野原しんのすけ(15)「歯を食いしばれサイジャク、オラのサイキョウはちょっと響くゾ」

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221 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/07/02(日) 22:21:35.80 ID:6csJsKPe0
1です、お久しぶりです
遅くなってすみません。これから投下します
222 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/07/02(日) 22:22:36.22 ID:6csJsKPe0
「コレは一体どう言う事かにゃーん?」

麦野が苦々しく、しかしそれを誤魔化すかのようにおちゃらけた口調で翼の男に訊ねる。

「おいおい、それがたった今助けられた奴の態度かよ?可愛気の無え女だな」

「チッ、さっさと答えろ」

ホストのような風貌通りの態度で麦野をからかう翼の男に、今度は苛立ちを隠す事無く彼女は言った。

「聞いて無いのか?今回の仕事はオレら『スクール』とお前ら『アイテム』で協力して当たれだとよ」

「聞いてねえよ……あの仲介人、いい加減な仕事しやがって……」
223 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/07/02(日) 22:23:33.64 ID:6csJsKPe0
忌々しそうにつぶやく麦野を横目に、御坂は二人のやりとりから得られた情報を頭の中で整理する。
どうやら麦野と翼の男は顔見知りらしく、さらに言えば男も『スクール』という名の暗部組織に属する人間らしい。

「……まずいわねぇ」

御坂の手の中の端末から、食蜂の声が漏れる。

「あの男の人、御坂さんより上位の超能力者よ……確か能力名は『未元物質』」
 ダークマター
『未元物質』と食蜂が呼んだ男は、麦野との会話を切り上げると翼を消し、御坂とあいの立つ方に体を向ける。

「そちらの御嬢さんがたには自己紹介が必要かな?俺は『垣根帝督』……知っている奴も居るみたいだが、第二位の超能力者だ」

垣根と名乗った男、いやよく見れば彼もまだ少年なのだろう。
御坂よりは年上だろうが、成人はしていないように見えた。

「提案なんだが……」

垣根はあいを半ば無視するかの様に、御坂を真っ直ぐに視て言った。

「抵抗せずにおとなしく捕まってくれないか?襲撃犯を依頼人へ引き渡しさえできれば、俺としてはなんの問題も無いんだ」

傲慢な提案、いや提案という名の降伏勧告。
しかしこの状況では、それも的を得たものなのかもしれない。
なにせ向こうには非常に攻撃力に優れた能力を持つ第四位と、能力こそ詳細不明だがこの場に居る誰よりも高位である第二位がいるのだから。
224 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/07/02(日) 22:25:05.09 ID:6csJsKPe0
「そんな提案、こちらが受けるとお思いですか?」

あいが垣根に返す。
元々彼女の目的は御坂の回復の為の時間稼ぎなのだから、勝てずとも良い。
それ故彼女は絶望的な戦力の逆転を経てなお、思考を回転させることができていた。

「このまま争っても、そっちの勝機は第六位が本物かつその能力が俺と第四位を完封しうるものだった場合だけだが、それはどちらも在り得ない。違うか?」

「聞かせてもらいましょう」

戦っても御坂達に勝利は無いと言う垣根に、あいはその詳細を問う事で時間稼ぎに徹する。

「まずそもそも、お前は第六位じゃない。第六位は自分の個人情報を徹底して隠しているからな、ハッタリとして使うならおまえみたいに顔隠して声変えてやるのが、まあ正解だ」

垣根が続ける。
                 藍花悦
「変装もしてない、顔丸出しの奴が『第六位』を名乗っても説得力が無いからな。その点お前はよく考えた方だろ。だがなあ……性別も隠さねえと意味無えぜ?」

あいの今着ている服は、デザインこそ男女どちらが着ていてもおかしくはないものだが、ボディラインがでて一目で性別が判るものだった。

「性別だって重要な個人情報だからな。加えて言えば、第六位の能力がいくら詳細不明と言っても、それが戦闘向きじゃ無いことくらいはこちらも掴んでる」

「なるほど、それで『どちらも在り得ない』と……」

あいが降参した様に両手を上げ言った。
225 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/07/02(日) 22:26:14.26 ID:6csJsKPe0
「先程の提案ですが……そちらの、麦野さんとおっしゃいましたかしら?」

「あ?私がどうした」

話を向けられ、麦野が不機嫌な様子でかえす。

「仮に御坂さんが、垣根さんとおっしゃったかしら?そちらの男性の提案を受けた場合、麦野さんの立場からすれば、手柄を横取りされたようなものですわ……」

貴女はそれでもよろしいのですか?とあいは続けた。
それに対し、麦野は舌を打ち答えた。

「良いもクソもテメエらを仕留め損ねた時点で、こっちは贅沢が言える立場じゃ無えんだよ」

「そうですか、そちらがもめないのであれば、私からも言うことはありません。提案を受け入れるか否かは御坂さんの判断に任せることにいたしますわ」

それだけ言うと、あいは手を下して御坂の方に顔を向ける。

「決まりだな」

すると未だ御坂が何も言っていないにも関わらず、垣根が御坂に近づいてきた。
     コレ
「悪いな、捕縛も仕事なんだ。思えばお前も哀れだな、クローンなんざ何人死のうがほうっておけば良かったのによ」

ザワリと、その言葉に己の内から怒りが湧いてくるのが御坂にはわかった。

「クローン?」

「ああ、『アイテム』はそっちの情報も知らされていないのか」

麦野と会話する垣根に、御坂は決意する。

(かなわないとしても、せめて一矢……)

御坂が抵抗を示そうと垣根に対して身構えたその時、手にした端末から食蜂の声が聞こえた。

「……待ちなさい」

その声からは、御坂に匹敵或いは上回る程の怒気が感じられた。
226 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/07/02(日) 22:27:05.68 ID:6csJsKPe0
今夜はここまでです。
次こそそう間を空けずに投稿したいです
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 22:39:54.46 ID:1QL4cWm7o
乙です
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 23:08:27.22 ID:Gyilitoi0
思ったけど、レベル5勢でブチ切れたら怖いのみさきちの様な気がする。
そぎー除いて皆大抵切れてるから見慣れてるし。
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 23:56:39.31 ID:4mBsdJtjo
乙です
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 02:17:49.17 ID:RABrZ+Kh0
乙です
やっと追いついた…
期待してます
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/18(火) 20:48:24.32 ID:Tab3P0JZ0
>>230
このスレは間違いなくエタるから期待しないほうがいいよ
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 11:53:50.34 ID:gq21lZ+g0
保守するって訳よ
ゆっくり体調崩さずやっていってね
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/02(土) 23:24:12.98 ID:f1eMX5Uz0
お久しぶりです、1です。
これから投下します。
234 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/09/02(土) 23:25:43.94 ID:f1eMX5Uz0
「なんだ?この場に居てすらいない第五位風情が、何か言いたいことでもあるのか?」

面倒臭そうに返す垣根に答える事も無く、端末からはブツブツ呟くと食蜂の独り言が途切れ途切れに聞こえてくる。
  エクステリア
「『外装代脳』に接続……任意逆流開始……q範囲に……を送信……」

食蜂に答える気がないと判断した垣根が告げる。

「まあお前に文句があろうと、俺がする事は変わらないけどな」

御坂をつかまえようと伸ばされた垣根の手を、彼女は振り払った。
眉をひそめ垣根が言う。

「ちっ、めんどくえから抵抗するなよ。それとも格下が、まさか勝てると思ってるのか?」

「勝てないまでも、一矢報いるくらいはやってやるわよ!!それに食蜂、アンタも何か考えがあるんでしょ!?」

垣根に対して身構えた御坂が、啖呵を切り端末に向かって問いかける。

「ええ!!御坂さん、一分……いえ数十秒で良いわぁ。抵抗力を見せて時間を稼っ!?」

食蜂の声をさえぎる様に、鈍い爆発音と共に部屋全体いや建物全体が激しく揺れた。
235 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/09/02(土) 23:26:47.82 ID:f1eMX5Uz0
            ヤツ
「フレンダが回収し忘れた爆弾が誤爆したか?いやここまで揺れるってことはあの子のじゃないわね」

「……ってことは、だ」

垣根は、御坂が手にした通信端末を忌々しそうににらむ。

「第五位……テメェ、何をした?」

得意げな声で食蜂は答えた。

「私の能力が及ぶ範囲を甘くみたわねぇ。その中に、ここから逆転できる人が居たから助人力を求めただけよ」
        オレ 麦野
「ここから逆転?二位と四位を相手にか?」

そんな人物がいる訳がない言外に言う。
           一人だけ
「ええ、私も心当たりは野原さんだったのだけど……」

「その一人が、運良く範囲内に居たってか」

「いいえ、そういう意味ではこの賭けは私の負けかしらねぇ。でも……十分な戦闘力は引き当てられたと思うわぁ。予想よりも速く到着してくれたみたいだしね」

食蜂と垣根の会話の最中にも、爆発音と振動の間隔は短くなりその発生元が近づいてきていることが判った。
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/02(土) 23:27:45.19 ID:f1eMX5Uz0
「ああ、それと……」

食蜂が垣根に言う。

「『何か言いたいことでもあるのか?』だったかしらぁ……なら一つだけ言わせてもらうけれど」

おそらく息を大きく吸っているのだろう。
そこで一度言葉を切り、その後今日一番の大きな声で食蜂は言った。

「二度と私の前で、『クローンだから死んでもいい』なんて言うな!!」

その言葉の直後、あらかじめ食蜂からその能力で指示を出されていたのだろう、あいによって御坂はその場に伏せる様に押し倒された。
一瞬困惑する御坂だが、壁の向こうから聞こえてきた声で事態を把握する。
あの爆発と振動を起こしていた人物が、ついにこの部屋まで来たのだと。
237 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/09/02(土) 23:30:55.89 ID:f1eMX5Uz0


「よし!!ここが最後の壁だな!?いくぞおおおお!!『すごいパーンチ』!!」

238 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/09/02(土) 23:35:18.54 ID:f1eMX5Uz0
砕かれ勢いよく飛んだ壁の破片が、反対側の壁をも砕き突き破っていくほどの爆発の中から、彼は姿を表した。

「俺を呼んだのはお前かヘルメット!?お、お前は以前公園であった電撃使いの娘じゃねえか!?」

ハイテンションで一気にまくしたてるその男に、垣根が訊ねた。
彼も麦野も、とっさに能力で防御したのか先の爆発によるダメージは見られなかった。

「テメエ、何者だ?」

「俺か!?俺は根性の自警団員!!学園都市第七位の超能力者!!『削板軍覇』だ!!」
239 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/09/02(土) 23:37:55.59 ID:f1eMX5Uz0
短くてすみませんが、今夜はここまでです。
毎度エタルエタル詐欺の執筆速度でごめんなさい
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/02(土) 23:57:14.59 ID:BOvHSycJo
きたか、ソギー……
更新乙でーす
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 06:49:48.38 ID:mRjBHNfbo
乙です
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/08(金) 04:11:17.09 ID:J0nshuszo
今全部読んだ
インとペンが何かに似てるなーと思ったらミサカと打ち止めだ
243 :sage :2017/10/06(金) 01:09:12.53 ID:HP1LFlPm0
保守。
今思うと、この作品のしんちゃん、ぼーちゃん、あいちゃんって
学園都市の登場人物のでもトップクラスの実力を持っているなと思いました。
244 :sage :2017/10/26(木) 01:58:12.59 ID:vvTV1nnO0
保守
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/26(木) 09:21:12.89 ID:64naKxCj0
どうした?
246 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/11/02(木) 23:57:13.58 ID:O2huPPdQ0
1です。これから投下します
>>242
とある原作でも初期の打ち止めってインデックスと似ているというか、彷彿させる描写がありますよね
>>243
あいちゃんは能力だけみれば(現時点では)それほどでもないんですが
大財閥の御令嬢という立場から幼少期から様々な習い事を受けた結果の級インテリジェンスと
『英雄の隣に立つ女』にふさわしい自分になろうと努力しつづけたチート級メンタルの二つで
そこそこ優秀なフィジカルを十全以上に活かしているという、ある意味原作とあるの浜面仕上のスタイルです。
ちなみにボーちゃんが『学園都市の基準では低評価を受けるが実はチート能力』の上条当麻の、しんのすけが『単純に強くて厄介な能力』で一方通行のスタイルですね。偶然ですが
247 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/11/02(木) 23:58:46.22 ID:O2huPPdQ0
その背に七色の爆煙を上げながら削板が名乗る。
それを受け垣根が舌をうった。
          ブービー
「チッ……で、その『第七位』が俺達二位と四位になんの用だってんだ?」

「おう、頭の中に声がとどいてな。助けにきたんだ……で、ヘルメット。俺は翼の生えた男を殴って倒せば良いのか?」

削ぎ板に訊かれ、端末から食蜂の声が答える。

「脚の太いオバサンもセットでお願い!!」

「髪の長い女とか他に言い方あんだろ!?」

自身のコンプレックスである脚について言われた麦野が反射的に吠えた。

「なるほど……そっちの二人を倒せば良いんだな」

一瞬いきなり叫んだ麦野に目を丸くしながらも、何事もなかったようにそれをスルーして削板は二人に向き直る。
そんな彼の態度に、呆れたようにも忌々しそうにも見える様子で垣根は言った。

「おいおい、今の話聞いてたか?もう一度言うが俺達は第二位と第四位、第七位であるお前より格上の超能力者だ。それに――」

「みなまで言うな」

垣根の言葉を遮り、削板が言う。

「もしかしたらそっちの電撃使い嬢ちゃん達の方が悪いのかもしれない、何も事情を知らない俺が、助けを求められたからって嬢ちゃん達に肩入れすんのは間違っていることかもしれない。それでもだ……『助けて』と言われて助けねえ根性無しにはなりたくねえんだよ、俺は」

削板の言葉はまだ続く。

「それにな……」

息を大きく吸い込み、ひときわ強く彼は言った。

「相手が各上だからって理由で退くほど、俺の根性はヤワじゃねえんだよ!!」

削板の真っ直ぐに垣根をとらえる眼差しに、垣根も先程までの呆れた様子は消え、彼も正面から削板を見据える。
248 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/11/03(金) 00:00:23.64 ID:YlLrxdMp0
「……チッ」

しばし無言で睨みあった両者の、沈黙を破ったのは垣根であった。

「俺は降りだ、後はお前の好きにしろ」

そう言われた麦野は驚いて彼を見る。

「何を……!?」

垣根は削板がでてきたのとは反対側、御坂達の更に後方を指差して言った。

「俺達が……『スクール』と『アイテム』が受けた依頼は既に失敗してんだよ。」

そこには、先程削板が殴り飛ばした壁の一部によって大穴の空いた壁があり、その穴からは隣の部屋の様子が見えた。

「あっ!?」

隣の部屋には重要と思われる機器があり、それらは元は部屋の壁であったのだろう瓦礫によって破壊されていた。

「今さらコイツ等を捕まえて依頼人に引き渡してもマイナス評価がプラマイゼロになるわけじゃねえ、良くてマイナス10がマイナス5になる程度だろう」
レベル5
超能力者を擁する暗部組織を二チームも使って拠点防衛に失敗した以上、垣根の予想は概ね正しいと言えるだろう。
                                 コイツ や
「で、たかがその程度の成果の為に第六位と違ってバリバリに戦闘向きな第七位と戦り合えば、幾らか手札を晒さないといけないだろうな」

垣根が独り言のように麦野に説明する。

「そしてその様子は第五位に見られている訳だ、明日には暗部の人間全員に俺達の能力がおおまかには知られているかもしれないな……」

麦野が悔しそうに顔をゆがめ、奥歯を噛み締めた。

「つーわけでリスクとリターンがつり合ってねえ……俺は降りるが、お前はどうする?」

「……」

麦野は無言で原子崩しを撃ち、御坂の足元に落ちていた端末を破壊した。
249 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2017/11/03(金) 00:03:43.63 ID:YlLrxdMp0
今夜はここまでです。
原作クレしん41巻のフィギュアウォーズが長編OVAになりましたね
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/03(金) 00:25:14.73 ID:LZbXuxYio
長編ovaの雰囲気がかなり昔っぽくてうれしい
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/03(金) 01:15:26.31 ID:/SdZItC0o
乙です
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/03(金) 01:40:00.82 ID:l3LE/GqN0
支援
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/17(金) 02:38:05.80 ID:N81alXIw0
ほほう
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/16(土) 02:15:13.97 ID:DLvuhjXY0
保守
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/31(日) 14:15:03.91 ID:G9Z1xAvr0
保守
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/03(水) 13:21:48.11 ID:lRdGABOm0
あけおめ保守
257 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/01/04(木) 00:03:28.04 ID:CDsL44Uk0
1です。明けましておめでとうございます。
これから投下します。
258 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/01/04(木) 00:05:02.30 ID:CDsL44Uk0
「……一応言っておくが、ソレを壊しても第五位には情報が伝わると思うぜ?」

呆れたように言う垣根に、麦野が不機嫌に返す。

「わかってるよ、私も降りるさ。けどお前、第七位が乱入してきて直ぐにアレに気づいていたな?」

麦野は瓦礫に壊された機械類を指差し言った。

「まあな、後のアレコレは全部ハッタリってわけだ。それで第七位が引いてくれるなら儲けモノだったからな」

そう言うと、垣根は背中から翼を生やしてソレを一回大きくはばたかせる。
何かしたのかと御坂達一同が警戒するなか、いち早くその変化にあいが気づいた。
 テンジョウ
「天井が……」

彼女のつぶやく様な声を聞いた他の者も、視線を上に移す。
すると垣根の後方の、壁の上部と天井の一部が無くなっていた。
先程の削板に因るもののように瓦礫や破片になったのではなく、その部分のみが最初から存在し無かったかのように消失していたのだ。

「つーわけで、俺は帰るぜ。仕事じゃあもう遭わねぇことを祈るよ」

そう言い残して、垣根はその空いた穴から飛び去って行った。
259 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/01/04(木) 00:06:37.58 ID:CDsL44Uk0
「チッ気障なマネしやがる……」

そう忌々し気に吐き捨てた麦野も、削板が穴を開けた壁とはまた別の壁に、『原子崩し』で大穴を空けるとそこから部屋を出ていった。

「……」

御坂、あい、そして削板。
部屋に残された三人を暫し静寂が包み、やがてペタリとあいが床に腰を下す音で沈黙は破られた。
         エージェント
「ふう、せっかく第六位の代理人から名前の使用権を買ってきましたのに……同じく超能力者が相手ではあまり意味がありませんでしたわ」

あいが独り言のように愚痴をこぼす。
御坂は緊張の糸が切れたのか何も返せなかったが、食蜂が彼女と精神感応で会話しているらしく、あいの独り言のようなささやきは続いた。

「ええ、そうですね。では明日も……もう一方の施設は……」

そんな床に座り込んだまま途切れ途切れに何かを言い続ける彼女の様子不気味であったが、そんなあいに削板が手を差し出しながら声をかけた。

「おい、根性ありそうな黒服の嬢ちゃん、大丈夫か、立てるか?」

「あら、御親切にありがとうございます。ですが心配無く、自分でたてますので」

そう言って立ち上がったあいは服に付いた汚れを軽く払うと、削板に改めて向き合う。

「今夜は助かりましたわ。ですが、貴方の助けを待つ方は此処以外にもいるはずです」

「おうそうだな、俺はこれで巡回にもどるぜ。じゃあな嬢ちゃん達、なにがあったか知らないが根性入れてがんばれよ!!」

瞬く間に走り去って行った削板の方を見ながら、あいが言う。

「あの方、先程『自警団員』と名乗っていましたけれど……しん様と同じチームに所属したのかしら?」
260 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/01/04(木) 00:07:51.79 ID:CDsL44Uk0
そしてあいは御坂に、先程食蜂と話していた明日の予定を告げる。

「では御坂さん、残る一ヶ所Sプロセッサ社脳神経応用分析所ですが、その裏手にあるビルの屋上に……」

翌日の午後6時頃、あいの指定したビル屋上に御坂あい食蜂の三人が集まっていた。

「人の出入りがまるでありませんわ、既に撤退した後と見るべきでしょうか」

双眼鏡を御坂に手渡しながら、あいが言った。

「一応、中に入って確認してみるべきじゃないかしらぁ。じゃあ御坂さん、私達はここで待っているからおねがいね」

御坂の肩に手を置きながら食蜂が言い、御坂は呆れ気味に返す。

「アンタ……昨日助けてもらった身で言うのもなんだけど、なんで居るの?」

それは、この場に居ても特に役に立たないのにと言う意味にも、自分を嫌っている筈の彼女が何故と言う意味にもとれる問いかけだった。

「何よ悪い?まあ私にも色々あるのよぅ、御坂さんからすれば正直私は信用力が低いでしょうけど、『野原さんから頼まれた』って言えば信じてくれるかしらぁ?」

「野原から?」

「そうよぉ、御坂さんが無茶しないように救援力を発揮してほしいってね」
261 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/01/04(木) 00:09:48.51 ID:CDsL44Uk0
食蜂が自分を助けた理由、それは御坂からすれば意外なものであった。

「いくら相手が酢乙女先輩の恋人でも、アンタが理由もなく他人の頼みを……ってそうか、確かアンタ、野原に恋人の記憶障害を治してもらったんだっけ」

「だから恋人じゃなくて、片想いの相手だってば。ああ言っておくけど、このことは帆風達には秘密よ?」

食蜂が惚れた男がいるなど、彼女の派閥メンバーが知ればめんどくさい騒動が置きそうだと、御坂も同意する。

「で、酢乙女先輩は……」

「私は特にしん様から何か頼まれたわけではありませんが、食蜂さんがしん様と連絡を密にしているのを不審に思いまして……」

「私が先輩の尋問力に屈しちゃったてわけぇ」

あいの言葉を食蜂が繋いだ。

「あの時はてっきり、食蜂さんが私の恋敵になるつもりなのかと思いましたわ」

その時のことを思い出したのだろう、食蜂は体を抱きブルリと震わせた。

「それで、御坂さんの事情を知ったのですが、食蜂さん一人では御坂さんのフォローにも限界がありますし、『妹』さん達を保護するにも私の力……正確には実家の力ですが、必要になると思いまして」

あいの台詞の一部に、御坂が反応する。

「保護……できるの?」

自信をもって、あいは答えた。

「可能です、当家の仕事は幅広く支社も世界各地にありますわ。一ヶ所に数人づつ、一卵性の姉妹だとしても不自然でない人数になるはずですし、いくら顔立ちが同じだとしても化粧や髪型で女性の外見なんて千変万化ですわ」

あいの話す今後の展望を食蜂が補足する。
     シスターズ                      このわたし
「問題は『妹達』自身がこれを受け入れるかだけど、それは最悪『心理掌握』が力技で説得するのも一つの手ねぇ。まあそのためにも、兎に角実験を一時的にでも中断させる必要があるのよねぇ」

というわけで頑張るんだゾ。と食蜂は御坂を送り出した。
262 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/01/04(木) 00:34:25.59 ID:CDsL44Uk0
「もしもし酢乙女先輩、食蜂?やっぱり中には誰も居ないわ。電気機器が一つも動いていないし、データも全て削除されてるみたい」

御坂は施設内の一室から小型の端末を顔の横に持って話す。
先程食蜂から渡された物で、昨夜麦野に壊されたのと同型だ。
彼女いわく、盗聴対策万全の通信機らしい。

「じゃあ、今日はこれで解散でいいかしら。他施設へデータが移送されて実験も引き継がれている可能性もあるけれど、どちらにしろ一回調べてみないといけないわぁ」

「しん様はしん様で動いているみたいですし、布束先輩でしたかしら……彼女も独自に行動しているようですから、私達も含めて三チームが互いの足を引っ張り合うのを避けるため連絡も必要ですね」

通信機からは食蜂とあいの声が聞こえてくる。

「では御坂さんも今日はしっかり休んでくださいませ、まだまだやることは多く在るのですから、途中で倒れてはいられませんわよ?」

二人からの通信が切れ、御坂も無人の施設を後にする。
先のあいの言葉通り、まだまだやるべきことは多い……しかし一段落がついたのだと晴れやかな気持ちで御坂は足を進めた。
喉を潤そうと馴染みの自販機が置いてある公園を訪れると、聞きなれたしかし久しく聞いていない男の声が御坂の耳に入った。

「あっれー?おかしいなあ、故障か?」
263 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/01/04(木) 00:36:32.21 ID:CDsL44Uk0
今夜はここまでです。
今年こそ更新速度を上げたい。
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/04(木) 01:58:39.00 ID:9b56qqxdo
おつですぞ
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/04(木) 09:37:58.86 ID:SgNrR4yho
おー
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/06(土) 13:04:45.44 ID:vKMiJN9S0
来てたのか
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/13(土) 12:23:46.27 ID:6NZVYlg40
どうなる?
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 23:03:35.54 ID:n5KQo/Wr0
支援絵とかあったら励みになるだろうか?
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/02(金) 23:50:05.29 ID:Jg6wZX2p0
布束さんについて思ったこと
ギョロ目:威圧感↑、見やすさ↓
ジト目:かわいさ↑、見やすさ↑
個人的解釈です。
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/03(土) 11:20:00.28 ID:oFD1wS8uo
ぶっちゃけ漫画の目でも好き
271 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/03/05(月) 01:38:09.89 ID:Ng/syFtP0
お久しぶりです、1です。これから投下します。
>>268
凄い励みになりますね
>>269
1はギョロ束派です。
272 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/03/05(月) 01:39:52.08 ID:Ng/syFtP0
「おかしいなあって、上条君ここの自販機が壊れてるのは君も知って……ごめん」

「いや、単なるドワスレだよ。『ソレ』とは関係ない、あやまらないでくれ」

御坂がそちらを見れば、やはりそこには聞きなれた声の主である上条当麻がいた。
そして自販機の前でうなだれる彼と話しているもう一人の声はしんのすけのものだ。

「なあしんのすけ、今朝からお前何か変だぞ、どうかしたのか?」

おつり返却バーをガチャガチャと何度も下げながら、上条はしんのすけに訊ねる。

「俺を公園に連れ出したってことは、インデックス達には聞かせられない話なのか知らないけどさ、ずっと何かを言い出そうとしてできずにいるって感じだ」

「……まあこの前のカジノの時みたいに上条君に頼めば、オラが自分でやるより簡単に片付く問題なのかもしれないんだけどさ」

要点を得ないしんのすけの返答に、上条は自販機をドンドンと叩きながらその先を促す。

「それで?」

「この問題の中心はオラじゃ無い、オラはいつものように自分から飛び込んでいくつもりだけど……」

自販機を殴る上条の手を止めて、しんのすけは軍手をはめた手で自販機に触れた。
一瞬の光の後に、自販機が二千円札を吐き出すとそれをしんのすけが上条に渡す。

「オラよりもだいぶ中心近くにいるあの子は、上条君には特に問題の存在を知られたくないだろうし、かと言って全部終わった後になってから知ったら、今度は上条君が納得出来ないだろうしね」

その言葉の途中、自身の方へと一瞬だけ視線を向けた様に御坂には感じられた。
しんのすけは自販機に硬貨を投入し『きな粉練乳』と言う名の商品を購入して自販機が完全に直ったことを確認すると、手にした飲料缶を上条に押しつけながら言った。

「だからオラなりの妥協点、上条君は近い内に何か厄介事を頼まれるかも知れないってことだけ今は覚えておいて」

そう言うと、しんのすけはその場を後にした。
273 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/03/05(月) 01:40:37.34 ID:Ng/syFtP0

「厄介事、か……」

上条はしんのすけが近い内にするかもしれないと言う『頼みごと』に空を仰ぎため息をつく。
一方の御坂も、しんのすけが向けた視線の意味を計りかねていた。

(私に気づいてアイツとの会話を打ち切った?)

不自然なしんのすけの態度に違和感を覚えながらも、御坂は上条に声をかける。

「ねえ、ジュース買わないんならどいてくれない?」

「と、悪いな御坂」

上条が数歩横にずれると、御坂はいつものように掛け声と共に自販機に回し蹴りを叩き込む。

「ちぇいさーっ!!」

しかしいつもと違い、自販機がジュースを吐き出すことは無かった。

「……ついさっきしんのすけが直してたからなあ。普通に買うぶんには問題ない思うぞ」

「こいつには去年万札呑まれてるのよ。いいわ、それならこうするだけよ」

御坂が自販機に触れながら放電する。
すると確かに自販機は様々な飲料缶を吐き出したが、同時にけたたましい警報音も鳴らしだした。
            アンチスキル ジャッジメント    スキルアウト
「おおい!?どうすんだよ!?警備員や風紀委員、最近じゃ自警団まででてくるんだぞ!?」

「言いながら逃げないでよ、あとジュースの缶運ぶの手伝いなさいよ」
274 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/03/05(月) 01:41:32.86 ID:Ng/syFtP0

「酷い職権乱用を見た」

ひとしきり逃げた先にあったベンチに腰を下し、上条はつぶやく。

「なによ、私が逮捕された方が良かったっていうの?」
その場                   テレポーター
犯行現場から逃げた二人を追いかけて現れた空間移動能力者の風紀委員は、御坂の常盤台での後輩だったらしく、自販機云々の話は無かった。
その代わりにただただ「敬愛する『御坂美琴』【お姉さま】の近くにいる男」である上条への牽制ばかりして彼女は去っていった。
もっとも上条からは「慇懃無礼な変な娘」と言う印象を与えただけだったが。

「にしても『お姉さま』ねえ、やっぱ女子校だとそう言うのがあるんだね」

「黒子はそのなかでも特殊な方だと思うけど……他にも居ないってわけじゃないのがね……」

大量に持ち去ったジュース缶の内の一つで喉をうるおしながらの二人の会話に、ふいに三人めの声が混じる。

「お姉さま」

上条が又かと思いながらそちらを見れば、そこには御坂と瓜二つの少女が立っていた。
275 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/03/05(月) 01:44:30.74 ID:Ng/syFtP0
今夜はここまでです。
今度の劇しんではしんのすけが(カスカベ防衛隊が)拳法を習得するみたいですね。
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/05(月) 21:39:16.14 ID:c4VjNt3s0
今更だが更新されているのを見てきました
最初のころから追っかけてきてるので
これからも楽しみにしています
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/05(月) 21:52:42.55 ID:GDIeoZa3o
乙です
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 13:16:48.21 ID:kzbLwLtK0
乙です!
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/26(月) 07:49:03.10 ID:YRWcOH+4O
カスカベボーイズ見返しててふと思ったんだけど、あの作中の映画って実写ぽかったから役者とか居ると思うんだけど、ツバキちゃん役の人って現実世界に居ないのかな?
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/26(月) 10:43:46.57 ID:D+ZwIOdBo
>>279
元となった映画はお蔵入りになってて撮影すらされてない説とかどうよ
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/12(木) 18:31:00.01 ID:n46j3F/0O
もうアカンかもしらんが一応保守
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/19(木) 16:09:38.98 ID:tfILKJLMO
カンフーボーイズ良かった
まさお君の良さが改めてわかったわ…

更新いつまでも待ってる
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 17:54:54.15 ID:wPUJimExO
>>281>>282
お前さんらこのスレはじめてか?
ここの1基本的に2ヶ月毎に更新だから次来るのは5月の頭位だぞ
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/20(金) 12:29:24.65 ID:S776WzHqO
焼け野原ヒロシはどうなるんです?
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/22(日) 16:16:54.18 ID:ArUnYp9H0
>>283
そうだったっけ?久々に来たから忘れてたわ……サンクス

それはそうと、このssにもぷにぷに拳出るかな?
とりあえず待機支援
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/23(月) 20:10:58.54 ID:OQqMXKXG0
そうかそうか
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/06(日) 00:07:24.60 ID:f6YueRak0
1です。これから投下します。
>>279-280
このSSでは『登場人物』【キャラクター】の役者は全員死んでいるくらい古いお蔵入り映画と言う設定です
>>285
割と直ぐに出す予定です
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/06(日) 00:08:35.31 ID:f6YueRak0
「同じ顔!?熱狂的な御坂のファンが特殊メイクで変装でもしてるのか?」

驚く上条に、その少女は直ぐに返した。

「ファンでは無く妹です。と、ミサカは間髪入れずに答えました」

「妹?ああ妹なら似てるのも……あれ?御坂に妹っていたっけか?」

先程のツインテールの様に、御坂美琴を『お姉様』と慕う『妹分』なら何人も居そうだが、実妹となると上条が彼女からそういった話を聞いたことは無かった。

(俺が忘れているだけかな?)

今から約一月前、上条当麻は一度それまでの記憶のほぼ全てを失っている。
幸いにもしんのすけが持っていた『原典級霊装』のおかげでその大半を取り戻せはしたが、今の彼は「自分が何を忘れているか忘れている」状態だ。
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/06(日) 00:09:57.42 ID:f6YueRak0
(御坂の『妹』に対する態度を見て判断するか)

上条がそう思い、御坂に意識を向ける。すると……

「アンタ!!一体どうしてこんな所でブラブラしてんのよ!!!」

御坂が大きな声を上げ、上条は驚きとっさに耳をふさぐ。
一瞬の間の後、少女は姉に答えた。

「研修中です」

「……っ」

御坂は苛立った様子で少女の手を取り引っ張る。

「おい妹、ちょろっとコッチに来てみよーかー?」

「いえ、ミサカにもスケジュールはありますと……」

「いいから、きなさい」

拒否する少女の言葉にかぶせる様に命令すると、御坂は一度上条の方を向く。

「んじゃ、私達こっちの道だから。アンタも寮の門限とか気にしなさいよ」

そう言うと、御坂は妹だと言う少女の手を引きその場から離れていった。

(複雑なご家庭なのかなぁ?)

上条が視た限りでは、御坂と少女は知らぬ仲というわけではなさそうだが彼女に妹が居たのなら、何故自分はソレを知らなかったのだろうかと上条は考える。

(妹も常盤台の制服を着ていたから年子か双子だろ?)
レベル5    レールガン
超能力者である『超電磁砲』こと御坂美琴にそんな存在がいるのなら噂の一つも流れてくるはずだが……?

「ダメだ、考えても判らん。俺ももう帰るか」

足元を見る。

「この大量のジュースを抱えてな、ハア不幸だ……」
290 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/05/06(日) 00:31:33.12 ID:f6YueRak0
短いですが今夜はここまでです。
続きはある程度はできてるので多分明日の月曜には投下します



トリつけ忘れてたorz
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/07(月) 01:07:14.71 ID:EIB+UnAB0
きてたー
やっぱ更新あると嬉しくなるな
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/07(月) 10:23:56.37 ID:+RdlpjqgO
>>287
マジですか!?ドキをムネムネしながら待ってます!
頑張ってください!
293 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/05/07(月) 23:47:59.25 ID:a8bWNJuL0
1です、これから投下します。
294 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/05/07(月) 23:50:03.60 ID:a8bWNJuL0
上条は大量の缶ジュースを抱えながら帰宅する途中、先程御坂に連れられて行ったはずの少女に出会った。
彼女がジュース缶を半分持ってくれると言うので、家までついてきてもらった。
上条が暮らしている学生寮の部屋の前までくると、そこでは同居人の双子が何やらせっせと作業していた。

「あ、とうまだ。とうまおかえり―――!?とうまが知らない女の人連れてる!!誰!?」

「お帰りなさい上条当麻、それと落ち着きなさい禁書目録。なお、彼女はその服装から食蜂操祈の関係者だと推測されます」

インデックスとヨハネの二人が上条に気付き駆け寄る。

「ただいまツインデックス、これお土産な。で、お前ら廊下でなにやってんだ?」

インデックスにジュースを手渡しながら訊く上条に、ヨハネが答えた。

「除虫効果のある薬用植物を置いていました」

丸い葉の草を手に、それをこちらに見せてくるヨハネに上条は重ねて問う。

「除虫?」

台所にGでも出たのだろうか。
しかしなら何故二人は通路で作業をしていたのか。
295 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/05/07(月) 23:51:25.45 ID:a8bWNJuL0
「スフィンクスにノミがいるみたいなんだよ。とうまのベッドも大変な事になっているかも」

「うわ、なんか体中がかゆくなってきた。それで、ソノ葉をスフィンクスに食べさせれば良いのか?」

抱えた三毛の子猫をこちらに見せながら答えたインデックスの言葉に、背中を掻きながら上条は訊く。

「いえ、これはセージの葉ですから。火をつけて煙を……」

そう言いながらチャッカマンを取り出したヨハネを止める。

「あー、止めとけ。警報がなっちゃうから」

「警報?」

上条が何を言ったのか解らないという様子のインデックスに、ヨハネが説明する。
       アガシオン
「つまり、例の使い魔に襲われる事になるということですよ、禁書目録」

「え!?ソレは嫌かも。でもじゃあどうしたらいいかな?」

と、ここで今まで会話に参加していなかった少女が口を挟んだ。

「ようは、猫に危害を加えず体の表面からノミを落とせば良いのですか。と、ミサカは確認します」

そう言った少女が片手を子猫に向けると、パラパラとノミがその体から落ちていった。

「特定周波数の電磁波です。このタイプの虫除け機械は学園都市で市販されているので安全面も支障ないでしょう」

そう言いながら少女は屈みこみ足元に缶を置いていく。
やがて自身が抱えていた缶が全て無くなると、立ち上がった。

「それでは、用が済みましたら。と、ミサカは別れの言葉をいいます」

立ち去っていく彼女の後姿を見つめながら双子は言った。

「とうまとうまっ、あれこそパーフェクトクールビューティなんだと思う。ね?ヨハネ」

「はい禁書目録、私とキャラが丸被りですね。なお、若干姫神秋沙にも同じことが言えると思われます」
296 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/05/07(月) 23:52:05.50 ID:a8bWNJuL0
翌日、御坂は一人バスに乗って学園都市の内部にあるとある施設へと向かっていた。

(アレさえ、壊せば……)

御坂が妹を名乗る少女の手を引き、上条当麻に声が聞かれない位には距離を取った先での少女との会話で彼女が知ったのは、実験はいまだに予定通り進行中という事だった。

(なんで!?どうして!?)

いや、そういえば食蜂も言っていた「他施設へデータが移送されて実験も引き継がれている可能性もある」と。
もしそれが複数に増やされていたら?自分が一つの施設を破壊する間に協力する研究施設が二ヶ所以上増えていたとしたら……
先日自分の眼の前であの子がコンテナに潰されて死んだのは第九九八二次実験、少女が語った先程終わったというのが第一○○二○次実験。
あの日からすでに38人の妹達が死んだのだ。

「いや……違う……私が、殺したんだ……」

様々な感情が溢れ、混乱した頭で彼女が最後にたどりついた答えは、『この実験をもっと根本から破壊する』ことであった。
そしてその為に選んだ手段は……
  ツリーダイアグラム   ハッキング
「『樹形図の設計者』に侵入する!!」
297 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/05/07(月) 23:53:39.95 ID:a8bWNJuL0

「もぬけのから……罠?」

第二十三学区宇宙開発エリア・樹形図の設計者送受信センター。
ここは世界最高のスーパーコンピューターである『樹形図の設計者』との唯一の窓口である最重要機密施設だ。
にもかかわらず何故かその内部には誰もおらず、その心臓部である交信室まで御坂は直ぐに入ることが出来た。

「例え罠でも、やるしかないのよ」

御坂が機械に手を当てハッキングを試みたその時、部屋のモニター画面に文字が浮かび、スピーカーからは何者かの声が聞こえてきた。
                   ゴールキーパー
『やめておけ、貴様はおろか噂に名高き『守護神』でさえも、この『私』という間違いなく世界最高のセキュリティを破るのは不可能だ』

御坂はその声を無視して再度ハッキングを試みた、しかしその結果は声の主が言うように失敗であった。

「アンタ、何者なの?」

忌々し気に訊ねる御坂に、声の主は答えた。

『世界最強のハッカーだ。そしてそれは『私』が世界最高のセキュリティであることを意味する』
298 :>>1 ◆aMcAOX32KD1b [saga]:2018/05/07(月) 23:55:29.68 ID:a8bWNJuL0
今夜はここまでです。
次回も一週間いないに投下したい。
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/08(火) 03:09:57.46 ID:Ve+smKpfO
このSS読んでみようかな思ったがキモくて無理だ
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/08(火) 09:07:45.59 ID:kogEahe8O
>>299
じゃあ読むんじゃねーよ
>>1のやる気削ぐなやKY
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/08(火) 22:05:30.48 ID:w5+J6pRWO
>>300
だから読んでないのに何を言ってるの君
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/08(火) 23:35:34.37 ID:Ghiko5Fho
おつおつ
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/09(水) 01:19:21.86 ID:VytU/RYkO
更新乙!
がんばってください
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/09(水) 07:55:54.79 ID:9BrCwNM5o
>>299
うん
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/09(水) 12:17:17.30 ID:pgNnqrXLO
今時KYとか死語使う時代遅れの可哀想な子がいる痛い作者のSSとやらはここですか?
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/09(水) 12:56:30.15 ID:VytU/RYkO
うわ、何か荒れてる…
お前らの荒らし白けるからやめーや
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/10(木) 11:02:42.74 ID:pNmnYqc+O
嫌ンゴ荒らすンゴ
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/10(木) 12:55:14.34 ID:iniQbdFpO
おっ、更新してた。
ゆっくり待ってるから、がんばってくれ
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/13(日) 07:38:20.83 ID:m03is8cq0
更新ありがとう
次も気長にマッテルーヨ
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/13(日) 16:30:06.09 ID:ft+Q1NNl0
乙!
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/13(日) 17:39:15.96 ID:2o156NfCO
秘書アプリも怖かったけど、個人的にはガチャガチャ人間が一番トラウマになってる…

マサオが被ってる…
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/14(月) 16:23:20.09 ID:iX96PiSP0
ひろし!!
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 18:45:44.43 ID:h6/NCHsUO
乙ー。救いのヒーローキター!
私がブタならお前はチキンだ、は俺の中では迷言となってるw
>>311 うさぎちゃんがネネちゃんを乗っとる話も何気に怖かったね。
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/15(火) 12:50:44.55 ID:i9kr3YLZO
>>313
わかる。殴られウサギシリーズはどれも怖い

最近(?)のだとあのウサギ、水に浸かると体を分解させて人間に寄生するからもう恐ろしいとしか言い様がない…
もう一種の魔術の類でいいよ、あれ…
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/15(火) 20:51:43.92 ID:LNPWLcqA0
人形に込められた呪いが意志を持ったって感じだよね、人形を痛めつけるって凄く有名な呪いの掛け方だし
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/19(土) 16:32:23.75 ID:fP8G3gybO
もう2週間になるけど…
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/20(日) 00:16:10.79 ID:WcoevkkuO
保守
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/22(火) 14:30:55.39 ID:Pi+WE09p0
木原ひろし
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/01(金) 17:57:17.24 ID:tf1QRL+K0
しんのすけの声が変わってしまうという寂しさ

でも長寿シリーズには避けて通れない道だし、今後長く続くかどうか重要なポイントだよなー
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/03(火) 16:59:35.81 ID:F5qcchJM0
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