船員「船長!宝の地図です!」海賊「そんな事より働け」

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1 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 16:06:44.10 ID:Vyl9bD0x0
下っ端A「に、荷物の搬入終わりました!!」

海賊「うむ!漏れが無いかチェックしておけ!」

船員「あのッ」

下っ端B「乗客の確認終了しました!!」

海賊「最近不法で乗り込んでくる奴も多いからな!引き続き監視を続けろ!」

船員「船長……」

下っ端C「風向き良好です!いつでも出発できます!!」

海賊「よし!"おかげさまで海賊団立て直し1周年記念皆様ありがとう格安ちょっと遠出クルーズ"出発だ!!」

船員「……」




船員「ウチら海賊ですよね?」

海賊「海賊だぞ?」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1462691203
2 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 16:08:09.85 ID:Vyl9bD0x0
海賊「んー!いい風だー!」

船員「結局地図の下り無視!?船長ー、いい加減海賊らしい事しましょうよー」

船員「先代が亡くなって海賊団を再結成してもう一年、ずっと船長主導の元荷物の運搬やら旅行会社との連携やらで何もしてないじゃないですかー」

海賊「大体親父の代から賊らしい事してなかったじゃないか。海賊らしい事ってなんだよ」

船員「えっと……略奪とか大冒険とか……」

海賊「お前そんなにお上に捕まりたいの?このご時世に国やギルドに目を付けられたらお終いだよ。手堅く堅実に、それでいて末永く生きていくには真っ当な手段で仕事をして稼いでいく他ないのにそれを手放して収入の安定しない賊をやるっていうの?大冒険なんて以ての外だよ、私には無理だから」

船員「えぇ……」
3 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 16:08:37.79 ID:Vyl9bD0x0
海賊「そもそもだ!私が何故こうも身を粉にして働いているかお前に分かるか!?」

船員「お金欲しいからですよね」

海賊「いや違……くも無いけど!!」

海賊「馬鹿親父が残した莫大な負の遺産を清算するために海賊業を辞めさせて商船やったり人運んだりしてるんだ!」

船員「先代、現役だった頃から借金だらけでしたしねー」

海賊「だ・か・ら!一々そんなあるかもどうか分からないような宝の地図なんて気にしていられないの!!分かった?」

船員「分かりません!海賊はロマンです!」

海賊「おーい下っ端共ー、コイツを海に放り投げろー」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」

船員「ちょっ!?じょ、冗談ですって!ちょっとやめて!離してー!!いやー!!」



海賊「あー静かになった」
4 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 16:09:10.38 ID:Vyl9bD0x0
下っ端A「ボス、特に今はすることも無いので休憩しますか?」

海賊「んー、多くは無いと言ってもお客さんに挨拶しなきゃいけないからまだ残るよ」

下っ端B「へい!それじゃあ俺たちは先に休ませていただきます!」

下っ端C「今日の仕事終わりー!あー疲れた」



海賊「テメェらサボろうとしてんじゃねぇよ働け。内側から爆発させて頭トマトケチャップにするぞ」ギリギリギリ

下っ端A「あががががが」

下っ端B「ボス!?手甲嵌めたまま頭絞めるのはマズイですって!?」
5 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 16:09:54.59 ID:Vyl9bD0x0
海賊「さて、挨拶済ませるかな。こう、大っぴらに客の前で喋るの何て初めてだな」

船員「船長!頑張ってください!」

海賊「捨てられたんじゃなかったのかよお前……おほん」


海賊「さて皆さん!記念すべき我が航海にご参加していただき誠にありがとうございます!」


金髪少女「海の風って嫌なんですよね、なんかこう……ベタついて」


海賊「……ほ、本船はこのまま一度海上都市、および海底都市に向かい、その後各地を巡り再びこの港へ戻ってまいります!」


黒髪少女「船の大きさの割に船員も少ないようですし、その癖お客と荷物は多い。手が回るのでしょうか」

海賊「……」


海賊「お、各々目的地で降りる方も、一周まるっと長旅にお付き合いいただく方も、どうかその時まで存分に海上のリゾートをお楽しみください!!」


眼帯少女「……」

海賊「……」

眼帯少女「……」
6 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 16:10:25.30 ID:Vyl9bD0x0
海賊「楽しくやれる自信無くなってきた……」ズーン

船員「く、クレーマーが居るのは仕方のない事ですよ!それにあの人達もちゃんと小声で喋ってますから……」

海賊「面と向かって言ってくれた方がまだよかった……ちょっと動きやすい格好に着替えてくる……」ヨタヨタ

船員「ちょっと張り切っちゃったのに空回りして痛々しい可哀想な船長……」


海賊「ウッ…」


下っ端C「お前も辛辣だな、思いっきりボスにトドメ刺したぞ」

船員「えー!船長は何も悪くないですよー!」
7 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 16:18:21.03 ID:Vyl9bD0x0
――――――
―――


海賊「ハァー……」

海賊「親父め、とんでもない借金残してとっとと死にやがって」

海賊「そのせいで私が何から何までやらなくちゃいけない羽目になったじゃないか」

海賊「船のローンだってまだ残ってるっていうのに。今更賊なんて出来るかよ、ったく……」


黒髪少女「モーニングセット、頼んでから随分経ちますが。まだ出来ないのですか?」

眼帯少女「……腹減ったー、飯食わせー」


海賊「ぐぅっ!さっきの連中か……ッ!は、は〜い!ただいまお持ちしま〜す♪」


下っ端A「ボスのウェイトレス衣装可愛いよな」

下っ端B「いいよね」

下っ端D「うっす」


船員「ちょっと待って!?船長に何させてるの!?」

8 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 16:27:53.13 ID:Vyl9bD0x0
海賊「させられてるんじゃない」

海賊「自 主 的 に や っ て る ん だ ! !」

船員「なんで!?」

海賊「人手足りないんだよ察しろ!ほらお前たちも料理運べ!」

下っ端E「おっす」

海賊「Aは厨房手伝ってこい。DとEは運べ!BとCはとっととベッドメイキング済ませろ!途中なの知ってるぞ」

船員「せ、船長!私はどうしましょう!」

海賊「歌でも歌ってろ役立たず!」

船員「えぇ……」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/08(日) 16:35:42.11 ID:pm8wDlRAO
期待
10 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 18:01:35.72 ID:Vyl9bD0x0
金髪少女「まだですかー?」


海賊「はーい、出来上がりましたのですぐに♪……散れェ!!」

下っ端D「うっす」

下っ端「おっす」

海賊「まったく、人数が居ないんだからもっとテキパキやれ!」

船員「何か違う気もしますが……」


騎士「おーい!この激辛カレーってのくれよ」

竜少女「ワシは野菜スープだけでいいかのう」


船員「あ、はーい承りましたー!」

海賊(ま、こうやって無茶苦茶言ってもちゃんと仕事してくれるんだよな)


船員「激辛カレー風味パスタとカニスープでーす」

海賊「!?」


11 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 18:05:51.59 ID:Vyl9bD0x0
海賊「お前人の話聞いてたのか?」ギリギリギリ

船員「HAHAHA☆ジョークですよジョーク☆少しでも高いモノ食わせた方g痛い痛い」

海賊「こんな事で評判下げられたら商売上がったりなんだぞ。それに現場を混乱させたらせっかく雇えたコックに悪いだろ」

船員「まー、この僅かな時間でそんな食事すぐ作れるワケ……」

コック「カレー風味パスタおまち」

船員「速いねー?」

海賊「まぁいいや……カニスープまだみたいだし取り消しな」

コック「ほいよ」

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/08(日) 18:07:43.88 ID:Y0xvBK94O
ここまで全員美少女
13 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 18:08:00.04 ID:Vyl9bD0x0
船員「でも勿体ないですねぇ、せっかく作ってくれたのに」

騎士「何、メニュー間違えたの?」

海賊「も、申し訳ありません!すぐにつくりますので……」

騎士「いいよ、それで。値段もそう変わらないだろ?」

海賊「し、しかし……」

騎士「いいのいいの!せっかく美味しそうに作ってくれたんだから、食べなきゃ勿体ないだろ?」

海賊「あ、ありがとうございます!!」

14 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 18:11:58.21 ID:Vyl9bD0x0
船員「あの背の高い人、いい人でよかったですねー」

海賊「結果論だろ、後でサメのエサにするぞ」

船員「やれるもんならやってみな」

海賊「」ガッガッガッ

船員「ストップ、無言の腹パンはストップ。同じ女ならそれは無しだって分かるでしょ船長」



竜少女「む?随分早かったのう」

騎士「へっへ、まー俺は通だから?どんな料理が早く出てくるか知ってるワケよ」

竜少女「流石、行く先々のパンフレット読み漁ってるだけの事はあるな」

騎士「まーそう褒めるなって、そんじゃ先に頂きまーす♪」ズルズル

竜少女「……おい」

騎士「……」ズルズル

竜少女「……どうした?」

騎士「ゴッパ」

竜少女「!?」

15 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 18:14:31.32 ID:Vyl9bD0x0
竜少女「誰かーーーーーーーー!!医者を連れて来てくれーーーーーーー!!ワシの連れが倒れたのじゃーーーーーーーーー!!」

騎士「カフッ…」



船員「oh...」

海賊「何を作ったコックうううううううううううううううううううう!!」

コック「あー、試作パスタやっぱり駄目だったかー」

海賊「や っ ぱ り っ て 言 っ た か 今 ! ?」

16 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 18:19:15.57 ID:Vyl9bD0x0
下っ端A「ぼ、ボス!!厨房の作り置きパスタが何か異形なものに変化しつつあります!!」

海賊「作り置きって何!?何作ったのお前!?」

コック「魔物の細胞とか流石にマズかったか」


竜少女「誰かーーーー!!このままでは死んでしまうのじゃーーー!!」

騎士「」


黒髪少女「騒々しいですね」

金髪少女「やっぱり値段が安いのはダメか」

眼帯少女「……他の料理は美味しい」モヒモヒ


海賊「あは、あは、あははははははは」

船員「オイ医療キットあったろ!私があの人見るからAとDとEはとりあえず厨房に蔓延るナニカを始末しろ!!最悪海に捨てろ!!」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」


海賊「あ゛ーーーあっははははははーーー」ホロリ

17 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 18:23:14.74 ID:Vyl9bD0x0
――――――
―――


ザザーン


海賊「……ハァ」

船員「せーんちょ!とりあえず目撃者全員に渡すもの渡して揉み消しておきましたよ」

海賊「お前怖いよ!?」

船員「一応海賊ですから」

海賊「せっかく船もらしく改装して新しい始まりを期待してた矢先にこれは……キッツイな」

船員「航海にトラブルは付き物ですよ」

海賊「航海関係ない所でトラブってたら世話ねぇよ」

18 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 18:27:15.57 ID:Vyl9bD0x0
海賊「頭痛い……とりあえずパスタ以外の料理は全く問題なかったみたいだし、今更契約破棄するのも信用にかかわるからパスタだけ封印させてもらうが」

船員「海上だと容易に人材の入れ替え何て出来ないですからねー。料理までウチの船員にやらせてたら本当に手数が足りなくなっちゃいますよ」

海賊「……不甲斐ないなぁ」

船員「まだ始まったばかりですよ。それに天国の先代は、きっと応援しています」

海賊「……」

船員「……」




船員「"俺の借金、頼むわ"って」

海賊「 死 ね 」

船員「もう死んでますって」

19 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 18:31:05.68 ID:Vyl9bD0x0
黒髪少女「あら、小さな船長さんと船員さん。ごきげんよう」

船員「あ、クレーマー」

海賊「オイ馬鹿やめろ!?」

黒髪少女「フフ、面と向かっては一度も言ってないのですけれど」

海賊「なんか……申し訳ないです」

黒髪少女「貴女は……人前に出るのが少し慣れていないのですね」

海賊「分かるんですか?」

船員「そうなんですよ!幼いころから実は先代から海賊団を既に乗っ取っていたんですけど、影のボス的な位置に居たもんですからこういうトラブルとかの対処って全部先代か私が受け持っていたもんでね?前線に出るとまーまだ何も出来ないマンモーニなもんで困っちゃいますよグハッ」

海賊「余計なことは言わんでいい」

船員「愛のある暴力ありがとうございばず……」

20 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 18:36:01.59 ID:Vyl9bD0x0
黒髪少女「悩んでいるのなら、その悩みを相手にぶつけてみてはどうでしょう?私なら話し相手になりますよ」

海賊「……ちょっと悩んだときはこうして甲板に出て海を眺めればそれで私はいいと思っています。それに、あまり他人に話す事でもありませんし」

黒髪少女「あら、残念……ところで」

海賊「はい」

黒髪少女「船の舵はまかせっきりでいいのですか?見たところ今日は食堂に付きっきりだったようですけれど」

海賊「ああいいんですよ」




海賊「改装時にオートパイロット機能を取り入れてイレギュラーが無い限りはAIが自己判断して操縦するようにしてますから」

黒髪少女「随分横文字が並びますね」

21 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/08(日) 18:57:30.53 ID:Vyl9bD0x0
小休止
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/08(日) 19:02:25.07 ID:JvKPBgx9O
パスタだけアレってあれか?
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/08(日) 20:54:34.58 ID:2ksk0Ter0
イノミュ久々
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/09(月) 11:48:51.11 ID:SThOa7EQ0
超めちゃくちゃひっさしぶりの新作だー!
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/09(月) 12:14:54.73 ID:js0+ad9dO
更新きてて嬉しいで
26 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/09(月) 17:04:06.73 ID:/u5KVT1T0
再開
27 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/09(月) 17:06:45.37 ID:/u5KVT1T0
黒髪少女「まだ海の旅路は長いですから。明日からもっと面白くなることを期待しています。フフ……」

海賊「行ってしまった……」

船員「何だかミステリアスなヒトでしたねー」

海賊「……」

海賊「面白さを期待された!?」

船員「そりゃハプニングの連続は傍から見れば楽しいですからねー」

海賊「ぐぬぬ」

28 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/09(月) 17:09:02.17 ID:/u5KVT1T0
海賊「よし!明日からはレクリエーションも含めお客様にご満足いただけるよう張り切っていくぞ!!」

船員「船長船長!それよりこの宝の地図の事ですけど……」

海賊「うおおお!!頑張るぞーーー!!」

船員「船長ー!おーい!せんちょーーー!!」

船員「はぁ……まったく」

船員「これ、どうやってあの娘に見せようかな……」

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