【安価】世莉架「安価でタクを楽しませちゃうよ」【CHAOS;CHILD】

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152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 20:34:42.80 ID:FifiKfmW0
結衣「拓留兄ぃは私がいないと本当にダメなんだから」

拓留「?」

世莉架「えっ」

結衣「そんなしょうがない拓留兄ぃのために今日は私が一緒にいてあげる! ね?」

拓留「な、なんだよ……中学生にかまってもらうほど僕は――」

結衣「その中学生に説教されてたのは誰?」

拓留「……僕、です」

結衣「素直でよろしいっ。じゃ、行こ? 拓留兄ぃ」ガシッ

拓留「お、おい――腕に抱きつくなよ、窮屈だから」

結衣「まあまあそう言わずに、ね」

チョ、イタイッテ ユイ

世莉架「」

結人「せ、世莉架――さん?」

うき「あの、その……」

世莉架「私たちも行こっか」

うき・結人「はい」
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 20:43:31.45 ID:FifiKfmW0
拓留「あ、そういえばまだポケモンGOをダウンロードしてなかったな」

拓留(厳密にはインストールも)

結衣「あっ、拓留兄ぃはそれやんなくていいよ」

拓留「どういうことだ?」

結衣「私のスマホに入れてあるから、一緒にやろうよ」

拓留「……」

結衣「どうしたの拓留兄ぃ」

拓留「いや、その――恥ずかしい、だろ、それ」

結衣「はぁ……拓留兄ぃは高校2年生にもなってそんなことを恥ずかしがってるの? だから彼女できないんだよ?」

拓留「なっ――僕はリア充だぞ。彼女の一人や二人……」

結衣「そういう反応こそが裏付けてるよ。ていうか二人以上いたらどんびきだよ拓留兄ぃ」

拓留「むっ……」

結衣「まぁ、拓留兄ぃに彼女ができなくても、私が面倒見てあげるから、それでいいでしょ?」

拓留「なんだよそれ」

結衣「乃々姉ぇにいろいろ教わってこれでも結構女子力高いんだよ? あ、あと主婦力も」

結衣「学校の勉強だってがんばれば将来的に拓留兄ぃを養うことだって可能だし」

結衣「そのときは青葉寮から一緒に出て賃貸に住んで、マイホームを夢見るの」

結衣「よくない? これ」

拓留「は、はは……楽しそうだな」

結衣「でしょ? えへへ」

拓留「結衣……」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 20:51:55.65 ID:FifiKfmW0
拓留(結衣ってこんなに可愛かったか?)

拓留(僕が青葉寮にいない間に、いろいろ変わってるな――人もモノも)

結衣「あっ、プリン発見!」

結衣「ほらほら見て! 可愛いねプリン」ギュウ

拓留(ま、また僕の腕に抱きついて――)

結衣「どうしたの拓留兄ぃ。ぼーっとして」キョトン

拓留「な、なんでもない」

結衣「捕まえちゃおーっと」ポチッ

拓留(結衣――いい匂いだ)

拓留(もっと嗅いでいたい……)スンスン

結衣「うわぁっ! ちょっと拓留兄ぃなにしてんの」

拓留「!! ご、ごめん!! いい匂いだったからつい」

結衣「いい匂いって――もう変なこと言っちゃだめなんだからね///」

結衣「鼻息でバレバレだよ。気づかれないようにしなよ、もう」

拓留(気づかれなければいいのか?)
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 20:53:37.59 ID:FifiKfmW0
結衣(久しぶりに拓留兄ぃと二人きりだけど、全然変わってないなあ)

結衣(子供っぽいところは特に。これじゃあどっちが年上かわかんないよ)

結衣(そういうところも可愛いけど)

結衣(よし、拓留兄ぃに>>156してみよっと)
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 22:24:33.24 ID:5fiDbvIOO
腕をギューッとして甘えてみる
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/10(金) 15:36:54.88 ID:PNQv4LT00
結衣(私は妹だもん。甘えたっていいよね)

結衣「ねえ拓留兄ぃ――ううん、お兄ちゃん」ギュゥゥ

拓留「?!?!」

結衣「結衣お腹空いちゃった」

結衣「だから、お兄ちゃんとお茶しながら休憩したいなぁ」ウワメヅカイ

拓留「え、ええと、その――」

結衣「だ め ?」ウルウル

拓留「だめ……ってことないぞ、うん、そうしよう」

結衣「やった! お兄ちゃん大好き!」

拓留(あっかーん!!)

拓留(お兄ちゃん呼びは、あっかーん!!!!)
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/10(金) 15:42:21.46 ID:PNQv4LT00
拓留(もしかして……結衣は僕のことが――)

拓留(ためしに>>159してみよう)
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 15:59:21.61 ID:c40PUXIlO
壁ドンからの顎クイ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 17:32:42.96 ID:tCt2Xe7SO
これはいかん
おっけいさんがおっけいの暗黒面に落ちてしまう
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 18:03:06.54 ID:fsELCIjHo
子供相手に灰おっけいになる可能性が微レ存…?
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/10(金) 18:06:18.42 ID:PNQv4LT00
拓留(よし……! 壁ドンからの顎クイだ!)

拓留「結衣ッ」

結衣「ん? どうしたの拓留兄――」

ドンッ

拓留「結衣……」

結衣「た、拓留兄ぃ/// どうしたのいきなり壁ドンなんてっ」プイッ

拓留「こっち、むけよ」

結衣「はうっ」クイッ

拓留「……」

結衣「……///」

拓留「……」ジィーッ

結衣「そ、そんなに見つめないで……///」

拓留(キス――していいよな、もう)

チュ

結衣「〜〜〜〜〜〜??!??!?!」

結衣「ぷはあっ、ちょ、ちょっと拓留兄ぃ!!」バシン

拓留「あ痛てっ」

結衣「私のファーストキスが……」

拓留「ご、ごめん!! いやだったよな」

結衣「ん――ううん、嫌……ではないよ」

拓留「そう、なのか?」

結衣「うん。でも――」

チュッ

結衣「不意打ちはダメなんだからね//// もうっ」

拓留 ポカーン

結衣「か、帰ろっか。拓留兄ぃ」

拓留「そ、そうだな……」

スタスタ

結衣「……」

拓留「? なんで歩かないんだよ、結衣」

結衣「やっぱ足りない」

拓留「え?」

結衣「拓留兄ぃ――覚悟っ!!」ダダダダッ

結衣「えいっ」ピョン

チュウッ

結衣「んんんん〜〜〜〜!」ギュウウウ

拓留(キスからのハグって!! というか結衣の力が結構強い……)

結衣「拓留兄ぃ!」

拓留「は、はい!!」

結衣「今日は楽しかったよ!! だからね、最後にギュってして!!」

拓留「――ああ」ギュッ

結衣「ふふっ」ギュウウ

拓留(結衣が泣いているように見えたのは、気のせいだったのだろうか)
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/10(金) 18:13:44.48 ID:PNQv4LT00
〜青葉寮〜

世莉架「あ、おかえり〜」ポー

拓留「た、ただいま……」

結衣「ただいまっ」

拓留「尾上、なんだか意気消沈してないか?」

結人「うん、なんか言いだしっぺなのに終日こんな感じだったよ」

結人「結局その辺をちょっと散歩するだけで帰ってきちゃった」

うき「そ、それで、世莉架さんずっとこんな感じなんです」

世莉架「(・д・)……」ポー

拓留「そ、そうなのか」

結衣「……」

うき「世莉架さん、どうしちゃんたんですか? 元気出してくださいっ」

世莉架「(・д・)プー」

世莉架「タクっ」

拓留「な、なんだ?」

世莉架「今日は楽しかった?」

拓留「ま、まあ、そうかもな」

世莉架「そっかぁ、それならよかったぁ」

世莉架「じゃ、おやすみ、タク」スタスタ

拓留「おやすみって、まだ夕方だぞ」

うき「あ、帰っちゃいました」

結人「僕たちが何か怒らせるようなことしたのかな?」

うき「そうじゃないといいんですけどね」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/10(金) 18:17:28.10 ID:PNQv4LT00
結衣「ね、ねえ、拓留兄ぃ」

拓留「どうした?」

結衣「今日はうちに泊まっていくの?」

拓留「どうしようか……」


バタフライ効果による世界線分岐発動


安価>>165から>>169までの多数決で、二者一択の選択肢。


青葉寮に泊まる OR キャンピングカーに帰る


結果によりルートが分岐します。
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 18:18:35.62 ID:ZjihTBy90
青葉寮に泊まる
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 19:09:18.57 ID:TcWxVIw6o
帰る
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 19:11:14.23 ID:QBv1ClHmo
帰る
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/03/10(金) 19:12:36.75 ID:J2INldrMO
泊まる

まさかルート分岐で殺人鬼になったりしないよな……?
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 20:09:20.51 ID:i288c0ykO
泊まる
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/10(金) 20:30:20.57 ID:PNQv4LT00
世界線変動率1.031415%

――分岐。

拓留「今日は、青葉寮に泊まっていくよ」

結衣「本当っ?!」パァァ

うき「ふふ、結衣ちゃん嬉しそう」

結人「拓留兄ぃとここで過ごすなんて久しぶりだなぁ」

拓留「ははは、そうだな」

結衣「もうすぐしたら乃々姉ぇも帰ってくるから、今日はお料理がんばっちゃうね!」

拓留「ああ、楽しみにしてるよ」

拓留(尾上――大丈夫かな)

拓留「……」

拓留(まあ、あいつなら大丈夫だろう)
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/10(金) 20:31:11.31 ID:PNQv4LT00
日常パートは終了です。

ここからはストーリーメインに書いていくので安価も抑えていきます。

がんばって書きます。
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 20:33:53.07 ID:0Tt52IVKO
乙です
どうなるか非常に楽しみ
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/10(金) 20:34:40.81 ID:PNQv4LT00
来栖「ただいま――って拓留!? どうしてここに!」

拓留「どうしてっていうことはないだろう。ここは僕の家なんだから」

拓留「な? 乃々」

来栖「あなた今名前で……」

拓留「どうしたんだ?」

来栖「い、いえ……なんでも、ないの」ポロポロ

拓留「おい! どうして泣くんだよ……心配するだろ」

来栖「本当に、なんでも……ないの」

来栖「よかった……拓留が帰ってきてくれて」

拓留「ああ、僕は帰ってきたよ」サスサス

拓留(そうだ。これでいいんだ)

拓留(青葉寮が僕の家で――)

拓留(ここに住んでる人たちが僕の家族だ)

拓留(僕はもとあった日常に戻っただけなんだ)

拓留(――それだけだ)
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/10(金) 20:39:06.85 ID:PNQv4LT00
数日後

拓留(僕はリア充を気取るのも情強と言い張るのもやめた)

拓留(ごく普通の日常が良いと思えたんだ)

拓留(新聞部の記事も校内のゴシップに的を絞って大衆化した)

拓留(おかげで新聞部の人気も出た)

拓留(楽しい。毎日が楽しい)

拓留(一つ気になることは――尾上がここ数日学校に来ていない)

拓留(和久井先生の話では、尾上は今音信不通だとか)

拓留(本来なら僕も首を突っ込むところなんだけど)

拓留(余計な詮索はしないことにした)

拓留(今は日常を大切にしたいから)

拓留(僕は――情弱で非リアな、一般人だから)
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/10(金) 20:40:15.65 ID:PNQv4LT00
ちょっと前に安価で飛び入り参加キャラ募ってたのでどっかでだします。
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 20:47:04.47 ID:QBv1ClHmo
世莉架さん……
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/10(金) 20:48:15.78 ID:PNQv4LT00
日曜日

拓留「乃々! 今日は出かけてくる!」

来栖「あら、拓留。もしかして……また妙な事件を追っているんじゃないでしょうね」

拓留「違うって。僕はそういうのにかかわるのはやめたんだ。黒歴史なんだよ」

来栖「ふふふ。ようやくわかってくれたのかしら。私は嬉しいわ」

拓留「なんだよ、もう。とりあえず行ってくる!」

来栖「気をつけていってらっしゃい!」

結衣「おはよ……って拓留兄ぃこんな早くにどこいくの?」

拓留「ちょっと、秋葉原にな」

結衣「ええっ!? 拓留兄ぃオタクさんになっちゃったの?!」

拓留「悪いかよ」

結衣「いや、悪くはないけど……まあ、趣味を否定してちゃ喧嘩になっちゃうもんね」ボソボソ

拓留「?」

結衣「ううん、こっちの話。気をつけてね」

拓留「ああ」

結衣「あっ、その……」

拓留「っと――なんだ?」

結衣「今日の夜も……お願い、ね」

拓留「あ、ああ。あれか」

結衣「拓留兄ぃとじゃないとだめなの」

拓留「はあ……なんでここにきて一人で眠れないんだよ。結人だって一人で寝てるじゃないか」

結衣「なんでも! とにかく、ね///」

拓留「わかったよ。今度こそ行ってきます」ガチャ


拓留(あれ以来――結衣が妙に僕にべったりになった気がする。結構な頻度で一緒に寝るようせがまれる)

拓留(結衣の体も結構成長をはじめてるから……僕としてはどうしていいのかわからない)

拓留(これも、今までと違う日常の点だ)

拓留(尾上と結衣――なにをきっかけにかはわからないけど、今までとどこかちがっている)

拓留(でも僕は気にしないことにした)
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/10(金) 20:51:53.65 ID:PNQv4LT00
〜山手線車内〜

ガタンゴトン

拓留(秋葉原に行くのはとあるところに行くのが目的だ)

拓留(――『未来ガジェット研究所』)

拓留(この前の取材以来、あそこの人たちとは仲良くさせてもらっている)

拓留(橋田さんは変態だけどコンピュータの知識がすごい)

拓留(紅莉栖さんは理論に関して右に出るものはいない)

拓留(まゆりさんは可愛い)

拓留(岡部さんは……うん、なんというか、うん)

拓留(だけど一緒にいて飽きない人たちだ)

拓留(彼らのおかげで、平凡な日常にスパイスが効いてる)
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/10(金) 21:32:27.31 ID:PNQv4LT00
〜未来ガジェット研究所〜

拓留「こんにちは」

まゆり「あっ、タッくんだ〜トゥットゥルー♪」

岡部「おお! 宮代よ! よく来たな」

紅莉栖「あら、いらっしゃい。コーヒー淹れるわね」

拓留「今日はお三方なんですね」

岡部「いかにも。マイフェイバリットアームは現在出張中でな」

拓留(橋田さんのことか)

拓留(この未来ガジェット研究所は数年前に法人化されていて、今では橋田さんや紅莉栖さんを戦力に利益をあげているらしい)

岡部「そうだ宮代、新たな未来ガジェットを俺は開発したのだ!!」

岡部「その名も>>180!! >>181することが可能だ!!」
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 21:50:14.60 ID:yVl7kG7nO
電話レンジ(真)
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 22:49:00.22 ID:ZjihTBy90
携帯電話で遠隔操作
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/11(土) 19:10:19.29 ID:RG3MxoWR0
岡部「その名も電話レンジ(真)!! 携帯電話で遠隔操作することが可能だ!!」

ダル「ちょ、それ昔作った電話レンジ(仮)のまんまじゃん。というかあれはオカリンが自分から破棄した件について」

紅莉栖「まーたガラクタ作りおってからに。こいつは」

岡部「が、ガラクタなどではない!! 遠隔操作ができるという手軽さは大事だ!」

拓留「はは……」

岡部(タイムマシンでないだけマシだ――とは言うまい)

岡部(この世界線ではラウンダーに終われることも、誰かが死ぬこともない)

ダル「そういえば宮代氏は今度大学受験なん?」

拓留「あ、はい。そうです。理系で受験しようと考えています」

ダル「なつかしいお……。正直僕とオカリンは勉強あんまり得意ではなかったお。でもまあ仲良く東京電機大学にいったわけで」

岡部「スーパーハカーでありマイフェイバリットアームのダルが違う進路など考えられなかったからなあ!」

ダル「オカリンは変わらないお。まあ、僕たちも学歴とか気にする人間じゃないから後悔はしてないけどね。宮代氏は頭いいほうだと思うしもっと上目指せると思われ」

拓留「はは……浪人覚悟でがんばります」

紅莉栖「わからなかったらなんでも聞いてね」

ダル「うは、これは百人力!」

拓留「ありがとうございます」

まゆり「タッくんも大学生か〜。大学生になってもラボには顔出してね〜」

岡部「うむ。まゆりの言うとおりだ。なにせ宮代はラボメンナンバー010だからな!」

拓留「はい」

拓留(ここの人たちは良い人ばかりだ)

拓留(僕が望んでいたのはこういう人の輪なのかもしれない)
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/11(土) 19:12:08.33 ID:RG3MxoWR0
>>182の冒頭に

ダル「ひー。今日は早めに仕事終わったお」ガチャ

を追加でお願いします。
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/11(土) 19:20:17.28 ID:RG3MxoWR0
〜青葉寮〜



拓留「ふぁぁ……熱力学が苦手だな、僕は」

拓留「そろそろ寝るか……」

コンコン

拓留「はい」

結衣「拓留兄ぃ?」ガチャ

拓留「あ、結衣か」

結衣「うん。そろそろ拓留兄ぃ寝る頃かなって思って」

拓留「ああ、そうだよ(なんでわかったんだろう)」

結衣「迷惑じゃなかったらさ、今日もお願いしたいな……」

拓留「一緒に寝るのか?」

結衣「うん」

拓留「まあ、いいけど」

拓留(ちょっと悲しそうな顔で言われるから断れるわけがない)


結衣「んんっ。拓留兄ぃの体あったかーい」サスサス

拓留「お、おい。やめろって」

結衣「え、だめー?」

拓留「ダメって言うか……その――」

拓留「ああ、もう! 結衣はもう少し――自分の体の形を理解したほうがいい……」

結衣「?」

結衣「あ、もしかして興奮したの?」

拓留「……」

結衣「拓留兄ぃってばエッチなんだ」

拓留「……うるさい」

結衣「いいよ――私のこと襲っても」

拓留「え、え?!」

結衣「って、拓留兄ぃには無理か。チキンだもんね」

拓留「ば、バカにするなよ! 僕だって――」

結衣「僕だって、何?」

拓留「……」

結衣「ふふ、おやすみ、拓留兄ぃ」

拓留「ったく」

結衣「襲っていいっていうのは本当だからね」ミミウチ

拓留「!」

結衣「zzzzzz」スゥスゥ

拓留「……」

拓留「結衣か……」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/11(土) 19:21:51.47 ID:RG3MxoWR0
























<●> <●>

























186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/11(土) 19:27:18.57 ID:RG3MxoWR0
拓留「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!」ガバァッ

拓留「はあっ……はあっ……」

拓留(な、なんだ今の!!)

拓留(視線――だけどとんでもないプレッシャーだった)

拓留(どこから見られているかもわからない)

拓留(どこからでも見られているように感じた)

拓留「ヒィッ…… ヒィッ……」

拓留(過呼吸気味になってる。やばい、やばい)

結衣「た、拓留兄ぃ?」ボケー

拓留「あ、ごめん。起こしちゃったよな」

結衣「ううん。いいよ。拓留兄ぃいやな夢でも見たの?」

拓留「夢――ならいいんだけど」

結衣「?」

拓留「いや、心配しないでくれ」

結衣「拓留兄ぃ」

拓留「どうしたんだ」

結衣「私の胸に顔埋めて」

拓留「と、突然どうしたんだよ」

結衣「拓留兄ぃは疲れてるんだよ」

結衣「だからギュってしてあげる」

結衣「おいで」

拓留「……」

拓留 ポスッ

結衣「よしよし」ナデナデ

拓留(結衣の胸……膨らみがある。もう結構成長しているのかもしれない)

拓留(やわらかい。このままこうしていたい)

拓留(……)

拓留「zzzzzz」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/11(土) 19:37:49.80 ID:RG3MxoWR0
翌日

〜碧朋学園・新聞部部室〜

有村「はぁ、今日はヒマっすねぇ」

拓留「有村はそもそも新聞部の部員じゃないだろう」

有村「こまけぇこたぁいいんだよ、ってね。まあいいじゃないですか宮代先輩」

有村「それより、せり――どうしちゃったんでしょうかね」

拓留「尾上のことか?」

有村「はい。あんな元気な子が突然音信普通って絶対おかしいと思うんですけど」

拓留「まあ、確かにな」

有村「なんか、あんまり気にしてなさそうですね、先輩」

拓留「え?」

有村「私、せりと先輩は付き合ってるものだと思ってましたから」

有村「もしそうだったらその反応はいくらなんでも冷たすぎっすから」

拓留「僕と尾上は――」

――付き合ってないよ。

有村「そうすかー残念だなー良い子だと思うんすけどね」

拓留「まるで僕がダメな子みたいだな」

有村「あれ、気づいてないんすか?」

拓留「お前な……」


拓留「あ、そういえばさ」

拓留「自分が誰かに見られてるんじゃないかって思うことってあるか?」

有村「いやーどうですかね」

有村「私には人の嘘がわかるだけなんで――見られているかどうかってことに気を配ったことはないかもしれないです」

拓留「そうか」

有村「先輩はそういうことあるんですね?」

拓留「ああ、昨日あった」

有村「失礼かもしれないっすけど、統合失調症とか疑ってみてもいいんじゃないんすかね」

拓留「確かにここ最近どこかで精神的に疲弊してる感じがする」

有村「あんまり無理しないでくださいよ」

拓留「ああ、わかった」

有村「今日って華もいないですけど――他の部員はどうしたんすか?」

拓留「伊藤はファンタズムの新しいCD買いに行って、香月は課題が終わらなくて居残り。来栖は生徒会の打ち上げだな」

拓留(尾上は行方不明――とは言わない)

有村「じゃあ私たちふたりきりっすね」

拓留「み、妙なこと言うなよ」

有村「あれ〜? もしかしてビビッてたり?!」

拓留「ぐっ……」

有村「もう、可愛いっすなあ宮代先輩は」

有村「あ、それじゃあこれから二人で行きません? カフェLAX」

拓留「そうだな。今日は暇だしな」

有村「それじゃれっつご〜」
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/11(土) 19:49:21.81 ID:RG3MxoWR0
〜カフェLAX〜

エリン「おぬしらか。今日は二人かえ?」

有村「そうでーっす!」

拓留「ああ、そうだ」

エリン「ふむ。今日はあの元気っ娘はおらんようじゃな」

拓留「まあ、ちょっとありまして」

エリン「ほほ〜う。これは痴情のもつれか――」

拓留「違います」

エリン「つまらんのぅ」

エリン「今日は空いておる。好きなところに座るがいいわ」


拓留「ったく。あの店員は相変わらずだな」

有村「私は結構好きですけどね。可愛いじゃないですか!」

拓留「そうだな」

有村「あー、どうでもよさげっすか」

拓留「ああ、今となっては僕の中では力士シールくらいどうでもいい」

有村「? 変な例えっすね」

拓留「そうか? 力士シールくらいは知ってるだろう」

有村「また『一席ぶつ』とかなにかですか? 最近やってなかったのに」

拓留「あれは黒歴史なんだよ。いや、ていうか本当に知らないのか? 力士シール」

有村「しつこいですよ先輩。そんなもの知りませんって」

拓留(どういうことだ)

拓留「そ、それじゃあ、ニュージェネレーションの狂気の再来って知ってるよな?」

有村「ニュージェネって……六年前の猟奇的なアレっすか」

拓留「いや、今年もあっただろ。その再来とかで大騒ぎになったって。前の僕ならすぐ飛びつくような――」

有村「いつもの妄想っすか? 宮代先輩は変なところで頭が回ってるんですね」

拓留「……」

拓留(なにかがおかしい)

拓留(有村の口ぶりは、そんなものは見たことも聞いたこともないというようなものだった)

拓留(ニュージェネ狂気の再来と力士シールは、誰だって知っているはずなのに……)

拓留(ためしにスマホで調べてみたら、ニュージェネに関しては六年前の事件しか出てこず――)

拓留(力士シールにいたっては検索ヒット件数0件だった)
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/11(土) 19:50:33.90 ID:RG3MxoWR0
有村「あ、そうそう。先輩、>>190って知ってますか?」
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 20:02:36.57 ID:JXYlAizV0
東日本大震災
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 20:03:10.67 ID:TGnwCINW0
ジョン・タイター
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 20:04:22.93 ID:TGnwCINW0
そうか今日だな
黙祷なかったなそういや
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 20:04:51.42 ID:j3lPMy55o
君島レポート
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/12(日) 18:39:08.21 ID:Q/VBKqUd0
有村「東日本大震災って知ってますか?」

拓留「あ、ああ……2011年のな」

有村「そうです。阪神淡路大震災以来久しぶりに震度7を観測したっていう」

拓留「待て待て待て!! その後に渋谷地震があっただろう?!」

有村「はえ?」

有村「もしかして……新しい妄想ですか?」

拓留「何を言って……2009年に僕たちは渋谷で被災した――そうだろう?」

有村「もう私、宮代先輩が何を言っているのかわからなくなってきました」

有村「いいですか? 私たちが小学生のときに渋谷で大地震なんて起きてません」

拓留「な……」

拓留(一体――どうなってるんだ)

拓留(力士シールは存在せず、渋谷地震やニュージェネ狂気の再来も起きていないなんて)

拓留(夢でも見てるみたいだ)

拓留(ためしにアレについても聞いてみるか)

拓留「それじゃあ、一応聞くけどさ」

拓留「カオスチャイルド症候群って知ってるか?」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/12(日) 19:45:39.32 ID:Q/VBKqUd0


〜青葉寮〜

拓留「電磁気は面白いな……見えない世界にロマンを感じるよ」

拓留「ふぅ」

拓留「……」

拓留(結局、有村に期待した答えは一切返ってこなかった)

拓留(カオスチャイルド症候群という言葉すらこの世界にはない)

拓留(僕の生きてきた世界は幻だっていうのか?)


結衣「拓留兄ぃ」ギィッ

拓留「あ、結衣」

結衣「もう寝る?」

拓留「そう……だな」

拓留(なんで毎日タイミングがちょうどいいんだろう)

拓留(ちょうど良すぎる)

結衣「いい、でしょ?」

拓留「あ、ああ……」


結衣「んっ……」ギュゥゥ

拓留「結衣、暑い」

結衣「えぇ」

拓留「この部屋暖房つけてるんだよ」

結衣「きればいいじゃん」プクー

拓留「そもそもここは一人部屋なんだよ……」

結衣「私が暖房代わりになってあげるから、ね?」スリスリ

拓留「……」

結衣「ねえ」

結衣「胸とか、触ってみる?」

拓留「なっ! お前何言って――」

結衣「拓留兄ぃは童貞さんだから、まだ知らないんじゃない?」

拓留(一度、尾上が僕のとこに泊まりにきたことがあったな……)

拓留(あのときはどうだったっけ)

拓留は童貞か否か>>196
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/03/12(日) 19:47:44.29 ID:juoya6seO
童貞
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/12(日) 20:35:41.65 ID:Q/VBKqUd0
拓留(結局一線は越えてないんだよな……)

結衣「あ……もしかして怒ってる?」

拓留「別に」

結衣「よかった」

結衣「ねえ。拓留兄ぃは童貞捨てたいと思うの?」

拓留「結衣、お前今日ちょっとおかしいんじゃないのか?」

結衣「質問に質問で返さないで」

拓留「……」

結衣「私じゃ、ダメかな」

結衣「私は、いいよ。拓留兄ぃなら」

結衣「拓留兄ぃは家族だけど、血は繋がってないし」

結衣「私知ってるんだよ、そういうの、近親相姦にはならないんだよね」

結衣「ねえ、答えてよ」

結衣「ねえ」

拓留「……」

……

…………

……………………
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/12(日) 20:37:12.92 ID:Q/VBKqUd0












































<●><●>



























199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/12(日) 20:43:09.59 ID:Q/VBKqUd0
拓留「ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!!」ガバァッ

拓留「はぁっ……はぁっ……」

拓留「ふぅっ……」

拓留(まただ。また前身を隈なくにらまれたような感覚)

拓留(どこから見られているのかわからない)

拓留(どこからでも見られているみたいだ)

結衣「拓留兄ぃ……」ウーン

拓留「はは、ごめんな。また、起こしちゃったよな」

結衣「拓留兄ぃ、――……ほらぁ、こっちにおいでぇ」ムニャムニャ

拓留「なんだ、寝ぼけてるだけか」

拓留(この悪夢のような体験、続いてるな……)

拓留(思い出しただけで――)


<●><●>


拓留「うぅっ!!」グラッ


<○><○>


拓留「ぅぁっ……」


<◎><◎>


拓留「あsdfghjkl……」


拓留「かはっ……、だめだ……またこの感覚」

拓留「僕、死ぬんじゃないだろうな……」
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/12(日) 20:46:19.69 ID:Q/VBKqUd0
結衣「拓留兄ぃ……私は拓留兄ぃのこといっつも見てるよぉ……」ムニャムニャ

拓留「ははは、……正体が結衣だったらいいのにな」

拓留(結衣は今僕のそばで寝ている)

拓留(あのあと――僕はなし崩し的に結衣を抱いてしまった)

拓留(避妊もしていない)

拓留(すごく、まずいかもしれない)

拓留(でもそれが不思議とどうでもいいと思えてしまった)

拓留(そう、どうでも――)


拓留「zzzzzz」


……。
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/12(日) 20:57:37.94 ID:Q/VBKqUd0
〜碧朋学園〜

伊藤「え? 2009年の秋ごろはどこでなにしてたかって?」

拓留「ああ。なにかこう、変わったことと言うか……やばいな――っていうことあったか?」

伊藤「事件とか災害的な?」

拓留「ずばりそうだ」

伊藤「うーむ。……いや、悪いな宮代。俺の小学生時代はいたって平和だった」

拓留「そうか」

伊藤「あ、女子のスカートめくりならしてたかもな! ははは」

世莉架「あっ、もうー真ちゃんてばエッチ〜」

拓留「尾上!?!?!」

伊藤「?! って、どうしたよ宮代。尾上はたしか、行方不明なんだろ?」

拓留「えっ? 今たしかに尾上の声が……」

伊藤「してねえって。お前いくら尾上のこと好きだからってそれは病的だぜ」

拓留「そんなんじゃなくて――」

拓留「ゴホン……幼馴染を心配するのは、ダメなことか?」

伊藤「そりゃあ、ダメなんてことはないけどな。っていうか、幼馴染? 尾上はお前の幼馴染なのか?」

拓留「そうだよ。言ってなかったか?」

伊藤「いや、聞いたことないな」

拓留(僕の記憶だと伊藤は把握してた気がする……確信はないけど)

拓留(またひとつ、世界との齟齬を感じているみたいだ)

拓留(尾上――)

拓留(そういえば、尾上とはいつからの付き合いだったっけ)

拓留(……)

拓留(思い出せない……おかしいな。確かに尾上は僕の幼馴染で――)



























拓留(僕に幼馴染なんていたか?)
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/12(日) 21:00:20.64 ID:u5+kx5ADo
なんだよこのホラー展開……ほのぼのじゃなかったのかよぅ……
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/12(日) 21:07:14.19 ID:Q/VBKqUd0
拓留(僕の出した結論は――)


――宮代拓留に幼馴染はいない――


拓留(――だった)

拓留(第一に、僕は尾上の家に行ったことがない)

拓留(僕の記憶では尾上本人とはかなり深い付き合いがあったはずだが、僕はあいつの家のことを一切知らない)

拓留(だけど知らないと記憶に齟齬が生じる。家庭環境の不和を理解しあって共感したからこその絆――のはずだったから。よってこの記憶は嘘)

拓留(そして、これはあのあと橋田さんにお願いして(有料)調べたことだが……)

拓留(僕の知る尾上世莉架と言う人間は、データとしてこの世界には存在していなかった)

拓留(碧朋学園への登録を除いて、だが)

拓留(AH東京総合病院にすらなかった。そういえば渋谷地震は存在していないからか)

拓留(一緒に、病院に向かったはずだったんだけどな)

拓留(その記憶も嘘か)

拓留(結局、尾上世莉架とはなんだったんだろう)

拓留(僕は確かに、彼女と日々を過ごした)

拓留(でも彼女は確かに存在しない)

拓留(それどころか不確かすぎる)

拓留「はぁ……」

拓留「こんなこと、誰に相談すれば――」

拓留「――そうだ! あの人がいるじゃないか」

相談する人>>204

久野里澪 OR 蒼井セナ
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/12(日) 21:08:45.05 ID:RZyzzMVYo
セナ
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/12(日) 22:40:20.67 ID:TZQr7unFO
ニュージェネ事件が起こったけど渋谷地震が起こってないってことはサードメルトが発生する前(2009年11月4日〜11月6日の間)に解決したの?
地震が起こってないなら何で拓留達は青葉寮に住んでいるの?
この世界線の来栖は乃々と泉里のどっちなの?
カオスチャイルド症候群が存在しないなら碧朋学園は何故つくられたの?
ニュージェネの再来やカオスチャイルド症候群が存在しないのなら久野里は何故日本に来た?
ぱっと思い付くだけでもこれだけの疑問が出てきた。
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/12(日) 23:58:43.78 ID:J1erNbmbO
>>205
それ今箇条書きで回答なんかされても萎えるだけなんだけど……なに考えて書き込んでるんだ?
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 01:30:57.50 ID:/Y5A3trOO
>>206
>>205書き込んだの自分ですけど言葉が足りませんでした
それらに明確な回答が今ほしい訳じゃなくて渋谷地震が発生しなかったことで
>>205のような元の世界との違いが出来るはずだけどそれらがなさそうってことは
何らかの辻褄合わせが発生してるはずだけど>>1がそれを考えてやっているのかが知りたかっただけです
言葉が足らず、すいません
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/13(月) 17:17:48.36 ID:A3f0Hv940
〜渋谷区内某所〜

拓留「すみません、遅れてしまって」

セナ「5分か……まあいい」

拓留(僕はあの後、今巻き込まれている状況に対して相談すべく、蒼井さんと待ち合わせしたのだ)

拓留(事前に用件はメールで伝えてある)

拓留(自分の記憶と周囲の記憶との間に齟齬が生じていること)

拓留(尾上が行方不明になっていること)

拓留(視線を――感じること)

拓留(全部、だ)


セナ「……」

セナ「まず、お前の言うニュージェネ狂気の再来事件についてだが」

セナ「お前の記憶では、6年前の事件の模倣と思しき事件が確かに起こっていたんだな?」

拓留「はい。でもその言い方からすると、蒼井さんの記憶にも今年の事件はないんですね」

セナ「ああ、すまないがそうだ」

拓留「渋谷地震――も」

セナ「そちらについても、発生した事実はないといっていい」

拓留「ふと気になったんですけど、6年前の事件の真相って一体なんだったんでしょうか」

拓留「僕の記憶だと、

猟奇的殺人事件→渋谷地震

という流れで――」

拓留(ええと、少なくとも僕の記憶で久野里さんの放送を生で聞いたときには……)

拓留「一連の事件の犯人は西條拓巳という高校生である――と話題になって、でもそれは後で冤罪だと発覚して……」

拓留「それと同時に、彼の通う翠明学園は希グループという大企業の傘下にあったという事実もあって」

拓留「渋谷地震にはある大企業がかかわっている……一説ではそれが希グループであるとも言われている……」

拓留「という話がありました。まとまりがなくてすみません」

セナ「……いいや、そんなことは、……ない」

拓留(蒼井さんはなにやら深く考え込んでいるようだ)

セナ「……宮代」

拓留「は、はい……」

セナ「お前は、ギガロマニアックスというものを知っているか」

拓留「いえ、知りません」

セナ「ギガロマニアックスとは、妄想を具現化できる能力を持つ人間のことだ。ディラックの海に干渉し、粒子と反粒子を形成し、その粒子を妄想として周囲の人間に認識させる。周囲共通認識となった妄想は現実として成立する――原理はこうだが、要するに」

――妄想を具現化させる。

セナ「これがギガロマニアックスだ。世の中にはそういう人間が存在する」

拓留「な、なるほど……」

セナ「ところで、だ」

セナ「そういった能力と同等の機械があれば――と考えるやつが、当然出てきてもおかしくはないと思わないか?」

拓留「それは――思います」

セナ「それを作ろうとしたのが希グループだ」

拓留「!!」

セナ「翠明学園は、希グループのギガロマニアックスを集めようという思惑のもとに成り立っていた」

拓留(徐々に、何かが繋がっていく気がした)
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/13(月) 17:55:35.91 ID:A3f0Hv940
セナ「だが、希グループもとい希テクノロジーの開発した機械――ノアUの最終実験は行われることはなかった」

拓留「なんでですか?」

セナ「消滅したからだ」

拓留「なっ……」

セナ「西條拓巳を、お前は知っていたな」

セナ「私も知っている。だがそれはテレビに出て話題になったからではない」

セナ「私と西條拓巳は――……いわば知り合いだ」

拓留「そうだったんですか?!」

セナ「西條拓巳は強力な力を持ったギガロマニアックスだった」

セナ「あいつは、ニュージェネ事件の最後――DQNパズルのあとに、すべての力を使って希グループとプロジェクトの一切を虚構へと押し込んでしまった」

セナ(覚醒は思ったより早かった……オリジナルの力までも使って巨大な周囲共通認識を生み出すとはな)

セナ「西條拓巳は急速に事故崩壊し、ノアUなどとともに消滅した」

セナ「希テクノロジーの所業は他の記憶から完全に消せてはいないが、少なくともその存在自体は確かに消えたよ」

かつてあったがもうない。

セナ(私が西條を記憶できているのは……あいつなりになにか施したからだったりするのだろうか)

セナ(何でもは……知らないな、私は)

セナ「災厄は事前に防がれたといっていいだろう」

拓留「それじゃあ、僕の記憶にある渋谷地震って言うのは、ノアUがなんらかの形で動いた――と考えていいと」

セナ「そう考えるのが妥当だな」

拓留「……」

セナ「碧朋学園にいるんだったな、お前は」

拓留「あ、はい。そうです」

セナ「そうか……」

セナ「お前には――伝えておこう」

セナ「碧朋学園はギガロマニアックスの収容所のようなものだ」

拓留「なっ……!」

拓留(収容所、だって?)

セナ「さっき、希テクノロジーとその思惑の一切は、存在は消えても記憶からは完全に消えてはいないといっただろう」

セナ「おそらくは記憶している人間が、……ふたたびギガロマニアックスに関する計画を立ち上げた可能性がある」

セナ「私も研究の傍ら探ってはいるが……それでも限度があって知っていることは多くはないがな」

拓留「それじゃあ僕も、妄想を具現化できるということですか?」

セナ「そのはずだ。最も覚醒していれば、だが」

拓留「覚醒?」

セナ「ああ。これは推測だが……ギガロマニアックスを意図的に覚醒させる施設が碧朋学園なのではないだろうか」

セナ「より純度と能力の高いギガロマニアックスの育成――それが行えれば貴重なデータが多く取れる」

セナ「噂ではアメリカのヴィクトルコンドリア大学も関与しているとも聞いている」

拓留(まさか、……あの人か!?)
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/13(月) 18:20:23.43 ID:A3f0Hv940
セナ「少々私が語りすぎてしまったな。今日は宮代の相談だと言うのに」

セナ「だがこれで記憶の齟齬はかなり片付いたな」

拓留(僕の過去については――自分で調べるほかないよな……)

セナ「尾上世莉架――というお前の知人についてだが」

セナ「碧朋学園にいたということは、そいつもギガロマニアックスである可能性がかなり高い――というより確信を持ってもいいだろう」

セナ「行方をくらました理由については推測するしかないが……」

セナ「記憶の齟齬の内容はこれまでだが、その原因を考えてみよう」

セナ「推測――もっといえば考察であるという前提で聞いてくれ」

セナ「世界線という考え方を知っているか?」

拓留「零次元幾何をもつ点粒子の時空上の軌跡のことを意味する場合と」

拓留「架空かもしれませんが、ジョン・タイターの概念を意味する場合があります」

セナ「……驚いたな。それなら説明は早い。これからする話は後者の解釈で頼む」

セナ「世界は、パラレルワールドのように無数の可能性としての世界が存在し、そのうちの一つを私たちは生きている」

セナ「それらを各々世界線と呼ぶこととする」

セナ「例えば、今私たちが生きている世界をε世界線としよう」

セナ「仮に、私が過去へタイムスリップして大きな事件を起こしたとする」

セナ「その事件がその後の世界全体の未来を変えうるものであれば、世界線はもとのε世界線からさらに別の世界線へと変動するといえる」

セナ「そしてその影響の大きさによって、世界の変わりようは左右される。これを便宜的に世界線変動率と呼ぶこととする」

セナ「バタフライエフェクトという言葉を知っているか?」

拓留「はい。北京で蝶が羽ばたけば、ニューヨークをハリケーンが襲う――のような」

セナ「その解釈で十分だ」

セナ「ほんの少しの過去改変でも、どれほど世界を変えうるかは想像がつかない。世界線変動率は単純な関数としては定義できないんだ」

セナ「そしてここからが本題なのだが……」

セナ「もし仮に、世界線が変動したことを認知し記憶を継承できる人間がいて、さらにそれが宮代拓留だったとしたら……」

セナ「お前は、世界線変動に巻き込まれたのかもしれない」

拓留「っ!」

拓留「でも、僕はタイムスリップで過去改変だなんて、していませんが……」

セナ「ああ。この命題を成立させるには必要な条件が多すぎる。しかもそのすべてが推測の域を出ない」

セナ「しかし、私にはある仮説がある」

セナ「ここまでに仮定した多くの無謀な条件は――」

――ギガロマニアックスとしての能力としてつじつまを合わせることができるのではないか。

セナ「世界の変動そのものはエラーや負のエネルギー、ましてや反粒子などが直接的にかかわっているとは考えづらい」

セナ「世界を人間の意識の集合として考えれば、ギガロマニアックスによる意識への干渉を自分の記憶のバックアップとして応用できないかと、私は考えている。」

拓留「ちょっと待ってください! 蒼井さんの話を聞いている限りだと、……ギガロマニアックスは他者の存在ありきの能力じゃないですか」

拓留「僕の記憶は誰とも一致しない……。ましてや蒼井さんの仮説は僕が僕に能力を働きかけて自分のなかにバックアップをとる必要がある! それは矛盾すると思いますが……」

セナ「誰とも、か……本当にそうか?」

拓留「ど、どういうことですか」

拓留「あ、確かにこの世の全員とコンタクトを取ったわけじゃないですよ、はは……。でもネットにも一切ないですし。だから確かにだれかの記憶と意識に干渉してバックアップだなんて――」

拓留「――」

セナ「いるじゃないか」





セナ「お前が今探している少女がそうでない可能性を捨てるのは早計だと思わないか?」
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/13(月) 18:29:30.22 ID:A3f0Hv940
〜青葉寮〜

拓留「……」

拓留(今日は勉強を一切出来ていない……受験生なんだけどな、一応)

拓留(そもそも僕は卒業できるのか? あそこがそんな施設だなんて)


拓留(蒼井さんとの話で多くの謎は解決したが、それと同等の難易度の悩みがふたたび浮上した)

拓留(もちろん尾上のことだ)

拓留(尾上もギガロマニアックスだとすれば、――僕が尾上の記憶に自分の記憶を維持させるよう働きかけてバックアップとして使う、という相互作用的なこともできるのだろうか)

拓留(蒼井さんの仮説には疑問点が多くある。だが、一つ彼女に断られたのは……)


セナ「解明されていることがすべてではない。無責任なことをいうようだが、私は私の仮説を証明できる自信はない。自分から言い出したバックアップの原理にだって疑問点は山ほどある。だがもしそれが成功していれば……」


拓留(すべての辻褄は、合う)

拓留(そういうことなんだよな)

拓留(原理もそうだが、僕はそれ以上に僕の置かれている状況が気になって仕方がなかった)

拓留(それに僕の過去も、だ)


拓留「視線のことは……わからずじまいか」

拓留(蒼井さんが推測するには、ギガロマニアックスから干渉されている可能性がある――とのことだった)

拓留(もしそれが尾上なら――という可能性について僕は口を開けなかった)

拓留(今日は疲れた……もう休みたい)

結衣「拓留兄ぃ……」ガチャ

拓留(相変わらずタイミングが良い)

結衣「ねえ、拓留兄ぃ……>>212
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 19:12:08.34 ID:V5KYgBcEO
最近私が誰かに殺される夢を見るの
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/13(月) 21:03:17.02 ID:A3f0Hv940
>>210

ちょっと日本語がおかしいんで

×→セナ「お前が今探している少女がそうでない可能性を捨てるのは早計だと思わないか?」

○→セナ「お前が今探している少女がそうだという可能性を捨てるのは早計だと思わないか?」

に修正してください。
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/13(月) 21:04:20.81 ID:A3f0Hv940
ではつづき
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/13(月) 21:11:30.13 ID:A3f0Hv940
結衣「最近私が誰かに殺される夢を見るの」

拓留「何ッ?!」

結衣「あ、そんなに怖い顔しないでよぉ。……でも、確かにちょっとやだなとは思うよ」

拓留「僕と一緒に寝てるのはそれが理由なのか?」

結衣「えっ? あっ、う――うん。まあ、そうかな?」

拓留「それは……つらかったよな」

結衣「うん。一人で寝るのは心細いよ」

結衣「でもいいの。拓留兄ぃが一緒に寝てくれればそれで」

結衣「うん、それで……いいの……」ボロボロ

拓留「な、なんで泣いてるんだよ……大丈夫か?」

結衣「だ、大丈夫だよ。あれ、おかしいな……涙が止まらない」ボロボロ

拓留「結衣っ」ギュッ

結衣「あ―― 拓留兄ぃ//」

拓留「お前には僕がついてるから。安心して、いいから」

結衣「ありがと。嬉しいな拓留兄ぃ」

結衣「私ね、悩んでたんだ」

結衣「この前……拓留兄ぃに抱いてもらったときのこと」

結衣「私の勝手であんなことして、ひょっとしたら嫌われちゃったんじゃないかって……」

結衣「拓留兄ぃはその場の気分でそんなことする人じゃないのに、私ったら……」

拓留「もう気にするなって! いやなんかじゃないよ、僕は。結衣だったら――むしろ嬉しいくらいだよ」

結衣「ほ、本当?」

拓留「ああ」ギュッ

結衣「嬉しい……嬉しいよ拓留兄ぃ」ボロボロ

拓留「とりあえず涙と鼻水ふけよ」ハハ

結衣「あっ――もう、恥ずかしいから見ないでっ」

拓留「ティッシュはそこにあるからさ」

結衣「うん。ちょっと待っててね」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/13(月) 21:16:28.37 ID:A3f0Hv940
結衣「……はい。お騒がせしました」ペコッ

拓留「ははは、本当だよ」

結衣「もー」プクーッ

結衣「あのさ、拓留兄ぃ」

拓留「?」

結衣「拓留兄ぃも、何か悩み事あるんじゃないの?」

拓留「っ……どうしてそう思うんだ?」

結衣「見ればわかるもん。拓留兄ぃ何かに怯えてるみたい」

結衣「本当に大丈夫?」

拓留「……ああ」

結衣「私に出来ることなら力になるからね」

拓留「ありがとうな、結衣」

結衣「うんっ」

結衣「それで、さ……」

結衣「私、>>217してほしいなあ」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 21:17:17.79 ID:ykSWvDpgO
頭撫でてほしい
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/14(火) 15:50:56.73 ID:rzpJqq4Y0
結衣「頭、撫でて欲しいなあ」

拓留「そんなことでいいのか?」

結衣「そんなことじゃないもん……お願い」

拓留「あ、ああ……」ナデナデ

結衣「えへへ///」

拓留(可愛い)

拓留(愛おしいともいえるのかもしれない)

拓留(結衣の体は暖かかった)
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/14(火) 16:09:12.65 ID:rzpJqq4Y0
翌日

拓留(僕は僕とその周囲の変遷を調べることにした)

拓留(僕の記憶の世界では、渋谷地震のせいで僕や来栖、そして結衣たちが青葉寮に引き取られ)

拓留(今年になって、ニュージェネ狂気の再来事件を追う中で、AH東京総合病院の地下から保護した山添うきも青葉寮で引き取ることになった――)

拓留(――ということになっていた)

拓留(この世界ではどうなんだろう)

拓留(それを検証しなければ)


佐久間「ああ? お前たちを引き取った理由?」

拓留「ふと思ってさ。自分の過去について」

佐久間「なんだか妙な思いつきだな。まあいいけどよ。あんなことを忘れちまったなんてなあ」

拓留「あんなこと?」

佐久間「って、覚えてないって言うのが前提の話だったな。お前たちは、その――大きな声では言えないんだけどな」

佐久間「他言無用ってやつだ」


佐久間「都内某所の地下で行われていた人体実験の被験者だったんだよ


拓留「なんだって……!」

佐久間「俺は医者という立場上、そいつらのやっていることを見過ごせなくなってな」

佐久間「まあその、拉致ったわけよ。って言い方が悪ぃな」

佐久間「でもまああいつらも非合法的な実験をやってたわけだから、追ってきたりはしなかったみたいだけどな」

佐久間「そんで、俺の病院で預かることにした」

佐久間「それがちょうど6年前くらいだったはずだ」

拓留「……」

拓留(地下の人体実験……もしかしてAH東京総合病院か?)

拓留(父さんの医者という立場なら、関連はありそうだ)

拓留(そうか……父さんはそのために僕たちを)

佐久間「これでいいか?」

拓留「あと一つ……山添のこと」

佐久間「それはお前のほうが詳しいはずだろ? おいおい、痴呆は勘弁してくれよな。高校生なんだからよ」

佐久間「あの子はお前たちが家出少女を引きとってもいいか〜なんて俺に頼んできたんじゃないか」

佐久間「まあ、家族が増えるのはいいことだしな。部屋も余ってたし」

佐久間「家族にまた一人加わったら面白ぇじゃねえか」ハッハ

拓留「山添が……家出……」

拓留(本当に家出なのだろうか。家出とは名ばかりのもっと違った理由があるとか……)

佐久間「あと、これはお前の問題だが――」

佐久間「――あの子のこと、名前で呼んでやったらどうだ?」

佐久間「家族、だろ?」

拓留「あ、ああ。そうだな。そうするよ」

佐久間「よしっ。そんじゃ勉強がんばれよ。俺はちょっくら出かけてくる」

拓留「いってらっしゃい、父さん」

拓留(そうして父さんを見送った)
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/14(火) 16:18:57.95 ID:rzpJqq4Y0
拓留(蒼井さんにメールしてみるか)

拓留(AH東京総合病院の内情もまた、僕の記憶と違っている部分があるかもしれないし)

拓留(『AH東京総合病院の地下で人体実験などが行われていた過去はありましたか? もしあれば出来る限り詳しく教えてください』)

拓留「送信、っと」ポチッ


ピロンッ


拓留「早っ」

セナ
『なぜお前がその事実を知っているのか疑問だが、そこについて問いただす必要はないので本題に入る。確かにAH東京総合病院の地下でそのような実験が行われていたという話がある。ギガロマニアックスに関するものらしい。だが私も詳細を知っているわけではない。すまない。ギガロマニアックスに関連する組織のデータベースをハッキングないしはクラッキングでもすれば情報が手に入る可能性はある』

拓留「ハッキング、か」

拓留「あの人しかいないじゃないか」
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/14(火) 17:47:58.99 ID:0t0Wfl7vO
面白ぇさんがいい人になってるだと……
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/14(火) 23:08:03.40 ID:rzpJqq4Y0
〜未来ガジェット研究所〜

拓留「橋田さんにしか頼めない仕事なんです」

ダル「うーん、どれほどのセキュリティかわからんけど、難易度によるから成功報酬ってことでおk?」

拓留「あ、はい」

ダル「まあ宮代氏にはすこしまけておくお。身内のよしみってやつなのだぜ」グッ

拓留「ありがとうございます!」

ダル「えっへん。なんたって僕はあのSERNをもクラッキングしたスーパーハッカーだからね」

拓留(あのSERNをだって? さすがに、いつもの冗談だろ)

拓留(でも橋田さんの力はすごい。きっとやってくれるはずだ)

ダル「とりあえず明後日までには終わらせるから、そんときにまたラボに来て欲しいお」

拓留「わかりました。お願いします」


拓留「良い人たちばかりだな……ここは」ガラッ

綯「……」

拓留(ブラウン管工房の前に立ち尽くしているのは……たしか天王寺さんの娘)

綯「……」ジーッ

拓留(もしかして僕のことを見ている?)

拓留(な、なんだろう。妙なプレッシャーがあるな)

拓留(碧朋学園にいてもおかしくない年齢だよな。まあ違う学校なんだろうけど)

拓留(まあ、帰るか)スタスタ


綯「……」
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/14(火) 23:33:36.55 ID:rzpJqq4Y0
〜青葉寮〜

拓留「ただいま」

うき「あっ、おかえりなさい」

拓留「あれ、今は山z……うき一人だけか」

うき「! はいっ」

うき「……」

拓留「どうかしたのか?」

うき「いえ、拓留さん、初めて私のこと名前で呼んでくれましたから」

うき「私のこと、家族だと思ってくれたんだなって」

拓留「ああ、なんていうか、家族だと思ってなかったんじゃなくて、単に照れくさかったんだよ」

うき「拓留さんにもそういうとこがあるんですね」クスクス

うき「優しい人です、拓留さんは」

拓留「よしてくれよ。この前までリア充を気取ってた痛いやつなんだからさ」ハハ

うき「拓留さんは、その……十分リア充だと思いますよ」

拓留「えっ、何を根拠にそんなことを」

うき「一昨日の夜中、目が覚めちゃってトイレにいったんですけど」

うき「拓留さんの部屋から変な声が聞こえてきて」

うき「ドアがちゃんと閉まってなかったので覗いちゃって……」

拓留「なっ!」

うき「ごめんなさい/// 盗み見るかたちになっちゃいましたよね」

うき「でもああいうことしてる拓留さんは、結衣ちゃんとまとめてリア充ですっ」

拓留「もうこの話は終わりにしないか……」

うき「ふふふっ、ごめんなさい」

うき「あ、夕飯なんですけど、もう少しで結衣ちゃんも帰ってくるので、待っててくださいね」

拓留「そうか……」

拓留(そういえば、これまでうきとはあまり接点がなかったよな)

拓留(うきと時間を過ごしてみよう)

拓留「僕が手伝うよ」

うき「えっ!? そ、そんな。拓留さんに手伝ってもらうなんて」

拓留「早いほうがいいだろ? 僕じゃだめか?」

うき「はぅぅ、だめってことは全然ないですけど、申し訳なくて……」

拓留「家族なんだから、助け合わないと、だろ?」

うき「そっ、そうですよね///」

うき「それじゃあ、お願いします、拓留さん」
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/14(火) 23:35:09.84 ID:rzpJqq4Y0
うき「拓留さんって器用なんですね」

拓留「まあ、人並みにはな」

うき「手伝ってくれてありがとうございますっ」ニコッ

拓留「どういたしまして」

拓留(さて、どんな話題ならうきは楽しんでくれるんだろう)

拓留「なあ、うき。>>225
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/14(火) 23:39:57.09 ID:ggw7xFVDO
うきは僕にしてほしいこととかないか?
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 00:48:12.63 ID:Fj+iMgFp0
うき「えっ、して欲しいこと――ですか?」

拓留「ああ。僕はうきの兄だから、なんでもいってくれよ」

うき「それじゃあ……>>227
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 00:49:49.66 ID:R5LeN5h0o
甘えさせてください
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 08:40:47.12 ID:pHX7AuVso
ロリコンかよ宮代拓留最低だな
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 17:27:36.95 ID:p2WlfqISO
ロリコンなら尾上も永遠のロリっ娘で妄想されてるやん?
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 17:57:39.77 ID:Fj+iMgFp0
うき「それじゃあ……甘えさせてくださいっ」ピョコ

うき「ここに――青葉寮に来てから家族というものに触れて、兄弟というものを知って……」

うき「乃々さんは優しいお姉さんで……でもあの人を見ていると自分もしっかりしなきゃって意気込んじゃうんです」

うき「だから、年上で甘えられる家族に憧れてて」

うき「最近の拓留さんは優しいですし、私にとって優しいお兄ちゃんだったらって思うんです//」

拓留「うき……」

拓留「わかったよ。僕には、思い切り甘えていいよ、うき」

うき「ほ、本当ですかっ?!」

拓留「ああ。僕に出来ることなら力になるよ」ギュゥ

うき「あっ// だ、だめです拓留さんっ。私のこと抱きしめたら結衣ちゃんに怒られちゃいますよ」グイッ

拓留「あ……」

拓留(というより無意識にうきを抱きしめようとしてた)

拓留(どうかしてるんじゃないか、僕)

拓留(家族に優しく……ちょっと間違った方向に進みかけてるのかな)

うき「まあでも……今は結衣ちゃんいないですよね」ボソッ

拓留「?」

うき「いえっ、なんでもありません。でも、拓留さんがせっかく甘えていいって言ってくれたのに、どう甘えたらいいのか……」

拓留「そんな考え込むことでもないんじゃないか? 寂しくなったり、辛いことがあったら、僕に相談するなりしてくれればいいよ」ハハハ

うき「わかりました。そうしますね」

拓留(そのときに僕は思った)

拓留(今まで毛嫌いしていたこういう家族の関係が、今では心地いいと思えている)

拓留(世界が変わったあの日から――僕は幸せな生活へとシフトしているんじゃないだろうか)

拓留(情強だのリア充だのと神経を張っているのよりはるかに楽じゃないか)

拓留(僕はずっと、こうしていたかったのかもしれないな……)



















<●><●>
   X ふふっ
















拓留「?!?!?!?!?!」
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 18:06:13.32 ID:Fj+iMgFp0
拓留「ど、どこだ!?」クワッ

うき「ひっ! ……た、拓留さん?」

拓留「あ、あれ……」

拓留(今確かに、視線を感じた!)

拓留(一体なんなんだ……)

うき「あの……大丈夫ですか?」

拓留「あ、ああ。ごめんな、うき。ちょっと疲れてるみたいだ」

うき「受験勉強もがんばってるんですよね。疲れてるなら部屋で休んでてください」

拓留「悪い、手伝おうとしたのに」

うき「いいんですよ、そんな怖い顔されてたら私甘えるのも怖くなっちゃいます」

拓留「はは、そうだな。じゃあ後はよろしくな」

うき「はいっ」
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 18:08:30.41 ID:Fj+iMgFp0
〜拓留の部屋(青葉寮)〜

拓留(またあの視線……)

拓留(原因は一体なんなんだ)

拓留「……」

拓留(僕はその正体が尾上なんじゃないかと思っていた)

拓留(でも証拠がない……)

拓留(尾上がギガロマニアックスでそういうプレッシャーを与える力があるとすれば、合点がいく)

拓留「それなら僕は、どうしたらいいんだろうな」
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 18:29:11.99 ID:Fj+iMgFp0
後日

〜未来ガジェット研究所〜

ダル「お、宮代氏、オッスオッス」

拓留「こんにちは。今日は橋田さんだけなんですね」

ダル「まあね」

ダル「早速だけど、宮代氏の依頼してくれた仕事について結果報告といくお」

拓留「おねがいします」

ダル「まず碧朋学園なんだけど、それはひょっとしてギャグで言ってるのか? てくらいにびっくりな内容だったお」

拓留「どういうことですか?」

ダル「ええと、なんかギガロマニアックスとかいう超能力者的な? 人たちの収容施設だって」

ダル「まあ収容施設っていっても、家には帰しているから完全な収容ではないわけだが」

拓留(蒼井さんの言うとおりだ)

ダル「あれ、あんまり驚いてないかんじ?」

拓留「すみません、実はその情報は噂としてですけど聞いていました」

拓留「でもそれが確証となったので、ダルさんの仕事はありがたいです」

ダル「了解だお。そんじゃギガロマニアックスについての説明は省略するお」

ダル「まず、この碧朋学園を立ち上げたやつらってのが、6年前に消滅した希テクノロジーのプロジェクトの生き残りらしくて」

ダル「それまで行っていたギガロマニアックスに関する研究を陰で続行するための施設として碧朋学園が作られたんだってさ」

ダル「学校という形でギガロマニアックスを集めることで、さまざまな能力値を集計して、プロジェクトを進行させてる」

ダル「ただ、気になるのが、この碧朋学園を取り巻く組織は希テクノロジーだけじゃないってとこ」

拓留「他にも?」

ダル「それが……アメリカのヴィクトルコンドリア大学だお」

拓留(やっぱり! これも蒼井さんのいってたとおりだ)

拓留(僕の懸念は……久野里さんの存在だけど)

拓留「そういえば……牧瀬さんもそこで研究をしていますよね」

ダル「そうだお。でもこのことはまだ牧瀬氏には言ってない。できれば黙ってて欲しいお」

ダル「牧瀬氏の所属グループにも近いとこだし、情報がいきわたってることがばれたらみんなの身があぶなくなるかもしれんからさ」

拓留「わかりました。他言無用ということで」

ダル「おk。ここまでで質問はある?」

拓留「調べていくなかで、ギガロマニアックスの覚醒について言及しているデータはありましたか?」

ダル「ギガロマニアックスの覚醒……ちょっと漁ってみるお。あ、データはあとでまとめてUSBメモリで渡すお。いざと言うときのための自動消去プログラムつき」

拓留「はは、さすがです」

ダル「まあね」


ダル「さすが宮代氏だお……いっぱい文書がでてきた」

ダル「とりま足がつかないようにしてダウンロードっと」カタッ

ダル「よし、そんじゃ、いくつか重要印が押されてるやつを開いてみるから、一緒に読んでみて」

拓留「はい」
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 18:55:49.52 ID:Fj+iMgFp0
拓留「これは……『ギガロマニアックス予備軍者の覚醒について』だって……?」カチッ

ダル「やばそうな香りがプンプンだお」

拓留「ええと、『ギガロマニアックス予備軍者新設研究室東京支部――以下、碧朋学園とよぶ』」

拓留(なんて呼び名なんだ……学校とは名ばかりなのか?)

拓留「『碧朋学園では、ギガロマニアックスとして覚醒する可能性があり、

かつ精神の崩壊によって覚醒しやすい思春期の子どもたちを管理し、中等教育学校という体で調査を行うこととする。

なお、当施設は旧希テクノロジーのノアUに携わり消滅を免れた幹部数名と、ヴィクトルコンドリア大学脳科学研究所ならびに

精神生理学研究所とが共同で立ち上げたものである』」

拓留「『300人委員会が極秘裏に想定したサードメルト時の影響では、

ノアUのある渋谷において不完全な状態のギガロマニアックス――委員会はカオスチャイルド症候群者という仮称を設定していた

――が生まれることが懸念されていたが、ノアUが起動しなかったことは不幸中の幸いか、そのような子供たちはうまれなかった。

また、ギガロマニアックスであるか否かの判定は、末端組織とAH東京総合病院との共同研究による基礎データを用いた』」

拓留「AH東京総合病院だって?!」

拓留(蒼井さんと父さんが言ってた人体実験のことか?!)

ダル「あ……そこに書いてあるならAH東京総合病院についても説明したほうがよかったかも」

拓留「とりあえず他のも読んでからにします」

ダル「おk」

ダル(なかなかやばい領域に足を踏み入れてるよな僕ら)

拓留(もう引き返せない……)

拓留「これは……『実験・調査レポート』」ゴクリ

拓留「ひ、開くぞ……」カチッ

拓留「『第1回レポート。碧朋学園の新入生として多くのギガロマニアックス予備軍の子供たちを向かいいれてから三ヶ月が経過した。

彼らは今のところ、何の変哲もない少年少女のようにみえる。身体能力も学習能力も一般的なそれである』」

拓留「第1回から第7回レポートまでは同じような内容だ……」

拓留「うまくいってなかったのか?」

ダル「そう願うお」

拓留「『第8回レポート。ついに強硬手段を決行した。

進路相談などでチェックした精神的に不安定な生徒数名を地下に連れて行き、精神の崩壊を試みた。

予想通り彼らはディソードを発現し、覚醒した。実験は成功だ。

これからは同様の手段をもって強制的に覚醒させることができると考えられるため、今回覚醒した彼らは廃棄前提として複数の実験を試みた。

感覚の遮断およびブースト。リアルブートの強制。これらを行った結果、覚醒して間もない彼らは老人のような姿へと変貌してしまった。

委員会の想定したカオスチャイルド症候群者に類似している。以降は経過を見守るため、AH東京総合病院のデッドスポットにある部屋に

収容する。』」

拓留「」

ダル「」

拓留「ん? レポートの右下、そういえばすべて同じ署名がされているな……すごく小さいけど何か書いてある」

ダル「あ、ちょいまち。いま解析して拡大するお」


ダル「ええと、署名には――」






『――実験担当:和久井修一』

235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 18:58:12.29 ID:R5LeN5h0o
うわーお……死ぬわこれ
というか死んだわこれ
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 20:07:03.93 ID:Fj+iMgFp0
拓留「和久井修一って……!」

ダル「え、何。宮代氏の知り合い?」

拓留「知り合いも何も、この人は僕の部活の顧問です……」

ダル「な、なんだってー」

ダル「あ、いや、僕は至って真面目だお」

ダル「そういやさ、宮代氏も碧朋学園に通ってるってことは、こうなる可能性があったってことかお?」

拓留「そう、なりますね」

ダル「」

拓留(和久井先生……あなたは陰でこんなに非人道的なことを……)

拓留「レポートは、先月にアップロードされてる第11回が最後みたいですね」カチッ

拓留「『第11回レポート。すでに三年生は五分の一が覚醒を終えている。彼らには特別な進学先として

ヴィクトルコンドリア大学のファウンデーションコースを設けた。これで、向こうには留学という形で

サンプルを送ることが出来る。そして、現時点でまだ覚醒していない生徒の中に面白い被験者を見つけた。

第9回レポートにおいて私が報告したとおり、ギガロマニアックスには各々ことなる波動のパターンを

持っており、それが一致することはないと、独自の調査で結論付けた。今では委員会の認証待ちであるが。

さて、件の面白い被験者だが、ありえないことに、各々で異なるはずの波動パターンが一致する二者を発見した。

私の打ち出した仮説では、このようなことは、一方が他方をリアルブートした場合でないと起こりえないといえる。

ギガロマニアックスがギガロマニアックスをリアルブートしたとなれば、これ以上のサンプルはない。この二人が卒業

するまでにはアクションを起こさねばならないだろう』」

拓留「ギガロマニアックスがギガロマニアックスを生み出す、てことか?」

ダル「そのギガロマニアックスの原理についてはお手上げなんだけど、妄想を現実にできるってことはわかったお」

ダル「妄想が現実になれば……それはそれは気持ちのいいことなのよ? 碇君」

拓留「はあ、自重してください」

ダル「サーセン」

拓留「和久井はこのレポートを出してから近いうちに行動を起こすってことか」

拓留「もう行動に移っている可能性もあるな……」

拓留「橋田さん、ありがとうございました。碧朋学園に関する残りのデータは持ち帰ることにします」

ダル「了解だお。そんじゃ、次は例のAH東京総合病院についてだお」

拓留「……」
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 20:52:30.15 ID:Fj+iMgFp0
ダル「ほい。古いデータが多かったから、変換には骨が折れたけど、容量はたかがしれてたんで全部ダウンロードしておいたお」

拓留「ありがとうございます」

ダル「そんじゃ、好きなだけ見るといいお」スッ

拓留「……」カチッ

拓留「『本件は秘密裏に行われるものであり、一切の情報の漏洩は許されない』」

拓留「『この文書では、2009年9月現在までに行われた実験についてまとめている』」

拓留「『概要:ギガロマニアックス研究をAH東京総合病院の地下において行う。…』」

拓留「『…かねてより宗教団体を通じて被験者を集めていたが、長い間期待通りの結果は得られなかった。…』」

拓留「『…およそ人道的とはいえない内容のため、その詳細は別紙を参照のこと。…』」

拓留「『…あるとき、独自に描いたロールシャッハテスト用の画像を被験者に見せたところ、通常の人間では得られない反応を得た。…』」

拓留「『…精神的嫌悪感をその画像に対して抱くというものだ。…』」

拓留「『…これを11番目のロールシャッハとし、以降の実験でもたびたび用いた。…』」

拓留「『…外部でも使用できるよう加工が出来ればよかったのだが、モデルが見つからないため断念した。…』」

拓留「もしかして……力士シールのことか?」

拓留「この世界には力士シールがないんだったな」

ダル「なんだかオカリンみたいなこと言うのな宮代氏」

拓留「岡部さんみたいなこと?」

ダル「オカリンも時々世界がどうたらこうたらとか言ってるお。いつもの厨二病とは違う雰囲気で」

拓留「そうなんですか」

拓留(岡部さんにも世界変動と同時に記憶を維持する能力があるのだろうか)

拓留(……まさかな。いつもあんな調子の人だし)

拓留「一応、AH東京総合病院が地下で人体実験を行っていることはわかった」

拓留「それがギガロマニアックスに関することだということも」

拓留「まだ続きがあるな……」

拓留「『被験者の一覧は以下の通りである』」

拓留「これだけの人が実験されていたのか……」

拓留(そうだ、僕の名前もあるはずだ)


5102番:宮代拓留

5103番:橘結衣

5104番:橘結人


拓留「これか……」

拓留「あ、乃々の名前だ……」







5172番:来栖乃々(死去)






拓留「」
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 21:03:14.74 ID:i+1ncdWcO
ジェットコースターに乗ってるかのような急展開
そりゃまあ本気になった委員会なら把握しててもおかしくはないだろうが
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 21:07:19.75 ID:Fj+iMgFp0
拓留(どういうことだどういうことだ)

拓留(乃々が死んだだって? しかも日付が2009年だ……)

拓留(そんなはずはない。乃々は今でも青葉寮で生活しているのに)

拓留(何かの間違いだ)

ダル「だ、大丈夫? 顔色悪いお」

拓留「大丈夫です……」

拓留(乃々についてリンク先がある……先のページに進むのか)

拓留(……押すぞ)カチッ


実験における逝去者

……

5172番:来栖乃々

はじめに、5172番に関しては、死因と実験は無関係であることを断っておく。

5172番は実験によって両親(3021番および3022番)を亡くしているため天涯孤独であった。

そのため、AH東京総合病院の地下に住んでいた。

ところが、第97回目の実験を前にして、何者かに頭部を殴打され死亡しているところを発見された。

凶器は発見されておらず、またこの研究は完全極秘であるため、捜査はされず、遺体は秘密裏に火葬され、共同墓地に埋葬された。

……


拓留「……」

拓留(何がなんだかわからなかった)

拓留(乃々が死んだのに生きている。僕は青葉寮で亡霊にでも会っているというのか?)

拓留(全身の力が抜ける感覚に陥った)

ダル「お、おい! しっかりしろ!」

拓留「あ、あれ……」

ダル「もう今日はやめといたほうが……」

拓留「せめてこの文書を読み終わるまでは……帰りたくありません……」

ダル「……無理はすんなお」ポンポン

拓留「はい」

拓留(僕たちに関するデータについてもう少し掘り下げられないかな……)

拓留(名前で検索してみよう)


検索結果:3件

・5102番 宮代拓留

・未覚醒リスト ……5102番宮代拓留

・脱走(?) ※権限者以外読み込めません。


拓留「脱走……父さんの言ってたことか」

拓留「橋田さん、このデータ、ロックがかかってるんですけど、解除できますか?」

ダル「んーちょいまち」


ダル「うん、これならいけそうだお。まったく僕の手にかかればお茶の子さいさいなんだから」

拓留「頼りになります」

ダル「一応ロックは解除したお。ほれ」

拓留「はい……」
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 21:21:24.77 ID:Fj+iMgFp0
脱走(?)

※このファイルは権限コードによって開かれています。

2009年10月某日

5102番宮代拓留、5103番橘結衣、5104番橘結人の3名が何者かによって拉致された。

外部に情報が漏れることは許されないため、捜索に踏み切ることが打診されたが、委員会の通達により捜索は断念した。

彼らには簡易的な実験しか行っていなかったため、情報漏洩の可能性が低いと判断されたものと思われる。

また、特被験者6711番南沢泉理が外部の研究員と接触中に逃走したが、特被験者に関しては、催眠によって実験に関する一切を外部の人間に打ち明けることができなくなっている。これは内部のものでなければ解くことができない。

よって、6711番に関しては放置しても支障はないとした。


拓留「父さん……僕たちを助けてくれたんだな」

拓留「……」

ダル「もうやめるお。これ以上読み進めたら宮代氏が壊れるだけだって」

ダル「データはあげるから、おとなしく僕の言うことに従ったほうがいいお」

拓留「はい……もうかえって休みます」

ダル「気をつけてな」
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 21:25:48.79 ID:Fj+iMgFp0
〜青葉寮〜

拓留「……」

拓留(もう何も考えたくない)

拓留(今日一日で得た情報は、一日の許容限界をはるかに上回っていた)

拓留「以前の僕なら……情強を気取って舞い上がっていたのかもしれないな」

拓留(もう寝よう)

拓留(疲れた)


拓留「zzzzzz」















































<●><●>おやすみなさい。




















242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 21:32:36.84 ID:Fj+iMgFp0
翌日

拓留(僕は体調不良を理由に学校を休むことにした)

拓留(もっとも、昨日の一件以来あの学園の正体を知ってしまって怖気づいているというのもある)

うき「拓留さん、入りますね」ガラッ

うき「朝ごはん作ってきました。私も学校行っちゃうので、一人になってしまいますがごめんなさい」

拓留「いや、いいんだ。そもそも今日休むのだって僕のわがままだし」

うき「体調、大丈夫ですか?」

拓留「あ、ああ……まあまあかな」

うき「結衣ちゃん心配してましたよ」

拓留「ここには来てくれてないけどな……」ハハ

うき「照れてるんですよ、きっと」

うき「それじゃ、私も行ってきますね」

拓留「ああ、いってらっしゃい」



……

…………

……………………




拓留「暇だ」


なにをする?

選択肢 >>243

@受験勉強をする
Aエンスー2であそぶ
B他の人の部屋を漁る

ポジティブ OR ネガティブ >>244
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 21:35:15.70 ID:ODgWKf/A0
3
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 21:36:58.49 ID:VButCz3DO
ポジティブ
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 22:10:03.84 ID:Fj+iMgFp0
拓留「誰もいない家って、なんだか何でも出来る気がしてくるよな」

拓留「……ゴクリ」

拓留「よし、>>246の部屋に行こう」

>>246は複数指定してもいいですよ
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 22:12:59.48 ID:pHX7AuVso
結衣、うき、佐久間
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 22:38:33.46 ID:R5LeN5h0o
この拓留さんはロリコンの鑑
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/17(金) 20:34:56.25 ID:JRGvKWKe0
拓留「よし、結衣とうきと父さんの部屋にでも行ってみるか」


〜結衣の部屋〜

拓留「そういえば結衣の部屋に入るなんていままでなかったかもな」

拓留「……」

拓留「いい匂いがする」

拓留「結衣の匂いだ」

拓留「……ってなんだか僕が変態みたいじゃないか」

拓留(でも、今この部屋でなにをしても咎められないんだよな)


トリガー ネガティブ

/////////TRIGGER ON/////////

拓留「はあ」

結衣「拓留兄ぃ?」

拓留「うわぁあっ!!」ドタッ

結衣「だ、大丈夫?」

拓留「ななな、なんでここに?!」

結衣「それは私の台詞だよ、拓留兄ぃ」

拓留(あ、そっか)

拓留(いや、つーかお前学校は)

結衣「そ・れ・で、拓留兄ぃは私の部屋で何してたのかな?」

拓留「えっ、なにも……してないよ」

結衣「怪しいな〜」

拓留「ほ、本当だって!」

結衣「ふふっ、慌てちゃって、可愛い♪」

拓留「な、なんだよ……」

結衣「ねえ拓留兄ぃ」

結衣「ここは私の部屋なわけじゃん?」

結衣「だから私のほうが偉いの。質問に答えてね?」

結衣「『いい匂いがするなあ』とか思った?」

拓留「ぐっ……!?」

拓留(なんてことだ!)

拓留(図星じゃないか!)

結衣「ここには私がいつもはいてる下着とかお洋服があるからね〜。拓留兄ぃてばホントスケベなんだから」

拓留「もうやめてくれ……」

結衣「いいよ、別に拓留兄ぃをいじめたいわけじゃないし」

結衣「むしろプレゼントをあげようかなっ」

拓留「なん……だと……」

結衣「ちょっと目つぶってて」

拓留「わ、わかった」

拓留「……」


結衣「もういいよ〜」パサッ

拓留「ん? なんかいま僕の頭に乗せただろ」
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/17(金) 20:37:35.40 ID:JRGvKWKe0
結衣「それはね……」
































結衣「私が今脱いだぱんつなのでした!」






























拓留「な、なんだってーー!!!!」
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/17(金) 20:38:42.94 ID:JRGvKWKe0
――ブチンッ














拓留「……はっ……!」
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/17(金) 20:41:32.93 ID:JRGvKWKe0
拓留(なにを考えてるんだ僕は!)

拓留(だいたい結衣は学校に行ってるだろ……)

拓留(結衣がそんなことするわけないよな)

拓留「……」

拓留(……僕はがっかりなんてしてないからな)


拓留「さすがに衣装箪笥は触らないでおこう……」

拓留「これは、写真か」

拓留(特に特筆すべき点はないよな)

拓留(結衣の部屋は、あえて言うなら普通の女の子の部屋だった)

拓留(あとは……>>252を確認して次に行こう)
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