にこ「きっと青春が聞こえる」

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463 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/10/20(木) 23:16:15.82 ID:DRFjCdkxo

 もう、いいのかな。

穂乃果「海未ちゃん」

海未「はい」

 言っても、いいのかな。

穂乃果「ことりちゃん」

ことり「うん」

 言えなかった大切な一言。


 言っても――いいよね。
464 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/10/20(木) 23:16:42.16 ID:DRFjCdkxo





穂乃果「行かないでぇ……」




465 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/10/20(木) 23:17:08.58 ID:DRFjCdkxo

穂乃果「離れ離れなんて……ひっく……やだよぉ……」

穂乃果「一緒が、いいよぉ……ひぐっ」

海未「ごめん、なさい……つらい思い、させてしまいましたね……」

ことり「ごめんね……ごめんね……」


 なにも難しいことなんて、なかったのかもしれない。

 ただ、ほんのちょっとだけすれ違って。絡まっちゃって。

 お互いに、素直な気持ちが見えなくなって。

 ほどいてみたら、見えた答えは。


 すっごく、シンプルだった。
466 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/10/20(木) 23:17:58.39 ID:DRFjCdkxo

ことり「今日、帰ったらお母さんに伝えるね。留学のお話はお断りします、って」

 三人で一通り泣いて。

 これからのことを決めよう、ってなった。

海未「……大丈夫、なのですか?」

ことり「うん。相手の方にはがっかりさせちゃうかもだけど」

ことり「だけど――これが私の気持ち、だから」

海未「――そう、ですか」

ことり「それよりも……アイドル研究部、どうしよっか」

海未「そうですね……来週の撮影までは続けるべきでしょうが、それから先は、」

穂乃果「続けよう」

ことり「え?」

海未「穂乃果?」

 あはは。二人ともびっくりしてる。

 そうだよね。だって私が、一番続けたくないって思ってた人だもんね。
467 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/10/20(木) 23:18:36.95 ID:DRFjCdkxo

穂乃果「続けよう、アイドル研究部」

穂乃果「他の人たちに迷惑かけちゃうっていうのも、もちろんあるけど」

穂乃果「私自身、続けたいんだ」

穂乃果「私たち三人がつながれた、つながり続けられた、大切なきっかけだから」

穂乃果「すっごく――大切な場所になったから」

ことり「穂乃果ちゃん……」

海未「そう、ですね」

海未「アイドル活動、よいではないですか。私たちが『三人で』必死になれる場所があっても、いいと思います」

海未「どうですか? ことり」

ことり「……うん」

ことり「私も賛成!」
468 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/10/20(木) 23:19:02.59 ID:DRFjCdkxo





 ――ああ、なんだかとっても久しぶり。


 三人が、ひとつになれた気がした。




469 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/10/20(木) 23:19:39.62 ID:DRFjCdkxo

 * * * * *

にこ「…………」

 屋上への扉が、重い。

 いや、物理的にっていうのもあるんだけど、もっと精神的な部分で。

 昨日絵里が宣告したリミットは一週間。あと一週間で、六人を仕上げなければならない。

 ――正直、無理って思う。

 一年生はともかくとして、二年生三人はきつい。

 技術的にも、モチベ的にも。

 一週間は――短すぎるでしょ。

 そんな気持ちが重さを増させる扉を、やっとのことで開いて。

 私の目に飛び込んできた光景は。


穂乃果「あっ、にこ先輩きた!」

凛「にこ先輩おっそいにゃー!」

海未「こらこら凛、私たちの気が急いただけでしょう」

ことり「にこ先輩が来た時間はいつも通りだよ?」

花陽「そんなことより、早く練習始めませんか? あんまり時間、ないですし……」


にこ「――――え?」


 信じられないものだった。
470 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/10/20(木) 23:20:07.98 ID:DRFjCdkxo

 強い違和感が私を襲う。

にこ「え、ちょっと……え?」

穂乃果「そうだ、にこ先輩!」

 戸惑う私をよそに、穂乃果がぐっと私に詰め寄る。

穂乃果「今まで……すいませんでした!」

にこ「え……え?」

穂乃果「私、全然練習に一生懸命になれなくて、すっごく迷惑かけてましたよね……」

穂乃果「だけど、もう大丈夫ですから!」

穂乃果「私も、それに海未ちゃんもことりちゃんも、これから一生懸命がんばります!」

穂乃果「だから……改めて、よろしくお願いします!」

 叫ぶように言いながら、地面と平行になるくらい頭を下げる穂乃果。

 待って、全然状況についていけない。
471 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/10/20(木) 23:20:43.92 ID:DRFjCdkxo

ことり「そうだ、私『START:DASH!!』用の衣装作ってきたんです」

凛「えっ、本当!?」

穂乃果「おぉ、凛ちゃんいい食いつきだねぇ!」

花陽「だって凛ちゃん、それがお目当てだもんね?」

凛「えへへー」

海未「へえ、凛もかわいいところがあるのですね」

凛「あー、海未ちゃん馬鹿にしてる!?」

にこ「…………」

 なんていうか。

 懸念事項は、きれいさっぱりなくなったみたい。

 私の――知らない間に。
472 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/10/20(木) 23:21:19.09 ID:DRFjCdkxo

にこ「あ……」

 きゃいきゃいとかしましい後輩たちの姿を見て、気づく。

 屋上に入ったときに覚えた違和感の、その正体に。

 あの感覚。

にこ「――――」



 最近毎朝教室に入った時に感じる感覚に、そっくりだったんだ。
473 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/10/20(木) 23:22:23.70 ID:DRFjCdkxo
ここまで
二年生編終了、長かった
次は三年生編になると思う
続きはそのうち
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/20(木) 23:30:48.20 ID:e7J8JLdSo
乙です
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/21(金) 00:37:47.27 ID:XEr+GsNJo
乙乙
にこちゃんきついなこれ
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/21(金) 17:08:16.31 ID:nSM8EyK2o
自分の罪から逃げるな
全能神トール 
http://imgur.com/81Q68Of.png
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/21(金) 17:22:22.70 ID:nSM8EyK2o
きゃいきゃいとやかましいって初めてみた表現だわ
きいきいだろ
俺の負の経験値なんかあげなくていいから
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 00:27:03.41 ID:7mZYtjsI0
乙待ってた
毎回解決までが苦しいけど楽しみ
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/24(月) 19:50:09.53 ID:3+0R9CcSO
>>477
きゃいきゃいうるさいぞ
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/26(水) 06:33:42.58 ID:X5551eEFo
はよ
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 19:25:11.79 ID:eC+BAPPSO
はよ
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/02(金) 20:51:29.15 ID:nsiNVmIIO
はよ
483 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/12(月) 20:05:11.44 ID:z6qsGP5qo

【Side:絵里】
 
絵里「…………」チラ

希「…………」

絵里「…………」チラ

希「…………はぁ」

希「そろそろ、時間やんな?」

絵里「あら。もうそんな時間だったのね」

希「絵里ち。いくらなんでも白々しすぎ」

希「時計ちらちら気にしてたの、気づいてないと思った?」

絵里「……わかってるわよ」
484 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/12(月) 20:05:53.99 ID:z6qsGP5qo

希「実際のところ。どうなん? あの子らの出来栄えは」

絵里「先週の録画風景は希も見ていたでしょう?」

希「そんなこと言っても、うちダンスとか歌は専門外やし。あーうまくなったなー、くらいにしか思わへんかったよ」

希「あれでいけそうなん? ランキング100位以内」

絵里「…………」

希「……わかりやすいお返事どうも」

絵里「なにも言ってないわよ?」

希「目は口ほどに物を言う、ってね」

絵里「う……」

希「そっか。難しいんだ、やっぱり」
485 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/12(月) 20:06:26.14 ID:z6qsGP5qo

絵里「希の言う通り。うまくはなったわ。それも格段に」

絵里「二年生の三人が急にやる気になったのが大きいわね。おかげで一年生にも火がついたみたいだったし」

希「というより、見た感じ二年生の方が一年生に火ぃつけられた感じやったやんな?」

絵里「そう、かもしれないわね。もともとあの二人はアイドル活動に真剣に向き合っていたから」

絵里「だけど……やる気だけじゃまかなえないものも、あるわ」

希「まあ、やる気になってから一週間じゃねぇ……」

絵里「残念だけれど、結果は火を見ずとも明らかだわ」

希「なら、入らんの? アイドル研究部」

希「うちには絵里ちが楽しみにしてるように見えたんやけどな? アイドル活動」

絵里「――――」
486 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/12(月) 20:06:58.01 ID:z6qsGP5qo

 アイドルに全く興味がなかった、と言えば嘘になる。

 バレエの経験からダンスの心得はあったし、歌だって下手な方ではない。むしろどちらも好きなくらいだった。

 だから、それらを生かして自分が輝く舞台に再び登れるのであれば。

 かつての雪辱を、果たすことができるのであれば。

 それは願ってもないことであった。

 だけど。

絵里「アイドルはね。正直な話、どうでもよかったの」

希「ふぅん?」

 からかうような、試すような、希の相槌。

 ああ。やっぱりこの子は、底意地が悪い。

 わかっていて聞いているのであれば――お手上げである。

絵里「私が興味あったのは、矢澤さんの方」
487 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/12(月) 20:07:35.49 ID:z6qsGP5qo

希「うん。喜んでたもんね。うちの占いの結果、聞いた時」

希「『あの矢澤にこさんと一緒に活動できるの?』って」

希「おかしな話やんな? うちの占いなんて関係なく、一緒に活動したいなら「いーれて」って言えばいいだけなのに」

希「まるで誰かのお許しがなければ、それもできないみたいにさ」クスクス

絵里「もう、笑わないでよ」

 だけど、それも私が彼女に惹かれる理由。

 私はそういうところ、素直になれないから。

 「やりたいから」なんていうシンプルな理由で、一歩を踏み出すことができないから。

 それを純粋に追いかけられる彼女が――そう、とても眩しかった。

絵里「でも……」

 曇る私の表情を、希が察する。

希「うん。今のにこっちは、なんか違うね」

希「前に絵里ちが言ってた『私の知ってる矢澤にこと違う』って言葉の意味、今ならわかる」

希「今のにこっち――なんだか苦しそう」

絵里「…………」
488 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/12(月) 20:08:25.06 ID:z6qsGP5qo

 六人が作り上げた『START:DASH!!』の完成度は、お世辞にも上出来とは言えなかった。

 高坂さんが遅れ、星空さんが走り、小泉さんが息を切らせ。

 園田さんはぎこちなく、南さんは声が上擦る。練習不足は誰の目にも明らかだった。

 だけど、彼女らには他の誰にも負けない笑顔が宿っていた。

 楽しそうに。

 嬉しそうに。

 最高の瞬間を作り上げていた。

 もちろん、それは残る一人も同じだった――はずなのに。

絵里「…………」

 矢澤にこのそれは、あまりにも完璧に「作り上げられた」笑顔だった。
489 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/12(月) 20:10:57.98 ID:z6qsGP5qo

希「スマイルはゼロ円ってよく言ったもんやね。むりくり提供される笑顔が無価値だって、にこっちに思い知らされたわ」

 希の言葉になるほどと思う。

 彼女の笑顔には、ただ口角を吊り上げ目を細められた彼女の笑みには、まるで価値が見いだせなかった。

 ほかの五人との決定的な違い。

 彼女は、笑顔になっているだけであり。

 笑っているわけでは、ない。

絵里「そもそも……八つの光って、いったい何なのかしら」

希「っ」

絵里「別に希の占いをどうこう言うつもりは全くないのだけれど、だけど異様よ、あの八人は」

 そこに自分も含まれているというのは、なんだかおかしな話だけれど。

 でも、アイドルグループを結成するには、あまりにも向いている方向がばらばらな八人。

 それがなんとか形にはなってきたけれど……あくまで結果論。

絵里「矢澤さんが集めようとしていたのは、あの八人なわけよね?」

絵里「私たちは希の占いであの八人なんだってわかったけれど、矢澤さんにはなにか意味のある八人だった?」

絵里「けれど、どこかに共通点のある集まりというわけでもないし……」

希「……ね、絵里ち」

絵里「ん?」

 気づけばだんまりになっていた希が、言いにくそうに口を開く。

 それはまるで、いたずらを告白する子供のような。

希「あんな? 実はその占いのことで、絵里ちにまだ言ってないことがあって」

絵里「言ってないこと?」

希「うん。実はな、にこっちのことなんやけど、その八人に――」


 コンコン


 だけれど、希の告白は。

花陽「――失礼します」

 突然の来訪者に遮られた。
490 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/12(月) 20:11:38.29 ID:z6qsGP5qo
だいぶ空いた割に進まずに申し訳ない
続きは今書いてるからちょっと待って
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/12(月) 22:23:59.05 ID:X0OTporYo
おつ
続いてくれてよかった
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/12(月) 23:30:32.92 ID:OyhcxVFto
乙です
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/14(水) 00:54:45.84 ID:1nePQeZo0

待ってるぞ
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/16(金) 11:52:22.98 ID:fM7cg8gfO
頑張れ
495 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/20(火) 01:33:09.77 ID:YNfrPH5eo

【Side:花陽】

花陽「――失礼します」

 私が生徒会室の扉を開けると、少し目を丸くした生徒会長と目が合いました。

凛「失礼します」

 続いて凛ちゃんも。その姿を見て、生徒会長は表情を怪訝そうなものに変えます。

絵里「……いらっしゃい、アイドル研究部のお二人さん」

 氷のように冷たい視線が、私の心を見透かそうとしているのがわかりました。

 当然、だと思います。

 今日の午後五時。生徒会長たちは、その時間に私たちの部室を訪れる予定でした。

 この人たちが、アイドル研究部に入部するかどうかを決めるために。

絵里「こちらから伺う約束だったはずだけれど、私の記憶違いだったかしら」

絵里「それとも、別件で生徒会に用事?」

花陽「いいえ」

 生徒会長と向き合う私の声は。ひょっとしたら、少し震えていたかもしれません。

 これから自分がすることを考えたら、だけど、声だって震えます。

 だって。

 これはきっと、とってもずるい取引だから。



花陽「アイドル研究部に入っていただけませんか?」
496 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/20(火) 01:33:44.47 ID:YNfrPH5eo

絵里「――待って。言ってる意味がわからないわ」

花陽「なにも難しい話じゃありません。そのままの意味です」

花陽「アイドル研究部に、入ってください」

絵里「うん、うん。だからね? それを決めるためにあなたたちはランキング100位に入ろうと一生懸命――」

花陽「無理です」

絵里「――――」

 呆れながら頭を抱えた生徒会長が、そのままの姿勢でこちらに視線を送ります。

 さっきよりも。

 冷たい、視線でした。
497 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/20(火) 01:34:22.52 ID:YNfrPH5eo

絵里「――無理、というのは?」

花陽「それも、そのままの意味です」

花陽「私たちの歌で、踊りで、『START:DASH!!』で――」

花陽「ランキング100位入りは、無理です」

絵里「諦めた、ということかしら?」

花陽「いいえ。ただの事実です」

花陽「私たちは一生懸命頑張りました」

花陽「最初はどうなるのかな、って思いましたけど」

花陽「だけど、みんな少しだけ向いてる方向が違うだけで、必死なのは変わりなかったから」

花陽「だから。だから、あの『START:DASH!!』は、今の私たちができる最高のパフォーマンスでした」

絵里「それなら――」

花陽「それでも」

 何度も生徒会長の言葉を遮るようで、少し罪悪感があったけど。

 私は、続けます。


花陽「アイドルは、甘くありませんから」
498 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/20(火) 01:35:13.44 ID:YNfrPH5eo

絵里「……そうね」

 小さくため息をつきながら、だけど生徒会長は否定をしませんでした。

 この人だってわかっているはずです。

花陽「ランキング100位に入ること、無理だって。わかってましたよね?」

絵里「別に、あなたたちの努力を否定するつもりはないのだけれどね」

絵里「だけど……そう、あなたの言う通り。あの出来栄えでランキング入りは――」

花陽「違います」

絵里「――――」

 みたび、話を遮られた生徒会長は。

 だけど、怒った風でもなく、静かに私を見つめています。

花陽「あの条件を出したときから、です」

絵里「…………」
499 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/20(火) 01:35:54.07 ID:YNfrPH5eo

花陽「ずっと不思議でした。この条件、そもそも条件として成立してないって」

花陽「だって、私たちがランキングに入ろうが入るまいが、生徒会長には関係ありません」

花陽「なんのメリットもない話です」

絵里「――だとしたら、なぜ私はあんな条件だしたのかしら?」

 それは、わからないことを尋ねる質問ではなく。

 答え合わせをするような問いかけ。

花陽「……生徒会長は、最初から答えを言っていました」

花陽「私に言った、あの言葉です」

絵里「――――」

花陽「『入るつもりがあったから』、って。生徒会長は言いました」

花陽「それから、『あなたはわかってるんじゃないの?』、とも」

花陽「生徒会長は――絵里先輩は、そもそも最初からアイドル研究部に興味があったんですよね?」

絵里「――――」

 絵里先輩は、沈黙を貫くままでした。
500 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/20(火) 01:36:44.58 ID:YNfrPH5eo

花陽「その時の態度も、私は不思議でした」

花陽「私たちを煽るような。けんかを売ってるような。あの態度」

花陽「機嫌が悪かったっていうのも、あるのかもしれませんけど。でも、それだけじゃない気がしていました」

絵里「……なら、どんな理由が?」

花陽「試してたん、ですよね?」

花陽「理由はわからないけれど、絵里先輩には二年生も含めた「あの場の六人」がアイドル研究部にいることが必要だった」

花陽「いえ、それだけじゃありません」

花陽「今後もスクールアイドルとして活動していくことが、必要だった」

花陽「だけど、二年生は誰一人自分の意志でアイドルをやろうとはしていませんでした」

花陽「あのままの意識で続けていても。中途半端な気持ちで続けていても」

花陽「あの人たちがアイドルに真剣に向き合うことはなかった」

花陽「そんな人たちがもしもレベルの高い練習を要求されたら――」

 結果は、穂乃果先輩がそのまま証明してくれました。

花陽「……きっと、いずれ辞めてしまっていたと思います」

絵里「…………」
501 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/20(火) 01:37:28.19 ID:YNfrPH5eo

花陽「だから、煽ったんです。試すために」

花陽「アイドル研究部に、アイドル活動に、真剣に取り組めるかどうか」

花陽「あの六人が――ううん、絵里先輩たちも含めて、八人が」

花陽「アイドル研究部としてやっていけるかどうか」

花陽「絵里先輩のあの態度に怒ってばらばらになるならそれまで」

花陽「それでもなお、まとまりのあるグループを作れるかどうか。絵里先輩は、試したかったんじゃないですか?」

花陽「それならあの条件も納得できます」

花陽「ランキング100位なんて、絵里先輩にはどうでもよかった」

花陽「条件の本当の意味は――「100位に入れるくらいのまとまりを作れるか」、だったんですから」

絵里「――――」
502 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/20(火) 01:38:17.46 ID:YNfrPH5eo

絵里「ハラショー」

花陽「え?」

絵里「素晴らしいわ。まるで名探偵ね」

凛「それじゃあやっぱり!」

絵里「買いかぶりすぎなところもあるけれどね。おおむね当たりよ」

花陽「買いかぶり?」

絵里「……あの時の態度。あれは、そこまで深く考えていたわけではないわ」

絵里「ただ――ただ、腹が立ってしまっていただけ」

花陽「にこ先輩に、ですよね?」

絵里「……そこまでわかるものなの?」

花陽「私たちも、おなじですから」

凛「今のにこ先輩、ちょっぴり自分勝手だにゃ」

花陽「……二年生を勧誘したのは、正直、今でも納得できていません」

花陽「なんだかんだで、穂乃果先輩と海未先輩はやってもいいかなって気持ちに傾いていましたから、まだわかります」

花陽「だけどことり先輩に関しては、わけがわかりません」

花陽「衣装作り担当として勧誘したのなら、理解できました」

花陽「だけどにこ先輩は、アイドルをやってもらうために勧誘したって言ってました」

花陽「まったくやる気のない人を、すぐに辞めるかもしれないリスクを背負ってまで勧誘する理由は――わかりません」
503 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/20(火) 01:40:22.36 ID:YNfrPH5eo

絵里「それに関しては本人に確認するしかないけれどね」

絵里「それで? それがどう最初の話につながるのかしら?」

花陽「簡単です」

 すぅ、と一度息を吸って。

花陽「絵里先輩。私たち六人は、あなたの望むレベルまでの一生懸命さを作ることができました」

花陽「二年生も、それは同じです」

花陽「絵里先輩が求めていた「本当の条件」は、達成しました」

花陽「だから――アイドル研究部に、入ってください」

絵里「……なぜ?」

花陽「え?」

絵里「なぜ、私たちにそこまでこだわるの?」

絵里「矢澤さんを自分勝手というなら、私たちだってよっぽど自分勝手よ」

絵里「それこそあなたたちにメリットがない」

凛「簡単だにゃ」

 さっきの私の言葉をマネするみたいに、凛ちゃんが言います。

凛「先輩たちも、アイドル研究部のために一生懸命だからだにゃ」

凛「先輩たちと一緒に―― 一生懸命な人たちと一緒に部活をやりたいと思うって、おかしなことじゃないと思います」

凛「だから――アイドル研究部に入ってください」

 地面と平行になるくらい、凛ちゃんが頭を下げます。

 それは、絵里先輩たちと初対面の時の態度からは考えられない姿でした。
504 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/20(火) 01:41:55.34 ID:YNfrPH5eo

絵里「――そこまで言われたら、断りづらいじゃない」

凛「それじゃあ!」

 ぱっと顔を輝かせて、凛ちゃんが頭を上げます。

 私も、その言葉から良い返事を期待しました。

 だけど。

絵里「でも……駄目よ。条件は条件」

花陽「え……」

凛「そんな……」

希「ちょっと絵里ち」

 それまで黙って成り行きを見ていた希先輩が口を開きます。

希「そこまで頑固なる必要あるん? 絵里ちとしても願ってもない申し出やん」

絵里「それとこれとは話が別だわ」

絵里「ここでその話を飲んでしまったら、筋が通らないじゃない」

絵里「それこそあそこまで仕上げてきた彼女たちを侮辱する行為だわ」

絵里「私があなたたちの……矢澤さんのお願いをきくことは、できないわ」

 思ったよりも、絵里先輩は頑なな人でした。

 せっかく、せっかく真剣にアイドルに向き合える仲間が増えると思ったのに――

絵里「だから、ね」

花陽「え?」

 自分でも気づかぬ間にうつむかせていた顔を上げると。

 そこには、ほんのちょっぴり照れた顔の絵里先輩いました。


絵里「だから――こうさせてもらうわ」
505 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/20(火) 01:43:05.18 ID:YNfrPH5eo

 * * * * *

絵里「私たちをアイドル研究部に入れてください」

希「お願いします」

にこ「…………」

 絶句。余りにも意味不明な展開に言葉が出てこなかった。

 約束の時間を少し過ぎたころ、なぜか絵里たちと一緒に花陽と凛もついてきて。

 パソコンでサイトにつないで結果を確認したら――惨敗。

 100位にはほど遠い数字が、私たちにつけられていた。

 正直、わかってた部分はあるけど。それでもショックなことには変わりなくて。

 絵里たちが入部しないって現実がじんわり体に染み渡ろうとしていたところで――その台詞。

にこ「あの、ちょっとなに言ってるか全然わかんないんだけど……」

絵里「たしかにあなたたちは私の出した条件をクリアできなかった」

絵里「だから、私たちが矢澤さんのお願いをきくことはできない」

にこ「うん、そうよね。私の認識、間違ってなかったわよね」

にこ「だったらなんで――」

絵里「だから、よ」

絵里「だから……今度は、私たちからお願い」

絵里「矢澤さんのお願いとか、私の出した条件とか、そんな話はもう一切関係ない」

絵里「自分勝手なのはわかってる。今までの態度も全部謝るわ」

絵里「だから――私と希を、アイドル研究部に入れてください」

にこ「…………」  
506 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/20(火) 01:43:53.20 ID:YNfrPH5eo

 いや、いやいやいやいや。

 たしかに最初にお願いしたのは私だし、条件をクリアできなかったのに二人が入部してくれるのは願ってもない話。

 でも、どこか私の心にはもやもやしたものが残る。

 そう――最近ずっと感じている、置いてけぼり感。

 私の知らないところで、私にかかわる致命的なものがどんどん進められていく感覚。

 それが、また、私に襲い掛かった。

海未「それではこれからも生徒会長のレッスンを受けられるということですか?」

ことり「私は大歓迎かなぁ。レッスンはたしかにちょっと大変だけど、でも自分が成長してるのが実感できるし」

穂乃果「あ、あははー……私はちょっとどころじゃなかったけどなぁ……」

海未「穂乃果が一番必要とすべきでしょう? まったく情けない」

穂乃果「だってぇ……」

 ちょっとちょっと、あんたたちも待ちなさいよ。

 まだ私、返事してないじゃない。

 なんでもう二人が入部するかのように話を進めてるわけ?
507 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/20(火) 01:44:31.92 ID:YNfrPH5eo

花陽「にこ先輩」

にこ「え?」

 戸惑う私に、花陽が正面から向き合う。

花陽「断る理由は、ないと思います」

花陽「絵里先輩たちが入れば、この部はもっともっとレベルアップできます」

花陽「だから、この話は――」

 真剣に語る花陽の言葉が、右から左へと流れていく。


 『絵里先輩』 


 あんたたち、いつの間にそんな距離になったの?

にこ「……うん、うん」

にこ「いいんじゃない?」

 気づけば私の口からは、そんな言葉が漏れていた。

凛「……! やったにゃ!」

 ねえ、凛。

 あんた絵里のこと毛嫌いしてたんじゃなかったっけ?

 なんでそんな大喜びしてるわけ?
508 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/20(火) 01:45:25.74 ID:YNfrPH5eo

絵里「それじゃあ改めて」

絵里「三年生の絢瀬絵里です。今までは偉そうにしてごめんなさい」

絵里「だけどこれからは対等な部員。一緒に高め合っていきましょう」

希「うちからも言わせてもらおうかな?」

希「同じく三年生の東條希」

希「今まではあんまり関わることもなかったけど、これからはよろしくね」

穂乃果・凛「よろしくお願いしまーす!」

 二人の元気な声を口火に、絵里たちはここに迎え入れられた。

 ははは、やったじゃない。

 ついに真姫ちゃん以外の八人が揃ったわ。

 私の望んだ通りじゃない。

 私の計画通りじゃない。

 あはは。



 





 あたま、いたいな。
509 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2016/12/20(火) 01:46:49.12 ID:YNfrPH5eo
ここまで
エリチカ編終了
ちょっとかよちんが説明キャラになったのは力不足でした
続きはまた近いうち
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 01:48:23.12 ID:E7YMLGDm0
久しぶりにリアタイで読めた
いつもドキドキしながら読ませてもらってます
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 01:49:34.66 ID:Z8xVzuCSO
にこっち…
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 03:00:59.85 ID:NIGKcwIZo
乙乙
のぞえり加入までりんぱながやるのはなんだかなぁ
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 15:35:49.36 ID:DRNYZpOr0

さてこっからどうなるのやら…
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 20:53:02.67 ID:PZBPU1f1O
クソの役にも立たない主人公だな
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/21(水) 06:53:08.83 ID:gbNEbnbtO

   ̄ヽ、   _ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     `'ー '´
      ○
       O
        
         ,,..,,_
     , -''"´    `゙''-、     ,, -‐ 、
    ,."          `ヽ  /'    ヽ
   l             l /       i  
   l__  、、、_ } { _、、、 __ l/    ...........i
  {l〈  ヽ., --)-(-=-_ノ /   ..:::::::::::::::|
  ヾ|     ̄ノ   ̄   /   ..::::::::::::::::::l
   l     (、{,___,},.)  /  ..::::::::::::::::::::!
    l \   `ニ´  /  .::::::::::::::::::::/
    ヽ   / ー \/   .:::::::::::::::::::/
     \      /  .:::::::::::::::::::/
   . ‐'"´  `'‐,r''"~   .:::::::::::::::::/
 /,. -‐‐- 、 l′     ..:::::::::::::/|
:,'      /       !.:::::::/:i..:..l
r   、  /           !::::::::::: i..:..i
l  .......`:i    i         !:::::::::: ゙、:.i
!  ::::::::::/    i       i:::::::::: ヽ:i
.! ::::::::/     i      .....i::::::::::: ヽ
.ヽ ::::::|  `、   `、  .....::::::::::::l::::::::::::  `,
/ \:::l.   `、   ヽ::::::::::::::::::::l:::::::::::  /'''ー─----、
   `ヽ   `、  .::::\:::::::::::::::|::::::::: /,,   ,. ‐;''""
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/22(木) 01:24:12.95 ID:CK1TQYqP0
花陽は本編でも一生懸命だし
こんな環境だったらこうなるかもしれない

周りに置いてかれるにこがいい感じに辛い乙
517 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/01/02(月) 22:53:05.75 ID:yiknpVX/o

【Side:真姫】

 学校内でアイドル研究部の噂を耳にすることが増えた。

「アイドル研究部、最近頑張ってるらしいよ?」

「えっ、それって例のあの子の部活でしょ?」

「それがなんだか最近活動再開したらしくて」

「あー、それ私も知ってる。なんかおっきな大会に出るためのランキングに登録したとか」

「それそれ。踊ってる動画もあるけど結構いい感じだったよ」

 音楽室へ向かう途中。前を歩く先輩たちの会話。

 3年生の彼女らからしてみれば、アイドル研究部は触れちゃいけないタブーのようなもの。

 ――だったはずなのに、それが今、動き始めてる。
518 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/01/02(月) 22:53:33.90 ID:yiknpVX/o

「うちの部活の後輩の話だと、興味持ち始めた子もいるみたい」

「へー。だけど、部長ってあの子のままでしょ?」

「またひとりぼっちにならなきゃいいけどねぇ」

「あはは、言えてる。なんかネットでは既に悪口書かれてるらしいし」

「きゃー、前途たなーん」

 他人事のように茶化す彼女らの背中に続く。

 いや、たしかに他人事なんだろうけど。だけどちょっと悔しいカンジ。

真姫「…………」

 ……私にとっても、他人事じゃないの? 
519 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/01/02(月) 22:54:12.16 ID:yiknpVX/o

 たしかに曲を提供したのは私。

 だけど、別に入部してるわけじゃない。

 でも、その部長とはしょっちゅう会ってて――

真姫「――もう、わけわかんない」

 私にとってアイドル研究部ってなに?

 私にとって、「矢澤にこ」は――
520 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/01/02(月) 22:55:05.11 ID:yiknpVX/o

真姫「……で? なんでまたいるわけ?」

にこ「…………」

 もやもやしながら訪れた音楽室には、すでに先客がいた。

 一番前の席でしかめっ面してる二個上の先輩。

 アイドル研究部部長。

 自称未来人。

 矢澤にこ。

真姫「アイドル研究部、忙しいんじゃないの? あちこちで話聞くわよ?」

にこ「…………」

 返事はない。

 最近のこの人はいつもそう。

 部活をほっぽりだして私のところに来たかと思えば、つまんなそうな顔して私の曲を聴いていく。

 正直暇人? って思わないでもないけど、でも、そうじゃないことくらいわかる。

にこ「…………はぁ」

 彼女が何かを抱え込んでることくらい。
521 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/01/02(月) 22:55:37.41 ID:yiknpVX/o

真姫「ま、別にいいけど」

 気にしてない風を装ってグランドピアノの前に腰掛ける。

 鍵盤に置いた指がちょっとだけ震えてるの。ばれてないわよね?

 間違っても気づかれちゃいけない。気づかれたくない。

 何かに迷ってる彼女が。

 何かに惑ってる彼女が。

 唯一、私を頼ってくれてることが、嬉しいだなんて。
522 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/01/02(月) 22:56:26.87 ID:yiknpVX/o

真姫「――――」
  
 きっと、それが答え。

 友達を作ることを頑なに拒んだ私が、一人になることを望んだ私が、ついに崩した壁。

 一緒にいてもいいって。

 一緒に何かをしてもいいって。

 そう、思える存在。

 きっかけはこの人がつけてくれる歌詞。私の曲に、ぴったりの歌を乗せてくれる人。

 だけど、それが理由として小さくなるのに時間はかからなかった。

 時々でも構わない。

 私のために足を運んでくれるのが。私のために時間を費やしてくれるのが。

 すごく、嬉しかった。
523 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/01/02(月) 22:57:12.33 ID:yiknpVX/o





 私のメロディに、彼女が歌を乗せる。



 ただそれだけの時間が、ずっと、ずっと、続けばいいと思った。




524 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/01/02(月) 22:58:57.11 ID:yiknpVX/o
短いけどここまで
今更だけどアニメ見返してたらリボンの色レベルでわけわからん勘違いしてた
シナリオ上関係はないけどちょこちょこ違和感あったらごめんなさい
次はまた近いうち
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/02(月) 23:53:36.96 ID:34b/KpHc0

楽しみにしてます!がんばってね
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/03(火) 22:25:47.00 ID:Nr+bjUJx0

あとは真姫ちゃんが入れば一応九人揃うけどどうなるんだろ
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/27(金) 22:06:07.77 ID:7R1qUiJSO
はよ
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/11(土) 17:51:59.17 ID:UXq7tT3PO
はよ
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/26(日) 22:09:45.69 ID:yy5CFJJmO
待ってるぞ
530 : ◆yZNKissmP6NG [sage]:2017/03/01(水) 22:08:30.21 ID:cWxibgpto
申し訳ないけど生存報告だけ
もうちょっと待ってください
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/02(木) 14:46:47.89 ID:Ud50C7JSO
>>530
報告ありがとうございます。

気長にお待ちしています。
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/04(土) 17:09:12.98 ID:ZDgOSR/GO
生きてたか、気長に待ってるよ
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 11:51:15.86 ID:tLpcSFlto
534 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:40:45.51 ID:JLb1uo3Bo

 この世界にきて最大の違和感を、ここ数日で嫌というほどに味わってる気がする。

 μ'sのメンバーも八人まで揃い、残すは真姫ちゃん一人となった。

 形としてはまだでも、雰囲気としてはもうかつてのμ'sと同じようなものになってたっておかしくない。

 ――はずなのに。

穂乃果「それでね、名前はなんかこう、春っぽい感じがいいと思うんだよね!」

ことり「わぁ、私も賛成! 私たちにぴったりだと思うなぁ」

穂乃果「だよね、だよね! どんなのがいいかなぁ……」

ことり「ちょっとおしゃれな感じも出したいよね……」

 さっきから聞こえるこの会話。

 私が部活に顔を出してる時は――ぶっちゃけ、最近は真姫ちゃんのところに行くことの方が多いんだけど――嫌というほど耳に入ってくる話題。

 それがなにより――私の心をざらつかせる。

 あんたたち、一体なんの話してるのよ。
535 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:41:26.66 ID:JLb1uo3Bo

海未「ほら、二人とも。そろそろ練習を始めますよ」

ことり「あ、はーい」

穂乃果「えぇー、もうちょっとでいい名前が浮かびそうだったのにぃ……」

海未「つべこべ言わないでください。絵里だってさっきからあなたたちの会話をどこで遮ろうか戸惑っているのですよ」

絵里「ちょ、ちょっと海未、私のことは別にいいから……」

海未「いえ、よくありません。こういったことはきっちり区切りをつけるべきです」

海未「にこ先輩だって、今日は作曲者の方のところでなくこちらへ顔を出してくれているのですから――」

 うん、まあ、そういう建前を使わせてもらってるんだけど。

 だから、こっちに顔を出さないのは、全面的に私の責任なんだけど。


 絵里。にこ先輩。

 
 距離感が――つらい。
536 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:42:09.15 ID:JLb1uo3Bo

にこ(あー、いづらい……)
 
 開いた溝が、なおのこと私の居場所を奪い。

 結果居心地のいい場所――つまり、放課後の音楽室に、足を運びたくなる。

 それが拍車をかけてることなんてわかりきってるんだけどさ。

 でも、今のこの部活は……なんだかものすごく、気味が悪い。

 自分の作った料理を食べてるはずなのに、入れた覚えのない調味料が混ざってるような、そんな感覚。

 居心地が――悪い。

海未「ところで花陽と凛はまだなのでしょうか。いつもなら真っ先にウォーミングアップを始めているのですが」

絵里「ああ、その二人なら今日は遅れるそうよ。さっきメールをもらったわ」

 なんで部長の私に送らないの? なんて疑問は、誰も持たない。

 そりゃそうよね。来るか来ないかわからない人間に送ったってしょうがないわよね。
537 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:42:42.56 ID:JLb1uo3Bo

海未「ああ、そうです。フランス語なんてどうでしょう」

穂乃果「?」

海未「先ほどのあなたたちの話です。おしゃれな名前をつけたいのでしょう?」

海未「ならば春をフランス語にでも訳してみてはと思ったのです」

ことり「フランス語で春って……?」

希「あ、うち知ってるよ。たしか――」

   プランタン
希「printemps、やったっけ」


穂乃果「ぷらんたん……うん、いい感じ!」

ことり「とってもおしゃれな響きだねぇ」


穂乃果「ほんと、私たちのユニットにはぴったりな名前だね!」
538 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:43:10.22 ID:JLb1uo3Bo

 ユニット。

 たまに顔を出せば、いつも耳にする話題はそれ。

 特に乗り気なのは穂乃果やことりみたいだけど、他の子たちもまんざらではない雰囲気を醸し出してる。

 いやいやいや、冗談じゃないわ。

 これからμ'sとしてやっていこうって時に、ユニット?

 九人で――まだ、八人だけど――練習する時間は、まだまだ削れる段階じゃないの。

 それを二、三人のユニットに割くだなんて、とんでもないわ。
539 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:43:58.20 ID:JLb1uo3Bo

にこ「…………」

 だけど、こうして一人離れて他の子たちを眺めてると、よくわかる。

 この集まりは、μ'sとは違う。

 真姫ちゃんがいないこととか、個人個人の距離感が違うとか、細かいところもそうなんだけど、それだけじゃなくて。

 決定的な部分で、雰囲気が違う。

 ここにいる八人は、決して「八人の集まり」になってない。

 穂乃果が作ったあの九人にあったまとまりが、ここにはない。

 もちろんそれは仲が悪いとかそういうことではないし、関係にぎこちなさがあるってわけでもない。

 だけどそう――かつて感じた一体感は、少なくともまだ、ここにはない。

 ……まあ、それを率先して乱してるのが自分だっていうのは、反省しなきゃだけど。

 でも。

にこ(仮に真姫ちゃんが入部したとして――私たちは、あのμ'sになれるの?)

 頭の隅にべったりとこびりつく不安は、何度かぶりを振っても離れてくれることはなくて。

 言いようも知れない恐怖が、私の足をがっしりとつかんでいるのを感じた。
540 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:44:38.73 ID:JLb1uo3Bo

にこ(ええい、やめやめ!)

 そんなことを考えてたってなにも始まらない。

 今の私が考えるべきは、あの頑固な赤毛ちゃんをいかにしてここに引っ張ってくるかで――

 と、私が考えを切り替えようとしたところで、ばーんと屋上の扉が開かれる。

花陽「た、大変です!」

 飛び込んできたのは、なんだか懐かしさを感じる花陽の叫び声。続いてその本人と、同様に息を切らせた凛が駆けてくる。

絵里「ちょ、ちょっとどうしたの花陽? 落ち着いて?」

凛「落ち着いてなんていられないにゃ! ビッグニュースだにゃ!」

穂乃果「ニュース?」

希「なにがあったん?」  

 ただならぬ様子の二人に他の部員も集まってくる。さすがにおいてけぼりを食うわけにもいかなく、私も続いて彼女らに近寄る。

 六人の視線を一手に浴びる花陽が、果たして口にした言葉は。

花陽「にゅ……入部希望者です!」
541 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:45:30.56 ID:JLb1uo3Bo

にこ「――――!」

 断言できる。

 その言葉に、一番動揺したのは、私だって。

海未「入部希望者とは……花陽たちのクラスメイトが、ということですか?」

花陽「は、はい」

凛「凛たちね、放課後になってすぐに声かけられたんだ。アイドル研究部に興味があるんだけど、って」

にこ「あ、あ……」

 充実感? 満足感? 達成感?

 今の気持ちをどう表現していいのかわからない。
 
 だけど、それは間違いなく私の心を喜びに震わせていた。

 ついに。

 ついにあの子が、折れてくれた――!

絵里「それで、その子は来ていないの?」

花陽「はい、今日は用事があるから話だけ、って……」

凛「だけど興味津々だったし、絶対入ってくれるよ!」

にこ「その、その子の名前って、」

 はやる気持ちを抑えきれず、つい漏れ出た私の質問は。

 だけど、続いた凛の言葉にかき消される。
542 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:45:56.98 ID:JLb1uo3Bo





凛「二人とも!」




543 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:46:46.83 ID:JLb1uo3Bo

にこ「…………は?」

ことり「すごい、二人も入ってくれるの?」

穂乃果「おおー、一気ににぎやかさが増しそうだね!」

海未「にぎやかさは穂乃果だけで十分ですが……それでも人数は多いに越したことはありませんしね」

にこ「いや、ちょ、」

絵里「そうね、人数が多ければその分ユニットの組み合わせだって幅が広がるだろうし、悪いことじゃないわ」

希「――――」

にこ「ま、待って……」

 沸き立つ場の空気に、混ざれない。

 みんなが何を喜んでいるのか、私にはまったく理解できなかった。

 二人? え?

 真姫ちゃんじゃ――ないの?
544 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:47:23.14 ID:JLb1uo3Bo

 私の疑問に答えるかのように、花陽が言葉を続ける。

花陽「小林さんと鈴木さんっていうんですけど、二人ともこの間の動画を見て興味を持ってくれたみたいで」

穂乃果「この間のって、『START:DASH!!』の?」

凛「うん。あれで興味を持ってくれた人、結構いるみたいなんだ」

ことり「そっかぁ……やっぱり意味があったんだね」

海未「ええ……なんだか嬉しくなってしまいますね」

絵里「よし、それじゃあその子たちをしっかり迎え入れるためにも、今日の練習を――」

にこ「――――め」

絵里「え?」

 そんなの。

 絶対に。

にこ「――――だめ!」
545 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:48:07.05 ID:JLb1uo3Bo

穂乃果「にこ、先輩?」

にこ「だめ、そんなのだめ、絶対に! 認められない!」

絵里「ちょ、ちょっとにこ? どうしたのよ急に」

絵里「部員が増えるんだったら願ってもない話じゃないの?」

にこ「願ってなんかない! 願ってなんか……」

 目を白黒とさせながら、部員たちが私を見つめる。

 構わない。どれだけ奇異に映ったって、構いやしない。

 これは、これだけは譲っちゃ――

希「九人じゃ、なくなるから?」

にこ「――――っ」

 言葉を継ごうとするより早く、息をのまされる。

希「にこっちが入って欲しいって思ってる人じゃないから、だからだめなん?」

にこ「それ、は……」

 ドンピシャの答えを突き付けられ、口ごもる。

 その通りよ、希。

 私の、私たちのμ'sを。

 見知らぬ誰かに、侵されたくないの。
546 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:49:10.21 ID:JLb1uo3Bo

絵里「……希。占いのことを言ってるのだったら、私は八人だと聞いていたのだけれど?」

希「うん、うちの占いではね。だけど、にこっちにとっての『それ』は、どうも九人みたいなんや」

希「せやんな? にこっち」

にこ「…………」

 見透かすような希の言葉に、返すものが見つからず。

 だというのに、希にとってそれは十分返答にあたるものだったみたいで。

希「もともとここにいる八人はね? 意味のある八人だったんや」

花陽「意味のある?」

希「うん。うちの占いでな? 八つの光がひとつに集まって、おっきなひとつの光になる、いうんがでたんよ」

希「それが――うちと絵里ちの占いの結果」

希「それが、この八人……なんだと、思ってた」

海未「……思ってた、ということは、実際は違ったのですか?」

絵里「待って希、そもそもそれは『私と希の占いの結果』なの?」

絵里「にこの占いの結果じゃ、ないの?」

希「…………」

 意味ありげな沈黙。

 ねえ、希。なんで?

 なんでそんな悲しそうな目で、私を見てるの?
547 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:49:43.53 ID:JLb1uo3Bo

希「にこっちの占いの結果は――白紙だった」

にこ「――――は?」

希「うちが占ったその『八つの光』に、にこっちは――入ってなかったんよ」

希「だからきっと、あと一人、たぶんにこっちの考えてる九人目が、私たちにとっての八人目」

希「にこっちは、最初から――入って、なかった」

にこ「――――」

 もう、よくわかんない。

 この子は、なにを言ってるの?

 私が死ぬ物狂いで集めた、このメンバーに。

 私が、入って、ない?
548 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:50:17.60 ID:JLb1uo3Bo

希「ねえにこっち。うち、教えてほしいんよ」

希「教えてほしいから、わざわざこんなつらいこと突き付けることにしたの」

希「にこっちの大事な部分に触れたいから、知りたいから、嘘はつきたくなかった」

希「ごまかしたくなかったの」

希「にこっちにとってその九人って――なんなん?」

にこ「きゅうにん、きゅうにん、は……」

 そんな、そんなの、言わなくてもわかるでしょ?

 言わなくても、わかってよ。

 だってそれは、もう形ができ始めてる。生まれ始めてる。

 スタートダッシュを切ったじゃない。

 まだ、六人っていう未完成な形だったけど。

 だけど、その輪郭は、見え始めてたじゃない。
549 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:50:47.54 ID:JLb1uo3Bo





にこ「……μ's、でしょ?」




550 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:51:35.20 ID:JLb1uo3Bo

 私の一言は、透明な空気の中に紛れて、消えた。

 誰も、なにも答えない。

 どうして?

 六人で踊ったじゃない。歌ったじゃない。

 練習なら、八人で。私たちのパフォーマンスを、μ'sパフォーマンスを、見せたじゃない。

 なのに、なんでそんな――


穂乃果「みゅーず、って……なに? せっけん?」

 
にこ「――――」

 それは、ひょっとしたら場を和ませようとした穂乃果なりの気の利かせ方だったのかもしれない。

 だけど、今の私にとって。

 それは、決定打。

にこ「うそ、だって……」

 よろよろと、おぼつかない足取りで、屋上の隅に放られたかばんに近寄る。
 
 その中からスマホを取り出し、インターネットブラウザを起動。

 ラブライブ公式を、検索。

 ここには、あるよね?

 100位には入らなかったけど、だけど。

 μ'sの名前が、ここには――

にこ「――――あ、」

 だけど、私たちの順位を示す数字の、その隣には。


「音ノ木坂学院アイドル研究部」


 なんの温かみもない、無機質な文字の並び。
551 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:52:04.37 ID:JLb1uo3Bo

にこ「は、はは……」

絵里「に、こ?」

にこ「あは、あはは、あっははははははは!」

海未「ど、どうしたのですか? 落ち着いてください!」

 そっかそっか、わかった。わかっちゃった。

 
 「これ」、μ'sじゃないんだ。


 そっかそっか、納得。

 そうよね、そうに決まってるわよね。

 じゃなきゃ、こんなことになってるはず、ないもんね。

 あはは。

 はは。

 は……
552 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:52:59.21 ID:JLb1uo3Bo





 それなら。




553 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:53:38.24 ID:JLb1uo3Bo

にこ「……なら」

希「にこっち?」

にこ「それなら!」

希「っ!」

 それなら。

 それならそれならそれなら!

にこ「それなら――」
554 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:54:08.46 ID:JLb1uo3Bo

 私の中のきれいな心は、言っちゃダメって言ってる。

 私の中のきたない心は、言っちゃえって言ってる。

 それはどっちもおんなじくらい大きな気持ちで。

 だから、私は。

 自分の意志で、選んだ。
555 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:54:34.94 ID:JLb1uo3Bo





にこ「それなら――こんな集まり、もういらない!」




556 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:55:05.03 ID:JLb1uo3Bo

「――――」

 誰かが息をのんだ。

 みんな、だったのかもしれない。

 決定的に走ったヒビに、とどめを刺したのは。

花陽「――わかりました」

 意外な人物。
557 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:55:42.54 ID:JLb1uo3Bo

花陽「……私、にこ先輩は、本当にアイドルが好きなんだなって思ってました」

花陽「だからこそ、ひとりぼっちになっても、アイドル活動を続けられたんだなって」

花陽「だけど……違ったみたいですね。勘違いでした。ごめんなさい」

花陽「絵里先輩。今日からアイドル研究部の部長、お願いします」

花陽「ちゃんと、一生懸命になれる人に、引っ張ってもらいたいですから」

花陽「もう――こんな思い、したくないっ!」

絵里「花陽!」

 湿った叫び声と共に、花陽は屋上を飛び出す。

 それが、皮切り。

海未「……失礼します」

穂乃果「え、っと……私も」

ことり「あ、待って……」

 ひとり、またひとりと。

絵里「……少し、頭冷やしなさい」

希「…………ごめん、にこっち」

 屋上から去って行き。

 そして、私は。
558 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:56:09.17 ID:JLb1uo3Bo





にこ「あ――あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!」




 また、ひとりぼっちになった。




559 : ◆yZNKissmP6NG [saga]:2017/04/12(水) 20:57:02.99 ID:JLb1uo3Bo
ここまで
ずいぶん間が空きましたごめんなさい
続きはできれば近いうち
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/12(水) 21:10:53.35 ID:xfAUr2H+o
乙です
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/12(水) 22:44:24.55 ID:90rNq/sCO
乙です。いつもドキドキしながら読んでる
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 10:20:24.29 ID:PnIwIrKZO
乙乙
胃が痛くなるな…
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