魁! IS学園

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54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/05(木) 08:52:51.91 ID:LoJ5d6ij0
男塾かと思った
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/05(木) 09:06:29.45 ID:0DuyoJhy0
男塾なのに学力馬鹿描写がないと思ったらクロマティ高校だった
56 : ◆IM4j5.DbdY :2017/01/05(木) 11:59:59.94 ID:Zj2/k8Z/0
転校先の学校に自国で控える精鋭部隊を呼べないという不測の事態に陥ってしまったドイツ軍の少女将校、ラウラ・ボーデヴィッヒ。
衝撃的すぎるデビューを飾ってしまった彼女は保身を図るためにウソの上塗りを続け取り返しのつかない窮地に追い込まれてしまったのであった――

3年生「‥‥いくらなんでもクローンIS操縦者軍団っていうのは‥‥」

ラウラ「やめろ!! 部分的に事実も混ざっているのが余計にタチが悪い‥‥!!」

3年生「え!? ‥‥けど‥あのストーリーからすると、ボーデヴィッヒちゃんはこれからあの子たちと大隊を結成して悪の黒幕と戦わなきゃいけないのよね‥‥」

ラウラ「フン‥冷静に考えてみろ。あんな話を真に受ける有象無象どもだ。一日たったらキレイサッパリ忘れているに違いない」

3年生「確かに‥‥とんでもないぐらい信じ込んでたけど」

ラウラ「おそらく今頃、どこかで浮かれて遊んでいることだろう」

一夏・箒「少佐!!」

ラウラ「うわああああああああ!!」 ビクゥッ

3年生(フツーに憶えてたー!!)
57 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/05(木) 12:01:29.68 ID:Zj2/k8Z/0
一夏(ドクコス)「いや〜〜探しましたよ少佐」

箒(大尉コス)「‥‥敬礼」 ボソッ

シャル(シュレディンガーコス)「Miauen///」 ネコミミピクピク

セシリア(リップバーンウィンクルコス)「ソノキレーナカオヲフットバシテヤリマスワー」 ガシャン

鈴(ゾーリンコス)「嫌いな食べ物? モミジおろし」

弾(ルークコス)「何で俺まで‥‥」

蘭(ヤンコス)「‥‥死なせて」 ボソッ

数馬(トバルカインコス)「挿絵皆無のキャラと厚着のキャラて相性ええね」

ラウラ「‥‥どこで買ってきたんだそんなコス‥‥」

3年生「しかも数が増えてる‥‥!!」

鷹月「何アレ‥‥」

相川「ショーサ?」

のほほん「おりむー何してんのー?」

谷本「こらっ、近づいちゃダメ!」

ラウラ(う‥‥凄く恥ずかしい!!)
58 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/05(木) 12:02:53.24 ID:Zj2/k8Z/0
ラウラ「き、貴様ら。人前で少佐と呼ぶのは控えろ‥‥」

一夏「ナゼでありますか少佐!!」

ラウラ(マズい! コイツら本気だ‥何とかしないと‥)

ラウラ「‥‥とにかくあまり目立ってはダメだ!! だいたい何だその格好は! 迷彩効果が薄すぎるぞ!!」

一夏「ああ、コレですか。ダブリの九段下さんに相談したら目を輝かせながら嬉々としてコレら一式を快く手配してくださいまして」

3年生(ホマレちゃんんんんんんんん!!)

ラウラ「そもそも織斑一夏! 私がここに来たのはお前を――!!」 ハッ

一夏「俺を‥‥何です?」

ラウラ(そういえばそうだった‥‥。コイツらを警戒するあまり当初の本懐を忘れてしまうところだった――。私はコイツを消し教官の雪辱を果たすためにこんな島国に来たのではないか‥‥!)

一夏「少佐殿‥‥?」

ラウラ(見ればコイツはどうも本当に殴られた事も綺麗に忘れてすっかり頭を垂れている。ならばその愚臣ぶりを利用してやろうじゃあないか‥‥) ニヤァァァ...
59 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/05(木) 12:04:20.06 ID:Zj2/k8Z/0
3年生「ボーデヴィッヒちゃん、大丈夫‥‥?」

ラウラ「‥‥お前を、護るためだ」

一夏「え?」

ラウラ「場所を変えて話そう。ここでは『ヤツら』に気取られる」

校舎裏

ラウラ「ここならば良いだろう」

一夏「少佐、一体なにを――」

ラウラ「目立つのを避けたのはお前たちに危害が及ぶのを防ぐためだったのだ」

3年生「危害?」

ラウラ「突然だが、我々の存在が彼のラストバタリオンの耳に触れるところとなった」

箒「何っ!? 敵の本隊にか!?」

シャル「Miauen!?」

セシリア「マーナントイウコトデスノー」

ラウラ「ラストバタリオン本隊は私がIS学園と接触したことに危機感を覚え、密かに量産体制を整えていた擬似IS『聖槍騎士団・ロングィノスXIII』の実戦投入を進めているという情報を掴んだ。おそらく明日にでもヤツらはこの日本に乗り込んでくるだろう」

3年生(うっわ〜〜またエライ事を言い出したわこの子‥‥。何よロングィノスXIIIって‥‥。プレステのゲームじゃあるまいし――)

鈴「ええっ!?」

一夏「擬似ISだって!?」

箒「ラストバタリオンの科学力、恐るべしだな!!」

シャル「Miauen!!」

ラウラ「………うん」

3年生(‥‥また信じてるし。って言うかデュノアちゃんは何でずっとネコ語なの?)
60 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/05(木) 12:05:23.66 ID:Zj2/k8Z/0
ラウラ「本音を言うとだな、私は最初みんなと大隊を結成する事は望んでいなかった。IS適正を持っているとはいえ、平和な国で生まれ育ったお前たちを巻き込みたくなかったんだ」

一夏「それで最初はあんなに邪険だったのか」

ラウラ「ああ」

箒「見晴らしの良い場所では格好の的だったからここに場所を移したのだな」

ラウラ「そうだ」

鈴「シャルロットが楽しみに取っておいたスニッ○ーズを黙って食べたのも毒殺を危ぶんだからなのね」

シャル「Miauen‥‥!」

ラウラ「えっ!? あ‥‥うん、その通りだ」

セシリア「――それで、これからどうしますの?」

ラウラ「決まっている、ここでお前たちとは手切れだ。この大隊を解散する。累が及ぶのは私独りでいい」

一夏「なっ――!!」

鈴「何言ってんのよ!! アンタ一人で置いていけるわけないじゃない!!」

箒「そうだぞ! まだ結成してから半日も経っていないんだぞ!!」

シャル「Miauen!!」

ラウラ「わからないのか!! 相手は一夏を誘拐した張本人なんだぞ!!」

一夏「」
61 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/05(木) 12:06:17.33 ID:Zj2/k8Z/0
鈴「え?」

箒「どういう、事だ?」

ラウラ「――第二回モンド・グロッソで教官、織斑千冬が決勝戦で棄権した事は知っているな?」

箒「ああ、知っている」

鈴「たしか機体とメンタルの不調が原因って報道されてたけど‥‥まさか!?」

ラウラ「そのまさかだ。教官はさらわれた一夏を救うため決勝戦を捨てざるをえなかったのだ」

箒「そんな‥‥」

鈴「嘘、よね?」

一夏「――本当だ」

箒・鈴「」

ラウラ「一夏にあんな恐怖をもう二度と味わわせたくない。だから、みんなとはもうこれっきりだ」

全員「…………」

ラウラ(ククク、誘拐の件こそ事実だが誰がお前をかどわかしたのかまでは知らん。せいぜい自分の罪に苛まれながら潰れて逝け)

一夏「わかった。お前とはもうこれっきりだ。ここで別れよう」

ラウラ「ああ」

一夏「ならここからは俺が大隊を継ぐよ」

ラウラ「‥‥は?」
62 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/05(木) 12:06:59.98 ID:Zj2/k8Z/0
箒「な、何言ってるんだ一夏! 相手はお前のトラウマそのものなんだぞ!!」

鈴「そうよ! アンタ自分が言ってる事わかってんの!?」

一夏「‥‥怖い」

箒・鈴・ラウラ「え?」

一夏「あの日を思い出すのは怖い。夢に見ればもう二度と目を瞑れなくなる。けど、俺は戦うより逃げる方が怖い」

ラウラ「何を‥‥」

一夏「逃げたら、もう俺には戻れない気がするから」

ラウラ「………」

箒「フーーーッ‥‥」

鈴「何でアンタはそういつも針のムシロに向かいたがるのよ」

一夏「男の子だからな」

箒「まったく、私が言いたかった事を全部言うな。馬鹿者」

鈴「こうなったら地獄の底まで付き合ってやるわよ、バーカ」

シャル「Miauen♪」

セシリア・弾・蘭・数馬「え」

一夏「そういう事だ。オサラバです少佐殿。いずれ地獄(リンボ)で」 ビシッ

ラウラ「…………」
63 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/05(木) 12:08:18.19 ID:Zj2/k8Z/0
寮への通学路

3年生「あーあ。ホントに行っちゃったね、織斑くん。よかったの? ホントの事言わなくて」

ラウラ「‥‥何故だ」

3年生「ん?」

ラウラ「何故ヤツはああまで愚直に他人を信じる事ができる? ヤツは本物の馬鹿なのか?」

3年生「――そーね。少なくとも私でもすぐにわかる嘘を真っ正直に受け止めちゃうぐらいにはお馬鹿さんかもね」

ラウラ「‥‥」

3年生「それにしてもあの子たちも大変よねー。真っ直ぐに他人を信じちゃう彼を持っちゃうと他人の嘘にも付き合わなきゃいけないんだもの」

ラウラ「な!?」

3年生「あれ、気がつかなかった? 周りの子たちはとっくに気がついてたわよ?」

ラウラ「ば、馬鹿な! では何故すぐに私を糾弾しない!?」

3年生「さあ? 面白がって付き合ってたのか、一夏くんの純真な心を壊したくなかったのかしらね」

ラウラ「‥‥わからない。何故ヤツらは私を見逃す? 何故私を捨て置く?」

3年生「キミってよっぽど酷い競争社会で生きてたみたいね。人って考えてるよりもずっと他人に無頓着な生き物よ。特に平和なほどとっても」

ラウラ「………………」

3年生「キミの事も織斑くんの事も詳しくないけれど、キミたちって案外似たもの同士だったりするのかもね」

ラウラ「私が‥‥ヤツと!?」

3年生「キミたち2人はあのエックスデーを境に、同時に織斑先生に救われた。織斑くんはテロリストに監禁された恐怖から、キミは昔の尊厳を追われる程の競争から。でもきっと、2人の見ている方向は違う」

ラウラ「見ている方向?」

3年生「織斑くんは『救ってくれる人への憧れ』、キミは『救われる前の悲惨な常識』。昨日と明日、それぞれ互いに見つめている方向に縛られている」

ラウラ「‥‥」

3年生「わかりやすく言ってあげよっか。どちらかといえば織斑もキミに負けず劣らずウソツキだよ。おんなじぐらいわかりやすいウソばっかりつく」

ラウラ「ウソ? ヤツが?」

3年生「『俺がみんなを守る』、『みんなを脅かすやつはみんなやっつける』。実際に彼が成し得た事なんてだいたい未遂かオコボレ、実力も全然及ばないしとっても頼りない。でもねアタシ見てみたいんだ」

ラウラ「見たいって、何を?」

3年生「あの子のついてきたウソが、いつかホントになる瞬間」

ラウラ「‥‥」

3年生「ああいうウソはね、言い換えると『夢』って言うんだよ」

ラウラ「夢‥‥」

3年生「だからキミも、どうせなら夢をつけるウソツキになりなさい」

ラウラ「‥‥」
64 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/05(木) 12:09:45.24 ID:Zj2/k8Z/0
3年生「もうすぐ寮ね。3年の寮はあっちだからこれで」

ラウラ「私は、明日ヤツに本当の事を打ち明ける」

3年生「!」

ラウラ「その後、ドイツに帰る。ここは、私には眩し過ぎる」

3年生「‥‥そうね。ここは西日がキツいから、その赤い目には堪えるかもね」

ラウラ「それでは、さようなら」

3年生「うん。またね」

ラウラ「‥‥!」



ラウラ(『またね』‥‥か)

ラウラ「ふふっ」 ガチャッ

一夏「おかえり」

ラウラ「」
65 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/05(木) 12:10:45.77 ID:Zj2/k8Z/0
箒「うむ、先に上がっているぞ」

セシリア「ふぅっ。あらボーデヴィッヒさん、シャワーお借りしましたわ」

ホイットニー(シャル空腹形態)「エンダァァァァアアアアイヤァァアァァアアアアア」

鈴「ちょっと! 冷蔵庫の中身乾パンしかないじゃない! 悪いけどホイットニー、これでガマンして」

ゴーレムI「………………?」

ラウラ「‥‥なぜ、ここにいる」

一夏「今日から泊りがけで、お前を守る事にした」

ラウラ「‥‥」

一夏「大隊指揮官として、お前だけを犬死にさせる訳にいかないからな‥‥」

4人と1機「大博士(グランドプロフェッツォル)殿! 大博士! 代行! 代行殿! 大隊指揮官殿!」

ラウラ「……ありがとうございます、大隊指揮官殿――」





喫茶『ななつき』

絢音「あら? あの子今日は一人なのかしら」

ラウラ「ますますえらいコトになった‥‥」
66 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/05(木) 12:12:14.02 ID:Zj2/k8Z/0
IS学園 臨海学校
真夏のビーチに餓えたギャルどもを乗せ、バスは一路花月荘へ向かう
そのバスの後部座席で一人、息をひそめる女――織斑千冬、24歳。

千冬(私は現在、実質責任者としてIS学園の1年を仕切っている。ISの実力、人望の厚さ――というか狂信ともいえる崇拝――、どれをとっても右に出る者はいない。学園長さえ一目置く存在だ‥‥)

一夏「シャル、そのブレスレットそんなに気に入ったのか?」

シャル?「うん、とっても嬉しいyユゥゥニィィィィィィィドゥ」 グゥゥゥゥ

箒「一夏、シャルのお腹が空き始めたぞ」

一夏「しょうがないなー」 ゴソゴソ

千冬(だが‥‥そんな私でさえも、ひとつの大きな悩みと闘っていた。その悩みとは――)

セシリア「一夏さん、シャルロットさんにばかりズルいですわ! 私にも――」

一夏「お? セシリアもお腹空いたのか?」

セシリア「違いますわ! 私にもお土産を‥‥でもいただきますわ」

千冬(私は‥‥『非常に乗り物酔いしやすい』ということだ――) ウプ......
67 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/05(木) 12:32:12.41 ID:Zj2/k8Z/0
千冬(しかし旅行は大好きだから欠席するワケにはいかない。特に花月荘のサービスは一線級だ。旅館の和室からビール片手に青い海をながめているだけで優雅な気分にひたることができる‥‥)

谷本「ねえ、見てよー。織斑先生ったら臨海学校なのにハシャぐどころか眉ひとつ動いてないよ」

相川「クールだなぁ、憧れるなあ」

のほほん「私たちもおりむーせんせーを見習ってしーっだね♪」

千冬(私は小学校の時からこの苦難を気合いと根性で乗り切ってきた。自慢じゃないが、まだ一度も吐いたことはない)

一夏「なぁぞらぁえたぁぁ、こたぁえなぁんて、ここにひつよぉぉないからっ、っちびょぉぉに、みぇたせっかいをぉぉぉ、つぅぎぃえぇぇぇ♪」

ラウラ「ほう、上手いものじゃないか」

一夏「まあな、これでもけっこう鳴らしたクチだぜ」 ドスッ

箒「おい、一夏‥‥」 ガタガタガタガタ

一夏「ん?」

千冬「」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/05(木) 12:39:38.90 ID:W5Hz1/Dd0
汚れちまった方じゃなくてそこを退く方か

面白いです
69 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/05(木) 12:40:57.75 ID:Zj2/k8Z/0
一夏(や、やべえ!! 入学以来、順風満帆にやってきたのに、ここにきて取り返しのつかないコトをーー!!)

千冬「(『早くどけ』と言いたいが口を開けると吐きそうになるので何も言えない)」

一夏「あ! そうだ!!」

千冬(どいてくれるか、そうか)

一夏「マイク回すの忘れてた。次、九段下さんですよね」

九段下「お、おう‥‥」

千冬(‥‥バスからおりたらぜったいころがす)
70 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/05(木) 12:55:49.57 ID:Zj2/k8Z/0
アナウンス『左右に激しく揺れますので、ご注意下さい』 キキィー

一夏「あ‥」 グラッ

千冬「一夏っ!」 ガシッ

ラウラ「教官!」

一夏「あ、ありがとう、千冬n」

千冬「」

一夏「ち、千冬姉ぇ!? 顔色真っ青だぞ、しっかりしてくれ!!」 ユサユサ

千冬(頼むからもう私にさわらないでくれ‥‥)

一夏「ひょ‥ひょっとして千冬姉‥‥って『アレ』なのか!?」

千冬(ああそうだ! 車酔いだ! お前何年の付き合いだと思って聞いているんだ)

一夏「ごめん、千冬姉。俺、ずっと傍にいたのに気づかずに‥‥。でも、大丈夫! そういう時のためのとっておきをみんなにも勧めてたんだ」
71 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/05(木) 13:04:17.21 ID:Zj2/k8Z/0
一夏「プリン作ってきたんだ」

千冬「」

一夏「腹減ってるんだろ‥‥。旅館だからスイーツ無いと思って作ってきたんだよ。‥‥ちょっとぬるくなっちゃったけど――」

セシリア・シャル「」 チーン

千冬「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 グワッ





鈴「はぁ!? セシリアとシャルと千冬さんがプリン食べて失神したぁ!? どういう事よ!?」

全員「………………」

一夏「いざ、海に着いたら十一時(オーシャンズ・イレブン)!」
72 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/05(木) 13:05:39.76 ID:Zj2/k8Z/0
昼食休憩 兼 書き溜め開始
ノシ
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/05(木) 19:03:45.93 ID:X3Y46svUO

ISは平気なのに車で酔うのか……というか弟なのに車に弱いこと知らなかったのか一夏ww
74 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 10:27:38.82 ID:KCwgp96D0
一夏「はい、お茶」 コトッ

シャル「ん、ありがと」 ズズッ

鈴「あ゙〜〜〜、やっぱ夏は麦茶よね!」 ガンッ

ラウラ「そうだな‥‥」 カラン

3年生「涼しい風の入るコテージもあいまって、風流よね!」

ゴーレムI「…………?」

箒「さて。今日、みんなに集まってもらったのは他でもない――」

5人・1機「‥‥」 ザッ

箒「私達の中で、最強のヒロインは誰なのか――をハッキリさせたいのだ‥‥」

ラウラ「フン‥チョンマゲもたまには良い事を言う‥‥望むところだ。私はいつ誰の挑戦でも受ける!!」

一夏「俺は誰がヒロインでもいいんだけどなあ、そんなに重要か?」

鈴「アンタ、少しは主人公の自覚持ちなさいよ」

セシリア「……お待ちになって‥‥」

箒「‥‥何だ?」

セシリア「誰が一夏さんにふさわしいかを決めたいという考えはよくわかりました‥‥。その気持ちは私もよくわかりますわ。けれど、一言だけアナタがたに言っておきたい事がありますの‥‥」

ガチャッ

チェルシー「皆様、お茶請けのケーキが仕上がりました。どうぞご賞味を」 コトッ

3年生「わぁ、美味しそう!」

鈴「来た来たぁ!」

ゴーレムI「‥‥!」 プシュゥゥゥゥッ

ラウラ「ふむ‥‥これがケーキか」

シャル「どっちかっていうと、ボクはヒロインの座よりこっちが目当てだったんだよね」 ジュルリ

一夏「えっ、なにそれちょっと傷ついた」

チェルシー「では、失礼します」 バタン

箒「‥‥で、言っておきたい事とは何だ、セシリア」

セシリア「ヒロインの座を競うのであれば、別に私の別荘でなくてもよろしいでしょう‥‥?」 プルプル
75 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 10:29:18.23 ID:KCwgp96D0
箒「‥‥なぜお前はいつもいつもいいところで水をさすんだ?」

セシリア「フローリングを補修したばかりですのよ!!」 ダンッ

シャル「ケーキの前には、これだよね!」 ムシャムシャ

セシリア「食前にス○ッカーズを開けないでくださる!?」

ゴーレムI『67/100%』 ビビビビビビ

セシリア「他人の家の電力を盗らないでくださいまし!!」

一夏「あっ! ここクマが出没するらしいぞ!!」

セシリア「どうしてそんな場所に別荘を建てましたの!?」

鈴「‥‥そりゃアンタの勝手でしょ」

箒「それはそれとして、誰がヒロインかを決めるにはやはりISが一番だな」

3年生「でも、許可なしでISを展開しちゃマズいんじゃ‥‥」

ラウラ「私有地であれば問題あるまい」

鈴「んな車じゃないんだから」

箒「では、試合表を発表する! 第1試合はセシリアvsゴレ美だ!」

ゴーレムI「‥‥!!」 プシューーーーッ

セシリア「ですからっ、なぜ勝手に決めますの!?」

3年生「なんか、オルコットちゃんが大声あげるとこ初めて見たかも」

セシリア「当たり前ですわ!! ここは私の敷地ですわよ!! とにかくっ、迷惑ですからここで展開されるのは絶対におやめくださいまし! どうしてもやりたいなら屋外でおやりなさい!!」

箒「だってクマ出るっていうし‥」

セシリア「これ以上何か仰いましたらケーサツを呼びますわよ!!」

一夏「じゃあ話し合いで決めようぜ。それなら誰にも怒られずに済むだろ」

箒「な、何故だ!? 私はとにかく紅椿を試したいのだ!! ここで!!」

セシリア「箒さん? ほんとにころがしますわよ?」
76 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 10:47:11.95 ID:KCwgp96D0
一夏「今までの試合・実戦の実績・対戦内容・武勇伝を調べていけば、おのずとヒロインが誰かわかるんじゃないか?」

ラウラ「―――よし‥!! では早いところ『ラウラ・ミレニアム』の中で最強のヒロインは誰なのか、ハッキリさせてやるとするか」

シャル「…………え?」

鈴「…………ラウラ・ミレニアム?」

箒「ラウラ‥‥お前ドサクサにまぎれて何というコトを言うんだ‥‥」

ラウラ「え? 違うのか!? だってあの時少佐殿って――」

3年生「待って、ラウラちゃんはある意味リーダー向きだよ‥‥」

ラウラ「お前――」

3年生「この世界――整合性はさておき『とにかく言ったモン勝ち』っていうのはアリだと思うの!!」

ラウラ「いや‥‥私はそんなつもりで『ラウラ・ミレニアム』と言ったワケではないのだが――」

箒「けれど、それではこの2人の立場がないだろう」

ゴーレムI「‥‥」

シャル「ん、おいし♪」

3年生「うーん‥‥この二人はどう考えても別枠じゃない?」

鈴「って言うか、アタシは未だにこの無人機がホントにウチの生徒なのか疑問なんだけど‥‥」
77 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 11:03:21.07 ID:KCwgp96D0
箒「そんな事ではいつまでたってもヒロインなど決まらんぞ」

ラウラ「ああ‥‥やる気が無くなってきた‥」

セシリア「だったら早いところお帰りいただけないかしら‥‥」

一夏「まあ‥ぶっちゃけそんなのどうでもいいんじゃないのか?」

鈴「アンタ、またそういう事を――」

一夏「だって、ここにいるみんなが集まれば『怖いもの無し』なんだからな」

全員「‥!」

3年生「よく考えたら、凄いメンバーだもんね。何しろアタシ以外みんな専用機持ちだよ?」

シャル「ゴレ美ちゃんも居るしね」

ゴーレムI「‥‥///」 プヒュッ

一夏「そういう事だ。このメンバーなら、どんな凶悪な敵にも勝てるに決まってる!!」

箒「‥‥そうだな。私たちにとって、この世に怖いモンなんかありはしない!!」

クマ「フゴッ」

全員「」
78 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 11:28:51.52 ID:KCwgp96D0
一夏「クマだー!!」

鈴「一夏っ! ベルト外して投げつけて! クマはヘビが苦手なのよ!!」

一夏「よ、よし‥‥!」 カチャカチャ

シャル「‥‥」 モグモグ

3年生「シャルちゃん!? ノンキしてケーキ食べてないで逃げるよ!!」

シャル「大丈夫ですよ。だってIS使えばイチコロじゃないですか」

全員「‥‥あ」

クマ「フッフッ」

鈴「フッフッフ‥‥覚悟しなさいよ熊公!!」 ジャキンッ

セシリア「私たちの力を見せてあげますわ!!」 ヴゥゥン

ラウラ「ふっ、やっとIS二次らしくなってきたな!!」 ガシャコンッ

箒「紅椿! 見せてみろ‥‥お前の力を!!」 キィィンッ

ゴーレムI「!!!!」 ガゴォォォォン

一夏「ち、ちょっと待て! 俺何のためにベルト外したの!?」 ヨチヨチ

シャル「‥‥」 モグモグ

3年生「シャルちゃんも食べてないでIS展開して!! 私唯一生身なの!!」

クマ「ガァァァァァァァッ!!」

チェルシー「指先ひとつでダウンです」 スッ

全員「え?」

クマ「うわらばっ」 ドバッ

全員「」 ドチャドチャッ
79 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 11:36:45.25 ID:KCwgp96D0
チェルシー「まぁ、新鮮な熊肉が採れました。この後は熊鍋をお出ししますね」 ニコッ

全員「」

チェルシー「それでは、ごきげんよう」 バタン

全員「………………」

セシリア「そういえば、チェルシーはアジアでツボ押し師の資格を取得していましたわね‥‥」

全員「すっげぇ怖え〜!!」
80 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 11:56:16.44 ID:KCwgp96D0
数時間後 廊下

セシリア「まったく、今日は散々な1日ですわ!!」

チェルシー「あら、まだ日も落ちていないうちにお怒りのようですね」

セシリア「当たり前ですわ!! 返り血の所為で部屋の大掃除に駆り出される身にもおなりなさい!!」

チェルシー「生身だった一夏様とシャルロット様、3年生の方は泡を食っていましたね」

セシリア「本当に何故こんな事になったのかしら‥‥」

チェルシー「フフ‥‥」

セシリア「何を笑っていますの!?」

チェルシー「いえ、お嬢様がこんなにも楽しそうにしていらっしゃるのは久しくお見受けしませんでしたので」

セシリア「え‥‥」
81 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 12:10:38.77 ID:KCwgp96D0
チェルシー「それに‥別荘とはいえ邸宅に財産の話題に触れない方を招いたのも、このチェルシーはオルコット家にお仕えしていて初めて目の当たりにしました」

セシリア「‥‥それも、そうですわね」

チェルシー「さあ、次は最大のメインディッシュが待っていますゆえ、お嬢様はお部屋にお戻りください」

セシリア「熊鍋の後にまだ次がありますの?」

チェルシー「はい。それも特上かつ最高級の皿をご用意いたします」

セシリア「えらく力を入れますのね。では私もお手伝いして――」

チェルシー「お嬢様のお手が加わりますと暗黒物質が出来上がってしまいますのでお戻りください」

セシリア「メインディッシュを秘密にしたいからってその方便はあんまりではないかしら」

チェルシー「お・も・ど・り・く・だ・さ・い」

セシリア「わかりました!! わかりましたから凄まないでくださいまし!!」 タタタ

チェルシー「‥‥」 ピッ...
82 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 12:27:46.88 ID:KCwgp96D0
セシリア「まったく、どうして私の周りにはおかしな方しか居ないのかしら‥‥」

セシリア(――チェルシーの言う通り、思えば家に他人を招いたのはあの日、お母様の遺産相続の会議の日以来ですわね。あれ以来、誰も我が家に踏み入る者はおりませんでしたわ‥‥。もう、3年も経ちますのね)

ガヤガヤ

セシリア「ん? 何か騒がしいですわね」

一夏(いいか。始めるのは『せーの』って言ってからだぞ)

箒(『せーの』の『の』と言った瞬間か? それとも『の』と言った後か?)

鈴(ちょっと! タイミングが重要なんだから妙な勘ぐりやめなさいよ!!)

ラウラ(では間をとって『n』と『o』の間で撃つか)

3人(それどうやって見計らうんだよ!?)

ホイットニー(シャル空腹形態)「エンダァァァァアアアアイヤァァアァァアアアアア」

3年生(ウソでしょ!? さっき肉をたらふく食べたくせにシャルちゃんがもうホイットニーになった!?)

ゴーレムI(………………!)

セシリア「ちょっと!! 私のいない間に今度は何をお始めになりましたの!?」 ガチャッ

パンッ

セシリア「」
83 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 12:43:07.72 ID:KCwgp96D0
箒・ラウラ「ハッピーバースデー、おのれ〜♪」

鈴「ハッピーバースデー、アンタに〜♪」

一夏「ハッピーバースデー、親愛なる〜――」

全員「セシリア〜〜〜〜〜♪」

セシリア「」

3年生「ハッピーバースデー、アナタに〜♪」

セシリア「………」

ホイットニー(シャル空腹形態)「エンダァァァァアアアアイヤァァアァァアアアアア」

一夏「よっしゃ、上手くいったぁぁ!!」

鈴「サプライズ大成功ね!!」

箒「いやあ、土壇場で成功したな!!」

セシリア「あ、アナタたち――」

ラウラ「なんだ、私達が本気で今頃ヒロインの座を談義しに来たと思っていたのか?」

3年生「みんな、この日のために仕込みをしてたんだよ」

シャルスタンプ『やったね!』

セシリア「………………」
84 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 12:56:04.26 ID:KCwgp96D0
箒「よし!! 今日はハメをはずすぞ!!」

一夏「ちょっと待てよ箒、無礼講だからってお前‥‥」

セシリア「いえ‥‥構いませんわ」

一夏「‥え!?」

セシリア「今日は私のために集まってくださったのでしょう? 私が怒る理由は何ひとつありませんわ。好きなだけお騒ぎくださいな」

3年生「セシリアちゃん、キミ‥‥」

鈴「最初GBL(グレートブリテンレイシスト)女なんて思ってゴメンね」

箒「お前と親友でよかったよ」

ホイットニー(シャル空腹形態)「エンダァァァァアアアアイヤァァアァァアアアアア」

セシリア「けれど‥‥アナタがたにひとつだけ言いたい事がありますわ――」

一夏「なんだよ、改まって」

箒「なんでも言ってくれ」

セシリア「今日は私の誕生日ではありませんわ」

全員「え」

セシリア「それどころか、正確に言うと今日は私の両親の3回忌ですわ」

全員「」
85 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 12:57:21.82 ID:KCwgp96D0
昼食休憩
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/06(金) 13:26:48.02 ID:ccs/KkF3O
87 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 16:09:39.58 ID:KCwgp96D0
セシリア「けれど、間違えてしまっただけなのでしょう? 悪気があったワケではない事はわかっていますわ――」

一夏「そ‥そんな‥‥!」

箒「せっかく人気アイドル『みな林栗美』さんのサイン色紙をプレゼントに持ってきたのに‥‥」

鈴「誰なのよ、今日が誕生日だって情報流したの!!」

シャル「ま、待って! よく見たら、このあいだボクらに一斉送信されたメールには今日が誕生日だとは書いてないよ!」

ラウラ「い、いつの間にかシャルに戻ってる‥‥」

セシリア「え? 一斉送信?」

3年生「うん、このあいだ誰のものかわからないアドレスから『この日に集まってセシリアのサプライズパーティを開け』ってメールが私たちのケータイに届いたのよ」

一夏「てっきり誕生日だと思ってたんだけど‥‥一体誰が何のために――」

セシリア「このアドレス、見覚えがありますわ‥‥!」

全員「え!?」

セシリア「このアドレスは‥‥けれど、そんなハズ‥‥!!」

チェルシー「あら、これはどういう事でしょうか?」

全員「!?」
88 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 16:23:03.08 ID:KCwgp96D0
チェルシー「たしかに今日この日を祝うようご進言いたしましたが、なるほど。そういう事でしたか」

一夏「チェルシーさん‥‥!?」

箒「まさか、貴女が!?」

セシリア「チェルシー‥‥」 ズカズカ

鈴「ちょ、セシ――」

パシィ

全員「!!」

セシリア「アナタ、何故このような真似をしましたの!? いくらなんでも悪趣味が過ぎますわよ!!」

チェルシー「‥‥」 ツー...
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/06(金) 16:44:35.47 ID:KCwgp96D0
鈴「ちょっと、落ち着きなさいよセシリア!!」

シャル「ともかく、話だけでも聞こうよ! ね?」

セシリア「ッ――」 フーッ フーッ

チェルシー「‥‥この日を置いて他に」

セシリア「!」

チェルシー「旦那様と奥様をお祝い申し上げるのは忍びないと思いまして」

セシリア「ッ!!」 グアッ

鈴「ちょ、ストップストーップ!! いいから落ち着いて聞きなさいよ!」

セシリア「今日はッ、お母様がお父様と共に死んだ日ですのよッ!? それを、アナタは!!」

鈴「あーもうっ、ラウラ! アンタもボサッと見てないで押さえるの手伝いなさいよ!!」

ラウラ「‥‥チェルシー殿。私も大概だがアナタの言葉足らずも酷いと思う。そろそろ本題に入ってはどうだ?」

チェルシー「‥‥そうですね。実を言うと、どう切り出そうか悩んでおりました」 スッ

一夏「それは、デジカメ‥‥?」

シャル「古い型だね。‥しかも潰れちゃってる」

箒「見事なまでに粉砕されているな。これは一体‥‥」

チェルシー「旦那様と奥様が遭遇した越境鉄道横転事故における、お二人の最後の遺品です」

セシリア「な‥‥!?」
90 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 17:01:02.42 ID:KCwgp96D0
チェルシー「3年前、お二人がかの地に向かった際に記録された全てが、このカメラに入っておりました。故に、真実を巡り相続権の政争に利用される事を避けるため、わたくしめが隠匿しておりました」

箒「な、中身は‥‥?」

チェルシー「記録媒体は粉々になっており、当初データの復元は困難であると言われました」

一夏「じゃあ、何で今これを?」

チェルシー「‥‥そのデータの復元が、先日ようやく完了いたしました」

鈴「できたのね!! あーもう何ではっきり言わずのらりくらりと回りくどくすんのよアンタは!?」

チェルシー「これが現像できた唯一の写真です。どうぞ」 スッ

セシリア「‥‥これが‥お母様の‥」

チェルシー「はい」

セシリア「‥ふざけたサプライズでしたらその顔を潰しますわよ」

チェルシー「ご心配は無用ですが、お気に召すままに」

セシリア「………」

ペラッ

セシリア「これは‥!?」
91 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 17:22:55.51 ID:KCwgp96D0
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1116102.jpg

一夏「夕日‥‥?」

箒「他には、何も映っていないぞ?」

鈴「なんなのよ、これ?」

セシリア「これは‥‥見た事がありますわ」

ラウラ「なに!?」

3年生「どこで!?」

セシリア「たしか、お母様の寝室の棚に、同じような構図の写真が飾られていたのを憶えていますわ。けれど、あの写真は遺品整理の時に処分されてしまって――」

チェルシー「この写真は、奥様が旦那様をお見初めした場所と同じ場所で撮られたものです」

セシリア「‥‥え?」

一夏「見初めたって、セシリアの両親ってたしか――」

鈴「うん。前に聞いたけど、父親が不甲斐なさ過ぎて母親が愛想尽かして冷め切ってたって話だけど」

チェルシー「とんでもない。お二人はとても親密な関係でした」

セシリア「‥‥嘘よ」

チェルシー「お二人のご婚約は、けっして政略のためではなく互いの深い愛情ゆえでした」

セシリア「嘘よッ!! でしたら、なぜお母様はあんな目でお父様を見ていたの‥? なぜあんなお父様を愛したの‥?」

箒「セシリア‥‥」

セシリア「ずっと怖かった‥‥。あの情けない父の姿を見る母の目がとても怖かった。自分はあんな目で見られたくない一心で、私はずっと――」

ゴーレムI「ピーーガガガッ!!」

全員「!?」
92 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 17:32:17.13 ID:KCwgp96D0
ゴーレムI「ガガッピーーピーピーボボバッ」 ガクガクガク

シャル「ゴレ美ちゃん!?」

鈴「ちょっと‥‥いきなりバグったわよコイツ!?」

チェルシー「失礼しました。ちょうど良い映写機がありましたので少々お借りします」

3年生「ハッキング!? そんな芸当まで‥‥」

箒「というか、ISをハッキングできるって一体‥‥」

一夏「映像が出るぞ――」

ゴーレムI「B、A、@、……」 ジーーー...

ロリセシリア『おかあさまー!』

セシリア「!!」
93 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 17:45:49.26 ID:KCwgp96D0
鈴「あれ‥‥小さい頃のセシリア?」

箒「カールじゃなく直毛だ!」

一夏「いや箒、驚くとこはそこじゃないだろ」

セシリア「これは、いつ‥‥?」

ラウラ「現像できたのはその1枚だけじゃなかったのか? チェルシー殿」

チェルシー「ええ。なにせ値が張りましたので、他のデータはデジタル情報に留める他ありませんでした」

3年生「ずいぶん被写体が遠いね。どこから‥‥」

シャル「あ! ズームアウトするよ!」

セシリア「ここは‥‥あの人がいつも入り浸っていた――」

チェルシー「はい。旦那様お気に入りの庭園です」

鈴「どうしてこんな遠くから‥‥?」

シャル「あ、映像が変わった!!」

恰幅の良い男性「すばらしい、セシリアちゃん!! キミのバイオリンの音色はまるで天からの福音だ!!」

鈴「‥‥誰?」

一夏「セシリアの親父?」

チェルシー「こんな肥えた豚と旦那様を一緒にしないでください」

3年生「急に辛辣!?」
94 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 18:01:42.48 ID:KCwgp96D0
豪著な女性『まったくですわ!! この場に立ち会えたわたくし達は幸せ者ね!!』

恰幅の良い男性『ええ、本当に。では奥様、これからも我が○○財団をよろしくお願いしますよ‥‥!』

豪著な女性『我が△△コーポレーションも、是非ご贔屓に!!』

鈴「‥‥ああ。たしかに豚ね、コイツらは」

ラウラ「金に貪欲なハイエナどもとも言えるな。演奏会にかこつけてコネを得にやってきたといったところか」

3年生「美辞麗句ばかり並べて、まったく嫌になるわ」

一夏「‥‥で、奥様って呼ばれたこの綺麗な女の人が――」

セシリア「お母様‥‥!」

セシリアの母『――セシリア、よくできたわね』

ロリセシリア『‥‥! はい、おかあさま!!』

セシリア「‥‥この時の事は憶えていますわ。周りの方の圧に押され、緊張しながらも演奏を終えて褒められたのがすごく嬉しかった‥。けれど――」

チェルシー「はい。この時は奥様とお嬢様だけが向かい、わたくしめは邸宅の掃除をしておりました」

セシリア「では‥‥誰が!?」

チェルシー「他に居ないでしょう?」

セシリア「まさか――!?」
95 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 18:17:59.49 ID:KCwgp96D0
???『あ、やべっ』 ガタタッ

全員「!?」

???『‥‥う〜ん、やっぱ涙腺にクるなぁ、こういうの。周りの連中が居なけりゃもっと良かったけど‥‥それはそれで正気を保っていられたかどうか……』

セシリア「嘘よ!!」

セシリアの父『えーと、記録を切るには‥‥あれ? どうするんだったけかな。機種変したばっかだからわかんないや』 ガチャガチャッ

一夏「これが、セシリアの‥‥親父?」

鈴「冴えない顔だけど、なんだかあったかそう‥」

セシリア「違うっ!! こんな人わたしは知らない!!」

箒「セシリア‥‥」

セシリアの父『む‥‥? あっもしもし、ママ? いやあ、あんまり素晴らしい演奏だったんでボク感動しちゃって――』

電話『――ッ!! ――――ッ!?』

セシリアの父『ッ!! わかってるわかってる‥‥。ちゃんと撮れてるよ。‥たぶん』

電話『―――ッ!?』

セシリアの父『ダァーッ!! わかった、告白するよ! 実はビデオの切り方がわかんなくってさ‥‥え? うん、映ってるよ、今』

電話『――ッ!!』

セシリアの父『‥‥‥ッ!! 大きな声を出すんじゃない。セシリアに気づかれたらどうするんだ‥‥』

鈴「‥‥絵に描いたようなダメ親父ね」

箒「冷え切ってるというか、尻に敷かれてる?」

セシリア「ちがう‥こんなの知らない‥‥!!」
96 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 18:35:43.05 ID:KCwgp96D0
セシリアの父『バレたらボクは今後どうやってセシリアの成長の記録を撮っていけばいいんだい』

セシリア「え‥‥!?」

電話『‥‥‥‥。‥‥‥‥。……?』

セシリアの父『‥うん。そうだね。それがボクらの『家族のカタチ』だ』

一夏「『家族のカタチ』‥‥」

セシリアの父『キミに出来ない事をボクが、ボクができない事をキミが。ずっとそうやってきたもんな』

電話『‥‥。…? ‥‥‥』

セシリアの父『あ! そうだった。えーっと、スタートボタンを押してそのあt』 ブツッ

シャル「次の映像になる‥」

セシリア「‥‥」 ジリッ

一夏「駄目だ」 ガシッ

セシリア「!?」

一夏「逃げちゃ駄目だ。最後まで見届けなきゃ」

セシリア「ッ!! 離してッ!!」 バタバタッ

チェルシー「織斑様の仰る通りです、お嬢様」

セシリア「ッ!?」

チェルシー「これは貴女が、最後まで見届けなくては意味の無い、お二人の真の遺言なのです」

セシリア「ッ――」

鈴「もう観念しなさい、セシリア」 ガッ

セシリア「鈴さん!」

箒「これは明らかに、お前に宛てた彼らの最期のメッセージだ」

ラウラ「‥‥」

シャル?「エン‥‥エン‥‥」 ウズウズ

3年生「シャルちゃん‥‥偉いわ。そのまま持ち堪えて」

セシリア「みなさん‥‥」
97 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 18:52:03.93 ID:KCwgp96D0
セミロリセシリア『‥‥』 パンッ

一夏「鳩を撃った!?」

ラウラ「VRのライフル競技だ。それにしてもあの距離を当てるとは」

鈴「自己記録更新って‥‥凄いじゃないアンタ!!」

セシリア「‥‥」 プイッ

箒「お前、まだそんな態度を――」

チェルシー「ッ」 ブホッ

全員「!?」

チェルシー「‥‥いえ、失笑でした。なまじこの先を知っていますもので、つい――」

一夏「この先?」

スタッフ『記録更新おめでとうございます、セシリア選手!! ‥‥おや? どうしました?』

鈴「え!?」

箒「泣いてる‥‥!?」

スタッフ『どうかしましたか!? どこか痛むのですか?』

セミロリセシリア『――とが――』

スタッフ『?』

セミロリセシリア『――はとがかわいそう‥‥』

全員「」 ズギュンッ
98 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 19:03:25.68 ID:KCwgp96D0
セシリア「違いますのよ!? 違いますの!!」

鈴「いや、その――」 トゥンクトゥンク

箒「ピュアァァァァァッ!!」 ボカァァァン

ラウラ「箒!?」

シャルットニー「エンダッ、エンダッ」 ググググッ

3年生「シャルちゃん、頑張って!!」

一夏「いいじゃんか、セシリアにもああいう頃があったって事だろ?」

セシリア「」 ガスッ

一夏「いてえッ」

セシリア「――お母様が来なかったのが悲しかったなんて、言えるものですか」

鈴「え?」

箒「では、これは――」

セシリアの父『』 グズッ グジュッ

全員「あ」

セシリアの父『ママァァ、凄いよぉぉぉぉ。ウチのセシリアが『鳩が可哀想』って‥‥とっても優しい子だよぉおぉぉぉ!!』 ボロボロボロ

全員「‥‥」 チラッ

セシリア「」 カァァァァァッ

チェルシー「」 プルプル
99 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 19:12:32.81 ID:KCwgp96D0
セシリアの父『ねえっ、ママ見てる!? ママァァァァァッ!!』

警備員『ヘイッ、ォワットゥァユドゥゥイング!?』 ダダダダダ

セシリアの父『あっやべえッ!!』 ブツッ

一夏「これは……想像以上にきつい……」

鈴「アタシ、こんな親父が居たら死ねるわ」

箒「激しく同意する‥‥」

チェルシー「」 ブブッホォォォォォ

セシリア「チェルシィ!?」

3年生「あっチェルシーさんだ」

チェルシー「!?」

ロリチェルシー『だんなさま、なにをなさっているのでやがりますか?』

全員「やがっwww」 ブホォォッ

チェルシー「」 カァァァァッ
100 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 19:26:42.45 ID:KCwgp96D0
ロリチェルシー『おくさまにいいつけやがりますですよー?』 ガタガタッ

セシリアの父『わっチェルシー!? ダメダメッ触んないで!!』 ガタッガタタッ

ラウラ「――内容は把握していたのでは?」 プススー

チェルシー「‥‥これは消去したはず‥‥」

ゴーレムI『ゲッゲッゲッゲッゲッ』

鈴「今笑った!? アイツ!!」

箒「最後の抵抗で復元させたのか!!

3年生(ただのノイズだと思いたい‥‥)

一夏「ちょっと待て? 時系列的にチェルシーさん幼すぎないか?」

ラウラ「うむ。今20代前半だと仮定してこれは少々年齢が‥‥」

チェルシー「わたしとお嬢様は3つしか違いませんっ!」

全員「え!?」

鈴「じゃあこん時アンタ10歳前!?」

チェルシー「‥‥そんなに年増に見えましたか?」 カチン
101 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 19:45:12.81 ID:KCwgp96D0
セシリアの父『‥‥他の使用人さんたちには内緒だよ? バレたらボク、セシリアを撮れなくなっちゃうから』

ロリチェルシー『‥‥なぜだんなさまはおじょうさまをとーさつしてやがるのですか?』

セシリアの父『どこで覚えたんだいそんな言葉。違うよ、成長の記録。ママがカメラ片手にセシリアをおっかけまわしてたらサマになんないだろう?』

ロリチェルシー『そうなのでやがりますか?』

セシリアの父『ああ。ママにはママのやるべき事が、ボクにはボクのできる事があるのさ』

チェルシー「‥‥あとで知ったのですが、この頃はISが実戦配備された事もあいまって奥様は通常の倍のスケジュールを要求されておりました。そしてここだけの話なのですが、この時点で既にお嬢様はIS操縦者候補として注目されていました」

セシリア「え‥‥」

鈴「聞こえはいいけど要は体のいいモルモットって事ね。大人ってどこまで‥‥」

チェルシー「奥様はその激務の中、お嬢様を庇って負担に軋む身体を押してずっと研究機関の追及をせき止めておりました。その間、旦那様はせめて自分だけは影ながら『普通の家族』であろうと務めたのです」

一夏「これがその末にできた、『家族のカタチ』‥‥」
102 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 19:46:58.03 ID:KCwgp96D0
夕飯休憩
脱線と蛇足が酷くて情けなくて泣けてくる
ノシ
103 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 21:33:52.50 ID:KCwgp96D0
セシリアの父『それとね、これはセシリアに対するラブレターみたいなものなんだ』

セシリア「え!?」

セシリアの父『アルバムとかホームビデオっていうのは、家族がみんな揃って見るだけじゃなくて、遺された人達が思い出を取り戻すための『生きた証』でもあるんだ。もしボクが居なくなった後でも、セシリアやその後に続く子供達が思い出せるようにね』

箒「いなくなる‥って」

鈴「ひょっとしてこの人‥‥!!」

チェルシー「いいえ、旦那様は決して死を予感していたワケではありません。寧ろ旦那様は残された側の人間でした」

セシリア「どういう事ですの!?」

チェルシー「旦那様は戦災孤児でした。かつての紛争で家族を亡くし、街で野垂れ死にそうになった所をかつての奥様とお会いしたそうです。出会いの時でさえ、アザだらけの顔でアルバムを大事そうに抱えていたそうです」

3年生「いつ、知ったんですか?」

チェルシー「‥‥遺品整理の時に、ようやく私は旦那様を知る事ができました」

鈴「それって、けっこうなシンデレラストーリーよね」

一夏「鈴!」

鈴「わかってるわよ。きっとこの人に、そんな下世話な考えなんか無かったのよ」
104 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 21:47:21.27 ID:KCwgp96D0
ロリチェルシー『だんなさまは、せーてきとーさくなのでやがりますか?』

セシリアの父『ホントにどこで覚えてくるのそんな言葉!? そうじゃなくて、えーと何て言えばいいのかな? まあ、大人になったらきっとわかるよ』

ロリチェルシー『ふーん‥‥ところで、こんどはあたくしめをとーさつしてやがるのですか?』

セシリアの父『だから盗撮じゃ‥‥え? あーーーーッ!! 居ない! どこ行ったセシリア!? あーどうしよ! そうだ、こんな時は落ち着いて記録を切って――』

セシリアの母『あなた?』

セシリアの父『‥‥!!』 クルッ

セシリアの母『‥‥』 ニッコリ

セシリアの父『‥やあ、マm』 ドゲシッ ゴロンコロッ ブツッ ザーーーーッ

全員「‥‥」

一夏「キめる時はキめるのにもったいないなーこの人」

鈴「ホント典型的なダメ親父ね」

セシリア「ふふふふふふ」

箒「セシリア‥‥!?」

セシリア「あはははははは! 見ました!? 今のお母様の顔!! あんな顔は初めて見ましたわ!!」

全員「」
105 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 22:08:18.74 ID:KCwgp96D0
鈴「やばい、あまりのダメ親父っぷりを見て絶望をループしちゃって逆にハイになっちゃってるわアレ」 ヒソヒソ

ラウラ「うむ、しばらくそっとしておこう」 ヒソヒソ

一夏「‥‥うん。そっと見守ろう」

セシリア「あはは、あは、お、お母様が、あんなに笑って‥あはは」 ポロポロ

箒「……」

シャイットニー「エンダッ!! ‥‥。エンッ!! ……」

3年生「お願い、もう少し持ち堪えて‥‥!!」

‥‥その後も、ずっと一人のダメ親父が幸せな娘が育っていく姿を映している映像が続いた。時々娘がこちらと目が合いそうになると、そそくさと悲しそうにダメ親父は去っていく。その姿にゲラゲラ笑い転げながら、でも時々、俺達は得体の知れない寂しさを覚える。
やがて娘がジュニアハイスクールに入り始めた頃から、娘が映る頻度が目に見える程に減っていった。そしてその日は突然に、『思い出』を締めくくりにやってきた。

ホイットル「ッ!! ‥‥。ッッ!!」 ギシッ ギシギシ

3年生「ごめんね‥! ホントにごめん! でももうすぐで終わりだから‥‥!!」

鈴「何も縛りつけなくても‥‥」

ラウラ「終わり‥か。そうだな」

箒「‥‥この日付は!」 ハッ

一夏「二人の、最期の日だ」

セシリア「‥‥‥‥」
106 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 22:37:07.41 ID:KCwgp96D0
セシリアの父『‥‥懐かしいなあ。ここでボクとママはお互いを好きになれたんだよね。セシリアにも見せてあげたかったなあ』

セシリアの母『ちょっと、思い出を撮ってるんでしょう? もう少しあの子がここで見ている風に撮りなさい』

セシリアの父『あ、そっか!! ほらセシリア、ご覧!! ここでパパとママは大好きになれたんだよ!! 見てる〜!?』

セシリアの母『‥‥あーもうっ、貸しなさい!!』 ガタッガタタンガタッ

セシリアの父『あ、ちょ‥‥何をするだっちょっとぉぉ!!』 ガッタンガタッ ガチャリ

セシリアの母『うん、これでよし!!』

セシリアの父『あ‥‥あーー、こりゃ参ったなあ‥‥。ボクが被写体になってどうするんだい』

セシリアの母『何言ってるの、貴方が被写体にならなきゃ誰があの情けない父親のビジョンになるのよ、馬鹿』

セシリアの父『ッ!! ‥‥あ〜〜〜、そっか。そりゃ困るな。ずっと映ってたキミが、こんなだらしのないパパだって覚えられるのはシャクだよねえ』

セシリアの母『‥‥それ0点。ジョーク以前の問題よ。こっち見なさい』

セシリアの父『ッ‥‥!!』 ジワッ

セシリアの母『なにこれ。イジメ? イジメ動画なの? 全世界にアップロードするぅ?』

セシリアの父『だってッ、だっ、て‥‥嬉しかったんだ。誰かに憶えられるって事が。こんなに嬉しい事だなんてッ、思わなかったんだッ!』 ボロボロ

セシリアの母『‥‥‥馬鹿』

セシリアの父『!?』 ガチャガチャッ

セシリアの母『ご覧、セシリア!! これがッ、アナタの母! んでコッチの、ロクデナシのカイショーナシのナキムシがッ、アナタの父! よぉく脳味噌に叩き込みなさいッ!!』

セシリアの父『わ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙い゙、ゼジリ゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!! 見゙でる゙〜〜〜〜!? ロ゙グデナ゙ジでガイ゙ジョ゙ーナ゙ジでナ゙ギム゙ジの゙ヴァ゙ヴァ゙だよ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙!! ゔわ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ん゙!!』

セシリアの母『ッ!! もうっバカ、愛してる!!』 グイッ

セシリアの父『む゙ぅ゙ぅ゙ぅ゙ぅ゙ぅ゙ぅ゙ぅ゙ぅ゙ぅ゙』

ジーーーーーーーーーーーーージジジジジジッ ピッ
107 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 22:52:52.58 ID:KCwgp96D0
鈴「‥‥」 グスッ グスッ

箒「‥‥」 ッチーーーーン

ラウラ「‥‥」

3年生「‥‥」 ポロポロ

シャrもうホイットニーかもしれない「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」 バタンッ バタンッ バタンッ

一夏「‥‥セシリア」

セシリア「‥‥ええ、受け取りましたわ。これが、二人の『生きた証』ですのね」

チェルシー「はい。 ‥‥この動画は、どうなさいますか?」

セシリア「‥‥消してちょうだい。それで、この思い出は決着ですわ」

箒「せ、セシリア!?」

鈴「なにも、消さなくても!!」

セシリア「いいんですの。二人の姿は、もうここに遺っていますわ」 トン

鈴「でもっ――!!」

一夏「いいのか? 本当に」

セシリア「ええ、構いません。どなたか、シャルロットさんを解放してさしあげて」

箒「あ、ああ」

3年生「‥‥? ちょっと待って。 この動画!!」

鈴「え? ‥‥あっ!!」

一夏「あと数分だけ、ログが残ってる!?」

チェルシー「‥‥」
108 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 23:03:31.31 ID:KCwgp96D0
ラウラ「つくづく人が悪いな、なぜ最後の記録を見せない。それも削除し損ねたのか?」

チェルシー「‥‥いいえ。こちらの記録は、ご覧になる覚悟がある方にしかお見せしないつもりでした」

鈴「覚悟って‥‥何よ」

箒「‥‥残ってるのか? 事故当時の記録が」

全員「!!」

チェルシー「‥‥はい。といっても、当時既にレンズが潰れてしまい映像はなく音声のみです。人が死んでいる姿が映っているような衝撃的なものではありません。ただ――」

一夏「人が死ぬ瞬間の肉声が、記録されている」

チェルシー「ええ。所謂、断末魔です」

全員「」
109 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 23:20:50.94 ID:KCwgp96D0
チェルシー「お聞きになる勇気がある方のみ挙手ください。もっともお勧めも強制もいたしませんが」

鈴「そんなの、すぐに決められるワケないじゃない‥‥!」

3年生「アタシも遠慮するわ。直接的な映像がなくても、こういうのは精神衛生上には絶対に良くない!!」

ラウラ「私は構わんぞ。実戦こそ経験はないが、銃殺刑ぐらいなら見覚えがある」

鈴「軍人サマの特権ってヤツ? 冗談だとしてもアンタの口からは聞きたくなかったわ」

ラウラ「‥‥辛くなかったとは言っていない」

箒「私は見ようと思う。いつかはみんな経験する事だ」

鈴「‥‥見ない。はい、これで同点ね。次、一夏よ」

一夏「見るよ。そんでシャルをどこか別室に連れて行ってくれ」

鈴「妙に急かすじゃない。ひょっとしてビビッてんの?」

一夏「いや、ずっと『アレ』が気になっててさ。どうやら時間は無さそうだ」

箒「『アレ』‥‥? あっ!」

3年生「ゴレ美ちゃんの充電が!!」

ゴーレムI『10/100%』 シュゥゥゥゥゥ...

ラウラ「これも計算済みか? 貴様、どこまで他人を弄ぶつもりだ」

チェルシー「試す、と仰ってください。それと充電の件は今はじめて知りましたので悪しからず」

鈴「だ、そうよ? どうするか決めたら? 『オジョウサマ』」

セシリア「‥‥」
110 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/06(金) 23:52:39.17 ID:KCwgp96D0
 ――どこだろう? ここは。カメラは‥‥ああ、ダメだ。何も映らない。
 ‥‥でもよかった。見渡すと人がいっぱい横たわってる。――生きてるのかな、死んでいるのかな。
 これが遺るとしたら、とても見せられない。特に、『あの子』には。
 ――痛いなあ。どこかヤっちゃったかなあ‥‥。これ、帰れるのかなあ。
 あっ、また馬鹿な事考えてるって、ママに怒られちゃう。それは、嫌だなあ。悪い癖だなあ。
 ――そうだ彼女は? 彼女はどこに‥‥?
 ――! ああ、そんな‥‥! アレは、もう駄目だ。助からない。
 『あの子』が、泣いてしまう。それだけは、嫌だ。いやだ。イヤダ。
 誰かに遺そう。この声を、この心を。心無い誰かに『あの子』が傷つけられないように、優しい人に託そう。
 誰かあの子を――『セシリア』を助けてあげてほしい。
 とても優しい『あの子』を、守ってあげてほしい。ボクらにはできなかった事を、どうか‥‥!!

 ‥‥勝手に殺すな、馬鹿。

 ――ママ?

 ‥‥言ったでしょ。『被写体』が思い出に残らないでどうするの。

 でも、だってボクらはもう――いてっ!!

 伝えるならあの子に伝えなさい‥‥! 生きているうちに、精一杯伝えなさい! ずっと、言えなかったあの言葉を。

 あっ! そっかあ、まだ一度も言ってあげてなかったや。

 ‥‥そんな親があるか、馬鹿。

 うん。そうだね。‥‥『セシリア』、聞こえる?





『愛してる』























 ――あれ? まだ生きてるや。

 ホント馬鹿!! ビデオに残すならちゃんと切り方を憶えてなさいって言ってるでしょ!!

 あはは、そうだねえ。‥‥でもね、押したつもりだったんだ。

 え?

 押したつもりだったんだけど、――無いんだよ。

 ――ああ、もう馬鹿。

 いつまで続くのかな、これ?

 すぐよ、あっと言う間。

 じゃあ、伝えられるうちに。

 もう一個付け加えましょ。





『つよく、いきて』




………………。
111 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/07(土) 00:00:16.81 ID:vpADU66V0
ゴーレムI『EMPTY』

全員「‥‥」

チェルシー「以上が、お二人の正真正銘のご遺言です」

鈴「‥‥もう次は無い?」

チェルシー「ありません」

3年生「隠している事も?」

チェルシー「ありません」

箒「本当に?」

チェルシー「ありません」

ラウラ「必要なら尋問も辞さないぞ」

チェルシー「くどいですよ。本当にもう何もありませんよ」

一夏「‥‥だってさ。どうだ? 感想は」

セシリア「‥‥」
112 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/07(土) 00:18:52.13 ID:vpADU66V0
チェルシー「――しかし、意外でした。まさか反対していた方々までお聞きになるとは」

鈴「あとで逃げたって言われたらかっこつかないからね。でもかえってよかったわ。こうやって結束の強さを確認できたんだから」

3年生「けど、やっぱりキツいわね。こういうの」

ラウラ「‥‥」

鈴「アンタはどうなのよ。ずっとダンマリだけど、ひょっとして面白くなかった?」

ラウラ「あまり他人を馬鹿にするな。ただ、わからなかっただけだ。――家族というものが」

鈴「クローンIS操縦者軍団だから?」

一夏「鈴」

鈴「‥‥」

セシリア「私も、わかりませんでしたわ」

鈴「え?」

箒「セシリア?」

セシリア「ずっとわからず、結局わかりませんでしたわ。何故、二人がよりによってこの日にここへ向かう事を選んだのか」

箒「たしかに、二人がこの日に鉄道に乗らなければ事故には遭わなかった。でもそれは、既にタラレバの話だろう? どうしようもない問題だ」

鈴「終わった事だもん。しょうがないわ」

3年生「だけどこんなの、救われなさ過ぎる‥‥!!」

セシリア「私が知りたいのは、そのようなセンチな質問ではありませんわ」

箒・鈴・3年生「え?」

セシリア「どうしてチェルシーはこの日を『二人を祝う日』と言ったのか‥‥!」

全員「!!」

チェルシー「‥‥『彼女』の電源ケーブルはどちらでしょう?」

ラウラ「これだ」 スッ

チェルシー「どうも――」

ラウラ「‥‥」 フイッ

チェルシー「‥‥何のつもりでしょうか」

ラウラ「隠し事はするなと言った」

チェルシー「‥‥忘れ物ですよ」

ラウラ「‥‥」 スッ

ガチャッ

ゴーレムI「!」 ヴゥゥゥゥゥン
113 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/07(土) 00:28:56.75 ID:vpADU66V0
チェルシー「少々お時間をください。旦那様は無駄な画像ばかり撮られたもので」

鈴「今度は画像? グロいのは勘弁よ」

チェルシー「いえ、もっと過去のものです」

鈴「?」

チェルシー「これです」 ピッ

セシリア「これは‥‥二人の結婚式の?」

箒「当然の事だが、今までの映像より若い‥」

鈴「でも、これが何なのよ?」

ラウラ「‥‥なるほど、そういう事か」

鈴「え?」

3年生「あっ、見て!! 写真が撮られた年月日のタグ!!」

箒「これは‥‥」

一夏「二人の命日と同じ日‥‥!?」

3年生「そしてこの場所は‥‥!!」

セシリア「――あの場所ですわ‥‥!」

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1116102.jpg
114 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/07(土) 00:43:46.43 ID:vpADU66V0
チェルシー「もう、おわかりですね?」

セシリア「結婚記念日‥‥!?」

鈴「それじゃ、この場所に向かったのは‥‥!!」

チェルシー「ノロケ――のつもりだったのかもしれませんね」

3年生「その所為で、事故に遭っただなんて‥‥!!」

箒「理不尽な‥‥!!」

セシリア「ふ、ふふふふふ」

一夏「セシリア?」

セシリア「あはははははははははははははは!!」

一夏「セシリア!? おい、しっかりしろ!!」

鈴「ちょっと、とうとうマズいんじゃないの!?」

セシリア「ハッ! いいえ、もう大丈夫ですわ‥‥」

箒「しかし‥‥!」

セシリア「チェルシー。とんだ謎かけを出したものですわね。こんなものを見せるために、私を欺き続けてきましたの‥‥?」 ユラァ

チェルシー「‥‥弁明のしようもございません」

セシリア「――チェルシィィィィィィ!!」 ガシィッ

3年生「ちょっ‥‥!!」

箒「一夏ッ!!」

一夏「ああっ!!」

セシリア「――ありがとう」

全員「え?」

チェルシー「‥‥お嬢様?」
115 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/07(土) 01:05:24.87 ID:vpADU66V0
セシリア「これでやっと、やっとこの呪縛から解放されますわ‥‥」 ズルル...

チェルシー「お嬢様‥‥」

セシリア「ずっと、わからなかった。『良い子』を演じているうちに、自分が愛されているのかわからなくなっていた‥‥」 トサッ

箒「セシリ――」

一夏「‥‥」 スッ

セシリア「‥‥けれど、これでようやくわかった。私はお母様から、あの人から――」

チェルシー「‥‥」

セシリア「――『お父様』から、愛されていた」 ポロッ

チェルシー「‥‥はい!」 ポロポロ

セシリア「――よかったぁ‥‥ぁぁぁぁああああああああああああァァァ!!」 ボロボロ

箒「セシリア‥‥」 ポロ...

セシリア「ああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ‥‥!!」 ボロボロ

3年生「‥‥ッ!!」 ポロポロ

鈴「何よっ、知ってたわよ、バカァッ!!」 グシッ グシッ

一夏「‥‥ラウラ」

ラウラ「なんだ」

一夏「‥‥お前にしかッ‥!」 フルフル

ラウラ「‥‥」 コクリ

シャル?「‥‥?」

ラウラ「頼む」

シャル?「‥‥!」 スゥッ

全員「エンダァァァァアアアアイヤァァアァァアアアアア!! ウィィィィラァァァァウェイズラァヴュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥァァァァ!!」 ボロボロ

セシリア「ああああああああああああああああぁぁぁぁぁ!!」 ボロボロ

チェルシー「‥‥ッ!!」 ボロボロ

ずっと、ホイットニーが歌っている曲は知っていたのに、その曲名を俺達は知らなかった。
けれど、それを今、おそらくここに居る全員が思い出していた。
題名は『I Will Always Love You』。
意味は――『いつまでもあなたを愛している』。
116 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/07(土) 01:19:47.13 ID:vpADU66V0
消化分報告
#1 不良上等
#2 ワル自慢だよ人生は
#4 ファイトクラブ
#6 ロックユー
#7 ラヴァー・ボーイ
#11 ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル
#13 野望の帝国
#14 帝国の逆襲
#15 北斗暗殺計画
#8 センチメンタル・バス
#22 キラー・クイーン
#23 前田最良の日
#41 We are the world (もうこじつけた)

...続く
117 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/07(土) 01:55:21.32 ID:vpADU66V0
「――以上が、織斑一夏の報告になります」

『そろそろ動くべきかしらね』

「正直、この件に関しては、対応が遅すぎる気がします」

「いろんなとこから小言がびっしり‥‥。もう待てないよ〜‥‥」

『‥‥決めたわ、そろそろ動き出しましょう。このSSがこのSSであるために』

「では!?」

『近く、機を窺って接触するわ。あなたたちはバックアップを』

「りょ、了解しました!」

「承知〜♪」

『覚悟してもらいましょう、織斑一夏くん』

「ところで、少々お話があるのですが」

『なあに?』





本音・虚「会長って、顔が大きいですよね」

メカ無『――そう?』
118 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/07(土) 01:57:05.18 ID:vpADU66V0
書き溜め開始
臭いSSにしちゃってスマン
ノシ
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/07(土) 10:07:48.87 ID:y8Ut0y36O

クロ高なぞるだけじゃ意味ないし多少はね?
120 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/07(土) 12:56:46.52 ID:vpADU66V0
箒「一夏!! また凄い奴がよそのクラスにいるんだ!!」

一夏「‥‥もういいって。ホイットニーだのゴレ美だの‥悪いけど、この学校はいろんなのが出るからもう何を見ても驚かないぞ。だいたい前回とんでもない脱線事故起こしたんだから作者も慎重なんだよ。ラウラの時もセシリアの時も、ホントにアレ以上のテコ入れと自己解釈が出たら手に負えないぞ」

箒「何の話かわからんが、いいから来い!! とにかく凄いぞ‥‥あんなギャルは初めてだ‥‥」

一夏「毎回同じ事を‥‥言ってない気がするのは何故だろう? まぁホイットニー、ゴレ美ときたからどうせ次は淫魔とかその辺だろ? パンチ弱いって。もう俺は何が出てきても驚かないからな!」

箒「フン‥‥お前の発想は実にDT臭いな」

一夏「DT言うな! 見ればいいんだろ!?」 ガララ

メカ無『‥‥』

箒「見ろ」

一夏「」
121 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/07(土) 12:59:01.67 ID:vpADU66V0
箒「‥‥どう思う、一夏?」

一夏「タイプ的に考えるとゴレ美が『A.I.Sエクソーダ』で、アレが『コドッタ・イーデッタ』かなあ?」

箒「冷静に分析するな!! 素直に天丼を驚け!!」

九段下「おい、大変だメカ無!!」

メカ無『どうしたの? 何が大変なのかしら?』

一夏(下の名前できたかあ‥‥!)

箒(この場合、若本規夫さんか斎藤千和さんかで判断に困る!!)

九段下「聞いてくれ、メカ無!! 昨日ウチのアリが『放課後バトルフィールド』で相手チームとモメちまったらしくてよ‥‥そしたら向こうのチームから『闇の舞姫』が出てきちまったんだよ!!」

メカ無『『闇の舞姫』‥‥たしか人気VRサバイバルゲーム『放課後バトルフィールド』における悪名高いプレイヤーキラーね‥‥』

九段下「どうするよ!? アイツ出てきちゃウチも引くワケいかねーぞ!! こうなりゃウチも兵隊集めてやるしか――」

メカ無『‥‥待ちなさい』 ガシャン

九段下「‥え!?」

一夏・箒(今『ガシャン』っつった!?)

メカ無『要するに、先にチョッカイを出したのはアリ――榊くんなんでしょ? 私は運営にコネがあるから、そこを通じてレギュレーションに介入すれば済む話よ』

九段下「オイ!! それじゃあ皮被りの鳥野郎と変わらねえじゃねえか!!」

メカ無『心配しないで‥‥アナタたちのチームに累は及ばないわ。私自身の気まぐれでかき回したって事にしておくから』

九段下「な‥何でお前はいつもそうやって汚れ役買うんだよ? メカ無はホントに実力あるのに、これじゃあいつまでたっても安く見られちまうじゃねえか‥‥」

メカ無『――気にしないでください『先輩』。いくらダブリとはいえ、アナタは大切な『後輩』なんですから』

九段下「お前――まったく、やれやれだぜ」

メカ無『またお得意のジョジョ? 少し照れるわ』

一夏・箒(九段下さん何年ダブってんだよ)
122 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/07(土) 13:00:56.55 ID:vpADU66V0
メカ無『何ですって? もういちど言いなさい!!』

谷本「ッ!! ご、ごめんなさい会長!! 私、どうしてもあのソフトのISOデータが欲しくて、ついあのサイトに――」

メカ無『それでモメ事に発展したら元も子もないでしょう!! 別に謝られても私は何もしないし、何も嬉しくないわ』

谷本「そ、そんな‥‥!!」

メカ無『‥‥本当に謝る相手なら、そこにいるでしょう?』 クイッ

相川・鷹月「‥‥」

谷本「2人とも、どうして‥‥!?」

メカ無『私は寛容であると同時に非情よ。アナタの謝罪なんか欲しくなんてない。だから、今度は2人に安心を与えてあげて。私はそれで、充分だから』

相川・鷹月「癒子ちゃん‥‥」

谷本「2人とも‥‥ッ、うわああぁぁぁぁぁ!! ごめんなさい、心配かけてごめんなさいぃぃぃ!!」 ガバッ

相川「もうっ、次からは著作権法をちゃんと守ろうね!」

鷹月「リッピングなんか絶対にダメなんだから!」

谷本「うんっ、うんっ――!!」 ボロボロ

一夏・箒(何のミニドラマ!?)
123 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/07(土) 13:01:43.24 ID:vpADU66V0
櫛灘「やっぱりメカ無会長は、この学校の守護神だね‥‥!」

風霧「かなわないな‥‥メカ無会長には」

メカ無『‥‥よしなさいよ、もう』 ゴッシュ、ゴッシュ

一夏・箒(ウォッシングしてる!!)

九段下「なあ、メカ無。ちょっと話があるんだけど」

メカ無『なあに?』 キュッキュッキュッ

九段下「アタシさあ‥‥お前を初めて見た時から気になって気になって仕方ねえ事があるんだ‥‥」

一夏・箒(ついにツッコむのか!?)

九段下「たぶん、全校生徒のみんなが同じ事を思ってる‥‥。いや‥世間の連中もお前を見て気づいてると思う‥‥。ひょっとしたらお前自身だって気づいてるんじゃねーかと思うくらいだ‥‥。つーかむしろ‥‥気づいてんだろ?」

メカ無『水臭いわね、何の話かしら?』

九段下「いや‥‥何か‥その‥言いにくくてよ‥‥」

メカ無『私はアナタたちの事を『ファミリー』だと思っているわ。何を言われようと、私は気にしないわ』

一夏・箒(『ファミリー』?)

九段下「‥‥そっか。よし‥‥言わせてもらうぜメカ無――」

一夏・箒(頼む、ツッコんでくれ!!)





九段下「お前、タイ曲がってんぞ」

メカ無『え? あら、ホントだわ』 キュッ、キュッ

一夏・箒「そーじゃねーだろ!!」
124 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/07(土) 13:06:09.46 ID:vpADU66V0
昼食休憩
ノシ
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/07(土) 15:10:31.07 ID:NkZFou/5O
ISがあるご時世にあのドラム缶姿だとしたら逆にただの仮装と思われているのかもしれない
126 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/08(日) 15:14:10.95 ID:8Xn4GyKP0
断花「〜♪」 トーマーラナーイースピードーデー オーモーイーガアーフレーテークー

ブツッ ....。

断花「あ、あれ?」

端末『記録メディアを認識できませんでした』

断花「あーー、まただぁ‥‥」 ピッピッ

九段下「あ? どした、断花ちゃん」

断花「あ、九段下さん‥‥。実は、最近このミュージックプレーヤーが媒体を認識してくれなくなってしまって‥‥。よくいいところで音が止まっちゃうんです」

九段下「修理に出すと金かかるぜ?」

断花「う〜ん、誰か身近に機械に詳しい人が居ないでしょうか‥‥」

九段下「いるわけねーだろ――と言いかけたら整備学科の連中が居るじゃあねえか」

クルル「‥‥専門外」

九段下「んだよ。役に立たねーなあアイツら」 チッ

断花「誰か機械に強い人は‥‥」

クルル「‥‥」

九段下「――しゃあねー、またアイツに頼るしかねえか〜」
127 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/08(日) 15:28:27.06 ID:8Xn4GyKP0
九段下「ってわけでメカ無ィ、これ直してくんねえかなあ?」

メカ無『‥‥なるほど、事情はわかったわ』

一夏・箒「‥‥」 コソコソ

メカ無『じゃあ贔屓にしてるメーカーに問い合わせて直してもらうよう言っておくわ。代金は予算から落としておくから』

九段下「え? お前が直してくれんじゃねーの?」

メカ無『え?』

九段下「いや、今の流れ的にお前がチョチョイとあっという間に直してくれるパターンじゃあないのかよ?」

断花「できれば‥すぐに聴きたいです」

メカ無『申し訳ないけれど、それは流石にムリよ』

九段下「どして?」

メカ無『――実は私、機械オンチなのよ‥‥』

九段下・断花「えっ!」

一夏・箒(は?)
128 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/08(日) 15:45:59.50 ID:8Xn4GyKP0
メカ無『私だって万能じゃないのよ? いつも言っているじゃない』

九段下「けどよー‥‥」

相川「かいちょおぉぉぉぉぉぉ!」

メカ無『今度はなあに?』 グルン(180゚)

鷹月「谷本ちゃんがまたやらかしちゃって‥‥今度はC○avingっていうフリーソフトで動画を落とそうとして間違えて破損データを突っ込んじゃってPCが動作不良を起こしちゃったんです!!」

谷本「うわぁぁぁぁん、なんとかしてくださいぃぃぃぃぃぃぃ!!」 ギャンギャン

メカ無『またぁ!? ホントに懲りないわねえアナタは!! タダより怖いものはないのよ!?』

鷹月「すみません、これからは強く言っておきますから‥‥」

相川「会長、なんとかなりませんか?」

メカ無『う〜ん、パソコンねえ‥‥』

谷本・鷹月・相川「‥‥」

メカ無『――ごめんなさい、やっぱり私には機械はムリ』

谷本「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 ガーン

一夏・箒(なわけないだろ!!)

※ちなみに作者はPCを初期化して解決しました
129 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/08(日) 16:05:03.26 ID:8Xn4GyKP0
虚「あ、会長。こちらにいらっしゃいましたか」 ガララ

メカ無『あら虚さん。書類の整理は終わったの?』

虚「はい、一通り。‥‥ところでこの後お時間は空いていますでしょうか?」

メカ無『構わないわ。で、用件は?』

虚「はい。‥‥本音」

のほほん「かいちょー! あたしのVitaに偽ト○キャプチャつけるの手伝ってー!!」

メカ無『あーもうっ!! 皆揃って一体なんなのよ!!』 ダンッ

全員「会長!?」

メカ無『どうして皆は私に押し付けてくるの!? それはアナタ達みんなのお願いは出来る限り叶えてあげたいわ! そのための努力も惜しまない! けれど――』

全員「けれど?」

メカ無『けれど、どうしても機械だけは絶対にダメなのよ〜!!』

一夏・箒(嘘を言うなッ!!)
130 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/08(日) 16:25:01.01 ID:8Xn4GyKP0
九段下「‥‥すまねえ。アタシら、知らず知らずのうちにお前を追い詰めちまってたんだな」

谷口「何となく会長は機械に強そうな気がしちゃって、ごめんなさい」

メカ無『いいえ、私も取り乱し過ぎたわ。許してちょうだい』 ゴッシュゴッシュゴッシュ

一夏・箒(またウォッシングしてる‥‥)

メカ無『何というか、機械とかそういうのは何て言うか苦手意識が強いのよ。ほら、よくあるじゃない? 何気なく過ごしていた日常は実はコンピュータで演算されていた仮想世界だってサイバーパンク小説』

断罪「まあ、使い古された設定ですよね」

九段下「まさかお前、普段からいちいちそんな事気にしながら学校に通ってたのか? ちょいと自意識過剰過ぎなしねーかメカ無」

メカ無『流石にそこまで私はセンチじゃないわよ。‥‥けれど、何というかとても不気味に思えて気持ち悪いのよ、そういう機械に支配されているような世界観が。まるで自分が、ただの時計仕掛けの人形だって言われてるみたいで‥‥』

一夏・箒(それはひょっとしてギャグで言ってるのか!?)
131 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/08(日) 17:00:27.57 ID:8Xn4GyKP0
九段下「ところでよー、ずっと聞きたかった事があんだけどさあ」

メカ無『悪いけれど、もう機械はまっぴら御免よ。ぶっちゃけもうキャパオーバーしちゃってるから』 プスプス...

九段下「そうじゃなくてよ、アタシ‥お前を初めて見た時から気になってしょうがない事が一つあんだよ‥‥!!」

メカ無『なんだか前もその話をしなかったかしら? 一体何なの?』

九段下「お前見るたびに気になってよ‥‥最近じゃあ夜も眠れねー有り様なんだよ」

一夏・箒(やっとツッコむのか)

九段下「きっと、みんな気になってると思うんだよ‥‥。けど、何かお前に言いづらくてよー‥‥もしかすっとコレ言ったらお前が傷つくんじゃってよ――」

虚「待ちなさい。会長への中傷はご法度よ」 ザッ

のほほん「そーだよー、めっ!!」

メカ無『下がりなさい2人とも。私はかまわないわ』

虚・のほほん「会長‥‥」

メカ無『生徒会長権限を以って、貴方の発言を許可します。さあ、何かしら?』

一夏・箒(そうだ、早くツッコめ!!)

九段下「よし――一回しか言わないからよく聞けよ‥‥」





九段下「お前、不気味なぐらい髪真っ青だぞ」

メカ無『そういうアナタだって真っ赤じゃない』

一夏・箒「たしかに気になったけどそこはどうでもいいだろぉぉぉぉ!!」







職員室

黒崎「あら、山田先生。今日も見事な緑の黒髪ですね」

泉堂「トリートメント、何使ってるんですか?」

山田「え〜〜? 特に何も‥‥」 デレデレ
132 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/08(日) 17:05:03.24 ID:8Xn4GyKP0
まさか丸1日放置してしまうとは‥‥面目ない
書き溜めに入ります
ノシ
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/09(月) 13:43:47.07 ID:1aw+4orMo

ISの世界って既にある意味機械に支配されてるような気もしなくもない
134 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/09(月) 22:11:26.06 ID:QBx8/lbC0
IS委員会 vs 亡国機業 抗争激化

亡国機業実行部隊が一『モノクローム・アバター』 定例会議

スコール「‥以上が潜入させたレインからの、IS学園の内情報告よ」

 スコール・ミューゼル(実年齢4〜50代)
『モノクローム・アバター』の実質的指揮官。
 その圧倒的カリスマ性から、『黄金の八咫烏』の異名を持つ――。

スコール「来週に行われるIS学園の学園祭、この機を逃す手はないわ」

部下A「我々が着々と軍備を進めている事も知らず‥‥呑気なものだ」

部下B「他の部隊に先駆け、我らだけで事を済ませましょう」

オータム「‥‥」

 オータム(20代)
 スコールがその右腕として信頼する『モノクローム・アバター』のNo.2。
 かなりキレている構成員だがいつもスコールの傍に侍っており『できてんじゃあないか?』ってくらい仲が良い。

スコール「逸らないで。たしかにまたとないチャンスではあるけれど、同時に危険なリスクが付き纏うわ。今回は慎重を期して単独潜入による目標の拉致・必要であれば実力行使も厭わないわ」

オータム(……スコール、鼻毛が出てるぞ‥‥)
135 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/09(月) 22:38:42.82 ID:QBx8/lbC0
部下A「単独任務‥ですか」

部下B「報告では更識の手の者が付いているとの事ですが、その不測の事態に対応できる逸材が適任‥‥という事ですね」

スコール「場合によってはレインにも動いてもらうわ。それに‥‥あり得べからざる事態だけれど『M』を出す事も考えておくわ」

部下A「な‥‥!!」

部下B「アレを投入するおつもりで!?」

オータム(間違いなく出てんぞ、スコールゥゥゥ‥‥) プルプル

スコール「あり得べからざると言ったはずよ。本来なら彼女を出さないに越した事はないわ」

オータム(気になって気になって、ブリーフィングに集中できねえ――) ピキピキ

スコール「‥‥失礼」 スッ

オータム(よし!! 気がついたぞ!! アタシの祈りが通じたか‥‥。コレでアタシも安心して――)

スコール「」 ミョーン

オータム(な‥‥!? 移動しやがった‥‥!!)
136 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/09(月) 22:56:12.22 ID:QBx8/lbC0
部下A「しかし、だとしても『M』の制御はまだ万全ではありません! いくら何でも実戦に出すのは些か早計では‥‥?」

部下B「おい、よせ!!」

スコール「‥‥」 スッ

オータム(落ち着け‥科学的に考えて移動するワケねえだろ!! けど鼻をまた触った‥‥て事はひょっとしてまた移動すんのか?)

スコール「――くどいわ」 ボーン

部下A・B「!!」 ゾワッ

オータム(多重影分身しやがったぁぁぁぁぁぁ!!)

スコール「‥‥アナタ達2人には任せられないわね。やはりオータム、この件はアナタに一任するわ」

オータム「え‥‥アタシがぁっ!?」

部下A「あのオータムが、動揺している‥‥。あんなオータムを見たのは初めてだ‥‥」

部下B「オータムと『M』は酷く相性が悪い。やはり彼女にしてもこの任務は凄絶と映るのか‥‥」

オータム(やべえ‥‥全然話聞いてなかった‥‥)
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/10(火) 19:13:50.98 ID:7npIlSwbO
男なら笑い話で済むが女だと指摘しづらいなこれ
138 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/10(火) 22:56:14.94 ID:Li3UZzv+0
スコール「まあ気持ちはわかるわ。アナタも内心興奮してるんでしょう? オータム」

オータム(一体何の話なんだ? いや‥‥んなこたぁこの際どうでもいい!! ああ‥いま自分が興奮してるって事は否定しやしねえ‥‥スコールの鼻毛の事を言うべきかどうかでな!!)

スコール「年端もいかない男の子を痛めつけるのを愉しみたくて、ゾクゾクが止まらないんでしょう?」 ニヤァァ

部下A・B「‥‥!!」 ゾクリ...

オータム(ちげーよ!! アタシが言いてえのはお前の鼻毛なんだって――!?) ハッ

スコール「?」

オータム(ああっ!? 今アタシはとんでもなく重大な事に気づいちまった!! ‥‥それは‥‥)





オータム(アタシも出てる‥‥) ミョーン

スコール「ふふ‥‥もう任務を終えてからの『オタノシミ』を考えてるの? しょうがない子ね」

オータム「‥‥」 ススッ

スコール「いいわ。まずは任務前に少しガス抜きしようかしら、ね?」

オータム「」 ボーン
139 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/10(火) 23:00:50.62 ID:Li3UZzv+0
具合が悪くなっていまいち更新できなくなった‥‥
もうちょい待っとくれえ
ノシ
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/11(水) 00:10:27.53 ID:/zmFfig9o
体調には気を付けなされ
今の時期は風邪ひきやすいし
141 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/11(水) 13:53:20.56 ID:dmQOj1Xh0
IS学園 学園祭当日

3年生「1年1組は『メイド喫茶』かあ‥‥一夏くんも『おかえりなさいませ、お嬢様♪』なぁんて出迎えてくれるのかしら?」

シャル「いえ、一夏は別の格好で仕事をしているそうですよ、先輩」

3年生「え、じゃあそれって執事コスで来るのかしら。やだぁ///」

シャル「はは、楽しそうでよかったです。あ、着きましたよ」 ガララ

一夏「はい、サービス込みで3400円でーす」 ガチャガチャ、チキチーン\

弾「ボってんじゃねーよ!! オトモダチ価格で負けてくれよ〜」

3年生・シャル「」

一夏「あ、HOHKIちゃんRINちゃん。お客様2名入りまーす」

HOHKI・RIN「お、おかえりなさいませ〜、おじょうたま〜♪」

3年生「たま!?」

シャル「な、なんか思ってたのと違う‥‥!」

HOHKI「ど、どうぞこちらへ〜♪」 ヒクヒクッ

RIN「ご、ご案内いたしますぅ〜♪」 ピキピキ

3年生「ちょ、ちょっとこれどういう事?」 ヒソヒソ

シャル「なんかメイド喫茶っていうか、未成年が働いちゃいけないお店みたいになってない?」 ゴニョゴニョ

HOHKI「‥‥聞くな」 ボソッ

RIN「アタシたちだって好きでやってんじゃないのよ‥‥」 ブツブツ

シャル「一体何が‥‥」

チェルシー「おかえりなさいませ、お嬢様がた。当店支配人のCHERRYと申します」

3年生・シャル(あんたの仕業かぁぁぁぁぁ!!)
142 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/11(水) 13:54:57.25 ID:dmQOj1Xh0
チェルシー「2名様、窓際の席までお連れいたします」

3年生「チェルシーさん!! なぜアナタがここに!?」

チェルシー「‥‥業務中にプライベートは差し挟まない主義なのですが、アナタがたと私の仲です。質問にお答えいたします。実は一夏様から本場メイドの技術公証を依頼されまして」

シャル「全然間違ってませんかこれ!? まるでここ悪質なガールズバーですよ!!」

チェルシー「滅相もありません。当店は認可を受けているいたってクリーンな店舗ですよ」

3年生「言い方がもうソッチ系じゃない!!」

チェルシー「ご冗談を‥‥あら?」

モブA「いいじゃんよ〜へっへっへ‥‥」

モブB「サービスだって、サービス〜」

谷本「お、お客様。やめてください〜」

3年生「ほらぁ、勘違いしてタチの悪い客が居るじゃない‥‥」

シャル「誰が招待したのあんな人達‥‥」

チェルシー「‥‥」 ツカツカツカ

シャル「チ、チェルシーさん?」

チェルシー「ご主人様、失礼ですが会員証はお持ちでしょうか?」

モブA「あ?」

モブB「かいいんしょう〜?」

シャル・3年生(ホントに会員証って何!?)

モブA「じゃかましいんだよボケ! たかが女学生の出し物でウダウダ言うなや!!」 バシャッ

チェルシー「‥‥」 ポタッ ポタッ

3年生「酷い‥‥」

シャル「ホントに誰の招待で来れたの‥‥」

モブB「ギャハハハッずぶ濡れじゃのぉ。ほれ、ワシのズボン濡れたらワレが拭いてくれるんかいな?」

チェルシー「‥‥ハーマイオニー」 パチンッ

モブA・B「あ?」

チェルシー「どうやらお客様は酷く酩酊していらっしゃるご様子、少し介抱してさしあげて」

ハーマイオニー「ハァイ♪」 ズシン

モブA・B「」

3年生「デカァァァァァいッ!?」

シャル「ちょ、アレ頭身どうなってるの!?」
143 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/11(水) 13:56:34.95 ID:dmQOj1Xh0
ハーマイオニー「エクスキューズミー♪」 むんず

モブB「ギャァァァァァァァァ!!」 グンッ

モブA「兄貴ィィィィィ!!」

ハーマイオニー「ビークァイエット、アンドドントビーアフレイド」 ユサユサ

モブB「ヒイイイイイイイイ!!」

モブA「こんワレ、兄貴を離さんかい!!」 ブンッ

ハーマイオニー「〜♪」 ボフッ

モブA「な、ビクともせえへん!? まるで鉄板しこんだようなハラしとる‥‥!!」

シャル(背は高いし――)

3年生(腕力は凄いし――)

モブA(ごっついタフネス――)

ハーマイオニー「パナモ〜ント、レプロブレ〜モ〜♪」

モブB(そして何より、エプロンドレスでおおわれてもなお、あふれ出すこの…『母性』……) トゥンク トゥンク

ハーマイオニー「モンナ〜ム〜〜‥‥♪」

 ついていきたい、どこまでも――。





一夏「はい。抱っこサービス、写真撮影サービス、及び清掃代込みで54600円になりま〜す」 チキチーン\

モブA「来年は先生も連れてきてええですか?」

一夏「考えておきます」

モブB「」 ポケー...

3年生「凄い‥‥しっかり商売が成り立ってる‥‥」

シャル「どこであんな人材拾ってきたんですか?」

チェルシー「私の職務上の同僚です」

ハーマイオニー「ミナサーン、ドーゾゴヒーキニー♪」
144 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/11(水) 13:59:42.24 ID:dmQOj1Xh0
セシリア「あの、一夏さん」

一夏「あ、CECILEさんもう休憩ですかね?」

CECILE「そうでなくて‥‥アナタにひとこといいたいことがありますの。一夏さんは根がマジメですからひとつのことに集中すると、まわりが見えなくなっていますのよ‥‥」

RIN「それについてはアタシも言いたい事あるわ。だいたいアタシの名前の綴り『RIN』じゃなくて『LING』だし」

HOHKI「だがはっきり言うぞ! 今お前はとてもおかしな方向に走っている!!」

一夏「はあ? 俺のどこがおかしいっていうんだよ?」

CECILE「よく思い出してくださいまし! このお店に真に必要なニーズを!!」

一夏「え‥‥真に必要なニーズ‥‥?」

3人「‥‥」

一夏(そ‥‥そうか!)

RIN改めLING「思い出した!?」

一夏「ああ、ありがとうみんな! みんながいなかったら、俺はすべてを失っていたかも知れない!」

HOHKI「いや、わかってくれればそれでいいんだ」

CECILE「これで一安心ですわね」 ホッ

一夏「CHERRYさん! 今までのお客さんのお会計、消費税込みで計上し直してくれませんか!?」

3人「お前も接客しろやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 ドゲシッ×3
145 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/11(水) 14:02:57.52 ID:dmQOj1Xh0
少し休憩
なんかどんどん銀魂っぽくなってしまうな‥‥
ノシ
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/11(水) 15:44:13.95 ID:QQSHb+k4O
ハーマイオニー……なぜ急に黒人に……
147 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/11(水) 16:11:11.36 ID:dmQOj1Xh0
裏方

ラウラ「‥‥難儀したようだな、お前も」 フキフキ

チェルシー「いえ、旦那様と奥様の遺産を巡る政争に比べれば何という事はありません」

ラウラ「そうか‥‥で?」

チェルシー「はい、やはり何人か紛れ込んでいるようですね。今のは末端ですらない雇われだったようですが、本隊はこの比ではないでしょう」

ラウラ「‥‥やはり狙いは――」

チェルシー「はい、一夏様で間違いないでしょう」

ラウラ「くっ、最悪の懸念が早くも現実のものになったか‥‥」

チェルシー「‥‥それにしても、意外です」

ラウラ「ああ、こんなにも早く連中が動くとは思わなんだ」

チェルシー「いえ。貴女の事です、ラウラ様」

ラウラ「‥‥?」

チェルシー「貴女たちの中で一番私を嫌っていた筈の貴女が真っ先に私を頼った事が一番の誤算でした。どういった心境の変化で?」

ラウラ「‥‥別に好き嫌いはこの際関係あるまい。実際今でもお前の事は好かん。ただ単に利用できると踏んだまでだ」

チェルシー「そうですか」

ラウラ「‥‥それに」

チェルシー「それに?」

ラウラ「こんな馬鹿な事をみんなで楽しんでいられるなら、私は何でもするさ」

チェルシー「‥‥そういえば学園祭の催し物でメイド喫茶を提案されたのは――」

ラウラ「話が長くなった。そろそろ仕事に戻ろう」

チェルシー「‥‥はい」
148 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/11(水) 16:12:26.33 ID:dmQOj1Xh0
廊下の物陰

レイン『――ってなわけで、アタシが引き入れたチンピラどもは全滅だ。なんだか満ち足りた顔して出てきやがったから蹴り入れてやった』

オータム「チッ、大口叩いてたわりに役に立たねーじゃねえか」

レイン『そうがなるなよ。んじゃプランB頼んだぜ、巻紙さんよ』

オータム「ケッ、言われねえでも最初からそのつもりだよ。お前がモタついてた所為でキツいスーツに苦しめられる時間が延びちまったじゃねーか」

レイン『太った?』

オータム「ちげーよ!」

レイン『あっ、鼻毛処理したか?』

オータム「したわボケ!!」

レイン『あとそれからよ――』

オータム「しつけえんだよ!! てめえはアタシのオカンかよ!!」

レイン『――やり遂げようぜ、今度こそさ』

オータム「‥‥、おう」

レイン『ん。じゃな』 ブツッ

オータム「ったく。大きなお世話なんだよ、バーカ」

九段下「いやー、よかったなーメイド喫茶」 ガラララ

牧島「ああ。あのハーマイオニーさんがよかった」

オータム(‥‥おっし! んじゃ行くか) パンパンッ

巻紙「失礼しまーす! あのー織斑一夏さんはいらっしゃいますk」 ガラララ

ゴーレムI「\4,800」 チキチーン\

数馬「嘘やろ!? ぼったくりとちゃう自分!?」

巻紙「」
149 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/11(水) 16:14:00.55 ID:dmQOj1Xh0
美術室前

レイン(――おせーなあ、アイツ)

ピピピッ ピピピッ

レイン「合言葉は?」

オータム『まみむめもッ!! おいレイン、話がちげーぞ!!』

レイン「‥‥? どうした、少し落ち着けよ」

オータム『ここにっ、ここに織斑一夏はいねえっ!! い、居るのは‥‥』

レイン「おい、しっかりしろ。結論だけ話せ!」

オータム『くそったれ!! なにがメイド喫茶だ!! ここは、ここは――』





ホイットニー・ハーマイオニー『エンダァァァァアアアアイヤァァアァァアアアアア、ウィィィィラァァァァウェイズラァヴュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥァァァァ』

オータム『ただのメイド服着た化け物が居るクラブじゃねえか!!』

レイン「‥‥は?」
150 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/11(水) 16:14:46.74 ID:dmQOj1Xh0
オータム『もう一度言う! ここには2メートル近い巨女とめっちゃ色黒のソウルシンガーしかいねえ!! レジ打ちも得体の知れねー何かが打ってやがった!!』

レイン「‥‥要するに、織斑一夏はそこには居ないんだな?」

オータム『居ねーつってんだろ!! レイン、どうなってんだチクショー!!』

チェルシー『‥‥お客様』

オータム『あ!?』

チェルシー『当店では店内での通話は禁止しております。電源をお切りになるか、こちらが物理的にお切りさせていただきますが、よろしいでしょうか?』

オータム『‥‥聞こえたか? 作戦失敗。繰り返す、作戦失敗! オーバー!!』 ブツッ

レイン「‥‥何なんだよ、一体」

フォルテ「せんぱ〜い!!」 タタタッ

レイン「!!」

フォルテ「すんませんっす! 直前のお化け屋敷が面白くて長居し過ぎちゃいましたっす!!」

レイン「‥‥」

フォルテ「もしかして、怒ってるっすか‥‥?」

ダリル「――いいや、アタシも今来たとこだよ」 ニコッ

フォルテ「ホントっすか!? じゃあ約束通り、ここからは一緒に見て行きましょうっす!!」

ダリル「ああ、見に行こう。ドコから見に行く?」

フォルテ「はいッス!! あそこの美術部が今『爆弾解体ゲーム』をやってるみたいっすよ!!」

ダリル「そうか」

フォルテ「‥‥」

ダリル「‥‥何だって?」
151 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/11(水) 16:15:54.47 ID:dmQOj1Xh0
フォルテ「爆弾解体ゲームっす!!」

ダリル「いやいや、それホントに美術部の出し物なのか?」

フォルテ「はい! 何でも、『芸術は爆発だ!!』って格言がニッポンにあるみたいっすよ?」

ダリル「それ、たぶん意味が違うぞ」

フォルテ「とにかく行きましょうっす!! 楽しそうっす!!」

ダリル「え〜、でもなあ‥‥」

フォルテ「」 ウルウル

ダリル(う‥‥マズい。こうなるとフォルテは聞かねえからなあ。けど爆弾解体には苦い思い出がある。あれは2年前、アタシたちの部隊の1人が――)

フォルテ「」 ブワッ

ダリル「ダァーーッわかった、わかったよ!! 行くよ一緒に!! 2人で楽しもう!!」

フォルテ「は、はいっす!!」 パァァァッ

ダリル(はぁ、何でこうアタシはこういうのに弱いのかなあ?) ガラララ

一夏「弾、金髪と黒髪どっちが好きだ?」

弾「な、何だよヤブから棒に?」 プルプル

メカ無(自爆シークエンス)「」 ピッピッピッピッピッピッ

ダリル「」
152 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/11(水) 16:31:37.27 ID:dmQOj1Xh0
もっかい休憩ついでに解説

ハーマイオニー:「キミP!!」より身長を割り増しして出演。黒人ではなくそのままスケールアップ。若干ローマイヤ先輩が混ざってる。歌ってたのは「愛の賛歌」。

九段下・断花・アリ・クルル・牧島・泉堂・闇の舞姫:「放課後バトルフィールド」よりほぼそのままで出演。

黒崎:「だぶる先生らいふっ」より出演。名前だけなら埴御も参戦。

凛・瀬名川:「よくばりサボテン」より出演。凛は名前だけなので戸惑った人も多かったはず。遠坂でもなければ渋谷でもない。

紗奈・風霧・絢音:「しまいま。」より出演。絢音さんはクロ高生が喫茶店に入り浸っていたので出番が増えるはず。

ホイットニー:作者がシャルロッ党に嫌われている原因。フレディに相当する歌手という事で抜擢。

こんな糞SSを贔屓にしてくださってありがとうございますm(__)m
ノシ
153 : ◆IM4j5.DbdY [sage saga]:2017/01/12(木) 18:08:38.73 ID:N0TTSRJ+0
弾「ん〜、金髪の方が好みかなあ?」

一夏「じゃあ青を切るか――ん?」 クルッ

ダリル「」

フォルテ「‥‥」

一夏「だ、駄目だぁぁぁ!!」

弾「え、何!?」

一夏「ここへきてイメージカラーが真逆のコンビが来ちまった!!」

弾「は!? どういう事!?」

フォルテ「なんか、どこからツッコめばいいんだかわかんないっす‥‥」

ダリル「ああ、アタシの場合は特にそうだ‥‥」

メカ無(自爆シークエンス)「」 ピッピッピッピッピッピッ

レイン(何で織斑一夏がここにいる? 何でよりによって更識と一緒にいる?? そんで何で更識が爆弾になってる!?)
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