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桐生一馬「Re:ゼロから始める異世界生活」
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177 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/25(土) 06:32:00.84 ID:ct/PtNbp0
【それから、月日がたち】
桐生「うぅぅ…寒い…」
桐生は森の中をひたすら歩いていた
木々は雪で白く覆われていた
桐生「なんだこの寒さは…いったいマイナス何℃なんだ」
桐生「背広だけでは寒すぎる…せめてダウンがあれば…」
桐生「……」
桐生(エミリア…今頃、なにをしているだろうか)
桐生「勝手に出て行ってしまって悪いことをした…だが…あのままあの館で殺し合いの日々を送っても…」
桐生「あいつらに…迷惑…かかる…」
ビュォォォォォ…!
猛吹雪は勢いを増していく
桐生「……」
桐生「どこかに小屋は…いや洞窟でも良い…」
178 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/25(土) 06:32:44.73 ID:ct/PtNbp0
桐生「やっと見つけたぜ…小屋…」
ガシッ
桐生は凍える手でそっとドアノブに手をかける
桐生「……?なんだ、凍り付いてて動かない」
桐生「チッ、参ったぜ」ググッ
桐生「ん?何だ」
桐生「手まで張り付いちまったじゃねえか」
桐生「くそ…離れろ…」ググッ
バリッ
妙な音がしたが、どうにかドアノブに張り付いた手を離す
ドアノブは血で染まっていた
桐生「これは…血…」
桐生「ん?」
ふと何か違和感を覚えた桐生は、血だらけになった手の平を見つめる
桐生「小指が…ない…」
桐生の小指は凍傷で切り落とされ、真下に落ちていた
179 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/25(土) 06:34:03.53 ID:ct/PtNbp0
桐生「嘘だろ…」
桐生「……」
桐生「手でドアを開けるのは危険だ」
桐生「本当はやりたくないが…蹴り破るしかない…」
桐生「オンラァァ!!」
ガシャァァン!
桐生「ぜぇぜぇ…中に…ベッドがある…温かそうな毛布も…」
桐生「早く…横に…なりたい…」
「こんな寒い状況で寝たら、死ぬんじゃないかな?」
桐生「……?」
桐生(なんだ…いま一瞬、声が?)
ズシン…ズシン…
桐生「え?」クルッ
何かが近づいてくる音が聞こえた
ふと振り返ると、すぐ目の前にとてつもなくデカイ怪物が立っていた
桐生「な、なんだ…これは…」
「それにして、この状況で小指の切断程度で済んでいるとは」
「やはりキミはバケモノだね。キリュウカズマ」
桐生「誰だお前は」
「……」
「もう忘れたのかい?僕のこと」
180 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/25(土) 06:35:28.16 ID:ct/PtNbp0
今日はここまで
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/25(土) 09:46:25.07 ID:5B4r3gTvO
乙
熊ではないのか……一体何者なんだコイツは
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/25(土) 10:03:09.83 ID:o5bf5OsGo
乙。
え、この状況になってるって、
もうそれだけ月日が経ったということか?
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/25(土) 10:25:36.75 ID:YFMFex15o
乙
いつも楽しみにしてるぜ
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/25(土) 11:27:32.49 ID:06oIUPKN0
乙 問題は何処へ戻るか
続き待ってます
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/25(土) 11:34:06.80 ID:hf8SXPnwo
乙
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/25(土) 15:56:27.60 ID:02iX+Mxgo
乙
3章入ってるじゃないですかヤダー!
187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/25(土) 20:06:46.18 ID:HlFKNhfr0
乙
こいつが出てきたってことはエミリアはもう…
188 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/02/27(月) 02:46:35.71 ID:yjeqhQ1w0
※報告を
リゼロ見直しててある事に気がついた
おかしな所があったので、そこを止む無く修正します
(一度発動した呪術は、解呪できないらしいです。読み直して思わず発狂した)
物語自体は月日が経った
>>179
に繋がるようにします
(ゆえに修正版を見なくても、さほど問題はないです)
根本的に、展開を書く直すことも考えたけど、
>>179
に繋がるのが一番しっくりくるので
かなり強引な展開になるけど、桐生さんなら耐えられるだろってことでご勘弁を(震え声)
そういう訳で次回更新時はまず修正分を投下
本当に申し訳ないです
できるだけ矛盾が起きないように執筆します
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/27(月) 06:51:36.80 ID:LQuf1chxO
1の兄貴…お待ちしておりますぜ。
190 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 09:35:31.67 ID:6mtsbr/10
投下します
まず
>>188
のとおり設定矛盾の修正の為に、5レスほど修正分を投下します
191 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 09:36:24.11 ID:6mtsbr/10
>>173
(修正)
ロズワール「夜中に物凄い〜音が聞こえてきたから。なんだと思ったら…大喧嘩とはねぇ〜」
桐生「ロズ…ワール…」
ロズワール「い〜くら部屋がたぁ〜くさんあるからって〜?ちょっと暴れすぎじゃない二人とも?」
レム「申し訳ございません、ロズワール様」
ロズワール「まあレムは悪気があって、こ〜んなに暴れた訳じゃないのはわかって〜いるからご安心を」
ロズワール「色々と聞いておきたいのは事実だけどぉ」
ロズワール「い〜まは一先ず、二人ともキズを癒しなさい」
桐生「……」
レム「……」
ベアトリス「まったく、館の一角がメチャクチャじゃない…キチガイかしら?」
桐生「ベアトリスも来てくれたのか、悪いな」
192 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 09:42:03.82 ID:6mtsbr/10
>>174
(修正)
桐生「熱が上がっちまったぜ…早く寝ないと…」フラッ
エミリア「え、カズマ体調悪いの!?」
桐生「ああ…勉強が終わった直後にな」
ベアトリス「……っ!」
ベアトリス(この男、まさか)
桐生「すま…ない…」フラッ
桐生「」バタッ
エミリア「カズマ!?しっかりして!」
ベアトリス「……」
ベアトリス(ベティには、関係のない事なのよ…)
エミリア「いま治癒魔法するからね!」
193 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 09:42:39.37 ID:6mtsbr/10
>>175
(修正)
【明け方にて】
桐生「……ん」パチッ
エミリア「zzz…」
桐生「……倦怠感はある。だがキズは癒えているな。エミリアが癒してくれたんだな」
エミリア「zzz」
桐生(まだ寝ているな)
桐生はベッドから起き上がり、イスに座って寝ているエミリアの横で、メモを書き始める
桐生「……」カキカキ
〜〜〜
桐生「俺のスーツは…あったあった」
桐生「あとは…ドスと…スマホと…」
桐生「この思い出の写真だな」
桐生「……」
ガチャ、バタンッ
194 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 09:44:33.36 ID:6mtsbr/10
>>176
(修正)
パック「リア!大変だよ!」
エミリア「ん?」パチッ
エミリア「おはようパック…ちょっと寝すぎちゃったかな」
エミリア「あれ?カズマがいない…」
パック「コレ見て!」
エミリア「何コレ…置き手紙?」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
エミリアとパックへ
この国の文字を覚えたてで読みづらいかもしれないが、どうか読んでほしい
俺はこの館を出て行く
理由は言うまでもない。昨晩の事だ
この屋敷に来た時点でお前ら以外の全員が俺を疑っていた
状況が状況だけに仕方のない事だ。それでも匿ってくれたロズワールには感謝している
レムはなぜか俺を魔女同等の扱いしていた。まるで意味がわからない
だが尋常じゃなく殺気立ったあの目には、過去に何かあったのだけは察する事ができた
この館にいる限り彼女は何度でも俺に立ち向かうだろう
昔、レムと同じ年頃の家族がいた。今では大きくなっている
そんな彼女を俺は、やはり本気で殴る気に慣れない
これ以上、お前らに迷惑をかける訳にはいかない
故にお前らと決別する。全てはお前達の為だ
最後に。レムの事は絶対に責めないでほしい。これからも温かく見守るんだ
たのんだぜ兄弟、そして親分
勝手な事をして申し訳なく思っている
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
エミリア「……」
エミリア「カズマ…そんな…」ツーッ
エミリアの頬に涙が伝う
195 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 09:46:42.01 ID:6mtsbr/10
>>177
(修正)
館を出て行ってから桐生は、各地を転々とした
その後、街の親切な病院で世話になっている
それから更に月日がたち
少し体調がよくなった桐生は外に出て、世話になっている人のために、狩りで得物と、火を起こすための木の枝を拾いにきた
桐生「うぅぅ…寒い…」
猛吹雪の最中、森でひたすら歩いていた
桐生「なんだこの寒さは。いったいマイナス何℃なんだ」
桐生「背広だけでは寒すぎる…せめてダウンがあれば…」
桐生「……」
桐生(エミリア…今頃、なにをしているだろうか)
桐生「勝手に出て行ってしまって悪いことをした…だが…あのままあの館で殺し合いの日々を送っても…」
桐生「あいつらに…迷惑…かかる…」
ビュォォォォォ…!
猛吹雪は勢いを増していく
桐生「……」
桐生「どこかに休める小屋は…いや洞窟でも良い…」
196 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 09:47:07.66 ID:6mtsbr/10
では続き投下します
197 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 09:49:26.05 ID:6mtsbr/10
桐生「なに?俺とお前が知り合いだと」
「一緒にお酒だって飲んだじゃないか」
桐生「そんな記憶はない」
「……」
桐生「もう一度聞く。お前は誰だ」
「エミリアの父親だよ」
桐生「なんだと…お前、まさか」
「やっと思い出してくれたようだね」
桐生「パックなのか!?」
パック「ああ、そうだ」
桐生「……」
パック「信じられないって表情だね。まあ、無理もないか」
桐生「パック…何があった」
桐生「この異常気象はなんだ。そして、なぜお前はそんな姿に」
パック「エミリアは死んだ」
桐生「っ!?なんだと…!!」
198 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 09:51:05.91 ID:6mtsbr/10
桐生「誰だ。誰がそんな事を…!!」
ピシッ…!
拳をギュッと強く握る
その力が災いして、既に凍傷しかけている手に、ひび割れが起こる
だが寒さで感覚が無くなっていて、気がついていない
パック「もう遅いよ。何もかも。だから君に教えても意味がない」
桐生「……」
パック「僕にとって、リアがいない世界なんて意味の無いものだ」
パック「契約に従い、僕はこれから世界を滅ぼす」
桐生「意味が分からねぇ」
パック「キミはさっき、なぜ異常気象が起きたのか知りたがっていたよね?だから答えてあげたんだよ」
桐生「だから、なぜ世界を滅ぼす必要がある」
パック「精霊にとって契約という物は、それだけ重要な物なんだよ」
桐生「お前の言っている意味がサッパリ分からない。なぜそうなるんだ」
パック「価値観の相違だよ。人間同士にだってあるだろ?」
桐生「…………」
桐生「ウオアアァァァァ!!!!」
バリィィン!
激昂し雄叫びをあげる桐生
ひび割れた拳が、怪物と化したパックの足に激突する
しかし体の芯まで凍りかけていた体
桐生の右腕は木っ端微塵に砕け散る
199 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 09:55:20.03 ID:6mtsbr/10
桐生「ぜぇぜぇ…」
パック「あーあ。小指だけじゃなくて、とうとう片腕まで」
桐生「テメェ……なに考えてんだゴラァ!!!!」
パック「……」
桐生「エミリアがこんな事を望んでいるとでも思っているのか…!!」
パック「ま、望んでないだろうね」
パック「でもそのエミリアがもういないじゃないか」
桐生「アイツが嫌だと思うことを…なんで平気な面してやりやがる…!」
パック「平気なんかじゃないよ。リアがいなくなって僕は胸が痛くて仕方ない」
桐生「この世界にはな、あらゆる家族が大勢いる」
桐生「そいつらは全員、大切な存在を失う事になる」
パック「そうだね。そして自分自身の命さえも」
桐生「それが分かってんならなぜこんな事を…価値観が違うで済む問題じゃねえだろ」
桐生「まるで筋が通らねぇ」
パック「……」
桐生「どうなんだパック……答えろぉ!!!!」
パック「筋が通らない…か。それは君自身の事じゃないのか?」
桐生「なに?」
パック「君と盃を交わしたとき…君は言ったよね?」
パック「家族を守りきる事が出来なかったら、ちゃんとケジメをつけるって」
桐生「……!」
パック「それと僕は、娘にもしもの事があったら、怒って世界を滅ぼすとも言った」
パック「あれは冗談なんかじゃないよ」
桐生「…………」
200 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 09:58:15.05 ID:6mtsbr/10
パック「まあ、君も曲がりなりにも息子な訳だ」
桐生「……」
パック「君が望むのなら、君だけは殺さずにしてあげてもいい」
パック「もっとも、この状況で生き残れるのか怪しいけどね」
パック「世界の氷河期…片腕の欠損…そして」
パック「君の体にかけられた呪い」
桐生「呪いだと…!?」
パック「その様子だと。知らなかったようだね」
パック「普通はどんなに頑丈でも、一度呪いが発動すれば…すぐに命を落とすハメになる」
パック「だがキミはどういう訳だか、今日まで生き延びていた。いままでドコにいたんだ?」
桐生「親切な診療所で世話になっていた。いま外にいる理由は、体調が少しマシになって、狩猟とまき拾いをしていた」
パック「普通は恩返しをやっている余裕なんて無いんだけどね」
桐生「今日まで幾度となく生死をさ迷いはしたがな」
桐生はチラッと欠損した右腕を見つめる
桐生「どうやら、ここまでのようだ」
パック「どうやら息子の死に目に間に合ったようだね」
桐生「わざわざ俺の死に目を見届けるために来たのか」
パック「一応、親だからね」
桐生「……」
桐生「俺も…ケジメはちゃんとつける。約束だからな」
201 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 10:01:12.88 ID:6mtsbr/10
桐生「小指と片腕だけじゃ圧倒的に足りないな」
パック「そうだね。エミリアの死は、それだけ重い」
桐生「……」スッ
左腕で懐からドスを取り出す
そして歯で嚙みつつ引き抜こうとするが、全く開かない
桐生「ぐっ…」
ギチギチ…ガキィィン
凍ったドスは無残にへし折れ、白い雪の地へ落ちる
桐生「………」
桐生「パック」
パック「なんだい、わが息子よ」
桐生「介錯を頼む」
パック「承知した」
パックはスッと、大きな足を上げる
大きな影が桐生を覆う
パック「何か遺言は?」
202 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 10:03:01.28 ID:6mtsbr/10
桐生「必ず救ってみせる」
パック「?」
桐生「エミリアも…あの館の連中も…」
桐生「そしてお前もだ。お前がこんな汚れ役を背負わず済むように」
パック「なにを言っているんだキミは」
桐生「俺は…死に戻r…ぐっ…!!」
視界に映る、薄暗いビジョン
真っ黒な手が心臓をわしづかみする
パック「……?」
桐生「とにかく…俺には秘策がある」
桐生「それでお前らを救う」
パック「もっと潔く死ぬのかと思えば妄言とはね」
パック「実に哀れだよ」
桐生「」
パック「さよなら、カズマ」
怪物と化したパックは、その大きな足で氷結した桐生を踏み潰す
203 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 10:05:22.11 ID:6mtsbr/10
桐生「ん?ここは…」
桐生の目に映ったのは、摩天楼の数々。都会の夜景だった
桐生「ミレニアムタワーの屋上?」
桐生「元の世界に戻ってきたのか…」
そっと手すりに、手を置いて夜景を眺める桐生
すると後ろから足音が聞こえてくる
真島「ちゃう。これは夢や」
桐生「兄さん…!?」
真島「なんや桐生ちゃん。しばらく見ないうちに」
真島「目が死んでるで」
桐生「……」
真島「おっと、今日は喧嘩せえへんで」
桐生「珍しいな」
真島「ついさっき、兄弟とタイマンしてきた所や」
桐生「冴島と!?なにがあった!」
真島「安心せい。兄弟が俺に喝をいれてきただけや」
真島「『いつまでふぬけとるんや!』って怒鳴られのう」
真島「あ〜おしかったわぁ!あと少しで勝てたっちゅうのに」
桐生「……」
真島「桐生チャン、寂しいのはおどれだけやない。俺も一緒や」
桐生「フ、変わらないなアンタも」
真島「で、どないするんや?これから」
桐生「え?」
真島「またやり直すんやろ?」
204 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 10:06:40.03 ID:6mtsbr/10
桐生「……あんた、ドコまで知っているんだ」
真島「全部や。桐生チャンがあの世界にいってからの全て」
桐生「……」
真島「俺はある時からな、妙な能力に目覚めよった」
真島「桐生チャンの異世界生活、映画を見るみたいに眺める事や」
真島「勿論、寝ている時だけやけどな」
桐生「」
真島「それと、たまにこうやって…夢の中で桐生チャンと直接会話することも出来る」
桐生「あんた、分身の術だけじゃなくて、とうとうそんな訳のわからない能力に目覚めたのか」
真島「ヒャーッハハハ!俺に不可能はあらへん」
桐生「……」
桐生(でもこれは夢。俺の願望なのだろうな)
桐生(誰かに自分の置かれた状況を知ってもらいたい。そんな願望から生まれた、俺の弱い心が生み出した…ただの夢)
真島「なんや桐生チャン。どうせこれは自分の妄想だと思っとらんか?」
桐生「……」
真島「ちゃうで、これは俺の桐生チャンに会いたいという願望から生み出された…超能力や」
桐生「……まあ、どちらでも良い。アンタに会えて少し元気がでた」
桐生「たとえコレが夢でもな」
205 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 10:11:03.63 ID:6mtsbr/10
真島「俺の使命…それは、多分こうやって桐生チャンにあうことやろな」
桐生「会う事?」
真島「桐生チャン、目の色が変わったで。さっきよりも光っとるわ」
桐生「……」
真島「元の世界じゃ死亡扱い、家族と永遠の別れ、慣れない異世界での生活、その後も続く困難…どんな屈強な男でもホームシックになるわ」
真島「だから辛い時は会いに来たる。おどれとの接触はランダムやから次はいつになるか分からんがな」
桐生「兄さん…」
桐生と共に夜景を眺めていた真島は、そっと後ろをふり向き歩み始める
真島「相談に乗ったろうか思うたけど、目に光が戻ったおどれなら、俺が口出しする必要もあらへん」
桐生「……」
桐生は振り返らず夜景を見ながら今後の事を思索する
桐生「ありがとう、兄さん」
真島「俺は仕事に戻るわ。いつまでも気絶してられへん」
真島「ほな、またな」
桐生「ああ、俺も目覚めるとする」
桐生「やるべき事を成し遂げてくる」
206 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 10:12:19.81 ID:6mtsbr/10
【ロズワール邸・客室】
桐生「……」パチッ
桐生「ん、ここは…」
レム「姉さま姉さま、ずっと寝言を言っていたお客様が目覚めました」
ラム「レムレム、頭のおかしそうなお客様が目覚めたわ」
桐生「……」
桐生「そうか。初めて館に訪れた、次の日の朝か」
桐生「という事は…ま、まさか」
桐生「……なんて事だ」
レム「お客様どうかされましたか?何かお悩みごとでも?」
ラム「お客様どうかしたの?妄想癖がばれて心が痛いの?」
ポンッ
ラム・レム「!?」
桐生はそっと、二人の頭に手を置く
桐生「おはよう。俺は桐生だ」
桐生「俺の様子を見に来てくれたんだな?ありがとう」
ラム「お、お客様…やめなさい」
ラム(あれ?なぜかしら…悪い気がしない…)
レム「お客様、止めてください」
207 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 10:13:12.91 ID:6mtsbr/10
エミリア「あ!カズマ起きたのね!」
桐生「エミリア…おはよう」
エミリア「フフフ、さっそく二人と打ち解けてるのね」
ラム「エミリア様、これはお客様が勝手に」
レム「エミリア様。おはようございます」
桐生「エミリア、確認したいことがある」
エミリア「ん、なに?」
桐生「最近、俺とパックとエミリアの三人で酒を飲んだ記憶は無いか?」
エミリア「え?なにを言ってるにカズマ。私たち昨日初めて会ったばかりじゃない」
桐生「………………」
エミリア「カズマ?」
桐生「すまない。ちょっと顔を洗ってくる」
エミリア「フフフ、まだ寝ぼけてるのね。いってらっしゃい」
208 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 10:15:21.31 ID:6mtsbr/10
【禁書庫】
ベアトリス「こんな朝早くから、部屋に入ってきていきなり自己紹介して…」
ベアトリス「勝手に感傷に浸るのは止めてくれないかしら?うっとおしいのだけれど」
桐生「……」
桐生(いつまでもショックを引きずってる暇は無い。俺のすべきこと…まずは)
桐生「ひとつ聞いておきたい」
ベアトリス「なにかしら?」
桐生「呪いを防ぐ方法、教えてくれ」
ベアトリス「なによ藪から棒に」
桐生「頼む、教えてくれ」
ベアトリス「……ないのよ。そんなもの」
ベアトリス「一度発動した呪いは、対象への呪いを果たし切るまで消えることはないかしら」
桐生「……」
ベアトリス「ただし、発動した呪術に限定した話なのよ」
ベアトリス「発動前ならば妨害はできるのよ。発動前は呪術ではなく単なる術式でしかないから」
桐生(なるほど。ようは解除不能の時限爆弾みたいなものか。起動寸前までが勝負って訳か)
ベアトリス「この屋敷ならベティー。にーちゃ。あとはロズワールが解呪が可能かしら」
桐生「お前とパック、ロズワールか…あと、呪いが発動する前に術式に気づく方法はあるのか?」
ベアトリス「見つけることは可能よ。絶対的なルールがあるわ。呪術を行う対象との接触…それが必須条件なのよ」
桐生「そうか。ありがとう」
桐生(これで1つの疑問が解けた)
209 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 10:17:46.56 ID:6mtsbr/10
その後、前回と一通り同じ様な流れで、ロズワールと挨拶を交わす
そして、報酬の件を聞かれる
【大食堂】
ロズワール「褒美は想いのまま!さぁ〜なんでも望みを言いたまえ!」
桐生「……もし良ければ俺をこの館で雇って欲しい」
ロズワール「……」
ラム「くしゅん」
レム「」
エミリア「っ!じゃあこれからも一緒ね、カズマ!」
桐生「ああ。あとそれと…」
エミリア「?」
ロズワール「ん?まだ何かお望みな〜のかなぁ?」
桐生はチラッとエミリアの方を見つめる
桐生「……」
――――
私ちゃんと考えてきたの…カズマへの恩返し
どんな理由か知らないけど、もう二度と家族に会えないんだよね?
だから私でよければ…家族にならない?
――――
桐生「……」
エミリア「カズマ、私に出来ることなら何でも言って」
桐生(あの時とは状況がまるで違う。主に俺の記憶と感情に)
桐生(昨日あったばかりの仲で…少なくとも俺から、兄弟の盃を頼むのはあまりにおこがましい)
桐生「ぐっ…」
エミリア「カズマ?苦しそうだけど大丈夫?」
桐生「……」
桐生「何でもない」
桐生「俺の望みは1つだけだ。ここで雇って欲しい。それだけだ」
桐生(俺がこの屋敷にいないと、エミリアの安否の確認が出来ない)
桐生(盃の件は…ひとまず置いておくとしよう。ほかにやるべき事がある)
210 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 10:18:58.46 ID:6mtsbr/10
食事を終えるとさっそく、館の案内をされる
そして仕事がはじまる
ラム「ではこれから、掃除と洗濯をしてもらうわ」
レム「しっかりと頼みます、カズマさん」
桐生「……その前に。お前達に言っておきたい事がある」
ラム「なにバルス?」
レム「何ですかカズマさん」
桐生「さっき食事を終えたあと、ロズワールにも密かに話しておいた事なんだがな」
桐生「お前たち、俺にどういう感情を抱いている?」
ラム「何がいいたいの?」
桐生「正直な話、俺を疑っているはずだ」
ラム「……」
レム「……」
桐生「どうなんだ?」
ラム「そんなこと聞いてどうするの」
桐生「お前たちは、王選が近いこの状況で現れた俺に違和感を覚えてるはずだ」
桐生「……そうじゃなくても、俺の体には魔女の残り香もするしな」
ラム「っ!」
レム「……カズマさん。この状況で何故、わざわざそれを打ち明けるのですか」
桐生「……」
桐生「なぜ自分の体に魔女の臭いがするのか、俺にも分からない」
桐生「だがこれだけは言える。俺はお前たちの敵じゃない」
ラム「口ならいくらでも言えるわよ」
レム「……」コクコク
ラム「言いたい事はそれだけ?」
桐生「いや、まだある」
211 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 10:21:06.07 ID:6mtsbr/10
桐生「……」ゴソッ
懐からドスを取り出し、鞘を引き抜く
ラム「バルス、なにをする気?」
レム「カズマさん、いきなりそんな物とりだして…怒りますよ?」
桐生「一週間、時間がほしい」
ラム・レム「一週間?」
桐生「一週間、俺はお前たちから信頼を得るために努力する」
桐生「だが一週間たって、もしもお前ら二人が信頼できないと告げるのなら…」
桐生「その時は、自らこのドスで腹を切ってやる」
ラム「!?」
桐生「そうすればお前たちが手を汚す事もない」
レム「カ、カズマさん。何をいっているんですか」
桐生「これはお前達に対する誓いだ」
桐生「そのかわり、俺は身の潔白を証明するために努力する。以上だ」
ラム「あなた、死ぬのが怖くないの?」
桐生「……俺は本来、もうとっくに死んでるハズの男だ」
桐生「紆余曲折して、結局今日まで生き延びる事が出来た…だが俺はもう二度と故郷に帰ることが許されない」
桐生「死に恐れは無い。だが、まだ死ぬワケにもいかない」
ラム「……」
レム「……」
桐生「俺は人外で例えるなら魔女ではない…龍だ」
桐生「それをこの一週間で証明してやる。以上だ」
ラム「……」
レム「……」
桐生「さあ、仕事を教えてくれ」
212 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/05(日) 10:22:38.99 ID:6mtsbr/10
今日はここまで
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/05(日) 11:27:13.61 ID:hrExL6QWo
たのしかった。もっとよみたい。です
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/05(日) 12:13:13.60 ID:68RvVcMbo
乙
これからが山場ですな
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/07(火) 16:41:14.67 ID:pIYlukD70
乙
セーブ地点が別れた後じゃなくて良かった
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/08(水) 19:11:56.78 ID:4g+H2dsUo
乙
217 :
◆637SXWkvW2
[saga]:2017/03/11(土) 03:10:37.17 ID:nQ0E1Zw+0
報告を
次回の投下分で第二章の終わりまで一気にやるから、執筆に苦戦中…
申し訳ないですが、もう少しお待ちください
予定では『次回投下分(第二章終了)→その次(オマケ回)』になるかと
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/11(土) 04:13:36.57 ID:L3dThdmto
了解ー
結構書き溜めしてるのか、期待
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/11(土) 10:44:57.56 ID:DMJDOMwQO
期待して待ってます
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/11(土) 23:18:51.48 ID:QqH3knZAo
期待して待ってますぜ、
>>1
の兄貴。
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/12(日) 00:06:14.16 ID:EpiYRY8co
スバルからバルスって来てるのに
このスレはどっから出てきたの
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/30(日) 02:02:36.04 ID:P+1B3YjTo
待ってます
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 20:59:42.46 ID:jQX9qSsIo
桐生ちゃん帰ってきてくれ
224 :
◆637SXWkvW2
[sage saga]:2017/06/08(木) 00:52:49.63 ID:ocoH3BvG0
保守しにきました
もう駄目かなって思ったけど、なぜかまだHTML化してなかった
とりあえずモチベ回復に努めるべく、原作もこのSSも色々見直したりします
もう少しで終わりになのに申し訳ない
225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/10(土) 17:12:10.06 ID:ocJzwvUao
生きてたんかい!
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/12(月) 19:05:21.74 ID:Sna+nG3Bo
期待!
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/19(月) 21:21:24.03 ID:Mdw0htHzo
桐生ちゃん・・・
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/25(日) 13:56:06.21 ID:SF1Qp6J80
期待
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/07/12(水) 15:50:00.97 ID:HNGv1WSy0
あ
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/19(土) 23:49:09.57 ID:VJoHkS51o
ほ
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/20(水) 22:56:46.46 ID:czeECjnZ0
保守
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/19(木) 01:08:06.45 ID:Et5py52d0
桐生の兄貴・・・どこいっちまったんですかい
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/12/29(水) 01:54:57.90 ID:G/gNiSU1o
桐生復活しろ
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[age]:2024/01/09(火) 20:48:41.43 ID:E5Y3me1PO
『極道に就職します。2日目』
龍が如く1極/初見ハードモード・第5章
「賽の河原」〜
(19:15〜)
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