スノーホワイト「ファブが逮捕された?」

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118 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/31(金) 04:04:08.11 ID:B8XPwOb20
ファズ「あいつの目的はファントムの殲滅ではない。賢者の石だ」

メアリ「賢者の石だって?」

ファズ「それさえあればあいつは願いを叶える事が出来る」

メアリ「それでどんな願いを叶えようって言うんだい?」

ファズ「その願いは……くだらない。本当にくだらない願いさ」

ファズ「あいつは自分の娘を生き返らせたいんだとよ」

メアリ「世界征服でも無く永遠の命でも無く、娘の命とは随分とまぁ甘い願いだねぇ」

ファズ「ああ、だからこそ自分の娘を何とも思わないあんたこそ!!」

ファズ「白い魔法使いの願いを踏みにじるのに相応しい存在だと確信したのだよ!!」

メアリ「だったら今始末しちまった方が速いんじゃないのかい?」

ファズ「白い魔法使いの力は強大だ。殺すにはタイミングが必要だ。それに……」

ファズ「ただ殺すだけでは私の憎しみは消えない。あいつにはあと少しで賢者の石が手に届きそうな所で」

ファズ「横から掻っ攫い、希望から絶望へ叩き落して殺害してこそ、私の復讐が完遂するのだ!!」

メアリ「あんたは一体何者なんだい?そこまで白い魔法使いを目の敵にするなんてさ」

ファズ「私は被害者だよ。奴のせいでこんな体にされたのさ」

メアリ「へえ、じゃあさ。その白い魔法使いをぶっ殺したら賢者の石はどうするんだい?」

ファズ「好きにするがいい。私は奴に復讐さえ出来ればそれでいい」

メアリ「そうかい」

ファズ(嘘だけどなぁ。私が電脳世界の神として君臨する為に賢者の石は利用させてもらう)

ファズ(本来ならケイネスしか使えないマスター権限だがシステムは既に掌握済みで私が自由に使う事が出来る!!)

ファズ(魔法少女達が歯向かった所で私の指示一つでいつでも命を奪うことが出来るのだ!!ははははははは!!)

119 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/31(金) 04:04:48.34 ID:B8XPwOb20
――――


美容院


女性客「ソラくーん」///

ソラ「あ、○○さん 本当にこの服着てくれたんだね。嬉しいなぁ♪」

女性客「だってソラくんがお勧めしてくれた服だもん」///

ソラ「僕の思った通り、○○さんの綺麗な黒髪にその白い服はベストマッチだよ。これから彼氏もイチコロだ」

女性客「もー、彼氏なんていないわよ〜」

ソラ「それじゃあ僕が彼氏に立候補しちゃおうかなー」

女性客「やだもう〜!」///

ソラ「じゃあいつものカットでいいよね」

女性客「うん、お願いねー♪」

120 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/31(金) 04:05:17.20 ID:B8XPwOb20
――――


ソラ「はい、おしまい」

女性客「やっぱソラくんのカット最高♪また来るね〜」

ソラ「そうだ。本当は内緒なんだけど、これどうぞ」

女性客「住所の書かれた紙?」

ソラ「実はここ、僕の知り合いが経営してる秘密の美容サロンがあってね」

ソラ「そこに通うとお肌がすっごく綺麗になれて愛用してる有名人も多いんだ。実は僕もよくそこに通ってるんだ♪」

女性客「へぇ〜」

ソラ「今度、時間ある時でも一緒に行こうよ」

女性客「それなら今日、私休みだから言っちゃおうかな〜」

ソラ「ほんと!じゃあ僕が案内してあげるよ!」

女性客(やった♪今夜はソラくんとデートだ)///



ソラ(ミサちゃんの髪を味わったせいかな……もう抑えが効かなくなってきちゃった)

ソラ(君で46、いや47人目かな。僕が捨てる恋人になってくれるのは♪)
121 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/31(金) 04:07:36.44 ID:B8XPwOb20
今回はここまで
ソラはファントムの中で唯一、性欲残ってそう
そういえばリップルの変身前の姿も黒髪ロングヘア―だね


思いついたネタ

ソラ「ワイズマンなんかより僕の事を好きになってよミサちゃん!」

メデューサ「お断りよ。貴方なんかワイズマン様の足元にも及ばないわ」

ソラ「うう……ワイズマンのどこがいいんだよ〜」

ねむりん「どうしたの?」

ソラ「ミサちゃんがね。僕よりもワイズマンの方が好きだって言うんだ」

ねむりん「それなら君がワイズマンになったら」

ソラ「僕が……ワイズマンに……?」

ねむりん「ファントムは誰だって、ワイズマン候補なのさ〜」


これが発端となり、ソラがワイズマンを裏切る事になりましたとさ
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 17:28:45.35 ID:B8XPwOb20
ファントム編までは書き切る予定だけど読者おるんかな?
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 18:16:08.32 ID:8OFpiWFuO
ここにいるぞ
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 20:16:18.51 ID:vvt4bgWe0
気にせず書くがよろし
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 12:37:30.60 ID:gwMfqTZaO
魔法の国は手抜きしないで貴虎兄さん辺りを派遣しろよと思う
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 17:23:12.84 ID:iVokQmJd0
貴虎兄さんとルーラは足して2で割ればちょうどいい気がする
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 00:12:16.32 ID:/1/fRr0U0
兄さんが混ざったら甘くなりすぎるだろ
128 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/04(火) 01:28:47.21 ID:vk+h2UDc0
それは、まだ僕が新米の美容師だった頃かな
その時に彼女と出会ったんだ。
まだ拙い腕前だったけど、彼女は僕のカットを褒めてくれたんだ。


とても、とっても嬉しかった。
僕は必死になって腕を磨いた、彼女にもっと褒められたかったんだ。
彼女の笑顔が見たい、笑顔を見れたら僕も同じように笑顔になれる。
すごい、上手、才能がある、彼女に言われる度に僕は自信が持てた。


僕は彼女に告白した。
今の関係が崩れるかもしれないと怖かったけど
彼女に貰った自信のおかげで告白する勇気が湧いた。
僕の告白を聞いた彼女は首を縦に振った、告白を受け入れてくれたんだ。


僕は幸せだった、今まで生きてきて最も幸福に包まれた時間だった。
同じ家に暮らし、同じ物を食べ、同じ場所で寝る。
彼女とずっと生きていけるなら他には何もいらない。
全てを彼女に捧げたっていい。
僕は彼女を愛し続け、その身を尽くしてきた。


至福だった日々が唐突に崩れ去った。
彼女は「もう付き合えない さよなら」と言い放った。
どうして?僕が何か悪い事したの?嫌な所があったら直すから!!
だから……僕を捨てないで……!!


僕の言葉を聞いても彼女は去ろうとする足を止めない。
一方的に拒絶された僕は、あまりの悲しみに嘆き、絶望し、そして憎しみが沸き上がった。
無意識の内に、仕事用のハサミを手に持った僕は、本能のままに彼女を襲った

129 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/04(火) 01:29:34.74 ID:vk+h2UDc0
彼女を突き飛ばして、馬乗りになった僕は髪を乱暴に掴みあげて、がむしゃらにハサミで切り落とした。
髪は女の命って言うよね、ザクザクと切っていく感触がまるで彼女の命を少しずつ削り取っていくような気持ちにさせた。
長く美しかった長髪が、醜い短髪へと変化していく。
泣き叫ぶ彼女の怯えた姿を見て、僕のそれはズボンの上からでもくっきりと分かる程に怒張していた。


僕は欲情をしていた。
命を奪われようとしている彼女の姿が、今まで見たどの姿よりも官能的に感じた。
彼女のわき腹に向かってハサミを振り下ろした。
刺した箇所から純白の服に赤い染みが広がっていく。
苦痛で悶絶する彼女はとても綺麗だった。


お腹、胸元、腕、太もも、首と色んな個所を突き刺した。
そして動かなくなった彼女を見て冷静さを取り戻した時に下腹部に違和感を覚えた。
どうやら僕は彼女を刺し続けている内に、達したらしい。


彼女のまだ温かい唇に口づけをした。
これは別れのキスだ。
とても悲しいけど彼女はあんなに愛した僕を捨てようとした。
だから僕は彼女を捨てることにした。


僕は彼女の亡骸を人の立ち寄らない場所へ運んで埋めた。
僕を捨てようとした彼女だけど、彼氏として最期の後始末はしたかった。
亡骸を埋めて黙祷して供養する、それを怠ったら僕はただのケモノになり果てる、気がしたから。


その後、僕は新しい彼女を作った。
その子にも僕はひたすら愛情を向け続けた。
だけど、新しい彼女も再び僕を捨てようとした。
そして同じように僕は彼女を捨てて、お墓に埋めた。


僕は彼女を捨てる度に性的興奮を覚えるようになった。
そして彼女を捨てる度に思う。
僕を受け入れてくれる女性なんて現れない事を。


いくら彼女達の身体を辱めて捨て去ろうとも、心までは自分の物には出来ない。
一人なんて嫌だ!一人なんて寂しいよ!そんな僕の心の溝を埋めようと彼女を作っては捨てていく。
そしてある日の事、僕はサバトに巻き込まれて、その身を怪物に変えさせられた。

130 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/04(火) 01:30:16.29 ID:vk+h2UDc0
現在、お手製のサロンで僕は47人目の彼女を捨てた。
サロンは四方を赤いカーテンで覆われている。
最初の彼女を捨てた時に気付いたんだ。
白と黒に赤を足した時の色合いの美しさに。
だから僕は赤も好きなったんだ。


全身をハサミで切り刻まれた47人目の彼女に別れの口づけをして
僕は彼女をお姫様だっこで持ち上げて、サロンの外に出た。
サロンの外は風化した廃ビルであり、誰一人近づくことはない。


彼女をお墓まで運び、掘っておいた穴の中に置いてから土を被せた。
お墓の中には47人の彼女がいる。
だから寂しくなんて無いはず、安心して成仏してね。

131 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/04(火) 01:30:47.01 ID:vk+h2UDc0
ファントムのアジト


フェニックス「やっと魔力が回復したぜ。これで魔法少女達をぶっ殺しにいける」

ソラ「ハロ〜 ねえユウゴこれあげる。プレゼントだよ」

フェニックス「花だぁ?んなもんいらねえよ」


そう言ってユウゴは花束を燃やした。
ファントムになる前は、花を愛する優しい青年だったらしく
花を見て、人間だった頃の心が戻ると思ったけど無理みたいだ。


ソラ「ミサちゃんには白いドレス。今度来てみてよ」

メドゥーサ「私はこの服で十分よ」


ミサちゃんも服を受け取ってくれなかった。
何度も服をプレゼントしてるのに一向に着てくれない。
どうしたら着てくれるんだろう?


ソラ「ハヤミにはこれだよ♪」

リブラ「パズル……?まあ貰ってやろう」


なんとなくハヤミはパズルのピースを飲みそうな気がしたのでチョイスした。
受け取ってはくれたけど、期待とは裏腹にピースを飲み込む事は無かった。


フェニックス「グレムリンよぉ。俺達にプレゼント渡して何を企んでやがる?」

ソラ「僕はただ、皆と仲良くしたいだけだよ♪」

メドゥーサ「貴方は余計な真似せずに大人しく待機してなさい」

リブラ「あまり軽薄な態度を取っていると、扱いがどんどん軽くなるぞ」

ソラ「あまり喜んでもらえないようで残念だよ〜ウフフフ♪」

132 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/04(火) 01:31:17.52 ID:vk+h2UDc0
僕はファントムになった後も僕のままだ。
だけどその例は、僕だけだった。
他のファントムは全て人間の心が消滅して、ファントムとしての人格が宿っていたのだ。


僕はファントムの中でも、孤立した存在になっていた。
誰も僕の事を、滝川 空(ソラ)として見てくれない。
ファントムであるグレムリンとしか扱われないんだ。


人間にも愛されない。
ファントムにも愛されない。
僕と言う『個』は誰にも受け入れてくれない。


そうだ、この世界には魔法少女という。
人間達の希望となる存在がいるんだよね。
それなら人間である僕の事を全て、受け入れた上で
拒絶する事無く、ずっと愛し続ける彼女になってくれる魔法少女もいるのかな?


僕に本当の彼女が出来たらもう、彼女を捨てることも
捨てた後に訪れる空虚な感情も消えて、至福の日々に戻れるかもしれない。


ソラ「魔法少女達なら僕の理解者になってくれるのかなぁ?会いたいな……ウフフフフフフフ」

133 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/04(火) 01:34:33.60 ID:vk+h2UDc0
今回はここまで
ソラを好き勝手に書いてたら原作よりエロい奴になった

>>125
他者の悪意に鈍感なメロンの兄さんでは不幸な事になりそう

>>126
どっちみち部下に裏切られるイメージしか湧かない
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 12:20:09.02 ID:LkVVdLmmO
魔法少女がソラを倒せそうなビジョンが見えない...
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 16:51:06.76 ID:/1/fRr0U0
むしろフェニックスの方がヤバいかな
ウィザードがいないから太陽に蹴り飛ばせないし
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 22:56:31.90 ID:ZBMLxqmTO
ライダーからの登場人物が軒並み悪党しかいない件
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/04/14(金) 21:32:34.30 ID:vNmThPwz0
おかしいな、最初はギャグだったのに本編以上に殺伐としてるぞ
138 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/15(土) 13:25:43.98 ID:R4ADrii20
都会の上空にて


マジカロイド「ファントムと戦え、とは言われましたケド……」

マジカロイド「そんな金にもならない面倒な事はしたくないデス」

マジカロイド「適当に探索だけでもして体裁を取り繕えば、それで十分でしょう」

ユウゴ「おい!!」

マジカロイド「おや?下から声が聞こえマスね」

ユウゴ「おい!!そこの飛んでる奴!!」

マジカロイド「どうやらワタシを呼んでいるようデスね。仕方ないデスから降りるとしましょう」


――――


ユウゴ「お前、魔法少女という奴だよなぁ?」

マジカロイド「そうデスよ。ワタシに何か用デスか?」

フェニックス「やっぱりそうか!!お前、この俺様と戦えよ」

マジカロイド「げげげ!?その姿はファントムデスか!」

マジカロイド「冗談じゃありません!私は帰らせてもらいマスよ!」

フェニックス「逃げんじゃねえ!!」

マジカロイド「ギャーッ!!」

空を飛んで逃げようとするマジカロイドだったが
フェニックスの手から放たれた地獄の業火によって撃ち落とされた。
139 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/15(土) 13:26:47.71 ID:R4ADrii20
フェニックス「おいこら!何逃げようとしてんだよ。ファントムと戦うのが魔法少女の使命じゃないのか?」

マジカロイド「ワタシはそんな強くないんデスよ。デスから荒事は他の魔法少女達に任せているのデス」

フェニックス「そうかい。てめえみたいな腑抜けを相手にしてもつまらなそうだからさっさと殺して次に行くか」

マジカロイド「待ってくだサイ!!ワタシが知る中で一番強い魔法少女を紹介するので命ばかりは見逃してくだサイ!!」

フェニックス「お前……ほんとに魔法少女かよ……てめえが助かりたいからって仲間を売るなんてよ」

マジカロイド「世の中で一番大事なのは自分の命デスよ!自分が助かる為なら処女だって捧げマスよ」

フェニックス「……まあいい、その正直さに免じてお前を殺すのは後回しにしてやるよ」

マジカロイド「本当デスか!?」

フェニックス「俺は嘘なんか付かねえよ。おら、さっさと案内しろや」

マジカロイド「は、はい!!」


――――


ネオン街


フェニックス「この辺りにいるのか?その強い魔法少女ってのは」

マジカロイド「はい!もちろんデス!」


マジカロイドに運ばれる形でフェニックスは魔法少女のいる街まで飛行して移動をした。
フェニックスからは「手を離したら真っ先に殺す」と念を押されていたが
彼の逆鱗に触れる事を出来る限り避けたかったので、そもそも地面に落とす選択肢などマジカロイドには無かった。

140 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/15(土) 13:28:09.36 ID:R4ADrii20
マジカロイド「カラミティ・メアリさん!!助けてくだサイ!!」

メアリ「そいつは……なんでアタシの所にファントムなんか連れて来てんのさ?」

マジカロイド「案内しなければ殺すと、あのファントムに強制されたのデス!」

フェニックス「おいおい、お前が連れて…」

マジカロイド「お願いデス。あのファントムをやっつけてくだサイ」

メアリ「はぁ、かったるいねえ」

フェニックス「まあいいか。お前、強いんだってな。俺様の相手をしてもらうぜ」


銃声が響いた。
メアリの拳銃から放たれた弾丸がフェニックスの額へ命中した。
「カラミティ・メアリをムカつかせるな。煩わせるな」を口癖にしてる彼女の性格からして
癪に障る相手に対しては一切の躊躇無く引き金を引けるほどの凶暴性を持っている。


フェニックス「そのピストルは試合開始のゴング代わりって事でいいよなぁ?」

メアリ「効いてないようだねぇ」

フェニックス「グール共ならそれで殺せただろうが、この俺様には通用しねえよ」

メアリ「そうかい、なら丁度いい。これを試す相手が欲しかったのさ!!」

フェニックス「なんだぁ?」

マジカロイド「ヤバい予感がしマス!急いで離れなくてハ!」


メアリの手元に大型のガトリンクガンが現れる。
それは人ならざる存在を殺害する為に戦極凌馬が開発した試作兵器であり
元々強力な兵器であったそれはメアリの魔法によって更に威力を増幅させた。

141 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/15(土) 13:28:44.16 ID:R4ADrii20
『解除シマス』


フェニックス「はん!そんな玩具で俺様に勝てると思ったか!?」

メアリ「その舐めた態度、二度とみせられなくしてあげるよ」ドガガガガガガガガガ

フェニックス「ぬ、ぐぅおおおおおおおおおおおお!!!!」


1秒間に付き30発放たれる特殊徹甲弾がフェニックスの肉体を貫き、少しずつ削り取っていく。
数秒ほど経って撃ち尽くした後、更にロケット弾頭を装着させ
全身が穴だらけになったフェニックスに向けて射出した。


メアリ「グッバイ」

フェニックス「ぐわあああああああああああああッッッッ!!!!」


フェニックスの五体はバラバラに砕け、灰となって風に流されて消えていった。


マジカロイド「流石カラミティ・メアリさん!貴女様なら勝てると信じていまシタ!」

メアリ「それで、アンタの代わりにアタシが戦ってやったんだ。その見返りはどう支払うつもりだい?」

マジカロイド「う……それは……」

メアリ「そうだねぇ。アンタだって生身は女なんだろ?体で稼ぐってのなら金払いのいいソープでも紹介しようか?」

マジカロイド(命が助かる為なら処女を捧げてもいいとは言いまシタが、出来る限りなら避けたいデス……)

マジカロイド(私だって好きな殿方と恋に落ちて、そこで初めてを捧げたいデス……)

???「糞がッ!!!」


男の怒鳴り声が聞こえたので二人が外を覗くと、チンピラ風の男が怒りを露わにしながら
ヨロヨロとした足取りで歩いていた。

142 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/15(土) 13:29:23.48 ID:R4ADrii20
メアリ「酔っ払いかい?騒々しいねえ」

マジカロイド「あ……あ……あれは、さっきメアリさんが倒したファントムデス!」

マジカロイド「あのファントムが人間に化けてる時の姿デスよ!」

メアリ「あいつ死んだんじゃ無かったのか……よしマジカロイド、お前がそいつを何とかしな」

マジカロイド「そんなの不可能デスよ!100%殺されマス!」

メアリ「今すぐアタシに殺される方が望みなら叶えてあげてもいいぜ」

マジカロイド「うう……」

メアリ「別にアンタ一人だけで倒せとは言わないさ」

メアリ「他の魔法少女を利用して倒させる事ぐらいの知恵はあるだろ?」

メアリ「それで今回の件はチャラにしといてやるよ。お買い得じゃないか」

マジカロイド「……分かりまシタ。何とかしてみせマス」

メアリ「終わるまでアンタの面見せんじゃないわよ」

143 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/15(土) 13:29:54.76 ID:R4ADrii20
ファントムのアジト


フェニックス「あんのガンマンの女がぁ!!よくもこの俺様をッ!!」

メデューサ「また負けて帰ってきたようね、フェニックス」

フェニックス「次は負けねえ!!今は俺様に構うなメデューサ!!」

メデューサ「ワイズマン様からの命令よ。貴方はしばらくの間、魔法少女討伐の任から解かれる事になったわ」

メデューサ「だから魔法少女には手を出さない事、いいわね?」

フェニックス「なんだと!?ふざけるんじゃねえ!!このままじゃ俺の腹の虫が収まらねえよ!!」

メデューサ「ワイズマン様の命に背いたらどうなるか、貴方は忘れていないでしょうね」

フェニックス「ちっ!!」


ワイズマンに反抗的な態度を取り続けた結果、封印されて未だ出られないファントムもいる。
フェニックスにとって納得のいかない命令でも従わなければならないのだ。


フェニックス「分かったよ、大人しくしてやるよ」

メデューサ「どこへ行く?」

フェニックス「寝るんだよ。起こすんじゃねえぞ」

メデューサ「そう」

ソラ「ミ〜サちゃんは僕と一緒に寝ようよ。優しくするからさ」

メデューサ「死ね」

リブラ「懲りないな……グレムリンの奴」
144 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/15(土) 13:32:11.02 ID:R4ADrii20
今回はここまで
ラ・ピュセルの斬撃とメアリの武器に耐性が付いて、魔法少女の気配察知を覚えたフェニックス

>>134
賢者の石で強化されてないソラ相手ならきっと魔法少女でも倒せるさ

>>135
他の強敵相手の時も太陽に落とせば解決じゃん、と思ってしまうのは野暮だろうね

>>136
ヒーローの役割を魔法少女達が受け持ってるから悪役多めになっちゃう
善人キャラもいつか主要人物で出したい

>>137
それでもファントム編では理由があって出来る限りギャグを入れるように書いています
ウィザードクロスがメインのおかげでまほいく勢が中々死なないから平和かも
145 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/17(月) 14:38:08.03 ID:0dLRqfQQ0
公園内


ケイネス(なぜ私が荷物持ちをせねばならんのだ…)

コヨミ「クレープ買ってきますね、ケイネスさん」


ショッピングの帰りで休息を取っているコヨミとケイネス。
コヨミの為に洋服や日用品などを買っていたのだ。


ケイネス(どうせならソラウと二人っきりでデートがしたかった)

ケイネス(早くファントムを討伐して魔法少女試験を終わらせて帰りたい……)


――――

シャロ「どうぞ、お客様」

コヨミ「ありがとう」

ソラ「ハロ〜。可愛いお人形さん♪」


二人分のクレープを買い、ケイネスの元へと戻ろうとした時、そいつが現れた。
爽やかな笑顔を振りまく整った容姿の男性、コヨミは一目で見て理解した。
そいつはファントムであると。

146 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/17(月) 14:39:05.10 ID:0dLRqfQQ0
コヨミ「貴方は……ファントム!」

ソラ「さっすがお人形さん!分かっちゃうんだね。ウフフフ〜♪」

ケイネス「おい!貴様……」

コヨミ「ケイネスさん!」

ソラ「ウフフフ、凄いね〜コヨミに何かあるとすぐに駆けつけられるんだね」

ケイネス「この私を舐めるなよファントム、コヨミの命を狙いに来たか」

ソラ「勘違いしないでよ。僕はただ君達と会いに来ただけなんだ」

ケイネス「ファントムの言葉など信用出来ると思うか?」

ソラ「信じてほしいなぁ〜それに今、争うのはそっちに取って都合が悪いんじゃないのかな〜?」

ケイネス「何を馬鹿な事を……なんならすぐにでも」

ソラ「だってこれ……」


ソラが指を指してる方向にはコヨミの手に持つ二つがあった。


ソラ「僕と争ったりなんかしたらクレープが溶けちゃうよ」

ケイネス「たかがクレープの一つや二つ、また買えば済む事だ」

ソラ「ダメダメ、食べ物は粗末にしてはいけません!ってお母さんに言われなかったの?」

ソラ「それに、ここは子供たちが楽しく遊んでる場所なんだから騒ぎは無しにしようよ」

ケイネス「ファントム風情が良識人ぶるな。虫唾が走る」

ソラ「さっきからファントム、ファントムって僕には滝川 空という名前があるんだよ。ちゃんとソラって呼んでよ」

ケイネス「ファントムが人間の真似事など……」

ソラ「ソラって呼んでよ」

ケイネス「…………」

ソラ「ソラって呼ばないとケイネスの事をハゲって呼ぶよ」

ケイネス「誰がハゲだ!妙なファントムだな……ソラは」

ソラ「よし♪じゃあそこのベンチにでも座って三人でお話しようよ」

ソラ「そこの可愛い店員さん、チョコバナナクレープ一つくださいな♪」

シャロ「は、はい」

コヨミ「なんなのよ、彼は……」

ケイネス「態度が軽薄過ぎて凄く怪しい奴だ」

147 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/17(月) 14:39:52.19 ID:0dLRqfQQ0
――――


ソラ「僕達ファントムと戦ってる魔法少女の事だけど、一体どんな子達がいるの?」

ケイネス「わざわざ敵に情報を与えると思うか?」

ソラ「じゃあ違う質問をするね。ファントムを人間に戻せる魔法少女はいるのかな?」

ケイネス「ファントムを人間に、だと?知らんな。それにファントムは例外なく全て駆除対象だ」

ケイネス「ファントムを助けるような指示は一切受けていない。運が良くても実験動物として利用されるだけだ」

ソラ「それは残念だなぁ。僕達と魔法少女達が争わなくても済むならそれに越したことは無いと思ったんだけどなぁ」

ケイネス「先ほども言ったが私はファントムを信用していない。例え、ソラがどんな考えを持とうが始末する事には変わりないぞ」

コヨミ「ねえ、ソラ」

ソラ「なんだい?お人形さん」

コヨミ「何で私の事を人形と呼ぶの?」

ソラ「ウフッ……ウフフフ♪それは、内緒」

コヨミ「…………」

ソラ「そう怒らないでよ。いずれ分かるからさ、いずれね」

ケイネス「なぜ貴様は私達に干渉をする?自分だけ助かりたいからか?」

ソラ「違うよ!君達なら僕の望みを叶えられるか気になったからさ。それと個人的に魔法少女達に興味あってね」

ケイネス「興味だと?」

ソラ「魔法少女の中には、僕の好みの子がいるかもってね。ウフフフ♪」

ケイネス「ふざけているのか?」

ソラ「真面目だよ。魔法少女の恋人は今までいなかったからさ。一度付き合ってみたいなって前々から考えてたんだよ」

ケイネス「イカれてる……ファントムなんかと付き合う魔法少女などいるものか」

ソラ「恋愛には国境も種族も関係無いんだよ。じゃあ僕はもう行くね」

ケイネス「そうか。さらばだ」


別れの言葉を言い終えると同時にケイネスの操操作による月霊髄液の高圧カッターが繰り出される。
ソラの座っていたベンチが綺麗に切断されたが狙っていた対象はいつの間にか消えていた。
背後でウフフフと笑う声が聞こえ、振り向くとそこにソラが手を振っていた。


ソラ「危ないなぁもう、不意討ちなんてずるいよケイネス」

ケイネス(私の魔術礼装を上回る速度で避けただと!?なんて速さだ……)

ソラ「じゃあねお人形さん。お体を大切に、ね♪」

コヨミ「あのファントム……何を知ってるの?」

ケイネス「奴め、次会ったら私が必ず誅罰を与えてやる」

ファズ(コヨミを人形と呼ぶとは……知っているようだなコヨミの秘密を)

ファズ(ソラとかいうファントム、これは使えるかもしれん)


ケイネスの持つ端末の中でファズはまた何か良からぬ事を考えていた。


ソラ(ウフフフ♪あのお人形さんも長くて綺麗な髪をしていたなぁ)

ソラ(でもあの子は彼女には出来ない。壊してはダメな存在だからね)

ソラ(あの子は、僕の望みを叶えてくれるかもしれないんだ)

ソラ(楽しみだなぁ。僕が人間に戻れるその日が)

148 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/17(月) 14:40:42.01 ID:0dLRqfQQ0
ファントムのアジト


リブラ「フェニックスは眠りに付き、ソラの奴は出かけてやっと静かになったな」

リブラ「ここは優雅にティータイムを楽しむとしよう」

ユウゴ「ぐごー ぐごー」


フェニックスの夢の中


ユウゴ「ああっイラつくぜぇ!!何もかもぶっ壊してやるー!!」

ねむりん「ねーねーお兄さん。どうしてそんなに荒れてるの?何か嫌な事でもあったの?」

ユウゴ「ああん?なんだてめえは」

ねむりん「魔法少女のねむりんで〜す。よろしく〜、私でよかったら相談に乗るよぉ」

ユウゴ「魔法少女だと!?ぐ……夢の中でも我慢しなきゃならねえのか……」

ねむりん「何を我慢してるのかなぁ?ねむりんに教えてほしいなぁ」

ユウゴ「……俺様はなぁ、同僚が仕事をしやすい環境になるように働いていたわけよ」

ねむりん「ふむふむ」

ユウゴ「そしたらよお、上司がそれをやめろって言うんだ。特に理由も無しでよ」

ねむりん「それは酷いね〜、皆の為にがんばってたのにねぇ」

ユウゴ「おうよ、俺がやりたい仕事ってのもあるが、他の連中にとってもプラスになる事なんだよ」

ねむりん「だったらさぁ。我慢せずにやっちゃおうよ」

ユウゴ「上司に歯向かう事になってもか?」

ねむりん「我慢して溜め込んでても辛いだけだからさ。自分にとって一番やりたい仕事をやるのが幸せなんだと思うよ」

ユウゴ「そういう物か?」

ねむりん「私も最初は大手会社に勤めるのが幸せだと思ってスマートブレインやユグドラシルやアンブレラ社の面接を受けたけど」

ねむりん「全部落ちちゃって、それから魔法少女になったんだ」

ねむりん「魔法少女の仕事はとっても楽しくて、ねむりんは魔法少女を続けて良かったと今でも思ってるよぉ」

ユウゴ「そうか。やりたい事をやるのが幸せか……ありがとよ、俺様の考えが決まったぜ」

ねむりん「……へっ?」

フェニックス「魔法少女狩りの再開だぁ!まずはねむりん、てめえから殺させてもらうぜ」

ねむりん「ふぁっ……ファントムだったのぉ!?」

149 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/17(月) 14:41:30.57 ID:0dLRqfQQ0
現実世界


フェニックス「ぐごー!ぐごー!」

リブラ「何だ!?寝ながらファントム体になったぞ!」


夢の世界


フェニックス「ククッ 前までは復活してから回復まで時間がかかったが今回はすぐにでも戦えるぜ」

ねむりん「これ以上、誰かを襲うのはやめようよ〜。そんな事しても悲しいだけだよ」

フェニックス「ああ?てめえがやりたい事やれって言ったんだろうが!いいから俺様と戦いやがれ!!」

ねむりん「しょうがない。悪い事を続けるならねむりんがやっつけるよ!ねむりんキーック!!」

フェニックス「ぐおっ!!とろそうな見た目の割りになかなかつええじゃねえか!!」

ねむりん「くらえぃ!!ねむりんビィーーーム!ビビビビビビ」

フェニックス「ぐっぐぐぐっ!!」


ねむりんの額から極太のビームが放たれる。
大剣カタストロフを使い、ビームを抑えるが刃の部分に亀裂が走り砕け散る。


フェニックス「ぐぎゃあああああああああッッッッ!!!!」


ねむりんビームがフェニックスの身体を包み、原子レベルにまで分解し消滅した。


現実世界


フェニックス「ぐぎゃあああああああああッッッッ!!!!」

リブラ「爆散したーッ!?」

フェニックス「ぐごー!ぐごー!」

リブラ「再生した!?一体、何がどうなっているんだ……」

150 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/17(月) 14:42:14.67 ID:0dLRqfQQ0
夢の世界


フェニックス「ハハハハッ!!待たせたなぁ、ねむりん」

ねむりん「生き返った!?それならもう一度!ビビビビビビ!!」

フェニックス「もうお前の攻撃は効かねえよ!」

ねむりん「ひゃああ、逃げなきゃ〜」

フェニックス「なっ!?おいまてこら、戻ってこい!!くそっ、なんで俺そっちにいけねえんだよ!!」

ねむりん「まさか夢の中でねむりんより強いのがいたなんて……役に立たなくて皆、ごめんねぇー!!」


ねむりんの攻撃への耐性を付けたフェニックスだが、夢の中を自在に行き来する能力を持たない彼は
自分の夢の先から進む事が出来ずに、ねむりんをみすみす取り逃がしてしまう結果に終わった。
そしてねむりんがいなくなった事でフェニックスは夢から目覚め、起き上がった。


フェニックス「ああ〜不完全燃焼な夢だったぜ」

リブラ「大丈夫か?寝ながら身体が爆散してたぞ」

フェニックス「あれ夢だけじゃなかったのか……まあいい、リブラ、俺様決めたぜ」

リブラ「何を?」

フェニックス「ワイズマンの命令何か知った事じゃねえ。俺様は魔法少女狩りを続けるぜ」
151 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/17(月) 14:43:22.81 ID:0dLRqfQQ0
今回はここまで
戦闘描写が分かり易く伝わっているかな
152 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/22(土) 17:32:56.51 ID:E/mfk0FW0
リブラ「貴様!ワイズマン様を裏切るのか!?」

フェニックス「だったらどうするよ?」

リブラ「ここで貴様を断罪させてもらう」

フェニックス「はっ!天秤野郎の分際で俺に楯突くとはいい度胸じゃねえか」

リブラ「私を甘く見るなよ、フェニックス」

リブラ「恐怖を乗り越えて進化した私の戦闘力は増幅しているのだ」

フェニックス「だったら見せてもらうぜ。その進化した強さとやらをよ!」

リブラ「ワイズマン様を裏切ったその重み……思い知るがいい!!」


10秒後


メデューサ「騒々しいわね、何をしている?」

リブラ「め、メデューサ……フェニックスが謀反を……がくっ」

フェニックス「はぁ……こいつ弱すぎだろ」


フェニックスの足元には身体がボドボドになったリブラが倒れていた。
リブラの頭には大きなタンコブが出来上がっている。

153 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/22(土) 17:33:28.83 ID:E/mfk0FW0
メデューサ「何のつもりだ?フェニックス!」

フェニックス「見たら分かるだろ。もうワイズマンの命令に従うのに嫌気が差したぜ」

メデューサ「そう。それならどうなるか分かってるわよね?」

フェニックス「いいねぇ〜その殺意、俺様は一度、お前とガチで戦ってみたかったんだよ」

メデューサ「この戦闘狂がッ!!」


フェニックスの大剣とメデューサの杖が衝突し火花を散らす。
大ぶりな斬撃を躱したメデューサの蹴りがフェニックスの腹部に刺さる。
のけぞったフェニックスの頭部を杖で殴りつけ、更に喉元を突いた。


フェニックス「ごふっ!はぁはぁ……やっぱ強えわメデューサ。楽しいねぇ」

メデューサ「これで終わりよ」

フェニックス「うぐっ……」


蛇となっているメデューサの髪が触手のように伸びてフェニックスの身体を拘束する。
メデューサの眼が妖しく輝き、フェニックスの眼を見つめた瞬間
フェニックスの全身が石化し動かなくなった。


メデューサ「例え殺さなくても貴方を止めることが出来るのよフェニックス」

フェニックス「…………」ピシピシ パリーン

メデューサ「何ッ?」

フェニックス「もうお前の攻撃も通用しないぜ」

メデューサ「まさか……私の石化を解くなんて……」

フェニックス「分かっただろ?もう俺様を止められる奴はいない。じゃあな」

メデューサ「フェニックス……」

154 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/22(土) 17:34:08.45 ID:E/mfk0FW0
その頃――採石場では


シスターナナ「マジカロイドさん……貴女の話が本当だとしたら、そのファントムは……」

プリズン「間違いないな。我々と戦ったフェニックスというファントムだろう」

ラ・ピュセル「だけどフェニックスは私が倒したはずです」

マジカロイド「不死身なんデスよきっと!どうにかして完全に滅ぼさないといけまセン!」

スノーホワイト「ねえ、チャットでねむりんがそのファントムに夢の中で襲われたって……」

マジカロイド「夢の中でも戦えるなんてデタラメな強さじゃないデスか!!」

マジカロイド「お願いデス!フェニックス討伐に協力してくだサイ!」

マジカロイド「先ほどトップスピード達やルーラチームにも助力を頼みまシタ。皆で袋にすればどうにかなるはずデス!」

ラ・ピュセル「頭上げてよマジカロイド、勿論協力するからさ」

プリズン「なあ、マジカロイド……そこまでしてフェニックスの討伐にこだわるのは何故なんだ?」

アリス「怪しい……」

マジカロイド「それは……ワタシはあのファントムに狙われているからでシテ……」

スノーホワイト「カラミティ・メアリさんに倒してくるように言われたんだって」

スノーホワイト「フェニックスを倒さないと自分がメアリさんに殺されるんだって」

マジカロイド「なんで分かるんデスかー!?」

ラ・ピュセル「大丈夫だよ。フェニックスは必ず私が倒すからさ」

マジカロイド「さすが騎士様デス!」

スノーホワイト(そうちゃん……マジカロイドさんには妙に優しいよね)


???「みぃぃぃぃつけたぁぁぁぁぁぁ!!!!」


上空から獣の唸り声のような男の声が響き渡った。
炎の翼を広げたフェニックスが魔法少女の気配を読みながら飛び回り
ついにスノーホワイト達を発見したのだ。

155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/22(土) 17:34:49.28 ID:E/mfk0FW0
フェニックス「よお!俺の知ってる魔法少女達が何人もいるじゃねえか丁度いい」

マジカロイド「で、で、で……でたぁーッ!!」

フェニックス「また会ったな ロボット娘」

シスターナナ「貴方はラ・ピュセルさんに斬られて命を落とした筈では?」

フェニックス「俺様は死と再生を繰り返す度に強くなる不死身のファントムなのさ」

ラ・ピュセル「何度復活しようとも私が地獄へ送ってやる!うおおおおッ!!」


スノーホワイトを嬲る様に傷つけたフェニックスはラ・ピュセルにとって許せない存在だ。
自分達の前に再び、立ち塞がるならスノーホワイトを守る剣としてフェニックスを討つ。
雄々しく立ち向かうラ・ピュセルに対して、フェニックスは構えもせず余裕の表情を見せていた。
ラ・ピュセルの剣がフェニックスを斬り付けた。
だが剣が弾かれて、傷一つ付けられなかった。


ラ・ピュセル「何ッ!?」

フェニックス「なってねえな。こうやって斬るんだよ!」


ラ・ピュセルへ急接近したフェニックスが、瞬時に二発の斬撃を繰り出し
みぞおちに前蹴りを放ち、膝を付いたラ・ピュセルへ追撃のジャンプ斬りを放って右肩を斬り裂き
最後に大振りの薙ぎ払いで吹き飛ばす連続技を放った

156 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/22(土) 17:36:22.53 ID:E/mfk0FW0
ラ・ピュセル「がはっ……」

スノーホワイト「ラ・ピュセルッ!!血が……」

フェニックス「ハッハッハ!不甲斐ねえな。騎士様よぉ」

スノーホワイト「よくもラ・ピュセルを!」

プリズン「下がっているんだスノーホワイト、私が戦う」

フェニックス「マントの女か。てめえは俺様に一度負けてるのを忘れたのか?」

プリズン「なら見せてあげよう。私達の力を、頼むよナナ」

シスターナナ「はい、気を付けてください」

プリズン「行くぞフェニックス!!」

フェニックス「ぬおっ!?なんだこいつ……前に戦った時とはまるで別人のパワーだぜ」

プリズン「私達を甘く見るなよ」

フェニックス「いいねえ!やっぱ戦いはこうでなくっちゃなァ!」

プリズンの打撃とフェニックスの斬撃がぶつかり合った。
シスターナナの強化魔法によって格段に強くなったプリズンだが
度重なる復活によってフェニックスもまた以前とは比べ物にならない強さを得ていた。

プリズン(強さはほぼ拮抗している……力で捻じ伏せるのは不可能か。それなら)

フェニックス「もらったァ!!」

フェニックスの斬撃を受け止め切れなかったプリズンはバランスを崩し、膝を付いた。
その隙を突くべく、フェニックスは大きく斬り込みに入った。

プリズン(かかったな)

それは相手を誘い込むためのブラフだった。
モーションの大きい振り下ろしを躱したプリズンは素早く背後に回り込み
スリーパーホールドでフェニックスの首を絞めた。

フェニックス「てめえッ!!はなしやが」ゴキ


鈍い音が響いた。
首の骨をへし折られてフェニックスの身体は糸の切れたマリオネットのように倒れた。

157 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/22(土) 17:36:49.85 ID:E/mfk0FW0
マジカロイド「流石デス!プリズンさん」

プリズン「奴の首を折るのに魔力をかなり使わされたよ」

スノーホワイト「……まだです!」


炎がフェニックスの身体を包み込み、再構築されていった。
再生が終わり炎が消えると、そこには完全に傷の癒えたフェニックスが立っていた。


フェニックス「やるじゃねえかマントの女、俺を殺せるなんてよぉ」

プリズン「厄介な奴め……」

フェニックス「せいぜい足掻いてくれよ……ん?」


どこからともなく飛んできた複数のクナイや手裏剣がフェニックスの身体に突き刺さった。
飛んできた方向には複数の魔法少女達がいた。

158 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/22(土) 17:37:17.37 ID:E/mfk0FW0
リップル「こいつがマジカロイドの言っていたファントムか」

トップスピード「お待たせ〜今度は俺達に任せとけ!」

ミナエル「主役は遅れて登場するってね」

ユナエル「こいつをやっつけたら私達ピーキーエンジェルの人気もうなぎ登りだねお姉ちゃん」

たま「あのファントム強そう……勝てるのかなぁ?」

ルーラ「私達のチームが敗北なんてありえない。絶対に勝つのよ」

スイムスイム「ルーラが望むなら絶対に勝たないと……」


魔法少女達の中に一人の男がいた。
太陽の光を浴びたおでこが眩しく輝く、幸低そうな顔をした超一流の魔術師、その名も……


ケイネス「全く、お前たちはもっと早く私を頼るべきなのだ」

ケイネス「アーチボルト家当主である、このケイネス・エルメロイ・アーチボルトをな」


フェニックス「ハハハッ!ハハハハハッ!!面白い、面白いぜ!!俺様を倒す為にここまで集まったのか!!」


自分を倒すべく集結した錚錚たる顔ぶれにフェニックスは高揚感を抑えきれない。
これからお前達を討ち取ってやると言わんばかりに大剣カタストロフを掲げ
魔法少女達を睨みつけて一喝した。


フェニックス「俺様を倒せる物なら倒してみろ!!この不死身のファントム、フェニックス様をよッ!!!!」


魔法少女VSフェニックスのラストバトルがここに始まった。

159 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/22(土) 17:39:38.17 ID:E/mfk0FW0
今回はここまで
またフェニックスが死んでおられるぞ
次の投下で今度こそフェニックス退場します
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 18:07:29.96 ID:94kaMPoeO
乙です
シリアスパートのはずなのに、ケイネス先生の酷過ぎるキャラ紹介で笑っちまった
161 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/26(水) 15:06:25.89 ID:fS1E3ZAl0
リップル「はぁッ!」

フェニックス「そんな攻撃、いくら繰り出しても無駄だ!!」


リップルが投げた大量の手裏剣が全てフェニックスへ向かっていく。
大剣を振り上げていくつかは切り落とされ、残りは胸部に突き刺さり火花を散らす。


フェニックス「蚊に刺された気分だぜ。もっとマシな攻撃をしてきな」

リップル「……ちっ」

トップスピード「だったらこれを食らいな!!」


トップスピードの手に持っているのは魔法の国から支給された魔術礼装『ミニ八卦炉』
魔力を込めれば強力なビームを放つことが出来る。


トップスピード「マスタースパークッ!!」

フェニックス「なかなかの威力だなぁ。だが今の俺を殺すにはパワーが足りねえなぁ」


マスタースパークの直撃にもフェニックスはびくともしなかった。
フェニックスは度重なる再生によって生半可な攻撃は全く通用しない程の耐久力を得ていた。


ケイネス「どきたまえ魔法少女の諸君。後は私がやろう」

フェニックス「如何にもインテリなてめえに何が出来るんだよ そらぁ!!」


フェニックスの手から地獄の業火がケイネスに向かって放たれる。
その炎がケイネスに直撃する寸前に弾かれて消滅した。
月霊髄液による自動防御によって防がれたのだ。

162 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/26(水) 15:07:04.86 ID:fS1E3ZAl0
ケイネス「そんな攻撃が私に効くものか」

フェニックス「やるねぇ!ならそのスライムごと叩っ斬ってやるぜ!」

ケイネス「迂闊に接近するとは愚かな奴め」


月霊髄液がフェニックスの周囲に広がった。
ケイネスの魔力が最大限に月霊髄液に注がれて硬度が増す。


フェニックス「何だぁ?ぬおおっ!!」

ケイネス「潰れろ」


フェニックスを中心に月霊髄液は圧縮した。
そしてフェニックスを押し潰さんが如く、月霊髄液が捻じれるような形で細く変わる。
内部ではフェニックスの肉体が押され、軋み、潰れる音が生々しく響く。


フェニックス「ぐっぐ……ぐがぁああああああ!!!!」


ぐちゃりと音が聞こえたと同時にフェニックスの肉体は爆散した。


ケイネス「愚か者には相応しい末路だな」

フェニックス「おい、勝った気でいるんじゃねえよ」

ケイネス「何っ!?」


フェニックスの大剣がケイネスの身体を切り裂いた。
幸いにして致命傷は受けていないが出血が大きかった。

163 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/26(水) 15:07:31.50 ID:fS1E3ZAl0
ケイネス「あ、あ、あああああああああああッッ!!!!」

フェニックス「油断し過ぎだっつーの。阿呆が」

ルーラ「その台詞、そっくりそのままお返しするわ」

フェニックス「あん?」

ルーラ「ルーラの名のもとに命ずる。フェニックス、動くな!!」

フェニックス「か、体が……動かねえ……」


いつの間にかフェニックスの至近距離に接近していたルーラの魔法によって
フェニックスは金縛りにあったかの様に身動きが取れなくなっていた。


フェニックス「こんな、魔法でぇ……ぬがぁぁぁぁぁ!!」

ケイネス「でかしたぞルーラ、こういう敵が現れた時の為に、アーチボルト家秘蔵の封印用の礼装を準備してきたのだ」

ルーラ「いいから早くしろ!!」

ケイネス「まずはこの電子ジャーを地面に置き、蓋を開ける」

ケイネス「そして対象の相手にある呪文を唱えれば……」

フェニックス「うおおおらぁぁぁぁッ!!!!」


ルーラの魔法を捻じ伏せてフェニックスは再び動き出した。
フェニックスの体質は死からの再生による耐性だけでは無い。
メデューサの石化魔法すらも無力化した様に
命を奪わない状態異常でも、食らえば耐性が付くようになっている。

164 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/26(水) 15:08:26.31 ID:fS1E3ZAl0
ルーラ「私の魔法が効かない!?」

フェニックス「残念だったなぁ そおらぁ!!」

ルーラ「ぐうっ……」

ケイネス「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!」


ルーラとケイネスの二人が大剣で斬りつけられ
封印に用いようとした魔術礼装である電子ジャーは踏みつぶされた。


ユナエル「ちょっとヤバいじゃん!」

ミナエル「そう楽させてくれないみたいね」

スイムスイム「……ルーラ」


スイムスイムは鉄球を振り回し、ユナエルは鷲に変化して飛びかかり
ミナエルはチェンソーに変化して同時に攻撃するが
フェニックスが大剣を振って切り払われる。


ミナエル&ユナエル「きゅ〜」

フェニックス「こいつ、俺様の攻撃をすり抜けやがったぞ」

スイムスイム(まともに戦ったら絶対に敵わない。避け続けて時間を稼ごう)

フェニックス「しゃらくせえな。ならこれでどうだ?」


フェニックスの業火がスイムを中心に広範囲に激しく燃え盛った。
炎の熱もすり抜けで防ぎ続けられるが呼吸が持たない。
灼熱の海から逃れようと移動するが逃走ルートを先回りしたフェニックスが更に火の手を増やす。


スイムスイム(だめ……いきが……)

フェニックス「さっさと焼け死ねよ」

リップル「このっ!!」

たま「スイムちゃん!」


リップルがフェニックスに延髄蹴りを放ち、その隙にたまが開けた穴にスイムは逃げ込んだ事で
なんとか炎から逃れて呼吸を整える事が出来た。
後頭部を撫でながら起き上がるフェニックスの前に、まだ戦える魔法少女達が立ち塞がる。

165 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/26(水) 15:09:26.52 ID:fS1E3ZAl0
スノーホワイト「一人一人じゃ無理でも同時に戦えばきっと」

ラ・ピュセル「勝てるかもしれない……」

プリズン「それに賭けよう」

リップル「分かった」

トップスピード「それ以外方法無さそうだしな」

スイムスイム「…………」コクリ

たま「が、頑張る!」


フェニックス「作戦会議はおわったか?なら今度は俺様の……ショー・タイムだ!!」


フェニックスの背中から巨大な炎の翼が生えた。
何度も強化された事で会得した新たな魔法『不死鳥の炎』である。
うねりをあげながら不死鳥の炎が魔法少女達を包むように薙ぎ払った。


スノーホワイト「う、うう……」

ラ・ピュセル「動け……僕の、体……」

リップル「ちっ……足が……」

トップスピード「悪い、ちょっと起き上がるのは……無理、みたいだ」

スイムスイム(熱い……避けるのが遅れた)

たま「いたい、いたいよ……」

シスターナナ「そんな、ウィンタープリズン……私を庇って」

プリズン「君が無事ならそれでいいんだ」


マジカロイド(これ不味いデスよね……逃げましょう!!)

フェニックス「おいこら待て!!そこのロボット娘」

マジカロイド「ひっ」

フェニックス「皆ぶっ倒れたし次はお前の番だぜ。俺様と戦えよ」

マジカロイド「降参デス!貴方様の部下でも何でもやりマスから命だけはご勘弁を!!」

フェニックス「ふっざけんなこらぁ!!今さらそんな虫のいい話を聞く訳ねえだろうが!!」

マジカロイド(うう……こうなったらこれを使うしかないデス……)

166 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/26(水) 15:10:24.76 ID:fS1E3ZAl0
マジカロイドに渡されたアイテムは3分だけ幸運100倍ドリンクである
ただしこれを服用すると一週間は幸運が1/100にまで下がるという割りに合わないデメリットを含んでいる。


マジカロイド(どうせ今殺されるんデス。ならばこれに賭けましょう!!)ゴクゴクゴク

フェニックス「何飲んでんだよ?ドーピングか?」

マジカロイド(さあ!!100倍になった幸運で何か強力なアイテムが出てくだサイ!!そしてワタシを救ってくだサイ!!)


懇願を込めてマジカロイドはランダム性の未来道具を出現させた。
この場を生き延びられるような道具を願って。
そして出てきた道具はドアだった。


フェニックス「何だそれ?それで俺様を倒せるとでも思ったか」

マジカロイド「終わった……ワタシの人生終わった……」

フェニックス「こんなふざけたドアなんてぶっ壊して、ん?」


突如、ドアが開かれた。
ドアから凄まじい吸引力が発生してフェニックスの体を引きずり込もうとする。


フェニックス「ぬぐぐぐっ!?なんだぁ!!引っ張られるぞ!?」

マジカロイド「これは……『どこだかドア』どこに通じているか分からないドアである、と書かれてますね」

フェニックス「だ、駄目だ……引きずり込まれる……ぬおおおおおおおおお!!!!」


フェニックスを吸い込んだどこだかドアはバタンとドアが閉まり、その勢いで
地面に強く叩きつけられて、どこだかドアは壊れてしまった。


マジカロイド「た……助かったのでしょうか?」

167 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/26(水) 15:11:05.40 ID:fS1E3ZAl0
――――


フェニックス「ここは……宇宙だと……?」


見渡す限り真っ暗な世界で無数の星々が輝くこの場所は宇宙だった。
神秘的な光景と言えるが宇宙キター!!と喜んでいる場合ではない。
すぐさま帰らなければと、地球のある方向へ動こうとするが
体はどんどん地球から遠ざかっていく。


熱い……肉体が高熱に晒されている事に気付いた時は全てが手遅れだった。
フェニックスは太陽の引力に捕まっていた。
必死でもがこうとするも、太陽への落下は止まらず
高熱によって肉体が消し飛び、再生しようとするも
約6000℃の温度がフェニックスの体を永遠に焼き尽くしていく。


フェニックスは二度と地球へ戻れなかった……。
太陽の中で死と再生を永遠に繰り返すのだ。
そして死にたいと思っても死ねないので
そのうちフェニックスは考えるのをやめた。

168 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/26(水) 15:13:41.06 ID:fS1E3ZAl0
今回はここまで
フェニックスの技名はスーパーヒーロージェネレーションを参考に付けた
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 20:46:16.00 ID:gg/4+cXB0
一週間幸運百分の一とか戒斗さん並に運が悪くなりそう
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 20:46:56.04 ID:mRUbjuzRO
ウィザード本編にも運を操るファントムがいたな
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 21:20:06.85 ID:PLnNj5Im0
一度は倒す寸前まで行った辺りケイネス先生も弱くはないんだがなあ
172 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/01(月) 21:38:52.59 ID:0dz9n47K0
何度も繰り返されたフェニックスの戦闘もついに終わり
魔法少女達は勝利を手にした。
戦いによって大きく消耗した魔法少女達は治療の為にと
表向きは普通の病院だが、魔法の国の手のかかった特別な病院に通う事になった。


魔法病院


井坂「治癒魔法というのは便利ですが、何も完ぺきではありません」

井坂「例えば銃弾を受けたとしましょう。体内に弾が残った状態で治癒魔法を使うとどうなるか」

井坂「それは弾が体内に残ったまま傷口を塞ぐ事になります」

井坂「魔法少女ならば並みの毒は効かないでしょうが、もし弾丸に呪術的な効力を持っていたらどうでしょう」

井坂「弾丸に含まれる呪いで魔法少女の肉体は蝕み、死に至るケースもあります」

ケイネス「それで、何が言いたい?」

井坂「貴方はファントムの攻撃を受けたと聞く」

井坂「そのファントムが傷を付けた相手に影響を与える能力を持っている可能性もあります」
173 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/01(月) 21:41:07.94 ID:0dz9n47K0

ケイネス「その点は心配無い。過去にそのファントムと交戦して負傷した魔法少女達もいるが特に悪影響は起きていない」

井坂「それは魔法少女の場合ですよね?魔術師にだけ悪影響を及ぼす可能性も捨てきれません」

ケイネス「そんな事など起こりえるはず無かろう」

井坂「私達医者は、皆さんを治療する義務があり責任があります。例え万が一でも治療ミスは許されない立場なのです」

井坂「分かってくれますねケイネスさん。今夜はこの病院に泊まってください」

ケイネス「…………仕方ない。君の指示に従おう」

井坂「ご協力感謝します。それにしても魔法少女達と違って魔術師が前線で戦うのは珍しいケースですね」

ケイネス(まあ、ファントム討伐は私の名に箔を付ける為でもあるからな)

井坂「魔術師の身体をを治療出来るなんて滅多に無い事です。ここは……ぺろり、じっくり隅々まで検査させてもらいますよ」

ケイネス「おい待て!貴様、個人的な理由で私を調べようとしているな!?」

井坂「いえいえ、まさかそんな……ただ貴方の魔術回路は非常に興味深い。そこに少しでもダメージが残っていれば事だと思いまして」

井坂「さあ……じゅるり、上着を脱いで裸になってください。大丈夫です、痛くしませんから」

ケイネス「やめろぉーー!!離せぇーー!!」

井坂「安心してください。私は貴方の魔術師としての身体にしか興味ありませんから」

ケイネス「安心できるかぁーーーーーーっ!!!!」

174 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/01(月) 21:42:22.93 ID:0dz9n47K0
――――


スノーホワイト「ねえラ・ピュセル、大丈夫だった?変な事されてない?」

ラ・ピュセル「変な事って何が?」

スノーホワイト「あの井坂先生って人、ラ・ピュセルを見る目が普通じゃなかったから……」

アリス「彼は捕食者の目をしてました」

ラ・ピュセル「大丈夫だよ。レアな魔法少女だとか言ってたけど軽い検査の後すぐ出て行ったから」

スノーホワイト「なんか危険な感じがするから絶対に近づいたら駄目だよ」

ラ・ピュセル「スノーホワイトがそう言うならそうするよ」

アリス「彼は裏で人体実験とかしててもおかしくありません」

ラ・ピュセル「アリスは手厳しいなぁ」


井坂深紅郎

魔法の国の出身で医者であり魔法使いだよ
天候の魔法が使えるよ
医療の腕は優秀だけどセクハラ紛いの言動で魔法少女達にすごく嫌われてるよ

175 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/01(月) 21:43:17.22 ID:0dz9n47K0
美容店


ソラ「はーいお疲れ様〜♪アイスあげるね」

女性客「えーうれしー、ありがとうございますー」

女性客「貰っちゃっていいんですかー?」

ソラ「サービスなんで♪」

女性客「やったー!」

ソラ「ありがとうございましたー♪また来てね〜♪」

ppp

ソラ(メール?何だろ?)

ファズ『私は魔法少女達のサポート役の電子妖精だ。二人だけで話がしたい。場所は――』

ソラ(電子妖精?よく分からないけど面白そう♪)


ファズと呼ばれる電子妖精の誘いにソラは警戒する事なく
むしろ歓迎して誘いを受け取る事にした。
そろそろ魔法少女達との接触を考えていた空にとっては願ってもいない話だった。


ファズ「初めましてだぽん。僕の名前はファズだぽん。よろしくぽん」

ソラ「うわースマホから声が聞こえるよ。すごいねー」

ファズ「このままでも良いけど、もっと効率良くやり取りがしたいからこれを渡すぽん」


突如、ソラの目の前に金と銀の装飾が施された怪物が出現した。
怪物は沈黙を保ったまま右手に握られているマジカルフォンをソラに差し出した。

176 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/01(月) 21:44:57.90 ID:0dz9n47K0
ソラ「彼は?」

ファズ「奴は僕が作り出した人口ファントム『ケルベロス』だぽん。僕が遠隔操作で操ってるぽん」

ソラ「へぇー、よろしくね。ケルベロス」

ケルベロス「」

ファズ「言語機能は無いぽん。それとこれからは、マジカルフォンで会話するぽん」

ソラ「あ、何か出た」

ファズ「これが僕のイメージ姿だぽん。ホログラムだけどね、ぽん」

ソラ「そうなんだ。可愛いね」

ファズ「可愛いのかよ……それで本題に入るが、もうこの喋り方をする必要は無いか」

ファズ「ソラ……君はワイズマンに忠誠は誓って無いようだなぁ」

ファズ「それに人間の頃の名にこだわりを持っている」

ファズ「お前、人間に戻りたいのだろう」

ソラ「うふっ……ウフフフ♪すごいね君、よく分かったね。僕の願いを」

ファズ「当然だ!この偉大なる頭脳を持った蛮……げふんげふん、ファズならそれぐらい知り得て当然だ」

ファズ「単刀直入に言おう。私が君の望みを叶える、代わりに私の目的を達成する為の手伝いをしてもらいたい」

ソラ「それは魅力的な条件だね。でもどうしようかな?」

ソラ「君の野心を魔法少女達に話して未然に防げば、僕の事を見直して彼女達が何とかしてくれるかもしれない」

ファズ「その時は残念だが、君はこの場でケルベロスに抹殺されることになる」

ソラ「ウフフフ……冗談♪いいよ。協力しようよ」
177 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/01(月) 21:45:37.88 ID:0dz9n47K0
ソラ「それで、どうやって僕を人間に戻してくれるの?方法を知ってるからこそ僕に交渉を持ちかけたんだよね」

ファズ「勿論だとも、だが正確に言えばファントムに人間の心を取り戻す事は不可能だ」

ソラ「どういう事?」

ファズ「私が出来るのはファントムの力を全て奪い取り、人間体の姿で固定させることだ」

ファズ「既に人間の心を持つ貴様なら、それで十分人間になりえるはずだ」

ソラ「……それは人間に戻れるとはちょっと違う様な……」

ファズ「それ以外に方法は無い。賢者の石の力でも人間に戻す応用は不可能と言っておこう」

ソラ「うーん、そうだ!もう一つ僕からの条件を飲んでくれたら、取引に応じるよ」

ファズ「言ってみろ」

ソラ「その方法で僕以外のファントムを一人、人間に戻してほしいんだ」

ファズ「それならお安い御用だ。そのファントムとは?」

ソラ「ウフフフ♪ミサちゃんだよ。あ、ファントムとしての名前はメデューサだよ」

ファズ「なぜメデューサを人間に戻したいのだ?」

ソラ「ミサちゃんの髪ってすっごく綺麗なんだ」

ソラ「でもミサちゃんったらあまり髪を大事にしないし、僕に整えさせてもくれないんだ。髪が可哀想だよ」

ソラ「それでファントムとしての力を奪って人間にしてから、二人っきりでずっと一緒に暮らして」

ソラ「そしたらいつかきっと僕の事を好きになるようになって……最期に彼女にするんだ」

ソラ「どう?とっても素敵でしょ?」

ファズ「あ、ああ……なかなかロマンチストだな」

ファズ(こいつ、気持ち悪いな)

ソラ「それで僕は何をすればいいの?」

ファズ「ファントムを人間に戻す方法だが、まだ理論上の段階で研究が足りない」

ファズ「その実験を確実に成功させるためにファントムを何体かモルモットとして用意してもらいたい」

ソラ「他のファントムを犠牲にね……とっても心苦しいけど願いを叶える為ならしょうがないか。分かったよ」

ファズ(心にも無い事を……)
178 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/01(月) 21:47:37.82 ID:0dz9n47K0
今回はここまで
ソラがお客さんにアイスあげるシーンは
ソラの人が別の番組で美容師役を演じた時のやり取りが元ネタです
179 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/06(土) 02:37:25.75 ID:IESZEfoJ0
華乃宅

華乃「……朝か」


目覚ましを止めて布団から起き上がる。
今日は嫌な夢を見た、母親の夢だ。
母は何故か夫の記憶が無い。


死んだのか離婚して別れたのかすら分からず。
夫に関する痕跡は全てが消えており、唯一の繋がりとなっているのは
二人の間に生まれた娘の私がいるだけだ。


母にとって夫の記憶が無いのはよほどショックだったのか。
欠落した記憶を埋めようとするように別の男と再婚した。
だが関係は長く続かず、離婚してはまた別の男と再婚する日々が続いた。


私はその生活がとても嫌だった。
再婚する度に現れる最悪な男共と、それにすがるしかない母親の姿を見せられるのは反吐が出た。
私は再婚相手の男と顔を合わせるのに苛立って一人暮らしを始めた。
学校とバイトを両立させるのは大変だがあの男と暮らすよりは遥かにマシだ。


気分転換に遊んでいたソシャゲの魔法少女育成計画をプレイしていく内に
偶然魔法少女に選ばれた私は、最初は仕方無しに人助けをしていた。
しかしトップスピードと出会い、共に活動を続け
すぐに暴力で解決しようとする私を友達として接してくれたクラスメイト達と過ごす内に
この街を守りたいと本気で考えるようになった。
一人、ふざけた話を振る男子にはイラッとさせられるが。


鬼島「ふざけるのは落語家の性分ですからねー。ハッハッハ」

180 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/06(土) 02:38:15.87 ID:IESZEfoJ0
回想の中で鬼島の声が聞こえた気がしたが、気のせいだろう。
ある日、クラスメイトの一人がファントムに襲われた。
トップスピードの助力があったおかげで守る事が出来たが
あと一歩、救出が遅れていたら命を奪われる所だった。


足りない、皆を守るにはまだ力が足りない。
私は更なる強さを得るために特訓を始めた。
力不足によって後悔する事が無い様に。


リップル(手裏剣やクナイを上空に放り投げる。全て自分を標的として)

リップル(飛び道具が私に向かって飛んでくる。それを全て捌き切る!)


多数の敵を同時に相手にする為の鍛錬だ。
ゴキブリのようなおぞましい姿をしたファントムは大量の配下を呼び出し
私は足止めを受けてクラスメイトの救出を遅らせた。


同じ轍は二度と踏まない。
相手が数に物を言わせて仕掛けて来ても迅速に対処しなければ。
それが今の私に出来る唯一の反省だ。


リップル(二発食らったか……。もっと素早く動かなきゃ)

トップスピード「お待たせ〜、ちょっと休憩してお弁当にしようぜ」

リップル「……分かった」

トップスピード「さぁさぁ、たっくさん食べてくれ!俺の自信作だからさ」

181 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/06(土) 02:38:44.52 ID:IESZEfoJ0
トップスピードが包みに入ったお弁当を見せながら笑顔でやってきた。
二つのタッパーの中にはそれぞれ、おにぎりと筑前煮が入っている。
おにぎりの具は鮭と鯵と金目鯛が入っている。
魚は焼いてからほぐしたのか、身が柔らかく鮭は塩味が効いていて
味が薄めな鯵と金目鯛は味噌と醤油でからめている。


筑前煮は鶏肉、人参、里芋、ごぼう、レンコン、こんにゃく、しいたけ、絹さやと
栄養バランスを考えて沢山の具材が入っている。
どの具材も旨味がしっかり染み込んでいて
下ごしらえの時点で相当の手間暇をかけているのが伝わってくる。


トップスピード「美味かったみたいだな。よかったよかった」

リップル(いつの間にか二個もおにぎりを平らげてしまった……)

リップル(鍛錬のせいでかなり空腹になっていたようだ)

トップスピード「ほい、お茶」

リップル「……ありがと」

トップスピード「あんまり根を詰めるなよ。体に手裏剣が刺さってる所を見ると心配になるからさ」

リップル「これでもまだ足りない」

トップスピード「そうか?すっげー頑張ってるじゃないか」

リップル「フェニックスには通用しなかった。もっと強くならなきゃ」

トップスピード「一人で勝てなくても皆で力を合わせれば大丈夫だって」

トップスピード「それにリップルに何かあったら俺がすぐに飛んでくるぜ」

リップル「……誰かに頼らなくても勝てるようになりたいの」

トップスピード「もうリップルったらツンデレなんだから〜」
182 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/06(土) 02:39:37.77 ID:IESZEfoJ0
ガーゴイル「見つけたッス。君達が魔法少女ッスね」

リップル「ファントムか」


二人の目の前にファントム、ガーゴイルが現れた。
リップルとトップスピードはすぐさま臨戦態勢を取った。


ガーゴイル「ワイズマン様の命により君達をやっつけにきたッス。覚悟するッス」

リップル「出来る物ならやってみろ!」

ガーゴイル「グール達!!行けッス!!」

リップル「遅い」


8体のグールがリップルに飛びかかる。
グールの武器をかいくぐりながらすれ違い様に日本刀で斬りつけ
次々とグールが爆散していった。


ガーゴイル「グール達が全部やられたッス!!」

リップル「次はお前だ!」

ガーゴイル「甘いッス!」ガキィン

リップル「ちっ……硬い」

ガーゴイル「俺の体は硬質化する事が出来るッス!そんな攻撃なんかへっちゃらッス!」

トップスピード「下がってろリップル!!」


リップルとファントムが戦っている内に十分な距離を取ったトップスピードは
最高速度を持ってガーゴイルへ体当たりによるぶちかましを放った。
強烈な衝撃はガーゴイルに多大なダメージを与え、空高く吹き飛ばした。


ガーゴイル「うわああああ!!ぶっ飛ばされったッス〜!!」

トップスピード「やっべ!遠くに行っちまったよ」

リップル「追おう」

183 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/06(土) 02:40:12.13 ID:IESZEfoJ0
人のいない山々で鍛錬していたのが功を奏して、ガーゴイルの飛ばされた先にも一般人はいなかった。
被害者の心配は無いが、周囲の反応も無いため二人にはガーゴイルを発見する術も無かった。


ガーゴイル「う〜、痛いッス。ボロボロッス」

ソラ「物の見事にやられちゃったね。タケヒトくん」

ガーゴイル「あ!グリムリン、あの魔法少女達はかなり手強いッス」

ソラ「そうみたいだね。ねえ、彼女達に勝ちたいなら良いアイディアがあるんだけど知りたい?」

ガーゴイル「知りたいッス!教えてほしいッス!」

ソラ「それなら場所を変えよう。ここにいたら魔法少女達に見つかるかもしれないからね」

ガーゴイル「分かったッス。移動するッス〜」


――――


リップル「ちっ、見失った」

トップスピード「あ〜、わりいわりい。俺がぶっとばしちまったせいだな」

リップル「そんな事ない。どの道、私の攻撃だけじゃどうしようも無かったから」

トップスピード「お、励ましてくれんのか?嬉しいなぁ〜」

リップル「……調子に乗って」

184 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/06(土) 02:40:40.41 ID:IESZEfoJ0
どこかの廃墟


ガーゴイルは手術用のベッドで寝かされていた。
手足は特殊な拘束具によって完全に固定されている。
周囲には怪しげな機械が多数設置されており悪魔の実験が開始されていた。


ファズ「よぉし、始めようか」

ガーゴイル「ひぎゃああああああああッッッッ!!!!」

ファズ「まずは貴様のエネルギーを吸い取る。抜いた過剰なエネルギーの逃げ道はケルベロスへ送り込む」

ファズ「力を極限まで弱めた状態で、彼の遺伝子を操作して二度とファントムの力が取り戻せない体質に変化させる」

ガーゴイル「ぐっがががぁ、ぎぎっぎぎい、ごがぁあーーッ!!」

ソラ「うわあ〜苦しそう♪」

ガーゴイル「な、なんで……?」

ソラ「ん?」

ガーゴイル「なんで……こ、んな……酷い、ことを、するん……ッスか?」

ソラ「ごめんね〜タケヒト君、これも僕の願いを叶える為なんだ。だから諦めて受け入れてよ」

ガーゴイル「そ、んな……おれた…ち……なか、まじゃ……無かっ、たん、っすか…?」

ソラ「ウフフフ……君達ファントムとなんて、初めから仲間とは思ってないよ」

ガーゴイル「ううっ……ぐ、がぁああぎぃいいいッ!!……げはっ……」


ソラの笑みが消えて冷たく言い放つ、その同胞の姿に絶望したガーゴイルは
実験によるダメージの限界を超え、血を吐いて絶命した。


ファズ「ん?間違ったかな?」

ソラ「ほんとに成功するの?その実験」

ファズ「心配するな。あと数体のファントムを犠牲にすれば確実に上手く行く」

ファズ「それよりも、この実験をワイズマンの奴に悟られて妨害されないようにする事を考えろ」

ソラ「その点は大丈夫だよ。ワイズマンには別の事で警戒せざるを得ない状況を作るからさ」

185 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/06(土) 02:43:17.68 ID:IESZEfoJ0
ファントムのアジト


ファズの最初の実験が終わり、ファントム達のアジトへ帰ってきたソラは地下奥深くへと進んだ。
そこはワイズマンの許可無く侵入する事は許されない場所である。
長い階段を降りて扉を開けた、そこには一つの棺があった。


ソラ「ウフフフ、さぁ目覚めの時だよ」


棺の封印が解除され、眠っていた人物が目を覚ました。
彼は強大な力を保有しておきながら、底知れぬ野心を秘めており
ワイズマンにとって手に余るその存在は障害になると判断し、長きに渡る封印を施した。


その人物の名は――――剣聖ビルゲニアである。


ソラ「おはよう、クラモチさん」

ビルゲニア「私の封印を解いた、という事はワイズマンもよっぽど追い込まれている現状かな?」

ソラ「ああ、違うよ。クラモチさんの封印を解いたのは僕の独断なんだ」

ビルゲニア「ほう、面白い。説明してもらおう」

ソラ「うん、それはね……」


ワイズマン、ファズ、ソラ、そしてビルゲニア
魔法少女達の知らない場所で様々な思惑が交差していく。
186 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/06(土) 02:45:28.17 ID:IESZEfoJ0
今回はここまで
エキサイティング!のファントムは出ません
悪役たちが足を引っ張り合ったのが原因で主役に倒されるのは特撮でよくある話です
187 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:39:35.82 ID:VnMld+bP0
ビルゲニアが復活し、ファントム達の前に姿を現した。
招かれざるその存在に洞窟内にざわめきが広がった。


ビルゲニア「久しぶりですなぁ。ワイズマン、元気そうで何よりだ」

ワイズマン「こいつを蘇らせたのは誰だ?」

ソラ「ハロー、僕だよ♪」

メデューサ「グレムリン……覚悟は出来てるんでしょうね?」

ワイズマン「貴様は勝手な行動が目立つな」

ソラ「うぐっ……」

ワイズマン「このまま始末してくれようか」


ワイズマンの魔法によって出現した鎖がソラの体を締め上げる。
更に電撃の魔法を繰り出しソラを苦しめる。
その時、ビルゲニアが横から入り、ビルセイバーを振るって鎖を切り落とした。


ビルゲニア「今はファントム同士で憎み合っている場合ではない。それはワイズマンも理解している筈では?」

ワイズマン「何?」

ビルゲニア「この状況の中で権力争いにかまける程、私も愚かでは無いという事ですよ」

ビルゲニア「あのフェニックスも敗れる程の魔法少女達の存在、捨て置く訳には行かない」

ビルゲニア「そこでグレムリンは私の助力が必要だと考え、命令違反なのを承知で私を開放したのだ」

ビルゲニア「自らが処刑される覚悟でファントムの為に行動する。見上げた忠誠心ではありませんか」

リブラ「あいつは、グレムリンはそんな殊勝な男では無い!!」

リブラ「ワイズマン様!私に魔法少女討伐の許可を、ビルゲニアの力など必要ない事を証明してみせます!」

ワイズマン「そうか。ならば君に任せるとしよう、リブラよ」

ビルゲニア「ではでは、お手並み拝見といきましょうか。報告を期待しているよ」

リブラ「では行って参ります。ワイズマン様の期待に答えて見せましょう。星に願いを」

188 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:40:13.28 ID:VnMld+bP0
――――


ワイズマン「……なぜ、私の傍で待機している?ビルゲニア」

ビルゲニア「いつワイズマンの元に魔法少女達が襲撃に来るかも分からない。護衛がいた方が良いと思いましてな」

メデューサ「ワイズマン様は私が命に代えても守る。お前は必要無い」

ビルゲニア「それにワイズマンは私の事をいまいち信用なされていない様子」

ビルゲニア「それなら、不穏な動きを取らせない様、目の届く場所に置いた方が安心できるという物ではありませんか?」

ワイズマン「いいだろう。今は貴様のその言葉を信用してやる」

ワイズマン(ビルゲニアの野心は知っている。ファントムの王となるべく私の命を狙っているのは諦めていない筈だ)

ワイズマン(何か不穏なそぶりを見せた時、即始末すれば問題は無かろう)

ビルゲニア「その信用が長く続くように努力いたしましょう」

ビルゲニア(ワイズマンは自らの目的の為にファントム達を捨て駒にする算段だとグレムリンは言っていたな)

ビルゲニア(そのワイズマンに対抗できる唯一の戦力が私だと伝え、奴の監視を頼まれた)

ビルゲニア(ワイズマンがファントムを裏切るなら丁度いい。私が堂々と引導を渡してやろうではないか)

ビルゲニア「所でメデューサ、リブラの言っていた『星に願いを』とはどういう意味だ?」

メデューサ「……知らない」

189 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:40:47.59 ID:VnMld+bP0
――――


ソラ「ちょっと危険な賭けだったけど上手く行ったみたいだね」

ソラ「これでワイズマンはビルゲニアに警戒せざるを得なくなる」

ソラ「ファズの研究の妨害を受ける可能性は極力下がったよね」


その頃、華乃の通う学校では


速水「ふっふっふっ……私が新たに会得した魔法、ラプラスの瞳を使う時が来た」

速水「これは魔法少女に変身できる力を持った一般人を見つけられる魔法なのだ」

速水「過去にゲートを狙った時の魔法少女の出現の速さを考えると、この学校の人間の可能性が高い」

速水「まずは1つずつ、クラスを覗いて行くとしよう」


――――


速水(……このクラスもハズレ、なかなか見つからない物だな)

速水(ん?ここは前に襲ったゲートがいるクラスか)

烏丸先生「これでホームルームは終わりだ。お前ら気を付けて帰れよ」

カレン「提督、お疲れ様デース!!」

華乃(さて、帰るか)

こけし「華乃さん、帰りに一緒にお店に行きませんか?」

華乃「悪い、今日はバイトの日なんだ」

ココア「どこでバイトしてるの?」

華乃「……秘密、じゃあね」

陽子「おつかれー♪」

和菓子「ま、まさか華乃さんのバイトっていかがわしいお店なんじゃ……」

綾「何言ってるのよ千夜ったら、そんな訳無いでしょう」

アリス「ねー、シノは華乃さんをどこのお店に誘うとしたの?」

こけし「『フルール・ド・ラパン』というお店ですよ。実は割引チケットを沢山貰ったのです」

和菓子「あら、そこは私の親友が働いてるお店だわ」

ココア「美味しいハープティーが沢山あってとっても素敵なお店だよ」

カレン「オゥ!雑誌で紹介されているのを見た事あるデース!」

こけし「華乃さんが来ないのなら割引チケットが一枚余りますね……」

カレン「そうだ!ヘイ、鬼島ー!!」

鬼島「アタシに何かご用で?」

カレン「鬼島も一緒に行こうデース」

鬼島「そうだねぇ。気分転換にもなるしアタシもご一緒させてもらいましょう」

カレン「ヤッター」

190 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:41:20.19 ID:VnMld+bP0
――――


速水(まさか、細波華乃という生徒がくノ一の魔法少女だったとは、思わず声を出してしまう所だった……)

速水(今ここで襲撃すると騒ぎになり、また魔女の魔法少女が邪魔しに来る可能性がある)

速水(ここは人の少なくなった機会を狙って命を奪うとしよう)

速水(戦いとは冷静な判断力を持っている者こそが勝利を掴めるという物だ)


フルール・ド・ラパン


陽子「おー、オシャレなお店じゃん」

綾「本当、素敵ね〜」

シャロ「いらっしゃいませお客様」

こけし「金髪ぅーーーーッ!!!!」

シャロ「お、お客様ーー!?」

アリス「もうシノったら金髪を見るとすぐこれなんだから」

華乃「何かあったかシャロ?……って皆!?」

華乃(み、見られた……恥ずかしいから秘密にしてたのに……)

カレン「華乃ー!メイド姿がとっても似合うデース!」

ココア「うん、すっごく可愛い!!」

鬼島「アッハッハッハwwwアタシを笑わせるとは、華乃もなかなかやるねぇ」

華乃「…………」イラッ

和菓子「違うのよ華乃さん、鬼島さんは馬鹿にしてる訳じゃなくて笑顔になるほど綺麗って言いたいのよ」

鬼島「そうそう。普段のイメージからは想像も付かないほど綺麗な格好をしてたからさ……ぶははは!!」

華乃(……後で鬼島絞めよう)

ソラ「友達の言う通り、君の格好はとってもよく似合ってるよ」

華乃(誰こいつ?)

ソラ「初めまして、華乃ちゃん♪」

華乃(こいつ、私の名前を知って……)

カレン「二人は知り合いデスかー?」

ソラ「うーん、華乃ちゃんの身内の知り合いって所かな」

女性店員「キャー!ソラさん来てくれたんだー!」

ソラ「ハロ〜♪この前、お店に来てくれた時に割引チケットくれたからね」

ソラ「それにしてもここの制服可愛いね。僕は白い服が大好きだから気に入ったよ」

女性店員「そうなんですよ〜。私もこの制服が好きでここでバイトしてるんですよ〜」

華乃(この男、怪しい……)

191 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:41:50.07 ID:VnMld+bP0
――――


陽子「ここのお菓子美味いな〜」

綾「ハーブティーも良い香りで頭がすっきりしたわ」

こけし「はぁはぁ……その金髪モフモフしていいですかぁ?」

シャロ「ココアーー!彼女を何とかしなさいよーー!」

ココア「シノちゃんは金髪が大好きなんだよ」


美味しいお菓子とハーブティーにクラスメイト達は舌鼓を打ち
談笑をしばらく楽しんだ彼女達は華乃に別れの言葉を残して解散した。


華乃(もう少しで今日の仕事も終わり、あと一踏ん張りだ)

ソラ「ねえ、華乃ちゃん」

華乃「ご注文ですか?」

ソラ「そう警戒しないで、これ受け取って」


ソラがにっこりと華乃に微笑みながら名刺を差し出す。
どうやら彼は美容師らしい。


ソラ「今度、僕のお店に来てよ。安くするからさ。君の髪をもっと綺麗にしてあげる」


そう言ってソラは会計を済ませて店から出て行った。


女性店員「彼って素敵でしょ〜、でも惚れない方が良いよ。ライバル多いからね」

華乃「あんたも好きなの?」

女性店員「キャー!分かる〜?もしソラさんの彼女になれたら私死んでもいい!なんちゃって」

シャロ(私はリゼ先輩と……はっ!何考えてるのよ私ーーッ!!)

192 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:42:35.04 ID:VnMld+bP0
――――


華乃(今夜も魔法少女の仕事があるしさっさと帰って休まなきゃ)


バイトも終わり、店から出た華乃は自宅へと向かっていた。
その彼女の背後へ迫る敵の影がいた。


リブラ(ここなら人通りも少ない。やるなら今だ。死ねぇ!!)

華乃「ッ!?」


物音が気づいた時にはもう遅い。
リブラの錫杖が華乃の目の前に迫り、変身する時間が無かった。


ソラ「危ない!!」

華乃「あんたは!?」

リブラ「何ッ!?」


寸前でソラに突き飛ばされた事で華乃はリブラの錫杖の攻撃から外れた。
しかし庇った事でソラの腕が傷ついて血が流れる。


リブラ「ええい!!何をしているグレムリン、裏切ったか!?」

ソラ「彼女は……殺させないよ。誰にもね……」

華乃「グレムリン?あんた、ファントムか?」

リブラ「ファントムが魔法少女を庇うとは……罪が重いぞ。どけぇ!!」

ソラ「うわあああ!!」


リブラの攻撃を受けたソラの体は吹き飛ばされ、川へと転落していった。
思わぬ妨害に余計な時間を取られたリブラだったが頭を切り替えて、再び華乃へ狙いを定める。
華乃の姿は既にいなかった。リブラの目の前には変身を済ませた魔法少女、リップルが立っていた。

193 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:43:05.38 ID:VnMld+bP0
リブラ「しまった、既に変身済か!!」

リップル「お前は……あの時のファントム」


リップルの心は怒りに震えていた。
大切なクラスメイトの命を奪おうとしたファントム。
地面を蹴ってリブラへと斬りかかる。
日本刀の一撃は錫杖で防がれるも、意に介さず攻撃を繰り返した。


リップルはそれほど筋力を持った魔法少女ではない。
パワーよりスピード、一撃必殺よりも手数を駆使した攻撃を得意とする。
リブラを翻弄するように動き回りながら上下左右、様々な方向へ斬撃を繰り返した。


リブラ(馬鹿な……前に戦った時は、一対一では私が上手だった筈だ)

リップル「二度とゲートを狙わせない、覚悟しろぉ!!」

リブラ(人間を守ろうとする一心で成長したか。厄介だな)

リブラ「ここは引かせてもらおう。次こそ貴様の命を頂く」

リップル「待て!!ちっ、逃げられた」


リブラの幻影魔法がリップルを包み込み、晴れた時には本体の姿はどこかへと行ってしまった。


リップル(そうだ、あいつは……!?)


グレムリンと呼ばれるファントムは川へと落ちたきり、浮かんでこない。
まさか溺れたのでは?とリップルの脳裏に不安がよぎる。
ファントムだというのが本当なら助けるべきではない。
でもなぜ自分を助けたのか、彼は本当にファントムなのか?
そんな不安で胸が一杯になったリップルは川へ飛び込まずにはいられなかった。

194 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:44:04.82 ID:VnMld+bP0
――――


ソラ「ん……君が僕を助けてくれたのかい?」

リップル「……さぁ」

ソラ「あっ!!帽子が無い!!僕の大事な……っつ!」

リップル「大丈夫か?」

ソラ「良いのかい?魔法少女がファントムなんか助けてさ」

リップル「どうして私を助けた?それが知りたかっただけ」

ソラ「女の子を助けるのに理由がいるのかな」

リップル「ふざけてるのか?」

ソラ「魔法少女達とお話したかったからさ。だから今死んでほしく無かったんだ」

リップル「ファントムなんかと話す事は無い」

ソラ「ウフフフ、前にケイネスと会った時もそう言われて追い出されたよ」

ソラ「だからファントムとしてじゃなく人間としてお話したかったんだけどなぁ」

リップル「なんで魔法少女と話したがってるんだ?」

ソラ「僕は他のファントムと違って人間の心が残ったまま生まれたんだ。だから魔法少女達と仲良くなれると思ってね」

ソラ「それでお話しして、お互い理解し合えれば戦わなくて済むかなって」

リップル「人間の心が残ってる?」

ソラ「嘘じゃないよ。今でも美容師として働いているし人間としての生活を続けてるんだよ」
195 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:47:49.28 ID:VnMld+bP0

リップル「……なんでお前たちはファントムを増やしている?世界征服でも企んでいるのか?」

ソラ「もう一度サバトを開く、日食の日しか開けないサバトをファントムの魔力を集めて無理やり開くのさ」

リップル「そんな事、絶対させない!コヨミのような犠牲者を出させない!」

ソラ「コヨミ?ああ、ケイネスの傍にいた魔力で動くお人形さんか」

リップル「コヨミは人形じゃない。人間だ!コヨミはファントムを産んで抜け殻になったゲートだと言っていた!」

ソラ「それは変だねぇ。ファントムを産んで体が残るなんてありえないよ」

リップル「何?」

ソラ「まあ、いずれ分かる事さ」

リップル「……あんたはこれからもファントムとして人を襲うのか」

ソラ「だからファントムじゃないってば 僕はソラ、今も昔も、そしてこれからもね」

リップル「答えになってない」

ソラ「はっきりしてるのは僕は君達魔法少女と同じく、人の心を持ってる……それだけさ」

ソラ「楽しかったよ。じゃあね」

リップル(……あいつの言ってる事は嘘だとは思えない、だけど信用していいのかも分からない)

リップル(一つだけ確信が持てるのは、あいつは他のファントムとは何かが決定的に違う)

リップル(あいつの本音を全て知り得るまで慎重に対処しなければ……)

196 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:48:53.69 ID:VnMld+bP0
今回はここまで
ファントムの襲撃からリップルを助けるなんてソラって本当は良い人なのかな?
197 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/16(火) 23:57:50.28 ID:4H/fVOJM0
ファズのラボ


ソラ「ねえファズ」

ファズ「……なんだ?」

マンティコア「うぎゃああああああああーーーー!!!!」

ソラ「華乃ちゃんの事をもっと教えてよ」

ファズ「なぜそんな事を知りたがる……この臓器は慎重に切除して止血するっと……」

マンティコア「あががががぁーーーーー!!」

ソラ「僕ね……華乃ちゃんの事、好きになったかも♪」

マンティコア「」

ファズ「好きになっただと!?……実験体がくたばったか。良い線まで進んだが」

ソラ「だって華乃ちゃんって僕がファントムであるのを知ってて助けてくれた優しい子なんだよ」

ソラ「この高鳴る感情、まさに恋って奴だよ」ゾクゾク

ファズ「なら私が知っている情報を教えてやろう」

ソラ「ウフフフ……ありがとうファズ、はぁはぁ……」

ファズ(こいつ、なんか危ないクスリでもキメてるんじゃないのか?)

198 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/16(火) 23:58:28.95 ID:4H/fVOJM0
ファントムのアジト


ビルゲニア「おやおや、魔法少女を倒してみせると粋がっていた割りにこの結果とはな」

リブラ「一体どういうつもりだ!?グレムリンが私の妨害をするとは、ビルゲニアの策略か?」

ビルゲニア「ん?そんな命令はだしておらん。何があったか言ってみろ」

リブラ「私が魔法少女を追い詰めた所で奴が現れて魔法少女を庇ったのだ」

リブラ「そのせいで私は千載一遇のチャンスをふいにされてしまった」

メデューサ「分かったわ。貴方は引き続き任務を継続しなさい」

リブラ「……了解した」スタスタ

メデューサ「グレムリンの行動に何か心当たりはあるかしら?ビルゲニア」

ビルゲニア「さあ、知らんな」

メデューサ「一体何を企んでいる……グレムリン」

199 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/17(水) 00:03:55.27 ID:mmHuulrE0
――――


リブラ(やはり腹の虫が収まらない)

リブラ(グレムリンを追跡して何か弱みを握ってやらねば)

リブラ(私の邪魔をした罪の重さ、思い知らせてやる)

リブラ(それにしてもワータイガーと共にこんな寂れた場所まで移動して何をしているのだ?)


ファズのラボ


ソラ「ようこそイカワくん、ファズのラボへ」

ワータイガー「無駄話はいい。魔法少女達に勝つ作戦とやらをさっさと話してもらおうか」

ソラ「ウフフフ、その前に君には実験体になってもらうよ」

ケルベロス「ぐるるるる!!」

ワータイガー「なんだこいつは!?ぐほっ」

ファズ「さぁケルベロスにソラよ。奴を実験用のベッドに寝かせて拘束するのだ!」

ソラ「りょ〜かい♪」

ワータイガー「貴様ら、何のつもりだ!!」

ソラ「ごめんねぇ。魔法少女達に勝つ作戦を教えるってのは嘘、本当は君をここに招き入れたかっただけなんだ」

ワータイガー「おのれぇ!!俺を騙していたのかァーー!!」

ファズ「さっさと実験を始めるとしよう」

ワータイガー「許さん……絶対に貴様らをゆるさ ぐぎぎ、ぎぎゃああああァーーーー!!」

200 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/17(水) 00:04:27.51 ID:mmHuulrE0
――――


リブラ(恐ろしい事実を知ってしまった)

リブラ(すぐにワイズマン様に伝えなければ)パキ

ファズ「ん?」

ソラ「おや?」


リブラが後ろへと一歩下がった拍子に瓦礫の一部を踏んづけた。
運悪く、その音が悪魔の実験を繰り返している連中に感づかれた。


リブラ(気付かれた、気付かれた、気付かれた!!)


リブラは全力で走った。
戦っても勝ち目は無い、捕まったら殺される、と本能が危険信号を最大にして告げていた。
背後の様子を確認する余裕は無い。
ひたすら前のみに視線を向けて逃げた。
足元に何かが入り込み、リブラは受け身も取れずにぶざまに転がった。


リブラ「うぐ、ああ……」

ソラ「覗き見なんて趣味悪いよ。ハヤミ」

リブラ「来るな、近づくなァー!!」

ソラ「その怯えよう、やっぱり見っちゃったんだ。なら逃がす訳には行かないね」

リブラ「はぁ……はぁ……うわああああああ!!」

ソラ「僕と戦うつもり?良いよ。相手してあげる」

201 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/17(水) 00:05:34.11 ID:mmHuulrE0
――――


ソラ「ただいま」

リブラ「ぐぐっ……」

ファズ「帰ってきたか。そいつは生きているようだな」

ソラ「殺したら実験体にならないからね」

ファズ「こっちは丁度実験が終わった所だよ。惜しい所まで行ったが失敗だ」

ソラ「じゃあ、早速ハヤミを使おうよ」

ファズ「うむ、ファントムが一人で追跡に来るとは鴨にネギだよ」


――――


速水「うう、ぐっ、はぁはぁ……」

ファズ「実験は成功だ!!流石偉大なる天才科学者よ。己をひたすら称えたい気分だよ」

ソラ「へぇ〜。半信半疑だったけど本当に成功しちゃうなんて凄いんだね♪」

ファズ「もっと褒めてもいいぞ。後はそのミサと君の力を奪えば望みは叶うぞ」

ソラ「そうだけど、今のミサが僕の言う通りに来てくれるのは難しいと思うから」

ソラ「信用を取り戻す為の行動を見せなきゃね。それまで待っててよ」

ファズ「そうか」

ソラ「その前に、本当に実験が成功しているか確かめさせてね」

ファズ「私の腕を疑うのか」

ソラ「そうじゃないけど、万が一に力を取り戻して僕が返り討ちにされたらシャレにならないからね」

ソラ「念には念を入れないとね」


ラプチャーと呼ばれる双剣を持ったソラがゆっくりとリブラに近づく。
ファントムの力を奪われ、一般人同然の存在となった彼には抵抗する術がない。


速水「うわあああああ!!やめてくれェーーーー!!」

ソラ「苦痛によるショックでファントムの力が戻るかどうか試させてね。ハヤミ♪」


ラプチャーがリブラの左手の甲を突き刺した。
苦痛に悶えるリブラをソラは笑いながら何度も体を突き刺した。
長く苦痛を与える為に、死なない程度に加減をして何度も何度も……




リブラの悲鳴は一日中続いた――。



202 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/17(水) 00:06:28.08 ID:mmHuulrE0
次の日


ソラ「ハロ〜、華乃ちゃん♪」

華乃「またお前か。何の用だ?」

ソラ「つれないなぁ。今日は僕のサロンへ華乃ちゃんを招待しようと思って声をかけたんだ」

華乃「興味無い」

ソラ「僕が美容師なの知ってるよね?だから僕が人間らしく生きている事を見せたくてさ」

ソラ「美容師としての腕なら自信はあるし、もちろんタダだよ。僕の気持ちだと思って来てほしいんだ」

華乃「悪いけど魔法少女としての仕事があるから」

ソラ「そうなんだ……華乃ちゃんとなら僕と仲良くしてくれると思って誘ったんだけどな……」


陽気な笑顔を見せていたソラの表情が暗くなる。
まるで飼い主に捨てられた子犬のような寂しさを感じさせる悲しい表情を見せる。
罪悪感に胸が痛んだ華乃は、少しの間だけなら付き合ってもいいと考え直し
ソラに話しかけようとした所で、腹部に激痛が走った。


華乃「なっ……!?」

ソラ「ごめんね。華乃ちゃん、どうしても連れて行きたかったんだ」


華乃の意識が闇に沈んでいく。
ソラの顔はいつも通りの陽気な表情を浮かべていた。


ソラ「だってさ……白い服を着て、あんな綺麗な長い黒髪を見せられたらさ……」

ソラ「僕はもう、これ以上は我慢できそうに無いんだよね。ウフフフ、ウフフフフフ♪」


華乃の黒髪を手で絡める様に触れながら、ソラは華乃を抱えてサロンへ運んでいった。
過去に沢山の彼女を連れて行き、命を奪っていった処刑場とも言えるその場所へ。

203 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/17(水) 00:08:11.38 ID:mmHuulrE0
今回はここまで
次は対ソラ戦です。負けたらリップルがR18Gな事されそうで興奮する
204 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:28:59.75 ID:ExRm67P+0
ソラのサロン


華乃「……ううっ」

照明の光に照らされて華乃が目を覚ます。
簡素な固いベッドで寝かされてるのを理解し、起き上がろうとするが身体が動かない。
ベッドの四隅に手錠のような物が設置されており
華乃の手足はガッチリと固定されていた。


ソラ「起きたんだね。どう?素敵なサロンでしょ?」


四方を赤いカーテンで覆い、様々なオプジェが設置された部屋。
幻想的とも言える雰囲気を醸し出しているが
華乃にとっては、まるで悪魔の儀式に使われる祭壇のような不気味な空間としか思えなかった。


華乃「早くこれを外せッ!!」

ソラ「でも一番素敵なのは君の服装だよ。華乃ちゃん♪」


自分の格好を見て華乃は驚愕する。
学校の制服を着ていた筈の服装が白いワンピースに替えられていたのだから。


ソラ「やっぱりこの格好が似合うと思ったんだ。素材を生かしたシンプルな服装が清涼感あって素敵だ」

華乃「……まさか、私が意識を失っている間に……」

ソラ「うん!着替えさせてもらったよ。とっても綺麗なお肌だったよ」

華乃「きさまぁっ!!」

205 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:29:27.88 ID:ExRm67P+0
華乃の姿が変わり魔法少女リップルに変身する。
力を込めて抜け出そうとするが拘束具はビクともしない。


ソラ「あらら、服装が変わっちゃった。似合ってたのに、でもこの格好もなかなかキュートだよ」

リップル「ちっ、外せない」

ソラ「ウフフフ、そのベッドはね。有志の方に譲り受けた道具なんだ」

ソラ「例えファントムの力でも抜け出すのは不可能さ。外すにはこの装置にある赤いスイッチを押さないとね」

リップル(……それなら何か道具さえ投げればスイッチに命中させて外す事が出来る。何か無いか!)

ソラ「まだ諦めてない表情だね。そうこなくっちゃ、簡単に折れちゃ面白くないからね」


辺りを見渡すも手足が固定されてる状況では、手元に物を寄せる事が出来ない。
脱出を試みるリップルへとソラはゆっくり歩み寄り、手裏剣の形をした髪飾りを奪い取る。
結ばれた黒髪が解け、軽く一房作って掴んだソラはさわさわと黒髪の感触を楽しむ。


ソラ「こうした方が僕の好みだなぁ。あぁ〜いい香りだ」

リップル「……ッ!?このっ変態がぁ!!」

ソラ「あははっ、それってご褒美かな?ぞくぞくしちゃう」


懐から鋏を取り出し、刃の輝きをリップルに見せつけるように近づけた。
リップルの視線が鋏へ向けられるのを楽しみながら一房に纏められた髪へと運び
無造作にバッサリと切り落とした。

206 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:30:17.66 ID:ExRm67P+0
――――


トップスピード(おかしいぜ……待ち合わせ場所にリップルが現れないし連絡も取れやしない)

トップスピード「おい、ファズ!!」

ファズ「なんだぽん?」

トップスピード「リップルの居場所を教えろ!!今すぐにっ!!」

ファズ(ここで非協力的な意見を言うと、後々良からぬ疑いをかけられるかもしれん。ここは従うとしよう)

ファズ「分かったぽん。今送ったデータの場所にリップルのマジカルフォンがあるぽん」

トップスピード「恩に着るぜファズ。じゃあな!」

ファズ(この後はソラ自身が上手くやるだろう……多分)

207 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:30:54.96 ID:ExRm67P+0
――――


リップル「……っ!」

リップル(こいつは私を徹底的に苦しめてから殺す気だ)

リップル(ただ殺すだけなら、こんな周りくどい真似何かしない)

ソラ「いいねぇ〜。命を奪われる恐怖を必死に押し殺しながら耐えるその表情、苦痛で歪ませたくなるよぉ」

ソラ「安心していいよ。君はすぐには殺さないから、初めて出来た魔法少女の彼女だからね。じっくり丁寧に愛してあげる

リップル「いつ私がお前の彼女になった?」

ソラ「冷たいなぁリップルちゃん。僕達似た者同士なのにさ」

リップル「似ている?」

ソラ「だって君と君のお母さんはお父さんに捨てられたんだよね?」

リップル(あいつ、私の過去を知っているのか?)

ソラ「君が捨てられたように、僕も捨てられたんだ……大切な人にね」

ソラ「けど僕は捨てられたりしない……捨てるのは僕の方だ」

ソラ「丁度いい〜君が死ねばミサちゃんを誘い出すための信用も得られて一石二鳥だからさぁ」

208 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:32:55.04 ID:ExRm67P+0
――――


リップル「……っ!」

リップル(こいつは私を徹底的に苦しめてから殺す気だ)

リップル(ただ殺すだけなら、こんな周りくどい真似何かしない)

ソラ「いいねぇ〜。命を奪われる恐怖を必死に押し殺しながら耐えるその表情、苦痛で歪ませたくなるよぉ」

ソラ「安心していいよ。君はすぐには殺さないから、初めて出来た魔法少女の彼女だからね。じっくり丁寧に愛してあげる

リップル「いつ私がお前の彼女になった?」

ソラ「冷たいなぁリップルちゃん。僕達似た者同士なのにさ」

リップル「似ている?」

ソラ「だって君と君のお母さんはお父さんに捨てられたんだよね?」

リップル(あいつ、私の過去を知っているのか?)

ソラ「君が捨てられたように、僕も捨てられたんだ……大切な人にね」

ソラ「けど僕は捨てられたりしない……捨てるのは僕の方だ」

ソラ「丁度いい〜君が死ねばミサちゃんを誘い出すための信用も得られて一石二鳥だからさぁ」

209 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:34:15.43 ID:ExRm67P+0
帽子を脱いだソラの表情には笑顔が消え、獲物を狙う肉食獣の様な鋭い目付きへと変わる。
荒々しい息遣いとなり、リップルの頬へ手を伸ばした。


リップル「触るな……」

ソラ「最初は服装が変わって残念だと思ったけど……よく考えたらさ」

ソラ「人間時の華乃ちゃんと魔法少女になったリップルちゃんの二つの肉体を味わえるって事だよね」

ソラ「それってとってもお得だよねぇ。僕はやっぱりついてるなぁ」


髪の先から足のつま先まで舐めるように見つめるソラの視線が
リップルに羞恥心と恐怖心を植え付けていく。


リップル「……っ!?」


ソラの下半身の変化に気付いたリップルは小さな悲鳴が無意識の内に声に出てしまう。
下腹部からはズボン越しからでもくっきりと形が分かる程に
男のソレがそそり立っていた。


リップルが自身の下半身を見て怯えたのに気づくと
ソラはくくっと嘲笑い彼女の躰を撫で回す。
殺人衝動と性欲が混ざり合ったドス黒い欲望をリップルで発散出来ると考えただけで
彼の怒張は収まりそうにない。

210 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:35:06.58 ID:ExRm67P+0
ソラ「これだけ挑発的な格好をしている割りに男性経験は全く無かったのかな?」

ソラ「それともアレかな?本当はこういう事されたかったりとか?」

リップル「嫌っ!!」


ソラの手が彼女の豊満な胸を鷲掴む。
恐怖で身がびくんっと震え上がり、ソラの手から逃れようと身体を横に振った。
カチャカチャと拘束具の音が響くだけのささやかな抵抗もお構いなしに
ビキニの中まで指を忍び込ませていく。
ごつごつとした手の感触が、男に触れられているのを否応にも感じさせられ
抵抗も出来ずに男に身体を弄ばれて、悔しさの余り涙が溢れてきた。


リップル「ううっ、ぐすっ……」

ソラ「泣いちゃった。本当に未経験だったんだね。かわいいなぁリップルちゃん」

ソラ「僕が初めての男になるんだ。すごくそそられるよ」


ソラは大量の涙でぐしょぐしょに濡れたリップルの顔を優しく拭い。
両手で顔を押さえつけて、ソラの唇とリップルの唇を重ね合わせた。


リップル「っんん!!??」

リップル(そんな、無理やり……私の初めてのキスが、こんな男に……)


リップルの唇にむしゃぶりつくソラに恐怖し、目を閉じて身を縮みこませて
ソラの行為から逃れようとするも顔ががっちりと押さえつけられ固定されている。


リップル(ううう……いやぁ……)

リップル「っ!??」


気持ちの悪い何かが、唇の間を割って侵入してきた。
にゅるりとした、熱く長いモノが口内を這いずり回る。
これは、まさか……。


リップル「んっーー!!!!んん〜〜〜〜!!!!」


それがソラの舌だと気付いた時、私は必死に叫ぼうとして呻き声をあげた。
抵抗になる所かソラの情欲をただ掻き立てるだけの行為にしかならず
更に口内を蹂躙していく。

211 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:36:01.45 ID:ExRm67P+0
ソラの舌が、息が、唾液が、口内を汚していく。
男の味が体内まで浸み込まされていく。
私の舌とソラの舌がくっついて絡み合ってくる。


リップル(気持ち悪い、汚らしい、もう嫌だ……)

ソラ「はぁ……どうだった?初めてのキスの味は?」

リップル「…………」


不快感でしか無かった長い口付けが終わる。
威勢を張るだけの気力すら無かった。


ソラ「言葉にもならないほど嬉しかったみたいだね」

ソラ「じゃあ次はこっちの方も頂くよ」


ソラの手がスカートの中へと侵入してきた。
感触を楽しむ様に薄い布地を指で撫でくり回す。


リップル「……そこはっ!!いやあああ!!!!」

ソラ「その声、さいっこうだよぉ!!もっと絶望してよ。あっははははは!!」

リップル「やだぁ!やだよぉ!助けて、誰か助けてよっ!!!!」

ソラ「無駄だよ。いくら叫んでも助けなんて来ないんだからさぁ!!ひゃはははははっ!!」


絶対に弱音は吐かない。
そう貫いてきた意思がついに砕けた。
ファントムを討ち倒す強き魔法少女だったリップルは
恐怖に震え上がる、か弱き少女へと堕ちていった。


ソラ「さぁ、僕と一つになろうねリップルちゃん」

リップル(お願い、誰か……助けて……)


その時、恐怖に怯えるリップルの脳内に
相棒として共に活動していた魔法少女の姿が浮かび上がった。


リップル(トップスピード……トップスピード……)

リップル「助けてぇ!!!!トップスピィィドォーー!!!!」



リップルに支給されたマジックアイテム、ウサギの足が輝きを放った。
そして奇跡は叶った。


212 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:36:35.99 ID:ExRm67P+0
ソラ「だから無駄だって」

トップスピード「ここかぁっ!!!!」

ソラ「ぐあっ!?」


トップスピードの体当たりを受けてソラが吹き飛ばされる。
その隙にリップルの傍へ駆け寄った。


トップスピード「大丈夫かリップル!?」

リップル「……うん、あの赤いスイッチを押して」

トップスピード「これか」


赤いスイッチを押した途端、いくら引っ張っても外れなかった拘束具は呆気無く解除された。
自由の身になれた瞬間、リップルはトップスピードの胸に飛び込んで抱きついた。
その身体はガタガタと震えており、怯えた表情を見せていた。


リップル「……怖かった」

トップスピード「安心しな。俺が傍にいるよ」

ソラ「なんで……なんで僕の邪魔をするんだァーー!!?せっかく二人で愛し合っていたのにっ!!」

トップスピード「よくも俺の相棒を泣かしてくれたな。その落とし前はしっかり付けさせてもらうぜ」

ソラ「許さない。僕の邪魔をする奴は人間だろうが、ファントムだろうが、魔法少女だろうが、全て敵だッ!!」


ソラの姿が人間体からファントム体へと変化した。
連続殺人鬼ソラVS魔法少女の戦いが今始まる。
213 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:42:06.00 ID:ExRm67P+0
今回はここまで
途中二重投稿してしまった
214 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/25(木) 05:50:40.32 ID:JoMQdIZI0
リップル「うわああああああっ!!!!」


感情を爆発させたリップルが半狂乱じみた雄たけびをあげながら大量の飛び道具をソラへと投げつけた。
今までのソラの凶行からして彼の発言は全て有言実行で移す男であるのはその身で知った。
トップスピードを殺させまいとリップルは全身全霊を込めて戦いに挑んだ。


全ての飛び道具を双剣で叩き落としながら接近したソラの前蹴りがリップルの腹部に突き刺さりくの字に吹っ飛ぶ。
続いて横から放たれるミニ八卦炉の光線をくぐり抜けてトップスピードの顔面を斬りつける。


トップスピード「くぅっ!」

ソラ「君はいらない。死んでよ」

リップル「させないっ!!」

ソラ「そんな殺意剥き出しじゃせっかくの奇襲も通らないよ。はぁ!!」

リップル(おちゃらけた人間体だった癖に……速い)

ソラ「君は速さに自信があるようだけど、僕も結構速い方なんだよね」


ソラから繰り出される連撃にリップルは押し出され
廃墟の吹き抜けから一階へと落下していく。
受け身を取りながら移動してソラの追撃に備えると、ふと地面が柔らかくなった事に気付いた。


リップルのいる場所には一室分ほどのスペースのコンクリート部分が剥がされており
柔らかい土が露出していた。
土は僅かに盛り上がってる部分が数十ほどあり
落とし穴と呼ぶには浅いが、横になれば人間一人入りそうな穴が開いてある。

215 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/25(木) 05:51:13.32 ID:JoMQdIZI0
ソラ「気が早いね。君がここに来るのはまだ後だよ」

リップル「なんだこれは?」

ソラ「ここは、僕の彼女達のお墓さ」

リップル「……!?」


凝視してリップルは気付いた。
盛り上がった部分をよく見ると線香が立てられた跡がある事に。
そして一人分のスペースのある穴が掘られている意味に。


ソラ「僕は47人の彼女をここに捨てて埋めたんだ」

ソラ「リップルちゃん。君は48人目の彼女としてここに埋められるんだよ」

リップル「……やっぱり、ファントムは誰一人信用出来ないっ!」

ソラ「違うよ!僕はファントムじゃない!僕がこんな身体になる前から繰り返してきた行為なんだから!」

リップル「まさか、お前は……」

ソラ「そうさ。彼女を鋏で切って、刺して、突いて、殺して捨てた感触を初めて味わったのは僕がまだ人間だった頃さ」

ソラ「彼女の身体を鋏で切る度に幸福感が蘇って、僕の心が何も変わっていない人間だって実感できるんだよぉ〜」

リップル「ここに埋められてる人全員にあんな酷い事を繰り返したのか!!」

ソラ「最初の彼女はそんな長くは無かったよ。何せ怒りに任せて鋏を振るったからね。すぐ死んじゃった」

ソラ「二人目の彼女はじっくり楽しみたいから手足をロープで縛って、ちょっとずつ切って時間かけて殺したなぁ。三人目は」

リップル「もういい黙れ、お前はこの場で殺す」

ソラ「ああ、僕も早く君を切り刻みたくてウズウズしてるんだ」
216 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/25(木) 05:51:57.21 ID:JoMQdIZI0
トップスピード「このっ!」

ソラ「おっと」

リップル(壁をすり抜けた。それがあいつの魔法か……すると!?)

トップスピード「つう!」

リップル「このぉぉっ!」


壁から出現したソラがトップスピードの背中を切り裂く。
相棒が傷つけられ怒りに任せてリップルが飛びかかる。
その攻撃をソラは予測していた。
双剣を使い右手の剣で小太刀を弾いて、左手の剣でリップルの腹部を突き刺した。


リップル「……ごぼっ」

トップスピード「リップルぅぅ!!」

ソラ「くっははははは、直情的なのは良くないよリップルちゃん」

リップル「ひぐっ、うあああああああ!!」


腹部に刺さってない方の剣を使ってソラはリップルの左目を抉り出した。
リップルの悲鳴を子守唄のように心地よく聞きながら目玉を引き千切って宝石の様に見つめた。

217 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/25(木) 05:52:47.24 ID:JoMQdIZI0
トップスピード「やめろぉぉぉぉ!!」

ソラ「邪魔だよ」

トップスピード「ああっ!……くっそぉぉ!!」

ソラ「ほらほらちゃんと狙って」


小太刀を拾い上げて走るトップスピードの攻撃を避けて
リップルとお揃いにしてあげると言わんばかりに右目を突き刺して抉った。
それでも攻撃の手を緩めないトップスピードがミニ八卦炉で光線を放つも避けられる。

その攻防の間に剣が突き刺さったままのリップルが起き上がって何かを投げつけた。
それは、叩き落そうと振るった剣をすり抜けてソラの顔面に付着した。
投げた物は血だった。
彼女の体から流れる血を掌で受け止めてソラへ投げつけたのだ。


ソラ(なるほど、液体なら叩き落とせない、ぐあっ!)

リップル「うおおおっ!!」


視界を奪った隙を逃さずにソラへ体当たりをした。
両手にはクナイが握りしめられておりソラの腹部へ深く刺し込んだ。


リップル(チャンスは逃さない!!)


引き抜いたクナイでソラの首を切り裂く。
返り血がリップルの顔を紅く染める。
心臓へ突き刺そうと振り下ろしたクナイを掴まれた。


ソラ「――――ッ」


首が切れているので声を発していないが調子に乗るなと言わんばかりにリップルを睨んでいる。
クナイから手を離したリップルは急いでソラから距離を取った、それから一秒も経たない刹那の間に。
拘束でリップルの横を通り抜ける物体がソラに激突し、轟音が響き渡る。

ソラと衝突した者の正体はラビッドスワローに乗ったトップスピードだった。
タイミングを合わせてリップルが回避した所に、最大加速の体当たりをぶちかました。


トップスピード「ナイスだぜ。上手く良く避けてくれてさ」

リップル「……チームプレイの練習をしておいて正解だった」

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