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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/11/30(月) 00:17:48.23 ID:rzAsx3KDo
つまり、こういうからかいを気軽に言えるのは夕也に余裕があるからじゃないのか。こ
いつと有希はもう付き合い出す寸前の雰囲気を醸し出している。毎日の登校の様子から見
てもそれは明白だった。
「まあいじゃんか。あんな可愛い子がおまえのことを一途に慕ってるんだしよ」
「可愛いって・・・・・・実の妹だっての」
「はいはい」
ひょっとしたら夕也には悪気はないのかもしれない。麻衣は可愛い。自分の妹の容姿を
誉めるのは、たとえ自分の心の中だけにしたって抵抗はあるが、麻衣が可愛いことは事実
だし、いろいろ告白めいたことを同学年の生徒や先輩たちからされていることも事実だ。
少なくとも、本人や有希の言葉を信じるならば。だから、夕也は悪気ではなくそんな妹に
好かれている俺を持ち上げながらからかっているだけなのかもしれない。
「じゃ、俺は学食行くわ。麻衣ちゃんによろしくな」
「・・・・・・おう」
それでも、俺は実の妹とに好かれていることをからかわれていることに納得できなかっ
た。特に、有希の心を持っていった当の本人に言われているのだし。
そのとき、夕也と俺の側に有希が寄って来た。
「学食行かない?」
「おう。混む前に席を確保しようぜ」
夕也が俺と麻衣との関係をからかうことを一瞬にして忘れたように言った。やっぱり、
こいつは有希のことが好きなんだ。
・・・・・・また二人で一緒にお食事かよ。でも、そのことに嫉妬してももうどうしようもな
い。
「麻人は? 一緒に学食でお弁当食べない?」
「野暮なこと言うなよ」
夕也が余計なことを言った。有希は彼の言葉に苦笑めいた表情を見せた。
「あ、そうか。ごめん・・・・・・麻衣ちゃんによろしくね」
「・・・・・・ああ」
そう言う以外に俺に何を言えたのだろうか。中庭に出ると、噴水を囲んで置かれている
ベンチの一つを、麻衣が占領して人待ち顔で周囲を伺っていた。俺は早足で妹が座ってい
るベンチに向かった。
「遅いよ」
麻衣が不満そうに俺を見た。
「そんなに遅れてねえだろ」
「中庭のベンチって競争率高いんだよ? あたしが早く来て場所取りしたからここでお昼
食べられるんだからね」
「・・・・・・わかったよ、ありがとな」
「別にいいけど」
麻衣の頭を撫でると、妹は顔を赤くしたようだった。
「とにかく弁当食おうぜ」
「うん」
「いただきます」
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