天龍「ふと気になったんだけどよ。」

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123 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/08(月) 01:24:50.96 ID:gOSstOvn0
第3演習海上。
鎮守府にはいくつかの演習場がある。ここは鎮守府正面の海上で、ここが第3演習海上(会場の誤字ではない)に指定されている。
ブイとネットて仕切られており、演習中以外は格好の釣り場となっている。

海上には新型艤装を装着した天龍。そこから離れたところに大和、武蔵、清霜。互いに目視は出来ない距離にいた。

提督『戦闘範囲は互いの現在地を直径の両端とした円内。大破判定された者は早急に範囲外へ離脱せよ。何か質問は?』
124 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/08(月) 01:25:28.86 ID:gOSstOvn0
ー大和サイドー

大和「あの・・・。私達の直ぐ上にあるあれはなんでしょうか?」

大和が耳につけた通信機に手を当てながら空を見上げる。

秋津洲『あたしの開発した観測用ドローンかも!』

提督『こちらから皆の動きを見るためにセットさせてもらった。多少気になるかもしれないが我慢してくれ。』


天龍『成る程、ずっと見られているなら手は抜けねぇな。』

天龍の声に武蔵が笑った。

武蔵「ほぅ。私達を相手に手を抜く余裕があったのか。」

清霜「ふーん、そんなに新型はすごいんだ?」
125 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/08(月) 01:25:57.05 ID:gOSstOvn0
ー天龍サイドー

天龍「さぁ、そいつはどうかな。はじめれば直ぐにわかるさ。」

ニヤッと笑いながら右手の盾を水平に構える。小さな光が集束し、瑞雲が現れた

武蔵『面白い。せいぜい楽しませてくれよ。』
126 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/08(月) 01:26:59.85 ID:gOSstOvn0
ー提督サイドー

鎮守府の船着場に置いた長机。その真ん中の席には提督が、左には龍田が座っていた。右側には秋津洲が妖精と一緒にドローンを操作している。その直ぐ後ろには折り畳みの椅子を手にした日向が立っていた。

机にはモニターが置かれており、ドローンの映像が映っている。

提督「天龍の奴、さっきよりも良いみたいだが、日向。何か話したのか?」

日向「なに、私の艦載機と妖精を何人か貸しただけさ。あと、航空戦艦としての矜持を少々な。」

微笑みながら椅子を開いて提督の隣に腰掛けた。

秋津洲「それじゃあ、演習始め!」
127 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/08(月) 01:27:52.06 ID:gOSstOvn0
推奨BGM ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 第4楽章


ー大和サイドー

秋津洲の合図を聞いたところで武蔵が主砲を構えた。

大和「初手から主砲はどうかと思うのだけど。」

武蔵「だろうな。まぁ、挨拶の様な物さ。」

ニヤッと笑いながら距離と角度を定める。
大和も小さく息を吐きながらも微笑んだ。

武蔵「撃てぇ!」

46センチの三連装砲が轟音を立てた。

清霜「おー!流石武蔵さん!」

武蔵「喜んでいる暇はないぞ、どうせ当たらん。行くぞ。」

武蔵を先頭に、清霜、大和と単縦陣で前進した。
128 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/08(月) 01:28:43.23 ID:gOSstOvn0
ー天龍サイドー

秋津洲の合図と同時に瑞雲が2機発艦した。

天龍「そんじゃあ頼むぜ!」

妖精1「 リョウカイ。」
妖精2「サーイエスサー!」

上手く発艦できた事で安堵の笑顔になった天龍。
それと同時に面舵を取り船速を上げる。数秒後、天龍がもともといた地点を砲弾が襲った。

天龍「あっぶね・・・。流石大和型ってか?」

表情を引き締め直し、前に視線を戻した。大体の場所は予測できる。あとは偵察機の報告待ちである。
129 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/08(月) 01:29:55.38 ID:gOSstOvn0
ー提督サイドー

提督「上手く発艦したな。軽巡でも艦載機が有効に使えるなら、確かにあの装備は悪くない。」

提督の言葉に龍田は胸を撫で下ろした。とりあえず艤装の有用性はある事が証明されたからだ。

日向「あとは天龍がその性能を上手く使えれば・・・だな。」

提督「そうだな。たとえ有用だとしても使いこなせない様な代物では意味がない。」

秋津洲「でも、天龍さんって艦載機使うのって初めてかも?」

提督「だからこそ、どんな使い方をするかも含めて演習を見なければな。」
130 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/08(月) 01:30:46.22 ID:gOSstOvn0
ー大和サイドー

大和「電探に感あり。これは・・・飛行機?」

武蔵「なに?」

大和の報告に武蔵が足を止めて振り返った。

清霜「え、でも天龍さんって搭載数0じゃないっけ?」

武蔵「なるほど。それが新型の新たな機能と言ったところか。ではこちらも観測機を飛ばそう。」

武蔵が腕を伸ばすと小さな光が集まり、零式水上観測機を成した。
131 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/08(月) 01:31:43.26 ID:gOSstOvn0
※ここからは一部、イメージでお送りします。

2機の瑞雲が大和らを捉えた。丁度足を止め、武蔵が観測機を発艦させようとしている所だった。

妖精1「3隻。単縦陣だ。艦載機を発艦させようとしている。」

妖精2「叩くなら今しかありません。」

妖精1「我々は偵察が任務だ。」

妖精2「しかし、敵の艦載機が発艦してしまったら!」

妖精1「手柄の無いのをあせる事はない。」

熱り立つ妖精を落ち着いた声で窘める。だが、並走していた筈の瑞雲が加速し前に出た。

妖精1「おお!?待て、何をする!」

妖精2「日向さんだって、海戦で勝って手柄をたてて航空戦艦になったんだ。」

妖精1「貴様、命令違反を犯すのか!?やめろ!」

妖精2「手柄を立てちまえばこっちのもんよ!」
132 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/08(月) 01:33:01.23 ID:gOSstOvn0
ー大和サイドー

大和「!?1機が急速接近!2人とも警戒態勢!」

武蔵「む!見えた、あれだ!」

水上観測機を腕に乗せたまま逆の手で空を指差した。高度を下げながら近づいてくる。

妖精2「ハヤイホド イイッテネ!」

清霜「清霜に任せて!対空防御!」

武蔵の前に出た清霜が2連装の機銃を掃射する。その数発が瑞雲の翼を撃ち抜いた。

妖精2「ウワァー!」

瑞雲はバランスを崩し、回転。そのまま空中で爆発した。

清霜「よし!」

武蔵「見事だ。さすがだな。」

清霜「えへへ。」

瑞雲を撃墜した清霜の頭を武蔵が撫でる。頬を少し赤く染めながら清霜がはにかんだ。




妖精2「マスクガ ナケレバ ソクシダッタ。」ウキワ プカー
133 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/08(月) 01:34:17.17 ID:gOSstOvn0
書き溜めはここまで。

なんか最初に考えてた話からだいぶズレてきてるんだ。
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/08(月) 11:41:19.00 ID:ScqH2iHOo
おつ
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/08(月) 12:05:25.77 ID:T5jRUZd40
そうか、とにかくガンバ
136 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/15(月) 23:53:07.90 ID:+69CsJCW0
ー天龍サイドー

天龍「二番機がやられた?」

妖精1『サーセン。』
妖精2『デモ イキテルヨ。』

天龍「チッ。だが場所は分かった。仕掛けるぜ。」

天龍が足をとめ、盾を構えた。

天龍「一番機は帰投、補給だ。三番機瑞雲及び七番から十二番機の九九式艦爆隊、順次発艦!」

妖精3『オウ マカサレテ。』
妖精7『パイロットトシテモ イイトコロヲ ミセテヤラニャアナ。』
妖精8『イカ リャク。』
妖精9〜12『『ナニー!?』』

構えた盾から、計7機。瑞雲を先頭に隊列を組んで飛び上がった。

天龍「よし。そんじゃあ俺もいくぜ!」
137 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/15(月) 23:54:15.53 ID:+69CsJCW0
ー提督サイドー

提督「艦爆か。ここまでくると並の軽空母に匹敵するか?」

日向「そこまではいかないだろう。だが他の航空巡洋艦よりも使い勝手が良いかもしれないな。」

発艦する映像を見て感心する。
恐らく戦闘機や偵察機も発艦可能なのだろう。それだけ戦闘での手札が増えるわけである。

秋津洲「んー、なんか器用貧乏かも?」

提督・日向「「確かに。」」
138 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/15(月) 23:55:29.86 ID:+69CsJCW0
ー大和サイドー

大和「今のは瑞雲でしたね。」

墜ちていく様を見ていた大和がいった。
それを聞いた清霜が身震いする。

清霜「それは流石にマズイんじゃないですか?」

瑞雲は対空、爆撃、偵察と多芸な艦載機である。これが複数くるなら、確かに面倒な相手だ。

武蔵「だろうな。ならこいつには荷が重い。はやく天龍の位置を特定しなければな。」

大和「残った一機が去っていった方角を考えるなら、取り舵です。」

武蔵「ああ。行くぞ。」

水上観測機を消し、船速を上げた。それに大和と清霜が続く。
139 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/15(月) 23:57:03.80 ID:+69CsJCW0
方向を変えすぐである。大和の目付きが変わった。

大和「電探に新たな感あり、数は7!先ほどの1機とすれ違い、そのままこちらに接近!」

武蔵「よし。その程度ならば迎撃できる。ここで全機落とすぞ!対空戦用意!」

武蔵の合図で清霜が武蔵の左舷に、その清霜を挟むように大和も前に出た。所謂単横陣のような形である。
3人とも対空の機銃を起動させ、いつでも撃てる状態で並走した。

大和「!瑞雲じゃありません!爆撃機です!」

武蔵・清霜「「!?」」
140 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/16(火) 00:00:00.91 ID:ewOay8A/0
ー天龍サイドー

妖精1「タダイマー。」

天龍が構えた盾に瑞雲が着艦した。そしてそれは光となって天龍の盾に吸い込まれていく。

天龍「よし。三番機からの観測情報では・・・。」

天龍が目を閉じた。頭に搭載されている2つの艤装がピコピコ動く。

天龍「こっちか。」

カッと目を見開く。正面からやや右、上空に戦闘機と海面に3人の姿が揺れる波の隙間から見えた。

天龍「思ったより近くに来てたか。ここからなら!」

進行方向をやや左に変え、盾をやや右、射角を上げる。

天龍「当たれよ!」

単装砲が火を噴いた。
141 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/16(火) 00:01:01.61 ID:ewOay8A/0
ー提督サイドー

提督「天龍が先に補足したな。」

龍田「天龍ちゃん、いつもはもっと鈍いのだけど今回ははやかったわね。」

日向「互いに予想していた位置と若干ズレているのだろう。艦載機の分だけ天龍がはやかったな。」

モニターには盾を構えた天龍と、対空機関砲を構える大和らがそれぞれ映っていた。

机の上に提督が一枚の紙を広げた。そこに1つ、少し離れた所に3つ人形を置き、3つの人形の正面に小さな三角形を一つ置く。

秋津洲「航路はこうかも。」

ドローンを操作していた秋津洲がその紙に二本、線を引いた。

日向「成る程。大和らが少し左に寄りすぎたか。電探にはかかってそうなんだが?」

提督「航空機に気をとられすぎたな。先制は天龍か。」

龍田(頑張れ、天龍ちゃん!)
142 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/16(火) 00:02:10.59 ID:ewOay8A/0
※ここからはまた、一部イメージでお送りします。

瑞雲を中心に左右に3機ずつ九十九式艦上爆撃機が続く。V字の編隊で大和らを目視で捉える距離まで来た。

妖精7「よっと。やってみるか。」

左翼側の3機が高度を落とす。目標は相手右翼、武蔵だ。

妖精3「艦爆隊かい?はやい、はやいよ!」

軌道を下げた3機のうち、先頭の1機が爆弾を投下。だがそれは武蔵には届かず、その手前で水柱を上げた。

妖精8「こういう時、慌てた方が負けなのよね。」

今度は残りの3機が相手の左翼、大和へとむかった。

妖精3「よーし、なら俺は・・・!」

瑞雲が急激に高度を下げた。そのすぐ上を機銃が掃射した。あと少しタイミングが遅ければ躱せなかっただろう。
海面すれすれを飛ぶ。そしてそのまま下部に搭載された魚雷を落とした。
143 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/16(火) 00:06:38.54 ID:ewOay8A/0
ー大和サイドー

武蔵の目の前で水柱が上がった。

武蔵「フッ・・・。どこを狙っている?対空迎撃開始、掃射!」

はじめは驚いた3人だが、すぐに冷静になり機銃を発射した。その攻撃は左右に広がった爆撃機を1機ずつ落とした。

妖精ズ「「コレデ オワリカヨー。」」ウキワ プカー

それを受けて爆撃機は隊列を解き散開する。
しかし瑞雲だけは正面、海面スレスレのままだった。

清霜「きゃぁっ!雷撃!?小破判定!」

妖精3「ヤッタァ!」ドヤァ

瑞雲の放った模擬魚雷が清霜に当たった。破裂した魚雷からは激しく白い煙が上がる。小破判定となった艤装が、清霜の身体に自動で重圧をかけた。その影響で若干動きが鈍る。

武蔵「大丈夫か?」

清霜「大丈夫、まだ行けます!」

大和「でしたらこのまま、ッ!」

機銃を停止した大和が左手にしていた傘を真横に振った。

小さな炸裂音。

模擬弾とはいえ、弾速は実弾と同じである筈の砲撃。それを目で見てから傘で弾いたのだ。

大和「目標補足!方向角、艦首基準に約300!」

大和が声をあげ、右手で指差した。その先には盾を構えた天龍が、こちらへと向かってきているのが見えた。
144 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/16(火) 00:08:04.54 ID:ewOay8A/0
書き溜めはここまで。

あれ?おかしいなぁ。最初はギャグっぽい予定だったのに、なんか普通にガチでバトってる。
145 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/24(水) 02:35:34.61 ID:8iRHZtcB0
天龍「チィッ、流石は大和だ。だが、まだまだ行くゼェ!」

2発目、3発目と今度は武蔵を狙い、更に速度を上げた。

武蔵「ほぅ、面白い!大和、対空は任せた。清霜、雷撃戦用意!」

ニヤリと笑う武蔵が単装砲の砲弾を手の甲で容易く弾き、大和と清霜へと指示を出す。

清霜「了解、清霜に任せて!」

清霜が武蔵の左舷側へと並んだ。魚雷の狙いを天龍へと合わせる。

大和「程々にね。」

大和が視線を天龍に向けたままで、武蔵等とは逆方向へと機銃を斉射した。それを受けて、隊列を組み直していた艦載機らは再度散開してしまう。

妖精7「オレトシタコトガ マッタク ドジナコトヨ。」
146 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/24(水) 02:36:21.26 ID:8iRHZtcB0
武蔵「今度はこちらの番だ。清霜、魚雷発射だ。そしてこの主砲の力、味わうが良い!」

武蔵の左右の三連装砲がタイミングをずらして火を噴いた。海面と空気を激しく揺らす程の衝撃。それと合わせるように清霜が魚雷を発射する。

天龍「!?」

一撃目の三連装砲は天龍には当たらず、海面に着弾。激しく水柱を上げた。その威力は絶大で、夾叉ですら無いにもかかわらず、揺れる海面に姿勢が乱れた。

なんとか態勢を立て直した天龍。だがそのすぐ足元には魚雷が見えた。それと同時に2撃目が届く。

天龍「こんのぉ・・・!!」

炸裂音と白煙、そして激しい水柱が上がった。

清霜「ヤッタァ!!」
147 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/24(水) 02:37:13.35 ID:8iRHZtcB0
大和「いえ、まだです!

電探の反応を見た大和が声を上げた。

天龍「コンチクショウがぁー!!!」

大和・武蔵・清霜「「「飛んだぁー!?」」」

白煙と水柱を斬り裂き、背中に漆黒の翼を広げた天龍が高速で文字通り飛んだ。

清霜「なにそれズルーい!」

天龍「うるせぇ!いくぞぉ!!」
148 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/24(水) 02:38:31.00 ID:8iRHZtcB0
左手に刀を抜いた天龍が右腕の単装砲をはなつ。狙いは清霜だが、当てる気は無い。
そもそも飛びながらの砲撃など初めてである。放たれた砲弾は予想通り海面を揺らすだけだ。

故にあくまで牽制。だが効果はあり、清霜は目を瞑り、防御の態勢をとっている。
ならば、目標はただひとつ。

天龍「はああぁぁ!!」

だが全力で振り下ろすその一太刀は、武蔵の艤装に食い込むだけで、斬り裂くには至らなかった。

武蔵「フ・・・、正直驚いたぞ。大したものだ。」

刀を持った天龍の腕を握る。軽巡の天龍にはそれを振り払う馬力は無い。

天龍「ヘッ・・・お前が褒めるなんて、珍しいじゃねぇか。」

艤装の翼が閉じ、ゆっくり海面へと降り立つ。

武蔵「それだけの力を発揮したんだ。素直に賛美を受け取れ。その艤装だけの力では無い、お前自身の腕前だ。」
149 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/24(水) 02:39:16.81 ID:8iRHZtcB0
武蔵が笑顔で右手を握る。

天龍が微笑み目を閉じる。

そして天龍は気を失った。
150 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/24(水) 02:40:24.19 ID:8iRHZtcB0
ー提督サイドー

日向「勝負あり、か。」

提督「まぁ、順当だな。日向、艦載機らの着艦を頼む。大和、武蔵、清霜、ご苦労だったな。すまないが、大和は天龍を船渠まで頼む。他の2人はこっちへ。」

日向「わかった。」
大和『了解しました。』
武蔵『ああ。』

武蔵が抱えていた天龍を受け取り、ゆっくり船渠へと向かう。武蔵と清霜は大和とは離れ、提督らの方へと向かった。

提督「龍田、天龍の方へ向かってやれ。」

龍田「はーい。」

返事をした龍田は足早に船渠へと向かった。平常を粧うが、内心、天龍の事が心配だった。

秋津洲「もっと素直になればいいかも。」
151 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/24(水) 02:41:22.25 ID:8iRHZtcB0
提督「で、だ。どう思う?」

飛行甲板を手に、艦爆らを着艦させている日向にたずねた。

日向「ん・・・まあ、私的にはありだと思うよ。天龍も思ったよりうまく使えてたじゃないか。」

提督「まあな。だが・・・なぁ。」

提督が軽く頭を抱えた。

武蔵「どうした?浮かない顔だな。」

清霜「何、何?司令官、どうしたの?」

船着場に着き、陸に上がった2人が寄って来た。

提督「ご苦労だったな。清霜は入渠しなくて大丈夫か?」

清霜「余裕、余裕。で、何なの?」
152 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/24(水) 02:42:45.66 ID:8iRHZtcB0
提督「とりあえずこいつを見てくれ。」

提督が1枚の紙を机の上に置いた。皆がそれを見る。紙には数字が書かれていた。

秋津洲「なんか数字がいっぱいかも?」

武蔵「これは何の数字だ?」

提督「今の一戦が実戦だった場合、消費されると予想される資材の量だ。妖精さんが計算してくれた。」

日向「ふむ。まぁ戦艦2隻だからな。これぐらいは普通じゃないか?」

提督「・・・これ、天龍1人分だ。」



日向・武蔵・清霜・秋津洲「・・・え。」



この瞬間、あの艤装は封印される事が決定した。
153 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/24(水) 02:43:38.05 ID:8iRHZtcB0
書き溜めはここまで。

唐突に安価 下1と2
1武蔵とお酒
2マルフォイ大尉の軍事演習
3外周走ってる3人組
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/24(水) 04:12:41.57 ID:DASaJuEj0
3
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/24(水) 05:28:25.40 ID:6yCOQYQKO
3
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/24(水) 07:09:23.99 ID:/Cwvsh7mO
1
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/24(水) 13:37:18.97 ID:LUeaOUvDO

ショスタコ5番でワロタ。
この曲大スキ
158 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/29(月) 22:39:07.97 ID:CBN/iD8Z0
夕張「あー・・・疲れた・・・。」

全身から汗を流しながら夕張が日陰に腰を下ろした。提督に与えられた罰として、100周3セットの内、1セット目を終わらせた所である。因みにタイム的に比較するなら、男子フルマラソン世界記録より30〜40分ほど速い。

夕張「このペースなら何とかお昼までには終わるかな。」

演習場側に設置してある給水機からスポーツドリンクをコップに注ぎ、一気の飲みほし息を吐いた。肩を回すと若干筋肉が軋んでいる気がする。

北上「お疲れー。やっぱ100周はキツイねぇ。」

手を軽くヒラヒラさせながら北上もやってきた。
159 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/29(月) 22:40:07.61 ID:CBN/iD8Z0
北上「使う?」

夕張「あ、ありがとう。」

首にかけていたタオルとは別に、一枚手にしていた大きめにタオルを夕張に差し出した。
ありがたく手にし、汗を拭う。

北上「そろそろ演習の用意が出来る頃かな?」

夕張「そうだね。あー、艤装の性能直に見たかったなー!」

手にしたタオルを大きく振り回しながら伸びをする。そこでふと疑問が浮かぶ。

夕張「なんか・・・北上、余裕?」

北上「ん〜?いやぁ流石にキツイよー。」

ヘラヘラ笑う北上。言葉とは裏腹にそれほど汗をかいている様にも見えない。

北上「それより明石は大丈夫かな。」

夕張「あー、大丈夫じゃないかも。速度も遅いし、戦闘用じゃないもんね。」

明石「心配はご無用です!」
160 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/29(月) 22:41:46.04 ID:CBN/iD8Z0
明石の声に2人が振り返ると、そこにはサッカーボールの上に立つ明石の姿があった。

夕張「・・・えー。」
北上「成る程、その手があったか。」

参考画像
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame
161 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/29(月) 22:42:40.78 ID:CBN/iD8Z0
162 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/29(月) 22:43:28.58 ID:CBN/iD8Z0
夕張「それはズルくない?」

明石「提督は100周『走れ』とは言ってません。セーフです。」ドヤァ

夕張「いや、確かにそうだけど。」

反論する夕張にドヤ顔で答える明石。

北上「でも、それはヤバイかもね。あ、ほら。」

北上が指をさす。その方向に目を向けると、1人、凄い勢いでこちらに走ってくる姿が見えた。
163 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/29(月) 22:44:03.94 ID:CBN/iD8Z0
推奨BGM 燃えてヒーロー

夕張「あ〜〜〜!と、遠くから走ってくるあの姿は〜〜〜!?」

北上「せ、戦艦日向だ〜〜〜!」

明石「なにィ!」

3人の視線が日向に集中する!

日向「くらえ!!これが瑞雲ショットだ!」

まだボールからは遠いにもかかわらず、シュートの体勢だ!

北上「このままじゃあボールが遠くに蹴り飛ばされてしまう!」

明石「くそー、体のどこかにあたってくれー!」
164 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/29(月) 22:44:39.53 ID:CBN/iD8Z0
夕張「あ、明石がボールを日向に向かって蹴った〜!?」

北上「そうか、ボールを蹴ることによって、シュートのタイミングをズラそうとしてるんだ!」

日向「フ、無駄だ!くらえ!タイガーショット!!」

夕張「タイガーって言っちゃったよ、この人〜〜!?」

明石「うわー!」

明石、ふっとばだれたー!

明石「・・・ぐふ。」
165 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/29(月) 22:45:55.95 ID:CBN/iD8Z0
夕張「って何なのいきなり!?」

日向「いや、すまない。なぜかサッカーボールを見たら蹴らなければいけない衝動に駆られてしまって。」

椅子を手にした日向が頭を下げた。その足元では明石が気を失っている。

北上「あ〜いいよいいよ。日向さんは椅子なんか持ってどうしたの?」

日向「ん、これから天龍の演習らしいんだ。それを見に行こうと思ってね。一緒に行くか?」

夕張「行きたいのは山々なんですけど、私たちあと200周、走らないといけないんで。」

日向の誘いを心底残念そうに断る夕張。それを見て日向も何かを察した様に笑った。

日向「まぁ、新たな開発や改造も程々にな。」

北上「あ、あとでどんな感じだったか教えてくださいねー。」
166 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/08/29(月) 22:46:57.93 ID:CBN/iD8Z0
書き溜めはここまで。

これがやりたかっただけ。若干後悔してるかもしれない気がする。
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/30(火) 07:54:10.75 ID:6w2ye34kO
おつ
168 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/09/05(月) 01:13:02.48 ID:Ei+Xz1Ts0
夕張「ハァッ、ハァッ、ハァッ!」

息を切らせながら夕張が走る。
あの後、気を失った明石を運ぶ北上と別れ、さきに2セット目を走っていた。

当然にように、世界記録ペースである。

北上「よーし、追いついたっと。」

夕張「ウェイ!?」

走る夕張の後ろから北上が声をかけてきた。驚き変な声が出てしまったが、何とか息を整える。

夕張「ちょ、速くない!?」

北上「いやいや、そんな事ないよー。」

やはりヘラヘラ笑う北上。

??「私より速く動けるつもりかい、お嬢ちゃん?」
169 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/09/05(月) 01:13:44.64 ID:Ei+Xz1Ts0
声に反応した2人が振り返る。後方から超高速で接近する姿があった。

島風「速きこと島風の如し、です!」

何故か走っていた島風が先を走る2人に追いつき、並ぶ。そして視線が交差する。

島風「フッ・・・おっそーい。」ドヤァ

そして2人を追い越した。

夕張「あー、やっぱり速いなぁ。」ハァ ハァ

北上「あぁ、うざい。」ボソ

島風に抜かれたことで、北上の表情が変わった。どうやら若干プライドに触れてしまったらしい。

夕張「ちょ!?」

北上「あっはっは・・・。大丈夫、大丈夫。ちょっと本気出すわ。」
170 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/09/05(月) 01:14:22.02 ID:Ei+Xz1Ts0
北上がヘラヘラ笑った後に地面を強く踏みしめ、大地が破れた。

夕張「ファ!?」

北上「その最速のプライド、ギッタギッタにしてあげましょうかね!」

服の色がいつもの濃い緑からベージュへと変わる。それと同時に更に速度が上がった。
171 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/09/05(月) 01:15:14.49 ID:Ei+Xz1Ts0
島風「オゥッ!?」

北上「ほーら、追いついたっと。」ニヤッ

前を走っていた筈の島風の隣を北上が走っていた。ニヤッとする北上を見て島風が驚愕する。

島風「追いつかれた!?」

北上「遅い遅い、追い越しちゃうよ〜。」

島風「私が遅い?・・・私がスロゥリィ!?冗談!私には誰も追いつけないよ!」

島風が更に速度を上げた。北上が若干表情を厳しくするも、やはり笑顔のままだ。

北上「なんの、まだまだ!」

北上も更に速度を上げた。それを見て島風もまた、笑顔になる。

島風「にひひっ、まっけないよー!!」






夕張「ちょ、待ってーよ!!」
172 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/09/05(月) 01:16:06.46 ID:Ei+Xz1Ts0
書き溜めはここまで。
北上さんはかわいい。

安価下1〜2
居酒屋にいた娘。複数可。
ただし、駆逐艦はバーカウンターがお酒の娘限定。
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/05(月) 01:22:35.92 ID:yUujD/2AO
赤城
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/05(月) 01:47:24.00 ID:l48HoF+qo
鬼怒
175 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/09/12(月) 08:34:08.74 ID:l0Rdb3fMO
数日後、武蔵非番前日。

夜になり日付変更が近くなると、夜勤の艦娘を除き殆どが寝静まる。そんな時間に居酒屋鳳翔をおとずれた。

提督「失礼。予約をしていたんだが、遅くなってしまってすまない。大丈夫か?」

扉をあけ、暖簾を潜り中へと入った。すぐ後ろには武蔵が続く。

鳳翔「お待ちしてました。どうぞ。」

満面の笑みで出迎えてくれた鳳翔が調理場から軽く会釈し、すぐ正面のカウンター席へと促した。

赤城「!?提督、こんな時間に居酒屋とは珍しいですね。」

提督「ああ。奢る約束でね。」

先に来ていた赤城の左側に、1席開けて座った提督。その直ぐ左に武蔵が座った。
176 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/09/12(月) 08:34:41.14 ID:l0Rdb3fMO
武蔵「そういう赤城も、1人で居酒屋とは珍しいじゃないか。加賀は?」

赤城「加賀さんは明日、外洋での航空戦訓練があるので、先に上がりました。」

笑顔で答えながら、何か紙に書き鳳翔へと差し出した。

鳳翔「?・・・!フフフ、わかったわ。」
『注文した料理、キャンセルお願いします。』

笑った鳳翔が赤城に小さな小鉢を差し出し、顔を寄せ耳打ちする。

鳳翔「提督さんの前で沢山食べるのは恥ずかしいものね。」

意地悪に微笑む鳳翔。赤城は小さく俯きながら頬を僅かに赤らめた。
177 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/09/12(月) 08:35:13.59 ID:l0Rdb3fMO
鳳翔「こちら御通しとなります。それでは、今日のお品書から御注文がお決まりましたらどうぞ。」

鳳翔が小さな小鉢と、メニューの書いた紙をそれぞれ差し出した。

小鉢の中身は胡瓜、茄子の浅漬け。漬かり具合も良く、ほのかに塩の香りがする気がする。

武蔵「それじゃあ、早速、特急酒の棚から」

提督「二段目の左から三番目で頼む。」

武蔵が頼むのを遮り提督が先に注文した。
その注文を聞いて、鳳翔が察して、微笑んだ。逆に武蔵が若干だがムッとする。

武蔵「私はここの特急酒が特に好きなんだが・・・。」

提督「勘弁してくれ。ここの特急は上等な代わりに値が張るんだ。それに、約束は一等級だろう。」

武蔵「それはそうなんだが・・・。」

残念そうにする武蔵。

鳳翔「そんなに残念がらなくても良いと思いますよ?」
178 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/09/12(月) 08:36:04.09 ID:l0Rdb3fMO
微笑みながら鳳翔が大き目の徳利を1つ、お猪口を2つ、提督と武蔵の間に置いた。

武蔵「?お猪口が2つ・・・?」

武蔵が疑問を口にする。てっきり飲むのは自分だけだと思っていたからだ。

鳳翔「先程注文をされたのは、提督が口にする数少ないお酒の内の1つです。」

武蔵「なに?提督は下戸ではなかったのか?」

提督「下戸じゃない。ただ、好き好んで飲むほど強くないだけさ。」

驚く武蔵に、苦笑いしながら酒を注ぐ。

提督「滅多に飲まん。だからこれで許せ。」

お猪口を差し出す提督。それを聞いた武蔵も満面の笑みでお猪口を手にした。

武蔵「成る程、ならこれは特急以上の価値かもしれんな。」

小さくお猪口を鳴らし、2人で酒を煽った。口の中を優しい甘みが広がっていく。
179 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/09/12(月) 08:36:36.92 ID:l0Rdb3fMO
武蔵「ふむ、甘いな。こういうのも偶には良いな。更に隣に色男がいるのだから、気分も良くなる。」

妖艶な笑みを浮かべながら小さく息を吐いた。

提督「茶化すな。褒めてもこれ以上良い酒は奢らんぞ。」

武蔵「つれないな。別に世辞のつもりは無いんだが。」

武蔵が視線を提督の隣にいる赤城へと向ける。若干頬を膨らませているように見えた。
それを見てニヤッとする。

赤城「むー・・・。」

鬼怒「こんにちは・・・ってあれ?なんか修羅場っぽい雰囲気?」
180 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/09/12(月) 08:37:31.39 ID:l0Rdb3fMO
提督「鬼怒か。遠征任務ご苦労だったな。報告書は明日までだろ?大丈夫なのか?」

入店してきた鬼怒に提督が振り返りながらたずねた。鬼怒は笑顔で両腕をグッと握る。

鬼怒「大丈夫!もうある程度は出来てるから、明日の朝には出せるよ!ただ・・・。」

元気良く答えた所で今度は肩を落としてげんなりする。

鬼怒「報告書書き終わる前に寝ちゃって、そのまま夕飯食べ損ねちゃってさぁ〜。お腹すいた〜。」

提督と赤城の間の席に座ってぐでーんとのびた。

鳳翔「フフフ、お疲れ様。それじゃあ、今日のメニューには入れて無いけど軽く何か作るわね。」

鬼怒「うぅぅぅうやったぁー!」

鳳翔「赤城も食べる?」

赤城「あ・・・じゃあ軽めにお願いします。」
181 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/09/12(月) 08:38:20.67 ID:l0Rdb3fMO
書き溜めはここまで。
182 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/09/25(日) 23:54:12.54 ID:APEggzmN0
鳳翔「お待たせしました。」

豆腐ステーキ
厚揚げ
煮豆
豆ご飯

鬼怒「・・・。」(・_・)

鳳翔「あ、あれ?」

鬼怒のリアクションを受け、戸惑う鳳翔。笑う武蔵。赤城は早速手を合わせた後に食べ始めた。

赤城「とても美味しいです。」

鬼怒「なんで豆ばっかりなんですか?」(・_・)

鳳翔「えーっと・・・阿武隈ちゃんが、『鬼怒には豆が一番だよ。』って。もしかしてお豆、嫌いだった?」

鬼怒「いえいえ、別に嫌いじゃ無いですよー?」(・_・)

提督「あー、あれだ。名前との関係だな。」

鳳翔「名前・・・?あ・・・。」

鬼怒「いえいえ、鳳翔さんは何にも悪く無いですよー。いただきまーす。」(・_・)

手を合わせ、箸を持ち料理を口に運んだ。

鬼怒「ウマー!!」Σ(°Д°)
183 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/09/25(日) 23:55:13.66 ID:APEggzmN0
鬼怒「え、ちょ、これマジパナイ!」

すごく興奮しながら箸を進める鬼怒。それを見て鳳翔も嬉しそうに笑った。

鳳翔「喜んでもらえて良かったわ。提督と何か御注文しますか?」

提督「では、天ぷらの盛り合わせを2人分。」

武蔵「では、私はサラミとチーズだ。あと、追加で特急酒の棚のアレを一杯頼む。この一杯だけは別料金で払うよ。」

提督「支払いが別だと面倒だ。まとめて払うから一杯だけにしておいてくれ。」

お品書きを閉じながら注文した武蔵に、お猪口を呷った提督が言った。

武蔵「む、だがそれでは約束と違う。」

提督「気にするな。俺は明日も仕事があるからここにそれほど長くは居れん。その詫びという事にしておいてくれ。」

そう言った提督の顔は既に若干赤くなってきていた。
184 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/09/25(日) 23:55:57.62 ID:APEggzmN0
武蔵「本当に弱いんだな。」

武蔵がククッと笑う。それを見て提督が若干だがムッとした。

提督「体質なんだから仕方が無い。」

鬼怒「アレ!?提督がお酒飲んでる!?」

武蔵「なんだ、今気付いたのか?」

食べ終わった鬼怒が提督と武蔵を見て驚いた声を上げた。

鬼怒「知らなかったよ!え、武蔵さんと赤城さんは知ってたの?」

武蔵「私はついさっき知った。」

赤城「私は知ってましたよ。」

武蔵が赤城を見てムッとする。赤城も武蔵を見てドヤっとした。

提督「秘密では無いんだが、できれば他言しないで欲しい。特に一部の蟒蛇共に知られたらろくな事にならん。」

鬼怒「えー、どうしよっかなー?」

鬼怒が悪戯っぽく笑う。

提督「今回の飯代は奢る。」

鬼怒「やったぁぁ!鳳翔さん、私も提督と同じお酒ちょうだーい!」

鳳翔「フフフ、ちょっと待ってね。」

赤城(お腹すいた・・・でも提督の前でガツガツ食べるのは・・・ううぅ・・・。)

しばらくして提督が帰った所で赤城の食欲が爆発したのは別のお話。
185 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/09/25(日) 23:58:06.21 ID:APEggzmN0
書き溜めはここまで。
>>1 はリアルに下戸なんで、酒や居酒屋とかはよくわからん。


安価下1〜2
1加賀さんの外洋訓練
2二日酔い提督
3激おこ鬼怒VS阿武隈
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/26(月) 00:10:31.50 ID:cHBzPdjAO
2
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/26(月) 00:10:47.98 ID:PB7qaAZzo
2
188 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/09(日) 22:56:03.91 ID:pO90v3R/0
明朝

提督「・・・あ〜・・・気持ち悪りぃ・・・。」

日が昇るか否かの時間に目覚めて第一声がこれである。

提督「とりあえず顔洗おう・・・。」

ベットから降り布団を畳み、提督室に設置してある洗面所で顔を洗った。
目がハッキリと覚めはじめた所で髪など見出しも整える。

提督「朝は・・・これだけでいいな。」

部屋に備え付けられている冷蔵庫からスティック状の栄養食を一本食べ、牛乳をコップ一杯飲んだ。
普段は、食堂なり自炊するなり、もっとちゃんとした物を食べているが、呑んだ翌朝はいつもこうである。
この1本で満足するしかねぇ。

軽く体をほぐした後に、いつもの軍服に着替えて部屋を出た。廊下には既に日差しが差し込んできている。

提督(・・・翌日のこれさえ無ければ、酒も悪くは無いんだがな。)
189 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/09(日) 22:57:54.79 ID:pO90v3R/0
執務室へと向う廊下で5人の艦娘に出会った。皆が提督に気付く。

暁「司令官、ごきげんようです。」
響「おはよう、司令官。」

提督「おはよう。今日はタンカーの護衛だったな。」

夕張「データもバッチリよ。」

元気に手を挙げる暁。軽く帽子をかぶり直す響。夕張は提督に向かって親指を立てる。

雷「あ、司令官、ちょっと屈んで。」

雷に言われ、少し膝を曲げる。雷が提督の首元に手を伸ばした。

雷「ほら、襟が歪んでるわ。」

電「珍しいのです。雷ちゃんのお世話になるなんていつ何日振りですか?」

笑顔で襟を直す雷と直される提督の姿に電が笑った。
確かにこんなヘマは飲んだ翌日くらいしかしない・・・多分。

提督「私だって万能じゃ無い。たまにはこんなミスもしてしまうさ。ありがとう。」

苦笑いしながら雷の頭を撫でた。
190 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/09(日) 22:58:47.53 ID:pO90v3R/0
雷「もーっと私に頼っていいのよ!」

夕張「さぁ、みんなそろそろ格納庫に向かうわよ。」

夕張を先頭に提督の方向とは逆へと歩き出した。一番後ろを歩いていた響が提督の袖を軽く引く。
僅かに屈んだ提督の耳元へと背伸びした。

響「次に呑む時は私も誘ってほしいな。」

提督「・・・考えておくよ。」

ニコッと笑った響が小走りで夕張達に追いついた。

暁「なに話してたの?」

響「内緒。」

提督「酒の匂いは残ってないよな?なぜばれた・・・。」
191 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/09(日) 23:00:11.10 ID:pO90v3R/0
執務室の前にある箱の中から紙の束を手に取り、部屋へと入る。

提督「今日中の書類は・・・無いか。なら日付の順でいいな。」

書類の中身をパラパラと軽く確認しながら席へと着く。机の上には、今手にしていた書類とは別の物も数枚あった。
この程度の量なら恐らく午前中で片がつくだろう。

提督「・・・とりあえず気分が悪い。昨日は少し飲みすぎたか?」

椅子に腰掛け大きく息を吐いた。中々酔いが引かない。薬を飲んでくるべきだったと少し悔やんだ。

提督「後は・・・。そうか・・・しまったな。」

提督が机の端に立ててあるメモ用紙とカレンダーを見て小さく息を吐いた。
メモ用紙には『組手』と書かれていた。
後悔は後にし、まずは机の上にあった書類を先に目を通し、ペンを走らせる。

作業を始めて20分ほどしたところで、扉がノックされた。

提督「入れ。」
192 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/09(日) 23:01:21.23 ID:pO90v3R/0
叢雲「失礼するわ、司令官。」

扉を開けて叢雲が入ってきた。

提督「ああ、少し待ってくれ。直ぐに用意するから。」

叢雲を確認し、直ぐに書類へと視線を戻して再度ペンを走らせる。

叢雲が訝しげな表情で、扉を閉め提督の前に来た。

提督「なんだ?もう少し待ってくれ。キリの良い所までー」 叢雲「あんた、昨日お酒飲んだ?」

提督の手が止まった。

その態度で確信して叢雲が大きなため息を吐いた。

叢雲「あんたねぇ、お酒弱いのに何やってんのよ。」

提督「なぜわかった?」

叢雲「ん〜・・・なんとなく?」

叢雲が首を小さく傾ける。なんとなくで当てられてしまった提督は頭を抱えてしまった。
なんだよなんとなくって。
193 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/09(日) 23:02:28.89 ID:pO90v3R/0
叢雲「しょうがないわね。組手は今度でいいわ。私もそれ手伝うから。」

椅子を持ってきて提督の横側に座る。勝手に引き出しを開け、ペンを取った。

提督「私のミスだ。そういう訳にはいかない。」

叢雲「二日酔いのあんたに勝っても意味無いの。やるなら万全の状態にしておいてよ。」

提督「・・・すまん。」

睨まれて、思わず誤ってしまった。

叢雲(というより、体調の悪い時の司令官って、容赦無いからこっちの身が危ないのよ。)

とは口が裂けても言えない。
194 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/09(日) 23:03:44.50 ID:pO90v3R/0
叢雲のお陰で書類は2時間も掛からず片付いた。

提督「ありがとう。正直助かったよ。」

椅子に深く背を預けながら礼を言う。

叢雲「良いわよ別に。」

そっぽを向く叢雲に提督は一枚の紙を差し出した。

提督「午後からは予定はないだろう?間宮の所に行くと良い。」

叢雲「どうしてもって言うなら貰っておくわ。・・・ありがとう。」

照れくさそうに券を受け取って部屋を出た。
が、直ぐに戻り、提督を指差す。

叢雲「次の時にはちゃんと万全にしておきなさいよ!」
195 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/09(日) 23:04:21.38 ID:pO90v3R/0
書き溜めはここまで。
196 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/26(水) 01:29:14.44 ID:QwEBPsns0
提督「昼には・・・流石にまだ早いな。」

時計の針はまだ十時を過ぎたばかりである。

提督(たしか薬あったな。)

引き出しを開け、中から薬を取り出した。隣にある給湯室に行き、水で一気に流し込む。

提督(少し風に当たりに行くか。直ぐに落ち着くだろう。)

重い頭を抱えながら扉を開けた。軽く何かにぶつかった様な手応えを受ける。

??「キャ!?」
提督「おっと。」

扉を開けたところで少女が倒れていた。

提督「すまない吹雪。大丈夫か?」

吹雪「あ、はい司令官。えっと、昨日の任務の報告書です。」

倒れたままの姿勢で書類を差し出す吹雪。提督はそれを受け取った。

提督「ご苦労だったな。」
197 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/26(水) 01:29:50.43 ID:QwEBPsns0
提督「白。」

吹雪「え?」

提督「いや、なんでも無い。立てるか?」

差し出された手を吹雪が握り、立ち上がった。
軽くお尻をはたき、背筋を伸ばす。

吹雪「はい、大丈夫です。ありがとうございました司令官。」ニコッ

ピシッと敬礼をして笑顔で去っていった。

提督「いつもながら無防備すぎだろ。」

ため息を吐きながらも微笑み、屋上へと向かった。
198 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/26(水) 01:30:26.14 ID:QwEBPsns0
鎮守府屋上

扉を開け、屋上へと出た。屋上への出入りは自由となっているが、こんな時間に来るものは殆どいない。

提督「ふー・・・。」

大きく息を吐きながら、備え付けのベンチに腰を下ろした。

提督(あー・・・頭いてぇ・・・。)

?「あれ?こんなところにご主人様?」

扉を開ける音に振り返ると、漣が顔をのぞかせていた。

漣「珍しいですね。ご主人様もサボりですか〜。」

ニヤニヤしながら提督の隣に座った。
199 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/26(水) 01:31:40.94 ID:QwEBPsns0
提督「私は最優先の業務は終わっている。それより漣。ご主人様『も』と言うことは、お前はサボりに来たんだな。」

提督の返しに漣が明後日の方見ながら口笛を吹く。

提督「確か今日の演習場とグラウンド設備の清掃及び管理担当の1人だったはずだが?」

鎮守府の施設は、細かい所は妖精が管理してくれるが、大まかな清掃や設備の管理は艦娘達の当番制となっている。

漣「いえいえ、朝の見回りと清掃は済ませましたよ!?」

若干の冷や汗を流しながら必死に手を振る漣。
おそらくその言葉に嘘はないのだろう。

提督「なら良い。では、漣も休憩か。」

漣「YES!せっかくなんでマッタリしましょうぜお代官様〜。」
200 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/26(水) 01:32:49.13 ID:QwEBPsns0
そう言って漣はどこからともなく缶コーヒーとオレンジジュースを取り出した。

漣「一本いっときますか?」

提督「では遠慮なく頂こうか。」

缶コーヒーを受け取り、口にする。濃い苦味が口に広がった。

漣「でも、本当に珍しいですねご主人様。いつもなら業務が終わったら施設内をウロウロしてることが多いのに。」

オレンジジュースを口にしながら漣が尋ねた。

提督「最近涼しくなって来たからな。この時間ならここが適度に日も当たり、過ごしやすい。」

漣「あー成る程、二日酔いですね。」

提督「・・・そんなにわかりやすいか?」

提督が苦虫を噛み潰したような表情で言った。それを見て漣は思わず笑ってしまった。

漣「そりゃもう、ご主人様がお酒弱い事を知ってる娘達のなら直ぐに気がつきますよ!」

提督「むむむ。」

漣「何がむむむですか。でも、そんなご主人様も可愛くっていいと思いますよ?」

ニコッと微笑む漣のポケットからアラームがなった。

漣「おぅ!?こりゃあヤベェ、サボってたのがバレちゃったかなぁ。それじゃあご主人様、失礼します!」

焦りながらも笑顔でピシッと敬礼して漣は建物内へと戻っていった。
201 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/10/26(水) 01:34:01.99 ID:QwEBPsns0
書き溜めはここまで。
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/26(水) 11:22:22.81 ID:iaWRsGKJO
おつ
203 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/01(火) 01:18:00.50 ID:5ZrXdrRp0
漣が戻った後も、しばらくそのまま屋上でゆったりしていた。

空を瑞雲や二式大艇が飛び、海上を島風が超高速で走る姿が見える。

提督(だいぶ楽になったら腹が減りだしたな。)

ベンチから立ち上がって伸びをし、食堂へと向かった。
204 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/01(火) 01:18:45.53 ID:5ZrXdrRp0
食堂

まだ12:00前だというのに、すでに何人もの艦娘がいた。

この時間帯にいるという事は、夜勤から寝ずにいる者。非番で先程起きたばかりの者。鎮守府内待機の者と様々なのだろう。

五月雨「あ、提督お疲れ様です。」

提督「お疲れ様。五月雨は今日は待機だったな。」

食堂入り口で五月雨が敬礼をする。それに提督も軽く手を上げて応えた。

五月雨「はい。提督も今からお昼ですか?」

提督「ああ。確か今日の当番は・・・。」

五月雨「・・・ちょっと待っててくれますか?」

そう言って五月雨は厨房へと入っていった。

食堂の料理も基本的に艦娘達の当番制となっている。それとは別に、食堂が開いている時間なら各々で自由に厨房を使う事も許可されている。
205 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/01(火) 01:19:54.43 ID:5ZrXdrRp0
20分程待っていると、五月雨がお盆を持って戻ってきた。若干足元がおぼつかない。

五月雨「お、お待たせしま、しました!」

なんとか取れる事なくお盆を差し出す。提督が受け取ったお盆には、しじみの味噌汁、アボガドとトマトとキャベツのサラダ、白米と梅干し、そしてグレープフルーツ。

五月雨「今日のお味噌汁がちょうどシジミで良かったです。今日みたいな時にはこれらが良いんですよ。もうドジっ子なんて言わせませんから!」

提督「・・・そんなにわかりやすいか?」

五月雨「はい!」

本日2度目。若干傷つく。
206 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/01(火) 01:21:00.85 ID:5ZrXdrRp0
受け取ったお盆を持って席を探すと天龍が手招きしているのが見えた。

天龍「よう、提督。提督も今から飯か。」

天龍の正面へと座った。天龍は竜田揚げを食べている。

提督「そういう天龍も昼か。いや、朝か?」

天龍「両方だ。昨日は夜勤だったからな。さっき起きた。」

そう言って竜田揚げを頬張る。
朝から揚げ物とは、流石だ。

天龍「なぁ、提督。あの艤装、使っちゃダメか?」

提督「駄目だ。」

天龍の問いを即答する。天龍はガクッと首を下げた。
207 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/01(火) 01:22:08.09 ID:5ZrXdrRp0
天龍「一蹴かよ。どうしてもダメか?」

天龍が上目遣いで再度頼む。

提督「ダメだ。」

やはり一蹴。

天龍「むぅー。」

頬を膨らませる。かわいい。

提督「せめてもっと消費を減らせればな。」

天龍「それは明石らに言ってくれよな。」

若干不機嫌になりながら箸を進める。
正直、航空戦力には困っていないので、資材が低くても需要はないのが現状であるが、それは言わない。

提督「私としても、あの艤装自体はかなり良いとは思うんだがな。」

天龍「そうだろ!特にあの黒く輝く2対の翼!実際に飛んでみるとまた凄くってな!」

テンションが上がった天龍が色々話す。

提督(・・・頭痛いな。)

若干頭に響くが、楽しそうなので良しとしよう。
208 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/01(火) 01:22:47.44 ID:5ZrXdrRp0
書き溜めはここまで。
さぁ、問題。この提督の初期艦は誰でしょうか?
当たっても何もありません。

安価下1〜2
1 第二 天龍空母化計画
2 叢雲組手
3 タンカー護衛
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/01(火) 01:43:03.83 ID:Tbzf7PeTo
2
叢雲
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/01(火) 11:25:21.93 ID:J7fAVDh0O
1
211 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/02(水) 00:09:52.08 ID:KLaULFSD0
安価下1〜2
組手に参加する艦娘
ただし潜水艦組以外。
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/02(水) 07:26:23.26 ID:enOYs6/KO
鹿島
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/02(水) 07:32:08.48 ID:foTfO+VlO
吹雪
214 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/06(日) 01:02:03.05 ID:xrzZ1yIz0
みなさん、おはようございます。こんにちは。こんばんは。
主人公(?)の吹雪です。

今日、私は






死ぬかもしれません。
215 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/06(日) 01:02:42.01 ID:xrzZ1yIz0
私の今日の任務は待機です。

休暇とは違い、鎮守府の敷地内からは出られませんし、服装は制服。
何かあった時には直ぐに出られる様にしておかないとダメですが、それ以外には特に規制されていません。

私は午前中、1人で暇だったので、鎮守府の外を散歩していました。グラウンドを走っている娘らを見ていたら、鹿島さんに

『あら吹雪ちゃん。空いているなら一緒に来ませんか?面白いものが見れますよ。』

と言われ、武道場に来ました。
216 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/06(日) 01:03:29.37 ID:xrzZ1yIz0
私は今、武道場で正座をしています。

その隣でニコニコとしながら立っている鹿島さん。

その目の前で
217 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/06(日) 01:05:08.41 ID:xrzZ1yIz0
叢雲「でえええぃぃやあ!!」

飛び上がり、遠心力を加えた杖(じょう)を振り下ろす。

提督がそれを右足を引き、半身なって木刀で受け流す。

振り下ろされ、地面を打った杖から閃光が飛び散り、武道場の地面を黒く焦がした。
その反動を利用し、叢雲が提督と距離を取ろうとするが、その動きにピッタリ合わせて提督が前へと踏み込む。

叢雲「ハァッ!」

後ろに下がりながらも、突き、払う。だがそれも提督は体を僅かにひねり、姿勢を落として躱す。

提督「速度が落ちているぞ。休むか?」

叢雲「うっさい!まだまだよ!」
218 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/06(日) 01:05:59.45 ID:xrzZ1yIz0
この後、私はどちらかの組手の相手をする事になっています。



全身の汗と震えが止まりません。
219 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/06(日) 01:07:25.39 ID:xrzZ1yIz0
書き溜めはここまで。

吹雪は生き延びることができるか・・・。
220 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/13(日) 15:21:32.24 ID:zI2Pur8qO
数分前。

鹿島と吹雪が武道場に入って来た。
既に提督と叢雲がいた。2人ともいつもの服装である。

叢雲「あら、吹雪じゃない。どうしたの?」

提督「格闘訓練か?」

叢雲は杖(じょう)を両手で持ち、体を軽く捻っている。
提督は道場に置いてある武器の中から木刀を一本、手に取って握りを確認していた。

吹雪「いえ、鹿島さんに声をかけられてついて来たんです。お二人は訓練ですか?」

叢雲「今から組手よ。」

鹿島「お二人は定期的に組手をなさってるんですよね。」
221 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/13(日) 15:22:22.13 ID:zI2Pur8qO
叢雲「吹雪もやる?相手になってあげるわよ。」

ニコッと優しく笑う叢雲が手にしていた杖をクルクル回した。叢雲の後ろにある窓から、なぜかカタカタ揺れる音がする。

提督「吹雪ならそれなりに出来そうだ。私も手合わせして欲しいな。」

同じ様に優しく微笑みながら提督が木刀を軽く振る。触れていないはずなのに、床に小さな切れ目が入った様に見える。

吹雪「そうですか。それじゃあ軽くお願いしようかな〜。」

照れながら頭をかき、鹿島に言われて武道場の端の方で座った。
222 : ◆wO2YycwzMI [saga]:2016/11/13(日) 15:24:24.79 ID:zI2Pur8qO
鹿島「提督さん、上着と帽子お預かりします。」

提督「ああ、ありがとう。」

提督は帽子を取り、それと上着を鹿島に預けた。
カッターシャツの一番上のボタンを外し、袖を軽く折り曲げる。
上着を受け取った鹿島はそれを丁寧に畳み、吹雪の隣に置いた。

武道場の中央に提督と叢雲が向かい合う。

叢雲「今日こそ一本取ってやるんだから。」

杖の下部を右手で握り、右足を引いて半身に腰を落として、先端部に左手を添える。

提督「今日もいつも通りさせてもらう。」

左足を引いて半身になり、正眼に構えた。

鹿島「それでは・・・。」

鹿島が笑顔のままスッと右手を真っ直ぐ上に伸ばす。



空気が変わった。

吹雪(・・・え・・・なんか、息苦しいんですけど・・・?)

鹿島「はじめ!」
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