ハルヒ「何であんたが幼馴染みなのよ!」キョン「こっちだってお断りだ」

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/16(火) 15:46:56.34 ID:VU8XTv71O
おしまい
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/16(火) 15:51:56.08 ID:izas9k0AO
最初だけ思いついたやつか?
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/16(火) 15:55:43.54 ID:LmQn5ARR0
書かないと落ちるぞ
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/16(火) 16:10:34.25 ID:PnxtBskwO

何だかんだで三週間後

俺はと言えばすっかりクラスに馴染んでいた

そんな俺の昼休みの事だ

「なぁ、キョンよ。お前はどうして涼宮と仲良くやれてるんだよ」

「あ、それは私も気になるなぁ」

「何だ。藪から棒に……朝倉まで」

先に言っておくが別に仲良くやっているわけではないぞ

とくに谷口が疑っているであろう関係では断じてない

ありえないのだ

今日だって絶賛喧嘩中である

「んー。でも喧嘩してもキョンから離れたりもしないよね。逆も同じだし」

「だよなー?やっぱ怪しいぜこいつら。涼宮なんてもう学校始まって一ヶ月近くなのにキョン以外まともに話さないしよー」

「や、やっぱりそう言うことなの?」

「人をまるで何かの犯人扱いするのはやめろ……あいつとは何もない。ただの腐れ縁だ」

先にも言ったように、俺とあいつの関係はただの幼馴染みだ

たまたま家が隣でたまたま年が一緒だったからよく遊んだ

それだけの偶然の関係性なのだ

「ちょっとキョン。来なさい」

「何だ。俺は見ての通り食事中な訳だが」

「うっさいわね。あんたの食事なんてパンの耳だけで充分よ」

「弁当作ってくれてるお前が言うなよ……」

「弁当!?」

「うるさいよ谷口」

「え?キョンくんと涼宮さんってもしかして一緒に?え?」

「朝倉さんは動揺しすぎだよ……大丈夫だよ」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/16(火) 16:31:33.28 ID:me3PSWVqo
久々に良SSの予感
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/16(火) 17:21:02.47 ID:4L71BAQ+O

「私が作ったんだから食べるタイミングも私が決めてもいいじゃない」

「何だその無茶苦茶な理論は。いいかハルヒ。人間食事は落ち着いて味わって食うものなんだぞ」

「取り上げられたくなかったら大人しく付いてきなさい」

「断るといったら?」

「あんた明日からのり弁よ。文字通りのね」

「……用件を聞こうか」

こらそこ。情けないとか言うな

こいつの飯はうまいのだ

取り上げられるのは困る

そのうえお袋はハルヒが弁当を作ってくれるので食費をハルヒに渡している

つまり強制的に俺は明日から昼飯抜きにされそうになってるのだ

いや、抜きではないか

しかし海苔だけは流石に寂しい

「付いてきなさい」

「わかったよ。飯のためだ」



「……なぁ国木田」

「なに?」

「やっぱあいつらって付き合ってるよな?」

「んー。僕の知る限りではそうじゃないけど」

「はぁー!キョンのやつ爆発しねーかなあ」

「そんな事言ってる間は無理じゃないかなぁ」

「はぁ……」

「……僕の知り限りでは本当にそういう事はないと思うよ。朝倉さん」

「べ、別にキョンくんと涼宮さんが仲良くても私には関係なのよ!?」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/16(火) 17:21:53.87 ID:4L71BAQ+O
>>7
ミス
関係なのよ→関係ない
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/16(火) 17:22:29.62 ID:lDpjcRn40
古泉とは初対面ではなさそうな気がするよ……
あとジョンとかなくなってそう
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/16(火) 17:29:57.84 ID:BSrVaumYO

「んで、どうしたわけ」

屋上前の階段廊下まで連れてこられた辺りでハルヒは動きを止める


「……ん」

「……何だこれ」

こっちを向いたと思ったハルヒは唐突に俺に拳を突きつけてくる

その手にはお弁当包みがぶら下がっている

「……?」

「……ん!」

困惑しているとまたつきだしてくる

いや、受けとれと言うことはわかるのだが……

「今日の分はもう貰っているはずだが……?」

「うっさいわね!ちょっとたまたま新作作ってたらおかず余ったのよ!黙って受けとれ!」

「お、おう」

「はやく開けなさいよ」

「……ここでか?」

「そうよ」

「……」

ハルヒがジトッとした目で見るのでとりあえず階段に腰かけて広げる

中は惣菜でギッシリだった

から揚げやハンバーグ、ポテトサラダやらと主に俺の好きなものが多いのは気のせいだろうか

「……いや、しかしお前これわざわざ朝に?」

恐らく手作りであるだろうそれに思わず口にでる

普通に朝受け取った弁当だって何時も通りの出来映えだったのだ

そもそもハルヒが弁当に作る量を間違えるわけがあるはずもない

こいつは親がいない時には晩飯を作り来てくれたりもするのだ

わざわざ新作だなどと言ってこんなことをするわけは何故だ?
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/16(火) 17:36:06.14 ID:BSrVaumYO

「……その……悪かったわよ」

……一瞬思考が停止した

だってそうだろ?

長く付き合っている俺ですら数えるほどしか聞いていない言葉をハルヒは口にしたのだ

固まらないわけがない

思わずハルヒを凝視してしまう

「な、何でもない!いい!残したら罰金だかんね!」

「あ!おい!ハルヒ!」

走り出すハルヒを急いで呼び止める

こちらを振りかえりこそしないがハルヒは止まってくれた

「……ありがとよ」

その時のハルヒの顔は非常に残念ながら見れなかった

最後にあいつはこちらを振り返ると人差し指を目の下に向け、舌を出してきた

いわゆる、あっかんべー

それがアイツからの返事だった


……さて、どうしてハルヒがわざわざ弁当増量してまで謝るための口実を作った理由はなんだっただろうか


……確か妹のプリンを俺のだと勘違いして食ってしまったハルヒ

そのハルヒが俺にプリンを買いにパシらせたのだ

当然俺は反発したわけだが何だかんだで買いに行ったのは俺になってしまったのだ……


買いにいかされた俺は帰ってきてから何となくハルヒに小言を言ったのだ

ハルヒはハルヒで反発して結局口論になり今日になってしまった

……という割りとどうでもいい理由だったりしたはずだが


昔のハルヒならこの程度で謝ったりはしなかったはずだ

……少しは成長しているってことか


「いただきます」


丁寧に両手を合わせてから新しく渡された弁当をつつく


「……うまい」


……仕方ないので今日はハルヒの分のプリンも買ってきてやろう
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/16(火) 17:58:28.97 ID:BSrVaumYO

「おーいキョン!今日ゲーセンいかね?」

放課後になった途端谷口が絡んでくる

別にゲーセンに行くぐらいはやぶさかでもないのだが……

「あいにくと持ち合わせがないんでな」

「かーっ!しけてんなぁキョン。そんなんじゃデートとかで困るぞ。金無しの甲斐性無しと思われちまうぜ」

ほっとけ

そもそもそういったときのために金を無駄遣いしないようにしているのだ

「あ、ごめんなさい。ちょっとドア開けてくれるかしら?」

……とそこに両手にプリントをごっそりと持っている朝倉が声をかけてくる

「あぁ、すまんな……」

扉をあけて一歩退く

「ありがとう」

「そうだ。キョン」

思い付いたように国木田が俺に告げてくる

「朝倉さんのプリント半分もってあげなよ。谷口は僕か引き取るからさ」

「え!?い、いいよ国木田くん。大丈夫だから」

「そう言わないでさ。ねぇ?キョン」

「あ、ああ。それは構わないが……」

国木田にしてはずいぶんと強引な気もするが別にプリントをもつぐらいは構わないさ

それで谷口から解放されるなら問題もないだろう
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/16(火) 17:59:38.63 ID:BSrVaumYO

「……ふふっ」

「どうした、急に笑いだして」

「ううん。入学してすぐの頃もこんなことあったなぁって」

「ああ、お前が委員長させられた時の事か」

「嫌なこと言うなぁキョン君は」

朝倉は別に自分から委員長をやった訳ではないのだ

ただ周囲の期待の視線とかに耐えられなくてなってしまった

よくある話だ

「……まぁ最初は私も嫌だったけど今は別にそこまで苦じゃなくなったよ?」

「……そうか?俺なら放課後まで拘束されたりしたら面倒で放りだしそうだ」

「ふふふ。口ばっかり」

「?」

「キョン君は口でそんな事言っても何だかんだでやり遂げる人だよね」

「おいおい。随分と高く買ってくれてるな」

「そうかしら?……だからこそ涼宮さんはキョン君と一緒にいるんだと思うけど」

「……あいつとはただの腐れ縁だよ」

「ふぅーん」

「なんだ」

朝倉が上半身を傾け俺の顔を下から上目遣いで見てくる

正直可愛いから反則だ

目のやり場に困るので顔を反らしてしまう

「ふふ。じゃあさ、キョン君」

「お、おう

「私と腐れ縁じゃない縁を結んでみる?」

「は、はい?」

なんだそれ

腐ってない縁ってなんだ?

そもそも俺と朝倉の縁はなんだ?

朝倉は委員長であって友達である

だが友達である朝倉がわざわざこんなことを言ってくるのは何故だ?

そもそもこれはどういった意図の発言なんだ

「あははは。キョン君凄い顔になってるよ」

「お前が変なことを言うからだろ」

「ごめんなさい。けど、あながち冗談でもないかもよ?」

「……え?」

「キョン君にその気があればだけどね」

「それじゃ私はプリント先生に届けてくるから。ありがとうキョン君。持ってくれて」

たたっとリズミカルに動き出す朝倉を俺は止めることはできなかった

俺の頭の中がさっきの朝倉の言葉を木霊していたからだ

……そりゃ反則だぜ朝倉

イエローカード二枚で退場レベルだ

こういう思わせ振りな言葉一つで揺れるんだから男ってのは単純なもんだ

「……帰るか」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/16(火) 18:28:26.00 ID:Y4FHnDuQO
期待
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/16(火) 18:48:32.08 ID:YUQ0suF00
良いね
でもこんな理想的展開だと変に勘ぐってしまうのよね、悪い癖だ
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/16(火) 20:54:29.50 ID:3jLjObVUo
感動した
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/17(水) 18:57:48.26 ID:zpiYVB7zO
きたい
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/17(水) 21:50:38.42 ID:fODCkzvAO
ハルヒがいる消失世界って感じかな?
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/18(木) 08:43:00.48 ID:OwwEGYf/0
完結目指して頑張れ
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/18(木) 08:53:24.90 ID:ZDoHalVSO
佐々木とキョンの過去さえも奪うハルヒ
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/19(金) 01:45:03.09 ID:N3fZjlm3O
悶々とした感情を抱えながら帰宅した俺を待ち構えていたのは、誰であろうか

本来であれば家族であるところの両親や、兄妹である妹だと解答すべきところである

……が、しかし今回は違ったようだ


仏頂面で俺の部屋のベッドのど真ん中を占領するのは涼宮ハルヒである

そんな人のプライベートもあったもんじゃない状態で開口一番にこんなことを言ってきた

「どうして何もおきないのよ!」

「……まず、どうしてお前は人の部屋に勝手に入っているんだ。荒らしてないだろうな」

部屋に入り込んだと思ったら第一声がそれだ

流石に文句の一つもつけたくなるものである

ちなみに、ハルヒの突拍子もない発言にいちいち驚いたり反応したり、突っ込んだりしてたら身体が持ちやしないのでスルーする

……いや、勿論突っ込むべきところは突っ込むぞ?

放っておいたら事態をどんどん悪化させるのがこいつだからな


さて、少し脱線したが話を戻そう

今回の発言はスルーできるものか、それともスルーしてはいけないものか

どっちであるか
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/19(金) 01:46:20.41 ID:N3fZjlm3O

「別にあんたの部屋なんて見慣れてるし気にしないでいいじゃない。でもエロ本隠すならもっとうまくやりなさい。妹ちゃんに見られたりしたらどうするのよ」

「やっぱ漁ってるじゃねーか!」

「あんたの性癖なんてどうでもいいの。それよりどうして何も起きないのよ!」

もし、どうでもいいことで怒っているなら今の脱線でズルズルと話を反らせていただろう

だが、そうならなかったということはそういうことだ


今回のケースは前者に含まれるのであろう


……つまりは暴走気味だ


まぁ、理由はとてつもなく自分勝手で非常に偏った理由で怒っているんだろという想像はできる


しかし、放っておくと俺にまで火の粉が降りかかる恐れがある

というか今までずっとそうだったわけだ

仕方ないので話を聞いてやることにしよう……


「……それで、何に対して怒っているんだお前は。抽象的すぎてわからんぞ」


「だから!どうして高校生になって一ヶ月も過ぎようってのに何も事件やら事故やらが起きないのよ!おかしいじゃない!」


……やっぱりとてつもなく自分勝手な理由で怒っていらっしゃった


「一応聞いておこうか……どうして高校生になればそんな非日常的な事が起こると思ってたんだ」

「それはあんたが……!」

「……俺が?」

俺の発言にハルヒは食い付くように何かを言おうとした

……が、急にそれが止まる

そして俺が聞き直そうとすると何かを考える素振りを見せるじゃないか

珍しいこともあるものだ

猪突猛進なこいつが自分が言おうとしている発言を吟味しているのだ

「……あんたが高校生にでもなれば少しは変わるかもって言ったんじゃない」

顔を反らしながらもハルヒはそういう

「それは人間関係についていっただけだぞ」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/19(金) 01:47:18.22 ID:N3fZjlm3O

「……あんたさ」

「何だ?」

「宇宙人っていると思う?」

「さぁ……いるんじゃないか?他所に人類がいると仮定すればそいつらからすれば俺達は宇宙人だ」

何だこの質問は?

答えた途端にハルヒの顔が何かを期待するように輝きだすじゃないか

「じゃ、じゃあ未来人は?」

「いてもおかしくはないだろう。未来の話だしな」

少しだけハルヒがガッカリしたような顔をする

何なんだ?いったいコイツは俺にどう答えてほしいんだ?

「……超能力者は?」

「人類すべてを調べれば一人ぐらいはいてもおかしくはないだろう?」

「……異世界人は?」

「さっきと同じだ。人類すべて調べればわからないんじゃないか」

今度こそハルヒはしょんぼりとしてしまった

何だろうかこの居たたまれなさは

俺は思ったことを素直に答えていただけだ

だが、その答えの何処かがハルヒの期待とは違ったようだ

最初の明るさは何処へやら

今のハルヒは端から見ても暗いとわかるぐらいに落ち込んでいる

いや、これは落ち込んでいるというのだろうか?

まるで宝くじが当たったと思ったら桁がひとつずれていてガッカリしたような……

そう、悲しんでるのか?
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/19(金) 01:48:22.98 ID:N3fZjlm3O

何故だかハルヒのそんな顔を見ていると非常に気まずい

何だろうか

何だろうな……

魔が差したとでも言えばいいのか

俺はハルヒに、ひとつ助言なような、小言のような

そんな一言を言ってしまったのだ

「まぁ……さ、居たらいいな……とは思うよな。そういうの」

「……そう」

「けど、そう言ったことって年を取るにつれて言わなくなってくるもんだろ?」

「……そうね」

もうハルヒはこっちを見ようともしない

顔を伏せ、身体を俺の方向ではない方向に向けている


「そういう話を大っぴらに話すとさ……バカだって思われるだろうけどさ」

ハルヒはどんな顔をしているのだろうか

さっきの顔が頭から離れてくれない

「だけど、そのバカだって言われた奴等が文明を作ってきたんだろ?」

ハルヒが少し、本当に少しだけ反応したのを俺は見逃さなかった

「地球は丸いって信じて、そして世界中を仰天させた奴だっている。電気を開発した奴だってそうだ。周りからバカだバカだと言われてた」

「けど、そういう人達がいたから今の世界があるわけだ」

「つまりだ、何が言いたいかって言うと……」

そこまで言うとハルヒがガバッとこっちを向く

そして立ち上がりズンズンとこちらに近づいてくるではないか

「……そうよ……そうじゃない」

譫言のように呟くハルヒ

その顔付きはさっきとは180度変わっていた


「ないんだったら作ればいいのよ!」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/19(金) 01:49:33.00 ID:N3fZjlm3O

あーあ、やっちまった

絶対俺も振り回されるのであろう

だがしかし、仕方ないか

こいつがこんな風に笑ってないとこっちの調子まで狂っちまうんだからさ

「キョン!協力しなさい!」

「何を」

「部活よ!作るのよ!」

どうやら俺の言わんとしたことはちゃんと伝わったらしい

……が、少し元気ありすぎじゃないか?

今にもどっかに飛び出しそうだ

「……とりあえず明日からな……」

「やると決まったらすぐ実行よ!」

「まてまて。今は夜で、学校も空いてないっての」

「学校なんて宿直の先生が一人ぐらいいるわよ」

「しかしだな……そうだ。部活名とか活動内容とか色々とだな……」

「両方決まってるわよ!」

早すぎるだろ!

作ると決めて二秒で部活名も部活内容も決まってたまるか!

「キョンは書類関係とか諸々任せるわ」

しかも面倒なこと全部俺に放り投げやがったぞ!

なんてやつだ

「私は部室と部員を部員を確保してくるわ!」

「してくるわじゃない!学校もやってないのにどうやって勧誘するきだ!明日にしなさい!」

「……むぅ、仕方ないわね」


やれやれ……この極端に落ち込むか極端に行動するかの二択しかないのかこいつには
俺の考えは他所に鼻歌を歌い出すハルヒ

……まぁ、少しぐらいは付き合ってやるか

確かに中学の頃に高校で少しは変わるんじゃないかと言ったのは俺なんだしな

「あ、でもあんたって本当にバニー好きなの?そんな本が結構あったけど。これとか」

「だから人の部屋を漁るんじゃない!」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/19(金) 01:50:33.95 ID:K9IAHUj6o
これは……
面白くなってきた
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/19(金) 01:52:25.37 ID:xbd7YovdO
>>22
ここからかなり期待値が上がってきてるんだが
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/19(金) 02:26:13.16 ID:vwZ8iMaSo
ハルヒに幼馴染属性がついただけでこんなにも破壊力が上がるとは
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/19(金) 09:37:38.53 ID:UVCJgmaD0
色んな行動が許せるようになったわ幼馴染属性
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/19(金) 19:20:36.95 ID:wZNx33HrO
そもそもハルヒ大好きだった俺は悶え死にそうなんだが
期待
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/19(金) 19:25:57.46 ID:YlXj4DXCO
幼なじみハルヒとのんびりラブコメするだけの話じゃなさそうで期待値激上がりなんだが
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/19(金) 23:27:04.26 ID:jmEX/BL3O
自分の部屋に戻ったらあの太ももがベットにいるとか素晴らしすぎます
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/19(金) 23:47:19.08 ID:428UDlvD0
原作はエタってもこれはエタらないでくれよな
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/19(金) 23:56:07.58 ID:r7JJc9/jo
やっぱ地の文あったほうが面白いな
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/20(土) 08:57:10.75 ID:4ON5wizw0
ハルヒが幼なじみってだけでストーリーがいろいろ変わりそう
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/22(月) 05:17:01.91 ID:IsVx59tgO

「……と言う訳なんだか」

「え?何が?」

翌日の昼休み

朝倉に先日の事を話そうとしていた

何故かって?

この部活申請書を埋めるためだ

生徒手帳で申請の仕方はわかる

わかるのだが……問題は申請の中身なのだ

あの後ハルヒの口から聞いた部活名と内容はとてもじゃないがそのまま申請書に書けるものではなかったのだ

当然と言えば当然なんだが……ハルヒだし

そこで、委員長であり、友人であるところの朝倉に相談を持ちかけようという事だ

別に昨日のあれが気になるとかそんなわけでは断じてない

……断じてないぞ?

「キョン君?」

「ああ、すまない。朝倉。少し時間いいだろうか」

「それは構わないけれど、どうしたの?改まって」

「恩にきるよ」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/22(月) 05:18:00.71 ID:IsVx59tgO

「えーっと……」


さて、事情を話終えた時の朝倉の顔はなんとも言えないものだった

それは例えるなら買い物中に駄々をこねている子供の扱いに困っている母親のような姿である

……気持ちは非常にわかる

仮に自分がこんな相談をされたとしても似たような顔をするだろう

むしろ、バカじゃないかと一蹴されないだげ朝倉は優しい

「無茶だよな」

「う、うーん。そもそも部活動に必要な人数は最低限五人以上と決まっているの」

「だよなぁ」

「最低でも三人……同好会としての設立なら三人からでも大丈夫だけど……同好会にしろ部活動にしろ活動内容がちゃんとしていないと申請が通ることはないと思うわ」


朝倉は俺と全く同じ結論に至ったようだ

さて、困った

どうやって突破口を開いたものか



「……あの、ね?」


さっきまでスラスラと喋っていた朝倉が急にモジモジとしだす

「どうした?」

「キョン君がどうしてもって言うなら……私がメンバーに入ろうか?」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/22(月) 05:19:27.50 ID:IsVx59tgO

「それはありがたいが……しかしだな」

朝倉を巻き込んでしまっていいものなのか

ハルヒの奇行はそりゃもう激しいもんだ

朝倉のようなタイプが耐えれるのだろか

「ほ、ほら!幽霊部員てきな、ね?とりあえず名前だけでも貸しておけばそれで同好会としての形は出来るわけだし」

「そうなれば涼宮さんが無茶をすることもないんじゃないかな?」

うーむ。確かに最低限の形が出来ればハルヒも教師相手に無茶を働くこともない……か?


いや、あいつのやることなすこと全部目をつけられるだろうからなぁ……

どうせそのうち無茶してその尻拭いが俺に回ってくるのだろう


まずい。容易にそんな状態が想像できてしまうぞ
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/22(月) 05:20:42.78 ID:IsVx59tgO

「キョン君?」

「ああ、すまん、ちょっと考えてた」

「……そんなに私が入るのが嫌?」

「いや、そんな事はないぞ。ただ勧誘はハルヒがやるって言っていてな……」

「涼宮さんが……」

少しだけ朝倉の表情が暗くなった気がする

一瞬で笑顔に戻ったけど確かに暗くなっていた

「じゃあ、私から涼宮さんに話をつければいいのね?」

「まぁ、それでハルヒが納得すれば問題はないんだろうが……」

「このバカキョン!」

「ぬお!?」

朝倉が何を思ってこんな怪しげな部活に入ろうとしているのかさっぱりわからんが、それを認めていいものか悪いことなのかを思案しようとした時


それは、起きた

何がどうなったかって?

ハルヒが弾丸のように突撃してきた

勿論文字通りにだ

こいつに止マレなんて言葉は無駄なのだ

が、それはそれとしてハルヒに言う言葉はこうであろう

「いってーなこの野郎!何すんだ!」

「それはこっちの台詞よ!あんた私をほっぽいて何をやってたのよ!部活申請書ちゃんとやってるんでしょうね!」


「その台詞……普通なら可愛いげのある子が寂しいけど強がるときに使われる台詞だぞ……」


折角の可愛いげのある台詞が後の台詞で台無しである


「……か、かわいいとかバカじゃないの。それより」

んっと先日のように手をこちらに突き出してくる

……予測だが部活申請書を寄越せということだろう


だが当然のように用紙は真っ白だ

これをそのままハルヒに見せるとする

するとどうなるだろうか


……いかん。俺が真っ青になりそうだ

しかし……どうやって切り抜けるか
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/22(月) 05:22:34.91 ID:IsVx59tgO

 「ああ、もう焦れったいわね」

「お、おい!よせ!平和的解決を所望する!」


「は?何いってんのよ……よっと!」


命乞いをするように待ったをかける俺を他所にハルヒはバカを見たような目で俺の手をつかみ引き上げる


「……怪我してないわよね?」

「あ、ああ。しかしハルヒよ。怪我の心配をしてくれるぐらいなら最初からドロップキックかまそうとするんじゃない」

「しょうがないじゃない。何かあんたを見つけたらムシャクシャしてやったのよ」

後悔はしていないと言わんばかりの笑顔で偉そうに身体を反らすハルヒを見て、ため息が出てもしかたないってもんだ


「それより、あんた申請書どうしたのよ?」


「あ、あー。それなんだがな」

上手い言い訳を考えようと視線を流すと成り行きを見守っていた朝倉が困ったようにそこにいた


……そうだ、朝倉の事を話せばいいのだ
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/08/22(月) 12:52:34.45 ID:de6QTHp70
過去トップクラス……! 圧倒的な強大さを感じる……!

プレッシャーかけたくはないけれど、でも、どうか完結まで頑張って下さい。
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/22(月) 14:39:37.28 ID:FvqKxSSnO
甘酸っぱいわ!
圧倒的な甘酸っぱさだわ!
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/22(月) 15:19:40.81 ID:HdngiXZIo
乙です
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/22(月) 17:22:41.04 ID:+rtXyMWPo
感動した
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/22(月) 21:57:50.49 ID:hAwCFm/WO

「それなんだがな、ハルヒ」

「なに?」

「新入部員だ」

「きょ、キョン君!?」

ズイッと朝倉の手をつかみハルヒの前に引っ張り出す

「……新入部員?」

ジトっとした目で朝倉と俺をハルヒは見る

「ああ、三人いれば最低限同好会の形が出来るそうなんだ。それで幽霊部員としてでも名前を貸してくれるそうなんだ」


「幽霊部員なんて取らないわよ。私は真にやる気のあるものを集めるの」


こんな無茶苦茶な部活に真にやる気のある奴が入部してきてたまるか!

そんな奴がもしいるなら俺は今すぐそいつの爪の垢を煎じてハルヒに飲ますね!

「そもそも……何で朝倉な訳?」

先程よりもジト目になりハルヒはズイッと俺の前に顔を近づけてくる

近い近い近い

それよりも何か上手いこと切り返さないとハルヒが納得してくれるわけがない

「私が頼んだのよ」

助け船は朝倉から飛んできたのであった


「……別に委員長の朝倉が気にかけることなんてないじゃない?別に私あんたと仲がいいわけじゃないし」

「それは涼宮さんがキョン君以外と仲良くしようとしてなかったからじゃない?」

……あ、あれ?

助け船……だと思ったのだが何だか雲行きが怪しくなってるようなきがするぞ
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/22(月) 21:59:54.19 ID:hAwCFm/WO

「でもね?私は涼宮さんと仲良くしていって思っているのよ。折角部活を作るって言うなら私も仲間に入れてくれないかしら?」

「生憎だけど私は部活優先の人物しかとらないのよ」

「本当に?なら条件はクリアね。私部活まだ何処にも入ってないの」

うぐっとハルヒが言葉に詰まる

「いいえ。私は普通の人はいらないのよ。何かしらの特殊な力のひとつやふたつないとダメよ!」

何だその条件は。俺も初耳だぞ

「そう。なら私は委員長だから普通の人ではないわね」

「んなっ!そんなの普通じゃない!」

「あらそう?けれど委員長としての立場は普通の一般生徒よりは高いのじゃないかしら?」

「私が言ってるのはそういうことじゃないのよ!」

ああ、まずい

ハルヒが押されている

それの何がまずいって?

後で俺がこいつに散々八つ当たりをされるのだ

ハルヒって奴はよく衝突を起こす

起こすのだが肝心の口がこのように弱いのだ

正論で攻め立てられると後手に回る癖みたいなのがある

と言うよりもそれはやだの一点張りしかできないのだ

もしくは無言のドロップキックにより玉砕

まぁ、つまり

口喧嘩が非常に弱いのだ

喧嘩は売るくせに口論には弱い……ポンコツ少女なのである
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/22(月) 22:01:10.13 ID:hAwCFm/WO

「むぅぅ!」

チラリと此方に視線を送ってくるのは当然ハルヒだ

……しょうがない

「あー、それなんだがな」

ぱぁっとハルヒが笑顔を見せる

うむ、この切り変わりの早さはまさにハルヒだ

「こんなに言うんだし朝倉を入部させてもいいんじゃないか?」


その笑顔が、ピシリと凍りついた

そのかわり笑顔を見せてくる人物がいる

朝倉である

「……どういうこと?」

さっきの笑顔は何処へやら

ハルヒは仏頂面でアヒル口になりながら問いただしてくる

ちなみにこれは怒っているのではなくて不貞腐れているときの顔である事を俺は経験で知っている
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/22(月) 22:01:52.80 ID:hAwCFm/WO

「まぁ聞けハルヒ」

「朝倉が入部することでのメリットを考えてみろ」

「何よ」

「さっき朝倉自身も言っていたが、委員長って立場がある人物がいるのは後々便利なんだぞ」

俺はハルヒに対して説明を行っていく


「例えだが、こんな怪しい部活がまともに申請が通るとは思わん。が、仮に申請が通ったとする」

「良いことじゃない、後、仮にじゃなくて必ず通すのよ」

「……しかしその後活動を行う上で部が目をつけられる」

「何でよ」

お前が絶対に何かをやらかすからだ!

「そんなときに立場がある委員長がいれば……どうなると思う?」

「……そうよ!朝倉を生贄に部を存続させるのよ!」

「勝手に生贄にするな!説得をしてもらうんだよ」

「そんなの私で充分じゃない」

「お前の場合は説得じゃなくて恐喝になるんだよ……」

「何ですって!」

「それに、他にも利点はある。文化祭とかの行事に参加するつもりなら朝倉がいれば参入しやすくなる可能性もある」

「む……それは」

「怪しい部が何かしらの出展許可を取ろうとしても中々骨がおれるだろう?そこで朝倉の出番ってわけだ」

「むー!」

ハルヒが納得できずに唸ってくる


そりゃそうだ

全部嘘っぱちだからな


そもそも入学して一ヶ月の俺達に学校をどうにかする力なんてのはありやしないのだ

もしそんなことが出来るやつがいるならば神として崇めるね
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/22(月) 22:04:44.43 ID:hAwCFm/WO

「……随分と朝倉の肩をもつのね」

「そういうつもりはないぞ」

ハルヒは俺から朝倉に視線を向ける

「涼宮さ……ひゃぁ!?」

なんと!?

ハルヒが唐突に朝倉の胸を揉み出すじゃないか

「おっぱい大きいわね……」

「ちょっ、ちょっと涼宮さん!やめっ」

なんて羨ましい

けしからん!もっとやれ!

……じゃない!止めなければ!


「髪も長いのにサラサラね……私と同じぐらいかしら」

朝倉の髪を手に持ちアップの位置に持っていくハルヒ

……朝倉にポニーテールしてもらえば似合いそうだな

何て事を考えたせいで助けにはいるのが遅れる

決して期待した訳じゃないぞ!

「……アホ面」

いつの間にかこっちを見ていたハルヒにはそんな一言を頂いてしまった

「……いいから離してやれ」

「……ふん!いい朝倉!入部を特別に認めてあげるけど部活を遅刻したり蔑ろにしたらすぐ退部なんだからね!」

「え?いいの?」

「……別にいいわよ。とりあえず私は部室確保してくるわ。放課後には調達してくるから今日から集合よ!わかった!」

そう言い残してハルヒは台風のように走りだす

何て忙しい奴なんだ……
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/22(月) 22:39:55.31 ID:yVu1sXA1o
素晴らしい
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/22(月) 23:34:36.23 ID:ndvsXMfwO
うむ、とても良い感じ
まだ長門、みくる、古泉の従来部員が出てきてないが、朝倉が入部する様なら佐々木が同じ学校の別のクラスにいても不思議ではない
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/23(火) 23:44:13.92 ID:eg9pKmg2o
お礼だけ言わせて
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/24(水) 14:19:49.69 ID:dNDIFcGcO
羨ましすぎるからちょっとキョンくんもげてくれないかな
なにがとは言わないけど
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/26(金) 00:43:22.51 ID:AqDmZTaDO
うん
もげたついでにキョン子になってみないか?
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/26(金) 07:57:10.61 ID:TEI1w1uGo
キョン子とかまた懐かしいものを
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/29(月) 17:56:26.47 ID:/L4kBw0Po
期待
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/16(金) 13:57:52.90 ID:jTbS4fjFo
まだー?
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/26(月) 11:30:04.60 ID:cjBkXFUYO
はよ
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/07(金) 15:46:55.73 ID:hc15tk2mO

「しかし、本当によかったのか?」

取り残された俺と朝倉はクラスに戻る際に少しだけ話をすることになった

「ん?何が?」

「部活の事だ。明らかに真っ当な部ではないぞ」

「ふふ。キョン君が新入部員だって突き出したくせに何言ってるのよ」

「それもそうだが……」

「いいのよ。私って優等生みたいに思われてるみたいだけど、本当はそんな事ないのよ?」

「……やれやれ。お前みたいな不良がいてたまるか」

「あぁー。信じてないでしょう?」

「わかったわかった」

「もう!後でびっくりしても知らないからね?」

「ほら、予鈴鳴ったぞ」

「あ!急がなきゃ!ほら、キョン君も!」

「やっぱり真面目じゃないか」

60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/07(金) 16:07:30.86 ID:hc15tk2mO

さてさて、時間は放課後に移り変わる

チャイムと同時に俺を力一杯引っ張るやつがいた

……言うまでもない、ハルヒだ


「行くわよ!朝倉も付いてきなさい!」

教室中から注目を浴びながら俺ごと飛び出す

あ、おい!せめてカバン持たせろ!

「ちょ!キョン君カバン!涼宮さん待って!後廊下は走っちゃダメよー!」

あぁ……朝倉のごく一般的な発言が身に染みるぜ

そんな俺の心境なんてちーっとも考えずにハルヒは超スピードで廊下を駆け抜ける

やがて、ドーンっとある教室の扉を力一杯に開けたのである

「ついたわよ!」

宣言したと同時にハルヒは俺の拘束を急に解く

お陰で頭から床に倒れてしまう

超痛いんですが……

「……ここは?」

「旧棟の文芸部室よ」

「文芸部室って……」

ハルヒに捕まれて気崩れた制服を直しながら立ち上がろうと視線を上に向ける

……そこにはパイプ椅子に座って本を読んでいたのであろう膝に本を抱えている女生徒がこっちを見ていた

何故だろうか、その姿に酷い既視感を覚えたのは

いや、そんな事よりまずはこの状況をどうなってるのか聞かなければならんな

「あーっと……ハルヒよ。お前ここが文芸部室って言ったよな?」

「そうよ?」

「じゃあここは文芸部なんじゃないのか?」

「ええ」

ええって……つまり何か?

こいつは文芸部室を乗っ取ろうとでも言うのか?

いや、流石にそれは……

どうハルヒを説得すればいいのだろうかと頭を悩ませていると

「もう!涼宮さん!キョン君!廊下は走っちゃ駄目だって!……あれ?長門さん?」

俺達の後を追ってきたのであろう朝倉が飛び込んでくる

「遅い!罰金!」

「え?ええ!?」

……本当に、どうしたものだろうか
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/07(金) 16:34:56.39 ID:hc15tk2mO

状況を整理するとこういうことらしい

ハルヒは部室を求めている

そんな時に偶然見つけたのが文芸部室で一人本を読む長門有希さんだったと

何でも長門さんの所属する文芸部員は一人しかおらず、廃部当然だったそうだ

そしてハルヒが文芸部員に名前を貸すので部室を一緒に使わせて欲しいと言う願いに対し一言いいと答えた


「……そんな都合がいいことがあっていいのか」

「何よ?私だってちゃんと話し合いをするぐらいできるわよ?」

「いや、まぁお前が今回比較的まともに交渉したと言うのも驚きではあるんだがな……」

何でも長門は聞けば一年だと言う

つまり、去年の3年が卒業した段階で部員数は0

普通そんな部活が処理されずにこの時期まで残っているものなんだろうか?

「それにしても朝倉。長門さんと知り合いだったの?」

「ええ。文芸部員に入ってたのは知らなかったけれど」

「ふーん。まぁいいわ!今日からここが私達の部室よ!」

「いやちょっと待て!」

「何よ?」

「ぁー長門さん?」

「……」

反応はない

聞こえている……よな?

「こいつは文芸部室を乗っ取りにきてるんだが……ほんとうにいいのか?」

「いい」

「正体不明の怪しい部活だぞ?下手すると巻き込まれるかもしれんぞ?」

「構わない」

「お、追い出されたりするかもだし」

「別に……」

……本当にいいのか

しかしだなぁ……

「もう!ちゃんと話し合って決めたって言ったじゃない!」

ハルヒが信じてもらえなかったからかプンスカと怒っているがここは自業自得だと思っていただきたい

そこで長門がじっとこっちを見ている事に気がつく

何かを探っているかのような、けれど真っ直ぐとした目だ

「……長門?」

「……」

声をかけると長門は読書に入っていった

……何だったんだろうか

「今日は顔合わせよ!明日には新入部員を連れてくるわ!それじゃあ解散!」

なーんて事をハルヒは言うのであった

新入部員って……まだこのへんてこな部に人を増やそうと言うのかハルヒよ……
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/07(金) 16:48:42.55 ID:hc15tk2mO

「なぁ、朝倉」

「なーに?」

場所は変わって校門

解散とハルヒが言ったので帰る所である

ちなみに長門はまだ読書をするそうでこちらには見向きもしなかった

「長門とは長い知り合いなのか?」

「んー。別に長いって訳じゃないわよ?なぁに?キョン君って長門さんみたいな子がタイプだったりするの?」

「どうしてそうなるんだ。別にそういうわけではないぞ」

「じゃあキョン君のタイプはー?元気系?クール系?お姉さん系?」

「……俺のタイプは置いておいて、長門の話だ」

「あら、もしかして本当に?」

「だから違う」

「じゃあ一体どうして長門さんをそんなに気にしているの?」

どうして

どうしてなんだろうか

そう、長門と出会ってから妙に落ち着かないのだ

だがこれは朝倉が言うような浮わついたものではない。断言できる

……違和感

そう、違和感を感じているのだ

まるで、在ったものが無くなっているような……

「……長門って眼鏡かけてたりしなかったか?」

だから、ふと自分がそう呟いたのだと理解するのに数秒かかった

どうしてそういった結論に至ったのかはわからない

わからないが、自然と口から漏れた一言はやけに自分を納得させるものだった

「眼鏡?んー。別に目が悪いとかは聞いてないけど……眼鏡をかけてる長門さんを見たこともないかなぁ……何処かで見たの?」

「……いや、それならいいんだ。気を付けて帰れよ」

「うん。キョン君もね」
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/07(金) 17:12:07.14 ID:hc15tk2mO

「ほーら!妹ちゃん!捕まえたぁ!」

「きゃぁぁぁ!ハルにゃん強いいい」

「ふっふっふー。また出直してきなさい!」

「妹相手に何を本気出してるんだあいつは……」

夜での出来事である

あの後家に帰った俺を出迎えたのは本日遅くなるとの貼り紙であった

つまりは夕御飯を調達しなければならない

……と、そこまで考えてからハルヒが電話をかけてくるまでのタイムラグは殆どなかったと思う

まだ学校で何かしらをしていたハルヒが我が母からのメールに気がつき電話を寄越したそうだ

「今から急いでスーパー寄って帰るから冷蔵庫の中身教えなさい」

とはハルヒの一言である

電話を切った俺はそのまま冷蔵庫の中身をチェックしてそのままメールでハルヒに送る


程なくしてハルヒが到着し、夕御飯をご馳走になり、その後ハルヒと妹が遊んでいる

それが現状である

「……って誰に説明してるんだ俺は」

「何がよ?」

「……おい、妹はどうした」

「これからお風呂よ。あんたのTシャツ貸しなさいよ」

「……自分の家から持ってこい。隣だろ」

「面倒じゃない。勝手に持ってくわよ」

「あ、おいこら!勝手に人様のタンスを開けるんじゃない!」

「……ちゃんと洗ってるんでしょうね」

「匂いを嗅ぐんじゃありません」

「それじゃあ借りるわよ」

「……やれやれ」

「あ、覗くんじゃないわよ?覗いたら死刑だからね!」

「……誰が覗くか」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/07(金) 17:45:02.26 ID:hc15tk2mO

「キョン君おふろぉーあいたよぉー」

「ああ……って、ちゃんと髪を乾かしなさい」

「えー。あれ暑くてキライー」

「だめよー。妹ちゃん。女の髪は命なのよ。小さい時から手入れしないとお姉ちゃんみたいになれないわよ」

「んー。ハルにゃんみたいな綺麗な髪になれるなら我慢するぅ」

「偉いわよ!」

「……何よ?」

「いや、お前も昔散々髪の手入れ嫌がってたのになと思ってな」

「んなっ!?」

「えぇー!ハルにゃんもいやがってたのぉ?」

「あ、あんたね!余計なこと言わないの!」

「じゃあ私もー私もしなくていい?」

「だめよー。妹ちゃん。しっかりと手入れしましょうねー」

「んーー。ハルにゃんも昔やってなかったんでしょー」

「そ、そんなことないのよ?お姉ちゃん確かに嫌いだったけど、やってなかった訳じゃないのよ?」

「ほんとぉ?」

半信半疑のようで、渋いかおをしてこっちをむく妹

そこで俺に聞いてくるあたり妹もわかっている

「ん。まぁ、確かに毎日やってたぞ」

俺がだけどな

「ほーら。ね?それじゃあ妹ちゃんのは私がやってあげるからあっちいきましょうね」

「はーい」

渋々といった様子で妹はハルヒと共に部屋から出ていく

俺も風呂に行くか……とも思ったのだがもう少しこの漫画の続きを読みたいので後回しにすることにした

……そして気がつけば最後まで読みきってしまった頃に、カチャリと扉が開く
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/07(金) 17:45:33.46 ID:hc15tk2mO

「ハルヒか」

「ええ」

「妹は?」

「髪を乾かしたらすぐ寝ちゃったわ。大分はしゃいでたし疲れたのね」

「何時も悪いな」

「別にいいわよ。妹ちゃん可愛いし、いい子だもの」

「……んで、お前は髪も乾かさずにどうしてここに来たわけだ」

「しょうがないじゃない。妹ちゃん寝ちゃったのに横でガンガンドライヤーするわけにもいかないでしょ?」

「……そう言うことにしといてやる」

「……はい」

そう言ってハルヒは俺に背を向けて目の前に座る

「……やれやれ」

机の引き出しを開けてドライヤーと櫛を取り出す

昔ハルヒの髪を乾かしたり手入れするときに使っていた品物だ

「音、あんまり出さないように弱でするから時間かかるぞ」

「いいわよ。ゆっくりで」

カチッと音と同時に小さな音が部屋に木霊していく

ゆっくりと頭に巻かれたタオルをほどく

さらりと湿り気を帯びた綺麗な黒髪が出てくる

その髪を丁寧に持ち上げドライヤーを当てていく

「……髪、伸びたな」

「……そうね」

「昔はあんなに嫌がってたのにな」

「うっさいわね。蹴るわよ」

「口が悪いのは変わらずだな」

「ふんっ!」

「……あんた髪フェチだもんね」

「……そんなこと言ったか?」

「言ったわよ。馬鹿……お陰で大変なんだからね」

「そうかい」

「そうよ」

その後、特に会話らしい会話はなかった

だが、特に気まずい何てこともなく、あくまで自然体として俺はハルヒの髪を乾かしていた

そしてまた、ハルヒも自然体としてそれを受け入れていたのだった
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/07(金) 17:46:36.15 ID:hc15tk2mO
tosやらp5やらやってた
書き溜めはしてない
許せ
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/07(金) 18:07:01.21 ID:lGMu82jvO
乙乙、完結してくれるならゆっくり自分のペースで構わないわ
単純にハルキョンの幼馴染みifとして読んでたけど、キョンが長門に見覚えあるとなると一気にきな臭くなるな
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/07(金) 18:25:13.63 ID:5xY/fl/+O
再開してると思ったら一気に面白くなってきた
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/07(金) 19:17:31.79 ID:tJaFL11XO
すばらっ
いい感じだ
おつ
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/07(金) 21:48:48.80 ID:jRvKH2Hro
いい仕事してますね〜
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/08(土) 09:22:58.02 ID:U0SKMQ+8O
このハルヒ可愛いなぁ……可愛くない?
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/12(水) 21:07:52.62 ID:5HoxvOcxo
かわいい
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 17:36:47.11 ID:TCXOdW5tO

「待たせたわね!」

放課後、バーンと部室の扉を開けて笑顔満点で入ってくる存在

そう、ハルヒである

「いやー。捕まえるのに苦労したわ!」

「あ、あのぉー……ここは何処ですか?」

そのハルヒはまるで小動物なような生徒を引き連れて……いや、連行してきた

「ほーら、入って入って」

「あ、あ、あのぉ……な、何で鍵かけるんですかぁ!?」

「黙りなさい」

「ひゃい!」


さて、ここで俺は昨日のハルヒの発言を思い出していた

【明日新入部員を連れてくるわ】

……いや、どうみても強制連行だろ、これは

74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 17:37:28.37 ID:TCXOdW5tO

「一応聞いておくが……彼女は?一体何処から拉致してきたんだ」

「二年の教室よ。ぼーっとしてたから連れてきたのよ」

先輩じゃないか……!

本当にこいつは怖いもの知らずだ

「えーっと……あのぉ……ここは……」

キョロキョロと先輩は俺達を見ながら控えめに聞いてくる

……まずは状況整理をしてあげるべきだろう

75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 17:38:09.66 ID:TCXOdW5tO

「ここは文芸部室よ!けれども文芸部じゃないわ」

「……?文芸部室なのにですか?」

ちょっと待て!ここはまだ文芸部だしなんなら文芸部以外のなにものでもない

「キョンくん」

朝倉が俺の肩に触れて首を振る

……まるで諦めろと言わんばかりだ

いや、しかしだな……

「ここは文芸部室だけど、中にある部活は違うの。それはここに来るまでに説明したわね?」

「ええっと……それは……はい」

「ちょっと待て!その人がどこの誰かは知らんがあまり無関係の人を巻き込むのはやめろ」

「この子は朝比奈みくるちゃん!んで、こっちがキョンと朝倉と長門さん!」

「あ、おい」

と言うか、キョンはあだ名であって本名じゃない!

「みくるちゃん、他に部活やってるっていったわよね?」

ハルヒは俺の発言なんぞなかったと言わんばかりに朝比奈さんに質問を投げ掛けていく

「はい。書道部に」

「やめれる?」

おいこら!?

「えっと……」

朝比奈さんは何かを確かめるように俺達を見渡す

まずはハルヒ、俺……そして長門

その動きに淀みはなかった

最後に朝倉を見て彼女は首を傾げる

「えっと……な、何か?」

「あ、いえ、何でもないんです。ごめんなさい」

……何だ?朝倉に何か付いてたりしたのか?

思わず俺まで朝倉を凝視してしまう

「ちょ、ちょっとキョン君までやめてよ!恥ずかしいんだからね」

……うむ。何時も通りの朝倉である

76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 17:38:42.85 ID:TCXOdW5tO

「入部してくれるわよね?」

いやいや、してくれるわけないだろう

「……わかりました。書道部は辞めてこっちに入部します」

何ですと!?

「あ、朝比奈さん?貴女が入部させられそうになってる部活は正体不明のまだ同好会としてすら認められてない部なんですよ?」

「はい。それがこの時間平面上の必然のようですので……大丈夫ですよ」

時間……なんだって?

よくわからん理由で朝比奈さんは入部を決めてしまっていた!

「あの……不束者ですが……よろしくお願いします」

……何てこった

朝比奈さんは入部する気満々じゃないか

だが、この部が朝比奈さんのプラスになるとはどーしても思えない

……となるとハルヒを説得するしかあるまい
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/15(土) 17:39:24.25 ID:TCXOdW5tO
「おい……ハルヒよ」

「何よ?」

「どうして朝比奈さんなんだ?」

「決まってるじゃない!可愛いからよ!」

「……何だって?」

「萌えよ萌え!いわゆる一つの萌え要素!」

ハルヒはまたもや……謎の理論を唱え始めるのだった

「私萌えって大事だと思うのよ」

「……何故だ?」

「決まってるじゃない!何かおかしな事件とか面白いことが起きるとき大抵一人はこういう萌えキャラがいるものなのよ!」

「ひゃぁ!」

高々に宣言すると同時にハルヒは朝比奈さんに抱きつく

その光景だけなら微笑ましいものなのだが……

「それにこの子胸すっごい大きいのよ!……ちょっと、私より大きいんじゃない?」

「いやぁぁぁぁぁ。や、やめてくださいいいい」

ハルヒは朝比奈さんの胸を豪快に揉み始める

……朝倉が何かを思い出したのか胸を守るように両手で胸を隠す

……そういえば朝倉もやられてたもんな

「むー。なんか腹立ってきた」

「変な八つ当たりをしようとするんじゃありません……それよりハルヒよ」

「何?あんたも揉む?止めないけど警察には付き出すわよ?」

「ひっ!」

「そうじゃない……この集まりの目的とか、そういうのちゃんと説明したんだろうな」

「まだよ?」

「おい」

「……まぁ、そうね。ちゃんと五人集まったんだし、宣言してもいいわね」

ここまで引っ張った我々の部活内容の発表である

「SOS団!」

世界を
大いに盛り上げる
涼宮ハルヒのための団


そこ、笑っていいぞ

「キョン君から聞いてたけれど……そのまま申請しても通らないんじゃないかしら」

まさしくその通りである

流石は朝倉だ

「そこは朝倉とキョン。あんたらの出番よ」

俺達に学校の規則を変えるような権力があるわけがない……

しかし、そんな事をハルヒはこれっぽっちも聞き耳を持たない

こうして、我らがSOS団はベールを脱ぐときが来てしまったらしい

心から思う

ずっと脱がないでいてほしかったものだ
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/15(土) 19:31:16.97 ID:VJXBEJmTo
朝比奈さんは原作の時間軸から来たのか?
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/15(土) 19:37:41.50 ID:J2K/6JjBO
古泉なんて居なかった
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/15(土) 19:51:19.08 ID:z4DviBo9O
ま、まだ転校してないだけだから…
5人しか入っちゃいけないというきまりもないから……
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/16(日) 04:00:30.03 ID:loP07ALkO
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/17(月) 16:36:27.41 ID:hYKrYGLFO

小泉がキーマンなのか…
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/19(水) 17:22:12.45 ID:uhTGCqggO
謎の転校生来たら食いつくだろ…多分…
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/05(土) 09:38:27.22 ID:kZevey+dO
まだかにゃあ
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 00:53:51.96 ID:IOeCtnABO

時はあれから数日

ハルヒは俺を朝の貴重な眠りから目覚めさせるとこう叫んだ

「謎の転校生が欲しいと思わない!?」

……人様の快適な眠りをどうどうと邪魔しておいて何を電波な事を言い出すのだ。こいつは

もう今さら何でハルヒがここに!?なーんてベタな驚き方はしなくなってしまった自分が少々怖い気もするが、まずは言うべき事を言うべきであろう

「……まだ朝の7時にもなってないじゃないか」

「ああ、うん。あんたに運んでもらいたいものがあるから早めに来たのよ」

「……運んでもらいたいもの?」

「これよ」

ポンポンとハルヒは俺の机にあるパソコンを叩くのだった

「……なんですと?」

「この情報化社会にパソコンがないなんてあり得ないわ!」

「……断る!私物を勝手に使おうとするんじゃありません」

そう、そのパソコンは俺の私物であり、やすやすとハルヒのよくわからん部活に使われては困るのだ

繰り返し言おう、学校などと言う場所で使われては困るのだ

どうしてかって?今ので察してくれ

「そもそも、どうしてパソコンが必要なんだ」

「そんなの決まってるじゃない!ホームページを作るのよ!」

「……はい?」

「ホームページよ!我等がSOS団の活動よ!」

ああ……どうやら昨日こいつはよっぽど悪いものを食ったのだろう

そう結論付けた俺が取る行動は一つだ

「あ、こら!キョン!寝るな!起きなさい!ちょっと!ねぇ!起きて!起きてよぉ……無視するなぁぁぁぁ」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2016/11/06(日) 00:54:12.63 ID:1SsGS9Z+0
お久
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 00:54:32.32 ID:IOeCtnABO

「おはよう……頬が赤いわよ?」

「おはよう……まぁ、ちょっとな」

あのあと色々と大変だったのだ

……主にハルヒの機嫌取りが

「ふぅん……それよりこれ」

「?」

「部活申請書よ。私の方でギリギリ通りそうな内容にしておいたからチェックしてもらえる?」


「……すまん。朝倉一人にやらせてしまった」

「いいわよ。んー……でもそうね。駅前の喫茶店が美味しいらしいから今度連れていって貰おうかしら?」

「そのぐらいお安いご用さ」

巻き込んでしまった詫びもかねてそれぐらいはしてもバチは当たらんだろう

「やった。じゃあ今週末にでもどうかしら?」

「ああ、構わんさ」



「何でキョンばっかりが……!」

「はいはい。谷口は早く課題終わらせて」

「ちくしょぉー!」

「ちょっとあんたら何騒いでんのよ。邪魔よ」

「おい涼宮!いいのか!」

「はぁ?何がよ?と言うか近寄らないで」

「何がってそりゃお前!」

「谷口はもう黙って宿題やろう?」

「痛い!痛いぞ!」

……何を騒いでるんだあいつらは
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 00:56:29.35 ID:IOeCtnABO
放課後の始まりを告げるチャイムが鳴り響くと共にガタンと大きな音をたてる存在がいる

説明するまでもない……ハルヒだ

「先いってなさい!」

返事をするまでもなく教室から飛び出していくハルヒを誰が止められようか

……一応心の中で突っ込んでおくが、まだ終わりの挨拶はしていないんだぞ……ハルヒよ

これでは先生が可哀想じゃないか……

いや、そういった問題でもない気がするが……

なぁハルヒよ……俺達も高校生になったんだからもう少しでいいから落ち着いてくれないか

……と俺は聞き入れて貰えないであろう願いを唱えながら部室へと向かうのだった
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 00:58:55.41 ID:IOeCtnABO

さて、この部室こと文芸部室には備品と呼ばれるようなものは余りなかった

本棚と机、後はパイプ椅子

俺が最初に来たときはこんなものだったはずだ

それがどうだ

今となってはハルヒのやつが何処から見つけてきたか知らないがポットやホワイトボート、冷蔵庫……バドミントンラケットと次々と物が増えていく

今日に至ってはどこで仕入れたのかパソコンまでもが設置された

……何処かで迷惑を受けたやつがいなければいいんだが……

そしてそのパソコンを入手してきたハルヒは何処へ行ったかというとだ


「甘いわよ!」

「狙い通り……よ!」

「んなっ!?くぅぅぅぅぅ!次!みくるちゃん!」

「わ、私これ苦手ですぅ!」

外で楽しそうに朝倉とバドミントンしておられる

意外なことに朝倉は運動神経が抜群だったのだ

そして、負けず嫌いのハルヒが事あるたびに勝負を挑んでいた

ちなみに朝比奈さんは問答無用で巻き込まれている
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:00:19.40 ID:IOeCtnABO

「これじゃ何部なんだか……」

「……」

俺が呟いた言葉を拾ったのかこちらを向いた長門と目が合う

長門とはどうにも距離感が掴めなくて困っている

「……今日は何よんでんだ?」

長門はタイトルが読めるように背表紙を此方に向けてくる

「いつも難しそうな本を読んでいるよな」

「……そうでもない」

「面白い?」

「……割りと」

「本が好きなんだな」

「……ユニーク」

うーん……果たしてこれはコミュニケーションが成立しているのだろうか

そして長門は本を読み始める

どうして俺がここにいるか……説明すると簡単だ

パソコンを持ってきたハルヒの要望……つまるところホームページの作成のためである

ハルヒが気を利かせたかどうかはわからないが無駄にホームページ作成用のツールがインストールしてあったので思いの外簡単である

「しかし……どう書いたものか……」

「……ん?」

何をどう書けばいいのか悩んでいると視線のようなものを感じたので顔をあげる

「どうした?長門?」

「これ」

「……?」

「貸すから……読んで」

「あ、ああ。ありがとう」

恐らく、これが初めてであるだろう長門からの会話に、俺は気の効いたことの一つや二つ言うべきだったのだろうが……そんな余裕なんてまったくなかったのである

「くぅぅぅ!また涼子に勝てなかったわ」

「まだまだ負ける気はしないわね」

「うぅ……お二人とも強すぎですぅ」

タイミング良く三人が部室に帰ってきてその日の部活はそのままお開きになった
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:01:14.14 ID:IOeCtnABO
「むー!今日も勝てなかった!」

「お前が運動能力で負けるとはな」

「私もビックリしてるわ……中学じゃ私に歯向かうやつなんていなかったし」

それは単純に関わり合いになるのが嫌なだけだったんじゃないだろうか

こう見えてハルヒは運動部から引っ張りだこになる程度には運動神経がいいはずなんだが……

「今度はバスケで勝負しようかしら」

「やれやれ……どんな部活だ」

「いいのよ。団長は私なんだから」

「そうかい」

「今日カレーのつもりだけどいい?」

「問題ない」

妹も喜ぶしな

「そっか。じゃあスーパーいってさっさと帰るわよ!」

「ん」

その後ハルヒとどうでもいいような話をしながら帰っていく

何だかんだでこういった平凡的日常が俺は好きなのだ

だが、どうやら世の中ってのは厳しいものらしい

そんな平和的日常はこの後、あっさりと崩れ去ることになるのだ

ほんと、どーしてこうなっちまったんだろうなぁ、俺
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 02:49:25.37 ID:DQyLL6pRo
はよ
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 03:41:31.89 ID:IOeCtnABO

「ふぅ……」

風呂上がり、髪を乾かし雑誌をペラペラと捲る

時刻はもうすぐ 20時である

ちなみにハルヒは珍しく伯母さんが家に帰ってきたようで呼び戻された

家に帰ってくるなら一言言って欲しい、とはハルヒの言葉である

口では文句言ってたがあれで結構喜んでいるのを俺は知っている

「……そういえば」

雑誌を捲る手を止めて鞄を漁り、目当てのものを引っ張り出す

それは厚いハードカバーの本であり、長門に渡されたものだ

長門はこれがユニークと言っていたが……

ものの数ページで読むことを諦めてしまいパラパラとページを捲ってしまう

ラノベとは違い挿し絵などもなく、小難しい文章が並んでいる

……いや、ラノベも小難しい文章が多いが


などと、どうでも良いことを考えていた俺の思考を止めるものが本からヒラリと落ちてしまう

それは栞である

「やばい」

慌ててページを捲る手を止めるがもう栞がどこに挟まっていたかなんてわかりやしない

「明日謝るしかないな」

何気無い動作で栞を適当なページに挟もうとして違和感に気がつく

「……おいおい」

【午後七時光陽園駅前公園にて待つ】

その文字を見て俺は飛び出した

「キョンくんどこいくのー?」

「駅前だ!」

自転車に乗り、全力で漕ぐ

もしかしたらもういないかもしれない

むしろこれだけの時間待たせて待ってくれている方がおかしいだろう

……だが、何となく、何となくだが長門は何時までも俺を待ち続けてしまうのではないのかと、そんな自意識過剰ともとれない考えが頭に浮かんでしまったのだ

「くそっ!パンクしてんじゃないだろうなこのタイヤ!」

思ったより加速しない自転車に愚痴りつつもひたすら漕ぎ続ける
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 03:42:15.33 ID:IOeCtnABO

「わる……い……また……せた……」

息も絶え絶えになりながらもどうにか公園にたどり着いた

「…………いい」

「……もしかして……ずっと待つつもりだったのか」

「……」

返事はない

……もし本を読むのを忘れていたらと思うとゾッとする

そうなったら春先とは言え寒い夜の公園寒い夜の公園でこいつはずっと一人待ち続けていたのだから

「こっち」

「?」

「……ついてこいってことか?」

長門が歩いて何処かに行こうとする

俺はその少し後ろを自転車を押しながら歩く

……そこでふと目についたものがあったので長門を引き止める

「悪い長門。少し時間をくれ」

「……」

コクりとうなずく長門を見てから俺は早足で目的のコンビニの中にはいる

そして急いでホットのお茶を二本を掴みレジにいく

前で会計を済ましてる人をじっと見るのもあれなので視線を少し泳がせる

……そうだな。ついでにこれも買ってもいいだろう
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 03:42:54.50 ID:IOeCtnABO
「何度も待たせて悪いな」

「いい」

「ほら、寒いだろ?これ」

「……?」

「お茶だよ。何処に行くかは知らんが寒いだろ?」

「……」

こちらの言っていることが理解できないのか長門は少しだけ首を傾げるような動作をした

「まぁ、待たせちまったお詫びだ……あー、それともお茶嫌いだったか?」

「……問題ない」

「そっか。後これも……時期外れだけど」

袋から肉まんを取りだし長門に渡す

「……」

またどうしたらいいのか分からないといった表情だ

……いや、俺がどうすればいいかわからないだけだな

「ただの肉まんだぞ?」

「理解した」

何をどう理解したのかはわからんがとりあえず受け取ってもらったようだ

長門はじっと渡した肉まんの袋を見ている

……やはり食べ歩きとなると食べ辛いか

女子と男子だとそういったところでズレが生じてしまう

いかんせん近くにいるやつがあれだからなぁ……

こういう時は俺が先に食べてやれば少しは食べやすくなるだろう

自分の分の肉まんを袋から取りだし口に頬張る

「うむ……寒いときはやはりこれに限るな」

俺をじっと見ている長門に向かってそういうと長門も袋から肉まんを取りだして口に……あ!おい!

「まて、長門。肉まんの下についているビニールをとってから食べるんだ」

「……」

コクりとうなずく長門

肉まんを食べたことがなかったのだろうか

……モグモグと肉まんを食べる長門を思わず凝視してしまい、それに気がついてこちらを見た長門とバッチリ目が合う

「……?」

「あー、いや、うまいか?」

「……ユニーク」

「そうか」

どうやら長門の中ではユニークという言葉は万能らしい

肉まんを食べ歩きしてしばらくすると長門の目的地についたようだ

ついたのだが……

「……どうぞ」

「……えーっと……長門さん?」


それは、長門の部屋であり、家でもある見るからに高そうなマンションであった

……どうしてこうなった

96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 03:44:50.45 ID:IOeCtnABO
寝る
せめて週一更新
待たせてごめんね
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 09:52:54.70 ID:+0d0kgEM0
許さん
責任を持って最後まで書いてもらう
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 09:57:45.06 ID:JR74DdJdo
このキョン、ちょっといいおとこやん
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 11:57:20.90 ID:HAHdrDVCO
あれ?朝倉が超能力者枠かな(すっとぼけ)
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 17:44:20.17 ID:qhDiEgogO
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 20:39:20.14 ID:IOeCtnABO

「……えーっと」

「……飲んで」

「あ、ああ。頂きます」

「おいしい?」

「ああ」

飲み干すと長門はすぐにお茶をついでくる

……さっきもお茶飲んだばかりなのだが出されたら飲むしかない

「長門……?そろそろどうして俺が呼ばれたか聞いてもいいか?」

長門が出してくれたお茶を5杯ほどいただいた後に俺は切り出した

これ以上は胃袋が水分で大変なことになりそうだしな

「涼宮ハルヒのこと。それと、私のこと」

ハルヒと、長門?

「……うまく言語化できない。情報の伝達に齟齬が生じるかもしれない」

「……げんごか?」

「けど、聞いて」

何だ……?

何が始まろうってんだ?
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