用心棒「派手にいくぜ」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 19:32:43.46 ID:Q5Q1PHd30

 スボッ スボッ スボッ スボッ スボッ…

番頭「おお、寒い寒い……」ブルブル

番頭(江戸にこんな大雪なんて、いつぶりだろう……歩くたびに、すぼ、すぼ、って音がすらあ)

番頭(黒船が来てから全部狂っちまったみてえだ……ナンマンダブナンマンダブ)ハアー


番頭「おい!居るんだろう!開けろ」バンバン

大工「誰です何です一体?」ガラッ

大工「げっ……番頭さんじゃないですか」

番頭「そうだよ番頭さんだよ。なんか文句あるのかい」

番頭「わざわざ雪の中を来たんだ、今日こそは三両、耳を揃えて返してもらうよ」

大工「きょ、今日は都合が悪くて……」

番頭「何言ってるんだい、おとついに明後日返すと言ってたじゃないか」

番頭「今日は返してもらうまでてこでも……ん?」


 スボッスボッスボッスボッ…

少年「はあ……はあ……」

少年「痛っ!」ズキッ


番頭「……子供が……」

大工「……江戸もすっかり物騒になったもんでさ」

 ガラッ ピシャリ


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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 19:33:27.03 ID:Q5Q1PHd30

 スボッスボッスボッスボッ…

少年「はあ……はあ……」

少年「あっ」ズルッ

 ズボッ! 

少年「……う、う……」


?「鬼ごっこはこれくらいで十分だろう、小童」

少年「!」クルッ

浪人甲「そろそろ首と体にお別れしてもらう時間だぜぇ」スラッ

浪人乙「でもまあ、嬉しいだろう?親父とお袋のところに行けるんだからよ!」スラッ

浪人丙「……お前の家の人間を一人も残すな、との依頼なんでな。念仏でも唱えていろ」

少年「……!」ギロッ

浪人甲「そう睨むなよぉ。ね、いい子ちゃ〜ん……」ジリジリ

浪人乙「痛いのは最初だけだからよ……なあ、おとなしく……」ジリジリ

少年「うあーっ!」ダッ

浪人甲「おっ!?」ガッ グラッ

浪人乙「わっ!?」ガッ グラッ

 ズボッ! ズボッ ズボボッ

少年「はあっ、はあっ……」ヨロヨロ

浪人丙「はっ!」シュッ

少年「ぎゃあっ!」スパッ

浪人丙「手間取らせやがって……」

少年「ううっ……」ヨロッ ドサッ

 グラグラ

浪人丙「……む?」

 ドサドサッ

浪人丙「うおっ!?ゆ、雪が!」

少年「!」

 スボッスボッスボッ…

浪人甲「逃げやがった!」バタバタ

浪人乙「おのれ、クソガキ!」バタバタ

浪人丙「いつまで雪遊びしてんだお前らは!?」バタバタ

浪人甲・乙『田舎と雪質が違うんですよ!』バタバタ

浪人丙「クソッ、坊主め!この代償は高くつくぞ!」バタバタ
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 19:33:57.45 ID:Q5Q1PHd30

 スボッ スボッ スボッ…

少年「はあ……はあ……」トボトボ


少年(……おや、橋だ……)

少年(……武家の家に生まれながら、家族も守れないなんて……)

少年(……いっそ、川に飛び込んで死んでしまおうか……)

少年「っ……目眩が……」クラッ

 ズボッ

少年「……」

少年(もう、起き上がる気力もない……)


<スボッ スボッ スボッ…
 <スボッ スボッ スボッ…

?甲「……」

?乙「……」


少年(……男と、女だ……)

少年「……父上……」

少年「……母上……」

<スボッ スボッ スボッ…
 <スボッ…

?乙「……」ピタ…

?甲「……?」クルッ

?乙「……」

?甲「……ほうっておけ。行くぞ」

?乙「……」

?甲「……おい!」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 19:34:28.87 ID:Q5Q1PHd30

<ズボッズボッズボッズボッ
 <ズボッズボッズボッズボッ
  <ズボッズボッズボッズボッ

浪人甲「おっ!いやがった、クソガキ!」

少年「!……」

浪人乙「へっへっへえ、雪の布団が火照った体に心地よかろう?」

浪人丙「……む?何だ手前らは」

?甲「!」

浪人甲「さては正義の味方だな?」ヘラヘラ

浪人乙「おう、おう、とっとと尻尾巻いて逃げたほうが自分のためだぞ?」

浪人丙「……男、貴様は見たところ浪人のようだが」

?甲→用心棒「……いや、俺は用心棒。こっちは相棒だ」

?乙→相棒「……」

浪人丙「そうか。とっとと消え……」


浪人甲「わかった、こいつ、このガキの叔父だな!」

浪人乙「そうだった!こいつの叔父は、家を襲ったとき留守だったから逃がしちまったんだった!……待てよ?」

浪人乙「……そういえば、追ったのはお前だったな?そして仕留めそこねた……」

浪人甲「うっ……」

浪人丙「お、おいキサマら、何を早とちりして……」

用心棒「そうだ、人違い……」

浪人甲「ええい問答無用!死ねっ!」ビュンッ

用心棒「チッ!」ゴソッ

 ガキインッ!

浪人甲「――な!?」

浪人乙「――に!?」

浪人丙(あ、あいつ……刀を短銃で受け止めやがった!?)

浪人丙(それより、何であいつは短銃なんて持っていやがる?)

浪人丙(もしや、浪人のような風貌だが――幕府の役人か!?)

浪人丙(だとしたらそいつに斬りかかった俺たちは――)
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 19:35:03.60 ID:Q5Q1PHd30

浪人丙「殺せ!早く殺せ、証拠を残すな!」

浪人甲「!?――は、はい!せいやっ!」ビュンッ!

用心棒「馬鹿め!」ジャキッ

 ズドンッ! ズドンッ!

浪人甲「ゴフッ」ドサッ

浪人乙「ガフッ」ドサッ

浪人丙「は、速――」ゴソッ

用心棒「遅い」ジャキッ

 ズドンッ!

浪人丙(お、俺は……なんてついてないんだ)

浪人丙「ゲフッ」ドサッ

用心棒「……!」スッ

用心棒「……」スッ ゴソッ


用心棒「……ところで、そいつは生きてるのか?」

相棒「たぶん」

少年「……う……」

用心棒「……生きてるみたいだな」

相棒「うん」

用心棒「どうするんだ?」

相棒「……」グイッ

用心棒「何でそいつを背負って……まさか」

相棒「助ける」

用心棒「……まったく……」ハア

<スボッ スボッ スボッ…
 <スボッ スボッ スボッ…


?(用心棒と相棒……?なぜこんなところに現れたんだ)

?(俺の計画では、浪人どもが子供を殺し、俺が浪人どもを殺すはずだったんだが……)

?(……まあいい。どうせあの坊主は助からん。浪人どもも死んだ)

?(しかし、あの用心棒……俺の計画に組み込むには少々『強すぎる』かな)

?(始末してしまうか)

 スボッ スボッ スボッ スボッ スボッ…
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 19:35:29.39 ID:Q5Q1PHd30
今日はここまで
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