セーラ「うんコマ劇場Cやで!」爽「マジで」

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10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/24(日) 23:00:17.70 ID:RceW4n2k0


メロスは激怒した。 必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。


それは、メロスが妹の結婚式のために、花嫁衣装やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる山を越えてウスザーン村から王のお膝元である都サッポロへとやって来た日のことであった。

まず、食料を買い集めたメロスは、都の大路をぶらぶらと歩いた。
メロスには竹馬の友があった。 ユアーンティウスである。
今はこの都サッポロで、服飾デザイナーとして働いていた。
メロスは、オーダーメイドで作ってもらった花嫁衣装を譲り受けに、その友をこれから訪ねに行くところであった。

しかし、その途中で、メロスは鬼太郎のような髪型をした少女が道端でサメザメと泣いているのを見つけ、声をかけた。


爽(メロス)「ヘイ彼女ォ! どったの? ほら笑って笑って! こんなにかわいいホッペちゃんが困ってるぜ?」ナデナデ

女好きのメロスは馴れ馴れしくその少女の頬をなぜてあげたが、彼女は泣き止むことなく、こう言った。

ナルカ「王様が、美少女のうんこを集めているのです」

爽「え、なんで?」

ナルカ「お金になるからだそうです。 実は私も今夜、城へ行って、多くの観衆の前で排便をしなくてはいけないのです」

爽「ナンダトォ…? たくさんのうんこを集めているのか?」

ナルカ「はい、このホッカイドー国の美少女は皆、城に連れてかれました。 そこで毎晩開かれるうんこオークションに出演させられているのです。 この国一番の美少女と噂される琴似栄のヨシダさんも連れていかれました」

爽「なんと、驚いた。 国王はスカトロマニアか?」

ナルカ「いいえ、国王自身はそういった趣味はないそうですが、美少女のうんこを他国へと売りさばいて国の収益としているそうです。 しかし、うんこ要員としてかり出される私たちは、人前でうんこしたり、自分のうんこを徴収されたりするのが嫌でたまりません」


聞いて、メロスは激怒した。


爽「なんてうらやまけしからん王だ! この国中の美少女うんこを集めてウハウハ言ってるとは…!」

爽「しかも、この国の美少女といったら、まずは私に声をかけねーとおかしいだろ! 愚かな王はこの私が成敗してやるぜ…!」

ナルカ「え、いえ、だから王自身がスカトリアンなわけでは・・・」


メロスは人の話を聞かない女であった。
まだ話している少女の言葉を無視し、スタスタと王城に入っていった。

たちまち彼女は兵士たちに捕えられ、懐から短剣が出てきたので、騒ぎが大きくなってしまった。
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/24(日) 23:07:00.24 ID:RceW4n2k0

メロスは王の前に引き出された。


チカ「この短剣で何をするつもりだったのか・・・ 正直に言いなさい」

暴君チカニスは静かに、けれども威厳をもって問いつめた。

爽「決まってるだろーが。 民のうんこを暴君の手から守るんだよ」

と、メロスは悪びれずに答えた。

チカ「あなたがですか?」

王は、メロスを憐れむかのように嘲け笑った。

チカ「仕方がない人ですね。 私だって、このようなことをしたくてしているわけではないんですよ?」

爽「なん…だとぉ…?」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/24(日) 23:22:32.49 ID:RceW4n2k0

チカ「良いですか。 わが国ホッカイドーは、今、存亡の危機に瀕しているのです。 下賤の者よ、あなたはTPPを知っていますか?」

爽「は? てぃーぴーぴー? なだそれ」

チカ「環太平洋経済連携協定・・・ 要は海外の物資が非常に安くニッポンに入ってきてしまうのです」

チカ「私が治めるここホッカイドーの資源といえば、畜産と農業ですが、海外の安い食品がドンドン入ってくるようになったため、わが民の作る物は全く売れなくなってしまったのです」

チカ「そこで私は新たな外貨獲得の手段として、美少女のうんこに目をつけたのです」


爽「詭弁だっ!」

両腕を後ろ手に縛られながらも、立ち上がって叫んだメロスの声は城中に響き渡った。

爽「人にうんこを強制し、その神聖なるうんこの自由を奪うなどというのは、最も醜悪なる人権の蹂躙だ」

爽「このホッカイドーという国は、熱きフロンティア魂によって開拓された自由と民主主義の国だろう? 人の分身と言えるうんこに対するその扱い・・・ これは重大なる排泄侵害じゃねーか!」


チカ「・・・あなたのような無知蒙昧なる者が、政治を語ってはいけません」

いきり立つメロスに対しても、チカニスはやはり静かに、そして冷徹に言い放った。

チカ「あなたのうんこ哲学など、多くの民にとっては取るに足らないどうでもよいことです。 もうあなたと話すことなどありません。 私に対する暗殺未遂罪と王室侮辱罪の罪により、ハリツケの刑に処します」

爽「マ、マジで?」=3
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/24(日) 23:36:28.88 ID:RceW4n2k0

爽「 た ぁ す けぇ てくぅ れえぇぇぇ――――っ!! チガウッテ! このナイフはただのリンゴ皮むき用のナイフだっつーの!」=3=3


醜く暴れ回るメロス。
しかしいかんせん多勢に無勢、すぐに兵士たちにより取り押さえられ、グルグルのスマキのように縛り上げられてしまった。


カナ「うるさい奴だなっ! もう観念しろし!」

爽「うううぅぅ・・・・!!」=3


床に顔面を押しつけられながらも、メロスは必死にほとんどない頭を回転させ… 一つの悪だくみを思いついた。


爽「お、王様! ご、後生だっ! ハ、ハリツケの前に、どうか一つだけ願いを聞いてくれ!」

チカ「・・・話してみなさい」

爽「じ、実は、私の16になる妹が、明後日、村で結婚式を挙げるんです! 私たち姉妹は、幼い頃に両親を亡くし… 二人でずっと支え合って生きてきたんだ。 唯一の家族である妹に亭主をもたせてあげたいんだよっ! どうか、三日間だけ猶予をくれ!」

チカ「…つまり、3日間だけ解放しろと…? きちんと3日後に戻ってくると言うのですか」

爽「そ、そうです! 3日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰ってくる!」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/24(日) 23:43:25.18 ID:RceW4n2k0

チカ「…とても信じられませんね。 助かりたいだけでウソを言っていますと、顔に書いてありますよ」

爽「ウ、ウ、ウソじゃねえぇ・・・!  !! そ、そうだ! そんなに私を信じられないなら、身代わりを立てます!」

チカ「身代わり…?」

爽「はい、この都に、ユアーンティウスといういけすかない服飾デザイナーの女がいるんです。 私の無二の親友だ。 そいつを、人質としてここに置いていきます!」

チカ「…もし3日たっても、あなたが戻ってこなかった場合は…?」

爽「そ、その時は、その私の友人を絞め殺してくれ。 たのむ、そうしてくれ!」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/25(月) 00:07:32.89 ID:xCSUCc4v0

暴君だが寛大な王でもあるチカニスは、メロスの願いを聞き入れ、王城にユアーンティウスが連れてこられた。


ユアン「おうメロス、なんか知んねーけど城で待ってるっつーから、妹さんの衣装持ってきてやったぞ… って、なんでお前スマキにされてんの?」

爽「ふ、ふ・・・ 久しぶりだなユアン… 助かったぜ!」ニタァッ

ユアン「!?」


メロスが醜い笑みを浮かべると同時に、周りの兵士たちが一斉にユアーンティウスに飛び掛かり、アッという間に取り押さえてしまった。


ユアン「な、な、何すんだテメーら! お、おいメロス! これはどういうワケだよ!」=3

爽「むふふふ…ww いや、実はカクカクシカジカってワケでさw」

ユアン「は、はあぁ・・・?? 身代わり? ざっけんじゃねーよ! そんなの、お前一人で勝手に死ねばいーじゃねーか! 人を巻き込むんじゃねーよクソがっ!!」ジタバタ

カナ「暴れるなっ! 大人しくしろしっ!」


ユアーンティウスの必死の抵抗もむなしく、あわれ彼女は無実でありながら縄を打たれ、牢屋へと連行されていった。

そして、代わりにメロスの縄が解かれた。
彼女は、ユアーンティウスが持ってきた衣装を手に取ると、ニタニタ笑いながら王の前に立った。

爽「んじゃ、そーゆーワケで。 3日後の日没までには戻ってくるからさ」ニヤニヤ

チカ「…メロス、遅れたらあの身代わりの女を本当に殺しますからね。 まあ、ちょっと遅れてくるといいですよ。 そうすれば、あなたの罪は永遠に許してあげましょう」

意地の悪い冷徹な笑みを浮かべて皮肉を言うチカニス・・・

爽「なに? 何をおっしゃる! 私を侮辱するのか?(当たりめーだ!勿論そのつもりだぜっ!ww)」

チカ「ふふふ、命が大事だったら遅れてきなさい。 あなたの心は、分かっていますよ」

爽「バーロー、バカにすんな! 私は戻ってくるぞ! 3日後にまた会えるのを楽しみにしてろよなっ!(こいつマジちょれえw もうアンタとは一生会わねーよ、ブハハハハハハハハwww)」


メロスは心の中で秘かにほクソ笑みながら、城を出ると矢のようにウスザーン村へと駆けていった。

16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/25(月) 00:17:19.83 ID:xCSUCc4v0


翌日、村に帰り着いたメロスは、早速妹に衣装を試し着させて喜んでいた。


爽「うおほほほほほほほほ/// うーむさすがはユアン、いい仕事するぜ! ドレスなのにフリフリでスリットまで入ってて… 最高にすばらだっ!」グヒヒヒヒ・・・

ユキ「そうですか? メロスお姉さま、一晩中歩いて戻ってきたのでしょう。 少し休まれてはどうですか?」

爽「いやー、ユキのこんな姿見たらもう眠気もフッとぶよっ!ww ナチュラルハイってやつ?」

ユキ「今度またユアーンティウスさまにお会いしたら、私からのお礼も伝えておいて下さいね」

爽「…ん? いやー… アイツにはもう会えねーかもな…」

ユキ「は? え、それはどういう…」

爽「え? あ、いや、なんでもないよ! うんうん、ちゃんとユキが喜んでたって伝えとくからさ!」

ユキ「……?」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/25(月) 00:43:43.08 ID:xCSUCc4v0

そしてメロスが村に戻ってきた次の日、ウスザーン村ではユキと、新郎であるチャチャノーンの結婚式が盛大に行われていた。


 オメデトーッ!  オシアワセニ――!  ユキチャンカワイイヨオォ――!


イチゴ「ぐっふふふふふぅ・・・w 今日のユキちゃんは一段とかわええのぅ…! んんんこのスリットがタマらん…!」スリッ

ユキ「そ、そうですか? 恥ずかしいです、イチゴさん…///」

イチゴ「な、なあ、ユキちゃん、今夜はええじゃろ? 婦婦になったんじゃから、アッチの方も、今夜は最後まで…」グフォフォフォフォフォ・・・

ユキ「は、はい・・・///」


爽「……」


新郎から初夜の営みを求められて頬を赤らめるユキ…
そんな姿を見て、姉であるメロスの心は、喜び以外に嫉妬の炎にも焼かれているのかと、思いきや…

爽(ひひひ… これで超絶かわいい妹が二人になったぜ…! ぐひひ…! さてさて、どうやってあのチャチャノーンちゃんを言いくるめて、夜の営みに乱入するか…)デュフフフフ・・・

嫉妬や妹たちの幸せよりも、二人との夢の3Pを想像してダラしなくニヤけているだけであった。
勿論、自分の身代わりになって幽閉されているユアーンティウスのことなど、欠片も頭にはない・・・


セーラ(メロスの奴、妹の結婚式やっちゅーのに、また気持ち悪い笑み浮かべよって… 何考えとるんや?)

キラメ(あの妖しげな笑い… うーむ、すばらくないですね…)

アコ(何あのキモい顔…? メロスったら、新婦の姉のくせに、だらしないったらありゃしない…)

スミレ(まったく、ここの姉妹は、妹はしっかりしてるのに、姉の方は頼りないことこの上ないな…)


結婚を祝いに来た村人たちも、メロスのそんな様子をタメ息まじりに眺めていた。

そう、この時はまだ、誰も、メロスが明日、友のために自分の人生をかけた凄絶な大爆走をすることになるなどとは、夢にも思っていなかったのである・・・



(続く)

18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/25(月) 08:17:23.25 ID:u/PqPDaH0
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 17:54:42.13 ID:RvNmzoEO0
乙ありがトイレ。
中・後編イキます。
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 18:15:52.50 ID:RvNmzoEO0

その39.〜「もらせメロス」(中編)の巻〜



 イチゴ『ハァ、ハァ、ハアァン…/// メ、メロスさまっ! そこっ! そこじゃぁっ! あぁ、もっとぉ…ん!///』ハアハア

 爽『ぐっふぉふぉふぉふぉぉ…w なんだ、ここか? こっちもええんじゃないか〜…?ww』クチュクチュ

 イチゴ『アハァッ! そ、そんな、いきなりそんなとこまで…/// そんなん考慮しとらんよ…///』 

 ユキ『ちょ、ちょっと、お姉様! イチゴさんばかりそんな… 私の方も、お願いします!』クイッ

 爽『ひひ…w ユキ、大丈夫だよ。 ちゃんと二人とも満足させてあげるからさ!』モニュッ!

 ユキ『あはぁんっ!』=3



爽「・・・・zzzzzzz・・・」グゴーグゴー…


ユキとチャチャノーンの結婚式が終わったその夜…

メロスは、今までの疲れからか倒れこむように眠ってしまい、二人の妹とのめくるめく秘め事を、夢の中で楽しんでいた…


 イチゴ『あっ、あ、あ、 うぅ…あかん! チャチャノンもうイキそうじゃあ…!///』=3

 ユキ『う、あ、お、お姉様…! ユ、ユキはもう… ダ、ダメですぅっ!///』=3

 爽『うおほほほほほほほほほほほほほwwwww』


爽「…zzzzz……」ニタニタニタ


しかし・・・ そんなメロスの枕元に、なにやら怪しげなカタチをした・・・ 何か異様なモノが立ったのである・・・


?『メロス… メロスよ…! 起きるのだ!』

爽「… ん…?」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 18:32:56.07 ID:RvNmzoEO0

?『これ、メロスよ…! いつまで寝ているのだ、起きろっ!』

爽「…な、なんだ…? 誰だよ? 悪いけどさすがにもう手一杯だから… 4Pとかは無理だぜ?」ムニャムニャ

?『何を寝ぼけておる… 私を忘れたのか?!』カッ

爽「…ん、へっ? んなぁっ?! あ、あなたは・・・!!」ギョッ

?『ふ、ふ、ふ、ふ・・・・』ピカァー・・・!


やっと目を覚ましたメロスの目の前にいたモノ・・・


爽「あ、あなたは・・・  “ウンコカムイ”様!!」

ウンコカムイ『ふふ、エロス、じゃない、メロスよ、久しぶりだな・・・!』ククククク・・・


そう、そこには、光り輝く巨大なMAKIGUSO・・・ アイヌの大地の最高神、ウンコカムイが鎮座していたのである・・・!

メロスはかつて、魔人カイノーとの死闘の際に、ウンコカムイにその窮地を救ってもらったことがあった・・・(※本編大阪編)


爽「ウ、ウンコカムイ様! ご、ごブサタしてまし」


 ボッゴォッ!!

22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 18:44:38.36 ID:RvNmzoEO0

爽「 ごふぅじぃやぁっ っ?!! 」=3


メロスのあいさつの言葉が終わらぬうちに、ウンコカムイの強烈な剛拳が、メロスの体を部屋の壁までフッ飛ばしていた。


爽「・・・ウ、ウンコカムイ、さま・・? い、一体、な、何を・・・??」ヒリヒリ

ウンコカムイ『タワケが! キサマ、この私に命を助けてもらいながら… 友の命を見捨てるというのかッ!?』

爽「?!」

ウンコカムイ『私はすべて知っておるぞ… お前が自らの罪を友に負わせ、のうのうと生き延びようとしていることを…!』

爽「…うっ、し、しかし! この世界は、だましだまされつの弱肉強食の世界… 生き延びるためには、友人を犠牲にしなきゃいけない時だってありますっ!」


ウンコカムイ『 バ ッ カ モ ォ ――――― ン ッ ッ !!! 』ドカァーン=3


爽「っひぃ…?!」

ウンコカムイ『貴様はそれでもうんこを信奉するクソの子か? かつてお前自身が見出した“うんこの本質”を忘れたのか!!』

爽「う、うんこの、本質・・・!」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 18:56:00.57 ID:RvNmzoEO0

ウンコカムイ『そうだ、メロスよ… うんこというモノは、一体ナニでできているモノだ?』

爽「ん…? え、えーっと、うんこの約半分は水分で、あと、食べ物の残りカスと…」

ウンコカムイ『タワケェ! 食べ物の残滓など、うんこの約5%程度にしか過ぎぬ…!』

ウンコカムイ『うんこの成分で水分の次に多いのは、細胞や腸内細菌、赤血球など、おのれの体の中で働いていた者たちの亡き骸じゃっ!』

爽「……」

ウンコカムイ『うんこには、人の体を必死に守り、ボロボロになるまで働いて息絶えた・・・ そんな勇者のような小さきモノたちの遺骸が数千億個はつまっておる・・・ つまり、うんことは、「自己犠牲のかたまり」に他ならないのだ・・・』

ウンコカムイ『さらにうんこは、あらゆる老廃物、邪悪なるモノ、悲しみ、苦しみ、しがらみ、妄執・・・ そういった人の中の“負”なるモノを全て取り込んで外に出てきてくれるモノ・・・!』

ウンコカムイ『人が健康に、美しく、清らかに、幸せに生きることができるのは、常にうんこが全ての不浄なるモノをその身に引き受けてきたからだっ!』

爽「…!」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 19:05:14.08 ID:RvNmzoEO0

ウンコカムイ『そしてうんこは、どんなにその宿主である人から蔑まれ、嫌われ、コケにされようとも、黙って全てを受け入れ、人の役に立ち続ける・・・ それがうんこの美学だからだ』

ウンコカムイ『つまり、自己犠牲こそがうんこの本質なのだ。 そして、この世は、そんなうんこの力によって成り立っている…』

ウンコカムイ『メロスよ…! お前はそのような真に気高いうんこを信奉している身でありながら… 友を犠牲として自分だけのうのうと生きるつもりか?』

爽「う・・・!」

ウンコカムイ『良いかメロス! この世界が美しいのは、献身的な愛の力によって満ちているからだ。 そして人の心とは、愛の醸成のためにあるもの…!』

ウンコカムイ『お前に“心”があるのなら… 友のために立つのだメロス! お前が、母のクソと共に生まれてきた真のクソの子ならば、できるはずだっ!』

ウンコカムイ『立てメロス! そしてゆけっ! クソの子よっ!!』カッ


爽「ウ、ウンコカムイ様・・・!!」

25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 19:22:49.31 ID:RvNmzoEO0





爽「…はっ!」パチッ


 チュンチュンチュン、  ピチチチチチチィ・・・


メロスが、自分の寝床の中で目を覚ました時・・・ 外はうっすらと明るくなり始めていて、小鳥のさえずる音が聞こえていた。


爽「…!!」ガバッ


爽(…そうだ、今日は、王に処刑を言い渡されてから、もう3日目だ…)

爽(今日の日没までに城に戻らなければ、私の代わりに、ユアンが処刑される…)

爽(いけない! わ、私は、今まで、一体、何を考えていたんだ…?)

爽(友を身代わりとして、生き永らえた命などに、一体どれほどの価値があるというんだ…)

爽(ウンコカムイ様の言う通りだ…! 排泄道を邁進してきた者として、友を裏切ることなど、できるはずがないっ!)バッ!


メロスはハネ起きると、妹たちの寝室に行き、義妹のチャチャノーンだけをこっそり起こした。


イチゴ「なんじゃ、義姉さん… こんな朝早うから…」ムニャムニャ

爽「うん、ごめんな、ちょっと、ユキに聞かれたくなくてさ…」


メロスは、チャチャノーンに、城であったことを全て話し、自分はこれから殺されに行くこと、自分亡きあと、妹のことをどうか頼む、ということを伝えた。


イチゴ「なんと、そんなことが…! そうか、それは淋しくなるが、仕方のないことじゃ… 分かった。 ユキちゃんはチャチャノンが幸せにしてみせるけぇ… 安心して行ってくるんじゃ!」

メロス「すまない… 頼んだぞっ!」


ユキ「……」モゾッ


この時、メロスは… ユキが寝たふりをしながら聞き耳を立てていたことに気づかなかった…

26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 19:38:09.99 ID:RvNmzoEO0


メロスは朝粥を胃袋に入れると、ユアンへの衣装代金の支払いをまだ済ませていなかったからと、ウスザーン村を出発した。


爽「じゃあな、行ってくるよ。 明日には戻ってくるからさ!」

イチゴ「…おう、気ぃつけてな…」

ユキ「…行ってらっしゃい、お姉様」


まだ、日の出を過ぎたばかり… 日没までにはまる一日ある。 十分、間に合うはずだ…

メロスは落ち着いていた。 
ウンコカムイに叱咤されたことにより、もうハラもすわっていた。

ウスザーン村から都サッポロまでは、直線距離にして約70kmある。
途中には川や山もある。
しかし、韋駄天の如き脚力を誇るメロスは、余裕をもって城に到着する自信があった。


爽「… ハッ ハッ ハッ ハッ…!」タタタタタタ・・・


メロスは走った。

高台に上ったメロスは、フッと後ろを振り返った。
生まれ育ったウスザーン村の家々の屋根がよく見えた。


爽(さらば、わがふるさと・・・ そして、愛すべき人たちよ・・・!)


後ろ髪引かれる思いを振り切るように、メロスは、森の中へと消えていった。



(続く)

27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 19:55:05.72 ID:RvNmzoEO0

その40.〜「もらせメロス」(後編)の巻〜  ※ちょっと長いです



爽「… ハッ ハァッ フッ ハァッ ハァハァハァ…」タッタッタッタッタ・・・


メロスは走りに走った。
森をくぐり抜け、野を横切り、荒れ狂う川を泳いで渡った。
そして、道中における最大の難所であるシコツトウヤ山系へと足を踏み入れた。

生い茂る草をかきわけ、一気にサッポロ岳の山頂まで駆け上がったメロスは、山の北側を見下ろした。
遠くに、都サッポロの街並みが見て取れた。
あそこで、竹馬の友、ユアーンティウスが待っているのである。

太陽は、ちょうど一番高く昇った様子だった。 おそらく今が大体正午であろう。


爽「ふぅー… やれやれ、さっすが私、よゆーよゆー…」ハアハア


この山を下れば、都までそれほど距離はない。
この調子なら日没までには余裕で間に合う・・・

よし、ここまで来れば大丈夫、もはや故郷への未練はない。
あとはまっすぐ王城に行って、ハリツケにされればそれでよいのだ。


爽「…さてと、じゃあちょっと一休み… 最期のメシを頂いとこうかね…」ウンコラショット


メロスは山頂でユキの作ってくれた弁当を食べ、水筒の水でのどを潤した。


爽「・・・う・・ うめぇなぁ・・・」ポロポロ


メロスの目から涙がこぼれ、食べていたオニギリの塩味が濃くなった。

いくら決意したとはいえ、やはりメロスのような凡人が、そうそう自分の生への執着を捨てきれるものではない。

何より、妹たちとの3Pを実現できなかったのは心残りだった。
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 20:00:39.95 ID:RvNmzoEO0

爽「いや、いいんだ。 私はキレイに死んでみせる… それが私の生きた証だ」スッ


弁当を食べ終わったメロスは、山を下り始めた。

もうそんなに急ぐ必要もないだろう。 少し歩くか。

メロスは持ち前のいい加減でのん気な性格を取り戻し、鼻歌を歌って歩き始めた。


しかし、その時突然、目の前に一隊の山賊が躍り出たのである。


?「おう! そこのねーちゃん、ちょい待てや!」

爽「!?」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 20:13:23.56 ID:RvNmzoEO0

ヒロエ「ちょい待てって言うとるんや! こらぁ…」

爽「? なんだおめーら」

キョウコ「うちらは、この山を根城としている山賊団・・・ “ブラッディ・ヒメマツ”や!」

爽「は? うぷぷっ! なんだよその中二病全開の名前ww」

スズ「バカにするなっ! とっとと持ってるモン全部差し出せや!」クイッ


ロリ巨乳の女がなぜか鉄板焼きで使うコテをメロスに突きつけてすごんだ。


爽「悪いけど私、なんも持ってないんだよね」

キヌエ「適当なこと言うなや… 殺されたいんか?」ギラッ

爽「命をやるワケにはいかねーな。 この命はこれから王にくれてやるんだからさ」

ノヨー「ツベコベうるさいのよー! とっととヤッてしまおうなのよーっ!!」バッ


五人の山賊が、棍棒を振り上げて一斉にメロスに襲い掛かった。


爽「ナメんなっ! 出でよぉっ! フリ! ホヤウッ!! アッコロォ―――ッッ!!!」ババッ!


ヒロエ「?!」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 20:27:28.79 ID:RvNmzoEO0

 ブワアアアアアアアアァァァッッ・・・・!!!


キョウコ「な、なんや、こいつら?」


メロスの掛け声と同時に、彼女の背中から、巨大な怪鳥、蛇、タコが現れたのだ。

そう、メロスはアイヌの守り神である様々なカムイを呼び出す能力があったのである…


しかし、

ヒロエ「なんやお前はっ! 羽むしって唐揚げにしたんぞごるぅあっ!」ボッゴォッ!

フリ「 プゲェッ 」

キヌエ「ううっ、なんやこのくっさい蛇はっ! ちょっと、近づかんといてや!!」ベッシイィッ!

ホヤウ「 ボゲェァッ 」

スズ「おおおでっかいタコやな! こらしばらくタコ焼きの材料には困らんでっ!!」グッシャァッ!

アッコロ「 モルスァッ 」


五人の山賊たちは意外や意外、凄まじく強く、アッという間にカムイたちを叩きのめしてしまった。


爽「…えっ? はれっ? ちょ、ちょっとちょっと… なんだよこれ?」

ノヨー「次はアンタの番なのよーっ!」ドッゴオォッ!

爽「 うぉ びぃじ ゃあぁっ!! 」=3
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 20:37:13.12 ID:RvNmzoEO0

あわれメロスは五人の山賊たちによってタコ殴りにされ、身ぐるみはがされて山道の脇にボロ雑巾のように捨てられた。


ヒロエ「ふん、女の情けや… パンツだけは残しといたるわ」

爽「うぅ・・・」グッタリ


山賊たちはパンツ一丁でのびているメロスを尻目に、衣服や靴、実は持っていた財布などを奪って去っていった…


爽「くっそ・・・ うぅ、いってぇ・・・!」ググッ


なんとか立ち上がったメロスだったが、景色がグラグラと揺れ、ガックリと膝をついてしまった。


爽「・・・ドチキショウ・・! こ、この程度で、ヘコたれっかよ・・・!!」


再び立ち上がったメロスは、ヨロめきながらも、山を一歩一歩下っていった。

体はボロボロだったが、心の方は今までにないほどに熱く燃えたぎっていた。
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 20:42:27.00 ID:RvNmzoEO0

しかし、山をなんとか下りきったメロスに、さらなる試練が待ち受けていた・・・


 “ゴッギュルロロルロロロロロロロロロオォ〜〜〜〜〜ッ!!”


爽「はぅあっっ!??」=3=3


突然、猛烈な腹痛と共に、津波の如き便意が襲い掛かってきたのである・・・!
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 21:15:30.34 ID:RvNmzoEO0

爽「うぐおおおぉぉ・・・・??」グギュルルルルルルルウゥ〜〜・・・・!


普通ではない痛みであった。 一体、何が起こったというのだ・・・?


爽(な、なんだこれ、食中毒…?)ウムムム・・・

爽(…さっきの弁当の中に、何か入ってたかな…?)

爽(! いや、もしかして… ユキがわざと弁当に薬を仕込んだのか…?)

爽(ユキの奴… 私とチャチャノーンの話を、こっそり聞いてたのかも…)

爽(そして、私が城に到着しては殺されてしまうと思い… 私を助けるために、下剤を仕込んだんじゃあ…)

爽(クッソ! ユキの奴… 余計なことを…!)ヨロヨロ


メロスの推測は、ほぼ当たっていた…
あの時ユキは、メロスとチャチャノーンの会話を全て盗み聞きしていたのだが… 口で引き止めても無駄と悟り、姉の命を救うため、弁当にある薬を仕込んだのだ。

仕込もうとしたのは、睡眠導入剤… しかし、生来のおっちょこちょいであるユキは、間違えて睡眠薬ではなく強力な下剤を仕込んでしまっていたのである。


爽(うぐっぐ…! し、しかし、もう野グソしてるヒマなんかねぇ・・・!)ヨタヨタ


腹をかかえて歩き続けるメロス・・・  しかし、


 ブッバァッ! ブリッ ブリョリョリョリョリョリョリョリョリョオォ・・・・!!


爽「ぐはっ!」=3


メロスはついに、立ったままクソをもらし始めた。
そして、よろよろと二、三歩あるいて、ついに、がっくりと膝を折り、そのまま道端に倒れ込んでしまった。


爽(うむむむむむむむむむうぅ・・・・!!)


立ち上がることができない。
しかしそれもその筈・・・ ユキは薬の量も間違えて、規定量の10倍もの下剤を弁当に仕込んでいたのである。


爽「ごふっ! がっ、ぐあぁ・・・!!」ブリブリブリイィ・・・・


大量のクソと共に、全身から汗が噴き出し、横倒しのメロスの体を流れていく。

もはやメロスは、下半身の感覚がほとんどなかった。
芋虫のように身をよじりながら、自分の尻からひり出ていくその茶色いクソを見つめた。


爽「う、ううぅ・・・!」


臭い。
凄まじく臭い。
それに、なんというおぞましい光景であろうか…
私の体の中に、こんなにも恐ろしく醜いモノが入っていたのか。


爽「あぁ、もお・・・!」ゴロッ


メロスはあお向けになり、天を仰いだ。、

確かに私は、今までクソを愛し、クソを崇拝し、クソを信じて生きてきた。
しかしだ、あのクソの恐ろしくおぞましい姿はなんだ・・・!
これほど人に不快感を与えるモノが他にあるだろうか。


爽「はぁ、う・・・」


どうかしていた。
何が「うんこは自己犠牲のかたまり」だ。
こんな臭くて汚らしいモノを崇拝するなんて… キチガイ以外の何だというのだ。
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 21:33:34.13 ID:RvNmzoEO0

…考えてみれば、愛だの、友情だの、正義だの、全てどうでもいい下らないものだ。
あの山賊たちを見ろ。
人から物を奪い、幸せを蹂躙し、踏みにじって、その上で自分たちの幸せを実現しているではないか。

やはりしょせん世界は弱肉強食… 強い者が勝ち、弱い者が負けるのだ。 それがこの世の摂理ではないか。

この世で生き続けるのに必要なことは、貪欲さ、残酷さ、卑劣さといった、競争に打ち勝つためのものだ。
いたわり、優しさ、正直な心など、ただバカを見て自分を不幸にするだけだ・・・!


爽(ああ、もう、何もかも、バカバカしい・・・!)ブリュリュリュリュリュ・・・


クソをもらしながら、メロスはゴロリと寝返りを打った。 

しかし、その時、ふと、メロスの脳裏に、一人の女の顔が思い浮かんだ。


 “「うわっ! くっせぇっ!!」”


爽「…?」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 21:46:45.45 ID:RvNmzoEO0

“ユアン「メロス! なんなんだお前の屁は…! こりゃスカンクも裸足で逃げ出すぜ?ww」”

“ユアン「おいメロス! お前クソしたらちゃんとファブリーズしとけよ! 私がトイレに入れねーじゃねーか!ww」”

“ユアン「メロス、お前なぁ… いっつもうんことか、気持ち悪いエロ話ばっかしてっから、友達が寄ってこねーんだぞ?w」”


爽「………」


『自らのクソや屁や性癖を、笑いながらけなしてくれる友人がいれば、その人生は上々である』という、古来より伝わる諺がある。

その友人は、上っ面ではなく、自分の醜くも本質的なところを認め、本当の意味で愛してくれているからである。

もし、このまま立ち上がれずにいれば、その無二の親友、ユアーンティウスがメロスの代わりに殺されるのである。


爽「あぁ、でも、もう・・・ 本当に立てねーんだよ・・・ ユアン・・・ すまない、許してくれ・・・!」


段々と目が霞んできた。
さきほど山賊たちに打ちすえられた時、頭も殴られたから、脳出血を起こしているのかもしれない。


爽(私は・・・ どうせ醜い裏切り者だ。 もう、どうとでも、勝手にするがいいさ・・・!)


メロスは、何もかもをあきらめ、四肢を投げ出して、うとうと、まどろんでしまった。

36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 21:54:13.45 ID:RvNmzoEO0






 「… もし…  大丈夫ですか?」


爽(………)


 「こんな所で裸で寝ていては… 風邪をひきますよ?」ユサユサ


爽(……ん?)


 「あぁ、ケガをしているのですね… さあ、私と一緒に、病院に行きましょう!」ユサユサユサ


爽「・・・!!」パチッ


目を覚ました時… メロスは、一人の少女に体を揺さぶられていた。


爽「!?!?」ギョッ


メロスは心底驚き、目を丸くした。

その少女が、とてもこの世のものとは思われないほどに、美しい少女だったからである。
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 22:02:21.69 ID:RvNmzoEO0

ミホコ「あぁ、良かった… あなた、山賊に襲われたのですね。 かわいそうに…」

爽「…!!」ググッ


メロスはハネ起きようとしたが、やはり体が動かない。


ミホコ「あぁ、無理に動かないほうがいいですよ…! 私が背負っていってあげればいいんだけど… さすがに無理かしら…?」

爽「…! …!、!」モゴモゴ


しゃべろうとするが、声が出てこない。 のどがカラカラで口すらも言うことを聞かないのである。


ミホコ「ちょっと待っていて下さいね。 どこか、一番近くの村に、助けを呼びに行ってきますから…」スッ


立ち上がったその女神のような少女に、メロスは、必死で、一言だけ、声を出した。


爽「・・み、 水 ・・・!」

ミホコ「え?」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 22:09:11.62 ID:RvNmzoEO0

爽「…み、水を、くだ、さい…!」

ミホコ「あぁ、お水ですか? えーっと…」ゴソゴソ


少女は、持っていた革袋から、何やら四角い物を取り出した。


ミホコ「ごめんなさいね、今、お水は持ってないわ。 私の手作りのお弁当ならあるんだけど… これじゃダメかしら?」

爽「そ、それなら…」ググッ


メロスは上半身だけ体を起こし、真剣な目で少女を見つめた。


爽「・・・あなたのオシッコを、私に、飲ませて下さい」

39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 22:24:51.73 ID:RvNmzoEO0

ミホコ「えっ? オ、オシッコですか…??///」カァーッ・・・

爽「そ、そうです! 私、もう、ノドがかわいて死にそうなんです。 水がないのなら… あなたのオシッコを飲ませて下さいっ!」クワッ

ミホコ「そ、そんな、オシッコだなんて…/// ちょ、ちょっと待っていて下さい。 近くの村でお水をもらってきますから…///」モジモジ

爽「ダメですっ! 今すぐ何か飲まないと私は死んでしまいますっ! いや、むしろ、あなたのオシッコが飲めないなら自殺してやるっっ!!」=3=3


メロスは必死だった。 まさに、命の最後の灯を燃やしての、人生の全てをかけた訴えだった。


ミホコ「… そこまで言うのでしたら… 仕方ありませんね…」スッ

爽「!!」

ミホコ「でも… 恥ずかしいので、目をつぶっていて下さいよ?」

爽「は、は、はいはいはいはいはいはいはいはいっっ!!!」


メロスは、目をつぶり、少女に向かってあんぐりと口を開けた。


ミホコ「ん・・・///」スス…


少女はスカートをたくしあげてショーツをおろし、メロスの顔にまたがるような体勢をとった。

メロスは、当然・・・ 目をつぶったフリをしながら、薄目を開けて少女の股間を凝視していた。


爽(うおほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほおおおおおおおおおぉぉぉっっっ!!!wwwww)=3=3


その、薄い恥毛に包まれた美しいスリットを見ただけでメロスは頭が沸騰しそうになったが、なんとかこらえ、飲尿姿勢を維持していた。
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 22:34:58.23 ID:RvNmzoEO0

そして・・・


ミホコ「…あっ、はぁ…///」プシィッ!  ショッワアアアアアアアアアァァァ・・・・・

爽「!!」


スリットのすき間から、ついに黄金色に輝く聖水がほとばしり出て、メロスのノドへと飛び込んできた。


爽(あ、あ、あ、ああああぁぁ・・・・・!!)ゴキュゴキュゴキュ・・・


聖なる黄金水はパシャパシャとメロスの舌をやさしく打ち、少しだけしょっぱい味と共に、なんとも言えない豊穣な芳香が鼻をついた。

そして、深い背徳的で官能的な味わいを脳裏に刻み、しっとりとしたなめらかな感触を残してメロスのノドを通り過ぎていった。



爽「あ、あ、あ、あ、あああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァ・・・・・・・・・・!!!!!」ビキビキビキビキビキビキビキビキビキイィ・・・・!!
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 22:51:45.00 ID:RvNmzoEO0

 ショロロロロォ・・・  ピ、ピチョンッ! …


最後の一滴をメロスの口に落とすと、少女はあわただしくショーツをはき、頬を赤らめて、言った。


ミホコ「こ、これで、全部です… あの、だ、大丈夫ですか?」


爽「………」ゴクゴクゴク・・・

爽「うむあああああああああああああああああぁぁぁ・・・・・!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴオオォ・・・・・


爽「いいいやあああああぁぁぁっっっっっっFOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO――――――――――――――――――ッッッッッッッ!!!!!!!」バッ


雄叫びをあげると共に、一気に3mほども跳躍したメロスの体からは、とんでもない量のオーラが噴出し、バリバリと電流のような光がその全身を駆け巡っていた。


爽「うおおおおおおおぉぉっ!! ありがとうございましたあぁっっ!!!」

ミホコ「えっ、は、はい…///」


少女に一言お礼を言うと、メロスはしゃがみ込んでクラウチング・スタートの姿勢をとった。

そして・・・




 ド ゥ ッ パ ア ア アァァ ―――――――― ン ッッッ !!!!!



ミホコ「ヒッ?!」


まるで爆弾が炸裂したかのような凄まじいスタートダッシュで走り出し、地面をえぐりながらロケットのような勢いでフッ飛んでいた。

42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 22:57:14.22 ID:RvNmzoEO0


爽「うおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉっっっ!!!!」ズダダダダダダダダダダダダ・・・・ッッ!!


風を切り、クソを飛ばし、音速を超えて駆けるメロスには、生気が漲っていた。

もう、この世になんの未練もなく、何も怖くなかった。

そして、もう、砂粒ほどの小さな迷いもなかった。

“友を助ける…!” ただ、その一心しか、メロスにはなかった。
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 23:01:51.95 ID:RvNmzoEO0

爽「…………!」ズダダダダダダダダ・・・!


メロスは走りながら空を見上げ、太陽の位置を確かめた。

もう大分西に傾いている。

斜陽が、樹々の葉も枝も燃えるばかりに紅く染め上げていた。

もう夕方である。

おそらく2・3時間ほど眠ってしまっていたのだろう。

しかし、日没までには、まだ間がある。

この勢いで走れば、間に合うはずだ・・・!
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 23:04:12.29 ID:RvNmzoEO0

メロスは走った。

唯一身に着けていたパンツすらも引きちぎれ、完全に全裸だった。

そして、その尻からは、まだボタボタとクソが垂れ落ちていた。

しかしもうそんなことはどうでもよかった。

走る。 全力で走る。 ただそれだけだった。
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 23:10:03.12 ID:RvNmzoEO0


爽「う・・・っ!」


メロスは突然、苦痛で顔を歪ませた。

裸足で走っていた足の裏の皮がズルむけて、地面に点々と血の跡をつけていた。


爽「がっ! ふぅ…!?」ビキッ  ビチビチビチィ…!


さらに、四肢から、何かが引きちぎれるような音がした。 筋肉の筋が何本か切れたようであった。

人間の体力の限界を大きく越えて走っていたため、体が悲鳴をあげ始めたのである。
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 23:16:29.62 ID:RvNmzoEO0

爽「あ、ガッ! ゲッフゥッ!!」ブッ


メロスの口から鮮血が噴き出した。 肺の中の血管が破れたのだ。


爽「うぅ、ぐおっおぉ…!!」ズダダダダダダ・・・!


さらに目や鼻や指先からも血が噴き出してきた。 そして、あいかわらず尻からはクソがひり出ていた。


それでも、メロスは走った。

黒い風のように走った。

もう、頭の中はカラッポであった。

何か得体の知れない大きな存在に引っ張られるかのように、メロスは走った。

47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 23:22:54.28 ID:RvNmzoEO0

ついに、都サッポロの街の中へとメロスは走り込んだ。

全裸で、体中から血を噴き出し、クソをたれて走るメロスを、人々は物の怪を見るかのような目で見た。


メロスは、口から五臓六腑を吐き出してしまいそうなほどに苦しかった。

太陽が、もう地平線にかかりかけていた。

たのむ、止まってくれ。

そんな願いを嘲笑うかのように、ゆらゆらとゆらめきながら日が沈んでいく。

ロケットのように走り出した時の生気漲る姿はもうなく、地獄から現世に迷い込んでしまった亡者が、ヨロヨロとよろめいているようだった。

それでもメロスは走った。
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 23:38:15.99 ID:RvNmzoEO0

しかし、そんなメロスの耳に、けたたましい悲鳴が聞こえた。



 「キャ――――ッ!  幼女ちゃ―――――んっ!!」



目だけをその悲鳴の方に向けると、そこには恐ろしい光景があった。

道の真ん中で転んでしまった幼女と・・・ そこに猛烈な勢いで突っ込んでいく馬車の姿があったのだ。


爽「!!」


メロスには一瞬の迷いもなかった。

即座に方向を変え、幼女に向かって突進した。

そして・・・


母「アッ?!」


さきほどの金切り声をあげた母の前でメロスは跳躍し、幼女を抱きかかえ、ゴロゴロと地面を転がった。

しかし、


 ドッゴオォォンッ!


爽「 がっ!! 」


馬の前脚がメロスの脇腹を蹴り上げ、数mフッ飛ばされたあげくにしたたかに背中を打ちつけた。


幼女「う、うぅ・・・ ウワアァァ―――ン!!」


メロスの腕の中で泣き叫ぶ幼女…


爽「…だ、大丈夫かい? 幼女ちゃ…」

幼女「?! ひっ! ホワッチャアアアアアアァァ―――――ッッ!!!」ドゴムッ!

爽「ぶぉはぁっ?!」=3


ケガがないか確かめようとしてくれたメロスの顔面を、幼女は凄まじい正拳突きでブッ叩いた。

メロスが、血とクソにまみれたあまりにもおぞましい姿をしていたからである。
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 23:47:01.62 ID:RvNmzoEO0

母「ちょ、ちょっと幼女ちゃん、助けてくれた人を叩いたりしちゃいけま… ゲッ?!」ギョッ

爽「あ、いや、ケガがなかったみたいで、良かったっすね…」ヌボアァーッ…

母「! いやあぁっ! アチョワアアアアアアアアァァァ―――――――ッッッ!!!!」ボッゴオォッ!!

爽「うぁじゃぱぁっ?!」=3=3


母の稲妻の如きハイキックはメロスの顔面に炸裂。

メロスはバク転をするかのように後ろにフッ飛び、一回転して地面に叩きつけられた。


この母と娘を責めてはならない。
これは人の反射というものなのである。

50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 23:51:15.57 ID:RvNmzoEO0

母「さ、さあ、帰るわよ、幼女ちゃん…」ソソクサ

幼女「う、うん…」


メロスを尻目にソソクサと立ち去る親子…


爽「う… むぅ…!」ググッ!


なんとか立ち上がったメロスは、チラリと親子の背中を見た。

その、 目 は・・・・・



聖母マリアのように澄んでいた。

51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/02(月) 00:04:23.06 ID:RfQCsLIG0

爽(幼女ちゃん・・・ どうか、私の分まで、生きてくれよ・・・!)ダッ


メロスは再び走り出した。

馬に蹴られた脇腹がズキズキとひどく痛む。 肋骨が折れたのかもしれない。

いやむしろ体中が痛く、痛くないところなど無いくらいだった。

しかし時間がないのだ。

陽は、まさに最後の一片の残光すらも消えようとしていた。

そのわずかな日の光が、メロスの顔を優しく照らした。


爽(・・・ あぁ・・・!)


間に合うか、間に合わないか、その瀬戸際に立たされていながらも、メロスは、不思議な気分に包まれていた。

意外にも、非常に落ち着いた、穏やかな気持ちだったのである。


爽(あぁ、私・・・  生まれてきて、良かった・・・!)

爽(苦しい… 本当に苦しいけど… 私は、今まで、こんなに激しく、命の火を燃やしたことはなかった…)

爽(そうだ… 私は、きっと、この瞬間のために、生まれてきたんだ……!)サアアアァァ――ッ


急に、心も、体も軽くなったメロスは、爽やかな春風のようになり、ついに刑場へと走り込んだ。

日はまだ沈んでいない。


間に合ったのだっ!

52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/02(月) 00:11:46.46 ID:RfQCsLIG0

爽「待て! その人を殺してはならぬ! 私だ! 約束通り、メロスが帰ってきたのだっ!!」


と、潰れたのどから必死に大きな声を張り上げて、刑場の群衆に・・・




あれ?


ぐんしゅ・・・


え?


ぐん・・・


は?



・・・ ?  ?   ?  ・・・・・






その刑場には、人っ子一人いなかった。

刑吏も、国王チカニスも、ユアーンティウスもいない。


爽「………???」


だだっ広い刑場の真ん中で、メロスはポツンと一人でたたずんでいた。

53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/02(月) 00:14:42.75 ID:RfQCsLIG0

爽「・・・な、なんだこれ・・・ え? どゆこと??」

爽「ま、まさか、もう、刑が執行されてしまったんじゃあ・・・」ガタガタ


?「あれ? メロスじゃん、なんだお前、全裸で何やってんの?」モグモグ

爽「は?」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/02(月) 00:35:59.70 ID:RfQCsLIG0

メロスが振り返ると、そこには、焼き鳥をモグモグと頬張っているユアーンティウスが立っていた。


爽「・・・ ユ、ユアン・・・! お、お前… ブ、無事だったのか…? えっ? ハリツケの刑はどうなったの?」

ユアン「ん? あぁー… そうそう、そう言えばお前、今日戻ってくるとかなんとかって、そんな話してたんだっけな」ムグムグ

爽「……??」

ユアン「いや、あのあとさ、国王が本国から来た警吏隊に逮捕されて、なんか、島流しにされたんだってさ」モギュモギュ

ユアン「どうもあのチカニスって王、うんこ売買という目的は建て前で、実際には美少女集めてただ単に酒池肉林を楽しんでただけらしーぜ?」クチャクチャ

ユアン「いやーあんなおカタい顔して聖人君子ぶってたクセに、やっぱヤル事はヤッてたってワケだよなww」ハグハグ

ユアン「そんで国王が、トーキョーから来たテルニウスV世っていう人と替わってさ、ドーナツを献上すれば釈放してあげるよ、て言うから、すぐにワイロで出してもらっちゃったんよ」マグマグ

ユアン「いやー今度の国王はなかなか最高だぜ? 『“わが民はすべてわが妹のようなもの…! 妹たちのためなら、このテルニウス、身を粉にして働こう…!”ギュルルルルルーン!』って、右腕を回転させて穴掘り始めたと思ったら、ダイヤモンドの鉱脈掘り当てちゃってさww」ゴックン

ユアン「てわけで、このホッカイドーにも新しい資源ができたんだよ。 だからしばらくは安泰、私らもけっこう贅沢できそうだぜ? ・・・って、そういやお前、衣装の代金払ってなかったよな。 はよ金よこせよ」スッ


爽「・・・・・・・ ユアン ・・・」

ユアン「ん?」


爽「すまん、とりあえず殴らせてくれ」



その、ほかに誰もいない刑場で… メロスとユアーンティウスは、あさましく醜い殴り合いを、お互いがブッ倒れるまで続けたのだった・・・





55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/02(月) 00:47:46.81 ID:RfQCsLIG0






誓子『はい、皆様、第一演目「もらせメロス」でした。 如何でしたか?』


 ブンッ  ベッチャアァッ!!


誓子『ヒッ!?』


幕が閉まり、壇上に挨拶に上がった誓子の顔面に、ソフトクリームが飛んできた。


 ヒッコメー!  コノバカヤロォ――ッ!  カネカエセエェ――ッ!  ヘタクソォーッ!!


凄まじいシュプレヒコールと共に、さらにポップコーン、コーラ、ポテトチップス、納豆などが壇上に飛んできた。


誓子『わっ! ちょ、ちょっと、皆さん! も、物を投げないで下さいっ!』=3=3

爽「おうおうなんだよお前らっ! 私たちの劇にケチつけんじゃねーよ!」バッ

誓子『ちょ、爽! あんた出てくるとややこしくなるから出てこないでぇっ!』



・・・この「もらせメロス」があまりにも不評だったため、文化祭の演劇大会は中止となり… 麻雀部は、他の文化部からひどく恨まれることとなったのだった…




(あカン)

56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/01(水) 19:19:58.04 ID:OPjEn+aU0
やべえ、自己保守
「便座鉄道の夜」とか面白そうだな…
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/08(水) 02:23:27.57 ID:zkSeOWuZ0

その41.〜「マッチ売りのマホ」の巻〜



それは、大変寒い日でした。

あたりはもう暗くなり始めており、雪が降っていました。
それはまた、一年の中で最も聖なる夜・・・ つまりクリスマス・イブの晩でした。

この寒い、そして暗いなかを、一人のみすぼらしい身なりの年のいかない少女が、帽子もかぶらず、おまけにはだしで、冷たい石畳の上を歩いていました。
その小さな頭には、ふらふらと、大きな赤いリボンが不安げに揺れていました。

彼女の名前は、夢乃マホ――― 幼いときに両親を亡くし、毎日わずかばかりのマッチを売って歩くことで、なんとかその命をつないでいる浮浪児でした。


マホ「あ、あのぅ… お兄さん、マッチを買ってくれませんか?」

純「あ? 俺は男じゃねー! マッチなんかいらねーよ、とっとと失せな」

マホ「あ、あの、そこのお姉さん・・・ どうかマホのマッチを買ってください…」

玄「おもちをおもちでない人のマッチなど買えません。 出直して来なさいですのだ」

マホ「す、すみません、そこの眼鏡のお兄さん・・・! お願いです、マッチを買ってくださいっ!」

内木「ん? マッチ? ああ、いくらでも買ってあげるよ! 僕と一緒にそこのホテルに付き合ってくれるならね…ww」ガシィッ!

マホ「?! な、何をするです? 放すのです! ええいチィエエェストォ――ッ!!」キンテキィーッ!!

内木「おぅふ!///」=3


このように… ときどきロリコンを撃退したりしながら、地道に声をかけ続けますが、どういうわけか今日は一本もマッチが売れません。

朝から何も食べずに歩き続けている彼女はもうフラフラ、小さいはだしの足と手はもう真っ赤、寒さに震えながら歩いている様子はいかにも痛々しく、本当に憐れでした。


マホ「… うぅ、寒いですぅ…」ハァー…


寒さでかじかむ両手に白い息を吹きかけるマホ。 ハラハラと舞い落ちる雪が、彼女の美しい紫色の髪や赤いリボンの上に降りつもります。


マホ「・・・あぁ・・ もう、マホ、歩けないです…」ストンッ


レンガ造りの家と家の間… 細い路地で、ついに腰をおろしてかがみこんでしまったマホ…

しかしそんな彼女の鼻の穴を、なんとも言えぬ美味しそうな芳しい香りがくすぐりました。


マホ「ん…? この匂いは…!」クンクン
 
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/08(水) 02:44:54.06 ID:zkSeOWuZ0

家々の窓という窓から、明かりが外へさしてきて、ガチョウの焼き肉のいい匂いが往来までプンプンと漂っていました。
それもそのはず、今日はクリスマス・イブですもの! 豪華なご馳走の匂いと一緒に、楽しそうにはしゃぐ幼い子どもたちの声も聞こえてきます。


マホ「う… マホもクリスマスのご馳走、食べたいですぅ…」ジュルリ


マホはこみあげるヨダレをぬぐい、明かりのもれる窓の一つを覗いてみました。


 ドタバタドタバタッ  キャーッキャーッww  ドタンバタンコケコッコォ――ッ!


池田「コラーッ! お前たち! いつまで遊んでるんだ! ガチョウの丸焼きができたぞっ! 早く席につけ!」

緋菜「ガチョウ? そんなモノいらないし! ゴージャスセレブプリンが食べたいし!」

池田「ゴージャスセレブプリンは3時間くらい並ばないと買えないんだよっ! こんな寒い中そんなに待ってられるか!」

菜沙「ゼイタク言うなし! ゴージャスセレブプリンのないクリスマスなんてありえないし! 早く今から買ってくるし!」

城菜「お姉ちゃんは… 本当に、使えないコだし…」

池田「うるさぁ――いっ! ワガママばかり言ってる子どもにはサンタさんが来てくれないぞっ! ツベコベ言わずに私が作ったモノを食べるし!」=3


姉に急かされて、シブシブ食卓についた三つ子たち・・・ そのテーブルの上には、ガチョウの丸焼きのほか、ホクホクのフライドポテトや、トロリとしたチーズがたっぷりのったピザ、チョコでできたツリーの飾られたショートケーキなど、豪華なクリスマスのご馳走が所狭しと並んでいました。


マホ(…バカなこと言ってます。 サンタさんなんか、この世にはいないのに… マホは一度もクリスマスプレゼントなんかもらったことありません)スッ


ため息をついて、再び冷たい石畳に腰をおろしたマホ・・・
彼女の小さな手は、寒さのためにもうほとんど感覚がありませんでした。

ああ! 一本の小さなマッチでも、こんな時はどんなに役に立つかしれません。

マホは、かじかむ手でマッチのたばから一本引き抜き、壁にこすって火をつけました。
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/08(水) 02:48:21.37 ID:zkSeOWuZ0

 シュッ  ボオォ・・・!


マホ「あぁ・・・」


なんという火花でしょう。 なんとよく燃えること!

あたたかい明るい炎は、まるで小さいロウソクの火のようでした。

マホは、そのまわりに手をかざしました。

すると、その時・・・ 本当に不思議なことが起こったのです!
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/08(水) 03:02:14.83 ID:zkSeOWuZ0

マホ「え? あれ? ふわああぁ・・・??」


目をまるくするマホの前で… マッチの火の光の中に、ポッカリと穴があき… その穴はどんどん大きくなって、中に輝くばかりに白い布をかけたテーブルが現れたのです。

そして、そのテーブルのかたわらには、エプロンをしたまるで女神のように美しい少女が、何やらホカホカと湯気をたてている料理を持って立っていました。


美穂子「あら、いらっしゃい夢乃さん。 ちょうどローストビーフが焼けたところよ♪」ニッコリ


その女神のような少女が持っている大皿の上では、大きなローストビーフのかたまりがジュージューと美味しそうな音をたてていました。


マホ「か、風越の・・・ キャプテンさん? ど、どうして、こんな所に…?」

美穂子「夢乃さんとクリスマスのお祝いをしたくて、料理を作って待っていたのよ」

マホ「え、ほ、本当ですか…? マ、マホのために…?」

美穂子「もちろんよ♪ さあ、そんな寒いところにいないで、早くあがってらっしゃい?」


こんなに素晴らしいことがあるでしょうか。

マホは、喜びのあまりヨダレをぬぐうのも忘れて、ローストビーフへと手を伸ばしました。

ところが・・・


 フッ  スウゥ――――ッ・・・・・


マホ「あれ?」


マッチに一粒の雪が落ちて、火が消えてしまい… それと同時に、美味しそうなローストビーフも、女神のような少女も、スーッと透明になり、陽炎のように消えてしまったのです。
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/08(水) 03:07:55.37 ID:zkSeOWuZ0

 シュッ! ボオオォ・・・ッ!


マホはあわてて新しいマッチをすりました。 あの女神様にもう一度現れてもらうためです。

しかし、火の光の中に、現れたのは・・・


?「ん? あらあら、マーマー…」

マホ「へ?」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/08(水) 03:18:19.02 ID:zkSeOWuZ0

今回現れたのは、どこぞの痛々しいアイドル(28)とどこか面影の似ている、なかなかのおもちをおもちの若い女の人でした。


美月「あら、道に迷ったの? ここはお菓子のお店よ?」


その女の人は、両手に大きなデコレーションケーキののった大皿を持っていました。


マホ「あ、あなたは・・・  だ、誰、ですか?」

美月「私はここのお店の店主、瑞原美月よ♪ おじょーさん、お腹がすいているのかな?」


マホは、お腹がすいているどころではありませんでした。 今にもお腹の皮と背中がくっついて目が回りそうなほどに空腹でした。


マホ「は、はい…///」グウゥ〜〜・・・

美月「しょーがないなぁ。 じゃあ、こっちにいらっしゃい? 試食用のチョコレート、チョコッと食べさせてあげるから♪」

マホ「え、ほ、本当ですか? ありがとうございますぅ! おばさん!!」


美月「・・・ お・ば・さ・ん??」ゴゴゴォ・・・
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/08(水) 03:22:55.12 ID:zkSeOWuZ0

美月「しっつれーしちゃうね! みつつ、よく中学生に間違えられるのに、おばさんですって…?」

マホ「は?」

美月「躾のなってないコにあげるお菓子なんてないよ! とっとと帰りなさい!」バタンッ


その店主は、ワケの分からないことを言いながら奥へと引っ込んでしまい… それと同時にマッチの火は消え、あとはただ、厚い冷たいレンガの壁が見えるばかりでした。
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/08(水) 03:26:39.70 ID:zkSeOWuZ0

マホ「うぅ…! 風越のキャプテンさん… もう一度出てきてください!」シュッ!


マホは祈りをこめて三本目のマッチをすりました。 

すると、そこへ、現れたのは・・・


トシ「…ん?」ズルルルルルウゥ〜〜・・・


テレビを見ながらカップラーメンをすすっているおばあさんでした。
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/08(水) 03:37:03.50 ID:zkSeOWuZ0

トシ「ん、なんだいアンタ、汚い子だね。 どっから入ってきたんだい?」

マホ「え、えと、その、お腹がすいてて・・・ あ、あの、マホにも、そのカップラーメン・・・一つもらえませんか?」

トシ「そりゃあできない相談だねぇ。 カップラーメンは今これ1個しかないんだよ。 あ、でも…」ゴソゴソ

マホ「?」


そのおばあさんは、何やら茶色いオハギのようなものがドッサリとのったお盆を取り出しました。


トシ「ちょうどもらい物のマンジュウがあったよ。 ちょっと多すぎて困ってたところなんだ。 これならお前さんにあげてもいいよ」

マホ「・・・???」


マホはマジマジとその茶色い物体を観察しました。

どう見てもお饅頭ではありません。

確かに形はお饅頭のようですし、色もそれっぽいのですが、どうもおかしいのです。

ピンピンとワラのような繊維がいくつかはみ出しているのが見えます。

それに・・・ なんともいえない妖しげな香りを、ほんのりと漂わせていたのです。


マホ「・・・! こ、これ・・・!!」

トシ「ん?」


マホ「うんこ! うんこじゃないですかっ!!」

66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/08(水) 03:46:29.85 ID:zkSeOWuZ0

マホ「おばあさん! これおマンジュウじゃないです! うんこですよおぉっっ!!」=3

トシ「え? おやまあ、ホントだね。 こりゃ馬糞だったね。 すまんね、色や形が似てるからマンジュウと間違えちまったよw」

マホ「・・・・ふざけるなこのモウロクババアアアアァァッ!!」ガシィッ!

トシ「ぶげっ!!」=3


マホはあまりの空腹と怒りで我を忘れ、両手でおばあさんの首をつかんで渾身の力で締め上げ始めました。


トシ「… ぁぐっ、ふぅ…! し、死ぬ…!」ジタバタ

マホ「死ぬです! 今すぐ死ぬですっ!! 死んで詫びるですうぅっっ!!!」ギリギリギリ


夜叉のように恐ろしい顔で首を絞めるマホ・・・

しかし… おばあさんがブクブクと泡を吹き始めたその時… その女は現れたのでした。


?「おい待てよあんた、うんこをナメちゃあいけないぜ?」ユラリ
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/08(水) 03:53:54.29 ID:zkSeOWuZ0

そこに立っていたのは… なんともザンネンなおもちをおもちの、赤毛のうすらぺったんこな女でした。


マホ「ふぇ?!」ビクッ

爽「まあ許してやれよ。 馬糞と饅頭は本当にそっくりなんだ。 今でも日本中の土産物屋に『馬糞饅頭』の名前で売ってる馬糞を模した饅頭があるくらいだからな。 そのばあさんが間違えるのも無理はねーよ」

マホ「…? あ、あなたは… い、一体、誰ですか?」

爽「フフッ、まあ名乗るほどの女じゃございませんよw ただの通りすがりのトイレマスターさ」ニヤ

マホ「といれますたぁ・・・??」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/08(水) 04:14:48.32 ID:zkSeOWuZ0

爽「いいかいお嬢さん。 馬糞は非常に利用価値の高いスバラな物なんだぜ? 古来から、肥料、燃料、時には医療や美容にも利用されてきたんだ」

マホ「? び、美容…? うんこをですか?」

爽「そうだ。 フンの中の酵素が垢や脂肪を溶かし、肌をいためずに美白効果を期待できる… ウグイスのフンなんかは今でも美容用に売られてて、メチャクチャ高価なんだぞ?」

マホ「… そ、そんなこといったって… マホは、あったかい物か食べ物が欲しいんです…」

爽「う〜ん… 確かに馬糞を食べることはできねーけど… 暖をとることはできるぞ? その馬糞の中に手を突っ込んでみなよ。 あったけーから」

マホ「へ?! そんな、マホ、うんこなんかさわりたくないです!」

爽「だいじょぶだって、牛や馬の糞はそんなに汚くねーから。 臭いもあまりしないだろ? 土と大して変わんないよ。 昔の貧しい農家の子どもはみんな家畜の糞に手を突っ込んで暖をとったんだぜ?」

爽「それに、馬糞療法っていう言葉があるくらい、馬糞は外傷治療薬として使われてきたんだ。 その手の甲のあかぎれにも効くからさ、だまされたと思って入れてみなって」

マホ「・・・じゃ、じゃあ・・ 少しだけ・・・」ソッ


恐る恐る、馬糞の中に手を入れてみると… ほんわりとした心地よいぬくもりが、マホの冷えきった両手をやさしく包みこみました。


マホ「… あ… あったかいですぅ…///」

爽「だろ?w」

マホ「まるで人肌みたいです…  ん、あれ?」

爽「? どうした?」

マホ「いえ、あの… うんこの中に、何か、カタい物が…」

爽「ナンダトォッ!? おい、見せてみろっ!」

マホ「? は、はい…」モゾモゾ


その赤毛の女に促されて、マホが馬糞から引っ張り出した物は・・・ リンゴほどの大きさの、灰色で表面がボコボコとしている軽石のようなものでした。


爽「お・・・ おい! お前すごいなっ! これは・・・」

マホ「??」


爽「“馬糞石”だぞっ!!」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/08(水) 04:25:36.47 ID:zkSeOWuZ0

マホ「バ、バフンセキ・・・??」

爽「そうだ! 馬の腸内で、極稀にできることがある結石・・・ 数千頭に一つ出るか出ないかっていうメチャクチャ貴重なモノなんだぞ!」

マホ「?? …こ、こんな石が… 一体、なんの役に立つんですか?」

爽「べらんめえっ! 馬糞石は昔から漢方の特効薬として重宝されてきた奇跡の石だっ! 『開運! なんでも鑑定団』にも出品されたことがあって、そん時は300万円もの鑑定額がついたんだぞ!!」

マホ「・・・さ、さ、さんびゃくまんえん・・・???」アワワワワ

爽「おうよ! ウハハハッ!w こいつがあれば私たちは大金持ちだぜっ!!ww」


・・・そのあと、二人は馬糞石を製薬会社に持ち込んで大金を手にし… それを元手に馬糞を販売する会社を興し、マッチ売りではなく馬糞売りとなったマホは、億万長者になって末永く幸せに暮らしたそうです。

めでたしめでたし



(カン)
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/07(木) 20:59:55.80 ID:tnKS2WOu0
自己保守
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 21:57:05.31 ID:bqWcEYDZ0
いろいろ別のを書いててこっちが進まんですね…
姉妹SSのもこ編の続きがあるので、良かったらどうぞ↓

爽「『風の谷のナウンコ』…ですか?」咏「だねぃ」(第一ステージ)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1470216547/
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/09/01(木) 18:29:49.98 ID:ydmth2Eu0
もこ編の続き、第二ステージも書き終わったので保守しがてら貼っておきます↓

爽「『風の谷のナウンコ』…ですか?」咏「だねぃ」(第二ステージ)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1472717177/
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/01(土) 16:32:41.52 ID:QdHuZfnz0
第三ステージ↓

爽「“風の谷のナウンコ”…ですか?」咏「だねぃ」(第三ステージ)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1474795263/
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/08(土) 12:33:33.34 ID:LNLwR5m70

その42.〜「しらつき姫と七人のうんコロボックルたち」(前編)の巻〜



寒い寒い冬のことでした。

平原一面に白い雪が降り積もり、さらに粉雪がひらひら、まるで羽のように空から舞い降りていました。

お城では、おきさき様が黒檀の枠のついた窓のそばに座って、縫い物をしながら、そんな外の様子を眺めていました。

そこで、お后様は思いました。


ナナ「雪のように白くて、この窓枠みたいに黒い子が、授かりますように…」


やがて、お后に女の子が生まれました。

雪のように白い肌、そして黒檀のように黒く美しい髪をした子どもでした。


ナナ「ふふ、あなたの名前はシノ・・・ ‟白築慕”よ♪」

慕「……」ニコニコニコ


その子どもは太陽のように明るい笑顔で、城の者たちみんなから愛され、いつしか「しらつき姫」と呼ばれるようになっていました。
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/08(土) 12:53:02.19 ID:LNLwR5m70

しらつき姫はスクスクと大きくなり、とてもかわいらしい少女へと成長していきました。

ところが、しらつき姫が9歳になった時、突然、お后様がどこかへ雲隠れしてしまったのです。


慕「ねえ叔父さん、おかーさんはいったい、どこへ行っちゃったの…?」ウルウル

耕介「…心配すんな、慕。 何か俺たちに言えない事情があるんだろうけど… きっとすぐ戻ってくるさ」


しかし、お后様は一年たっても二年たっても戻ってこず… 王様は、ついに新しいお后を迎えることにしました。

ところが・・・・


はやり(28)「こにゃにゃちわーっ!☆ えへへっ、はやりをお后として選ぶなんて、ここの王様はお目が高いゾ!☆」ハヤヤッ


新しいお后様はアラサーにもかかわらずそれはそれは壊滅的なブリブリブリッコで、お城にその姿が現れた時、そのあまりの痛々しさにその場にいた者たちはみな凍りついてしまったほどでした。

そして、このお后はとても不思議な鏡を持っていました。

お后は鏡の前に立つと、いつも鏡をのぞきこみながらこうたずねました。


はやり「むふふふw 鏡よ鏡よ鏡さん!☆ 咲-saki-界で一番カワイイ女のコは、だーれっカナ?」

鏡(爽)「あん? そんなの聞くまでもねーだろ。 咲-saki-で一番の美少女っつったら… もちろん風越女子の女神・福路美穂子サンだよ!」

はやり「……」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/08(土) 12:59:55.90 ID:LNLwR5m70

はやり「もー! 鏡ちゃんったら冗談キッツイゾ!☆ 本当に一番カワイイコは誰かなぁー?」ゴゴゴォ・・・

鏡(爽)「だから美穂子サンだって言ってんだろ。 二番目はやっぱユキか鹿児島の神代… 清澄の原村も淫ピとか言われてるけど、やっぱかなりレベルたけーよな」


 パリィーンッ!!


鏡(爽)「はまじぃっ?!?」=3=3


お世辞を言うことを知らないその鏡は、かわいそうに、粉々に砕かれてしまいました。
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/08(土) 13:09:00.37 ID:LNLwR5m70

はやり「ダメだこの鏡。 新しいの買ってこよぉーっと☆」テコテコ


お后が新しく買ってきた鏡は、おべっかのうまい空気を読める鏡でした。


はやり「鏡よ鏡よ鏡さん!☆ 咲-saki-界で一番カワイイ女のコは、だーれっ?」

鏡(漫)「は、はい… それは、お后様、あなたです。 いや、むしろ 咲-saki- じゃなくて はやり-hayari- に改名した方がええんじゃないっすか、この漫画」ヨイショヨイショ

はやり「だよね!☆ はやりこそが宇宙一カワイイ永遠不滅の美少女クイーンだもんね!」ハヤヤ


お后様はこれでやっと満足し、自信満々でフリフリのアイドル衣装を着こんで舞踏会へと出かけていくのでした。
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/08(土) 13:20:27.16 ID:LNLwR5m70

ところが、ある日のこと・・・ それは、しらつき姫が12歳の誕生日を迎えた日のことでした。

いつものように、お后様が鏡に向かってあの質問をすると… 驚いたことに、鏡はこう答えたのです。


鏡(漫)「…お后様、アラサー女子の範囲内なら、確かにあなたが一番美しいかもしれません。 でも、咲-saki-キャラ全てで言うんなら、一番の美少女は間違いなくしらつき姫です」

はやり「は?やぁ?!」


驚いたお后様は、鏡を脅したりすかしたりしてみましたが、今度ばかりは鏡は頑として言うことを曲げません。


鏡(漫)「咲-saki-で一番の美少女はシノチヤー・・・! それはこの世の真理で、どんな権力も捻じ曲げることのできん事実なんや…! うちはもう、ウソを言い続けるのは嫌なんや!!」カッ

はやり「…!!」


それからというもの、お后は姫を見るたびにはらわたが煮えくり返るようでした。

プライドの高いそのお后は、自分よりカワイイキャラが咲-saki-の中にいる・・・ということがどうしてもガマンならなかったのです。
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/08(土) 13:40:16.96 ID:LNLwR5m70

そこでお后は、ある日、ガチレズの狩人を呼び寄せて言いました。


はやり「しらつき姫を森の中へつれてって、ピーしてピーしてピーしてきちゃってよ!☆ もうはやり、あのコの顔は二度と見たくない!」

恭子「・・・分かりました」


狩人は言いつけどおり、しらつき姫を森につれていきました。

そして、山を一つ越えたところで、おもむろにしらつき姫の前に膝をつき、こう言ったのです。


恭子「姫様。 実は私はお后様に、姫様をピーするように言われてきたのです」

慕「え?! ピー??」

恭子「あの新しく来たお后は、あなたの美しさに嫉妬しとるんや。 このまま城に戻っても、いつかは殺されてしまうでしょう…」

慕「そ、そんな…」


その狩人は、確かにガチレズでしたが、非常に高貴な精神の持ち主だったので、なんとかしらつき姫を助けたいと思っていました。


恭子「生き延びるには、別の国で暮らすしかありません。 あと山を二つ越えた所まで行けば、隣国の国境があります」

恭子「本当は国境を越えるところまでお送りしたいんやけど… あまり帰りが遅いと怪しまれてしまいます。 ここからは、どうか一人で行ってください」

慕「…分かりました。 ありがとう狩人さん。私、ガンバります!」フンス!

恭子「どうかご無事で…」


しらつき姫は健気にも一人で、岩を踏み越え、いばらをかきわけて森の中を進んでいきました。

しかし、三つ目の山を登っている最中に、とうとう日が暮れてしまったのです。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/08(土) 13:49:48.59 ID:LNLwR5m70

しらつき姫は、真っ暗な中で途方にくれてしまいました。

小さな体はもうヘトヘト… 足も棒のようでした。


慕「どうしよう… こんな所で、朝になるのを待つなんて、無理だよ…」


遠くから、 ワオーン という狼が吠える声が響いてきました。


慕「う、うぅ… オオカミに食べられちゃうのは嫌だな… おかーさん、おじさん、助けてよぉ…」シクシク


しらつき姫は、木の根元にしゃがみこむと、かわいそうにハラハラと涙を流し始めました。

無理もありません。 まだしらつき姫は12歳になったばかりの子どもなんですから…

しかし、その時でした。


?「おい、そんな所で何してるし?」

慕「え?!」


顔を上げたしらつき姫は、驚きのあまり、口をポカンと開けて目を丸くしていました。

目の前で、右手にランプを持ってこちらをのぞきこんでいるのは… 頭になぜかネコ耳の生えたマキグソ型の小人だったのです。
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/08(土) 14:09:01.79 ID:LNLwR5m70

背の高さは30cmくらい・・・

そして美しくハリがあり、ほのかにうんこ臭い茶色いそのボディー・・・!

さらに、あのソフトクリームを連想させるピラミッド型のたいへん立派なフォルム・・・!!

どこからどう見ても、その小人は健康的なマキグソそのものでした。


イケダ(ウンコ)「迷子か? こんな所でしゃがみ込んでたら風邪をひくし」

慕「え? あの、あなたは… だ、誰、ですか?」

イケダ(ウンコ)「私はうんこの妖精、“うんコロボックル”のカナだし。 迷子なら、私たちの家に来ればいいし」

慕「……」


果たしてうんこについていっていいものか、しらつき姫は迷いましたが、ここに一人でいても無事でいられる保証はありません。

いぶかしがりながらもついていくと、そのうんコロボックルは小さなレンガ造りの家に入っていきました。


イケダ「おーい、ただ今帰ったし!」

スミレ(ウンコ)「ああ、おかえりカナ。 …ん? その娘さんは、誰だい?」

イケダ「道に迷ってたみたいだから、連れてきてあげたし」

トヨネ(ビッグウンコ)「わーっ! ちょーカワイイ女の子だよー!」

ハツミ(ウンコ)「ん? 何事ですかー?」

マイル(ウンコ)「カナが人間の女の子ばつれてきたと」

サトハ(ウンコ)「ちょうどいい、今から夕食を摂るところだ。 キミも一緒に食べていくといい」

ハル(ヤッパリウンコ)「………」ポリポリ


慕「・・・・ え、えぇ・・・??」

82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/08(土) 14:19:24.45 ID:LNLwR5m70

その家の中は、家具が小さめなこと以外は、普通の家と特に変わりはなかったのですが…

中でくつろいでいるのは、やはり人間ではなく6つの同じようなマキグソたちでした。


マイル「一体どうしてこがん山ん中ば一人で歩いとったと?」


なぜか体中に鎖を巻きつけているうんこが佐賀弁で尋ねてきました。

そこでしらつき姫は、そのうんこたちにこれまでのことをすっかり打ち明けました。


スミレ「なんと… 国の王女様だったのか」

イケダ「義理の母親に殺されそうになった、だって…?」

トヨネ「ちょーひどいお母さんだよー!」=3

ハツミ「そこを狩人さんが助けてくれたわけですかー」

ハル「……」ポリポリ


すっかり聞き終わると、リーダーらしいメガネをかけたうんこが言いました。


サトハ「それなら、私たちのために家の仕事をしてくれないか? 料理に洗濯、掃除に縫い物など… 家事をこなしてくれるなら、ずっとここにいてくれてもかまわないぞ」

慕「………」
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/08(土) 14:24:29.18 ID:LNLwR5m70

しらつき姫は小さい頃から、怠け者のお母様にかわって料理や洗濯をこなしていたので、家事には自信がありました。

ですが、うんこたちのお世話をするお姫様なんて、今まで聞いたこともありません。


トヨネ「・・・あ、別に、嫌ならやらなくてもいーよ? ただいてくれるだけでも…」

慕「あ、いえ… 別に嫌じゃありません。 家事なら一応できるので、やらせて下さい」


こうしてしらつき姫は、七人のうんコロボックルたちと一緒に暮らすことになったのです。
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/08(土) 14:37:33.84 ID:LNLwR5m70





イケダ「じゃあしらつき姫、行ってくるし!」

トヨネ「ちゃんとイイコで待ってるんだよー!」

スミレ「もしかすると、その悪いお后がここまで来るかもしれない。 誰か訪ねてきても、絶対に中に入れてはいけないよ」

慕「分かりました。 みなさん、行ってらっしゃい♪」


七人のうんコロボックルたちは、毎朝、山へ出かけていって、畑を耕して野菜作りに精を出します。

そしてしらつき姫は夕方彼らが戻ってくるまでに、掃除、洗濯、縫い物などの家事をこなし、お風呂と夕食の支度をして待っているのです。


サトハ「お、今日の夕食は生姜焼きにグラタンにおでんか」

トヨネ「統一感ない食卓だけどちょーおいしいよー!」モッグモッグ

イケダ「すごい… その年で私よりも料理がうまいなんて、大したもんだし」ムッグムッグ

慕「そんなことないですよ/// あ、そういえばイケダさん、靴下に穴があいてたのでつくろっておきましたよ♪」

イケダ「あ、ありがとう///」


 ワハハハハハハハ  ワイワイガヤガヤ  キャッキャッキャッ♪


しらつき姫はとてもよく働いたので、うんコロボックルたちは皆、大喜びでした。

しらつき姫も、初めはうんこと一緒に暮らすことに不安を感じていましたが、皆明るくて優しいうんこたちなので、見た目や多少のにほひなどは気にならなくなりました。

そして、しばらく過ごすうちに、ずっとこのうんこさんたちのお世話をして暮らすのも悪くないかな、とさえ思うようになっていたのです。

85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/08(土) 14:48:29.75 ID:LNLwR5m70


一方、お城では・・・ あの腹黒くて痛々しいお后様はどうしていたでしょう。

お后は、狩人がしらつき姫を亡き者にしてくれたものとばかり、思い込んでいました。

ですから、これでもう自分より美しい女のコはいないと信じて、鏡の前に立ちました。


はやり「鏡よ鏡よ鏡さーん!☆ 咲-saki-界で一番カワイイ女のコは、だーれっカナ?」

お后が聞くと、その鏡は答えました。

鏡(漫)「お后様、アラサーの間でなら、あなたは確かに一番美しいかもしれません… けれど、山の向こうでうんこたちと一緒に暮らすしらつき姫は、あなたの千倍はカワイイです」

はやり「What?!☆」


お后はビックリ仰天、怒りのあまり、ワナワナと震え始めました。

あのにっくきしらつき姫は、まだ生きているのです。

一体どうしたら、姫を亡き者にできるのでしょう・・・?


はやり「うむむむむむmm・・・!☆」


お后はうんうん唸って考えました。

お后は、咲-saki-界の中で自分が一番美しくない限り、悔しくて一時も気が休まらなかったのです。
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/08(土) 14:55:43.86 ID:LNLwR5m70

はやり「・・・よぉーし、もうこうなったら・・・ 手段は選ばないっ!」カッ



お后は黒魔術の心得がありました。

誰も知らない城の地下の秘密の部屋にこもって、その禍々しい魔法で恐ろしい毒リンゴを作ったのです。


はやり「ムフフフ…☆ これを一口かじったら最後、絶対に助からないゾッ!」グフォフォフォ・・・


お后はリンゴができあがると、顔に色を塗ってボロを着込み、百姓のおばあさんに化けました。

そして、山を越えて七人のうんコロボックルたちの家へと急いだのです。



(続く)
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/08(土) 14:56:41.32 ID:LNLwR5m70
止まります。
後編はまた来週書きます。
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/13(木) 21:06:50.74 ID:xNTn8Seg0
カリオストロ的な趣味ない系の読者ですけど、作者ホントにうんこネタ大好きっすね。
最初は何だコレって思ったけど、爽のとかいくつか読んで作者の真摯なうんこ道と読み手への心遣いにちょっと胸熱。
そして流した後の排便のように仄かに香る作者の知性的な文章と、何だかんだで読んじゃう読ませる力は素直にすごいと思う。

「うわっ! くっせぇ!」 的なトコに、彼岸島的狂気と面白さを感じる今日この頃。
好きなキャラの排泄音はやっぱ抵抗あるけど、基本的に内容面白いから今後も地味に応援していきます。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 17:39:52.89 ID:z8Hs15Ri0
批評あざす。
読み手への心遣いという点を評価してもらえたのは、率直に嬉しいです。
読み手が楽しめるように、読み手がトイレに来てホッと一息つけるようなSSになるように、ということを常に意識しているので。

でも別に>>1はトイレ話に固執しとるわけじゃありまへんどすえ。
他のテーマの話もいろいろ書くしね。
ただ「少女×萌え×トイレ」というテーマは尋常じゃなく奥が深いようなので、書くのならきっちりその真髄を見極めるまで掘り下げて書いてみたいだけです。(※掘ったり掘られたりに興味があるわけではない)
爽たちがまだまだいろんな世界を見せてくれそうなので、それを見てみたい。

まったり書いていきます。
後編は、はやりVSうんコロボックル七人衆のバトルです。
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 17:58:36.29 ID:BMPNUPv50

その43.〜「しらつき姫と七人のうんコロボックルたち」(後編)の巻〜


 トン、トントントン・・・

山を越えてうんコロボックルたちの家までやって来た、おばあさんに化けたお后様・・・

トントンと戸を叩くと、しらつき姫が窓から顔を出して言いました。


慕「はい、こんにちはおばあさん。何のご用ですか?」

はやり「こんちゃかわぁーッ☆ おじょーさん、はやりの作ったディリシャ〜スなリンゴはいかがかな?」キャピリンコ


そのおばあさんの差し出したリンゴは、実に気持ちの悪い紫がかったドドメ色をしていました。


慕「・・・いえ、リンゴは間に合ってますので… 今日はけっこうです」

はやり「そんなこと言わないで食べてみてYO! 毒なんか入ってないからさ!☆」ハヤヤ

慕「……」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 18:04:33.58 ID:BMPNUPv50

はやり「何? はやりのりんごが食べられないってゆーの?☆」

慕「…いえ、その、そういうわけでは…」


怪しさMAXのリンゴ売りのおばあさんですが、心優しいしらつき姫はなかなか断ることができません。

そこへ…


イケダ「ん? なんだアンタ、何してるんだし?」

はやり「はや?」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 18:09:01.80 ID:BMPNUPv50

現れたのは、トイレに戻ってきたネコ耳の生えたうんコロボックル、イケダでした。


はやり「・・・・にゃぱぱぱぱぱぱッ!www=3 アンタ畜生な上にうんこだなんて・・・はやりこんなみじめな生き物見たことないYO〜〜!☆」ケラケラ

イケダ「な、なんだと…?!」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 18:46:23.43 ID:XPlcRcx70

イケダ「う、うんこをバカにするなし! お前だってトイレに行ったらうんこくらいするだろう?」

はやり「ザーンネンでした☆ はやりみたいな天使すぎる女の子はうんこなんかしないんだよん♪ はやりのお尻から出てくるのは、お砂糖とスパイスの入った甘い甘〜いお菓子だよ?」ハヤヤン

イケダ「はぁ? 何言ってるんだし! ヨボヨボのBBAのくせに…」

はやり「ム? これは変装だよ! 本当のはやりは… このとーり、ピッチピッチの女のコなんだぞッ!☆」バッ

慕「え?!」


化粧を拭き取ってボロを脱ぎ、ついにその痛々しき正体を現したお后様・・・!


慕「あ、あなたは… お義母さん?」

はやり「ありゃ、バレちゃったか☆」テヘッ

イケダ「お、お前… しらつき姫を殺そうとした女王だな? とっとと城に戻れし! しらつき姫にはこの私が指一本ふれさへぶしっ!!?」=3=3


うんコロボックルのイケダは、セリフを言い終える前にお后の投げつけた毒リンゴに叩き潰されていました。


慕「イ、イケダさん…!」

はやり「ウプププププ…www☆ さぁ、次はあなたの番だよ?しらつき姫ちゃん・・・w」ユラリ

慕「っく…!」バッ!


あわてて窓を閉め、部屋の奥へと逃げ込んだしらつき姫・・・

しかし、


 ドッゴオォォ―――ンッ!!=3=3


慕「ひっ?!」


ドアを一発で蹴り飛ばし、中に入ってきたそのお后は、まるでアイドル衣装を身にまとったターミネーターのようでした。
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 19:07:32.61 ID:XPlcRcx70

はやり「プシシシシ…w☆ もう逃げられないゾ!しらつき姫ちゃん…w 黙ってはやりの毒リンゴを食べなさい!!」クワッ

慕「う、うぅ…!」


悪魔と化したアラサ―アイド・・・、否、お后様がジリジリと迫り、しらつき姫を壁際まで追い詰めました。

絶体絶命です・・・!

しかし、賢いしらつき姫はここで一計を案じ、お后様にこう言ったのです。


慕「・・・お、お義母様、分かりました。 言われた通りそのリンゴを食べるので… お願いです、最後に神様へのお祈りだけさせてください」

はやり「お祈り?☆ …ふぅ〜ん…… 別にいいケド? じゃあサッサと済ませちゃってよ」

慕「あの、この家は、神棚がトイレにあるので… 一度トイレに行かせてください」

はやり「トイレ? そんなこと言って、窓から逃げる気なんじゃないのー?」

慕「そ、そんなこと、しませんよぉ…」フルフル

はやり「……」


お后は少し迷いましたが、しらつき姫を縛りつけ、逃げられないようにその縄の先を持ってトイレへと行かせてあげました。
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 19:17:12.86 ID:XPlcRcx70

<「トイレにまします父なる神様… 願わくば御名を…」

はやり「……」


トイレの中から、しらつき姫のお祈りの声が聞こえてきます。


<「…南無阿弥陀仏ナムミョウホーレンソウですよー」

はやり「………」

<「アーメン・ザーメン・ザーサイメンいっちょうですよー!」

はやり「……?」

<「ブリブリブリブリブリブリッ! ブリュリュリュリュリュリュッチョス!ドゥッパァッシィッ!! ですよーっ!!」

はやり「・・・・は?」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 19:28:20.98 ID:HK4gwI9E0

 ガラァッ!


はやり「ちょっと! アンタ真面目にお祈りしてんの? フザケるなら早く出・・・ ふぁっ?!」ギョッ

ハツミ「おや? ノックしないでトイレに入ってくるのはマナー違反ですよー?」


そう… そこにいたのはしらつき姫ではなく、巫女服をアバンギャルドに着こなしたうんこだったのです。

トイレに潜んでいたハツミが、しらつき姫の縄をほどいて窓から逃がしてあげていたのでした。


ハツミ「ザンネンでしたねーw 私たちうんコロボックルがいる限り、しらつき姫には指一本ふれあばじゃあぁっ?!」ジャアァーッ・・・


お后様は無言でそのうんこを便器の中に叩き落とすと、排水レバーをひねって流してしまいました。
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 19:48:21.79 ID:RUQNOTPG0

はやり「しらつき姫ェ! このHAYARI様から逃げられると思ったら・・・大間違いだゾ!!」バッ

はやり「さあぁ魅せろはやりのTSUBURAな瞳よ・・・! 必殺!“アラサ―・テレスコオオォ―――プ”!!☆」ババッ


家から飛び出したお后様は、その能力の一つである千里眼を発動… 森の木々を透視し、アッという間に走って逃げるしらつき姫を見つけてしまいました。


はやり「むふぉふぉふぉふぉ…!ww そこだッ! うなれはやりの大根足・・・じゃなくてセクシー・レッグ…! “アラサ―・ミラクルラアアァ――――ッシュ”!!☆」ドゥッパァ――ンッ!!


爆発的なスタートダッシュで駆け出したお后様は、一瞬にして時速200kmに到達・・・ みるみるうちにしらつき姫に迫っていきます・・・!


慕「えっ! お義母さん?!」ギョッ

はやり「うひゃひゃひゃカクゴしろしらつき姫ェ!!☆」バッ


お后様の振り上げた右手から、まるで山んばのように爪が伸び始め… しらつき姫の華奢な体を引き裂こうとした、その、刹那・・・!


 ギャリイィ――ンッ!!


はやり「えっ?!」


突然、どこからともなく飛んできたネビュラチェーンが、お后のその邪悪な右手にガッチリとからみついていたのです。
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 20:05:11.79 ID:jghX9Ju80

マイル「なんばしとる?! こんあやしか女め…!」ギリギリギリ・・・

トヨネ「こらっ!そこの変なオバサン! しらつき姫ちゃんに近づくんじゃないよぉ!!」バッ

ハル「……」ポリポリ


はやり「… はぁ……??」


現れたのは、長い鎖を聖闘士のようにかまえたうんこ、ひときわ長身のヴァンパイアのような目をしたうんこ、そしてのんきに黒糖をポリポリとかじっているうんこでした。


慕「み、皆さん…!」パアァ・・・

マイル「しらつき姫、間に合って良かったと… さぁ、少し離れてなさい」ザッ

トヨネ「あなたが姫が言ってた悪いおかーさんだねー? もぉー許さないよっ!」カッ

ハル「………  潰す」ポリポリ


・・・ああ、なんとたのもしいうんこたちでしょう…!

三人のうんコロボックルたちは、ヘタリこんでいたしらつき姫の前に立つと、キッとお后をにらみつけました。

しかし・・・


はやり「… なぁーに?☆ まさかマキグソさんたちがはやりの相手をしてくれるの? ちゃんちゃらちゃらちゃらおかしいYO〜〜ww」ヘラヘラ

トヨネ「うんこだからってナメるんじゃないよぉ! そしてちゃらが一つ多いよっ!!」

ハル「いや、二つ多い…」

マイル「そがんことはどうでもよか! さあイクぞ!!」

トヨネ・ハル「「おう!!」」ババッ!!
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 20:25:21.43 ID:ydVZF00+0

トヨネ「えぇいコレでもクラエエェッッ!!」ブンブンブン!!

マイル「リザベーション・・・セエェブゥ――ンッ!!」バババッ!

ハル「ポン、チー、ポン、そしてポォン!!」ブンブン

はやり「ん?!☆」


トヨネが自分のうんこボディをちぎって投げ、マイルがさらに鎖を放ち、ハルが自慢の喜界島原産の黒糖を投げつける…!


うんこ「 ミチミチミチミチイィッ!! 」
鎖「 ビュゴオオォォ――ッ!! 」
黒糖「 ヒョワアアアァァ――ッ!! 」


はやり「む…!☆」


うんこ「 ビチビチビチビチイイィッ!! 」
鎖「 ギュイイイィィ―――ンッ!! 」
黒糖「 ヒュンヒュンヒュンヒュウゥ――ンッ!! 」


はやり「これは・・・!!☆」


一斉にお后様を襲ううんこ、鎖、そして黒糖・・・!

お后は右手をマイルのネビュラチェーンに縛られたままであり、動くことができません。

化物のようなお后様も、さすがにこれは打つ手なし… もはやこれまでか? と思われた、次の瞬間でした。


はやり「ナメるなッ!☆ 今こそ萌えろはやりのコスモよ・・・! 超絶必殺ぅ! “アラサ―・ハイパーディメンショオオオォォ―――ン”!!!」ブワアアアァーッ!!


マイル「っげえ えぇ っっ !?!」=3
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 20:51:08.85 ID:ydVZF00+0

 スポポポポポポポポオォ―――ン…!


トヨネ「えぇっ?!」

ハル「…は?」


驚愕の表情を浮かべるうんコロボックルたち…

なんと、お后様が一声吼えると同時に、突然空間に真っ黒い“穴”があき…

うんこ、鎖、黒糖、その全てが穴の中へと吸い込まれてしまったのです。


マイル「な・・・何をしたんや! きさん!!」

はやり「うぴぴぴぴぴぴぴ…ww☆ これは“萌え”をとことん極めし者だけが使うことを許される萌えキャラ限定の究極奥義・・・!!」ゴゴゴォ・・・

はやり「どんなモノも異次元へフッ飛ばしてしまう“アラサ―・ディメンション”・・・! うんこごときが束になってかかったって、はやりに勝てるわけないんだYO!☆」ハヤッ!

トヨネ「そ、そんな、バカな…? 萌え度なら、アンタみたいなBBAよりもエイスリンさんの方がはるかに上のはずだよぉ?!」ワナワナ

はやり「そんなこわっぱが“萌え”を極められるワケないでしょー?☆ はやりは小二の時から本気で萌えを追及してきたんだよ… 全然年季が違うんだYO!!」カッ

はやり「さあぁカクゴしろうんこドモォ! くらえっ! “アラサ―・ディメンション・マァッ―――クスゥッ”!!☆」ブワアァァッ!

ハル「うっぐうぅっ?!」=3


 ドヒュオオオオオォォ――――ンッ!!


お后の放った究極の萌え技は猛烈な竜巻を発生させ… バキュームカーのように三人のうんコロボックルたちを一気に吸い込んでしまいました。
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 20:58:22.46 ID:11n6hR1i0

はやり「うぽぽぽぽぽww☆ これでカンネンしたかな? しらつき姫ちゃ・・・ん?」

(慕)「」ドロン


うんこたちの背後に隠れていたはずのしらつき姫の姿は、すでにそこにはありませんでした。

形勢が不利と見るや、一目散に逃げ出していたのです。


はやり「・・・ふぅん。 まぁいいや☆ あわてなくても、あんなヒヨワなウサギちゃんがはやりから逃げられるワケないんだから・・・w」ニタアァ・・・
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 21:07:12.13 ID:11n6hR1i0





慕「はぁ、はぁ、はぁはぁはぁはぁ・・・!」ヨロヨロ


森の中へ逃げ込んだしらつき姫は、落ち葉やつたに足を取られながらも、必死になって少しでも遠くへ離れようと頑張っていました。

そして、気がつくと、見晴らしの良い山のてっぺんまで来ていました。


慕「う…、こ、ここまで来れば、もう、大丈夫、かな…?」ハアハアハア・・・


疲れ切ってしまったしらつき姫は、大きな岩の陰に腰をおろしました。

と、その時、


 ガサッ


慕「?!」ビクッ
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 21:25:04.17 ID:hjz9YlS+0

慕「な、何? さっきの音… ま、まさか、お義母さん…?」キョロキョロ


・・・ シィーン・・・・


慕「…こ、小鳥か、何かだよね…? こんな遠くまで来たんだから、もう、いるわけ…」


・・・ トキニハハヤリニナガサレテェー♪  リボンデオメカシシチャウノヨォー♪☆・・・


慕「…」ガタガタガタ


突然響き渡った痛々しいファンシーソング…

恐る恐る後ろを振り返ると、そこには…


はやり「ヤッホー♪ もぉー遅いゾ! はやりヒマ過ぎて一人コンサート開いちゃうとこだったじゃん!☆」ハヤヤ


岩の反対側から現れたのは、まぎれもなくあのアイドルの皮をかぶった悪魔、地の底までも追ってくる鬼神の如きお后様でした。


慕「あ、あぁ・・・」ガタガタ


かわいそうにしらつき姫はもう蛇ににらまれたカエルのように・・・ カタカタと震えるだけで、動くこともできません・・・


はやり「ふふw☆ 恨むんならはやりじゃなくて、カワイクなりすぎた自分自身を恨むんだねッ!!」バッ


まるでアームズのようにメキメキと巨大化した右手が振り上げられ… しらつき姫は、思わず目をカタくつぶっていました。
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 21:36:39.17 ID:hjz9YlS+0

しかし、まさにその時でした。


 ビシィッ!! ビイイィ――ン・・・ッ!


はやり「はやっ?!」

慕「えっ?!」


目を見張る二人…

お后の背後から飛んできた一本の矢が、その頬をかすめ…

岩に突き刺さり、ビリビリとその矢羽を震わせていたのです。

そして…


スミレ「今のはわざと外した。 次は心臓を刺し貫くぞ」ザッ

サトハ「そこまでだ。 もうお前に逃げ場はないぞ!」スチャッ

はやり「…何ィ?」

慕「ス、スミレさん! サトハさん!!」


窮地に現れたのは、方やアーチェリーの弓を背負ったうんこ… そして方や長ドスをかまえたうんこ…!

そう… ついに、七人のうんコロボックルの中でも最強の二人… 超武闘派のうんこがその姿を現したのです!
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 22:05:23.98 ID:6HMIwb2M0

スミレ「すぐに城へ戻れ。 そしてしらつき姫にはもう二度と近づくな…!」スチャ・・・

サトハ「今撤退すれば、命だけは助けてやるぞ…」ジリッ・・・

はやり「………」


一触即発のお后とうんこたち・・・!

しかし、


はやり「・・・・ ぶぉふぁふぁふぁふぁふぁふぁっっ!!wwww☆」=3=3

スミレ・サトハ「「!?」」ビクッ

はやり「ううぅおナカ痛いよぉ〜…!☆w アンタたち、はやりの腹筋を崩壊させるつもり?ww」=3

はやり「うんこ如きが! はやりの相手に!! なるワケないでしょオオォッ!!!」カッ!


 バババァッ!!!


スミレ「なっ?!」
サトハ「うっ!?」
慕「えっ!?」


一瞬、稲光が閃いた・・・ と、思った次の瞬間には、スミレとサトハのかまえていた弓と長ドスは消えていました。


はやり「まったくもぉ… そんなノロマさんのくせに、よくもはやりに挑戦する気になったねぇ〜?」カチャカチャ

スミレ「なぁ…? あ、あの一瞬で、私とサトハのエモノを奪い取った、だと…??」

サトハ「…!」


いえ、驚いてはいけません…! 「瑞原はやり」の一番のストロングポイントといえば、なんと言っても“和了速度”…! その神速と言われるスピードはまさに日本SAISOKU…! ことスピードにおいて、彼女に勝るモノなど存在しなかったのです。
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 22:30:12.75 ID:AClFkygI0

はやり「さあさあどーするの? 5秒以内にはやりの視界から消えれば、見逃してあげなくもないケドォ〜?☆」ニタニタ

スミレ「っく…!」

サトハ「……」


もはや打つ手なし… やはりたかがうんこが群れたところで、悪魔の力を得たアラサ―にはかなわないのでしょうか…?


慕「ス、スミレさん、サトハさん…!」カタカタ

サトハ「… 何、怖がることはないさ、しらつき姫… うんこは、得物を取られたくらいで負けるようなヤワな存在ではない」

はやり「はぁ?!☆ あのねぇ・・・臭くて穢らわしい汚物風情が、ミエをはるのもいい加減にしろってんだよっ!!」カッ!


ザワザワと髪を逆立て、真っ赤なオーラを身にまとい、ついにその本当の姿を現し始めたお后・・・

しかし、その恐ろしい姿にも少しも動じることなく、うんコロボックルのリーダー・サトハはこう言ったのです。


サトハ「ふん… どうやらお前は“うんこのなんたるか”を全く分かっていないみたいだな…」ズモモモモォ・・・

サトハ「いい機会だ。 教えてやろうじゃないか… “うんこの真の力”というものをな!!」カッ
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 22:51:55.93 ID:nfKd1jP+0

はやり「うんこの、真の力ぁ…? いったい、何を言って・・・・んっ?!」ギョッ


 ブウウウウウウゥゥ――ン・・・  ザワザワザワザザザザザザアアァ―――・・・・!  モゾモゾ、モゾゾゾゾゾゾゾオオオォ〜〜・・・・!!


はやり「え、コレは・・・??」


 ドドドドドドドドドドオオオォ―――・・・!!  ブーブーブゥー!  ワン、ワンワンワン!  キーキーキィー!  ドッドドドドドオォ――・・・・!!


最初にやって来たのは、ハエやアリ、スカラベといった昆虫たちでした。

しかし、その昆虫たちに続いて… イノシシ、野犬、サル、カメ、ウサギ、ネズミ、パンダ、ミミズ等々・・・

森の中のあらゆる生き物たちの大群がやって来て、お后の前に立ち塞がったのです!


はやり「な、何? なんなのこのコたち…??」

サトハ「ふふ… こいつらはみんな、普段うんこをゴチソウとして食べている生き物たちだ。 私たちが発する匂いにつられてやって来たんだよ…」

はやり「はぁ?! もぉキモチワルイなぁ…!☆ うんこを食べるなんてサイテーだYO!」=3

サトハ「気持ち悪い…? 勘違いしてもらっては困るな。 人間だって、調味料や添加物、漢方の生薬などとして、哺乳類や鳥類のうんこから抽出された成分を食べているんだぞ?」

はやり「え、えぇ・・・??」

サトハ「それに、お前はうんこの匂いを臭いと言うが… うんこの匂いというものは極めて神秘的で高貴なモノなのだ。 その証拠に…」

サトハ「お前が体中に振りまいている香水… その香水にも、うんこの匂いが使われているんだぞ?」

はやり「はぁ?! まさかぁ!?」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 23:12:25.49 ID:/up1F+PF0

サトハ「そんなに驚くこともないだろう… うんこの匂いは、主に腸内でタンパク質を分解することで作られたインドールやスカトールといった成分が元になっている」

サトハ「この成分は量が多いと人にとって不快な臭いになることもあるが、濃度が低ければ、オレンジやジャスミンの花などと似た非常に芳しい匂いを発するモノなのだ」

はやり「う、うんこが、花の香り…?? ウソでしょ…?」

サトハ「うんこはウソなどつかん! 事実、多くの香水やタバコの香料などに、哺乳類のうんこから抽出したインドールやスカトールが使われているんだからな。
それだけ、うんこというものは人に親近感や安心感を与える匂いをもっているモノなのだ」

はやり「……」


 ワンワンワン、ブーブーキーキー…  ワラワラワラモゾモゾモゾ・・・


集まった動物や昆虫たちが、まるでサトハを守るかのように寄り集まってきた…


サトハ「自然界におけるうんこは、こういった生き物たちに食べられたり、キノコなどの菌類やバクテリアに分解されることで、やがて大地に還っていく…」

サトハ「そしてその分解されたうんこが糧となり、森の中のあらゆる植物たちを育てていく…」

サトハ「いいか? “うんこや生物の遺骸がなければ、この世に新しい命は一切生まれてこない”・・・ これは科学的にも証明されている自然界の摂理… 神の真理というものなのだっ!」

サトハ「つまり、“万物の生命の源”・・・ それこそが“うんこの真の姿”なんだ」

サトハ「ふふ… つまり、うんこを敵にするということは、自然界における生き物全てを敵に回すということなんだぞ…? たかが人間一人が、勝てると思っているのか?」

はやり「………」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 23:28:10.24 ID:bwJBJCcH0

ザザザザザアァ・・・!  ワンワンワン!  ブーブー  キーキィー  ゾロゾロモゾモゾ・・・

 ブウウウウゥゥゥ―――ン・・・・!  ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオオォォ――――・・・・・!!


はやり「・・・!」


もはや、動物や昆虫たちだけでなく、木々や草花や風など、森の中のあらゆるものがお后様に立ち向かっているかのようでした。

いくら悪魔のような力をもっているお后といえど、周りの全てが敵では、もう手の打ちようがありません…

ところが、


はやり「… ふぅ〜ん…? ああそう。 じゃあはやりも、一つ教えてあげよーかぁ?」ハヤヤ

サトハ「何?」

はやり「グダグダグダグダ下らないことくっちゃべってんじゃあねぇーよ…☆ そういうのをねぇ・・・」ゴゴゴォ・・・

はやり「屁理屈って言うんだYO!!」バッ!

スミレ「なっ?!」

慕「えっ!?」


それは本当に一瞬のことでした。

神速で間合いを一気につめたお后様が… 自分のおもちの谷間からあのドドメ色の毒リンゴの切り身を取り出して、しらつき姫の口の中に押し込んだのです!


サトハ「!? しまった!!」
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