【咲 -Saki- SS】 大学編 - いちご味 - ちゃちゃのん「おかえりなさい」

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434 :幕間3@名状しがたい登場人物紹介のようなもの [sage saga]:2016/01/10(日) 15:14:18.87 ID:KOLkOhpF0


◇ 鹿老渡高校 四天王 ◇

中央に鎮座まします 東西南北中央不敗スーパーアジアなちゃちゃのんを守護する、名もなき4人の聖闘士たち。

ちゃちゃのんと同じ鹿老渡高校出身の4人。 実際には名前はあるのだが、そのへんはま〜 お察し下さい。




◇ 快活な長女さん


人見知りの激しい幼少時代のちゃちゃのんと、最初に友達になった快活な少女。 広島弁。

裏表のない快活な性格で、面倒見の良い 三姉妹の長女さん。 大将。

鹿老渡で漁師をしている爺さんの家に夏休みの間だけ泊まりに来たこときっかけで、ちゃちゃのんと知り合う。

本来 鹿老渡メンバーの中では、部長のちゃちゃのんではなく 彼女がリーダー格。




◇ 陽気な妹ちゃん


とても陽気で、好奇心旺盛、『考えるな、感じるんだ』のボクっ子弾丸アホ娘。 三姉妹の双子。 広島弁。

師父ヨーダに師事しフォースの力を感じ取ることで、不可思議なオカルトを使うことが出来る(大嘘)

本作内ではオリジナル設定として鹿老渡メンバー唯一のオカルト能力者になってます。 先鋒でチームの稼ぎ頭。




◇ しっかりものの妹ちゃん


しっかりものの常識人、ちょっと大人ぶるクセがある。 三姉妹の双子。 広島弁。

双子である陽気な妹ちゃんとは大の仲良しなのだが、素直になれずにいつも憎まれ口ばかり言ってしまう。

打ち筋はオーソドックスな守備型。 副将。




◇ 儚げな少女>物静かな女の子


幼少時代に南の都の南西9キロ地点から、病気療養のため鹿老渡の岬にある別荘に来ていた儚げな深窓の令嬢。

別名、幽霊少女。 鹿老渡メンバーでは、唯一の標準語(お嬢さま語)。 二年時は中堅、三年時は次鋒。

高校で再会した時には持病の方も完治しており、物静かな女の子として登場。 ちゃちゃのん大好き。

やや世間ズレしたテレビっ子で、好きな役者は田中 邦衛。 夕べの食事はビフテキ。

因みに原作 咲のパブリックビューイングに映っていた、黒髪ロングの女性は彼女である。


435 :幕間3@名状しがたい登場人物紹介のようなもの [sage saga]:2016/01/10(日) 15:17:53.58 ID:KOLkOhpF0


◇ その他の人々 ◇


◇ 老婆


鹿老渡に住むちゃちゃのんの祖母。 広島弁。

本作のオリジナルキャラだが、ちゃちゃのんの人格形成に大きな影響を与えたわりと重要な人物。

若い頃はいちごパンツ派だったらしいが、晩年は……想像してはいけない。

ビジュアルとして、画太郎先生の描くような老婆を……想像してはいけない。




◇ チハヤ(本名:雨崎 千羽矢)

ちゃちゃのんとも仲の良い、同じ事務所に所属する島根県出身のアイドル歌手。

頭脳明晰スポーツ万能の完璧超人だが、それゆえか物事に対して関心の薄い時期があった。

アイドルビーチバレー大会にてイマイチ成績が振るわないのは、主に相方である ちゃちゃのんのせい。

ちゃちゃのんのアイドル友達としてやきうスレからの登場だが、その更に大元となる彼女がまた凄い。

持ち歌は アオイトリ。


「トッテモ、オイシイヨ!」




◇ マスター

哩の働く喫茶店の、空気のようなマスター。

気の良い人で、洋榎たちサークルメンバーにも色々良くしてくれるナイスガイ。

筆者の中でのビジュアルイメージは、まろまゆの「喫茶エトワール」マスター(CV.藤原啓治)




◇ 漫のオカン

気さくで陽気な漫の母。 大阪弁。

お好み焼き屋を経営する、大阪の明るいオバちゃん。

ちっちゃい胡桃がビリケンさんみたいと、とても可愛がっている。


436 :幕間3@名状しがたい登場人物紹介のようなもの [sage saga]:2016/01/10(日) 15:29:18.63 ID:KOLkOhpF0



◇ にゃんカフェ店長(にゃんこオバちゃん)


ちゃちゃのんの母方の叔母。 大阪在住。広島弁。

ちゃちゃのんのことを本気で心配してくれている、良い叔母さん。

結構ちゃっかりした性格で、客からも人気のあるちゃちゃのんを 自分の店で働かせたがっている。

制服のねこ耳メイド服はこの人の趣味で、黒猫やペルシャ、ミケなど色んな種類のものが用意されている。




◇ 捨てちゃちゃのん


個体差はあるが大体グレムリンサイズ。 雑食ではあるが、総じていちご味の物が大好きなペロリスト。 ちゃちゃ語。

基本的にちょっと臆病で、初対面の相手の前だと生まれたての小鹿のようにプルプルする。

性格は素直で従順。 こちらから愛情を示してあげれば、人懐っこく甘えん坊な性格も見せてくれる。

染まり易いので育て方を間違えると畜生化することもあるが、優しく愛情を持って接すれば 飼い主を守ろうと健気に頑張ったりすることも。

畜生化させなければ、特に呪われるということはない。 無性に泣かせたくはなるが、殴る蹴るとか『ダメ。ゼッタイ。』


「ちゃちゃー」 「ちゃちゃのんじゃ〜〜」 「ヤメるんじゃ〜〜」 「こうりょー」




◇ おつお(本名)


大阪在住。 高校の麻雀部監督(♀)と、その教え子(♀)の間から生まれた子。

上には父親(♀)と同年代の姉が二人いる。 わんぱくでもいい。たくましく育ってほしい。

クソ安価乙。




◇ タコみたいなおっちゃん


タコみたいな顔した、印刷工場を必死に自転車操業する粋なおっちゃん。

お喋りでお人好しで軽卒だが、情に厚い江戸っ子オヤジである。

「葬式無用。 生者は死者の為に煩わさるべからず」




◇ 覆面の男


なぞのじんぶつ。 覆面にテンガロンハット、電撃ムチ姿がよく似合うダンディなオジサマ。

ちゃちゃのんのファン。


437 :幕間3@名状しがたい登場人物紹介のようなもの [sage saga]:2016/01/10(日) 15:39:43.81 ID:KOLkOhpF0



◇ フレデリック・ランカスター 177cm・65kg [図:左]


国籍:O.C.U.オーストラリア。 元はニューヨークのトップ記者だったが、とある暴露記事を書いたことで左遷。

従軍記者として戦地を廻っていた頃は、自らも戦闘行為に参加。 回避や格闘にも優れるが、遠距離からの狙撃を得意とした。

当時 彼が著した記事「祖国達の島」は、社会に大きな影響を与えたという。

現在は戦地で知り合ったロッキーと共に、アジア圏を中心にフリーのジャーナリストとして活動中。




◇ ロッキー・アーミテジ 7月10日生まれ。190cm・80kg O型 ♂ [図:中左]


国籍:O.C.U.オーストラリア(オーストラリア人と東南アジア人とのハーフ)

とても寡黙だが、単に口下手なだけの模様。 天才メイキャッパー。 元陸防軍軍曹。

長身で眉目秀麗、エキゾチックな中性的容姿のため、女性からの人気は高いが当時から浮いた話はなかった。

除隊後フレデリックと行動を共にするが、戦場でのある報われぬ恋を今でも忘れられずにいる模様。

地雷処理部隊に所属していたこともある。




◇ クレバーなサム [図:中右]


とてもクレバーな男。




◇ 寂しがりのマーティン [図:右]


とても寂しがりの男。








【OSaKadAteQさんのやきうスレ】 ※とても面白いですけど、非常に長いです(未完)

・咲「野球って楽しいよね。いっしょに楽しもうよ」※安価スレ
http://www34.atwiki.jp/sakipoke/pages/1.html

438 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [sage saga]:2016/01/10(日) 15:43:06.14 ID:KOLkOhpF0









【咲-Saki- SS】 大学編 -いちご味-



ちゃちゃのん「おかえりなさい」









終 章 いつかのひかり














439 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/10(日) 15:52:29.67 ID:KOLkOhpF0




大人の女性「それじゃ〜 みんな、今から椅子取りゲームを始めましょうね」


子供たち「「は〜〜〜〜い」」



♪〜 チャラチャララララ チャラチャラララランン…








小さい頃から―――



告白というものが、わりと身近なトコにあったけぇ。



ちゃちゃのん、わりとそういうもんに慣れちょると、どこかで錯覚しとった。



実は自分は恋愛上手なんじゃろか―――とか思ってみたり。





でも…



本当はそんなこと これっぽっちもなかったんじゃ。



それくらいは、ずいぶん前から気が付いとったよ。



ちゃちゃのんは、いつだって受け身だったから……


440 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/10(日) 15:53:52.56 ID:KOLkOhpF0




「俺、前から佐々野んこと… ずっと可愛ええ思っとったんじゃ…」





「いちごのことが好きじゃけぇ、ワシと付き合ってくれんじゃろか!!」






クラスの男の子、近所のお兄さん、名前も知らない男の人。




この言葉をゆーのに、いったいどれだけの勇気を振り絞ったことか。







きっと、ちゃちゃのんは―――





これまで告白してくれた相手の気持ちなんて、ちっとも理解出来とらんかったんじゃろうね――――




441 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/10(日) 15:55:41.56 ID:KOLkOhpF0




持つものと、持たないもの―――




与えられた才能と、与えられなかった才能―――




愛された人と、愛されなかった人――――





いつだって、人の座れる席の数には限りがある――――







いくら愛しても、愛されない―――





愛する貴女に愛されるのは、いつだって一人だけ―――








あぁ、世界は 何て不平等なんじゃろう――――





ちゃちゃのんはそうと自覚せず、いくつもの想いを断ち切ってきたんじゃな―――――





442 :終章「いつかのひかり」@ここから暫く、洋榎視点の話になります [saga]:2016/01/10(日) 15:59:18.04 ID:KOLkOhpF0





【 〜〜 洋榎 〜〜 】




あのイブの告白から、早いもんで数ヶ月が経つ。


その間に、新しい春が来て、ウチらは四回生へと進級した。



あれが最後の輝きだったかのように、ウチらの青春時代から少しずつ光が失われていった。




ザワのヤツはこれまで以上に研究室に入り浸るようになり、バイトの店にも殆ど顔を出さなくなった。




バイトのヤツは相変わらず、料理の勉強に打ち込んどるようやけど。


浪人時代の癖なんか もう本気で受験するわけでもないのに、合間を見つけては参考書を読んどる。



で――――今年の受験も落ちたらしい。


たぶん『趣味:受験』で、来年も再来年も受けるだけ受けて、きっと不合格になるんやろうな。




セーラのヤツは東西戦でもええ成績叩き出して、卒業後のドラフト入りも確実視されとるらしい。




漫のヤツは、姫松時代にウチとも一緒やった恭子に告白して 上手くいっとるみたいやな。


前に漫からカテキョーだった いいんちょに、恋愛相談受けとるいう話は聞いとったが


まさかホンマにあの二人が付き合うとは、人生ちゅうんは分からんもんやで。



443 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/10(日) 16:04:25.06 ID:KOLkOhpF0




で、いいんちょは―――


これはウチも後から聞いた話なんやけど…



あのイブの夜、ザワのヤツがいいんちょのフォローをしてくれたらしい。


何でもお気に入りのコートを、いいんちょの涙と鼻水でグショグショにされたとか。



それを冗談めかして話してくれたのは、誰でもない いいんちょやった。



私は平気だから、アンタが好きになった人を しっかり大事にしてあげなさいって…


必死に強がって、そう言えるいいんちょはカッコよくて、


そんでも、やっぱりドコか弱々しくて、正直 胸が痛んだ―――




ウチみたいな無神経モンには、ホンマに勿体無いくらい 強くて可愛いヤツやで――――







あの日、あの春の勧誘ロードで―――




いちごとの再会がなければ、何かが変わっとったんやろか。





アカン、何をアホなことを考えとるんや。




こんなん、ちっともウチらしくないで――――



444 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/10(日) 16:10:00.40 ID:KOLkOhpF0




哩「おい、まだ飲むんか? 自分、飲みすぎやで」

洋榎「やかましいわ。 ええやん、別にこんくらい!!」ヒック

哩「まったく、胡桃のヤツがおらんと、誰もコイツを止めるヤツおらんからな」



哩「で、今日も佐々野のあがり待ちか?」ミズヤデ

洋榎「ん、ま〜な… て、何でお冷やねん!!」

哩「この前、お願いして佐々野の部屋の合鍵 作ってもらった言うとったやないか?」

洋榎「ま〜 そうなんやけど、一人でアイツの部屋におっても何や落ち着かんし…」



洋榎「な、何やねん。 『この恋愛初心者のヘタレめ…』っていう、その上から目線の嘲笑は!?」

哩「いや、ま〜 そのまんまやで。 この恋愛初心者のヘタレめが…」クククッ



洋榎「しゃ、しゃーないやん。 アイツ付き合い出してから、ウチのこと ちょっと怖がっとる気ぃすんねん…」

哩「そりゃま〜 こんな野獣が、うさぎの小屋に入ってくればそうもなるで…」

洋榎「ちょっ、誰がヴァースキ大尉やねん!! あの人も結構 優しいとこあるんやで!!」




哩「お前は佐々野のこと、どう思っとるんや?」

洋榎「何を藪から棒に。 そら、大好きに決まっとるやん―――////」


洋榎「そらま〜〜 アイツはドジで、ノロマで、泣き虫で、どうしようもないアホアホアーホやけど…」


洋榎「誰にでも優しいヤツやし、素直やし、いつだって一生懸命で、ウチには釣り合わんくらいに可愛いヤツなんやで…」

哩「コイツ、思った以上にノロケてきおったな……」クッ




洋榎「―――だからこそ、何でアイツがあの時 泣きながらオッケーしてくれたんか…」




洋榎「今、何を思ってウチと付き合っとるんか―――分からなくなって、怖いんやないか……」



445 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/10(日) 16:16:31.68 ID:KOLkOhpF0




ちゃちゃのん「あ、ヒロちゃん。 今日もお待たせしてしまったかの?」

洋榎「いや、別にそんなんええで。 さっきまでバイトと駄弁っとったしな」カカッ

ちゃちゃのん「もぅ、哩ちゃんお仕事中なんじゃから。 あんまり迷惑かけたらアカンよ」



洋榎「夕飯まだやったら、どっかそのへんで一緒に食わへん?」

ちゃちゃのん「あ、うん。 ええけど……」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、収録押しててっぺん超えることもあるんじゃし。 あまり無理せんでな…」

洋榎「アホ、誰が無理とかするか。 こちとら好きでやっとるだけやねん…」コツン

ちゃちゃのん「あいた。 そか、ありがとな…」ヘヘ





いちごのヤツと付き合い始めてから もぅ数ヶ月が経つが、ウチらの関係は以前とあまり変わっとらん。



ウチはもっとラブラブデートとかしたかったんやけど、いちごのヤツが二人きりの時以外は友達でいたいと言ってきたからや。



ま〜〜 考えてみれば、コイツは今 人気も上昇中の結構な売れっ子アイドルやし、当然といえば 当然なのかもしれんが。




だから、まだウチら二人の関係を知っとるのは、ごく一部の近しい友人だけや。



同性同士っちゅうこともあって、こうして一緒におっても ハタから見れば ただの大学の友達同士やしな。





付き合い始めた頃は ただただ幸せで、ウチも浮かれまくっとったから――――全然、気にならんかったんやけど……





最近 時々、『本当にウチら付き合っとんのか?』と、不安になることがある―――






ちゃちゃのん「あ、このケーキ美味しいんじゃ♪」


洋榎「自分、何で夕飯にケーキとか食っとるんや? 太るで〜〜」


ちゃちゃのん「仕事の後は、妙に甘いものが食べたくなるんじゃ…」エヘヘ



446 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/13(水) 18:00:00.62 ID:codCJdG20



さびしがりのマーチン「あの〜〜 もしかして、ちゃちゃのん……だよね?」

ちゃちゃのん「うん♪ そうじゃよ〜〜」


さびしがりのマーチン「あ、やっぱり… あの〜 この写真集『いちご畑でつかまえて』にサインして貰ってもいいかい?」ゴソゴソ

ちゃちゃのん「あはは… こういう場所で改めて見ると、流石にちょっとテレくさいのぅ…///」


洋榎「おっ、いちごのエロい水着写真集やん!!」

ちゃちゃのん「べ、別に水着以外の写真もあるんじゃよ…///」

ちゃちゃのん「あ、サインじゃったね。 ちょっと、待っちょってね…」カキカキ




さびしがりのマーチン「ど、どうも♪ あの、そこの人は…?」

ちゃちゃのん「あ、ヒロちゃんは学校の仲良しのお友達さんじゃよ♪」

洋榎「…………」


さびしがりのマーチン「ど、どうも… これからも頑張ってね…」スゴスゴ

ちゃちゃのん「うん。ありがとなんじゃ♪」フリフリ


447 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/13(水) 18:03:55.82 ID:codCJdG20



ちゃちゃのん「それでヒロちゃん、就職活動の方はちゃんとやっちょるん?」

洋榎「いんや… どうせウチは、プロの雀士になるやろうし…」


ちゃちゃのん「そんための準備とか、何かしちょるん?」

洋榎「ま〜 バイトと打ったり、漫や絹を捕まえてサンマしたりしとるけど―――」


洋榎「最近 アイツらデートやったり大学の仲間と遊んだりで、イマイチ集まり悪いんでちょっと困っとんで…」





―――たぶん今の洋榎さんじゃ、プロは無理やと思いますよーーぅ




ちゃちゃのん「……卒業まで、あと一年もないんじゃけぇ―――」

ちゃちゃのん「ヒロちゃんも、しっかり考えないと駄目じゃよ……」

洋榎「わ〜った、わ〜〜った。 また今度、ちゃんと考えてみるわ」


ちゃちゃのん「もぅ… ヒロちゃんはせっかく凄い才能持っとるんじゃけぇ、勿体無いんじゃよ…」

洋榎「わ〜〜た、わ〜〜た、 また今度 しっかり考える言うとるやん…」

ちゃちゃのん「ふぅ……」






洋榎「な〜〜 ちゃちゃ、この後 遊びに行ってもええか?」


ちゃちゃのん「え、あ… うん…」


ちゃちゃのん「でもお母さん心配するじゃろうし、長居は無しじゃよ……」


洋榎「ちぇ〜 つまらへんな〜〜」


448 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/13(水) 18:06:34.05 ID:codCJdG20




ちゃちゃのん「あ、ヒロちゃん見て見て♪ あそこに綺麗な夜桜が咲いとるんじゃ!!」

洋榎「お〜〜 ホンマや、軽くライトアップもされとるやん。 今度、みんな誘って花見でもするか?」

ちゃちゃのん「ヒロちゃんは、どうせ花より団子じゃろ…」

洋榎「そらそうやろ。 いくら花見ても、ウチの腹は膨れんしな〜〜〜」カカカッ

ちゃちゃのん「ホンット、風情がないんじゃから……」




洋榎「な〜〜 この辺なら人通りもないし、手ぇ繋いでもええか?」

ちゃちゃのん「え、あ… う、うん……////」

洋榎「…………///」キュッ

ちゃちゃのん「…………」





またや―――



付き合うようになって、改めて知ったことやが…



いちごはホンマ素直で優しくて、いいヤツや。



ウチの思い付きやワガママでも、大抵のことは何でも笑って許してくれる。



せやけど、ウチが恋人として接しようとすると、コイツはいつも決まってツラそうな顔をする。




コイツはウチのことを、本当はどない思っとるんやろか――――



449 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/13(水) 19:48:26.41 ID:codCJdG20



洋榎「でも、さっきのアレ…」

ちゃちゃのん「アレ……?」

洋榎「ウチのこと友達って言うた、ファンへの対応。 何や自分、しっかりアイドルしとったで〜」カッカッカ


ちゃちゃのん「あ、うん… そう、かもしれんの……」

洋榎「………」




言ってみて、自分でも 今のはちょっと嫌味な言い方だったかなと思った。



コイツの口から『友達』言われたことが、少し引っかかっとったのかもしれん。





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんな、最近 あ〜ゆ〜ウソを普通に付けるようになってキタんじゃ…」



ちゃちゃのん「前は、すぐに顔に出ちょったはずなんじゃが…」




ちゃちゃのん「―――何じゃか、自分がドンドン汚れてくみたいで イヤじゃね……」シュン



洋榎「いやいや、その程度のウソ 今どき小学生のガキでも平気でつくやろ!?」


450 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/13(水) 19:49:27.50 ID:codCJdG20



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんがハタチになる前にな―――」


ちゃちゃのん「塞ちゃんと大人になるって何かな〜〜って、話したことあったんじゃ…」


洋榎「酒を飲んだり、ギャンブルやったり、ウチらはもぅすっかりアダルトな大人やで〜〜」



ちゃちゃのん「う〜〜ん… そういうんじゃなくて、もぅちょっとココロのお話じゃよ…」


洋榎「自分、そういう話 好きやな〜〜」






ちゃちゃのん「ちゃちゃのんな、そん時 塞ちゃんにこう言ったんじゃ―――」




ちゃちゃのん「自分の中にある大切なモノを失ってまで、大人になんてなりたくないって……」




ちゃちゃのん「―――ずっと、今のままでいたいって……」



洋榎「…………」


451 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/13(水) 19:51:08.24 ID:codCJdG20




ちゃちゃのん「そしたら、塞ちゃんは こう言ったんじゃ…」



ちゃちゃのん「人は生きてる限り、少しずつ変化していくだろうけど―――」




ちゃちゃのん「でもそれは何かを失うんじゃのぅて、混ざり合っていくってことなんじゃないかなって―――」


洋榎「失うわけやない、か……」





ちゃちゃのん「ヒロちゃんには、今のちゃちゃのんはどう映っちょるんじゃろう―――?」



洋榎「…………」





いちごのヤツが何を一人で悩み、何と言って欲しかったんか―――正直ウチにはよぅ分からんかった。




そんでも夜桜を背に月明かりに照らされたいちごのヤツが、息を呑むほどに綺麗や思って―――



ウチの心臓は、ずっとドキドキしっぱなしやった。


452 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/13(水) 19:52:02.67 ID:codCJdG20




ちゃちゃのん「塞ちゃんは、大人になってもそんなに変わらないってゆーとったけど―――」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、たぶん変わったと思うんじゃ……」



ちゃちゃのん(もしかすると、何も変われんかったのが 間違いだったんじゃろか―――)






洋榎「ちゃちゃは、今も昔も綺麗なままやで―――」



ちゃちゃのん「―――うん、ありがとな……」ヘヘッ





何でコイツは、こないツラそうな笑顔をするんや。




そういえば、ウチは最近 コイツの本当の笑顔を見とらん気がする。



453 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/13(水) 19:53:08.08 ID:codCJdG20





ちゃちゃのん「ほんじゃ〜、またの」フリフリ


洋榎「お、おぅ……」



いちごの部屋で軽くお茶をしながら 最近のことなんかを駄弁って、あまり遅くならない時間に別れる。






洋榎「ちゃちゃ―――」ガッ


ちゃちゃのん「ひ、ヒロちゃん―――」ビクッ




抱きしめて、そのままキスしようと思ったが―――



明らかにいちごの様子に怯えの色が伺えたから、結局 何も出来んかった。





ウチ―――もしかして、ホンマにヘタレなんやろか…




いや、せやかて いちごが嫌がっとんのに、強引にするわけにもいかんやろ。




ウチはいちごを幸せにするって決めたんや――――ウチはジョースターのダンナくらいの英国紳士やねん。



454 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/13(水) 19:54:40.59 ID:codCJdG20



洋榎「こ、今度の休み、一緒に遊園地でも行かへん―――?」


ちゃちゃのん「えっ、で、でも………」



洋榎「そんくらいええやん。 頼んまっせ〜 神サマ、いちごサマ〜〜」ヒッシ


ちゃちゃのん「えっと… う、うん……」コクリ




いちごは人前でのデートとかを嫌がったが、こうやって拝み倒されると 困りながらも大抵のお願いは聞いてくれる。



ちょっとカッコ悪いが、ま〜〜 ウチも恋人の扱いにだいぶ慣れてきたっちゅうことにしとこやないか。



将来は『関白宣言からの関白失脚―――』って、うっさいんじゃ ボケぇ!!







まさかあのウチの告白も、ただ単に断りきれんかっただけやったとか、そんなんやないやろな。



でもコイツは告白に関してはこれまでも 随分と断ってきとるはずやし、流石にそれはないやろ。



もしそうやったら、流石のウチでも泣いてまうでぇ〜〜〜




愛宕洋榎は、今日もクールに去るんやで――― シクシク



455 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/13(水) 19:55:42.96 ID:codCJdG20





そういえば、いちごのヤツ 前にこんなことを言うとったな。



小さい頃に、とっても仲良くしてくれた男の子と女の子がおった。



人見知りの激しかったいちごは、学校におる時間はいつも その二人の後をついて歩いとった。



でもその関係も、男の子がいちごに好きだって告白したことがきっかけで壊れた。





女の子は、その男の子のことが好きやったから、いちごは一度に二人の友達をなくした。




その後 その二人なのか、別のヤツらなのかは知らんが、結構いじめられたりもしたみたいや。





もしかして ウチがアイツに告白したことで、そういうトラウマみたいのが蘇ったとか あるんやろか―――?



456 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/15(金) 18:35:39.78 ID:X5h7/l+l0



アサヤデーーーー!!


絹恵「あれ〜 お姉ちゃん今日は随分とおめかしして、もしかしていちごちゃんとデート?」


洋榎「お、お〜〜 ま〜〜な……////」




絹恵「それにしても、お姉ちゃんがあんな綺麗で可愛い人と付き合うとるなんて…」

絹恵「正直、まだ信じられんで〜〜」

洋榎「何やねんそれ、ウチが頼まれたから付き合ってやっとるんやで〜〜〜」



絹恵「へへっ、冗談やで。 お姉ちゃんのルックス以外の良さは、私だってよぅ知っとるよ♪」

洋榎「まずはルックスから褒めんか〜〜い!!」コラーー



絹恵「ま〜 せいぜい嫉妬に狂ったファンの子たちから、夜道で背中ブッスリされんよう 気ぃつけるんやで〜〜〜」ヒヒヒッ

洋榎「うぉ〜〜〜ぃ、リアルに怖いこと言うの ヤメ〜〜や!?」ガクブル


457 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/15(金) 18:37:48.22 ID:X5h7/l+l0



洋榎(いよっし!! 今日のデートプランはバイトにも相談のってもろたし、我ながらパーペキやで〜〜〜!!)



哩「―――佐々野のハートを、HQN DQN(はきゅんどきゅん)させるデートプランやと?」

洋榎「そうやねん。 何や、え〜 アイデアとかないやろか? あ、縛りとかはなしの方向で頼むで…」

哩「自分、それが人にものを尋ねる態度か。 まったく……」フゥ


哩(―――私は、お前と胡桃のことも応援しとったんやがな…)




哩「そうやな… 一般的に人が恋人に求めるんは、自分にないものやろ…」

洋榎「ふんふん…」


哩「でや、可愛らしさや女の子らしさでは、自分がどんなに頑張っても佐々野には勝てへん…」

洋榎「何やごっつムカつくけど、ま〜 ええわ。 そんで…?」


哩「せやから、自分はワイルドに引っ張ってくれる、頼りになる姿を佐々野にアピールするのがええんちゃうか?」

洋榎「おぉっ、ええやんそれ。 頂きやで♪」メモメモ







ちゃちゃのん「動物園―――? この前は確か、遊園地じゃって…」


洋榎「遊園地は動物園の後に行くで〜 とりあえず動物園に行こうや。 ふわふわもふもふが、いっぱいやで〜〜♪」


ちゃちゃのん「う、うん… ちゃちゃのんも、ふわふわもふもふと 触れ合いたいんじゃ…」

洋榎「よっしゃ、決まりや!!」



458 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/15(金) 18:39:51.48 ID:X5h7/l+l0



カー カー カー バサバサバサッ


ちゃちゃのん「ヒロちゃん、ここはドコなんじゃ… さっきからヤケに墓地やらカラスが多い気がするんじゃが?」


洋榎「この辺は最近出来た大阪の外国人街で、何や地図にも載ってない世にも奇妙な動物園があるらしいで〜〜」ドコヤロ?


ちゃちゃのん「うぅっ… ちゃちゃのん、ちょっと不安になってきたんじゃ……」フルフル






受付らしき老婆「―――いらっしゃい」

ちゃちゃのん「うひゃっ―――!?」ビクゥッ

洋榎「おわっ、何やこの婆さん いきなり…」



受付らしき老婆「中学生かい―――?」

洋榎「いや、ウチらは誇り高き戦闘民族やで…」



受付らしき老婆「だったら―――半額で良いよ……」


洋榎「とりあえず、ここが例の動物園でええみたいやな。 ホイ、二人分の半額」チャラ



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんの分、払うんじゃ…」ゴソゴソ

洋榎「え〜て、え〜て、今日はウチのおごりやで!!」

ちゃちゃのん「でも、何じゃか悪いのぅ…」





―――免責事項―――


当園は普通の動物園ではありません。 非常に危険です。

ケガや物損、生命の保証はいっさい致しかねます!


全ては自己責任です。


了承した上で、ご入園して下さい!!


尚 ご入園される際には、こちらの誓約書へのサインをお願い致します。



459 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/15(金) 18:44:34.40 ID:X5h7/l+l0




ちゃちゃのん「―――帰るんじゃ…」ボソッ

洋榎「へっ……」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、今すぐ帰るんじゃ〜〜〜」ウワーーーンッ



ガッシ

洋榎「待ち待ち待ち〜〜!! 何や、面白そうやん」

洋榎「生命の危険とか誓約書なんてのはネタやてネタ、最近そういう話題作りとかあるやん?」


ちゃちゃのん「うぅっ… 確かに、この前 そんなニュースも見たけど…」


洋榎「な、な、大丈夫やって。 何かあってもウチが絶対 守ったるから平気やで!!」

ちゃちゃのん「でも、怖いのとかは やっぱりイヤじゃよぅ…」ビクビク

洋榎「せっかく来たんやし、頼むて!! ちょっとだけ、ちょっとだけでええから見て行こうや!!」ナッ ナッ



ちゃちゃのん「うぅ、ヒロちゃんがそこまで言うなら… まぁ、ええけど……」コクッ


洋榎「いよっしゃ、摩訶不思議な大冒険に出発やで〜〜〜♪」





機関車―――


洋榎「おっ、機関車や…」

ちゃちゃのん「うん、機関車じゃね…」




軍用車、装甲車、戦車、軍用ヘリ―――


洋榎「おっ、アレはダグラスのアパッチいうヤツなんちゃう? あっちには61式に多砲塔、お菓子の列車砲まであるで…」

ちゃちゃのん「そうなん―――?」



ちゃちゃのん「ちゅうか、ふわふわのもふもふたちはどうしたんじゃ?」


洋榎「ええやん、ええやん。 この外国のB級テーマパークな感じがたまらんやろ?」カッカッカ



460 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/15(金) 23:11:04.75 ID:X5h7/l+l0



ちゃちゃのん「この扉はなんじゃろ――?」

洋榎「ま、とりあえず 入ってみようや!!」ギィィーー



アゴの割れたトミー「ヘ〜〜イ、チーズ!!」パシャッ

恰幅の良いスザンヌ「サンク〜〜ス♪」

ライオン「」グルル…



洋榎「げぇっ… アイツら放し飼いのライオンと一緒に、記念写真撮ってんで!?」

ちゃちゃのん「うっひゃーーーーッ!?」ダダダッ

洋榎「あっ、コラッ!! そない走ると危ないで!?」




バタンッ ズルッ ベチャッ

ちゃちゃのん「うぎゃっ!?」

洋榎「ほら、またコケた…」


461 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/15(金) 23:22:23.42 ID:X5h7/l+l0




ペロペロ ペロペロ

ちゃちゃのん「うひゃっ、ちょっ… くすぐったいんじゃよ〜〜」ヘヘッ



黒虎「」ペロペロ

ちゃちゃのん「――――!?」


キューーー ヘタッ


洋榎「あ、死んだ!? せやけど、あのブラックタイガーを相手取るんは、流石に虎縞愛 溢れるウチでも…」ガクブル





洋榎「ええい、ままよ!! 虎穴に入らずんば、伊達直人にはなれんで〜〜!!」ウチハトラヤ、トラニナルンヤ!!


洋榎「ちゃちゃ〜 待っとれやーー!!」


虎々ちゃん「あ、お客さん―――」







コッコダヨ、コッコダヨ〜〜♪

462 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/15(金) 23:25:31.47 ID:X5h7/l+l0



【園内 休憩所】


洋榎「ほい、替えのタオル。 自分、ちっとは落ち着いたか〜〜」


ちゃちゃのん「ありがと。 はぁ〜〜 ホンに死ぬかと思ったんじゃ……」ウルウル




洋榎「アレにはウチもビビったが… 何やとらのあなの店員さんが言うには、小さい頃から教育されとって 人は襲わんらしいで!!」


洋榎「さっきのおっさん達、獅子舞みたいや言うて ライオンに頭カミカミしてもらっとったしな……」


ちゃちゃのん「そんでも、怖いもんは怖いんじゃ!!」





ちゃちゃのん「それで、他はどんなトコロがあるんじゃ?」


洋榎「園内のデートコースやと、獰猛カンガルーとのハートブレイク・撲針愚(ボクシング)対決、剣山地獄ヤマアラシ・イチャイチャ相撲―――」


洋榎「ハートキャッチ・恐怖のピラニア 吊り橋渡り効果、死のジブラルタル・ワニ海峡心中物語なんかあるらしいけど、一応 行っとくか?」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん… そんな男塾名物みたいなんにゃぁ、絶対に行かんけぇの!!」カタカタ



463 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/15(金) 23:27:44.54 ID:X5h7/l+l0



ちゃちゃのん「それに、ここのメニューは 何じゃ?」




―――スペシャルメニュー お品書き―――


マザーアントのカリカリ揚げ――

毒針のネズミの姿焼き――

女囚さそりっぽい何か――

ジャイアントワームのポリポリ揚げ――

スネークのステーキ――

アマゾンオオトカゲの素揚げ――

銀ギツネのソテー――

クロコダインフライドアーム――




洋榎「食う―――?」


ちゃちゃのん「食わんわ!!」




ドキドキ動物園でウチのワイルドタイガーっぷりをアピール大作戦―――これで合っとったんやろか?



464 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/15(金) 23:31:18.71 ID:X5h7/l+l0




【テーマパーク】


ちゃちゃのん「あ〜 アルパカマーくんじゃ。 ラスカルやカピバラさんもおるんじゃよ♪」

洋榎「こっちのオスカルたちは、ちゃんと柵に入っとるな」

ちゃちゃのん「当たり前じゃよ。 地図にも乗っちょらん非合法動物園とか怪しすぎじゃって…」ラスカルジャ…

洋榎「何でや、ドキドキがいっぱいで楽しかったやん!?」


洋榎(ま〜 ライオンと同じ檻に入った時には、流石のウチもちょっとだけ チビりそうになったけどな…)



ちゃちゃのん「わっふーー♪ このうさちゃん にゃんちゃん、もふもふじゃ もふもふ〜〜♪」スリスリ





グオォォォーーーーーーーーーーーーッ


ちゃちゃのん「うっひゃーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」


洋榎「うぉぉっ!!」




ちゃちゃのん「じゃから、ちゃちゃのん… 絶叫系とか、そーゆーのダメってゆーたじゃろ…」ゼェゼェ

洋榎「悪かった、悪かったて…」ハハッ


465 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/15(金) 23:36:18.78 ID:X5h7/l+l0



洋榎「せやけど、自分 そんなんでよぅリポーターの仕事とか務まんな〜〜」


ちゃちゃのん「怖がり方とかのリアクションがええゆーて、むしろそういう仕事を入れられて困っちょるんじゃ…」カタカタ

洋榎「カカッ、ソイツは災難やな〜〜」



洋榎「ほんじゃ、口直しにあそこのお化け屋敷にでも行っとくか?」


ちゃちゃのん「もぅ… そーゆーんは嫌じゃって、ゆーちょろうが…」





洋榎「おっ、アッチでお疲れ戦隊サンピンジャーショーやっとんで!!」


洋榎「とりあえず、お約束―――かおるクンの『遊園地でボクの握撃♪』してもらいに行こうで〜〜」


ちゃちゃのん「ヒーローショー? ちゃちゃのんは魔法少女の方がええかのぅ…」

洋榎「おっ、自分 魔法少女願望とかあるん?」


ちゃちゃのん「アイドルと魔法少女は、女の子の永遠の憧れじゃけぇのぅ♪」



ちゃちゃのん「やっぱりちゃちゃのんは、ピンクとかイエローに憧れるんじゃ…」

洋榎「自分、そないおデブなカレー好きがええんやな…」


ちゃちゃのん「それは昔の戦隊モノのイメージじゃろ。 魔法少女もののイエローはオシャレでキラキラした子じゃよぉ!!」



466 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/15(金) 23:39:34.71 ID:X5h7/l+l0




ちゃちゃのん「あっちにゃぁ、ガラス細工のお店とかもあるみたいじゃね…」


洋榎「んじゃ、ちょっと行ってみよか」






カララン…


ちゃちゃのん「わぁ、綺麗じゃの〜〜」キラキラ


洋榎「こういうの好きなん?」



ちゃちゃのん「うん♪ 手作りのガラス工芸は、その一つ一つがちょっとずつ違うんじゃ…」


ちゃちゃのん「じゃけぇ… きっとガラスの靴も、世界中でたった一人しか履けないんじゃ―――」


洋榎「せやけど、32文人間ロケット砲の女や、人間エグゾセミサイル使いの女でもなけりゃ、靴のサイズ同じヤツくらいおるやろ」


ちゃちゃのん「もぅ、そういうんはええんじゃよ〜〜〜」ムーー



467 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/15(金) 23:45:00.78 ID:X5h7/l+l0




ちゃちゃのん「ガラス細工にゃぁ 長い歴史とか伝統があって、いっぱいの職人さんたちが魂込めて作ってきた心があるんじゃ―――」


洋榎「ま〜 そうかもしれんな〜〜」




ちゃちゃのん「そもそもガラスっちゅうんは、腐食や酸化現象が起こらんけぇ―――半永久的に存在出来るものなんじゃ」


ちゃちゃのん「でもガラスっって、衝撃にゃぁ 凄く弱いじゃろ―――」





ちゃちゃのん「綺麗で透き通っちょって、光の透過でいろんな輝きを見せてくれて―――」


ちゃちゃのん「見とると心が落ち着くけど、次の瞬間にゃぁ 粉々に砕けてしまうかもしれん―――」



ちゃちゃのん「その永遠の中にある、脆弱さみたいなもんに―――人は心 惹かれてしまうのかもしれんのぅ……」


洋榎「…………」





綺麗で、透明で、一緒におるモンに安らぎをくれる―――




せやけど、乱暴に扱ったらすぐ壊れてしまいそうな、消えてしまいそうな、そんな儚げな存在――――




まるで、いちごみたいやな――――そう思ったが、流石に恥ずかしくて何も言えんかった。



468 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/15(金) 23:49:01.89 ID:X5h7/l+l0




ちゃちゃのん「の〜 ヒロちゃん、ガラスと宝石の違いって何じゃと思う?」


洋榎「ん、そりゃま〜 作り方とか値段が違うんやないんか? 宝石の方がお高いイメージやで」


ちゃちゃのん「そうじゃの、ガラスよりも宝石の方が高いし希少じゃ…」



ちゃちゃのん「ガラスと宝石は共通点も多いんじゃが、最も違うトコは結晶体。 結晶構造の違いみたいじゃな…」



ちゃちゃのん「―――ガラスっちゅうんは基本的に『非晶質(アモルファス)』なんじゃが、宝石には『結晶』が多いんじゃ」

洋榎「えっと、それって何が違うんや?」


ちゃちゃのん「簡単にゆーと結晶っちゅうんは、原子や分子が規則正しいんじゃが、非晶質は不規則なんじゃよ」





ちゃちゃのん「宝石は原石を人がカット、研磨して、そのモノが本来持っとる美しさとか魅力を最大限に引き出したモンじゃ」


ちゃちゃのん「選ばれた石そのものが生まれた時から持っとったチカラを、誰かが見つけ出してカタチにしたものなわけじゃな―――」


洋榎「ま〜 その辺は何となく聞いたことあるで」





ちゃちゃのん「対して、ガラスの主成分は石英ゆーて、これは特別なモノでもなくて そのへんの砂埃の中にも含まれちょるんじゃって…」


ちゃちゃのん「で、この石英とかを含んだ砂とか鉱物を、一度熱して溶かしたモノを 固めて作ったモンがガラスっちゅうわけなんじゃが―――」





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、このガラスが好きなんじゃ――――」


洋榎「―――? ま〜〜 綺麗やし、ウチも好きやで…」



469 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/15(金) 23:53:19.55 ID:X5h7/l+l0




ちゃちゃのん「―――よくアイドルのことを宝石とか、原石ってゆーじゃろ?」


洋榎「せやな、よぅ聞くで…」





ちゃちゃのん「……はやりん先輩とか、原村さんみたいな。 人とは違う特別なオーラみたいのを持っとる人は、きっと宝石なんじゃ」


ちゃちゃのん「でも、ちゃちゃのんは… きっとこのドコにでもある、ガラス玉なんじゃと思う―――」


洋榎「―――ちゃちゃ」






ちゃちゃのん「それでも、このガラス玉――――綺麗で、ちょっと可愛ええじゃろ」クスッ


洋榎「コイツ、自分で可愛ええ 言いおったな―――」ヘヘッ






ちゃちゃのん「だから、ええんじゃ―――ちゃちゃのんはこのガラス玉で…」


洋榎「ガラス玉ええやん。 ウチは親しみやすくて好きやで♪」



ちゃちゃのん「ん… ありがとの…」




ちゃちゃのん「それにガラスはの、一度砕けても――――熱っちゅう情熱を加えりゃ、また綺麗に輝けるんじゃよ……」






ウチにはあまり話さんけど、コイツはアイドルとして色々コンプレックス抱えて、悩みながらも頑張っとるんやろうな――――



ホンマは、もっといろいろ話して欲しいんやけどな――――




470 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/15(金) 23:55:40.28 ID:X5h7/l+l0




洋榎「暗なってきたし、そろそろ歩こか?」


ちゃちゃのん「――――?」






ちゃちゃのん「うわぁ〜〜 お星さまの海じゃ〜〜〜!!」キラキラ


洋榎「この辺は夜間限定のイルミネーションエリアやねん。 凄いやろ!!」


ちゃちゃのん「うん、とっても綺麗で凄いんじゃ〜〜〜♪」ホワワー





ちゃちゃのん「まるで妖精さんの、森の小径じゃね―――」


洋榎「この辺は、まさに光のアーチって感じやろ〜〜」






洋榎「…………」ギュッ


ちゃちゃのん「ひ、ヒロちゃん……?」




洋榎「べ、別にええやろ。 恋人らしく手ぇ繋いで歩くくらい……///」


ちゃちゃのん「う、うん………////」コクッ



洋榎「…………」ドキドキ



471 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/15(金) 23:58:32.39 ID:X5h7/l+l0




【〜〜数日前〜〜】



哩「はぁ〜〜〜 なんや自分ら、付き合い初めて結構経つ いうのに、まだキスもしとらんのか!?」

洋榎「ちょっ!? 声がデカイわ、声が!!」



哩「おっと、スマンスマン。 それじゃ、自分ら 普段二人の時とか何しとるんや?」

洋榎「夕飯一緒に食ったり、ゲームしたり、映画見たり、最近あったこととか話したり―――」


洋榎「―――やっぱウチら、ちょっとおかしいんやろか?」ボソボソ




哩「あ〜〜 いや、別に変やない思うが。 清く正しいプラトニックラブ、そ〜いうのも ま〜素敵やとは思うで…」

哩「無論、双方の合意があればの 話やと思うけどな―――」


哩「片方に無理を強いるような関係は、きっと長続きせんやろ…」


洋榎「ま〜〜 そうやろな……」





哩「な〜〜 自分ら、ホンマ付き合っとんの?」


グッサァッ!!


洋榎「……………」



哩「あれ、もしかして今の禁句やった?」スマン


洋榎「……………」フルフル



哩「いや、だから悪かったって。 怖いからその血の涙ヤメ〜や」



472 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/16(土) 00:02:58.31 ID:DO2pH5Qs0




哩「ま〜〜 私が思うに、佐々野のヤツは押しに弱い―――」


洋榎「お、おぅ… ま〜〜 そういうトコはあるな…」




哩「あと、アイツは結構な妄想癖の持ち主や。 今だに王子さまとか、メルヘンなんかに憧れとる―――」


洋榎「せやな。 ウチもそう思うで……」




哩「だったら、壁ドンやで壁ドン。 夢見る乙女はクール系王子さまの壁ドンに憧れとるらしいばい!!」


哩「遊園地デートでええムード作って、そっから押して押して押しまくれば、佐々野かて きっとイチコロやで〜」クククッ


洋榎「自分 それホンマやろな。 何やだんだん、からかわれとる気ぃしてきたで…」


哩「自分が相談してきたから答えてやっとんのに、何やねんその言い草は…」





哩「ええか、佐々野みたいなタイプは、自分を多少なり強引に引っ張っていってくれるタイプに弱いはずや…」


洋榎「そうやろか……」フムフム



哩「案外、自分が強引に来てくれるのを 待っとんのかもしれんで〜〜 知らんけど…」



473 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/16(土) 00:04:42.05 ID:DO2pH5Qs0




洋榎「…………」



洋榎「―――ちゃちゃ、今から観覧車に乗ろうや!!」


ちゃちゃのん「ほぇっ、随分と急じゃのぅ…」




洋榎「何や急に乗りたなったねん!! あ〜〜 ウチ もぅ我慢の限界や〜〜〜」ジタバタ


ちゃちゃのん「そんな… お手洗い我慢出来ん、オインゴ兄ちゃんじゃあるまいし…」アセッ





洋榎「とにかく、今から乗るで〜〜〜」ズンズン


ちゃちゃのん「ちょっ、そんな引っ張らんでも―――」ワタワタ



474 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/16(土) 00:07:14.30 ID:DO2pH5Qs0




ゴウンゴウン  ゴウンゴウン


ちゃちゃのん「夜の観覧車、大阪の街の灯りがとっても綺麗じゃね…」


洋榎「せやな、まるで人がゴミのようやで…」


ちゃちゃのん「暗くて人は殆ど見えんじゃろ。 それにそれ毎回 言わなくてもええじゃろ…」







洋榎「ちゃちゃとこうして大阪の街を眺めるんは、これで2度目やな…」


ちゃちゃのん「うん、そうじゃね…」


洋榎「…………」




洋榎「前回は、自分がウチのことを強引に引っ張り込んだんやったな…」


ちゃちゃのん「そ、そうじゃったね……」





梅田、HEP FIVEの観覧車に恋人同士で乗ると別れる―――




聞かなくてもええと分かっとったのに、ウチはどうしても聞かずにはおれんかった。



475 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/16(土) 00:11:53.09 ID:DO2pH5Qs0



洋榎「な〜 ちゃちゃ……」


ちゃちゃのん「ん……?」





洋榎「自分、あの時。 梅田 HEP FIVEの観覧車にあるジンクス、知っとったやろ……」



ちゃちゃのん「…………」





ちゃちゃのん「――――うん、知っちょったよ」







洋榎「自分、ジンクスとかそういうの気にする方やったろ。 だったら、何で…」



ちゃちゃのん「…………」




ちゃちゃのん「ジンクスとか、そんなんただの迷信じゃよ…」



ちゃちゃのん「それにあの時ちゃちゃのんたちは、別に付き合っちょったわけじゃ……」



洋榎「確かに、あの日はちゃちゃに頼まれての、撮影終わるまでのつもりカップルやったな……」





だったら、今はどうなんや―――




ウチら、今はホンマに付き合っとるんか――――



476 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/16(土) 00:15:06.92 ID:DO2pH5Qs0




洋榎「ちゃちゃは―――ウチのこと、ホンマに好きか?」




ちゃちゃのん「きゅ、急に何じゃ… そりゃ、好きに決まっちょるじゃろ……」ボソッ








洋榎「それは、友達としてか? それとも恋人としてなんか……?」




ちゃちゃのん「……………」






どうして……




恋人として好きやって、すぐに答えてくれないんや――――



477 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/16(土) 00:17:57.63 ID:DO2pH5Qs0




ちゃちゃのん「ヒロちゃんこそ、胡桃ちゃんのこと――――どう思っとるんじゃ?」





ちゃちゃのん「好きって気持ちは、ホンに もぅないんか―――?」







洋榎「は―――何で今 その話が出るんや、いいんちょ 関係ないやろ!?」






何でここで、いいんちょの名前が出てくるんや―――




いいんちょのことを思うと 今でも胸が痛み、自分の中の冷静な部分が失われるのが分かる――――




478 :洋榎視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/16(土) 00:23:37.44 ID:DO2pH5Qs0





洋榎「ウチにとって、いいんちょは… 大事な親友やって、あの時にも言うたやろ!!」ガシッ



ちゃちゃのん「いっ、痛いんじゃ…… ヒロちゃ―――」




頭に血が登りすぎて興奮のあまり、いちごの華奢な両腕を力いっぱい掴む体勢になる―――




ウチに押さえつけられた痛みからか、振りほどけない恐怖からか、いちごの端正に整った顔が少し歪む――――







ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、ヒロちゃんのこと―――」





ちゃちゃのん「今でも、親友として 好きじゃょ――――」




洋榎「―――――!?」







気がつくとウチは――――――嫌がるいちごに、強引にキスをしとった。





ちゃちゃのん「ヒロ、ちゃ…………」ポロポロ






最初は抵抗しとったいちごの、ガラス細工のように華奢で繊細な身体から、次第に力が抜けていくのが感じられた。





ウチといちご、二人のファーストキスは 悲しい涙の味やった―――――







479 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/16(土) 10:15:35.61 ID:uWV7ptLmo
いつも定期投下乙
どうなるんや・・・
480 :ここから暫く、塞さん視点の話になります@コメ感謝、最後まで見守って貰えるとちょー嬉しいよー [saga]:2016/01/17(日) 17:59:42.17 ID:7aYacRpe0





【 〜〜 臼沢 塞 〜〜 】




塞「あ〜〜 今日も疲れたわ〜〜〜」

胡桃「いらっしゃい」



塞「ほんっと、疲れるわ…」


塞「あ〜〜 もぅゼミ室にも行きたくないーー!!」

塞「ねむたいよーー!!」


胡桃「アハハ、それまた言ってる。 今日も寝ていくんでしょ?」


胡桃「すぐに布団の準備しちゃうね。 あ、それともお風呂 入っちゃう?」


塞「ありがとー、胡桃。 いつもホント助かるよ♪」




塞「あ、胡桃はもぅ ご飯 食べたの?」

胡桃「まだだけど……」


胡桃「疲れてそうだし、私の方は勝手に食べとくよ」

塞「ごめんね」


塞「あ、でも、はい」

塞「宿泊費として、胡桃がこの前美味しいって言ってくれた お弁当買ってきたんだ」

胡桃「わっ、ありがとー♪」




ゼミの合間を見つけては会いに来る、胡桃との変わらない日常―――



胡桃の恋が一応の終わりをみせた あのイブの夜から、もぅ既に数ヵ月が経っていた。



481 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/17(日) 18:03:01.29 ID:7aYacRpe0



胡桃「じゃ、電気消すね〜〜♪」ンッ


塞「うん、お願い」クスッ




精一杯背伸びをして、蛍光灯のヒモを引っ張ろうとする胡桃の姿にちょっと癒される。



補助ヒモ付ければって言ったのに、それは何だか子どもっぽいから嫌みたい。



別に、そんなこと気にすることなんてないんだけどね。





胡桃「今、笑ったでしょ―――」ムッ


塞「笑ってないけど、たぶん胡桃の気のせいじゃない?」


胡桃「……ま、いいけどさ」ンッショ




カチッ



482 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/17(日) 18:06:12.92 ID:7aYacRpe0



胡桃「塞はもぅ一流企業への内定が決まりそうなんだよね。 あ〜〜ぁ、やっぱり理系は就活に強いんだね」


塞「何でも会社の偉い人が 私のゼミの研究内容を気に入ってくれたみたいで、たぶんこのまま決まると思うよ」


塞「胡桃は―――?」




胡桃「私はまだ全然。 このまま就職出来ない女として、哩ちゃんと同列に語られるのだけは避けなくちゃね…」ムムッ


塞「はは、それ哩が聞いたら きっと怒るよ」


胡桃「そっかな、むしろ言葉責めに喜ぶんじゃない」


塞「相変わらず、胡桃は容赦ないな〜〜」ハハハッ







胡桃「ゴメンね……」




塞「――――何が?」





胡桃「……塞はいつも忙しいのに、私のこと心配して来てくれてるんだよね?」




483 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/17(日) 18:11:34.61 ID:7aYacRpe0




塞「それ、ただの口実だから―――」



胡桃「―――?」






塞「私は胡桃のトコで、こうやってグダグダしてる時間が好きなのよ…」



塞「だから、私は私のワガママでこうしてるだけなの…」




胡桃「そ、塞は勝手だね…」




塞「うん、私って勝手なんだ…」






先日、トヨネと熊倉先生に会いに岩手に帰った。



熊倉先生はだいぶ調子を取り戻してるようだったけど、やっぱり以前と同じとはいかないみたい。



その時に卒業したら岩手に戻ろうと思ってること、熊倉先生に話した。




『それが貴方のしたいことなの―――?』と、いつもの優しい声で尋ねられた。




『自分の気持ちに嘘ついて、後悔する生き方だけはしないでね―――』そう言われた。




モノクルなどなくても、やっぱりあの人の瞳には 私のことなど全てお見通しってことみたい。




484 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/17(日) 18:13:47.93 ID:7aYacRpe0




私は、胡桃を守りたい―――




そのためにも、私は一人で生きられるように、先ずは自分自身の地盤を固めなくちゃならない。





お金より大切なモノはたくさんあるけれど、大好きな子を守れるような――――そんな大人に、私はならなくちゃ駄目なんだ。







だから胡桃が残るというのなら、私もこの大阪に残ろうと思う。





たとえ胡桃の気持ちが、まだアイツにあって、私のことなど見ていないと分かっていても。




485 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/17(日) 18:17:00.55 ID:7aYacRpe0




胡桃「そうだ、塞。 今日は時間あるって言ってたよね?」


塞「うん、平気だけど…」




胡桃「久しぶりに哩ちゃんと、洋榎のトコにでも顔出してみない?」


塞「いいの……?」


胡桃「そりゃそうでしょ。 振られたからって『はい、友達ヤメます…』なんて、私はイヤだよ」





洋榎―――か…



あのイヴの夜以来、胡桃はアイツのことを そう呼ぶようになった。




胡桃はそれを『リスタート―――』と、言っていたけれど。




それは胡桃が、アイツへの想いに整理をつけようとしているということで良いんだろうか。




486 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/17(日) 18:20:36.07 ID:7aYacRpe0




塞「ちゃちゃのんも、いるかもしれないよ―――」



胡桃「いや、別に… そんなの気にしないよ。 だいたい私は、ちゃちゃちゃんのことも大好きだし……」



塞「胡桃がもぅ大丈夫だって言うのなら、私も一緒に行くだけだよ」





きっと胡桃も、少しずつ前に踏み出そうと頑張っているんだろう。




何もしてあげられないけど、私はいつだって胡桃のこと 応援してるからね―――







カラン コロン


マスター「やぁ、いらっしゃい」


胡桃「あれ、哩ちゃんは… 今日はお休みですか?」


マスター「あぁ… さっき人生の終わりみたいな顔した、洋榎ちゃんが来てね…」


マスター「とっても大事な話があるみたいで、一緒に裏の方に行ったようだけど…」


胡桃「洋榎、が……」




487 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/17(日) 18:26:07.87 ID:7aYacRpe0




洋榎「ウチは――――もぅ、シマイや〜〜〜」ボロボロ


哩「分かった、分かったて。 それはさっきも聞いたばい」


哩「だから、この前のデートの時に、佐々野のヤツと何があったんや?」





洋榎「ウチ、『いいんちょのことホンマはどう思ってるの?』って、ちゃちゃに聞かれてな―――」



洋榎「ウチのこと、『ホンマは友達としてしか見てない』って、ちゃちゃのヤツに言われてな――――」





洋榎「そんで頭ん中 真っ白になってもうて…」



洋榎「嫌がるアイツに『ズキュウウウン』と、無理やりキスしてもうたんや…」ウゥッ


哩「そ、それはまた、随分と情熱的なキスやったなぁ…」アーーア





洋榎「そしたらアイツ、メッチャ泣いとってん…」



洋榎「凄くツラそうな顔しとった…」





洋榎「でもって泣きながら『ゴメンね…』って、 繰り返すように謝ってくんねん…」




洋榎「それって、もしかしてウチとはもぅお付き合い出来ませんいうことなんやろか!?」





洋榎「あ〜〜〜 ウチは何てサイテーなことを、してしまったんや〜〜〜!?」オロローーーーン


哩「う〜〜〜ん、実にウザい。 ま〜〜 とりあえず焼き土下座でもして謝り倒すしかないやろ」






タッタ…


哩「―――ん、今 誰かおらんかったか?」




488 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/17(日) 18:30:29.17 ID:7aYacRpe0




コツ コツ コツ…


ちゃちゃのん「……………ハァ」





ジャリ


胡桃「ちゃちゃちゃん…」




ちゃちゃのん「あれ、胡桃ちゃん。 こんな時間に、ちゃちゃのんのマンションの前に、どうして…?」





胡桃「ちょっと、久しぶりに話をしたくなって…」


ちゃちゃのん「う、うん… ほんで、塞ちゃんは…?」コクッ


塞「こんな夜遅くにゴメンね…」





胡桃「―――ついて来ないでって、言ったんだけどさ…」


塞「…………」



今、胡桃を一人に出来るわけないじゃない。





胡桃「ここで立ち話もなんだしさ、あっちの公園にでも行こうよ」


ちゃちゃのん「う、うん…」




胡桃「悪いけど、塞はここで帰って貰えないかな」


塞「…………」




489 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 20:39:07.60 ID:vbwxdeeg0




ちゃちゃのん「悲しい、なごり桜じゃの…」


胡桃「―――?」





ちゃちゃのん「この公園の桜の花もだいぶ散ってしもうて、ちらほら薄紅色の若葉が混ざり始めとるじゃろ」



ちゃちゃのん「こういう葉桜になりかけとる、なごり桜がちょっと切なく見えたんじゃ……」




胡桃「そうかな。 綺麗な花が散るのは確かに寂しいけど…」



胡桃「それって、桜の木がそこで役目を終えるわけじゃないってことでしょ…」





ちゃちゃのん「散った桜の花びらと、これから芽吹く若葉たち…」



ちゃちゃのん「それって、同じ心を持ったものなんじゃろか―――」



胡桃「さぁ、私にはよく分かんないけど……」



490 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 20:47:14.93 ID:vbwxdeeg0




ちゃちゃのん「でも、胡桃ちゃんと、こうしてお話するのもホンに久しぶりじゃの」



胡桃「……そうだね」



胡桃「お互い何かと忙しかったし、そういう感じでもなかったもんね」







ちゃちゃのん「ちゃちゃのんな、胡桃ちゃんにはずっと謝りたかったんじゃ…」



胡桃「謝る、何を―――?」







ちゃちゃのん「ヒロちゃんの、こと――――」



胡桃「…………」






胡桃「洋榎がアンタを選んだ、それだけのことじゃない…」




胡桃「―――それをどうして、何でアンタが謝る必要あるのよ?」



ちゃちゃのん「…………」



491 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 21:43:38.76 ID:vbwxdeeg0




胡桃「それよりも、ちゃちゃちゃん。 洋榎に『友達』だって、言ったんだって―――?」




ちゃちゃのん「…………う、うん」






胡桃「何だって、そんなこと言ったの?」



胡桃「アンタだって、洋榎のこと 好きなんでしょ―――?」




ちゃちゃのん「…………うん、好きじゃよ」コク



胡桃「だったら、どうして―――」







ちゃちゃのん「でも、ちゃちゃのんは…」



ちゃちゃのん「それと同じくらい、胡桃ちゃんや塞ちゃんのことも大好きじゃ…」




胡桃「アンタ、それ本気で言ってんの?」ギリッ






ちゃちゃのん「本気じゃよ。 ちゃちゃのんにとって――――」




ちゃちゃのん「ヒロちゃんも、胡桃ちゃんも―――同じくらい、大切なお友達じゃ……」



492 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 21:46:02.22 ID:vbwxdeeg0




ちゃちゃのん「これ、覚えちょる―――?」スッ




胡桃「それ、伊勢神宮で撮った……」





ちゃちゃのん「生憎とせーちゃんと哩ちゃんは、一緒ではなかったんじゃが…」




ちゃちゃのん「この時のみんな、スッゴく ええ顔しちょるよね―――」フフッ



胡桃「……………」







ちゃちゃのん「一人張り切っておめかししてきた、ちゃちゃのんだけ―――」




ちゃちゃのん「とっても浮いちょるって、みんなにたくさん からかわれたんじゃ…」






ちゃちゃのん「これは、ちゃちゃのんの 宝物じゃ――――」




493 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 21:47:39.63 ID:vbwxdeeg0





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは―――」






ちゃちゃのん「あの頃みたいに、みんなで楽しく過ごしたいだけなんじゃ――――」











胡桃「バカじゃないの―――」





ちゃちゃのん「胡桃ちゃん――――?」








胡桃「私も、アンタも、アイツだってね、永遠に変わらないものなんて無いのよ…」






胡桃「それを、アンタは… いつまでも昔の思い出にしがみついて、今を全然 見ようとしてない―――」






胡桃「そういうの――――ホンット気持ち悪い…」




ちゃちゃのん「…………」



494 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 21:49:40.05 ID:vbwxdeeg0




胡桃「アイツが、洋榎のヤツが…」




胡桃「いつ頃から、お酒をお昼からたくさん飲むようになったか知ってる?」




ちゃちゃのん「え………?」







胡桃「今にして思うとね―――アンタがアイツと、なかなか会えなくなった頃からなんだよ…」





胡桃「その意味、少しは分かってあげてよ―――」ギュッ




ちゃちゃのん「…………」



495 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 21:52:14.83 ID:vbwxdeeg0





胡桃「アンタがそんなだったら、私が――――洋榎を奪うわよ」




ちゃちゃのん「…………」









ちゃちゃのん「胡桃ちゃんは、ホンにヒロちゃんのこと よぅ見ちょるね…」





ちゃちゃのん「胡桃ちゃんは、ちゃちゃのんなんかより…」




ちゃちゃのん「ヒロちゃんのこと、一途に想っとったのかもしれんね―――」




胡桃「…………」








ちゃちゃのん「そんな胡桃ちゃんにじゃったら、それも仕方ないのかもしれんの……」






ちゃちゃのん「その方が、きっとヒロちゃんじゃって――――」ギュッ




496 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 21:53:54.07 ID:vbwxdeeg0




ちゃちゃのん「―――あ」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんとヒロちゃんな、まだ何もしちょらんけぇの…」






ちゃちゃのん「そりゃぁ、この前…」




ちゃちゃのん「事故みたいなキスだけは、してしもぅたけぇ――――////」ゴニョゴニョ




ちゃちゃのん「じゃ、じゃけぇ――――」










胡桃「――――ふっざけんな!!」





ちゃちゃのん「―――――!?」




497 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 21:55:26.93 ID:vbwxdeeg0





胡桃「それって振られた私が可哀想だから、同情のつもり―――?」





胡桃「それとも、私が仲の良いお友達だから―――?」







胡桃「私と洋榎がくっつけば、アンタの言うお友達ごっこが続けられるの――――?」





ちゃちゃのん「そ、そんなつもりは――――」












胡桃「私はあの時―――」






胡桃「私の想いを、アイツに伝えたつもり――――」







胡桃「そりゃ、本当はもっと伝えたいことあったし、大分不恰好なカタチになっちゃったけど――――」








胡桃「私は私の恋に、自分なりの決着をつけた!!」







―――――それでも、アイツはアンタを選んだ。





498 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 21:57:49.96 ID:vbwxdeeg0





それなのに―――






そのアンタが、後ろばっかり見て 前に進まないとか――――あんまりじゃない。









胡桃「アンタは、いつだって そうだった―――」






胡桃「私がアイツに告白するのを、ただ黙って待っただけ―――」






胡桃「アイツからの告白を、ただ黙って受け入れただけ―――」





499 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 21:59:13.12 ID:vbwxdeeg0






胡桃「――――アンタ、本当は何も選んでないじゃない!!」





ちゃちゃのん「―――――!?」











胡桃「せめて… アイツのこと、誰にも渡さないくらい 言いなさいよ……」






胡桃「じゃないと、私――――どんだけ惨めなのよ……」ポロポロ






ちゃちゃのん「胡桃、ちゃん………」





500 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 22:00:34.36 ID:vbwxdeeg0





私のことだけじゃない、それ以上に許せないのことがある――――






胡桃「私が大好きだった――――」






胡桃「アイツのアンタへの想いまで、ウソにすんな!!」













胡桃「こんな時くらい… ちゃんと戦いなさいょ………」ポロポロ






塞「胡桃、もぅいいよ。 帰ろう……」




501 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 22:02:36.33 ID:vbwxdeeg0




胡桃「何よ、来ないでって言ったでしょ……」バカ…





塞「そりゃ来るよ、胡桃がツラそうな顔してる時だもの…」










ちゃちゃのん「あ、あの………」



塞「何か、ゴメンね…」



塞「胡桃は私が面倒みるから、ちゃちゃのんも涙 拭いてね…」








塞「ちゃちゃのんは私にとっても、大切な友達だけど―――」





塞「それ以上に、私は胡桃の理解者だから。 今は、手を貸してあげること出来ないから…」





ちゃちゃのん「う、うん………」




502 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 22:05:00.65 ID:vbwxdeeg0




ちゃちゃのん「その、ごめんの―――」





ちゃちゃのん「胡桃ちゃんを傷つけるつもりなんて――――ちゃちゃのん、なかったんじゃ……」





塞「うん、分かってる―――」





塞「きっと胡桃も、それが分かってるから 余計にツラいんだと思う……」











ちゃちゃのん「それに、ちゃちゃのんは―――」





ちゃちゃのん「ヒロちゃんからの告白を、受ける入れた時―――」







ちゃちゃのん「塞ちゃんの、純粋な想いを――――」





ちゃちゃのん「自分勝手な、言いわけに使ったんじゃ……」






塞「そう、なんだ―――――」





503 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 22:08:10.76 ID:vbwxdeeg0








塞「ほら、胡桃 鼻かんで」



胡桃「ん、ありがと…」チーーン






胡桃「ちゃちゃちゃんは…?」



塞「胡桃のこと気にしてたけど、とりあえず今は帰ってもらった」








胡桃「私―――ちゃちゃちゃんに、とっても酷いこと言っちゃった…」



塞「そう思うなら、今度一緒に謝ろうね」ヨシヨシ



胡桃「うん、そうする…」ズズ…







塞「それにしても、胡桃って意外と不器用だよね…」フフッ



胡桃「何それ…?」





塞「本当は洋榎のためだったんでしょ?」



胡桃「し、知らないわよ!! 私を振ったあんな薄情者のことなんて……////」




塞「ふふ、不器用な胡桃も可愛いって思うよ」




胡桃「塞――――」



504 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 22:12:03.61 ID:vbwxdeeg0





胡桃「いつも、ゴメンね……」



塞「ん、何のこと?」








胡桃「―――私、きっと塞のこと…」



胡桃「これまでにも、いっぱい傷つけてるよね…」



塞「私はこれくらいじゃ傷つかないから、平気だよ……」





胡桃「ウソ、絶対 今だって傷ついてる……」



塞「そんなことないってば…」ハハッ






胡桃「塞のそうやって、いつも一人だけ大人ぶってるポーズ、ちょっとキライ…」



塞「うん、そうだね…」





塞「私も、あんまり好きじゃない……」







うん、胡桃の言う通りだね。




これは私の本心を覆い隠すためのポーズ―――





これでも自分じゃ、結構 器用で素直な性格だと思ってたんだけどなぁ――――




505 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 22:14:41.65 ID:vbwxdeeg0




胡桃「私ね、ガンコだよ…」



塞「うん、知ってる」






胡桃「ずっと、気持ち―――変わんないかも知れないよ…」



塞「うん、知ってる」







胡桃「これからも塞のこと、いっぱい傷つけちゃうかもしれないよ…」




塞「良いよ。 私は傷つかないから…」






塞「大体 今まで私が胡桃のこと、どれだけ見てきたと思ってるのさ…」




506 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 22:16:22.94 ID:vbwxdeeg0





塞「胡桃が歩けるようになるまで、ずっとそばにいるからね―――」




胡桃「私が、一人で歩けるようになったら――?」






塞「それは、どうだろう…」







塞「それはまた―――その時にでも、考えれば良いんじゃないかな」ハハッ




胡桃「何それ、バカみたい…」




塞「そうかな…?」






胡桃「ううん… バカなのは、私もかな……」




507 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 22:21:00.65 ID:vbwxdeeg0




胡桃「何だか、トヨネたちにも 会いたくなってきちゃったな…」ヘヘッ



塞「あ、それいいね♪」





塞「今度の休日、一緒に会いに行こっか…?」








胡桃もちゃちゃのんも、きっと優し過ぎただけなんだ。




相手のことを思いやって、自分も相手も傷つけて。




純粋ゆえにいっぱい傷ついて、いっぱい泣いて。







私たちは、本当にどうしようもないくらいに未熟だ―――





でも私は、そんな不器用なこの子たちが大好きだし―――





とても愛おしくて、かけがいのないものだって感じてる――――




508 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/19(火) 22:24:35.46 ID:vbwxdeeg0






今はまだ、とても言えないけど――――






胡桃――――あなたのこと、私が絶対 幸せにするからね。
















そして、数日後の週刊誌の芸能記事にて―――





奇しくも、私たちはちゃちゃのんを見ることとなった――――




509 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/21(木) 18:18:45.44 ID:hPilukeK0




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〜〜 ちゃちゃのん 熱愛スクープ!? 〜〜




今、人気上昇中の若手アイドル・佐々野 いちご(ちゃちゃのん)に恋人発覚!?





お相手は同大学に通う、同性の女性との噂。



二人が某テーマパークにて、手を繋いで歩く姿などが目撃されている。



以前に二人は、同性カップル応援企画の挙式PR活動のモデルもしていたとか。





これまで、事務所移籍の際の噂以外では 異性の影を一切感じさせなかった



清純派の彼女だけに、そちらの人という可能性は意外と濃厚かもしれない。



現時点では仲の良い女友達という可能性も否定は出来ないが、真相の程は?






証言者M氏「とっても仲良さそうでしたし、可能性は高いんじゃないかな…」



証言者L氏「二人で観覧車に乗って、キスしてるようにも見えたけどね…」




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510 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/21(木) 18:24:32.62 ID:hPilukeK0




塞「胡桃、この記事読んだ?」



胡桃「う、うん… 洋榎はこのこと、知ってるのかな…」トゥルルルル…








洋榎「もしもし、いいんちょか」ピッ



胡桃「洋榎、ちゃちゃちゃんの記事は見た?」



洋榎「ああ、見たで……」





胡桃「それで、ちゃちゃちゃんとは もぅ話したの?」



洋榎「イヤ、連絡しても通じんかった…」



洋榎「事務所にも聞いてみたんやけど、アイツ 前から何日か休みとってたらしくて―――」



洋榎「事務所側もアイツが何処におるんかまでは、把握しとらんかったわ……」



511 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/21(木) 18:27:56.29 ID:hPilukeK0




胡桃「それで、どうするの―――?」



洋榎「どうする言われても、どうにもならんやろ…」ボソ




胡桃「どうにもならんって、ちゃちゃちゃん ほっとくの?」






洋榎「そら、気にはなるけど…」




洋榎「ウチ、アイツに酷いことしたんや。 ホンマ合わせる顔ないで……」







胡桃「洋榎のヘタレ!! 私を二人の仲人に呼ぶって約束、どうしちゃったのよ!!」





胡桃「つまんないことでウジウジしてる暇があったら、さっさと ちゃちゃちゃん捜しなさいよ!!」




洋榎「いいんちょ……」




512 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/21(木) 18:30:58.04 ID:hPilukeK0




胡桃「ホントはあの子だって、アンタのことが大好きなの!! それくらい、分かりなさいよ バカ!!」



洋榎「バカて、随分な言い草やなぁ。 大体 何でいいんちょに、そないなこと分かるんや…」



胡桃「…………」




胡桃(当たり前だよ。 だって私たちは、同じ人を好きになったんだもん…)




胡桃(貴方の良いところは、私たちが一番良く知ってるんだから―――)








胡桃「―――とにかく、さっさとちゃちゃちゃんを迎えに行くこと!!」




胡桃「それと、あの子に―――」




胡桃「『アンタなんかに心配されるほど、私はヤワじゃないわよ!!』って、文句言っといてよね!!」ジャーネ





洋榎「カカッ、了解やで。 いいんちょ――――」




洋榎「―――ホンマ、サンキューな…」





洋榎「やっぱいいんちょは、ええ女やで!!」





513 :塞 視点@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/21(木) 18:34:10.89 ID:hPilukeK0





ツー ツー ツー ツーー



胡桃「…………」




塞「胡桃、平気……?」









胡桃「ヒロエの、バッキャローーーーーーーーッ!!!!」




塞「―――――!?」ドキッ






514 :※塞さん視点 ここで終了です@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/21(木) 18:38:42.29 ID:hPilukeK0





胡桃「ふぅ、ちょっとだけ スッキリした…」ハァ




塞「胡桃……?」






胡桃「アハハ、ゴメンね。 もぅ平気だから、それじゃ〜 トヨネたちに会いに行こっか―――?」ヨイショ




塞「胡桃は、強いんだね」





胡桃「そうかな? それって、きっと塞のおかげもあると思うけど」ヘヘッ




塞「だったら、私も嬉しいかな……////」











塞「―――ちゃちゃのんは、大丈夫かな?」





胡桃「心配ないよ、アイツがついてるんだもん」







胡桃「後は任せたよ、洋榎――――」








515 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/23(土) 17:02:07.70 ID:Z9Gqc4rv0





【いちご日記】




×月××日(くもり)



大好きなばっちゃが おらんくなった。



お母さんはもぅ会えんゆーちょるけぇ、いちごはそんなん 絶対信じないんじゃ。



ばっちゃはきっとどっかにおって、今でもいちごのこと 見守ってくれとるんじゃ。





ばっちゃ…



いちごがええ子にしとったら、きっとまた会いに来てくれるんじゃろ…?




いちごの想い、この絵はがきにのせて ばっちゃにとどけるんじゃ…








×月××日(はれ)



夕べ、ばっちゃがいちごに 会いに来てくれたんじゃ。




あそこは、夢の中だったんじゃろうか?




夢でも何でも、ばっちゃと会えるなら いちごはええんじゃ。




やっぱり、ばっちゃは今でもいちごのそばに おってくれたんじゃね。




516 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/23(土) 17:04:39.32 ID:Z9Gqc4rv0




【いちご日記】




×月××日(あめ)



夕べもまた、ばっちゃとお話したんじゃ。




大好きなばっちゃ、ずっといちごのそばにいてくれにゃぁ イヤじゃよ。










×月××日(はれ)



婆っちゃとの思い出詰まった、鹿老渡を離れてだいぶ経つ。




今日はあのアイドルさんが呉でライブをするゆーんで、会いに行ったんじゃ♪




アイドルさん、前にいちごの出した手紙のこと 覚えちょってくれたんじゃ。




婆っちゃとも、一緒に行きたかったのぅ。




517 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/23(土) 17:06:17.03 ID:Z9Gqc4rv0




【いちご日記】




×月××日(はれ)



今日、いちごは婆っちゃも通った



あの鹿老渡高校に入学したんじゃよ。




そこで婆っちゃも知っちょる、あの子たちと再会出来たんじゃ。









×月××日(はれ)



双子ちゃんが入学してきて



ようやっと待望の鹿老渡高校 麻雀部の復活じゃ♪





いちごな…



婆っちゃと同じ、鹿老渡高校 麻雀部の部長さんになったんじゃよ。



いちごがみんなを引っ張っていけるよう、もっともっと頑張らんとの…




518 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/23(土) 17:09:00.64 ID:Z9Gqc4rv0




【いちご日記】




×月××日(くもり)



最後の全国大会



いちごのせいで、鹿老渡高校は 一回戦 敗退。




いちごはみんなの気持ちを 裏切ってしまったんじゃ。






婆っちゃ…



いちごは守りたい思っちょったもん…




また、守れんかったんじゃ―――









×月××日(あめ)



最近、婆っちゃに絵はがき届かんことが増えてきちょる。




もしかして、このまま婆っちゃと 会えなくなってしまうんじゃろか?





婆っちゃはいちごのこと、置いていったりはせんじゃろ?



お別れなんてイヤじゃよ…




別れは、怖いんじゃ…





519 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/23(土) 17:17:45.62 ID:Z9Gqc4rv0




【いちご日記】




×月××日(はれ)



二度目の大阪の桜。



今日な…



全国大会でいちごが負けた、あの愛宕さんたちと再会したんじゃよ。




不思議と恨みの気持ちとかはなく、いちごは純粋に嬉しいって思ったんじゃ。






婆っちゃ、どうしてじゃろうね?




いちごは何かが変わるような、そんな気がしたんじゃ。





520 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/23(土) 17:19:39.80 ID:Z9Gqc4rv0




【いちご日記】




×月××日(くもり)



あのイブの夜以来、婆っちゃと会えちょらん。





婆っちゃ、いったい何処へいってしまったんじゃ?





いちごにゃぁ、婆っちゃが必要なんじゃ。







会いたい…






ただ会って、またお話がしたいんじゃ…










迷子のいちごを、一人きりにしないで欲しいんじゃ――――










521 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/24(日) 00:04:12.64 ID:5ceRQtLW0











ここは…



山と海とトンボロの島。



おそらく明治の頃から 何百年と変わっちょらんじゃろう、潮の薫る古い碁盤の目の町並み。





遮蔽物一つない、見渡す限りの蒼い空と碧い海。



あの小高い丘に見えるんは、子どもん頃 よぅ通ったお宮さんじゃろか。





全てが懐かしいと思えるこの風景。




ここはちゃちゃのんの故郷、鹿老渡かの……?










雪じゃ……




こんな季節に珍しいのぅ…?




でも、潮っけ多いここでは きっと積もらんじゃろね。





積もることさえ許されん 淡い雪たちが、何故だか 今はとても悲しく思われて……





522 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/24(日) 00:06:45.29 ID:5ceRQtLW0






―――




あそこにおるんは…





誰じゃったかの……?







ちゃちゃのん、たぶんあの人のこと…







知っちょった はずなんじゃが―――――







523 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/27(水) 18:23:00.99 ID:MUKpKKPS0






あぁ、そうじゃ…






アレは――――若い頃の、ばっちゃ…









ちゃちゃのんの知っちょる ばっちゃとは









ずいぶんと違うんで、気づかんかったんじゃ――――







524 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/27(水) 18:35:05.98 ID:MUKpKKPS0





あぁ、ばっちゃ…




ずっと会いたかったんじゃよ―――





いっぱいいっぱい、お話したかったんじゃ―――






もぅ何処にも、いなくなったりしたらイヤじゃよ――――









ばっちゃ―――――






ばっちゃ―――







525 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/27(水) 18:37:41.42 ID:MUKpKKPS0







いちご―――




いちご―――――




いちご―――――――







「おい、いちご!! しっかりせんか―――!!」







ちゃちゃのんを必死に呼ぶ声、誰じゃろう?





なんでそんな心配そうな顔で、ちゃちゃのんのこと見とるんじゃ?





ばっちゃと会えて、今 ちゃちゃのんはとっても幸せな気分なんじゃよ。







もぅ少し、このままでいたかったんじゃが――――どうやら意識は覚醒へと向かっとるようじゃ。








『サヨナラ、ちゃちゃのちゃん―――――』






526 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/27(水) 18:39:47.77 ID:MUKpKKPS0






洋榎「おい、いちご!! 自分、しっかりせんか!!」ユサユサ










ちゃちゃのん「あ、ヒロちゃん――――?」





洋榎「こんアホンだら。 ようやっと見つけたでぇ!!」ギュッ









ちゃちゃのん「婆っちゃ、は――――?」





ちゃちゃのん「それに、あの淡雪―――――?」





洋榎「―――――?」








ちゃちゃのん「そか、アレは―――――全部、ちゃちゃのんの夢だったんじゃな……」ツゥーー







527 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/27(水) 18:46:59.16 ID:MUKpKKPS0






洋榎「いちご―――?」





洋榎「自分、泣いとるんか――――?」






ちゃちゃのん「へへ… 大好きじゃった人に、また会えたんじゃ――――」





洋榎「そか、良かったな」










ちゃちゃのん「うん、そんでな―――――『サヨナラ』って…」





洋榎「そうか―――」









ちゃちゃのん「もぅ独りじゃないけぇ――――婆っちゃがおらんでも 大丈夫じゃろって…」







ちゃちゃのん「最後のお別れ、言われてもうたんじゃ……」





洋榎「……………」




528 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/27(水) 20:11:24.39 ID:MUKpKKPS0





ちゃちゃのん「へへっ……」




洋榎「ん……?」










ちゃちゃのん「迷子のちゃちゃのん―――また、見つけ出してくれたんじゃね」







洋榎「あ、当ったり前やろ。 自分が迷子の時は、何度だってウチが見つけ出したるで―――」






ちゃちゃのん「うん、ありがと……」






529 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/27(水) 20:14:40.20 ID:MUKpKKPS0





洋榎「しっかし… まさか鹿老渡まで追って来ることになるとは、流石に思わんかったで――――////」





ちゃちゃのん「ヒロちゃんが来るなんて、ちゃちゃのんも驚いたんじゃ……」ヘヘッ








幼い日に夢見た、魔法の解けたシンデレラを見つけてくれた王子さま。





それとは、随分と違ったけぇ…








うぅん、そうじゃない。





この人は、あの日の王子さまの代わりなんかじゃない。






目の前のこの人は―――――きっとちゃちゃのんだけの……





530 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/27(水) 20:17:55.02 ID:MUKpKKPS0





洋榎「そんで自分、何だってこないなトコで倒れとったんや?」



ちゃちゃのん「ここはの… 婆っちゃが大好きじゃった、思い出の場所なんじゃ…」



ちゃちゃのん「ここに来れば、また婆っちゃとお話が出来るかもしれん 思っての……」




ちゃちゃのん「あぁ… 婆っちゃゆーんは、ちゃちゃのんが大好きじゃった―――」



洋榎「知っとるで―――」



ちゃちゃのん「ほぇ―――!?」








洋榎「コレに自分と婆さんとの思い出、いっぱい書かれとったからな」スッ




ちゃちゃのん「それは、ちゃちゃのんの―――」




洋榎「スマン。 これまで使うことのなかった合鍵、使わせてもらったんや」




洋榎「そんで、悪いとは思ったんやけど――――自分の部屋にあった、コレも読ませてもろた…」




531 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/27(水) 20:26:57.85 ID:MUKpKKPS0





洋榎「いちご日記――――」




洋榎「この日記帳は、自分がこれまで天国の婆さん宛てに送った絵はがきを、スクラップしたモンやったんやな」



洋榎「最初のうちは鹿老渡の実家宛てになっとるが、最近のは出さずにそのままスクラップしとるな」



ちゃちゃのん「…………」






ちゃちゃのん「それは… 夢の中で婆っちゃと会うための、一種のおまじないだったんじゃよ」



ちゃちゃのん「それを書いた夜は、いつも夢の中に婆っちゃが現れて、ちゃちゃのんとお話してくれたんじゃ」



ちゃちゃのん「最初のうちは鹿老渡の実家宛に送っとったんじゃが、お母さんにもぅ止めなさいって怒られてしもうて…」




ちゃちゃのん「そっからは、書いてスクラップするだけにしとったんじゃ…」



ちゃちゃのん「そんでも、婆っちゃにゃぁ しっかり届いたけぇ―――」









ちゃちゃのん「でも、最近は――――それでも婆っちゃと、全然 会えなくなって…」




洋榎「そんで休みをとって、婆さんの命日に鹿老渡に帰っとったんやな……」



ちゃちゃのん「う、うん……」コクッ






洋榎「何にせよ… コイツが、自分が何処におるんか 教えてくれたんやで…」




ちゃちゃのん「そか、婆っちゃが――――」





532 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/27(水) 20:34:46.11 ID:MUKpKKPS0





洋榎「そんで、大好きな婆さんとは――――会えたんやな?」




ちゃちゃのん「うん――――」







ちゃちゃのん「夢の中のちゃちゃのんは、何故だか小学生だったんじゃが…」




ちゃちゃのん「そこでは桜も散り始めちょるゆーに、雪が降っとってのぅ―――」





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、その淡い雪が積もらんことを知っちょったけぇ――――何じゃかとても悲しくなって…」





ちゃちゃのん「シクシク泣いとったら、いつもと変わらん婆っちゃが――――」





ちゃちゃのん「まぁ〜 見た目は随分と違ったんじゃけど、婆っちゃが来てくれたんじゃ」




洋榎「…………?」







ちゃちゃのん「婆っちゃはちゃちゃのんが泣き止むまで、ただずっとそこにいてくれて…」





ちゃちゃのん「泣き止んだ後も、ちゃちゃのんの話を ただ黙って聞いてくれとったんじゃ―――」





洋榎「…………」





533 :ケイ@終章「いつかのひかり」 [saga]:2016/01/27(水) 20:39:09.64 ID:MUKpKKPS0





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんの話が一通り終わったとこで―――」





ちゃちゃのん「婆っちゃは、『今日はお別れを言いに来たんじゃ―――』って……」





ちゃちゃのん「モチロン、ちゃちゃのんは そんなん嫌じゃって 引き止めようとしたんじゃが…」






ちゃちゃのん「『全てのモノにゃぁ、必ず始まりと終わりがあるんじゃよ―――』って、言われてしもうた…」







ちゃちゃのん「それに、『もぅ独りじゃないけぇ、婆っちゃがおらんでも 大丈夫じゃろ』って―――」









ちゃちゃのん「『サヨナラ、ちゃちゃのちゃん』って――――」







洋榎「いちご――――」






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