スノーホワイト「ファブが逮捕された?」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 10:31:02.61 ID:gulfp7Iq0
俺が(じゃねえ)トップスピードが生存してるぅ〜!
235 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:06:11.13 ID:WgNUs0+L0
アジトへと侵入した魔法少女達
内部には大量のグールが待ち受けていた。


グール「グォオオ!!」

グール「ギャオオ!!」

グール「オォン!アォン!」

ケイネス「雑魚が集まった所で私に勝てると思ったか」


グール達を掃討して先へ進むと、途中から道が三つに分かれている。
思案した後、ケイネスは戦力を三分割させて攻略する事にした。


ケイネス「ならば左側はルーラチームの5名に任せよう」

ルーラ「分かったわ」

ケイネス「右側はスノーホワイト達とシスターナナ達の5名で行け」

スノーホワイト「はい!」

シスターナナ「承りました」

ケイネス「残りは私と共に中央の道を行くぞ」

メアリ「あいよ」

ねむりん「がんばろ〜」

ケイネス(こういう場合は中央に総大将が居座っているのが定石というものよ)

236 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:06:51.84 ID:WgNUs0+L0
右エリア


ノーム「アバ―ッ!」

ヴァルキリー「アバ―ッ!」

ヒドラ「アバ―ッ!」


ラ・ピュセル、ウィンタープリズン、アリスの一撃がそれぞれのファントムを撃破する。
残りの一体がスノーホワイトに向かって飛びかかった。

スノーホワイト「くっ」

ラーム「マホウショウジョ、コロチュ、コロチュ」

ラ・ピュセル「やらせない!」

ラーム「アバ―ッ!」

スノーホワイト「ありがとう、ラ・ピュセル」

シスターナナ「皆無事ですね。では気を付けて先へ進みましょう」

237 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:07:29.73 ID:WgNUs0+L0
――――


バハムート「ここに来たって事は4体のファントムを屠ったという事か。面白い」

プリズン「気を付けろ、こいつは他のファントムより相当強い……」

バハムート「ほう、なかなか察しが言いな。じゃあ行くぞ!!」


魔法少女達に向かって駆けだしたバハムートが連撃を放つ。
前衛に立ったラ・ピュセル、ウィンタープリズン、アリスは猛攻に耐え切れずに吹き飛んだ。


シスターナナ「皆さん……!」

ラ・ピュセル「つ、強い!」

プリズン「なんて凄まじいパワーだ」

アリス「私が攻撃を受け続けて相手を消耗させます……」


アリスは姿勢を低くしてバハムートの足元にタックルを仕掛けた。
バハムートは、ふんと鼻で笑い、アリスの顔面に膝蹴りを叩き込んだ。
アリスの顔面はぐちゃりと潰れて勢いよく転がった。


バハムート「攻撃が単調過ぎるぞ。そらぁ!」

シスターナナ「あうっ…」


バハムートが腕を振るい、斬撃が放たれる。
シスターナナの脇腹を切り裂いて血が噴き出た。

238 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:08:15.02 ID:WgNUs0+L0
プリズン「ナナぁ!!」

ラ・ピュセル「うおおお!!」

スノーホワイト「はぁぁぁ!!」

アリス「…………」

バハムート「どうしたどうしたぁ?お前達の力はその程度か!!」


魔法少女達が次々と攻撃を繰り出すも全てが捌かれ
カウンターの打撃によって殴り伏せられる。


プリズン「アリス、スノーホワイト、奴の攻撃を一時的に凌いでくれ」

プリズン「私は頃合いを見て大量の壁で奴を押し潰す。その隙にラ・ピュセルが決めてくれ」

スノーホワイト「はい!」

アリス「分かりました」

ラ・ピュセル「やってみます」

バハムート「魔法少女の相手は他にもいるんでな。ここで終わらせるぞ!!」

アリス「……させない」

スノーホワイト「やぁぁぁああ!!」


バハムートの進撃を止めるべくスノーホワイトとアリスが駆けだす。
二人を殴り飛ばした瞬間、四方八方から大量の壁がバハムートに向かって衝突した。


ラ・ピュセル(薄く……細く……そして強度は最大に……)

ラ・ピュセル「くらえええええええええ!!!!」

バハムート「ぬぐわぁああああああっ!!」


面積を減らしたラ・ピュセルの剣が多数の壁の隙間をくぐり抜けてバハムートの胸を貫いた。
バハムートの顔が苦痛に歪み、諦めた様な表情に変わり、そして笑みを浮かべた。


バハムート「くっ……くくっ、くくく、ははははは!!楽しかったぞ。魔法少女達ィ!!」

バハムート「一足先にあの世へ行ってくるぜ。せいぜい頑張れよ、この先どんな絶望が待っていようとなァ!!」


強敵との戦いを楽しんだバハムートは声高々に笑いながら塵となって消滅した。

239 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:09:14.74 ID:WgNUs0+L0
中央エリア



スプリガン「こいつら……強い」

アルゴス「厄介な奴らだぞ!」

デュデュオンシュ「大丈夫か!わが友よ!」

メアリ「この私に歯向かって勝てると思ってるのかい?」

マジカロイド「そーデスそーデス。降伏するなら今の内デスよ」

ねむりん「やっちゃえ〜」

デュデュオンシュ「皆諦めるな。先の戦いで散っていった仲間達の無念、ここで晴らすのだ!!」

メアリ「あんたみたいな青臭い台詞を吐く奴は大っ嫌いだよ」

デュデュオンシュ「ぬおおおおおお!!」

メアリ「はん!」


特攻を開始するファントム達に銃口を向けるメアリ。
銃弾が放たれるより前に月霊髄液の水圧カッターが三体のファントムを切断した。


スプリガン「ちにゃ!!」

アルゴス「ひでぶっ!!」

デュデュオンシュ「あべし!!」
240 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:10:05.76 ID:WgNUs0+L0
ケイネス「よくやったカラミティ・メアリ。君が注意を引かせたおかげで容易く隙を付けたぞ」

メアリ「私が仕留めてやってもよかったんだけどねぇ」

マジカロイド「いやはや、見事なお手前で」

ねむりん「ケイネスさんって簡単にファントムを倒しちゃう魔術師なんだね。すご〜い」


ビルゲニア「なかなかやりすまなぁ。では一つ、その術が私に通用するか試しては如何かな?」


不敵に笑うファントムが姿を現した。
剣と盾を持ち、海洋生物を思わせる甲冑に身を包み
人間と殆ど変わらない様な青白い素顔が、反って不気味さを引き立たせていた。


ねむりん「またファントムが出たぁ〜」

ビルゲニア「我が名は剣聖ビルゲニア、いずれファントム達を統べる王となる物だ」

ビルゲニア「私の剣にかかって死ぬ事を光栄に思うがいい」

ケイネス「ほざけ!!」


月霊髄液がビルゲニアにとびかかり全身を包んだ。
ケイネスが魔力を込めて押し潰そうとした瞬間。
ビルセイバーの斬撃によって月霊髄液が四散した。


ビルゲニア「その程度の攻撃など、我が剣技の前では無力ですなぁ」

ケイネス「馬鹿な!?私の月霊髄液がこうも容易く突破されるとは……」

ビルゲニア「次はこちらの番ですな。ビルセイバーデモントリック!!」

241 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:10:42.51 ID:WgNUs0+L0
分身を作り出したビルゲニアが魔法少女達に斬りかかる。
メアリが銃弾をばら撒いて牽制するもビルテクターの前にはダメージを与えることが出来ない。


ねむりん「ひえ〜!」

メアリ「面倒だね……」

ビルゲニア「もう少し足掻いてくれないとこちらとしても張り合いが……ん?」


ビルゲニアの足元に、よちよちと進むネジ巻き式の小さな黒い玩具が歩いていた。


ビルゲニア「なんだこれは?」

ボム兵「」チチチチ


ドゴォォォォォオン!!!!


ビルゲニア「ぬぐぅ!」

メアリ「チャンス!」

ケイネス「今だ!」


怯んだビルゲニアに向かって、メアリの銃撃とケイネスの月霊髄液の斬撃が降り注いだ。
ビルゲニアの身体が光の粒子となって消えていった。


メアリ「やるじゃないかマジカロイド」

ねむりん「お手柄だよ〜」

マジカロイド「ワタシの道具が珍しく役に立って良かったデス」

ケイネス「休んでいる暇は無い。先へ行くぞ」


ビルゲニア(くくく……こいつらめ、私が死んだと思っているな)

ビルゲニア(奴らはいつでも殺せる。今はワイズマンを追跡するとしよう)

242 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:11:16.05 ID:WgNUs0+L0
左エリア


ヘルハウンド「グワ―!」

リザードマン「ヤラレター!」

ケットシー「うぼぁー!」


三体のファントムが爆散する。
倒したのはミナエル、ユナエル、たまの三人である。
ただ様子がいつもと違っている。


ミナエル「おいちぃ……」

ユナエル「おいちぃ……」

たま「おいちぃにゃ……」

ルーラ「……このお菓子、何か危ない成分でも入ってるんじゃないの?」

スイムスイム「三人ともゾンビみたい」


ユナエルに支給された元気の出るお菓子は
戦闘能力が増加する代わりに思考力が低下するデメリットを持ったマジックアイテムだ。
そのお菓子を食べた三人は単独でファントムを撃破する力を得たが目つきが明らかに普通じゃない。


ミナエル「ルーラ、もっとそれ欲しいよぉ〜」

ユナエル「お願い、もう我慢できないの〜」

たま「ふにゃーーーー!!」

ルーラ「こら、たま!勝手に袋を取ろうとするな。お預け!!」

たま「おいちぃお菓子ちょうだい!ちょうだい!」

ルーラ「駄目よ。消耗品なんだから使い所は考えないと、スイムスイムはこれを食べないようにね」

スイムスイム「分かった」

243 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:11:55.94 ID:WgNUs0+L0
――――


メデューサ「来たか。ここがあんた達の墓場よ」

ルーラ「その言葉、そっくりそのままお返ししてやるわ。さぁ行きなさい!!」

ミナエル「おいちぃ!」

ユナエル「おいちぃ!」

たま「おいちぃ!」

メデューサ「そんな攻撃、私には通用しないわ」


同時に三人が飛びかかる。
メデューサの杖によって攻撃は防がれ、カウンターの一撃が
三人を吹き飛ばして転げ回った。


ルーラ(瞬時に三人を叩き伏せるなんてやるわね。だけど……)

スイムスイム(その隙を付いて地中から背後に回った私が攻撃を仕掛ける)

メデューサ「分かっているぞ」

スイムスイム「……っ!?」

メデューサ「攻撃がすり抜けた……ならこれでどう?」


メデューサの眼が妖しく輝く。
その瞳を見たスイムスイムは身体が動かなくなった。

244 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:12:51.26 ID:WgNUs0+L0
スイムスイム(身体が……石に……)

ルーラ(スイムスイム!?……だけど透明外套で姿を消した私が魔法であいつを自害させれば私達の勝ちよ)

ルーラ(痛っ……え?足元に蛇が!?)

メデューサ「地面に潜ませた蛇がソナーの役割を果たしているわ。だからどんな小細工も無駄よ」

ルーラ「うああ!!魔力が……吸われて……」

たま「ルーラ!」

ミナエル「こいつめー!」

ユナエル「よくもー!」

メデューサ「全員、石になりなさい」


瞳から強力な呪いが発せられ残りの4人も石化された。
メデューサが彼女達にトドメを刺すべく杖を構える。


メデューサ「あとは砕けば魔法少女5人はこの世から消える」

白い魔法使い「それは困るな」


一筋の光弾がメデューサの身体を貫いた。


メデューサ「あうっ……お前は白い魔法使い……」

白い魔法使い「彼女達にはまだ役割がある。ここで死なす訳にはいかん」

メデューサ「おのれ……ワイズマン様の為にここでお前を倒す!」

白い魔法使い「その、ワイズマンというのは……」

ワイズマン「私の事かな?メデューサ」


白い魔法使いの身体が魔法によって別の姿に変化した。
それはファントム達を統べる首領、ワイズマンだった。

245 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:13:33.88 ID:WgNUs0+L0
メデューサ「そんな……貴方が、ワイズマン様だったなんて……」

ワイズマン「今までよくやってくれたよメデューサ、おかげで私の悲願がもうじき達成される」

メデューサ「そんなの嘘です!嘘とおっしゃってください!ワイズマン様……」

ワイズマン「お前の役割はもう終わりだ。ゆっくりと休むがいい」


ワイズマンの一撃を受けたメデューサは嘆き悲しみ、絶望して消滅した。
塵となって消えゆく様を見ているワイズマンに向かって黒い突風が吹き荒れた。
ビルゲニアの剣技、ダークストームである。


ワイズマン「ぬぅ…」

ビルゲニア「驚きましたなぁ。まさかワイズマンが我々ファントムの裏切者だったとは」

ワイズマン「魔法少女とファントムの戦いの隙を付いて私の命を狙ってきたか。ご苦労な事だな」

ビルゲニア「大義名分も出来て丁度良いわ!逆賊ワイズマンを討ち、私がファントムの王となってくれよう!」

ワイズマン「フフフ、面白い……」

白い魔法使い「ファントム風情が私に反逆とはな」


ワイズマンの姿が白い魔法使いへと変化した。
ビルゲニアは盾であるビルテクターを前面に構えながら間合いを詰めていく。


ビルゲニア「死ねぇ!!」

白い魔法使い「ふん!」


カキンッと金属の衝突音が響き渡った。
ビルゲニアの振るったビルセイバーが白い魔法使いによって弾き飛ばされる。
追撃に放ったハーメルケインの斬撃がビルテクターごと、ビルゲニアの身体を切り裂いた。


ビルゲニア「馬鹿、な……ファントムの、王となるべき……この、私が……」

白い魔法使い「お山の大将を気取りたいのなら地獄でやるがいい」

ビルゲニア「おの、れぇ〜……我らファントムは、貴様の目的を叶える為の道具に過ぎなかったというのかぁ……」

白い魔法使い「ようやく理解したか。その為だけにファントムを生かしていたという事を……」

白い魔法使い(……そして魔法少女達も同様にな)


246 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:14:11.10 ID:WgNUs0+L0
ルーラ「うっ……」

白い魔法使い「気が付いたか」

スイムスイム「蛇のファントムは?」

白い魔法使い「安心するがいい。奴は私が倒した」

ミナエル「さすが白い魔法使い!やるじゃん」

ユナエル「白い魔法使いマジクール」

たま「すごいにゃ!」

白い魔法使い「動けるなら先へ進もう。ワイズマンはまだ生きている」

ルーラ「そうね。ぐずぐずなんてしてられないわ」


大広間


シスターナナ「あら?」

ケイネス「ぬ?」

ルーラ「どうやらここで道が繋がってるようね」

スノーホワイト「この先に道が無いという事は……」

白い魔法使い「一足遅かったか。どうやらワイズマンは既に立ち去った後らしい」

ケイネス(ワイズマンめ。私と戦うのをよっぽど恐れたと見える。ファントムなど所詮そんな物よ)

ラ・ピュセル「くそ!ワイズマンを倒さなきゃ、またゲート達が狙われる!」

ミナエル「親玉の癖に逃げるなんてだっせーの」

ユナエル「どうせならここで白黒はっきり決着付ければいいのにねー」

プリズン「ワイズマンは一体どこへ行ったのか……」

247 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:14:49.58 ID:WgNUs0+L0
ゴゴゴゴゴッッッ!!!!


ねむりん「わわわわっ」

白い魔法使い「いかん、ワイズマンは私達を生き埋めにする気だ。急いで脱出するんだ」

メアリ「イラつかせるねぇ」

マジカロイド「すたこらさっさデス」

アリス「急ぎましょうスノーホワイトさん」

スノーホワイト「うん!」


魔法少女達は急いで来た道を引き返し、洞窟が脱出した。
その直後、凄まじい大爆発が巻き起こり、洞窟は崩壊した。


たま「あ、危なかった……」

ルーラ「よし、全員揃ってるわね」

ケイネス「はひっ……はひっ……疲れた……」

白い魔法使い「私はすぐさま、ワイズマンを捜索する。君達は帰って休んでくれ」

スノーホワイト「疲労は大丈夫なんですか?」

白い魔法使い「問題無い。それにワイズマンを見つけても、君達への報告を優先して戦いは避けるさ」

ラ・ピュセル「気を付けてください」

白い魔法使い「では先に失礼する」


そう言って白い魔法使いはテレポートで消えて行き。
魔法少女達は戦いの疲れを癒すために帰って行った。




ファントム達を滅ぼした魔法少女達、だがワイズマンの行方は知れず。
その頃、帰宅したケイネスは体調が再び悪化していくコヨミの姿を見て動揺する。
そこに白い魔法使いから緊急招集が入った。
集まった魔法少女に白い魔法使いが衝撃の真実を話す。
彼の言う『魔法少女育成計画』とは何か?


次回 サバト再び


ぶっちぎるぜぇ!!
248 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:18:11.27 ID:WgNUs0+L0
今回はここまで

白い魔法使い「ファントム用済みになったので在庫一斉処分なう」

>>233
まだ未把握なのでゴーストとエグゼイドからのゲストキャラは出さない予定かな

>>234
生きているというか、生かされているというか
249 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/04(日) 16:32:19.05 ID:HFSz1lMJ0
ケイネスのアパート


ケイネス「ふう……ただいま」

ケイネス(ワイズマンめ、手こずらせおって……)

ケイネス(早く任務を終えてソラウに会いたい……)

ケイネス「コヨミ、体調はどうだ?……コヨミ?」

コヨミ「…………」

ケイネス「まずい、意識が無い。しっかりしろ!今魔力を」

ケイネス「先ほどの戦闘のせいで魔力は殆ど残っていなかった。ならばこの宝石の魔力を使おう」

ケイネス「……おかしい、これで並みの魔法少女一人分の魔力は流れ込んだ筈、何故目覚めない!?」


ケイネスの必死の応急処置の甲斐も無くコヨミの意識は戻らない。
その時、ケイネスの背後からテレポートが起こり、白い魔法使いが出現した。


白い魔法使い「心配になって戻ってきたが正解だったか……」

ケイネス「白い魔法使い!!コヨミを何とかしてくれ!!」

白い魔法使い「コヨミは今から私の研究施設へ連れて行く」

白い魔法使い「そこならば適切な治療を行うことが出来る」

ケイネス「問題無いのだろうな?」

白い魔法使い「ファントムへの知識を持たない医者に連れて行くよりは遥かに安全だ」

ケイネス「そうか。頼んだぞ」

白い魔法使い「任せろ。コヨミは何としても助け出す。絶対にな」


その言葉は鬼気迫る程に信念が籠っていた。
それを聞いたケイネスは安心してコヨミを預けることにした。


ファズ(人形をそんな大事そうに扱うとは、まるでおっさん共がおままごとをしているようで滑稽だぽん)

250 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/04(日) 16:32:53.99 ID:HFSz1lMJ0
翌日


ケイネス(……なんだろうな)

ケイネス(一人で食べる朝食がとても寂しく感じる)

ケイネス(コヨミがいなくなっただけでこうも変わる物なのか……)

ケイネス(単身赴任でソラウとしばらく会っていないせいで人恋しくなってきたのかもしれん)

ケイネス(……情けない。そんな女々しい考えでは魔法の国でトップの魔術師になるのは夢のまた夢だ)

ケイネス(コヨミやソラウに頼らなくてもきちっとしなければな)

ファズ「へいマスター!白い魔法使いから連絡が来てるぽん」

ケイネス「そうか。読み上げろ」

ファズ「ワイズマンの居場所を特定したから皆を指定した場所に集めてほしい。集合時間は○○時○○分……ぽん」

ケイネス「もう見つけたのか。よし、皆に場所と時間を伝えるのだ」

ファズ「合点承知だぽん」

ファズ(最終バトルキター!!ぽん)


集合地点


ケイネスと魔法少女全員がこの地に集結した。
ファントムとの最後の決戦もあって、治りたてのリップルやトップスピードも来ていた。


シスターナナ「二人とも体調は大丈夫ですか?あまり無理をなさらない方が」

リップル「平気」

トップスピード「この通り!大復活だぜ!」

ウィンタープリズン「もし少しでも痛みを感じたらすぐに下がってくれ」

スノーホワイト「これで本当に最後……」

ラ・ピュセル「何としてもワイズマンを倒さなきゃね」

アリス「そうですね」

251 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/04(日) 16:33:27.45 ID:HFSz1lMJ0
時間になったと同時にテレポートによって白い魔法使いが現れた。
両手にはコヨミを抱えて歩いている。


ケイネス「コヨミ?なぜここに連れてきた」

白い魔法使い「これから説明する」

ルーラ「それでワイズマンはどこから出てくるっていうの?」

白い魔法使い「それも合わせて説明しよう」

たま「うう……緊張してきた……」

ミナエル「そんな時は深呼吸だよ。ひっひっふー」

ユナエル「お姉ちゃんそれ間違ってるよ」

スイムスイム(お姫様だっこいいな……私もルーラにされたい)

ねむりん「ワイズマンってどんな姿してるのかな〜」

メアリ「ふふっ……」

マジカロイド「…………」


魔法陣の描かれた場所へコヨミを寝かせる。
振り返り、魔法少女達の方へ顔を向ける。
それぞれ魔法少女の顔を見渡しながら満足げな表情をして口を開いた。


白い魔法使い「魔法少女達の皆、今までよくぞ戦ってきた。私は君達に本当に感謝している」

白い魔法使い「サバトによって大量のファントムが出現し、ゲートが襲われるようになった」

白い魔法使い「だがワイズマンにとってこのサバトは失敗であった。魔力が不十分で賢者の石が完成しなかったのだ」


ケイネス「……?何を言っている?」

252 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/04(日) 16:34:11.85 ID:HFSz1lMJ0
白い魔法使い「そこでワイズマンは次の計画を実行した。それが『魔法少女育成計画』だ」

白い魔法使い「丁度、この街には新人の魔法少女が多数在留していた。この場所が適任だと確信した」

白い魔法使い「魔法少女達とファントムを戦わせる事で経験を積ませ、成長し、魔力を増幅させていった」


スノーホワイト(何か……おかしい!)


白い魔法使い「十分な魔力を保有した魔法少女、本来は半数ほど生き残れば十分に完遂出来る計算だが」

白い魔法使い「君達15人全員生き残ったのは嬉しい誤算だ。これなら間違いなく賢者の石が完成するだろう」


リップル「まさか……あんたが!!」


白い魔法使い「そうだ!!私がワイズマンだ!!」

白い魔法使い「君達、魔法少女達を人柱として再びサバトを起こす」

白い魔法使い「それで私の『魔法少女育成計画』は完遂する!!」


コヨミ「……うっ」

コヨミ「み……皆!!逃げてーーー!!」

ケイネス「コヨミ!?目が覚めたか!」

白い魔法使い「もう遅い」

スノーホワイト「……指輪が?きゃああああああっ!!!!」


皆既日食が起こり、巨大な魔法陣がN市に出現した。
魔法少女達が装着していたマジカルリングが妖しく輝き、彼女達を蝕んでいった。
肉体が拘束され、強制的に魔力が吸い出される激痛による悲鳴が響き渡る。

253 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/04(日) 16:35:13.57 ID:HFSz1lMJ0
コヨミ「うあああああああ!!!!」

ケイネス「コヨミ!!ぐぐぐっ……コヨミに何をしている!?」

白い魔法使い「サバトによって集めた魔力を賢者の石に流しているのだ。暦を蘇らせるためにな」

ケイネス「コヨミを蘇らせる?どういう意味だ?」

白い魔法使い「私の愛する娘、暦は既に病死している。私は暦そっくりのホムンクルスを作り、体内に賢者の石を埋め込んだ」

白い魔法使い「賢者の石を完成させ、暦の魂をこの器に定着させるのだ」

メアリ「くっだらないねぇ」

メアリ「娘を生き返らせる為?ガキなんて邪魔な物いっそ無くなった方がせいせいするじゃないか」

白い魔法使い「何故だ!?何故お前のマジカルリングは起動しない!?」

メアリ「誰かさんに細工してもらったのさ。経験の浅い魔法少女だと思って甘く見てたようだね」

マジカロイド「ちなみにワタシも同様の理由で助かってマス」

白い魔法使い「貴様ぁ……役に立たない魔法少女など私が始末してくれる!!」

メアリ「ふん!正義の味方ごっこは嫌いだけどさ。あんたの邪魔をするのは最高にスッキリするよ!」


メアリがGXランチャーを用いて引き金を引いた。
大量にばら撒かれた弾丸は白い魔法使いを狙わずに背後にいる少女を狙った。


白い魔法使い「まずい!!」

コヨミ「ああ……」


弾丸とコヨミの間に割り込んだ白い魔法使いがバリアを展開する。
放たれた弾丸を一切躱そうとせずに全て防御で耐え続けている。


白い魔法使い「ぐっ……ぐぐっ……」

メアリ「やっぱりね。あんたみたいなタイプは直接狙うよりも娘さんを狙った方が効果的だよ」


メアリの魔法によって強化された弾丸の威力は高く。
バリアの強度は徐々に弱まり、何発かが体内を貫いた。


メアリ「これでしまいさ」


ロケット弾頭が放たれる。
バリアは砕かれ、爆風が白い魔法使いを飲み込んだ。
衝撃によって白い魔法使いは吹き飛び、ハーメルケインが転がり落ちる。


254 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/04(日) 16:35:43.78 ID:HFSz1lMJ0
ラ・ピュセル「ま、マジカロイド……」

マジカロイド「何デスか?」

ラ・ピュセル「また、便利な道具を出してよ……フェニックスに、勝ったようにさ……」

マジカロイド「幸運100倍ドリンクデスか?嫌デスよ!!あれ飲んでから一週間ほんと酷い目にあったんデス」

トップスピード「そう言わずに……頼むよ……」

スノーホワイト「お願い……このままじゃ街の皆が……」

マジカロイド(街の人達……父さん、母さん、おっちゃんが……)

マジカロイド「何でワタシが他人何かの為に……!!今回っきりデスよ!!」


N市の住人達の命がサバトによって奪われる。
自分さえ助かればいいと考えていたマジカロイドだったが
親しい人達の顔が脳裏に浮かんだ瞬間、動かずにはいられなかった。


マジカロイド「ゴクゴクゴク!!一週間どころか一か月分の運もあげちゃうからお願い!!」

マジカロイド「この状況を何とか出来る道具を出して!!」


出てきたのは歪な形をした短剣だった。
とても切れ味が有る様には見えない形状と言えるが
マジカロイドはそれを気に掛けるよりも早く説明書を読んだ。
名称はルールブレイカーで『刃で突いた対象のあらゆる魔術を破戒することができるよ』と書かれている。
ルールブレイカーを持ったマジカロイドはすぐに飛び、巨大な魔法陣に向かう。


マジカロイド「うおおおおおおお!!!!」

マジカロイド「これでどうデスかぁああああ!!!!」


ルールブレイカーで魔法陣を突き刺した。
刺さった個所から亀裂が走り、それが魔法陣全体へと広がっていく。
パリンと魔法陣が砕け、日食が収まり、サバトは消滅した。

255 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/04(日) 16:36:19.74 ID:HFSz1lMJ0
白い魔法使い「馬鹿な……こんな事が……」

白い魔法使い「まさか、魔法少女如きが……」

白い魔法使い「貴様ぁ、よくも私の希望を、許さんぞ……絶対に!!」

白い魔法使い「恐怖に絶望して死ぬがいい!!」

ケイネス「白い魔法使い、いやワイズマン、お前を拘束する」

白い魔法使い「黙れ黙れ黙れ!!!!」

白い魔法使い「お前達、魔法の国の連中はクラムベリーが行った殺戮を何度も止められなかった癖に!!」

白い魔法使い「私の娘を救いたいという純粋な願いを踏みにじる資格などある物かぁ!!」

ケイネス「確かにそれは私達の不手際である。だがこの街を犠牲にして良い理由にはならん」

白い魔法使い「その程度の犠牲など、私の絶望に比べれば小さな事に過ぎん!!」

白い魔法使い「愛した妻を亡くし、唯一愛していた娘すら失った私がどれほど絶望した事か!!」

白い魔法使い「賢者の石を使って娘を蘇らせる。それが私の唯一の希望……希望だったのだ!!」


ザシュ


ハーメルケインの刃が白い魔法使いを貫いた。
白い魔法使いの背後には人造ファントム、ケルベロスが立っている。

256 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/04(日) 16:36:57.17 ID:HFSz1lMJ0
白い魔法使い「ごふっ……何だ貴様は……?」

ファズ「ふはははは!!無様だなぁ〜ふぅぅぅえぇぇきぃぃぃぃぃ!!!!」

電脳妖精ファズが出現した。
普段のぽん口調の愛らしい喋り方とは想像も付かない悪意に満ちた口調になっている。


ファズ「この時を待っていたのだ。貴様が絶望して死んでいく様をなぁ!!」

ケイネス「ファズ!?一体どうした?」

白い魔法使い「その声は……まさか貴様は死んだ筈の……」

ファズ「そうだ。私の本当の名は蛮野天十郎……かつては笛木と共に活動をしていた研究者だ」


次々と明かされる衝撃の真実。
戦いはクライマックスへと進む。
257 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/04(日) 16:40:01.23 ID:HFSz1lMJ0
今回はここまで
フェニックスの時もそうだが解決策が強引過ぎると思う
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/05(月) 19:55:16.37 ID:atMjVOQz0
フェニックスの末路は、むしろ晴人が静かにキレててるのが伝わってきて良かったと思う
「お前にフィナーレはない」はちょっと怖かった
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/05(月) 19:56:25.33 ID:B2oJs8f1O
マヨネーズがサバト止めたシーンはウィザードでも屈指の名場面
260 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/06(火) 12:06:32.85 ID:ikf63dqr0
ケイネス「蛮野天十郎だと!?処刑された筈じゃ……」

ファズ「そうさ。私は処刑された……あの笛木に嵌められてな!」

ファズ「教えてやろう。それはまだ私が科学者として生きていた頃……」


回想、魔法の国の研究所


私と笛木は禁忌とされる賢者の石の研究を行っていた。
二人とも悲願を秘めており、非合法な手段を用いなければ叶えられる願いでは無かった。
お互い利害が一致した我らは共通の目的の中で活動を続けていた。


勿論、事が公になれば極刑は免れないだろう。
表向きには全く別の研究をしている様に見せかけて
法の番人達の警戒網から上手く誤魔化す事に成功していた。


研究は着々と進んでいき、賢者の石の完成まであと僅かまで迫った時
笛木が本性を現して私を裏切った。


蛮野(いいぞ……もうじき全ての人間をデータと化する私の計画を遂行する事が出来る)

蛮野(この世界は全て私の物、それを理解できない馬鹿共を思い知らせてやるのだ!!)

エスデス「そこまでだ。蛮野天十郎、貴様を国家反逆罪の容疑で拘束する。下手な真似はするなよ」

蛮野「これはこれはエスデス将軍殿、私が国家反逆?何かの間違いでは?」

エスデス「言い逃れしても無駄だ。他の研究者から告発を受けている。証拠も揃っているぞ」

蛮野(告発だと!?私の目的を知っているのは笛木だけ……おのれぇ、裏切りおって!!)

蛮野(国家反逆罪で捕まれば処刑は免れない。この場は何としても)


私は逃走を図ろうと動いた瞬間、鮮血が飛び散るのが見えた。
一歩動くよりも速く、エスデス将軍の斬撃が私の身体を斬り裂いていた。


エスデス「下手な真似はするな。と忠告したはずだぞ」

蛮野(このままじゃ済まさん……ぞ。ふえ、き……)


そして私の肉体は死んだ。
だが偉大な頭脳を持つこの私は、この様な状況を警戒していた。
この肉体が死ぬ時、魂をある電子妖精に移し変わる処置を施していた。

261 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/06(火) 12:07:23.90 ID:ikf63dqr0
そう、この時、私は電子妖精ファズになり、人知れずに活動をしていたのだ。
全ては笛木に復讐し、賢者の石を奪い返す為にな。


ファズ「これが今までの私の経緯だよ。笛木、よくも私を裏切ってくれたな」

ファズ「私は別に君の願いを邪魔する気は無かったのだぞ」

白い魔法使い「ぐっ……貴様が支配する世界で暦が蘇っても安心して暮らす事が出来ないからだ」

ファズ「ふん、裏切者が……よく見ているがいい!!」

白い魔法使い「がはっ……な、何をする!?やめろぉおおおお!!!!」

コヨミ「……っ!?」


ハーメルケインを引き抜いたケルベロスがコヨミの方へ向かった。
白い魔法使いの静止の言葉を無視してコヨミの身体をハーメルケインで突き刺した。


コヨミ「あっ……ぐっ……うぁああ!!」

白い魔法使い「暦……暦ィィィィィィィ!!!!」

ケイネス「貴様っ!?」

ファズ「いいぞ笛木、貴様の希望が砕け、絶望する姿が見たかったのだ!」

ファズ「私を裏切った罰を思い知るがいい!!ひゃぁぁぁはっはっはっはぁ!!!!」

ケイネス「蛮野……お前と言う奴は……」

ファズ「ケイネス、心配するな」

ケイネス「何っ!?」

ファズ「ただ……コヨミが死んだだけだ。あぁ〜ああぁぁぁはっはっはっはっはっは!!」

ケイネス「この腐れ外道がぁぁぁ!!」

ファズ「ふぁぁぁぁはっはっはっはっは!!へぁ、へぁあ、はははなぁっはははははは!!」

262 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/06(火) 12:08:46.05 ID:ikf63dqr0
ハーメルケインを使い、コヨミの身体から賢者の石を抉り取った。
コヨミの肉体が塵となって消えゆく。


スノーホワイト「心の声が……聞こえる……」


『賢者の石なんて必要無い』 『お願い、賢者の石を破壊して!!』 『私は生き返りたくない』


スノーホワイト「分かった……コヨミの願いは必ず叶えるから」

ラ・ピュセル「なんて言ってたの?」

スノーホワイト「賢者の石を壊してって……きっと悪用されたくないんだと思う」

アリス「スノーホワイトが望むなら私も戦います」

ファズ「無駄だ魔力が吸われて疲弊した貴様ら如きでは、私のケルベロスの相手にはならんわ」

白い魔法使い(暦……くっ、ここで私が死ぬわけにはいかない)テレポート

ファズ「逃げたか。まぁいい、致命傷は与えた。死に場所ぐらいは選ばせてやろう、私は寛大だからな」

メアリ「おいファズ、さっさとその賢者の石を私に寄こしな」

ファズ「ああ、そう言えばそんな約束もしてたなぁ……それは」

メアリ「嘘なんだろ、分かってるよ!!」


メアリの手からスタングレネードが投げられ眩い光が周囲の視界を奪った。
その隙を付いてメアリはケルベロスから賢者の石を強奪し距離をとった。
僅か数秒の出来事で賢者の石の所有者が変わった。

263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/06(火) 12:09:35.39 ID:ikf63dqr0
ファズ「な……それを返せ!!貴様には使い道のない道具だ!!」

メアリ「そう言われて素直に返してくれるとでも?」

ファズ「……馬鹿な女だ。私がなぜ真っ先に笛木を狙ったのか知っているのか?」

ファズ「それは魔法少女達の命はいつでも簡単に奪えるから優先順位が低かっただけということ」

ファズ「このマスター端末は、貴様ら魔法少女達の生殺与奪の権を握っているのだ!!」

ケイネス「それはマスター権限を持つ私以外では機能しない。そんな真似はさせんぞ」

ファズ「そこは既に改良済みよ。マスターがいなくても私の意思で自由に操作する事が出来る!!」

ミナエル「それってヤバくね?」

ユナエル「私達超ピンチじゃん!」

ケイネス「その前に破壊してくれる!」

ファズ「無駄だ!貴様ごときでは壊せんよ。[ピーーー][ピーーー][ピーーー]ぇぇぇぇ!!!!」

マジカロイド「ひぃぃぃぃぃぃ!!」

ファズ「はぁーーーーはっはっはっはっはっはっはぁ!!!!」


ファズの操作によって魔法少女全員の心肺停止ボタンが押された。
勝利を確信したファズの高笑いが響き渡る。


たま「うう……あれ?生きてる?」

ルーラ「どういうこと?」

スイムスイム「故障?」

メアリ「なんだい、こけおどしか」

ファズ「は?ちょっと待て、そんな筈は……エラー?アクセス権限が存在しない……だとぉ!?」

???「間に合ったか。悪いけどハッキングさせてもらったよ」

ファズ「こんなふざけた真似をする奴は誰だぁ!?」
264 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/06(火) 12:10:05.76 ID:ikf63dqr0
ファズ「な……それを返せ!!貴様には使い道のない道具だ!!」

メアリ「そう言われて素直に返してくれるとでも?」

ファズ「……馬鹿な女だ。私がなぜ真っ先に笛木を狙ったのか知っているのか?」

ファズ「それは魔法少女達の命はいつでも簡単に奪えるから優先順位が低かっただけということ」

ファズ「このマスター端末は、貴様ら魔法少女達の生殺与奪の権を握っているのだ!!」

ケイネス「それはマスター権限を持つ私以外では機能しない。そんな真似はさせんぞ」

ファズ「そこは既に改良済みよ。マスターがいなくても私の意思で自由に操作する事が出来る!!」

ミナエル「それってヤバくね?」

ユナエル「私達超ピンチじゃん!」

ケイネス「その前に破壊してくれる!」

ファズ「無駄だ!貴様ごときでは壊せんよ。死ね死ね死ねぇぇぇぇ!!!!」

マジカロイド「ひぃぃぃぃぃぃ!!」

ファズ「はぁーーーーはっはっはっはっはっはっはぁ!!!!」


ファズの操作によって魔法少女全員の心肺停止ボタンが押された。
勝利を確信したファズの高笑いが響き渡る。


たま「うう……あれ?生きてる?」

ルーラ「どういうこと?」

スイムスイム「故障?」

メアリ「なんだい、こけおどしか」

ファズ「は?ちょっと待て、そんな筈は……エラー?アクセス権限が存在しない……だとぉ!?」

???「間に合ったか。悪いけどハッキングさせてもらったよ」

ファズ「こんなふざけた真似をする奴は誰だぁ!?」
265 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/06(火) 12:11:26.05 ID:ikf63dqr0
デューク「私の仕業だ。はっはっは!!」


ステルス機能を解除して姿を現す。
彼こそマジックアイテム、レモンエナジーアームズを使い
魔法使いデュークへと変身した戦極凌馬である。


ケイネス「凌馬!?いつの間に……」

デューク「ある不審な点を見つけてN市に不法侵入してきたのさ」

デューク「まずファズという電子妖精だがデータを改ざんしてN市に送られた形跡を見つけてね」

デューク「あの電子妖精は何か臭うと直感で判断した私は独自に動いたのさ」

ケイネス「なぜ私に知らせなかった?」

デューク「通信機能を使えば電脳空間を行き来するファズに知られて対策を打たれる危険性があったからね」

デューク「おかげでファズに気付かれる事なく悪だくみを妨害出来たわけだ」

ファズ「良い気になるな!!マスター権限が使えないのなら直接殺せば済む話だ!!」

ケイネス「ぐわっ」

ファズ「端末は頂くぞケイネス、これをケルベロスの体内に埋め込む」

ケイネス「何をしている!?」

ファズ「笛木と真逆の発想よ。奴は自身の体内にファントムを埋め込む事で強大な力を手にした」

ファズ「私は本体をファントムの内部に取り込ませる事によって圧倒的な力を持つ肉体を手にしたのだ!!」
266 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/06(火) 12:11:58.82 ID:ikf63dqr0
デューク「なかなか面白い事をするね。それにしても気がかりなのは君が今、魔法少女達を殺そうとしたことだ」

ファズ「それがどうした?」

デューク「リップル、彼女は蛮野天十郎の娘である事は既に知っている筈じゃないか。愛情が湧かないのか?」

リップル「な、何!?」

トップスピード「あいつが……リップルの父親だって!?」

デューク「リップルも疑問に思っていた筈だ。旦那の記憶を持たない母親に関して」

リップル「そんな……馬鹿な……あんな奴が……?」

ファズ「家族……?……愛?そんな物は無い」

ファズ「私にとって家族とは支配すべきものでしかない!!」

ファズ「愛などというものは存在しない!!」

シスターナナ「なんて酷い……実の娘にそんな言い方を……」

ウィンタープリズン「ここまで性根の腐った男は初めて見たよ」

ファズ「世界を支配するべきこの私がそんな小さな事にこだわるはずがない」

ファズ「娘にすがっていた笛木は所詮、賢者の石を手にする器では無かったのだよ」

ファズ「だが、せっかくだリップル。娘であるお前だけには特別に生きるチャンスを与えよう」

リップル「…………」

ファズ「周りにいる魔法少女達を殺せ!!そうすればお前だけ生かしてやろうではないか」

リップル「ふざけるな!!そんな事するなら死んだ方がマシだ!!」

ファズ「私の寛大な情けを無下にするとはな。私が作ったものの中でお前が一番、不出来だったよリップル」

リップル「蛮野ぉ!!」

ファズ「小賢しい!!」


リップルが跳躍し小太刀で斬りかかる。
ケルベロスの持つハーメルケインで防がれ、弾かれる。

267 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/06(火) 12:12:33.84 ID:ikf63dqr0
リップル「うっ」

ファズ「死ね!」

トップスピード「危ない!!」

リップル「と……トップスピードぉおおお!!!!」

トップスピード「よかった……リップルが無事で……」

リップル「どうして……どうして私なんかを庇って……」

トップスピード「へへっ、自然に体が動いちまったぜ……」

ファズ「他人を庇って自分が犠牲になるとは何と愚かな女だ」

リップル「黙れ!!トップスピードを悪く言うな!!」

ファズ「すぐにお前達もあの世へ送ってやるよ」


ケルベロスから光弾や火炎弾が次々と放たれた。
サバトの影響で消耗している魔法少女達は躱すか防御するかで凌ぐのが限度だった。
唯一、魔力を温存していたメアリだったが笛木との戦いでGXランチャーの弾数が減っている。


メアリ「くっ、弾切れか!」

ファズ「食らえ!」


光弾がGXランチャーに直撃し、爆散した。
メアリは代わりに拳銃を抜き出して応戦する。
接近戦に持ち込もうとしたケルベロスの身体が一瞬で消える。


ファズ「何だ?」

たま「ええええええええい!!」

ファズ「こいつの魔法は、ヤバい!」


たまの支給アイテムはホワイトゴレイヌ&ブラックゴレイヌ
ブラックゴレイヌとケルベロスの位置を入れ替える事によって一瞬でたまの射程内に移動させた。
急いで防御したケルベロスの右手に爪が引っかかれ、右手が消滅しハーメルケインがこぼれ落ちた。

268 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/06(火) 12:13:09.06 ID:ikf63dqr0
ファズ「この虫けらがぁ!!」

たま「ぎゃん!」


ケルベロスの左手でたまをぶん殴り、発射された光弾が
ホワイトゴレイヌとブラックゴレイヌを破壊した。


ミナエル「空知ィィィィ!!」

ユナエル「それ違うゴリラだよお姉ちゃん」

ファズ「後はお前だけだぁメアリ!!」

メアリ「――ッ!?しまった」


弾幕でメアリが怯んだ隙を狙って、ケルベロスの身体から触手が伸び
メアリの持つ賢者の石に絡みついた。
賢者の石を体内に取り込むと黄金の輝きが放たれ
ケルベロスの姿が変化していった。


ケイネス「こ、これは……」

デューク「ちょっとまずいかもね」

ファズ「ふぁはははは……ひゃははははははは!!ひひ、ひはっ、ふひゃはははははっ!!」

ファズ「見るがいい!!これが超進化を遂げた私の姿だ!!」

ファズ「これからは……ゴルドケルベロスと呼べっ!!」

リップル「蛮野ぉおおおおおおお!!」




賢者の石を取り込み、圧倒的な力を手にした蛮野天十郎。
この世界は蛮野の手に落ちてしまうのか?


次回 魔法少女大勝利!希望の明日へレディ・ゴーッ!!


スノーホワイト「やった♪」

ファズ「……え?」
269 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/06(火) 12:16:34.16 ID:ikf63dqr0
今回はここまで >>263のsagaが消えてたのでもう一度投稿しました

>>258
解決策が強引と思ったのは自分のSSの事ね
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/06(火) 12:38:28.63 ID:G3x46kR1O
おかしいな、この場面だけ見るとプロフェッサーが正義の味方みたいだ
自分の脳をハカイダーに移植するようなマッドなのに
271 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 00:08:13.47 ID:KH9ZSJdJ0
ファズ「素晴らしいパワーだ!!これだけの魔力があれば私の研究を完成させる事が出来る」


賢者の石から供給される無尽蔵の魔力がケルベロスの傷を癒し、右腕を再生させた。
ゴルドケルベロスから発せられるオーラが圧倒的力の差をこれでもかと見せつけていた。
だが、それでも魔法少女達は諦めなかった。


リップル「蛮野……」

スノーホワイト「はぁ……はぁ……」

ファズ「何度立ち上がろうとも無駄だ!私を倒す事など不可能だ!」

デューク「それはどうかな?」

ファズ「ぬ?」

デューク「魔法少女の諸君、リンクステッキだ!!」


凌馬の言葉を聞いて魔法少女達はマジカルフォンを確認した。
二つのマジックアイテムが支給されている。
エリクサーとリンクステッキだ。


デューク「エリクサーを飲んでリンクステッキで皆の力を合わせれば蛮野にきっと勝てるはずだ」

マジカロイド「これデスか」

トップスピード「つっ……やろうぜリップル」

リップル「トップスピード……無事だったんだ……」

トップスピード「ちょっと気絶してただけさ。だから泣くなよ」

リップル「……泣いてない」

デューク「ケイネスさん、君の分だ」

ケイネス「私もそれを使えと?」

デューク「君もこの戦いに終止符を打つのに相応しい役者さ」

ケイネス「ここはありがたく使わせてもらおう」

ファズ「そんな余計な真似を許すと思うか?」


光弾を放とうとするゴルドケルベロスの両目に矢が突き刺さる。
デュークが弓を構えて矢を放っていた。

272 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 00:08:54.87 ID:KH9ZSJdJ0
ファズ「ぐぎゃあああ!!おのれ凌馬ぁ!!」

デューク「こう見えてね。弓の腕前は良い方なんだ」


デュークの援護によって時間を稼いだ隙に、魔法少女達の回復は完了した。
HP、MP共にMAXになった彼女達はリンクステッキを掲げた。


スノーホワイト「これ以上、賢者の石の悪用はさせません!」リンクステッキ

ラ・ピュセル「蛮野、お前の野望もここまでだ!」リンクステッキ

アリス「これで終わりです」リンクステッキ

シスターナナ「行きましょう。ウィンタープリズン」リンクステッキ

ウィンタープリズン「ああ、シスターナナ」リンクステッキ

ルーラ「しっかりやるのよ貴女達!!」リンクステッキ

スイムスイム「ルーラの言う事は絶対……」リンクステッキ

たま「がんばるにゃ!」リンクステッキ

ミナエル「蛮野を倒したら私達の人気もうなぎ登りだね」リンクステッキ

ユナエル「ピーキーエンジェルズは永遠だねお姉ちゃん」リンクステッキ

ねむりん「たまには現実でも役に立って見せるんだからね〜」リンクステッキ

メアリ「皆と協力するのは癪だが今回は特別だよ」リンクステッキ

マジカロイド「まるで元気玉みたいデスね」リンクステッキ

ケイネス「コヨミの命を奪った貴様は絶対に許さん!」リンクステッキ

トップスピード「さぁリップル、一緒に……」リンクステッキ

リップル「……うん」リンクステッキ


16人全ての魔力がリンクして増幅する。
その広大な魔力のエネルギーがゴルドケルベロスに向かって放たれた。

273 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 00:10:17.85 ID:KH9ZSJdJ0
ファズ「ば、馬鹿な……賢者の石の力を手にしたこの私が貴様らなんぞに……ぐわああああああああ!!!!」


ゴルドケルベロスの肉体が分子レベルにまで蒸発して爆散した。
余波によって賢者の石も消失し、マスター端末が転がり落ちた。


ファズ「こんな、はずは……今はとにかく消えかかっているデータの再構築を……」

リップル「…………」

デューク「待ちたまえリップル、そんな武器ではこれは壊せないよ」

ケイネス「これを壊せるとすれば……」

ファズ「……あっ!?」


三者の視線が一つに集まる。
それはビルゲニア、コヨミ、笛木と複数の命を奪った武器、ハーメルケインである。
この剣ならばマスター端末を破壊する事が出来る。


リップル「これね……」

ファズ「待て!待つのだ華乃!」

リップル「あんたは、私の大切な友を侮辱した。絶対に許さない!」

ファズ「い、偉大な私の頭脳をこの世から消してはならない」

トップスピード「やっちまえ、リップル」

ファズ「華乃!」

リップル「やっちまえ……ってさ」

ファズ「待ってくれ!華乃ォオオ!待て!落ち着け、やめろぉ!!」

ファズ「やめろ!華乃!あぁ…ぬぁあああああ!!」

ファズ「ぬぉおおおおおおおおおおおおおおぁああああああああああああああああああああ!!!!」


ハーメルケインが振り下ろされ、マスター端末は粉々に砕け散った。


リップル「さよなら……父さん……」


こうしてファントム事件は完全に終わった。

274 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 00:10:46.86 ID:KH9ZSJdJ0
笛木の研究所


ここはN市のどこかに存在する隠された研究所である。
そこでは蛮野ですら知らない、もう一つの研究が行われていた。
テレポートでここに来た笛木は、血を零しながらも歩き続ける。


笛木(まだだ……まだ暦は救える……)

笛木(サバトと比べて、不確定要素が多く後回しにしたが、もうこれに頼るしかない……)

笛木(この儀式を起動させ……私の願いを叶えさせるのだ……)


研究所の地下奥にある一室に巨大な鏡が設置されていた。
笛木は鏡に手を伸ばした後、力尽きて塵になって消滅した。
鏡は不気味なほど眩く輝き、笛木の塵が鏡の中へ吸い込まれた
輝きを失った鏡は何も反応せず、ただ静寂に包まれていた。

275 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 00:11:24.14 ID:KH9ZSJdJ0


N市に甚大な被害をもたらしたファントム事件

それを起こした犯人が魔法の国の人間であった事実。
他にも国家反逆罪として処刑された大罪人がデータと化して悪事を働いていた事件も合わさり。
魔法の国の管理のずさんさが浮き彫りとなり、役所は多忙を極める現状となっていた。


事実が発覚後、すぐに魔法の国から使者がやってきた。
この事件に対する謝罪と、その後の処遇に付いて語った。


イオク「魔法少女達よ!私はクジャン家の当主、イオク・クジャンである!」

イオク「今回の事件に付いては私達の不手際が招いた事、本当にすまない!!」

イオク「君達の決死の戦いで笛木や蛮野の野望を阻止した英雄的活躍は我が国の上層部にも届いている!」

イオク「その功績を聞いて大変、感激しておられたラスタル様から伝言を預かっている」

イオク「N市の魔法少女達の勇敢さは素晴らしく、これこそ清く正しい魔法少女そのものである!」

イオク「君達15人の魔法少女を全員、正式な魔法少女として採用したい、との事だ」

イオク「君達の返答を期待しているぞ。我々と共にこの世界を守って行こうでは無いか!」


そう伝えて帰って行った。
無駄に自信と正義感の強い使者であった。
その後、使者からの伝言を聞いた彼女達は正式な魔法少女として契約を交わした。

276 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 00:14:18.53 ID:KH9ZSJdJ0
一旦、ここまで
今日中にエピローグを投下して終わらせる予定
まほいくキャラが誰も死なずに済んでよかった

>>270
欲望に忠実な人だから迂闊に信用するべき相手では無いのは確か
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/07(水) 00:17:23.13 ID:lDiZP5WyO
突然のイオク様に吹いたwww
このSSでは原作よりまともな存在だな
278 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 16:32:31.01 ID:KH9ZSJdJ0
エピローグ


華乃の高校


カレン「オハヨウゴジャイマース!!」

こけし「おはようございます」

華乃「おはよう」

ココア「やった♪今日の占い、私一位だよ♪」

アリス「私最下位だった……」

陽子「そんな気にすんなよ」

和菓子「ねえ聞いた?この前の事件、魔法少女の活躍で食い止めたらしいわよ」

鬼島「日食が突然起こった事件ですか」

綾「驚いたわよね。急に身体が動かなくなったんですもの」

カレン「魔法少女凄いデース!私も魔法少女になりたいデース!」

カレン「動物と仲良くなれる巫女服のヤマトナデシコな魔法少女がいいデース!」

陽子「えらく具体的だなぁ」

綾「魔法少女ね。私は……」

カレン「あややは機械を改造する黒ナースな魔法少女が似合いマス!」

綾「何で!?」

カレン「何となくデス。ちなみに鬼島は怪人蟹男デス」

鬼島「ええ〜」

華乃(この平和な日常生活を守る事が出来た)

華乃(私は魔法少女になれて本当に良かったと心の底から思えるよ)


奈緒子の家


奈緒子「…………」モグモグ


カラミティ・メアリこと山元奈緒子は昼食を取りながらニュース番組を見ていた。
内容は有罪確定と言われていた暴力団幹部の裁判で無罪を勝ち取ったという物。
担当した弁護士は黒を白に変えると言われている天才弁護士だった。


奈緒子「……ふん」


いかにも『人生勝ち組です』と言わんばかりに余裕に満ちた笑みを浮かべながら
記者達のインタビューに答えている弁護士を見て不快になり、番組を変えた。

279 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 16:33:21.88 ID:KH9ZSJdJ0
スーパー


つばめ(さて、今夜は豚の生姜焼きでも作るか♪)


トップスピードこと室田つばめは晩御飯の食材を買っていた。
彼女の隣には大男が食材をかごに入れている。
かごにはどれも、つばめの手に届かないような高級食材が入っていた。


つばめ(うひゃー!すっげー金持ちなんだな〜)

秘書(今日は先生が難しい裁判に勝った記念だから、いつもより豪勢なフランス料理を作ろう)


路上


占い師「そこのあんた」

早苗「何よ」


ルーラこと木王早苗が街を歩いていると街角にいる占い師に声をかけられた。


占い師「これからあんたに良くない事が起こる。特に頭上に注意した方がいい」

早苗「余計なお世話よ」

占い師「俺の占いは当たる」

早苗(変な奴ね。頭上に注意って……)


ふいに上を見上げると、住宅の二階に設置されている花瓶がぐらぐらと揺れていた。
固定されていた器具が外れ、早苗の目の前に花瓶が落下して割れた。


早苗(これって足を止めなかったら、私の頭に……)

占い師「俺の占いは当たる」キリッ

早苗「二回言うな」


大学


美奈「なんか私達の人気変わらず低いんですけどー」

優奈「低いんですけどー」

美奈「これだけ頑張ったのにねー」

優奈「ねー」

大学生「あんた達、まだそんなソシャゲやってんの?」

美奈「何で遊んだって私達の自由でしょ」

優奈「そーだそーだ!」

大学生「そんなゲームが好きだったらさ。もうすぐ俺のサークルで作ってるゲームが完成するからプレイしてみる?」

美奈「えー、素人が作ったゲームなんか絶対つまんないじゃん」

優奈「そうだよ。絶対クソゲ―じゃん」

大学生「言っておくけど、かなりの自信作だから、控えめに言って大手ゲーム会社が作るゲームの100倍は刺激的だよ」

美奈「ふーん、そこまで言うならプレイしてもいいよ」

優奈「つまんなかったら飯奢らせるからね」

大学生「決まりだね。完成したら教えるから楽しみに待っててよ」

280 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 16:33:54.93 ID:KH9ZSJdJ0
橋の下


真琴「おっちゃーん」

おっちゃん「おう、まことちゃん久しぶりだなぁ」


マジカロイド44こと安藤真琴は久しぶりにホームレスのおっちゃんの所へ戻ってきた。
普段と変わり映えしないおっちゃんの姿に真琴の顔に安堵の笑みがこぼれる。


真琴「最近は結構忙しくて中々会いに行けなかったのよね」

おっちゃん「そうかそうか。真琴ちゃんが相変わらず元気で良かった」

真琴「それにしてもおっちゃん、何の写真を見てたの?」

おっちゃん「女房と娘さ。どうだ、女房も娘も美人だろ」

真琴「確かに、おっちゃんには勿体無いくらい綺麗じゃん」

おっちゃん「はっはっは!言ってくれるじゃない」

真琴「よりを戻したいって思ってる?」

おっちゃん「……まぁな。その願いを叶えるにはまず仕事を見つけないといかねえけどな」

真琴「おっちゃんなら良い仕事見つかるって、じゃあ私、そろそろ行くね」

おっちゃん「おう、またな」


夢の世界


中年男性「……なんだここは?」

ねむりん「やっほ〜、魔法少女のねむりんで〜す」

中年男性「魔法少女?こんなくだらん夢を見るとは俺も疲れてきたか」

ねむりん「むう……魔法少女はくだらなくないよ!皆に夢と希望を運ぶ素敵なお仕事なんだから」

中年男性「それがくだらないと言っているんだ。世の中は競争だ。誰かを蹴落として生きているんだ」

ねむりん「争うよりも皆で仲良く協力し合って生きた方が楽しいと思うけどな〜」

中年男性「そんなおめでたい思考を持った甘ちゃんが利用され淘汰されるんだよ」

中年男性「現に俺は、沢山の人間を利用してここまで上り詰めてきたんだ」

ねむりん「それだけ偉くなれたのなら今度は皆を助ける側に回ってもいいんじゃないの?」

中年男性「足りるかよ。権力、財力、暴力、力はいくら増やしても多すぎる事は無いんだよ」

ねむりん「その生き方って辛くならない?いくら強くなっても皆に嫌われたら悲しいよ」

中年男性「それは社会の負け犬の発想だ。他人に憎まれる事を恐れていたら人の上になんて立てんよ」

中年男性「これ以上、お前と話す事は無い。さっさと消えろ」

ねむりん「……分かったよ、じゃあね」

281 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 16:34:49.29 ID:KH9ZSJdJ0
小学校前、下校時間


綾名(本から色んなお姫様のお話を読んできた)

綾名(お姫様の多くは王子様と結婚して幸せに暮らしている)

綾名(ルーラも王子様と結婚するのかな?……私も王子様と?)ゴツン

青年「大丈夫……だよね?」

綾名「…………」コクリ


スイムスイムこと坂凪綾名は考え事をしながら歩いていると青年とぶつかった。
青年は綾名とどこか似た雰囲気を持ったダウナー系の男だった。
綾名に怪我が無いのを知るとそのまま立ち去って行った。


ショッピングモール


珠(ルーラのプレゼント、何がいいかなぁ)

警備員(何か楽して稼ぐ方法無いかなぁ〜毎日好きな様にお金が使える暮らし、憧れるよなぁ〜)


たまこと犬吠埼珠は日々、お世話になっているルーラのプレゼントを探していた。
珠の近くにいたショッピングモールの警備をしているこの男は、楽に稼げる方法が無いかと
しょうもない考えをしていた。

282 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 16:35:24.25 ID:KH9ZSJdJ0
アンティーク店前


ケイネス(報告書の作成も終わったし、そろそろ魔法の国へ帰るとしよう。ソラウも私を心配しているだろう)

ケイネス(よし、ここでソラウに土産でも買っておこう)

店長「いらっしゃい」

ケイネス「なかなか良い品揃えじゃないか。少し見せてもらうぞ」

店長「いいですとも、うちの商品は品質にはかなり自信がありますから」

店長(さて……次の取引からは俺の分け前を増やしてもらうとするか)

店長(奴の立場からして、あの刑事が俺の要求を断る事は無いだろうからな)


小雪の高校前


小雪(よし!今日も魔法少女活動、頑張ろうっと)

刑事(押収品を横流しするだけでこうも楽に稼げるとは笑いが止まりませんね)

刑事(正義などと言うくだらない幻想から目を覚まさせてくれた、あの白い魔法少女には感謝したいぐらいですよ)

小雪「……?」


スノーホワイトこと姫河小雪は、目の前を通り過ぎる男に既視感を覚えつつも
人目の映らない所で魔法少女に変身してラ・ピュセルとアリスのいる場所に合流した。


スノーホワイト「二人とも、お待たせ」

ラ・ピュセル「じゃあ早速行こうか」

アリス「はい」


正式に魔法少女になったスノーホワイト
今日も清く正しい魔法少女として困っている人達を助けに向かう。
彼女の魔法少女の活動はまだ始まったばかりなのだ。



283 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 16:36:05.69 ID:KH9ZSJdJ0
平和な日々が続くと思っていた。
ファントム達の脅威を取り除いたN市にもう敵は現れない、そう誰もが思っていた。
その考えは間違っていたと気付かされる事になる。


人通りの多い街中


菜々「あら、一つ買い忘れてしまいました。少し待っていてください」

雫「それなら一緒に行こう」

菜々「大丈夫ですよ、お店はすぐ傍にありますから」

雫「奈々がそこまで言うならここで待っているよ。気を付けてね」


シスターナナこと羽二重菜々とヴェス・ウィンタープリズンこと亜柊雫は買い物帰りの途中だった。
買い忘れに気付いた菜々はスーパーへと戻っていった。
この事を雫は今でも後悔している。
あの時、無理にでも菜々と一緒に行動をしていれば防ぐ事が出来た事件だったと。


菜々「……あれは?」

通り魔「…………」


菜々の目の前にふらふらと歩く男がいた。
蛇柄のシャツを着ており、長身で痩せ型、ぎょろりとした目つきが菜々を睨みつける。
菜々は気付いた、男の右手には鉄パイプが握られている事を。
右腕を持ち上げた男は手に持った武器を菜々に向かって振り下ろした。


ドサリと菜々が倒れ伏す。
今度は傍にいたサラリーマンの青年に向かって鉄パイプを振るい、また一人倒れる。
三人目は肥満体質のおばちゃんを殴りつける。
左目の眼球が飛び出してアスファルトに叩きつけられて潰れた。

284 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 16:36:39.06 ID:KH9ZSJdJ0
三人の人間が倒れた所で周囲の人達が悲鳴をあげて逃げ出した。
動きが遅く逃げ切れなかった老人の頭部を殴りつけ、鮮血が吹き荒れる。
190cmはありそうな髭面の大男が、通り魔に向かって殴りつけた。


大男の拳を顔面で受け止めた通り魔は反撃に殴り返して、大男が路上に転がった。
通り魔は鉄パイプを両手で持ち、大男の頭上に叩きつけるように振り下ろす。
大男の頭部が爆ぜた、脳漿が飛び散って路上を汚す。


雫「このっ!」

通り魔「…………」


駆けつけた雫が通り魔に一撃を与えるも全くダメージを受けている様子は無い。
通り魔を見て雫は思った、こいつは人間じゃない、獣だと。
人の味を覚えた猛獣が爪と牙を用いて人を襲っているのだと。


通り魔「はっはっはぁ……」

雫(こいつ……)


周囲の人間の血を浴びて真っ赤になった通り魔は乾いた嗤いを浮かべている。
血に飢えた獣は雫をターゲットに選び、命を奪おうとしている。


通り魔「はぁっ」

雫(一撃でも受けたら不味い、全力で躱さなければ)


雫は回避に徹して通り魔の鉄パイプを避けた。
攻撃を受けた瞬間、自分は動けなくなる。
二撃目で確実に命が奪われると。


雫(周囲にはまだ人がいる。変身さえ出来れば……)

警察A「警察だ、動くな!!武器を捨てろ!!」


近くを巡回していた警察二名が通り魔に銃を向けた。
これで通り魔の凶行も終わると安心したのか、逮捕の瞬間を記録したいのか。
数十メートル放たれた先で、野次馬達が通り魔にスマホを向けて撮影を始めている。

285 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 16:37:42.21 ID:KH9ZSJdJ0
雫(嫌な予感が収まらない……)

雫「あの男は普通じゃない!気を付けた方がいい!」

警察A「我々はプロだ、任せなさい」

通り魔「…………」


通り魔は腕を横に伸ばして握りしめた手をゆっくりと開いた。
血に染まった鉄パイプが落下する。
警察が通り魔に手錠をはめようとした瞬間、通り魔が視界から消えた。


警察A「なっ……」

雫「まずい!」


人間離れした速さで動いた通り魔が隠し持っていたナイフを用いて
手錠をはめようとした警察の首を掻っ切った。
それから一秒も経たずに奥にいたもう一人の警官の首も斬り裂かれる。


警察B「――っ!!」

通り魔「はぁああ……」

雫「逃げろ!!」


数十メートルの距離が安全圏内だと判断していた野次馬達の群れに一瞬で通り魔が潜り込んだ。
すれ違う人間達を次々とナイフで刺し、至る所で血飛沫が舞い上がった。
雫は必死に後を追おうとするが通り魔の異常な足の速さと、逃げ惑う市民が行く手を塞ぎ
通り魔を完全に見失ってしまう。


雫「菜々……菜々はどこだ!?」


スーパーへの道筋を辿って菜々を捜索する……見つけた。
頭部から血を流して意識を失っている状態で発見された。


雫(急いで病院へ運ばないと、しかし私が下手に動かしては取り返しのつかないことに)

雫(頼む!早く救急車を!)


多数の救急車が現場にやってきた。
菜々はすぐさま病院に搬送され緊急治療が行われた。

286 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 16:38:20.57 ID:KH9ZSJdJ0
病院


雫(奇跡的に菜々の一命を取り留める事が出来た)

雫(だが、脳へのダメージは大きく、いつ目覚めるか、もしかしたら一生目覚めないかもしれないと医者が言っていた)

雫(私が菜々から目を離さなければ……自分の不甲斐なさが許せない)

雫(……もう一人、許せない奴がいる。菜々を傷つけた通り魔だけは絶対に許さない)

雫(例え、奴が処刑場へ送られるとしても私は見逃すつもりは無い)

雫(私自身の手で、奴を殺してやる!!)



平和な街に突如、恐怖をもたらしたこの事件。
それはまだこれから起こる惨劇のほんの始まりに過ぎなかった。


鏡の世界に巣食う異形の怪物達の力を手にした仮面契約者達。
願いを賭けて殺し合う彼らの出現によってN市の住人達が。
魔法少女達が戦禍に巻き込まれる事になる。
果たして魔法少女達はこの戦いを食い止める事が出来るのか?


ファントム編 完
287 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 16:42:18.24 ID:KH9ZSJdJ0
これにて投下終了です
意地でも仮面ライダーとは呼ばないスタイル
登場人物といいアイテムといいごった煮カオスなSSでしたが
ご愛読頂きありがとうございました


続編を書くかどうかは検討中です
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/07(水) 22:59:34.30 ID:u3/q/u7uO
ハッピーエンド、かと思いきやなんかモヤモヤ感の残る終わり方だったな
まあ乙
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/08(木) 08:26:22.74 ID:ickh66mB0
クラムベリーがでないな思って読み返してみたら逮捕されてたの
忘れてたわ・・・
290 : ◆kJur2.rMxfRZ [sage]:2017/06/08(木) 13:12:51.34 ID:PxmQ3hHf0
続編を書くとしたらこのスレを継続するべきなのか
それとも新スレ立ててスレタイ変えるべきなのか悩む

>>289
クラムベリーは後のまほいく作品に影響しまくりなキャラなので
出番を与えたかったが迂闊に動かせずにこういった扱いになった
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/08(木) 22:10:14.44 ID:ViA8eNhC0
なんやかんやで一貫して頼りになる味方だったプロフェッサーには笑うしかない
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/10(土) 10:49:56.81 ID:A80Zche+0
アニメ的にクラムベリーって事実上ミナエルしかタヒなしてない気が・・・
(因みに漫画版ではミナエルのタヒに様がアニメ寄りヤバイらしいけど・・・)
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/10(土) 13:42:18.03 ID:kKyI2mNA0
原作開始前に結構な数の魔法少女を殺ってるんだよなあ...
294 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/11(日) 03:37:03.99 ID:zcWYN+2v0
SSを書くモチベがまだ残っていたので、このスレで続きを投下します
295 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/11(日) 03:37:31.84 ID:zcWYN+2v0
最終章 仮面契約者編


街中で白昼堂々と多数の市民を死傷させた通り魔事件。
犯人は山に向かって逃走したという目撃証言を取った警察はすぐさま逮捕に乗り出した。
武装警察隊を投入して山の中の探索を開始した。


一人の警官が木々に妙な物が吊るされているのに気付いた。
そこにライトを向け、正体が判明した時、警察は息を飲んだ。
吊るされていたのは複数の人間の死体だった。


死体の腹は裂かれており、地面には内臓がばら撒かれていた。
これだけ残忍で猟奇的な犯行が行えるのは、あの通り魔しかいない。
死体達の前に戦慄する武装警官達の樹上で潜んでいた通り魔が襲い掛かった。


通り魔が鉈を振り下ろして武装警官の首が刎ね飛ばされた。
切断された首から噴き出す血飛沫をその身に浴びて次々と警官隊を襲った。
悲鳴と銃撃が響き渡る中、半数以上の武装警官の命を奪った通り魔をようやく捕獲出来た。


通り魔の身元を調べた所、彼の名は浅倉 威、25歳だと判明した。
少年時代に児童養護施設から抜け出した後は行方知れずだった男だ。
異常な凶暴性を持つ浅倉は刑務所内でも最も厳重な監視の付いた地下奥深くにある独房に入れられた。


浅倉が独房に入ってから、そう月日が経たない内に事件が起こった。
刑務所内で突如、酸性の強い謎の毒ガスが発生したのだ。
毒ガスが刑務所全体を包み、囚人達と看守達、殆どの人間が死亡した。
刑務所内の精密機械も毒ガスによって壊され、監視カメラのデータも残っていなかったために
事件の真相の究明は困難を極めていた。


毒ガスから僅かに生き残った職員達は次々に奇妙な発言をしていた。
「紫色の怪物が人を襲っている」と。
信じがたい内容だが、死体の中には異常な力によって人体が破壊されてる物も多数あった。
刑務所内の囚人の遺体を調べていく内に、ある事実が判明した。
凶悪犯罪者、浅倉威の死体が存在していない事に……。



296 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/11(日) 03:38:29.26 ID:zcWYN+2v0
浅倉威が逮捕された事件、刑務所内で毒ガスが発生した事件は
すぐさま全国のニュースで報道され
それを見ていた市民達は次々の異常な事態に不安を募らせていた。
ニュースを見ていた姫河小雪もとても胸を痛めた。


浅倉威によってシスターナナは意識不明の状態が続いている。
N市を守る魔法少女として共にファントムと戦ってきた大切な仲間だ。
パートナーであるウィンタープリズンとは連絡が取れないのも気がかりだった。


小雪(二人の事は心配だけど今は何も出来ない。私は私の出来る事をしよう)


魔法少女としての役割を放棄する訳にはいかない。
今はシスターナナの分まで善行に励むのが自分の使命だと言い聞かせた。
放課後、ラ・ピュセルとアリスの二人と合流し、人助けを開始した。


『もう嫌だ!!』『戦いたくない!!』『殺されるぐらいだったら……』

スノーホワイト「心の声が聞こえる!あっち!」


心の声の聞こえた方向へ向かった三人は古びたアパートにたどり着く。
チャイムを鳴らしたが反応は無い。心の声も聞こえてこない。
ドアノブを掴むと鍵はかかっておらず扉が開いた。


ラ・ピュセル「なんだこれは……」

アリス「真っ暗です」


外はまだ明るいというのに室内は明かり一つ無い暗闇だった。
魔法少女の優れた視力で中を確認して気付いた。
全ての窓に新聞紙が貼り付けられ床にはガラスの破片が散らばっていた。
嫌な予感がしたスノーホワイトは土足のまま部屋の奥へ入った。
そこには若い男がロープで首を釣っている姿があった。

297 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/11(日) 03:39:27.71 ID:zcWYN+2v0
スノーホワイト「――――っ!?」

ラ・ピュセル「大変だ!」

アリス「救急車を呼びます」


すぐさま男を床に降ろして、心臓マッサージを行った。
スノーホワイトの魔法と迅速な人命救助によって男は意識を取り戻した。
男はスノーホワイトと目が合うと、彼女の腕を掴んだ。


『もう契約者なんてこりごりだ!』『代わりに戦ってくれ!』

スノーホワイト(どういうこと?)


スノーホワイトの疑問を他所に、男は安心した様に意識が遠のいていく。
救急車がやってきた、後は救急隊員に任せるとした。
再び人助けを始めるべく、アパートから飛び出して家々の屋根から飛び移っていく。


スノーホワイト「え?ここはどこ?」


紫色の霧が辺りを包み、スノーホワイトの方向感覚を狂わせた。
霧の中に閉じ込められたスノーホワイトはどこへ行けばいいのか分からず不安になる。
突然、風が吹いた、霧の一部が消えて一本の道が開いた。
スノーホワイトは何者かに招き入れられるように道なりを進んだ。


霧が晴れて行く、目の前には古びた教会が建っていた。
扉の前に立つとギギギ…と錆び付いた音を鳴らしながら開いた。
教会の中に足を踏み入れたスノーホワイトは思わずビクッと肩を震わせた。


床も壁も天井も全てが鏡張りで出来た、鏡の部屋だった。
鏡の表面は血文字でびっしりと覆われていた。
それは人間達のの願いだった。
絵馬に願いを書いて神社に奉納するように願いが書かれている。
様々な欲望が鏡に映されてスノーホワイトは気分が悪くなってくる。

298 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/11(日) 03:40:05.60 ID:zcWYN+2v0
黒い影(お前の願いを書け)

スノーホワイト「私の……願い……?」

黒い影(それが契約の印だ)


教会から現れた黒い影がスノーホワイトに語り掛けてくる。
スノーホワイトは言われるまま指で鏡に願いを書いた。


(清く正しい魔法少女で有り続けられますように)


願いは血文字になって鏡に流れる。
その時、スノーホワイトの手の中に龍の顔をかたどったエンブレムが
いつの間にか握られていることに気が付いた。


スノーホワイト「痛っ、エンブレムが手の中に……」


エンブレムは手の中に沈み込んで刻印の様に埋め込まれた。


黒い影(お前が先ほど助けた男は仮面契約を放棄し、お前に譲った)

黒い影(お前が願いを書いたことで譲渡は成立された)

黒い影(たった今からお前は仮面契約者として戦わなければならない)

黒い影(お前はエンブレムの力により変身することができる)

黒い影(戦いに勝ち残り、最後の一人になればお前の願いは叶えられる)

スノーホワイト「どういうこと?仮面契約って何なの?あ、ああ……」


スノーホワイトの体内に熱い物が入ってくる感覚が伝わる。
脳内に赤い龍のイメージが流れてくる。


ドラグレッダー(貴様か。我の新しいマスターは)

スノーホワイト「ドラゴン?なんで私の中に?」

ドラグレッダー(時期に分かる。せいぜい我を失望させるなよ)


手に埋め込まれたエンブレムが輝き、スノーホワイトは教会からミラーワールドへと転移された。
ミラーワールド、そこは左右が反転し、人間は存在せず、風も音も無く
澄み切った空は、全ての星座が集まり不気味なほど輝きに満ちていた。


スノーホワイト(どこ?……声が出ない!?)

ドラグレッダー(敵だぞ、戦え)

ディスパイダー(シャアアアアアア!!)


巨大なクモの怪物がスノーホワイトの前に現れた。
スノーホワイトの内に存在する契約モンスターの声によって戦いを催促されるが
次々と巻き起こる超常現象の数々にスノーホワイトの思考は追いつかない。


スノーホワイトはとにかく逃げ回った。
ミラーワールド内の異常な雰囲気によって闘争心はすっかり衰えていた。
ディスパイダーはスノーホワイトを捕食するべく追いかけてくる。

299 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/11(日) 03:40:44.06 ID:zcWYN+2v0
ドラグレッダー(戦わなければ死ぬぞ。我の力を使って戦え)

スノーホワイト(貴方の力を使う?)

ドラグレッダー(我と契約した時に理解している筈だ。戦い方を)


ドラグレッダーの言う通り、スノーホワイトは力の使い方を知っている。
体内に契約モンスターが入った瞬間に知識が流れ込んできたのだ。
スノーホワイトはディスパイダーに向けて拳を突き立て、攻撃の意思を示した。


龍の頭を模したパーツが右腕に装着され、魔力が集中する。
龍騎のストライクベント、ドラグクローファイアーの火球が射出される。
火球がディスパイダーに直撃し、炎に包みこまれる。


スノーホワイト(倒したの?)

ドラグレッダー(まだだ)

ディスパイダー(シャシャシャアアア!!)

スノーホワイト(糸が!?)


ディスパイダーの口から放たれた糸がスノーホワイトを拘束する。
糸が身体全体を包み込み、身動き一つ取れない。
スノーホワイトにトドメを刺すべくディスパイダーから針が射出された。


スノーホワイト(私、こんなところで死にたく)


カキンカキン


固い物質に衝突した針が転がり落ちる。
スノーホワイトの目の前にはいくつもの壁が生え、盾代わりとなっていた。


ウィンタープリズン(間一髪だったなスノーホワイト)

スノーホワイト(ウィンタープリズンさん!)

ウィンタープリズン(話は後だ。まずはこいつを片付ける)


ウィンタープリズンの姿が少し変化していた。
黒い槍を武器に使い、肩に装着された黒いマントの姿は黒い騎士を連想させる。
針の攻撃を躱したウィンタープリズンの手から超音波が発せられ敵の動きは止まった。


ウィンタープリズンは空高く跳躍する。
マントが全身を包み込み、黒いドリルのような姿となり回転しながら落下した。
ディスパイダーの身体に風穴が開き、爆散した。
ウィンタープリズンは倒したモンスターに向かって手をかざすと
ディスパイダーの魂が吸引され、ウィンタープリズンの身体に取り込まれる。


スノーホワイト(ウィンタープリズンさん、これは……)

ウィンタープリズン(君も契約者になったんだね)

スノーホワイト(え?か、体が!)シュウウ

ウィンタープリズン(時間か、早くここから出よう)シュウウ


二人はミラーワールドから脱出した。
そこはいつも通りの現実世界だった。
街頭の明かりも、走り去る車の騒音も、おしゃべりしながら歩く街の人間達の声もある。
全てが愛おしく思えた、当たり前のように存在する物がこんなに恋しくなるなんて初めてだった。

300 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/11(日) 03:41:20.71 ID:zcWYN+2v0
アリス「見つけました」

ラ・ピュセル「スノーホワイト!よかった……無事だったんだね!」

スノーホワイト「そうちゃん!!」

ラ・ピュセル(スノーホワイト!?……震えてる)

スノーホワイト「怖かった……怖かったよぉ」

アリス「ウィンタープリズンさん、何があったんですか?」

スノーホワイト「それはスノーホワイトが落ち着いてから話そう」


ラ・ピュセルの胸に飛び込む様にスノーホワイトは抱擁した。
彼女の怯えている様子を見てラ・ピュセルはなだめるように抱きしめ返した。
しばらく抱擁を続けてようやく落ち着きを取り戻し
なぜスノーホワイトとウィンタープリズンの二人が一緒にいたか語り始めた。
にわかには信じがたい内容だったが彼女達が鏡の中から出現した事と
手の甲から浮き出たエンブレムの存在が真実だと知らしめる。


ラ・ピュセル「ミラーワールドに仮面契約者、そんな物があるなんて……」

アリス「その話が本当ならウィンタープリズンさんとスノーホワイトさんも殺し合う事になるんですか?」

ウィンタープリズン「正直言ってスノーホワイトとは戦いたくない、出来れば誰かに契約を譲って降りてほしい」

ウィンタープリズン「スノーホワイトの願いは自力で叶えられる。いや、叶えてこそ意味があると私は思う」

スノーホワイト「ウィンタープリズンさんは契約者として続けるんですか?」

ウィンタープリズン「ああ、私にはどうしても叶えたい願いがある」

スノーホワイト「……シスターナナさんを救う為ですね」

ウィンタープリズン「それもある、他にもう一つ私は復讐の為に契約者の力を使う」

ラ・ピュセル「復讐?」

ウィンタープリズン「皆も知っているだろう。凶悪犯罪者、浅倉威を」

アリス「はい、ニュースで見ました」

ウィンタープリズン「奴を殺す為だ。あいつは既に刑務所から脱獄した。契約者の力を使って」

スノーホワイト「そんな!?もしかして……刑務所から出た毒ガスは」

ウィンタープリズン「話しておくべきだろう。私と浅倉が戦ったあの日の事を……」


301 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/11(日) 04:01:48.55 ID:zcWYN+2v0
今回はここまで、ウィザードの次は龍騎メインのクロスです
新章になりスノーホワイトがパワーアップして可愛いマスコット(ドラグレッダー)もゲットしました
ファントム編と比べてギャグ要素が減ります、主にシャンゼリオンのせいで


色々設定弄ってるので仮面契約者の設定を紹介

・契約モンスターは契約者の心に潜み、契約相手のみ意思の疎通が出来る(仮面ライダービーストに近い)
・契約者は120時間以内に契約モンスターに餌をあげなければならない。餌はモンスターか人間の命である。
・契約者は基本的にミラーワールドで戦いを行うが外の世界でも魔法の使用となっており殺害してもお咎め無し
・餌を供給出来なかった者、又は戦う意思を完全に放棄した者は契約モンスターの餌となる。
・契約者は魔法使いと化しており、魔法少女の認識阻害を看破できる。
・契約者が望めば契約を解約することができる。ただし、その場合、契約を受け継ぐ他の人間を見つけなければならない。
302 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/11(日) 04:26:00.28 ID:zcWYN+2v0
>>300のウィンタープリズンの台詞の一部がスノーホワイトになってた恥ずかしい
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/12(月) 08:43:01.87 ID:P0ydgRNJ0
続けるなら分けてくれると有り難いんだけど・・・
304 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/12(月) 19:11:32.98 ID:stBEomdb0
>>303
そこは>>290の時に反応があれば出来ましたが、もう既に投下したのでこのスレを使いますね
では続きを投下します
305 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/12(月) 19:12:10.23 ID:stBEomdb0
ウィンタープリズンの回想


浅倉が逮捕されたニュースが全国で流れた日。
ウィンタープリズンは浅倉を直接殺害するべく行動を開始した。
抑えきれない憎しみは、その手で浅倉の命を奪わない限り晴れる事は無い。


王結寺


ルーラ「透明外套を貸してほしいだと?何に使う気?」

ウィンタープリズン(人を殺すために使うと知ったらルーラは断るだろう)

ウィンタープリズン「それは、言えない……だがどうしても必要なんだ。用が済めばすぐに返す」

ウィンタープリズン「その間は、私に支給されたマジックアイテムを自由に使って構わない」

ルーラ「アイテムって、着せ替えカメラ?こんなのいらないわ」

ウィンタープリズン「……どうしても貸してもらえないなら実力行使に訴えるつもりだ」

たま「あわわ……」

スイムスイム「ルーラに危害を加えるなら私は戦う」

ミナエル「透明外套貸せば、着せ替えカメラ使ってもいいの?」

ウィンタープリズン「ああ」

ミナエル「じゃあいいよ。今転送するねー」

ウィンタープリズン「感謝する」

ルーラ「ちょっと何勝手に決めてんのよ!」

ミナエル「いいじゃんいいじゃん、透明外套は元々私に支給されたアイテムなんだからさ」

ユナエル「へぇ〜これが着せ替えカメラかぁ〜」

ミナエル「この紙に絵を描くんだね。さらさら〜と」

ユナエル「うわお!お姉ちゃんマジエロエロじゃん!」

ミナエル「ルーラ〜こっち向いて〜」

ルーラ「何よ!」

306 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/12(月) 19:12:55.95 ID:stBEomdb0
パシャッ


ルーラ「――ッ!?」

スイムスイム「ルーラも水着になった」

ミナエル「アヒャヒャヒャ!ルーラがマイクロビキニ〜www」

ユナエル「ルーラ超セクシーwww」

たま「ああ…駄目だよミナちゃん」

ミナエル「次はスイムもマイクロビキニにしようね〜」

ユナエル「しようね〜」

ルーラ「ルーラの名のもとに命ずる!ミナエル、私を元の姿に戻せ!」

ミナエル「あーん、面白い所だったのに〜」

ルーラ「全然面白くない!」

ユナエル「ルーラのいけず〜」

たま「着せ替えごっこするならふりふりの綺麗なドレスにしようよ」

スイムスイム「綺麗なドレス、お姫様、着てみたい……」

ミナエル「いいね〜今日はコスプレパーティーだ!」

ユナエル「いえ〜い!」

ルーラ「あんた達ねえ……」

ウィンタープリズン「では、失礼する」


307 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/12(月) 19:13:45.49 ID:stBEomdb0
王結寺から出た私は、調査の末、浅倉が収容されている刑務所を見つけて侵入することにした。
透明外套とシスターナナの支給アイテムである通り抜けフープがあれば
誰にも気付かれることなく侵入して、浅倉を殺害する事が出来る。
囚人達が就寝している深夜に行動を移した。


透明外套を身に纏い、通り抜けフープで刑務所内部へと入った瞬間、苦痛が全身に襲った。
刑務所全体が黄色い霧に包まれていた。
苦痛の原因はその酸の霧に触れたせいであった。


ウィンタープリズン(この霧はなんだ?それに異臭が酷い……)


歩いている内に異臭の原因を理解した。
霧によって焼き爛れた死体の臭いだ。
考えてみれば魔法少女ですら苦痛を感じる霧が常人に耐えられるはずがない。


牢の中で囚人達の顔が、身体が、酸によってドロドロに焼かれている。
霧の苦痛から逃げ出そうと爪が剥がれながら壁を引っ掻き続けて死んだ者。
呼吸器官に入った霧に体内を焼かれ、呼吸が出来ずに喉を掻き毟って死んだ者。
囚人を出来る限り救おうとして、いくつかの牢を開けてから死んだ者。
開けられた牢から非常口まで逃げようとして途中で力尽きた者。


死体、死体、死体、数え切れないぐらいの死体が刑務所内に散乱している。
依然として霧の痛みが続いているが浅倉を見つけ出さない限り帰るつもりは無い。
それに、この霧が出現した原因も見つけなければならない。


ぐちゃ、べちゃ


何かが潰れる音が奥の部屋から響いてくる。
ウィンタープリズンは気配を殺して、ゆっくりと音のする方向へ歩いた。

308 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/12(月) 19:14:35.57 ID:stBEomdb0
王蛇「ああ……」


紫色のスーツを身に纏った男が職員達の亡骸を破壊していた。
どことなくキングコブラを思わせる仮面が返り血によって赤く染まっている。
王蛇は死体から噴き出る血を、その身に浴びて恍惚な声を出していた。


王蛇「糞の臭いがする。そこにいるのは誰だ?」

ウィンタープリズン(姿を消しているのに私に気付いたのか、それにその声は……)


自分の存在に気付いた事にも驚いたが、それ以上に王蛇から聞こえる声が心を揺さぶられた。
目の前にいる王蛇の正体が、菜々を傷つけた復讐するべき男、浅倉威だと気付いた。
透明外套を外して自分の姿を晒す。


王蛇「なんだお前……」

ウィンタープリズン「浅倉威、この虐殺はお前の仕業だな。なぜこんな事をした?」

王蛇「どいつもこいつも糞の臭いを撒き散らしていたからな。これで清々した」

ウィンタープリズン「そうか。貴様はまともじゃないな。ここで死んでもらう」

王蛇「……やってみろ」

ウィンタープリズン「はぁっ!」

王蛇「くくっ」


ウィンタープリズンの拳が王蛇の顔面を殴りつける。
王蛇は回避行動を一切取らずに顔面で受け止めた。
続いて放ったミドルキックが王蛇の脇腹に突き刺さる。
王蛇はウィンタープリズンの足を掴んで動きを封じる。
ウィンタープリズンが片手を地面に付けて魔法を発動。
壁が生えて王蛇の腹部に当たり天井まで押し込んで勢いよく挟み込んだ。


王蛇「なかなか楽しませる」

ウィンタープリズン「壁が溶けている、酸か」


王蛇の口元が開いた。
口内からギザギザの牙を覗かせた。
酸を吐き出して王蛇を拘束している壁を溶かして脱出した。
さらに続けてウィンタープリズンに向けて酸を放出する。
横に飛んで回避した、酸の浴びた個所がドロドロに溶解し崩れていく。

309 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/12(月) 19:16:24.38 ID:stBEomdb0
ウィンタープリズン(当たれば魔法少女でもタダでは済まない、か)

王蛇「避けているだけでは俺は殺せないぞ」


続けて酸が吐き出される。
囚人の死体にかかり、骨すら残さず溶けていった。
もう一度、酸を吐き出すと同時に目の前で壁が出現した。
壁に阻まれて酸が飛ばずに終わる。


王蛇「小細工か…」

ウィンタープリズン(このタイミングで仕掛ける)


王蛇の視界は壁によってウィンタープリズンの姿は映っていない。
その隙を付いて壁ごと王蛇に攻撃を当てるべく飛び蹴りを放った。


ウィンタープリズン(浅倉が……いない!?)

王蛇「こっちだ」

ウィンタープリズン「あぐっ!」


壁で視界を塞いでの奇襲を察知した王蛇はすぐに距離を取り
ソードベント、ベノサーベルを出現させ、ウィンタープリズンを斬りつける。
鮮血が飛び、ウィンタープリズンは後退を余儀なくされる。


ウィンタープリズン(こいつ強い……凄まじく!)

王蛇「さぁ、もっと俺を楽しませろ!」


刑務所の外でパトカーのサイレンが響き渡る。
異常に気付いた警察達が出動したのだ。
王蛇は戦いに水を差され、ため息をついた。


王蛇「今日はもう終わりだ。次に会ったらもう一度、俺と戦え」

ウィンタープリズン「ぐっ……」


王蛇は鏡の中に入って消えて行った。
ウィンタープリズンは悔しさに歯を食いしばった。
復讐相手に逃げられたのにも関わらず、ほっとしている自分の我が身可愛さに腹が立った。
このまま戦い続けていれば確実に殺されていた。
それほど実力差は明確だった。

310 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/12(月) 19:16:52.86 ID:stBEomdb0
ウィンタープリズン「こんな有様では私は復讐を果たすことが出来ない!」

ウィンタープリズン「済まない菜々……私は、私は……」


自分の無力さが恨めしい。
復讐を果たすだけの力が欲しい!
浅倉を殺す為なら自分の命を投げ捨ててでも!


その瞬間、私の身体は紫色の霧に包まれた。
後のやりとりは、スノーホワイトと大体同じだった。
菜々の回復を願いとして、浅倉威に復讐する為の力を得た。
契約モンスター、ダークウィングをその身に宿して契約者となった。


浅倉が変身する王蛇と比べて、私の姿はさほど大きな変化は無かった。
ダークウィングは、既に魔法少女として仮の姿を持っているからだと。
本来の姿を隠す仮面を付けているのが理由なのだと話していた。

311 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/12(月) 19:17:26.90 ID:stBEomdb0
回想終了


ウィンタープリズン「そういう訳だ。私は浅倉を殺す為にも契約者を続ける」

ウィンタープリズン「例えシスターナナが無事だったとしてもあの男を放置しておけば、いつ襲われるかも分からない」

スノーホワイト「それなら私も契約者を続けます!」

ラ・ピュセル「危険だよスノーホワイト!」

アリス「そうです。スノーホワイトも契約者を続ける必要はありません」

スノーホワイト「私は契約者バトルを止めたい。願いを叶える為に殺し合うのは間違ってると思う」

ウィンタープリズン「……それだと、いつか私はスノーホワイトの敵になるかもしれない」

スノーホワイト「それでも、私は見て見ぬ振りは出来ません。殺し合う為に魔法を使うなんて」

ウィンタープリズン「やっぱりそうか。スノーホワイトなら、そう動くと思ったよ」

ウィンタープリズン「私の想いが叶うか、スノーホワイトの想いが叶うか、どちらにせよ恨みっこは無しだ」

スノーホワイト「はい」



312 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/12(月) 19:18:18.70 ID:stBEomdb0
ドラグレッダー(戦いを止めるために戦うか。くくくっ、面白い)

スノーホワイト(ドラグレッダーは反対しないんだ)

ドラグレッダー(ああ、我々が契約違反と見なすのは戦いその物を完全に放棄した時だ)

ドラグレッダー(願いを叶える以外の戦いを選ぶのは構わんさ)

ドラグレッダー(それに、戦いを止めるのは勝ち残る以上に過酷な道のりになるだろうからな)

ドラグレッダー(貴様が今後どうなっていくか興味深い、せいぜい我を楽しませてくれ)

スノーホワイト(……嫌な性格)

ドラグレッダー(言うようになったな、さっきまで小動物のように震えていた小娘が)

スノーホワイト(…………)

ドラグレッダー(そう怒るな。我は貴様の味方だ。契約が続く限りいくらでも力を貸そう)


凶悪犯罪者、浅倉威は仮面契約者王蛇となりN市に解き放たれた。
だが敵は王蛇だけではない。
今後、複数の契約者がスノーホワイトの目の前に立ちはだかる事になるのであった。


???「魔法少女ですか……懐かしいですね。ええ、一度会ったことがあります。フフフ、私の力を示すのに相応しい相手ですよ」


オレンジ色のスーツを着た契約者は、いずれ戦うことになる魔法少女の存在に高揚感を募らせていた。
313 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/12(月) 19:34:15.06 ID:stBEomdb0
今回はここまで
浅倉が出てくるとさっきまで生命だったものが辺り一面に転がる話が多くて、精神が息苦しくなってくる。
このSSだとカードもデッキも無い仕様なのでサバイブは存在せず
デッキが壊されてカニったり、だしてえええええ!!な状況にもなりません。


契約者説明

仮面契約者 王蛇
装着者 浅倉 威

魔法
酸を出せるよ

魔法説明
契約者や魔法少女も溶かせる強力な酸を口から吐き出す。
また、酸を気化させて霧状にして吐き出す事で広範囲に攻撃が可能。
酸の霧は契約者や魔法少女にはスリップダメージを与えるだけで致命傷にはならないが
一般人がまともに浴びると致死量となる威力がある。
314 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/23(金) 18:28:33.87 ID:zAwpkPVH0
魔法の国


ケイネス「……さて、行くか」


ファントム事件の後、ケイネスは笛木の娘である暦の墓参りに来ていた。
N市で滞在中に同居していたコヨミとの生活は冷徹な魔術師であったケイネスの心に深く残っている。
墓参りを済ませて家に戻る所で連絡が入った。


ケイネス『スノーホワイトか。どうした?』


スノーホワイトはその身に起こった不可解な出来事を語った。
鏡の中の世界、ミラーワールドが存在していること。
ミラーワールドに巣食う怪物、ミラーモンスターと契約して戦う仮面契約者達の存在。
契約者同士で殺し合い、最後の一人になるまで生き残ればどんな願いも叶える事が出来る契約者バトルが行われており。
自分も仮面契約者に選ばれた事を伝えた。


ケイネス『大変な事態に巻き込まれているんだな』

スノーホワイト『魔法の国の方からも調べてもらえると助かります』

ケイネス『分かった。すぐに調査班からミラーワールドの情報を集めさせるとしよう』

スノーホワイト『ありがとうございます。私は契約者バトルで人が死なないために戦いを止めようと思います』

ケイネス『うむ、気を付けたまえよ』




ケイネス「……ファントム事件が終わったばかりだと言うのに、あの町は呪われているのか?」
315 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/23(金) 18:29:05.65 ID:zAwpkPVH0
ppp

ケイネス『凌馬か。何の用だ?』

凌馬『やあ、ケイネスさん。また大変そうな事件が起きているみたいだね』

ケイネス『なぜそれを?』

凌馬『それは私がハッキン…ゲフンゲフン、まぁそれよりもさ少しサバトに似ていると思わないかい?』

ケイネス『サバト……そうか?』

凌馬『元々サバトは賢者の石を精製するために行われた儀式だ。賢者の石を作る目的は笛木の望みを叶えるため』

凌馬『そしてスノーホワイトが言っていた契約者バトル、それに勝ち残った者はどんな願いも叶えられる。それは偶然だろうか?』

ケイネス『つまり今回の騒動も笛木が関係している可能性があると』

凌馬『あくまで可能性の一つとしてね。あの時の笛木は蛮野によって致命傷を負わされていたが死体は発見されていない』

ケイネス『テレポートの魔法でどこかへ行ってしまったからな』

凌馬『もしかしたらその時に笛木が何かを仕組んだかもしれない。調査する価値はあると思うよ』

ケイネス『そうか。笛木の研究資料を入念的に調べさせるとしよう』

凌馬『何かあったら知らせてよ。私が趣味で開発した秘密道具が役立つかもしれないからね』

ケイネス『あまり頼りたくないな。昨日聞いた話だとお前の道具のせいで魔法少女が一人、病院送りになったそうじゃないか』

凌馬『ヨモツヘグリアームズね。非戦闘員魔法少女の戦力アップに使えると思ったが副作用が強すぎたよ』

凌馬『まぁ魔法少女の命に別状は無かったのが幸いだよ。私は今でも謹慎中だがね。はっはっは!!』

ケイネス『笑いごとか!』

316 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/23(金) 18:29:39.41 ID:zAwpkPVH0
その頃N市では……


最近、行方不明事件が立て続けに起こっていた。
神隠しが起きているとか、某国による誘拐事件だとか。
ネット上で熱い議論が繰り広げられている。


小雪宅

小雪「……宿題終わりっと、そろそろ行かなきゃ」

ドラグレッダー(待てスノーホワイト、魔法少女活動の前にしてもらうことがある)

ドラグレッダー(ミラーワールドへ入り、我の餌を用意しろ)

小雪(今じゃないと駄目なの?)

ドラグレッダー(時間が迫ってきている。期限が過ぎたら貴様の命を喰らわねばならない)

ドラグレッダー(我としてもかなり腹が減っている。可能ならば複数の餌が望ましい)

ドラグレッダー(ミラーワールドが怖ければ、適当な人間を魂喰いすれば事足りるが)

小雪(それは絶対にさせない)

ドラグレッダー(ならばミラーモンスターか契約者を狩るがいい)


小雪はスノーホワイトへ変身たあと、更に契約者の力も開放し。
衣装は鎧のような金属が装着され、一部分の色が赤く染まり、赤と白の魔法少女衣装へと変化した。
スノーホワイトが鏡の前に立ち、エンブレムをかざすとミラーワールドへの入り口が開かれて吸い込まれる。

317 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/23(金) 18:30:17.11 ID:zAwpkPVH0
ミラーワールド内


ミラーワールド内には様々な形のミラーモンスターがいる。
昆虫、魚類、爬虫類、鳥類、ロボットのような生物もいる。
スノーホワイトの目の前に蛾の形をしたミラーモンスターが襲い掛かった。


蛾の怪物の攻撃を躱したスノーホワイトはソードベント、ドラグセイバーを出現させ構える。
唾液を撒き散らし、スノーホワイトを捕食しようと迫る蛾の怪物の首を切り落とした。
ファントムと比べれば、動きは単調で簡単に仕留める事が出来た。
首を失い、バタバタと鱗粉を撒き散らしながら動く体に近づき、生命エネルギーを吸い上げた。
生命エネルギーを失った蛾は動きが止まり、光の粒子となって消滅していった。


スノーホワイト(じゃ、帰るわね)

ドラグレッダー(待て!この反応、契約者だ。しかも二体いる)




ガイ(あんたが新しい龍騎か)

インペラ―(へぇ〜、噂の魔法少女の契約者ってこういう姿なんだね)

ドラグレッダー(奴らは仮面契約者ガイにインペラ―だ。油断するなよ)


スノーホワイトの前には二体の契約者が姿を現した。
サイをモチーフにした仮面契約者、ガイと
レイヨウをモチーフにした仮面契約者、インペラ―である。

318 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/23(金) 18:30:48.66 ID:zAwpkPVH0
スノーホワイト(貴方達も契約者……)

ガイ(ねえ、あんたさ魔法少女だろ?何で契約者やってんの?)

インペラ―(それ俺も気になった。俺達と見た目全然違うし、やっぱ特殊な存在なのかな?)

スノーホワイト(私は……契約者バトルを止めに来ました。だからこんな事はもう続けないでください!)

ガイ(はぁ?それ本気で言ってんの?こんな面白いゲーム止められる訳無いでしょ)

スノーホワイト(ゲームって……人が死ぬんですよ!そんなの遊びじゃない!)

ガイ(だから面白いじゃん。殺すか殺されるか、命を賭けた勝負してんだからさ)

スノーホワイト(そんなの間違ってます!)

ガイ(お前ウザいわ。良い子ちゃんぶって綺麗事並べてる奴がいると盛り上がらないからさ。さっさとリタイアしなよ)

インペラ―(悪く思わないでよ、魔法少女ちゃん。こっちも勝たなきゃいけない理由があるんだよね)

スノーホワイト(絶対に止めてみせます!)

ガイ(出来るもんなら、やってみろよ!おい佐野)

インペラ―(はいはい、給料分働きますよっと)


インペラ―は固有魔法を発動した。
数がどんどんと増えていき、十数体のインペラ―がスノーホワイトを取り囲んだ。


スノーホワイト(インペラ―の数が増えた)

ドラグレッダー(多数の分身を作り出すのがインペラ―の魔法の様だな)

インペラ―(驚いたでしょ〜。俺って結構強いんですよ〜)

ドラグレッダー(ガードベントを使って包囲を突破しろ)

319 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/23(金) 18:31:27.77 ID:zAwpkPVH0
スピンベントを発動しガゼルスタッブを装備した多数のインペラ―がスノーホワイトへ飛びかかる。
スノーホワイトはガードベント、ドラグシールドを装着して、三体のインペラ―を突き飛ばしながら
二人の契約者から距離を取り、すぐさまストライクベントを発動する。


スノーホワイト(直撃させない様に、二人の足元で爆発させれば……)


スノーホワイトの周囲に熱気が集まり、温度が急上昇していく。
ドラグクローファイアーを装着した腕から火球が出現した。
二人に向かってスノーホワイトは拳を突き出した。


ガイ(やらせないよ)


ガイは固有魔法、コンファインベントを発動。
火球が弾け飛び、スノーホワイトの魔法は強制終了された。
スノーホワイトが再び火球を作り出そうとするも魔法は全く発動する事が出来ない。


スノーホワイト(魔法が使えない?どうして!?)

ドラグレッダー(おそらくガイの魔法の影響だろう。我の魔法は使用不能になっている)

スノーホワイト(そんな……)

ドラグレッダー(ここは分が悪いな。撤退しろスノーホワイト)

スノーホワイト(……っ!)

インペラ―(おっと逃がさないよ)


インペラ―の群れが退路を塞いだ。
数に物を言わせた攻撃に丸腰のスノーホワイトは対抗できない。
必死に回避行動を取るが次々と繰り出されるガゼルスタッブの攻撃を避ける事が出来ず
衣装は斬り裂かれ、生傷が増え、至る所から血が滴り落ちる。

320 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/23(金) 18:32:25.18 ID:zAwpkPVH0
スノーホワイト(っ……痛い、だけど、まだ……)

インペラ―(もう勝負は決まったからさ。降参しなよ)

ガイ(おい佐野、トドメは俺がやるから下がってろ)

インペラ―(オッケー、任せた)


魔法の重力操作によってガイの体は宙に浮き、姿勢を整えると。
スノーホワイトのいる方向へ自身を落下させる事で、突進を放つ。
それがガイのファイナルベント、ヘビープレッシャーである。


ガイ(これでゲームオーバーだ)

スノーホワイト(駄目…よけきれ)


一陣の風が吹いた。
ミラーワールドには風が吹かない。
風が吹くとすれば、それは何者かの魔法によって作られた風である。
風を作り出した者によってガイのヘビープレッシャーの軌道が逸らされ。
スノーホワイトの命は救われた。


風を作り出し、スノーホワイトを助けた者は上空にいた。
背からは天使を思わせるような白い翼が生え。
花嫁が着るウェディングドレスのような純白の衣装を着た可憐な少女。
その少女の名は……


スノーホワイト(ラ・ピュセル!!)

ラ・ピュセル(スノーホワイト……こんなに傷だらけで……)

スノーホワイト(大丈夫だよ。これぐらいの傷なら)

インペラ―(えっ?えっ?魔法少女の契約者は龍騎とナイトだけって高見沢さん言ってたのに〜)

ラ・ピュセル(お前達がスノーホワイトを傷つけたんだな。許さない!)

インペラ―(まぁいっか。ついでに君も倒しちゃうよ)


インペラ―達の脚部に魔力が集中する。
強化された脚力によってインペラ―の速度、ジャンプ力が飛躍的に向上し。
ラ・ピュセルに向かって一斉に飛びかかった。
それがインペラ―のファイナルベント、ドライブディバイダーである。

321 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/23(金) 18:33:13.93 ID:zAwpkPVH0
ラ・ピュセル(はぁああああああああっっっ!!!!)

インペラ―(か、風がっ!?うおわああああああ!?)


ラ・ピュセルは魔力を高め、竜巻のような強風を作り出してインペラ―達を飲み込んだ。
インペラ―達が竜巻の渦の中で足掻く中、ラ・ピュセルは剣を巨大化して構える。
ラ・ピュセルに向かってインペラ―達が落ちてくるように風を操作し
巨大な剣を思いっきり振るい、剣の横っ腹に直撃したインペラ―達が次々と叩き落されていった。


インペラ―(いったぁぁぁぁぁい!!滅茶苦茶いてえ!!)

ラ・ピュセル(契約者バトルを辞めろ!そうじゃないと次はもっと痛い目に会うぞ!)


ラ・ピュセルのファイナルベント、ミスティ―スラッシュによって迎撃されたインペラ―は
大ダメージによって分身達は消滅し、本体は背中を強打した事でじたばたともがいている。


ガイ(おいおい佐野、何やられてんだよ)

インペラ―(芝浦だってファイナルベント外したでしょ!それよりどうする?もう俺の分身消えちゃったよ)

ガイ(仕方ねえな。ここは引くか)

ガイ(おい魔法少女共、契約者バトルを妨害するって事は、俺達、契約者を敵に回したって事だからな)

ガイ(もうあんたら、長生き出来ないぜ。じゃあな)

インペラ―(ちょっと置いて行かないでよ芝浦〜)

322 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/23(金) 18:34:06.23 ID:zAwpkPVH0
そう言い残して二人の契約者はミラーワールドから出て行った。
残されたスノーホワイトはラ・ピュセルの方へ振り向いて
契約者として変化して衣装をじろじろと見つめる。


ラ・ピュセル(どうしたの?)

スノーホワイト(そうちゃんの格好すっごく可愛い……ずるい)

ラ・ピュセル(そんな事言われても、スノーホワイトの鎧もカッコイイよ)

スノーホワイト(かっこよくなんてなりたくない)

ドラグレッダー(我の姿をモチーフに変化しているのだぞ。不満か)

スノーホワイト(すっごく不満)

ドラグレッダー(解せんな。ラ・ピュセルの契約モンスターより高性能だと言うのに)

スノーホワイト(そうだ。どうしてそうちゃんも契約者になってるの?)

ラ・ピュセル(ウィンタープリズンさんの話を聞いて解散した後、僕の前にも紫の霧が現れたんだ)

ラ・ピュセル(それで小雪の力になりたいと願ったら契約者の力を手にしたんだ)

スノーホワイト(そんな、そうちゃんまで契約者にならなくても)

ラ・ピュセル(小雪一人に契約者バトルを任せて待つなんて僕には出来ないよ)

ラ・ピュセル(だからお願いだ。僕にも手伝わせてほしい)

スノーホワイト(そうちゃん……ありがとう。一緒に契約者バトルを止めようね)

ラ・ピュセル(ああ、僕はどこまでも小雪を守る剣であり続けるさ)


323 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/23(金) 18:36:54.10 ID:zAwpkPVH0
今回はここまで
ちょっと投下が遅れました
原作で浅倉にベノクラッシュされた小物であるガードベントとサノマン登場
ファムポジションはやっぱ一番可愛い子にやらせるべきだと思って選んだ


契約者説明

仮面契約者 ガイ
装着者 ???

魔法
相手の魔法は使わせないよ

魔法説明
対象となる契約者を選び、発動する事で相手の魔法を封じることが出来る。
一度の戦闘で二回使用が可能となっており、敵の戦力をそぎ落とす事が出来る。
使用者であるガイが戦闘から離脱すると封じられた魔法が使えるようになる。



仮面契約者 インペラ―
装着者 ???

魔法
たくさんの自分の分身を増やせるよ

魔法説明
自らの分身を十数体ほど召喚して戦わせる事が出来る。
分身体は一人一人が本体と意思が統一されており
ナイトの分身とは違い、複雑な指示や連携も可能となっている。
一度、分身を出すだけでかなりの魔力が消耗されるため
連続で多数の分身を作り出す事が出来ない。
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/23(金) 21:17:00.01 ID:uhc3RHmJ0
果たしてプロフェッサーは介入できるのか
325 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/02(日) 04:39:39.10 ID:iaJnyYBd0
その頃……アリスは街の見回りの為に外を飛び回っていた。
ネット内では行方不明になった人物達の情報からして
一部地域で密集して消えている事件だと噂されている。


アリス(行方不明者は皆、夜の外出中に消えている)

アリス(この時間帯に見回れば何か見つけられるかもしれない)


建築物の屋上から別の屋上へと飛び移りながら進んでいる中
目立たない路地裏を歩く人間を発見した。
帽子にロングコートにグラサンにマスクと、全身を覆い隠した男の姿であった。


アリス(私の感が、あいつは怪しいとビンビンに告げています。追いましょう)

???(…………)


男を追跡する事にしたアリス。
路地裏から出た男が歩き続けて、辿り着いた場所はアンティーク店だった。
男はポケットから鍵を取り出して店内へと入って行った。


アリス(このお店の店長さんでしょうか?)

アリス(……明かりも付けずに何をしているのか気になります……中を確認してみましょう)


アリスは男に気付かれない様、ゆっくりとドアを開けて店内へ入って行った。
お店は何日も営業していないのか商品や棚は少し埃が被っていた。
魔法少女の視力は常人より遥かに優れている。
明かり一つ無い状況でも周りの商品にぶつかることなく奥へ進んでいく。

326 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/02(日) 04:40:26.53 ID:iaJnyYBd0
アリス「あの人は……んぐっ!?んんっ!」


背後から何者かがアリスを羽交い締めにして口を塞いだ。
じたばたと暴れて必死に抵抗するアリス。
外見にそぐわないアリスの怪力で拘束が緩んだ所を腹部へひじ打ちを叩き込む。
思わぬ反撃に相手よろけ、距離を取った。


アリス「けほっ……貴方は契約者ですね」

シザース「…………」


アリスに奇襲を仕掛けた者は蟹をモチーフにした
オレンジ色のメタリックボディーに身を包んだ契約者であった。
契約者は何も言わず、ただアリスを見つめていた。


アリス「貴方の目的は分かりませんが人を襲っているのなら私は戦います」

シザース「…………」


契約者は動き出したかと思えば、近くにある鏡に飛び込んで姿を消した。
人目を避けて路地裏を歩いていた男と店内で襲ってきた契約者は恐らく同一人物だとアリスは推測した。
ここら辺を嗅ぎ回られては何か不都合があるから自分を殺しに来たのだと考えた。

327 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/02(日) 04:40:58.94 ID:iaJnyYBd0
ドンドンドン

須藤「誰かいるんですか!?出てきなさい!!」


ドアからノックの音がした後、ライトを持った男が店内を覗いていた。
店内の入り口は一つしかなく今にも入ってきそうな男から隠れるのは不可能だと判断し
アリスは男の指示通りに店内から出ることにした。
男は警察手帳を見せて自分の正体を明かした。
男の名は『須藤 雅史』N市の刑事である。


須藤「大きな物音が聞こえたから来てみれば、貴女はここで何をしていたのですか?」

アリス「それは……不審な人が店に入っていくのを見たので追跡を……」

須藤「そうですか。そういう事は我々警察の仕事です。二度とこんな危険な事はしないように」

アリス「はい」

須藤「では、貴女のお家まで送りますのでお名前と連絡先と住所を教えてください」

アリス「大丈夫です。私は魔法少女なので一人で帰れます」

須藤「はいはい、魔法少女でも何でも未成年がこんな時間帯でうろついていれば補導されるんです」

須藤「疑いたくありませんが、貴女がこの店で何をしていたか詳しく知る必要があるんですよ。早くお名前を」

アリス「私の名前はアリス……ハードゴア・アリスです」

須藤「ふざけないでちゃんと答えてください」

アリス「いいえ、ふざけていません」

須藤「……まぁいいでしょう。連絡先と住所は?それは真面目に答えないと保護者の方々に厳しく言ってもらうように忠告しますよ」

アリス(魔法少女の正体を知られる訳には行きません。このまま帰りましょう)

アリス「それは教えることが出来ません。失礼します」

須藤「あっ、こら、待ちなさい!全く……」


アリス(契約者に出会ったことをスノーホワイトに伝えなきゃ)

328 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/02(日) 04:41:25.72 ID:iaJnyYBd0
その後、スノーホワイト達と連絡を取ったアリスはアンティーク店に現れた契約者の情報を伝え
またスノーホワイトがミラーワールド内で契約者達に襲われ
契約者になったラ・ピュセルが助けに来た事を知った。


スノーホワイト「そうなんだ……アリスの所にも契約者が……」

アリス「はい。オレンジのスーツを着た契約者でした」

ラ・ピュセル「スノーホワイトだけでなくアリスを襲う契約者も現れるなんて……」

アリス(私も契約者になってスノーホワイトのお役に…)

スノーホワイト「契約者になんてならないで!これはきっと、よくない力だと思うから」

ラ・ピュセル「契約者バトルは最後の一人になるまで戦い続けなければならないと言われているしね」

ラ・ピュセル「もちろん私は契約者バトルに参加するつもりは無い。だけど恐ろしく感じるんだ」

ラ・ピュセル「もし、スノーホワイトが命を落としたら私は願いを叶える為に戦うかもしれないと」

スノーホワイト「ラ・ピュセル……」

ラ・ピュセル「分かってる。そんなことスノーホワイトは望まない、だから絶対に契約者バトルは止める」

アリス(スノーホワイトは死なせません。私が命に代えても守ります)

スノーホワイト「ねえアリス、自分の身を軽く考えるのは止めて、ラ・ピュセルもアリスも失うのはとても悲しくなるから」

ラ・ピュセル「契約者が直接導けば、契約しなくてもミラーワールドへ入れるって私のモンスターが言ってる」

ラ・ピュセル「だからどうしてもアリスが契約者になる必要は無いってさ」

アリス「分かりました。もう契約者になりたいとは言いません」

329 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/02(日) 04:41:52.14 ID:iaJnyYBd0
次の日


アリスを襲った契約者が行方不明事件に関わっている可能性があると考えた魔法少女達は
自宅で自殺未遂を起こし、スノーホワイトに契約を譲渡した榊原耕一に接触を図る事にした。
彼なら契約者達の情報を何か知っているかもしれない。


彼の入院していた病院の受付で榊原の容態を訪ねたが既に手遅れだった。
治療を受けて順調に回復していたが、突然ベットから起き上がって鏡やガラスを割りはじめ
窓ガラスを割った勢いそのまま七階の病室から落下して亡くなっていた。


榊原耕一の悲惨な最期が、契約者の顛末を見せられているようでスノーホワイトは恐怖を感じた。
いつか私もこうなってしまうのではないかと。
その様子に気付いたのか、ラ・ピュセルとアリスはスノーホワイトの手を握り「大丈夫」と励ましてくれた。
自分は一人じゃない、仲間がいる、それがとても心強くて温かかった。


次はアンティーク店の調査を開始した。
アンティーク店の店長は加賀友之という眼鏡をかけた中年の男で、しばらく店を開けていないという。
もしかしたら加賀友之が契約者なのかもしれない。
彼を探し出し、契約者かどうかを確かめる必要がある。
行方を見つけるべく、私達はアンティーク店へと侵入し何か手がかりが無いか探す事にした。

330 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/02(日) 04:42:26.27 ID:iaJnyYBd0
アンティーク店


ラ・ピュセル「なんだか泥棒してるみたいだな…」

アリス「これも調査の為です。正当な魔法少女活動です」

スノーホワイト「二人とも……あれ」


スノーホワイトが指した壁は他の壁と比べて僅かに色が違っていた。
それに表面が少しひび割れており、後から壁を塗り直したような跡であった。


アリス「壊してみましょう」

ラ・ピュセル「ちょっとアリス!」


ラ・ピュセルが止めるよりも早く、アリスの手刀が壁に刺さり砕いた。
砂山を掘る様にザクザクと壁を掘り進むと壁の破片と共にメガネが床にこぼれ落ちた。
壁を掘っていたアリスの手の上に誰かがぺたっと触れた。
突如触れてきた手の感触にアリスは驚き、後方へ下がった。


スノーホワイト「きゃあ!」

ラ・ピュセル「し、死体!」

アリス「……加賀友之」


壁を掘った事で、中に埋められていた加賀の死体の姿が現れ
支えを失った右腕だけが外に向かって倒れたのだった。
加賀友之は契約者では無かった。


ラ・ピュセル「加賀さんは殺されていた、ということは……」

アリス「私を襲った契約者は、この死体を発見されたくなかった」

スノーホワイト「じゃあ、加賀さんを殺したのはアリスを襲った契約者ってこと?」


そう考えると納得がいく。
契約者は死体を発見されていないか確認のために何度かアンティーク店へ出入りをし
真相を知ろうとする者を見つけ次第、殺害していたのだろう。


ラ・ピュセル「その推測が正しいなら一刻も早く契約者を見つけないと」

アリス「犠牲者はどんどん増えていきます」

スノーホワイト「私の魔法なら犯人を見つけ出せる。必ず捕まえよう!」

331 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/02(日) 04:44:07.93 ID:iaJnyYBd0
今回はここまで
アンティーク店の店長を殺して壁に埋めたり
真相に近づいたアリスに襲い掛かった極悪な契約者は一体誰なんだろうな
332 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/04(火) 04:42:00.54 ID:fTRUkqRE0
その後、通報を受けた警察達はアンティーク店で加賀友之の死体を発見。
パトカーが何台も集まり、周囲は封鎖され多数の警官と野次馬が集まっていた。
スノーホワイト達は人目の付かない近くの場所で見張り、心の声を聞き続けた。
犯人が現場に来ているかもしれないからだ。
しかし数時間待ったが犯人らしき人物の心の声は聞こえなかった。


スノーホワイト「駄目……犯人は来ていないみたい」

ラ・ピュセル「犯人は必ず一度、現場に戻るというけど上手く行かないか」

アリス「私達の行動に気付いているのかもしれません」

ラ・ピュセル「これ以上は収穫が無さそうだから別の場所を探そう」

スノーホワイト「……うん」

ラ・ピュセル「落ち込まないでスノーホワイト、犯人は確実に追い詰められてる筈だから」

アリス「時期に尻尾を見せる筈です」

スノーホワイト「二人とも……ありがとう」

333 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/04(火) 04:42:39.10 ID:fTRUkqRE0



街の探索を続けたが、一向に犯人の情報は掴めなかった。
夜も遅くなり、また明日に活動を再開しようかと提案を出した所で女性の助けを求める声が聞こえた。


『いや!離して!』『誰か、助けてぇ!』

スノーホワイト「近い、二人とも来て!!」

ラ・ピュセル「ああ!」

アリス「すぐに助けましょう」


スノーホワイトが向かった先にはロングコートを着て帽子とグラサンで顔を隠した男がいた。
男の手には意識を失った若い女性を抱えている。
犯行を見られた魔法少女達に対し、男の焦燥した心の声が漏れた。


『くっ…見つかってしまいました』『仕方ありません。彼女達も始末しましょう』


アリス「彼です。私に襲い掛かってきたのは」

スノーホワイト「アンティーク店で加賀さんを殺したのも貴方ですか?」

男「…………」


『そんな事まで知っているのですか』『尚更生かしておく訳にはいきませんね』


男は言葉を発さない、だがその邪悪な思考は心の声となってスノーホワイトの耳に届く。
間違いない、一連の犯行は彼の仕業である。


スノーホワイト「二人とも!!加賀さんを殺したのはあの人で間違い無い!!」

ラ・ピュセル「犯人め!素顔を見せろ!!」

男「……!?」

474.75 KB Speed:0.1   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)