ちょっぴり傷つくリスクがある」

雪乃「比企谷君……」

結衣「またヒッキーの実話じゃん……」

奏「そうなの? 由比ヶ浜さん」

八幡「おい、そこでなぜ本人でなく由比ヶ浜に聞く」

奏「いや、だって……八幡より由比ヶ浜さんに聞いた方が他の話も聞けるかなと……」

八幡「……」
207 : ◆oUKRClYegEez :2016/02/27(土) 14:08:50.52 ID:9R08Iizx0
八幡「リスクならまだあるぞ。親しい人に告ったらその後の人間関係がだな」

 親しい人に。親しいと思っている人に告白するリスク、か。

 なぜだか、少し懐かしく寂しい気分になる。

隼人「その辺はうまくやるよ」

八幡「……そうか」

 葉山君の言葉に、八幡は口をつぐんだ。

隼人「それじゃあ、俺部活あるから、あとは頼むな。戸部も、遅れんなよ」

翔「おー」
208 : ◆oUKRClYegEez :2016/03/05(土) 14:29:11.52 ID:NbPcwOQo0
翔「っつーわけで、バシッとよろしく」

雪乃「よろしくと言われても……なにをしたらいいのかしら?」

奏「……この中でそういう経験のある人は?」

八幡「俺のは役に立たんだろ。失敗談だしな」

雪乃「私もないわ」

 自然と由比ヶ浜さんに視線が集まるが、

結衣「わ、私もないよ!」

奏「じゃ、どうするの」

雪乃「……とりあえず戸部君のアピールポイントを探してみましょう」

翔「……隼人君と友達?」

結衣「さっそく人頼みだし……」

 中々に案は出な

結衣「甘草君、何かある?」

奏「いや。俺はまだ戸部君のことそんなに知らないし……」

 rrrrrrrrrr

翔「おっとやべ、先輩来るらしいから俺部活いくわ。それじゃ、オナシャス!」

結衣「いってらっしゃーい」
209 : ◆oUKRClYegEez :2016/03/05(土) 14:29:46.37 ID:NbPcwOQo0
 翌日。2−Fでは、ホームルームでの修学旅行のグループ決めがされている。

 八幡は依頼のため葉山君・戸部君、あらかじめ約束してた戸塚君(さん?)とグループを作っている。

 雪ノ下さんは別のクラス。ここでの話に直接は関わらない。八幡のグループに関して意見はしたけれど。

 そして俺は。

静「どうせ余りなんだ、自由にしていいぞ。望ましいのはどこかのグループを5人にしていれてもらうことだがな。お前にとってもそれがいいだろう。3人グループを増やすより私も手間が省ける。比企谷たちのグループに入るか?」

 と言われていたので、

奏「じゃ、それでお願いします」

 八幡・戸塚・戸部・葉山君グループになった。
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/11(金) 00:13:47.73 ID:zQKyr8HJo
乙です
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