船員「船長!宝の地図です!」海賊「そんな事より働け」

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269 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/06(月) 01:55:41.75 ID:BmzUPJxT0
仮面男「はい、点検終わったよ」

海賊「あ、どうも」

仮面男「いい腕の職人が作った斧だね。使い込まれてもいるし、このモデルが作られてからかなりの年月が経っているがほとんど原型を残している」

仮面男「ただ柄の部分が少し緩くなってるのと、魔導核の消耗が少し出てるね」

仮面男「永久式じゃないし、重力の魔導核は珍しいから、また同じ効果を持たせようとするとちょっと値が張るけれど……もっと手に入りやすくて使いやすいものに変えてみたらどうだい?」

海賊「いえ、これはこのままでいいんです」

仮面男「何か思い入れでもあるのかな?」

海賊「そんなものじゃないですよ。ただ、親父が借金と一緒に残したものの一つなんで、コイツとは長く付き合っていきたいと思って」

仮面男「そっか……でも、近々ちゃんとした鍛冶師に見てもらうといい。そのまま使い続けたら事故の元だからね」

海賊「ありがとうございました!」

270 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/06(月) 02:00:58.91 ID:BmzUPJxT0
海賊「ところで、お昼に出発との事ですけど、どの船に乗るんですか?」

船員「……この時間だと出港する船は4隻ありますが」

仮面男「えっとねー……このチケットかな」ピラッ

仮面男「友人から渡されたものだから私も詳しくは知らないけれど」

海賊「……なぁ、これ見覚えあるぞ」

船員「いや船長、見覚え有るも何も……」

271 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/06(月) 02:08:32.81 ID:BmzUPJxT0
――――――
―――



海賊「"おかげさまで海賊団立て直し1周年記念皆様ありがとう格安ちょっと遠出クルーズ"後半戦の開始です!」

海賊「本日は当船にご乗船いただき誠にありがとうございます!」

海賊「貴方様方は我が社のスポンサーとして超特待VIPとしてお招きさせていただきました」

海賊「どうぞ3日間、ごゆっくりとお過ごしくださいませ!」


仮面男「いやー、まさか彼らこの船に投資してたとはね。これ特待チケットだったんだ」

鎧少女「興味ない。私は部屋に籠るぞ」

仮面男「……数日ほったらかしにしたの怒ってる?」

鎧少女「うるさい鍛冶馬鹿、お前は一生ハンマー握ってろ」プイッ

仮面男「あ、ちょっと!そんな態度悪いと船の人に迷惑だよ」


海賊「……」

海賊(アレがウチのスポンサーの関係者とは……世の中分かんねぇな)

272 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/06(月) 02:08:58.90 ID:BmzUPJxT0
小休止
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/06/06(月) 02:18:53.27 ID:tvWOzW8so
乙ー
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/06(月) 02:56:07.32 ID:iF9QIyj/0
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/13(月) 00:29:58.09 ID:HekpDx+I0
小休止(1週間)
276 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 00:32:37.86 ID:ZaYG3Nhm0
安心してくれ、再開だ
277 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 00:34:53.57 ID:ZaYG3Nhm0
仮面男「まったく……」

海賊「あの……お二人はどのようなご関係で?」

仮面男「これでも夫婦だよ」

海賊(普段から仮面付けてたり鎧着てたりする夫婦ってどんなのだよ)

仮面男「言いたい事は分かるけど、まぁ気にしないでくれ」

278 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 00:41:10.58 ID:ZaYG3Nhm0
仮面男「それより、船長はキミなのかい?」

海賊「はい、こんな成りですが私がやらせていただいています」

仮面男「代替わりしたのかな……先代は?」

海賊「親父と知り合いでしたか……」

仮面男「いや、私ではなく私の妻の方が親交があったのでね」

海賊「去年に死にましたよ。そう聞きました」

仮面男「聞いた?」

279 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 00:47:36.61 ID:ZaYG3Nhm0
海賊「用事があるって言って船から出て行ってたんです。それから結構経ってから帰ってきたのが親父の遺品と死んだって報告」

海賊「ったく、人にこんなでっかい船押し付けて、どこかも知らないところで勝手に死ぬなんて親失格ですよ」

仮面男「そうとも限らないよ。君の事を思いながら逝ったのかもしれないし」

海賊「まさか、そんな確証どこにもありませんよ」

仮面男「世の中、邪魔な存在になると思って我が子を捨てた親もいるんだ。それに比べれば、ここまで君を育てた先代は私にとっては立派だと思うな」

海賊「立派なら理由を話さずに消えたりしませんよ」

仮面男「ま、事情があったにせよ子供を不安にさせるのは確かに良くはないね」

海賊「ふ、不安になんてなってませんよ」

仮面男「フフ」

280 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 00:56:04.77 ID:ZaYG3Nhm0
仮面男「それより、さっきの船員の彼女は?出来れば話がしたいのだけれど」

海賊「すみません、あんな態度取ってしまって……あいつも今は忙しいので時間が出来たら連れてきます」

海賊「っと、申し訳ありません。私はこの辺で失礼します!」

仮面男「ごめんね、忙しい身なのに」

海賊「いえいえ!VIPには優遇して接しておかないと後が怖いので……親父のクソ野郎が昔やらかして……」ブツブツ

仮面男(過去に何かあったのだろうか……)

海賊「では!いそげいそげー!!」

仮面男「フフ、何だか忙しない娘だったね」

仮面男「姿を消してないで出て来なよ」

鎧少女「……」

仮面男「あの様子だと、彼女は何も知らされていないみたいだね」

鎧少女「本当なら私達が口を出す事じゃない。ここでいう"先代"とあの"船員"がキッチリ全てを伝えるべき事だ」

仮面男「さて、どうなるかね……」

281 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:00:25.93 ID:ZaYG3Nhm0
……


下っ端A「3番テーブル注文入りました!!」

下っ端B「3番また来ました!!」

下っ端C「ちょっと3番間に合ってないですよ!!」


船員「人手が足りないって聞いてきてみりゃ……」


剣士「追加だ、この子羊のソテーをあと10皿持って来い」モグモグ

商人「……いやね?好きなだけ食ってもいいって言ったけどアンタちょっと……」

剣士「このスープも8皿追加だ」ズズー!!

幽霊「私達の乗船チケットに食べ放題プランついてるけどさ」

剣士「サラダがまだ来てないぞ。早くしろ」ガツガツ

子ウサギ「ウキュ……」

剣士「おい!足りないぞ!!」


船員「……なにこれ」

282 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:03:11.48 ID:ZaYG3Nhm0
海賊「オラァ!!デカ盛り肉三昧出来たぞ!!早くもってけ!!」ドドン☆

船員「船長なにやってんですか!?」

海賊「今の私は料理長だ!!つべこべ言わず持って行け!!」

船員「えぇ……」

海賊「コックを追放した責任を私自身が取っているだけだ!気にすんな!!」

船員「明らかに船長がやる仕事じゃないですよそれ……」

海賊「じゃあお前!この船で料理がまともに出来るやつを言ってみろ!!」

下っ端A「無理」

下っ端B「パス」

下っ端C「苦手」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」

船員「今までこの船よく運営出来てきたなオイ」

283 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:07:19.90 ID:ZaYG3Nhm0
剣士「腹減ったー飯食わせー」ドンドン


海賊「だあああああああああああ!!化け物が!!供給が追い付かん!!」

船員「まったく……船長、厨房私も立ちますよ」

海賊「え?お前料理出来たの?」

船員「失礼だなぁ☆」

海賊「今までの流れからして普通にそう思うだろうが……」

284 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:10:44.54 ID:ZaYG3Nhm0
船員「ずっと隠していましたが、実は私料理得意なんですよ」キュッ

下っ端A「おお、様になってるエプロン姿」

船員「そこらの貧乏人の舌を満足させるくらいなら、楽なもんですよ」

船員「ありったけの材料持ってきなさい!相手はまだ見ぬ怪物!!これは料理のし甲斐があるってもんですよ!!」

海賊「た、頼もしい……こいつが頼もしく見えるなんていつぶりだろうか……いや!ありはしなかった!!」

船員「船長、私に対してはホント容赦ないですね!悲しいぞ!」

285 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:12:32.83 ID:ZaYG3Nhm0
……数分後

剣士「マズイ」ペッ


船員「あるぇ?」

海賊「締め出せ」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」

船員「ちょっと待ってええええ!!間違いだから!!何かの間違いだから!!陰謀だから!!」

海賊「信用しろと?」

船員「信じて!!お願い!!」

286 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:17:44.11 ID:ZaYG3Nhm0
商人「ん?十分美味しいじゃないですか、アンタどんだけ舌肥えてんだよ」

剣士「こんな整った料理は嫌いだ、さっきのとかお前が作る感じのもっと雑でいい。食べにくくてしょうがない」

商人「雑ってなんだよ!?」

海賊「私の料理が雑って言われたーーー!!」

船員「横暴だ!!船長の料理スキルの低さを同時に露呈させるなんていくらお客さんでもやっいい事と悪い事が!!」

海賊「」

下っ端C「お前ちょっと黙ろう?な?」

287 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:20:55.65 ID:ZaYG3Nhm0
船員「それで、どうして私の料理がダメなんですかねぇ。自身があったんですけど」

剣士「味付けがまるで王宮で出すような整い過ぎて極端なものだ。冒険者の私にはマズくてしょうがない」

船員「なぬ!?」

商人「王宮で料理なんて食った事あるんですか?」

剣士「無い!」

商人「断言しきる辺り将来大物に慣れそうだなオイ」

288 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:22:25.23 ID:ZaYG3Nhm0
船員「チクショウ……昔培ったスキルが裏目に出るなんて……」ググッ

海賊「お前、ここに務める以前は何してたんだよ……」

船員「トップシークレットです!ああもうムカついたから船長料理の続きをお願いします!!」

海賊「結局私かー」

船員「もう絶対料理なんて作りませんからね!!」プンプン

海賊「いつも作らねぇじゃねぇか……」

289 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:25:50.14 ID:ZaYG3Nhm0
海賊「まったく……あとあの料理12皿だったっけ?」

黒髪少女「もう作っておきましたよ」

海賊「へいへい、ありがと……ファッ!?」

黒髪少女「ちょっとあの娘達のテーブルに気を取られ過ぎてましたね、他のお客さんを待たせてますよ。はい、4番テーブルと5番テーブルの料理です」

海賊「あ、えっと……なんで?」

黒髪少女「フフ、頑張る船長さんへの援護射撃ってところです。暇でしたのでお気になさらず」

海賊「ご、ごめんなさい……」

290 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:29:39.71 ID:ZaYG3Nhm0
船員「付き合いの長い私の事は信用しないくせにちょっと前に出会った黒髪美人にはホイホイついて行っちゃうんですねー。ジェラシーですよジェラシー」

海賊「んじゃあお前は料理運んでろよもう……」

黒髪少女「ま、私も経営者ですからここら辺の辛さは分かっているつもりですし」

金髪少女「客いない店の店主の癖に」

眼帯少女「……味見」

黒髪少女「ほらほら、あなた達も運んだ運んだ」

黒髪少女「不測の事態は付きまとうものです。料理人はもう少し抑えておくべきでしたね」

海賊「仰る通りで……」

黒髪少女「まぁ……今回はあのコックが全部悪いのですけれども」

291 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:30:06.99 ID:ZaYG3Nhm0
小休止
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/06/13(月) 07:05:48.70 ID:7VTK3u35o
乙ー
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/15(水) 09:31:53.11 ID:AeXc2o0YO
いつ戻るのかとハラハラして待ってた
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/06/15(水) 21:05:11.34 ID:rJLueC/WO
下げ
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/15(水) 22:06:44.27 ID:PmCw6/wHO
296 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/18(土) 00:53:39.25 ID:41t4j2kK0
再開
297 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/18(土) 00:57:36.74 ID:41t4j2kK0
黒髪少女「ところで船長さん、この後この船はどちらまで?」

海賊「貿易で荷物を積んでいますので、航路の途中の小さな島を回りながら元の港へ帰ります」

海賊「途中、少し気候が乱れる海域も通りますので、その時はお気を付けください。私どもの方でもアナウンスいたしますので」

黒髪少女「あら、まるでおあつらえ向きかのようになにかが起こりそうな場所を通るんですね?」

海賊「はは……不穏な事は言わないでくださいよ」

黒髪少女「ヒト一人が持つ物語は、必ず起点となる事柄から始まります。貴女の物語は貴女の知らないところで既に始まっているのかもしれませんね。或は既に気が付いていて見て見ぬふりをしているか……」

海賊「?」

黒髪少女「フフ、気にしないでください」

298 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/18(土) 01:03:04.11 ID:41t4j2kK0
船員「せんちょー、お客さんほとんど捌けましたよー」

海賊「ああ、ご苦労。あの大喰らいは?」

船員「まだ喰ってます」


剣士「この辛口とも甘口とも取れる絶妙な味付けのソースは私の舌を満足させる……」

商人「いやそれデザートのプリンだろ。お前の舌どうなってんだよ」


海賊「……食材が無くなったって言っておけ。これ以上は航海に関わる」

船員「了解でっす!」

海賊「出費が……頭が……」

黒髪少女「では、私達もこの辺で手伝いを終えさせていただきます」

海賊「あ、ありがとうございました。少ないですけどこれ、持って行ってください」

黒髪少女「勝手に厨房を借りたんです。お金なんて受け取れませんよ」

海賊「いえ、私秘蔵の特殊鉱石……」

黒髪少女「いりません」ニコッ

299 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/18(土) 01:05:45.44 ID:41t4j2kK0
海賊「食堂はもうしばらくはいいとして……他の雑務はどうするかな」

船員「新入り達が大方やっちゃってるんで、船長の出番はないかと」

海賊「……スゲェ役に立ってるなアイツら」

船員「船ばっかり大きくて人員が少ない今までがおかしかったんですよ。やっぱりアイツら正式に雇いましょうよ」

海賊「無理させない程度にな……さて」

船員「水着ですかッ!!」

海賊「もう着ないぞ」

船員「チッ」

300 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/18(土) 01:08:10.29 ID:41t4j2kK0
船員「せっかく可愛く写真も撮れたのになぁ。今の料理長スタイルとか」

海賊「なんで勝手に写真に収めてんだよ!?しかもデジカメかよ!?消せよ!?」

船員「船長の成長記録ですよー。ほら、去年お風呂でこっそり撮った写真も」

海賊「児ポーーーーーーーーーーーーーーーーー!!消せーーーーーーーーーーーーーー!!」

船員「これ見たら先代喜ぶだろうなぁ、ぐへへへ」

海賊「なんで喜ぶの!?親父は娘のナニをみて喜ぶの!?」

301 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/18(土) 01:12:49.12 ID:41t4j2kK0
下っ端A「いつまで遊んでるんすか」

下っ端C「そろそろ手伝ってくださいよ。やっとあの人達席立ったんですから」

下っ端B「さっき売店でつまみ買ってくとか不穏な事言ってたぞ」

海賊「……購入制限設けておくか」

船員「で、船長。次どうするんですか?」

海賊「お客さんも大半が入れ替わったし、新しい催しでも考えているんだが」

船員「……」

海賊「なにかを諦めた目で私を見るな。もう鉱石は飾らないから」

船員「ですよねー!アハハ!船長がそんな無謀な事二度もするようなおつむの弱い娘じゃないって事は分かってましたよー!!」

海賊「……」グスッ

下っ端C「お前は定期的にトドメを刺しに行かないと気が済まないのか」

302 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/18(土) 01:43:19.40 ID:41t4j2kK0
小休止
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/06/18(土) 01:55:54.66 ID:y70iEN5ao
乙ー
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 04:04:57.46 ID:Gw7E6vwLO
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 17:34:28.21 ID:6YI0i9PcO
特技:きゅうしょづき
306 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/27(月) 19:18:01.84 ID:RYh17OTO0
再開
307 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/27(月) 19:19:47.89 ID:RYh17OTO0
海賊「では諸君!この資料を見てくれ!!」

船員「まーた作ってきたんですかい」

海賊「今回は前々から要望の多かったものを導入しようと検討して、それが国に通ったから改めて実装したんだ」

下っ端B「国の許可が必要なものとなると……」

下っ端A「カジノか!」

海賊「大正解!!」

308 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/27(月) 19:24:32.12 ID:RYh17OTO0
下っ端C「当たれば収益は多く望めますね」

下っ端B「今の航海こそ格安ツアーだが、ウチは金持ちの客も少なくない」

下っ端A「しかしよく通りましたねこんなの」

海賊「ああ、知り合いに強い権力を持った人と繋がりがある人が居てな、その伝手でちょちょいと」

船員「人脈も力ですな!!」

海賊「お客さんには悪いが、ちょっと設定を渋めにしてしている。レートこそ低めだが……ウチの財政危機なんだ、これくらいは勘弁してもらおう!」

船員「やることエグいっすね!!流石海賊!!」

海賊「ははは、褒めるなよ」

船員「貶したんですよ?」

海賊「……」

309 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/27(月) 19:27:07.57 ID:RYh17OTO0
海賊「実は設置はもう終わってて開店している。早速様子を見に行ってみる」

海賊「お前たちは後片付けを頼むぞ」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」

船員「じゃあ私もちょろっと……」コソッ

海賊「ウチの従業員は禁止な」ニコッ

船員「チッ」

海賊「お前の為に用意したんじゃないからな……」

船員「わーってますよ!じゃあとっとと見に行きますよ!!それレッツらゴー!!」

海賊「ふふふ!お客さんがウチにお金を落としてくれる様が目に浮かぶ!!」

310 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/27(月) 19:29:19.10 ID:RYh17OTO0
……


鎧少女「……」ジャラジャラジャラジャラジャラ


海賊「……」

船員「船長、あれジャックポットってやつですか?」

海賊「」

船員「ねぇ船長ってばー」


鎧少女「あ、すまん。一向に終わらないんだがどうすれば止まるんだコレ?」


海賊「」ブクブクブクブク

船員「船長!?しっかりしてください船長!!?」

311 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/27(月) 20:25:40.39 ID:RYh17OTO0
……

仮面男「私に黙ってカジノ行くの禁止って前々から言ってただろう?君が台打ちすればこうなることくらい分かってただろうに」ガミガミ

鎧少女「私の勝手だろう。それに、コイン吐き出すあのスロットが悪い」


海賊「お、おかしいな……設定何も変わってないのに……」

船員「幸運とか多分EXですよあの人……」

海賊「何の話をしとるんだお前は」

312 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/27(月) 20:26:38.87 ID:RYh17OTO0
小休止
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/06/28(火) 04:03:28.00 ID:7tFBNZZcO
乙ー
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/28(火) 20:55:22.16 ID:EH+Z1NXD0
おつ
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/08(金) 08:15:12.81 ID:VX+RCdKB0
まだか
316 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/07/14(木) 16:27:28.26 ID:0vGcqXrM0
まだしばらく休む
代わりに別のSS今日中に持ってくるから勘弁
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/14(木) 18:38:11.21 ID:TXaWgLpyO
別の持ってこられてもこれしかお前のss見てないからなんの謝罪にもならないんだけど
318 : ◆cZ/h8axXSU [sage]:2016/07/14(木) 18:55:00.46 ID:0vGcqXrM0
完結まで構想は出来てるからホントあと少し待ってほしい

暇つぶしにどうぞ……
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468488024/
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/14(木) 19:33:38.87 ID:S7rZG1ZvO
絶対に許さない(しゃあないなあ少しだけ待ったろ!)
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/14(木) 20:25:17.03 ID:9St34ILkO
>>317
ワロタ

もうちっとだけ待つんじゃ
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/14(木) 22:49:32.24 ID:7W4Y4VBe0
許すわけがない(喜んで待たせて頂きます!)
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 03:04:06.87 ID:ckslzSlS0
保守
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 15:13:17.63 ID:wT3NyWGC0
あと少し(1ヶ月)
324 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/08/28(日) 22:45:03.40 ID:3kCkVILN0
ふっかーつ!
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/28(日) 22:51:19.04 ID:u4Go8TZoo
そしてすぐさまザラキ
326 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/08/28(日) 22:53:15.13 ID:3kCkVILN0
海賊「あー……しかしこれも企画倒れか……フフフ、私は何をやってもダメなんだな……神なんていなかった、いやいたらむしろ死ね、全滅しろ、尿管結石で死滅白」

船員「大丈夫ですよ船長!この程度の損失まーたいつも通り借金背負えば!アッハッハ!!」フイ

海賊「目ぇ逸らすなよ……」


「おい!今カジノで確変中だってさ!」

「よく出るらしいよ!」

「早く行こうぜ!ルールしらねぇけど!!」


海賊「……」

船員「……」

鎧少女「結果オーライだろ」

仮面男「ほら、人の流れが容易に変わるからやめろって言いたいんだよ私は」


海賊(ありがとう、神様!!)パァァ

船員「すんげぇ手のひらスクリューっすね」

327 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/08/28(日) 22:53:40.50 ID:3kCkVILN0
>>325
(´◉◞౪◟◉)
328 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/08/28(日) 23:29:59.62 ID:3kCkVILN0
仮面男「そうだ、船長。聞きたいことがあったのだけれど」

海賊「はい、何でしょう?」


商人「あっれー?ここにあるって書いてあるんだけどなぁ。あ、すみません船長さーん!」

海賊「あ、ちょっと待ってて……」

商人「ん?」

仮面男「……」フイ

商人「おんや?おやおや?」

仮面男「……」フイ

商人「あー!仮面の魔王さん!!お久しぶりですね!忘却都市の一件以来ですか!って言っても一か月前くらいの話ですが」

海賊「まお……魔王!?この人魔王なの!?そしてその知り合い!?」

商人「知り合いも何も何かあるたびに私を頼るマブダチよぉ!一国の王御用達の商人、林檎ちゃんたぁ私のこったぁ!!」


仮面男(気付いてはいたが直接会いたくない娘に会うとは……)

329 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/08/28(日) 23:36:31.58 ID:3kCkVILN0
海賊「VIPだから怪しいとは思ってましたけど、まさか一国の……それも魔王だなんて」キラキラ

仮面男(ああそんな輝く目で見ないでくれ。別にいい物じゃないんだ、名前だけなんだ私は)

商人「……」

商人「あれ?私は仮面の勇者さんって呼び方でしたよね確か。なんでこんな変な間違いをしたのか」ハテ…

海賊「魔王な上に勇者なの!?カッコいい!!」パァァ

仮面男「話をややこしくしないでくれ、いい物じゃないから。そして公言しないでくれ」

商人「最初からクライマックスな服装しといてよく言いますよ」

330 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/08/28(日) 23:40:07.26 ID:3kCkVILN0
海賊「私、昔っから魔王とか勇者とかに憧れてたんですよー」

商人(海賊娘が抜かしおる)

海賊「片や悪を切り裂いて!片や正義をねじ伏せる!!そんな二つが一つになったら最強に見えるじゃないですか」

仮面男「両方ともあんまりいい物ではないけどね……」

商人「経験者は語りますか」

海賊「え?何でですか?」






海賊「どっちも気に入らない奴は斬り捨ててもお咎めないんですよね?」


仮面男・商人「よぅーし、ちょっとマテ」

331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/08/28(日) 23:54:52.59 ID:kUCnxttXo
お久乙ー
332 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/08/29(月) 00:01:19.03 ID:JgPYg6ST0
船員「はいはいそれでお二人ともご用件は何でしたか?船長は忙しいんですから手短にお願いしますよ」

海賊「べ、別に私は忙しくは……」

仮面男「……」

船員「……私から貴方に話す事は何もありません」

仮面男「そうか……ま、そちらで問題を解決できるのならそれに越したことはない」

船員「……」

仮面男「だが、今聞きたいのはそっちの話じゃなくてだね……」

商人「船長さん!パンフレットに書いてある"世界の鉱石博覧会"!!どこにあるんですか?さっきから探し回ってるんですけど見つからなくて」

仮面男「奇遇だね、実は私もそれ目当てでこの船に乗船したんだけれど……」

海賊「お……おお……」

333 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/08/29(月) 00:05:35.59 ID:JgPYg6ST0
……

海賊「我が世の春が来たあああああああああああああああああ!!」


商人「うおーーーーー!!すっげーーーーーー!!」

下っ端B「き、急に用意しろっていうから何事かと思ったら……」

下っ端C「とんだ物好きもいたもんね……」

下っ端A「これ……何がいいんっすか?」

商人「まず普通にしてたらお目にかかれないようなレアな鉱石の数々!!私からしてみりゃ宝の山にしか見えませんよ!!うっしゃしゃしゃしゃ!!」

下っ端B「えっと……」

仮面男「……」

下っ端C「それただの鉄ですよね……?」

仮面男「良い鉄だ」ウットリ

下っ端B「仮面越しでも分かるくらいウットリしてるよこの人!?なに気持ち悪い!?」

334 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/08/29(月) 00:16:40.27 ID:JgPYg6ST0
商人「すっげ!これメニョポタミン文明開拓時代に産出された伝説の鉱石ムチャカッタスッタモンダじゃん!!実在していたなんて……!!」

仮面男「……」ウットリ

商人「うぉあ!?こっちはインダーツ文明産業革命期の石器!!特殊な鉱石のファーサンマファーから作られる独特のフォルムがロマンをくすぐる!!」

仮面男「……」ウットリ

海賊「す、すごい……この人達……本物だッ!!」

下っ端C「ボス?商人さんの言ってる事絶対でたらめですよね?そうだと言ってくださいよねぇ!?」

下っ端B「仮面の人に至っては一言も言葉を発してないのですがそれは」


鎧少女「おーい、こっちの台もなんか止まらなくなっちゃったぞー」ガラガラガラガラガラ


船員「ああ目ェ離した隙になんかまたスロット台に座ってるよあの人!?」

下っ端A「誰か止めろーーーッ!!」

335 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/08/29(月) 00:19:16.79 ID:JgPYg6ST0
――――――
―――


海賊「……」

船員「……」

下っ端A「」

下っ端B「」

下っ端C「」

海賊(実りのある一日だった―――)パァァ

船員「おーい、事後処理に追われて下っ端軍団全員伸びてますよー」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」

船員「お前らはいつも通りなのな……」

336 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/08/29(月) 00:27:46.70 ID:JgPYg6ST0
海賊「フフン、見たか。世の中には鉱石好きの人間は沢山いるもんだ」

船員「一部ニッチな変態しか興味ねぇよ。現に変人二人しか客いなかったじゃねぇか」

海賊「居たには居たから私の勝ちだ」

船員(この娘は何と戦っているんだ……)

海賊「それでは今日の報告を!」

下っ端A「あ、あい……カジノの方っすけど、売り上げがいい方向にヤバいっす。あの鎧の女の子効果で客が絶え間なく押し寄せて損失なく大儲けって感じです」

下っ端B「売店の方も一応あの剣士の子の襲撃は回避して事なきを得ました。厨房の冷蔵庫は大丈夫だとは思いますが若干マストダイ状態です……」

海賊「ま、まぁ明日も島に上陸するしそこでちょこーっと補充しておけば……」

船員(大丈夫だろうけど明日島に降ろす積み荷は全部食料だからそれを買うなんて事態にならない事を祈りますよ……)

337 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/08/29(月) 00:32:16.81 ID:JgPYg6ST0
下っ端C「外のプールも異常なーし。ちょっとしたサービスでこっちもお金取ってるけど、お小遣い程度ですかね」

海賊「……」

下っ端C「別にいかがわしいことしてないですよ」

海賊「まだ何も言ってないのだが」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」

船員「機器関連、および施設の方にも特に異常は見られません。前のバカパスタの件もありますし内部の警備も厳重になってますしそこらへんは安心ですね」

海賊「ああ、そこらへんは引き続き警戒しておいてくれ。また妙なことになったら敵わんからな」

338 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/08/29(月) 00:37:03.00 ID:JgPYg6ST0
船員「そういやせんちょー、最後あの変人二人になに言われてたんっすか?」

海賊「ん?変人?」

船員「分かれよ!?仮面と商人だよ!?」

海賊「あー……ああ」



―――
――――――


商人「んー」

仮面男「……」

海賊「どうしました?何かご不満でも?絶対譲りませんよ?」

商人「いや、そこまでは言いませんよ……」チッ

海賊(今舌打ちが聞こえたぞ)

商人「いやね?もしかしたらあるんじゃないかなーっと思ったんですが……」

仮面男「ブリファライトか」

商人「そうそう!」

海賊「むぅ」

339 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/08/29(月) 00:39:42.59 ID:JgPYg6ST0
商人「まぁここにあったらあったで困りますけどね……」

海賊「え?」

商人「ッ!!い、いやなんでも無いですよなんでも!!HAHAHA☆」

仮面男「仕方がない。アレはもう失われてしまったという話だ」

海賊「はい、私もそう耳にしています」

商人「そうそう、無くなっちまったもんはしょうがないですよねぇ!あー惜しい!!実に惜しい!!」

海賊「……」

仮面男「……」

商人「ナズェミテルンディス!!」

340 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/08/29(月) 00:44:09.83 ID:JgPYg6ST0
海賊「確かに私も手に入れたい逸品ではありますが……たとえ存在していた当時であったとしても、国の象徴たる希少な石をそう簡単に入手できるとは思っていませんけどね」

仮面男「果たしてそうかな」

商人「お?」

仮面男「実は今もどこかで、某国から持ち出されたブリファライトは眠っているのではないかと……そんな噂も聞いたことがあるけれど」

仮面男「例えばそうだね……分かりやすく宝の地図になんかに記されていたりして」

海賊「宝の地図……」

商人「ファッ!?」

仮面男「船長さん、心当たりでもあるのかな?」

海賊「……いえ、全ッ然知りません!!」

仮面男「そうか、ならいいんだけれど」





仮面男「君はさっきから何を震えているんだい?」

商人「な、なななな、なんでもねーですよぉお?」ガタガタガタガタ

海賊「……」

341 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/08/29(月) 00:51:31.69 ID:JgPYg6ST0
――――――
―――


海賊「そんな事言われてもな、まさかお前がやたらと見せてくる宝の地図が、そんな都合よくブリファライトのありかを示している訳がないし」

船員「フュー、フュー」ガクガクガクガク

海賊(変顔しながら口笛吹いて商人さんと全く同じ反応してる――――――ッ!!)

船員「ま、まぁ冗談はさておき」ダラダラダラダラ

海賊(汗の量が隠しきれてないぞ)

船員「……ま、ともかく」

船員「この宝の地図に記されたお宝は私も中身は知らないですし、勿論場所も分かりません」

船員「船長が必要ないというのなら、もうこの地図の話も終わりです」

海賊「あれほど私に見せようとしてたくせに」

船員(見た上で貴女が動こうとしないから……私も諦めるしかないんですよ)

342 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/08/29(月) 00:52:23.76 ID:JgPYg6ST0
小休止
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/08/29(月) 01:04:16.44 ID:he0LYXECo
乙ー
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/30(火) 00:51:29.10 ID:A2wr9Qcc0
いつまで休んでんだおら
345 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/09/07(水) 00:47:44.02 ID:4Pnd3VjL0
再開
346 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/09/07(水) 00:52:09.52 ID:4Pnd3VjL0
――――――
―――



海賊「急げよお前らー、次の積み荷が押してるんだ」

海賊「それと、接客の方も忘れるなよ。ここで乗り降りするお客様もいるんだ、変な態度取ったりするなよ」

海賊「ああちょっとマテ!!そっちの荷物はサインしてないからまだ積むな!」

黒髪少女「随分と忙しそうですね」

海賊「あ、こんにちは。何か御用ですか?」

黒髪少女「いいえ、ただの冷やかしと言ったところでしょうか」

海賊「……」

黒髪少女「ごめんなさい、冗談です謝ります。真顔でじっとこちらを見ないでください」

347 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/09/07(水) 00:57:26.63 ID:4Pnd3VjL0
海賊「それで、何ですか?普通に忙しいんですけど」

黒髪少女「フフ、そうムスっとしないでくださいな。次の海域でしたっけ?例の……」

海賊「ああ、気候が乱れるっていう話ですか。はい、ちょっと揺れるかもしれないのでそこのところはご了承ください」

黒髪少女「ええ、重々承知しています。しかし……」

海賊「?」

348 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/09/07(水) 01:01:23.91 ID:4Pnd3VjL0
黒髪少女「あまりよくない噂も聞きました」

海賊「私も海で生計立てているから大体察せられますけど」

黒髪少女「"出る"そうですね?」

海賊「シケが酷い霧が濃いわ、果ては岩礁も多いわで大変な場所なんですよ」

海賊「そういう所に限って"変なものを見た"やら"襲われた"なんて話も出てくるわけで……」

黒髪少女「フフ、何だか大アドベンチャーな気分ですね」

海賊「なんでそんなに嬉しそうなんですか……」

349 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/09/07(水) 01:06:43.84 ID:4Pnd3VjL0
海賊「ですが、そういった不鮮明なものなんてありえませんよ。あそこは何度もウチの船も通ってますし」

海賊「なにより、幽霊船なんてそんな大規模なもの、ありはしないでしょう」

黒髪少女「あら、お化けなんかは信じない派ですか?」

海賊「信じないも何も」チラッ




剣士「おい、さっきから何をしている」

幽霊「そんな変な地図広げて歩いてると他の人にぶつかるよ……」←

商人「バレねぇウチにこの地図の真偽を確かめておくんですよ!ったく、何度か不審な眼で見られて溜まったもんじゃないですよ!!次の海域に目的地がありますからそこが勝負です!!」

剣士「秘密裏に動きたいなら声のボリュームを落とせ、煩い」



海賊「普通に種族として存在しますし」

黒髪少女「ええ、うん、まぁ……」

350 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/09/07(水) 01:12:34.21 ID:4Pnd3VjL0
海賊「ですが、今日は大丈夫だと思いますよ。兆候や流れを見ても海がそう荒れる事はないかと」

黒髪少女「先人の知恵というやつですか」

海賊「フッフッフ、技術の進歩ってやつですよ!日々進化を続ける機械技術は私のこの船を超天候観測機に変えたんです!!」

黒髪少女「風情も何もあったもんじゃないですね」

海賊「ま、今回は特に事件も起きずに快適なバカンスを……」

351 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/09/07(水) 01:16:38.58 ID:4Pnd3VjL0
……

ゴォォォォォォォォ


船員「ハハッ、せんちょー羅針盤ぶっ壊れてますよ」

下っ端A「ハハッ、自動操縦システムも動かねぇわ」

下っ端B「ハハッ、通信もいかれてますわ」

下っ端C「ハハッ、お客さんにどう説明しましょう」

海賊「なぜなのだ……」

下っ端D「……」

下っ端E「……」

海賊「なんか言えよ」

352 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/09/07(水) 01:26:00.51 ID:4Pnd3VjL0
海賊「おっかしいな、観測機で見ると今の天候は晴れになってんだけど……」

船員「今この現状見てくださいよ!?そのポンコツと外の景色どっちを信じるんですかい!?」

海賊「ポンコツっていうなよぉ……高かったんだぉ……」ジワッ

下っ端C「あー、また泣かせたー」

船員「いや流石に正論だろ今のは!?」

下っ端B「的中率100%のものなんて存在しないんすから、割り切ってください。とりあえず指示くださいよ」

海賊「あ、ああ、すまん。C、とりあえずお客様には部屋から出ないように注意を促してくれ。状況説明を求められたら視界が悪くなっているから揺れるとだけ伝えろ。舵は自動操縦が死んでいるだけだからB、お前が操縦してくれ」

下っ端B「了解!」

下っ端C「任せてください」

海賊「Aは引き続き物品の確認を。悪いな、こんな時に普通の仕事させて」

下っ端A「いやいや、そっちの方がサb……信頼にかかわる重要な事ですから!!」

海賊「お、おう……(コイツほんとどうしよう……)」

353 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/09/07(水) 01:29:59.18 ID:4Pnd3VjL0
海賊「DとEは機械に強い新入り達を集めてシステムの修復に当たってくれ。船の取り付けの羅針盤は予備があるからすぐに付け替えろ、そっちまでは壊れては無いハズ」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」

船員「船長船長!!私は!!」

海賊「……」

海賊「各員!配置に着け!!頼んだぞ!!」


「「「はい!」」」

船員「おーい……」

354 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/09/07(水) 01:33:34.26 ID:4Pnd3VjL0
……


海賊「……」

船員「ったく酷い話ですよ!!いくらなんでも無視するこたぁないんじゃないですか?こうして横でマシンガントークしてても無反応!!船長私の事嫌いなんですか!!そうなの?悲しい!!」

海賊「みんな行ったか」

船員「お?なんですかぁ?二人だけの秘密の話ってやつですか?いいですよ!私としては大好きな船長にこうして向き合って熱い抱擁を交わし……」

海賊「お前の意見を聞きたかったから残したんだ、単刀直入に聞く」

海賊「現状、どう思う?」

船員「……」

船員「異常ですね」

355 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/09/07(水) 01:34:01.11 ID:4Pnd3VjL0
小休止
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/07(水) 03:32:01.47 ID:cWlk8B/Zo
乙ー
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/25(日) 11:16:39.24 ID:sKAqE32K0
はよ
358 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/10/06(木) 18:27:28.01 ID:Cfxxjszz0
さいかーい
359 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/10/06(木) 18:32:51.27 ID:Cfxxjszz0
海賊「やっぱりか」

船員「元々ここは岩礁が多いといっても異常気象が多発するような場所ではありません」

船員「現に、我々も何度も航海している場所ですし安全なルートも確保できています」

海賊「だが今日に限ってコレだ」

船員「船長はどうお考えです?」

海賊「人為的なもの……って言ったら笑うか?」

船員「プッ」

海賊「」


360 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/10/06(木) 18:36:09.88 ID:Cfxxjszz0
船員「いや……失礼……結論を出すのが早すぎて……もう……ブッフォッ!!」

海賊「泣くぞ……」ジワッ

船員「コホン……それはともかくとして」

「羅針盤無事でしたー!!」

海賊「よし、視界不良でこの先に進むのは危険だ迂回して進もう。何もルートはここを突っ切るだけじゃあないんだ」

船員「いい判断ですね。ではこのままUタァーン!!」


361 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/10/06(木) 18:37:39.69 ID:Cfxxjszz0
ピタッ

海賊「ん?」

船員「どうしましたー?」

海賊「シケも霧も無くなったな……」

船員「……」

海賊「まぁいいや、もう一回元のルートに戻ろう。これなら問題なく進めそうだ」



362 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/10/06(木) 18:39:17.93 ID:Cfxxjszz0
ゴオオオオオオオ!!


下っ端B「ボス!?また嵐がきましたぜ!!」

下っ端C「あ、あれ?通信機一回治ったと思ったんだけどなぁ……」

「羅針盤まーたぶっ壊れましたー!!」

海賊「……」

船員「……」

海賊「引き返せ」

363 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/10/06(木) 18:41:30.82 ID:Cfxxjszz0
ピタッ


下っ端B「霧も嵐も消えましたー」

下っ端C「あ、通信復活。これで楽出来る!えーえー、お客様ー……」

「羅針盤全部復活しましたー!」

下っ端A「おーい!自動操縦システムちゃんと動いてるぞー!!」


船員「いやー、愉快な海域ですねー」

海賊「お か し く ね ! ?」

364 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/10/06(木) 18:44:49.46 ID:Cfxxjszz0
海賊「人為的説!!あそこら辺境になんか人為的な力を感じる!!ぜってぇ感じる!!」

船員「まぁこういう事の一度や二度もあるでしょう、ハッハッハ」フイ

海賊「目ェ逸らすなよ!?何か知ってるだろオイ!?」

船員「さぁー?」フイ

海賊「人間不信に陥りそうだよ私は!!」

365 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/10/06(木) 18:48:48.50 ID:Cfxxjszz0
下っ端B「で、ボス。どうするんですか」

海賊「進むか否かの話だったら答えはNOだ!お客様に説明して迂回するぞ!あんな場所二度と通るか……!」

船員「えー、なんか面白そうじゃないですかー?こう、冒険心を煽るような……!!」

海賊「リスク冒してまで進めねぇよ!?ほら、とっとと新しいルートを……」

下っ端B「ボス……そうも言ってられなくなりましたよ」

海賊「ん?」


366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/06(木) 18:52:27.20 ID:UuCIIR+Ho
支援
367 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/10/06(木) 18:53:37.96 ID:Cfxxjszz0
下っ端B「マジかよクソッ……!船のコントロールが本格的に利かなくなりました」

下っ端C「え?あの境から外で出てるでしょ!?」

下っ端B「引っ張られてるんですよ!!凄い勢いで!!」

船員「まさか……!?」

海賊「何にだ!!」

下っ端B「……」

下っ端B「わ、分かりません!!」


海賊「通信途絶える前に救難信号出せ!!それとお客様に部屋から出ずに何かに捕まれとアナウンス!!」

海賊「お前ら!!」



海賊「ごめんッ!!」

船員「船長……」


368 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/10/06(木) 18:59:18.07 ID:Cfxxjszz0
――――――
―――



ゴオオオオオ


海賊「ん……うう……」

海賊(あれ……私……どうなって……)

下っ端D「うっす」ズイッ

海賊「ファッ!?」ゴッ

下っ端D「ッ!!?」

下っ端A「ちょっ!?ボスなにするんですか!?」

海賊「筋肉だるまが顔に急接近してたら誰だって反射的に手が出るわ!!」

下っ端B「介抱してただけですよ……」

海賊「そ、そなの?」

下っ端D「うっす……」

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