男「はぁ?ダンジョンに行ってこいって?」

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265 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 11:16:15.29 ID:tTfDZAmE0
…………


カウボーイ「いやぁー大漁大漁。ちょっとした小遣い稼ぎにはなったかなぁ」

洞窟を隅から隅まで探索しつくしたカウボーイの横には様々な装備品やアイテム、戦利品が山積みにされていた。

男「……これで大体いくらぐらいになるんだ?」

魔少女「少なく見積もっても……2000ゴールドにはなるかと」

1ゴールド→100円

カウボーイ「未発見のエリアでも、流石にランク2だと1エリア取り尽くしても5000超えもないよね。最近金銭感覚狂いそうだから僕みたいな庶民出にはちょうどいい金額だよ」

男「ちなみにランク40くらいの探索って一回の探索でどれくらいの儲けなんだ?」ヒソヒソ

魔少女「昔見たプロジェクトDという番組では……5万ゴールドは軽く超えると言ってましたね。ランクが上がるにつれて得られる資源やアイテムは、大企業の生産原料や文化遺産、美術品や貴重な金属類などにもかなり関わりますから」ヒソヒソ

男「ひょっとして、俺らとんでもない人と一緒にいるんじゃねーの?」

魔少女「今更すぎますよ……」
266 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 11:22:23.15 ID:tTfDZAmE0
男「あ、でもこんだけの荷物どうやって持って帰るんだ?」

カウボーイ「ん?あぁ、知らないのかい?世の中にはこんなモノがあるんだよ」ゴソゴソ

カウボーイがポケットから何かの指輪を取り出す。

男「指輪?何かのダンジョンアイテムすか?」

カウボーイ「これは『保管の指輪』って言ってねぇ。こういうダンジョンで入手した大量のアイテムを、指輪の力で作り出した空間に保管する事が出来るのさ。そこそこレアだねぇ。
ダンジョンの中でしか物を入れる事は出来ないし、指輪のランクごとに保管出来る容量は決まっているけどねぇ」


そう言いながらカウボーイが指輪をアイテムの山に翳すと、山は綺麗さっぱり指輪の作った空間の中へと入っていった。


魔少女「上のランクのダンジョンには……こんな空間魔法のアイテムもあるんですね」

カウボーイ「ランクの低い保管の指輪なら専門店でも売ってるよ?そこそこ値が張るからダンジョンで拾った方がいいと思うけどね」

男「どれくらいっすか?」

カウボーイ「んー……一番下でこれくらいかなぁ」スッ

カウボーイは片手の平を広げて男の前に翳す。

男「500ゴールドか……ちょっと頑張ればエリスの修理代ついでに何とか買えそうだな」

カウボーイ「ん?違う違う。5万ゴールドだよ」

男「買えるかチクショウッ!!」

魔少女「私が……頑張っていつか同系統の魔法を覚えますので……」


少量だがダンジョンの外から空間魔法で物を持ち込む事の出来る魔少女でも、ダンジョンの物を別空間に入れる事はまだ出来ない。

いわゆるプロテクト的なモノがダンジョンアイテムには備わっているようだ。
恐らく正規の手順以外でのダンジョンアイテムの持ち出しを防ぐ為。魔法とはいわゆる、如何にバレないようにズルをするかという手段なのだ。
267 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 11:24:32.10 ID:tTfDZAmE0
カウボーイ「あーそうそう、そういえばこれは保管せずにとって置いたんだ」

カウボーイが地面に落ちているアイテムを拾いあげる。
どうやら『鉄の剣』のようだ。銅の剣よりも1ランク上の武器である。


カウボーイ「少年はゴーレムとの戦闘で銅の剣が折れちゃったから……この武器なんてどうかな?戦技も何かついてるよ」つ鉄の剣


男「え?いや、俺は……」

魔少女「先輩……武器は手に入れられる時に手に入れた方がいいですよ」

カウボーイ「貰っておきなよ。力はつけられる時につけた方がいい」


男「じゃあ……折角なんで。……そういや折れちゃったんだな、俺の銅の剣……」

男はゴーレムとの死闘によって折れた銅の剣を見る。
ダンジョン初日に母親が渡した、兄のおさがり。

使用期間も短く特段思い入れがあるわけではないが、初めてのダンジョンから使い続けていたので何とも言えない気持ちになる。

男「短い間だったけど……ありがとな」

男は折れた銅の剣をしまい、引き続き魔少女の治療を受ける。
268 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 11:31:12.71 ID:tTfDZAmE0
…………


魔少女「身体の調子は……どうですか?」

男「おう、だいぶ痛みが和らいだな。歩いていく分には問題ねぇや」

30分ほど魔少女の回復魔法を受け続けて、男の身体はどうにか動くようになった。
といってもあくまで応急処置。帰ったらゆっくり休ませなければならない。
明日も痛みが続くなら部活時代に世話になっていた整体にでも行くとしようか。

魔少女「それでは……山頂に向かいましょう。出口の近くにある滝に、目的の水晶があります。あ、それといい報告が1つ」

男「ん?どうした?」

魔少女「ダンジョンで……入手する予定でしたもう1つの素材『魔力結晶』をゴーレムから、無事に得ることが出来ました」

男「あ、そういえば……え!?マジで!?」

魔少女「えぇ……先輩がゴーレムの核ごと壊してないか心配でしたが……ゴーレムだった石の中にちゃんとありましたよ」

男「そっか……一時は不安だったけど先が見えてきたな。後は資金を集めて残りの材料を買えば……」

カウボーイ「そういえば君達は何でこのダンジョンに来たんだい?」
269 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 11:32:20.00 ID:tTfDZAmE0
……説明中……


カウボーイ「えぇ子らや……」ホロリ……

男「おい、いい歳した中年のおっさんが泣いてるぞ」ヒソヒソ

魔少女「年をとると……涙もろくなるともいいますし……」


カウボーイ「要はそのオートマタの少女を直したいわけだ。だったら、さっき拾ってきたアイテムの山は君達に」

男「それはノーセンキュー」

魔少女「こういうのは……自分でやる事に意味があると思います」

カウボーイ「そうなの?僕だったら喜んでもらってくけどねぇ。手間が省けるし、ちまちまダンジョンに潜るのめんどくさいし」

男「とても最低でもランク40以上の探索者とは思えない発言だな」

魔少女「案外……こういう人に大物の素質があるんですよね」

カウボーイ「ま、せめてダンジョンの出口までは一緒についてあげるよ。少年はまともに動けないだろ?」

魔少女「それは……ありがたいです。先輩は今お荷物にしかなりませんから」

男「さらっとヒドイな魔少女」
270 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 11:37:28.07 ID:tTfDZAmE0
カウボーイ「そういえば君達、手に入れたゴーレムの心の使い道はどうするんだい?」

男「どうって……どうする魔少女?」

魔少女「そうですね……キングス程ではないですが、私達に扱いきれるランクではないので……使えるまで保管しておくか、売却して資金の足しにするのがいいと思います」


カウボーイ「君達もしかして……『武器召喚』の事知らない?」


男「武器召喚?何すかそれ?」

魔少女「一応……魔物の心の特殊加工の1つとして聞いています。ですが、アレを使いこなすには相当な技量がいると聞きますが」


カウボーイ「まぁそうだね。でも使いこなす事が出来ればかなり強力な力になる。
少年……君のような魔力の少ない前衛タイプには特にね」

男「え?俺?」
271 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 11:42:09.94 ID:tTfDZAmE0
『武器召喚とは!!』


魔物の心を用いた召喚術の1つ。

魔少女の使うモノは、魔物自身を呼び出し、魔物の力に使い手の魔力を上乗せして強力な一撃を放つ通常の召喚である。

非常に強力だが攻撃に使うには魔力を放出しっ放しなので消費量が激しく、基本的に魔少女のように後衛タイプの者が使う。


それに対し、武器召喚は魔物の力を武器という形に圧縮し、それを用いて戦う前衛向きの召喚である。

魔力を大きく放出するのは、通常武器で戦技を使う時と同じく、武器召喚にて戦技を使った時のみ。それなんてオーバーソウrとか言わない。

どちらも発動には装飾品に魔物の心を加工する必要がある。


ここらで簡単に各技を、物凄く簡単に数値化して比べよう。
例として術者のHP、MPをそれぞれ100、ランク1スライムの魔物の心を使っているとする。


通常武器攻撃(銅の剣)
ダメージ10

通常戦技
一回MP消費5
ダメージ30

合成戦技(+ラージアント)
一回MP消費35
ダメージ250

武器召喚
召喚時MP20消費

武器召喚攻撃
武器召喚後、継続的にMP・HP消費1
ダメージ35

武器召喚戦技
一回MP消費60
ダメージ500


仲間メンバーとして召喚
一回MP消費1
スライムの強さ変わらず(ダメージ2程度)

通常召喚
一回MP消費20
ダメージ100

継続召喚
通常召喚後、継続的にMP・HP消費5
継続的にダメージ50

極大召喚
1回MP消費100 魔物の心消滅
ダメージ1000


ちなみに魔法に関しては通常召喚・継続召喚と仕組みはほぼ同じである。


勿論、術者の技量・装飾品の質・特殊アイテムの装備・魔物との相性によって数値は大きく上下するが、基本は大体こんなモンである。それなんてオーバーソウrとか言わない。
272 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 11:46:08.28 ID:tTfDZAmE0
カウボーイ「とまぁ、大体こんな感じだ。理解できたかい?」

男「まぁ大体は……ちなみにかなり技量が必要ってのは」

カウボーイ「そりゃあ常に一定量の魔力を放出しないといけないからな。今の君じゃあハッキリ言って無理」ビシッ!!

男「うぐっ」

カウボーイ「魔少女ちゃんは、キングスライムで継続召喚も出来てたからねぇ。まぁ魔法使いならその点は問題ないかな。優秀優秀」

魔少女「はぁ……ですが、私が武器を持ったところで」


カウボーイ「武器だって色々あるさ。魔少女ちゃんの魔法をブーストしたり仲間のサポートをしたり遠距離攻撃したり。魔力容量の多い魔法使いは、比較的ダンジョンにおいて有利なんだよ?」


魔少女「そう……なんですか?」


カウボーイ「そう!!さっきのゴーレム戦みたいに、少年が前に出て魔少女ちゃんの準備が出来るまで戦い、準備が出来たら大火力で攻撃。これが最もスタンダードな戦い方さ。
さっきの戦いは2人のどちらかが……特に魔少女ちゃんが居なかったら絶対に勝てなかったからねぇ」

男「それは確かに」ウンウン

魔少女「そんな……先輩がいたから魔法に集中出来たんですから……」
273 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 11:46:54.58 ID:tTfDZAmE0
カウボーイ「ま、武器召喚も1つの戦い方って事で覚えておいてよ。何なら山頂までの道のり……俺が武器召喚を使って君達を護衛してあげよう。百聞は一見にしかずってねぇ」チャリ……

カウボーイは、首にぶら下げた十字架のネックレスに魔力を込める。


カウボーイ「武器召喚『キラーマシン』」カッ!!
274 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 11:48:22.15 ID:tTfDZAmE0
『水見の滝 山頂の滝』

ザァァァァァ!!!!


ガサゴソガサゴソ

男「よっと……ホイ、これで水晶もゲットと……」

魔少女「何か……割とあっさり取れちゃいましたね」

男「しょうがねぇだろ……ここまで来る途中の魔物、全部カウボーイのおっちゃんが倒しちまったんだから」


カウボーイ「おっ、中々品質のいい水晶だねぇ。ギルドの奴等のお土産に僕も少し貰って帰ろうかな」



男「あの戦技……1体を……いや、あの数の1グループを一瞬てっておかしくね?」

魔少女「文字通り……何もかもが一瞬でしたよね……」


山頂までの道のり。
それなりに魔物は出てきたのだが、武器召喚を発現したカウボーイが全ての戦闘をこなしていた。


その戦う様は正に圧巻の一言であった。
というより、魔物達にとってはもはや虐殺であった。
275 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 11:51:19.53 ID:tTfDZAmE0
…………


男「これが……武器召喚……」

魔少女「魔力が……信じられない程の魔力が発せられています……ただ余波のようなモノが流れているだけなのに……」


カウボーイがキラーマシンを武器召喚すると、カウボーイの手には大きなボウガンのような武器が現れた。


カウボーイ「『ビッグボウガン』。まぁキラーマシンが装備している武器の1つだね。僕のような銃士に適した武器と言えば、やはり銃タイプだからねぇ」スッ……

バシュゥッ!!

蔓人形【】ズンッ!!

カウボーイがビッグボウガンの引き金を引くと、大きな矢が放たれ何処からか現れていた蔓人形が爆散する。

あまりの矢の威力に、着弾した衝撃によるモノのようだ。

そして矢はボウガンに自動装填される。
276 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 11:53:15.83 ID:tTfDZAmE0
トレント【ボォォォオオオオオッ!!!!】ズンッ!!ズンッ!!!

蔓人形×50【】シュルシュルシュルッ!!!


男「うわ、多っ!!何だコイツ等!?」

カウボーイ「あー……多分僕のせいだろうね。トレントの討ち漏らしが追いかけてきたんだろうねぇ」

魔少女「完全に囲まれていますね……とはいえ、あの蔓の魔物程度ならば、一方向に集中して攻撃すれば退路は開けると思います」

カウボーイ「いやぁ……別にいいよ?俺が全部ヤるから。君達にこの召喚武器の戦技の1つを見せてあげる。俺から離れちゃあ……ダメだよ?」スッ……

カウボーイの纏う空気が変わる。どうやら戦闘体勢に入ったようだ。


ブゥンッ……

魔少女「アレは……空間魔法?」

同時に、空中に幾つもの黒い穴が開く。
見たところ、魔少女が荷物を取り出すのに使った空間魔法に酷似している。






カウボーイ「召喚戦技……『レイニーエビル・ビッグボウガン』」






そしてカウボーイが引き金を引いた瞬間
277 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 11:56:14.49 ID:tTfDZAmE0
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!






空中に現れた幾つもの黒い穴から、大きく太いボウガンの矢……というよりもはや槍が、正確に魔物達の群れを貫いていく。

蔓人形はともかく、トレントの巨体すらも一瞬で爆散していくその様は、正に虐殺であった。



カウボーイ「ふぅ……とまぁ、これが召喚武器ってヤツさ。参考になったかな?」ニコッ

男「正直レベルの次元が違いすぎて……現実じゃなくて映画見てる気分っすね」ゴクリッ……

魔少女「こんなの……例え私の極大魔法が完成しても足元にも及びませんね……」



ザァァァァァ…………



静かに流れていく滝の音。


眼下には数十の魔物とその数倍の槍のようなボウガンの矢の雨の跡。

初めて見る世界上位クラスの実力者の戦いに、男と魔少女はただただ呆然とし、同時に戦慄していた。
278 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 11:58:13.95 ID:tTfDZAmE0
ダンジョン『水見の滝』入り口



男「ふぅ……無事に戻ってこれたな」

魔少女「何だかんだで……今日は危ない橋を渡ってしまいましたね。リターンは十分にありましたけど」

無事に目的の水晶に、おまけの魔力結晶まで手に入れた2人は、山頂の出口からダンジョンの外へと抜け出した。


カウボーイ「まだ夕方か……どうせだから荷物を換金した後に、駅前でご飯でも食べていくかい?」

男「お、いいっすねぇ。あ、俺らは役所に新エリアの報告もしないと」

魔少女「そうですね……色々戦い方について聞きたい事もありますし」




ブゥンッ……

カウボーイ「よーし。そうと決まれば早速」ガシィッ!!


その瞬間、唐突に発生した空間の穴から、カウボーイの腕を掴む両手が現れた。
279 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 11:59:48.62 ID:tTfDZAmE0
カウボーイ「ゲッ!?マズイ」






ォォォォォォオオオォォォォオオオッ…………

「社ァァァアア長ォォォォォオオオッ!!!!」ズォオオッ!!
ォォォォォォオオオォォォォオオオッ………






男「ひぃぃぃいいいっ!!!!」

魔少女「 」( ゚д゚)


そしてすぐに、その穴から1人の女性が這い出てきた。まるで某TVから出てくるあの人のように。
その風貌は、顔の上半分が見えない程の長い黒髪に羽織った黒いローブ。


誰もがこの女性を見てこの名をイメージするだろう。




『魔女』と。




280 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 12:02:57.67 ID:tTfDZAmE0
魔少女「ダ……ダンジョンの外なのに……自分自身を空間移動させるなんて……」



魔女「やぁっと見つけた!!アンタ一体、たかがランク2のダンジョンから帰ってくるのにどれだけ時間かかってんだよ!!」

カウボーイ「いや、魔女ちゃん。これには深い理由がね……」


魔女「言い訳すんな!!大体、社長のアンタが何で勝手に依頼を受けてんだ!?しかもタダで!!大方今日の夜の会食から逃げ出そうって魂胆なんだろうがそうはさせねぇぞ!?」


カウボーイ「いや、だってね?ギルドにこのっくらいの小さい女の子がなけなしのお小遣い持ってきて、『だんじょんでがんばってるおとうさんのためにつよいまものがほしい』なんて頼んでくるんだよ?そりゃあ男としていくしかないでし」


魔女「社長のテメェが行く理由になってねぇだろうがぁぁあああっ!!!!」ブンッ!!

カウボーイ「ぐはぁぁあああっ!!!」グシャァッ!!!



見た目は完全に陰キャラな魔女から繰り出された豪快な右ストレートによって、カウボーイは回転しながら地面へと倒れこむ。
281 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 12:05:07.83 ID:tTfDZAmE0
魔女「全くこのおっさんは……あ!?あ、えっと……わ、わたくし株式会社『RPG』で社長秘書をやらせていただいております魔女ともうします」ペコッ!ペコッ!!


男「あ……ど、どうも……」

魔少女「あんな細い身体から……凄いパワーです……」


カウボーイ相手に凄んだ時とは一転、?然としてその光景を見ていた2人に対し、魔女は全力で腰を低くしながら社会人っぽい挨拶をしてきた。


魔女「えっとえっと、初めて会う人には名刺名刺、あれ!?」アタフタ


カウボーイ「ふふふ……彼女は昔、日本でもトップを争うレディースチーム『魔慈餓瑠(マジカル)☆』の総長だったんだがね……昔、僕がスカウトして立派な秘書兼探索者に育てあげたんだよ。
これがまたいわゆる丁寧語のコミュ障ってヤツで、今でもお客さんとか社外の人への丁寧な応対が不器用で一生懸命で拙いのが可愛くて可愛ぐ」グシャァッ!!

魔女「社長ォォォォォオオオッ!!!テメェ昔の話はすんなって何べん言ったらわかんだゴラァァァァアアアッ!!!」


魔少女「今……髪に隠れた顔が見えましたが、物凄い美人ですよ」ヒソヒソ

男「え?マジ?超見てぇ」
282 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 12:09:58.17 ID:tTfDZAmE0
…………



男「ていうかおっちゃん社長だったんすか?ギルドなのに?」

カウボーイ「うん。ウチは小さなギルドから始めて今じゃあダンジョン発掘・貿易・アイテム開発・若手探索者育成と幅広くやってるからねぇ。で、名目上社長って枠に僕がいるってわけ」

魔少女「じゃあ……その格好も……」


カウボーイ「そー、僕の指示。やっぱり幅広い層から依頼を得るには目立ってなんぼの世界だからねぇ」


魔女「お陰でアタシまでこんな格好……マジで動き辛いったらありゃしない……」ブツブツ……


魔少女「魔女さんも……魔法使いなんですね。私もなんです」


魔女「え!?あ、えっと、そそうです!わたくしも僭越ながら魔法を少々取り扱っておりまして」アセアセ


魔少女「あの……普通に喋っていただければ……」




カウボーイ「彼女……言っとくけど強いよ?何ていうか……火力バカってヤツだから」


男「凄い魔法を使えるってことですか?でも……失礼かもすけどそんな凄い知識を持った人には見えないなー」


カウボーイ「まぁ元ヤンだからねぇ。使える魔法も基本的なのかシンプルなモノばかりで複合魔法も精々2種複合を数種類が限界。
だけどさ……彼女反則的な魔力容量と出力を持っててね?ただの初歩魔法が並の上位魔法より火力出るんだよ」

男「え?それ完全にチートじゃないですか」

カウボーイ「もしもあの子が極大魔法なんて覚えて使ったら、世界は簡単に消滅しちゃうだろうねぇ」ハッハッハ

男「よかった……失礼だけど馬鹿でよかった……」





魔少女「ダンジョンの外なのに……人間を移動させる空間魔法。凄いです!一体どれだけ複雑かつ強力な魔法が」キラキラ

魔女「あ、いやえと、わわたくしはですね!ただ思いっきり力を込めているだけででして、あまり術式とかそそういうのはちょっと」アセアセ

283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/18(日) 12:10:32.82 ID:8smR8yIJo
前科持ちでも冒険者にとっては箔付けになるか
284 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 12:12:27.47 ID:tTfDZAmE0
…………


カウボーイ「というわけで、そろそろ僕はギルドに戻るとするよ。僕の名刺渡したよね?それがあれば多分ウチのギルドや会社にフリーパスだから、いつでも遊びに来て痛い!痛いって魔女ちゃん!!」

魔女「ほら!早く行けってんだよ!!一体どんだけ予定が詰まってると思ってんだ!!」ゲシッ!ゲシッ!!

魔女が絶大な魔力量で無理矢理開けて何処かに繋いだ空間の穴……いわゆる『ゲート』に、カウボーイが尻を蹴飛ばされながら魔女に詰め込まれる。


魔女「えっとえっと……そ、それでは失礼いたしまふる!!」ブゥンッ!!


恐らく噛んだのであろう魔女が穴に入ると、空間に空いた穴は消え、残されたのは男と魔少女の2人となった。


魔少女「嵐のような……すごい人達でしたね」

男「そうだな……さて、役所で換金して新しいエリアの報告をして、飯でも食ったら帰るか」

魔少女「そうですね……今日の遠征は大成功と言えるでしょうし、報告の報奨金で美味しいモノを食べましょう」
285 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 12:15:31.60 ID:tTfDZAmE0
ダンジョン生活4日目

水見の滝 クリア

リザルト

水見の滝の水晶 材料納品
魔力結晶ランク1 材料納品

丈夫な蔓 8ゴールド
赤い植物の種 5ゴールド
蔓人形の心×2 10ゴールド

鉄の剣 お持ち帰り
リュックサック お持ち帰り
木製バット(戦技:爆破?)お持ち帰り
安物のブレスレット(未鑑定品)お持ち帰り
ゴーレムの心 お持ち帰り

新エリア発見報酬 180ゴールド

水見駅前定食屋『滝処ろ』
店長オススメセット×2 30ゴールド
みたらし団子×5 15ゴールド

帰りの電車賃15ゴールド

『143ゴールド獲得』



男「お前団子食いすぎだろ」

魔少女「先輩の……回復に魔力を使ってお腹減ってましたから……」モグモグ

男「そういや何でレッドブ○で魔力全回復出来んの?」

魔少女「カフェイン飲料や栄養ドリンクは……一時的な魔力回復にかなり効果的ですよ。今反動がきてますけど」モグモグ
286 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/18(日) 12:21:29.97 ID:tTfDZAmE0
投下終了です。
魔女さんが初歩魔法を使えば敵がヤバイ。
魔女さんが複合魔法を使えばダンジョンがヤバイ。
魔女さんが極大魔法を使えば世界がヤバイ。
そんな感じの人です。ではまた。

>>283
ダンジョン関係の仕事は実力が全てなのでアウトローな方達も活躍しております。
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/18(日) 12:23:17.31 ID:6laB6BcoO
カウボーイすこ
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/18(日) 12:28:46.45 ID:8smR8yIJo
乙でしたー
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/18(日) 17:22:24.10 ID:dPg0W4910
おつ
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/18(日) 23:10:13.49 ID:SDukMuAYO
おつ、おもしろい
291 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/21(水) 21:42:36.85 ID:6365ZJtg0
すいません投下ではありません、>>1です。

新しく登場した魔女さんですが、後々面倒くさい事になりそうなので

次回から魔女→ウィッチに名前を変更させていただきます。
ではまた。
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/21(水) 22:44:33.48 ID:pBW60NwyO
はぁい
293 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/26(月) 19:30:15.13 ID:wTsCWmra0
こんばんわ、1です。今日もゆっくり投下していきます。

>>287
>>288
>>289
>>290
ありがとうございます。引き続きどうぞ。
294 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/26(月) 19:30:48.47 ID:wTsCWmra0
ダンジョン生活5日目


男「全身が痛い……」

水見の滝の探索を終えた翌日。
男はゴーレム戦で酷使し過ぎた身体の痛みに悶えていた。

とはいえ、これくらいの代償を払わなければ到底ゴーレムを倒す事は出来なかっただろう。


母「ホラホラ、夏休みだからってダラダラすんな」ツンツン

そんな男に対し、母はクイックルワイパーの柄で男を突く。

男「うっとおしいなー……疲れてんだからそっとしといてくれ」

母「何言ってんの若いモンがー。お母さんの若い頃なんてそりゃあ毎日お父さんとダンジョン巡りだったわよー」

男「え?そうだったん?」

母「そうよー。お父さんが頼りないからお母さんともう1人の子がダンジョンの魔物を千切っては投げ千切って投げ」

男「あぁ、そこは大体想像出来るけど。……親父かー。会った事もないからわからないけど大変だったんだろうなー……こんなのに振り回されて」


母「もういやーねぇー☆誰がこんなのよ誰が☆」ギリギリギリッ!!!

男「痛い痛い痛い!!!今日は死ぬ!マジで死ぬから!!!」バンッ!バンッ!!


『続いてのニュースです。今日未明、東京都内の繁華街にて大規模な爆発がありました。警察ではテロの可能性もあると見て捜査を進めて』


295 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/26(月) 19:54:08.41 ID:wTsCWmra0
…………


男「あのクソババァ……怪我人に腕ひしぎ十字固めなんて極めやがって……」

家で寝てても身体の痛みが取れないどころか悪化するので、男は昔から世話になっている整体に行くことに。

男「しっかし親父もダンジョンに行ってたんだな。結局は普通の会社員になったって話だけど」


男の父親は男が産まれる前に、交通事故で他界していると周囲からは聞いている。
昔の写真を見たことがあるが、男は父親似。男の兄は母親似のようだ。

男「ダンジョンが好きでも、好きなだけじゃあ探索者にはなれないんだなぁ。好きって訳でもない俺が探索者になれるかどうか……」



一(はじめ)高校

魔法部 部室


魔少女「Zzz……」zzZ……

「大会前の集まりなのに部長爆睡してるんだけど」

「普段からマイペースな人だけど部活は真面目なんだけどな」

「センセー、魔少女ちゃんどうします?」

魔法部顧問「うーん……明後日には全国大会の予選があるし叩き起こしたいところですが……珍しく疲れてるみたいですねぇ」

「ウチの高校じゃあ部長が唯一全国行きの可能性がありますからねぇ。無理させないようにしないと」

「最近元剣道部の先輩とダンジョンに潜ってるらしいからそのせいじゃない?」


魔少女「んー……○○くんおかわりー……」zzZ……
296 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/26(月) 20:25:21.28 ID:wTsCWmra0
ダンジョン生活6日目


魔導式機械人形店 『フリーダム(糸の切れたマリオネット)』


男「こんちわー」

店長「おーいらっしゃい。今日は可愛い彼女はいないのかい?」

男「アイツは妹みたいなモンっすよ。今日は魔法の大会が明日あるから部活っす。エリスの修理はどんな感じっすかー?」

店長「君たちが早めに動力系の材料を持ってきてくれたおかげで順調だよ。予定通り来週には終わるだろうね」

男「そうっすか、来週が楽しみっすねぇ。あ、そう言えば残りの材料も買ってきましたよ」ガサガサ

男は、水見市で獲得した資金で買ってきた『人皮樹脂』と『冷却用オイル』を店長に渡す。


店長「お、仕事が早いねー。これで最低限の条件はクリア出来たわけだ。後は修理代と、欲を言えば服と武装ってわけだね」
297 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/26(月) 20:25:56.05 ID:wTsCWmra0
男「修理代がなー……ちなみにエリスを受け取る時にいくらあればいいすか?」

店長「最低でも……1000ゴールドは欲しいね。残り500は夏休み中で大丈夫だけど」

男「1000ゴールドか……材料買って残りは40ゴールド……そろそろダンジョン行かねぇとなー」

店長「兄ちゃん達がギルドにツテがあれば、ギルドの仕事をこなすって選択もあるんだがなぁ。流石に高校生じゃあそうそうそんなツテを持ってねぇよなぁ」

男「探索者の養成所とかに入ってればいいんでしょうけどねー。……ん?ギルド?」


モヤモヤモヤ

カウボーイ『ヤッホー』

モヤモヤモヤ

ふと男は、カウボーイの格好をしたおっさんの姿を思い浮かべる。

男「あー!!その手があった!!おっちゃんありがとう!!」ダッ!!
298 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/26(月) 20:36:54.72 ID:wTsCWmra0
……………………





男「あったあった名刺。えっとギルドの場所はっと……東京!?いや、そりゃあデカイ会社なんだろうからおかしくねぇけど……遠いよなぁ。当てが外れたか」ハァッ……


男が考えたのは、カウボーイに貰った名刺を元にカウボーイのギルド『RPG』に簡単な仕事をもらおうという事であった。
しかし、ギルドの所在地が東京のダンジョン内となっており、金を稼ぐ為の仕事を探しに行くために高い交通費を払う事になる為、どうやら企画倒れとなりそうだ。


男「大体、この『RPG』ってギルドの事何も知らねーよな俺。ちょっと調べてみようかな」ポチポチ


そんな感じで男は携帯でカウボーイのギルドについて検索を行う。
驚いた事に、ギルド検索のトップにはすぐにRPGというギルドのサイトが現れた。
どうやら日本でも、世界でも指折りののギルドのようだ。


男「マジであのおっさん、ココの社長なのか?とてもそうは見えなかったんだけど」ポチポチ

男がサイトを開くと派手なCGアニメーションと音楽が流れてきた。
この辺りはあの派手好きなカウボーイの趣味だろう。
男はそのまま、ギルドの説明が書かれているページを開く。
299 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/26(月) 20:40:51.43 ID:wTsCWmra0

『ダンジョン探索・アイテム収集請負ギルド【RPG】』



当ギルドは、空間固定型ダンジョン内に広がる広大な敷地に設立された株式会社RPGの一部門となっております。

当ギルドではインターネット等を通じて世界中から要望のある、主にダンジョン探索・ダンジョン内のアイテム収集依頼などを取り扱っております。

当ギルドの探索者は当ギルドにて面接・実技試験を行い厳正なる審査を通過した者を採用しております。

このようにお客様からの依頼に100%お応えできるよう、プロの探索者の徹底した厳選を行っております。




男「審査って……やっぱそういうのあんのかよー。こりゃあギルドの仕事をするっていうのは無理だなー。……ん?」


落胆する男がそのままサイトを流し読みしていると、気になる一文を見つけた。


男「『当ギルドのスタッフから名刺を渡された方は、お近くのダンジョン内にて名刺に魔力を通していただくと、当ギルドへの直通ゲートをご利用いただくことが出来ます』……マジで!?」


どうやらカウボーイから渡されたこの名刺自体が、ダンジョンとギルドのあるダンジョンを結ぶ魔法道具となっているようだ。
こうする事で、このギルドは世界中から顧客や探索者を集めているのだろう。
調べてみると、広大な土地が広がる空間固定型のダンジョン内に、様々な建物やテーマパークやショッピングモールなどが建てられる事は昔からあるが、このダンジョン間ゲート技術を初めて作ったのはこのギルドのようだ。
その特許による資金もこのギルドが超巨大な企業に成長した要因の1つだろう。


男「これを使えばいつでもギルドに行けるのか……魔少女誘って行ってみるかな。学校に迎えに行くか」
300 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/26(月) 20:59:22.45 ID:wTsCWmra0
一(はじめ)高校 剣道場


「キェェエエエエッ!!!!」パーンッ!!

「サァァァァアアアアッ!!!」ダーンッ!!

「小手ェエエィァァアアアッ!!!小手ェッ!!」


男「おー、このクソ暑いのにやってるやってる」


剣道部顧問「ん?おぉ、お前か。何だ?引退したばっかなのにもう練習したくなったのか?」

男「ゲッ!?お、お疲れっす……」

剣道部顧問「ちゃんと受験勉強はやってんのか?引退後の夏休みだからって遊んでばっかじゃあいかんぞ」

男「ハハ……勉強はちょっと……あ、自分こないだからダンジョンに行き始めたんすよ」

剣道部顧問「ほぉーダンジョンか。何だ、お前そっち系の進路を希望なのか?」

男「いやー元はそんなに興味なかったんですけどね。ちょっとした事がキッカケになって何回も潜るようになって色んなトコに行って人に会って……そうしてる内に少しずつ楽しくなってきたっていうか」

剣道部顧問「ふん……まぁ興味がある事に打ち込むのはいい事だ。教師としては安定を進めるモンだろうがまだお前は若いんだ。頑張れる事を頑張ればいい。繋がりも出来てきたみたいだしな」

男「先生……ありがとうございます」

剣道部顧問「ダンジョンの魔物にコテンパンにやられたら練習にこい。俺が鍛え直してやる」

男「いや……それは遠慮しときます」
301 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/26(月) 20:59:57.15 ID:wTsCWmra0
魔法部 部室前




『魔法部練習の為、学校敷地内のダンジョンに移動しています』





男「学校のダンジョンか。差し入れでも持ってってやるか……魔少女の部活が終わったらそんまま直でギルドに行けるかな?」
302 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/26(月) 21:03:18.45 ID:wTsCWmra0
一(はじめ)高校 実習用ダンジョン

『夕焼け空のグラウンド』


魔少女「火……水……雷……風……地……」ググググッ……

魔法部顧問「……コレは驚きました……まさか5種同時に魔法球を発現させるとは……」


現実を模した高校の校舎と永遠に変わらない夕焼け空のダンジョンにて、魔少女は5種複合魔法……すなわち極大魔法を発動する為の準備を行っていた。


魔少女「ここからが……山場です……」ググググッ……

魔法部顧問「魔法球を混ぜ合わせ……!?まさか極大魔法を!?魔少女さんが!?」

「……何か部長凄くね?」

「うん……2種複合とかはよくやってたけど5種複合なんて全国クラスでも……」

魔法部顧問「いけない!皆彼女から離れて!!」


顧問が他の部員を魔少女から遠ざける。
魔法使いの最高技術であり最終奥義である極大魔法。魔少女が完成させても失敗しても、その威力は凄まじいモノになる。
例え最も初歩的な属性魔法の組み合わせでも、人に当たれば骨も残らないだろう。
303 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/26(月) 21:28:15.92 ID:wTsCWmra0
魔少女「順番に掛け合わせる属性の相性を……火は水に呑まれ……水は地に呑まれ……」ググググッ……


魔少女は属性魔法球を1つずつ掛け合わせていく。
今までは5種を同時に無理矢理混ぜ合わせて失敗していたが、相性がよい順に掛け合わせればどうかと試しているようだ。


そして、その思惑は成功したようである。



バチバチッ……バチバチッ……

魔少女「地は風に削られ……風は雷に裂かれ……」ググググッ!!

そして、最後の魔法球が混ぜ合わされた瞬間





魔少女「極大魔法…………『(プチ)アルテマ』…………」バチバチッ!!バチバチッ!!!」




魔少女の目の前には凄まじい魔力を放つ球体が現れていた。

基本5大属性魔法球を用いた、最も初歩で基本的な極大魔法の完成である。
304 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/26(月) 21:29:29.07 ID:wTsCWmra0
魔少女「ようやく完成しましたが……これを発動するのに……約8分ですか……実戦では使えませんね……」ググググッ!!!

魔少女の手が震える。極大魔法を維持するのも限界のようだ。
魔少女はそのまま作り出した魔法球『プチアルテマ』を夕焼け空へと放つと


ドォォォオオオオオオンッ!!!!!!!!


「わっ!?」

「キャッ!!」

魔法球は途中で炸裂し、まるでミサイルが爆発したかのような爆炎と爆風が、夕焼け空を覆った。

爆風範囲はおよそ15mほど。もし地上でこれが炸裂すれば、少なくとも直径5mほどの空間には何1つ残らないだろう。


魔少女はとうとう、兵器並みの火力を手に入れたのだ。
これがアレばゴーレムは愚かトレントすら一撃だろう。

しかし


魔少女「これでは……形成維持も不安定ですし撃つ前に先輩がやられちゃいますね。もっと精度を上げて、時間も短縮しないと……」ブツブツ


改善するべき箇所は多いようだ。


魔法部顧問「ふ……ふふ……まさかウチの学校から極大魔法を完成させる生徒が出るとは……これは明日の県大会で全国大会出場間違いなし!!」

「部長ー。めちゃくちゃ凄いっすけど危ないっす」

魔少女「あ……ごめんなさい……」ペコ


男「……魔少女がどんどん人間離れしていく……」


「あ。あれって部長と噂の先輩じゃない?」


差し入れを片手に様子を見ていた男は、極大魔法の威力に呆然としていた。
305 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/26(月) 21:34:29.27 ID:wTsCWmra0

…………


魔少女「差し入れ……ありがとうございます」モグモグ

男「お、おお。てかビックリしたわ。お前いつの間にあんな凄い事出来るようになったんだ?」

魔少女「アレは……前にダンジョンで暴発させた魔法の完成形です。色々やり方を試していたんですがようやく上手くいきました」

男「あー、トレントにやられそうになった時のヤツか!まだ数日しか経ってないのに凄いなお前」

魔少女「前々から……全国大会に出場する為に研究してましたから。それに今は先輩がダンジョンで魔物にやられない為にも」フンスッ

男「ハイハイ、頼りにしてますよっと。……俺もどうにかして強くならないと本格的にヤバイなこりゃあ」ハァッ……
306 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/26(月) 21:50:28.40 ID:wTsCWmra0
…………



オツカレッシター



魔少女「ギルドへのゲート……ですか?」

男「おう。調べたらあのおっさんのギルドに行くのにダンジョンの中でこの名刺を使えばいいんだってさ」

魔少女「この名刺に……そんな高度で強力な魔法が込められていたとは……」

男「まぁダンジョンアイテムで作られた技術らしいけどな。どうする?部活終わったなら今から行くか?折角ダンジョンの中にいるんだし。でも明日大会ならもう休むか」


魔少女「そうですね……行きたいところですが、その……今日はかなり汗もかいてるので……」

男「ん?……別に汗臭くねぇけど」クンクン

魔少女「ッッッ!!!?『ファイヤーボール』!!」ボゥッ!!

男「おわっ!?危なッ!!何すんだテメェ!!」

魔少女「ファイヤーボール!ファイヤーボール!!ファイヤーボール!!!ファイヤーボール!!!!」ボゥッ!!

男「ちょっ!?マジかよ!!」ダッ!!

魔少女「ファイヤーボール!!!!!ファイヤーボール!!!!!!ファイヤーボール!!!!!!!」ドドドドドッ!!!
307 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/26(月) 22:02:18.11 ID:wTsCWmra0
「凄ぇ……部長があんなに取り乱してるとこ初めてみた……」

「いいんすかアレ?あの先輩死ぬんじゃないすか?」

「あー大丈夫大丈夫。あの子にとってはお兄ちゃんに戯れてるようなモンだから」


魔少女「火球!火球!!火球!!!3種複合魔法『ガトリングファイヤーボール(最弱)』!!!」ドドドドドドドドドドドドッ!!!!

男「おまっ!?さり気なく新技の実験台にしてんじゃねぇぇぇええええっ!!!」ダッ!ダッ!!ダッ!!!


魔法部顧問「シンプルかつ強力な術式と素早い発動……やはり今年の魔少女さんなら全国大会出場間違いなし!!」


アッツゥゥゥウウッ!!!


「あ、当たった」

「花火くらいの威力だから大丈夫よ。多分」



男被弾。魔少女魔力切れの為、共に帰宅
308 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/26(月) 22:02:51.94 ID:wTsCWmra0




魔少女「先輩……コレ、ウチの火傷用の塗り薬です」

男「サンキュー。ってお前の魔法で火傷したんだから礼を言うのもなんか違うな」

魔少女「ごめんなさい……でも先輩もデリカシーないです」ヌリヌリ

男「…………すまん」


母「……オホホッ☆」ニヤリ


6日目終了。
309 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/26(月) 22:03:45.16 ID:wTsCWmra0




魔少女「先輩……コレ、ウチの火傷用の塗り薬です」

男「サンキュー。ってお前の魔法で火傷したんだから礼を言うのもなんか違うな」

魔少女「ごめんなさい……でも先輩もデリカシーないです」ヌリヌリ

男「…………すまん」


母「……オホホッ☆」ニヤリ


6日目終了。
310 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/26(月) 22:04:52.12 ID:wTsCWmra0
投下終了です。ではまた。
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/26(月) 22:24:24.49 ID:M0ls6Lt+o
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/09/29(木) 07:00:59.25 ID:fVHCytSbO

日常パートは苦手とみた。でもダンジョンがいいわー
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/08(土) 20:39:01.88 ID:j42Y2cRxO
ちらっ
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/08(土) 22:30:09.58 ID:j42Y2cRxO
h
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/08(土) 22:39:36.10 ID:vhXOQa08O
マダー?(・∀・)
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/13(木) 17:56:27.84 ID:+/yx4xV90
保守
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/19(水) 00:29:14.20 ID:nRajE1o70
続きマダー?
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 16:37:33.59 ID:MwQuScEl0
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/29(土) 08:42:12.19 ID:VmqYCxuG0
続き待ってる
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/07(月) 08:22:29.92 ID:Ak/+9Pbt0
321 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/13(日) 13:14:53.97 ID:cgoAXrnv0
こんにちわ、1です。久しぶりに投下していきます。
322 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/13(日) 13:16:40.30 ID:cgoAXrnv0
ダンジョン生活7日目


魔法部大会当日


男「お、もう火傷のとこ痛くない。魔少女んとこの薬はやっぱ効くなー」

母「アンタ今日魔少女ちゃんの応援に行くんでしょ?早く行かなくていいの?」

男「あ、もうこんな時間か。んじゃ行ってくる!!」




…………




大会会場
県立総合体育館隣 ダンジョン『鏡世界の体育館』


ワイワイガヤガヤ

男「流石に県内の魔法部が集う大会、めっちゃ人多いなー」


県の中心市街にある大きな体育館。その隣にある、現実の建築物とリンクした固定ダンジョン。

このダンジョンは現実と鏡合わせの世界のような仕組みになっており、範囲は大きな体育館から半径1kmほど。
ダンジョンの中の物は石ころ1つ一切壊せない。というより壊れても10秒ほどで元に戻るが、現実で何か物が壊れればダンジョンの中の物も壊れる仕組みだ。

よって思いっきり力を解放する事が出来るため、普段はダンジョン探索者や魔法使い、その他魔力を扱う者達のトレーニングダンジョンとして県によって解放されている。

ちなみに使用料は18歳以上は2時間1000円、中学生高校生は半額である。


魔法使いという者は総じて火力が高い。
その為、普通のダンジョンでは地形が変わってしまう事も多々あり、こういった壊す事のできないダンジョンなどで競技などは行われる。
323 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/13(日) 13:20:34.01 ID:cgoAXrnv0
魔少女「あ……先輩こっちです」フリフリ

魔少女がこちらに手を振っている。どうやら開会式などは全て終わったようだ。

男「流石にクールぶってるお前も緊張してきたんじゃねーのか?」

魔少女「ぶってるってなんですか……緊張はしてますけど同時に楽しみでもあります。自分の力を見せる場でもあり色んな人の魔法が観れる場でもありますから」

男「あわよくば便利そうな魔法があったらパクっちゃおうと?」

魔少女「もちろん……ダンジョンで使えそうな魔法があればいいですね」

男「ホント勉強熱心なこって……で、お前はいつ出番あんの?」


全国高校魔法大会では、様々な部門に分かれて競技・審査が行われている。体操や陸上競技みたいなモノだ。
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 13:23:03.34 ID:VPSMoht90
待ってた
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 13:31:35.33 ID:4nGWrgqgO
やったぜ。
326 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/13(日) 13:56:25.46 ID:cgoAXrnv0
魔少女「私は……去年と同じくフリースタイルと課題魔法です」

フリースタイルは、一対一でとにかく自分の出来る限りの魔法を披露し、審査する競技。
魔法大会の華であり、いわゆるショー形式である。

課題魔法は事前に発表された課題の魔法をどれだけ完成形に近づけるかという競技である。


男「去年はフリーで8位入賞まで行ったんだっけ?」

魔少女「えぇ……でも全国行きが4位からですので」

男「ま、お前なら今年は行けるだろ。ちゃっちゃと優勝してこいよ」

魔少女「……はい」ニコッ
327 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/13(日) 13:58:07.51 ID:EKZj533VO

…………


男「とまぁ、あっという間に去年と同じ準々決勝進出と」

魔少女「去年……負けた相手に勝てたのは嬉しかったです。同じ学年でしたし」

男「相手ポカンとしてたよなー。自慢気に2種複合とか使ってきたけど、こっちは普通に3種複合って。レベルが全然違ったって感じで」

魔少女「去年から……毎日一生懸命、勉強と練習をしてましたから」

男「最近はダンジョンでも色々やったしな。ま、あと一勝だ。気楽にやってこいよ」

魔少女「ですが……次の試合、去年の2位の人で優勝候補なんですよね……ほら、あそこでインタビュー受けてます」


パシャパシャ!!パシャパシャ!!

「あと一勝で全国への切符が手に入りますが、意気込みを聞かせてください」

テンプレ「ここまでこれたのは部員の皆や先生。そして支えてくれた両親のおかげです!皆の為に、あと一勝ではなくこのまま優勝まで頑張りたいと思います」



『キャーーーー!!!テンプレくーーーん!!!』


328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 14:07:32.30 ID:TUuxjS8Do

待ってたよ
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 14:48:38.38 ID:NvByhwneo

テンプレくんワロタ
330 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/13(日) 14:55:43.30 ID:Dg9IcOxGO
男「おーおー、テンプレ通りの綺麗な受け答えだこと。顔もテンプレみたいなイケメン寄りだしテンプレな黄色い声援飛んでるし何か気に食わねぇーなー」イライラ


魔少女「あの人は……魔力自体に特殊な特性『ドレイン』を持つ特異魔法使いです。その為、あの人にしか出来ない魔法も存在します」

男「特性?何それ?」

魔少女「そうですね……例えば水の属性の魔法を使ったとすると、普通は空気中の水分を集めたりして何も無いところから水が放たれたりします。
ですが……『ドレイン』の特性を持つ彼が使うと、物体から逆に水分を吸収するということです。このように魔力自体に特殊な性質を込める事の出来る魔法使いの事を特異魔法使いといいます。まぁ……魔法使いに限らず魔力を使う人に現れる体質のようなものですね」

男「へぇ……じゃあ植物とかに水の魔法を使うと枯れるとか?」

魔少女「枯れますね……人に使っても枯れます」

男「怖っ!物騒な魔法使いだなー」

魔少女「普通の魔法使いでも……やろうと思えば出来る事ですが、術式がかなり複雑になります。故に……特異持ちは最初から特定の複合魔法が使えるといったところですね」

男「へぇー何かズルイなそれ。ちなみに魔少女は?」

魔少女「特異持ちは多くはないので……ただ、20歳までに環境や訓練で後天的に現れるケースも珍しくないので私も先輩も可能性はあります」

男「俺は魔法使いにはなれないだろうけどあったら面白そうだな」
331 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/13(日) 14:56:53.47 ID:cgoAXrnv0
キャー!!キャー!!!


男「……しっかしモテてるなーアイツ。何かこう……胸の奥からイライラが」

魔少女「結構遊んでるって有名ですけど関係ないんでしょうね周りの女の子達には……でもあの人の相手ってことは、次の試合凄く注目されるんですよね……何か緊張してきました……」


男「ふーん……でもゴーレムとやった時とどっちが緊張する?」

魔少女「断然……ゴーレムですね。何か楽になってきました」

男「だろ?お前はあんなエセイケメンには到底出来ねぇ事やってきたんだからさ。自信持てよ。いつものドヤ顔でよ」

魔少女「……はい!」
332 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/13(日) 15:10:21.37 ID:cgoAXrnv0

…………


テンプレ「君!君が準々決勝の相手の子だよね。よろしくね」ニコッ

魔少女「……よろしくお願いします」

テンプレ「あれ?君近くで見たら結構可愛いねぇ。よかったらメールかRINE教えてよ?大会終わったら遊ぼ?」

魔少女「いえ……」イラ……

テンプレ「ん?もしかして彼氏いんの?」

魔少女「いないですけど……」イライラ……


『ピッ』


テンプレ「だったらいいじゃーん。じゃあこの試合俺が勝ったら教えてよ。俺の事知ってんでしょ?なんせ全国選手よ?自慢できるよー」

魔少女「てことは……私が勝てば教えなくていいんですね?」イライライラ

テンプレ「え?もしかして勝つつもり?俺に?アハハー凄い自信だねー。そんなに自信があるならさぁ……やっぱ俺が勝ったら今日大会が終わったらヤラせてよ」


プチッ


魔少女「……わかりました……じゃあ私が勝ったら、私が貴方に対して行う事に文句を言わないでくださいね?」

テンプレ「いーよいーよー何でもしてちょーだい。じゃあ頑張ってねー」

魔少女「……ありがとうございます……」

『ピピッ』


魔少女「……約束しましたからね……」
333 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/13(日) 15:12:19.39 ID:cgoAXrnv0
…………


テンプレ「火!風!2種複合『ヒートブレス』!」ゴォォオオッ!!

テンプレの掌からドライヤーを至近距離で当てたくらいの熱風が、5mほど先まで吹き荒れる。

審査員1「テンプレくんは掌に魔力を溜めて放出するタイプですね。このタイプは射程が短いですが出が速い」
審査員2「滑らかな術式ですねぇ。発動までの無駄が少ない」

テンプレ「水!地!ドレイン!!2種特異複合『クラップ』!」ドゴォオッ!!

テンプレが掌を地面に当てると、数m先の地面の水分が急激に枯渇し、直径5mほど地面が陥没した。

審査員1「彼の特性が出ましたね。様々な属性を吸収する力、中々珍しい特性です」

審査員3「様々な属性をなんなく組み合わせられる……大した技術ですよ」

テンプレ「地!水!風!ドレイン!!特異3種複合……」グググッ……

テンプレ「『デッドスペース』」


テンプレが掌を前にかざすと、直径3mほどの魔力の球体が現れる。
その球体の中は全ての空気が取り除かれ、完全な真空状態を作り出していた。

審査員1「これは凄い!実質4種複合の魔法……今すぐプロに転向しても通用しますよ彼は」

審査員2「単純にダンジョン活動だけでなく、完全な真空状態は様々なジャンルで研究に活用されますからね。いや大したものだ」

テンプレの魔法実演は、様々な観点から審査員に高評価を得ていた。
魔法の活用法とはダンジョンでの魔物との戦闘だけではない。未だ科学で簡単には再現出来ない事象を作り出すことで、技術の進歩に貢献する役割もあるのだ。

テンプレ「ふぅ……最終的には無重力状態を作り出すのが目標だけど、今はこれが限界かな。
ちょっと大人気なく本気出しちゃったけど、これで今日はあの子と……ん?」


自身の持てる全ての魔法を発揮し、勝利を確信したテンプレはふと魔少女の方を見る。
334 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/13(日) 15:13:42.64 ID:cgoAXrnv0
魔少女「……………………」ブツブツブツ


魔少女の周囲には、火・水・地・風・雷の基本5種属性の魔力球が浮かんでいた。


審査員1「あの生徒は一体何をしようとしてるんでしょうか?」

審査員2「基本属性の魔力球を5つ……いや、まさか……」

審査員3「こんな無名の高校生が極大魔法を成功させられるわけが……」


5つの魔法球は、順番に混ざり合い1つになっていく。
そして


魔少女「極大魔法……『プチアルテマ』」ググググッ……


完成させた魔法球を、魔少女が数十mほど離れた場所に撃ち、それが地面に着弾した瞬間


ドォォォオオオオオオンッ!!!!!


テンプレ「え……な……」

審査員1「これは……まさかあんな無名の高校生が極大魔法を成功させるとは……」



着弾地点から半径15mほどに爆風が広がり、爆心地には何も存在しなかった。

極めて基本的な魔法による5種複合魔法だが、その難易度は並の3種4種複合よりもかなり高く、成功させるだけでその名は少なくとも県内トップレベルには轟く事となる。

それを有名な魔法使いでもないこの少女がやったのだから会場内は驚きに満ち溢れていた。




魔少女「えっと……以上です」
335 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/13(日) 15:15:16.08 ID:cgoAXrnv0
…………



男「全国大会進出おめでとさーん」パチパチパチパチ

魔少女「ありがとうございます……疲れました……」グデー

男「結局あのまま優勝までいっちまったな。緊張が解けたんだろ」

魔少女「それはいいんですが……その後の取材の人達にインタビューされ続けたのが……」

男「無名の生徒がいきなり優勝だもんな。なんなら決勝は負ければよかったのに」

魔少女「それはそれで不自然ですから……」

男「ま、とりあえずお疲れさん。この後部の奴等と打ち上げだろ?俺は先に帰るわ」

魔少女「はい……応援に来てくれてありがとうございました」ペコッ

男「……俺も頑張らねぇと魔少女にドンドン置いてかれそうだな」ハァッ……
336 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/13(日) 15:16:15.65 ID:cgoAXrnv0
…………


テンプレ「やぁ……待ってたよ……」

魔少女「あなたは……準決勝ではお疲れさまでした」

テンプレ「……何がお疲れさまでしただ!!」バンッ!!

テンプレは、魔少女を脅すように自分の拳を思いっきり壁に叩きつける。

テンプレ「このクソブスがぁ……どーせ何かイカサマでもしてやがんだろうが!!俺にあんな恥をかかせやがって!!」

魔少女「イカサマとは?……私は自分に出来ることを堂々と披露しただけですけど」

テンプレ「しらばっくれてんじゃねぇ!!ボコボコにして審査員の前に突き出してやる!!」

テンプレが魔少女の制服に掴みかかろうとした瞬間


ピッ
337 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/13(日) 15:17:27.18 ID:cgoAXrnv0
テンプレ『だったらいいじゃーん。じゃあこの試合俺が勝ったら教えてよ。俺の事知ってんでしょ?なんせ全国選手よ?自慢できるよー』


魔少女の携帯から、準決勝前に2人が交わした会話が流れ出した。


テンプレ『え?もしかして勝つつもり?俺に?アハハー凄い自信だねー。そんなに自信があるならさぁ……やっぱ俺が勝ったら今日大会が終わったらヤラせてよ』


テンプレ「な……これは……」

魔少女「念のため……バッチリ録音しておきました。ついでにコレをネット上に拡散させる用意もできています」

テンプレ「この……消せよこのドブスがぁっ!!!」

魔少女「私に触れた瞬間……これの拡散を行います。元々貴方には黒い噂がついてましたから、すぐに広まるでしょうね」

テンプレ「く……この……」

魔少女「そういえば勝った方が言うことを聞くといってましたよね?……では金輪際私の目の前に現れないでください。守れなければ、これを拡散します。では……」


テンプレを冷たい視線で見下しながら、魔少女はその場を後にする。
338 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/13(日) 15:19:26.68 ID:cgoAXrnv0
テンプレ「ハハッ……もう終わりだ……大学の魔法特待も推薦も周りの期待も全部パァッ……何にも残っちゃいない……周りの馬鹿達と同じような底辺の将来……あははははは……」


完全に弱みを握られた。
今となっては立場は魔少女の方が上。その上あんな会話を録られていては手も出せない。
そして魔少女の気まぐれで、いつアレが世に出回るかもわからない。

これから一生、あの女に、あの弱みに怯えて暮らしていかなければならないのだ。






「だったらいっそ全部壊さないかい?」






失意に沈むテンプレへと、何者かが声をかける。

テンプレ「……誰だよ……アンタ……」

「君と同じ、力があるのにこの世界では存分に振るえない人間だよ……ならいっそこんな世界変えてしまった方がいいと思わないかい?君のような力のある人間が、こんな事で落ちぶれてしまうなんて勿体無いと思わないかい?」

テンプレ「……その通りだよ……何で僕のようなエリート魔法使いがこんな目に……」

「我々は君のような人間こそ次の世界を担う者だと信じている。どうだい?そんな世界を作ってみたくないかい?」

テンプレ「……一体何者なんだよアンタらは……」









「我々は『リバース』。世界の理を逆転させる者達さ。混沌渦巻く弱肉強食の世界へとね」ニィッ……







339 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/13(日) 15:24:54.90 ID:cgoAXrnv0
投下終了です。全てがテンプレ小物通りのテンプレくんでした。
ついでに敵対組織登場です。まぁテロリストです。もしかしたら、賛同しちゃう人が多いかもしれない目的があります。

ではまた。
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 15:42:19.64 ID:iHAO18yW0

テンプレ君はそのまま消えれば被害はないものを
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 18:35:50.03 ID:VPSMoht90
テンプレ君名前ヒドすぎワロタwwwwwwwwwwww
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/14(月) 02:32:02.14 ID:sO6pqdHxo
本当に何から何までテンプレだな
勝利宣言からの負けて悪落ち展開までとは恐れ入った
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/16(水) 00:19:25.11 ID:JSyKS/iE0
テンプレ君が死ぬところまで見えた
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/16(水) 00:55:01.67 ID:l95VKxRK0
テンプレ君の恐ろしいところはその後の展開から主要キャラの反応まで全てテンプレ通りにしてしまうところだな
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/16(水) 07:06:13.77 ID:bSLW8yctO
私はテンプレ君は実験体として生け贄にされるまでが見えた
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/16(水) 20:33:07.53 ID:aAcX1O8Io
つまりテンプレ君が出てきた時点でハッピーエンドは確定している…?
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/16(水) 21:31:26.82 ID:q1P6fXy3o
なんだテンプレっていいやつじゃん!
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/16(水) 21:39:15.79 ID:phF7prLYo
ここまでテンプレ
349 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/17(木) 19:07:15.57 ID:UgOrhTYk0
こんばんわ、1です。
まさかテンプレくんでここまで盛り上がるとは思いませんでしたwそれでは軽めに投下します
350 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/17(木) 19:09:19.52 ID:UgOrhTYk0
ダンジョン生活8日目


魔少女宅
薬屋『ラストエリクサー』


魔少女母「あら、○○くんこんにちは。久しぶりね」

男「あ、どうも。お久しぶりです……あのー魔少女います?」

魔少女母「えぇ、いるわよ。ただ昨日の大会で疲れたのかまだ起きてこないのよね。どうせだから○○くん起こしてきてくれない?」

男「え?僕がっすか?……魔少女に怒られたりしないすかね……」

魔少女母「気にすることないわよー、ご近所だし昔は一緒にお風呂もお昼寝もしてたもの。懐かしいわね、すっかり私もおばちゃんになっちゃって」

男「おばちゃん……?……じ、じゃあとりあえず、起こしてきますね」


魔少女母「えぇ、お願いねー」


男「…………おばちゃんって…………どう見ても見た目精々中学生なんだがな……魔少女のおかんって一体……」

魔少女の母は見た目がとてつもなく若かった。そして可愛かった。
その為、この店の魔法薬などに美容とアンチエイジングの効果があると睨んだおば様達が、毎週のようにこの店の薬を買い漁りにくるのだ。
351 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/17(木) 19:16:25.35 ID:UgOrhTYk0
トントン

男「おーい魔少女ー、もう昼前だぞー起きろー」トントン


ノックもせずにラッキースケベなぞゴメンだと言わんばかりに、男は魔少女の部屋の前で声を上げる。

が、何の反応もない。まだ寝ているのだろうか。少なくとも着替えの最中とかではなさそうだ。


男「んー……しゃあない、入って起こすか。魔少女ー」ガチャ

男は仕方なく魔少女の部屋の中へと入る。


男「うぉ……本ばっかしだなー……流石知識欲の塊」


魔少女の部屋は女の子らしい部屋とはお世辞にも言えず、一面本棚で埋められていた。

この知識こそが今の魔少女の強さでもあるのだろう。


男「お、でもベッドの周りは結構かわいい感じに……うわぁ……」

ふと男はベッドの方に目を向ける。
352 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/17(木) 19:47:13.16 ID:UgOrhTYk0
男「……コイツ寝相悪過ぎだろ……」

そこにはベッドから上半身がずり落ち、布団代わりのタオルケットが顔を覆い、下半身はパンツどころか半ケツ丸出し状態の魔少女の姿があった。

正直エロいというよりちょっと引く光景である。


男「……ここにいたらコイツに殺される気がするな……見なかった事にしよう……」スッ……

バタンッ!!


魔少女「……………………ふぇ?」





…………


ファミレス


魔少女「先輩……朝ウチに来られてたんですね」

男「え?あ、あぁ、お前寝てたみたいだからすぐ帰ったけどな」

魔少女「そうですか……すいません、やはり疲れが出てたみたいですので」

魔少女母には口止めをしておいた。
あんな寝相を見られていたと知ったら、魔少女は恐らく烈火の如く荒れ狂うだろう。
353 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/17(木) 19:57:35.88 ID:UgOrhTYk0
男「まぁ当然だろ。今日くらいお前もゆっくりしてたらどうよ」

魔少女「そういうわけにはいきません……あのオートマタの子を引き取る日まであと1週間しかないんですから」

男「まぁなー、あと1週間で最低でも1000ゴールドは一端の高校生にはちとキツイよな」

魔少女「ダンジョンに毎日入るというのも……あまりいい手段とは言えません。蓄積された疲れが大ケガに繋がる恐れもありますから」


男「となると、やっぱ今1番いい手段は……」

魔少女「そうですね……やはりカウボーイさんのギルドを頼るの1番かと」


先日男が気付いた、カウボーイのギルドで仕事を受けるという案。
ギルドには大小様々な依頼が寄せられる。その中でも手軽な依頼をクリアし、なおかつダンジョンのアイテムを換金するという手段である。


男「とりあえず、まずは名刺を使ってあのおっさんのギルドに行ってみるか」


魔少女「そうですね……では市役所近くのダンジョンに行きましょう」
354 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/17(木) 20:11:25.91 ID:UgOrhTYk0
『一(はじめ)市 市役所前ダンジョン』




男「ダンジョンの中で名刺に魔力を込めればいいんだよな?」

魔少女「はい……それでギルドのあるダンジョンへのゲートが開くハズです」

男「んじゃ早速……」ググッ


カッ!!


男がカウボーイからもらった名刺に魔力を込めると、たちまち目の前の空間が歪み、別ダンジョンへの穴が開く。


男「うぉ、本当に道が出来た……なんかちょっと怖いな入るの」

魔少女「ゲートは安定しています……男の子なんですから腹をくくってください」

男「こういう時は女の方が度胸あるよなー……うし、行くか」

魔少女「はい」ニコッ
355 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/17(木) 20:13:11.04 ID:UgOrhTYk0
東京

ダンジョン『株式会社【RPG】中央エリア』



男「ここが……」

魔少女「ダンジョン内に作られたとはいえ……想像を遥かに超えるスケールですね。まるで一つの都市のようです」



ゲートを抜けるとそこは大都市でした。


思わずそう言いたくなるような光景が、男達の目の前に現れた。


そこら中にそびえ立つビル。
道路などがきちんと整備され、ダンジョンの外と変わらないように行き交う人々や車。

本当にダンジョンの中なのかと疑うほど、一つの完成された都市がそこにはあった。



男「さて……とりあえずどうしようか」

魔少女「まずは……カウボーイさんのところに向かいましょう。ほら、あそこに案内所があります」
356 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/17(木) 20:20:42.50 ID:UgOrhTYk0
受付嬢「いらっしゃいませ。こちらは株式会社RPG、中央エリア総合案内所でございます」


男「あ、ども。すいません、僕たちカウボーイさんって方にこの名刺をいただいてここに来たんですけど……」

受付嬢「名刺ですね、ご確認いたします。……ッ!?し、少々お待ちください!!」バタバタッ


案内所の受付おねーさんは、名刺を見るやいなや驚いた表情で奥へと姿を消した。


男「……どうしたんだろうな?」

魔少女「あの人は社長と言ってましたし……恐らくギルド部門のトップの方でしょうからね。アポイントもとってませんしもしかしたら会えないかもしれません」

男「そうなると困るよなー。最悪俺たちでギルドで仕事もらえるようにどうにかしないと」


受付嬢「お、お待たせいたしました!!会長は現在ギルドエリアにあるこちらの建物にいらっしゃいます。こちらの携帯ナビゲーターをお渡しいたしますので、指示に従ってお進みください」

男「お、よかったよかった。何とか会えそうだな」

魔少女「あれ?……今会長って……まぁ気にしなくてもいいですかね。行きましょう」


…………

受付嬢「な……何であんな高校生の子達に会長が……私だって初めて電話を繋いだのに……」
357 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/17(木) 21:12:33.41 ID:UgOrhTYk0
ギルドエリア
総合依頼案内所


『ギルド【RPG】伝説の秘宝からお子様のお使いまで、あらゆる依頼を受け付けます』


男「うおー、めちゃくちゃデカイビルだなー」

魔少女「ここに……世界中からあらゆる依頼が集まってくるんですね」

男「こんなデカイところにいるとは……流石社長っていうだけあるなーあのおっちゃん」


ナビゲーター『目的地までこの道をあと1kmです』

男「え?ここじゃねーの?」

魔少女「この先に……もっと凄いところがあるんでしょうか」
358 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/17(木) 21:14:57.96 ID:UgOrhTYk0
ギルドエリア端

寂れたビル内 事務所


カウボーイ「ウィッチちゃーんコーヒーちょーだい」

ウィッチ「あぁ!?こっちは忙しいんだよ!テメェで淹れやがれ!!」カチカチカチカチ

カウボーイ「ダメダメー、ウィッチちゃんのコーヒーじゃないと僕やる気でないんだよー……仕方ない、プリースト頼む」

プリースト「却下だ」ズズッ……


比較的新しい建物が並ぶ街通りの中、一つポツンと浮いたように建てられた寂れた小さなビルの中。
その中に、カウボーイ達の集まる事務所はあった。


パッと見る限り、先日会ったカウボーイとパソコンとにらめっこしているウィッチの他に、短髪の金髪で神父のような格好の、両腰にロングソードを携えた男がコーヒーを啜っている。
359 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/17(木) 21:18:59.36 ID:UgOrhTYk0
男「…………あれ?社長じゃなかったのこの人」

魔少女「いえ……さっき携帯で私も調べましたが、社長どころかこの【RPG】グループの会長だそうです……写真でも確認しました。権力としては1番上の方のハズですが……」

男「じゃあ何でこんな寂れた建物でダラダラしてんだよ……」


プリースト「む……客だぞ」

カウボーイ「おー、よく来たね2人ともーほらほら入って入って」

「「は……はぁ……」」

カウボーイがこちらに気づき、2人はボロボロのソファーへと案内された。
360 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/17(木) 21:32:48.69 ID:UgOrhTYk0
カウボーイ「よーこそ当ギルド【RPG】へ。歓迎するよー2人ともー。あ、ウィッチちゃんお茶ちょーだい」

ウィッチ「だから今手が離せねーって言ってんだろーがクソオヤジ!!申し訳ございませんお客様!!」

プリースト「俺が淹れよう」スッ……

カウボーイ「え!?僕には淹れてくれなかったのに!?」

男「なんか……想像とはかけ離れてんな……ギルドって……」

魔少女「あの……どうしてあんな立派な建物のギルドがあるのに皆さんこんなところにいらっしゃるんですか?」


カウボーイ「だって面倒くさそーじゃない」

プリースト「性に合わん」スッ……つお茶

ウィッチ「人が多すぎて緊張いたします」カチカチカチカチ


魔少女「納得しました……」


男「何で社長なんてウソついたんだ?社長どころか会長だなんて」


カウボーイ「え?社長だよ?この汚いギルド事務所【RPG】の」

プリースト「【RPG】グループの社長は我々の仲間が担当し実際にグループを動かしている。この男はただの創業者という事で名目上グループの会長となっているだけだ」

ウィッチ「この人がまともに企業のトップとしての仕事をするとお思いにますか?かといってここまで成長したグループを完全に放り出すのも勿体無いのでこういった方法を使っております」


男「……納得……」
361 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/17(木) 21:37:45.36 ID:UgOrhTYk0
カウボーイ「とりあえず紹介しとこうか。これが僕たちのギルド【RPG】だよ。メンバーは他にもいるけど、とりあえず今日はこないだ会ったウィッチちゃんと、この無愛想な神父っぽいヤツがプリースト。
ちなみにコイツ本物の神父ね。武器はロングソードの二刀流で神父というよりエクソシストみたいなヤツ」


プリースト「よろしく」


男「あ、ども。『男』です。……ていうかこれがギルドって事はあの大きな建物のギルドは……」

カウボーイ「あぁ、アレ?アレはアレでちゃんとしたギルドだよ。何て言ったらいいかなー……コッチのメンバーは本物の精鋭揃いで、アッチのメンバーは大衆的というか何というか……まぁよくて上の下くらいの冒険者達ってとこかな」

プリースト「基本的には彼らが。手に負えない大きな仕事は我々が遂行している」

男「なるほど……モ○ハンでいうG級冒険者ってヤツっすね」

カウボーイ「お、君もやってる?モ○ハン」



プリースト「で。何の様で来た?」

魔少女「あ……はい。実は、こちらのギルドで何かお仕事を紹介していただけないかと思いまして」
362 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/17(木) 21:40:21.73 ID:UgOrhTYk0
…………


プリースト「成る程。オートマタ修理の為か」

魔少女「はい……どうでしょうか。よろしければこちらのギルドに登録させていただきたいのですが」

カウボーイ「ウィッチちゃん」指パチンッ

ウィッチ「登録完了です」カチカチカチカチ

男「早っ!!え!?いいの!?そんな一瞬で決めてッ!!何か色々審査とかあるって聞いてたんだけど」


カウボーイ「審査ならやったじゃないのー、こないだ滝のダンジョンでさ」


男と魔少女がゴーレムと激闘を繰り広げていた時、カウボーイは一部始終それを観察していた。
結果、2人の将来性・人格共に問題なしという判断を出していた。

カウボーイ「というか実は、既に手続きやら何やらほとんどやっちゃってたんだよねー。後は本人達の了承のみってだけだったから」
363 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/17(木) 21:42:15.86 ID:UgOrhTYk0
魔少女「ということは……既にこのギルドに来ると予想していたと」

カウボーイ「そりゃあダンジョンでお金を稼ぎたいんならギルドの依頼受けた方が実入りはいいからねぇ。名刺も渡してたし近いうちに来るとは思ってたよ」

男「んじゃあ、もう俺たちはギルドの依頼を受けられるって事?」

カウボーイ「そうだよー。ほら、コレが少年のギルド所属証明書。チームの時は代表者1人が持ってりゃいいから。魔少女ちゃんも欲しいならあげておこうか?」

魔少女「そうですね……念の為、いただきます。先輩無くしそうですし」

男「否定はしない」

カウボーイ「まぁ後はギルドの受付嬢にでも丁度いい依頼を見繕ってもらってよ。期待してるよ2人共」ニィッ
364 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/11/17(木) 21:45:17.27 ID:UgOrhTYk0
投下終了です。
次元の違う最強格3人目、プリーストさん登場です。
次回は初クエストとなります。ではまた。
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