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そだちセオレム - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/08(火) 23:54:42.89 ID:XtmS4XsS0
化物語のssです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1457448882
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小テスト @ 2024/03/28(木) 19:48:27.38 ID:ptMrOEVy0
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満身創痍 @ 2024/03/28(木) 18:15:37.00 ID:YDfjckg/o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1711617334/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part8 @ 2024/03/28(木) 10:54:28.17 ID:l/9ZW4Ws0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1711590867/

旅にでんちう @ 2024/03/27(水) 09:07:07.22 ID:y4bABGEzO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1711498027/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:18.81 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459578/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:02.91 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459562/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:25:33.60 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459533/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:23:40.62 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459420/

2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/08(火) 23:55:49.03 ID:XtmS4XsS0
いつかの冬はずっと1人ですごした。寒くても変わりなく

いつかの春はずっと1人ですごした。暖かくても変わりなく

いつかの夏はずっと1人ですごした。暑くても変わりなく

秋も大体1人で。変わったのかな

冬は大体1人で。その間に携帯を手に入れたのだけれど

春は?どうだろう

確率的には1人だ。いや確率に頼っても

これから指数関数的に増えたりするかな

現状は対数関数にでもね

どちらでも手に負えない

負けっぱなし
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/08(火) 23:56:55.05 ID:XtmS4XsS0
ごめんなさい

私の人生良いものでなくって

本当にごめんなさい。幸福でなくって

期待はかけられていないから少しは許してほしい

家族とか知人がいれば迷惑とか心配とかされるかもしれない

してくれちゃってるかもだけど

いないからね。誰にも迷惑かけてないよ

いや

なんで私が謝るんだ。くそ

変われないのは知ってるよ
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/08(火) 23:59:03.87 ID:XtmS4XsS0
疲れているのかな

この町に戻ってきたせいだろうか

楽しそうな人が多いな

疲れているときはみんな死なないかなって思うくらいには

駄目人間だ。私が死ねばいいのにね

駄目、死なないよ。負けるか

とにかく楽しそうな人は苦手だ

何がどれくらい楽しいのか問い詰めたくなる
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/09(水) 00:00:07.33 ID:OzGeUE4Q0
私は大体のことが嫌いだと思う

口に出したら駄目だけど

やっぱり嫌いなのだろう

時間が経てば少し好きになるかなって

ならなかった

優しさが気持ち悪い

つらさが気持ち悪い

誰もかれも気持ち悪い

私が一番気持ち悪い

それを思うことを許して

強い気持ちじゃないから
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/09(水) 00:01:05.57 ID:OzGeUE4Q0
だって無理だもの。行けない

どうあっても行けない

たどり着けない

そんな風にはなれない

ならば

私はどうなるというの

間違いを見つけていくことは一個一個可能性が無くなることで

前向きなことならいいのだけれど

最後まで間違えを見つけたら

その後は?


余接「あっ育お姉ちゃん」

扇「はっはー、今日も楽しそうな顔してますねえ」


何かには見つけられたみたい
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/09(水) 00:45:03.90 ID:OzGeUE4Q0
扇「では会議を始めましょう」

余接「ねえ育お姉ちゃん」

育「なあに?」

余接「何の会議なの?」

育「なんだろうね?」

扇「おや?ご存知でない」

育「うん」

扇「愚か者ですね」

育「おい」

余接「育お姉ちゃんは愚か者なの?」

扇「そうなのです」

余接「そうなんだ。じゃあ仕方ないね」

育「ちょっと余接ちゃん」

余接「なんだい?愚か者。いや愚か姉ちゃん」

育「やめなさい」

余接「うん」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/09(水) 03:30:38.55 ID:nJ17vQZY0
前にも老倉のss書いてなかった?
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/09(水) 22:25:38.81 ID:006pOCIE0
そだちコンジェクチャとそだちアクシアムの続きです。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/09(水) 22:27:14.67 ID:006pOCIE0
会うのはすごく久しぶりのこの2人と

本当になんでこんなことになったのかな

なんでこんなことをしているのかな

教室にいる

余接ちゃんと机を並べて扇ちゃんが教壇に立っている

この町に来て、この子達と会って

少し話をしたのだけど

ここって
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/09(水) 22:32:03.99 ID:006pOCIE0
扇「ここは懐かしい場所でしょう?」

扇「かつては先輩がいた場所、今は私が通っている場所です」

扇「懐かしいですか?思い出はまだ壊れていませんか」

扇「不肖、この私が場所を用意させていただきました」

扇「あなたのために」

育「私のために」

余接「僕のために?」

扇「それはちょっと違うよ、余接ちゃん」

扇「どうです?扇さんって言ってくれても問題ありません」

育「扇ちゃん」

余接「扇お姉ちゃん・・・ちょっと言いづらいな」

扇「期待通りですね。期待通りに期待はずれです」

育「ねえ扇ちゃん」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/09(水) 22:34:48.78 ID:006pOCIE0
扇「はい、愚か者なんですか?あと、発言の際には手を上げてください」

育「はい」

扇「どうぞ」

余接「色々と受け入れたんだ」

育「余接ちゃんのこと知ってるの?」

余接「いえーい」

扇「いえーい」

育「ちょっとついていけない」

扇「友人の友人は知り合いです」

扇「たまたま町で会いまして、共通の話題で談笑する仲です」

育「談笑?」

扇「あなたの友達は私と余接ちゃんだけですから」

扇「交友関係どうかしています」

育「言うなあ」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/09(水) 22:40:59.72 ID:006pOCIE0
扇「ではでは、早速本題に入りましょう」

扇「ずばり阿良々木先輩についてです」

育「なんで!?」

余接「へー」

扇「加えて老倉先輩についてです」

育「私?」

余接「へー」

扇「このチキンはこの町に戻ってきているのに」

扇「いまだに愚か者の阿良々木先輩と会っておりません」

余接「チキンだね。きちんとチキンだね」

育「色々な悪口を言うのね」

育「そうじゃなくて、なんで会う必要がある?」

扇「だって会うために来たのでしょ」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/09(水) 22:47:13.67 ID:006pOCIE0
そんなことはない

そんなことはないはずだ

いや、やっぱりそんなことない

会ってどうする

私は何か変わっているか

いつも鬱屈して

無様に足掻いているだけだし

かなり足掻いたんだけどな

あいつを見返せるような人間になっているはずだったのに

これじゃあ

・・・それよりも心配なのは


扇「御二人の過去には色々なことがあり、老倉先輩はそれを気にかけられているかもしれませんが」

扇「愚か者は気にしていますかね?」

扇「大丈夫ですよ、また忘れていらっしゃるのでは?」

育「死ね!阿良々木」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/09(水) 22:58:43.64 ID:006pOCIE0
扇「ならば死んだつもりで会いに行きましょう」

育「私じゃなくてあいつがね」

扇「どちらでもいいじゃないですか」

育「どちらでもいいだなんて言わないで」

育「ねえ余接ちゃん」

余接「・・・」

育「余接ちゃん寝ないで」

余接「眠い会話しているから」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/09(水) 23:00:53.61 ID:006pOCIE0
扇「あまりいい案がありませんね」

育「1人は寝てるしね」

余接「死ね?」

育「違うよ余接ちゃん。阿良々木は死ねばいいけど」

余接「おにいちゃんと一緒のお墓に入る?」

育「死んでも入らない」

余接「なんでそんなに嫌いなの?」

育「そりゃあ・・・」


一時間ほど語った

何を話したのかは憶えていないけど

それは素晴らしい演説だったに違いない


扇「愚か者、あなたが議長をやりなさい」

育「私が?」

扇「話が進みませんので」

扇「ちょっと余接ちゃん、死なれては困ります」

余接「ちょっと死なせて、あと5分くらい」

育「何なの」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/09(水) 23:18:59.01 ID:006pOCIE0
育「それでは会議を始めます」

余接「はーい」

扇「はいはい」


すごいな、すごい嫌な記憶が甦る

でも、今は前を見ると

なんだかおかしい


余接「何か言えよ」


口悪くなったね余接ちゃん


扇「あれですよ、あれ。教師が教壇の前に立って黙るという手法です」

扇「不安を掻き立てる手法です。そんなことして楽しいですか?老倉先輩」

扇「趣味が悪いですね。素晴らしいです」


相変わらずうるさいね扇ちゃん

まったく


余接「何笑ってんだよ。怖いよ」


本当に口が悪くなったね
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/10(木) 00:34:16.55 ID:NcNj8XdX0
育「発言があるのなら挙手をお願いします」

余接「はい」

扇「はい」

育「じゃあ余接ちゃん」

扇「ひいきですね」

育「違う」

余接「僕に議長やらせて」

育「後でね」

余接「うん」

扇「はい」

育「扇ちゃん」

扇「何ですかその会話」

育「最初は何を言おうとしたの?」

扇「私をもう一度議長に」

育「駄目っていうか、余接ちゃんと言うこと一緒じゃない」

扇「またもやひいきですか」

育「静粛にお願いします」

扇「分かりました。老倉先生」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/10(木) 06:43:38.88 ID:NcNj8XdX0
育「えーと、議題は・・・私があいつに会うためにはどうしたらいいかだっけ」

育「色々とおかしい」

扇「そうです。頭のおかしい同士、早く会っちゃってくださいよ」

育「いやいやいやいや、おかしいって」

育「それにさあ、私から会いにいったら、会いたいみたいじゃない」

扇「頭のおかしいは否定されないのですね」

余接「すげーどうでもいい」

育「あいつだって今日は近くにいないかもしれないし」

扇「それはご心配なく、呼んでいます」

育「本当!?」

扇「本当ですよ」

余接「みんな暇なんだね」

育「どっどこに?すぐそこいるの」

扇「あっ」

余接「どうしたの?」

扇「しまったー、失敗だー。お二人に詳細な待ち合わせ場所を言っていませんでした」

余接「それは大変だね」

扇「しかし、この校舎のどこかにいるはずです。探してみていただけませんか?」

余接「探さなきゃ」

扇「ええ、探さなければ会えません」


全て棒読みで交わされる会話だけれど

どうする?
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/10(木) 23:05:13.78 ID:Dkq340/M0
育「ちょっちょっと待って」

扇「おや議論を進められませんか」

余接「じゃあ次、僕だ」

余接「育先生、早く退任して席に座って」

育「あっはいはい」

余接「返事は1回でいいぜ」

育「いいぜって」

余接「僕の言う事は少ないよ」

余接「じゃあみんな一緒に」

余接「いえーい」

扇「いえーい」

育「・・・」

余接「育お姉ちゃん、廊下に立ってる?それとも言う?」

育「もうこれいいでしょう」

余接「駄目出しかい?やらないくせに駄目出しするの?」

余接「駄目な大人だね。駄目な大人の見本だ、見本市だね。何年生きているの?」

余接「信じられない。そんなことではこれからの生活が円滑におくれないよ」


そんなことがいる生活ならこっちから願い下げだけど
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/10(木) 23:10:31.13 ID:Dkq340/M0
余接「あともう一つだけ言うよ」

育「うん」

余接「先生って言ってよ、育お姉ちゃん」

育「先生」

余接「もっと言って」

育「先生」

余接「うるさいな」

育「ええっ?」

扇「はい」

育「何ですかその会話・・・でしょ?」

扇「その通りです」

余接「いい?」

育「どうぞ先生」

余接「とっとと会いに行けよ」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/10(木) 23:14:19.13 ID:Dkq340/M0
育「余接ちゃん?」

余接「育お姉ちゃんは言ったよね、僕に心があるかどうか」

余接「結論から言うと、いまだにわからない」

余接「うまく言えないんだ。僕」

余接「でも行ったほうがいいと思うんだ」

余接「あるって言ってくれて。僕は」

余接「ちょっとばかり嬉しかったりもしたりしなかったりで」

余接「だって」

余接「なぜかな」

余接「心を手にしたら僕は死んでしまうような気がして」

余接「怖いんだ。死んでいるのにね」

余接「それで僕は」

余接「聞きたいことがあって」

余接「同じ質問をしてしまうのだけれど」

余接「許してね」

余接「育お姉ちゃんの心はどこにあるの?」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 23:47:47.68 ID:D1s2G2bDO
仲良いなこいつらww
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/11(金) 00:07:22.61 ID:kUMV81yG0
育「ごめんね」


私に綺麗な形の心はなくて

歪んでくすんだものではと思う

それも不確か

私は私の証明ができない


余接「ううん。そんなことないよ」

余接「育お姉ちゃんくらい頭が良ければ、分かるのかなって思ったんだ」

余接「難しいよね、分からないことがあって」

余接「大事なことなんだけど」

育「そう・・・だね」

余接「もし分かったらさ」

余接「そっと教えて」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/11(金) 00:23:51.91 ID:kUMV81yG0
扇「老倉先輩」

扇「迷われているのなら、ここで行かれてしまうのも手ですよ」

扇「時には突っ込んでしまうことも必要です」

扇「何もせずに全部懐かしむのもいいですけどね」

扇「頭がおかしいとか言ってしまっても」

扇「ならば、もう後は余計な思いになります」

扇「それでもいいですが・・・」

扇「その時に、あなたを笑うのは誰でしょうね」

育「誰?」

扇「それは私です」

扇「おっと、ボールペンはしまって下さい」

扇「冗談ですよー、嫌だなー、老倉先輩」

扇「待って下さい。そして行って下さい」

扇「待っているのは愚か者です」

扇「会いに行くのも愚か者です」

扇「愚か者と愚か者ですね。戦争でもするのですか?そうではないでしょう」

扇「誰もかれも、いつか私達にした問いを持って待っています」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/11(金) 00:25:39.20 ID:kUMV81yG0
育「あのさ」

余接「なんだい」

扇「何でしょう」

育「どうして私にそこまでしてくれるの?」

扇「さて?何のことでしょう。分かりますか余接ちゃん」

余接「お姉ちゃんにそこまでの価値は無いよ。驕るなよ」

余接「価値がないから、友達なんだぜ」

育「なんだぜって変なの・・・いけるかな?」

余接「行けって」

育「忘れられてない?」

扇「聞いてみたらいいじゃないですか」

育「嫌われていたら?」

余接「・・・」

扇「・・・」

育「・・・」

余接「がんばろう」

扇「頑張りましょう」

育「何を?いやいいけど、行けばいいんでしょ」

育「後悔しても知らないよ」

余接「お前がな」

扇「してればいいです」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/11(金) 23:40:13.76 ID:xG7rgZpo0
校舎の廊下を歩く

歩く私は滑稽だ

話す私は滑稽だ

生きる私は滑稽だ

大嫌いな人に会うためにいる私はどうだ

いいよ

いいよ

いいよ

いいよ

誰も知らないから

先に進め

それから考えろ

怖くない

怖くない
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/11(金) 23:41:03.43 ID:xG7rgZpo0
育「どっどう?」

扇「おかしいですね。先ほどこちらを通ったはず」

育「嘘」

余接「隠れてどうするんだよ」

扇「埒が明きませんねえ」

扇「では、手分けして探しましょうか」

余接「そうだね」

育「ええっ?」

扇「私はこちら、余接ちゃんはあちらに」

育「私は?」

扇「自分で決めなさい」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/11(金) 23:50:09.38 ID:xG7rgZpo0
1人になったって

いつもと同じ

話す相手は自分で、一番話してきた

自分と向き合うのに飽き飽きだ

自分しか向き合う相手がいないから

でも向き合うのはとても魅力的ではない私

自分で無ければ見放してやりたいと何度思った私と

何年向き合っただろう。おかげで大人にはなれないまま

可哀相だと言われたくない、言っていいのは私だけ

私が頑張ればいい

全ては未来の私に丸投げ

つらいときに助けてくれる人はいない

これからは更にいないだろう

そういつもと同じなのだから

あせっちゃ駄目だ
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/11(金) 23:56:12.65 ID:xG7rgZpo0
どこにいるんだよ

手間をとらせるなよ

3年の教室は回った

他にどこにいるのだろう

私に恐れをなして逃げたのだろうか

なら来るなと言いたい

嘘を言うなと言いたい

私に

私は

知っているけど

私は知っている

どこにいるかを知っている

あいつは嫌な奴だから、どこにいるかなんて解りきっている

居るのは嫌なことがあった嫌いな場所
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/11(金) 23:58:37.59 ID:xG7rgZpo0
もしこの中に誰もいなかったら

嬉しいのか怖いのか

なんて言えばいいのかを

何通りでも考えて

何を言われてもいいから

何通りでも考えて

動揺するな

余裕を見せてやれ

取り乱したりせずに

普通に話せればいい

扉を開けて

いた


育「あっ・・・」

暦「おっ元気だったか老倉?」

暦「今度はもちろんお前のこと覚えているからな」

育「死ね!」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/12(土) 22:44:10.43 ID:yUzv70UZ0
育「憶えているって・・・当たり前だろ」

育「的外れなこと言って」

育「この前からそんなに経ってないし」

育「忘れていたらひどいし」

育「常識で物を言えよ」

暦「いきなり死ねって言ってる奴に常識を諭された」


最悪の再会の回数を更新している

やったあ

でも駄目だ
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/12(土) 22:59:11.34 ID:yUzv70UZ0
育「元気だったか?だって」

育「全然大丈夫だったよ」

育「全部うまくいってたから」

育「まったく問題無いね。問題があるわけがない」

暦「おっおう。良かったじゃないか」

暦「心配だっ

育「心配なんかするな」


そんなことを言うな
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/12(土) 23:13:24.88 ID:yUzv70UZ0
育「それより何でここにいるの?」

暦「?それはお前に会うために」

暦「お前は」

育「会って何をする?」

暦「何って話でもしようぜ。久しぶりに会ったしな」

暦「お前は?」

育「何を話すの?」

暦「なんでもいいよ」

暦「老倉はなにかあるか?」

育「うん・・・」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/13(日) 01:37:13.46 ID:M1aZAW130
おかしいなあ。まったく話す言葉が浮かばない

あんなに考えていたのに

扇ちゃんと余接ちゃんを呼ぼうかな

そうだ


育「心臓の形は解けた?」

暦「心臓?」

育「余接ちゃんから聞かなかった?」

暦「ああ、あれか。解けたよ、その大きさも」

育「定理を憶えていれば簡単だよね。無限の形は?」

暦「扇ちゃんが聞いてきたやつだな」

暦「うん。その長さも解るさ」

育「ほんとに解けたの?」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/13(日) 01:39:48.95 ID:M1aZAW130
暦「ほんとだって」

育「じゃあ黒板に書いてみなよ」

暦「本気か?」

育「早く」

暦「うーん・・・だから極座標の長さの公式はこれで」

暦「もうひとつは第一象限の4倍で」

育「へえ」


解けると思った

本当に疑ったわけじゃない

綺麗な形が書かれている


育「やるじゃない」

暦「僕からもいいか?」

育「いいよ」

暦「星の形は?」

育「楽勝だよ」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/13(日) 01:41:53.24 ID:M1aZAW130
育「・・・と縮閉線も同じようになります」

暦「さすがだな」

育「できて当たり前でしょ。えっ?もしかしてできないの」

育「もっと詳しく教えてほしい?」

暦「えっいいよ。自分で考えてみるからさ」

育「えっ・・・そう」

暦「結構びっくりしたけどな、あの2人がこんなことを聞いてくるなんて」

育「他に何か言ってた?」

暦「余接ちゃんは仲直りしなよって」

暦「扇ちゃんは覚悟しておいて下さいって」

暦「わけわかんねーよ」

育「それはそうだね」

育「あの子達すごい変わっているけど」

育「すごくいい子達だよね」

暦「そういう印象を受けたのか・・・そうか」

暦「あの2人も変わったのかな」

育「ふーん?」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/13(日) 01:49:20.22 ID:M1aZAW130
私はどう?変わったかな・・・なんて聞いてみようかなあ


育「私は・・・」

暦「なんだ?」


・・・聞けるか。気持ち悪い

本当にやめて

3日後くらいに死を選びたくなるから

私が聞けるわけがない

どうしようね扇ちゃん
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/13(日) 13:46:08.13 ID:M1aZAW130
育「はぁ」

暦「なんだよ溜息なんてするなって」

育「もう帰ろうかな」

暦「えっ!?まだ話があるんじゃないか?」

育「うるさいなあ」

育「私が何か話があって話をしたらおかしいじゃない」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/13(日) 13:46:55.74 ID:M1aZAW130
育「じゃあ」


きちんとさよならを言うのは初めてかもしれない

私が言いたかった言葉はこれになるのか

逃げるように言う言葉が

私はあなたのことが嫌いだってことは何回も言えたりしても

いやほんと、死なないかなあ
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/13(日) 13:49:47.62 ID:M1aZAW130
暦「老倉!」

育「っ大きな声で・・・何?」

暦「お前も解けるよな?僕がやった問題」

育「当たり前でしょ」

暦「だったら」

暦「心臓の形はお前にあるよ」

暦「永遠の形も同じくな」

暦「そこまで解けたならもうあとは一つしかないだろ?」

暦「お前は優秀だからな」

育「ああ・・・そう」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/13(日) 13:50:52.75 ID:M1aZAW130
優秀だって

笑うね

そう思うのはお前しかいないんだ

嫌いなお前しかいないんだ

昔の私を知っているのはもうお前しかいない

あとは忘れ去っている

忘れ去られている

嫌だな

なんて皮肉なんだろう

私を証明できるのはお前しかいないのだもの

くそう。そんなことを言うなって

今を思うことは難しいことだ

嫌いじゃなくなったらどうするの

大丈夫だよ私は

そんなことないから

みんなどうしているの

みんなどうかしているの

それなら私と同じになるから
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/13(日) 13:57:42.62 ID:M1aZAW130
暦「今日はありがとうな」

暦「実は僕、お前に声をかけるのが怖かったんだぜ」

育「あっそう」

育「臆病者だ。情けない」

育「人に話しかけるのが怖いだなんて」

暦「そうだな。だって怖かったからな、お前」

育「ふーん・・・」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/13(日) 13:59:08.92 ID:M1aZAW130
暦「ははっ」

育「なにが可笑しい?」

暦「悪い悪い」

暦「だって嬉しくてさ」

育「嬉しいって何が?」

暦「お前のことだ」

暦「なあ解るか?僕は嬉しいよ。お前にあの頃のお前は怖かったな、なんて言えるんだぜ」

暦「言わせて欲しいのだけれど」

暦「お前はなにも変わってない。なにもかもお前だよ」

暦「別にいい、僕はそれが嫌いではないのだから」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/13(日) 14:00:27.68 ID:M1aZAW130
だから嫌なことを言うなよ

嫌いなやつに嫌いじゃないとか言われたりしたら

言われたら

そういうときは悲惨な過去に負けるわけがない

負けるわけにはいかない

嫌いなお前が勇気を出した

お前が解けた問題は

私も解ける

きっとそう

勇気を出そう

勇気を出して

頬をつねる
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/13(日) 14:01:32.75 ID:M1aZAW130
暦「いてっ!」

育「痛い?ごめんね」

暦「当たり前だろ!」

育「人に触るのって怖いものね」


泣きそうになってしまう

泣くわけじゃないよ

そんなのできない

でもそれを我慢して触れようとしたのだから


育「どう?私はまだ・・・あなたのことが嫌いでしょ?」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/13(日) 14:04:46.18 ID:M1aZAW130
暦「老倉・・・」

育「帰ろうか」

暦「えっ?」

育「聞いてる?帰ろうって言っているのだけど」

暦「んっ?ああ」

育「余接ちゃん、扇ちゃんいるでしょ!?」

育「帰ろう」

余接「早く呼べよ」

扇「邪魔してはいけないと思いましたので」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/13(日) 14:06:13.89 ID:M1aZAW130
余接「帰りになにか奢って育お姉ちゃん」

扇「私も奢られましょう」

暦「仲良いな」

育「お前よりね」

余接「そうしたら、おにいちゃんの家で食べよう」

扇「それは良い考えではありませんか。ねえ老倉先輩?」

育「えっええ?でも」

暦「僕は別にかまわないよ」

育「仕方ない。扇ちゃんと余接ちゃんが言うなら」

余接「よく言うよ」

扇「ああ、先輩はおもしろいなー」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/13(日) 14:10:19.14 ID:M1aZAW130
全然うまくいかなくて

間違えを見つけるたびに嫌になったとしても

だって嫌だよ、お前にそんなこと言われたら

それでも、そんなことが私を証明し続けるものならば

まだ、なんとか動いていける

指が少しでも動けば星の軌跡だって描ける

それだったら

泣きそうになってもいいよ

替わりに頬をつねってやるから

先に泣くのはお前だ
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/13(日) 14:11:02.60 ID:M1aZAW130
暦「じゃあ行くぞ老倉」

育「うるさいなあ」

暦「やっぱりさっきの問題詳しく教えてくれないか?」

暦「僕1人じゃ解けそうにない」

育「じゃあ一緒に考えようか」


まだまだ問題は山積みになっている

どうやって解いていこう

校舎を出ながら考える

かつては1人で去った校舎を
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/13(日) 14:11:30.66 ID:M1aZAW130
これで終りです。ありがとうございました。
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/13(日) 18:06:07.59 ID:k6vz8CjDO

良かったよ
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