元お嬢様「安価とコンマで最終決戦?」元メイド「8ですぅ」

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837 : ◆k9ih1s9J/w [saga sage]:2018/07/07(土) 04:15:54.96 ID:NQa1fbLao
闇料理人「我々はハーブ舌共から料理界を取り戻すべく結成された組織なのだ」

闇ウェイター「フルフィリアの料理界は、ハーブと調理道具捌きに頼り切り、食材を蔑ろにしている」

闇ウェイトレス「良質な食材が良質な料理を作る。そう主張し、料理人ギルドから追放されたレジスタンス、それが私達」

闇ウェイター「毒草や無機物を食材に使う国なんてフルフィリアくらいだ。我が国は大きく遅れている」

闇ウェイトレス「料理界のグローバル化を! 私達はポンディー氏の下、主張し続ける!」

闇料理人「分かったら出ていけ! このハーブ舌共め!」


キュベレ「追い出されたわ……」

配達屋「闇料理研究協会、ポンディー・グリエールが会長だったんすね」

クルト「グリエール商会が国を支配したら、カフェ:アンブロシアが潰される可能性があるのか。許せんな……」

クルト「徹底抗戦だ。俺はハーブ料理を友人に広めていこう。皆アンブラーになるべきだ」

フローラ「よく分かりませんけど、自分の信念を貫く姿勢は素敵だと思います」

キュベレ「……いい食材といいハーブを組み合わせれば一番美味しいんじゃないの?」
838 : ◆k9ih1s9J/w [saga sage]:2018/07/07(土) 04:16:30.96 ID:NQa1fbLao
キュベレ「結構寄り道しちゃったわねぇ」

フローラ「あら……あの屋台」

配達屋「怪しいっすね! 行ってみましょう!」

クルト「……そうか?」


闇武器店。

地下街の南口付近の広場の端にその店はあった。

看板は掲げておらず、床に敷かれたシートに各国の軍で採用されている武器や上位職ギルドで配布されている武器が並んでいる。

椅子にはクルトと同年代に見える一人の美女が脚を組んで腰かけていた。

どこかの国の女性士官制服を改造した衣装に身を包み、胸元を大きく露出させたその女は、クルトを見るなり口元を吊り上げて笑んだ。


女「ジェンス魔導具店のクルトさんですね。お待ちしておりました」

女「私が死の商人こと、ミリエーラです」

クルト「…っ!」バッ


すぐさまクルトがフローラの前に立つ。

カモメは腕をミリエーラへと向けて構えた。


ミリエーラ「構えを解いていただかなくても結構ですが、貴方達に危害を加えるつもりはありません」

クルト「……彼女らはお前の言う『仲間』ではないだろう?」

ミリエーラ「はい。私も、本当に一人で来るとは思っていませんよ」
839 : ◆k9ih1s9J/w [saga sage]:2018/07/07(土) 04:17:24.51 ID:NQa1fbLao
配達屋「当たりだったっすね」

キュベレ「腰に携えた革の鞭……戦争で儲ける商人、そしてその名前……」

キュベレ「人違いだったら申し訳ないんだけど、まさかアナタ、海軍大将の?」

ミリエーラ「はい。娘です。初めまして、ジーク・オーグロスさん、母がお世話になっております」

キュベレ「まさか女帝の話してたミリちゃんが、闇の武器商人だったなんてね。誰も会った事がないのも納得だわ」

配達屋「へー。あの人、娘がいたんすか」

クルト「……キュベレさん、どういうことだ?」

キュベレ「この子、あの六勇の海軍大将“女帝”フリンデルの娘なの。アタシがいれば話の通じない相手じゃなさそうよ」

クルト「いや、それは知っていたんだ。キュベレさんが軍の関係者とは初耳だ」

クルト「まさかあの陸軍大将の子だったとは……いや、特に問題は無いのだがな……」

キュベレ「アタシはお父さんとは違うわよ!」

ミリエーラ「お互い大変ですね。親の事で偏見を持たれて」

キュベレ「あら? アナタのは偏見じゃないでしょ? なんたってクルトくんを脅すお手紙を送ったそうじゃない」

クルト「ああ。よくも妹を脅しの材料に使ってくれたな……」

クルト「ウベローゼン市で違法ハーブを流行らせているのもお前だろう」
840 : ◆k9ih1s9J/w [saga sage]:2018/07/07(土) 04:18:54.66 ID:NQa1fbLao
ミリエーラ「夢中草の販売を指示したのは確かに私です。ですが、もうやめます」

クルト「何?」

ミリエーラ「数日後に私達死の商人グループは、フルフィリアを出ていきます」

ミリエーラ「軍とグリエール商会の影響力が拡大し、ギルドの力が低下すると、武器商人としては非常にやり辛いんですよ」

配達屋「夢中草販売の目的は、外国で活動するための資金源作り、もしくはコネ作り。そういうことっすね?」

ミリエーラ「はい。ですので、安心してください」

ミリエーラ「もう私におびえて手紙で情報をやり取りする必要も無くなります」

クルト「……お前の手によって、俺の知人は自殺に追い込まれた」

クルト「違法ハーブの騒動で、ミルズは殺されかけ、俺も一度重傷を負わされたんだ」

クルト「お前のような悪逆非道の疫病神を、責任も取らせず、外国に押し付けて満足すると思うか?」

クルト「お前の罪はこの国で裁かれねばならん。そうだろうキュベレさん!」

キュベレ「そうね……。いくら女帝の娘でも、いや、だからこそ余計に許される行動じゃないわね」

フローラ「カモメさん。この方に触れずに縛ってください」

配達屋「了解っす!」バッ


カモメが魔法で出現させた縄が、空中を自在に動き回りミリエーラを縛った。

しかし彼女は縛られながらも余裕の表情を見せている。
841 : ◆k9ih1s9J/w [saga sage]:2018/07/07(土) 04:19:52.58 ID:NQa1fbLao
配達屋「魔法防御みたいなのは無かったっすね……」

クルト「……俺を呼び出した理由は何だ? いなくなると宣言するだけが目的なら手紙にそう書けばよかったはずだ」

ミリエーラ「……国を離れる前に、クルトさんと話しておきたかった」

ミリエーラ「クルトさん、貴方に、ウベローゼン市の商人達が私を警戒するようになった、最初の事件について語らせてください」


彼女は、母に憧れており、母を助けられる仕事に就きたかった。

しかし彼女には体力が無かったため、軍人を目指す事はできなかったのだ。

それでも軍に関わる仕事をしたかった彼女は武器商となり、地下街やスラムなどで武器を求める人々に武器を売った。

彼女が武器を売った人々によって傷害事件が起きたこともあり、いつしか彼女は『闇の武器屋』『死の商人』と恐れられるようになっていた。


キュベレ「お母さんの強さは遺伝しなかったのね。……アタシが譲れるなら譲ってあげたいわよ」

クルト「だがやはり、ろくでもない商売人だな」


地道な行商を続け、とうとう彼女は店舗を持つに至った。

しかし、フリンデルの悪名と死の商人の肩書きは、その名を知った者に恐怖を与えた。

彼女の何気ない言動はプレッシャーを与え、近所の防具店店主は恐ろしい拷問や戦場に送られる未来を想像し、その運命が訪れる前に自ら死を選んでしまった。

クルトもまた、ミリエーラ・フリンデルの名を見て悪い想像を膨らませた内の一人であった。


クルト「俺たちが勝手に誤解しただけだと、そう言うのか?」

クルト「言い訳も大概にしろ。武器やハーブの販売を通じて、社会を混乱させたのは歴とした事実だろう!」

ミリエーラ「本当に……申し訳ございません。私は、道を誤ったんです……」
842 : ◆k9ih1s9J/w [saga sage]:2018/07/07(土) 04:21:34.41 ID:NQa1fbLao
クルト「では、この女を軍の基地へ連れて行こうか。全軍大忙しだろうが誰もいないということはあるまい」

キュベレ「待って。ミリちゃんアナタ、他に部下はいないの?」

キュベレ「全員ウベローゼン市に置いてきたってことはないでしょ」

ミリエーラ「いますよ。彼らには他の仕事を任せています」

キュベレ「その仕事と、部下の居場所について教えなさい。先に止めておかなきゃねん」

ミリエーラ「こちらは人を救うための仕事なので、できれば止めて欲しくないですね」

クルト「人を救う? 何を企んでいる」

ミリエーラ「私がファナゼに来たのは、亜人NGOによる奴隷解放の支援をするためです」


『死の商人』のフルフィリアでの最後の仕事は、奴隷商人たちに誘拐された亜人の解放。

しかしそれはグリエール商会への宣戦布告を意味し、同時に共和国軍を相手にすることにも繋がる。

それを避けるため、ミリエーラはこの日を狙って計画を練っていたのだ。


クルト「大統領選で軍の目が王都に集中する隙を狙ったのは、俺たちだけではなかったか……」

配達屋「しかもこのタイミングで貴族たちが反乱を起こしました。軍を出し抜くには絶好の機会っす」

フローラ「まさかとは思いますが、グリエール商会が集まっているのも、同じ理由ではないでしょうか……?」

キュベレ「そうね……」

ミリエーラ「ジーク・オーグロスさん。貴方にだけは話しておきたい」

ミリエーラ「……グリエール商会の企みを」

キュベレ「アナタ、知ってるの……!?」
843 : ◆k9ih1s9J/w [saga sage]:2018/07/07(土) 04:35:02.57 ID:NQa1fbLao
投資家「では最終確認です。改めて、計画に賛成の方は挙手を」


商会本部ビル。

豪華絢爛な会議室にて、その計画は賛成多数で実行される事が決定した。


投資家「反対は……ルブーラ氏、ポンディー氏、そして会長、ですか」

投資家「なぜ反対を?」

宝石おばさん「賛成には条件がありますわ」

投資家「条件を教えてください」

宝石おばさん「山人ギルドの解体。あの野蛮な鉱夫たちは、ザネッティ家が没落した後もまだ宝石集めの邪魔してきますの!」

投資家「もちろん解体は可能ですよ、マダム」

黒マント「そいつは僥倖だ。山イチゴを独占する土人ギルド員は一掃せねば!」

美食家「そんな汚い言葉使っちゃいけないよ、キノミー」

投資家「貴方はなぜ計画に反対するんですか?」

美食家「単純に気が乗らないからね。私は料理人ギルドに食材の力で勝ちたかった」

美食家「ただ、決定に文句は言わないよ。多数決だからね」

投資家「会長は、止めないのですか?」

会長「いつも言っているが、家族の意思は尊重したい。だが……とても残念だ」

会長「超能力で国民を洗脳して、全てのギルドを支配下に置き、国家の支配者となる……」

会長「それは……もう、商売とは呼べないんじゃないかね……」


投資家オージーの発案した、国家乗っ取り計画。

カギとなるのは、芸能王ミッキーが強引にアイドルデビューさせた少女、ポロ。

巷ではROKKAの芸名で知られる彼女は、歌唱によって人間の心身に影響を与える特殊能力を持つ。

もう一つのカギが、大統領選当日、すべての町に設置された放送ディスプレイ。

このディスプレイの設置には商会とメカニックギルドが協力しており、映像と音声は一度ファナゼ市のTV局本社に届けられる。


この計画では、放送の音声を編集し、共和国の初代大統領が決定する瞬間を見守る国民に、ROKKAの歌を聴かせて催眠状態にする。

そして意思薄弱状態になった国民に様々な命令を刷り込み、意のままに操るのだ。

計画が成功すれば、商会は国内のすべての業種を独占することができる。

また、商会は共和国軍に全面的に協力、軍の統治は半永久的なものとなる。

武力を持つものと財力を持つものが統治し、国民はただの駒となる、名ばかりの共和国が成立してしまう。


なお、数日前、ROKKAの持つ魔力に目を付けたラヌーン国によって計画が頓挫しかけたので、彼女を無事連れ戻したソピアは商会の恩人である。
844 : ◆k9ih1s9J/w [saga sage]:2018/07/07(土) 04:36:08.00 ID:NQa1fbLao
ファナゼ中央市場。

カモメが生成、発射した隕石塊が、ディスプレイとスピーカーを粉々に破壊した。


市民「な、なんだぁ!?」

剣士「誰かがディスプレイを攻撃したんだ!」

岩魔術師「弾が消えた……生成弾よ! 近くにあたし以外の岩魔術師がいるわ!」

風魔術師「気配が探れない……。どこへ消えた?」


クルト達はカモメの生成した車で即座に現場を離れていた。

仕組みは自転車と同じであり、カモメがペダルを漕ぐと車輪が回る。


キュベレ「ここまで来れば、降りてもいいんじゃなぁい?」

クルト「ふう……便利だな、この車。周囲の景色と同じ色味に変わる迷彩効果まであるのか」

配達屋「一番の自信作っす! 砲弾はもうちょっと改良できそうなんすけどねー」

フローラ「とにかく、これで催眠音声を防ぐことができました。一安心です」

クルト「ミリエーラ……危険な女だが、今回は助けられたな」

キュベレ「ありえないくらい事情通よねぇ。カモメちゃんの運ぶ手紙の内容から、商会の内情まで知ってるなんて」

クルト「大勢の内通者がいるのかもしれん。そこら辺も詳しく聞いてみるか」

クルト「配達屋。そろそろ車を消してもいいんじゃないか?」

配達屋「あっ、消し忘れてたっすね。今消します」


魔法で作った車が消えると、中に乗っていたはずのミリエーラも消えていた。


配達屋「あれっ?」

フローラ「こういう魔法って、人ごと消えるんでしょうか?」

キュベレ「見て、ロープだけ落ちてるわ!」

クルト「くそっ……逃げられたか!!」
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 14:28:25.39 ID:i1Q1yrOSO
国民総洗脳とか恐ろしい計画が進んでる
それに加担したソピアちゃんマジソピア
846 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/11(水) 12:22:29.37 ID:T3B+BftIO
きてたんか
847 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/23(月) 11:37:02.62 ID:QIgte9iIo
前から思ってたけどプロっぽい
848 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/27(月) 19:08:10.40 ID:3bJ2Y21do
久しぶりに見に来たけどやっぱりおもしろいな
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/18(木) 13:35:09.97 ID:4KDh3fE/o
850 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/12/13(木) 16:35:55.41 ID:SRTPYc1To
復旧に気付いてないのかな?
851 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/13(木) 21:16:07.38 ID:PTeZU5Wdo
そろそろ半年か……
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 16:55:07.89 ID:GRSfhTNy0
お仕舞いか
おもしろかったよ
853 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/19(火) 19:44:28.32 ID:fQgrNkKb0
いつまでも待ってます
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/19(火) 19:56:32.54 ID:Zj4XLBjfO
更新来たかと思った
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/04/15(月) 04:40:08.25 ID:j1UNJ8a5o
てす
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/12(水) 02:14:54.76 ID:LWMlrfs8o
一応保守
857 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/21(日) 01:45:02.73 ID:j5+Yr2CY0
いつまでも待ってます
858 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/23(水) 14:41:39.52 ID:7WOb7abU0
マダカナー
859 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/16(月) 22:45:13.87 ID:ulbUrRJr0
あえ
860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/19(水) 07:25:21.95 ID:Md0wuL2mo
来なくても仕方ないけど一応
861 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/06(月) 20:56:29.28 ID:ibOb17Zeo
きました
862 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/18(土) 02:27:22.90 ID:rPQJu0oPO
2ヶ月経過したなら読者の保守も無意味だぞ
863 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/06/07(日) 15:59:11.60 ID:bTcC5kafo
もうすぐ2年経つのか
864 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/09/17(木) 21:26:55.77 ID:7ykL1fNn0
865 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/23(水) 00:59:39.33 ID:nIWjWT5XO
866 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/02/24(水) 08:13:26.40 ID:IIpWgffxo
てす
867 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/31(土) 05:37:51.65 ID:ZbFMC15xo
マダカナー
868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/08/29(日) 10:23:50.58 ID:MXxf43sko
まだあったの
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