船員「船長!宝の地図です!」海賊「そんな事より働け」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

53 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/11(水) 00:56:25.64 ID:OpVojdAK0
再開
54 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/11(水) 00:58:26.37 ID:OpVojdAK0
黒髪少女「あら、こんにちは。また会いましたね、船長さん」

船員「おお、水着が眩しい」

海賊「こんにちは。どうですか、ウチの船のプールは」

黒髪少女「思っていたよりも快適ですね。欲を言うのなら、もう少し飾り気があればいいのですけれど」

海賊「手厳しいですね

黒髪少女「それより、サボりですか?」

海賊「あー、まぁそんな所かな」


55 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/11(水) 01:01:48.92 ID:OpVojdAK0
黒髪少女「ふぅん……」

海賊「な、そっ、そんなに見ないでくださいよ!スタイルにはあんまり自身が無くて……」

黒髪少女「……」

黒髪少女(海賊の大きな帽子、眼帯、フリフリの白い水着、大きな手甲)

黒髪少女「……」

黒髪少女「貴女何をしにここへ?」

海賊「ぜってー聞かれると思ったよ」

船員「突っ込みどころしかないこの恰好、誰も何も言いませんでしたからね」


56 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/11(水) 01:05:10.56 ID:OpVojdAK0
海賊「いやもう、首から上はこれじゃなきゃ落ち着かなくて」

黒髪少女「そうでなくとも手甲が物凄い場違い感溢れていますが」

海賊「海賊に襲われたら大変じゃないですか!私がこの船を護らないと……」シュッシュッ!

船員「いや、せんちょーも海賊……」

海賊「フンヌ!!」ゴッ

船員「デュフォアッ!!」

海賊「粗相を犯した船員にも使えます!!」

黒髪少女「船員さん、あまり船長さんをイジメすぎないように……」

船員「え?今の私が悪いの?」

57 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/11(水) 01:09:33.46 ID:OpVojdAK0
眼帯少女「……」ヌッ

海賊「うわビックリした!?」

黒髪少女「あら?飲み物を取りに行っていたのではなかったのですか?」

眼帯少女「……売店、人がいなかった」

海賊「は!?おい今日の売店の担当はCだったろ!何やってんだアイツ!」

船員「あそこで新入り達調教してますよ」


下っ端C「オホホホホホホホ!!」パシーンパシーン

「あぁ〜ーーーー!!」

吟遊詩人「ンぎもぢぃぃぃぃぃぃぃ!!」


海賊「よぉーし!あの気持ちの悪い集団を流せ!!」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」

船員「あーあ、せっかく確保した人員なのに」

58 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/11(水) 01:12:46.94 ID:OpVojdAK0
眼帯少女「……」

海賊「……ど、どうしました?昨日もそうやって私の事じっと見てましたけど」

眼帯少女「……眼帯、おそろい」

海賊「ああ、これ……」

黒髪少女「不躾な質問ですが、それはファッションか何かですか?」

海賊「違いますよ、ほら」

船員「ちょっと、船長……」

眼帯少女「……あ」

黒髪少女「これは……失礼しました」

海賊「いえいえ、よく聞かれる事ですし気にしてないですよ」

59 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/11(水) 01:17:08.37 ID:OpVojdAK0
海賊「まだ赤ん坊の時にやっちゃったみたいで。私も物心つく前の事だったんでまったく覚えてないんですけど」

海賊「まぁ、ずっとこの傷とは付き合っていますし、元々見えなかった分不便って事は無いんですけどね。気にしないでください」

黒髪少女「ええ、気にはしません。貴女がそういうのなら」

船員「……」

海賊「お前私の眼の話になるといつも黙るな」

船員「割とどーでもいー話ですからねー」

海賊「ひ ど く な い ?」

60 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/11(水) 01:23:07.17 ID:OpVojdAK0
眼帯少女「……」ソワソワ

海賊「なんでソワソワし始めてるんですかこの人は」

黒髪少女「フフ、聞いてほしいんじゃないですか?その眼帯の理由に」

眼帯少女「……失礼ついでに聞いちゃって」ワクワク

海賊「あ、あはは……それじゃあ、その眼帯は何の為に付けているんですか?」

眼帯少女「……フフフ、それは」パッ



単眼少女「……ばぁ」デデドン☆

海賊「あ、サイクロプスだったんですか。凄いですね、顔の形自体を変える眼帯ですか!いいマジックアイテムを持ってるんですね!」

単眼少女「……」クイクイ

黒髪少女「なんですか?」

単眼少女「……驚かれないのは新鮮過ぎる」

黒髪少女「驚かれたら驚かれたで涙目になるのはどこの誰ですか」


船員「あびゃぁ。こ、こわいよぅおかーさーん!!」ガクガクガクガク


黒髪少女「……」

単眼少女「……」

海賊少女「ごめんなさい。躾ておきます」

61 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/11(水) 01:23:35.18 ID:OpVojdAK0
小休止
62 : ◆cZ/h8axXSU [sage]:2016/05/11(水) 23:59:13.37 ID:OpVojdAK0
本日休業
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/12(木) 00:09:46.84 ID:bS/r52A8O
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/12(木) 00:36:31.71 ID:/ziTug5F0
痔大丈夫か?
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/12(木) 22:40:47.54 ID:+6RowSWJ0
支援wwktk
66 : ◆cZ/h8axXSU [sage]:2016/05/13(金) 00:20:59.07 ID:NiHiRgbo0
再開
67 : ◆cZ/h8axXSU [sage]:2016/05/13(金) 00:24:17.41 ID:NiHiRgbo0
黒髪少女「さて、いい時間ですしそろそろお暇しましょうか」

眼帯少女「……ういー」

海賊「もうそんな時間か」

船員「プールももう掃除しておかなきゃですね」

海賊「うっし、休んだ分いっちょ頑張るか」

下っ端C「ボス、コイツらにやらせますので他の仕事でも探してください」

吟遊詩人「「「お任せください!女王様!!」」」

海賊「……彼らってお客さんじゃなかったっけ?」

船員「いいんじゃないですか?既に自主的にやってますし」

海賊「そうかー……」

68 : ◆cZ/h8axXSU [sage]:2016/05/13(金) 00:31:48.16 ID:NiHiRgbo0
ズルズル…


海賊「ん?」

船員「どうかしました船長?」

海賊「いや、今船の近くで何か変な長い糸のようなものがあった気がしたが……」

船員「大半のお魚でしたら一発で分かりますけど、この海域で糸みたいなのは流石に分からないですね。アオリイトウオかな?」

海賊「まぁ見間違いかもしれんし、大丈夫だろう」

船員「変なのが出て来ても困りますから、後で水中カメラでチェックしておきます」

海賊「ああ、そうしておこうか」

船員「あー!飯食って明日の用意して寝るかー!雑に手早く済ませてナンボ!!」

海賊「私のいないところで言おうなそういう事は?」ギリギリギリ

船員「あががががががが」





ズルズル…

69 : ◆cZ/h8axXSU [sage]:2016/05/13(金) 00:39:49.76 ID:NiHiRgbo0
……

下っ端B「書類はこれで全部です」

海賊「悪いな、整理手伝ってもらって」

下っ端B「このくらいいいっすよ。何度も言ってますけど、適度にサボってますから」

海賊「お前たちがしっかり働いてくれてるのは良く知ってるから、そう謙遜しなくてもいいのに。他の連中はどうしてる?」

下っ端B「アッシュは食堂の片づけを、チェリーは新入り(?)達に簡単なレクチャーを」

下っ端B「デッドとエレクトロは船内の見回りをしています」

海賊「…………?」

下っ端B「AとCとDとEです」

海賊「ああ!!普段頭文字しか呼ばないから忘れてた!!」ポンッ!

下っ端B「ちなみに俺はブレイブですからね。付き合い長いのに忘れんでください……」

70 : ◆cZ/h8axXSU [sage]:2016/05/13(金) 00:43:32.13 ID:NiHiRgbo0
海賊「あのバカはどうしてる?」

下っ端B「監視室でモニター確認する振りをしながら真っ先に寝てました」

海賊「よぉーし!明日本当に海に還してやろう!」


ガタンッ!!


海賊「ん?」

下っ端B「やけに大きい物音でしたね。消灯時間過ぎてるのに」

海賊「スタッフ用の通路だし、誰か通ったんだろう。気になるしちょっと確認するか」

71 : ◆cZ/h8axXSU [sage]:2016/05/13(金) 00:45:47.51 ID:NiHiRgbo0
海賊「おーい、誰かいるかー?」

下っ端B「……返事は無いですね」

海賊「こんな所、お客さんが迷い込むなんて事も無いだろうに」

下っ端B「客が居るとしたらロビーくらいですもんね。あそこは常に開いてますし」

ピチョッ

海賊「ん?水……」

下っ端B「うわ誰だよ!?床一面水浸しじゃねーか!!」

海賊「海水だ……」

下っ端B「へ?」

72 : ◆cZ/h8axXSU [sage]:2016/05/13(金) 00:50:39.69 ID:NiHiRgbo0
海賊「なぁ、このデカい船の上層に海水がまき散らされてるってのは不自然じゃないか?」

下っ端B「まず無縁ですね」

海賊「嫌な予感がするな……ちょっと武器取ってきてからこの海水を辿ってみる。お前は他の連中を集めて来てくれ」

下っ端B「ぼ、ボスが自ら行くことはないんじゃ……」

海賊「ウチで一番強いのは誰だと思ってるんだ?大丈夫、危なくなったすぐに引くよ」

下っ端B「頼みますよぉ?ボスを傷物にしたとなったら先代に顔向け出来ないですからね!」

海賊「親父は関係ねぇーよ!行け!」

下っ端「ほいさ!」

73 : ◆cZ/h8axXSU [sage]:2016/05/13(金) 00:53:33.29 ID:NiHiRgbo0
海賊「……」

海賊(武器は取ってきた、後はこの海水を辿っていくだけ……)

海賊(通った道が行き止まりだったから一度引き返したんだろう。一本筋しか水の跡が無い)

海賊(どこに続いている……そしてどこから来た……)

海賊「……」

海賊「外に出ちゃったな」

74 : ◆cZ/h8axXSU [sage]:2016/05/13(金) 00:56:28.36 ID:NiHiRgbo0
海賊「しかし……ん?」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」

海賊「お前ら!ここに居たのか!」

海賊「丁度いい、ここらで怪しいやつを見なかったか?水浸しになってるような……」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」

海賊「汗にまみれたお互いを指さすな筋肉ダルマども」

75 : ◆cZ/h8axXSU [sage]:2016/05/13(金) 00:59:31.53 ID:NiHiRgbo0
下っ端A「ボスー!」

下っ端B「連れてきました!」

下っ端C「お待たせしました」

海賊「よかった!!この二人相手に会話を続けるのは無理だと判断していた所だ!!」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」

海賊「いや、否定しろよ」

下っ端B「それで、何か分かりました?」

海賊「ああ、もしかしたら……の話だが」

海賊「外から来たという線が濃厚かもしれん」

下っ端C「外から?」

76 : ◆cZ/h8axXSU [sage]:2016/05/13(金) 01:03:04.33 ID:NiHiRgbo0
海賊「ああ、なんか最近多いとか聞いたことがあるんだ。客船を狙った海上のコソドロをな」

下っ端A「ウチの船外装だけはそれっぽく見えるしなー」

下っ端B「中身も改装してあるけどエンジン周りとか中古の三流品だらけだし」

下っ端C「見た目って大事だよね。格安を売りにしなくても結構騙されてくる人達も多くて……」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」


海賊「お前ら借金抱えたウチの財布事情を知らんとは言わせんぞ」

77 : ◆cZ/h8axXSU [sage]:2016/05/13(金) 01:07:04.53 ID:NiHiRgbo0
海賊「それに、私達ではなく客から盗む物の方が利益出るに決まってんだろ。だから海の泥棒は賊の船でなく積み荷をもった商船や客船を狙うんだ」

下っ端A「ここで俺らが客から巻き上げたら大儲け出来ません?」

海賊「死ぬか?」ギリギリギリ

下っ端A「HAHAHA☆[ピーーー]気ですね、超痛い☆」


騎士「あ、スタッフさんいたいた」


海賊「なっ!お客様!?」

78 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/13(金) 01:07:48.65 ID:NiHiRgbo0
海賊「それに、私達ではなく客から盗む物の方が利益出るに決まってんだろ。だから海の泥棒は賊の船でなく積み荷をもった商船や客船を狙うんだ」

下っ端A「ここで俺らが客から巻き上げたら大儲け出来ません?」

海賊「死ぬか?」ギリギリギリ

下っ端A「HAHAHA☆殺す気ですね、超痛い☆」


騎士「あ、スタッフさんいたいた」


海賊「なっ!お客様!?」

79 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/13(金) 01:08:21.89 ID:NiHiRgbo0
失礼、sagaにすんの忘れてた
80 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/13(金) 01:11:42.89 ID:NiHiRgbo0
騎士「こんなに集まって何してんの?」


海賊(いや、何でこんな所に来てんのこの人!?この時間外に出るなって配布した案内に書いてあったろ!?)

下っ端A(読んでないっすよ絶対!なんかアホそうな顔してますもん!)

下っ端B(アホは活字読めないんっすよ!)


騎士「うん、まずこの時間に出歩いたことは謝るしスッゲェ失礼な事小声で言われてるのもスルーするけどさ」

81 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/13(金) 01:15:35.44 ID:NiHiRgbo0
騎士「なんか慌ただしいっていうか。困ってるのなら力になるけど、必要?」


海賊「いえ、お気になさらずに!」

海賊(情報漏らすなよ?あんまり客さんを不安にさせるのはこちらとしても望むところじゃない)

下っ端B(分かってますよ、ですからここは大人しく部屋に戻ってもらって……)

下っ端A「問題が発生してもこちらで対処いたしますので!!」

騎士「問題発生してるのかー」

海賊「……」ギリギリギリ

下っ端A「痛い痛い痛い」

82 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/13(金) 01:19:07.37 ID:NiHiRgbo0
海賊「す、すみません!速やかに対処いたしますのでどうかご内密に……」

騎士「女の子がそんな武装して、普通じゃないでしょうが。よし!ここは俺も手伝わせてもらおうかな」

海賊「そんな……」

騎士「こう見えても俺は冒険者だからな、腕には多少覚えがある。戦闘になればちょっとは役に立てるさ」


下っ端C「どうします?ガタイはいい方だと思いますけど……」

海賊「……仕方ない」

海賊「わかりました。ですが剣が必要になるとも限らないので、私と一緒に行動していただけるだけで構いません」

騎士「ボディガードみたいなもんか。わかった、小さなお姫様を護衛する騎士になりましょうかね」

83 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/13(金) 01:23:27.10 ID:NiHiRgbo0
海賊「人数もいるし、二手に分かれよう」

海賊「私と騎士様、Aはこっちに。もう片方はBを中心に捜索に当たってくれ」

下っ端B「了解です!」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」


海賊「じゃあ行こう!」

騎士「はいよ!」

下っ端A「おうさ!!」


下っ端C「……」

下っ端B「どうした?」

下っ端C「誰か一人忘れてない?」

下っ端B「……」


―――

船員「ンガー……スピー……ズズッ」スヤァ…

84 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/13(金) 01:23:54.57 ID:NiHiRgbo0
小休止
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/13(金) 07:21:15.19 ID:jOkxv2TC0
お、パスタの人か期待
86 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/14(土) 00:26:58.17 ID:+hf5+aom0
本日休業
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/14(土) 00:40:15.96 ID:aMT0YLh0O
88 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 01:47:30.14 ID:9OpjClw/0
再開
89 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 01:53:04.40 ID:9OpjClw/0
……

騎士「で、一体なにがあったっていうのよ」

海賊「船内の通路が水浸しになっていたんです。それも海水が」

騎士「海の上だから海水が船の中に入ってても不思議じゃないんじゃないの?」

下っ端A(コイツ馬鹿だ)

海賊(この人馬鹿だ)

騎士(なんだろう、失礼な事考えられてる気がする)

90 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 01:57:20.74 ID:9OpjClw/0
海賊「一応考えられる線と言えば、金品目当ての密入です。同じ海賊ならコソコソ隠れて潜入するより白昼堂々と襲って来るはずですし」

下っ端A「例外もありますがね」

騎士「ふーん……お、なんか変な風だ」

海賊「風?」

騎士「裏手か……行ってみよう」

海賊「あ、ちょっと!?海水が続いてる方向と違いますよそっち!?」


91 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 02:03:51.82 ID:9OpjClw/0
騎士「ここだ」

海賊「ここって……甲板ですよ」

下っ端A「流石にこっから入ってくるような輩は居ない気も……」


「うえー……海水がねちゃねちゃで気持ち悪いのだー……」

「ああ御労しやお嬢様……おいそこの脳内桃色オーク!!お前のせいで船が転覆したんだよ!!」

「お魚釣ろうとしただけにゃー。でもまさかヌシに船ごと持って行かれるとは思ってなかったにゃ」


騎士「ビンゴ〜」

海賊「マジッすか!?」

92 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 02:09:37.43 ID:9OpjClw/0
海賊「オイお前たち!そこで何をしている!!」


オーク娘「にゃっ!?な、何事にゃ!?」

スライム娘「ああ丁度いいところに話が出来そうな人が。お嬢様、文字通り助け舟ですわ!」

ゴブリン娘「うむ!そこのチビッ子!早速で悪いが相談があるのだ!」

海賊(チビッ子にチビッ子って言われたよ……)

ゴブリン娘「今私達は海上で遭難状態となっていたのだ!水も食料も付き、船もボロくなってそりゃもう大変だったのだ!」

海賊「……つまりどういう事だ?」

ゴブリン娘「私達を保護する権利をくれてやるのだ!!」

スライム娘「尊大ですわお嬢様」

オーク娘「流石だにゃ!」

海賊(え、何このヒト達……)

93 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 02:12:38.78 ID:9OpjClw/0
ゴブリン娘「考えても見てくれ、海の上では補給線も断たれ孤立状態。それがどれ程危険なのかお前にも分かるだろう!」

スライム娘「見たところこの船の責任者っぽい風貌ですが、実際の所どうなのでしょう?」

海賊「いかにも、私はこの船の船長だ」

ゴブリン娘「ならば話は早い!助けて!!」

海賊(なんで偉そうなんだ……)

海賊「えっと、それじゃあ名前と所属を尋ねてもいいか?最近ここらへんで密入が多いから、そうホイホイと勝手に船に上がり込んで来たヒトを信用は出来んから」

ゴブリン娘「フッフッフ……」

海賊「?」

94 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 02:21:45.79 ID:9OpjClw/0
ゴブリン娘「よくぞ聞いてくれた!!」シュバッ

海賊「!」


ゴブリン娘「この世界は悪であふれかえっている!」

ゴブリン娘「その悪を憂い!そして我らが絶対悪となることで、世界に真なる正義の心を芽生えさせるための悪となろう!!」

ゴブリン娘「そう!我らの名は!"悪の組織"!!」

ゴブリン娘「この世に悪が栄える限り、我らは不滅なのだ!!」ドドーン!!

スライム娘「ああ、麗しいですわお嬢様」

オーク娘「にゃー」


海賊「……」

海賊「しょっ引け」

下っ端A「へい」

ゴブリン娘「 な ん で ! ? 」

95 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 02:24:47.38 ID:9OpjClw/0
海賊「どこの世界に悪人を名乗る連中を助けてやるやつがいるんだ」

ゴブリン娘「あ!こ、これは言葉のあやってやつだ!今はそれとこれとは関係ない!!」

オーク娘「あ、さっき下の倉庫から取ってきた食料がしけっちゃってるにゃ」

海賊「泥棒だ!!間違いないぞ!!囲え!!」

騎士「……」

オーク娘「にゃにゃ!?何でバレたにゃ!?」

スライム娘「お前はワザとやってるのか?」

96 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 02:28:10.23 ID:9OpjClw/0
ゴブリン娘「違うのだー、誤解なのだー……」クタン

下っ端A「いいから大人しくお縄に着け!!」

スライム娘「くっ!お嬢様を乱暴に扱わないでくださいまし!」

海賊「海上都市に着いたらコイツら引き渡すか……」

ゴブリン娘「そっ!それだけは勘弁してほしいのだ!ちゃんとあっちに着いたらちょっと拝借した分の食糧の代金は払うのだ!」

海賊「そういう問題じゃないだろ!」

ゴブリン娘「うぐぅ……」

97 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 02:32:02.70 ID:9OpjClw/0
オーク娘「うにゃ〜?」ジー

騎士「……」フイッ

オーク娘「うにゃにゃ〜?」ジー

騎士「……」フイッ

スライム娘「貴女さっきから何してるんですか。早くこの状況を脱却するために地面に頭限界まで擦り付けて流血して死ぬまで謝り続けなさい。むしろそのまま死ね!」

オーク娘「ああ!!どこかで見たことのある顔だと思ったらヴェイドにゃ!!阿呆のヴェイドにゃ!!」

騎士「阿呆に阿呆って言われた!?」

オーク娘「反応したにゃ!やっぱりそうにゃ!」

騎士「あー……」

ゴブリン娘「し、知り合いか!?」

オーク娘「同級生にゃ」

98 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 02:34:04.63 ID:9OpjClw/0
海賊「……」ジー

騎士「疑念の眼差しを俺に向けんでくれ」

下っ端A「まさか、アンタが手引きしたって事は無いだろうな?」

海賊「疑いたくはありませんが、このヒト達と一緒に事務所来てもらえますか?」

騎士「思いっきり疑ってるわね……」

オーク娘「この際だから形振り構ってられないにゃ!助けるのにゃ!」

ゴブリン娘「口添えだけでもいいから頼むのだ!!」

スライム娘「よく分かりませんがお願いします!!」

99 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 02:36:08.87 ID:9OpjClw/0
海賊「騎士さん?」

下っ端A「どうなんだ?」

オーク娘「はやく助けろ馬鹿!!」

騎士「……」

オーク娘「万年最下位!!」

騎士「……」

オーク娘「覗き魔!!友人の七光り!!ロリコン!!」

騎士「」ブチッ

100 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 02:40:12.40 ID:9OpjClw/0
騎士「……」

ガッ

オーク娘「え?あ、ちょ……」

ポイッ

オーク娘「にゃあああああぁぁぁぁぁーーー――――――」


ボチャッ


海賊「……」

下っ端A「……」

スライム娘「……」

ゴブリン娘「……」


騎士「便宜は図ってやるから、とりあえずそこの二人は独房に入ろっか?」ニコッ


((((怖ェーーーーー!!))))

101 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 02:44:00.19 ID:9OpjClw/0
……

海賊「疑ってすみませんでした。ご協力感謝します」

騎士「いいって事よ、人助けもまた俺の仕事見たいなもんだからな」

海賊「お礼と言っては何ですが、次の都市で使える宿屋の無料チケットです。海底都市で降りると聞いたので、これをお納めください」

騎士「必要無いよ……ってカッコよく言いたいところだが、受け取らせてもらうよ。感謝感謝!」

下っ端B「とりあえずあの二人と海に落とされた一人を回収して独房に入れておきました」

海賊「ああ、分かった」

騎士「チッ、回収したのかよ」ボソッ

海賊「……」

102 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 02:46:34.32 ID:9OpjClw/0
海賊「ま、まぁ貴方の口添えもありますし、本当に緊急事態だったそうなので今回の件は私どもの方でも不問とさせてもらいます。都市に着くまでのあと1日は独房に入っていてもらいますが……」

騎士「ああ、妥当ね」

下っ端C「でもおかしい話ですよね。あの娘達はさっき密入してきたばかりだってのに、廊下が海水で水浸しになってたのは」

海賊「ああ、変な話なんだよなぁ」

騎士「あ、そうだ、忘れてた」

海賊「はい?」

103 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 02:49:48.67 ID:9OpjClw/0
騎士「俺の部屋のトイレ壊れちゃったみたいで、なんか知らんが海水が溢れて水浸しになっちゃってたんだけど、他の箇所は大丈夫だったか?」

騎士「船の所々の排水管が傷ついて、廊下中水浸しだったみたいだけど……」

海賊「……」

下っ端B「……」

下っ端C「……」


海賊「 先 に 言 え よ ! ? 」ギリギリギリ

騎士「痛い痛い痛い痛い!?何で!?ねぇ何で俺締め上げられてるの!?」

104 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 02:52:48.31 ID:9OpjClw/0
海賊「あー、明日は全面的に修理かなー」

下っ端B「原因がわかっただけでも良しとしておきましょう」

下っ端C「そうですね。人手も増えてますから私達はこっちに注力できるかと」

海賊「はぁ……お疲れさん、今日はもう休んでいいぞ」

下っ端B「ういっす」

下っ端C「おやすみなさい、ボス」


騎士(俺この船に乗ってから何だか身体がボロボロになってる気がするんだけど……)

105 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 02:56:56.61 ID:9OpjClw/0
……

コック「〜♪」

コック「よし、明日の下ごしらえはこんな感じかな」

コック「しかしいきなり海水が噴き出してきて驚いたな、どっか船の下で穴開いたのか?まぁセキュリティ働いてるし大事なら警報もなるだろうから大丈夫だと思うけど」

コック「……あれ?」

コック「パスタの両が減ってる気が……オイオイ、誰か持ってったのか?」

コック「そういや捕まった泥棒が食料少しもってったんだっけか……まったく、迷惑な奴らもいるもんだな」

コック「さーて!この辺で寝るかなー!明後日海上都市に着いたらアイツにお土産でも買ってってやるかー!」






ズルズル……

106 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/15(日) 02:57:55.36 ID:9OpjClw/0
小休止
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/05/15(日) 03:59:10.20 ID:6YaaOryCO
乙ー
108 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/16(月) 00:24:49.11 ID:eFRc7gsX0
本日休業
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/16(月) 01:03:05.07 ID:IcApJJAlO
だめ
110 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/16(月) 01:06:31.66 ID:eFRc7gsX0
じゃあ再開
111 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/16(月) 01:13:06.56 ID:eFRc7gsX0
――――――
―――


海賊「……」ギリギリギリギリ

船員「痛い痛い痛い痛い」


下っ端A「何やってんだボスは」

下っ端B「サボり魔の躾だとさ」


船員「確かに、確かに私は監視室で眠っていました!しかしですね!ちゃーんとモニターを確認しながら業務を全うしていたんですよ!怪しい奴なんてどこにも映ってなかったから切り上げたんですよ!この仕打ちはあんまりですよ!!」

海賊「25時8分、食堂の映像を出せ」

下っ端D「うっす」





ゴブリン娘「ハムなのだ!久しぶりのハムなのだ!!あむあむ」

スライム娘「水がうめぇ」

オーク娘「モヒモヒモヒモヒモヒ」





船員「わぁい」

海賊「……」ギリギリギリギリギリ

船員「痛い痛い痛い痛い痛い」

112 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/16(月) 01:18:23.53 ID:eFRc7gsX0
海賊「アイツら、コックが厨房からいなくなった隙に食糧漁ってたんだな」

下っ端B「よっぽど極限状態だったのかちょっと可哀想っすね……」

海賊「後で朝食持ってってやってやれ……ハァ、まったくどうして。こうもトラブルが続くのやら」

船員「海賊ってのはトラブルが付き物ですからねぇ。私達海賊らしくない事しかやってないですけど」

海賊「まぁいい、この件は既に解決している。お前たちは通常業務に戻ってくれ」

下っ端A「へい」

下っ端B「それじゃあ」

下っ端D「うっす」


船員「あの、船長私は……」

海賊「一生ここで寝てろ」ギロッ

船員「酷い!」

113 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/16(月) 01:21:29.64 ID:eFRc7gsX0


ズルズル…




船員「あれ?」

海賊「どうした?」

船員「一瞬映像に何か写ったような……」

海賊「何かってなんだよ」

船員「よく見えなかったんですよ……うーん、巻き戻しても特に何もない」

海賊「食堂から厨房はあまりよく見えないな……アイツらよく映ってたけど」

船員「ま、あの人達の誰かがまたカメラに写りこんだんでしょうね」

海賊「ああ、まぁ厨房にも監視カメラ増やしておくか……あー、出費がかさむ!!」

船員「……」

114 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/16(月) 01:25:31.99 ID:eFRc7gsX0
船員「……船長、遺産を破棄する事も出来たんですよ?」

海賊「なんだよ、突然……」

船員「確かに、海賊団を乗っ取って今の経営方針にしたのは他ならぬ船長自身ですけど。先代が残したものをそのまま受け継ぐ必要はなかったと思いまして」

海賊「愚問だな。あのクソ親父の不始末は私が片付ける。それに、この船を売っぱらうのは気が引けたんだ」

船員「思い出、沢山ありますからね」

海賊「ああ、無理言って滅茶苦茶いい船買わせたんだ。手放して利益を損ねるなんて勿体なさすぎる。あと10年は働いてもらわねば……」

船員「もっとこう……あるだろ!?」

115 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/16(月) 01:29:23.04 ID:eFRc7gsX0
船員「その手甲も、その海賊帽も、その大きなコートも」

船員「ぜーんぶ、先代から受け継いで……」

海賊「剥ぎ取っただけだ」

船員「うん、確かそんな覚えがあった気がしないでもないですけどそうじゃなくてね?」

海賊「お前さ、ひょっとして親父の事……」

船員「……さて、お仕事に戻りますか」

海賊「あ、おい!逃げるな!話を最後まで……」

船員「こっちは寝過ぎでパワーが有り余ってるんですよ!!ちょいとベッドメイキングしてきますんであとヨロシクッ!!」

海賊「逃げ足は速いなホント……ん?」

116 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/16(月) 01:31:35.15 ID:eFRc7gsX0
海賊「……宝の地図」

海賊「そういやアイツ、私にコレ見せようとしてたな。忘れて行きやがって」

海賊「まったく、無理して見せようとしたってそんなもん拒否るに決まってんだろ。一発当てて楽しようなんて甘い人生……」ピラッ

海賊「……」

海賊「これ……」

海賊「親父の……字だ……」

117 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/16(月) 01:32:02.29 ID:eFRc7gsX0
小休止
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/16(月) 01:40:07.18 ID:IcApJJAlO
俺は休憩してないのになんで休憩するの?
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/16(月) 02:27:56.69 ID:TnVdu4tT0
>>118
>>俺は休憩してないのになんで休憩するの?

あんたは◆cZ/h8axXSU の彼女かwwwwww
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/16(月) 02:30:58.13 ID:BiJs/OPZo
>>119
そこで上司ではなく彼女が出るあたり業が深いな
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/05/16(月) 07:04:20.27 ID:fj6AdV9so
乙ー
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/17(火) 22:10:14.74 ID:HaiR8Xo7o
>>118
ずっと休憩中でしょ
いつになったら就活再開するの?って母ちゃん泣いてたよ
123 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/18(水) 00:37:51.59 ID:/XjaEwYN0
再開
124 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/18(水) 00:41:21.11 ID:/XjaEwYN0
……

「ここ、結構酷いな」

「よし、パパっと直すか!」

吟遊詩人「それじゃあ僕は皆を応援するために一つ語りを始めるよ〜」ポロロン


海賊「修理の方、どうなってる」

下っ端C「あ、ボス!見ての通り順調ですよ!」


「うるせぇ!」ガスッ

「黙れ!」ドカッ

「テメェも手伝え!!」ボコッ

吟遊詩人「」


海賊「順調そうだな」

下っ端C「ハハハ、突っ込みを放棄しましたね」

125 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/18(水) 00:46:02.52 ID:/XjaEwYN0
海賊「原因は何だったか分かるか?」

下っ端C「はい、船体に何か当たったらしく、どういう訳か下水管にまで直撃したみたいですね」

海賊「で、逆流して海水が漏れだしたと……ばっちぃな」

下っ端C「傷も小さかったですし応急処置は今やってますんで、大丈夫かと。本格的な修理になると海上都市でやることになりますが……」

海賊「1日の停泊で直るかなぁ……」

下っ端C「見積もりはザッとこんなもんですが」

海賊「……」

海賊「ハァ……」

下っ端C(心中お察しします)

126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/18(水) 00:50:00.35 ID:Et52AlYeO
>>122
(´・ω・`)
127 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/18(水) 00:50:45.17 ID:/XjaEwYN0
海賊「というか、この人間の中に船の修理出来るやつ居たんだな」

下っ端C「二人ほどこの業界に明るい者だったので。中々重宝してますよ」

海賊「条件が合致すれば専属として雇ってもいいかもな」

下っ端C「一応給料とかもこっちで用意してますけど……」

海賊「そうだな、海上都市で下してやる時に渡しておくか」

下っ端C「騙されてタダ働きはあんまりにもあんまりですからね……あ」


下っ端C「なぁに手を止めてんだ!!キリキリ働きなさいブタ共ッ!!」パシーンッ!!

「はぅっ///」

「あぁん///」

吟遊詩人「うひぃ///」ポロン


下っ端C「あ、躾は順調ですので雇う人間は早めに見つけておいてください♪」

海賊「ああ、うん……」

128 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/18(水) 01:23:05.24 ID:/XjaEwYN0
海賊(人手があるから今は楽出来てるけど、あの人達降りたらまたてんてこ舞いなんだよなぁ)

海賊(やっぱり人員増やした方が……いや、しかし人件費もバカにならんし)

海賊「世の中金か……世知辛いな」

船員「あ、船長こんな所にいた!例のもの出来てますよ!」

海賊「……例のもの?」

船員「アハハ!嫌だなぁ忘れたんですか?航海前に話したじゃないですか!」

海賊「?」

129 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/18(水) 01:28:38.65 ID:/XjaEwYN0
船員「せっかく大きな仕事なんですから、お客さんに喜んでもらおうって船長が集めたコレクション……」

海賊「ああ!!世界の鉱石博覧会!!」

船員「お客さんにはビラも配ってたんで、これ目当てに来てくれるヒトもいるんじゃないですか?」

海賊「ふっふふふ……」

船員「?」

海賊「あーっはっはっはっはっは!!」

船員「うわビックリした」

海賊「はっはっは!石好きに悪い人はいない!マニアもよだれを垂らすレベルの私のコレクション!!」

海賊「今までの不祥事を全部吹き飛ばすくらいの催しだ!気合い入れて会場に行くぞ!!」

船員「はい!きっとお客さんも喜んで……」








船員「くれるとは思ってませんでしたけどねー。ハハハ!誰も居ねぇや!!」

海賊「」

130 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/18(水) 01:32:32.40 ID:/XjaEwYN0
海賊「なぜ……私の……コレクション……」

船員「今時石っころ一つで喜んで船乗る人なんていませんって。やっぱり船長ってば私のような優秀な部下が付いて企画とかしないとダメダメなんですからー☆」

海賊「……」

船員「……せんちょー?」

海賊「えぐっ」グスッ

船員「ンなッ!?」

海賊「うえええええええええええ!!コイツがイジメたあああああああああああああああああ!!」

船員「ちょっ!軽い冗談ですって!!泣かないでくださいよ!?私が悪かったですから……」

海賊「ひっ捕らえて牢屋にぶちこめぇえええぇぇえ〜」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」

船員「はい!?ちょっとアンタ達どこから沸いた!?ちょっ!!おーい!!」

131 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/18(水) 01:36:41.28 ID:/XjaEwYN0
海賊「ぐすっ……趣味が石集めで悪いかよ……こんなに可愛いのに……」

黒髪少女「いいえ、決して悪い事じゃありませんよ」

海賊「あ……」

黒髪少女「元気を出してくださいな、小さな船長さん」

海賊「す、すみません!お恥ずかしい所をお見せしました……」

海賊「あの……ここへ来たって事は、貴女も鉱石がお好きなんですか!!」

黒髪少女「いえ、全然。物言わぬ石を眺めても何も面白くもありませんので」

海賊「……」

海賊「博覧会中止!!とっとと片付けろ!!」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」

船員「あー、ぶち込まれる前に解放されたー……」

黒髪少女「そ、そこまですることは無かったのでは……」

海賊「需要が無いものは必要ないッ!!」ホロリ

132 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/18(水) 01:40:13.25 ID:/XjaEwYN0
海賊「やっぱり駄目だなー……私お客さんの前に出ずに船長だけやってりゃいいのかなー……」


黒髪少女「部屋の隅でいじけ始めてしまいましたが」

船員「まー、裏方の仕事ばっかりだったんで。慣れない事するもんじゃないですね」

黒髪少女「それはそれで表に引きずり出されて可哀想な気もしますが……あら」

黒髪少女「船長さん、一つお聞きしてもよろしいですか?」

海賊「なーんでーすかー?」グスッ

黒髪少女「ここの棚……他の鉱石は資料と共に実物も置いていますが、これは物自体が無いように見えますが」

海賊「あー、これですか」

133 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/18(水) 01:45:57.32 ID:/XjaEwYN0
海賊「"ブリファライト"。緑黄色に発光するとても希少な鉱石です」

海賊「この石を持つ者は未来の幸運は約束される、とも言われています」

海賊「本当は、手に入れたかったのですが……」

黒髪少女「希少過ぎて手に入らなかった?」

海賊「いえ、違うんです。もうこの世界に存在もしていないかもしれないんです」

黒髪少女「あら……」

海賊「元々、極僅か……本当に少数のみが確認されていた鉱石で、そのすべてを保管していた一つの国があったのですが」

海賊「14年前に既に滅んでしまったそうで」

船員「……」

黒髪少女「随分と最近ですね」

134 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/18(水) 01:51:25.46 ID:/XjaEwYN0
海賊「はい。原因は分かりませんが、戦乱に巻き込まれてしまったと言われています。それを知る由は私にはありませんが」

海賊「確認されたブリファライトは既に砕け散ってしまっていて、その輝きを失っていたそうです」

海賊「もしかしたら、まだ世界のどこかに眠っているかもしれないし、誰かがこっそり持ち出したかもしれないですし」

黒髪少女「ふぅん……」

海賊「興味なさそうですね」

黒髪少女「ええ、まぁ。どちらかと言えば滅んだ国の方が興味あったりしますので」

海賊「」

黒髪少女「失礼しました」フイッ

海賊「"アチャー、本音出ちまったー"的な顔をしながら眼を逸らして謝らないでください」

135 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/18(水) 01:54:15.97 ID:/XjaEwYN0
黒髪少女「片付け、終わったみたいですね」

海賊「はい!綺麗さっぱり無くなりました!!」ホロリ

黒髪少女「ま、どこかの物好きがきっと貴女の趣味を理解してくれるでしょう。では私はこの辺で……」

海賊「凄く失礼な事を言われた気がするなぁ……」

船員「……」

海賊「ほら、お前はお前で何ボーッとしてんだよ」コツッ

船員「あ、はい!……あ、これ……」

海賊「お前の言う宝の地図ってやつだ。さっき監視室の忘れてったぞ」

船員「ああ……すみません」

136 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/18(水) 01:58:01.64 ID:/XjaEwYN0
船員「中、見ましたか?」

海賊「そんなもん見る訳ないだろ」

船員「ですよねー……」

海賊「というか、宝だなんだのと……お前こんなもんどこで見つけてきたんだよ」

船員「いえ……前のお客さんか何かが忘れてったんじゃないっすかね?まー私も詳しい事はわっかんねぇですから、借金まみれのウチからしてみりゃ金銀財宝は喉から手が出るほど……」

海賊「一攫千金狙うくらいだったら堅実に働け!!海賊が大冒険する時代じゃねぇんだ!!この業界は競争なんだよ!!」

船員「へいへい、夢が無いカワイソーな子供だ事……」

海賊「連れてけ」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」

船員「待てよお前ら!?まだいたの!?ちょっ!嘘だろ離せ!!はーなーしーてー!!」

137 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/18(水) 01:59:56.80 ID:/XjaEwYN0
海賊「……」

海賊(どうしてお前も私も、嘘をつく必要があるんだ)

海賊(親父……アンタ、あんなもの書き記してなんのつもりでいるんだ)

海賊「……」

海賊「……仕事に戻るか」

138 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/18(水) 02:00:33.46 ID:/XjaEwYN0
小休止
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/05/18(水) 07:26:05.47 ID:JH9+p415O
乙ー
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/18(水) 10:03:37.15 ID:tvk0UstgO
141 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/19(木) 00:06:01.00 ID:XqzVQe/20
本日休業
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/19(木) 01:43:11.72 ID:Y2qT7Byy0
痔が辛いのかもしれんがもっと働いていいんだぞ遠慮すんなって
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/19(木) 08:05:29.41 ID:/EgFvuvDO
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/21(土) 00:39:29.69 ID:YHpFhhkoO
あぶねぇ危うく見逃すところだったわ
145 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/21(土) 01:10:13.76 ID:m47FFP5e0
再開
146 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/21(土) 01:17:09.49 ID:m47FFP5e0
……

海賊「用意した催しは全部ダメとなると……これはもう普通にクルーズを楽しんでもらうしかないな」

海賊「私は裏方に徹して、いつも通りに仕事して、いつも通りに過ごして、積み荷のチェックを欠かさず、たまにお客さんの様子を見て」

海賊「ハァ……慣れない事すると全部裏目に出るんだよなぁ。世知辛いったらありゃしない」

海賊「お前たちもそう思うだろ?」


スライム娘「私達をそこらの野良猫に話しかけるような感じで見ないでください」

海賊「そういうなホラ、サンドイッチ美味いだろ?」ポイッ

ゴブリン娘「ハムハムハムハムハム」

オーク娘「ウマウマウマウマウマ」

スライム娘「ああお嬢様!!御労しやこんな海賊名乗っておきながらそれっぽいこと全然してないガキに餌付けされるなんて……」

オーク娘「明日を生きる為にはプライドなんて捨てなきゃいけないのにゃ」

スライム娘「黙れ淫乱ピンク。そのデカイだけの乳を輪切りにして食うぞ」

オーク娘「おっかないにゃー」

147 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/21(土) 01:22:25.55 ID:m47FFP5e0
ゴブリン娘「それより海賊の娘!」

海賊「はいはい何だ何だチビッ子」

ゴブリン娘「いや、この独房の水道なのだが。どこかで破裂したのか水が出てこないぞ!」

海賊「ゲッ!ここもか!?あーあーもう……」

スライム娘「それと反対側の独房、穴が開いて水浸しになっていますわ」

海賊「……」ガクッ

ゴブリン娘「こんなオンボロ船とっとと下取りしてもらって新しいのに買い換えたらいいのに。このクラスの船なら買い手もすぐに付くだろう」

海賊「急に現実的な話してきたなオイ」

148 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/21(土) 01:25:57.67 ID:m47FFP5e0
海賊「嫌だよ、借増えるだけだもん。それに、元々オンボロなんじゃなくて今回の航海で穴だらけになっただけだよ」

ゴブリン娘「一回船出しただけでこんなふうにはならぬだろうに」

スライム娘「貴方達側から見たら分からないでしょうけれど、船体も結構ズタズタでしたわ」

オーク娘「……」

海賊「んあー!!原因が分からんからどうしようもないだろ!」

オーク娘「これ、多分魔物の仕業にゃ」

海賊「……へ?」



149 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/21(土) 01:33:05.97 ID:m47FFP5e0
ゴブリン娘「知っているのか女幹部!!」

オーク娘「うにゃ!あの穴の直径、それと水道を狙ってくる辺りそういう魔物が居るのは知ってるにゃ」

海賊「ここら辺の海域は何度も通ってますし、そんな危険な魔物を見た事なんて……」

オーク娘「にゃ、海の生き物じゃないにゃ。都会に少数だけ生息している魔物にゃ」

海賊「都会に?」

オーク娘「"ランスラット"っていうネズミにゃ。その名の通り顔の先が槍みたいになっていてすっごく危ないにゃ」

海賊「どうして特定出来るんだ?」

オーク娘「ソイツ、水道のカルキ臭が好きでよく水道管に穴空けて被害が出てるにゃ。ただ、誤って下水管もぶち抜く時があるから前のバイト先でよく苦しめられたにゃ」

スライム娘「貴女なんのバイトをしていたのですか……」

150 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/21(土) 01:43:06.86 ID:m47FFP5e0
海賊「それじゃあ、どこから侵入したんだ?いつも停泊する港にはそんな魔物出たなんて聞いたこと無いし、お客さんが連れてきた……なんてことも」

オーク娘「ありえないなんてことはないと思うけど、まずそうそうそんな事起こらないにゃ」

スライム娘「ならば積み荷に乗っていたりしたのではないですか?」

海賊「逐一チェックしてるのにある訳ないだろ」

ゴブリン娘「案外、身内が魔物の一部を船に持ち込んでその中に紛れ込んでいた……なーんてこともあるかもしれんな!」

海賊「HAHAHA☆そんなわけ……」






※ありました

海賊「……」ギリギリギリギリ

コック「痛い痛い痛い痛い」

船員「船長!荷物の確認終わりました!コイツ結構魔物の一部とか持ち込んでました!」

ゴブリン娘「スカルマニアの骨、ガンバグの皮膚、トビアシの軟骨……」

スライム娘「あら、スライムの核まで」

オーク娘「ランスラットの毛も見つけたにゃー」

151 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/21(土) 01:46:40.36 ID:m47FFP5e0
海賊「と言う訳で冒険者の諸君!ギルドを介さない依頼で申し訳ないが、ランスラット捕獲作戦の参加を要請したい!」

船員「勿論ウチの奴れ……もとい、ニューフェイス達にも頑張ってもらいますけど」


騎士「このパスタ野郎なんてもん持ち込んでやがったんだ」

竜少女「お主それを食って……いや、何でもない」

ゴブリン娘「我々が捕獲に成功したら恩赦で見逃してくれるそうなのだ!頑張って捕まえるぞ!」

スライム娘「勇ましいですわお嬢様。おい淫ピ、お嬢様に恥じかかせるんじゃねーぞ」

オーク娘「了解にゃー」

金髪少女「それじゃあ私達もお付き合いしましょうか」

眼帯少女「……おー」

152 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/05/21(土) 01:50:16.15 ID:m47FFP5e0
海賊「概要はスクリーンに記してある通りだ。今日の夕方には海上都市に到着してしまう為、それまでには捕まえておきたい!」


騎士(パワポだ)

竜少女(パワポじゃ)

ゴブリン娘(パワポなのだ)


海賊「一旦こういった魔物をウチの船から出して逃がしてしまうと悪評をされかねん。お前たちは今は客ではなくプロの冒険者だ!相応の接し方で話させてもらうからそのつもりでいてくれ!」

海賊「では解散!武運を祈るぞ!」

166.10 KB Speed:0.1   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)